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とある島雲に蒼き原種竜の姿はあった。 かつてケツァル王に仕えていた従者。そしてティルをさらい、ウィルオンの命を狙ったあの竜。ラルガだ。 ラルガの元へ、紅き竜は舞い戻る。 同じくケツァル王に仕えていた原種竜だ。 「ヴァイル。ストラグルの封石がどこにあるかはわかりましたか?」 紅竜は蒼竜に素直に報告する。 「ああ、兄貴。ついに見つけた。大樹の北西、ビゲストという大陸にスロヴェストという遺跡がある。かつてはそこに機械都市が存在したらしいが…。封石はその遺跡の中だ」 知らせを受けて蒼竜は不敵な笑みを浮かべた。 「それは朗報ですね! では、次にフェギオンとメロフィスの封石も探してもらえると助かります」 「了解した。だが、なぜかつての陛下の敵である魔竜の封石を探すのだ? 封印は天竜たちが厳重に管理してくれているはずだ」 「おまえは余計な心配はしなくてよろしい。これもすべて王国の復活の為なのです」 「そうか…。わかった。ならば行ってこよう」 紅竜は再び飛び立った。 そして蒼竜は次の計画を確認する。 「ふむ……順調だな。さて、私もぼんやりしてはいられない。まずはリムリプスを手中に収めなくては。続いてストラグルだ。そうとも、これも王国の復活の為に。再びバルハラに王国を築くのだ…!」 蒼竜は己の目的のために飛び立つ。 王家のために。 Chapter8「魔竜の封印」 ナープたちとは入れ違いになる形で、ガルフは火竜の国ムスペを訪れていた。 ムスペの火竜王セルシウスに呼ばれていたからだ。 大火山の頂上付近にムスペ城はあった。 ムスペ城の塔に大きく開かれた空洞はそのままムスペ城の広間に通じている。そこから城内に入り火竜王に謁見する。 「よくぞ参った」 ガルフは頭を垂れて火竜王の前に立つ。 「面を上げるがよい。楽にしてもらって構わないぞ」 「はい。時に火竜王様、此度はどうして俺をお呼びになったのでしょうか」 ガルフは火竜王との面識はなかった。 そんな火竜王がガルフを知っているということ自体が驚きだった。 当然、ガルフには自分が呼ばれた理由など想像もつかない。 「うむ。まずは会わせたい者がいる」 火竜王が合図すると、玉座の陰から久しく見る顔が現れた。 記憶の片隅に残る、ずいぶんと懐かしい顔だった。 「よ、よう。元気だったか」 「親父…!?」 姿を現したのはフロウ。 ナープ兄弟が長い間、ずっと捜し続けてきた父親だった。 それが今、目の前にいる。 「今まで色々とすまなかったな…」 「親父、まさかムスペ王の下にいたとは…! 一体これはどういうことだ?」 「実はおまえに手伝ってもらいたいことがある」 火竜王がガルフに言った。 「俺に……手伝ってもらいたいこと? それも火竜王様から直々に」 「ガルフ。オーシャン……おまえたちの母さんと関係があることなんだ」 こんどはフロウが言った。 「まずオーシャンが天竜だったということは知ってるか?」 「天竜とは?」 「ふむ。よろしい、私から説明しよう」 火竜王は天竜について説明した。 かつて昔、大樹のあたりにユミルという国があった。 ユミルは残念ながら滅んでしまい、その首都バルハラは今では遺跡となっているが、そこにケツァル王国という国が存在していたことがあった。 天竜とはそのケツァルの国王に仕えていた者のことだ。 「ケツァル王国…。一夜にして滅んだと噂になっているあの国か」 「うむ。ただの伝説だと考える者もいるが、ケツァル王国は実際に存在していた。だが、見ての通りその国も滅んでしまい、今となってはただの廃墟だ。実はその国が滅んだことに問題があるのだ」 ケツァル王は神竜と称されていたが、それに敵対する4体の魔竜がかつて存在していた。 4体の魔竜はケツァル王によって封印され、魔竜を封じた封石は地上の各地に隠された。 その封石を監視するのが天竜親衛隊の役目であり、親衛隊たちを総括するのが天竜だった。 「だが、ケツァル王が倒れたことによってその封印が弱まってしまったのだ」 魔竜とはすなわち、フェギオン、メロフィス、ストラグル、そしてリムリプスの4体だ。 もっとも強力な魔竜とされるストラグルはとくに強い封印を施されていたので封印は無事だったが、他の3体の魔竜は復活を果たしてしまった。 復活した魔竜を再び封じるため、ケツァル王にその監視を命じられていた天竜が行動を開始した。 当時の天竜オーシャンは、側近であるフロウ、ゼロと共に各地を巡り、ようやく復活した魔竜を発見した。 メロフィスとフェギオンは無事に再度封印されたが、最後にリムリプスを封印しようという際にオーシャンが倒れてしまった。力を使い果たしてしまったのだ。 そしてオーシャンはそのまま帰らぬ存在となってしまった。 「お袋……。そうだったのか」 「俺がついていながら、なんて情けねぇ…。だが俺はオーシャンを助けてやることができなかったんだ」 オーシャンはフロウの仕えるべき相手であり、かつ妻でもあった。 それを失い、力になることができなかったフロウは絶望し、姿を眩ませてしまった。 そのため天竜は残った側近のゼロが継ぐことになった。 「情けねぇもんさ。自分の子どももほったらかして放浪してたってんだからな…」 悲しみに暮れたフロウは各地を放浪した後に、火竜王セルシウスと遭遇する。 「セルシウスは俺の旧友なんだ。そこで俺はしばらくセルのところにやっかいになっていたってわけだ。すまねぇな、ダメな親父でよう…」 「親父…。いや、俺は親父を責めたりはしない。無事だったとわかっただけでも良かった」 「本当にすまなかった…! 他の兄弟たちは元気にしているのか? もうずいぶん大きくなったんだろうな…」 「ああ。みんな親父を捜してくれている。一番下のナープはとくに親父に会いたがっていた。早く顔を見せてやってほしい」 火竜王は久方ぶりの親子の再会に水をさすまいとしばらく黙して見守っていたが、会話がひと段落する頃合いを見計うと言った。 「さて、そろそろ本題に入らせてもらってよろしいかな」 「ああ、すまんなセル。どうぞ続けてくれ」 火竜王は説明を再開した。 天竜オーシャンの働きによって、復活した魔竜メロフィスとフェギオンは再封印された。 残る魔竜リムリプスも再封印された……かのように見えたが、 「すべての封印は元通りになったはずだった。しかし、リムリプスの封印は不完全だったということがわかったのだ」 リムリプスはストラグルに次いで強力な魔竜だった。 それゆえに神竜ケツァルの力無くして、それを再度封印するのは簡単なことではなかったのだ。 「そこで、オーシャンの血を引く者としておまえを呼ばせてもらった。手伝ってもらいたいというのは、すなわちリムリプスの封印だ」 「オーシャンは高い魔力を持っていたんだ。俺やおまえたち、ましてやゼロなんかじゃ到底及ばねぇさ。セルですら敵わないほどだったんだ。だが、オーシャンの血を引くおまえたち兄弟と俺、ゼロ、そしてセルが力を合わせればあるいは……というわけだ」 もちろん、オーシャンがいくら魔力に優れていたからと言って、ケツァル王のように一人で魔竜を封印できたわけではない。 メロフィスやフェギオンは、オーシャンとフロウ、そしてゼロの力を合わせることでようやく封印することができたのだ。 それほどに魔竜とは強大な存在だった。それもそのはず、あのケツァル王に対峙していたほどの竜なのだ。 そんな魔竜を野放しにしておいては危険だとセルシウスは判断した。 そこで現天竜ゼロに力を貸そうと考えているところだったのだ。 「なるほど…。そういうことだったのか」 「ガルフよ。おまえには兄弟たちにリムリプス封印の協力を取り付けてほしいのだ。やってくれるか?」 「火竜王様に頭を下げられては断るわけにもいきません。俺にできることであれば力を貸しましょう」 ガルフは二つ返事でセルシウスの頼みを受けると答えた。 「それはありがたい。礼を言うぞ」 「しかし火竜王様。魔竜というのはそんなにも危険なものなのですか?」 火竜王はその問いに首を横に振った。 セルシウスも魔竜に会ったことはなかった。 「だが、あのケツァル王と同等の力を持つのだと仮定するなら、それが危険である可能性は高い。それに私は約束をしているのだ」 「約束?」 「うむ。ケツァル殿とのな…。ゆえに私は魔竜を封印せねばならないのだ」 どうやらセルシウスはケツァル王とは面識があるようだった。 「わかりました。では、まず俺は一体何をすれば?」 「うむ。まずは……」 火竜王はガルフとフロウに指示を出した。 そしてムスペ城からは、二頭のアキレア竜が飛び立っていった。 一方は同じくオーシャンの血を引く兄弟たちに協力を要請するために。一方は魔竜リムリプスの居場所を探るために。 Chapter8 END 竜の涙9
