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『おうち宣言ストッパアッー!』 5KB 観察 日常模様 お家宣言 現代 独自設定 処女作です。 [おうち宣言ストッパアッー!] おうち宣言とは ゆっくりが自分の生活の拠点、 いわゆるゆっくりプレイスだということを 宣言することである。 「ここをまりさのゆっくりぷれいすにするよ!」 そう宣言されてしまったら、 (ゆっくりなら)それに従わなければならない。 だが宣言中にそれを止めることができれば おうち宣言を無効化できる。 だが留守中に侵入されてしまうため 止めるものが一切いない。 (そもそもゆっくりは誰もいないことを確認してから おうち宣言を行う。) 基本的には自分で作った巣で行うのだが しっかりと戸締りをしない不用心な人間の家に忍び込み、 おうち宣言をするゆっくりがいる。 戸締りをしっかりしない人間が悪いのだが 加工所はそれを重く受け止め、 なんとかおうち宣言を行わせないためのものが作れないか? そこで加工所はこんなものを開発した。 おうち宣言ストッパー初期型。 使い方は家の窓や玄関、 他にもゆっくりが侵入できそうなところに仕掛ける。 形は そしてゆっくりがおうち宣言をしようとすると、 ゆっくりがその瞬間に放つオーラのようなものを感知し、 ゆっくりの声で 「ここはにんげんさんのおうちだよ! ゆっくりしないででてってね!」 加工所で無理やりいわされたゆっくりの声が再生される。 だがこれはゲスはおろか、普通のゆっくりにすら通用しない。 ~普通なゆっくり(れいむ)~ 「ここをれいむのゆっくりぷれいすに(ry 「ここはにんげんさんのおうちだよ! ゆっくりしないででてってね!」 「どぼじてぞんなごというのぉぉぉぉ!?」 「ここはにんげんさんのおうちだよ! ゆっくりしないででてってね!」 「うるさいよ! ここはもうれいむのおうちだからじゃましないでね! ぷくー!」 こうなると逆上されて家を荒されてしまうということが起こる。 そもそもこの機械の欠点は 「おうち宣言をしようとした瞬間」に「二回しか言わないこと」である 二回唱えられた後にはもうおうち宣言が成立したものと 餡子脳で解釈してしまう。 そのため 「おうち宣言ストッヒャッハー!」が開発された。 こんどはゆっくりそのものが放つオーラを感知し、 「ヒャッハー!ゆっくりは虐待だァーッ!」 と鬼威参の声で再生されるようになった。 だがこれは頭が悪いやつには通用しない。 ~無能(まりさ)~ 「やっとじじいのいえにはいれたのぜ! ここを(ry 「ヒャッハー!ゆっくりは虐待だァーッ!」 「なんでにんげんがいるのぜぇッ!? まあいいからさっさとすがたをあらわすのぜ! せいっさいしてやるのぜ!」 とこんな風に家を荒されてしまう、 しかもこれは飼いゆにも被害が出る。 ~飼いゆ(れいむ まりさ)~ 「きょうもゆっくりしようねまりさ!」 「そうだねれいむ!」 「ヒャッハー!ゆっくりは虐待だァーッ!」 「「ぎゃくたいはゆっくりできないいぃぃぃえれえれえれ…」」 飼いゆは教育課程で虐待の恐ろしさの一部を知る、 それがフラッシュバックすれば しあわせから一気に不幸のどん底ずんどこにたたき落とされ、 ほぼ間違いなく即死してしまう。 なかには逃げるためにおたべなさいを行うゆっくりも現れた。 ならば捕食種を使おうと言うことで 「おうち宣言するとたーべちゃーうぞー★」が開発された。 機能としては変わらず声が小さくなり 飼いゆには聞こえない所にセットするようにすれば飼いゆには聞こえない。 だがこれはゆっくりを調子に乗せることしかできなかった。 ~無能なアリス~ 「とってもとかいはなおうちね!」 「うー!たーべちゃーうぞー★ぎゃおー★」 「いなかもののれみりゃね…そんなちいさいこえってことはおちびかしら? そんなのこわくもないわ!」 …とこんな風に敵にすら思われずまりさだと優越感に浸り暴れまわってしまい被害はトップクラスだった。 だんだん加工所も窮地に立たされてきたがそれを奪回するチャンスを得た。 そして最終的に発明されたのが 「おうち宣言ストッパアッー!」 そうその名の通り、 「れいぱーありす」の鳴き声や声が三種類内蔵されている。 人間でも鬱になりそうな装置が開発された。 装置はさらに改良がくわえられ、野良ゆにのみ反応するようになり、 飼いゆには反応しないどころか、飼いゆには {とてもゆっくりしたおうた}が聞こえるようになっている。 さらに遊び心で隠し音声まで含まれていてこれは 「ぼうすっきりじだくだいぃぃぃぃぃ!」と稀に流れるようになっており、 これは効果がてきめんだった。 ~テンプレ一家~ 「ひろいのじぇ!まりちゃがいちばんのりなのじぇ!」 「れいみゅも!れいみゅも!」 「おちびちゃんたち・・・とってもゆっくりしてるよぉ!」 「ここをまりさたちのあたらしいゆっくり(ry 「んほおおおおおお!ようこそすっきりの巣へええええええ! とかいはなあいをあげるわああああああ!!」 「れいぱーだぁぁぁぁ!」 「ゆっくちできないのじぇぇ…えれえれえれ」 「おちびちゃん!あんこさんはいちゃだめええ!」 「「もっちょ…ゆっくちちちゃかっちゃ…」」 「おちびちゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「ゆっくりにげるよ!れいぱーがきちゃうよ!」 レイパーを制裁しようとする個体がいないのは 餡子脳に本能として刻まれているからだ。 飼いゆは 「とってもゆっくりしたおうたさんがきこえるね…」 「ちぇんねむたくなってきたんだねー…わかるねー…」 「「すーやすーや…」」 人間には一応聞こえるが基本外出中に使うアイテムの為、 まず聞くことはない。 最初は信用されずにいたがネットで評判が良くなり、ニュースにもなった。 一家に一台といっても過言ではない勢いで売れて 農家の人間も畑にセットできるよう防水型の改良型も発売され 商品は爆発的にヒットした。 おうち宣言被害を大きく減らしたという結果を残した。 …が虐待鬼威山にはヒットしなかった。 鬼威山にアンケートをとった結果、 「虐待するゆっくりが家に来なくなるのはつらい。 虐待するためなら家も犠牲にできる。」 「レイパーの声を聞いているとレイパーでヒャッハーしたくなるが レイパーを捕まえるのは難しいから」 「虐待用には不向き、れみりゃのほうが使える。」 …と鬼威山にはたーべちゃーうぞー★のほうがヒットした。 これを使ってどのような虐待をするのか…それはまた別のお話。 … 「ここをでいぶの(ry 「んほおおおおおお!」 _______________ 初投稿作品でしたがいかがでしたでしょうか? ゆっくりできたでしょうか? ちょっと人間に都合合わせすぎたかな… 「たーべちゃ(ryを使った虐待作品も書いてアップしたいなと考えております。 っていうかこのアイテムを加工所産防音ガラスみたいにみんなにも使ってもらえたらうれしいなぁ。
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※独自設定垂れ流し ※「ふたば系ゆっくりいじめ 691 おうち宣言!」に触発されて書きました ※このSS上では倫理的に明らかに間違ったことが主張されていますが、 あくまでこのSS内でしか通用しないフィクションです 「ゆっくりを滅ぼす手伝いをしてくれ、か……」 大学からの薄暗い帰り道。歩くうちに、ため息とともにそんな呟きがこぼれた。 高校以来のちょっと変わり者だった友人は、大学に入ってからこともあろうに「ゆっくり 生態学」なんて言うキワモノを学び始めた。 それだけならまだいいのだが、最近言ってくるのだ。ゆっくりを滅ぼす手伝いをしてくれ、 なんてばかげたことを。 まったく勘弁してほしいものだ。 俺個人としては、ゆっくりは好きでも嫌いでもない。 登場当時はその存在の不思議さに世間を騒がせた不思議生首饅頭ナマモノ、ゆっくり。だ が、人はどんな不思議も日常にあればやがて慣れる。今やゆっくりもすっかりありふれて おり、別に不思議でも何でもない。 ゆっくりは作物に被害を及ぼしたり人家に侵入したりするという。農家の人やゆっくりご ときの侵入を許すマヌケにとっては憎むべき汚物かもしれないが、あいにく俺はどちらで もない。あいつらの被害というのはどこか遠い、よく耳にするニュースのひとつに過ぎな い。 だから俺にとって、ゆっくりは好きでも嫌いでもないナマモノなのだ。 「ただいま~……って言っても誰もいないか」 一人住まいのアパートに到着。すっかり習慣になってしまった返事のかえってこない帰宅 の言葉は、しかし、 「ゆうう……?」 今日は違った。 声が返ってきた。 「!」 緊張に身をこわばらせる。誰か、いる……? 薄明かりの中、アパートの床の上をうごめく何か。 意を決して、俺は電気をつけた。 「ゆ! ゆゆっ!? もうあさ~?」 「ゆううん、れいむ、まだねむいよ」 そこには、紅白のリボンをつけた黒髪の生首饅頭と、黒い鍔広の魔女帽をかぶった金髪生 首饅頭――すなわち、ゆっくりれいむとゆっくりまりさがいた。 おうち宣言成立理由 「な、なんじゃこりゃあああ!?」 まず、第一声がそれだった。 バスケットボール大の、ゆっくりまりさとゆっくりれいむ。これは知っている。見たこと がある。町中の野良や人につれられた飼いゆっくりはよく見かけるし、テレビのコマーシ ャルでゆっくりが使われるのも最近でも珍しくない。 それはいい。 だが、この惨状はなんだ。 俺はあまりものを持たない主義で、男の一人暮らしとしては並以上に綺麗にしている自信 があった。 それが、ひどいありさまだった。 部屋の隅に綺麗に積んでおいたはずの雑誌は散らかされ、あまつさえページはビリビリに ちぎられ散らばっている。 ちょっと暮らしに潤いを、なんて気まぐれで買ってきた観葉植物の鉢植えは倒され、床の 上に土をぶちまけている。肝心の植物は根本の茎だけしかない。その茎についた歯形から すると、こいつら、喰いやがったのか。 タンスにしまうのを後回しにしていたタオルや衣服はことごとく泥まみれで部屋中に散ら かり、その一部はやつらの下に敷かれている。昨日真っ白に洗ったばかりのタオルは泥ま みれの布団もどきとして活用されていた。 どこから入ってきたかと見れば、出窓が開いている。そこを開けてやってきたらしい。鍵 を閉めたつもりだったが……その記憶がどうにもおぼろだ。 俺は今まで、ゆっくりに家宅侵入を許すような奴はマヌケなだけだと思っていた。だが、 なんてこった。俺こそがそのマヌケだったのだ。 「ゆゆ!? まりさ、にんげんさんがいるよ!?」 「ゆ! ここはまりさとれいむのゆっくりぷれいすだよ! ばかなじじいはさっさとでて いってね!」 出た。ゆっくりの「おうち宣言」。 ゆっくりは人のいない家に侵入して自分のものと思い込むと言う。 噂には聞いていた。だが、それを生で、それも自分のアパートで聞くことになるとは夢に も思わなかった。情けなくって涙も出ない。 「きいてるの!? まりさとれいむはゆっくりしたいんだよ! だからとっととどっかに いってね!」 「ゆゆ~ん、まりさ、かっこいいよ! とってもゆっくりしてるよ!」 「ゆんゆん! れいむのまりさはとってもゆっくりしたゆっくりだから、とうぜんだよ!」 キリッとした目でイラッとする表情を作り俺に言葉を投げるまりさに、うっとりとしなだ れかかるれいむ。 ああ、俺は今までまともにゆっくりを見る機会はなかったが、こんなにもいらつくものだ ったのか。 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 俺はとりあわないことにした。 「おうち宣言」はゆっくりの習性みたいなもので、言い聞かせても無駄だと聞いている。 だが、取り合わないと言っても見逃すつもりはない。これだけ部屋を荒らしたのだ。しか るべき罰を与えたい。でもそれは部屋の片づけをして落ち着いてからにしたかった。 ゆっくりを閉じこめるには透明な箱を使うのが定番と聞いたことがあるが、あいにく俺は そんなものを持ち合わせてはいない。 「まりさのいうこときいてるの!? まりさおこるよ! ぷくうううう!」 「ゆうう! まりさすごいぷくうぅだよ! まりさがかっこよすぎて、うれしーしーとお そろしーしーがいっしょにでちゃったよ!」 うわ、れいむのやつ漏らしやがった。砂糖水って拭きとるの大変なんだぞ、くそ。 その元凶のまりさは、空気を吸い込んで大きく膨らみ、その状態で器用にも得意げな笑み まで浮かべてやがる。赤くなった頬、丸くなったその姿はゆでだこを彷彿とさせた。 「ゆでる……そうか、あそこがいいか」 俺は両手それぞれにまりさとれいむの髪をひっつかんで持ち上げた。ゆっくりの持ち方な んて知らないが、これでいいだろう。 「いだい! やべでね!」 「れいむのきれいなかみさんひっぱらないでえええ!」 どうやら間違った持ち方ではなかったらしい。実にいい声を上げてくれる。 そして、俺はユニットバスへ向かうとゆっくり二匹を放り込んだ。ゆだるようなフロでゆ でだこに、という連想で風呂場を思いついたのだ。あいにくと湯ははっていないが、こい つらをしばらく閉じ込めるにはちょうどいいだろう。 「ゆべ!?」 「ゆぶうう!」 受け身もとれず――手も足もないのだから当然だが――顔面からユニットバスにダイブす るゆっくりども。うん、いい案配だ。 「おまえらそこでゆっくり反省してろ。あとでお仕置きしてやる」 「なにするのおお!」 「やめてね! だしてね! ここはなんだかゆっくりできないよ!」 ぴょんぴょん跳ねるまりさとれいむ。思ったより高く跳ぶ。放っておいたら脱出してしま うかもしれない。 「……そういやこいつらって、水が苦手だったな」 思い立ったら即実行。俺はユニットバスの底の栓を閉めると、シャワーでゆっくりどもに 冷水を浴びせかけてやった。 「ゆぶぶぶ、ちゅべたいいいい!」 「やべでええええ! おみずさんはゆっくりできないいいい!」 逃げまどうゆっくりども。だが、水に濡れたユニットバスの底は滑る。先ほどのように高 く跳ぶこともできず、みっともなく転がり回るばかり。なかなか愉快な眺めだ。 そうやって遊んでいると、ユニットバスには水がたまってきた。俺にとってはくるぶしが 水に浸かるぐらいの深さ。ゆっくりどもにとっては口がぎりぎり出る程度だ。 「ゆああああ! とけちゃううう! おみずさんはゆっくりできないいい!」 もがくれいむ。暴れるから水が皮に染み込み溶ける速度を余計にあげている。 「ゆ! まりさはおぼうしさんにのるよ!」 あ、しまった。ゆっくりまりさってやつはぼうしで水に浮かぶんだった。あわてて帽子を 取り上げようとし……。 「ゆうう!? どぼじでおぼうしさんうかないのおおおお!?」 だが、その必要がなかった。水深が浅すぎる。まりさのぼうしは水に浮かばずにユニット バスの底についてつぶれ、水を防ぐ役に立たなかった。 「ゆああああ! おぼうじざん! おぼうじざん! まりさのおぼうじざんんん!」 水に濡れ、みっともなくつぶれた帽子を前に嘆くまりさ。まったくマヌケなナマモノだ。 「よしよし、おとなしくしてろよ。あとできっちり罰を与えてやるからな」 そして、俺はバスルームを後にした。 「ゆああああ! とけちゃう! とけちゃう! れいむのすてきなあんよがああああ!」 「おぼうしさん! まりさをたすけてね! いじわるしないでぷーかぷーかしてね! お みずさんはゆっくりできないいいい!」 ゆっくりの声は甲高くて耳障りだ。だが、部屋を散らかしたあいつ等の苦しむ悲鳴は悪く ない。それにバスルームの扉一枚隔てたおかげでその悲鳴も絶妙にマイルドでいい感じだ。 俺はちょっとだけ気分を良くして部屋の片づけをした。 そして、ようやく部屋を片づけ終え、お茶で一服。気分も落ち着いた。 バスルームからは声は聞こえない。あいつらもいい加減、少しは反省したのだろうか。そ れならこのまま帰してやってもいいかもしれない。 そんな仏心を出しながら、バスルームで俺を待っていたのは、餡子でべっとりの浴槽だっ た。 「ああ、あいつら暴れまくって、結局完全に溶けちまったのか」 俺は二つのことを理解した。 ひとつはゆっくりが意外と早く水に溶けてしまうということ。もうひとつは……今日は部 屋の片づけどころかフロ掃除までやらなくてはならないということだった。 ・ ・ ・ 「聞いたよ! ゆっくりに『おうち宣言』されたんだってね!?」 翌日、大学の食堂。ゆっくりなんぞを研究している、物好きな友人がやってきた。 通学中に別の友人に昨日の出来事をグチったのを早速聞きつけたのだろう。迂闊だった。 「うるせーな。そうだよ、俺は『おうち宣言』されたマヌケだよ」 「そうイジケないでよ! それより、ゆっくりの恐ろしさを知っただろう? やつらは滅 ぼさなきゃいけないんだよ!」 「また始まったよ……」 こいつはことあるごとにゆっくりを滅ぼす、なんて言い出す。 そりゃ俺も『おうち宣言』されてゆっくりに対する心証は最悪だ。でも、だからと言って 大量虐殺しようとまでは思わない。 「いや! 君はあいつらの恐ろしさをわかってない! 僕の研究成果をみればきっと……」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 相手にしていても仕方ない。俺は友人の言葉を遮り席を立つ。 「ああ、また僕の話を聞いてくれないのかい!?」 「ばかばかしい。あいつらのどこが恐ろしいって言うんだ。確かに迷惑だけど、弱くても ろくて勝手に死ぬようなやつらじゃないか」 「そんなことないんだよ! だからその証拠を……」 「うるさい! ただでさえ昨日のことでいらついてるんだ。ほっといてくれよ」 友人は悲しげに目を伏せた。 ああくそ、俺が悪いみたいじゃないか。こいつは基本的にはいいやつなんだ。高校までは 仲良くやっていたんだ。こいつがゆっくりの研究なんか始めたりしなけりゃ……。 ――結局、ゆっくりが悪いんだ。あんなやつらがいるから……! 「そうか……しかたない。じゃあひとつだけ忘れないでくれ」 はっとなった。俺、今、なんか極端なこと考えなかったか……? 「けっして『ゆっくりしない』でくれ」 「? なんだそりゃ、どういう意味だ?」 「そのままだよ。『ゆっくりしない』――それを心に刻んでおいてくれたまえ。君の住ん でいるアパートの周囲にはゆっくりが多い。危険なんだ」 「意味がわからねえよ」 俺はそのまま立ち去った。 歩きながら、友人の言ったことを考える。 『ゆっくりしない』? なにをバカな。いつでもアクセクしてろっていうのか? ばかばかしい。やっぱりあいつは変な奴だ。 俺は思いっきりため息を吐いた。 ・ ・ ・ 俺は一度のおうち宣言を許した。だから、あれから一週間。戸締まりには気をつけるよう になったし、今日も出かける前に確認したはずなのだ。 それなのに、 「なんでこうなる……?」 大学から帰った俺を迎えたのは、あのときのように俺のアパートを荒らしに荒らし、我が 物顔でくつろぐゆっくりたちだった。 信じたくはないが、出窓が開いているのは俺が鍵を閉め忘れたためなんだろう。手も足も ないゆっくりにピッキングなんてできるはずもない。 「ゆ! ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!」 「れいむたちゆっくりしているんだからじゃましないでね! 『いしゃりょー』としてあ まあまをおいて、とっととどっかへいってね!」 「ゆうう! あみゃあみゃあ!」 「あみゃあみゃはゆっくちできりゅんだじぇ! はやくもってくるんだじぇ!」 バスケットボール大のゆっくりまりさとゆっくりれいむ。ここまでは前回と同じ。今回違 うのは、それに加えてハンドボール大のまりさとれいむがそれぞれ一匹いることだ。 どうやらこいつらは家族らしい。 ふつふつを怒りが沸き上がる。部屋を荒らしたことへの怒り。得意顔で傲慢な要求をして くるクソ饅頭どもへの怒り。なにより、そんんな状況を許してしまった俺自身への、怒り。 「ふざけんなお前らーっ!」 叫びと共に次々とゆっくりどもをひっつかむと、ユニットバスの中にたたき込んだ。 「なにずるんだぜ……ゆぶっ!?」 「かわいいれいむをっ……ゆばぁ!」 「やめちぇね! やめちぇね!……ゆびゅぅ!?」 「だじぇだじぇ……だびぇぇっ!?」 適当に放り投げたのに、ことごとく顔面ダイブするゆっくり一家。せめて「あんよ」とや らから落ちれば痛みも少しはましだろうに、自分からやってるんだろうか。 まあいい。ゆっくりどもが痛みに震えているうちに、ユニットバスに栓をしてシャワーを 浴びせかけてやる。 「おみずさんはゆっくりできないぃぃぃ!!」 逃げまどうゆっくりども。だが前回同様、滑るユニットバスではゆっくりの「あんよ」で はどうしようもない。つるつるおもしろいように滑って転がる。あっちにころころ、こっ ちにころころ。ユニットバスは狭いから、何度も何度もごっつんこ。まるでビリヤードの よう。 愉快な親子の有様に、思わず笑みが漏れてしまう。 前と同様、親ゆっくりどもの口元まで浸かるくらいの水深になったところで水を浴びせる のは止めてやる。 「じじぃ! さっさとだすんだぜぇぇぇ!」 「さむいよ! とけちゃうよ! ゆっくりできないよ! はやくだしてね!」 「ゆぇぇぇん、れいみゅ、わるいことしてにゃいにょにぃぃ! にゃんでこんにゃことす るにょぉぉ!?」 「じじぃはばきゃなんだじぇ! だきゃらわるいことしてりゅのがわからないんだじぇ! いまにゃらゆるしてやりゅかりゃ、さっさとだしてあみゃあみゃもってくるだじぇ!」 水をかけるのと止めたとたんに騒ぎだす饅頭ども。情状酌量の余地なし。 だから俺の次の行動は早かった。 台所から二つの道具を持ってくる。そして、ゆっくりになぞなぞを出してやった。 「上は大火事、下は大水、なーんだ?」 ゆっくりたちは一瞬止まった。だが、すぐにわめき出す。 「なにわけのわからないこといってるんだぜ! まりささまはだせっていってるんだぜ!」 「じじぃはあたまがかわいそうなんだね! あたまがかわいそうでごめんね! なんてゆ るさないからね! はやくここからだしてね!」 「ゆぅぅ……ちゅめたいよぉ……とけちゃうよぉ……だちてよぉ……」 「おとーしゃん! こんなばきゃはどうしようもないんだじぇ! 『しぇいっさい』! してやりゅんだじぇ!」 わめきだすゆっくりども。未だに自分たちのおかれてる状況、こちらとの力の差も理解で きないらしい。 なにより、なぞなぞを出してるんだから答えてほしいものだ。 まあ別に答えなんぞ期待してないが。 解答はとっとと体感してもらうことにしよう。 「答えは、お前らの地獄」 そして、俺は二つの道具を構えた。一つは細長い着火用のライター。もう一つは可燃性の 殺虫スプレー。 それを生意気を抜かす子まりさに向け、 「ファイア!」 スプレーを噴出させると、ライターの火で燃え上がり火線が伸びた。よい子はまねしちゃ いけない簡易火炎放射器だ。 「だっじゃぇぇぇぇぇぇ!?」 おぼうしを燃え上がらせ、熱さに飛び跳ねる子まりさ。その跳躍力はなかなかのもの。も う少しがんばればユニットバスの縁に着きそうなくらいだ。火事場のバカ力ってやつか。 「おちびちゃああああん!?」 「おちびちゃん! おみずにざぶーんだよ! ざぶーんすればきえるよ!」 子まりさはマヌケにも火の熱さに上に飛び跳ねるばかり。水深は子まりさでもどうにか帽 子の上の方は出るくらいだから消えなかった。周りの水ですぐに消せるというのに気がつ かないのがさすが餡子脳といったところか。 「だじぇじぇじぇじぇじぇぇ!」 頭から水に飛び込みようやく鎮火する子まりさ。 頭を水に沈め、おしりをぶりぶり振っている。実に不愉快な眺めだ。 だからそこに火を放ってやった。 「ゆびゃあああああ!?」 跳ねる子まりさ。熱いおしりを水につける。ほっと一息吐いたところで、再び頭にファイ ア。 「ゆびっ!? ゆびゃ! やめるんだじぇ……ゆびゃあああ!」 火で焼かれては水で冷やし、別の場所を焼かれては水で冷やし……その繰り返しで、元気 に飛び跳ねる子まりさ。いや、いいね。元気な子供は見ているだけで心が和むというもの だ。 「や、やめるんだぜ! おちびちゃんがいやがってるんだぜえええ!」 今頃、と言うべきか、ようやく、と言うべきか。 親まりさがやめさせようと火を操る俺の手へと飛びかかってきた。 熱く燃える子まりさへの親心は、熱烈に歓迎してやるべきだろう。 「ファイア!」 「ゆびゃあああ!?」 真っ正面から飛びかかってきた親まりさに、真っ向から火を浴びせてやった。 顔が焦げ、おぼうしは炎上しだした。 「ゆああああ!? まりさのだいじなだいじなおぼうしがああああ!?」 そっちは放っておき、再び子まりさに火を吹きかけてやる。 「あじゅ……あじゅ……やべじぇ……」 先ほどまでは元気に飛び回っていたが……いや、そのせいか。火と水で痛めつけられた皮 はすっかりもろくなり激しい運動で餡子も漏れだしていた。動いている間はよかったが、 一度止まってダメージを自覚してしまい、動けなくなってしまったらしい。 それでもかまわず火を吹きかけると、子まりさはぶるぶると震え、 「おぢょうしゃん……たしゅけちぇぇぇぇ……!」 うめくように叫んだ。だが親はと言えば、 「おぼうし! おぼうし! よかったよぉぉぉ!」 おぼうしの火が消えたことにいたく感動しているご様子。 そんな親を恨めしそうに見ながら、子まりさはけぷっと餡子を吐き出した。それを最後に 動かなくなった。 「おちびちゃん! おかあさんのおくちにはいってね!」 「ゆっくちりかいちたよ!」 惨状を前に固まっていた親れいむと子れいむがようやく動いた。 子れいむをくちにおさめると、親れいむは得意げにほほえむ。 「これでばかなにんげんさんはてをだせないね!」 「ゆっくちできりゅよ!」 見事な親子愛。まったく言葉もない。 だから俺は無言で細長い着火用ライターの先端を親れいむの目と目の間に垂直に突き入れ た。 「ゆ”っ!?」 下に向かってしばらく突き込むと、一瞬手応えが変わった。着火用ライターの先端が口の 中に達したらしい。 だから、ライターのスイッチを入れた。 「ゆうっ!?」 それでも親れいむは口を開けない。大した親子愛。見事なので、ご褒美にライターの火を つけたままグリグリとかき回すように動かした。 三周ほど回した頃、 「ゆぶうう!」 「ゆんやあああ!」 見事親れいむは口を開いた。りぼんを真っ赤に燃やしながら子れいむが再登場。