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分類 論文 タイトル 渡し守キイの伝説について (20周年記念号) 公開 北海道大学附属図書館 北海道大学機関リポジトリHUSCAP 北海道大学スラブ研究センター http //hdl.handle.net/2115/5046 •ページ数 10 著者 福岡星児 発行日 1975 本文引用 12世紀のはじめに完成された現存するロシア最古の年代記「過ぎし歳月の物語j のほとんど冒頭にキイの伝説が出てくる。 キイはいわゆる名祖(エポニム)であって,この伝説は古代ロシア国家の首府となったキエフの名称の由来を説明するものである。 タグ キエフ 北大 文学 福岡星児 論文 過ぎし年月の物語 AC
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金冠条件 草・聖・炎属性モンスターを使わずに勝利 金冠報酬 ギライール マジコ(2) メタリンLv16 ヤルセナスLv16 クレイメアLv16 ルキエル(2) ユミララLv15 シアソルドLv17 アルタンLv19 クラネット(1) フジーマLv14 ネロコLv18 デスピオンLv20 ※所持スキルについては、確認できたものを書き足していって下さい。 ウエスタンコロシアムに引き続き、敵モンスターの弱点を突きやすい属性がまとめて封じられる格好。 逆に言えば、金冠に拘らずにただクリアするだけなら、禁止3属性を使うことで難易度は大きく下がる。 また、敵が使って来る属性が、ほぼ草と地のみと偏っている為、これらに耐性を持つモンスターは有用と言える。 金冠条件に抵触しないエアゲイルや、浮遊持ちアイポーン等は、ある程度育ててあればかなりの安定性を発揮する。 攻撃面では、ルキエルのデッキがロリばかりの為、ガールキラー持ちが1体いると何かと助かる。 禁止される属性が多いものの、相手の属性の偏りが激しい為、難易度はそう高くはない。 地属性に弱いモンスターってデスピオンしかいないような…?しいて属性をあげるとするならば闇か風のほうが良い、かな。 -- 名無しさん (2010-07-04 02 14 10) ↑確かにですね。上の文章少し修正してみました。 -- 名無しさん (2010-07-04 02 24 14) 名前 コメント
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ネオジオバトルコロシアム 機種:AC, PS2, 360 作曲者:山手安生、山田泰正、幡谷正彦 開発元:SNKプレイモア 発売元:SNKプレイモア 発売年:2005年 概要 SNKのキャラが総登場するKOFの豪華版とも言える格ゲー。 『餓狼伝説』、『龍虎の拳』、『KOF』、『サムスピ』、『月華の剣士』、『風雲黙示録』、『武力』、『キング・オブ・ザ・モンスターズ2』、 『メタルスラッグ』、『アテナ』、『ワールドヒーローズ』、『痛快GANGAN行進曲』のキャラが一堂に介すネオジオオールスターゲーム。 2人タッグ制で『SNK VS. CAPCOM』のシステムを継承。 音楽はSNK新世界楽曲雑技団の旧メンバーが作曲。 サントラは未発売だがPS2版のサウンドセッティングや配布された着メロから、だいたいの曲名は判明している。 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 The way to a desperate struggle(Title ver.) オープニング オープニング258位 操作説明 Selection of fighting キャラクター・オーダーセレクト 対戦前デモ War at a castle 日本ステージ(CASTLE-1/CASTLE-2) Velvet クルクルタウンステージ(KURUKURU-1/KURUKURU-2) Dino キングオブモンスターズステージ(KOM-1/KOM-2) 格闘ゲーム154位 Beat Wave 基地ステージ(ANTENNA-1/ANTENNA-2) Electronic war NEOGEOメカステージ(LAST RESORT-1/LAST RESORT-2) Ramble off プラネタリウムステージ(PLANET-1/PLANET-2) The perverted world 竜の祠ステージ(COLUMN-1/COLUMN-2) Bad Sky 洞窟ステージ(IMAGE-1/IMAGE-2) 勝利メッセージ Darkness(ミズチver) Close to me ミズチステージ 格闘ゲーム219位第2回ラストバトル324位 Darkness(ネオディオver) Reality NEO-DIOステージ ラストバトル348位 Darkness(真獅子王ver) Wind and cloud 真獅子王ステージ The last enemy グッドマン前デモ The Trip グッドマンステージ Shout of the last グッドマン撃破後デモ ミズチ・NEO-DIO・真獅子王 撃破後デモ 規定連勝数達成時BGM Continue コンティニュー受付・サービス時 ゲ-ムオーバー The way to a desperate struggle スタッフロール Achivement 個別エンディング PV
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第1話 少年ウィッチ、501へ入隊 今日は訓練。 基地の周りで16周走るという体力づくりである。 メンバーは宮藤、リーネ、そして、ボク。 宮藤「ハァ…ハァ…」 リーネ「ハァハァ…」 ボク「ホッ…ホッ…」 宮藤「…僕くん、疲れている表情していないね。」 ボク「えっと…あっちで結構鍛えられましたけど、これでも疲れています…」 宮藤「そ、そうなんだ・・・」 ―――――――――――――― 坂本「よし!訓練終了!」 グッタリと寝そべる三人。 宮藤「終わった…」 ボク「朝食った物が…逆流してきそう…」 坂本「はっはっはっはっ、訓練した後は風呂に入れば物凄くサッパリするぞ!!」 宮藤「ここのお風呂はとっても広いんですよ!!」 ボク「へぇー・・・そうなんですか。」 宮藤「じゃあ、一緒に入りに行きましょうよ!!」 ボク「うんっ・・・・んっ?」 今、僕はとんでもない事を言ったかな・・・・? ――――――――――――――大浴場 ボク「・・・・・・」 宮藤「ハァーいい湯だなー。」 坂本「うむ!!極楽だな。」 リーネ「とっても、気持ちいいね~」 僕准尉はやはり女の体を知っているのか見ない様にしている。 ガラララッと引き戸が開く音がした。 シャーリーとルッキーニだ。 宮藤「あっ、シャーリーさん!ルッキーニちゃん!」 シャーリー「その様子だと訓練した後だな。」 ルッキーニ「あっ!!ボクみっけー!!」 ビクッと反応する僕准尉。 リーネ「そういえば、僕くん・・・ずっと、そっちの方向を向いているけどどうかしたの?」 ボク「えっ!?な、な、なんでもありません。」 うわーうわー!!一瞬だったけどリーネさんの胸が大きいです!! でも、向こうを向いたら・・・罪悪感が襲ってくるから見られません!! ボクのそんな様子を見ていたシャーリーはハハーンッと笑う。 シャーリー「なーるほど。ボク、あたし達の体を見るのがダメなのか?」 ボク「そ、そ、そんな事はありませんよ!!?」 うっかりと振り返ってしまった。 見た光景は・・・・メロンが二つの大きさの胸が目に入った。 顔をボンッと赤くなりブクブクと半分くらい沈む。 坂本「はっはっはっ!!純情だなボク准尉!!」 シャーリー「おーおー、ウブだなー。」 ルッキーニ「うじゅー!!」 ボク「ル、ルッキーニさん!!何するんですかー!!」 ルッキーニがボクに飛び掛かって抱きついてきたのだ。 ボクにとっては物凄く恥ずかしい事だが、ルッキーニはお構いなしだ。 ボク「わあっー!!ルッキーニさん、やめてー!!」 ルッキーニ「ボクの体って意外と硬いね~。」 シャーリー「そりゃあ、ボクは男だからな。あたし達と体とか全然違うからさ。」 それからルッキーニが色々とボク准尉と遊んでいたら、ボク准尉がのぼせた。 こうして初めての風呂に入ったのだが、次からは一人で入ろうと思ったボクだった。 ――――――――――――――ユニット・ハンガー 一方、ボク准尉のストライカーが運び込まれている中、その場に似つかない白い髪の白衣の男がいた。 ???「ふーむ、ここがロマーニャ基地か。中々、良い空気だな。」 整備士「あの、困りますよ!!ここは立ち入り禁止です。」 ???「んっ?ああっ、吾輩はボク准尉のストライカーを運ぶ事と彼の様子を見にここに来た者だが?」 整備士「えっ?そうなんですか?」 ???「ああっ、その通りだ。さて・・・ここの隊長はいるかな?」 ミーナ「私がこの501の隊長のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です。」 ヴィクトル「ほほー、なるほどな。確かにフュルスティン(女公爵)と呼ばれるに相応しい美しいお方だな。」 ミーナ「どうも、ありがとうございます。貴方が、ボク准尉の・・・ヴィクトル博士ですか?」 ヴィクトル「うむ、吾輩が魔導開発研究所の責任者のヴィクトルだ。それと中佐殿、私の事はDr.ヴィクトルと読んで下され。」 ハハハハッと笑うヴィクトル。 ミーナ「それにしても、ここに来た理由は?」 ヴィクトル「んっ?ボク准尉のストライカーと武器を届けに来たのと彼の様子を見に来たと、言ったのだが?」 ミーナ「そうですか・・・」 ヴィクトル「まぁ、ボク准尉の武器は吾輩の専用の船に積んでますのでしばらくは厄介になりますよ。」 ミーナ「専用の船?」 ヴィクトル「吾輩の魔導開発研究所の船でしてね。道中ネウロイに襲われなかったのが運が良かったですわ。」 ミーナ「聞きたい事がありますが、良いでしょうか?」 ヴィクトル「良いですとも。ですが・・・今はボク准尉の様子を見たいので、後で来て下さいな。」 そう言うとヴィクトルは船へと行くのだが、ピタリッと立ち止まりミーナの方へと向く。 ヴィクトル「それと・・・ボク准尉は少々、女の子が苦手ですのでくれぐれも気をつけて下さいね。」 ミーナ「その点は大丈夫です。」 クククッとヴィクトルが笑い、再び船へと歩いて行くのだった。 ――――――――――――――談話室 ボク「えっ?Dr.ヴィクトル先生が来たんですか?」 ミーナ「ええっ、貴方のストライカーや武器を運びにここへ来たそうよ。」 談話室にいるのはボク、宮藤、リーネ、そしてミーナだった。 宮藤「ヴィクトル先生って?」 ボク「僕がここに来る前に魔導研究所でお世話になった人だよ…。少しウルサイ人だったけど。」 ???「誰がうるさくてウォッカ臭い人だって?」 ドアの前にヴィクトル博士が立っていた。ボク准尉はため息をついて。 ボク「ウォッカ臭いとまでは言ってませんよ先生。」 ヴィクトル「ははっ、そうかそうか。久しぶりだな、ボク准尉ー。元気にしてたか?」 ボク「…お久しぶりです。Dr.ヴィクトル。と言ってもここに配属されて・・・6日しか経っていませんよ。」 ヴィクトル「ははっ、そうかそうか。ややっ・・・?」 すると、ヴィクトルは・・・宮藤を見る。 宮藤「な、なんでしょうか?」 ヴィクトル「あー、失礼ですが御嬢さんの名前は?」 宮藤「み、宮藤芳佳です。」 ヴィクトル「おおおっ!!!では、宮藤博士の娘さんか!!!なるほど、確かに似ておられるワイ。」 ボク「あんまり、笑わない方がいいですよ。貴方の顔を見た子供たちが泣き喚いた事がありましたし。」 ヴィクトル「やれやれ・・・相変わらずの口が悪いな。」 「おっと」とヴィクトルは思い出して、手を叩く。 ヴィクトル「そうだ。ボク准尉と二人っきりで話があるのだが良いかな?」 ミーナ「ええっ、良いですけど。」 ヴィクトル「いやいや。どうもありがとう。」 二人が出て行く リーネ「なんだか・・・不気味な人でしたね」 宮藤「・・・うん。」 ―――――――――――――――――ロシア魔導研究所の船・ヴィクトル私室。 ヴィクトル「さて・・・これからの事についてだが・・・」 ボク「・・・解っていますよ。」 ヴィクトルがスッと渡されたのはパックだった。血の色みたい赤い液体が入っている。 ヴィクトル「解っていると思うが、もしもしタガが外れた時は・・・」 ボク「あんな・・・恐ろしい姿をあの人たちに見せる訳にはいかないから・・・」 ヴィクトル「結構。忘れてはいかんぞ・・・お前はネウロイを殺す為に人を捨てたのだ。」 ボク「・・・・」 ヴィクトル「そう、お前はネウロイを狩る為の―――」 ニヤリッと笑うヴィクトル。そして、ボクは辛そうな顔をしていた。 第3話 目覚めた悪魔
