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844: 弥次郎 :2022/01/16(日) 23 33 47 HOST softbank126066071234.bbtec.net 憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「煌武院、立つ」2.5 政威大将軍にして煌武院家当主煌武院悠陽、ご親征。 その衝撃は帝国を揺るがした。 これまで五摂家の人間が前線に立つということはそれなりに存在していた。 しかし、将軍となった身で自ら最前線に向かうというのは前代未聞もいいところであった。 そもそも将軍というのは武家のトップであり、その命は個人や家だけのものではないのだ。 故にこそ戦場に赴くということはあっても多くは鼓舞や慰問のためであり、戦場への出場などは危険であるがゆえに回避されてきたのだ。 特にBETAとの戦いは人と人との戦い以上に危険が伴う。降伏などが一切通用しない、敵性生命体であるがゆえにだ。 これについては、反応はさまざまであった。 悠陽の身を案じる者、親征に自らついて行こうとする者、ついに帝国はそこまで追い込まれたかと嘆く者。 あるいは、これまでお飾りであった将軍が自ら主体的に動き出したことに感涙するものまでいたとも。 まあ、ともかく地位や家柄とか役職によるものの、それぞれが反応を示した、ということは確かだ。 長きに及ぶBETAとの戦いのみならず、五摂家を含む国家としての在り方が年月を経て悪しき方向へ硬直している中にあって、それは一つの楔となっただろう。 しかしながらも、それはただ一つの行動にすぎず、大局に影響を与えるにはまだまだ小さいことも確かだ。 幕府と反幕府の衝突を回避し、奇跡的な和解を経て生み出された五摂家と将軍という制度。 積み上げてきた歴史や格式、あるいは慣習などが支えると同時に雁字搦めにしているこれを、ただ一人が蹴っ飛ばしたところで山を動かそうとするに等しい。 五摂家が協力して、という体裁はあれども、結局は五摂家同士やその周辺の武家による暗闘と打算による体制。 五摂家が持ち回りで務める将軍職とて、皇帝から任じられるという体裁であっても、政治的なアレコレに左右されている。 武家の最高権力者にして最高責任者。その名誉と箔、そして付きまとう責任。人間は前者ばかりを求め、後者を避けたがるものだ。 以上のことからすれば、融合惑星転移に伴う時系列の混線は政治的に大きな混乱を生んだのだ。 客観1999年において、政威大将軍が煌武院悠陽にあるという時点で察するべきだろう。 これは2000年以降の情報の上書きによるものであり、彼女や彼女の周辺の人間が主観的に見て将軍職を務め、その影響力を発揮するのは自然なこと。 されども、主観1999年において将軍職だった五摂家の一つ斉御司家からすれば、それは突然の暴挙にしか映らないのである。 そも、客観1998年の帝都京都の失陥に伴う引責で九條家が将軍職を手放した後、政治的なやり取りを経て受けたのが斉御司家だったのだ。 よって、斉御司家と九條家が主観的に見れば、煌武院家が権力を保持しているのは慣例などを無視した行為で容認できないのだ。 そういった都合もあって、斉御司家と九條家、さらには崇宰家などは仙台への脱出を急いだのである。 これは、間接的な嫌がらせだ。五摂家が退避するとなれば、その役職上斯衛軍も帝国軍の一部も同道せざるを得ない。 そも、政府からして仙台への脱出を急いでいる状況であって、自分たちが動くことに何ら咎めはなかった。 そうすることで、自分たちの安全を確保しつつ、後々に使える戦力を温存。そして、煌武院の動員できる戦力を減らせる。 戦力が減ったうえで、これまでに例のない膨大な数のBETAの侵攻を防げるはずはない。いや、減っていなくても変わらないだろう。 そうなれば、煌武院家とてその失態から前例にのっとり将軍職を手放さざるを得なくなるだろう。 この程度の策謀はたしなみというレベルだ。未だに若い悠陽ではまだ理解しえないものであった。 当然、悠陽の後見を務める煌武院家の人間は気が付いていたが、すでに根回しなどは完了した後であった。 845: 弥次郎 :2022/01/16(日) 23 35 32 HOST softbank126066071234.bbtec.net そして、実際に戦端が開かれたときも彼ら五摂家の三家の動きは変わらなかった。地球連合が参戦しても。 むしろ、連合の参戦によって反撃し、反攻作戦と転じたことは好機でさえあったのである。 基本的にその功績は煌武院家のモノとはなるだろう。だが、結局のところそれは一時的なものである。 最終的な、それこそ、対BETA戦における論功行賞においては自分たちとてそこに食い込めるわけである。 何ならば、政府内には五摂家の息がかかった人間がいるのだ。勝ったならば勝ったで自分達にも利がある。 とどめに、将軍の親征には、斉御司家と九條家と崇宰家の三家は嘲笑さえしたのだ。 所詮は嫌われている国外勢力である地球連合の戦力による勝利にすぎない、と。 まして、戦場に守られる立場の将軍が出ていったところで、碌に戦えもしないと踏んでいた。 戦死するならば最上。そうでなくとも、政府や帝国軍を外側から越権的に動かしたことは咎められるとも考えていたのだ。 何しろ、国連軍と米国の行動の結果、帝国全体が排他的な空気や世論に支配されているのだ。 そんな状況下において、外の勢力に国土の奪還という功績をとらせれば、当然ながら不特定多数から顰蹙を買う。 国土の奪還というのは悲願であり、為すべきことだ。それこそ自分たちの力をもって為すべき案件。そこに外の力をねじ込むなど言語道断 だから、そこを追求してしまえば如何様にでもなる、そう考えていた。 最も、彼らとて視野狭窄だったのは事実だ。 所詮は世論も空気も流動的なものであって、絶対のものではない。 連合も何もすべてを自分たちが代わりに解決してやろうなどという甘いことはやらないつもりだ。 さらに言えば、煌武院悠陽という少女であり将軍が自ら先陣を切ったという事実の重さを過小評価してしまっていたのだった。 それを知るのは、最早取り返しがつかなくなってからの話なのだが、ここでは割愛しよう。 C.E.世界 融合惑星 β世界 日本列島 臨時首都仙台 斑鳩家邸宅 五摂家の一つ、斑鳩家の当主である斑鳩崇継は、臨時首都である仙台の邸宅で大いに荒れていた。 自分とて、自分が斑鳩家の当主という地位にいることはよくわかっている。 それがどれほどに重要な役目であり、家に仕えるか縁のある人々数千人を守るためであるということもだ。 だが、だからといって、最前線からとっとと尻をまくって逃げ出し、安全なところで安穏としているのを良しとするほど彼は割り切れはしない。 彼自身、周囲の人間によって引っ張って連れてこられていなければ、最終防衛ラインで専用の武御雷を駆って戦っていたであろう。 「ええい、くそっ……」 落ち着くことなく、荒れた彼は足音も荒く廊下を闊歩する。 自分たちがここに来るにしたがって引き抜かれた戦力や労力などを考えれば考えるほど、腹だたしさがましてくる。 連合の介入によって防衛線が持ちこたえ、さらに反撃に転じたことは確かに朗報だった。 だが、その際において煌武院家以外がまともに動こうとせず、政府さえも右往左往するばかりだったというのは彼の怒りを煽った。 国外勢力を使い潰すような真似にも等しいし、自国を自分たちの力で守ろうとする気概もないのかとみられかねないのだ。 他の五摂家の人間が内側で完結した政治視点で考えていたのに対し、崇継はその地球連合との関係性を含め考えていた。 それ故に、腹だたしいのだ。そんな政治ごっこをしているから、まともに団結もできないのだと。 だからこそ、最後の抵抗で煌武院悠陽の親征に、自分の息のかかった部隊を送ったのだ。 これは知己でもある崇宰恭子も協力してもらい、動かせる戦力を送っている。が、彼女からの伝言では当主に咎められたらしい。 当の彼女は全く気にしておらず、むしろ崇継の行動を称賛してくれたのが唯一の救いであろうか。 (ともあれ、これで何らかの成果を上げてもらわなくてはな……) 逐次入ってくる情報では、すでに将軍率いる戦力は近畿地方に入ったという。 そして、連合の好意もあって旧帝都京都の奪還作戦に突入するとのことだ。 今更になっても権力闘争をしている五摂家の悪意に負けてほしくない。それが、偽らざる彼の本音だった。 「折れてくれるなよ、煌武院」 未だに若く、純粋でもある彼女に押し付けておいて、今更ではある。 それでも、自分はこの仙台から無事と戦勝を祈るしかなかったのだ。 846: 弥次郎 :2022/01/16(日) 23 36 11 HOST softbank126066071234.bbtec.net 以上、wiki転載はご自由に。 武家も帝国も五摂家も軍も民も、決して一つではない。 人間なんて所詮は相争う生き物ですからな。そして、相争うというだけあって、人間の敵はやはり人間。 早々に権力闘争だとかを手放せるわけもないよねって話です。
