約 234,664 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3511.html
ミッドチルダの至る所で稲光が弾けていく最中、機動六課も迅速に動き出そうとしていた。 管理局の対応が決まるにはまだ時間を要するのは誰の目にも明らかだった。 はやて達のいた会場は混沌とし、すぐに意見を取りまとめられるような状態ではない。 聖王を取り戻したいのは勿論だが、今まで教会や自分達を謀っていたのかという教会関係者と次元犯罪者の甘言に動かされた者達を睨む本局の代表者達は、この事態を収集しようというつもりがないかのようだった。 それを取り巻く他の管理世界の代表者達も、幾らかはライダーを部下に持つことも出来るようになるという誘惑に心惹かれているらしい態度を隠そうともしていなかった。 地位故に、まだまだ混沌としていくであろう会場の隅に追いやられていたはやて達は、そんなものに付き合ってはいられなかった。 会場に入る為に預けていたデバイスを受け取って出て行く彼女らを、会場の何名かが流し目で見送った。 会場を出るとすぐに街のどこかで発生した閃光が周囲を真っ白に染めて、余波が道路を、立ち並ぶ建造物を揺らす。 それが収まるより早くに次の一撃が、本部の空気を僅かに帯電させた。 「サンダーレイジO.D.J…母さんが、使った魔法。二人共ごめん、私もすぐに出るよ。ヴィヴィオを助けないと…」 「勿論や。あの有様のお陰で私達に与えられてる任務には何の変更もあらへん、次元犯罪者の要求には屈しへんし誘拐された被害者も保護する。両方やらなあかんのが私らのツライとこやね」 焦りを見せるフェイトを落ち着けようと、軽い調子ではやては言う。 なのはも頷いてフェイトの手をとった。 「はやて隊長、いい作戦はある?」 「う~んそやねぇ…まずは、シャーリー。無限書庫のユーノ司書長に繋いでもらえる? なのはちゃんからアレについての情報を集めてもらいたいんよ」 はやてが空中に通信画面を開き、待機していたシャーリーへ指示を出す。 『それならもうやってあります。最優先でやってくれたみたいで、先程情報が届きました』 「流石や、シャーリーもユーノ君もほんまに頼りになるわ」 誉められたシャーリーは、眼鏡の奥で嬉しそうに目尻を緩ませた後、ミッドチルダの上空へと浮かび上がっていく『聖王のゆりかご』の情報を六課の隊員たちの前に表示させた。 そこには内部の構造や、配備されている兵器についてもある程度の事が書かれており、皆を驚かせ、はやてを考え込ませた。 内容を確認していく隊長二人を余所に、はやては難しい顔をする。 「……皆、ちょっと聞いてくれる?」 はやて達と合流しようとしているヴォルケンリッターや、新人達との通信画面も開いてから、はやては言う。 「賭けに出たいんや。特に、なのはちゃんには負担を賭けることになると思う。悪いけど、付き合ってもらえんやろか」 尋ねるはやてに最初に頷いたのは勿論ヴォルケンリッターだったが、それに押されるように皆、元気よく返事を返した。 ありがとう、と言って説明を始めようとするはやて。そんな彼女に通路の先から親しみの篭った声がかけられた。 「ほぅ、一体どんな悪巧みを思いついたんでぇ?」 「な、ナカジマ三佐!?」 驚いて、通信画面を脇にやったはやて達に、ゲンヤは手を挙げて挨拶する。 その隣には、どういうわけかヴェロッサが立っており、二人はゆっくりとはやて達の元へと歩いてきた。 「ヴェロッサまで。こんなとこでどないしはったんです?」 「レジアスの旦那に頼まれてな。コイツの随伴よ」 「忙しいところ悪いけどちょっと時間をもらっていいかい?」 「まぁ、ちょっとやったらええけど。なんであんたがナカジマ三佐と…」 「ある人物…」 ヴェロッサは声を潜めた。 「レジアス中将の頼みでね……と言っても、立場上積極的に協力したとは言えないから、責任はこちら持ちになっちゃうけどね」 意外な名前が挙がり、ますます用件が見えなくなるはやて達にヴェロッサ達も苦笑を深くする。 「彼女の協力を取り付けたから、君の指揮下で使って欲しい。責任は、僕らも掛け合ってなんとか三提督が取ってくださることを期待してくれ」 そう言ってヴェロッサは身を引き、後ろに連れていた親子をはやてに紹介した。 「こうして話をするのは初めましてですね。私はメガーヌ・アルビーノ。この子は」 「ルーテシア・アルビーノ。どうして欲しいの?」 母親と手を繋ぎ、感情の薄い瞳で見上げてくるルーテシア。 メガーヌは、まだ自由に移動することが出来ないのか車椅子に乗り、報告書で見たガリューが椅子を押していた。 「ブランクの長い私は、戦うことは出来ませんがこの子一人を行かせるわけにもいきませんから」 戸惑いが抜けきらないはやてにゲンヤが説明する。 この事件を解決する為に現状戦力となり得るものを総動員するしかないということは誰の目にも明らかだったが、 報道された内容に、他の管理世界は勿論だがこのミッドチルダの現場でも戸惑いの声が強く、今いる責任者達では押え切れない状態と化していた。 動揺を抑えこみ、正常化させた上で緊急時の対応を取ることが出来る人物は他でもない、会場の中にいる代表者達だった。 だがその代表者達も前述されたとおり混乱し、未だ動き出すのに時間がかかる。 そこで既に動き出した六課に協力するよう、陸で保護されていたアルビーノ親子へ要請がかかったのだった。 「外は安全とは言えないからね。僕がここまでお連れすることになったんだけど、僕だけじゃお二人に信用してもらえなくてね。ナカジマ三佐にお願いしたってわけさ」 「ははは、ええっと……そら助かりますけど、いいんですか?」 スカリエッティに酷い目に合わされ、どうにか生還したメガーヌ。 管理局の手でスカリエッティに引き渡され、彼女を目覚めさせる為に辛い人生を送っていたルーテシア。 ルーテシアの能力はとても有り難いが、彼女らに協力を要請することは戸惑われた。 戦わせることにも倫理的な問題は付きまとうが、その上はやて達の今後の予定には、ゼストをもう一度殺したRXを手助けすることも含まれているのだ。 二人はあっさり頷いた。 「ゼストのことは、私達が招いたトラブル。強盗を手伝ったら、反撃されるのは当然のことだった」 ルーテシアもゼストも、探す途中結果的に殺してしまった人間はいる。 恨みがないと言えば嘘になるが、自分達が逆に倒されたことが今の親子の生活より優先されることはないのだった。 「そう、わかった。じゃあ遠慮無くお願いするわ。ルーテシア…そう呼んでもええ? ありがとう。ルーテシアは細かい指示は追ってするけどまずは前線メンバーと合流してもらうわ。ヴェロッサ、悪いんやけど連れて行ってあげてな」 「わかった」 ヴェロッサは直ぐに承諾した。 スカリエッティの居場所を突き止めたり、管理局の不正を暴き改革を行なおうとしていたがこうなってしまってはヴェロッサに出来ることは余りなかった。 「その後、ルーテシアの一番強い召喚獣の…「白天王?」そう! それを呼んでもらいたいんよ」 「あの船を攻撃するの?」 「そうや! ルーテシアの白天王とキャロのヴォルテール。戦船と張り合うには、使うしかないやん?」 通信画面越しに皆に指示を出し、はやては作戦開始時間を定める。 突然指名を受けたキャロが、ヴォルテール…ルーテシアにとっての白天王に当たる召喚獣の使用に抵抗があるようだったのもあるが、ヴォルテールと白天王は、強力な召喚獣だが都市で使うには不都合が多い。 二体が召喚される付近の住民を違う避難場所へ移動してもらう時間が必要だった。 「フェイトちゃん、悪いんやけど新人達と一緒にキャロを落ち着かせといて。他の皆は準備が済み次第交代でちょっと休憩しといてな」 相変わらずミッドチルダ中を対象に降り注ぐ稲妻を黒い影が防ぎ続けていたが、焦りを抑えてはやては解散を命じる。 ここまでの移動だけでも消耗していたのだろう、ゲンヤがメガーヌを連れて行く。はやて自身も、少し休むため休憩所に移りソファに腰掛けた。 準備の為にフェイトが、それになのはが付いて行きヴェロッサとはやての二人が残された。 緊張を解すため、力を抜きながらはやては尋ねた。 「ヴェロッサ……誰からも、待機命令とかは着てないんやね?」 「ああ。皆、誰かがスカリエッティ一味だけ取り押さえてくれないかなって思ってるからね」 聖王とゆりかごは聖王教会に取って非情に重要な、重要すぎる聖遺物だ。 だから教会の信者を多数抱える本局も聖王教会との関係をこれ以上悪化させない為には、聖王とゆりかごについては大半の者が譲るのも仕方ないと考えている。 だがスカリエッティは、(教会に取っては遺産と偉人を教会へ取り戻した功績者であっても)管理局に取ってはただの犯罪者だ。 それも今では評価は更新され、スカリエッティは管理局では禁忌とされる技術の第一人者であり、管理局の醜聞を他にも幾つも知っているであろうという……見過ごせない程重要すぎる犯罪者と化している。 これが光と闇が両方そなわり最強に見える、ということかと言いつつ現実逃避したくなったが、はやてはため息をつくだけに止めた。 「伝説になるような戦船なんやろ? そこに突入してスカリエッティを取り押さえて聖王の保護って、成功したら奇跡やね」 「それでも、遂にこうなるまえに彼らを捕まえられなかった僕らは期待せずにはいられないのさ。保護出来ればヴィヴィオちゃんの処遇に付いては希望が出てくるはずだしね」 苦々しく思っているのか、声に力のないヴェロッサにはやては目を開け力付けるように微笑んでみせた。 「やってみせるから、時間が来たら起こしてな」 「それくらいなら僕にも出来そうだ」 はやては再び瞼を閉じた。 * 同じ頃、六課よりも早くRXの手助けをしようと動き出していたセッテは空へ飛び込む為の助走を開始していたバイクを止めた。 普通の人間なら不可能なことだが、肉体を強化されたセッテならそう難しいことではなかった。 「クアットロ。用があるなら後にしてもらえますか?」 「そうはいかないわ。今じゃないと邪魔が入るじゃない」 立ち塞がったクアットロは、ガジェット・ドローンの上に座りスカリエッティそっくりの笑顔を浮かべていた。 「お姉さまにお願いされたから聞いてあげるけどぉ、セッテちゃん。今素直にごめんなさいしてドクターに協力するなら許してあげなくもないわよ」 あまりの言い草にセッテは呆れて、返事を返さないどころか無視するように浮上を続けるゆりかごへと視線を移す。 「ドクターの要求が通れば、あそこで痺れてるのも公に認められて、私達は生まれを隠さずに表立って外を歩き回れる。いい事尽くめじゃないかしら」 楽しげに話すクアットロ。 それにセッテは仮面の奥から機械然とした…情を絡ませていない視線を向けた。 「それとも、タイプゼロみたいなつまんない生き方の方がお好み? ドクターが動かなければ、ああなってたに違いないわよ」 「……確かにタイプゼロのような情けない生き方はごめんですが」 クアットロの言葉にセッテは初めて同意した。 タイプゼロとはギンガとスバルのことだ。 呼び名が示すとおり、二人は初期に生み出され、ゼストの部隊が救出した後、部隊に今は亡き妻が所属していたナカジマ夫妻に引き取られ、育てられた。 二人共そのことは極一部の人間を除いて秘密にしているのだが、RXは能力によって、ナンバーズはスカリエッティを通じて知っていた。 それ以後、真っ当な暮らしを営んできた二人の生き方についてセッテとクアットロの意見は、簡単に言えばウザい、で一致していた。 戦闘機人としての生まれを隠して生きることに反感を覚えるのだ。 セッテは、差別を受けることになるだろうということは理解できるが、例えるなら一人だけ黙って動力付き自転車でマラソンに参加しているようなもので、姑息だと感じていた。 もっとチート臭いなのは達がいるわけだが、フェイト等は生まれによる不利益と向き合っている。 利口なやり方だという考えは理解できるので態度に出ないよう接触はしないようにしているが。 クアットロの方は、単純にスカリエッティや姉妹への敬意から敵意を持っていた。 「ですが、ドクターのやり方は賛同できません。ライダーが改造人間だということが知られていき、ドクターが普通の人間にも機械を埋め込むことに成功すれば、それで我々の認識を改めさせることは可能でしょう」 セッテは、ブーメランブレードを喚び出し、両手に構えた。 