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2007年前半以前の魚拓消失 詳細は http //www.affility.co.jp/archives/265 ※ここに掲載してあるのはすべてソース保存済みなので問題なく閲覧できます。 キャッシュとは、転送元と転送先の間に位置しデータを記憶することで転送効率を上げるシステムのことだが、ここでは「『ウェブ魚拓』のサービスによって得られた、ウェブページを引用したもの」をいう。 ウェブ魚拓は、日本の著作権法で認められた「引用」をウェブ上で仲介するサービスです。 ウェブ魚拓は内容の編集が不可能な仕組みになっています。「その内容が」「そのURLで」「その日時に」公開されていたことの証拠として使うことができます。 (ウェブ魚拓の考え方 より) つまり、時間が経っても中身が変わらないため、長寿スレでは昔のスレを保存する手段として使われるようになったのである。 初期のキャッシュ100レスキャッシュ 全レスキャッシュ キャッシュの保存 キャッシュソース保存 PHでの利用 その他のログ保存について 初期のキャッシュ POC最初のキャッシュは、グラップが2007年2月11日に記録したプラント衝撃発言のものである。該当レスを削除しても証拠が残るということから、これ以後キャッシュがPOC内で注目を集めるようになった。 100レスキャッシュ その後、配信時期スレやPOC20などPOC黎明期のキャッシュが登場する。しかしこれらはスレを開いたときに見られる最新の100レス部分だけをキャッシュしたものであり、他の部分は広場サイトにリンクしているためログから落ちていると見ることができない。このことから100レスキャッシュなどと呼ばれている。 ちなみに配信時期スレがあって初代がないのは、ある理由(*1)によって他の初期スレよりログから落ちるのが遅かったため、会員が「初代はずっと消えない」と誤認したからである。したがって記念すべき初代の記録は一つも残っていない。当時を知る会員の記憶によるのみである。 全レスキャッシュ 100レスキャッシュの弊害に気付いたWiiかごしま(WiiNa)が、POC88(2007年4月3日)でいわゆる「全レスキャッシュ」の方法を発見した。対象スレのレスアンカーを「0-」と指定することで、容量は大きくなるがすべてのレスを残すことができる。 POC最初の全レスキャッシュは、このとき記録されたPOC31である。 キャッシュの保存 Wiiかごしまの発見によってPOCでは全レスキャッシュが主流になるが、これが実用化、つまり過去の記録として残されるようになるのは2007年11月からで、発見から7ヶ月も経っている。 記録を残し始めたのは南無で、現在も「POCキャッシュ」および「POCキャッシュソース保存(後述)」ページに過去スレのキャッシュが保管されている。 7ヶ月間にわたって何の動きも見られなかった(*2)のは、過去ログの記録にあまり重要性を見出してなかったからと思われる。 POCではおしゃべり掲示板内に過去スレのURLを保存するスレ(ポケモンおしゃべりクラブ過去スレ保管室)を作っていたが、過去ログから落ちて見れなくなった分はどんどん消していく方式だったため、記録として残すつもりは特になかったのだろう。あるいはその気があってもどうすればいいのかわからなかったのかもしれない。 このスレは南無の活躍でPOCキャッシュが認知されるようになってから更新を停止し、おしゃべり掲示板のログから静かに姿を消した。 キャッシュソース保存 キャッシュソース保存とは、キャッシュページのソース(HTML)を個人で保存、または共有することで、キャッシュが突然見れなくなる(例えばウェブ魚拓がサービスを停止した)といった不測の事態に備えるものである。(実際に2010年11月12日に2007年前半以前の魚拓が消失するという事件が起こった。詳細はページ先頭から) ソース保存の簡単な手順はこちらを参照。これを最初に提案したのはPHのもせしとみられている。2008年8月の段階ですでに保存作業を開始していた。 それに目をつけたベカチュウと南無がすぐに作業を開始し、大量に蓄えられたPOCキャッシュのソースを保存し、それらを圧縮してPOCのうpろだに上げるまでに至った。(*3) ソース保存のメリットは、内容を自由に編集でき(例:荒らしなど見苦しいレスの削除)、ページの軽量化が図れる点である。 一時期ウェブ魚拓の一部のサーバーが反応しなくなったこともあり(*4)、キャッシュソースの需要は高まっている。 ただし、その気になれば内容を変えることもできるため、冒頭に挙げた「証拠品」としての使用は困難である。会員の良識を信じるのみである。 そして2009年7月、南無がソース保存したものだけを収録した「POCキャッシュソース保存」ページを新設した。内容は「POCキャッシュ」と全く変わらない。新しくサイト内検索機能が実装される予定だが、進展していない。 これに伴って、「POCキャッシュ」の更新事務はWiiNaに任されることになった。 しかし、同じ内容のページは二つもいらないということで、2009年9月7日を境に「POCキャッシュ」は更新停止し、過去ログ保存は南無のソース保存に一任されることとなった。一方のPOCキャッシュは、2009年9月12日に閉鎖し、「歴史的な瞬間」のみを集めた「キャッシュ置き場」に移行した。(最近更新されない) 今後、「キャッシュは一瞬を切り取るもの」という印象がより強くなるだろう。 PHでの利用 二大長寿スレとして上げられるPOCとPHだが、キャッシュの利用方法は少し異なっている。前述したソース保存もその一つである。 PHでは47Fからのキャッシュがすべて残っている。 掲載のしかたに特徴があり、全レスキャッシュも残しているが100レスずつキャッシュしたものも残している。これは全レスキャッシュは重いから100レスずつに分けて軽量化したものも使えるようにとの配慮だろう。 レスアンカーが「0-100」「101-200」…と分けられているため、PHでは最初からレスアンカーを使う方法が確立されていたとみることができる。 その他のログ保存について キャッシュ保存の流れとは直接関係ないが、Skypeなど本スレ以外での活動が規模を拡大すると、そのような場所での発言も残せる限りログが保存・管理されるようになった。 Skypeのログは主に南無とWiiNaが協力して保存(*5)しており、2009年10月25日から記録が残っている。他にもTalesWeaverのログが活動記録として役に立つし、変わったところでは南無がネットゲーム「汝は人狼なりや?」の対戦ログ(*6)を保存している。 (*1)初代スレは1000レス到達直前でロックされており、終了後すぐに過去ログに落ちていないことがわかっている。そのため長い間現行ログにとどまることになり、他の黎明期スレより長生きした。これが「初代」だったためにやがて古参の間では神秘性が生まれ、ロックすることで過去ログから落ちるのを防げるという誤認(実践されたことさえあった)も一時期広まった。「茶畑兄弟が語るPOCの歴史 #001 POC初代スレが長く残った理由」も参照。 (*2)厳密に言うと断続的に100レスか全レスキャッシュが残されている。1スレずつ本格的に保存し始めるのが07年11月から。 POC60~70周辺の保存状況は下表のとおり。 POC 59~65 66~68 69 70~72 73~ 保存形式 全レス※ 100レス 全レス 100レス 全レス確立 ※ POC60については、全レスのほかにラスト100レスのキャッシュとプラント発言周辺の100レスキャッシュが残っている。 (*3)この頃はzipファイルを会員で共有しようと計画していたが、うpする人がめんどくさくなるわ、使っていたうpろだはリニューアルと称して改悪するわでついに計画は幻になった。 (*4)個人的には「キャッシュは開くときに確認画面が出るので面倒」というのもソース保存に拍車をかけている、と思う。 (*5)2012年8月末時点でそのデータはテキストファイルで約32万行・16MBの巨大なものとなっている。ただし、途中に通算約6か月間の取得漏れがある。ちなみに、WiiNaがこのログをもとに発言回数などの細かい分析を行おうとしたがデータが巨大すぎて断念した。 (*6)ソース保存ページのトップにリンクがある。(汝は人狼なりや?身内用@POC村)
