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※スレでみんなが凄い勢いでゆっくりをペットボトルに詰め込んでいるのに触発されて書きました ※独自設定垂れ流し 「やっべぇ、早く帰らないと……!」 飲み会のあと、先輩の手伝いで研究室への缶詰という逆らいがたい流れ。その激流に飲ま れ、俺は実に一週間も家を空けるハメになった。 なんてことだ。 家には手塩にかけて育てたゆっくりがいるというのに。 それも、普通のゆっくりじゃない。ペットボトルの中に住む、「ぺっとぼとゆ」なのだ。 ぺっとぼとゆ 喋ることができ、見た目もある意味かわいい生首饅頭不思議ナマモノ、ゆっくり。 ペットとして一時ブームになったが、すぐつけあがるその身の程知らずの傲慢さは問題に なった。結果、野良が大量に発生し、一時は社会問題になったほどだ。 そんな中、ゆっくりの商品価値はその生態を制限したインテリアに見いだされた。 その一つの成功例が、「ぺっとぼとゆ」だ。 名前の通り、仕組みは簡単。ペットボトルの中でゆっくりを飼うのだ。 「ぺっとぼとゆ」は、購入時は赤ゆの状態でペットボトルに封入されている。ペットボト ルの中は特殊な保存液で満たされており、それを抜かない限り赤ゆが目を覚ますことはな い。カタログによればその状態で三年程度保存が効くらしい。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 保存液を抜くと、赤ゆは目覚め、ゆっくり特有の挨拶をする。 餌は細長いスポイトを使い、専用の溶液を与える。 「ちゅーぱ、ちゅーぱ、ちあわちぇー!」 餌用の溶液には成長抑制剤が入っているから、赤ゆっくりはそれ以上育つことがない。 溶液を与える量さえ間違えなければ、うんうんやしーしーの類を出すこともほとんどない。 また、ペットボトルという狭い空間で生きる「ぺっとぼとゆ」は、体力の消費も極めて少 ないから餌もたまに与える程度で済む。 「ゆ~♪ ゆ~♪ ゆっくちしちぇいっちぇね~♪」 「ぺっとぼとゆ」にできることと言えば、せいぜい歌うことぐらい。 それだって煩わしければ、ペットボトルの蓋を閉めれば静かになる。 跳ね回って部屋を散らかすこともない。飼い主をいらだたせる元となる声も簡単に封じる ことだってできる。 ゆっくりのうざかわいさだけを、好きなときに好きなだけ楽しむことができる。まさに理 想のインテリアなのである。 そうした制約に縛られることで、ゆっくりはようやく人との生活の中で問題なく生きるこ とのできる場所を得た、というわけだ。 だが。 制約があれば、その中で精一杯挑戦したくなるのが日本人というものだ。 俺もご多分に漏れず、この「ぺっとぼとゆ」に対してひとつの挑戦をしてみた。 だれしもが一度は考えること。 「ぺっとぼとゆ」は、どこまで大きくなれるのか。 「ぺっとぼとゆ」がかわいくなって、ペットボトルを切り開いて外に出してやる飼い主も いるというが、そんなことに興味はない。 俺が試したのはペットボトルの中で「ぺっとぼとゆ」がどこまで大きくなるか、だった。 さっそく「ぺっとぼとゆ」のれいむタイプを購入。 与える餌は成長促進剤を混ぜたオレンジジュース。オレンジジュースはゆっくりにとって 万能の妙薬であるし、吸収率も極めて高いから、不要物としてうんうんやしーしーを排出 することはほとんどない。 「おにいざん、とどがないようう! あまあまのまぜでよぉぉ!」 オレンジジュースはゆっくりの届くギリギリの高さから与えた。こうすることによって、 れいむは懸命に身体を伸ばした。 基本的にゆっくりは食べることに全力を費やす。まして甘いオレンジジュースならなおさ ら必死になる。 俺のもくろみは成功し、「ぺっとぼとゆ」のれいむは身体を伸ばし、ペットボトルの形に 合わせて成長した。透明なペットボトルの中、みっちりとスキマ無く膨らみ、それでいて その口はペットボトルの口のほうにあるから餌を与えることもできる。その気になれば破 裂するまでいけるかもしれない。。 あとは友人連中に見せて笑って、そのあとは……まあ、捨てるぐらいしかないだろう。 そんな風に考えていた。 だが、ちょうど成長しきったところで、俺は研究室に缶詰になってしまった。「ぺっとぼ とゆ」は部屋に置いたままで。 「やっぱり腐ってるよなあ……」 ようやくアパートの部屋の前に着いた時。俺はすっかり冷めてし冷静になっていた。 マニュアル通りに育てて「ぺっとぼとゆ」なら生き延びていたかも知れない。しかし、俺 の「ぺっとぼとゆ」はもう普通のゆっくりと同じ、食欲旺盛な状態になってしまっている。 まず生き残ってはいないだろう。 「ただいまぁ……」 憂鬱だ。 なんか、時間をかけてRPGでキャラを育てたのに、セーブデータをウッカリ消してしまっ たような気分だった。 逆に言えば、その程度の落ち込み。所詮相手はゆっくりなのだ。 そんなことを考えながら、玄関に腰を下ろして靴ひもを解く。 そんな時だった。 「おにいざぁん……」 やけにくぐもった声がした。そして。 ぬるり、と。手を、ぬめったなま暖かいものに撫でられた。 「ひっ!?」 立ち上がり、振り向く。 そこには、何もない。ペットボトルが転がっているだけだ。 いや、ペットボトル……? おかしい。こんなもの置いた記憶がない。それにおかしい。そのペットボトルにはなんの ラベルもない。真っ黒で、明らかに中に何かが入っているというのに。 その黒の中に、不意にぎょろりと白いものが浮かび上がった。 丸くて白いそれは、中央に黒い丸があった。 それが、俺を「見た」。 そうだ、これは目だ、瞳なのだ。目と目が合い、俺は恐怖に動けなくなる。 それだけならまだ良かった。 次に見たのは、ペットボトルから伸びる何か。 赤いものがビロビロと伸びている。ぬらぬらと光沢を放ち、しなやかに動くそれ。 直感的に悟った。アレが、先ほど俺の手に触れたのだ。 背筋に怖気が走る。 そして、そいつは再び、言葉を放った。 「おにいざぁぁん……ゆっくりしすぎだよぉぉぉ!」 「うわあああああ……って、おまえれいむか!?」 思わず叫びそうになってしまった。ペットボトルということ、「ゆっくり」と言う言葉が 無ければちょっとしたホラー体験で情けない姿をさらすハメになっただろう。 「いったいどうなってるんだ?」 ペットボトルを持ち上げる。 黒く見えたのは餡子だった。ぐるりと回して見たが、全て黒。皮も髪もリボンもない。 「おにいざぁぁん……おながずいだよぉぉ……」 れいむの声で、なんとなく理解した。 こいつ、飢えのあまり、身体の余分な部分を消化したんだ。 元々ペットボトルにみっちりと詰まっていたのだ。ペットボトル自体が外殻になっていた のだから、皮はいらないことになる。 しかし、なんてでたらめな。 そんな風にしげしげとペットボトルを見回していると、 「おにぃざぁぁん」 いきなりれいむと目があった。 「うわっ!?」 思わずペットボトルを落としてしまう。 ペットボトルはゴロゴロ転がるかと思えたが、すぐに止まった。 ペットボトルの口から出た赤いビロビロ……どうやら、舌らしい。ゆっくりにしても異様 に長いそれが、回転を止めたのだ。 「おにいざん、ひどぉぉい……」 そのまま舌で身体を引きずり俺の方へずりずりと迫ってくるれいむ。 キモイ。 だがなによりキモイのは、先ほど俺を驚かせた目だった。 これが、ペットボトルの中を縦横無尽に動くのである。どうやら皮で固定されることが無 くなって、そして転がって安定しないペットボトルで視野を確保するために進化したらし い。 ぎょろぎょろと忙しなくペットボトルの中を自由自在に動き回る目玉はおぞましいの一言 だった。 なんてことだ。 俺のちょっとしたお遊びがこんな奇怪なクリーチャーを生みだしてしまうなんて。 餡子が漏れさえしなければゆっくりがそう簡単に死なないことは知っていたが、それでも これはないだろう。 「……でもまあ、よく生き残ったなお前」 「おながずいだぁぁぁ……」 まあ、予定はだいぶ狂ってしまったが、これはこれで面白いものができた。 