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国を憂う者「煌武院 悠陽」 読み:くにをうれうもの「こうぶいん ゆうひ」 カテゴリー:Chara/女性 作品:マブラヴ オルタネイティヴ 属性:光 ATK:2(+2) DEF:2(+3) [永続]自分のキャラすべてが OS:アージュ の場合、このキャラはバトルによるダメージを受けない。 [自動]このキャラが参加しているバトル終了時、このキャラは【リバース】になる。この能力は【裏】でも発動する。 [自動]自分のメインフェイズ開始時、自分の【表】の OS:アージュ のキャラが3体以上登場している場合、カード1枚を引く。 数多の英霊の遺志を背負い、私は歩み続けます illust:âge ag-090 R 収録:ブースターパック 「OS:アージュ1.00」
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政威大将軍「煌武院 悠陽」 読み:せいいたいしょうぐん「こうぶいん ゆうひ」 カテゴリー:Chara/女性 作品:マブラヴ オルタネイティヴ 属性:光 ATK:1(+1) DEF:7(+2) 【登場】〔自分のキャラ1体を控え室に置く〕 [永続]自分の"斯衛軍"すべては攻撃力と耐久力が1上昇する。 [自動:パートナー]自分のメインフェイズ開始時、カード1枚を引く。この能力は【裏】でも発動する。 RR:――月詠、武御雷を持て! RRR:自らの手を汚すことを、厭うてはならないのです illust:âge ag-091 RR RRR 収録:ブースターパック 「OS:アージュ1.00」
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登録日:2012/5/9(日) 22 58 43 更新日:2022/11/17 Thu 11 59 53NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 マブラヴ マブラヴアンリミテッド マブラヴオルタネイティヴ マブラヴオルタードフェイブル メイド 一色ヒカル 帝国斯衛軍 月詠真耶 武御雷 月詠真耶[つくよみ まや] CV 一色ヒカル マブラヴオルタードフェイブル、マブラヴオルタネイティヴTSFIA、マブラヴアンリミテッド ザ・デイアフターの登場人物。 【マブラヴオルタードフェイブル】 月詠真那のいとこで、本来の悠陽の御付き。 外見は目つきの鋭さと眼鏡を掛けていることを除けば多少真那に似ているものの、性格はかなり違い、冷静というよりも冷徹で、冥夜と悠陽以外の人間には非常に厳しい態度をとる。特に武にはかなり辛辣。 武と悠陽をくっつけるためには手段を選ばない面がある。 ショタコンかは不明。 キレると豹変するかも不明。 【マブラヴオルタネイティヴTSFIA】 帝国斯衛軍中尉。有力武家月詠家の出身で、忠義に篤く冷徹な武人。 元々は政威大将軍煌武院悠陽に仕えていたが、1998年のBETAの帝都侵攻に伴って第16斯衛大隊に配置転換となり、斑鳩らと共に将軍脱出のための殿を務め、無事生還した。 この時の乗機は真紅の端鶴。コールサインはホーンド2。 オルタ本編においての動向は不明。 【マブラヴアンリミテッド ザ・デイアフター】 煌武院悠陽の護衛として神代、巴、戎の三少尉を伴い登場。 龍浪響の将軍に対するしどろもどろな言動にややイラついていた。 こちらでは真紅の武御雷に搭乗。 追記・修正をお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 真耶「 悠陽様 冥夜様 の項目は・・・」 -- 名無しさん (2016-02-28 12 22 05) 名前 コメント
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684: 弥次郎 :2022/01/14(金) 20 13 08 HOST softbank126066071234.bbtec.net 憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「煌武院、立つ」 地球連合の面子を半ば潰しながらも、それでも自らの面子を守ることを選んだ帝国。 戦後、それも直近の、BETAの襲来をはねのけた後のことを考えれば泥を被ってでも取り付けなければならないものだったのは確かだ。 しかして、その日本帝国の面子を満たすに足る戦果というか結果を出すのはどうすればよいか、という連合の問いに帝国政府は窮した。 今のところ、地球連合の進軍は補給と戦線整理などの名目で停止している。 それが完了するまでに派遣できる戦力を決定し、抽出し、動員し、前線に送り届けなければならない。 それも、無理のない範囲でやらねばならないのだ。地球連合軍が停止しているのは善意でしかないわけで、 客観1998年に陥落した旧帝都だ。奪還したというのは大きな意味合いを持つ。 だが、それ故に生半可な戦力などで不足が発生する。つまり、旧帝都奪還という戦果に付きまとう名誉に釣り合う「格」というものが必要だったのだ。 無論、候補がいないわけではない。五摂家や政威大将軍といった武家社会の上位に立つ戦力を供出と言う手があった。 だが、その階級の伴う彼らは多くが臨時首都たる仙台に一足先に退避済みであり、その護衛という形で斯衛軍の多くが即応できなかった。 これに関しては、危機に際して首脳部が脱出することで指揮系統を保全するという意味では理解されたが、連合の心情的に納得しがたいものであったのは確か。 そして、当の脱出していた五摂家などが、戦局の変化が著しく対応中で出撃には時間がかかるなどと事実上拒否したため、いよいよをもって気まずいものとなった。 しかし、ここで帝国政府に思わぬ援護射撃が飛んできた。 連合との会談がもたれていた帝都東京の会場に、当代の政威大将軍の職を預かり、五摂家の一つ煌武院家当代当主の煌武院悠陽が現れたのだ。 当代の政威大将軍がこの東京にいたのは、偏に政威大将軍として最後の守りの務めを果たし、また指揮を執るためであった。 無論のこと、彼女自身が持つ権限は大きくはない。最高権力者たる地位なのが政威大将軍であるが、その実務などは周囲の人間などが担当するもの。 それをわかっていた彼女は、軍や政府に役目を預ける形で、精神的な主柱としては機能していた。 そんな彼女は、どこから聞きつけたのか、地球連合との会談が行われている場所に側近と共に現れたのだ。 彼女は、自分の登場に慌てるやら混乱するやらで対応に戸惑う政府首班を置き去りに、地球連合の代表団に対し、自ら深々と頭を下げ、謝意を述べたのだ。 形式的なところが多いにしても、武家の最高権力者が自らというのは、とてつもない大きなものであった。 慌てて、帝国政府の閣僚や担当者が彼女に倣い、いや彼女以上に頭を下げ、地球連合の救援に謝意を述べた。 無理からぬことであったが、帝国政府には地球連合の救援に対して謝意を伝えるタイミングも冷静さも書いていたのだった。 彼女のその行動は、帝国政府に冷静さを取り戻させる契機となったのだ。 そして、話の流れを確認するや、悠陽は自ら部隊を率いて戦場に赴くことを宣言した。 彼女が最前線に出る、ということは、彼女と彼女に付随する斯衛軍が行動する、ということである。 確かに悠陽が最終防衛ラインのさらに先、帝都において指揮を執っている関係上、斯衛軍も付随していることは確かだ。 