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― カオス街 ― ――――――ドッカアアアアァァァーーーーン……ッ!!!(戦場の一角で、けたたましい爆発音が鳴り響く) カズネ「…!?(爆発音のした方角を向く) 」 黒「 大胆な戦闘が起きているようだな……」 カズネ「けが人が 少ないと 良い… 」 ×××「ギョイー!!さいっっこうに面白い!!非常に清々しくなるなぁ!(街のビル屋上から、パニックに陥っている戦士らを嘲うように見下ろしている) 」 カズネ「あ 貴方も…(初めて黒を見つける) 」 ワリオ「キッタリハッタリめぇぇ… 」 ×××「あ?誰だ…俺の名を呼んだ奴は?お前か!?ズシャァッ!!(一般人男性を月を模した杖で切り裂く)お前か!?ズシャァッ!!(今度は女性)お前かぁッ!!?(最後はワリオを切り裂く) 」 黒「 カズネ…嫌な予感がする… …杖で切り裂きを行う…?なんらかの能力者か 」 プリム「うわぁっ!!…ポンッ☆(×××の杖で切り裂かれた男性は真っ二つになり、それぞれ「男」と「女」に別れてしまった)う、うわぁああ!!俺が二人ぃ…!?しかも女だなんて…!! 」 ウェンディ「いやぁー!!…ポンッ☆(こちらも「女」と「男」に別れてしまう) 」 カズネ「杖で斬る… 普通じゃない 普通の傷 じゃ無さそう 」 ×××「屈強な戦士どもが男性と女性に別れてパニックに陥ることで、元々の戦闘能力が削がれていく!!そうすれば誰もこの俺様にかつことなどできない!それがさいっっっこうに面白い!ギョイー!! 」 黒「 (このままではまずい…アイツの行動を阻止しなければ…)(ワイヤーナイフを取り出す) 」 カズネ「女の人と 男の人に分かれる… (×××の居る街へ行く) 」 ×××「んっ~?なんだぁ…まだ切られていない奴等が残っていたかぁ…。(外見は太陽と月を模した杖を持った人型ロボット) 」 黒 「 それを護れるヒーローがいれば…話は別だな… ……カズネ、待て…(追い掛ける) 」 カズネ「…あれが 襲っている 人…いや 機械… (×××を発見する) 」 黒「 …(一応コートを着用)…機械…遠目では人だとおもったが」 ×××→キッタリハッタリ「キッタリィー!ハッタリィー!…お前ら、もしかして自ら斬られに来たのか?(太陽の杖を向けて) 」 カズネ「違う 貴方を 止めにきた… 」 黒「 ……冗談で笑う辺り、人間的感情はあるようだな…だが生憎冗談じゃない… 」 カズネ「うん… 冗談で 言ったんじゃない… 」 Tキービィ「・・・。(遠くからキッタリハッタリを見ている。) 」 キッタリハッタリ「……んだ、本気で俺とやりあえると思っているんだろうか…。えっ、とー…こう言う時は殺していいって上からも言われてるしなぁ…。(呟く)ウッハハハ…!なら、止めてみるがいいっ…!!(太陽と月の杖を握りしめ、身構える) 」 カズネ「…。(キッタリハッタリに向かって構える) 」 黒「 ……!(キッタリハッタリ目がけワイヤーナイフを投げる) 」 キッタリハッタリ「(見え…)―――――ッ…!?(右目に突き刺さり、小さな爆破で右の眼が潰れる)お…おのれぇ…!? 」 カズネ「…。(「受け」の構えを取っている) 」 黒「 死ね!(突き刺さった所で機械ならぶっ壊れる程の超高圧電流を流す) 」 キッタリハッタリ「しまっ―――あがぁぁああぁぁぁぁあああっ!!!うがぁぁああああ~~~っ!!!ボッカアアァァァアアアアーーーンッ!!!!(爆破して消滅) 」 黒 「 ……(ワイヤーナイフを引き戻す)…遺品か…こいつで元に戻せれば…」 カズネ「これは… (太陽の杖と月の杖を拾う) 月の杖で 斬っていた… じゃあ」 黒 「 カズネ…戻してやれ… 」 クックックッ……(キッタリハッタリ撃破後、何処からともなく謎の笑みが聞こえる) カズネ「月の杖で 斬っていた… じゃあ 太陽の杖を使えば… (分離された男女に太陽の杖を向ける) 」 カタッ…カタカタカタッ!!!(笑い声が聞えたと同時に二つの杖が震えだし、自然に宙へ舞う) 黒 「 …(単純には終わらないみたいだな…)…一体なにが 」 カズネ「…!(二つの杖が手から離れる) 」 月の杖→Mr.シャイン「クックックッ…待っていたぞ。私はMr.シャイン。 」 太陽の杖→Mr.ブライト「俺はMr.ブライト。貴様たちが来るのを待っていた。 」 黒「 何が目的だ…お前達 」 カズネ「ブライト シャイン… 」 Mr.ブライト「俺たちこそが真に生物を切り張りする能力を持つ魔獣だ。そして… 」 Mr.シャイン「ああ…街で騒動を起こし、貴様等を呼んだ。貴様等のように我らの企みに気づいた者は、邪魔で邪魔で仕方がない。故に… 」 カズネ「あの騒動は 罠 だったのね… 」 Mr.ブライト&Mr.シャイン『貴様等を、完全に葬ってやる。 』 黒「 ……(ワイヤーナイフを握りしめる)…葬るだと…?ふざけるな…お前等魔獣に葬られて良い人間などいない… 」 カズネ「上が 居るの… 」 Mr.ブライト「人間など、我等から見れば下等な生き物だ。殺して何が悪い?我等はキッタリハッタリとは違う。甘く見るでない…。(天に浮上する) 」 カズネ「空に… 対応 し難いかもしれない… 」 Mr.シャイン「先程のキッタリハッタリは我らの傀儡(かいらい)に過ぎぬ。(こちらは地に伏せている) 」 黒「 (仮面を付ける)天地に君臨しているようだな…空の方は俺でもいけん 」 Mr.ブライト「これより戦闘を開始する。行くぞ、Mr.シャイン。 」 カズネ「来る… 」 Mr.シャイン「心得た、Mr.ブライト。…ギュルルルルルッ!!!(回転をかける)喰らえ、吹き飛べ、陽の彼方へ。(そのまま回転をかけた強力な突撃を繰り出す) 」 カズネ「速い 突進……はっ!(血刀を出し、横に反れた所でなぎ払う) 」 黒「 スタタタタ!(驚異的な速さで突撃を回避)攻撃の隙がなっていないな 」 Mr.シャイン「回避か――――ッ!?ドッカアアァァアーーンッ!!(薙ぎ払いでビルに激突する) 」 カズネ「少しは 応えた… 」 Mr.ブライト「なってないな、Mr.シャイン。俺が行く。(着地し、こちらも回転をかける)フン…ドゥンッ!!(ジグザグ状に素早い動きで突撃していく) 」 カズネ「複雑な動き… …ッ!(突撃がかする) 」 黒「 くっ…!(ギリギリで交わすが仮面が掏れて壊れる)ジグザグ攻撃か…面倒だ 」 Mr.シャイン「人間風情に…舐められたものだ。“メル”ッ!!!(瞬時に地面を数回蹴って瞬間移動をする)―――“月影”。(空中に現れ、爆発的な脚力で空を飛んで移動し、再び回転をかけて今度はカズネに目掛け、天から突撃を繰り出す) 」 カズネ「…ッ!!(上からの突撃を血刀で受け止める) 」 Mr.ブライト「“メル”。シュンッ!(瞬間移動で黒の目と鼻の先に現れる)――――“太陽拳”!!!(某漫画に出てきたあの技。強烈な光を放ち黒の目を眩ませる) 」 黒「 はっ…!(光が目に差し込み、くらくらしはじめる)くっ…! 」 Mr.シャイン「見切れたのは良し、だがその体制では身動きはとれまい。“月光斬”!(月を模したカッターでカズネを切りつける。) 」 カズネ「ぁぐッ・・・!(カッターが横腹に刺さる)くっ…!(すぐさまMr.シャインに斬撃を飛ばす) 」 Mr.ブライト「“コウリキ”…。(体を鉄の強度に硬化させた状態で、黒の腹に拳による重い一撃を喰らわせる) 」 Mr.シャイン「くっ―――――!!(斬撃を直に喰らい、後方へ吹き飛ぶ) 」 カズネ「赤十字…!!(吹き飛んだ方向に十字型に切り刻む) 」 黒「 あッ…!(拳を喰らって目を見開きながら後ろに転げ飛ぶ) 」 カズネ「…! 前が… 」 Mr.シャイン「ぐわあぁっ!!(深い重傷を負う)…切り札は最後まで取っておくもの…ならば…ッ!!(両手を広げ、構える)“ムーンスクレイパー”!!(地に描く三日月のエフェクトと共に、見えない刃で黒に血煙を上げさせようとする) 」 Mr.ブライト「シャインめ…いよいよ使ってきたか。ならば…(天に浮上する) “太陽光線(ソーラービーム)”!!!(超高熱を帯びた閃光を放っていく)この閃光の熱に当たれば、どんな物でも確実に溶ける。せめて痛い思いをしない内に楽に死なせてやろう…!!(閃光はカズネに向かって襲いかかっていく) 」 黒「 ちっ…(転げ回っている最中に付近の建物にワイヤーナイフを投げつけて移動し、立ち上がって見えない刃を『感覚』で回避しだす) 」 カズネ「…!(閃光を屈む様にして避ける) 」 Mr.シャイン&Mr.ブライト『なんだとッ!?(互いに放った攻撃が黒とカズネに回避されたことで、その矛先は相方へと向かれ――――)――――ぐわあああぁぁぁああああッ!!!(回避された攻撃がお互いに直撃し、自爆する形で消滅した)』 黒「 シュー(ワイヤーナイフを引っぱり戻す)契約者じゃないのが惜しい所だ…」 ポンッ☆ポポポポンッ☆(Mr.ブライトとMr.シャインが消滅したことにより、分割された戦士たちは元の姿に戻ることができた) カズネ「元に戻った… 」 黒「 …戻ってるみたいだな…よかった 」 カズネ「ふぅ… 最終符は まだ遠い みたい…」 BGM♪:FF14 - フラクタルコンティニアム - BGM only キルビス「 ガ キ ィ ン ッ ! ! (刃化された右腕を振るい、火花を散らしながら敵と交戦する)ッ……強いな…こいつ…!(頬に滴る汗を腕で拭う) 」 チャーラ「ズザザザァッ…! ! (鋭利な刃に対し、強靭な鋼の如き固さを誇る拳で応戦する漢)へへっ…おめえ、なかなかできる口じゃねえか。特別に俺の名を聞いていきな。 」 キルビス「興味ねえよ…!どうせ落ちる相手ならな…!(左手で剣身をなぞり、より鋭さを増した刃を振り回しながら接近する) 」 チャーラ「釣れねえ野郎だ…今に後悔の泣きを見るぞ。うおらあぁッ!!(空間を貫く勢いでその剛腕を振り抜いた) 」 ド オ オ ゥ ッ ! ! ! (キルビスとチャーラの衝突に、フィールド上の地盤が盛り上がり、衝撃と共に岩石が四散した) ヒロ「………飛ばされたはいいが…さて、どこを狙ったもんか……(白ウォズに飛ばされたあと、あたりを歩いている) 」 バ キ ュ ン ッ ! ! (その時、ヒロに目掛け一発の凶弾が襲い掛かった) ニッキー「すごく白熱した戦いだ…!みんながんばって!負けないで~!!(観客席で応援) 」 ヒロ「…………ッ!(凶弾に気付き、音のした方にめがけ刀を振るう) 」 ムスカ「はっはっはっ…!(砂塵の奥より、ヒロに向けて拳銃を突きつけたまま現れる)――――― 小僧、私と勝負するかね? 」 バズーカプリム「ぐぅ…ッ…!あのサングラスのおっさん…めちゃくちゃ強い…ッ……ガハッ…(ムスカが歩いてきた軌道上で虫の息となっていた戦士がそのまま息絶え、消滅した) 」 ヒロ「…………刀を振るわなければ、おそらく心臓に当たっていた。あんた、相当のやり手みたいだな(拳銃を突きつけたまま現れたムスカを見て)……ノーと言っても、結果はおんなじだろう?(刀を構える) 」 ムスカ「私と戦うつもりか、よかろう。最高のショーを見せてやろうではないか。バキュンッ、バキュンッ ! ! !(その場から微動だにせずヒロに発砲を繰り返す) 」 優木せつ菜「むむっ、あのサングラスの方、射撃の腕がすごいです…(観客席でモニターに映るムスカを見て) 」 ヒロ「…チッ、完璧に狙ってやがる……!(ムスカの発砲を見て)(こうなりゃあ………)どりぁぁあぁ!!!!!!(土を心臓と顔に纏わせ、あえて銃弾を受けつつダッシュでムスカに突っ込む) 」 ムスカ「事を急ぐと元も子も無くすぞ、少年。(ヒロが接近に持ち掛けてこちらへ到達する時間を逆算し)カチャンッ…カチカチカチッ、カチャンッ (3秒リロードし)―――はあぁッ!(迎え撃つ、と見せかけて後退跳躍し、ヒロの上を取った状態から彼の脳天、それも土を纏っていない箇所へピンポイント射撃する) 」 ヒヨリ「――――危ないっ!!(陰から疾走し、ヒロへ目掛け襲い掛かる銃弾を猫の手形手甲で弾き返す)間一髪だったね…!(ヒロの前へ降り立ち、振り返りざまに笑顔を見せる) 」 ヒロ「なっ、死角……!!!(回避行動に移ろうとした瞬間ヒヨリの姿を見て足を止める)……!…すまないな(ヒヨリに) 」 ムスカ「くそぉ…!何をする!?(ヒヨリに妨害され憤怒を露わにする) 」 ヒヨリ「ううん!困ったときはお互いさま、だよっ♪ あたし、「ヒヨリ」!よろしくねっ♪あの人…なんだかとっても強そうだから…一緒に協力して倒そう!(ヒロにそう言うと、一目散にムスカへと駆け出した) 」 ヒロ「ヒヨリちゃん、か。俺はヒロだ、よろしくな…あぁ、行くぜ…!(ヒヨリに続いてムスカに向けて駆け出す) 」 ムスカ「チャキ…ヒュンッ(懐から取り出した閃光弾を頭上へ投げ飛ばし)バカどもにはちょうどいい目くらましだ。バキュンッ !(閃光弾目掛け発砲すると、周辺に一時的な激しい光が迸り、二人の視界を奪おうと画策する) 」 優木せつ菜「(観客席)むむっ、あれは閃光弾…!なるほど、あれで目をくらませた所を狙い撃つつもりですね…!!(モニターでムスカを見て) 」 ヒロ「………なにっ……!?(ムスカの閃光弾で放たれた光を見て)正攻法じゃいかねぇってわけだ…!(腕で目を覆う) 」 ヒヨリ「わっ、まぶしっ…!(光の前に思わず両腕を交差する) 」 ムスカ「私をあまり怒らせない方がいいぞ!!チャキッ――――(二人に向けて拳銃を突きつけようとするが) 」 中須かすみ「(観客席)……かすみんの可愛さの方がいい目くらましになりますから!!(何故か張り合う) 」 ガイル「ソニックブーム…ソニックブーム…(離れた所でしゃがみ、ヒヨリとヒロ、そしてムスカに飛び道具…ソニックブームを連射している) 」 ヒヨリ「ピクッ―――――!(ムスカの拳銃を構える音を敏感に感じ取ったことで彼の次の行動を察知し、視界を光に覆われても尚ムスカの位置を気配で感じ取りながら接近し)―――やあぁッ!(ムスカの拳銃を蹴り上げた) 」 サガット「 タイガー タイガー タイガーアパカァート タイガァキィ↑ ック(素人の動きで無策にガイルに突撃しあっという間にダウンする) 」 ヒロ「………っ!(ヒヨリの拳銃を蹴り上げる音で何が起こったのかを察する)…!!(ソニックブームの声を聞き、とっさに拳銃を蹴り上げた音を頼りにヒヨリをガイルの攻撃から庇うように立つ) 」 キョダイヨクバリキン「ヒ…ヒヨリイイイイィィィィィィ――――――!!!!!ドンドコドンドコドンドコ(地鳴りがする勢いではらだいこを叩きながら駆け寄ってくる) 」 ムスカ「―――――ッ!?(蹴り上げたられた拳銃が宙へと舞う)何をする!!?(ヒヨリにリアルファイトを持ち込み、隙の無い連撃を叩き込んでいく)へあぁっ!?(ソニックブームをすれすれで回避し、サングラスをくいっとかけ直す) 」 ヒヨリ「はぁ…危なかった……!?(突如殴りかかってきたムスカを手甲で受け止めつつ、次の攻撃を手際よくいなして応戦する) 」 ムスカ「ちぃッ!!パシッ――――バキュンッ ! ! (拮抗する殴り合いの中で落ちてきた拳銃をキャッチし、すかさず発砲する) 」 ガイル「虎の牙は届かなかったようだな(サガットが倒れたのを確認し、尚もソニックブームを連射し続ける) 」 はらぺこあおむし「あ、ごめんなさい…(たまたまガイルの後ろを通りすがろうとしたところ屍のサガットに躓いてガイルをどついてしまい、そのまま終点から落としてしまう) 」 ヒロ「……実質2vs2ってことか…!(ソニックブームを受け続け)…そらぁ!!!(ガイルのほうに向けて土弾を放つ) 」 中須かすみ「…………………なんで青虫があんな所通りかかるんですか(ジト目でモニターを見て) 」 ヒヨリ「ほわっ!?(マトリックスのように仰向けに沿って銃弾を受け流す)―――やぁっ!!(そのままムスカのあごにサマーソルトキックをお見舞いする) 」 ローマン・トーチウィック「君は疑問に思うだろう。『あれ?これバトルロワイアルだよね?』って。概ねその通りさ、だからこういうこともありなんだよ(先頭の余波で崩れた瓦礫の陰からステッキの先端を向ける) BAMG!!BAMG!! (ステッキは火を吹き、ヒロ達の目と鼻の先で閃光弾が弾け)そうら!王様にはけったいな代物だろうがないよりはいいだろう!(そう声を張り上げるとムスカへ二丁拳銃を放り投げパスした) 」 優木せつ菜「きっとあの青虫さんも参加者で、あの攻撃も計算の上なのではないでしょうか!(モニターを見て) 」 ムスカ「ぐぁ…ッ…!(顎を蹴り上げられ退く)…手荒な行動をつつしみたまえ!!君たちはラピュタ王の前にいるのだ!!これから私の復活を祝って、諸君にラピュタの力を見せてやろう! バ ッ ! (片手を天高くつき上げる) 」 ムスカ「(弾が尽きたか…やむを得ん。かくなる上は…――――)――――!(突如現れた謎の男、ローマンより二丁拳銃を受け取り、品定めするようにその獲物を見つめる)上出来じゃないか! 」 ゴロゴロ…ッ…(終点上空で雷雲が渦巻き始める) ヒヨリ「よしっ、手ごたえあり♪……!気を付けて!何か仕掛けてくるみた…きゃっ!?(ヒロに注意喚起しようとしたところ、ローマンの閃光弾に一瞬目が眩む) 」 ガイル「(ヒロの土弾を華麗な前転で避けた所、虚を突かれたのかはらぺこあおむしにどつかれ)ウワァ……ウワァ…(落下する) 」 」 ヒロ「…………?(ソニックブームが止んだのを見て)…衝撃波はなくなった‥加勢するぞ!(ヒヨリの横に立つ) 」 ローマン・トーチウィック「弾には炎のダストを仕込んでおいた、着弾すると爆発する。特注品さ。お代はいらないぜ納税は臣民の義務だからな(両手で指を鳴らし指を差す)ヒューゥ!!いいね!似合ってる!インスタ映え間違いなしだ!(そう言い残し囃立てると踵を返し足早にその場を後にしようとする) 」 ムスカ「見せてあげよう、ラピュタの雷を!!――――――― 死 ね え ぇ ッ ! ! ! !(その片手を勢いよく振り下ろした) 」 バ ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! ! ! (ムスカの合図と共に終点の4分の1の地形に凄まじい雷(いかずち)が迸り、その落雷にあらゆるものが吹き飛ばされる) 惑星シャモから連れてこられた奴隷共『ニョアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァ(ラピュタの雷に消し飛ぶ)』 モウロ将軍「カカレカカレツヅケー!!ン?ナ ナンダココハ? ムスカ!!デテコーイ!! (魔が悪くムスカが勢いよく腕を振り下ろしたタイミングで部下を引き連れ参戦)ニョアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァ(ラピュタの雷に消し飛ぶ) 」 はらぺこあおむし「あ~~~~~~~~~~~~~~~(ラピュタの雷の衝撃によって空中をくるくると舞いながら吹き飛ばされる) 」 エスカルゴン「陛下ー!一体どこへ行ったんでGESか~~!?エスカルゴンめを置いてどこへ…あGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE(落雷に感電する) 」 ヒヨリ「――――!!!逃げて!!!() 」 せがた三四郎「おお!セガサターンが蘇ったッ!!(コンセントが抜けながらもラピュタの雷で起動したセガサターンを両手に持ち感涙に咽ぶ) 」 ヒロ「なっ…このっ……!!!(ローマンの閃光弾に目が眩む)……この音……雷!(ヒヨリを庇おうと、彼女を体で覆うように立つ) 」 ヒヨリ「――――!!危ないっ!!!(ヒロに抱き着くように飛び掛かり、一緒に地面に空いた大穴に落下して落雷から逃れる) 」 ヒロ「……ってうおっ!?(彼女を庇おうとした瞬間逆に飛びかかられ、彼女と共に落雷から逃れる)……ヘヘッ、助けようとした所…逆に助けられたようだな… 」 ヒヨリ「あんなすごい雷だもん…受け止めようとするなんてびっくりだよ………!(大穴の中でヒロと向き合ってる最中、互いの体がぴったりと密着していることに気づいて思わす赤面する)わっ…ご、ごめん…っ…//(距離を取ろうにも穴の幅が狭く、尚も密着したまま) 」 ムスカ「はっはっはっ…!素晴らしい!!最高のショーだと思わんかね!?…ほう?ははっ、見ろ!!人がゴミのようだ!!はっはっはっ…!!!(ラピュタの雷に消し飛ぶ者たちを嘲笑う)全世界は再びラピュタの元にひれ伏すことになるだろう!!この世界の真の王となるのは、ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ…この私だ!!! 」 ヒロ「…さっき守ってくれただろう?…だからそのお返しにと思ってな……って、あっ……!!(同じく状況に気付き、赤面)…い、いや…とっさだったから、しょうがない、よな……!!(み、身動きが…!)(密着したまま) 」 焼け焦げた男「(静粛、一切を浄化し直撃すれば惑星シャモの後を追ったであろう、神の裁きの足跡。高熱はフィールドさえも蒸発させ黒煙が山のように高くそびえる) ザ ン ・ ・ ・ (だが、男はその煙の向こうから、死の灰の向こうから現れた。確かに一歩、自らの力で穂を進めムスカの眼前に立ちふさがった) ――――――『俺は雷。雨の化身』 バチッ ジジジ……バチン!!(体からは絶えず火花が溢れ、体に残留した電気が今尚弾けている。口からも蒸発した水分が絶えず溢れるが、なおも男は声を放った) 」 ヒヨリ「う、うん…そう、だよね…!?あは、あはは……って、笑ってる場合じゃなかったね…!(我に返る)あんなすごい雷を自在に操るなんて…ただものじゃないよ、あの人。でもっ、きっとどうにかできる方法はあるはず!何か攻略法は……!そうだ!(作戦を思いついたのか、ヒロにその内容を耳打ちする)一か八かの作戦だけど…やってみよう!?いくよ!(そう言うと穴から飛び出し、ムスカへと駆け出した) 」 優木せつ菜「天気の悪くないところであれだけの雷……!!!雷を操る人なのでしょうか…!(ムスカを見て) 」 ムスカ「なんだと…!?死にぞこないがいたか。なんと醜い…君のアホづらには、心底うんざりさせられる……おや?(焼け焦げた男を前にしていたところ、穴から現れたヒヨリが視界に入る)生きていたか小娘。ならばもう一度見せてあげよう…――――ラピュタの雷を!!!(再び片手を掲げる) 」 ゴロロロ…ッ… ! ! ! !(再び雷雲が渦巻く) ヒロ「………あぁ!!(ヒヨリに続き、飛び出してムスカめがけて駆け出す) 」 中須かすみ「いや、強すぎません!?あそこのほとんどに雷が打たれてましたよ…!?(ステージの現状を見て) 」 焼け焦げた男「――――――笑止。貴様が絶対であるならば私は……―――ヴォンンンッッッ(ラピュタの雷を浴び、尋常ではない圧の電流を纏う『大剣』、それを手にもつ何者かの『遺体』ごと片手で振り上げ)――――擬似宝具展開『Vo1.god sword』アクティベート。 A v e n g e !! (男の眼光これまさに雷!青白く発光する目は残光を残し、獅子を震え上がらせる咆哮の後!その大剣を振りかぶりて) ズェアアアアッッッ!!!!!!!!!!!(真一文字に振り払う!雷を纏った衝撃波はムスカどころかミヤコやヒロも御構い無し、敵味方の識別を抜きに襲いかかる!) 」 近江彼方「………あの雷からはほとんど逃げられないだろうね…全身ゴムタイツでも使わない限り…(白熱した試合だからか、眠らずに見ている) 」 ムスカ「――――――― 死 ね え ぇ い ッ ! ! ! (片手を振り下ろし、ヒヨリたちに雷を落とそうとする) 」 ヒヨリ「(今だ…!)――――えいっ!!(雷が落ちる直前、あらかじめ脱ぎ捨てた片手分の手甲を雷雲に目掛け投げ飛ばした) 」 ピ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ ン ッ ! ! ! ! (稲妻が地上へと降り注ぐその時、ヒヨリが投げ捨てた手甲に直撃し、その金属面によって反射された稲妻の軌道が変わり、ムスカに向かって落雷した) ムスカ「なにッ!!!?し、しまった――――――ぐわあああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!(雷が全身に直撃する) 」 ヒヨリ「ヒロ、今だよ!!!(感電したムスカにとどめを刺すように叫んだ) 」 優木せつ菜「………えっ!?(手甲で反射した雷を見て)な、何が起こったんですか…!? 」 ヒロ「あぁ!!!(ヒヨリの声に応え、ムスカの腹部に向け、渾身の拳を喰らわせる)) 」 天王寺璃奈「|> ∧ <| ん、んー………雷を受け流す措置みたいなのが、なされていた…とか…(ヒヨリの手甲を見て) 」 ムスカ「ぐ…くそぉぉおおッ!!!(感電によってボロボロの全身をふらつかせながら二丁拳銃を構えようとするも、焼け焦げた男とヒロの二撃に崩され)……トサァ… ! ! (前のめりに倒れ伏した) 」 ヒヨリ「やったー!成功するかどうか不安だったけど…勢いで何とかなった感じ?かな…!?へへっ…♪ って、わっ…わーーーっ!!(雷の衝撃波をしゃがんで受け流した) 」 ヒロ「ふ、ふぅっ……なんとか、奴を倒した……ってうおっ!?(雷の衝撃波を転がって回避) 」 焼け焦げた男「 VOID MUST DIE ヴォンッ(高圧の電流を帯びる大剣を持った人間を振り払いそう吐き捨てる) I need more power……!! A V E N G E !!(手のひらを天高くかざす。すると『戦鎚ムジョルニア』が彼方より飛来、それを掴み取ると) ┣¨ォォォン (ムスカがそうしたように、天上に雷雲が出現し自らに降り注ぐ。ムジョルニアはこれ一個の発光体へ昇華され)神の雷は一切容赦しない!すべからず!すべからず!サーチアンドデストロイ!!(そしてムジョルニアを地に叩きつけ、バトルロワイヤルの理に忠実に、その場にいる全てを攻撃対象に雷属性の衝撃波を放) 」 黄色い吹き出しA『なあ、デップーどこいった?』 黄色い吹き出しB『レッドスカルに魔改造された』 黄色い吹き出しA『こま????』 」 中須かすみ「あ、あれ生きてた!?ってどころじゃないよね!?普通に強そう……!(焼け焦げた男を見て) 」 ヒヨリ「ふぅー……(深呼吸)……よしっ!(精神を研ぎ澄まし、飛来する衝撃波を踊るような軽い身のこなしで受け流す)…ほっ…!(その際先程投げ飛ばした手甲を拾い上げ付け直す) 」 ヒロ「……おおっ、すごい身のこなし……おっと……!(同じく雷の衝撃波を回避していく) 」 焼け焦げた男「その身のこなし……やはり貴様――――――(再び腕を高く振りかざすと今度は彼方からジェットで移動する複数の機械部品が飛来。それは瞬く間に焼け焦げた男を覆い……) 」 焼け焦げた男→鉄の男「―――――ガシャンッ UCユニバースの覇者、バッドマンッッッ!!!!!(瞬く間に装備は全身を覆い、鉄の男を構成した)ならば、ならば……!ウルヴァリン、ましてやグリーンランタンでさえない……ッ!!(┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨……) 無為な時を過ごした。オペレーションAVENGE解除。状況を移動する……(機械音声でそう告げると、足裏のジェットを噴射させものの刹那でオーロラカーテンの向こうへ姿を消した) 」 黄色い吹き出しA「……なあ、も一回聞くけどデップーどこいった?」黄色い吹き出しB「彼はどこにでもいる。二次創作の数だけ。即ちそれはどこにもいないとも言える」 」 ヒヨリ「よぉ~しっ…!今度はこっちから反撃して…って、あれ……???(オーロラカーテンへと姿を消した鉄の男に呆然)……な、なんだったんだろう……?(ポリポリ…) 」 優木せつ菜「…………えっ、えっ!?(焼け焦げた男の変身に状況が読めていない)というか、なんか姿消しちゃいましたね… 」 ヒロ「…………わ、わからんな……俺たちを倒しに来たんじゃ、ないのか…? 」 ムスカ「ス――――――― ガ ッ ! (刹那、ヒヨリに魔の手が襲い掛かる。彼女を無理やり手繰り寄せ、彼女のこめかみに拳銃を当て人質に取る)ハァ…ハァ……!!ラピュタは滅びぬ!!!何度でも蘇るさ!!!ラピュタの力こそ人類の夢だからだ!!!…小僧!ひざまずけ!!命乞いをしろ!!娘の命と引き換えだ!!私に服従したまえ! 」 ヒヨリ「そうだと思ったんだけd―――――ひゃっ!?(安堵したのも束の間、ムスカに捕縛されてしまう)そん…な……!まだ、意識があったなんて…!(ムスカの腕の中で苦しむ) 」 ヒロ「………あっ!こいつ、まだ……!!!(ヒヨリを人質に取られた状況に身動きが取れず) 」 ムスカ「君にとって、この戦いがどれだけ危険なことか…君にもわかるだろう!?私に協力してほしい。世界をひっくり返すやもしれない究極の力か何かを…君はその力を持っているはずだ。私は手荒なことはしたくないが、娘の運命は君が握っているんだよ。君が協力してくれるなら、娘を自由の身にしてやれるんだ。それとも…私と勝負するかね?……3分間待ってやる!!(そのままヒロの返答を待つように厳かに佇む) 」 ヒヨリ「……っ…!?ダメだよ、ヒロ…!この人の言うことを信じちゃダメ…!きっとあたしたちをここから蹴落とそうと考えてる…!(背後のムスカをキッと睨みつけながら) 」 ヒロ「……協力しろっていうなら最初っから手荒な真似はして欲しくなかったものだね…(ムスカにジリジリと近づく)いきなり銃を突きつけて、挙げ句の果てには女の子を人質に………(ムスカとゼロ距離まで近づいたあたりで足を止める)…協力しろなんて言われても信用できないね(鋭い目でムスカを見る) 」 ――――― ピ カ ア ア ァ ァ ァ … ッ … ! ! ! ! (ヒロの怒りに呼応するように、彼の手に光が収束する。光はやがて剣を成し、『キーブレード』として顕現。そして剣はみるみるとその姿形を変えていく。「キングダムチェーン」より…魔術を司る新たなキーブレード「エグザミネイション」へと) ムスカ「ならば―――――(ヒヨリを突き飛ばし、彼女の背に拳銃を突きつけ)――――死ねええええぇッ!!!(引き金を引こうとする) 」 ヒロ「……!?(あの剣が、また…!?……よし!)(ムスカの拳銃めがけ、キーブレードをかざす) 」 ヒヨリ「きゃっ――――――!(あの光……!?)(突き飛ばされる中、ヒロの手中に秘めたる光に目を丸くする) 」 パ ア ァ ン ッ ! ! (強大な魔力を秘めたる新たなキーブレードの力により、魔力のエネルギー源であるダストを内蔵した拳銃が破裂し、四散した) 優木せつ菜「け、剣が姿を変えて!?(ヒロのキーブレードを見て)もしかしてあれが…さっきあのサングラスの人が言っていた力……? 」 ムスカ「ぬぁッ…!!?(破裂した拳銃にひどく驚愕する)な、なぜだ……あの小僧の魔力が、私のそれを上回ったというのか…!?くそぉ…ッ!!!ならば最後に見せてあげよう、ラピュタの雷をおおおおおぉぉぉッ!!!!(ヒロに向けて手を振り下ろした) 」 BGM♪:ムスカ(君をのせて) 決戦風アレンジ 復刻版 ヒロ「け、拳銃を…!?破裂した拳銃を見て)こ、こいつの、力って一体…!?(状況が理解できずにいる) 」 バリバリバリィ―――――ピシャアアアアアアァァァァァンッ ! ! ! ! (雷雲が逆巻き、ヒロに幾つもの稲妻が落ちる。しかし、強大な魔力を持つキーブレードにその雷は無力化されてしまう) ヒロ「………(そういうことか、これ……もしかして、強大な魔力を持った剣…!)(稲妻を無力化したのを見て) 」 中須かすみ「す、すごい…あの雷が、全く効いてない……!! 」 ヒロ「……このまま、とどめといこうか?(ムスカにキーブレードを向け) 」 ムスカ「――――!!?(稲妻を受けてもなお悠然と立つヒロに驚きを隠せずにはいられない)…くそォ…!!このようなことで退けられてたまるか!!私が手にすべきあの古代の宝…あれは何千年もの間、王の帰りを待っているのだ!! ダ ッ (丸腰でヒロへと突撃する)ここから先は強者しか入れない聖域なのだ!!小僧、君には到底理解が追い付けない聖域だ!!!(何度もヒロに蹴りを入れ込む) 」 ヒロ「…なかなかの執念だが……!!!(蹴りを入れ込んだムスカの足を掴む)俺も……守るべきもののために、退くわけにはいかないんだよ!!!(彼の足を離した刹那、彼に向けて拳を振り下ろす) 」 ムスカ「ぐあぁッッッ!!!(振り下ろされた拳が顔面にめり込み、特注のサングラスを粉砕した)――――― 死 ね え え ぇ ぇ ッ ! ! (もう一丁の拳銃をすかさず引き抜き、ヒロの額に突きつけようとするが…) 」 ヒロ「……そらっ!!もう一つも…!(拳銃に対してキーブレードを振るう) 」 ムスカ「(拳銃ごと全身に凄まじい一撃が振り下ろされ、激しい光に包まれていく)ああああああぁぁぁぁぁ……ッ……!!!!目が……目があああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~…………―――――――――(男は強大な光に呑まれ、その姿は霧散した) 」 ヒヨリ「すごい……あっという間に勝っちゃった…!(ヒロの逆転劇にぽかーんと、呆然と立ち尽くしていた) 」 ヒロ「ハァ、ハァ、ハァ……やった、ようだな…(ムスカを見て)…あぁ、勝ったよ…ヒヨリちゃん……!(彼女の方を向き、笑みを見せる) 」 ギ ュ オ オ オ ォ ォ ォ ッ … ! ! (喜びも束の間、突如発生したオーロラカーテンによってヒロとヒヨリは引き裂かれてしまう) ヒヨリ「うんっ♪ 最後まで諦めなかったヒロ…とってもかっこよかったよ!!その調子なら、どんな相手が来ても絶対に負けないよね――――わっ!?な、なにこれ…!?わ~~~~~……―――――(オーロラカーテンに呑まれ、強制移転されてしまう) 」 ヒロ「……ま、またこのパターンか!?(同じくオーロラカーテンに呑まれていく) 」 一方その頃、異なるフィールドでは… ~森林~ BGM♪:NieR Automata - City Ruins (Rays of Light) - Extended 2B「(血まみれの軍刀を振り抜いてその鮮血を振り落とし、納刀する)周辺の敵、殲滅完了… 」 9S「2B、無事でしたか?(遠くから刀を納めながら歩み寄る)なかなか苦戦を強いられましたが…背後に2Bがいるだけで安心して戦えました。 」 2B「問題ない。私たちヨルハはチームワークで行動し任務を遂行する。だけど油断はしないで。 」 9S「はーい、わかりました~。(砕けた口調で呑気に応答)それでは、今のうちにメンテナンスしましょう。この戦いは長期戦が予想されますので、次の戦闘に備えて万全な状態にしておかないと… 」 ポッド042「報告:半径50m以内に生命体の存在を感知。 」 2B「――――!?また新たな敵…!?(ポッドの報告に思わず身構え、周辺を警戒する) 」 飛電或人「はぁ…はぁ…っ…!(ガサガサガサ)(茂みをかき分けながらその場へなだれ込む)はぁ~~~~…いきなりどでけぇ手に襲われたと思ったら…いつの間にか変なところへ飛ばされちゃったみたいだよ…どこなんだよここ………ん?(そして2Bたちと遭遇する)お…おぅ、はじめまして―――― 」 9S「ッ…!?(或人のしの出現に抜刀し、その切っ先を突きつける)人類か…いや、先程交戦した輩のように、人類の皮を被った化け物である可能性が極めて高いです!2B、気を付けて…! 」 イズ(ライズフォン)「或人社長!(飛電インテリジェンス製スマートフォンより、観客席にいるイズの声が聞こえる)今、目の前にいる方々…人間ではございません。ヒューマギア…いえ、それに近い何かを衛星ゼアが感知いたしましたが、ゼアの膨大な情報源の中でも詳細な情報が一切検知されませんでした。少なくとも、現代の技術では作り出せない高度なアンドロイド…未来から来たものと思われます。 」 飛電或人「ちょちょっ…!?タンマタンマ…!!いきなり物騒なもん突きつけるなよ…!!(大汗)(両手を振って二人を落ち着かせようとする)なんだって…!?ヒューマギアではない…けれど、ヒューマギアのような存在…ということか?お、俺は飛電或人!君たちは、いったい…何者なんだ…? 」 2B「……私は、ヨルハ部隊所属・ヨルハ二号B型…識別名称は「2B」。ヒューマギア……?ポッド、検索をお願い。 」 9S「(2Bが名乗りだしたのを確認し、警戒を解かず或人に向き合う)同じく、ヨルハ部隊所属・ヨルハ九号S型…識別名称「9S」。 」 ポッド042「検索:ヒューマギア …… …… ……「ヒューマギア」。西暦1997年に、AI開発を生業とする「飛電インテリジェンス」によって開発・運用された人工知能搭載型人型ロボ。人類の生活をサポートする目的で開発作業が進められ、後にヨルハのアンドロイドにも影響を及ぼした。 」 ポッド153「補足:そして彼は、飛電インテリジェンス先代社長の孫にあたる人物「飛電或人」であることが確認。人類とヒューマギアを守るために、「仮面ライダーゼロワン」として任命され、後に起こるヒューマギアの暴走を食い止めた功績が残されている。 」 飛電或人「俺のことを知っているのか…?…イズの言う通り、君たち…「ヨルハ」は、未来から来たんだよな…?だから、ゼアのデータにその情報がなかったわけか…いったい、どれだけ遠い未来からやってきたんだ…? 」 9S「ヒューマギア…人類が、僕たちアンドロイドを生み出すきっかけとなったということは…今目の前にいる彼が、僕たちの先祖?にあたるのでしょうか…? 」 2B「……仮にそうだとしても、「今は」そのような背景に惑わされちゃいけない。ここは戦場。私たちを生み出した先祖だとしても、私たちの前に立ちふさがるのであれば排除する。人類の栄光の為に…―――― 」 飛電或人「だ~~~~~ッ!待ってくれって!確かにそうかもしれないけどよ………!(人類の…栄光のため…?)………なあ、君たちは、人間のために戦っているのか? 」 9S「はい。私たちがいた時代では、人類はエイリアンの襲撃に遭い、奴らが生み出した機械生命体によって…人類は絶滅の危機にさらされてきました。僕たちヨルハ部隊は、エイリアンおよび機械生命体を殲滅し、再び人類が平穏に暮らせる世界を取り戻すために、ずっと戦ってきたんです。この時代へ踏み込んだのも…人類がかつての栄光を取り戻すために不可欠な、あの宝を手に入れるため… 」 飛電或人「なんだって…!?(どこのSF作品だよ!?本当にそんな未来がいずれ訪れてるってのか…!?)……んんっ。そ、それは大変だな… けど、それを聞いてちょっと安心したよ。 」 2B「安心…?(不思議そうに首をかしげる) 」 飛電或人「あ、いや…確かにそっちの世界ではとんでもないことが起こってるみたいだから、こんなことを言うのも不謹慎なんだけどさ… ただ、俺の夢は、人間とヒューマギアが…いや、君たちの前ではアンドロイドと言った方がいいかな?とにかく、みんなが手を取り合って幸せな世界を創ろうとする未来を、俺は作りたいんだ。 」 飛電或人「俺たちが生きている世界の未来に、君たちの世界があるかどうかはわからない。すくなくとも、「この世界」ではすべての世界が一つに統一されているみたいだから…そのような未来がいずれやってくるのかもしれない。でも、大事なのは未来がどうなるかより、どうなるかはわかんねえけど、"一緒に未来を目指して歩いていく"ことなんじゃないかって思うんだ。俺たちも、君たちも、この世界にいるすべての人たちが、それぞれの未来を、それぞれのスピードで歩んでいるように、俺たちはこの世界に生きている。 」 飛電或人「そして俺たちは、そんな世界を一緒に生きる「仲間」だ!今は、そんな仲間たちと戦わなくちゃいけない苦しい選択を迫られているかもしれない…俺だって、つらいさ。だから、この戦いの果てに俺が願うのはただ一つ…―――――生きとし生けるすべての者たちが笑い合える世界を、その未来を創ることだ!!!…そこにはもちろん、2B、9S…!君たちもいるってことを忘れるなよ!(へへっと鼻を摩りながら) 」 2B「すべてのものたちが笑い合える未来……(或人の言葉に感化されるように、突き付けていた刀をそっと下す) 」 2B「…… …… …… ……ふふっ…(口元が優しく緩んだ) 」 9S「……!(2Bが…"笑った"…?)(思わぬ光景に緊張感が緩和され、武器をゆっくりと下した) 」 イズ(ライズフォン)「一件の「笑い」を検知いたしました。 」 飛電或人「……!!(自身の脳裏に、かつての幼いころを思い出す。決して笑うことができなかったヒューマギアの父親に肩車される幼き日の頃を。)……父さん…(きっと叶うさ。ヒューマギアだろうと、アンドロイドだろうと…みんなが笑える世界は、必ず……)…よしっ!新しいギャグを思いついた!(咳払いする)…AI、今日もええ愛嬌!はいっ、アルトじゃ~~~~~~ないとっ!m9(゚ Д゚ ) 」 2B 9S『………??』 ポッド153「説明:今のは、旧人類の娯楽の一種であるダジャレとよばれ言葉の掛け遊び。「AI」に「ええ愛」嬌をかけることで、ダジャレの要素としt――― 」 飛電或人「うわああああああああああああああああああああーーーーーー!!!!!!お願いだからギャグを説明しないで~~~~~~~!!!!!!! 」 2B「…とりあえず、貴方が我々に危害を加えないことはわかった。ここはお互いのためにも、一時期的に一線を引くのが賢明。…だけど、次に会うときは…容赦なく斬り捨てる。(踵を返す)行こう、9S。 」 飛電或人「お、おう…どんときやがれ…!俺がしっかり受け止めてやるからよ!(にししと笑う)しかし、アンドロイドかぁ…じゃあ、俺の「家族」みたいなもんだな♪ 」 9S「…2Bがそういうなら…(納刀する)…「家族」…ですか…(その暖かな言葉を胸中で噛み締めるように、2Bと共にその場を後にした) 」 飛電或人「…戦う運命は避けられないかもしれない。だからといって、迷ってなんかいられないよな。俺が負けたら、叶えたい夢も叶わないし…彼女たちの夢だって… ………よしっ!俺も本気を出してやるか!!(決意を固め、森の奥へと走り出した) 」 BGM♪:Legendary Battle (Devil Emperor Mundus Battle 1 In the Sky) - Devil May Cry Extended リンク「――― せやあああぁっ!!(終点の一角。勇者は剣を振るい未知の相手と剣劇に乗り出す) 」 ヒロ「…………(さっきの子、無事だといいんだがな…)(再び別のステージに飛ばされ、歩いている) 」 氷冬「 ガ キ ィ イ ン ッ ! ! (勇者の一撃を一刀で受け止め、その重みと覚悟を感じ取る)フゥ……刀剣武祭では味わえない昂ぶりが…また私を強くする……!「世界」に、限界はない…!!(思わず上がる口角を手で拭い、リンクへと迫る)はあああぁぁー!!(空気を凍てつかせる一閃を繰り出す) 」 フランク・ウェスト「スクープどころじゃないな!まさに大乱闘だ!!(小型のチェーンソーを片手に、戦場の彼方此方を撮影しながら) 」 林檎姫「伊達さーん…!どこいったの~!>< 林檎を置いて一人駆け出していくなんて…そんなひどいことしないでぇ~!(涙目)私ひとりじゃ強そうな相手とは……!(その時人の気配を察し物陰に隠れる。視界に捉えたのは歩いていたヒロ。)……!(あの人なら…勝てそう!!)…よしっ。(無限刀を構える)――― お命頂戴っ!!!(隙をみて背後からヒロに切りかかった) 」 アーマン(カメラマン)「んひいいいいいい!撮影が追い付かない!!(フランク・ウェストに続いて奔走しながら撮影を行っている)) 」 リンク「むっ…!?(氷冬の一閃を緊急回避で受け流すように回避)手強いですね…!一筋縄では仕留められそうにない。 」 アンリ「 ギ ュ オ ン ッ (空間に刻まれた一線。その裂け目がぱっくりと開き、内側の異次元世界から一人の少女が鋭い獲物を両手に地上へと繰り出した)――― やあぁッ!!(刃を両手に氷冬の頭上より迫り、彼女の首を掻き斬ろうと急襲する) 」 氷冬「このまま一気に畳みかけて―――――ッ!?(リンクへ詰めようとしたその時、頭上から感じる殺気に上空を仰ぎ、アンリの姿を捉えるや否や間一髪背後へ飛び退いて刃から逃れる) 」 ヒロ「…………あげません!(林檎姫の気配に気づき、彼女の刀を土刀で弾く) 」 アンリ「 フ ォ ン ―――― ズ シ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! (殻ぶった刃が地面に炸裂し土煙が舞う)―――― ボ フ ン ッ ! ! (数秒後、立ち込める土煙の中から颯爽と現れ氷冬に斬りかかった) 」 林檎姫「ぎゃん…!?(急襲作戦が失敗しヒロから離れる)こ…ここで会ったが百年目!(?)今度こそその命、もらい受ける!(ビシィ)(ヒロに指差す)やああぁ!!(無限刀を握りしめ、真っ向からヒロに戦いを挑む) 」 氷冬「……っ!!(ガキィンッ、キィンッ、カキャンッ ! ! !)(リンクからアンリへの応戦へ移行し、次々と振り下ろされる刃を一刀でいなしていく) 」 ヒロ「……百年か、俺の体感は千年さ!!!!(意味不明)(さて、あんまり女の子に刀を使うのは好ましくないものでね…)(無限刀を弾き飛ばさんと刀めがけて土刀を振り上げる) 」 石田三成「秀吉様…あの者たちを惨殺する許可を、私に…!(群雄割拠の大乱闘。その戦場を悠然とした足取りで進む武将が一人。そして、腰元に携えた刀へと手を伸ばし…)―――― ジ ャ キ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! ! (氷冬たちのもとへ瞬間的に割り込み、広範囲にも及ぶ斬撃を刹那の内に繰り出した) 」 林檎姫「えいっ、えいっ、えいっ!!!えいえいえーいっ!!(見習い剣道のように何度も剣を振り下ろすだけの単調な攻撃だけでヒロを追い詰めていく) 」 リンク「危ないッ!!(ハイラルの盾を前方へ構え斬撃を防ぎきる)強い敵が次から次へと…! 」 アンリ「―――っ!?(三成の接近にいち早く気づき)ザキィンッ―――― バ ッ ! (虚空を切り裂き、空間に穴を開けてその中へ飛び込んで斬撃から回避する) 」 氷冬「(また来る―――)――― 早い…ッ!! ガキィインッ ! ! ! (三成の高速の刀を縦に構えた一刀で受け止めるが、その速さに伴う威力に軽く吹き飛ばされる)…さっきの子は…消えた…?(すごいわね…世界には、まだこんなにも未知の強者がたくさんいたなんて…)……興奮…してきた…!!(刀をもう一本振り抜き二刀へ)はあああぁぁ!!(鮮やかな剣舞で三成、リンクへ刀を振り下ろす) 」 石田三成「刀狩りだ。平民はただちに武器を置き投降しろ。さもなくば――――斬り殺す!!!(氷冬の斬撃をいともたやすく弾き返した後、圧倒的な速度で刀を振り回しながら迫っていく) 」 ヒロ「……うおっ!?こうなりゃ…やってみるか…!…(鍔迫り合いに持ち込むと見せかけて一歩退き、彼女が刀を振り下ろし切ったところを狙い刀を蹴り上げようとする) 」 優木せつ菜「………ところどころで刀による戦いが繰り広げられてるようですね!(観客席で試合を見ながら) 」 林檎姫「きゃっ…!?(ヒロが引いたことで刀が空振り、彼の思惑通り武器を蹴り上げられてしまい、頭上を無限刀が舞う)……な~んて…ねっ☆(ウィンクすると、頭上へ飛んだ無限刀が変形し、無限鞭となる。)ニュルン…バシンッ ! ! !(無知は蛇のようにしなり、林檎姫を庇うように動き出してヒロに鞭打った後、彼女の手に戻った) 」 ヒロ「………うおっ、刀が変形した!?(鞭を打たれ、驚いた顔を見せる)………まさか俺以外にもいたとはな(土刀をロープに変形させ、彼女が鞭を持っている手を絡めとらせる) 」 氷冬「武器を置いて勝負を捨てろと?笑わせないで…!ガキィンッ、ギャリリィンッ ! ! !(刀に合わせて二刀を振り回し、火花を散らす)私は…この命が尽き果てる瞬間まで、絶対に立ち止まらない…!! ガキィイインッ ! ! ! (三成を吹き飛ばし、平行に構える剛の太刀“飛出”の構えへ)―――“隼”!! シ ュ ン ッ ! ! ! (目にもとまらぬ速さで空間を駆け巡りながら三成と剣劇に望む) 」 柳生但馬守宗矩「――――――(刹那、一歩の踏み込みで直線の土煙をジェット気流が如く上げ『凡人の目にはただ納刀した様にしか見えない』居合抜きを、斬り合う氷冬、石田三成の両名へ一振りで穿ちながら駆け抜ける)失敬。なかなか使う者であった故、この身抑えが効かなんだ 」 林檎姫「くっ…!(林檎、絶体絶命のピンチ…!ここはどうする!?)うーん、う~~~~ん……決めた! ゴ リ 押 す (そう言うとからめとられたロープを何と握りしめ、そのままヒロを強引に引き寄せる)うおらあああああ!!!(火事場の馬鹿力を発揮してヒロごとロープを振り回し、彼を地面へ強く叩きつける) 」 ヒロ「よし、これで思いっきり……ってなにぃ!?(林檎姫のパワーを甘く見ていたのか、彼女に思いっきり地面に叩きつけられ、大きな土煙が立つ) 」 石田三成「貴様の意見など聞くつもりはない。秀吉様が天下を取る時代の為に…不届き物は残らず斬殺するッ!!!! ヒ ュ ン ッ ! ! ! (氷冬が消えたと同時にこちらも瞬間的に姿を消し)ガキィンッ、ギャンッ、ギィンッ、ガキィンッ ! ! ! (見えない速度で空間を走り抜けながら互いに剣を振り回す)ぬええええええい―――――!!(氷冬の死角を取り、首を切り落とそうとした時、柳生の参戦によって攻撃を崩され後退する)ズザザァー… ! おのれぇ…ッ… 」 氷冬「キャギィンッ、ガキィンッキンッ、カァンッ ! ! ! (素早い斬撃…無駄と隙がまるで無い…!!)(死角から凶刃が迫りその終わりを悟りかけた時、柳生の居合抜きに吹き飛ばされ、華麗に着地する)…迂闊だった…横槍がなければ、今頃…っ……(頬の冷や汗をぬぐい、呼吸を整える) 」 林檎姫「はぁ、はぁ……!いぇ~い☆林檎ちゃん大勝利~♪ピースピース♪ 伊達さん観てるー!?(カメラマンのアーマンのレンズへ向けてダブルピース) 」 柳生但馬守宗矩「秀吉様………。ふむ、かようなこともあるものか。その方、石田三成殿とお見受けするが………―――いや、名乗らずにおこう。さすれば貴殿の刃に翳りがあるとも限らぬ(老獪に伏して笑い『納刀』) はて、横槍とは……ふふふ、これは異な事を。これは主君も理念もなく合戦にあらず。各々がたった一人の孤軍にして切る様努めるだけのことであろう(無業の構えをとり両名を見据える。納刀した剣、案山子の様に立つ様。はたから見れば無防備に見える) 」 ヒロ「……そらぁっ!!!!(土煙から出てきて…ではなく、なんと土煙からヒロが造成され、ダブルピースしている林檎姫に飛びかかる) 」 石田三成「豊臣の者でもない気様が…「秀吉」様の名を口にするなァ!!(妄信は狂気へ。狂気から刃へ。いくつもの血を吸った凶刃がフィールド上のオブジェを斬り崩し、柳生へその刃が迫った) 」 アンリ「 ギ ュ オ ン ッ (氷冬の背後の空間に現れた裂け目から飛び出してくる)―――“ディル・ギルティ”!!ギュルルルルッ ! ! ! (二刀流刃による高速回転斬りを繰り出しながら氷冬へと襲い掛かる) 」 リンク「私を忘れてもらっては困ります。(三成と柳生へ矢を数本放つ) 」 林檎姫「な、なんと…!?(迫真の表情で驚きを表現。襲い掛かってくるヒロに無限刀を振り回して応戦する) 」 トッ―――トッ―――トッ―――(悠々と、しかし粛々と。こちらに歩み寄る音が響く。)トッ―――トッ―――トッ―――(それは凪のように静かで、しかし刃の如く鋭い気と共に……姿を表す。) 氷冬「……(様々な剣や心を持つ強者が一堂に集結するこの大乱闘…もう理解しようと思うだけ無駄… 信じられるのはただ一つ…――――)―――― 己が刃のみ!!(アンリの襲撃を予感していたのかのようにタイミングよく振り返り、彼女の回転切りを二刀でしっかりと受け止める)くぅ…っ…!!(圧倒され続けるが、勢い良く、開けるように刀を振ってその猛撃を切り崩す) 」 アーロン「……ここもまた、終わらぬ戦いが繰り広げられているか……(突如として皆の集う戦闘フィールドを通りすがり、戦う面々を横目に、独り言を放っている) 」 梟「全くよ。まさか豊臣に柳生の名を聞くとは思わなんだがの(影から戦闘の様子を伺っている) 」 柳生但馬守宗矩「――――(その瞳には一切の油断も欺瞞もなく、『己が石田三成に斬られ、敗する』という映像を脳裏に複数同時に再生、シミュレートし)疾ッッ――――(息を殺し、全身全霊を以って変わらず納刀したままの刀で三成の一振りを受け止める。鞘に収まった刃と塚、納刀した状態を利用し両手で防御、そして) ┣¨ズッッ (あえて、肘でリンクの矢を受け止め自らの血しぶきが三成の顔へ飛ぶ様仕向けた) 」 石田三成「殺す…殺す殺す、殺すッ…!!!ギチッ…ギチギチギチィッ…! ! (斬撃を受け止められても尚、そのまま圧倒するように上から圧力をかけていくが…)――――グッ…!?(彼の血飛沫が顔面に飛び散り、目を瞑ってしまう) 」 AS「良い―――好いな、己が死力を尽くし、魂まで焦がすような戦い……”闘争”。俺が求めた世界が此処にある、だから―――死合をしようか。(楽しそうに、嬉しそうに、そして―――ピンと張り詰めた鋭い殺気を一瞬だけ、全員に飛ばす……それは”剣士へ鯉口を切って誘う”ように。) 」 アンリ「きゃんっ……!?(苛烈な斬撃を弾き返される)やるわね…この攻撃をいなされたのは、貴女が二人目よ。ガチャンッ ! ! (刃を合わせて合体し、巨大鋏へ。その鋏を背に装備し、鋼鉄のブーツを見せつけるように前へ突き出す)ドッギンッ ! ! (アンビションを纏い黒く変色した両足で駆け、氷冬へ何度も蹴りを入れ込もうとする) 」 2B「ザッ…―――(殺伐とした戦場へと乗り出し、軍刀を引き抜く)…こちら2B、任務を続行する。……はっ!!(ASが放つ殺気に反応し、一目散に彼に向って駆け出し、その軍刀を振り下ろす) 」 柳生但馬守宗矩「『其方』の石田三成と聞けば、我が身が烈火の如き『忠』焼かれるであろうと悟った。――――故に(納刀したままの刀を、三成の刃の腹の上を滑らせて頭部目掛け振り下ろす→そのまま抜刀の構えへ切り替え居合抜きへ繋げようとする)――――『兵法』を持って、取りに行かせて頂く 」 ケイネス・エルメロイ・アーチボルト「アーチボルト家9代目当主、ケイネスエルメロイがここに参上仕る。混沌聖杯戦争の義に参加せし魔術師よ、いざ尋常に勝負されたs 」 エミヤ(アサシン)「(音速でケイネスの背後へ音もなく移動し心臓を撃ち抜いた)――――奇妙だな、初見の相手という感覚がない。まあいいや 」 ヒロ「……でやぁぁぁ!!!(飛びかかった勢いに乗せて土刀を彼女の刀に向けて突き上げる) 」 石田三成「がッ……!!(額に迸る激痛に視界が、脳が、白く覆われていく)ザキィィ―――――ン…ッ… ! (次の行動へ移る間もなく居合抜きに崩され、膝をつく) …秀吉…様……わたしは、まだ……トサァ……(微かな光を掴もうと手を伸ばした時には地に落ち、その体は塵と消ゆ) 」 林檎姫「(こ、このままじゃ…)……!?あ、あれはなんだ…!!?(ヒロとの交戦中、彼の背後を突然指差す) 」 氷冬「ッ゛――――!?(何この蹴り…"重い"…!!)ひゃんっ…!!(交差した二刀で蹴りを受け止めた瞬間、その圧倒的な力を感じ取り、そのまま蹴り飛ばされる) 」 大忍び 梟「――柳生の首、貰うたり(柳生但馬守宗矩が石田三成を居合切りで切り伏せた、正にその瞬間――音もなく、一瞬で宗矩の背後に移動し、心臓を狙っての突きを放つ) 」 AS「―――いいぞ、殺気に敏感というのはこのような乱戦において重要だ。(一瞬にして黒刀『零』を抜刀し、2Bから振り下ろされた軍刀に”添える”ようにして、そのまま流し)さあどうする!(もう片手でミラージュブレイドを抜刀、2つの刃で十文字に斬り裂く!) 」 柳生但馬守宗矩「(この戦場で初めて会合した同じ『だれかの忠臣』として、感じ入る者があったのか、弓兵であるリンクへ注意を切り替える際に他への警戒が薄れる『刹那的』隙が発生する。加えて―――)―――― か"ふッ…… (――――大忍梟の刃、その存在を前もって完治せずして回避する術などなかった。焼け付く様な激痛、鉄の味。違和を覚え自らの胸部に目を下ろす頃には、既に鼓動は事切れている)―――ふっ……忍びの技、か。乱世にて潰えたそれに相対すことなぞあるまいとタカをくくったが我が愚……か……――――― 」 2B「ッ……! ギ ュ オ ン ッ ! (ASの二本目の剣が全身へ直撃…したと思われたが、瞬間的に残像を残しながら流れるようなステップでその攻撃を間一髪回避)スァンッ、フォンッ、シャギィンッ ! ! ! (鮮やかな剣劇で反撃へと乗り出す) 」 アンリ「ジャキンッ ! ! ズダダダダダダダッ ! ! ! !(ブーツから刃が飛び出し、その両足を一直線に伸ばし、側転のように、回転しながら攻撃する) 」 ヒロ「………?(彼女の声を聞いて後ろを向く。……と同時に彼女の背後に土の蔓を生やしておく) 」 アーロン「――――――――それがヒトの、心の重みだ。…しかとその身に刻みつけておけ。(氷冬の傍らに位置し、呟きを残してその場を離れていき、戦闘フィールド内を彷徨う) 」 林檎姫「ひっかかったなカバめ!!!(ヒロが振り向いた先になんともう一人の林檎姫が!!)とりゃー!!(ヒロの股間部に蹴りを入れた)はっはっはっ~♪さっきまでの林檎は残像だ。(キリッ) 」 大忍び 梟「総てを我が手中に収める為よ、精々恨むが良い……その名は儂の勇名として、刻ませて貰おうぞ(片手で拝みながら宗矩の旨から刀を抜き、次なる標的――ヒロへと静かに刀を向け)(あの仮面の男は明らかに”別格”……まだ”削られる”のを待とうかの) 」 AS「いい攻撃だ、そうでなくては―――だが!(打ち合いの最中、ミラージュブレイドをグラムに持ち替える)お前が耐えられても、お前の”武器”は耐えられるかな―――!(黒く煮え滾る炎がグラムから溢れ出し、打ち合った2Bの軍刀を急速に腐食させる!) 」 林檎姫?A「そしてこの私も残像だ」林檎姫?B「残念だったな、私も残像だ」林檎姫C?「フハハハハ!残像だ!私の人生の半分は残像だ!!(残像の林檎姫は一人にあらず!!!謎の残像林檎姫3人衆がヒロは愚か!林檎姫本人も含めて各々鉄パイプやらバッドやらを手に襲いかかるッ!)」 」 氷冬「……!(人の…心の重み、か…)…そうね。この戦いに馳せ参じた人たちは皆、それ相応の覚悟をもってここで戦っているのだもの。だからみんな強い…!くッ……!(アンリの回転蹴りを右へ転がるように回避する) 」 ヒロ「………ぐはぁっ!?(股間を蹴り上げられる)…後ろを向いた隙に騙し討ちをするかと思えば……そう、きたか……(股間部を押さえて悶える) 」 中須かすみ「…………うわぁ…あれ、普通の騙し討ちよりえげつない…(汗)(林檎姫を見て) 」 優木せつ菜「あれは分身の術でしょうか……?(残像林檎姫を見て)もしかしてあの方は忍者…!(ぇ 」 薬売りの女性「 からんっ・・・ からんっ・・・(純白の頭巾に白ローブ、黒の和装の上に白コートという奇妙な出で立ちの少女が、刀の掬を刀の上で弾ませ雪見だいふくを片手に戦場を闊歩する。それもどこかで切れたのか、紐の下駄をその辺にすておき素足で)――――まーたやってしまいましたねぇ。そこかから『足』でも拾わないとビミョーに痛くてよろしくありません……困りました、困りました…… 」 ヒロ「くっ、残像がそんなに……!………3vs3に持ち込もうってか(残像林檎姫三人が自身のところに到達する前に、3つの土の山を作り、3体のヒロを造成する) 」 ヒロ「………新手もか!(倒れたまま大忍びを見て) 」 林檎姫?ABC「「「すっげぇKIMOIデザインだなジャポネーゼ!萌え王国は男の顔をスタイリッシュにデザインできないんすかオォン!!?(完全に同時、各々の武器が『アサルトライフル』になんの脈略もなく切り替わり、銃口それを分身ヒロの顔面に突き刺す)BAMG!BAMG!(貫通した銃口が直接ヒロへ向き火を吹いた!!)」」」 」 大忍び 梟「(倒れたヒロに向け、大型の手裏剣を投げ付け)……先ずは小手調べよ。場合に依れば…… 」 サウザー「フハハハハハハ!!!!愛などいらぬ!(1カメ)愛などいらぬ!!(2カメ)愛などいらぬ!!!!(3カメ) 行けい者共!全てはこの世から!いや俺の世から愛という概念を消し去るため!!なにはおいてもまずケンシロウと遭遇する前にできるだけ敵を蹴散らすのだ!(大型神輿に鎮座し、それ部下のバイクに引きずらせ行進。大量のモヒカン達を戦場一体へ放つ) 」 モヒカン達「ヒャッハーーーーー!!(戦場へ散らばり誰それ構わず襲いかかる) 」 2B「――――!?(腐食していく軍刀を咄嗟に手放し数歩退く)グルングルンッ、バッ ! ! (三式戦術槍を手元に転送させ、ASに突撃する) 」 アーロン「さて……肩慣らしといこう。 ………ぬんっ!(戦場へ散らばるモヒカン達を待ち構えるが如く、静寂を極め、薙ぎ払う) 」 林檎姫「優勝待ったなしだわ。(戦闘を残像たちに任せ、本人はその辺の脇でごろ寝して堅あげポテト(ブラックペッパー味)を食している) 」 林檎姫なの???D「お前も殺るんだよォォォ――――!!!(林檎姫の残像……残像?が二丁拳銃を持ちながらアクロバティックを決め中空からスタイリッシュに寝そべる彼女へ銃口を向け)――――― スタッ(何もせず着地)―――――ジャムった 」 アンリ「ドグアアアアアァァァンッ ! ! ! !(空ぶった蹴りがオブジェへと炸裂し粉砕する)パラパラ…――――次は外さない。(再び両足を伸ばし、鋼鉄の脚を利用した回転下蹴りを再び氷冬に繰り出そうと迫る) 」 林檎姫「あ、はい。(しゅたっと起立)というわけで覚悟しろやあああああ!!!(無限刀を銃へ変形し、ヒロにこれでもかと連射する) 」 薬売りの女性「ブーツありました チンッ(納刀した刀の塚に手を『添えるだけ』でモヒカンの一人の両足が元々別のパーツであったかの様に綺麗に切り離される。おもむろにそれを拾い上げると、ブーツを脱がせそこに自らの足を突っ込む)多少は大きいのですけれど、背に腹は代えられませんものね 」 AS「ほう、獲物を変えるか……ならばそれも良し―――だが!(間合いの長い槍の突撃に対し、隙間を縫うようにして懐まで潜り込み―――)その間合い、”剣士”には悪手だぞ?(付かず離れず、決して”槍の間合い”に離れられぬように目にも留まらぬ連撃を以て2Bを攻め立てる!) 」 大忍び 梟「クックク、此処に来て数で邪魔をされようとはの(面々を横目で確認しつつも、モヒカンを刀で薙ぎ払う) 」 氷冬「(真っ向から受け止めるには分が悪いかもしれない…けれど…―――)(先程のアーロンの言葉が脳裏を過る)……貴女の心の重み、感じてみたい。(二刀を交差し、そのまま"受け"の態勢へ、そして…)――― ガ ア ァ ン ッ ! ! (アンリの強烈な蹴りを真っ向から受け止める)二刀流―――“鸚鵡”(おうむ)ッ!!!(アンリの脚力に匹敵するパワーでその蹴りを跳ね返すように二刀を振り抜き、場外へと吹き飛ばした) 」 2B「私は…剣士じゃない。ヨルハの「戦士」だ。クルルルンッ、キィンッガキィンッ ! ! !(華麗な槍裁きでASの攻めを防御し、それでいて尚距離を話すように一歩一歩と退き始める)ガッ――――(槍の先端を地面へ突き刺し)―――― ゲ シ ッ ! (そのままASへ移動するように槍を傾け、すれ違いざまに彼の右肩へ蹴りを入れ、そのまま背後へ降り立つ) 」 アンリ「くううぅッ…!!(全身全霊の蹴りを氷冬に炸裂させ、その勢いを持って蹴り飛ばそうとしたが…)え――――きゃあああぁ…ッ…!!!(自らの脚力を逆に利用された反撃にあっけを取られ、そのままなすすべもなく場外へと吹き飛ばされ、敗退する) 」 ヒロ「………くっ…!(手裏剣を刀化した右腕で振り払い、立ち上がる)…あらまあっさりと撃ち落とされたね……!(分身を貫通した弾を避けるも、林檎姫が連射した銃弾には対応しきれずに数弾受ける))………ま、俺の土分身ってのは粘土でお山つくるくらいの感覚で作れるから……こんな芸当もできるのさ!(地面から数十個の土の山がせり上がり、数十人のヒロが造成される) 」 林檎姫「(数十人のヒロを見て率直な感想を一言)……キモッ!!!!!!!!!!!!(林檎姫の情け容赦のない一言がヒロの心を傷つけたッ!!) 」 薬売りの女性「――――くいー。(首を捻り目と鼻の先を吹き飛ばされたアンリが通り過ぎ、それを流し目で見送る)―――――あの手の形、木の葉の様に飛ぶ軽い御仁ではなさそうなのですけれど(氷冬へ興味の対象を移し、頭巾の陰に隠れた銀色の瞳が丸くなる)――――ああ、あなたでしたか。どーりで にっこり(目元を笑みで細め軽く拍手を送る) 」 AS「ガキンッ!(蹴りは硬質な感覚を返した、その肩口からは美しい翠の水晶が鎧のごとく纏わり付いている)”戦士”で結構、俺は―――”死合う”相手に区別を、しない!!(背後に立つ2Bに、まるで影から這い出すように前動作を悟らせぬ一撃―――)―――幻閃『零』!!(背丈ほどの大きさを誇る黒刀『零』から、必殺の刃が今振り抜かれる!) 」 ヒロ×数十「…………キモくて何が悪い!!!!!!!(半ばヤケクソ気味に全員で林檎姫を取り囲む) 」 林檎姫残影というゲシュタルトが崩壊した何者か達「「「「「「「「右に同じく!!!!(林檎姫に冷や汗を滝の様に流した鬼気迫る表情で同意を示す)じゃあ仕方ない、増やしますか。(パチンと指を鳴らすと『ドイツ軍人の背格好をした林檎姫の残像なのかわからない何かがライフルを片手に、横一列に一斉に増える』)ハイルニオラ!!!!総員構え、撃ェ!!!!(一斉掃射!見敵必殺!見敵必殺!!)」」」」」」 」 ヒロ「………(キリがねえな、あいつら……)(大忍びと林檎姫を見て)……こうなりゃ……根比べと行こうじゃねえか!! 」 A2「―――― 邪魔だ。(突然現れるや否や2Bを蹴り飛ばし、ASの一撃を強靭な軍刀で受け止める)…ギチッ、ギチギチッ…退け。切り落とされたくなければな。(ASと鍔迫り合いで向き合いつつも、傍らの2Bに) 」 2B「――――!!(刃が目前に迫ったその時、参戦したA2に蹴り飛ばされたことで難を逃れる)貴女は…A2…!?……ッ…(A2に反論できず、彼女に言われるがまま、今はその場を撤退するように風の如く立ち去る) 」 大忍び 梟「(ヒロの群れに強酸性の猛毒を撒き)ならば鏖殺の後、本体を斬るまでよ 」 林檎姫「(その頃、林檎姫本体はSwitchを両手にマリカをプレイしていた) 」 アーロン「……どうやら役には立ったようだな。(氷冬を窺い) 」 氷冬「 フ ォ ン ッ (二刀を振り抜き、鞘に納める)……?(ふと感じる視線に踵を返し、薬売りの女性と対面する) 」 ヒロ ×数十「スパシーバ・スターリン!!(ロシア軍人の格好をして土のライフルを構え、撃ち合いになる) 」 ヒロ「……おいおい、どーうしてもキリがねえな…!(本体は群れから出て、大忍びに向けて土弾を放つ) 」 BGM♪:Unfinished Battle Custom Loop) Xenoblade Music Extended 林檎姫残影というゲシュタルトが崩壊した何者か達「「「「「「「ウワァァァァ!!!! ヤメロー!!! シニタクナァーイ!!!! フジワラァァァァ!!!! 諦めるなああああ!!! バンザァァァァイ(次々に文s人らしき何かが死んだり発生したりを繰り返しの物量戦泥仕合になる)」」」」」」」 」 AS「飛び入り客か、悪くない……俺の目的は”殺す事”などではない、ただ闘争こそ……!!(パキリと、ASの周囲の空間が罅割れてゆく。それと同時に翡翠の粒子が辺りを満たしてゆく……!)昂ぶる、昂ぶるな……そうだろう……!『永遠の意思<クァエドゥム・アニムズ>』ッ!!(その言葉と共に、A2とASを囲むようにして周囲が灰色の水晶で満たされる!) 」 薬売りの女性「いやぁ、いつもは『仕事上』石田散薬の売り込みから始めるのですがあなた相手に『殺気』を抱かずにいるのは難しい(背負った薬箱を乱雑に捨て去ると、頭巾の陰から人でありながら人がしていいものではない獣性を孕む瞳を、笑みで横たわる三日月の様に歪んだそれを向け)―――――油揚げは最後までとっておくクチですが抑制が効かないのも事実。『一太刀』だけ、付き合っていただけますか?(いつ抜いたのか、予備動作もなく納刀されていたはずの日本刀を抜き見にし、ナイフの様に手元でくるくると回し氷刀へ微笑みかけた) 」 A2「雑魚と殺り合っても時間の無駄。そんなのはその辺の奴らに任せておけばいい。今対峙すべきは屈強な敵、それでいい。(灰色の推奨をよそ目にすぐにASへ視線を向け、四〇式戦術刀を突きつける)…行くぞ。バ ッ ! ! (2Bよりも早く鋭い斬撃を振り回し、その刃がASを確実に仕留めんと襲い掛かる) 」 氷冬「……チャキ…(相手の姿形、表情には感情を移入することなく、ただ剥きだされたその獲物に応えるように一刀をすらりと振り抜く)…ええ、いいわよ。(微動だにせず、待ち構える) 」 林檎姫「うわー!!!永遠の二番手に一位取られた!!!お前はずっと二番手でいいんだよ!!!!(ガチギレ)も~~~~~あったまにきた。八つ当たりして殺る。(Switchが無限刀に変形し、再びヒロへ襲い掛かる) 」 AS「そうだ!俺は、此処に”これ”を求めて来た!!(2Bと打ち合った時とは見違えるほどに、壮絶な速度でその剣戟へ答えてゆく)闘争の結果などどうでもいい、俺は……!!(更にミラージュブレイドを抜刀し直し、三刀)―――幻閃『現』!!(その刃を振り抜いたかと思えば、一撃は空振り―――ではない。A2の真後ろから幻閃『現』の強烈な一撃が襲いかかる!!) 」 大忍び 梟「土塊とは、舐められた物よ(無音の高速移動術で土弾を避けながらヒロへと向かい、そのまま正面からヒロを斬り伏せにかかる) 」 ヒロ「おいおい、2vs1はないだろぉ!?(さらに土分身を作り、林檎姫に向かわせ、大忍びの刀を土刀で止める) 」 薬売りの女性「―――――すこり(業務的に小さく首を傾げながら微笑むと、抜き身の刀を斜めに一振り、そのまま両手持ちに切り替え先端を獲物へ向けて水平に構える)―――――――― トンッ (先ずは一歩、動作は摺足だがランナーでも3秒はかかる間合いを音もなく詰め) ギュ オッ (一振り、大ぶりに過ぎるが三日月型の軌跡が光を眩く反射する一撃を初手に放つ。氷刀に届くには紙一重間合いが遠い) 」 A2「――――? (ASの口上に警戒。空ぶった一撃目に違和感を覚える) ……!("そういうこと"か―――) フワサァ…ッ… ! (背後から僅かに感じる風圧に、目視せず死角から一撃を屈んで避ける)…余計なものを取っ払った分、感知はそこらのアンドロイドより敏感だ。私でなければ、お前の策に落ちていただろうな。(そう言うとその場でサマーソルトキックを繰り出しASと距離を置く)カッ…トン、トン、トンッ―――――― ゲ シ ッ ! ! (足元に転がっていた石ころサイズのオブジェの残骸を足のつま先で器用に蹴り上げ、何度も軽くリフティングした後、その石ころをAS目掛け豪速球で蹴り飛ばした) 」 氷冬「お手並み拝見ね。(女性の足運びに目を疑いつつも、かつて対峙した者たちもまた同様の術を持っていたことを思い出し冷静さを欠くことなく目を細める) ス ン ッ (滑るような足運びでそのひと振りを避け) ズ ア ァ ッ ! (ノの字に斬り下ろす) 」 薬売りの女性「 ――――――【六式無患子:初手】(眩し過ぎる程の大振りの軌跡が消失すると、既にその残光の影で『明らかに異なる斬撃を振り終えた体制』の女性が小さく囁く) パァンッ キュ オ ッ (すると、どういった理屈なのかピアノ線の様に細い軌跡を描く殆ど無彩色の細かい閃撃がノの字の一振りの軌道を逸らす。それとほぼ同時、さながら『斬撃の結界』とも形容できそうな無数の細かい斬撃が『先に穿った大振りの一閃』の陰から一斉に襲いかかってくる) 」 AS「アンドロイド―――成程、”似た者同士”か……しかし故に!愉しませてくれる!!(蹴りを刃でいなし、更に一刀―――雷香を抜刀し四刀)欠・九刀流―――『狂人独走』ッ!!(一瞬のタメの後、弾き出されたように―――音さえ置き去りにして石ころごと、置かれたはずの距離を一瞬で詰めてA2の背後まで一直線に全て斬り伏せる!!) 」 大忍び 梟「(刀をヒロに止められた瞬間、空いた腹に強烈な突き蹴りを叩き込み、自らはその反動で空中へと飛ぶ)何、あの娘も後に逝く事になろう 」 A2「ッ……!ザグンッ――――― パ キ ィ ン ッ ! ! (ASの猛撃が迫る直前軍刀を地面へ突き刺し、彼の斬撃を避けるように突き刺した刀の柄頭を足場に逆さ立つ。真っ二つに裂かれた軍刀を犠牲に地面へ降り立ち、大刀「四〇式斬機刀」を手元に転送させる)苛烈な攻撃だな。人間の業では到底繰り出せないはずだが……ああ、そうか。そういうことか。お前も…私と同じ……いや、どうであろうと、戦う運命(さだめ)に変わりはない。グルンッ――――ズオンッ ! ! (大刀を振り回しどっしりと身構える) 」 氷冬「―――――!!(摩訶不思議な剣術に一瞬目を奪われかけるが、すぐさま刀を逆さ持ち―――)―――― 一刀流“風恋”。 ビュオワアアアァァァッ ! ! ! (逆さ持った刀を振り回し斬撃から成る竜巻を巻き起こす。竜巻は幾重の斬撃を飲み込み、その中で激しく衝突し合いながら相殺されていく) 」 林檎姫「林檎は死にましぇ~~~~~~ん!!!!(土分身体ヒロを切り落としたり目潰ししたり腹パンしたりして撃退していく) 」 AS「ああ、これは宿業、我が見定めし答え!闘争こそ、俺の全て……故に!(流星剣、閃光剣、次々と抜刀―――至るは『九刀流』)引く道は在らず、終わりに向けて駆け抜けるのみ……!!(構え―――放たれるは龍の如し―――)九刀流「九頭竜九閃」!!(それは一つ一つが人を飲み込まんとする巨大な一閃、九つの頭を持つ龍のアギト……死を確信させる暴威がA2へと放たれた!!) 」 土分身ヒロ「ぐほぁ!!!………(ボォン!!!!!!(切り落とされたり、目潰しされたヒロはただただ倒されていくだけだったが……なんと腹パンを食らわせたヒロは、直撃した瞬間に爆発する) 」 ヒロ「…ぐほっ…!!(大忍びに腹パンをくらい)…俺らもろともやろうってのかい…!! 」 薬売りの女性「トンッ(地を蹴り、残像さえ許さぬ速度で距離を置き、空かさず同様の斬撃を追い打つも悉く竜巻に相殺される。余波は頭巾を浮かし、酷く安らいだ笑みが伺える)――――好い。(短くそう告げると、刀をペン回しの様に一度くるりと回し)『初手』で首を繋いでくれた方は久しいですね……良い、やはりあなたは良いです――――――【四式青桐:追】(今度は刀を一振り。清光の斬撃が『一直線』に、さながら細い光線の様に伸び『竜巻を貫通』した) キュインッ (それは氷刀のそばを駆け抜けると、彼女の背後で直角に曲がり、彼女を貫こうと追尾してくる) 」 中須かすみ「(観客席)あれですよ、あれが忍者ですよ……(大忍びを見て)すごい身のこなしですね… 」 大忍び 梟「(空中から致死性の毒液をヒロに向かって撒き)無論よ、我が覇道の為、我が名を世に轟かせる為……何れ儂以外には去って貰う 」 A2「…「バーサーカーモード」、起動。 ド オ ォ ゥ ン ッ ! ! ! (全身が赤い光に包まれ、全身より蒸気が強く噴き出した) スォンッ――― ダ ァ ン ッ ! !(先程までとは比べ物にならない速度で一頭目を潜り抜け)グォンッ…ズッバアァンッ ! ! !(強烈な一振りが、二頭目、三頭目、四頭目の首を切り落とすように切り崩し)グルンッ―――ダァンッ ! ! (振りかぶった反動を解消するように空中で大刀ごと回転し、振り向きざまに五頭目に大刀を振り落とし)スォンッ―――フォンッ―――ズァンッ――― !(六頭目、七頭目、八頭目を全身に被弾するかしないかのすれすれで受け流していく) 」 A2「 ズ ン ッ (そして最後の九頭目。大跳躍から大きく振りかぶり、真っ向から真っ二つに戦と勢いよく振り落とす)チィッ…!!(ASが放つ強大な一撃と拮抗し、そして―――) パ ア ァ ン ッ ! ! ! (互いの斬撃は虚空に弾け飛び、フィールドに衝突音が残響する)シュゥゥゥ……―――――(全身の光が焼失し、蒸気が止まる) 」 林檎姫残影というゲシュタルトが崩壊した何者か達「「「「「「「 死 (ヒロ分身との戦いの最中、r致死量の猛毒が巻かれ巻き添えを喰らい全滅) 」」」」」」 」 分身林檎姫→クイント「どろっ(全滅した分身のうち一体から脱皮する様に這い出て三白眼で荒い呼吸をする)ッブねえええええ!!!!! え、死んだ?死んでない私?生きてうー!っぶねー!! 」 氷冬「……!(あんなに繊細な斬撃は初めて見た…あれは今まで刃を交えた手練れにもなかった――――)――――!(懺悔の竜巻を貫き襲い来る糸のような斬撃を左へ反って避けた直後、その細微な軌道が僅かに曲がっていくのを見逃さなかった。)――― そこっ!!(跳び上がりながら振り返り、宙で全身を横へ傾倒する。真下を潜り抜ける光線を確かに見定め、その細い斬撃に対し刀を振り落とし、はたき落とした)スタンッ…(着地後、ふわりと揺れる麗しい髪を、横へ振って再び女性をその眼に納める) 」 AS「―――見事、見事だ、お前は我が奥義の一つを真っ向から破ってみせた……このような事は”二度目”だな。(ちら、と同じ戦場に立つ氷冬を見やり)名も知らぬ戦士よ、俺はお前に敬意を表す、此処で名を名乗らせてくれ―――俺はAS、賛美とともに……我が奥義を贈ろう。(仮面を手に取り地面に突き刺し、周囲の水晶がこれまでにない輝きを放つ。構えは正眼、厳粛に―――然し神聖に。) 」 林檎姫「うわー!!!!!!(爆発に巻き起こ魔レ、ギャグマンガのように黒焦げアフロヘアーになる)よくやった分身役。これ今日のお駄賃。(クイントの肩に手を置き、絶滅危惧種に指定された2000円札を渡す) 」 A2「機械に賞賛される機械、か… 滑稽な話だ。だが、さっきから随分と妙だ。お前……なんでそんなに「人間味」に溢れている?…お前がそうなら……私も、「そう」なれるのか…?(「生」を強く甘受している彼への、何か憧れに近い複雑な感情を抱き始める。そんな自分に首を振り、無機質な瞳で再び彼と対峙する)…AS……なるほど。何から何まで、つくづく似ているものだな。ヨルハA型二号…識別名は「A2」。この世界で、この名を口にするのは…これが最初で、最後だ。(帯電する大刀を構える) 」 薬売りの女性「――――ポスッ……(竜巻の余波、細かな鎌鼬が頭巾の根元を裂いていた、それはふわりと舞って落ちる。僅かにくすんだ桜色が残る脱色した白髪が風に揺れ、少女は陶器の様に白い肌へ笑みを刻んでいた)――――二手。(指を二本立て腕を前に突き出す)序盤ですが、現在仕留めるまでに要した手数の最高値。ああ、あなたは軽々と超えてくれるのですね氷刀。肉体欲求を『殺した』私ですが……――――― 」 オリヴィエ「―――――ああ……なかなかどうして、この悦は捨てられない。どうしようもなく私を実感させてくれる(氷刀と相対した少女は、かつて罪剣討伐に居合わせたその少女眠っているかの様に瞳を閉ざし、安らかな笑みを湛えてただ佇んでいた)――――『果て』に見える景色はいかがでしたか?それとも……まだ先を見据えているのでしょうか(だが、開いたその少女の瞳にその面影は残っていなかった) 」 AS「俺は生きることの理由を見つけた、長き苦しみの果てに答えを得た。……それだけだ、たったそれだけだというのに、こんなにも俺は救われた。故に俺は……この瞬間こそ何よりも愛おしい!俺は今、確かに生きている!俺が今からお前に見せるのは、俺の”人生<こたえ>”だ!!(水晶の園に光が満ちる、翡翠の粒子が輝きを齎す。九の刃を一つ残し、口を開く―――)”俺は運命<オマエ>に囚われた” ”長い宿命<クルシミ>の中を、宛もなく彷徨った” (『詠唱』が始まると、剣から果てしない”圧”が放たれる……) 」 ヒロ「………こいつは……やってみるしかねえな…!(土を浮かせ、なぜか毒液に放る) 」 クイント「(土男と一緒に混乱に乗じて潰すつもりだったのは黙ってよ)あ、はいどもっす(素直に2.000円を受け取り忍び足で距離を置き始める) 」 ヒロ分身×数十「うおおおおお!!!!!(毒液を喰らい……全員が大爆発を起こす) 」 A2「……(生きる…生きるって、なんだ…?生存を確立するためか?外敵を排除し安寧を掴むためか?…私には、分からない。"人"が"生"きるとは…「人生」とは…――――)(強大な覇気を纏うASを前に微動だにせず、ただ彼を見つめ続ける)……知りたい、その人生<こたえ>を。ガオンッ――――― ド オ ォ ゥ ン ッ ! ! ! ! (再び全身に赤い光を纏い、蒸気が噴出する) 」 大忍び 梟「爆ぜた…?何か企んでおる様だが……はて、何をするつもりやら(着地し、刀を構え直して全方向を警戒している) 」 氷冬「 ! ! ? (頭巾で覆われたその素顔を目にした時、雪女と謳われた冷たい表情にも動揺の二文字が走る)………私が見てきたのは、氷山の一角に過ぎなかったわ。それを教えてくれたのが、「あなたたち」だったから。(時に刃を交え、時に共に刃を並べ、そうした戦友たちとの面影が過る中、かつて共にした彼女にその面影を重ねられず、形容しがたい感情で向き合う)……貴女…(そう言いかけた時、オリヴィエに制される) 」 AS「”藻掻き、嘆き、足掻き続け、約束<コタエ>の果てを求め続けた” ”故に、俺の剣<ジンセイ>に剣戟<コタエ>から得た全てを込めよう” (水晶の園が、二人の”意志”を称えるように輝きで満ちる。翡翠の粒子が、”その瞬間”を待ち侘びるように溢れ出す。そして―――世界は呼吸を忘れる)”―――奥義『忌械機撃<キカイキゲキ>・黒ク染マレ幻ノ見セル彼岸<ハズ ア マイインスティンクト>』!!!”(一閃が瞬く。光さえ置き去りにして、世界は”それ”を視ることさえできない。空気、時間、空間、剣閃に触れたもの全てが―――”あらゆるもの”が”そうなるべくして”切断される) 」 林檎姫「ボーナスもあるからついでにもらって♡(そう言って距離を置くクイントに、無限刀で変形させたマシンガンを突きつける)林檎ちゃんからのお年弾♡(黒笑)おらあああああああああああああああああああああああああ(ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ)(クイントだろうがヒロだろうが大忍び梟だろうがその辺でくたばってるヤムチャだろうがお構いなく無差別射撃し始める) 」 オリヴィエ「―――――(口元で人差し指を立て静粛を要する仕草)充分です、答えは得ましたから(そう伏見がちに笑うと、抜き身だった刀を予備動作なしに納刀)―――さて、勝算はさておき……よしんば貴女の首を落としたとて最早私に先はないでしょう。貴女は……どうでしょうね、もしかしたら一太刀で容易終わらせてくれるかもわかりませんが。もしそうなら、それ程の力量差、埋め合わせはできませんから(『どうぞ斬ってください』とでも言いたげに踵を返し、背を向け一歩歩み出す) 」 クイント「あ"や"っぱり"い"い"い"い"い"い"い"!?(目尻に大粒の雫を浮かべ素っ頓狂な悲鳴をあげながら仰け反る。だがその直後、彼女の瞳が渦を巻いて赤く妖艶に輝き)『イリュージョン・ルナライト』。暫定的像を実へッ!!(舌を噛みそうになりながら高速詠唱を終えた刹那、蜂の巣にされ)ぐえべええええヤラレターーーー!なんつって!とか言えねえいてえ!?(蜂の巣にされたクイントから、比較的軽症だが何発かもらっているクイントが脱皮し床に転がる) 」 A2「バーサーカーモード…120%解放。これで、終わり――――― ヒ ュ オ ン ッ ! ! ! (大気を貫く一陣の風の如く、ASへと瞬く間に迫る) 」 呼吸を忘れた世界の中を駆け巡る中、A2の記憶(メモリ)の中で追憶(リロード)がはじまる。 "ねえ、二号はさ…もしも願いが叶えられると聞いたら、何をお願いする?" "どうしたの急に?あ、さてはまた人類のアーカイブから変な情報を入手したんでしょ?" "いいから答えてよ。" A2「――――― ッ…!!(バーサーカーモード多用の影響か…記憶媒体に異常が…けど、もうなりふりかまってなどいられない…!) 」 "……願い、か……んー…そうね… 私が願うのは…――――――" A2「(そんなもの……もしも叶えられるのなら、はじめから答えは決まっている……)―――― はああああああああぁぁぁぁぁッ!!!!(凄まじく放電する大刀を振りかぶりASへと突撃した) 」 "私の、「願い」は…―――――――――" A2「―――――――――――――(世界の呼吸が、かすかに動き始めた時、彼女は宙を泳いでいた。美しい銀の紙は羽のように舞い、瞳が徐々に開かれていく。眩しく光る太陽へと手を伸ばし、それを掴むように虚空を握りしめ、一つ笑みを浮かべる。それはまるで、ずっとたどり着けなかった場所へ到達し満足したように。答えを得た機械の人形は、そのまま、月の浮かぶ空へと溶け込むように落ちていった) 」 ――――――ザンッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!(剣閃がすれ違った後、思い出したように世界は”音”を取り戻した。戦場を震わせる衝撃が解き放たれ、満ちていた灰色の水晶が一斉に砕けてはまた実ってゆく―――) 大忍び 梟「(林檎姫の銃撃を刀で尽く防ぎ切りながら、後方へと下がり)……ふむ、"梟"を使うか…?否、引き際か……(地面に煙玉を勢い良く叩き付け、発生した煙幕に紛れて撤退を図る) 」 ヒロ「………うげぇぇぇ!!!???(毒液から逃げるついでに林檎姫の銃撃から逃げる)……俺がヒロだぁぁぁぁ!!!!!!(林檎姫の銃撃に対し、土マシンガンを連射) 」 AS「ギギ―――バキンッッ!!(放たれた『剣の理』に耐えきれず、ミラージュブレイドが手元から弾けて突き刺さる)ヨルハA型二号、『A2』。善き、闘争だった―――。(胸に手を当て、礼をする)機械が―――アンドロイドが、俺達が人の心を持っていないなんて、誰も決めちゃいない。元より俺達は”そうだった”んだ……だから心は、気づけば”ついてくる”ものだ。(そして、取り落としたミラージュブレイドを再び拾い上げる) 」 氷冬「……―――― 「背中の傷は剣士の恥」。さっき、刃を交えたある剣士から教えてもらった言葉。(踵を返した彼女の背に語り掛ける)私は、自分に恥じない生き方をずっとしてきた。転ぶことも、傷つくことも、たくさんしてきた。人から見ればなんて惨め手情けない、恥にまみれた人生だったかもしれない。でも、今、そんな人生を振り返って…(その時、遠くにいたASを横目にふっと笑う)…たくさんのものを得られたことが、恥だったなんて全く思わなくなった。ずっと何かから逃げるように背を向けてきたなら、何も得られなかった…今の私だっていない。 」 氷冬「貴女だってそうでしょ。だから「ここ」へ来たんでしょ?もうあの時(刀剣武祭)の貴女は、いないのかもしれない。たとえ信念が変わっても…「あなた」は今を生きている。そんなあなたと、私は向き合いたい。恥にまみれても恥を受けいれて生きる、貴女と。 」 林檎姫「なにくそ負けるくあああああああああああああああ!!!!!!!(ヒロに対抗しなおも射撃を繰り返す) 」 ヒロ「……どっちが先にぶっ倒れるか勝負だあああああ!!!!!!!(土マシンガンを二丁に増やして応戦) 」 フォンッ―――――ズシャアアアアアアアアアアアァァァァァンッ ! ! ! ! (その時、ヒロと林檎姫の間に何かが飛来) 林檎姫「うっひゃああぁ!?(飛来してきた何かの衝撃に耐えきれずすってんころりん) 」 ヒロ「…うおぉあ!?(バランスを崩しかける)鳥か!る 」 伊達政宗「Hey,guys.(飛来してきた正体は、馬に乗った独眼竜の戦国武将だった)お楽しみのところ悪いが、こいつは貰っていくぜ。(そう言い林檎姫を片腕で抱き上げる)ったく、どこほっついてたんだ。俺から離れんじゃねえぜ。(そして林檎姫と共にその場を後にした) 」 ヒロ「……………????(政宗と林檎姫を見て)えっと………これ俺の勝ちでいいのか?(首を傾げながら) 」 林檎姫「ゑ…?伊達さあああああああん!!(泣きじゃくる)どこって…伊達さんが急にどっか行ったんじゃん!!!!(ぷんすこ)このっ、このっ…………なんでそんな、最後にイケボでそんなこと言うの……///(赤面する顔面を両手で押さえながら抱き上げられ、政宗と共にその場より消え去った) 」 判定猫「えー、伊達さんと林檎姫は結ばれているので、そうじゃないヒロさんの負けとなります。 」 ヒロ「…………そういう判定かよ!!!!(いつのまにか置かれたホームベースを放り投げる) 」 オリヴィエ「――――(ピタリと足を止め、届いているのか上の空なのか、ただただ背を向けたまま宙空という闇に空いた穴の様な月を仰ぎ見沈黙する)――――(背越しに、生気はなく『肉体が鼓動を刻むのではなく、魂が、強い自我のみが肉体を動かしている』……そんな血の気のない青銅色に染まった瞳を向け柔らかく微笑みかけた)――――人は『意志の生き物』だ。向き合うならば、相対するならば、其に会うならば、其を斬り前へ進む。私の意志は前にしか向かわない(そう告げると、再び振り返ることはなく歩みだした。抜刀の所作さえ見せず、モヒカン達を首なしへ変えながら) 」 ヒロ「あれか、モテる男との戦力差か!くそぉぉぉ!!!!(一塁ベースを放り投げる) 」 AS「さて―――目新しい敵を捜さねばな。俺はまだまだ、闘い足りない―――俺は、全ての闘いを、忘れない。(空間を掴み、砕く。そして亜空間の中へ飛び込んで次なる戦場へ―――) 」 氷冬「…なら、次こそは意地でもその行く手を阻んであげる。(そう言うと、意図してオリヴィエとは正反対の方角へと歩を進めた) 」 ――― 豪華客船シーギャロップ号 ――― ベジータ「よぉーし、覚悟しろよ貴様等!!最後に勝つのはこのベジータ様だァ!!!(船内で全力疾走しながら敵を散策している)どこだー!?姿を見せろー!!!! 」 中須かすみ「……あーいうのって大体真っ先に負けるんですよねー…(モニター越しにベジータを見て) 」 ベジータ「おい貴様ァ!聴こえているぞ!!!!(バトルカメラに向けて観客席にいる中須かすみに指差す)フッ、どうやらまだこのベジータ様の実力が分からないようだな。よぉーし、ここは見せしめに、誰でもいいからこっぱ☆微塵!にしてやるぜぇ!! 」 バル艦長「がはははは!!この船の舵は我々が取った!!(フルボッコにして気絶した船長のキノピオを傍らに客船の操縦をしている) 」 水兵ワドルディ「やりましたね、艦長!で、これからどこへ向かうんです? 」 吉良の同僚「やめとけやめとけ。(ザッと現れる)お前じゃあ、あの子に傷ひとつつけられやしないぜ? なぜなら、この『吉良の同僚』がいるからなぁあああああ~~~~~?(ドドドドドドドドド) 」 バル艦長「渋谷 」 ペニーワイズ「原宿を希望する!!!!(ワドルディを人質にする) 」 ベジータ「ふおおおぉっ!!?(同僚の出現に過剰反応)なんだ気様!?このベジータ様の前に堂々と現れるとはいい度胸だ…!!まずは気様からこっぱ☆微塵!にしてやるぜ!(同僚にファイティングポーズ) 」 イーノック、そんな装備で大丈夫か?(観戦席からの声) 」 水兵ワドルディ「やめてくださぁい!!(人質にされる) 」 イーノック「……だ、だだいだい大丈夫大丈夫じゃない、問題だ。(間違えて”一番いいの”ではない方で参戦している) 」 アックスナイト「マジかよ。俺たち今から上京すんのかよ。 」 吉良の同僚「 やめとけやめとけ。確かに俺に格闘センスはないが、俺の『スタンド』には勝てないぜ!(堂々たる佇まいで) 」 せがた三四郎「秋葉原へ迎え!そこにはあるはずだ!セガサターンがッ!! 」 チルノフ「=͟͟͞͞( ˘ω˘)˘ω˘)˘ω˘)ジェットストリームスヤァ(同僚の背後からスライディング登場しベジータにダイレクトアタック) 」 ベジータ「フン…サイヤ人を甘く見るなよ?見せてやろう、超サイヤ人ベジータ様の圧倒的パwふおおおぉっ!!?ドヒューーーーーーーーン(チルノフと共に壁を突き破り船の外へ吹き飛び、海へ落ちていく) 」 ニッキー「わぁ~!みんながんばってー!ニッキーも、応援してるよ~♪(観客席) 」 BGM♪:Linked Horizon / 紅蓮の弓矢 ジャン「ジャン!ジャンジャン!ジャジャジャン!ジャジャンジャン!!(紅蓮の弓矢に合わせて行進)俺はソード団雑用、ジャン・キルシュタインです!!!ンニキティーは俺の嫁。待ってろニキティーーーーーー!!!!優勝したら結婚しよ。 」 吉良の同僚「 (落ちていくベジータを見て)・・・・フッ、だから言ったろ? 『やめとけ』ってなぁぁぁぁあああぁぁあああ~~~~~!!(バァーン!) 」 ミヤコ「むぅ~、勝つのはミヤコなの~!絶対山盛りのプリンを食べてやるの~!(鈍器のような大きなスプーンを振り回しジャンを殴り飛ばす) 」 兵士猫「ドドドドドドッ ! ! ! !(壁に隠れて射撃しているか、一発も当たらない) 」 秋葉戦士・ヲタク猫「セガサターンなどない!ラブアンドベリーやれ!! 」 圧倒的問題児男子高校生「俺は…絶対…合格(優勝)してやるずええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!待ってろキャンパスライフううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(丸腰で戦士猫へ突撃する) 」 戦士猫「 ア ー メ ン (Z会高校生にクロスチョップされ気絶する) 」 ペニーワイズ「俺の要求はただ一つ!!進行方向を渋谷から原宿に変えろ!!!!(ワドルディに牙を突きつけながらバルに) 」 Dr.マリオ「大乱闘カオスマッシュピードの火蓋が切って落とされる→各地で数多の猛者たちによる激闘がはじまる→そんな最中サークライにより新キャラ追加告知→ニコリンの身体は闘争を求める→誰も彼を止められる者はいない→ D r . マ リ オ が つ い に 参 戦 す る ( ド ン ッ ! ! ) 」 伝説の超スマブラー・ニコリン「俺以外優勝するな(手当たり次第に爆弾を投げつけていく) 」 デイジー「ハイテンションプリーーーーズ!!!イェーーーー!!!ピザ屋ドゥエエエエエス↑↑!!!アリアリアリ!!ご注文のボスカイオラ!!今から焼きます!!!焼き払え!エルボゥ(真顔)(ピザ焼き窯から火炎放射を放ち船内を焼き尽くしていく) 」 中須かすみ「(地獄耳…というか本当にフラグを回収した……)(海に落ちたベジータを見て) 」 電卓も使いこなせない王子マルス「一人で10体くらい倒せば優勝できるか!? 」 殺意の波動を極めしゼルダ「ここまできたら、殺るしかないでしょう!!(火炎魔法を放ちニコリンの爆弾を直撃前に爆破させる) 」 イーノック「 問題ない、問題ない、問題ない(震え声でガーレを使い手当り次第に遠隔攻撃をビュン☆と行う) 」 なんとかなる精神のピット君「僕たちなら、きっと勝てる!(盾で火炎放射の嵐を防ぎきる) 」 吉良の同僚「 くくく、まったく、暴れ過ぎだぜ皆よぉ…。タイタニック号にいた方がまだ安全じゃねぇのかこれ? 」 CF「ファルコンランチ(大乱闘中にもかかわらず船内レストランで昼飯のハンバーグランチの写真をパシャリ) 」 ゲッコウガ「ゲッコウガァ…♡(ゲッコウガのメロメロ!しかしニコリンにはうまくきまらなかった!▽) 」 デデデ「どはははは!どいつもこいつもマヌケ面ばかりZOY!こんな奴ら相手にならんZO~Y!エスカルゴン、お茶~。(カーペットの上でごろ寝) 」 エスカルゴン「なに悠長なこと言ってるでGESか陛下ー!そんなことじゃいつ寝首を掻かれるかわかったもんじゃないでGESよ!! 」 バル艦長「あぁん?!貴様、ワシに命令するな!!!!!(ペニーワイズを殴る、つもりがうっかりワドルディの顔面にパンチ) 」 水兵ワドルディ「なんで!?(理不尽パンチで顔面がへこむ) 」 悪いノップ「今日からこの船を本能寺号とするのじゃ 」 ペニーワイズ「このペニーワイズの警告を無視したから!!!!(殴られると見せかけてワドルディが殴られたのをみて怒りのあまりワドルディの後頭部を殴る) 」 ウラハシドンキ「いってええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!ちっくしょおおおおお!!!!!なめてんじゃねえぞおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!(ガーレが尻に被弾し激怒したゴリラはイーノックを蹴り飛ばす) 」 BGM♪:Gang-Plank Galleon | Super Smash Bros. Ultimate 水兵ワドルディ「ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!私は、コッコロの体が可愛いから追課金をしてしまいました!!!どうかお許しください!!!(泣きながら、殴られた挙句裸?で吊るされており、それがミオリの教室のテレビや世の中の観客席モニターの中にニュースの中継として映し出された) 」 ペニーワイズ「うるせえ!!!キョウカの裸見せろ!(裸で吊るされているワドルディをサンドバッグのように連続パンチ) 」 船員猫「野生のゴリラが暴れている模様!直ちに捕獲せよ!!(ウラハシゴリラに挑むがことごとく返り討ちにされる) 」 ヨッシー「 ヨッシー!ヨッシー!!(沢山の色の沢山のヨッシーが、マーヨッシーの中でぴょんぴょんはねている) 次 は こ れ を 見 て い る 貴 様 が こ う な る 番 だ 」 ジャン「お前ら、援護ぉ!!!(ウラハシゴリラにボコボコにされているイーノックに居たたまれない気持ちを抱き始めたジャンは、ゴリラに対抗するべく仲間を呼ぼうとした!) 」 ミカサ「やめなさい、ジャン。あれは助からない。 」 イーノック「グゥッグゥッグゥッ(セルフエコー)(”一番いいの”じゃなかったイーノックは哀れにも鎧を破壊され壁に激突してしまう) 」 ジャン「援護ぉ!!! 」 覚醒ノア「諦めなさい、あの命はもう救済できない。 」 ジャン「援護ぉ!!!!!! 」 るーみあたん「そーなのかー(※だが助けない) 」 ペニーワイズ「キョウカちゃんは俺のママだーーー!!!!!!(ワドルディをボコボコにし終え、エイドリアン風に両手をあげながら叫ぶ)…次は貴様をボコボコにする番だ!おら、原宿に行け!!!(艦長から舵を奪おうとする) 」 ジャン「お前らふジャンけんなッ!!!!もういい!(バーーーーンッ!!!)(そう言い高台に立つ)貴様らのせいで誰かが死ぬのはもうごめんだ!!今助ける!!!ジャアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァアアアアアアアアン(高台から飛び降りる) 」 オルガ・イツカ「――――そこまでだァ!!(高音を鳴らし、Dホイールに跨って海の上を滑走するその男、ソード団団長、オルガイツカ。団員の危機に彼は颯爽と現れた)俺はソード団団長、オルガ・イツカだぞ……!団員のお前らが力を貸さない限り、俺一人じゃ浦橋は倒せねえぞ!一人じゃどうすることもできねえからよぉ……俺は情けねぇぞ……(【宝具:希望の花】詠唱終了。 オルガの腕にシグナーの証が浮かび上がる) 」 ジャン「ガシャアアアアアアアアアァァァァァァァン(着地失敗しそのまま山積みのコンテナへ激突していく) 」 バル艦長「あっ!!!!!バカ貴様!!!そんなことしたら―――――― 」 BGM♪: clear mind バ キ ン ッ (ペニーワイズとバル艦長の取っ組み合いの中、船の舵が壊れる。) メイスナイト「ああああああああああああああああああああ~~~~~~~~~~!!!!!!そ、そんなあああああああああ!!!!!(壊れた舵を見て絶望) 」 優木せつ菜「お台場に行きましょう、お台場!(モニター越しに叫ぶ) 」 ペニーワイズ「なんだよー!!!!原宿行けないじゃねーかよ!!(ぇ(舵を船外に放り投げる) 」 バル艦長「……………緊急指令を出す!ただいまをもってこの船の船長を代理のマサオ君に任命する!!!あとはお前がやれ!!!じゃな!!!!(もう歯止めが利かない船の操縦をマサオくんに擦り付け、自身は颯爽と逃げ出した) 」 マサオくん「ふえええええええぇぇぇぇ!?!?!?ぼ、ぼく運転なんてできないよーーーー!!!!(大泣き) 」 リリィ「まさおじゃないもんっ! 」 中須かすみ「ていうか、原宿と渋谷って電車で3分で行けるし一駅しか違わないんですよねー……なんて不毛な争…あっ(舵が壊れたのを見て) 」 ウラハシドンキ「ま・・・・・話すのめんどくせぇから、こういう事だ・・・・・・!どっかあああああああああああああああああああああああああああんっっ!!!(ウラハシゴリラが不意打ちで大爆発を起こし、オルガ、イーノック、その他もろもろに直撃させる) 」 オルガ・イツカ「集いし止まらねえ心が!その先にある俺達の居場所への希望となるからよぉ!光差す鉄血となれ!! アクセル・シンクロォォォォォォォオオオ!!!!!! \キセキーノドラーイブモォットハゲーシクー/ (止まらないオルガの心が!奇跡をもたらし今彼のDホイールは光の速度を超える!! 時空を超え消滅し、再び彼が姿を表すと!そこには!!) 」 伝説の超スマブラー・ニコリン「お前**(ウラハシドンキの爆風でTVを吹き飛ばされ、スマブラを妨害されたニコリンは激怒した) 」 オルガ・イツカ「 【 十―― 疾 風 怒 濤 の 不 死 戦 車 ―――十 】 (踵しか弱点のない不死身の肉体を持つオルガが、それぞれ色違いの五人に増殖し行使エネルギーを纏ってドンキへー向かって駆け抜ける)ブゥゥゥゥゥゥン!!!!!アクセルします!!!!アクセルします!!!!! 」 Dr.マリオ「怒りのあまり暴言するもドラマの規制にかかり伏字にされるニコリン。それでも彼の闘争は止まらない。 」 ヨッシー「一体いつから――――"私が本気を出している"と錯覚していた?クハハハハ!!全て視えているぞ!!!私の勝利がッ!!! 」 」 肩幅の広いピーポくん「規制します(ついでにニコリンの"お前"というワードに規制をかける) 」 ヨッシー「―――――― 【 卍 解 】 " 王 鬼 怒 危 "( お き ど き ) ――――――― (よくわからないがなんかすごい力がウラハシドンキを包み込み重力の奔流で押し潰そうとする) 」 マスカルポーネ「アハハハハ!!(手にしたピカマンでウラハシドンキを何度も突き刺す) 」 ジョスカルポーネ「オホホホホ!!(手にしたピカマンでマルカスポーネと共にウラハシドンキを切り裂いていく) 」 ウラハシドンキ「なーーーーーーーーー!!ゃ、やりやがったなてめぇら!!!ふざけんじゃねぇ!!!いい大人が俺を弄んでんじゃねぇっ!!!!(全員の攻撃を受けるが怯まず殴りかかる) 」 ペニーワイズ「しょうがねえ原宿は山手線で行くか………最後にワドルディてめぇはしねや!!!!(吊るされたワドルディをロープでグルグル巻きにして船外に放り投げ、走り去る) 」 イーノック「 神は言っている―――此処で死ぬ定めではないと―――(爆発に巻き込まれ、死したと思いきや―――まるで巻き戻るように傷が治っていく!)大丈夫だ、問題ない。(キリッ) 」 ヒロ「ヒロを恵比寿へ連れてって!!!(今更現れる) 」 手にしたピカマン「(折れた) 」 野原ひろし「すごいな~。人もいっぱいでにぎやかだし、外国人観光客もいたりして、なんだかまるで…――――― テーマパークに来たみたいだぜ テンション上がるなぁ~。(殺伐とした戦場に最"恐"のサラリーマンが流離う) 」 中須かすみ「(だから恵比寿も電車で3分だし1駅しか違わないって…)(汗)(現れたヒロを見て)というかもう渋谷行きも消滅してるし!(バル艦長が逃げたから) 」 デイジー「トマトマトマーートケチャプップーーーー!!!!!ピザ屋です(ドヤ顔)ご注文の日替わりピザ!マヨコーンピザ!!!お前がピザになるんだよ!!!!トマートマトマトーマトトマート…(トマート…)(トマート…)(トマート…)(※エコー)(トマトを弾丸にしたガトリングで船内にいる選手にぶっぱする) 」 BGM♪:kenzen robo daimidaler opening full ユージ「微分!積分!二次関数うううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!(ウラハシドンキに殴られ退場する) 」 ヒロ「というかむしろ渋谷から西武ドームに行きたい……直通あるからね!乗ろうね!(威圧)……さて、宣伝はこの辺にしとこう(デイジーのトマトガトリングをどういう仕組みかわからないがミラーでウラハシドンキの方へ跳ね返す) 」 ジャン「\ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン/(復帰)俺は誉れあるソード団員でニキティーは俺の嫁だぞ!!!!男なら、意地でも勝たなきゃならねえ時がある!!!!(ブレードを両手に立ち上がる) 」 マサオくん「( キ ュ ピ ー ン ッ ! ! )(カットイン発動)―――ブッ飛ばすぜベイベー!!! 」 クロム「残念だったな!ウォアー!(↑Bをして死ぬ) 」 BGM♪:究極の聖戦 実況猫「おおおおおおお!!この音楽は!!!ドラゴンボール超で有名な「究極の聖戦」!!まさにこの戦闘にふさわしい音楽です!!!気合入っていますねぇ!!! 」 ピカキン「曜ちゃんは俺の嫁だああああああああ!!!!!!!!!!!!!(マサオくんにタックルを喰らわせ舵を奪おうとする) 」 チュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!(覚醒したマサオくんの操縦により、豪華客船が光の速度で海を駆け抜けるッ!!!!!!!) 聖白蓮「コピペ警察だ!!!!!!(実況席にフェラーリで突っ込む) 」 覚醒したマサオくん「あらよっと。(軽い身のこなしでピカキンを避け、手慣れたテクニックで壊れた舵を操縦する) 」 封獣ぬえ「 ど き っ (蓮の存在を察知し逃げ出す) 」 ピカキン「ぎえええええええ曜ちゃああああん!!!!!!気が向いたら僕の連絡先受け取ってねええ!!!!(海に落ちてそのままマサオくんの豪華客船にはねられる) 」 ジャン「ジャンジャンビャンビャン宿命のおおおおおおおおおおお!!!!!