友人に見せて驚かすつもりだったが、これなら夏合宿の肝試しにでも使った方が面白いか も知れない。 となると、ここで死なせるわけにはいかない。 「わかったわかった、ちょっと待ってろ……」 まだオレンジジュースのストックはあったはずだ。賞味期限が少々切れていてもゆっくり 相手なら問題はない。 また舌でずりずり動かれても気持ち悪いので、俺はれいむを手に持って冷蔵庫へと向かっ た。そして、俺は再び驚かされることになった。 「なあ、れいむ……」 「なぁに……おにいざぁぁん……?」 「お前すげーな。これどうやったかやってみせろ。上手くできたらご褒美だ。あまあまを くれてやる」 れいむを床に置く。 すると、驚いたことにれいむは下を伸ばすと逆立ちした。舌の力だけで自重を持ち上げた のだ。驚くべき進化である。 そればかりか、その状態で跳ねた。跳ねて、冷蔵庫にぶつかった。 なるほど。これを繰り返して、こいつは……。 ――冷蔵庫の扉を開けやがったのだ。 冷蔵庫は酷い有様だった。野菜などは食い散らかされている。パックされたりタッパに入 っていたもの、あるいは高い位置にあったものはこのれいむでもどうしようもなかったの だろう、荒らされてはいない。 だが、一週間近く開けっ放しになっていたであろう冷蔵庫の中、それらはとっくに腐って いるに違いない。冷蔵庫からは異臭が漂っている。 「おにぃざぁぁん……おながずいだよぉぉ……」 れいむはひたすらこればかり繰り返す。確かに冷蔵庫の中にはあまり食べ物が入っていな かったし、届く範囲のものしか食べられなかったろうから、お腹は空いているのだろう。 だがなあ、れいむ。お前の腹がからっぽなら、俺の腹は怒りで煮えたぎってるんだよ……! 「よおしいいだろう、くれてやるよ!」 俺は流しのタライの中に、冷蔵庫に残っていたオレンジジュース――さすがにこのれいむ にも開けられなかったらしい――を、景気良く徳用ペットボトル二本分、まとめてぶちま けた。開けっ放しの冷蔵庫の中にあったのだ。どうせもう飲めやしない、もともとれいむ 用に買った物だったし惜しくもない。 そのなかに、俺はれいむをたたき込んだ。 「ぺーろぺーろ、しあわぜぇぇぇ!」 オレンジジュースによる快楽と溺死、二重奏の恐怖を味合わせてやろうと思った。だが、 オレンジジュースの中に沈み込みながらもれいむは実にしあわせそうだった。 ああ、しまった。怒りに頭が回っていなかった。こいつはすでにゆっくりの皮を失ってい るのだから、溶ける心配などないのだ。 そうだ、こいつは進化した。もう普通の虐待は通用しない。 足焼きはだめだ。ペットボトルを直に火にかけるのは環境的に問題がある。 針を刺すのも少々手間だ。ペットボトルはなかなか固い。 殴る蹴るの暴行も、ペットボトルの固さがあっては通常のゆっくりほど効果はないだろう。 下手をすれば俺の方が痛い。 考えあぐねた結果、 「よし、茹でよう」 タライの中身を丸ごと鍋に移すと、火にかけた。 最初から強火だ。 最初こそれいむはしあわせそうにしていたが、すぐに熱くなったらしい。 「ゆげぇぇぇぇぇ! ゆぎょぇぇぇぇ!」 もう普通のゆっくりとは声を出す機能が違うのか、得体の知れない叫び声を上げる。 長い舌で逃れようとするが、鍋はとっくに触れられないほど熱くなっている。舌を伸ばし、 鍋の縁に触れるたびに弾かれたように舌を戻すのを繰り返している。 舌以外の移動手段のないこいつのことだ。 こうなるともうどうしようもない。 「ゆぎょぇぇぇぇぇ! あぢゅいいい! あぢゅいよぉぉぉ! ゆげっ! ゆごっ! ゆ ごげごげぇぇぇぇ!」 それにしてもうるさいし、その声も聞くに堪えない酷いものだ。正直たまんない。 そうだ、うるさい「ぺっとぼとゆ」には正規の対応方法がある。 部屋をちょっと探すと、ペットボトルの蓋はすぐに見つかった。 「ゆぎょげぇ!?」 舌を切り取り、蓋を閉める。 よし、これでばっちりオッケー。 声は聞こえなくなったが、ペットボトル内をぎょろぎょろ動く目玉で苦しんでいるのがわ かる。キモイ。キモイなあ。 でもざまあみろ。人の冷蔵庫をあんなにしやがって。 俺はようやく少しだけ満足し、ホッとする。 安心したところで、自分が致命的な間違いをしているような気がしてきた。 気がついたときには遅かった。 「ゆごげっ……ゆがばばばばあああああ!?」 蓋を閉めたペットボトルを熱したのだ。当然中は膨張し、限界を超えれば破裂する。 ましてや中身は異常進化を遂げたゆっくりなのだ。 膨張もまた異常なものだったらしい。 ペットボトルは、爆発した。 「うわああああっ!?」 ペットボトルの破片でケガをするようなことはなかったものの、俺は頭から餡子を浴びる ハメになった。台所もまた、飛び散った餡子で酷い有様だった。 育てたれいむは爆発、冷蔵庫の中身も全滅、おまけに台所まで汚れてしまった。 ろくなことがなかった。 だが、そんな惨状の中、一つだけ俺を慰めてくれることがあった。 俺にかかった餡子はとびきり甘かった。わけのわからないゆっくりになってしまったが、れ いむがこれ以上ないくらい苦しんだことだけは、間違いないのだ。 了 by触発あき 挿絵:くらっかーあき
https://w.atwiki.jp/atupon2001/pages/25.html
このたびミラサ第一弾が完成いたしますた 以下URLの広報をおながいします。 http //www35.tok2.com/home/atupon200l/index2.htm 【注意事項】 トプページではなくindex2.htmでおながいします。 これをもちましてポムミラサ作成を終了いたします。 次回は第二弾「ポムサイト潰しのためのズニアサイト作成委員会」を発足予定です。
https://w.atwiki.jp/ryusen0923/pages/16.html
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/146.html
ぺっとぼとゆ 10KB ※スレでみんなが凄い勢いでゆっくりをペットボトルに詰め込んでいるのに触発されて書きました ※独自設定垂れ流し 「やっべぇ、早く帰らないと……!」 飲み会のあと、先輩の手伝いで研究室への缶詰という逆らいがたい流れ。その激流に飲ま れ、俺は実に一週間も家を空けるハメになった。 なんてことだ。 家には手塩にかけて育てたゆっくりがいるというのに。 それも、普通のゆっくりじゃない。ペットボトルの中に住む、「ぺっとぼとゆ」なのだ。 ぺっとぼとゆ 喋ることができ、見た目もある意味かわいい生首饅頭不思議ナマモノ、ゆっくり。 ペットとして一時ブームになったが、すぐつけあがるその身の程知らずの傲慢さは問題に なった。結果、野良が大量に発生し、一時は社会問題になったほどだ。 そんな中、ゆっくりの商品価値はその生態を制限したインテリアに見いだされた。 その一つの成功例が、「ぺっとぼとゆ」だ。 名前の通り、仕組みは簡単。ペットボトルの中でゆっくりを飼うのだ。 「ぺっとぼとゆ」は、購入時は赤ゆの状態でペットボトルに封入されている。ペットボト ルの中は特殊な保存液で満たされており、それを抜かない限り赤ゆが目を覚ますことはな い。カタログによればその状態で三年程度保存が効くらしい。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 保存液を抜くと、赤ゆは目覚め、ゆっくり特有の挨拶をする。 餌は細長いスポイトを使い、専用の溶液を与える。 「ちゅーぱ、ちゅーぱ、ちあわちぇー!」 餌用の溶液には成長抑制剤が入っているから、赤ゆっくりはそれ以上育つことがない。 溶液を与える量さえ間違えなければ、うんうんやしーしーの類を出すこともほとんどない。 また、ペットボトルという狭い空間で生きる「ぺっとぼとゆ」は、体力の消費も極めて少 ないから餌もたまに与える程度で済む。 「ゆ~♪ ゆ~♪ ゆっくちしちぇいっちぇね~♪」 「ぺっとぼとゆ」にできることと言えば、せいぜい歌うことぐらい。 それだって煩わしければ、ペットボトルの蓋を閉めれば静かになる。 跳ね回って部屋を散らかすこともない。