約 527,074 件
https://w.atwiki.jp/kakite3/pages/32.html
◆cpYAzLvx8. ガチムチの素敵な兄貴 「主に大量殺人をする程度の能力」 ◆0RbUzIT0To 普通の名探偵 「主に熱血展開を書く程度の能力」 ◆CMd1jz6iP2 予想の出来ない展開の元 「予想の右上をいく程度の能力」 ◆OZbjG1JuJM 半人半獣の技工士 「あらゆる人外を擬人化する程度の能力」 ◆jVERyrq1dU HALのバトルマスター 「神(笑)を操る程度の能力」 ◆jU59Fli6bM 完全で瀟洒な繋ぎ師 「燃える繋ぎを書く程度の能力」 ◆wC9C3Zbq2k 凶兆の猫鍋 「猫駆除する程度の能力」 ◆KJJLTUDBrA 月のSOS団副団長 「驚きの黒さを漂白する程度の能力」 ◆irB6rw04uk 粉砕☆玉砕☆大喝采キーボーディスト 「ネタとシリアスの境界を弄くる程度の能力」 空気読まずに前から書いていた四天王以外の書き手紹介でも投下してみる ねーよwwという文があったりしたらスマソ ◆jVERyrq1dU氏→ファンカスティックニー 中盤から参加したにもかかわらず、かなりの量を書いている人。 1SSごとの話も長く、前後編になることが多い。時々題名がカオスっている。 傾向としてはマーダー側を書くことが多く、彼らの扱い方がとても上手い。 バトルや心理戦中心だが、そこで繰り広げられる一色変わった駆け引きは必見である。 最凶コンビのニーKASや、神の軍団ファンタスティック・フォーなどを生み出した。 参加者の首輪を外し主催者もロワに出陣するという怒涛の展開を書ききった大作は読み手を大いに盛り上げた。 代表作→二人合わせばレッドベジーモンの知恵、D-2草原大炎上戦 ◆KJJLTUDBrA氏→被りガチぼのツナギ 序盤からこのロワに参加している、堅実に話を繋いでいくツナギスト。 山場に行くまでの盛り上がりに一役買っている。 だがバトルを書けない訳ではない、いわゆるバランス型。 福山の最期やつかさ浄化など熱い展開も多い。 古泉及びマーガリンを多く書いており、ガチホモ発言に定評がある。 予約が被った時もすぐに別のキャラに予約しなおす柔軟な対応の持ち主。 代表作→されど奈落に花は咲く、コンペイトウ・アタック ◆irB6rw04uk氏→command.に定評あるboat. 元ニコ見沢症候群L5発症者。しかしその後見事に返り咲き、中盤以降の展開に貢献した。 バトルやギャグ展開が多く、対主催側をまんべんなく書いている。 パソコン知識も豊富でそれを生かした展開が巧い。社長のコマンド入力に定評がある。 突如Nice Boat.を出現させたり、公明ブロックを出現させたりフリーダムな人。 予約時にコッペパンを要求するなどネタ心は満載(貰ったものは見事に関係ない物ばかりだったが) あと、何気にマーダーキラー。 代表作→『殲滅計画YOKODUNA』、BPK・バトルプログラマーカイバ ◆wC9C3Zbq2b氏→YOKODUNAGATO 古参書き手の1人であり、要所で少し鬱に流れを変える人。 対主催・マーダー、キャラ偏りなく書いている。 バトルはあまり書かないが、YOKODUNAと暗黒長門のチート対決を書き上げたのはこの人。 誠死ねやマルクなどの誤解やコミカルなすれ違いが面白い。 そのキャラらしさがよく出ている作風。 代表作→蝕、バラモスの代わりに臓物喰らい尽くすことになった ◆jU59Fli6bM氏→ゆっくりしりある 中盤から参戦し、定期的に投下している人。 遅筆との事だがちゃんと書き上げるので、延長時にはゆっくり書いていってね!と言ってみるのも一興。 傾向は繋ぎが多いバランス型、フラグを巻きながら回収していく。 対主催を多く書いており、心理描写や葛藤、一人称視点を多く使う。 シリアル禁止令や闇AIBOを生み出した。この人も時々題名がカオス。 代表作→ゆっくりしていってね!!!、俺らboatさ行くぶるぁ ※ここからはニコロワwikiからの転載 ◆cpYAzLvx8. ガチムチの素敵な兄貴 「主に大量殺人をする程度の能力」 バトル繋ぎ考察エロと様々なタイプのSSを書ける人 安定感があり、どの作品も満遍なく面白い。 読み手の心に色々な意味で凄まじいインパクトを残すSSを多く書く。 YOKODUNAでグロ展開、闇つかさで驚きの黒さ、と心に突き刺さる展開を多く書いている そしてやはり彼と言ったら阿倍さん。股間を使って戦う…なんて素敵な発想。 ガチぺったん対冥王のカオス対決、阿倍さんが巻き起こすゲイボルグスパイラル、アリス、アサクーラレイプ(未遂) などなど阿倍さんを動かしたら天下一品の人である。 阿部の使い魔。氏のSSはどれも丁寧で、読み易いのでこれからも頑張ってほしい 代表作(主観) 「薔薇大戦 ~ 混世魔王 VS 白い魔王」 冥王相手に、股間丸出しでスイカと共に闘う阿倍さん。 こんなカオス戦闘こそニコロワの真骨頂だと俺は思う。がちぺったんは大好きだった 硫黄島からの手紙 闇つかさこえええええええええええええ Ontology ガチぺったんの最後は凄く切なかった ◆0RbUzIT0To 普通の名探偵 「主に熱血展開を書く程度の能力」 熱血、感動、そして考察のスペシャリストと言わざるを得ない 盛り上げが上手いと言うのだろうか…とにかく氏の書くSSは説得力に溢れ、 改心、チーム結成、考察と、どれも自然に受け入れられ、読み易い。 キャラの心情を書くのが上手く、キャラのさり気ない一言が心に残ったりする。 人気チームである塔組を生みだし、キバ、水銀燈の最後を感動的なまでに美しく書いてくれた。 塔組結成時の合言葉、『少数派による運命の打開』はニコロワ屈指の名台詞であると思う。 名探偵レナンによる考察も見事。説得力が凄い。なんでこんな事思いつくの? 代表作(主観) 罪滅ぼしと新たな罪と とにかく感動した。外山とKカッコよすぎ。 レナ頑張れ、塔組頑張れと素直に思った D-2ブリッヂの死々闘シリーズ TASさんの鬼のような強さにビビったw キバと水銀燈の最後は見事と言わざるを得ない 括弧、推理、城にて 説得力やばいw素直に凄いと思った ◆CMd1jz6iP2 予想の出来ない展開の元 「予想の右上をいく程度の能力」 バトル繋ぎetcと、様々なSSを書けるオールラウンダーだが、やはり特筆すべきは彼の発想 その発想はなかったわ、というような革新的なアイデアを次々と生み出し、 ニコロワに様々な新風を吹き込んだ。悪く言えば超展開なのかもしれないが、 彼が生み出した新アイデアは全て美味い方向に転がっているように思えるので無問題 四天王の中では、参戦が少し遅れたが、驚異的なスピードで投下数を伸ばした。 主観だが、だんだん上達して来ているような気がする。 代表作(主観) 震える山シリーズ 100kbの大作。山で繰り広げられる様々な攻防を描いたSS TASさんカッケー、谷口やれやれ… つかさ…… 全並行世界ナイトメア 後にほとんどの読み手から嫌われる事になる神(笑)を生みだしたSS この書き手さんは思考変化が上手いと思う ひろくんのローゼン☆テンセイ ほのぼの銀様は最高だった ◆OZbjG1JuJM 半人半獣の技工士 「あらゆる人外を擬人化する程度の能力」 人外とか擬人化が大好きな人。 作品の傾向としては、バトル繋ぎギャグと様々なジャンルのSSを書く ほとんどのSSにネタが仕込まれており、細かいところで色々笑えるw 明るい話が上手く、なんだか読んでいてなごむ と言っても殺害数は多く、時にはひろくん古泉死亡話のようなとびきりの鬱話も書く 人外な奴らを擬人化するのが好きで、マルクをはじめとした様々なキャラが彼の手により 萌えキャラになったりクリーチャーになったり。 マルクたんを生みだしたのは氏。個人的に、最初の頃は何故マルクが主催?と思ったが、今では大好きw 代表作(主観) 第五回定時放送 マルクたん…いいキャラになったもんだ 神様ゲーム ど鬱な作品。くそひろ古泉カワイソス このSSを読んで、神(笑)をますます嫌いになった人はおそらく多いはずw ニコニコ流星群は大変なオペレータールームでトルネードスピィィンをうおっすまんごゆっくりぃ!! 小ネタ満載のSS。ワロスw ◆jVERyrq1dU HALのバトルマスター 「神(笑)を操る程度の能力」 作品投下数も四天王に迫る勢いであり、なおかつ終盤になるにつれてSSの質と量が上がってきたような気のする書き手さん 特に最近のバトルは大作であり、最後の最後まで気の抜けない素晴らしい緊張感を与えてくれる 良く書くのは、マーダー側。特に神(笑)を多く書いている。 爽快感すら覚えるような外道っぷりが人気?な神(笑)だが、 書いている回数が多いだけにひょっとしたら氏にとって一番愛着のあるキャラなのかもしれない(勝手な妄想) 代表作(主観) 「D-2草原大炎上~本物の神様」 繰り返される逆転劇に思わず手が汗ばんだ。閣下の最期、敬礼する二人、KASの最後の叫び 胸が熱くなる名場面だったなー 「当方に迎撃の用意有り~THE 最終局面」 熱血展開から勝利を確信したあとの、絶望感はもの凄かった。 コイヅカジアース怖すぎる…ピコ麿とアリスの死に際も美しかった… ◆jU59Fli6bM 完全で瀟洒な繋ぎ師 「燃える繋ぎを書く程度の能力」 来週に続くッ!みたいな感じに非常に続きの気になるような繋ぎ話が多く いい感じに焦らしプレイが上手い人w が、レイカススイカVSヴァンデのような戦闘も書いている。 書くキャラは対主催側が多めか。 最近ではBのまさかの「主催の対主催化」によってパロロワ界を震撼させた 「だからーー私は主催をやめるぞマルクーッ!!」はもはや、ニコロワのみならずパロロワ屈指の迷台詞だと思うw 代表作(主観) 「えーりんと闇AIBOに死ぬほど言葉攻めされて涙目なピエモンB」 「主催の対主催」はやはり凄いインパクトwピエメンにも吹いたw えーりんもきれいに逝ったなあ… 「ゆっくりしていってね!!!~ゆっくりした結果がこれだよ!!!」 妹の最期と阿部さんに激昂する萃香。 最初の意気投合っぷりが良かっただけにガチぺったんの崩壊は切なかった… ◆wC9C3Zbq2k 凶兆の猫鍋 「猫駆除する程度の能力」 ニコロワ始まった頃くらいから書いている書き手さん 対主催とマーダーとバランスよく書かれている。 バトルはあまり書かれてなかったが、終盤になるにつれて増えてきたかも。 Bのマルクに対する疑心暗鬼っぷりなど各キャラの心理状態も面白いし、 鬱っぽい流れをもってくるタイミングも巧い。 そして、あるSSのさりげない一文で多くの読み手を震え上がらせた。氏の好きな言葉は多分…猫駆除である(大嘘) 代表作(主観) 「私は人間じゃないから」 神人とデーモン相手にガチンコな対主催3人。良いバトルだったなー とかちの最期もきれいだった。あと、融合=社長の嫁が脳内に出来上がっていた為、完っ璧に意表をつかれたw 「クッパ城で会った怖いマルクに屈しない」 終盤ですっかりかっこいい、カリスマルクにシリアルKAS、そしてピンクの悪魔カービィ ……ん?猫鍋の中にいた猫がどうなったかは想像にお任せします?えーと……っ!? うわあああああああああああああああ ◆KJJLTUDBrA 月のSOS団副団長 「驚きの黒さを漂白する程度の能力」 けっこう序盤から活躍してる書き手さん マーガリンなどを多く書き、いいパスを出すのが印象的。 それは、和める繋ぎだったり、確実に山場になるような場面へと繋いだりと様々。 だけど、やっぱり熱い展開も書けるんだなこれが。 若本無双なSSなんかは、迫る若本にドキドキしたり、社長の死、レムー復活に燃えた。 そして、柊つかさ嬢の頑固な驚きの黒さを漂白したのもこのお方。 代表作(主観) 「されど奈落に花は咲く」 あの魅音の命懸けの説得がなければ今の対主催つかさはなかったかもしれん… 「このチート野郎! (大半の魔理沙使いの叫び)」 若本のあの歌は怖すぎるw 社長の死と霊夢の回想で萃香出てきた時なんかしんみりきたなあ… ◆irB6rw04uk 粉砕☆玉砕☆大喝采キーボーディスト 「ネタとシリアスの境界を弄くる程度の能力」 バトルやらほのぼのやらと色んな展開をバランス良く書ける人。 書くキャラは、対主催側がやや多めか。 ニコロワならではの社長のコマンド入力ハッキングやら仲良しニコニコンビのSSも私的に印象深い。 近頃のSSでは、ネタを混ぜてくれてたり、いやにいい味を出すモブのデジモン達の登場に思わずニヤリ。 そして、もしあの時死んでなかったらどれだけ被害が出たかわからない、 鬼畜生マーダーYOKODUNAを葬ったのも氏である。 代表作(主観) 「殲滅計画YOKODUNA」 やはりマーガリンの絆は固いwそして、親友の仇を前に怒れる霊夢。 ここまで感情を露にする彼女を見れるのもパロロワならではか。 「伝説のパソコンハッキング~裸間撮影、パシャ☆」 自重しないゆとりデジモン達と脱走を手伝うKASファンなデジモン うーんいいモブ達。
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/391.html
ニコロワβ検定 第一回放送まで 第二回放送まで 第三回放送まで 第四回放送まで
https://w.atwiki.jp/niconico3nd/pages/470.html
ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo 「フムフム、透明の殺人鬼。それに味方の勝治くんやリュウセイくん。 色々情報ありがとうでゲソ」 「いや俺も味方が出来るのは心強い」 デルタイーグルを走らせながら、遊星とイカ娘は出来る限りの情報交換を交わしていた。 といっても、ろくに参加者に会えなかったイカ娘に、遊星が今まで起きた事柄を教えるという形だったが。 何はともあれ、危険人物、味方になるはずの者、警戒すべき対象。全ての認識を遊星とイカ娘は共通することとなる。 「居ないな。ケン、一体何処へ」 「海東の言ってたことは、本当なんでゲソ?」 「……あの少年が擁護してた以上、ほぼ間違いはないと思うが」 実際はムラクモと海東、更に星君も加え全員が口裏を合わせていたのだが、遊星に気づく術はない。 今はただ海東の言うとおりに、ケンの行方を捜すことしか出来なかった。 「辺りも暗くなっている。 もしかしたら、何処かで見落とした可能性もある。一度、光写真館に戻った方が良いかも知れない」 「そうでゲソね」 ケンも気になるが、海東の胡散臭さも相当気になる。 何よりあの場には海東を除けば、クッソ汚い害獣と女子供しかいない。 遊星の目が離れている隙に、何をしでかすか分からない。 ここは一度、元の場所へ戻るべきと遊星がデルタイーグルを止めた時、そのライトが数人の人影を照らした。 「おい、何だあの修正テープみたいなバイクは?」 「あの蟹頭は人間のものじゃない。ジュラル星人に組する宇宙人かもしれない!」 「待ちなさい二人とも、勝手な行動は」 「あれって……遊星さん、遊星さんですよね!?」 勝治の言っていたリュウセイの特徴に当て嵌まる少年が一人。 星君の言っていた泉研なる危険な少年が一人。 露出過度で目のやり場に困るおっぱいが一人。 そして、勝治のジャンバーを羽織った以外、ほぼ全裸の見覚えのある少女が一人。 「シャーロックか!?」 「はい、遊星さん!」 どうやら様子を見る限り、シャーロックはリュウセイと合流できたようだ。 一先ず安堵の息が遊星から漏れた。 「だが、そのジャンバーは……」 「その、透明の人に襲われて、物理的に食べられるところだったのを勝治くんが助けてくれて……でも」 「まさか」 あの三回放送は間違っていなかったということなのか。 遊星の心中に重い衝撃が走った。 「そうか……俺がもっと早く着ていれば」 「そんなこと、遊星さんが悪いんじゃありません」 そんな二人の会話を見て、シャーロックの知り合いと判断したアルセーヌとリュウセイは警戒を解いたが、研はそうもいかず変装していた。 アルファガンを構え遊星へと突きつける。 「なんでゲソ? その銃は?」 「黙れ! お前たちはジュラル星人の仲間だな!」 「それはこちらの台詞だ。お前は危険だと星君から聞いた」 「なんだって!?」 星君という名に研は強い関心を示す。 間違いない。あのジュラル星人の星君だ。ということはこいつらはやはりジュラル星人。 今、ここで葬っておかねば大変な事になる。 「おい研! 銃を下ろせよ!」 「リュウセイくん、騙されちゃ駄目だ。星君はね、ジュラル星人で危険人物なんだよ。 そんな奴の仲間なんて、信用できない」 「待ってください研くん。遊星さんは悪い人じゃありません。 もしそんな悪い人なら、私が最初に会った時に殺されてますし、勝治くんともずっと一緒に行動してたんですよ? 「いや、もしかしたらその勝治くん自体、ジュラル星人の成り代わりかもしれない。 考えても見れば、放送で何度も呼ばれるなんて異常だよ」 「異常なのは、お前の頭だ!」 アルセーヌは遊星を怪訝そうに見つめる。 シャーロックの証言ならば、そう危険な人物ではないはずだ。 しかし、研の言う星君という危険人物と関わっているのも事実。 「分かりましたわ。ともかく彼らの無実をなんとか証明する方法から考えましょう。 研くん。何かジュラル星人の判別方法はありませんの?」 「……奴らは鏡に映らない。あとはアルファガンで撃てば大体、正体を現す」 「アルファガンは却下ですけど、手鏡なら私の支給品にありますよ!」 シャーロックが手鏡を取り出し遊星とイカ娘を映す。 そこには紛れもなく、左右反転した遊星とイカ娘があった。 研は渋々アルファガンを降ろし、遊星たちは胸を撫で下ろした。 「でもよ。遊星さん、研が殺し合いに乗ったってのは多分嘘だぜ。 俺もずっと行動してたけど、そんな様子じゃない」 「そうですわね。それには私も同意ですわ」 「なら、星君が嘘を吐いてるって事なのか? だとすれば、あいつはまさか」 リュウセイやアルセーヌの話を信じれば星君が嘘を話したことになる。 当然、その理由はもう考えるまでもない。 「待て、ケンに会わなかったか? 放送で呼ばれてたが、リュウセイの友人のケンも生きていたんだ。 あいつはお前を探すと言って、飛び出したと海東に聞いたんだ」 「海東さんに? でもケンなんて見てもないぜ。 というか、生きてたのかあいつ。しぶとい奴だぜ」 憎まれ口を叩きながらも、何処か嬉しそうな表情をリュウセイは見せた。 だがそれも一瞬ですぐさま疑問の色に変わる。 「いきなり言われても、信じてもらえないかもしれないが、実は俺は権兵衛から海東を警戒するよう言われていたんだ。 そして、さっき海東と早苗、少年……名前はムラクモと言うらしいが。後は星君、ケンに出会った。 その時に、海東と星君、ムラクモはケンはリュウセイを探しに出て行ったと口を合わせていた。 だがもし、星君が殺し合いに乗っていたのなら……」 「ちょっと待って、ムラクモだって!? そいつも危険だ!」 研が再び叫び、またジュラル星人かと呆れかけるが、予想外なことに飛び出たのは速水もこみちの名前だった。 もこみちがオリーブオイルで首輪を外し、そこでムラクモと戦闘になったこと、その際なんらかの要因で幼い容姿になってしまったこと。 何より、ムラクモが殺し合いに乗った危険な思想を持つ参加者だということを、研はもこみちから聞いたままに説明する。 「あのオリーブ男の言うことを信じるのかよ」 「そうですよ。あれこそキチガイです」 もこみちと交戦経験のあるリュウセイとシャーロックは当然、怪訝そうな顔をした。 だが、逆にまともだったもこみちとの交流があったアルセーヌは、その話にはある程度信憑性があるのではないかと考える。 「一旦、話を整理しましょう。 まず遊星さんは、権兵衛さんとやらから海東という人物が危険だと聞いた。 ですが、シャーロック達の話では海東は仮面ライダーという正義の味方らしい。 更に、星君、ムラクモなる子供達も研君の話では危険らしい」 「海東さんが危ない奴だって!? 良く分からないけど仮面ライダーはいい奴なんじゃないのか?」 アルセーヌの話を聞きリュウセイが頭を抱える。 一体何が正しくて、何が間違っているのかまるで分からない。 もう面倒なので、全員ぶっとばせば良いのではないかとすら思えてくる。 「ここは最悪のケースを考えた方が良いかも知れませんわ。 研君も遊星さんも、二人の話が本当であった場合。つまり三人とも殺し合いに乗ったと仮定すると……ケンくんは恐らく―――」 それは最悪のシナリオだった。 殺し合いに乗った三人が口裏を合わせる理由などそう多くはない。 リュウセイもそれを察し、力なく顔を俯かせた。 「まだですわ。そんな中に早苗さんという女性が一人で居る。 今、彼女はこの島の中で最も危ない場所に居ると言っても、過言ではありません」 「不味いでゲソ! 早く戻った方が良いんじゃなイカ!?」 何処までの話が本当なのかはまだ定かではないが。 少なくとも早苗が危ないということだけは、この場にいる全員がはっきりと理解できた。 「とにかく、早く光写真館に戻ろう! あそこから離れていたとしても、あの人数じゃそう遠くへは行っていないはず」 「遊星さん、私は構いませんから。この子達を」 遊星がデルタイーグルに跨る。 この場でもっとも速く移動できるバイクだが、生憎と大人と更に子供数人を乗せることは出来ない。 それを察したアルセーヌが子供たちを乗せて先に行くよう促す。 「ちょっ、苦しいで、ゲソ……」 「速く出して下さい。遊星、さん…苦しい」 「なんてキツさなんだ、おのれよくもこんなキチガイバイクを……!」 シャーロック、イカ娘、研が遊星の後ろに無理やり乗り込むがあまりのきつさに窒息しそうだった。 もう安全など知ったことではない乗り方に、遊星は不安を覚えたが今はどうしようもない。 そんななかリュウセイは一人、バイクにも乗らず別の方を向く。 「リュウセイ、乗らないのか?」 「悪い、先行っててくれ」 その面持ちは真剣そのものだ。 何かあったのかと聞こうとした瞬間、黄色いカブトムシが飛来しリュウセイがトムキャットで弾く。 そのカブトムシは地面へと着地し、その車輪を回転させながら小さい砂煙を巻き起こす。 リュウセイは目線で遊星たちに行けと合図する。 それを見た遊星たちは戸惑いつつも頷いた。 遊星がデルタイーグルを発進させ、アルセーヌが駆け出す。 そして、遊星達が去ったその直後。 「やるな。リュウセイ」 「生きてたのか、ケン!」 黄色いカブトムシが跳ね、その主の手へと帰って行く。 そう龍昇ケン。その人の手へ。 死んだ筈のケンが生きていた。 そのことに喜びは感じたが様子がおかしいことにリュウセイは気づく。 目は血走り、顔は凶悪な表情に歪んでいる。 明らかにまともじゃない。何かが外れ狂っている。そんな様だ。 「俺を殺しかけた海東の仲間のお前達も、全員殺し合いに乗ってるんだろ? 天才の俺には分かってるんだぜリュウセイ?」 「何だと?」 「ぜってえ許せねえぜ。早苗以外全員皆殺しだ」 「待て、俺たちは殺し合いには乗っていない!」 「嘘だ!!」 リュウセイは何か話が食い違っていると誤解を解こうと訳を話そうとする。 だが頑なにケンは話を聞き入れない。 雛見沢症候群と同じ症状である。 自前で発症するのか(困惑)、これもうわかんねえな。 「殺してやる……そして早苗と結婚する!!」 「訳分からないが、良いぜ? 好きにしろ。ただし―――俺にボーグバトルで勝てたらな!!」 「良いだろう! 俺が勝ったらリュウセイ、お前は死に早苗は俺の嫁だ!!」 「ああ、勝てたら早苗だろうが、何だろうがくれてやる。 ただし俺が勝ったら早苗は諦めて大人しくしてろ!」 たまたま都合よくあったボーグ台で二人は向かい合い、使用するカブトボーグをかざす。 「チャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションバトル!」 「チャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションバトル!」 ルールの復唱を終え、横のチャージ台にカブトボーグの後輪を擦り付けチャージを行う。 ボーグバトルにてチャージは非常に重要だ。その試合中のエネルギー源はここでしか補充できない。 よってこのチャージを疎かにした者は必然的に敗北者となる。 当然、彼らはそのことを知っている。故にそのチャージに対する素振りを常に怠らず、実践では咆哮をあげ全力でチャージをする。 「チャージイン!」 「チャージイン!」 そしてフィールトへカブトボーグを投げ込むチャージイン。 これもまた非常に重要だ。このチャージインをミスればそれだけで即敗北に繋がる。 幸い両者とも良いチャージインだ。 二体のカブトボーグは勢い良く走り、そして火花を散らした。 ――――― 海東に襲われてからしばらく経ってケンは何とか息を吹き返した。 辺りはもう真っ暗で、不気味に木々や草が生い茂るのみ、落ち着いた光写真館からの落差が激しい。 ケンは頭を擦りながら、海東に襲われ意識を失うまでの事を思い出す。 「あの、おっさんゆるさねえ!!」 こんなことになってるのに、誰も探しに来ないのは恐らく全員グルなのだろう。 海東もさることながら蟹頭もイカもムラクモも星君も淫夢くんも。 更にそんな海東と知り合いらしいリュウセイもグルに違いない。ケンはそう考える。 「待ってろ、早苗……みんなぶっ殺して助け出してやるからな!!」 早苗さんは別なのか(困惑) この人頭おかしい(小声) しかしそう意気込んだものの、海東の周りには流石に人数が多い。 何かしら、味方が必要になる。 ケンは光写真館へは直接行かず、敢えてその周辺をうろついてみる事にする。 「ねえ、誰か居るみたいだよ」 しばらくして、女の子と声と一緒に何人かの人影が見えてくる。 あれだけの人数で行動しているということは、殺し合いには反対派であることに間違いない。 上手く誘導すれば、海東達を倒しに行ってくれることは間違いないだろう。 「助けてくれ! 殺し合いに乗った海東ってのに襲われたんだ!!」 まどかはその話を聞いた時、笑みを抑えるのが大変だった。 ケンという少年が話す海東とその取り巻きが殺し合いに乗っているという話。 実にタイミングが良い。この無力な少年を襲った危険人物の討伐という名目で、堂々と殺しが行える。 話を聞く限り、まどかに課せられたハンデ分の人数は優に殺せるはずだ。 「こんな子を…絶対に許せない」 話を聞いていたさやかは既に怒りで周りが見えていなさそうな様子だ。 乗せるのは簡単だ。 もちろん、ほむらも自分の命令一つで簡単に動いてくれる。 「みんな、そんな殺し合いに乗った人たちなんて許せないよね。やっつけにいきましょうよ!」 「分かってる。そんな事許せない」 「……ええ」 わざとらしく愛らしい声をあげながらまどかは呼びかける。 ほむらは静かに頷き、さやかは力強くそれに答える。 「ちょっと待て、本当にそんな場所に行く気?」 「そうだ。わしもそんな連中と戦うのはごめんだ」 乗り気な様子じゃない麗華や閣下が気になるが、まあ別に居ても居なくてもそう変わらない。 どちらにしろ、さやかとほむらはまどかに従う気満々なのだから。 「そろそろ飽いてきたところだ。少し付き合ってやっても良い」 予想外なのはギルガメッシュが以外にその事に反発しなかったことだ。 だが、これで戦力は十分すぎるほど揃った。連中の討伐に不備はないだろう。 「麗華、来たくないならそれでもいいよ。世話になったねありがとう」 「さやか……?」 「私は魔法少女として、弱い人たちを守らなきゃいけないから」 言いたいことだけ伝えると麗華の話などまるで聞かずさやかは駆け出した。 追おうにも、その速度は人のそれではない。何より麗華にはもう追う気が失せてきていた。 (そうか、私が居なくても大丈夫か) 何かと面倒を見たがもう平気らしい。 あれならほっといても良いだろう。 「じゃあ、私はあんた達とここでお別れね。悪いけど一々喧嘩ふっかける趣味はないから。 私は船の方に行ってみるわ」 「待ってくれ、わしも気になってたんだ。一緒に行かないか?」 おっさんが待ってましたと言わんとばかりに、息を荒げながら迫ってくるさまに一瞬引く。 でも同行者が居てくれるというのは悪いことではない。 とはいえ、おっさんと十代の女子という絵面的にはあれだが。 「分かった。麗華さんたちは船に行くんだね? グレーテルちゃんは良いの? こっちは危険だと思うけど」 「いえ、私は……皆さんと一緒で」 「そう」 ついでに一番使えなさそうなグレーテルも押し付けておきたかったが、そうもいかないらしい。 まあ海魔の餌ぐらいにはなるだろう。 「ところでおっさん、支給品を寄越せよ」 「お前人のモノを…!」 話が纏まりかけたところでケンが閣下のバッグを強奪し勝手に中身を漁る。 自分も武器補充しないと不味いと考えたのだろう。 強奪は基本。 すると中から見知った黄色のカブトボーグを見つけた。 「おお、俺のキー・オブ・ザ・グッド・テイスト!」 「いやわしのだ」 「うるせえ!」 (腹パン) 海東にやられたのと同じように閣下に叩き込み閣下が腹を抱える。 「こいつは貰っていくぜ。あと早苗だけは殺し合いに乗っていないからな? 殺すなよ!!」 「ま、待て。ところでお前、その首輪どうやって……」 痛む腹を抑えながら閣下が疑問を口にする。 それはこの場にいる全員が抱いていたものだが、こいつはろくでもない答えしか返さなかった。 「適当に考えといて!」 そのまま嵐のようにケンは去っていく。 ろくでもないキチガイだったと閣下は思った。今時の子供はどうかしていると。 「チクショーめ!!」 閣下の悔しげな叫びが夜空に響いた。 【F-2/一日目・夜中】 【総統閣下@総統閣下シリーズ】 [状態] 疲労(大)、左肩負傷 、まどか達を警戒 [装備] 出刃包丁@現実 [道具] 基本支給品一式、大量のマンガと本、カイジの地下王国豪遊セット(ポテチ、チーちく、肉じゃが、ビール×4)@逆境無頼カイジ 破戒録編 [思考・状況] 基本行動方針 生きて祖国に帰り可能であるのなら二次元に行く。打倒主催。 0 麗華と共に船に向かう。 1 情報収集。首輪の解析 2 主催者どもは必ず倒すが、具体的な作戦及び行動方針はこれから考える。 3 クリーパーを失うのは惜しかった… 4 メイトリックスと譲治を警戒……? 5 青鬼とレーザー、およびそれを発射した「何か」を警戒。 6 まどかに違和感と何処かで見た既知感。 7 船に居るケイネスと会えればギルガメッシュの言う結界や首輪に関して意見を貰う。 [備考] ※出典はあくまで総統閣下シリーズ、現実や最後の十二日間での真面目な独裁者ではありません ※サブカル知識も豊富ですが、なんらかの制限がかけられている可能性があります ※ギルガメッシュ他、数人の参加者について情報を得ました。 ※アカツキ電光戦記の世界を知りました。 ※別の世界から呼ばれた事がほぼ確信に変わっています ※総統閣下のノートには今まで見聞きした事のまとめや考察が数ページにわたって書いてあります。 ※クリーパーの説明書を読みました。 ※総統閣下の持ち出した本やマンガの詳細は次の方にお任せします。ただしDVDやBDは持ち出していません。 ※過去に読んだ「HUNTER×HUNTER」を思い出しました ※メイトリックス、士、カズマ、サーニャが殺し合いに乗ったと聞かされましたが何処まで信じてるか不明です。 ※一応ケンの話を聞きました。 【東豪寺麗華@MMDDFF】 [状態]:健康 [装備]:エクスカリバー@Fate/Zero [道具]:基本支給品、DMカードセット(デモンズ・チェーン@遊戯王5D s) [思考・状況] 基本:生存優先、主催は殺す 0:もうさやかは放っといても良いだろうし船に行く 1:とりあえず積極的に人と会い情報を集める。 2:幽香の奴、死んだのか。 3:水色髪の男(さやか)はもう他人。 4:レア様とはいずれ決着をつけるつもりだったけど……。 5:まどかに何か嫌悪感? 6:メイトリックスは殺し合いに乗っているかどうかも船に行って確認してみる ※制限はほとんどされてません。 ※遊星、フランク達と情報交換しました。 ――――― 「死ね、リュウセイ!!!」 「くっこいつ!!」 リュウセイとケンの戦いはリュウセイの劣勢だった。 ケンの言う通り、その自称天才は伊達じゃない。 チャージ、チャージイン、ボーグのキレ、速度、パワー。全てが断トツに跳ね上がっている。 トムキャット・レッド・ビートルにキー・オブ・ザ・グッド・テイストの体当たりが突き刺さった。 フィ―ルド外に押し出されまいと辛うじて、トムキャット・レッド・ビートルは踏ん張る。 「何だぁ? おめえ弱くなっちまったかぁ?」 「なんだと!?」 「いや、俺が強くなりすぎたのかもな。―――キー・オブ・ザ・グッド・テイスト!!」 押される力が緩んだかと思えば、キー・オブ・ザ・グッド・テイストはトムキャット・レッド・ビートルから距離を取り始めた。 「何の真似だ!?」 「ここで倒しちゃ面白くない。俺が如何に天才なのか教えてやる」 するとケンはエレクトリカル・スピードワゴンを取り出し、チャージするとトムキャット・レッド・ビートルへとチャージインをした。 