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概要 本文戦闘前 戦闘開始 “アナの世界” 布石 概要 前回、土竜との戦いで強烈な心中をしたジェイド。彼は今回、多様な四元素による攻撃と身体能力を兼ね備えた白い少女アナと対戦することになる。 本文 戦闘前 興奮冷めやらぬ、星の数ほどいる観戦者達。彼らは一体何を見てそんなに興奮しているのか。 武器を持った只の人間同士の闘争?違う。 ならば、飢えた野獣に人の身で無謀にも挑む愚者の姿か?それも違う。 彼らの見ているもの……それは、人であって人でない者たち、異能者の戦いである。 アナ「………む。」 自身の出番が来たと悟り、アルビノの少女...アナは控室に置かれたベンチから立ち上がる。 コロシアムでは運営お抱えの実況者が過剰に装飾した言葉で、自分の説明をしている。確かに彼の誇張に誇張を重ねた煽り文句は観客のボルテージを上げるには最適だと思われるが、それでも"血も涙もないサイコキラー"や"その瞳は対戦者の返り血で染まっているとか言われれば、文句の一つも言いたくなるというものだ。 しかしそんなことを思っても、今のアナに彼の発言を訂正させられるような権力などある筈もなく……。 しょうがなく、アナは精いっぱいのサイコキラー顔をしながら、コロシアムへと歩いていき、血生臭い舞台へ姿を現すのであった。 ジェイド「…さてさて…今回の対戦相手は。」 完全に修復の終わった装備で身を固め、カツン…カツン、と足音を立てながら歩みを進める。 前回の土竜戦の反省を生かしてか、それなりに修練を積んだようで身に秘めるオーラが一回り大きくなっている。 カービンライフルを下げ歩みを進める様に一切の慢心は無く相手を視認して足を止め呟く。 ジェイド「こりゃ…やりにくい相手だぜ」 なにせ相手は少女だ…容赦なくぶっ放すにしても絵面が悪い。さてどうしたものかと内心頭を抱えるが。 これが今の仕事だ、仕方ないと割り切り、ステージへと向かう。 実況男(実況)「レディースエンドジェントルメン!!さぁ…。今回の戦士が入場しました!」 実況男(実況)「東ゲートより!見た目は可憐なアルビノ少女!しかし、戦闘において慈悲なし、血もなし、涙もなしの三拍子!敢えてあると言うならば、それは対戦者の返り血だろう!!その瞳すら緋く緋く染まっている!!次なる獲物を求めて、コロシアムにやってきたァ!!さぁ、どんな戦い方を見せてくれるかは…私の口からは言わないでおこう!」 実況男(実況)「西ゲートより!前回の壮絶な自爆は見たか!見た目はクールな元軍人、されど本質は血に飢えた狂犬!!狂犬だらけのこのコロシアム、新たな狂犬大歓迎!!心なしか前回よりも修練を積んだかァ!?戦闘スタイルは基礎の格闘技術や武装などに重点を置かれているようですね。前回の自爆含めた試合動画は単価80円で販売しております!!」 向かい合う両者。一方は漆黒の装備を身にまとったアサシンで、もう一方は穢れを知らないのかと言いたくなる程に白い少女である。これが例えば街角などならば、少女は確実に捕食される側であると誰もが思うだろう。 しかし、今この場においては……。 アナ「…………三途の川に叩き込むぜ、べいべー。」 この少女をか弱い獲物等と思う輩は0に等しいであろう。 かわいい(編集者並の感想)。 会場のテンションは既に最高潮に達している。まだか、まだかとまるでペットの動物のようにお預けをくらう観衆達。 そしてその時は、ついにやってきた。 実況男(実況)「やったぜ、残酷で邪悪な三途の川宣言です!さぁ試合開始!!」 ここに、戦いの開始を告げるゴングが鳴る! 戦闘開始 ジェイド「悪いな、神様に祈っておくことや」 先に動いたのはジェイド。 彼は申し訳なさそうな声で だが遠慮なくトリガーを引き絞る。しっかりとサイトを覗きながら発砲しているためかなりの精度ではある。40発の弾丸が絶え間なく彼女を襲うだろう。 さて、突然のことではあるが、今日の天気は曇りっぽい晴れである。快晴程日の光は差してこないが、曇りほど遮断されている訳でもない、微妙な天気。フードを被っているとはいえ、アナの体は全開には程遠いスペックとなっている。 しかしそれでも、アナの視力はマサイ族すら凌駕していた。トリガーを引き絞るジェイドの指の動き。放たれるマズルフラッシュ。その全てが見えていた。そしてその情報から導きだされる未来は、汚いボロ肉となった自身である。ならばどうするのか。 流石に銃弾を見てから回避等という芸当は、今のアナには不可能である。というか全力時でもほぼ不可能だろう。しかしアナとて素人でない。遠距離からの銃弾ぶっぱに反応出来なければ、こんなイカれた場所ではやっていけないのである。 瞬時にアナと銃弾との間に、水の壁が出現する。その厚さ、なんと2m。銃弾は彼女に当たることなく、水の中で威力を殺された弾丸は自壊しながら水の中を漂う。 アナ「お返し。"ウォーターランス・フュンフ"」 その言葉通り、銃弾を阻んだ水の檻は5本程の水の槍へと分裂してジェーンさんに襲い掛かる。モロに食らえば肉が抉れてしまうだろう。 ジェイド「おっっ???!!」 ジェイドにとっても銃弾が何らかの方法で防がれる・回避されるのは予想済み。ここは異能コロシアム、銃弾程度で簡単に死ぬ方が悪い。 それでも、そのまま槍になって帰ってくるのは少し想定外、しかし冷静に最適解であるサイドステップで回避する。 全身を覆うフルアーマーは7㎜すら弾き返す特注品だ。多少掠ってもビクともしないだろうそんな考えのもと、回避のついでにリロードも済ませて。 実況男(実況)「さぁ、試合は能力と銃弾の撃ち合いから始まったぞ!しかし、発射タイミングを見てからのお返しは相当の動体視力が無いと出来ない芸当ですねぇ!!」 ジェイドはアナの足元に丁寧に手榴弾を転がす。ちなみにしれっと自身の前方に手を触れた。倒れ込むのを防ぐために付いたようだが、果たして。手榴弾を回避するには左右どちらかに動かないといけないだろう。 そう考えていつでも蜂の巣にできるように素早く愛銃を膝をつき構える。 アナ「ヤバみ。」 足元にコロコロと転がってきた手榴弾。 喰らえばひとたまりもないことなど、改造されずとも一目で分かる。かと言ってこれを避けるとなるとかなり激しい動きをする必要がある。それは避けたい。万一にでもフードが脱げてしまえば、それだけで致命的な隙になるからである。 なのでアナは、手榴弾を覆うようにドーム状の岩の蓋を作る。それも何層も、何層も。手榴弾は優れた武器ではあるが、一番怖いのは爆発により四散する破片である。それさえどうにかしてしまえば、後は多分どうにでもなる筈。 果たして、ドームの内側で爆発した手榴弾はアナの目論見通り破片を外に出すことなく内側に封じ込めることに成功した。 しかし、衝撃波は別である。大部分は受け止められたが、それでも不可視の波を完璧に止めることは叶わず、アナの体に叩きつけられる。 アナ「お"う"っ"!!」 柔軟でいて強靭なアナの肉体は、大きな損傷を残すことなく衝撃波を受け止めるが、それっでも酸素は強制的に吐き出され、一瞬目の前がブレた。現代兵器と対するには、致命でないにしろ長すぎる程の隙である。 ジェイド「…。」 しかし、ジェイドの方でも発砲しようにも辺りに舞い上がった砂煙のせいで視認は困難であった。マガジンを無駄にすることもできず、砂煙が舞い散るのをじっくりと待つことになる。 一切の油断も見せず体勢を整えて、その瞬間を待つ。 不運にも熱源探査装置は壊れている。アナにとってチャンスと言えばチャンスだろう。 アナ(追撃が……こない?) 腕や足の一本でも持っていかれると思ったアナだったが、どうやら杞憂に終わったらしいことを知る。理由は考えるまでもなく、周囲を舞う砂埃のせいだろう。 アナ「そっか。なら……。」 アナは両手を突き合わせ、右手に風を。左手に砂を生成する。そしてアナは、二つの属性を混ぜ合わせ、解き放つ。 アナ「“デザート・スフィア”」 ブワ…っと、アナの周囲で舞っていた砂埃が、さらに巨大な砂嵐の渦に呑まれ…辺り一帯を包み込む。 一度中に入ってしまえば一寸先も見えなくなる砂嵐の渦。どんどんとその規模を拡大させていくその渦の中で、アナはそっとフードを外した。 実況男(実況)「おっと…視界悪化ですね!ですが、席を立たないでください!千里眼能力をモニターで共有しますので、戦いの様子はバッチリ見えますよ〜!」 ジェイド「砂煙が…やま…ない?」 待てど待てど視界に抑えられるのは濁った砂塵のみ。当然対戦相手が見えるはずもなく…バクバクと心臓を鼓動させ周囲を忙しなく眺める。 周囲に手をかざし、万全の準備を整えたうえで、深く深呼吸を… ジェイド(腹は決まった…場面も整った…さぁ…どう来るのだ?少女よ。) “アナの世界” アナの体に、先ほどとは比べ物にならない程の力が漲る。一切の光が届かないこの渦の中は、正に"アナの世界"である。 アナ「小細工は……いらない。」 四色隷属は、この渦を維持する為使えない。必然的に、アナに残された手段は己の身一つとなる。 しかし忘れてはならない。今のアナはまさに、一挙手一投足が必殺であることを。僅かな金属の軋む音から、場所を特定したアナは地面を蹴り砕き、一呼吸の内にジェイドの目の前真ン中まで接近し拳を握る。 ジェイド「んなっっ????!!!!」 ジェイドの予想では。戦闘スタイル的に肉弾戦は可能性が低いだろうと踏んでいた。魔法のような攻撃で銃弾と戦うのだろう、と。ゆえに彼は驚きで目を見開くが、すぐさま獰猛な笑みを浮かべて発砲という形で応じる。 この距離なら長物は不要!素早い手つきで拳銃を抜き放ちクイックショットを!だが正確な狙いはままならず銃弾は足元のほうに向かう。 アナの攻撃に対しては自身の防具の性能を信じた形。 アナ「ぐぁ"っ...」 放たれた銃弾は、正に今踏み込もうとしたアナの右足の太ももに命中する。一瞬銃弾と皮膚との間に抵抗が生まれるが、それも僅かのこと。皮膚を突き破り、肉を抉った弾丸は骨に当たってその勢いを止める。 態勢が崩れ、重心がブレたことにより十全の威力は期待できなくなった拳。しかし、今更引っ込める道理もない。 アナ「うっ....あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」 防具で身を包んでいるジェイドのどてっぱらに、生態系を超越した人外の拳が突き刺さらんとする。 ジェイド「…うおぉぉぉ!」 片手しか残っていない彼にもうできることは無い。それでも当たらないであろう拳銃を乱射し続ける。 奇跡を信じて、アーマーを信じ、腹部への攻撃を受けるのみ。 実況男(実況)「盛り上がってまいりました!ショートという程ではないクロスレンジの近接戦は胸が熱くなりますねぇ!!“何事もなければ”身体能力差でアナ選手が押しきれると予想します、何事もなければ!」 乱射された銃弾は、幾つかはアナの体に着弾する。狙いを定めてないとはいえ、ほぼ零距離での発射だ。当然の結果だろう。 耳が弾け、頬が削げ、血飛沫が舞う。常人ならば涙を浮かべ悲鳴をあげる程の惨状。されど超人の瞳は曇ることなし。 まるで金属を思いっきりハンマーで叩いたかのような重低音が、ジェイドの腹部から響き渡る。アナの拳が、深々と突き刺さったのだ。ダメージの程は分からない。こちらも大きく力を削がれた後の一撃であった。もしかしたらこの一撃で勝ったかもしれないし、案外ピンピンしているかもしれない。しかし、悠長に相手の状態を確認する訳にもいかない。 なので、左拳を握る。 一発で死ななかったら二発で。それも無理なら三発で。それでも無理なら四発でも五発でも百発でも体からはまだ血が流れている。ならば動ける。脳はまだ痛みを感じている。ならばまだ生きている。生きているならば、拳を前に突き出せる。 アナ「おおぉぉぉぉ!!!!!」 痛みで痺れる体に鞭を打ち、アナは拳を振り続かんと猛打する。…が 布石 ジェイド「HAHAHAHAHAHAHAHA‼」 歪んだ笑みと共に相手に賛辞の哄笑を。銃弾は既に切れた…もう殴り合いしかできないが圧倒的な不利だ。 しかし忘れているのではないだろうか?ジェイドはこの近接戦になる前に能力を発動していた。そう、先程地面に手をついたあの時。そもそも、今まで彼は能力を使っていなかった。 彼の能力は設置型。設置していた罠は鎖×2、そして泥×3。容赦のない拘束とデバフが彼女を襲うだろう。 拳を幾つかもらったアーマー自体は攻撃を堪え切れたようだが、内部への威力の浸透が激しい。長くは戦えないだろう。構えは中国武術・軍隊格闘を合わせたオリジナル。素早くアナの背後に回りヘッドロックを決めようとする ジェイド「悪いな、嬢ちゃん。狡猾に勝たせてもらうぜ。」 アナ「っ??!!!」 突然虚空から現れた二本の鎖と、全身を覆い余りある謎の泥。アナは失念していた。今までこそ使っていなかったが、彼も能力を持っていることに。 鎖は直ぐにアナの体に巻き付き、その体を締め上げる。ミチミチと肉が締め付けられ、アナの体を完全に拘束しようとする。 アナ「まっ....