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日本国海上自衛隊を始めとする、地球の11ヵ国の海軍の艦艇で採用されている主砲。実在する。 本項ではMk.42と45の両方に触れる。 Mk.42 出典:ウィキメディア・コモンズhttps //ja.wikipedia.org/wiki/ファイル 127mm_Heckgeschütz_D185.jpg) 概要 アメリカ合衆国の会社、FMCで製造された主砲。 化学品・機械メーカーで「Food Machinery Corporation」の略が会社名になってる。 コーポレーションのCなのに、なんでか「FMCコーポレーション」って呼ばれてたりもするけどそこはおいておく。 もっとも、OTOメラーラと同じくFMCも兵器部門はユナイテッドディフェンス社を経て今はBAEの一部になっているんですがね。 製造会社はOTOメラーラほど有名ではないので、やっぱりおいておく。 話題になってるのも見ないし。 一応簡単に書くと、チャレンジャー2みたいな戦車と、あとミサイルも作ってる所。 Mk.42 5インチ単装砲 アメリカ海軍で開発された5インチ砲である。 ちなみに5インチは127mmである。艦砲はインチ単位で増えるから半端な数字になってることが多い。 かつてアメリカ海軍で採用されていたMk.30,32,39等の5インチ砲に変わるべく生まれた主砲。 Mk.30と32は太平洋戦争時代に使用されていたもので、日本の特攻機に対応できる有効な砲だったりした。日本人的には色々と複雑だがこれもやっぱりおいておく。 でもこれらはジェット機の時代に入ってからは能力不足でした。「MiG-15」とかには厳しかったようで。 国立アメリカ空軍博物館で展示される朝鮮人民軍塗色のMiG-15bis 出典:アメリカ合衆国空軍公式HPhttp //www.nationalmuseum.af.mil/factsheets/factsheet.asp?id=275) Mk.39も太平洋戦争の終わり頃には開発が完了していて空母「ミッドウェイ」に搭載されていたが、こっちもジェット機には対応できませんでした。 というかこれミッドウェー級空母に搭載された数、つまり18基×3隻しか作られなかった。 CVA-41 ミッドウェイ.1991 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //www.dodmedia.osd.mil/Assets/Still/1992/Navy/DN-ST-92-03733.JPEG) 日本のむらさめ型とあきづき型(どちらも護衛艦としての初代の方)はそれを譲り受けた物が搭載されてた。 DD-107 むらさめ(初代) 出典:海上自衛隊公式HPhttp //www.mod.go.jp/msdf/ccf3/3el-50th/) そしてアメリカ軍はMk.39と同じ54口径かつ装填給弾を自動化した砲の開発を完了させて1950年に各種試験を経てMk.42として採用しました。そして艦隊指揮艦「CLC-1 ノーザンプトン」に搭載された後、空母、駆逐艦、フリゲートなんかに搭載され、主力砲となりました。 CLC-1 ノーザンクリプトン 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //www.navsource.org/archives/04/125/04125.htm) そんな本砲のスペックだが 重量 70t 初速 810/秒 最大射程 23.5km 発射速度 40発/分 旋回速度 40度/秒 砲員 16名 命中率は本砲の導入時に最新だったMk.68射撃指揮装置の併用で中高度の亜音速機への命中率は5%。(*1) ちなみに人員配置は砲塔内に四名、換装室に二名、弾薬庫に十名の割合。 あとこれ初期型は砲塔の左右にカエルの目みたいに出っ張ってる部分あって、これは砲塔操縦手用の照準室である。右が対空用で左が対水上用。 艦橋とかについてる照準が壊れた時用の代用照準である。 後期モデルは右側に一つだけで自衛隊のスタンダードモデルはこっち。 前記モデル アメリカ合衆国海軍 フォレスト・シャーマン級十八番艦「DD-951 ターナー・ジョイ」主砲 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //history.navy.mil/photos/images/h98000/h98261.jpg) 後期モデル 海上自衛隊 しらね型護衛艦二番艦「DDH-114 くらま」主砲 出典:ウィキメディア・コモンズhttps //ja.wikipedia.org/wiki/ファイル Mk42_(J)_ModN-7_on_board_JS_Kurama(DDH-144)_20131027.JPG) Mk.42は装填が自動化されましたが、旋回装弾等の管制する制御盤は砲塔内にあるから、砲雷長と射手の二名は最低限必要。 そんなMk.42だが、アメリカ海軍では1968年に開発されたMk45……つまりこの後別に書く方だが、そっちは内部が完全に無人。これの配備が進みまして現在では使用されていない。 だが海上自衛隊ではまだ現役……と言っても搭載全艦がそろそろ引退だが。 多分だが日本国召喚の完結より全艦引退のほうが早い。 昭和42年計画のたかつき型より導入され「たかつき」と「きくづき」はアメリカから輸入したものを搭載しておりましたが、それ以降の姉妹艦二隻及びはるな型DDH、しらね型DDH、たちかぜ型DDG、はたかぜ型DDGはライセンス生産した「73式54口径127mm単装速射砲」という名前になった物が搭載されている。 海上自衛隊においては前述のとおり、転移当日はしらね型の二隻も現存していたが、現在ははたかぜ型の二隻のみである。そして8,200t型(まや型)の就役とともにその搭載全艦が退役となる。 でも海外だとまだしばらくは現役の艦でノックス級フリゲートというがある。アメリカで退役してエジプトとタイと台湾とメキシコで再就役した艦で、それもやはり徐々に引退しつつあるが。 中華民国海軍のFFG-937 淮陽(旧米海軍FF-1088 バービー) 出典:ウィキメディア・コモンズhttps //ja.wikipedia.org/wiki/ファイル Hwai_Yang_Shipped_in_No.11_Pier_of_Zhongzheng_Naval_Base_20130504a.jpg) 本砲は上でも簡単に触れたが、前期モデルと後期モデルが存在し、前期モデルはMad0~6、後期モデルはMad7~10である。後期のは重量62.3tまで軽量化されて砲員も12名に削減、一名換装員に変更。 海上自衛隊の「73式54口径127mm単装速射砲」はMk.42(J)MadN-7とアメリカ側で呼ばれている。つまりMad7の派生である。 Mk.45 5インチ単装砲 Mk.45 Mod 4 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //www.navy.mil/view_image.asp?id=6667) アメリカ海軍が1960年代に開発した5インチ砲でそれまで運用されていた他の5インチ砲よりコンパクトな形状になっております。 Mk.45は1968年にアメリカで開発された5インチ砲であり、上で書いたMk.42の後継として対空、対水上、対陸上支援射撃が可能な軽量自動砲の開発に着手しました。 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttps //fas.org/man/dod-101/sys/ship/weaps/mk-45.htm) まず、砲塔内を完全に無人化。機構も簡素で整備の効率化も求められました。 で、1964年から68年に開発を完了して同年12月、実験艦ノートン・サウンドにMk.86射撃指揮装置とともに搭載して洋上発射試験を実施しました。ちなみにこの艦は後にイージス・システムの試験も行ってます。 AV-11 ノートン・サウンド 後にAVM-1 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //www.dodmedia.osd.mil/Assets/1990/Navy/DN-ST-90-01867.JPEG) 発射試験の結果、アメリカ海軍は本砲の機能にご満足。「Mk.45 Mod 0」として制式化、量産がはじまりました。 そんな本砲の要目だが……一つ注意。 今回は現在運用されているMod2と、改良型のMod4に絞って解説させていただく。 とはいえMod0と1もそれとなくは触れる。 Mod3は実用化しなかった。 Mod 2 口径 54口径 重量 21.69t 初速 762m/秒 最大射程 24.1km 発射速度 20発/分 俯仰角 -15~65度 Mod2は元々、Mod0を改良したMod1の海外輸出向けの型として開発されて、1988年からアメリカ海軍で運用が始まりました。 とりあえず動画で御覧ください。後半はMk46で違うやつだけど。 続いてMod4 Mod 4 口径 62口径 重量 28.92t 初速 1.051km/秒 最大射程 37km あたご型一番艦「DDG-177 あたご」主砲 出典:ウィキメディア・コモンズhttps //commons.wikimedia.org/wiki/File JS_Atago(DDG-177)_Mk.45_Mod4_in_Tenpouzan_Port_20140426.JPG) Mod4は2001年から運用が始まった型で、口径を54口径から62口径に変更して初速を上げて対地攻撃力を上げて、砲塔も角ばった物。つまりステルスシールド。 砲員は、管制室に砲台長、コントロールパネル操作員の二名、砲塔下部給弾室に4名の計6名で構成されている。 上のMk42は最大16名だがこっちは半分以下である。 発射の手順は、まず砲塔下部の給弾室から砲弾と装薬を揚弾機に装填。砲塔上部にある揚弾腕に移され、揚弾腕が砲尾に達すると装填樋を介して薬室内に装填、尾栓が自動的に閉鎖されて、砲弾が発射されると、次に空薬莢を排出するための空薬莢排出樋を介して排出シュートを通って、空薬莢は砲塔外に排莢されます。 ちなみに、Mk45は42と違って砲身下からではなく上から排莢する。 内部映像を見つけたので御覧ください。文章よりわかりやすいんじゃないかと。 そんな本砲を搭載した艦船と採用国。 Mk45は1974年に就役した原子力ミサイル巡洋艦「カリフォルニア」から搭載が開始。 最初の艦なので搭載したのは初期型のMod0ね。 リフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦 一番艦「CGN-36 カリフォルニア」 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //navysite.de/cg/cgn36.htm) その後Mod0は スプルーアンス級駆逐艦 バージニア級原子力ミサイル巡洋艦 タワラ級強襲揚陸艦(後日撤去されてる) キッド級ミサイル駆逐艦 以上に搭載。 砲塔はアルミ合金製であり、耐水構造、自動防水装置付きであり波浪と風雨に耐える全天候型砲塔である。 あとこれ、砲身の交換が簡単にできるように作ってあったりする。 その後、スプルーアンス級十五番艦「ブリスコー」に改良型のMod1が搭載、1980年2月から海上発射試験が行われました。 Mod1は、Mod0の機械式信管調停装置を電子式に変更、誘導砲弾の発射にも対応可能。 さらに、この砲の弾倉ドラムには、弾種の異なる七種類の砲弾と信管四種類の装薬を装填可能であり、コントロールパネルにより異なる組み合わせの砲弾、信管、装薬の装填が可能としている。 Mod1は現在、台湾海軍で運用されてる旧キッド級ミサイル駆逐艦の基隆級と、トルコ海軍のヤウズ級フリゲートに搭載されています。 次はMod2。 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //www.navy.mil/list_all.asp?id=4804) こっちは現在多く使用されてるMk.45の型であり、アメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦。 他、 オーストラリア ギリシャ スペイン タイ デンマーク トルコ 以上で運用されている。 そして一番新しいMod4だが……Mod3は実用化されてないので除外。 これ、従来のモデルとは外見が大きく異なる。 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //www.navy.mil/view_image.asp?id=27318) 上でも簡単に書いたが、砲塔が丸みを帯びた形からステルス性のある角ばった構造となり、砲身も54口径から62口径と長砲身となった。 初速も戦車砲並みに上がり射程も大幅に延長されmod2より13km長い37kmになっている。 Mod4はアーレイ・バーク級三十一番艦「ウィンストン・S・チャーチル」から搭載開始。なんでイギリス首相の名前かと思われた方、米英の友好の証らしいです。第二次大戦時も連合国同士だったし。 アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦三十一番艦「DDG-81 ウィンストン・S・チャーチル」 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //navysite.de/cg/cgn36.htm) それとタイコンデロガ級が、イージス近代化計画の一環の巡洋艦近代化計画と称した大規模な近代化改修を受けて、このときにMod2から4に更新中。 Mod4はアメリカ海軍以外だと、オーストラリア、韓国、そして我らが海上自衛隊で運用されております。 そんな海上自衛隊では、Mod4を平成14年計画艦であるあたご型護衛艦より搭載開始。日本製鋼所のライセンス生産。 その後、あきづき型(現役の方)、あさひ型、まや型に搭載されている他、現在建造中のもがみ型にも搭載された。 OTOメラーラから切り替わった理由 諸説あるので正確なことは防衛装備庁あたりに勤めないことにはわかりません。 そこんとこ念頭に入れてよろしく。 ちなみにOTOメラーラの127mmとMk.45は装薬に互換性がある。飛んでいく弾の方は違うけど。 まずOTOメラーラのほうが採用国が圧倒的に多いあたりわかると思うが、こっちのほうが評価は高い。 射程と初速と重量以外OTOメラーラのほうが勝ってるし。 じゃあなんでよということだが、OTOメラーラはイタリアの会社で、FMCはアメリカの会社です。 で、日本で運用してるイージスシステムはアメリカ製。同盟組んでるのもアメリカ。 なんでもOTOメラーラの方はイージスシステムと相性が良くないというか、直接接続できなかったんだそうな。 こんごう型は主砲の管制にFCS-2を使用しておりますが、あたご型の方はこういうことしてないんですね。 これはイージスシステムに標準で組み込まれてるから、わざわざ砲の管制に別のFCSを搭載する必要がなかったと。もっとも、ミサイル誘導の方は別に光学照準のを追加で積んでるけどさ。 じゃああきづき型とか非イージス艦はというと、FCS-3とも相性が良いんだとか。 あさひ型にもFCS-3の個艦防衛版のOPY-1が搭載されている。 なおもがみ型には新たに開発されたOPY-2が搭載されている。 それと重量。 Mk.45のほうが軽い。OTOメラーラ127mmが37.5tに対してMk.45はMod4で28.924t。10t近く違う。 あたご型はこんごう型と違いヘリコプター格納庫があるわけで、その関係でVLSがこんごう型と前後配置が逆。だから前の方が重量増加してしまい、凌波性の悪化が発生したのではと言われてる。 あきづき型以降もだいたい同じ理由と言われてる。 あと砲の操作要員がOTOメラーラ8名に対してMk.45が6名と少ない。 艦砲の用途も変わった。 こんごう型の主砲の主な用途は対空射撃で、おまけに対水上と対地という感じ。 一方のあたご型の主な用途は対地射撃。対艦ミサイル相手に使うことはあまり想定してない。 ミサイルとCIWSにお願いしようということ。 もちろん航空目標相手に使えないというわけではない。 だってミサイルってマッハいくつの世界かという問題で、ミサイルで迎撃に失敗したものが主砲からCIWSまでの時間はどんなもんよと。 連射力あってもそんな何発も撃ってられないから~という感じ。 他にも電子妨害とチャフも並行しますしね。 それに対地攻撃重要ですし。揚陸支援とか用途は多い。 実際着弾観測射撃の訓練とかやってる。どっかの国から文句来てるけど、あいつら巡航ミサイルやら核やらあるし。 そして整備性。水冷で海水使うわけじゃないですか。 Mk.45は空冷ということもありますので、内部機構もそうだけどこちらのほうがメンテナンス性が良い。 とまぁ、諸説ありまして、この中のいくつが合ってるのかは不明だし、全部違う可能性もあります。 ただこういう理由なんであろうなー程度に思っていただけたらと。 