「何!?」 「教えてやる! 天才の俺の手に掛かれば、二体のカブトボーグの操作も自由自在だ!!」 二体の華麗な連携を取りトムキャット・レッド・ビートルを追いつめる。 トムキャット・レッド・ビートルがエレクトリカル・スピードワゴンの背後を取ったかと思えば キー・オブ・ザ・グッド・テイストが更にその後ろを取り追撃する。 そのキー・オブ・ザ・グッド・テイストの隙を突き、真横から突撃を喰らわせるとエレクトリカル・スピードワゴンの角に受け止められる。 「ちくしょう! かわせトムキャット・レッド・ビートル!!」 「無駄無駄! 天才の俺に勝てるわけないんだよ!!!」 多分、凡人でも二対一なら強いと思うんですけど(名推理) 流石のリュウセイも防戦一方だ。 まるで勝機が見えてこない。 普通の二対一ならば相手のその連携を崩せばいい。 つまり仲違いさせ揉めている間に倒せばいいが、相手はケン一人である以上、それは不可能。 (どうする……。何か、何か手はないのか) リュウセイは戦況を観察し、今までに見たケンの言動を頭の中で思い返す。 弱点とは思わぬところで、相手が口にしているものだ。 何か相手の脆い部分、何でもいい。リュウセイの頭が高速で回転し続ける。 「お前、早苗と結婚するとかどうとか言ってたよな?」 「あ? それがどうした? 俺たちは結ばれるんだよ!!」 冗談はよしてくれ(タメ口) 「俺は早苗と結婚する! そして―――夜のシークレットバトルをするんだ!! 聞け! これが俺たちの新婚初夜だ!! ケン『お前のことが好きだったんだよ!』 早苗『え、何それは…(ドン引き)』 ケン『暴れんなよ……暴れんなよ……』 早苗『う、羽毛…(気絶)』スタンガンバチッ ケン『この辺がセクシー……エロいっ!』 ケン『もっと舌使ってホラ』 ケン『ちょっと歯あたんよー』 ケン『こいつ玉とか舐め出しましたよ、やっぱ好きなんすねえ』 早苗『アン!アン!アン!アン!アン!アン!アン!アン!アン!アッーンン!!(高音)』 ケン『イキ過ぎィ!イクイクイク……』 ケン『いいよ来いよ!胸にかけて、胸に!』 ケン『ンアッー!(野獣の咆哮)』 ケン『早苗のお尻の皴は2いt「お前、変な妄想しすぎだろ! レッドレッド・メテオバースト!!!」「何!?」 その妄想に気を取られた瞬間、エレクトリカル・スピードワゴンが弾き飛ばされ場外まで吹っ飛んでいった。 「何しやがるてめえ!」 「これで一対一だな」 「嵌めやがったなぁ!!」 ハメてたのはケンなんだよなあ。 そんなことは置いといてケンは怒りを抑え、笑い出した。 「フフフ、馬鹿な奴だ。これでお前は苦しんで死ぬ羽目になるんだからな?」 「何だと?」 「奥義チャイナクック・マーベラス・満漢全席」 「一体なんだそれは?」 「お前にも破る事は出来ない。それはさも恐ろしい究極の必殺技なんだ! この技は三日三晩、あらゆる必殺技を叩き込むという恐ろしい無敵の技。 こいつを使えばお前は確実に死ぬ。 三日三晩もこんな殺し合いの場で打ち続けられないから使わないがな」 それは脅しではないことがはっきりとリュウセイには伝わった。 そのチャイナクックなんちゃらは間違いなく今まで味わった中でも最強の必殺技だ。 だが――― 「……出せよ」 「何?」 「出せよ。その満漢なんとかってのを。お前は結婚するんだろ? 早苗と! なら、前が早苗に相応しい男かどうか、俺が試してやる!!」 「し、しかし……」 「ケン、本当はお前、俺に負けるのが怖いんじゃないのか?」 リュウセイの挑発にケンに残っていた僅かな理性が弾け飛ぶ。 「……後悔するなよ。チャイナクック・マーベラス・満漢全席、三日三晩分の攻撃を全てこの一撃に込めてやる!!」 「来い! 全て受け切ってやる!!」 黄色い閃光がトムキャット・レッド・ビートルをリュウセイをエリア一帯を包み込む。 本来の正史で辿る筈だったチャイナクック・マーベラス・満漢全席とはまた違う。 その三日三晩分の威力が込められたチャイナクック・マーベラス・満漢全席はエリアの半分を消し飛ばした。 閃光が止み、土煙と共に立っているのは龍昇ケン。そしてキー・オブ・ザ・グッド・テイストのみ。 「……それだけか?」 いやもう一人と一体が立っていた。 天野河リュウセイとトムキャット・レッド・ビートルが。 「そ、そんな馬鹿な……」 「いい加減、目を覚ませケン。 早苗はお前と結婚する気なんか更々ないし。まず無理だ」 「なんで、なんでそんなことが言えるんだよ!!」 「何故なら、お前は見た目が太っていて女性受けが悪い!」 「ギクッ」 「勝治みたいに話術も、甘いマスクもない!!」 「ぐわあ!」 「成績が悪い!」 「ごわっ!」 「屁が臭い!」 「づあああ!」 「口も臭い!」 「あがあがががあ!!」 「妹の方が賢い!」 「あややややややあああああ!!」 「お前の家のラーメンだって不味い!!」 「どうわあああああああああああ!!!」 「そして何よりも、俺に負けたお前は天才でもなんでもない。 天才になったつもりの底なしの大馬鹿野郎だからだよおおおおおおお!!!!!」 「そうだったのかああああああああああ!!!!!」 「行け、俺のトムキャット・レッド・ビートル! アルティメット・レッドアウト・ゴールデンマキシマム・バーニング!!!」 勝敗は―――着いた。 ケンは死んだ。 あのボーグバトルの余波に巻き込まれ命を落としてしまったのだ。 だがリュウセイは泣かない。 ケンはボーグバトルで死ねたのだ。ボーガーとして本望だった筈だ。 確証はないがそうである筈だ。それここなら警察に捕まる心配もない。 全部、主催者に責任を押しつけてやればいい。 「ケン……。お前は大事な事を勘違いしていたんだ。 愛っていうのは、そいつを愛することを愛っていうんだ……。 だけど、お前が愛していたのは早苗じゃない。早苗を好きなお前を愛していだけなんだ」 物言わぬ死体になったケンにそう言い。 リュウセイはフィ―ルド外に飛ばされたキー・オブ・ザ・グッド・テイスト、エレクトリカル・スピードワゴンを拾う。 そして光写真館へと急いだ。 「待ってろ。みんな」 【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグV×V】死亡 【F-3/一日目・夜中】 【天野河リュウセイ@人造昆虫カブトボーグV×V】 [状態] 疲労(大)、ダメージ(大)、左肩に刺し傷、オリーブオイル臭い、強い怒りと決意、首輪解除 [装備] トムキャット・レッド・ビートル@人造昆虫カブトボーグV×V [道具] 基本支給品、スコップ@現実、ノートパソコン@現地調達、USBメモリー@ニコロワγ キー・オブ・ザ・グッド・テイスト、エレクトリカル・スピードワゴン@人造昆虫カブトボーグV×V [思考・状況] 基本:殺し合いを止め、主催者を叩き潰す。 0 光写真館へ急ぐ。 1 もこみち死んだのか。 2 勝治、ケン、権兵衛…… 。 3 早苗達と合流。 4 研やシャーロックはユーチューバーなのか? ※ニコニコ動画の存在を知りました。今のところニコニコで把握した動画はチャー研、ミルキィ関連だけです。 ※海東、ムラクモ、星君が危険人物と聞きました。 ――――― sm165 サーニャ・リベンジャー 時系列順 sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm165 サーニャ・リベンジャー 投下順 sm166 ニコロワγ流星群(前編) sm163 レ陰謀クルーズ(後編) 不動遊星 sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm163 レ陰謀クルーズ(後編) イカ娘 sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm160 これマジ?首輪が貧弱過ぎるだろ 天野河リュウセイ sm167 新にとり計画 sm160 これマジ?首輪が貧弱過ぎるだろ 泉研 sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm160 これマジ?首輪が貧弱過ぎるだろ シャーロック・シェリンフォード sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm160 これマジ?首輪が貧弱過ぎるだろ アルセーヌ(アンリエット・ミステール) sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm161 友【さいかい】 鹿目まどか sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm161 友【さいかい】 暁美ほむら sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm161 友【さいかい】 グレーテル sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm161 友【さいかい】 ギルガメッシュ sm166 ニコロワγ流星群(後編) sm161 友【さいかい】 総統閣下 sm [[]] sm161 友【さいかい】 東豪寺麗華 sm [[]] sm161 友【さいかい】 美樹さやか sm166 ニコロワγ流星群(後編)
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/509.html
第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 ◆qwglOGQwIk (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第230話 アイスデビモンの姿が白い光に包まれる。 アイスデビモンのワープ進化に驚いているピエモンを除き、その変化する姿を固唾を呑んで見守っていた。 どれだけ巨大に進化するのか、どれだけ強化されるのか。 それを見極めるためだったが、アイスデビモンの背丈は殆ど代わることは無かった。 「……魔王アナゴ!!!!!」 ******************************************************************************************* 魔王アナゴ 魔王型デジモン ウィルス種究極体 ある一般的な会社員がカオスの衝動に魅入られ、某所でなのはに続く二代目魔王となったのがアナゴだ! とある世界での魔王の血たる魔血魂をその体に入れることで、ただの平社員に過ぎないアナゴは巨大な力を手に入れることが出来たのだ! 数々の若本技を使いこなし、人望にもカリスマにもあふれた存在だ! 必殺技は数々の若本技を使いこなす若本秘技と、全てを吹っ飛ばす秘奥義、ワールドデストロイヤーだ! ******************************************************************************************* そこには悪魔から……背広を着た平凡な会社員の姿があった。 右手に篭る強大な闘気が無ければ、魔王と言われても想像がつかないほどに。 「それでは悪いですが、全力でいかせてもらいますぅ~」 アナゴが一歩を踏みしめた瞬間に、レナ、日吉、ピエモンが飛び出した。 レナは鉈を片手にアナゴの左から。 日吉はフタエノキワミを繰り出す。 遅れてピエモンがトランプソード片手に下から切りかかる。 「フンッ!」 アナゴは三者の一撃に対し、その場でふんばって全ての攻撃を食い止めた。 すなわち右手で日吉のフタエを完全に相殺し、 左手でレナの鉈を受け止め、 右足でピエモンのトランプソードを思い切り踏みつけた。 「お前たちの力はこの程度か、温い温い温いわぁ!」 アナゴはその身を高速回転させ、三人を吹き飛ばす。 吹き飛ばされた三人の体勢を整える間さえ与えず、追撃を仕掛ける。 「死ぬか!」 「きゃっ!」 「消えるか!」 「がああああっっ!!!」 「土下座してでも生き延びるのかッ!」 「ぬわあぁ!」 アナゴはまず日吉に向かって一撃を入れ、すかさずレナに向かって次の一撃。 そして最後に尻餅をつくピエモンに一撃をかました。 アナゴ怒涛の三連殺で、初動は全て返り討ちに終わった。 「くっ、みんな! ブラックマジシャン!」 「カードなんか使ってんじゃねぇ!」 見かねた遊戯が援護に入るものの、ブラックマジシャンはアナゴの咆哮一発で掻き消えてしまった。 その咆哮に気おされ、遊戯も吹き飛ばされる。 「なんで……」 『AIBO、考えたくないが唯の咆哮でDMカードが掻き消えるとは思えない。 アナゴはDMカードを封じる技を持っている、……としか考えられない』 「そんな……」 「おしゃべりは終わったかい、遊戯君よぉ!」 尻餅をつく遊戯に向かって、アナゴが近寄る。 「くっ、ヲタチ!」 遊戯はヲタチを繰り出すが、アナゴはそのようなことは気にとめてすらいない。 「天からお塩ぉ!」 ヲタチを突き抜けて遊戯までアナゴの豪速剛拳が突き刺さり、レーザーでまとめて吹き飛ばされる。 滑走路の壁まで激突して動かなくなった遊戯とヲタチを見て、アナゴはそれに興味を無くして振り返る。 最後に残ったつかさを始末……、と思ったがつかさの眼前にはレナ、日吉、ピエモンが復活していた。 そして三者だけでなく、つかさの姿も変化していた。 逆三角形の肉体に、クワッといった言葉が似合いそうな姿に変化していた。 「あいにく、あんな攻撃でやられる程私達は弱くないよっ!」 「面白い、そんなに死にたければあの世に送ってやるわぁ!」 「できるものならやってみやがれ!」 再びレナが切りかかる。 先ほどと違うのは日吉とピエモンが援護体勢に入っている所で、三連殺を食らわぬよう警戒をしているようだ。 だが、アナゴにとってはそのような小細工は何の意味も無い、正面から叩き潰すのさえ簡単だった。 「塵は塵に、AMEN!」 「クロスミラージュ!」 『ほいきた!』 アナゴが放ったバヨネットによる銃剣乱舞の目標の先に居たレナは掻き消え、何も無い空間を掠めているだけだった。 消えたはずのレナは姿勢を低くし、アナゴの視界の下方に潜り込んでおり、下から強力な一撃を仕掛けた。 「ぬはおっ! わ、私の股間のエッチピストルがぁ!」 股間を押さえて悶えるアナゴの元に強力なGENKI-DAMAとトランプソードが襲い掛かる。 DAMAの姿に掻き消えかかっているアナゴに、レナはさらにメタルブレードを大量に投擲して、追撃を仕掛ける。 「エンディングスナイプ!」 そこにピエモンも両手の衝撃波を加え、アナゴに最後の追撃を加える。 DAMAとエンディングスナイプ、そして大量のメタルブレードによる追撃で、アナゴはとっくに消滅したとさえ思える。 それでも三者は攻撃を止める気配は無い。 「かめはめ波ぁ!」 爆音の中心から怒号が響き、そこから発せられた衝撃波がDAMAとエンディングスナイプをまとめて吹き飛ばした。 背広がボロボロになり、血を流しているとはいえ、アナゴの姿は健在だった。 少し違うのは、アナゴの足が内股になっていることぐらいか。 「今のはちょ~っとばっかり痛かったかもね、しかし!」 アナゴは言葉をそこで区切ると、どこからともなくメロンを取り出す。 そして、それを銃剣で半分に叩き割る。 「ベ~リ~メロン!」 なんとアナゴはメロンに齧りつこうとしているではないか。 もちろんレナ達はそれに付き合う義理はさらさら無く、アナゴのメロンを奪いにかかる。 「させないよ!」 「メロンぐらいゆっくり食わせろ! そんなに邪魔をするならゲシュタルト崩壊に導いてくれよう!」 「何……これ……」 突如レナの視界がブラックアウトする。 そこでレナは自殺行為と分かっていても思わず踏みとどまってしまう。 「ぐああああぁぁぁ!」 「くそッ! 視界を封じられたかっ!」 「クロスミラージュ、何とかならない!」 『ああ……、どうやら視界による物体識別能力を幻影で包んだらしい、心配すんな! すぐに直してやる!』 後ろのピエモンと日吉もまた、レナと同じ様な症状に陥っているらしい。 どうやら、アナゴの技によって視界を封じられたらしい。これは不味い。 クロスミラージュがどうにかしてくれるそうだが、これではアナゴのベリーメロンを妨害することが出来ない。 「んまぁ~い」 結局クロスミラージュがゲシュタルト崩壊を相殺したとき、ベリーメロンを食べ終わったアナゴの姿がそこにあった。 傷ついたアナゴの姿は無く、元通り回復した姿がそこにはあった。 あれだけ頑張って与えたダメージは、ベリーメロン一つですべて無駄になったのだ。 「そんな……」 「ありえねぇ……」 「アイスデビモンの奴があんなに強い力を隠し持っていたとは……これもマルクの差し金か…………」 「ベリーメロンンマ~」 アナゴは首をコキコキと鳴らし、腕をぐるぐると回して体のウォーミングアップをしている。 そこにレナ達が対峙しているにも関わらずだ。 「……クロスミラージュ、後もう一回幻影は大丈夫?」 『悪いが後一発が限界だ、というかバリアジャケット解除してもギリギリだ。それぐらいマジ余裕が無い。 パンツどころか中身を見せてくれてもおまけ出来ない程余裕が無い、はっきり言って無い』 この救いようの無いドエロデバイスの戯言は置いておいて、絶望的な状況だった。 バリアジャケットの解除はありえない。 レナの突撃はバリアジャケットの防御力あってのもので、それが無ければ既に体はまともな形を保っては居なかっただろう。 しかし、何の小細工も無しに飛び掛った所でアナゴにダメージを与えることはできない。 そして一度見せた幻影も当然アナゴは警戒をしているだろう。二度目が通じる相手とはとても思えない。 何より、先ほどのゲシュタルト崩壊をもう一度受けるわけにはいかない。 無策の攻めはできない、しかし策は無い。 かといって逃げ回ることも出来ない、DCSの効果がいつまで持つとも思えない。 副作用は無いとはいえ、DCSが切れればアナゴに対して勝ち目はまず無くなるだろう。 「おいレナ、次はどうする」 「攻め手が、無いかな、かな……」 「おいレナよ! どうればいいんだ! このままではアイスデビモンの奴に殺されてしまうぞ!」 日吉とピエモンが次の策をねだる。しかし確実に通じる手は無い。 最善手を考える。何でもいい、アナゴに対して奇襲を仕掛ける必要がある。 そして相手に反撃の機会を与えず、徹底的にやる。 そうでなければ勝てない。ベリーメロンで回復されては意味が無いのだ。 退却はありえない、ハルバードを奪わなければ対主催は脱出できない。 ここで負けるわけには絶対にいかないのだ。 後ろには尻餅をついて動けないつかさの姿もある、だからこそ、ここで攻めなければいけない。 確実な攻めを。 しかしそれはない。手段はあるが、最善手が分からない。 そして、アナゴの咆哮が悩む時間さえ無いことをレナに思い知らせた。 「さっきは痛い目見せてくれたけど次はこうはいかないぜぇ……。 …………術なんか使ってんじゃねえ!」 アナゴの一声が響く。 すると不思議なことにレナのバリアジャケットも、日吉の溜めていたKIと無我の境地も、ピエモンが準備していた衝撃波も掻き消えた。 術なんか使ってんじゃねえの言葉通り、全ての魔法、気合、術式が掻き消えた。 防御を保障していたバリアジャケットは無く、レナは更に追い詰められることになった。 しかし、ここでレナに電流が走るッ! アナゴはこちらの攻め手を奪った、当然この状態で攻められるはずがない。 その油断を逆手に取り、もう一度一発をぶちかます! 「日吉君、KIは大丈夫?」 「駄目だ……殆ど出ない、糞ッ……」 「私も、さっきのアナゴの一撃で大分気力が削がれたが、まだ攻撃をする余裕はなんとかある」 「じゃあ、日吉君はKIが少し溜まったらサテライト30とプラスパワーで無理やり何とかして もう時間が無い、私が打開したら何が何でも後に続いてッ!」 「分かった、やってやるよッ!」 「ピーちゃんは、援護をお願いッ!」 「分かった!」 ピエモンがトランプソードの弾幕を放ち、レナはアイテム二号を展開する。 アナゴはトランプソードの弾幕を苦も無くバヨネットで叩き落す。 と、そこへ猛スピードで加速したアイテム二号、その上に乗ったレナが急接近してきた。 「小ざかしい真似をッ! ならば死をくれてやろう!」 「死ぬか!」 アナゴの三連殺に対し、レナは黒いそれを取り出す。 「消えるか!」 二撃目も、黒いそれが受け止める。 アナゴにはその黒い盾が何なのかは分からなかったが、次で仕留めてやる。 「土下座しても生き延びるのかッ!」 三連殺最後の一撃、これでそれを粉砕するかと思った。 しかし、とある世界で魔王の攻撃を防ぎきり、ジアースの攻撃から身を守った盗賊の棺桶は鉄壁だった。 三連殺を見事に防ぎきったレナは、アイテム二号の加速度ごと体を振りかぶり、鉈を思い切りアナゴにぶちかます。 「ぬぁんだとおおおおおぉぉぉぉ!」 思い切り空中に吹き飛ばされたアナゴだったが、なんとか空中で舞空術を使用して体勢を整える。 そこへ再びトランプソードの弾幕が襲い掛かる。 密度は薄いとはいえ強力な攻撃のため、アナゴはそれを防戦一方といった感じで受けざるを得なかった。 アナゴが弾幕を全て叩き落すのに手間取っているうちに、日吉はひたすらKIを溜めていた。 「まさかピーピーマックスでKIが回復するとは思わなかったが、これで問題ないぜ。 いくぜ、これが俺のダブルGENKI-DAMAだ!」 サテライト30で二体に分身した日吉はそれぞれプラスパワーを服用。 これでパワーはフルパワーの1.5倍。それが二つ重なってフルパワーの2.25倍の超威力! GENKI-DAMAは更に巨大なうねりとなって、空中に待機するアナゴに向かって襲い掛かるッ! 「ぶるぁああああああああああああああ!!!!!」 アナゴから発せられた衝撃波が、ダブルGENKI-DAMAと打ち合う。 チリチリ、ジリジリとエネルギーの弾ける音だけがそこにある。 これを弾き返されたらもう終わりだ、これ以上のパワーはもう望めない。 レナ達が固唾を呑んで見守る。 ダブルGENKI-DAMAに対してそれ以上の援護はもう望めない。 むしろアナゴがダブルGENKI-DAMAを防ぎきったことを考えて動いている。 「ぶるぁぁぁぁああああああああああ!!!!!! おおおおおおおおおッッッ!!!! やるな日吉よ、だが強力若本でございま~す!」 アナゴは一時的に衝撃波を止め、何かの錠剤を服用している。 GENKI-DAMAが到達する前に、ギリギリのところで衝撃波をもう一度展開する。 「ジェノサイドブレイバー! ぷるぁぁぁぁああああああああ!!!!!」 ギリギリまで押し込まれ、アナゴは相当不利なのにも関わらず持ちこたえている。 それが、あの強力若本という薬品の効果なのだろうか。 日吉には分かっていた、もうあのダブルGENKI-DAMAではジェノサイドブレイバーには打ち勝てないと―――― 極光が止まり、そこにはアナゴの姿があった。 着衣が少しずれていたとはいえ、完全に無傷だった。 「そんなっ……!」 「馬鹿なっ……!」 「やっぱりかよ……とんだ化物だぜ、ったくよ」 「今のは少し堪えたが、強力若本を服用した私に隙は無い、このまままとめて葬ってくれよう! サイコクラッシャー!」 空中に点在していたアナゴが、こちら目掛けて猛スピードで突っ込んでくる。 アナゴ本体は避け切ったものの、猛烈な衝撃波がそこにいた者すべてを吹き飛ばす。 「まだまだぁ!」 「ぐっ……あああああああ!!!!!」 日吉の腹に、アナゴの頭がめり込んでいる。 苦悶の表情を浮かべた日吉は、血を吐いてその場に蹲った。 「日吉君! く、クロスミラージュ!」 『ほいきた!』 ピーピーマックスを急いで服用し、バリアジャケットを再展開する。 あの一撃を食らって、無事では済むはずがないからだ。 「ふん……ジェノサイドカッター!」 アナゴの飛び蹴りで、レナは勢いよく吹き飛ばされる。 「サイコクラッシャー!」 「あっ、………ああああああぁぁぁ!」 アナゴは空中に吹き飛ばされたレナにもう一度サイコクラッシャーをぶちかます。 レナはその一撃を受け、その場に倒れた。 バリアジャケットも、その一撃と共に掻き消えてしまった。 「く、クラウントリック!」 残ったピエモンもトランプソードと、苦し紛れのクラウントリックで応戦するも、種が分かっているアナゴに隙は無い。 トランプソードをバヨネットで弾き落とし、誘導先にあった白い布のことは気に留めない。 そして、ピエモンに一撃を加える。 「ジェノサイドカッター!」 ピエモンもレナ、日吉と同じく吹き飛ばされた。 アナゴはそこで追撃はしかけず、地面にドシャリと落ちたピエモンの確認さえしなかった。 アナゴにとっては、最後に残ったつかさのほうが重要だと言わんばかりに。 「あううう、ことのはさん!みんな!」 自分が狙われていることを理解したつかさは、ことのはにたいやき、オクタンを続けてモンスターボールから出す。 「ふん、数がいようとも物の敵では無いわぁ! …死ぬか! 消えるか! 土下座してでも生き延びるのかぁ!」 三連殺を受け、一斉に飛び出してきたポケモン達を順次撃墜する。 たいやき、気合の鉢巻が発動したオクタンがまだ立ち向かってきたため、さらにもう一度攻撃を仕掛ける。 「塵は塵に、AMEN!」 たいやきが無様に地面を転がっても、それでもまだオクタンはまだ引かない、気合の鉢巻の効果が奇跡的にまたもや発動した。 そしてオクタン砲がアナゴの視界に炸裂する。 「目がぁ~と言うとでも思ったか! 小ざかしい奴め、これで終わりにしてくれるわッ! 望みどおりに……天からお塩ぉ!」 アナゴの剛拳とレーザーが、オクタンに襲い掛かる。 それでもオクタンは気合で耐え続けていたが、最後の一撃の前についに倒れてしまった。 アナゴはそれでも倒れたとは思えず、まだまだ追撃を仕掛ける。 「ジェノサイドカッター!」 アナゴの足技でバラバラに分解されたオクタンを見て、ようやくアナゴは一息を付いた。 「ふぃ~、手間取らせやがって……」 「ひぁっ……ううっ…………」 アナゴの前には、尻餅をついて泣きべそを掻くつかさの姿だけがあった。 銃を持つ手はぶらりとだれ下がり、抵抗の意思など脆い脆いものだった。 むしろ、抵抗する気があるのかすら疑わしい。 「こ、こないで……」 「ポケモン達やレナ達のほうがもっと勇敢に戦ったぞ、それなのに貴様はただ怯えているだけか! くだらん、本気を出すまでも無いわぁ!」 アナゴはつかさの頭を鷲づかみにし、腹に向かって拳を一発叩き込んだ。 ぐっ……というつかさの嗚咽とともに、その場で胃の中にあったものを全て吐き出させてしまった。 ゲホゲホと咽るつかさが汚らしいといった様子で、その場に頭から投げ捨てた。 そして、立つ者はアナゴ以外にだれも居ない。 遊戯は壁にめり込み動かない。 レナは滑走路の上で動かない、日吉も動かない。 つかさは相変わらず、声にならない嗚咽を続けていた。 ピエモンは荒い息を付きながらも、なんとか立ち上がろうとしていた。 「ピエモン様、よく聞いてください。 マルク様はピエモン様を倒してこいとおっしゃられましたが、私は倒したくないのですってヴぁ……。 マルク様も、ピエモン様も大事な主君なのであーりますからってヴぁ!!!」 「…アナゴ…………いやアイスデビモン……何故……」 ピエモンは理解が出来ない。 何故、アイスデビモンがピエモンと話をするのかを。 「決まってやが…がっはッ……! てめぇ、あれで手を抜いていやが…ったのかよ!」 「ほう、よく気が付いたな日吉よ。 しかし手を抜いていたというのは適切でない、最後の切り札だけは隠し持っていたというわけだ。 後一回、後一回だけパワーアップしてワールドデストロイヤーを放つのは、ピエモン様をも殺しかねないからだ」 「やって……くれる……ぜ…………」 そして日吉は倒れた。 嗚咽に苦しむつかさは絶望していた。 あの圧倒的な強さを見せて、まだ本気でないと。 こんな奴に、勝てるわけがないと…………。 ◆ ◆ ◆ 「……ん~ここにも無いわねぇ」 「ぽよ……」 「大事な探し物なんでしょ、まだまだ先は長いしゆっくり探しましょ。 マルクの奴はご丁寧にも待っててくれるみたいだしね」 「ぽよ! がんばる!」 「その意気ね、それじゃ、次を探しましょうか」 霊夢とカービィはクッパ城の一室から出ると、その辺りを見渡して、次のあたりをつけることにした。 「レイジングハート、やっぱり何か分からない?」 『駄目です、サーチしてもドラグーンに値するようなものは見つかりません』 「ん~やっぱりそうかぁ、じゃ、こっちに行きましょ」 と、霊夢は通路の奥のほうへと進む。 それに対してレイジングハートが声を張り上げる。 『そっちはいけませんレイム! レイムが行こうとしている先には巨大な反応があります!』 「と言われてもねぇ、私のカンがそこにあると言ってるのよ。 だから、何があろうとそっちから先に行くわ、そこに全部あったら他の所調べても無駄骨になっちゃうしね」 レイジングハートの忠告も聞かず、霊夢はカンを頼りに進む。 実の所レイジングハートの忠告は気になっていたのだが、余りに探し物が見つからないのでイライラしていたのだ。 それで、さっきからうまくいっていないレイジングハートの代わりに自分のカンを信じて進むことにしたのだ。 霊夢とカービィが通路の奥を進んだ先は、大きなホールだった。 そこまで見て、二人はヤバイと感じた。 そして、その声がそのことを証明してしまった。 「よく来てくれたのサ、霊夢。それにカービィ」 「マルクのいるホールだったか……あっちゃぁ……」 「ぽよ、これは困った……」 しかし対峙してしまったものはしょうがない。 元々ここへ来たのはマルクと弾幕ごっこをして懲らしめるためだった。 カービィの探し物がたまたま優先だったから忘れていたのだが、こうも万端で待ち構えていたら逃げるわけにもいかないだろう。 「それじゃあ、弾幕ゴッコをする前においしい茶でもいかが」 と、マルクは霊夢に湯気に茶柱の立った湯飲みを渡す。 しかし、霊夢はそれを受け取らない。 「あらマルク、私は二番煎じが嫌いなのよ」 「何を言ってるのサ、それはちゃんと最高級の一番茶を選んで……」 ・ ・ ・ ・ 「聞こえなかったのかしら、私は二番煎じが嫌いなのよ。分かるかしら?」 「…………言ってくれるね、ボクがフランちゃんの二番煎じとでも言うのかい」 「そんなことも一言で気が付かないなんて、話が分からない奴ねぇ」 霊夢は言った、マルクのことが二番煎じだと。 それは予想通りの意味だった。所詮お前はただの二番煎じ、フランドールのパクリだと。 マルクなんか知らない、分からないとでも言いたげな態度だった。 「なかなか言ってくれるじゃないのサ……。 そこまで言うなら、舐めてかかったことを後悔させてやるのッサ!」 「できるものならやってみなさいよ、私が二番煎じなんかに負けるわけ無いじゃない」 「余裕ぶっこいてるのも今のうちサ。ところで霊夢、レヴァンテインはあるかい?」 空中に浮かび上がって対峙する両者、それに追従するカービィも空気を入れて空中へと飛び出す。 そこへマルクが霊夢に向かい、レヴァンテインのことを尋ねてきた。 「あら、レヴァンテインなんか何に使うつもり?」 「フランちゃんのスペルカードを再現してあげようと思ってね」 「レヴァンテインならもう壊れちゃったわよ、それにフランドールの奴はわざわざデバイスなんて使わない。 自分の魔力だけで剣の弾幕を展開してたわ。そんなことも分からないなんて、あんたは番茶以下ね」 「そんなにボクのことを馬鹿にするんだったら、この勝負でお望みどおり殺してあげるッサ!!!」 激高したマルクが大量の赤い弾幕を形成する。 霊夢はその程度苦も無くといった様子でスイスイ避ける。 カービィは霊夢の背中に飛び乗り、遠距離用コピーをセットし始めた。 「あら、弾幕ごっこはあくまでお遊びよ。ちゃんとルールの元で戦えば死ぬなんて物騒なことはまずありえない。 それにあなた、弾幕ごっこと弾幕勝負は別物、それぐらいちゃんと分かってる? 幻想郷では常識よ」 「ふん、そういうことはボクを倒してからいって欲しいねぇ!」 しばらくの弾幕戦の後、マルクの攻撃が一旦止まる。 つまり、ここでスペルカードを使う準備をしているということだ。 「さて、ちょうどいいからいいことを教えてあげるッサ。 これを見てごらん」 「どらぐーん!」 「こんな所にあったのね、やっぱり私のカンは間違ってなかった!」 と、マルクはドラグーンのパーツをひらひらと見せびらかす。 「カービィが生きてる時点でもしやと思ってね、案の定ノヴァのメンテナンスルームを見に行ったら一つパーツが無くなってたからね。 取られる前に、こっちが先に取ってやったのサ!」 「つまり、倒してかっぱらえばいいってことね」 「ふん、倒せればの話ッサ!」 そして、スペルカードが展開された。 