だっっっ!!!!」 しかし、アナが力を入れるとその鎖も軋み始める。本気のアナならば、ゴリラ並みの筋力でないと外れないこの鎖も、容易に振り切ることが可能である。 しかし、虚空から現れたのは鎖だけでなく……。 アナ「お"ほ"っ"??!!」 謎の泥がアナの全身に覆いかぶさり、その思考をかき乱す。 アナ(あ...れ.....私...何しよう..と.......) 自覚症状のない精神汚染により、自分が何をすべきか、どんな行動をするべきかが分からなくなる。思考を纏めようとするも、まるで靄を掴むかのように言葉が崩れ落ちる。 そんな状態のアナに、ヘッドロックが避けられる筈もなく……完璧に決められてしまう。 ジェイド「…ヌンッ。」 幸い罠が作動したこともあり 彼自身に浸透したダメージは致命傷とまではいかなかった。 体格差を生かし 完全に吊り上げ、軍隊時代に練り上げた屈強な体で完全に気を落としにかかる。脱出は足が浮いているため難しいだろう。 彼自身に残っている武装はもうナイフのみ。もし、遠距離に逃げられてはかなり不味い。 アナ「ごっ………っっぁ………」 気道を圧迫され、か細い声で呻くアナ。体を縛り上げていた鎖はいつの間にかなくなっていたが、精神汚染の影響か酸素不足のせいか、まともな思考をすることは叶わなくなっていた。 アナ(まずっ………振^程……能+が…………#中dぇきな…………脱 し%いtぉ) 余りある腕力を使い。首を絞めている腕を握りつぶせば、もしくは能力を解除し、砂嵐が消え日光が差す前のタイムラグを使い全身から炎を発生させてジェイドを炙れば、結末は変わったかもしれない。 しかし、これが現実。仮定の話をいくら積み重ねた所で、一つの真実には遠く及ばない。泥のデバフにより脳をかき乱した彼の作戦勝ちである。 アナ「…………………ゕ"………………ぅ……………………コヒュ……………………」 四肢の力が抜け、目玉がひっくり返る。口はだらしなく開かれ、はみ出た舌を伝い粘り気のある銀糸が垂らりと地面にシミを作る。 数秒経てば砂嵐が薄れ始め、30秒ほど経てば完全に晴れる。観客達は千里眼の能力者がその能力を応用して投影した動画を通じ砂嵐内の戦いを見ていたらしく、歓声が沸き起こっていた。 しかしその歓声も、止めを刺していないジェイドへの苛立ちに変わったらしく、「折~れ!折~れ!折~れ!」……と首を折り完全な決着をつける事を望む声で、コロシアムは埋め尽くされた。 ジェイド「うるせぇ‼‼黙れや観客共、首折れ首折れうるせぇんだよ‼銃器の意見ねぇじゃねぇか?!」 「少女は気持ちよく殺してやる…仕事だしな?ただし手段は銃殺や♡」と大きな声で叫ぶ。 もう気絶しただろうアナを担ぎ直し拳銃を拾う。 ジェイド「さぁさぁ脳漿が飛び散るで!よく見とくんやなぁ!」 しっかりと安全装置を解除して、頭に銃口を突きつける。この近距離、外れることは無いだろう。 ジェイド「まぁ痛い思いするかは運しだいや、次は頑張るんやな。」 誰かの血しぶきと共に…発砲音が場内に響き渡る。観客は飛び散った脳漿に酷く興奮し、本日最高潮の完成をコロシアムの外にまで響き渡らせた。 実況男(実況)「はい!さぁ戦闘終了です、前回よりも格段に罠が役立ちましたね。これからの試合でも、あの鎖は勝負を決めるポイントになるでしょう!!そして、銃で弾いたのも趣味がいいですね、血と脳漿は野蛮な皆さんの大好物です!!個人的には首ゴキも捨て難いですが!!アナ選手の死体を舐め回すようにカメラに収めた動画は120円でお売りいたします!!では、今回のお相手も実況やる男でした!!」 試合終了のゴングがなり、実況者が振り返りの言葉を並べる。そこに人一人が死んだことへの感傷は微塵も感じられない。 ドクドクと、未だに地面に広がる血と脳漿の混じった液体は、きっとこの後清掃員に慣れた手つきで拭き取られるのだろう。そこで清掃員が抱く感想はきっとこうだ。『派手に汚しやがって。誰が掃除すると思ってるんだ。』 所詮はこんなものだ。ここでは人……いや、異能者が死ぬこと等、75日の噂にもならない。異常なのは環境か、人か。はたまた全てか。 確かに一つ分かることがあるとするなら、ジェイドはここからしばらく、コロシアムの廊下でフードを付けたアルビノの少女とすれ違う度睨まれるということくらいだろうか……←かわいい(編集者感想)
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総括所見:ロシア(第3回・2005年) 第1回(1993年)/第2回(1999年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/RUS/CO/3(2005年11月23日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2005年9月28日に開かれた第1076回および第1077回会合(CRC/C/SR.1076 and 1077参照)において、ロシア連邦の第3回定期報告書(CRC/C/125/Add.5)を検討し、2005年9月30日に開かれた第1080回会合(CRC/C/SR.1080)において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、報告ガイドラインにしたがい、かつ委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.110)のフォローアップに関する情報を含む締約国の第3回定期報告書の提出を歓迎する。委員会はまた、事前質問事項(CRC/C/Q/RUS/3)に対する締約国の文書回答により、ロシア連邦の子どもの状況についての理解を深めることができたことも歓迎するとともに、締約国の代表団との有益かつ建設的な対話に、評価の意とともに留意するものである。 B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、立法面における以下の進展を歓迎する。 (a) とくに有害な労働条件からの未成年者の保護を強化した新労働法が2001年12月に採択されたこと。 (b) 罪を犯した子どもの審判の手続におけるいっそう人間的なアプローチについて定めた刑事訴訟法改正が2002年7月に行なわれたことにより、子どもの権利に焦点が当てられ、かつこれらの権利が尊重される旨の保障が整備されるとともに、刑事司法制度の対象となる未成年者の人数および自由剥奪刑を言い渡される未成年者の人数の減少につながったこと。 (c) 拷問の定義を定めた、「ロシア連邦刑法の修正および改正の導入について」の連邦法が2003年12月に採択されたこと。 (d) 締約国の刑法に、最近、人身取引を禁ずる規範が導入されたこと。 (e) 刑法が(連邦法第162号により)改正され、ポルノの製造で子どもを使用することに関する責任の度合いを引き上げられたこと。この法律により、売買春関連の活動で未成年者を搾取することに対する刑罰も引き上げられ、かつ同意年齢も14歳から16歳に引き上げられた。 4.委員会は、人権に関する教育も含む「公民」の科目が学校カリキュラムに導入されたことを歓迎する。 5.委員会は、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約が2003年12月に批准されたことを歓迎する。 6.委員会はまた、子どもの権利条約を実施するための多数の具体的措置および対象の明確なプログラムも歓迎する。 C.主要な懸念事項、提案および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 7.委員会は、締約国の第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.5)の検討後に委員会が表明した懸念および行なった勧告(CRC/C/15/Add.110参照)の一部、とくに条約に関する情報の普及、差別の禁止、拷問ならびに体罰、不当な取扱い、ネグレクトおよび虐待からの保護、子どもの措置の再審査、障害のある子ども、子どもと武力紛争および子どもの回復、ストリートチルドレン、性的搾取および虐待ならびに少年司法の運営に関するものへの対応が不十分であることを、遺憾に思う。 8.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうち部分的にしかまたはまったく実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた一連の勧告に対応するためにあらゆる努力を行なうよう、促す。 立法および実施 9.締約国における条約の実施の向上を確保する目的で法律の採択および改正が行なわれてきたことには留意しながらも、委員会は、連邦法第122号が締約国の子どもの権利の享受に及ぼしうる悪影響について懸念を覚える。委員会は、社会サービスおよび社会手当の利用可能性およびこれらへのアクセスに関する全国的最低基準を設けようとする締約国の努力を歓迎しつつ、これらの基準の効果的実施に関する具体的情報がないことを依然として懸念するものである。 10.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) さまざまなレベルにおける種々の役割および能力を評価しながら、地方分権化プロセスの結果およびそれが社会サービスの提供に及ぼす影響についての包括的分析を行なうこと。 (b) 子どもの権利の享受および保護に関する格差を防止するため、連邦法第122号で予定されている地方分権化の流れのなかで、子どもの権利の享受に関する最低基準が全面的にかつ効果的に実施されることを確保すること。 調整 11.子どもの権利条約の実施の調整に関する政府省庁間委員会の創設を通じ、政府が子どもの権利に関わる調整機構を向上させてきたことには留意しながらも、委員会は、この機関が2004年3月に廃止されたこと、および、連邦法第122号に基づく最近の地方分権化にともなって必要な調整手段がとられていないことに、懸念とともに留意する。 12. 委員会は、中央および地方の公的機関間の十分な協力ならびに子ども、若者、親および非政府組織との協力を確保するため、締約国が、子どもおよび若者のための努力の一貫性および調整を向上させるための努力を引き続き強化するよう勧告する。委員会はまた、この目的のため、子どもの権利条約の実施のための調整機関を再設置することも勧告するものである。このような機関に対しては、連邦レベルと地域レベルとの間で効果的調整を確保できるようにするための権限ならびに必要な人的資源および財源を提供することが求められる。 独立した監視体制 13.委員会は、連邦人権委員会が設置されたこと、および、38〔ママ〕の地域圏中18の地域圏で子どもの権利オンブズマン地域事務所が設置されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、連邦子どもの権利オンブズマン事務所がまだ設置されていないことに、懸念とともに留意するものである。 14.委員会は、締約国が、すべての地域圏に子どもの権利オンブズマン地域事務所を設置する努力を引き続き行なうとともに、これらの事務所に対し、その職務を効果的に遂行できる十分な資金および人員が提供されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、連邦子どもの権利オンブズマン事務所の設置をさらに検討することも勧告するものである。これとの関連で、締約国は、独立した人権機関の役割に関する一般的意見2号(2002年)を考慮することが求められる。 国家的行動計画/調整 15.委員会は、2000年以降、締約国が全般的な国家的行動計画を定めていないことに、懸念とともに留意する。とはいえ、委員会は、さまざまな部門別行動計画に条約の実施のための国家的諸原則を含めるよう求めた、「ロシア連邦における子どもの状況の改善のための基本的指令」と題する国家戦略が定められた旨の情報を歓迎するものである。しかしながら委員会は、さまざまな部門別行動計画との関係における、同戦略の統合的かつ調整のとれた実施について懸念を覚える。 16.委員会は、締約国が、新しい国家戦略および関連の行動計画において条約のすべての分野が網羅され、かつ、子どもに関する総会特別会期(2002年)の成果文書「子どもにふさわしい世界」が考慮されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、とくに不当な格差を防止する目的で、連邦レベルおよび地域レベルで当該国家戦略および関連の行動計画の実施が包括的かつ効果的に調整されることを確保するようにも勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、当該国家戦略の時宜を得たかつ効果的な実施のために十分な人的資源および財源が配分されることを確保するとともに、子どもおよび若者、親、NGOならびに関心および関連のある他の機関の積極的参加を促進しかつそのための便宜を図るよう、勧告する。