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アイテム 《天明杖ワンドアップ》 打撃力0/ 攻撃力0 / 防御力4000 ワールド:マジックW/スタードラゴンW 属性:天国 / 武器 【装備コスト】 ゲージ1を払い、君のドロップゾーンのカード1枚までをこのカードのソウルに入れる。 君のドロップゾーンのカードが5枚以下なら、君の場の《天国》全ては相手のカードの効果で破壊されず、場を離れず、能力を無効化されない。 [対抗][起動]相手のターンの攻撃中、君のドロップゾーンのカードが3枚以下なら、君の場の《天国》のモンスターかアイテム1枚を選び、ゲージ1を払う。払ったら、このバトル中、選んだカードを防御力+5000 [ソウルガード] FT ---- おそらく天国が欲していたであろう全体耐性付与のアイテム。 ドロップ送りとか、デッキボトム送りとかも防げる。 名前 コメント
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第六章「力、知恵、そして勇気じゃなくて機械」 ガイストが次に目を覚ましたのは留置所の中だった。 荒野で行き倒れていたガイストたちを拾ったのは、偶然そこを通りかかったフィーティン軍の装甲車だった。 フィーティンの首都フェルトへと戻った装甲車は行き倒れの旅人たちに水と治療を与えたが、入国記録に彼らの顔がなかったので不法入国者の疑いがあるとしてこうして留置所に閉じ込めたのだった。 守衛が二人に向かって声をかける。 「来い。面会の時間だ」 「面会だって? 一体誰が…」 フィーティンに知り合いなどいないはずだ。 不思議に思いながらも面会室へと連れられる。そしてそこで出逢ったのは意外な顔だった。 「やっぱりガイスト! あのまま軍隊に連れられていったけど、よかった。無事だったんダな!」 ガラス窓の向こうにサボテンが座って話している。 「オレ面会って初めてで戸惑っちまったよ。ここに来る途中に検査室があって手荷物を調べられるんダ。でもオレ自身が金属だからすごく反応してなぁ。それからやたら長い通路を通るんダが、誰もいなくてほんとに進んでいいのか不安になっちまったよ」 いや、これはサボテンのような姿をした機械だ。彼こそが先の戦争でともに闘った仲間、ゲンダーだ。 「ゲンダー! まさかこんなところで再会するとは思わなかった。どうしてここに?」 「実はダな…」 メイヴを復活させる方法を求めて旅に出ていたゲンダー。 ガイストたちがヴェルスタンドを駆けまわっていたその頃、ゲンダーはヴェルスタンドの荒野を進んでいた。 すると突然の砂嵐。視界が悪く思わず立ち止ったところに、ちょうどそこを行軍していたフィーティンの装甲車が激突する。 何事かと降りてきた兵士が発見したのは倒れているサボテン型の機械だった。 奇妙な機械を見つけたと兵士が報告する。機械と言えばマキナだ。偵察機か何かかもしれないと判断した上官はそれを持ちかえって調査するように命じ、ゲンダーは装甲車へと載せられた。 このときの衝撃で一時的に意識を失っていたゲンダーだったが、搭載されている自己修復機能で回復し意識を取り戻すと、最初に視界に飛び込んできたのは行き倒れるガイストたちの姿だったというわけだ。 「こんな再会のしかたをするなんて、運命って不思議なもんダな。ガイストはどうしてここに?」 「僕たちはヴェルスタンドから来たんだが…」 ガイストが事情を説明した。 それを聞いてゲンダーは難しそうな顔をして言った。 「また精神体か…。しょうがないな、またオレがやっつけてやる。射影機はまだあるのか?」 「スヴェン博士の研究所にある。僕たちはマキナに向かうところだったんだけど、ちょっと事故に巻き込まれてしまってね。気が付いたらこうして捕まっていたというわけだよ」 精神体と戦うためには射影機が必要だ。それを取りに行くためにマキナへ向かいたいが、そのためにはなんとかここを出なくてはならない。 「ゲンダー、僕たちをここから出すことはできないのか?」 「まぁこの壁を破壊すればできなくもないが、それだと大騒ぎになっちまう。それを避けたいなら今すぐってわけにはいかないぞ」 「そ、それは困るな。だったら僕の代わりにマキナへ行って射影機を取ってきてくれないか? それからスヴェン博士に事情を説明してもらえると助かる」 「それならお安いご用ダ! 他に何か伝言とかはあるか?」 「そうだな……それじゃあこの機械をスヴェン博士に修理してもらいたいんだけど、頼めるかい?」 左腕にはめた小型端末を指して言う。 「あとで守衛に頼んでおくから受け取ってくれ。ただの壊れた機械だ。問題なく渡してもらえるはずだ」 「おう。合点承知ダー」 ちょうどそこで守衛がそろそろ時間だと伝えてきた。 オレに任せろと胸を叩いてゲンダーは去って行った。 「さっきの機械は?」とヘルツ。 「あれが前に話したゲンダーだ」 「ずいぶんよくできてるんだな。まるで人間と会話しているのとほとんど変わらなかったぞ」 「ヘイヴという科学者が発明したんだ。僕の憧れの存在だ。現在のマキナのどの機械よりも優れている。……さすがヘイヴだよ」 もうこの部屋に用はない。そこで守衛に小型端末を預けてガイストたちも去ろうとすると、別の守衛が現れて呼び止めた。 曰く、どうやらまだ他に面会相手がいるらしい。 「面会は一日一回だと思ったけど、フィーティンじゃ違うのかい?」 「基本的にはそうだ。だが重要な人物が面会を求めているので、今回だけは特別措置とさせてもらう」 「重要な人物だって?」 こんどこそ心当たりがない。メイヴはいないし、グメーシスはしゃべれない。 まさかスヴェン博士がここにいるということはないだろうし、重要な人物というほどの存在なのだからもっと格上のはずだ。 「一体誰が…?」 面会室の椅子に座りなおして、不安と緊張の面持ちでしばらく待たされる。 するとおもむろに、こんな場所とはまるで不釣り合いの大層立派な身なりの男が現れて、ガラス窓を挟んだ向かいに座った。 「おまえ……いや、あなたは……!!」 驚いてヘルツが椅子から転げ落ちた。 「ヴェルスタンド……大統領!? どうしてあなたが!!」 それは現ヴェルスタンド国家代表その男だった。 「ガイスト博士。ご無沙汰だな」 それは前大統領の政権時代にヴェルスタンド精神科学省大臣を務めていた男で、新たに現政権の代表となったヴェルスタンドの新大統領だ。精神科学に携わる者として、ガイストも彼には多少なり面識があった。 新大統領はヴェルスタンドで起こる異常な現象を解決するため、このフィーティンに拠点を移しフィーティン国王の協力のもとで対策を講じているとのことだった。 そういえばそんなことがニュースで言われていたな、とガイストは思い出す。 「で、ですが大統領! フィーティンはかつての戦争相手、憎き国です! そんなやつらに協力を求めるだなんて…」 ヘルツが困惑した様子で訊く。 「たしかに戦時は敵国だった。だが、そんなことばかり言っていては政治はできんよ。今はヴェルスタンドの国民を護ることが大切だからな」 この男は敵だった前大統領とは違う。しっかりと国民のためを思って政治を行おうとしている。ガイストはそう感じた。 