バイクはセッテの意思で自在に動き、足を固定する為の装置も備わっている。 ハンドルを握っているのは普段はその方が便利だからだ。 「今回の事件は必要なかった。ヴィヴィオを巻き込むような方法を敢えて取るなんて……大人のやることじゃありません。クアットロも一緒に殴られたくなければこちらに協力してください」 「そう♪ 良かったわぁ、これで貴方にやり返してもお姉さま達も文句は言わないわよね」 そう言って、二人は動いた。 バイクを駆り、突進するセッテ。 クアットロはその場を動かずに周囲にガジェット・ドローンを呼んだ。 ガジェット・ドローンがどこからか現れ、クアットロの壁となる為に集まっていく。 それを見てセッテは何か嫌な感じがした。 ガジェットの配置が完了する前にクアットロをひき殺すことは容易いことなのに… そう気持ち悪いものを感じつつも、突進したバイクがクアットロに接触し、そのまま通り抜けた。 このクアットロは、クアットロのISが生み出す幻だったのだと理解した直後、集まっていたガジェット・ドローンが放つ無数の光線にセッテはさらされた。 再改造を受けてより頑丈になったセッテへカプセル型の1型が特攻し、新たに放たれた光線でガジェットは高価な爆弾となって破片を撒き散らす。 「セッテちゃんも一騎打ちだとか思ってないわよねぇ……これは狩りよ」 爆発と破片の嵐にさらされたセッテの周囲を同じくISで隠されていたらしいガジェット・ドローンが取り囲んでいく。 カプセル型、球体…そして一撃加えようとしたセッテを撃墜した刺々しい、羽根の生えた多脚生物の群れ。 多脚生物型は、データでは知っていたが、セッテも初めて見る。 ガジェット・ドローンⅣ型…8年前になのはを撃墜し再起不能寸前の大怪我に追い込んだ「アンノウン」でもあり、ゼスト隊による戦闘機人生産プラント制圧戦において、クイント、メガーヌを取り囲んだタイプだ。 警戒していなかったわけではない。 だが、Ⅳ型の魔力探知も避ける事ができる完全なステルス性能、RXが雷撃を受け続けている状況、それを助けようとする自分に横槍を入れるクアットロの薄笑い。 クアットロの顔に残る傷跡へ、セッテは無意識に視線を向けた。 どうもカッとなってクアットロを殴りつけたお陰で、厄介な状況に追いやられてしまったようだ。 機械的に過ぎると言われた頃には思いもよらぬ状況だが、セッテは仮面の中で笑みを浮かべながら、周囲に自分が操る事のできるブーメランブレードを全て配置していった。 視線に気づいたのかクアットロは顔に手をやっていた。 「ほんと、お馬鹿さんよねぇ…この私を殴って逃げ出したり、お話してる間に取り囲まれちゃったり」 Ⅳ型は本来ゆりかごの内部に配置されているもの。 Ⅰ~Ⅲ型も今周囲に確認出来ている数なら、他の場所には殆どないはずだ。 嘲笑うクアットロには悪いが、それを察したセッテは敢えてクアットロの相手だけに専念することを決め、ガジェットを迎え討とうとしていた。 * RXを襲う魔法の威力はいよいよRXへとダメージを与え始めるようにまでなっていた。 一発毎に精度を増し、改良を施される稲妻にRXの皮膚からは煙が上がり、稲妻が走った場所は点々とひび割れた皮膚の欠片がこぼれ落ちていく。 「ク……ッ」 膝を付いたRXに、スカリエッティが言葉をかける。 「RX、そろそろ降参してもいいんじゃないかな。教会は私の提案を受け入れてくれる方向で管理局と話し合いをしているし、管理局にそれを跳ね除けることなど出来はしないんだからね」 「ふざけるな……っ」 「では、我々が手を結ぶまでそのままの君でいてくれたまえ」 言い捨てて、攻撃が再開される。 子供を見捨てられないRXは雷へと何度も身を投じていった。 更に威力を増していく魔法に、RXの肉体は傷つけられていく。 駆け寄ろうとする市民や、陸士達をRXは手で制した。 そして一瞬の好機が生まれることを願い、ゲル化して盾となりに行く。 その時、不思議なことが起こった。 「危ない、RXッ!!」 RXを庇い、オレンジ色の壁がRXの代わりに雷を受けた。 最初にRXが受けていたものよりずっと周囲の破壊は少ない。 だが確実にRXを攻撃し、痛手を与えるはずの光の蛇は文様を刻むように、金属鎧のような皮膚の上を走っただけだった。 『え?』 雷が一瞬止む。 誰もが皆、間抜けな顔を晒していた。 ポルナレフ状態に陥ったミッドチルダを嘲笑い、正に独自の時間を生きているらしい創世王達は腕を組んでいた。 「ロボライダー!!」 RXが全幅の信頼を込めて自分の別の形態の名を呼ぶ。 涙が赤い跡を残した仮面が、頷きながら親指を立てて己を指さした。 「過去のお前がやられると、未来の俺が困るからな!!」 『え?』 二人以外の皆が互いの顔を見合わせ、目と耳を疑っていた。 何故あんなのが二人もいるのか、その光景を見た全員にとって、とてつもなく酷いジョークだった。 そんな中で、いち早く我に帰ったゆりかごの中の聖王が新たな雷を降らせようと口を開く……だが必要な言葉を言う間も与えられず、もっと酷い事態が起こり彼女の口は言葉を忘れた。 空へと昇っていくはずの聖王のゆりかごが傾いていた。 「危ないッ、ロボライダー!!」 「バイオライダー!!」 「過去のお前達がやられると、未来の俺が困るからなッ!!」 ゲル化して現れた三人目のRXらしいバイオライダーが、ゆりかごの中へと侵入していた。 「スパークカッターッ!!」 蜻蛉切の上に置かれたトンボのように、ゆりかごは二つに割れていった。 どう反応すればいいか困り切った周囲から、何かを期待するような視線がはやてに集まるのをカンジタ。 はやては、周りの人間と同じように引きつった笑顔を見せながら言う。 もう全部アイツ一人でいいんじゃないかな……………………………………………………………………………………………………………………………………「はやて。そろそろ時間だよ…はやて!」ハッ」 ヴェロッサに肩を揺すられて、はやては顔を上げた。 傍には戻ってきたなのは達もいて、慌ててはやてはソファから立ち上がる。 「はやて隊長、皆準備できたよ」 「ううん……夢、やったんよな?」 「悪い夢でも見たの?」 「悪夢っちゅうか……ま、まぁ気にせんといて。ほな、行こうか」 セッテがクアットロが率いるガジェットの群れと戦闘を開始したことは、直ぐにはやて達の耳に届いた。 だがはやては、そのことをシャーリーの報告だけでなく、通信でゲンヤからも聞かされても動かなかった。 「うちの連中から援護に参加してぇって嘆願が一緒に届いたみてぇだが、あの様子じゃあ直ぐには下りねぇだろうな」 「(一応関係はオフレコやから)普通でも下りんところをこの状況ですから……二人には悪いけど、ウチらは…ウチらの仕事をします」 「そうか。まぁ頑張りな。うちの娘達のことも頼んだぜ」 「はい。それで圧力を減らせばこっちの勝ちですから」 ゲンヤとの通信を切り、ヴェロッサと別れたはやてはバリアジャケットを纏った。 リィンとも融合し、空へと飛び立つ。 はやて達の戦いは、これからだ。 ミッドチルダに降る雷の雨は夢の中ほど凶悪ではないらしく、今も降り注ぎはやて達の目を眩ませる。 その雷に特に心を揺さぶられているようだったフェイトの様子をチラリ伺い、はやては時間を待った。 不規則に落とされる雷が遠くへ放たれた間だけ、はやて達の視界は正常に戻る。 チカチカする目で浮上していくゆりかごを、ゆりかごとはやての間で雲母の如き数で襲いかかるガジェットに呑まれまいとするセッテを睨みつけ……作戦は開始された。 突如ビルをその周辺で戦っていたセッテとクアットロ・ガジェット等ごと幾つか飲み込むほどの巨大な魔法陣が二つ浮かび上がった。 単機でAMFの展開を行うガジェットも、建造物さえ丸っきり無視して回転を始める魔法陣が何を目的としたものか、巨大さから察したクアットロが逃げ出し、遅れて指示を出されたガジェット、ガジェットの群れを切り裂きながらセッテが逃げ出す。 セッテが逃げ出そうとしていることをシャーリーに確認させてから、はやてが合図を送る。 魔法陣から角が伸びた。 空へ向かって徐々にそこから先がせり出していく様は、今のはやて位の距離を取っていなければ直ぐには角の生えた虫と竜が召喚されようとしているとは信じがたいだろう。 キャロのヴォルテールとルーテシアの白天王…資料で知っていたはやても驚かざるを得ない程巨大な、人型に羽根の生えた竜と虫は逃げそこねたガジェットを弾き飛ばし、避難が完了し誰もいなくなったビルを破壊しながらその全身を魔法陣から抜け出させた。 召喚を終えた魔法陣が消え、途端に重力に囚われたように二体は地面に足を付ける。 小さな地震を起こしながら、現れた二体は直ぐに召喚者達の命令に従って行動を起こす。 二体は上昇を続けるゆりかごへ向かって、砲撃を開始した。 戦艦の砲撃かと見紛うばかりの砲撃だった。 衝撃波だけで周囲でうろちょろしていたガジェットは吹き飛ばされ、多すぎる数のせいで衝突を引き起こす。 どうにか逃れていたセッテも翻弄されながら、防御魔法を使ってどうにかやり過ごす。 延長線上にあった雲もちぎれ飛び、雲一つない快晴を作り出して砲撃の余韻が収まっていく。 予想よりも強すぎたと思わずはやては顔を青くしたが、それは杞憂に終わった。 聖王のゆりかごは健在だった。 ちょっとした艦船位なら今ので落とせそうな砲撃だったのだが、どこかが欠けているわけでもなく、煙一つあがっていない。 完全に破壊されていても困るが、効果が無いのも困るとはやては複雑な顔をした。 迎撃がされないのは大助かりだ。 だが、幾ら何でも硬すぎるでしょう? 他の艦船の性能を知るはやてはツッコミを入れたくて仕方がなかった。 『ダメッ!、ヴォルテール…!!』 「ん?」 『はやて隊長っ……ゆりかごを見たヴォルテールが興奮して、抑えきれません!!』 『白天王、やっちゃえ』 「ちょ、ちょっと……待っ」 当の召喚獣達もその結果に痛くプライドを傷つけられたのか、それとも単にある程度ダメージを与えろと命じられたのか。 あるいは過去に聖王のゆりかごと何かトラブルがあったのか。 はやてが止めようとする間もなく再び力を溜め、もう一度砲撃が行われた。 「いやいやいや、待ってって……!!」 はやては通信画面に召喚者二人を映して大声を張り上げた。 普通の犯罪者の船なら大いにやってもらって結構なのだが、聖王のゆりかごは聖王教会の超重要な聖遺物だ。 本局の上……六課の後ろ盾となっている三提督当たりの意向だろう、仕事で他の命令が来ていないから行動をしているが、現在もそれは変わっていない。 対応を協議しているのか隠していた件などの醜聞をつつかれているのかは知らないが、攻撃を開始しただけで更に揉めているはずだ。 やり過ぎられると笑えない事態になるのだが、はやての呼びかけも虚しく更に砲撃は続けられた。 慌てるはやてにフェイトから通信が入る。 『はやて。大丈夫みたいだよ?』 はやてには眩しいわ余波でゴミまで飛んでくるわで確認どころではないが、違う場所に待機したフェイトにはゆりかごが確認できるらしい。 怪獣の砲撃でもビクともしないと言う報告など聞きたくもないが。 「ほんまに!? フェイトちゃんほんまにそうなん!? 『う、うん…』それもちょっと……ううんかなり困るんやけど」 『八神隊長…どうやらアレでも少し一撃の威力が足りないようです。エネルギー量などに付いては、言うまでもなくあちらに分がありますから、埒があきませんね』 『あ、今砲撃の間を使って戦闘機人が数人ゆりかごから出てきたみたい』 「そ、そう……えーっと、予定通りやから」 シャーリーの説明を聞いてやっと落ち着きを取り戻しつつあるははやては、周囲をチラっと見た。 案の定、RXに的を絞る為に周囲への影響を抑えているとはいえ雷は降り続けていたミッドチルダは、砲撃の余波も加わり秒単位で被害が増えていく。 周囲の風景が砲撃の度に一歩一歩廃棄都市区画と区別がつかなくなっていくことに気付かないふりをしてはやては言う。 「ザフィーラ・シャマル。ティアナ・スバル・エリオは私とキャロとルーテシアを守りつつ、戦闘機人の迎撃や。キャロとルーテシアはくれぐれもやり過ぎんように召喚獣を制御することを優先。どうしても無理やったら返してな!!」 『ガリューは?』 