それは戦術機部隊に限らず、それを支援する一般兵科やそれに付随するバックアップ人員も含まれていた。 それも、斯衛軍の中でも政威大将軍に付随する部隊だ、練度も装備も極めて整っている。つまり、動員するに不足はなかった。 遠く仙台にまで退避していた他の部隊よりはより近いし、何より戦線が迫るということもあって臨戦態勢にあった。 唯一の懸念は旧帝都まで赴く手段がないことですが、という悠陽に、その心意気を買った地球連合は輸送艦などの提供を提案。 更には付随する一般兵科の戦力などを提供し、これを帝国軍の指揮下に置くことを提案して、その採決を待った。 これを悠陽は受諾。あれよあれよという間に、最前線にして重要地域である旧帝都奪還までの算段が建てられていくことになる。 これを悠陽の越権行為というのは簡単。しかし、誰もが口をはさめず、問われる言葉に返事をするしかできなかった。 そして、地球連合側も、彼女に相応しい戦力を供出することとした。 武家社会という、C.E.世界においては過去のものとなっている制度に合わせやすい人間。 大洋連合の企業「ムラクモ・ミレニアム」に属するリンクス「一目連」であった。 685: 弥次郎 :2022/01/14(金) 20 14 43 HOST softbank126066071234.bbtec.net C.E.世界 融合惑星 β世界 日本列島 相模原・厚木最終防衛ライン 地球連合軍拠点 連合の後詰戦力が駐留する、帝国が用意した最終防衛ライン。 そこに、ネクストが一機西部から帰還してきた。爆発的な光の奔流はOBのそれだ。 圧倒的な速度のそれは、防衛ラインに近づくにつれて輝きと速度を緩め、やがてそれを静かな0へと収束させる。 それは、通常ではありえない減速と位置合わせ。だが、それはコジマによってもたらされた慣性制御により実現していた。 そして、ガイドビーコンに従い、一目連のネクスト「斬月」は緩やかな降下と共に用意されていた滑走路へと着陸していく。 機体が纏うPAとそこから乖離するコジマ粒子の輝きは、そのネクストを並々ならぬコントラストで彩っていた。 着地。静かなそれは、振動をほとんど立てることなく、その巨躯を地面へと下ろした。 そして、通常歩行によって斬月は用意されていたガレージへと向かい始めた。 既に斬月の周囲にはコジマ粒子の不活性化を促進するガスが展開され、無用な汚染の拡大の阻止を行っている。 また、自動化されたメンテナンスアームが激戦によって使い倒された武器を斬月から預かり、回収していく。 それらの動きはスムーズで極めて洗練されたものだ。そのエリアを抜けたころには、斬月はすべての武装を取り外し終え、素のままのフレームとなっていた。 そこまで行って、ようやっとガレージのメンテナンスベッドへとネクストは体を預け、あらゆる機能を緩やかに停止させていく。 コジマ粒子の放出が止まり、主機関であるコジマジェネレーターが停止。電力供給が停止したことでネクストを動かすあらゆる機能が止まっていく。 メンテナンスアームや作業デッキが周囲を回りながらも、機体に付着した汚れを落とし、あるいはコジマの影響を落とす液体を吹きかけていく。 そして、固定用アームが機体を固定し、全てのチェックが完了したところで、ようやっと斬月のカメラアイから光が消えた。 控えていたメカニック班が取り付いて作業を開始するとともに、コアパーツのハッチが解放され、内部から一目連が姿を現す。 それに群がるのは、コメディカルスタッフ達だ。一目連も承知していることだが、この後彼はVIPと顔合わせをすることになる。 それも、政治も絡むことになる極めて重要な案件であった。その為に戦闘後のケアを迅速に行い、準備を整える必要があった。 「そう慌てなくともいいぞ」 「そうもいかないんですよ、一目連さん」 「ええ、この後超VIPと顔合わせですから」 「あー……それは、そうだがな」 「ですから、私たちに任せてください。 ケアが終わったら、軽い休息の後でお色を整えてもらいます。段取りはできていますから、それに従ってくださいね!」 準備万端か、と真剣なスタッフたちの言に一目連は苦笑するしかない。 まあ、地球連合の肝いりなのだから当然かとも納得する。 何しろ相手はあの煌武院悠陽だ。 前線で暴れている途中で急に帰還命令が下り、その途中で事態の説明と地球連合の決定が伝達されたのは記憶に新しい。 なるほど、武家というものに対して詳しく、対応しやすいのは自分というのが適役だろう。 無論のこと、外交面で担当を行う地球連合や大洋連合の担当者がいることも確かである。 しかし、単なる文官なだけでは相手が難しい相手だ。なにしろ、政治形態的には、武のトップを務め、また政にも影響を及ぼすトップなのだから。 況や、その武のトップが自ら最前線に出て戦うということになれば、相応しいエスコート役が必要になるのだ。 とはいえ、原作を知っているだけに、なんとも新しいつながりを得ることになったものだ、と嘆息するしかない。 何しろ彼女は主要人物と深いかかわりがあり、単なるお飾りのトップとは言い難い役回りだ。 その彼女の相手を務めることになるとは思いもよらず。まあ、機体がなかったといえばうそになるのも事実であるが。 ともあれ、一目連はたくさんのスタッフたちにせかされるようにして、会談に向けた準備を整えることとしたのだ。 686: 弥次郎 :2022/01/14(金) 20 15 49 HOST softbank126066071234.bbtec.net 「お待ちしていました、一目連様」 「様はいいよ、柴崎」 「失礼を。ですが、こればかりは致し方ありませんので」 実家からのお目付け役も兼ねるスタッフの柴崎といつも通りの会話をしつつ、タブレット端末を受け取る。 起動させれば、この後のスケジュールがびっちりと書きこまれている。 その内容をざっと眺めれば、如何にこのスケジュールが政治的・軍事的な急かしを受けているのかが手に取るようにわかる。 「で、この後はこの通りで?」 「はい。斬月は輸送機に積載しメンテナンスと装備の換装を実施します。お色直しもしなくてはなりませんからね。 そして、帝都から到着予定の日本帝国政威大将軍の煌武院悠陽様および付随する斯衛軍をお迎えし、出発する手はずとなっております」 「……会談は道中で、か」 「時間がぎりぎりなんですよ。鶴の一声で派遣が決まって、あちらも相当急いだみたいですしね。 まあ、意見が全然まとまらないところに現れて一気に決めてくれたので、こちらとしても助かりましたけど」 「違いないな」 会話しながらも、クライアントとなる煌武院悠陽のプロフィールへと目を通しておく。 それは知っていることも含まれているが、それ以上のことがあった。 殊更、止まっていた政治の歯車を外側から叩き、見事に動かして見せた情報についても。 「なるほど、鳳雛か」 「そこまで一目連様がおっしゃるとは……」 「少なくとも目に力があるのがわかる。 まだ多くを知らないということもあるだろうが、目に力が宿っている。期待できるかもしれない」 少なくとも、他の五摂家などよりは、と胸中で一目連は付け加える。 原作においても、大胆にもクーデターを起こした将兵らの目の前まで赴くなど行動力があった彼女だ。 生まれの時点からすでに翻弄され、武家の中でもトップランクの生き方を続けてきた彼女が、そういった果断な意思を持つのは喜ばしいことだ。 その時点で、情勢に流されがちな凡百とは異なるという証左になっている。 「ただ……」 「ただ?」 ただ、一人の兵士、あるいは戦士としてみるならば、彼女はまだ未完だ。 すでに大器を伺わせているとはいえ、それを磨かねば、あるいは成長をさせねば何ら意味がない。 殊更、武のトップを務めるというからには、この段階以上に強くなくてはならないだろうというのは想像に難くない。 故にこそ鳳雛。鳳となり得るとしても、今はまだ雛でしかない。辛辣であり、礼を失するかもしれないが、そう評価した。 「今後、そのまま飛び立つか、否かが決まる。良くも悪くも、な」 「遠慮なしですね、一目連様」 「まあ、な……」 ともあれ、会ってみねばわからないこともあるだろう。 控室に通され、用意された衣服とメイクアップを担当する要員の歓迎を受けながらも、一目連は思う。 願わくば、彼女の行動が帝国にとっても連合にとっても良いものとなってほしい、と。 687: 弥次郎 :2022/01/14(金) 20 17 12 HOST softbank126066071234.bbtec.net 以上、wiki転載はご自由に。 一気に進めました。 次回は近畿上空からお送りいたします。 なお、殿下は原作の時系列から飛ばされてきましたので、紫の武御雷を持ってきます。 ビジュアル的にもばっちりですなぁ 688: 弥次郎 :2022/01/14(金) 20 28 43 HOST softbank126066071234.bbtec.net 誤字修正 685 × しかし、単なる文官名だけでは相手が難しい相手だ。 〇 しかし、単なる文官なだけでは相手が難しい相手だ。 686 ×「時間がぎりぎりなんですよ。天の一声で派遣が決まって、あちらも相当急いだみたいですしね。 〇「時間がぎりぎりなんですよ。鶴の一声で派遣が決まって、あちらも相当急いだみたいですしね。 転載時に修正をお願いいたします