なかなか 華々しい登場だったので、それをさらに盛り上げるべく再び簡易火炎放射器で子れいむを 着飾ってあげた。 「ゆぢゃあああああああ!?」 黒髪までも赤く染める子れいむ。だが、その晴れ姿もほんの一瞬のもの。着水して消えて しまう。もったいない。だから俺は何度も何度も炎を吹きかけてやった。子れいむもまた、 情熱的におしりをぶりぶり振りながら踊ってくれた。 そんなダンスを楽しんでいたのだが、火が止まってしまった。スプレーが切れたらしい。 残念だったが、十分楽しんだ。 「おちびちゃん……?」 呼びかける、親れいむの声にもぴくりともしない。 子れいむはとっくの昔に「永遠にゆっくり」していた。 「どぼじで……どぼじでごんなごどずるのおおおお!?」 目と目の間の傷口から餡子を吹き出しながられいむが問いかける。 どうして、か。 言われてみればわからない。こいつらは「おうち宣言」をし、俺はそのことに対して怒っ た。 だが、それはここまですることのことだっただろうか。 よく、わからない。そんなことはどうでもいいか。だって…… 「ゆびゃああああ!」 こんなに、楽しいのだから。 ライターの火を親れいむの目に押しつけると、実にいい声で鳴いてくれた。もろい寒天の 目は、火に焼かれあっという間にカピカピになる。しかしこいつら、火にも水にも弱すぎ る。まったくもって、愉快な奴らだ。 今の俺はどうしてこんなことをするか、なんて悩むより、次にどうするか考えるのに忙し かった。 殺虫スプレーには買い置きがあったはずだ。細かいことは、まずはもう一つスプレーを持 ってきたから考えよう。そう、疑問もなくごく自然に思った。 ・ ・ ・ 「昨日は大変だったみたいだね」 大学の食堂でぼんやり座っていると、友人が声をかけてきた。いつもの妙なテンションで はなく気遣う様子が感じられていたのだろう。 俺の態度に気がついたのだろう。 俺は、落ち込んでいた。ゆっくりに再び「おうち宣言」を許してしまったマヌケさに。部 屋の片づけの疲れに。 なにより……。 「それで……ゆっくりの虐待は楽しかったかい?」 友人の言葉に思わず席を立つ。 俺が落ち込んでいた最大の理由がそれだったのだ。 ゆっくりを虐待する人間がいるというのは聞いていた。今までなんでそんな残酷なことを するのか理解できなかった。いや、今だってそう思ってる。 それなのに、昨日の俺は違った。ゆっくりを楽しんで虐待したのだ。 そのことについて落ち込んでいたのだ。 ゆっくりに「おうち宣言」されたことは愚痴に漏らした。だが、虐待したことまでは人に は話してなんかいない。 それなのに友人は言い当てたのだ。 友人の目を見た。瞳の奥には確信があった。もう、ごまかせないと思った。 「俺はどうしちまったんだ……俺は、ゆっくりに『おうち宣言』をかまされるほどマヌケ じゃなかったはずだ。ゆっくりを虐待するような趣味だってなかった。そのはずだ。それ なのに……それなのに……!」 俺は、楽しんだ。心の底から。 それが信じられない。許せない。なにより……理解できない。 「僕の研究なら君の疑問に答えてあげられるよ。見ていかないかい?」 いつもは必ず断るであろう友人の誘い。だが、俺は拒否することなんてできなかった。 ・ ・ ・ 友人につれられてきたのは、大学の研究室のひとつだった。俺と友人以外には誰もいない。 「いろいろえらそうに言ったけど、実はまだ仮説の段階でね……」 そんなことを言いながら、友人は部屋にあったパソコンを立ち上げた。そこで、様々な図 表類を広げていく。 「これがこの街のゆっくりの分布図。で、こっちが『おうち宣言』の被害にあった記録」 それぞれ街の地図の上に描かれていた。ゆっくりの分布は色分けされていて、赤に近い色 ほど数が多く、青に近くなるにつれて少ないらしい。 「おうち宣言」の被害の方はいくつもの点で示されていた。 「ふたつを重ねるとこうなる」 「……ゆっくりが多いところがやっぱり多いんだな」 「おうち宣言」された家は、当然ゆっくりが多くいる場所に集中していた。当たり前と言 えば当たり前の結果だった。 それにしてもけっこうな件数だ。だいじょうぶなんだろうか、この街。 「でも、このデータと合わせて見るとちょっとおもしろくなってくる」 続いて友人が見せたのは二本の折れ線グラフ。青い折れ線グラフは上下に揺れながら下降 線を描いており、赤い折れ線グラフは上昇線を描いている。 「これは……?」 「青い方が空き巣の被害件数。年々減少してる。赤い方が『おうち宣言』の被害件数。年 々上昇してる」 「それのどこがおもしろいっていうんだ?」 「ここで問題です。ゆっくりが『おうち宣言』する家はどんな家でしょう?」 「そりゃ、戸締まりがちゃんとしてなかったり、窓ガラスがゆっくりにも割れるほど薄か ったり……あああっ!?」 「気づいた?」 「な、なんでそんな不用心な家が増えてるってのに空き巣が減ってるんだよ!?」 「ゆっくりのおうち宣言」はゆっくりが侵入して初めて成り立つ。すなわち、戸締まりの ちゃんとしていない、隙だらけの家が無かったら発生しない。 そんなねらわれやすい家が増えているというのに空き巣が減っているという。言われてみ れば奇妙な話だった。 「おもしろいよね? この奇妙な傾向。僕はその原因は、ゆっくりの特性にあると思って いる。その研究を進めている。それを、説明してあげるよ」 ごくりとつばを飲み込む。何か、予感があった。きっとそれは、得体の知れない恐ろしい 話なのだ。 だが、その開始は友人ののんびりとした問いだった。 「説明の前に、まず。『ゆっくりオーラ』って知ってる?」 「え、ええ!? ええと、『ゆっくりオーラってあれだろ? ゆっくりといるとリラック スできるとか言う、マイナスイオンみたいなやつ」 かつては「ゆっくりオーラ」と言えば、どすまりさと呼ばれる巨大なゆっくりが使うもの とされていた。その効果は、周囲のゆっくりたちを「ゆっくりさせる」こと。これによっ て野生のゆっくりは秩序を保った群を形成するという。 近年の研究で、普通のゆっくりもこの「ゆっくりオーラ」を発するということがわかった。 一時期、ゆっくりショップは「ゆっくりオーラ」を宣伝文句に一大ブームを巻き起こして いたものだ。もっとも通常種の「ゆっくりオーラ」はどすまりさのそれと比べて遙かに微 弱であり、実質的な効果は疑問視されている……なんてことを、最近テレビで言っていた ように思う。 「最新の研究では、複数のゆっくりが集まることによって『ゆっくりオーラ』の濃度が高 まることがわかったんだ」 「集まると高まる? そりゃ、数が多けりゃその分そのオーラとやらがでるのも増えるん だろうけど……」 「そんな程度じゃないんだ。『ゆっくりオーラ』というのは実は特殊な波形の音波なんだ。 複数集まると共振によってその波形は指数関数的に強くなる。特に、都会の野良ゆっくり は厳しい生活故にゆっくりしたいという思いが強く、元の『ゆっくりオーラ』の量は少な いのに複数集まったときの増幅度が極端に高いんだ」 「なんか難しい話になってきたけど……『ゆっくりオーラ』ってゆっくりできるってこと だろ? 別に害があるわけでもないし、強けりゃ強いほどいいんじゃないか?」 すると、突然友人は立ち上がった。 目を見開き、 「『ゆっくりしない』!」 突然叫ぶものだから、俺は「うわ」と情けない声を上げてイスから転げ落ちてしまった。 「ごめんごめん。驚かしちゃったね」 「びっくりしたぜ……」 友人の手につかまり、椅子に座りなおす。友人もまた対面の椅子に座った。 「でも、忘れないでって言ったよね。『ゆっくりしない』でって」 確か、最初に「おうち宣言」をくらった翌日に、こいつはそんなことを言っていたような 気がする。すっかり忘れていた。 「ねえ、『ゆっくりがゆっくりする』ってどんなことだとおもう?」 「ええ? そりゃ、しずかに、おだやかに、のんびりと……そんな感じでいることだろ?」 「それは『人間にとってのゆっくり』。『ゆっくりにとってのゆっくり』は違う」 「違うのか?」 「基本的にはおんなじだけど……そうだね、ゆっくりってどんなナマモノだと思う?」 「そりゃ、バカで愚かでマヌケでグズで、身の程知らずで……」 「そう。救いようもなく下等な存在。『ゆっくりにとってのゆっくり』っていうのは、人 間から見てそこまで身を堕とさなくては至れない境地なんだ」 「……なんだそりゃ。わけがわからない」 「その通り。わけがわからない。そして、『ゆっくりオーラ』がもたらす『ゆっくり』は、 そんな『ゆっくりにとってのゆっくり』なんだ」 「なっ!?」 一瞬、恐ろしい想像が脳裏をよぎった。 ゆっくりのようにふてぶてしく笑いながら「ゆっくりにとってのゆっくり」を満喫する自 分の姿。 あまりにもおぞましい想像に、背筋に怖気が走る。 「ば、ばかな。そんなことがあるわけがない。テレビでも言っていたぞ、『ゆっくりオー ラ』はヒーリング効果があって……」 「薬も過ぎれば毒になる。高濃度の『ゆっくりオーラ』は人間の思考を限りなく餡子脳に 近づける……いや、餡子脳だからこそ、ゆっくりできるって言った方が適切かな」 「そんなバカな……」 「そんなバカなことを、君は二回も実際に体験したはずだ」 言葉に詰まった。 そうだ。俺は二回もゆっくりに「おうち宣言」されているのだ。まさに餡子脳と言うほか ない、マヌケこの上ない失態だ。 パソコンのモニタに目を移した。そこにはまだ、ゆっくりの分布とおうち宣言をされた場 所が表示されている。 俺のアパートの周囲には、大量のゆっくりがいる。 「さっき空き巣の犯罪件数が減っていただろ? あれはゆっくりが多くなったせいだと思 う。犯罪を犯すにはある程度の覚悟が必要。『ゆっくりオーラ』はその決意を鈍らせる」 「な、なんだよおどかすなよ。いいこともあるんじゃないか?」 「いいこと? とんでもない。確かに犯罪が減るのはいいことだけど、実際には悪影響の 方が確実に多いはずさ。僕がたまたま調べた目に見える数が空き巣の件数ってだけ。ゆっ くりが数を増やし『ゆっくりオーラ』の濃度を増せば、人間は餡子脳に限りなく近い思考 になってしまうかもしれない。そうなったら確実に社会は崩壊する。人間が人間たり得な くなる」 「や、やめろよ。おどかすなよ。ゆっくりはそんな怖いモノじゃないだろ? 簡単に殺せ るし、ほっとけば勝手に死ぬし……」 「これがこの街のゆっくりの頭数を表したグラフだ」 俺の逃げ道を塞ぐように友人は新たなグラフを表示させた。 変化の激しい折れ線グラフだった。 基本的には増加傾向。途中、何度も極端に下に落ち込んでいる場所がある。しかし、その 後には必ず前より増えている。 「ゆっくりの大規模な駆除は何度も行われている。にも関わらず、ゆっくりは増え続ける。 何度減らしてもすぐに前以上の数になる」 「そんなバカな……でも……でも……」 「やれやれ、まだ認められないのかい。君は本当はとっくに理解しているくせに」 「な、なんのことだ?」 「ゆっくりの虐待は楽しかっただろう?」 「!」 友人は嫌味なほどにうんうんと頷き理解を示す。 そして一転、真剣な目を向けられ、俺は息をのむ。 「いいかい? ゆっくりは人間社会を侵略している。ゆるやかに、だれにも気づかれない よう、ゆっくりと。人間とゆっくりは決して相容れない。決して相容れない存在に対して、 人間はどうするか知ってるかい?」 「わ、わからない……」 「理性ではそうだろうね。でも本能ではわかっているはずだ。君も体験したんだからね。 理性で理解するには、歴史をひもといてみればいい。古今東西、人間が異物を排除すると きすることは決まってる。宗教戦争、異民族弾圧。例に事欠かない」 「なにをするっていうんだ!?」 「貶めて、殺す」 あまりにシンプルな言葉に、俺は息を飲み絶句した。 「相容れないものなんて否定しなくちゃいけない。だから、地に落とし、泥にまみれさせ、 その上にクソをかぶせて……徹底的に貶めた上で、無価値なものとして存在を消す。君の やった虐待は、人間にとってとても自然な行いだよ。自然な行いをするってのは、たいて い気持ちがよくて楽しいものなんだよ」 俺は友人の言葉になにも言い返せなかった。 倫理に反している。道徳を忘れている。人としてこんなことは絶対に否定しなくてはいけ ない。 それはわかってる。でも。 「虐待したとき、ゆっくりは悲鳴をあげただろう? 君の部屋はそんなに防音がきくはず もない。でも、誰も怒鳴り込んでこなかったはずだ。誰もが本当はゆっくりを受け入れな い。だからゆっくりの悲鳴は多くの場合、無視されるんだ」 それなのに、ああ、それなのに。 なんてことだろう。 俺はどこかで納得しているのだ。 愕然とする俺に、友人はやけに優しく微笑む。 「ねえ? あらためて誘うよ。僕と一緒に、ゆっくりを滅ぼす研究をしないかい? 君は とっても向いていると思うんだ。ぜひ僕を手伝って欲しい」 「こ、このタイミングでそれを聞くのかよっ!?」 「このタイミングだからこそ、さ」 俺は立ち上がった。もう耐えられなかった。 「帰る!」 去ろうとする俺を、友人は止めなかった。 ふと振り返ると、友人は微笑んでいた。とてもムカつく微笑みだった。 俺はもう二度と振り返るものかと、足を早めた。 ・ ・ ・ 「ゆ! ここはまりさとれいむのゆっくりぷれいすだよ!」 「ゆっくりしていってね!」 家に帰るとゆっくりたちがいた。 ああ、俺は。またしてもゆっくりに「おうち宣言」を許してしまっていた。 だが、どうだろうか。 俺は「ゆっくりオーラ」とやらで「ゆっくりにとってのゆっくり」に染まってしまったか ら隙を生じさせてしまったのか。 それとも……。 俺が帰り道の買い物ですっかり重くなってしまったカバンをごとりと置くと、ゆっくりた ちが色めきたった。 「ゆゆ! それはゆっくりできるもの?」 「ゆっくりー!」 カバンの中にはキリにライター、ハエたたきにピーラー、ノコギリにカンナにマチ針にタ バスコと種々様々、それでいて単一の目的の物ばかりが収まっている。 「そうだ。とってもゆっくりできるものだ」 そういうと、ゆっくりたちは微笑んだ。 俺も微笑んだ。きっと今、俺は別れ際の友人と同じ微笑みを浮かべているに違いない。 チクショウめ、いいだろう。のってやるよ。あいつを手伝ってやる。 だが今、この部屋は俺の物。俺の時間。俺が意図的に戸締まりをせず誘い込んだ、俺の俺 による俺のためのゆっくりたちだ。 「ゆっくりしていってね!」 笑顔でゆっくりどもに呼びかけ、俺は許されざる「人間として自然な行い」を始めた。 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐! ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口 ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ! ふたば系ゆっくりいじめ 181 ゆっくりばけてでるよ!後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 199 ゆっくりたねをまいてね! ふたば系ゆっくりいじめ 201 ゆっくりはじけてね! ふたば系ゆっくりいじめ 204 餡小話の感想れいむ・その後 ふたば系ゆっくりいじめ 211 むかしなつかしゆーどろ遊び ふたば系ゆっくりいじめ 213 制裁は誰がために ふたば系ゆっくりいじめ 233 どすらりー ふたば系ゆっくりいじめ 465 おぼうしをおいかけて ふたば系ゆっくりいじめ 469 おぼうしをぶん投げて ふたば系ゆっくりいじめ 478 おぼうしのなかにあったもの ふたば系ゆっくりいじめ 513 ネリアン ふたば系ゆっくりいじめ 534 ラストれいむロストホープ ふたば系ゆっくりいじめ 537 地べたを這いずる饅頭の瞳に映る世界 ふたば系ゆっくりいじめ 574 けがれなきゆっくりパーク ふたば系ゆっくりいじめ 596 復讐の為の人生なんて ふたば系ゆっくりいじめ 611 とくべつなあまあま ふたば系ゆっくりいじめ 656 かなう願いかなわぬ望み nue010 anko705のあの人の人生 上記より前の過去作品一覧は下記作品に収録 ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね!
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『おうち宣言の果てに 前編』 20KB 制裁 自業自得 お家宣言 群れ ゲス 自然界 独自設定 ナナシ作 「そろーり!そろーり!ゆっくりすすむよ!」 今、とあるゆっくりの群れ内で、一匹のれいむがキョロキョロと周囲を警戒しながらゆっくりと移動している。 まあ、警戒しながらとはいったもの、このれいむは口で自身の状況をいちいち実況するマヌケなタイプのゆっくりであったため、 傍から見れば全く隠れておらずバレバレの状況ではあったのだが。 が、しかし幸運にも、このときれいむの周囲には本当に誰もいなかったために、れいむは無事目的地へ見咎められることなく到着することができたようだ。 「ゆゆ!ついたよ!」 れいむの目の前にあるのは、広く掘られた洞窟タイプのゆっくりのおうちであった。 そのおうちは、多くのゆっくりが作るような粗末なそれとは違い、しっかりとした奥行きがあり、 ゆっくりにとっては中々に高級なおうちと言えるだろう。 「ゆふふふふ!ついに!ついにこのひがきたよ!」 れいむは、最後の確認とばかりにもう一度キョロキョロと周囲を見わたす。 ここでもし他のゆっくりがいるようなことがあれば、れいむの企みは失敗に終わる可能性があるのだ。 「だれもいないようだね!それじゃあさっそく!」 無遠慮におうちの中へと侵入するれいむ。 「ゆわぁ~!」 中に入ったれいむは、おうち内の想像以上にゆっくりできる空間に感嘆の声を上げる。 おうちの中は広々としており、ゆっくりでそうな草のベッドや石でできたテーブルなどが随所にきちんと設置されている。 奥のほうに貯蓄されている食料の量も申し分なく、このおうちの持ち主のゆっくりはかなり優秀な個体であることをうかがわせた。 「うん!ごうかくだよ!やっぱりすごくゆっくりしているれいむには、これくらいのゆっくりぷれいすがないとね! それじゃあいっくよー!」 れいむは、スゥーと大きく息を吸い込むと、 「ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!!!」 これ以上ないくらいのドヤ顔で、堂々のおうち宣言をかました。 シーンと静まりかえるおうち内、どこからも反論の声は上がらない。 周囲には誰もいないのだからそれも当然のことだ。 『おうち宣言』それはゆっくりの本能に刻まれているルールだ。 ゆっくりという種は、所有という概念が希薄なために物をめぐっての争いが絶えない。 そこで、登場するのがこのおうち宣言である。 このおうちせんげんを、空間内、主に洞窟などのおうちで宣言し、その結果どこからも反論がなかった場合、 その場所は宣言したゆっくりのものとなるのだ。 さらに、こうしておうち宣言をした場所にあるものは、全てそのゆっくり、及び家族の所有物となり、如何なる反論も許されない。 ゆえに洞窟などのおうちので暮らしているゆっくりは、そこに住み着く前に必ず儀式としてこのおうち宣言をおこなうのだ。 しかし、このおうち宣言というルールは、言うまでもなく多くの問題をはらんでいる。 そう、まさに今れいむがその問題の行為を行っている最中なのだ。 おうち宣言を利用した最大の悪事、他ゆんのおうちの乗っ取り行為である。 「やったね!これできょうかからここはれいむのおうちだよ! ゆゆ!おうちせんげんしたら、おなかがへっちゃったよ!それじゃさっそくむしゃむしゃするよ!」 おうち宣言という重労働(れいむにとっては)をしたれいむは、さっそくおうちに保存してある食料を貪り食らいはじめる。 おうち宣言が成功した以上、このおうちはれいむの物であり、当然そのおうち内にある食料や、ベッドなどの雑貨も全てれいむのものとなるのだ。 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせえええええええええ!」 感極まった表情で叫ぶれいむ。 他ゆんが必死に狩りをした結果を、何の苦労もなくおうち宣言で横取りして食べる食料は、さぞ美味いことだろう。 と、そのとき 「な、なにやってるのれいむ!」 唐突にれいむに声がかけられる。 「ゆん?」 れいむはスーパーお食事タイムを邪魔され、不機嫌そうな声を上げながら、声をかけられた方を見やる。 するとそこには、驚愕の表情でプルプルと震えているありすがいた。 ありすはこのおうちの『元』の持ち主である。 「ゆあああん?いきなりどうしたのありす?そんなへんなかおして?ゆっくりできないよ! てゆうか、そもそもここはれいむのおうちだよ!かってにはいってこないでね!」 「なにわけのわからないことをいってるの!ここはありすのおうちよ! いまれいむが、あほずらでたべてるそのしょくりょうだって、ありすがひっしになってあつめたものよ! ふざけたことをいってないでさっさとでていってちょうだい! あまりごねるようなら、せいっさいもやむなしよ!」 マヌケ面のれいむに、凄まじい形相ですごむありす。 この群れの掟では、他ゆんの物を盗んだりすることは制裁の対象となりえるのだ。 しかし、れいむはそんなありすを見下したような表情で言う。 「さっきからいったい、なにいってるの?このおうちはれいむのものだよ! だってれいむは、さっきこのばしょで、おうちせんげんをしたんだからね!」 「!?そ、そんな!どうして!」 れいむの発言に顔面を蒼白にするありす。 確かにれいむの言う通りに、おうち宣言をされてしまった後ならば、 ここはもはやありすのおうちではなく、れいむのおうちということになってしまう。 しかしありすは信じられなかった。 仮にも同じ群れの仲間であるゆっくりから、おうち宣言をされることになるなんて! 「ゆふふふふ!どうやらどっちがせいぎか、わかったようだね!」 ニヤニヤ顔のれいむ。 「れいむ!どうして!れいむはここが、ずっとありすがおうちとしてつかっていたばしょだと、しっていたはずでしょう! それなのに、なんでこんなおうちせんげんなんてことをするの!」 れいむに迫るありす。 おうち宣言はゆっくりにとって絶対にして神聖なルール! それゆえに、群れ内などの集団ではそう迂闊に乱発してよいものではないのだ。 少なくとも、宣言する場合はそこに他ゆんが住んでいないかどうかを、よく確認してから行うのが通例だ。 「はあああああん!どうして?そんなのきまってるでしょ! とってもゆっくりしているれいむには、それそうおうのゆっくりぷれいすがひつようなんだよ! このぷれいすは、ゆっくりしてないありすには、ふさわしくないよ! だかられいむがおうちせんげんしてあげたんだよ!かんしゃしてね!」 「そ、そんなめちゃくちゃな!」 なおも食い下がろうとするありす。 しかしそんなありすに対して背後から声がかけられる。 「ゆゆ?いったいどうしたのかな?」 「なんだかゆっくりできないようすだよ!」 「なにかもめてるみたいだね!」 その場にぞろぞろと現れたのは、がらの悪いれいむたちの集団だった。 どいつもこいつも、ゲスゆ特有のふてぶてしい表情をしている。 「ゆゆ!みんなまってたよ!さあ、はいってはいって! ここがれいむのあたらしいおうちだよ! これからみんなで、むしゃむしゃぱーてぃーをしようね!」 そんなれいむたちの集団に対して、おうち宣言をしたれいむが気さくに声をかける。 この集団はれいむがあらかじめ呼んでおいたのだ。 今日新しいおうちが手に入るから、みんなでそのお祝いをしよう、と。 「ちょっ、ちょっとまってよれいむ!まだはなしはおわってないわ!」 予測不能の事態の連続に慌てふためくありすは、おうち内にいるれいむに詰め寄る。 ありすの抗議はまだ終わってはいないし、当然こんな理不尽なこと認められるはずもない。 だがしかし、 「ゆふん!」 ドン! 「ゆげばは!」 ありすは、突然のれいむの体当たりによってうちの外へとはじき出される。 「さっきからごちゃごちゃうるさいよ!げすなありすは、れいむのおうちにかってにはいらないでね! これいじょうごねるようなら、せいっさいもやむなしだよ!」 「そうだそうだ!」 「おうちせんげんをすませた、れいむにけちつけようなんて、ありすはとんでもないげすゆっくりだよ!」 ありすに対して、次々と暴言を浴びせるれいむたち。 「ゆううう!そっ、そんな、ひどい……」 あまりの仕打ちに涙するありす。 しかし、向こうにはおうち宣言という強力な正当性があるのだ。 それを錦の御旗として主張されてはどうにもならない。 下手に騒げば、ゲスとして制裁されるのは自分の方なのだ。 こうして、ありすは突然に自身のゆっくりプレイスを失ってしまうことになった。 その後ありすは、何とかして、おうち宣言し返すことにより、自身のおうちを奪還しようとれいむがおうちを離れるスキをうかがっていたのだが、 れいむはおうちにたっぷりと蓄えてある備蓄を食い荒らすばかりで、一歩も外にでることがなかった。 れいむがおうちでゆっくりしている間も、ありすは外で常に見張っていなければならない。 そんな苛酷な状況のなか、ありすは日々衰弱していき、やがて力尽き永遠にゆっくりした。 とある平和な群れを襲ったおうち宣言による悲劇。 しかしこれはほんの始まりすぎなかった。 「わがらないよおおおおおおお!ちぇんのおうちが、れいむにおうちせんげんされちゃったよおおおおお! ゆえええええええん!」 「まりさのおうちがもなんだぜえええええ!きょうからどこでくらしていけばいいんだぜええええ!」 「みょん!しんじられないみょん!ちょっとおうちをはなれたすきに、れいむがおうちせんげんしてたんだみょん! あれはもう、はじめからみょんのおうちを、ねらっていたとしかおもえないみょん!」 「おさぁああ!なんとかしてよおおおおおお!」 「むっ、むっきゅう~!」 長ぱちゅりーのおうちの前には、連日おうち宣言されて、おうちを乗っ取られたと嘆く群れのゆっくりたちが集まってきていた。 どうもここ最近、とあるれいむ一派の仕業のよる、おうちの乗っ取りが事件が多発しているようなのだ。 この事態には、長ぱちゅりーも頭を悩ましていた。 そもそも、おうち宣言によるおうち乗っ取りという事態が、ゆっくりの群れで多発することが異常なのである。 