飼い主をいらだたせる元となる声も簡単に封じる ことだってできる。 ゆっくりのうざかわいさだけを、好きなときに好きなだけ楽しむことができる。まさに理 想のインテリアなのである。 そうした制約に縛られることで、ゆっくりはようやく人との生活の中で問題なく生きるこ とのできる場所を得た、というわけだ。 だが。 制約があれば、その中で精一杯挑戦したくなるのが日本人というものだ。 俺もご多分に漏れず、この「ぺっとぼとゆ」に対してひとつの挑戦をしてみた。 だれしもが一度は考えること。 「ぺっとぼとゆ」は、どこまで大きくなれるのか。 「ぺっとぼとゆ」がかわいくなって、ペットボトルを切り開いて外に出してやる飼い主も いるというが、そんなことに興味はない。 俺が試したのはペットボトルの中で「ぺっとぼとゆ」がどこまで大きくなるか、だった。 さっそく「ぺっとぼとゆ」のれいむタイプを購入。 与える餌は成長促進剤を混ぜたオレンジジュース。オレンジジュースはゆっくりにとって 万能の妙薬であるし、吸収率も極めて高いから、不要物としてうんうんやしーしーを排出 することはほとんどない。 「おにいざん、とどがないようう! あまあまのまぜでよぉぉ!」 オレンジジュースはゆっくりの届くギリギリの高さから与えた。こうすることによって、 れいむは懸命に身体を伸ばした。 基本的にゆっくりは食べることに全力を費やす。まして甘いオレンジジュースならなおさ ら必死になる。 俺のもくろみは成功し、「ぺっとぼとゆ」のれいむは身体を伸ばし、ペットボトルの形に 合わせて成長した。透明なペットボトルの中、みっちりとスキマ無く膨らみ、それでいて その口はペットボトルの口のほうにあるから餌を与えることもできる。その気になれば破 裂するまでいけるかもしれない。。 あとは友人連中に見せて笑って、そのあとは……まあ、捨てるぐらいしかないだろう。 そんな風に考えていた。 だが、ちょうど成長しきったところで、俺は研究室に缶詰になってしまった。「ぺっとぼ とゆ」は部屋に置いたままで。 「やっぱり腐ってるよなあ……」 ようやくアパートの部屋の前に着いた時。俺はすっかり冷めてし冷静になっていた。 マニュアル通りに育てて「ぺっとぼとゆ」なら生き延びていたかも知れない。しかし、俺 の「ぺっとぼとゆ」はもう普通のゆっくりと同じ、食欲旺盛な状態になってしまっている。 まず生き残ってはいないだろう。 「ただいまぁ……」 憂鬱だ。 なんか、時間をかけてRPGでキャラを育てたのに、セーブデータをウッカリ消してしまっ たような気分だった。 逆に言えば、その程度の落ち込み。所詮相手はゆっくりなのだ。 そんなことを考えながら、玄関に腰を下ろして靴ひもを解く。 そんな時だった。 「おにいざぁん……」 やけにくぐもった声がした。そして。 ぬるり、と。手を、ぬめったなま暖かいものに撫でられた。 「ひっ!?」 立ち上がり、振り向く。 そこには、何もない。ペットボトルが転がっているだけだ。 いや、ペットボトル……? おかしい。こんなもの置いた記憶がない。それにおかしい。そのペットボトルにはなんの ラベルもない。真っ黒で、明らかに中に何かが入っているというのに。 その黒の中に、不意にぎょろりと白いものが浮かび上がった。 丸くて白いそれは、中央に黒い丸があった。 それが、俺を「見た」。 そうだ、これは目だ、瞳なのだ。目と目が合い、俺は恐怖に動けなくなる。 それだけならまだ良かった。 次に見たのは、ペットボトルから伸びる何か。 赤いものがビロビロと伸びている。ぬらぬらと光沢を放ち、しなやかに動くそれ。 直感的に悟った。アレが、先ほど俺の手に触れたのだ。 背筋に怖気が走る。 そして、そいつは再び、言葉を放った。 「おにいざぁぁん……ゆっくりしすぎだよぉぉぉ!」 「うわあああああ……って、おまえれいむか!?」 思わず叫びそうになってしまった。ペットボトルということ、「ゆっくり」と言う言葉が 無ければちょっとしたホラー体験で情けない姿をさらすハメになっただろう。 「いったいどうなってるんだ?」 ペットボトルを持ち上げる。 黒く見えたのは餡子だった。ぐるりと回して見たが、全て黒。皮も髪もリボンもない。 「おにいざぁぁん……おながずいだよぉぉ……」 れいむの声で、なんとなく理解した。 こいつ、飢えのあまり、身体の余分な部分を消化したんだ。 元々ペットボトルにみっちりと詰まっていたのだ。ペットボトル自体が外殻になっていた のだから、皮はいらないことになる。 しかし、なんてでたらめな。 そんな風にしげしげとペットボトルを見回していると、 「おにぃざぁぁん」 いきなりれいむと目があった。 「うわっ!?」 思わずペットボトルを落としてしまう。 ペットボトルはゴロゴロ転がるかと思えたが、すぐに止まった。 ペットボトルの口から出た赤いビロビロ……どうやら、舌らしい。ゆっくりにしても異様 に長いそれが、回転を止めたのだ。 「おにいざん、ひどぉぉい……」 そのまま舌で身体を引きずり俺の方へずりずりと迫ってくるれいむ。 キモイ。 だがなによりキモイのは、先ほど俺を驚かせた目だった。 これが、ペットボトルの中を縦横無尽に動くのである。どうやら皮で固定されることが無 くなって、そして転がって安定しないペットボトルで視野を確保するために進化したらし い。 ぎょろぎょろと忙しなくペットボトルの中を自由自在に動き回る目玉はおぞましいの一言 だった。 なんてことだ。 俺のちょっとしたお遊びがこんな奇怪なクリーチャーを生みだしてしまうなんて。 餡子が漏れさえしなければゆっくりがそう簡単に死なないことは知っていたが、それでも これはないだろう。 「……でもまあ、よく生き残ったなお前」 「おながずいだぁぁぁ……」 まあ、予定はだいぶ狂ってしまったが、これはこれで面白いものができた。 友人に見せて驚かすつもりだったが、これなら夏合宿の肝試しにでも使った方が面白いか も知れない。 となると、ここで死なせるわけにはいかない。 「わかったわかった、ちょっと待ってろ……」 まだオレンジジュースのストックはあったはずだ。賞味期限が少々切れていてもゆっくり 相手なら問題はない。 また舌でずりずり動かれても気持ち悪いので、俺はれいむを手に持って冷蔵庫へと向かっ た。そして、俺は再び驚かされることになった。 「なあ、れいむ……」 「なぁに……おにいざぁぁん……?」 「お前すげーな。これどうやったかやってみせろ。上手くできたらご褒美だ。あまあまを くれてやる」 れいむを床に置く。 すると、驚いたことにれいむは下を伸ばすと逆立ちした。舌の力だけで自重を持ち上げた のだ。驚くべき進化である。 そればかりか、その状態で跳ねた。跳ねて、冷蔵庫にぶつかった。 なるほど。これを繰り返して、こいつは……。 ――冷蔵庫の扉を開けやがったのだ。 冷蔵庫は酷い有様だった。野菜などは食い散らかされている。パックされたりタッパに入 っていたもの、あるいは高い位置にあったものはこのれいむでもどうしようもなかったの だろう、荒らされてはいない。 だが、一週間近く開けっ放しになっていたであろう冷蔵庫の中、それらはとっくに腐って いるに違いない。冷蔵庫からは異臭が漂っている。 「おにぃざぁぁん……おながずいだよぉぉ……」 れいむはひたすらこればかり繰り返す。確かに冷蔵庫の中にはあまり食べ物が入っていな かったし、届く範囲のものしか食べられなかったろうから、お腹は空いているのだろう。 だがなあ、れいむ。お前の腹がからっぽなら、俺の腹は怒りで煮えたぎってるんだよ……! 「よおしいいだろう、くれてやるよ!」 俺は流しのタライの中に、冷蔵庫に残っていたオレンジジュース――さすがにこのれいむ にも開けられなかったらしい――を、景気良く徳用ペットボトル二本分、まとめてぶちま けた。開けっ放しの冷蔵庫の中にあったのだ。どうせもう飲めやしない、もともとれいむ 用に買った物だったし惜しくもない。 そのなかに、俺はれいむをたたき込んだ。 「ぺーろぺーろ、しあわぜぇぇぇ!」 オレンジジュースによる快楽と溺死、二重奏の恐怖を味合わせてやろうと思った。だが、 オレンジジュースの中に沈み込みながらもれいむは実にしあわせそうだった。 