大統領はそんなガイストのほうを見つめて言った。 「そして時にガイスト博士。たしか君は精神体研究の権威だったな。我々の調査の結果、今回の騒動の原因は精神体が関与していることがわかっている。しばらく行方を眩ませていたので途方に暮れていたのだが、こうして出逢えたことは喜ばしい偶然だ。是非ともあなたの協力をお願いしたい」 「まさか…大統領直々のお願いだなんて……!」 「もちろんタダとは言わん。すでに話はつけてある」 大統領が合図すると、部屋の奥で監視していた守衛が畏まって答えた。 「お二人を解放するようにとの指示を受けています。面会が終了した後、すぐに出ていただくことができます」 ご丁寧に守衛の命令口調が敬語にまでなっている。 「どうだろうか。協力してもらえるかね?」 もちろん、これに異を唱える理由はない。ヴェルスタンドで起こっている異変を止めたいという目的は同じなのだ。 「精神体を研究していたのは間違いなく私です。この一件の責任は私にあると言っても過言ではありません。是非とも協力させていただきます」 ガイストはこの要請を受けた。 では後ほど会おうと告げて大統領は面会室を後にした。 まだ興奮治まらない様子でヘルツが訊いた。 「ガイスト! いや、ガイスト先生! 大統領に名前を知られてるなんて、そんなにすごいお方だったんですか!?」 「ま、まぁ……一応ね」 苦笑するしかないガイストだった。 留置所から出されたガイストたちは大統領に連れられて、フィーティン王城へと向かった。 王城にはヴェルスタンドの大統領、大臣たち、フィーティンの王に大臣たちと錚々たる顔ぶれだ。 緊張して固まるヘルツをよそに、ガイストは精神体の特徴を説明する。 「ほう、そんなものが…」 「なるほど、そのパルス波とかいうものに弱いのか」 腕を組みながら大臣たちが頷く。 「大統領、よろしかったのですか…。我が国の技術がフィーティンに知られてしまいます」 一人のヴェルスタンドの大臣が耳打ちした。 「そんなものはかまわん。それならばさらにその上を行く技術を開発すればいい。今は国を立て直すことが先決だろう」 ガイストの説明を聞いていた大臣の一人が質問した。 「しかし、その精神体がなぜ人々を襲うのだね。君の説明によると精神体は意思を持たないのだろう?」 「ええ、そうです。おそらく何者かが精神兵器を利用して今回の事件を引き起こしていると私は考えています」 「では黒幕がいると?」 大統領が訊いた。 「そう考えるのが自然でしょう。……ですが、それが誰なのか見当がつかないのはもちろん、その動機もわかりません。大統領、何か心当たりは?」 「我が国に恨みがある者の仕業だろうか。よもやフィーティンの仕業ではあるまいな」 フィーティン王をちらと睨む。大臣たちが口々に反論したが、それを鎮めさせるとフィーティン王は改めて否定した。 「フィーティンの自慢は軍事力だ。フィーティンは力を以ってよしとする。我が国はそんな精神体を使うような卑劣な真似はしない」 こんどはヴェルスタンドの大臣たち叫ぶ。大統領がそれを鎮めて確認する。 「貴国ではないと信じていいんだな。となるとやはり先の戦争の仕返しにマキナの何者かが…」 そんなはずはない。ガイストはそう反論したかった。 だがそうだと言い切れる根拠はどこにもない。 「とにかくまずは精神体をどうにかすることが先決です。精神体の弱点は音。それで精神体を倒せるわけではありませんが、動きを止めることができます」 「倒せない? では、どうするというのかね」 「私の仲間が精神体を封じることのできる機械を取りに向かっていますが、それだけでは足りません」 敢えてマキナに向かったとは言わないでおく。 「そこで、その機械の構造を応用して精神体に対抗するための道具を取り急いで製作します。フィーティンに技術者はいませんか」 「兵器の整備士たちなら揃っているが?」 「それで充分です。是非人員を割いていただきたい」 「いいだろう。精神体は音が弱点だと言ったな。では音響兵器を装備させた軍隊も出動させよう」 フィーティンはどうやら兵を出してヴェルスタンドに協力してくれるようだった。 現時点では精神体を裏で操っている黒幕はわからない。だがヴェルスタンドを襲っているのは間違いなく精神兵器だ。 ヴェルスタンドの調べで判明しているのはこうだ。 紫の霧とともに現れて人々を襲う光、レティスとブロウティス。 これはガイストも把握していたようにヴェルスタンドで開発された精神兵器だ。一方は物理的に破壊可能。一方はフィーティンの音響兵器で対処可能だという。 人々が倒れる原因は精神体の干渉によるものだ。どういうわけかはまだ不明だが、精神体が他の精神を引き込んでいるらしく、精神体に身体を通過された者はその精神を引っぺがされて意識を失ってしまう。 精神には魂と魄の二種類があり、それらは二つ揃って初めて完全なものとなる。魂とは精神を司るたましい、魄とは身体を司るたましいだ。 この一方が抜け出して彷徨ってしまったものをドッペルゲンガーと呼ぶ。このどちらが欠けても人は生きることができない。それゆえに自分のドッペルゲンガーを見かけた者は近いうちに死ぬと言われているのだ。 精神体はこの魂魄を同時に奪い去ってしまう。魂魄を奪われた人々はその瞬間に糸が切れたように倒れ、そして死ぬ。 ヘルツは精神は脳によって生み出されるもので魂魄など存在しないと反論したが、心身の一元論と二元論の対立についての議論はここでは割愛する。少なくとも精神体というものが存在し、それが原因で人々が倒れている。それがすべてだ。 精神体は音響兵器では倒せない。これはゲンダーが取りに向かった射影機の活躍に期待したいところだ。 そして機械の暴走。これも精神体が原因であるとヴェルスタンドは判断した。 つまり精神体が機械に憑依してそれを操っているというのだ。精神体は目には見えないため、我々には機械が一人でに動き出して暴走しているように見えたというわけだ。 そもそも精神が機械に憑依できるのか、そして意思を持たない精神体がなぜ機械に憑依してそれを自在に操ることができるのかという議論についてもここでは省略する。かつての戦争ではヴェルスタンドの強大な兵器『鯰』を操っていたのは精神体だった。つまり、それと同じことが起こっているというわけだ。 目に見えない精神体が機械を操っていたから、機械が暴走しているように見えた。それがすべてだ。 つまり敵は精神兵器と精神体の二つ。前者はフィーティンのマキナから輸入された兵器で対処できる。後者はマキナの射影機の出番だ。 簡単に言えば、ヴェルスタンド内に潜むこれらを一掃してしまえば今回の一件は解決可能ということだ。 そこでフィーティン軍の力と、ヴェルスタンドの技術やガイストの知識と取り入れた兵器で精神体に戦いを挑む。 「ガイスト博士。君は精神体について最も詳しいんだ。是非とも司令官とともに軍の指揮を取ってもらいたい」 「わかりました。任せてください」 大統領の要請を受け入れるガイスト。 「俺はどうすればいいんだ?」とヘルツ。 「是非とも僕をサポートしてほしい。君の精神科医ならではの意見も聞きたいからね」 「わかった。気になることがあれば何でも聞いてくれ」 フィーティンの軍事力、ヴェルスタンドの知恵、そしてマキナの機械兵器。それぞれの力を合わせて精神体に立ち向かう。 今ここにフィーティン、ヴェルスタンド、マキナの技術が集結する。 敵は精神兵器と精神体。立ち向かうは大樹大陸三国の技術。 精神と三国同盟の闘いが今始まる。 第六章 了 Hive Mind7