実際のところは不明です。盲目的に信じないでね。説他にもあったら書き足してください。 作中の日本はイージスシステムの代替を日本単独で作る必要があり、ライセンス周りはすべて消滅している。ようは魔改造が許される環境になってる。というかせざるを得ない。 取り敢えずはMk.45の生産を続けるだろうけど、OTOメラーラとMk.45の良いところも組み込んだような砲が誕生するのかも。断定出来ないけどね? CIWSの方ははたかぜ型とかから移植すれば良いんだがね。やはりこちらも数に限りがあるわけで、いつまでも状態が良いわけもない。 第七護衛隊群まで作るわけだし、これに限らず早かれ遅かれ独自開発は必要になる。 頑張れ兵装試験艦「あすか」と防衛装備庁。 間違いなく後継艦作られるでしょう。 出典:アメリカ合衆国海軍公式HPhttp //www.navy.mil/view_image.asp?id=113390) 作中での活躍 OTOメラーラの方でも書いたが、艦砲射撃の書き分けが一切無い為今の所活躍の内容はあちらと完全に同一。どの護衛隊群にも一隻は居るので、砲撃シーンがあったら必ず撃ってる。連射力に劣る都合、撃破総数においては劣ると思われる。 ただし対地攻撃力は上回るので、エストシラント沖大海戦においては本砲が猛威を奮ったであろう。 OTOメラーラも対地は出来るが……少なくとも着弾観測射撃が行われているのは間違いないので、「あしがら」の成果は多かったのではないだろうか。多分。 明確な活躍として今の所特筆すべきは、やはりあきづき型三番艦の「すずつき」の砲撃によるワイバーンロード撃墜であろうか。 フェン王国の戦いでコウテ平野沖で偵察活動中のワイバーンロード12機を主砲にて全機撃墜。その後戦列艦も全隻主砲にて撃沈。 以上をムーの観戦武官の前で披露した点である。 上で対空が云々書いてるが、前述のmk39より連射できるしFCSも付いてるから出来ないわけではないのである。ましてやミサイルどころか現代航空機の何分の一の速度しか出ないワイバーンロードである。 連射力はOTOメラーラに劣るが、それでもムーの観戦武官には連射力で驚かすのに十分であった。 最も驚かせたのは命中率である。これで砲の詳細を知ったらどういう反応だったのだろう。 他、何かありましたら加筆願います。 詳細化希望。 関連項目 兵器|自衛隊|はたかぜ型護衛艦|あたご型護衛艦|あきづき型護衛艦|まや型護衛艦 ※既存のコメントに返信する場合、返信したいコメントの左側にチェックを入れて下さい。 過去のコメント 本編に関係ない余計な情報が多すぎる。あくまで日本国召喚のwikiなのに、ミリオタの自己満足にうんざり - 名無しさん (2020-03-08 04 50 14) 軍事系の素人への解説も兼ねてるからこれでいいだろ - 名無しさん (2020-03-08 12 58 53) よくない - 名無し (2020-03-08 15 27 10) まあ肝心な作中での話にたどり着くまで長いから概要、作中での話、兵器の小ネタの順番にすれば? - 名無しさん (2020-03-08 16 16 28) 簡略化するとwikipediaのコピペか劣化版になる。これ全部で説明になってるから順番変えると意味が通じなくなる。 - 名無しさん (2020-03-08 16 39 05) 調達変更の件で、最近聞こえて来た噂では、メララ127mm砲の実性能があまりMk.45と大きく差が無い事と、日本製鋼でライセンスしてるからとの事 - 名無しさん (2020-05-19 22 41 57) 日本国召喚のwikiの、その中の兵器の解説ページなので妥当ではある - 名無しさん (2020-10-25 04 05 20) 名前 ここを編集 〔最終更新日:2021年07月12日〕
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名称 9インチ L/98Mark1長距離砲 弱点 - 座席 1番席 9インチ 98口径 229mm長距離砲Mark1 (装甲貫徹力) AP → 845.2mm 2番席 座席 3番席 座席 4番席 座席 5番席 座席 6番席 座席 概要 元アメリカ軍の長距離砲。ラットトラップでは付近の拠点を取られると弾薬補給ができなくなるが、2発の予備弾がある。 AP弾なので歩兵相手に爆風でなぎ払うのは難しい。 コメント ほぼ日本の三年式に相当する、デフガンとして登場するので当然陸上兵器には深刻な脅威。ラーテも一応多数HITで壊せる。 -- 名無しさん (2013-08-16 12 39 40) 配置の関係もあって、ラットトラップでは使う人をあまり見かけないが、ラーテに直接ダメージを与えられる唯一の兵器。機会があったら使用したい。 -- 名無しさん (2013-10-22 22 41 03) ラーテへの直接ダメージのプレッシャーはかなりの物。ラーテ内部の工兵にキコキコを強いることが可能なので、空挺兵の内部浸透を多少は容易にできる・・・かも知れない -- 名無しさん (2013-10-30 01 03 44) 名前 コメント
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111: 昭和玩具の人 :2019/08/17(土) 22 30 14 HOST p1304131-ipngn11701hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 銀河連合日本×神崎島 現代戦艦ネタ 中華人民解放軍海軍 055C型(大連型)巡洋艦(改訂版) 基準排水量 15000t 満排水量 18000t 全長 194m 全幅 22m 機関 COGAG方式 QC-280ガスタービンエンジン×4基 電源 不明 速力 約30ノット 乗員 不明 レーダー AESAフェイズドアレイレーダー(詳細不明) ソナー 詳細不明 兵装 四五口径203mm連装砲 二基 H/PJ-11 30mmCIWS 二基 HHQ-10 近SAM 二基 5860-2006型 VLS 64セル 324mm魚雷発射管 二基 その他 艦載ヘリ 一機 同型艦 不明(少なくとも4隻の建造を確認) 112: 昭和玩具の人 :2019/08/17(土) 22 30 55 HOST p1304131-ipngn11701hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 概要 中華人民解放軍海軍が建造した大型巡洋艦。艦級からわかる通り、055型駆逐艦の発展改良型である。 ヤルバーンの来訪、神崎島の出現、そしてドイツによるA・D・M級戦艦の建造によって始まった戦艦の建造ラッシュにより、軍事情勢は大きく変化した。太平洋を挟んで世界最大の覇権国家、アメリカと対峙する中国もその例に漏れず、(ヤルバーン、ひいてはティ連についてはともかくとして)戦艦二十隻以上を保有する神崎島連合艦隊や日本のふじ型、やしま型、そしてアメリカのエイブラハム・リンカーン級(以下A・L級)戦艦に対抗すべく新型艦の建造計画を立案していた。 しかし、対抗すべき相手がA・L級ともなると最低でも46cm砲、可能なら51cm砲を搭載したいが、戦艦の命ともいえる大口径砲は一朝一夕で開発できるものではない。軍部は最低でも五年は必要と考えていたのだが、それだけの時間を敵国が、そして何より自国民が待ってくれるとは思えなかった。 一応友邦となったドイツからA・D・M級戦艦を導入する計画もあったのだが、この艦は控えめに言っても失敗作であり、売りである283mm砲も砲弾の生産が追い付かないとあっては導入する意味がなく、海軍良識派からは早々に破棄されている。 以上より友邦に期待できず、時間も限られることから、新型戦艦の建造時間を稼ぐべく、既存の技術でもある程度の敵(可能ならふじ型打撃護衛艦)ならば対抗できる艦艇の建造に乗り出した。 ベースとなったのは現在建造中であり、満排水量13000tを誇る大型の055型駆逐艦で、サイズだけなら巡洋艦に匹敵する。その船体に陸軍の四五口径203mmりゅう弾砲を艦砲として改良した連装砲を前部に二基背負い式に搭載している。この砲は最大射程約40km、ベースブリード弾を使用することで最大50kmまで伸ばすことが出来るが、これを装薬一体型にすることで装填時間を低減。一説には一門当たり分間30発もの連射力を誇るという。無論ベースブリード弾を使用すると命中率が大幅に低下するが、手数で圧倒出来るとされている。 ベースが055型駆逐艦ということもあり、二基の203mm連装砲を搭載した以外は艦影にそこまで大きな変更点はなく、ズムウォルト級駆逐艦ほどではないがステルス性も高い。ただし艦内構造は大きく変更され、主要区画には西側標準のハープーン対艦ミサイルに耐えられる装甲を、それ以外にも対五インチ砲用の装甲が張り巡らせている。当初は対艦ミサイルに耐えられる程度の装甲があっても戦艦の大口径砲を防げないから装甲は要らないという意見もあったが、最終的に本級はのちに完成するであろう新型戦艦に帯同し、敵戦艦の護衛につく駆逐艦群を封殺するということで、このような形に落ち着いている。 二基の203mm連装砲と対艦ミサイルに耐えられる装甲を手に入れた代償として、その他の兵装に関しては幾分物足りないものとなっている。具体的には現代の主力艦艇の必需品ともいえるVLSは64セルとなっており、この数字は海上自衛隊のふじ型と同程度だが、あちらは一セル辺り四発搭載できるESSM艦対空ミサイルがあるのに対し、中国海軍のHHQ-9及びHHQ-16艦対空ミサイルは一セルにつき一発しか搭載出来ないことから、継戦能力は大幅に劣っている。またこのVLSは他にも対艦ミサイルや対潜ミサイル、対地巡航ミサイルも搭載できるため、実際に搭載されている対空ミサイルの弾数はさらに少ない。 また055型駆逐艦の船体がベースになったものの、実際には復元性等の問題によりわずかに大型化しているにもかかわらず機関はそのままなため、速力は何とか30ノットを出せる程度まで低下している。一時は二万トンクラスの船体を新規開発すべきではないかという声もあったが、建造中だった055型駆逐艦の資材を流用した方が早期に戦力化出来ることから、速力低下には涙をのんだ(一応他の艦艇について行けるだけの速力があったことが決定的だった)。 以上より、055C型巡洋艦は取り敢えず最低限の打撃力と防御力を備えた間に合わせの艦だったが、対空ミサイル等による間接防御と対艦ミサイルを防げる程度の装甲を有しており、砲撃戦に持ち込めればアーレイバーグ級駆逐艦や汎用護衛艦を一蹴出来るだけの火力がある。このため本級が外洋に進出した時は最低でも重巡クラスの火力、装甲を持つ艦が警戒にあたらなければならず、日米海軍に大きな負担を与えることに成功している。 本級は自国民へのプロパガンダとして早期に建造することが求められたため、性能に不満が残る箇所が多々あるものの、既存の駆逐艦ならば圧倒できる性能を持ち、日米海軍に警戒感を抱かせたという意味では成功した部類に入るといっても良いだろう。 113: 昭和玩具の人 :2019/08/17(土) 22 31 25 HOST p1304131-ipngn11701hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 以上、中国海軍の打撃巡洋艦ネタの改定版でした。本当は八インチ連装砲四基搭載した現代の重巡洋艦を作りたかったのですが、流石に二万トン未満の船体には無理がありました・・・ 改訂版では八インチ連装砲を二基に抑え、代わりに装甲を張り巡らせることで対艦ミサイルや五インチ砲弾を弾き返せる能力を手に入れました。これならば少なくとも“格下殺し”が出来るんじゃないでしょうか? 再掲載はご自由に。
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機構名 第五インターナショナル 略称 OWR 代表国 未定 組織種 常設組織 全社会主義・共産主義国家間、及び各国社会主義政党間での交流と共同を目的とする。 第五インターナショナルとは、社会主義国家によって結成された国際組織である。 世界的な社会主義国家に対する弾圧と反共国家に対抗し、社会主義国、及び世界の社会主義運動間での協力関係を構築することを目的としている。 組織としての方針 革命の擁護、あらゆる社会主義の連携 設立意義 社会主義国・社会主義運動間での提携を促進し連携する NEWS 加盟国 国旗 国名 代表者名 備考 ソビエト共産主義共和国連邦 yamato 月ノ谷共和国連邦 tukitany シランナ社会主義連邦共和国 subaruDDR 大エンダー社会主義共和国 yukkurisutarin リーアライズ重工業国 alfort121r パインランド人民共和国 konoe4438 ルークリア人民共和国 roemp 新ソビエト社会主義共和国 Vladimir Lenin ガルシア連邦共和国 Takakonbu 加盟組織 組織名 イットリカン統一社会主義労働者党 パイン党 スティーブ・クラフタリア共産党 オブザーバー 機構間同盟 + ... 機構-国家間同盟締結国 + ... 中立条約締結国 + ... 経済協定等締結国 + ... 加盟に必要な条件 当wikiに加入していること。 社会主義国家であること。(国家としての加盟) 社会主義を標榜していること。(組織としての加盟) 活動記録 ガルシア連邦共和国の核開発に対する非難決議 参加国 国旗 国名 投票 ソビエト共産主義共和国連邦 賛成 月ノ谷共和国連邦 賛成 ルークリア人民共和国 賛成 パインランド人民共和国 反対 ガルシア連邦共和国 反対 新ソビエト社会主義共和国 棄権 大エンダー社会主義共和国 棄権 決議内容 第五インターナショナル総会は、加盟国であるガルシア連邦共和国による一方的な核開発進行の宣言に非難の意を表する。この意思は総会に加盟する全労働者の代表によって採択されたものである。ガルシア連邦共和国による核開発は地中海の安定を損ない、インターナショナル諸国の平和を脅かし、社会主義全体の名声を著しく棄損するものである。第五インターナショナルは、ガルシア共和国に対し核開発の即時停止を勧告する。 その他 参加方法・連絡先 Discord……Minecraft軍事部@wiki公式discordサーバー第五インターナショナルチャンネルまで 参加申請はこのコメント欄でも行えます。お気軽にどうぞ 名前 コメント
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第151話 17インチ咆哮 1484年(1944年)6月26日 午後10時 モンメロ沖南西81マイル地点 第72任務部隊から分派され、臨時に編成された第72任務部隊第4群が敵艦隊をレーダー上に捉えたのは、 午後10時を10分ほど回ってからの事であった。 「司令官、敵艦隊は北東方面、モンメロ沖に向かっているようです。」 TG72.4旗艦である戦艦プリンス・オブ・ウェールズの艦橋内では、司令官のジェイムス・サマービル中将が 参謀長のバイター少将から説明を受けていた。 「敵艦隊と我が艦隊の距離は約20マイルで、速力は約28ノットほどです。」 「マオンド艦隊は、ちょうど、我が艦隊の南側を突き進んでいるという事になるな。」 サマービルは、脳裏に彼我の位置を思い浮かべながら、バイターに向けてそう言った。 現在、TG72.4はやや北西側に向かうように航行している。それに対して、敵艦隊は北東方面に向かいつつある。 要するに、TG72.4は敵艦隊の針路を塞ぐ形となっているのだ。 このままで行くと、TG72.4は近いうちに、敵艦隊との戦闘に突入する。 ちなみに、TG72.4の戦力は戦艦ウィスコンシン、ミズーリ、プリンス・オブ・ウェールズ、巡洋戦艦レナウン、 コンスティチューション、トライデント、重巡洋艦ドーセットシャー、カンバーランド、軽巡洋艦ケニア、ナイジェリア、 ダラス、マイアミ、フレモント、駆逐艦18隻で編成されている。 TG72.4の戦力は、殆どが無傷であったTG72.1から抽出されている。 残りの空母群は、昼間の戦闘で艦艇に喪失艦や損傷艦が出た他、空母群の護衛に従事しなければならないため、今回の 戦闘には少数のみが、TG72.4に加わった。 TG72.4の任務は、戦艦、巡洋戦艦6隻、巡洋艦7隻、駆逐艦18隻でもって、敵機動部隊から分派された打撃部隊を 撃退する事である。 「敵艦隊との距離、更に縮まります。距離は19マイル!」 「19マイルか。昼間の戦闘なら、いつ戦闘が始まってもおかしくないな。」 サマービルは事も無げに呟いた。彼我の距離は、30キロを切ろうとしている。 30キロという距離は、プリンス・オブ・ウェールズの前方を行く2隻のアイオワ級戦艦の射程内であり、 プリンス・オブ・ウェールズ自身も、敵を砲の射程内に捉えている。 しかし、夜間の戦闘では、いくらレーダーを装備しているとはいえ、相手が見えにくいため、遠距離から撃っても外れ弾が 多くなる。 サマービルは、25000メートルを切ってから砲戦を開始しようと考えていた。 「敵艦隊は4つの単縦陣を形成しています。そのうちの1つは戦艦群です。」 CICから報告が伝えられる。 「何隻だ?」 