ああ、しまった。怒りに頭が回っていなかった。こいつはすでにゆっくりの皮を失ってい るのだから、溶ける心配などないのだ。 そうだ、こいつは進化した。もう普通の虐待は通用しない。 足焼きはだめだ。ペットボトルを直に火にかけるのは環境的に問題がある。 針を刺すのも少々手間だ。ペットボトルはなかなか固い。 殴る蹴るの暴行も、ペットボトルの固さがあっては通常のゆっくりほど効果はないだろう。 下手をすれば俺の方が痛い。 考えあぐねた結果、 「よし、茹でよう」 タライの中身を丸ごと鍋に移すと、火にかけた。 最初から強火だ。 最初こそれいむはしあわせそうにしていたが、すぐに熱くなったらしい。 「ゆげぇぇぇぇぇ! ゆぎょぇぇぇぇ!」 もう普通のゆっくりとは声を出す機能が違うのか、得体の知れない叫び声を上げる。 長い舌で逃れようとするが、鍋はとっくに触れられないほど熱くなっている。舌を伸ばし、 鍋の縁に触れるたびに弾かれたように舌を戻すのを繰り返している。 舌以外の移動手段のないこいつのことだ。 こうなるともうどうしようもない。 「ゆぎょぇぇぇぇぇ! あぢゅいいい! あぢゅいよぉぉぉ! ゆげっ! ゆごっ! ゆ ごげごげぇぇぇぇ!」 それにしてもうるさいし、その声も聞くに堪えない酷いものだ。正直たまんない。 そうだ、うるさい「ぺっとぼとゆ」には正規の対応方法がある。 部屋をちょっと探すと、ペットボトルの蓋はすぐに見つかった。 「ゆぎょげぇ!?」 舌を切り取り、蓋を閉める。 よし、これでばっちりオッケー。 声は聞こえなくなったが、ペットボトル内をぎょろぎょろ動く目玉で苦しんでいるのがわ かる。キモイ。キモイなあ。 でもざまあみろ。人の冷蔵庫をあんなにしやがって。 俺はようやく少しだけ満足し、ホッとする。 安心したところで、自分が致命的な間違いをしているような気がしてきた。 気がついたときには遅かった。 「ゆごげっ……ゆがばばばばあああああ!?」 蓋を閉めたペットボトルを熱したのだ。当然中は膨張し、限界を超えれば破裂する。 ましてや中身は異常進化を遂げたゆっくりなのだ。 膨張もまた異常なものだったらしい。 ペットボトルは、爆発した。 「うわああああっ!?」 ペットボトルの破片でケガをするようなことはなかったものの、俺は頭から餡子を浴びる ハメになった。台所もまた、飛び散った餡子で酷い有様だった。 育てたれいむは爆発、冷蔵庫の中身も全滅、おまけに台所まで汚れてしまった。 ろくなことがなかった。 だが、そんな惨状の中、一つだけ俺を慰めてくれることがあった。 俺にかかった餡子はとびきり甘かった。わけのわからないゆっくりになってしまったが、れ いむがこれ以上ないくらい苦しんだことだけは、間違いないのだ。 了 by触発あき 挿絵 byくらっかーあき 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ならば気持ち悪い貴様にはG用の毒入りクッキーをくれてやる(キモいキモいキモいキモいキモい死ね死ね死ね死ね死ね) -- 2018-05-27 18 44 16 おもしろーーい(サイコパス) -- 2018-01-15 20 00 47 こわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい -- 2016-07-15 21 03 10 素晴らしい! こういうのが読みたかった -- 2015-12-03 22 26 02 SANチェック不可避 -- 2015-04-17 15 54 15 スマホの大画面で挿絵が出て叫んでしまった、恥ずかしい -- 2014-12-26 15 11 48 SAN値1d4ぐらいは減りそう -- 2014-12-02 12 19 40 うぉ!? 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無謀編⑧ それはいろいろまずいだろ? 第1話「まさか本気じゃねぇだろな?」 【登場人物】オーフェン、コギー、カーネル、ボルカン、ドーチン 飛び降りコンテスト編。 第2話「それはいろいろまずいだろ?前編」 【登場人物】オーフェン、コギー、ティナ、園児A-16 第3話「それはいろいろまずいだろ?後編」 【登場人物】オーフェン、コギー、ティナ、老婆 おしおき水編。 第4話「それでお前は満足か?」 【登場人物】オーフェン、コギー、キース、小キース、第二十八代婚約者アンジェリー、プラチナブロンドの女性 裏切り者の~裏切っちゃったのですね~編。 第5話「俺をなんだと思ってる!?」 【登場人物】オーフェン、コギー、マジク、ボルカン、ドーチン 無能警官、尾行するの巻。 プレオーフェン・無常編「天使の囁き」 【登場人物】キリランシェロ、ティッシ、コミクロン、ハーティア、フォルテ
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【ゆっくりれみりゃの最期】 「うー♪うー♪うあうあ♪」 幻想郷の中でも一、ニを争う豪邸、紅魔館の庭先で幼児型のゆっくりれみりゃが上 機嫌に踊っている。 「うー♪うー♪うあうあ♪」 下膨れの顔に満面の笑みを浮かべるその様子は、まさに幸せいっぱいという感じだ。 しかし… 「おながずいだあああー!おがじだべだいぃぃぃーっ!」 突然グズりだすゆっくりれみりゃ。そこに、慌てて妖精メイド達が駆けつけ、丁寧 にクッキーが入った器を差し出した。 「やだー!!プリンじゃなきゃやだぁぁー!!!」 ブンと手を振ってクッキーの入った器を振り払うゆっくりれみりゃ。器が叩き落と され、高価そうなクッキーが辺りに散らばる。ゆっくりれみりゃの傍若無人ぶりに、 メイド妖精もヤレヤレと言った表情だ。 結局、メイド妖精が厨房に戻り、冷蔵庫の中のプリンを差し出すことで、その場は 収まった。 その一部始終をメイド長である十六夜咲夜から聞いた紅魔館の主、レミリア・スカ ーレットは、 「またか。」 と呆れた。そして、ある決断を下した。 その決断とは、ゆっくりれみりゃの処刑である。度重なる我が侭でメイド妖精達に 迷惑をかけるだけではなく、自身のイメージダウン及びカリスマ失墜にも繋がるこの 珍妙な生き物は、消し去ってしまうのが得策との結論に達したのである。 「咲夜、いいわね。」 自身の片腕とも言える咲夜に、処刑の確認をとるレミリア。 「ええ、私は構いません。」 ゆっくりれみりゃが紅魔館に連れられて来た当初は、敬愛する主人、レミリアに外 見が似ていることもあって可愛がっていた咲夜だが、本物の魅力には遠く及ばず、こ こ最近はゆっくりれみりゃのことはただの肉の塊の妖怪ぐらいにしか思っていなかっ た。それゆえ、世話もメイド妖精にまかせっきりで、ここ一週間はゆっくりれみりゃ と会ってもいなかった。 処刑の日は翌日の夜と決められた。 「うー!うー!」 ゆっくりれみりゃは、自分が知らぬ間にそんなことが話し合われていることに気づ くはずもなく、書庫の中で、病弱なパチュリーの追いかける足から逃げながら、貴重 な本をビリビリに破いて遊んでいた。 そして、翌日の夜が来た。 レミリアは、処刑の場所を紅魔館近くの広い空き地にすることにした。わざわざ広 い空き地を選んだのは、スペルカードでゆっくりれみりゃを一瞬で跡形もなく消滅さ せるためだ。せめて苦しませることなく殺してやろうというレミリアの情けの心であ る。 レミリアと咲夜は、ゆっくりれみりゃを連れて、紅魔館の側の森の奥にある空き地 へと向かった。 「さくやー!さくやー!うー♪うー♪」 処刑場へと向かう途中、ゆっくりれみりゃは久し振りに会う咲夜に何度も声をかけ たが、その咲夜は一向に構ってくれる気配は無い。 そうこうしている内に二人と一匹は、処刑の場である森の中の広く開けた場所へと 着いた。 「おながずいだあああー!おがじじゃなぎゃやだあ゛あ゛あ゛ー!!」 歩いているうちに、すっかり空腹となってしまったゆっくりれみりゃが、お決まり の我がままを言い出した。 だが、レミリアが右手を上げて合図をすると、咲夜はスッとレミリアにガラスの器 に乗っかったプリンを手渡した。 