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合作企画作品No.2+(原案:Parad、higawariJelly、イグリス、たまごっつ) 主人公原案:イグリス 執筆:higawariJelly 進行状況 本編:EP2 進行中 概要: 空の上の魔法文化の栄える世界。そこに暮らすのは人、竜、そしてそのどちらでもない者。 人と竜の関係はそれほど良くないが、ユミル国のフレイ王子は戦争を止めるために、竜族の力を借りようと旅に出る。 やがてフレイは種族を問わず数多くの仲間を率いて、世界のあり方を変えていくことになる。 種族が異なっても人と竜は解かり合える。きっと共存できる。 そんな「人と竜をつなぐ」物語。 Episode1『フレイの旅立ち』 Chapter01 「王子、旅立つ」 原案:イグリス Chapter02 「漆黒の魔道士トロウ」 原案:parad Chapter03 「その男、アリアス」 原案:たまごっつ Chapter04 「地竜族の少女」 原案:イグリス Chapter05 「魔導船グリンブルスティ」 原案:jelly Chapter06 「第五竜将ヴァルト」 原案:たまごっつ Chapter07 「それぞれの向かう先」 原案:jelly イグリス Chapter08 「竜くずれ」 原案:jelly Chapter09 「火竜の国ムスペルス」 原案:jelly Chapter10 「第一次魔法戦争」 原案:jelly Chapter11 「救出任務」 原案:イグリス parad Chapter12 「蒼の勇者と青の竜」 原案:jelly Chapter13 「風竜再び」 原案:jelly Chapter14 「魔剣は血を吸い魂を喰らう」 原案:jelly Chapter15 「蒼と青」 原案:jelly Chapter16 「氷竜の国ニヴルヘイム」 原案:イグリス jelly Chapter17 「セッテの能力」 原案:イグリス、Parad jelly Chapter18 「竜人族と侵入者」 原案:jelly Chapter19 「母の願い」 原案:jelly Chapter20 「隠れ里アルヴ」 原案:たまごっつ jelly Chapter21 「人と竜をつなぐ架け橋」↓ 以下、原案:jelly Episode2『仲間を求めて』 Chapter22 「フリード遠征1:天馬に乗ってるお姉さんはだいたい美人さん」 Chapter23 「フリード遠征2:黄金大好きファフニールさん」 Chapter24 「ちびっこ戦記1:ぬいぐるみの魔女」 Chapter25 「ちびっこ戦記2:ぬいぐるみになったわたし」 Chapter26 「ちびっこ戦記3:おまえもぬいぐるみにしてやろうか」 Chapter27 「オットーの愛1:俺はリンドヴルムになりたい」 Chapter28 「オットーの愛2:あなたになら飼われてもいい」 Chapter29 「オットーの愛3:愛はまやかしを越えて」 Chapter30 「オットーの愛4:もっとも強くて美しい魔法」 Chapter31 「フリード遠征3:他人の恋路を邪魔するのは野暮ってもんだぜ」 Chapter32 「フレイと竜人1:竜人族の娘」 Chapter33 「フレイと竜人2:竜人族と外から来た者」 Chapter34 「フレイと竜人3:竜人族の少年は中二病」 Chapter35 「フレイと竜人4:竜人族じゃない」 Chapter36 「フレイと竜人5:竜人族だからこそ」 Chapter37 「風竜は舞戻る1:ここで会ったが百年目」 Chapter38 「風竜は舞戻る2:そして風向きが変わった」 Chapter39 「風竜と風使い1:監視される者」 Chapter40 「地竜潜入作戦1:ラタトスクはハラワタの中に」 Chapter41 「地竜潜入作戦2:黄金の竜は漆黒の中に」 Chapter42 「地竜潜入作戦3:裏の裏の裏の裏は表」 Chapter43 「鉄のゴーレム1:未確認飛行物体、現る」 Chapter44 「鉄のゴーレム2:鉛のように重い夢」 Chapter45 「鉄のゴーレム3:ロストテクノロジー、機械」 Chapter46 「地竜族の追憶1:最長老フェギオン」 Chapter47 「地竜族の追憶2:ギンヌンガガプ、最後の日」 Chapter48 「鉄のゴーレム4:意志の力」 Chapter49 「ちびっこ戦記4:猫の魔女」 Chapter50 「ちびっこ戦記5:青い猫」 Chapter51 「ちびっこ戦記6:猫になったわたし」 Chapter52 「ちびっこ戦記7:猫を制するには猫をよく見ろ」 Chapter53 「フレイ倒れる1:王子は呪われてしまった!」 Chapter54 「フレイ倒れる2:錬金術師イアトロ」 Chapter55 「フレイ倒れる3:機械竜ゴライアス発進」 Chapter56 「フレイ倒れる4:第三竜将イフリート」 Chapter57 「フレイ倒れる5:未知なる呪い」 Chapter58 「フリード遠征4:ナンパしようとしたら逆ナンされたんだが」 Chapter59 「フリード遠征5:作戦を立てたらえらいことになった」 Chapter60 「フリード遠征6:まじかよ。勇者、女体化する」 Chapter61 「フリード遠征7:王女の初体験。っていうと誤解されそうか」 Chapter62 「フリード遠征8:イケメンかよ。惚れちまうだろ」 Chapter63 「フリード遠征9:ファフニールてめえ、まじでふざけんな」 Chapter64 「フレイヤ遠征1:私がフリードになる」 Chapter65 「フレイヤ遠征2:俺があなたで私がおまえで」 Episode3『最終戦争』 ChapterXX 「ラグナロク(仮)」? 外伝 -彼らの日常- Another01 「ユミルの騎士兄弟」 執筆:イグリス Another02 「彼女たちの願い」 執筆:jelly Another03 「」? 執筆:
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インスタグラムプラグイン 人気の画像共有サービス、Instagram(インスタグラム)の画像をアットウィキに貼れるプラグインです。 #ig_user(ユーザー名) と記載することで、特定ユーザーのInstagramのフィードを表示することができます。 例)@dogoftheday #ig_user #ig_tags(タグ名) と記載することで、特定タグのInstagramのフィードを表示することができます。 #dogofthedayjp タグ #ig_tag #ig_popular と記載することで、Instagramのpopularフィードを表示することができます。 詳しい使い方は以下のページを参考にしてください! =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/935.html
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合作企画作品No.1(参加:Parad、イグリス、ゼリー) キャラクター原案:Parad 進行状況 本編:完結 Mave Forever ! 概要:謎の機械メイヴを巡る大樹大陸の国々の命運を懸けた、とあるサボテンの物語 ⇒続編『HiveMind』 本編 序章 「The first and the rhapsody of the end」 担当:Parad 挿絵:ゼリー 第二章 「Escape from Heyve s laboratory」 担当:イグリス 挿絵:Parad 第三章 「The Departure」 担当:ゼリー 挿絵:イグリス 第四章 「everlasting battle」 担当、挿絵:Parad 第五章 「Unrivaled ghosts」 担当:イグリス 挿絵:ゼリー 第六章 「Freier Verstand」 担当:ゼリー 挿絵:Parad 第七章 「pursue myself by hard chase」 担当:Parad 挿絵:ゼリー 第八章 「Blackbox startup」 担当:イグリス 挿絵:ゼリー 第九章 「Great Flucht」 担当、挿絵:ゼリー 第十章 「the weapon named catfish 」 担当、挿絵:Parad 第十一章 「Mave revived」 担当:イグリス 挿絵:ゼリー 第十二章 「Así que decidimos」 担当:ゼリー 挿絵:Parad 第十三章 「Battle field bad friends」 担当:Parad 挿絵:ゼリー 第十四章 「Room of Power」 担当:イグリス 挿絵:Parad 第十五章 「Delirium」 担当、挿絵:ゼリー 第十六章 「All of things are decided by rhapsody」 担当、挿絵:Parad 第十七章 「The spirit of Brave」 担当:イグリス 挿絵:ゼリー 第十八章前編「Doomsday」 担当:ゼリー 挿絵:Parad 第十八章後編「Peregrinus」 担当、挿絵:ゼリー 終章 「Terminus for Story」 担当:Parad 挿絵:ゼリー 後日談 担当:Parad、イグリス、ゼリー 外伝章 外伝一 「Mindarium」ゼリー 第3.5章 「Close Encounters of the Third Kind」担当、挿絵:ゼリー 資料庫 舞台裏