バイター少将が聞き返した。 「4隻です。」 「4隻か・・・・・こちらは6隻。数では勝っているな。」 「敵の戦艦は4隻かね?」 サマービルが冷静な口調でバイター少将に尋ねる。 「はい。敵戦艦は計4隻。恐らく、全てが昨年に就役したばかりの新鋭戦艦でしょう。」 「ふむ、強力な手駒を用意したか。」 サマービルは、どこか納得したような口ぶりで呟いた。 敵艦隊の戦艦は、速力からしてマオンド軍自慢の新鋭戦艦であり、主砲の口径は15インチから16インチの中間辺り であると伝えられている。 スパイからの情報では、主砲の門数は計8門で、これまでの戦艦と同じように、前部と後部に2基ずつ搭載されているという。 性能的には、ノースカロライナ級やサウスダコタ級といった新鋭戦艦に近いであろう。 マオンド艦隊は、護衛に付いていた全ての新鋭戦艦を投入してきた訳だが、TG72.4もまた、機動部隊の護衛に付いていた 全ての戦艦を戦列に加えている。 TG72.4の戦艦は6隻中、2隻が最新鋭のアイオワ級戦艦である。 アイオワ級戦艦は新式の48口径17インチ砲を搭載し、防御力もこれまでの新鋭戦艦と違って強力である。 それに加え、プリンス・オブ・ウェールズは14インチ砲搭載艦ながらも実戦経験豊富な艦であり、搭載砲も50口径長砲身砲である。 残る3隻の巡洋戦艦も、新式の55口径14インチ砲を搭載した巡洋戦艦であり、砲戦力を見れば、実質的には新鋭戦艦にも劣らぬ 性能を有している。 (敵も手強いかもしれないが、こっちも強力な戦力を引き連れている。油断は出来ないだろが、決して勝てぬ相手ではないぞ。) サマービルは、胸中でそう呟いた。 「敵艦隊の一部が突出し始めました!突出したと思われるのは、巡洋艦と駆逐艦部隊です!」 「ふむ、まずは巡洋艦部隊と駆逐艦部隊を突出させたか。」 サマービルは腕組みをした状態でその報告を聞き、抑揚の無い口ぶりで言った。 「こちらも巡洋艦群と駆逐艦群を敵に向かわせよう。我々は、敵の新鋭戦艦に向かおう。どちらの新鋭艦が強いか、 ハッキリさせてやろうじゃないか。」 米巡洋艦部隊は、午後10時20分に敵巡洋艦部隊との交戦を開始した。 この時点で、駆逐艦部隊はマオンド側の駆逐艦群との戦闘に突入している。 巡洋艦部隊の旗艦である重巡洋艦のドーセットシャーの艦橋では、司令官であるハーウッド少将が、左舷に並行するように して航行する敵の巡洋艦群が、発砲を開始する様子を見つめていた。 この時、ハーウッド戦隊と敵巡洋艦部隊との距離は、約16000メートルである。 「敵巡洋艦部隊、発砲を開始!」 CICから緊迫した声音で報告が送られてくる。 米巡洋艦部隊の上空には、赤紫色の照明弾が輝いており、その光がドーセットシャー以下の巡洋艦部隊を照らし出していた。 「撃ち方始め!」 ハーウッド少将が号令を発する。それを機に、ドーセットシャーを始めとする巡洋艦群が一斉に砲撃を行った。 ドーセットシャーは、敵1番艦を目標に定めていた。その1番艦目掛けて8門中、4門の8インチ砲が火を噴く。 第1射を放った直後に、敵弾が落下してくる。 敵弾は、ドーセットシャーの視界を塞ぐかのように、左舷側に連続して着弾した。 弾はいずれも、ドーセットシャーの左舷側から300メートルほど離れた位置に落ちていた。 「ほう・・・・これは珍しい。」 ハーウッドは、立ち上がった水柱を見るなり、神妙な顔つきで呟いた。 ドーセットシャーの左舷側に上がった水柱は、合計で3本である。 いつもなら、最初から斉射で飛ばしてくるマオンド巡洋艦の砲撃にしては、異様に少ないように感じられる。 水柱が晴れるなり、マオンド巡洋艦が新たに砲撃を行う。 敵弾が落下する前に、ドーセットシャーの射弾が敵艦を飛び越え、左舷側に水柱が立ち上がった。 ドーセットシャーが第2射を放った直後に、敵巡洋艦の射弾が降ってくる。 今度は右舷側に水柱が吹き上がる。水柱の数は3本のみだ。 「やはり。敵さんは交互に砲撃を行っているな。」 ハーウッド少将はそう確信した。 通常の射撃の場合、各砲塔1門ずつで砲撃を行う交互撃ち方というやり方で砲を撃つ。 マオンド側は、その手順を踏まえないで、初っ端から斉射で押そうとする傾向が毎回見られた。 しかし、今回に限っては、マオンド側は珍しく交互撃ち方で砲撃を行っている。 最初から斉射で飛ばすとなると、命中弾が出始めれば良い結果が出るが、精度が悪ければ、良くなるまでの間に 無駄弾を大量に消費するだけとなる。 それを防ぐために、マオンド側もまずは交互撃ち方、精度が良くなれば斉射、というやり方を採用したのであろう。 (敵も勉強しとるな) ハーウッドは、敵に対してそんな感想を抱いた。 ドーセットシャーの射弾が敵巡洋艦の右舷側に落下した。 双方は、そのままの調子でしばし空振りを繰り返した後、ドーセットシャーの第7射が敵巡洋艦に命中した。 その瞬間、敵1番艦のシルエットが一瞬ながら、ハッキリと見えた。 艦橋はこれまでの巡洋艦と違ってやや背が高く、後部にも小さめの艦橋がある。前部には2基、後部には1基の主砲塔がある。 中央部の辺りは煙突がないため、すっきりしているように見えるが、その下の辺りにはごつごつとした突起が見られる。 突起の中には細長い棒のような物が見られる事から、高角砲等の対空火器が配備されているのかもしれない。 ハーウッドは、その艦影がとある巡洋艦に似ている事に気が付いた。 「敵1番艦に命中弾!」 見張りの声が聞こえ、艦橋内では微かにやった!という喜びの声が上がる。 それとは裏腹に、ハーウッドは冷静な気持ちで敵1番艦に見入っていた。 「敵の巡洋艦はマオンド側の新鋭艦か。形からしてシュペーに似ているな。」 「シュペーといいますと、ポケット戦艦のグラーフ・シュペーですか?」 ペアリー艦長が怪訝な表情を浮かべてハーウッドに聞いた。 「そうだ。あのグラーフ・シュペーだ。」 ハーウッドは敵1番艦を見据えながら艦長に答えた。 ハーウッドは、第2次大戦が開戦してまだ初期にあたる1939年12月13日に、当時、南大西洋で暴れ回って いたドイツ海軍のポケット戦艦であるアドミラル・グラーフ・シュペーを捕捉し、戦闘に入った。 この時、ハーウッドは英海軍准将として重巡洋艦エクゼター、軽巡洋艦エイジャックス、アキリーズから成る G部隊を指揮していた。 この戦闘で、ハーウッドの乗っていたエクザターは、11インチ砲弾を受けて大破してしまい、僚艦エイジャックスも 中破したが、逆にグラーフ・シュペーにも多数の命中弾を与えて大破させた。 満身創痍となったグラーフ・シュペーは、ウルグアイのモンテビデオ港に逃げ込んだが、最後はウルグアイ政府によって 退去を命じられ、大破状態のままで港外に出港した後、自沈した。 グラーフ・シュペーを結果的に自沈の憂き目に陥らせたハーウッドだが、彼は、あの海戦の事を今でもはっきり覚えている。 その因縁深い船と似たような艦影を持つ敵艦が、彼の旗艦ドーセットシャーや僚艦を砲撃している。 (俺は絶対に、僚艦を沈めさせんぞ!) ハーウッドは内心で決意しながら、暗闇の向こうの敵1番艦を睨み付けた。 ドーセットシャーが、今日初めて斉射を放った。 8門の8インチ砲が一斉に撃ち放たれる時の衝撃は、やはり凄まじい物がある。 それと同時に、敵1番艦が砲を撃つ。 しばらく立つと、敵1番艦の周囲に水柱が吹き上がり、その中に命中弾と思しき閃光が煌めいた。 「よし。いいぞ、その調子だ!」 ピアリー艦長が良好な射撃精度に表情を緩ませる。その直後、敵弾が落下してきた。 唐突にガーン!という何かがぶつかるような音と衝撃がドーセットシャーを揺さぶった。 同時に、ドーセットシャーの右舷側に水柱が吹き上がる。 「左舷第2両用砲座に命中!両用砲は全壊の模様!」 すぐに、ダメコン班から連絡が入る。それを聞いたピアリー艦長は、複雑な表情を浮かべた。 「どうした?」 「司令、敵弾は本艦の左舷側の両用砲を破壊したようです。ちなみに、破壊された両用砲があった場所は、以前、 魚雷発射管が置かれていた場所です。」 ドーセットシャーは、1943年7月から44年1月にかけて改装を施されている。 改装のさい、ドーセットシャーの水雷科は魚雷発射管の撤去に反対の意を示していた。 これはドーセットシャー以外の巡洋艦も同様であり、各巡洋艦の艦長、または水雷長がこぞって魚雷発射官の撤去に反対した。 しかし、これからは機動部隊の一員として活動するため、魚雷発射官を積むよりは対空火器を多く積んだ方が良いとの意見に 押し切られ、ドーセットシャーを始めとする4巡洋艦の魚雷発射管は取り外されることとなった。 この改装によって、ドーセットシャー、カンバーランドは5インチ単装両用砲10門、40ミリ連装機銃10基、20ミリ機銃28丁を、 ケニア、ナイジェリアは5インチ両用砲8門、40ミリ連装機銃8基、20ミリ機銃24丁を搭載した。 また、機関系統や防御面でも改装が行われ、懸念されていた対弾性もいくらかはマシな状態になった。 その後、ドーセットシャー以下の巡洋艦群は、新参のアトランタ級軽巡フレモントと共に味方機動部隊の上空援護を行い、 少なからぬ数のワイバーンを撃墜している。 第2次スィンク沖海戦のあと、ハーウッド少将はドーセットシャーが活躍できたのは改装のお陰だと、艦長に漏らしていた。 そして、今回もまた、それと同じ言葉を艦長に漏らした。 「改装のお陰だな。」 ハーウッドの言葉に、ピアリー艦長は深く頷いた。 ピアリー艦長が良好な射撃精度に表情を緩ませる。その直後、敵弾が落下してきた。 唐突にガーン!という何かがぶつかるような音と衝撃がドーセットシャーを揺さぶった。 同時に、ドーセットシャーの右舷側に水柱が吹き上がる。 「左舷第2両用砲座に命中!両用砲は全壊の模様!」 すぐに、ダメコン班から連絡が入る。それを聞いたピアリー艦長は、複雑な表情を浮かべた。 「どうした?」 「司令、敵弾は本艦の左舷側の両用砲を破壊したようです。ちなみに、破壊された両用砲があった場所は、以前、 魚雷発射管が置かれていた場所です。」 ドーセットシャーは、1943年7月から44年1月にかけて改装を施されている。 改装のさい、ドーセットシャーの水雷科は魚雷発射管の撤去に反対の意を示していた。 これはドーセットシャー以外の巡洋艦も同様であり、各巡洋艦の艦長、または水雷長がこぞって魚雷発射官の撤去に反対した。 しかし、これからは機動部隊の一員として活動するため、魚雷発射官を積むよりは対空火器を多く積んだ方が良いとの意見に 押し切られ、ドーセットシャーを始めとする4巡洋艦の魚雷発射管は取り外されることとなった。 この改装によって、ドーセットシャー、カンバーランドは5インチ単装両用砲10門、40ミリ連装機銃10基、20ミリ機銃28丁を、 ケニア、ナイジェリアは5インチ両用砲8門、40ミリ連装機銃8基、20ミリ機銃24丁を搭載した。 また、機関系統や防御面でも改装が行われ、懸念されていた対弾性もいくらかはマシな状態になった。 その後、ドーセットシャー以下の巡洋艦群は、新参のアトランタ級軽巡フレモントと共に味方機動部隊の上空援護を行い、 少なからぬ数のワイバーンを撃墜している。 第2次スィンク沖海戦のあと、ハーウッド少将はドーセットシャーが活躍できたのは改装のお陰だと、艦長に漏らしていた。 そして、今回もまた、それと同じ言葉を艦長に漏らした。 「改装のお陰だな。」 ハーウッドの言葉に、ピアリー艦長は深く頷いた。 もし、魚雷発射官を装備したままであれば、ドーセットシャーは今の被弾で魚雷発射官の誘爆を引き起こしていたであろう。 米海軍の艦載魚雷は、以前とは違って威力が向上している新式のMk-17魚雷が標準となっており、ドーセットシャーも それを搭載していたであろう。 そこに敵弾が命中していれば、ドーセットシャーは今頃、ジャックナイフとなって敵艦の乗員達を喜ばせていたに違いない。 「魚雷発射官を下ろしていなければ、今頃は酷い有様になっていただろう。危うく、敵に重巡1隻撃沈の戦果を進呈するところだったな。」 「運と不運は紙一重、という奴ですな。」 ピアリー艦長は苦笑しながら、ハーウッドに言った。 ドーセットシャーは第2斉射を放った。 8門の砲から放たれた8インチ砲弾が上空で弧を描き、そのまま16000メートル離れた先にいる敵1番艦に向かっていく。 敵1番艦が、再び水柱に覆い隠される。 敵巡洋艦の右舷側に4本の水柱が吹き上がり、前部に爆炎が踊るのが見えた。 「敵1番艦に2弾命中!敵艦は火災発生の模様!」 見張りからの報告を聞いたハーウッドは、ドーセットシャーが敵1番艦に対して優位に立っていることを確信した。 「この調子で行けば、早めに敵巡洋艦を沈黙させられるだろうな。」 ハーウッドはやや楽観した口ぶりで呟いた。そうなるかとばかりに、敵巡洋艦も砲撃を放ってきた。 今度の射撃は、先の射撃と比べて光量が大きい。 (敵も斉射に移ったな) ハーウッドは、敵巡洋艦が次の射撃ステップに進んだ事を確認した。 敵の第1斉射弾が落下してきた。ドーセットシャーの艦体が新たな命中弾によって軋みを上げ、至近弾が艦腹を揺さぶった。 「左舷3番両用砲並びに20ミリ機銃2丁損傷!」 「左舷中央部第2甲板で火災が発生しています!」 被害報告が次々に届けられてくる。ピアリー艦長は、それに対して対処を促す。 ドーセットシャーが第3斉射を放った。やや間を置いて、8発の8インチ砲弾が敵1番艦に降り注ぐ。 今度は3発が敵1番艦に命中した。命中弾のうち1発は前部甲板に突き刺さるのが分かった。 「カンバーランド被弾!火災が発生しています!」 後部の見張りが、僚艦の実情を知らせてくる。カンバーランドも敵2番艦を相手取っているが、こちらはドーセットシャーより 被弾数が多く、前部甲板と後部甲板で火災が発生している。 砲塔を始めとする主要部は無事であり、今も反撃の斉射を敵2番艦に対して放っている。 現在、ハーウッド戦隊は8隻で敵巡洋艦6隻と戦闘を行っている。 旗艦であるドーセットシャーは敵1番艦、カンバーランドは敵2番艦、ケニアは敵3番艦、ナイジェリアは敵4番艦、 ダラスは敵5番艦、マイアミ、フレモントは敵6番艦と戦っている。 数は8隻に対して、敵は6隻であるからアメリカ側が有利に戦闘を進められる筈なのだが、敵巡洋艦部隊にも新鋭艦が中心で あるせいなのか、なかなか思うように戦闘は進まない。 ドーセットシャーが第4斉射を放つと同時に、敵1番艦も第3斉射を放つ。 しばらく経つと、双方に砲弾が降り注いできた。 ドーセットシャーは3発、敵1番艦は4発が命中した。 砲弾が命中した瞬間、ハーウッドは艦橋の前面がピカッと白く光るのを見た。 その直後、強烈な炸裂音が響き、艦橋が大きく揺れ動いた。 ハーウッドはその強烈な揺れに転倒しそうになったが、寸手の所で耐えた。 (もしや・・・・・) ハーウッドは、ドーセットシャーが今の被弾で重要な部位を破壊されたのではないかと思った。 彼の懸念は当たっていた。 「第2砲塔に命中弾!砲塔損傷!」 「後部甲板に火災が発生!応援を寄越して下さい!」 その報告を聞いたハーウッドは、一瞬ながら顔色が変わった。 「畜生、上手い具合に砲塔を潰しやがったな。」 ハーウッドは、後ろでピアリー艦長が悔しげに呟くのを聞いた。ハーウッドは何も言わぬまま、敵1番艦に視線を移す。 敵1番艦は、これまでの命中弾によって中央部と前部に火災を発生していた。 ハーウッドは、その前部部分の火災が先と比べて大きくなっている事に気が付いた。 「前部の火災がやけに大きいぞ。こりゃ、敵の砲塔のうち、1基ほどは潰したかもしれんな。」 ハーウッドは、敵も何らかの深傷を負っているだろうと思った。 ドーセットシャーが第5斉射を放った。それから1秒ほど遅れて、敵1番艦も斉射を放った。 しかし、敵1番艦の発する発砲炎が、先の物と比べて明らかに小さかった。 「敵さんは、前部の使える砲塔を失ったようだな。」 ピアリー艦長が、微妙に声を弾ませながら言った。 ドーセットシャーの第5斉射弾が、1発が第1砲塔に、もう1発が第1砲塔と第2砲塔の中間付近に命中した。 この命中弾によって砲塔の側面はズタズタに引き裂かれた他、砲の旋回盤が歪んで旋回不能となってしまった。 それに加え、第1砲塔に命中した8インチ砲弾は砲塔自体も破壊して大火災を発生させた。 これによって、敵1番艦は砲戦力の6割を失う事となった。 敵1番艦に新たな斉射弾が落下してきた。これまでの被弾で散々痛め付けられた艦体に、新たな命中弾が突き刺さる。 その一方で、敵1番艦の放った斉射弾もドーセットシャーを捕らえていた。 いきなり強い衝撃が艦に伝わる。 「CICより報告!水上レーダーがブラックアウト!」 「な、何!?」 ピアリー艦長はその報告に初めて、驚いた表情を浮かべた。 「それは本当か!?」 「はい。恐らく、先の被弾でレーダーが損傷したかと思われます。」 敵1番艦の射弾は、1発が艦橋からやや左斜め後ろの左舷側甲板に命中した。この命中弾は1番両用砲を粉砕したあと、 断片が周囲に撒き散らされ、その一部がSGレーダーに突き刺さった。 これによってドーセットシャーはレーダー射撃が不可能となってしまった。 「光学照準射撃に切り替える。」 ピアリー艦長は躊躇うことなく、別の方法で敵艦を砲撃する事に決めた。光学照準射撃とも成れば、射撃精度は一旦落ちてしまう。 しかし、敵1番艦は既に20発近い砲弾を浴びて火災を起こしており、その姿は肉眼でも捉えることができる。 