「ガリューもルーテシアを守ったって……なのはちゃん。そっちのタイミングは任せるわ」 『わかった』 はやてから任されたなのはは、周りでなのはの一撃を待つフェイト・ヴィータ・シグナムの三名と視線を交わし、怪獣の砲撃に晒され続けながら相変わらず地上へと雷を落とし続けるゆりかごを見つめた。 四人とも能力限定は解除され、なのはは強力な射撃と大威力砲撃に徹底特化したエクシードモードになり、槍型になったレイジングハートを構える。 フェイトは大剣型のバルディッシュを。シグナムとヴィータは見た目に変化はなかった。 「私等も手を貸すつもりだったけど、これじゃあいらねーわな」 「壁抜きは高町の専門だからな」 軽口を叩くヴィータとシグナムに、なのはは誤魔化すような笑顔を一時見せた。 聖王の雷と二体の砲撃で使用された魔力は、今までなのはが扱ったことがないほど莫大な量だ。 深く深呼吸して、レイジングハートのテンカウントが始まる。 まるで流星のごとくなのはの…否ミッドチルダ郊外まで含めて周囲の魔力が集束していく。 術者がそれまでに使用した魔力に加えて、周囲の魔導師が使用した魔力をもある程度集積することで得た強大な魔力を、一気に放出するなのはの切り札。 ガジェットにさえ搭載されているのだ。 ゆりかごにもAMFが用意されているのかもしれないが、一定以上の出力に加え、これは結界機能を完全破壊する性質も持ち合わせている。 逆に言えばこれが防がれれば、次は普通に侵入するしか無いのだが。 なのはの負担から言っても二度三度と出来るようなことではない。 しかし、皆二体の砲撃にビクともしないゆりかごを目の当たりにしても欠片も防がれるとは思っていなかった。 なのはを知る者達に取って、それだけの信頼と実績の破壊光線だった。 最後の数字をレイジングハートが紡いだ。 本能的に、ガリューが、ヴォルテールが、白天王が恐れてガクガクブルブルと震える中…なのはが叫んだ。 「受けてみて、これが私の全力全開!! スターライトブレイカー!!」 桜色の光が、ミッドチルダを照らした。 ユーノによってゆりかご内部の構造は把握している。 なのは達の目的のため、ヴィヴィオを助ける為にヴィヴィオがいるであろう艦首付近の「玉座の間」の傍を狙って放たれた桜色破壊光線がゆりかごを貫く。 二体の砲撃は止んでいた。ヴィータが歓声をあげ、シグナムに抱きついた。 だがその一撃の負担にフラつくなのはの体をフェイトが抱える。 体を心配するフェイトに大丈夫だよと、なのははやせ我慢をして笑いかけた。 「大丈夫、今はヴィヴィオを迎えに行こうよ。ヴィヴィオが待ってるの」 躊躇いを降りきって、フェイトはシグナムの体も掴んだ。 「皆行くよ!!」 『Sonic Move』 なのは達の体は、次の瞬間には玉座の間にあった。 壁抜きをされて床と天井に穴の空いた玉座の間は、強風が入り込み彼女らの髪を勝手気ままに流していく。 玉座の傍で、虹色の光を薄く纏った聖王がその影響を退け、何事も無かったかのようにミッドチルダに雷を降らせるための魔法を展開していた。 「ヴィヴィオ!!」 フェイトが妹の名を呼んだ。 仮面を被り、肉体もフェイト達と遜色ないサイズまで成長していたが、確かにヴィヴィオだと彼女たちにはわかった。 ヴィヴィオは、雷を降らせながらフェイトに手を向けた。 身構えるなのは達の中で、転送魔法の光がフェイトだけを包み、移動させる。 「フェイトちゃん!?(テスタロッサ!!)」 「一人は動力部にって。あなた達はそこでゆっくりしてて」 そっけない口調で言うヴィヴィオはなのは達を見ようともしなかった。 虚空へと向けられた目は、その先で雷を受け止めるRXへ向けられていた。 * 「!? …ここが。スカリエッティ!! 姿を見せろ!!」 転送されたフェイトは、周囲へ視線を走らせ、スカリエッティの姿を見つけた。 形と色だけはレリックそっくりな宝石が浮かぶ部屋の中、宝石を背にしてスカリエッティは挑発的な笑みを浮かべていた。 歓迎するよとでも言いたげに手を広げたスカリエッティへ、フェイトは大剣を突きつける。 「ごきげんよう。フェイト・テスタロッサ執務官。予定ではちゃんと入り口から入ってもらうつもりだったんだがね…まぁいいさ、歓迎するよ」 ここまでは、はやての予定通りだった。 フェイトは作戦開始前のはやての言葉を思い出しながら、すり足で距離を詰めていく。 (スカリエッティは絶対に私達を侵入させるはずや) (ユーノ君から、ううん。どっかからゆりかごの情報は六課に入る。見てみ、ゆりかごは動力部と玉座の間が離れてるんや。だから、スカリエッティにはもっと人質が必要になるはずなんよ) 「すぐにゆりかごを停止させ、投降しろ」 スカリエッティが何かする間も無く逮捕出来る距離まで。 それまでは、少しでも気を逸らすために話にも付き合おう。 (マスクド・ライダーがレリックを消滅させた事件はスカリエッティも知ってる。動力部だけ消滅させられたら、スカリエッティの作戦はそこで失敗や) 「それはできないな。せっかく招待したんだ。ゆっくりしてくれたまえ」 「お断りだ…ッ!!」 (RXとの関係から言って、多分フェイトちゃんかシグナムが動力部に誘われる。そこにつけこんで、残りの皆でヴィヴィオを押さえたら、私等の勝ちや) はやてはそう言っていたが、フェイトはスカリエッティも逮捕するつもりだった。 おどけるような口調に嫌悪感も顕にするフェイトが詰め寄ろうとしても、まだスカリエッティは余裕の態度を崩さなかった。 「だってさ。君達がいないと何時かのレリックみたいに、また不思議なことをされてしまうかもしれないじゃないか。幾らコピーを用意したとはいえ、まだ消滅はゴメンだよ」 「コピー…?」 おや?とスカリエッティは不思議そうな顔をする。 「想像してなかったと言うのかい? 君と私の因縁から言って、当然想像していると思っていたんだが」 フェイトは必要ないと判断して知らなかったことだったが、アルハザード時代においては記憶転写型クローン技術を用いて自身の予備を用意しておくことが権力者の間では常識だった。 スカリエッティは既に、フェイト達を生み出した技術(プロジェクトFの技術)を用いて、新しい自分を用意してある。 数ヶ月もすれば、新たなスカリエッティが生まれるのだ。 だからこそフェイトを今呼んでおいたのだが……憤るフェイトに、スカリエッティは心底がっかりしていた。 「貴様は、また人の命や運命を弄んで……!!」 「ん? ……その反応は、もしかしてまだ何もわかっていないのかね」 「今も地上を混乱させてる重犯罪者だとわかっていれば十分だ。コピーのことも全て教えてもらう」 凄むフェイトにスカリエッティの興味はどんどんと薄れていくようだった。 歓迎ムードで広げていた手は下げられ、呆れたような半眼になってフェイトに注いでいる。 「てっきり、君のお母さんを殺したのが私と言えなくもないから追ってたんじゃないのかい? ちょうど今の私ももう必要ないし、ここで盾になってくれたらお礼に仇討ちさせてあげるつもりだったんだが」 「っ…………何の、ことだ?」 「え?」 「え……」 予想外の肩透かしを食らったらしいスカリエッティは隙だらけだった。 今なら、一瞬で逮捕できる。 だがフェイトは動かなかった。 「いいだろう! もう諦めて…君にあわせよう。少し『お話』しようじゃあないか」 母の仇で、仇討をさせるつもりだった…? 気を逸らすつもりだったフェイトは、問い質さずにいられないような気持ちに駆られていた。 「私の人生で最も予想外だったのは、私がプロジェクトFに推薦した後任のプレシア・テスタロッサが余りにも斜め上に狂っていったことさ(但しRXは除く)」 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3467.html
雲を突き抜けて聳え立つ管理局地上本部。 魔法の力によるものかその背後に小さく見える本部より低い標高の山々に雪化粧が施されていたが、地上本部の上へは雪がかかることはない。 その屋上に、夜になってから三人の男が集まっていた。新月の日を選んでいたが、星明りが男達の顔が浮かび上がらせる。 飛蝗の顔をし持つRX。白いスーツを着たヴェロッサ・アコースは風に靡く髪を手で押えていた。 レジアス・ゲイズは陸の制服を着込んで一人だけ寒そうにしている。 雲の上にあるそこは何の装備もなしに外で待つには寒々しい場所だった。 だが地上本部以上に高いビルは存在しないので、雲の上になるため盗み見る者の姿を発見しやすいという利点があった。 額の第三の目とも言うべきレーダーと二つの複眼を使って周囲を探るRXに二人の視線は向けられていた。 「ゲル怪人のことは聞いておるが、新しい情報はない」 「本当ですか?」 「既にスカリエッティに関する情報は全て提供してある。あんなことはもう起きないだろうとぬけぬけと言いおったがな」 疑うような目をして尋ねるヴェロッサに、レジアスが白い息を吐きながら言う。 だがそれもスカリエッティ自身の言葉を信じるならばという条件付きで、信じるつもりはこの場に集まった3名にはなかった。 加えてレジアスの言う情報も、レジアス自身の保身の為に都合のよい情報しか明かされていないのだということは明白だった。 冷えていく体を自前の筋肉が生み出す熱で暖めている中年を見ないようにしながら、疲れが溜まっているのか、ヴェロッサは張りが無い声で更に尋ねた。 「僕の方もまだ成果はありません。レジアス中将、彼の資金を断つ事は出来ないんですか?」 「無理を言うな! 私とお前達との繋がりが疑われたらどうする。貴様らこそいつまで時間と金を浪費するつもりだ!?」 「気長に待っていただくしかありませんね。スカリエッティの居所を掴めるような情報はありませんから…」 ヴェロッサとレジアスは互いに神経を逆なでするような声を出す。 索敵を終了したRXも含めて、3名ともに焦りがあった。 殆ど地上にはいないクロノの紹介で知り合ったヴェロッサは、先日のゲル化した戦闘機人の件で犯罪に手を染めていたレジアスに対し否定的な感情を持っていた。 RXの紹介でヴェロッサと密談を交わすこととなったレジアスは、成果を出す事が出来ない上にレアスキル持ちのヴェロッサに端から否定的だった。 レジアスがRXに対して好意的になったのも、犯罪者を何十人か届けた末のことだったようにもっと回数を重ねれば信頼も生まれるのかもしれないが、二人は共に忙しく仕事の面でも全く接点がない。 二人の間には深い溝があった。 「それよりも」 RXは彼にしては神経質に周囲をもう一度見回った。 「俺の感覚では大丈夫なようだが、ここは安全なのか?」 「…無論だ」 「事前に調べておいたけど、盗聴等の危険はなかったよ」 だけど、とヴェロッサはレジアスを見咎める。 「レジアス中将。貴方の所にいる内通者を即刻排除してもらいたいですね」 「内通者はわかっていれば使い道もある…私の動きには気付いないか危険視していないはずだ」 不機嫌そうに眉を寄せるレジアスの手をヴェロッサは指した。 そこには真新しい指輪が光っている。レジアスの顔に赤みが差した。 「正直に言って、スパイと再婚した貴方の事を信用していいのか僕は迷っています」 「アレか」 「彼女の本名はドゥーエ。スカリエッティの作り出した戦闘機人です」 レジアスの目がヴェロッサから外れ、微かに緩む。 ヴェロッサの不安を煽る反応をレジアスはすぐに仕舞い込んだ。 ニュースで見ることの出来る表向きの顔。強く、重みを感じさせる硬い表情を作り出していた。 「フン、泳がせておるだけだ。貴様のことは知らん」 「失礼ですが魔法を使われたのでは?」 レジアスは魔法が使えない。 その上地上本部の対策についてヴェロッサは信用していなかった。 通常であれば問題がないが、スカリエッティを相手にするには不安過ぎる。そういう評価をしていた。 「問題ない。地上本部の対策は万全だ」 「僕等は命がけなんですよ。他にも何名も…」 「貴様こそもう少し声をかける人間を選ぶのだな。不穏な動きがあると最高評議会が感づきつつある」 「それについてはご心配なく。順調そのものです」 声を荒げつつある二人を一歩離れた位置で見ていたRXが言う。 「…何が必要だ?」 「せめて奴がいる世界を特定出来る情報が欲しい。以前使っていた形跡のある場所位しか見つかっていなくてね」 偽ライドロン、通信の発信源、ゲル化した戦闘機人の処理報酬として支払われたデバイス。 