確かにゆっくりの本能に刻まれたルールにより、誰もいないおうちで、おうち宣言すれば、そのおうちを強引に横取りすることもできるだろう。 しかし通常、他ゆんが住んでいるおうちでおうち宣言してはいけないというのは、野生に生きるゆっくりたちの暗黙の了解なのである。 ごく稀に、ゲスや極端に頭の悪い個体が、乗っ取りのおうち宣言をすることがあるらしいが、それはあくまで群れとして機能していないバラバラな地域での話しだ。 ほぼ全員が顔見知りであり、それなりに秩序がある群内にて、ここまでおうち宣言による乗っ取りが横行するなど前代未聞の珍事である。 ことの主犯であるこの群れのれいむたちは、確かに他と比べて明らかに素行がよくない個体が数多くいるとはいえ、まさかこんな事態になるとは……。 「むきゅ!れいむたちは、いったいなんのつもりなのかしら!」 憤る長ぱちゅりー。 これほど多くの乗っ取りが同時期に起きるなど、もはやおうちに誰もいないと思って勘違いしてしまったというレベルを超えている。 現に今群れにあるおうちの八割近くが、れいむたちによって乗っ取られており、 おうちを追い出されたゆっくりたちの中には、途方にくれて永遠にゆっくりしてしまったものも多数出ているのだ。 こんなことを長として放っておくわけにはいくまい。 そんな決意を長ぱちゅりーがしている最中、突然不快な声が投げ掛けられる。 「ゆっふっふーん!どうしたのかな?みんなでこんなところにあつまって!」 その場に現れたのは、今まさにおうち宣言で話題になっている、れいむ一派のボスれいむとその取り巻きれいむたちであった。 「ゆゆ!おまえはぁ!かえせ!まりさのおうちをかえせ!」 「ちぇんのいっしょうけんめいあつめた、ごはんさんをかえしてよぉ!」 「ありすのとかいはなおうちに、かってにおうちせんげんするなんて、このいなかものがぁ!」 唐突に長ぱちゅりーのおうちの前に現れたれいむたちの集団を、おうち宣言の被害にあったゆっくりたちが責め立てる。 しかし当のれいむたちは涼しい顔だ。 そんな様子のれいむの集団に、長ぱちゅりーはみなを代表して抗議する。 「れいむ!いったいどういうことなの! あなたちはさいきん、みんながおうちをはなれたすきをねらって、おうちせんげんをくりかえしてるそうじゃない! すでにゆっくりがすんでいるおうちで、おうちせんげんをするなんて、とんでもなくゆっくりできないこういよ! いますぐのっとったおうちを、みなにあけわたしなさい!」 「はあああああああん!なにいってるのおおおおおおおおお! れいむたちはただ、ゆっくりのるーるにのっとたこういをしているだけだよおおおおおお! おうちせんげんは、おかすことのできない、しんっせいかつこうっすいなこういだよ! むれのおさともあろうものが、そんなこともわからないの!」 「むぎゅぎゅぎゅ………」 抗議に対して、不遜な態度で答えるボスれいむ。 それに対して唸ることしかできない長ぱちゅりー。 確かにおうち宣言は、ゆっくり内では絶対のルール。 訓練された飼いゆっくりや、人間に近い領域で暮らしている野良ゆっくりならともかく、 野生のゆっくりにとってはその縛りはより強く働くことになる。 「だいたいねえ、このむれは、いままでがおかしかったんだよ! ゆっくりとしたおうちには、とってもゆっくりとしているれいむたちがふさわしいはずなんだ! それなのに、このむれのゆっくりしたおうちは、ひるまっからせこせことうごきまわってるゆっくりばかりがせんりょうしている! これはゆるされることじゃないよ! だかられいむたちは、ゆっくりしたゆっくりのためにそんざいするるーるであるおうちせんげんによって、 このむれを、ただしきかたちにもどしているだけなんだよ!りきゃいできる?」 「そんなむちゃくちゃがゆるされるとおもっているの! とつぜんおうちせんげんされたみんなは、すむところがなくなってこまってるのよ!」 「ゆふん!そんなことしったこっちゃないよ! ………っといいたいことろだけど、れいむたちはとっても、かんっだいだいなゆっくりだからね! れいむたちのおうちに、たっくさんごはんさんをもってくれば、ひとばんくらいはとめてあげてもいいことにするよ!」 「なんですって!」 ボスれいむの理不尽な要求に声をあげる長ぱちゅりー。 「だっ、だれがおまえらなんかに、ごはんさんをわたすもんか!」 「ふざけたことをいわないで、このいなかものが!なにがとめてやるよ!もともとはありすたちのおうちでしょうが!」 「みょん!そもそもおまえらが、いま、まいにちたべてるごはんさんだって、もともとはみょんがあつめたものだみょん!」 おうちを奪われたゆっくりたちも口々に訴える。 「ふん!べつにむりにとはいわないよ! まあ、ゆっくりしてない、ゆっくりどもには、やねなしの、のじゅくがおにいかもね! でもさぁ、よーくかんがえてみたらぁ?おうちがなくてゆっくりできるかなぁ? おうちがないと、こそだてができなよ?おちびちゃんもつくれないね! あめさんがふったらどうするかなぁ?あっというまに、えいっえんにゆっくりしちゃうよぉ! それに、たっくさんごはんさんをあつめても、おうちがないと、けっきょくはほぞんしておくことができないんだよぉ! だったられいむたちに、そのぶんをわたしたほうが、りこうだとおもうなぁ?ゆぷぷぷぷ!」 ニヤニヤ顔で語るボスれいむ。 もはやここまでくればボスれいむの狙いは明白である、それは群れの乗っ取りであった。 ゆっくりにとって、おうちという存在は生きる上での重要な要因となりうる。 野生生活において、拠点となるおうちがあるかないかでは、それこそ生存率が桁違いに異なるのだ。 今ボスれいむが言った実害以外にも、メンタルな面でもおうちがあるのとないのとでは大違いだろう。 群れにあるおうちを支配するということは、群れのゆっくりを支配するということなのだ。 ゆえにボスれいむは、手下のれいむを総動員し、電撃的に群れの存在するおうちの約8割をおうち宣言により奪い取る計画を立てたのだ。 この作戦の成功の秘訣は、やはりおうち宣言の手ごろさにある。 何せ、誰もいないところを見計らって、大声で宣言するだけで、ゆっくりしたおうちが手に入るのだ。 いかにボスれいむの手下のれいむたちが無能揃いであったとしても、任務の遂行は容易だったし、 なによりれいむたちは、数だけは大量にいたので、この短期間で群れの八割のおうちを奪うことも可能だった。 こうして大量のゆっくりできるおうちを手に入れたれいむたち。 しかしこれだけでは、不十分だ。 何故なら、おうち宣言で奪ったおうちは、同じくおうち宣言によって取り返される可能性が高いからだ。 いくら奪ったおうちに、大量に食料が蓄えてあるとはいえ、ずっと引きこもっているのにも限界がある。 そこで一般的な解決策としては、れいむ同士が変わりばんこに留守をして、片方が狩りをする傍ら、 もう片方がおうち宣言を警戒するのが現実的な方法だった。 しかしこの方法には問題があった。 れいむたちは、そんなゆっくりできないことはごめんだったし、第一この群れのれいむたちは狩りが下手だったので、 自分以外のれいむの食料を確保することは不可能だったのだ。 だがボスれいむは、狡猾にもおうちを奪ったゆっくりたちに対して、 おうちを仮宿として使わせることを条件に、ごはんを持ってこさせることを要求したのだ。 こうすることでれいむたちは、何の苦労もなく、ゆっくりしたおうちと半永久的な食料の供給を得ることができるのだ。 おうちを取られてしまったゆっくりは、また新たにおうちを作ればいいじゃないかと思うかもしれないがそう簡単にはいかない。 人間がそうであるように、ゆっくりにしたって、おうちは手頃にポンポンと作れるものではないのだ。 立地条件や穴を拡張するための労力、生活を豊かにする道具の入手など、それら全てはとてもゆっくり一代で入手しきれるものではない。 現にこの群れにある、おうちのほとんどが、ゆっくりたちの親子によって代々引き継がれてきたものだ。 ゆえに勤勉で優秀なゆっくりのおうちはゆっくりとでき、だらだとゆっくりしているだけだった、この群れのれいむたちのおうちは、 ゆっくりできていなかった。 そしてそれが、ボスれいむが行動を開始する要因となったのである。 「ゆふん!それじゃ、れいむたちはもういくよ! おうちのないせかいかつは、たいへんだとおもうけど、まあれいむたちにしょくりょうをもってくれば、 いつでもれいむのおうちに、とめてあげるからあんしんしてね! ゆふふふふふふふ!」 言いたいことだけ言うと、れいむの集団はニヤニヤと勝ち誇った笑いをしながらぞろぞろと去っていった。 「おさぁ!どうしよぉ!おうちがないとゆっくりできないよおおおお!」 「む、むっきゅー」 れいむたちが去った後、長に泣きつくゆっくりたち。 長ぱちゅりーは困っていた。 今回の件の非常に厄介なところは、れいむ一派の行動は、なんら群れの掟に触れていないことなのだ。 確かに他ゆんが住んでいるおうちで、おうち宣言をかますなど非難されてしかるべき行為なのは間違いないのだが、 何分それは、言ってみればモラルのようなもので、掟として明確に条文化されているわけではなかった。 ボスれいむは、そこを巧みに付いてきたということだ。 そんなわけで、長ぱちゅりーとしても、ボスれいむがなんら違反をしているわけではないので、強行策には出られない。 そして何より長ぱちゅりーもまたゆっくりなのだ、おうち宣言には逆らえない性を持つ。 残念ながら、現時点で長ぱちゅりーに打つ手はなかった。 そして数日後…。 「ゆゆ!なんなの、このしょくりょうのりょうは! れいむの、ゆっくりとしたおうちにとまるのに、こんなりょうでいいとおもってるの! こんなんじゃぜんぜんたりないよ!もっとたくさんもってきてね!」 「ゆぐぐぐぐ、これでも、せいいっぱいなのぜ! きょてんとなるおうちがないいじょう、いつものはんぶんていどしかとれないのはしかたないんだぜ!」 「そうよ!だいたいおうちのなかには、ありすたちのしょくりょうが、まだじゅうぶんにちょちくしてあるはずよ! それをくわえればじゅうぶんなりょうになるはずだわ!」 「ふん!おうちにたくわえてあるのは、『れいむ』のしょくりょうだよ!まちがえないでね、あさましい!」 とあるゆっくりとしたおうちの前で、れいむ、まりさ、ありすがなにやらもめている。 どうやら、元おうちの持ち主のまりさとありすが、今のおうちの持ち主であるれいむに一晩の宿を頼んで断られているようだ。 何でも、まりさたちが持ってきた食料の量が気に食わないらしい。 「ゆがあああ!れいむ!いいかげんにするのぜ!べつにまりさたちは、むりしておうちにとまるひつようはないんだぜ! そしてまりさたちが、しょくりょうをもってこないと、れいむだってこまるはずなのぜ!」 「ゆっふっふーん!いいのかなー!そんなこといっちゃって! こんやは、くもさんがゆっくりしてないねー!これはそのうちあめさんがふっくるんじゃないかなぁ! おうちもないのに、あめさんがふってきたらどうなっちゃうのかなー?ゆぷぷぷぷ!」 「くっ、こんなの!こんなのぜんぜんとかいはじゃないわぁ!」 余裕のれいむに対して憤るありす。しかしどちらか優位な立場にいるかは目に見えて明らかであった。 実際、おうちの中で惰眠を貪ってゆっくりしているれいむに比べ、 まりさとありすの二匹は、ここ数日野宿続きでゆっくりできなかったためにかなり消耗しており余裕がない。 「ゆぐぐぐぐ、しかたないのぜありす、こうなったらもうひとふんばりするしかないのぜ!」 「そうそう、わかればいいんだよ!あめさんがふるってくるまえに、たくさんしょくりょうをもってくてね!」 嫌味な笑みを浮かべるれいむを無視して、疲れた身体にムチを打って狩場へと向かうまりさとありす。 どんな疲弊してようとやるしかない。雨が降ってきてしまう前におうちを確保できなければそれでおしまいなのだ。 この日の夜、森には強めの雨が降り、群れの何組かのゆっくりの家族が、おうちを確保できず永遠にゆっくりしたという。 それからまた数日後…。 「むっきゅー!これはそうきゅうになんとかするひつようがあるわ!」 おうちにて、一匹悩み声を上げる長ぱちゅりー。 今、この群れでは、れいむ以外のゆっくりたちの消耗が非常に激しい状況にあった。 理由は言うまでもなく、れいむ一派によるおうち乗っ取りの影響である。 多くのゆっくりがおうちを奪われ苦しんでいる中、特に悲惨だったのが子ゆっくりたちに狩りを教えるために、 一家総出で留守にした際におうち宣言されてしまったゆっくりたちだ。 まだ身体の弱い子ゆっくりたちにおうち以外での生活は厳しく、すでに多くの子ゆっくりが永遠にゆっくりしてしまっていた。 また他にも老ゆっくりや身体の弱いぱちゅりー種など、おうちを奪われることで死の危機に瀕しているゆっくりは多い。 長ぱちゅりーをはじめとした、何とかおうちを奪われなかったゆっくりたちが協力して休ませたりしているが、 いかせん確保できているおうちの絶対数が少なすぎるのだ。 実例を挙げれば、群れのれいむたちとその他のゆっくりのゆん口割合が3対7なのに対して、れいむが占領してるおうちとその他のおうちの割合が、 8対2なのだ、これでは足りるはずがなく、必ず半数程度のゆっくりが野宿をする羽目になる。 そして、もし雨など降ろうものなら、いかに屈辱とはいえれいむたちに食料を持っていき、おうちに入れてもらわなければならない。 こうしてれいむたちはますます肥え、その他のゆっくりはますます消耗していく。 まさに悪循環だ。 長ぱちゅりーは早急にこの事態を解決しなくてはならないのだ、そのためには……。 「むきゅ!もうこうなったらゆっくりのるーるになんてかまってられない! むれがいきるかしぬかってときに、おうちせんげんもくそもないわ! むれのみんなをひろばにあつめて、きんっきゅうしゅうかいよ!」 長ぱちゅりーはとある決意を胸に、群れのゆっくりたちに緊急収集をかけたのだった。 後編へ続く
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『スペースおうち宣言テンプレ』 ※テンプレ展開に基づいています ※ごめんウソついた やぁ、僕はスペース虐待お兄さん。虐スペースシャトルの搭乗員だ。 地球の衛星軌道上で無重力空間におけるさまざまな虐待実験を行っていたんだが、楽しい時間も終わりを迎え、現在母なる地球に帰還中。懸念の大気圏突入もなんとか凌げたようで、あとはゅーストンに着陸するだけ。まぁ着陸も結構難しいんだけどね…お、通信だ。 「こちらゅーストン、お兄さん無事なのぜ?」 「こちら虐待お兄さん、異常なし。ゅーストン、たっぷり宇宙虐待SSのネタを持ち帰ってやるよ」 「そいつは楽しみなのぜ。最後までしくじるんじゃないのぜ?」 「当たり前だ、お兄さん虐待SSじゃないんだからな」 そうこうしてるうちにあんなに遠かった海と大地があっという間に近づき、滑走路が仄かに見えてきた。計算間違ってたら海の上にドンブラコだったからな、まずは一安心ってところだが、ここからが正念場だ。 「こちらゅーストン、着陸準備に移れなのぜ」 「こちらお兄さん、了解」 「滑走路にガイドラインを表示しているのぜ。ガイドラインに従って着陸するのぜ」 「…?」 今は昼間だから、滑走路にガイドラインを点灯させてもあまり関係ない気もするが…そう思いながら近づいてくる滑走路を見ていると、滑走路の真ん中に黒い線が引かれている。なるほどあれか。しかしわざわざこのために滑走路にペンキ塗らなくてもいいんだけどな… …あれ? なんかちょっと動いてるような…?しかも黒一色っていうか、なんかその中に赤とか黄とか白がちらちら見えるような… 「こちらゅーストン、着陸まであと2マイル」 「ゅーストン、その"ガイドライン"なんだが…」 「黒いのがあるだろ?あれを目安にまっすぐGOなのぜ。ここでガイドラインから中継を送るのぜ」 「はい?」 <LIVE 滑走路> 「ゆゆーっ!! この”かっそうろ”はとってもひろいね!!」 「あおいおそらさん、しろいくもさん、きらきらたいようさん、とってもゆっくりしているよ!!」 「ゆーん! このかっそうろさんはとってもゆっくりしているよ! いまからここをれいむたちのゆっくりプレイスにしようね!!」 「「「「「しようにぇーーーー!!!」」」」」 「というわけなので、景気良くズバーッとまっすぐGOなのぜ。フィニッシュもゆっくり虐待でシメる、ゅーストンからのささやかなプレゼントなのぜ」 「ちょっと待て!無理だって!」 「心配しなくてもちょっと前に並べたばかりだから概ねまっすぐ、大丈夫なのぜ」 「そういう問題じゃねえよ! 餡子ですべるよ! どけろ!!」 「今からじゃ無理のぜ。落ち着け! ゆっくりしろ! 精鋭の虐待お兄さんなら出来るのぜ!」 「誰のせいだ!!!」 <LIVE 滑走路> …ギャーーーン 「ゆ? おそらさんからゆっくりとりさんがくるよ!!!」 「とりさん!! ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!」 「いっしょにゆっくりしようね!!」 「「「「しようにぇー!!!!」」」」 …ギャイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン 「…ゆ?」 「ゆゆゆゆゆゆ!!??? このとりさんはゆっくりしていないよ!!」 「ゆゆーーーっ!!」 「ゆっくりできないとりさんは ゆっくりこないでね!!!」 「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!」 「このちきゅうはれいむたちのゆっくりぷらねっとだよ!!!」 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアン 「「「「「ゆわぁああああ!!!」」」」」 「とりさんがとまってくれないいいいい!!」 「ゆっくりしないでにげるよおお!!!」 「もうゆっくりしすぎたああああ!!!」 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア ――瞬間、スペースシャトルのタイヤが"ガイドライン"に接した。 ズババババババババババババババババババ 「「「「「「「「「ゆぎゃあああああああズババババババババババ」」」」」」」」」 ドガシャーーーーーン ボカーーン かくして楽しい楽しい宇宙ゆ虐旅行は最後の最後で台無し。せっかくのスペースゆっくり虐待の成果も、俺の晴れ姿も真っ黒のおこげだ。ふざけやがって。本当にふざけてるんだが。 「…あのな。シメの一虐ってのは帰ってきてれいむ1体はいどうぞ、俺がすかさずその場でぱかーんとかそういうのでいいんだよ! あれじゃむしろ俺虐待じゃねーか!!」 「わ、悪気は無いのぜ。悪気の無い祝福…2%と悪ふざけ98%なのぜ」 「この野郎…そんなに締めが欲しけりゃお前の虐待で締めてやる!」 「はいどうぞのぜ。まずは定番のパンチから行くのぜ?それとも腕ちぎり?」 「…もう宇宙なんか行くもんか」 おわり あたまがおかしい
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『おうち宣言の果てに 後編』 24KB 制裁 自業自得 お家宣言 群れ ゲス 自然界 独自設定 ナナシ作 ざわ…ざわ…。 ざわめく群れの広場。 長ぱちゅりーが緊急集会を開くということで、群れにある広場には沢山のゆっくりたちが集まってきていた。 しかし、その場にいるゆっくりたちを観察すると、ふと妙なことに気づく。 確かに沢山のゆっくりが広場に集まっているのだが、その中において、れいむ種の数がほとんど見当たらないのだ。 別に緊急会議において、れいむ種だけ連絡をしていないとかそういうことはない。 きちんと今日会議があることは、群れの全ゆっくりが知っているはずなのだ。 にもかかわらず、広場にいるのはれいむ一派を率いるボスれいむと、その取り巻き数匹のみであった。 「むきゅ!ほかのれいむたちはどうしたの!」 広場の中央にいる長ぱちゅりーが、ボスれいむに問いかける。 「ゆふふふふ、しんぱいしなくても、みんなおうちにちゃんといるよ! さいきんぶっそうだからね、れいむたちがおそとにでているあいだに、ほかのげすゆっくりたちに、 れいむたちの、ゆっくりしたおうちを『おうちせんげん』されちゃうとこまるからね! まあ、かいぎのないようは、あとでれいむがみんなにつたえておくからあんしんしてね!」 (ゆぷぷぷぷ!バカなぱちゅりーだよ。 れいむたちを広場に集めて、そのスキにおうち宣言して、れいむたちからおうちを奪おうったってそうはいかないよ。 全てのおうちには、部下のれいむたちを配置済みなんだよ! おお、おろかおろか、無駄な努力だったね!) ニヤリと笑うボスれいむ。 ボスれいむは今回の緊急収集は、おうちに居座っているれいむたちを一旦外に出させるための口実だと推測したのだ。 ゆえに、おうちに居座っている全てのれいむたちには、会議には参加するなと指示してある。 広場にれいむ種の姿がほとんど見えないのはそのためだ。 「ゆふふふふ!さあさあどうしたの? さっさとかいぎをはじめようよ!れいむたちのことならしんぱいないよ!」 勝ち誇った様子のボスれいむに対して、長ぱちゅりーは静かに語りだす。 「そう、れいむたちはこのばしょにこないのね。 それは…………けいかくどおりね!」 「ゆ?」 戸惑うボスれいむをよそに、カッと目を見開く長ぱちゅりー。 「きょうみんなにあつまってもらったのは、ほかでもない、むれにあらたなおきてをていあんするためよ! ぱちぇは、このむれのあたらしいおきてとして、おうちせんげんきんしほうをていあんするわ!」 「「「「!!?」」」」 ざわ…ざわ…。 長ぱちゅりーの宣言を受けてざわめく広場。 当然の反応だ、おうち宣言といえばゆっくりの特性とすら言える考えかたの一つである。 いわゆる、『お野菜は勝手に生えてくる』や『おちびちゃんはゆっくりできる』などと並んだゆっくりが生まれつき持つ本能的的な概念なのだ。 それを突然禁止するなど、戸惑いが起こってあたりまえなのである。 「はああああああああああああああん!ふざけるなあああああああああああああああああ!」 そして当然の如く誰より強く反発したのはボスれいむだった。 「おうちせんげんをきんしするぅ?きはたしかなのおおおおおおおおおおおお! おうちせんげんはねぇ、ゆっくりのでんっとうと、かくしきにのっとった、ゆいしょただしいぜったいのるーるなんだよおおおおおお! それを、きんしするなんてばかなこといわないでね!これはぜんゆっくりにたいする、ぼうとくこういだよ! こんなげすはせいっさいすよおおおおおおおお!」 必死になって訴えるボスれいむ。 ボスれいむとしては、こんな掟は是が非でも通すわけには行かない。 今この群れで、おうち宣言のよってもたらされる既得権益の恩恵を、一番に受けているのはボスれいむなのだから。 だが悲しいかな、強力な既得権益を維持するためにはそれ相応の強力な力いる。 人間の世界で言えばそれは、集団だったり金だったり人脈だったり地位だったり……。 しかし、今のボスれいむはそのどれもが不足していた。 「ゆゆ!まりさは、おさのていあんにさんせいなのぜ! もうおうちせんげんなんて、こりごりなのぜ!」 「みょん!そもそもだれもいないところで、ただせんげんしただけで、おうちがてにはるということじたいおかしいんだみょん!」 「わかるよー!ちぇんもまえまえから、このるーるはなんだかおかしいとおもってたんだねー!」 「だいたい、おうちせんげんなんて、いなかもののすることなのよ! とかいはなゆっくりはそんなことしないわ!」 広場に集まっているボスれいむ以外のゆっくりたちは、みなこぞって長ぱちゅりーの提案を支持する。 このゆっくりたちは、おうち宣言によって不利益を被っている立場なので当然といえば当然の反応だ。 「れいむ!あたらしいおきてをつくるさいのるーるはしっているわね! かいぎにあつまった、ゆっくりたちの、はちわりいじょうのさんせんをえられれば、あたらしいおきてをつくることができるのよ! このけっかはむれのそういなのよ!うけいれなさい!」 「ゆぐぐぐぐぐ!」 言葉に詰まるボスれいむ。 ちゅりーの言うとおり、群れでは会議に集まった8割以上のゆっくりが賛成すれば、新たな掟を作ることができるというルールは確かにある。 しかし、8割という条件の難しさから今まで新しい掟が作られた前例はなかったのだ。 実際もしこの場にれいむ一派のれいむたちがいれば、賛成が8割を超えることはなかっただろう。 だがボスれいむは、おうち宣言を警戒するあまり、ほぼ全てのれいむにおうち待機を命じてしまった。 その警戒が仇となってしまったというわけだ。 おうち宣言を絶対視していたボスれいむは、まさか長ぱちゅりーがルールそのものを変えてくるなど予想外だったのだ。 逆に言えば、今この群れが置かれている状況はそれまでのルールを変えなければならないほど切羽つまったものだったともいえる。 どちらにせよ、これでこの群れ内にかぎっては、おうち宣言というふざけた概念は消滅することになる。 「むきゅ!それじゃあ、あらためてせんげんするわ! いま、このときより、このむれではおうちせんげんきんしほうをしこうするわ! それにともなって、いままでされたおうちせんげんも、すべてむこうとするわ! れいむ!おうちにいすわっているほかのれいむたちにも、このことをしっかりとつたえてちょうだい! わかったわね!」 「ゆぐぐぐぐ!こんな!こんなばかなことが……」 歯を食いしばり、悔しげに唸るボスれいむ。 しかし多勢に無勢、今は大人しく引き下がるほかない。 (ゆぐううううう!ちくしょう!今に見てろよおおおおおおお! こんなことで、れいむのゆっくりが壊されてたまるかあああああああ!) だがしかし、ボスれいむは何も諦めてははいなかった……。 数日後……。 「わかるよー!きょうもたいりょうなんだねー!」 ポヨンポョンとゆっくりにしては軽快なステップで、自身のおうちへと跳ねているちぇん。 その帽子には、溢れんばかりの食料が押し込まれている。 おうち宣言禁止法によって、自らのおうちをれいむから取り戻したちぇんは、 れいむによって食い荒らされた保存用の食料を再補充するために、日々森を駆け巡っていたのだ。 そして、その甲斐があってかちぇんのおうちには再び充実した貯蓄が蓄えられつつあった。 「わかるよー!ちぇんのおうちにとっちゃくなんだねー!」 自身の根城にたどり着くちぇん。 だがちぇんは予想だにしていなかった。 そこに、再び悪夢の光景が待ち構えていようとは。 