(光の速度で動き出した船の反動によって転がり吹き飛び、勢い余って意図せずウラハシゴリラの決穴にブレードを突き刺してしまう) 」 ウラハシドンキ「ぐわああああああああああああああああああっ!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!(ケツにブレードをぶっ刺され♂悶絶する) 」 オケアノスのキャスター「ざばぁ。(海から身長120mぐらいのオケキャスが起き上がり)キュケオーンをお食べ(熱々のキュケオーンをシーギャロップ号にかける) 」 フサギコ「みんな逃げろ!!!!! 」 ジャン「 ガ シ ッ (悶絶するウラハシドンキを掴み、動きを封じようと試みる)ここは俺が食い止める、団長は先に逃げろ!!!! 」 メイスナイト「あっしらも逃げるダス!(先に避難したバル艦長、先に海へ投げ飛ばされたワドルディに続き、こちらも海へ飛び込んで逃走を図る) 」 アックスナイト「それが賢明な判断だな!(メイスナイトに続き海へ飛び込む) 」 イーノック「神は言っている神は神は神は(壮絶に揺れる船内で壁に衝突しまくり、蘇生と死を繰り返している) 」 オケアノスのキャスター「キュケオーンをお食べほらとても美味しい同大プグレットふふっそうだぞキュケオーンは毒にも薬にもなる魔法の料理なんだおいしいすごくおいしいだから食べておくれよピグレット食べてよほら食べて食えよ食え!キュケオーン!オォンオォンキュケオーン!キュけ……キュッっけけっけけケッケッケけえおおおおんネッキュケゆえキュけキュッッッケッッケキュケオーンキュっけえっキュけけけキュケオーンをお太田ベッッベエエお食べオタッバええええ 」 デデデ「こ、こっ、これは確かにまずいZOY…!エスカルゴン!なんとかするZOY!!(ゆさゆさ) 」 エスカルゴン「あばばばばっ、ま、待つでGES陛下…!こんなこともあろうかと、持ってきてて正解だったでGES!(取り出したプチ土管を床に突き刺すと大きな土管に変形する)これで逃げるでGES!(そうしてデデデと共に船内から避難する) 」 オルガ・イツカ「おいジャン。それはな、一丁前に団員が言っていいセリフじゃぁねんだ ┣¨ォォオーン(ジョジョ立ちッ!彼の背後に寄り添って立つモビルスーツ、否、スタンドが黄金の光を放つ)団員を守るのは俺の役目……ソード団団長、オルガ・イツカの役目だ!!(ウラハシドンキの反撃で負傷を負っているにもかかわらず、スタンドでフルパワーのラッシュを放つ)おオオオオオオ!!!ミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカミカァァァァァァァァァアァーッ!!!!!!! 」 圧倒的問題児男子高校生「俺…もう浮かれる気がしねえええええええぜ!!!!!!ほわっ、ほわ―――――(その時、亀井のみ突然発生したオーロラカーテンに飲み込まれる) 」 ソック・リー「なんでええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ 」 ウラハシドンキ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお舐めんじゃねええええええええええええええええ!!!!!!!(ジャンを吹き飛ばし、オルガと最後のラッシュに望む) 」 ジャン「なっ―――――――(ウラハシドンキに吹き飛ばされた衝撃で船の外へ投げ出される)――――団長おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!!!!!(熱々のキュケオーンの大波が、今まさにシーギャロップ号に襲い掛かろうとする!!!!) オルガ・イツカ「(俺がピンチの時に駆けつけないで)何やってるんだミカァァァァァァァ――――――――――ッッッ!!!!!!! ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ グォォォ―――z________ン!!!!(撃ち合いの最中、なぜか互いの体は奇妙な力で中に浮き!月下の中空で行われる頂上決戦へ昇華していたッ!!)俺は止まらねえからよぉ……お前らが止まらねえ限り――――― お前らの先に!あり続けるぞッ!!俺が!オルガ・イツカだからォォォオォ!!!!!!!! 」 ヒロ「……オ、オルガアアアアア!!!!!!…俺も援護するぞ!……リンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリン!!!!!(同じくスタンドでウラハシドンキに向けてラッシュをくらわせる) 」 ロー「 シ ュ ン ッ (ヒロのもとへ瞬間移動し、彼の腕を掴む)―――“シャンブルズ”! シ ュ ン ッ (そして有無を言わさずヒロと共にその場から瞬間的に消え失せた) 」 愛宕「 ニ ッ コ リ (救命ボートの上から浜風の顔をを海面に押し付けキュケオーンを食わせ続けている) 」 浜風「ゴボボボ……ひ、ひどいでしゅあついでしゅ!やめてください!やめて!無理!食べても太らないというのは胃袋が底なしって意味じゃないんで―――バシャァン バシャァン モゴゴゴ 」 ヒロ「!?(ローによってその場から消える) 」 ウラハシドンキ「ミオミオミオミオミオミオミオミオミオミオミオミオリィイイイイイイイイイッ!!!!!!!(オルガとの最終決戦―――互いに覚醒した身勝手の極意が空間も時空も歪ませていく。凄まじい激闘を制していくが…)―――ぐふうううううっ!(身も心もボロボロになったウラハシドンキは、ついにオルガの最後の一撃に吐血をする) 」 ウラハシドンキ「ち・・・・・・ちきしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!(大声で泣き叫ぶ)んぶうううううううううううううううううううううううううううううううっ!!!(そして降りかかる熱々のキュケオーンにより、身体が溶け出した) 」 ――――――ザッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!!(そして万物をも溶かす熱々のキュケオーンがついにシーギャロップ号を飲み込み、船内にいたすべての者たちを無残にも溶かしつくした!!!!) 浜風「いっそのこと溶かしてくれませんかね!!?(浜風は解けることができなかった それどころかキュケオーンを凌駕し、食させられ続けるのだ……) 」 せがた三四郎「少年よ大志を抱け!!(巨大なセガサターンに乗りシーギャロップ号の車庫を突き破って脱出、オルガを含む可能なかぎり助け出せた乗組員を乗せてネバーランドへ飛び立つ) 」 優木せつ菜「………な、なんてことでしょう‥恐ろしや、キュケオーン…… 」 イーノック「神は言っている、ここで死ぬ―――!?(今度こそ死ぬと思ったがせがた三四郎に助け出される) 」 今回の脱落者:悪いノップ、チルノフ、戦士猫、ヲタク猫、ゲッコウガ、CF、マルス、ゼルダ、ピット、聖白蓮、封獣ぬえ、ヨッシー、Dr.マリオ、ニコリン、デイジー、ピーポくん、リリィ、ミカサ、ルーミア、野原ひろし、マサオくん、ユージ、ソック・リー、ウラハシゴリラ 今日の死亡者:ディアボロ 場面代わり、終点―――― ロー「 シ ュ ン ッ (終点へ辿り着き、ヒロを投げ飛ばす)俺がいなけりゃ、即脱落だったぞ…ヒロ屋。 」 ヒロ「…うおっ…!(投げ飛ばされる)……俺がこれを聞くのもなんだが………なぜ、俺を助けた?ここにいるのはみんな敵ってのが大半の認識なはずだが… 」 中須かすみ「キュケオーン……せつ菜先輩の手作りとどっちが破壊力があるんでしょうか… 」 アーロン「……首を突っ込みすぎたようだな。(いつの間にかヒロの傍らにおり) 」 ロー「……ああ、その認識で間違いない。この大会の参加者は皆、「宝」のために他者を蹴落としてでも戦い続ける。だが俺は、「宝」には興味がねえ。つまり、お前の命を奪うつもりも、ましてや戦うつもりもねえ。 」 ヒロ「…………(ローの話を聞き)宝に興味がないなら…あんたはなぜここにいる?宝に興味がないとなると、何か他の目的があるんだろうが…?(アーロンを見て) 」 ロー「(アーロンに一瞥を与える)…俺がお前を助けたのは、医者としての本能じゃない。…「ある奴」からの依頼を受けた。「特異点」…"お前を《 真 実 》へと導け"とな。 」 ヒロ「……俺を?(ローの言葉を聞き)(さては、あいつか……)(士の顔を浮かべ)真実…その真実とやらを突き詰めるためには、俺の力が必要とか、そういうことか? 」 近江彼方「騒がしいなぁ……(まさおくんやウラハシドンキの暴走を眠そうに目を擦りながら見ていた)…おやすみぃ…(また観客席で寝始める) 」 ロー「さあな。俺はお前の力を知らない。だが、そう何度も助けてやるほど俺はお人好しじゃねえ。危機管理能力くらいはこの大乱闘の間で身に着けておけ。時には引き際が大事になるってことだからな。…それはそうと、ハロウィンの日に忠告したことを覚えてるか。…『宝』に踊らされるな。『アレ』はおそらく、俺たちの理解の遥か上を超えていく。 」 桜坂しずく「彼方さん~、まだ闘いは続いてるのに寝ちゃだめですよ~!(観客席で眠りについた彼方を見て) 」 ヒロ「引き際、か…確かに、さっき…(先程の状況を思い出し)……それほどの恐ろしいものだってのかい?その、宝…ってのは。…踊らされてるみんなが、危ないな…(この状況でも周囲を気にかけている) 」 天王寺璃奈「|> △ <| あの船に乗ってた人、みんな溶けちゃったの?……タイタニックより怖い……(モニターを見て) 」 ロー「……あくまで周りが心配か。(ヒロの表情を伺い)悠長な奴だ…この大乱闘だ、いつ自分が死ぬかもわからないってのにな。(ヒロを横切っていく)…だが、お前はそれでいい。そのまま戦い抜き、生き続けろ。やがてすべてが知ることとなる…――――(それだけ言い残し、一人戦場へと静かに赴く) 」 ヒロ「………全て……それが何かを知るには……生き抜くしかないな(ローの言葉に拳を握りしめ、足を止める) 」 ― ペガサス国・ハイウェイ ― ドッグアアアアァァアアアンッ ! ! ! (ハイウェイ路上にて爆音が轟き、地面の一部が瓦解していく) 」 BGM♪:17. Dedicate all your hearts - Attack on Titan Game Soundtrack モララー「――― ボ フ ン ッ ! ! (崩れ落ちていく瓦礫と湧き上がる土煙の中を割って飛び出してくる)――― まだまだいけるぜ。スタンッ―――――ダッ ! ! (路上へと降りたつや否や地面をけり上げ颯爽と滑走する) 」 ザックス「ガシャアァンッ ! ! (モララーと対峙していた男は付近の自動車を素手で掴み上げ)―――ぉらァッ!!!(豪快にそれを投げ飛ばした) 」 モララー「 シ ュ ン ッ ――――― ド ォ ゥ … ッ … ! ! ! (正面より投げ飛ばされた自動車の上へと飛び上がり、車を蹴り上げて受け流し、そのままザックスのもとへと飛び出す) ふき――――とべぇッ!!!(“アンビション”を纏い硬質化した拳で殴り抜ける) 」 ザックス「グッ゛……!!!(モララーの反撃の拳が胸部へと炸裂。弾けるような激痛と共に声を上げる間もなくハイウェイの上から殴り飛ばされ、闇へと落ちていった) 」 モララー「 タ ン … ! (拳を振り抜いたまま路上へと着地し、手首をぐるりと捻る)…っし!(小さくガッツポーズ) 」 キリギリス「さあ、盛り上ってまいりました!大乱闘カオスマッシュピード!!あらゆる世界から集う猛者たちによる一発触発の大激戦!数多の戦士たちが次々と脱落していく中、今なお猛威を振るい続ける真の強者たちが着実に勝利の道へと歩み始めていくー!!!最後まで勝ち進むのは一体…誰だーーーーーーーーーッ!!!??? 」 雷神剣ッ! ――――――ッ!(モララーが回避した後方の自動車のボディから、銃弾のように真っ直ぐ、掛け声と共にモララーめがけ閃光が駆け抜ける) モララー「―――――ッ!?(大気中に迸る僅かな静電気より感じ取った覇気に再び全身に緊張感が駆け巡る)――――――!(跳び上がって間一髪その"雷撃"を回避、そして背後へと着地する)……お前は……!! 」 エゴ猫「よぉし…見てろよお前ら…!!その最後に勝ち残る最強の男こそこの俺様、エg――――エゴハニャ~~~~~ンッ!?!?!?!?!?(路上を突き抜けていく閃光に気が付かずそのまま餌食となり、彗星の如く吹き飛ばされていった) 」 エー「エゴさん……なんてかわいそうな人。(必死に笑いをこらえながら) 」 ウィラーム「やるじゃねーか。その俊敏さ、身体能力だけのものじゃねェな(髑髏の紋章が胸に刻まれた青いコートに、SMDDと書かれた紅地の腕章を身につけている。魔女狩りであった、かつてのヴォイドの姿があった)魔術師の類か?だとしたら俺の敵だ。狩らせてもらうぜ、お前のその魔力を 」 モララー「……やる気だな。(こいつ…どこかで見覚えが…――――)(対峙するウィラームの姿に目を細めながら脳裏をめぐるが、適合できず首を振るう)いや、誰だっていい。相手になるぜ。(にぃと口角を上げ、両の拳を突き合わせる)行くぞおらァ!!!(勢いよく駆け出し、跳躍、ウィラーム目掛け空中から回し蹴りを繰り出す) 」 中須かすみ「うわぁ、あっけな…(エゴ猫を見て) 」 ウィラーム「単調な攻撃だ!雷神剣ッ!(まず、滞空しているモララー目掛け、雷神剣の剣先から拡散する光線を放ち)ガギッ!(保険として、防御を兼ね備えた雷神剣の腹で、回し蹴りを防ぐ)ギギギッ……(雷神剣の重量を突き抜ける鋭い蹴りに、僅かに困惑するが、表情も変えずにモララーの体ごと押し返す)風は風にッ!(押し返したモララーに反撃させまいと、合間を付けずに小竜巻による追撃) 」 優木せつ菜「いえ、しかし…あの方とても強いですよ!(ウィラームを見て)雷神剣……かっこいい名前です!(ウィラームを見て) 」 オケアノスのキャスター「……(見てる)……(見てる) 」 モララー「うおっと…!(蹴りを繰り出す直前に放たれた光線を仰向けに沿って受け流した後客を振り抜き蹴りをウィラームへ)ッ…!(しかし蹴りは彼が持つ雷神剣の剣身へ。その鈍い衝突音に表情が若干歪み、そのまま押し返され着地する)うおら――――っ!?(反撃のストレートフックを繰り出そうとした矢先、小さな竜巻に身動きを封じられ)のわっ…!!(両足を踏ん張って耐え抜こうとするも上空へと投げ出される)…野郎…食らいやがれ!!(火炎魔法“ファイアーボール”による火球を彼の頭上より3弾投げ飛ばした) 」 梓「(観客席より、みてる) 」 見観子「あれ……あれってヴォイド、さん……じゃ、ない。えっ、でもヴォイドさんみたいな……ええ……?(観戦席、思わぬ形で見知った雰囲気だが違う者を見て戸惑う一人)……あれ確かコレ、リアも出てますよね。ていうか出てたの知って私出るのやめたはずですし……うわー当たってほしくない……。 」 ウィラーム「――――(火球の三つ、それらを丁寧に刀身に当てていくと、音もなくそれらの魔法は消滅した)魔術じゃねェな……いや、その違いなんざなんだっていい、魔力があるなら大人しくさせればいい……!(剣を構え直し、モララーの着地を狙い、着地と同時に身体全体を使った大振りな横薙ぎを繰り出す) 」 タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ―――(ハイウェイの路上を疾走し、こちらへ猛烈に迫る音―――1つ) イーリア「―――見つけたぞ、”獲物”(獣の如き姿勢の低さでぬらりと影から現れ、戦う二人を見るや否やその首に向け、)”斬”ッ!!!(光にも迫る音速で放たれる、殺意の塊とも言える凶悪な剣閃が襲いかかるッ!!) 」 アーデルハイト「ヒューゥ!! 在りし日の彼かぁー!リンク解除した私には知り得るはずもない可能性だなぁ。あれに切られるっていうのは新体験につながるのか~し~ら~(花びらが浮いて見える足取りで間合いに揚々と歩み寄る)ねーねー、あなたならあれらを『二手』で首チョンパできちゃうかしら?みてみたいわ 」 モララー「なにッ…!?(目を見張った。自らの魔力で練り上げた火炎魔法を瞬く間に相殺されたのだ、冷静さを保てるわけがない)(間に合わねえ…!!)ドッギンッ――――ドシャアアアァァンンッ ! ! ! (体験を食らう直前にアンビションを纏った両腕を交差して一撃を受け止め、そのままハイウェイの壁へと大激突する)パラパラ…ッ… ……っ…てぇ~…魔法は通用しねえ…なら…! ガッ―――― ボゴォンッ ! (傍らの瓦礫に埋もれていた鉄パイプを引き抜き)クルンクルンクルン――――― バ ッ ! (華麗に振り回しながら腰へと回して身構える) ブ ォ ン ッ ! ! (身体ごと鉄パイプを反時計回 」 オリヴィエ「ふふふ、無理に決まってるじゃないですか馬鹿野郎(笑顔のまま否定する!!!!!)二手……私が防げるかどうかですねぇ、そこから先はまるで読めません(アーデルハイトの服の襟を掴んで持ち上げながら肩を落とす) 」 モララー「っと…!!ド ッ ギ ン ッ ! ! (アンビションを纏い黒く、そして硬質化した鉄パイプを縦に構えイーリアの急襲を受け止める)強そうなのがたくさん来たな…おもしれぇ…!!(にししと不敵に笑む) 」 見観子「うわやっぱ来た!どうしてこういう時の予感って当たるんですかもー!(観客席でやきもきとしながらクレープをモシャる)……ていうか、またなんか見たことあるような、ないような顔が……おかしいなあ……。(目をこする) 」 ウィラーム「よく保ったな。いい一撃入れたと思ったんだがよ(モララーの戦闘続行意志、そして復帰直後とは思えないほどの身軽な棒術を見せられ、表情を歪める) ―― ――(意識外とはいえ、イーリアの閃撃を視界に捉えており)ギンッ!(片手、刀身で防ぐものの、体が後方に大きく仰反る)おいおい、なんだ、今のは剣術か?魔力を感じなかったぞ 」 漆黒の騎士「シュイイイイイン(転移の力で戦闘フィールドに突如出現) 」 モララー「ああ、まともに喰らってりゃ意識が飛びそうなくらいにゃ…とんでもねえ一撃だったよ、間違いなくな…! ガツゥンッ ! ! (鉄パイプを地面に突き刺し)―――ぅぅぉぉおおらぁッ!!!(鉄パイプを軸に身体を振り回して回転し、ウィラーム、そして彼と対を成すように立つイーリアの二人へ、回転の度に何度も蹴りを入れ込んでいく) 」 アーデルハイト「あほらほら、ここにまた『眼』と『的』が増えたわ!(イーリアと見えているのか見えて居ないのか、『カメラ目線』を指差し)あれの首欲しいわ!とぉっても悲しい顔が見れそうなんですもの!(キャッキャッ) 」 タカタ、タカタ、タカタッ… ! ! (ハイウェイを疾駆する黒馬。その上に何者かがまたがり、路上の戦士たちを見据え不敵に笑んでいた)バッ―――――!!!(騎馬した男は高らかと上空へ舞う、そして腰元に携えた六本の"爪"…その六刀を両手に、戦いへと身を投じる) オリヴィエ「生憎そういった類の越は趣味じゃないですね……(片耳に指を突っ込み張り付いた笑顔でさらりと拒否し)――――ああ、まあとはいえ……『二手』縛りにも飽きは来ました。『二十五手』辺りを目標に少し頑張ってみるのも楽しそうですねぇ(魔女、アーデルハイトの首根っこを捕まえたまま首をゆらゆらと揺らし) 」 伊達政宗「―――― 奥州筆頭『伊達政宗』、推して参る!YEAAAAAAAAAAAHッ!!!(帯電する六爪を構え、オリヴィエと漆黒の騎士に上空より斬りかかった) 」 イーリア「どっちも殺す気でやった、だが首がまだ繋がってる。……いいねえ、アタシの獲物はこうでないと。(爛々と輝く真っ赤な瞳を向け、静かな戦意と殺意を湛え舌舐めずりをする)剣術、なんてどうでもいい……アタシが強くなれるなら手段なんて……!!(ウィラームの問いかけに素っ気なく答え、地面に剣を突き立てながら石粉塵を巻き上げ、それに紛れるようにして再び音速で剣閃が放たれる!!) 」 イーリア「ふッ、るぉォァあッ!!!(モララーの放つ回転蹴りを、まるで獣のような姿勢の低さでかわし、懐に潜り込み、支柱となっている鉄パイプを吹き飛ばさんと肘鉄を打ち込む) 」 漆黒の騎士「―――――――――― ガ キ ィ ン ッ ! ! (微塵の隙も無く、伊達政宗の襲撃を神剣エタルドで受け止める) 」 モララー(TURBO)「っお゛…!!?(イーリアの予想外の肘鉄に鉄パイプ額の字に折れ曲がり、転倒しかける)なんて馬鹿力だ…とんでもねえ奴らばかりだ。…やるしかねえみてえだな…ガッ――――“TURBO”。(プシャアアアァァッ… ! ! ! )(拳を突き合わせると全身から蒸気が溢れ出す) 」 オリヴィエ「(視覚せず伊達政宗の気配を感じ取るが、漆黒の騎士の防御を読み自らは防御に徹さずゆったりと両者のつばぜり合いの間に歩を進め間合いの外へ)―――――あなたは(背越しに見返り一瞥をやる。穏やかに細めた戦場にはおよそふさわしくない瞳に笑みを湛えて)―――何手打てば積むのでしょうね……ふふっ、どうやら……答えはこれで聞くしかないようです(鍔迫り合いになる漆黒の騎士、伊達政宗両名を狙い、光を乱反射する三日月状の軌跡を残して大振りな一閃を振るう) 」 桜坂しずく「む、むむ…すごい…!!(イーリアとモララーの一戦を見て)………!?(モララーから溢れ出した蒸気を見て)す、すごい熱気です! 」 漆黒の騎士「ほう………貴殿が私の相手というわけか。ならば………其相応でなくては。 」 伊達政宗「 ニ ィ ッ … ! (伸ばした爪が漆黒の剣に受け止められ、独眼竜の鼓動は更に高鳴る) はんッ!!(そしてその体制のまま仰向けに身体を反りオリヴィエの一閃を受け流し、ふわりと地面へ着地する)―――― MARVELOUSだ!!俺に「眼」に狂いはねえ!楽しもうぜ…Have a PARTY !!!!(六爪から迸る稲妻の閃撃がアスファルトを抉り、オリヴィエと漆黒の騎士に襲い掛かる) 」 BGM♪ 【戦国BASARA】BLAZE~Crimson Lotus~MIX Ver【蒼紅】 イーリア「そこの猫だか何だかよくわからんナマモノ……”出し惜しみ”なんてズルいじゃないの。(TURBOを発動させたモララーに、突き刺さるような冷たい殺意を向ける)全力で来なさいよ……でないと、飢えて飢えて仕方ないのよ……ッ!!(先程の凶悪な剣閃を放つ―――と思えばそれを魔力で固定化し、掴んでモララーにブン投げた!!) 」 オリヴィエ「(予備動作なく納刀した刀を抱くようにして手にし、慎ましく伏した笑みで一礼)――――『三色雨久花 ミズアオイ :”舞”』(そして抜刀までの動作を省略し、恐ろしく『鈍い』踏み込みで伊達、漆黒の間合いへ踏み込む) 」 漆黒の騎士「フッ………否。――――――――――この一撃で終わらせてくれよう。 ティキーンッ!!(奥義【月光】発動。襲来するオリヴィエと伊達政宗を強烈な連斬で迎え撃つ) 」 モララー(TURBO)「ああ…だから、本気で行くぜ。グ ゥ ン ―――― ド ヒ ュ ン ッ ! ! ! (前のめりに倒れだしたと思われたその時、疾風迅雷の如き圧倒的な速度で放たれた剣閃を潜り抜ける)――――ッらああぁッ!!!(イーリアに向けて拳を振り下ろす、と見せかけ、彼女の足元めがけ拳を振り下ろし足元を豪快に崩した) 」 伊達政宗「HAッ!!!!(双方より迫る猛者に刀を振るい牽制)―――“DEATH FANG”!!(三本の刀でオリヴィエを斬り上げようと攻撃を仕掛ける) 」 イーリア「いいわね、そうよそうでなくちゃ……!!(崩れる足元、普通ならばここでは引く―――だが彼女は引かない。)ダンッ!!!(自分の背後に剣閃を放ち、その衝撃で弾き出されるようにモララーへ突貫、剣を構え―――振り抜―――いたのは剣ではなく、予想を裏切る蹴り―――!!) 」 モララー(TURBO)「……!(おっ、そう来たか…!)(彼女の予想外の行動に驚嘆しつつも、意表を突かれたことで心の何処かで興奮し始める)―――つぇりゃああぁッ!!( ド ゥ ン ッ ! ! ! )(イーリアの蹴りに対し、こちらも突き出した蹴りを炸裂させ、互いに衝突し合う) 」 オリヴィエ「キュ オ ン (恐ろしく、重力を感じさせないほどまでに鈍かった彼女の動きが一転、漆黒の剣先が既に頬に僅かに触れ肉を割く寸前まで迫って居たにも関わらず刹那的にスライド移動し回避。緩やかに、そして一陣の風のように素早く、緩急自在に立ち回り斬撃を事ごくかいくぐる) ニ ン ッ (悦を予見し期待する笑んだ眼差しを両名に向け、『蛇が如く自在に曲線を描く斬撃』を舞うようにして振るう。斬撃はそれぞれ漆黒の胴、伊達の腕を狙って広範囲に及んだ) 」 イーリア「ぐ、ぬぉぉぉぉおおおおおあああァァアアアアア!!!(強烈な蹴りと蹴りの衝突、ギリギリと拮抗し蹴り飛ばし、反動で大きく吹き飛ぶ)ドガシャァッ!!(そして、ハイウェイの路上を大きく陥没させ大きく土煙を立てた)―――ペッ。(その中から血を吐き捨て、やや血に塗れるも健在なまま姿を表す)……やるじゃないの、いいモンもらったわ。 」 伊達政宗「……!(バシャアアアァァンッ ! ! ! )(蛇のようにしなる斬撃を、龍の如く食らいつく豪快な雷撃でいなしていく)トリッキーなことしやがるぜ!! 」 漆黒の騎士「(オリヴィエの斬撃を受けるが…) キ ン ッ ! ! NO DAMAGE 」 ウィラーム「(こいつらの動きが機敏というか、音を超え始めてきた。土俵に上がれそうもねェな……)(二人の剣劇の巻き添えを喰らっており、至るところから血が飛び出ている)筋肉の物量がちげぇ、ここは退散だ…! 」 モララー(TURBO)「ずおっ…ズガガガガガッ… ! ! ! (蹴り飛ばされ、両足を踏んばりながら着地し地面がその軌跡で抉れていく)今のはびっくりモンだぜ…!ダッ……“TURBOライフル”ッ!!(走り出す最中、腕を捻りながら後ろに伸ばし、その反動で拳を回転させながら前方に高速で繰り出すコークスクリューブローを、彼女の目前まで迫ったところでお見舞いする) 」 オリヴィエ「それなりに本気だったんですけど……残念(心にもない事を口走る。心底愉快そうに口元を綻ばせ長い髪をはためかせながらサイドステップを踏み、伊達の剣の間合いのギリギリを維持しながら彼の左手側へ常に回り込むようにして立ち回り)――――『二手目』です。ふふっ、ねえ独眼竜さん……どうか……――――死なないでくださいね(この戦場に足を踏み入れて以来、初めて『目を見開いた』)――――【伍式竜胆:迅】(風切り音の響くほどに素早いサイドステップに注ぐサイドステップ、そこから一気に伊達へ狙いを定め予備動作なしに納刀からの疾走。すれ違い様――――) 」 キュ オ”ッ!! ギャリリリリリ ィンッッ!!!!(自分を中心にし、何重にも円を描いて重ねたかのような居合による斬撃を放ちながら駆け抜ける) イーリア「あぁッ、こら逃げるなァ!!(目敏く引こうとするウィラームに咄嗟で剣閃を放つが、狙いがぶれてしまい大きく空振りする)くっ、そ……!!(ギリギリと歯軋り)これで驚いてるようなら、アンタはもっと驚嘆することになる―――ッ!!(迫りくる強烈なブロー、それを先程より負傷しているにも関わらず―――否、負傷してから明確に高まった運動性能で潜り抜け、懐に飛び込んで―――腕へ獰猛に噛み付く!!) 」 モララー(TURBO)「ぎゃひぃいいいん!?!?!?!?(まさかの噛みつきに目が星になる)いででででででッ!!!いでッ!!いでえよこのッ!!あいででででででッ!!!!(涙目でイーリアの顔面を押しのけようと奮闘?する) 」 イーリア「ふゥゥゥゥゥゥゥッ!!!(思いっきり噛み付いたまま、足を揃えてモララーの腹部を蹴り放ち、肉を引き千切りながら距離を取り―――)『閃・襲牙』ッ!!(先程よりも威力は劣るが、圧倒的に疾い―――光速に至るほどの剣閃を追い打ちで放った!!) 」 漆黒の騎士「…貴殿らの戦い、大したものだ。……が、いずれも私を超越するものには遠く及ばぬ。 」 伊達政宗「ッ…!この独眼竜を翻弄しようってか?(四方を駆け抜けるオリヴィエに対し、六爪を構えたまましっかりと身構える)イェェェエエエエァッ!!!!(両の手にそれぞれに構えた三刀を器用に、そして豪快に振り回し、四方八方より襲い掛かる斬撃の奔流に対抗し、弾き返していく)ガキィンッキャギィンッ、ガンッ ! ! ! ギギィンッ、ガキャァンッ、ギィンッカンッ ! ! ! (互いの斬撃が衝突し合い、火花が飛び交う) 」 モララー(TURBO)「づぁ…ッ…!!!(腹を蹴られ、肉を引き千切られ悶絶する間もなく―――)――――どはああぁぁッ!!!(追撃の剣閃に地面へ叩きつけられるように直撃し、激しい瓦解音と共に土煙に呑まれた) 」 イーリア「グチャッ、ギギ……ゴ ク ン(引きちぎった肉を喰らい、飲み込んでしまう)手負いのケモノは恐ろしい―――お返しとしては上等よね。(ギラギラとした瞳を土煙に向け、”まだ何か来る”事に強い期待を向けている。口元を手でさっと拭い、興奮に獰猛な笑みを隠しきれていない) 」 漆黒の騎士「ふむ…… しばしの間、時を与えるとしよう。(転移の力を発動し、消える) 」 ―――――バリズッシャアアアアアアアアアアアァァァァアアアアアアアンッ ! ! ! ! ! ! ! (その時、モララーが埋もれていると思われる個所に稲妻が落雷。強烈な落雷は当たりの瓦礫を吹き飛ばし、衝撃と共に青い稲妻が大気中へと迸った) モララー「バリッ……バリバリィッ………悪ぃな兄ちゃん。(土煙の中から姿を現したのは全身に帯電した英雄。その手に握られていたのは…―――――)――――ちょっくら借りてくぞ。(――――神をも屠る雷(いかずち)の剣『雷神剣』)さぁて……第二ラウンドと行こうぜ。(肉を引き千切られ肉体機能を失った左腕。右手に握られた雷神剣を肩に乗せ、英雄は大胆不敵に笑む) 」 オリヴィエ「ギィンッ!!!シュッ ガッ ギリィィン!!!(何も一振りにして軌跡が輪を描く広範囲に及び隙のない斬撃を幾度も振るい伊達との殺陣にもつれ込む。火花どころか地表に残痕が繰り返し刻まれ、その感覚の度に瞳が爛々と輝きに燃ゆ)――――既に二十五手……!! 小手先は勿論ですが……良い……あなたは良いです……!(真っ正面からの打ち合いを続けて居たが、剣戟を繰り広げつつ左手側に移動し始める。常に伊達の肉体的ハンデ、眼帯の死角へ) 」 イーリア「ふ、フフ……いいじゃない。殺し合いに上等なんてものはない、結局どう取り繕ってもこれは命の奪い合い―――理性で律するヒトではなく、本能で突き動くケモノに成り下がろうじゃないの……!!(予想にない第三回答に、口元を大きく歪ませ目を見開いて歓喜する)ガキ……シャァッ(右手に握るは獣王刀、そして左手にずっと背負っていた黒い大剣―――タイラントファングを握りしめ―――初めて剣士の構えらしい構えを取る) 」 モララー(エンドリ)「…“エンドリ”…!バチッ…バリィンッ ! ! ! (全身に蒼白い電流が迸り、稲妻そのものと化す)「こいつ」は一癖も二癖もある。最初からこいつの持ち主はただひとりだ。だが俺は…こいつに何か運命を感じた。こいつは俺を拒絶するだろうが、俺はこいつと一緒に見てみてぇ。「こいつに選ばれた男」が歩んできた世界をな――――(自らも電となることで、雷神剣との適合を物にする…否、自身の絆が呼び寄せた奇跡だ。決して他者を受け入れない剣と、真っ向から結ぼうと歩み続けた者が成した、奇跡。)…こいよ。こっからすべて"一瞬"だぞ。(態勢を変えず、そのまま待ち構える) 」 伊達政宗「どちかが勝ち、どちからが死ぬ…!憎悪に塗れたDEATH MATCHだ!Have no choice…!だから今、あんたとやり合っておきてぇんだ!!!ヤーハァーーーッ!!!!!(剥きだされた瞳から迸る眼光の軌跡を揺らめかせ、独眼竜は天へと飛翔する)―――“PHANTOM DIVE”!!!!(上空から六爪を振り下ろし、大地に剣閃と雷撃が炸裂し、自らを取り囲むように移動するオリヴィエを吹き飛ばした) 」 イーリア「上等。剛よく柔を叩き潰してやるわ……ッ!!(自らの脇腹を獣王刀で自傷し、滴る血を飲み干すように刀身が輝きを放つ……また、更に負傷したことにより目の紅さはより濃くなってゆく)―――ふッ!!!(そして、引き絞った矢の如く、今までで最も素早くモララーとの距離を詰めていく!!) 」 オリヴィエ「 !! (範囲攻撃――――!!) い”ッッつァァ”……ッ!!(彼の飛翔から斬撃を振り下ろすのに過不足ない間合いを取ろうとバックステップを踏むが、雷を回避するには距離が不足していた。電気は刃から手に伝導するので防御不可。咄嗟に追加のステップで距離をおいたため直撃を免れるが左肩、左頬が焼け焦げ煙が上がる)―――ニンッ(―――が、雷撃の渦中にある最中……彼女の笑みは崩れるどころか肉体が悲鳴をあげるにもかかわらず『好機』を得たようにして増した) 」 モララー(エンドリ)「 ヒ ュ オ ン ッ ――――(疾風迅雷の勢いでイーリアと同タイミングで突撃し、衝突する) 」 ド グ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ オ オ オ ン ッ ! ! ! ! ! ! (モララーとイーリアの衝突により、ハイウェイの道が一瞬で消し飛ばされ、周辺のビルの窓が一斉に割れ始めた) モララー(エンドリ)「タンッ――――― ド ン ッ ! (崩れ行く瓦礫の上へ飛び乗り、宙へと舞い上がる) 」 伊達政宗「見せてみな、ここがあんたの――――――― ク ラ イ マ ッ ク ス だ ! ! !(オリヴィエに三刀を突きつけ、突撃する) 」 イーリア「ダダダダダダンッ!!!(乱反射する光の如く、直角に、しかし機動を悟らせぬようランダムに飛び跳ね)おおおおおおッ!!!(獣の如き咆哮で猛り狂い、タイラントファングから薙ぎ払う剣閃、獣王刀から安易な回避を咎める鋭く疾い一閃を放つ!!) 」 オリヴィエ「――――このセリフは生涯で二度目ですか……キザで柄でもない、二度というまいと腹に決めて居ましたが……『ラストワルツを踊ろうか』( 伊達の放った雷を『帯電』したまま、両腕を広げ崩壊するハイウェイの瓦礫の中へ自ら背を投げることで伊達の突きを回避するが落下し……) トッ… ガ ッ !! ガガッガガガガッッ!!!!!(瓦礫片を蹴って直線上の閃光の如き直線的軌跡を残し瓦礫群内を目にも留まらぬ速さで広範囲にわたり自在に移動。落下する瓦礫を足場にした空中戦へ伊達を誘い込む、) 」 モララー(エンドリ)「…雷震(ソニック)――――"撫無"(ブーム)。(雷神剣から迸る電撃が空間を振動させることで、イーリアの斬撃が歪曲し、消滅する) ガ ッ ――――― ズ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ ァン ッ ! ! ! ! (その後空中でふわりとイーリアの頭上へ移動し、帯電した脚部によるサマーソルトキックで瓦礫だらけの地面へと撃墜させる) 」 伊達政宗「独眼竜は"伊達"じゃねえぇ!!!ハッ!!!(六爪を翼の如く広げ、勢い良く、天高く、跳び上がる)Well done…上等だ――――竜の舞に酔い痴れな!!!“Hell or Heaven”!!!!YEAAAAAHッ!!!!(強烈な稲妻を纏った六爪で右からの振り上げ、左からの振り上げ、最後に回転して×状に切り裂く) 」 イーリア「ぐ、ッ……!!(獣の判断力か、脚部の帯電を見逃さず”剣で防ぐ”のではなく、あえて背を向けて剣の鞘で受け止め感電を収め、そのまま失墜するも―――)ぅおらッ!!(強烈な剣閃で勢いを殺し……”斬れ”ない、咄嗟に受け身を取ってダメージを最小限に止め素早くモララーに対し見上げる形で構える)その剣……やっぱり碌でもないカタブツね、以前見た時からずっと厄介だと思ってたけど……沁みるわね。 」 モララー(エンドリ)「ああ、とんだ暴れもんだよ「こいつ」ぁよ…!!(片腕のみでとてつもない重量を誇る剣を振りかぶり)――――“雪は雪に”!!(雪が如く幽寂術―――剣を突き出した構えのまま、重力を超えた長足急降下でイーリアのもとへと突撃し、地割衝撃刃を繰り出そうとする) 」 オリヴィエ「 ク ンッ (音速で瓦礫から瓦礫へ移動するが尚も伊達政宗の剣速は、見開かれた竜の隻眼は確実に彼女を捉える。一撃目の斬り上げは空中で自由が効かないので上体を捻って回避) ヒュ オ……!!(あえて蹴りを空振りさせ1回転し無理やり自身の重心を変え左の切り上げが彼女の鼻の先をすれすれに吹き抜け) ッツ!! (刃を水平に、手を峰にも添えて両手でX字斬りを受け止める。勢いは殺しきれず後方へ吹っ飛び) ┣¨ンッ!!(吹っ飛ばされた先で落下中の大きな瓦礫に足をつけ着地、衝撃が確実に体内にダメージを与える。すぐに瓦礫を蹴って再び広範囲を音速の移動で駆け抜け) 」 オリヴィエ「 ザンッッ!!! ザグッ!!! (ハイウェイの崩壊に巻き込まれ瓦礫を足場にしている参加者達を障害物程度の感覚で切り刻みながら移動し)―――――【四式青桐:翡翠】!!!(四方八方から、中空を駆け抜けながらの直線上の斬撃を伊達めがけ穿ち続ける。そさながら一本の光線、それらが伊達政宗一点に集中しアスタリスク模様を描いていく) 」 イーリア「(次の攻撃―――もう食らえるほど猶予はない、限界も近い。今にも頭が狂いそう―――やれるか?否、やるしか……ない……)上等じゃないの……ッ、ダンッ!!!(力強く地面を踏みしめ飛翔、攻撃のモーションへ割り込むような形で両刃を構え―――)『閃・返しの型』『死閃』ッッッッ!!!!(二対の刃が触れ合う。受けから繰り出された刀の剣閃は相手のの下を通り、”衝き上げる”形で大きく機動を逸らしにかかる。そして方や黒い大剣は雷神剣と”打ち合った瞬間”に、幾度となく放たれた剣閃は今までよりも遥かに疾く、獰猛な威力に、今まで以上に正確さを持ちながら振り抜かれた!!) 」 伊達政宗「Shit…ッ…!!!(洗練されたかのように鋭い軌道を描きながら迫る光線の如きか細い剣閃を撃ち落とさんと刀を振るうが、竜の爪を掻い潜るそれらの攻撃に翻弄され、兜や鎧に傷跡が次々と刻まれていく)……Niceなsenseだ、アンタ。小十郎の野郎もたまげるトリックだ!!だったら独眼竜もそれに応えるしかねえ…!(はっ…オレとしたことがCOOLじゃねぇな…だか、倒れるわけにはいかねぇ!)―――― Come on! It s not over yet!!(オリヴィエを頭上に、火砲の地面へと降り立つ。そして六爪の切っ先を一点に集中させると、刀身に稲妻が迸り瞬く間に帯電する) 」 オリヴィエ「―――――!!(独眼竜伊達政宗……彼の雷が………数多の将を灰燼に帰した神技が来る――――!!)ッ…… チンッ(その様子を見やるや納刀、瞳を瞼で閉ざし……) ヒュ オ (黒夜に聳える月をバッグに、納めた刀の柄に手を添えたまま、伊達政宗目掛け空を切り自由落下していく)――――【十式―――:――――】 」 モララー(エンドリ)「ヅっ゛っ゛…!!!( ガ ギ ャ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! ! )(イーリアの覚悟の"刃"を、衝撃を受け止めた雷神剣を伝って感じ取る。そしてその時、自身は確信した。この剣の神髄を…持つ者に与える奇跡の力を――――)がはぁ…ッ…!!!(我に返った時、イーリアの凄まじい一撃に耐えきれず、そのまま大地へと叩きつけられる) 」 モララー(エンドリ)「パラパラ…ッ…(瓦礫と土煙に覆われ、ゆらりと力なく起き上がる)……ああ、"わかった"よ…(土煙の中からゆっくりと姿を現し、伊達政宗と同じ路上へと並び、上空のイーリアへとまっすぐな視線を向ける。稲妻の剣(つるぎ)を前方へと突きつけると、剣身に稲妻が迸る。音を立て、震えを起こし、今にも叫ばんとする剣をしっかりと抑えつけるように、噛み千切られた左腕をそっと右手に添える) 」 伊達政宗「地に堕ちた…?NO!地に降りたのさ!!天も地も総べるのは―――― 奥州筆頭『伊達政宗』、この俺だッ!!!!(帯電した六爪に集う電流が限界に達した時、光を放つ――――) 」 モララー(エンドリ)「バリバリバリィッ…!!!!!(極限まで帯びる雷が雄叫びを上げる)――――――――――― 行くぞ、『雷神剣』。(英雄は剣に運命を託し、剣は英雄に意志を託す。織りなす奇跡が、光を放つ―――――) 」 モララー&伊達政宗『―――――― “ 軈 て 咽 ぶ 息 吹 ”( ラ イ ト ニ ン グ ブ リ ザ ー ド ) ―――――――』 ド ギ ュ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ー ー ッ ! ! ! ! ! (雷神剣を持つモララーと、六爪を構える伊達政宗の両者から放たれた稲妻が混ざり合い、獣を、神を、すべてを一瞬で喰らいつくすほどの強大な雷の閃光がイーリアとオリヴィエの二人もろとも空間を貫いた) イーリア「(やはり”来た”!隠し玉は、存在した!避けられる?否、断じて。耐えられる?不可、決して。だが―――死線を潜るのはいつものことだ、これは最悪の賭け―――いつものことだ。狩人<ハンター>は諦めが悪い……!!)受けて立って、やろうじゃないの……!!!(壮絶な雷撃を前に、2刃の剣を構え直し―――上段と下段。)スーッ―――「獣王閃」「暴君牙」『二重閃』ッッッッ!!!!!(猛然と、立ち向かう。血を啜った獣王刀はその醜悪な牙を下段から剥き、圧政するタイラントファングは叩き伏せるような上段の一撃を―――交差させその一撃と真っ向から打ち合った―――) 」 オリヴィエ「―――――シィィイイイイイ イ イ イ イ (歯を食いしばった口から煙が噴き出す。既に彼女は『帯電』していた。伊達政宗の雷を、その身を持って一度受け止めていた。それとは比にならない出力だが、それでも尚彼女は) オ ッ (進んで、その雷の本流に落下し飲み込まれる。その間際、一瞬だけ『抜刀』した瞬間が映った) 」 イーリア「ぐ、ッ――――――!!!!(重い、今まで打ち合った何よりも!遥かに、遥かに!!ケモノと打ち合うのとは訳が違う、雷撃に目が、身体が、いや心さえも灼かれそうになる!!だが―――楽しい……こんなにも!!滾っている!!!)あの子を、護るには……ッ、こんなんじゃあ……!!!まだまだ足りないのよ!!!!(ほんの一瞬垣間見た”結果”を、疑わない。”そこ”へ至るために肌が焼け焦げる、気にも停めない。吹き出る血飛沫に意識を奪われそうになる、食いしばる。そうして気が遠くなるような、けれど一瞬の鍔迫り合い―――) 」 ―――――――― ド オ ゥ ッ ! ! ――――――――(国という一つの広大なフィールドが、瞬く間に光に包まれていく。光は弾け、そこに残ったものはない。あの光の中で何が起きたのか、そして光と共に消えた彼らはどこへ行ったのか―――― その行く末は、誰も知らない) 大乱闘カオスマッシュピードへ戻る
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第3話(BS35)「託される覚悟」( 1 / 2 / 3 / 4 ) 1.0. 女領主の憂鬱 ヴァレフール七男爵の一人、ユーフィー・リルクロート(下図)が治めるテイタニアの街。そこでは半年前、近隣のパルトーク湖における湖底火山の噴火による「湖中(火山島)」の出現に伴う大水害と、その火山から出現した「黒蜥蜴のような巨大魔獣」の出現という混沌災害に見舞われた。 最終的には、ユーフィーの妹サーシャ(下図)の身を呈した封印術により、巨大魔獣はその場で昏睡状態となり、現在も湖畔で横たわった状態が続いている(ブレトランドの英霊6参照)。この間に魔獣にとどめを刺そうとする者もいたが、下手に刺激をすると再び目を覚ます可能性が高いということで、その魔物や火山に近付くことは固く禁じられていた。 ユーフィーとその側近の極一部の者達だけが掴んでいる情報によれば、この魔獣の正体は、四百年前に英雄王エルムンドの七騎士の筆頭格であった女騎士マルカートが、その聖印を混沌核に書き換えられたことでその身を「異界の魔獣」に変えられてしまった存在であるという。だが、マルカートはそのような姿になってもなお、主であるエルムンドとの深い絆故に人としての心を失わず、パルトーク湖の湖底火山の奥に眠っていた大毒龍ヴァレフスの「欠片」から生まれる魔物達との間で、人知れず四百年に渡る孤独な戦いを続けてきた。しかし、エルムンドの死後、自らの「主」を定めずにいたことが災いして、遂にその「人としての精神」が限界に達し、自らの理性を怪物の本能が上回った暴走状態のまま、湖底火山を爆発させた上で、地上に出現してしまったのである。 マルカートと縁の深い「通りすがりの魔法少女」の見解によれば、マルカートが「人の心」を取り戻すためには、彼女が心を委ねるに足る「新たな主」が必要であり、その資格を持ちうる者は、マルカートの側近であった四百年前のテイタニア領主の末裔(リルクロート家)か、もしくは彼女自身の子孫であるヴァレフール伯爵家(インサルンド家)のいずれかの血筋の者達であるらしい。 そして、その「新たな主」の契約の証となるのが、リルクロート家に伝わる(元来はマルカートとエルムンドの間の愛の証として作られた)「オリハルコンの指輪」だったのだが、既に一度暴走状態となってしまったマルカートの精神を鎮めるためには、最低でも「侯爵」級以上の聖印を持つ者でなければ、その指輪を装着して彼女と心を同調させようとした途端に、その暴走した混沌の闇に飲まれてしまうと、その魔法少女は語る。そして、半年前の時点でブレトランドにはその条件を持つ者が誰もいなかったため、ひとまずリルクロート家の一員であるサーシャが指輪を装着した上で、その直後に(魂が闇に飲み込まれる前に)魔法少女の特殊な魔術によってサーシャごとマルカートを昏睡させることになった。ユーフィーはサーシャを救おうと、自らの聖印を侯爵級以上にまで成長させるために、近隣の魔境討伐に勤しんではいたが、その実現にはまだ程遠い状態である。 そんなユーフィーは最近、ふと唐突に子供の頃の記憶を思い返すようになった。まだ父も兄達も健在で、自分が領主になる未来など考えていなかった頃、彼女には「魔法師になりたい」という夢があった。 その頃に出会った一人の少年との思い出 が、なぜかここ数日、幾度も彼女の脳裏を過ぎるようになったのである。 (なぜ今更、あの時のことを……? もう私には、彼との約束を果たすことは出来ないのに……) もしかたら、これも何かの予兆なのかもしれない。彼との再会を心のどこかで願い続けた彼女は、ひっそりとそんな想いに浸る。だが、そんな彼女の感傷をかき消すような凶報が、彼女の耳に届けられることになるのであった。 1.1. 火山島の異変 湖に出現したまま放置されていた火山島を監視していた偵察兵達から、「火山島の奥から激しく混沌が躍動する気配が感じられる」という報告が、ユーフィーの契約魔法師であるインディゴ・クレセント(下図)の元に届けられた。どうやら、半年前までマルカートによって鎮圧されていた「ヴァレフスの欠片」が、彼女がいなくなったことによって歯止めが効かなくなり、遂にはその影響が火山の外にまで及ぼうとしている状態であるらしい。 この事態を重く見たユーフィーは、自らの総指揮の下で、部下である邪紋使いのアレス(下図左)と地球人のハーミア(下図右)を部隊長とした調査兵団を結成し、火山島の火口の奥へと向かうことになった。本来であれば、混沌に関する知識を持つ魔法師のインディゴも同行させたいところだが、この異変に連動して街の近くでも混沌災害が起きる可能性がある以上、ユーフィー不在の間の指揮官として、インディゴを領主代行として残さざるを得なかったのである。アレスやハーミアでは、能力的にも立場的にも性格的にも、長期に渡って街を統括する役割には向いていなかった(せめてサーシャが万全の状態であれば、また話は違っていたかもしれないが)。 だが、出撃から数日経っても、調査兵団は帰って来ない。火山島から魔物が出現するような事態には至っていないため、まだ火口の奥での調査が続いているのだろうと思われるが、町の人々の間では不安が広がる。中でも、ユーフィーが日頃から世話をしていた子供達は、彼女がいない寂しさに表情を曇らせていた。 そんなある日、町の様子を巡回していたインディゴに対して、そんな子供達が駆け寄って来る。 「ねぇ、お姉ちゃん、まだ帰ってこないの?」 「バカ! 『領主様』だろ! すみません、魔法師様……」 そんな子供達に対して、インディゴは落ち着いた口調で答える。 「相手は混沌なのだから、時間がかかることもあります。街の人々を置いてどこかに行ってしまうような領主様ではないことは、皆さんも知っているでしょう?」 そう言われた子供達は「魔法師様がそう仰るなら、きっと大丈夫なんだろう」と自分達同士で互いに言い聞かせながら立ち去って行く。とはいえ、インディゴ自身の中でもまた、今のこの状況への不安感は日に日に高まっていたのも事実であった。 1.2. 母と祖母 その頃、「レア姫」を護送する形で港町オディールから首都ドラグボロゥへと向かっていたトオヤ達の中で、なぜかカーラだけは、自分たちが向かおうとしている方角の更に奥の方から、何らかの混沌災害の予兆が広がりつつあることに気付いていた。 彼女は、先日の船上でのオブリビヨンとの戦いの直後、母であるヴィルスラグとの間で交わされていた会話の内容を思い出す。 ****** 「母様は今回は、ワトホート様のために働いていた、ということでよろしいのでしょうか?」 それまで自分のことを「異界の武器の投影体」だと思っていたカーラは、それまで自分とは無縁だと思っていた「母」という存在を目の当たりにして戸惑いながらも、「娘として、母を相手に語るべき口調」を模索しながら、そう問いかけた。 「まぁ、そういうことになるな。それが私の使命。私達オルガノンは持ち主のために戦う。それは、お前も同じだろう?」 厳密に言えば、カーラは「オルガノン」ではない。だが、母の血を強く受け継いだのか、その身体機能は完全にオルガノンのそれであり、彼女自身も自分がオルガノンであると信じて生きてきたためか、その点に関してはカーラも完全に同意出来た。彼女は明らかにぎこちない口調のまま、母に対して今の自分の想いを率直に伝える。 「えぇ。私もトオヤ様の願いを叶えるために、トオヤ様の下で働いています。そして『トオヤ様の願い』は、おそらく『ワトホート様の願い』にとっての『害』にはならないと思うのです。あの方は『自分の周りの人々を守りたい』とお考えの方です。どうか母様、あまりトオヤ様を敵対視しないで頂けると嬉しいのですが……」 「私も『娘の主』と戦いたくはない。だが、我々道具は本来『意志』を持つべきではないとも思っている。もっとも、私が私自身の『意志』を持つことがなければ、そもそもお主は生まれなかった訳だがな」 自嘲的にそう語るヴィルスラグに対して、カーラがどう反応すれば良いか分からない顔を浮かべていると、ヴィルスラグは苦笑を浮かべながらも真剣な声色で話を続ける。 「一応、言っておくがな、私はお前が誰とどうなろうが放任するつもりだ。ただ、相手に妻がいる場合は覚悟しておけよ」 「いや、別に私は『女の幸せ』を求めている訳ではなく……」 「『今』はそうだろうな。私も、昔はそう思っていた」 ヴィルスラグはそう呟きつつも、さすがにこれ以上、この話題を続けるのは不毛だと感じたのか、話を本題に戻す。 「まぁ、それはともかく、実際のところ『今の私の主』も、なるべく友好的に和解を結ぼうと考えてはいるし、『お前の主』のこともそれなりに高く評価している。反体制派の中では貴重な『話の出来る人物』である、とな」 逆に言えば、トオヤ以外の者達とは対話も出来ない、と言っているようにも聞こえる。この点についても、カーラとしては反論する気はなかった。 「確かに、あるじ様のお爺様は強硬というか頑固というか……、あの方をどうにかしないと確かにどうにもならないのですが、でも、あるじ様のお爺様だから、私が直接何かするという訳にもいかなくて……」 「そこはあまりに気にしない方が良い。道具は道具に徹した方が楽だ。初めての主に対しては特別な思いがあるだろうが、何代もの手に渡っていくごとに、それも徐々に割り切れていく」 四百年にわたり、様々な人々の手で継承されてきた母がそう語ったのに対し、カーラとしては完全に納得は出来ないまでも、その言葉の重みは十分に理解していた。 「なるほど……、精進します。それはそれとして、私も、トオヤ様も、チシャお嬢も、レア様のために働いているということを、ワトホート様にもお伝え頂けると嬉しいのですが……」 「分かった。私としても、レア様はいずれ私の主になるかもしれないお方である以上、そう言ってもらえるのは嬉しい。ただ、あのレア様、私が知っているレア様と少々違っているような気がするというか……、なぜかエルムンド様の気配を感じられないのだが……」 そう言われたカーラは、目をそらしながらどうにかごまかそうとするが、なかなか言葉が出てこない。 「えーっと、その、先ほどの言葉を少々訂正いたしましょう。我々は『レア様』と『レア様のお立場』のために…………」 明らかにシドロモドロな娘の様子から、ヴィルスラグは何かを悟ったような顔を見せる。 「詳しく言えない事情があるのであれば、私もこれ以上は聞かない。お前の主が『言うべきではない』と考えていることならば、それは母に対してでも言うべきではないことなのだろう」 ヴィルスラグがそう言うと、カーラは少し安堵した表情を浮かべつつ、話題を変える。 「今回の件で、母様はゴーバン様のことをどう思いましたか? 私には、あの方は、人の上に立つよりも、前線に立ちたい方かと見受けられるのですが」 「確かにな。しかし、歴代の私の持ち主の中には、あのような方もいたぞ。もっとも、そういう方々は大体早死にしてはいたのだがな……。とはいえ、父親のトイバル殿よりは話の通じそうなお方だとは思う」 「そうですね、『人の心』があるといいますか……」 「まぁ、まだ子供なだけかもしれないがな」 「あの素直さが残ることを祈るだけです」 そんな会話を交わしつつ、ふと、ヴィルスラグは思い出したかのように問いかけた。 「ところで、お前にどこまで私の力が受け継がれているのか、私もよく分からないのだが……、今、『北の方』で何か危険な気配が漂っているのを感じられるか?」 そう言われたカーラが神経を集中させると、確かに、ヴィルスラグの言う方角から、何者かは分からないが、「極めて不快な気配」が漂っているのが感じられる。カーラがその旨を伝えると、ヴィルスラグは納得した表情を浮かべた。 「私の中には、大毒龍ヴァレフスと戦った時の記憶がはっきり残っている。どうやら、部分的にそれがお前にも受け継がれているようだな」 実は、半年前の魔獣騒動の折にも、ヴィルスラグは「これまで湖の地下でヴァレフスの欠片と戦ってきたマルカートが暴走しかけていること」に気付いていた。それ故に、彼女はその時点での自分の「持ち主」であったブラギスの枕元に立ってそう告げたのだが、既に脳の老化が進んでいたブラギスは、それを曲解して「ヴァレフスそのものが復活しようとしている」と勘違いしてしまったのである。 ヴィルスラグとしては、マルカートのことをどこまで正確に話して良いか判断に迷ったため、伝わりにくくなってしまった側面もあった。その時の反省から、ここで彼女はカーラに対して、正確に「事実」を伝える。マルカートがエルムンドの七騎士の一人であると同時に、彼の妻の一人でもあり、シャルプの母でもあり、カーラにとっては「祖母」に相当する人物であること。そして、そのマルカートが「怪物」となってしまった経緯についても、事細かく説明した(その詳細についてはブレトランドの英霊7を参照)。 「怪物となったマルカートをどうにかする上で、お前が鍵になるかもしれない。あいつは息子のシャルプのことを溺愛していたからな。そのシャルプの娘であるお前ならば、彼女の暴走を止められる可能性はある」 「責任重大なのですね……。分かりました」 突然聞かされた事実に混乱しながらも、波に揺られた船倉の中で、密かにカーラはそう宣言したのであった。 ****** そして、港町オディールに到着して、母と別れてファルクの帰還を待っていた頃、長旅の疲れを癒すべく休眠していたカーラの夢のなかに、一人の女性の亡霊のような姿が現れる(下図)。 カーラはその女性と出会ったことはない。だが、直感的に彼女は感じ取っていた。この女性こそが自身の祖母マルカートであることを。そして、その女性はカーラに対して何かを訴えようとしていたようだが、その声はカーラに届くことなく、やがて姿を消してしまう。 その時の夢の光景がカーラの頭の中から離れぬまま、北へと向かう旅路の中で、彼女は自分の中に湧き上がる「嫌な予感」を必死に振り払おうとしていたのであった。 1.3. 虚構の親娘会談 カーラがそんな想いを抱いていることは誰にも告げられないまま、やがてトオヤ達は無事にドラグボロゥに到着する。「レア姫」の帰還に城下町が沸き立つ中、彼女の父であるワトホート(下図)はトオヤ達に対して「レアと一対一で話がしたい」と伝え、トオヤ達を応接室に待機させた上で、「レア」のみを謁見の間に呼び寄せることになった。 こうして、「レア」が謁見の間に入ると、そこには確かにワトホートしかいない。護衛の兵士も、彼の契約魔法師もいない、完全に「二人だけの空間」であった。無論、いざという時に備えてどこかに誰かが隠れている可能性も十分にあり得るが、あえてこのような場を演出したことの意図を予想しながら、「レア」は静かに扉を閉める。 その動作を確認した上で、ワトホートは彼女に対して真剣な表情で問いかけた。 「まず最初に問おう。レアはどこにいる?」 いきなりの直球な質問に対して、「レア」は小首を傾げながら答える。 「おや? ここにいますよ? さすがにお父様の口から聞く冗談としては、意地が悪いようで」 「ヴァレフール伯である私の目の前で、本当にそう言えるか? もしヴァレフール伯を騙したということであれば、さすがにただでは済まなくなる可能性はあるぞ」 「……その様子だと、カマをかけているという訳でもなさそうですね」 溜息をつきつつ、「レア」は「パペット」の姿にその身を変える。少なくとも、ワトホートはこの姿の状態の彼女(?)を知っている以上、これ以上の説明は不要であった。 「失礼を承知で申し上げますが、ご容赦下さい。私はあなたに仕えている訳ではなく、レア姫様に仕えている者ですから。たとえ相手があなたであろうと、一度はこうして確かめてみなければならぬのです」 「なるほど。それは確かに『影』の生き方として、正しいと思う。だが、レアの従属聖印に何か異変が起きていることは、既に私には分かっているのだ」 その可能性はパペットも想定していた。本物のレア姫の体内に宿る聖印は、父ワトホートの聖印から切り取られた従属聖印であり、ワトホートが先代ヴァレフール伯爵ブラギスの聖印を吸収した現在においても、その従属関係は変わっていない。つまり、仮にレアが死亡して聖印が消滅するか、もしくはその聖印を誰かに譲渡したりすれば、その時点でワトホートの聖印にはその「異変」が感知されるのである。 そしてワトホート曰く、現時点でレアに預けていた聖印が消滅した気配は感じられないものの、その聖印に何か奇妙な「異変」が起きていることを実感しているらしい。それが何なのかは分からないが、ひとまず配下の魔法師達の位置探知魔法で彼女の居所を調べてみたところ、その存在が世界中のどこからも感知されない、という結論に達したという。 「つまり、何があったのかは分からないが『私の知っているレア』は既にこの世界にいない。しかし、『レアの聖印』は消滅はしていない、という奇妙な状況になっている。このことについて、何か心当たりはあるか?」 「そうですね……、あなた相手に隠し立てをすることもないでしょう」 そう言ってパペットは、まだトオヤ達にも話していない、レア姫の現状に関する「真相」を語り始める。 ****** 今を遡ること半年以上前、レア姫は留学先のサンドルミアで発生した、小さな混沌災害に巻き込まれた。その災害自体は大した被害には至らなかったのだが、それは災害の拡大を未然に解決出来たからであって、その災害を引き起こした混沌核自体には相当な潜在能力が秘められていたらしい。そのことを知らずにレア姫が自身の聖印でその混沌核を浄化しようとした瞬間、逆に彼女の聖印が混沌核へと書き換えられ、その姿が人間の子供程度の大きさの「二足歩行の蜥蜴」のような姿に変えられてしまったのである。 幸い、その「事故」の場面は誰にも見られてはいないようだが、彼女は「このままでは祖国に帰れない」と考え、自分の姿を元に戻す方法を探すために、たった一人で何処かへと出奔してしまった。パペットに対して「私が戻ってくるまで、私の代役を続けていてほしい」という置き手紙だけを残して……。 その後、ヴァレフールにおいてブラギスが急死し、ワトホートがその爵位を継いだことで、第一後継者たるレア姫に対しても帰国を促す手紙が幾度も届いたが、(レア姫に化けた状態の)パペットは様々な理由をつけてその返事を先延ばしにし続けてきた。本物のレア姫が帰ってくるまでの時間稼ぎのつもりだったのだが、いよいよそれも限界に達した結果、やむを得ず帰国を決意するに至ったのである。 ****** 「ですので、一つの考えられる説としてですが、『魔物化した状態のレア姫様』はまだ御健在であり、あなたから預かった従属聖印も、一種の『従属混沌核』のような形で存在はしているものの、位置探知魔法ではその存在を『レア姫』として認識出来なかったのかもしれません」 自分でもかなり突拍子もない説明をしていることはパペットも自覚していたが、それが自分の知りうる限りの事実に基づく率直な推論である以上、そう言わざるを得なかった。一方、それを聞かされたワトホートは、存外素直に納得したような表情を浮かべる。 「なるほどな……。それはある意味、『我が国の始祖様』の現状にも通じる事例である以上、ありえぬ話ではないだろう」 そう言って、ワトホートは「マルカート」のことをパペットに伝える。それは初代ヴァレフール伯爵の母親にしてエルムンドの七騎士の一人であるマルカートが、四百年前に強大な混沌核に触れてしまったことで、巨大な蜥蜴の魔獣となって、今はテイタニアの近くの湖に横たわっている、という内容であった(なお、彼にこの話を伝えたのは、ヴィルスラグである。彼女はブラギス相手に中途半端に情報を伝えようとして失敗したことへの反省から、現当主であるワトホートには、全てを包み隠さず話すことにしたらしい。もっとも、さすがに自身の「隠し子」であるカーラのことまでは話していないようだが)。 「つまり、あの巨大魔獣は我が始祖マルカート様の変わり果てた姿なのだ。この話は門外不出だが、レアの影を務めるお主であれば、むしろ知っておいた方が良いことでもあろう」 「……でしょうね。そして、似たような事例であるからこそ、姫様を元に戻すための手がかりになるかもしれない。そう仰られたいと?」 「そうだな。もっとも、今のところ、まだ始祖様を元に戻す方法も見つかってはおらぬ。一応、それに関して、まず今の状況を改善出来るかもしれない朗報は色々と届いてはいるのだが、その前に、まず確認しておかねばならないことがある」 「何でしょう?」 ワトホートは、厳しい表情を更に険しくさせた上で、鋭い視線で問いかけた。 「お前の正体は、ケネスには気付かれているのか? いや、ケネスだけではない。ここに来た者達も含めて、そのことに気付いている者はいるのか?」 それに対して、パペットはあっさりと答える。 「トオヤ達は知っていますよ」 「それは『知らせても問題ない』とお前が判断した、ということか?」 「えぇ。レア様のお立場を守るために、影として私が取りうる最善の手段を考えた結果です。その一方で、同じような考えに基づいた上で、ケネス殿にはお伝えしておりませんが」 ワトホートとしては、パペットがこの判断に至った理由について色々と確認したいところではあったが、まずその前に、確認しておきたいことがある。 「ケネスは、レアをどうしようとしている? やはり、ゴーバンと結婚させるつもりなのか?」 「『自身の身内』と結婚させて、実権を握りたいというのが本音でしょうね。『誰と』というこだわりはないようですよ。ゴーバン殿が一番無難ではありますが。トオヤなどでも別に問題ないと考えている節はあります」 「そうだろうな。だが、血筋的に考えれば、ゴーバンの方が妥当と多くの者は思うだろう」 ここでワトホートは、なぜか少し間を開けた上で「本題」に切り込む。 「『お前』から見て、トオヤとはどんな男だ?」 「非常に魅力的な方だとは思いますね。これは『レア姫の立場であるパペット』としても、『僕自身であるパペット』としても」 そこまで言った上で、パペットは続けて独り言のように呟く。 「けど、正式に婚姻を結ぶということになると、さすがにね……、影としての僕の生き方が邪魔をするんだ……。さすがに姫様の許可もなしに、そんなことをする気は起きないさ」 とても国主に対する発言とは思えぬような言葉遣いであり、これが他の部下達が同席する公の場での発言であれば大問題だが、あくまでもここは「私的な親娘の対話」の空間である以上、ワトホートはその態度に対して咎めることもないまま、話を続ける。 「では、もしレアが一年後まで待っても帰ってこなかったら、お前はどうする? 仮にだ、仮にトオヤがお前のことを全て分かった上で、お前やレアに協力する気があるのならば、お前が『レア』であるという建前の上で、本物のレアが帰ってくるまで、私の聖印を、お前に与えた体裁の上でトオヤに預けておく、という選択肢も無くはない。そこまで信用出来る男ならな」 パペットは邪紋使いである以上、ワトホートの聖印を受け取ることは出来ない。この点だけは、誰の力を以ってしてもどうにもならないのである。 「だが、正式な爵位継承の際にはエーラムの立会いが必要であろうから、それをごまかしきるのは難しい。つまり、一年後の継承の時までにレアが帰ってこなければ、最終的にはトオヤを婿養子とした上で、トオヤに聖印を継がせるしか無くなるだろう」 「想定しうる未来の形の一つではあるね。僕もサンドルミアから帰ってきて、トオヤと再会してそう長い訳ではない。絶対的な信頼を置ける関係とまでは言えないが、それが一つの現実的な選択肢と思えるくらいには信頼はしているよ」 相変わらず礼を欠いた口調のまま、どこか回りくどい言い方でそう答えるパペットに対して、ワトホートは改めて問いかけた。 「では、仮にレアがこのまま帰ってこなかった場合、お前は一生『レア』として生きる覚悟はあるか? レアの影武者として、お前自身がトオヤの子を産み、インサルンドの血を引いていない者に爵位を継がせる、それだけの業を背負う覚悟はあるか?」 「愚問だね。僕がこの立場に就いた以上、そんな未来はいつも僕の傍にあった。今更ダメだなんて言わないさ」 「ならば、お前自身もトオヤの妻として、そのまま一生を終えても良い、と?」 それに対してパペットが黙って頷くのを確認した上で、それでもなお、ワトホートは更に畳み掛けるように問いかける。 「それ自体は影の生き方として何も間違ってはいない。だが、お前自身としては、どうなのだ? 幻影の邪紋使いが『真似た相手』の心に同調するというのはよくある話だ。それは本当に『お前自身の感情』だと言えるのか?」 「まぁ、無意識にそうなってくると言われると、自分もそうなのかもしれないという疑念は否めないね。けど、そういうところも含めて、嘘偽りない僕の気持ちなんじゃないかな。もし、『真似た相手に同調して僕の心が書き換わる』なんてことが本当にあったとしても、それはそれで結局、紛れもなく僕の心だ」 「そうか。そこまで分かっているのなら、もう私としてはこれ以上言うことはない。もうお前は立派な『ヴァレフールの影』として独り立ちしたんだな」 ワトホートはそう言い終えたと同時に、その姿を一変させる。そこに現れたのは、どこにでもいそうな無個性な一人の男性。だが、それはパペットにとって、紛れもなく見覚えのある人物の姿であった。もっとも、その姿も、彼(?)にとっての本当の姿かどうかは分からないのだが。 「お師匠でしたか」 パペットはそう呟く。彼(?)の名はパロット(鸚鵡)。パペットと同じ幻影の邪紋使いであり、パペット同様、ヴァレフールの重鎮達に様々な形で重宝されている「影武者」である。今を遡ること十年近く前、まだ力を手に入れたばかりの(それ以前の記憶を失っていた)パペットに、影武者としての作法や生き方を手解きした人物でもあった。 「……いや、決めつけるのは良くないな。他の幻影である可能性もあるよ?」 パペットがニヤリと笑いながらそう付言すると、その人物は苦笑を浮かべつつ答える。 「ここまでの情報を、ワトホート様が私以外に伝えるとは考えられんだろう。あの方としても、さすがに相手が何者かも分からない状態で、一対一で面談する訳にはいかなかったのだ」 確かに、護衛も魔法師もいない状態で病弱なワトホートを誰かに会わせるのは、あまりにも無警戒すぎる。レア姫の現状が不明である以上、「レア姫」を名乗っている人物がパペットである可能性が高いと考えながらも、敵対する誰かが放った刺客である可能性は捨てられないと考えるのは自然であった。 「逆に言えば、『この状態』でなければ、お前も本音では話さないだろうからな」 「ま、当然の話だね」 「もう一つの理由として、そもそも体調が良くないから、というのもあるのだがな……」 実際、それはパペットの方も想定していた話である。そしてパペットの中では「更に深刻な事態」もまた想定されていた。 「お師匠様の姿が出てきた時は、一瞬ヒヤッとしたよ。まさかワトホート様の方も『ここ』にいないのではないか、とね……。まだ無事なら良かった」 パロットはその弟子の言葉を理解した上で、自身が座っていた玉座の「下」の部分を開き、そこが空洞となっていることを示す。 「ここでの話は、この空洞を通って、この下の隠し部屋にいる本物のワトホート様に全て伝わっている。逆に言うなら、このことを知っているのは私とワトホート様だけだ。とりあえず、お前がそこまで分かっているのなら、もう私から言うことは何も無い。この後、トオヤ殿を含めた上での面談という形になるが、それは本物のワトホート様との間で話し合ってもらうことにしよう」 「いいんじゃないかな。来たる『七男爵会議』に向けて、話さなければならないこともあるだろうし」 「そうだな。その上で、一つだけ忠告しておこう」 「ん? なんだい、お師匠様?」 あくまでも飄々とした態度で聞こうとする弟子に対して、師匠は今までの会話の中で最も深刻な口調で告げる。 「もし、このままレア姫が戻って来ず、お前がトオヤ殿の子を産んだ場合、それが『父親似』ならば問題はない。だが、お前の血を強く受け継いだ場合、おそらく『お前の真の姿』に似た子供が生まれる。そうなると、色々と面倒なことが起きかねない」 「……嫌な話だね。僕ですら知らない『真の姿』に似るなんて」 そんな反応を見せるパペットに対して、パロットは一瞬、聞こえるか聞こえないか微妙なほどの声で、 「まぁ、因果な話だな」 と呟きつつ、改めて「ワトホート」の姿に戻った上で、こう告げる。 「では、私からの話はここまでだ。お前も一旦、待合室に戻れ。その後で、また本物のワトホート様からの連絡が来るだろう」 そう言われたパペットは頷きながら、再び「レア」の姿へと戻り、部屋から立ち去っていく。こうして、「偽物の父親」と「偽物の娘」による親娘会談は、ひとまず終わりを告げた。なお、この二人の間には「師弟」であるということに加えて、やがてもう一つの重要な「関係」が成立することになるんであるが、それはまだもう少し先の話である。 1.4. 連合の盟主 その頃、トオヤ達が待機していた待合室に、別の客人達が姿を現した。どうやら彼等もワトホートに面会を申し出てきた者達らしいが、彼等は幾人もの屈強な兵士達によってその身を護衛されており、明らかに「只者ではない」ということはすぐに分かる。そして、その中にはトオヤとチシャにとっては馴染みのある一人の女騎士の姿があった(下図)。 彼女の名は、ヴェラ・I・シュペルター。現伯爵ワトホートの異母妹(レア、ゴーバン、ドギにとっての叔母)であり、七男爵の一人イアン・シュペルターの妻である。彼女は半年前のテイタニアでの魔獣騒動の直後、その解決のために大陸に向かった筈であり、その彼女がこの場にいるということは、その解決の糸口が掴めたということなのだろうか。なお、この場にいる者達の中で、カーラだけは彼女とは面識がない。ただ、彼女は漠然と「夢の中に出てきたお祖母様と似ている……」と思いながら、ヴェラを眺めていた。 一方、チシャはその彼女の傍らに立つ二人の人物にも見覚えがあった。一人は、エーラム魔法師協会の中でも屈指の実力を持つと言われる魔法師のグライフ・アルティナス(下図右)。そしてもう一人は、その穏やかな佇まいから明らかに常人離れした優雅な雰囲気を醸し出している、人の良さそうな美青年(下図左)であった。彼はチシャと目が合うと、優しそうな笑顔で彼女に対して語りかける。 「君は確か、チシャ、だったよね?」 「あ、はい……」 戸惑いながらもチシャはそう答える。その声と物腰から、その人物が、チシャの記憶にある「エーラム時代に遭遇した青年」であることを彼女は確信する。だが、チシャの記憶が間違っていない限り、その青年は、本来ならばこのような場所にいる筈のない人物であった。 「そちらの二人は、初めましてかな。私は、ハルーシア侯爵アレクシス・ドゥーセ。以後、お見知り置きを」 この世界の君主達の中で、その名を知らぬ者はほぼいないであろう。それは現在、この世界を分かつ二大勢力の一つである(ヴァレフールを含めた)「幻想詩連合」の盟主の名である。エーラムは魔法のみならずこの世界全体のあらゆる知識を独占する研究機関であるが故に、魔法師を目指す者達だけでなく、一般教養を学ぶために貴族の子女が留学することも多い。かつてのアレクシスもまたその一人であり、チシャとはその頃に顔馴染の関係となっていた。 アレクシスが国主を務めるハルーシアはこのブレトランドから見て遥か南方に位置する大国であり、トオヤ自身は彼とは面識がない。だが、彼の両脇に立つヴェラとグライフの真剣な表情から、彼が「偽物」である筈がないことは明らかであった。 「え、えーっと、どうも、ご丁寧に。タイフォンの領主、トオヤ・E・レクナです。こちらこそ、よろしく」 やや混乱しながら、トオヤはそう答える。一方、カーラは自分が帯剣している状態(というよりも、それが「本体」である以上、切り離すことが出来ない存在)である今の状況で、このような大物の近くに立つ訳にはいかないと考え、すぐさま「壁際」に移動することで、自ら「間合い」の外側にいることを強調する。 そんな彼等の様子を笑顔で受け流しながら、アレクシスはヴェラを右手の掌で指し示しつつ、こう言った。 「実はこちらの姫将軍から、私の聖印がどうしても必要だと頼まれてね」 それに対してヴェラは頷きながら、トオヤ達に向かって付言する。 「色々あって、半年もかかってしまったのだがな」 そう言われても今一つ事態が飲み込めない状態のトオヤ達に対して、ヴェラは詳しい事情を説明する。彼女は半年前のテイタニアでの魔獣騒動の折、街の領主であるユーフィーから「魔獣を制御するためには侯爵級以上の聖印が必要」と言われ、その条件を満たす君主を探して、大陸へと旅立ったのである(前述の通り、その時点でブレトランド内には、該当する聖印の持ち主は誰もいなかった)。 大陸各地で様々な人々から情報を集めた結果、ヴァレフールのためにその聖印の力を貸してくれそうな「侯爵級以上の君主」はアレクシス以外にはありえない、という結論に達した彼女は、ハルーシアに赴き、同国の重臣達に事情を説明したものの、当然のごとく「そのような得体の知れない怪物との戦いの矢面に、アレクシス様を立たせる訳にはいかない」という反対論が噴出する。ヴェラとしては、アレクシス自身に魔獣の制御を依頼するのではなく、アレクシスから聖印をヴェラもしくはテイタニアのユーフィーに一旦貸し与えてもらえれば良かったのだが、それはそれで「聖印の持ち逃げ」を警戒されることは目に見えていた。 そこで彼女は、今度はエーラムへと向かい、魔法師協会に対して「人類共通の脅威としての『巨大な魔獣』の制御のため」という観点から、ハルーシアとの間の協力交渉の仲介役を依頼したのである。すなわち、エーラムから高位の魔法師が立ち会うことによって、「聖印の持ち逃げ」を防止するための準備を整えた上で、アレクシスの聖印を貸し与えるように依頼する、という思惑であった。それでもハルーシア内では反対論や慎重論が根強かったが、最終的にはアレクシス自身がヴェラの必死の訴えを受け入れた上で、(「エーラム最強の魔法師」との呼び声も高い)グライフを伴うことを条件に、自らこの地に乗り込むことになったのである。 「恥ずかしながら、私は戦争が苦手でね。普通の戦場ではあまり役には立てないんだ。だからこそ、せめて私が預かっているこの聖印が、この世界の人々の役に立てる機会があるのなら、ぜひ使って欲しい。そう思ったんだよ」 友国とはいえ、遠い異国の国内問題のために連合の盟主が自ら赴くなど、極めて異例の事態である。その事実の重みに皆が恐縮している中、ヴェラがトオヤに声をかけた。 「久しいな。騎士団長殿の家の御曹司だったか。立派になったものだ」 「いえ、まだそのような……」 「話には聞いているぞ。海賊からレアを助けたそうではないか。叔母として、深く感謝する」 「その件に関しては、たまたまその場に居合わせた者として、姫であり旧友でもあるレアのことを救ったまでのことです」 「そう言えば、貴殿は子供の頃からレアとは親しかったな」 ヴェラはそう言いながら、ニヤッと笑みを浮かべる。 「まぁ、伯爵家の女は扱いが面倒だとは思うが、一般的に皆、自分のことを『一人の女』として扱ってくれる男に対しては、素直に『一人の女』として尽くすものだ」 「は、はぁ、左様でございますか……」 「もっとも、その気があるなら、その前に『身辺整理』はしてもらう必要があるがな」 ヴェラは皮肉めいた笑みを浮かべながら、チシャとカーラに視線を移す。その意図(疑惑)を察したチシャは思わず苦笑し、カーラは困った表情を浮かべる。実際、「従姉妹」であろうが「道具」であろうが、男性の君主の周囲に女性の側近が仕えていれば、そのような勘ぐりを招くのは必然であろう。 一方、そんな空気の中で、アレクシスはふと思い出したかのようにチシャに問いかける。 「ところでチシャ、もしかして最近、誰か『いい人』が出来たのかい?」 「え? いや、そんなことは……」 チシャは微妙に動揺した反応を見せる。この時、彼女の頭の中に浮かんでいたのが、ファルクなのか、トオヤなのか、それとも別の誰かなのかは、誰にも分からない。 「そうか。エーラムにいた頃に比べて、格段に綺麗になったからね。だから、『いい恋』をしているんじゃないかな、と思ったんだが」 「いえ、まだそんな……」 言葉を濁すチシャに対して、アレクシスは何かを察したような表情を浮かべる。 「いや、言わなくていいよ。心に秘めなければならないこともあるだろう。私の場合は、それを秘めきれなかったことで、色々な人達に迷惑をかけることになってしまったのだけどね……」 この世界を揺るがした「大聖堂の惨劇」(『グランクレスト戦記』1巻参照)のことを思い出しながら、アレクシスがそう呟くと、改めて重苦しい空気が広がる。 そんな中、「偽りの親娘会談」を終えた「レア姫」が待合室に現れた。 「ただいま戻りました……、おや?」 トオヤ達しかいないと思っていた部屋の中に、想定外の人々が顔を揃えていたことに一瞬困惑しつつ、彼女はアレクシスに対して語りかける。 「私の目に間違いがなければ……、このようなところになぜあなたのような方が、と言わざるを得ませんね」 レア自身もパペットも、アレクシスと直接会ったことはない。だが、その姿を肖像画で見たことは何度もあるし、その胸に描かれた紋章から、それが幻想詩連合の盟主であることはすぐに分かった。 「私の聖印で、この地の人々を救える可能性があると、こちらの姫将軍に聞かされたのでね」 アレクシスがそう言って、改めて「レア」に対しても先刻と同じ説明を繰り返すと、彼女は(先刻の「ワトホート」が語っていた話を思い出しながら)納得した表情を浮かべる。 「それはそれは、遠路はるばるブレトランドまでよくぞお越しくださいました。失礼。名乗りがまだでしたね。ヴァレフール伯の娘、レア・インサルンドです。よろしく」 「そうか、君が噂の次期伯爵候補、なのかな」 「おや、あなたのような方の中でも噂となっていたとは、恐悦至極」 「それは勿論ね。なにせ私の重臣達の中には、私にマリーネを諦めさせるために、君との婚儀を進めるべきだと主張する者もいるくらいだから」 実際、年齢的にも立場的にも、それは十分に現実的な選択肢ではある。特にワトホート陣営にしてみれば、連合との繋がりの弱さがケネス陣営と比べて一つの大きな弱点ではあったので、レアとアレクシスの婚姻は願ってもない話であった(もっとも、逆に連合との繋がりを強化しすぎることで、これまで以上に「大陸の事情」に引きずられることを警戒する声もあったが)。 「そう言って頂けるのは、私個人としては非常に喜ばしい話ですが、さすがに『身に余る』というのも事実ですね。まぁ、その縁談が本格的に進むようになれば、またおいおいお話しさせて頂くことになるでしょうが……、あなたも本気にしている訳ではないでしょう?」 「そうだね。少なくとも、政略だけで進められるのは本意ではない。それは君も同じだろう。もっとも、端から見れば私とマリーネの関係も、我が国の政略の一環に見えたのかもしれないけど」 「ご冗談を。政略の話だけでどうこう出来る関係ではなかった筈ですよ。あの時の連合と同盟は。少なくとも、お互いの思いが介在していたように私には見えましたが。出すぎたことを言ったのなら、申し訳ございません」 当時実現しようとしていた、幻想詩連合の盟主の息子であったアレクシスと、大工房同盟の盟主の娘であったマリーネの結婚は、確かに皇帝聖印の誕生に繋がるという意味において、政略上重要な意味のある婚姻であったことは間違いない。しかし、だからこそ、それは極めて実現が困難な縁談であり、それを実現まであと一歩というところまで漕ぎ着けた要因が、当人達の結婚に向けての強い「個人的な情熱」であったということは、多くの人々の知るところであった。 「いや、その通りだね。むしろ私達のわがままで世界を混乱させてしまった。その責任は重く感じている。だが、それでも私は後悔はしていない。私自身が軽率と言えば軽率だったのかもしれないが、それでも、私は為すべきことをしたと思っている。ただそれを成し切るだけの力が私達になかっただけだ」 またしても部屋の中の空気が重くなってきたところで、この城の使用人が扉の外から姿を現す。 「申し訳ございません、トオヤ様、レア様。本来ならばこれから皆様との会談の予定だったのですが、アレクシス様達が御来場されたということで、申し訳ないのですが、その、会談の順序を……」 「あぁ、それは構わない」 トオヤは即答した。自分達の要件もこの国にとって重要な話ではあるが、さすがに「連合の盟主」と「魔法師協会の実力者」の訪問ということであれば、そちらを優先するのは当然の話である。もしかしたら、ここでの会談の順序が今後の話に影響してくる可能性も無いとは言えないが、どちらにしても、この場で自分達の会談を優先する必要があると考えられる根拠が、彼の中では見つからなかった。 1.5. 残された四人 こうして、異国の来訪者達が待合室から去り、その場に「四人」だけが残ったところで、トオヤが「レア」に問いかけた。 「姫、久しぶりのお父君とのお話、どうでした?」 一応、城内で誰かに聞かれている可能性も考慮して、あくまでも「この体裁」を維持する必要があると考えたようである。 「相変わらずだよ。良くも悪くもね。体調が悪そうなのは気がかりだけどね」 あくまでも「レア」として答える以上、彼女もそれ以上のことはこの場では言えない。 「そうですか……。もともとお身体が弱いということは聞いておりましたし、伯爵としての政務が大変なのでしょう」 「健康を考えるならば、今回の退位というのは、実は悪くなかったのかもしれない」 「そうですね。とはいえ、それでもまだ、もう少し頑張って頂かなければならないのは、少々心苦しくありますが」 「あぁ、一年後まではな。一年後に向けてどう動いていくかについては、また話があるだろう」 そんな話をしている中、カーラがふと横からトオヤに「従者としての口調」で問いかける。 「私は『本体』を持ったまま謁見に行っても大丈夫でしょうか?」 「まぁ、その辺は大丈夫だろう。何か言われそうだったら、僕の方から事情を分かってもらえるように伝えるし」 一応、カーラが「武器のオルガノン」であるということは、トオヤとしては隠している訳では無いし、今後も特に隠すつもりはない(もっとも、正確に言えばカーラは「オルガノン」そのものではないのだが、そのことをトオヤはまだ知らない)。オルガノンの存在自体を知らない人々への説明は困難かもしれないが、それでもきちんと話せば分かってもらえるだろうと考えていた。 「正直、さっきの場面でも、どうしたものかと……」 想定外の大物を目の当たりにして困惑していた時のことを思い出したカーラはそう呟くが、そんな彼女に対して、トオヤは諭すように答える。 「カーラは少し、気を使いすぎだ。その辺りの立ち振る舞いについては今後色々なところで学んでいけばいいと思う」 「そうは言ってもね、怖がる人もいるだろうし……」 「まぁ、今回に関しては、アレクシス様の周囲に屈強な近衛兵の人達がいたのだし、多めに見てくれるさ」 「そうだね。でもまぁ、なるべく、あるじ達の後ろの方にいることにするよ」 こうして、気付いた時には「いつもの口調」に戻ってしまっていたカーラであった。 2.1. 「薬売り」の提案 首都ドラグボロゥが想定外の客人達の訪問に揺れていた頃、テイタニアで留守を任されていたインディゴの元にも、意外な人物が訪れていた。 「魔法師様、謁見を求める者が現れたのですが……」 館の使用人にそう言われたインディゴは、一瞬、半年前の騒動の時に姿を現した彼にとっての「大先輩」のことが頭を過ぎったが、使用人曰く、その訪問者は「見覚えのない男性」であるという。 「通していいだろう」 その人物の予想がつかないまま、ひとまず彼がそう答えると、使用人に案内されて彼の前に現れたのは、半年前の騒動の時に彼の姿を現した「もう一人の人物」であった。 「久しぶりだな、魔法師殿」 その男の名は、ジェームス。テイタニアの下町の冒険者の酒場などに頻繁に出入りしている地球人であり、ハーミアの地球時代の知人である。半年前の森での混乱の際、インディゴ達は彼を助けることになったのだが、その時、彼が「エーラム製ではない魔法薬」を持っていたことから、彼の正体が秘密結社パンドラの一員であることは、インディゴの中で察しがついていた。 「えぇ、お久しぶりです」 相手が相手だけに、慎重な姿勢でそう答えるインディゴに対し、ジェームスはいきなり本題を切り出す。 「これが何だか分かるか?」 そう言いながら彼が取り出したのは、異界の道具である。それはハーミアが持っていた「地球の通信機」に、極めてよく似た形状であった。 「そこまで詳しいことは知りませんが、大体のことは分かります」 「では、この部分を耳に当ててくれ」 そう言ってジェームスがインディゴにその道具を差し出すと、(ハーミアに対して苦手意識のある)インディゴは嫌な予感を思い浮かべながら、言われた通りに耳元に近付ける。 「あ、インディゴさんですかー?」 それは紛れもなく、インディゴにとって生理的に受け入れがたい、あまり知性を感じられないハーミアの声であった。 「その声は、ハーミアか? そっちはどうなってる?」 「ちょっと今、大変な状態になってまして。仕方ないから『薬売りさん』に連絡をお願いすることになったんですよ」 ハーミアも、パンドラがこの世界において一般的にあまり好まれていない組織であることは認識しているため、ジェームスの正体を知りながらも、彼のことはあくまで「流しの薬売り」であるという建前でインディゴ達には話している。そしてインディゴもまた、余計な「厄介事」を引き起こさないために、あえてその「建前」を受け入れていた。 ハーミア曰く、現在、彼女達はまだ火口の中にいるものの、その火口内が魔境化しており、そのあまりに強大な混沌の力が織りなす圧力によって兵達が混乱状態に陥ってしまい、身動きが取れない状態になっているという。せめてインディゴがいれば、混沌濃度を下げることで状況を改善することも出来たかもしれないが、調査兵団の中に魔法師がいない以上、それも叶わない状態であった。 「残念ながら、部隊を連れてきたのは失敗だったみたいです。今、兵隊さん達は心神喪失状態に陥ってしまっていて、進軍も撤退も出来ない状態です。かといって、ここで彼等を見捨てる訳にはいきません。一応、まだ食料はあるので、しばらくは大丈夫なのですが……」 現状、部隊の中で混沌の圧力に耐えられているのはユーフィー、アレス、ハーミアの三人のみであり、ユーフィーとアレスが次々と魔物を撃退しつつ、ハーミアが兵士達を守ることでどうにか対応はしている。だが、どちらにしてもこの状況では完全に手詰まりなので、ハーミアはインディゴに対して、ドラグボロゥに救援部隊の派遣を要請するように懇願したところで、通信を切った。 深刻な表情を浮かべながらインディゴが通信機をジェームスに返すと、ジェームスは真剣な面持ちでインディゴに語りかける。 「話は今聞いてもらった通りだ。もし、あんたが『緊急を要する』と判断するのであれば、『俺達の仲間』でどうにかすることも出来なくはないぞ」 それは、エーラムの一員であるインディゴにとって、まさに「悪魔の誘い」とでも呼ぶべき問いかけであった。そのことを分かった上で、ジェームスは続ける。 「あんたにとっちゃハーミアはどうでもいいんだろうが、領主様が亡くなられたら困るだろう? もっとも、その場合、こちらも『そこまで強力な魔境』をどうにかしようと思うと『全力』を出さざるを得ないので、おそらく『正体』はバレる。それが世間体上、よろしくないというのであれば、『俺達』は手を出さないが……」 ジェームスの中には、特に深い思惑や策略がある訳ではない。彼はただ純粋に、個人的に思い入れのあるハーミアを救いたいと考えて協力を申し出ているだけである。だが、インディゴとしては、やはりそれは受け入れられない提案であった。 「それはさすがに、お互いにとって『よろしくない状態』になるでしょう」 「だが、手をこまねいていたら、取り返しがつかないことになるぞ。俺としては、こないだ助けてもらった恩義もあるし、ハーミアの歌をもう一度聞きたいという気持ちもある。だから、手を貸すように『上』を説得することも出来る。まぁ、それはそれで、色々『面倒臭いこと』にはなるがな」 それに対してインディゴが答える前に、再び館の使用人が部屋に現れた。 「魔法師様、大変です。例の魔獣の近辺に、新たな投影体が出現したようです。今のところは、冒険者達が自主的に討伐に向かうことで、なんとか対応しておりますが……」 どうやら、火山の異変に対応する形で、湖のほとりに横たわっているマルカートの近辺の混沌濃度が上がって、投影体の出現を促してしまっているらしい。その状況を踏まえた上で、インディゴは改めてジェームスに対して言い放った。 「あまり考えている時間はないようだが、この街のことは我々でどうにかする。こちらから手助けを要請することはない。そちらが『勝手に協力する』というのなら、勝手に協力してくれてもいいがな」 「……分かった。俺はしばらくこの街にいるので、気が変わったら来てくれればいい」 そう言って、ジェームスは館を去って行く。インディゴは魔法杖を用いて首都ドラグボロゥに救援の要請を出しつつ、状況を把握するために、改めて正規に下町の冒険者達を雇って、湖近辺の調査に向かわせることにした。本来は自分が行くべきなのだが、さすがに今、この街を空ける訳にはいかなかったのである。 2.2. 勅命 その頃、トオヤ達はようやく、ワトホートとの「正規の謁見」の機会を与えられていた。その傍らには、先刻までワトホートと会談していたと思しきヴェラ、アレクシス、グライフの三人と、その護衛の者達の姿もあった。 「此度のレアの奪還の件、誠に大義であった」 ワトホートがそう告げると、トオヤは膝をついて頭を下げ、そのまま話を聞く。 「さて、これから先のことだが……、レアは今後しばらくドラグボロゥに残るとして、お前達はどうする? ここまで届けた上で所領に帰るつもりなのか、それとも……」 「いえ、私としては、レア姫様が次期伯爵として他の男爵様達に認めてもらえるよう、各地の諸侯を説得して回りたいと思います」 その申し出に対して、ワトホートは怪訝そうな表情を浮かべる。 「ほう? 説得しなければならない相手がいるとしたら、誰だと思う?」 「それは……、『皆様』でしょう」 「少なくとも、グレンやファルクがそれに異を唱えるとは思えない。むしろ、一番説得しなければならないのは、お前の祖父殿ではないのか?」 「確かに、私の祖父も説得しなければならない相手です。しかし、グレン様やファルク様にも『本当の意味で』忠誠を誓って頂くためにも、説得の必要はあると思っています」 「本当の意味で」が何を意味するのかについては、あえて言わない。ワトホートとしては、この意外な申し出に対して、その真意を測りかねた様子であった。 「そうか……。この話に関しては、もう少しじっくりと確認したいところなのだが、そうも言っていられない、喫緊の事態が起きてしまった。まずは、そちらの話を優先させてもらおう」 そう言って、ワトホートは、テイタニアの魔獣問題の解決のためにアレクシスが来たことを改めてトオヤに伝えつつ、先刻インディゴから届けられた「テイタニアで発生しつつある新たな異変」についても説明した。 「こうなった以上、一刻も早く、アレクシス様をテイタニアにお連れすると同時に、現地への援軍を派遣する必要がある」 そこまで言った上で、ワトホートが傍らに立つグライフに目配せをすると、グライフは今回の問題に関する「エーラムとしての見解」を語り始める。 ヴェラがユーフィーから聞かされた話によれば、魔獣を制御するための『指輪』の持ち主となり得る者は、ヴァレフール伯爵家(インサルンド家)もしくはテイタニア領主家(リルクロート家)の人物であるという。その真偽を確かめるべく、エーラム内で時空魔法師などの力で様々な可能性を演算してみた結果、確かにその両家のいずれかの者達でなければ成功する可能性は低い、という結論に到達した(もっとも、その理由はまだ解明されていない)。そして、その中でも後者の者達の方が、より成功の可能性が高いのではないか、というのが、現時点でのグライフの見解であるらしい。 そこまでの話を聞いた上で、ワトホートはトオヤに問いかける。 「お前は、血統的にはテイタニアの男爵家にも連なる者であろう?」 確かに、トオヤの父レオンの母(トオヤの祖母)はリルクロート家の庶子であった。つまり、トオヤもまた傍流とはいえ、テイタニアの領主家の血筋を引いている身ではある。もっとも、それは「トオヤが本当にレオンの子供であること」が前提であり、トオヤの中ではまだその問題は未決着の事案であった。 「現状、リルクロート家のユーフィーが無事に帰還出来る保証はない。ヴェラは自分の手で封印するつもりでいるようだが、可能性としてテイタニア男爵家の方が可能性が高いというのであれば、『お前という選択肢』も準備しておいた方がいいだろう。そのことを踏まえた上で、今回のアレクシス様の護衛およびテイタニアへの援軍の指揮官を、お前に任せたい」 「……分かりました。謹んで受けさせて頂きます」 トオヤとしては、血縁の問題に関しての疑惑はあるものの、いずれにせよ今後の伯爵位継承問題に関して、テイタニア男爵であるユーフィーに話を持ちかけに行くつもりではあったので、渡りに船の勅命ではある。 「ただ、その場合、一つ問題がある。それは、誰が魔獣を制御するにせよ、アレクシス様の聖印を一旦預かる必要がある、ということだ」 たとえば、トオヤがアレクシスの持つ侯爵級聖印を受け取るためには、トオヤが一旦持ってる聖印を一旦全てアレクシスに与えた上で、アレクシスが持っている聖印の大半部分を切り取った「侯爵級聖印」をトオヤに与える、という手順が必要となる。この時点でトオヤはアレクシスの「従属君主」となり、魔獣の制御を完了した上で、再び聖印の大半(本来自分が有していた分以外)をアレクシスに返した上で、アレクシスが従属関係を断ち切ることで、再びトオヤの聖印を独立聖印に元通りに戻す、という工程が必要になる(もう一つの方法として、トオヤが自身の聖印を手離さぬまま、アレクシスの聖印の大部分を取り込むということも理論上は可能であるが、その場合はトオヤが最初から独立聖印のまま強大な聖印を手に入れることになる以上、「持ち逃げ」防止の観点から、ハルーシアとしては了承出来る筈もない)。 つまり、ヴァレフールの一員として(自身が所属する連合の盟主国とはいえ)「国外の君主に一時的とはいえ従属すること」に対して同意出来るか、というのが第一の問題である。この件について、ヴェラは緊急事態なので仕方がないと割り切っているようであるが、ワトホートとしてもアレクシスとしても、トオヤがそのことを了承出来るか否かを確認する必要があった。 そして、トオヤがアレクシスの従属君主となっている間は、アレクシスはトオヤに与えている従属聖印を思うがままに操れる。いつでも即座に全て奪い取ってしまうことも出来るし、従属関係の継続を強いることも出来る。逆に言えば、現状においてまだヴァレフール内で重職に就いている訳ではないトオヤの身にしてみれば、いっそそのままアレクシス直属の騎士となってハルーシアに仕えるという道も無くは無い。 そのことも踏まえた上で、ワトホートはトオヤに意志を問うと、彼はあっさりと答えた。 「聖印をアレクシス様に一旦お預けすることに異論はありません。聖印は確かに君主の象徴ではありますが、あくまで力です。状況によっては、一旦手放すことも必要でしょう。そして、私はまだヴァレフールでやらなければならないことがあります。そのことを果たすまでは、たとえ従属聖印という形であろうと、この国に残るつもりです。アレクシス様の人柄を考えれば絶対にありえない話ではありますが、たとえアレクシス様が私の聖印を取り上げることがあったとしても、私は一人の人間としてヴァレフールでやらなければならないことがありますので、そのままこの国に残るつもりです。もちろん、そのようなことは『絶対にない』と思いますが」 トオヤが念を押しながらそう断言すると、ワトホートは満足そうな表情を浮かべる。 「その回答が聞ければ十分だ。この国の行く末に関しては、この件が片付いた後に、また改めて話そう。だが、今の回答の時点で、私の中で懸念すべきことはほぼ解消されたがな」 そう言って話を終えようとするワトホートに対して、トオヤはある一つの訴えを提示する。 「ワトホート様に一つだけ、お願いの儀があります。レア姫様にも、今回のテイタニアへの救援軍の旗頭として、ついて来て頂くことは出来ないでしょうか?」 「ほう……、なるほどな、我が娘の『初陣』ということか」 ワトホートはそう言ったが、実際のところ、今ここにいる「レア」には聖印を用いて戦うことは出来ない以上、正規の「初陣」扱いにするのは難しい。トオヤとしては、必死で「名目」を考える。 「いえ、さすがに実戦経験の少ないレア様がいきなり相手にするには、あの魔獣は危険すぎます。ですので、レア様には町の人々の慰問を主目的とした形での……」 「分かった。レアを護衛しつつ魔境を討伐するというのは大変だとは思うが、無事に務めを果たしてくれることを期待しよう」 ワトホートも「事情」は知らされている以上、その点については「配慮」した上で、その申し出を受け入れることにしたようである。こうして、想定外の形ではあるが、「レア」とトオヤのテイタニアへの訪問が決定されたのであった。 2.3. 師からの提案 出撃命令を受けたパペットは、ひとまず「ドルチェ」の姿となって兵士達に出立の準備を始めるように指示を出す。そんな中、彼女の目の前に突如「レア」が現れ、話しかけてきた。 「なかなか面倒なことになったようだな」 「えぇ、まさに今、目の前が」 パペットは、自分の目の前に現れた「レア」の正体が師匠であると確信した上でそう答える。 「『お主』と『レア姫』が同時に公の場に出られないことが面倒なのであれば、こういう形でごまかすことも出来るが、どうする?」 確かに、「ドルチェ」として戦う時に「レア姫」が姿を消さなければならないというのは、色々と面倒な話である。その意味で、「もう一人の影武者」がいてくれれば、選択肢の幅も広がることになるだろう。 「その提案は、もう少し早く頂きたかったところですね。そうすればあなたが『レア姫』としてここに残って、僕が『ドルチェ』として向かうことも出来たでしょうが」 「そう思うなら、お主の方から先にトオヤに話をしておけば良かったのではないか? 結局、私のことは話していないのだろう?」 「残念ながら、あなたのことを説明しようとすると、どうしても『余計な情報』がついて回るので」 「あいつを『余計なこと』に巻き込みたくない、ということか?」 「巻き込もうとしている本人が言うのも、どうかと思いますが」 皮肉めいた口調で答える弟子に対して、師匠は肩をすくめながら話を続ける。 「まぁ、実際のところ、今からでもトオヤ達と話をした上で、私が協力するという道も無くは無い。どの道、ワトホート様も事情は分かっているからな。ただ、当然そうなると、私がワトホート様の影武者を務めることは出来なくなる。その分、あの方の負担と不安は増えることになるだろう」 「……なるほど。じゃあ、結構だ。僕が一人二役を続ければいいだけのことである以上、ワトホート様に負担をかけてまで、師匠の手を借りる必要はない」 「では、お主一人でなんとかごまかす、ということだな?」 「あぁ。それにね、個人的な理由だけど……、ちょっとぐらい『レア』としてトオヤと一緒にいたいんだ」 そんな予想外の発言に対して、師匠はやや面食らった表情を浮かべながらも、どこか納得した様子を見せる。 「なるほど……。まぁ、お前がその気ならば、それ以上は何も言うまい」 「お心遣いには感謝しておくよ」 「それがお前の『影』としての道なのであれば、今更私が師匠面してどうこう言うこともないだろう」 「ご理解頂けたようで、ありがたい」 「せいぜい、『あいつ』のそばにいて、そして、出来れば『あいつ』を守ってやってくれ」 そう言って、「レア姫」は去って行く。その師匠の言葉の持つ意味を弟子が本当の意味で理解することになるのも、まだもう少し先の話であった。 2.4. 馬上の二人 翌日、トオヤ達が率いるタイフォン軍は、ヴェラ、グライフ、そしてアレクシスおよびその護衛の精鋭兵達と共に、テイタニアへと向かって進軍する。 結局、「ドルチェ」と「レア」に関しては、二人が同じ馬車の中に乗っているという建前で、トオヤ軍の中のドルチェ分隊がその馬車を警護するという形でごまかすことにした。無論、兵士達の中には、二人が同時に顔を出すことがない状況に対して違和感を感じる者もいたが、不審な目を向ける者達に対しては、ドルチェが先んじて持ち前の「誘惑」の邪紋の力を用いてごまかすことで、どうにか事無きを得ていた。 そんな中、全体を先導するのはそれぞれの愛馬に騎乗したトオヤとカーラであったが、トオヤはカーラの雰囲気がどこかいつもと違うことに気付いていた。 「カーラ、この間の船での一件以来、様子がおかしかったようだけど、少しは落ち着いたか?」 不意にそう言われたカーラは、俯きながら答える。 「うーん、色々あって、何から話すべきなのか……、ごめんね、あるじ、心配かけて」 「いや、心配かけるのは、何も悪いことじゃないさ。別に無理して話す必要はない。ただ、苦しい時に何も言えないってのは、辛いからな……。全て本当のことを言う必要はないし、愚痴だけでも話してくれるなら、いつでも俺は聞くから」 カーラはその心遣いに感謝しつつ、訥々と語り始める。 「今言えるのは……、うーん、そうだね……、どこまで話していいのか分からないから、ぼやかしながらでいいなら、聞いてくれるかい?」 「あぁ、聞くだけなら、いくらでも聞くさ」 「なんとなく察してるかもしれないけど、『彼女』はボクが封印される前の知り合いなんだよ。かなり近しい相手だから、やっぱり、仕えるあるじが対立しなければいいんだけどな、っていう……、それが今の一番の悩み事だね」 主語も指示語も曖昧なままの説明なので、当然、トオヤに伝わる筈がない。ただ、それでもトオヤなりに、なんとか理解しようとしていた。 「そうか、近しい相手、か……。お姉さんとか?」 当たらずとも遠からずな回答に、カーラは思わず苦笑する。その様子を見て、トオヤは少し安堵した様子で話を続ける。 「まぁ、その辺は話したい時に話してくれればいいさ。無理に聞こうとは思っちゃいない」 「ボクも、もうちょっと自分の中で、どこをどう話せばいいのか整理をつけてから話したいなと思うから……、もしかしたら、また今回みたいなあやふやな言い方というか、はっきりとしたことは言えないかもしれないけど……、また話を聞いておくれよ」 「分かった。いつでも聞く。あと、その人と、出来れば『近いところ』にいた方がよかったりするか?」 「あー……、いや、ボクも彼女もオルガノンだから、やっぱり、『自分を使ってくれる人』を優先したいものなんだよ」 「そうなのか」 「少なくとも『ボクら』はそうだから。だから、あるじを優先したところで、『あの人』は怒るどころか、それが正しいオルガノンだと褒めてくれる」 「そうか、それを聞いて、ちょっと安心したよ」 トオヤはそう答えたが、実際のところ、彼がどこまで理解出来ているのかは、カーラにはよく分からない。ただ、カーラとしては、自分の中のモヤモヤした感情を言葉にして表に出せただけで、心境的には多少なりとも楽にはなっていた。 「心配してくれてありがとう、あるじ」 「まぁ、カーラが悩んでることとか、思い出したことが何なのかは分からないけど、こうやっていつでも相談に乗ることは出来る。逆に、今度俺が凹んだ時には、話を聞いてくれよ」 「もちろんだよ。あと、他言無用って訳ではないから、別に誰かに話しても大丈夫だからね。チシャお嬢でも、ドルチェくんでも」 「分かった。