どれもバラバラの位置から送られていてスカリエッティの現在位置を特定する助けにはなっていない。 管理世界だけでも100を超えている上に他にも仕事を抱えるヴェロッサが、管理局にはばれずにその中から一人の科学者を発見するのは容易なことではなかった。 だが既にRXも彼自身が知る情報はほぼ伝えて終わっていた。 「…他の情報は、奴が服を注文した店位しか知らないな」 「教えてもらっていいのかい?」 「構わないさ。メモは…」 ヴェロッサが問題ないと身振りで示したのに、僅かに間を置いてRXは幾つかの管理世界の名前とそこにある店を挙げていく。 「他には何か? この際だ。些細な事でも知っていることがあれば教えてもらいたいね」 RXは記憶を探り、できるだけ詳しい情報を思い出そうとしていた。 もう数年前になるが、スカリエッティが使っていたブランドなども今では分かる。 2人、あるいは3人で暮らしていた時のことが浮かび、熱いコーヒーの香りや洗剤の柑橘系の匂いを思い出す。 その中で彼女が言った言葉でひっかかりを覚えるものもRXは挙げていった。 「ありがとう。何かわかったら連絡するよ」 全て聞き終えたヴェロッサはRXに礼を言う。 三人はそれから暫く寒空の下屋上から見下ろせるミッドチルダの治安について暫く意見を交わしていた。 と言ってもヴェロッサは特定の世界を守る為に動く役職に就いた経験さえないので耳を傾けるに留まっている。 何らかの調査ならまだしも、市民を襲う犯罪にどう対処するかなどの問題についてはRXと大差ない素人考えしか浮かばないのだった。 その話が現場で働いている者達のことへと変り、RXがレジアスの他に犯人を引き渡していたゲンヤ・ナカジマに及んだ時に…レジアスの表情が曇った。 RXにはまだ告げていない事を告げるべきか否か。 ゲンヤ・ナカジマの妻等優秀な者達を率いていたかつての友、ゼスト・グランガイツがどうなってしまったか… 暫し考えた後、レジアスはやはり話さないことを選択した。 もう彼らは何年も前に死んでしまい、今更レジアスにはどうすることもできない。 彼らの遺体や、ゼストの部下だったメガーヌ・アルビーノのまだ幼い娘がレジアスには通達の無いまま管理局によって引き渡され、その後どうなったのかなど考えるまでも無いことだった。 もっと早く気付き配置換えを行っておけば殉死することはなかったし、子供も引き渡さずに済んだという負い目が残っていたが、そんなことは今スカリエッティを捕らえることにすら全く関係が無い。 RXの管理局に対する嫌悪感を強くするだけでしかないとレジアスは頭を振って、感傷を頭の中から追い出そうとした。 その為に強引に自分の管轄で情報漏洩が疑われた不快感を蒸し返し、いけ好かない本局から来たヴェロッサへ怒りを燃やす。それが最も手っ取り早かった。 ぼんやりしていたかと思えば、頭を振り、不快そうに眉間に皺を寄せるレジアスをRXとヴェロッサは不思議に思ったが、二人はマスクド・ライダーに対抗する手だてを練り行動する犯罪者への対策に熱を上げていた。 「ところで六課はホテル・アグスタの警備に回されるそうだな」 「ああ」 突然話を変えたレジアスの態度は不可解だったが、RXは簡潔に答えた。 男の表情から、RXは何があったのかはわからないが、レジアスが深く傷ついた出来事をまだ忘れられずにいることだけは察していた。 ・・ 「あの犯罪者がどうなろうと知ったことではないが、偶然、その前後数日の間にロストロギアがミッドチルダに持ち込まれるという情報がウチに舞い込んでおる」 それを聞いて、表情を変えられないため余人には読み取る事は出来ないにしろ、RXが身に纏っている雰囲気が剣呑なものに変る。 空港でのことや、先日のライドロンのことが頭に浮かぶ。 だがそれよりもRXは、レジアス自身は六課のことを嫌っているのは知っていても、レジアスの棘のある言葉にも反発を覚えた。 ヴェロッサもそれは同じだった。 「ちょっと待ってください。はやて達のどこが犯罪者だと言うんですか!?」 「何を言っておる!! 貴様闇の書事件を知らんとでも言うのか!?」 「貴方が言う事か!!」 はやて達への侮辱に険しい目をするヴェロッサの方へRXが顔を向ける。 「落ち着くんだ。レジアスもはやてちゃん達を侮辱するようなことは言わないでくれ」 咎められたヴェロッサは、レジアスに詰め寄ろうとするのを止めた。 ミッドチルダに集まる情報に全て目を通しているわけではないヴェロッサは、出所を調べてみようとだけ述べた。 「僕はこれで失礼する。こちらも真偽が分かり次第連絡させてもらうよ」 気分を害したヴェロッサがこの場を後にしようとするのを止める手はRXにはなかった。 恐らくはこのまま海へと戻り、仲間達と打ち合わせて別の管理世界に向かうのだろう。 RXは去っていくヴェロッサを見送った。去って言った後、RXは念を押して強い、怒りを含んだ声を出す。 「レジアス。あんな事を言うのは止めてくれ」 「…わかっておる」 ふてくされた子供のような不満げな顔で答えるレジアスにRXは苛立ったが、レジアスの態度にまで口を挟まなかった。 管理局の陸と海の確執もあり、今これ以上の事を求めてもこじれてしまうだろう。 水際で情報を入手する事が出来たのか、戦力を分散させる事を目的とした何者かが手を打ったのか。 「さっきの件だが、こちらでも目下調査中だ。何か分かり次第連絡がつくようにはしておくが…当日までに真偽が判明するかは望み薄だ」 やけに自信たっぷりなRXにしかめっ面のレジアスが言う。 それから二人は、近頃のミッドチルダの状況について暫く話しを続けた。 ミッドチルダの治安は良くなり、陸士を希望する者や協力的な者も年々増加していたが、スカリエッティ以外の犯罪者のことでも二人の間には話す事柄は多数存在していた。 途中で事件が発生する事もなく、どんな犯罪が増加しているのかや灯りに群がる蛾のように集まってくる強力な力を持つ犯罪者について、二人は意見を交わした。 不機嫌そうなレジアスの表情も話す間に険が取れていく。 「おっと、もうこんな時間か。悪いがワシもそろそろ失礼する」 寒空の中話しこみ過ぎたせいだろう、レジアスが体を震わせて時計を見た。 「妻を待たせているのだ」 それを合図に話を打ち切ろうとするレジアスへRXは遠慮がちに尋ねる。 「…レジアス。確かめておきたいんだが、本当に大丈夫なのか?」 「ドゥーエのことなら問題ない…今はまだ奴等はワシを殺したりはせん。ワシを殺す方がデメリットが大きいからな」 ヴェロッサと同じ懸念を示すRXに不愉快そうにレジアスは言った。 「何より奴等はお前を意識しておる。ワシはそれを逆手に都合のいい話を吹き込んである。ワシを排除した場合お前が奴等を探しに行くのではないかとな」 「そうか…」 冗談交じりの言葉に歯切れの悪い返事を返されたレジアスは訝しむような目でRXを見る。 RXはもう一つレジアスに尋ねたい事があったが、口に出せずにいる。 それについては、情に流されない合理的な考えだと言う事も出来る。 だが本当は、それは臆病さを隠しているだけだとRXは気付いていた。 「BLACK。管理世界ではどんな相手でも対象から外れることはない。例え相手がワシを裏切るのかもしれなくても…うっかりワシを握りつぶしてしまうかもしれない相手でもだ」 「!? いきなりなんだ?」 「…だが、その相手によってはお前のことをお義兄さんと呼ばなくてはならないかと考えると、年甲斐のない気持ちにさせられる」 「馬鹿なことを言うなっ」 反射的に返すRXの態度は犯罪者を連行してきたり、スカリエッティのことを考えている時とは違い、若いを通り越して幼さが感じられた。 「ここはミッドチルダだ。予断は許さん状況だが、以前に比べればこの地上本部の人間もBLACKがいるせいで緊張感がなくなっておる有様だ。もう少し……その、気楽に考えてはどうだ?」 そういったレジアスの声は彼の顔に似合わず優しげな響きをしていた。本人もらしくないと感じたのか、言うなりレジアスはそっぽを向く。 「どうしてそんなことを? ロストロギアの事を聞かされたらそうも言ってられないじゃないか」 「ロストロギアによって危機に瀕している世界は他にもある。管理局では割と日常的な話だ。お前の仕事が来るまでに疲れてもらうわけにはいかん」 「わかった。だがウーノ達は俺達の敵だろう」 「勿論だ。奴等ではなく…」 レジアスはその返答を妙に思ったが、口をつむぐ事にした。 よく考えて見れば、六課にスカリエッティが生み出した技術によって生み出された隊員が複数いることなど話すわけも無い。 そのまま二人は逃げるようにその場を去っていった。 レジアスは残作業を予定していた時間まで進めて家に戻り、ヴェロッサから改めてスパイだと念を押された新妻と遅い夕飯を取った。 分かっていたことだったがいざ他人から指摘を受けたせいで、下手をすれば娘より年下だったのかもしれないとサーモンソテーを食べながら冷や汗をかく羽目になった。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3469.html
友人にインチキ臭いとまで言われた男は人目を避けてアクロバッターを走らせていた。 シャーリーが用意したコースは完璧に近く、雰囲気のある店の付近を目指して人目につかずに走れるコースだった。 久しぶりに再会した相棒と走る心地よさを堪能するには、背中にしがみつくフェイトは邪魔になったが概ね満足だ。 多少RXの好みから離れてしまうのは、初めてお願いしたのだから仕方がない。 ウーノのようには、いかない。 覚えのある道を走った時に浮かぶ不満を隠すようにRXは速度を緩めずにコーナーを曲がっていった。 バイクの後ろに乗るのは魔法で飛んだり、車の運転するのとは違うらしく、まだ慣れていないフェイトは強くしがみついた。 どうにか慣れる頃に目的地に着くと、今度はフェイトの先導で二人は歩き出した。 廃棄区画に近いその場所は薄暗く、街灯に照らされていない道が幾つもあった。 「アクロバッターが荒いっていうのわかったような気がします」 「そ、そうかい?」 後ろからそれ見ろと言わんばかりのエンジン音が聞こえ、人間の姿に戻った光太郎がそれを咎めた。 アクロバッターには全く反省した様子がなかったが。 亀裂が走り、何処かから転がってきた建材の破片が転がる道を、二人は場所を確認しながら店に向かっていった。 人間の姿に戻った光太郎は、地球ではほぼ常に、制服のように着ていた白いジャケットではなくウーノらが用意して数年着続けているスーツ。 落ち着いた色合いで、手袋だけが明るい色の皮で出来ていた。 アクロバッターに乗っている間は変身していたので、パンツに皺が寄ることもなかった。 フェイトの方はちょっとばかりカウガールっぽかった。 細めのジーンズにウエスタン風のシャツ、皮の靴とベルト……ベルトの色の方が、靴よりも濃い色をしていた。 プライベートな時間には大抵スカートを履くのだが、光太郎がバイクに乗るので、一つ二つ用意してあったらしい。 ウエスタンシャツの間から見えるシャツの可愛らしいキャラクターと、鎖骨から首のラインは照明に照らされれば如何に光太郎でもグッと来る可能性はあるように見えた。 二人は、場所からしてないとは思われるが、ラフな格好では断られる店だったとしても光太郎の格好でどうにか、と考えていた。 程なくして場所を教えられているフェイトは足を止め、少し焦りながら周囲に目をやった。 「あれ?」 「どうかしたのか?」 「いえ……シャーリーが教えてくれたのはここなんですけど」 フェイトが示したのは、古いらしく微かにオレンジがかった照明の点灯した店。 店内から音楽が外へ漏れ、二人のところまで届いていた。 店内へと入っていく通路には何枚もの張り紙がされ、ずっと前に剥がされたものの残りがへばりついているのが目についた。 清潔な印象を与えるような色は見えず、年季の入った木製の扉には目に見えて傷が付いていた。 これまで殆ど入った経験がないらしく、フェイトは戸惑いを隠せないようだった。 光太郎は、フェイトに一度間違いないことを確認してから店内へ入っていく。 フェイトもそれについて入っていく。 温かみと艶のある木製のテーブルと椅子が二組あって、片方では白いテーブルクロスの上に並べられた料理に舌包みを打つ年かさの行った男女が数人いた。 