狩りから帰ってきたちぇんが、自分のおうちで見た光景は…… 「すーやすーや!ぐごごごおお!」 「がーつがーつ!うめ!これめっちゃうめぇ!」 「ゆふぃー!れいむのすーぱーうんうんたいむのはじまりだよおおお!」 れいむだった。 信じられないことに、数匹のれいむが自分のおうちで好きほうだい振舞っているのだ。 あるれいむは、大口を開けて草のベットで昼寝をしていた。そのしまらない口からは涎がたっぷりと流れ落ち、ベッドに染みを作っている。 あるれいむは、ここ数日の間にちぇんが一生懸命集めた食料を無遠慮に食い散らかしていた。 あるれいむは、おうちの中央でうんうんをしていた。多分部屋の隅でするよりも、真ん中でしたほうが広々として気持ちいいからという理由からだろう。 「なっ、なんなのおおおお!これはあああああああ!わからないよおおおおおおおお!」 絶叫を上げるちぇん。 もはや何が起こっているのか、ちぇんには理解不能である。 「ゆゆん?なんなの?うるさいよ!しずかにしてね!ゆっくりできないよ!」 そんなちぇんの様子に対して、見当ハズレの反応をするれいむ。 「わからないよおおおおおおお!おまえらちぇんのおうちでなにやってるのおおおおおおお!」 「なにって?れいむたちはただゆっくりしているだけだよ! それのいったいなにがいけないの!ばかいわないでね!」 「そうだよ!まったくちぇんはゆっくりしてないねぇ!むーしゃむしゃ!げっぷ!」 「でる!れいむのげいじゅつてきな、うんうんがでるよおおおおおおお!」 悪びれるどころか、なおも好き勝手振舞うれいむたち。 「ふざけないでねえええええ!もうここはれいむたちのおうちじゃないんだよおおおおお! ゆっくりするならどこかほかのばしょでやってね!それくらいわかれよおおおおおお!」 怒りが頂点に達したちぇんを尻目に、れいむは呆れたような口調で語りだす。 「ゆふう!これだからばかなゆっくりはこまるね! あのねぇ、なにかかんちがいをしているようだけど、れいむたちのこうどうは、 むれのおきてにのっとった、なんらひなんされるものじゃないんだよぉ!」 「わからないよおおお!おうちせんげんはもうきんしされたんだよ! だからここはもうれいむのおうちじゃないんだよ!だからでてってよ!」 「ゆふん!たしかにちぇんのいうとおり、おうちせんげんは、きんしされたね!だからこのおうちはれいむのものじゃないよ! でもね、だからといって、ちぇんのものでもないんだよ!」 「ゆ?え?」 予想外の答えに、キョトンとするちぇん。 「だってちぇんは、このばしょでしてないんでしょ?おうちせんげんを! だったらこのばしょはだれいのものでもないんだよぉ! ということは、このばしょにあるごはんさんも、べっどさんも、みんなみんな、だれのものでもないんだよぉ! れいむたちはねえ、ただおちているごはんさんや、べっどさんをつかってゆっくりしているだけなんだよ! ちぇんだって、かりでおちている、ごはんさんをひろってきてるでしょ? それとおなじことなんだよおおおおおおおおお!」 そう、そうなのだ! 長ぱちゅりーによって、この群れではおうち宣言は一旦白紙に戻されたばかりでなく、その後のおうち宣言まで禁止されているのだ。 おうち宣言とは、いわば所有権の宣言に他ならない。 これが禁止されるということは、この群れにある全ての物の所有権は、すべて宙に浮いてしまっている状態と同義である。 いや、より正確に言えば、この群れからは所有権という概念が消滅してしまったと言うこともできる。 ともすれば、いまれいむが言ったように、元ちぇんのおうちにある食料や家具などは、ちぇんの持ち物足り得ない。 いかにそれらがちぇんが集め、作ったものであることが明らかであったとしても、おうち宣言をしていない以上は、 それらは誰の所有物でもなく、そこらへんに落ちているものと同等の扱いを受けることになるのだ。 これらのことを利用し、ボスれいむ率いるれいむ集団は他ゆんの獲得してた食料をはじめとする持ち物を、 片っ端から横取りする作戦を開始したのだ。 今、ちぇんのおうちでくりひろげられているのと同じような光景は、ボスれいむの指示によって、群れ全体で見ることができた。 無論こんな事態になるとは、長ぱちゅりーはまるで想定していなかった。 長ぱちゅりーの取った行動は、何か問題が起こったから、その問題の原因となっているものを取り除くという単純にして明快な解決方法ではあったのだが、 そのことによって、また新たな問題が発生するかもしれないという可能性には気づけなかったのだ。 れいむの集団を率いているボスれいむもまた、当初はこのことに気づいていなかった。 だがしかし数日後には、このおうち宣言禁止法の盲点に気づき行動を開始することになる。 その意味でボスれいむのズル賢さは、長ぱちゅりーよりも上だと言えるかもしれない。 が、しかしボスれいむはある致命的な勘違いをしていた。 それは……。 「ゆふふふふ!どうやらりかいできたようだね!わかったらごはんをおいてさっさとどっかいってね! れいむは、すーぱーおひるねたいむの、つづきをしなきゃいけないんだからね!」 「むーしゃむしゃー!じわあせぜええええええ!」 「でるよおおおお!れいむのすてきなうんうんがとまらないよおおおおお!」 すっかり勝ち誇った様子のれいむたち。 ちぇんはそんなれいむたちを冷め切った目で見つめそして、 「わかれよー!このげす!」 ドン! 「ゆぴぎゃああああ!」 そのうちの一匹に体当たりをかまし、吹き飛ばした。 「ゆぎゃああああ!いだいよおおおおおおおおお!」 「ゆゆゆゆゆ!なにするのおおおお!」 「どうして!ゆっくりできないよ!」 完全に予想外のちぇんの行動に慌てふためくその他のれいむ。 どうしてちぇんがこんな酷いことをするのか、その理由がれいむにはわからない。 「ちぇん!いったいなんなのこのしうちは!このおうちはちぇんのものじゃないんだよ! それがわかってるの!」 「おまえらこそ、じぶんたちのたちばをわかれよー!」 理不尽に対して憤る様子のれいむに対し、バカにしきった口調で答えるちぇん。 「ねんじゅうおうちでぐうたらしたり、ほかのみんなにたかったりしているれいむたちはわからないかもしれないど、 かりばは、せんじょうなんだよー! だれのものでもない、しょくりょうはちからでうばいあいなんだねー! おまえらが、ここにおちているごはんさんをもっていくというのなら、ちぇんはそれをちからずくでそしするだけだよー!」 言うが早いか残りのれいむたちにも攻撃を仕掛けるちぇん。 「ゆぎゃあああああ!」 「やべでえええええ!」 ドガ!バキ!グチャ! 次々とおうちからはじき出されていくれいむたち。 「おらおらさっさとどいてねー! いままでは、おなじむれのよしみで、たしょうはえんりょしてたけど、 そっちがそのつもりなら、こっちもこんごいっさいようしゃしないよー!」 「どじでえええええ!なんでこうなるのおおおおおおお!」 想定外のちぇんの行動に悲鳴をあげるれいむたち。 ボスれいむをはじめとするれいむ一派は勘違いをしていた、今まで他のゆっくりがれいむの集団に腹立ちを感じながらにも、 手を出せなかったのは、おうち宣言という強力な後ろ盾があってこそなのだ。 それがなくなってしまった以上、れいむたちを暴力から守る壁は存在しない。 おうち宣言が無効になったことにより、他ゆんのおうちにある物は誰のものでもない、よって勝手に食べたり持っていってもよいという理屈は、 なるほど確かにその通りだ。 しかし誰のものでもないということは、つまり前回のおうち宣言作戦とは違い、れいむたちのものになったわけでもないのである。 他ゆんが大人しく、れいむたちのされるままにしているわけがない。 ゆっくりの群れはその内部こそは平和だが、ひとたび外に出ればそこは熾烈な縄張り争いの連続だ。 群れの掟にしても、他ゆんの持ち物を強引に奪ったり、無意味なゆっくり殺しは禁止されているが、 狩場での食料をめぐっての争いは良しとされている。 これは野生に生きるものたちでは当たり前のことなのだ。 まあ、それでも同じ群れの仲間同士なので、いろいろと融通が利く場面も多いのだが、 今回の件でれいむ一派は完全に自分たち以外のゆっくりを敵に回してしまった。 さらに悪い事にれいむたちが自分たちで言い出した、群れ内にあるものは誰のものでもない宣言により、 この群れからはただでさえ曖昧なゆっくりたちの所有という概念が消えたのだ。 これは強いものが全てを支配する、完全な弱肉強食時代に突入したことを意味する。 今日、この日より群れの様子は一変することとなった。 そして基本能力も低い上に、群れ内での繋がりも希薄なれいむたちが、この事態の深刻さに気づくのにそう時間はかからないだろう。 れいむたちの地獄はここから幕を開ける。 一週間後……。 「ゆひい!ゆひい!」 群れ内にて、ズタボロになったある一匹のれいむがキョロキョロとあたりを必死に見回している。 そんなれいむの頭のには、数個のどんぐりが乗っかっている、れいむが必死になって集めた僅かな食料だ。 しかし、そんな僅かな食料も、もし他のゆっくりに見つかるようなことがあればたちどころに奪われてしまうことだろう。 今の群れの状況では、それが当たり前なのだ。 そのためにれいむは念入りに周囲を確認し続ける。 「ゆぐぐぐ!ゆっくりできないいいいいい!」 あまりのゆっくりできなさから、思わず唸り声を上げるれいむ。 そう、あの日から全てが変わってしまったのだ。 ボスれいむ率いるれいむ集団の群れ乗っ取り作戦は、前記の通り失敗に終わった。 そして、その後に待っていたのはれいむたちに対しての厳しい冬の時代である。 一応れいむたちは、あからさまに掟を破っていたわけではないので制裁こそされなかったが、群れのみなの心証は最悪だった。 そして、その弊害として、みんながみんなれいむたちの食料を横取りするようになったのだ。 もちろんこれは掟違反とはならない。おうち宣言が禁止されているこの群れでは、所有という概念そのものが存在しないのだから。 仮にれいむたちが持っている食糧を無理やり奪い取ったとしても、それは単純に強いゆっくりが、落ちている食料を拾っただけだという扱いになる。 そのときたまたまれいむがすぐ近くにいただけだった、それだけのことである。 要するに群れに存在している全てのものは、誰のものでもなくどれだけ勝手に持っていってもお咎めなしということだ。 このことより、群れにいたれいむたちは、その全ての持ち物を他ゆっくりたちに取り上げられることになる。 実際能力の低いれいむたちは、他ゆんたちにとってもいいカモだっただったのだろう。 自分たち以外の全ての群れのゆっくりから、常に食糧を狙われることとなったれいむたちの生活は一気に苦しくなった。 さらに、もとよりこの群れにいるれいむたちは、数ばかり多くて基礎能力が低い個体ばかりだったことも事態に拍車をけることになる。 奪われたのなら奪い返せばいいじゃないかと思うかもしれないが、やはり基本能力が低いれいむたちでは、 その他の優秀なゆっくりたちには、まるで太刀打ちすることができなかった。 今までれいむ集団が好き放題やってくこれたのは、所詮おうち宣言という強力な後ろ盾があっての話というわけだ。 ちなみに、れいむ以外のぱちゅりーなどの力の弱いゆっくりたちは、相手の持ち物を奪わない代わりに、 自分の持ち物にも手を出さないという、掟とは別の紳士協定を他ゆんたちと早々に結ぶことで強奪を回避した。 一部のれいむたちも、その協定を他ゆんと結ぼうとしたようだが、当然のごとく拒否されることになる。 それだけおうちを奪われた恨みは根が深いものがあったということだろう。 こうしてれいむたちは、群れ内において、周りが全て敵という八方塞の状況に追い込まれたのであった。 「はぁ、ひさしぶりのごはんさんだよぉ!」 れいむは、目の前の数個のどんぐりを見つめながらしみじみと呟く。 あの日以来、ほとんどろくなものをれいむは食べていなかった。 何故なられいむが狩場で狩りでもをしようものなら、食料を得るたんびに周りにいるゆっくりたちからすぐさま奪われしまうからだ。 かといって、れいむの実力では他ゆんの食糧を力づくで奪うことなど不可能だし、最近ではみな警戒しておうちには必ず見張りがいるのだ。 そんな状況の中、みなの目を盗みながら必死で確保したのがこの数個のどんぐりなのである。 「ゆふぅ!もっとたくさんむしゃむしゃしたいよぉ!どうしてこんなことに……。 ゆう、でもいまはしかたないね、それじゃゆっくりいただきま………」 「ゆゆ?こんなところでれいむがなにかたべようとしてるのぜ?」 「ほんとだわ、わたしたちもごいっしょさせてもらおうかしら?」 「!?」 れいむが、数個のどんぐりを口に含もうとしたちょうどそのとき、近くの茂みからまりさとありすのつがいが現れた。 その突然の事態に、恐怖に見開かれるれいむの瞳。 「やっ、やめてね!とらないでね!れいむのどんぐりさんとらないでねえええええ! でいぶはもうみっがもろくにたべてないんですううううううう! おねがいだから、みのがしてええええええええ!」 今までの経験により、どんぐりを強奪されると感じたれいむは、必死に自分を見逃してくれるよう懇願する。 しかしまりさとありすは、そんなれいむの様子にも顔色一つ変えない。 「とる?れいむは、いったいなにをいっているのかしら? ありすたちは、おちているごはんさんをひろうだけよ?そうでしょまりさ!」 「そうなのぜ! べつにそのどんぐりさんが、れいむのものってわけじゃあるまいし、いったいなにをあわてているのかぜ!」 そういいながらじりじりとれいむに近づいていく二匹。 「ゆっ、ゆひいいいいい!おっおねがいだよおおおおお! れいむたちがわるかったよおおおおお!だからもうゆるしてよおおおお!ゆっくりさせてええええええ!」 「あら?さっきかられいむは、いったいなにをいっているのかしら? れいむはべつにおきてをやぶったわけじゃないし、なんにもわるいことしてないわよね!」 「そうなのぜ!だからこれからまりさたちがすることも、べつになんらわるいことじゃないのぜ! ゆふん!」 言いながらまりさは、れいむに対して軽く体当たりをした。 「ゆがべし!」 しかしそれでも、貧弱な上に消耗しているれいむには充分な威力だったようで、 れいむは、もっていたどんぐりを盛大に待ち散らしながら、後方へと吹っ飛ばされる。 「あらまりさ、こんなところに、どんぐりさんがおちてるわ! ちょうどこばらがすいてきたところだし、いただくとしましょう!」 「ゆゆ!それはいいかんがえなのぜ!それじゃさっそく、 むーしゃむしゃー!それなりー!」 地面に転がったどんぐりを、まったく躊躇なく食す二匹のゆっくり。 当然だ、それは誰の物でもない、ただ落ちているにすぎない食料なのだから。 まりさたちがそれを食べたところで何の罪もない。 「あっ!ああああああ!でいぶのどんぐさんがあああああああああああああああ!」 目の前で、必死にの思いをしてまで手に入れたどんぐりを食べられ絶望の声を上げるれいむ。 「ふう、それじゃあいきましょうかまりさ、いつまでも、しりあいのみょんにるすばんをさせていたらわるいわ!」 「ゆゆそうだったのぜ!まったくふべんなよのなかになったものなのぜ!」 「ほんとにね、こんなことのげんいんになったゆっくりは、しねばいいのにね!」 それだけ言うと、れいむを無視していずこへと去っていくまりさとありす。 後には放心状態のれいむだけが残った。 その瞳には溢れんばかりの涙が溜まっている。 「ゆっぐううう!ゆっくり!ゆっくりしたいよおおおおおおおおお! どうしてれいむがこんなめにいいいいいい! うわあああああああああああああああああああああ!」 自身を襲った余りの仕打ちに号泣するれいむ。 しかし、どれだけ泣いたとことで誰かが助けてくれる筈もない。 れいむは、空腹と極度のゆっくりできないストレスにより、この二日後に永遠にゆっくりした。 場所は変わってここは群れの外の狩場。 身も心もズタボロになったれいむがまたここにも一匹。 「ゆぐぐぐ、こんなはずじゃ………」 ずりずりとボロボロになった身を引きずるれいむ。 息も絶え絶えのその様子は、その他のれいむたちよりも一層酷い風に見受けられる。 それもそのはず、このれいむは騒動の発端となったれいむ一派を率いていたボスれいむだったのだ。 このボスれいむの現状は悲惨の一言である。 何故なら、ボスれいむは群れのゆっくりたちからだけでなく、れいむ一派のれいむたちからも恨まれていたからだ。 群れ中から敵視されているとは言え、れいむ一派のれいむたちはまだれいむ同士で組むことができる余地がある。 事実、幾つかのれいむのグループは、巧みに連係することにより、 まったくゆっくりできない劣悪な環境ながらも、何とか生きていくことはできてはいた。 しかし、このボスれいむは、同じれいむたちからさえも、こうなった事態の責任ということではぶられていたのだ。 群れ内にて自分以外が全て敵、まさに孤立無援の四面楚歌の状態である。 もはやこのボスれいむは完全に『詰んで』いた。 「ゆふふふ……ごはんさん、むしゃむしゃしたいよぉ……ゆふふふ…」 虚ろな表情にて、群れの外にある狩場をふらふらとうろつくボスれいむ。 もうずいぶん長い間、食料を口にしていない。 それもそのはずで、どれだけ頑張って食料を確保しても、みなから恨まれているボスれいむは優先的に強奪の対象とされてしまうからだ。 今も狩場の周りにいるゆっくりたちが、チラチラとボスれいむの様子をうかがっている。 ボスれいむが何か食料を手に入れたら、口に入れてしまう前に奪う気なのだ。 「ゆぐぐぐぐ……どうして…どうして!」 ボスれいむは虚ろな頭で考える、自分の計画は完璧だったはずなのだ!何故ならおうち宣言はゆっくりの絶対のルールだからだ。 そうだ!そうだとも!こんなの間違っている!おうち宣言を禁止するなんて、言語道断な行為のはずだ! みんなおかしい!まちがっている! 本来、おうちも家具も食料も、全てがゆっくりしているゆっくりのために存在している、すなわちれいむのために存在しているのだ! しかしそれらは、嘆かわしいことに、ゆっくりできないゆっくりがひとりじめしている! そんな愚かな連中に、あらためてそれらは誰の物であるかを主張し、しっかりと理解させる!それがおうち宣言の本来の意義のはずだ! 「ゆふ…ゆふふふふふふ!」 そうだ!かまうことはない!おうち宣言禁止法など、所詮は自分の利益しか考えないゲスが、 本来れいむの物であるはずの物を横取りしようとして、でっち上げた悪法にすぎない。 そんなもので、でんっとうあるおうち宣言を封じ込めようなどとは片腹痛い! 今こそ真に正しい秩序の復活の時なのだ! ボスれいむは、力の入らない身体を振り絞り、大きく息を吸う。 そして、渾身の気力をもって、高らかに宣言する。 「ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!!!」 決まった!見たか!これが完璧なおうち宣言だというものだ! これで愚か者どもも理解したはずだ。 いったい何が正しいことかということを! この群れがいったい誰のものかと言うことを! そしてこのむ……。 グサ! 「………あ?」 ボスれいむの思考は突然自身を襲った未知の衝撃により中断した。 ボスれいむのすぐ後ろにはみょんがいた、そしてみょんは木の枝を加えており、その枝は後ろからボスれいむの身体を後ろから貫通して前に突き出て……。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!」 事態を把握したボスれいむの口から絶叫がほとばしる。 「みょん!こいつは、むれのおきてできんしされている、おうちせんげんをやらかしたみょん! これはもうせいっさいするしかないみょん!」 「ゆゆ!そうだねこんなげすはせいっさいだよ!」 「わかるよー!やっとげすがほんしょうを、あらわしたんだねー!」 「おきてをやぶったんだから、しょうがないわよね!」 グサグサグサ! 四方八方から枝を加えたゆっくりたちが迫り、次々と身体を貫かれていくボスれいむ。 「ゆぎょえええええええええ!やべでええええええええ!だずげでええええええええええ!」 痛みで我に返ったボスれいむが、必死に助けを求める。 しかし、ただでさえみんなから嫌われている上に、新たなる掟であるおうち宣言禁止法をも破ってしまったボスれいむの声を聞くものはいない。 いや、それどころか、みなボスれいむを直接制裁する口実ができたと、積極的に木の枝を突き刺してくる。 「なんでええええ!なんでわからないのおおおおおおお! ぜんぶれいむのもののはずなのにいいいいいい!おうちせんげんしたでしょおおおおおおお! いだいいいいい!やべでえええええええ!」 多数の木の枝で全身を貫かれ、ハリネズミのような有様になったボスれいむ。 もはや誰もボスれいむの話を聞いてなどいない。 このまま苦痛と絶望に飲み込まれながら、ゆっくりと死に絶えていくことだろう。 ボスれいむが最後までしがみついていたおうち宣言など、所詮状況が変わればただの悪法にすぎないということだ。 「れいむ、けっきょくのところおうちせんげんは、あなたが、いいえ、ゆっくりたちが、 おもっているほど、ばんのうではないとうことなんでしょうね。 それにさいごまできづかなかった、いや、きづこうとせずに、おうちせんげんをしたあなたは、ゆっくりのかがみかもね。 でもぱちぇはそんなのはごめんだわ」 制裁されるボスれいむを遠巻きに眺めながら、長ぱちゅりーはそんなことを呟いたのだった。 おしまい。 以下全然読む必要のない後書き。 こんな拙い文章を最後までよんでくださってありがとうございました。 何が面白いのかわからなくなったら初心に帰ればいい。 今回のテーマは回帰、まあ上手くいったかどうかはわかりませんけどね。 少しでも読者の方々がゆっくりできたら幸いです。 と、まあそんなわけでまた次の機会によろしくお願いします。 ナナシ。
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『おうち宣言記念』 25KB いじめ 虐待 小ネタ お家宣言 番い 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ 虐待人間 いつもの小ネタです。ちょっと長めです。 「ここを、まりさたちのおうちにするんだぜ!!」 声高らかに宣言する一匹のゆっくり。 薄汚れた風貌の成体まりさが、得意そうに踏ん反り返っている。 その後ろには、同じく薄汚れた成体のれいむと、二匹の子ゆっくり。 れいむ種とまりさ種が一匹ずつという、シンプルな組み合わせの家族構成だ。 「ゆっわぁぁぁぁ!ひろいのじぇぇぇぇ!すごいのじぇぇぇぇ!」 「ここが、じぇーんぶ、れーみゅのものなの?ゆわぁぁぁい!ゆっくちー!!」 「すてきなおうちだね!ここなら、かいてきにくらせるよ!たくさーん、ゆっくりしようね!!」 おうち宣言が済んだ途端に、ゆんゆんと騒ぎ始める子ゆっくり達。 元気に飛び跳ねたり、床をコロコロと転がったり、体を伸ばしてみたりと、思い思いの方法で新しい我が家が手に入った事に喜んでいた。 そんな子ゆっくり達を見て、幸せそうに微笑む二匹の親ゆっくり。 これから自分達は何時までも幸せに、ゆっくり出来ると確信していた。 パンパンパンパンパーン! ドドドドドドドドドドンドドン!!ジャ~~~ン!! パッパラパパパパ~ン!! 『ゆがっ?!』 突然鳴り響く破裂音。 それに続いてのドラムロールとファンファーレ。 突然の事態に驚き固まるゆっくり一家。 天井に取り付けてあったくす球が割れ、中から紙ふぶきと垂れ幕が飛び出した。 『祝 おうち宣言100組達成』 「ゆわぁぁぁ!きれいなんだぜ!せかいがまりさたちを、しゅくふくしているしょうこなんだぜ!!」 「ゆわぁぁぁぁ!れいむほどじゃないけど、とってもきれいだよ!ゆっくりできるよぉぉぉぉ!!」 「ゆわぁぁい!このきらきらしゃんは、ぜーんぶまりちゃのものなのじぇ!ゆっくちー!」 「じゅるいよ!れーみゅだって、きらきらしゃんほしいよ!ひとりじめは、ゆっくちできにゃいよ!!」 固まっていた野良一家は、くす球から降り注ぐ色紙に目を奪われていた。 親ゆっくりは目を輝かせて紙ふぶきを眺め、子ゆっくり達は床に落ちた色紙を舌で舐めとって集めている。 当然、垂れ幕に書いてある字など読めるはずもないのだが、野良一家はこれが自分達を祝福しているものだと確信していた。 そこに突然一人の男が現れた。 男は野良一家を手際よく透明な箱に詰めると、箱から出られないように蓋をした。 野良一家はまたもや、何が起こったのか理解出来ずにしばらく固まる。 「ゆっがぁぁぁぁ?!なんなんだぜ、おまえはぁぁぁ?!ここは、まりさたちのお 『はいはい、そういうのは良いから』 ゆゆ?」 硬直から解けた親まりさが、男に向かって罵声を浴びせるが、男はそれを遮って話を始めた。 「良く聞けお前ら!ここは俺の家…正確には物置を改造した家だ。お前達は、俺の仕掛けた罠にはまったアホ饅頭と言う訳だ」 「ゆぅぅぅ?!なにいって 『ドカッ!』 ゆっぼぉぉぉ?!」 早速男に抗議す様とした親まりさだったが、男は親まりさが声をあげるとすぐに透明な箱を蹴った。 野良一家は箱の中をコロコロと転がり、壁にぶち当たると涙をポロポロと流して泣き叫んだ。 「ゆびぇぇぇぇん!いたいのじ 『うるせぇ!黙らねぇと、問答無用でひねり潰すぞ!』 ゆぴぃ!」 真っ先に泣き始めた子まりさを、男は睨んで威圧する。 それを見た子まりさを含む野良一家は、涙目のまま思わず押し黙った。 「よし、それでいい…さて、説明するぞ。お前達は、この家でおうち宣言をした、記念すべきゆっくり一家100組だ。まったく、人間の家に入れば、すぐそのアホな宣言ばかりしやがって…」 『ゆぅぅ?!』 「まあ記念だからと言って、お前達をゆっくりさせてやる事は当然ない!その代わりに祝ってやろうと思う」 「ゆゆ?!それなら、さっさとおいわ 『最高の苦痛と恐怖で、お前達お祝福してやろう!!』 ゆっがぁぁぁ?!」 男の言葉を聞き終った野良一家は、口々に罵声を浴びせる。 狭い箱の中をピョンピョン飛び跳ねて膨れ上がったり、揉み上げやお下げをワサワサと動かして怒りはじめる。 男はそんな野良一家を品定めするようにじっくりと見渡すと、箱の中から子まりさを取り出した。 「ゆわぁぁぁい!おしょらを!…ゆぅぅぅ?!なにしゅるのじぇ!はなすのじぇ!せいさいされたいのじぇ?!」 「ふむ、それなりに生きがいいな。