ドーセットシャーが測的を行っている間、敵1番艦が砲弾を放ってきた。 敵1番艦は2度斉射を行った。ドーセットシャーは新たに2発の命中弾を受けた。 1発は前部甲板に突き刺さった。 敵の砲弾は最上甲板を突き破って第2甲板の錨鎖庫で炸裂し、錨と細切れにされた鎖を海中に叩き込んだ。 2発目は後部艦橋の左横に命中して新たな火災を引き起こした。 「測的完了です!」 ドーセットシャーの砲術長がピアリー艦長に報告した。 「よし、砲撃を再開しろ!斉射で構わん!」 ピアリー艦長は、砲術長に命じた。 普通なら交互撃ち方で弾道を調整してから斉射に移るのだが、敵が反撃を行っている今、そのような余裕はない。 残り6門の8インチ砲が一斉に撃ち放たれた。敵1番艦が斉射を放った直後に、6発の8インチ砲弾が降り注ぐ。 6発中、2発が敵1番艦を捉えた。 「いいぞ砲術!初弾命中とは、幸先が良い!」 ピアリー艦長は、この好成績に表情を緩ませた。 (まだ喜ぶのは早いぞ) ハーウッドは、艦長とは対照的な気持ちでそう思った。敵1番艦の砲弾が降ってきた。 敵艦の砲弾は、2発がドーセットシャーに命中した。 いきなりグァーン!という聞き慣れない轟音が鳴り、艦橋のスリットガラスがバリバリと、音立てて砕け散った。 ハーウッドは飛び散った破片から顔を守るべく、顔を右腕で覆った。 敵弾は、ドーセットシャーの艦橋の左脇と、左舷側中央部に命中していた。 艦橋の左脇に命中した砲弾は、炸裂によって甲板表面の板材を吹き飛ばし、破片と爆風が艦橋のスリットガラスを叩き割った。 中央部に命中した砲弾は4番両用砲と40ミリ機銃座を破壊し、そこにも新たな火災を発生させる。 ドーセットシャーが怒ったかのように新たな斉射弾を叩き付ける。やや間を置いて、敵1番艦の艦上で閃光が煌めいた。 その後、右舷側に立ち上がった水柱によって敵1番艦の姿が覆い隠された。 水柱が晴れた後、敵1番艦の姿に変化が生じていた。 「砲弾は、艦橋にも突き刺さったようだな。」 よく見ると、先ほどまであったその高い艦橋の上部が傾いており、一部が欠損している。 傾いた艦橋からはちろちろとオレンジ色の炎が這い出し、それは徐々に拡大しつつある。 グラーフ・シュペーに似た敵艦の艦橋は、今では傷だらけの醜いオブジェに変化していた。 既に満身創痍となった感のある敵1番艦だが、それでも残った後部主砲塔から砲撃を放ってきた。 「艦長、とどめを刺せ。」 ハーウッドは、冷徹な声音でピアリー艦長に命じた。 その直後、敵弾が落下してきたが、敵の主砲弾はドーセットシャーを飛び越え、右舷側800メートルの海面で 無為に水柱を上げるのみに終わった。 ドーセットシャーが更に2斉射ほど叩き込むと、敵1番艦は完全に沈黙した。 8インチ砲弾は敵の機関部にも損傷を与えたのであろう、敵1番艦は艦体のあちこちに火災炎を吹き上げながら、 急激に速度を落としていった。 「ふぅ、敵1番艦は意外としぶとい」 ハーウッドは最後まで言葉を発せ無かった。 「カンバーランド、ケニア、大火災!」 見張りが報告してきた唐突の凶報に誰もがハッとなった。 この時、カンバーランドとケニアは危機的な状況に陥っていた。 まず、カンバーランドは敵2番艦と最初は互角の撃ち合いを演じていた物の、敵2番艦の砲塔1基を破壊したところで 艦橋トップに命中弾を受けた。 前部の射撃指揮所が破壊されたカンバーランドは、やむを得ず後部の射撃指揮所で統一射撃を続行したが、これで勢いに 乗った敵2番艦は、カンバーランドに対して次々と命中弾を叩き付けた。 イギリスの巡洋艦は、前の世界では各地の植民地に派遣される事を前提に設計されていたことから居住性と武装を重視し、 防御が軽視される傾向にあった。 そのため、“重”巡洋艦と名付けられながらも防御力は決して満足行く物ではなく、欧州戦線においては対弾性の弱さが 問題に挙がっていた。 カンバーランドは、ドーセットシャーと同様に、改装を行って防御力の強化も行っているが、それでも防御力の問題は 解決されてはいなかった。 この結果、カンバーランドは艦体を敵弾によって貫通され、各所で火災が発生していた。 最終的に、カンバーランドは敵2番艦に24発の命中弾を与えられ、4基あった8インチ砲は全てが粉砕され、艦の中央部と 後部からは一際大きな火災炎が吹き上がっていた。 魚雷発射管が残されていれば、カンバーランドはここまで敵弾を耐える事は無かったであろう。 ケニアは、最初からツキに恵まれていなかった。 敵3番艦は僅か2射でケニアを挟叉したあと、斉射弾を撃ち込んできた。対するケニアはいっこうに挟叉弾が得られず、艦長は 溜まりかねて無理矢理斉射を放った。 しかし、ケニアは敵艦に1発命中させる間に3発、4発と命中弾が重なり、最終的には28発の命中弾を受けていた。 この度重なる被弾によって、4基あった6インチ3連装砲のうち、3基までもがことごとく破壊され、しまいには艦尾の命中弾に よってケニアが操舵不能に陥る事態にまで至った。 「敵巡洋艦1隻を戦闘不能にした代わりに、こっちは2隻がやられたか・・・・!」 ハーウッドは悔しさで胸が一杯になった。しかし、アメリカ側も負けては居なかった。 敵4番艦、5番艦と相対しているナイジェリア、ダラスは逆に敵を押していた。 敵6番艦と戦っていたマイアミとフレモントは、持ち前の速射性能を生かして敵6番艦を圧倒していた。 敵巡洋艦は、マオンド側が最近開発したばかりの対空巡洋艦であり、速射性能には定評があったが、それ以上の速射性能を持つ クリーブランド級軽巡とアトランタ級軽巡が相手では運が悪すぎた。 敵6番艦は、次々と飛来する6インチ砲弾、5インチ砲弾の雨嵐に圧倒された。 6インチ砲弾、5インチ砲弾には、巡洋艦クラスの艦を一撃で撃沈する威力はないが、その代わり、じわじわと敵の戦闘力を奪っていく。 敵6番艦は、6秒おきに12発の6インチ砲弾、5~4秒おきに14発の5インチ砲弾を受けてなぶり殺しの状態に陥っていた。 それでも敵6番艦は奮闘し、マイアミに12発を命中させて左舷側の両用砲、対空火器を全滅させたが、カンバーランドとケニアが 戦闘不能に陥った時には、自身も78発の6インチ並びに5インチ砲弾をぶちこまれて完全にたたきのめされた。 特に、マイアミの放った54口径6インチ砲は、その高初速でもって敵艦の装甲を紙の如く突き破り、敵6番艦が沈黙したときには、 機関部は全滅状態となり、左舷側に大傾斜していた。 「マイアミ、フレモントより入電!我、敵6番艦を撃破、敵艦は沈没しつつあり!」 カンバーランド、ケニアの脱落でやや気を落としていたハーウッドは、引きつっていた表情を緩ませた。 「そうか、敵6番艦を大破させたか。流石は強力な速射性を誇る軽巡だ。勝ち方がいかにもアメリカ人らしいわい。」 ハーウッドはそう呟きながらも、脳裏で彼我の戦力差を考えた。 ハーウッドが使える巡洋艦は、カンバーランドとケニアが脱落したことで6隻に減ったが、敵側も同様に2隻が脱落している。 敵巡洋艦群は、先と同様、劣勢な状態で戦わねばならない。 (こちらが有利なのは変わらないな。あと1隻か2隻撃破すれば、残りの巡洋艦は逃げ出すだろう) ハーウッドはそう確信した後、ドーセットシャーの砲撃目標を敵2番艦に変更させた。 米巡洋艦群は猛砲撃を浴びせ、1隻、また1隻と、マオンド巡洋艦を叩き潰していった。 だが、ハーウッドの予想とは裏腹に、敵巡洋艦はいくら数が減ろうが決して退こうとはしなかった。 その後も、戦闘が長引くにつれて、双方の巡洋艦群には、多数の被弾によって脱落する艦が相次いでいった。 マオンド軍第1機動艦隊から分派された新鋭戦艦群は、午後10時10分頃にアメリカ側の戦艦群に対して、9ゼルド の位置まで迫った。 打撃艦隊の指揮官であるキクグ・クガウログ少将は、旗艦リグランバグルの艦橋に設けられた司令官席に満足そうな 笑みを浮かべて座っていた。 「司令官、魔導士の報告に寄りますと、アメリカ側の戦艦部隊は我が部隊の前方9ゼルドにまで迫っているようです。」 「うむ。」 クガウログ少将は、痩せた体を揺らしながら頷く。 「敵戦艦の数は何隻だ?」 「ハッ、生命反応からして5隻ないし、6隻かと思われます。」 「恐らく、敵は機動部隊に随伴している戦艦を全て引っ提げてきたのだろうな。敵戦艦の中には、最新鋭のアイオワ級と やらも含まれているだろう。だが、敵が新鋭ならこっちも新鋭艦だ。このリグランバグルは、これまでの戦艦と違って、 16ネルリ相当の砲弾にも耐えられるように作られた重装甲艦だ。敵の数が多かろうと、決して負けはせんぞ。」 クガウログ少将は不敵に微笑むと、司令官席の左肘掛けに付けられている箱から、小さな水筒を取り出す。 彼は、その水筒の蓋を開けてから一口だけ飲んだ。水筒の中身は、クガウログが愛飲するリシャルグナ(レーフェイル産の黄色の果実。 外見はブドウに似ている)の実から作られた高級酒である。 (普通は禁酒だが、クガウログ等の一部の将官は、何故か許されている) 「さて、邪教徒共の処分を行うか。私が信奉する偉大なナルファトスに仇なしたアメリカ人は、全て皆殺しにしてくれる。 戦艦部隊は南東の方角に向けて順次回頭せよ!」 クガウログの指示通りに、マオンド側の4戦艦は戦闘に向けて動き始めた。 旗艦であるリグランバグルが先頭に回頭を始め、次にケリムガルダ、イルマリンラ、コルトムと続く。 「敵戦艦部隊も回頭中の模様!」 伝声管から艦橋に向けて、魔導士の報告が飛び込んでいる。 「ほほう、誘いに乗ってきたか。来ると思っていたよ。」 クガウログは不敵な笑みを浮かべた。 「主砲、右砲戦!7.5ゼルド(21000メートル)で射撃を開始する。それまで、各艦は砲身を敵戦艦に向けたまま待機せよ。」 クガウログは、魔導士に後続の戦艦群に対して命令を伝えさせた。 リグランバグル級戦艦は、52口径14.8ネルリ(38センチ)連装砲を4基装備している。 この主砲の射程距離は12ゼルド(36000メートル)もあり、従来の戦艦よりも遙かに長い射程を持つ。 また、竣工以来の猛訓練の結果、この4戦艦は、夜間戦闘では最大7ゼルドまでの長射程で相手の艦を攻撃出来るまでになった。 今の所、敵の戦艦部隊との距離は8.3ゼルドと、想定していた砲戦距離よりもやや離れている。 通常ならとっくに射程内であるため、いつでも発砲できる。 しかし、この距離では弾着観測がやりづらいため、クガウログは想定距離内である7.5ゼルドまで近付いてから、砲撃を開始しようと決めていた。 (7.5ゼルドといえば、アメリカ戦艦の夜間砲戦での想定距離外だ。敵は前回の海戦で7.2ゼルドから離れた位置から発砲を開始した。 それで、我々は先手を打たれてしまったが、今回は違う。今度は、こっちが敵を先制する番だ。) クガウログは、内心でそう呟いていた。 リグランバグルの砲身が右舷に向けられ、8門ある主砲のうち、4門には照明弾が積み込まれる。 最初に撃ち出されるのは、この4発の照明弾だ。 「敵艦隊との距離、縮まります。距離は約8.1ゼルド。」 魔導士が刻々と、彼我の距離を伝えてくる。双方の戦艦群は、同航しながら徐々に近付きつつある。 「現在、距離8ゼルド。砲戦開始距離まで0.5ゼルドです。」 「もう少しだな。」 クガウログは、相変わらず口元を歪ませている。既に主砲弾は装填されている。 7.5ゼルドに達すれば、照明弾を撃ち上げて敵艦隊の姿を確認し、その後は新式の14.8ネルリ砲弾を撃ち込むだけだ。 (アメリカ人共は、こちらが先に主砲を撃つのを見てどんな顔をするかな) クガウログは、先制砲撃を浴びたアメリカ戦艦の乗員達が狼狽する様を想像し、口元の歪みを、よりハッキリ分かる形にまで表した。 ナルファトス教の信者でもある彼は、ナルファトス教の聖堂教会を無慈悲にも爆破したアメリカ軍との対決を誰よりも待ち望んでいた。 その対決の時が、もう少しで始まろうとしている。 「見ろ、司令官が獰猛な笑いを浮かべておられる。」 誰かの囁きが聞こえたが、クガウログは気にしなかった。 「もう少しで始まるぞ。」 別の誰かが、その囁きを戒めるように、冷たい声音で言う。 クガウログはその時、顔に浮かべていた微笑みを凍り付かせた。彼の双眸には、不意に起こった発砲炎が映っていた。 (・・・・・・ん?) クガウログは、それが何であるか理解が出来なかった。 いや、理解は出来てはいるが、彼の脳は、それをする事を遮った。 その発砲炎は、クガウログのみならず、幕僚や艦橋要員の目にも、はっきりと映っていた。 約7秒間。艦橋に重苦しい沈黙が流れた後、 「て、敵戦艦発砲!」 見張りの緊迫した声音が艦橋に流れた。その一言で、彼らは我に返った。 「な、な、な、何・・・だと?」 クガウログは、微笑みを徐々に崩しながら、おぼつかぬ口ぶりで幕僚に聞いた。 「司令!敵戦艦は発砲を開始しました!」 「発砲だと?まだ8ゼルドだぞ!」 クガウログは、目を丸くしながら叫んだ。その時、何かの飛翔音が聞こえてきた。 それに誰もが聞き耳を立てたとき、リグランバグルの右舷側に水柱が立ち上がった。 ドォーン!という轟音を上げて、夜目にも鮮やかな、長く、太々しい水柱が3本ほど立ち上がった。 いきなり、リグランバグルの艦体が揺れ始めた。 「な、何だあの水柱は!?」 クガウログは、リグランバグルから右舷100グレルの位置に立ち上がった水柱を見ながら叫んだ。 「16ネルリ相当の砲弾が上げる水柱は、あんなに大きくはないぞ!」 マオンド海軍の調べでは、アメリカ海軍の戦艦は14ネルリか、16ネルリ相当の砲を搭載している事が判明している。 マオンド側の将校は、去年までシホールアンル海軍に派遣将校としてシホールアンルに送られた者が少なからずおり、 帰還した将校からシホールアンル海軍の新鋭艦の情報などを手に入れている。 マオンド海軍は、シホールアンル海軍の情報を元に、最近出てきた、アイオワ級と呼ばれるアメリカの新鋭戦艦は、 これまでの新鋭戦艦と同様に16ネルリ相当の主砲を搭載していると判断されていた。 だが、目の前の水柱の太さは、明らかに16ネルリ以上の砲から放たれた物である。 その大きさは、夜間にも関わらずハッキリと見て取れるほどだ。 「司令!敵の1番艦と2番艦が発砲を開始しました!どうやら、噂の最新鋭戦艦のようです!」 「アイオワ級か・・・・・アイオワ級は、対空防御と船体防御、それに速力を強化しただけの戦艦だけではなかったのか?」 「あの様子から見ると、強化されたのは防御力と速力だけではなさそうです。」 リグランバグルの艦長が、比較的冷静な口ぶりでクガウログに言った。 敵戦艦がまたもや発砲炎を煌めかせる。それからやや間を置いて、今度はリグランバグルの左舷に敵戦艦の砲弾が落下した。 またもやもの凄い水柱が、天を突かんばかりに立ち上がる。水中爆発の衝撃波がリグランバグルの艦体を再び揺さぶった。 「なんて揺れだ・・・・敵は、明らかに16ネルリ以上の砲を装備している。」 クガウログは自らそう言った後、背筋に冷たい物が走った。 (もしや・・・・俺達は、とんでもない相手と戦っているのか?) 彼の内心に、そんな疑念が沸き起こった。 疑念は、やがて確信にへと変わった。 敵戦艦が第3射、第4射と次々と主砲弾を放つ。 飛来してくる砲弾は、なかなかリグランバグルを捉えようとしないが、それでも凄まじい衝撃が24500ラッグ(36750トン) の巨体を頼りなく思わせるほど揺らした。 敵戦艦が第8射まで放った時、 「司令!あと10秒で7.5ゼルドです!」 待望の砲戦距離まであと一歩という所に近付いた。 「見てろ、アメリカ人!もう少しでお返しをしてやるからな!!」 クガウログは、恐怖と興奮で引きつった顔を歪めながら、一方的に砲撃を繰り返す2隻のアイオワ級戦艦を睨み付けた。 その瞬間、アイオワ級戦艦からまたもや発砲炎が煌めいた。 「7.5ゼルドです!」 その言葉に、クガウログは大音声で命令を発した。 「撃ち方始めぇ!!」 号令が下るや、待ってましたとばかりにリグランバグルの主砲が火を噴いた。 耳を劈くような轟音が発せられた後、4門の砲身に込められていた照明弾がアメリカ艦隊の上空目掛けて夜空に飛び上がった。 照明弾が炸裂する直前、リグランバグルにアイオワ級戦艦の主砲弾が落下してきた。 唐突に何かがぶつかったと思うと、その瞬間、クガウログの体は、司令官席から浮き上がりかけていた。 主砲斉射時の物と比べものと同じか、それ以上の射撃がリグランバグルに伝わった。 余りの衝撃に、艦橋要員の中には耐えきれず、転倒する者まで現れた。 「な、何だこの衝撃は!?」 クガウログは再び喚いた。 「敵弾1、右舷中央部に命中!第3甲板で被害が発生した模様!」 「第3甲板だとぉ!?」 今度は、艦長が叫ぶ番であった。 「中央部には分厚い装甲を施してるのだぞ!そこを抜かれているのか!?」 「はい!敵弾は装甲板を貫通して、もう少しで前部機関室を吹き飛ばす所でした!火災が発生しているため、直ちに消火にあたります!」 伝声管の向こう側の人物は、慌ただしい口ぶりでそう言ってから会話を終えた。 リグランバグル級戦艦は、舷側に315ミリの装甲板を取り付けてある。 この装甲板は、マオンド共和国南部の田舎町であるリズスリーグの魔法石鉱山の近くにある鉄鉱石鉱山から作られた物で、元々、魔法石鉱山が 近くにあるせいか、リズスリーグの鉄鉱石鉱山から採れる鉄鉱石は若干の魔力付加(エンチャント)が備わっていた。 このエンチャントされた鉄鉱石は、昔から主に戦艦等の主力艦に採用され、打撃を受けた際には普通の鉄よりも頑丈であった。 