音楽は店の奥から流れてきているようだった。 一人でウェイターも兼ねているというシェフが奥から姿を見せ、残ったもう一つのテーブルの椅子を引いた。 男性客がさり気なく入ってきた二人の顔を見て、一瞬驚いたような表情をする。 フェイトがそれに気づいたが、光太郎は気づいているのかいないのかさっさと席に座ってしまった。 グルメとはとても言えない二人であったから、シェフの勧めるままに料理を幾つか注文して他愛ない話をする。 シャーリーが調べ勧めてくれたことはあり、直ぐに運ばれてきた料理はどれも美味で、口に入れた二人が驚くほど二人の好みにも一致していた。 シェフの勧めるままに酒も口にする。 光太郎は直ぐに消化してしまうし、フェイトも飲むような習慣がなかったので普段なら口にしないものだが、店の雰囲気とシェフの柔らかい態度に少し飲んでみようと言う気にさせられた。 気を良くした二人の話は盛り上がった。 地球で言うとフェイトはまだお酒を嗜む年齢ではなかったが、こちらではそうではないらしい……光太郎は気になったが、口にはしなかった。 アクロバッターが戻ったばかりであったし、本人が希望したとはいえエリオとキャロが管理局に入ったことにヴィヴィオを暫く預かることになったお陰で話題にも事欠かなかった。 デート中にするような話ではないだろうと、隣の席に座っていた老婆からどこか見覚えのある呆れたような視線を向けられたが、どう扱おうかと今から心配しているらしいフェイトの相談に光太郎は知恵を絞る。 だが料理も殆ど食べ終えた頃になって、フェイトがパッタリと口を閉じた。 そこそこ話し終えていたが、別の話をするでもなく黙ってしまったフェイトを光太郎は不思議そうに見る。 「どうかしたのか?」 「い、いえ……一つ、お願いしようと思ってたことがあるのを思い出して」 「なんだ?」 「光太郎さんからまだ……す、好きって、言ってもらったことありません」 「そ、そうだったっけ? おっかしいなぁ……」 年甲斐もなく狼狽する光太郎に、フェイトは少し返事を返されるのが怖がっているようだった。 それを見て、光太郎の表情は真剣味を帯びていった。 「だから、出来たらでいいんですけど言って」「すまない」 険しい表情で直ぐに、返事が返される。 光太郎は一瞬、どこか遠くを見たようだった。 「……どうして言ってくれないんですか? 私のことやっぱ」 「もう少し時間をくれ。今は君の求めている言葉は言えない」 「そう、ですか。や」 「違う!! 俺は、言いたいと思っている。だけど俺は……!!」 落胆するフェイトに光太郎は身を乗り出して、叫ぶように言った。 驚いたフェイトに目の奥に火花を散らせたような鋭い眼差しを向ける。 「……思ってもいなかったんだ。だが、まだ俺はウーノのことを忘れていないんだ。だから、待って欲しい……無理にとは、言えないが」 「……わかりました」 少し間を置いて、フェイトがポツリと返事を返した。 「わかりましたから……ありがとうございます」 フェイトの返事を不思議に思って怪訝そうな顔をする光太郎の手をフェイトが握った。 そして、会計をして二人で出て行く。 望む返事を返すことが出来なかった光太郎は、気が咎めてすっきりとした表情とは言えなかったが、 フェイトの方は、然程気にした様子もなくどこか満足げだった。 それを見送った後、隣でそんな会話を聞かされる羽目になった客達は、ISを解いた。 シルバーカーテンで姉妹皆の姿を偽装していたクアットロが、ニヤニヤしながらウーノを見る。 皆ナンバーズに支給されるボディスーツではなく普通の服装をしていた。 ボディスーツの上から普通の服を着ているものもいて、ウーノらに咎められたが。 「何かしら?」 「いいえ、私の復活祝にウーノ姉さまが用意してくれたイベントなのかなぁって」 「まさか」 うっすら笑みを見せながらウーノが言い返す。 だがフォークをチラつかせるウーノに妹たちの誰かが喉を鳴らした。 「私と来た店だって言わなくってとっても安心したわ」 「余裕ですかぁ?」 入店してきた時はヒヤッとさせられたが、どうやら流石の光太郎も変身していない状態の体では、シルバーカーテンによる偽装を見破れないらしい。 それがわかったクアットロは調子に乗っていた。シェフも光太郎のことを覚えていたが、空気を読んでいた。 この世界では姿を変えるくらい簡単……とは言わないが、ワケありの人間達の間ではそれなりに行われる行為だった。 「止せ。クアットロ」 「チンクちゃんったら、貴方だってちょっとは気になってるくせに」 「そ、そんなことはない!! クアットロ、そういうところがセッテを怒らせたんだから少しは自重してくれ」 「……つまんなぁい」 チンクに言われ、悪態をつくクアットロはメガネをしていなかった。 セッテに殴りつけられて瀕死に陥った際にレンズの破片で痛い目を見たので、付けなくなっていた。 拳の当たった場所から放射状に、角の多い星か花びらの多い花のような傷跡が残っている。 スカリエッティがわざと残したそれをクアットロは撫でた。 その仕草に、皆微かに表情を変える。 だが、可哀想と感じているらしいのは姉妹の中でも半分ほどだと言うことが、それでわかった。 「私、ドクターのところを出ていくことにきめましたわ」 「いきなり何を言っている!? セッテのことは……確かにやりすぎだが、ドクターも」 突然の発言に驚く姉妹たちの中で、チンクが最初に立ち上がった。 ため息を付いたウーノがクアットロに眼差しを向けると、傷跡の端へ指を滑らせながらクアットロは説明する。 「私のこと嫌ってる子もいるみたいだし、私も好きにやらせてもらおうと思って」 そう言った顔はいつもの茶化すような表情で、本気で言っているのかどうか余人には判断出来かねる態度だった。 姉妹たちも何人かはクアットロのことがわからないと言った顔で、仲の良い姉の方を伺うように見る。 「……いいわ。何を持って行く気?」 だがどういったつもりであろうと、資材については強い権限を持つウーノの一言で判断は下ったようだ。 「さっすがウーノ姉さま。ガジェットを頂いていきますから、心配は御無用です」 「全部はダメよ? ドクターが祭りの日に使いたいらしいわ」 「はい!」 素直な返事を返したクアットロが、全体の実に八割に及ぶ機体を持ち去ったのはこれから数日後のこと。 完全に自動的に作成されるガジェットの生産数を増やすことは出来ず、かといって祭りの日までに必要数を作成することも出来ないのは明白で、 意外なアクシデントに頭を抱えるウーノと、寧ろ面白くなってきたらしい高笑いをするスカリエッティがガランとした格納庫に残された。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3471.html
相棒、アクロバッターが届けられるのをRXは朝から六課の宿舎内を歩き回り、落ち着かない様子で待っていた。 その日は六課の数少ない休日に合わせていたので人気は少なかった。普段は交代制で休んでいる誰かが思い思いの場所にいるのだが、今日ばかりは外出している人間が多い。 RXと顔馴染みの者も、何名かは出かけていくようだった。 乗馬服っぽいパンツとブーツの上から淡い色のミニワンピースを着たギンガが、バイクを押して視界に入り目の前で止まった。 「おはようございます!」 「おはよう。ギンガもバイクに乗ってたんだ」 「はい。試しに乗ってみたら、楽しくって……! 勿論RXさんみたいに上手くは走れませんけど」 照れくさそうに説明するギンガに、RXは謙遜して首を振る。 市販バイクしか乗ったことのない人間にそうした態度を見せるRXをアクロバッターが目にしていれば期限を悪くしただろうが、幸いアクロバッターの到着にはまだ時間があった。 ミッドチルダのバイクに関してはあまりよく知らないRXは、ギンガがスバルとティアナを待つ暫しの間、ミッドのバイク事情などについて少し話を聞いた。 「でも……こうしてRXさんとお話出来るなんて感激です」 幾つかの質問に答えた後、ギンガが言う。 以前助けたことを感謝されていることは知っていたRXだったが、戸惑いを隠せないまま返事を返す。 「そ、そうかい? 大げさだな~……」 「そんなことありません!! 私達にとっては恩人ですし……最近は他の世界の人からも羨ましがられてるんですよ」 「え?」 何のことか思いつかないらしいRXに、ギンガは若干はしゃいだ様子で説明する。 「他の管理世界もミッドチルダと大きくは変わらない状況ですから、マスクド・ライダーを独り占めしてるのはズルイって羨ましがる声もあるんです」 仮面のお陰で表情に変化が現れることはなかったが、RXは相槌を打つのも忘れて耳を傾けた。 自分の話に熱心に耳を傾けるRXに、ギンガは嬉しそうに説明する。 「他の世界にも同じようなヒーローが現れ始めたらしいんですけど、まだ上手くはいってないみたいです」 「他にもライダーがいるのか!?」 「は、はい……! 若い高ランク魔道士や、レアスキル保有者のようですけど、顔は隠れていて、本人は関与を否定していてまだ捕まった人はいないとか」 捲し立てるように言ったギンガは、参加しているマスクド・ライダークラブから得た情報を頭から引っ張り出す。 余談だが、ギンガがブラックとブルー、二人のライダーと撮った写真のデータを仲の良いメンバーに見せびらかしたかは不明である。 「例えば……『お前の罪を数えろ』」 突然声色を変えたギンガに、変身した姿でなければ目を白黒させたことだろう。幸運過ぎることにまだ一緒に出かける予定のスバルとティアナは来ていない…彼女のイメージは今ならまだ保たれるだろう。 だが、ツッコミを入れるまもなくその一人の決めポーズなのか、ギンガはしなを作って甘く囁いた。 「『私に釣られてみる?』」 苦笑いを見せることが出来ない仮面ライダーは幸いだった。だが沈黙から漂うものをやっと感じ取ったギンガは、そのポーズのまま顔を真赤にした。 その上視界の端で、輸送ヘリのパイロットのヴァイス曹長にバイクを借りたティアナとスバルが固まっており…… 更にその後ろには微笑を浮かべてエリオとキャロの肩に手を食い込ませるフェイトの姿もあった。 「ふ、二人とも早かったのね!! あ、RXさん。じゃ、じゃあ私達行ってきます!!」 逃げるように走り出す姉を、二人はRXに軽く挨拶して追いかける。 「お姉ちゃん何してたの?」 「ご、誤解しないで……!! これは、ちょっとRXさんに他の世界のヒーローの事を」 「えー? でもあれは絶対……」 遠くから声が聞こえたが、RXにしてやれることは聞かなかったことにすることだけだ。 ギンガと並走するティアナはもう問題を解消したようだった。 他の世界でRXと同じような事をしている者がいる。ギンガの話は初耳だった。 ミッドチルダにはセッテが現れたからか、ミッドチルダでは真似をする者が見つかっていない。 そのせいもあってRXは気づいていなかったのだが、こちらに来て数年、RXの行動に影響を受けた人間が、(犯罪者と扱われるかは紙一重の世界だと理解しているかは兎も角として)動き出していた。 その結果として、管理局に入局するハズだったレアスキル持ちの高ランク魔道士が士官学校を出た後地元の民間企業に就職すると言う事態が確認される事態となっていたが、レジアス達は華麗にスルーしていた。 そのすぐ後に、エリオとキャロが何故か慌てて走っていくのを見送り、RXは入り口に腰掛けてアクロバッターがやってくるのをジッと待った。 エリオとキャロを見送ったフェイトが、泣きそうな顔で地べたに腰掛けるRXに声をかける。 「こ、光太郎さん……さっきのは一体どういうことだったんですか!?」 「え?」 フェイトの剣幕に、一瞬RXは何のことかわからなかったが、ギンガの話してくれたことだろうとあたりを付けて返事を返す。 「ああ。さっきのは他の世界のライダーの決まり文句だってさ。他の管理世界にも俺と同じような事をする奴がいるらしいんだ」 「え?」「ん?」 「…………そ、そうですよね」 いきなり矛を収めたフェイトに内心首を傾げながらも、RXはアクロバッターがやってくるであろう方向に視線を戻した。 「きょ、今日は珍しく一緒にいませんけど、今日はどこかにお出かけしたんですか?」 「え? ああ。朝早く出かけていったよ。