プリンを受け取ったレミリアは、泣きじゃくるゆっくりれみりゃにプリンを渡しな がら、 「フフっ、最後くらい、好きなものが食べたいわよね、ほら、あなたがいつも食べ ていたプリンよ。」 これから死んでいくゆっくりれみりゃに対する、レミリアの心遣いだ。 もっとも、ゆっくりれみりゃは自分がこれから殺される等、微塵にも思っていない が。 プリンが乗った器を受け取るゆっくりれみりゃ。だが…。 「いやだー!!グッギーがだべだいぃぃぃっ!!!」 そう大声をあげると、ゆっくりれみりゃは、プリンを器ごとレミリアの顔面に投げ つけた。 突然のしかも至近距離からのゆっくりれみりゃの全力投球に、レミリアは避けるこ とができず、まともに顔に当たってしまう。 「うっ…」 鼻血を出すレミリア。 その顔が面白かったのか、ゆっくりれみりゃはレミリアの顔を指差しながら笑い出 した。 「うー♪うー♪」 「大丈夫ですか!?お嬢様!!!」 心配して慌ててかけよる咲夜。 「大丈夫よ…咲夜…。」 顔を上げるレミリア。その顔からは、先ほどまでの笑顔は消えていた。 「でも咲夜…私は間違っていたわ…。言うことを聞かないから殺すなんて……。ち ゃんと良い子になるように、躾けてあげないといけなかったのだわ…。」 レミリアの冷たい表情に、咲夜はかつてない旋律を覚えた。 「咲夜、処刑は中止よ。館に戻って、この肉まんにお仕置きしましょう。」 館に戻ったレミリア達は、フランを監禁している部屋とは別の地下室へと入った。 その部屋の扉には、“拷問室”と札がされていた。 薄暗いその部屋には、様々な拷問器具が並んでいた。鞭やノコギリ、釘のような分 かりやすいものから、一見したら何に使うのか分からないものまであった。もっとも、 それらは使い方等考えたくも無いものばかりであったが…。 その中で、レミリアがゆっくりれみりゃの“躾け”のために選んだのは、わりと有 名な拷問器具、“アイアンメイデン“であった。 (参照 http //ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E3%81%AE%E5%87%A6%E5%A5%B3 ) 「これがいいわね。」 同じものが複数ある中から、ゆっくりれみりゃにピッタリなサイズを見定めると、 アイアンメイデのン扉を開けて、ゆっくりれみりゃを中に立たせた。 「うー?」 目の前に物騒な太い鉄の針があるというのに、ゆっくりれみりゃはこれから何をさ れるのか理解できないようだ。 「あなた、お腹が空いているのよね?今から、お腹いっぱい、いえ、体いっぱいに してあげるわ………。こいつでなあっ!!」 レミリアは声を荒げると、アイアンメイデンの胴体部分の扉を思いっきり閉めた。 バァンッ!!! ゆっくりれみりゃの全身に、直径3センチ程の鉄の針が、ブスリブスリと突き刺さる。 「う…うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 すぐさま、扉に錠をかけるレミリア。 「うあ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!いだいっ!いだいよーっ!!!」 全身を襲う痛みに、ゆっくりれみりゃは首から上を激しく前後左右に降りながら泣 き叫ぶ。 「ざぐやー!!ざくやー!!」 ゆっくりれみりゃは咲夜に救いを求めるが、畜生の鳴き声に応えてやるほど瀟洒な メイドはお人好しではない。 「咲夜。」 「はい、お嬢様。」 レミリアが咲夜に呼びかけると、その場に一瞬のうちに椅子とテーブルが出現した。 時間を止めて、用意したのだろう。また、テーブルの上には、クッキーやプリンを始 めとしたお菓子と紅茶が乗っている。 「今日はここでおやつにしましょう」 「だじでーっ!!!だじでーっ!!!」 助けを乞うゆっくりれみりゃを意に介さず、レミリアと咲夜は、お茶会を始めた。 ゆっくりれみりゃのもがき苦しむ様というアートを鑑賞し、悲鳴のサウンドを聞きな がら、レミリアの夜のティータイムはゆっくりと時を刻んでいった。 小一時間程過ぎたところで、レミリアはお茶会を切り上げることにした。 ゆっくりれみりゃはというと、その無駄な生命力ゆえか、今だに首をジタバタさせ ながら許しを乞いている。 「だすげでーっ!!だずげでえぇーっ!!!」 レミリアは、ゆっくりれみりゃに近づくと、一言。 「出たい?」 「だだだじでえええっ!!!」 「いい子になる?」 「なるぅぅっ!!!なるがらだじでえええっ!!!」 「出して下さいでしょう?何で命令形なの?まるで反省の色がないわね。あなたは 今日一日、この中で過ごしなさい。」 そう言うと、レミリアはアイアンメイデンの顔の部分の扉を勢いよく閉めた。その 内側の針二本は、ちょうどゆっくりれみりゃの両の眼球に突き刺さる位置にあった。 「ぎにゃあああああああっ!!!」 ゆっくりれみりゃの絶叫が室内に響く中、レミリアと咲夜は拷問室を後にした。 二週間後、レミリアは紅魔館のリビングで紅茶を飲みながら寛いでいた。 「そう言えば咲夜、あの肉まんはどうしたのかしら?」 「あ、えー…どうしたんでしたっけ?」 二人はアイアンメイデンに突っ込んでおいたゆっくりれみりゃのことなどすっかり 忘れていた。 「あ!思い出しましたよ、お嬢様。地下の処刑器具の中に置きっぱなしにしたまま です。」 「あ、あ~…そうだったわね。」 とりあえずアイアンメイデンから出してやることにしたレミリアは、咲夜とともに 拷問室に行き、まずはアイアンメイデンの顔部分の扉を開けようとした。だが、針が ゆっくりれみりゃの眼球部分と癒着しているようで、レミリアと咲夜の二人がかりで 引っ張ることで、やっと開くことができた。 「う゛う゛っ!!!」 扉を開けると、両目の部分にキレイな穴が開いてしまったゆっくりれみりゃの顔が 現れた。 「う゛っ!う゛っ!う゛っ!」 まだ生きている。だが、体が千切れても再生するゆっくりれみりゃとは言え、二週 間も全身に極太の針を刺されていれば、相当な体力を消耗するようで、頭をビクンビ クンと痙攣させていた。 続いて、胴体部分の扉を開けようとする二人だが、ゆっくりれみりゃの胴体を貫い ている針がかなりくい込んでいるいるようで、なかなか開くことができない。 「しょうがないわ、咲夜。中国を呼んできて。」 咲夜は、紅魔館の門番であり拳法家である中国を拷問室に連れてくると、今度は三 人がかりで扉を開けることを試みた。 「う゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 勢いよく針が抜け、ゆっくりれみりゃの肉片が散らばりながらではあるが、レミリ ア達はアイアンメイデンの扉を開くことに成功した。 そのまま前のめりに倒れるゆっくりれみりゃ。 「う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!」 全身を痙攣させながらも、よく見ると、傷口がゆっくりと再生しかかっている。 「う~ん、お嬢様、これからこいつをどうしましょうか?」 「いい事を思いついたわ咲夜、この肉まんは妹のおもちゃにしましょう。」 三日後、紅魔館の地下監禁室の中には、新しい“おもちゃ”で遊ぶフランドール・ スカーレットの姿があった。「気がふれている」との理由で地下に閉じ込められてい る彼女だが、ここ最近はますます危険な状態にあるようだ。 「キャハハハハハハッ!!!すごーいっ!!!本当にこいつ壊れてもすぐに元通り ねぇぇっ!!!おもしろおおおいッ!!!」 フランドールは、自身の能力でゆっくりれみりゃの体を破裂させたり、四肢や首を もいだりして楽しんだ。もちろん、ゆっくりれみりゃの命乞い等気にもならない。ゆ っくりれみりゃがお腹が空いた等と言えば、もいだ腕や足を食べさせた。フランドー ルは、半永久的に遊べるおもちゃを手に入れたのである。監禁室には、毎日、ゆっく りれみりゃの泣き声が響きわたった。 HAPPY END! --------------------------------------- 挨拶(自己主張してすいません!) 読んで下さった方々、本当にありがとうございました。 これでゆっくり虐めssは4作目(ゆっくり脱出、永琳とゆっくり、ゆっくりフラン)で すが、しばらくゆっくり虐めからは離れます。 とは言ってもゆっくり共が嫌いなことには変わりありません。スレの人達が仲良くゆ っくりをゆっくりさせないでくれることを祈ります。 それではさようなら。