今、同時に行われているTG73.5とマオンド旧式戦艦との戦闘で、マオンド側の戦艦が予想外の健闘を見せているのはこのためである。 しかし、アイオワ級戦艦の主砲弾は、この硬い装甲板をあっさりと突き破った。 艦長は、この強化された装甲板も、長く撃たれ続ければいずれは抜かれるとは思っていたが、まさかただの一撃で貫通されるとは、 全く予想していなかった。 敵艦隊の上空に照明弾が灯った。その光によって、敵戦艦の姿が露わになった。 「あれが、アイオワ級戦艦か。」 クガウログは、望遠鏡越しに敵戦艦の姿を見つめた。 細長い艦体に、丈高い尖塔のような艦橋。その後ろに設置されている2本の煙突と、後ろにあるやや小振りの艦橋。 その艦上構造物の前後に設置された計3基の主砲は、これまでに見た戦艦の搭載砲より明らかに巨大である。 リグランバグルが第1射を放った。ドドォーン!という轟音を上げながら、4門の主砲が火を噴いた。 5秒ほど経って、アイオワ級戦艦も砲撃を行う。 いや、アイオワ級のみではない。その後方に居た他の戦艦も砲撃を開始した。 クガウログは、次々と発砲してくる敵の戦艦群を眺めながら、胸中で呟く。 彼は、戦闘前に各艦に対して1番艦リグランバグルは敵の1番艦を、2番艦ケリムガルダは敵の2番艦を、という具合で 個別に目標を割り当てている。 リグランバグルが射撃を開始した今、各艦は敵の2、3、4番艦を相手取っている。 だが、ここに来て、クガウログはそれが間違いであったかと思った。 アイオワ級戦艦が明らかに16ネルリ以上の砲を搭載している以上、各艦の砲力をこの2隻の新鋭艦に向け、早めに始末する必要があった。 (だが、もはや戦闘は始まってしまった。もう命令の変更は出来ない。いや、出来はするのだが、やったらやったで混乱が生じる。 そんな事になれば、我々は一方的に撃たれっぱなしのまま、敵にたたきのめされるだけだ。今は、このままで活路を開くしかない!) クガウログは、命令を変更しない事を決心した。 リグランバグルの第1射が着弾した。4発の砲弾は、全てが敵1番艦を飛び越えて、反対側に着弾した。 敵1番艦が更に交互撃ち方で砲撃を続ける。この砲弾は、リグランバグルの右舷側に着弾した。 舷側から50メートル足らずの位置で爆発したため、リグランバグルは魚雷を受けたかのように艦を反対側にやや仰け反らせた。 「命中弾はなしか・・・・だが、至近弾だけでこれほどの揺れ。」 クガウログは、敵戦艦の主砲の凄まじさに圧倒されかけていた。 砲撃開始前まで浮かべていた余裕の笑みは、もはや綺麗さっぱり吹き飛んでしまった。 リグランバグルが第2射を放つ。それから少し時間が経ち、敵戦艦も砲撃を行ったが、その直後にリグランバグルの砲弾が落下した。 敵戦艦の左舷に4本の水柱が立ち上がる。水柱が崩れ落ちる前に、敵戦艦の主砲弾がリグランバグルの周囲に落下する。 三度、リグランバグルの巨体が水中爆発の振動で強く揺さぶられる。 今度は挟叉弾であるため、クガウログは、このリグランバグルが見えない手によってあちこちを小突き回されるような振動に揺さぶられた。 「相変わらず揺れが強い。このままでは、リグランバグルは至近弾のみでも戦闘不能に陥るのではないか?」 彼がそう思うほど、衝撃は強烈であった。 リグランバグルは第3射を放った。4発の主砲弾が赤熱しながら、敵1番艦目掛けて突っ込んでいく。 敵戦艦が新たな射撃を行う前に、リグランバグルの主砲弾が落下する。 「砲術!しっかり狙え!訓練通りにやれば良いのだ!」 たまりかねた艦長が、伝声管越しに砲術科を叱咤した。 敵戦艦がまた射撃を行う。その姿は、まるで、リグランバグルの上手くない砲撃精度をあざ笑っているかのようだ。 敵弾が落下してきた。先ほども感じた砲弾が艦体に命中する轟音と凄まじい振動がリグランバグルの巨体を大きく揺らした。 「こ、後部甲板に命中弾!火災発生!」 見張りが、あまり整っていない口調で艦橋に報告を送ってくる。敵弾は3発中、1発が後部甲板に命中した。 敵戦艦の砲弾は最上甲板をあっさりと突き破って、第3甲板の用具室で炸裂した。その時は、人が居なかったから死傷者で出ずに済んだが、炸裂の瞬間、用具室は中に詰められていた応急班用の修理用具諸共吹き飛んだ。 爆発の余波は用具室を吹き飛ばしただけでは飽きたらず、左右3つの部屋をも破壊した。 リグランバグルの主砲が火を噴いた。 クガウログは、今度こそ命中してくれと祈った。 それからやや間が開き、第4射の砲弾が敵戦艦に落下した。敵戦艦の右舷側に3本の水柱が立ち上がり、その前部部分に発砲炎とは異なる物が光った。 その光は、やがて爆炎に変わった。 「敵戦艦に命中弾!」 その報告に、艦橋が沸き立った。 「よし、まずは敵を傷つけたぞ。あの位置なら、砲塔の1基ぐらいは潰れているだろうな。」 クガウログは、先とは違って、微笑みを交えた表情を浮かべた。 彼は、先ほどの爆炎が砲塔のあたりに沸き起こったのをこの目で確認している。 マオンド戦艦の主砲弾は、装甲板と同じように、リズスリーグ鉱山の鉄鉱石から作っており、砲弾の貫徹性能はエンチャントによって、 通常の鉄製の砲弾よりも上である。 だが、その確信は、敵戦艦から発せられた発砲炎によって吹き飛ばされた。 発砲炎は、先の物とは比べものにならぬほど大きかった。 「敵戦艦発砲!斉射です!!」 見張りの声が聞こえたが、クガウログにその声は聞こえていなかった。 (なんということだ・・・・・14.8ネルリ弾を確かに、砲塔の辺りに食らわせたはず。なのに・・・・どうして 砲塔は使えるのだ!?) 敵戦艦は斉射・・・・それも、3基の主砲塔全てを使ってその最大火力を発揮した。 となると、リグランバグルには、先ほどの恐ろしい威力を有する主砲弾が、9発まとめて叩き付けられる事になる。 「9発・・・・・・」 クガウログの顔が完全に色を失ったとき、敵戦艦の第1斉射弾が着弾した。 米戦艦部隊の1番艦を務める戦艦ミズーリの艦橋上からは、敵1番艦の周囲に水柱が立ち上がるのが見えていた。 「新たに2弾命中!敵戦艦の火災、更に拡大した模様!」 戦艦ミズーリ艦長ウィリアム・キャラガン大佐は、まずまずの成果に小さく頷いた。 敵の戦艦部隊は、アメリカ側戦艦群の左舷を並行する形で砲撃を行っている。 敵戦艦は、ニューメキシコ級戦艦と似たような低い艦橋が特徴で、前部甲板と後部甲板に2基ずつ主砲を設置している。 敵1番艦は中央部と後部から火災を発生しており、特に中央部の火災が大きい。 新たに命中した17インチ砲弾が、中央部の火災をより拡大させたのであろう。 傍目から見れば、中破程度の損害を負っている敵1番艦であるが、それでも射撃を行ってきた。 キャラガン艦長は、最初は4、5発も食らわせばマオンド戦艦は戦闘不能に陥れられるであろうと思っていたが、予想に反して 敵戦艦は意外と粘っている。 (17インチ砲弾の当たり所が良かったせいかも知れん) キャラガン艦長は、心中でそう確信した。 敵戦艦の主砲弾が落下する前に、ミズーリが第2斉射を放った。 17インチの豪砲が斉射を放つ瞬間、雷もかくやと思うほどの轟音が鳴り響き、ミズーリの巨体が微かに、反対舷へと押される。 (17インチ砲の斉射は、いつ聞いても凄まじい) キャラガン艦長がそう思うほど、17インチ砲の斉射は強烈であった。 唐突に、何かの飛翔音が聞こえてきた。それは一瞬で極大に達した。 ミズーリの周囲にドカドカと敵戦艦の主砲弾が落下する。 ミズーリよりは主砲の口径は小さい物の、それでも大口径砲弾が複数、至近で落下するや、ミズーリの艦体は揺れる。 しかし、その揺れは57000トンの巨体にとってあまり大きな物ではなかった。 敵弾落下と同時に、ガン!ガン!という何かがぶつかる音が聞こえる。 キャラガン艦長は、敵戦艦の砲弾がミズーリに命中したなと思った。 この時、ミズーリはリグランバグルの砲弾を中央部と後部第3砲塔に受けていた。 しかし、リグランバグルの主砲弾は中央部と天蓋の装甲を貫く事は出来ず、砲弾はあらぬ方向に弾き飛ばされるか、その場で炸裂した。 「中央部と後部第3砲塔に被弾!機銃座2基破損するも、他に損害無し!」 CICからの被害報告を聞いたキャラガン艦長は、ミズーリの強靱さに舌を巻く思いであった。 (流石はアイオワ級戦艦。防御力がケタ外れだ) 第2斉射弾が敵戦艦の周囲に落下した。敵戦艦の艦体は林立する水柱に覆われ、完全に見えなくなる。 すわ轟沈か?と、キャラガン艦長は期待して敵戦艦を凝視するが、敵戦艦は鋭い艦首で水柱を崩しながら姿を現した。 敵戦艦が第2斉射を放ち、発砲炎が、マオンド戦艦の精悍な艦影をはっきりと照らし出す。 敵戦艦は、新たに前部から火災を起こしていた。火災はあまり大きくはないが、命中箇所は艦首部に近い。 通常の戦艦ならば、そこは非装甲部に当たる所である。 命中箇所に当たる区画が17インチ砲弾の炸裂によって酷い有様と化している事は、ほぼ確実であろう。 敵戦艦の砲弾が落下し、水中で荒れ狂った衝撃波は、ミズーリの分厚い装甲を小突き回す。 艦上には命中弾が炸裂し、強固な装甲に守られていない機銃座や両用砲が真っ先に犠牲となった。 「左舷4番両用砲並びに40ミリ機銃座損傷!火災発生!」 「後部甲板に命中弾!小火災が発生するも損害軽微!」 各所から次々に損害報告が上がってくる。 「ふむ、やるじゃないか。」 キャラガン大佐は、敵戦艦の健闘ぶりを評価した。ミズーリもその礼を返すべく、第3斉射を放つ。 敵戦艦が再び、林立する水柱に覆われようとする。敵戦艦の後部部分にピカッと何かが光った。 その光は水柱に覆い隠される。敵戦艦が水柱から抜け出すと、後部部分で新たに火災が発生していた。 ミズーリの第3斉射弾は、1発だけがリグランバグルに命中した。17インチ砲弾は、敵戦艦の第4砲塔の天蓋に命中した。 43センチSHSは、エンチャントで強化された天蓋を物の見事に貫通して砲塔内で炸裂し、砲塔を真っ二つに引き裂いた。 裂け目からは紅蓮の炎が吹き出し、2本の砲身は爆発の圧力によって、付け根から吹き飛んでいった。 「ようし、砲塔1つを吹き飛ばしたぞ!」 キャラガン艦長は上機嫌な口調で言う。 敵戦艦は、これで砲戦力の25%を失った。一方のミズーリは未だに9門の主砲が使える。 これで、ミズーリは優勢となった。 敵戦艦が第3斉射を放った。その5秒後にミズーリが第4斉射を撃つ。 着弾は、敵の第3斉射弾のほうが早かった。 いきなりグァガアン!というけたたましい轟音と衝撃がミズーリの艦体を強く揺さぶった。 「うぉ!?」 初めて体験する強い衝撃に、キャラガン艦長は驚きの声を漏らす。 「今の衝撃は大きかったな。」 そこにCICから連絡が飛び込んできた。 「敵弾3発が命中!命中箇所は後部並びに中央部!」 この時、敵1番艦の斉射弾は3発がミズーリを捉えていた。3発中2発は中央部に命中した。 1発は左舷2番両用砲に直撃して炸裂し、すぐ側にあった3番両用砲と、後ろにあったMk4射撃レーダーにも被害が及んだ。 もう1発は甲板に直撃して炸裂したが、20ミリ機銃2丁を破壊しただけで済んだ。 後部甲板の非装甲部に着弾した砲弾は最上甲板を貫いて第2甲板の便所で炸裂した。 ダメコン班のメンバーであるレリック・バートン2等水兵は、トイレから出た後、待機所に繋がる通路に入り、階段を下りた瞬間、 いきなりドーン!というもの凄い爆発音と衝撃音を聞いた。 「!?」 突然の衝撃に仰天したバートン2等水兵だが、振り返る前に衝撃に足を取られて転倒した。 衝撃に揺られながら、上の通路でゴーッ!という音が聞こえる。 突然の事態に、バートン2等水兵はただ恐怖に怯えたまま、その場にじっと伏せ続けた。 しばらく経つと、衝撃も音も感じなくなった。バートンは恐る恐る立ち上がりながら、階段の入り口に歩み寄った。 階段からは何かが焦げるような音と匂い、熱が伝わってきた。階段の上からは何かが燃える音が聞こえてくる。 「さっきの敵弾は、俺が座っていたトイレの近くに命中した。俺の下痢が治まっていなければ、今頃は・・・・・・・」 バートン2等水兵は、タイミングが遅れていれば木っ端微塵に吹き飛ぶ自分の姿を想像して身を震わせた。 彼は、1分後にやってきた同僚と共に、自分の死に場所となる筈であったトイレの消火活動に携わる事になる。 キャラガン艦長は、敵1番艦の後部艦橋と思しき物が、一瞬にして上半分を吹き飛ばされる様子を目にしていた。 敵戦艦は、後部艦橋以外にも、前部に1発の17インチ砲弾を食らった。これによって、前部甲板にも新たな火災が発生した。 「敵1番艦に更なる火災が発生した模様!」 見張りが、敵艦の被害状況を知らせてくる。敵1番艦がまたもや斉射を放った。 敵戦艦の斉射弾が落下する前に、ミズーリも9門の17インチ砲を唸らせる。 ミズーリの左舷側が17インチ砲弾の発砲炎で真っ赤に染まり、その後は黒煙に覆われる。 敵弾は、その黒煙に突っ込んでいった。ドドーン!という轟音が鳴り、ミズーリの艦体に敵弾が炸裂する。 「敵弾2、中央部に着弾!1番両用砲全壊!」 敵戦艦の砲弾のうち、1発は未だに健在であった1番両用砲を吹き飛ばした。 これで、ミズーリは左舷側に指向できる高角砲の全てを失った。 (こんなに高角砲がやられてしまうとは。ミズーリは対空艦としては役立たずになっちまったな。) キャラガン艦長は内心でそう呟きながらも、顔には冷静な表情を張り付かせたままダメコン班に向けて指示を飛ばし続ける。 ミズーリの主砲弾が敵1番艦に落下した。9発中、3発が敵1番艦に突き刺さった。 1発は敵戦艦の第1砲塔と第2砲塔の間に命中すると、甲板を突き破って第3甲板で炸裂した。 17インチ砲弾は敵艦の弾薬庫を誘爆させることは出来なかったが、敵1番艦の第1、第2砲塔は旋回盤や砲塔内部に損傷を被り、射撃不可能となった。 2発目と3発目は中央部に命中した。特に3発目の命中弾は敵1番艦にとって致命的な損害をもたらした。 17インチ砲弾は、これまでに散々痛め付けられた中央部の装甲板を貫通した後、前部魔動機関室にまで達してから爆発した。 これによって、リグランバグルは動力の半数を失い、速力が急激に落ち始めた。 「敵1番艦、速力低下!」 スピーカー越しにCICから連絡が入る。だが、それでも敵1番艦は諦めなかった。 「止めを刺すんだ!」 キャラガン艦長は、砲術科に向けて命令を下した。敵がまだ戦闘力を残している以上、放ってはおけない。 ミズーリが第7斉射を撃つ前に、敵1番艦の砲弾が落下する。 敵弾はミズーリを飛び越え、右舷側300メートルの海面に落下した。その直後、ミズーリは第7斉射を放つ。 やや間を置いて、敵1番艦の周囲に水柱が吹き上がる。水柱が晴れた後、敵1番艦の艦容は一変していた。 この時、ミズーリの第7斉射弾は、1発だけが敵1番艦に命中していた。命中箇所は、敵艦の艦首であった。 17インチ砲弾は、艦首最前部から10メートルほど後ろに着弾して艦内で炸裂した。 炸裂の直後、砲弾の爆発エネルギーは薄い艦首を見事に吹き飛ばし、切断面からは大量の海水が流れ込んできた。 この最後の一撃が、敵1番艦にとって命取りとなった。 「敵1番艦停止!」 CICから弾んだ声が聞こえてきた。キャラガン艦長はその声を聞きながら、炎上する敵1番艦を凝視していた。 敵1番艦は、艦内各所から発生している火災炎によってその姿が露わになっている。 敵戦艦は、無くなった艦首部分から既に傾斜が始まっており、このまま行けば艦首側から沈没する事はほぼ確実と言えた。 全ての主砲は沈黙しており、唯一健在である第3砲塔だけが、その砲身をミズーリに向けている。 まるで、俺達はまだ戦えると、ミズーリに向けて訴え掛けているかのようだ。 「後続のウィスコンシンより通信。敵2番艦に直撃弾多数。沈黙は時間の問題なり。」 ミズーリの姉妹艦であるウィスコンシンもまた、敵の2番艦を相手取っている。 ウィスコンシンはミズーリと同様の損害を受けているが、それでも、3基の17インチ3連装砲は健在で、敵2番艦に対して 11発の命中弾を与え、敵艦の後部砲塔を破壊していた。 「旗艦はどうなっている?」 キャラガン艦長はきっと、上手くやっているであろうと思っていたが、帰ってきた返事は意外な物であった。 「艦長!プリンス・オブ・ウェールズが苦戦しています!」 戦艦部隊の旗艦であるプリンス・オブ・ウェールズは、敵3番艦と渡り合っていた。 敵の3番艦はプリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦のトライデントの砲撃を浴びていたが、敵戦艦は思ったよりも頑強であり、 逆にプリンス・オブ・ウェールズに12発の直撃弾を与えていた。 敵3番艦の第7斉射弾が降り注いできた。艦体に敵弾命中の衝撃が伝わり、プリンス・オブ・ウェールズの巨体が揺らいだ。 「中央部に命中弾!火災、更に拡大します!」 サマービル中将は、苦虫を噛み潰した表情でその報告を聞いていた。 「もう少しの筈なのだが・・・・・」 サマービルは、敵3番艦を見つめた。 敵3番艦は、プリンス・オブ・ウェールズとトライデントから計19発を浴びせており、艦内の各所から火災を起こしている のだが、敵3番艦は依然として4基の連装砲塔の全てが健在で、良好な射撃精度を保ち続けている。 プリンス・オブ・ウェールズが第6斉射を撃つ。14インチ4連装砲塔2基、連装砲塔2基、計10門の主砲が放つ砲声は、 アイオワ級の物と比べて劣るが、それでも雷が間近で炸裂したかと錯覚させる。 