これからもよろしくな、相棒」 そう言って、二人は馬上で腕をコツンと合わせる。全てを理解することは出来なくても、会話を通じて相手の気持ちをなんとなく慮ることは出来る。それが出来る相手がいること自体が、今の彼等にとっては掛け替えのない財産であった。 2.5. 自爆人形 こうして、トオヤ達が連合盟主を伴ってテイタニアへと近付きつつあるという情報は、インディゴにも魔法杖通信で伝わっていた。想定外の「大物」の名前を聞かされたことには驚かされたが、これでテイタニアを悩ませていた魔獣問題が解決出来るなら、この上ない朗報である。 だが、そんな客人達を出迎える準備を整えようとしていたインディゴの耳に、またしても厄介な事態の勃発を告げる知らせが届く。テイタニアからドラグボロゥ方面へと続く街道の近辺に、謎の投影体が出現したという目撃情報が寄せられたのである。その数も正体も不明であるが、少なくとも放置して良い状況ではないと判断したインディゴは、すぐに現場に急行する。幸い、出現場所はテイタニアから程近い地点であったため、万が一、自分の留守中に街で何か起きても、すぐに帰ることが可能な距離であった。 そして、その「謎の投影体」の気配は、テイタニアに近付きつつあったトオヤ達も気付いていた。パペットは馬車の中から「ドルチェ」として飛び出し、トオヤ、カーラ、チシャと共に、それぞれの部隊を率いて警戒態勢に入る。 そんな彼等の目の前に現れたのは、「子供くらいの背丈の、人型の投影体」の集団であった。彼等の腕の中には黒い「異界の機械」のような何かが握られている。 「アノ女、近付ケテハナラヌ、生カシテハナラヌ……」 ややカタコトの口調でそう呟きながら、彼等はトオヤ達の後方でアレクシスを守るように剣を構えたヴェラを凝視する。なぜ彼等がヴェラを敵視するのか、事情は全く分からないが、ひとまずそんな彼等の視線の間に割って入るように、ドルチェが幻影の邪紋の力を駆使して、誘惑の眼差しを向ける。すると、その少年達の視線が今度は彼女に集中した。 「コノ女……、コノ女ノ方ガ危険ダ……」 「じゃあ、遊んであげるよ、こっちにおいで♪」 ドルチェがそう言って投影体達の視線を引きつけている間に、トオヤもまた聖印の力を用いて鎧を強化しつつ防御陣形を整え、チシャはサラマンダーを呼び出す。 一方、それと時を同じくして、テイタニア方面からもインディゴ率いる町の警備隊が駆けつけたことで、街道上で投影体達を挟み撃ちにする状況が整えられる。投影体達はそれを意に介さずドルチェの方を凝視し続けているため、インディゴからは彼等の「後ろ姿」しか見えなかったが、それでも、彼等が手にその腕の中に「黒い物体」を抱え込んでいる様子は確認出来た。 (あの黒い何か、以前どこかで見たことがある形状のような……) その正体を思い出せないまま、ひとまず彼等が「客人」に対して明確な敵意を向けていることを確認したインディゴは、街道の脇に転がっていた岩石や廃棄物を静動魔法で宙に浮かせた上で、彼等に向けて叩き込む。すると、その攻撃は投影体達の弱点を見事に突いたようで、彼等は一瞬、その場に蹲った。 その直後、今度はチシャが呼び出したサラマンダーが炎の吐息を彼等に浴びせかける。すると、その一撃で投影体達の中の一人が手に持っていた黒い物体が爆発し、その爆炎に巻き込まれた隣の少年が手にしていた同じ物体の「誘爆」も引き起こすことになる。その様子を見たカーラは、それが「地球」という世界で作られている「地雷」という兵器のオルガノンだということを理解した(彼女はヴェリア界にいたことはないが、昔、自分のルーツを調べた時に、この世界に出現する様々な異界の武器や兵器について調べたことがあったらしい)。 「あれは確か、爆発する据え置き兵器だよ! きっと彼等は、その爆発兵器のオルガノンだ!」 「そうか、だとすると、後方に行かせる前に倒さなくては!」 カーラの忠告に対して、トオヤはそう言って彼等の特攻を防ぐために身を以て制する覚悟を定める。だが、その彼の気概が発揮される前に戦いは決着することになった。この直後にチシャが呼び出したウィル・オー・ウィスプによって彼等の中の一体が倒されて爆発すると、またしてもその爆炎の圏内にいた別の一体が誘爆によって消滅し、更にその直後に特攻したドルチェ隊に対して、残った少年達が一斉に「自爆」に踏み切ったのである。ドルチェはその動きを見切って適切に部下に指示を出したことで、結果的に誰一人としてその爆発の影響を受けないまま、目の前の敵は消滅することになった。 ちなみに、このオルガノン達の正体は、現在この街の領主に仕える地球人の少女によって地球から召喚されたものの使わずに放置されたまま最終的に廃棄された「地雷」達が、ヴェリア界を経由してこの時代にオルガノンとなって現出した存在だったのだが(なお、この現象は地球人の少女そのものの意思によって引き起こされた訳ではなく、彼女の無念を晴らそうとする地雷達の義侠心の暴走の産物である)、インディゴですら気付けなかったその事実に、今のこの町の事情など何も知らない来客達が気付ける筈もなかった。 そして、あまりにも呆気ない結末に呆然としていたトオヤ達の前に、爆風が晴れる中からインディゴが姿を現すことになる。 「テイタニア領主の契約魔法師、インディゴ・クレセントです」 そう言って自己紹介したインディゴであったが、実は彼はチシャとはエーラム時代に顔見知りの関係であったため、確認するまでもなく、チシャは明らかに彼が本人であるということは分かる(年齢的には倍近く離れている二人であるが、だからこそ、インディゴのような「オールドルーキー」の存在は、魔法大学の中でも極めて目立つ存在であった)。 「私はタイフォンの領主、トオヤ・E・レクナと申します。この度は、テイタニアの異変に対応すべく、ドラグボロゥから調査隊として派遣されました」 「話は伺っております。ありがとうございます」 二人がそんな挨拶を交わしている間に、ドルチェはこっそりと馬車に帰還し、「レア」に戻る。そしてカーラはトオヤの耳元で囁くように助言した。 「あるじ、ここはまずヴェラ様達にもお話頂かないと。別にボクらが主役じゃないんだし」 「あぁ、そうだったな。えっと、申し訳ございませんが、テイタニアまでご案内頂くと同時に、ヴェラ様達にもご挨拶をお願いします」 トオヤはそう言って、大陸からの客人達をインディゴに紹介する。インディゴとしても、事前に話に聞いていたとはいえ、(半年前にも会っているヴェラはともかく)実際にここまでの大物を目の当たりにすることは想定外だったため、激しく緊張しつつも、そのまま彼等をテイタニアの街へと案内するのであった。 2.6. 優先順位 テイタニアの街に到着した彼等は、インディゴによって領主の館へと案内された上で、インディゴから改めて状況の説明を受ける。現時点で巨大魔獣の「仮の主」となっているのはユーフィーの妹のサーシャであり、彼女は館内の寝室において、「通りすがりの魔法少女」によって昏睡状態となったまま、半年間眠り続けていた。 グライフが確認したところ、その睡眠魔法を解くことはグライフには可能であるが、起きた直後に彼女の精神は魔獣に支配されてしまう可能性が高い。そのため、血統的には彼女もまた「魔獣の主」であり続ける資質を持ってはいるものの、彼女に「現在の事態を説明した上でアレクシスから聖印を受け取る」という一連の作業を瞬時に求めるのは極めて難しい。よって、彼女はあえて眠らせた状態のまま、先にユーフィー、トオヤ、ヴェラのいずれかがアレクシスの聖印を受け取って準備を整えた状態で、指輪をサーシャから抜き取り、該当者が装着する、というのが最適の対処法であろうと考えられた(厳密に言えば、「レア」が本物であれば彼女にもその権利はあるのだが、聖印の扱いに慣れていないという理由から、事前に辞退していた)。 この状況を踏まえた上で、グライフはインディゴに問いかける。 「我々としては、アレクシス様の聖印をユーフィー様に一時的にお預けした上で、ユーフィー殿が指輪の力を用いて魔獣の主となるのが最も成功率が高い方法だと考えているのですが……、現状、ユーフィー殿はご無事なのでしょうか?」 「……細かい状況までは不明ですが、火口の調査から戻って来れない状態のようです」 インディゴとしては、さすがにエーラムのエージェントであるグライフ相手に、パンドラの一員(ジェームス)からの情報提供があったとは言えない以上、このような形でごまかした説明しか出来ない。 一方で、魔獣の近辺に出現した投影体達に関しては、今のところ冒険者達による対応でどうにか食い止めてはいるものの、日に日にその勢力は拡大しており、いつ限界に達するかは分からない、という報告が届いていた。そしてまた当然、今の混沌濃度が不安定な状況においては、テイタニアの近辺で新たに混沌核の収束が発生する可能性も十分にあり得る。 この状況を踏まえた上で、彼等にはいくつかの選択肢がある。まず第一の問題は、先に火山口に突入してユーフィー達との合流を優先すべきか、あるいは、それよりも先に今この場にいるヴェラもしくはトオヤがアレクシスの聖印を借りて魔獣を制御することを優先すべきか、ということである。 そして、どちらの選択肢を採るにしても、街を空にする訳にはいかないのだが、魔獣を制御するためには、魔獣が倒れている現場にまで(昏睡状態のサーシャを連れた状態で)足を運ぶ必要がある以上、どちらにしても「留守番」は必要となる。それを誰が果たすのか、ということもまた、重要な問題であった。 この状況において、まず「レア姫」が自身の見解を述べた。 「私は、ユーフィー殿達の救出を優先したいと思う。件の巨大投影体の周りに魔物が湧いているというのであれば、近付くのも一筋縄ではいかないだろうから、ユーフィー殿率いるテイタニアの本隊と合流してからの方が良いだろう。更に言えば、それ以前の問題として、仮にもヴァレフール伯爵の継承者として、臣下である彼女達を見捨てるようなことはしたくない」 「レア姫」がそう提言すると、それに対して異論を述べる者は現れなかった。そのことを確認した上で、彼女はアレクシスに対して頭を下げる。 「その場合、アレクシス殿達にはしばらくお待ち頂くことになるが、その失礼はどうかお許し頂きたい」 「それは別に失礼でも何でもないと思うのだけど、今、町の近辺にも投影体は出現しているのだろう? それは大丈夫なのかい?」 「この街は冒険者も多い。いざとなれば、街を守るために戦える人員はいます」 「レア」はアレクシスに対してそう説明するが、この時、彼女の中では奇妙な「違和感」が生じていた。テイタニアが魔境に近い土地柄であるが故に冒険者が多いという話自体は、ヴァレフール人としての一般的な知識なのだが、自分自身の中で、それがただの「知識」ではなく、「実体験」としてその事実に深く関わっていたような、そんな感覚が一瞬だけ芽生えたのである。少なくとも「レア姫」として、この街に来たことは過去にない筈である。だとしたら、この不思議な「懐かしさ」は何なのだろう? 彼女が内心で密かにそんな疑問に向き合っている中、今度はトオヤが口を開いた。 「そうですね。グライフ殿の見立て通りならば、魔獣の制御にはリルクロート家の人間が必要です。一応、僕もその血統の末席に連なる者ではありますが、やはり直系のユーフィー様の方が望ましいでしょう。だからこそ、まずはユーフィー様を火口から連れ戻すことが先決かと思われます。そのために、インディゴさんにも火山口への道案内のために御同行をお願いしたいのですが」 トオヤとしては、この時点ではあくまでも魔獣の解決はユーフィーに委ねるべきという認識であった。自分自身がリルクロート家の血筋を引いているとは言っても、この地の人々との間での繋がりは決して深くはない(ユーフィーとは「はとこ」の関係ではあるが、子供の頃に何度か会った程度にすぎない)。そしてこの申し出に対して、インディゴは頷きながら答えた。 「それはもちろん。では、私が不在の間のこの町の指揮権に関しては、ヴェラ様にお願いしてよろしいでしょうか?」 インディゴにしてみれば、街の警備を「部外者」に依頼するのは不本意ではあるが、この状況下で火山口の探索に自分が行かない訳にはいかない。そして、残された街の防衛を実質的に冒険者に委ねるということであれば、彼等の性質上、そもそもまともな集団作戦行動は不可能であろうから、この土地の地形や環境に関する知識の有無よりも、精神的な支柱となりうる人物か否かの方が重要である。その意味で、純粋に冒険者達の士気を向上させるには、騎士としての人望と実績を兼ね備えたヴェラの方が自分よりも適任であると考えたのである(もっとも、ここでヴェラにこの街を委ねるということは、これはこれで再び「地雷」が発生しかねない方策なのだが、先刻の投影体の正体に気付いていないインディゴには、そこまでの配慮は不可能であった)。 「心得た。アレクシス様とグライフ様も、町の中に御逗留頂くということで良ろしいかな?」 ヴェラがそう答えると、アレクシスとグライフも静かに頷く。「地元民に人気の姫将軍」に加えて、「当世最大級の聖印の持ち主」と「当代随一の実力者とも言われる魔法師」の参戦によって、インディゴとしてはようやく、安心して主君の救出へと向かえる環境が整ったのである。 3.1. 火口の内側 その後、トオヤ達はテイタニアの下町にて、「硬めの焼き菓子」や「乾燥させた果物」などの保存食を調達しつつ(冒険者の集う町だけあって、品数も種類も豊富であった)、火口までの行軍進路をインディゴから確認した上で、翌朝には出撃を開始する。 戦力を温存しながら迅速に火山島に到達するため、あえて巨大魔獣の横たわっている湖岸を避けて大回りで湖へと到達した彼等は、輸送隊が運んできた簡易小舟団に乗って、火山島へと辿り着く(その途上、チシャとインディゴは遠目で魔獣の様子を確認したが、少なくともこの時点では、大きな異変は起きていなかった)。 彼等は湖中島に上陸すると、兵士達と共に火山の急斜面を無事に登り切り、火口の「へり」の部分へと到達した上でその内側を覗くと、今のところマグマや溶岩が蠢いている様子は見えず、死火山か休火山のような様相が広がっている。火口の中心部分に向かってなだらかな斜面が続いているが、その火口の奥がどうなっているのかは、ここからは確認出来ない。 ここでインディゴがトオヤ達に提言する。 「伝えるのが遅れてしまいましたが、この先は部隊を率いて行くのはやめた方が良いかと」 突然そう言われたトオヤは、当然のごとく首をかしげる。 「それは、なぜです?」 「我々のような『特殊な力』を持っていない兵士達が入るには危険な領域があるのです」 インディゴとしては、ジェームスとの関係を言えない以上、なぜそのような情報を得ているのかについて詳しくは説明出来ないのだが、トオヤ達も深くその点について更に言及しようとはせず、ひとまず彼の言う通り、兵士達は「へり」の部分に残した上で、彼等に「ロープの先」を預けた状態で、トオヤ、チシャ、ドルチェ、カーラ、インディゴの五人だけで、慎重に登坂道具を駆使して火口の奥深くへと下り降って行く。 やがて彼等が(用いたロープの長さから推測するに)湖の水面よりも低い「地下」に相当する深さにまで到達すると、そこには地上の灯りが届かない、幅広い空間が広がっていた。一応、チシャが呼び出したサラマンダーがまとう炎によって一定の視界は確保出来たが、念のためインディゴが(不得意ながらも習得していた)光の魔法を掲げ、その空間内を確認すると、更にそこから螺旋状に地下へと続く「足場」が形成されているのが分かる。おそらく、それはユーフィー率いる調査兵団が通った跡であろう。そして、この空間の中の気温が、異様なまでの暑さに達していることを実感する。 おそらくはこの空間が一種の「魔境」状態になっているであろうことを推測しつつ、彼等はその螺旋状の足場を頼りに下方へと降って行くと、空間全体から広がる「混沌がもたらす不快な圧力」を感じ取る。聖印や混沌の力によって常人とはかけ離れた心身の持ち主である彼等だからこそ耐えられているが、確かにここに普通の兵士達を連れて来ても、まともに進軍することすら難しいだろう。 そんな中、彼等はやがて自分達が進もうとしている方向から、美しい女性の歌声が聞こえてくるのに気付く。それは聞く者の心を癒す穏やかな声色に彩られた優しい旋律であり、インディゴにとっては明らかに聞き覚えのある声であった。おそらく、心神喪失状態の兵達を励まそうと、ハーミアが懸命に歌っているのであろう。 そのことを確認した彼等は、傾斜が厳しくなる足場を慎重に確認しながら降っていき、やがてハーミアの姿を確認するに至る。彼女の傍らには、ぐったりとした表情の兵士達が倒れ込み、そしてその更に奥の空間から、誰かが何かと戦っているような喧騒が聞こえてくる。 彼等の到着に気付いたハーミアが、一旦歌うのをやめて問いかけた。 「インディゴさん、この人達は?」 「増援、といったところですかね」 彼がそう答えると、トオヤが軽く一礼しながら自己紹介する。 「お待たせしました。この度、ユーフィー様達の救援に参りました、トオヤと申します。ユーフィー様は今どこに?」 「この奥で、筆頭武官のアレスさんと一緒に、魔物達と戦っています。おそらくこの空間は『魔境の第一層』であって、この層の変異率を生み出している混沌核らしき存在をこの奥で発見したのですが、その周囲を『炎を纏った蟻のような怪物』が守っていて、なかなか混沌核に近付けない状態が続いているのです」 そう言われたトオヤ達が奥の空間に目を向けると、そこでは混沌が生み出したと思しき業火が広がっており、おそらく今の心神喪失状態のテイタニア兵達が助けに行っても、その炎熱の力に耐えられないであろうことは推測出来る。そして、ハーミアの歌の力でかろうじて意識を保っている彼等に、ここに至るまでの激しい斜面を戻って登り上がるだけの気力が残っているようにも見えない。つまり、進軍するにせよ、撤退するにせよ、この奥の混沌核を破壊しなければ、身動きが取れないとユーフィー達は判断したらしい。 ひとまずカーラが、持参した非常食の甘い物を兵士達に配りつつ、兵士達を励ましている中、トオヤがインディゴとハーミアに語りかける。 「ならば、ユーフィー様とアレスさんの救援に向かうべきですが、その前に……」 そう前置きした上で、彼は聖印を掲げながら、兵士達に向かって叫んだ。 「聞いてくれ、皆! これから俺達は、この奥で戦っている君達の領主の救援に向かい、その先にある混沌核を破壊して、すぐさま皆が脱出出来る状況にする! それまで少しの間、待っていてくれ! 皆が不安になるのは分かるが、俺はパラディンとして、必ず皆を救うと誓う!」 トオヤのその宣言によって、それまで茫然自失としていた兵士達の瞳に、わずかではあるが光が戻る。彼等は今、自分達の目の前にいるこの若い君主が誰なのかは認識出来ていない。だが、それでも、彼の掲げる聖印に込められた強い決意と覚悟は確かに伝わったようである。 続けてトオヤは、ハーミアにも声をかけた。 「ハーミアさんも、少し休んでいて下さい。ずっと歌い通しで疲れたでしょう? あとは我々にお任せ下さい」 「分かりました。では、よろしくお願いします。まぁ、私は平気ですけどね。だってこうして他の地域から援軍が来て下さったということは、既に援軍は各方面に要請しているのでしょう? だったら、きっと『あの方』も助けに来て下さる筈ですから。そうですよね、インディゴさん?」 希望に満ちた瞳のハーミアにそう問われたインディゴは、思わず目をそらす。さすがにここで、救援に来ているのが「ハーミアが期待している人物」ではなく、「その妻」であるとは、口が裂けても言えなかった。 3.2. 炎の巨大蟻 トオヤ、チシャ、ドルチェ、カーラ、そしてインディゴの五人が、魔境の「奥の空間」へと足を踏み入れると、そこにはハーミアの言っていた通り、巨大な混沌核と、そして「炎をまとった、人と同じくらいの大きさの軍隊蟻の集団」が、ユーフィーとアレスの前に立ちはだかっていた。横目で彼等の姿に気付いたユーフィーは、蟻達に対して二本の剣を構えた状態で、入ってきたインディゴ達に対して背中を向けたまま語りかける。 「救援に来てくれて、ありがとうございます。今、街はどうなっているんですか?」 「今のところ、差し迫った状況ではないです。混沌が押し寄せる気配も無くは無いですが、援軍も来ていますので」 「そうですか。とりあえず、あの混沌核を倒せば、この階層の変異率はどうにかなると思うのですが……」 ユーフィーは蟻達の攻撃を受け流しながらそう呟くが、彼女も、その傍らのアレスも、周囲の炎熱の影響もあって、極度の疲弊状態にあることは誰の目にも明らかであった。 この状況を打開するために、まずインディゴはこの場に広がっている混沌の変異率を、一時的に発散させようと試みる。混沌の蒸散自体は魔法師であれば誰でも備わっている技術であるが、強大な魔境における変異率の発散は、決して容易なことではない。だが、ここで彼は見事にそれを成し遂げ、この空間全体に広がっていた混沌の炎は、一瞬にして消え去った。 その直後にドルチェが、邪紋の力を用いて蟻達の目を自身に惹きつける。 「さぁ、こっちにおいで……」 その妖しい視線に引き寄せられるように蟻達はドルチェの元へと集まり、彼女はそれに対して細剣で斬りかかるが、蟻達の身体は炎の装甲に守られ、なかなか致命傷には至らない。 「まぁ、倒すのは僕の仕事じゃない」 彼女がそう呟きながら、襲い来る蟻達の動きを完全に見切って、まるで舞い踊るかの如きしなやかな動きで避け続ける。その後方ではトオヤが、いつでも彼女を助けに行こうと、鎧を強化した上で待機していたのだが、まるで自分の出る幕がなさそうな様子であった。 一方、インディゴは周囲の蟻達の身体の構造を瞬時に解析すると、彼等が(自分自身が炎をまとった存在であるにもかかわらず)炎に対して強固な耐性を持っている訳ではない、ということに気付く。 「彼等には、炎による攻撃も有効のようです!」 彼がそう叫んだ直後、チシャはに対して、サラマンダーの口から火炎を放射させて、ユーフィーとアレスが対峙している蟻達に重傷を負わせつつ、ウーズを瞬間召喚することによって、他の蟻達の動きも封じ込める。 そして、蟻達がドルチェの元に集まったことによって発生した「隙」を掻い潜って、カーラが混沌核へと向かって駆け抜け、全力の一撃を混沌核に向けて叩き込む。その斬撃で混沌核は激しく消耗するが、その直後にカーラの周囲に巨大な火炎が発生し、避ける間も無くカーラの身体を焼き尽くそうとする。しかし、それよりも一瞬早く、チシャが放ったオルトロスが身を呈してカーラを庇ったことで、彼女はどうにか一命を取り止めた。 そして次の瞬間、既に変異率の発散で激しく疲弊していたインディゴが、残る魔力のほぼ全てを込めて放った全力の攻撃魔法を混沌核に打ち込んだことで、混沌核は破壊され、この階層全体に広がっていた混沌の圧力が一瞬にして喪失した。巨大蟻達の身体をまとっていた炎も消失したことで彼等は大幅に弱体化し、それでもユーフィーやドルチェ達を襲おうとしたが、やがて後方から、「混沌による恐怖」から解放された兵士達がハーミアに率いられて突入したことで、生き残っていた蟻達も瞬く間に殲滅されることになった。 「ありがとうございます、皆さん……」 ユーフィーはそう呟きつつ、その場に倒れ込む。それと同時に、アレスもまた激しく呼吸を乱しながら膝をつく。二人共、かろうじてまだ意識はあったが、ここまで心身の限界まで戦い続けた疲労が一気に押し寄せてきたようで、これ以上の進軍は誰の目にも不可能な状態であった。 二人は部下の兵士達に抱えられながら、インディゴの指示に従い、トオヤと共に火山の外へと脱出する。トオヤやインディゴにしてみれば、二人から聞きたい話は山のようにあったが、今はまともに会話が出来る状態ではないと判断し、まずは帰還を優先することにしたのである。 3.3. 湖畔の巨大蜥蜴 だが、火口の外に戻った彼等に対して、待機していた兵士達から凶報がもたらされる。 「あの魔獣の近くで、新たな投影体が次々と出現しています!」 兵士達が指し示した先にいたのは、相変わらず湖のほとりに横たわっている巨大魔獣と、その周囲に出現しつつある蜥蜴のような姿の投影体である。それはまるで、巨大魔獣の縮小版のような禍々しい魔物達の集団であった。 「では、急いで戻るぞ!」 トオヤがそう言うと、彼等は即座に船に乗り込む。一方、インディゴの部下の兵士達は、彼に対して「奇妙な形状の薬瓶」を手渡す。それは半年前に魔境で「彼」から手渡された「あの薬」と同じ瓶であった。 「魔法師様、さきほど『流しの薬売り』の人が現れて、魔法師様が出てきたらこれを渡せと」 「またか……」 どう考えても、こんな湖中島の火山の山頂に「ただの薬売り」が偶然現れる筈がない。「彼」がどうやってここまで辿り着き、その後、どうやって姿を消したのかは兵士達も把握出来ていなかったようだが、インディゴとしてもその点を追求する気はないし、それは追求してはならない問題だということは分かっていた。今の彼にとって必要なのは、エーラムの一員としての責務である「闇魔法師一派の捜索」ではなく、「疲弊しきった自分が、この先に待ち受ける投影体との戦いに参戦するための精神力の回復」である。この辺り、(エーラム時代の数少ない友人である、娘ほどの年齢の少女とは対照的に)あくまでも現実主義者である彼は、何も言わずに黙ってその薬を自身に処方した。 そしてインディゴは小舟の中で己の魔力を回復させつつ、湖畔に次々と出現する蜥蜴型投影体達の様子を確認した上で、彼等に対しても炎熱攻撃が有効であろうという推察に到達すると、チシャに対してそう告げた上で、自身も魔法杖を構える。そして蜥蜴の魔物達が射程圏内に入ると同時に、インディゴが蜥蜴達の装甲の薄そうな部位を狙って攻撃魔法を放つと、それに続いてチシャの呼び出したサラマンダーによる火炎攻撃、更にはチシャが瞬時に呼び出したウィル・オー・ウィスプが立て続けに蜥蜴達に襲いかかる。 一方、ドルチェが船上からまたしても邪紋の力で蜥蜴達の注意を引きつけている間に、カーラ隊はカーラ自身の「本体」の力を完全に覚醒させた上で、船が陸地に接舷すると同時に蜥蜴達の中でも最大級の一体に向かって突撃する。ドルチェの視線に魅了された蜥蜴達は次々とドルチェに襲いかかるが、彼女はここでも全くその攻撃を意に介さぬままあっさりと避け続け、カーラ隊に対して反撃した大型蜥蜴の攻撃も、カーラの巧みな指揮によって軽々とかわされ続ける。 そんな戦場を後方から目の当たりにしていたトオヤは、今の彼女達であれば自分が防御に専念する必要はないと判断し、一刻も早く帰路への道を切り開くために、自ら槍を携えてカーラの援護に向かう。インディゴによる後方からの的確な指示もあり、トオヤ隊の槍突撃は巨大蜥蜴の心臓を一撃で貫き、その勢いで意気高揚した彼等は、ユーフィー隊の兵士達の援護もあって、そのまま一気に蜥蜴達を殲滅することに成功したのであった。 3.4. 領主の帰還 こうして、無事に投影体を撃退した彼等は、倒された蜥蜴達の傍らで眠り続ける巨大魔獣を刺激せぬようそのまま放置した上で、どうにかテイタニアの街への帰還に成功する。 領主であるユーフィーが生きて帰ったことに街の人々は安堵の表情を浮かべる一方で、大陸からの思わぬ来訪者を目の当たりにした調査兵団の者達は激しく恐縮し、そして自分の期待とは真逆の「忌むべき存在」を目の当たりにしたハーミアは、ドス黒い笑みを浮かべながら一言だけ「彼女」に礼を言った上で、すぐに皆の前から姿を消した(その後、彼女が姿を現すのは数日後の話となるのだが、その間に彼女がどこで何をしていたのかは永遠の謎である)。 そしてユーフィーは、グライフの魔法で心身共に回復させられた上で、彼の口から、昨日トオヤやインディゴ達に語っていた説明を受ける。彼女はアレクシスの来訪に深く感謝した上で、「ユーフィーが指輪を受け取って魔物を制御するのが一番成功の可能性が高い」というグライフの仮説を受け入れた上で、「今度こそ自らの手で魔獣を封印する」という強い決意を固める。 ただし、ここでグライフは一つ重要な情報を付け加える。それは、最も確率が高い(とエーラムが考えている)ユーフィーを以ってしても、魔獣の制御の成功率は100%とは言えない、ということである。 「もし、ユーフィー殿が制御に失敗し、その精神を魔獣に支配されそうになった場合は、私が即座にユーフィー殿を殺さなければなりません」 グライフは淡々とそう語る。彼には、現在サーシャにかけられている昏睡魔法を解くことは出来るが、同じ魔法をもう一度かけることは出来ない(というよりも、その魔法を使えるものは現在のエーラムには存在しない)。つまり、半年前に魔法少女が施した「時間稼ぎのための処方」は、一度解いてしまえば、(再び彼女がこの地に現れない限り)もう二度と再現することは出来ないのである。 だが、それを聞かされた上でも、ユーフィーの決意は揺るがなかった。 「このままサーシャを眠らせておくわけにはいきません。私がやります」 ユーフィーが改めてそう言うと、グライフは頷きつつ、少しでも成功率を高める方法についての相談を始める。彼が知る限り、他の地域においても似たような形で「かつて君主であった魔物」を制御した事例はあるが、その際には「制御する対象となる者と縁のある何か」の力を重ね合せることで成功率は高まる傾向にある、と言われている。リルクロート家やインサルンド家の血筋もその要素の一つだが、他にも何か「その魔獣に関する遺物」のような物があれば、それを触媒として利用することで精神的な繋がりを強めるのも有効な手段であるらしい。 しかし、残念ながらユーフィーには、そこで役に立ちそうな物品が思いつかなかった。リルクロート家にもインサルンド家にも、それぞれに「家宝」と呼ばれる代物は存在しているものの、その中のどれがマルカートに縁のある代物なのか、はっきりとした記録が残っていなかったのである。それはこの場に同席していたヴェラやトオヤも(そしてチシャや「レア」も)同様であった。 3.5. 「祖母」の声 そんな中、トオヤの傍らに立っていたカーラの脳裏に、突如、正体不明の「女性の声」が響き渡る。今、この場にいる者達の中で、その声が聞こえている者は彼女以外にいないことは、周囲の状況からすぐに分かる。そして、その声はこの場にいる誰の声でもなく、カーラにとって聞き覚えのある声でもない。 だが、カーラは本能的に、その「声」の主が誰かなのか、推測がついていた。彼女は目を閉じ、必死に集中してその声を聞き取ろうとする。そして、そんなカーラの様子に気づいたチシャは、彼女が何かを感じ取ろうとしているのだろうと推察し、密かに彼女に対して、その神経を研ぎ澄ませる魔法を施した。 「あなたは、誰です?」 その声をはっきりと確認したカーラは、心の中で答える。 「シャルプとヴィルスラグの娘、カーラです」 すると、しばらく間を開けた後、同じ声が再びカーラの心に響きわたった。 「シャルプと……? 私は今、何か聞き違いをしましたか?」 どうやら「彼女」はその辺りの「事情」までは知らないらしい。無理もない。彼女が「魔獣」の姿になったのは、カーラが生まれるよりも十年以上も前のことなのだから。 「あなたは、私のお婆様であるマルカート様ですか?」 そう問いかけるカーラに対して、その声の主は否定も肯定もせぬまま、まだ困惑した様子で語り続ける。 「そんなことが……、しかし、あなたからは確かに、シャルプの気配もヴィルスラグの気配も感じられる……。まぁ、そういうこともあるのかもしれませんね。オルガノンは歳をとらない訳ですし……」 この声の主がマルカートであるとするならば、「息子」と「戦友(剣)」の娘という事実に困惑するのも当然の話だろう。だが、それでも「彼女」は、その事実を受け入れたようである。 「あなたがこの地に近付いている気配は感じていました。ここ最近、私の中で安らぎを感じていたのは、そのためなのでしょうね」 その声がカーラに届いた頃、彼女の傍らに立つトオヤは、カーラの様子の異変に気付いた。 「カーラ、どうかしたのか? おーい?」 彼はカーラにそう問いかける。カーラにはその声は聞こえてはいたが、ここで集中を止めるとマルカートの声が聞こえなくなるかもしれないと思い、あえて答えないまま、ひとまず掌を立てた状態でトオヤの前に差し出して、無言で主からの問いかけを拒絶する。 「あ、う、うん……?」 いつものカーラと明らかに異なる態度にトオヤは困惑しつつも、そのまま黙り込む。トオヤは、先刻までの一連の戦いの中で、自分の本来の役割である「守る力」を存分に発揮しきれなかったこともあり、内心やや気落ちしていたのだが、そんな中でカーラからまさかの「会話の拒絶」を突きつけられたことで、更に気持ちが沈んでいた。 そして、周囲の者達もまたそんなカーラの様子に不自然さを感じていたが、あえて声はかけぬまま、しばらく黙って彼女に視線を向ける。 「あなたに今、話しかけている人は?」 カーラの中で再び「彼女」がそう問いかけると、カーラは自信に満ちた態度で答える。 「私が仕えている、あるじ様です」 「そうですか。あなたの主は、どのような方ですか?」 「寂しがりで、欲張りで、甘いものが好きな人です。自分の大事なものは、掌から逃したくないとわがままをおっしゃる。でも、絶対にその掌の上にあるものを守ってくれるから、私は安心して自分の剣を振るうことが出来ます」 心の中でそう力説するカーラの表情は、心なしか少しずつ緩んでいた。そのことは、周囲で彼女を凝視している者達にもすぐに分かる。 「なるほど。その人の掌は、さぞや大きいのでしょうね。あなたがそこまで心から信頼を持って答えるということは」 「どうでしょうね……。国ひとつ、とまで仰ることはないですが、自分の領民は全てその掌の上に包み込んで守ろうとしていらっしゃいます」 カーラにそう言われた「彼女」は、先刻のトオヤの声を改めて思い出していた。 「今、あなたが話した方からも、どこか懐かしい匂いがしたような……。そうですね……、私も、くだらない意地をはらずに、次の主を決めておけば……」 そう呟く「彼女」の声が、徐々に遠ざかっていくのをカーラは感じる。その状況に焦ったカーラは、思わず「心の声」をそのまま口に出して叫んでしまう。 「お婆様、待ってください! リルクロートの血筋の者が主になるようにと、お婆様は仰ったのでしょう?」 その声に周囲の者達が驚いていることには気付かぬまま、カーラは心の中で「彼女」の声に耳を傾け続ける。 「そうです……。しかし、今の私は、自分で自分が制御出来なくなってきている……」 弱々しい声でそう語る「彼女」に対して、カーラは再び、実際に声を出して訴えた。 「大陸から、強大な聖印の持ち主の方を招いています。その方の聖印を用いれば、その身の荒れ狂う混沌を御することも叶うでしょう」 「大陸の方、ですか……。その方が私の心に声を届かせることが出来る方ならば良いのですが……」 そう言って、「彼女」の声はそのまま消えていく。それに対してカーラは更に訴えかけた。 「リルクロートの直系の者に力を貸してくれるとのことなので、その者の声をお聞き下さい」 それに対する反応が一切ないまま、「彼女」の声は完全に消え去った。そして次の瞬間、カーラは目を開け、そして周囲の者達が自分に対して奇異の視線を向けていることに、ようやく気付いたのである。 3.6. 高等魔法師の見解 自分が「どの時点」から声を出してしまっていたのか把握出来ていないまま、羞恥と困惑に身体を震わせるカーラに対して、グライフが落ち着いた口調で問いかける。 「少し、いいですか? ドラグボロゥの王城でお会いした時から気になっていたのですが、あなたは、投影体ですか? あなたからは、投影体であるような、そうでないような、奇妙な気配を感じるのですが……?」 カーラがどう答えれば良いか分からず困った表情を見せると、グライフは次にトオヤに対して問いかける。 「トオヤ殿とおっしゃったか。あなたは今、この方の主ということでよろしいですか?」 「はい」 「エーラムからの依頼として、この方と二人で話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」 「え? そ、それは、なぜです?」 「エーラムとしては、もしこの方が危険な投影体であった場合、それなりの『対処』をする必要があります。そしてこの方の場合、そもそも投影体であるかどうかもよく分からない」 「し、しかし、彼女は……、以前、今は亡きウチのお爺様の専任の魔法師から、『安全な投影体』であるというお墨付きはもう貰っているのですが……、それでも、もう一度調べ直す必要があるとお考えなのですか? 」 より正確に言えば、ハンフリーの見解では、カーラの存在は「投影体のようで、投影体ではないかもしれない何か」という程度の結論しか出されておらず、明確な認定は与えられていない。ただ、「無害な存在」であるという暫定的な判断だけは下されていた。 「そうですね。もしかしたらそれが、この状況を解決することに繋がるのかもしれない」 そう言われたカーラは、まだ明らかに動揺した様子である。その状況を踏まえた上で、グライフはトオヤに改めてこう言った。 「心配ならば、あなたも同席するという形でも構いませんよ」 「……分かりました。では、その条件でお願いします。実は、カーラは過去の記憶がないので、こういう事態には色々と不慣れでして……」 「なるほど……」 グライフはどこか納得したような表情を浮かべつつ、ユーフィーの指示を受けた館の使用人に案内される形で、トオヤ、カーラと共に「別室」へと移動する。そして使用人が部屋の外に出て、三人だけがその室内に残された状態で、グライフは改めてカーラに問いかけた。 「今、あなたは誰かと交信していましたね?」 それに対して、カーラではなくトオヤが問い返す。 「交信? それは魔法師が杖を用いて会話をするようなものですか?」 「それに近いと言えば近いのかもしれません。ただ、それが彼女の力によるものなのか、交信してきた者の力なのかは分かりません。いずれにしても、彼女があの状況で誰かと交信していたのであれば、そして、あの場で言いにくいことが何かあるのであれば、ご相談して頂けないかと思った次第です。我々エーラムの魔法師協会は、秘密は厳守します」 そう断言したグライフに対して、カーラは恐る恐る語り始める。 「出来ればこのことは、この場限りで、胸の内に秘めて頂けると幸いです……」 それに対してグライフが黙って頷くと、彼女は意を決して「真実」を語り始めた。 「私は、初代ヴァレフール伯爵であるシャルプと、オルガノンであるヴィルスラグの娘として生まれました」 先刻、実の祖母(と思しき誰か)をも驚かせたこの発言に対し、トオヤは当然のごとく驚愕の顔を浮かべるが、グライフは存外落ち着いた様子であった。 「なるほど……。実は、ヴァレフールの宝剣ヴィルスラグの正体がオルガノンなのではないか、という疑惑は、以前からエーラムの中にもありました。あくまでも「一つの可能性」という程度の仮説ではありましたが、ヴィルスラグに関する様々な記録を見る限り、そう考えた方が辻褄が合う、と思えるような事例がいくつもありましたので」 淡々とそう語ったグライフに対し、カーラはそのまま話を続ける。 「先程は、父方の祖母であるマルカート様から言葉をかけられてしました」 「え? マルカートって、あれだよな? 英雄王エルムンドの七人の騎士の一人で……、それってつまり、霊みたいな形で?」 明らかに困惑した状態のトオヤがそう問いかけるが、グライフはこれに対しても納得した表情を浮かべる。 「なるほど。そういうことならば、合点はいきます」 実はエーラムの上層部の中では「エルムンドの七騎士」の諸々の伝承とその実態についても、ある程度までは把握していた。マルカートがヴァレフールの初代伯爵の母親であることも、そのマルカートこそがあの巨大魔獣の正体であることも、彼は既に承知していたのである。 だが、そんなグライフを以ってしても、さすがにカーラの正体までは分からなかった。その事実を聞かされたグライフは、カーラに対して一つの「この状況への打開策」を提示する。 「それならば、『リルクロートの領主家の血を引く方』に、『あなたの本体』を手にしてもらった状態でマルカート殿と交信してもらうのが、一番成功率が高い方法だと思います。あなた方オルガノンは、持ち手と同調した状態になることが出来ますから。ただ、あなたが今の立場を知られたくないのであれば……、なぜそうしなければならないのか、という点に関して、色々と体裁を整える必要があるでしょう」 グライフはそこまで言ったところで、トオヤに視線を向けて話を続ける。 「もっとも、これはトオヤ殿がどうされたいか、という問題でもあります。あくまでもユーフィー殿に任せるというのであれば、カーラ殿を一旦ユーフィー殿に貸し出して頂く必要がある。もっとも、一度あの魔獣と主従関係を結んでしまえば、その後はカーラ殿がいなくてもユーフィー殿一人で制御出来るとは思うので、すぐに返して頂いても問題ないとは思いますが」 むしろ問題なのは、ユーフィーがカーラを持つ必要性があることを、カーラの素性を語らずにきちんと説明出来るかどうかである。それについては、グライフの中ではごまかす方法も無くは無かったのだが、その前にまず、「主」であるトオヤの意思確認が必要だと彼は考えていた。 「昨日の時点でお伺いした話では、トオヤ殿としては、ユーフィー殿に任せるという方針でしたが、それでよろしいですか?」 改めてそう問われたトオヤは、しばしの沈黙の後、思い悩んだ表情のまま答えた。 「幾許も時間はないことは承知しているが……、少し、時間を頂けないだろうか?」 そう前置きした上で、トオヤはこれまで黙っていた自分の中の感慨を述懐し始める。 「あの投影体には私の父が殺されている。だからこそ、『仇討ち』という訳ではないが、あれを収めることが父への手向けになるのではないかという思いがなくはない。それでも、私よりも直系のユーフィー様や、君主として格上のヴェラ様の方がふさわしいのではないか、と考えてはいた。けれど……」 ここまで話したところで、自分の中の気持ちが固まっていないことを改めて認識したトオヤは、一旦話を打ち切る。 「すまない、すぐ戻るから、一人にさせてもらえないか?」 彼はそう言って、一人、部屋を出て行った。 3.7. 二人の継承者 「相棒」に関する衝撃的な事実を突きつけられたトオヤは、頭の中が整理出来ないまま、館の庭の一角に設置されたベンチに座りながら、遠い目を浮かべつつ一人佇んでいた。そんな彼の前に、会談が中断された状態のまま、なし崩し的に小休止状態に入っていたユーフィーが現れる。 「おや、そこにいるのは、救援部隊にいた君主様の、トオヤくんで良かったっけ?」 「はい。先程は、きちんとご挨拶することも出来ず、失礼しました」 「こちらこそ、助けに来てくれたのに、きちんと挨拶出来ずにごめんね」 ユーフィーとトオヤは「はとこ」の関係であるが、家格でも年齢でも実績でも、ユーフィーの方がやや格上である。 「どうされたのですか?」 「たまたま君の姿が見えたから、声をかけてみただけだよ。ここに来るのは日課だしね。この先に鳩小屋があるんだ。手品用のね」 「そういえばあなたは、手品がお得意だと、風の噂で聞いたことがあります」 あくまでもそれは「種や仕掛けのある手品」であり、「魔法」ではない。しかし、だからこそ、それは魔法の素養のない者でも人々を楽しませることが出来る、確固たる大衆文化の一つであった。かつて魔法師を目指していたユーフィーは、それが叶わないと知った時点で、代わりに「手品」を身につけることで、周囲の人々(主に子供達)を喜ばせたいと考えたのである。 「何か悩んでいたのかい?」 「まぁ、その、ちょっと色々あったというか……、自分勝手な理屈に自己嫌悪になっていたところです……」 トオヤはつい先刻まで、魔獣を制御する役割はユーフィーが担うべきだと思っていた。だが、カーラに「触媒」としての能力があり、彼女をユーフィーに貸し出すがの最良の選択肢だとグライフに聞かされた瞬間、彼の中で突如、「カーラを他人に貸し出したくない」という気持ちが芽生えてしまい、その感情の発芽に、彼自身が戸惑っていたのである。 「ふーん……。詳しく知らないから、下手なこと言うと怒られるかもしれないけど、私も似たようなことは時々あるな」 「そうですか。あなたのような方が自己嫌悪に陥ることなど、そうそうあるようには思えませんが……」 「いやー、半年前に、あの投影体を封印する時にね、私がやるか、妹のサーシャがやるかで、随分揉めたから……。本当はね、あの時、私が封印されようと思ってたんだ。最終的には、私はここで領主の仕事をしなければならないから、ということで、サーシャに任せることにして、今はそれに納得してるけど……。結局あの時、なんで私がそこまで強硬に主張したのかなと考えてみたら、やっぱり、それは『自分がやりたい』という、ただのわがままだったんじゃないかな」 まさに今のトオヤと酷似した時の話を語られたことで、トオヤは自分の内心が見透かされているかのような感覚に陥りながらも、ひとまずは平静を装いつつ、問いかける。 「でも結局、その『自分勝手』は取り下げたんですよね?」 「君ももう会ったことがあるから知ってると思うけど、ウチの契約魔法師は随分と現実的な考えをしてくれるから」 厳密に言えば、半年前の論争の時、インディゴは「自分の意見」は口にせず、「領主様御自身で決めること」としか言わなかった。だが、結果的には彼が「中立」を守ったことで、ユーフィーが自ら折れる道を選択することになった。あの時、彼がユーフィーの方針を積極的に支持して、サーシャを説得する側に回っていたら、話は変わっていたかもしれないが、インディゴの中では「健康なユーフィー」を封印して「病弱なサーシャ」を残すという方針を(それが自身の契約相手であるユーフィーの意思であったとしても)積極的に推せるだけの理由が見出せなかったのである。 「あなたの掲げる理想とバランスを取るには、それでちょうどいいんじゃないですか?」 「そうね。で、本題なんだけど……、件(くだん)の投影体を制御する役目は、私がやっていいのかな? もちろん私としては、自分の力でこのことに決着をつけたいよ。自分の力でサーシャを取り戻したい。それはあの時、サーシャに任せてしまった自分への決着でもあるし、ある種の信念というものでもある」 そう言われたトオヤは、逡巡しながらも、ここまでの「当たり障りのない対応」をかなぐり捨てて、この「やや格上の親戚筋の女君主」に対して、今の自分の中の感情を、ありのままに吐露することを決意した。 「それを言うなら俺も、あの魔獣に対してはケリをつけなければならない。不仲だったとはいえ、自分の父親を殺したんだ。あの魔獣を殺してやりたいとか、そういう訳じゃない。それでも、ケジメみたいなものはつけるべきだと思ってる。ただ、あまりにも事態が大きすぎて、それに対して対処しきれるのかというのが、自分の自信と釣り合わなかったから、ここは引いてもいいと思っていた。でもさっき、詳しくは話せないけど、『大事な相棒』となら、やり遂げられるかもしれないしれない、という事実を突きつけられた時に、身勝手ながら、途端に『やらなくちゃいけないことだ』という、全く都合のいいような気持ちが湧いてきたんだ」 自分でも、何が言いたいのかが分からない。口調も内容も明らかに礼を逸した発言となってしまっていることは分かっている。それでも、今のトオヤは、この感情をそのまま吐き出さずにはいられなかったのである。 「ふーん……」 「全く、都合がいいですよね。出来ないと分かっていた時は傍観しようとしていたのに……。本当に情けない……」 全てをぶちまけた後で、改めて少し冷静になり、そして自己嫌悪に陥っているトオヤに対して、ユーフィーもまた、詳しい事情はよく分からないものの、トオヤが自分の代わりに魔獣を封印する役割を担うべきか迷っているということは理解した上で、思ったことを率直に語り始める。 「それは、都合がいいとか悪いとか、そういう話じゃないんじゃない? 私は、それが必要なら、今回の件を君に任せてもいいと思ってる。ただ、君は私以上にサーシャを救える? 君と君の相棒を信じていい? 私には、リルクロートの直系という誇りもあるし、半年前の事件に直面した時から、この問題に対して深い因縁も感じている。君の中で、それを上回るだけの信念や、君の言うところの『相棒さん』に対する信頼はあるのかしら?」 そう言われたトオヤは、意を決してベンチから立ち上がる。 「ユーフィーさん、それは愚問だよ。俺は一人じゃ何も出来ない。正直、今回の一連の戦いの中では、仲間を守ることすら、ままならなかったくらいだ。実際、俺がいなくても解決出来たかもしれないけれど……」 明らかに話が脱線しかかっていることに気付いたトオヤは、慌てて本筋に戻す。 「それでも、俺とカーラのコンビなら、何だってやれるさ。どんな強い投影体だって退けられると信じてる。俺は何も出来ないけど、俺を助けてくれる仲間の力と、それを守るための力を合わせれば、大抵のことは何だって出来る。だから、ユーフィーさん、悪いけど、俺にあの魔物を制御するための役割を譲ってもらっていいか?」 「君はサーシャを助けてくれるって、自信を持って言ってくれるんだね?」 「あぁ。俺は守護の聖印の君主だ。誰かを守ることなら、誰よりも長けている。あんたの妹だってきちんと守り切りながら、あの魔物を制御してみせる。きっと、不殺の信念を掲げているあなたよりも守ることは長けている。それだけは断言出来る」 先刻まで思い悩んでいた様子から一変して、強い信念を込めた瞳でそう訴える「年下のはとこ」に対して、ユーフィーは自分の中の感情を一旦脇に置いて、納得した表情を見せる。 「そっか。じゃあ、君に任せよう。サーシャを、お願いします」 そう言って、ユーフィーは頭を下げる。結局、彼女は今回もまた「譲る道」を選んだ。大変な任務であるからこそ、自分自身の手で解決したいという気持ちはいつでも彼女の中にはある。だが、それが自分の中でのエゴであるということも自覚しているからこそ、他人のエゴと衝突してしまった時には、相手のエゴよりも自分のエゴを先に降ろすことで、場を収める道を選ぶ。相手の心を重んじるその生き方は、ある意味、彼女の「不殺の信念」にも通じる理念なのかもしれない。 「分かった。任せてくれ」 トオヤは、そんな彼女の気持ちを汲み取った上で、自分とカーラの力を合わせて、絶対にこの任務を成功させると心に誓うのであった。 3.8. 決意と感慨 トオヤはユーフィーを連れた状態でグライフとカーラの元へと戻って「決意」を伝えると、改めてインディゴやアレクシス達を交えて、自分が「聖印を受け取る役」を担うという意思を告げる。 インディゴはその方針に対して、特に異論もなく納得した様子であった。彼はあくまでもユーフィーの意思を最優先すべきと考えていたので、彼女がそれで納得したのであれば、彼の中では問題はない。ある意味、テイタニアの領主が持つべき「強大な力」を分家筋に譲る形にもなるのだが、彼の中ではこの一連の事件に関しては、「あまりにも重すぎる厄介事」を自分の主君に背負わせることの危険性の方が高いと考えていたので、トオヤがその代役となることを止める理由はなかった。 そしてヴェラもまた納得した表情は浮かべつつ、トオヤに対して念を押す。 「ユーフィー殿は、この街の平穏と妹の命を貴殿に託すと言ったのだ。貴殿の中に、それだけのものを託される覚悟はあるのか?」 「俺は守護の君主です。誰かを守ることなら誰よりも長けている。魔物を倒したり、外敵を倒すことに関しては何も出来ないけど、今回のように誰かを守ることなら、誰よりも俺が出来る。それに、今回は俺一人で戦う訳じゃない。カーラも力を貸してくれる。それを思えば、俺は何だって守れる」 「分かった。ならばやってみるがいい。もし貴殿がどうしても混沌に抗えなかった場合は、私がこの手で介錯しよう」 「万が一にもそうならないように努力するが、その時はよろしくお願いします」 トオヤはそう言って頭を下げた上で、傍らに立つカーラに申し訳なさそうな顔で語りかける。 「カーラ、勝手に決めてしまって、すまなかった」 「いや、正直、僕もちょっと安心してるんだ。お婆さまにはリルクロートの直系の君主を、と言ったけど、やっぱり、僕自身を預けるにはあるじが一番かな、と思ったし。その方が安心出来る」 「そうか。何があっても、お前だけは俺が守ってやるからな」 そしてトオヤはチシャに対しても、改めて「決意」を伝える。 「チシャ、もし万が一、ヴェラ様が間に合わなかった時は俺を殺す役目を君に託すことになるが、その時はためらいなく頼む」 状況次第ではあるが、確かに、騎士の剣よりも魔法師の魔法の方が早く相手にとどめをさせることはある。もっとも、それはどちらが早く「殺さなければならない」と即断出来るか、という問題でもあるのだが。 「そうですね。トオヤが決めたことなら反対はしませんけど、そうならないように、しっかりやって下さいよ」 チシャがそう言ったところで、横からカーラが口を挟む。 「今回、蚊帳の外にしてしまってごめんね、チシャお嬢。全部終わったら、全部話すから……」 「そうね。正直、まだちょっと、何が何だかちんぷんかんぷんだけど、私は二人を信頼してるから。頑張ってきてね」 「う、うん、頑張るから」 そんな彼等の様子を、ドルチェは黙って見守っていた。状況次第ではトオヤを殺さなければならないかもしれないという、極めて重大な事態ではあったが、不思議と彼女の中ではそこまで心配はしていなかった。大丈夫だと思える根拠は彼女の中には何もなかった筈なのだが、それでも、トオヤならばきっと成し遂げてくれるであろうと信じていたようである。 一方、そんなドルチェに対して、部屋の反対側から彼女を遠目に見ていたユーフィーは、奇妙な「違和感」を感じていた。 (あの人……、トオヤくんの側近らしいけど……、以前どこかで私と会ったことがあるのかな……。見覚えはない筈なのに、なぜかどこか懐かしい何かを感じるような……) 本来ならば、それは「感じ取れる筈のない気配」である。当然、ユーフィーにはその気配の正体が何なのかは分からない。そして、おそらくそれは今回の問題の解決には関係のないことなのだろうと判断したユーフィーは、この時点でドルチェにその素性を問いかけるのは控えることにした。今の彼女にとっては、それ以上に重要な案件が目の前で展開されていたからこそ、余計な話をこの場で広げるべきではないと考えていたのである。 3.9. そして彼女は火口に消える 翌日、トオヤは仲間達と共に、ユーフィー、インディゴ、アレクシス、グライフ、ヴェラ、そして「ユーフィーに抱えられた状態のサーシャ」を伴って、再び巨大魔獣の横たわる湖のほとりへと向かう(その間の街の警備は、ひとまずアレスに任せることになった)。 そして巨大魔獣の目の前に辿り着いた時点で、トオヤは「何かあった時に介錯されやすいように」という配慮から、あえて鎧を脱いで軽装状態となった上で、ひとまずアレクシスに自身の聖印を預ける。 アレクシスはそれを受け取った上で、今度は逆に自身の聖印の大部分を切り取った上で、トオヤへと手渡した。 「この聖印は大聖堂の災害以来、我が臣下が血眼になってかき集めて、私に預けてくれた聖印だ。我等が連合の思いを私に託してくれた聖印でもある。その思いを今、君に託そう」 トオヤは自分自身の中に「かつて感じたこともないほどの強大な力」が流れ込んでくることを実感しつつ、それを自らの(仮の)聖印として受け止める。 「あなたから預かった聖印の力は、量以上に人々の思いが詰まってる。きっとこの聖印なら、あの魔獣を止められる。このご恩は、決して忘れません」 トオヤはそう言った上で、「本体」のみの状態になったカーラを手にして、彼女と心を同調させた上で、ユーフィーに抱えられた状態のサーシャの前に立つ。そして彼等の間にグライフが立ち、慎重な手つきでサーシャから「オリハルコンの指輪」を抜き取ると、その直後にそれをトオヤの指に嵌めた。 次の瞬間、トオヤの心の中に「マルカートの魂」が入り込んでくる。それはあまりにも激しい混沌への憎悪と、それ以上に増幅された「闘争本能」や「破壊衝動」の濁流であったが、アレクシスから受け取った強大な聖印の力によって、その魂の激流が徐々に収まっていく。それでもまだトオヤが受け止め切るには強大すぎるほどの「圧力」が彼の脳内で躍動していたが、そこに「カーラの精神体」が割って入って来た。 「ごめんね、お婆様。さっきはああ言ったけど、リルクロートの直系である今の領主様よりも、僕のあるじ様の方が、ボクはふさわしいと思ったんだ」 カーラのその「介入」によって、トオヤの中に入り込んできたマルカートの激情は完全に収まり、そして先刻カーラの中に響いていたような落ち着いた口調で、トオヤとカーラに対して(トオヤの脳内で)語り始める。 「直系か傍流かは大した問題ではない。と言うよりも、何が直系で何が傍流なのか、私が死んだ後のことは私にはよく分からない。大切なのは、この力を背負うだけの器であるかどうかだ」 彼女はそう告げると、トオヤの魂へと同調を始める。トオヤの脳内に刻まれたこれまでの彼の記憶、培ってきた全ての精神的蓄積、そして今の彼を支えている決意の重さをマルカートが自身の内側へと受け入れることで、彼女の中にある(かつて聖印であった)混沌核とトオヤの魂との間で、奇妙な繋がりが形成されていく。そのことは、トオヤ自身も実感していた。 そして、やがてトオヤの心の中に彼女の声が再び響き渡る。その声からは、安堵と納得と信頼の感情が込められていることが、トオヤにもカーラにも感じられた。 「あなたであれば、私の力を預けてても、きっと私を導いてくれるであろう。まだエルムンド様には遠く及ばぬが、将来性は感じられる。そなたとの心の絆があれば、私はこれでヴァレフスの欠片との戦いに挑むことが出来る。私はこれから再びあの火口に戻る。それでいいな、新たなる我が主よ」 「あぁ、それで構わない。俺は守護の君主だから、誰かを守るのは得意だ。だから、あなたの『人として戦う精神』を守ることも務めだ。それくらい、果たしてみせるさ」 トオヤは心の中でそう答えると、次の瞬間、マルカートを形成している(かつて聖印であった)混沌核の中に埋もれていたマルカートの「自我」がトオヤを「自身の仕えるべき主」と認定したことで、その「自我」が再び活性化し、自らの混沌核を内側から統御出来るだけの胆力を取り戻す。 そして魔獣は起き上がり、トオヤに対して静かに頭を下げると、地響きを鳴らしながら、湖を渡って、中央の湖中島へと向かって行く。その様子を周囲の者達が警戒して見守る中、やがて魔獣は湖中島に上陸し、その火山を登り、「本来の居場所」であった火口の奥への深層魔境と帰還して行くのであった。 4.1. 盟主の帰還 その後、湖近辺の混沌濃度は急激に下がり、そして火口から蠢いていた混沌の気配も収まった。おそらく、「彼女」は再び魔境の奥底で、「ヴァレフスの欠片」と戦う日々に戻ったのであろう。トオヤと彼女は感覚を共有している訳ではないため、今の彼女がどのような状態にあるのかまでは把握出来ていないが、グライフが位置探索魔法で確認したところ、確かに彼女の気配は、火山島の深層から感じられたという。 ちなみに、グライフの推測が正しければ、トオヤと巨大魔獣の関係は、あくまでも「精神的な繋がり」であって、そこには直接的には聖印は介在していない。侯爵級の聖印が必要だったのは、あくまでも暴走状態のマルカートの魂の濁流に飲み込まれないための「精神の防波堤」が必要であったからであり、暴走状態が収まった現状では、仮にトオヤが聖印を失ったとしても、巨大魔獣との関係は崩れはしないだろう、というのが現時点での暫定的な結論であるという。 無論、それでもトオヤが命を落とすようなことがあれば、再び魔獣が暴走状態になりうる可能性もあるが、エルムンドが死んでから数百年以上も一人で戦い続けていたことを考えれば、即座に暴走する可能性は低いだろう。とはいえ、トオヤの死後は、なるべく早い段階で次の後継者に指輪を託す必要がある。現時点ではその最有力候補はユーフィーであろうが、トオヤが死亡した時点で既に彼に子供がいれば、その子供に委ねた方がマルカートの心情としては継承させやすいのかもしれない。いずれにせよ、それについてはまた「その時」が訪れた際に、その時点での状況を踏まえた上で考える必要があるだろう。それまでは、トオヤがオリハルコンの指輪を預かり続けることに、ユーフィーもインディゴもヴェラも同意した。 こうして、ひとまずの安全が確保されたことが確認出来た時点で、トオヤはアレクシスから預かった聖印のうち、もともと自分が持っていた量だけを切り取った上で、残りをアレクシスに返還し、それを受け取ったアレクシスは、トオヤとの間の(聖印を与えた時点で発生していた)従属関係を断ち切る。その一連の受け渡しを経ても湖の周囲の混沌状況に変化が起きていないことを確認した上で、改めてトオヤはアレクシスに敬礼した。 「この度は、異国である我がヴァレフールのために大切な聖印をお貸し下さり、ありがとうございました」 「私に出来ることはこれくらいしかない。だから、役に立ったのであれば何よりだ。せっかくブレトランドに来た以上、もう少しこの地の人々と話をしてみたかったところではあるが、あまり長く滞在すると国許の家臣達も心配するので、私はこれで帰らせてもらうことにするよ」 アレクシスは笑顔でそう答えると、ヴェラが二人の間に割って入る。 「では、今度は私が責任を持って、我が国の精鋭兵達と共に、ハルーシアまでお送りします」 だが、それに対してアレクシスは首を振った。 「あなたには、夫がいるのでしょう? せっかく長期の任務を終えたのだ。早く帰って差し上げなさい」 ヴェラはその言葉に恐縮しながら、素直にその提言を受け入れ、そしてアレクシスは静かにこの地から去って行く。 そんな彼等のやりとりを、遠くから呪いの形相で眺めている地球人の少女がいたのかいなかったのかは、定かではない。 4.2. 妹の目覚め 一方、指輪を抜き取った後も昏睡状態が続いていたサーシャは、領主の館に戻って、再びベッドに横たわらせた上で、グライフが魔法解除の術を施したことで、半年ぶりにその目を開く。 「私は……、ここは……?」 困惑した状態の彼女は、自分の傍にユーフィーがいることに気付き、声をかける。 「姉様、私は失敗したのでしょうか? ここにいるということは……」 「いいえ。あなたはこの半年間、立派にその務めをやり遂げました。詳しくは後でお話しますが、ヴェラ様が大陸から招いて頂いたアレクシス様の聖印によって、マルカート様の暴走は終わりを告げました。故に、あなたとまたこうして話すことが出来たということです」 穏やかな笑顔でそう答えるユーフィーであったが、サーシャはまだ若干混乱した形相のまま、自分の手と、そして姉の手に視線を向ける。 「では、あの指輪は今は……? 姉様の指には見当たりませんが」 「暴走の解除のために必要だったので、こちらのタイフォンの領主様に預けています。本当は、私自身の手であなたを救いたかったのだけどね……」 そう言って、ユーフィーは隣にいる「タイフォンの領主様」を紹介する。サーシャとトオヤは「同い年のはとこ」であるが、サーシャは幼少期より病弱で、親族の集まりに顔を出す機会も少なかったため、お互いに朧げな面識しか残っていない。また、半年前の時点ではタイフォンの領主はまだ先代のレオンであったため(彼はサーシャが眠る直前に戦死していたのだが、そこまで彼女が把握している筈もない)、急にそう説明されても、サーシャは混乱するばかりであった。 「すみません、私はまだ起きたばかりで、頭が働いていなくて、今の状況が正しく把握出来ていないのですが……、その……、ありがとうございます」 「いや、君主としての力を果たしただけだから」 トオヤは穏やかな声でそう答える。そして、彼の後方に控えていた(「人型」の姿に戻っていた)カーラは、ユーフィーとサーシャに対してこう言った。 「マルカートお婆様のためにこれまで尽力して下さり、ありがとうございました」 ユーフィーの発言から、彼女達が魔獣の正体を知っていることを確認した上での発言であったが、当然、「お婆様」という言葉の意味は、彼女達には分からない。だが、その点について詳しく聞き出そうとはしなかった。自分達の側にも、話せないことはいくらでもある。とりあえず今は、この街に平和が戻った喜びを分かち合えればそれでいい、というのが、この場にいる彼等の共通認識であった。 4.3. 魔法師と武官 「インディゴ殿、これで良かったのでしょうか?」 巨大魔獣の封印の間、町の警備を任されていたアレスは、インディゴから一通りの話を聞いた上で、あえて彼にそう問いかけた。 あの巨大魔獣の力は、本来はテイタニアの領主が持つべき権利である。それを分家筋とはいえ他家の、しかも色々な意味で「渦中の家」の者に与えることが、本当に望ましい解決策だったのかどうか、アレスにはよく分からなかった。現在は「火口」に帰っているとはいえ、もし主がその気になれば、あの巨大魔獣の力を以って国内外に覇を唱えることも可能なほどの強大な「力」である。それを任せるに足る人物なのかどうかについて、トオヤとほとんど会話する機会もなかったアレスには、判断が出来なかったのである(もっとも、アレス個人の立場としては、反ワトホート派の系譜に連なるトオヤは、実は潜在的同盟勢力なのではあるが)。 「信じるしかないでしょう。少なくとも私は、トオヤは信用に足る人物だと思っている」 それが、今回の一連の戦いでのトオヤを目の当たりにしてきたインディゴの見解であった。そう聞かされたアレスは、ひとまずその言葉を受け入れる。 「それならば、私もあなたの目を信じることにしましょう。では、私はこれからユーフィー様の『手品教室』に出席しなければならないので、失礼致します」 そう言って、彼は立ち去って行く。「手品教室」とは、ユーフィーの周囲の者達が有志で集まって彼女から手品の手法を学ぶ場である。もともと手先が器用なアレスには奇術師としての適正もあったようで、最近は実際に子供達の前で披露出来るほどの腕前となりつつある(そしてその技術は、有事の際の暗殺術にも応用出来ることは言うまでもない)。 そんな彼を見送りながら、インディゴはボソっと呟いた。 「もはや彼は、テイタニアにとって『他人』ではなくなってしまったのだ。信じるしかないだろう……」 4.4. 出自と因縁 「すまない、今回は俺のわがままのせいで、心配をかけてしまったな」 サーシャとの面談を終えたトオヤは、領主の館内でチシャに与えられていた客室を訪問し、彼女に対してそう言いながら頭を下げた。 「まぁ、成功したのなら、もう何も言うことはないでしょう。お疲れ様でした」 チシャが優しくそう答えると、トオヤも少しすっきりした表情を見せる。 「これでまた一つ、ケジメがつけたかな」 「私も、思うところがなかった訳ではありませんしね。弟のこともありますし……」 チシャの兄弟達のうち「上の弟」にあたるアンディもまた、半年前にレオンと共にテイタニアの戦いで命を落としている。他にも、彼等にとって馴染みの深いケネス派の多くの宿将達が、あの魔獣の吐き出した炎で焼き殺されていた。 「天災じみた投影体に対して、仇を取ったと言える訳でもないが、これで死んでいった者達の魂が少しでも救われてくれるといいんだが」 「ですね」 その後、彼等はカーラと「レア」を部屋に招き入れた上で、カーラに一通りの事情を説明させることになった。 「今回のあの魔獣は、ボクのお婆様なんだ」 彼女はそう言って、自分の出自と、自分が知る限りの自分の血族に関する話を全て彼等に語り始める。もともと、隠そうと思っていた訳ではなく、話す機会を逃してしまっていただけではあったのだが、その間に伝えるべき情報が次々と蓄積してしまっていたため、その説明には長い時間が必要であった。 「あ、あぁ、ううん……、そうすると、あの魔獣が七騎士の一人であるマルカート様で、マルカート様は初代伯爵シャルプ様のお母様で……、なんとも壮大な……」 チシャは呆気にとられながらも、一つ一つの事象を口にしながら頭の中で整理していく。 「壮大か……。まぁ、年月を考えれば、そうだよね。ただ、その壮大な時間の大半の間、ボクは眠っていた訳だけど」 カーラはこの「壮大な物語」が、自分の中でまだどこか他人事のような位置付けに留まっていることに対して自分でも奇妙な違和感を感じながら、そう呟く。それに対して、「レア」は存外落ち着いた様子で答える。 「まぁ、その話には驚かなくもないが、それを知ったところで、カーラはカーラなんだろう?」 「ボクは変わらず、あるじの剣である。そこは変わることはないから」 「であるなら、気にするようなことはない。それはある意味で、僕も同じだ。自分がどこから来たかとか、自分の出自なんて、気にしていても仕方ない」 それは明らかに「レア」としてではなく、「パペット」としての発言であったが、ここで彼女がそう言ったのは、半分は自分自身に言い聞かせるためでもある。 というのも、彼女はこの街に来て以来、ずっと「微妙な違和感」を感じていた。自分はこの街に来たことはない筈なのに、なぜか妙に懐かしい、そんな感覚に囚われていたのである。彼女はそれが「失われた自分の記憶」と何か関係があるのかもしれないと思いつつ、今更それを思い出すことが、今の自分やレアやトオヤにとって「望ましい何か」をもたらすことになるとは思えなかったため、あえて自らそのことを調べようとはしなかったのである。 「何にせよ、お疲れ様でした」 「あぁ〜、うん、チシャお嬢、ありがとう〜。その言葉が一番嬉しい気がする〜」 「正直、まだ混乱してますけど、二人が無事に戻ってきてくれたなら、それで十分ですよ」 優しくそう微笑むチシャに対して、カーラは心底嬉しそうな表情を浮かべる。帰りの船の中でのヴィルスラグとの邂逅以来、ずっと自分の中でモヤモヤしていたものを、ようやく全て吐き出せてすっきり出来たような心地であった。 一方、改めて一通りの事情を説明されたトオヤは、自分がその「壮大な物語」の中に組み込まれたことの重要性を実感しつつ、それと同時に、自分の中での個人的な問題について、一つの決着がついたことに気付いていた。 それは、トオヤがリルクロート家の末裔であることが確定した結果、彼が父レオンの実子であることもほぼ確実となった、ということである。無論、それが今更分かったところで、亡き父との関係をどうこう出来る訳ではない。そして、実はまだトオヤの出生にはもう一つの重大な秘密が隠されているのだが、彼がそのことを知るのは、もう少し先の話である。 4.5. 「男爵」の見解 その日の夜、トオヤは改めてユーフィーに「一対一」での対談を申し込んだ。この街に来た「もう一つの目的」を達成するために。 「今回はテイタニアの危機を救うためにこの場に派遣された訳だけど、実はそれ以前から、別の目的でここに来ようとは思っていたんだ」 「ほう? 何かな? 言ってみるといい。君はサーシャを救ってくれた恩人だからね。大抵のことなら話を聞くよ」 「まぁ、一旦そのことは忘れてくれ。恩とかそういう理由で聞いてもらいたい話じゃないんだ」 「……その目を見ると、本気みたいだね。どうやら不適切な言い方だったようだ。忘れよう。で、何かな?」 改めてユーフィーがそう問いかけると、トオヤは言葉を選びながら慎重に話し始める。 「もう既に君の耳にも入っているかもしれないが、一年後にワトホート様が退位される」 「聞いてるよ。さすがに私も七男爵の一人だからね」 「その後、後継者になるのがレア姫になった場合……」 そう彼が言いかけたところで、ユーフィーが割って入った。 「後継者は、七男爵会議で決めるんじゃなかったっけ?」 「あぁ。その最有力候補がレア様なんだ」 「まぁ、そうだろうね。で、私に言いたいことって、何かな?」 ユーフィーにしてみれば、「反ワトホート派」である筈のトオヤが、レアの護衛としてこの地まで来たこと自体が奇妙な状況に思えた訳だが、この時点でこのような話を持ちかけられた以上、そこに何らかの特別な意図があることは推察出来る。 「レア姫様に会ってみて、どう思った?」 「私達の救援に応じてトオヤ君達を派遣してくれたんだから、私はそれなりに好感を持っているけど……」 「それならいいんだが……、レア姫様はレア姫様で、この国の未来を思って戦う覚悟がある人だから、出来れば、その、後継者として推してほしいというか何というか……」 やや口ごもりながらそう語るトオヤに対して、ユーフィーは改めて違和感を感じつつも、彼のその様子から、その言葉に何らかの「裏の思惑」があるようには思えなかった。立場的には、彼は本来は「ゴーバンによる爵位継承を主張する陣営の騎士」である以上、このような話を持ちかけてくること自体が不自然ではあるのだが、それでも、彼のこの発言からは、カマをかけている様子も、裏の思惑が潜んでいる様子も伺えず、純粋に「レア」を応援しようと本気で思っているように、ユーフィーには感じられたのである。 とはいえ、トオヤのレアを支えようという気持ちが純粋な感情だったとしても、その感情を誰かが私利私欲のために利用しようと考えている可能性も否定出来ない。そのことを踏まえた上で、ユーフィーは率直に自分の考えを告げる。 「君の気持ちは分かった。でもまぁ、それは私がこの目でしっかりとレア姫様を見極めた上で考えさせてもらうよ。それが、この国を背負った七男爵の役目だから。当たり前のことだけど、少しでもこの国を幸せにしてくれる人に、この国を任せたいじゃん?」 「そうだな。俺はきっとレア姫様ならそれが出来ると信じている」 「じゃあ、後でまたレア姫様に会ってくるけど、君の言葉は心の片隅に留めておこう」 そう言って、彼女はトオヤとの会談を終え、部屋を後にする。 ****** その後、「レア姫」と会談したユーフィーは、「この国の現状を憂慮し、民のために自らが後継者になろうとするレア(を演じているパペット)」に対して、素直に好印象を抱くのであるが、それと同時に、なぜか不思議な「懐かしさ」をどこかで感じ取っていた。それは彼女が先刻「ドルチェ」に対して感じた「懐かしさ」と同種の感覚であり、そしてまた、パペットの側も同じような感覚をユーフィーに対して抱いていたのだが、結局、二人とも最後までその感覚の正体には一切気付くことはなかったのである。 4.6. 甘い誘惑 翌朝、トオヤの部屋を「レア姫」が訪れた。 「トオヤ!」 「姫、どうしました?」 「トオヤと一緒に、テイタニアの街に行きたいな。だって『私』、ずっと蚊帳の外だったじゃない」 正確に言えば「ドルチェ」としては常にトオヤの近くにいたのだが、「レア」は最初の挨拶の時以来、ほぼ彼の前からは姿を消していたのである。「レア」への支持者を広げるという本来の目的に鑑みれば、ここでトオヤと共に民衆達の前に出て顔と名前を広めておくことは必要な戦略であると言える。 もっとも、「レア」自身としてはそれ以前に、純粋に「トオヤと一緒に街を歩きたい」という感情の方が強かったのであるが。 「あぁ、そうだな。さて、何があったかな……? 数日前に買ったお菓子はそこそこ美味しかったけど、あれだけ色々な店が並んでいるこの街なら、きっと、もっと美味しいお菓子がどこかにある筈なんだ」 「じゃあ、探しに行こうか。ところで、昨日、領主のユーフィー様と話をして、なかなか印象の良い人だったんだけど、トオヤ、私のことについて何か言った?」 「あぁ、うん、まぁ、なんというか……」 トオヤがどう答えて良いものか迷っていると、レアは懐から一枚の地図を取り出す。 「そうそう、これ、ユーフィーさんからトオヤに、って。この街の美味しいスイーツをまとめて地図にしてくれたらしいよ」 そう言って地図を見せられたトオヤは、目を輝かせる。どうやら、彼が極度の甘党であるという情報が、いつの間にか彼女の耳にも届いていたらしい(それが「レア姫」自身による情報漏洩なのか否かは定かではない)。 「マジで!? じゃあ、しばらくここに滞在すれば、全部回れるんじゃないかな。チシャやカーラも誘って行こうよ! 君もいずれヴァレフールの領主になるんだから、民の生活を知るためにも、きっといい機会になるからさ」 昨日までの深刻な状況から打って変わって、一人の「甘いものが好きな少年」の顔に戻ってはしゃいだ様子を見せるトオヤであったが、そんな彼に対して、「レア」は少し頬を膨らませて不機嫌そうな声で答える。 「分かったよ。じゃあ、チシャとカーラも呼んでくるね」 本当は二人きりで回りたかったという想いを胸に秘めつつ、そう言って二人を呼び出しに行く。その話を聞かされた二人は、顔を見合わせて呟いた。 「やっちゃったな、あるじ……」 「まぁ、トオヤらしいと言えばトオヤらしいのかな……」 こうして、「いつもの四人」で、彼等はテイタニアの下町へと繰り出して行くことになる。なお、この前日の夜にパペットが 奇妙な夢 を見ていたことについては、これ以降も永遠に誰にも明かされることはなかった。 4.7. 眺める二人 そんな彼等の様子を、街の巡回をしていたインディゴが遠目に発見する。無論、彼としては、客人達の私的な空間を邪魔するつもりは毛頭ない。だが、彼はそれと同時に、そんな彼等を眺めている「もう一人の魔法師」の姿を発見してしまった。 「おや、私の気配を即座に感じ取るとは、これでもう完全にへっぽこ卒業かな」 どう見ても「幼い少女」としか思えない外見のその魔法使いを目の当たりにして、インディゴは複雑な表情を浮かべながら黙り込むが、気にせず彼女は話し続ける。 「とりあえず、私が出なくても解決出来たようで良かった。私が出ると、また面倒なことになりそうな気がしたからな」 どうやら彼女は、今回の騒動を聞きつけて、この街に潜伏していたようである。もっとも、それがいつの時点からなのかは分からないが。 「結局、テイタニアの中だけで解決することは出来ませんでしたが、結果的にはこれで良かったと思っていますよ」 インディゴがそう答えると、その魔法少女は涼しげな笑みを浮かべる。 「そうだな。で、どう思う、あの男? この四百年間、一度として新たな主を迎えなかったマルカートが、ようやく選んだ新たな主である訳だが……、奴は、エルムンド様を超えられる器だと思うか?」 唐突にそう問われたインディゴは、反応に困りながらも、ひとまずは無難に答える。 「今の彼からは想像出来ないが……、そうなる可能性もあるのかもしれない」 「うむ、なるほどな。そして、あやつの本命は結局、誰だと思う?」 三人の少女を侍らせて楽しそうにケーキ屋巡りをしているトオヤを見ながら、その魔法少女は興味深そうな口調でそう問いかけるが、当然、インディゴにしてみれば、知ったことではない。 「いや、私に聞かれても……」 そんな彼に対して「大先輩」は呆れた表情を見せる。 「お主も、もう少し、そういうところをだなぁ……」 「そうは言っても、私は魔法師として務めるべきことが他にあるので……」 「政務官として人心を掌握するためには、これもまた必要なことだぞ。女の嫉妬一つで世の中が大きく転ぶこともあるのだからな」 まさにその「張本人」の言葉としては極めて重い発言なのだが、そこまでの事情は知らないインディゴの頭の中には、むしろハーミアの姿が思い浮かぶ。どちらにしても、あまり聞き心地の良い話しではなかった。 「人にはそれぞれ向き不向きがあるのですから、そこまでは求めないで下さいよ……」 溜息をつきながらそう答えるインディゴを横目に、魔法少女は五年ぶりに揃った四人の若者達の姿を静かに眺める。トオヤが「四百年前の英雄王」の後継者へと成長することを密かに期待すると同時に、彼等が「四百年前の自分達」とは異なる道を歩むことを、切に願いながら。 【ブレトランド風雲録】第4話(BS36)「愛は輝きの果てに」 グランクレスト@Y武
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1077.html
1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/12/02(日) 12 57 28 ID 0oW1eNWv ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。 ・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫) http //yandere.web.fc2.com/ ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫) http //www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part11 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1192890392/ ■お約束 ・sage進行でお願いします。 ・荒らしはスルーしましょう。 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。 ■投稿のお約束 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため) ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。 2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 13 02 08 ID DSTE3Y0E 1乙 神速で2get 3 名前:3ゲトー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 13 07 23 ID sMTf3PYX 1 乙 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 13 57 37 ID hFeXMIuz 乙 5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 15 00 15 ID KdEHznFc 1乙 6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 19 51 21 ID EY/AN0IZ 1乙かれーチョコレートを分けてあげよう 7 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/12/03(月) 00 54 06 ID sGbJQqQv 乙 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 07 58 42 ID a103DU/b 「ふぅ、終わったぁ~」 一通り綺麗になった部室を見渡して、擦立一(すれたて はじめ)は仕事をやり終えた満足感に浸る 陸上部の部室は、部員たちが砂を運ぶので汚れやすく、誰かが定期的に掃除する必要がある 3年が引退し部長となった彼は、その仕事を後輩にやらせる事はできたし、 実際に彼の先輩はそうして来た しかし、彼は陸上をしに来ている後輩にそういう事まで押し付けるのはおかしいと思ったし、また、 自分に厳しくする傾向もあってそうすることを良しとしなかった (つくづく損な性格だな) そう思ったものの、自分はそういう性分なのだから仕方がない、と心の中で苦笑する 彼は再度備品などの点検をした後、部室のドアを開く 「もう終わったよ」 自分を待ってくれているであろう、まだ幼さの残る幼馴染みに声をかけながら 季節がら、暗く肌寒い風が吹く道を2人は帰る 擦立一と病坂理玖(やみさか りく)は歩いていく 「それにしてもおそーい! 凍え死ぬかと思ったよ」 「ごめんね、でも思ったより部室が汚れていたからさ」 実際に両手で自分の体を抱いて寒がってみせる理玖に、一は申し訳なさそうに言う 一はふと少女の手を掴んだ 「ななな何やってんの!?」 「いや、こうすれば少しは温かくなるかなって」 理玖は一がとった突然の行動にどぎまぎする 「もしかして、嫌だった?」 彼は手を繋いだ事が相手を不愉快にさせたかもしれないと、手を握る力を少し緩めようとする (あ……手を放さないで) 「嫌、じゃない……」 頬を赤く染めた少女は俯きながら離れようとする手をぎゅっと掴む 一はその様子を見て、安心を得たと同時に少し恥ずかしくなって視線を理玖から逸らす 目を合せないまま二人は暗い道を歩く 9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 07 59 34 ID a103DU/b 空腹だった一は答えを言い終える前にはチョコを口に放り込んでいた 口の中にとろける様な、しかし甘すぎない味が広がる 「美味しい」 自然と口から漏れた。 「ふふ~ん、私が作ったんだから当たり前だよ。さあ、私に感謝したまえ~」 「うん、ありがとう」 ドタドタッ ガタン 理玖は慌しく階段を上り自分の部屋に入ると、制服から着替えぬままベッドに飛び込んだ そしてそこにある熊のぬいぐるみに抱きつき、激しく身もだえする 「やった!やったやった! 一が美味しいって言ってくれたよぅ」 よほど美味しかったのか、あれから一は一言も喋る事無く全てのチョコを平らげてしまった それに呆れたような顔をしては見せたが、この幸せが表に出ないかどうか内心ヒヤヒヤしたものだ 「それに私に、ありがとうって……。っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」 その顔が、声が、頭に焼き付いて離れない 理玖は声無き声をあげる 「あっ……でも……」 声のトーンが急に下がったものとなる。 「どうしよう……もしかして気づかれたかも」 一は食べ終わった後聞いたのだ。「市販のチョコには無い不思議な感じがする。隠し味に何か入れたの か」と 理玖は制服の袖をめくる そこには赤い一本の筋が走っていた 「どうしよう、こんな事したってばれたらいくら一が優しいからって嫌われる……」 心に一滴の黒い水が落ちる 「そもそも自分の血を食べさせようなんて思う事自体がおかしいんだ。そうか、私はおかしいんだ。こん な私は一の優しさに触れる資格はないんだ。ううん、そう思う事すらおこがましい」 その小さな影はその領域を広げ、全てを黒く染め上げていく 「じゃあ私は一に置いてかれるの? ……そんなのはイヤ!!絶対イヤ!!」 そこに陽の光が射すことは無い 「一くん捨てないで下さい私を捨てないでなんでもするから許してごめんなさいごめんなさい ごめんなさいゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」 理玖は体を丸め、ぬいぐるみを強く抱きしめる 「私を1人にしないで……、はじめぇ」 10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 08 08 39 ID a103DU/b すいません、3つ目のブロックはこうでした 「そーだ!忘れてた!一、手を出して」 先ほどの恥じらいなどなかったように再び元気良く振舞いはじめる理玖 一はそれにほっとして、だけど少し残念に思いながら素直に従う 「頑張っている君にはコレをあげよう」 小さな胸を張りながら、仰々しくピンクのリボンでラッピングされた包みを差し出された手の上に 乗せる 一がそれを空けると星型やハートの形をしたチョコが無数に詰まっていた 「へぇ、チョコか~。食べていい?」 「モチロンだとも」 空腹だった一は答えを言い終える前にはチョコを口に放り込んでいた 口の中にとろける様な、しかし甘すぎない味が広がる 「美味しい」 自然と口から漏れた。 「ふふ~ん、私が作ったんだから当たり前だよ。さあ、私に感謝したまえ~」 「うん、ありがとう」 6 ネタにしてゴメンナサイ 結局何が言いたいかというと、 1乙 11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 09 32 17 ID Os24RyBN GJ! ところでヤンデレ同士が付き合ったら究極のバカップルが誕生しそう… 12 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 10 02 41 ID yDRpN7bg 「男君があの女と手を繋げないように、手を切り落としましょう」 「そんな!それじゃあ女さんの頭をナデナデ出来ないじゃないか!」 「!」 「抱きしめることもできないし、あそこを指でいj(ry 男のバカ分を上げると フツーのバカップルになりそう。 13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 18 31 24 ID z6aLVTco 11-12 高い確立でそんな感じになる。 実際ウチがそうだし…。 14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 19 02 36 ID /z/b4Mgj はい突っ込んだら負け! 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/04(火) 13 35 57 ID haNbN0r3 ソフトヤンデレ ハードヤンデレ 16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/04(火) 19 33 15 ID PXP7NpQ5 10 続き(´・ω・`) 17 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 00 24 30 ID D3UEbsz4 以前、書いた【お見舞い】の続きを投下します。 18 名前:【続・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 00 26 01 ID D3UEbsz4 「ぶぁっくしょん!!」 昨日、風邪引いた高島さんと一緒に布団に入ったせいか僕も風邪を引いてたみたいだ 身体がダルくとても学校に行けそうにないので母さんに頼んで学校に休みの電話をかけてもらった。 風邪を引いた時、母さんはとてもやさしい なにより一人静かに過ごせるのがいい(ここ最近は、高島さんに振り回されっぱなしだったからなぁ) とにかく今日はゆっくり休んで風邪を治そう ピンポ~ン インターホンが鳴る なんかとっても嫌な予感がする…… 「努ぅ~、詩織ちゃんがお見舞いに来てくれたわよぉ~」 あぁ~やっぱり来ると思ったよ 元気いっぱいに階段を駆け上がってくる高島さん。昨日まで風邪だったのに 「大丈夫?今日、努くんが学校、来なかったから私とっても寂しかったんですよ」 多分、風邪の原因は、高島さんのせいなのだろうが高島さんの事だ あぁ見えて結構、繊細だからきっと大声で泣きながら謝ってくるに違いない 女の子の泣く姿は見たくない(っというか近所迷惑になりかねない) 「今日は、私をいっぱい心配させたからいっぱいハグハグしてますからね」 お仕置きって僕に何をする気だ高島さん!! って、なんで高島さん、服脱ぐの?で、なんで風邪で無抵抗の僕のズボンを脱がせるの? 「うぅ~本当に独りぼっちで寂しかったんだからね」 高島さんは、僕を強く抱きしめてると泣き出した。 もともと高島さんは、人見知りだからか学校では幼馴染の僕としか話す人がいない(奴隷として担任の前田がいるけど) 最近、ようやく他のクラスメイトと話ができるようになったが それは、僕が側にいてやっと話せるレベルである 僕は、いつか僕がいなくても人と話ができるようにさせなきゃっと 思いつつ高島さんの頭を撫でると猫のように目を細めてこちらを見ている あぁ~もう可愛いなぁ~ …っと思った瞬間、布団の中に潜って行き 「寂しくした努くんは、エッチなお仕置きをしちゃうんだからね」とお仕置き宣言をした。 あぁ~ん高島さん、あんまり僕のアレを見つめないで顔を近づけないで息をかけないで(感じちゃうからビクンビクン) 「これ私のお口に入れたら努くんのオチンチンどうなっちゃうかなぁ?」 「ちょっ!そんな汚いもの口に入れたらお腹壊しちゃうから辞めてよ…アメあげるから」 「そんな事ないよぉ~えへへ今、お口に努くんのオチンチン入れた気持ちよくしてあげるね」 万事休す!!高島さんが僕のアレを口に含もうとしたその瞬間――― 「詩織ちゃん、ケーキ作ったから食べてってちょうだい」 一番来て欲しくないタイミングで母さんが部屋に入って来た。 19 名前:【続・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 00 26 51 ID D3UEbsz4 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 努の母・森野夕は、息子の部屋の惨状に唖然とした。 実の息子がお見舞いに来た幼馴染に口を犯している(ように見えた)からである ――さて、普通の母親ならばここで息子の行動を辞めさせるだろう しかし、夕は、違う なぜならば彼女は、日頃『愛とは、力づくに手に入れる』ものだと考えているからである それが証拠に彼女は、努の父を逆レイプの形で長女・涼子を妊娠し、責任を取らせる形で結婚させたのだ なので一瞬、唖然としたがすぐに立ち直り息子と未来の嫁に『がんばってね』とウインクすると 「ごゆるりと」と言いながらドアをゆっくりと閉めた。 20 名前:【続・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 00 27 53 ID D3UEbsz4 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ちょっと待てぃ! もっとツッコむところがあるだろう!! 母さんは、いつもそうやって面倒な事から目を背ける もし僕が高島さんを性欲のあまりに犯してたらどうするんだ(本当は逆だけど) 母さんは、父さんの事ばかりじゃなくもう少し僕の事にも関心を持って欲しい 「ハァハァ…義母様から…ハァハァ…お許しがでたみたいですね…ではさっそく………」 あぁ~本当に万事休す!! しかし、高島さんは、後ろに倒れこみそのまま寝てしまった。 顔を見ると顔を真っ赤にしてとても苦しそうにしている どうやらまだ風邪が治ってないのだろう 僕は、高島さんに服を着せ布団をかけて一緒に寝る事にした。 ・ ・ ・ ・ ・ (3時間後) 私が目を覚ますと脱いだはずの服を着ていた。 きっと横で寝ている努くんが着せてくれたのだろう あぁこの人は、本当になんてやさしいのだろうか 小学生の頃、人見知りだった私に声をかけ一緒に遊んでくれたのが努くんだ 他の子は、私なんて見向きもしなかったのに それから同じ中学に入り人見知りだった私に友達を紹介してくれたよね そのおかげで小学校の時、学校にいるのが憂鬱だったけど中学では、そんな事微塵にも思わなかった。 きっとこれからも私は努くんにお世話になるのだろう いつか絶対に恩返しするねっと思いながら私は、寝ている努くんのほっぺに約束のキスをする 「さてと」 私は、無造作に努くんのベッドから女の人に裸が写っている本を数冊を取り出した 「夜はコレを見てするんだ…こんなもの見て一人でするなら私とすればいいのに…」 とりあえずこんなエッチな本は、努くんに悪影響ですので屋敷に帰ってゆっくり処分します。 私は、バッグに努くんの使ったであろうエッチな本を入れた。 あっそうそう忘れるところだった。 努くんの部屋を見渡しちょうどいい物を…っとあった。 私は、机に置いてあった玩具を手に取った。 努くんのお父さん…つまり私の義父さんになる人は、 こういう玩具を集めるのが好きでよくダブった玩具を努くんにあげるらしい 私は、玩具の中に盗聴器を仕込む 途中、サウンドギミックが作動し『あばばばばば』と鳴った。(努くん曰く『Im OptimusPrime』と言ってるらしい) 一瞬、驚いたが………努くんは、まだ寝ているようだ さてと、盗聴器も取り付けた事だし帰るか 私は、もう一度、努くんの寝顔を見つめる あぁなんて可愛い寝顔なの 襲いたくなってしまうが今日は、我慢しよう いつか君から襲ってくるのを待ってるよっと努くんに囁くと 今度は、唇にキスをして私は、努くんの家を後にするのであった――― 21 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 00 34 43 ID D3UEbsz4 投下終了です。 またヤン分が少ない作品になってしまった。 ついでに高島さんが盗聴器を仕込んだ玩具は、 G2期にアメリカで再販されたコンボイ(アメリカでは『オプティマスプライム』)です。 22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 02 07 34 ID OBbcPU9/ 21 GJ 高島さんかわいいよ高島さん 23 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/12/05(水) 03 09 44 ID ZOXe+YXY 21ライトヤンデレGJ!!! そしてお母さんに吹いたwwwwwwww こうゆうほのぼのヤンデレ好きだから楽しみにしてる 24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 06 48 52 ID e5xjjRIR 20 サイバトロン総司令に敬礼! (・ω・)ゝGJ! 25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 07 50 09 ID uztMaZCj GJ。 持って帰ったエロ本を見て学習し、次に会う時に 「あの本みたいなのが好きなんですよね」と言って迫る高島さんを想像した。 あと細かいことだが、句点を打ってもらえるともっと読みやすくなると思った。 26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 11 36 17 ID 0JNnIq+C ソフトヤンデレですな 27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 12 00 03 ID ka6tLFWa GJ 28 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 01 00 ID bpwQF8ee 合わせ鏡・第2話です。 29 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 01 43 ID bpwQF8ee 鏡の向こうの自分は、自分と同じ顔をして、自分と同じ行動をする。 私が笑えば笑うし、私が泣けば泣いて、私が怒れば怒る。 私と同じ顔をした私は、やっぱり私。 「水樹!」 「瑞希!」 胸が熱いものでいっぱいになって、はじけた。頬を涙が滑り落ちる。 そう、3歳まで、私たちはいつだって一緒だった。半身だった。 瑞希も私を見て、しゃくりあげて泣いている。ゆっくり、二人とも同じタイミングで近づき、 しっかりと抱き合う。 「瑞希、瑞希、瑞希…」 「水樹、水樹、水樹…」 こーたのこともあり、母親は高崎家との繋がりを完全に絶っていた。 高崎家も、祖母が蛇蝎の如く母親を嫌っていたため、出て行った私達を完全に無視していた。 瑞希のことを忘れたことはなかった。本当に、記憶もないくらい小さな頃に別れた私達だけれども、 鏡に映る影のように、いつも気にしなくても自分の側に相手の存在を感じていた。 瑞希の顔を見た時に、瑞希もそうなのだとわかった。 涙と鼻水でぐしょぐしょの顔を見合わせて、照れくさそうに笑う。私も同じ仕草をしているのだろう。 私は、21年ぶりに再会した姉の顔を右手で自分の肩に抱きかかえると、玄関先でもらい泣きを しているこーたに笑いかけた。 その時、私は確かに幸せだった。 瑞希は私の半身だし、愛していた。自分のように愛していた。 信じて欲しい。それは、まごうことなく、本当の気持ちだった。 30 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 02 50 ID bpwQF8ee 私達は、21年の時間を埋めるように、一緒の時を過ごした。 二人でショッピングに行って、必ず一瞬驚いたような顔をする店員さんに笑って、同じ服を買った。 映画の話をして、お互いに好きな美味しいお店を教えあった。 3歳の時には同じだった私達は、しかし、今では別人であることもわかった。 研究発表以外の場で主張するのが苦手な私と違って、瑞希はどんな時でも臆さずに自分を主張した。 母親と倹約生活をしていた私と違って、お金持ちのお嬢様の瑞希は、金遣いが荒かった。 こーたのバイト先で正社員をしているけど、きっと、稼いでいるお金より、使っているお金の方が 多い。 瑞希のいつもの格好は、雑誌に出ているような流行の服や、芸能人が持っているようなブランド物で 飾られていた。 研究のために、いつも動きやすい簡素な服装で、黒髪を伸ばしっぱなしで、パーマもかけていない 私とは違った。 そのうち、瑞希は私達の家によく来るようになった。 こーたのバイトが終わったら、仕事先からこーたと一緒に家に来て、私の料理を三人で食べる。 そして、瑞希はこーたにべったりとくっつくようになった。 バイトの帰りでなくても、私達の家に来る頻度が増えた。 私を見る目に疎ましさが走るようになった。 私ではなくこーたにばかり話しかけるようになった。 ただ、実家住まいの瑞希が、泊まっていかないのが救いだった。 違うところもあったけど、私達はやっぱり同じだった。 だから、瑞希がこーたに恋しているのもすぐわかった。 でも、私達は、大きな違いがあった。瑞希はこーたが弟であることを知らない。 瑞希は、私と同じなのに、私と違って、何も苦しまず、こーたに恋している。 許せない。 そんなの許せない。 私は、こーたのために、「優しいお姉さん」でいるつもりだった。 こーたに恋人ができたって、こーたが結婚したって、ちょっと泣いて喜んであげる、普通のお姉さん でいるつもりだった。 でも、瑞希だけは許せない。瑞希がそこにいるのは許せない。 だって、瑞希なら、どうして私じゃないの? 瑞希が良くて、私が駄目なんて、そんなことはあるわけがない。 そうよ。瑞希だって、こーたのお姉さんなの。こーたに触れてはいけないの。お姉さんは、こーたを そんな風に見てはいけないの。恋しては、いけないの。 だから、言わなきゃ。 瑞希ハこーたノお姉サンダカラソンナコトヲシテハイケナイノデス。 「駄目だよ」 31 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 03 55 ID bpwQF8ee 瑞希にも姉弟だと言うべきだ、という私の提案は、しかし、思いもよらず、こーたの強い拒絶に あった。 「どうして?!だって、瑞希は…私と同じ、なのよ、だから、瑞希にも本当のことを」 「駄目だ!水樹、加奈子さん…俺達の母親がどれだけ苦労して、俺のことを隠したと思ってる? 本当のことを知っていいのは、俺と父さんと母さんと水樹だけだ」 「でも…!」 「確かに、もう、俺達の母親を苦しめたババアは死んだ。でも、俺が息子だって知ったら、 高崎家は俺を息子として迎えようとするはずだ」 こーたは、下を向いた。 「そんなことになったら、俺を本当の息子として育ててくれた父さんと母さんに、つらい思いを させることになる…」 「あ…」 こーたは、暗い顔をして、膝の上に置いた手を、ぎゅっと握り締めた。 そんな顔をさせたのが自分だと思うと、死にたくなる。 なんてことを私は言ったのだろう。母さんの願いも、伯父さんと伯母さんの恩も、こーたの思いも 無視して、自分の邪な思いだけを貫こうとしてしまうなんて。 「ごめん…こーた、ごめんね」 ゆっくりと俯いた。泣きたい。でも、泣いたら、同情してほしいみたいで、すごくイヤな女になって しまう。悪いのは私なんだから、こーたに気を使わせてはいけない。 でも、それならば、言わなきゃいけないことがある。 こーたは、ひょっとしたら、瑞希の思いに気づいてないのかもしれないから。 …もし、気づいてたら、どうする? その可能性に思い当たって、私は体をこわばらせた。 もし、気づいていて、こーたも、瑞希を、…だとしたら。 瑞希は、姉だけど、ずっと一緒にいた私と違って、ずっと二人は会ってなかったから、だから、 こーたも、瑞希を姉として見られないかもしれない。 だから、瑞希に姉弟だと言いたくないのだとしたら? 駄目。許せない。そんなの許せない! 私と瑞希は同じなのに、どうして私じゃないの。私じゃないの?!そんなの駄目。 だって、こーたと瑞希は姉弟なんだもの。姉と弟は恋をしちゃいけません。そう、しちゃいけない のです。だからこーたと瑞希は離れなければいけません恋をしてはいけません。 瑞希に言えないのならば、こーたを、何をしてでもこーたを瑞希に近づけちゃいけない。 …もし、こーたが嫌がったって、そんなの駄目だ。 そう、これは正しいことなのだから、私はこーたに言ってもいい。 こんなことを知ったら、伯父さんと伯母さんだっていっぱい悲しむはず。 私はこーたのお姉さんなんだから、注意しなきゃ、注意していいはずだ。 震える指を、ぎゅっと握り締める。 32 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 04 54 ID bpwQF8ee 「こーた、私、こんなこと言いたくなかったんだけど…瑞希は、多分、こーたのことが好きなんだと 思う」 言ってしまって、後悔した。こーたの顔から、一瞬で表情がなくなった。 軽蔑…された?変なことを言ってると思われてる? …でも、もう言ってしまった。だから、こーたに笑われても嫌われても、言わなきゃ。 瑞希ガこーたト一緒ニイルヨリハ、自分ガ嫌ワレタ方ガズットイイ。 「瑞希はこーたのこと、弟だって知らないから…ほら、こーた、カッコいいでしょ。私もさ、自慢の 弟ーってやつで、皆にうらやましがられるくらい…ってまあ、皆、従弟だって思ってるんだけど。 でも、ほら、瑞希は知らないから、お姉さんだって知らないから、だから、駄目だって、知らない だけなんだと思う」 こーたは、変わらず、私をじっと見ている。真剣な目で私を見ている。怯みそうになって、ぐっと こらえる。 そうよ、だって私が言ってるのは『正しいこと』なんだから。 「こーたが瑞希のことをどう思ってるかは知らないけど、瑞希…は私と同じだし、顔も似てるし、 そりゃ、雰囲気とかは全然違うけど、でも、お姉さんなんだから、わかるよね。