委員会はまた、当該戦略の監視および評価のための指標および基準を開発することも勧告するものである。 データ収集 17.データ収集の分野で締約国が行なった努力には留意しながらも、委員会は、子どもに関わって達成された進展を監視しおよび評価しならびに子どもに関わって実施された政策の効果を評価する目的で、条約が対象とするすべての分野についての細分化された量的および質的データを、すべての集団の子どもとの関連で体系的かつ包括的に収集することを可能とする十分なデータ収集機構が存在しないことを、依然として懸念する。 18.委員会は、締約国が、条約が対象とするすべての分野を編入し、かつ、とくに脆弱な立場に置かれた子ども(障害のある子ども、法律に触れた子ども、難民および人身取引の対象とされた子ども)を重視しながら18歳に達するまでのすべての子どもを網羅する、性別、年齢ならびに農村部および都市部の別によって細分化されたデータを収集するための包括的な常設機構を国家的統計システム内に設置する努力を強化するよう、勧告する。締約国はまた、条約の実施における進展を効果的に監視しおよび評価しならびに子どもに影響を与える政策の効果を評価するための指標も開発するべきである。 子どものための資源 19.委員会は、連邦法第122号の導入により、子どもが利用可能なサービスの範囲が締約国の地域圏間で相当に異なるようになる可能性があることを、懸念する。委員会はまた、地域レベルでは子ども関連のプログラムおよび政策に不十分な資源しか配分されないであろうことも懸念するものである。委員会はまた、とくに保健・教育部門および養子縁組手続において広範に行なわれている汚職が、権利の全面的享受の面で子どもに影響を及ぼしていることも懸念する。 20.委員会は、子どものための社会サービスその他のサービスの利用可能性およびこれらのサービスへのアクセスに関する不当な格差を防止する目的で、締約国が、条約第4条の全面的実施に特段の注意を払い、かつ、国の全域で均衡のとれた資源配分を確保するよう、勧告する。締約国はまた、「利用可能な資源を最大限に用いることにより、および、必要な場合には国際協力の枠組の中で」、子ども、とくに経済的に不利な立場に置かれた集団に属する子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施を確保するための予算配分も優先させるべきである。締約国は、真剣に対応し、かつこれを防止するためのあらゆる必要な措置をとることを求められる。 研修/条約の普及 21.委員会は、この分野で締約国がとった措置にもかかわらず子どもおよび若者の間で条約に関する意識が依然として低く、かつ、子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家が子どもの権利に関する十分な研修を受けているわけではないことを、懸念する。 22.委員会は、締約国が、条約の規定および原則がおとなによっても子どもによっても同様に広く知られかつ理解されることを(たとえばラジオおよびテレビを活用しながら)確保するための努力を強化する目的で、包括的な政策を定めるよう勧告する。委員会はまた、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団、とくに法執行官、教員、保健従事者、心理学者、ソーシャルワーカーおよび子どものケアのための施設の職員の十分かつ体系的な研修を強化することも、勧告するものである。 2.一般原則 差別の禁止 23.委員会は、さまざまな宗教的および民族的マイノリティに属する子どもに対して差別が行なわれているという報告について懸念を覚える。委員会はまた、マイノリティに属する子どもおよびとくにロマの子どもが、とくに保健サービスおよび教育サービスとの関連で、その権利の全面的享受を制約される可能性が高いことも懸念するものである。委員会はまた、在留許可を有しない子どもおよび家族が直面している差別についても懸念を覚える。 24.委員会は、締約国が、宗教的および民族的マイノリティに属する子ども、ロマの子どもならびに在留許可を有していない親の子どものようなもっとも脆弱な立場に置かれた集団にとくに注意を払いながら、とくに全国的および地域的な意識啓発キャンペーンならびにあらゆる差別事件への効果的な介入を通じてあらゆる形態の差別を防止しかつこれと闘うため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 25.委員会はまた、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された宣言および行動計画をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの最善の利益 26.締約国における法律およびプログラムの大多数で子どもの最善の利益の原則に言及されていることには留意しながらも、委員会は、実際には、十分な財源および研修コースの欠如ならびに社会の態度を理由としてこの原則が制限されていることを懸念する。 27.委員会は、子どもの最善の利益の一般原則が理解され、かつ、すべての法規定ならびに司法上および行政上の決定ならびに子どもに影響を与えるプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいて適切に統合されかつ実施されることを確保するための努力を、締約国が強化するよう勧告する。 生命に対する権利 28.委員会は、締約国における嬰児殺の発生(その件数は減少していない)に関する前回の懸念をあらためて表明する。 29.委員会は、締約国に対し、締約国における嬰児殺の原因に関する研究を行ない、かつあらゆる必要な防止措置をとるよう促す。 子どもの意見の尊重 30.委員会は、子どもの意見の尊重を促進するために締約国が行なっている努力を歓迎しつつも、条約第12条が、家庭、学校その他の施設において十分に適用されておらず、かつ、司法上および行政上の決定ならびに法律、政策およびプログラムの策定および実施において実際には全面的に考慮されているわけではないことを、依然として懸念する。 31.委員会は、子どもの意見の尊重の原則の実施を確保するためにさらなる努力が行なわれるべきであることを勧告する。これとの関連で、脆弱な立場に置かれた集団およびマイノリティ集団の構成員である子どもを含むすべての子どもの、家庭、学校その他の施設および機関ならびに社会一般における参加権がとくに重視されるべきである。この権利を、子どもに関わるすべての法律、司法上および行政上の決定、政策ならびにプログラムに編入することも求められる。締約国はまた、子どもおよび若者とともに働くおとなが子どもに敬意を示し、かつ、子どもが自己の意見を効果的に表明できるようにすることおよびその意見が考慮されるようにすることを確保するための研修を受けることも、確保するべきである。締約国はまた、子どものニーズに関する電話を受けるため、24時間利用可能な、3ケタの番号のフリーダイヤル電話サービスを提供することも求められる。 3.市民的権利および自由 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰 32.委員会は、18歳未満の者が、多くの場合には警察による留置中にまたは法的手続の審判前段階で拷問および残虐な取扱いの対象にされ続けているという訴えがあることを懸念する。弁護人および(または)医療サービスならびに家族へのアクセスも、警察により留置されている若者に対しては制限されているように思われる。委員会はまた、これらの虐待について苦情を申し立てるための手続についても、当該手続が子どもに対する配慮を欠いている可能性があること、子どもが親/法定代理人の同意なく苦情を申し立てることが認められていないこと、および、その有効性が証明されていないことに関して懸念を覚えるものである。 33.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに警察隊の研修を通じて、拷問または非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の行為を防止するためにあらゆる必要な措置をとること。 (b) 子どもおよび若者に対して拷問または非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の行為を行なった者を捜査し、訴追しかつ処罰するための措置をとること。 (c) 被害者の回復および社会的再統合のためのプログラムを設けること。 (d) 子どもが苦情を申し立てるための機構を強化するとともに、親/法定代理人の許可を要件とすることなく子どもが苦情を申し立てられるようにすること。 34.委員会はまた、締約国の寄宿学校その他の教育施設において拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰が用いられていることも懸念する。 35.委員会は、締約国に対し、教育者および施設で働くその他の専門家が、子どもを拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰の行為の対象とすることの禁止について十分に知らされることを確保するよう、促す。 体罰 36.委員会は、家庭および代替的養護の現場で体罰が禁じられていないことを懸念する。委員会はまた、締約国において子どもの体罰が依然として社会的に受け入れられており、かつ、家庭および体罰が公式には禁じられている場所(学校等)でいまなお実践されていることも懸念するものである。 37.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 家庭および代替的養護の現場におけるあらゆる形態の体罰を法律で明示的に禁止すること。 (b) 法律の効果的実施により、家庭、学校その他の施設における子どもの体罰の実践を防止しかつこれと闘うこと。 (c) 体罰に反対する意識啓発キャンペーンおよび公衆教育キャンペーンを実施するとともに、非暴力的な、参加型の形態のしつけおよび規律を促進すること。 4.家庭環境および代替的養護 家庭環境を奪われた子ども 38.委員会は、施設養護の対象とされる子どもの人数が増えていること、および、脱施設化に関する国家政策を実施する努力がうまくいっていないことを懸念する。委員会はまた、家庭的な代替的養護体制を促進するために十分な努力が行われていないことも懸念するものである。 39.条約第20条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって援助および支援サービス(親を対象とする教育、カウンセリングおよびコミュニティ基盤型プログラムを通じてのものを含む)を提供することにより、家庭環境から子どもが分離することを回避し、かつ施設で暮らす子どもの人数を減らすことを目的として、包括的戦略を採択しかつ即時的な予防措置をとること。 (b) 施設養護への子どもの措置について、権限のある学際的な複数の公的機関によるアセスメントが常に行なわれること、ならびに、当該措置がもっとも短い期間で行なわれかつ司法審査に服すること、および、条約第25条にしたがって当該審査が再審査の対象とされることを確保すること。 (c) 子どもがいっそう全面的に発達することおよび子どもがあらゆる形態の虐待から保護されることを可能とするような環境づくりのための措置をとること。子どもが施設に措置されている間の家族との接触も、これが子どもの最善の利益に反しないときは、さらに奨励されるべきである。 (d) 条約で認められている権利(子どもの最善の利益の原則を含む)に特段の注意を払うことによって、伝統的な里親養護制度および家庭を基盤とするその他の代替的養護を発展させるための努力を強化するとともに、後見機関および管財機関の能力構築を目的とした措置を強化すること。 (e) 子どもが代替的養護プログラムの評価に参加すること、および、子どもが苦情を申し立てることを可能にする苦情申立て機構が創設されることを確保すること。 養子縁組 40.委員会は、自己の本来の身元を知る養子の権利が締約国で保護されていないことに、懸念とともに留意する。 41.委員会は、締約国に対し、自己の本来の身元を知る養子の権利を保護するとともに、この目的のための適切な法的手続(推奨される年齢および専門家による支援措置を含む)を定めるよう、奨励する。 