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六月。 梅雨で雨が降り続ける。 水に弱いゆっくりにとって地獄のような季節だ。 「ゆぅ…きょうもかりにいけないよ…」 「まりさ……だいじょうぶよ、まだごはんはたくさんあるんだから!」 「あ、ありす…!」 こんな仲睦まじいカップルも、一週間雨が降り続けば…。 「まりさ!はやくかりにいきなさいよ!もうごはんがなくなってるのよ!?」 「おそとはあめなんだよ!まりさがずっとゆっくりしてもいいの!?」 こんな喧嘩ができるのも元気がある今だけ、梅雨も中盤に差し掛かる頃には…。 「ゆ゛ぅ……は゛でぃざ、おながずいだわ…」 「ゆ゛ぅ……もう、あめがふっででも、おぞどにいぐじがないね゛……」 無謀と知りつつ雨の中、巣から出る二匹。 「「ゆ゛が あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!か゛ら た゛か゛と゛け゛る う う う う う !!!」」 ただでさえ衰弱した体に、覚悟していたとはいえ冷たい雨が当たる。 まりさとありすの体は徐々にふやけて、今にも溶けてしまいそうだ。 二つの饅頭が原型を失くそうとした時、偶然にも雨が止んだ。 「ゆ…ありす、あめが…やんだよ…。」 「…………。」 「あ、ありす…?ありす、ありす?」 まりさはありすに呼びかけるが返事は無い。 そしてまりさは呼びかける以上のことができない。 原形を失う寸前まで雨に曝されたまりさには、既に足が無かった。 「あ゛て゛ぃ す゛う゛う゛う゛う゛う゛!!??」 「…………。」 「ゆ゛っ…ゆ゛っ…」 まりさは食料を求め這い回っていた。 ありすが返事をしなくなった、自分はありすの分までゆっくりしなくては。 そう考えたところで空腹を思い出し、食料を探しにでかけた。 足が溶けて無くなっているため『狩り』は行えない。 移動は体を尺取虫のように動かして少しずつ前に進む。 「いぢゃいよ…あんよがぁ…」 ずーり、ずーり。 少しずつ前に進むものの、その速度は跳ねて移動する時とは比べ物にならない。 ただでさえ雨に濡れて弱った体は道路で容赦なく削られる。 そもそも、食べ物が都合良く落ちているはずがない。 辺りはアスファルトで舗装されており、雑草すら生えていない。 もし仮に食料が手に入ったとしても、こんな姿では長く持つまい。 すぐに物言わぬ饅頭に成り果てるだろう。 そんなこと分かっていた。 しかし、それでも、ありすの分までゆっくりしなくては。 その一心だけでまりさは動き続けた。 泥まみれになりながら、溶けていた足どころか顎の部分まで擦り削り、まりさは一つの『食料』に辿り着いた。 それは、ブロック状の、ゆっくりから見れば大きな――カロリーメ○トだった。 人間の落し物だろう。 それをまりさは泣きながら頬張る。 雨に曝され、ドロドロに溶けたそれに齧りつく。 黴が生えたそれを、天の恵みとばかりに。 本来なら、ゆっくりどころか人間が食べても優良な栄養食たり得るカロリーメ○ト。 しかしそれも真っ当な状態であればこそだ。 道路脇で数日間、排ガスの溶け込んだ水溜まりの中にあったそれは、既に食料ですらない。 おまけに表面には黴まで生えている。 それを、極限まで衰弱しているまりさが食べた。 ありすの分まで生きるどころではない。 「ゆ゛っ!?ゆ゛…ゆ゛…ゆ゛……エレエレエレエレエレ」 吐いた。今齧ったカロリーメ○ト、そして体内にあった餡子の大部分を。 「ゆ゛っ げ え え え ぇ ぇ ぇ …あでぃす゛のぶんまて゛……ゆっぐり…じだがっ……た゛……」 ありすは、 「…………。」 生きていた。 口の中まで雨に溶かされ、喋れない。 まりさより酷く足を溶かされ、這いずることもできない。 去っていくまりさを止めることもできなかった。 それでも、生きていた。 だが、こんな体では何も出来ない。 食料を手に入れるどころではない。 口が溶かされているので咀嚼すらできないのだ。 ここは歩道の真ん中、いつ人間に踏み潰されても不思議ではない。 いつまた雨が降ってもおかしくない。 カラスか野良犬でも来ればあっという間に食い尽くされる。 人間に踏み潰されず、雨にも降られず、カラスや野良犬にも見つからない奇跡をありすはひたすら祈った。 生きてさえいればきっとまりさが迎えに来てくれる。 それだけを信じて。 そして、その奇跡は叶った。 奇跡的にこの一週間、雨は降らなかった。 人間は汚物を避けるようにありすを避けて歩いた。 その町ではカラスや野良犬の駆除に力を入れていたため、それらは現れなかった。 だけど、まりさは来なかった。 一週間前、ありすは自分の空腹は限界だと思った。 今、ありすは自分の体の丈夫さを呪っている。 限界だと思った空腹から更に一週間、飲まず食わずで過ごしたのだ。 まりさが戻ってくることだけを信じて、次第にそれが諦めに変わって。 相変わらずナメクジのように溶けた体だったが、この一週間で変わったことがあった。一週間放置された体は程よく乾き、声が出せるようになっていたのだ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……お て゛か゛い 、た゛れ か゛…あ て゛ぃ す゛を こ゛ろ し゛て゛……」 やっと声が出るようになった喉は死だけを求めて機能する。 本当の限界が来るその時まで、ありすは路上で死を求め続けた。 このSSに感想をつける
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[らんちきーぷ★ゆっくりしていってね−れいむ種(中) 税込2998円] 近所の店に弁当箱を買いに来たら、変な新製品が売っていた。 面白そうなので買った。 「ふんふん」 家に帰ってさっそく、俺は買って来た「らんちきーぷ★ゆっくりしていってね」の説明書を読み始めた。 メロンサイズのゆっくり霊夢は、どうやら生きているようでたまにぷるぷると震えている。 瞳は閉じている・・・というより、瞼がくっついて開かないように見えた。 この新製品は、ゆっくりの品質の良さに着目して生まれたらしい。 ゆっくりに詰まっている餡子は、常に新鮮な餡子だ。 賞味期限が切れたものは入っていない。今回はそういう設定なのだ。 それと越冬の際、保存した食糧が腐らない。 ゆっくりの口に入ったものは腐敗しにくくなるという謎現象が起こるとか。 何か月も巣穴に籠ってるのに、なんで食糧がダメにならないのか不思議だったがそういうことらしい。 それをうまく利用してこの製品が完成したという。 不思議生物サマサマである。 「よーし、じゃあご飯入れてみるか」 弁当箱れいむを持ち上げると、予想よりもはるかに軽かった。 いつも潰して遊んでいる同サイズのゆっくりの1/3もない。 持ち運びに苦労しなくていい。 手で唇こじ開けると、通常のゆっくりよりもはるかに口内が広いことがわかった。 「おー!こりゃいっぱい入るな!」 ついでに歯が一本もなかった。 あっても邪魔だから製品化の際に全部抜いたのだろう。 たまにビクンビクンと震えるところがちょっと気になる。 試しに一発殴ってみたのだが、余計に振動がひどくなっただけだった。 「・・・ッ!・・・・ゅッ!」 3回目の拳が飛んだところで、喉の奥のほうから微かに悲鳴が聞こえた。 「お!」 なので、つい気分がよくなって殴る速度が加速してしまった。 と、次の瞬間。 カコン、カラララ・・・ 「ん?なんか取れた?」 喉の奥から蓋のようなものが出てきた。 どうやら中に設置されていたもののようだ。 「・・・・ゆっ!?ゆ゙!?ゆぐっ!?・・・ゆ、ゆっくりおこえがでるよぉお!!!」 取れた蓋は、500円玉くらいの大きさだ。 