姉弟だって わかってたらいいけど、このままじゃ、駄目だよ」 私は、ただ、瑞希が駄目で、私がこーたと一緒にいて良い理由を言っているだけなのかもしれない。 私をまっすぐ見ているこーたにそれを見透かされているのではないか、それだけが怖かった。 33 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 05 26 ID bpwQF8ee こーたは、ふっと私から視線を外した。そのまま、言う。 「水樹、心配させて、ごめん」 「あ…ううん、私も、変なこと言って、ごめん」 どうしてだろう、こーたは、本当に苦しそうな顔をしている。 「俺はただ、水樹が瑞希と会いたいのかと思ってたから。別に俺が瑞希と会いたかったわけじゃ ない」 「…ごめん、気をつかってくれてたのに、私…」 こーたは、本当にいい子だ。私がこんなに汚い思いを抱いているのに、私のために気をつかって くれていたなんて。 なのに、私が、こーたの気遣いを無にしてしまった。 こーたは、私のためにと思ってしたことが、私を苦しめていたと知って、こんなにつらそうな顔を している。こーたに、こんな顔をさせてしまうなんて。 …いや、違う。 私じゃない。瑞希だ。瑞希さえこーたに恋なんかしなかったら、こーたにつらい思いをさせることは なかったのに。私がこんなことを言う必要も、こんな思いをする必要もなかったのに。 姉で、いられたのに。 瑞希さえ、いなければ。 こーたは、私から目を逸らしたまま、搾り出すように言った。 「俺は瑞希のことを好きじゃないよ。瑞希とは、できるだけ距離を置く。バイトもやめる。 彼女ができたことにしてもいい。瑞希は、姉でしかないから、女としてなんて、見られない」 それは、待っていた言葉のはずだった。こーたが瑞希に恋していないのなら、許せるはずだった。 なのに、その言葉は、私を完全に打ちのめした。 瑞希のことを好きじゃないよ。瑞希は、姉でしかないから、女としてなんて、見られない。 水樹のことを好きじゃないよ。水樹は、姉でしかないから、女としてなんて、見られない。 わかっていたはずなのに、そんなこと、最初からわかっていたはずなのに。 どうやって、話をうちきったのか覚えていない。 どうやって、自分の部屋に戻ったのか、覚えていない。 ふらふらと平衡感覚をなくす三半規管。ベッドに崩れ落ちて、私は、声を殺して泣いた。 34 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 07 19 ID bpwQF8ee こーたは、「彼女ができて、誤解されるから遊べなくなった」と言ったらしい。 瑞希は、その日以来、家に来ない。あれから1週間、瑞希からは何の連絡もない。 元々、私は世間話やメールが得意でなく、研究で忙しい。私達の連絡は、基本的に瑞希からだった。 瑞希のことを忘れることはなかったが、会いたくないのも事実だったので、嬉しかった。 こーたに失恋して、ショックなのだろう。こーたと一緒に住んでいる私に会うのがつらいのだろう、 そんな風に思っていた。 いや、思おうとしていた。 私は理系で、実験が多いので、実験棟に泊り込んだり、そこまでしなくても帰りが遅くなることは よくある。私の家は大学から徒歩10分だけど、研究がたてこむと、ちょっと家に帰ってこーたに ご飯を作って一緒に食べるのも難しくなる時がある。 それはとても寂しい。でも私が忙しい時は、逆にこーたが夜食を作って残しておいてくれたり、 ちょっとしたおやつを冷蔵庫に入れておいてくれることがある。 もちろん「お疲れ様」のメモつきで。 それも、すごく嬉しいから、たまにはそういうのもいいかなって、頑張れる。 その日も最後まで残り、研究室に泊まろうか迷って、やっぱり帰ることにした。 ちょっとしんどいけど、やっぱり朝ごはんはこーたと食べたい、なんて理由だったりする。 夜中2時過ぎの大学は、閑散として恐ろしい。近くに住んでいる学生などの姿がないわけではないが、 基本的に、誰もいない。 廊下を歩いていると、いくつかの研究室から光が漏れていたので、まだ人がいるのだろう。 でも、扉の向こうは別世界。誰がいるのか、ただの電気の付け忘れかわからない。 大学ですごして6年目、最初は怖かった。今は、全く怖くないわけではないが、少し慣れた。 と言うか、慣れないとやっていけない。 最近改修されたばかりのエントランスホールは、闇に沈んでいる。 ただ、実験棟には不似合いなほどお洒落な照明が発する淡い橙色の光だけが、ぼうっと浮かび上が っていて。 その照明の下に、私がいた。 35 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 08 29 ID bpwQF8ee 「水樹」 人影は、生気のない顔をあげ、私と同じ顔で私の名前を呼んだ。雑誌のモデルのように綺麗に かかっていたパーマは見る影もなく、長い髪はすっかり乱れてしまっている。 まだ、たった1週間しか経ってないのに。 ごくり、と唾を飲む。瑞希は、この大学の学生ではない。実家だって、大分遠い。 それに今は、夜中の2時だ。 「瑞希…こんなところで、何をしているの?」 瑞希は、私の質問に答えなかった。瑞希の顔が、歪む。 瑞希が、ゆっくりと近づいてくる。 「水樹…ねえ、私達、双子だよね」 体中が震える。頭の中で、赤いアラームが点滅する。キケン、キケン、と。 「生まれる時に、ちょっと順番が違っただけだよね。だから、私が水樹でも、よかったんだよね」 コツン、コツン、と瑞希のヒールと床が不吉なリズムを刻み、私に近づいてくる。 「ねえ、水樹、私と変わって?私だって水樹なんだから、こーたくんと一緒に住んで、こーたくん にご飯を作ってあげるの。水樹じゃ、こーたくんを誑かす女からこーたくんを守れないでしょ? だから、私が水樹になって守ってあげるの」 どうして、私は逃げられないのだろう。ひたり、と私を見据える瑞希の目から、視線を外せない。 瑞希は私の肩を、突き飛ばした。受身もとれず、硬いエントランスの床で背中を強打する。 「…っ!」 一瞬、痛みに息ができなくなる。 瑞希が私に馬乗りになる。慌てて瑞希の体のあちこちを掴んで抵抗したけれども、恐怖のあまりか、 力が入らない。 なんて、情けない私。 「私が水樹になるんだから、水樹は二人いらないよね」 瑞希の手が何かを私に翳す。その手を掴んで、必死に防ぐ。 大きな衝撃と小さな音と共に、「私」の意識は、闇に沈んだ。 36 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 10 16 ID bpwQF8ee 私は、目を開けた。 荷物は全てなくなっていた→Aルート 荷物はなくなっていなかった→Bルート 以上です。 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 29 55 ID pl/F1/yf ここで選択か!? どっちも気になるが何となくBで!! 38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 37 06 ID KsYkhhVa ルート分岐かね。 Aのほうは何となく展開が予想しやすい気がするのでBで。 39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22 43 28 ID lRNyD25n うへぇ血は争えないなぁ。 もちろんどっちも書いてくれますよね?ね? そしたらA→Bが良いです。 40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 23 32 12 ID KNsWHMmx 36 ちょw瑞希怖いお(´;ω;`) 彼女が先に病むとは思わなかった、でも姉スキーとしては主人公テラウラヤマシス。 とりあえず選択肢は rァA 41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/06(木) 17 19 46 ID ExS0krN7 これは期待。一気に加速しましたな。 自分としてはAで、その後にBを願いたいです。 42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/06(木) 22 25 44 ID 2U/WHIfF 清姫はヤンデレ 43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 11 17 22 ID tG+LNY3E 古い方埋めようぜよ 44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 14 08 05 ID QL0h+uVA ヤンデレ分が随分補給できました これでまた頑張って生きていけそうです ルート分岐は片方しか書かないならB、両方書くならA→Bでお願いします 45 名前: ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/09(日) 00 05 04 ID tW5I5qGT 皆様ありがとう。A→Bで書くことにします。 頑張ります。 46 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/12/09(日) 06 47 59 ID OUAE9Ea5 47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/09(日) 12 31 50 ID XIArW4QP まだ前スレ落ちてないよ 48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/09(日) 13 27 24 ID vm528EvP 45 ガンガレ。 ただ一つルートを書き終えると燃え尽きちゃったりしがちだから気をつけてくり。まあそれはそれでありなんだけど。 前スレは埋めネタ待ちか。 雑談で埋めてもいいんだけどね。 49 名前:タカシくんの好きなもの![sage] 投稿日:2007/12/10(月) 20 13 24 ID Gq+nQ0PF すんすん鼻を啜り上げる音が、すぐ隣から聞こえてくる。 「タカシくん、タカシくん」 恋人の名前を呼びながら泣いているのは、親友の愛美だった。長く艶やかな黒髪に包まれた穏やか な美貌が、今は涙と鼻水で台無しになっている。 「いい加減泣きやめよなー」 あんまり陳腐な言葉だとは思ったが、今まで散々慰めの言葉をかけてもなお泣き止まないので、も はやこうでも言うしかない。 案の定、愛美は「でも、でも」とぐずって、またわっと泣き出した。 (いつかはこうなると思ってたけど) 愛美の泣き声を成す術もなく聞きながら、わたしはぬるくなった缶コーヒーをちびちび啜る。コー ヒーは苦いからあまり好きじゃないが、こうでもしないと間が持たない。 件のタカシくんと愛美が付き合いだしたのは、およそ三ヶ月ほど前のことである。 タカシくんと言ったら、わたしの学年でも有名な遊び人だ。程よく染めた茶髪とそこそこ整った顔 立ち、ノリがよくて話題が豊富で、笑うと口元から覗く白い歯がチャームポイント……という、まあ 結構典型的なモテ男である。 そんなモテ男が、何を思ったのか唐突に愛美に告白したらしい。理由なんて「たまには初心な子を 食ってみてえなあ」程度のもんだろう。で、男に全く耐性のなかった夢見るお嬢さんは、あっさりと 彼の求愛を受け入れてしまったわけで。 「あのねきゅーちゃん、タカシくんがね、タカシくんがね」 そんな風に、愛美が無闇に嬉しそうな顔でタカシくんとの甘い一時をわたしに報告してきたのは、 大体一週間ぐらい前までだっただろうか。 その辺りから急に雲行きが怪しくなった。なんとなく表情が暗いなあと思っていたら、三日前ぐら いに沈んだ声で、 「あのねきゅーちゃん、タカシくん、浮気してるかもしれない……」 と打ち明けてきたのである。どうやらそれは真実だったらしく、わたしは今朝校門をくぐるなり愛 美に捕まって、人気のない体育館裏で泣き言を聞かされているのだ。 「だからあいつはやめとけって言ったじゃん。タカシくんは遊び人だって有名だったんだからさー」 「違うもん、タカシくん真面目だしとっても優しいもん、遊び人じゃないもん」 泣きじゃくりながらタカシくんを庇う辺り、これは相当重傷だなあと頭が痛くなった。 元々思い込みの強い愛美のこと、タカシくんの表面上の態度に騙されて、「真面目で優しいタカシ くん」像を勝手に作り上げてしまったんだろう。実際、愛美の口からタカシ君の悪口を聞いたことは ない。今でもそうだ。 「きっと、わたしの愛情が足りなかったんだよ」 「そりゃどうかなあ」 口ではそう言いつつも、内心では「そりゃ逆だよ」と呟いていた。 愛情は足りないどころではなく、むしろ足りすぎていた。はっきり言って過剰だった。愛美が惚気 ながら言っていたのだ。 「あのねー、わたしねー、タカシくん一人暮らしで大変だと思ってねー、毎朝起こしに行って毎朝ご 飯作ってあげて、毎朝……」 要するに一日中休むことなく甲斐甲斐しくタカシくんのお世話をしてあげたわけである。いかに愛 美が大和撫子的な奥ゆかしい魅力を持った美少女だと言っても、これでは鬱陶しくなってもしかたが ない。それに、ちょっとでも迷惑そうな素振りを見せれば、 「ごめんね、わたし、タカシくんのこと何も考えないで……」 とか何とか言って、涙ぐんでいたに違いない。長い付き合いだからこそ分かる。愛美はそういう女だ。 (あんたの愛情は重いんだよなー。多分、タカシくんが他の女に走ったのもそれが原因だろ) わたしはそう睨んでいる。無論、遊び人タカシくんのことだからいつかはこうなっただろうが、こ こまで早いのは愛美の愛情の重さにうんざりしたからだろう、と。 (だからって、本人に直接言うのもなー。親友は辛いぜ) そもそも恋人にタカシくんなんてのを選ぶのが間違いなのだ。ドラマや恋愛小説を見てみるがいい。 「恋人のタカシくん」なんて大抵ロクな男じゃないだろうが。つまり、恋人にタカシくんを選んでは いけないのは日本人全体の共通認識なのである――。 などとわたしが一人現実逃避していると、不意に愛美がぽつりと言った。 50 名前:タカシくんの好きなもの![sage] 投稿日:2007/12/10(月) 20 14 29 ID Gq+nQ0PF 「やっぱりタカシくん、ああいう子の方が好きなのかな」 「あん? どういうこった、『ああいう子』って」 涙の痕が残る愛美の横顔が、思いつめたように硬くなっていた。 「あのね、昨日、タカシくんが本当に浮気してるかどうか確かめようと思って、後をついていったの ……あ、それで本当に浮気してるってことが分かったんだけど」 「はぁ。直接確かめるとは、やるねえあんたも。ってか、やっぱあんたもタカシくんは遊び人なん じゃないかって疑ってたわけね」 「違うよ!」 愛美は勢いよく首を振った。 「タカシくんは真面目で優しいもん。浮気なんかしちゃったのは、きっとわたしが、わたしが……」 また愛美の目に涙が滲んでくる。せっかく収まったのにまた爆発しては大変だ、と思って、わたし は慌てて話題を戻す。 「で、その『ああいう子』ってのはどんなだったんだよ?」 「えっとね」 愛美は泣くのをやめて、少し考え込んだ。 「髪の毛が茶色くてね、お化粧が上手でね、すっごく短いジーパン履いてて、耳に大きなわっかつけ てて、元気で明るくて」 わたしの頭に、茶髪、ギャルメイク、ショーパン、キャミソール、ロングブーツ……という、いか にも遊んでそうな外見の女がギャーギャー喚きながらクチャクチャガムを噛んでいる姿が浮かぶ。 (うっわー、見事に正反対の女選んだな、タカシくん) よほど愛美のことがうざかったんだろうなあ、としみじみ考えてしまう。愛美もある種似たような 結論に達したようで、また涙ぐんでいた。 「やっぱり、わたしなんかじゃダメだったんだ。ああいう明るい子の方が好きだったんだ、タカシくん」 で、また「タカシくん、タカシくん」とすんすん泣き出してしまう。その様子があんまり悲しそう だったので、さすがにちょっと可哀想になってしまった。 (……わたしがもっと強く止めてれば、っていうのも、ないワケじゃないしなあ) わたしはボリボリと頭を掻いた。ちょうど缶コーヒーを飲み終わってタイミングも良かったので、 ため息を吐きながら立ち上がる。 「よし、じゃ、アドバイスしてあげるよ」 振り向きながら言うと、愛美が「え?」ときょとんとした顔でこちらを見上げてくる。 「え? じゃないよ。アドバイスだよアドバイス。タカシくんの心を愛美に戻すためのアドバイス」 「でも」 愛美は暗い顔で俯いた。 「タカシくん、わたしのことなんて……」 「それがよくないっての。いい? そもそも告白してきたのはタカシくんだったんだから、何かしら 好かれる要素があったのは確かなのよ。そうでしょ?」 「う、うん、そうかも……」 「だったら、あんた自身の魅力で勝負しなくちゃ。ね、タカシくん、何をしたとき一番喜んでくれた?」 「えっと」 愛美はもじもじと指をすり合わせた。何かを思い出したのか、少し頬を染めながら躊躇いがちに言う。 「お料理作ってあげたとき、かな」 「お料理。そっかー、あんた、メシ作るのうまいもんなー」 「それほどでもないけど」 愛美は謙遜したが、これは実際大きなアドバンテージだろう。偏見ではあるが、チャラチャラ遊ん でる女に、愛美ほど旨い料理が作れるとは思えない。 (とは言え、タカシくんは愛美にうんざりしてるわけだからなー。今更普通に料理作ったって、新鮮 味が薄いだろうし……) わたしは少し頭の中で戦略を練った。 「よっし、愛美、あんた、タカシくんとしばらく距離を置きな」 「え? どういうこと?」 「いいからわたしの言う通りにする。しばらく会わずにおいて、愛美のことを忘れかけた頃に、メ チャクチャうまい料理をご馳走してやんのさ。そうすりゃ『ああ、この子はこんな素晴らしい子だっ たんだなあ。忘れていたよ!』みたいに感動するはずさ!」 多少大袈裟に言ったが、こうでもしないと今の愛美は動かないだろう。案の定、 「そ、そうかなあ……」 と戸惑うように呟きつつも、その顔には希望と期待が戻りつつあるように見える。 51 名前:タカシくんの好きなもの![sage] 投稿日:2007/12/10(月) 20 15 32 ID Gq+nQ0PF (よっし、ひとまずは安心だな) わたしは心の中でガッツポーズを作りながら、具体的な作戦を愛美に告げる。 「じゃ、勝負は一ヵ月後だ。それまでは、タカシくんとはなるべく話をしないこと。あっちだって浮 気してるぐらいなんだ、愛美が静かなのはむしろ好都合だと思うだろ。で、その間にあんたはタカシ くんにご馳走するものを考えて、準備しておく、と」 「うん。でも、何を作ってあげたらいいのかなあ」 「そんなん、タカシくんの好きなものでいいじゃん」 「それはそうだけど、そういうのは大体作ってあげちゃったし……新鮮味がないんじゃないかな?」 「あー、そっか。確かにそうだな……じゃ、材料を豪華にするとかさ」 「材料……タカシくんの好きなもの、豪華な材料……」 愛美は口元に手をやってブツブツ呟いていたが、やがてぱっと顔を輝かせた。 「そうだ、これならきっと喜んでもらえる!」 「おお、何作ることにしたん?」 「えへ、秘密。あのね、豪華な材料っていうの、思いついたの。絶対絶対、ぜーったい、大丈夫だよ」 普段控え目な愛美に似合わず、えらく自信満々な様子である。わたしは意外に思いつつも、同時に 頼もしさも感じた。 「よっし、それならきっとうまくいくね。ところで、その材料ってのは、普通に手に入るもんなの? 豪華だって言ってたけど」 「うーん……どうかな。多分、一ヶ月もあれば十分、だと思うけど」 「なんだか、不安そうだね」 「わたしも、今まで扱ったことない材料だから……でも大丈夫、タカシくんのためだもの! 絶対成 功させてみせる!」 ぐっと拳を握りしめながら、愛美が立ち上がる。その背に炎が見えるような気がした。 (これなら大丈夫だろう) 自分の案のおかげでこうなったのだから、わたしは実にいい気分だった。 その日以降、愛美はあまり授業に出なくなった。 「あんな真面目な子に何が」と周囲が騒ぐ中、わたしは一人落ち着いていた。 愛美が一生懸命「豪華な材料」を用意しようとしている姿が、目に浮かんだからである。 そして一ヵ月後。 「上手くいったよ、きゅーちゃん!」 わたしの部屋の真ん中でVサインを決めてみせる愛美に、わたしは苦笑いしか返せなかった。 興奮して我が家に飛び込んできた愛美をどうどうとなだめながら、自室につれてきたところである。 「テンションたけーな、あんた」 呆れて言うと、愛美は両手を組んでうっとりと目を閉じた。 「だってね、タカシくん、震えるぐらい喜んでくれたんだよ!」 「震えるって……そんなに?」 「うん。震えながら、おいしいおいしいって涙流して笑ってた」 「どこの料理漫画だよそりゃ」 さすがに呆れてしまう。だが、愛美のはちきれんばかりの喜びオーラを見る限り、少なくとも嘘で はないようだ。 (あの遊び人タカシくんが、震えながら涙流して、ねえ) ちょっと想像できない光景だが、そうなってしまうぐらい愛美の料理が旨かったということなのだろう。 そう思うと、俄然興味が沸いてきた。 52 名前:タカシくんの好きなもの![sage] 投稿日:2007/12/10(月) 20 16 50 ID Gq+nQ0PF 「ねえ愛美。あんた、一体なに作ってあげたの?」 「ん? いろいろだよ。タカシくんの好きなものは、大体作ってあげたかなあ」 「それだけ? ああ、そういや、なんか豪華な材料を使ったんだっけ?」 「うん」 愛美がにっこり笑う。 「ありがとねきゅーちゃん、きゅーちゃんのアドバイスのおかげで、その材料使おうって思いついたんだ」 「そりゃどうも。で、実際なんだったんだよ、その豪華な材料っていうのは」 「それはひみつー」 愛美が人差し指を唇に当てて片目を閉じる。 「あー、ずるいぞあんた。わたしのおかげで上手くいったのにさー」 「えへへ、ごめんね。でもね、それはわたしとタカシくんだけの秘密なのよ」 「へん、そうかいそうかい。せいぜい二人の世界に浸ってろよバカ」 そっぽ向いてしっし、と手を振ってやると、愛美は困ったように笑った。 「拗ねないでよー。じゃあね、ヒントあげるね」 「おう、くれくれ」 「えっとねー、その材料はねー」 愛美は指を折って何かを数え始めた。 「切ってもいいし焼いてもいいし炒めてもいいし煮てもいいし……あ、あとね、ミキサーにかけて ジュースにしてもいいんだよ。でも、凄く臭いから、それをどうするかが調理のポイントかなあ。ち なみに、わたしは今挙げた調理法を、今回全部使いました!」 「なんだそりゃ」 ミキサーにかけてジュースにしてもいいって辺りは野菜や果物を連想させるが、凄く臭いっていう のはどういうことだろう。 (大体、あのチャラチャラしたタカシくんがそんなもん好きだとは思えないんだけど) 悩むわたしの前で、愛美は少し眉をくもらせた。 「でもね、ちょっと心配なんだけど」 「なにが?」 「タカシくんね、途中で吐いちゃったの」 「吐いたって、……え、なに、ゲロッたのあいつ?」 「うん」 「うわー、きったねー! っつーか恋人の料理吐くとか最悪じゃん」 「仕方ないよ」 愛美は穏やかに笑った。 「それにね、吐いちゃったタカシくんに駆け寄って、『大丈夫?』って声かけたら、必死に『大丈夫、 ごめん、許してくれ』って謝ってくれたんだよ」 許してくれ、というのは、つまり『折角作ってくれたものゲロっちゃってごめん』ということだろう。 「はー、あのタカシくんがねー。ずいぶん愛美に惚れ直したもんだ」 わたしは感心すると同時に安心した。これなら愛美とタカシくんも上手くいくだろう。自然と楽し い気分になって、冗談の一つも飛ばしたくなった。 「そのゲロッたってのも、案外『好きなものだからいっぱい食べ過ぎちゃった!』なんて、幸せな理 由なんじゃねーの?」 「そうかも」 愛美は嬉しそうに笑った。 「だってね、タカシくんが、とっても、とっても、とーっても、好きなものを使って作ってあげたから」 「へー、そんなにねー……まだ余ってんの、それ?」 「うん。あ、そうだ、きゅーちゃん」 「なんだ?」 「あのね」 愛美は首を傾げた。 53 名前:タカシくんの好きなもの![sage] 投稿日:2007/12/10(月) 20 17 59 ID Gq+nQ0PF 「目玉って、どう調理したらいいと思う?」 一瞬何を言われているのか分からず、わたしは間抜けにもポカンと口を開けてしまった。 「なにを、調理するって?」 「だから、目玉。ああ、あと、脳味噌も残ってたかな。どうしたらおいしくなるかなあ」 何の話をしているんだか、分からなくなった。 (目玉? 脳味噌? 調理? えーと、どういうことだ……?) 必死に考えて、わたしはある結論に思い至った。 「分かったぞ、愛美!」 「え、なにが?」 驚く愛美に、指を一つ立てて言ってやる。 「お前が使った材料って、マグロだろ!」 「……マグロ?」 訝しげに鸚鵡返しする愛美に、頷いてやる。 「そう、魚の。目玉とか脳味噌とか使えるって言うし、魚だから多分臭みもあんだろ? 切っても焼 いても食えるし……まあジュースにするってのは気持ち悪いけど」 タカシくんはひょっとしたらゲテモノ好きなのかもしれない。もしくは、吐いたのはそんな気色悪 いジュースを無理して飲んだせいだろうか。 少し考え込むわたしの前で、愛美は首を傾げた。 「うーん、マグロ、マグロ……ちょっと、いやかなり違うけど……」 呟いたあと、軽く首を振る。 「まあ、どうでもいいか。食材になっちゃえば大体みんな一緒だって分かったし」 「あ? なんか言ったか?」 「ううん、なんでもないよ。それでねきゅーちゃん、タカシくんがねー」 愛美は床にぺたんと座り、楽しげにタカシくんのことを話し始める。わたしも背もたれを前にして 椅子に座って、呆れ半分にのろけ話を聞く。 「タカシくんね、『俺が悪かった、許してくれ、もうお前以外の女は見ないから』って言ってくれた んだよ」 「へえ。調子いいこと言うねえ。そんなこと言って、また浮気すんじゃないの?」 「そんなことないよー。だってタカシくん、もう外に出ないって言ってたもん」 「外に出ない? どうして」 「外に出ると他の女の人見ちゃって、迷惑かけるからだって」 「うひゃー、驚いた。あのタカシくんがね。こりゃあんたにぞっこんほれ込んじまったんだね」 「えへへ、そうかなあ?」 まあさすがに外に出ないというのは冗談だろうが、幸せそうに笑う愛美を見ていると、茶化す気に はなれなかった。 (何にせよ、これにて一件落着ですかねえ) 深く息を吐きつつ、わたしはふと、窓に目を向ける。 狭い家の外は、春らしい暖かな日差しで柔らかく輝いている。 (外に出ない、なんて、勿体無いと思うけどねえ、タカシくん?) 肩をすくめるわたしを見て、愛美が文句を言った。 「ねー、きゅーちゃん、聞いてるー?」 「はいはい聞いてますよ」 「そう? あ、でねでね、きゅーちゃん、タカシくんがねー」 際限なく続く愛美の惚気話を聞きながら、わたしはようやく訪れた平和を一人噛み締めるのだった。 HAPPY END! 54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 20 19 25 ID Gq+nQ0PF ヤンデレもいいけどたまには普通の話も読みなよってことさ! 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 20 24 21 ID /XhNErsM だが断る\(^o^)\ 56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 21 41 23 ID xAyK9HM4 HAPPY! d(^o^) 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 21 52 33 ID 7dBO99VV 53 GJ こういうホラーチックな話は、好きだな 58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 22 49 33 ID eLCwaClu 53 GJ!! レクター・ハンニバルを思い出した。 59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 23 25 06 ID vg+lwlYY ハードヤンデレはきつい… ソフトヤンデレがいいな 60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 00 38 17 ID iGJirhDP 59を見て「そうか?」とか思ってしまった俺は既に…\(^o^)/ 61 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 45 55 ID mLomD40f またまた投稿します、今回は一応男役がショタなのと…カブトボーグを見ながらノリノリで 書いたので、そこらへん注意です。 「爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」 「はあ~…なんでこんな仕事引き受けちゃったんだろう…」 二日酔いでふらふらする頭を押さえて私、小鳩 あずさはバスに乗り込んだ、目的地は海岸沿いにある イベント会場、舞浜アリーナだ。 勿論遊びに行くのではない、大切な仕事のためにその会場に向かうのだが…どうしても気乗りしなかった。 その理由はただ一つ…私の仕事が漫画家で…よりにもよって編集者から受けた新しい仕事の依頼が児童向け雑誌で 大人気のおもちゃ、ダイノボーグの漫画を描くことで…更に何故か今日開かれる全国大会に選手として出場する事が決定していたからだ。 「ノリで行けばいいのさ、会場で取材がてらに少し遊んで来いって」 何がノリだ、そう思った。 しかしせっかくもらった仕事な分、きっちりこなさないとプロとして恥ずかしいのも事実だ…必死に 改造マニュアルを読んで勉強し、何とか昨日酒で勇気を付けて…今日、二日酔いしながらもここまでたどり着いた…そんな感じだ。 「何が悪かったのかなあ」 そんなことを呟いて窓から見える景色を眺める。数年前、初めて原稿を持ち込んだときに、他に何が書けるのかと聞かれて某ミニ四駆同人誌を もって行ったのが今にしてみればもの凄くまずかったのかもしれない。 「おねえさん、どうかしたの?」 ふと、自分の横から聞こえた声に振り返る、そこには一人の少年がいた…その子はくりくりした目と少年特有の可愛らしさ そして元気いっぱいな表情をした…まるで私の理想を体現したかのような少年だった…そしてその腰には、ダイノボーグの ホルスターが装着されている。 「あ?ううん…ちよっと気分が悪くて…何しろ初めて大会に参加するから…」 「え!お姉さんもダイノボーグするんですか!?すごーい!かっこいい!!」 彼はまるでヒーローでも見ているかのようなきらきらした目で私を見つけてきた…その表情の可愛らしさに私の二日酔いは吹き飛んだ …可愛いなあ、話をふって正解だったなあ…こんな子に会えてよかった、と私は少しだけ担当に感謝した。 「うん、でももう大丈夫、会場も見えてきたし、お姉さんも緊張してられないもんね!!」 そう、もうバスはアリーナのすぐ近くまで迫っているのだ、おちおち二日酔いはしていられない。 「そういえば…君の名前はなんて言うのかな?同じボーグバトラー、小鳩 あずさとして知っておきたいんだけど」 「僕は流星、三剣 流星!小学四年生です!」 自信満々にその子…流星君は名乗りを上げた、その表情に私の心はとても癒された…ついでにこの子をモデルにして漫画の主人公を 描こうと、ついでにそんな打算的なことも考えた。 62 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 47 25 ID mLomD40f 「爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」② 会場に入って小学生学生達の軍団の中でゼッケンを付けると凄まじく恥ずかしかったが それでも取材をしなければしかたない、そう考えて、私は恥を忍んで会場で絶叫した。 「行きなさい!!ゾルダートメガテリウマー!!」 「いっけー!!ステゴライザー!!」 何でいちいちぶつかるたびに叫ぶんだろう、そんなことを考える…そもそもこのオモチャ ダイノボーグは紙相撲にモーターを付けたようなものだ…いちいち叫ぶな子供よ、そもそも 何で私の機体はメガテリウムなんだ、ようはナマケモノの先祖だぞ…。 そんなことを考えつつも相手の子供のダイノボーグを土俵から押し出して、リーグ戦で順調 に勝ち進んでいく…気がつけば私はブロック戦に突入して、Aブロックの代表として勝ち残っていた。 (あー、流星君にあいたいなあ、お話したいなあ…) そんなことを考えながら会場をうろつく。 「何だよあのお姉ちゃん、つよすぎるよ…」 「でも次の試合の相手…チャンピオンだから…」 そんな呟きが会場のあちこちから聞こえる、チャンピオンが相手とは運がないが…まあ 相手は子供だ、きっと簡単に勝てるだろう。 そう考えながらリングに上がる…その先には。 「お姉…ちゃん?」 「え…流星…くん?」 驚いた顔の流星君がいた、どうやら彼がチャンピオンだったらしい…私も同じように驚く …しかし、驚く彼の顔を見るとある考えがわいてきた。 (この子…泣いたらどんな顔するんだろう?) そんな思いを抱きつつも、ゴングの音と同時に私はリングにダイノボーグを放った。 「…くっ!!いけえ!ゾルダートメガテリウマー!!」 「…負けない!行くよ!!ティラノロート!!」 流星君はそう言うと同時にダイノボーグを放った、彼の使う機体はバランス型だ 一直線で私に向かってくればパワー型のこの機体の力には押し出しで勝てるはずがない…そう思っていた、が。 「いまだ!!レジェンドロジカルサイコストーム!!!」 どがあん!!と。 私のダイノボーグはあえなくリングアウトした…さすがチャンピオン、必殺技を持っているとは思いも寄らなかった…。 「お姉さんゴメンね…」 「ううん、大丈夫だよ…それよりさ、今度もっと勝てるような方法…私にも教えてくれるかな?」 「うん!いいよ!!教えてあげる、お姉さん強いからすぐに僕を追い越せるよ!!」 とりあえず試合には負けたが取材結果は上出来だったのでよしとしよう、それに…こんな可愛い少年とも知り合えたのだ、 きっとこれがいい出会いになるに違いない…。 そんなことを考え、私はできるだけ汚くないような、さわやかな笑顔を浮かべた。それに合わせるかのように流星君も にっこりと笑顔を浮かべた。 63 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 48 22 ID mLomD40f 「爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」③ 「それでね、今日学校でね…もぐもぐもぐ…」 「こーら!あわてないの!食べたかったらまた頼んであげるからね」 それから一月が過ぎた、その後流星君とケータイの番号を交換するまでの 関係にこじつけた結果、彼は意外にも私の近所に住んでいる事が判明、原稿が終わった あとや暇なときはこうしてしょっちゅう遊べるような関係にまで進展していった。 喫茶店で無邪気に好物のチョコパフェを食べる彼を見るだけで心が癒された、更に普段 の生活がどうだ、あの先生が嫌いだなんて話をしてくれているといったあたりは本当にたまらなかった…。 可愛い、もう食べてしまいたいくらいに可愛い…ああでも、この子にとっては、私はただのやさしい お姉さんどまりなんだろうなあ…なんて、そんなことを考えると寂しくなった。 「ねえねえ、あずさお姉さんのほうはどうなの?漫画のほうは終わったの?」 「うん!今日早速原稿を上げてきたんだ!だからこうして流星くんと遊べるんだよ」 「やった、じゃあまたボーグバトルしよう!」 こうしていつまでこの子は私と遊んでくれるのか、それが一番心配だった、だから漫画の連載の方も 頑張った…そう、この唯一の、二人の接点を切らないために…そしてこのオモチャの人気を出来るだけ 長く続けるために…そして。 「じゃあさっそくお店に行こう!あずさお姉ちゃん!」 この、彼の笑顔を見続けるために…。 64 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 49 31 ID mLomD40f 「爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」④ しかし、二人の関係に終わりが来るのも実に早かった、理由は簡単だった…私がバトラーとして目立てば目立つ ほどに雑誌上での扱いは大きくなり、それが流星君のプライドを…小学生特有の女の子と仲良くすると言う事に対 する抵抗を強めたのだ。 「お姉ちゃんと流星君はつきあってるんだって」 まあきっとそんな感じで語られたのだろう、噂は次第に大きくなり、彼は気恥ずかしさとチャンピオンのプライド から私を避け始めたのだ。 「お姉ちゃんとはもう会いたくないです、僕にもう話しかけないでください」 そんな手紙をもらっても、必死にそう解釈して自分の気持ちを抑えた、でももうそんな気持ちは長く続かなかった 今まで一緒にいすぎた分、猛彼がいないことに自分が耐えられなくなっていたのだ。 りゅうせいくんりゅうせいくんりゅうせいくん…あいたいあいたいあいたいあいたい…おねえちゃんはもう限界だよ 君がいなくなってから気づいたんだよ、もうお姉ちゃんは君がいなくちゃ駄目なんだよ…お願いだから、何でもするから…戻ってきてよ、流星君…。 「あ…んん…あああ!」 最後に流星君が遊びに来たときに置き忘れていったジャンパー、その臭いをかいで、私は締め切った部屋でオナニーを繰り返していた。 それから数ヵ月後、とうとうダイノボーグのアニメ化も決定したとき、担当からある話が持ちかけられた。 「敵がおなじ小学生じゃつまらないからさ、こう、もっと強い敵を出そうよ、ダイノエンペラーとかそんなかんじの奴、本当の試合の方 にも逆シードで登場させてさ…きっと盛り上がるって…」 ストレス性の不眠のために、目の舌に大きな隈をつくりながらも担当の話を聞いていた私は…ふと、あることに気づいた。 …そうだ、それを使えばいいのだ、そうすれば嫌でも流星くんは…また私を…。 「担当さん!了解しました!!ただし…その企画、私に預けてくれませんか?」 「へ…まあいいけど、どうしたの?」 このとき私はきっと…ものすごい下卑た笑顔を浮かべていたのだろう、でも構うもんか。 わたしは流星くんと一緒にいたいんだ。ずっとそのそばにいたいんだ。 65 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 50 45 ID mLomD40f 「爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」⑤ 「ホーッホッホッホッホ!この程度、この程度なのかしら!」 「うわーん、ぼくのディノレックスパーダが~!!」 泣き叫ぶ少年に対して、私、小鳩 あずさ…もとい、ダークネス レックスクイーンは容赦なく勝利、少年のダイノボーグをハイヒールで踏み潰した。 ダークネスレックスクイーン…それが今回私が提案した悪役だった、負けたダイノ ボーグを容赦なくハイヒールで砕く、ダイノボーグで世界征服をたくらむちゃっちい大人… もとい恐怖の女王、それが私の流星くんともう一度…このオモチャで遊ぶために考えた配役だった。 「許さないぞ!クイーンめ!!今日こそ僕が倒してやる!!」 「ホーホホホ!そんなことができるのかしら、君みたいな可愛い坊やに!?」 やっぱり子供だ、仮面とボンテージアーマーで隠しているせいもあるのだろうが、意外に彼は 私の正体に気づかずにノリノリで宣戦布告をしてくれた。 しかし、そこに予定外が一つ。 「大丈夫だよ流星、アンタは決勝で私と戦うんだから!」 天乃川姫香…なんだか私が傷心で一月ほど大会に出ない間に現れた、流星くんのクラスの転校生 らしい…年相応にツインテールを結い、流星くんのそばにいながらツンデレな態度をとる姿は…正直スゲエムかついた。 「言うじゃない…じゃあさっそく、行きなさい!ジャックザレオン!!」 とりあえず彼女の一回戦相手の四天王の一人に命令をする、正体は担当な分ある程度命令できるのが 今回の肝だ。 (容赦なくやってよね!)担当に冷たく言い放つ。 「な!何で俺がそんな事!?」 「…あ?…てめえ逆らうのか?ぶっ殺すぞ!!」 「は…はい!!」 多分普段を軽く超えるような気迫がこもっていたのだろう、担当は息を呑んでそう答えた。 その結果、彼女の使うビューティフルスミロダーは担当の獣装甲ダイノボーグ、ビルゲマスター による捨て身攻撃によってモーター部及び敵を押し出す部分に大ダメージを受け…結果、捨て身で 勝利するも、二回戦の私との対戦であっけなく敗退する羽目になった。 「いやあ!!やめてえ!!わたしの!私のダイノボーグが…いやあ!あああああああ!!!!!」 グシャリ!と音を立てて彼女のダイノボーグは砕け散った、私はこれ見よがしにそれを何度も砕く !砕く砕く砕く砕く!!!!よくもお前は…よくもお前は流星くんを!!許せない許せない許せない!!! そうやって流星くんのことを敵視するフリして!知ってるんだぞ!しってるんだぞ!!!ゆるさないゆるさないゆるさない!!!!。 「いやあー!!!いやあー!!!」 そう叫ぶと同時に彼女はがくりと倒れた、その空ろな表情を見て私はにっこりと笑う、だって…だって…また流星君が…。 「もう…絶対に許さない!!お前を絶対に倒してやるからな!!クイーン!!」 おこったかおでも、ソウヤッテワタシヲ、ワタシヲ…ミツメテクレルンダカラ。 66 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 51 58 ID mLomD40f 「爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」⑥ それから数試合後、足が痛くなるほどにダイノボーグを踏み潰した後、ようやく決勝戦が始まった。 相手側はもちろん流星くんだ、たった二人でリングに上がるとまるで結婚式か何かのようで胸が躍った しかしまあ…怒った顔も、こんなにも可愛いんだね、大好きだよ、いや、余計好きになりそうだよ…流星くん、大好きだよ。 「僕はお前を許さないぞ!クイーン!食らえ!クレイジージュラシック!狂い咲きサンダーダーロード!!!」 「許さないの、酷いなあ?りゅうせいくん?」 「え…あずさ…おねえちゃん!?」 流星君が必殺技を放つ瞬間、私は仮面を落として彼の気を一気にそらした、そしてその瞬間、一直線で向かってきた彼の マキシマムティラノロートは私のクリムラウザーを一気に場外に押し出した。 「決まりましたあ!!勝者!三剣流星ー!!!」 場内から歓声が響き渡る、私は悔しそうに捨て台詞をはいて自分のダイノボーグを踏み潰すと、会場を後にした…もちろん 流星くんには飛び切りの笑顔を浮かべて…だ。 勿論そのあと会場にはチャンピオンの勝利を怪しむ声が響き渡った…まあ大人ならある程度試合にもホンがあるのかと思うのだろうが 子供の世界ではそれは許されないのだろう…そして派手派手なメイクを落とし、地味な顔で流星くんの様子を見に行ってみることにすると …チャンピオンの控え室ではぱちいん!と派手な音を立てて、彼があの子…姫香ちゃんに顔をはたかれているのが見えた。 すかさず私はそれを止める、空ろな顔で涙を流し、裏切り者と叫んで流星くんをにらみつける彼女は…見ていてとても愉快だった。 「負けを認められないのは恥ずかしい事よ…そんなんじゃあ誰かを好きになる資格はないわ」 「…う…うわあああああああ!!!」 そういって泣き叫ぶと、彼女はどこかにむかって走り去っていった。 そして今にも泣き出しそうな顔の流星君を見つめる、その顔は私の心の中の加虐心を十分に満たしてくれた…。 そう、ここまでは計画通りだ、後はどうことが運ぶのか…うふふふふ、あははははははは!!! 67 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 53 12 ID mLomD40f 「爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」⑦ その夜、打ち上げもそこそこにマンションに帰って原稿のラフを書いていると流星くんからのメールが届いた …よかった、私のアドレス消してなかったんだ…おねえちゃんは嬉しいなあ…。 「今夜、公園で決着を付ける」 簡素な言葉だけのメールだけど、それでも凄く嬉しかった…彼からもらった初メール、いや、人生で始めて 自分に好意を向けてくれた男性からのメールだ、しっかり保存して大切に取っておこう。 そして私は公園にたどり着いた、そこには簡素なステージをセットして、ダイノボーグを持って待ち構える流星君がいた。 「お姉ちゃん…僕が勝ったら姫香に謝って…そしてもう、僕の前に現れないで!!」 「相変わらず可愛いねえ、流星くんは…じやあね、もしお姉ちゃんが勝ったら…一生、お姉ちゃんの言う事… 聞いてくれるかな?」 そういって彼を見つめて笑顔を浮かべる…やっぱり、お子様はそんな事いわれたら怖いのかなあ?流星くんは 唇まで青ざめている…寒いのかな?ならはやく暖めてあげなくちゃ…うふふ。 「ボーグファイト!ゴー!!」 二人が叫ぶと同時に、二体のダイノボーグが投げ込まれた、マキシマムティラノロートは一気に私の新型ダイノ ボーグ、レプテライダーに衝突して…そのまま横転、一気に場外に押し出された。 突然のことに何が起こったのかわからず、流星くんは立ち尽くす…そして数分後、彼は絶叫した。 「…うそだ、うそだ…うわあ、ああああああああああ!!!!!嫌だ!嫌だあああああああああ!!!」 「嘘じゃないよ…うふふ、うふふふふ…君はもう無敵のチャンピオンじゃないんだよ…じゃあまず最初のお願いは…」 ぐしゃり、と小気味いい音を立てながら私は彼のダイノボーグを踏み潰した。 「もうこのへんなオモチャで遊ぶのやめて…おねえちゃんの犬になってもらおうかなあ?」 「う…うわあああああああ!!!」 今までの栄光を奪われた分、敗北と言う現実を直視できないのか…逃げ出そうとした流星くんの足に足払いを決めると 私は彼を押し倒した、いやしかし簡単なものだな、パーツを鉛で重くしておけばこうも押し出しづらくなるとは…でもコレ ばれたら一気に人気も下がるだろうなあ。 「いやだよ、嫌だよお姉ちゃん!!止めてよ!おねがいだから!!!」 「やだよ…やだやだやだやだやだやだ…もうおねえちゃんは我慢しないんだよ、君が欲しいんだよ…ん…ちゅ…」 流星くんの体をがっちりと押さえ込んで、私はその唇を奪った。 「ん…むう…ぷはあ…」 すっかり抵抗する力を失った彼を縛り上げると、私は彼をそのまま担ぎ上げて家に持ち帰った。そうだ、彼をじっくり 家で暖めてあげなくてはいけないのだ…そう、じっくりと。うふふふふふふ…。 68 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 54 27 ID mLomD40f 爆走!!逆転シューターダイノボーグ!!」⑧ 「いひぃ!や!ああああああ!!!!もう許してぇ!おねえちゃああん!!」 「ん…だーめ、りゅうくんがちゃーんと誓ってくれない限り…やめないんだからね…ぷはあ!」 持ち帰った流星、いや、りゅー君の服を全部剥ぎ取ると媚薬をたっぷり飲ませて…そのままフェラ攻め を繰り返した…そう、誓いの言葉を言わせるために…。 「でもぉ…怖いよぉ…奴隷なんて…むち打ちとか…いやだよお…」 「大丈夫、お姉ちゃんが可愛いりゅーくんにそんなことするはずないでしょう?お姉ちゃんはりゅーくんが 可愛くて仕方ないから…もしも言う事聞いて…誓ってくれるのなら、もうこんなふうには苛めないよ?欲しいものは なんでも買ってあげるよ?行きたいところに連れて行ってあげるよ…だから…」 りゅーくんは渋った挙句、ついに快感に耐え切れなくなったのか…ようやくその言葉を口にした。 「ん…は、はいい…僕は…三剣流星は…もうダイノボーグなんかで遊びません…僕は…ぼくは、もうずーっと、いっしょうがい… あずさおねえちゃんの…奴隷として生きていきますぅ…だからあ…」 「はい、よく言えました…それじゃあさっそく…んん!ん!!」 私はりゅうくんのモノを手であそこにあてがって…一気に騎上位でのしかかる。 「ひい!あ!!!あああああああああ!!!」 彼はためにためていた精液を一気に放出して…私にしがみつくと、そのまま果てた。 「ふふふ…愛してるよ、愛してるからね…もうずっと、放さないからね…流星くん…ふふふ ふふふふふ…」 彼の寝顔にキスをして、私は笑った。 その後日、流星と共に失踪してしまったあずさのマンションで最終話の原稿を発見した担当は 泡を吹いて失神したと言う。 最終回では主人公が敵…クイーンに負けて制奴隷にされるまでの過程が全てねちっこく、という かリアルそのものな内容で書かれていたという。 fin 69 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/11(火) 00 56 36 ID mLomD40f 以上です、ノリで書きました、後悔はしておりません、それでは。 70 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 08 26 41 ID JRh/pXcs ttp //www.edge-records.jp/title/nemurenai/02yandere.php 71 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 08 45 36 ID cSDaspeL 70 俺の不眠症もようやく治りそうだ。 72 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 09 13 56 ID p/XJ06zZ 流星と聞いてメタルダーしかでてこないわ 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 09 15 16 ID tz7Xr0f9 69 GJっす このお姉さんに犯されたい俺は異端 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 10 22 37 ID JRh/pXcs 流星と聞いてスパロボのリュウセイ・ダテを思い出す俺は異端 75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 10 42 22 ID CwLLoKIq このスレって既存小説のキャラクターを使った小説でも投稿おk? (具体的にはハルヒの朝倉涼子) 76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 10 55 57 ID tLR1oZeH 二次創作はそのキャラのスレに投稿した方がいいぞ ハルヒのスレならある 77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 10 56 34 ID CwLLoKIq 76 あり。そっちにいってみる。 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 13 04 01 ID Q8IMpLTd 74 ロックマンを(ry 79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 16 38 35 ID au5dcblj VIPの新ジャンル「独占されたい欲」ってのがいい感じ 80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/11(火) 22 08 09 ID Qg1NFOHH VIPナツカシス。最近は厨房の出会い系掲示板になってしまってみてないな~。 81 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/12/12(水) 02 28 09 ID NuCZcnMd 82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 04 40 09 ID buAg1Gep この会話も十分厨臭い 83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 12 17 07 ID hUh19mew お姉さんに犯される流星くんうらやましいなぁ… 84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 12 38 59 ID zEWlfgDu 流星と聞いて、剣(ツルギ)流星を思い出す俺はもっと異端 85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 13 40 19 ID H5YFd3Vp 82 って指摘してる時点でおまいも厨臭い 以下∞ループ 86 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 21 03 ID Fph0owpB 鏡の向こうの自分は、自分と同じ顔をして、自分と同じ行動をする。 私が笑えば笑うし、私が泣けば泣いて、私が怒れば怒る。 私と同じ顔をした私は、私のようで、私ではない。 エントランスで倒れていた私を助けてくれたのは、同じ棟のポスドクの先輩。 私もよく知っている人で、こーたと先輩は、同じ少林寺拳法のクラブで先輩とOBの間柄でもある。 女性の悲鳴を聞いて駆けつけてきたところ、争っていた二人のうち一人が自分に気づき、荷物を 持って逃げたのだと聞かされた。 確かに、私の荷物は、全て、なくなっていた。 突き飛ばされた時に打ち付けた体が、ズキズキと痛む。 慌てて先輩に事情を話し、先輩の携帯で家に電話をかけてもらう。私達の家が徒歩10分だった としても、その10分が惜しかった。 なのに、電話の呼び出し音はむなしく鳴り響くだけ。時間から考えて、瑞希はもう家についている はず。そして、彼女は家の鍵を持っているから家に入れるはずだ。 「水樹ちゃん、行こう。もしどういう状況だったとしても、電話に誰かが出る確率は低いかも しれない」 「でも、先輩、うちはオートロックなんです。鍵は瑞希にとられたし、もし、こーたが開けて くれなかったら、私達、入れません。管理会社もこんな時間じゃ連絡とれないし」 瑞希。もし、こーたに何かしたら。許さない。 でも、どうしたらいいの。私に何ができるの。こんなにも無力でどうしようもなく馬鹿な私。 声が震える。体がガタガタを音を立てて揺れる。焦燥感と恐怖で立っていられない。 そんな私の肩を、先輩は強く掴んだ。 「じゃあ、警察だ」 87 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 22 13 ID Fph0owpB 「え?」 ……警察?先輩の言葉が一瞬理解できなくて、思考が停止し、体の震えまで 止まった。 呆然と、先輩を見上げる。 「先輩、そんな、警察なんて、そんなオオゴト」 「水樹ちゃん、何を言ってるんだ。これはオオゴトだぞ」 先輩は、私の肩を掴んだまま、もう一つの手で私が握り締めている携帯をゆっくりはがした。 低い声で、子供に言い聞かせるように諭す。 「身内のことだからためらうのはわかる。でも、君は襲われて荷物を奪われているんだ。これは立派な 犯罪だぞ。それに、君の妹さんは、鍵を使って家に侵入するだろう。凶器だって持っている。 もしかしたら浩太に危害を加える可能性だってあるんだ」 「あ…でも、でも…」 「いきなりのことでパニックになるのはわかる。俺が連絡するよ。待っててくれ」 先輩は、携帯を操作すると、耳に当てる。そして、安心させるように笑って、余計なことを言った。 「浩太だってうちのクラブの主力だ。殺されることはないだろう」 「こ。ころ…」 こーたが、瑞希に、殺される。そうだ。例えこーたが武術をやっていても、寝ている間に縛られて しまったら、叶わない。 違う。瑞希はこーたに恋しているのだから殺さない。絶対に。 本当に? 当たり前だ。瑞希は私と同じなのだから、私と同じように考えるはず。私はこーたを殺そうと思った ことなど…。 先輩が警察としているのであろう緊迫した会話が、すうっと遠くなった。 自分のものにならないのなら、殺してしまえばよいと、思ったことは、本当に、なかったか。 ソファーで無防備に眠っているこーたを自分だけのものにするために、二度と目をさましてほしく ないと願ったことは、本当に、なかったか。 二人共に生まれ直せるよう、全てをリセットしたいと思ったことは、本当に、なかったか。 88 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 23 09 ID Fph0owpB 「あ…あああっ!」 体を衝撃が駆け抜ける。見たくない悪夢と認めたくない記憶、二つが入り混じって私を突き動かした。 行かなきゃ!こーたを助けなきゃ!こーたが殺される! 私は、はじけるように駆け出す。 「はい…あああ、こらっ!」 しかし、警察と話している途中だった先輩が、私の体をつかんで止めた。 必死でもがくけれども、瑞希一人でさえ跳ね除けられなかった私が、体育会系の先輩の腕から逃れ られるわけがない。 「は、はい。できるだけ早くお願いします。たちの悪いストーカーなので。はい。…水樹ちゃんっ!」 電話を切った先輩が、空いた腕で、私の頬を張り飛ばした。痛みと苦しみとぐちゃぐちゃの感情が、 出口なく私の中で吹き荒れる。わけのわからなくなった私は、立ってさえいられなくなり、 その場に崩折れた。 勝手に目から涙が出てきて、たまらずしゃくりあげる。 「もう少し冷静になってくれ。君が行ったところで、一体何ができるんだ?」 「あ…あ…ごめんなさ…」 先輩は、私から離れ自転車にまたがると、厳しい声で私に言った。 「わかったら、ここでおとなしく待っていてくれ。男二人なら、女性一人を取り押さえられる。 でも、君がいたら、邪魔だ。守らなければならないだけ、邪魔になる。本当に浩太のことが 心配なら、このままここで無事なままでいてくれ。…A204に刈屋がいる。そこで待って るんだ」 私の返事を聞かず、先輩はそのまま自転車で走り去った。 私はただ、何もできず、その場にしゃがみこんで、先輩を見送った。 89 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 23 53 ID Fph0owpB 警察が素早く動いてくれたのは、はっきりと先輩が言った訳ではないが、クラブのOBが警察に いたのと関係あるかもしれない。警察が家に入るにあたっては、私の承諾があったから、早かった。 こーたは、警官二人と先輩が家に入るまで、眠っていたというのだから、大物と言うか、なんと いうか。 瑞希は、こーたのベッドに入って一緒に眠っていたらしい。あっさりと取り押さえられ、高崎家 へと帰されたという。 先輩の冷静な判断のおかげで、大事に至らず、素早く事件は解決した。 「水樹、心配、かけたね」 俺はなにもしてないけど…。と照れくさそうに笑いながら、こーたは私に言った。 私は、ただうつむいて、何も言えなかった。 私が何もできなかったせいで、瑞希に荷物を奪われて、こーたを危険にさらした。 こーたの身に何もなかったのは、先輩の冷静な判断のおかげで、私一人だったらどうなっていたか わからない。 こーたを守るどころか、ただ、蚊帳の外で、泣いていただけ。 なんて無力で馬鹿でどうしようもない私。こんな私なんて、いない方がこーたのためかもしれない。 「でも、水樹に何もなくてよかった。これからは遅くなったら俺を呼ぶとかしてくれ。迎えに行く から。研究室に一人で残る時は、鍵をしっかりかけてくれ」 涙が出てくる。こーたが心配した様子で私を見る。ああ、今ショックを受けて大変なのはこーた なのに、私のことを第一に心配してくれるなんて。なんて幸せなんだろう。 「ありがとう。本当にこーたは優しいね…。ごめんね、お姉ちゃんなのに、こーたを守れなくて」 「水樹のせいじゃないよ。水樹が無事でいてくれることが一番大事なんだから」 こーたの笑顔。部屋に戻っても、一日中私は幸せなままだった。 あまりに幸福を感じすぎて、卒倒しそうになる。 90 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 24 37 ID Fph0owpB でも、瑞希のことを思い出した瞬間に、その感情は逆のベクトルへと噴出した。 どろどろと渦巻く怒りと憎しみが、臓腑を焼く。 私と、代わる?こーたを、守る?なんて馬鹿なことを言うのだろう、あの子は。 しかも、こーたと一緒に寝ていたなんて、何を考えているのだろう。 そんな方法でこーたが守れるものか。 瑞希は、こーたと一緒になりたいだけだ。でも、こーたは瑞希なんか、姉なんかと一緒になる わけがない。 こーたは、普通に恋をして、普通に結婚して、普通にお父さんになって、普通の幸せを掴むの。 それを見守るのが、姉ってものでしょう。それを望むのが、姉ってものでしょう!! 私はそれを望むことができる。瑞希にはできない。だから瑞希はこーたの側にいてはいけない。 本当に? あの日、私を襲った悪寒が、もう一度背筋を駆け抜けた。首を振る。 当たり前じゃない。私は姉。こーたの姉なんだから。 こーたの幸福こそ、私の望み。 私は役立たず。私は無力。でも、今度こそ、絶対に、何があっても、こーたを守り抜く。 どんなことをしてでも。 そう、どんなことをしてでも。 91 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 25 27 ID Fph0owpB でも、私一人がどんな決心をしても、世界は何も変わらないのだ。 そう、私一人の願いなんて現実の前には無力で、誰一人動かせないと言うことを、私はすぐに 知ることになる。 「水樹、父さんと母さんがこっちに来ることになった」 「え?どうしたの?」 「昨日、電話で相談した」 「…何を?」 夜ご飯を食べる間中、こーたはずっと暗い顔をしていた。頑張って盛り上げてみたけれども 嫌な予感はしていた。 食べ終わり、ごちそうさまを言った後、言いにくそうにこーたが切り出した。いい話であるわけ がない。 こーたの顔が強張っている。私の顔も強張っていく。 「昨日、高崎家から、俺を瑞希の婿に、という申し出があった」 宙に浮いていた手を膝に置こうとして、距離感をどうして間違えたのだろう、机の角に思い切り 手をぶつけてしまった。 派手な音を立てて机の上の皿が一瞬、踊り、その後はただ、静寂だけがその場を支配した。 92 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 26 08 ID Fph0owpB 以上です。 今回はつなぎなので、ヤンデレ分が少なくてごめんなさい。 93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 28 49 ID H5YFd3Vp GJ! 94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 31 36 ID hUh19mew ダイノボーグの健全な展開 三剣少年敗れる 貞操の危機! その時 「待て!俺が相手だ!」 そこに謎の少年登場 少年の使うドラゴンロートが重りをつけたレプテライダーに圧勝 少年「アントラースラッシュ!」 あずさ「そんな!重りをつけ…んぐ…!」 「やっぱりな…ぐらついていたからまさかと思ってたが… 大人のくせにちゃんとばれないようにできないのか? このショタコンババァ!」 あずさ「…!!覚えておいで!」 お決まりの台詞をはいて去っていくあずさ 流星「兄さん…そうでしょ!舞雷兄さんなんでしょ!…助けてくれてありがとう…」 舞雷「勘違いするな… 俺はお前を倒すために日本に帰って来たんだ!」 流星「そ、そんな…」 続く 95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 32 43 ID hUh19mew 次の日、近くのおもちゃ屋で流星と舞雷の兄弟対決 流星「兄さんのドラゴンロートはパワー型! バランス型のマキシマムティラノロートが圧倒的に有利なはず!」 舞雷「甘いな…流星… これを見ろ!」 流星「!ドラゴンロートに鎧が…!」 舞雷「見たか!このドラゴンロートは鎧を装着して アーマードドラゴンロートになり超バランス型なる! いけ!アーマードドラゴンロート!アントラースプラッシュ!」 流星「そんな…!僕のマキシマムティラノロートが…!」 舞雷「これはまだほんのお遊びだ… 世界大会で待っているぞ流星…!」 続く 96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 35 38 ID hUh19mew 世界大会で舞雷がアメリカ代表だと知る流星は日本代表になり 決勝でなんとか勝利 しかしそこにレプテライダーゾンビを持ったクイーン登場流星を圧倒 クイーン「さぁ…りゅーくん…私のものになってぇぇぇ!」 舞雷「流星これを使え!」 舞雷がアーマーパーツを投げる アーマードティラノロートになりレプテライダーゾンビに勝利 兄弟は和解するのだった 続く 97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 36 29 ID hUh19mew orzマジですんません… 98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 47 26 ID hUh19mew 舞雷が不治の病に冒されているのを知った流星は 兄と失った時間を埋めるように過ごすがそこに三度クイーン登場 舞雷がドラゴンロートでまたも新型のサタンレプテライダーに負ける そして舞雷は無理をして死亡 流星「にいさぁぁぁぁん!」 怒り狂う流星はアーマードティラノロートで挑むが負ける そして失意の流星は仲間の励ましにより 大破したドラゴンロート ティラノロートを合体させたダイノロートでクイーンもといあずさとの最後の決戦に挑むのだった 続く 99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 48 24 ID hUh19mew あずさとの最後の決戦 流星「もうこんなことやめてよ!あずさお姉ちゃん!」 全員「な、なんだってぇ!」 あずさのサタンレプテライダータロスに究極のダイノボーグ アルティメットダイノロートの必殺技グランストライカーが命中、勝利 あずさ「どうして!?ど うしてりゅーくんは私のものになってくれないのぉ…」 流星「ごめん…お姉ちゃん… 僕が避けるようにしたばっかりこんな…!」 流星の必死の説得であずさヤンデレ浄化 姫香とハーレムエンド 終わり 100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 19 49 56 ID hUh19mew すいません すいません… どうしても書きたかった…勝手に話作って許して下さいorz もはやヤンデレSSでもないし… 101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20 00 16 ID 9TGs/xJO 本物のカブトボーグばりに読んでて頭痛くなったわ!!wwww(誉め言葉) 102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20 02 37 ID hw0TBWGF 92 こ……これはテラGJ! wktkが止まらないぜ、水樹ガンガレ! アータタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!!! . ∧_∧ ハゥアゥアゥアゥアゥアゥアゥアゥアゥアゥ ∧剛∧ (Д`;iill)← 100 ( ・∀・)σσσ つ (っ 三σσσσそ ヽ チンチンチンチンチンチンチンチン して_)σσ (_,ノw(_) 独 指 百 烈 点 ネタはいいがタイミング悪すぎだろw 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20 13 30 ID hw0TBWGF 100 てかよく考えたら勝手に改変はマズいだろ。 せめて作者さんに許可取ってから書きなさい(`・ω・´) 104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20 53 19 ID hUh19mew そうっすねorz すみませんでした… 105 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 21 20 24 ID hw0TBWGF 104 次はその才能をいかしてオリジナル作品を書けばいいのさ! 106 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 21 49 51 ID Ze6NPKjf ヤンドジってこのスレだっけ? 107 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/13(木) 00 06 13 ID llb0U9qX 106 前スレて゛投下されてるから多分合ってる リッサ氏の埋めネタは寸止めでしょうか? できるなら完結させて欲しいです。 108 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/13(木) 00 22 17 ID gx42wXL2 今日会社の先輩に「ヤンデレって知ってる?」聞かれた 咄嗟に知らないって答えたけどヤンデレもメジャーになったな… 109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/13(木) 01 04 33 ID g1Qhb9Ww 100 無雷www あんたロックマンやってるなww 110 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/13(木) 01 43 39 ID Ehhjl25M 100 拝見させていただきましたがものすごく面白かったです。殆どノリと 勢いで作ったような作品だったのに、このような番外編を作っていただけて うれしかったです。本当に感謝します、どうもありがとうございました。 …とまあそんな感じなのでお気になさらないでくださいね、ちなみにロックマン はよく解らないですが、自分の大好きなジュウレンジャーネタが出たときは同人の相方か 知り合いの仕業かと思ってかたっぱしから聞いてみたくらいです。 107 自分もそろそろ貼らなくてはなと思ったので、今から残り分を貼らせていただきますね 111 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/13(木) 01 55 35 ID Ehhjl25M それでは貼らせていただきます、ダイノボーグとはノリが違いますがあしからず。 ヤンデレ観測者③ やはり世の中は金と地位なんだろうか…暗がりでもよく生える聡明そうな顔のメイドさん…こんな人を そんな簡単にも雇えるなんて…なんてうらやましいんだ、と私は不謹慎にもそんなことを考えていた…。 「二人でいるときは本当に幸せでした、私ってドン臭いからよく先輩メイドさんに苛められたりもしましたけど …そんなのも全然苦にならなくて…でも」 少し彼女の声のトーンが落ちる、どうやら話は核心に迫ってきたようだ。 「幸せは長くは…続かなかったんです」 「あの日、私が雇われて一年ぐらいして…ようやくご主人様は私を…夜に、部屋に呼んでくれたんです…私…うれしくて …初めては、とても痛かったですけど…それでも、私…嬉しかったんです」 話終わると同時にぐう、と彼女のお腹がなった、恥ずかしがる彼女に私は無言で夕飯用に買っておいたタマゴサンドを差し出した。 「…はむ…ありがとうございます…」 「いえいえ、お気になさらずどうぞ…」 しばし彼女は食事を続け、一息をつくと話を続けた。 「でも、その日からだんだんご主人様はやつれ始めて…日に日に痩せこけていったんです…元々病弱な人だった分、心配はしていた のですが…最後には仕事も出来なくなって、山奥のお屋敷で、私と数人の使用人を引き連れて隠居生活をするようになって…」 彼女はぽろぽろと涙を流す、散々世知辛い人生を生きていた分、せっかく手に入れた幸せが壊れたと言う事は…未を引き裂かれる事 よりも辛かったのだろう。 「最後に彼はずっとわたしに謝ってました、妹と君を重ねてしまってすまなかった、って……ご主人様の初恋の人は血の繋がっていない 妹さんで…禁断の恋が妹さんの早逝で実らなかった分、容姿の似た私を、せめてもと思って、抱いていたって…ふふふ、あはははは、そんなこと 言わなくても、よかったのに……はははははは」 聞いていてとても辛い話だった、久々に胃が痛くなる…しかし、多分彼女がここまで私にこの話をしてくれていると言う事は…私にこのことを 話すことでなにかをはらす事になるのかもしれない…そう、私が一生好かれることはないであろう。人を愛する事で一線を飛び越えた少女たちの… その叫びを聞いてあげることで彼女たちが癒されるのなら、何かの踏ん切りがつくのなら…ある意味この観測も意味があるのではないか…なら、ここで 更にその話しの続きを聞いてあげるべきだ、胃の痛みをこらえて私は必死にそう思った。 112 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/13(木) 01 58 55 ID Ehhjl25M ヤンデレ観測者④ 「それでその後は…どうしたんですか?」 「色々調べました…ご主人様の死因と、ご主人様の周りを取り囲む状況を…結果、死因は毒殺で… 犯人はメイド長と…ご主人様の両親と、ご主人様の遺産と保険金目当ての親戚筋である事が解りまして… 私、やるせなくなって…ご主人様の、いいえ…彼の墓を掘り起こしたんです…だって酷いじゃないですか? そんな人たちが作った墓の中で、偽りの涙を流されて冷たい土の中に閉じ込められてるんですよ?そんなところ にいるのなら…私が助けなくちゃ、って…私と同じ、あんな金ごときで…家族に捨てられて、命も奪われた 可愛そうな彼を、せめて私が助けなくちゃって…」 「そうして彼を助け出して…今はこうして、きちんと防腐処理して、剥製にした彼と二人で復讐の旅に出てるんです… うふふ…もうこれで、永遠に、墓穴の中でも二人は一緒なんですよ」 そう言うと彼女はいとおしそうに…その、彼の入っているであろう死体袋を撫で回した。 113 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/13(木) 02 08 16 ID Ehhjl25M ヤンデレ観測者⑥ そうか、それで血まみれだったのか…私は頷くと、自分の分である缶コーヒーを飲んで一息ついた。 「それで…首尾の方は」 「ええ…もうそれは、常にできるだけ急所ををはずして、苦しめて惨めに殺してやったのですが… あと残り一人がどうにも…警戒を強めているようで…」 そういうと彼女はポケットに入れていたものを見せた。彼女の手に握られていたのは古びたコルト ウッズマンのロングバレルバージョンだった…。 「大勢のボディーガードを相手に…これ一丁でどこまでいけるのか…」 装備は拳銃一つのみ…確かにそれのみで大勢のボディーガードに囲まれた復讐相手を殺すのは大変 なうえに、精神的にも不安なのだろう。 …なら仕方ないな、協力してあげるとするか。 「コレ、少ないですけど使ってください…」 そういうと私はバッグのポケットから柄付手榴弾を二つほど取り出して渡した、この前やはりここで 知り合った「魔物と戦える、彼氏を食べてしまった少女」が私にくれたものだ。 何でくれたのかわからない上にちょうど持て余していたのだが、必要な人がいるのならその人にあげ るのが一番だろう。 「…いいん、ですか?」 「ええ…これはあなたにとって必要なものでしょうし…それに、貴方が死んでしまったら…またその 彼氏と…今度こそ永遠に引き剥がされてしまいますからね」 「…ありがとうございます、ありがとうございます…」 彼女はぽろぽろと涙を零すと何度も何度もお辞儀をした。 僕の手を握る彼女の手は冷たく、血なまぐさく…そしてかさかさに荒れていた。 本来ならとめてあげたかった、引き止めてあげたかった。 でも彼女はもうその未来を、死体袋に入った剥製と、握った拳銃と共に放棄し てしまったんだろう…それが何より悲しかった。 僕はそれからもう少し彼女と話をすると、その場所を後にした。 彼女は僕の姿が見えなくなるまで、手を振っていてくれるような気がした。 114 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/13(木) 02 21 24 ID Ehhjl25M ヤンデレ観測者⑦ 数日後、急いでアパートに帰ると玄関先に彼女の持っていたウッズマンが、ホールドオープンしたままの状態で置いてあった。 きっともう、使う必要はなくなったから…多分そういう意味なのだと僕は思った。 文鎮代わりのそれの下に置かれた…南の島の写真と、ありがとう、二人はここにいます…そのうち、生きていればまた…と書かれた 文を見て、私は…そこまで思われているそのご主人様がとてもうらやましかった…。 ああ、いつか私もそんな目にあってみたいものだと。 そして、彼とやっと安住の地にたどり着いて、幸せそうに微笑む彼女の姿を想像して…私は少しだけ泣いた。 そしてそれから一年が過ぎたが、まだ私の前に私を愛してくれる素敵な女性は現れてはいない、しかし相変わらず アパートの前のバス亭には、一線を越えた女性達が現れて続けていた…。 「と、いうわけで…あの人を振り向かせるために、このバトルロワイアルゲームに参加したんです…なのに ゆーくんは振り向いてくれなくて…大変だったんですよ、40メートルもあるロボットに乗ってエイリアンと、ほかの子達と 戦うのって…しかもあと二人倒せば全ては終わるっていうのに…あの妹、あの妹…絶対いつか殺してやる殺してやる殺して やる!!!」 「あなたは…そう、とっても素敵ですねえ…自分の命も、人の命もかけて彼のために戦えるなんて…その彼氏がうらやま しいくらいだ…」 たとえそのロボットの攻撃で、私のアパートがぶち壊されても…バス停だけは偶然に残り…そして何故か、そこに私が住み 着いていても…彼女たちが途絶える事はなかった。 ああ誰か、早く素敵なヤンデレ女性に出会いたい…。 FIN 115 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/13(木) 07 04 26 ID gOVOOWV3 GJ! まさか感想もらえるとは… 全くヤンデレSSでもなかったのに寛大さに感謝です… 116 名前:名無しさん@ピンキー[saga] 投稿日:2007/12/13(木) 08 19 34 ID A6Hojqiy GJっす! この傍観者にヤンデレの神の御加護と幸あれ 117 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/13(木) 12 24 21 ID LGoO6KuO 遅ればせながら 92GJ! 水樹と瑞希、全く引く気がなさそうな二人の戦いがイイ。 114乙です 前スレが中途半端だったんで気になってましたw 118 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/13(木) 15 20 04 ID JipJiSAf 92 今回も面白かったです。タイトルの通り合わせ鏡のような二人のヒロインが、主人公を 取り合う……ヤンデレ好きには堪らないシチュです。 それにしても瑞希は今回の一件でほぼ確実に前科者になっただろうに、彼女の両親の意図は……? 119 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 01 30 54 ID FFoatSrY 投下します。 ※本作は、『男のヤンデレ』が登場します。 お気になさる方は、NGワードをお使いください 120 名前:【後・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 01 32 32 ID FFoatSrY 「ふぅ~ん、誰かの視線を感じるねぇ」 放課後の帰り道、同じクラスの南条が『最近、誰かに見られてる気がする』という相談してきた。 なるほど最近、南条が顔色が悪いはそのせいだったのか 「お前、疲れてるんだよ きっと休めばその視線を感じないさ」 僕は、月並みなアドバイスをした。 「…俺もそう思ったんだけど、どうやらストレスとかとは違うみたいなんだ」 そうだろうな。その視線の主は、ストレスから来る幻覚などではない。 なぜそう確信できるかというと僕は、その視線の主を知っているからだ 僕がその視線の主を知ったのは、2ヶ月前のことである――― ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 「森野くん、ちょっと次の時間に使うボール持ってきてくれる」 っと僕は、休み時間が始まると同時に逃げ出した体育委員の南条の役割を後藤さんに押し付けられた。 やさしい僕は、後藤さんの命令に従い、ボールのある倉庫の鍵を取りに体育教務室へ向かった。 「ちわーっす、倉庫の鍵を取りに来ました」 …誰もいないようだ。っと中に入ろうとしたら机の影に人影があった。 「誰かいるんですか?」 「も・森野じゃないか!どうしてここに!?」 そこにいたのは、科学の大月先生だった。科学の先生がなんで体育教務室にいるんだろう? 「先生こそなんでここにいるんですか?」僕は、大月先生に近寄った。 よくみると大月先生は、片手にジャージを持っている。 さらによくみるとそのジャージは、新任の女教師・山村先生のものだった。 僕は、豚を見るような目で大月を見ると大月は、 「も・森野、これは…あれだ、世の中には色々な愛し方があってな…」っと痛々しい言い訳を言い出した。 こんな変態が学校の教師になれるなんて世も末だ これ以上、この男の見苦しい言い訳など聞きたくないので 「わかりました…その行為もまた人を愛す方法なんですね」 「わかってくれたか森野!!お前は、本当にいい奴だな!!」 僕は、「では、ごゆっくり」っと大月に言ってドアを閉めた。 体育教務室の中で何かをしゃぶるような音が聞こえるが聞かなかった事にしよう 121 名前:【後・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 01 33 19 ID FFoatSrY …さてと、 僕は、生徒会室に立ち寄った。 「た・大変です!!体育教務室で大月先生が山村先生のジャージであんな事やこんな事を!!」 「何!やっぱりまたやらかしたかあの変態教師め!!」 そのセリフからするとどうやら大月は、何度かあぁいう事をしてたらしい 「直ちに風紀委員を呼べ!今日こそあの変態を学園から追放してやる」 これでよし!っと生徒会を立ち去ろうとすると 「えぇ~っと、森野くんだっけ?情報ありがとう」っと生徒会長であり、 さっき僕にボールを持って来いと命令した後藤さんのお姉さんの後藤真理子先輩が話しかけてきた。 「いやいや、僕は当然の事をしたまでっスよ」っと僕は、頭をかいて答えた。 10分して体育教務室は、風紀委員に取り囲まれた。委員長が委員達の真ん中に立った。 「正直なところ、事態は最悪だ。厳しい戦いになるだろう… 君らの多くは退学されるかもしれん だからと言って考えを変える君達でない事は百も承知している 君達は最高の風紀委員だ。その勇気を疑うべくもない。 あの狂人が我々の学園の風紀を乱すのであれば 『風紀』の本当の意味を教えてやろう!」 うわぁ~まるでハリウッド映画を見てるようだ。 そして、委員長の合図で一斉に体育教務室に入っていく風紀委員の皆さん 「御用だ!御用だ!」っという声が木霊し、数分が経つとボロボロになった大月が風紀委員と一緒に出てきた。 大月は、小さな声で「もっと…もっと…して」と何かを風紀委員長に催促していた。この真性の変態め!! このようにうちの学園は、少しでも風紀を乱すような変態行為をすると 教師だろうと生徒だろうと(理事長の孫娘である高島さん以外)、 あのようにボロボロになって学園の晒し者になる。あぁいう風にはなりたくない……… さて、大月のせいで遅れてしまったが次の時間は、体育だ。 僕は、着替えようと教室に戻るとなにやら窓ガラスに衣類に顔を埋める人影が見えた。……また高島さんか 例え、風紀委員長が許しても被害者である僕は、許さないのだ 僕は、勢いよく教室のドアを開けた。しかし、そこにいたのは高島さんではなかった。 そこにいたのは、後藤さんだった。 後藤さんは、南条の制服を着て中の匂いを嗅いでいたのだ。 後藤さんは、僕に気づくと顔を真っ赤にして 「も・森野くん、これは…あれよ、世の中には色々な愛し方があってね…」っと どこかで聞いたようなセリフを吐いて教室を逃げるように出ていった。 122 名前:【後・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 01 35 40 ID FFoatSrY その日以来、学校を彼女は欠席するようになった。 欠席して1週間が経った頃、僕は先生から後藤さんと高島さんにプリントを渡すよう言われた。 「後藤さん家は、近いからいいけどなんで自分ん家と逆方向の高島さん家にまで行かないと行けないんですか!!」っと 先生に文句を言うと先生は、「お願いだ森野、俺には、養う家族がいるんだ」っと土下座をしてきた。 あぁ~教師って大変だなぁっと思いながら僕は、後藤さん家と高島さん家にプリントを渡す仕事を引き受けた。 1週間前の事もあるし、まず最初に後藤さん家に行く事にした。 僕は、後藤さん家のインターホンを鳴らした。数十秒してインターホンから 「…はい、どちら様でしょう?」っといつも聞く声とは違う弱弱しい後藤さんの声が聞こえた。 「えぇ~っと、森野だけどプリント渡しに来ました」 「…そう」っと無愛想に答えると数秒して家の玄関からボサボサな長い髪で顔色の悪い後藤さんが出て来た。 「えぇ~っと、これが今日渡されたプリントね」僕は、後藤さんにプリントを渡した。 後藤さんは、プリントを受け取ると「ねぇ、森野くん」っと話してきた。 「はい、なんでしょう」 「あの時の事…南雲先輩に話した」南雲先輩というのは、風紀委員長の事だ 「大丈夫、あの事は誰にも言ってないから」 「ねぇ…アイツって私の事、どう思ってるんだろう?」 アイツ…というのは多分、南条の事だろう。 僕は、「アイツから後藤さんの評価は、聞いてないなぁ」っと答えた。 「じゃ・じゃあ、アイツは、どんな女の子がタイプなんだ?」 「えっ?え~っと、あっ!そういえば修学旅行ん時に 『恥かしがり屋でいつも影で自分を見ている一途な女の子』にグっと来るって言ってたよ」 「そ・そうか、『恥かしがり屋さんでいつも影でジロジロと好きな男子を見つめる一途な女の子』だなアリガトウ!!」 う~ん、なんか違う気もするけど元気になったみたいだしいいか 「今日は、ありがとう」っと後藤さんは、僕に礼を言い家に入っていった。 さてと、次は、高島さんか… ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ それからというもの南条は、気づかないようだが後藤さんは、 暇さえあれば南条をジロジロと凝視するようになった。 そうそう、南条。 お前、気付いてないみたいだけど今もお前の後ろの席で後藤さんがお前を見てるんだぜ 【後・お見舞い】・終 123 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 01 39 17 ID FFoatSrY 投下終了です。 今回は、ちょっとホラーチックに書いてみました。 ついでに『制服を着ながら匂いを嗅ぐ』というシチュは、キミキスのパク…オマージュです 124 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 41 48 ID NdS3V1VX 投下します(13レス使用)。第五話です。 NGワード無し。 125 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 43 10 ID NdS3V1VX 今このときの俺が追い詰められているのだとすれば、それはどれほどのものだと言えるだろうか。 ちょっとだけ、考えてみる。 夏休みの宿題が終わらず、膝ががくがくと貧乏揺すりをするほどか? 違う。あれはただ、時間に追われているというのにいつまで経っても終わらずイライラしているだけだ。 今の俺はぐらぐらしてはいるが、がくがくもイライラもしていない。 では、修学旅行のバスの中で尿意をもよおした時、次の目的地まであと三十分はかかると知らされたときか? これも違う。さすがにあそこまで絶体絶命のピンチの状態にまでは至っていない。 中学の修学旅行で実際にそんな目に遭ったが、今の俺はあの時のように白い便器と四角のタイルを恋しく 思っているわけでもないし、周囲に異常を悟らせないように苦心しているわけでもない。 時間に追われているわけでも、危機的状況に置かれているわけでもない。 それなのに追い詰められていると言えるのか? と問われたら、イエスと答えよう。 なぜなら、今の俺はとても眠いのである。 昨今の秋と冬の混じり合った季節においては、日光の暖かさがとてもありがたく感じられる。 自分から陽の当たる方向へと向かっていって、両腕を目一杯広げて幸せを噛みしめたくなる。 今の俺には陽が射しているわけではない。 しかし、それを浴びているときと同じ恍惚状態に置かれている。 うっとりとしつつ、ぼんやりとしている。とでも言えばわかりやすい。 ずっと前から眠気を覚まそうと、背筋を伸ばしたり目を強くつぶったりしているが、効果無し。 ものの十秒もしないうちに、意識が抜け落ちて倒れそうになる。 睡眠というのは人間の本能的な欲求であり、古代より金をかけずに人を幸福にさせてくれるものだ。 もしかしたら寝ることを趣味にしている人もいるかもしれない。 そんなに素晴らしい、眠りへの誘いを俺がなぜ断り続けているのか。 それはもちろん、眠る以上に大事なことがあるからだ。 眠いのに、大事な用がある。大事な用があるから、眠れない。 だから、いくら眠たくても我慢するしかないのである。 以上を踏まえ、俺がどれほど追い詰められているかを喩えて言うならば、決して赤点をとってはならない 学期末テストにおいて一夜漬けのツケによる睡眠不足で眠りたくて仕方なくなってしまった状態、ということになる。 「お……お待たせ……」 衝動と理性による苛烈な意識の縄張り争いを脳内にて繰り広げていると、控えめな声が耳に入った。 声の主は葉月さん。彼女が風邪をひきでもして声に曇りがあらわれてしまわないか、時々俺は心配になる。 「目、開けてもいいよ……でも恥ずかしいから、その、……あんまりじろじろ見ちゃ、やだよ?」 ずるい。そんな台詞を言って俺の男心をくすぐるのもずるいし、じろじろ見るなというお願いもずるい。 そんなことを言われたら、まだ活動していない俺の目玉に向けて、反骨精神をむき出しにして葉月さんを 見つめ続けろ、という命令を下したくなるじゃないか。 俺は、同化してしまったようにくっついていた上下のまぶたをゆっくりと開いた。 126 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 44 34 ID NdS3V1VX 「! う……、むぅぅ……」 そして、目の前にいる葉月さんの、制服姿とは違う装いを目にして、目がはっきりと覚め、感嘆に呻いた。 葉月さんが身に纏っているのは、二年D組が文化祭の出し物として行う純文学喫茶の女性用衣装である、 振袖と袴、それに草履という組み合わせであった。 淡い紫色の振袖には白いカトレアの花が咲いている。 胸の下の辺りで着付けられた袴。こちらは濃厚な紫色に染まっている。 足下を飾るのは真っ白い足袋と鼻緒のついた草履である。 とどめと言わんばかりに強いインパクトを与えるのは葉月さんの髪型だ。 ポニーテール。髪留めは濃紺のリボン。 しかも葉月さんたら黒のロングをそのまま後ろに流すのではなく、両肩にちょっとだけ乗せている。 そんなさりげないところが小粋で、いやなんともお美しい。 「どう? 似合うかな? ちょっと地味じゃ、ないかな?」 決してそんなことはない。 もし袴姿の葉月さんを目の前にして似合わないなどという暴言を吐く人間がいるなら、そいつの美的センスは 著しく劣化していると言っても大袈裟ではない。 総じて地味な色の組み合わせではあるが、素材のいい葉月さんのような人が着ると、紫の着物が瀟洒なものに見えてくる。 ビバ、着物。 日本の文化、万歳。 「うん、とってもよく似合ってるよ。葉月さん」 言った後で、なんだか陳腐な褒め言葉だな、と思ったが他に言い様が無かったのでどうしようもない。 「そ、そう? えへへ、ありがと」 はにかんだ笑顔を葉月さんが見せた。 いつもより数段魅力が増しているように感じるのは、着物の魔力のせいだろうか。 それとも、二人きりの状態で着物姿を拝ませてもらっているという特殊な状況によるものなのか。 「ところでさ、葉月さん」 「ん? なあに?」 葉月さんが手を後ろに回して前傾姿勢を取り、上目遣いで覗き込んでくる。 抱きしめたい誘惑を問答無用で殴り飛ばし、努めて冷静な気持ちで問う。 「どうして、俺をこんなところに連れ出したの?」 「えっと……それは、そのね」 俺の喉元の辺りに視線を送りながら、葉月さんが答える。 「あなたに、最初に着物姿を見てもらいたかったんだ。クラスの、他の誰よりも先に」 ――しゃっくりが出そうになった。びっくらこいた。 どうして葉月さんは、俺の心の純な部分をピンポイントに責めてくるのだろう。 これが葉月さん流のアプローチなのか。回りくどい部分の一切無い、正攻法。 してやられた。この場が決闘場であったならば、間違いなく俺は絶命している。 127 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 45 45 ID NdS3V1VX 熱くなった心を抑えるため、状況を整理・確認してみる。 まず、俺がいる場所は校舎二階の女子トイレの前である。隣接して、男子トイレが設置してある。 俺をここまで連れ出したのは葉月さんだ。……と、葉月さんが言っていた。 なんと、葉月さんは教室からここまで、眠りこけていた俺の手を引っ張ってきたのである。 教室から連れ出されたときのことを、俺はまったく覚えていない。 だから、目を覚ましたときトイレの前に立っていたから驚いた。 そして、葉月さんがすぐ目の前にいたのにはそれ以上に驚かされた。 俺がなぜ教室で眠っていたのかというと、単純に寝不足だから。 なぜ寝不足かというと、昨日の夜から今朝の五時まで眠っていないからだ。 俺は、学校で一晩過ごしたのである。 今日から明日にかけて催される、文化祭の準備を終わらせるために。 文化祭の準備と言っても、俺のクラスであるD組はとっくに準備を終わらせている。 俺が準備していたのは、自分のクラスの出し物ではなく、弟のクラスの出し物だ。 コスチュームプレイ喫茶。略してコスプレ喫茶。それが弟のクラスの催し物である。 なぜ学年の違う弟のクラスを俺が手伝ったのかというと、その出し物に魅力を感じたからだ。 別にメイドさんや巫女さん、婦警さんや女騎士が好きなわけではない。 多種多様な衣装作りを楽しみたかった。ただそれだけの理由で弟の同胞に力を貸したのだ。 プラモデル作りを趣味にしている俺であるが、作りたいものも、作れるものもプラモデルだけではない。 小学校時代に家庭科の授業で裁縫の技術を身につけて以来、服の修繕などは自力でできるようになった。 それだけでなく、作成可能なもので、必要な材料さえ揃っていれば衣装だって作れる。 弟もそのことを分かっているから、安心して俺に任せたのだろう。そしてその判断は正解だった。 俺が弟のクラスを手伝いに行った時点では、衣装作成の作業は三割、よくて四割といったところまでしか 済んでいなかった。当然だ。裁縫に慣れている人間が片手で数えられる人数しかいなかったのだから。 おまけに段取りも悪かった。女子の中に一人だけ明らかに裁縫に手慣れている人がいたのだが、 彼女にばかり負担が強くかかっていた。 他の生徒は、彼女からの指示を聞いてから動いていたのだ。衣装作成の段取りを掴めていなかったからだろう。 その結果、彼女の作業も遅れてしまい、いつまで経っても作業が進まなかったのだ。 そこで登場したのが俺である。 初めのうちはそれこそ腫れ物扱いだったが、クラスメイト(弟)の兄であると知り、俺のミシン捌きや針捌きを 見ていくうちに考えが変わったらしく、いつのまにか頼ってくるようになった。 その後は簡単だった。俺が難しい作業を請け負い、代わりに手空きになった裁縫上手な女子生徒に クラスメイトへの指示を出してもらった。 力を合わせた甲斐があり、見事に文化祭前日の昨日の夕方、全ての衣装作りを終わらせた。 後輩の男女にお礼を言われる経験をしたのは昨日が初めてだった。 自分の欲求不満を解消することが目的で始めた手伝いだったが、昨日の後輩たちの泣きそうな笑い顔を 見ていると、ああ手伝って良かったな、という感想を抱いた。柄にもなく、心と目頭にジンときた。 まあ、そんなわけで衣装作成は終わったわけである。 が、どうしても俺には我慢できないことがあった。 顎の下にあるほくろから生えた毛が気になるくらいに、どうしても看過できないものがあった。 衣装作成班とは別の班が作った、鎧やブーツなどの金属系の小道具の出来が非常に悪かったのだ。 銀色のスプレーを吹くだけの仕上げなど、俺は認めない。 新品の鎧を着ている歴戦の騎士や、砂にまみれた痕の無いプロテクターを着たヒーローがいるわけがない。 俺は、あいつらを汚さずにはいられなかったのだ。 放課後に家へ帰り愛用のツールをひっつかみ、学校へ引き返して、一人で黙々と作業を進めていくうちに、 次第にハイなテンションになってしまい、気づけば日付が変わっていた。 家に帰るのも面倒になったので、そのまま作業を続行。 宿直の教師に小言を言われ、後になって夜食の差し入れを頂き、途中で何度か記憶を失いつつ、朝を迎えた。 納得のいく出来になった作品を眺めていたら弟がやってきて、強制的に二年D組に連行された。 自分の席に着くなり俺は眠った。そして次に目を覚ましたとき、トイレの前に居て、葉月さんに見つめられていたのである。 128 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 50 37 ID NdS3V1VX 葉月さんの着物姿を視覚で堪能していると、次第に眠くなってきた。 劣情を催すほどに美しいものでも、睡眠欲求をゼロにしてしまうのはさすがに難しいらしい。 葉月さんに教室へ戻る旨を伝え、一路教室へ向かう。 教室内では、着物を纏ったクラスメイトがちらほらと居り、室内を喫茶店として改装すべく動いていた。 クラスメイト――主に男子が、葉月さんの姿を確認して視線を向けてくる。 ……まあ、なんだ。気持ちはわかる。 今日の葉月さんは着物姿だし、それに普段はしていない化粧までしている。 近づいたらいい匂いもする。いや、俺が匂いフェチ、もしくは変態なわけではなくて、香水の匂いがするという意味。 他の女子も普段より綺麗になっているが、葉月さんは頭一つ飛び抜けて煌びやかだ。 しかし、だからといってじろじろ見ていいわけではないのだぞ、男子諸君。 葉月さんに失礼だ。それに、君たちの反応は周りにいる女子達に対する侮辱も同然だぞ。 ほら、我がクラスきってのイケメンである西田君を見ろ。 いつまでも葉月さんをじっと見つめているから、彼の恋人(を自称している)の三越さんがやきもちを妬いて 西田君の足を机の脚で踏みにじっているじゃないか。 西田君が悲鳴をあげてうずくまったところに、無言で後ろからケリまで入れている。 総員、即刻葉月さんを観賞することをやめたまえ。このままではクラス崩壊の危機だ。 それに、だ。他の女子だっていつもよりイイじゃないか。 袴姿というのは人をおしとやかに見せる効果があるらしい。 小うるさい女子グループでさえも、今日ばかりはその姿を拝みたい気分になってくる。 こうやって見回してみると、うちのクラスの女子って結構容姿のレベルが高い――――? 「ん……んん?」 おかしなものを見つけてしまった。教壇の上に立って、クラスメイトに指示を出している女。 誰だろう。女子が身につけている振袖とは違い、普段着のような印象を思わせる地味なものを身につけている。 日常を思わせる、数世代前の女学生のような着物姿である。 ただ、細いフレームの眼鏡をかけたその顔、どこかで見たことがあるような。……誰だろう? 教室の入り口近くで立ち止まっていると、クラスメイトの一人がやってきた。 他人に人畜無害な印象を与えるスキルにおいては俺以上のレベルを誇る、友人の高橋だ。 だがその印象は、話をしているうちに得体の知れない違和感と共に変わっていく。 もちろん、悪い方向にである。 「やあ、戻ったのか。モテ男」 「誰がモテ男だ。俺はいまだかつて彼女を作ったことさえないんだぞ」 ごく短い期間だけ似たような相手はいたが、あれはノーカウントだ。 「ほお……たった今まで葉月嬢とこそこそ逢引していたくせに、よく言えたな」 「ぐっ……」 「自分のいる位置というものをしっかり把握しておくべきだな、君は。自分のためにも、大事な人のためにも」 この男の台詞の中に毒は含まれていない。スーパーで売られている果物以上に毒素が薄い。 悪意がないのだ。からかっているだけなのだ。そして、だからこそ性質が悪い。 心に思い当たるもの――ちょっとした罪悪感とか――を自覚させる台詞を口にする。 しかも言っていることが正論だったり、時には荒唐無稽なものだったりする。 どの場合も同じ表情、平坦な口調で言うから、心が読めない。 本気か冗談か、喜んでいるか怒っているのか、ということさえわからない。 129 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 52 11 ID NdS3V1VX 「聞きたいことがある。あそこにいる眼鏡の――」 「それよりも、だ。こっちの質問に先に答えるんだ。今まで、どこに行っていた?」 「どこと言われても……」 一瞬隠した方がいいと思ったが、やはり正直に答えることにする。 「葉月さんに連れられて」 「ふんふん」 「トイレに」 「あーあー、もういいよ。皆まで言わずとも、わかった。つまり、そういうことか」 「何がわかったってんだ」 高橋は目をつぶりながら右手を自分の頭に当て、左手の掌を俺に向けてくる。 そこで止まれ、と言いたげな動作であった。 「朝から盛んだな、君は」 「……何を誤解しているのかわからんが、盛るようなことは何一つなかったと言えるぞ」 葉月さんの着物姿に心を震わされたが、あれは興奮したのとは違うだろう。 眼鏡をかけた勘違い高橋君は、俺に耳打ちしてきた。 「いいんだよ。僕は君の味方だ。それに僕は、他の皆みたいに葉月さんに執着しているわけじゃない。 だから、君と葉月さんがどこに行こうが、どこに逃避しようが、どこで心中しようが看過しよう」 最後のひとつは看過したら駄目だろう。クラスメイトというより、人として。 「だが、他の皆はどうだろう。君が葉月さんとどこかに行ったとき、葉月さんが君を連れ出したところは 皆が見ているが、そこは問題じゃない。 問題になるのは、葉月さんに連れ去られるほど思われている君の身の安全が、皆の手によって脅かされる かもしれない、というところにある」 脅しか、この野郎。いや……違うな。こいつの言っていることは――。 「脅しじゃなくて、事実と状況を踏まえたうえで僕が君に厚意で行う、警告だよ。 気をつけた方がいい。不幸にも今日は学校内に人があふれる一日だ。……と、明日もか。 とにかく、一人で行動するのは避けた方がいい」 どこぞのサバイバルゲームでは、危険な状況でも一人で立ち向かっているが、やっぱり真似したら駄目か。 俺の場合、あのゲームではあえて行動しやすくするために、敵を消しているのだが。 ――無理か。俺を取り巻く環境では誰が敵かわからないし、敵になりそうな奴が多すぎる。 「そうだ。君の今日の運勢を占ってあげよう」 「要らん」 お前の占いは占術に頼って出したものじゃない。状況を把握したうえで割り出した推測だろう。 「そう言うな。今日の僕は冴えているんだ。機嫌がいいからね」 人差し指の先を額の中心に当て、エセ占い師は答えを紡ぐ。 「――君は今日、危機的な状況に陥る」 「……」 当たるも八卦当たらぬも八卦って、便利な言葉だよな。何を言ったってごまかせる。 言い訳に使える言葉の中では、ランクの最上級に位置するんじゃないか。 「黒い……場所。夕方だな。君は、男……女? に、凶器をつきつけられている」 「夕方、気をつけていればいいんだな?」 「うん、そうだ。けど、けれど……多分君は、自分からその状況に関わっていく。そう、出ているよ」 「はあ……?」 「僕に言えるのはここまでだ。あとは君次第で、状況は変わっていく。