42.委員会は、締約国が、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約(第33号)に2000年に署名したことに留意する。委員会は同様に、養子縁組のために必要とされる書類、不当な支払い、および、養親になろうとする者に対して養子としようとする子どもの選択を認めていることとの関連で、連邦当局が外国の養子縁組斡旋機関を十分に統制できていないことに留意するものである。委員会は、2003年には国際養子縁組件数が初めて国内養子縁組件数を上回ったことに、懸念とともに留意する。 43.委員会は、締約国が、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約を批准するよう勧告する。それまでの間、委員会は、締約国が、養親の適格性および養子縁組後のフォローアップを確保するため受け入れ国の当局と協定を締結するよう、勧告するものである。委員会はまた、締約国が、外国の養子縁組斡旋機関の認証および統制のためのシステムを確立するとともに、国内養子縁組を促進するための措置を発展させかつ実施することも勧告する。 措置の定期的再審査 44.委員会は、施設および里親家庭への子どもの措置の定期的再審査が不十分であることを懸念する。委員会はまた、子どもの施設において独立の査察機構がまだ整備されていないことも懸念するものである。 45.委員会は、締約国が、里親家庭または施設に措置された子どもの状況が十分に監督されることを確保するよう、勧告する。締約国はまた、市民社会との調整を図りながら、子どもの施設を独立のかつ公的な立場で査察するための機構も発展させるべきである。 虐待およびネグレクト、不当な取扱い、暴力 46.委員会は、施設において多数の子どもが教育担当者による虐待を受けているという報告があることを懸念する。委員会はまた、家庭および施設で暴力にさらされた被虐待児が必ずしも十分なケアおよび援助を受けていないこと、および、この分野における防止(および予防介入)ならびに意識啓発との関連で十分な取り組みが行なわれていないことも、懸念するものである。 47.委員会は、締約国が、以下の措置をとる等の手段により、家庭および施設で暴力にさらされた子どもに十分な援助を提供するための努力を引き続き強化するよう、勧告する。 (a) 施設における暴力の規模を評価するための研究を行ない、かつこれらの行為の責任者を処罰するための措置をとること。 (b) 暴力の被害を受けたすべての者がカウンセリングならびに回復および再統合のための援助にアクセスできることを確保すること。 (c) 身体的および情緒的虐待の事案に関する通報の手続および子どもからの苦情申立てを効果的に調査するための手続を確立すること。 (d) 予防介入のための法的枠組みを強化すること。 (e) 家庭で虐待の被害を受けた子どもに対し、十分な保護を提供すること。 (f) 不当な取扱いの有害な影響に関する公衆教育キャンペーンおよび防止プログラム(積極的な非暴力的形態のしつけおよび規律を促進する家族発達プログラムを含む)を実施すること。 48.子どもに対する暴力の問題に関する事務総長の詳細な研究および政府に対する関連のアンケートとの関係で、委員会は、当該アンケートに対する締約国の文書回答、および、2005年7月5~7日にスロベニアで開かれたヨーロッパ・中央アジア地域協議への締約国の参加を、評価の意とともに認知する。委員会は、すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的または精神的暴力から保護されることを確保し、かつ、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的な(かつ適切な場合には期限を定めた)行動に弾みをつける目的で、締約国が、市民社会と連携しながら、この地域協議の成果を行動のためのツールとして活用するよう、勧告するものである。 5.基礎保健および福祉 障害のある子ども 49.委員会は、障害のある子どもは矯正目的の「補助学校」および「強制学級」に送致されるのが通例であるため、これらの子どもを主流の教育制度に包摂するために行なわれている努力が不十分であることに、懸念とともに留意する。委員会はまた、寄宿学校における障害のある子どもの割合が人口比に照らして相当に過剰であることも懸念するものである。 50.委員会は、締約国が、以下の目的のためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 (a) 障害のある子どもに対する差別の問題に対応すること。 (b) 障害者の機会均等化に関する基準規則(総会決議48/96)を考慮に入れながら、障害のある子どもがサービスに平等にアクセスできることを確保すること。 (c) 障害のある子どもの寄宿学校への措置について、このような措置はそれが子どもの最善の利益にかなう場合に限定することを目的として見直しを行なうこと。 (d) 「矯正学校」および「補助学校」の慣行を廃止すること、必要な支援を提供すること、および、教員が普通学校における障害のある子どもの教育に関する研修を受けることを確保すること等の手段により、障害のある子どもに対して平等な教育機会を提供すること。 基礎保健および福祉 51.委員会は、子どもの健康向上のために行なわれた多数のプログラムおよび措置に関する情報に留意するものの、締約国における健康水準について依然として懸念を覚える。しかしながら委員会は、結核の発生率が減少しているにも関わらず、結核の罹患件数が多いままであることを依然として懸念するものである。委員会はまた、ヨード欠乏症の発生件数が多いこと、および、締約国における母乳育児の実施率が低いことも依然として懸念する。 52.委員会はまた、改革された制度のもとで設けられたサービスおよびプログラムが、とくにプライマリーヘルスケアの発展との関連で条約第24条と全面的に一致していないことも懸念する。 53.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう奨励する。 (a) プライマリーヘルスケアにおける予防介入を増進させること。 (b) 保健に対する公共支出を増加させること。 (c) 食塩の完全ヨウ素添加に関する法律を制定し、かつその実施を確保すること。 (d) 結核を理由とする有病率を削減するための努力を継続すること。 (e) 全国母乳育児委員会の創設、医療専門家の研修および母乳育児実践の向上を検討すること。 思春期の健康 54.アルコールおよびタバコの消費水準が高い問題に対応するための措置および新法については認知しながらも、委員会は、青少年によるタバコおよびアルコールの消費水準が高いことを懸念するとともに、締約国における望ましい健康習慣の促進が不十分であり、栄養、喫煙、アルコール、身体的健康および個人衛生にほとんど焦点が当てられていないことに留意する。 55.委員会はまた、とくにリプロダクティブヘルスとの関連で、思春期の健康に関する情報が不十分であることも懸念する。委員会はまた、避妊手段の費用が万人に負担可能なものとなっていないために締約国におけるその使用が制限されており、かつ、十代の妊娠および妊娠中絶が多数発生していることも、懸念するものである。 56.委員会は、締約国が、子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達についての一般的意見4号(2003年)を考慮に入れながら思春期の健康に細心の注意を払うとともに、学校におけるセクシュアルヘルス教育およびリプロダクティブヘルス教育の提供ならびに学校保健サービス(若者に配慮し、かつ秘密が守られるカウンセリングおよびケアも含む)の導入等も通じて、思春期の健康を促進する努力を強化するよう、勧告する。青少年の喫煙およびアルコール消費を減らすため、委員会は、締約国が、とくに青少年のために考案された、健康的行動に関する選択についてのキャンペーンを開始するよう勧告するものである。 57.委員会は、締約国における青少年の自殺率が高いこと、および、青少年の自殺を防止するために相応の努力がまったく行なわれていないことに対する懸念をあらためて表明する。 58.委員会は、締約国に対し、保健サービスの資源を強化しかつ精神保健サービスを向上させるとともに、自殺防止のためにあらゆる必要な措置をとるよう、促す。 HIV/AIDS 59.委員会は、締約国でHIV/AIDSが流行していること、および、若者のハイリスク行動(すなわち注射器による麻薬の使用および危険な性的行動)のより今後HIV/AIDS感染者の人数がさらに増える可能性があることを、深刻に懸念する。委員会はまた、予防措置にほとんど関心が向けられていないことも懸念するものである。 60.委員会はまた、締約国でHIVの母子感染が増加していることも懸念する。委員会はまた、HIVに感染した母親の子どもが子ども自身のHIV感染の有無に関わらず根強く差別されていること、ならびに、このような子どもが母親によってしばしば遺棄されおよび長期にわたって入院させられていることにも、懸念を表明するものである。 61.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) HIV/AIDSと子どもの権利に関する委員会の一般的意見3号(2003年)およびHIV/AIDSと人権に関する国際指針を考慮に入れながら、HIV/AIDSの拡散を防止するための努力を強化すること。 (b) 母子感染の予防措置を強化すること。 (c) 母親がHIVに感染している新生児に対する抗レトロウィルス治療およびHIV陽性の母親の産後モニタリングを保障すること。 (d) 差別の禁止の原則を全面的に尊重する十分な医学的、心理的および物的支援を提供することにより、HIVに感染した子どもまたはAIDSによる親の死亡を理由として孤児となった子どもに特段の注意を払うこと。 (e) 締約国で行なわれている、HIV陽性の母親の子どもを病棟または特別孤児院に隔離する慣行およびHIV陽性の子どもが普通孤児院、医療ケアおよび教育上の便益へのアクセスを拒否される慣行についての研究を行なうこと。 (f) HIV陽性の母親に対し、このような母親による新生児の遺棄を防止し、かつこのような母親が子どもを養育できるようにするための十分な支援を提供すること。 (g) HIV/AIDSに感染した子どもおよび(または)HIV/AIDSの影響を受けている子どもに対する差別およびスティグマを削減する目的で、青少年(とくに脆弱な立場に置かれた青少年)および一般住民の間でHIV/AIDSに関する意識を高めるためのキャンペーンおよびプログラムを開始すること。 (h) とくにUNAIDS〔国連エイズ合同計画〕、WHOおよびユニセフの技術的援助を求めること。 6.社会保障ならびに保育サービス・施設/生活水準 十分な生活水準 62.委員会は、低所得世帯で暮らす子どもが多数にのぼること、および、文書回答で提供された情報によれば子どものいる市民向けの予算配分額が相当に減少していることに、懸念とともに留意する。委員会は、劣悪な生活条件のため、家庭、学校、友人との活動および文化的活動における子どもの権利の享受が深刻に制限されていることを懸念するものである。 63.委員会は、十分な生活水準に対するすべての子どもの権利を保障する目的で、締約国が、経済的に不利な立場に置かれた家庭に支援および物的援助を提供するためにあらゆる必要な措置(もっとも脆弱な立場に置かれた集団の家族に関わる、対象を明確にしたプログラムを含む)をとるよう、勧告する。 7.教育、余暇および文化的活動 教育(職業訓練および職業指導を含む) 64.学校を中退する子どもの人数を減らすための措置など、心強い思いを抱かせる若干の進展が最近見られたにも関わらず、委員会は、無償の初等教育が法律で保障されているにも関わらず初等学校について種々の費用負担が求められ続けていることを、依然として懸念する。委員会はまた、連邦法第122号がもはや就学前の子どもに対する金銭的および物的支援を保障していないこと、および、同法により農村部で働く教員を対象とした若干の奨励策が中止されたことも、懸念するものである。委員会は、成人の非識字者数が減少したことおよび女性の非識字者の割合が低下したことについて締約国を称賛するものの、青少年の非識字者が多いことおよび青少年の非識字者に女子が占める割合が上昇していることを懸念する。委員会はまた、職業訓練制度に透明性が欠けていることも懸念するものである。 65.