【クッパ城 中央ホール/三日目・深夜】 【マルク@星のカービィ】 [状態] 体の複数箇所打撲(ほぼ回復)、悪魔の道化、髪が桃色 [装備] 萌えもんアカギパッチ@萌えっ娘もんすたぁ [道具] 超進化プラグインS*4@デジタルモンスター、ドラグーンのパーツ*1 [思考・状況] 基本:自分の楽しみのため、オールスター入りを果たすため、なんとしてもバトロワを完遂させる。 1:霊夢&カービィと弾幕ゴッコ 2:弾幕ゴッコが終わったらKASは首輪探知機で探そう。ふとまし長どこ~? 3:三国志状態ももう終わるかな? ラスボスとして準備を始める。 ラスボスを他の奴に譲るつもりはない。 4:なんか妙な事になっちゃったけど、まあいいや。 5:ピエモン君あらためピーちゃんはアイスデビモンにおまかせ! ※涼宮ハルヒ、永井博之は放送前に死んだと勘違いしています ※霊夢の性格に制限が効いているという推測はどうやらハズレのようです ※クッパ城内部でのマルクの評価がさらに高まりました。カービィ派のデジモンはもうほとんどいません。 これによりクッパ城内部のデジモンはマルクの命令を優先します。マルク>ピエモン ※城の結界の一部に損傷があったようです。 【カービィ@星のカービィ】 [状態]:元のピンク玉、左腕喪失、胸部から腹部?にかけて傷痕、体力全快 [装備]:ワープスター [道具]:支給品一式(食料全消費)、空の土鍋@ねこ鍋 、ドラグーンのパーツ*1 [思考・状況] 1.目の前にいるマルクを協力して倒す 2.ワープスターで残りのエアライドパーツを探したい 3.ノヴァのありかをしっかり覚えて、ドラグーンで破壊する 4.仲間と合流したい ※第七回放送を聞いていません ※銀河に願いをの記憶を取り戻し、五つのコピー能力が自由に使えるようになりました。 うちストーン・ファイア・ファイターが判明済み。ペイントはデラックス能力ではなく習得していた使い捨て技能なので含まれないはずです ※若干、知能がアップしたような気がしない事もないです。 ※隠し部屋の位置をわりとしっかり覚えました。 【博麗霊夢@東方project】 [状態]:真・チート巫女、バリアジャケットの腋・袖・腹部分破損、全身に軽い怪我、魔力消費大 [装備]:レイジングハート@魔法少女リリカルなのはシリーズ、巫女風バリアジャケット@巫女みこナース、KASの帽子、博麗アミュレット(80/200)、陰陽玉*2@東方project、 [道具]:支給品一式*5(パンは一個だけ・水は一式分)、フリップフラップ@ニコニコキッチン、首輪、ドリル@ミスタードリラー、メモ用紙(10/10)、魔理沙の帽子、萃香の角*2、永琳の帽子 気合の鉢巻き@ポケットモンスター、クマ吉の手錠@ギャグマンガ日和、全自動卵割機@サザエさん、億千万の思い出@現実、 キーボードクラッシャーの音声(の入ったiPod)@キーボードクラッシャー、ワルサーカンプピストル@現実(1/1)(26.6mm信号弾残り6発) [思考・状況] 1.しょうがないのでマルクを倒してドラグーンのパーツを貰っていく 2.カービィとドラグーンのパーツを探す。 3.もう私は迷わない! 4.みんなと合流したい。 5.怪しい人には無理のない程度に接触、無害なら適当に交渉 6.今回の事件の解決(ノヴァの破壊、主催者の打倒) 7.クロスミラージュを調べたい。 8.洩矢諏訪子の帽子が気になる。 ※クロミラの事を変態だと認識しました。 ※制限はされていません。けれど少し情に熱くなったので支障が出るかも。 ※カービィ派の下っ端デジモンはほぼ全員が「行方不明」になりました。 このため深刻な人手不足が発生するはずです ※隠し部屋にはおまけ部屋(エアライド格納庫)と ノヴァのメンテナンスルームがあります。メンテナンスルームから ノヴァの核方面へ辿り着けるかは不明です ※残りのドラグーンパーツは城内のどこかにあります ※ゆとりはゆとりなのでワープスターには気付きませんでした。 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 時系列順 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 投下順 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 竜宮レナ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 柊つかさ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 武藤遊戯 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 日吉若 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars ピエモン sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars アイスデビモン sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 博麗霊夢 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars カービィ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars マルク sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars KAS sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars 涼宮ハルヒ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/510.html
第二次ニコロワ大戦Ⅲ ――バルバロッサ作戦 ◆qwglOGQwIk (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第230話 ◆ ◆ ◆ 神(笑)こと鬼超神(ryは焦っていた。 先ほどの放送が聞こえたからである。最終決戦を伝えるその放送は、神(ryの休憩をぶち壊しにするに相応しい内容だった。 あの放送が真実ならば当然のようにラスボス戦は間近である。下手をするとこの空間に取り残されてすべてが終わってしまうなんてことになりかねない。 そんなことがあっては困るため、休憩返上して脱出手段を探している。 この私が、全てが終わってあのクソピエロどもも対主催も撤収してから最後にタイミング悪く出てくる? それだけは絶対に許されない。だから何が何でも今脱出してやる。 乱入のタイミングさえ分かれば、休憩はいくらでもできる。だから今は休まない。 神(ryの必死の努力にも関わらず、脱出方法は分からない。それっぽい道具も説明書も無い。 情報改変を駆使しても脱出できそうな穴はこじ開けられない。 「あああああぁぁあああAAAAA!!!もうなんで脱出できないのよッ!」 苦し紛れにDMカードを展開する、三人寄れば文殊の知恵というかは定かではない。 「ここは……?」 「どこかの、閉じた空間?」 「能書きはいいわ、どうでもいいから脱出する方法をさっさと考えなさい」 「しかし主、この空間はかなり強力な魔術礼装です。そう簡単に破れるような物とは思えません」 「この役立たずッ!」 神(ryはセイバーを思い切り蹴飛ばして吹き飛ばす。 そのままマウントポジションを取り、殴る、蹴飛ばす、吹き飛ばすなどやりたい放題だった。 まるで、その場に閉じ込められたストレスを解消するいいスパーリングだとばかりに。 それを見かねたBKMGがおずおずと口を開く。 「あの! ……この空間を切り裂いて脱出することが出来るかもしれません」 「本当!じゃあさっそくやりなさい!」 先ほどまで殴りつけていたセイバーを放り出し、BKMGのほうへと近寄る。 「バルディッシュ・アサルト、Zamberform!」 巨大な大剣へと変化したバルディッシュを振り上げ、BKMGは呪文を紡ぐ。 「スプライトザンバー!」 大剣が何も無い暗黒へと突き刺さる。 チリチリと音を立てる空間を見て、かみ(ryはおおっと声を上げる。 しかし、スプライトザンバーの健闘も空しく、空間にヒビのようなものが刻まれただけで終わった。 「もう一度やりなさい」 かm(ryは冷徹に言い放つ。 「いえ、でももうこれ以上は……亜アアアアああああああアッッッッ!!!!!!!」 できない、その言葉を紡いだ瞬間に神(ryはBKMGを食らった。 少女の華奢な胴体は異形の神の児戯によって抉れ、見るものの目を背けさせる光景となっていた。 「役…むしゃ……立たず……むしゃむしゃ……ねぇ。ふぅ……。 それなら、代わりに私がやってあげるわ、感謝しなさい」 「か、感謝って……」 「こんなので使えなくなるカードより、私が食べて使いこなした方がよっぽど有意義だわ」 そして、頭から齧り付いた神は、むしゃむしゃと音を立ててBKMGを食べつくしてしまった。 何も無い空間で輝く金髪だけが、そこに少女が存在したことを物語っていた。 セイバーは、ただその光景を見つめることしか出来なかった。偶像、すなわちカードの身である自分の境遇を呪った。 「たしかこうだったかしら、バルディッシュ・アサルト、Zamberform! スプライトザンバー!」 光の大剣ががつんがつんとヒビを叩く。 そのたびに空間が弾ける音が響いていたものの、脱出するだけの大穴は開かない。 そうこうするうち、疲れたのかバルディッシュの展開をやめた。 「あー、運動したらお腹すいた……。ちょうどいいから、役立たずを食べて補給でもしようかしら」 神(ryの冷徹な目線を受け、セイバーは畏怖する。 食べようなどという仮定形ではない、あれは明らかに食べる気だ。 全力で抵抗したくても、抵抗することはできない。 なんとしてでも、生き残らなければいけなかった。 「主よ、この笛です、この笛から何かの魔力を感じます!」 「苦し紛れに何?そんなに私に食べられたくないの?」 「とにかく、吹けば何かの効果が出ます、吹いてください!」 「そこまで言うなら吹いてあげようじゃないの」 そうして神(ryは笛を吹く。 何も起こらないと思い、目線をセイバーに向けたと同時、竜巻がやってきた。 そして竜巻は両者を飲み込み、どこかへと飛び去った。 ◆ ◆ ◆ 「メインコピュンターはどこだっていう!」 KASは城内を⊂二二二( ^ω^)二⊃と爆走する。 城内にゆとりどもの姿が殆ど見えないのは気になったが、それは放送のお陰で予想が付いた。 あのピンクの悪魔がやってくれたのだ、ならば遠慮することは無い。 余計なことに気を取られず首輪をとっとと解除し、どこかにいるみんなと合流しなきゃいけない。 オペーレタ達に大体の場所は教えてもらったとはいえ、意味の無い部屋やゆとりたちの休憩室ばかりだった。 そのたびにとりあえず逃げて巻いてきたものの、少しながらまだ追手はいる。 というわけでいつものように十字路をうまく使い霍乱して……。 と、そこへ声がかかる。 「KASだろう?こっちだ」 「ん?おまえは?」 思い切り踏みとどまって後ろを振り向くと、そこにはオペレーターらしきデジモンがいた。 その声と手招きに誘導され、とりあえず進んでいった。 その一室、カードキーで封鎖された扉の中に案内された。 そこには、オペレーター室よりも巨大なコンピューターがそこにはあった。 「これは……」 「お前が探してたメインコンピューターだよ。話はあいつらから聞いた。 その首輪を解除してやるよ」 「……いいのか」 KASは一言を探る。どうして今頃協力的な姿勢を見せるのか。 これも、あのオペレーター室の事件の影響なのか、図りかねていた。 「別に何もする気はねぇよ、どうせマルクたんは全員相手する気みたいだしな。 なら、そんな力を縛る首輪みたいな物は不要。逃げ出す気もさらさらないようだからな」 「本当にいいのか!?」 「いいに決まってるさ、まぁ俺達としちゃ、魔術と超技術の粋を凝らし、"作ってみた"首輪をタダで外すのは癪だけどさ。 俺達だってKAS、お前のことはそんなに嫌っちゃいないんだ」 「恩に着るっていう!」 メインコンピューター担当のデジモンが謎の機器を首輪に取り付けると、プシュウと音がして首輪は外れた。 KASは自由になった首元を確認し、喜びの舞を踊る。 「それじゃ、いってくる!」 「ちょっと待ってくれ、一つ戯言を聞いちゃくれないか?」 「ん?言ってみろってんだどっこい!」 「……俺達はお前たちに死んで欲しくない、もちろんマルクたんもだ。 どうにか、俺達が戦わずに済む道は無いのかねぇ……」 「……」 KASは歩みを止め、その言葉を黙って聴く。 顔を上げると、そこにいるデジモンたち全員に言う。 「……それぐらい楽勝っていう!TASでもできないのが和解なら、俺はそれをやってやる!」 「そう言ってくれると思ったぜ」 「おう!」 そしてKASはメインコンピュータールームを飛び出していった。 残ったのはメインコンピュータールームのデジモン達だけだった。 「なぁ、本当にあれでよかったのか?」 デジモンの一人が呟く。 「あれでいいんだよ。俺達の仕事はKASの相手をすることじゃない。 このバトロワ動画の完成及び、メインコンピューターとその下にいるノヴァに危害を与えないようにすることだろ。 なら、わざわざKASの相手をする必要も無い。目的を果たしたら消えてくれるんだからよ」 「……それで、最後の一言は本気なのか…………?」 「さぁな、成り行き任せって奴だよ」 それで、会話は止まった。 メインコンピューターの処理リソースをほぼ消費して作っているバトロワ動画はもう完成寸前だ。 その最後の盛り上げどころに、首輪は要らない。ただ黙って成り行きを記録するだけ。 メインコンピュータールームに選りすぐりのエリート達は、ただ自分の仕事を果たし続けるだけだった。 【クッパ城 メインコンピュータールーム/三日目・深夜】 【KAS@KAS動画】 [状態]:軽傷、右拳骨にヒビ、チビマリオ、知恵熱、首輪解除 [装備]:シルバースキン@真赤な誓い、洞爺湖の木刀@銀魂、レムーのリボン(バンダナ)、首輪探知機(残り電池80%)@バトルロワイヤル、M1911A1@MGS3残り弾数(6/7) [道具]:カロリーメイト@大塚製薬、USBフラッシュメモリ@現実(8GB) [思考・状況] 1.首輪も外したし、みんなを探す 2.あのデジモンの為にも生きて帰って、最高のKAS動画を作る 3.このクソゲーをぶち壊して主催を土下座させても、悪い奴以外全員生き返らせたりはできないってことなのか? うーん……わからん 4.レムーはきっとみんなと来てくれる! 5.閣下の分も生きる。絶対に生き残る 6.あのカード、どこ行ったんだろ? 7.笛が気になる。 あれがもう一本あればボスの所まで行けるはず……って既にここじゃねーか! 8.なんであんな所に孔明の罠があったんだ? ※ニコニコ動画に関する記憶が完全に戻りました。 ※涼宮ハルヒ、永井博之が放送前に死んだと勘違いしています。 ※メインコンピューター室の下にはノヴァがあります ◆ ◆ ◆ 「日吉よ」 「ピヨ君」 「んっ……ここは……」 日吉は自分を呼ぶ声で目を覚ます。 ここではないどこか、ふわふわと漂うそこがどこか分からなかった。 アナゴに敗北して死んだのかとさえ、気が回らなかった。 ただ、声の主は分かった。 愛弟子のチビ助と、あのデブ助野郎だ。 「お前はKIに頼りすぎている、お前の技を信じろ。 世界最強の球技TENINUの極みは、ここで終わったりはしない」 「そうだよピヨ君! 私に教えてくれたボブ術があるでしょ!」 「お前ら……」 日吉はその言葉を噛み締める。 そして唐突に理解した。この二人が何を言いたいのかと。 「今分かったぜ、新しい無我の扉がよ……」 「それでいい、こんなところで負けてはならん、日吉よ」 「ピヨ君、お別れを言えなくてごめんね、私はもう大丈夫! 精一杯、頑張ってきて!」 そして、夢か死か、その泡沫は日吉の視界から消え去った。 ◆ ◆ ◆ 「もう一度いいます、ピエモン様。マルク様と仲直りしてもう一度頑張りましょうってヴぁ」 「アイス……デビモン……」 ピエモンは迷っていた。何故ここまでアイスデビモンは自分に対して関心を示すのか。 アイスデビモンは自分を始末しに来た裏切り者ではないのか。 それとも、マルクに逆らえなくて嫌々付き合っているだけなのか。 「アイスデビモンよ、お前は私とマルクのことをどう思っているのだ? 正直に話してほしい」 「はい!マルク様もピエモン様もコイヅカさんもみんな大事な上司ですってヴぁぁああああああ!!!!」 そう来るか、結局こいつはマルクの次にピエモン。 ピエモンが一番ではないのだ。あくまでマルクが一番と言い張っているようにも見える。 しかし、本当にそうなのか? こいつだけは、自分のことを一番良く分かってくれるのではないか。 それに今更裏切ってどうする、マルクの真意がつかめない今ノコノコと舞い戻るとする。 当然それぐらいマルクは知っている。ノヴァ引渡しの契約を反故にした上、対主催の相手をさせられる可能性もある。 それでも裏切り者に対しての扱いは寛大そのものともいえる。だが、それで世界征服の野望はうまく行かないだろう。 アドバンテージを持っているのは常にマルク、今裏切るということは再びマルクの手中にわざわざはまり込むというようなもの。 しかし、裏切らなければ死が待っている。マルクは始末したいが、死ぬわけには行かない。 答えは出ない。 嘔吐物を全て吐き出し、ようやく一息ついたつかさだった。 しかし、立ち上がる気力は無かった。あんな化物に勝てっこない。 逃げ出したい、でも逃げたくない。逃げられない。 震える足と、みんなを見捨てたくないという思いとの天秤が、結局その場に留まることを選択させている。 何も出来ない自分が不甲斐なかった。戦う価値も無いと呼ばれた自分の姿が嫌だった。 でも、何も出来ない。 誰も動かない、一言も発さない。 その局面で最初に動いたのは―― 「ことのはさん!」 「イアイギリ」 倒れたはずのことのはが、気合の鉢巻を巻いてアナゴに立ち向かう。 だが、その程度屁でもないとばかりにアナゴはジェノサイドカッターで応戦する。 ことのはは吹き飛ばされ、滑走路に叩きつけられる。 しかし、それでもまだ諦めてはいなかった。 「ことのはさん!駄目、逃げて!」 「ツカサ、バイバイ」 ことのははつかさを最後に一目だけ見た。 自分はもう助からない、気力だけで立っていると。 そしてその力の源がオクタンから託された最後の贈り物、気合の鉢巻のお陰であるということに。 ことのはがこれからやることを無事成功させた場合、もう愛しのmと再開できないと分かっても、逃げるわけには行かなかった。 結果的に妹、やよいを見殺しにしてしまった自分に罪滅しができるとしたら、それは今しかない。 私の命を賭けて、こいつを倒す。 運命を打開する少数派の一人として、私は絶対にこんな奴には負けたくないッ! 「の ろ い」 体力はもう無い、だからリスクも無い。 死ぬのは最初から分かっている。だから気合が保つ今のうちに……。 ことのはは、自分の体に勢いよく五寸釘を突き刺した。 「シンジャエ」 最後に呪いの言葉を呟いて、ことのはは倒れた。 「ごと……のは……ざん…………」 「ふん、自分から倒れるとは滑稽な、って……ぬあああああああああ」 アナゴが苦しみだした。 それも無理も無い、のろいは半永久的に体力1/4を削り続けるわざ。 アナゴの体力が大きければ大きいほど、のろいの効果は大きいッ! つかさはもう立ち止まらなかった、ここで自分が立たなければ誰が立つ。 自分しかいない、自分だけでも、ここでみんなの代わりにアナゴを倒す。 つかさはIPODをセットし、SIG P210を構えようとする。 そこへ、ピエモンが一言を発する。 「つかさ! 赤とんぼだ!赤とんぼをその笛で吹け!」 「えっ、ええっ!?」 何を言っているのかよく分からないが、とりあえず笛を吹く。 ゆうや~けこやけ~の、あかと~んぼ~♪ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 時系列順 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 投下順 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 竜宮レナ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 柊つかさ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 武藤遊戯 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 日吉若 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 ピエモン sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 アイスデビモン sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 博麗霊夢 sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 カービィ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 マルク sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 KAS sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅱ ――魔王穴子戦 涼宮ハルヒ sm230:第二次ニコロワ大戦Ⅳ ――巨人の目覚め、そして
https://w.atwiki.jp/niconico3nd/pages/471.html
ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo 「光写真館にいつまで居ても始まりません。ここは市街地の方へ行ってみませんか?」 海東の提案に反対するものは誰もいなかった。 星君、ムラクモは元より、早苗もケンやリュウセイ達と合流するには、人の多い場所の方が良いと思い賛同する。 よって四人は準備を済ませ、そして光写真館を発とうしたその時だった。 「問題かも大変かもヤバイかも♪問題かも大変かもヤバイかも♪」 三羽のやかましい鴨が窓を破り光写真館へと飛び込んできた。 「え? 鴨、一体どうし―――」 その鴨たちは口調とは裏腹に、非常に怯えた助けを求める顔をしているように早苗には見えた。 鴨たちの体が膨れ上がり、破裂する。 爆弾を仕込まれていたのかとムラクモが警戒するが、それは爆弾などという兵器ではなかった。 人でもなければ獣でもない。鴨たちの体を食い破り出てきたのは、海魔。 触手をうねらせ海魔達は海東たちへと襲い掛かる。 「ウェイ!」 「電光機関解放!」 星君は金属バットで、ムラクモは電光機関を使い海魔達に応戦していく。 だが、いくらいそう階級は低いといえども、金属バットごときでは海魔はそう簡単には倒せず ムラクモは本来の力を出し切れず防戦一方。 早苗も弾幕を撃ち援護するが三体も相手では不利だ。 「仕方ありませんね。―――変身」 グレイブバックルから、四角いカードのようなビジョンが飛び出すと、それは海魔の触手を弾く。 海東は走ってそのビジョンを潜り抜ける。 潜り抜けたその先には、海東純一ではなく仮面ライダーグレイブの姿があった。 形成は逆転。いわば怪物退治のスペシャリストである仮面ライダーが相手では如何に海魔でも手も足も出ない。 「試してあげよう。お前たちの力を」 「ウェヒヒヒ、じゃあ試されてあげる」 グレイブのボディに衝撃が走る。 見れば目の前にはフリフリした衣装に身を包んだ少女と、同じくフリフリの衣装を着た見覚えのある男がいた。 「これは一体どういうことでしょう?」 「あんたが海東でしょ? ケン君を襲ったというのは分かってるんだから!」 「何?」 続けざまにフリフリ衣装を着た男、さやかは剣を振るいグレイブへと斬りかかる。 しかし初撃では不覚を取ったが、二撃目からはそうもいかない。 さやかの剣撃を同じく剣の形をした「グレイブラウザー」で受け止めた。 (あの男は殺したはずだ。それにこの姿、剣はあの少女の……どういうことだ?) 「ああああああああ!!!」 「くっ」 海魔とは比べ物にならない強さだ。 更にまどかも後方から援護し二対一の状況。 海魔にまで手が回る状況ではない。 「皆さん、何とか撤退して……ぐわっ」 「海東さん!」 早苗も海東の援護に向かおうとするが海魔に遮られる。 何より、早苗には一つ引っかかる事があつた。 『ケン君を襲ったというのは分かってるんだから!』 あの乱入者は何故ケンのことを知っていたのか。 その言葉が本当ならばケンは……。 (いえ、それよりもまずはこの場を何とかしないと!) 海魔に苦戦しながら星君、ムラクモは舌打ちをする。 間違いない。海東はしくじった。 あのフリフリ衣装の男の言っていたことから、推測すればすぐに分かる。 事態が事態だからか、問い詰めこそしていないが、早苗も既に勘付いていてもおかしくない。 ならばもう、早苗には用はない。海東がクロだと分かればどっち道、自分たちもかなり怪しまれる。 あの時、遊星にケンが飛び出して行った事を信じさせるために、口裏さえ合わせなければと後悔するがもう遅い。 今は、どんな手を使ってでも生還することが優先だ。 (ムラクモ、分かってるだろ?) (ああ、癪に障るがここは撤退が一番だ) 幸い、自分たちの相手は海魔だけだ。 その動きには規則性が少なからずあり、人間並の知能を持った相手との戦闘に比べれば逃走は図りやすい。 「僕の動きに合わせろ」 「良いだろう」 もう何度目になるか分からない海魔の触手の攻撃。 星君が思いっきりバットを振りかざし触手を払う。 そして触手が払われ、ガードが手薄になった本体へムラクモの拳が突き刺さる。 電光機関の力を借りた拳は海魔を突き抜け、気色の悪い体液を撒き散らしながら貫通した。 「よし! 今だ!」 仲間が一体殺され僅かに海魔達が狼狽えたその隙に星君とムラクモは全力で駆け逃走を図る。 だが、その足元に光線が発射された。 この光線には見覚えがある。忘れるはずもない、星君の仲間を何人も葬り去ってきたあの憎き怨敵のもの。 「見つけたぞ! 星君!」 「チャージマン研か!」 最悪のタイミングで最悪の奴が現れた。 星君はそんな自分の運の悪さに呆れてしまった。 「早苗、無事か!? それになんだこの騒ぎは!?」 「遊星さん!」 研に遅れてデルタイーグルから飛び降りる遊星。 もうかつての光写真館は面影もなく、無残に戦闘の余波で破壊されている。 「さやか? あれはさやかか!」 「え? 何で遊星さんが!」 (腹パン) 「があっ!?」 別の方向へ気を取られているさやかにグレイブは腹パンを食らわせる。 たまらず、さやかは吹っ飛ばされた。 更にまどかが放つ弓矢をグレイブラウザーで弾きながら下がる。 「ご無事でしたか、遊星さん」 姿形が変わっているが、声でそれが海東だと遊星は判断した。 これが仮面ライダーとやらの姿なのかもしれない。 「何がどうなっているんだ一体?」 「彼女らが、襲ってきたんです」 「でも、あの男の人、ケン君がどうこうって……」 「なんだって?」 遊星と早苗の疑いの目は海東へと向く。 さてどうしたものか。 「これには事情があります」 「信用できないな。お前、本当はケンをどうしたんだ?」 その疑いは確信に近い。 少なくとも遊星は海東が、どう言おうと信じる気は更々なさそうだ。 (困りましたね。身を潜めるつもりでしたが……) 大幅に計画がずれてしまった。 こんな事なら、もっとよくケンの死を確認すべきだったかもしれない。 完全に自分のミスだ。 「死んで貰うしかないな。お前ら全員」 「お前、何を―――」 その声は今までとは全く違う、背筋が凍りそうなほど冷たい声。 海東はティバックへと手を伸ばす。 何かすると気付いた遊星が止めようとするが、足で腹パンされ吹っ飛ばされる。 「こ、のおおおおおおお!!!」 先ほど腹パンを喰らったさやかが痛覚を遮断し、痛む体を無理やり動かす。 ともかく事情は分からないが、海東を止めた方が良いことだけは分かった。 手放した剣を再構築し、そのまま海東へと剣を振りかざす。 だが、その時 「案外、思ったよりも私は人望が厚かったようですね」 仮面の下で海東は笑っていた。 ――――― デルタイーグルで光写真館に辿り着いた時、もうすでにその場は戦場になっていた。 真っ先に研が飛び降り、その宿敵を見つけると一目散に駆けて行く。 続いて遊星が降り、イカ娘にシャーロックを頼むと言って早苗の元へ走る。 こうして光写真館の外で、二人は遊星たちを待つこととなった。 「貴方たちも彼らの仲間ね」 少女の声が響く。 いや、少女というよりその姿は異様な程の大男で、その肉体は丸太のように太い。 声だけが少女だ。 更に犬耳を生やした少女にバイクスーツを着た男。 犬耳はともかく男の方もかなり厄介だとイカ娘は覚る。 「一体、何でゲソ?」 「悪いけど、邪魔してもらっては困るの」 少女、ほむトキが駆けその剛腕をイカ娘へと放つ。 イカ娘は触手を盾代わりに、それを受け止めながらも衝撃を殺しきれず後退。 狙い撃つかのようにバイクスーツの男、ギルガメッシュの投擲した石がイカ娘の足を貫通する。 「げ、ゲソ!」 痛みで頭が真っ白になるイカ娘に止めを刺そうと、ほむトキが手刀を刺すがイカ娘は辛うじて回避。 ほむらはギルガメッシュへ一瞥し石を投擲するよう合図を送る。 だがギルガメッシュは退屈そうに欠伸をしているだけだった。 「何をしているの!? こいつらがまどかの邪魔にならないように殺さないと!!」 「飽きた。そんなすぐに殺しては、あまり面白味がない。 そんなイカ一匹、お前一人で仕留めろ。少し我を楽しませるが良い」 「何、馬鹿な事を……!!」 「おいグレーテル、 ヨツンヴァインになれ。あくしろ」 「え?」 ギルガメッシュは横でオドオドするグレーテルをヨツンヴァインにし、その背に座り込むと酒を取り出しのんびり飲み始める。 完全に見物モードへと入っていた。 ほむらは舌打ちをしいずれ殺してやると心の中で毒づく。 逆にイカ娘はチャンスだと、あの気紛れな王様に感謝した。 (シャーロック、悪いけど私一人じゃ限界があるでゲソ。 誰か応援を呼んでくれなイカ?) (分かりました。すぐ遊星さんか海東さんに知らせてきます) イカ娘がシャーロックに耳打ちをしそれに答え、急いで応援を呼びに走るシャーロック。 ほむらは行かせまいと、手を伸ばすがその先をイカ娘の触手が遮った。 「邪魔を、するなああああ!」 「こっちの台詞でゲソ!」 ――――― 鈍い感触がさやかの手に流れる。 それは何かを斬った時の感触だ。特に魔女の体や触手なんかを斬った時に近い。 ただ違うのは、赤い鮮血がさやかの顔を濡らし、一人の少女が苦痛に染まった顔をさやかに見せている。 それだけだった。 「ぁあっ……」 声が上手く出ない。 自分は、何をしでかしたのか理解するまでに時間がかかる。 「シャーロック!!」 遊星の叫びが頭の中に響き渡る。 ああ、そうか。私は……。 海東の手から、血に染まったシャーロック・シェリンフォ―ドが手放された。 もう声を出す力もないのかその小さな体はぴくぴくと震え、その眼はどうしてと訴えているようだ。 その表情が、さらにさやかの心を抉る。 「良い剣だ。感動的だな」 さやかは溜まらず膝を付き、顔を俯かせる。 海東に斬りかかった時、海東はイカ娘の応援に来るよう伝えに来たシャーロックを掴み盾にした。 さやかはその攻撃を止めることができず、その何の罪のない少女を斬り殺した。 「だが無意味だ」 海東はティバックからソレを取り出した。 支給品としてはあまりにも規格外のソレを。 「私はお前に感謝しているんだ。私はお前のおかげでコイツを取り出せた。今度は私がお前を救ってあげよう」 ただし死という形でな。そう海東は心の中で付け加える。 物理法則を無視し、飛び出してきたのは巨大な戦車だ。 光写真館をその大きさで内部から破壊しながら、その戦車は光線を無差別に放つ。 壁はもちろん、天井も床も光写真館という建物そのものが光線により瓦礫と化し、降り注ぐ。 「早苗、こっちだ!」 「はい!」 光写真館から脱出しようと早苗の手を引こうとする遊星とその手を握ろうとする早苗。 (腹パン) 「うっ……」 しかし、その早苗の腹部に強い衝撃が走り、遊星の手を握る前に意識が飛ぶ。 早苗の腹にパンチ叩き込んだ海東は、ぐったりと倒れた早苗を海東が抱き抱えた。 「海東、何の真似だ!」 「申し訳ございません、このような誘拐で」 追おうとする遊星だが瓦礫と戦車に阻まれ進むことができない。 海東はそのまま姿を消してしまった。 「くそっ」 何とか光写真館が崩れる前に飛び出せた遊星。 イカ娘と戦っていたほむらが、手を止め驚愕の表情で遊星と光写真館を見る。 