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649: 弥次郎 :2022/01/28(金) 22 48 52 HOST softbank060146116013.bbtec.net 憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「煌武院、立つ」8 帝国軍および帝国斯衛軍による旧京都の奪還という第二段階完遂を以て、宵星作戦は第三段階へと移行する。 即ち、ハブたる京都の拠点化を利用した多方面への展開である。 新潟方面から西進してきた部隊と、東海地方を突き破った部隊の合流と再編を行う空白地である京都を得ることで、大軍が渋滞なく動きを継続したのだ。 この旧帝都での補給と再編を終えて、さらに西に進むべく分岐した部隊はいくつかに分かれることとなった。 中国地方日本海側を進む主力集団。 瀬戸内海の島などの解放も含む任務を帯びた水陸両用機を含む部隊。 瀬戸内海側の四国を担当する企業連合の機甲機動戦力。 太平洋側の四国を担当することとなる帝国海軍の艦艇と揚陸艦などを含む日本帝国の戦力。 この4つの集団は旧帝都京都に敷設された司令部にて、東京の政府首脳部などとの協議や連絡を行い、準備を行った。 連合については事前にプランが策定されていたということもあり、すんなりと役割分担は解決することとなった。 しかし、ここでこじれたのが帝国であった。 もっと具体的なところを言うと、帝国軍と斯衛軍と政府と武家でこじれたのである。 身もふたもないことを言えば、負担の押し付け合い。ついでに言えば出場枠のと名誉の奪い合いが起こったのだ。 帝国の戦力で即応できた部隊は、すでに第二段階の旧帝都奪還ですでに消耗しきっており、それ以上の戦闘継続は不可能であった。 最精鋭戦力が全力で戦い、京都を奪還できたことは僥倖。されども、そこで息切れしてしまったのだ。 そんなわけで、政威大将軍の煌武院悠陽率いる親征部隊は旧帝都京都守護という名の待機になった。 では、誰がバトンを引き継ぐのか?それが将軍率いる親征部隊の後から準備を整えた帝国の戦力ということになる。 鶴の一声で一気に動き出せないという弱みこそあれど、数的な主力である彼らは政治的な思惑もあって出場することになった。 ただし、その戦力的価値やフォローに回せる戦力に限りがあることなどを考慮すると、その担当地域は狭くなった。 上記のように主戦場たる中国地方解放戦線ではなく、サブといえる四国奪還に回されたのもそれが理由だ。 名誉と今後のためにも役割は与えるが、大損害など被ってくれるなという連合の意思が優先された。 しかし、その四国、しかもその半分という狭い地域の奪還に誰がどれくらいの戦力を出すのか? 付随する名誉や戦後の発言権などを考えてしまい、誰もが奪い合いとなったのである。 帝国軍は政府が抱える軍ということもあって参加と言いたいところであったが、将軍が親征したのだからと斯衛軍も譲らない。 さらに仙台に先に退避していた五摂家をはじめとした武家のトップ階級たちが自分たちが行くまで待てと言い出す。 政府としてはそこらへんのバランスをとった混成を提案するのだが、武家側の反発もあって頓挫する。 そして政府内意見としても、武家だけにいいところをとられては文民統制などの観点から問題ありという声が上がる。 650: 弥次郎 :2022/01/28(金) 22 49 44 HOST softbank060146116013.bbtec.net ここに上乗せされたのが、前述の通り損耗を気にしたが故の、いわゆる出場枠における枠順の争いだった。 連合の支援は限定的。これまでに例を見ない数の侵攻があり、また、新種のBETAが出現している情報は誰もが足踏みするのに十分すぎた。 こうして誰もが戦力の消耗や危険な前衛に立つことを嫌い、押し付け合ったのだからまとまらない。 連合としては早いところ戦力を出してくれ、と言いたいところであった。 どうせサブの戦線にすぎず、全部自分たちでやるのがまずいから出場を要請したのであって、そこまで深刻な問題ではないのだ。 というか、将軍が自ら戦線に赴いて戦っている間にそこら辺の打ち合わせをしていなかったのかと、あきれさえもした。 なまじか、トップである悠陽が自ら連合と交渉して自分の舞台で戦線に赴くという、連合的に点数の高いことをしただけあって、対比で悪く見えてしまった。 将軍は自らの危険も飲み込んだうえで自分から先頭を切って出撃したのに、そんなに我が身がかわいいかと見えてくる。 というか、話し合いをして役割分担を決めるのはいいとしても、こっちは待たされているのだが?とも。 特に追い打ちをかけたのが五摂家の使いの、五摂家当主たちの発現であった。 意訳すれば「自分たちを活躍させれば皇帝に謁見する名誉と帝国から勲章を与えてやろう」。 思わず地球連合担当者と帝国政府の外交官と居合わせた武家の人間が真顔になる程度には、やばい発言であった。 確かにそれは国内向けでは極めて名誉なことであろう。 だが、他国、しかも複数の国家の連合にとってそれは良いとは言えないことだ。 (まさかな……) 冷や汗をかく帝国政府の外交官は察した。 五摂家の面々は、日本帝国との交渉などを担当するのが日系人国家である大洋連合であるから通用すると考えたのだと。 つまるところ、彼らの頭の中にある序列には皇帝>武家(五摂家を筆頭に以下略)>一般家庭というものがある。 同じような人種による国家であるならば当然通用する序列なのであり、それに付随する名誉もまた同じと推測したのだ。 彼らの国家の全容についての情報は未だに共有しきれておらず、国家像についてはおおむね似ているとしか認識は広まっていない。 何しろ情報量があまりにも多すぎたし、帝国だけでなく世界各地であらゆる現象が起こって余裕が乏しかったのもある。 ともあれ、そういった無知と自らの常識が他者の常識と勘違いしたが故の無法は、余りにも危うい発言であったのだ。 さらに、今回の軍事作戦は帝国は援助を頼む側であり、頭を垂れて依頼しなくてはならないし、感謝しなくてはならない立場にあったのだ。 それこそ、武の筆頭、政威大将軍にして煌武院家当主煌武院悠陽が宵星作戦前に自らやったようにだ。 そもそも、明星作戦以降に接触し、何くれと支援をしてくれていた国家に対し、自分の立場を上にしてそのように尊大にふるまうなど、アウト以外の何物でもない。 これ以上馬鹿の代弁者をしゃべらせれば、帝国は大恥どころでは済まなくなる。帝国の誰もが、そう考えた。 結果的に、その五摂家からの使いをその場から物理的に退出させたことで、帝国側の意見は一致を見て、そこからは速やかに戦力供出の割り当てが決定した。 斯くして、帝国は何とか第三段階への参加を確定させ、行動を開始したのであった。 651: 弥次郎 :2022/01/28(金) 22 50 30 HOST softbank060146116013.bbtec.net さて、そんな交渉事が進んでいる間にも、状況は進行していく。 帝国軍は第三段階の作戦に送り込む戦力の移動やら準備に追われることになった。 帝国政府に関しては帝都東京において相変わらず折衝などを続けて、今後の動きについて話し合っていた。 遠く仙台では交渉の失敗を知らされた五摂家の当主やその周辺の人間たちが発狂したりしたが---まあ、些細な事であろう。 