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) すべての子どもが初等中等教育にアクセスできることを確保するために必要な措置をとること。 (b) 教科書、改修および安全対策のようなすべての直接費および間接費を考慮に入れながら、初等教育が無償であることを確保するためにあらゆる適当な措置をとること。 (c) マイノリティ言語を使用する人々の教育の促進に特段の注意を向けながら、教育における人種的格差を是正するための努力を強化すること。 (d) (着任前および現職時の)教員研修に向けた努力を強化するとともに、(とくに連邦法第122号に照らして)教員の給与および労働条件の問題に対応すること。 (e) 職業訓練制度を拡大し、かつそのあり方を改善すること。 (f) とくに非公式な教育機会を提供することにより、若者の非識字を解消するための措置を全面的に実施すること。 8.特別な保護措置 子どもの難民および国内避難民 66.モスクワ地域圏で子どもの難民および庇護希望者に対して教育へのアクセスが提供されていることは歓迎しながらも、委員会は、他の地域圏でこのようなアクセスが提供されていないことを懸念する。委員会はまた、保護者のいない未成年者が、後見人がいないことを理由として国の難民認定手続にアクセスできないことも懸念するものである。委員会はまた、難民および庇護希望者のもとに生まれた子どもに対する出生証明書の発行において登録が条件とされていることが多いことを懸念する。 67.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの難民、庇護希望者および国内避難民がロシア連邦のすべての地域で教育へのアクセスを享受することを確保するため、必要な立法上および行政上の措置をとること。 (b) 具体的かつ明確な手続を設けることにより、保護者のいない未成年者および養育者から分離された未成年者が国の難民認定手続およびその後の援助にアクセスできることを確保すること。 (c) 保護者のいないまたは養育者から分離された子どもに法定後見人を任命することについて明確な行政上の責任を負う、国の特定の機関を指定すること。 (d) ロシア連邦に在留する難民および庇護希望者のもとに生まれた子どもがその出生を自動的に登録されかつ出生証明書を発行される旨を定めた特定の行政規則または行政命令を導入するとともに、チェチェンのすべての国内避難民に対し、イングーシで生まれた子どもについての出生証明書が発行されることを確保するために必要な措置をとること。 紛争の影響を受けている子ども 68.委員会は、チェチェンおよび北カフカースに住んでいる子ども(およびとくに国内避難民である子ども)が、とくに教育および健康に対する権利との関連で、紛争の影響をいまなおきわめて深く受けていることを依然として懸念する。委員会はまた、反乱集団との関係を疑われた若者の、治安部隊員による逮捕および失踪が報告されていることも懸念するものである。委員会は、過度に傷害を与えまたは無差別の効果を有することがあると認められる通常兵器の禁止または塩湯制限に関する条約の改正議定書IIを締約国が最近批准したにも関わらず、地雷敷設地帯の特定および標示または地雷除去の努力が限られていることを懸念する。 69.委員会は、締約国が、子どもの権利条約第38条1項にしたがい、とくに健康および教育に対する権利との関連で、チェチェンおよび北カフカースにおける紛争の影響から子どもを保護するための措置を強化するよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、治安部隊による子どもの身体の安全の侵害がなくなることを確保するための措置をとることも促すものである。委員会はさらに、締約国が、地雷除去の努力をさらに進めるとともに、対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約(1997年)を批准するよう、勧告する。 70.委員会はまた、「軍部隊の隊員として未成年のロシア連邦市民を入隊させかつ当該隊員に必要な手当を支給することについて」の規則で、14~16歳の男子の志願採用および軍部隊への配属が認められていることも懸念する。 71.委員会は、締約国に対し、普通教育を修了していない子どもが軍部隊に採用されることを防止する目的で、「軍部隊の隊員として未成年のロシア連邦市民を入隊させかつ当該隊員に必要な手当を支給することについて」の規則が子どもの権利条約を全面的に一致するための見直しを行なうよう、促す。 児童労働 72.委員会は、子どもに対する特別な保護を拡大する目的で、締約国が、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約を批准したことを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の子どもが、路上、家庭その他の場所において搾取的な状況下でまたは定期的通学を妨げられるほどに働いているという報告があることにも留意するものである。 73.委員会は、条約第32条、ならびに、締約国が批准した、就業が認められるための最低年齢に関するILO第138号条約および第182号条約にしたがい、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) ILOの最低年齢勧告(1973年、第146号)および最悪の形態の児童労働勧告(1999年、第190号)を正当に考慮しながら、条約第32条ならびにILO第138号条約および第182号条約の実施を確保するための措置をとること。 (b) 児童労働(規制対象とされていない労働を含む)の規模を監視するための統制機構を確立し、防止を増進させる目的でその原因に対応し、ならびに、子どもが合法的に雇用されているときは、その労働が搾取的なものではなくおよび国際基準にしたがっていることを確保するための努力を強化すること。 (c) この点に関してILO児童労働撤廃撤廃国際計画の協力を求めること。 ストリートチルドレン 74.委員会は、ストリートチルドレンの人数が増えており、かつこれらの子どもがあらゆる形態の虐待および搾取の被害を受けやすいこと、ならびに、これらの子どもが公共の保健サービスおよび教育サービスにアクセスできていないことに、懸念を表明する。このような状況に対応し、かつこれらの子どもを保護するための体系的かつ包括的戦略が存在しないことも、委員会にとって懸念の対象である。 75.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) あらゆる形態の虐待および搾取を防止しかつこれと闘うための包括的な戦略および政策を立案しかつ実施する目的で、路上で暮らしかつ働く子どもの人数、構成および特徴に関する包括的な全国的調査を行なうこと。 (b) 子ども自身の意見を考慮に入れながら、ストリートチルドレンが親その他の親族と再統合することを促進しかつその便宜を図り、または代替的養護を提供すること。締約国は、これらのサービスを提供するための十分な資源が地方政府に与えられることを確保するべきである。 (c) ストリートチルドレンの全面的発達を支援するため、これらの子どもに十分な栄養およびシェルターならびに保健ケアおよび教育機会が提供されることを確保するとともに、これらの子どもに十分な保護および援助を提供すること。 (d) 路上で暮らしている子どもに関する公衆の否定的態度を変革するため、これらの子どもについての意識啓発を図ること。 (e) 締約国のストリートチルドレンとともに活動している非政府組織および子どもたち自身と連携し、かつ、とくにユニセフの技術的援助を求めること。 薬物濫用 76.委員会は、子どもの薬物濫用を防止しかつこれと闘うためにさまざまな措置がとられたことで薬物依存が減少していることを歓迎しつつ、締約国において薬物を消費する子どもの人数がいまなお多いことを依然として懸念する。委員会はまた、子どもが薬物取引に関与していることも懸念するものである。 77.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 薬物濫用の有害な影響に関する正確かつ客観的な情報を子どもに提供するとともに、子どもが薬物取引に関与することを防止するための措置をとること。 (b) 薬物を使用した子どもが犯罪者ではなく被害者として扱われ、かつ適切な援助およびカウンセリングを提供されることを確保すること。 (c) この現象の原因および影響を注意深く分析するための研究を行ない、かつ、その研究の成果を活用して薬物の使用を防止するための努力を強化すること。 (d) 薬物濫用の被害を受けた子どもの回復および再統合のためのサービスを発展させること。 性的搾取および性的虐待 78.委員会は、締約国で性的に搾取されている子どもおよび若者の人数が多いことを懸念する。委員会は、締約国で10代の売買春が深刻な問題となっていることを懸念するものである。委員会はまた、14~18歳の子どもが売春およびポルノへの関与から法的に保護されていないことも懸念する。 79.条約第34条その他の関連条項に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの性的搾取および虐待を防止しかつこれと闘うための措置を強化すること。 (b) 性的搾取および性的虐待の事案の報告が(被害者の権利を正当に考慮しながら)捜査されること、ならびに、加害者が適切に訴追されおよび処罰されることを確保すること。 (c) 子どもの証言が適切な方法で記録されること、および、聴取を行なう者が必要な専門の資格を有することを確保すること。 (d) 14~18歳の子どもが売春およびポルノへの関与から法的に保護されることを確保するための措置をとること。 (e) 性的搾取、人身取引およびポルノにおける子どもの使用に対処するための戦略を策定する目的で、子どもの虐待の原因、性質および規模を評価するための包括的研究を実施すること。 売買、取引および誘拐 80.人身取引を禁ずる規範が最近になって刑法に導入されたことは歓迎しながらも、委員会は、これらの規定を効果的に実施するための十分な取り組みが行なわれていないことを懸念する。委員会はまた、人身取引被害者のための保護措置が十分に整備されていないこと、および、人身取引を行なう者と国の職員の共謀行為の報告が全面的に捜査されかつ制裁の対象とされていないことにも、懸念を表明するものである。 81.委員会は、締約国に対し、人身取引に関する新たな規定の全面的実施における効果的な機関間の調整を確保するための努力を強化するよう、奨励する。締約国は、人身取引の被害者が保護され、かつその地位および権利がさらに詳しく定義されることを確保するべきである。委員会はまた、締約国に対し、そのプログラム活動において防止活動にいっそう焦点を当てるとともに、人身取引を行なう者と国の職員の共謀行為の報告を捜査するよう、奨励する。 82.委員会は、締約国が、まだ批准はしていないものの、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書に署名したことに留意する。 83.委員会は、締約国に対し、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書および人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約を批准するよう、奨励する。 少年司法の運営 84.委員会は、締約国が、いくつかの立法上の試みにも関わらず、罪を犯した少年が司法制度のもとで別に対応されるようにするための特別な連邦手続および連邦裁判所をまだ確立していないことを懸念する。 85.委員会はまた、以下のことを懸念するものである。 (a) 防止活動に関するまたは現行の措置の妥当性に関する調査研究および評価を行なうための機構が不十分であること。 (b) 法律に触れた子どもにスティグマが付与されること。 (c) 法律に触れた子どものための、拘禁に代わる措置および諸形態の再統合〔のための措置〕が存在しないこと。 (d) 自由を奪われた18歳未満の者を対象とする適切な場所が存在せず、これらの者がしばしば成人とともに拘禁されていること。 (e) 自由を奪われた18歳未満の者の拘禁の物的環境が劣悪であること。 (f) 拘禁された18歳未満の者による教育へのアクセスが不十分であること。 (g) 法律に触れたものの自由剥奪刑を言い渡されず、かつ十分な治療措置および教育措置の利益を得ていない未成年者の状況を監視するための措置が不十分であること。 86.