君の無事を祈っているよ」 「ああ、そうかい。ありがとさん」 不吉なことを言い残し、高橋は俺の前から立ち去ろうとする――って、おい。 130 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 53 45 ID NdS3V1VX 「ちょっと待て。聞きたいことがあったんだ」 肩を掴み、強制的に動きを止める。 振り向いたときの男は、なんだか意外そうな表情をしていた。 「何だ? 君から俺に話を持ちかけてくるなんて珍しい。事件か? いつぞや口にしていた弟と妹が、 とうとう一線を越えてしまったのか?」 「違う。そっちじゃない」 仮にそうだったとしたら、今頃俺は学校になんて来ていない。 妹と弟を前にして、今からでも間に合うから普通の兄弟に戻ろう、とか言っているはずだ。 その後、妹によってどんな目に合わされるかはわからないけど。 俺の身――いや、命の安全も保証できないけど。 「ほれ、あそこにいる女の人」 教壇の上に立ち、クラスメイトの動きを見守っている女を指す。 「あの人、誰だ?」 極めて単純に、的確に質問したつもりだった。 だが、どうやら俺の問いかけは、珍しいことに高橋の逆鱗の袖に触れてしまったようだ。 高橋の不機嫌は隠されもせず、眉間に皺となってあらわれた。 「君は馬鹿なのか?」 いきなりそれかよ。 「……どうだろうな。馬鹿にならないために日々頭を使っているつもりだけど」 「いいや。君は馬鹿だ。君が馬鹿じゃなければ僕はなんだ? なんだと思う?」 なんだかその質問変だぞ、という言葉は飲み込む。咄嗟に浮かんだ台詞を口にする。 「知らねえ」 「そんなこともわからないのか。やはり君は馬鹿だ」 嘆息。 やっぱり飲み込まずに言っておけばよかった。たぶん聞いてきたこいつもわかっていないに違いない。 高橋はこうやってわけのわからない台詞を吐いて煙に巻くのだ。 シュールなギャグ漫画のネタみたいな喋りをする野郎だ。 でたらめな方向に会話を持っていってなんとか生き残ってやがる。 あえてこっちもペースに合わせてやっていいんだが、高橋はどうやら怒っている様子なので、下手に出る。 「すまん。お前の言う通り俺は馬鹿だ。謝る」 「気にするな。それに……僕はそんな馬鹿が嫌いじゃない」 「そいつは光栄だ。で、すまんのだが」 「ああ、さっきの質問の答えだな。教えてあげよう。 あそこにいるのは我が二年D組の担任にして守護女神――篤子先生だ」 ……とうとう女神にまで昇格したか、篤子女史。 昨日までなんたらエルとかいう天使の一人娘だったように記憶しているが。 ちなみに担任はれっきとした人間だ。全ては高橋の妄想である。 俺としては、担任が天使でも悪魔でも神でも魔界の王でも構うところはない。 美人だったらそれでいい。見ているだけなら目の保養になる。 「そうか、先生だったのか。見違えたよ」 「だろう。今日は眼鏡までかけている。あれは僕が貸したものだ」 流石、普段から「篤子先生には眼鏡が似合う。かけてくれないかな。かけさせたいなあ」とか言っているだけのことはある。 ばっちり担任の細面に似合うフレームを選んでいる。 あの眼鏡、今日のために高橋が特注したんだろうな。こいつならそこまでやりそうだ。 131 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 55 35 ID NdS3V1VX 「お前としては、あれで満足か?」 「……八十七点というところかな。あとは髪の毛を肩の辺りで切りそろえてくれれば完璧だ。 いつもの髪型も決して悪くはないが、僕の好みをジャストミートしていないんだ。 もちろん、どんな髪型であっても僕の気持ちは変わらないが」 「言ってみたらどうだ? 髪の毛を少し短くしたらもっと綺麗になりますよ、とか」 「既に言っている」 あ、言ってるんだ。いや、言っていないはずもないか。 「でも先生は……これぐらいの長さがいいと言っていたから、と断った」 「そうなのか?」 「いったい、誰に言われたんだ。もしかして……心に決めた男が居て、そいつに言われたのでは……」 断言してもいい。それはない。 おおかた、小説に出てくる好きな主人公が「髪の長い女が好きだ」と言っていたから、みたいなオチだろう。 そりゃ、担任のプライベートまで知らないし知りたくもないから、恋人の有無なんてわからない。 だけど、担任の身に纏うあの空気を見ているとわかる。 彼女は、恋人とのラブロマンスより、文字の群れが紡ぐ恋愛模様の方が好きだ。 なぜわかるのかというと、俺が担任と似ているから。 葉月さんと出会ってからは考えが変わってしまったが、昔の俺は恋人と乳繰り合うよりニッパーを繰っている方が ずっと楽しいんだ、それ以外に幸せなんてあり得ない、とまで考えていたのだ。 おそらく、数ヶ月前の俺みたいな奴が成長し進化を遂げたら篤子女史のようになるのだろう。 担任と俺は、趣味に生きる人間という点に於いて同類なのである。 ちなみに、高橋がここまで担任に執心しているのは、話を聞いていればわかるように、恋をしているからだ。 俺には、担任のどこが魅力的なのかが理解できない。 年はずっと離れているし、純文学オタクだし、口の滑りがちょっとばかし良すぎるし――良すぎて滑って転んでいるし。 だが、人が恋をするのは自由だ。相手が異性である限り、俺としては友人の恋を応援してやりたい。 もちろんエールを送るだけ。エールさえ邪魔かな。生暖かい視線を送るだけにしておこう。 ぶつぶつ言いながら立ち尽くしている高橋を置き去りにして、クラスメイトの元へ。 教室の後ろ側はカーテンで仕切られている。そこが店員の控え室になっているようだ。 薄布のカーテンの向こうからは、準備に追われている女子の声が飛んでくる。 そこまで急がなくても、今日学校に来るような人間の年齢層の好みにかすりもしない喫茶店が忙しくなりは しないと思うのだが。やる気を出しているのはいいことだけど。 いくら美麗な衣装を身に纏った女子がいるにしても、古本屋のしけった本の匂いがする店に入ってきてまで 見物しようとする物好きな男もいないだろう。もし居たら、そいつはどうしようもない女好きだ。 ナンパ目的の男が入りそうにないものを選んだという点では、担任の出し物のチョイスを評価してもいい。 しかし、利益をあげそうにない喫茶店であることは否めない。 茶と菓子を出すところ以外、小説のみを扱う図書館みたいなもんじゃないか。 担任はどんな客層をターゲットにしているつもりだ。 もしかして……純文学喫茶を経営するのが担任の夢、なんだろうか。 二日間だけでもいい、夢を叶えたい。そんな想いで、この出し物をやらせたのか。 夢を追う大人ってかっこいい――――なんて思わないぞ。やはり担任の行いは許し難いものだ。 ……今更だな。文化祭当日になって、許すも許さないもない。 132 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 03 58 10 ID NdS3V1VX しかし、喫茶店業務の各担当はどのように割り振られているのだろう。 弟のクラスを手伝い始めた日から、ずっと自分のクラスのミーティングをさぼっていたからさっぱりわからない。 確定しているのは、葉月さんがウェイトレスだということ、担任が窓際の席を占領して本を読みふける迷惑な客の役 だということ、だな。だとすると、高橋も教室に入り浸るだろう。 俺は何を任されているんだろう。壁に貼ってある、担当者の割り振りが書かれたプリントを見る。 ウェイター……はやっぱりないか。臨むところだ。 お茶を沸かす役、菓子を皿に盛る役……でもない。 消耗品の買い出し役……ですらない? おいおい、俺の名前がどこにも書かれていないぞ。 名前と役がずらりと書かれた一覧表を、上から下、下から上へと何度も見る。……が、俺の名前はない。 とうとう皆は一致団結して、俺に対してスルーで対応することにしてしまったのか? いや、それも違う気がする。 高橋と話した時もだったが、クラスメイトから感じる気配に不快なものを覚えない。 では、なぜ俺に何の役も任せていないのだ? やめてくれよ。なんか、こう――家にいるときみたいに、のけ者になった気分になるじゃないか。 「どうかされましたか?」 切なさのあまり、心の中の雪原で粉雪を浴びていたら、担任に声をかけられた。 ポーカーフェイスの篤子先生がパン屋の優しいおばさんに見えてしまった俺は、寂しがり屋なんだろうか。 そろそろカウンセリングでも受けた方がいいのかもしれない。 「先生、黄昏れたい気分になったこと、ありますか……?」 「ええ。ほぼ毎日です。なぜ私は、あれほど美しい小説の登場人物ではないのだろう。 私が着の身着のまま列車に飛び乗り、車窓から遠い故郷を思っても、彼らのように様にはならない。 所詮、私は現実に生きる人間でしかないのだ、と思うと……切なくなりますね」 ……なんか違う。むしろこっちが切ない気分にさせられた。 この三十路が担任だったという経験は、俺の人生にとってなんらかのプラスになるんだろうか。 反面教師にせよ、という天啓が俺の知らぬ間に下っていたとでもいうのか。聞いていないぞ、天の人。 「先生、これ、見てください」 「はい……皆さんの役割分担が書いてありますね。でも、あなたの名前はどこにも書かれていない。 なるほど。それで、沈んでおられるのですね」 「なんで俺の名前が書かれてないんですかね……」 ああ、ため息、また一つ。 「……まじめですね。準備期間中は毎日熱心に相談を持ちかけてこられましたし。 他の皆さんもそうです。出し物が決まったときは不満そうだったのに、今では全員で協力して喫茶店を 成功させようという気概が感じられます」 「当日になってまでごねる奴なんていませんよ。当日になって暇になる男はいますけど」 ちくしょう。なんで俺は担任を相手に弱音なんて吐いているんだ。情けない。 「時間があるのはよいことではないですか。今日と明日は文化祭です。退屈はせずに済むはずですよ」 「一人で回っても面白くないですよ」 「一人もそれほど悪いものではないですよ。自分の時間を、他人に邪魔されずに自分のペースで楽しめます」 「そう、ですかね……」 ええ、と言って担任は頷いた。 俺は一人。これから、一人で生きていくんだ。 目の前にいる独身、三十路、オタクの三拍子そろった担任みたいに。 133 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 04 00 00 ID NdS3V1VX 「先生、俺は――」 口を開こうとしたら、かざされた右手によって言葉を遮られた。 担任は俺の顔を見ていない。今まで目につかなかったところに貼ってあるもう一枚のプリントに目を向けている。 「……なんです、一体?」 「あなたの役は、きちんとあるじゃないですか」 「えっ!」 「ほら、あそこのプリントに、書いてありますよ。大事な仕事です。しっかりやり遂げてくださいね」 返事をせずにもう一枚のプリントの元へ向かう。 皆、疑って悪かった。俺のことをしっかり覚えていてくれたんだな。 どんな仕事だろう。なんでもやるぞ。客引きだって、店の用心棒だって喜んでやってやる。 福沢諭吉の印刷されてある紙幣よりも輝いて見える文書の元へ、俺はたどり着いた。 そして、そこに書かれている四行の文字の羅列を見て――へけっ、と笑った。 頬がひきつっている。初めこそ笑い顔だったが、不意打ちでがっくりさせられて表情をへし曲げられた。 プリントの一行目には、俺の名前が書かれていた。このプリントが俺のために作られたものだと一目でわかった。 だが、それはいい。問題は二行目から。次のように書いてある。 『上の者、文化祭一日目二日目共に、教室にて座して過ごすことを命ずる。 教室から出ることは一切許可しない。この命に背いた場合、”あのこと”を公開する。 なお、クラスメイトは上の者を教室から出さぬよう、全力を尽くすこと。 以上』 つまり、何もせずに座っていろ、と言いたいのか。こんな理不尽な命令なんか聞きたくない。 それに”あのこと”ってなんだよ。わざわざダブルクォーテーションでくくるんじゃねえ。 俺は、何もやましいことなんか――――あるじゃねえか! ちくしょうめ! 両親のことは一言も漏らしたことなんかないけど、こんな文章書かれたら自信がなくなるよ! 誰だ、これ書いた奴! お前なんか仲間じゃない――敵だ! くそったれ――こんなことなら弟のクラスにいればよかった。教室に戻ってくるんじゃなかった……。 右手を黒板に当て、よりかかる。すぐに腕から力が抜けた。体重を壁に預ける。 このまま床に座り込みたい気分だったが、クラスメイト(不特定の一名を除く)の前だから、自重する。 そのまま目を閉じて眠ろうとしていたら、お盆を手にした葉月さんがやってきた。 「大丈夫? プリント、私も見たけど……残念だったね」 「う……ん、い、いや。別に大したことないよ。きっとヘルプ要員として待機してろ、っていう意味だから」 よりによって葉月さんの前で弱音を吐くわけにはいかない。 プリントに書かれた文章を読んだ程度で落胆しているなんて、思われたくないのだ。 「んー……たしかに、そう読めなくもないけど。前向きだね」 「そんなことないって」 ただの虚勢だからね。 「……まさかそんな反応をするなんて。落ち込んだところで声をかけたのに……」 「あれ、俺、落ち込んで見えた?」 「え! あ、ま、まあね。いつもより元気がないのは一目でわかったよ」 バレバレじゃないか。しっかりしろ、俺。 しかし、さっきから葉月さんの挙動がおかしい。一体どうしたというのだろう。 134 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 04 01 26 ID NdS3V1VX 「葉月さん、緊張してる?」 「そりゃそうだよ。バレちゃったらどうしようか、とか……」 「え? バレるって……?」 「ううん! なんでもないよ。あー、ちゃんと接客できるかなー。緊張するなー。 誰か、励ましてくれないかな。誰でも……じゃなくて、誰かに応援してもらいたいなー」 ちらちらと俺の顔を見ながら葉月さんが言う。 そこまで露骨に誘われると躊躇ってしまうな。周囲の男女からの視線もあるからなおやりにくい。 だが――時には気合いを入れて一歩踏み込むことも必要だ。 俺と葉月さんの距離も、強引にでも詰めなければいけないんだから。 「葉月さん」 「は、……はい」 「葉月さんがいれば、売り上げが校内で一番になるのも夢じゃないよ、きっと」 「ほっ、ホント!?」 「俺はそう思う。出し物が出し物だからハンデありまくりだけど」 「それは、その……どういう意味……?」 思っていることを言うのが恥ずかしい。でも、顔を紅くした今の葉月さんを抱きしめるよりは恥ずかしくない。 ちゃっちゃと言ってしまおう。 葉月さんに近寄り、耳打ちする。 「……今日の葉月さん、すっごく可愛いから」 「か、可愛い……ど、どれぐらい……」 「惚れてしまいそうな程に」 「あ! ……あう、あぅ……ありがとうございます! が、がんばります! 見ててください!」 右手に持ったお盆で敬礼し、葉月さんは教室の外へ向かっていった。 クラスメイトの白い目と、火傷しそうな熱視線と、舌打ちの音が遠いもののように感じられる。 『可愛い』。『惚れてしまいそう』。 言うのは簡単なのに――どうして、こんなに心が重くなるんだろう。罪悪感を覚えるんだろう。 眠すぎて頭がいかれてしまったのか? 自分の言葉に、自分の気持ちに自信が持てないなんて。本当に、俺はどうなってしまったんだ。 135 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 04 02 54 ID NdS3V1VX ***** 彼がいる。先輩――お兄さんに作ってもらった衣装に着替え、仮面を被ったヒーローになりきって接客している。 彼は他の皆と違い、今日一日だけしかクラスを手伝わない。 その代わり、今日だけで二日分の働きをする、と彼は言っている。 なんでも、二日目を丸一日自由行動に使いたいらしい。 理由を聞いても、彼は困った笑みを見せるだけだった。何かを隠していることは明白だ。 一体それがなんなのか、アタシにはわからない。少しだけならわかるけど。 自分が許せない。誰よりも愛しい彼のことを、全て把握できない自分なんて、違う。そんなのアタシじゃない。 アタシは彼の世界なんだ――これから、そうなるんだ。 だから、今の彼に関することは全て知らないといけない。だけど、今のアタシは彼のことを知らなすぎる。 アタシの器が彼を受け止めきれるほど大きくないのか、彼の存在規模が大きすぎるのか、アタシが彼のことを 過大評価しているのか。あるいは、それら全てが理由なのかもしれない。 ――いけない。 また、彼と会う前の自分の気持ちを思い出してしまった。 忘れなければいけない。アタシは、自分を卑下していた頃とは違うんだ。 彼はアタシを救ってくれた。彼はアタシに自信をくれた。 『アレ』を人より上手く扱えるなんて、特技でも何でもないのに、彼は褒めてくれた。 目を輝かせながら、すごいすごいすごい、と言ってくれたのだ。 根暗なアタシは、それだけで自信が持てた。彼と会う回数を重ねていくうちに、声が大きくなった。 でも、純粋な気持ちでいられたのは数ヶ月だけ。 その後は、恋しい気持ちと、それからくる独占欲――以上に醜い支配欲で、心の中がドロドロだった。 アタシは、ちょっとだけ彼と会う機会を減らした。 だって、彼が心の中に踏み込んできたら、アリジゴクのように引きずり込んでしまいそうだったから。 その甲斐あって、アタシは彼に危害を加えずに済んだ。 代わりにやってきたのは、息を詰まらせそうなほどの切なさ。 彼の存在は、既にアタシにとってなくてはならないものになっていたのだ。 毎日、彼と一緒に登校したかった。 一日中ずっと、彼の机とアタシの机をくっつけて授業を受けたかった。 昼休み、彼の口にアタシの箸であーんしてあげたかった。 放課後、部活動に励む彼を見続け、一緒に帰りたかった。 そして、アタシの家に来てもらい、甘い台詞を囁きながら抱いてほしかった。 毎日毎日そんな妄想ばかりが浮かぶ。止めようがなかった。 止めてしまったら、現実の彼に想いをぶつけそうだったから。 思いの丈をぶつけてしまおうと思ったことは幾度もあった。でも、実行していない。 彼がアタシを受け止めてくれないだろうことは明白だった。 136 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 04 04 32 ID NdS3V1VX ――あなたが好きな人は、あの人だから。 あなたがどれほど彼女を思っているのか、アタシは知っている。 彼女の姿を確認するためだけに、彼女の教室の前を通り過ぎていること。 体育の時間や部活中、校庭から彼女の教室を見上げていること。 その時に見せるあなたの目が、最初からアタシに向いていてくれればよかったのに。 そうすれば、強引な真似をする必要なんかなかった。 わかってる。悪いのはアタシ。純粋なあなたを自分の色に染めたくて仕方なくなっているアタシ。 あなたは悪くない。悪いところがあるとするなら、誰にでも優しい、八方美人ともとれるその性格ぐらいのもの。 この想いがどこまでいくのか、どんな結末を望んでいるのか、アタシにはまったく見えてこない。 はっきり言えるのは、アタシがあなたを支配したいと強く願っていること。 あと、もう一つ――――目的のために具体的に行動すると決定したこと。その二つ。 明日、あなたはあの人に会うつもりでしょう? だから今日頑張ろうって、決めたんでしょう? あの人には、絶対に会わせない。二人きりでデートするなんて許せない。 本当は、あの人をあなたの前から消したいけど、あなたはきっと悲しむよね。 あなたの悲しみは、アタシに会えないときだけ湧いてくれればいいの。無駄遣いしちゃいけないわ。 先にあなたを手に入れれば、あの人を消さずに済む。あなたも悲しまずに済む。 一石二鳥でしょう? もうすぐ、今日の一般公開の時間は終わる。 それからはアタシの時間。あなたを狩るための時間。 少し骨が折れそうだけど、アタシはしっかりやり遂げる。 覚悟はもう済ませている。一線を越えることに、もはや躊躇はない。 さあ、行こう。アタシと彼だけが存在する世界で生きるために、最初の命令を下そう。 137 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 04 06 32 ID NdS3V1VX ***** 「ありがとう! また明日も来てくれ!」 マスクをしているせいなのか、いつもよりテンションの高い声で彼が最後の客を見送った。 教室を改装した喫茶店の中にいるのはコスプレしたクラスメイトだけだ。 皆、お互いの衣装を笑いあったり褒めあったりしている。 アタシは彼が誰かに話しかけるより早く、誰かが彼に話しかけるより早く、彼の肩を掴んだ。 振り向いた彼に向かって、労いの言葉をかける。 「お疲れ様」 「あ、お疲れ。いやー、マスクを被ってると疲れるね。動きづらいったらないよ。 スーツアクターの人の苦労がほんのちょっとだけわかった。君の格好もそうじゃない?」 「ん……そうでもないよ。ちゃんとアタシの体型に合わせて作ってあるから」 彼の着ているボディスーツはお兄さんの手作りだけど、アタシの衣装は違う。 今日の目的を達するために、実用性を重視した作りになっている。 喫茶店のウェイトレスとしての実用性ではなく、荒事に対応するためのそれだ。 動きやすく、軽装で――武器を隠し持てるように作っている。 実際、今も身につけている。けれど、ナイフとかメリケンサックみたいにわかりやすいものじゃない。 学校に通う生徒なら、誰でも手にできて、持ち運んでいても不自然じゃないもの。 仮にアタシが警察からボディチェックを受けても、絶対に引っかからない。 ――だけど、上手く使えば命を奪うことだって不可能じゃない。 どうやればいいのか、それもアタシには想像できる。 「いいなあ。僕も兄さんに頼んでおけばよかった」 「時間がなかったんだから仕方がないよ。今日家に帰ってから頼んでみたらどう?」 ――君は今夜から死ぬまで、家族の住む家には帰れないけどね。 「そうしてみようかな。でもなんだか兄さん、最近僕を部屋に入れたがらないんだよね……。どうしたらいいと思う?」 「アタシは一人っ子だからわかんない。でも、きっと大丈夫よ。いい人そうだから」 「そうだね。兄さんは本当、優しいから。僕と妹には……昔から」 彼に物憂げな表情をさせるお兄さんにちょっとだけ妬いてしまう。 お兄さんと妹さん、彼が居なくなったらきっと悲しむだろうな。 ……でも、予定は変更しない。今日こそ、彼の全てを手にするんだから。 「そろそろ帰ろうかな。じゃあ、僕、着替えてくるから」 「あ……ちょっと、待って」 「ん? 何か用?」 「うん。……あのね、今から、ちょっとだけ……」 やっぱり、いざ本番となると緊張する。けど、それを乗り越えないと目的は達成できないんだ。 「ちょっとだけ、この格好で歩かない? ほら、なんだかハロウィンみたいで楽しいじゃない」 練習してきた台詞をそのまま口にする。動揺を表に出すことなく、口にできたはず。 彼はアタシの顔を見ているみたいだ。どんな表情かはわからない。だってマスクを被っているんだもの。 「……ねえ、どう?」 アタシの催促に対し、少しの間を空けて、彼は頷いた。 それがこれからの人生の行く先を決定づける行動だとは知らずに。 続けて彼は、「いいよ、ちょっと歩こうか」と、言った。 138 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/14(金) 04 10 05 ID NdS3V1VX 投下終了です。 24日までに、文化祭編を終わらせるつもりです(後2回)。 なので、次回は早めに投下します。 139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 05 21 43 ID mzQSBM+k 138 超GJ!次回投下を全裸で待つぜ! ってか24日までって…もしやクリスマスは ヤンデレ彼女と監禁デートか!? 140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 05 27 58 ID yOFKxKp9 来てた! 眼鏡をかけた勘違い高橋君のキャラがけっこう好きだww 141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 06 13 15 ID bNu+7UVV 素朴な疑問でスマソ。 監禁デートってデートなのか? 142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 07 23 19 ID WW3Vg5j8 123、124〉二人共GJ 次回を楽しみに待たせてもらう 143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 08 48 22 ID iR8oZShW 二人でいればデートだろう。 一日中デート!なんて素敵なんだ。 144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 09 04 28 ID +uB+kGM2 123 やはり男のヤンデレはただの変態にしか見えないのだなあ、と思ったり。 138 犯人の女子や葉月さんも可愛いが篤子女史に一番萌えてしまった俺はやはり異端。 145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 09 19 26 ID mzQSBM+k 二人きりの空間でイチャイチャするんだな。 両手両足縛られて監禁されているから 彼女がチキンやらシャンパンやらケーキを口うつしで食べさせてくれたり 抱きあいながら借りてきた映画見たり クリスマスソングを口ずさんだり合体したり包丁で刺されたりと 甘いデートをするに違えねぇ! く、悔しくなんかないんだからね!(包丁を背中に隠しながら) 146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 11 36 31 ID HRmYnIMk 体の弱い吸血鬼の彼氏に惚れたヤンデレな娘が彼の為に人を刈るとゆう電波を受信した。 書けないけどな 147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 15 25 41 ID zsx5xo15 146 諦めるな!がんばるんだ! 148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 16 04 34 ID iw/evy86 男勝りな女の子が毎日毎日好きな男に愛を語るのだが、男はそれを毎回受け流して無視をする。 そしてある日、転校してきた女の子が昔の男と隣同士の幼馴染だった。しかも、結婚する約束をしたから付き合ってと言いだす。 男は律儀にじゃあ付き合うかってなり、2人は付き合いだすが、男勝りの女の子はそれを快く思わず、ついつい男を監禁・・・ っていう、ベタな話の電波を受信した。 書きたいが面倒だな 149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 17 05 29 ID k4R95RTI 面倒ですませるなよ・・・ ヤンデレは愛を得るためにどんな努力も惜しまないものだぜ? 150 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/14(金) 23 12 38 ID a7krkGqP やあ(´・ω・`) 臨時保管庫の中の人だよ。 実は今度メニューに投下イラストを追加してみたんだ。 そこでお願いがあるんだが 本保管庫に未収録の伊南屋氏の絵、誰かうpしてくれないか(´;ω;`) まさかと思って保存してなかったんだ(´;ω;`) 151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 00 24 32 ID xo4ZSDV1 138 出遅れたけどGJ! へけって笑いで某ラノベのヤンデレ素質持ちの幼馴染みを思い出しちまったぜ。 続きお待ちしております。 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 11 16 17 ID IEIlcPuZ 151 まーちゃんの事か!? まあ今俺の一番のお気に入りだがな。 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんのSSてスレ違い? 153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 11 46 11 ID JTMg1bS5 152 1 154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 11 53 35 ID +BTI7ubJ ヤンデレならなんでもおkだとは思うが このスレ的にというか ヤンデレズキーの間ではまーちゃんがヤンデレか否かで層がわかれてたりするからな あんま荒れるような内容は避けてほしいところ 155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 11 53 40 ID 9IxAvsad まーちゃんはヤンデレじゃないからな。 156 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 11 57 16 ID NZpz5eyE なんだかんだでレナもヤンデレ四天王とかいわれちゃってるしな エセヤンデレだらけのこんな世の中じゃ 157 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 12 22 13 ID xo4ZSDV1 152 違うよ。もっとマイナーだろう作品。みーまーは読んでないっす。 今月新刊が出て有名エロゲンガーが絵描いてるやつ。 あとヤンデレ的に意見が分かれるようなのならラノベスレでいいんじゃない? 158 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 12 48 10 ID m/n+louB まーちゃんは由乃タイプだからな ただ、みーまーシリーズは各種ヤンデレを取り揃えてるから 普通の(!?)ヤンデレも登場するし スレ違いって事も、無いっちゃあ無いと思うが 159 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 13 01 46 ID EJReW775 由乃タイプじゃないよ・・・ 本質がまったく違うよ・・・ あんなのと由乃様を一緒にしないでくれまじで・・・ 160 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 13 18 56 ID m/n+louB いや方向性の話さ そんなムキにならんでも 161 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 14 37 40 ID d/TP36rt 方向性も違うしあの作品にヤンデレなんてでてこねぇよ ヤンデレっぽくみせてるだけ 読むならちゃんと読もうぜ 162 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 14 40 10 ID bt+PcfR1 そのラノベ知らんのだが、 158的にはどんなとこがヤンデレだと思ったんだ? 具体的に特徴を書けば、知らん人間も「それはヤンデレだ」「それはヤンデレじゃねえ」と判断しやすいんだが。 163 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 15 44 10 ID ZQotSCCo デレすぎて病むのがヤンデレ 病んだ人がデレるのはただの狂気系 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 16 17 38 ID l48AYiQj 163のおかげでヤンデレが何かを思い出した。 書いているSSの方向修正を実施。 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 16 30 53 ID IafieciR ■ヤンデレとは 好きな男のために狂気に走る(黒化、黒姫化)事、またそういったヒロインを指す。 狭義のヤンデレ:愛(デレ)ゆえに病ん(ヤン)でしまった状態、ヒロイン。 広義のヤンデレ:病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般。 角煮のヤンデレスレは延々議論した結果↑に落ち着いた……のかなあ? 166 名前:158[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 19 40 18 ID 106fplSV 162 俺的には 163の解釈だよ まーちゃんも由乃も「病んだ人がデレる」だからヤンデレ違うんじゃないかと考えてる こだわる人には怒られたけどw さっきいった「普通のヤンデレ」なキャラは 同じ女に男を二度も寝取られた女が寝取った女を鈍器で殴ったりする感じだけど これくらいだとインパクト足りないかな? 167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 20 40 34 ID O5KPosxo もう狂人デレとかのジャンルを作った方がいいのかな イヤ、スレ立てとは別にして 168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 20 42 21 ID bt+PcfR1 165 なるほど、前者の解釈の人と後者の解釈の人がいて、話が噛み合わないわけだな。 この場合、いつまでも前者の解釈だけに限定して話をする人を保守的と見るべきか、 それとも後者の解釈だけしか知らない人を適当すぎと見るべきか、どっちなんだろう。 169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 20 52 41 ID d/TP36rt 166 真面目にもう一回ちゃんと読み直せ・・・ 作品としては俺もあの作品は好きだし今のところ全巻読んでるが ヤンデレとかじゃないだろ、なんていうか読むときに「ヤンデレフィルター」みたいなのをかけすぎだよ ちゃんと地の文読んでしっかり理解してればあれがヤンデレだとは思わないはず 162 部分的にそれっぽい行動はとるんだけどその行動にいたる経緯とか原因とかが所謂「恋愛感情」からくるものじゃなかったりする 下手に説明するとネタばれになるし、中途半端に説明すると「ヤンデレっぽく」見えてしまう 正直歯痒い 170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 21 09 22 ID 106fplSV 169 「このキャラはヤンデレじゃないな、どっちかと言うとあっちの方が…」 くらいの考えなんで、そんな強く主張するつもりも無いし、取り下げるけど そのレスの下半分の >行動にいたる経緯とか原因とかが所謂「恋愛感情」からくるものじゃない に対する疑問を最後に聞きたい ネタバレに配慮しているようなのでyesかnoくらいで良いので頼む 寝取られた方の彼女の凶行は「恋愛感情からきた行動ではない」と言いたいの? 他の理由でヤンデレじゃないと言うなら引くけど、この理由なら、うーん… 171 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/12/15(土) 21 16 47 ID Xm8SBRoJ 163 でもそれってヤンデレ候補の過去話とかがないとわからなくね? ヤンデレの頂点の楓さまですらその判定だと病んだ後にデレたからヤンデレじゃなくなってしまうのだが 言葉さまはたぶん狭義でもクリアしてるだろうけど過去話がないだけに断言できんしな 172 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/12/15(土) 21 23 01 ID RtJu6cND 171 言葉様の愛(デレ)を信じられん奴なぞ、カレーの食えないインド人と同じだ 173 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/15(土) 21 27 46 ID IafieciR こんな感じで角煮は画像も貼らんとひたすら議論していたなあ…… まあ皆茶飲め( ´・ω・)つ旦~~ あと、sageような 174 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 02 29 26 ID bVo8Olaq 言葉様はサマイズを見ると、mと付き合わない限り病まないので、狭義クリアと 思う。 175 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 07 31 38 ID Rd+br2jD 百合ヤンデレって無いのな 176 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 09 37 15 ID 0GEAYpB6 ひぐらしスクデイ未プレイで泣く泣くアニメもスルーした俺にはおまえらの話がわからん 自重しろ 177 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 12 04 17 ID f6tfpR7z まーちゃんはな病む前からみーくんが好きで病んでからも恋愛感情が残ってるんだよ。いくらかは嘘だけど 178 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 21 02 10 ID /TTR8rFG 今さらだが、どこからが「ヤン」なんだ? 179 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 21 06 52 ID V5T6Cj27 日本国の法律に引っかかったら 180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 21 22 00 ID 5Hxh9BWB とりあえずストーカー行為ぐらいからじゃないか 181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 21 44 54 ID L8AdknLi 無理に定義付ける必要はないだろ 他人がどう思おうと、 このキャラはヤンデレだと思えば、 それは自分の中ではヤンデレだよ 俺も法律を気にしない行動をする位から ヤンデレだと思ってるかな 182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 22 12 30 ID qI0r+ZS8 まあ逆に法律に触れない病み方とか考えると ・告白で渡すラブレターが便箋二十枚 ・キスの時、常に目を開けてガン見してくる ……やっぱりなにか違うな 183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/16(日) 22 18 42 ID 24VDMyb1 キスの時、常に目を開けてガン見してくるは、なかなか好いと思う 184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 00 17 20 ID NAB5GJgR 食事中に 愛しの彼が使う箸にこれでもかという位に 殺意を送るとか 185 名前:キミノシアワセ[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 01 47 47 ID Rd1S27f/ 遠見の舌が僕の唇を押し割った、と思うや否や、彼女の口の中で咀嚼された食べ物が、僕の口の中に押し込まれてきた。 遠見が唇を離したので、僕は改めて、その食べ物を自分で咀嚼する。 目の前のテーブルに載っているのは肉料理なのだが、他人が咀嚼した後のものを口に入れられても、正直味がよく分からない。 「ねえ、おいしい?」 テーブルに頬杖をつき、かすかに顔を上気させた遠見が聞いてくる。その潤んだ瞳を見つめ返し、僕は微笑んで頷いた。 嘘ではない。確かに食べ物の味はよく分からないが、代わりに遠見の口の中の熱と、唾液の味を感じる。 それだけで、僕は十分に興奮していた。 遠見がこんなことをするようになったのは、同棲を始めて一週間ほどした頃のことだっただろうか。 同棲する前からも多少兆候はあったが、遠見は実に嫉妬深い女性だった。 他の女と僕が話をするだけで、相手を睨み殺さんばかりの凄まじい視線を送ってくる、ぐらいはまだいい。 同棲を始めるようになってから、彼女の嫉妬は空想の存在や無機物にまで向けられるようになっていた。 「隆明君。このマンガ、ヒロインが気に入らないから破いちゃった。いいよね?」 「隆明君。チラシに載ってる女、見てたでしょ? もう新聞取るのやめてね?」 「隆明君。あのニュースキャスター、そんなに美人だった? ごめんね、テレビ壊しちゃって」 「隆明君。他の女の歌声が、そんなにいい? iPod壊しちゃってごめんね。代わりに、これからはわたしが好きな歌を歌ってあげる」 異常な独占欲である。僕の関わるありとあらゆるものが、彼女にとっては嫉妬の対象になるのだ。 そして、極めつけ。 「隆明君。そのお箸、ずいぶん大事に使ってるのね? わたし以外のものが、隆明君の唾液に濡れるなんて許せない。 これからは、飲み物も食べ物も、全部わたしが口移しにしてあげるね?」 こうして、僕は自分の手で物を食べることを禁じられた。 今では、物を食べるのはもちろん、歯を磨くのまで全て遠見の口移しだ。 正直言ってかなり不便だが、僕は非常に満足している。 自分でも少し驚いているが、どうやら僕は、こういう風に独占欲を露わにされるほど、相手の愛情を実感できる性質だったらしいのだ。 「隆明君。そろそろ寝ましょ?」 遠見の誘いに、僕は一つ頷いた。お互い黙って服を脱ぎ、裸で地べたに横たわり、抱き合って眠る。 「隆明君。毛布が隆明君を暖めてるのが気に入らないの。枕が隆明君の頭を支えてるのがたまらないの」 そんな遠見の言葉がきっかけになって始まった眠り方だった。 互いの温もりを感じられるし、いろいろと面倒がないので、個人的には凄く気に入っている。 暖房代がかさむのが少し厄介といえば厄介だが、幸せに対する代価だと思えば安いものだと、僕は思っている。 数日経って、遠見が言った。 「隆明君。隆明君の脳味噌を、頭蓋骨が包んでるのが気に入らないの。だから壊しちゃうね」 遠見は微笑みながら、僕に向かってハンマーを振り下ろす。 彼女はきっと、この後は僕の脳味噌に話しかけ、微笑みかけながら生きていくのだろう。 自分の頭蓋骨が砕けるのを認識しながら、僕の幸福感はその瞬間に絶頂を迎えたのだった。 186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 01 50 00 ID Rd1S27f/ 184からヒントをもらって書いてみた……が、ヤンデレの定義の話の後だと正直迷う。 これってヤンデレなんだろうか? 187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 02 00 09 ID FbrPacHD 遠見は隆明のではなく、隆明の脳味噌を病むほどに愛しているということ? 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 02 01 07 ID RYJjrOpf 186 ヤンデレだと思う 二人とも 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 02 03 58 ID nwLYyqXK 最後はちょっと微妙だったな、頭蓋骨も彼自身の体なんだから ともあれGJです 190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 02 25 44 ID biZdzSFy 同じく最後が微妙。これだと脳味噌大好きなサイコさんという感じがする。 191 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/12/17(月) 03 45 14 ID IfmbAJk9 192 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 03 59 46 ID 7owSQrJB 「わたしと隆明君が、別々に存在していることが気に入らないの」とか言い出して、 隆明君の手首切って血を飲んだり、隆明君に自分の肉を食べさせようとする……辺りがこの場合よくあるパターンだろうか。 でもこれでも充分ヤンデレだと思うよ。お話のテンポも読みやすくていい。 隆明君にはもう一度蘇生してもらって、長編SSの形で遠見の物語を是非! 193 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 07 25 26 ID NAB5GJgR うお よくプロットを書いている人達の気持ちが初めて分かった 自分が言った事から作品が生まれると かなり嬉しいものなをだな 凄くGJ! 194 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 07 36 52 ID qdrw7xQc 183 恐えってwww 195 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 09 41 14 ID dk96yvFh 理知的なヤンデレとかいいかも 196 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 10 37 16 ID qdrw7xQc ヤンデレをWikiってみた http //www21.big.jp/~wiki7/ 197 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 15 16 52 ID s6wjt2zr 画像検索の三番目、ドラえもんはヤンデレを予見していたのか…。 198 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 16 00 37 ID dk96yvFh やはりロボ子はヤンデレに分類されるのか… 199 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 20 03 53 ID hhf8Wu7g 私見で良ければ発言させていただきますがが、要は相手に精神的に依存してしまい、 相手から拒否されると自分の未来や将来をすべて擲ってでも、相手に依存する状態 をつくりだすことを行う、もしくはつくりだそうとあがく状態をヤンデレだと思って おりました。 血でまみれたり、死人が出たりするのはその状態を作り出そうとした結果起こったこと なのではと思いながら空鍋や学校の日々を見ていたのですが。 住民の皆さんはどう思いますでしょうか。 200 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/17(月) 21 47 26 ID /z4YnT6a いまから投下
https://w.atwiki.jp/manji/pages/474.html
501 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 36 10 0 ビッチでだれとでもねちゃうくくち・もんもん・けままあ見たことあるお^p^ 502 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 36 25 0 496 音声忍にかたももいの相手の声でもちゅられるカワユスがみたいお^p^ 503 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 36 41 O 472 やめといたら?^p^ 504 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 37 18 0 500 ふいたお^p^ 籠やぶってすぐでていくお^p^ 505 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 37 24 O おなか痛い;p; イラつくかあ、いささかたけやんかカエル殴る*;p;* 506 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 38 37 0 500 とり…???^p^ 507 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 38 41 0 505 たけやんが丈夫そうだかあたけやんにしとけお^p^ もれも生理痛が痛いお…れもケラにかまいそうなことはしのいお^p^ 508 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 38 44 0 505 DVにんこそっし^p^ 509 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 39 01 0 みっき・はっち・センツォ・けままはもれのかたももい萌えら^p^ 相手は誰でもいいけろかたももいして苦しんでる姿が萌えるお^p^ 510 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 39 41 O 505 もれのカワユスに八つ当たりすんじゃねぇ#^p^ 511 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 40 42 0 かえるたんはDVネタ見のいのあ^p^ 暴力なれしてなさそうら^p^ 512 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 41 08 O 500 籠の鳥のさももに口に海苔巻き突っ込むなどして愛を育みたい*;p;* 513 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 42 35 0 暴力なれしてないおすましケラこそ暴力ネタが萌えるおっおっ^p^* 514 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 42 44 0 (゜◇゜)<ピーチクパーチク (゜◇゜)<しろたんこそ小鳥さんれす! 515 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 43 04 0 お好み焼き食べたいお^p^ れも元もねーし、冷凍食品もねーしらかあ、我慢すうお^p^ 516 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 43 49 O 514 炭火で焼く^p^ 517 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 45 42 0 生のまま、腹にかぶりつく^p^ 518 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 45 42 0 493 南くんパロあもう絶対いっぱいあるらろうけろやりたい^p^ 519 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 46 07 0 カマユス最後ちんでしまうん?;p; 520 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 51 36 0 カコヨスが食べてしまいたいくらいかわいいと言いながらちゅっちゅしたり噛んだりするかあ まだ幼いカワユスはいつかカコヨスに本当に食べられるような気がしてガクブルしながあもちゅられるお^p^ 521 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 51 52 0 519 最後だけドラマバーゾンにすうお^p^ もれケラちぬのらめ^p; 522 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 52 06 O ドエロエロ描きたいのにもれの理性が邪魔をする;p; 途中で原作読み返したりするといたたまれなくてしょうがない;p; 神ごめんなしあ;p; 523 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 52 16 0 南くんの原作が内田春菊ってこのまえ初めて知ってばびったお^p^ 524 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 55 54 0 523 原作あ生々しいおな^p^ リアの頃ドラマしかしらのいれ読んだあ引いたお^p^ 今あ原作のがぬっきらけろ^p^ 525 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 56 05 0 511 もれあオフフれもってるお…^p^ つぎゃうら;p; 526 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 56 53 O 525 ぴいぃ;p; 527 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 57 37 0 503 まかったお^p^ 見たいしとはかぼすにいってってことれ^p^ そえにあれが決定稿とかれもないしねえ^p^ 528 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 57 40 O 南くんて最後カマユス死んじゃうのかお^p^; ドラマしか知らないかあびっくりら^p^ 529 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 58 18 0 525 *から爆竹とかかお?;p; 530 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 58 21 0 520 けまへーたで妄想した`↓´p^ 531 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 11 59 48 0 529 んーん、かえるが他のしとと仲良くしてうのみて、つっぎゃが嫉妬?してぼっこにすうみたいなやつ;p; れもかえるあつっぎゃにはもれがいないと…みたいなの;p; いっててこえDV?ってももいはじめた…^p; 532 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 01 48 0 528 ブコフれかってこいお^p^b もれ一時期内田春菊はまっていっぱい読んだ^p^ でんこたんが内田春菊らって知ったときもばびったお^p^ でんこたんあ関東ももらのいにんこにあまからんのかのあ^p^ 533 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 01 56 0 530 おじぽし^p^、 531 典型的なDVじゃのい^p^ DVされていくうちに依存症になってくるかえるたんやらやら>< 534 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 01 59 O あの時代あの時間帯のドラマは色々ぬごかったおな^p^ イグアナとか音無可憐さんとか^p^ 535 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 02 04 0 516 (* ◇ )<ぴゃあ、あついれす! 536 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 02 45 0 531 点呼みたいなつっぎゃうららのあ^p^; 537 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 03 01 0 534 もれらいすっきであの時間のドラマほとんどみてたお^p^ イタズラなkissとか保健室のおばさんとか^p^ 538 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 03 57 0 内田春菊は2chの哀弗ですゆ?‘p’ 539 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 04 24 O 536 点呼ってこういうの多いのぉ^p^; 540 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 05 36 O 536 失敬な、点呼あいつも相手のことを思い合ってますお!^p^ のあ、たっき*∋∈ε^* 541 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 06 10 0 540 もれのもってるもまいらの本はそんなのばっこし^p^*** だがしえっ^p^ 542 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 06 37 O ハンサムマンだっけ?あれぬっきらったのあ^p^ テレ朝じゃなかった気もするけろ^p^ 543 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 06 44 O 540 DVこっぺたっきしえ^p^ 544 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 07 22 0 538 作品たくさん読んだあかまいそうな人なんらのあとあももった^p^ 545 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 08 53 O 542 ハンサムマンなついお^p^ エロロンなこと考えると松村に変身しちょうやつらおね^p^ あの時間帯の(いい意味での)バカドラマ枠、復活してほしいのあ…^p^ 546 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 10 27 0 土曜9時のスーパー蛇タイモ時代の日テレドラマらいすっき^p^ 特に好きなのは未満都市と初代金田一^p^**** 547 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 11 18 O ジョイサウンドはニコ厨にこびるなら、もっとテニミュ曲いれるべきらとももうの^p^ ヲタカラする時、いつもジョイサウンドかダムか迷っちゃうお^p^; 548 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 11 49 0 534 イグアナあまらこももらったもれにあ衝撃らったのあ^p^ 大人になって原作読んだあいろいろかんがえさせらえた^p^ 549 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 13 05 O 546 もれそれと銀狼もぬっきらった^p^ 何年ぶりかに見たら、つっこみどころ満載で腹筋崩壊したお^p^ 550 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 13 13 0 546 もれもその二つらいすしお^p^*** 551 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 14 02 0 ・;`.・Jノ.;-_-`)。о○(つっぎゃのつけた傷を転んだといってごまかしてきたけど、よしおにばれそうだお…) 552 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 14 28 0 547 もれんとこは、ともらちが最近ミュはまったかあdamにしようしようっていつもいうお^p^ あんもしニコ厨らのいかあjoyにすうメリットないのもまかるけろねえ^p^; もれ自身はプレミアdamおぬぬめお^p^ヌタマ的な意味で^p^* れももとーととかといくときはいつもjoyといふニコ厨姉弟でサーセンお^p^; 553 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 15 05 0 551 よしおらなくて、とままにばれるお^p^ よしおはまかってても、いえないんらお^p^ 554 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 15 21 O 金田一はやっぱり初代がいちばんらん^p^ まぁ松潤金田一も許容範囲内らけろ^p^ だが亀梨、てめーはらめら^p^ 555 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 15 59 0 554 ナカーマ^p^人^p^ 初代の完全保存版とお笑いのスペサルは今でもビデオでのこってますゆ^p^* 556 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 16 08 O ザ・シェフもぬっきらったお^p^ 最後主人公あぼんにはばびったけろ^p^; 557 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 17 14 0 556 もれのいとこ(今20)が、こももの頃から少年隊がぬっきなのももいだした^p^ 今はしらんけろ、以前おうちにお邪魔したときにでっかいヒガシのポスター貼ってあった^p^ 558 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 17 37 O 556 ザ・シェフはなかなかとんでもドラマらったおな^p^ 肉の塊の上をバイクで往復して挽き肉つくるシーンはもれの腹筋^p^ 559 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 17 46 O とままらったあDVつっぎゃを止められるかしあ^p^ 560 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 21 06 0 559 怒ったとままがつっぎゃをぼこるけろ、つっぎゃがとぅないに 「とままにいったのかお!とままとねてるのかお?」とさらにDVれ悪循環… こんなドロドロな12歳…;p; 561 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 22 51 0 559 とままがかえるに「あんなやつと付き合うのやめろお」っていうけろ、 かえるが「つっぎゃにはもれがいないと、らめらから…」っていって悪循環 ;p; 562 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 25 38 O 560 561 ぴいいいいいいい^p^; 典型的泥沼DVの悪循環ら(((^p^))) バットエンドしかももいつかない(((^p^))) 563 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 28 06 0 はあーやっぱいじられ属性ないと受け人気って出にくいのかしあ?^p; 564 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 29 29 0 んなこたあないお^p^ 565 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 30 41 0 531って年齢操作らなくて12歳のまんまなのお?^p^ いやらそんなドロドロ12歳;p; 566 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 32 06 0 565 あれたぬん12歳設定のまんまらった気がすう^p^ 登場人物にまごさもあいなかった^p^ 567 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 33 14 O イグアナははぎおもとらっけ? 568 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 33 28 0 「ばかっ///」って照れ顔が想像しやすい方が総受け多いイマゲ^p^ 女顔がリア受け高いいう子多いけろ、こっちのほうがリアにとっては重要だとおも^p^ 569 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 34 06 0 誰かたうふ食って「うまいぞー」って発光しながあお城破壊すうくくち書いて^p^ 神ぇ書いてくれないかしら…懐かしアヌメぬっきみたいらし^p^ 570 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 34 51 0 568 じょあたっきはその照れ顔想像れきそうにないかあこっぺたっきなんれすね^p^b 個人的にそのタイポあとまま・でんちち・へーらゆ系な芋毛^p^ へーらゆらけもれの中ではカコヨスなんらけろねえ^p^; 571 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 34 57 0 568 もんもん受ぇ…^p^; 572 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 35 30 O 568 ふっしは想像しにくいおなんれかしあ^p^ 573 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 35 39 0 ばびで百忍ソート結果乗せるのやめてくらしあ^p; 574 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 36 43 0 568 もんもん・けまま・いささ……ヌタマ三大総受け姫姫ぇ^p^b 575 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 37 29 0 568 センツォ・まごぺも2次女顔らけろ「ばかっ//」は似合わなそうら^p^ らから総受け少ないのかお^p^ 576 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 38 59 0 (^σ」σ)<パヤっ…/// ∋∈<パヤっ…/// ξ(゚σ゚)<パーヤ (^ω^W<パヤ? なんかちまうお^p^ 577 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 39 19 O 573 トップ10だけ発表とかならいいんらけろのあ…^p; 578 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 40 15 O 576 きはたんとたかちゃんのはあきらかに別物らん^p^; 579 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 41 06 0 573 カワユス同学年の他ケラにくらべて異様に下で落ち込んだけろ 上位が□・たけやん・しろたん・つっぎゃでうまっててああ…ってどうでもよくなったお^p^ 580 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 42 22 0 568 ツンデレ受けちめえなもれには地雷すぎら^p^、 581 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 42 48 0 567 らお^p^ 582 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 44 39 0 いささが一晩ごとにけままともんもんの部屋をいったりきたりしているのをみたはっちらいらいは、 いささを一度もかしてみたいとももうようになり…^p^ いささ浮気フラグ→はっちらいらいが現場目撃→黙ってて欲しかったら(ry ^p^b 583 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 44 55 0 579 二次ケラ確立様ぇ…^p^; 584 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 54 12 0 (^)ゝ(^)^σp^(`^⊿^)(^△^)Jノ^_^`)ζ(^c^)<仲良し3年てい!DVなんてないお! 585 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 54 49 0 いさびっちてい ∩ ∩ ζゞ・∀・)ミ 586 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 55 08 O 584 このああ、まごぺがピザに見えるお…^p^; 587 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 55 13 0 563 もれあむしろいじってる方を受けにしたくなうお^p^ 588 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 55 26 O 585 そっし 589 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 55 45 0 584 そっし(´-,_⊿-)Jノ´・_( ) 590 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 58 19 O (≧∀≦)^p^)<午後のもんどりてい 591 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 58 58 0 589 DVつっぎゃほくそえんでるのかお((((^p^)))) 爆破^p^ 592 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 59 08 O 590 そっし^p^ 593 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 59 15 0 590 (^ε^)<そ ノゝ`ワ´)<っ (^σ」σ)<し ζゞ・∀・)ミ<byもんもんの隣をとり隊 594 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 12 59 50 O □<ばかっ///(チラチラチラチラ) 595 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 00 16 O 593 一番下、ハウス^p^ 596 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 00 30 0 593 そっし^p^ オールケラれネタケラ扱いほど勝手に「実はいいやつ」解釈されうから人気あがる^p^ オールケラれ扱い良いのが定番らけろ、そこれ終わっちゃうから人気微妙^p^ らから美形・性格いい・控えめ・気高い(いじりにくい)は2次れは三重苦らともれはももう^p^ 597 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 01 42 0 596 ノゝ`ワ´)(^σ」σ)(^ε^)[メ`」´]<私たちは大丈夫だな! 598 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 02 50 O 597 □ 599 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 05 01 0 596 「ケラたってる=人気」じゃない同人界は不思議ら^p^; 600 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 06 22 0 久々に嫌いスレのヌタマ名物脊髄を見たお…^p^; 601 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 11 53 0 ,,. "´ ̄` ,--、 , ´ -ヽ-⌒- `ヽ、 // / 人 〉 ☆+ ノi ,,_,,彡ノ ノノ ヽルi 、i _人人人人人人人人人人人人人_ ヽ ( ( ノ ∋, ∈、iイル .i > ミラクル! た・き・て・い!! < , ィ ) i´/(! > ヒ_,! !) i ヽ ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ {. { (´( ""ヽ"",___, ""ノ イ ,ィヽ r - ――ゝ \ノ ノ ノ ,) ヽ _ン イ i ゝ ヘ、_(  ̄ ̄フ -- ヽ / 丿` iー-- iノ /X〉 ヽ\ { , ヽノ r‐、/ T TT//イ´, -- 、 , // ̄ ヽ ヽ! } ‐ ´_`!少 / {´_ ヽノ .〈/ ヽ \! i ´ /〉ィ´ }/´ ̄ ヽ._/ | ,- , ヽ __ ノ_, - ´ / |_} /{ ハ. / /「´ , - ´ / {. ヽ_V l l| , - 、 ___./ lー-- ヽ {. 、 ヽ - ´ /- ― ┐ 602 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 12 21 0 ケラ立ってるのあ扱いにくいとかもあるしのあ^p^ 603 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 12 26 0 そっし^p^ 600 もんもん受けたたかれたら3レス以内必ずやってくるもんせん吐き出し((^p^)) 604 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 12 33 0 動揺してそっしできのい^^p^^ 605 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 13 33 0 603 あそこを見るのが脊髄たんのもしごとです^p^ 606 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 15 07 0 こええお^p^ 607 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 20 21 0 脊髄たん内容まで鸚鵡返しれみごとにまかりやすいあてつけら^p^ 608 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 25 13 0 もれケプてい^p^ 609 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 25 48 O 608 そっし^p^ 610 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 25 57 0 そっし^p^ 611 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 27 50 O ふう、無事に金買えたお^p^ 品切れになってたかあ焦った^p^ 612 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 28 50 0 611 もっちゅ^p^ もれはぷらてぃなれ我慢;p; 613 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 29 32 0 611 そんなに人気なのお^p^ もれ最初のしかやったことのい^p^ 614 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 33 42 0 356 ^p^<ご期待ください 615 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 39 24 O 614 それもれの腹筋ww^p^ 616 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 46 29 O 総受け廃止てい^p^ 617 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 52 45 0 そっししのい^p^ 618 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 53 57 O 一棒一穴てい^p^ 619 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 55 20 0 一棒一穴てい繁栄^p^ 620 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 55 35 O 618 そっししのい^p^ 621 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 55 37 0 一棒一穴らけろ、別次元で別ケプてい^p^ 622 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 56 07 0 総受けてい・びっちていは流行らない^p^ ちい覚えた^p^ 623 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 56 38 0 もんどりもんてるもんいてい^p^ 624 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 13 57 42 O 622 しかし一定層の指示があることあ事実^p^ 625 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 02 31 O 623 もんてる以外そっし^p^ 626 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 04 06 O 621 もれのカワユスあ別次元別ケプになうとカコヨスになうお^p^ 627 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 04 36 0 もんてるもそっし^p^ 6いアニオリてい^p^ 628 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 05 59 O 627 そっし^p^ 残念ながら…;m; 629 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 07 00 0 わんわんお!>三ノゝU`ワ´) (≧∀≦;)<センツォ悪いももれもくったか…? 630 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 09 06 O 勇気出して神に名前らけ記名米送ったあ〇〇の斎藤のにんこさんれすか?ってハスハスな米返しもらっちったお^///^ 人はsryrと呼ぶんらろうけどもれちゃん気にしないお^p^ 631 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 11 58 0 たかちゃんメモに会計委員室はもんみっきのラブホってあったけろ、あながちまちまいではないのが・・・^p^; もれ前もんみっきであおかんみたお^p^* 632 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 19 10 0 ゆきとも百合てい^p^* あ、てるともとかでもいいのよ^p^ 633 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 22 30 0 そっし^p^ いささとセンツォは実は仲微妙ていっ^p^ 634 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 23 11 0 サラストね…… (≧∀≦)^p^*)<あっちでもんどりてい築くお 635 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 24 29 O けまいさんれせんつぉ保護者ポジソンみたいなのよく見るんらけろまんでかしあ^p^ 636 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 25 18 0 そっしs!!!!!^p^ 637 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 26 27 0 636 もんドリていはそっし^p^ センツォといささていは生きていいわよお^p^ 638 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 29 55 0 けまい・もんせんていではそれぞれ相手ケプはおかん いけま・せんもんていれはそれぞれ相手ケプは両方カワユスの攻め 639 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 31 14 0 638 あるあるあるあ^p^ てふこっぺはてふじとこっぺたっき^p^ 640 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 35 46 0 こっぺたっきの保護者ってなんれかてふじおね^p^ きはたんは保護者らなくて、同居人^p^ 641 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 38 37 0 けまいさんって実は原作あまり一緒にいないのになんれはっちらいらいと 同じような公認ケプ扱いなんら?^p^ 642 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 39 21 0 641 まさかの社会の段もといまさかのけまいの段^p^ もんいさんのしとがけまいさんに流れたから^p^ 選べお^p^ 643 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 42 22 0 いささ46kれも相変わらずの6年ハミらったのあ^p^ 644 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 43 59 0 643 <へ>亥彡<まあこっちと仲良くしてたけどねっ 645 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 45 02 0 643 せめて一度でいいからみそっかすじゃないいささが見たい^p; 646 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 45 39 O 643 ζゞ・∀・)ミ<… ζゞ・д・)ミ ζゞ;д;)ミ (≧∀≦)^p^)<復活もんドリてい 647 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 46 51 0 646 一番したs^^、 648 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 48 24 0 ちめえそっし^p^、 649 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 49 03 O (^J^)^J^)<ますます増えるはっちらいらいてい 650 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 51 46 0 もんもんを絡めないけままとセンツォ(ケプらなくてもいい)がみたいお^p^ 651 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 52 08 O 神´ー`)Φ<… 652 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 52 39 0 949 そっし^p^ らいらいはっちていでしょう^p^b三b 653 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 56 09 O □<とうふてい 654 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 57 44 O 神´ー`)Φ 655 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 58 34 0 さっきから何か用ですか神ぇ^p^ 656 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 59 03 0 とうふていそっし^p^ 657 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 14 59 24 0 ハミゴにさているならうちにおいれ><・>亥彡つζゞ;Д:)ミ 658 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 00 01 O □<美少年設定が原作で公式になったらどうしよぉ 659 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 01 45 0 657 そのままつれていってもれのカワユスいささの棒から解放してくだしあ^p^ 660 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 02 03 O 655 神´ー`)Φ<ネタ探し 661 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 06 10 0 \ 仲良し6年てい!!!! / (≧∀≦)人ノゝ`ワ´)人(^ε^)人[メ`」´]人(`↓´*) 662 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 07 32 0 <・>亥彡ζゞ*・∀・)ミ 663 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 08 37 0 sryrってなあに?^p^ 664 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 09 59 0 46kは結構けません燃料あるおね^p^ 665 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 10 09 0 (コーちДゃん)ζゞ;∀;)ミ<人間のももらちがいないぼかあ一人ぼっちなんら…… 666 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 12 51 0 けままとセンツォらとセンツォけままな気がすうもれのカワユスはセンツォ^p^ 667 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 14 02 O 646 いささばびれいじめたい^p^ 668 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 14 31 O もれせんけま派^p^ 669 :ざっぽさん@おじぽ[sage]:2009/09/12(土) 15 15 41 0 いささが身も心もざっぽさんに溺れちゃうざついないかのあ^p^ 670 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 16 57 0 神ぇ爆弾のタイミングはからのいで(((^p^))) 671 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 17 13 0 663 それやら^p^ 672 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 17 27 O 663 擦り寄りじゃのい?^p^ 673 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 19 07 0 まりまり^p^ 674 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 19 36 0 46kの「もまいがあんなしょーもないもん作るから(ry」のコマれちょっと目覚めたお^p^* もれはけません派^p^ 675 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 29 10 O 厳禁にけまま出演くらいあればけませんけま流行るお^p^ 676 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 29 12 0 のあのあ、ヌタマにわんこ攻めっているう?^p^ 677 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 29 48 O 676 こっぺ?^p^ 678 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 29 52 0 675 つんきさの委員会のいいんちょうだかあ18期であ本当に出てきそうな悪寒^p^ 679 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 29 56 0 676 わんわんお^p^? 680 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 33 12 0 うぃきのケラ設定についにドリ子がΣ^p^ Oーランドさんあどこにお便りだしてるんら^p^ 681 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 34 28 O 669 にょたいささなああるお^p^ 682 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 34 45 O 会話が成立もしくは同じコマにいたらけでケプが成立すう^p^ そんなヌタマにいつしかついていけなくなりそうれす^p^ 683 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 35 05 O (≧∀≦)^p^*) 684 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 35 31 0 681 にょたらなくて、おのこいさされざっぽさんに養われてる系>< …流石に特殊すぎう^p^;;; 685 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 35 54 0 683 ンモーs^^、 686 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 35 56 O 683 しえっ^p^ 687 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 36 17 0 681 レヌ先の名前欄><;; 688 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 36 31 O 669 自演禁止^p^ 689 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 36 44 0 んhkはいい加減センツォ=厳禁要因って考えを改めてくだしあ^p^; あとdrks^p^、 690 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 36 53 0 676 フィルター掛けた だんぞ こっぺ こっぺ こっぺ 暴君 ^p^ 691 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 37 27 0 676 わんこあこっぺたけやんあたりかのあ^p^あとだんぞとか? 692 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 37 42 O 682 でも今だからこそ、って芋毛もあるお^p^ 693 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 39 09 0 絵本18日かお^p^ 楽しみらん^p^ 694 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 40 28 O 693 ≡^p^ 695 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 40 34 O 692 ^p^? 696 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 43 19 O 682 それあぬたまに限ったことらないお^p^ 697 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 45 33 O 695 言葉足らずでもめんお^p^; ケラの性格や関係性が不明瞭なとこが多々ある今だからこそ、 少しの絡みでケプが生まれるのかのあーってももったんら^p^ 698 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 46 28 0 なんれもとーとの漫画のコマ割り下書きもれが手伝わにゃならんのあ^p^;;;; 699 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 49 36 0 >連続人形活劇「新・三銃士」が放送されるため、2009年10月5日(月)~23日(金)の平日ならびに >2009年10月30日(金)~2010年5月28日(金)の金曜は放送休止 おおぅ…^p; 700 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 50 21 0 699 てことあヌタマあ…;p;p;p;p 701 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 50 56 0 699 自レヌらけろ金曜らけか!^p^; 702 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 51 34 0 701 Σ^p^ もれ毎週月~金とよみちまえてたお!^p^;;;; よかったおおおおお;p;**** 703 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 53 56 O 697 あぁ!木綿わかったお^p^; わざわざまりま^p^* 704 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 15 59 10 0 週4日になるんらな、……ちょっとさみちいけろ、よかったお^p^ 705 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 00 33 0 702 助かった、助かったお…^p^;=3 今まれ燃料貴族らったぬたま者が、急にこんな地位に 落とされたらすぐちんでしまうらん^p^;; 706 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 00 44 0 704 6月にはまた週5に戻るんらし、再放送いれたあ週5らかららいじょぶお^p^つ^p^ 707 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 01 44 O (□↓□)(☆↓☆)(○↓○) 708 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 03 04 0 707 ちも!Σ▼・・▼;Σ(lllToT);Σ(⌒⌒;) 709 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 04 22 O はまかん早くアヌメにでないかのあ^p^ 710 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 07 10 O 実は三銃士も楽しみにしてるもれ^p^ 711 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 08 51 O いさふっしてい>ζゞ・∀・)・∇・Ⅲ) (≧∀≦)^p^)<もんドリてい (^з^)∋∈ 712 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 09 49 0 まとめてそっし^p^ 一番上いがいは爆発して粉々にな~れ^p<ミ☆ 713 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 12 55 0 705 もれアヌメしてなかったらすぐ萌え鎮火しちょうタイポらから、ヌタマにはまったのはある意味選択を誤ってない ってことらとももってるお^p^ 燃料が年中ほぼ毎日あるザンルまんてそうそうないもも^p^三^p^* しかも終わる気配がないといふ^p^bbbb 714 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 13 58 O 709 [m]<キャラもたってないのに!!! 715 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 16 21 0 711 |(¥@¥)ノ |(^з^)ノ|(∋∈)ノ | (^(i)^)ノ__,, ======== ,,__ |\.⌒⌒⌒\⌒⌒⌒\.⌒⌒⌒\...‐ ゙ . ` ´ ´、 ゝ ‐... \ | ⌒⌒⌒~.| ⌒⌒⌒~|. ⌒⌒..‐´ ゙ `‐.. |(≧∀≦)ノ (^p^)ノ | (^/ \ |\ ...........;;;;;;;;;;;;;; ´ ヽ. ;;;;;;;;;;;;;;;;...... .....;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙ . まとめて爆破^p^ ヽ ゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;.. ;;;゙゙゙゙゙ / ゙ ゙゙゙゙;; ゙゙;;;;;;;.......... ;゙ ゙; .........;;;;;;゙゙゙ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;.......;............................. ................................;.......;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙ | (^P^)ノ ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙ |\.⌒⌒ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ \ | ⌒⌒/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ; .` .; il,.;;. ||i .i| ;il||;(゙ | (^p^)ノ`;;i|l|li||lll|||il;i ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;; `ii||iil||il||il||l||i|゚゙´ |\.⌒⌒゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;, ,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙⌒\ \ | ⌒⌒⌒~.| ´゙`゙⌒ゞ;iilll|||lli|llii ;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|; _゙ι´゚゙´`゙ ⌒⌒~| |ζゞ・∀・)ノ(・∇・Ⅲ)ノ |´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´ζ(゜c゜)ノ|(^D^)ノ | |\.⌒⌒⌒\⌒⌒⌒\.⌒⌒⌒\⌒⌒⌒\.⌒⌒⌒\⌒⌒⌒\ \ | ⌒⌒⌒~.| ⌒⌒⌒~|. ⌒⌒⌒~|. ⌒⌒⌒~|. ⌒⌒⌒~|. ⌒⌒⌒~| 716 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 17 09 O 713 ぬげえまかる^p^ ケプ燃料じゃなくても原作アヌメ続いてるザンルのが萌が持続すう^p^ 717 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 18 43 0 714 もまえも似たようなもんら^p^ とよしおがもうしております^p^ 718 :名無しさん@ビンキー[]:2009/09/12(土) 16 19 43 O 717 [m] 719 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 23 18 0 718 ζ(゜m゜)(´-m-)Jノ・m・)^△m^^mp^(*゚ m゚)(mmm)ノ(。m。) 720 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 32 14 O 〃□〃 〃□〃 〃□〃 721 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 44 01 0 720 ^p^σ凹<タフッ 722 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 45 24 0 こっぺたっきしえすーるももこーのゆーびとーまれ^p^σ 723 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 50 39 0 719 右から3番目誰ら^p^ 724 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 52 30 0 722 はぁ~い 三^p^ノ 725 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 54 11 0 723 (*゚◇゚)<……しろたんのことますれたれすか? 726 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 16 55 39 0 725 あなる^p^ 727 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 06 33 O もれケプてい^p^ 728 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 07 39 0 ある日私はとある部屋で目を覚ました。薄暗く、物音一つ無い場所だった。 