もっと広い範囲を見れる視点に立つと、帝国の情勢が見えてくる。 帝国は、帝国の一般市井は、G弾がいきなり投じられた明星作戦のショックもそこそこに、それ以上の事態に直面した。 つまり、融合惑星の誕生と地球連合という国家間の垣根を超えた連合組織との接触である。 さらに言えば、G弾の起爆に付随して跳躍者や受信者などが大量に発生して情勢やら何やらが変化したことも追い打ちをかけた。 とどめが、BETAの突如の空前絶後の規模での侵攻だ。よくわからない組織である地球連合のことより、よほどショックが大きかっただろう。 客観1999年は旧帝都京都の失陥から1年足らずであり、明星作戦から一か月と経たずに大規模侵攻が来たとなれば、そのショックは察するほかない。 もはやこれまでと、逃げ出すことを諦めてしまう帝国民さえもいたといえばわかるだろうか。 しかし、そんな情勢がいきなりひっくり返され、地球連合が救援してくれてとなれば、再び感情がひっくり返ったのだ。 まして、若くして政威大将軍という重職を預かる煌武院悠陽を自ら親征するという情報が出回れば、なおのこと。 ここには将軍の親征という事態に半ばやけっぱちになった煌武院家や帝国政府の発表が流されたのもある。 つまり、うまくいくかどうかもわからないが、カンフル剤として期待したというわけだ。 さらにここに追い打ちをかけたのが、連合の広報だった。 民間や地球連合および大洋連合のそれを動員したそれは、各地での地球連合の戦力の活躍を報じた。 単なる新聞や写真だけではない。映像やラジオなども含む、この時代のマスメディアも動員してのものだった。 それこそ、帝国政府中枢の面々は部隊に付随する広報部隊によるいわゆる中継放送を見せられたし、何ならばパイロット視線での活躍も見れた。 これらに京都奪還の成功というとんでもない爆発物を交えたら、どうなるか? ここでは敢えて詳細まで語るまい。 帝国を見捨ててあまつさえG弾を放り込んだ米国や国連への評価が底値を割った。 代わるように、地球連合という組織の力の一端を見て、帝国一般市民にまで届く支援をやっていたことも含めて株価が上昇。 とどめに、煌武院悠陽という頼りなさげな少女が、武家のトップとしての役目を全うし、「魅せた」のである。 これは、あくまで生じた結果にすぎない。 しかして、結果とは次の現象を引き起こす原因となり、次の流れを決めてしまうことになる。 これまでの思考のフレーム構造に、地球連合というものが無理やり接合され、あるべき流れが大きく変わったのだ。 後世において、この時に参加していた勢力は余りにもうまくやりすぎたと、そう評されることになった。 地球連合は、その強すぎる常識外の力で他を恐怖させた。 帝国は、非常時故にこれまでに積み重ねてきたところに、助かるためとはいえリスクも弊害も特大のカードを切ってしまった。 将軍や武家は、五摂家やその周辺の武家という中で、煌武院だけがとびぬけすぎてしまった。 所詮は人がなすこと。すべてが後々のことまで含めてうまくいくなどという、そんな当たり前のことを示したのだ。 機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)などというものはなく、現実という名の演目は果てしなく続いていく。 将軍である煌武院悠陽は確かに立った。 そして、それを発端に、あるいはターニングポイントとして、帝国を含むβ世界は大きく動き出したのだった。 652: 弥次郎 :2022/01/28(金) 22 51 00 HOST softbank060146116013.bbtec.net 以上、wiki転載はご自由に。 やっとひと段落。 一言で言えば、やりすぎたのだ…
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721: 弥次郎 :2022/01/15(土) 20 33 06 HOST softbank126066071234.bbtec.net 憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「煌武院、立つ」2 政威大将軍にして煌武院家当主煌武院悠陽、戦場へ。 その報は、戦局の大きな変化に伴い混乱していた帝国内部をさらに揺るがした。 これまでは後方にいた彼女が最前線に自ら赴くというのは、まして武家のトップが出向くというのは、これまでになかったことだ。 実のところを言えば、斯衛軍というのは対BETA戦の経験が乏しい。 将軍を守護する存在という主目的の関係上、まだユーラシアで戦線が張られていた時に大陸派兵に参加したのは多くはない。 あるいは、欧州に留学し戦場を学んだ者もいるが、それはあくまでも少数派の行動の結果である。 無論、各地での戦い、殊更日本列島への侵攻が起こった際においては斯衛軍も参戦して奮戦しているのも確かである。 だが、結局のところ精鋭であるがゆえに出し惜しみを受けていたことは事実として揺らがない。 また、とある時系列において斯衛軍の人員が海に不慣れ故に行動に戸惑う姿が存在したように、その実として、対応能力に欠けているところがあるのも事実だった。 そしてとどめに、BETAとの戦闘経験が乏しい代わりに、対人戦闘経験は組織の都合上高いというBETAとの戦いでは些かそぐわない体質も備えている。 無論、悪いことではないのも確かだ。 斯衛軍にいるということは、そもそも高度な教育と訓練を重ねてきたということであり、練度の高さを保証するものでもある。 斯衛軍に死の八分無し、と豪語するように、暗示や薬物投与に依存しなくとも優れた衛士を育成できていることも事実。 そして、その装備の質もまた確かであり、武御雷という高性能機までも生み出して配備している。 ともあれ、最精鋭たる斯衛軍はそんな実情でありながらも、国外勢力との共同作戦を展開することになったのである。 戦力としては斯衛軍に属する戦術機一個大隊。武御雷と不知火を主力とする、まさしく最精鋭部隊だった。 付属して、戦車や自走砲部隊などの支援部隊とヘリなども加わっている。ここには連合から供与された戦車を配備した部隊も含まれていた。 さらに、ここに合流したのは、五摂家の一つ斑鳩家と縁のある斯衛軍の兵士の一団であった。 これは、当主ゆえの縛りを受けて直接赴けなかった斑鳩崇継の代理という形であり、彼なりの行動の結果であった。 思わぬ増援を受けた彼らは迅速に準備を整え、未だに残るインフラをフル活用、あるいは輸送車両などによって西進。 地球連合軍の待ち受ける相模原・厚木最終防衛ラインへと向かうこととなった。 その姿は未だに残っていた帝国民や皇帝の目に深く焼き付けられることとなった。 ただ引いてくのではない。前に出て、戦い、勝利を得るためにと進む姿。 それは、言いようのない力強さを、あるいは鼓動を伴っていた。 722: 弥次郎 :2022/01/15(土) 20 33 59 HOST softbank126066071234.bbtec.net C.E.世界 融合惑星 β世界 日本列島 相模原・厚木最終防衛ライン 地球連合軍拠点 帝都出立より数時間後、帝国の部隊は無事に地球連合軍の拠点へと到着していた。 連絡を受けていた地球連合側でも準備を整えており、多くの戦力が出立を今か今かと待ち受けていたのだ。 目につくのは、居並ぶホエールキングであろう。その名の通り、クジラの姿形をまねている。 そしてそれ以上に恐ろしいのが能力だ。 全長は250m。武装として68センチ連装砲やミサイルランチャーを搭載。 本分たるペイロードに関しては、到着した斯衛軍をまとめて一機で搭載しきってしまえるほどに、圧倒的だった。 驚きもそこそこに、斯衛軍はそれらに連合の戦力と共に分乗していくこととなった。 いきなり斯衛軍を戦場に放り出すというよりは、連合の戦力が随伴して展開するという形になるためだ。 一応斯衛軍や、別ルートから合流予定の帝国軍にも戦闘してもらうことにはなるのだが、あくまでも体裁を整えるためという面が強い。 多少の犠牲が出てしまうのはしょうがないが、かといって目の前で雑魚によって死なれすぎては寝覚めが悪いどころの話ではないためだ。 かといって、何もしないまま護衛されて戦場に出るだけ、というのも良くはない話である。 