よし、お前には素敵な曲をプレゼントしよう」 そう言うと男は、子まりさの口と底部にガムテープを張り、背中にオレンジジュースの点滴を突き刺した。 そして、何やらコードの付いた機械を子まりさの体につけると、小さな蓋付きの透明な箱に入れた。 「これはな、貼り付けた物を何でもスピーカーにするって面白アイテムなんだ。今からお前はゆっくりスピーカーだ!」 男はコードの先に付けられた、音楽プレイヤーの再生ボタンを押した。 すると、突然子まりさがガタガタと震え出して、体から音を出し始めるのだった。 「ひゃははは!面白いだろ?これってお前らが喋る原理と同じらしいな。体を振動させて音が出る。まるで自分が歌ってるみたいだろ?曲は『ゆっくりデスメタル』だぁぁ!!」 ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!ドドン♪ドドン♪ドスドスドスドスドドドドドッ♪ ゆっくりの叫び声ともに、激しいドラム音が鳴り響く。 荒ぶるギターと共に、ゆっくり達の鳴き声や叫び声、断末魔が響き渡る。 この曲は某メタルバンドが、ゆっくりの絶叫を集めて曲にした物。 ゆっくりを痛めつけ、殺した時の叫びがそのまま曲になっているのだ。 子まりさは両目を見開いて涙を流しながら、まるでゆっくり達の絶叫に合わせて踊っているかの様に体を激しく振動させている。 複数のゆっくり達の悲鳴や叫び声が、自分の体の中から聞える。 子まりさには、それがたまらなく恐ろしく、そしてゆっくり出来ない苦痛となった。 だがどんなに体を捩っても、どんなにお下げを振り回しても、音が聞えなくなる事はない。 子まりさが苦しそうに体を振って泣いていると、振動の影響で子まりさの底部の一点がムクムクと盛り上がり始める。 「はははっ!見ろ!こいつ、同族の叫びを聞きながらおっ立ててやがるぜ!!こりゃ傑作だ!!」 子まりさは顔を赤らめながらも、苦しそうに身を捩っていた。 「やべろぉぉぉぉ!おちびになにをしたぁぁぁぁ!ゆるさないんだぜぇぇぇぇぇ!!」 「ゆっぎぃぃぃぃ!くそじじぃぃぃぃ!ぜったいにころしてやるぅぅぅぅ!!」 子まりさの姿を見て、顔を真っ赤にして怒る親ゆっくり達。 だが男はそんな親ゆっくり達を気にもしないで、淡々と話を始める。 「あーそうそう、おうち宣言したのはお前達で100組目なんだが、実はゆっくり数は今までで348匹なんだ。何だかキリが悪いだろ?」 「ゆゆぅ?!なにいってるんだぜぇぇぇぇ!おちびをここからだせぇぇぇぇぇ!!」 「そこでだ、せっかくだから500匹達成しようと思うんだ。お前達一家で+4匹だから、352匹。あと148匹足りない訳なんだが…」 「ゆっぎぃぃぃぃ!もうやだぁぁぁぁ!すっきりじだくないぃぃぃぃ!あかちゃん、つくりたくないぃぃぃぃぃ!!」 「ごめんねでいぶぅぅぅ!!からだが、とまらないんだぜぇぇぇぇ!までざだって、ずっきりじだくないんだぜぇぇぇぇ!!」 涙と涎と変な汁を撒き散らしながら、親ゆっくり達が子作りに励んでいる。 親れいむは逃げられない様に器具で固定されており、二匹には子まりさと同じ様にオレンジジュースの点滴が付けられている。 親まりさの体には、小型の振動機が取り付けられており、このせいで強制的に発情状態にさせられていた。 親れいむの額からは沢山の茎が生え、次々と赤ゆっくりが生れ落ちていった。 「かわいーれーみゅが、ゆっくりうま 『グチャ!』 びゃ!!」 「かわいーまりちゃが、うまれちゃよ!ゆっくちして 『ビチャ!!』 びゅ!」 生れ落ちた瞬間にハンマーで潰される赤ゆっくり。 これから生れ落ちると宣言している最中に潰される赤ゆっくり。 目を開けた途端に潰される赤ゆっくり。 床に着地したと同時に弾け跳ぶ赤ゆっくり。 二匹の親ゆっくりは、次々に生れ落ちては殺されていく自分の赤ゆを、両目を真っ赤にして眺めていた。 それでもすっきりを止める事が出来ない親まりさ。 赤ゆの作りすぎて死ぬ事すら出来ない親れいむ。 子れいむはそんな両親の姿と、生まれてすぐに死んでいく妹達を見せられながら、赤ゆの死骸を食べさせられていた。 「ゆげぇぇぇ!もうやだ!だべだくないいぃぃ!ぐもも!もがぎぃ!あまあま!しあわ…ゆぴぃぃぃ!ゆっくちできにゃいぃぃぃ!」 男が手際よく始末していく赤ゆっくりを、流れるように口に入れられる子れいむ。 口から吐き出そうとしても男の手に遮られ、尻からひり出そうとしても、既にあにゃるはボンドで塞がれていた。 体は大きく膨れ上がり所々破けるが、その度に男が手際よく子れいむを治療していった。 子れいむは、無駄に高いその再生能力のせいで、何時までも苦痛を味わう事になった。 そして3時間ほどたった頃。 生え始めた茎を男が毟り取ると、ようやく二匹の生産活動は終了した。 「あっと、危ない危ない。148匹を超えるところだった。面白すぎて、ついついやり過ぎちまう所だったぜ!」 そう言うと男は、額の汗をぬぐった。 親ゆっくり二匹は、体積こそそれほど変わってはいなかったが髪はぼさぼさに乱れて、疲れきった顔をしていた。 親まりさのぺにぺには真っ赤に腫れ上がり、あちこち皮が破れて餡がこぼれていた。 親れいむのまむまむもだらしなく開いた状態で、中からドロドロとした餡が零れていた。 子れいむは親と同じくらいに体が肥大していたが、目や口などのパーツはそのまま大きさが変わっていなかった。 元が子ゆっくりとは思えない、アンバランスな姿になっていた。 「ゆび…ぎぎぃ…れいむの…あがちゃ…ぎぎぎ…ゆっくち…ゆっくち…」 「ゆがが…までぃざのぺにぺに…いだいぃぃ…もうやだ…おうちにかえじで…」 「ゆっぴっぴぃ~!あまま!おいちー!いもーちょ!おいちー!ゆけけけけ!」 疲弊した親ゆっくりを楽しそうに眺める男。 子れいむは壊れかかっているのか、焦点の合わない目でケタケタと笑っている。 男はそんな子れいむに活を入れるべく、まむまむに火のついたマッチを押し込んでいった。 「ゆけけけ…ゆっびゃあぁぁぁぁぁ?!あっちゅい!れーみゅのまむまむが、あっちゅいぃぃぃぃ!!」 それまで空ろだった子れいむの目に活気が戻り、子れいむは揉み上げをワサワサと動かして泣き叫んだ。 それを見た男は満足そうに笑うと、親二匹と子れいむにオレンジジュースを浴びせた。 「ゆびぃ…ゆぎぎ…どぼじでこんなこと…するんだぜ…まりさだちは…なんにもわるいこと…してないんだ…ぜ…」 「どうしてって?そりゃ、この家でおうち宣言したのからこうなったんだ。他の家だったら違う結果があったかもな。それに俺も悪い事はしてないぜ?」 「なにいってるんだぜ!これだけのこ 『野良ゆっくりで遊ぶのが、悪い事なのか?』 ゆぅぅぅ?!」 男は喋りながら、子まりさについていた点滴と機械を外した。 子まりさは目を真っ赤に腫らせながら涙を流し、それでも体が止まらないのか、狂った様にヘッドバンキングするかの様に激しく動いていた。 ぺにぺには自分の身の丈ほどに腫れ上がっており、その先は男の手によってボンドで固められていた。 「ゆびゅー!ゆびゅー!げべべべ!ごぼぼぼ!ゆげげげげ!ゆっくちー!しゅきりー!ゆっくちー!がががが!」 口に貼られたガムテープが外されると、子まりさは意味不明な言葉を淡々と喋り出した。 「ほら見てみろ。同族の叫びでこうなったのか、お前らの汚い『すっきりー』を見てこうなったのかは知らないが、醜い姿だろ?面白いだろ?」 「ゆっがぁぁぁぁ!なにいってるんだぜ!おまえのせいで、こうなったんだぜぇぇぇぇ!ごろじでやるぅぅぅ!ごろじでやるぅぅぅ!!」 親まりさは変わり果てた子まりさを見て、疲弊しきっていた事も忘れたかのように大声で怒鳴った。 だが男は特に気にする様子もなく、腫れ上がった子まりさのぺにぺにを根元から鋏で切り落とした。 「ゆぴゃ?!ずっぎぃぃぃにぃぃぃぃ?!ゆっぴぃぃぃぃぃ!!」 切り落とされたぺにぺにから、勢い良く餡が飛び出す。 子まりさはそれを自ら浴びてしまい、額に茎を生やし始めた。 男はそれを素早く摘み取ると、ぺにぺにと一緒に子まりさの口に無理やり押し込んでいった。 「ゆぎゃぎゃ!ごもも!ぐぼごべ!ごべぇ!ゆげろぉぉ?!げは!ごは!ゆっ…ゆっ…ゆっ…ゆっぴぃぃぃ?!」 「どうだ?少しは意識が戻ったか?簡単に壊れ饅頭になったんじゃ面白くないからな」 「ゆっひっ………ゆっぴぃぃぃぃぃ!やじゃ、やじゃぁぁぁぁ!ここはゆっくりできないのじぇぇぇぇぇ!おうちかえりゅぅぅぅ!!」 虚ろな目をしていた子まりさは、男にオレンジジュースを注射させると高い声で悲鳴を上げた。 そして男の顔を見てガタガタと震えだす。 「おい、そこのゴミまりさ!お前、家族の前でうんうんしろ!」 「ゆぅぅぅ?なにいってるんだぜぇぇぇぇ?!どぼじでまりさが、そんなことしなくちゃいけないんだぜぇぇぇぇ!!」 「ふふ、まあそう言うとは思ってたよ。じゃあ、代わりに子まりさに辛い目に合ってもらうよ」 男は部屋に置いてあった水槽をまりさの目の前に持ってると、ペットボトルに入っていた水を水槽の中に注いでいく。 水槽の半分ほどが水で満たされると、今度はベルトがついた円盤のような物を水槽の中に沈めた。 そしてそのベルトで震えていた子まりさを外れないように固定した。 「ゆびゃぁぁぁぁん!おろしちぇよぉぉぉ!うごけにゃいよぉぉぉ!ゆっくちできにゃいよぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 「外してもいいけど、そしたらお前、水に落ちるぞ?それでもいいのか?」 「ゆっぴぃぃぃ!いやにゃのぉぉぉ!おとーしゃん、たすけちぇよぉぉぉ!!こわいのじぇぇぇぇ!ゆびゃぁぁぁ!」 「それ無理だって!お前のおとーしゃんが、俺の言う事素直に聞かないからこうなったんだ。それより知ってるか?人間水車ってやつ。これはそのゆっくり版なんだよ」 親まりさに助けを求める子まりさ。 ベルトに固定されながらも必死に体を捩るが、男の言葉を聞いて大人しくなる。 男はそんな子まりさが固定されている円盤を、ゆっくりと動かし始めた。 「ゆゆぅぅ?!なにこりぇぇぇ!おみずしゃんが、こっちにくりゅぅぅ?!ゆげごぼぼ!…ぼご!…げぼ!…」 円盤に張り付いた子まりさは、そのまま水槽の中に沈んでいった。 そしてしばらくすると、水面から顔を出してむせ返る子まりさ。 「ゆげっ!げぼっ!ごぼ!ゆぜぇ…ゆぜぇ…ぐるじがっだよぉぉ…どぼじで…こんなごど…」 水に潜っていたのは10秒もなかったのだが、子まりさにはそれでも十分長すぎる程の時間だった。 そうして咳き込んでいる間にも、再び子まりさに水面が迫っていた。 「ゆぅぅぅぅ?!やじゃ、やじゃ、やじゃぁぁぁぁ!!おみじゅしゃん、あっちいっちぇよぉぉ!まり…ゆごぼぼ…」 子まりさはゆんゆん騒ぎながら、再び水の中に沈んでいった。 「やめろぉぉぉ!やめでよぉぉぉ!までぃざ、にんげんさんのいうことききますから、うんうんしますから、もうやめでくだざいぃぃぃ!!このままじゃ、おちびちゃんが、しんじゃいまずぅぅぅ!!」 子まりさが5回転ほどさせられて、ようやく親まりさが折れた。 一緒に子まりさを見ていた親れいむと子れいむは、子まりさの苦しんでいる様子を見るのが耐えられなかったのか、白目をむいて気絶していた。 短い時間とはいえ、水に何度も漬けられた子まりさは、体の皮がブヨブヨにふやけて、髪の毛が皮にぴったりと張り付いていた。 お下げのリボンは水に溶け、三つ編みが解けてボサボサになってしまい、帽子も水を多く含んだせいで型が崩れていた。 「ゆび…び…ぎぎ…じぬ…じぬ…ごぶ…ゆっぐぢ…ゆっぐぢ…ごびょびょ…」 子まりさは、ふやけた皮で半分ほど隠れた目をグルグルと回しながら、ガチガチと歯を鳴らしてブツブツと何かを喋っていた。 親まりさはそんな子まりさを涙目で眺める。 「ほら、まりさがうんうんするぞ!さっさと目を覚ませよ!」 男は気絶していた親れいむと子れいむを殴って叩き起こすと、今度は子まりさの瞼を毟り取った。 子まりさは痛みで意識を取り戻すと、瞼を失った目で親まりさを見つめた。 「ゆびゅぅぅぅ!このくしょおやぁぁぁ!どぼじでおまえのぜいで、まりちゃがこんなめにいぃぃぃ!!じね!じね!じねぇぇぇ!!」 「ごべんねぇぇぇ!おちびちゃん、ごべんねぇぇぇ!いまから、おとーさんが、うんうんするよぉぉ!そしたら、にんげんざんがゆるしてくれるよぉぉぉぉ!」 親まりさは、子まりさに向かって何度も頭を下げるような仕草をして謝ると、あにゃるを家族の前にさらけ出した そして顔を赤らめると、あにゃるに力を入れ始める。 「うぅぅ…うんうんするんだぜぇぇぇ!!ゆぐっぐぅ…」 親まりさは悔しそうに唇を噛むと、家族の見てる前でうんうんをひり出した。 親れいむと子れいむもその姿を悔しそうに見つめ、子まりさは卑しく笑った。 「みじめなのじぇぇぇ!このくしょおや!どーなのじぇ!まりちゃは、もっとつらいめにあったのじぇ!いいきみなのじぇ!ゆぷぷぷー!」 「はははっ!最初からこうしていれば、お前の子供に嫌われる事もなかったのにな!ほら、次はそのうんうんを美味しそうに食べろよ!」 「ゆぅぅ?!なにいってるんだぜぇぇぇぇ?!どぼじで、そこまでしなくちゃならないんだぜぇぇぇ!ゆっぎぃぃ!もうゆるさないんだぜぇぇぇ!!」 更なる男の要求に激怒した親まりさ。 だが男はそんな親まりさを押さえつけて口を開くと、親まりさのひり出したうんうんを口の中に納めていった。 「ゆごご!ぐべっ!ゆっげぇぇぇ!げぼ!ごぼ!やべろぉぉぉ!げげ!までぃざ、うんうんたべだくないぃぃぃ!ごぼ!げもも!」 「までぃざぁぁぁ!ゆうぅぅぅ!!やめでよぉぉぉ!れいむたちが、なにをしたっでいうのぉぉぉ?!」 「ゆんやぁぁぁ!おとーしゃぁぁぁ!どぼじでぇぇぇぇ!ゆっくちできにゃいぃぃぃ!!」 「ゆぷぷ!ばかなのじぇー!おぉ、あわりぇあわりぇ!まりちゃがくるちんだぶん、ゆっくちくるちむのじぇ!!」 親まりさは苦しそうに涙を流して、お下げをぶんぶんと振りまわす。 それを見ていた親れいむと子れいむは、泣きながら男に訴える。 だが子まりさは、苦しんでいる親まりさを見て大喜び。 男はそんな子まりさの様子に気が付き、親まりさにうんうんを食べさせるのをやめた。 「ゆゆ?なにしちぇるのじぇ?そのくしょおやに、もっとじごくを、みせてやるのじぇ!もっとゆっくち、できなくしてやるのじぇ!!」 「おい!何勘違いしてんだ?何で俺に命令してんだ?お前をもっとゆっくり出来なくしてやろうか?それともそろそろ死ぬか?」 男は子まりさから帽子を奪い取ると、それを逆さにして水槽に浮かべた。 そして親まりさのうんうんの残りを、帽子の中に入れていった。 「ゆびゃぁぁぁぁ?!なにしちぇるのぉぉぉ!まりちゃのおぼーち!やめちぇよぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁ!」 「お前の素敵なお帽子、どれだけうんうん積めるかな?ほら、お前もうんうんしろよ!」 男は親れいむを持ち上げて子まりさの帽子の上まで持ってくると、帽子に向かってうんうんをしろと命令した。 「ゆぅぅぅ?!そんなこと、できるわけないでしょぉぉぉぉ?!」 「出来るとか出来ないとかは聞いてねえよ。やれって言ったんだよ!やらないって言うなら、お前のリボンをバラバラにするぞ!」 親れいむは男を睨んでそれを拒否する。 すると男は片手で親れいむのリボンを、少しずつ千切って水槽の中に捨て始めた。 「やべでぇぇぇ!おりぼんさん、ちぎらないでぇぇぇぇ!します!しますからぁぁぁ!うんうんしますから、もうやべでぇぇぇ!!」 親れいむは揉み上げをワサワサと動かして、泣きながら底部に力を込める。 あにゃるが次第に広がっていき、うんうんが徐々に顔を見せ始める。 「ゆんやぁぁぁぁ!なにしちぇるのじぇぇぇぇ!やめちぇよぉぉぉ!まりちゃのおぼーちに、うんうんしにゃいでよぉぉぉ!!」 子まりさは涙を流して必死に親れいむに訴える。 だが親れいむも自分のリボンが大切なのか、悔しそうに口を歪めながらもうんうんをひり出した。 うんうんは子まりさの帽子の上にモリモリと積み上がっていき、子まりさはそれを見て絶叫した。 「ゆっびゃぁぁぁぁ!!まりちゃのおぼーち!やべろぉぉぉ!ゆぴぃぃぃぃ!ゆぴぃぃぃぃ!」 「ごめんねぇぇぇぇ!ごめんねぇぇぇぇ!おちびちゃん、ごめんねぇぇぇぇ!!」 親れいむは泣きながら謝罪しつつ、うんうんを排泄し続けた。 しばらくすると、歪な形に積み上げられたうんうんのせいで、帽子がバランスを崩し始める。 そしてついに帽子が転覆し、うんうんと共に水槽の底に沈んでいった。 「ゆっぎゃぁぁぁぁ!までざのおぼーぢがぁぁぁぁ!しずまないでよぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 男は帽子が沈んでいくのを見届けると、子まりさを固定していたベルトを外した。 そして尻をブリブリと振って暴れる子まりさを、そのまま水槽の中に落とした。 「ゆっびゃっぶ?!ゆぶぶ!げぶぶ!おぼれりゅ!たすけちぇ!ゆっくちぃぃぃ!ゆっくちぃぃぃぃ!」 「ほら、早く潜って帽子を取りにいかないと、全部溶けてうんうんと混ざるぞ!」 男は子まりさを掴むと、無理やり水槽の底まで沈めた。 子まりさは尻をブリブリと振りながら、お下げを振り回して抵抗する。 だが男の力には適わず、水槽の底に顔を押し付けられてしまう。 苦しそうに口を閉じながらも、自分の帽子を探そうと周囲を見渡す子まりさ。 帽子を見つけて動き出そうとするが、水分を含んだ体は思うように動かなかった。 それでも少しずつ這いながら、帽子を目指して進んでいく子まりさ。 髪の毛が水に溶けて少しずつ消えていき、体の皮がどんどん水を吸い上げて膨れていくが、それでも子まりさは止まらなかった。 (ぐるじぃ…でも、おぼーち…おぼーちがないと…ゆっくちできにゃい…ゆっくち…ゆっくち…) ふやけた皮がポロポロと崩れ、剥きだしになった餡が水に溶け出す。 片目が取れて転がり、あんよに当たると子まりさは動きを止めた。 徐々に皮が崩れていき、子まりさの周囲の水が黒く濁り始める。 「ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!おちびちゃぁぁぁぁぁん!ゆっくりぃぃぃぃ!ゆっくりぃぃぃぃぃぃ!!」 親れいむの叫びも空しく、子まりさは水に溶けていった。 「ゆぅぅぅぅ!!ごめんんざいぃぃぃ!までぃざたちが、わるかったですぅぅぅぅ!!おうちせんげんして、すみませんでしだぁぁぁ!」 「ごめんなざいぃぃぃ!れいむだちがわるがっだですぅぅぅ!ごめんなざいぃぃぃ!!もうおうちせんげんしませんからぁぁぁ!!」 「ごめんなざいぃぃぃ!ごめんなざいぃぃぃ!ゆるじでぇぇぇぇ!!」 子まりさの溶けていく姿があまりにも強烈だったのか、野良一家は泣きながら男に謝る。 男はそんな一家を見ようともしないで、注射器の様な物を取り出した。 「あー、別に謝らなくても良いよ。どうせお前等の謝罪は鳴き声だし、それにお前等がおうち宣言止めた所で、他のゆっくりがやるだろ?意味ないんだよ」 「ゆゆぅ?!じゃあ、どーすればいのぉぉぉぉぉ?!」 「だからさ、お前達は死ぬ程悲鳴を上げているだけで良いのさ!」 男は注射器を子れいむのまむまむに刺すと、中身を一気に注入した。 「ゆっぴぃぃぃぃ!れーみゅのまむまむに、へんなこちょしにゃいでよぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁぁ!!…ゆひぃ!ゆぎぃぃぃぃいっだいぃぃぃ!!」 泣いていたれいむが、突然顔を歪めて苦しがる。 まむまむが真っ赤に腫れ上がり、額からは紫色の茎が生え始める。 子れいむは歯をガチガチと鳴らし、唾を飛ばしながら白目を剥いて唸り声を上げる。 「ゆおぉぉぉん!ぐおぉぉぉぉぉ!がぎゃぎゃぎゃぎゃ!ぶおぉぉぉぉぉぉ!」 「ゆわぁぁぁぁ!おちびちゃんに、なにをしたのぉぉぉぉ?!」 「ん?あぁ、よく見ててやれよ。面白い事が起こるからな」 子れいむの額から生えてきた茎は、小さな赤い実をいくつも実らせていく。 薄っすらと顔の様な模様のある赤い実は、あっという間に赤から紫、紫から黒へと変色して大きくなっていく。 そしてどす黒い萎れた塊へと変化する。 「ゆっぎゃぁぁぁぁぁ?!なんなのこれはぁぁぁぁぁ!」 「どーなっているんだぜぇぇぇぇぇ?!なにがおこっているんだぜぇぇぇぇ?!」 男が子れいむに注射したのは、れいぱーの精子餡とタバスコを雑ぜた物。 本来ならゆっくりにとって猛毒のタバスコ。 それが子れいむの体内に広がり、1分も経たずに餡を吐いていただろう。 だが精子餡で妊娠する事により、胎内に広がった毒が茎に実った実ゆっくりに集まったのだ。 母体から栄養と一緒に毒を吸い上げた実ゆっくりは、ゆっくりの形を作る前に死んで黒くなる。 子れいむは命を拾った替わりに、妊娠時の急激な栄養不足と、体内を毒が駆け巡ると言う苦痛を同時に味わったのだ。 泡を吹きながら白目を剥いて気絶する子れいむ。 黒ずんだ実ゆっくりの残骸を実らせたせいで、体が若干縮んで皮が弛んでいる。 男はそんな子れいむに、もう一本同じ物を注射した。 「ぎがっ!ごぼぉ!ごぼぼぼぼぼぼぉぉぉぉぉ?!」 白目を見開いて唸り声を上げながら、ガタガタと震え出す子れいむ。 額からは別の茎が生え、実ゆっくりが実ったと同時に赤黒く変色して膨らんでいく。 「がびゃびゃびゃびゃびゃ!びびゃ!びっぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 子れいむは甲高い叫び声を上げながらしーしーを漏らすと、そのまま固まって動かなくなった。 「あれ?耐え切れずに死んじまったか?根性ねーな、まったく…」 「ゆっぎゃぁぁぁぁ!おちびちゃぁぁぁぁん!ゆっくりぃぃぃ!ゆっくりしてねぇぇぇぇぇ!」 「どぼじでこんなひどいことをぉぉぉぉぉ!あくまぁぁぁぁ!このあくまぁぁぁぁぁぁ!じねぇぇぇぇ!じねぇぇぇぇぇぇ!!」 「饅頭のお化けに悪魔って言われてもな…」 動かなくなった子れいむに号泣しながら呼びかける親れいむと、泣きながら男を睨み付ける親まりさ。 男は親まりさを眺めながらニヤニヤと笑うと、親れいむを鷲掴みにして押さえつけた。 そして何処からか取り出したハンマーで、親れいむの頭を殴り始めた。 「ゆぎゃ!いだいぃ!やめでぇ!どぼじ!ごばっ!ゆびょ!ゆぎぃ!がぎぃ!」 男はしばらく親れいむを殴り続けた。 「げふゅ…がふゅ…びゅっくり…びゅっくり…までぃ…ざ…だずげげ…びゅげ…ごびゅ…」 「ゆわぁ…ぁ…ぁ…でいぶ………どぼじで……こんな……ゆっくり…」 男が変わり果てた親れいむを親まりさの目の前に置いた。 親まりさは、ガタガタ震えてうめき声を上げる番を見て、力なく涙を流す。 親れいむの頭は原型を留めないほど陥没し、両目は既に潰れていた。 頭皮はあちこちが切れて餡が漏れており、餡がついて変形したリボンがれいむだと主張している。 破壊されているのは口から上だけで、何故か底部は殴られなれていなかった。 「面白いだろ?お前等ってこんな状態でも死なないんだよな。饅頭お化けって感じがするだろ?いやーゆっくりって凄いよなー!」 「ゆぅ…ぅ…でいぶ………まりさたちは…ばけものじゃ……こんな…ゆぅ………」 「そうだ!せっかくだから最後にケーキを作ろう!記念って感じで良いだろ?なあ、まりさ…」 男は親まりさを持ち上げると、楽しそうに微笑んだ。 男は始めに親まりさと親れいむのあんよをホットプレートでこんがり焼いた。 親れいむは大分弱っていたので特に暴れもしなかったが、親まりさは必死に身を捩って抵抗した。 だがそんな抵抗も空しく、男の手でポッとプレートに押し付けられて、あんよが黒焦げになるまでじっくりと焼かれた。 「ごめんなざいぃぃぃ!ごめんなざいぃぃぃ!ごめんなざいぃぃぃ!まりちゃ、もうちにかえるぅぅぅぅ!おうちでゆっくちしゅるぅぅぅ!」 親まりさは恐怖で幼児退行したようで、男に必死に謝り続けた。 あんよが焼き終ると、今度は親れいむの潰れた頭部を切り落とし、その上に親まりさを乗せてオレンジジュースをかけた。 そして親まりさの帽子を取り、頭にナイフを刺して円形に頭皮を切り取った。 「ゆびゃぁぁぁぁ!まりちゃのきんぱつしゃん!いだいぃぃぃぃ!やめでぇぇぇ!やめでよぉぉぉぉ!」 親まりさはお下げをぶんぶん振りまわして、子まりさのように泣き叫ぶ。 男はそんな親まりさの頭の穴に、死んだ子れいむを乗せてオレンジジューズをかけた。 男は完成したケーキの土台に、爪楊枝や串を刺して飾り付けをしていく。 最後に親まりさの腹に「祝100回」とマジックで書くと、完成したゆっくりケーキを庭に出す。 「まりちゃ、いいこになりましゅぅぅぅ!にんげんしゃんは、とってもこわいでしゅぅぅぅ!だから、まりちゃをゆるしてくだしゃいぃぃぃ!ごめんなしゃいぃぃぃ!ゆっぴぃぃぃぃぃ!!」 「げびょ!がひゅ!ゆっびゅじ!ゆっびゅじ!ゆっびゅじぃぃぃぃ!」 「さてと、ケーキカットの前にロウソクに火をつけないとな…」 男はゆっくりケーキに液体燃料をかけるとマッチで火をつけた。 火はあっという間にゆっくりケーキを包んでいき、周囲に甘い匂いを漂わせる。 「ゆっびゃぁぁぁ!あっちゅい!あっちゅい!ゆっくちぃぃぃ!ゆっくちぃぃぃぃ!ゆぎょぉぉぉぉぉぉ!!」 「じょぼぉぉぉ!びゅぃぃぃぃぃ!!びゅ!びゅ!びゅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 髪の毛が燃え肌が焦げ、禿げた焦げ饅頭に姿を変えていくゆっくりケーキ。 男は火が鎮火するのも待たずに、スコップを親まりさにつきたててケーキカットする。 「びゃぁぁぁぁ!ゆびゃぁぁぁぁ!びゅ!びゅ…びゅ…びゅ…じゅ…じゅ…じゅ………」 まるでお食べなさいをする様に割れたゆっくりケーキは、そのまま豪快に燃えて焦げていった。 「これがその時のまりさの帽子。どうだ、素敵な面白映像だろ?ゆっくりって面白いよな?」 「なにいっでるのぉぉぉぉ?!これのどこがおもしろいのぉぉぉぉ!!どーしてこんなことができるのぉぉぉぉ?!」 「ゆっぴぃぃぃぃ!きょわいぃぃぃぃ!ゆっくりできにゃいぃぃぃぃ!!」 透明な箱に入れられたれいむと子れいむが、大声を上げて泣き叫ぶ。 子れいむはすでにしーしーを漏らして、ガタガタと震えている。 男はそれを見て満足そうに笑うと、クラッカーを鳴らしてくす玉を割った。 「おめでとう!お前達はここでおうち宣言をした200組目のゆっくり一家だ。さあ、ゆっくりしていけよ!!」 完 徒然あき