敵3番艦に10発の14インチ砲弾が降り注ぐ。10発中、4発が敵3番艦に突き刺さり、艦上に命中弾炸裂の閃光が灯る。 その直後にトライデントの14インチ砲弾が落下し、新たな命中弾を敵3番艦に浴びせる。 水柱が晴れた直後、敵3番艦が斉射を放った。砲弾の飛翔音がプリンス・オブ・ウェールズに近付いてくる。 「来るぞ!」 艦長のリーチ大佐が鋭い声音で叫んだ。直後、プリンス・オブ・ウェールズの周囲にドカドカと巨弾が落下した。 けたたましい金属音が艦橋に響いたかと思うと、強烈な爆発音が木霊した。 「!!」 サマービルは、艦橋の前面で沸き上がった爆炎を見て仰天してしまった。 彼は、主砲と思しき物がくるくると回転しながら右舷側に吹き飛んでいく様子をハッキリ見ていた。。 「第1砲塔に直撃弾!砲塔損傷!」 CICから切迫した声音で報告が送られてきた。 「な、本当か!?」 「はい。その証拠に、第1砲塔から連絡が途絶えたままです。」 リーチは一瞬瞑目した。第1砲塔には、ビスマルク追撃戦以来のベテラン砲員達が居た。 彼らは、出撃前にリーチ艦長と共に軍港の近くにあるバーへ飲みに行った。その際、 「見ててください。今度の砲撃戦では、マイリーの戦艦なぞ一撃で叩き沈めてやりますよ。」 と、誰もが自信満々に言っていた物であった。 そんな愉快な戦友達は、無残にも破壊された第1砲塔の中で永遠の眠りにつくこととなった。 「レナウン脱落します!」 追い撃ちをかけるかのように、新たな悲報が飛び込んでくる。 レナウンは、コンスティチューションと共に敵4番艦を相手取っていたが、レナウンは9発の命中弾を受けた末に、最後の着弾した 敵弾が機関室で炸裂した。 そのため、レナウンは速力が出せなくなり、戦艦列から脱落していった。 プリンス・オブ・ウェールズが残った6門の主砲で第7斉射を撃った。この斉射弾は、2発が敵3番艦に命中した。 更に、トライデントの14インチ砲弾が落下してきた。3発が敵3番艦に命中する。 うち1発は敵3番艦の後部に突き刺さった後、艦内で炸裂した。 命中箇所は、分厚い装甲に覆われていたが、トライデントの14インチ砲弾は難なく装甲に穴を穿った。 アラスカ級巡洋戦艦の55口径14インチ砲は、距離17000メートル以内であれば390ミリの装甲板を貫く事が出来る。 現在、米戦艦部隊はマオンド側の戦艦部隊から距離16800メートルまで接近していた。 距離が縮まったことで、14インチ砲弾は見事に敵戦艦の装甲を突き破り、内部にも被害を与えることが出来た。 敵戦艦が斉射を放つが、先の被弾で砲塔が損傷したのか、斉射時の光量はさほど大きくはなかった。 プリンス・オブ・ウェールズに敵の斉射弾が降ってきた。 ドドーン!という轟音が鳴り響き、プリンス・オブ・ウェールズの巨体が震える。 お返しだ!とばかりに、プリンス・オブ・ウェールズも6門の14インチ砲弾を放つ。また、トライデントも旗艦を援護すべく、 9門の14インチ砲を咆哮させた。 敵3番艦にまず、プリンス・オブ・ウェールズの主砲弾が降り注ぐ。周囲に巨大な水柱が吹き上がる。 その中に、命中弾と思しき閃光が二つ煌めいた。 2発の命中弾のうち、1発は中央部に当たった物の、分厚い装甲を突き破れずにその場で炸裂した。 2発目は後部艦橋の基部に命中し、後部艦橋の下部が、巨大な獣にごっそりと食いちぎられたかのような惨状を呈した。 続いて、トライデントの14インチ砲弾が落下する。命中弾は3発。 1発は燃えさかる後部甲板に命中して、火災をより拡大させた。 もう1発は中央部に命中、最上甲板を貫通して第3甲板の食料貯蔵庫で炸裂した。 炸裂の瞬間、大量の肉や生野菜が高温で“炊かれ”、その1秒後には大半が黒焦げの炭状の物に料理された。 最後の1発は第3砲塔に着弾した。砲弾は天蓋に命中したが、装甲を突き破る事は出来なかった。 だが、炸裂の影響で天蓋はひしゃげ、砲塔内部には夥しい破片が飛び散って、砲員を殺傷した。 プリンス・オブ・ウェールズ目掛けて、敵3番艦が斉射を放つが、破壊された第4砲塔や、人事不省に陥った第3砲塔は火を噴くことが無く、 前部にある1番、2番砲塔のみが砲撃を行った。 「ううむ、なかなかに頑丈だ。」 サマービルは、敵戦艦の頑強さに感嘆の念すら抱いていた。敵弾が再び落下した。 4発中1発が、プリンス・オブ・ウェールズの前部甲板に命中し、夥しい破片が第2砲塔や周囲の甲板にばらまかれる。 プリンス・オブ・ウェールズが第8斉射を撃つ。 それにやや遅れて、トライデントも斉射を放つが、そのトライデントに敵4番艦の射弾が降ってきた。 敵は初っ端から斉射を放ってきた。6門の14.8ネルリ砲が一斉に火を噴き、巨弾がトライデント目掛けて殺到する。 トライデントの左舷側に敵戦艦の斉射弾が落下し、6本の水柱が立ち上がった。 敵3番艦に15発の14インチ砲弾が落下する。最初に落下したプリンス・オブ・ウェールズの射弾は、3発が敵戦艦に命中した。 3発中1発は弾かれたが、残る2発が敵戦艦の後部と艦尾水面下に命中した。 次にトライデントの斉射弾が敵3番艦に降り注ぐ。2発が命中弾となり、敵3番艦の中央部と後部で発生していた火災が一段と激しくなった。 唐突に、敵3番艦の前方が明るくなった。サマービルはその光の方向に視線を向けた。 「すごい・・・・敵2番艦が・・・・」 サマービルは、思わずその光景に見とれてしまった。 僚艦であるウィスコンシンと渡り合っていた敵2番艦が、後部部分から猛烈な火炎を吹き上げていた。 まるで火山噴火の如き様相を呈した敵2番艦は、爆発が収まった後、後ろ半分が綺麗さっぱり吹き飛んでいた。 サマービルは、プリンス・オブ・ウェールズの発砲音で我に返った。 「敵2番艦を派手に吹き飛ばすとは・・・・流石は17インチ砲だ。」 彼が小さい声で呟いた後、やや意外な報告が飛び込んできた。 「斉射弾、全弾外れました!」 「なに?」 リーチ艦長が急に表情を曇らせる。 「この期に及んで外したのか。」 リーチ艦長は、やや呆れた口調で呟きながら、砲術科に電話をつなごうとした。しかし、その必要はなかった。 「艦長!敵戦艦が遠ざかります!」 「遠ざかる、だと?」 リーチ艦長は怪訝な表情を浮かべつつ、双眼鏡で敵戦艦を見つめた。 敵戦艦の右舷側にトライデントから放たれた14インチ砲弾が落下した。 やはり、トライデントの斉射弾も全て外れ、近弾となっている。敵3番艦は確かに遠ざかりつつあった。 「どうした?」 「敵3番艦が遠ざかろうとしています。もしかすると、敵は撤退を始めたかも知れません。」 「・・・・いや、違うな。」 サマービルは、敵3番艦を見つめたから、リーチ艦長の言葉を否定した。 「撤退中ならば、敵は急回頭を行うはず。だが、敵3番艦は遠ざかりつつはあるが、回頭を行おうとしていない。よく見てみろ。」 リーチ艦長は、サマービルの言われた通りに、敵3番艦を凝視する。 「確かに。敵3番艦は回頭を行おうとしていません。」 「敵さんは、舵をやられているな。恐らく、ウェールズかトライデント、どちらかの艦が放った砲弾が艦尾の舵を傷つけたのだろう。 舵が使えないとなると、敵3番艦はもはや死んだも同然だな。」 彼がそう確信した瞬間、唐突に後方から爆発音が響いた。 「トライデントに敵弾命中!砲塔損傷の模様!」 トライデントは、敵の第3斉射弾を受けていた。命中弾は1発のみであったが、この1発は後部の第3砲塔に命中した。 砲弾は天蓋をあっさりと突き破り、砲塔内で炸裂。中で任務に当たっていた砲員を皆殺しにし、砲塔自体も粉砕された。 「まずいぞ。アラスカ級巡戦の装甲では、敵戦艦の主砲弾を食い止められん。艦長!急いで砲撃目標を敵4番艦に変更しろ! トライデントが危ない!」 サマービルはすぐさま、プリンス・オブ・ウェールズの主砲を敵4番艦に向けさせた。 敵4番艦に対しては、コンスティチューションが射弾を浴びせていた。 敵4番艦には既に17発の命中弾を浴びせており、大火災を発生させている。 しかし、火炎地獄と化した敵4番艦はそれでも機関部と主砲が健在であり、乗員達は猛火に耐えながらトライデントを砲撃していた。 トライデントも、敵4番艦に砲撃目標を変更する。トライデントが第1射を放った直後、敵4番艦の斉射弾が降り注いだ。 6発中、1発がトライデントの左舷中央部に命中する。砲弾はトライデントの装甲を突き破り、機械室で炸裂した。 前部機械室はこの被弾で完全に破壊された他、前部機関室にも損傷が及び、トライデントはにわかに速力を落とし始める。 「これはまずいぞ。」 サマービルは内心で焦り始めていた。いくらアラスカ級巡戦が旧式戦艦に勝る性能を有するとはいえ、新鋭戦艦の砲弾を受け続ければ 大破は確実であり、最悪の場合は撃沈されてしまう。 「ミズーリとウィスコンシンはどうなっている!?」 「あと30秒で援護射撃を開始するようです!」 「30秒だと?その間にトライデントは敵4番艦に叩きのめされるぞ!」 サマービルは苛立った口調でそう言いはなった。彼は内心で、敵4番艦の射撃が外れてくれるように祈った。 それからすぐに、CICから別の報告が飛び込んできた。 午後10時45分 リグランバグルの傾斜は、収まる様子を見せなかった。 クガウログ少将は、立つことさえ難しくなり始めた艦橋上で、じっと窓の外を見つめ続けていた。 「コルトムが・・・・・・」 彼は、震えた口調で僚艦の名前を呼んだ。4番艦コルトムは、急行してきた敵の駆逐艦群に襲われ、左舷に魚雷4本を叩き込まれた。 水線防御は未だに満足ではないマオンド戦艦にとって、魚雷を4本も受ける事は死を意味していた。 コルトムは、文字通り火達磨と化しながら沈没しようとしている。 敵駆逐艦の魔の手は、コルトムのみならず、舵故障を起こしていた3番艦イルマリンラにも及んだ。 イルマリンラは必死に防戦を行い、駆逐艦1隻を撃沈したが、残った駆逐艦4隻が距離2000グレル(4000メートル)で 魚雷を放ち、5本を右舷に命中させた。 イルマリンラも艦腹に大穴を開けられ、機関系統が全滅したため、洋上に停止して海中に没しようとしている。 「ナルファトス教に仇なす邪教徒共を、ここで皆殺しに出来ると思ったのに・・・・・・」 クガウログは、脳裏に忌々しい戦艦の名前を思い出す。 「アイオワ級戦艦さえいなければ・・・・・・貴様さえいなければ!!」 彼は、力の限り絶叫した。艦橋にいた艦長や司令部幕僚、兵員が仰天した表情を浮かべる。 あの2隻の巨大戦艦さえいなければ、4隻のリグランバグル級戦艦は思う存分に戦えたであろう。 だが、あの2隻の戦艦が有するとんでもない主砲のせいで、リグランバグルは大破し、ケリムガルダは轟沈の憂き目を見た。 2隻のアイオワ級戦艦が戦列に加わったお陰で、マオンド軍期待の新鋭戦艦部隊は、文字通り全滅したのである。 「し、司令官。」 幕僚が、恐る恐る話しかけてきた。 「心配するな。」 クガウログは、意外にも明瞭な口調で幕僚に答えた。 「ただ叫びたかっただけだ。発狂はしておらんよ。」 彼は、戦闘前と変わらぬ(若干陰りがあるが)不敵な笑みを浮かべた。 「ひとまず、俺達は任を果たした。残った残存艦は撤退させよう。旧式戦艦部隊も敵の有力な艦隊を釣り上げたようだからな。 これで、舞台は整った。」 (後の仕事は、あいつらに任せよう) クガウログは最後まで言わなかった。彼は、心中で悔しさと満足感がない交ぜになりながらも、残存部隊に撤退命令を下した。 午後11時10分 第7艦隊旗艦オレゴンシティ 重巡洋艦オレゴンシティの作戦室は、暗然たる空気に包まれていた。 「・・・・・なんたることだ。」 第7艦隊司令長官であるオーブリー・フィッチ大将は、人生の中でこれほど暗澹たる気分を感じた事は無かった。 「長官!事は一刻を争います!」 バイター少将が珍しく、声をわななかせながらフィッチに言った。 「ここはひとまず、TG72.4をモンメロ沖に向かわせるべきです!」 「参謀長、TG72.4はモンメロ沖80マイル地点にいます。ここから全速で突っ走っても、2時間以上はかかります。」 「艦隊を派遣しても遅すぎます!ここは、夜間作戦が可能な空母から攻撃隊を飛ばすべきです!」 作戦参謀が言うが、航空参謀のマクラスキー中佐が首を横に振った。 「味方も混乱している状態で攻撃隊を飛ばすのは余りにも危険過ぎる。攻撃機が誤爆を起こしかねんし、味方撃ちに合う危険もある。」 「航空機もだめ、艦隊もだめとなると・・・・現地の護衛艦艇の奮戦に期待するしか。」 「護衛駆逐艦ぐらいしかないぞ!こんな状況で有力な敵艦隊と渡り合えるのか!?」 幕僚達の議論を聞きながらも、フィッチは、テーブルに置かれている紙にチラッと視線を移す。 「緊急 敵艦隊が輸送船団に接近中。敵の推定戦力は、戦艦1、巡洋艦2、駆逐艦6。」 「敵戦艦、巡洋艦の砲撃により護衛駆逐艦1沈没、同2大破。」 「避退中の輸送船1隻に敵弾命中。敵艦隊は尚も砲撃を続行中。」 モンメロ沖近海の味方艦隊から刻々と状況が伝えられている。 電文自体は淡々とした内容ではあるが、輸送船団が苦境に陥っている事は容易に想像が出来た。 (いや、まだ諦める訳にはいかない。輸送船団を護衛する駆逐艦は魚雷を積んでいるし、必要ならば攻撃機を飛ばしても構わないだろう。 まだ打てる手はある。) フィッチは胸中で自分にそう言い聞かせた。 ここにして、モンメロ沖海戦の最終戦は、味方輸送船団の至近という予想外の場所で幕を開けることになった。
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, 【設定】「生命鉄」 珪素生物の鉄バージョン、生きて意思を持った鉄、知性は人間以上 寿命数百万年で性別は無い、移動速度は何百万年もかけて数ミリ程度 生命鉄が生命を持たない普通の鉄と触れたり混ざることでただの鉄に意識が充満して増える 個体の概念がなく、なんらかのかたちで生命鉄同士がひとつに融合すると一つの生命鉄になる (例えば溶かして混ぜたり、鉄の部品を複数組み合わせたり、血溜まりに鉄パイプが落ちたり) 塊を割ると割った瞬間に「彼ら」になる、意識の分割・統合が可能 分解されたり、太陽に呑み込まれ気体になっても生きている 人間の血液のヘモグロビンに同化して人間の意識と同化(知識の供与等)もできる、影響が強いと「血の気が多い人」になる 刀であれば切れ味の鋭い妖刀になる、車の一時的な運転、戦艦であれば自分で砲を稼動させて撃てる。 生命鉄を身に着けている人間一人程度なら数秒、空中を何度か飛ばせる、テレパシーあり ナイフ程度の質量でも数キロ級の宇宙船の循環炉で分解吸収されたときに宇宙船と同化して乗っ取った 【作品名】鉄の由来(第四話 咆哮伝説) 【名前】エンキドゥ 【属性】「生命鉄」が宿った米英混血の生きた不沈戦艦 【大きさ】改装した「キングジョージⅤ」級の六万トン近い戦艦並、おそらく全長227.2m 排水量で上回るのは「大和」級だけらしい 【攻撃力】 十六インチ(四十センチ)砲:「アイオワ」級の砲を三基の砲塔に九門搭載している、射程3万8000m 作中では数十キロ~十数キロの距離で砲撃しながら接近、最終的には舷をこすりそうな距離でゼロ距離射撃 同クラスの戦艦と相打ちに。巡洋艦を瞬時に二つに折る威力 着弾の衝撃はかなりあり、同クラスの戦艦と数十発ほど撃ち合いをしたら衝撃で 互いの艦内の乗員のほとんどが潰れた。 艦の被害が少なくても乗員が潰れる衝撃を艦内部に発生させる。 五.二五インチ砲:高角砲兼用五.二五インチ砲、素早く速射可能らしい おそらく現実の13.3cm連装両用砲と思われる、対艦・対空兼用の砲、発射速度は毎分7~8発 最大射程は仰角45度で射距離21,397 m、最大仰角70度で高度14,935 m、全8基の16門? ボフォース機関砲:複数ある、おそらく現実の40mmボフォース機関砲、射程は四キロいかないぐらい エリコン機銃:複数ある、おそらく現実の20mmエリコン機関砲、射程は二キロいかないぐらい 「キングジョージⅤ」級が装備しているはずの40mm8連装ポムポム砲は装備しているか不明 【防御力】自身の十六インチ砲に耐える防禦、ボフォース機関砲やエリコン機銃程度では無傷な装甲 十五インチ(三十八センチ)砲に甲板を貫かれボイラーを一基破壊されて二ノットの速力低下 十五インチ砲をほとんどの乗員が死ぬほどボコボコに喰らっても全主砲は稼動可能状態だった 【素早さ】スクリュー四軸で速力三十二ノット、乗員の反応は軍人並、「生命鉄」の反応は常人以上程度 ボイラー一基とスクリュー二軸破壊されても残り二軸で十五ノット出した 生命鉄の意思では自由に移動できない、乗員が操船する 【特殊能力】「生命鉄」は数十キロ先のスクリュー音を聞き取って相手を識別できる。 乗員がほとんど死んだあとでも「生命鉄」の意思で十六インチ砲を相手に撃った。 【長所】九門の十六インチ砲 【短所】所詮は改装戦艦 【戦法】適度な距離を保ちながらガンガン砲撃、なんらかの要因で乗員が戦闘不能になれば生命鉄が砲撃 【備考】「キングジョージⅤ」級をストレッチした船体に「アイオワ」級と同じ主砲を搭載している。 主人公と対戦して相打ちで海の藻屑となった 20スレ目 364 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/21(月) 12 26 35 ID UavH1OJE エンキドゥ考察。 凄王に勝てるか負けるかで位置決まるかな? 描写の差からエンキドゥ>凄王、ぐらいか。 .