ただ一人、ギルガメッシュは笑いながら楽しそうに酒を飲み、グレーテルは椅子のままだったが。 「な、何でゲソ? ただごとじゃないじゃなイカ?」 「まどか、まどかああああああああああ!!」 叫びながらほむらは倒壊した光写真館の瓦礫に飛び込んでいく。 もし、あの下にまどかが生き埋めになっていたのだとしたら? そうだ早く掘り出さなければ。 まどかは寂しがり屋だ一人になんてさせておけない、早く助けなければ。 ほむらにまともな思考はなく、焦りとまどかを失う恐怖心だけがほむらを突き動かす。 「戦車は。……消えている?」 瓦礫の山から海東の取り出した戦車は姿を消していた。 恐らく、全員殺せたと考えた海東が再びティバックに入れ持ち去ったのかもしれない。 「シャーロック……」 ほむらの横で、同じように瓦礫を退け遊星はシャーロックを探す。 イカ娘も遅れて触手で手伝う。 あの出血量では助かっていないだろうが。それでも死体だけはちゃんと埋葬してやりたかった。 「あまり、面白い見世物ではなかったな」 落胆した様子でギルガメッシュは呟く。 あの巨大な戦車が現れたまでは盛り上がったが、それ以降はろくに面白味がまるでない。 そんな瓦礫を掘るだけでは、まったく娯楽にもならない。 何より、もっと期待していたものが見れないのが実に腹正しい。 こうなれば自分が盛り上げてやろうとギルガメッシュは考える。 ついでに、首輪のない蟹頭に聞きたいこともある。やっとギルガメッシュその重い腰を浮かせた。 「……何?」 その瞬間、胸に空洞が出来ていた。 「ぐ、まさ、か……」 ピンク色の矢のような物が奔りギルガメッシュの胸を貫く。 そこまでグレーテルは理解できた。 だが、その後。胸の空洞から触手が生え始めたという現象に、既知感と驚愕が入れ混じった感覚を感じる。 海東達を襲撃する際、ティバックの中で騒いでいた浜口優かもをまどかに無理やりひったくられ、海魔にされたときと同じ光景。 「貴様、よもやそこま、ガ――!!!???」 英雄王の肉体は完全に食い尽くされた。 「ほむらちゃん、そいつら殺すから手伝って!」 まどかの声が聞こえる。 上空からだ。 瓦礫の下ではなく上空にまどかは浮いていた。 とうの昔に、あの倒壊から逃れていたのだ。 「まどか!」 「ウェヒヒヒ、参加者を媒介にした海魔はかなり強いと思うよ?」 まどかは確かに支給品よりも参加者を媒介にした海魔物非常い強力だ。 その大きさも先の戦車の倍はある。 まどかは知る由もないが、ギルガメッシュの魂は並のサーヴァント以上のもの。 ゆえに、ここまでの海魔を生み出してしまった。 もしギルガメッシュがまどかに興味を示さなければ、こんな目には合わなかった。 もしギルガメッシュが、最初からやる気があればあんな矢などかわせていたかもしれない。 何にせよ、この殺し合いの英雄王の物語はここで終わってしまった。 【ギルガメッシュ@Fate/stay night】 死亡 海魔はその巨体を以てして遊星たちを押しつぶそうとする。 僅かに動いただけで足元にはクレーターのような窪み、島中に轟きそうな地響き。 ただの人間の遊星はもちろん、イカ娘でもあんなものに潰されては一たまりもない。 遊星はデルタイーグルに飛び乗り、イカ娘は自前の身体能力で回避し海魔から距離を取る。 「まずい。どうすればいい!?」 その海魔を倒すには、あまりにも遊星たちには装備が無さすぎる。 せめて、リュウセイ、アルセーヌ、研が居れば話は別だが。 今この場で戦えるのは遊星とイカ娘しかいない。研は光写真館の倒壊から姿を見失っている。 「何か弱点があれば」 海魔、そして上空からのまどかの弓矢を避けながら遊星は推察していく。 まずあの海魔はイカのようなタコのような姿をしている。 ならば、炎に弱いのではないか? だが試そうにも、あんな巨体を燃やし尽くす程の炎なんて調達できない。 レッド・デーモンズ・ドラゴンが使えるのならあるいは。 だがそのレッド・デーモンズ・ドラゴンも使用制限により今は召喚できない。 「まどかに命を差し出しなさい!!」 「しまっ―――」 デルタイーグルに強い衝撃が走り、デルタ―グルがクラッシュする。 勢いに乗せられたまま遊星は放り出され地面を転がる。 「逃げるでゲソ!」 イカ娘が大声で遊星に叫ぶ。 遊星が吹っ飛ばされた先にはあの海魔が迫ってきていた。 体を強く打ち付けた為か、逃げようにも体が思うようにいかない。 救出に向かおうするイカ娘だが、ほむらの巨体が遮る。 「俺は気にするな、お前一人で逃げるんだイカ娘!!」 この場で遊星が死ねば残りはイカ娘ただ一人だけだ。 イカ娘と殺し合いに乗った二人、そしてこの化け物。どうなるかは考えるまでもない。 ならばせめてイカ娘だけでもの逃げて、リュウセイ、アルセーヌと合流した方が良い。 遊星は覚悟を決め、目を閉じた。 「なんで……」 まどかの乾いた声が、その場に居た全員の心境だった。 結果として海魔が遊星を殺すことはなかった。 その動きを無理やりに引き留められ繰りそうに呻いている。 「遊、星さん……」 「シャーロック!?」 瓦礫が浮遊し退けられていく。 手も使わず軽々とそんなことを行える人物などただ一人しかいない。 シャーロック・シェリンフォード、ただ一人だけだ。 「トイズ、戻った……みたい、です……」 もっともその命は尽きかけている。 さやかに斬られた傷は未だに血を吹き続け、口からは何度もせき込みながら血を吐いている。 おそらくは、このトイズの使用の負担も重なっているのかもしれない。 「シャーロック! やめろ!!」 「遊星、さん……私が止めている内に……」 逃げろと言いたかったのか。 けれども、傷口の激痛からかそれは紡げない。 残った最後の力を振り絞り、自分のディバックを遊星へと投げる。 この中には、権兵衛の残したメモが入っている重要なファクターだ。遊星に渡すことで何かあるかもしれない。 最後にまた大きく血を吐く。 その時、シャーロックの中で何かが途切れたような気がした。 何か大事な命に直結する何かが。 ――――権兵衛さん、早苗さん、リュウセイくん、勝治くん、遊星さん ごめんなさい。みんなが支えてくれたけど私は死んでしまうみたいです。本当にごめんなさい。 でもリュウセイくん、早苗さん、遊星さんならきっとこんな殺し合い壊してくれるよね。 ――――ネロ、エリーさん、コーデリアさん、アンリエット会長。 ミルキィホームズの事はお願いします。みんななら大丈夫だと思うから。 ――――小林先生。 私、先生みたいな探偵にちょっとでも近づけたのかな……。 【シャーロック・シェリンフォード@探偵オペラミルキィホームズ】 死亡 「あーあ、あの屑ガキほんと邪魔だったなあ。死んでせーせしたけど」 海魔の動きが戻っていく。 シャーロックのサイコキネシスの拘束が緩み、再びその身は自由となった。 早く逃げなければ踏みつぶされるだろう。 だが、そんな事はどうでも良かった。 今あの女は何と言った? 「屑だと……?」 屑と確かに屑と言っていた。 海魔が迫る。だが関係ない。 遊星はそこに立ち尽くし、まどかを睨む。 「屑でしょ? あんなガキ」 悪びれる様子もなくまどかはあざ笑う。 「クズ、クズ、クズ。ウェヒヒヒ、何度でも言ってあげる」 「何度も何度も屑とばかり…他に言葉を知らないのか?」 シャーロックとは決して長い付き合いだった訳じゃない。 通算すれば数時間も一緒にいないかもしれない。 だが彼女の強い意志と、その信念は痛いほどに伝わる。そんな誇り高い少女を侮辱されたまま、終われる訳がない。 「お前なんかにシャーロックを貶されてたまるか!!」 シャーロックのディバックが投げられたとき、確かに感じていた。 確証はないが確信はある。この中に切り札が入っていると。 ディバックを開け、取り出せたのは二枚のカード。 (シューティング・スター・ドラゴン、駄目だ。今は使う事が出来ない。だが―――) 非常に強力なカードだがそれ単体では使用できない。 スターダストドラゴンの強化形態でもある為、そのスターダストドラゴンがなければ召喚不可能だ。 だがもう一枚は違う。 「集いし願いが新たな速度の地平へ誘いざなう。 光さす道となれ! シンクロ召喚! 希望の力、シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロン!」 遊星の口上に導かれるようにカードの絵柄が実体化しモンスターが現れた。 「そんな雑魚で私の海魔が倒せるわけないじゃん」 まどかは鼻で笑う。 フォーミュラ・シンクロンは凛々しい目をしながらもその姿は小柄でミニカーのようだ。 どう見ても海魔に勝てる様子はない。 「それはどうかな?」 フォーミュラ・シンクロンがその召喚に成功した時、カードを一枚引くことができる。 麗華からレッド・デーモンズ・ドラゴンを譲り受けたとき カードが実体化することを聞いていた遊星はモンスターの効果もある程度再現されると考えていた。 その考えは当たっていた。 本来ならばシンクロ召喚に成功した時限定だが、それはこの殺し合いにおいて実体化もシンクロ召喚として扱われる。 支給品として出す際、主催側が施した特殊な裁定だ。 そしてそのカードは本来のデュエルならばデッキ(山札)から引くことになるが、この殺し合いにデッキは存在しない。 故に、そのカードは支給品の予備軍よりランダムの使用者の元へと送られるシステムになっていた。 遊星の手に新たなカードが握られる。 「俺の引いたカードは―――死者蘇生!!」 参加者は蘇らせることが出来ないが、墓地に送られたモンスターを蘇らせる強力なカード。 「蘇らせるのは―――」 再び、王者の鼓動が今ここに列をなす。 天地鳴動の力を纏い、そのドラゴンは墓地より舞い戻る。 「レッド・デーモンズ・ドラゴン!」 王者の咆哮だけでその海魔は怯む。 格が明らかに違う。本能的に海魔は理解していた。 これは自分よりも上の食物連鎖の頂点に位置するのだと。 今、殺される側に居るのはこの自分自身なのだと。 「ちょっと、何よ……何で動かないの!!」 こんな、こんなところであんな訳の分からないドラゴンに邪魔されてたまるか。 もうこんな化け物には頼らない。自分自身で遊星を殺す。 まどかは上空から遊星へと急下降し弓矢を向ける。 「お前の魂、借りるぞジャック。―――灼熱のクリムゾン・ヘルフレア!!」 レッド・デーモンズ・ドラゴンから放たれる灼熱のブレス。 「駄目、逃げてまどか!!」 ほむらの叫びも空しく、その灼熱はまどかを包み込む。 「熱い、熱い、熱い熱い熱い熱い熱い!! ほむ、らちゃ……」 「待っててまどか私が……!!」 海魔は蒸発し、まどかの悲鳴が炎に飲まれる。 ほむらはなりふり構わず炎に飛び込み。 それが遊星が見た二人の最後の姿だった ――――― 「どうやら、勝敗は着いたようですね」 海東は光写真館のあった場所に現れた海魔とドラゴンの戦いを離れた場所から見届けていた。 自分の戦車も大概だが、あの二体の生物も中々に厄介だ。 おそらく海魔はまどか、ドラゴンは遊星のものだろう。 早急に対策を練った方がいいかもしれない。 「とはいえ、私のグレイブバックルや電光戦車のように、使用制限を掛けられている可能性は十分にある。 あまり気を取られるほどでもないかもしれません」 それよりも、と海東は早苗へと視線を戻す。 彼女の扱いを考えなければならない。 もう、どう言い繕っても自分を信じはしない。 そもそも仮面ライダーというだけで、早苗が無条件で信じ込んでくれたのが奇跡に近かったかもしれない。 世の中には色々なライダーが居る。 その力をイライラ発散の為に使うものや。 ライダーの力楽しみだけで使う、薄汚いオルフェノクという怪人の仲間がいると風の噂で聞いたこともある。 どの道、自分は疑われていただろうと海東は開き直った。 「か、海東さん! あなた一体……!?」 「おや、もう目が覚めました」 これは意外だったと言わんばかりに海東は言う。 きちんとした拘束をする前に、目覚めるとは思いもよらなかった。 思った以上に、体がタフなのかもしれない。 (腹パン) バチィ 「いい目覚めだ。感動的だな。だが無意味だ」 腹に一撃お見舞いし、電磁サイリウムで止め。 ケンを殺しきれなかったことから、そう殺傷力は高くないのだろう。 早苗は再び気絶した。 「この電磁サイリウムは、早苗さんが私を信頼し譲ってくれたものでしたね。皮肉なものだ」 感情が篭っていない声で淡々と述べ海東は早苗の拘束を始めた。 もちろん猿轡も忘れない。 そして早苗のディバックの中身を確認し、それらを自分のディバックに移す。 空になった早苗のディバックに早苗そのものを入れ、そのディバックも自分のディバックへと入れた。 「貴方は人質になって頂きます」 グレイブバックルと電光戦車の力は一時的に失われ、仲間という利用できる駒がない以上。 海東には修羅場を切り抜けるカードが必要になる。 それが早苗だった。 「遊星が追ってきたとしても、あるいは他の連中が私を殺し合いに乗っていると知らされているとしても、早苗を盾に使えばそう手出しはできない」 しかし、ある意味このの切り札は、海東が追い詰められている事を示している。 海東はもし自分を知らない参加者と遭遇すれば、無害な参加者を装うつもりだ。 とはいえ既に殺し合いの参加者は半数を切った。 あの場に居た連中の数、更にあの場には居なかったがあの場に居た誰かと面識のある参加者。 そこまで考えると、完全に騙せる人間は殆ど居ない。 「私も追い詰められましたか。だがこれで逆にやりやすくなったとも考えるべきか」 元々、優勝を狙っていた以上殺し合いに乗った参加者がこれ以上戦力を増大させるのは避けたいところだった。 むしろさっさと潰しあって欲しいぐらいだ。 集団に紛れながら、海東はそのことに焦りと憤りを感じていたのも事実。 かえって、堂々と参加者を殺せる立場はそう悪くはないかもしれない。 「あの首輪を外した時は、あのまま主催を倒しても良いかと思いましたが。 やはり逆らうのは、危険すぎますからね」 ティバッグを担ぎ何処へ向かうか思案する。 出来れば共闘者が欲しい。生きていれば、星君やムラクモと合流できればすべきだろうか。 だが、一度犯したミスでこちらへの信頼は下がっている可能性は高い。 役に立たないと殺される可能性も高い。慎重に接触すべきか。 「とにかく、今は遊星に会わないことを祈りましょう」 【H-05/1日目・夜中】 【海東純一@仮面ライダーディケイド】 [状態] ( ^U^)申し訳ございません、このような健康体で。首輪解除 [装備] グレイブバックル@仮面ライダーディケイド(二時間変身不可)、電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER [道具] 基本支給品(一食分消費)、電光戦車@エヌアイン完全世界、外部AI@MUGEN(4時間使用不可) AT-4@魔法少女まどか☆マギカ、権兵衛の書置き(偽) VGカード『幸運の運び手エポナ』@カードファイト!!ヴァンガード、権兵衛の考察メモ 早苗の基本支給品 (一食分消費) [思考・状況] 基本:優勝して、元の世界を支配する。 0:取り敢えずここを離れる。 1:表向きは対主催と偽りたいが、恐らく人数的に完全に騙せないので殺しまわる事も算段に入れる 2:早苗はいざとなったときの人質兼盾。 3:何処に向かうかは検討中。遊星たちとは会いたくない 4:ノーリスクで殺人が可能な武器が欲しい。 5:星君、ムラクモとの合流すべきか? 念のために警戒はする。 6:グレイブバックルの制限は首輪とは別にかけられている様だが…。 7:ディケイドは死んだか… 8:AIを搭載した電光戦車は切り札。 ※「ディエンドの世界」編終了後からの参戦 ※鬼柳とさやかを死んだと思っています。 ※大変胡散臭い表情をしていますが、本人はそれに気付いていません。 ※グレイブバックルは一度使うと2時間使用不可になります。 ※電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER、AT-4@魔法少女まどか☆マギカを早苗から譲り受けました ※早苗のことは別の世界の仮面ライダー住民だと思っています。 ※権兵衛の書置きを偽造する為、支給品のどれかの説明書の端を破り取ったようです。 ※ブレイブバックルの制限は支給品として独立してかけられている為解けていません 【東風谷早苗@守矢一家コスプレ劇場】 [状態]軽傷、霊力消費(小) 首輪解除、腹部に(腹パン)の痛み、気絶 海東のバックの中で拘束中 [装備]無し [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針 殺し合いには乗らない。 0 …… 1 海東さんは……。 2 ムラクモを守りたい。 3 ケンくんはもしかして……。 4 北東から見えたあの光は……? 5 守矢の巫女として信仰を集める。 6 博麗神社は後で改めて訪れたい。 7 権兵衛さん… 8 \ / 9 ● ● この会場では常識に囚われてはいけないのですね! 10 " ▽ " ※海東を危険人物だと認識しました。 ※ムラクモはただのミリオタの少年だと思ってます。 ――――― 「倒壊に巻き込まれるのは二回目だ」 自嘲気味にムラクモが吐き捨てる。 同様に星君も大きいため息を漏らしていた。 光写真館倒壊時、なんとか二人は瓦礫に混じり研の追跡を撒く事に成功していた。 とはいえ、やはり二回も生き埋めにされかけるのは良い気分ではない。 ムラクモは複雑な心境だった。 「チャージマンから逃げられたんだし結果オーライさ」 互いに殺し合いに乗ってると分かったムラクモは、星君と共闘関係を結ぶことにした。 やはり、この弱体化した体で一人で殺しあうのに無理があると考えたからだ。 それに対し星君も同意見で制限は解けたが、残り三十人近くと一人で戦うのはごめんだった。 「どうする? また他の参加者を騙し紛れるか?」 「いや、チャージマン研が僕らの悪評をばら撒くに違いない。 何より、海東のミスで遊星たちは、僕らが海東と口裏を合わせたことを疑っているのも辛い。 奴の巻き添えで僕らも疑われているはずDA」 「では殺しまわるか?」 「それもナンセンスDA。 もっと利用できるものは利用しなきゃ」 星君が凶悪な笑みを浮かべる。 そこには、人の情というものがまるでない。 全く別の生命体と話しているようだとムラクモは感じた。 「私が、私が……殺したの……?」 フリフリ衣装を着た男がこちらへ走ってくる。 星君はそれを鼻で笑う。 とても都合が良い。あれは駒になると言いたげに。 「ねえ、提案があるんだちょっと」 静かに冷たく、だがはっきりと聞こえる声で星君は言葉を紡ぐ。 「君の間違いは、全てやり直せる」 「……え?」 その言葉は美樹さやかにとって何よりの救いだった。 「そう、みんな生き返らせてしまえばいいんDA」 ムラクモもまたさやかに気づかれぬよう、その無表情な顔に笑みを浮かべた。 【G-4/一日目・夜中】 【ムラクモ@アカツキ電光戦記】 [状態] 貧血、疲労(中)、ダメージ(中)、右足に刺し傷(処置済)、身体が十二歳程になっています 首輪解除 [装備] 六〇式電光被服@アカツキ電光戦記、十六夜咲夜のスカート [道具] 基本支給品(一食分消費)、マッド博士の整形マシーン、ポラロイドカメラ、 [思考・状況] 基本:主催も含めて皆殺し。 1:星君と一先ず組む。 2:海東とは合流すべきか、だが……。 3:無力な少年を装うのは難しいか。 4:怪我の回復にも専念する。 5:オリーブオイルはもう要らないか 6:もこみちざまあwwwwwwwwwwwww 7:早苗はいずれ殺す。 ※権兵衛の考察メモを読みました。 ※早苗が現人神である事、奇跡を起こす程度の能力の一部を知りました。 【星君@チャージマン研!】 [状態] 疲労(中)、首輪解除 [装備] 金属バット@現実 、キリン装備@モンスターハンター、地の石@仮面ライダーディケイド [道具] 基本支給品(一食分消費)、双子シグナーカードセット@遊戯王5D s、謎の白い液体@THE 世界遺産、王宮内で手に入れた食料と武器、フランクのカメラ@デッドライジング、 射命丸のカメラ(30/30)@東方Project、士のカメラ(30/30)@仮面ライダーディケイド、 射影機(30/30)@零~zero~、カメラのバッテリー@現実×2、十四式フィルム(30/30)@零~zero~×2、フィルム@現実(30/30)×3 カブドボーグとチャ-ジマン研のDVD、早苗のフィギュア [思考・状況]基本思考 母星や仲間のために殺し合いに乗る。 1 チャージマン研は最優先で抹殺する。 2 チャージマン研、遊星達、アルセーヌ(名前は知らない)を警戒(特にチャージマン研)。 3 これから毎日、不意討ちしようぜ! 4 さやかや他の参加者を利用し殺し合いを進める。 ※参戦時期は不明ですが精神病院の事は知らないようです。 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:鬼柳京介の肉体。まどかに発情、戸惑い 、混乱、精神的ショック(大)、シャロを殺した罪悪感 [装備]:さやかのソウルジェム(濁り:大)@魔法少女まどか☆マギカ [道具]:基本支給品、「スピード・ウォリアー」のカード@遊戯王OCG、 「くず鉄のかかし」のカード@遊戯王OCG、「???」のカード@遊戯王OCG、不明支給品0~1 [思考・状況] 基本:殺し合いをぶち壊して鬼柳の分まで満足する。 1:私が殺したの……? 2:みんな生き返らせる……? ※ショウさんの話を聞く直前からの参戦。 ※肉体は鬼柳京介のものになっています。 ※第一放送を聞き逃しました。 ※遊星、フランク達と情報交換しました。 ※まどか達と情報交換(嘘を含む)しました。 ――――― アルセーヌの到着はあまりにも遅すぎた。 遊星の乗るデルタイーグルの到着から、数分ほどの遅れであることは その足で走ってきたことから考えて、常人には真似できない恐るべき速力なのは間違いない。 けれども、全ては後の祭りだった。アルセーヌは当事者であることは出来なかった。 「シャーロック……」 その小さな亡骸を見て、アルセーヌは体に力が抜けていくのが感じた。 自らの宿敵であり、そして可愛い後輩でもあるシャーロックの死。 考えたこともなかった。ミルキィホームズの誰かが、シャーロックが死ぬなど。 何処かで期待していた。いや思い込んでいた。 いずれアルセーヌとトイズを取り戻したミルキィホームズが、その因縁にケリをつける決戦で対峙するのだと。 こんな、こんな幕切れなどある訳がないと。 「すまない。俺がもっと海東を警戒していれば……」 遊星はアルセーヌ不在時に起きた全ての事を話した。 直接殺したのはさやかだが、実質的に殺したのは他でもない海東純一だということ。 そして、シャーロック・シェリンフォードは遊星達を助けるために、最後まで戦い続けたことを。 「頑張ったわね。シャーロック」 マスクを外し、髪を下ろす。 今は、この時だけはアルセーヌではなく、アンリエット・ミステールとして。 シャーロックの亡骸を一度だけ優しく撫でた。 「あれ、一体何がどうなって……シャーロックちゃん!?」 瓦礫を押しのけ泉研が這い出てくる。 「研、生きていたのか……」 「何とか、さっきまでは意識を失ってたんだけど……。 それよりもシャーロックちゃんが、何てことだ!」 拳を強く握り締める。 自分が意識を失っていた内に一人の少女の命を失わせてしまった。 ヒーローとしてあるまじき失態。悔しさと後悔に身を震わせる。 「星君め許さないぞ!」 「違う。海東が」 「星君!!」 「……待て。ムラクモと星君は何処だ?」 そういえばと遊星は辺りを見渡す。 あの二人の姿が何処にも見えない。まさか瓦礫の下に埋まったままなのか。 「あの二人は逃げたよ。はっきりと僕は見たんだ。 追いかけて、滅ぼしてやらないと」 「逃げた?」 「間違いない。あの二人は殺し合いに乗っている!」 研の決め付けっぷりはどうかと思うが、確かにあの二人もそうとう怪しくなってきている。 警戒するに越したことはないだろう。 そういえばと遊星は辺りを見渡す。 あの二人の姿が何処にも見えない。まさか瓦礫の下に埋まったままなのか。 「あの二人は逃げたよ。はっきりと僕は見たんだ。 追いかけて、滅ぼしてやらないと」 「逃げた?」 「間違いない。あの二人は殺し合いに乗っている!」 研の決め付けっぷりはどうかと思うが、確かにあの二人もそうとう怪しくなってきている。 警戒するに越したことはないだろう。 「だが、あいつらの前に海東だ。 さやかも気になるが、あいつは早苗を攫った。何をするか分からない」 「いや、星君を抹殺するのが先だよ。ジュラル星人を生かしていいことなんて一つもないんDA!」 星君を早く追いたい研と早苗の救出したい遊星。 肝心なところで意見が食い違ってしまう。 「いえ私も遊星さんの意見に賛成ですわね」 「そんな、でも……。 分かったよ。じゃあ僕一人でも星君を倒して見せるさ!」 「待つんだ! 一人じゃ危険だ」 そう言うと研は星君を追うために駆け出した。 追おうとする遊星だが、変装した研とは身体能力が桁違いの上、早苗のこともある為、深追いできない。 「遊星、研のことは私に任せるでゲソ」 「イカ娘!?」 それを察したイカ娘が研の後を追う。 「大丈夫か二人とも……」 「あの二人もかなりの実力者です。大丈夫でしょう」 不安はあるがそれだけにかまっている場合じゃない。 遊星は転倒したデルタイーグルを立て直し、異常がないのを確認し始める。 「リュウセイはどうする? ここにくるまで待つか?」 「いえ、それでは遅すぎます。それまで早苗さんと言う人が無事である保障もありません」 「そうだな。あいつには悪いが、ここは早苗の方を優先しよう」 デルターイーグルを触りながら遊星はひとつ気に掛かっていた。 海東はアルセーヌにとってシャーロックの仇に当たる存在だ。 果たして、彼女は冷静でいられるかということ。そして、狡猾な海東がそれに気づかないかということ。 だが自分一人の戦力では、海東に勝てそうもないのも分かっている。 今はアルセーヌに頼るしかない。 「大丈夫か? その……」 「私は冷静ですわ」 「そう、か」 それでも聞かずにはいられなかった。 もっとも全てを言い切る前に悟られてしまったが。 「良し、何処にも不調はない。いけるぞ」 「では行きましょうか」 デルタイーグルにエンジンを掛け遊星とアルセーヌが乗り込む。 デルタイーグルのエンジン音がH-04に響き渡った。 【H-04 光写真館跡/1日目・夜中】 【不動遊星@遊戯王5D s】 [状態] 疲労(小)、主催者達に怒り、首輪解除 [装備] デルタイーグル@遊戯王5D s(操縦中) [道具] 基本支給品、サイバーZ一号のベルト@真夏の夜の淫夢関連、レッド・デーモンズ・ドラゴン@遊戯王5D s(二日目午前まで使用不可) ライダーズカード一式@仮面ライダーディケイド、沈黙の騎士ギャラティン@カードファイト!! ヴァンガード 大量の玩具@現実、玩具を弄る為の工具@現実、武器になりそうな物@現実(包丁や鋸など)、鬼柳のハーモニカ@遊戯王5D s 解除した首輪×7、分解した首輪、シャロの基本基本支給品、手鏡@現実、権兵衛のメモを再現しいくつか書き足したもの フォーミュラ・シンクロン(二日目朝まで使用不可)&シューティング・スター・ドラゴン@遊戯王5D s DMカード死者蘇生@遊戯王デュエルモンスターズ(二日目夜中まで使用不可) [思考・状況]基本思考:殺し合いの打破 1:海東を追い早苗を奪還する。 2:星君、ムラクモを警戒。 3:ありがとウサギ… 4:首輪の構造の簡素さに疑問。 5:自分のカード達や仲間を探す。 6:勝治を攻撃した誰かに警戒。 7:ケン、やはり…… 8:さやか、大丈夫なのか…… ※勝治が今までしてきたことを聞きました。ただし、アルセーヌを覗き見してたことは聞いてません。 また、田所(野獣先輩)が勝治に一服盛ったと思っています。 ※勝治の首輪には不具合が起きていると推測しています。 ※主催側に何か不都合な事が起きていると推測しています。 ※権兵衛からリュウセイと少年(ムラクモ)の現状、危険人物の話を聞きました ※麗華達と情報交換しました。 ※この会場が人工的に作られた物では無いかと考えています。 ※フォーミュラ・シンクロンは制限で一度使うと12時間使用不可能です。 ※死者蘇生は制限で一度使うと24時間は使えません。 【アルセーヌ(アンリエット・ミステール)@探偵オペラミルキィホームズ】 [状態] 健康、アルセーヌの怪盗服 、首輪解除 、冷静? [装備] 洞爺湖@銀魂 [道具] 基本支給品、ランダム品×1、 シャロの探偵服@探偵オペラミルキィホームズ [思考・状況]基本思考:殺し合いを壊し主催から願いを叶える方法を盗み出す。 0:海東を追い、倒す。 1:施設を巡り調査する。 2:アルセーヌとして行動するが、協力者を集める。 3:男声の女(譲治)とロックオンを警戒。 4:自分の推測が正しいか確かめる為、情報を集める。 5:黒幕は神……そんなわけないですわね。 6:会場からの脱出を模索。 7:会場の強度に疑問、本当に地球なのか? 8:シャーロック…… ※デッドライジング、スクライド世界の話を聞きましたが半信半疑です。 ※有野、もこみち達と情報交換しました。 ※首輪解除でトイズの制限が解けました。 【H-04/1日目・夜中】 【泉研@チャージマン研!】 [状態] 疲労(大)、ダメージ(大) [装備] スペクトルアロー(ランダム品3つ扱い)@チャージマン研! 首輪解除 [道具] 基本支給品、ランダム品無し [思考・状況]基本思考:主催者及びジュラル星人、殺し合いに乗ったキチガイ参加者を全て滅ぼす! 0:星君を追い、倒す。 1:ありがとウサギ(名前を知らない)、ムラクモを倒す(特にムラクモの計画は必ず阻止する!)。 2:間違いない。黒幕はジュラル星人だ! 3:頭の中に爆弾が! ……ない。 4:ジュラル星人め許さないぞ! ※自分の勘が外れているのをジュラル星人の仕業だと断定しました。(真相は不明) ※首輪解除により、変装制限が解けました。 【死者蘇生@遊戯王デュエルモンスターズ】 使用不能になったモンスターカード一体を召喚できる。 参加者は復活できない。 研を追うイカ娘。 だがその道中に行き倒れている少女を見つけた。 「この娘、あの偉そうな奴に椅子にされてたでゲソ……」 事情は分からないが、あんな扱いをされていたのは間違いなく被害者だろう。 保護するべきだと、イカ娘は思った。 イカ娘はこの娘を背負うと研の追跡を再開した。 【H-04/1日目・夜中】 【イカ娘@侵略!イカ娘(イカ娘の侵略実績のご紹介)】 【状態】】疲労(小)、深い悲しみ、殺人者への怒り、強い決意、首輪解除 【装備】いつもの服(少し破けてる。あかりの血で汚れている。) 【道具】ヴェルタースオリジナル×1、ポケットに入るだけの食料品(すぐ食べれるような物)、地図 毘沙門天の槍、ドーピングコンソメスープ×2本@魔人探偵脳噛ネウロ、ATTACK RIDEてれびくん@仮面ライダーディケイド 観葉植物くん@真夏の夜の淫夢、DMカードセット(氷結界の龍ブリューナク、グングニール、トリシューラ)@遊戯王DT 【思考・状況】 基本 殺し合いを止め、主催を打倒する 0:研を追いかける 1:他の参加者と協力する 2:あかり…… 3:どうやってれもんをここに持ってきたんだろう? ※E-09にあかりのバックが放置されています。 ※海の家れもんを自分の世界から何らかの技術で持ち出された物と考えています。 ※ポケットに入るだけの食料品はデイバックに入れました。 ※首輪探知機は見落としました。 【グレーテル@よもやま四方山】 【状態】軽度の火傷、打撲、疲労(小)、血塗れ、迷い、気絶 【装備】ボロ服 【道具】ディーノの基本支給品一式、ポッチャマ@ポケモン 剣(石)@Minecraft、アサシンの首輪 【思考・状況】 基本 出来れば死にたくない 1 …… 2 愉悦… 3 自分のデイバックを回収する 4 私は…… ※モンスターボール(ポッチャマ)が壊れたため、引っ込めることができません ※ギルガメッシュと情報交換をしました ※会場からの脱出は諦めました ――――― 「し、死ぬかと思った……!!」 【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグV×V】生存 ケンは奇跡的に生きていた。 息を吹き返し安堵の息を漏らしながらケンは思い返す。 リュウセイの容赦のない攻撃を。 「リュウセイのやつめ。友達にあんなことを最低だぞ!」 最初に負けた奴が死ぬとか言い出したのこいつなんだよなぁ。 ともかくケンは怒りに身を任せ、この殺し合いから脱出したら警察に通報してやろうと考えた。 「あり?」 腹から腕が生えていた。 遅れて激痛が走り、叫びそうになるが声がでないことに気づく。 何かが首に噛み付いている。気づいたときには息も出来ない。 「ほら、まどか。頑張ってこいつの首を食いちぎって? そうすれば二人殺した事になるんだよ」 「も、む、ひぃ。こおおひて」 「ほら、噛まないと。痛いい痛いよ?」 