セッテと同じようにスカリエッティの所を離れている姉に会ってくるそうだ」 「! そんな人がいらっしゃるんですか!?」 驚くフェイトにRXは頷く。 「セッテも顔をあわせた事は殆どないってさ」 「スカリエッティのことは……」 「聞いてくると思うけど……はやてちゃんから聞いてないか?」 不思議そうな顔をするフェイトに、RXははやてにはこの話しを伝えてあったことを告げる。 何か面白い話を聞いてくるかも、と特に何か行動を起こす予定ではなかったため伝えられなかったのかもしれないが。 「う~ん……今日は、出かける予定があって忙しかったのかも……」 苦笑するフェイトに、RXは頷き返す。 「私はもう中に戻りますけど、光太郎さんはどうされるんですか? 母さん達が来るまでまだ一時間以上ありますよ」 「ああ。わかってるんだけど、待ちきれなくってさ」 「久しぶりですもんね。あ、お昼、どうされますか?」 「そうだな……いいや。ここで待ってるよ」 座り込んで動かないRXの背中を見つめ、フェイトは子どもっぽいと言いたげに微苦笑を浮かべた。 「もう、そうだ……!! 今晩、もしよかったらアクロバッターに乗って外に食べに行きませんか?」 「それはいい考えだね!! 最近アイツと走ってなかったし、うん。店を探さないとな」 「それなら私からシャーリーにお願いして、アクロバッターで近くまで行けそうなお店、探してもらいます」 フェイトはそう言って仕事を始めているであろうシャーリーのところへ走っていった。 RXは再び視線を戻して、やってくるであろう方向を見つめた。 遠くの景色や周囲の音をなんとはなしに感じ取って、陽炎の向こうから影が現れ、マフラーの排気音が聞こえてくるのをゆっくりと待っていた。 そのままゆっくりと時間が過ぎていき、食堂で昼食が始まったのかテレビがつけられ、レジアスの演説が聞こえてくる。 「当日は、首都防衛隊の隊長、レジアス・ゲイズ中将による、管理局の防衛思想に関しての表明も行われました」 「魔法と技術の進歩と進化。素晴らしいものではあるが、しかし!! それがゆえに我々を襲う危機や災害も、10年前と比べ物にならないほど危険度を増している!! 兵器運営の強化は進化する世界の平和を守るためである!! 首都防衛の手は未だ足りん。非常戦力においても我々の要請さえ通りさえすれば、地上の犯罪も発生率20%の低下。検挙率においては35%以上の増加を初年度から見込むことができる!」 「このオッサンはまだこんなこと言ってんのな」 「レジアス中将は古くから武闘派だからな」 レジアスの演説に対するヴィータの感想に、シグナムが言う。 なのはの興味は演説よりも共に映った人間にあるようで、それは共に食事をする他の隊長達も同じだったのか会話はそちらに流れていった。 「あ、ミゼット提督」 「ミゼットばあちゃん?」 「あー、キール元帥とフィルス相談役もご一緒なんだ」 「伝説の3提督、揃い踏みやね」 「でも、こうしてみると…普通の老人会だ」 「もう、駄目だよ、ヴィータ。偉大な方たちなんだよ?」 「うん、管理局の黎明期から今までの形に整えた功労者さんたちだもんね」 「ま、あたしは好きだぞ。このばあちゃんたち」 「護衛任務を受け持ったことがあってな。ミゼット提督は主はやてやヴィータたちがお気に入りのようだ」 「ああ~、そっかぁ」 「なるほど」 RX自身は、何度も同じような演説をする羽目になるレジアスにあったので演説を聞いていた。 このミッドチルダの治安は、パーセンテージの上では上がったり下がったりしている。 そのせいでレジアスの演説は同じようなものにならざるを得ない。 ミッドチルダは、地域によって犯罪の通報される数に大きなばらつきがある。 設置されているセンサーや、陸士部隊等によっては未だにフォローし切れない場所があり、発生していても通報されない犯罪が未だに多数存在しているのだ。 ある意味酷いのは、襲われた人物が魔道士の場合、逆に犯罪者が叩きのめされて路地裏に放置され、更にそこを別の犯罪者に襲われるというケースもあるらしい。 レジアスはそれを改善し、実際に起こっている件数に近い数に近づけている。 そのせいで検挙率や発生率はレジアスの階級が上がってから上下を続けることになっていた。 RXもそれに、どちらの意味でも一役買っていることを本人の口から聞かされていた。 RXがいるお陰で『通報されやすくなった。発生率自体も下がった』という言葉と、『他の管理世界から流れ込んだ人々の数が増え、その一部が犯罪を起こしている為犯罪者が増えている』と。 悩ましい問題を考えていた頭が、電流が流れ込んだように戻される。 遠くに待っていたものの姿をRXは確認していた。 * 「久しぶりだな!! アクロバッター!!」 「RX、元気だったか」 「ああ……!! お前も元気そうで何よりだ。なんだ、お前俺と一緒にいた頃より元気そうじゃないか。ピカピカに磨かれちゃってさ」 「ヴィヴィオの、お陰だ」 頭を振るアクロバッターの周りを歩き回り、磨かれたボディを小突いていたRXは遅れて到着した車へ顔を向けた。 車の扉が開き、見覚えのある左右目の色の違う女の子が、一人で扉を開け閉めする。 一人でやろうとする娘を、優雅な所作で車から降りたリンディが見守っていた。 RXに気づいて、リンディが微笑むとそれが視界に入ったのか、女の子……以前会った頃よりは大分成長したヴィヴィオが振り向き、RXの元へ駆け出した。 「RXっ」 「久しぶりだね。ヴィヴィオ、今日はアクロバッターを連れてきてくれてありがとう。ずっとアクロバッターの世話もしてくれてたんだって?」 危なげなく、というよりRXが驚くほどの速さで走ってきたヴィヴィオに、RXは片膝をつき視線の高さを近づけて迎えた。 ヴィヴィオはおめかししているせいか、何処と無く気品があってお姫様のようだった。 「うんっ、まだ全部はさせてもらえないけど、ヴィヴィオが綺麗に磨いてたんだよ!!」 「そっか。それでアクロバッターの奴こんなに綺麗になってたんだな。ありがとう」 「えへへ、時々乗せて走ってもらったりしたから、そのお礼にって始めたんだ」 「アクロバッターに乗ったのかい!? そりゃあ凄いや。コイツ暴れん坊だから大変じゃないか」 「そんなことないよ?」 ね!!、とアクロバッターに向けてヴィヴィオが言うと、アクロバッターも不満げに首をふり、RXをハンドルで叩いた。 「光太郎の運転が、荒いのだ」 「おいおい、そんな言い方はないだろ」 そんな風にするRXを見るのは初めてだったのか、リンディの笑い声が上がる。 それに気づいて取り繕うように背筋を伸ばす。 「フフ……、本当に仲がいいのね。光太郎さん、お久しぶり」 「リンディさん、お久しぶりです。今日はありがとうございました」 「いいえ。私の方も様子が知りたかったし、お願いしたいこともあったしね。フェイトは一緒じゃないの?」 「フェイトちゃんは今お昼なんです。今呼んできますよ」 「ううん、それより先にアクロバッターを運んでしまいましょう」 「しかし……」 「ヴィヴィオったら、家にあった道具を全部持ってきたのよ。忘れるといけないから、先に下ろさせてもらえないかしら」 除け者にするのが躊躇われて、食い下がるRXへリンディは車のトランクに目配せをした。 どうやらアクロバッターは本当に可愛がられていたらしい。 「……わかりました。ヴィヴィオ、持ってきた荷物を教えてくれないか? 俺が運ぶよ」 「ダメだよ。自分の物は自分で運ばないとリンディママに叱られちゃう」 ヴィヴィオが叱るように言うと、RXはリンディと一度目をあわせて、ヴィヴィオに言う。 「今日は特別さ。なんたってアクロバッターは俺の相棒なんだからね。メンテナンスの道具を俺が運ぶ位リンディママも許してくれるよ」 すると、今度はヴィヴィオがリンディの顔色を伺った。 リンディは勿体ぶるように少しだけ考える素振りを見せてから微笑んだ。 「いいわ。今日は特別な日ですものね」 「うんっ、RX!! こっちに来て!!」 ヴィヴィオの先導で、RXはトランクの後ろに歩いていく。 その後からアクロバッターが続き、リンディが離れた場所で見守ったままキーを操作してトランクを開けた。 磨くための布や、工具を収めているらしい箱が置かれている。 可愛らしいプリントがされていたりするものと思っていたが、かなり無骨なデザインの普通の箱だった。 RXはそれを持って、ヴィヴィオ達を連れて六課のバイク置き場に歩いていく。 アクロバッターはゴルゴムの科学で作られた物が進化している……だから別に整備の必要はない。 いや必要はあるのかもしれないが、元々創世王の愛機として千年、万年を戦い続けることを目的として設計されている為、アクロバッターはタフなのだ。 だが意志を持つ相棒を時々磨いてやるのは助けてもらっているRXの義務のようなもの。 様子をみる限りヴィヴィオの方がかなり丁寧に磨いてやっているようで、今後RX自身の手でやるとなると色々と口うるさく言われてしまいそうだが。 アクロバッターを用意しておいたスペースに移動させて、RX達は六課宿舎の中へ戻っていく。 入れ違いで戻ってきたフェイトが、RXが座っていた場所からいなくなったのを見て連絡してくるのは彼らが部屋に到着しようかという頃だった。 モニター越しに呼ばなかったことを責められるRXの様子をリンディはどこか楽しそうに見ていた。 部屋の前で待つように伝えてフェイトがモニターを切る。 少し参ったように肩を落とすRXに慰めの言葉をかけて、彼らは部屋へ向かってまた歩き出した。 ヴィヴィオはRXに手を引かれて、六課のあまり代わり映えのしない廊下や天井へ視線を行ったり来たりさせていた。 「ねえRX、何か理由があるんだったらごめんなさいね」 「はい?」 「…………変身したままなのは何か理由があるのかしら?」 「六課の皆には、まだ俺が人間の姿に戻れることは秘密なんです」 「そうだったの……ごめんなさい。言いにくいことだったんじゃないかしら」 「そんなことありませんっ。俺も今はもう皆に伝えておいた方がいいと思ってますから。ただ、ちょっとタイミングが掴めなくて……わざわざ集まってもらうわけにも行きませんから」 「そうね。なのはちゃん達にも協力してもらって、それとなく広めていけばいくとかどうかしら……? お風呂とかはどうしてるの?」 少し考え、助言をしようとするリンディにRXは言う。 「このまま入ってますが…?」 「そのまま?」 「ええ。別にこの体でも汚れないわけじゃありませんからね」 おどけた口調に、RXが半ば以上ジョークで言っていることに気づいたが、リンディは堪えきれずに吹き出した。 湯船に肩まで浸かり、頭にタオルを置いたRXの姿を想像してしまって、笑いがこみ上げるのを押えきれなかったのだ。 RXもその気持は理解出来たのか、笑うリンディに興味を引かれたらしいヴィヴィオと目をあわせる。 「六課の隊員は大変ね。共同浴場に入っていったら貴方がそのままの姿で背中を擦ったりしてるんでしょ」 「そうなりますね。犬の姿をしてるザフィーラと二人で足の裏を綺麗にしてる所が一番驚かれますよ。面倒な時はゲル化しちゃうんですけどね」 子供らしからぬ深い悩みを抱えたような顔で固まったエリオの姿を思い返しながらRXが言うと、リンディ達は声を上げて笑った。 「ヴィヴィオも見たいっ」 「うーん…………フェイトちゃんの所に泊まる機会があれば、一緒に入るかい?」 「うんっ」 「駄目よ二人とも。ヴィヴィオも女の子なんですからね」 「えー」 軽い気持ちで答えたRXに、リンディは咎めるように少し険のある顔を見せた。 RXは戸惑いながら相づちを打つ。 「そ、そうですよね!! ヴィヴィオちゃ「ヴィヴィオでいいよ!!」ヴィヴィオも女の子だもんなっ」 以前叔父の家に厄介になっていた頃には同じような年頃の子供の面倒を見ていた。 風呂に入れたりもしていたのだが、こちらでは早くから分けてしまうものらしい。 不味かったのかと久しぶりに冷や汗をかきながら、RXは就業年齢が低いからかと思った。 ちょうど都合よく、走ってくるフェイトの足音が近づいたのでRXは足を止めた。 話題を変えたい気持ちもあり、もうすぐ来るからと待つことにする。 「あ、フェイトお姉ちゃんだ」 ヴィヴィオがフェイトを見つけて、掴んだままのRXの手を引いて走りだした。 