委員会は、締約国が、少年司法の運営に関する委員会の討議(1995年)にも照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針を含む、少年司法の分野における他の関連の国連基準が全面的に実施されることを確保するよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、以下の措置を優先的にとるよう奨励するものである。 (a) 刑事責任年齢に達しない子どもが犯罪者として扱われないことを確保すること。 (b) 18歳未満の者が普通司法制度ではなく特別の少年司法制度によって審理されることを可能にするため、少年司法制度改革の作業を迅速に進めること。 (c) 自由の剥奪が最後の手段として用いられることを確保する目的で、法律に触れた18歳未満の者を対象とする効果的な代替的量刑制度(地域奉仕活動または修復的司法など)を発展させること。 (d) すべての子どもが適切な法的援助および弁護人に対する権利を有することを保障すること。 (e) 未決拘禁に関する刑事訴訟法の規定を適用すること。 (f) とくに刑の執行猶予および条件付釈放を活用することにより、自由の剥奪を適切なかぎり短期間とするために必要な措置をとること。 (g) 18歳未満の者が拘禁時に成人から分離されることを確保すること。 (h) 18歳未満の者が、少年司法制度の対象とされている間もその家族との定期的接触を保つことを確保すること。 (i) 裁判官および法執行官を対象として継続的研修を行なうこと。 (j) 拘禁されている18歳未満の者が教育および再統合プログラムを利用できることを確保すること。 (k) 少年拘禁センターにおける生活環境に関する基準および監視機構(独立機関による訪問も含む)を確立しかつ実施すること。 (l) 刑の言い渡しを受けたすべての子どもに対し、必要なときはカウンセリングその他の社会的援助措置へのアクセスを提供すること。 (m) 関連の国連機関、とくにUNDP〔国連開発計画〕、UNODC〔国連薬物犯罪事務所〕およびユニセフの援助を求めること。 9.条約の選択議定書 87.委員会は、武力紛争への子どもの関与に関する条約の選択議定書に締約国が署名し、かつその批准を予定していることを歓迎するとともに、締約国が子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書への署名を検討していることに留意する。委員会は、締約国に対し、この点に関わる計画を遂行しおよび完了させ、ならびに条約の2つの選択議定書を批准するよう、促すものである。 10.フォローアップおよび普及 フォローアップ 88.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会もしくは内閣または同様の機関の構成員、連邦議会ならびに適用可能なときは州または地方の政府および議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 89.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 11.次回報告書 90. 委員会は、締約国に対し、次回の定期報告書を、第5回定期報告書について条約で定められた提出期限、すなわち2012年9月14日までに提出するよう慫慂する。この報告書は第4回および第5回定期報告書を統合したものであるべきである。しかしながら、委員会が毎年多数の報告書を受領しており、かつ、その結果として締約国報告書の提出日から委員会による検討までに相当の遅延が生じていることから、委員会は、締約国に対し、第4回・第5回統合報告書を提出期限の18か月前、すなわち2011年3月14日に提出するよう慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2012年1月12日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。
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348: 194 :2022/02/18(金) 19 10 30 HOST ai126213129232.77.access-internet.ne.jp 現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?その43 ロシア戦線とロシアの新兵器 欧州戦線でレイ達が思わぬ強敵(笑)に士気がガタガタにされていた頃、冬のロシア戦線で動きがあった。 超大陸世界世界のロシア軍と乙世界のロシア軍が合同で、大規模な攻勢を開始したのだ。欧州反攻の為の支援と、ロシアの大地を取り戻す事を最終目的としている。 取り敢えず今回は、ヴォルガ川東部地域の奪取が達成目標となっている。 その辺の描写に移る前に、この頃のロシア戦線の様子を見て行く事にする。 さて、大規模核攻撃後のロシア地域だが・・・ある理由から膠着状態に陥っていた。余りにキツイ自然環境と劣悪な交通インフラという二つの問題だ。 ロシアの冬は殺人的な寒さで有名であり、欧米や日本と比べて交通インフラも貧弱。かの地域の輸送は、今でもシベリア鉄道がその多くを占めているのが現状だ。 加えてウラル山脈がそびえ立っているのである。これでは大規模な戦力の投入による突破戦は不可能に近い。 一応カザフスタン辺りは平地が広がっているが、残念ながらこの地域も核による汚染で蓋がされた形となっている。 その代償としてカスピ海が汚染され、アラル海に至ってはほぼ吹き飛んで、消滅寸前な状態と化している。 その様な代償を支払って蒼空邪軍の侵攻を食い止めたロシアだが、その現状は悲惨だった。残った地域も、基本的に不毛の地であり、西シベリアに至っては夏は湿地・冬は氷原なのだ。 同地域での農業生産は絶望的であり、カザフスタンとの国境近辺の穀物が頼りな状態。当然ながら深刻な食糧不足に陥り、飢餓や乱獲によるトナカイの激減等、多くの悲劇を生む事となる。 その為、もし超大陸世界の支援が半年遅れていたら、ロシアは国家を維持出来ずに崩壊していたとすら言われている。 北方領土問題で揉めていた事も有り、援助開始が遅れはしたものの、どうにか崩壊前に間に合い、国家としての命脈を保つ事が出来た。 食料や燃料・各種嗜好品等でどうにか民心を安定させたロシアは、超大陸世界のロシアの援助の下、急速に軍備を増大させつつあった。 対ヂラール戦での実績もある各種兵器・機動戦闘攻撃機メテオールやSu-57、MTヴェリカーンといった兵器の他、ロシアが初めて実用化させた戦闘用パワードスーツが実戦投入される事となった。 戦闘用コンバットフレーム『スパシーチェリ』(ロシア語で救世主という意味)だ。全高4mにも達する大きさで、一見すると人型ロボットの様だがこう見えて操縦者が直接着込む形で搭乗する。 外観は地〇防〇軍5に登場するコン〇ット〇レーム・二〇スに瓜二つ。今回の攻勢に合わせて実戦評価を行う事が決定した為、急遽ロシア戦線に派遣されてきたのだ。詳しい性能等は、後日投下予定の番外編で語る事とし、此処では省略させていただく。 349: 194 :2022/02/18(金) 19 11 01 HOST ai126213129232.77.access-internet.ne.jp ティ連の工作艦で汚染の除去が済むや否や、砲撃支援と共に大規模攻勢をかけて来るロシア軍。対する蒼空邪軍だが、まさか冬季攻勢を仕掛けて来るとは思っていなかったらしく、初期対応が遅れた。 「何で想定してないねん?」と思う方もいるかもしれないが、外の外気温は「果物で釘が打てる」程の超低温状態。普通はもう少し暖かくなってから、軍事作戦を行う物である。 だが、蒼空邪軍はロシア軍をどこか甘く見ていた。軍事的能力ではない。「こんな極限の環境下で軍事作戦を行う筈が無い」という、ある意味常識めいた思考をしていたのだ。 普通ならそうする。俺でもそうする。だが・・・そこはロシア人である。 「冬季攻勢はロシア軍のお家芸。その伝統を奴らに見せてやる!!」 そう言わんばかりに、激しい攻撃を仕掛けて来る。しかもこれまで見た事が無い新兵器を、大量に投入してきたのだ。混乱しない方がおかしい。 さて、ロシア戦線の蒼空邪軍だが、流石にWW2の東部戦線のドイツ軍みたいに「オイルや冷却液が凍り付いて兵器がまともに動かない」という事態にはならなかったが、相応に苦戦させられていた。 これ程の寒さとなると歩兵達の動きも鈍り、冬の最中は航空機を出せない事も有った。砲兵要塞姫級や対空迎撃鬼級も分厚い防寒具を着込みながら任務に当たっている物の、通常より戦闘効率が悪くなっている。 今行われているロシア軍の攻勢は、そういう寒さの中で行われているのだ。ロシア人は冬限定で頭の螺子がどこかに行く様d←殴 それはさて置き、両軍の砲撃戦の行方はかなり拮抗していた。当初はバリアの様な物を持つ砲撃要塞姫級が優位と見られていたが、尽きる事の無い砲撃が叩きつけられる上、バリアの様な物を無効化して 着弾する砲弾が多数有り、その砲撃で撃破される砲撃要塞姫級すら出始めている。言うまでも無く、その砲撃は各自走榴弾砲や自走ロケット砲の戦娘達による砲撃だ。 複数の砲撃要塞姫級が敵の砲撃により撃破されるという事態に、蒼空邪軍も次第に押され始める。対空迎撃鬼級も砲弾の迎撃による援護を行うが、余りに数が多すぎる上にどれが通常の砲撃でどれが戦娘による砲撃なのか、判別するのは不可能だった。 そうこうしている内に砲撃が蒼空邪軍の陣地に着弾しはじめる。陣地に籠っている事も有り被害は思ったよりも多くはないが、地雷をはじめとする各種トラップの多くが吹き飛ばされてしまい、 相次ぐ砲撃要塞姫級の喪失もあって、火力面で押され始めだした。 止む無く前線陣地を放棄して遅滞戦術に移行。戦場はヴォルガ川流域に迫る事に。要衝であるペルミ・サマーラ・アストラハンの攻防戦が始まった。 350: 194 :2022/02/18(金) 19 11 31 HOST ai126213129232.77.access-internet.ne.jp 蒼空邪軍としては、此処で敵の攻勢を食い止める一方、中東方面軍の一部を抽出して救援軍を編成。イラン・テヘランを出発しトルクメニスタン経由で敵戦線後方への侵入を図る。都合三個師団がトルクメニスタンを経由して カザフスタンへ侵入したのだが・・・流石にその見通しは甘かった。碌に遮蔽物の無い所で、ロシア空軍の警戒網に捕まったのだ。 この事を予見していたロシア空軍が、発見の報を聞くや否や即座に阻止攻撃を開始したのだ。全力で蛸壺を掘ったおかげで兵士達の被害は少なかったが、戦車部隊に少なく無い被害が発生。 新型機とやり合った蒼空邪空軍の機体にも多くの被害が出た事も有り、そこから進めなくなってしまう。 その後の攻防戦だが、激しい攻勢の前に持ちこたえられなくなり、MTヴェリカーンとスパシーチェリによる都市への突撃で上記の三都市が陥落。残存部隊はヴォルガ川西へと撤退し、そこで守りを固める事に。 当初の目的を無事果たしたロシア軍は、改めて陣地構築へと移る。流石に冬季攻勢はロシア軍にも少なくない出血を強いていた為、その辺の再編成も必要だからだ。それに春が訪れ、大地が泥濘と化したのも関係している。 以後暫くの間、ヴォルガ川を挟んで両軍が睨み合う形になった。その後、欧州反攻に呼応する形で攻勢を行い、モスクワの奪還に成功する等している。 ロシアの攻勢の対応に苦慮する蒼空邪軍だが、欧州から援軍を寄こす事も出来ない。この動きに呼応して欧州に激しい空爆が行われており、その対応に掛かりきりになっていたからだ。 恐らくこちらを消耗させた上で一大反攻を仕掛けて来る。そう判断されていた事も有り、欧州の兵力は動かせなかった。 そして、フランスへの上陸作戦とそれに関わる一大決戦の火蓋が、間もなく切られようとしていた。 351: 194 :2022/02/18(金) 19 12 01 HOST ai126213129232.77.access-internet.ne.jp 以上です。乙世界のロシアの現状と、そのロシアによる冬季攻勢のお話でした。 ロシア軍と言えば冬季攻勢。古事記にもそう書いてある※書いていません 救援前のロシアの惨状ですが、元々の気候や風土を考えると避けようが無いですからね。書いてて少々陰鬱でした(汗) 対砲撃要塞姫級との戦いですが、戦娘達の活躍も有り打ち勝つ事に成功。蒼空邪軍としても手痛い損失となりました(姫級になれるコアは限りがあるので) イランからの救援軍も無為に消耗した挙句、救援失敗の後に撤退する事に。特に戦車部隊の損失が痛手となっています。ここまでの損失ですが、ぶっちゃけ普通の軍隊なら上層部が卒倒する位の打撃を受けています。 逆に言えば、「普通ではない」蒼空邪軍だからこそ、未だに戦う余力を持っているとも言えます。 さて次回は欧州反攻へと移って行く事となります。かなり描写が長くなる事になるかと(汗)。戦闘の様子も可能な限り描写していこうと思っていますので、お楽しみに。 wiki掲載は、自由です。