ケンの首に齧りついているのは四肢のないピンク髪の女の子だった。 そいつは殺してくれと悲願する。 けれども胸を貫いた女声の大男がその芋虫みたいなピンク髪の女の体を突いた瞬間、叫び声をあげ噛む力が強くなった。 「チャー、ハン……」 完全に止めを刺されたケン。 最後に思い浮かべたのはチャーハン。 死ぬ前にまた一度食いたかった。 【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグV×V】マジで死亡 「もおやらよおお。こおひえ、ほうあひゃん」 呂律が上手く回らない。 全身に火傷をおったせいか。 四肢が欠損している。あの豪華に焼き尽くされたせいだ。 もう死にたい。でも殺してくれない。 「安心して、まどかと私はずっと一緒だから」 四肢のない芋虫のようになったまどかをほむらはぎゅっと抱きしめる。 もう二度と離すものかと。あなたは私の大事な人だからと。 あの時、レッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃からまどかを救い出したほむらだったが。 その惨状は悲惨すぎるものだった。 もう風前の灯、死ぬのは時間の問題だった。 だがほむらはそこで以前の首輪の解除を思いつく。 参加者の力が首輪で制限されていたのは分かっていた。ならば、それを外し生命力を底上げすればあるいは。 まどかにとっての不幸と、ほむらにとっての幸福はそこから始まる。 パッチを付け秘孔を突き肉体の強化、首輪を引きちぎる。 結果、ほむらは首輪を外してしまったのだ。 そして魔法少女はソウルジェムを砕かない限り死なない。 さらに絶望によって起こる魔女化も、螺湮城教本により魔力が供給され続け起きることもない。 つまり鹿目まどかは永遠にこの芋虫のような肉体で生き続けることとなってしまった。 「愛してるわ。まどか」 まどかの頬に口付けをする。 もうずっと二人っきりだ。自分の邪魔をする者は全て殺す。 その愛こそ全てだった。 【F-3/一日目・夜中】 【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(大)、マドカァー 、ヤンデレ状態、首輪解除 [装備]:ソウルジェム、バルメM78(36/40)@コマンドー、ストライカーユニット@ストライクウィッチーズ、世紀末魔法少女パッチ@MUGEN、鹿目まどか 螺湮城教本@Fate/Zero(まどかに魔力供給) [道具]:基本支給品一式×4、キャベツ@夜明け前より瑠璃色な ~Crescent Love~、ランダム支給品0~4 キングクリムゾン(残り3回)@ニコニコ動画、タイム風呂敷@ドラえもん 十六夜咲夜のナイフ×3、イカ娘の支給品(ランダム品1~3) ゴンさんのデイバック(ヴェルタースオリジナル一袋@現実、スタングレネード×5@現実、コンコン@JAPAN_WORLD_CUP キャラ改変パッチ@MUGEN),ウィンチェスターライフル(1/7)@うみねこのなく頃に [思考・状況] 基本思考:まどかとずっと一緒に居続ける。邪魔するものは全員殺す。 1:何があってもまどかを守る。 2:まどか愛してる。ずっと一緒よ。 3:まどかに危険を及ぼしうるものは全て排除する。 4:まどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどか 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ(クズなまどかシリーズ)】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(重傷)、四肢欠損、芋虫、呂律が回らない、全身大火傷、絶望、ほむらの装備、首輪解除 [装備]:ソウルジェム [道具]:なし [思考・状況] 基本:ゲームからの生還 1:殺して…… ※螺湮城教本は制限により海魔の現界、術者の魔力補給、本体のダメージ修復等の同時運用は出来ません。 ※制限として海魔の最大同時現界数は五体までしか出せません、また能力も下方修正されています。 ※永続的な魔力供給により魔女化できません。 sm166 ニコロワγ流星群(前編) 時系列順 sm167 新にとり計画 sm166 ニコロワγ流星群(前編) 投下順 sm167 新にとり計画 sm166 ニコロワγ流星群(前編) 不動遊星 sm166 [[]] sm166 ニコロワγ流星群(前編) イカ娘 sm166 [[]] sm163 レ陰謀クルーズ(前編) 東風谷早苗 sm166 [[]] sm163 レ陰謀クルーズ(前編) 海東純一 sm166 [[]] sm163 レ陰謀クルーズ(前編) ムラクモ sm168 現人乱舞 sm166 ニコロワγ流星群(前編) 龍昇ケン GAME OVER sm163 レ陰謀クルーズ(前編) 星君 sm168 現人乱舞 sm166 ニコロワγ流星群(前編) 泉研 sm166 [[]] sm166 ニコロワγ流星群(前編) シャーロック・シェリンフォード GAME OVER sm166 ニコロワγ流星群(前編) アルセーヌ(アンリエット・ミステール) sm [[]] sm166 ニコロワγ流星群(前編) 鹿目まどか sm [[]] sm166 ニコロワγ流星群(前編) 暁美ほむら sm [[]] sm166 ニコロワγ流星群(前編) グレーテル sm [[]] sm166 ニコロワγ流星群(前編) ギルガメッシュ GAME OVER sm166 ニコロワγ流星群(前編) 美樹さやか sm168 現人乱舞
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/482.html
第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる ◆jVERyrq1dU (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第215話 ジアースVS対主催決戦 そろそろか…… 巨大な鋼鉄のロボットに乗り込んだ老人は静かに思索に耽る。 それにしても素晴らしい兵器だ。いくら部下の信頼を得られていないとしても、やはりそこはピエモン。 やる時はしっかりやってくれる男だ。 「ジアース……次の攻撃目標はNice boat.だ」 コイヅカの思考に対応し、ジアースが巨体を運動させる。急ぐといっても、ジアースは構造上早歩き程度が限界である。 しかし、その分ジアースは巨大。巨大故に速度自体は怖ろしいほどに速い。 ふと、コイヅカは足元にいる何かを見つけた。二匹いる。城の連中だろう。 やはりしぶとい。ニコニコオールスター、例え何度削除しようと、奴らに惑わされた愚かな信者どもが何度も再うpを繰り返す。 簡単に殺せるとは元々思っていなかった。 テニミュのピヨシートと盗んでいきましたシリーズのアリスか…… 良かろう……ではそろそろ、殺戮の段階に移るとするか…… 「やっぱり、目の前にすると大きいわね……」 ヘルパーのコックピットに跨ったアリスが一人呟く。 地上では日吉が、ひらりマント、サテライト30を装備しジアースの前に仁王立ちしていた。 二人の存在はジアースに比べるとあまりに矮小、あまりに小さな存在だ。 ジアースが接近してきた。かなり速い。巨体故に遅く見えるが、本来のスピードはもっともっと速いのだろう。 「信じろ……」 日吉は誰に言うでもなく、口を開いた。 「俺達は勝てる!!!」 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 日吉はジアースへと駆けだした。アリスもそれに合わせ、ジアースへと突っ込む。 特攻、そんな言葉が二人の脳裏にちらついた。もしかしたらその通りなのかもしれない。 しかし、引くわけにはいかない。 ジアースがあくまで見た目の上ではゆっくりと、右腕を後方に引いた。 そして、日吉とアリスに向けて、巨大で尖った右腕を突き出した。 不気味に遅く見える…… 「日吉ィィーーーッ! 回避!!」 「わかってるよッ!」 アリスはヘルパーを動かし、日吉は懸命に走り、ジアースの拳が落ちてくる空間から逃げる。 しかし──── 「何やってんのッ! もっと速く!」 巨体故に、拳がもたらす破壊空間は恐ろしく広い。アリスはなんとか逃げ切ったが、生身の体でそう易々と逃げ切れるものではない。 それはいくらテニヌプレイヤー、そしてボブ術使いであっても同じ事だった。 アリスはジアースのコックピットと思われる場所に光弾を撃つ。 チュンチュンチュンという乾いた音が響いたが、ジアースは全くの無傷。 アリスは諦めずに撃ち続ける。 右手が地面を切り裂く。まるで隕石が直撃したかのような轟音と衝撃がロワ会場を襲う。 地面が捲り上がり、土砂と巨岩が遥か上空へ巻き上がる。巨大な巨大なクレーターが出来上がっていた。 アリスはまるでこの世の終わりのようだと思った。 日吉が言ってた通りに、関節攻撃──── 日吉の安否など気遣っている暇などない。アリスはコックピットへの攻撃を諦め、ジアースに目立った関節はないかと探す。 ジアースの口に当たる部分に、再び光が集まっている事にアリスは気づいた。 今度は……どこに向けてッ!? ジアースが向いている方向には何もない。ただ空が広がっているだけだ。 いや、何かいる。小さな小さな点みたいな何かが。それは日吉だった。 いくら走ってもジアースの攻撃を避けきれないと気づいた日吉が、咄嗟の判断で飛び上がっていたのだ。 「アリスッ!」 もうッ世話が焼けるッ! ハンドルを切り、アリスはヘルパーを日吉に向けて飛ばす。 彼の元に行って何か出来るかは甚だ疑問だ。しかし、このままでは日吉は間違いなくあのレーザーで消されてしまう。 どうにか助けられないものかと、そんな希望を胸に秘め、アリスは日吉へと接近する。 ジアースに光が集まる。 「掴まりなさいッ!」 超スピードで空中を疾走する。掴まれと叫んではみたが、無理があることは重々承知だ。 こんなスピードで走るヘルパーに掴まれというのだ、どう考えても無理がある。そのまま轢かれて死んでしまうかもしれない。 しかし、あのレーザーの直撃を受けるよりは生き残る可能性が高いはず。 「くそぉ!!」 空中で日吉は、ヘルパーに──── ジアースにエネルギーが溜まった。パウ!とレーザーが発射される。 遥か遠方の山を一つ、跡形もなく吹き飛ばした。 「はあ……はあ……」 「だ、大丈夫、日吉……」 コックピットから顔を出し、質問する。ヘルパーの上に、日吉が座っていた。 ヘルパーはそのままゆっくりと旋回し、ジアースの脇に回り込む。 「よく、無事だったわね……普通死ぬわよ」 「お前は助けるために来てくれたんじゃねぇのかよ」 悪態を吐く日吉。それはそうだけど……まさか無傷で済むとは思いもしてなかった。 「俺もよくわかんねえ。なんか……土壇場で何かしたような……」 まさか、無我の境地か? 日吉はふとそんな事を思った。 「とにかく、あんたはそのままそこに掴まってて。このまま回り込んで……アレの側面を二人で奇襲してみれば……」 「勝機はあるか」 「多分……」 アリスの不安交じりの返答に日吉を顔を歪めた。 日吉は知らないのだ。確実に戦力になってくれると思っていたスターシップの集中砲火。 コックピットに向けて我武者羅に撃ち続けた。しかし、ジアースが傷ついた様子は全くない。 規格外のロボット……いったい、どれだけ規格外なのだろうか…… 「アリスちょっとぎりぎりまでゆっくり行ってくれないか? 攻撃に移る前に、確かめたい事がある」 「いつ……気づかれるか分からないのよ?」 日吉の突然の申し出に、アリスは冷静に受け答えする。ジアースに比べればハエのような存在だがいつ見つかるか分かったものではない。 次の瞬間にも見つかり、叩き落とされる。そんな光景が簡単に想像できる。 「頼む……」 日吉の声は低く、決心に満ちている。 「……分かったわ」 仕方なく了承するアリス。 日吉はヘルパーの上で瞑想する。 さっきのは何だ。ヘルパーにぶつかりそうになった瞬間。体が機敏に反応して、ヘルパーに飛び乗った? 俺は運動神経には自信があるが、そんな超人染みた事出来るはずがない。 となると、やはり無我の境地か? 無我の境地というのは、身体能力を向上させる類のものだっただろうか…… 分からない……分からない…… あんな機敏な動き……俺に出来るはずがない。どれだけ修業を積んでも、出来る気がしない。 それが可能になるのが、無我の境地……か? いや、待て待て。俺は確か、あれほどの動きが出来る男を一人知っている。 果敢に戦ったが、下剋上出来なかった男。そうだあいつだ。 スターシップはゆっくりと飛行し、攻撃するポイントを探る。どこか、どこか弱点があるはずだ。 日吉は自らの体を凝視する。何かが見えた。 高貴なオーラ。圧倒的な強さを誇り、礼儀を弁えた者のみが獲得できる世界最強のオーラ。 そのオーラを纏う者は日本人の誇りであり、最強の証しとも言える。 扱い方を一歩間違えれば簡単に修羅の道に落ちる、そんな魔性の力でもあるのだが。 これは────KIだ!!! 間違いない。あのデブ助の力の源。そうか、戦った相手の力を受け継ぐ、それが無我の境地の、真の力! ジアースが突然、首の角度を変え、こちらに砲口を向けた。 もうエネルギーの充電は済んでいる。まずいッ! パウっと、レーザーが発射される。 「避けろアリスッ!」 「分かってるわよッッ!!」 レーザーを間一髪避けきる。そのままヘルパーをジアースの右肘へと飛ばす。 狙いはやはり関節しかない。それ以外に勝機があるとは到底思えない。 「右肘ッ! 同時に攻撃するわよッ!」 「おう、任せとけアリスッ!」 アリスは、日吉の口調が何故か自信に満ち溢れたものに変わった事に気づく。 あのデブ助には負けちまったが、俺はまだまだ死んでいない。 ここから這い上がればいい。このロボットを倒して、なんとしてでも──── 「猫駆除するッッ!! しゃあッ!」 アリスが攻撃を開始すると同時に、日吉はヘルパーを蹴ってジアースの右肘へと飛ぶ。 そして──── 「うおおおおおおッ! BUCHIKAMASHI!!!」 YOKODUNAが日吉を倒す時に用いた技。BUCHIKAMASHI。 それをジアースの関節部分に向けて、思い切り放つ。さらにアリスが乗ったヘルパーによる集中砲火。 日吉はジアースの二の腕部分に着地し、体勢を整え、攻撃が効いたかどうか見守る。 パゥッ! 完全に油断していた。少しでも効いたと思い込んでいた。 アリスも日吉も、砲口の死角に潜り込んでいたためレーザーの直撃は避ける事が出来た。 しかし避けられる事くらいコイヅカは承知の上。わざと地面に向けてレーザーを放ち、二次災害を巻き起こす。 アリスの乗ったヘルパーが、レーザーによって引き起こされる爆風と、舞い上がる土砂によって大きく煽られる。 それは日吉も同じ。吹き飛ばされないようにジアースの巨腕に力いっぱい掴まる。 日吉には土砂や岩を避ける余裕などない。それらは日吉に直撃し、少しずつ少しずつ彼の命を削っていく。 大きく煽られたヘルパーはジアースの正面へと炙り出されてしまう。 ジアースが巨腕を繰り出した。日吉への揺さぶりも兼ね、右腕で攻撃する。 アリスは大きく揺さぶられたため、ヘルパーの内部で失神寸前である。それでも何とか意識を繋ぎとめ、回避運動へ移る。 巨腕は恐ろしいスピード、そして質量を持って、アリスに襲いかかる。 まず一匹。コイヅカがジアースの内部でほくそ笑んだ。 ヘルパーに巨腕が直撃する。 ひらりっっ 「何ぃッ!?」 ジアースの攻撃がヘルパーに当たったと見えた瞬間、ヘルパーが弾かれるようにして巨腕を回避した。 馬鹿な……コイヅカは驚愕する。何が起こったのか冷静に思考する。 気づいた。ヘルパーの、先ほど日吉が座っていた部分にひらりマントが括りつけられている。 なるほど、ひらりマントによって、ヘルパーは回避出来たのか。 ならば、ヘルパーを下から攻撃するまでだ。 ひらりマントはヘルパーの上部に括りつけられている。下方からの攻撃には耐えきれないはずだ。 その時、ジアースが大きく揺れた。側面から強力な攻撃を受けたようだ。 見ると、日吉がジアースの腹に当たる部分にTSUPPARIを仕掛けたらしい。 おのれ、あれはYOKODUNAの技。まさか日吉、無我の境地に目覚めたか…… 体勢を整え、左腕でヘルパーを殴りにかかる。アリスに避ける術はない。 しかしまたもやジアースは日吉のTSUPPARIに揺さぶられ、狙いを外してしまう。 まずは日吉を片づける方が先か…… 右腕を思い切り運動させ、地面を殴りにかかる。 こんな所で振り下ろされてはたまるか、と日吉は懸命に掴まる。 その時ヘルパーが空を駆け、ジアースの攻撃が及ばない範囲を縫うように飛び、日吉へと向かう。 右腕がまたもや地面に巨大なクレーターを作り上げる。しかし日吉が叩き落された様子はない。 すでに自ら飛びついていた。救出に来ていたヘルパーに。にやりと笑みを見せつけるアリスと日吉。 案外、なんとかなるかもしれない。小ささを生かし、ジアースを翻弄する。 そしていつか破壊。もしかしたら、もしかしたら──── 「ちっ……」 軽く舌を鳴らし、コックピットから二人を睨むコイヅカ。 再度攻撃を仕掛けようとした時、またも側面からの衝撃に襲われる。日吉のTSUPPARIではない。 また別の衝撃。これはミサイルか。今度は……何だ……!? 「アリスちゃん!日吉さんッ!」 「レナ!」 思わぬ再会だった。つかさが上手く伝えてくれたのか、それとも自発的に駆けつけてくれたのか。 突如飛行してきたNice boat.の上にレナが立っていた。 Nice boat.にはミサイルなど大量の兵器が搭載されている。それをジアースに向けて放ったのだ。 「ぽよぉぉーーーーーーーーッッ!!」 そして、Nice boat.の影から、つかさが乗って行ったスターシップが現れた。 幼女形態のカービィがちょこんと乗っており、空を自由自在に駆け回る。 つかさがNice boat.の上で手を振っていた。彼女は見事、自分の仕事を果たしたのだ。 カービィのスターシップが疾走し、ジアースの頭の上を通過する。 その時、スターシップから何かが飛び降りた。 「行くわよレイジングハート!」 霊夢だった。奇抜な格好で魔法の杖をジアースに向けて構える。 「スターライト……」 そして、極太のレーザーをジアースのコックピット目がけて発射。 「ブレイカァァーーーーーーーーーーーッッ!!」 ジアースは直撃を喰らい、大きくバランスを崩す。それを見た霊夢は口角を吊り上げる。 本当なら本来のスタイル通り、弾幕で削り殺したいところだが、ジアース相手ならそれは難しい。 あれだけの巨体。数で攻めても仕方がないだろうとの判断だ。 それ故に、スターライトブレイカーを放った。 「カービィ!」 霊夢が落下しながら叫ぶ。それを聞き、カービィが霊夢の落下してくる位置にスターシップを制止させる。 霊夢がスターシップの上に着地すると一目散にジアースから離れて行った。 「すごい……」 駆けつけてくれた仲間達を眺め、アリスは呟いた。 レナ、カービィ、つかさ、霊夢、日吉、そして私。これだけの仲間達がいれば、きっと──── ジアースを睨みつける。あまりに巨大だが、奴は一人。私達は6人。 結束の力、私たちならきっと──── 「信じよう、皆!」 レナがNice boat.から身を乗り出し叫んだ。 「私達は────勝てるッ!」 「「「「「おおッッ!!」」」」」 レナ以外の5人が吠えた。勝つなんとしても勝つ。 どれだけ規格外のモンスターが出てこようと、負ける訳にはいかないのだ。 スターライトブレイカーの直撃を喰らったため、ジアースの頭部は爆炎に包まれていた。 それがうっすらと消えていき、無傷の、ジアースが現れた。 霊夢は動揺を隠しきれない。全力全開の攻撃すらもジアースには効かなかったのだ。 『聞け!オールスターども』 マイク越しのくぐもった声が大音量で聞こえてくる。 狂気に満ちた老人の声。主催者の二人はこんな声ではなかった。とすると、誰だ? 『いくらでも結束するがいい。いくらでも仲間を掻き集めるがいい。 私はたった一人で貴様らを全滅させてみせよう。私は止まらない。貴様らを根絶やしにするまで止まらない』 『いいか? 私が本気になったからには────』 ジアースが体勢を整え、いかにもなファイティングポーズをとった。 尖った拳を威圧的にこちらに向けて、バランスが整うよう両足を前後に軽く開いて…… 『────今日、ニコロワは終了する』 ニコニコオールスター全滅という結果を残して、とコイヅカは続ける。 ジアースが今、完全なる戦闘態勢に入った。 「来るぞッ!」 ヘルパーの上で日吉が叫ぶ。ジアースが右拳を突き出してきたからだ。 特に誰を狙うというわけではないようだ。老人の狙いは分かってる。 「お前ら全員もっと上空に避難しろぉッ!」 次の瞬間、ジアースが地面を抉り、大量の土砂と巨岩を撒き散らす。 アリスと日吉の乗ったヘルパーと、カービィと霊夢の乗ったスターシップは器用に障害物を縫うようにして避ける。 しかしレナとつかさが乗ったNice boat.は避けきれない。 「カービィ!」 アリスは咄嗟に叫ぶ。土砂などを光弾で撃ち、Nice boat.を守ろうというのだ。 カービィは了解を示す。 巻き上がる土砂、それらからNice boat.を守るスターシップ二隻。 スターシップの上には、霊夢も日吉も乗ってはいなかった。 Nice boat.もただ守って貰っているだけではない。 レナはミサイル、レーザー砲など、船に積まれたありとあらゆる武装の準備を進めた。 「しつけえんだよッ!何度も同じ手をッ!」 日吉はまたもジアースの体に張り付いていた。KIを纏い、攻撃を仕掛ける。 その上空で、霊夢が空を飛行し大技の準備を始める。 ジアースが左腕を横薙ぎする。狙いはNice boat. 今まではスターシップのスピードもあり、何とかジアースの攻撃を避けてこられた。 しかし、Nice boat.のスピードはスターシップに比べると遥かに遅い。攻撃を止めない限り、間違いなくNice boat.は破壊されるだろう。 跡形もなく──── (行くよ……みんな……) 「一斉攻撃!!! てえええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーェェッッ!!!」 レナの合図と共に、日吉が、霊夢が、カービィが、アリスが、そしてNice boat.に備わる全ての武装が一斉に火を噴いた。 狙いはたった今レナの眼前に迫っているジアースの左腕の肘関節。 日吉のKIを纏った一撃が、霊夢のディバインバスターが、スターシップの光弾が一斉に命中する。 「くっ……何故動く左腕にこれほどまでに正確に攻撃出来る!? こ、こんな奇跡が……!」 コイヅカが悲鳴にも似た叫びを上げる。 「その通り、奇跡だ! 俺たちならこの程度の奇跡、いくら起きても不思議じゃねぇッ!」 日吉は味方からの攻撃を避けるため、ジアースを駆けおりる。 そしてついに左肘にNice boat.の一斉砲火が届いた。 レーザー、ミサイルがごちゃまぜに肘へと突き刺さる。凄まじい爆音と爆風がジアースを中心に放射状に広がっていく。 ガキン、と金属的な何かが折れる音がした。 空中で静止する霊夢は見た。ジアースの左肘から先が地面に落下していく光景を 「やった……」 肘から先を失ったジアースの横薙ぎはNice boat.に命中せず、むなしく空を切る。 「やったよみんなァァーーーーーーーッ!」 レナは叫んだ。力を合わせばどうにでもなる。例え相手が巨大ロボットでも。それを証明できた。 数秒後、ジアースの左腕が地面に落ち、大地を揺るがす。 「行くぞお前らァァ! 次は右腕だ!!」 「「「「「おおッッ!!」」」」」 いけると思っていた。力を合わせれば勝てる。例えどれだけ強力な敵が相手でも戦える。 6人が6人ともそう思っていたし、それを疑う人間などいなかった。 闘志の炎に燃え、惨劇の運命打開へと突き進むはずだった。そのつもりだった。 ────この時は…… スターシップ二体がジアースのコックピットを集中的に攻撃。破壊しようというのではない。 注意をひきつけるのが狙いだ。しかし、ジアースはこれまでにとった事のない、予想外の動きを見せた。 右足を後方へ引き勢いをつけ、大地に落ちた自身の左腕を思い切り蹴りあげる。 大地が捲り上がるのと共に、跳ね上がるジアースの左腕。それはゆっくりと弧を描き、Nice boatに向けて── アリスは大口を開けてカービィの名を叫ぶ。自軍で最も戦力を有しているのはNice boatである。 なんとしても守り抜かなければならない。カービィは瞬時に反応し、アリスとともに蹴りあげられた左腕を破壊しようと光弾を放つ。 放つ、放つ、放ち続ける。しかし破壊する事には至らない。関節ではなく、硬い装甲への攻撃。 スターシップだけでは傷一つ付かない。 レナはレイジングハートから教えられた通りに船を動かし必死に回避する。 つかさは飛んでくる左腕を破壊するため、兵器を使用する準備にひた走る。 間に合うはずがない。二人ともそれはなんとなく分かっていた。でも諦める事など出来るわけがない。 左腕がゆっくりと放物線を描き船へと向かって行くのを、日吉と霊夢は遠くから目撃する。 日吉はジアースを蹴って船へと飛び、霊夢は空を滑空し船へと向かう。間に合わないのは誰の目を通しても明らかだった。 「レナ……つかさ……」 アリスはぎりぎりまで左腕破壊を目指し、光弾を放ち続けたが、到底歯が立たない。 このままではアリスまで巻き込まれてしまう。ぎりぎりの、本当にぎりぎりの所まで待って、アリスは回避運動に移る。 カービィは何を思ったのか、逃げすに船へと突っ込んで行った。 船のデッキにはつかさが右往左往していた。カービィがつかさの目の前でスターシップを制止させる。 つかさは無我夢中でカービィの乗る船に飛びついたのと同時にカービィはスターシップを最大まで加速させ、逃げる。 その直後、ジアースの左腕がNice boatの後方半分を抉り取った。 瞬時に回避へと移ったレナの好判断がなければ、Nice boatはその全てをバラバラにされていただろう。 しかし、どちらにせよ結果は同じ事。Nice boatはバランスを崩し、大地へと落下する。 数刻後、大爆発と共にNice boatが地上へ墜落した。さっきから何度も見たきのこ雲がまたもや現れる。 「あ……あ……レナ…ちゃん…」 カービィの傍らでつかさがレナの名前をぶつぶつ呟いている。 顔面は蒼白で、唇は青白い。死人のような顔をして大爆発したNice boatを凝視した。 「レ…レ…レナちゃん? レ……レナちゃんッ!!」 漸く言葉を取り戻し、つかさは大声を上げた。しかし返ってくるのは沈黙ばかり。 レナは一向に姿を現さないし、声も聞こえてこなかった。 「レ……レナ~」 この時、我を失っていたのはつかさだけではない。 その傍らでスターシップの操縦をするカービィの心もまた、大きく揺さぶられていた。 そのためなのだろうか、記憶を取り戻した星の戦士がジアースの攻撃に気が付かなかったのは…… 「カービィッッ!!」 霊夢が叫ぶ。その叫びによってカービィが平静を取り戻した時、ジアースの右腕はもう目の前にまで迫っていた。 まるで煙の如く、カービィの乗ったスターシップは掻き消えた。 残骸すら残さない。超質量を持ったジアースの圧倒的破壊力である。 勿論、つかさもカービィも消失していた。死体すら残さない。完全なる破壊。 つかさの命もカービィの命も、ジアースを前にしてみればこんなものだ。簡単に消えてしまった。 「そ、そんな……いきなり、三人も……!」 ヘルパーの中でアリスが悲鳴を上げる。 レナ、カービィ、つかさと立て続けに仲間達が死んでしまった。その事実はアリスの心を深く抉る。 「血、血すら……残ってない」 つかさとカービィの死体は跡形もなく消えたのだろう。 日吉は今更ながら、ジアースの持つ破壊力に本当の意味で気づいた。 「ディバインバスター!!!」 霊夢がジアースの隙を突き、コックピットに向けてディバインバスターを放った。 狙い通り直撃する。 「やった……奴は油断していた……今度こそ」 そう長くは飛んでいられない。霊夢の体力も限界に近付きつつある。 霊夢は今度こそジアースのコックピット部分を破壊したと予想したが、残念な事にその予想は外れる。 ジアースが爆炎の中、霊夢に視線を向ける。さっきまでと全く変わっていない。 霊夢の全力を二回当てても結果は同じ。ジアースには傷一つ付かなかった。 そしてジアースは次の攻撃を繰り出す。 アリス、日吉、霊夢。残った三人の心中は先ほどまでのように希望に溢れてはいなかった。 ▼ ▼ ▼ 先ほどから西の方で派手な戦闘、いや戦争というべきか、が行われている事は、遊戯と博之は勿論ハルヒ達も気が付いていた。 ジアースが起こす轟音や衝撃をお互い無理やり無視し、今までほぼ一進一退の戦いを繰り広げてきたのだが。 ハルヒはもう限界である。ジアースの衝撃波がこちらに伝わるたびに戦闘が一時中断される。こんなの耐えられるか。 神となった自分がこの世で最強のはず、それがなんだあのロボットは…… 明らかにハルヒの神人のパクリ、二番煎じ。ハルヒの堪忍袋は限界である。 「キ……キキィィィィィィィィィィ!!!」 「か、神! どうしたんですか!?」 突然、頭を抑えつつ狂声を張り上げたハルヒを心配し、永琳が思わず声をかける。 「チャンスだ博之さん!」 「まかせろ!」 チャンスとばかりにハルヒ達へ突進する蛾。背中には遊戯を乗せていた。 ハルヒは神人の拳で思い切り地面を殴りつける。土砂や岩が舞い上がり、博之達を妨害する。 神人が殴りつけた地面には大きなクレーターが出来ていた。しかし、ジアースが作り出すクレーターに比べると遥かに小さい。 「キェェェェェェェェェェ!」 「か、神、落ち着いてください!」 永琳がハルヒの肩を揺さぶる。異変に気づいた古泉もハルヒの元へと向かう。 「こ、これが落ち着いてられるもんですか。何よアレ!? どう見ても神人のパクリじゃない!! どうなってんのよ、ええ!? 私を差し置いて、さもオリジナルです、って感じに暴れ回りやがってぇぇ」 永琳の胸倉を掴み、口の中に偶然拾った石を押し込んでいく。永琳の顔が次第に青くなっていく。 「あっ、く……」 「抵抗するんじゃないわよッ! 少しの間ストレス発散させなさいッ!あんたどうせ再生するんでしょ!?」 こんな事を言われては抵抗しようにも出来ない。味方だと思って完全に油断していた。 そうだ……神の力は本物だけど、ハルヒは誰よりも残虐なのだ。油断していた。 「キキィィィィィィィィィ! ふざけやがってぇぇぇぇ」 さらに力を込めて首を絞める。永琳の頬を何度も平手打ちする。 「止めて下さい涼宮さん!」 古泉が止めに入る。ハルヒの肩を掴み、懇願する。 「ふんッ! もういいわ。あんたみたいなクズを虐めたって欠片も面白くない!」 永琳の体を乱暴に突き倒す。永琳はバランスを崩し、地面に顔から倒れこんだ。 古泉が永琳を引き起こし、大丈夫ですか、と声をかける。 永琳の顔は青くなっている。何の抵抗もしなかったからだろう。本来の永琳ならこんな事にはならない。 古泉はさすがに、この時ばかりはハルヒへの殺意を隠しきれなかった。 ハルヒを睨みつけようとした矢先、永琳が口を開く。古泉の身分不相応の怒りを正す叱咤。 「駄目よ古泉……全てを……みんな元通りにするんでしょ?」 こんな事を言われては、矛を収めざるを得ない。 「キィィ、ああもうとにかく遊戯と蛾が邪魔!」 永琳などすでに思慮の外、ハルヒはつまらない遊び道具を放置し、次の思考に移る。 簡単に殺せると思っていたが、予想外に手強い。ハルヒのストレスは溜まりっぱなしだ。 それにしても遊戯達はどうした……なかなか襲いかかってこない。さっきの神人の一撃で死んだのだろうか。 いいや、そんな事はないはずだ。 「やっぱり……ですか」 遊戯は声のトーンを下げ、言う。 「そりゃああんなもんに勝てるわけないわな……」 少女形態に戻った博之が、元のおっさん声で言った。彦麿はあまりの違和感に顔を歪める。 「と、とにかくお主達も来てくれぬか。多分見えていたと思うが、さっき船がやられてしまった……」 「だけど……ハルヒ達をこのまま見過ごすわけには……」 遊戯の懸念を聞き、彦麿は自信ありげに胸を張る。 「私に任せてくれ。考えがある。とにかく……今はハルヒ達よりあのロボットの方が驚異なのだ」 「……考えとは…いったい」 彦麿は遊戯に一発逆転の可能性を秘めた策を教える。しかし遊戯はそれを聞いてもいま一つ、納得のいかぬ表情。 「平気なの? あいつら……意外と頭が切れる。彦麿さんの策なんて、逆に利用されるかもしれない。 いや、そもそも策に乗ってくれるかどうか怪しい……」 「案ずるな遊戯どの。元より死は覚悟の上。順序を追って理を説けば、連中も納得するはずだ…… そう、奴らにとってもあのロボットは脅威なのだ」 顔を向け合い、彦麿の策に乗るかどうか瞳で相談する遊戯と博之。 彦麿はそんな二人を黙って見守る。乗ってくれないならそれはそれで構わない。 自分よりは頭が回るであろう遊戯の意見。