身長が2m近いRXがヴィヴィオに合わせるのは少し大変だが、付き合ってRXも早足になる。 そんな二人を見つけて、フェイトが訓練場の地面を削るほどの速さで二人の前に移動した。 「久しぶりだね。ヴィヴィオ、元気にしてた?」 「うんっ」 フェイトがヴィヴィオを抱きかかえて、額にキスする。 顔を綻ばせてされるままになっていたヴィヴィオはそれを見ていたRXに首を傾げる。 どうして見ていたのか、不思議に思ったらしい。後から来たリンディにフェイトが少し怒ったような顔をする。 「お母さんが先に行こうって言ったんでしょ」 「だって貴方は今ご飯食べてるって聞いたんですもの。先に行って待っててもいいじゃない」 先に行ってお茶の用意をしておくつもりだったと言う母親にフェイトとRXは困ったように視線を交わした。 リンディが入れるお茶は甘すぎたりする時がある…… 「……ヴィヴィオも飲まされてるのか?」 「クロノ達が止めてくれるはずだけど……ヴィヴィオ。リンディママの入れたお茶、飲んだりしてないよね?」 「べ、別に普通の入れ方だって出来ます!! …………美味しいのに」 「そ、そうだ!! な、なのは達も後で来るって、なのはもはやても母さんやヴィヴィオと会えるの楽しみにしてたんだよ」 強引に話を変えようとするフェイトに、リンディは逆らわなかった。 4人はヴィヴィオがRXの部屋を見たいと言うので、一度RXの部屋に寄り、一通り見せてからフェイトの部屋に入っていった。 部屋に入ったリンディとヴィヴィオは、早速フェイトの部屋の中も隅々まで調べだす。 今度はヴィヴィオよりリンディの方が主導になっていて、フェイトは困ったように笑うとお茶の用意を始める。 どうもリンディは、フェイトがちゃんとした暮らしをしているか気になっていたらしい。 「これならヴィヴィオをお願いしても大丈夫かしら」 一通り調べ終わったリンディは、フェイトの淹れたお茶を飲み一息ついてから言う。 「ど、どうしたの突然…」 「ヴィヴィオをフェイトちゃんにですか?」 「実はちょっとお仕事が忙しくなるから、暫くヴィヴィオを預かって欲しいのよ」 「ええっ!? そ、そんなこといきなり言われても困るよ」 フェイトは、こちらも今聞かされたのかびっくりしているヴィヴィオの顔色を伺いながら、声を潜める。 「ヴィヴィオだって学校があるし、エイミィにお願いできないの…!?」 気が咎めるのだろう、フェイトは顔を寄せて言う。 その隣に座るヴィヴィオに聞こえないようにすることは出来ないだろうが。 「ライドロンのことは聞いてるでしょう? 手は打ったけど、今のあの子じゃヴィヴィオのことまで任せられないわ」 「でも……」 渋るフェイトに、リンディはため息を付くと立ち上がり、フェイトの手を引っ張って少しヴィヴィオから離れていった。 RXとヴィヴィオは不思議に思ったが、素直に二人の話が終わるのを待つことにした。 ヴィヴィオを預かるという話に、RXは口を挟もうとはしなかった。 その代わりに、二人の話が終わるまでヴィヴィオの相手を努めようとしているようだった。 「そろそろ……あの子にも仕事を見せてあげたいのよ」 「言っておくけど……私の所に来たって訓練だって見せてあげられないよ?」 「わかってるわ。でも何とかしてあの子に管理局の仕事が格好良いって所を見せてあげられないかしら?」 フェイトは、意味を理解しかねたのか何とも言えない表情をする。 「ヴィヴィオの夢、貴方も知ってるでしょ」 リンディはもう一度ため息を付いてから言う。 なんだそんなことかと、今度はフェイトがため息を付いた。 ヴィヴィオの夢、それは学校の宿題をしている時に判明したのだが……その時ヴィヴィオは―不敵な笑みと子供らしからぬジョジョ立ちに若干引き気味の隣のお姉さんの問いに胸を張って答えた。 『このヴィヴィオ・ハラオウンには叶えたいと思う夢があるの!! マスクド・ライダーに、ヴィヴィオはなるよ!!』 「……知ってるけど、まだ小さいんだからそんなに気にしなくってもいいんじゃない?」 「近頃じゃ他の世界でもマスクド・ライダーっぽいヒーロー願望の魔導師が出てるのよ?」 ワイドショーに踊らされる主婦の顔をしてリンディは言う。 更にヴィヴィオの口調を真似て、 「それにヴィヴィオも……『命を弄ぶ犯罪者を管理局が捕まえないなら、ヴィヴィオがマスクド・ライダーにならなくっちゃあいけないって事だと思うの』って言うのよ!?」 フェイトが思わずヴィヴィオの方を見ると、聞こえていたのかフェイト達の方を見ていたRXと目が合った。 困ったような顔をして笑うフェイトと、無邪気なヴィヴィオの顔が複眼に幾つも映っていた。ついでに、娘の将来を心配するリンディの顔も。 「わかった。お母さんのところにいってクロノみたいに服に無頓着になっても困るし……でも、暫くだけだよ?」 「あ、あれは私のせいじゃないわよ……!!」 「そうかな?」 珍しくからかうような態度を見せるフェイトの車を思い出して、大差ないセンスだと思っていたRXは聞かなかったことにしてヴィヴィオの相手に没頭していった。 だが一瞬動きが止まったのを訝しんだのだろう、二人がチラッとRXを見る。何か思い出したらしく、フェイトが声を上げた。 「あ……!! お、お母さん。きょ、今日だけはダメっ!! 今日だけは、ヴィヴィオの相手をして欲しいの!!」 「何か予定が入ってるの?」 「う、うん……! だから、明日からにしてもらえないかな?」 RXの方をチラりと見る娘の態度に、少し唇を綻ばせたリンディは楽しそうに話すヴィヴィオを説得する労力を想像してか嬉しいような困ったような、深い愛情を表情に乗せた。 「でも今晩の天気って雨よ?」 「え"?」 からかうように言うリンディだったが、真に受けたフェイトの顔が硬直する。 「こ、光太郎さん!!」 「ん?」 「あの、今母さんから聞いたんですけど、今晩……雨だって。不思議なこととか出来ませんか?」 言いにくそうに、返答に困るお願いをするフェイトにRXはすぐ返事を返さず、リンディの方へと顔を向けた。 「ちょっと、フェイト……今のは」 「お願いですから『雨の中、不思議なことが起きて晴れる程の晴れ男がいてもいい。それが自由ということだ』って言ってくださいっ!!」 「ええっと……確か週末までは晴れだったはずだよ」 「え?」 再び固まったフェイトには、リンディが笑いを堪えていることがはっきりと感じられた。 「冗談よ。ちょっとからかおうと思って」 「母さん!!」 それから少しの間からかわれたものの、RXとフェイトは日が暮れる頃に出かけていった。 * 一方その頃、昼食の後ヴィヴィオ達と顔をあわせる事もなく六課から出発したはやては、シグナムを連れてミッドチルダ極北地区ベルカ自治領の聖王教会を訪ねていた。 シグナムを休ませて出かけてくれば、と思わなくもない。RXとか。 だがシグナムはどうもNice boatになるかもしれないような事をする気はないらしいので諦めて素直に護衛を頼んだ。 聖王教会にいる機動六課の後見人の一人、騎士カリムとははやては個人的に友好を深めていて、時には遊びに来る事もあったが、今日は残念ながら仕事絡みでの訪問だった。 近くに地上本部で開かれる公開意見陳述会……そこが何者かに襲われる可能性がある。 重要な地位にあるため、案内係に従って奥まった場所に通される間に、はやては情報をもう一度頭の中で整理していた。 これまで何度も行っていたが、機動六課の評価を決定付ける重要な問題であるだけに時間があれば考えるようにしていた。 機動六課の設立には裏の理由があった。ロストロギア・レリックの対策と、独立性の高い少数部隊の実験例というのも嘘ではないが、それだけでは今のメンバーの殆どは集めることが出来ない。 真の目的は、この先にいる騎士カリムの保有するレアスキル「預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)」にここ数年示される管理局システムの崩壊を阻止することにある。 本来は現存する戦力を送り込まれ、対策を講じられるのだが、今回は情報源がこの予言しか存在せず、しかもその世界にレジアスがいたせいでその手が使えなかったお陰だ。 「預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)」は、世界に起こる事件をランダムに書き出すだけの能力。 しかも解釈ミスも含めれば、的中率や実用性は割とよく当たる占い程度であるせいで予算や戦力で割を食っていたレジアスは猛烈に反対したのだ。 それを知ったはやては、その状況を利用して予てから彼女が夢見ていた部隊を実現させた。 レリック事件だけで事がすめばよし。大きな事態に繋がっていくようなら、最前線で事態の推移を見守って地上本部が本腰を入れ始めるか、本局と教会の主力投入まで、前線で頑張る…… その程度が期待されている所だが、はやて個人の思惑としては一歩進んで、大きな事態に繋がっていくような状況を本局と教会の主力投入より先に解決したいと考えていた。 レリック事件で事が済むとか、予言が外れた場合については余り深く考えていない。 やっと実現させた部隊を成功させる為に、愛想よく笑顔を振りまきながらもはやては常に考え続けていた。 カリムの部屋では、妙齢の女性であるカリムとクロノがはやてを待っていた。 軽い挨拶を交わして二人の待つテーブルに着くと、カリムの秘書を勤めるシスターシャッハ・ヌエラがはやての分のお茶を差し出す。 「早速本題に入らせてもらうけど……可能性は高いんやな?」 「古い結晶と無限の欲望が集い交わる地。死せる王の下、聖地より、かの翼が蘇る。死者たちが踊り、なかつ大地の法の塔はむなしく焼け落ち、それを先駆けにあまたの海を守る法の船も砕け落ちる」 ロストロギアをきっかけに始まる管理局地上本部の壊滅と管理局システムの崩壊を示唆する予言を口にして、カリムは肯定した。 「やけど……地上本部がテロやクーデターにあったとして、それがきっかけで本局まで崩壊……いうんは、考えづらいしなぁ」 「確かに管理局崩壊ということ自体が、現状ではありえない話ですが」 「ゲイズ中将が予言そのものを信用しておられないのはそのためだろうな。特別な対策はとらないそうだ」 「異なる組織同士が協力し合うのは、難しいことです」 「協力の申請も内政干渉や強制介入という言葉に言い換えられれば、即座に、諍いの種になる」 実際、それを口実にして十中八九内政干渉や強制介入を行うであろう人間が何名も頭に浮かぶのだが。 そんな人間がミッド地上本部の武力や発言力の強さを問題視しているのだからクロノ達の顔には苦笑が広がってしまった。 「だから、表立っての主力投入はできない、と」 「すまないなぁ。政治的な話は現場には関係なしとしたいんだが」 だからこそ、とクロノは言う。 「それよりも今は対処について話しあおう。ヴェロッサの報告では、今確認されている脅威になりそうな勢力はスカリエッティだけだ。後は、クーデターくらいだが……疑わしい人物は未だに挙がっていない」 クロノの口から出たヴェロッサの名前に、彼の義姉でもあるカリムの表情が微かに緩む。 傍に立つシャッハも同じ反応を示したのは、彼女がヴェロッサの教育係だったからだ。 「本命はスカリエッティか……目的はなんや?」 セッテから聞いた話によれば、スカリエッティの目的は自由らしい。 だが公開意見陳述会を襲撃し、もし会場である地上本部を破壊したとしてもスカリエッティの目的は達成されないだろう。 公開意見陳述会は、本局や各世界の代表によるミッドチルダ地上管理局の運営に関する意見交換を目的としている。 今回は特に、かねてから議論が絶えない、地上防衛用の迎撃兵器、アインヘリアルの運用についての問題が話し合われる予定だが……スポンサーがその中にいるのだろうか? だがそれならば、ナンバーズの能力から言って各個に仕掛けた方が余程勝率はあがるはずだった。 「それは不明だ。だが、今回管理局施設の鉄壁の魔法防御を破る可能性が高いのは、ガジェットだけだ…」 「管理局法では、質量兵器保有は禁止だから対処しづらい」 「そやね。でもまあ、私ら3人は中へ。フォワード陣も最近やっと形になってきましたから外を任せられると思います。若干インチキ臭い味方もいますから。大船に乗った気で任せといてください」 「い、インチキ臭いって……」 はやての言い草に、クロノ達は苦笑したが否定するような声は上がらなかった。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/kiryugaya/pages/48.html