前方には、5人の男がそれぞれ柱に縛り付けられていた。 私は直ちにこの奇妙な場から去ろうとするが、足首を頑丈な鎖で縛られとても動けそうにない。 そして私は目の前に置かれている一枚のメモ紙に気づく。 そのメモ紙にはこう書かれていた。 「目の前の5人の男の中には一人だけ死刑囚が紛れている。 お前は明日までに手元の銃でその死刑囚を殺さなければならない。 撃つ前にそれぞれの男に1回のみ質問をすることが出来る。 指示通り、死刑囚を殺した場合にはお前をこの場から逃がしてやる。 ただしルールに違反した場合、その場でお前は命を失うこととなる。」 私は早速それぞれの男に「お前は死刑囚か」と問いかけた。 男A:「私ではない。だから私以外の4人の中に死刑囚が居るはずだ」 男B:「私ではない。だが私は誰が死刑囚なのかを知っている」 男C:「私ではないが、私も死刑囚が誰なのかを知っている」 男D:「私ではない。そして私は誰が死刑囚なのかも知らない」 男E:「私ではない。第一私はこれまで罪を犯したことが一度も無い」 やはり自らを死刑囚と名乗るものは居ないだろう、私は結局ここは5分の1に賭けるしか無いのか、と考え込んだ。 しかしその時、私はふと気付いてしまった。そして確信した。誰が死刑囚なのかを。 私は迷うこと無くその死刑囚を銃で撃ち殺した。 すると私の足首を縛っていた鎖は解かれ、私はその部屋から脱出することが出来たのだ。 さて、死刑囚とは5人の男のうち一体誰だったのだろうか? そっししながら問題出してみるお^p^ 729 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 09 41 O いちいち振り子ヌレから輸入しなくていいお^p^; 730 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 11 18 O 728 これちゃんとした答でたの?^p^ 悪問じゃなかったっけ^p^ 731 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 11 33 0 まあ答えが「誰でもよかった」って答えらしいからのあ^p^ らってころころしたしとを「死刑囚」にすえばいいんらから^p^ 732 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 12 55 0 730 とあるブロヌでそえらしき答えでてたけろ、結局それが正解なのかそうじゃないのかはよくまかってのいみたい^p^ もれはころころを命じられた「私」こそが死刑囚らとももってじぬんをころころすうことによって出られた、とももったんらけろ^p^ 733 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 14 01 O 題材が悪趣味らかあちらい^p^ 734 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 16 55 0 柱にくくりつけられた5人のおじぽを好きにもちゅれるなら最初あどうする?という問題だったあ喜んで考えうのに^p^↓´ 735 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 20 26 O 734 おじぽしえっ^p^ 736 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 21 39 0 ナポリタンももいだしたお^p^ 737 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 23 01 0 oh…^p^ 捏造してもめんなしあ…^p^ 738 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 25 30 0 734 おじぽにもよるお^p`↓´ もれあへーらゆ、でんちち、へーた、さここぇ、姫姫ぇがいいお(`↓´p^ 739 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 27 03 0 738 (`*-⊿-)<ドキッ 740 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 27 27 0 738 おじぽに擬態すんなお^p^、 741 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 27 52 0 739 まてまて^p^ もまいがなぜドチッとすうの^p^ 742 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 28 08 O 737 三年者?五年者?^p^ 743 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 29 05 0 三年あ捏造のしがいがあるお^p^ ケラ多いしかまいいしζ(゜c-)―☆" 744 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 31 37 0 743 捏造捏造言われてる割にはこっちれ話題逸らしに使われてる三年^m^ 745 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 32 34 0 716 もれの掛け持ちザンルもそんな感じらお^p^ 今はヌタマ本買いまくりたいかあ掛け持ちザンルは買いもも控えてうけろ^p^ 終わる心配がとりまなくて年中燃料があうザンルはいろいろ安心れきうお^p^* 746 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 33 48 0 ねー>ノ(∂д∂)(のдの)<まったくだ>(QдQ)(゚◇゚*)<そろそろ2年が天下取ってもいいのにねー 747 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 35 23 0 746 ^p^ s、kj…^p^ 748 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 35 43 0 終わる心配がのい 年中燃料三昧 二つを併せ持つザンル アンパソ さざえさん ちびまるこ 銅鑼ちゃん ママンと一緒 ヌタマ おじゃる こんくあいかしあ^p^? 749 :745[sage]:2009/09/12(土) 17 36 16 0 あ、そうら^p^ ケラがまずちなない、これ重要お^p^bbb 750 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 36 16 0 746 (●)m(●)^mp^(`-m-)(^△m^)Jノ・m・`)ζ(゜m゜) 751 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 36 59 0 748 もれ前ザンル携帯獣全般れした^p^ 擬人化あやってなかったけろあれも中々燃料つきのいお^p^ 752 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 38 16 0 ママンと一緒れ活動してうしとっていうのかしあ^p^; もれじゃじゃまうぴっころぽろり世代^p^ 強いてあげうなあじゃぽろ^p^* 753 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 38 59 0 751 あ、そえもたしかにさっきの条件にあてはまるわね^p^b 754 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 39 38 0 748 ガッカンの恐怖さえなければ湖南も^p^? 755 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 39 47 0 752 もれもれも^p^人^p^ もれぽろりのぬいぐるみの足もってひきずりまわしてたこももらった^p^p^p^ 756 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 40 26 0 752 ^p^人^p^ あ、ケプではのくて世代の話よ^p^ 757 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 40 47 0 748 こえってほとんど…というか全部こもも(おじぽ)向けじゃ…^p^ 758 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 42 04 0 もれにこにこぷんより前ちらないんらけろ、前って何らったのお^p^? にこぷん→ドレミふぁどーなっつ→ぐーちょこらんたん→(゚⊿゚)シラネ ぐーちょこって伝説のスプーのやつらおね^p^ 759 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 42 43 O もれどれみふぁどーなつ^p^ 760 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 43 29 0 ぽろりがばいきんまんれぴっころが初代銅鑼みちゃんらからぴゅたのしーたのしとらおね^p^ じゃじゃまうは誰らったっけ^p^; 一時期、んhk人形劇の中のしとはやしばらも出てたおな^p^ 761 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 43 55 0 759 いくつう^p^? もれ22らけろにこぷん世代らとももってる^p^; でもどれみふぁかもしれん^p^ 762 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 44 59 0 760 じゃじゃまうあスネちゃまらったお^p^wikiてんてーによると^p^ 763 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 45 00 0 スプーってにゃんちゅうの番組じょなかったっけ^p^ 764 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 45 44 O 761 22らお^p^ あんもし教育テレビ見なかったけどねぇ^p^ 765 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 45 56 0 763 ママンと一緒のケラみたいお^p^ んでにゃんちゅうの番組にもでてたんらのい^p^? 766 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 46 25 0 762 餅、きもつきさんの方らおね^p^ まりまり^p^* 767 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 47 18 0 764 世代的にはちょうどにこぷんとどれみふぁの狭間の世代みたいお22くあいの年の子は^p^ どっちも見てたけど、どれみふぁのがももいでにのこってるお^p^ 768 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 48 03 0 もれえTV50企画にハスハス世代^p^; のんたっくらいぬっき^p^ 769 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 49 11 0 もれいないいないばぁのOPらいぬっきらった^p^ ないしょ、ないしょ、あのねのねー^p^* 770 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 49 22 0 おでこのめがねででこでこでこり~ん^p^ 771 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 53 36 0 ばなな兄弟って昔あったおねえ^p^ なんかいかしたパジャマ着てるやつ^p^ にゃんちゅうの番組の一コーナーらったっけ^p^ 772 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 54 24 0 ママンと一緒あ何が出てきたかで年がばれる仕組みらけろ、 たぬん20代のしとはほとんどにこぷんらとももってゆ^p^ 773 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 55 30 0 760 *^p^人^p^*<おつむをなでなでしてあ・げ・る 774 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 56 42 0 ママンと一緒のうたのおにいさんおねえさんでも年齢が^p^; 775 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 56 43 0 771 ばなないんぱじゃま!!^p^ 修学旅行でいったオーストラリアにあばなないんぱじゃまグッズがいっぱいあってばびった思い出^p^ 776 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 58 42 0 772 にこぷん世代らけろもれ…^p; 777 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 58 46 0 修学旅行でオーストラリア行くまんてハイカラらのあ^p^ 修学旅行ろこ行ったかで大体日本のどこ出身かまかりそうらね^p^ 778 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 59 12 0 うぃきによるとにこにこぷんは1982年4月5日から1992年10月3日まで放送みたいお^p^ にこにこぷん世代も広いのあ…^p^ 779 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 17 59 19 0 もれこももがパジャマ着替えすうコーナーもみててかまいかったしほほえましかったお^p^* あとわくわくさん^p^ 780 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 00 19 0 ぱじゃまでおじゃまhaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaan^p↓´*bbbbbb 781 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 00 27 0 778 長いのあ^p^ 10年近くってか10年以上…^p^? 今ももえばにこにこぷんあ豪華声優だらけらったおな^p^ 782 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 00 58 0 780 おじぽ擬態すんな^p^、 783 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 01 02 0 773 *^p^* またききたくて探してるんらけろないお^p^ っていうかさすがに今あちまう曲になってるんらね^p^ 784 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 01 37 0 にこぷんより前の世代ってとぴんぽんぱんになるのかしあ^p^ 785 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 02 32 0 ぴんぽんぱんあぽんきっきの前番組らったともも^p^ 786 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 02 49 0 にこぷん2229話ってぬげー!^p^ じゃじゃまる達に名字があったのも衝撃らん^p^ それからどんどこしょーのもはなあケシ科なんらって…ゴクリ^p^ 787 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 03 29 0 783 あのうた聞くとなんでか涙がでゆお^p;* CDれてうみたいら^p^つttp //answers.music.yahoo.co.jp/detail/1322579293/ 788 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 04 26 O 一度あったーら顔見知り;p; 毎日会ったらウザがられ;p; みーど、ふぁーど…;p; 789 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 04 30 0 にこにこぷんと言えばアチョー^p^ 790 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 05 11 0 にこにこぷんの前ってブンブンとかいうあらいぐまらなかったっけ^p^? 791 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 05 22 0 にこぷんの前ってプリンプリンももがたり^p^? ソースはカーチャン^p; 792 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 06 53 0 しんすけとへびくんとぶたくん^p^ 793 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 07 10 0 790 ウィキてんてーによるとそうらしいわね^p^ 今もれはウィキてんてーでなぜか宝塚の名誉理事のページを読んでたお^p^ 春日野八千代まんて素敵なもなまえ^p^* 794 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 07 24 0 787 ああああまりまり^p^*** なにが見えたの、どんな風なののところが良過ぎるお^p; 795 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 15 21 O ひょっこりひょうたん島が見たいお^p^ 796 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 18 34 0 795 白黒ばーぞんで?^p^カラーで^p^? 797 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 21 37 0 ようつべでにこにこぷんの最終回みたけろなつかしくて涙でてきたお;p; 798 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 23 03 O 796 もれカラーしかしらのい^p^; 799 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 28 46 0 797 せつなすぐる;p; こももの頃はたぬんなにごともなかったかのやうにシフトしてたはずらおに;p; 800 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 31 23 0 798 オリリナルの白黒版が1960年代に放送してたらしいけろ、ここにくるにんこたちはたぬんほとんどリアルでみたこと のいとももわれる^p^;; もれらってママンにやってたおーっての聞いたことあるらけらし^p^ 801 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 32 09 0 にんこのもゆうはんタイモと、s、kj…^p^ 802 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 33 14 0 もれ金曜ロードショーのおいたんがカタカタ回すやつが物悲しくてらいぬっきらった^p^ こもも向け番組とちまうけろ^p^; ひさいしじょーはぬげえのあ^p^ 803 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 35 28 0 801 これなあに?^p^つ>s、kj 804 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 35 49 O けふあかに鍋^p^ ウママ^~^*** 805 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 36 53 0 ひょうたん島のモノクロは八本しか映像がのこってないお^p^ れもリメイクばんみたいお^p^ 806 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 38 26 0 803 (^J^)<はっちとらいらいのLOVEと書いて これを革命と読みます。 (^J^)<愛して愛されて (^J^)<この永遠のテーマは Hacchi loves Rairai から始まるのです。 (^J^)^J^)<そして 革命時代・・・・。 807 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 41 06 0 806 げぇっ 愛・革命Σ^p^ まかったよーなまからんよーな^p^?? でもまりまり^p^ 808 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 42 44 0 s、kjの使いどころがまからんお^p^ とももいつつちょっと前に使ったお^p^ 809 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 42 48 0 あー!!!!!!!タイムラグあったけろ理解したお!”!!^p^ ってか前レヌ読んだお、もめんなしあ^p^; 810 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 47 19 O 806 Gばくはつ^p^ そして、革命時代… 811 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 48 41 0 810 次のGあ何になるんれすか^p^ まさかこっぺたっ^p^ 812 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 50 32 0 ビキニラインの毛の処理したあ毛穴が一斉に腫れ上がりました^p^ s、kj・・・ 813 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 52 17 0 812 収れん化粧水三;^p^つ占※ 814 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 55 55 O 812 抜いたのお?^p^ 815 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 18 59 42 0 812 タオルで冷やしたあいいんらない?^p^; 816 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 01 03 0 811 略してごっき^p^ 817 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 03 23 O 電車れ目の前に立ってるおねいさんの脚~足首がもれちゃんの理想型すぎる*^p^三^p^三^p^* これあいきなり告っても良いレベル*^p^三^p^三^p^三^p^* 818 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 03 46 0 817 kwsk^p^ 819 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 04 16 0 817 24されるのがオチらお^p^m9 820 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 09 39 O 818 大鳥屁婦蛮を更にクオリティうpしたみたいなバランスお!*^p^=3 あーあドラマや漫画ならここれ声掛けたらフラグ立つおにい^p^ もれちゃんもちろんチキンらからそっと眼福させて頂くお…^人^ 821 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 11 21 0 820 勇気を出して話しかけてみたら…にんこれした…なーんて…^p^ 822 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 13 14 0 820 あーいいのあ^p^ もれも現物拝みたいお^p^三^p^ 脚線美ってついつい目がいっちゃうおね^p^ もれの場合胸より脚に目いくお^p^ そして目より唇^p^ 823 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 13 16 O 820 もれのことそんあにみないれ…*^p^ 824 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 13 23 O もしにんこならスレでヌクモっちゃうぞー^p^ 大鳥にんこ…反応待ってるお…^p^* 825 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 14 04 0 残酷のスペースNoだいぶ上がってきたのあ^p^ どちどちしてきたお*^p^ 826 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 14 40 0 春日みたいなおにゃの人かとももったらん^p^ 827 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 15 27 0 813 赤くなっちょってうかあもう収れん化粧水は㍉>< 814 ソイエの電動毛抜き→剃り残しを毛抜き^p^ 815 家族がいのければできるんらけろ・・・^p; 828 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 16 02 0 822 もれしょっちゅう唇の皮剥いてぼろぼろにしちゃうかあ目をみて欲しいお~’v’* 829 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 16 21 O 822 年寄りってそうよね^p^ 830 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 19 00 O 829 年取るたびにだんだん目線が下がるんだっけ^p^ 831 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 21 00 0 829 にゃにぃ^p^ んじゃもれもばぁばの仲間入りかお^Η^ 832 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 22 23 0 827 自室ないのお^p^ いたいれしょうに^p^ 833 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 23 25 0 春日みたいなおなごあともかく若林みたいなおなごはいそう^p^ あと中途の福田^p^;油てかてか、れもhaaaan^p^* 834 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 25 31 0 もれもソイエでむだ毛処理してうけろ、soieがsioeと似てるのあってももいながあつかってう^p^ きれいなもんもんは好きですか?^p^ 835 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 27 05 0 827 ! ピコーン にんこ閃いたおー!*゚p゚* 濡らしたタオルをパンツに挟み込む!^p^ もしくはナプキンを水で濡らして腫れたとこに当たるようにパンツに貼る!!^p^ 836 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 30 08 0 835 パンティ濡れ濡れ^///^ 837 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 31 05 O [鬱鬱] 838 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 32 30 0 836 水が漏れないように、ズボンにもナプキンお隙間無く貼る^p^b 839 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 33 13 O 837 ゆうもはんみっけ^p^ けふに限って濡らしたくない靴履いてきちょったお^p^; 雨ぬごくて帰れのい^p^; 840 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 33 39 0 (≧∀≦)<おいなりさんにおしょんしょんしたあてりんこ腫れた 841 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 35 04 0 もんもんにムダ毛まんてないれすゆ‘p‘ ちんげも産毛程度ですゆ‘p‘ も風呂れまらちんげ生え揃ってねえのかおってせんつぉやけままにパヤにされうもんもん^p^*** 842 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 35 12 0 840 日本語れもk^p^ 843 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 36 13 0 842 (≧∀≦)<道端のいろんなとこに書いてある神社マークに立ちしょんしたあてりんこ腫れるっていふジンクス 844 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 36 52 0 840 .∧∧ (^J[`\´] <クツクツ…… 845 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 38 03 O 841 ^~^; 846 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 38 07 0 ( ゚◇゚)<ポピー……ポッポッポ、ピーピー、ポッポッポ 847 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 38 34 0 843 ほー^p^ もれんちの周りにあ神社マークないのあ^p^ ミミズにひっかけたあ腫れるってのあきいたことあるけろ^p^ 848 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 38 35 0 844 (≧д≦)<やら! そんあにせももおいなりさんちらーい ところれ、もんもん総受けアンヌロって出そうででないのねえ^p^ 849 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 39 32 0 846 (*゚◇゚)<ぽっぴぽっぴぽっぽっぴっぽー ぽっぴぽっぴぽっぽっぴっぽー 850 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 39 52 0 おいなりさんをナチュラルにキンタマらとももって読んでいたお^p^ 851 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 39 57 0 たらいもお^p^ リア充タイムからの帰還だお^p^ 今日はヌレの進み遅いのぬえ^p^ 852 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 40 24 0 843 `↓´)<でっけーめんめんくじらか山めめずにしょんしょんかけうとちんちん腫れうだあよ 853 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 40 27 0 850 (≧//≦)<にんこのえっち!へんたい! 854 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 40 52 0 852 ζゞ・∀・)ミ<そえほんとおけままぇ? 855 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 40 53 0 850 もれも^p^ 856 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 41 56 0 838 ナプキンの無駄遣い>< アイスノンとか冷えぴたを股ぐらに貼るお^p^ 857 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 42 06 0 848 もんもんは受けれもドリ子も買いそうらかあ 需要はありそうらけろのあ^p^ 858 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 43 34 0 856 冷えぴたはかぶれるんらのい^p^? 荒れたまんこに冷えぴたはイナバの白兎みたいになりそうらん^p^ 859 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 44 21 O 857 もんドリ子ってもんもん受けもいけるのかお^p^ 860 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 44 26 0 もんもん受けアンヌロの名前は、 もんもんとみんあのLOVEと書いてこれを革命と読むから 「革命時代」でいいお^p^b 861 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 44 52 0 マキロンとかで消毒^p^ オロナインや馬油塗って一晩がまん^p^ 以上^p^ 862 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 45 38 0 861 確かに馬の油はそゆのにきくおね^p^ 863 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 45 42 0 │\ │ \≡(∋∈;))≡= オオッ! │ \≡// ))≡= │ ≡」」」≡= │ │ │ │ │ (^ε^) <たっきぇ、好き好きお! 864 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 46 40 O 863 しえ^p^ 865 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 46 44 0 845 もれもんどりかもしれのいけろもんもんやこっぺみたいなタイプが二次性徴遅めらとハスハスしちょうお^///^ てふじは夢破れたけろあれはあれれハスハス^///^ 866 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 48 19 0 863 けふも元気にkptkしえっ^p^ 867 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 48 46 0 ∋∈<え、こっぺてんぱい、まだなんれすか…? 私はちょびちょびれすが生えてきたおに -⊿-<オレはぼーぼー ゚ε゚;#<… 868 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 52 05 0 かいももリヌトにヌペナンバー書き込み始めたお^p^* 手持ちのもほんのしとも見に行かなきゃ^p^三^p^* 869 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 53 45 0 │\ │ \≡(∋∈;))≡= あるぇ!? │ \≡// ))≡= │ ≡」」」≡= │ │ │ Σ """ │ │ (^P^) <パーヤ! 870 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 57 15 0 こっぺはちんげはえるの早いんらろうけろ、凄い早くはのさそう^p^ そこそこ早い芋毛^p^ 871 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 57 30 0 バンドパロアンヌロのトップ見たあなんか「ひゅひっ」て変な声が喉から^p^p^p^;;; ぬたま制服でギター…^p^…ちょっとみたくなってきました^p^¥ 872 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 19 58 15 O もれケプあ「残酷の新刊あ○○らなくて××れす^p^」 の人が多いのあ何故らん;p;;;; 873 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 00 22 0 16忍いささ買おうとしてうざついさんぬっきのももらちががっかりしなさそうでほっとしたお^p^; しかし+αあだれかとももってたあざっぽさんきりちよすろかお^p^;; 874 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 01 49 0 も…もれ神がまたアンヌロを主催している…らとっ…^p^! アンヌロ購入よていあ10冊…か…^p^φ… 875 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 02 23 0 忍装束バンドパロれもよすだ兄弟やおんでこ座みたいなおなあケクイイおに^p^ 876 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 04 22 O 神が今人気のあのケプらなくてあえてもれケプ描いてくれるみたいれ感動した;p; 877 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 05 20 0 もれのみっきたっき神がこぺたき描いててそっちにもれちゃんキュンキュンしてもうたお^p^; tkこっぺがもれ好みら^p^*ケクイイこっぺらいすっき^p^* 878 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 06 45 0 877 はいはいしえしえ^p^ 879 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 06 58 0 10~15Kは確実なおね^p; もれのうしてもすぐに読みたいアンヌロ以外はあとれ中古探すことにしたお^p^ 夏三毛分らけれも神主催の分れいっぱいいっぱいら^p^; …確かにこれあ大手たまアンヌロ一部特定ケプに海鮮集中しそうね^p^; ヌタマはまら海鮮が諭吉ぶんまわして買いももすうザンルじょないかあなあ^p^; 880 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 08 57 0 アンヌロ告知斎藤みてるらけれdkdkしてくるお^p^*** あと1か月切ったのよね^p^ぬっごい楽しみらん^p^三^p^* 881 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 09 34 0 875 おんでこ座…陰陽座かお^p^? 882 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 10 28 0 871 <・>亥彡<バンド名はそのまま「忍者」です。事務所はもちろんザ忍ズ事務所 883 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 12 24 0 882 ぴいっザッポ喜多川ぇ>< 884 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 13 52 0 881 おんみょう座じょないお鬼太鼓座らお^p^ 和太鼓バンド^p^ 885 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 14 23 0 882 「you!まちわびーてーほーみたーい! you!暮れ六つにほーみたーい!」 バビで邪事務所にあったんらおね忍者っての^p^b kwskあ^p^っttp //www.nicovideo.jp/watch/nm7035541 25れもめんねえ^p^; 886 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 15 11 0 884 oh…もめんなしあ^p; もれ和太鼓なあ鼓童だか何だかってのきいたことあゆ^p^ 887 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 17 16 0 そういやここ残酷のもはなしばっこしらけろ、明日組別厭離?あるんらっけ^p^? 888 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 19 35 0 882 ざっぽぇ^p^占※ 889 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 22 11 0 885 漏れは知らない子がいたことに感慨が…;p; 890 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 22 31 0 885 デビュー当時はおじぽヌンジャらったのあ^p^ 21ヱ門のOP歌ってたんら、なついお~^p^ まんかやたらみそらひばりのカバー多かった芋毛^p^ 891 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 23 23 0 889 もれ知ったの結構最近^p^;;; ぬんじゃあおとこ組とどっちが先なんらろ…^p^; 892 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 24 57 0 ヌンジャのデブーってOVAのもれちゃんがリア消の頃らったし当時蛇あ冬の時代扱いらったひずお^p^ もれカラオケ行ったあタイムゾーン歌うおっおっ^p^ 893 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 25 53 0 ひずってなんら^p; ひぎいみたいらお^p; 894 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 26 40 O めちゃいけの歌下手王座みてるお^p^ オードリー若林と光浦パネェww^p^ 895 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 27 40 0 おとこ組あ俳優れ出世した子がいるかあまら覚えられてる度も高そうらけろ、 ハタチちょっとくやいらとそれれもおとこ組の存在自体知らなそうね^p^ 896 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 28 44 0 もれもみてう~^p^ きよしろう・・・;p; 897 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 29 01 O へーせーじゃんぷの岡本けいとくんはパパにでんでん似てないのあ^p^ 898 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 29 59 0 895 おとこ組あ邪のカウントダウンライブでたいてい歌われてる歌あ知ってるけろ、そえいがいは…^p^; ぬんじゃまんて知らなかったお^p^; はやく夢色のCDでないかのあ^p^ 899 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 30 29 0 895 岡本健一なあまかいこあ平成のメンバーのパパンの芋毛が強そう^p^; 前田こーよーははたしてまかいこに認知されてうのか^~^ 900 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 32 08 0 今ヌンジャあったら案外流行るかもねえ^p^ 901 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 32 23 0 もれ客同士れも気楽に話すようなアットホームなバーに行った時 元ヌンジャのメンバーっつー人と話したお^p^ そんれヌンジャが解散してかあの苦労話を聞いた^p^ 舞台役者になったんらけろ、やっぽ元蛇ってことれ ばかにされたんらって、そんれもなにくそ!とももって じぬんで営業してうってじぬんの資料入った クリアーファイルを見せてもらったお^p^ れももれ酔っ払ってたのと、ヌンジャおあんもし知らのいので 「まじすかwまじすかw」的な態度おしてしまった^p^ そのしとはまともな社会人らったお^p^ この 885ジャケらと誰だったかあまからんかった^p^ 902 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 34 52 0 おかもとけんいち まえだこーよー なりたしょうじ なんらおとこ組、4人中3人がけっこう知れてるじょん^p^ 903 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 35 41 0 もれ80年代後半~90年代っぽい音楽すしらから、ぼーいとかおとこ組とかあくせすとかわんずとかけっこうすしよ^p^* 今もバンド音楽らいぬっき^p^* 904 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 36 33 0 902 もれ上2人しかまかんね^v^v 905 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 36 59 0 元ヌンジャのしとソス;p; 蛇は売れなかったりグループに入れてもらえのかったしとたちは結構ソスな話多いおね^p; 未満都市に出てたなんとかくんらけは蛇辞めても電2か白鵬堂入社してむまくやってうんらっけ^p^ 906 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 37 08 O 902 えっ^p^ 907 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 37 33 0 902 高橋なんとかっていたおね^p^ 908 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 37 55 0 80年代のj-popってメロデーいい曲多いおな^p^ 909 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 38 10 0 亀らけろ 676にレスくれたこまりま^p^ こっぺたけやんだんぞあたりがいいのね^p^ ナルサスすきのももらちにお勧め聞かれたからたけくくあたりを 勧めてみるお!^p^ たけくく読んだことないれすけろ^p^ 910 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 38 40 0 902 最後の一人はたかはしなんとからお^p^ のりPと同じことやってタイーホされますた^p; 911 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 38 47 O 905 こはらゆーきくんらね^p^ こーいちくんのももらち役で、目にカラコン入れてたこ^p^ 912 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 39 20 0 902 高橋なんとかあいまもドラマの脇役とかで結構見るおね^p^ 913 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 39 46 O 蛇にんこ結構多いのね^p^ 914 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 40 35 0 911 やっぽしそっちか^p^! 唇が印象的らった覚えがある未満都市のころリア消だったもれ^p^ 915 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 41 32 0 905 蛇からのファンに電2行ってもストーカーされてたしとお^p^? 916 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 42 34 0 光げんじのもうたを持ち歌にしてうにんこはいっぱいいるとももうの^p^ 勇気100%ああったりきれ他にも終わらないスクールデイズとかしぇいきん・ないととか^p^* 917 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 42 38 0 もれ蛇ヲタらのいけろのっかの難民いると近畿勝利勝運あたりのヲタはでったいいるかあ詳しくなっちょう^p^ 古いGに関してはうあぱこももの頃は蛇に飛びつくこ多いかあその記憶れ^p^ 918 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 42 52 O 915 だおだお^p^ しかもストーカーしてたのは四十代のおなごらお…(((^p^))) 919 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 43 18 0 こももの頃あ確かにもれももれのももらちも邪ぬっきらったお^p^ 近畿らったけろ^p^ 920 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 44 31 0 918 蛇のしとも元蛇のしともみんなもちゅもちゅお;p; 921 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 45 03 O 現役蛇ヲタで蛇ドジンもぬっきらお^p^ 蛇ドジンは読み専らけろ^p^ 922 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 46 24 0 昔の邪ヲタのライブ映像…ひかるげんじと一緒に合唱してるお^p^ヌゲー^p^; 923 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 48 17 0 921 邪ドジンてグループ越えたケプとそうれないのグループ内ケプどっちが多いのお^p^? やっぽし後者かお^p^? 924 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 49 45 O 923 ダントツでグループ内ケプらお^p^ グループ越えケプでメジャーなケプはないしのあ^p^ 925 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 51 04 0 924 ほえー^p^ じょあ今邪ドジンで勢いあゆグループを主観れいいかあもしえてえ^p^ 世の中の流行りとあちまうのかしあ^p^ 926 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 51 18 0 922 もれがぬかしはまってたヌレ^p^ 三浦だいちのヌレもぬっきらった^p^ ttp //74.125.153.132/search?q=cache tEzR4EVcyq4J purelovsc.hp.infoseek.co.jp/h/1092206955.html+%E8%AB%B8%E6%98%9F%E5%92%8C%E5%B7%B3+%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3 cd=3 hl=ja ct=clnk gl=jp 927 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 52 07 0 924 じゃにーさんと蛇じゅにあのもほんとかあるのお^p^? 928 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 52 52 0 927 もれ噂らとももってたんらけろバビなのかしあ^p^じゃにーさんとじゅにあの×××^p^ 929 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 53 27 O 927 リアルれいやらん^p^; 930 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 54 20 O 925 荒らしは最近ドジン人気も出つつあるお^p^ 単純に数の多いケプは、近畿や勝運のメイン二人あたりかしあ^p^ 931 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 55 56 O 927 オンではみたことあるお^p^; 蛇兄さんはいわゆる当て馬攻めらったけろ^p^;; 932 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 56 38 0 928 れもじゃにーさんは受けって噂らお^p^ らかあ押さえつけてレイーポとかはなさそう パワハラれ入れろお!とかはあるかもらけろ…^p^ 933 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 56 51 0 927 そんなの出したあイベれハブにされそうらん^p^; 近畿のこーつよとつよこーはバトルぬごいんらおね^p; こーつよの知り合いがけちょんけちょんに言ってたお^p; 934 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 57 00 0 930 まりまり^p^ やっぽし昔かあ近畿あ多い芋毛あったお^p^ 勝運あ多そうな気がしてた^p^ 荒らしあドジン的にはやりだしたのねえ^p^ メンバが20代よか↑のグループあすしなしとはすしなんらけろ…って感じかお^p^ 935 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 57 31 O あと、片方が既婚者な割に、素地図の年上二人のケプは未だに根強い人気ら^p^ もちろんシャイニーマーメイド受けらお^p^b 936 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 57 47 0 931 蛇兄さんが当て馬ってまんかまろた^p^ 937 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 58 34 0 932 ぴい^p^;;; そえれも噂あガセれあってほしかった気もすう^p^;; ヌタマもアイドルパロしようとももえばできるおに、アイドルといふよりもユニットやバンドのがしっくりくるお^p^ 938 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 58 35 0 935 その言い方やめろお^p^腹筋しむ^p^ 939 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 59 29 0 935 腹筋らめえ>< …ってことあ、今きしりっすのCMにでてうのとシャイニーマーメイドか^p^ 940 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 59 39 O 荒らしはグループみんな仲良しが売りなのもあって、わりとケプは分散してるお^p^ でもグループ別に見たら、今一番ドジンが多いグループら^p^ 941 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 20 59 44 O 卍にいると腹筋ワードが増えて困るお^p^ 942 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 00 05 0 937 芸人が一番しっくりくうお^p^ 943 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 00 52 0 シャイニーマーメイド んhkにログ送るぞ (^ω^Wφ<他になにかあったっけ? 944 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 02 20 0 じゃにーさんが801じゃにーさんらったら、801じゃにーさん×邪じゅにあありそうらおに^p^ 945 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 03 25 O 943 腹筋ワード、少し人とずれてるからもれあログああんもし^p^ 946 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 04 27 O もれの腹筋あはっちの替え歌^p^ 947 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 04 53 0 http //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%BF%E3%83%87%E3%82%B3%E3%82%B3 あるぇ…‘p’? なんらかちまうところが・・・^p^ 948 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 05 22 0 もれはこっぺのなんで?ってああ^p^ 949 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 05 57 0 947 食品じゃねえwww^p^ 950 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 06 18 0 948 ^p^人^p^ 951 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 06 36 0 荒らしドジンちょっと興味出て三毛型れヌペ調べたけろもれのまつずん受はみゆきちゃんぐらいしかいのかったお^p; さくらっぷ受やあいばちゃん受が多いのあまかるんらけろリーダー受が確か最多でばびった記憶^p^ 952 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 06 43 O 947 > http //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%BF%E3%83%87%E3%82%B3%E3%82%B3 > > あるぇ…‘p’? > なんらかちまうところが・・・^p^ 953 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 06 48 0 948 Λ Λ Σ ヾ Σ ___ >_ Σ ∠/∵∴∵∴∵\ │ /∵VVVV VVV │ /∵│ ≡≡ ≡|_ Σ |∵│ (・)(・) | Σ |∪│ 」 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ V V|∵ | ____ | < なんで? \| \_/ / \_____ \____/ 954 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 07 09 O 947 VIPw^p^ 955 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 07 20 0 954 うんうんお^p^ 956 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 08 21 0 953 もっと会話内れ自然に出てきた方が笑えるお^p^ 957 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 08 32 0 943 ヨコハマタイヤと道祖神も追加してえ^p^ 958 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 08 41 0 956 Λ Λ Σ ヾ Σ ___ >_ Σ ∠/∵∴∵∴∵\ │ /∵VVVV VVV │ /∵│ ≡≡ ≡|_ Σ |∵│ (・)(・) | Σ |∪│ 」 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ V V|∵ | ____ | < そうですね \| \_/ / \_____ \____/ 959 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 08 46 O もれ3年てりんこのああが腹筋^p^ あとしたらばのトップ^p^ 960 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 10 09 0 1なあおじぽ仮面ともんもんお塩てんてがぬっきらった^p^ 961 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 11 14 0 もれこれがすし^p^  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ノ) . / ノ W^ω^) ./ アハ~ン♪ ( -、 ~⌒つ 962 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 13 58 O 961 かまいい^p^* かまいいと思ったあああ1ろがかさかさしてうやつ^p^** 963 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 14 02 0 961 はじめてみた^p^ 964 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 14 23 0 959 それ作成主両方漏れら^p^光栄お^p^ 965 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 15 40 0 もれごく最近のらけろヤシの木になったしゃくれたん^p^* あれもうほんとになんてなんてかんまいいんら´p`*** 966 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 16 56 0 964 もれしたらばトップのらいすっき^p^*** 967 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 18 42 0 965 ヽ / /⌒\ /ヽヽ|/⌒\ii|\ / /ヾゞ///\\| |/ |;;;;;;|/ハ \| |;;;;//⌒ヽ |;/( ^P^) . |{ ∪ ∪ |;;ヾ.,____,ノ |;;; | |;;;;;| |;;;;;| ヽ / /⌒\ /ヽヽ|/⌒\ii|\ / /ヾゞ///\\| |/ |;;;;;;|/ハ \| |;;;;/ /⌒ヽ |;⊂( ^P^)⊃ にんこぇ!!!!!!!!!!!!!!すきすきお!!!!!!!!!!!! . |.{ミ∪ ∪彡 |;;ヾ.,____,ノ |;;; | |;;;;;| |;;;;; 968 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 19 32 0 967 haaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa(ryaaaaaaaaaaaaaaaaaan´p`******** かまいすぎゆ^p^****** 969 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 19 34 0 965 おててバタバタさせてたやつらな^p^ かまいすぐう***^ii^*** 970 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 20 56 0 もれぬげえこまいもかおのヨコハマすし^p^ 971 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 22 25 O 970 よろ^p^ 972 :970[sage]:2009/09/12(土) 21 23 14 0 いってくうお三^p^ 973 :970[sage]:2009/09/12(土) 21 30 34 0 たったお^p^三 974 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 31 13 O 973 もちゅもちゅ^p^ 975 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 31 15 0 973 もちゅお^p^ 976 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 31 29 0 973 恙無くもちゅもちゅ^p^ 977 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 31 52 O 973 もちゅもちゅ^p^ 978 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 35 30 0 973 もちゅもちゅ^p^ 新ヌレ記念もれてい^p^ 979 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 36 33 0 そっし^p^ 間髪いれずもれてい^p^ 980 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 36 37 0 978 そっし^p^ 981 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 36 57 0 979 こっちもそっし^p^ 982 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 37 54 0 両方ともそっし@¥@ ここあもれていらろおJK@¥@ 983 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 37 57 O (≧∀≦)^p^*)<もんどりてい 984 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 38 41 O 983 そっし^p^ 985 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 38 48 O 両方そっし^p^ 986 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 39 18 0 983 そっしえ^p^、 987 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 41 15 O 990なああの子たちあ公式委員会夫婦^p^ 988 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 41 17 O にんこぇびらびらお!^(i)^ 989 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 42 05 0 988 ビラこ>< 990 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 42 36 0 にん子たちがピザるてい^)p(^ 991 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 42 48 0 987 委員会夫婦爆破^p^ 990なああの子たちあ公式夫婦^p^* 992 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 42 51 O 1000なら明日はみえない^p^ 993 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 43 13 O 990 ぱやたれっ^p^;そっしらん^p^;; 994 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 43 24 0 990 やらあ;p; そっし^p^ 995 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 43 36 0 990 そっしぃぃ^^p^^;; 996 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 44 22 0 997なあもれちゃん新たな神に出会える^p^ 997 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 44 23 0 996なあ47kれ思いもよらぬケプ爆誕^p^ 998 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 44 26 O 素股てい^p^ 999 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 44 30 O ノゝ`ワ´)ξ(゚σ゚)W^ω^)<あ~♪♪歌うてい 1000 :名無しさん@ビンキー[sage]:2009/09/12(土) 21 44 33 O 1000ならおじぽ増し増し^p^ 1001 :1001[]:Over 1000 Thread このスレッドは1000を超えました。 もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。 185 KB
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ないない尽くしとは、まさにこの事か、と、警官達は実感する。 人手もない、キャパシティもない、そして何より、希望がない。まるで、大海の水をコップ一つで全て掻き出す作業に従事させられているような。 そんな、終わりの知れぬ作業を、彼らは行わざるを得なかった。 事此処まで及んでしまっては、彼らの様な現場で一番下っ端の警官達。いや、聖杯戦争の参加者からNPCと呼ばれている彼らですら、認識する他ない。 此処 新宿 が、最早異常な街に成り果ててしまっている事を。余りにも立て続けに、異常な事件が頻発する。 黒礼服の殺人鬼の引き起こした大量虐殺や、度々発見される原形を留めぬ程破壊された人間の死体、 新宿 のみに起こる異常な降雨、 歌舞伎町で見られた謎の大鬼、所々で見られる黄金の光とそれの発生地で起る大破壊。そして、新国立競技場で起こった、未だ原因の知れぬ大量殺人etcetc……。 結論から言えば、連続して起こるこれらの大事件、それらの事後処理及び事情聴衆で、 新宿 警察署のキャパシティがオーバー。 事態解決の為に、 新宿 警察署が擁する、現場レベルから指揮官レベルに至る全ての人員を動員してはみるも、圧倒的なまでに人手が足りない。 故に、支援要請を他区の警察署にも出し、支援を得てはみても、それでもなお人が足りていないのだ。それ程までに、大事件が起こり過ぎている。 そもそも、上に上げた事件の中で、時系列がかなり早い方に位置する、歌舞伎町に現れたという鬼の大暴れ、それによって生まれたスクラップの自動車の、 撤去作業ですらまだ終わっていないと言う始末だ。勿論、この後の時系列で起こった事件の進捗など、語るまでもない、と言う奴であった。 数百人規模の警察官及び、優れた技術職の警官を本来ならば必要とする事件が起っていると言うのに、 事態を解決に導く為に必要な最低限の基準人数を満たす人頭ですらが、全く集まらない。 単純な話で、余りにも重大な事件が連続して一つの区内で発生する為、その人員を起こった事件の現場及びそれぞれの当該事件の調査に割いて振り分けねばならないのだ。 つまりは、分散だ。ただでさえ貴重な人員を、 新宿 で起こった多くの事件に適材適所、と言った風に配置していれば、足りる物も足りなくなる。 とは言え、これは間違った判断ではない。区内で今も、市民を怯えさせている事件の多くは、時間が解決してくれる類のものでは勿論なく、 寧ろその逆、早急の解決が要求されるものなのである。一つとして、他の事件が解決するまで保留、と言う選択肢が選べぬ大事件なのだ。 並行して、タスクを進めねばならない。しかしそれをやればやる程、解決までに掛かる時間が指数関数的に増えて行く。 現場の人間は終わらぬ作業に疲弊し、ブレーン役を務める人間は婦って湧いてくるような新しい難題に知恵熱を引き起こしそうになる、など。 およそ今回の 新宿 で起った事件、それに携わる警察関係者の中で、誰一人として楽を出来ている者など、いないのであった。 場所は、施設の質や大学自体が社会に広げている根、そして生徒の質。 どれをとっても、日本の私学の中でも最高峰の一つに数えられる、早稲田大学の戸山キャンパス。その近辺の交差点であった。 あの恐るべき殺人鬼が現れた訳ではないし、超常の力を操る魔人の類が姿を現した訳でも、全てを破壊するあの黄金色の爆光が降り注いだ訳でもなし。 では何故この場所に人だかりが出来ているばかりか、喧騒と混乱が今も渦を巻き、警察官達が、濡らして絞らないままの雑巾の如く、 制服を汗で滲ませながら忙しなく動き回っているのか。それは、一時間と数十分程前に起こった、不可解な出来事の故であった。 何の前触れもなく、幾つもの車両が突如として衝突・追突事故を引き起こし、更に、全く面識も関わりもない無関係の人間同士が突如として殴り合いの喧嘩を始めたり、 と言った、まるで突発的に発生する躁病めいて、奇怪な乱闘や車両事故が発生したのである。 喧嘩が乱闘に発展し、事故が事故を呼び、ヒステリーがヒステリーを招く。その様子は、人間の有する心理と理性のタガが外れ、封じられている獣性の解放・発露のようであった。 現在、この戸山キャンパス前で起こった集団ヒステリーは、猛暑の中で必死の思いで警官達が行っていた必死の尽力もあって、一応収束に向かいつつあった。 単純な話、騒動を起こしていた人間及び、現在進行形で喧嘩や乱闘をしていた者を現行犯逮捕及び隔離すると言う、病巣の切除めいたやり方をしていたからだ。 先ずは、事態をややこしくし、そして深刻な物にしようとする者のパージ。これが重要と言う訳だ。 一先ずは、血気盛んな人間達は粗方片付け終えたが、問題は、その者達が作り上げた産物の後始末である。 そう、殴られたりして気絶したり虫の息であったりしている人々や、事故車両の片付けは、遅々として進んでいない状態なのだ。 事故車両は牽引車が必要である為即自的な撤去は不可能であるし、軽重問わぬ傷を負った人間は、負った手傷の度合いや手傷の箇所・種別によって、 処置を一々変えねばならない。そして何よりも、負傷者を受け入れる為の病院が区の内外を問わず、パンク寸前ばかりか、病院への輸送手段ですら、 立て続けに起こる事件の影響で限界に達していると言う有様だ。そして何よりも、死体だ。不幸で哀れな話だが、警察が此処に介入した頃には、 決して少なくない死者が既に転がっていた状態だったのだ。打ち所が悪くて、と言う者もいれば、銃殺されている死体まであった。 これもまだ回収出来ておらず、この炎天下に放置状態。鼻をつく、吐き気を催すような死臭は既に当たりに充満。若手の警部や警官が、吐き気を堪えきれず吐瀉していたのが、随分昔の事のようにすら警察達には思えていた。 まさに、ないない尽くしである。 人もいない、キャパシティもない、そして何より、事態を解決へと導く為のヴィジョンも未来も展望もない。 賽の河原にいるかのような錯覚すら、この場にいる警官達は憶えていた。この上、茹だるような暑さが、彼らの思考も身体の動きも、緩慢なものにしていた。 警察官と言う職務上、事件の解決は優先されるべき事柄なのは、無論この場にいる誰もが理解している所ではあるが、此処まで手段がない状態であると、さしもの彼らもお手上げの状態になる。 せめて。せめて、怪我人だけは何とか病院にまで送るか、隔離させたかった。 車の撤去までは無理でも、まだ息のある怪我人や負傷者だけは、何とかして助けてやりたかった。 そして今は、それすら困難であると言う状態。自分達の組織力の限界を、こんな所で知らされ、己らの無力に打ちひしがれかけていた、その時であった。 現場に立ち入らせない為に展開させていた、黄色のバリケードテープの前に、一台の車が停まっていた。 黒塗りの、リムジンであった。マメな拭き上げや、コーティング処理を行っているのだろう。 宇宙空間を思わせるような、吸い込まれそうな程に黒いその車体は、ギラギラと光る太陽の光を全て吸収、どの角度から見ても、太陽の光を反射している様子はなかった。 サイドウィンドウ。勿論こちらも非常にクリアで、汚れも水垢も一切付着していない。大変綺麗なガラスであるので、このリムジンは購入したばかりの新品である、 と言うイメージを見る者に与えるのだ。だが、外からでは全く車内を窺う事が出来ない。フロントガラスからならある程度は窺えようが、 見えるのは運転席と助手席側のみ。後部席の方は、白いレースのカーテンで仕切られてフロントからでは見る事は出来ない。 此処にいる警官の中には、要人警護を担当した事のある者もいる。現与党の首相及び、各大臣の乗った要人警護車を白バイや警察車両で護衛した回数も、 十や二十では利かない程である。そう言った経験から抱く、当然の疑問。あの車には、何処の何様が乗っているのか、と言う事。 まさか今の 新宿 の現状で、リムジンに乗れる程の要人が物見遊山に来る筈がない。だが、万が一、と言う事もある。 現場の責任者である、中年の警部補が直々にリムジンまで駆け寄り、迂回して別ルートから目的地へと移動する様にと注意しようとする。 大方、カーナビの案内ルートと此処が被ってしまったのだろう。警部補の男はそう考えたし、そう思ったのも何の間違いもないだろう。 ――だが、男は知らなかった。 自分の予想の半分は正しく、もう半分。このリムジンに乗る主が、己の意思で此処まで近づいた、と言う事実を。 リムジンの後部ドアが開き、その何様が、炎天の下に姿を現す。 皆の動きが、静止した。 怪我人に声掛けや簡易的な治療を施している警官達。事情聴衆を行う警官及びされている被害者。現場検証を行っている鑑識。 バリケードテープ越しに警察達を眺めていた野次馬。そして、リムジンに近付いていた警部補。 いやそれどころか、この場に在る全ての自然現象が、停止した様な錯覚すら、この場にいる全ての人間は憶えていた。 ありとあらゆる音が遠い。蝉の鳴き声、スマートフォンから流れるメロディ、己の心臓の拍動すら、彼らには聞こえていなかった。 全ての意識が、目線の先に佇む、美麗な白闇に注がれていた。自分達と同じ、人に似た形をしていながら、その実、自分達と同じ人間である、と定義する事を絶対的に憚ってしまう程、美しいその何者かに、だ。 「治療を欲するかね」 この男を再度、神が作ろうと志しても、最早その試みは二度と叶うべくもないだろう。 疫病に当てられ熱に魘されていたか、浴びる程飲んだ酒が齎す酔気の魔力を借りていたか、或いは、狂気に当てられていたか。 どちらにしても、神であろうとこの男を再び創造する事は、最早不可能なのであろう。一時の気分の高揚、軒昂。それらが最高頂度に達した状態で、かつ、 技の冴えも合わせて最高度に達していた状態で作られたような、自身を生み出した美の神よりもなお美しい男。ドクター・メフィストは、人・神・魔、その誰であろうとも、その美声を再現する事は出来ないのであろう。 その言葉の意味を理解するまで、どれ程の時間が経過したであろうか。 メフィストは、何も大声を上げた訳ではない。尤も、この男が声を張り上げる様な事など、世界が終焉を迎え、 地球が真っ二つにならんばかりに深い裂け目が大地に刻まれようと先ずあり得ないだろうが。ただ男は、平素と変わらぬ大きさで言葉を紡いだに過ぎない。 それなのに彼の声は、この場にいる文字通り『全員』に、距離的な問題を一切無視して均質に響き渡った。 言外不能の美しさの持ち主のあらゆる仕草は、物理の法則すらも超越するようであった。大気と風を司る精霊は、義務感に満ちていたのかも知れない。 この男の美しい声は、世界の遍く所にまで送り届けねばならぬと。故に、声が均質に響いたと説明されても、誰も彼もが文句を言う事はないであろう。 しかし……メフィストの言葉の意味を理解している者は、今の所誰一人としていなかった。あまりにも簡単な話だ。今もメフィストの美しさに、圧倒され過ぎていて身体の全てがフリーズしているのだ。故に、理解も出来ない、言葉すら発せられない。唐突にメフィストの姿を見てしまったせいで、この場にいる百人を優に超す人間達は、一切の例外なく、白痴の状態に陥ってしまったのだった。 「……あ」 三十秒程は、経過したろうか。最初に意識を取り戻したのは、メフィストから最も近い位置にいた、現場の責任者。中年の警部補であった。 三十秒と言うと、余人にとっては短い時間であろうが、それは正常の時空を生きる者の感覚だ。魔界医師の美に当てられた者にとっての一秒は、 それこそ一時間、いや、一日、一年にも匹敵しようかと言う程の、永遠のそれにまで延長される。意識の戻った警部補は先ず、驚愕した。 体感していた筈の時間と、実際に過ぎ去っていた本来の時間。その差異が、余りにもかけ離れていた事に、だ。昼夜が幾度も幾度も繰り返されたような感覚を味わっていたのに、実際には、一分程も経過していなかったのだ。 「今一度、訊ねても宜しいか」 メフィストが再度問う。目線と身体の向きを、警部補から外している。真正面から直視すれば、再び先程の状態に陥るだろうからだ。 メフィストが無礼なのではない。寧ろこれは、メフィストのみが行って許される、最大限の配慮なのだ。美そのものたる男が凡人と相対する時、このような迂遠な手順を踏まねばならない。美し過ぎるのは、ある意味で面倒でもあるのだ。 「治療を、欲するかね」 「ち、治療……?」 メフィストの口にした言葉を、間抜けの様に鸚鵡返しする警部補。 「見た所、怪我人の治療に相当難儀しているもの、とお見受けしたのでね。私の拙い治療で宜しければ、事態解決の手伝いをしてさしあげたい、と思った次第だ」 メフィストの言葉を朧げに理解した警部補。掠れるような声で、「は、はい……」と口にしたのを、メフィストは聞いた。 「我が治療の門戸を叩く者に生を」 そう口にするや、スッ、と警部補の横を通り過ぎるメフィスト。 バッと、警部補が振り向くと、既にメフィストは怪我人の一人の下に足を運んでいた。顔を殴られ続け、顔面の形が変形してしまったばかりか、歯の何本かが折れ、 鼻の骨も頬の骨も滅茶苦茶に砕かれてしまったOLが其処にいた。そんな状態の彼女ですら、メフィストの姿に痛みを忘れて茫乎としているではないか。恐るべき、美の魔力よ。 メフィストは、滅茶苦茶にされたそのOLの顔を、右手で撫でるように触れて見せた。 ――果たして、誰が信じようか。その動作一つだけで、その女性の変形した顔がテレビの逆再生の如く巻き戻って行き、元通りの顔になったなど!! その場で応急処置にあたっていた警官は勿論、治された当のOL本人ですら、信じられないと言うような、愕然とした態度を隠せていない。 礼など要らぬ、と言わんばかりに、メフィストは彼女らに背を向ける。完治させた患者や怪我人には、メフィストは一切の興味関心を払わないのである。 次にメフィストが向かったのは、電柱に正面から激突し、バンパー部分を電柱にめり込ませたセルシオの所であった。 一応内部がサイドウィンドウから確認出来るが、エアバッグがしっかりと作動していた為、命に別状はない。だが、正面衝突のせいでドアの形が変形して、 運転手が出られないばかりか、激突の際の衝撃で足を何処かにぶつけたか。アクセルを踏んでいた右足が、曲がっては行けない方向に折れている事に、 メフィストは気付いていた。兎にも角にも、先ずは運転手を外に出さねば話にならない。だが、ドアが歪んでいる為に、普通の手段では開けられない。 それこそ専用の器具を持ちいて、力付くにでも抉じ開ける位しか、この場合方策はない。 それなのにメフィストはドアに手を掛け――歪んでいるとか変形しているとかそんな事は一切お構いなしに、ドアを開けた。 誰が信じられようか、普通ならば動かす事すら不可能な状態に歪んだ扉を、解き慣れた簡単な知恵の輪でも分解する様に、メフィストは普通に開けて見せたのだ。 エアバッグとシートに挟まれた状態の運転手を外に出させてやるメフィスト。その時には既に、運転手の脚は元通りになっていた。 「え、あれ……!?」と、混乱を隠せないでいる。それはそうだ、地に足をつけても痛みを感じず、姿勢も崩れず。平然と直立出来ているのだから、つい数秒前まで脚の骨が折れていた当人からすれば、不思議としか思えないだろう。 確固たる足取りでメフィストは、怪我人の下へと足を運び続ける。 肋骨が折れた者の胴体を服の上から撫でる。骨が独りでに動きだし、元の所に収まり、完全回復する。 勢いよく殴られたせいで目が飛び出している人間の目を摘まみ、押してやる。目が綺麗に収まったばかりか、低下気味であった視力が両目共に復活する。 頭蓋骨が陥没してグッタリしている子供に近付き、羽織っている白いケープでふわりと頭を撫でる。パチ、と子供は目を開けて立ち上がり、自分の身体の変化に戸惑っている。 そんな事を繰り返す事、十回程。 特に命に深刻な影響を与えかねない怪我を負っているNPC達を粗方治し終えたメフィストは、用は済んだと言わんばかりに、降りて来たリムジンの方へと戻って行く。 「さしあたって、命に関わる傷を負っていた者は治療した。時間さえあれば、他の怪我人も見たい所ではあるが……私はこれから人に会わねばならない。この辺りで、此処を去らせて貰おう」 「あ、あの――」 「御心配は不要だ。君が私に助けを求めた瞬間に、当院の救急センターにTELを送っている。当院に属する救急救命士は頗る優秀だ。じきにこの場に着くであろう」 独りでに、リムジンのドアが開く。リムジンの運転手が操作しているらしかった。 車内に入ろうとするメフィストを、警部補が引きとめる。「待って下さい!!」、その言葉を絞り出すのに、男は、四十年以上生きてきた中で、一番の勇気と度胸が必要となった。凶悪犯の立て籠もりの事件を指揮した事もあるし、逆上してナイフを取り出した犯人を取り押さえた事すらある、この男がだ。 「あ、貴方は一体……」 「怪物を見るような目をされるのは、心外だ。医者以上の何者でもないよ」 そう言ってメフィストは己のケープの裏地から、一枚の長方形の白紙を取り出す。名刺であった。 これを、白磁に万倍する白さと艶やかさを保有する指で挟み、警部補の方に差し渡した。それを恐る恐ると言った様子で彼は受け取る。 メフィストの名前と、彼が管理運営しているメフィスト病院の院長の肩書、そして、病院内の救急相談センターと、救急センターの電話番号が、其処には記載されていた。 「お困りならば此処に電話を掛けたまえ。当院は、病める者、傷付く者の聖域であるが故に」 其処でメフィストは、リムジンの後部席へと入り込み、それを運転手が確認するや、ドアが閉まって行く。 メフィストから貰った名刺を眺めていた警部補は、エンジンが音もなく掛かり始め、スッと来た道を戻り始めたリムジンに、漸く気付いた。 「待って下さい!!」、と引き留めている事が、メフィストにも解る。核が轟いてもその爆音をシャットアウトしきる、完全防音の性質を付与した金属であるが、 メフィストのみは何故か、外部の声を聞く事が出来るのである。しかし、それを異常だと思う者はかの魔界都市には誰もいない。誰もがそれを、当然だと思うのだ。何故ならば彼は、ドクターメフィストであるが故に。 それに、止まれと言われて、最早止まれないのだ。 メフィストが先程言ったように、彼はこれから人に会わねばならない。いや、厳密に言えば、人に制裁を加えねばならない、か。 怜悧な表情からは想像も出来ないだろうが、今のメフィストは、嘗てない程の怒りに燃えている。 それを表情や挙措に億尾にも出さぬのは、そう言う次元を越えて、今のメフィストは怒っていると言う事なのである。 向う先は、百人町の高級ホテル。そして其処にいる、ロザリタ・チスネロスと、彼女を保護する何者かの下。 メフィストの双眸は、超高高度の山峰の頂点に、数万年以上もその形を保ち続ける、一粒の氷の如くに冷たく、無慈悲に煌めいているのであった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 人が思う以上に、キャスター・タイタス一世の仕事は多かった。寧ろ、多忙を極ると言っても良いのかも知れない。 タイタスは基本的に、百人町はムスカが宿泊している高級ホテルの地下、其処を異界化させた空間に鎮座し、諸々の作業を行っている。 暗所に引き籠っている訳ではない。そもそもキャスターは籠城戦を旨とするクラスだ。キャスタークラスに有るまじき近接戦闘能力を誇るタイタスと言えど、 赤コートのセイバーや黒軍服のバーサーカーであるクリストファー・ヴァルゼライド、などと言った恐るべき戦士達を相手取れるかと言えば、それは難しい。 王は運命を左右する程の決断を幾度となく迫られる存在であるが、今彼らと雌雄を決するのは時期が早い。つまり今の時期は、必然的に雌伏の時と言う事になる。 こんな地下に閉じ籠っていてもなお、やるべき事は山ほどある。 行うべき事の一つ目は、自身の配下である夜種の創造である。極めて低級な子鬼や獣鬼の類であるのなら、簡単な知能を搭載した低級夜種を働かせて作らせる、 と言う事も可能であるが、少し上等な夜種――つまり、魔将及びそれに準ずる格の者を作ろうとするとなると、これはタイタスの領分になる。 とは言え魔将は同じ存在はこの世に二体同時に活動させられない上に、一度葬られた魔将を再度想像するとなると、かなりの時間と魔力が入用になる。 中~上級の夜種となると、同じ個体を現世に同時活動させる事は可能になるが、これもまた魔将程ではないが、時間と魔力が必要となる。 つまり、低ランクの夜種と比較して人並の知能とそれなりの強さを兼ね備えた夜種となると、その数は少ないのである。食物連鎖の下位と上位の関係に似ている。 生前タイタスが練っていた計画の為に運用していた数に比べれば余りにも微々たるもの。だから、中~上級の夜種は、外に放つよりも寧ろ、 このホテルの地下から上部に至るまで放って置き、此処を警備させると言う方法で活用していた。そしてこれらの夜種は、タイタスの片腕である魔将・アイビアと並行して、タイタスは創造を続けていた。 次にタイタスが行うべき仕事は、道具の創造である。 つまり、武器や防具や礼装の類及び、アルケア帝国の史書や詩集、戯曲に戦記に小説、果ては骨董品などと言った類である。 武器や防具を作る理由は単純で、タイタス自身及び、魔将の面々や武器の扱いに長ける夜種の強化や、他ならぬ運命共同体であるムスカの保護と言う大事な面がある。 次に史書や詩集に骨董品と言う、文化面の側面が極めて強い道具を作る理由は、自身の宝具である『廃都物語』の効果をより高める為である。 廃都物語の魔力収集の効率を高める事は、目下最大の目的である。そもそもムスカが表社会で暗躍を続けていたのは、正しくこの目的達成の為であった。 勿論タイタスも、この任務を遂行する為に腐心している。自身の居場所が特定されないよう、しかしそれでいて、自身の名である『タイタス』の名は広めさせるような工夫を凝らし、現在は 新宿 を中心としてあらゆる所にアルケアの伝説を流布していた。 そして最後の仕事とは他でもない、聖杯戦争の戦局の注視である。 サーヴァントである以上タイタスが、聖杯戦争の推移を注意深く見守る事は、当然の義務である。況して、他クラスよりも戦局の見極めが重要となるキャスタークラス。 舞台の何処で、何が起こったのかの把握は、特に肝要となる。だからタイタスは 新宿 の至る所に、己の視界とリンクさせた、不可視の使い魔を哨戒させていた。 その数は決して多くない。何せ彼らに施した術式は極めて特殊なそれ、優れた魔術師であるのなら、この術式から逆に、タイタスの位地を逆探知しかねない。 さりとて、 新宿 の状況を監視しない訳には行かない。だから、哨戒や監視を担当する使い魔は、その任の重要さに反して少ない。少数精鋭で臨んでいた。 場所は、タイタスが異界化させたホテル地下。その地下の更に地下の、そのまた最奥。 つまり、夜種や歴代皇帝、そして魔将達が『地下玄室』と呼ぶ空間の最深部、タイタス一世のみが入室出来る、始祖帝の間であった。 現在彼はそこで、戯曲の編纂に精を出していた。無二の友にして、彼が認める討竜の勇者、万夫不当の大英雄であるク・ルームの活躍がテーマであった。 タイタスはこの戯曲を、アルケア帝国で用いられた言語は勿論、彼が生きた世界の言語でもなく、この世界の言語で執筆しているのだ。 日本語、英語、中国語……主要だった言語は凡そ、タイタスは極めている。語学の極意を極めたタイタスにとって、新たな言語を学ぶ事など赤子の手を捻るが如き。 今ではムスカ以上に、この世界の言語に精通し、当世風の表現を用いて多くの作品を世に流通させているのだ。 纏めると、タイタスの仕事と言うのは、以下のようになる。 『聖杯戦争の推移を注視しこれについての戦略や作戦・計画・サーヴァント達の対策を立てつつ』、『下級~上級までの夜種を常に生み出し続け』、 『一時間~二時間の間に原稿用紙百~三百枚分もの量に相当する史書や詩集、戯曲等を新たに執筆・推敲、完成させ』、『これらの合間を縫って彼自らが武器や防具・骨董品を自作せねばならない』、と言う事だ。 凡そ殺人的なスケジュール、と言う言葉ですらなお形容と修飾が足りないであろう。人間にはどだい、並列して行える作業と業量ではなかった。 しかし、これを実際に人の身でやれてしまうと言うのであるから、史書に記される偉大なる王としての逸話が箔付けのそれではなく、真実の物であったのだ、 と言う事が伝わって来よう。そう、王が偉大である為には、その気風やカリスマのみではない。知恵や肉体に至るまで。 凡夫の百倍、いや、千倍の質を誇っていなければならない。その事をタイタスは、この働きぶりで如実に証明しているのである。 この世界に足を運んでから、二十と六作目の新作を書き上げ終えたタイタスは、手にしていたクイルズ(羽ペン)をテーブルの上に置いた。 御影石や大理石とはまた違う、しかし、見ただけで『値の着けようがない』程の価値であるのが解る石材を削ったテーブルである。 机には金や宝玉、種々様々な宝石が埋め込まれており、それが、タイタスの圧倒的な権威と偉大さで作らせた物である事が伝わってくる。 本来この部屋に置いてあったのは机ではなく棺であったが、今はそれは験が悪い。タイタスは棺の代わりに円卓を用意させ、これを執務机として利用していた。 席に腰を下ろし、頬杖を付きながら物思いに耽るタイタス。 ムスカがこのホテルに五体無事で帰って来てから、始祖帝の心を掻き乱すのは、虚無の黒海に堕ちた新国立競技場での一件であった。 サーヴァントとしての実力を最高峰のそれに連ねているタイタスは、如何な強者に相対したとて、その心を焦燥させる事はない。 赤い外套を纏い、己の背丈に近しい大剣を苦も無く振う剣士も。青い外套に腕を通し、神の速度と悪魔の技量を乗せて細身の剣を操る剣士も。 黒い軍服に身に着けて、黄金色に光り輝く剣を操る狂戦士も、四枚の黒羽を操る恐るべき魔女も、破魔の弓術を憶えた銀色の髪の美女も、少年の姿をした悪魔の王も、、 天候を操り裁きの稲妻を叩き落とす隻眼の女戦士も、黒い礼服を羽織った恐るべき殺人鬼も、夢を操る不思議の青年も、虹の刃を振う少女も、悪意の鎧を纏う長躯の鬼も。 警戒するべき存在ではあったが、新国立競技場を監視していた使い魔の存在に気付けなかったと言う点では、まだ安心が出来る。 タイタスが真に注目していたのは、『那珂ちゃん』と自分を呼ばわっていた、可憐な少女であった。 強さに関して言えば、あの場に集っていた面子の中では下の方であろう。美しさにしても、分があるとは言い難い。 そんな女性がどうして、タイタスの興味関心を引けたのか。それは実に簡単な話で、『タイタスの使い魔を無力化させていた』からである。 あの競技場の顛末を見届けていた使い魔は、一体だけではない。あれだけ大規模で、今後の聖杯戦争の行く末をも決めかねない戦闘が起っていたのだ。 タイタスは四体の使い魔をあそこに派遣させ、多角的にサーヴァント同士の戦いを監視させていたのである。 その内の、四体。競技場内部に侵入させ、至近距離で事の様相を監視させる為の二体と、元々フレデリカライブを見届ける為に派遣させた一体。 透明化させていたこれら三体を、那珂を名乗る少女は、自分の歌で透明状態を引っぺがさせ、その姿を白日の下に露にさせ、使い魔達をその場から動けなくさせていたのである。 それだけなら、まだ良かった。 本当に命の危機を感じたのは、使い魔の見た物をリアルタイムでその視界にリンクさせていたタイタスである。 那珂の歌で身動きの取れなくなっていたサーヴァント達からは、絶妙に見え難い位置で実体化してしまっていた使い魔達。 彼らを通じてタイタスも勿論、那珂の歌唱の様子を見ていた。――結論から言う。『タイタス自身も、那珂の歌う謎の歌唱の影響で、身動きが取れなくなっていた』。 時間にして四分三十一秒。その間タイタスは、金縛りにでもあった様に、座ったままの状態から一歩も身動きが取れなくなってしまっていたのだ。 正に、無力な状態その物。この間にサーヴァントの襲撃にあっていたのなら、たちどころにタイタスはその命を散らしていただろう。 悲痛な声を上げタイタスを救助しようとアイビアがあの手この手を尽くすも、全くタイタスの金縛りは解けない。那珂の歌が関係している事は間違いなかった。 指一本動かす事は勿論、タイタスは言葉すら発する事が出来ず、魔術を組み上げる事も不可能な状態の為、その身を縛る不可視の縄を解く事も出来ない。 つまりタイタスは、那珂が歌い終えるまでの四分三十一秒もの間、ずっと行動不能の状態に陥っていたのである。 この後、タイタスを間接的に動けなくさせていた使い魔達は、どうなったのか? ……『消滅した』。 夜の神・ミルドラの化身を想起させる、恐るべき少年の悪魔が生み出した、黒い泥。使い魔が動き出し、退避しようと動き出したその時、泥は彼らを呑み込み、一切の抵抗すら許させずその三匹は虚無に堕ちていったのである。 己の虎の子である監視用の使い魔を滅ぼされたのは、痛手も痛手。 だがそれでも、新国立競技場の様相を最後まで見届けられたので、差し引きプラスと言う所だ。 高度数百m上空を飛行させていた、競技場を監視していた最後の使い魔一匹。結局これが、あの場所の顛末を見届けるのに一役買っていた。 この個体だけは那珂の影響を受けなかったと言う事は、あの歌は一定の距離を離すと呪(まじな)いとしての効果が消え失せる可能性が高い。 距離的に数㎞も離れていたタイタスが行動不能に陥っていたのは、視界をリンクさせていた使い魔が、那珂の歌の効果範囲内にいたから、と言う可能性が高い。 距離を離していたとて、『実際歌っている姿を見ている見かけ上の位置が効果範囲内のそれであるのなら、那珂の歌は問答無用で効果を発揮』するらしかった。 ――那珂とやら……恐るべし―― よもや魔術を極めたタイタスを、遥か遠くから金縛りにさせるとは、並の事ではない。 あの特徴的な装備や、歌唱或いは祝詞(のりと)を以って不可思議を成すと言う技術。それらから考えるに、那珂なる少女は、さぞや名のある巫女であったに相違ない。 恐らくは生前、彼女は数多の神殿に求められ、あらゆる礼を尽くされていたのだろう。世が世であるのなら、諸侯を超える権勢を誇っていた事は間違いない。 アルケア帝国でも、彼女の程の力ある巫女であったなら、始祖帝は相応の地位と財を約束していただろう。それ程までに、那珂は優れた巫女であった。 あの少女は特別警戒しておく必要があろう。そしてもしかしたら、なら。アーガの都を天に結ぶ為の、キーになるかも知れない。利用価値は、多分にあった。 聖杯戦争の前途は、タイタスであろうとも決して明るい物ではない。 その事を認識しながら彼は、一息吐き出した。まだまだ、仕事を続けねばならない。そう思い立ち、再び羽ペンを手に取ろうとした――その時であった。 ――タイタスのいる部屋が、揺れた。 いや、この部屋だけではない。ホテルの地下全体に広がる、異界化した墓所全体が、揺れているではないか。 錯覚では、ない。何事かと思い、タイタスは急いで部屋から飛び出す。揺れの強さから考えるに、震源は此処から近い位置である事を確信したタイタス。 始祖帝の間へと繋がる、渦巻き状の螺旋階段を一度の跳躍で登り切る。高度にして六十~七十m近い高さを、タイタスはジャンプの一回で登頂し終えた。 恐るべき鬼気が、タイタスの身体に烈風の如くに叩き付けられてゆく。 後階段を十段上がると、震源となった場所に赴く事が出来る。其処は、大河の国から湧き出た水によって形作られた泉へと繋がる、鍾乳窟であった。 尤も、今現在 新宿 に産み出したこの墓所の異界に存在する泉の水は、女神アークフィアの霊力の満ちた正真正銘本物の神水ではない。 あくまでも、普通の水より澄んでいるだけの麗水に過ぎない。そんな物を態々タイタスが墓所に配置したのは、言ってしまえば彼なりの懐古の念であった。 その泉の方向から、タイタスが――いや、正真正銘本物の始祖帝ですら、感じた事などなきや、と思わせる程の妖気が噴出しているのである。 何者か。タイタスはまずそう思った。そして、これだけの妖気を醸す存在でありながら、墓所の最奥に等しいこの空間まで、夜種一匹にも気付かれずやって来れたのか。 急いでタイタスは階段を駆け上がり、ドーム状の広大な鍾乳洞へと躍り出る。全く同じタイミングで、タイタスが出て来た階段とは正反対の位置にある、 タイタス二世を幽閉している石室からク・ルームが飛び出して来た。『来るな!!』、と彼を目で制止させた一世。 驚愕の表情を浮かべながらも、その意を受けてク・ルームが立ち止まった。始祖帝は一人で、泉へと繋がる漏斗状の階段を駆け下りて行った。 水晶を思わせる透明度の水の上に、果たして、水面に浮かぶには全く矛盾はなくしかし、この場で浮かんでいるには余りに不適当なものが遊弋していた。 船である。タイタスの時代によく見られた櫂船であるが、その船体の色は夜の闇を煮溶かして塗料にしたように黒く、船首は竜か蛇の如くに逆立っている。 マストが二本ついている所から、帆船である事は疑いようもないが、何故だろう。この船は、風の頼りなどなくとも、自律的に動ける、 と言うような根拠のない確信がタイタスにはあった。この船は、魔船だ。悪魔の行軍を地上へと送り込む為に、地獄の底で生み出されたナグルファルだと、 言われてもタイタスには信じる事が出来た。