開発者じゃないので断定はできないが、これをハメて声を封じていたのだと思う。 「ゆゆっ!?まっくらだよ!?み゙んなどごにいるのぉお!?ごわいよぉおお!!」 瞼は依然として塞がれているので、れいむには何も見えない。 また殴ってやろうかと思ったが、これ以上続けて3000円近くもした弁当箱を壊すのは嫌だった。 俺はれいむを和式便所のような感じで仰向けに寝かせ、御飯の盛り付けを始めた。 「唾液とか大丈夫だろうな・・・これ・・・」 食べる時に唾液まみれだったら嫌だなあ。 「ゆ!なんだかゆっくりできそうなにおいがするよ!ずっとごはんでゆっくりできなかったからうれしいよ!これでゆっくりできるんだね!」 口が開きっぱなしのくせにどうやって発声しているのだろう。 そう言えば、威嚇で頬を膨らましているのに普通に喋ってるゆっくりをよく見る。 「むーしゃむしゃ・・・?」 口ではそう言っていたが、まるで顎が動いていない。 多分、動かないように中に固定用の棒とか入ってるんだろうなあ。 「どぼじでむーじゃむじゃできないのぉぉお!?でいぶおながずいだよぉおお!!!」 一人で喜んだりガッカリしたりをするれいむ。 すぐに俺の盛り付けも終わった。 「最後は、このクリップとゴムで口を閉じて終わりか」 上唇と下唇を専用のクリップでしっかり閉じてから、れいむを地球とすると経線を描くようにゴムをはめる。 これで中のお弁当が飛び出ることはない。 俺はれいむをバッグに詰めて会社に向かった。 1ヶ月後。 俺はれいむを取り出した。 あの弁当箱れいむだ。 「あー、すっかり忘れてた」 1か月前に弁当を入れたのだが、あの日は忙しく、弁当を食う時間がなかった。 それからその存在をすっかり忘れ、放置していたのだ。 「さすがにもうダメだろうなこれ」 腐敗臭を覚悟し、ゴムを外す。 だが待っていたのはまるで腐ってなどいない、あの日のままの弁当だった。 「こ、これは凄い!」 レタスは見ただけでシャキシャキ具合がよくわかる。 凄い保存力だ。 もったいないので、それを晩御飯にした。 唾液がついていることもなく、美味しく食べられた。 「ゆぅぅうゔああ゙あああ゙!!ごばんがだべだい゙よぉお!!ごば゙ん゙!!ごはん゙だべだいよぉ゙おお゙っ!!!」 中身がなくなると、ようやくれいむの声が聞こえてきた。 減っていく口内のご飯に気が付いたのだろう。 一か月近くお預けを食らったのだから哀れだ。 しかも口内にご飯が置かれている状況でお預け。 悲惨すぎる。 さすがに餓死されては困るので、付属の注射器に餡子をほんの少し入れてれいむに注入した。 腹の足しにはならないけど、体力にはなるだろう。 明日から、ちゃんと毎日使ってあげよう。 3000円もしたし、元はとらなくちゃ。 おわり。 作:ユユー
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『無関心、もしくは無邪気』 5KB 観察 小ネタ 不運 自業自得 日常模様 野良ゆ 都会 現代 人間視点の小ネタです 「無関心、もしくは無邪気」 「ゆっくり」・・・ この不思議な物体を今まで気にとめた事は無かった。 それらがいるのが当たり前で、それらが勝手に消えていくのが当然だと思っていたからだ。 だからと言って何だ、と言われるかもしれない。 まあ、その通りであるのには間違いない。 とりとめも無く見つけたある「野良ゆっくり一家」 今日はそんな話をしようと思う。 「ゆ、ゆっくりじっとしててね!」 今、私の目の前にいるのは、何処にでもいそうな、小汚い一体のゆっくりまりさだ。 風体は、野良生活が長いのか、それなりにくすんで汚れている。 それでも自身のアイデンティティーである「ぼうし」は大事なのだろうか、こまめに手入れして比較的綺麗な様だ。 口には乾いて少し曲がった細い木の枝を加えている。 どうやら、脅しているらしい。 「い、いますぐあまあまさんをおいていってね!た、たくさんだよ!」 不安げに、手慣れない様な感じで私を見上げている。 これではどっちが脅かしているのかわからない。 「さっさとどくんだ。じゃないと蹴っ飛ばすぞ」 「う、うるさいよ!はやく!はやくあまあまさんをおいていってね!じゃないと!ぶすぶすするよ!」 木の枝を加えているだけで、このまりさは私に危害を加えるのにかなり躊躇しているようである。 私は構わず、まりさの下膨れの顔面に、靴の先を叩きこんだ。 「ゆぐぶっ!」 つま先越しにパチパチと言う音と、感触が伝わる。 砂糖細工の歯がヘシ折れて、口腔の中で突き刺さって弾け回っているのだろう。 まりさはもんどりうってゴロゴロと転がる様に吹っ飛び、突っ伏したまま、プルプルと震えて悶えている。 「・・・!!~~~~~~・・・!!」 あまりの衝撃か、それとも小麦粉の口腔が折れた砂糖細工の歯が跳ねまわりズタズタになってしまった為、声も上げられないのか、悶絶している。 私が砂糖細工の前髪を引っ掴んで引き起こすと、恐怖にひきつった顔でこちらを眺めていた。 「ゅ"っ・・・!ゆぶっ・・・!い・・・だ・・・いぃぃ・・・!」 「私が今どんな気分かわかるか?」 「・・・いだいぃぃ・・・!いだいよぉぉ・・・!」 痛みと恐怖でパニックなのだろう。 ただ痛みを口にしているだけだった。 私が余った片手でまりさを掴んだまま、横に巻き込むように殴りつける。 こういうのは「フック」と言うのだろう。 寒天の右目周辺に拳が叩きこまれ、掴まれた砂糖細工の髪を中心に、大きくグルンと回った 「あ”ぎぃ”っ”!」 中の餡子が不規則に変化したのか、膨れ上がった小麦粉の皮で寒天の右目がふさがってしまっている。 「道端を歩いてて蟻が一匹目の前を通ってると、とりとめも無くよけようかそのまま進もうか考えて結局踏み潰して進むだろ?今そんな気分だよ」 「ゆ”る”じで・・・ゆ”、ゆ”るじあぶっ”!」 「うるさい」 ゴッと音がしてまりさの下膨れの顔にまた拳が叩きこまれた。 「ま”でぃ”ざば・・・がいゆっぐりで・・・!ずでられで・・・あぎっ!」 「どうでもいい」 また拳が叩きこまれた、縦に楕円形に伸びきったまりさのあにゃるとぺにぺにから、砂糖水と、排泄物の様な棒状のうんうんがビチビチと流れ出ていた。 「だずげでぐだざい・・・!おでがいじばずっ・・・!もうごんなごどじばぜん・・・!」 哀願するようにボコボコに膨れた顔でこちらを見て呟くように喋るまりさ。 このまりさのそれまでの経緯なんて、興味も無いしどうでも良い。 無関心、其れゆえの淡々とした無邪気さが、私の今の気持だった。 だからこそなのかもしれない。 私はこのまりさを見逃すことにした。 「おでがいでずっ!までぃざをがいゆっぐりにじでぐだざいっ!」 あれから数日後、同じ場所で、民家の玄関の前に立ちすくんでは大声で何かをがなりたてるゆっくりを見かけた。 砂糖細工の歯もまばらで、風体もボロボロだ。 そして何より、そのトレードマークである帽子が無くなっていた。 「までぃざはおうだだっでうだえるじおどりだっでじょうずでず!ごばんざんにもんぐもいいばぜんじおどいれざんだっでぢゃんどおなじどごろにでぎばずっ!」 そう言えば数日前、私に突っかかってきたまりさを帽子をバラバラに破り捨てて見逃した事をふと思い出した。 冬でも今が一番寒い。たとえ日中でも、飾りすら無くなった今のまりさではかなり寒いだろう。 民家は留守だったようだ。 うんともすんとも反応しないと20分くらいがなりたててようやく気付いたのか、とぼとぼとふらつく足取りで、どこへとも知れず去っていく。 「ざむいよぉぉ・・・おながずいだよぉぉ・・・」 双眸からは砂糖水の涙が流れ落ちていた。 グズりながら、そのまりさは這いずってどこかへと去っていく。 「ゆっぐりじだいよぉぉ・・・もうにがにがなぐざざんはいやだよぉぉ・・・あだだがいおうぢでぽーかぽーかじだいよぉぉ・・・!あまあまざんをいっばいむーしゃむーしゃじだいよぉぉぉ・・・!ゆぇええぇぇ・・・!」 私を尻目に、そのまりさはまるで赤ゆっくりの様に泣きじゃくりながら、小さな路地へと消えていった。 「なんだあれ?」 朝起きて家から出てみると、少し前の駐車場の端っこで何か丸っこい物が転がっていた。 寒さに体を震わせながら近づいて行ってみると、どうやらまりさ種らしいゆっくりだった物の様だ。 小麦粉の体に数本ほど木の枝が突き刺さり、噛み千切られたのか底部付近が破れて餡子が漏れ出していた。 あんぐりと口を開け、寒天の白目を向いて事切れている。 口の中に真っすぐ刺さった木の枝が、後部まで付きぬけていた。 「他の野良ゆっくりにやられたのかな・・・」 私はそう呟く。 確か、飾りのないゆっくりは「ゆっくりできないゆっくり」として攻撃にさらされるとかいうのを聞いた覚えがある。 木の枝や、傷を見れば、他の野良ゆっくりにやられたのは一目瞭然だった。 何を為す訳でもなく、何をする訳でもなく、このまりさは物言わぬ饅頭となり果てていた。 そのある野良ゆっくりの末路に何を感じる訳でもなく、私は家へと足早に戻っていった。 それ以降、「飼いゆっくりにしてください」とがなりたてるまりさは全く見かけなくなっていた。 一体、どこへ行ったのだろうか。 頭の片隅でふと思ったが、それもすぐに忘れて私は冷たい風の吹く冬の風景を、窓越しに眺めていた。