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大人数でやるゲーム一覧♪
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第四章「everlasting battle」 (執筆:parad) 2人(匹)は移動しているうちになにか良い移動手段があるだろうと思って周辺を観光気分で見歩いていた。 『ゲンダー!あちらになにか見えます、ハイ』 「なんダー?」 そこに立っていたのはピンク色のドア・・・だけのもの 家もあるわけではなく、向こう側は同じ景色が広がっている。 「とりあえずあけてみるダー」 しかしながら、その先には同じ世界が広がっているわけではなかった なんと同じドアがまた目の先に存在していたのだ。 「どこまでも続く・・・ドア、どこまでも・・・ドア」 『どこまでもドアァ~♪』 「先を急ぐダァー」 とりあえずドアを汁千本で破壊した後、2人は地図の通りに北東へ向かったのだが 大樹の裏側に回った途端にある異変が起きていることに気づきもしなかった。 「なにかおかしくないか?周囲が紫の霧で包まれてきたダー」 『これはとある国で使われているいたって自然な国境防衛システムのようなですネェ』 「どういうものなのダ?」 『簡単に言うと気体のファ○タグレープ味です、ハイ』 「それはおいしそうダ」 『詳細を言うと死者の怨念を操作して半永久的に警護させてるのです、ハイ』 「それはやばそうダ」 そうこうしている間に青いのや赤いのがこっちに向かってくる 彼らに残された選択肢はここから直接向かうか、あるいは迂回して正規ルートを通るか 「メイヴ、や ら な い か?」 『いいのかい?オレと一緒にホイホイやっちまって』 いい男の音声でメイヴは答えた。 2人は正面突破を決行、するとメイヴが大きく前に出た。 「危ないダ!メイヴ!」 『武装レベル2解除します、ほろびろォ!』 メイヴは対戦車ミサエルを数え切れないほど射出した 『ヒャッハァア!ゲンダー、敵がゴミのようだぁあ!』 「・・・・・」 『あ!あそこにゲンダーみたいな敵が居る、死ね死ねぇ!』 いや、死んでいるのだけれども 「ウォーィアフォ!」 立ち上がる煙、爆音、悲鳴もあった 青いのは大方片付いたが、赤いのが無傷のようだった どうやら物理的干渉を受けないものらしい 『マジヤヴェェです』 そんな中でゲンダーがある戦略を思いつく。 Chapter4 END メタディア外伝 chapter5
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「サクレ! おい、サクレはいるか!!」 シレスティアルに天竜ゼロの声が響き渡る。 「は、はいゼロ様! こちらに」 ゼロに呼ばれた側近サクレは慌ててゼロのもとへと馳せ参じた。 「はいこちらに……じゃない! 魔竜リムリプスはまだ見つからんのか!!」 「も、申し訳ありませんっ。私はもちろん、火砕竜を中心に親衛隊たちにも四方に手を尽くさせているのですが……」 「これ以上時間をかけるわけにはいかんのだ! ……ええい、わかった。ならば俺も出る。俺がリムリプスを見つけてやる!」 「て、天竜様自らが動くなんてそんな…! それに国王様も後継ぎも不在の今、あなたが国を放り出してしまっては誰も国を守る者がいなくなってしまいます!」 「フン、何が国か。城は廃墟も同然、民たちも既に方々に散ってしまって久しい。王国が滅んでもう何年になる!? 王の側近どももどこかへ行ってしまったきりで、後継ぎの所在も一向に不明! 王国はもう死んだ!! それをおまえは何をいつまで過去の栄光に縛られているのだ!!」 「で、ですが……! それに……いや、それならばこそです。ゼロ様はなぜまだ魔竜に固執するのですか。その命令を下された国王様だってもういらっしゃらないというのに……」 「王の命令など知ったことか! 俺はただ先代様の遺志を継ぎたいだけなのだ! 先代天竜オーシャン様のためにも俺はリムリプスを封印しなければならんのだ……天竜としてな!!」 先代天竜のオーシャンはもういない。国王ももういない。しかし、ゼロが忠義を尽くすのは王ではなくオーシャンだった。 「オーシャン様……。見ていてください。リムリプスは必ず……!」 Chapter5「親」 それはある夜のことだった。 空には顔を出し始めたばかりの月、瞬く星々、そして未確認飛行物体。 「や、やめるのだリク君操縦が……あわわゎゎわゎわわわ」 UFOはしばらくの間ふらふらと不安定に宙を漂った後にステイブル付近に墜落した。そして、その中から姿を現したのは奇妙な姿をしたインゲン星人……もとい、タネはかせであった。 「な、なんてことをしてくれたのだ! お陰でバランスを崩して落ちてしまったじゃないか! ああ、可哀想なUFO君……。そうだ、こいつにも名前を付けてやらないと。ああ、可哀想なリクオトシ君……」 「何がリクオトシだ、待ちやがれこの!」 続いてUFOだった鉄くずからリクが飛び出し、逃げるタネはかせを追いかける。 「はっはっはー、私を捕まえようなど1世界ほど早いのだ!」 「うるせぇ、煮詰めて甘納豆にしてやる! 変な発明も煮詰れ!」 さらに他の乗員たちもぞろぞろと外に出てくる。すなわちウクツ、ウィルオン、ティル、リシェ、メタメタだ。 「やれやれ、えらい目にあったな……。アースガーデンまでもたなかったか。孫が迷惑をかけたな」 「いや、こっちこそ。うちの自称保護者が迷惑をかけたな」 「きゃー、落ちた落ちたー!」 「な、何が起こったんだ? オレは生きてるのか? ここはどこなんだ?」 「そんなことより、腹へったからリシェ焼いて食おうぜ」 UFOはもう動きそうにもない。タネはかせのことだから、またわけのわからないトンデモ技術であっという間に直してしまうのかもしれないが、リクに追いかけられながらどこかへ行ってしまったので一行は今晩はステイブルのお世話になることになった。 タネはかせは翌朝、簀巻きにされてリクに引きずられながら帰ってきていた。 牧場の朝は早い。それはステイブルでもそうだった。まだ陽も昇り切る前から既にステイブルは馬であふれ返っている。 「あ、あれがウマってやつか。初めてみたぞ。で、でっかいな」 リシェは初めて見る馬という生き物に驚いていた。ウィルオンがそれをそっとなだめる。 「たしかに身体はリシェよりでかいかもしれないけど、タネはかせよりはずっと安全だぞ」 当のタネはかせはステイブルの片隅で、また何やら危険な発明品をこしらえているのだった。 「あ、リク。最近見なかったけど、どこか行ってたの?」 ステイブルの馬たちのうちの一頭がリクに声をかけた。どうやら親しい仲らしい。おそらく、かつてナープがここを訪れた頃からの顔なじみなのだろう。リクは懐かしそうにそれを迎える。 「ピエール! 久しぶりだなぁ。遺跡がなくなっちまったから、今はじいちゃんとアースガーデンのほうにいるよ」 「ふうん。ところで今日はナープいないの? 最近またアキレア竜が来てるんだけど」 「アキレアっていうとたしかナープと同じ種類のやつか。もしかして捜してたっていう親父さん?」 「いや、そうじゃないっぽいけど……」 そう言いながらピエールが振り返る。その先にはナープとは色違いのアキレア竜が何かを叫んでいた。 