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『おうち宣言を証明してね!』 55KB いじめ 自業自得 お家宣言 同族殺し 共食い 群れ 野良ゆ ゲス 現代 虐待人間 「ゆゆっ?どうしてくそにんげんがまりささまのおうちにいるんだぜ?」 「ゆっくりしないではやくでていってね!ここはくそにんげんごときが、きやすくはいっていいばしょじゃないんだよ!」 「おうちせんげんしたんだからこのおうちはもう、まりささまのおうちなんだぜ!」 「でみょそにょみゃえにあみゃあみゃはおいちぇっちぇにぇえ!そちたられいみゅのうんうんをたべしゃせてあげちぇもいいよ!」 「うんうんたべちゃらまりちゃちゃまのどれいにして、しぬまでこきつかってやっちぇもいいんだじぇ!げらげら!」 歩いて2分のコンビニにちょっと振込みにいって自宅に帰ってみると。 野良と思われる糞饅頭どもが俺の家に入り込んで部屋を荒らした挙句、偉そうに俺に命令してきやがった。 どうやら俺が家を留守にした隙を狙い、おうち宣言のルールを盾に家を乗っ取ろうという魂胆のようだ。 まったく、おうち宣言なんつーゆっくりが作った手前勝手なルールなんか 人間には通用しないというのがなんでいまだに理解できないのかねえ…… 「ゆっ!まってねまりさ!れいむはむかしぱちぇりーからきいたことがあるよ!」 「なにをきいたんだぜれいむ!?」 「くそにんげんはゆっくりのでんっとうっのぎしきである『おうちせんげん』をりかいできないていのうっなんだって!」 「な、なんだってぇぇぇっ!くそにんげんはそんなにっ!あたまがっ!かわいそうっ!なのかぜぇぇぇぇっ!?」 「おうちせんげんはぜっちゃい!なんだじぇ!そんにゃのこどものまりちゃでもしっちぇるんだじぇぇぇっ!」 「そうだね!おちびちゃんはかしこいね!でもくそにんげんはばかだからわからないんだよ!」 ……そうだな、ここんとこ忙しくてゆっくりの虐待ができずストレスが溜まってた所だ。 ちょうど汚ねえ糞野良どもが自分からのこのこやってきたんだし、ひとつ暇つぶしに遊んでやるかな? 「で、でもれいむ!もしかしたらこのじじいはばかじゃないかもしれないんだぜ!?」 「ばかだったらおうちせんげんのるーるすらりかいできないくずだよ!まんがいちこのじじいがばかじゃなかったら このおうちをれいむたちにあけわたすはずだよ!」 「ばかはゆっくちできにゃいにぇえ!げらげら!」 「じじいはばかにゃの?ばかはゆっくちできないのじぇ!」 うん、こいつらまごうことなき正真正銘のゲスだな。たった今お前らの命運は尽きたぞ?ははっ。 糞野良ゆっくりに家を乗っとられたらどうする! どうする?どうする?君ならどうする!?まかせるんだ!鬼意惨にッッ! さあさあっ虐待鬼意惨のパーフェクト糞野良いじめタイムがはじまるよー! 「おいっもういちどきくのぜ!じじいはおうちせんげんがわからないばかじゃないのぜ!?」 「ばかだとおもわれたくなかったら、いますぐれいむたちにおうちををあけわたしてね!」 「おうちせんげんがりきゃいできにゃいくしょにんげんはばきゃ!」 「ばきゃといわれたくなかっちゃらおうちをよこすんだじぇ!あとあみゃあみゃももってくるんだじぇ!」 へえ?頭の悪い糞野良のクセに少しは知恵を出してきたじゃないか。 わざとバカだのなんだのとプライドを刺激する挑発的な言葉を使い、バカだと言われたくなかったら おうち宣言を認めろと誘導しているわけだ。まあ誘導がヘタクソすぎてゆっくりしか騙せない話術だがな。 ふーん……いいよ?あえて乗ってやるよそれ。そういう相手を騙して貶めることをやらせたら 人間の方が一枚も二枚も上手だということを思い知らせてやるぜ。 「とんでもない!俺はバカじゃないよ!ゆっくりの伝統の儀式であるおうち宣言を理解できないはずないじゃないか!」 「ゆ……ゆわぁぁぁい!や、やったのぜ!じじいがおうちせんげんをみとめたのぜぇぇぇぇっ!」 「このゆっくりできるおうちはきょうかられいむたちのものだよぉぉぉぉっ!」 「ゆぷぷ!でもじじいはやっぱりばかなのじぇ!」 「じぶんがばかだっちぇみとめたくないからって、おうちせんげんをみとめりゅなんちぇにぇえ!」 「ゆんっ!でももうおそいよ!ゆっくりげんちはとったんだからね!おうちはもうかえさないよ!」 「まりささまのずのうてきしょうりなのぜぇぇぇっ!ねえおうちとられてどんなきもち?どんなきもちぃ~~?」 いやあ見事なまでに調子こいてるなあ。 まあ今のうちにせいぜいいい気になってればいいさ……ククク。 「まあ心配せずとも本当におうち宣言したのならこの家の所有権はちゃんと認めてやるさ。 ああそうだ、出て行く前にちょっといくつか聞きたいことがあるんだけど……まずお前たちはいつおうち宣言したの?」 「さっきだぜ!」 「さっきじゃわからないよ。何時何分何秒?だいたいでいいから教えてくれよ」 「ゆっ?……さ、さっきはさっきだぜ!しついこいとまりさおこるんだぜ!」 「ふーん。じゃあ今はそれでいいや。あと君たちがおうち宣言したときにこの家に誰かいたかい?」 「ゆっ?なにいってるの?わざわざじじいのるすをねらっておうちにはいりこんでおうちせんげんしたんだよ? だれもいるわけないよ!」 おいおい。このれいむ空き巣同然におうち強盗をしたと自分から白状しちまいやがったよ。 「ふむ……つまりお前達がおうち宣言をした正確な時間はわからず、おうち宣言を証明してくれる人もいないと……」 「それがどうしたのぜ!?もういいからくそじじいはさっさとまりささまのおうちからでていくのぜ!」 「はやくでていってね!ここはもうおまえのおうちじゃないんだからね!りかいできないならもういちどいうよ! このおうちはれいむたちがおうちせんげんしたんだよ!だからもうじじいの……」 「嘘、だな」 「……ゆっ?」 「お前ら本当はおうち宣言なんてしてないんだろ?俺が意外に早く帰ってきたからとっさに嘘をついたんじゃないか? おうち宣言しましたってさ……まったく最低だな!嘘つきゆっくりなんて!」 しばしの沈黙……野良ゆっくりどもは俺が言ったことを即座には理解できない。 そりゃそうだ餡子脳と言われるくらい低脳なゆっくりだからな。 だが時間をかけてだんだん俺の言葉が理解してくる……そうそう理解しつつあるのが表情に現れてきたぞ。 顔を赤くして歪ませてぷるぷるふるえて……さんはい! 「ゆうううううううっ!な、なにぞれえええええええええええっ!?」 「れいぶはうそなんてづいでないぃぃぃぃぃっ!ほんとうにちゃんとおうちせんげんをしたんだぁぁぁぁぁっ!」 「えー本当にしたのぉ~?」 「まちがいなくおうちせんげんしたよ!ちゃんとかぞくみんなで!ここをみんなのゆっくりぷれいすにするよって!」 「じゃあ確かにそのおうち宣言をしたという証拠を見せてよ!」 「ゆ?ゆゆゆゆゆゆっ!?」 「ど、どぼいうごとぉぉぉぉぉっ!?」 「おうち宣言をしたらこの家はお前達のもの……それはいいよ!ゆっくりの伝統の由緒正しい儀式で常識だものね! 認めるよ!でもおうち宣言をしたという嘘をついただけならば話は別だよ!」 「だ、だきゃらぁ!まりしゃたちはおうちせんげんしたっちぇいっちぇるでしょぉぉぉっ!?」 「じじいはばきゃにゃの!れいみゅのことばがわきゃんにゃいにょ!?ちぬにょおおおおおおおっ!?」 「だっていつ宣言したのか時間もわからない!宣言を聞いた者もいない!それじゃ本当におうち宣言をしたのかどうか 不明瞭すぎて信用できないよ!だからお前ら親子がここで確かにおうち宣言したという証拠もしくは証人を見せてね! 今すぐでいいよ!」 「しょ、しょんなごといわれちぇにょ……」 もちろん「おうち宣言した証拠」なんてものがこの糞野良親子に出せるわけがない。 そりゃそうだ。ゆっくりが写真だの動画だの撮れるわけないし、 そもそも留守狙いなんだから宣言に立ち会った第三者の証人もいるわけがない。 というわけで今回は頭からおうち宣言を否定して痛めつけるというお決まりの虐待ではなく、 おうち宣言を認めた上でおうち宣言の成立を否定するという少し変わった虐待いじめをするよ! 「じゃあおうち宣言したなんて嘘をついた嘘つきゆっくりは今すぐでていってね!ここはお前らのおうちなんかじゃないよ!」 「だがらぁぁぁぁっ!ばりざはおうちせんげんしたっていっでるでしょぉぉぉっ!?」 「じじいはばかなの!?じぬのぉぉぉっ!なんでれいぶだちがうそついたってきめつけるのぉぉぉぉぉっ!」 「だったら嘘じゃないという証拠を見せてってば!おうち宣言が嘘じゃないなら簡単に出せるでしょ!」 「ぞ、ぞれはぞの……しょ、しょうこさんはないげど、ぞれでもたじかにばりざはおうちせんげんじだんだぜぇぇぇっ!」 「ぞうだよ!ばりざのいうどおりだよ!いいがかりっもたいがいにじでねぇぇぇっ!」 「証拠を出せないんだ?じゃあやっぱりおうち宣言したというのは嘘だったんだね!」 「だぁぁぁぁっ!かぁぁぁぁっ!らぁぁぁぁっっっ!!」 野良まりさとれいむは必死に自分達はおうち宣言を確かにしたんだと俺に喰らいついてくる。 ここまでおうち宣言したと主張するということは宣言自体は本当に行われたのだろう。 嘘をついていたら必ずどこかで諦めたり折れたり矛盾したりする。 事実だからこそしつこく食い下がる。 だけど俺はその言葉を信じない。いや信じないフリをする。 何故ならばそれが真実を訴える者にとって一番堪える行為だからだ。 「おうち宣言の証拠を出せないようだね!じゃあ俺のおうちに不法侵入したゲスにゆっくりお仕置きするよ!」 「だきゃらおうちせんげんしたっちぇ、いっちぇりゅでしょぉぉぉっ!?」 「なんでじじいはれいぶのおはなしがりかいできないのぉぉっ!ばかなの?じ……」 ピシャァァンッ! 「い……っ?い、いだいぃぃぃっ!?」 「れいぶぅぅぅっ!じ、じじいぃぃぃぃっ!ばりざのれいぶになにをじだぁぁぁぁっ!?」 「なにってただハエ叩きでぶっただけだよ!嘘つきゆっくりには罰を与えないとね!」 「だきゃらうしょなんちぇちゅいてにゃいぃぃぃぃっ!ど、どぼじでぇぇぇっ!? どぼじてくしょじじいはれいみゅのおはなしをしんじにゃ」 ピシャァッ! 「ゆぴぃぃぃっ!」 「じ、じじいぃぃぃっ!おばえなにやっでるんだぁぁぁっ!?ばりざのおちびをいじめるなぁぁぁぁっ!」 「うるさいよこの嘘つきゆっくり!嘘をついたお前らが悪いんだよ!ゆっくりしないでりかいしてね!」 「り、りがいでぎるがぁぁぁぁっ!ゆがああああああっ!」 「嘘つきまりさはゆっくりおしおきするよ!」 ピシィッ! 「ゆぴょぉっ!?い、いだいいいいい!おぼにぜんしんがいだいいいいいいいっ!」 「おうち宣言を悪用した、悪いゆっくりのおうち強盗はお兄さんが許さないよ!」 「きょ、きょにょぉぉぉ!へりくつばきゃりいうくちょじじいは、さいっきょうのまりちゃがしぇいしゃいちてや」 ピシィッ!ピシッ! 「ゆんやああああ!いじゃいぃぃぃ!きゃわいいまりちゃのびはだしゃんぎゃぁぁぁぁぁっ!?」」 「ばりざにのりりしいおちびがぁぁぁっ!」 「ばりざぁぁぁ!はやくじじいをせいさいっじでねぇぇぇっ!?はやくじでねぇぇぇぇぇっ!」 「ゆっ?ゆゆっ!ぞ、ぞうだぜ!つよいばりざがくそじじいをせいさいっすれば」 「うっせバーカ」 ピシャッ!ピシャッ!ピシャァァンッ!! 「ゆぎゃぁぁぁぁっ!や、やらぁ!はえたたきさんはもうやらぁぁぁっ!?いたいのはもうやらぁぁぁぁっ!」 「ばりざぁぁぁぁっ!ゆっぐじ!ゆっぐじじでよぉぉぉっ!ゆああああっ!どぼじてぇぇぇぇっ!? どぼじてごんなごとにぃぃぃぃっ!?」 「ゆんやあああああ!」 「ゆっくちできにゃい!こんにゃのじぇんじぇんゆっくちできにゃいんだじぇぇぇぇぇっ!?」 「嘘つきはゆっくり反省してね!嘘つきはゆっくり反省してね!嘘つきはゆっくりしないで猛省してねっっっ!!」 ピシャッ!ピシィッ!ピシャァッ!ピシャァァァッ! 俺は糞野良一家どもを優しく、やさ~~しく手加減しながらハエ叩きで全身をまんべんなく叩き続けた。 あまり力を入れすぎると脆弱なこいつらは皮が破れて餡子が漏れすぐ死んだり狂ったりしてしまう。 それでは興醒めなのだ。せめて自力でここから逃げ出せるくらいの力はあえて残すようにしないと…… ふむ、ハエ叩きによる打撃で糞野良の四匹は全身のいたる所が赤く腫れまくってきたな。 砂糖水の涙をちょちょぎらせてゆんやーゆんやーと叫ぶばかりでもはや反撃も抵抗もしようとはしない。 もうすぐだ。ほうらもうすぐ心が折れるぞ…… 「も、もうやらぁっ!ばりさおうちかえるぅぅぅぅっ!」 「ま、まっでよばりざぁぁぁっ!れいぶをおいていかないでぇぇぇぇっ!」 「ゆわーん!れいみゅはゆっくちにげりゅよぉぉぉっ!」 「ゆっくち!ゆっくちぃぃぃ!だれでもいいきゃら、きゃわいいまりちゃをゆっくちしゃせりゅのじぇぇぇぇっ!」 やっと出たかおうち帰る宣言。 糞野良どもは泣きながらケツをぷりぷり振りつつ懸命にいずこかへと一直線に這っていく。 ああくそ、あのうんうんがこびりついた汚ねえケツをこのハエ叩きで思う存分叩きてえぇぇぇぇっ! だがまて!我慢しろ俺……!ここでこの糞どもを逃がしとかねえと後が続かないんだ。辛抱するんだ俺! ……ん?あ、糞どもが逃げる先をよくよく見れば庭に面した引き戸が開いてやがる。 糞野良どもめあそこから入ってきたのか? まったく俺がうっかり鍵を閉め忘れた隙を抜け目なく突きやがって……! 「おじびぃぃぃぃっ!おどうさんのおぼうしのながにはいるんだぜぇぇぇっ!」 「おかあさんのおくちのなかにはいればあんっぜんっだよぉぉぉっ!」 「ゆゆっ!はやくおちょうしゃんのおぼうちにひなんっしゅるのじぇ!」 「ゆえーんゆえーん!もうこんなゆっくちできにゃいおうちはいやりゃよ!はやくおきゃあしゃんのおくちにはいりゅよ! でもいっぴゃいはねちぇちゅかれちゃきゃら、ひとやすみしてきゃらいきゅよ!」 にしてもこいつら逃げるのが遅いなー 命がかかった逃走劇だというのにトロすぎるなんてもんじゃねえわ。 これはいくらなんでもゆっくりしすぎだろ…… 「ゆひぃ!ゆひぃ!もうすぐでぐちさんなのぜぇぇぇっ!」 「ゆゆーん!おちょうしゃんのおぼうちのにゃかはゆっくちできりゅんだじぇ!」 「おきゃあしゃんのおくちのなかはてっぺきっだにぇえ!くそじじいはてもあしもだしぇないもんにぇえ!」 「ゆゆっ!くそじじいはれいむたちのじんっそくっなえくそだすさんにおいつけないみたいだよ!?」 「れいぶぅぅぅっ!はやくあんっぜんっなここまでくるのぜぇぇぇ!はやくぅぅぅっ!」 ……そして俺の足元から糞野良一家が逃走を開始してからおよそ5分後。 糞野良一家はようやく庭に面した引き戸に到着すると、 よほど疲れたのかしばらくはゆへーゆへーと息を整えていた。 息を整えたらそのまま引き戸の隙間から外へ逃げるのかな?と俺は思っていたのだが…… なぜか一家が揃って一勢に俺の方を振り向きやがった。 わざわざ親まりさの帽子の隙間からまりちゃが顔を出し、親れいむも口を開いて中のれいみゅが顔を見せている。 そして今しがたまで泣き喚きながら俺から逃げてたというのに、急に勝ち誇ったような不愉快なドヤ顔で俺に捨て台詞を吐いた。 「「「「まりさ(れいむ)においつけないくそじじいはのろまでばかだね!そこでゆっくりせずにしんでね!げらげらげら!」」」」 そう言い放って連中は俺に背を向けると野良一家は引き戸の隙間に飛び込んでそのまま庭へと逃げた。 親れいむはお返しだとばかりに去り際にぷぴぃ~!屁をこくというオマケつきだ。 野郎。わざと逃がしたとはいえムカつく最後っ屁を放ってくれたじゃねえか…… 今のは少しピキィッ!ときたぞ? ……ふん、まあいいさこれで終わりってわけじゃねえんだ。むしろこれからが本番さ……ククク…… お兄さんの家の敷地を出てほんの少しだけ離れた道にある電柱の陰。 脱出になんとか成功した野良まりさ一家はひとまずそこで休憩をとっていた。 親まりさは周囲を見渡して先ほどのお兄さんが追ってこないかどうか警戒していた…… が、どうやらその心配は杞憂に終わったようだ。 「ゆっ?ゆっ?……ゆふん!もうあんしんっなんだぜ!くそじじいはおいかけてこないんだぜ!」 「ゆゆ~ん!れいむたちのあまりのあんよのはやさにおいつけなかったんだよ!ほんとじじいはのろまだね!」 「まりさ、うさいん・ぼるときゅうのしゅんっそくっでごめんね!」 「ゆぷぷ!じじいはのろま!じじいはのろまぁぁぁっ!」 「ゆっくち~!」 ついさっきまでお兄さんにハエ叩きでさんざんに痛めつけられて泣かされたことは都合よく忘れ、 ゆっくりできない人間から逃げきれたことに有頂天になってゆっくりする野良まりさ一家。 とりあえず一通り家族で生還の喜びを分かち合ったが人間のおうちを失ったという事実は変わらない。 これからどうするかと思案する野良一家であったが…… 「ねえまりさこれからどうするの?ゆっくりしたおうちはへりくつこねるくそじじいにとられちゃったんだよ……?」 「ゆん……しかたないんだぜ!ひとまずこうえんさんにある、まえのおうちにかえってゆっくりするんだぜ!」 「ゆゆっ?おうちしゃんをもらうのはやめちゃうにょ?れいみゅもっちょあみゃあみゃたべちゃいよ!」 「くしょじじいをしぇいしゃいっしないのじぇ?おちょうしゃん、しょれはゆっくちできないんだじぇ……?」 「ゆっ!かんちがいしないでねおちびたち!しんぱいせずともまりさたちのおうちをひきょうで ふとうっなしゅだんでうばった、あのくそじじいはあとでかならずせいっさいっするんだぜ! でもさっきまでゆっくりできなかったから、とりあえずいまはかえってゆっくりするんだぜ! ゆっくりしたらこうえんさんのむれのみんなにこのひどうっをうったえるんだぜ! そうすればかならずみんながまりさたちのせいせんっにきょうりょくするはずなのぜ! そのときこそがくそじじいへのりべんじっ!のときなんだぜ!」 「ゆゆ~~ん!かっこいいよぉまりさぁ~~♪さすがれいむのまりさだよぉぉぉっ!」 「ゆううううう!そうっだいっなびじょんっにもとづいたかんっぺきなけいかくなのじぇぇっ! しゃしゅがさいっきょうっのまりちゃのおとうしゃんなのじぇぇぇぇっ!」 「しょうときまれば、ゆっくちこうえんしゃんのおうちにかえろうにぇ!」 「ゆんっそうだね!まえのおうちにかえって!みんなでとっておきのあまあまさんをたべて!すーやすーやして! それからむれのどれいどもをあつめて、くそじじいにふくしゅうっするんだぜ!」 「「「ゆっくり(ち)~~~~♪」」」 そう言いたい放題いってひとまずゆっくりすると、 野良まりさ一家は「公園のむれにある前のおうち」とやらに意気揚揚と帰っていったのであった。 その様子をほくそえみながら隠れて見ている者がいるとも知らずに…… 「ゆんっ!ようやくこうえんさんにかえってきたんだぜ!」 そして野良まりさ一家は、お兄さんの家から200mほど離れた場所にある児童公園にやっと帰還した。 本当にやっとである。ずーりずーりと這っては疲れたと言って休憩してはゆっくりをし、 そしてまたずーりずーりと移動を再開してはすぐに疲れたといって休憩をし…… まあハエ叩きでやられたダメージもあるのだろうが結局人間なら遅くても徒歩5分、 元気なゆっくりなら遅くとも15分で到達するところをこの一家は40分近くもかかってようやく公園に辿り付いたのだった。 「はやくまえのおうちにかえろうね!かえってすぐにゆっくりしようね!」 「ゆゆ~ん♪まりしゃゆっくちするんだじぇ!」 「れいみゅみょ、あみゃあみゃしゃんをたべちぇゆっくちしゅるよ!」 「まえのおうちはこっちにあるんだぜ!みんなおとうさんについてくるんだぜ~~♪」 公園内に入り込んでもう危険はないと思ったのか、 無警戒にぴょんぴよん跳ねながら前のおうちへと向かう野良まりさ一家。 目指すは公園の隅にあるブルーシートがかけられた横倒しのダンボール箱である。 それがこの野良まりさ一家が言う「おうち」だ。 はやく帰ってむーしゃむーしゃしよう、ゆっくりしてすーやすーやしよう、ただそれだけを思って跳ねていくまりさ達。 だがおうちに近付くにつれ親まりさはおうちに普段とは違う違和感を感じた。 おうちの前に誰かがいるみたいだという違和感を。 (……ゆっ?まりさのまえのおうちのまえにだれかいるんだぜ?だれだぜ?どこかでみたような……) 親まりさが跳ねながらそう思ったそのとき。 その誰かは野良まりさ一家にゆっくりと振り向き突如宣言した。 「ゆっくりしていってねっ!ここはお兄さんがおうち宣言をした、お兄さんののおうちだよ! 糞野良が気安く入っていい場所じゃないよ!ゆっくり理解したらゆっくりしないでとっととどこかへ消えてね!」 「「「「ゆっ…………?ゆ、ゆうううううううううううううっっ!??」」」」 ダンボール箱のおうちの前で折り畳み式のイスに座ってゆっくりしつつ、おうち宣言したその人物とは。 先ほど野良まりさ一家をハエ叩きで痛めつけて家から追い出したお兄さん……いや虐待鬼意惨その人であった! やれやれ、やっと糞野良どものお帰りか……まったく待ちくたびれたぜ。 ん?俺が公園に来てまで何をしているかって?そりゃもちろんさっきの虐待いじめの続きさ。 仮にも虐待鬼意惨を名乗る者がおうち宣言したゲス相手にたったあれだけで済ますわけないだろぉ? というわけで連中が公園のおうちに帰ると盗み聞きした俺は、先回りしてこの公園へとやってきたわけだ。 野良ゆっくりの行動範囲なんてどうせ狭いに決まってるんだから、公園といえば俺の家から一番近いここしかないだろう。 そう思ってこの公園にきて、ここに住んでいる群れの野良どもにあの一家のことを聞いたら見事ビンゴだったというわけだ。 群れの野良どもからさらに糞野良一家の「前のおうち」とやらの場所も聞き出した俺は、 こうしておうち宣言返しという新たなステージへと虐待いじめを進めたというわけなのである。 「ど、どぼいうごどおおおおおおおおおっっ!?」 「おうちせんげんっちぇ……れいみゅたちのおうちとられちゃったにょぉぉぉっ!?」 「にゃにしょれぇぇぇぇぇっ!しょんにゃのゆっくちできにゃいんだじぇぇぇぇぇっ!?」 「じ……じじいぃぃぃっ!?な、なにいっでるんだぜぇぇぇっ!?ぞこはばりざのおうちなのぜぇぇぇぇっ!」 「だーかーらー!俺がここでおうち宣言したんだってば!よってこのクソ汚ねえダンボール箱はもう俺のおうちだよ!」 「ふ、ふ、ふざけないでねぇぇぇぇっ!ぞのおうちはれいぶだちのおうちでしょぉぉぉぉっ!」 「おやぁ~?もしかしてれいむはおうち宣言を破る気なの?ゆっくりの由緒正しい伝統の儀式なんでしょお~?」 「ゆぐっ!?ぞ、ぞれは……ぞの……!」 「おうち宣言を破るのはゲスのやることだよ!ゆっくりしないで即座に理解してね!」 「り、り、り、りがいなんででぎるかぁぁぁぁぁっ!」 「そしてそこのまりちゃ!お前さっき言ってたよなあ?おうち宣言は絶対!で子供でも理解してるルールだってな!」 「ゆぅぅっ!?」 「だったらお前も俺のおうち宣言に文句なんてないよな?だっておうち宣言は絶対っ!のルールなんだから!」 「まりちゃのばきゃぁぁぁっ!どぼじてぞんなよけいなごといっだにょお!」 「ま、まりちゃはわるくにゃいんだじぇぇぇぇっ!」 案の定、俺のおうち宣言返しに糞野良一家どもは狼狽してやがる。 ああこれだよーこの野良どもの焦燥と絶望感がたまんねえ~。いい気味いい気味♪ 「で、でぼっ!でぼおうちをとるなんてあんまりでしょぉぉぉぉっ!?ごれかられいぶたちはどこで むーしゃむーしゃやすーやすーやをすればいいのぉぉぉっ!?」 「さあ?そんなの知らないよ!とにかくここはお兄さんのおうちになったんだからいますぐでていってね!」 「ぞ、ぞんなひどいっっ!ぞんなのっでないでしょぉぉぉぉ!いくらなんでもりふじんっすぎるでしょぉぉぉぉっ!? ぞのおうちにはいっぱいっ!いっばいっっ!いーっぱいのおもいでがつまっている、 れいむとばりざとおちびじゃんたちのめもりあるっ!なんだよぉぉぉぉっ!? しんこんじだいっのれいぶとまりざのっ!おちびじゃんだちがうまれてゆっくりしたときのっ! たくさんのおもいでがつまったかけがえのないおうちなんだよぉぉぉぉっ! ぞれをとるなんであまりにもひどすぎるでしょぉぉぉっ!?」 「と、言われてもおうち宣言はそういうものだから仕方ないよ!それに理不尽と言われても、 そもそもおうち宣言はゆっくりが自分たちで決めたルールなんだから人間であるお兄さんに文句言われても困るよ!」 「ゆ、ゆぐぅぅぅっ!?ぞ、ぞんな……!ぞんなぁぁぁぁっ!」 ふん。他人の家を奪うときには偉そうにおうち宣言を大義名分にするくせに、 自分の家がおうち宣言で奪われたら理不尽だって泣き叫ぶのかよ。 なんなんだろうなこいつらゆっくりって? 思い出がたくさん詰まったメモリアルであるお家とやらを口先ひとつで奪われた奴の気持ちを考えれば、 おうち宣言なんていう穴だらけのルールはおかしいと普通思うはずだが…… ゆっくりはそういう事を誰も考えようとはしないんだろうか? ……まあ考えないんだろうな。所詮こいつらは自分だけがゆっくりできればそれでいいわけで、 ゆっくりを奪われた他の連中が泣こうが喚こうが悲しもうがどうなってもいいんだろう。 むしろその嘆き悲しむ姿を見てさらにゆっくりしようという貪欲で腐れ外道なナマモノときたもんだ。 ま、そんな腐れナマモノだからこそ俺も糞ゆっくりどもに対して遠慮無用で思う存分やれるってわけだがな。 「も、もうゆるちぇないのじぇぇぇ!おうちをうばうげしゅなくしょじじいは、さいっきょうっのまりちゃがしぇいしゃい…」 「ん?なに?もう一度お兄さんとやりあおうっていうの?」 「は、は、はえたたきしゃんだぁぁぁっ!?」 「ゆんやああああ!ありぇでたたきゃれるのはゆっくちできにゃいぃぃぃぃっ!」 「ゆううう!お、おちびじゃんはおがあさんがぜっったいっにまもるよぉぉぉっ!ぷくーっ!ぷくく――――っ!」 まりしゃとれいみゅを背後に隠した親れいむが俺に頬を膨らまして威嚇してきやがる。 毎度お馴染みのぷくーってやつか。ああハエ叩きでこいつの膨らんだ横っツラをおもいっきりはたきてぇー。 「ゆっ!くそじじいっそこまでなんだぜっ!」 「……?」 と、その時。今まで黙りこくってた親まりさが突然俺の前に出てきた。 妙に自信たっぷりなニヤニヤ顔がムカつく。ふーんこいつ……その浅知恵でなにか思いつきやがったのかな? 「ねんのためにじじいにもういちどきくのぜ?くそじじいはまりさのおうちでおうちせんげんをしたのぜ?」 「ああ、したよ?」 「おうちせんげんのるーるはぜったいっ!なのぜ。いちどおうちせんげんされたらそれはもうくつがえらないのぜ。 つまりそのおうちはもう……じじいのおうちってことになるのぜ」 「だな」 「ぷしゅるるるぅぅぅぅ~~……ばりざぁぁぁっ!