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ユルジンと魔法のランプ ある日、ゆっくりありすの一家が食料庫を作るために巣穴の中を掘っていました。 すると、土の下から黄金に輝くランプが出てきました。 「ゆゆ、これはとかいはにふさわしいかみかざりね」 「しょうだね、おかーしゃん」 「うほほほほほほほほおおおおおおーーー」 数分後には、そのランプに体をこすり付けて発情しているありすの一家の姿がありました。 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆ」 「ゆふふふふふうふんほおおおおおおおおおおおおおお!!!すっきりー♪」 最後に、親ゆっくりありすがひときわ大きく体をのばして一気にこすりつけ、すっきりー♪(笑)すると、 どうでしょう。ランプからもくもくと煙が湧き上がり、大男があらわれました。 『ご主人様』 その大男はランプの魔人でした。魔人は、揉み手をしながら 『今から3つの願いを叶えて差し上げましょう』 と言いました。 「ゆゆ、ゆっくりしていってね」 「「「ゆっきゅりしていっちぇね」」」 『はい、かしこまりました』 (残り2つ) 『それで、続いての願いは何でしょう。』 「ゆ?なんのこと?どういうこと?ゆっくりせつめいしてね!」 「「「せつめいしてね!」」」 『はい、分かりました。』 (残り1つ) 『わーーーーーーたーーーーーーーしーーーーーーはーーーーーーー、ラーーーーーーーンーーーー』 「意味が分からないよ!ゆっくりできないおじんはゆっくりでていってね!!ぷんぷん!」 「「「ぷんぷん」」」 『分ーーーーかーーーーーーーりーーーーーーーまーーーーーーーーしーーーーーたーーーーーー』 そう言うと、魔人は巣穴の外に向かって本当にゆっくりと歩き出しました。 「ゆゆ、ふざけてないでさっさとありすたちのいえからでていってね!!」 しかし、魔人はもう、3つの願いを叶えてしまっているのでゆっくりたちの言葉には全く答えません。 「ゆ、おじさん、むししないでね」 「そして、さっさとでていってね」 「「「でていっちぇね!」」」 そう言いながら、ありすたちは魔人に体当たりを繰り返しましたが、人間と比べても大男である魔人相手に、ゆっくりごときがどうにかできる訳ありません。 そうしている内に、ゆっくりたちは巣の入り口が魔人で塞がっている事に気が付きました。 「ゆゆゆ!これじゃあおそとにでられないよ、おじさん、さっさとどいてね!」 「どいてね!」 しかし、とても『ゆっくりと』出て行っている魔人は、意に介さずに『ゆっくりと』動いています。 「ゆっくりどけ!ゆっくりどけ!」 「どけ!どけ!」 「「「じょけ、じょけ!」」」 「ゆぅぅぅぅ~」 「おかあしゃんおなかすいたよぉ」 「「おながずいだぁぁぁ!!!」 」 あれから一週間たってもまだ魔人は巣の入り口にいました。 いえ、動いていないわけではありません。本当に『ゆっくり』出て行ってるんですよ。 1[μm/day]ぐらいで。 「ゆっくりおきてねっ」 「・・・」 「ゆ"っぎゅりおぎでよ"ぉぉ!」 「・・・」 とうとう、あかちゃんゆっくりの一匹が動かなくなりました。 周りがいくら呼びかけても起き上がりません。 その事を理解すると生きているゆっくりたちも絶望に広がっていきます。 「じに"だぐな"いいいいい!!」「い"っい"や"だああああ!!」 それでも、魔人はゆっくりと出て行きます。 ある日、ゆっくりありすは動かなくなった赤ちゃんゆっくりをじっと見つめていました。 親子だからなのでしょう、残った赤ちゃん達はすぐに理解したようで、叫びました。 「「おきゃあしゃん、たべちゃだめだよ!」」 しかし、とうとう、ゆっくりありすは動き始めました。 「むーしゃむーしゃ」 「「お"があ"じゃん、な"んでぇぇぇぇぇ!!」」 ある朝、ゆっくりが目を覚ますと、あかちゃんゆっくりが一匹もいません。 一方で自分の空腹がだいぶましになっている事に気が付きました。 しかし、ゆっくりは落ち着いていました。 決して諦めたわけではありません、その証拠に、目には決意がみなぎっていました。 「いつか、かならずここからでて、いなくなったあのこたちのぶんまでゆっくりするよ!」 食べたのは自分だというのに、相変わらず自分に都合の良い餡子脳です。 きっと、ありすのなかではお兄さんに連れて行かれたか大雨に流された事になっているのでしょう。 それから、ありすは幾日も幾日も恐ろしい飢餓を忍ばなければなりませんでした。 どこにも食料がなく、万策尽きてしまったとき、ありすは、自分の足を食べ始めました。 ひとかけら、またひとかけらと。 それらが無くなってからは、今度は胴を裏返して、餡子の一部を食べ始めました。 少しずつ少しずつ。 こうして、ありすは自分の体をすっかり食べ尽くしてしまいました。 餡子から、髪飾り、そして皮に至るまで完全に。 外の世界では、とても、とても長い年月が経ちました。 いくつもの国が栄えては滅び、そして滅んでは栄えました。 何千人ものお兄さんがゆっくり達を”かわいがり”、そして、地獄に落とされ、地獄でも持て余され、再びお兄さんに転生しました。 ある日、一人のお兄さんが山でゆっくり狩りをしていると、ゆっくりの巣を見つけました。 もう、入り口には魔人はいません。 今日の収穫に心躍らせながら巣穴を覗き込むと、しかし、お兄さんは落胆しました。 中には、すすけたランプ以外何もありませんでした。 朽ち果てた家具の跡があったので、大昔にはゆっくりが住んでいたのでしょう。 お兄さんはランプを持って帰りました。 巣穴の中は本当にいつまでも空っぽでした。 いつまでも、いつまでも… けれども、ありすはまだそこに居ました。 ありすが消えてしまった後ですらも、永遠にそこに生きていました。 薄暗い、湿った穴の中で、 誰からも忘れられた巣穴の中で、 永遠に―――――――――――― おそらく、幾千の時を超えて ―――人の目に見えないモノが生きていました。 (END) あとがき こんな良く分からない駄文を最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます。 畑で集団自滅モノを書いていたのですが、 気分転換に思いついたネタをメモしていたつもりがいつの間にかこんな事に…。 そして、世界の名作の小ネタパロディーの詰め合わせをいくつか書くつもりが、こんな事に…。 ゆっくりたちを絶望させて終わらせるはずが、いつの間にか「死なない蛸」(萩原朔太郎)に……… 世の中とは儘ならぬものです。ゆっくりした結果がこれだよ! しかし、巣穴の中の土は食料庫を掘れる位に柔らかいのだから、別の入り口を掘れば助かったのに。 結局、餡子脳ということでしょうか。 ちなみに、1[μm/day]だと、1m進むのに2738年弱かかる事になりますね。 さすが、虐待お兄さんは永遠に不滅です! これまでに書いた作品 少年と木ゆっくり by.アールグレイ このSSに感想を付ける