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概要 本文戦闘前 戦闘開始 格闘戦 試合終了 概要 地中を掘る能力を持つ地底人、“土竜”ゲディスワフ。そして、罠設置能力を持ち基礎戦闘能力の高い元軍人ジェイドの試合である。 本文 戦闘前 歓声の響く第一コロシアムにて、また一つの試合がはじまろうとしていた。東のゲートからはトカゲのようなシルエットの特徴的な爪を持つ奇妙な人型の生物が入場する。 土竜「お、オォ〜。殺し合いの時間だ…。や、やるぞォ…。へ、へへへ…。」 この不可思議な生物の彼にとっては久々の試合だ。今から殺しのだけを考え、爪をギュルギュルと回転させながら、西のゲートから来る敵を待っている。 西側ゲートから来たのは…フルフェイスヘルメットにアーマー、軍人といった容姿。 ジェイド「…チッ、見るからに怠そうな外見してるぜ」 フルフェイスのヘルメット内から紡がれるくぐもった声。 彼はスリリングでカービンライフルのHK416を構えている。腰の部分には破砕手榴弾。 トカゲにはサーモグラフィは今のところいらねぇなとOFFにしているようだ。 土竜「ヒヒ、ひ、酷えこと言うよな?し、しかしよう。お前…俺を捕まえた奴らに似てるな、似てるよな。」 土竜はいやらしい笑みを浮かべると、すぐに行動できるように地面に手をつけている状態になる。 土竜「ムカムカしてきたぜぇ…。お前、死んでくれよなぁ。こんなところに突っ込まれた憂さ晴らしに付き合ってくれよなぁ、というか、お前みたいなのはどんな声で鳴くのかなぁ…」 下卑た声、快楽のために人を殺し、私利私欲のために物を奪った悪の生物のもの。…自然、観客の多くがこの悪の生物の敗北、死を期待する。それと同じくらいにドリルが敵の内臓をかき回すところを見たがっているのだが。 ジェイド「…そうだなぁ、少し俺も思うところがあるんだ」 ジェイドはジェイドでやけに申し訳なさそうな声を出しながら。彼は周辺を歩き回りながらふと手をつく。妙な動きだが、このコロシアムの誰もがそこまで気にはしなかった。 実況男(実況)「レディースエンドジェントルメン!はい、今日のお相手はわたくし実況やる男でございます。」 実況男(実況)「今回の試合はですね、題して…『地底人・リターンズ!』。前回恐るべき力で儚げな少女を三分割した地底人は今回は元軍人と戦うことになります!基礎戦闘能力はきっと互角、いや技術差ゆえに地底人の不利でしょうか!?しかし、事前の構えを見ただけでは結果がわからないのは異能コロシアムの醍醐味ですよ醍醐味!さぁ、既知の地底人はともかく元軍人のジェイドはどういった能力、どういった戦いを見せてくれるか!」 実況の男は観客に向けて語りかけながら二人の様子を見る。彼らの準備は既に問題ないだろうと見たらしく、今度は号令をかけるためにマイクを握りしめた。 実況男「両者の準備、整ったと見ていいでしょう…。戦闘開始!」 戦闘開始 ジェイド「お前“も”人殺しを楽しんでいるんじゃないのか?」 彼はフェイスガードの下でニヤリと顔を歪めると、開戦の合図と言わんばかりに手榴弾を投げつけて発砲を開始する。 ジェイド「死に晒せやぁ‼トカゲぇ!」 土竜もまたその動きに反応する。そして、ジェイドの殺意の満ちた声にも。 土竜「見た目があいつらと同じだけで俺の同類かぁ!?ひひひ…!」 土竜は何かしらの飛来物を確認すると地中へ撤退。その間、僅か0.8秒!地中を掘り進んでジェイドの真下に向けて移動を開始する! 実況男(実況)「潜伏開始!回避、そしてそこから安全に攻撃に移れるのは地中の強味と言えるでしょう!」 ジェイド「…消えた?」 驚きは隠せなかったが、最良の択を脳内で検討し始める。 彼のアーマーはかなり丈夫だが衝撃は殺せないためリスクがでかい。罠に都合よく引っかかるのは希望的観測が過ぎる。しかし…武装的に最良な択はどちらにしろ賭けであった。 ジェイドは拘束の罠を周囲に設置する。土竜が飛び出してきた瞬間に雁字搦めにしてやろうという魂胆であった。 そして、土竜は飛び出してきた。まんまとその魂胆通りに。 土竜「貫いて内臓ぐちゃぐちゃに搔き回したら…あっ?」 ジェイドの後方70cmの地中から現れ、飛び付こうとしたところを拘束の罠にキャッチされ地面に叩きつけられる。 土竜「な、なんだこりゃあ!動けねぇ!」 土竜は拘束されつつも手を何とか地面に付ける。何をするにもまず地面に手をつける必要があるからだ。腕力は高いが、全身の鎖をたやすくブチブチとほどけるほどの推進力はない。 実況男(実況)「おっと、罠カード発動だぁ!これでは地底人は動けない!さぁ、軍人ジェイドによる銃殺刑が早くも決まってしまうのかぁ!!(雑推理)」 ジェイド「…。」 ギャンブルまがいな設置であったが、功を奏したか。ジェイドは無言で土竜に銃口を突きつけようとしたが、(これ貫通するのか?)と疑心暗鬼になったのか置き土産代わりに手榴弾を設置する。威力は一般的、特に異常な爆発力もない。 ジェイド「じゃあな」 ここで銃撃を選択していれば。もう既に戦闘は終わっていたかもしれない。 土竜「お、終わったと思うなよ…!」 直後、周囲を大量の土煙が舞い、遠くで爆発音がする。 そう、土竜は強烈なドリルの回転によって、周囲の土を吹き飛ばして土煙を発生させた。そして、その時発生した風圧でグレネードをふっ飛ばしたのだ! 鎖の効果が切れると共に土竜は地中に再度潜りこむ。 土竜「こ、今度はこうはいかねぇぞ!見てろ!」 ジェイド「チッ…嘘だろ??」 周囲には土煙が舞い続け、視界が非常に悪い。 ジェイドもさすがに防がれると思っていなかったが。少しばかり動揺が走るが落ち着いてサーモグラフィをONにし、熱源が見つからないことを確認すると地を眺めて少しでも音などで位置などの情報を拾おうとする。…罠は現在品切れ中だ。 よく注意すれば地中からの音が聞こえる。ドガドガドガッ、という音が今度はジェイドの真下まで来ていた。 ジェイド「…ハッ」 素早く飛びのこうとするも装備が鈍重なことも相まって事前の回避には少しばかり遅かった。 土竜「死にさらせぇ!」 勢いよく地中から飛び出し、強烈な腕力でのラリアットを浴びせようとする!並の人間の腕力ではなく、戦車や装甲車をぶち抜く反動にも余裕で耐えうる筋力であり、勢いもついている。 人間を一発で殺すには打ちどころが良く…いや、悪くないと行けないが。 ジェイド「畜生ッ」 そんな言葉を吐き捨てつつ、ジェイドは体を捻る。直撃…とまではいかないが、かなりの威力を保持したまま当たっており強烈な衝撃が中に浸透する。肋骨もかなりいったか。血を吐きながらも、土竜が進んだ方向に向かって銃を腰撃ちでワンマガジン分乱射する。 銃弾数発は土竜の腹部を当たり貫通したか。 土竜「内臓かきままっ!いでぇ!いでぇ!人間の武器はこれだからよう!」 体内の銃弾が内臓を搔き回し、土竜は気絶しそうになるが。彼も何とか弱い気力を振り絞る。 土竜(負ければただ痛いだけだ。飽きられれば俺は死ぬ。そんなのはごめんだ…そうだろ?しかも、俺より内臓掻き回されるのに丁度いい獲物がいるじゃないか……。) 格闘戦 土竜「ひ、いて…あ、お前の内臓を先に掻き回してやる…」 土煙は少し収まりつつあるが、まだ視界は良くない。地中に潜るよりも、ジェイドにトドメを刺すことを優先したのか。ジェイドを押し倒して馬乗りになろうと、飛びかかっていく! ジェイド「オラァァァァ!」 土竜の腕力は強いが、地上での脚力は人間並みである。ジェイドは野太い雄たけびと共に前方に回転をして飛びかかってくる土竜をいなす。 乱射した際にスリリングが取れたのかカービンは遠くにまで転がっており。素手での格闘戦を挑む事になった。…ナイフはあるのだが扱いがとても下手なのだ。 素早く振り向いて後ろから土竜にヘッドロックを決めようとするが、土竜もヘッドロックに対して背後への右肘打ちで対抗しようとする。考えてやったというより、どちらかといえば反射的な防御に近いのかもしれない。ジェイドは冷静にしゃがんで回避を行う。奇襲はもう無理だと理解し、再度後方にステップして仕切り直そうとするも自身の限界が近いのか動きは鈍い。 ジェイド「正面戦闘は柄に会わないぜ」 少しぼやきつつも彼の闘志は衰えなかった。それは土竜も同じである。腹と口から血を流しながらジェイドを見やる。ギュリンギュリンと音をたてて爪が回転する。 土竜「へ、へへ…格闘戦か?おふ…。こんな状態だけどよ…この距離なら流石に俺に分があるぜ!観客もドリルでぐじゅぐじゅを望んでるぞぉぉっっ!!!」 そのままジェイドに爪を向けて、そのまま右手を突き出す。狙いは腹だ。先程の攻撃でダメージを与えたと確信した故に貫けば抵抗する力を削げると判断したのだろう。コンクリから戦車まで破壊できる威力が腹に当たればただで済まないだろう。 もちろん、土竜のそれは武道などという高尚な要素のない格闘攻撃だ。ただ、腕力故に速くて当たればただで済まないだけ。 ジェイド「ただで勝てると思うなよ??!!」 ジェイドは最後の力を振り絞ると、爪を避け腕の部分を受け流した。土竜の爪はアーマーを少し削り取った。が、それだけだ。ドリルは人を殺せる“だけ”の物体であり、人を殺す“ため”に作られたものではない。この爪はそのドリルと同じような物。アーマーがあるならば簡単に流すことはできた。 ラストの手榴弾を取り出して突貫を駆ける。ジェイド自身の防具性能に期待しての行動だが避けられればさらに悲惨な結果が待ち受けている。 土竜「おおっ!?」 土竜から見て、ジェイドの手榴弾は見えない。だが、嫌な予感がしたのか。もう片方の手を慌てて振り下ろす。しかし、ドリルを振り下ろすという攻撃に十全の威力があるか?怪力を誇る生物であろうと、片手が伸び切った状態で振り下ろすその攻撃にそれほどの抑止力があるかは―――否であろう。 ジェイド「道ずれやトカゲェ!!」 ジェイドは絶叫しながら正面からドリルを掌底で打ち上げて首筋に巻き付く。アーマーは半壊していて彼もただでは済まないだろう。だがそれでも彼は実行する。“負ける”など許容できない。こういった泥臭いことは好きではないが偶には悪くないな、と思いつつ。 土竜「げっ…く、くそう…」 伸び切った右腕、打ち上げられた左腕。土竜はバンザイをするような間抜けな格好でジェイドを睨み付けた。もう既にそれしか出来ない故に。 ジェイド「いい死合いだったぜ…またな。」 彼らに再びの出会いがあるかは分からない…だがそれでも敬意を少しは表して目を閉じる。 完全に信管は上がり…辺りは轟音に包まれた。 試合終了 実況男(実況)「両者、爆発!地底人の上半身が…宙を舞う〜!グロシーン☆イェーイ!」 土竜の上半身、ジェイドの片腕が吹き飛んだ様子が見える。爆発の熱気、人外のグロシーンにフロアは熱狂。 「ですが、まだ土竜に賭けた方も券を捨てないでくださいよ!荒々しい元軍人ジェイドの生死は不確定!!そして、完全な引き分けの場合は1/3を払い戻しいたしますので地底人“土竜”によるお腹グジュグジュに賭けた方も金銭面ではまだ終わってはおりません!!」 致命傷を負っていたとしても、この時点でジェイドが生きているならばジェイドの勝ちという判定になる。これは致命傷でも生きていれば蘇生処置は格段に楽であり、戦線復帰が容易であることから由来している。逆に死んでいるならば引き分けとなるのだ。 砂煙が晴れたのちそこには無事なアーマーの姿があった。だが中の人間は衝撃に耐えきれなかったようでもうピクリとも動くことはない。 つまり… 実況男(実況)「あー!惜しい!引き分け!アーマーの中身の方が耐えきれなかったかァ!1/3が払い戻しとなります!ちなみに異能コロシアムは引き分けが一番儲かります!見栄えもいいのでDVDも売れますよ!グロシーン☆な引き分けシーン集などの動画シリーズは12作ありますので興味がありましたら是非どうぞ!」 引き分けである。コロシアム運営側としては一番儲けが大きくなる形だ。ありがたいね。 宣伝も忘れない。動画単価は80円、試合数と観客の数が多いし、そもそも入場料などもあるため、動画単価が格安でも元金は取れる。 実況男(実況)「いやぁ、格闘戦は気持ちがいいですね!素人の目では動きが見えにくい!という人は有料動画サービスでの見直しをどうぞ!」 実況男(実況)「今回の試合のポイント…と言いますか!前半は罠による迎撃、後半は格闘技術のある元軍人とそれよりも腕力で優れる素人による純粋な格闘戦、という形ですね。技量と腕力の釣りあいゆえに引き分けと相成ったか!最後の一瞬の間抜けな姿の地底人も見所ですよ!さぁ、というわけで次の試合は掃除と蘇生の終了後、一時間半後となっております!今回のお相手は実況やる男でした!では、また!!」 結果、両者グレネードにより爆散し引き分け 終…