殊更に、煌武院悠陽が専用機で前線に出る必要があるということは政治的にも大きな意味合いのあることであった。 なればこそ、その傍らに、万難を排せる護衛を張り付けることとしたのである。 それこそが、ムラクモ・ミレニアムのリンクス「一目連」であった。 そして、悠陽の専用機たる00式R「武御雷」を筆頭に戦力が積載されたホエールキングは最前線へと順次飛び立っていく。 連合の戦力が行動を再開するのと合わせる都合上、時間的な余裕は案外少ない。だからこそ、かなりの強行軍で帝都から駆け付けたのだ。 送り出し終えた帝国軍の輸送部隊などが飛び立っていくホエールキングらを見送って、疲労と安ど感からへたり込んでしまったのも無理はない。 「や、やっと終わったか…」 「ああ、一先ずはな」 「……もう勘弁してほしいな」 軍事行動、とりわけ輸送というのは案外時間がかかるし、工程もたくさんあるし、尚且つ慎重さが求められる。 普通ならば余力と余剰の時間を確保して万難を排して行われるのだが、今回ばかりはそれが極めて少なかった。 それでいて、政威大将軍の煌武院悠陽率いる部隊を輸送しろときたものだから、担当者たちのストレスたるや語るまでもない。 ともあれ、彼らはベストを尽くした。遅滞なく、多少のトラブルを乗り越え、部隊を予定の場所まで送り届けたのだから。 「あとは……煌武院殿下がご無事ならばいいんだがな」 「ああ……」 一人がポツリと漏らした言葉に、誰もが顔を暗くする。 そう、あくまで自分たちの関与できるのは送り届けるところまで。そこから先は自分たちの領分ではない。 一口に戦場と簡単に言えてしまうものであるが、最前線は激戦だと聞いている。確認できただけでも数十万ものBETAの押し寄せる場所。 現在のところ順調に押し返しているとは言うが、危険がないというわけではない。新種のBETAも出現したと聞くのだし。 彼らは後方部隊の人員。戦術機の適性検査で弾かれたりして、こういった裏方を任されている。 それゆえに、衛士たちとは違って長らく職務についており、年齢としては高い方なのが実態。 そんな自分たちが、若い兵士たちを、それも武家としては最も畏きところの少女を送り出さねばならないというのは、精神的なダメージが伴っていた。 若い兵士を送り出すのはこれが初めてというわけでもない。いつかは自分たちに下される命令であったかもしれない。 だが、いざそれに直面すると、まして--- 「いや、やめよう……」 余計な感傷だ。彼だけではない、他の作業員も感情をこらえていた。 同じような年齢の兵士たちを送ってきたのに、今更な話だ。 せめて、無事に務めを果たし、凱旋してほしいものである。 彼らに詳しい政治の話など分からない。それでも、無事であってほしい気持ちだけは本物。 他者に、他国に委ねるしかないのも悔しいが、それしかないのもまた事実。 願いを託され、鋼鉄のクジラの群れはひたすらに西へと向かっていったのだった。 723: 弥次郎 :2022/01/15(土) 20 34 53 HOST softbank126066071234.bbtec.net β世界 日本列島 旧東海地方 上空 ホエールキング 艦内 ミーティングルーム 「お初御目にかかります。私はムラクモ・ミレニアム所属のリンクス、一目連と申します。 大洋連合軍出向にあたり、大佐を拝命しております」 「これはご丁寧に。 私は日本帝国にて政威大将軍の職を拝命しております、煌武院悠陽と申します」 両者が対面したのは、ホエールキング艦内に設置されたミーティングルームであった。 急ぎで出発したために、ブリーフィングなどが行われたのは道中と相成ったので、それゆえの必然であった。 ブリーフィングの開始前、事前に伝達されていた情報を基に両者は初めて顔を合わせることとなった。 (なんと……これは……) 第一印象。一目連に対して悠陽が抱いたのは、静けさであった。 空っぽということではない。空虚な、という意味でもない。 そこにあると同時に、極めて自然で、存在しているのにしていないかのようなそんな二律背反であった。 自然と周囲と一体化してしまう静けさ。派手さではない静謐。あらゆることに動じない安定感。それを強く感じていたのだ。 一目で強者とわかるような、そんな簡単な存在ではない。強さを秘める、あるいは静けさの中に刃を巧妙に隠すような、そんな存在。 やたらと部位を振りかざすのとは違う、もっと---そう、本当の強者とは、兵(つわもの)とは斯くあるべしという理想形にも見える。 ともあれ、一瞬の逡巡の後、悠陽は言葉をつづけた。 「貴方様が、今回私の傍に控えてくださると聞きました。相違ありませんか」 「いえ、ありません。この一目連、煌武院悠陽殿下のお傍に侍り、万難を排する役目を担います」 「それは頼もしいことです。 ですが、此度は、私の我儘により恩人たる地球連合の皆様振り回すこととなりました。 改めて、ここにお礼申し上げます」 「とんでもないことです。あの大胆かつ果断、そして国家を代表した行動は、称賛されることあれ、非難されるものではないでしょう」 一目連の言葉は、実際のところ連合の態度を、悠陽の決断に対しての好意を含んでいた。 救援を要請し、予想以上の活躍に喜びはしても、それからどうするかという観点に欠いていた政府を強引にとはいえ動かしたのだ。 また、これだけの大反攻作戦へと発展した状況下にあって、帝国という国家の面子を守る行動を真っ先に取ることができていた。 「それは持ち上げすぎですわ、一目連様。本来ならば信を置くものに任せるべきところに、私が首を突っ込んだわけですのに」 「いえ、殿下。この老骨に様などというものは不要でございます」 「そうでしょうか?私の命を預けることとなるのですから、礼儀を払うのが当然と思いますが?」 「あくまでもこの一目連は雇われ。それこそ、この身を盾としてもお守りするのが役目と存じます。 この作戦における関係だけとはいえ、堅苦しく礼を払う必要はございません。遠慮なく呼び、命じ、使っていただければ」 「それは……」 悠陽は一目連の言葉に少々困るしかなかった。 確かに礼儀を払われ、敬われていることは分かる。 だが、これまで経験したのとは違う関係を求められてもいた。すなわち、雇用者と労働者の関係だ。 厳密なところを言えば、武家の頂点たる悠陽は武家を雇用して使用する立場にある。 しかし、一目連はその態度と関係に似ておりながらも、あくまで一過性の仕事によるもの、と割り切っている。 そして、傭兵というものを使い倒せと、そう頼んできている。 これによって、微妙ではあるが認識に誤差が生じているのだ。 「過ぎたことを申しました。お許しを……」 それを察した一目連は引き下がる。 ここで彼女に多くを求めすぎても意味がない。 あくまでも彼女との契約はこの場においての、この作戦においての話だ。 「……わかりました、貴方様にも譲れない一線があると、そう捕らえることにします」 その上でですが、と悠陽は言葉を紡ぐ。 「ですから、これは私からの提案なのですが、私個人として懇意にしていただければと、そう思います」 「それは、傭兵という立場ではなく、ということでしょうか?」 「ええ。これもまた何かの縁。私個人として、もっと知りたいと、そう思っているのです」 「……はい、それでは、差支えなどなければ」 「ありがとうございます」 結局最後は押し切られたな、と一目連は思う。 だが、悪いとは言えないだろう。これが彼女にとって良い刺激となってくれればありがたい。 それに、連合としても武家のトップとの伝手はあった方がいいだろうという打算も含めてある。 縁は、確かに結ばれたのだ。 724: 弥次郎 :2022/01/15(土) 20 36 13 HOST softbank126066071234.bbtec.net そうして一目連らが歓談している間に、ブリーフィングの開始が告げられた。 ブリーフィングルームに集う面々が緊張の面持ちで、部屋の前方、展開されたモニターへと注視する。 旧帝都奪還作戦「宵星作戦」。 まず第一段階は砲撃---母艦でもあり巨大な砲のキャリアーでもあるホエールキングによる制圧砲撃を行う。 大まかにBETAの数を、特に脅威となりうる大型種を可能な限り漸減することに始まる。 光線級による迎撃も当然想定されるが、そもそも連合の使用する砲弾はレーザー程度は弾く仕様だ。 よって、これによる数の漸減というのは順調に進むことが想定される。 