「愛の戦士マリーン!! そして、その忠実なるシモベ……あ、違った。一番弟子のモミジさんじょーう!! さぁ、モミっち、今日こそ告白するのよ!」 「モップくん……」 モミジと呼ばれたあの赤毛の馬を弟子にしているらしい。一体何と戦うつもりか知らないが、少なくともナープの父親でないことは確かだ。マリンは薄桃色の鱗に金の鬣のアキレア竜だ。ナープは緑鱗の赤髪、そしてガルフは青鱗に金の髪だ。あまり似たような色はしていない。 「なんだよ、あの『愛の戦士』って」 「よくわからないけど今はヤナギんとこの姉さんモミジと、モッブとをくっつけようとしてるみたい。モップくんもいい迷惑だよね」 「ふーん……。どうでもいいや」 なんとなくマリンの様子を眺めているとこんどはそこにまた別の竜がやってきてなにやら言い合いを始めた。褐色の鱗に緑髪のアキレア竜だ。遊んでないでちゃんと捜せだの、遊びじゃなくて本気だのそんな話だった。 聞いていると、どうやらやってきたのはリヴァーという名でマリンの弟にあたるらしいことがわかった。さらにマリンにはガルフという兄がいて、リヴァーの下にはサーフとナープという弟がいるということも。体色や毛色はあまり似ていないが、リクたちのよく知っているあのナープのことなのだろうか。 「ちゃんと捜してるわよ! 今は……モミっちの運命の相手をね!」 「父さんはどうなるのさ!」 「どうせもう死んじゃってるわよ。ガルフしか会ったことないんだし、それもずっと昔の話でしょう? 私は今に生きるの、そんだけ。はい、話はおしまいね。さーあ、モミっち! 当たって砕けろ、5度目の正直、突撃ィー!」 「ぽ、ぽへー!」 そう言うなり、マリンはモミジを引き連れてそのモップくんとやらのところへ走り去ってしまった。 「ね、姉さん…! ああ、まったく姉さんもサーフも全然だめだ。兄さんはすぐ迷子になるしマトモなのはナープぐらいだ。それこそ親の顔が見てみたいもんだよ、まったく……」 文句を言いながらリヴァーもどこかへ飛び去って行った。 「変なやつだな。あんなのがナープの兄弟なのか」 「それを”リクさん”が言うなよ。おまえも変なやつじゃん」 「うぉお!? やっ、やめてくれー! それは俺の黒歴史だ、若気の至りだッ、うぐぁぁああああ!!」 リクは精神的大ダメージを受けた。 リクの黒歴史とはすなわち数年前、ティルがさらわれたりしたあの頃の言動のことだ。 「へへへ…。まぁ、あの頃はみんな子どもだったよね。いつの間にかウィルオンもでっかくなってるし。……ティルはあんまり変わってないや。ナープにも久しぶりに会いたかったけど、いないんじゃしかたないね。あのマリンとかいうやつをどうにかしてほしかったんだけどなぁ」 「お、おう…。そうだぜ、リクさんも少しは大人になったんだぜ……。ま、まぁ、その話は置いといてだな」 なんとか話題を変えようとして目をそらすと、すぐそこにいたリシェと目が合った。 (えっ。オ、オレ!?) リクは助け舟を求めてリシェに目で合図する。 「え、えーっと……。そういえばさっきの話を聞いてたんだけど、そのナープってやつは父親を捜してるんだな。それで、えーっと……そ、そうだ。リクさんやピエールの親はどうしてるの? オレの親はフェザーっていうここから東のほうの海を渡った先にある国にいるんだ」 「親かー。うちの親はこのステイブルにいるよ。まぁ、当然と言えば当然か」 ピエールがリシェの問いかけに答える。話題が変わってくれたことでリクが、なんとかフォローできたことでリシェがそろって安堵する。 リシェの頭をがしがしと撫でながら続いてリクが答えた。 「俺の親父はゼロっていうんだ。よくは知らないけど、なんでも天竜とかいう仕事をしてていつも家にいなかったからあんまり記憶にないな。じいちゃんは知っての通りあそこにいるウクツ。他の家族は大樹の近くにあるホーン大陸ってとこのホーンズホーン村にいる」 近くにいた仲間たちもこの親についての話題に乗った。次に口を開いたのはウィルオンだ。 「俺は前にも話したかもしれないけど、物心ついたときからタネはかせと暮らしてたからよくわからないな。まぁ、あんなやつだけど一応育ててくれた恩もあるし、俺は家族だと思ってるよ。変なやつだけど」 「変じゃなくて天才なのだ! いや、天才というのはみんなどこか変だったりするものなのだよ。いいだろう、私は変だ。しかしそれゆえに天才なのだ!」 「ああ、はいはい。そうだな、たしかに変だよおまえは」 「そうなのだ。だから私は天才なのだ」 ウィルオンは慣れた様子でタネはかせを適当にあしらう。 「ウィルオン君はある日突然、なんと空から降ってきたのだ。きっと空の国に棲んでいたんじゃないかな」 「空にも国があるのか?」 リシェは雲を見上げながら言った。 「ああ、あるとも! 空には雲の海があって巨大な火山や氷の塊が乗っかっていたり、大樹の頂上にはたしかお城もあると聞いたことがあるのだ。この私が言うんだから間違いないのだ」 「おまえが言うとなんか嘘っぽいけどな。さっき言った親父もその空にいるんだ。天竜はその空にある国での仕事なんだってさ。大樹を昇れば俺たちでも空が飛べなくたって空にいけるぞ」 遠くに薄らと見える大樹を指さしながらリクは言った。大樹の幹の上方は分厚い雲の向こうになっていて、その様子をここから窺い知ることはできない。 「へぇー、空の国かぁ……。オレ初めて知ったよ。世界は広いんだな。オレもいつか行ってみたいな」 「なんというかロマンだよな。いつか行こうぜ、大樹を昇ってさ」 リシェは遥か遠くの大樹を見上げてまだ見ぬ空の世界に思いを馳せるのだった。 「空と言えばおれも空で生まれたぞ」 そう言うのはメタメタだ。たしかに、メタメタのアメーバのような独特な姿は地上では見かけたことがない。さらにメタメタに小さな翼が生えていることがより空をイメージさせる。 「なるほどな。空にはおまえみたいなのがたくさんいるのか?」 「似たようなのはけっこういるけど、おれと同じ仲間っていうのはあまりいないんじゃねえかな。えーと、まずメピックだろ、メガだろ、それから……まぁ、数える程度しかいねえな。おれの親にあたるやつは……そうだなぁ。なんて説明したらいいかわからないけど、なんか黒かったな」 「腹黒いの?」 ティルが思ったことを素直に口に出した。 「いや、色が。まぁ、何考えてるのかよくわからないやつだったし、もしかしたら腹黒いのかもしれねえけどな」 「メタっちにもちゃんとお父さんがいるんだね。あれ、お母さん?」 「そういうアレじゃないんだよなー。まぁ、強いて言えば母体というかマザーというかクイーンというか……産み出す存在みたいな。そういうティルは?」 「ボクは記憶ないからわかんない」 「そうなんだよな……。俺はナープと一緒にいたから今でもよく覚えてるぞ、ティルを見つけたあのときのことを」 ウィルオンはかつてティルを見つけたときのことを説明し始めた。 話は冒頭に遡る。数年前、ティルは当時ウィルオンと共に父親を捜して各地をまわっていたナープに、偶然道端に倒れていたところを保護された。なぜそこに倒れていたのか、それ以前に何があったのかさえ全く覚えていなかった。さらに自分の名前すらもわからない様子だった。 ティルという名前はあくまで仮の名前だ。そう呼んでいるのはティル自身が、本当の名前ではないがティルと呼ばれていたような気がすると思い出したからに過ぎない。もしかしたらあだ名か何かなのかもしれないが、ティルの本当の名前は誰にもわからなかった。 ナープたちはティルを見つけた周囲の集落にティルのことを聞いてまわったが、不思議なことにティルの親はおろか、ティルのことを知っている者すら見つからなかった。ティルの正体は未だわからないままだ。 「きっとティル君も空から降ってきたのだ」 タネはかせが口を挿む。 「うーん、そうなのかなぁ。たしかに空っぽい色をしてるしなぁ」 ティルは大空の如く蒼い鱗を持つ仔竜だ。青いから空という考え方はあまりにも安直過ぎるが、たしかに自然界に青い生き物というのは珍しいものだ、少なくともこの地上の世界においては。だとすれば、空からやってきたという可能性も十分に考えられた。 「それに昔ティルが原種竜にさらわれたことがあったしな。