霧生ヶ谷市名物の霧が特に朝方出た時、昇りつつある太陽が霧を通して白く見える自然現象。霧自体頻繁に発生するから、割と頻繁に目撃される。 自然現象だが、ちらほら耳にする不思議な現象に関連づけて考える住民も時折いる。 そこから派生したのか、「白い太陽が現れた時には、霧の向こうで何かの陰が踊っている」などという噂がささやかれたりもするが、真偽の程は定かでない。
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/6150.html
青い太陽 登場人物 コメント 1968年4月から半年間、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列にて放映されたドラマ。 登場人物 ホウオウ:杉田和世 小林幸子が演じているので コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/jingai/pages/112.html
【作品名】DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー(1&2) 【ジャンル】RPG 【共通設定・世界観】 舞台は近未来、黒く変色した太陽からもたらされる有害な情報によって 地上は通常の生物が住める環境ではなくなり、 人々はドームに覆われた都市、もしくは地下で暮らしている 情報: 物質を分子、原子、素粒子……とどんどんたどっていった大元 この世のすべては情報によって成立している キュヴィエ症候群: 変色した太陽の光に含まれる有害な情報によってもたらされる奇病 黒い太陽の光を浴びた生物は石化してしまう アバタールチューナー: 悪魔化ウィルスに感染し悪魔に変身できるようになった者たちの総称 黒い太陽の光を浴びても石化することは無い 人間を喰らうことで生体マグネタイトと呼ばれる物質を摂取しないと正気を失ってしまう 自身の肉体の情報を書き換えて変身するので変身中は精神以外は完全な人外と思われる 万能属性: 物理、火炎、氷結、電撃、衝撃(≒風属性)、地変(≒地属性)、破魔(≒聖属性?) 呪殺、神経(麻痺、睡眠)、魅了、魔封(魔法封じ)、猛毒、混乱の各属性に 耐性がある敵でも問題なくダメージを与えることができる属性 基本的に無効化や反射はできない(少なくとも物理反射や魔法反射は問題なく素通りする) 【名前】太陽 【属性】神 巨大な情報集積体 輪廻の輪 【大きさ】太陽並み 黒く変色している 【攻撃力】 光:自身が常に発する光。有害な情報が含まれているため生物はキュヴィエ症候群に より石化する。植物も枯れる。建造物もボロボロになる 石化の速度は常人が拳銃自殺するのが間に合わないくらい 射程は最低でも太陽~地球間の約1億5000万km 情報喰い:自身の光が当たった部分から情報に分解して吸収する 都市があっという間に分解されるほどの速度 一晩あれば地球を喰らい尽くせるらしい 射程は最低でも太陽~地球間の約1億5000万km おそらく任意発動 ちなみに分解速度は毎秒945.56ゼタバイト (どれくらいの質量に相当するかは不明) 【防御力】太陽並み 【素早さ】移動描写は無し反応は常人並みか 【特殊能力】 情報の始原にして終着点。すべての命は死ぬと情報となって太陽に吸収される そして集められた情報は攪拌され、再び新たな命となる。輪廻の輪そのもの。 (多分戦闘には関係ない。死んでも復活するやつなら効果あり?) 【長所】でかさと強力な攻撃 【短所】反応がイマイチ 【戦法】即、情報喰い vol.5 249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 10 59 34 ID 5HlVtDkJ 太陽考察 ○オーバーデビル 石化勝ち ××神帝ブゥアー、破壊宇宙 離れすぎてる+大きすぎる 宇宙破壊負け 神帝ブゥアー>太陽>オーバーデビル
https://w.atwiki.jp/hijinrui/pages/60.html
【作品名】DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー(1&2) 【ジャンル】RPG 【共通設定・世界観】 舞台は近未来、黒く変色した太陽からもたらされる有害な情報によって 地上は通常の生物が住める環境ではなくなり、 人々はドームに覆われた都市、もしくは地下で暮らしている 情報: 物質を分子、原子、素粒子……とどんどんたどっていった大元 この世のすべては情報によって成立している キュヴィエ症候群: 変色した太陽の光に含まれる有害な情報によってもたらされる奇病 黒い太陽の光を浴びた生物は石化してしまう アバタールチューナー: 悪魔化ウィルスに感染し悪魔に変身できるようになった者たちの総称 黒い太陽の光を浴びても石化することは無い 人間を喰らうことで生体マグネタイトと呼ばれる物質を摂取しないと正気を失ってしまう 自身の肉体の情報を書き換えて変身するので変身中は精神以外は完全な人外と思われる 万能属性: 物理、火炎、氷結、電撃、衝撃(≒風属性)、地変(≒地属性)、破魔(≒聖属性?) 呪殺、神経(麻痺、睡眠)、魅了、魔封(魔法封じ)、猛毒、混乱の各属性に 耐性がある敵でも問題なくダメージを与えることができる属性 基本的に無効化や反射はできない(少なくとも物理反射や魔法反射は問題なく素通りする) 【名前】太陽 【属性】神 巨大な情報集積体 輪廻の輪 【大きさ】太陽並み 黒く変色している 【攻撃力】 光:自身が常に発する光。有害な情報が含まれているため生物はキュヴィエ症候群に より石化する。植物も枯れる。建造物もボロボロになる 石化の速度は常人が拳銃自殺するのが間に合わないくらい 射程は最低でも太陽~地球間の約1億5000万km 情報喰い:自身の光が当たった部分から情報に分解して吸収する 都市があっという間に分解されるほどの速度 一晩あれば地球を喰らい尽くせるらしい 射程は最低でも太陽~地球間の約1億5000万km おそらく任意発動 ちなみに分解速度は毎秒945.56ゼタバイト (どれくらいの質量に相当するかは不明) 【防御力】太陽並み 【素早さ】移動描写は無し反応は常人並みか 【特殊能力】 情報の始原にして終着点。すべての命は死ぬと情報となって太陽に吸収される そして集められた情報は攪拌され、再び新たな命となる。輪廻の輪そのもの。 (多分戦闘には関係ない。死んでも復活するやつなら効果あり?) 【長所】でかさと強力な攻撃 【短所】反応がイマイチ 【戦法】即、情報喰い vol.1 249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 10 59 34 ID 5HlVtDkJ 太陽考察 ○オーバーデビル 石化勝ち ××神帝ブゥアー、破壊宇宙 離れすぎてる+大きすぎる 宇宙破壊負け 神帝ブゥアー>太陽>オーバーデビル
https://w.atwiki.jp/miyagimatome/pages/13.html
関連サイト 北畑学研究資料 宮城氏個人の歩みを記録したサイト。 2ch(現5ch)関連スレ 天文・気象板 天文雑誌について語ろう Vol.22 天文雑誌について語ろう Vol.21 / 過去ログ 天文雑誌について語ろう Vol.20 延焼●黒い太陽● / 過去ログ 天文雑誌について語ろう Vol.19 延焼●黒い太陽● / 過去ログ 天文雑誌について語ろう Vol.18 延焼●黒い太陽● / 過去ログ 天文雑誌について語ろう Vol.17 検証●黒い太陽● / 過去ログ 天文雑誌について語ろう 次号で検証●黒い太陽● (part 16) / 過去ログ 天文雑誌について語ろう 臨時増刊●黒い太陽● (part 15) / 過去ログ 天文雑誌について語ろう 臨時増刊●続 黒い太陽● (part 14) / 過去ログ ★天文雑誌について語ろう 臨時増刊●黒い太陽● (part 13, 疑惑発覚スレ) / 過去ログ 本スレ(情報提供などがありましたらこのスレにお願いします。) 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part15 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part13(実質14) 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part12 / 過去ログ 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part12 (重複、実質13)/ 過去ログ 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part11 / 過去ログ 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part10 / 過去ログ 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part9 / 過去ログ 下地隆史または宮城隆史こと北畑道雄 Part8 / 過去ログ 【北畑道雄?】宮城隆史 Part7 【訴訟開始】 / 過去ログ 【北畑道雄?】宮城隆史 Part6 【訴訟開始】 / 過去ログ 【プロ天体写真家】宮城隆史 Part5【公式プログ】 / 過去ログ 【プロ写真家】宮城隆史 Part4 / 過去ログ 【プロ写真家】宮城隆史 Part3【公式プログ】 / 過去ログ 【合成写真家】宮城隆史 Part2【コンポジェット】 / 過去ログ ニュース速報板 天文雑誌「星ナビ」2009年10月号の表紙写真に盗作疑惑 / 過去ログ 天文雑誌の日食の投稿写真、プロの写真の盗用だったことが判明 決め手は「一緒に写ってる恒星の位置」 / 過去ログ ニュース速報+板 【社会】「悪石島が悪天候で日食撮れず」沖縄の男性が皆既日食写真を盗用、天文雑誌に投稿し表紙に採用…雑誌側は謝罪記事を掲載 / 過去ログ 科学ニュース+板 【天文】皆既日食写真を盗用 沖縄の男性投稿、天文雑誌の表紙に / 過去ログ お詫び+板 天文雑誌「星ナビ」2008年6月号、2009年10月号の表紙画像についてのお詫び [09/28] / 過去ログ
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/63228.html
【検索用 しろいたいよう 登録タグ 2016年 UTAU し 曲 曲さ 空中るさ 雨月】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:空中るさ 作曲:空中るさ 編曲:空中るさ 唄:雨月 曲紹介 曲名:『白い太陽』(しろいたいよう) 歌詞 えっ 隣の部屋から聞こえてた笑い声が いつからそこにいたのか 一目で 無垢。そうだとわかる 誰かが言うように、そのように、僕も、そう思った 昔は大切にしてた 小さい人形を貼り付けたアクリル板を 捨てるからと、君に見せたら その目がキラキラして驚くから その目が その目に その時にはもう 心の色と名づけた方程式を 壁に書いて見せてくれた その理論には 優しさと混乱と可能性があって 僕は、なぞるだけで部屋の壁紙に緑色できれいな線を引く、 その指先に見とれてた 少し得意げに笑った 誰かが言うように 誰かがそう言うように 白色できれいな光を放つから 僕は きっと他になにか 食べたいものがあるはずなんだけど いつも同じものだけを まばらにお皿にのせた こんなのもあるよと、とってあげると、 なぜだか寂しそうに受け取った はじめて寂しげな顔をみた わかりたいと、わかりたいなと そう思った 誰かが言うように 誰かがそう言うように 白色できれいな光を放つから 僕は それに焼かれてる コメント 名前 コメント