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8インチ沿岸砲 目次 武装 解説 史実 コメント 武装 座席 タイプ プライマリ 弾数 セカンダリ 弾数 1番席 射撃手 8インチ砲 無制限 無し 無し 解説 未編集 史実 未編集 コメント コメントは最新10件が表示されます。 (過去のコメントを参照) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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【エンキドゥ】 【設定】「生命鉄」 珪素生物の鉄バージョン、生きて意思を持った鉄、知性は人間以上 寿命数百万年で性別は無い、移動速度は何百万年もかけて数ミリ程度 生命鉄が生命を持たない普通の鉄と触れたり混ざることでただの鉄に意識が充満して増える 個体の概念がなく、なんらかのかたちで生命鉄同士がひとつに融合すると一つの生命鉄になる (例えば溶かして混ぜたり、鉄の部品を複数組み合わせたり、血溜まりに鉄パイプが落ちたり) 塊を割ると割った瞬間に「彼ら」になる、意識の分割・統合が可能 分解されたり、太陽に呑み込まれ気体になっても生きている 人間の血液のヘモグロビンに同化して人間の意識と同化(知識の供与等)もできる、影響が強いと「血の気が多い人」になる 刀であれば切れ味の鋭い妖刀になる、車の一時的な運転、戦艦であれば自分で砲を稼動させて撃てる。 生命鉄を身に着けている人間一人程度なら数秒、空中を何度か飛ばせる、テレパシーあり ナイフ程度の質量でも数キロ級の宇宙船の循環炉で分解吸収されたときに宇宙船と同化して乗っ取った 【作品名】鉄の由来(第四話 咆哮伝説) 【ジャンル】小説 【名前】エンキドゥ 【属性】「生命鉄」が宿った米英混血の生きた不沈戦艦 【大きさ】改装した「キングジョージⅤ」級の六万トン近い戦艦並、おそらく全長227.2m 排水量で上回るのは「大和」級だけらしい 【攻撃力】 十六インチ(四十センチ)砲:「アイオワ」級の砲を三基の砲塔に九門搭載している、射程3万8000m 作中では数十キロ~十数キロの距離で砲撃しながら接近、最終的には舷をこすりそうな距離でゼロ距離射撃 同クラスの戦艦と相打ちに。巡洋艦を瞬時に二つに折る威力 着弾の衝撃はかなりあり、同クラスの戦艦と数十発ほど撃ち合いをしたら衝撃で 互いの艦内の乗員のほとんどが潰れた。 艦の被害が少なくても乗員が潰れる衝撃を艦内部に発生させる。 五.二五インチ砲:高角砲兼用五.二五インチ砲、素早く速射可能らしい おそらく現実の13.3cm連装両用砲と思われる、対艦・対空兼用の砲、発射速度は毎分7~8発 最大射程は仰角45度で射距離21,397 m、最大仰角70度で高度14,935 m、全8基の16門? ボフォース機関砲:複数ある、おそらく現実の40mmボフォース機関砲、射程は四キロいかないぐらい エリコン機銃:複数ある、おそらく現実の20mmエリコン機関砲、射程は二キロいかないぐらい 「キングジョージⅤ」級が装備しているはずの40mm8連装ポムポム砲は装備しているか不明 【防御力】自身の十六インチ砲に耐える防禦、ボフォース機関砲やエリコン機銃程度では無傷な装甲 十五インチ(三十八センチ)砲に甲板を貫かれボイラーを一基破壊されて二ノットの速力低下 十五インチ砲をほとんどの乗員が死ぬほどボコボコに喰らっても全主砲は稼動可能状態だった 【素早さ】スクリュー四軸で速力三十二ノット、乗員の反応は軍人並、「生命鉄」の反応は常人以上程度 ボイラー一基とスクリュー二軸破壊されても残り二軸で十五ノット出した 生命鉄の意思では自由に移動できない、乗員が操船する 【特殊能力】「生命鉄」は数十キロ先のスクリュー音を聞き取って相手を識別できる。 乗員がほとんど死んだあとでも「生命鉄」の意思で十六インチ砲を相手に撃った。 【長所】九門の十六インチ砲 【短所】所詮は改装戦艦 【戦法】適度な距離を保ちながらガンガン砲撃、なんらかの要因で乗員が戦闘不能になれば生命鉄が砲撃 【備考】「キングジョージⅤ」級をストレッチした船体に「アイオワ」級と同じ主砲を搭載している。 主人公と対戦して相打ちで海の藻屑となった 6スレ目 908 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2007/09/16(日) 08 50 03 ふと思ったがエンキドゥはゴジラに大砲連射で距離取ってれば勝てるな。 対戦ログでも負けてないし。ランドール以上は乗り込まれそうで無理だが。 5スレ目 507 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 22 46 03 エンキドゥ ○ギタイ>コジラ>桜リオレイア>ゼットン 砲撃勝ち △渾沌=ネロ・カオス>朱鷺宮神依 倒せない分け ○クラウザー 砲撃勝ち △ガニシュカ=ナナシ 倒せない分け ○ブルータルウルフ=グリード>OT-3>雪代縁 砲撃勝ち ×九条神 エクスプロージョン負け △ルカ・ブライト=T-X>T-1000 倒せない分け ○戦士 砲撃勝ち ×浅上藤乃=月島拓也=島鉄雄>広瀬雄一>玄霧皐月 負け ○コト>ハスター>アナコンダ伯爵>デビルプルトー>ドラパパ>ガガ竜>クトゥルフ 砲撃しまくって勝ち GODZILLA>エンキドゥ>ギタイ
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武器名 LV コスト 威力 弾数 リロード時間 射程 備考 交換 【砲】30サンチ砲A LV1 +100 3 10発/1発 8秒 650m ダウン値0硬直なし仰角調整不可 Ⓡ15枚Ⓟ10000枚 LV2 +150 4 lv1×5 LV3 +200 5 lv1×10
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9月9日 午後9時 エイレーンの森 東方軍集団の司令官であるルーゲラー騎士元帥は、しきりに時間を気にしていた。 この日、バーマント軍の東方軍集団は、7万以上の大兵力を注ぎ込んで、米軍3個師団が守る防衛線を攻撃した。 だが、航空支援のないバーマント地上軍は非常に苦しい戦いを強いられた。 米機動部隊、陸軍航空隊、海兵隊航空隊の戦闘機、爆撃機は入れ替わり、立ち代り襲い掛かってきた。 そして航空攻撃に数を減らされながらも、やっとのことで米軍陣地にたどり着いた部隊にも 猛烈な砲撃、弾幕射撃が待ち受けていた。 苦闘5時間の末、7万の突撃部隊はあっけなく壊滅してしまった。 あまりの損害に驚いたルーゲラー元帥は昼間の攻撃を中止し、夜戦で新たに勝負を決めようと考えた。 理由は敵機の行動が無くなるからである。 夜戦の開始時刻は9時20分。攻撃部隊は新たに到着した第16軍を中心に行われる。 第16軍は4個師団が全て騎兵と言う、機動力に長けた軍で、過去に所属していた グランスプ軍団でも数々の戦果を収めている。 「第16軍を中心に野戦を行えば、今度こそ、敵異世界軍陣地を全て突破できる。」 ルーゲラーはそう確信している。 何しろ、圧倒的不利な状況で戦った昼間の味方部隊も、最終的には米軍陣地に突入して少なからぬ被害を与えている。 航空機の支援が出来にくい夜間ならば、戦果は格段に上がるだろう。 攻撃中止の時は憂鬱そうな表情を浮かべていたルーゲラーは、今では元の自信に満ちた表情に戻っている。 「早く攻撃が待ち遠しいですな。」 参謀長が軽い口調で声をかけてきた。 「うむ。今度こそ、我が軍自慢の騎兵軍団で目に物を見せてやるわ。」 彼は居丈高にそう言った。 その直後、窓の外から青白い光が差し込んできた。 「ん?何だ?」 不審に思った参謀長が首をかしげる。 「敵の飛空挺の攻撃か。」 ふと、ルーゲラーはそう思った。 敵の飛空挺は照明弾の明かりを元に、森に空襲をしかけるのだろう。 「ふん。上空からは下の様子が見えないのに、どうやって狙うのだ?」 彼は米軍の攻撃のやり方に対して、嘲笑を浮かべる。 「司令官!敵の飛空挺が照明弾を落としました!」 「わかっておる。だが、ここは鬱蒼とした森に覆われた森の中だ。爆弾を落としても正確には狙えまい。」 微笑みながらそう言う。それから20秒立った時、何かの空気を切るような音が聞こえた。 「この音」 最後まで言い切ろうとした瞬間、ドガーン!という腹に応えるような音が鳴った。 衝撃でテーブルがガタガタ揺れる。 「な、何だ!?」 幕僚の1人が仰天した表情でそう喚いた。その直後、通信兵が血相を変えた表情で入ってきた。 「ルーゲラー司令官!ザラーク要塞から緊急信です。内容は、敵軍艦10隻現れ、以上です!」 「それだけか?」 「はい。恐らく、発信中に戦死したものと思われます。」 その時、シュウウゥーという音が聞こえ、南側のほうからドドーン!という雷が落下したような音が鳴り響いた。 「戦艦を突っ込ませる?」 インディアナポリスの司令部幕僚は、誰もが素っ頓狂な声を上げた。 「そうだ。」 スプルーアンスは、地図のとある部分を指差した。 そこは、サイフェルバン南西部にあるザラーク湾である。 「ここザラーク湾は、幅が約2マイルある。潜水艦部隊の調査によると、 水深も湾から500メートル部分までは大型艦が停泊できる深さがある。」 「しかし、このザラーク湾の西側には要塞砲があります。我々はここを叩くにしても、 戦略的な価値はないからここはパスしていましたが、この要塞には70~200門の砲台があり、 近づくのは少々危ないような気がします。」 フォレステル大佐が異を唱える。 「私も同感です。ザラーク要塞には7センチから13センチ、大きいものでは26.5センチという 大型の要塞砲も存在します。いくら戦艦を突っ込ませても、無傷ではすまないと思われます。」 レイムも待ったをかける。しかし、スプルーアンスの意は硬かった。 「では、諸君らは地上軍の兵が、バーマント兵の凶刃に倒れる事を望むのかね?」 スプルーアンスは、その怜悧な双眸で周りを見回した。 作戦室の中は、雰囲気が凍りついたように静まり返る。 「確かに、正攻法もいいだろう。しかし、戦いはとは常に流動的なものだ。 被害に恐れをなした敵軍の司令官が攻撃を一旦中止して、航空作戦の取れにくい 夜間に地上部隊を突っ込ませるかもしれない。我が地上軍は優秀だし、敵に屈しないだろう。 だが、味方にも多大な損害が出るに違いない。」 スプルーアンスの言葉に、皆が真剣に聞き入っている。 「それを未然に防ぐためにも、敵の指揮を落とす必要があるのだ。 今回、なぜ私が戦艦を突っ込ませようとしたのか、感付いているものもいるかもしれんが」 スプルーアンスはコンパスを取り、ザラーク湾を中心にして円を描いた。 その大きな円は、エイレーンの森も範囲内に入っている。 「これは、我が戦艦の射程距離、22マイルの範囲内だ。範囲内には、我が3個師団に攻撃を 仕掛けたと思われる、突撃部隊の出発位置も入っている。我々はこの、敵軍の司令部が駐屯している エイレーンの森を、艦砲射撃で叩き潰す。航空機でやったほうがいいと、諸君らは思うだろう。 しかし、リーソン魔道師が言うように、奥は鬱蒼とした森に覆われている。 それでは爆撃しても、効果が上がらないだろう。それならば、軍艦の砲弾を撃ち込むしかない。」 「榴弾砲はどうです?ロングトムなら、森を狙えると思いますが。」 「確かにそうと思うだろう。だが、ロングトムの6インチ砲は榴弾だ。 榴弾では木々に当たっても上で爆発してしまう。だが、分厚い装甲を打ち抜くように作られている、 我が戦艦の主砲弾なら効果はもっと上がるはずだ。」 「なるほど・・・・確かに。」 デイビス少将は頷く。その後、色々議論が交わされた末、戦艦部隊のザラーク湾突入が決定された。 午後8時40分 ザラーク要塞 ここザラーク要塞は、3年前にヴァルレキュア軍の侵攻に備えて建造された施設だ。 この要塞は、ザラーク湾西側の断崖を削って作られており、岩肌から多くの大砲が、 来るべき外敵に備えて海上を睨んでいる。 ザラーク要塞の真ん中側、13センチ砲の2番砲を受け持つ、ジィルウッド騎士軍曹は、 あくびをかいていた。 「敵の野郎、内陸ばかり攻撃してこっちには見向きもしねえぜ。」 傍らにいる同僚が、皮肉そうな口調で言ってくる。 「暇だよな~。」 「全くだ。それとも、俺達を恐れて向かってこないんじゃないのか?」 「だとしたら、敵は腰抜けだな」 そう言うと、2人はハッハッハと笑いあった。7月のサイフェルバン攻略戦の時には、 米艦隊はこの要塞にも来ると、何度も現地指揮官に言われていた。 だが、待てども待てども、敵は全く現れなかった。 そればかりか、敵異世界軍はこの要塞を無視して、サイフェルバンの攻略を推し進めた。 サイフェルバンが占領された8月上旬には、この要塞に配置されていた9センチ砲30門が東方軍集団に回されてしまった。 何人かは反対の意見が出たものの、 「どうせ敵はこっちには見向きもしていないんだ。持っていくのなら全て持っていくがいいさ。」 と、ジィルウッド軍曹は疲れたような口調でそう言ってきた。 そして現在、敵も全く来ないこの要塞で、彼らは暇な警戒任務についている。 「そういえば、俺たちは近く、東方軍集団に編入されるらしいぞ。」 「それは本当か?」 ジィルウッドはそう質問する。 「ああ。なんでも、3時間前に東方軍集団の参謀が来て、ここの大砲を 全て取っ払って急増の砲兵軍団にするそうだ。」 「へえ~、そいつは面白そうだな。俺は普段から、調子に乗っているアメリカ軍とやらが 気にいらねえんだ。そうか、砲兵軍団か。」 彼はうんうんと頷きながらそう呟いた。この噂はあちらこちらで広まっている。 退屈な要塞任務に辟易としていた彼らだが、やっと自分達にも働きどころが出来たか、と満足していた。 「それなら、大砲で敵異世界軍を吹飛ばせるな。で、準備はどれぐらいかかるかな?」 「さあなあ。まあ短くても3週間はかかるんじゃないか?長くても1ヶ月ぐらいだな。」 「なるほど。実戦が楽しみだな。」 ジィルウッドはにやりと笑みを浮かべた。 その時、遠くから何かの音が聞こえてきた。飛空挺が真上を通り過ぎていく音である。 何だ?と、誰もが思った時、いきなり上空に青白い閃光が走った。その光は、ゆらゆらときらめいている。 「照明弾!?」 彼はすかさずそう思った。その時、 「海上に不審船!距離およそ、9000!」 のぞき穴から海上を見張っていた見張りが、突然不審船発見を報告してきた。 「不審船だと?なぜこんなところに・・・・・もしや、異世界軍!?」 彼がそういった直後、1隻の不審船から閃光が走った。 しばらくすると、600メートル南側の第1砲台群の付近から爆発音と衝撃が伝わった。 「敵だ!敵がやってきたぞ!おい、砲撃の準備だ、急げ!!」 彼は慌てて部下に砲戦の準備をさせた。普段から訓練しているため、動きは良い。 だが、準備している間にも、第1砲台群の付近に敵の砲撃が殺到しつつある。 準備開始から1分後、13センチ砲に弾が込められた。 「装填よし!」 ジィルウッド軍曹は射手兼、照準手を勤めている。照準の中に黒々とした軍艦が見える。 2つの砲塔らしきものと、その後ろに先鋭的な艦橋、そして2本の煙突が見える。 ごつごつとしつつも、スマートで、力強さを感じさせる。 軍曹は知らなかったが、その軍艦は重巡洋艦のニューオーリンズだった。 「照準よし!発射!」 彼は引き金を引いた。ズドォーン!という轟音と共に砲弾が飛び出した。 弾はニューオーリンズの手前、1000メートルに落下した。 他の砲台からも砲撃が始まった。先頭艦のニューオーリンズに弾着が集中する。 だが、どれもこれも外れだった。1発もかすってすらいない。 「くそ、ハズレだ!次弾装填!」 「敵軍艦は10隻以上、敵艦からの砲撃は熾烈!」 この時、米艦隊はニューオーリンズを先頭に重巡洋艦ミネアポリス、サンフランシスコ、 軽巡洋艦のマイアミ、ヒューストン、ビンセンズが主に砲撃を行っている。 6巡洋艦の後方には、戦艦インディアナ、アラバマ、ノースカロライナの3戦艦が続航している。 ニューオーリンズはしょっぱなから9門全てを使って、断崖沿いの砲台群を撃ちまくった。 最初は見当ハズレの所に命中したが、2斉射目で7センチ砲群のど真ん中に命中。 3斉射は砲弾の1発が砲戦用の穴から進入して施設内部で炸裂、この砲台の弾薬庫が誘爆起こした。 これに追い討ちをかけるかのように、残る5巡洋艦も砲弾を叩きつける。 特に激しく撃ちまくったのが、クリーブランド級軽巡の属する3艦で、6インチ砲12門を急斉射で相当数を発砲している。 普通なら20秒おきに斉射だが、急斉射になると、15~10秒おきの発砲となる。 マイアミ、ヒューストン、ビンセンズが発砲を開始してから5分が経ったが、3艦だけで合計600発を第1砲台群に叩き込んでいた。 それに両脇を固める駆逐艦も砲撃に加わったため、第1砲台群はたちまち、多数の砲弾を浴びせられる事になった。 そして砲戦開始から7分後に、第1砲台群70門の各種大砲は、一方的に撃ちまくられて壊滅してしまった。 「第1砲台群が壊滅しました!」 「早すぎるぞ!!」 「敵の大砲の発射速度が速いんだ。これは大変な事になったぞ!」 要塞内の兵は、半ば恐慌状態に陥っていた。 「ぐずぐずするな!さっさと弾を込めろ!」 ジィルウッド軍曹は先ほどからのそのそとしか動かない部下達を叱咤した。 そして8発目を放った。 砲弾はニューオーリンズの中央部に命中した。 「やった!命中だぞ!」 ニューオーリンズの艦体に命中弾を認めた彼は、思わず歓声を上げた。 「次だ!急げ!!」 ニューオーリンズも、彼が所属する第2砲台群に向けて射撃を開始した。 時速18ノットの低速で、照明弾に照らされた砲台群に照準を合わす。 9門の8インチ砲が吼えた。 「発射!」 ドーン!という発射音がした直後、猛烈な衝撃が、頑丈な要塞内を激しく揺さぶった。 「3つ隣の13センチ砲台がやられました!」 「畜生、やりたい放題やりやがって!」 ジィルウッドは忌々しげに呟いた。 その時、繰り返し起きたニューオーリンズ付近の弾着に、新たに3つの異なる閃光が走った。 水柱が晴れると、ニューオーリンズは中央部と艦首から黒煙を吹き上げていた。 「敵艦火災発生!ですがまだ健在です!」 「なら健在じゃなくするぞ!」 13センチ砲に弾が込められ、照準を合わせる。そして引き金を引く。 強い衝撃と共に砲弾が放たれる。 要塞側にも次々と命中弾が出て、多くの砲が沈黙に追い込まれている。 