素直に従おう。 しかし、ハルヒ達よりもあのロボットの方が強大だと思っているのなら、この作戦に乗るはずだ。 乗るしかない。 「分かったよ……今からみんなの援軍に向かいます」 どうやら分かってくれたようだ。博之が蛾の形態に変化し、遊戯を背中に乗せる。 「彦麿さん、奴らは貴方が思っている以上に残酷だよ。どうか気を付けて……」 別れの言葉として、遊戯は彦麿の安全を気遣う。気遣うべきなのはむしろ私の方だ。 私には力がないから、こうやって裏方として奮闘するしかない。博之のような前線で活躍する力を持った人間。 彼らのようなのが、真に生き残るべきなのである。私は、捨て駒で構わない──── 遊戯と博之を見送り、私は踵を返す。さて、これは私の、私の人生の中で最大の戦いとなるだろう。 上手くやれば、水が上から下へ流れるが如くだ。必ず上手くいく。ハルヒの怒りを買えば……いや、絶対にそんな事してたまるか。 私の考えた策略、それはハルヒ達と一時的な同盟を組む事。巨大ロボット打倒のための同盟。 奴らもあれには脅威を感じているはずだから、私さえミスをしなければ必ずうまくいくはずだ──── 彦麿は辺りを見回す。すぐにぼーっと突っ立っている神人を見つけた。 隠れるつもりなど毛頭ないらしい。全く、大した自信である。 勿論、ハルヒ達を許すつもりはない。しかし、今はハルヒ達よりもあの巨大ロボットだ。 Nice boatがやられ、つかさの乗った戦闘機がやられ、今、我々はかつてない苦境に立たされている。 利用できるものは何でも利用する。幸い、あの巨大ロボットはハルヒ達にとっても倒さなければならない敵だ。 大丈夫……きっと……大丈夫だ。 彦麿は神人に向けて走り出す。神人は大きすぎるので正確には分からないが、距離はそう離れていないはず。 全力で走ればすぐにハルヒの元にすぐ辿り着けるはずだ。 「……これは、いったい?」 しかし、予想外の事が起こる。彦麿が走り始めた直後、神人は跡形もなく消えてしまった。 彦麿はちょうどいい目印を失い、困惑する。神人がいた辺りに行ってみたが、すでに誰もいなかった。 ハルヒはどこへ……? 「くそっ!」 彦麿は走りまわってハルヒ達を探す。どこにも見つからず、途方に暮れる。 彦麿はハルヒ達と話し合い、ジアース打倒のため、一時的な同盟を結ぼうと考えていた。 あの巨人が味方になれば心強い。しかしハルヒはいない。 彦麿は絶望を感じ、ふと、山を見る。 気分が高ぶっていた所為だろうか。これまでずっと見過ごしてきた、ある事に気づいた。 これは……もしかして……いや間違いない。 ▼ ▼ ▼ 場面変わってここはクッパ城。 プロのロリコン、すなわちプロリコンとして名高い一匹のデジモンがクッパ城の警備に当たっていた。 その時である。クッパ城の天井をぶち破り、何かが降ってきた。 げぇっあれは…… 何故こんな物が落ちてきたのか分からない。それはプロリコンが最も嫌いな、ガチムチの銅像だった。 プロリコンは汚らわしそうなモノを見るように目を細め、銅像の横を素通りした。 いくら緊急事態とはいえガチムチに関わっていられるか!全く持ってゆとりである。 しかし、プロリコンの思惑に反し、ガチムチの銅像は何故かかあいい少女へと姿を変える。 「!?」 さすがに驚かざるを得ない。銅像がいきなり可愛すぎるおにゃのこに変わったのだ。 しかしそこはやはりプロのロリコン。即座に思考を戦闘モードへと切り替える。 ほうほう……なかなかの貧乳だ。うーむ……この全く発達していない体……素晴らしい。 このおにゃのこが眠ってる間にいっぱい触っちゃおうかなー 「親方!女の子が降ってきたよ!」 ちっ!どうやらこのおにゃのこを見つけたのは俺だけではないらしい。 プロリコンは後方を振り返る。そこにはロリコン界の重鎮、様々なロリコン達から親方と称される伝説のロリコンがいた。 さすがのプロリコンもこれには萎縮する。そそくさと親方に道を譲る。親方の舎弟までプロリコンの前を素通りするのが気に食わない。 「ふむ……これは上質のロリだ。素晴らしい……」 親方が値踏みするようにおにゃのこの体をぺたぺたと触る。 軽々しく触った所為だろう。おにゃのこは目覚めた。 「ぽよ……ここはどこ?」 可愛らしい声で親方に質問する。 「クッパ城だよ。お穣ちゃん」 にこりと親方は微笑んだ。うまい男だ。子供を安心させる術を心得ている。 その裏にどんな陰謀が渦巻いているかは、おにゃのこには知る術もないだろう。 「クッパ城……? マルクいる?」 「マルクさんかい?勿論いるよ」 はて……このおにゃのこは我々の戦友でもなければ、ロワ参加者でもない。 文字通り急に降って出てきた存在だ。どうしてマルクたんの事を知っているのだろう…… 「おい……見ろよ」 「ああ、かあいいな」 「ハァハァ……」 「ゴクリ……」 「たまんねえ」 「ふぅ……」 「マルクたんより可愛い」 「なんだとてめえケンカ売ってんのか!」 プロリコンが周りを見渡すと、マルクの護衛を務める者と、オペレータールームで働く者以外の、ほぼ全てのデジモン達が集まっていた。 噂は加速的に広まり、下っ端デジモン達の間にこのおにゃのこの存在は知れ渡ってしまったのだろう。 「マルク……!? やっつけなきゃ」 おにゃのこが突然こんな事を言い出した。デジモン達の間に衝撃が走る。 本来なら、マルクたんの敵として即座に排除するべきなのだろう。しかし、俺達はマルクたんの配下の以前にロリコン。 プロリコンが予想した通り、おにゃのこに襲いかかるデジモンは一匹もいなかった。 みんな彼女が可愛いのだ。 「そうか……だったらおじさんが手伝ってあげよう」 親方がとんでもない事を言い出した。 「見ろよ……親方が……」 下々のデジモン達の間に再び衝撃が走る。親方は鞍替えをしてしまったようだ。 ここまで露骨な行動に出た親方だったが、不思議と誰も彼に文句を言わなかった。 彼のこれまでの栄光が反論を防いでいたというのも無論あるが、デジモン達の間には一つ気になる事があったのだ。 あれ?もうバトルロワイアルどころじゃなくね?Bの野郎は勿論だけど……俺達このままマルクたんに従っててメリットあるのか? ファンタスティックフォーやら少数派どもが城に攻め込んできたら終わりなんじゃね? と、言う事である。つまり、もう先は短いんだから好きにやりたい放題したい。 そんな思いがデジモン達の意識の根底にはあった。 だから親方はあのおにゃのこに鞍替えしたのだ。おそらくマルクたんよりも可愛いと感じたのだろう。 親方を切欠に、堰が決壊したかの如くロリコンどもがおにゃのこに群がる。 プロリコンはマルク派であったため、唇を噛みしめ目の前の光景を眺めた。 次第次第に空から降ってきたおにゃのこの信者が増えていく。マルクよりもかわいいから俺はこっちにするぜー もはや最低である。プロリコンは手を上げ、マルク派のデジモンを集める。 くそ……みんなかなり迷っているようだ。表情からマルクたんへの愛情がいまいち感じられない。 お、おのれ~~~~~~~~ カービィは群がるデジモン達を不思議そうな眼で見つめる。 折角助かったのにこれはどういうことなんだろうなー。 ジアースがカービィを殴る直前、カービィはコピー能力、ストーンを使ったのだ。 変身している間は絶対無敵なストーンでジアースの攻撃を耐え、吹っ飛び、そして城の周りを覆う結界をも突き破ったのだ。 カービィは銀河に願いをの記憶を取り戻した。つまり集めていたデラックスの使い方も思い出していたというわけだ。 ちなみにカービィはストーンを含めて、五つのデラックスを集めていた。 うまく使えばマルクを倒す事も可能なはずだ。はずなのだが…… カービィの周りに、はあはあ言いながら群がるロリコンども。 まずはこいつらに対して何らかの対応をとるのが先決だろう。 【クッパ城 /二日目・夕方】 【カービィ@星のカービィ】 [状態]:左腕爆破、全身にダメージ、胸部から腹部にかけて切り傷(治療済み) [装備]:なし [道具]:支給品一式(食料全消費)、ねこ鍋@ねこ鍋 [思考・状況] 1.これどうなるの? 2.マルクを倒して殺し合いを止める ※マルクたんからカービィたんに乗り換える下っ端デジモンが急激に増えています。 マルク派のデジモン達はカービィ派のデジモン達を敵意しています。 ※銀河に願いをの記憶を取り戻し、五つのコピー能力が自由に使えるようになりました。 ストーン以外の四つが何なのかは後続の書き手さんにお任せします。 ※若干、知能がアップしたような気がしない事もないです。 sm215:当方に迎撃の用意あり 時系列順 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 投下順 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 柊つかさ sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 矢部野彦麿 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり アリス・マーガトロイド sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 日吉若 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり コイヅカ sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 博麗霊夢 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 竜宮レナ sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり カービィ sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり クラモンD sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 武藤遊戯 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 永井博之 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 涼宮ハルヒ sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 古泉一樹 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 八意永琳 sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり 武藤遊戯(ATM) sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry sm215:当方に迎撃の用意あり ピエモン sm215:第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットry
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/233.html
ぼくんちのニコロワ(前編) ◆CMd1jz6iP2 (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル やよいが危ない 社長のネーミングセンスが危ない KASのテンションが危ない TASさんがいろんな意味で危ない ことのは様の存在自体が危ない 危険が危ない 「イイイエッヒイイiiiiii!!!!ツメツメ!ゆめまりおをクリアした俺がおばけにビビルと思ってか!!!」 KASの絶叫響く中、その後を追いかける霊夢とヨッシー 爪のお化けを追いかけ、かなりの時間が経つが、距離は変わっていなかった。 「そりゃ、追いついた分自分でロスしてればね」 KAS走る→追いつきそう→無駄な動き→離される→最初に戻る。 この繰り返しなのである。 しかし、あのお化けもKASも、かなりの速さだった。 普通に走っているヨッシーが付いていくのがやっと。 「ほら、ヨッシー。急ぎなさい」 「れ、霊夢さんが降りてくれたら……」 『貴方の鞍は飾りですか?気合を入れてください』 「鬼だあああああ!」 「……ねえ、レイジングハート。変じゃない?」 『ええ、あの男の行動は常軌を逸しています』 「そうじゃなくて、あのお化けよ……増えてない?」 そんなはずは……とレイジングハートが爪のお化けを見た。 確か、数体を撃破したはずだった。 『7……8……確かに、増えているようです』 「いつ合流したのかしら……ううん、そんな様子は無かったわ」 KASの奇抜な動きが気になって気がつかなかった。 両者は、爪のお化けをじっくりと見て…… 分裂する瞬間を、目撃した。 「増えた!?」 『+2、これで10体となりました』 すると、なにやら爪のお化けは寄り添うように密集しだした。 「集まったところで無駄無駄無駄ァ!キングツメツメにでも合体できない限りKASには勝てない!」 それは、あまりにも的を得ていた。 爪のお化けが光り輝き、収束していく。 「あ、アンタが余計なこと言うからアァーー!!」 「ノコノコじゃなくてブルだっかか!!」 「あー、食べてみたかったのに!!」 それぞれの意見はともかく、爪のお化けはその姿を変えた。 そこに居たのは1匹のみ。 頭から生える触角、大きな瞳、人を馬鹿にしたような笑み、人のような腕。 そしてクラゲのように何本もある細い触手状の足。 その名は、ケラモン。 「真の姿を現したなツメツメ!このKASgウワアアアア!!!」 追いかけてるKASの会話を中断させたのは、ケラモンの口からの光弾。 ケラモンは後ろを向き、光弾を吐きながら変わらぬ速度で逃げる。 「うわわわわ!危ない危ないですってー!」 「く……ディバインシューター!」 KASが避け、こちらに飛んできた光弾を打ち落とす。 「あいつ、後ろ向きで速さが同じってことは……本当はもっと?」 『速度はもちろん、全体的に強化されていると思われます』 厄介なことになった、と霊夢は思った。 アレは時間をやればやるほど強くなるタイプ。 弱いうちにどうにかしないと、手に負えなくなる可能性が高い。 「良くもやったなツメツメ改めケラケラ!お前は怒らせてはならない相手を怒らせてシマウマ!頭のアホ毛を引っこ抜いてやる!」 KASは、攻撃にひるむことなく走る。 それを見て、ここは撒いた方がいいと、クラゲのお化けは前を向いて全速を出した。 「待てええええ!!俺より速いなんてことは許されない!!」 KASの速度が上がる。というか、無駄なジャンプをやめただけだが。 「も、もう駄目です……」 ヨッシーの体力も、いい加減限界らしい。 「仕方ないわね、行くわよレイジングハート!」 『わかりました!』 霊夢の体が宙に浮く。 レイジングハートの力を借りて、少しだが飛行が可能になった。 靴から光の羽が生え、高速でKASを追う。 「って、初めからそっちで行ってくださいよー!!」 ヨッシーの文句も、すぐに聞こえなくなった。 「あーうー。疲れましたー」 高槻やよいが飛び始めてから、かなりの時間が経過した。 しかし、人の影は見えなかった。 もしかして、この辺りには誰もいないんじゃないか。 それとも、この辺りに恐ろしい殺人鬼がいて、皆逃げたのではないか。 「ううー、そうだったら休んでられないですけど……腕が痛いですー」 やよいの両腕は、パンパンに腫れあがっていた。 日吉さんは、自分のワガママで動けなくなっているようなもの。 だから、無理して頑張ったやよいの腕は、限界を超えていた。 なんとか橋を越え、水辺まで来たところで休むことにした。 腕を川の水で冷やすが、腕の痛みは治まらない。 「どうしよう、これじゃあ飛べない……」 筋肉痛ならレッスンで何度もなったことがある。 しかし、アイドルはそこまで体を鍛えるわけじゃない。 一番鍛えてる真ちゃんでも、これ以上体に無理はさせないだろう。 でも、やよいは痛みを我慢して、日吉さんを助けるために空へと――― 「ふうん、余計なお世話かもしれんが、無理をしてもろくなことはないぞ」 舞い上がる寸前で、止められた。 「痛っ!!」 やよいは、カイバーマンと名乗った男に、腕を診てもらっていた。 「折れてはいない。肉離れもしていない……捻っただけのようだな」 「うう……捻挫ですかぁ?」 海馬は、やよいが空から降りてくるのを見ていた。 初めはハーピィレディの類かと思ったが、そうではないことはすぐに理解した。 近づき様子を見ると、腕を痛めているのだと理解した。 緑髪の女のように、見た目と違って凶暴な可能性は考えた。 だが、正義の味方として無視するのもどうだろうと思い、仕方なく声をかけてみたのだ。 「このまま飛べば、墜落!激突!大粉砕!間違いなく死んでいたな」 「で、でも……私は、六芒星の呪縛を解かないと……」 「なんだと、貴様、今何と言った!?」 思いがけぬ単語が出てきたと、海馬は驚いた。 やよいも、解き方を知っているのかと事情を話した。 海馬は、会話の通じない変な男のこと、襲ってきた番長のこと。 自分を守って死んだ永井けいこのこと、そして今、城で六芒星の呪縛で動けない日吉のことを知った。 「なるほど……破かなかったのは正解だ。そのカードは、間違いなく今後役に立つはずだからな」 海馬は、やよいのその場で流されない判断力に感心した。 甘いだけの人間ならば、その場でカードを破り捨てていただろう。 しかし、やよいは数少ない支給品を破壊するという愚かな行為には走らなかった。 まだ幼い少女ながら見事な精神。 本当は貧乏強度が1000万パワーを超えているだけなのだが。 (しかし、永井けいこ……母親か) 永井姓の人間は、他に二人。聞けば息子だという。 母親が殺された事実を知れば、弱い精神の持ち主なら、このゲームに乗りかねない。 再び、海馬はこのゲームに対する怒りを燃え上がらせた。 「そ、それで……解けるんですか?」 「難しいところだな。不可能ではないが、除去するカードがあるとは限らない」 そんなぁ、と肩を落とすやよい。 「しかし、これはデュエルモンスターズではない。他にも手段はあるかもしれん」 「えーと、デュエル……って、なんです?」 「デュエルモンスターズを知らんだと!?」 海馬はショックを受けた。 全世界で流行しているゲーム、デュエルモンスターズ。 女性がアメリカチャンプになるなど、女性の間でも人気はあった。 やったことはなくとも、知らないというのは、とても信じられなかった。 海馬はやよいにデュエルモンスターズについて教えた。 「あー、このカードゲームですかー。いつか給料で、弟達に買ってあげたいですー」 「給料だと?貴様……その年で仕事についているのか?」 「一応アイドルやってまーす!そんなに売れてないですけど、給料で弟の給食費が払えましたー」 一瞬、その明るさと年齢からモクバと重なったが、幻覚を振り払う。 海馬は、やよいの服装を見る。 敵に襲われた時に汚れたであろう部分もたしかにある。 しかし、それとは別に、長年着てきたというのが一目でわかる、くたびれた服。 この娘は貧乏。しかし、それを感じさせない明るさがある。 海馬は、両親を失った頃を思い出す。 俺とモクバは親戚から遺産を取り上げられ、施設に入れられた。 そして、海馬剛三郎の養子となり、今のロードを歩き始めたのだ。 だが、それは幼き両親との、過去との決別でもあった。 過去を振り返ることは無駄なことだ。 だが、モクバは、両親と暮していた頃が、もっとも幸せだったのだろうとは思っていた。 現に、目の前のやよいは、貧乏でも幸せを手にしていたのだろう。 このくだらないゲームに呼ばれるまでは。 「高槻やよいと言ったな。貴様、海馬ランドには?」 「えーと……そんな遊園地、ありましたっけ?」 ここで初めて、海馬は何かおかしいと思った。 確かに、海馬コーポレーションが世界屈指の大企業でも、知らない人もいるだろう。 だが、海馬ランドはアメリカにも進出した世界最大のアミューズメントパーク。 子供の入場料は無料。やよいのような生活の苦しい家庭の子供にも楽しんでもらうためだ。 各メディアで常に宣伝している。 テレビがなかろうが、新聞を取ってなかろうが、名前くらいは誰でも知っている。 事務所の名前、所属するアイドルの名前を聞く。 765プロ。やはり聞いたことも無い。 更に死亡者として呼ばれた如月千早は、トップアイドルに最も近いとされるふつくしい歌声の持ち主で、デビュー以来ヒット曲を連発しているという。 「私はともかく、千早さんを知らないなんて嘘ですよね?」 「もしかすると、記憶操作の類かも知れんな」 「記憶操作、ですか?」 本当は、海馬もやよいも、お互いに知っているのだが、奴らに記憶を消されたのではないかということ。 「殺し合いをする上で、遠慮なく相手を殺すため、記憶を消されているのでは……」 「でもでも、それなら友達や知り合いの記憶が残ってるのは変ですよ?」 「確かにそうだ……どういうことだ?」 海馬は考え込む。やよいの言葉が嘘だとは思わない。 嘘をつくメリットが大きすぎる。この状況で、下手に相手を不安がらせることは、自分自身を危険に晒すからだ。 「うーん、わからないです」 「まぁいい。話を戻すが、結界を壊せるような特殊能力を持った武器、人なら可能性はあるだろう」 デュエルモンスターズの効果を再現するほどだ。それならば、他にも同等の何かが存在する可能性は十分ある。 「そ、そうですよね。カイバーマンさん、ありがとうございました!今度は南の橋の方を探してみます!」 やよいは、海馬に頭を下げる。 ……その際、腕を思い切り上下させたため、かなり痛そうにしていた。 そのまま走って行ってしまった。 (行ったか……俺に協力を求めなかった。他人を巻き込む気はないということか) 海馬は、日吉などという男を助ける気も、やよいに協力する気もない。 だが、やよいがあっさり去ったのは、自分を巻き込まないためではないかと思った。 ゲームに乗った人間がどこにいるとも知れない以上、できるだけ他人を巻き込みたくないということだろう。 海馬は、せめて見えなくなるまで見送ろうと思い やよいが何かに体当たりされ、羽を舞い散らせ吹き飛ぶ、その一部始終を目撃してしまった。 「やよい!」 海馬は、吹き飛ばされたやよいの元へと走った。 その進路を妨害するように、光弾が海馬を襲う。 「なんだ、あのモンスターは!」 やよいを吹っ飛ばしたモンスター……デュエルモンスターではない。 その不愉快な気分になる顔から吐き出す光弾を巧みに避ける海馬。 (手持ちの武器はない。ならば、どうする!) やよいの元まで駆け抜け、そのままディパックを拾い走る。 俺を狙っている今、やよいの近くにいては巻き込まれるのは確実。 ディパックのみを拾い、やよいから離れたのだ。 (やよい、貴様の手札を使わせてもらうぞ!) 光弾が海馬めがけて飛んでくる。 「トラップカード発動!マジック・シリンダー!」 しかし、もちろん何も起きない! 紙一重で回避し、顔面に飛んできたケラモンの光弾を頬を掠めるだけで済ませる。 (なぜだ!ブルーアイズはともかく、こんなトラップカードも使えないとは) だが、事実を嘆く時間はない。 「次の引きこそが、俺のロードを切り開く!」 ディパックから次のアイテムを取り出そうとする海馬に、ケラモンの光弾は休む間もなく飛んでくる。 しかし、それを海馬が不敵な笑みで返す。 「装備アイテム!ゴッドクラッシュをカイバーマンに装備!」 引き当てたのは棘付き鉄球が先に付いたフレイル。 海馬は光弾を叩き落し、ケラモンへと迫る。 「これを装備したことによって!カイバーマンはゴッドカイバーマンとなる!」 そんなことはないのだが、結局はテンションの問題。 テンションMAXの海馬のダイレクトアタックが決まる。 鉄球をモロに食らったケラモンは、体液を撒き散らしながら吹き飛んだ。 「ふぅん、どうした?この程度で終わりか!」 このモンスターに、首輪らしきものは見当たらない。 主催者の放ったモンスターだと推測する。 ならば容赦する必要もないだろう、海馬はトドメを刺すために近づく。 だが 「なに!?」 深い傷を負ったケラモンから、無傷のケラモンが分かれるように現れる。 「自動増殖するモンスターか!」 二体同時の光弾が海馬を襲う。 「ふん!!!」 ディパックより更なるアイテムを取り出す。 「装備カード!盗賊の棺桶を発動!」 出てきたのは、ディパックの容量を上回る巨大な棺。 それを弾避けとして光弾を防ぐ。 どの様な素材で出来ているのか、棺桶は光弾を受けても焦げるどころか傷一つ付かない。 (やはり、このディパックも超科学の産物。四次元空間にでもなっているというのか) 思えば、カイバーマンのコスチュームも、明らかにディパックに入りきらないような代物。 こんなごく普通のものにまで、信じられない技術が使われている。 科学者として一瞬考えてしまったが、状況を思い出し、打破する方法を考える。 その考えがまとまる前に 「追いついたぞケラケラAAAHHOOOOOO!!!」 ケラモンとは違う意味で不快になる顔の男が飛んできた。 「目の前で銭湯発見!!いい湯だなっと!!」 KASは飛び跳ね、ケラモンの上空に舞い上がる。 またスピンジャンプ!そう思いケラモンは左右に展開しようとする。 「そうは問屋がオロナイン!!」 右手のブレスレットから飛び出す蜘蛛の糸が、弱ったケラモンを捕らえる。 なぜさっき使わなかったのか、もちろん忘れていたに決まっています。 動けなくなったケラモンは口から光弾を吐こうとするが、それをKASは許さない。 「俺の尻は岩男も砕く!!ティウンティウン!!」 ヒップドロップが、ケラモンを叩き潰した。 海馬は、乱入してきた男の行動を見て、敵ではないようだと認識した。 「どこのカスだ」 しかし、海馬の第一印象は悪かった。おそらく未来永劫変わることはないだろう。 残った一体のケラモンにも、痛い洗礼が待っていた。 「ディバインシューター!!」 橋の向こうから飛んできた光球が命中し、ケラモンが悲鳴をあげる。 その飛んできた先から来たのは、もちろん霊夢。 「巫女だと?ふうん、今の攻撃からして、ただのコスプレではないようだな」 鏡を見ろといいたくなる発言。 「なんだかめんどくさい事になってるわね」 ケラモンが起こしたであろう惨状に、ため息をつく霊夢。 ケラモンはダメージを負いながらも距離を取る……だが、場所は最悪だった。 KAS、海馬、霊夢の三人の中央。完全に逃げ場がない。 「ようやく追い詰めたぞケラケラ!!俺のヒップでぺしゃんこにしてやる!」 KASが動こうとする。 「待て!こいつを仕留めるのは俺だ!」 海馬はこいつのトドメを自分の手で刺してやらねば気がすまなかった。 「別にどっちでもいいけど、増える前に倒すわよ」 ほんの一瞬時間をロスしたが、すぐにケラモンに止めを刺すべく行動に移る。 ―――そのロスが、致命的だった。 「動くな……この娘の命が惜しければな」 「――――――ぅ――――――ぁ?」 なんだ?俺は……俺は寝たいんだ。 疲れた、何も考えたくないほどに。 なのに、なぜ体は起きようとする? 体はなぜ……危険だという信号を送ってくる? 「―――――― ッッ!!!」 TASは、目覚めた。 体が鉛のようで、頭はガンガン痛む。 あれから時間は……そう経っていない。 それでもTASが起きたのは、体が感じたため。 近くで展開される戦闘に巻き込まれる危険から、体が無理やり覚醒させたのだ。 TASは、近くに落ちていたフライパンを持ち、花畑を静かに進む。 そして、戦闘地点へと近づいて……覗いていたのだ。 「なんだ、あの生物は?」 そこにいたのは、倒れている小娘と鉄球を振り回す妙な格好の男。 そして、今目の前で二体に増えた生物の姿。 「あの生物……首輪が付いていない?」 先ほどの集団を思い出す。 黄色いネズミと、ピンクの小動物には、形は違えど首輪が付いていた。 しかし、糸を吐きかけてきた芋虫のような生き物には、付いていなかった。 それが意味するところ、それはつまり、参加者とは別に存在するイレギュラーの存在。 もしかしたら、支給品なのかもしれないし、原生動物なのかもしれない。 どちらにせよ、首輪に縛られていない生物。つまり……殺す必要のない存在。 あの男の言った、仲間という言葉を思い出す。 「一人だから負けた……仲間が必要だというのならば」 これ以上、相応しい存在はいない。 TASは、傷ついた体に鞭打ち、チャンスに動けるよう体制を整える。 すぐに、なにやら俺と似た姿をしている奴が走ってくる。 どこかで見た様な気がするが、大したことではない。 更に巫女服の女まで現れ、1体だけとなったクラゲのような生物が追い詰められた。 最速は、最速をもって証明する。 自分が消されず、あの生物も消されない、最速ポイント。 そこで、TASは飛び出し、やよいを無理やり立たせ、その首を絞めた。 「やよい!?貴様、何者だ!!」 海馬の怒声にも、まるで怯まないTAS。 「またややこし「TAS!!!!!!!!」え?」 今までにないほど、響いたKASの声。 あの( ^ω^)という顔が( @益@)と凄い顔になっていた。 「お前ともあろう奴が女の子人質とは見損なうにもほどがアルマジロ!」 TASはKASの発言に構わず、ケラモンを見つめる。 「クラゲの化物!言葉が通じるならば俺と組め!!!」 「「「な、なんだってーーー!!」」」 意外!それはケラモンの説得!! 「俺の目的はこのゲームの最速クリア!!貴様がそれに乗るならば俺と共に来い!!」 「最速クリア……ゲームに乗ってる?」 霊夢は、TASのことを聞いたとき、まともに話せるのではと思ったことを後悔した。 まだKASの方がマシだ。この状況を最悪の捉え方をしているようだ。 「絶望した!!ボスに戦いを挑まないTASに絶望した!!」 「馬鹿か貴様は。最速でクリアして次のステージのボスを最速で沈める……当然のことだろう」 自分と似た姿をして、何を言っているのかとTASはため息をつく。 「バーロー!!このKASにそんな既存のルールは通用しない!バグを見つけてありえぬ速度でクリアするのが俺の栄光へのロード!!」 それを聞いたTASは……笑った。 「ハハハハハ!!バグだと?バグでクリア?寝言は寝てから言うんだな、KASとやら!!」 その大笑いの隙に、ケラモンが三者の包囲網を突破する。 「しまっ……」 「動くな!」 TASの腕の力が増す。もう少しで、やよいの首は……確実に折れる。 「やめろTAS!そんな卑怯は、俺たちヒゲリストの誇りに傷をつける事になるぜ!」 ヒゲリストってどこのセクシーコマンドー部? 「KAS。教えてやろう……速さの為なら、他の全ては無意味。バグを突くのが手段の一つであることは認めよう。だが……このゲームの最速の手段はバグではない!」 スーパーマリオ64のようなすり抜けがどこで出来る? あるかもしれない可能性など模索していては最速クリアなど不可能。 「参加者を最速で排除することが、このゲームの最速なのだ!」 ケラモンが、TASの横で止まる。 その顔を見て、TASは悟った。この怪物は、こんな状況でもまだ楽しんでいる。 確かに怯えてはいる。だが、それは死への恐怖というより、楽しめなくなるという恐怖。 最速の為に他の要素は無駄、と言ったTASだが、一つ除外すべきことがある。 それは魅せること。最速を維持しつつ、同時に華麗な動きも披露すること。 こいつには、元来の速さと楽しむ精神を持ち合わせている。 TASの相棒として、相応しい存在だと感じ取った。 それは、ケラモンも同じ。遊びたいというのに、まったく相手の強さも行動も読めずに、不完全燃焼となっている。 こいつは、自分よりも楽しく遊ぶ術を知っていると直感した。 このヒゲと一緒なら、この遊び場で、楽しく動けると思ったのだ。 「このまま動くな。動いたらこの女の首を折る」 「どうせ、逃げ切ったら同じことでしょ?だったら、ここで貴方達を倒すわ!」 霊夢は躊躇なく構える。 霊夢の考えは正しい。 非情な選択とも思えるが、霊夢もまた、それを割り切れる人間。 自分の力では、あの少女を助けること、あの二人を倒すことは不可能だと理解している。 ならば、結果が同じなら、ここで障害を排除することが正解なのだ。 海馬も同様の結論に達していた。 だが、海馬はやよいのディパックのアイテムで窮地を乗り切った。 借りを返す前に死なれては、海馬のプライドが許さない。 (だが、手札はもう……黙って見過ごすしかないというのか!) KASはKASで動けない。 良く見れば、さっき城にいたはずのうっうーではないか。 けいこはいないが、もしやケラケラに既に倒されてしまったのだろうか? そんな考えもしたが、それよりも、TASのことだ。 俺のラバイルの勘必中イエエッヒイイイ!と喜んだのもつかの間ねこ。 TASがバグを否定しやがったああああああ!!! お前も使いまくってたくせになんという奴! 確かにこのゲームに対する知識は俺もない。 TASは、だからこそ最速の為にバグ探しより正攻法を選んだっぽい。 俺はそんなつまらない事はしないしない。 カギや土管でワープとか、壁をすり抜けないでクリアした最速なんて、最速じゃない! TASが神なら俺はガス○―10になる男!用法用法を正しくおつかい楽しいな! でも目の前で首コキャはやだ。「TASさま、だ。亀が!」なんて見たくない。 『待ってください!バインドであの男を拘束すれば……』 「あの子の首が折れるほうが速いわ。どっちにしろ、もう助からない」 レイジングハートの制止を振り切り、魔力を収束させる。 霊夢は、悪を憎まない。しかし、正義を笑いもしない。 霊夢にとって、最強最悪の殺人鬼だろうと、世界最高の聖人君子だろうと、同じ。 手を組めるなら、それに越したことはない。 目の前に立ちふさがるなら、それに対し絶対の鉄槌を下すのみ。 最悪の事態を防ぐために、何かの犠牲が絶対に必要なら、躊躇わず犠牲にする。 それが、たとえ幻想郷の知り合いでも……魔理沙ですら例外ではない。 それが、日常に戻って、永遠に後悔することだと理解していても。 TASとは組めない。脱出の意志がない以上、組んでも事件を解決できない。 レイジングハートは、霊夢がなのはとは、若干違う考えの持ち主だとわかった。 なのはは、相手の説得を諦めない。どんな悪でも何か理由があるのだろうと話し合う。 ……結局最後はSLBとなるのだが、それでも犠牲を最小に抑える戦いをする。 それは、この場では甘いことだと理解している。 霊夢は、自分の行いが非情だと理解した上で実行しようとしている。 レイジングハートも、これ以上の異論は持ち合わせていなかった。 魔力収束の補助を全開で行おうとして……違和感を感じ取った。 コスプレの男性から、何か妙な波動を感じる。 それだけではない。何かが近づいてくる……何が、どこから? TASは、もはやこの娘が人質にならないことを理解した。 先ほどの仲間を大切にする奴らとは違い、冷静な判断を下せるようだ。 人質がいても、助ける手段がないなら、せめて敵ごと殺す。 その判断を下せる人間が、殺しに回らない側なのは残念だ。 本来、ここで始末せねばならない。 強大な障害となるが、この体では無理だ。 まだ他の二人は迷っている様子。 うめき声をあげているこの娘を、殺すことなど造作もない。 だが、この女を殺すタイミングを間違えば、こちらが危ない。 あの女の攻撃は、この娘ごと俺を殺せるものなのだろう。 ならば、発射直前に五寸釘を投げ、僅かでも砲撃をそらし、回避する。 直後、娘の首を折り、鉄球を持った男へと投げる。 あのような重量のある武器を持っていれば避けきれないだろう。 そして、むやみに襲ってくるだろうKASとかいう二番煎じを殺す。 そして、状況に応じて撃破か撤退か……クラゲの援護があれば容易いだろう。 完璧 パーッフェクト 何故か頭の中にゾンビと戦う屁が臭いデブの自宅警備員の声が響いた。 雑念を消し、その瞬間を逃すまいと集中する。 だが、TASの集中は一瞬で乱されることとなる。 (あんだ、あの男のオーラは?) 妙な服装の男の背後に、ぼんやりと何かが見える。 陽炎のようにはっきりしないそれは……白い龍だった。 その威圧感に、ほんの一瞬隙が生まれ……次の隙へと繋がってしまった。 視界に入っていた巫女服の少女が消えたのだ。 「なっ!?」 そうではない、TASの視界が遮られたのだ。 虚ろな瞳の小さな小さな少女が 逆 さ ま に 降 っ て き た た め に sm93:VS.動かない大森林(EASY) 時系列順 sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm94:愛媛のジャンク/凡人打開配信(後編) 投下順 sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm92:才能の無駄遣い 博麗霊夢 sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm92:才能の無駄遣い ヨッシー sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm78:しかし何も起こらなかった 海馬瀬人 sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm72:蒼い鳥 高槻やよい sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm92:才能の無駄遣い KAS sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm89:friend TASさん sm95:ぼくんちのニコロワ(後編) sm92:才能の無駄遣い クラモンB sm95:ぼくんちのニコロワ(後編)