加えて、着陸点を確保するため、先行するMS隊によりBETAの誘引と排除を担当。 これらが完了次第、順次戦術機などを含む戦力は確保したポイントに着陸、迅速に展開することになる。 ついで、第二段階。ここからは機動戦力の出番となる。 すでに旧帝都は大部分がBETAにより大地が殆ど平らにならされており、かろうじて残った地形があるものの、その面影はほとんどない。 それほど地形が変化しているため、光線級が存在する状況下においては射線が開いた、遮蔽物がないために極めて危険な領域であった。 天然の要害による地形の有利を得られないというのは、防御手段が乏しい戦術機にとっては致命傷だ。 「ですが、これはこれまでの常識でならば、となります」 ブリーフィングの司会進行は言葉を紡ぐ。 「戦術機部隊の突入に際し、地球連合戦力による光線級哨戒を実施。 また、アンチレーザー爆雷の集中投入による戦闘領域の形成を行います」 これらが意味することは何か?至極単純だ。 マップ上に、京都市街地を中心とした円が広がった。そのエリアは安全圏だ。 光線級という死神の脅威が殆ど存在しない、飛行制限がある程度取り払われたバトルフィールドそのもの。 地を這うBETAに対し、戦術機が空を飛べるという強みを最大限生かせる状況だ。 「光線級の存在しない状況下で、旧教徒市街の制圧を行うのに、最も適した環境を構築します。 これが作戦の第二段階の開始となります。戦術機部隊の展開を開始。BETAの排除を開始します。 排除の完了後、衛星軌道上からのテレポートアンカーによる防衛戦力の投入を実施。 そこから迅速な陣地構築と防衛体制の形成をもって、本作戦は第三段階へと移行します」 マップ上、制圧された教徒市街から矢印が多方向へと展開していく。 それこそ、近畿地方だけではない、より遠くへ、BETAの制圧かにある地域へと伸びていくのだ。 「第三段階。これは制圧した旧帝都京都市街地を起点とした、大規模な進撃となります。 日本海側からはAFトコヨノカミを旗艦とした水上打撃部隊の援護が展開されまして、中国地方への道を開いていく形となります。 また、帝国軍の皆様は太平洋側へと南進。別働の連合軍戦力と帝国軍戦力と合流の上で、四国へと進んでいただきます」 一連の動きを見れば、まさに大進撃だ。 しかし、これらさえも、全体から見れば一部でしかない。 奪還すべき領域はまだまだあり、こんなところで躓いてはいられないという連合の意思が感じられるものであった。 「これらをもって、地球連合及び帝国の合同軍は本州全土の奪還に向けた一翼を担います。 それぞれの集団に定められた目的地のBETA排除と制圧・拠点化をもって、宵星作戦の完了と相成ります」 以上です、と進行役は一礼する。 「それでは質疑応答に移ります」 鋼鉄のクジラの中で、彼らの準備は進む。 一大作戦まで、あと間もなくと迫った頃であった。 725: 弥次郎 :2022/01/15(土) 20 38 31 HOST softbank126066071234.bbtec.net 以上、wiki転載はご自由に。 急ぎ足になったなーと思いますが、ご容赦を。 次回は立たなかった方々のご様子を。 マブラヴでの五摂家って斑鳩、九条、斉御司、崇宰、煌武院とありますけど、ここまでまともに動いたのが二つというね… というかここら辺の設定をちゃんと出してほしいよなーって…
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229: 弥次郎 :2022/01/22(土) 22 08 49 HOST softbank126066071234.bbtec.net 憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「煌武院、立つ」5 C.E.世界 融合惑星 β世界 日本列島 旧近畿地方 旧帝都京都市街地 外延部 母艦級の群れが吹き飛ばされたことは、衝撃と共に、自信というものも帝国軍と斯衛軍に与えていた。 つまり、それだけ強い味方が自分たちにはついているのだ、という単純な理由だ。 理論理屈は分からなくとも、厄介な母艦級を倒せる戦力が味方にいるというのは心強い。それだけでも、極めて士気が上がるというもの。 元より帝都奪還に加えて将軍の親征に同行できるというだけでも名誉であり、士気が高まっていたところにこれなのだ。 帝国の旧帝都奪還に向け、これ以上になくコンディションは良い状況にあった。 無論、浮足立っているというのもあるだろう。 変則編成で通常より多い斯衛軍戦術機一個大隊と帝国陸軍混成二個大隊という数がいれば、そういう人間はどうしても出てくる。 彼らが厳しい訓練を重ねていると言えども、一目連の見せた圧倒的な力を、連合による潤沢な支援を、自らの力と錯覚してもおかしくない。 まして、少なからず薬物などの影響を受けている帝国の人間であるならば、猶更のこと。 その認識は、エスコートをする側である連合の戦力、そして一部の帝国側戦力に共通したものであった。 『殿下……』 一目連が通信を繋いだ先、悠陽もまた、高まっている自軍の興奮に懸念を抱いていた。 『一目連様、これはどうしたものでしょうか?』 現状、戦術機部隊は巡行で低空飛行をしながらの侵攻中だ。その中にあって、悠陽は困惑していたのだ。 BETAの集団を、それこそ母艦級を含む大集団を一瞬で抜けられたのは僥倖そのものだ。 そうだからといって、油断や慢心をするというのは心得違いというものである。 だが、問いかける悠陽も、本当は何をすべきかをよく理解している。 しかして、ここで下手なことを言えば、水を差す結果になり替えなない。素直に言うことを聞いてくれても、根本解決にならない可能性もあった。 『これに関しましては、日本帝国の領分であり、地球連合としては干渉などはあまりできないのが正直なところでございます』 バッサリと斬る一目連の言葉。 しかれども、それは事実だ。これは帝国内部の軍事組織の問題。 発端が大洋連合の一目連の行動によるものだとしても、現象が起こっているのは帝国軍である以上、その責任というのは帝国なのだ。 つまりこの場における最高権力者にして責任者である煌武院悠陽のもとに存在しているのである。 知らず、一目連に自分も頼り切りそうになっていたことに気が付いた悠陽は、一目連の言葉にうっと息を詰まらせる。 『……これは失礼を。確かに、これは帝国の領分です』 すぐに言えたのは美徳だな、と一目連は思う。 一目連もそれなりに人生経験があるが、素直に謝るというのはなかなか難しかったりするのだ。 だが、こんな少女に言わせているというのは一目連の背中を妙にムズムズさせる。 『……長く語る必要はありますまい。ただ、殿下が配下の者たちを想っていると、伝えるがよろしいかと』 だから、言ってしまう。独り言だ、と自分に言い訳しているが、回線を開いている時点で有罪だろう。 とはいえ、帝国が足を引っ張りすぎても困るのが連合なのだし、と自分に言い訳する。 (まるで子供だな……) 思わず、苦笑が漏れる。結局、いくつ年を重ねても、いくつ転生を重ねても、変わらないところはあるということか。 悠陽に対して大人の対応をしていた自分が次の瞬間にこれでは。自分で自分が思いやられるではないか。 いつまでたっても子供のところがあるのは、情けないところなのかもしれない。けど、大人になり切ってしまうと失いそうになるものもある。 それでも、悠陽の前では大人であらねばと思うのは、その役目のためか、それとも近い年ごとの娘がいるためか。 ともあれ、今は戦闘だ。彼女がやることを見守ろう。一目連は、地下から沸いてきた母艦級に襲われそうになった不知火からなる小隊を救いながらもそう思った。 230: 弥次郎 :2022/01/22(土) 22 10 53 HOST softbank126066071234.bbtec.net そして、しばしのちに動きがあった。とある通信回線が開かれのだ。 それの意味するところは、帝国軍さらには斯衛軍にとっては緊張をいうか、気を引き締める要因となるものであった。 即ち、総指揮官たる煌武院悠陽の言葉が発せられるチャンネルが開かれたのだ。この作戦に際し、そのように割り当てがなされている。 すでにBETAの集団とも各々が戦闘しつつ進撃していて戦闘途中だった衛士たちも、機甲部隊の兵士たちもいた。