軍曹の放った砲弾は、ニューオーリンズの前側の煙突に命中した。 根元で炸裂した砲弾は、あたりを滅茶苦茶に叩き壊して、煙突を右舷側に傾斜させる。 ニューオーリンズも健在な8インチ砲9門を振りかざして、砲撃を続ける。 「敵2番艦にも火災発生!」 集中射撃を受けているのはニューオーリンズとミネアポリスである。 この時点で、ニューオーリンズは6発、ミネアポリスには3発の砲弾が命中している。 ニューオーリンズが新たな砲撃を行った、と思った瞬間、これまで以上の水柱が立ち上がった。 第3砲台群の9門の26.5センチ砲が砲撃を行ったのだろう。 水柱が晴れると、ニューオーリンズに異変が起きていた。 なんと、艦前部の前側の砲塔が叩き潰されているではないか! ニューオーリンズは第1砲塔を敵の大口径砲弾によって叩き潰されており、 左舷を向いていた3門の8インチ砲は、いずれも飴のように捻じ曲げられていた。 「敵は大怪我を負ったぞ!このままいけば叩き沈められるぞ!」 ジィルウッド軍曹は感激した口調で喚いた。 行けるぞ!彼は弾が込められた事を確認すると、ニューオーリンズ向けて新たな射弾を送った。 その直後、ドガーン!という轟音が間近で鳴り響く。 ジィルウッド軍曹は、部下と共に飛び込んできた8インチ砲弾に吹飛ばされてしまい、 何事かと気付く前に、意識は強引にかき消される。 彼の砲台は、誘爆を起こして崩れ去っていった。 重巡洋艦サンフランシスコ艦長のアルア・リットマン大佐は、左前方5000メートル付近で 一際大きな閃光が走ったのを確認した。 「敵要塞、第3砲台群に大口径砲あり!数、約8ないし9!」 その閃光を確認した見張り員が艦橋に報告してきた。 先の被弾で、黒煙を吹き上げるニューオーリンズの周囲に水柱が立ち上がった。 第3砲台群は、7センチ砲8門、13センチ砲12門、26.5センチ砲9門で構成されている。 そのうちの26.5センチ砲9門の砲弾が、一斉にニューオーリンズに襲い掛かってのである。 周囲に上がった水柱の中に、また1つ命中弾の閃光が走った。 この時、26.5センチ砲弾はニューオーリンズの左舷中央部に命中し、第2甲板で炸裂した。 この炸裂で中央部の兵員室が滅茶苦茶にされた。 しばらくすると、火災が発生し、区画の周りを炎が蹂躙しようとする。 そこにダーメージコントロールチームが早々と到着し、炎との格闘を始める。 だが、ニューオーリンズは先頭を譲ろうとしない。 健在な6門の8インチ砲を向けて、尚砲撃を続けている。 これを援護するかのように、後続のミネアポリスとサンフランシスコ、 軽巡マイアミ、ヒューストン、ビンセンズも、生き残りがいる第2砲台群に向けて砲撃を続けた。 第2砲台群もまた、敵に負けじと必死に応戦する。 ガーン!という衝撃がサンフランシスコの艦橋を揺さぶった。 お返しだ、と言わんばかりに、9門の8インチ砲が咆哮する。 偵察機が繰り返し投下しる照明弾に、うっすらと断崖に作られた砲台が見える。 その砲身の周囲に砲弾が炸裂する。 「左舷40ミリ機銃座1基破損!それ以外は被害なし!」 「敵砲台、4基沈黙!」 「マイアミに命中弾!」 様々な報告が一気に寄せられる。状況はめまぐるしく変わりつつあった。 第2砲台群は、第1砲台群よりもしたたかであったが、6巡洋艦の8インチ、 6インチの集中射撃を受けてはひとたまりもない。 砲戦開始から20分、第2砲台群は粘ったが、最終的には壊滅してしまった。 「旗艦ニューオーリンズより、砲撃部隊へ、目標、第3砲台群。」 ニューオーリンズから各艦に向けて通信が入る。 ニューオーリンズの砲撃部隊司令官、バーケ少将は、新たな砲撃目標に対して砲戦開始を命じた。 「さて、次はあいつだな。」 リットマン大佐は、依然として砲撃を続ける第3砲台群を見つめた。 「照準よし!」 艦橋に報告が入る。一旦休められていた砲が、また再び咆哮した。 8インチ砲24門、6インチ砲36門、護衛駆逐艦の5インチ砲20門が一斉に打ち出される。 そして、後方で戦闘を見守っていた戦艦群もついに砲撃を始めた。 前部主砲塔のみながら、18門の16インチ砲の咆哮は、ザラーク湾を圧した。 砲撃を続ける第3砲台群の断崖に、無数の砲弾が命中する。 その直後に4つの巨大な爆発が沸き起こった。 16インチ砲弾4発が命中したのである。残りは断崖の上で炸裂した。 この第1斉射で、バーマント側は7センチ砲2門、13センチ砲4門、 26.5センチ砲5門を破壊されてしまった。 生き残ったバーマント側も撃ち返す。 射弾は、先頭のニューオーリンズと、2番艦ミネアポリスに降り注いだ。 この頃には、バーマント側も砲の命中精度が上がっており、7センチ砲弾1発、 13センチ砲弾2発がニューオーリンズに、13センチ砲弾2発、26・5センチ砲弾1発がミネアポリスに命中した。 さんざん撃ちまくられたニューオーリンズは、合計で19発の命中弾を受けている。 その中には戦艦クラスの26.5センチ砲弾も3発含まれている。 艦の損害レベルは大破の域に達している。 だが、6門の8インチ砲は健在で、今でも第3砲台群に砲撃を続けている。 ミネアポリスも7発の砲弾を受けているが、こちらは今しがた、 中央部に26.5センチ砲弾が命中して、大火災が発生している。 しかし、ダメージコントロールチームの決死の消火作業のお陰で、延焼は避けられた。 お返しだとばかりに、米艦隊が砲弾を叩きつける。 8インチ砲は急斉射で20秒~17秒、6インチ砲は15~10秒の発射速度で撃ちまくる。 これに駆逐艦の5インチ砲弾、戦艦の16インチ砲弾も加わるからたまらない。 砲台の中に飛び込んだ砲弾が内部で炸裂し、中の人員もろとも砲を破壊する。 たちまち人員を皆殺しにされてその砲は沈黙を余儀なくされる。 かと思えば、とある砲台は、16インチ砲の爆発で崩落した岩の塊に砲身を叩き折られ、 あっと言う間に戦闘不能に陥ってしまった。 また、とある砲台は、砲弾の連続した絶壁での炸裂に天井の強度が限界に達し、 砲撃を行っている人員の上に何十トンという膨大な崩落が起きて、あっという間にあの世送りとなる。 米艦隊の猛砲撃は、第3砲台群との戦闘開始からわずか10分で、16インチ砲200発、 8インチ砲600発、6インチ砲1700発、5インチ砲も含めると、 合計で4800発以上を第3砲台群に叩き込んだ。 そして第3砲台群からは、2度と発砲炎が見える事はなかった。 戦艦ノースカロライナは、ザラーク湾の海岸より2000メートル離れた位置で停止した。 そして後続の戦艦、インディアナとアラバマも、それぞれ700メートルの間隔を取って停船した。 停船と言っても、いつでも動き出せるように缶の圧力は高めている。 戦艦群の両脇には、護衛の巡洋艦、駆逐艦が辺りに目を光らせている。 「それにしても、巡洋艦部隊は派手に撃ちまくったな。」 艦長のフロック・サイモン大佐が副長に向かって言う。 「ええ。通信によれば、巡洋艦、駆逐艦部隊は砲弾の残弾が残り少ないようです。」 「そうか・・・・だが、あれだけ巨大な要塞だったんだ。 あんなのを静かにさせておくには、この方法が一番だったのだ。」 今回の作戦で、サイモン大佐は戦艦部隊が先頭に立って前進すると思い込んでいた。 砲撃部隊司令官のバーケ少将は、巡洋艦部隊を先頭にすると決めた。 彼は疑問に思って彼に聞いてみた。 バーケ少将の言い分によると、戦艦は大口径の大砲を積んではいるが、その分発射速度が遅い。 そうなると敵の集中砲火を一身に受けてしまう。 それよりかは、頑丈な戦艦と比べてやや貧弱だが、発射速度の速い巡洋艦部隊を先に進めて、 砲の発射速度で敵を圧倒したほうが良い。と、バーケ少将は言っていた。 最初、サイモン大佐は不満だったが。結果を見るとバーケ少将の考えが正しかった。 重巡洋艦のニューオーリンズが大破し、ミネアポリスが中破する損害を受けたものの、 バーケ部隊の巡洋艦は、見事に砲戦力で圧倒し、巡洋艦、駆逐艦のみで敵第1、第2砲台群を叩き潰している。 「さすがはソロモン帰り。本国勤務ばかりだった私とは違う、と私は思ったよ。」 「バーケさんは昔からの巡洋艦乗りですからね。」 副長はそう相槌を打つ。彼の言うとおりバーケ少将は、ガダルカナル、ソロモン沖で数々の 海戦を巡洋艦の砲術長として参加している。ヘレナが魚雷で沈没した時も、バーケはヘレナで砲術長を勤めている。 サイモン大佐と副長が話し合っているその時、遠くの陸地から青白い光が浮かび上がった。 双眼鏡で覗いて見ると、下のほうにうっすらとだが、木々が見える。 「左砲戦、距離9マイル。」 「左砲戦、距離9マイル、アイサー!」 復唱の声が上がる。少し時間が経ち、9門の16インチ砲が左舷を向く。 左舷を向くと、それぞれの砲身が生き物のように上下に動く。 「撃ち方準備良し!システムオールグリーン(異常なし)」 彼はふと、この砲撃がバーマントの歴史を変えるきっかけとなるのでは?と思った。 (いや、細かい事は後だ。今は自分の仕事に集中するんだ) 彼は、そう思って振り払った。 「撃ち方はじめえ!」 サイモン大佐は号令した。ドドーン!という音と共に各砲塔の1番砲が咆哮する。 後続のインディアナ、アラバマも交互打ち方で発砲する。 時間を置いて、遥かかなたの森の方向に、オレンジ色の光が広がった。 「第1目標付近に至近4。」 その通信の直後に2番砲が発砲する。 そしてしばらく経って、再び森の方向にオレンジ色の光が広がる。 「第1目標付近に命中4。照準、適正なり。」 観測機から次々と報告が飛び込んでくる。 3番砲が咆哮すると、サイモン大佐は新たな命令を発した。 「一斉撃ち方用意!」 砲がしばらく鳴りを潜める。やがて、調整を終えた16インチ砲9門は、一斉撃ち方を開始した。 ドドドーン!という強烈な轟音と衝撃が、ノースカロライナを揺さぶる。 しばらく経つと、森の方向の光は、一層大きなものとなった。 「第1目標に命中弾多数。森方面から数人の敵兵を確認。敵兵は西に逃走しつつあり。」 観測機パイロットの機械的な声が、艦橋に聞こえた。 午前9時7分、東方軍集団司令部 「弾着は、南5キロ先の第12軍司令部に集中しています!」 伝令の声が聞こえた瞬間、新たな弾着が大地を揺るがした。 「敵は大型艦をザラーク湾に突っ込ませ、ここから我が方の陣地や司令部を狙い撃ちにしています。」 「もしや、あの上空を飛んでいる飛空挺を観測員代わりにしておるのか?」 「恐らくそうでしょう。そうでなければ、あのような命中精度は望めません。」 ルーゲラーは、幕僚達の話を聞くと、絶句した。 米戦艦の砲弾が落ち始めたのは9時ちょうど過ぎからである。 夜戦に向けて綿密な計画を練っていた第12軍司令部に、突然16インチ砲弾が落下してきたのである。 最初は第12軍司令部の500メートル南に落下していた。この突然の砲撃に、第12軍司令部はパニックに陥った。 16インチ砲弾は、硬い森の木々を突っ切り、地上に突き刺さってから1秒ほど後に炸裂した。 弾着点の至近にいた将兵は跡形もなく吹き飛ばされ、遠くに離れていた者でも砲弾の破片や、 木々の破片を受けて絶命するものが相次いだ。 次第に弾着は北にずれ始めた。砲撃開始から6分後に、第12軍司令部の木造建築物 (接収したエルフの村長の家)は1発の16インチ砲弾の直撃を受けた。 何の装甲も施されていない司令部は、一瞬にして木っ端微塵に吹き飛んでしまった。 さらに不運な事に、突然の艦砲射撃に状況をつかめないでいた第12軍司令官も、幕僚共々戦死した。 「報告します!第12軍司令部に敵弾命中!司令部職員はほぼ全員が絶望的です!」 「何だと!?」 ルーゲラーは思わず仰天した。まさか第12軍司令部も戦死するとは思わなかったのである。 「司令官!味方兵の一部が後方に逃げつつあります!」 「何?それはいかん。すぐに戻るように伝えろ!敵前逃亡は死刑に処するぞ!」 彼は物凄い剣幕で伝令兵を睨み付けた。睨まれた伝令兵は、蛇に睨まれた蛙のように縮みこんだ。 「すぐに各隊に知らせろ!敵前逃亡を企てるものは即しょ」 最後まで言葉が告げなかった。次の瞬間、ダーン!というこれまでにない爆発音が鳴り響いた。 急な轟音と、猛烈な振動に誰もが飛び上がった。 振動で窓ガラスがバリバリガチャーン!と、けたたましい音を立てて砕け散り、 テーブルに置いてあるコップが床に落ちた。 「くそ、おのれえ。異世界軍め、やりたい放題やりよって!」 ルーゲラーは悔しさのあまり、そう喚き散らした。 「閣下!ここも狙われているかもしれません。急いで避難を!」 幕僚の1人が非難を促した。 「隣の小屋には地下室がございます。そこに我らだけでも非難しましょう!閣下が死なれては、 今後の作戦が出来なくなります。」 「うむ・・・・・・」 彼は非難をためらった。ここで非難しては、今までに戦死した部下将兵に申し訳が立たない。 彼はそう思っていたが、幕僚説得に渋々ながらも応じた。 5分後には、弾着は第8軍司令部の付近まで及んでいた。 16インチ砲弾の炸裂は凄まじいもので、砲弾が落下した付近では、大きな木も容赦なく倒され、 そこにいた将兵を吹き飛ばす。 何もかもが、巨弾に粉砕され、無に返していく。 バーマント軍の空襲に耐えたエイレーンの森も、16インチ砲弾の前にはなすすべもないように見える。 昔から、この森には精霊が住んでいるといわれている。 その精霊が、昔から共に暮らしてきたエルフを叩き出し、勝手に居座ったバーマント軍を憎んでいたとしたら。 そしてそのバーマント軍が居なくなるなら、どんなものを受けても構わないと思うのなら・・・・・ 森はバーマント兵を守らないばかりか、逆に牙をむき出しにしてきた。 16インチ砲弾の爆風で折れた太い枝が、バーマント兵を叩き潰し、あるいは串刺しにする。 直撃を受け、倒れてきた木が少なからぬバーマント兵を潰して大地に轟音を立てて倒れる。 木々の破片を全身に浴びた兵が、苦痛にのた打ち回り、大声で泣きじゃくる。 助けてくれ!置いて行かないでくれ!バーマント兵は逃げる仲間に必死にそう叫ぶ。 だが、その逃げようとした仲間もろとも、落下してきた16インチ砲弾が爆裂し、 負傷したバーマント兵をたちまちあの世送りにする。 森の中は、阿鼻叫喚の巷と化していた。もはや、地獄に等しい状況だ。 バーマント軍第8軍に属する第79歩兵旅団の旅団長は、独断で森からの撤退を命令した。 第79旅団の第1大隊に所属するイリヤ・エルヴィルト伍長は、命令に従って森の中を ひたすら西に向かって逃げていた。 突然、空気を切り裂くような音が耳に聞こえてきた。 (危ない!) 危険を感じた彼女は、咄嗟に地面に伏せた。 次の瞬間、ドーン!という大地震が起きたような猛烈な振動が、地面を揺さぶった。 背中をゴー!という音を立てて爆風が通り過ぎていく。 肩や背中に、砕けた木の木屑がパラパラと落ちてきた。 爆風が止むと、彼女は顔を上げて、再び走り出そうとした。不意に足元に何かが落ちている。 見てはいけないような気がした。だが、好奇心が先立ち、彼女は足元を見た。 なんと、そこには人間の胴体が落ちていた。それも酷い有様である。 「!!」 仰天した彼女は、思わずその場に吐き出してしまった。胃袋の中に残っている物は全て外に出した。 「いや・・・・・死にたくない!」 イリヤはそう言うと、再び走り始めた。 何分走っただろうか、目の前に大き目の木造の建物が見えてきた。 木造の建物の少し離れたところに、小さな小屋みたいなものがある。 そこに人が入っていって、ドアを閉めた。だが、彼女は脇目も振らずにその建物を通り過ぎた。 「どうせ、司令官連中は自分達だけ、安全なところに逃げてるんだわ。あたし達の苦労も知らずに!!」 彼女の心に、ふつふつと怒りが滾ってきた。その時、またもや16インチ砲弾の飛翔音が聞こえてきた。 それもかなり近い。 「どうしてこんな目に!」 彼女は忌々しげにそう呻きながら、すかさず伏せる。 その瞬間、ドゴーン!という雷が間近で爆発したような轟音が鳴り響いた。 爆風に体が吹飛ばされ、イリヤは何かに体をぶつけて意識を失った。 彼女は知らなかったが、この時、東方軍集団司令部の付近に4発の16インチ砲弾が落下してきた。 そのうちの1発が司令部の建物と小屋の間で落下、1秒後に炸裂した。 爆風をもろに浴びた小屋と建物は、あえなく吹き飛ばされた。 それだけでなく、地下室で息を潜めていたルーゲラーらも、土と一緒に巻き上げられてしまった。 その命中箇所には、直径14メートルのクレーターが開いており、小屋はちょうど8メートル付近に位置していた。 当然ルーゲラーらも吹き飛ばされ、幕僚共々、戦死した。 おい・・・・起きろ・・・・・ 誰かの声が聞こえる。何だろう?遠くに居るのかな? おい・・・・・おい・・・・・・おい!! その声が明瞭に聞こえたとき、彼女は激痛で目が覚めた。 「うっ!」 「動くな。しばらくじっとしておれ。」 声の主は、彼女が所属する第79歩兵旅団の旅団長、ギリアルス騎士准将だった。 「左腕とわき腹に木の破片が刺さっている。今から抜くぞ。」 「旅団長・・・・みんなは・・・・仲間は、どうなりました?」 「詳しい事は知らん。だが、何人かは確実に西に逃げ延びたろう。それは確実だ。」 ヒゲ面の旅団長は、そう言いながら、そっと左腕に触れ、一気に木の枝を引き抜いた。 「ぐっ・・・・ああっ!」 激痛が前進を駆け巡る。しばらくは痛みが脳の思考を占領し、鼓動が早くなる。 しばらくすると、落ち着いてきた。体中がびっしょりと汗をかいている。 「そういえば・・・・あの司令部の建物は・・・・どうなりました?」 「建物か?ああ、あの建物なら綺麗さっぱり吹き飛んだ。司令部の連中と共にな。」 「え?」 彼女は間の抜けた声を漏らした。ギリアルスは今度は腹に刺さっている枝を抜こうとしている。 「さっき、ルーゲラー閣下の死体を見つけた。バラバラだったよ。」 「そ、そんな・・・・」 彼女は、言い知れぬショックに打ちのめされた。わき腹の木の枝が抜けた。 痛みは、なぜか先ほどとは違ってあまり感じられなかった。 米戦艦群の砲撃は、1時間半に渡って行われた。 砲撃を受けた箇所は、南北28キロ。この28キロには、各攻撃軍団の司令部も入っていた。 米戦艦は3隻合計で1890発の16インチ砲弾を発砲した。 砲撃は32キロ地点を満遍なく叩くようにして行われた。 この砲撃で第12軍、第8軍司令部が吹き飛ばされ、第12軍司令部、東方軍集団司令部は全滅した。 他にも、兵員の戦死は2080人、負傷者3000人を超えた。 そして東方軍集団司令部全滅の報は、瞬く間に攻撃部隊全軍に知れ渡り、 バーマント東方軍集団将兵の戦意を絶望的なまでに低下させてしまった。