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/522.html
第三次ニコロワ大戦Ⅱ ――Ragnarok ◆cpYAzLvx8. (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第233話 ファイナル 「なげーよ馬鹿!」 「無駄に長いだけで、中身が無いわね」 「なにをいってるのか、よくわからない」 「神殺し、最高の下克上じゃねえか」 KASと霊夢が即座にツッコミを入れ、日吉の悪態とカービィの無垢な声が次に続く。 レナ、つかさ、遊戯は、HALから吹き荒れる圧倒的な威圧感の前に成す統べもなく、言葉を紡ぐことさえできない。 「ま、言うだけ言えばいいわ、生意気な口を叩けるのもこれで最後よ」 HALが動いたと思った瞬間、既にその場から消えていた。 消えたと思ったHALは、なんと遊戯の前に一瞬にして現れた。 「さっきのお返し」 遊戯の体が突如吹き飛び、肉片があたりに飛び散る。 HALはただ遊戯にでこぴんをしただけであった。 だがその指は、遊戯の頭骨を軽く砕く凶器へと変貌していた。 吹き飛ばされた遊戯は額から血を流して呻くももの、それは死んでいないだけで非常に危険な状態であることを表していた。 「ゲヒャヒャヒャヒャヒャ、弱い弱い弱すぎるわねッ! 手加減したのにこのザマかしら」 ニコレンジャーの中心に現れたHALは、周りからの追撃を避けようとさえしない。 カービィが、KASが、日吉、ヲタチが一斉に飛び掛る。 しかし、その攻撃に対してHALは動かない、動く気すらないようだ。 そのHALの行動にはすぐに説明がついた、飛び掛った三人と一匹の前に何やらバリアのようなものが現れたのだ。 「これが私の新しい能力、無敵結界よ。効果に関しては、言うまでも無いわね」 魔王の血たる魔血魂には、さる世界では誰にも傷を付けられなくなるという無敵の結界を得る。 伝説のダイナマイトや武器などの例外はあるものの、それがある限り人が魔血魂を取り込んだ魔王や魔人に傷を付けることなど出来ない。 魔王アナゴでは不完全にしか取り出せなかった無敵の結界を、HALはモノにした。 そして、魔血魂は無敵の結界以外にも更なるパワーをHALへと与えた。 HALは無敵結界から弾かれた三人のうち、日吉にターゲットを定める。 だがしかし、そこへヲタチがしつこくHALにぶつかって来て、進むのには支障が無いが邪魔で仕方が無かった。 「あーうざったい」 HALは先ほどまで捕らえる事はできなかったでんこうせっかを、やすやすとその手で食い止める。 さらにHALは、手中のヲタチをグチュリと嫌な音を立てて絞りつくした。 それはまるで果物を搾るかのような動作で、HALの手中からは大量の赤い液体が垂れ流されていた。 HALの手が元に戻った時、そこにヲタチだったものを示すものは、紅く返り血で染まったHAL以外に何もない。 「ヲタチぃぃぃいいいいいい!」 「さて邪魔者も始末したし、さっき痛い目に会わせてくれた日吉の番ね」 「ふん、無我の境地がそれぐらいで破れるかよぉ!」 HALは心底舐めきった態度で拳を打ち出す、それに対して日吉は百錬自得のカウンターを仕掛ける。 無敵結界が発動するかと思われたが、HALの予想とは裏腹にカウンターで逆にHALが吹き飛ばされることになる。 「あたたたた……いくら無敵でも自分の攻撃に対しては無敵じゃないのね、油断したわ」 HALは頭を摩りながら立ち上がる、そこへプラズマやメタルブレード、ディバインバスターが乱れ飛ぶがHALには何一つ届かなかった。 自分からの攻撃ではHALに通用しないと理解したレナは、HALへの攻撃を止めさせる。 「ふん、カウンター狙い? 何度も同じ手に掛かる訳が無いでしょう」 HALはそう言って日吉の背後に現れ、日吉の頭を猛烈に引っぱたく。 日吉は反応さえ出来ず、地に伏すことになる。 そこでもHALは追撃の手を緩めず、日吉の腕を思いっきり掴む。 「テニヌプレイヤーだっけ? 一番大事な腕が無くなるのはどういう気分かしら?」 「なん……だと?」 日吉の疑問に対して、HALの行動が答えを示した。 HALは日吉の背中を足で押し付け、勢いよく日吉の腕を引っ張り上げたのだ。 その力に耐え切れず日吉の腕は引きちぎられ、肩から先と腕が生き別れになる。 テニスとボブ術で鍛え上げた人の体をまるでおもちゃのように、HALは両腕を引きちぎって笑っていた。 「ぐああああああああぁぁぁぁぁッッッ!!!」 「ぎゃっはっはっはっハッ……ゲヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」 「日吉君!」 「痛い?でも私の心はもっと痛かったのよ、もっともっと苦しむのがあんたの役割よ、ヒャアハハハハハハハ……! そう言ったHALは、日吉の苦悶が止まるまで、何度も、何度も、何度も日吉を蹴りつけた。 レナが、霊夢が、カービィが、KASがHALに攻撃を仕掛ける。 だが無敵結界に阻まれたHALに対して何の干渉も出来ず、蹂躙される日吉をただ眺めること以外はできなかった。 そのHAL自身は日吉への攻撃が一段落つき、その日吉の腕にはまるで興味が無いといった様子で、その辺りにぽいと投げ捨ててしまった。 「ちきしょー!」 「KAS君、不用意に飛んじゃ駄目ッ!」 KASがホップステップジャンプで日吉を踏みつけるHALの元へ飛ぶ。 しかし奇跡は起こらず、KASの攻撃はHALに通用することが無い。 そしてそのまま、先ほどの再現のようにKASの足はHALの手の中にガッチリと収められ、振り回される。 バランスを崩したKASは頭をゴイン!とぶつけ、半分ピヨりながらHALの手中へ落ちた。 「さてKAS、あんたには私が特別に、閣下と同じ無様な目にあわせてあげるわ」 「閣下のことを言うんじゃNEEEEEEEEEEEEE!」 閣下のことを持ち出されたKASは必死にもがくも、状況は好転しない。 どれだけ暴れても動けない、HALに対しては何の意味も無い。 助け舟を送ろうとしていたレナやカービィも、無敵結界に攻撃を仕掛けるのは無駄と分かっていたから、何も出来ない。 完全に次元が違うHALの強さを、蹂躙を眺めること、ただ傍観することしかできない。 「いっくわよ~☆、心臓破りのHALHALパーンチ!」 HALから気の抜けた必殺パンチが放たれ、やすやすとKASの胸を貫く。 だらりと垂れ下がったKASの肢体からHALの腕がずるりと取り出され、その手中には六角形の金属があった。 「ふんッ!」 「ぐぁぁぁぁあああああああAAAAAAAA!!!」 HALが力を込めると、核鉄は粉々に砕け散った。 そして、それはKASの新たな命がゴミのように砕け散ったことの証明でもあった。 「KAS!」 「KAS君!」 「KASくん!」 「かすっ!?」 「まっ、ざっとこんなもんよ」 HALはだらりと力なく倒れるKASの頭を二、三度踏みつけ、残りのメンバーに居直る。 「さぁ、次は誰がいい? そこのピンク玉がいいかしらね、フヒヒヒ……」 レナは頭を抱えるしかなかった、できなかった。 つかさが倒れない限り、皆が死なない限り赤とんぼで回復できる。 でも、それが何になるのだ。既にKASは死んでしまったのだから……。 目の前の怪物には攻撃はほぼ通用しない。唯一通っていたと言っていい日吉のカウンターは封じられた。 そして、HALが二度同じ攻撃を食らうことは無い。 つまり、打つ手が無い、どうやっても目の前の怪物には勝てないということになる。 だが、どこかに打開の目はある、しかしそれはどこにあるのか。 レナは思慮の海に沈み、恐怖に打ち震えていた所に霊夢が声を上げてHALの前に立つ。 「……私に任せて、レナ、カービィ、つかさ」 「ふぅん、そこの魔法少女くずれが私の相手なのね、いいわよそれでも」 「本当は本気なんて出したくないけど、あんたみたいな糞外道相手にスペルカードルールだなんだと躊躇していたのが間違いだったわ。 ……私が一歩を踏み出せなかったから、KASは死んでしまった…………。」 「まさに名前通りのカスらしい笑える生き様だったわね! ギャハハハハハハハハハハ!!!」 「KASのことを侮辱するな」 怒りに打ち震える霊夢に体が宙に浮かぶ、そして霊夢の周りに陰陽玉が現れた。 HALはニヤニヤと眺めている。何が来ても負けは無いと言った感じだ。 ピエモンから知ってることは洗いざらい掃かせたから、もうニコレンジャーに抵抗の手段が無いことはHALにとって自明の理であったからだ。 「夢想天生!」 そして霊夢の周りの陰陽玉から、大量の博麗アミュレットが打ち出される。 「何度も何度も油断すると思ったら大間違えよ!」 だがHALは霊夢の夢想天生が放たれた瞬間、極光のエネルギー弾を打ち出す。 その極光に巻き込まれて、霊夢の姿は掻き消えた。 「あっ……あああっ…………」 「つかさちゃん、今は霊夢ちゃんを信じましょう…… それに、みんなを絶対に死なせないように笛をお願い」 「う、うん!」 極光を放ったHALは、これで終わったと確信した。 遊戯は一撃でオネンネ、日吉は再起不能、KASはこの手でぶっ潰した。霊夢もこの一撃で消し去った。 残るはカービィ、レナにつかさ、笛がかなりウザいが物の相手ではない。 最悪、霊夢と同じ様にまとめて消し去ればゲームオーバーだ。 HALを含めた皆の視界が晴れる。そして全ての表情がそこで変わった。 霊夢は健在だった、傷一つ付いてはいない。 「……ふ、ふぅん。何かの防御結界か何かかしら?」 まぁいいとばかりに、HALは全力で情報改変を仕掛ける。 だが、情報改変のさなか、初めてそこで異常に気が付く。 情報を改変しているはずなのに、まるで得体の知れない何か、というよりは空気を鷲掴みにするような不思議な感覚がHALを襲う。 そう、それはまるで実体の無い影を捕まえるような、掴みようのない、徒労という言葉が第一に浮かぶ。 干渉しているはずなのに、干渉できない。 その異常に気が付き、HALが恐怖で打ち震えた瞬間に次なる脅威が襲い掛かった。 霊夢から放たれた博麗アミュレットは、HALの無敵結界を貫通して襲い掛かってきたのだ。 「何よ、それ、何よ……。 何よそれぇぇぇぇぇええええええええええ!!!!!」 HALは霊夢に向かって突撃を仕掛ける。 だが、飛び掛ったHALが霊夢を捕捉することは出来なかった。 HALは霊夢に飛びかかかったはずだったのだが、まるで影に触れたかのように通り抜けた。 光線も効かない、物理攻撃も効かない、情報改変も効かない、無敵結界も通用しない。 そう、ありとあらゆる干渉を拒否するかのように、霊夢はそこにいた。 博麗アミュレットの第二陣がHALを襲う、HALは光線弾で博麗アミュレットを打ち落とそうとするが、博麗アミュレットの弾幕は超エネルギー光線弾にすら干渉されない。 HALはやむを得ず高速飛翔して博麗アミュレットを避ける、だがどれだけ逃げても、どれだけ早くても博麗アミュレットは一定のスピードで迫る。 一撃一撃は重くない、だがダメージは確実に、HALを傷つけるには十分な量が加わる。 そして逃げても逃げても、振り切ることは決して出来ない。 「逃げても逃げても無駄なら、これはどうかしら!」 HALは迫る博麗アミュレットに向かって拳を打ち抜く。 だが、それはHALが攻撃した腕だけが一方的に博麗アミュレットに切り裂かれただけで終わった。 そしてHALの攻撃も空しく、反撃のせいで回避が疎かになった所をカウンターの博麗アミュレットが襲う。 空中で全身をズタズタに切り裂かれ、HALは錐揉みながら落下する羽目になった。 「畜生畜生畜生ッ! なんで、なんで効かないの!? ありえないわよ!」 HALにとって、それはありえない相手と、ありえない結果だ。 それはまるで壁をぐいと押したら、押したはずが逆に押され返しただけという不思議な感覚。 押せば押したぶんだけ衝撃が返らず、逆に相手からの干渉だけがこちらを押す。 エネルギーも、物理も、魔法も、情報も、神の力も、何もかもの干渉を受け付けない。 HALのことさえ目もくれず、ただ空中でぷかぷかと漂うだけの霊夢がただひたすらに恐ろしく思えた。 「いいわよ、何もかもが効かないってんだったら、全世界丸ごとブチ壊してあげる」 HALはそう宣言した瞬間、空中に浮かび上がり、猛烈な剛火球を精製する。 それはどんどん膨れ上がり、赤から黒へ歪み、膨張を続ける。 閉鎖空間の大きささえ超え膨張し、閉鎖空間はHALの手中にある黒体に飲み込まれて吸収された。 黒体の成長は止まらない、もはやそのサイズは測定が不可能な段階に達した。 ただ見えた光景は完全なる黒、黒だけが上天全てを支配していた。 その黒体の周りの空間は歪み、綻びさえ見える。 地上にいるレナやつかさ、カービィでさえ、黒体から発せられる余剰エネルギーに翻弄されて動くことすらままならない。 「クロスミラージュ……、あれは、どれぐらい…………?」 『……例外だ、例外だよ。あれはもう、計算なんかしたら俺自身がぶっ壊れそうだ』 もはや抵抗すら出来ない、あれを霊夢が防げなければ、すべてが消滅するといってもよかった。 次元が二つも三つも違うその戦いを目に、ただ霊夢の打開を願うことしか出来ない自分の無力をレナは呪った。 「さぁ行くわよ、あんたが消えて無くなるか、私が消えて無くなるか! 全てを破壊する神の炎、プラネットバスター!!!」 プラネットバスターが放たれたその瞬間、すべてが白く染まり、次に暗黒が訪れた。 白と黒の病的なコントラストが視界を汚染し、目を閉じていてさえ訪れる狂気の光がHALと霊夢以外の二者全てを翻弄する。 乾坤一擲の一撃を放ったHALは、願った。 その一撃で全てが壊れ、無くなることを。 しかし、願いは破られたのだ。 そこにいた、変わらぬ立ち位置で浮かび続ける紅白と、大量のお札が迫っていたことで。 「ぎぃいやぁぁぁあああああああ!!!」 プラネットバスターですべての力を消耗し尽くしたHALは、目の前に迫っていた博麗アミュレットに再びその身を蹂躙されることになった。 全身が絶え間なく切り裂かれ、幼いその身はもはやただの肉片に変化しつつあった。 何の抵抗も出来ず、頭に付けていたアカギパッチが剥がれ、更に弱体化したところを第二陣が再び迫る。 「何よ、何よ、何よ、何よ! 一体、あれは何なのよ!?」 その疑問に答えるものは居ない。いや、答え様は無かった。 崩壊したと思ったクッパ城は、ボロボロになりながらもいまだ健在。 ゆとりもニコレンジャーも、プラネットバスターの余波は微塵も受けていないようにさえ見える。 空間に大量のヒビが入り、今にも崩壊しそうな空と地平だけが、プラネットバスターが存在したことの証明だった。 プラネットバスターが炸裂するはずだった地上に、その被害はまるでない。 ありとあらゆる干渉を否定された霊夢の前に、超絶規模の破壊さえ無意味に消え去っただけだった。 それは恐怖だった。四度目の死の恐怖であった。 何も出来ぬまま、何も残さぬまま、この紅白に蹂躙されてその身を消される。 (嫌だ、嫌だ、嫌だ! 私は絶対、絶対にもう死にたくない、死にたくない、死にたくないッ!) 死に物狂いのHALは、博麗アミュレットを奇跡的に回避する。 ほんの少し体を捻っただけなのだが、補足した座標を追跡する特性を持つ博麗アミュレットに対しては幸運に働いた。 そのHALの僅かな抵抗、俗に言うチョン避けによってHALは九死に一生を得た。 追尾が続くことには変わりないが、ようやく活路を得た。 いずれ力尽きるとしても、このまま何もしないまま死ぬわけには行かない。 ようやく地上へ降り立ち、まずは空中で落としたアカギパッチを探す。 HALが横方向でそれを補足した頃には、レナが既にそこへと迫っていた。 「はぁぁぁぁっ!」 HALが動いた時には時既に遅し。 アカギパッチは、レナの鉈で真っ二つに粉砕されてしまった。 「畜生、畜生、畜生おおおおお!!!」 ヤケクソのHALがレナに向かって光線弾を放つ。 しかし、それさえも博麗アミュレットが全て吸収、消滅してしまった。 「あっ、あっ、嫌ぁぁぁぁああああああああああ!!!」 半狂乱でHALは頭を押さえ、その場で蹲って身を守ろうとする。 博麗アミュレットの蹂躙を心底恐れているからこそ、もう何もしない、できなかった。 だが、そこへ博麗アミュレットが訪れることは無かった。 HALがそれに気が付いたのは、霊夢の気の抜けた声が原因だった。 「あれ、おっかしーなぁ?」 霊夢自身は夢想天生を止めようとは思わなかった。 そして、霊夢がそのことを疑問に思っても、何故そうなるのかは分からなかった。 「レイジングハート、なんで夢想天生が止まったか分かる?」 『……いえ、レナに向けた砲撃を防いだ所で、急に霊夢の状態がいつものように突如戻ったとしか…………』 霊夢がレイジングハートに問題を尋ねるが、その答えはおぼつかない。 その答えは誰にも分かる筈が無かった。 誰かを守ろうとする尊い心が、ありとあらゆる場所から浮かび上がり、干渉を否定する夢想天生を否定したのは、もはや皮肉としか思えなかった。 霊夢は信頼できる仲間を守ろうとしたが故に、無限の力を自ら放棄したことに、気がつけない。 『霊夢!』 「何、レイジングハー…」 レイジングハートが注意を促したときには遅すぎた。 最大の脅威が過ぎ去ったことを理解したHALが、霊夢の困惑を前に先手を取って逆襲を行ったのだ。 猛スピードで突撃したHALの拳が霊夢に突き刺さり、霊夢の背中からHALの肉隗と化した拳が生える。 「か…はっ……」 『霊夢!』 「本当に死ぬかと思ったわ、ええ、本当に…………。 ……だからとっとと死にやがれええ!!!」 拳を霊夢の腹から引き抜くと、そのまま崩れ落ちる霊夢に猛烈なラッシュをぶちかます。 とっさに発動したシールドは、HALのラッシュの前にはまるで紙のようにあっさりと崩れ落ちた。 霊夢の顔に、腹に、胸に、足に、HALの拳が突き刺さる。 その全身はズタズタに切り裂かれ、もはや生きているのか死んでいるのかすら疑わしい状態になってしまう。 崩れ落ちる霊夢の体からHALはミンチと化した霊夢の右腕を引き抜き、あろうことかそれを口へ運ぼうとする。 「させないっ!」 終始笛を吹きっぱなしで息切れが激しいつかさを後ろに、レナとカービィが霊夢を救出するべく走る。 「もう遅いわよ、さっきは焦ったけど、これで私は夢想天生のパワーを手に入れることが出来るッ!」 HALが霊夢の右腕を齧る。HALはそれを二三度咀嚼するが、すぐにその味の悪さに気が付いて口の中にあったものを吐き捨てる。 「グゲェ、ペッ!? 何よの味、余りにも不味くて食えないわ!」 HALは完全に霊夢の捕食に気を取られ、レナとカービィには目もくれない。 レナの鉈とカービィのプラズマ波動弾が襲い掛かる。 HALにとって夢想天生のようなごく一部の例外を除いて無敵結界が有効、故に気を回す必要が無いと判断していたのだが。 HALの前には何も無いかのように、プラズマ波動弾がそこを通り過ぎてゆく。 気が付いたころには既に遅く、プラズマで吹き飛んだそこへ、電撃を帯びたレナの鉈がHALの肉をチリチリと焦がし、切る。 「ぎぃやぁぁぁぁ!? 何で、何で無敵結界が発動しないのよ!?」 ボロボロのHALは無様に吹き飛び、肉片を飛び散らせながらゴロゴロと床を舞う。 その間にレナとカービィは、霊夢の様子を確認する。 「れいむ!」 「霊夢ちゃん、しっかりして!」 レナは強く呼びかけ、霊夢の頬を軽く叩くが反応は無い。 つかさの赤とんぼによって傷が癒されているので、死んではいない。 ただ、霊夢の全身からは大量の出血が酷く、つかさの笛が無ければその場で死んでいたほどの重傷だ。 引き抜かれた右腕を筆頭に、ズタズタに切り裂かれた柔肌が余りにも痛々しい。 緊急事態と判断したレナは回復アイテムはディパックの中身をブチ撒け、何でもいいから回復できるアイテムを探す。 しかしその目的が達成される前に、既にHALは起き上がっていた。 レナは慌てて立ち上がり、姿勢を構えなおす。 瀕死の重傷を負っているのはHALもまた同じであった、ふらふら、よろよろとしたその動きは既に余裕など無いことを顕著に示している。 しかし、その力の次元が違う。 いかに瀕死で弱りきったとはいえ、相手は手負いの獣、いや、獣と表現するにはそれは強すぎた。 獣ではなく、人を超越する巨体の竜や悪魔にも匹敵する、手負いの魔王だった。 回避、防御行動は間に合わないと判断し、HALの体勢が整う前に再び襲い掛かる。 レナの鉈とカービィのプラズマが迫る直前に、HALは超速の一歩を踏み出す。 「かっ……!?」 そして襲い掛かるレナに強烈な頭突きをぶちかまし、そのまま血しぶきを上げたレナを地へと落とす。 さらなる追撃は、ただの一歩で決まった。 HALから繰り出される圧力を持った足が、バリアジャケットで保護されたレナの肉体を易々と砕いた。 二歩目で踏み抜いたレナを、HALはその身を回転し、足から引き剥がす。 レナはそのままホールの床に真っ赤に染まった砂煙を上げながら、倒れて起き上がらなかった。 HALの蹴りはそれだけで終わらない。 プラズマバリアで覆われたカービィもものともせず、ピンクの球体をサッカーボールのように蹴りぬく。 HALの足がとっさに放たれたプラズマで焼け焦げるが、それは蹴りの威力を弱めることには何も繋がらない。 カービィは吹き飛ばされ、レナと同じ様に壁で激突するまで何も出来なかった。 よろよろとカービィが体勢を整えようとした瞬間、HALの二撃目がカービィのすべてを押しつぶす。 レナと同じ一撃を受けたカービィの体は足で踏まれた場所がそっくりそのままなくなり、ピンクの球体だったものを欠損させる。 カービィのコピー能力が解除されたところで、HALはさらにもう一発蹴りを入れてカービィの肉片を蹴り飛ばした。 「ハァッ……ハァッ…………」 HALがゼイゼイと息を付くが、そこで響くのは間抜けな笛の音だけ。 だがHALはその笛がどれだけ危険なものかを知っている。 もし霊夢が死んでおらず、再び回復して立ち上がったら? 日吉が復活したら? レナにKASに遊戯にカービィが起き上がったら? そのリスクを放置して休んではいられなかった。 「さっきからひっどい音で耳鳴りがして心底不快だったわ」 「ひ……ひっ!?」 突如つかさの視界にグズグズの肉隗が現れる。 しばらく目を凝らしてHALだと認識した頃には、つかさは腰を抜かして床に尻餅を打っていた。 「あんたの笛の力は知ってるわ、さぁ、その力で私を回復させなさい、さもないと……」 「い、嫌!」 「分かってるの?」 「あ、あなたみたいな人なんかに、私は絶対屈したりはしないッ! 私はあなたとは違うッ! 私にはみんながいる、私の信じる皆が居る! だから絶対負けないッ!」 つかさが勢いよく啖呵を切る、しかしHALにとってそれは予定調和。 「じゃあ、笛を吹きたくなる楽しい遊びをしてあげる」 「へ……ああああぁぁぁぁぁaaaaAAAA!!!」 つかさの疑問は一瞬にして、激痛という名の代償で支払われた。 HALはつかさの指を掴むと、指を曲げてはいけない方向へと力を加える。 ぐりッっと嫌な音がして、つかさの指は決して曲がらない方向へと押し曲げられた。 それを、左手、右手と繰り返す。 つかさの嬌声をバックコールに、一つ一つHALは指を折ったり戻したりして様子を見る。 「少しはやる気になった?」 「……い、いやだ…………」 「ふぅん……、ところでつかさ、あんたは爪を剥がした事はある?」 「え……?」 鋭い針に変化したHALの指が、つかさの爪と指の間へと強引に割り込む。 再びホール中を切り裂くつかさの絶叫が響き、つかさの爪がパーンと勢いよく剥がされた。 その同じ工程を、先ほどとは違い、ゆっくり、ゆっくりと着実に実行していく。 つかさの口からは大量の唾が溢れ、脂汗が体中をひた走る。 手の爪を全て剥し終えたHALは、つかさの表情を見てニヤニヤと笑う。 「何勘違いしてるの、次は足よ」 「ひっ、ひぃぃぃぃいいいい!?」 HALはもがくつかさを一度殴りつけて大人しくし、つかさの足を握りつぶさないように、割れ物を扱うような手でゆっくりと靴を脱がす。 そして、つかさの足の爪にも、その鋭い凶器をねじ込んだ。 のた打ち回るつかさがどれだけ暴れても、それはHALにとって赤ん坊の児戯よりも弱く脆い力だった。 それでもつかさは、すべての爪を剥し終え、足指の骨をガタガタに折られてもなお、抵抗の意思を曲げることは無かった。 「強情ね、私にごめんなさいって一言言えば止めてあげたのに」 「ぜ…った……嫌…………」 「ふん、ならそれでいいわ」 HALはつかさを解放する。そして手から零れ落ちたFooさんの笛を手の持つ。 「こんなもの、使えないならいらない」 ホールの床に叩きつけられた笛は、余りの力に耐え切れないのか、バラバラに分解されてしまった。 「じゃ、死のうか?」 つかさの表情が恐怖一色に染まる。 それでも、決して許しを乞わないつかさの姿がHALにとっては不快でならなかった。 ◆ ◆ ◆ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 時系列順 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 投下順 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 竜宮レナ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 柊つかさ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 武藤遊戯 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 日吉若 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 博麗霊夢 sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday カービィ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday KAS sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅰ ――Coldwar to Doomsday 涼宮ハルヒ sm233:第三次ニコロワ大戦Ⅲ ――Necro Fantasia
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/483.html