な、なにをいって…」 「れいむはだまっててね!」 「ゆゆっ!?」 「もういちどいうのぜ?おうちせんげんはくつがえらないんだぜ…… ただし!それはおうちせんげんをほんとうにしたのなら、のはなしだぜぇぇぇぇっ!」 「ゆゆっ!?ば、ばりざぞれっで!」 「さあくそじじいぃぃぃっ!おまえがおうちせんげんをたしかにした!というしょうこさんをいますぐみせるのぜぇぇぇっ! しょうこさんがなければそのおうちはじじいのおうちじゃなくて、やっぱりまりさたちのおうちなのぜぇぇぇぇっ!!」 「す……すごいよばりざぁ!じじいのへりくつをさかてにとったんだねぇぇぇっ!」 「ましゃにべつりょういきからのやいばっ!なのじぇぇぇっ!」 「おちょうしゃん、あちゃまいい~~~~!」 「さあさあさあ!しょうこさんをいますぐだすんだぜ!でもおうちせんげんのしょうこなんてだせるはずないんだぜ!」 「けいせいっぎゃくてんっだねくそじじいっ!ねえいまどんなきもち?ねえねえどんなきもちぃ~~? くやしい?ねえくやしい~~?ぷぷぷっ!くやしがってるひまがあったらさっさとおうちからでていってね! そこはれいむたちのおうちなんだよ!」 「……いいよ?見せてあげるよ」 「しょれにしても、しゃしゅがまりちゃのおとうしゃんにゃのじぇ!おうちせんげんのもうてんっをつくなんて すごしゅぎるのじぇ!」 「ゆゆ~~ん♪それほどのことはあるのぜおちび!」 「ばりさはかりだけじゃなくて、ずのうもてんさいっだったんだね!れいむはながたかいよ!」 「ゆふん!あたまがおばかじゃよのなかわたっていけないのぜ!もっとほめてくれていいのぜ!」 「いますぐ証拠を見せてあげるからちょっと待っててね~」 「こりぇでおうちはふたたびれいみゅたちのもにょだにぇえ!」 「まりちゃはいつかこのしゅごいおとうしゃんをのりこえてみしぇるのじぇ!そちたらしぇかいをしぇいふくちて くそにんげんどもをみ~んなまりちゃのどれいにしてやるのじぇえ!」 「まりさにのおちびちゃんならば、おとうさんがなしえなかったゆめをきっとかなえることができるんだぜ!」 「りりしいよまりしゃとおとうしゃん……まさにかんっどうっのおやこあいだよぉぉっ!」 「ゆっ……!れいむ、なんだかなみだがでてきちゃったよ……これがかんっどうっのなみだなんだね…!」 「これとこれと……」 「ゆふふ……かんっどうっはおうちでゆっくりしたあとでおもうぞんぶんしたらいいのぜ! って、まだいたのかぜくそじじいっ!さっさとそこをどくんだぜぇ!じじいのむだにでかいずうたいがじゃまで まりさたちがおうちにはいれないんだぜぇぇぇっ!」 「あ、安い三文芝居はおわった?はいこれ。俺がおうち宣言した証拠だよ!」 「…………ゆっ?」 「……ゆっ?」 「…ゆっ?」 「………しょ……しょうこ……しゃん?」 俺はとりあえず数枚の写真を取り出して野良まりさ達に見せた。 なんかこいつら、さっきまで人の話も聞かずに異様に勝ち誇って盛り上がっていた反動ゆえか 出るはずがない証拠という現実に唖然とした顔で固まってやがるな。 思考が追いつかないのか?まあ口出ししてくれない方が話が早いのでさっさと説明してやることにしよう。 「ほらこの写真見てみろ。お前らのダンボール箱の前で俺がピースしてるだろ?これがまずおうち宣言した証拠その1な」 「……」 「写真の隅に時刻もちゃんとあるのがわかるだろ?2011年10月○日、午後2時12分……今からだいたい20分前だな」 「……」 「まあこれだけじゃ本当におうち宣言したと認めない恐れがあるので……おうち宣言した証拠その2、 ハンディカムデジカメ~!これに全部録画してあるよ!俺がおうち宣言した所をいま見せてあげるね!」 「……」 俺はデジカメをちゃっちゃと操作すると画面を固まっている糞野良一家に見やすいように向けた。 画面内では俺が汚いダンボールの前でピースしながら「ここをお兄さんのゆっくりプレイスにするよ!」と叫んでいる。 ……しかし我ながらなんと恥ずかしい。ゆっくりのやる行為ってまさにアホ丸出しのものばかりだな。 「とまあこんなもんかな?さあちゃんとおうち宣言した証拠を出したんだから、今度こそ出て行ってよね!」 「……」 「……」 「……」 「……」 物的証拠を出して完璧におうち宣言を立証した俺。 しかし完璧にやり込めたわりには糞野良どもになんの反応もないのが気になるな。 ショックのあまり死んだか?うーんこのまま様子見ていても埒があかないし、 蹴飛ばして生きてるのかどうか反応を確かめてみるかな……と思ったその時。 「……っぞう……な…ぜ……」 「ん?」 「…んなの……しょうこさんじゃ…んだぜ……ねつっぞうした…うその……さんなんだ…ぜ……」 「……はあ?」 そう呟くや野良一家どもは目に涙をためた汚いツラをキッ!と上げて、俺に猛然と喰ってかかってきやがった。 「ぞんなのっ!ぞんなのっ!ばりざだちからおうちをうばうためにねつっぞうっした、うそのしょうこさんだぜぇぇぇっ!」 「おうちせんげんじたじょうこざんなんであるわけないんだ!だがらぞれはうそなんだぁぁぁっ!」 「じじいのおうちせんげんにゃんかむこうっなんりゃぁぁぁっ!れいみゅがそういうからそうなんりゃぁぁぁぁっ!」 「みとめないのじぇぇぇぇっ!まりちゃのおうちはまりちゃのものなのじぇぇぇぇっ!」 「おいおい、写真や映像にちゃんと日時もはっきり表示されてるのに捏造なんて出来るわけないだろ?バカなの?死ぬの?」 「ば、ばかはじじいのほうだぁぁぁぁっ!さっぎも!いまも!ふとうっでひきょうなしゅだんでばりざがら おうちをうばおうとしやがっでぇぇぇっ!」 「だいいち、おうちせんげんおうちせんげんってじじいがひどりでがっでにいっでるだけのごとでしょぉぉぉっ!?」 「ちょうだよ!じじいがおうちせんげんをしちゃというにゃら、しょれをしょうめいしちぇくりぇる しょうにんしゃんをちゅれちぇきょい!」 「ゆふん!でもどうせしょんにゃのいないにきまっちぇるのじぇぇぇぇ!」 「ゆ……ゆゆっ!?おちびたちそれはいいかんがえなのぜ!じじいのおうちせんげんにしょうにんさんなんて」 「いるぞ?」 「いるわけな……はあああああああっ!?」 「おーいみんなでてこーい」 俺が声をかけると公園のあちこちから野良ゆっくりどもがぞろぞろと出てきた。 こいつらはこの公園で群れて細々と暮らしている野良ゆっくりたちだ。 さっきまでの俺たちのやり取りを見ていたからか、どいつもこいつもなんか複雑な顔をしている。 そんな野良ゆっくりどもの中から年老いたぱちゅりーが一匹進み出てきた。こいつはこの公園の群れの長である。 「まりさ……れいむ……」 「お、おさぁ!こ、これはいったいどういうことなのぜぇぇぇっ!?」 「……なあ長。俺あの薄汚いダンボール箱の前でおうち宣言したよなぁ?」 「むきゅ。たしかににんげんさんはおうちせんげんしたわ……」 「おざぁぁぁっ!?ど、どぼじでぞんなごというんだぜぇぇぇぇっ!?」 「どぼじてくそじじいのみかたをずるのぉ!?れいぶがごんなにごまっでるんだよ!?ぱちゅりーはばかなのぉぉぉっ!?」 「みかたもなにないわ。だってじじつだもの。むれのみんなでにんげんさんのおうちせんげんにたちあったんだから、 だれにきいてもおなじこたえがかえってくるはずよ。むきゅ」 「「「「ど、どぼじてぞんなごというのぉぉぉぉぉぉっ!?」」」」 さて説明せねばなるまい。 先回りして公園にきたとき、俺はまっ先にこの群れのゆっくりどもを味方につけておいたのだ。 なに味方につけるといっても一番安いゆっくりフードをバラまいて あとは逆らうと一勢駆除しようかなーとかなんとか言って軽く脅すだけでいい。 飴と鞭をちょっと使うだけで、公園の野良ゆっくりという輩はおとなしく人間の言うことをきくようになる。 それに俺の要求というのはこれから誰も住んでいないダンボール箱の前でおうち宣言するから、 みんなでその宣言に立ち会って証人になってくれというだけのものだ。 その程度のことならば野良どもにとって断る理由などなにもあろうはずがない。 しかしまあ結果的に群れの一員である野良まりさ一家にとって不利な証言をしなければならないのだから、 連中の心中は穏やかではないと思う。ゆっくりフードで買収されたという後ろめたさもあるのだろう。 それが連中の複雑な表情の理由となっている。 はっはっはっこれもまた野良ゆいじめの醍醐味という奴だな!愉快愉快♪ 「にんげんさんのおうちせんげんはせいとうっなものだったわ。だからもうこのおうちはまりさたちのものじゃないわ まりさとれいむにはわるいけど……このおうちはにんげんさんのおうちってことね。むきゅ…」 「もんくのつけようのないおうちせんげんだったのぜ。こうなったらまりさたちはなにもてだしできないのぜ」 「これはもうどうしようもないんだねー。まりさとれいむはゆっくりあきらめてねー!」 「お、おさぁぁぁっ!みんなぁぁぁ!?どぼじでえ!?どぼじでみんなしてばりさたちにいじわるずるのぉぉぉっ!?」 「ひどいよぉぉぉぉっ!れいぶがゆっくりしてるからみんなしっとしでるのぉぉぉぉっ!?」 「しっとなんかしてないわ。それよりも……まりさにれいむ?あなたたちにんげんさんのおうちへいったそうね!」 「ゆ……ゆゆっ!?」 「ど、どぼじておさがぞれをじっでるんだぜぇぇぇっ!?」 「このにんげんさんからすべてきいたわ。あなたたちがしたことをぜんぶね!」 「ゆ、ゆげえええええええっ!?」 「むれのおきてで、にんげんさんのいえにはいりこんでのおうちせんげんはきんしされているはずだみょん!」 「おきてをやぶるなんていなかもののすることよ!?」 「ちぇんにはわからないんだねー!どうしてそんなばかなことをしたのー!?」 「まりさたちのかってなこうどうのせいで、むれがくじょされちゃったらどうせきにんをとるつもりなの!」 「な……なんでぇぇぇぇっ!?なんでまりざたちがみんなにおこられでるのぉぉぉぉぉっ!?」 「なんなのごれぇ!どぼじてれいぶがごんなめにあわなぎゃならないのぉぉ!?どぼじてぇぇぇぇっ!?」 「ゆううううっ!き、きょわいんだじぇぇぇぇっ!」 「なんでもいいきゃられいみゅをゆっくちしゃせてよぉぉぉぉっ!」 さーて今度は野良まりさ一家が群れから弾劾される番だ。 何故ならばこの群れではおうち宣言のみならず、とにかく人間に迷惑をかける行為のすべてが禁止されている。 当たり前の話だ。人間にお目こぼししてもらう事でなんとか公園で辛いながらも生き延びてる状態だというのに、 その人間の機嫌を損ねたらこんなチンケな公園の群れなどたちまちのうちに駆除されてしまう。 この群れの連中は人間を敵に回すことの愚かさを嫌というほど思い知っているのだ。 「むきゅ!さあまりさ、ゆっくりせつめいしてちょうだい。なんでにんげんさんのおうちをとろうとしたの!」 「だ、だって……ばりさのおうちせまくなっできたじ……くそじじいのおうちのほうが……ぞの、 ゆっくじでぎそうだったし……」 「だからって、にんげんさんにかかわってはだめでしょ!ぱちゅはおさとしてあなたがおちびちゃんのころから くちがすっぱくなるほどおしえたはずよ!にんげんさんのものをとろうとしたらゆっくりできなくなるって!」 「で、でぼ……でぼぉぉ……」 「むきゅぅぅっ……!あとれいむ!」 「ゆっ!?」 「れいむもどうざいっよ!なんでまりさをとめようとしなかったの!」 「れ、れいぶはとめたんだよ!?で、でもばりさがくそじじいはせいさいっするからだいじょうぶっていうから! れいぶもばりさにだまされたんだよ!せ、せいさいっするならばりさだけにしてね!?」 「れ、れいぶうううううっ!?どぼじてぞんなごというのぜぇぇぇぇっ!」 「……むきゅ、そうはいかないわ。おきてをやぶったゆっくりはどんなじじょうであれせいさいっされるのよ!」 「ゆ、ゆげぇぇぇぇぇっ!?だ、だかられいぶはだまされただけでわるくないんだってばぁぁぁっ! ぱちゅりーはみみがとおいのぉぉぉぉっ!?」 「……れいむ。れいむがほんとうにまりさをとめるきがあったのなら、 れいむはさいごまでまりさをせっとくっして、にんげんさんのおうちにいくのをやめさせるべきだったのよ。 けっきょくれいむもいっしょににんげんさんのおうちにいったってことは、まりさにさんせいしたってことでしょ? いいだしっぺはまりさかもしれないけど、おうちにいったじてんでれいむにもれんたいせきにんがあるのよ!」 「ゆ、ゆがあああああ!わけのわがらないごとをいうなああああああああっ!」 「どぼじてぇぇぇぇっ!?どぼじてみんなしてまりざにいじわるするのぜぇぇぇぇっ!? まりざがおうちせんげんしたらそこはもうまりざのおうちでしょぉぉぉぉっ!? しょうことかしょうにんとかごちゃごちゃとなんなのぉぉぉぉっ!? じじいのおうちも!こうえんさんのおうちも!ぜんぶぜーんぶまりざのおうちだろぉぉぉぉッ!!」 親まりさと親れいむはもはや、じたばた地面を転がって駄々をこねるだけの子供と化した。 その姿はでおもちゃ売り場でおもちゃを買ってとねだる子供そのものだ。 泣いて喚いて暴れて。それもゆっくりの成体という大の大人がやってるんだからまったくウザいことこの上ない。 最初は申し訳なさそうな複雑な顔をしていた群れのゆっくりたちも、 親まりさとれいむの醜態を見ているうちにだんだんといーらいーらしてきたようだ。 そして遂にさっきから何か言いたそうにしてた野良ありすが、意を決して駄々をこねまくる親まりさ達の前に進み出てきた。 「まりさ……!」 「……ゆっ!?お、おとなりのありす!?たすけにきたのぜ?かわいそうなまりざをはやくたすけるのぜぇぇっ!」 「ねえまりさ。きょうのおひるごろ、まりさがこのおうちからでてきたところをありすとあったわよね。おぼえてる?」 「ゆ……ゆっ?」 「ありすがおちびちゃんたちまでつれてどこへいくの?ってきいたら『あたらしいおうちをさがしにいくんだぜ』って まりさはじょうきげんでありすにいってたでしょ?」 「ゆっ……!た、たしかにこうえんさんをしゅっぱつするときにありすにはあったのぜ。でも」 「そのときありすはなにげなくまりさにきいたわ。『じゃあこのおうちはどうするの?』って」 「ぞれが…」 「そしたらまりさはえがおでこういったわ!『こんなせまくてちいさいおうちなんかもういらないんだぜ!』ってね!」 「どうし……ゆ、ゆああああああああっ!?」 「おもいだした?まりさはじぶんからこのおうちをすてたのよ!にんげんさんのおうちせんげんがどうあろうと このおうちはもうまりさたちのおうちじゃないの!」 「あ、あああ……!ぞ、ぞんなぁぁぁっ……」 「ば、ばりざあああああ!どぼじてぞんなよけいなごといっちゃったのぉぉぉぉっ!?」 「だっでくそにんげんのおうちへおひっこしすれば、もうこのおうちはいらないでしょぉぉぉぉっ!?」 「だがらっでぇぇぇっ!」 「まちなさいよ。れいむもたしかまりさのあとにこういってたわ…… 『うんうんまみれのきたないおうちでいいならありすにあげてもいいよ!せいぜいだいじにすんでね!げらげら』って!」 「ゆううううううううううっ!?」 「おきゃあしゃんのばきゃぁぁぁぁっ!どぼちてしょんなこちょいっちゃったにょぉぉぉぉっ!?」 「ゆんやああああ!おうちがないのはいやなんだじぇぇぇっ!じぇんじぇんゆっくちできにゃいんだじぇぇぇぇっ!」 これで野良まりさ一家のおうち所有権の正当性、そのすべてが崩れ去ったわけだ。 引越し先を決めずに無計画の行き当たりばったりで行動してばかりいるからそういう目にあうのだバカめ。 それに何がメモリアルだ。偉そうな御託並べてたくせに最初から捨てる気満々だったんじゃねーか。 さて、そろそろ頃合かな……俺は糞野良どもの「前のおうち」の前に行くとわざとらしく言った。 「でもまあ……おうち宣言したはいいけれど、こんなダンボール箱じゃ小さすぎてお兄さんじゃとても住めないよなー 住めないもんはどうしようもないし、これどうしようっかなー?」 そう呟く俺の言葉に糞野良一家どもの目が一勢に輝いた。 住めないのだから自分たちにおうちを返してくれるかもしれないとかそういう都合のいいこと考えているんだろう。 ゆっくりってほんとすぐこういう薄っぺらい希望に飛びつくよなぁ。 「そ、そうだぜ!そのおうちはくそじ…にんげんさんにはちいさすぎるのぜぇ!」 「すめないおうちをもっててもしかたないでしょ!だったられいぶたちに…」 「そうだな!住めないおうちを持ってても仕方ないしな!公園の美観を損ねることだしこんなおうち壊して捨てちまおう♪」 「……ゆっ?」 「まずはゴミ袋をとりだして……箱の中のガラクタやゴミを捨てまーす♪」 「ゆ、ゆぎゃああああ!ばりざのふかふかざん(古タオル)がぁ!おちびのべっどさんがぁぁぁっ!?」 「ゆんやああああ!まりしゃのたかりゃものぉぉっ!きれいないししゃんがあぁぁ!かえちて!かえちてよぉぉぉぉっ!」 「中身をカラッポにしたらダンボール箱をバラして……びーりびーり!しあわせ~♪」 「どぼじてだんぼーるさんをやぶいちゃうのぉぉぉぉっ!?」 「やめちぇぇぇっ!ゆっくちちたれいみゅのおうちしゃん!おうちしゃんをこわしゃないぢぇぇぇぇっ!」 「ついでにブルーシートも二度と野良どもが利用できないようにカッターで細切れにしちまおう♪」 「やべて!やべてやべてやべてぇぇぇっ!ばりざのおうちっ!ぐろうじてつくったばりざのおうちぃぃぃぃっ!」 嬉々としておうち破壊に勤しむ俺に我慢できなくなったのか、野良一家どもが俺に向かって突進してきた。 しかしそんな野良一家の前に公園の群れのゆっくりたちが立ちふさがる。 口にくわえた尖った枝を突きつけて野良まりさ達を威嚇しはじめた。 「ちかづくんじゃないみょん!」 「あれはもうまりさたちのおうちじゃないんだねー!にんげんさんがじぶんのものをどうしようがかってなんだよー!」 「かってっでごとないでしょぉぉぉぉぉっ!?あれはばりざのおうちなんだよぉぉぉぉっ!?」 「いいえっ!あれはにんげんさんのおうちよ!これいじょうじぶんのおうちだといいはるつもりならまりさ!れいむ! にんげんさんにめいわくをかけたつみでこんどこそほんとうにせいっさいっするわよ!むきゅっ」 「ゆ、ゆぎぃぃぃぃぃっ!」 「ゆんやああああああああああああああああああっっ!!?」 それから野良一家は歯を折れんばかりにかみ締め、大量の涙を流し、俺を睨み殺さんばかりの目でおうち破壊を見続けていた。 もちろん俺はそんな恨みだの悲しみだのはどこ吹く風だけどね♪ ゆっくりごときの怨念が怖くて虐待鬼意惨がやってられるかい。 そうこうしている内に作業は終わりおうちを完全に破壊した。2つのゴミ袋におうちの残骸を詰めてはい終了。 さーていい暇つぶしになったしそろそろ帰ろうかな。 「じゃあ長、俺そろそろ帰るわ。このゴミは俺の方で処分しとくから心配すんな」 「むきゅ、わかったわにんげんさん」 「ああ、あと……あの野良一家だけどさ。掟破りらしいけど制裁はしないでくれるかな?」 「むきゅ?に、にんげんさんがそういうのならせいさいっはしないけど……でもどうして?」 「なーに俺は迷惑かけられたなんてこれっぽっちも感じてない。別に怒ってないからいいってことさ」 「あ、ありがとうにんげんさんっ!むきゅきゅっきいた?まりさ!れいむ!じひぶかいにんげんさんがゆるしてくれるそうよ! ほらっあなたたちからもにんげんさんにちゃんとおれいをいいなさい!」 「ゆ、ゆぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃっ!」 「ゆごぐげごごごごっっ!」 顔を醜く歪ませ、今にも俺に飛び掛らんばかりの形相で怒りを懸命にこらえている野良まりさと野良れいむ&ちび。 ま、俺にお礼を言えといわれたって悔しくて悲しくて腹が立って、とてもそんな気持ちにはなれないだろうよ。 そんなわけだから俺の方から野良一家どものところへ行くと、しゃがんで野良まりさたちにやさ~しく語りかけた。 「おいてめーら俺に感謝しろよ?本来ならお前達はな、俺の家で虐待されて死ぬよりも辛くて恐ろしい苦しみを味わうか、 もしくは掟破りで群れに制裁されるかのどちらかしかねーんだ。それをお前、お飾りもおさげも破壊しないでさ、 多少ハエ叩きで痛めつけただけという無事な状態で帰してやろうってんだから俺はなんて優しいんだろうな? こんなに優しい虐待鬼意惨はめったにいないぞ!お前ら運がよかったな!」 「ゆぎぎぎぎっっっ!だ、だばれぇぇぇ……!おばえの……おばえのぜいでぇぇぇぇっ!」 「お、おうち……れいぶのおうちをこわじでおいで……こわじでおいでおばえはなにをいっでるんだぁぁぁぁっ……!」 「ころちてやりゅぅぅぅ……ぜっちゃいにころちてやりゅのじぇぇぇぇ………っ!」 「いちゅかかならじゅ、おばえをゆっくちできにゃくちてやりゅぅぅぅぅぅ……!」 「あっそ。んじゃそんときをせいぜい楽しみにしてるわ♪じゃーな糞野良ども!はっはっはっ……すっきりぃ―――っ!」 「「「「ゆ、ゆがあああああああああああああああっっっ!!」」」」 俺は糞野良一家の怨嗟の絶叫をゆっくりした気持ちで聞きつつゴミ袋を手に公園を後にした。 確かに俺のいじめは人間の家に侵入しておうち宣言をした野良ゆっくりに対する処罰としては軽いものかもしれない。 虐待鬼意惨のやることとしては物足りないと誰もが思うだろう。 だが俺にとってはこれで充分だった。なぜって俺には確信があるからだ。 このゲスっぷりじゃあどうせこの一家は長く生きられねーだろーなー……という確信がな。 「ざ、ざぶいぃぃぃぃっ!」 「しゃむしゅぎるんだじぇぇぇぇっ!おきゃあしゃぁぁぁん!もっちょまりちゃにしゅーりしゅーりちてぇぇぇぇっ!」 「おちびじゃん!もっどおかあさんのそばによっでね!ほらすーりーすーり!すーり!すーりぃぃぃぃっ!!」 「し、しゃぶいのもうやらよぉぉぉ……れいみゅおにゃかしゅいたよぉぉぉぉ……」 男が公園から去った後……すぐに日が暮れて夜となった。 秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、野良まりさ一家が破壊されたおうちの代わりを探す暇などまったくなかった。 しかも群れの制裁は免れたものの、掟を破って醜態を晒したまりさ一家に対する群れのゆっくり達の態度はどこか冷たい。 今夜はどこか他のゆっくりのおうちに泊めてもらい、翌日新しいおうちを探しにいこう…… と考えていた野良まりさ一家であったが、群れのゆっくり達にことごとく宿泊を断わられたのであった。 まあ四匹もの野良ゆっくりに宿を貸せるほど広いおうちをもった野良ゆっくりなど この公園にはいないというのが実情ではあるが。 で、結局野良まりさ一家はこうして新聞紙で身をくるんだだけの状態で野宿する羽目となった。 秋も深まり寒くなりつつあるこの時期に野宿は辛い。 長ぱちぇりーから一応群れの一員だから、という理由で貰った晩ごはんはとっくにみんなで食べ尽くした。 外のあまりの寒さにガタガタ震えるばかりでゆっくりはもちろん、すーやすーやなんてとてもできない。 すーりすーりを繰り返して少しでも暖を取ろうとするが、そんな運動をしていれば段々体力を消耗してお腹がすいてくる。 だが食べるものなどもうどこにもないのだ。 「ど、どぼじてぇぇぇ……?どぼじてまりさたちがごんなめにあわなきゃいけないのぜぇぇぇっ……?」 親まりさはわけがわからなかった。 本当ならば今頃クソジジイのおうちで快適にゆっくりしているはずなのに…… いやクソジジイのおうちが駄目だったとしても公園のおうちでゆっくりできてたはずだ。 なのにクソジジイのおうちは手に入らず、公園のおうちはそのジジイに破壊されて今はもうない。 (なんでぇ?ばりさなにもわるいことしてないんだぜ?りふじんっなのぜ。ごんなのゆっぐりできないんだぜぇぇぇ……) 新聞紙で身をくるんで震えていると周囲のゆっくり達のおうちからゆっくりとした声が聞こえてくる。 「むーしゃむーしゃしあわせー!」だの「しゅーりしゅーり!」だのといった幸せいっぱいの声ばかりが。 家族団欒の楽しげな会話……喜びの声……夕食時は群れのゆっくりたちの貴重なゆっくりタイムだ。 それらの声や会話は今の親まりさ、いやこの一家全ゆんにとって聞きたくないものだった。 何故なら周囲が楽しげであればあるほど今の自分たちのみじめさを嫌でも思い知らされるから。 「おかあしゃん!ちぇんにしゅーりしゅーりちてにぇえー!」 「ゆふふっ!ありすのおちびちゃんはあまえんぼうね!ほうらすーりすーり!」 「ゆっくちできりゅんだにぇ~わきゃるよぉ~!」 「ちぇんのおちびちゃんはあまえたいざかりなんだねー。ほほえましいんだねーわかるよー!」 「……」 「……」 野良まりさたちが震えている所から一番近い場所にある少し大きめのダンボールのおうち。 その中では野良ちぇんと野良ありす、そしてそのおちびちゃんである子ちぇんが家族団欒の時間を楽しんでいた。 しばらくの間、寒さに凍えながら虚ろな表情で野良まりさ一家はちぇん一家の様子を聞いていた。 親まりさは最初ちぇん達はゆっくりしているなと思った。次に羨ましく思った。次に惨めな気分になった。 そして……だんだんゆっくりしているちぇん一家が妬ましく、そして終いには憎らしく思えてきた。 (なんでまりさがゆっくりでぎてないのに、ちぇんのやつだけがゆっくりしてるんだぜ……?ぞんなのおかしいんだぜ… きっとまりさのゆっくりをふとうっでひきょうっなしゅだんでひとりじめにしているにちがいないのぜぇっ……!) 親まりさは家族の元をふらりと離れて、ふらふらとちぇんとありすのおうちへと向かっていった。 他の家族も親まりさと同じことを考えていたのだろうか、 くるまっていた古新聞を捨てて3匹とも親まりさの後についてふらふらと移動を開始した。 「それじゃそろそろみんなですーやすーやするんだねー!おやす……ゆっ?」 「ま、まりさ?れいむにおちびちゃんたちも……?こんなよなかにどうしたの?ありすのおうちになにかよう?」 「……」 ちぇんとありすのおうちの入り口に立った親まりさと親れいむ。 野良ありすの問いに答えることはなく死んだような目でちぇんのおうちの中をじろじろ見ている。 その様子はゆっくりにとってたまらなく不気味であった。 「……ゆふん。かけっこしかのうがないちぇんにしては、なかなかわるくないおうちなのぜ?」 「そうだね。れいむもそうおもうよ……くずにしてはじょうできなんじゃない?」 「ごひゃんしゃんもありゅにぇえ……」 「べっどしゃんもねごこちよさそうなのじぇ……」 「な、なにをいってるのー?ちぇんにもわかるようにいってねー!」 (なにかしら……まりさたちのようすがいつもとちがう。おかしいわ………ゆっ?