……一体何者なんだ、ティルは?」 「それを言ったらウィルオン、おまえだってその竜に用があるみたいなことを言われてたじゃないか。おまえだって何者なんだ」 「知らねぇよ、俺は俺だ。きっと誰かと間違えたんじゃないか? そういえば、あのティルをさらった竜も蒼かったぞ。何か関係があるのか…」 親の話題はいつの間にかティルについての話題に変わっていた。 ティルの記憶は発見されてから数年を経ても未だに戻らない。これまで共に過ごしてきた”ティル”のことはみんながよく知っていたが、”本当のティル”のことについては誰もが知らなかった。 「なぁ、なんとかしてやれないかな」 リクがそう切り出した。リクは常々、ティルの記憶や親のことを気にしていた。 ナープが父親捜しに集中できるように、リクはティルのほうは自分に任せてもらってもかまわないと、水門の城の一件のあとでナープに提案した。ティルはリクによく懐いていたので、ナープもそれを快く承諾したのだった。 「私がさっき発明したこの新作『タチドコロニー・オモイダース』を試してみるのだ?」 タネはかせがまた怪しげな薬を取り出してみせるが、ウクツがそれを制止する。 「やめておけ。そういうのは薬でなんとかなるものじゃない。それに無理に思い出させるのはかえって負担になるだけだ」 「つまんな……いや、それは仕方ないのだ。じゃあ、とりあえずウィルオン君。はいこれ」 飲めと言わんばかりにタネはかせはウィルオンの鼻先にさっきのオモイダースを突き付ける。 「なんで俺なんだよ! それにタネはかせの薬じゃ、逆にもっとひどいことになりそうだけどな。ところで、ステイブルに来て思い出したんだけど、昔ここでウィーってやつに会ったよな。そういえばあいつ、ティルにちょっと似てたな。何か関係あるのか?」 ウィーはティルの鱗を赤くしたような姿をしていた。もしかしたら同じ種族の竜なのかもしれない。 「臭いを嗅いだだけでこの効き目! 効果抜群なのだ! ああ、やはり私は天才だ…」 勝手な解釈で一人で喜んでいるタネはかせを完全に無視してウクツが答える。 「ウィーはグランディア種の仔竜だったな。大地の加護を受けた種族だと言われている。しかし、グランディア竜からは蒼い鱗の竜は生まれないはずなのだが」 「突然変異とか?」 「可能性がないとは言えないが、なんとも言えないことも確かだ」 考えていても一向に答えは出なかった。やはりティルの正体はわからない。 「とりあえず、そのウィーに会いに行って話を聞いてみるのはどうだ? ワシらにはわからないが、グランディアたちには何かわかることがあるかもしれん」 それならば、とピエールがこの近くにグランディアの暮らすスノゥグランド村があることを教えてくれた。 スノゥグランド村はステイブルの近くに流れるフリー側を遡り、ステイブル北西のホワイトプラトウの山を登って行った先にある。ホワイトプラトウは年中雪が降り積もっている万年雪の大地だ。 「そういえばウィーのやつが去り際にそんな感じの名前の村を言ってたな。それからまた遊びに来いとも」 「ふむ、ちょうどいいじゃないか。ウィーのお袋さんの病気がよくなったのかも気になるところだ。行ってみようではないか、そのグランディアの村に」 「よし、行こう。スノゥグランド村に!」 こうしてリクたち一行はピエールに見送られて、グランディアの暮らすスノゥグランド村を目指してフリー川沿いを遡行しホワイトプラトウへと入山するのだった。 遥か上空、火竜の国ムスペ。 その入り口の雲のところには3匹の竜の姿があった。 「……終わった?」 ナープはうんざりしたような顔で、もう何度目かもわからない問いかけをサーフとクリアに送る。 「待ってったら! もう少し、あと10分。いや、5分でいいから! ここからが面白いところなんだから! それでそれで? そのあとフレイ王子はどうなったの!?」 「ふふふ、気になるー? しかーし、ここで場面はムスペ側に切り替わる! なんとこんどはムスペの王子が…」 クリアの『失われたケツァル国』講義はいつの間にか終わっていたらしい。そしてこんどはいつの間にか『失われた第3世界の伝説』講義が始まってしまっていた。正直言ってキリがない。 「あのな、サーフ。何度も言うけど僕たちは遊びに来たんじゃないんだ。そろそろ我慢の限界だ。もう置いてくぞ」 「そんなこと言うなよぉ。あとでムスペまんじゅうおごるからさぁ……。あっ、クリアごめん。なんだって? さっきのとこもっかいよろしく!」 「はぁ……」 全然だめだとため息をつく。とうとう陽も暮れてきてしまった。あれほどたくさんいたメーたちも蜘蛛の子を散らすかのようにどこかへ行ってしまった。サーフは慣れた様子で手近なメーを捕まえて、生のままでまるかじりしながらクリアの話を聴き入っている。あるいはメーが逃げてしまったのもこのせいか。自称メーマスターのクリアも、メーを食べられることには抵抗はないらしい。 「そういえばさぁ」 唐突にクリアが話しかけてきた。サーフに似て行動が読めないやつだ。仲良くなるのは類は友を呼ぶというやつだろうか。 「はいはい、こんどは何?」 「ナープとサーフはどうしてムスペに来たのかな、と思って。観光?」 すかさずサーフが答える。 「ムスペまんじゅうおいしいよね!」 それに呆れながらナープが答える。 「…………親を捜しに」 「ふーん。いなくなっちゃったの? なんか大変なんだね。わたしの知ってる竜かな。名前は?」 「フロウとオーシャン。オーシャン……母さんはもう死んだよ」 「あらら、なんかごめんね」 「そういうわけだから、僕たちは行かなくちゃならないんだ。ほら、サーフも遊んでる場合じゃないだろ。さっさとする!」 「えー、いいところだったのに。ナープが頑固でごめんね。じゃあクリア、またね」 ようやくサーフが動く気になってくれたサーフを引き連れてナープはムスペの入り口をくぐる。入国に審査や検問などはない。 ムスペの入り口は雲だ。ムスペの国を覆っている雲の上方が一部だけ薄くなっており、そこを突き抜けることでムスペの国内に入ることができる。そこが唯一の入り口であり出口だ。 その出入り口の真下にはムスペの大火山の火口が位置し、空の飛べない者がうっかりムスペに入ろうものなら火口に一直線で真っ逆さまだ。またムスペの内部は非常に高温で保たれていて、鱗を持たない生き物や熱に弱い生き物には辛い環境だ。そうした環境そのものがムスペへと寄り付ける者を既に選択し切り捨てている。その結果、ムスペの住民のほとんどは火竜に限定される。それゆえにここは火竜の国と呼ばれるのだ。かつては火竜以外の種族が暮らしていたこともあったが、今ではほとんど火竜しか見かけない。 今は大火山が活発化する時期であるのも原因だろう。こんな時期は観光客も熱に強い種族やサーフのような物好きぐらいだ。 「それにしても熱いな……。厳しい場所だ。これは僕たちでもあまり長くはもたないぞ。さすがにこんなところに父さんはいないか?」 「はい、ナープ。これ、深海で獲れる海メー。ちょっと生臭いけど、抱きしめるとひんやりして気持ちいいよ。喉が渇いたときは食べちゃえばおっけー」 「メェ~」 クリアに青いメーを手渡された。 「ああ、ありがとう…。ってクリア、ついて来たのか! 無理してついて来なくてもいいよ。クリアみたいにもふもふしてるとこういうところはキツそうだし」 「ううん、平気。わたしは火山に棲むメーを研究しにムスペに来たんだから。とくにこの時期じゃないと見られないような行動が観察できるかもしれないし、このくらいの暑さで参ってちゃメーマスターはやっていけないもの」 「へぇ…。けっこう熱心なんだな。そういう自分の目標にまっすぐなのはいいことだと思うよ。おい、サーフも少しはクリアを見習えよな」 そうサーフに言おうとして振り向いたがそこにサーフの姿はない。周囲を見渡すがどこにもサーフがいない。 「サーフならさっき、ムスペまんじゅうぅぅぅううう!! …って叫びながら飛んでっちゃったよ」 「あ、あいつぅぅぅううう!!」 こうして父親フロウと同時にサーフも見つける羽目に陥ってしまったナープなのであった。 もっとも、サーフはすぐにムスペまんじゅう屋であっさり見つかるのだが。 Chapter5 END 竜の涙6