この船が、勢いよくこの場所に漂着した事が原因で、揺れが起こったのだろうと言うのはタイタスも既に知っている。 では、この船は一体何なのか。そして、この船を操る悪魔とは――? その事だけが、今はタイタスにとって気がかりであった。 「……誰じゃ」 ――いや。この声は、悪魔、か? 妖美かつ妖艶な、女の声が、船の方から聞こえてきた。この声の主は、姿を見るまでもなく美しい。 そんな確信が、タイタスにはあった。斯様な美声を授かって生まれておいて、その外見が醜女のそれであるなど、人界に生きる人間にとっての裏切りである。 姿を見せぬが故に、その声の持ち主とは? と言う事を想起せずにはいられない。この声の主は間違いなく、女神に例えられるべき美女であり――悪魔に例えられるべき、悪女である。タイタスは優れた直感能力で、船の主と思しき存在の事をこう認識した。 「余の墓所の深部にまで、船を引き連れ、誰に気付かれる事なく入り込めたその手腕。見事な腕だと称賛しよう。姿を見せよ。褒めて遣わす」 常ならば、己の卓越した魔術の腕で、目の前の船など木端微塵にしていた所である。 だが、今はそうではない。この船の女主人を、己の目でタイタスは見て見たかったのだ。一体、何処の誰が、自分の墓所に入り込んだのか。 その勇敢な女傑の姿を、その目に焼き付けておきたかったのである。人類が宿す、根源的感情の一つ、知的好奇心。タイタス程の男であっても、その根源は消せなかった。 ――そして女性が甲板に姿を露し、船首まで足を運んだその時。 タイタスは、己の身体が稲妻で貫かれるような衝撃を、憶えてしまった。零れんばかりに見開かれた両目に映る、船首から此方を見下ろす女性の姿。 仄暗い泉の間が、月輪が放つ高貴な光に満ちたと言う錯覚を、この白貌帝は憶えた。月が、この間に堕ちて来たという錯覚を覚える程、部屋の光度が上がった。 そしてその月とは、船首に佇む女性の事であった。まともな者なら、直視出来まい。白子(アルビノ)のタイタスよりもなお白く、白雪が汚泥にしか見えぬ程純白の肌を持った、あの美女は、一体――。 「貴様が、私を褒めるじゃと?」 後ろ髪を伸ばした、全裸で黒髪の女性。言葉だけで大雑把に外見を語るのであれば、これに尽きる。 だが――余りにも、美し過ぎた。俗世の塵埃から遠くかけ離れた山の頂にのみ降り注ぐ澄んだ月光。これのみを集めて人の形にすれば、この女性に……いや、なるまい。 この女性は人為的にも、そして神の意思によっても生まれる事はない。神や悪魔ですら振る事の許されない賽子、それを幾千幾万個も振い、 その全てが同じ目を出す確率よりも、目の前の女性が生まれる可能性は低いだろう。天文学的可能性、と言う言葉ですらまだ温い。ゼロだ。彼女が生まれる可能性は。 しかし、もしもそのゼロが覆されるとしたら? それをこそ、もしかしたら奇跡と呼ぶのかも知れない。そして、その奇跡の末に生まれたのが、この女性なのだろう。 が、その奇跡は人類にとって間違いなく、正しい意味ではない事は確かだ。タイタスもまた、それを肌身で実感していた。 この女性は、生まれて来てはならなかった。美の到達点、誰もが夢想するも成就する事も生まれる事もない、美のイデアとして人心を惑わすに終わらせておけば良かったのだ。だが、彼女は現れてしまった。人界に混乱を齎す為に。神『無き』世界を、神『亡き』世界へと変えんが為に。 そう……姫と呼ばれるこの女吸血鬼は、存在自体が罪であり、悪なのだ。 その美の故に、男を惑わし、女ですら破滅させる。そして、内に燻る邪悪な性根の故に、国と世界とを破滅させる。 極点に達した美貌を以って此方を見下ろす女は、疑いようもない、混沌の化身である事を。タイタスはその神域の叡智を以って理解したのであった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「貴様が、私を褒めるじゃと?」 その声音には、果てぬ嘲りと侮蔑の念が込められている。 この声だけで、マゾヒズムの気がある男は意識を失うだろう。同じ女性であっても、永劫の隷従を思わず誓ってしまいかねない程の、カリスマ性がその声には秘められていた。 「読み違いも甚だしいぞ、白子の賤夫よ。王や帝王と言うのは常に思い上がる。この私に褒美を与えるのだ、と、誰も彼もが口にする。違う。『貴様らが褒美を献上するのを私が許し、褒美を与える事を私が私自身に許す』のじゃ。貴様ら如きが私に褒美を与える等、思い上がるな下郎め」 何と言う、唯我独尊ぶり。 この女性にとって褒美とは、賜る物ではない。献上される物であり、そして、献上する事にも許可がいるのである。 そして、気が向いた時に彼女自身が与える物でもあるのだ。世界の中心に自身がいる、そんな強烈な自負心と倨傲がなければ、こんな言葉は口に出来まい。 だが、その思い上がりが、全く間違っていないとタイタスにですら理解させてしまうのは、姫が発散する、地上の人類には醸し出しようもない『高貴』の気風の故なのであろう。この自信は、何処から来るのか? その美か? それとも――タイタスですら戦慄を覚える程の、その強さからか? 「……成程。世の言の葉がそなたの不興を買ったと言うのなら、このタイタス一世。その非礼に詫びよう。そして、あるがままに余はそなたと接しよう。尤も、悪魔の王と接した過去は、ないが故。多少の無礼には目を瞑って欲しいが」 「ほう、私を指して悪魔の王、か。愉快な感性を持っておるの、白面の者よ。それに、纏う運命も良い。暴君にして名君となるべき星と相を背負っておるな、貴様」 様々な諸侯、様々な王は勿論、『神』すら目の当たりにした事もある姫は、始祖タイタスの霊性をその炯眼で見抜いていた。 姫が嘗て見て来た、王や皇帝、帝王を自称するあらゆる男達の中でも、目の前のタイタスは、『王』としての資質を特に高いレベルで備えている。 時代が時代なら、この星全土を全ていただろう。王は神よりその支配権を神授された、地上における神の現身に等しいと言う。 勿論現代においてそれは絵空事に等しい考え方であるのだが、タイタスの場合は、この絵空事が事実だったのでは、と思わせるに足る気風があるのだ。 姫ですら認める、王としての器の持ち主。白子の王・タイタス一世が、並ではない事を如実に示すエピソードではあるまいか。 「幾度か、問い掛けの機会を設けさせて欲しい」 「赦す。心と頭に渦巻く謎、言葉の閃きを以って祓って見よ」 姫は船首から降りない。タイタスは、姫を見上げる形で言葉を交わす事になる。 地上を我が物顔で闊歩していたあらゆる種族を討伐し、支配・幽閉させた偉大なる王を、下に立たせて話させるのだ。 正に、人界の王など自身の悦楽を満たす為だけに存在する玩具としか思わぬ姫だからこそ出来る事であった。そしてタイタスは、その事について憤らない。 何せ『この』タイタスには、自身が嘗て王ではなく、王となる以前、誰かの付き人として活動していた時期があったと言う記憶が備わっている。 誰かを立てる、と言う事についてはタイタスと言う男は実は慣れているのだ。だから今更、姫に大上段に構えられても、怒りはしないのである。……とは言え、姫程の存在にこんな振る舞いをされて、怒れる王が存在するのか、と言う疑問の方が、寧ろ尽きぬが。 「一つ。そなたは、何者か」 「好きに呼べ。そして、好きに思え。それが、私になる」 事実、姫には名前はない。姫・妖姫・妲己・マーラ・サロメ……過去にこの女が名乗った事のある名は、この他にもまだまだある。 そしてそれらの名前のいづれもが、尊崇と憧憬、そして、畏怖と恐怖を以って歴史の表裏に刻まれて来た。 だが、これらの名前ですら便宜上の名に過ぎない。それもその筈、姫は、己を定義する名を授からずに生まれて来た。 名とは、入れ物である。水を溜める瓶であり、桶である。姫の美とは、定義されない――出来ない――美だからこそ、美しいのだ。 姫は、己の存在は定義されてはならず、言語される物でもないと思っていた。自分自身の在り方を固定化させる『名付け』と言う行為は正に、 何かを縛ると言う上で最も重要な行為の一つ。だから姫は、名を持たないし、持とうとも思わない。 しかし、名前がないとコミュニケーションを取る上で不便に陥るのもまた事実。だから彼女は、誰かに名前を認識させるのだ。 これが私の名であると、思わせるのである。その行為自体に、なんの意味もない。何かの呪いですらない。自分を見てそう思い、そう名乗ってみたいのならばそうすればよい。それが、自分になる。姫はそう考えているのである。 「では、『ミルドラ』と、余はそなたを呼称する。その名は、我が世における夜の女神の事を指す」 「ほほ、夜を司る神に女が多いのは、貴様の世界でも同じ事か。ならば、その名で私を呼ぶと良い」 不興を示した様子も、姫には無い。冷たい、ともすれば酷薄とも嗜虐的とも取れる笑みを、浮かべるだけだった。 「二つ目の問を投げ掛けても構わぬか」 「良いぞ」 「ミルドラよ、そなたは何処からこの空間に彷徨いこんだ。まさか、招かれた訳ではなかろう」 「斯様な場所、招かれても来るものかえ」 陰性の笑みを浮かべ、姫が即座に否定した。 「この“船”に任せるがまま流れていたら、偶然此処に辿り着いた。それだけよ」 タイタスに姫の言葉の真贋を精確に図る術はないが、彼女の言っている事は紛れもない事実であった。 姫の宝具である船は、この世のものではない空間、つまり、現世と他の世界、並行世界や異世界を隔絶するように流れる時空の河や壁を潜り、遊弋する事が出来る。 聖杯戦争の舞台となっているこの 新宿 の時空は、やけに強固の上、姫自身もサーヴァント化した弊害か、弱体化が著しいので、その河や壁を突破する事は出来ない。 だが、誰にも認知されずに、その時空に潜航する事は可能であり、彼女は夜になるまで時空の川流れの上で、 新宿 での事象を眺めていたのである。 ――そんな折に、姫は此処に衝突した。 タイタスの創造した墓所、即ち異界もまた、現世とはまた違う座標に存在する別時空の空間。 そこに、姫の宝具である船の移動ルートと重なった瞬間、無理やり船が、タイタスの陣地の空間に引きずり出される結果となってしまったのだ。 そしてそのまま、泉に向かって船が勢いよく着水。これが、タイタス達が感知した揺れの真相であった。姫自身、意図して此処に来た訳ではないのだ。 移動ルートの偶然によって、此処に招かれたに過ぎない。その事を必要最小限の言葉で姫は説明し、タイタスも得心したらしい。 「次が、最後の問だ」 「はよせい」 欠伸をし始める姫。 「ミルドラよ。そなたは、本当にサーヴァントか?」 「貴様にはどう見える?」 「……解らんな」 「ほほほ」 その答えに、姫は満足が行ったらしい。 解らない、と言う答えは実は正解であった。タイタスの言葉は実は、正しかったのである。姫の正体は、解らない。これが答えであった。 分類上は、吸血鬼、と言う事に姫はなるのだろう。だが、それすらも、精確ではない。 姫は、吸血鬼と呼ぶには余りにも吸血鬼の性質からかけ離れている。流れ水のタブーも、十字架のタブーも、姫には通用しない。 彼女が中国産の吸血鬼の性質を引き継いでいるからだ。だが、逆に中国産の吸血鬼が弱点とする桃の種や、吸血鬼全般が弱点とする白樺の杭を心臓に打つと言う行為も、 日光と言う最大の弱点ですら姫は克服しているのだ。吸血鬼にですら、滅びは来る。だが、姫は滅びない。『死』と言う事象が存在しないのである。 ひょっとしたら姫は、吸血鬼としての最大の特徴である、吸血と言う特徴だけを備え付けた、超高次元の生命体である可能性ですらある。 そもそも彼女は、多くの吸血鬼が生存を続ける為に必要な、自身の名の由来ともなっている吸血と言う行為すら必要としていない。 血を吸わずとも、姫は存在出来るのだ。余りにも、吸血鬼離れをし過ぎている。 だから、タイタスの疑問も尤もだった。 この吸血鬼『もどき』については、謎が余りにも多い。多いが、確かな事が一つある。姫は間違いなく、順当な方法ではサーヴァントとして呼ばれ得ない。 サーヴァントとして呼ぶには、余りにも姫の存在はイレギュラー性が強すぎる。と言うより、斯様な存在を召喚出来るのであれば、聖杯など元より不要の長物。 この姫自身がある種、聖杯以上の奇跡で以ってしか召喚出来ない、神霊に半ば以上足を踏み入れている、恐るべき『何か』であるが故に。 どちらにしても、タイタスですら、姫の正体については理解が及んでいない。そして、姫自身もこの謎については答えるつもりもないらしい。 いや違う――姫自身も、自身が何者であるのかよく解っていないのだ。四千年以上前に生まれた吸血鬼……と自分は嘯いているが、実際はそれ以上前から活動している。 それこそ、まだ地上の支配権を神々が握っていた時代から、だ。自身ですら、何年生き永らえて来たのか解らぬ時間を生きて来た『何か』。それが、姫であった。 「貴様の思う通りよ。私はこの聖杯戦争とやらに正式に呼ばれた者ではない。いわば、数合わせの為に呼び出されたようでの? 此処とは違う時空で、時の流れの上で微睡んでおったが、粗忽者の儀式で目を覚まさせられて、此処におるのだ」 「正式に……だと? サーヴァントがサーヴァントを呼び出す術を、誰かが会得しているとでも?」 「そんな事、造作もなかろうよ」 如何やら、タイタス自身が知らぬだけで、サーヴァントを召喚出来るサーヴァントと言う者が、此処 新宿 には存在するようだ。 勿論、理屈上はそれが可能である事はタイタスも勿論知っている。但しそれは、莫大な魔力と言うリソースがあって初めて可能となる芸当だ。 この 新宿 で、其処までの魔力をプールしている所など自身の墓所以外に――いや。待て。あった筈だ。信濃町と呼ばれる一角に、姫を呼び出し得る施設。 タイタス自身が怪しいと睨み、あらゆる魔術の技を駆使して幾度となく監視を行おうにも、一向にその内部の様相を確認出来なかった、白亜の宮殿が!! 「メフィスト病院……か」 「流石に知っておったか。貴様も 新宿 に生きる者であれば、その名を肝に銘じておけ。事と次第によりては、奴と魔道の技を競い合うかも知れぬからの」 「尤も、そのような段になる頃には貴様の命もなかろうがの」、と、悪辣な高笑いを浮かべる姫。 確かに、サーヴァントでありながらサーヴァントを呼び寄せる術を持った存在は、尋常の事ではない。 召喚に必要な莫大な魔力を貯蔵できると言う技量から、恐らくはキャスタークラスかそれに準ずるスキルや宝具の持ち主だろう。 魔力を溜め置くと言う行為は、魔術師にとって初歩にして極意。民草が稼いだ日銭を貯金するのと同じだ。 魔術師は平時、何か魔術的な儀式や実験、鍛錬を行うのに魔力を消費する。そして、余剰の魔力を何処かにプールしておかなくてはならない。 まるで勤め人が、稼いだ給金を預金するが如く。だから如何に大量の魔力を供給し、これを上手くやりくりするか、と言う技術は優れた魔術師を指し示す指標となるのだ。 如何に世に稀なる魔術師達が多く名を連ねるキャスタークラスのサーヴァントとは言え、その身の上に宿る実力は生前のそれより遥かに落ちる。 魔力などその最たるものだ。そもそもサーヴァントは活動するのに魔力を常に消費し続けねばならないのに、 この厳しい条件の下で魔力を増やすような運用をせねばならないのだ。タイタスやムスカが諸処の行為に尽瘁するのを見れば解る通り、これは大変な事柄である。 現にタイタスですら、虎の子である魔将を召喚するのにかなりの魔力を消費してしまった。これが正真正銘、宝具すら保有する本物のサーヴァントを召喚するとなると、 宝具・廃都物語でかき集めた魔力が根こそぎなくなってしまう。それを考えるにメフィスト病院の主は、魔力にかなりの余裕があったから、サーヴァントを召喚したのだろう。並の技量ではない。 姫の言う通り、何時の日かは魔術の腕を競って殺し合う可能性もゼロではない。 と言うのも、魔術師と言うのは根本的に、他の魔術師と反りが合わない事が多いのである。 信奉する神や思想で諍いが起きるのは只人でも同じ事であるが、魔術師の辿った人生と言うのは概ね特殊な物が多い。捻くれた人生、とも言うべきか。 だから魔術師同士がコミュニケーションを取る場合、相手か自分が譲歩して接するか、波長が合うか、とかでもない限りは大抵の場合不和に終わる。 況して、その道を極めた魔術師ともなれば、その人間性は特殊を極める。少なくとも、一般人よりもズレた感性の持ち主である事は確かである。 ……とは言え、魔術師が何よりも重視するのは、『利害』である。これは、魔術師のみならず、世間に生きる俗人、聖職の道を歩み僧籍を獲得している人間とて同じ事。 これらを侵害されぬ限りは、魔術師と魔術師は、気に入らない間柄であっても手を組むのもまた事実。 逆に言えこれらを侵害されると、真理の地平を開き叡智の何たるかを見聞する為の手段が、恐るべき殺生の手段へと変転するのであるが。 兎に角、今のタイタスは待ちに徹せねばならない。無駄な争いはなるべく避け、勝てる戦にだけ時と次第によって駆けつける。これが、現状のモアベターなのである。 「事は済ませたか? ならば、此処から去ね。私は暫し微睡む」 「去ね、とは此方の言葉ぞ。ミルドラよ」 「私の船の進む道に、斯様な賢しい異界を作る方が悪いのだ。嵐に見舞われた、と思って諦めるのだな、白面の王よ」 其処で姫は、タイタスから顔を背け、船内へと入って行こうとする。 迎撃するか、と彼も思ったが、姫は別格に強い。世界の裏側に隠れた本体……その彼が、イーテリオの星を手にして漸く、勝ちの目が? と言うべき存在である。 腹の立つ話だが、此処は姫を受け入れるか――そう思い立った、その瞬間である。 「――ほう。奇異な縁もあったものよな、貴様。いや、不運な運命、と言うべきかの?」 船内に入ろうとした姫が足を止め、タイタスの方を見下ろしてくる。 何を言っているのか、と一瞬だけタイタスは思った。……それは、本当に一刹那の事だった。 カッ、と、タイタスは瞠若する。拠点としているホテルの回りを巡回させている、不可視の使い魔。 それが、一人の男性の姿を捉えた。その使い魔の見ている物と、己の視界を同期させているタイタス。当然、それが何を見ているのかを理解していた。 姫に勝るとも劣らぬ、美貌の持ち主。 白いケープを羽織り、黒メノウを煮溶かして線状にして見せた様な、艶やかに煌めく黒い長髪を持った、美しい男。 人界に生まれる事は先ずあり得ない、神界・天界の美。いやあれは、悪魔の美ではあるまいか? タイタスは男を見た瞬間、恐怖と無慈悲さを、その麗姿から感じ取る事が出来た。親しみやすさが、姫同様にその男の美には無いのである。 美の純度が高すぎて、寧ろ『死』を想起してしまうのだ。隔絶した美の故に、頬を赤らめるとか見惚れるとか言う反応すらが、最早起きる事がない。 不興を買えば、死ぬ。見てしまえば、醜い自分に耐え切れず死を選ぶ。そんな剣呑さを、タイタスは感じ取ってしまったのである。 「あれがメフィスト。病院とは名ばかりの、自己満足の城を管理する自惚れ者よ」 大層愉快そうに、姫が行った。 泉へと下る為の階段の頭上から、船の揺れを察知した夜種達が、今になって大挙して来る音を聞きながら。 タイタスは、急いで……しかし冷静に、メフィストと、ついでに姫のもてなし方を、考えているのであった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ つくづく、ドリー・カドモンを依代に召喚したサーヴァントの人選が、おかし過ぎるとメフィストは思う。 チトセとパムは、まだ良い。どちらも多少血の気が多いが、まだ分別のつく性格であるからだ。 残り二名は、駄目だ。 新宿 の情勢を混乱させる為に、わざと選んだとしか思えない。 姫はそもそも論外であるし、ベルク・カッツェも、相当性質が悪いサーヴァントだ。仮にもしマスターが、サーヴァントをどれか一体好きなのを選んで、 それで聖杯戦争を勝ち抜けと言われたら、この二名は共に間違いなく選ばれる事はないであろう。それ程までに、悪質なサーヴァント達であるからだ。 そして、これを知っててわざと、彼らの情報をドリー・カドモンに固着させたルイ・サイファーもルイ・サイファーだ。 アカシア記録制御装置(コントローラー)は、アカシア記録と言う高次空間に接続する都合上、接続した者に知りたい事柄を完璧に教えてくれる。 隠された歴史、これからの未来、根源への到達方法、そして……未知なる異世界の秘密。アカシアへの接続とは、有体に言えば、全知になれると言う事に等しい。 アカシア記録に接続してサーヴァントを召喚すると言う方法を用いると言う事はつまり、呼び出すサーヴァントがどう言う存在なのか、 初めから解っているに等しいのだ。解らない上で、姫やカッツェを召喚すると言うのならばいざ知らず、解っててあれらを召喚するのは、愚の骨頂である。 ……いや。ルイは、愚者の行いだと解った上で、あの二名を召喚したのだろう。わざと、姫とカッツェを 新宿 に招いたのだ。 何の為に? 実を言うとメフィストですら、その真意は図りかねる。だが、およそまともな理由ではあるまい。最悪、面白そうだったから、と言う線すらあり得るのだ。考えるだけ無駄、なのかも知れない。 どちらにしても言える事は一つ。 メフィストは、ルイ・サイファーの求めに従い 新宿 に招き入れた、四騎の内の一騎。赤のアサシン、ベルク・カッツェの尻拭いをやらされたと言う事である。 リムジンから降りて治療した者達は皆、あの悪鬼の跳梁の犠牲者だと言う事をメフィストは見抜いていた。 自分の患者に危害を加えなければ、極端な話世界が滅ぼうがメフィストは瑣末な事なのであるが、それでも、手を煩わされ、時間を潰されたとなると、 苦い顔を浮かべざるを得ない。カッツェよりも寧ろ、文句の一つをルイに対して言いたくもなろうと言うものであった。 「到着致しました」 運転手の言葉に呼応し、シートに深く背を預けながら不満げに瞼を閉じさせていたメフィストが、ゆっくりと開眼。 見事な運転技術であった。ブレーキを掛けた事すら余人は認識する事が出来ない、プロのそれである。 「地下の駐車場で待機していろ」 「御意に」 短いやり取りの後、運転手は扉を開け、其処からメフィストは外へと出て行く。 間違いなく、この場所である。メフィストが生み出した、彼自身を模したホムンクルス、その道具作成担当が生み出した『猟犬』と呼ばれるカーナビシステム。 その場所は明確に、百人町に建てられたこの超高級ホテルを指していた。猟犬、と言う物騒な名が指し示す通り、このカーナビゲーションはただのカーナビではない。 全体で十cm程の大きさしかない超小型人工衛星。秘密裏に宇宙へと打ち上げていたこれを利用する事でメフィストは、今や 新宿 の全貌を監視する事が出来る。 この人工衛星はいわゆるGPSの機能も兼ね備えており、これが発する特殊な電波を使用する事で、上記のカーナビシステムを用いる事が出来るのである。 何故、そして何時? こんな物を用意していたのか? 簡単だ、メフィスト病院を襲撃したジャバウォック達を抹殺する為に、彼らが去ってからメフィストは急ピッチで、このカーナビシステムと人工衛星を構築したのである。 このカーナビシステムには特徴がもう一つあり、対象の体組織が少しでも残っていれば、カーナビそのものを管理するサーバーにその『情報』を登録。 こうする事で、宇宙空間に存在する人工衛星が情報を解析し、その場所を一瞬で探り当てるのだ。地下に潜ろうが無駄だ。 この人工衛星は宇宙空間から人間の顔を完璧に識別出来る程の分解能を持った超望遠カメラと、地下数㎞までの空間であれば透視する事が出来る霊鏡レンズを搭載している。 超魔術と超科学によって構成され、相手が何処に逃げようが監視し続け、恐るべき狩人であるメフィストにその位置を送り続ける。成程、猟犬の名は伊達ではない。 ではメフィストは、ジャバウォックの何を情報源として、この場所を発見したのか? 体組織がなければ、猟犬は臭いを探り当てられないと言うのに。 実は体組織に類する部位を、あのジャバウォックは明白に放置させていた。魔界医師と魔獣が戦った場所に放置された、ジャバウォック自身の『黄金化された腕』。 これを情報源としてサーバーに登録。彼らの居場所を探り当て、そして現在メフィストは、カーナビが指示した位置である、この百人町の高級ホテルへと足を運んだのである。 実を言うとメフィストは、来る前まで訝しく思っていた。彼が自身の発明品の一抹の疑念を抱く事など、天が雲や星辰ごと地球に落ちてくる事象よりもあり得ない。 それなのに何故、魔界医師は猟犬の検索結果を疑問に思っていたのか。と言うのも、正しい位置を確実に捉える猟犬の検索結果が、不確定要素で揺らめいていたのである。 此処にいるかも知れない、しかし、いないかも知れない。そんな曖昧な状態の時に、猟犬の検索システムは、此処に対象がいる可能性はフィフティ・フィフティ、とする。 そして、こう言う検索結果が弾き出される時と言うのは、相手がこの世の時空ではない異界や、異なる位相や座標の別空間・別次元にいる時が殆どだ。 こうなると厄介である。異界や別時空の法則と言うのは、メフィストも今いる三次元空間の法則に囚われない。 ある場所に発生した、別時空に繋がる裂け目に呑み込まれ、その別時空から脱出しようと内部の出口から脱出したら、イタリアのベニスだったと言う事が平然と起きる。 衛星システムの検索結果上 新宿 の何処かにいても、ちょっとした契機で全く別の場所に移動される可能性が高いのだ。 メフィストとて暇ではない。手早くジャバウォックと、その主であるロザリタ・チスネロスを粛清したいのである。 それなのに、折角この場所まで足を運んだのに、また別の場所に逃げられたとあれば二度手間も良い所である。だからメフィストは内心では、この場所に来るまでジャバウォックに逃げられるのでは、と考えていたし、そしてこの百人町のホテルに発生している時空間異常は、サーヴァント同士の戦闘の余波によって生まれたか。或いは―― 新宿 が、メフィストの知る『魔界都市』のそれへといよいよ変貌を始めたか、と当初は思っていた。 だが、違った。メフィストの推理は良い意味で裏切られた。 魔道を極めたメフィストだから解る。このホテルに発生している時空間異常は、自然発生したのではない。人為的に『施された』のだ。 それも、ただの魔術師にではない。あの魔界医師が、顔を見ずとも白眉の才能の持ち主だ、と確信させる程の技量の魔術師が、である。 それに、メフィストも既に気付いている。自身を監視している、透明化の迷彩を行っている使い魔の目線に、である。 その方向に目線を送るメフィスト。それを受けた瞬間、メフィストの目線をモロに受けた使い魔が、一瞬。半透明の馬体としての本体を露にし、そのまま大気に還っていった。 メフィストが特別な力を送った訳ではない。メフィストの美しい姿を真正面から目視する形となったその使い魔は、精霊でありながら人に縛られた状態の奴隷の身の上の己を恥じ、あの男に見られ続け恥を認識される位なら、と死を選んだのである。 如何やら、ジャバウォック達の主従は誰かの魔術師の差し金か、或いは、その魔術師に匿われたかのどちらかであろう。 だから猟犬は、こんな場所を指し示しているのである。このホテルは高い確率で、メフィストの知らぬサーヴァントの拠点。それも、並のサーヴァントでは此処に拠点がある事すら気付けない程、高度な隠匿処理がなされている程の、だ。こうなると、メフィストの振る舞い方は一つ。サーヴァントと交渉し、ジャバウォックを譲って貰うか、その魔術師を相手に少し過激な手段を取るかのどちらかである。 「話の通じる相手なら良いが」 いつの間にか、メフィストをこの場所に送っていたリムジンは、音もなくホテルが有する地下駐車場に消えている。 自分も、何処ぞのサーヴァントが生み出した、ホテルと言う名の内臓へと入り込むべきであろうと、ホテル内部へと消えて行く。 ……メフィストが持つ、人界に出て来る事自体がタブーとも言える禁断の魔貌に当てられ、フリーズした様に動けないでいる 新宿 のNPC達に。ホテルに消え行くこの魔界医師は、注意関心を払っていたのかどうか。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 魔術師とは元来、神秘を秘匿する物である。これは当然の理屈である。 魔術師とはその言葉が表すように、魔術を生業とする者であり、その魔術とは神秘によって成り立つ物である。 そして神秘とは何か、と問われた場合、人間が『不思議だ』とか『超常の力だ』とか思われるような力の事を指す。 つまりは、一般に流布されていない、魔や神の世界の常識、と換言出来る。 結局魔術師が何故魔術を振う事が出来るのかと言えば、この神秘と呼ばれる概念があるからに等しいのである。神秘とは彼らにしてみれば、卑近な言葉で言えば飯の種だ。 では、神秘が白日の下に詳らかになってしまえば、どうなるのか。露見された神秘は一瞬にして一般化、大衆化され、途端に神秘ではなくなるのだ。 誰もが知らないから、隠されていたから。神秘は神秘の魅魔を帯びると言うのに、誰もが知る常識に変貌してしまえば、途端にその価値は下落する。 これが究極的な段階にまで進んでしまうと、魔術師は魔術を使えなくなる。根源・真理・神座。これらに至れる研究を続けられなくなるばかりか、 今日の飯にすら有りつけなくなる。勿論死活問題である事は言うまでもない。アクもクセも強く、人間的にもズレている魔術師達が、例外なく守っている、黄金律とも呼べる程に絶対的な了解。それがこの、神秘の隠匿なのである。 神秘の隠匿と言う都合上、魔術師はその拠点を人間の目につかない場所に設置する事が多い。 地下、山中、森林の中の洞窟。腕の立つ魔術師は異なる時空を生みだし、其処を拠点とする者もいる。神秘を隠そうとした場合、これらの場所は道理とすら言える。 だが、真に腕に覚えのある魔術師達は、市井の真っ只中に堂々と拠点を築く物だと、メフィストは考えている。と言うより、メフィスト自身がそうであるからだ。 しかしメフィストの場合は、神秘を隠匿するまでもなく、神秘と言う概念が世界中を覆い尽くしたに等しい世界の生まれであったからこそ、斯様な考えなのである。 そうでない人物が、都会の真ん中に魔術的な拠点を設営する等、これは並の心臓ではない。余程の狂人か、自惚れ者か。 そしてメフィストは、百人町のホテルに陣地を作成したサーヴァントを、恐るべき手練だと認識していた。自惚れ家であろうとも、これだけの実力なら文句はない。 何せ見かけは本当に、地方からやって来たエリートサラリーマンや、金のある外国人達が宿泊の為に使う、典型的な高級ホテル。 そしてホテルの回りは明白に、日に千台は優に超す程の交通量を誇る道路に囲まれ、ちょっと歩けばチェーンの食事処や、コンビニエンスストアが見られる、 呆れる程に東京の風景なのである。そんな場所に、異界化させた陣地と言う大規模な拠点を構える等、尋常の精神では考えられない。 何よりも、それだけ大規模な陣地であるにも拘らず、NPCは勿論サーヴァントですらその存在に気付けないと言う事実が、この陣地を作成した者の腕前を証明している。 高田馬場の魔法街を拠点としていた、あの大魔法使いに匹敵する存在が、世にいたとは。そう思いながらメフィストは、ホテルのロビーに踏み入れていた。 ロビーもまた、呆れる程普通の、グレードの高いホテルのそれである。 塵一つ落ちていない、清潔でピカピカの床。染み一つない壁紙。高い天井。そして、乱雑と見る者に思わせないよう考えられて設置された、ソファやテレビ等の配置。 メフィストにって全く見るべき所もない、普通のロビーだ。此処に、魔術師の拠点がある、と言われても果たして誰が信じられよう。 新宿 で起こった諸々の事故のせいで人が少ないとは言え、今も疎らに人が行き交いしているこのホテルの何処に、そんな物があると言うのか。 ――地下か―― 時空を弄って拠点とすると言う方法論の最大のメリットは、何処にでも拠点が作れると言う事である。 見かけ上の広さに左右されないのである。十畳程の狭さのない空間の中に異界を作ったとして、その空間の大きさは最早十畳のそれではない。 何故ならば魔力さえ潤沢であるのならば、数平方mしかない空間の内部に、東京ドーム一億個分もの広さの空間を収めさせる事だって可能なのだ。 時空の謎を理解してしまえば、その程度の真似事は造作もない。現にメフィストも病院でジャバウォックを迎え撃った際、このロジックを応用して見せた。 当初メフィストは、このホテルを虱潰しに探し回らねばなるまいかと覚悟していたが、意外や意外。直に拠点の位置を探り当てる事が出来た。 ――否。拠点の位置を探り当てたとか、暴き立てたと言う言い方だと語弊がある。 精確な言い方は、『向こうの方が此方を誘っている』と言うべきだ。メフィストレベルの術者であるのならば、探知出来るレベルの妖気。これを、地下から此方に向かって相手は発散し続けている。 「私を試すか」 それもまた良い。この拠点の主にとって自分は招かれざる客、或いは、歓待を受くるに値する存在なのか疑問な存在。そう思われているのだろう。 ホストがあちらにあるのなら、ゲストは今の待遇に文句を言ってはならない。試されていると言うのであれば、それに応えるまでだ。 白日の具現のようなメフィストの美貌を見て、呆然とした状態の従業員達に関心を払う事もなく、メフィストは、廊下へと繋がる所へと歩いて行き、 レストランやバーにビリヤードルームなどと言った憩いの場へと足を運べる所を抜け、従業員達の雑務雑居の場所。 即ち、彼らの休憩室や、ボイラー室などへと繋がる、関係者以外立ち入り禁止の場所へとメフィストは到達。 この間、メフィストの姿を従業員達に見られたが、特に何も咎められなかった。メフィストは気付いたが、この陣地の主に軽い洗脳めいた物を掛けられている。 迷い込んだ者は大抵追い返されるのであろうが、メフィストに限ってはそれがなかった。向こうがメフィストを追い返さないようにと命令したか、それとも、メフィストの美しさに下された命令を忘れてしまったか。そのどちらかなのだろう。 メフィストはボイラー室へと繋がるドアを開ける。 何の変哲もないボイラー室だ。駆動する音も、設備自体にも、何も異常な所はない。 だが、メフィストの優れた感覚は既に捉えている。此処が、敵の腹中に繋がる口腔である事を。何かの契機一つで、自分は敵の胃の中に潜り込めるのだと言う事を。 ケープをはためかせ、誰の目から見ても平等に『其処には何もない』と言う事実が確認可能な、何もない空間を打擲するメフィスト。 何もない。そう、メフィスト以外の者からすれば、そうなるであろうと、皆は思うだろう。しかし、実際にはメフィスト自身も、何かを叩いた訳ではない。 真実、ケープが虚空に美しい白波を打った場所は、メフィストの目から見ても何もないのだ。――何処を打とうが、結果は同じだからである。 特別なアクションを、メフィストレベルの位階の魔導の技の持ち主は、最早起こす事すら必要がない。何気ない一動作で、異界への入り口を手繰り寄せる。 それはまるで、異界や魔界、常世と言うこの世ならざる空間が、メフィストの誘蛾灯の如き美貌に当てられて魅了され、一人で勝手にやってくるように。 そして真実――姿を世界に隠していた、異界がその姿を現した。 異なる世界だから、異界と言うのか。はたまた、異形と化した世界の故に、異界と言うのか。 恐らくは、その両方の意味合いもあるのであろう。メフィストが今現在いる空間は、正しくそんな世界だった。 嫌な冷たさの空間だ。雪山の身を切るように厳しい寒さとも、氷の海の上の清冽な冷たさとも違う。 この世界はまるで、薄暗く湿った洞窟の中の様な、ジメッとした冷たさを誇っていた。否、まるで、ではない。そこは真実洞窟であったのだ。 厳密に言えば、洞窟の内部を削って作り上げた神殿、または遺跡とでも言うべきなのだろうか。 地球が生まれた時からずっと、天変地異や地殻移動、大地震や噴火を免れ、原初の暗黒をそのまま最奥に宿し続ける洞穴の中にいる様な暗黒。 一筋の光すらも拒み続けた黒闇の中にあって、メフィストは確かに、人為的に削って作り上げた痕跡をその目に見た。メフィストの炯眼は、闇さえ暴く。或いは、闇の方から、情報を教えるのかも知れない。此処がいかなる場所なのか、闇と語らう術を魔界医師は知って居たとて、誰も異な事とは思わないだろう。 この空間には、自然独特の無秩序(カオス)がない。人間が手を込めて作り上げた秩序(コスモス)が確かに存在する。 壁に刻まれた、メフィストですら知らぬ言語体系から成る文字の数々もそうだが、自然界ではあり得ぬ程、壁が磨かれていた。凹凸一つ、存在しない。 何よりも、床だ。床と言う概念は、自然界には存在しない。自然に存在するのは『地面』である。 今メフィストが立っている所は、磨かれ、象徴的なモチーフの刻み込まれた『床』だ。竜や獅子、侏儒の軍勢や鉄の武器を纏った軍隊を打ち払う、 たった一人の人間の意匠が其処には在った。シチュエーションを考えるに、この男は英雄と呼ばれる存在と見て間違いはないのだろう。 恐ろしく力強い印象を見る者に与えるレリーフだ。戦士を象徴しているに違いない。となれば、この異空間の主は、戦士或いはそれを束ねる者――。 詰まる所、『王』である可能性が極めて高い。王であるのならば、メフィストの周囲を取り巻く強権的な床や壁の事が説明出来る。 王が、己の権勢を以って生み出した空間であるのだろう。これだけの物を作り上げる王権である。 さぞや、歴史と人理に名を刻み、神の玉座にも王手を指しかけた者に相違あるまい。メフィストはそんな、己が名すら知らぬ覇王の存在に思いを馳せながら、一歩。 敵の腹中と断じても全くの間違いのない空間の中を、確かな足取りで歩いて行く。すると、不思議な事が起こった。 『闇自体が、真っ二つに分かれ、両端の壁にわだかまって行くのだ』。闇と言う概念自体が一か所に凝集され、白日に晒されたかのように、メフィストの歩く空間が明るく照らされ始める。闇は、人の心を掻き乱し、不安にさせ、絶望させる力を持つ。その力が、メフィスト相手には一切通用しない。この男を絶望させる事を無理だと悟った闇の方が逆に絶望し、諦観を起こしたのかも知れなかった。 一歩、また一歩と進んで行く毎に、メフィストは、己が敵の内臓の奥深くを進んで行っていると言う実感を得る。 そして同時に、悟る。奥に奥にと進む度に、相手が己を進ませたくないと言う事を。身を以ってメフィストは、思い知らされる。 十m続く、下り階段をメフィストは音も立てずに降りて行くが、ある一段に足を付けた瞬間、階段が無数に分岐を始めた。 あり得ないのは、踊り場まで一直線のその階段の下り先が、数多に生まれ始めたと言う事もそうである。だがそれ以上に、その分岐の数である。 その数は優に、数千を超え、一万とんで二五〇にまで達している。しかもその別れ方たるや、一種のフラクタル構造を描いており、 分岐の先に無数の分岐があり、その分岐の先にこれまた分岐が無数にある、と言った風に、空間の連続性を一切無視しているのだ。しかもその分岐の全てに、踊り場がある。 ウィンチェスター・ミステリーハウスですらが足元にも及ばぬ程、狂的な構造である。理路整然を好む所とする人間が今の光景を見ようものなら、発狂は免れまい。 メフィストが、眼前に現れた怪異に足を止めていた時間はしかし、一秒にも満たない。 目の前の分岐を玲瓏たる瞳で一瞥した後、メフィストは、分岐の一つに向かって歩いて行く。 そのルートを選んで歩いた事が誰の目にも明らかな段数、下がったその瞬間だった。魔界医師を惑わす為に生み出された全ての階段が、幻のように消え失せた。 残った一つは、言うまでもない。今この美貌の医師が歩く階段一つに他ならなかった。間違った階段を歩いていれば、どうなっていたか? メフィストは知っている。誤ったルートを選んでいたら、その人物は死ぬまで階段を下り続ける定めを強いられる。 其処を選んだ瞬間に、上る為の段が消えるのだ。その者に残されているのは、今自分が立っている一段と下に降りる為の一段。 一段下れば、新しい一段が与えられ、また一段下れば、新しい一段が与えられる。しかし、それ以上は絶対与えられない。上への段がない為上れないし、来た道を戻れない。 だからその人物は一生、階段を下り続けるしかなくなる。しかも、一足飛びは許されない。一段一段、丹念に、永久に下り続けねばならないと言う、恐るべき運命を背負う事になるのだ。悪夢のような、トラップであった。 この異界の構造を、メフィストは見抜いている。よく知っている、と言っても良い。 異界の主は、己の意のまま、子供が積み木を組み立て直すように、この異界の構造を千変万化させる事が出来るのだ。 今の階段の一件など、その一環。此処に来てから既にメフィストは、十三の妨害に出会っている。 『一歩、また一歩進んでいく毎に』と言ったが、その一歩とは、正解のルートと言う意味での一歩であった。 歩いていたら突如分厚い壁が現れた事もあった。無視して進むと、壁が霧散する。幻影の壁だった。 足元が脈絡もなく、槍の穂先が敷き詰められた剣山に変わった事もあった。真実本物であったが、メフィストは槍の上に立っているにも拘らず、足に槍が突き刺さらなかった。 全ての床や壁が消滅し、何もない暗黒空間に投げ出された事もあった。前に進むのではなく、『上に向かって重力を無視して歩いた瞬間』、道が現れた。 こんな調子の妨害を、ずっとメフィストは受け続けている。これもまた、このおぞましい異界迷宮を生み出した主の試練なのであろう。 この程度の事をクリア出来ぬようであれば、謁見は許されない。そんな声なき声を、メフィストは聞いているかのようであった。 並の魔術師であれば、この迷宮に惑わされ、無惨な死を晒してしまうのがオチであるが、メフィストには斯様な目晦ましは通用しない。 この仕掛けが、子供騙しだからと言う訳ではない。実際には、極めて高度な魔術的技術を以って仕掛けられた物である。 メフィストにこの迷宮が通用しないのは、単純明快。メフィストもまたこのような、突如空間を迷宮化させる技術をよく使うからだ。 メフィスト病院など、まさにそうであろう。魔界医師の意思一つで、如何なる者の侵入を許さぬ白亜の大迷宮と化すあの病院。勿論、様々な罠もおまけで付随する。 蛇の道は蛇、だ。空間を自由自在にカスタマイズ出来る程の魔術の才を持つ者が、この局面でどう動くか、どんなトラップを仕掛けるか。 メフィストはそれを重々承知している。何せ、自分も良く同じ事をするからである。だから、相手の技は通用しない。鏡に映る我を騙す事が不可能な事に、その理屈はよく似ていた。 階段を下り続けると、岩壁が出て来た。此処だけ、全く人の手が加えられていない。 本物の、自然石。ゴツゴツした岩肌、雫が伝う湿った岩肌。どれもこれも、人の握る彫刻刀やノミ、槌の手が及んでいない事の証であった。 その岩肌を、メフィストは左の人差し指で触れた。触れた所から、岩がその指を離さじと、融解を引き起こし、メフィストの指と岩とが永久の融合を果たそうとするのではあるまいか。それ程までにメフィストの指は、蠱惑的だった。 だが、現実は違った。触れた所から、岩壁に縦方向に亀裂が生じ始め、其処から、ゴゴ、と言う音を立てて真っ二つに分かれて行った。 襖や障子が開かれる様子にそれは似ている。まるで、アリババの『ひらけゴマ』のようになった岩壁を見たメフィストが、壁の先に存在する、 大理石に似た石を削って作った螺旋階段を下りて行く。左の人差し指以外の箇所で、あの岩肌に触れれば、その生命は岩壁に吸収、融合され、己の意思を保ったまま岩の一部となってしまう。あれは、そう言うトラップであった。 カツン、カツン。と、わざとらしく音を立て、メフィストが螺旋階段を下って行く。 此処まで、侵入者を迎え撃つガーディアンが見受けられない。仮にメフィストが試す側に回ったのなら、相手の力量も試そうとするものだが、 全くその傾向が空間の主には感じられない。まるで、メフィストの実力は既に知っており、量るだけ無駄だと言わん風であった。 己の実力を、病院以外で示した覚えはないが、と思うのはメフィスト。美貌には、一抹の疑問も浮かばない。謎に思いを巡らせても、それを億尾にも出さないのは、メフィストに培われたある種の癖であった。 三分程の時間をかけ、螺旋階段を下りきるメフィスト。 透明感のある桜色の鉱石で出来た、巨大な扉が、白衣の男の前に立ちふさがっている。横幅十m、高さ十五m。単純に開扉するだけで、ヘラクレスの膂力が求められよう。 扉を眺める魔界医師。現世に渦巻く欲望の塵埃を超克した仙界の住民にですら、美しい物は手元に集めたいと言う人間誰しもが有する普遍的な欲を思い出させる、その男の美。 それに真正面から見据えられた瞬間、扉は、さくかに震えた……ような気がした。メフィストよ、お前の美は、命は勿論、心すら宿らぬ木石にですら、情欲を宿して見せるのか。 扉の材質は、塩化ナトリウム。言ってしまえば、この扉は塩……つまり、岩塩で構成されている。 だがそれよりも重要なのは、この扉の先に、この領域の主が存在すると言う事実。岩塩の扉から漏れ出る気風は、緩やかにメフィストに自分の存在を知らせしめて来る。 凡百の存在でない事は、既にメフィストとて理解している事柄ではあったが、事此処に来て、その理解を更に強めさせる。 相応しい対応をせねばならないな、と心を新たにし、メフィストは扉に向かって歩いて行く。 だが、どうやって扉に入るのか? 何故ならこの岩塩の扉は、見た目上扉である事が窺えると言う形をしているだけで、閂も鍵穴も、ドアノブも取っ手もない。 来た者に、それが仕切っている先の空間を開放させる為の機構を持たないのである。だがメフィストは何て事はない。 その扉に向かって迷う事無く歩いて行き――塩の扉をすり抜けて行き、その先の空間に足を踏み入れた。 そして、ほう、と。メフィストには珍しい、嘆息の声を、塩の扉が護っていた先の空間は漏らさせたのである。 若草と華花の香りが、濃いスープのように大気と溶け合った草原だった。 空気を構成する、窒素や酸素、その他の雑多な要素と、草木の匂いが深く結びつきあっている、と思う程、青の香りが心地良い。 踏みしめる青い草は、土の状態がとても良いのか、生命力の強さが靴の上からでも伝わってくる程、生き生きとしている。 華の香り。薔薇や百合、金木犀に銀木犀、杏子に水仙などの花々の香りが、微風と交ぐわいながら、メフィストの身体を包み込む。 さぞ、花も幸福に相違なかろう。己の香りで、宇宙の意思が現世に遣わせた、美のヘラルドとしか思えないこの男を喜ばせているんだ、と思っているであろうから。 だが、香りに反してメフィストの顔は、元々の表情から微動だにしていない。花や草木を司る妖精(ニンフ)の落胆が、此処まで伝わってくるようであった。 医師が患部を探り当てるかの如き、非情かつ冷徹な目線で、周りを見渡すメフィスト。 花の蜜を吸う為に薔薇や杏子の花に群れ集い、黄色や黒、薄青色などと言った色彩を乱舞させる無数の蝶。 遥か彼方に広がり、自然の雄大さと億万年とかけて築き上げた地球の芸術性の高さを見る者に伝えさせる、山々の稜線。 仲睦まじく湖の水を口にする馬のつがい、象のつがい、鹿のつがい。湖底まで見える程の透明さの湖には、数十どころか数百に至る程の雑多な種類の魚が、海の広さを知る事もなく泳いでいる。 嘗てアダムとイヴが知恵の果実を齧った事で追放された楽園(エデン)。 審判者ラダマンティスが管理しているとされる、世界の西端に存在すると言う死後の楽土(エリュシオン)。 不老不死の果実や尽きない肉で満ち満ちた、女神西王母が管理する神聖なる山崑崙。 其処とは宛ら、此処の事だったのではないかと、この世の誰もが思うだろう。此処は正しく、人にとっての理想郷であった。 人の世の社会が軋み合い、衝突しあう事で生まれる様々な諍い、欲望、恐怖と、罪。それらとはこの世界は、全く無縁の場所であった。 それがつまらぬとばかりに、メフィストは言いたそうな雰囲気であった。 最早見るものはないと言わんばかりに、彼は歩を進めさせて行き、此方を誘う気を放つ者達の方へと向かって行く。 小高い丘の頂上に生えた、密集した枝と葉々が傘のように広がった、一本の巨大な樹木。俗に、アメリカネムノキと呼ばれる大木の、その木陰。目的地を、メフィストは此処に定めていた。 やがて、メフィストが丘の上に到着する。 ネムノキの木陰には、白い石のような物を削って作り上げた円卓があった。メフィストから見て真正面、対面の方向に、一人の男がいた。 灰色のトーガを纏った、アルビノの男である。肌の色も、後ろを長く伸ばした髪の色も、全て白い。しかし、老いと不健康、ストレスからくる白ではない。 初めからそうと定められた者のみが有する、生まれつきの『白』。だからこそ、墨を垂らせばその痕が永久に残るだろうと思わせるその白さが、力強いのだ。 そして、その双眸の紅きの、何と強壮たる事か。王の宿星を背負った男である事を、メフィストは一瞬で看破し、そしてその才覚の全てを、 頬杖を付きながらメフィストの事を眺めるトーガの覇王に認めた。それに、顔付きの方も、険が無意味に強い事を除けば、好みのタイプであった。 白の似合う、整った顔立ちの男。それが、メフィストの相手する者であったのならば、どれだけよかったか。 メフィストの眉が、不快に釣りあがっている。当たり前だ。メフィストから見て円卓の右端に座る、『姫』の魔貌を見てしまえば。 一瞬でその心証が、最悪の閾値を振り切ると言う物であった。 「厄介な者に憑かれているようだ」 姫の方に一瞥をくれてから、覇王……いや、始祖帝・タイタス一世に目線を向け、メフィストはそう言った。病人に、医者が病状を告げる時のような声音だった。 「在る者に憑き纏いたる、厄介な霊に厄介な魔。これらを退散させる、この世で最も良い方法。……白麗の卿よ。貴殿は知っているか」 「簡単な事。憑依されている依代よりも、『憑依し心地の良い依代』を用意すれば良いだけだ」 「卿よ、見事な解なり。余の知る賢者と称された者ですら、卿の前では浅学をひけらかす蒙昧な輩であった事を、今この瞬間に認めよう」 凡そ、乱暴極まりない理論を口にするメフィスト。要するに、今までその幽霊や悪魔が憑いていた人間よりも、更に憑き心地の良い人間を用意する。 言っている事はこう言う事である。だが、このメソッドは実は、狐憑きや犬神憑き、悪魔憑きなどと言った、この世のありとあらゆる霊障の特効薬なのである。 現にメフィストのいた魔界都市 新宿 においては、このような霊障に悩まされる人間の為に存在する、『憑かれ屋』と言う職業が成立していた程である。 この仕事の最上位に君臨する者の肉体は、幽霊や悪魔にとってスィート・ルームと言える程の極上の憑き心地であるらしく、 上位層の稼ぎは年収にして数億円とすら睨まれる程であったが、その分憑かれている霊や魔の数も凄まじい。一つの肉体に十の霊や魔に取り憑かれて、初めて一端と言われる程である。何れにしても、霊を退散させるのに、より良い憑依体質の依代を連れて来る事は、メフィストのレベルであっても認める有効な治療手段なのである。 「しかし残念だが、王よ。そこの疫病神を引き受けるだけの度量は私には無い。人からケチ、と言った評価をよく賜る男なのだよ」 「私を指して疫病神などと口にする男など、貴様以外にはおるまいの」 美の精髄たる姫の姿を見て、疫病神などと言う最低以外の言葉が見つからない程の評価を下せるのは、遍く世界を探し回ったとて、 この魔界医師か、 新宿 の煎餅屋位しかあるまい。下々の者に疫病神扱いされれば、姫も立腹するが、言っている相手がこのメフィストだ。いつもの事だと、軽く流した。 「卿とて、ミルドラの女神は手に余るか、卿よ」 ふっ、と笑みを零してタイタスが言った。 「ミルドラ、とは」 メフィストですら、その神格の名は初耳であった。 「余の世界にて崇拝される、夜を司る神。即ち、夜に跋扈す全ての化外の者共、黒く暗き夜に煌めく星辰と月輪、この世に息づく全ての生命の安息たる眠りを司る、偉大なる大霊なり」 「其処の女性がそんな存在であったとは、驚きを通り越してどう反応して良いのか解らん。私の世界では、其処の女は『女顔のサタン』と呼ぶ。女神などと言う大層な物ではないとは、断言しておこう」 「揃いも揃って愉快な者共よ」 口元を嗜虐的に吊り上げ、姫が言った。メフィストやタイタスの顔にも、微かながらの笑みが浮かぶ。 この会話の内容で、朗らかな空気を彼らは発散させている。何かを違えれば、一触即発の雰囲気に即座に変転する。そんな懸念から来る震えが、クスノキの葉を揺らす。 この場にいる者達は、メフィスト、タイタス、姫の三人だけに非ず。タイタスの従者として、彼の背後には、フードを目深にかぶった妙齢の美女……魔将・アイビア。 及び、彼女の配下である夜種が二十体程控えていた。凡百のサーヴァントならいざ知らず、メフィストと姫が乱心を起こした際には、 これらは何の役にも立たないとは、タイタスの考えだ。『御傍に』、と言うアイビアの意思を汲んでタイタスはこの場に侍らせる事を許しはしたが、戦力所か、彼女も彼女の抱える夜種も、肉の盾とすら彼は数えていない。この場に於いて、アイビアも夜種も、空気も同然の存在であった。 「遠方の客は、もてなすのが王の務め。卿よ。試練の疲れもあろう。かけるが良い」 そう言ってメフィストは、円卓に備えられた、これを構成する材質の素材と同じ物で作られた椅子に目を向ける。 それをメフィストは、手でどかし、ケープの裏側から、野球ボール程の大きさの球体を取り出し、それを地面に落とした。 するとそれは、自由落下の際にあちこちに亀裂を生じさせて行くばかりか、己の真の形を思い出したかの如く、亀裂から内部がグワッ、と展開。 一秒と言う瞬間的な速度で、球は、事務用のキャリー付きの椅子へと変貌した。フリーマーケットやバザーで投げ売りされているような安物ではない。 然るべき通販サイトや店舗で買えば、十数万円は下らない、大会社の役職付きの社員が腰を下ろすような、ハイ・グレードの椅子である。 メフィストが開発した、携帯用の折りたたみ椅子である。メフィスト病院の外で、大量の患者を診察する時、メフィストはこの椅子に患者を座らせ触診するのである。 だが果たして、直径二十~三十cm程の球体の内部の何処に、球の体積よりも大きな椅子が内包されているのか。それは、メフィストのみが知る秘密の技術が織りなす一種の奇跡であった。 「私はこの椅子で良い」 と言ってメフィストは、その椅子に腰を下ろす。ククッ、と姫の方から忍び笑いが零れる。 それと同時に、凄まじい怒気が、タイタスの背後から発散され始めたではないか。だが、同時にある矛盾も両立している。 その怒りに、恐怖の感も混じっているのだ。怒りを発散させている主は、タイタスの妻でもある魔将・アイビアであった。 一世が用意した、竜骨を削って作った椅子に座る事を拒否し、自身が持っていた粗末な椅子に腰を下ろすと言う行為。 それは、タイタスの好意を無碍にするばかりか、『お前の用意した椅子に座る事は我が沽券が許さぬ』と暗に主張しているのも同然の事。 メフィストが、自分のしている行為が何を意味するのか、どう受け取られるのか、知らない訳ではあるまい。知っていて、やったのだ。 それを理解した瞬間アイビアは、嘗てない怒気を目の前の魔界医師に覚えるのと同時に、タイタスを此処まで虚仮にするメフィストの恐るべき度胸に、心胆を寒からしめる程の恐怖を覚えた。タイタスをよく知るアイビアだからこそ、解るのだ。魔界医師よ、お前の心には、生命ならば誰しもが抱く感情である恐怖がないのか? と。 「素晴らしい側近をお持ちのようだな、王よ」 「我が愚妻に卿がかけるには、余りにも過ぎた言葉。出来の悪い女よ、誰に怒気を放っているのか、理解すらしていない」 言ってタイタスが、頬杖をつかせていた右腕を離し、その状態を解き、パチン、とフィンガースナップを効かせる。 その動作を受け、アイビアが背後の夜種に命令を飛ばす。すると、小柄な体躯を持った、何とも醜い子鬼が、銀の盆を持って竜の骨を削って作った円卓へとやってくる。 直視に堪えぬその子鬼がもつには、人の持てる手技術の精髄を尽くした銀盆の意匠の美しさも、その上に乗せられた薄焼き菓子の甘く蕩ける様な香りも、余りにもミスマッチしている。 それを竜骨の円卓に置いた瞬間、子鬼は、驚愕の表情を浮かべるや、即座に塵に還り、草の上に汚れた灰を堆積させる。 慄然の表情を浮かべるアイビア。今の子鬼は、視力をアイビアによって強制的に奪われていた。メフィスト、タイタス、姫。 この三人の会合の為だけに、アイビアが作った特製の夜種。戦闘能力など持たない。ただ、この三人の会合を彩る菓子に茶。 そして、それを乗せる銀盆を運ぶ為だけに生み出された哀れな生命。目が見えずとも、この円卓に菓子と茶を運べさせるようアイビアは教育を施していた。 何故、視力を奪ったのか? 簡単な話だ、メフィストと姫の美貌を見て、粗相を犯させぬようにする為だ。タイタスですら気を強く持たねば心を揺さぶられる、両名の美。 夜種如きが耐えられる筈もない。だからこそ夜種から光を奪っていたのだ。だが、菓子を運び終えたその瞬間、塵に還れなどと言う命令を埋め込んだ覚えは、アイビアにはない。果たして、如何なる現象が、あの刹那の間に起こったと言うのか。 「悪女だな」 「その言葉は最早褒め言葉よ」 メフィストの言葉にそう返す姫。メフィストも、そしてタイタスも。姫の行いを見抜いていた。 そして、アイビアは永久に知る事はあるまい。あの夜種が盲目である事を見抜いた姫が、戯れと言わんばかりに、己の姿を夜種の精神に投射したと言う事実を。 生まれてから盲目を宿命づけられた存在が初めて、心の瞳で目の当たりにした存在が、星辰の王たる日輪と星辰の女王たる月輪よりも美しく気高い姫の存在であった。 その事実に、夜種は己の存在を保てなくなった。美意識と言う観念が植え付けられていなかった存在にですら、美しいと認識させる程の姫の美貌。その衝撃を受け、夜種は塵に還ったのだ。 「ほう。妖精の世界にも通じるか、白面の王よ。私の目に狂いがなければ、妖精共のみにその製法が伝わると言う、薄焼き菓子ではないか。二五〇〇年前のブリテンで、それと同じ物を齧るエルフの戦士共を、見た事があるぞ」 「正直な所、ミルドラよ。余は驚いている。そなたもまた、深遠たる智の持ち主であったとは」 世事でも何でもなく、タイタスは驚いていたらしい。メフィストではなく、よもや姫に、この茶会で振る舞う菓子の正体を当てられるとは。 この世の全ての事柄を知り付くし、その知を以って世界を支配したタイタスですら、この事は予測出来なかったらしい。 ――伝説に曰く。 妖精達の王或いは貴族として君臨する、長耳の美青年と美女で構成される一種族・エルフ。 そのエルフの中の特にハイ・クラスの戦士階級の者が、有事の際に携行すると言う幻の保存食と言う物が存在する。 妖精の言語で『レムバス』とも呼ばれるこの携行食は、一説には乾パンであるとも、ビスケットであるとも伝えられており、細やかな姿は伝わっていない。 確かなのは、その携行食は、ある種のレーションでありながらも大変甘く大変美味である上に、一枚口にするだけで一日分のカロリーと、 一日に必要な全ての必須栄養素を全て賄えると言う、完全食なのだと言う。その製法は、エルフの最上位階級である王や姫の間にしか伝わっていない。 下々のエルフや、エルフ以外の妖精はその製法は勿論、存在自体すら知らない事もあるのだと言う。当然、ただの人間がその薄焼き菓子の事を知る筈もない。 だが、そんな幻の一品は、何かの偶然で外の世界に流出してしまったらしく、そのレシピが一時、西欧に伝わってしまった事がある。 一説によると、ヘンゼルとグレーテルを誑かす為に魔女が生み出した『お菓子の家』の屋根や床には、この妖精の薄焼き菓子が使われていたとも言う。 だが現在、このレムバスに纏わる伝説もそのレシピも、初めから存在しなかったと言うレベルにまで抹消されている。――何故か? 己の特権を侵害されると考えたエルフの王族達が、虱潰しにこの存在を知る人間達を探して行き、その全てを己の魔法で、樹木や小石に変えて制裁したからだと言う。 それを何故、タイタスは当たり前のように振る舞えるのか? そしてどうして、姫はその知識を当たり前の様に知っているのか? 謎は何処までも、尽きない。 「治療しか能のない男に振る舞うには、余りにも勿体ない品。謹んで、その味を堪能させて貰おう」 言ってメフィストは、指先に魔力を収束、薄焼き菓子の一枚を浮遊させる。 そしてそれを指下まで近づけさせ、それを手に取る。軽い事は勿論の事だが、意外としっかりとしている。 見た目はビスケットだが、頑丈さは厚い煎餅を思わせる。元来は戦士の携行食であったと言うが、その特徴は堅さに現れているらしい。 そしてこれを、メフィストは齧った。一瞬だけ見えた白い歯が、ダイヤのように眩しく輝く。メフィストの歯など、数百億円の価値があるどころか、 新宿 中の住民の命を全て差し出したとて、等価ではなかろう。 「成程。音に聞こえた物だけはある。香りからは連想させるようなくどい甘さではなく、スッキリとした甘さだ。それに、舌の上に甘さを筆で塗ったように、上品に後を引く。私好みの味だ、当院の茶請け菓子として参考にさせて貰おう」 メフィストだから、自制が効く。 これがもし、他の人間であったのならば、何枚でも平らげられるような、手の止まらない甘さと味だ。 菓子好きにこのセットを与えてしまえば、一週間分どころか、一ヶ月分のカロリーを一日で蓄えてしまうだろう。それ程までに、中毒性のある味であった。 尤も、姫の方は満足する味ではなかったらしい。一枚齧るや、それを後ろ手に放り捨てた。余りにも、行儀が悪い態度だったが、この場に姫の行いを咎める者はいない。咎められる実力を持つ者がいない、と言うのが正しいのかも知れないが。 一枚だけ、レムバスを口にし終えた後、メフィストは、対面に座るタイタスと向き直る。もう、レムバスは良いらしい。銀盆の上には、あと十数枚も残りがあった。 さて、タイタスと言う男は、見れば見る程、生まれながらの帝王だなと、メフィストは感じ入る。アレクサンドロス大王も、カエサルも、始皇帝も、ヒトラーも。 この男の威風堂々さと比してしまえば、褪せて見えてしまうであろう。そんな確信を思わせる程のカリスマ性を、タイタス一世は確かに醸していた。 本物は、一目見ただけで如何なる人間にも本物と思わせる力を有する。その絶対則を、改めてメフィストは認識するのであった。 「この世界は、お気に召さなかったかな、白麗の卿よ」 「そう、思う訳は」 「貴殿の感情の動きが余りにも小さいからだ。賢者が、日銭を稼ぐ為に薬を錬成する時ですら、もう少しまともな目をするものだ。余の生み出せしこの空間は、貴殿にとってはつまらぬものだったか」 「私の無表情は生まれつきの物だ、気にする事はない。それが誤解を生んだのなら訂正をするが、王の生んだこの世界は、素晴らしいものだと思っている。完璧なアルカディアだとも換言出来る」 言ってメフィストは、小高い丘から一瞥出来る、アルカディアの光景を眺めながら、その所感を口にする。 「この世界には、争いもなく、死もない。平穏と生命に満ちた世界だ。遍く人類が理想とするアルカディア。イデアの中にしか存在し得ない、天上楽土であろう」 「だがしかし――」 「王よ。貴方の作った世界には欠点が一つ存在する。そして、その瑕疵こそが、この世界の価値を損なわせる最大最悪の欠点だと思っている」 「それは、何か」 「『この世界には、人がいない』」 メフィストは即答する。姫も、そしてタイタスも。やはりそこを突くか、と言う顔をした。 「人がいない事でよってのみ、この世界は理想郷として成立している。人がいない世界で理想郷を作り上げる。何と容易な試みであろうか。誰にでも出来る事だよ、決して難しい事じゃない」 更にメフィストは言葉を紡いで行く。 「人がいない事で生まれる、完璧な世界(パーフェクトワールド)。私はその歪んだ世界を個人的に、完璧とは認めたくない。理想郷だとも、個人的には思わない」 「問う。人のいない世界を、不完全だとする訳を」 「私が医者だからだ」 「医者だから、とは」 「患者のいない世界は、私にとって酷く退屈でつまらない、拷問の様な世界だからだよ」 顔を抑え、姫は笑いを上げ始めた。「やはりそう答えるか、この阿呆は!!」、堪らず姫は叫んだ。 「白面の王よ。貴様が其処の愚か者に何を見たのかは解らぬが、メフィストはそう言う男ぞ。聖人君子に見えるのは、見た目だけよ。その本質は、医者であると言う己の本質に依拠していなければ、生きる意味すら見いだせぬ弱者。それがこの男、魔界医師よ」 「だから言った筈だ。『個人的に』、このような世界はつまらないのだ、と」 「……人のいない世界だからこそ、この世界は完璧に程遠い……」 姿勢を正しながら、タイタスは更に言葉を口にして行く。 「卿よ。その言葉は、何処までも正しい」 その言葉に反応を示す、メフィスト。 「余は、人の本質は陰であり邪であると肯定している。争い、傷つけ合い、欲を遵守し、肉欲に耽り、欺瞞で身体を鎧い、己の財と地位とで増上慢を気取る。哀れで救いようのない生物だ」 「だが……」 「それが元で、滅んでも良いと言う理屈にはならない」 深紅の双眸が、メフィストと姫の双方を睨めつけた。 王の赤目、その奥底で光り輝く、鋭い剣の先端を思わせるような眼光は、只人を威圧させるだけの圧倒的な力があった。 邪眼(イーヴィル・アイ)と言う特異な力とは元来、人には持ちえぬ凄まじきカリスマを持った者の眼光であったのではないか。そうと余人に確信出来るだけの、タイタスの瞳の底光りを見て、人のカテゴリの遥かな外に君臨する、二人の『美しき者』達は、眉一つ動かさず、タイタスの瞳を見据えた。 「人の持つ宿命と魂。それらの根源の属性が罪であると言うのなら、それを認め、それに従い、それを利用する事こそが、王たる者の務め」 「性悪説を支持するのか、王よ」 「然り。人の心に善は匙の一掬いより少なく、人の心に悪は海より広く。その事実を先ず認め、その上で動く事が肝要なのだと、余は古の昔に悟ったり」 更に、タイタスは言葉を続ける。 「国が、階級が、宗教が、民族が。それらが互いにいがみ合い、争い合う状況は、人がいる限り避けられぬ定め。人の歴史とは結局は、平和を堅固した時代よりも、争いを収束させようとした時期の方が長かった事が、これを証明している」 「愚かな者共よの」 「然り。人とは斯様に愚かな者。その愚かしさが故に、一度は神の涙と怒りの発露たる、荒れ狂う洪水で流されたが……この世に息づく人間の殆どが愚かで、その人類を神が見限ろうとも、余は人を見棄てない。余が、遥かなる未来世までに君臨するべき定めを負った王であるが為に」 「貴方が王だからか?」 「人の上に君臨するのが王であり、王とは、余以外の人間がいなければ成立しない。この世の何処に、たった一人で星に君臨する孤独を標榜する王がいようか? 世界の破滅を希う者……それは最早王に非ず。狂気の精霊に魅入られた、哀れなる者である」 タイタスは確かに、己の目的の為に世界に戦火を望んだ者である。 だが、全ての人間の絶滅を願った男ではなかった。今彼が口にした事は、嘘偽りのない事実そのもの。 王とは、その王権や威光を認める他者、即ち、自分以外の人間がいてこそ初めて成立する。この点に於いて王とは、商売相手がいる事で成立する商人や、 主がいてこそ成立する奴隷、戦う相手がいてこそ成立する軍人や戦士達と、何の違いもない。結局タイタスも、患者に依拠する医者であるメフィスト同様、人に依拠する王であったのだ。故に、タイタスは世界の滅亡を望んではいない。いないからこそ――である。 「この世界には虫唾が走る」 語気を荒げて、タイタスが言った。 「人の本質が悪であると言う現実に耐え切れず、人がいなくなれば世界が平和になると言う空想に逃げるしかなかった、哀れなる童(わらし)の夢の世界。知識はあるが、世故に疎い。知識はあるが、経験がない。幼稚な秀才が考え付きそうな、つまらぬ世界よ。人がいる上で、理想郷を作り上げようとすると言う気概を、この童子からは感じる事も出来ぬ」 この世界は、どのようにして作られたのか? 口ぶりからも解る通り、この世界はタイタス自身が練り上げたイメージを元に産み出した世界、と言う訳ではない。 今現在タイタスが匿う、ロベルタの従えるサーヴァント、高槻涼の中に閉じ込められていた、ある一人の少女の残滓。 その存在を見抜いた始祖が、彼女が何者なのかを探るべく、己の魔術でその全てを知悉しようとした時に見つけた、彼女の精神世界。 それが、この歪んだ理想郷であった。メフィスト同様、タイタスはこの世界には強く否定的であったが、同時にこれは、相手を試す為にも使えると思った。 メフィストは知っているのか知らないのか解らないが、実はこの、高槻涼の中にいる黒いアリスの精神世界は、タイタスが設定した最後の試練であった。 最終的にメフィストは、タイタス同様この世界はつまらないと言ったが、この答えこそがタイタスの設定していた正解の解答である。 もしもこの世界に対して肯定的な様子を見せていたら、タイタスはこの世界からメフィストを弾いていた――無論、出来るかどうかは別としてだが――。 何から何まで、メフィストは、タイタス好みの男だった。……これがもし、互いに陣営を異にする陣営でなければ、三顧の礼を尽くして味方に迎え入れたものであるのだが。 「――その童について、協力を仰ぎたいが為に、私は今日此処にやって来た」 来たな、とタイタスは構えた。メフィストが本題を切り出しにやってきた、と言う事が一瞬で伝わってくる。 他愛ない世間話の場が、権謀術数と腹の探り合いが交錯し、少しでも自分に有利な条件を引き出そうと言う駆け引きが表と裏とで行われる伏魔殿へと変貌した。 メフィストの方も、此処が本題だぞ、と言う事を隠しもしない。水晶がガラス球にしか見えぬ、美しい瞳の奥底で、鋭い光が煌めいていた。 「ロザリタ・チスネロス。私はその女性の行方を追っていたのだが、懸命な追跡の結果、王よ。彼女はこの場所にいるのではと私は睨んだ」 「卿が口にした名の女は、確かに余の庇護下にある」 ロベルタを手に入れてからタイタスは、己の魔術で彼女の来歴を暴いていた。名前を彼が知っているのも、その為である。 そして、メフィストの言葉に対してタイタスがシラを切らなかったのには、訳がある。この事柄だけは、騙せないし隠せないと踏んだからだ。 この魔界医師は何処で、始祖帝がロベルタの身柄を手に入れたと知ったのか、と言う疑問は敢えて訊ねない。知っていてもおかしくない、と言う奇妙な確信と信頼が、タイタスの間に芽生えていたからだ。どちらにしても、此処で下手な嘘をつき、心証を損ねるのは悪手だとタイタスは考えている。だからこそ、彼は真実を開帳したのであった。 「彼女の身柄を、私に引き渡して貰いたい」 「卿よ。かの女に貴殿が其処まで心を掻き乱される所以とは、何か」 「酷い癇癪と、ヒステリーをお持ちのようでね。それを発散させてしまった為に、当院が大変な迷惑を蒙った」 此処で姫が、メフィストの言うロザリタ・チスネロスが何者であるのか気付いた。 姫は、ジャバウォックの姿形こそ理解してはいるが、ジャバウォックの真の名と、あのバーサーカーを操るマスターの存在は全く知らなかった。 今の今まで、メフィストがタイタスの領地にやって来た理由を理解しなかったのには、此処に原因がある。 「……あの醜い鉄の怪物が、此処におるのか」 冷気を、姫は放出し続けている。否、大気より遥かに冷たい物が放出する、白い色をした帯或いは霞状をした、真実本物の冷気ではない。 人は、この仮初の冷気をこう呼ぶのであろう。殺意、と。姫の殺意は、凍て付くように冷たい。それに当てられた人間は、 裸でブリザードの中に放り出されたように震え出し、その場から身動きが取れなくなる。人によってはそのまま、殺意の放射で全身の細胞が凍結して死んでしまう。 姫の繊手によって与えられる、とてつもなく恐ろしく、そして、美しい死。それに絶望した細胞が、主の脳や魂に反逆し、自殺を選ぶのである。 そんな殺意を、姫はタイタスに叩き付けている。鷹揚とした様子でそれを受け止めるタイタス。主君の危機に何時でも対応出来るよう、鎌を構えるアイビア。 だが、アイビアの手は酷く震えている。姫に対する恐れである事は言うまでもない。だが、こんな反応をアイビアが取れただけでも、まだ上出来であった。 彼女の配下である夜種など、蜘蛛の子散らして逃げ惑おうとするも、この世界が、タイタスの許可なく入る事も出る事も出来ない閉鎖空間であると、出口に類する物が何処にもない事を悟るや、ついに発狂を起こしてしまった。俺達は此処で終わりだ、と言う悲鳴が上がる。 「語る必要もなかったのでな、ミルドラよ」 「道理だな、姫よ」 「……成程。私にすら獲物の気配を悟らせぬ、高度な結界を張り巡らせておるか。斯様な真似、黄帝(ファンディ)の奴めにしか出来ぬと思っておったわ」 殺意を霧散させ、姫は、ほう、と一息ついた。 吐く息にすら、桜色の香気と色気がつきそうな、扇情的な動作。人の女には真似したくても永劫出来ぬ、無限大の色気が其処にはあった 黄帝……それは中国の神話に輝く、三皇五帝の帝王・皇帝の内、最も偉大とされる王である。 彼の治世で、医薬、服装、住居、貨幣、測量、道徳、楽器、文字等の文化が興って栄え、彼の治世で中国を脅かす蛮族や悪鬼共の群れが平定されたと言う。 正に偉大な王である。姫すらが認める程に。姫が、その黄帝と同一視する、と言うのは、無上の評価であると言っても差支えがないのであった。 「卿よ。余は、卿程に聡明と言う言葉が相応しい者を相手に、小賢しい者共の生きる術たる権謀術数や腹芸など、無意味かつ時間の空費であると考えている」 「私も、王と同じ考えだが」 「余は、ロザリタなる女性が此処にいる事をしかと認めた。なれば、貴殿も認めるべきであろう」 瞳から放たれる威圧の視線が、メフィストの麗しい貌を射抜いた。 「ロザリタ・チスネロスを狩りに来たと」 「強い言葉を用いれば、そう言う事になるな」 あっさりと、メフィストは認める。要するに、ロベルタを殺しに来たのだ、と言う事を彼は明言した。 「卿には悪いが、あれは最早余の所有物だ。欲しいと言われても、所持者である余が認めぬ限りには――」 タイタスが全てを言い切るよりも前に、メフィストは懐から皮袋を取り出し、それを竜骨のテーブルの上に置いた。 ズン、と微かに円卓が揺れる。相当重い物が、中に入っているようだ。皮袋の口を縛る麻の紐をほどき、メフィストはその中身を机の上に広げさせ―― カッと、タイタスは目を見開かせた。誰の目から見ても明らかな、驚きの反応。 「ただで譲れとは、私も言わん」 竜骨の円卓の上では、様々な色の宝石が乱舞していた。 ルビー、サファイア、エメラルド。アクアマリンにトパーズ、オパール、メノウにヒスイにガーネット。 宝石の王たるダイアモンドから、有機物由来の珊瑚や真珠や鼈甲まである。どれもこれもが、宝石の輝きを最大限際立たせるカットが施されているばかりか、 ビワの果実のように大きいと来ている。オークションにこんな物が出品されようものなら、その値段は天井を突き抜け、空の天蓋にまで達し宇宙にまで到達する程の額になるだろう。 テーブルの上に、宇宙の星々を縮小させ撒いてみたように、宝石はキラキラと輝いている。 誰もがその光景に人は目を奪われ、こっそり失敬、と言って黙って持って行く盗人ですら、この宝石の輝きの前には数分と忘我の境地に立たされるだろう。 だが、タイタスが真に驚愕しているのは、この宝石に内包された、圧倒的なまでの魔力量!! ムスカやタイタスの努力とは、果たして何だったのか? そうと自問自答せずにはいられぬ程大量の魔力を、これらの宝石は有しているのだ!! 「敵に塩を送る、と言うのじゃろう。こう言う時は」 「敵と断定するには、まだ早いよ」 姫の言葉を否定するメフィストであるが、それが本心からの言葉でないのは、タイタスも姫も理解している事であろう。 聖杯戦争に参加するサーヴァントが二人出会い、しかも、その二名ともが人理と歴史に名を刻む希代の魔術師であったのであれば。 行き着く先は、高い確率での反目なのである。それが解らぬメフィストでもあるまい。解った上で、メフィストよ。お前は、タイタスにそれを送ると言うのか? 全ての粒を使えば、宝具・廃都物語が完全に成就してなお、余りが残る程の魔力総量の宝石の数々を。お前は、譲ると言うのか? その選択が、聖杯戦争の全ての決着を今この瞬間に着けてしまう事を、知っているのか!? 「キャスターのサーヴァントに対し、魔力のプールがどれ程重要であるのかは、説明するべくもなかろう。ロザリタ・チスネロスの身柄とこれらの宝石は引き換えだ。悪い取引ではないと思っているが……いかがかね」 否。悪い取引なものか。 寧ろ、破格と言う言葉ですらが生温い程、圧倒的にタイタスに有利な交換であった。 ロベルタ一人を諦めれば、即日の内に、思わぬ妨害で成就出来なかった、帝都アルケアを 新宿 の上空に結び出す事が出来るのだ。 それだけじゃない。前述の通り、この宝石の魔力量は、アルケアを浮上させてなお、御釣が来る程潤沢なのだ。 それも、大魔術や儀式魔術を一・二回行う程度、と言うケチな量じゃない。複数名のサーヴァントを召喚、それを維持出来るだけの量である。 これだけの魔力があるのなら、間違いなくタイタスは、今この瞬間に聖杯を獲得する事が出来る。今までムスカやタイタスが肺肝を砕いて来た努力、 それらが一瞬で過去の物となるのだ。それを考えたら、メフィストの提示したこのビジネスは、正に破格。最高の取引であった。 メフィストの言葉に、裏はない。 本気で、ロベルタの身柄とこれらの宝石が対等だと思っている。それは、メフィストが物の価値が解らぬ程愚昧な者、と言う考えとイコールにならない。 それだけの対価を支払ってでも、ロベルタを殺したいと言う事の証明である。メフィストもまたキャスターであり、魔力が重要な要素である事は理解している筈。 そしてその魔力を、敵サーヴァントであるタイタスに送ってでも、メフィストはロベルタを葬り去りたいのだ。 敵が強くなっても、構わない。敵が聖杯を手にしたとて、知った事か。メフィストは、始祖帝が優勝すると言う結果を確固たるものにしてでも、 死に掛けのサーヴァントを御する死に掛けのマスターをこの手で葬ると言う結果を選んだのである。何たる、執念深さか!! タイタスは、初めてこのサーヴァントが、まともじゃないと本気で確信した。 姫の言った通りであった。この男がまともなのは、見た目だけである。いや、見た目がなまじ美しいからこそ、誤認する。 この男の価値観は根っこから、タイタスと相いれるそれではなかった。メフィストの本質は、徹底したエゴイスト。男性原理の結晶であった。 患者の治療と言う目的の為なら何でもする。そして、己の利害を害する者については、万策を尽くしてそれを滅ぼそうとする。 これらの目的の達成の為なら、恐らくメフィストは、己がどれ程不利になる条件でも呑むであろう。今回の件は正しく、メフィストのそんな歪みを象徴していた。 己の目的の為にメフィストは、タイタス以外の全てのサーヴァントを犠牲にする心算なのだ。その犠牲に、メフィスト自身も含まれている事を、彼は重々承知している。 これを、気狂いと呼ばずして何と呼ぼう。放っておいても死ぬのが定めのマスターを、自分の手で殺す為に。聖杯への到達や、 新宿 の命運をも擲とうとするこの男を。狂気の精霊の魅入られた男じゃないんだと、誰が否定出来ようか!! 「返答や如何に、王よ」 「否、である」 タイタスは、メフィストの再度の問いに、即答した。 メフィストの表情は動かない。姫の方は、タイタスの解が心底から面白かったらしい。喜悦の表情を浮かべていた。 「余の本心を告げよう。貴殿の提示した宝石。余は、心の内が渇き、余裕と言う名の泉が枯れ果てる程に欲しい。ロザリタを手中に収めたまま、この宝石を手に入れる策はないかと、今も思案を巡らせている程にだ」 そんな方法はないのだ、と言う事は、タイタスとて理解していた。 「宝石と、ロザリタ。そのどちらかを選べと、厳正と公平を司る大いなる天秤の皿にかけられれば、余は、ロザリタの方を選ぶ」 「王よ。彼女を選ぶ理由とは」 「一つ。あの女は余が美しいと認める、黒く燃え上がる闘争の性根と魂を持つ者であるから。その魂を包む焔と、貴殿の持つ宝石とでは、失礼だが、比べるべくもない」 「然りだ。如何に私の宝石であろうとも、魂と等価には流石にならん」 「もう一つ」 これが肝要だ、と言う事を強調する、タイタスの語気の強さ。 「あの女は、余に助けを求めた」 「――ほう」 メフィストの瞳に、好奇心の光が瞬く。 「ロザリタも、奴が従えるサーヴァントも、放っておけば消滅を免れぬ程の傷を負っていた」 それは、メフィストとしても初耳であった。 サーヴァントの方、高槻涼が大ダメージを負って消滅寸前と言うのなら話は分かる。其処まであのバーサーカーを追い詰めたのが、他ならぬメフィストと姫だからだ。 だが、そのマスターの方まで死ぬ寸前であった、と言うのは、本当に初めて聞く事柄であった。あの時メフィストは、院内及びその敷地内に、 高槻のマスターの存在を感知出来なかった。あの場にはいなかったのだろう。考えられる可能性としては、ロザリタ・チスネロスは高槻と別個に行動していた。 そしてその折に、他の主従に叩かれたが、その主従はロベルタを殺し損ねてしまったのだろう。其処でロベルタはバーサーカーを令呪で無理やり召喚し、 高槻の力を借りてその場から逃走。その際に、タイタスに見つかってしまった。これが、事のあらすじになるのだろうかとメフィストは予想し――そしてそれは、何処までも正しい推論なのであった。 「息も絶え絶えの状態で、彼奴は言った。余に、『救って欲しい』と」 これは、嘘だった。 タイタスはロベルタや高槻など意思などお構いなく、二名を己の庇護下に於き、自身の都合の良い手駒にしようとしていた。 二人を消滅から救おうとしていると言うのは事実だ。だが其処に、二人の意思も自我もない。タイタスの恣意と独善によって、二名は生かされようとしているのだった。 その事実を、メフィストは理解しているのか否か。黙って、タイタスの瞳を見据えながら、彼の言葉に聞き入るのみ。 「卿よ。余は、貴殿の不興を買うような不穏な因子を、何時までも我が領地に留め置きたくない。ロザリタ・チスネロスが卿と斯様な因縁にあるのなら、余はあの女を手放そう」 「――但し」 「それは今ではない。余が、彼奴の治療を終えたのなら、余は自身の魂に誓って、ロザリタもそのサーヴァントも貴殿に返還しよう。それで、手を打ってくれまいか」 そして、性質の悪い事には、この言葉は本心だった。 ロベルタの、彼女自身をも焼き尽くさん闘争の焔にタイタスが魅入られた、と言うのは紛れもない事実。 そしてそんな彼女を救ってやりたいと思ったのも、またタイタス自身の偽らざる意思なのだ。 道具としては利用する、だが、ロベルタを救い、彼女に魅力を感じたと言うのも、真実。 確かにメフィストの持つ宝石は欲しい。だが、目前の魔力に目が眩み、自信の観念と美意識に合致する『物』であるロベルタを手放す、と言う事は、 タイタス自身の矜持にも反するのである。始祖は、この瞬間、魔力と言う確かな利よりも、プライドと自尊心を取ったのである。愚かな決断であるとはタイタス自身も理解しているが、自身の根幹を、彼は偽れなかった。 「良いだろう」 驚くべき事に、タイタスの条件をメフィストは呑んだ。 馬鹿な、と誰もが思うだろう。彼の魔界都市 新宿 の住民であれば、メフィストのこの決断を耳にすれば、自分自身が何を聞いたのか、信じる事すら出来はすまい。 メフィスト病院に仇名す者は、メフィストの手による絶対の死が待ち受ける。区民の常識である。だからこそメフィストは、腹の中に妖物を飼っていたり、 時速数百㎞の速度での恒常的な移動を可能とするサイボーグ手術を施していたり、マッコウクジラですら即死させる『拳銃』を平然と所持する住民が跋扈する、 あの 新宿 の街に於いて畏怖の神話として語られ続けてきたのである。そんなメフィストが、自らの病院に明白な害を成したロベルタを、今この瞬間は見逃すと言ったのだ。これが果たして、どれ程アンビリーバブルな選択なのか、タイタスは知らないのである。 だがしかしこの選択は、メフィスト当人からすれば何処も矛盾はない物なのである。 メフィストの怒りの要点の一つに、自身あるいは彼の運営する病院が治療中の患者を横取りされるか、殺されると言う物がある。 これを犯して、メフィストの手から逃れた存在は、姫を除いて一人もいない。それ程までにメフィストは、自身の患者に害を成され、奪われる事を嫌う。 だがもしも、彼の怒りの要訣を抉った存在が、怪我人或いは病人となり、他の医者に治療されていると言うケースの場合、メフィストはどう出るのか? 答えは、単純。『治るまで待つ』のである。しかしこの出方には、何処も矛盾はないのだ。 簡単だ、メフィストが結局如何して怒るのかと言えば、病院に害を成され、患者を奪われ殺されたから、と言うのが大きいのである。 そんな彼が、下手人とは言え他の医者に治療されている最中であると言うのに、そんな事などお構いなしにその人物を殺せば、どうなるか。 勝手に一人で考えている事とやっている事に矛盾を起こしているのと同じではないか。 自分の患者を奪われるのは堪え難いが、『相手の患者を奪う事には何の躊躇いもない』。他人の医者の患者を殺すと言うのは、とどのつまりはそう言う事。 つまりは、信義則に違反しているのである。自分がやられるのは許さないが、自分がやるのは肯定される。それは、通らないだろうとメフィストは考えている。 プライドの高い医者であるからこそ、同じ医者の治療が終わるまで待つ。それは、魔界『医師』であるメフィストが己に課しているルールなのだ。 「だが、失礼な事をお伺いするが、王よ。貴殿に医術の心得はあるのか?」 「卿には及ばぬだろうが、多少の治癒術は心得ている」 多少、どころではない。 タイタスのいた世界において、現存するあらゆる医術及び今日使われている殆どの回復の魔術は全て、このタイタス一世に端を発する。 即ち、元居た世界においてタイタスは全ての医術の産みの親と言っても過言ではないのだ。 神官の使う呪祓いや病祓いも、戦場において戦士の傷を癒す治癒の術も治癒力場の発生の魔術も彼が産みだし発展させた術である。 また、帝政を運営しながら、地上に咲き乱れる遍く薬草の薬効や毒草の効能を解析し、この世界で言う所の漢方を発展させたばかりか、 麻酔を利用した手術のメソッドをも最初に考案し、魔術を利用したレントゲン治療やCTスキャンの類似治療、果ては様々な医療器具をも生み出したのも、このタイタスであった。多少の治癒術、など過小評価も甚だしい。タイタスは片手間に、かつたった一人で、世界の医術を著しく発展させ、死に行く多くの命を救った文化英雄なのである。 「交渉は成立したな。だが、私は何処で、ロザリタ・チスネロスの身柄を受けとれば良い?」 「――『今日の、夜の八時』。20 00、と言った方が解りやすいか」 提案するタイタス。 「約束しよう。その時刻に、貴殿らが『市ヶ谷駐屯地』と呼ばれる地にて、遅滞なく、治療をし終えたロザリタと、そのバーサーカーを引き渡すと」 「承った」 メフィストは、タイタスの提案を呑んだ。 ……嗚呼、何と不穏な取引か。誰もがきっと、疑問に思おう。何故、普通にタイタスは渡さぬのだと。 引き渡し場所を、タイタス自身が領地とするこのホテルでもなく、メフィスト病院でもなく。行政及び防衛の要となる施設、市ヶ谷駐屯地に。 何故、タイタスは設定したのかと。この場に於いて、そのタイタスの提案を指摘するような、常識と良識あるような者は、いないのだ!! 「姫よ。お前にとっては業腹だろうが、暫し耐えるが良い。そちらとて、死に掛けを殺すのはつまらなかろう」 「そうよな……。癪に障るが、貴様の助言、有り難く受け取っておこう。あの鉄の怪物を殺すのは、白面の王の治療が終えた時としよう」 ジャバウォックの反物質砲に貫かれた左脇腹が、疼く。 姫に備わる埒外の回復力で、快方には向かっている。だが、完治しない。数億度の炎に焼かれようが、秒で復活する姫が、完治に難航する程の威力。 貫かれた痕を埋めるように、姫の白い柔肉が隙間にパテの如く補填されては来ているが、やはりこの状態を、回復したとは言い難い。 残り数時間程の時間を、完治に有するであろう。それだけの傷を、この自分に負わせるとは。つくづくも、腹ただしいサーヴァント。 だが、そんなサーヴァントを、何の反応も下手すれば寄越さぬ状態で殺しても、姫の溜飲は下がらない。殺すなら、反応を如実に示してくれる状態で、殺したいのだ。 その瞬間が来るまでなら、姫も待つ。姫の時間のスケールからすれば、数時間程度の時間など、瞬きも同然の一瞬であるのだから。 「私が、貴方の下を訪れた目的はこれで終わってしまったな。少々早いが、この場で私も失礼しよう」 「暫し、待つが良い。魔界医師。白を魅入らせ、白を従える、美界の君主よ」 席から立ち上がろうとするメフィストを、タイタスは制止する。言葉を受け、メフィストは座ったままの姿勢を維持。 心なしか、世界がほっと安堵したようなようであった。そう、まるで。まだこの空間に、この美しい人がもう少しだけいてくれる事を喜んでいるかのように。 大気が、空が、山が、大地が、草木が、花が。そして、其処に宿る精霊と妖精が。タイタスの判断と、メフィストの寛容さを、祝福しているかのようであった。 「余の悪い癖でな。相手が魔術に堪能だと知っていると、ついつい、ある遊びを提案したくなる。それに少しだけ、つきあってはくれまいか」 「喜んで」 「すまぬな。この退屈な穴倉では、無聊を慰める術を探すのにも難儀する。愚妻では、余の遊びには全く不敵でな。仕事も遊びも二流では、つくづく面白くない」 「仕事も遊びもこなす事を望む伴侶に、女を選ぶからだよ」 一瞬だけメフィストの言葉の意味の理解が、タイタスもアイビアも遅れたが、この男がそう言う趣向の持ち主だと理解したのは、タイタスの方が速かった。 女を使った色仕掛けや誘惑など無意味か、と機械的に判断したタイタスは、直にその『遊び』の準備を始める。 「術比べか。ふん、何処の世界の魔術師も変わらぬの」 姫は、これから二人が何をするのかを理解していた。 これは古の昔から、それこそ人類が王政或いは帝政、それに類するシステムの下多数の人間を支配していた時代から行われていた風習。 国王或いはそれが召し抱える魔術師と、遠方からやって来た他国の使者や使節が抱える腕利きの魔術師の、術比べであった。 この風習は、王族達の娯楽としての側面を有しているのと同時に、自国と他国の力関係を当国一流の魔術師の力量で図ると言う意味をも持つ、極めて重要な側面もあった。 姫は知っている。 歴史書は巧妙にひた隠すが、数千年もの時を生きる姫は、歴史に記されぬこの秘密の儀式。歴史の裏で綺羅星の様に輝いていた、一瞬の出来事を数多く見て来た。 紀元前十三年頃の、エジプトは第十九王朝の偉大なりし王、ラムセス二世ことオジマンディアスは、出エジプトの主人公であるモーセと術比べを行ったのを知っている。 己が魔術を用いて、エジプトの砂漠に直径百㎞以上の小型太陽を創造したオジマンディアスに対し、モーセは異界の海を招聘し、太陽を鎮火させた。 この勝負においてモーセは見事、エジプトから同胞である奴隷を解放させると言う約束を勝ち取ったのだが、負けたのが余程悔しかったのか。 奴隷は解放させてやるからもう一度勝負をしてくれとせがむオジマンディアスに、付き合ってられぬとモーセと奴隷達は逃走。 それをオジマンディアスは軍を率いて追い立てるが、モーセは紅海を割り、迫るファラオの軍勢から見事逃れた。この世の誰もが信じられぬが、旧約聖書において燦然と輝くこのエピソード、俗に出エジプトと呼ばれるこの物語の真実は、これであった。 また、同じく旧約聖書に語られる、シバの女王とソロモンの逸話の真実も姫は知っている。 と言うより、そのシバの女王と姫は、同一の存在であった。使節団と言うの名の、己の吸血鬼の配下を率いて、ソロモン統治下のエルサレムにやって来た姫は、 その王国を乗っ取り我が物にし、ソロモンを腑抜けにしてエルサレムをこの世の地獄に変貌させんと画策していた。 しかし、流石に彼の賢王だった。シバの女王を名乗る姫の正体に気付いた彼は、術比べで負けた方は潔く、宝を置いてこの国を去ると言う条件を提示。 それを呑んだ姫は、彼と互いの術を比べ合った。聖書に語られる、壮麗さたるやこの世に比類ないソロモンの王宮は姫の術一つで、 この世のありとあらゆる不浄かつ醜怪な怪物や食屍鬼、悪霊に妖怪が蔓延る万魔殿と化し、大臣に近衛兵、侍女にハレムの美女達を忽ち狂乱に陥れた。 これをソロモンは、術を口にし天に祈ると、国中に立ち込める血色の暗雲を切り裂いて、巨大な光の柱が国中に降り注いだのだ。 全ての悪しき魔物達は、その光で灰すらも残らず消え失せたばかりか、存在の在り方を改竄され、地に咲く香草と花々に変換されてしまった。 一方人間の方は全くの無傷。肌にも服にも、傷一つない状態。そしてそれは、姫にしても同じ。ソロモンの実力を認め、この男とは争っても無為と知った彼女は、 潔く船に乗ってエルサレムの国を去った。これが、聖書に語られる、シバの女王とソロモン王の謁見のエピソードの真実。 シバの女王とは何処の国の女王で、そして、これだけの大悪事を行ったにも拘らず、女王の誹謗も中傷もない理由は、単純明快。歴史を記す書記官が、死の間際まで、姫の恐るべき美貌に魅入られ、彼女についての否定的な文章が書けなかったからであった。 古代と違って、魔術師の生息域が著しく制限されたこの現代で。 今再び、古の大魔術師達が繰り広げた、術比べと言う輝かしく、そして煌めく様な一時が行われようとしていた。 況して当代でそれを行う魔術師が、美を司る女神であるヴィーナスですら嫉妬を禁じ得ぬ美貌を誇る魔界医師・メフィスト。 そして、現代に蘇った魔術の祖にして神の叡智をその手で盗んだ、人類の中から生まれた白子のプロメテウス、タイタス一世だ。 どちらも時代ばかりか、生まれた世界すら異なる大魔術師。その祈りだけで、世界をも動かさんばかりの力を誇る者達。 それらが今、この世界で術を比べ合おうと言うのだ。これを聞き、誰が、胸を躍らせぬと言うのか。これだけの演目で、聴衆の数が百にも満たぬなど、最早一種の罪であった。 「先手は王に譲ろう」 「痛み入るぞ、魔界医師よ。それでは、その言葉に甘えるとしよう」 言ってタイタスがそう言った瞬間、アイビアから、五感の全てが失われた。 「始祖!?」と叫ぶや、地面に彼女は不様に倒れ伏す。視覚や聴覚ばかりか、地面に足を付けていると言う触覚すら奪われた彼女は、 自分が直立していると言う実感すら得られず、そのまま倒れてしまったのである。このままでは最早、自力で起き上がる事すら彼女には出来はすまい。 そんな事などお構いなしと言わんばかりにタイタスは、手元に寄せてあった、先程姫が美を叩き込んで塵に還した夜種が持ってきていたカップに指を通す。 白磁で出来たそのカップの中には、我々が言う所の紅茶――に似た茶が満たされていた。此処に来た時は湯気が立つ程の熱を持っていたが、 メフィストとタイタスの会話が長丁場であったせいで、すっかり冷めてしまっていた。それでもなお、タイタスにまで香って来るその芳しい香気には、嗅ぐ者に蕩けるように甘い菓子を食べたくなる欲求を喚起させる魔力が顕在だ。妖精の薄焼き菓子は、きっと良く合うであろう。 タイタスは、カップを傾け、その紅茶の中身を竜骨の円卓の上に注いだ。 如雨露のように、カップから琥珀色の液体が零れて行く。正味一〇〇デシリットル程の紅茶を、カップは吐き出し終えた――筈だった。 紅茶はまだ零れ続ける。――否!! カップが吐き出しているのは紅茶に非ず。それは、透明な液体であった。 一見して水に見えるそれは、一秒が経過する毎に、カップから吐き出し続ける勢いと量が指数関数的に強くなって行く。 テーブルに零した紅茶は一瞬で洗い流され、メフィストが先程散らばらせた宝石も、カップから迸る水の奔流で、何処ぞへと消えて行く。 透明な水が零れてから数秒後、比喩抜きで、カップからは水が、瀑布の如き勢いで流れ続けている。 そしてその水に、アイビアが従えていた、姫の殺意に恐れて発狂していた夜種の全てを呑み込んだ。所々で上がる悲鳴。ぎゃあぎゃあと、不愉快な声が響き続ける。 タイタスが傾けるカップから、水が流れ続けて三十秒後程経過した。恐るべき風景だった。高槻涼の中に眠る、とある少女の心象風景を元にした、この閉鎖空間。 その殆どを、タイタスのカップから迸る水が満たしていた。水は直に、メフィスト、タイタス、姫の三名が茶会を楽しむ丘まで侵食。 そして遂に――三名を呑み込んだ。三名の頭の高さにまで水が侵食する。この世界の全てを、水が包み込む。 アメリカネムノキの梢まで水の高さは達し、その数秒後には、遂にこの世界を満たす水の高さは高度数千mのそれにまで達した。 そんな、この世の終わり、聖書に語られる所のノアの洪水のエピソード宛らの光景にあって、タイタスも、メフィストも、そして姫も全く動じない。 目を見開いたまま、メフィストも姫も、タイタスを眺め続けている。三人の髪が、水中にあって広がりもしないのは、如何なる魔術があっての事なのか。 退屈そうに、姫が欠伸をする。口内に水が入ってくる。真水ではない。海水だった。タイタスは、カップから海水を放出していたのだ。 周囲を一瞥するメフィスト。タイタスが放ち続ける海水で、この世界で平和を謳歌していた様々な野生生物が溺死し、苦しみ抜いた後に死んだ事が窺える姿で、 ゆっくりと、何処にあるのかとも知れぬ水面に向かって浮かぼうとしているのを認めた。夜種に至っては、元が汚泥や塵の集まりだ。すっかり水に溶け、跡形もなく消え去っていた。 ――私の番だな―― メフィストが呟く。水中なので言葉も発せない。故に、タイタスにも姫にも、メフィストの言葉など届かぬ筈だった。 しかし、二名は確かに、この医師の言葉を理解していた。それは、二人が読唇術を理解していたからなのか、それとも、水の中にあってもこの美魔の言葉は問題なく届くからなのか。それは、この場に於いてまともに生き残っている三名と言う当事者でなければ、解らないのであった。 肯じたタイタスの姿を認めたメフィストは、懐から一本のメスを取り出し、それを空中に向かって弾いた。 果たして、メフィストの透き通るような白い肌に包まれた細指の何処に、そんな力があったのか。 音速の九倍の速度で急浮上して行ったそれは、現在の海面の高さである高度十㎞以上の高さまで、水面を貫いて浮上。 外気に触れた瞬間それは、激しく赤熱し始めた。秘めたる温度は、摂氏数百万度。海水など一溜りもなく、水蒸気爆発を引き起こさせ、大量の水蒸気となって行く。 温度が更に強くなる、メスが内包する温度は今や摂氏二千と五六七万度にまで達し、海面がせり上がる速度よりも、海を蒸発させて行く速度の方が勝る。 一分と半秒程の後、世界に満ちていた海水が遂に、完全に蒸発。後は、地上に染み込んだ海水をも余さず蒸発させるだけだった。 周囲に満ちる、大量の白靄は全て水蒸気。三人の身体に堆積する大量の白い粉は、タイタスが呼び寄せた海水が蒸発した事による塩分だった。 ――これだけに終わらなかった。メスは凄まじい勢いで地上へと急降下して行く。 それは即ち、摂氏数千万度の熱源が、大地に迫るのと同義。ある高度に達した瞬間、水分を全て失い尽くした地上の全ての物が、灼熱と化した 大地に生える草木が、山脈の木々が、橙色の炎の海と変貌する。勿論それは、アメリカクスノキの大樹にしても同様。 更にメスが迫る。竜骨の円卓が、融解を始め、ガス蒸発を始めた。それにすら、タイタスもメフィストも、姫も動じない。 寧ろ姫に至っては、『まだ終わらぬのか』とでも言うような表情を隠してすらいなかった。 やがてメスが、地面に突き刺さった。異世界の大地全体が、一秒でマグマ化したばかりか、岩石蒸気となって空中を漂い始める。 メフィストらが鎮座する丘まで蒸発するのに、一秒も要らなかった。丘が完全に蒸発し消えてなくなるが……果たしてこれは、如何なる夢魔の光景か。 三人は、落ちない。丘が今まで存在し、三人が茶会を開いていた高さをそのままに、三人は、座ったままの姿勢を維持したままであった。客観的に見れば三人は、空に浮かんで空気椅子をしているようにしか見えなかった。 フッ、とタイタスが右手で仰ぐような動作を行う。 その瞬間、凄まじいまでの突風が、世界を薙いだ。風速は、時速数百億㎞。 忽ち三名は、その風に流されるがまま、数秒で、大気圏外にまで放り出された。いやそれ以前に、これだけの風に叩き付けられて、何故この者達は、五体無事なのか。 普通であれば、身体が粉々所か、ナノレベルよりも細かい粒子となって、即死していると言うのに。 暗黒の大海に放り出された三名は、なおも座ったままの姿勢を維持したまま。此処は確かに宇宙だった。 燃え盛る橙色の星となった、岩石の塊。嘗て母なる星と呼ばれていた地球の惨状は、遠く離れて宇宙から見れば酷く破滅的な美に彩られていた。 そして、その風景を眺める地球の伴侶たる月は。隣の惑星である、金星と火星は。星辰の王たる太陽の如き有様となった地球を見て、何を思うのか? 虚黒の海に放り出された三人。その内のメフィストが、取り出したメスを横に一閃させる。 刹那、空間に裂け目が生じ出し、それが、秒速数十億光年の速度で無限長の宇宙の端から端にまで延長して行った。 宇宙の端から端まで到達した切れ目が、音もなく開いて行き、其処から、白色の奔流と、宇宙の根源的破滅エネルギーを放出し始めた。 光に数億倍する速度で、破滅の力が流れ出す。嘗て地球が内包されていた太陽系のみならず、それすらも含有させていた銀河系が、 白い波濤に呑み込まれ、そこに存在していた全ての星々を砕いて塵にしながら消滅して行き、ものの数秒で更に隣の銀河を併呑し、破壊して行きそして―― 「下らん」 姫のその一言がピシャリと響いた瞬間――夢が、醒めた。 全てが、元通りになっていた。果たしてあれは、一口齧った妖精の薄焼き菓子を食べたいと言う願望が見せた、一抹の夢幻であったのだろうか。 メフィストのメスによってマグマ化させられていた地表も全て無事。地面に萌える草や花、生命の力強さの何たるかを示す木々の数々。 地球と言う惑星の雄大な時の重みを示す山脈も、全ては元のまま。「悪い夢を見ていたのは、お前達の方だよ」。世界の全てが、そうと諭しているかのようだった。 身体の何処も、海水で濡れていない。竜骨のテーブルもその上に散らばる宝石も、元のまま。勿論、三人の周囲には、宇宙の暗黒など広がってすらいない。 ――決定的な違いと言えば、この世界の偽りの平和を謳歌していた様々な生物及び、アイビアを除いた全ての夜種が、この地上から消滅していた、と言う事であろうが。 「いつまで茶番を続けるつもりじゃ、退屈過ぎて思わず眠り落ちてしまいそうだったぞ」 苛立ちを隠しもしない姫。心底下らない物で時間を取られたと、本気で憤っている様であった。 メフィストとタイタスが繰り広げていたのは、所謂幻術の出し合いであった。 インドに於いては、これらの技術はマーヤーと呼ばれ、ゴータマが現在の時代においては、このマーヤーで生計を立てていた幻術士は、西はインド、 東は春秋時代の中国に至るまで、珍しい存在ではなかった。彼らの使う幻術とは、人間の心に訴えかけて作用させるものだった。 幻術には一種の催眠状態に陥らせる効果のあるものも珍しくなく、掛けた術者の技量と掛けられた物の感受性次第では、実際に火を当てていないのに火傷を起こさせる、 と言った芸当も当然のように可能であった。しかし、無条件でこんな事が出来ると言う訳ではない。肝心なのは、術者の腕前もそうだが、真に肝要なのが、かける相手。 例えば、親に我が子を殺せと幻術を掛けたり、近衛兵に王を刺し殺せと言う幻術を掛けたとしても、これは通常成立しない。 何故ならば、幻術を掛けた事で予期出来る結果が極めて破滅的で、かつ、掛けられた当人からすればその幻術によって行う事が突拍子もない物だからだ。 結果、何が起こるかと言うと、掛けられた当人は幻術による命令と当人が有する自意識や良識・常識の間で苦しみ、遂には、幻術から覚醒してしまうのだ。 そう、幻術とは掛けられた当人の精神力と、有しているモラルや常識に極めて強く左右されてしまうのだ。それに、幻術は感受性がない相手には通用しない。 つまりは、心の総量が余りにも少なすぎる虫や寄生虫、ウィルスと言った存在を催眠に掛ける事は不可能であり、無機物に至ってはそもそも催眠に掛けられない。 高位の幻術士とは正に、どんな人間にも、どんな突拍子もない幻術を掛けられる者の事を指し示すのであり、史上それが出来た幻術士など、数える程しかいない。我国で言えば、多くの大名を一杯喰わせた、あの果心居士がそれに当たろうか。 そして二人は正に、この高位の幻術士……いや。魔術の歴史にその名を残す、高名な幻術士でもあった。 二人がどんな幻術を引き起こさせたのかは、先程の通り。彼らは己の有する魔術の才能、そして幻術への理解で以って、 あのようなこの世の物とは思えぬ大破壊を繰り広げさせたのである。しかし、所詮は刹那の幻に過ぎぬ幻術であるのに、何故夜種も動物も消え失せたのか。 その答えはシンプル。幻術に巻き込まれた者は、それが一度『本当に己の身体に起っている事だ』と思い込んでしまったら、最後。 真実、今自分に叩き込まれている幻術と同じ様な結果がその身に舞い込んでしまうのである。動物らも夜種も、あの幻術を本物だと思い込んでしまったせいで死んだのだ。 メフィスト、タイタス、姫が全く無事である理由は、単純明快。最初から幻術だと看破し、自分の身体に何が起ころうとも、現実の世界では全く問題がない、 と強く心の内で思っていたからに他ならない。幻術への対策は、初めからこの光景や結果は幻だと思い込む事と言う簡単な物であるが、これが恐ろしく難しい。 何せ今回の幻術の仕掛け役は、メフィストとタイタスと言う、恐るべき魔術の冴えの持ち主である。 『この二名なら、こんな事が出来ても仕方がない』。『この二名なら、出来るだろう』。そう思わせるだけの凄味と実力が、二名には確かにある。 おまけに如何に幻の現象とは言え、水の感触や熱の感覚、風の当たりも二名は限りなく本物に近づけさせている。そんな現象に直面する内に、大半の者はこう思う。 もしかしてこの現象は夢ではなく、現実の……。そう思えば最後、待っているのは、重さ数兆を超えて数京tの大海水の奔流に、摂氏数千万度の超高熱、風速は時速数億㎞超の台風に、宇宙をも滅ぼす根源から流れ出る破滅エネルギーだ。幻術とは、掛ける相手によっては最強の魔術にもなるし、その反対。全く役にも立たない魔術にもなるのだ。今回、タイタスが仕掛けた幻術は、後者に終わってしまったと言う訳だ。 「素晴らしい幻術を御見せ頂いてしまったな、王よ」 「とんでもない。