第一次ニコロワ大戦 六色アルティメットバースト ◆jVERyrq1dU (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第215話 ジアースVS対主催決戦 つかさ、カービィ、レナが敗れ、残り三人。対するジアースは左腕を失い、隻腕である。 これを有利と見るか不利と見るか、それは人それぞれ、自由である。 しかし少なくともジアースの対面に構える三人の士気は、先ほどに比べ圧倒的に削がれていた。 どう考えても不利、厳しい。そんな弱い考えが頭の中で芽吹く。 それとは対照的に、コイヅカの心理は何も変わらない。左腕を落とされた時は少し動揺したが、彼の精神の根っこの部分は全く揺らがない。 即ち連中を全滅させる。この決意はどんな時であろうと決して揺るがない。 「く、来るぞ……!」 ジアースが動き始めたのを見て日吉は唸る。自軍の最大戦力であるNice boatを破壊され、これからどう戦えば…… 日吉には分からない。見当もつかない。 「ちぃ……やはり来たか……」 ジアースが動きを止め、体の向きを変える。 その方向を見つめると、ジアースに負けず劣らずの巨大な龍がいた。それも二体。 「な、何だありゃあ……」 「あれは……海馬の持っていたカード……」 地面に降りた霊夢が言う。そう、青眼の白龍が二体、ジアースを睨みつけていた。 ブルーアイズの傍らには、蛾に乗った少年がふわふわと空中に静止していた。 決意を持った瞳でジアースを睨む。 中々の強敵が現れ、コイヅカは頭を働かせる。ブルーアイズともなれば、まともに戦うわけにはいくまい。 それにしても遊戯か……てっきり海馬かと思ったが……もしや奴はもう死んだか? まあ、アルティメットにさえならなければどうにでも対処出来るはずだ。 万が一アルティメットになったところで、すでにもう対策は済んでいる! ジアースの砲口に光が収束する。博之、遊戯以外の三人はその時点で気付いた。 レーザーだ。 遊戯は博之の上で立ち上がり、ジアースに向けて指を指す。 「行け!ブルーアイズ!! 滅びのバーストストリィィィィィムッ!!」 遊戯の叫びと共に、二体のブルーアイズが光線を吐き出す。 二本の光線は螺旋を描き、一つに収束する。恐ろしい勢いでジアースに向けて疾走していく。 ジアースもまたそれとほぼ同時に、パゥっとレーザーを発射した。 空中で、ジアースのレーザーとブルーアイズの聖なる光が衝突する。 二種類のレーザーが交わり、巨大な球となり力と力のぶつかり合いが開始される。 「きゃああ」 「うおッッ!」 余りの衝撃波に霊夢と日吉は吹き飛ばされる。球は時間と共に加速的に巨大化し、今にも張り裂けそうだ。 「や、やばいんとちゃうんか!? 遊戯ッ!?」 「関係ないッ! ここで引いては絶対に勝てないよッ!」 僅かにだが、ジアースのレーザーが押し始めた。巨大なエネルギーの球がブルーアイズへと迫る。 だ、駄目だ……勝てない! 日吉は巨大な球を見上げ、喉をごくりと鳴らす。ゆっくりだが確実に、ジアースのレーザーはブルーアイズのそれを押していく。 アリスも日吉と似たような心境だ。ヘルパーでジアースを撃ち続けてみるが、何の援護にもならない。 スターシップ一つでは傷もろくに与えられない。 「日吉! レナを探すわよ! きっと最後のブルーアイズを持ってるはず!」 霊夢は傍らで委縮している日吉に声をかける。レナが生きているかどうかはわからない。 例え死んでいたとしても、私達の戦力になるブルーアイズや他の武器だけは命を賭して守ったはず、そんな気がした。 「探すってどこをだよ!?」 日吉がぶっきらぼうに叫びかえす。当然の疑問である。 「船よ!船が落ちた場所を探す!それしかないわ!」 なるほど、確かに探すとしたらそこだ。というより、そこ以外にない。 日吉は納得し、霊夢と共に駆けだす。 「ブルーアイズ! 頑張ってくれ!」 遊戯は蛾の上で叫ぶ。もう目の前にまで球が迫ってきている。冗談じゃない。 本当に冗談じゃないぞこんな事。せめて、あと一体ブルーアイズがいれば…… やはり、こんなもの。アルティメットにさえならなければ、どうという事はない。 コイヅカはコックピットで口角を吊り上げる。遊戯を蔑んだ瞳で見つめ、せせら笑った。 さっきからずっとアリスがジアースのコックピットに向けて撃ち続けている。 無駄な事をするものだ。出撃する前はジアースの完成度について若干の不安があったが、杞憂だったようだ。 さすがはピエモン。ジアースは紛れもなく最強だ。敵などいない。 「ゆ、遊戯逃げるぞ!?」 「駄目だ!ここで引いちゃったら負けだよ!」 蛾形態の博之が叫んだ。遊戯の許可を得なければ自由に行動できない。 その制約は博之の不安を助長させる。このままでは勝てない……それは紛れもない圧倒的真理。 エネルギーの巨大な球が遊戯の鼻先にまで迫る。 よし、ブルーアイズ……そして遊戯王シリーズのAIBOと永井動画の博之を撃破だ。 「甘いわね……ガラ空きよ」 「……!?」 コイヅカの背中に冷たい汗が流れる。完全に油断していた。 まさかここで来るとは思っていなかった。 すぐさまジアースのカメラを足元に向ける。そこでは、ある女がけたたましく笑っていた。 彼女の足元から何かが生える。次第に巨大化していく。どこまで大きくなるんだ? まさか奴は、以前よりパワーアップしたとでも!? 「けひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! 私を退け者にして何最強気取ってんのよ!?」 依然としてレーザーを放ち続けるジアースの隣に、ジアースに匹敵するほど巨大な神人が突如現れた。 神人の肩には涼宮ハルヒが大口を開けて下品な笑い声を吐いていた。隣には永琳がハルヒを心配そうに見守っている。 恐らく護衛なのだろう。古泉はどこへ行った?どこかで待機しているのか? ジアースの方が神人よりも少し大きいのに関わらず、コイヅカは何故か見下されたような気分になった。 「ええ!?このクソジジイ! けひひ、そのパクリロボットを解体してやるわッ!」 ジアースに大きな衝撃が走る。右側面から神人に思い切り殴られたのだ。 大きく揺らめき、バランスを崩すジアース。レーザーの狙いは狂い町へと、そしてそのまま塔へと走り、跡形もなく破壊する。 「神(笑)め!」 「ヒャハハハハハハハハハハハハハ!!」 ジアースが一本だけ残った腕で神人を殴りにかかる。ハルヒもまた拳を繰り出す。 お互いの急所を狙った拳の交錯。ほぼ同時に両者の拳は相手にぶち当たる。 ジアースの鉄拳は神人の顔面へと、神人の拳はジアースの腹へと、鈍い轟音を叩き出し、衝突する。 重量感のある低音が衝撃波となり拡散していく。 遊戯は吹き飛ばされないように必死に博之に掴まったが、博之自身が軽々と吹き飛ばされれば意味がない。 二人は仲良く戦線を離脱していく。 「きゃああああああああああああああああああああ」 アリスも彼らと同じく激しい衝撃波に耐えきれず、機体を回転させながらどこかへ吹っ飛んで行った。 「興味深い!興味深いわ! この神に匹敵するほどのパワー!威圧!巨体! 所詮人が作ったモノなんだけど!この高揚感は何!? けひゃ! 面白ォイ!!」 「私はニコニコ動画を病気から治すのだ!貴様なんぞには負けん!」 片腕しかないジアースはやはり不利。ハルヒの速攻を防ぎきれない。 ジアースに次々と拳の弾幕が突き刺さる。ハルヒは今、圧倒的有利。彼女のテンションも鰻登りだ。 「ああ!? ニコニコ動画!? そんな変なサイト私がぶっ壊してやるわよ!」 しかしコイヅカの表情は依然として変わらない。決意に満ちたものだ。 負の感情を窺う事は到底出来ない。眼光を一層輝かせ、静かに反撃の時を待つ。 ジアースの砲口に光が収束していく。ハルヒはそれに気づかない。 聞く者を鬱にさせるような高笑いをしながら、ゴツンゴツンとジアースを殴る。 神人はやはり強靭だった。殴るたびにジアースの装甲が歪み、凹んでいく。 このまま押し切る事が出来れば、神人は勝利するだろう。 「ぐぇぇ」 ジアースの膝蹴りが一発神人の腹に入った。ハルヒは神人の肩の上でふらりとし、必死に意識を縫い止める。 異様な双眸でコイヅカを睨みつける。少しすると、ふっと険しい表情を緩め、醜悪な笑みを浮かべる。 「神! もう止めて下さい……!!」 悲鳴を上げる永琳を振り払い、ハルヒは再び戦闘態勢をとる。 「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ」 気味の悪い奇声を上げながら、だらだらと唾液を垂らしながらハルヒは神人を動かし、ますます激しくジアースを殴り出す。 さっきのは偶然だ、ジアースなんか私の足元にも及ばない、と言うかのように、 ハルヒの激情を体現するかのように神人は暴れまくる。 明らかに次元の違う戦いを尻目に、霊夢と日吉は駆けていた。 全力疾走で川沿いを走る霊夢と日吉。まさかハルヒが来るとは思ってもみなかった。 レナにより、ハルヒがゲームに乗っているとすでに知っていた霊夢。しかし、あそこまで狂っているとは誰が想像しようか。 ハルヒはまさに完璧な狂人。人は一日かそこらであそこまで変わるのだ。 唐突に、前を走っていた日吉が足を止める。 「おい……あそこに誰かいるぞ」 日吉は霊夢にそっと声をかける。 今、川に何かがいた。弱々しい声が聞こえたような気がした。 川の流れがおかしい。乱れている。誰かが流されているのか? 日吉と霊夢は警戒したまま、何者かにゆっくりと接近する。 自分達の仲間はほぼ全員この場所に集い、戦っている。とすると、川の辺りにいるのは…… 危険人物であろうと、ジアース撃破のために何とか利用したいところだ。 そう言えばハルヒはどうしてジアースに喧嘩を売ったのだろうか。自分より目立っているのが腹立たしいから? いくらなんでもそれだけではないだろう。 先に様子を窺った日吉がふっと緊張を緩める。それを見て霊夢も覗き込む。 「つかさ……」 川原に憔悴しきったつかさが打ち上げられていた。日吉はすぐにつかさの元へ駆け寄り、川から引き上げる。 「おい、おまえ、大丈夫か?」 ぺちぺちと頬を叩く。つかさは苦しそうに喘いだ後、静かに目を開く。 「あ……日吉さん……」 「カービィが……助けてくれたのね」 だいたい予想できる。ジアースに粉砕される直前、カービィはつかさをスターシップから振い落したのだ。 あの状況でつかさを助けるには地上で流れている川にわざとつかさを落とすしかなかった。 つかさを助けなければ、カービィは助かっていたかもしれない。 そう思うと、カービィの執念を垣間見たような気がして、霊夢はなんとも言えない気持ちになった。。 ともかく、カービィは自分の命を犠牲にし、つかさの命を救ったのだ。 「気分悪いだろうが聞かせてもらうぜ? レナは……どうなった?死んだのか?」 日吉が単刀直入に質問する。つかさは息も絶え絶え、口を開く。 「死んだかどうかは……分からない…でも、レナちゃん……最後にこんなのくれた……」 つかさはポケットから何かを取り出し、日吉に手渡す。 「つかさちゃんは……これで戦って、って言ってた」 最後の青眼の白龍だった。 レナの機転、戦力を少しでも増やそうと、つかさにも闘って貰おうとしてこのカードを渡したのだろう。 全く、抜け目のない奴だ。日吉はにやりと笑んだ。 ────パゥッ その時、ジアースが火を噴いた。日吉と霊夢はまたも衝撃波に煽られる。 二匹のモンスターの戦いに何らかの転機が訪れたらしい。 三人は神人とジアースを見上げた。 神人の胸に大きな大きな穴が開いていた。致命傷だ。誰が見てもそう思う。 その直後、神人は大きくバランスを崩し、大地に倒れる。しかしジアースはそれを許さなかった。 倒れかけた神人の頭を残った右腕で掴み上げ、無理やり引き起こす。日吉はジアースが激しく傷ついている事に気づいた。 おそらく神人にしこたまぶん殴られたのだろう。レーザーさえなければ神人が勝っていたかもしれない。 神人を強引に立たせ、ジアースは思い切りぶん殴った。何発も何発も殴る。ラッシュの仕返しである。 神人は耐えきれず、ついに大地に仰向けに倒れた。ジアースはなおも容赦せず、今度は足を持ち上げ神人を踏みまくる。 耳を塞ぎたくなるような怪音がロワ会場に響き渡る。 「見るなッ!あっちはあっち、こっちはこっちだ」 日吉が語調を強めて言い放つ。つかさに肩を貸し、立ち上がらせる。 「平気か?」 「う、うん…なんとか……」 つかさが普通に立ち上がったのを見て日吉は安堵する。 「いいか?お前はこれからこのブルーアイズってのを使って闘って貰う。お前にしか出来ない、俺達は普通に戦えるからな」 「う、うん……でも私なんかが……」 何故かつかさが渋る。何か理由があるのか?お前にも闘って貰わないと困るんだぞ。 日吉は困惑する。 「私、なんかが……死神なんだよ…カービィも死んじゃった…私……そんな私が…」 日吉の何かが切れる音がした。拳を強く握りしめ、顔を怒りに染めて、つかさを真正面から睨みつけた。 その表情はかつての敵、YOKODUNAを睨む時の顔と全く同じ。つかさは恐怖で息を飲む。 「じゃあ、じゃあ何か? お前は呑気に突っ立ってるだけで……何もしたくないと? 自分を卑下してまで……戦いたくないと?」 「た、戦いたいよ!でも、私が頑張ったらみんな死んで……私が関わった人は死んでいって……」 私が私が私が私が私が私がわたしがわたしが──── 「自分の事だけか……お前はよおッッ!!」 つかさに掴みかかる。霊夢はそんな日吉を必死に抑えつける。 「関わったら死ぬ?頑張ったら死ぬだと!? 馬鹿かお前は!関われるだけで、頑張れるだけで充分じゃねぇか!! 誰がお前を憎んでいる!?誰がお前を攻めてるんだ!?結局お前は自分だけ!!自分で自分を攻めているだけ!」 「日吉、もうやめなさい!」 霊夢が冷静に言い放つ。 「仲間と一緒に頑張れる、頑張る事が出来たんだお前は!!それで何が不満なんだ! 仲間が死んだからってどうして自分を責める必要がある!? 死んでいった奴らと共に、同じ空間を共有出来た!互いに頑張れることが出来た! 結果なんか関係ねぇよ!死んだ奴らの意思を継ぎ、次はもっと頑張るだけ!」 ────それだけだろうが馬鹿野郎!!! どうして……お前はそう思えないんだ…… 日吉の力が急速に抜け、ぐったりと項垂れる。 霊夢が何事かと声をかける。 「もういい、離せ……」 力なく日吉は言った。霊夢は日吉の言われたとおりにした。 そして日吉はそのままジアースに向かって走り出す。最後のブルーアイズを見つけた。 使う奴もいる。もう自分はただ暴れるだけでいい。それだけだ。 「じゃあ……頼むわよ……あのもみじ頭と協力して、戦いなさい」 霊夢はつかさの肩をぽんと叩き、日吉を追い始める。 しばらくつかさは呆然としていた。日吉の自分に向けた怒り。恐ろしい形相で睨みつけられ、とても怖かった。 つかさはふと、視線を落とした。右手にはしっかりとブルーアイズのカードが握りしめられていた。 「あんた……どうしてあんなに怒ったの?」 走りながら日吉に聞いてみる。つかさはただの女子高生。あそこまで怒る事はないのでは…… 日吉は遠くを見つめながらそっと口を開く。 「俺は……関われなかった……結局。奴が死ぬかもしれないって時に、俺はただ寝ていたんだ。 せめて、せめて奴と一緒に戦いたかった。今頃、死体になってるかと思うととても怖い…… あのつかさって奴みたいに、仲間の生死に関わりたかった……俺はそれすら叶わない。 今、あいつがどうなっているか……もし死んでいるのかと思うと……俺は……」 日吉の言葉は支離滅裂で要領を得ない。 「仲間って……誰の事?」 「俺の弟子だ……くそ、俺が寝てる間に勝手な事しやがって……どうして無理やり起こしてくれなかったんだよ」 霊夢は日吉の目から涙が流れ出るのを見たような気がした。 「ザマーミロ神(笑)。天罰だよ」 博之に乗った遊戯がぴしゃりと言い放った。博之は遊戯の言葉にうんうんと頷く。 神人は胸に大きな穴を開け、ぐしゃぐしゃに踏みつぶされて大地に横たわっていた。 ジアースもかなり傷んでいる。神人を甚振るのを止め、こちらへ向き直る。 ジアースは明らかに消耗している。もう少し、きっともう少しだ。 「いくよブルーアイズ……」 遊戯は傍らに佇む二体のブルーアイズに声をかける。 今ならきっと勝てる。まさかハルヒが乱入してくるとは思わなかった。 彦麿さんはうまくやったらしい。 ジアースの砲口に、またもや光が収束していく。それしかないのかお前は 遊戯はびしっとジアースを指差し、叫ぶ。 これで最後だ。これで決めてやる…… 「滅びのバーストストリィィィィィィィィィム!!!」 二体のブルーアイズが一斉に火を噴く。それとほぼ同時にジアースのレーザーが発射される。 二種類のレーザーは二度目の衝突をし、例の如く衝撃波が拡散される。 遊戯は博之に掴まり、力の限り叫んだ。 「いけ!いけ!ブルーアイズぅぅぅぅ!」 遊戯と博之はジアースがかなり消耗しているため、今度は押し切れると思っていた。 ブルーアイズがジアースを破壊するものだと信じ込んでいた。 「う、嘘やろ……」 博之が驚嘆する。もはや呆れに近い。ジアースのレーザーがブルーアイズの光線を押し返す。 いくらなんでも、これはひどい。ジアースはさっきまで神人に散々殴られていたではないか。 確実に消耗しているはずなのに、これはいったいどういう事なんだ。 「そんな……」 遊戯もまた博之と同じ心境。まさかジアースがここまで強いとは思ってもみなかった。 ふと、遊戯が博之を見ると、何やら口にエネルギーが溜まっていた。 「このまま黙って見とれるか……!」 博之が光線を吐き出す。デーモンのフレイムインフェルノに、ドクケイル成分や魔力が合成されたわけわからん光線である。 しかしいくらカオスでも、かつて最強を誇っていたデーモンの必殺技に様々なものがブレンドされた光線、弱いわけがない。 むしろブルーアイズの光線をも超える勢いで、ジアースへと向かっていく。 ブルーアイズのバーストストリームに博之の光線が融合される。少しだけ遊戯博之側が押し返す。 しかし──── 「駄目だ……まだ足りないよ……博之さん」 遊戯が途方に暮れた顔で言った。もうこちらには新たな戦力などない。 ジアースのレーザーが少しずつこちらに近づいてくる。 勝てんのか……!また勝てんのか俺は……!閣下の時も役に立たんかったし、俺は…… こんだけブレンドされても……まだ何の役にも立てんって言うんか!! 博之が心中で叫ぶ。しかし、博之の思いも空しく、ジアースのレーザーはゆっくりとしかし確実にこちらへ迫る。 やれやれ……やっぱり主催者の切り札なだけはある……思ったとおり規格外だ。 日吉はブルーアイズの劣勢を見て、思った。 日吉は空に両腕を掲げ、精神を集中させる。 無我の境地は恐ろしいほどの勢いで俺の体力を削っていく。言わば諸刃の剣。 使い方を誤ればすぐにお陀仏だ。だがな、ここで使わないといつ使うんだよ。 両手にエネルギーが溜まっていくのが実感として分かる。KIだ。 YOKODUNAの最強の技、GENKI-DAMAである。日吉はこの技もまた見事に会得していた。 「俺は……生き残ってあいつにボブ術を叩きこまなけりゃいけないんだ…… はは、チビ助が生きていたらの話だがな……」 日吉は両足で大地を掴み、ジアースに向かって思い切りGENKI-DAMAを放った。 GENKI-DAMAは吸い込まれていくかのようにブルーアイズとジアースの光線が拮抗する箇所へ飛んでいく。 その直後、日吉は血を吐き、地面にぶち倒れた。 「これは……」 コックピットに座ったコイヅカは異変に気づく。ブルーアイズだけではない。 わけのわからない蛾の光線、そして日吉のGENKI-DAMAがバーストストリームに加勢してきた。 しかしコイヅカは一片たりとも表情を崩さなかった。霊夢がディバインバスターを放ってきたが、どうせ結果は同じ事。 「これだけやって……まだなの?」 ジアースに向けてディバインバスターを放つ。 光線が拮抗している箇所に放ち、バーストストリームに加勢しようとしたが、どうやら大した効果はなかったらしい。 霊夢の頬に冷や汗が流れる。ジアース……手がつけられない程、規格外…… バーストストリーム2本、博之のカオスレーザー、ディバインバスター、そして日吉のGENKI-DAMA。 これだけの力を結集しても、ジアースのレーザーを押し返す事は敵わない。 やはり、最後のブルーアイズの力が──── つかさはジアースを目の前に、すっくと立ち上がる。 死んでいく人達に関わる事が出来る幸せ、意思を受け継ぐことが出来る幸せ。 もっとそれを自覚しろ。日吉はそんな事を言っていた。確かに、思い返してみると──── 狂った私の身を案じてくれたいさじさん、最後までごめんなさいと謝り続けたゴマモン、私を説得しようとしたおじいちゃん 結局謝る事が出来ないまま死んじゃった春ちゃん…… 私は多くの人の死を目の当たりにしてきた。多くの人の死に関与してきた。 今更謝っても仕方がない。悔やんでも仕方がない。自分を責めても仕方がない。 私に出来る事はただ、意志を受け継ぐこと…… 私の中で何かが弾けたような気がした。気づきは確信へと変わり、自信へと変化する。 わかった……理解した。あれはそういう事だったんだ。 城でアリスちゃんに言われた事が、今────言葉ではなく心で理解できた!!! 「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!」 とにかく叫びたい気持ちだった。自分の心の中にずっと巣くっていたもやもやしたもの。 それが漸くどこかへ霧散したような、そんな心地のいい開放感。 縛られるのではなく受け継げ。そして罪滅ぼしをしろ。 「分かった!分かったよ!アリスちゃん、日吉さん!今、私は心で理解した!!! ────青眼の白龍召喚ッッ!!」 「滅びのバーストストリィィーーーーーーーーーーーーーーーィムッ!!!」 大口を開けて叫ぶ。今までにこれ以上大きな声を出したことがない、というぐらいまで。 最後のブルーアイズから光線が発射され、仲間達へと加勢する。 力と力の拮抗を示すエネルギーの球はさらに巨大化する。 「見たか主催者!」 遊戯が叫ぶ。 「貴様はたった一本!」 地上で日吉が唸りを上げる。 「私達は5本!」 霊夢が息を切らしながら大声を上げる。 (これが結束の力!) 口から怪光線を放ち、喋る事が出来ない博之は代わりに心中で叫んだ。 「これが私達5人のッ!」 「いや、6人のッ!」 つかさが叫ぶ。いつの間にかアリスも攻撃に参加していた。スターシップで撃ちまくる。 今までは衝撃波に煽られたため、目を回していたのだ。 少しずつ、少しずつ6人のレーザーがジアースのレーザーを押し始める。 エネルギーの球がゆっくりと、しかし確実にジアースへと迫る。 6人は一斉に叫ぶ。究極のドラゴンはここにはいないが、この名前こそが、6本のレーザーに最も相応しい名前だと思った。 「「「「「「アルティメットバァァーーーーーーーーーーーーーーーーァストッ!!!」」」」」」 「ば、馬鹿な!」 この時、コイヅカは初めて狼狽する。エネルギーの球が目の前にまで迫ってきている。 対抗する手段は……ない──── アルティメットバーストがジアースに炸裂した。余りの衝撃に後方へ吹き飛ぶジアース。 「そんな馬鹿なッ!」 コイヅカが再び叫ぶ。ジアースのレーザーは最強だと思い込んでいた。 それが、たった6人の手によって覆されるとは…… コイヅカの意識は暗転し、ピンク色の何かが見えたような気がした。それが何かは分からない。 ジアースのカメラが捉えた何かかもしれないし、コイヅカが見た幻かもしれない。 ジアースが仰向けに倒れ、アルティメットバーストが大爆発を引き起こす。 ジアースは、最初から完璧とは到底言えない完成度であったため、めきめきと亀裂が走る。 遊戯達6人は緊張しながら、大爆発の様子を見守る。 今までで最も大きいキノコ雲が生まれ、ジアースの周りは全て焼け野原と化した。 ジアースはしゅうしゅうと煙を発し、起き上がる気配がない。 当然だ。仲間達の力を結集させたアルティメットバースト。こいつを喰らって立ち上がれるわけがない。 それでも遊戯達はあらゆる可能性を考慮に入れ、警戒に警戒を重ねつつ、たっぷり5分間ジアースの様子を見る。 「……やった……んか……?」 唐突にひろゆきを声を出す。遊戯はそれを無視し、依然としてジアースを凝視している。 日吉の背中にぬるりと汗が流れた。果たして……本当にジアースを倒せたのか? 「完全に解体しないと安心できないわ……」 霊夢が日吉に言った。日吉は頷き、上空で静止する遊戯、博之、アリスに声をかける。 ブルーアイズはもう三体とも消失していた。時間が切れたのである。 そのためもうアルティメットバーストを放つ事は出来ない。しかし、ぼろぼろのジアースを解体するだけなら簡単に出来るはず。 ジアースが倒れ、辺りは不気味なほどに静まり返っている。 戦力を持つ、つかさ以外の五人は慎重にジアースへと近づく。 「……いい? 一斉に行きましょう」 霊夢が小さな声で言った。隣の日吉は額に汗をにじませつつ、頷く。 遊戯と博之、そしてアリスも霊夢の意図を読み取り、静かにジアースへと迫る。 霊夢はふわりと浮き、空中からジアースへと迫る。ジアースはしゅうしゅうと音を立てて不気味に横たわっていた。 今のところ、動く気配はない。霊夢は自身の心臓の鼓動が急速に高鳴っていくことに気づく。 霊夢だけではない。この場に居合わす6人全員、心臓が張り裂けそうなほどのプレッシャーを感じていた。 日吉は地上から、他の4人は空中から、次第次第に距離を詰めていく──── ▼ ▼ ▼ つつ、ここは……どこだ……? 場面は変わり、ここはD-2の川、幼女となった遊戯が倒れた体を起こし辺りを見渡す。 確か、俺と古泉はハルヒの護衛を永琳に任せて、待機していたんだ……脅されて仕方なく。 しかし周りには遊戯以外誰もいない。遊戯はしばらく考え仮説を立てる。 おそらくあの巨大ロボットに、俺は吹き飛ばされたのだろう。そうに違いない。 偶然川に落ちて何とか事なきを得たってところか…… 古泉やハルヒの安否はどうでもいいが、正直言って永琳は少し気になる。 俺達の事を気にかけていた。敵とはいえ、もしかしたら悪い人間ではないのかもしれない…… 遊戯はポケットの中に手を突っ込み、カードを二枚引き抜く。 魔導戦士ブレイカーとバーサーカーソウル。いいカードだ。 ブレイカーの方は永琳が遊戯の事を気遣い、古泉とハルヒに内緒でこっそりと渡してくれたのだ。 バーサーカーソウルは、ハルヒが気まぐれなのか知らないが、普通に渡してくれた。 恐らく魔法カード1枚渡してもどうと言う事はない、との判断だろう。裏に妙な落書きがあるのが少し気になる。 遊戯は立ち上がり、ふと気付く。何もないかと思っていたが、何か妙なものがある。 ピンク色をした機械。半壊状態だ。あれは……車か? 遊戯は警戒しつつ車らしき物体に近づく。中に誰かいる。 「ああん?最近だらしねぇな?」 何故か外国人の片言が聞こえてきた。どうでもいい事だがなかなか日本語がうまい。 その筋骨隆々の男が、ピエロのようなものを担ぎ車から出てきた。ピエロはぼろぼろだった。 死んでいるのかもしれない。 遊戯はしばらくそのピエロを観察し、気づいた。あれはピエモンだ! 遊戯は、怒りよりも先に違和感を感じる。 何故殺し合いの主催者がこんな所で瀕死になっているんだ? 遊戯自身はもちろん知らない事だが、コイヅカがアルティメットバーストを喰らい倒れる瞬間に見たピンク色の物、それはピエモンの乗る痛車だった。 つまりピエモンはジアースに押しつぶされたのである。 驚くべきは痛車、ジアースに潰されたにもかかわらず半壊に留めている。 もしかしたらまだ走るかも…… 遊戯の頭の中にはしばらく疑問符が浮かんでいたが、やがて怒りを感じてくる。 「そいつをこっちに渡せ!」 遊戯はパンツ一丁の男に向かって叫んだ。男は軽く微笑み、首を振った。 「ああん?なんで?」 「頼む……!お前が誰かは知らないが、そのピエロは俺達がひたすら探し続けていた宿敵だ。頼む!」 「仕方ないね」 男は納得し、ピエモンを地面に下ろした。それにしてもなんて凄まじい筋肉だ。 兄貴と言うあだ名が似あいそうだな……遊戯は何故かそんな事を考えた。 「もう終わりだぁ」 兄貴はピエモンの悲惨な状態を見て頭を抱えた。 そういえばこの男は何なんだろう、主催者の仲間だろうか、そうではないような気がする。 遊戯はピエモンを念入りに調べ、まだ微かに息がある事を確認した。 全く……しぶとい奴だ。さっさと止めを刺しても良かったが、遊戯はある事が気になり、殺さない事にした。 続いて痛車を調べる。中にはアシストフィギュアという名前のカプセルが二つあった。附属されている説明書を読む。 ……なるほど、ニコニコオールスターというのはよく分からないが、 とにかくこれを使えば脳裏に描いた人物像に近いキャラクターが助けに来てくれるらしい。 恐らくピエモンはこのカプセルを使い、兄貴を呼んだのだろう。 ピエモンが絶体絶命のピンチの時に思い描いたキャラがこの男か…… 「ナウい息子」 遊戯は兄貴のガチムチっぷりを見て複雑な気持ちになった。ピエモンは何を考えていたのだろう…… 待てよ……!いい事を思いついたぞ!城之内君を呼べば……! 遊戯はカプセルを投げ、叩き割る。一瞬辺りが瞬き、何かがカプセルから飛び出た。 「Wii……ああ……Wii……売れすぎ……(PS3)売れろ……」 何故か飛び出て来たのは、城之内ではなく凄まじい形相をした闇人格のマリクだった。 どうやら狙い通りの人物が出てくるわけではないらしい。遊戯は落胆した。 「ああ……!! ここはどこだ?どうなってやがる王?様よぉ!」 「ひびるわぁ!」 兄貴は突然出現した顔芸に大いに驚いている様子。着々と変人が増えていき、遊戯はもう嫌になってきた。 まあ……いい。マリクでも不可能な事ではない。 「貴様ぁ! どこなんだここは、ほら何とか言ってくれよ王……?様」 マリクが執拗に尋ねてくる。まあいきなり呼ばれたら誰だって動揺するだろう。 「マリク、お前マジ意味☆不明」 ここで簡単に答えたら負けだ。さらなる混乱へマリクを叩き落とす。どうせ時間が過ぎたらマリクや兄貴は元の世界に戻るのだ。 別に騙したって構わないだろう。こっちは命がかかっている。 マリクがちっと舌を鳴らす。まあ当然だろうな。それにしてもいつになったら俺が女になっている事について突っ込むんだ? 「マリク!貴様のデュエルディスクをこっちに渡せ!」 「?????????」 「どうゆう事なの……」 マリクはおろか、兄貴までポカーンとしている。しかし俺達が助かるためだ。俺は容赦しない。 遊戯は、マリクが出現した時からずっと兄貴の様子がおかしい事に気づいていた。 挑戦的な瞳でマリクを見つめ(何故かケツの辺りを重点的に)時たまにやりと口角を吊り上げるのだ。 兄貴は恐らくマリクの事が気に入らないのだ。何故かは知らないが、まああの悪人顔を見てマリクの事を気にいる人間など皆無だろう。 「兄貴! マリクからデュエルディスクを奪ってくれ!」 「何ぃッ!」 遊戯の言葉と共に、兄貴が猛然とマリクに飛びかかる。マリクは持っていた千年ロッドで兄貴を殴りにかかる。 しかし、兄貴はそれを簡単に受け止める。 「何気に強いですね」 「遊戯ィ! どういう事だこれは!?」 「黙れ! 貴様がした悪行、俺は忘れてはいないぜ!」 「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 マリクはデュエルディスクを残して消えた。元の世界に帰ったらしい。 満足そうな兄貴を尻目に遊戯はマリクのデュエルディスクを拾う。 マリクのデッキから魔法カードとトラップカードを全て抜き、捨てる。 そしてモンスターカードだけになったデッキをデュエルディスクに戻し、一番上に魔導戦士ブレイカーとバーサーカーソウルを置く。 俗に言う積み込みである。 「マリクの……カードを奪ったところで……使えんぞ……この会場用の設定をしないと…モンスターは実体化しない……」 息も絶え絶えピエモンが目を覚ました。 「それでも、捨てる事は出来るはずだ……そうだろう?」 ピエモンは遊戯を睨み、押し黙った。肯定の意味らしい。 sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 時系列順 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 投下順 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 柊つかさ sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 矢部野彦麿 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる アリス・マーガトロイド sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 日吉若 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる コイヅカ sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 博麗霊夢 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 竜宮レナ sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる カービィ sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる クラモンD sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 武藤遊戯 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 永井博之 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 涼宮ハルヒ sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 古泉一樹 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 八意永琳 sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる 武藤遊戯(ATM) sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる ピエモン sm215:第一次ニコロワ大戦 君の幸せを願ってる