そんな彼らは、回線が開いたことを認識し、耳を傾けた。 『我が親愛なる帝国軍、そして斯衛軍の、全ての兵士たち、衛士たち、総員そのまま聞いてください』 戦術機の中で、供与されていた戦車の中で、あるいは砲撃支援のため海上に展開する艦艇の中で、誰もがその声を聴いた。 戦闘中の声だ、というのはすぐにわかる。言葉は平然と紡がれているようで、呼吸の乱れや言葉にやや不明瞭なところがあるというのでわかる。 実際、悠陽は戦闘を継続しながらも言葉を紡いでいた。周辺の敵は護衛機が排除しているが、かといって動きが止められるような悠長な状況ではない。 同じ戦場に出ている衛士たちは、その光景を見ることができていた。将軍が自ら戦う姿を。 一目連の斬月に援護されつつも、近接長刀と突撃砲を用いてBETAを適宜排除しつつも動きを止めることなく動き続ける紫の武御雷を。 『くっ……失礼を。 今、我々は旧帝都奪還という目標のため、戦い続けています。 異国でありながらも我が国の悲願のため力を地球連合より貸していただいて中でも、自らの意思と力で戦わんとするために。 他人任せではなく、他者と協力しあり、微力であろうとも自分の力で為すために』 そこで一息。 突撃級が飛び出してきたので、飛びあがりつつ、その柔らかな足を背部の可動兵装担架システムにより打ち抜いて擱座させる。 そして、振り向きざまに120㎜の弾丸を胴体へと撃ち込んでとどめを刺した。 『ですが、これらの戦いは決して我々後進の死を求めてのことではないということを忘れないでほしいのです』 一目連もまた、ネクストの機動力を生かして次々とBETAを屠りながらも、その様子を見守っていた。 『京都は、旧帝都は、多くの英霊たちが守らんと命をとして戦った場所。 そして、古より歴史を積み重ねてきた土地。そこを取り戻すことは悲願でありましょう。 英霊たちの死は無駄ではなかったというその証のためにも』 しかし、と断言する。 要撃級を切り裂き、続けて襲ってきた要撃級を連続で裁くため一度言葉を途切れさせた悠陽は力強く言う。 『英霊たちは、先達たちは、こうも見ていることでしょう。徒に、その命を捨てて死ぬなと。 自分たちが戦ったのは、後進の我々を死にいざなうためではなく、一人でも多くを救うためであったと』 回線に、応答はない。誰もがそれぞれに戦いながらも、悠陽の言葉を聞いていた。 潤沢な物資、レーザー級の脅威の漸減、信じられないほどの砲支援。戦術機とは異なる異国の戦闘兵器による援護。 どれもが、これまでの戦い以上のものである。だからといって、死の危険が0というわけではない。 突撃級は跳躍して回避しなければ死ぬ。要撃級の腕の一撃は食らえばフレームが歪みかねないほど危険だ。 戦車級は集られて貪られれば待ち構えているのは死のみである。故に、必死にならねばならなかった。 『これはあくまでもこの私の考えであり、こうあってほしいという願望でしかありません』 そう前置きし、悠陽は告げた。 『総員、生き延びなさい。足掻いて足?いて、必死に生きて、勝利を勝ち取るのです。 生きていないものは、私は許しません。勝つための必要な犠牲など、認めません』 一息。最後に、半ば叫ぶように。 『生きなさい!生きて、戦いを終えるのです!生きて、BETAから我らの国土を取り戻すのです!それを至上となさい!』 一瞬の間をおいて、歓声が上がった。 まだ、旧帝都奪還は始まったばかりにすぎない。 生きるため、帝国の領土を取り戻すため、その戦いはまだ続くのだ。 231: 弥次郎 :2022/01/22(土) 22 11 31 HOST softbank126066071234.bbtec.net 以上、wiki転載はご自由に。 あと3,4話くらいで決着したいなぁと思います。 233: 弥次郎 :2022/01/22(土) 22 21 09 HOST softbank126066071234.bbtec.net 230 誤字修正をお願いします × 実際、悠陽は戦闘を継続しながらも言葉を紡いでいた。周辺の敵は護衛機が排除しているが、か突堤動きが止められるような悠長な状況ではない。 〇 実際、悠陽は戦闘を継続しながらも言葉を紡いでいた。周辺の敵は護衛機が排除しているが、かといって動きが止められるような悠長な状況ではない。
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登録日:2012/05/05(土) 01 51 01 更新日:2023/03/13 Mon 16 32 46NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 おっとりお姉さん→カッコいいクールお姉さん ショタコン マブラヴ マブラヴアンリミテッド マブラヴエクストラ マブラヴオルタネイティヴ マブラヴオルタードフェイブル メイド 上田亜紀子 帝国斯衛軍 星野千寿子 月詠真那 武士 武御雷 漢女 月詠真那[つくよみ まな] CV 上田亜紀子/星野千寿子 マブラヴエクストラ、マブラヴアンリミテッド、マブラヴオルタネイティヴ、マブラヴサプリメント、マブラヴオルタードフェイブルの登場人物。 誕生日1月14日 【マブラヴエクストラ】 御剣冥夜の専属侍従長兼教育係。 メイドとしては非常に優秀であり、冥夜以外の人間にもとても礼儀正しい。 武とくっつけるために冥夜に色仕掛けを吹き込んだりするが、本人は処女。 そのためか男女の交際における知識がかなり偏っており、それを冥夜に教えるため度々混乱が起きることも。 基本的には冷静沈着だが、部下の神代、巴、戎の三人がトラブルを起こした際にはマジギレし、目が据わり、口調が凄まじく荒む。 また、ショタコンの気があるらしく鎧衣尊人を狙っている。 【マブラヴアンリミテッド】 日本帝国斯衛軍中尉。部下に神代、巴、戎各少尉を従えている。エクストラ編と同じく冥夜に付き従っているが、冥夜以外の人間に対しては非常に厳しい性格となっており、あまりのギャップに武と我々プレイヤーを困惑させる。 冥夜と親しい武を警戒し、更に「死人がなぜここにいる」と意味深な言葉をかける。 こちらではショタコンかは不明。 【マブラヴオルタネイティヴ】 アンリミテッド編での役職に加え、五摂家の一つで現将軍家の煌武院家の護衛を担当する帝国斯衛軍第19独立警護小隊隊長であることが判明。 代々煌武院家の護衛を担ってきた有力武家月詠家の出身。 冥夜の護衛任務は政威大将軍、煌武院悠陽から直々に任命されている。また、厳しい性格の内側はエクストラ編と同じく心優しい。 アンリミテッド編と同じく当初は武を強く警戒していたが、武の損得を考えない冥夜を庇う行動を見ていくうちに次第に信頼していく。 衛士としても凄腕であり、搭乗機はType-00F武御雷。(有力武家出身者に与えられる紅のカラーリングの機体) 12.5事件では207B分隊や米国陸軍第66戦術機甲大隊と共に帝都を脱出した悠陽を護衛。 甲21号作戦では第16斯衛大隊としてウィスキー部隊に参加、伊隅あきら少尉を救出した。コールサインはクレスト2。 衛士としての実力は作中最強クラス。 【マブラヴサプリメント】 マブラヴデュエリストの終盤の敵として登場。 対戦は勝っても休み無しの冥夜との連戦になるため最難関。 勝てば誰もが夢見た月詠さんとのちょめちょめなのだが、ここでかなりの隠れ巨乳であることと処女であることが明かされる。 まあサプリメントは全体的に盛られてるのでスタッフのサービスかもしれないが。 【マブラヴオルタードフェイブル】 冥夜に加え、悠陽の世話係を務める。悠陽にご執心のウォーケン教諭に殺気を向けた。 冥夜と武の関係の進展のために試行錯誤するが相変わらず空回りしている。 いとこの真耶が登場。 追記・修正をお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] この人が一番好きだな。 -- プライム (2013-08-20 11 52 38) ちょっぴりヌケてるところも魅力の一つ。 -- 名無しさん (2013-08-20 18 36 54) 真那「私の項目があるのはうれしいですが、 冥夜様 悠陽様 速瀬様 榊様 他の皆様の項目は・・・」 -- 名無しさん (2015-02-21 16 03 14) 名前 コメント