まさか……!) その時。ありすの脳裏に昼間の出来事が強く思い浮かんだ。 おうち宣言が問題となった昼間のあの騒動……ありすは理屈ではなく直感で感じた。 もしかしたら親まりさ達はちぇんとありすのおうちを奪おうとおうち宣言をしようとしている?……と。 そしてその直感は的中した。親まりさたちはいきなりニヤリとゲス丸出しの顔をすると高らかにおうち宣言を始めたのだ! 「まりさはこのおうちがきにいったんだぜぇぇぇ!」 「れいむもきにいったよぉぉぉぉっ!」 「れいみゅもぉ!」 「まりちゃもなんだじぇぇぇっ!」 「ここをまりさ(れいむ)たちのゆっくりぷれいすにす『だめよっ!ここはありすとちぇんのおうちよっ!』……ゆっ?」 おうち宣言にはたったひとつだけ合法的に宣言を無効にする方法が存在する。 それはおうち宣言をしている最中に異議を唱えることだ。 おうち宣言の最中にそのおうちの持ち主等に宣言を邪魔されたらその宣言は成立せず無効となる。 だがこの方法でゆっくりがおうち宣言を阻止できた例は天文学的に少ない。 何故ならば突然、他のゆっくりが巣に入り込んできていきなりおうち宣言をするという 一種の奇襲に対応できるほどゆっくりの頭の回転は早くないからだ。 だからおうち宣言はまず防げないのが常識となっている。 ならばなぜ野良ありすは奇跡的ともいえるおうち宣言阻止を成しえたのであろうか? それは親まりさ達がおうち宣言をするであろうと直感で見抜き、宣言に備えて身構えていたからである。 奇襲が奇襲でなくなれば。相手の次の行動を予測して備えることができれば。 ゆっくりでも三分七分くらいの確率でおうち宣言阻止はできるはず。 野良ありすは運良く稀少なおうち宣言阻止成功という目を引き当てたのだ。 「ど、どぼじてばりさのおうちせんげんをだめだなんていうのぉぉぉぉぉっ!?」 「なんでぇ?なんでぇぇ?おうちせんげんはしたらぜったいにせいこうっするはずなのにぃぃぃぃっ!?」 「もうわけがわかりゃにゃいよぉぉぉぉっ!」 「わけがわからないのはこっちのせりふよ!このいなかものっ!」 「「「「ゆっ!?」」」」 「ありすとちぇんのいえでおうちせんげんをするなんて、まりさたちはいったいなにをかんがえているの!? あぶないところだったけれど……あなたたちのおうちせんげんはありすがだめっていったからむこうよ! さあっ!さっさとありすのおうちからでていきなさい!」 「…………はっ!?そ、そうなんだねー!ありすのいうとおりなんだねー!まりさたちはとっととでていってねぇー!」 「ま、まつのぜちぇん!おそとはさむいさむいでとてもゆっくりできないのぜ!? おねがいだからこんやだけでもこのおうちにとめてほしいのぜ!」 「はあ?たったいまありすのおうちをうばおうとしておきながら、いまさらなにをいってるの?そんなのおことわりよ!」 「ぞこをなんとかおねがいじまずぅぅぅっ!れいぶのおちびじゃんたちがかわいそうでしょぉぉぉぉっ!?」 「いつおうちせんげんするかわからないまりさたちをいえにとめるなんて、 ゆだんもすきもなくてぜんぜんゆっくりできないんだねー!それくらいわかれよーっ!」」 「きゃわいいれいみゅがゆっくちできにゃいのはきゃわいしょうでしょ……?だきゃらおうちちょうりゃいにぇ……?」 「まりちゃにおうちをくれちゃら、おれいにありしゅをちゅっきりーどれいにしちぇあげてもいいんだじぇ?」 「……っ!な、なんてずうずうしいのこのいなかものどもは……!」 「とにかくっ!ちぇんのおうちにまりさたちはとめないよー!そしてまりさたちがおうちせんげんしようとしたことは、 あさになったらおさにほうこくするよー!まりさたちはかくごしていてねー!」 「「ゆ、ゆげえええええええええええっ!?」」 ちぇんの一言に親まりさと親れいむは心底震え、己の前途に絶望した。 何故ならばおうち宣言による巣の取り合いは群れの掟で禁止されている。 長に報告されるということは今度こそ掟破りの罪で制裁されることを意味するのだ。 野良まりさ一家は焦った。と同時に苛立ちがつのって爆発寸前にもなっていた。 それはそうであろう。人間のおうちを奪おうとして空き巣同然のおうち宣言をやったら宣言は屁理屈で無効にされ、 公園のおうちは壊され、群れのみんなからゆっくりできない目で見られるようになった。 おうちをなくしたせいで夜は寒さに震え、ちぇんのおうちを奪おうとしたらありすに邪魔をされ、 そして今また掟破りによる制裁の危機。 すべて野良まりさ一家の自業自得とはいえ今日はやることなすことすべて失敗ばかり。 親まりさ達はこの理不尽の数々に腹がたって仕方なかった。 そしてちぇんの一言で袋小路に追い詰められた野良まりさ一家は遂に爆発したのであった。 「ゆ、ゆがああああああっ!おうちをひとりじめにするちぇんはじねぇぇぇぇぇっ!!」 「ゆっ……わがらなっ!?」 突然、親まりさはちぇんに全力の体当たりを喰らわせた。 ちぇんは悲鳴をあげながらおうちの奥の壁に叩き付けられる。 「ちぇん!?な、なにをするのまりさ!ぼうりょくをふるうなんていなかもののすることよ!」 「うるざいぃぃぃっ!どいつもこいつもれいぶたちをばかにじでぇぇぇっ!おうちせんげんをじゃまずるげずはじねえ!」 「ゆぎゃっ!?」 「いいきみなのぜぇぇぇっ!れいぱーのぶんざいでおうちをひとりじめにずるからそういうめにあうのぜぇぇぇっ!」 「れいぱーありすはゆっぐじじね!れいぱーありずはゆっぐじじねぇぇぇぇっ!」 「むーしゃむーしゃ!これうみぇえ!まじぱにぇえ!」 「じあわぜぇぇぇぇっ!むーじゃむーじゃじあわぜぇぇぇぇぇっ!」 「ゆびゃぁぁっ!やべちぇぇぇぇっ!ちぇんをたべにゃいでぇぇぇぇっ!」 「お、おちびじゃ………ありずの…おち……ゆっ!も、もっと……ゆっぐりじた・……が…」 もう地獄絵図であった。 親まりさと親れいむがありすの上に乗っかって押しつぶし、あまりの空腹ゆえかその死体を夢中で喰らっている。 子ちぇんも同様で餓鬼のごときれいみゅとまりちゃに食い殺されていった。 だが野良まりさ一家がちぇんの家族を食べるのに夢中だったことは親ちぇんにとっては幸いした。 野良まりさ一家に占拠されたダンボールのおうちから脱出することになんとか成功したのだ。 痛む体を引きずりつつも、ちぇんは長ぱちゅりーのおうちへと懸命に跳ねる。 この凶行をなんとかできるのはもう長しかいないからだ。 「お、おさ……おさー!」 「むきゅ?こんなよなかにいったいなにごと……ち、ちぇん!?そのけがはどうしたの!」 「ま、まりさにやられたんだねー!そ、それにありすが……ちぇんのおちびちゃんが……!まりさたちに……!」 「まりさたちに?どうなったの!」 「え、えいえんにゆっくりさせられたうえに、たべられちゃったんだよぉぉぉぉっ!わ、わからないよぉ―――っ!」 「な、なんですってええええええっ!?」 ゆっくり殺し。同族喰い。どれもゆっくりにとって最大のタブーと言われている最低のゲス行為である。 もちろん群れの掟でもそれらは禁止されている。その掟破りをよりにもよってをあのバカまりさとアホれいむがやったのか! おうち宣言どころの話ではない!長ぱちゅりーはもう吐きたい気分を懸命に抑えるので精一杯であった。 だがことは急を要する。長としての仕事はちゃんと果さなければならない。 「ちぇん、あなたはあしがはやいわ!からだがいたむでしょうけどひとっぱしりいって、むれのかんぶたちを このおうちのまえにつれてきてちょうだい!」 「わかったよー!ちぇんもありすとおちびちゃんのかたきをうちたいんだねー!かんぶにこのじけんをしらせるのが ちぇんのかたきうちなんだねーっ!わかるよ―――っ!」 そう言うやちぇんは公園のあちこちのおうちに走っていく。 この夜、ちぇんの知らせによって召集された群れの幹部が長ぱちぇりーと共にちぇんのおうちを家宅捜索した。 そこで腹を膨らませて幸せそうにぐーすか眠る野良まりさ一家を発見。ただちに叩き起こして連行した。 さらにちぇんのおうちからありすのものと思われるカチューシャと、子ちゃんのものと思われる帽子をも発見。 これによってありすと子ちぇんの死亡と野良まりさ一家の同族殺し&同族喰いの罪が明らかになったのである。 そして翌朝…… まあ確信はあってもやはり気になるものは気になるわけだ。 俺はその後の糞野良一家の様子を確かめに公園に足を向けた。 するとグッドタイミングなことに俺はちょうどカーニバルのまっ最中にでくわした。 「むきゅ!みんなきいてちょうだい!このまりさたちはゆうべ、ちぇんとありすのおうちをのっとろうとしたわ!」 「しかもありすにおうちせんげんをそしされたのにもかかわらず、むししておうちをとろうとしたんだぜ!」 「さらにおうちせんげんをじゃましたことにはらをたてて、ありすをえいえんにゆっくりさせちゃったんだねー!」 「まりさたちはきのうにんげんさんにめいわくをかけただけじゃなく、むれのゆっくりまでころしたわ! これはもうぜったいにゆるすことはできないわ!むきゅっ!」 「「「「「せいっさいっ!せいっさいっ!せいっさいっ!せいっさいっ!」」」」」 「ばりざはわるぐないのぜぇぇぇ!おうちせんげんしたんだがらちぇんのおうちはばりざのおうちなのぜぇぇぇ!」 「ぞうだよぉぉぉ!ありすはおうちをひとりじめにするげすだったんだよ!だからせいさいっしたんだよぉぉぉっ!」 「ゆええええん!もうしゃむいのみょ、おにゃかしゅくのもいやなのじぇぇぇぇっ!」 「もういやりゃぁぁぁぁっ!おうちかえりゅぅぅぅぅっ!」 昨日の糞野良一家を群れのゆっくりどもが取り囲んでいる……何事だこれは? どうも長ぱちゅりーが糞野良連中の罪状を群れの連中に説明しているのを聞くに、 お家をなくした一家は公園の野外で一夜を過ごそうとしたが、 あまりの寒さに我慢できなくなって群れのゆっくりのおうちを奪おうとしたらしい。 しかもお粗末なことにおうち宣言に失敗して、阻止されたことに逆上して群れのゆっくりを殺してしまったんだとさ。 ……なにそれ?まったくバカとしか言いようのない連中だなおい。 「いいかげんにかんねんしなさいまりさ!ちぇんのしょうげんで、ありすがおうちせんげんをむこうにしたことは わかっているのよ!」 「お、おさぁ!なにいっでるのぜぇぇぇっ!ばりざはほんどうにおうちせんげんしたのぜぇぇぇっ! ちぇんのおうちもうはばりさのおうちなのぜぇぇぇぇぇっ!?」 「むきゅぅ……ありすをころしてちぇんのおうちをうばおうとしただけでなくうそをつくとはね! やっぱり…しんじたくなかったけど、きのうにんげんさんがいってたのはほんとうだったようね……」 「にんげ……?く、くそじじいがなんだというのぜぇぇぇぇっ!?」 「まりさ!れいむ!ぱちゅはにんげんさんからきのうぜんぶきいたわ!まりさたちはにんげんさんのおうちで おうちせんげんをしたんじゃなくて、おうちせんげんをしたと『うそ』をついたってね!むきゅっ!」 「ゆっ……?」 「そしてこんかいもまた、うそをつくのね!ありすにおうちせんげんをむこうにされておきながら、 おうちせんげんしたという『うそ』をっ!!」 「ゆ……ゆっ……ゆあああああああああああああああああああっ!!?」 「やっぱりそうだったのね!あなたたちはへいきでうそをつく……『うそつきゆっくり』だったのね!むきゅ」 「!?!???」 あーあ、長ぱちゅさんよーそりゃねーんじゃないの? まあ糞野良どものおうち宣言を嘘だと決め付けたのは確かに俺だけどさ、 しかし糞野良ども本人にとっちゃ俺の家でしやがったあのおうち宣言は本当の出来事だったんだろうよ。 ゆうべの群れで起きたおうち宣言はまあ嘘だったとしてもさ、 俺の家の場合といっしょくたにされて嘘つき呼ばわりしたらあの糞野良どもも浮かばれないんじゃね? ……て、まあいっか別に。ゲス野良を擁護する気なんて俺には毛頭ねえ。 つかそれより糞野良どもの顔が面白いことになってる。 長ぱちゅに嘘つき呼ばわりされて相当ショックだったんだろう。 ほら見ろよ。顔面蒼白になって、口をパクパクさせて、ぶるぶる震えて、涙は滝のように流し…… 多分いま連中の頭ン中はぐちゃぐちゃだぞ間違いなく。 あーそろそろ爆発しそうだぞ。表情からしてもうすぐ……もうすぐだ……そらきた! 「「「「うそつきっていうなあああああああ!うそじゃないっ!うそなんがついでな……ゆぎゃあああああああああっ!」」」」 俺の予測どおり野良一家の無駄にでかい大口から魂からの…と言うに相応しい無念の叫びが迸った。 そしてその瞬間、長ぱちゅりーの合図で口に枝を咥えたゆっくり達が 四方八方から襲いかかって四匹の糞野良を串刺しにしたのだった。 「ゆがぁ!ゆがぁぁぁぁっ!うそじゃないぃぃぃっ!ばりざはぁ!ばりざはぁぁぁぁっ!」 「じ、じねぇぇぇぇっ!れいぶをうそづきよばわりずるげすはそくざにじねぇぇぇぇっ!」 「まりちゃはゆっくじっ!ゆっくじじゅる……ゆびぃ!もっちょもっちょゆっくじじゅるんじぁぁぁぁっ!」 「れいみゅはうしょちゅきじゃないぃぃぃっ!ゆべぇっ!う、うぞじゅき…・…じゃ……も、もっちょ……ゆ……」 「むきゅっ!なにしているの!いちげきっでせいかくにちゅうすうあんをつきなさい!つぎ!」 「じねぇ!じねぇぇぇぇっ!ゆぶっ!くぞじじぃぃぃっ!ありずぅぅぅっ!ぱじゅりぃぃぃっ!みんなじねぇぇぇっ!」 「じぬもんがぁぁぁぁっ!れいぶはもっどゆっくじずる…ゆべぇ!?………もっと……ゆっく……りじ………」 「ま、まりちゃはしぇかいのおうっ!になりゅうちゅわなんだじぇ!こんなときょ…ゆぴょぉ!」 「まりさのとどめがまだよ!つぎ!はやくっ」 「う……ぞつぎ……じゃない……ばりざ……ばり……………ゆっ!」 ……制裁は終わったか。糞野良どもの最後を見届けると俺はもうこれ以上ここにいる必要はないと公園を後にした。 ほら見ろ、おうち宣言をするゲスの末路なんてこんなものだ。 俺が直接手を下すまでもなく勝手に自滅するのさ。 むしろ野良を一匹道連れにした分すっきりー♪てなもんだ。 まあアレだな、こうなった野良一家に俺が言えることはもうひとつだけだ。 ざまあみろ。
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このSSは俺設定使用して…ってか俺設定の塊です。 駄文オブ駄文です。では本編へどぞ。 ここは幻想郷…この村は幻想郷にある村の中でも特別で野菜を栽培せずに漁業で生計を立てていた。漁業と言っても川や湖などの魚や藻などの採取が中心で 決して野菜が育たない訳ではなく、野菜を育てない訳はゆっくりである。 ゆっくりは畑を荒らすが海産物には手を出せないためそこに目をつけた。しかしまだ解決したわけでない。読者ならお分かりだろう…そう「おうち宣言」である。 窓は毎度割られてしまうため出費が高くつき家計を圧迫する。そしてその中で村のある男が立ち上がった。虐待鬼意山である。 彼はおうち宣言をどうにか無力化できればいい…彼は村の集会である計画を持ちかけ翌日実行することになった。 ところ変わってここは村の森。ゆっくりの群れがゆっくりしていた。 「ゆゆ!そういえばにんげんのさとでゆっくりしてたれいむたちはどうしてるのかな」「きっとにんげんをげぼくにしてゆっくりしてるわ」 ちなみにゆっくりたちの言ってるれいむたちは確かにゆっくりしていたがそれはこの世界で…ではない。 「ゆ!そうだ!れいむたちのところにあそびにいこうよ!」「むきゅ!それがいいわね。きっとゆっくりしてるわ」 群れの中の半数のゆっくりたちが村へ移動を始めた。そしてそれを影から射抜くような視線で見てる男が居た。あの鬼意山である。 村へゆっくりたちが着くとバラバラに解散し片っ端からおうち宣言をし始めた。あわよくばこれでおやつがもらえるかもしれない…そんな思考であろう。 「ゆゆ!ここはれいむたちのおうちだよ!!ゆっくりできないおじさんはゆっくりでていってね!!」「「いっちぇね!!」」 そこにあの鬼意山が先回りして待っていた。親のれいむが1個と子が6個で赤が2か・・・・。鬼意山は数を確認した。そして次の一言はゆっくりたちにとって意外の一言だった。 「いいのか?」鬼意山は首を傾げてる。ゆっくりも何がいいのかわからずに一緒に傾く。 「あたりまえだよ!!ここはれいむのおうちなんだよ!!ゆっくりできるならおうちにいてもいいんだよ!!」「ゆっきゅりできにゃかったらでていっちぇね!!」 クスリと笑った鬼意山はそのまま赤ゆっくりの一匹を握りつぶした。ゆっくりたちに沈黙の時間が流れた。そして数分後… 「「なにじでるのーーーーー!!」」我に返った親ゆっくりたちが声を上げた。 「おまえら、俺たち人間にお前らのおうち宣言がどう聞こえてるのか理解してるか?」鬼意山は内から沸き起こる衝動を抑えながら最大の笑みで語りかけた。 「でいぶたちのおうちだからゆっくりできないじじぃはでてっいてね!!」勝ち誇った顔をしているれいむ親子だが鬼意山の言葉を聞き一変することになる。 「ここはれいむたちのろうごくだよ!だからゆっくりいじめていってね!!って意味に聞こえるぞ」今度は鬼意山が勝ち誇った顔をしている。それに対して… 「「「「ぞんなごどいっでない゛よーーー!!」」」」ゆっくりたちは反論するが鬼意山は「そういう意味で言ってるんだろう?ツンデレだな…ゆっくりって生物(なまもの)は」と相手にしなかった。 そしてささっと親と子3個を玄関から蹴り飛ばした。もちろん手加減している。ここで死なせてはここまでの計画は無駄に終わる。ちなみに残りの子ゆっくりはランチにでもするのだろうか?。 鬼意山の計画…それはおうちという言葉の意味を変えてしまうというものである。そしてここの村にたくさんゆっくりが来たのが好都合だったのでついでに間引かせた。 そして一部のゆっくりを帰すのはおうち=牢獄って意識を残すためである。もちろん餡子脳であるためすぐに忘れてしまうだろうけど累積する知識は残るらしい・・・。 そしてその累積した知識は子供へと受け継がれるため次から生まれる子供にはおうち=牢獄という方程式が頭を支配することになる。 そして数日後―――― あの親れいむはすっきりー!して今から子供を生むことになった。そして新たに4個の饅頭が生まれた。 「「きょきょはどきょ?」」」これが第一声である。本来ゆっくりなら「ゆっくりしていってねっ!!!」が一般的だがおうち=牢獄の定義に基づき怯えてた。 「ここはれいむたちのおうちだよ!ゆっくりしていってね!おちびちゃん!」と満面の笑みで言った。そしてここで赤ゆっくりたちの悲鳴があがった。 「「「「ゆっきゅりできにゃーい!!」」」」 終わり あとがき こんばんは。虐待士の人です。 おうち宣言を根底から覆してみた。村の人総出で本編のような掛け合いをし続けたんだらきっと数十回で知識が累積するんだろうな〜と思いながら書きました。
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桜が咲き始めようとする頃、男は感慨深く部屋に佇んでいた。1つ深呼吸して、呟いた。 「じゃあ、行くか」 男が手荷物を持ち玄関を開けて、1歩踏み出したその時だった。 「「ゆううううう!!」」 何かが足元を通り過ぎて、侵入してきた。 「ここはまりさたちのおうちなんだぜ!」 「じじいはでてけー!」 「「ぷきゅううう!」」 不可思議饅頭生命体、ゆっくり。家族なのだろう、まりさとれいむに2匹の似た子ゆっくりが1匹ずつだ。 おうち宣言と同時に男を精一杯威嚇する。 「あっそ」 少し目を遣っただけで、男は玄関を閉めて外に出た。 せっかくの気分を邪魔されたのは心外だが、相手にするともっとイラつくだけだ。 男は1度だけアパートを見上げると、駅に向かって歩き出した。 「ここはまりさのおうちだよ!」 「ここはれいむのおうちだよ!」 「ここはれいみゅのおうちだよ!」 「ここはまりしゃのおうちだよ!」 まりさ達は再び、おうち宣言を高々と宣言した。 「やったね!まりさ!」 「まりさのかんがえにまちがいはないんだぜ!」 「おちょーしゃん、かっきょいー!!」 人間のお家は、外と違って雨風防げる。しかも、人間はあまあまを独り占めしているのだ。 そんな人間のお家を自分のものにしてしまえば、しあわせー!以外の何物でもない。 だが、人間のお家は堅く閉ざされており、ゆっくりでは侵入すること不可能。 そこでまりさは、人間が出て行く瞬間に、侵入し、おうち宣言する。それがまりさの作戦だった。 ゆっくり…ゆっくりできるんだぜ 野良ゆっくりのまりさ達の生活は苦労の連続だった。ご飯集めもままならず、寒さに震える日々。 人間、猫、犬、カラス、外敵も沢山いた。同じゆっくりだと言っても安心出来はしなかった。 ご飯やおうちを横取りするゲス、自分は可愛そうだから寄越せを喚くしんぐるまざー、無差別に襲い命を奪うれいぱー。 そんな生活の中でおちびちゃんも何人か死んでしまった。全くゆっくり出来なかった。 だが、人間のお家を手に入れた今は違う。まりさはこれからのゆっくりした生活に想いを馳せ、震えた。 ここがまりさたちのゆっくりぷれいすなのだ。 「まりしゃ、おにゃかしゅいたー!」 「れいみゅ、あみゃあみゃ、むーしゃむーしゃしたいー!」 「ゆ!そうだね、あまあまさん、むーしゃむーしゃしよーね!」 人間が扉を開く瞬間を狙って隠れていたため、食事をしていなかった子ゆっくりは空腹を告げる。 成功すれば、あまあまが食べられる、と言って我慢させていたのだ。 「あまあまをさがして、むーしゃむーしゃするんだぜ!!」 このゆっくりぷれいすには、あまあまだってあるのだ。 「「なんで、あまあまないのー!!」」 いくら探してもあまあまはなかった。それどころ、食べ物1粒たりとも存在しなった。 「あまあま、でてくるんだぜー!!」 まりさは雄叫びを上げ、家を這いずり回る。子ゆっくりは、我慢出来ずに泣き喚いている。 「あまあま、できてきてね!れいむたちにたべられてね!」 そんな叫びも空しく響くだけだった。 この家にないのは、あまあまだけではない。 イスもテーブルの机もテレビも棚も、ティッシュや洋服も本も、何も無かった。 家を出た男は、電車の中でこれからの生活に想いを馳せた。もう少し経てば、自分も新社会人だ。 窓越しに4年間住んだ街を見つめた。 さっきのゆっくりのことなどもう頭の中になかった。 入ることが出来ないように出ることもゆっくりには、出来ない。 誰かが新しく入居するまで、まりさ達はここで過ごすしかないのだ。 何もないこの部屋で。 外より少しばかり暖かいということを差し引いても、何もないここは、まりさの想い描いたゆっくりぷれいすとは、かけ離れていた。 ※部屋の片付け中にふと思い付いた ちなみにお隣さんももう出て行ってるので叫んでも大丈夫! 僕も就職決めたい…
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桜が咲き始めようとする頃、男は感慨深く部屋に佇んでいた。1つ深呼吸して、呟いた。 「じゃあ、行くか」 男が手荷物を持ち玄関を開けて、1歩踏み出したその時だった。 「「ゆううううう!!」」 何かが足元を通り過ぎて、侵入してきた。 「ここはまりさたちのおうちなんだぜ!」 「じじいはでてけー!」 「「ぷきゅううう!」」 不可思議饅頭生命体、ゆっくり。家族なのだろう、まりさとれいむに2匹の似た子ゆっくりが1匹ずつだ。 おうち宣言と同時に男を精一杯威嚇する。 「あっそ」 少し目を遣っただけで、男は玄関を閉めて外に出た。 せっかくの気分を邪魔されたのは心外だが、相手にするともっとイラつくだけだ。 男は1度だけアパートを見上げると、駅に向かって歩き出した。 「ここはまりさのおうちだよ!」 「ここはれいむのおうちだよ!」 「ここはれいみゅのおうちだよ!」 「ここはまりしゃのおうちだよ!」 まりさ達は再び、おうち宣言を高々と宣言した。 「やったね!まりさ!」 「まりさのかんがえにまちがいはないんだぜ!」 「おちょーしゃん、かっきょいー!!」 人間のお家は、外と違って雨風防げる。しかも、人間はあまあまを独り占めしているのだ。 そんな人間のお家を自分のものにしてしまえば、しあわせー!以外の何物でもない。 だが、人間のお家は堅く閉ざされており、ゆっくりでは侵入すること不可能。 そこでまりさは、人間が出て行く瞬間に、侵入し、おうち宣言する。それがまりさの作戦だった。 ゆっくり…ゆっくりできるんだぜ 野良ゆっくりのまりさ達の生活は苦労の連続だった。ご飯集めもままならず、寒さに震える日々。 人間、猫、犬、カラス、外敵も沢山いた。同じゆっくりだと言っても安心出来はしなかった。 ご飯やおうちを横取りするゲス、自分は可愛そうだから寄越せを喚くしんぐるまざー、無差別に襲い命を奪うれいぱー。 そんな生活の中でおちびちゃんも何人か死んでしまった。全くゆっくり出来なかった。 だが、人間のお家を手に入れた今は違う。まりさはこれからのゆっくりした生活に想いを馳せ、震えた。 ここがまりさたちのゆっくりぷれいすなのだ。 「まりしゃ、おにゃかしゅいたー!」 「れいみゅ、あみゃあみゃ、むーしゃむーしゃしたいー!」 「ゆ!そうだね、あまあまさん、むーしゃむーしゃしよーね!」 人間が扉を開く瞬間を狙って隠れていたため、食事をしていなかった子ゆっくりは空腹を告げる。 成功すれば、あまあまが食べられる、と言って我慢させていたのだ。 「あまあまをさがして、むーしゃむーしゃするんだぜ!!」 このゆっくりぷれいすには、あまあまだってあるのだ。 「「なんで、あまあまないのー!!」」 いくら探してもあまあまはなかった。それどころ、食べ物1粒たりとも存在しなった。 「あまあま、でてくるんだぜー!!」 まりさは雄叫びを上げ、家を這いずり回る。子ゆっくりは、我慢出来ずに泣き喚いている。 「あまあま、できてきてね!れいむたちにたべられてね!」 そんな叫びも空しく響くだけだった。 この家にないのは、あまあまだけではない。 イスもテーブルの机もテレビも棚も、ティッシュや洋服も本も、何も無かった。 家を出た男は、電車の中でこれからの生活に想いを馳せた。もう少し経てば、自分も新社会人だ。 窓越しに4年間住んだ街を見つめた。 さっきのゆっくりのことなどもう頭の中になかった。 入ることが出来ないように出ることもゆっくりには、出来ない。 誰かが新しく入居するまで、まりさ達はここで過ごすしかないのだ。 何もないこの部屋で。 外より少しばかり暖かいということを差し引いても、何もないここは、まりさの想い描いたゆっくりぷれいすとは、かけ離れていた。 ※部屋の片付け中にふと思い付いた ちなみにお隣さんももう出て行ってるので叫んでも大丈夫! 僕も就職決めたい…