卿の見せた反撃の幻術……とても幻想的で、示唆に富む」 全く本心から言っているとは思えぬ、社交辞令的な言葉のやり取り。 これが終わると同時に、アイビアの身体から、五感が取り戻される。「タイタス様!!」と言う叫びが上がる。一際煩い声だった。 何故、他の夜種や、動物達が死んで、アイビアが無事だったのか? それは、タイタスが彼女から五感を奪っていたからに他ならない。 幻術にそもそも掛からなくするには、無機物であるか、視覚や嗅覚、聴覚に触覚に味覚を封じていれば良い。 つまりは、何も感じなくさせれば良いのだ。あのまま行けばアイビアは、確実に幻術を本物と理解し死んでしまう。 それを懸念したタイタスは、彼女から五感を奪って無力化させていた、と言う訳だ。彼は、確かにこの魔将を救っていたのである。 「今の幻術が、余が勝負する手札。卿よ、貴殿は何を以って余に挑む」 「そう大それた術は使えん。所詮、患者を直す事しか出来ぬ男だよ。大した期待は、しないで欲しい」 言ってメフィストは、その手に透明なメスをアポートさせる。 水晶で出来ているようなクリアーさのそれはしかし、握られている手が悪すぎた。これでは、全く余人に美しいと見られぬではないか。 手に握ってしまえば、どんな宝石の輝きをも褪せさせてしまう、メフィストの魔性の手。それによって握られたメスは果たして、喜んでいるのかどうか。 これを以てメフィストは、空間に切れ目を刻み、其処に、空いた左手を突き入れる。その状態のまま、一秒程。これで良いと言わんばかりに彼は手を引き抜き、一言。 「私からの魔術はこれで終わりだ。そうだな……三分後程に、効果は現れる。その間、此処で待っている時間も惜しい。今も、我が病院に新しい患者がやって来て、私が必要だと呻いていると思うと、気が気でならないからな」 「心得た。三分、余はこの場で待てば良いのだな」 「勿論。勝敗がどちらに上がるのかは、其処のサタンが、貴方の奥方様の判断に任せて構わん。それを以って、今回の術比べは終了としようではないか」 最後の最後まで軽口を叩くの、と言うような顔の姫。 「相解った。白麗の卿よ、帰り道の案内は必要か」 「其方の手を煩わせるまでもない。一人で帰れる」 その言葉を聞いて、本気か、と思ったのはアイビアだ。 タイタスの許可がなければ、永久に此処から出られぬばかりか、施された様々な罠、放流されている様々な夜種や怪物達に無惨に殺される、この恐るべき魔迷宮から、どのようにしてこの男は、退散すると言うのか? 「何から何まで、貴殿には迷惑を掛けてしまったな」 「気にする程の事ではない。今回は表敬訪問だ、多少の事は気にしない」 皮袋に、竜骨の円卓の上の宝石をしまいながらそう口にするメフィスト。 その言葉の裏に、凄まじい意思が内包されていると気付けたのは、流石にタイタスと、姫だった。 「今後は、別の付き合い方をするかも知れない。その時は、また宜しく頼もう。タイタス一世……古帝国アルケアの始祖帝にして、彼の世界の遍く文化の発端となった男よ」 「お手柔らかに頼もうか。魔界医師」 「――ではな。この空間に、戻る事はないだろう」 言ってメフィストは、メスを縦に一閃させる。 空間に生じた切れ目が、横に開いて行く。空間の先には、タイタスの領地にしている高級ホテルの、地下駐車場の風景が広がっているではないか。 其処にメフィストは歩いて行き、主がこの世界から消え失せるや、彼が作った切れ目は閉じて行き、ピッタリと癒着。 そして遂に、切れ目は透明さを増させて行き、この世界から消え失せて行く。麗しい魔と、恐ろしい王の、神話の一説の如き邂逅は、斯様な風にして終わったのだった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「おかえりなさいませ、ドクター」 リムジンのドアを開け、帽子を被った細面の運転手が、外に出て深々と一礼した。角度は、三十度キッカリ。 「変わった様子はなかったか」 メフィスト。 「全く以って何事もない、三十分で御座いました」 「結構だ。早速、病院に戻るとしよう。患者達が私を待っている」 「畏まりました」 言って運転手は、己の指定席へと入って行き、ボタンを押して、後部席のドアを開ける。 其処にメフィストはスルリと入って行き、シートに深く腰を下ろし、一息吐く。 「鹿は、狩れましたかな?」 リムジンのパワースイッチを押しながら、運転手は訊ねて来た。主が、狩り損ねる筈がないだろう、と言う絶大の信頼感が、声音にはあった。 「夜に持越しだ」 「!! ……それは、それは」 それ以上は、運転手は聞かなかった。狩り損ねた事に驚いたが、もっと深い考えがあっての事だったのだろう、と思い直す事にしたのだ。 それに、後の自分の責務は、安全にメフィストを目的地に送り届けるだけ。これ以上の質問は野暮と言う物。 音もなくリムジンが動き出す。革製のシートの下にエクトプラズムを充填させたシートから伝わる、至福の感覚も、揺れも何も一切ないリムジンの運転手の抜群の運転スキルが約束する至上の乗り心地も、今のメフィストの憂鬱さを吹き飛ばすには、到底至らない。 「覚悟を決めるのは、白子の王か。それとも……」 「私か」。 その呟きは、狭い車内の中で、蚊の羽音のようにさくかに響いたのだった。 決戦の時間は、想像以上に残されてない事を、リムジンのカーラジオに取り付けられた電波時計から、メフィストは知ったのであった。 【高田馬場、百人町方面/1日目 午後4:00分】 【キャスター(メフィスト)@魔界都市ブルースシリーズ】 [状態]健康、実体化、殺意(極大) [装備]白いケープ [道具]種々様々 [所持金]宝石や黄金を生み出せるので∞に等しい [思考・状況] 基本行動方針:患者の治療 1.求めて来た患者を治す 2.邪魔者には死を 3.高槻涼を治療し、その後に殺す 4.ロベルタを確実に殺す 5.姫を確実に殺す [備考] この世界でも、患者は治すと言う決意を表明しました。それについては、一切嘘偽りはありません ランサー(ファウスト)と、そのマスターの不律については認識しているようです ドリー・カドモンの作成を終え、現在ルイ・サイファーの存在情報を基にしたマガタマを制作しました そのついでに、ルイ・サイファーの小指も作りました。 人を昏睡させ、夢を以て何かを成そうとするキャスター(タイタス1世(影))が存在する事を認識しました アーチャー(八意永琳)とそのマスターを臨時の専属医として雇いました ジョナサン・ジョースター&アーチャー(ジョニィ・ジョースター)、北上&モデルマン(アレックス)の存在を認識しました 番場真昼/真夜&バーサーカー(シャドウラビリス)の存在を認識しました 浪蘭幻十の存在を確認しました 浪蘭幻十のクラスについて確信に近い推察をしました ライダー(大杉栄光)の存在を認知しました。 ライダー(大杉栄光)の記憶の問題を認知、治療しようとしました。後から再び治療するようになるかは、後続の書き手様にお任せします。 マスターであるルイ・サイファーが解き放った四体のサーヴァントについて認識しました メフィスト病院が襲撃に会いました。が、何が起こったのかは、戦闘の余波はロビーだけで、院内の他の患者には何が起こったのか全く伝わっていません ロベルタ&バーサーカー(高槻涼)の存在を認識、彼らの抹殺を誓いました 上記の抹殺について、キャスター(タイタス1世から)、1日目の午後8時に、市ヶ谷駐屯地でロベルタとバーサーカー(高槻涼)の身柄を貰い受けると約束しました 蒼のライダー(姫)の抹殺を誓いました ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今でもタイタスは、あの魔界医師との逢瀬は、真夏の昼が見せた幻であったのではないかと考えずにはいられなかった。 あれだけ美しい男が、この世にいても良いのか? 神界に通じる魔力と魔術を有するタイタスではあるが、あれ程美しい存在は、天と神との世界にも見た事がない。 果たしてメフィストと言う男は、神の手から成る最高傑作なのか。それとも、神の意思をも超越する何らかの大いなる意思の気まぐれによりて生み出された、 この世全ての美の基準を嘲笑う悪魔なのではないのかとも、思っていた。どちらも正しく、どちらも間違っている。 酷く曖昧な結論を下さざるを得ない程に、メフィストの美は、謎めいていた。解る事は一つ。あの男との邂逅は確かに、タイタスの精神力と体力を削ったと言う事だ。 タイタス自身は平然としていた様子だったが、実際には、あの美貌に射竦められると、鋼に鎧われたその心ですら、亀裂が入って行くのを彼は感じる。 内臓どころか、魂、前世すら見通していると言われても、お前ならしょうがないと納得してしまう程のあの目には、当惑を超えて、恐怖しか感じられない。 あんな存在が、自分と同じキャスタークラスで召喚されている。その事実に、総毛立つ戦慄を覚えてしまう。 あれと事を争う……その本当の意味を知らないタイタスは幸福だった。彼がもしも魔界都市の住民であったのなら……事を争う前に、区民なら皆、区外へと一目散に逃走する事を、選んでいたであろうから。 もうすぐ、メフィストが口にした三分が経過しようとしている。 既にメフィストは、大仰な黒塗りのリムジンに乗ってホテルから出発しているのは確認済み。これ以上はタイタスも追跡しない。 するだけ無駄であろうと思っていたからだ。その判断を姫は、悪い物ではないと礼賛していた。 果たしてメフィストは、術比べに於いて何を仕掛けていたのか。それが非常に気になるタイタス。そして遂に、その運命の瞬間が、訪れた。 「……? 始祖よ、これは……?」 アイビアが、疑問気な声を投げ掛ける。何が起こっているのか、解らないらしい。 だが、タイタスは何が起っているのかを瞬時に理解したらしい。見開かれた瞳が、その証拠。 姫は愉快そうな表情を上げ、ふわっ、と宙に浮かんだと見るや、纏う衣服ごと大気に溶けて行き、遂には完全な透明な姿となり、この世界から消え失せる。 タイタスは、自身とアイビアの間に隔たる空間を睨む。するとそこに、彼ら二人なら並んで通れる程の大きさの虫食い穴が空間に穿たれ、其処に 「入れ!!」 とタイタスが一喝。すると、驚いた顔をしたアイビアが、反射的に穴の中に入って行き、遅れて始祖も、その中に駆け出す。 出た先は、ホテルの地下に作った墓所に、新しく作った広大なスペース。広さにして、三キロ平方mはあろうかと言うこの空間に、 タイタスはあの、高槻涼の中に住まうアリスが望んでいたアルカディアへと続く、異次元を創造していたのである。 異次元を創造と言っても、今現在タイタスがいる時空から見れば、何処にも、あのアルカディアへと続く入口は見つからない。 当然だ、然るべき手段がなければ、其処には干渉出来ない。何せ、異なる位相の空間に在るからこそ異次元なのである。三次元空間から其処に侵入するには、特別な才能と手順が必要、と言う訳だ。 ――そう、其処には何もない、筈だったのだ。 アルカディアでも感じた揺れが、異次元を通じて、この墓所全体にも生じて行く。 立っていられない程の、震度五以上を想起させる直下型の地震。タイタスが、何もない空間を睨みつける事、二秒。変化が訪れた。 メフィストとの会合の為に誂えたこの広大なスペースの空間全体が、鶏卵の殻を剥くように、ボロボロと剥がれ落ちて行く。 その様はまるで、黒雲母の表面がポロポロと地面に落ちて行くようなそれに似ている。空間が剥がれた先には――地獄があった。 其処が、メフィストと姫が会話をしていたアルカディアであると理解したのは、一瞬。青空の風景をそのまま収めた、巨大な破片が地に落ちる。 それは、さっきタイタスが見た様な、空間の剥離のスケールを極大にした物だった。青空の破片の大きさは、優に数十~数百㎞にまで達している。 それが地面に衝突すると、大地には深い亀裂が生じて行き、地割れが巻き起こって行く。 山にぶつかった青空の破片は、腹に響く様な轟音と、空にまで達する程の朦々とした砂煙を立てさせる。 剥がれた青空の先には、其処に身体を投げ入れれば二度と元の所には戻って来れないと言う、絶対的な確証を抱かせる、光すら逃さぬ黒色の空間が広がっていた。 本当に、其処には何もない。眼球や人間の口、鼻が浮かび上がり、それらが笑いの声を上げ相を浮かべる、と言う不気味の風景を演出してくれた方が、まだ安心感がある。不安感しか、その黒の空には抱けない。 そして、その黒が、閉じた世界を侵食する。黒い空が、タイタスの生んだ世界の果てまで伸びて行き、それ以上広がりようがないと思ったのか、 墨が壁を流れるが如く、黒が何もない世界の果てを伝って行き、遂に大地にまで到達。そしてその状態から物凄い速度で、嘗てタイタスらがメフィストと話をした、 あの小高い丘目掛けて収束する。山を呑み込む。黒いタール状の物が覆われたと思うのは、ほんの一瞬。直にストンと凹凸が消えてなくなり、大地と言う平面と一体化した。 黒が呑み込む。草木を、泉を、丘を、山々を。凄まじいとしか言いようがない速度で、世界の全てを黒が侵食して行き、そして最後に、あの丘を呑み込んだ時。真実世界の全てが黒に染まった。 「こ、これは……」 震えた様子で、アイビアが訊ねて来る。 手元に一枚残していた、妖精の薄焼き菓子を、タイタスは、剥がれた空間の先に広がる黒い闇の中に放った。 その空間の中で、薄焼き菓子が、菓子としての形を保てたのは、ほんの二秒程。ある一定の深さ、いや、距離を進んだ瞬間、 それは蒼白い粒子となって分解され、跡形もなく消え去った。この空間に入ったが最後。タイタスであろうとも、その魂ごと先程のように分解され、消滅してしまうだろう。 メフィストが去り際に行った、タイタスの術比べに対抗するべく行った技。 それは医者として彼が出来る、ごく当たり前の技術。『手術』。誰を、手術したのか? 答えは、誰に言っても信じて貰えまい。タイタスがメフィストとの話し合いの為に創造した、あの閉鎖空間であった。 メフィストが行ったのは、簡易的な自我を無機物に埋め込むと言うもの。心を持たぬ器物に、自意識を覚醒させると言う神業。 勿論これは、彼の魔界都市においても神憑り的な技術であった事は言うまでもないが、メフィストの行うそれは、更にその先を往く。 平時であれば、人の質問に対してYESかNOと答えられ、極々簡単な会話をこなせる程度の自我しか埋め込まないが、メフィストが行った技術は更に高度。 手術した無機物に、『美意識』を抱かせるそれをおこなったのだ。では、これを行って何故、空間が崩壊を始めたのか? それは、極めて簡単かつ合理的、そして――誰に言っても馬鹿げているとしか返答のしようがないもの。 生まれて初めて意識を持った空間が、最初に見た男があの『メフィスト』であった。それが、全ての始まりでもあり、終わりでもあった。 月の光を吸って生きる、夜にのみ咲く花。その花びらに浮かぶ雫を丹念に集めて作り上げた様な、美の結晶たる男を初めて空間が見た時、空間が『惚れた』のだ。 もっとこの男の姿を見ていたい。空間の抱いた純粋な思いに、誰が「馬鹿め」と口に出来ようか。メフィストの姿をこの目で一生眺め続けたいと思うのは、 魔界都市の住民であったのならば誰もが心に抱く、普遍的な感情であったからである。たかが空間の戯言、と誰も馬鹿に出来ない。 ……だが、メフィストは去り際にこう言ったのだ。 ――ではな。この空間に、戻る事はないだろう―― そう、この一言は、何の考えもなくメフィストは口にした訳ではない。 もう、自分と言う空間には何があっても足を運ばない。そうと理解した瞬間、空間は、酷い絶望とショックを憶えた。 あのアルカディアを模した空間にとって、メフィストとは産みの親であり、初めて見た美しいもの。彼に産み出されたとなるや、その誇りたるや並ならぬ物だったろう。 そのメフィストに、捨てられた。そうと理解した瞬間――空間は、『自殺』を選んだ。二度と、あの男に会えぬのなら、自分が形を留め続ける意味など何もない。 そう逸った空間は、空に亀裂を生じさせ、空間の先に存在する、数学的に完全な『無』である事が証明されている虚無に、自身の存在を塗り潰させ、嘗て存在した、 と言う事実をそのまま消し去ろうとした。これこそが、メフィストがタイタス一世に見せた、王の幻術に対抗する手術。 魔界医師は、空間の自殺によって生じた虚無に、タイタスを呑み込ませ、本当に此方を殺そうとしたのである。 「……魔界医師、か」 そうと呟き、タイタスは、一呼吸を置いた後、再び口を開いた。 「その字(あざな)、一切の偽りなし」 身体が、震えた。 恐れからではない。肉の身体を持つ自分が、あの神の美貌を持つ悪魔に対して仕掛けられると言うその事実に対する武者震いであり――喜びでもあった。 そしてその様子を、この世の全ての悪をかき集めて女の形にした様な、骨が震える様な美貌の持ち主である姫が、笑って眺めている事に。 タイタスは、果たして気付いているのであろうか。 【高田馬場、百人町方面(百人町三丁目・高級ホテル地下・墓所)/1日目 午後4:00分】 【キャスター(タイタス一世(影))@Ruina -廃都の物語-】 [状態]健康 [装備]ルーンの剣 [道具]墓所に眠る宝の数々 [所持金]極めて多いが現貨への換金が難しい [思考・状況] 基本行動方針:全ての並行世界に、タイタスという存在を刻む。 1.魔力を集め、アーガデウムを完成させる。(75%ほど収集が完了している) 2.肉体を破壊された時の為に、憑依する相手(憑巫)を用意しておく。(最有力候補はマスターであるムスカ) 3.人界の否定者(ジェナ・エンジェル)を敵視。最優先で殺害する。 4.メフィスト……魔界医師……恐るべし [備考] 新宿全域に夜種(作成した魔物)を放って人間を墓所に連れ去り、魂喰いをしています。 また夜種の他に、召喚術で呼び出した精霊も哨戒に当たらせており、何らかの情報を得ている可能性が高いです 『我が呪わし我が血脈(カース・オブ・タイタス)』で召喚したタイタス十世を新宿に派遣していますが、令呪のバックアップと自力で実体化していたタイタス十世の特殊な例外によるものであり、アーガデウムが完成してキャスターが真の姿を取り戻すまでは他のタイタスを同じように運用する事は難しいようです キャスター(ジェナ・エンジェル)が街に大量に作り出したチューナー(喰奴)たちの魂などが変質し、彼らが抱くアルケアへの想念も何らかの変化を起こした事で『廃都物語』による魔力回収の際に詳細不明の異常が発生し、魔力収集効率が落ちています 現在作成している魔将は、ク・ルーム、アイビア、ナムリス(故)です ロベルタ&バーサーカー(高槻涼)を支配下に置きました 現在ロベルタの為の義肢を作っています 葛葉ライドウ&セイバー(ダンテ)の存在を認知しました キャスター(メフィスト)の存在を認知しました キャスター(メフィスト)に、ロベルタ&バーサーカー(高槻涼)の身柄を、1日目の午後8時に引き渡す約束を交わしました 【ライダー(美姫)@魔界都市ブルース夜叉姫伝】 [状態]左脇腹の損傷(中。時間経過で回復)、実体化、せつらのマスターに対する激しい怒り、 [装備]全裸 [道具] [所持金]不要 [思考・状況] 基本行動方針:せつらのマスター(アイギス)を殺す 1.アイギスを殺す、ふがいない様ならせつらも殺す 2.ついでに見かけ次第ジャバウォックを葬る(近くにいるのは解ってるけど先送り)。 3.セイバー(ダンテ)、アーチャー(バージル)バーサーカー(クリストファー・ヴァルぜライド)に強い関心。彼らを力づくで捩じ伏せたいと思っています 4.血を飲むなり紅湯に浸かるなりして傷を癒したい [備考] 宝具である船に乗り、 新宿 の何処かに消えました(現在タイタス1世(影)の拠点にいます) 一ノ瀬志希&アーチャー(八意永琳)、不律&ランサー(ファウスト)の存在を認識しました セイバー(ダンテ)、アーチャー(バージル)バーサーカー(クリストファー・ヴァルぜライド)を認識しました 人間を悪魔化させる者がいる事を知りました 高田馬場・百人町方面に向かって移動中です アナスタシア・鷺沢文香・橘ありすの三人を妖眼で支配しました 部下としてあるサーヴァントに目を付けました 時系列順 Back 流星 影を切り裂いて Next 第一回<新宿>殺人鬼王決定戦 投下順 Back えーりんのぱーふぇくと交渉教室 Next The proof of the pudding is in the eating ←Back Character name Next→ 46 It`s your dream or my dream or somebody`s dream キャスター(メフィスト) [[]] 46 It`s your dream or my dream or somebody`s dream キャスター(タイタス1世(影)) [[]] 54 お気に召すまま 蒼のライダー(美姫) [[]]
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ここは皆の考えたダブルクロスののAA及び刻印持ちモンスターを書いていくページです。 現時点で情報の出ていないコードネーム 「エンジェル・ハイロゥ」「バロール」「ブラックドッグ」「エグザイル」 「オルクス」「サラマンダー」「ハヌマーン」「キュマイラ」「ブラム=ストーカー」 の9人を、モンスターやマスターで自由に当てはめて設定してみてください。 作成単位は「コードネーム持ちのマスターとモンスター1セット」とします。 (例:「サラマンダー(マスター)」+「オルクス(モンスター)」) 投稿の際は極力テキストの余白や空行を削りましょう。投稿のデータ量制限に引っかかりがちです。 このページの容量は限界になりました。最新のページをご利用ください。 +【テンプレート例:やらない夫(2ch掲示板)&善吉(めだかボックス)】 【テンプレート例:やらない夫(2ch掲示板)&善吉(めだかボックス)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター 名前:【やらない夫】 ようき ♂ 【個人スキル】 [ 才能開花 / 仲間の成長を補助し、能力の取得の制限を緩和、戦闘中の覚醒を行うスキル。【★7】 【マスタースキル】 [ [MP]??? / 【やらない夫】固有スキル。最初の「転生」を終えた後、「タイム」を取った際に自由自在に使いこなせる。[1/戦]。【*】 PTコンセプト ごった煮 モンスター 種族:人吉善吉 ♂ Lv5 おひとよし HP 54 MP 10% 悪魔系 [ せいめいりょく … B [ こうげきりょく … B+ [ しゅびりょく … C [ まりょく … D+ [ せいしん … D [ すばやさ … B [ キャパシティ … [5/10] 【セットアップ】 [ [★]欲視力 3 / 「敵単体」「単体妨害」「なし/必中」「マヌーサ(T終了時回復)」【魔眼/なし】【テ/2】【セ】【2】 【特技】 [ [1]まわしげり 2 / 「敵前列」「範囲攻撃」「80/90%」【格闘/なし】【2】 【種族スキル】 [ 転生する魂 / 「配合」ができない。特定の条件を満たすか「転身」で能力を強化できる。【*】 [ 魔眼 / 特殊な魔力を秘めた【魔眼】を所持している。攻撃の命中率が常に「+10%」される。【*】 【パッシブスキル】 [ 死角攻撃Ⅰ / 『マヌーサ』状態の相手に与えるダメージが増加(+10%)する。【1】 【アクティブスキル】 [ なし 【耐性】 [ なし ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【黒咲隼(遊戯王ARC-V)&射命丸文(東方Project)】 【黒咲隼(遊戯王ARC-V)&射命丸文(東方Project)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:エグザイル 名前:【黒咲隼】 こうせんてき ♂ 【個人スキル】 [ レジスタンス / 逆境の中で己の力量を最大以上に引き出すスキル。いかなる屈辱に塗れようとも、最後には敵を圧倒し、殲滅する。 【リミットスキル】 [ [LS]無双風神・改 / 【射命丸文】のリミットスキル。タイミング:セットアップ 戦場に逆襲の風を巻き起こすスキル。 HPが30%以下。「メインP」で行う「バキ」に《突破》を付与する。「バギ」の対象の耐性を「風:-20」としてダメージ計算を行う。 【マスタースキル】 [ [D]RUM-ラプターズフォース / 【黒咲隼】固有スキル。このターン、指定した1体の味方モンスターが戦闘不能になる時、一度だけ戦闘不能にならず、HPを30%まで回復する。[1/戦]【*】 [ [D]レイドラプターズ / 【黒咲隼】固有スキル。味方が1体以上「戦闘不能」であるとき使用可能。《殲滅》、《拡散》、《収束》のいずれか1つを味方1体のメインPの特技に付与する。それぞれの付与効果は1戦闘中1度のみ使用できる。[2/戦]【*】 PTコンセプト エースである射命丸の維持および、相手の優勢をひっくり返す逆転性能の高さ モンスター コードネーム:【エンジェル・ハイロゥ】 種族:射命丸文 ♀ Lv80 HP 450 MP 22% 精霊系ナチュラ [ せいめいりょく … B+ [ こうげきりょく … A [ しゅびりょく … B [ まりょく … A [ せいしん … B [ すばやさ … AA+ [ キャパシティ … [35/35] 【セットアップ】 [ [3/3]かぜのしゅくふく 2 / 「仲間単体」「単体/強化」「素早さ+3(Lv)」「テンション+1」【なし/バギ】【2】 [ [2/3]風神少女 5 / 「自身」「単体/強化」「速度+2(Lv)」「「こうげきりょく」と「まりょく」を「すばやさ」の上昇値/4(端数切り上げ)だけ上昇させる。」「なし/バギ」【3】 【特技】 [ [2/5]バギクロス 4 / 「敵一列」「範囲/攻撃」「140(130+Lv*5)/-」【呪文/バギ】【3】 [ [4/5]ふうじん斬り 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「3回」「95(75+Lv*5)/90%」【斬撃/バギ】【3】 [ [3/5]幻想風靡 5 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「2回」「120(90+Lv*10)/90%」【自然/バギ】【4】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 鴉天狗の追風 / 「すばやさ」が上昇した際、中確率でランダムに能力が上昇する。【*】 [ 鴉天狗の向風 / 「自身」の「バギ」が敵に命中した際、低確率で敵の能力の上昇を打ち消す。【*】 [ 鴉天狗の順風 / 「自身」が「バギ」を使用した際、中確率で「すばやさ」が上昇(+1)する。【*】 [ 鴉天狗の突風 / 「自身」が「バギ」を使用した際、低確率で攻撃範囲が広がる。「敵単体」→「敵一列」、「敵一列」→「敵全体」。【*】 【パッシブスキル】 [ [A]疾風のエース / 「エース状態」になった際、速度が上昇(+2)する。【*】 L[ [★]反逆の翼 / 「エース状態」であり、かつ「味方の数」が「敵の数」未満または自身のみであるとき、自身の「バギ」は敵の耐性を無視する。【3】 L[ [5/5]先陣の勇 / 自身が誰よりも早くメインPを行うターン、自身を含む味方がメインPで与えるダメージが増加(25%(Lv*5))する。【2】 [ [8/9]バギマスタリ / 自身が行う「バギ」攻撃によってあたえるダメージが増加(40(Lv*5%))する。【2】 [ [★]微風の誘い / 自信を対象に含むメインPの特技の属性を、低確率で「バギ」に変更する。【L】 [ [★]体躯鸚鵡返し / 自身が「バギ」のメインPの特技で攻撃されたとき、そのメインP終了時に特技の条件を無視して同じ特技で反撃する。 この反撃でMPは増加せず、攻撃された際のダメージ増加効果や属性を継承する。ただしLSおよび奥義の特技は使用できず、LSおよび奥義の効果も継承できない。【5】 【アクティブスキル】 [ [7/9]威風堂堂x「バギ」属性の攻撃の威力を増加(+49(Lv*7%))させる。【3】 [ [4/6]颶風の刃x「バギ」による「武器攻撃」でダメージを与えた際、同じ隊列の違う敵に、『バギ』属性の追撃(80(40+Lv*10)/100%)を行う。[テ/1]【2】 [ [2/3]旋風の道y「発動条件」に「バギ属性」をトリガーにする「ASx」を使用した際、メインPで与えるダメージが増加(+30(Lv*15%))する。[テ/1]【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:+30 光:0 闇:-30 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]東方文花帖 / このターン微風の誘いの発動確率を50%にし、耐性が無視されなくなる。【*】 L使用条件:HP30%以下、すばやさの上昇値+6以上 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【百計のクロ(ONE PIECE)&Charlotte(魔法少女まどか☆マギカ)】 【百計のクロ(ONE PIECE)&Charlotte(魔法少女まどか☆マギカ)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ハヌマーン】 名前:【クロ】 こうかつ ♂ 【個人スキル】 [ 奥義所持 / 自身のみが使用できる「奥義」を人間の身でありながら保有している。 [ 抜き足 / 無音の高速移動術。モンスターを相手にしても通用する域に達している。【★6】 【マスタースキル】 [ [D]戦場切り刻む一迅 / 【クロ】固有スキル。自身の奥義をスキルとしてモンスターに使用させる。仲間一体を「メインP」で最速で行動させる。 この時、攻撃以外の特技を使用することはできず、元々の対象に関わらず、攻撃の対象は「敵味方全体」になる。[テ/2][1/戦]【*】 [ [D]戦場見通す策謀 / 【クロ】固有スキル。仲間一体の「セットアップ行動」を放棄し、「CS」に関わらず、行動順を±1動かす。[3/戦]【*】 [ [D]戦場蠢く百計 / 【クロ】固有スキル。3T以降に使用可能になる。 敵一体の「セットアッププロセス」「メインプロセス」で使用する特技一つを指定する。そのターン中、指定した特技のレベルは「0」になる。[1/戦]【*】 PTコンセプト 鈍足大火力のオルクスを高速型モンスターでアシストしていく モンスター コードネーム:【オルクス】 名前:【シャルロッテ】 種族:スイート・ウィッチ ♀ Lv80 くいしんぼう HP 500 MP 16% 悪魔系イヴィル属 [ せいめいりょく … AA [ こうげきりょく … AA+ [ しゅびりょく … C [ まりょく … C+ [ せいしん … B- [ すばやさ … D+ [ キャパシティ … [40/40] 【セットアップ】【6】 [ [1/3]お菓子の城 5 / 「自陣」「範囲/設置」「テンションが増加した時、HPが回復(Lv*5%)する(LvT)」【設置/なし】【3】 [ [1/3]支配の因子 6 / 「敵陣」「範囲/設置」「クリンナッププロセス終了時にランダムで能力値が低下(-1)する(LvT)」[1/戦]【設置/なし】【3】 【特技】【6】 [ [1/5]ターミネイトバイト 4 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「6回」「(45+(Lv*5)/90%」【刺突/なし】【3】 [ [1/5]くらいつくす 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「HP回復(与ダメLv*5%)」「(200+Lv*20)/70%」【刺突/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 菓子魔女の執着 / 「エース」状態の時、攻撃を回避された時に追撃(30/100%)を行う。【*】 [ 菓子魔女の脱皮 / 「エース」状態の時、クリンナップP終了時にHPが回復(+1%)し、高確率で「状態異常」が回復する。【*】 [ 菓子魔女の暴食 / 「自身」の攻撃で対象が「戦闘不能」になった時、HPが回復(+20%)する。【*】 [ 菓子魔女の暴喰 / 「自身」の攻撃で対象が「戦闘不能」になった時、MPが低下(-3)する。【*】 【パッシブスキル】【23】 [ [A]お菓子のエース / 「エース状態」になった際、最大HPが増加(+(自身のレベル)し、HPが回復(+10%)する。【*】 [ [1/2]後の先 / 「自身」の「メインプロセス」の直前に敵が行動した時、低確率で対象の行動前に自身の「メインプロセス」を行う。[Lv/戦]【3】 [ [1/3]陣地作成 / 「設置」の持続ターンが増加(+Lv)する。【3】 [ [1/5]陣地の王 / 「設置」の効果中、与えるダメージが減少(-Lv*5%)する。【2】 [ [1/5]領域の主 / 「設置」の効果中、受けるダメージが減少(-Lv*5%)する。【2】 [ [★]導きの華 / 「自陣」の「設置」が消滅した時、「仲間全員」のテンションが増加(+1)する。[1/戦]【3】 [ [1/5]ハングリースピリッツ / 「自身」の「HP」が「回復」以外で回復した時、中確率でHPが回復(+Lv%)する。【3】 [ [1/3]グッドデザイン / 「自身」が行った攻撃が「回避」された時、中確率で判定を再度行う。[Lv/戦]【2】 [ [1/3]血塗られた爪牙 / 「自身」の攻撃で対象が「戦闘不能」になった時、、「テンション」が上昇(+1)する。[Lv/戦]【2】 [ [★]ランチタイム / 「食物」を使用した時、テンションが上昇(+1)する。[1/戦]【3】 【アクティブスキル】【5】 [ [5/5]バッシュx / 「自身」が行う「物理攻撃」による与ダメージが増加(+(Lv*5)%)する。【2】 [ [1/3]グリーフシードz / MPが低下(-1)する。[Lv/戦]【L】 [ [1/2]セカンドトラップ / 「セットアップ」で使用する「設置」を二つ同時に使用する。[Lv/戦][テ/2]【3】 【耐性】 [ 火:-10 氷:0 風:0 光:-10 闇:+20 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [PS]内に潜む黒き悪魔 / 「設置」の効果中に「戦闘不能」になった時、即座に蘇生(+10%)し、反撃(50/100%/隊列補正無視)を行う。[「エース発動時のテンション数」/戦]【*】 L使用条件:「エース」発動時、「自身」より「CS」が高い対象から攻撃を受けた時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【シスター・カーミラ(2chオリジナル)&ヴァルトーゼ(魔界戦記ディスガイア4)】 【シスター・カーミラ(2chオリジナル)&ヴァルトーゼ(魔界戦記ディスガイア4)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【バロール】 名前:【カーミラ】 ミステリアス ♀ 【個人スキル】 [ 魔眼 / 魔眼を所持している。【★7】 【マスタースキル】 [ [D]狂惑の魔眼 / 【カーミラ】固有スキル。このターン中、効果を発揮した「発狂」は回復しない。【*】 [ [D]狂い咲き乱れる闇 / 【カーミラ】固有スキル。「オーバーフロー」状態の敵味方のMPを「最大MP」の2倍の状態として扱う。[T/戦][1/戦]【*】 [ [PS]狂気渦巻く神の庭 / 【カーミラ】固有スキル。敵味方のMPの増減が1.5倍(小数点以下切り捨て)になる。【*】 PTコンセプト ドルマ特化のエース、発狂特化とクトゥルフのモンスターを従える モンスター コードネーム:【ブラム=ストーカー】 名前:【ヴァルトーゼ】 種族:ヴァンパイア・ロード ♂ Lv80 ポジティブ HP 480 MP 18% 死霊系グール属 [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく … A [ しゅびりょく … B- [ まりょく … A- [ せいしん … B- [ すばやさ … C+ [ キャパシティ … [38/40] 【セットアップ】【2】 [ [1/5]ダークセイバー 2 / 「仲間単体」「単体/強化」「魔力+2」「闇+(Lv*5)(LvT)」「《闇撃》付与(LvT)」【なし/ドルマ】【2】 【特技】【6】 [ [1/5]ブラッドスティング 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「HP回復(与ダメージのLv*10%)」「(200+Lv*10)/80%」【刺突/ドルマ】【3】 [ [1/5]ブラッディホール 4 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「命中した対象のMP+1」「(150+Lv*10)/90%」【自然/ドルマ】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 暴君の契約 / 「自身」の「マスター」の固有スキルが発動した時、MPを低下(-1)させる、もしくはテンションを増加(+1)させる。【*】 [ 暴君の一振 / 「近接攻撃」でダメージを与えた際、中確立でHPが回復(10%)し、MPが低下(-1)する。【*】 [ 暴君の血技 / 「自身」の能力でHPが回復した時、中確率でテンションが増加(+1)する。。【*】 [ 暴君の闇帝 / 「セットアップP」で「ドルマ」を使用したターン中、「仲間全員」が受けるダメージが減少(-20%)する。。【*】 【パッシブスキル】【27】 [ [A]暴虐のエース / 「闇」属性が上昇した時、「攻撃力」と「魔力」が上昇(+1)する。【*】 L[ [★]フルークフーデ / 「エース」が発動した次の攻撃時、「特技」の対象が「敵全体」になる。【3】 [ [1/9]ドルマスタリ / 自身が行う「ドルマ」攻撃によってあたえるダメージが増加(Lv*5%)する。【2】 [ [1/5]闇の一撃 / 「対象:単体」の「ドルマ」によって与えるダメージが増加(Lv*10%)する。【2】 [ [★]ドルマバースト / 「自身」の「闇」属性が「+50」を超えた時、「ドルマ」で与えるダメージが増加(+「闇属性」%)する。【3】 [ [1/9]アタックルーン / 「○○ルーン」の効果を受けている間、与えるダメージが増加(+Lv*5%)する。【2】 [ [1/9]ディフェンスルーン / 「○○ルーン」の効果を受けている間、受けるダメージが低下(-Lv*5%)する。【2】 [ [1/5]ブラスブリオール / 《○撃》状態の時、与えるダメージが増加(+Lv*10%)する。【2】 [ [★]マギヴァール / 「魔力」による上昇の補正が【物理攻撃】のダメージにも適用される。【4】 [ [1/3]マホキテシェル / 「特技」の効果を受けた際、MPが[Lv]低下する。【5】 [ [1/5]アブソープション / 「自身」の攻撃で敵を「戦闘不能」にした時、上昇していた能力値すべてを強奪(-Lv/+Lv)する。【2】 【アクティブスキル】【3】 [ [1/9]ミッドナイトサンx / 「ドルマ」属性の攻撃の威力を増加(+Lv*5)する。【2】 [ [1/3]ダークルーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「闇属性」が上昇(+Lv*5)する。【1】 [ [1/2]タイラント・プライドz / 「自身」の能力によって「HPの回復」「MPの低下」が発生した時、Lv体の仲間と効果を共有する。[Lv/戦]【L】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:-50 闇:+50 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]蘇りし畏怖の暴帝 2 / 「自身」「単体/強化」「メインPで行う「ドルマ」に《殲滅》付与」「メインPで「ドルマ」の対象になった敵の「闇属性」を低下(-(自身の「闇」属性)させる」【なし/ドルマ】【*】 L使用条件:「エース」発動時、「攻撃力」と「魔力」の上昇値がそれぞれ+5の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【峰津院大和(デビルサバイバー2)&ボルサリーノ(ONE PIECE)】 【峰津院大和(デビルサバイバー2)&ボルサリーノ(ONE PIECE)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【オルクス】 名前:【峰津院大和】 ごうがんふそん ♂ 【個人スキル】 [ 峰津院家当主 / いかなる集団・群衆をもまとめることができるスキル。カリスマとは異なる異彩の能力。 【マスタースキル】 [ [D]龍脈の秘術 / 【峰津院 大和】固有スキル。仲間全員のそのターン消費した合計MPの半分がそれぞれ低下する。[3/戦]【*】 [ [D]真・龍脈の秘術 / 【峰津院 大和】固有スキル。敵全員のCSを半分にする。[T/終][1/戦]【*】 [ [D]極・龍脈の秘術 / 【峰津院 大和】固有スキル。仲間1体のテンションはこのターン消費しない。[1/戦]【*】 PTコンセプト 自身の能力でエースや他モンスターをサポートしていく。 モンスター コードネーム:【エンジェル・ハイロゥ】 種族:ボルサリーノ ♂ Lv85 きぶんや HP 519 MP 20% 自然系 [ せいめいりょく … B+ [ こうげきりょく. … A+ [ しゅびりょく … A- [ まりょく … B+ [ せいしん … B- [ すばやさ … AA [ キャパシティ … [42/42] 【セットアップ】 [ [5/5]ピオラ 3 / 「味方単体」「補助/強化」「素早さ+LV」【呪文/なし】【2】 [ [3/3]やたのかがみ 3 / 「自身」「補助/強化」「CS+(Lv*10)(LvT)」【なし/ギラ】【3】 [ [3/3]ホーリーセイバー 2 / 「仲間単体」「単体/強化」「精神+2」「光+(Lv*5)(LvT)」「《光撃》付与(LvT)」【なし/ギラ】【2】 ※《光撃》 / 「物理攻撃の属性が【ギラ】になる。装備、特技、スキルの効果より優先する。 [ [5/5]まぶしいひかり 3 / 「敵一列」「範囲/妨害」「マヌーサ(2T)」「なし/60%」【自然/ギラ】【3】 【特技】 [ [2/5]ベギラゴン 7 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「CS-40」「190(170+Lv*10)/-」【呪文/ギラ】【3】 [ [5/5]こうそくげり 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「威力増加(素早さ+1/10)」「230(180+Lv*10)/80%」【格闘/ギラ】【3】 [ [3/5]あまのむらくも 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「光属性+(Lv*5)(1T)」「250(220+Lv*10)/80%」【斬撃/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 光人の先手 / 「戦闘開始時」にCS+50。【*】 [ 光人の屈折 / 攻撃を回避したとき、中確率で回避が上昇(+1)する。【*】 [ 光人の瞬足 / 自身が行う攻撃によるダメージを「素早さ」で判定する。【*】 [ 光人の解放 / ギラ属性の攻撃をするとき、あらゆる「装備制限」を無視する【*】 ※装備と異なる系統で行う場合でも使用できる。 【パッシブスキル】 [ [★]光速のエース / 「エース状態」になった際、CSと「光」属性が上昇(+20)する。【*】 L[ [★]正義の肯定 / 「エース状態」の時、「テンション」が永続的に上昇(+1)する。【3】 [ [★]ホーリーバースト / 「自身」の「光」属性が「+50」を超えた時、与えるダメージが増加(+「光属性」%)する。【3】 [ [3/5]最高戦力 / 自分よりレベルの低い敵がいるとき、与えるダメージが増加(+Lv*5%)する。【3】 [ [5/5]スピードスター / 自身の「速度」の能力上昇に応じて与える/受けるダメージが増加/低下(+1/+5%/-5%)する。【3】 [ [5/5]貫く閃光 / 「ギラ」の「近接物理攻撃」を行った際、中確率で「後列」の対象にダメージ(+(5+Lv)%)を与える。【2】 [ [3/9]アタックルーン / 「○○ルーン」の効果を受けている間、与えるダメージが増加(+Lv*5%)する。【2】 【アクティブスキル】 [ [2/3]ライトシーンx / 「素早さ」の上昇に応じて与えるダメージが増加(+1/10%)する。[Lv/戦]【2】 [ [7/9]シャイニングピラーx / 「ギラ」属性の攻撃の威力を増加(+35(Lv*5))させる。【2】 [ [3/3]ホーリーロードy / 「発動条件」に「ギラ」をトリガーにする「ASx」を使用した際、メインPで与えるダメージが増加(+30(Lv*10)%)する。[テ/1]【2】 [ [1/3]ホーリールーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「光属性」が上昇(+Lv*5)する。【1】 【耐性】 [ 火:+10 氷:-10 風:0 光:+30 闇:-30 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]やさかにのまがたま 5 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「《殲滅》」「《突破》」「隊列補正無視」「280/100%」【射撃/ギラ】【L】 L使用条件:自身のCSが100以上上昇している時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【前川みく(アイドルマスターシンデレラガールズ)&ルコディオラ(モンスターハンター)】 【前川みく(アイドルマスターシンデレラガールズ)&ルコディオラ(モンスターハンター)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【キュマイラ】 名前:【前川みく】 まじめ ♀ 【個人スキル】 [ シンデレラガール / アイドルの卵。「歌」や「踊り」に関する特技やスキルの発展に関する才能。【★3】 【特徴】 [ 猫キャラ / ネコミミを付けたり、語尾に「にゃ」と付けていたりする。本人曰く、「商売道具」。 【マスタースキル】 [ [D]フェアリーズ・ケットシー / 【前川みく】固有スキル。仲間の能力値が上昇した時、上昇値を増加(+1)させる。【*】 [ [D]ナインライブス・キャット / 【前川みく】固有スキル。仲間一体の能力の上昇値を任意の数だけ解除する。HPを回復(解除した上昇値数*5%)させる。[1/戦]【*】 [ [D]アイズアンク・バステト / 【前川みく】固有スキル。仲間一体の能力の上昇値すべて(最低15)を解除する。即座に感情の引き金の発動条件を満たす。解除した上昇値が25以上の時、既に使用されていた場合も再使用可能になる。[1/戦]【*】 PTコンセプト ひたすらバフを積んで殴って行くスタイル モンスター コードネーム:【ブラックドッグ】 名前:【ルコディオラ】 種族:ルコディオラ ♂ Lv80 ほこりたかい HP 480 MP 18% ドラゴン系ドラゴニカ属 [ せいめいりょく … B+ [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … B+ [ まりょく … A+ [ せいしん … B+ [ すばやさ … C+ [ キャパシティ … [38/40] 【セットアップ】【6】 [ [1/5]りゅうのまい 5 / 「自身」「単体/強化」「攻撃+Lv」「素早さ+Lv」【踊り/なし】【4】 [ [1/3]マグネットフィールド 5 / 「自陣」「範囲/設置」「雷属性+5」「「与ダメ/被ダメ」が「+(雷属性)%/-(雷属性)%」(LvT)」【設置/デイン】【L】 【特技】【9】 [ [1/5]りゅうのほうこう 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「自身/テンション+1」「(150+Lv*10)/80%」【ブレス/なし】【2】 [ [1/5]らくらいそう 5 / 「敵二体」「範囲/攻撃」「会心+10%」「(180+Lv*10)/90%」【斬撃(爪)/デイン】【3】 [ [1/5]ごうらいのいき 6 / 「敵一列」「範囲/攻撃」「2回」「会心+5%」「(110+Lv*10)/70%」【ブレス/デイン】【4】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 極龍の磁界 / 「Mフィールド」の効果中、「会心率」「命中率」「回避率」が増加(+5%)する。【*】 [ 極龍の磁化 / 「Mフィールド」の効果中、隊列補正のかかった攻撃が命中した時、対象の隊列を変更する。【*】 [ 極龍の斥力 / 「Mフィールド」の効果中、敵味方すべては隊列移動を行えない。【*】 [ 極龍の曜角 / 「Mフィールド」を使用した時、テンションが上昇(+1)する。【*】 【パッシブスキル】【22】 [ [A]磁気のエース / 「エース状態」になった際、即座に「Mフィールド」を使用する。既に設置されている場合は持続Tが増加(+3)する。【*】 L[ [1/3]雷光紫電 / 「自身」の能力上昇値が0になった時、全能力が上昇(+Lv)する。[1/戦]【3】 [ [1/3]古龍の血 / 「3T」毎に能力値がランダムで上昇(+1*Lv回)する。【3】 [ [1/3]絢爛鼓舞 / 「自身」の「テンション」が「3」になった時、「魔力」が上昇(+2+Lv)する。[1/戦]【2】 [ [1/3]鴬語花舞 / 「自身」の「テンション」が「3」になった時、「攻撃力」が上昇(+2+Lv)する。[1/戦]【2】 [ [1/3]鮮麗華舞 / 「自身」の「テンション」が「3」になった時、「速度」が上昇(+2+Lv)する。[1/戦]【2】 [ [1/3]艶然咲舞 / 「自身」の「テンション」が「3」になった時、「防御力」が上昇(+2+Lv)する。[1/戦]【2】 [ [1/3]凛然美舞 / 「自身」の「テンション」が「3」になった時、「精神」が上昇(+2+Lv)する。[1/戦]【2】 [ [1/3]古龍骨 / 「テンション」が上昇した時、中確率でランダムの能力値が上昇(+Lv)する。[Lv/戦]。【3】 [ [1/3]磁力結界 / 「Mフィールド」を使用した時、「防御力」「精神」が上昇(+1)する。[Lv/戦]【3】 【アクティブスキル】【1】 [ [1/3]サンダールーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「雷属性」が上昇(+Lv*5)する。【1】 【耐性】 [ 火:0 氷:-30 風:0 光:0 闇:0 雷:+30 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]磁力解放 5 / 「敵全体」「範囲/妨害」「このターンの間、隊列を任意に変更する」「命中/回避率が低下(-1/-1)」【なし/デイン】【*】 L使用条件:「M」フィールドの効果中、「OF」時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【アンチノミー(ブルーノ)(遊戯王5D s)&御坂美琴(とある魔術の禁書目録)】 【アンチノミー(ブルーノ)(遊戯王5D s)&御坂美琴(とある魔術の禁書目録)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ハヌマーン】 名前:【アンチノミー(ブルーノ)(遊戯王5D s)】 てんねん ♂ 【個人スキル】 [ トップ・クリア・マインド / 揺るぎない境地を超越し、限界を打ち破る境地に辿り着いた者が持てるスキル。 [ メカニック / 機械の修理や整備ができる。 【マスタースキル】 [ [D]デルタアクセルシンクロ / 「仲間全員」の上昇している能力(全)とテンション(全)を「エース」一体に譲渡する。[1/戦] [ [D]リミッター解放レベルMAX / 【アンチノミー(ブルーノ)】固有スキル。「仲間一体」のメインプロセスの行動をセットアッププロセスに行わせる。その後、そのモンスターは行動済みになる。[テ/4][1/戦] [ [PS]スタートダッシュ / 【アンチノミー(ブルーノ)】固有スキル。ターン開始時に「仲間全員」の「素早さ」を上昇(+1)させる。 [ [PS]スピードフォース / 【アンチノミー(ブルーノ)】固有スキル。「仲間」の与ダメージが、その仲間の上昇している素早さに応じて増加(+1/10%)する。 PTコンセプト 素早さ・CSの上昇や先手を取ることで恩恵を得る。 モンスター コードネーム:【ブラックドッグ】 種族:御坂美琴 ♀ Lv80 つんでれ HP 400 MP 21% 精霊系エレメル属 [ せいめいりょく … B- [ こうげきりょく. … A+ [ しゅびりょく … B- [ まりょく … A+ [ せいしん … C- [ すばやさ … AA+ [ キャパシティ … [39/40] [ エーストリガー … 「仲間が戦闘不能」になった時。 【セットアップ】 [ [3/5]サンダーセイバー 2 / 「仲間単体」「単体/強化」「会心+10%(1T)」「雷(+Lv*5)(LvT)」「《雷撃》付与(LvT)」【なし/デイン】【2】 [ [★]こうそくいどう 4 / 「自身」「単体/強化」「素早さ+5」[1/戦]【なし/なし】【2】 [ [6/9]MAXボルテージ 4 / 「自身」「単体/強化」「デイン攻撃の威力+60(Lv*10)」【なし/デイン】【テ/1】【3】 [ [2/2]フルインストール 4 / 「自身」「単体/強化」「全能力+Lv」「テンション+Lv」[1/戦]【なし/デイン】【3】 【特技】 [ [1/5]ギガデイン 8 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「CS-120」「295(280+Lv*15)/-」【呪文/デイン】【3】 [ [2/5]雷撃の槍 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「会心+10%」「290(250+Lv*20)/80%」【自然/デイン】【L】 [ [2/4]砂鉄の剣 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「物理攻撃」「260(220+Lv*20)/80%」【自然/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 電撃娘の麻痺 / 自身の【デイン】による攻撃に「硬直(30%)」を付与する。【*】 [ 電撃娘の奮激 / 【デイン】攻撃を使用した時、テンションが上昇(+1)する。【*】 [ 電撃娘の猛攻 / 【デイン】攻撃の「会心率」が増加(10%)する。【*】 [ 電撃娘の神速 / 【デイン】による攻撃を使用した時、高確率で自身の素早さが上昇(+2)する。【*】 【パッシブスキル】 [ [A]電撃のエース / 「エース状態」になった際、自身の雷の属性値が上昇(+50)する。【*】 L[ [★]バリアクラッカー / 「エース状態」の時、自身の【デイン】による攻撃に《貫通》を付与する。【3】 L[ [★]運命の雷 / 「エース」状態の時、自身の「デイン」攻撃の命中率が上昇(+20%)する。【3】 [ [8/9]デインマスタリ / 「自身」が行う【デイン】攻撃によってあたえるダメージが増加(+40%(Lv*5%))する。【2】 [ [5/5]先手必勝 / 自身より「CS」が遅い対象に与えるダメージが増加(25%(Lv*5))する。【2】 [ [1/5]ド根性 / HPが「0」になった際、中確率で「戦闘不能」にならず、HPが回復(10%(5+(Lv*5))する。[1/戦/自]【2】 【アクティブスキル】 [ [6/9]サンダーフォージx / 【デイン】属性の攻撃の威力を増加(+30(Lv*5))する。【2】 [ [3/3]電磁誘導x / 使用する【デイン】攻撃の命中率を「+10%」する。[Lv/戦]【2】 [ [★]電撃収束x / 自身の【デイン】による攻撃に《収束》を付与する。[1/戦][テ/1]【3】 [ [2/3]サンダールーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「雷属性」が上昇(+10(Lv*5))する。【1】 [ [3/4]磁力結界z / 自身が「セットアップP」に【デイン】を使用したターン、受けるダメージを軽減(-30%(Lv*10%))する。[3/戦]【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:-50 光:0 闇:0 雷:+50 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]超電磁砲 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《突破》」「硬直(100%)」「350/80%」【自然/デイン】【L】 L使用条件:「エース」発動時、素早さ+5以上の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【ゾーン(Z-ONE)(遊戯王5D s)&X(サイ)(脳噛ネウロ)】 【ゾーン(Z-ONE)(遊戯王5D s)&X(サイ)(脳噛ネウロ) ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【エンジェルハイロウ】 名前:【ゾーン(Z-ONE)】 ぜつぼう ♂ 【個人スキル】 [ 時空の渡来者 / 時を渡る放浪者、その知識で周囲を導く。しかし本人もまた未来に縛られている [ 潰える命 / 寿命が間際である。機械の力でその命を繋ぎとめている。 【マスタースキル】 [ [D]時械神の召喚 / 【ゾーン(Z-ONE)】固有スキル。場の全てのモンスターの行動順を逆転させる。[6T] [ [D]時械神の強権 / 【ゾーン(Z-ONE)】固有スキル。「時械神の召喚」が発動中使用できる。自分の指定したモンスターと戦闘を行ったモンスターとそのターンのぼうぎょのステータスを入れ替える[2/戦] PTコンセプト 最遅の恩恵を受けつつ、そのデメリットを帳消しにする。 あと、刻印の数でマスタースキル増えるとか。セフィラと絡んでる時械神 モンスター コードネーム:【キュマイラ】 種族:X(サイ) Lv80 ざんこく HP 550 MP 20% 悪魔系イヴィル属 [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく. … AAA [ しゅびりょく … E [ まりょく … E [ せいしん … AA+ [ すばやさ … AA- [ キャパシティ … [36/40] [ 感情の引き金 … 誰かを戦闘不能にした時。 【セットアップ】 [ [9/9]フルパワーアタック 3 / 「自身」「補助/強化」「物理攻撃の威力+90(Lv*10)」「行動速度が0になる」【2】 【特技】 [ [9/9]ちからため 2 / 「自身」「単体/強化」「次のメインPの物理攻撃の威力+180(90+(Lv*10))」【2】 [ [4/5]パワフルブロウ 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「【ちからため】状態の時、特技の威力2倍」「180(140+Lv*10)/100%」【格闘/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 合成獣の魂 / 戦闘開始時、攻撃力が+3される【*】 [ 合成獣の殺意 / HPが10%の時《殲滅》《拡散》「暴走」が付与される。暴走の補正は最大となる【*】 [ 合成獣の竜鱗 / 物理攻撃を受けた時、せいしんで判定する[3/戦]【*】 【パッシブスキル】 [ [★]決死の一撃 / HPが「10%」以下になると、MPを増加せずに「ちからため」を使用する。[1/戦/自]【2】 [ [1/5]ド根性 / HPが「0」になった際、中確率で「戦闘不能」にならず、HPが回復(5%(5+(Lv*5))する。[1/戦/自]【2】 [ [4/5]パワーディフェンス / 「ちからため」の効果中、受けるダメージを軽減(-40%(Lv*10%)する。【2】 [ [5/5]拳気 / 溜まっているテンションに応じて「格闘」の威力が増加(+1/5%)する。【2】 [ [4/5]満身創痍 / 自身の残りHPに応じて与えるダメージが増加(20%毎/+9(Lv+5)%)する。【3】 [ [2/3]闘争の高揚 / 「こうげきりょく」が一度に「3」以上上昇すると、テンションが上昇(+1)する。[Lv/戦]【3】 [ [4/5]頑強 / 自身を攻撃した対象の「こうげきりょく」の上昇を「+Lv」まで無視する。【3】 [ [6/9]タフネス / 「物理攻撃」から受けるダメージを軽減(-35%(5+Lv*5))する。【3】 【アクティブスキル】 [ [5/5]レイジx / 「自身」の残りHPに応じて与えるダメージが増加(20%毎/+25(Lv*5)%)する。[1/戦]【2】 [ [5/5]バッシュx / 「自身」が行う「物理攻撃」による与ダメージが増加(+25%(Lv*5)%)する。【2】 L[ [5/5]フルスイングy / 「自身」が行う「近接攻撃」による与ダメージが増加(+25%(Lv*5)%)する。【2】 [ [★]ハンティングスタイルz / CSが0になった時、元々のCS分ダメージが増加(20CS毎/10%)【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [AS]剛身獣化z / 攻撃と防御が+2。攻撃と防御と素早さのステータスが増加(+3段階/3T)する。【*】 L使用条件:「テンション」が「3」以上の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【黒神くじら(めだかボックス)&ファイレクシアの抹殺者(MTG)】 【黒神くじら(めだかボックス)&ファイレクシアの抹殺者(MTG)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:サラマンダー 名前:【黒神くじら】 マッドサイエンティスト ♀ 【個人スキル】 [ 禁欲(ストイック) / 幸せを追求することが出来ない。素晴らしい物は地獄からしか生まれないという異質な感性の持ち主。 【マスタースキル】 ※修整済み [ [PS]黒い包帯 / 【黒神くじら】固有スキル。敵味方問わずランダムにモンスター一体を対象とし、中確率で「毒」状態にする。【*】 [ [PS]炎氷殺菌 / 【凍る火柱】で仲間モンスターを対象にした時、任意で「状態異常」を解除する。[2/戦] [ [D]凍る火柱 / 【黒咲くじら】固有スキル。モンスター一体の「メラ」又は「ヒャド」どちらかの属性値を増加(+50)し、「炎撃」又は「氷撃」状態にする。[2/戦]【*】 [ [D]孤独な蟲毒 / 【黒咲くじら】固有スキル。仲間モンスターが残り一体である時、全てのモンスターを「毒」状態にする。[1/戦]【*】 PTコンセプト 毒を敵味方問わずばら撒く事でメリットを得る、マッドサイエンティストとロボットのPT。サラマンダー要素が勿体無い気が… モンスター コードネーム:【ブラックドッグ】 種族:キリングゴーレム Lv95 むかんじょう HP 530 MP 20% 物質系ゴーレム属 [ せいめいりょく … B+ [ こうげきりょく … A [ しゅびりょく … B [ まりょく … B [ せいしん … C [ すばやさ … A- [ キャパシティ … [39/39] 【セットアップ】 [ [2/5]大すてみ 3 / 「自身」「単体/強化」「与ダメUP(+120%(80+Lv*20)」「被ダメUP(+60%)」[T/終]【3】 【特技】 [ [3/5]もうどくのいき 4 / 「敵全体」「範囲/妨害」「毒(3T)」「80(50+Lv*10%)/70%」【ブレス/なし】【3】 [ [1/5]どくさつ斬り 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「毒(3T)」「反動ダメージ(15%)」「230(220+Lv*10)/70%」【斬撃/なし】【3】 [ [1/5]まっさつ斬り 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「反動ダメージ(25%)」「300(280+Lv*20)/70%」【斬撃/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 抹殺者の油血 / 「自身」が「メラ」属性で与えるダメージが増加(40%)する。自身が「メラ」属性から受けるダメージが増加(20%)する。【*】 [ 抹殺者の毒血 /「自身」がダメージを与えた対象を、中確率で「毒(2T)」状態にする。【*】 [ 抹殺者の涙血 /「自身」が敵モンスターを「毒」状態にする度、そのモンスターのMPを増加(+2)する。【*】 [ 抹殺者の充血 / 「自身」が「毒」状態の敵モンスターにダメージを与えた時、HPが回復(10%)する。【*】 【パッシブスキル】 ※修整済み [ [A]殺戮のエース / 「エース状態」であるとき、反動ダメージを半減する。【*】 L[ [★]祝福されし完成 / 「エース状態」である時、マスターの「マスタースキル」の対象になる度に攻撃力が上昇(+3)する。【3】 [ [★]スーサイドブラック / 「反動」でダメージを受ける度に、MPが低下(-3)する。【3】 [ [3/3]チグリスポイズン / 「自身」の能力で与える「毒」に「与えるダメージ減少(-30%(Lv*10))」を追加する。【2】 [ [3/3]自傷殺界 / 「反動」でダメージを受けた時、テンションが上昇(+1)する。[T/1][Lv/戦]【2】 [ [★]満身創痍 / 自身の残りHPに応じて与えるダメージが増加(10%/+10%)する。【3】 [ [★]ファイレクシアの疫病王 / クリンナッププロセスに「毒」状態のモンスターが3体以上存在する時、「エース」状態になる。【4】 [ [★]ファイレクシアの油 / 「自身」が「毒」を与えたモンスターが「毒」状態で無くなった時、高確率で「毒(2T)」を与える。【L】 【アクティブスキル】 [ [5/5]レイジx / 「自身」の残りHPに応じて与えるダメージが増加(-10%/20(LV*5)%)する。[1/戦]【2】 [ [5/5]バッシュx / 「自身」が行う「物理攻撃」による与ダメージが増加(+25(Lv*5)%)する。【2】 L[ 「4/5]フルスイングy / 「自身」が行う「近接攻撃」による与ダメージが増加(+15(Lv*5)%)する。【2】 [ [★]ファイレクシアン・ドレッドノートz / 「自身」への「反動」によるダメージを、仲間モンスター一体にに肩代わりさせる。(「反動」によるダメージは「自身」が受けている物として扱う。ダメージ計算はこのモンスターのHPで計算する。)「テ/1」[2/戦]【4】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:-20 闇:+40 雷:-20 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]疫病風 / 全てのモンスターは「毒」状態になる。「毒」状態のモンスターは、ターン経過以外の方法により「毒」を解除することができない。【*】 L使用条件:エースが発動していて、HPが「50」%以下の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【神野明影(相州戦神館學園八命陣)&アクアビットマン(ランスタンフレーム)(ARMORED CORE 4)】 【神野明影(相州戦神館學園八命陣)&アクアビットマン(ランスタンフレーム)(ARMORED CORE 4)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ハヌマーン】 名前:【神野明影】 あおりや ♂ 【個人スキル】 [ 悪魔の舌 / どんなに不快な発言であろうと、耳を傾けざるを得ない声色と弁舌能力を持つ 【マスタースキル】 [ [D]狂乱の一声 / 【神野】の固有スキル。「敵」の「消費MP」を+「敵のテンション数」する[T/終][1/戦]【*】 [ [PS]悪意の伝染 / 【神野】の固有スキル。「敵」が「心労」を得た時、さらに「MP」を「+1%」する【*】 [ [PS]歪んだ囁き / 【神野】の固有スキル。「敵」に【エース】が発動した時、「重圧」を与える【*】 PTコンセプト 発狂が使えるモンスターと組んで発狂&心労でOFを狙っていく またこちらが「エース」を発動したら積極的に状態異常を狙い雁字搦めにしていく 基本嫌がらせをしつつ耐久勝負を仕掛ける方向で モンスター コードネーム:【エンジェル・ハイロゥ】 種族:【アクアビット・ランスタンフレーム】 ♂ Lv90 きょうき HP 386 MP 20% 物質系メカニカ属 [ せいめいりょく … D+ [ こうげきりょく. … B [ しゅびりょく … D- [ まりょく … A- [ せいしん … C [ すばやさ … B+ [ キャパシティ … [39/40] [ 感情の引き金 … 「KC」が0になった時 【セットアップ】 [ [3/3]コジマリカバー 1 / 「自身」「補助/強化」「KC+1」【なし/なし】[Lv/戦]【1】 [ [2/5]アサルトアーマー 1 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「50+Lv*10+KC*10/-」「KC全消費」【呪文/ギラ】【3】 【特技】 [ [1/5]ベギラゴン 7 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「CS-40」「180(170+Lv*10)/-」【呪文/ギラ】【3】 [ [3/5]KPチャージ 2 / 「自身」「補助/強化」「次の「光」属性攻撃の威力+100%」「KC+Lv」【2】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 小島光の栄光 / 戦闘開始時、「コジマカウンター(以下KC)」を5つ得る。【*】 「KC」は敵から「攻撃」を受けた時、「攻撃回数」個減少する。 [ 小島光の侵食 / 攻撃を行う時「KC」を「攻撃対象」分消費し、【心労】を与える。【*】 ※「KC」が攻撃対象分存在しない場合、攻撃ができない。 [ 小島光の燐光 / 「敵」の「攻撃」で「KC」が減少した時、中確率で「テンション」が増加(+1)する【*】 [ 小島光の汚染 / 「エース」状態の時、「敵」の「状態異常」が「クリンナッププロセス」で「自然回復」しない【*】 【パッシブスキル】 [ [A]緑光のエース / 「エース状態」になった時、「KC」が「9」になる。【*】 L[ [★]コジマの輝き / 「エース状態」の時、全ての「属性」の値が「光」属性と同じになる【4】 [ [5/9]プライマルアーマー / 自身の受けるダメージが常に減少(KC*Lv%)する。【4】 [ [2/3]光の衣 / 「KP」が「5」以上の時、「光」属性が増加(+20(Lv*10)%)する。【2】 [ [3/5]光の守護 / 「光」属性が「+50」以上の時、受けるダメージが減少(30(Lv*10)%)する【2】 [ [★]クイックチャージ / 「クリンナッププロセス」で「KC」が「0」の時、「KC」+1【2】 [ [★]光の鉄槌 / 「ギラ」で攻撃した時、「OF」している相手への「会心率」が増加(+10%)する。【2】 [ [★]光の裁き / 「ギラ」で攻撃した時、「状態異常」の「敵」への「会心率」が増加(+10%)する。【3】 【アクティブスキル】 [ [★]コジマキャノンx / MP開始時の「KC」に応じて与えるダメージが増加(+KC*5%)する。【3】 [ [3/3]x侵食汚染 / 「ギラ」属性の攻撃を行った時、「毒(3T)」を与える。「KC-1」[Lv/戦]【2】 L[ [2/3]重度汚染y / 『侵食汚染』と同時使用。「麻痺」を与える。「KC-1」[テ/1][Lv/戦]【2】 [ [2/3]ピンポイントレーザーx / 「範囲/攻撃」の「ギラ」を【単体/攻撃】に変更し、「威力」が増加(+70(50+Lv*10)%)する。[テ/1]【2】 [ [3/9]光芒の疾走z / 「CS」を「+60(LV*20)」する。[テ/1]【3】 【耐性】 [ 火:-10 氷:-10 風:0 光:+40 闇:0 雷:-20 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]さいきどう 5 / 「自身」「単体/回復」「HP回復50%」[KC+5」【なし/なし】【L】 L使用条件:エース発動時、HP30%以下 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【黒木智子(私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!)&エルム=L=レネゲイド(エンバーミング)】 【黒木智子(私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!)&エルム=L=レネゲイド(エンバーミング)】 ───────────────────────────────────── マスター コードネーム:【エンジェルハイロウ】 名前:【黒木智子】 根暗 ♀ 【個人スキル】 [ 人生ソロプレイヤー / 人間の友達がほとんどいない。しかし本人の望みに関わらず死霊系のモンスターには非常に懐かれやすい。 [ コミュ障 / コミュニケーション能力に非常に難あり。身内には強い。 【マスタースキル】 [ [D]偏光吸収 / 【黒木智子】固有スキル。味方モンスター1体を指定する。そのターンに行われる「光」属性の攻撃の対象を全て指定したモンスターへと変更させる。[T/終][1/戦]【*】 [ [D]ネガティブコネクト / 【黒木智子】固有スキル。味方モンスターと敵モンスター1体を指定する。そのターン指定した味方モンスターの能力値が減少した時、指定した相手モンスターも同じ能力が同値だけ減少する[1/戦] [ [PS]ポジティブラッキー /味方モンスターが回復した際、低確率で能力が上昇(+1)する。 PTコンセプト ゾンビPT使い。爆発力はないがひたすらしぶとい。 本人は否定しているが、ゾンビモンスターとの相性は性格含めて非常にいい。 モンスター コードネーム:【エグザイル】 種族: フランケンシュタイン ♀ Lv 80 てんしんらんまん HP 990 MP 18% 死霊系アンデット属 [ せいめいりょく … AAA [ こうげきりょく. … B- [ しゅびりょく … B [ まりょく … C [ せいしん … B- [ すばやさ … D- [ キャパシティ … [40/40] [ 感情の引き金 … 「エース」が発動した時。 [ エーストリガー … 「仲間が戦闘不能」になった時。 【セットアップ】 [ [★]におうだち 6 / 「仲間全体」「範囲/支援」「かばうを仲間全員に行う」[1/戦]【2】 [ [2/3]フランケンコール 5 / 「仲間二体」「死霊系のみ」「範囲/強化」「全能力+Lv」「テンション+Lv」[1/戦]【歌/なし】【3】 【特技】 [ [6/9]メタボリズム 4 / 「自身」「単体/回復」「能力変化を一つ±0にする」「テ/1」「180(150+Lv*5)/200%」【回復/なし】【L】 [ [3/5] 五本の癒爪 3 / 「味方単体」「単体/回復」「状態異常治療」「160(130+Lv*10)/100%」【斬撃(爪)/なし】【2】 [ [3/5] 五本の病爪 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「何らかの状態異常にする(Lv)」「160(130+Lv*10)/100%」【斬撃(爪)/なし】【2】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 七動死の調整 / 「自身」が「マスター」のスキルの対象になった際、中確率でMPを低下(-2)させる。【*】 [ 七動死の充電 / 「自身」を対象とする「デイン」系のスキルが発動した際、高確率で「テンション」が上昇(+1)する。【*】 [ 七動死の献身 / 「自身」が「かばう」を行った際、低確率で「かばう」の対象になった「味方」を回復(10%)する。【*】 [ 七動死の終幕 / 「エース」状態になった際、全能力が「上昇(+1)」する。「エース」状態から3T後、このモンスターは「戦闘不能」となる。【*】 【パッシブスキル】 [ [A]不死のエース / 「亡者の執念」の発動率が100%となり、「不死者の恩寵」の回復量がさらに(Lv*10%)する。【*】 L[ [★]聖なる身代わり / 自身が「戦闘不能」になった際、味方一体に自身の「能力上昇」と「テンション」を引き継ぐ(その際減衰は起こらない)。【L】 L[ [★]死者の信頼 / 自身が「戦闘不能」になった際、「マスター」のスキルの使用回数を回復する。【3】 [ [★]ディフェンダー / 「かばう」と「ASz」を同時に行える。「かばう」を行っても行動済みにならない。【0】 [ [3/5]カバーリング / 「かばう」を行ったターン、受けるダメージを軽減(-15%(Lv*5%))する。【2】 [ [4/5]頑強 / 自身を攻撃した対象の「こうげきりょく」の上昇を「+Lv」まで無視する。【3】 [ [4/5]不動 / 「自身」を攻撃した対象の「まりょく」の上昇を「+4(Lv)」まで無視する。【3】 [ [3/3]不死者の恩寵 / 「戦闘不能」になった際、「クリンナップP」に蘇生(Lv*10%)する。[1/戦]【2】 [ [★]亡者の執念 / HPが0になっても、中確率で「クリンナップP」まで「戦闘不能」にならない。【3】 [ [2/3]スキンチェンジ / 「自身」のHPが回復した時、高確率で「自身」のHPが回復(10%(Lv*5%)する。【[Lv/戦]【3】 [ [3/5]ハードスキン / 「メタボリズム」が発動した際、受けるダメージを軽減(-30%(15+Lv*5))する。【3】 【アクティブスキル】 [ [2/3]異形の刻印y / 「自身」のHPが回復(+Lv*5%)する。[3/戦]【2】 [ [★]スキルガーディアンz / 指定した「敵単体」が使用した「範囲/攻撃」である「物理攻撃」の対象を「自身」に変更する。[1/戦]【2】 [ [2/3]インバルネラブルz / 「かばう」を使用した際、最終的に受けるダメージを軽減(-Lv*10%)する。[テ/1]【2】 [ [3/5]ダイヤモンドクラッドz / 「仲間全員」が「物理攻撃」から受けるダメージを軽減(-15%(Lv*5%))する。【3】 【耐性】 [ 火:-20 氷:-20 風:+20 光:+30 闇:-40 雷:+30 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [AS]エンバーミングy / 自身の耐性の値を全て指定した値と同値にする(3T)【*】 L使用条件:「エース」発動時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【クロウ・ブルースト(スーパーロボット大戦)&毒島華花(武装錬金)】 【クロウ・ブルースト(スーパーロボット大戦)&毒島華花(武装錬金)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:ブラックドッグ 名前:【クロウ・ブルースト】 びんぼうくじ ♂ 【個人スキル】 [ 貧乏くじ体質 / 何かと損な役回りを押し付けられがち。特に金関係については一切ツキがない。 [ スフィアリアクター / 「揺れる天秤」のスフィアリアクター。詳細は不明。 [ メカニック / 軍の特殊部隊所属の経験があり、「物質系メカニカ」の使役を得意とする。 [ 超聴覚(小銭) / どんな騒音のなかでも、小銭が落ちる音を聞き分けることができる。 【マスタースキル】 [ [PS]揺れる天秤 / 【クロウ・ブルースト】固有スキル。自軍のモンスターは「能力低下」しない。【*】 [ [D]あきれるほど有効な戦術 / 【クロウ・ブルースト】固有スキル。自らの指揮官命令の対象を味方全体にし、敵の指揮官命令を打ち消す[1/戦]【*】 PTコンセプト メカニカ属特化PT。状態異常・能力低下で場を整えつつ、他2体の向上火力で攻める。 モンスター コードネーム:【オルクス】 名前:【毒島華花】 種族:ヒュドラ・イミテーション 機械系メカニカ属 Lv80 HP 400 MP 21% 物質系ゴーレム属 [ せいめいりょく … C+ [ こうげきりょく … C- [ しゅびりょく … A+ [ まりょく … B+ [ せいしん … A [ すばやさ … C- [ キャパシティ … [36/40] 【セットアップ】 [ [★]エリアルオペレーター(回復) 3 / 「味方全体」「範囲/回復」「状態異常治癒」「HP回復(10%)」【回復/なし】【3】 [ [★]エリアルオペレーター(攻撃) 4 / 「敵味方全体」「範囲/妨害」「毒(2T)」「全能力(-1)」「 - /80%」【ブレス/なし】【3】 【特技】 [ [5/5]もうどくのいき 4 / 「敵全体」「範囲/妨害」「毒(3T)」「100(50+Lv*10%)/70%」【ブレス/なし】【3】 [ [5/5]ドルモーア 7 / 「敵単体」「単体/攻撃」「CS-70」「(205~305)+Lv*15)/ - 」【呪文/ドルマ】【3】 [ [3/5]しょうきのブレス 6 / 「敵全体」「敵全体/攻撃」「全能力(-1)」「160(130+Lv*10)/90%」【ブレス/ドルマ】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 毒龍機の機構 / 「自身」が行う行動すべてに「毒(2T)」「全能力(-1)」の追加効果を付与する。(既に同効果がある場合は合算)【*】 [ 毒龍機の憎悪 / クリンナッププロセスで「毒」状態の敵モンスターを30%で憎悪状態にする。【*】 [ 毒龍機の侵食 / 「毒」状態の敵モンスターに「味方」が与えるダメージを増加(20%)する。【*】 [ 毒龍機の抗体 / 「味方」が「毒」状態の敵モンスターから受けるダメージを減少(20%)する。【*】 【パッシブスキル】 [ [A]死毒のエース / 「エース状態」であるとき、「毒龍機の侵食」「毒龍機の抗体」の効果が2倍となる。【*】 L[ [★]毒沼の支配者 / 「エース状態」である時、「毒」状態のモンスターから「HP」を「10%」吸収し、「全能力」を「-1」する[毎T]【4】 [ [3/3]チグリスポイズン / 「自身」の能力で与える「毒」に「与えるダメージ減少(-30%(Lv*10))」を追加する。【2】 [ [5/5]ラストフォートレス / 「自身」がPTで最後の一人になったとき「守備力」と「精神」が上昇(+3)する。【3】 [ [3/3]ハームフリックル / 「状態異常」の敵に対して追加効果の発動率が上昇(+Lv*10%)する。【3】 [ [★]気体操作 / 「味方」が受ける「ブレス」のダメージを減少(20%)する。【3】 【アクティブスキル】 [ [★]気体変化x / 「自身」が行う「ブレス」の「属性」を任意の「属性」に変更する。「テ/1」[2/戦]【3】 [ [★]気流操作y / 「味方」が受ける「ブレス」の「命中率」を低下(-20%)する。「テ/1」[2/戦]【3】 【耐性】 [ 火:-20 氷:0 風:+20 光:-20 闇:+20 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]エリアルオペレーター全力稼働 / 「毒」状態の敵味方に対し、「マヌーサ」「発狂」「心労」「放心」を付与する(各40%)。【*】 L使用条件:2種類のエリアルオペレーターを使用済 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【エルキドゥ(Fateシリーズ)&ニコラ・テスラ(黄雷のガクトゥーン)】 【エルキドゥ(Fateシリーズ)&ニコラ・テスラ(黄雷のガクトゥーン)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【キュマイラ】 名前:【エルキドゥ】 おんわ ♂ 【個人スキル】 [ ホムンクルス / 人の手で造り出された生命。その力はモンスターに匹敵する。 [ 気配感知 / 周囲から遠距離までの環境やモンスター、人間の位置と状況を五感に頼らず把握できる。 【マスタースキル】 [ [D]泥人形の変容 / 【エルキドゥ】固有スキル。味方モンスター1体に任意の属性を+20し、任意の《○撃》を付与。[2/戦] [ [D]泥人形の天鎖 / 【エルキドゥ】固有スキル。敵マスターのマスタースキルを無効化し、敵全員に《硬直》を付与。[1/戦] [ [B]エヌマ・エリシュ / 【エルキドゥ】固有スキル。仲間全員のテンションと全能力値を「+4」する。[1/戦] PTコンセプト 雷特化型エースを自身の能力と他モンスターでサポートする。 モンスター コードネーム:【ブラックドッグ】 名前:【ニコラ・テスラ】 種族:ペルクナス ♂ Lv80 ごうがんふそん HP 490 MP 19% 精霊系ナチュラ属 [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … A- [ まりょく … A+ [ せいしん … A [ すばやさ … A+ [ キャパシティ … [40/40] 【セットアップ】 [ [3/5] 孤高の英雄 0 / 「自身」「単体/強化」「全能力(+Lv)」「テンション(+Lv)」「PTに一人の時のみ」[1/戦]【なし/なし】【3】 [ [4/5] サンダーセイバー 2 / 「仲間単体」「単体/強化」「会心+10%(1T)」「雷(+Lv*5)(LvT)」「《雷撃》付与(LvT)」【なし/デイン】【2】 [ [3/3] じゅうでん 3 / 「自身」「単体/強化」「雷属性(+(Lv*5)」「HP回復(Lv*5%)」【なし/デイン】【2】 【特技】 [ [9/9] 雷電掌 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「守備力上昇無視」「会心+20%」「310(220+Lv*10)/90%」【格闘/デイン】【3】 [ [3/5] エレメンタルラッシュ 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「4回」「《○撃》の効果中、威力2倍」「45(30+Lv*5)/70%」【格闘/なし】【3】 [ [2/5]ギガデイン 8 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「CS-120」「310(280+Lv*15)/-」【呪文/デイン】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 雷電王の御業 / 《雷撃》の効果中、CSと特技の威力が増加(+「雷属性/2」)する。【*】 [ 雷電王の剛体 / 《雷撃》の効果中、全ての耐性が増加(+20)する。【*】 [ 雷電王の機械帯 / 「雷」属性が上昇した時、高確率でHPが回復(10%)する。【*】 [ 雷電王の威圧 / 「雷」属性が上昇した時、敵全員の能力値をランダムで低下させる。【*】 【パッシブスキル】 [ [★] 幻想のエース / 「エース状態」になった際、敵の「攻撃」以外でダメージを受けない。【*】 L[ [3/5]くじけぬこころ / 他に仲間がいる状態で「戦闘不能(OFダメージ含)」になった際、HPを回復(Lv*10%)して持ちこたえる。[1/戦]【3】 [ [★]邪神殺し / 「闇」に耐性のある敵に与えるダメージが増加(+耐性%)する。【2】 [ [★]正義の味方 / 仲間が「戦闘不能」になった際、テンションが上昇(+1)する。【2】 [ [2/3]バリツ / 【格闘】攻撃時、低確率で与えるダメージが増加(+Lv*50%)する【3】 [ [4/5]孤人城塞 / 「前列」に一人でいる時、受けるダメージを軽減(-Lv*10)する。【2】 [ [5/5]テスラ・コイル / 『雷電王の○○』が発動した際、高確率でMPが回復(-Lv%)する。【2】 [ [7/9] デインマスタリ / 「自身」が行う「デイン」攻撃によってあたえるダメージが増加(+Lv*5%)する。【2】 【アクティブスキル】 [ [8/9] サンダーフォージx / 「デイン」属性の攻撃の威力を増加(+(Lv*5))する。【2】 [ [2/3] ユピテルーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「雷属性」が上昇(15+Lv*5))し、「硬直(10%)」を付与する。【2】 [ [5/5]電界の剣z / 「CS」が自分より低い相手に与えるダメージを増加(+Lv*20%)する。[テ/1]【4】 【耐性】 [ 火:-10 氷:-10 風:-10 光:-10 闇:-60 雷:+100 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP] 世界の果ての八雷 8 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《貫通》」「《突破》」「8回」「50/90%」【自然/デイン】【L】 L使用条件:HP30%以下、「エース」発動時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【ラムザ・べオルブ&聖天使アルテマ(FINAL FANTASY Tactics)】 【ラムザ・べオルブ&聖天使アルテマ(FINAL FANTASY Tactics)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【エグザイル】 名前:【ラムザ・ルグリア】 みうちおもい ♂ 【個人スキル】 [ 堅固なる意思 / 自分の中の正義を貫くためであれば社会的地位を捨てることも厭わない。 [ カリスマ / 他者を惹きつける先天的な才能、リーダーシップがあり、他人を導くことに長ける。 【マスタースキル】 [ [D]持たざる者 / 【ラムザ・ルグリア】固有スキル。「敵一体」の解析済みである回数制限のある特技またはスキルの回数を減少(-1)させる。[1/戦] [ [D]利用する者される者 / 【ラムザ・ルグリア】固有スキル。「味方一体」の「能力上昇」および「効果が継続する特技」の効果を他の味方に移動させる。[1/戦] [ [D]偽らざる者 / 【ラムザ・ルグリア】固有スキル。「敵味方一体」の「能力変化」「状態異常」「効果が継続する特技」の効果を消滅させる。[1/戦] [ [D]愛に全てを / 【ラムザ・ルグリア】固有スキル。使用回数の残っている汎用命令を全て消費する代わりに、その数に応じて味方一体のHPを回復(5%/個)させる。[1/戦] 前半はエースが敵を弱体化させ、他がダメージを稼ぐ 固有スキルで敵に有利な効果を除去したり強化効果をエースに集中させ 後半は奥義で作った味方を壁にしつつ、強化されたエースで攻撃を行う モンスター コードネーム:【エンジェル・ハイロゥ】 種族:聖天使アルテマ ♀ LV80 こうあつてき HP 440 MP 21% 悪魔系(ダイモア) [ せいめいりょく … B [ こうげきりょく. … B- [ しゅびりょく … B- [ まりょく … A+ [ せいしん … A [ すばやさ … A [ キャパシティ … [30/40] [ 感情の引き金 … 敵味方合わせて3体が戦闘不能になった時。 [ エーストリガー … 自身が敵に状態異常をかけた回数が4回に達した時。 [ 星宮ヴァルゴ - 《魔石》【呪文/なし】 - 『通常の半分(10%単位で切り上げ)の確率で、同性であっても「誘惑/自身」にできる』 【セットアップ】 [ [★]呪縛 4 / 「敵全体」「範囲/妨害」「硬直(40%)」「なし/-」【呪文/なし】【L】 [ [★]悪夢 4 / 「敵全体」「範囲/妨害」「睡眠(深度3)(60%)」「なし/-」【呪文/なし】【L】 [ [★]抱締 4 / 「敵全体」「範囲/妨害」「誘惑/自分(50%)」「なし/-」【呪文/なし】【L】 【特技】 [ [1/5]ドルモーア 7 / 「敵単体」「単体/攻撃」「CS-70」「220~320(Lv*15)/-」【呪文/ドルマ】【3】 [ [1/5]ベギラゴン 7 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「CS-40」「180(170+Lv*10)/-」【呪文/ギラ】【3】 [ [2/3]ディバインスペル 4 / 「敵単体」「単体/弱化」「攻撃を受けるとき、全属性-LV*10(2T)」「なし/-」【呪文/なし】【2】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 聖邪の魔気 / 「自身」が敵に「状態異常」を与えたとき、同時にダメージ(5%)を与える。【*】 [ 聖邪の神気 / 「自身」が「攻撃」でダメージを与えた敵を中確率で「心労」にする。【*】 [ 聖邪の闘気 / 「自身」の「光」と「闇」の属性値が上昇(+30)する。【*】 【パッシブスキル】 [ [★]災厄のエース / 「エース状態」のとき「状態異常」を与える確率が上昇(+10%)する。【*】 L[ [2/3]完全魔法 / 「エース状態」のとき「呪文」使用時のCS低下量を減少(-LV*20)させる。【3】 L[ [2/3]完全飽和 / 「エース状態」のとき「敵」の耐性を一定値(LV*10)まで無視する。【2】 [ [3/3]瘴気の蔓延 / 「自身」の与えた「状態異常」がクリンナップPに回復する確率を低下(-LV*10%)させる。【3】 [ [3/5]災厄の日 / 「状態異常」になっている敵が受けるダメージが増加(+LV*10%)する。【3】 [ [3/5]カラミティシールド / 「状態異常」になっている敵から受けるダメージを軽減(-LV*10%)する。【3】 [ [2/2]ドミナントスマイル / 「状態異常」を与えたとき、対象のいずれかの能力を低下(-LV)させる。【2】 [ [★]ディバイン / 「闇」に耐性のある敵に与えるダメージが増加(+自身の光属性%)する。【2】 【アクティブスキル】 [ [3/3]ダークルーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「光属性」が上昇(+(Lv*5))する。【1】 [ [3/3]ホーリールーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「光属性」が上昇(+(Lv*5))する。【1】 [ [2/3]カースリフレックスz / 「自身」に攻撃した対象のテンションを高確率で低下(-1)させる。[LV/戦]【2】 【耐性】 火:0 氷:-10 風:0 光:+30 闇:+50 雷:-10 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]クラウディヘヴン / 使用後に戦闘不能になった敵をHP25%で蘇生し、一時的に味方にする。ただし味方にした敵はLVが20低下し、通常攻撃しか行えない。【*】 ※使用者が戦闘不能になった時点で味方にした敵は戦闘不能となる。 L使用条件:自身の能力上昇合計+15以上 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【ロベリア・カルリーニ(サクラ大戦3)&ブラキディオ(モンスターハンター)】 【ロベリア・カルリーニ(サクラ大戦3)&ブラキディオ(モンスターハンター)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【サラマンダー】 名前:【ロベリア・カルリーニ】 こうかつ ♀ 【個人スキル】 [ パイロキネシスト / 呪文とは異なる魔素に由来する発火能力を操る。【★6】 【マスタースキル】 [ [PS]フィアンマ・ウンギア / 【ロベリア・カルリーニ】固有スキル。追撃によるダメージを受けた対象のHPを減少(ダメージの5%)させる。【*】 [ [D]コンブスティオーネ / 【ロベリア・カルリーニ】固有スキル。仲間一体の「セットアッププロセス」を放棄し、放棄した対象の能力で「コンブスティオーネ 」を設置する。[2/戦]【*】 ※コンブスティオーネ / 行動後に特殊攻撃の追撃(60/90%/3回/メラ)を行う。(3T) [ [D]マリーツィア・フォーコ / 【ロベリア・カルリーニ】固有スキル。仲間が「戦闘不能」になった時、攻撃を行った対象に「戦闘不能」になった仲間の能力で特殊攻撃の追撃(120/80%/メラ/)を行う。[1/戦]【*】 PTコンセプト 追撃、反撃、追加ダメージなど通常のタイミング外でダメージを与えることに特化している モンスター コードネーム:【エグザイル】 名前:【ブラキディオス】 種族:オブシディアン・プリンス ♂ Lv80 ちんぴら HP 480 MP 16% 物質系ミネラル属 [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … B- [ まりょく … A+ [ せいしん … C+ [ すばやさ … B+ [ キャパシティ … [38/40] 【セットアップ】【6】 [ [3/3]こくようこう 3 / 「仲間単体」「単体/強化」「同契者が使用」「任意の能力値+Lv」「テンション+1」【なし/イオ】【2】 [ [3/3]ベタン 3 / 「自身/敵単体」「単体/弱化」「【転倒】にする」「0/100%」[Lv/戦]【なし/ベタン】【2】 [ [5/5]じらいげん 5 / 「敵陣」「範囲/妨害」「じらいげん設置」【設置/イオ】【2】 ※じらいげん / ダメージを受けた時に追撃(15+Lv*5)/100%/イオ)を行う。(3T) 【特技】【5】 [ [9/9]こくようけん 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「同契者が使用」「威力増加(魔力+1/10)」「(150+Lv*10)/100%」【格闘/イオ】【2】 [ [5/5]さくれつけん 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「命中した時、対象のHPを減少(与ダメージのLv%)」「(100+Lv*20)/80%」【格闘/イオ】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 黒曜石の謌装 / 「同契者」の「装備」として戦闘に参加できる。「格闘」に変化できる。【*】 [ 黒曜石の煌光 / 「同契者」が「イオ」によって与えるダメージが増加する。増加量は「黒曜光」と同数値となる。【*】 [ 黒曜石の砕竜 / 「同契者」が「イオ」によってダメージを与えた時、対象のHPを減少(与ダメージの10%)させる。【*】 [ 黒曜石の臨界 / 「同契者」が「OF」状態になった時、「同契者」の「テンション」が上昇(+1)し、「攻撃力」が増加(+3)する。【*】 【パッシブスキル】【23】 [ [A]爆砕のエース / 敵全体に特殊攻撃の追撃(30/100%)を行う。「自身」の取得している「奥義」を「同契者」も使用可能になる。【*】 L[ [5/5]砕光弾頭 / 「エース」状態の時、「同契者」が「イオ」によってダメージを与えた時、対象のHPを減少(Lv*10)させる。[1/戦]【3】 [ [5/5]黒曜光 / 「イオ」によって与えるダメージが増加(+Lv*10%)する。【3】 [ [3/3]調和の輝石 / 「同契者」の最大MPを+(1+Lv)%する。【2】 [ [5/5]和合の煌石 / 「同契者」の最大HPを+「Lv*10」する。【2】 [ [2/2]オブシディアンアバウ / 「同契者」が「オーバーフロー」で受けるダメージを半減する。[Lv回/戦]【1】 [ [2/2]涙石 / 「同契者」の行動時、低確率でHPを回復(Lv*10%)する。【3】 [ [2/2]爆粘菌 / 「同契者」の攻撃によって対象が「転倒」した時、その対象に「姫」の能力で特殊攻撃の追撃(30/100%/イオ)を行う。[Lv/戦]【3】 [ [5/5]粘菌誘爆 / 「同契者」が「イオ」によってダメージを与えた時、その対象に「姫」の能力で特殊攻撃の追撃(10/100%/イオ)を行う。[1/T][Lv/戦]【3】 [ [5/5]不滅の炉心殻 / 「同契者」が「OF」状態の時、「イオ」の威力が増加(+Lv*10)する。【3】 【アクティブスキル】【4】 [ [2/3]朋誦の謳x / [B]以上の「同契者」が取得する。「姫」の取得している「特技」を使用出来る。ステータスは「姫」の物を使用する。[Lv/戦]【*】 [ [2/3]響応の謳z / [B]以上の「同契者」が取得する。「姫」の取得している「セットアップ」を使用出来る。ステータスは「姫」の物を使用する。[Lv/戦]【*】 [ [2/3]オブシディアンブレイズy / 「同契者」が使用する。行う「物理攻撃」の属性に「イオ」が含まれている場合、その対象に「姫」の能力で特殊攻撃の追撃(100/100%)を行う。[Lv/戦][テ/2]【2】 [ [★]ルーンシェアz / 「自身」の取得している「○○ルーンy」を「同契者」も使用できる。【0】 [ [3/3]エクスプロードルーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「火属性」が上昇(+Lv*5))し、「転倒(10%)」を付与する。【2】 【耐性】 [ 火:+20 氷:-20 風:0 光:+10 闇:0 雷:-10 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]げきめつけん 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《破砕》」「《貫通》」「回避された時、追撃(180/100%)を行う」「350/80%」【格闘/イオ】【L】 L使用条件:「エース」発動時、「自身」か「同契者」が「OF」時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【緒田樹光(CHAOS CODE)&レイチェル・アルカード(BLAZBLUE)】 【緒田樹光(CHAOS CODE)&レイチェル・アルカード(BLAZBLUE)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【サラマンダー】 名前:【緒田樹光】 ガチオタ ♂ 【個人スキル】 [ エリートヲタ / 凡そ一般生活に必要無い知識のエキスパート [ TATSUJIN / 古今東西多くの格闘技術に精通している 【マスタースキル】 [ [D]揺るぎなき心 / 【光】固有スキル。「♀」モンスターの「状態異常」を回復させる[3/戦]【*】 [ [PS]燃(萌)える魂 / 【光】固有スキル。「味方」が「戦闘不能」になった時、生存している仲間のテンションが上昇(+1)する 生存している味方が「♀」の場合、さらに上昇(+1)する【*】 [ [PS]お前が一番萌えるんだよ! / 【光】固有スキル。「♀モンスター」が「残り一体」になった時、全ステータスが増加(+2段階)する【*】 PTコンセプト 戦闘状況が進む毎に強化されるレイチェルを軸に立ちまわる構成 他2体は適度に活躍しつつも早めに落ちる事が要求される モンスター コードネーム:【ブラム=ストーカー】 種族:【レイチェル・アルカード】 ♀ Lv85 ゆうが HP 423 MP 21% 悪魔系 [ せいめいりょく … B- [ こうげきりょく. … C [ しゅびりょく … D- [ まりょく … B- [ せいしん … B+ [ すばやさ … C [ キャパシティ … [41/42] [ 感情の引き金 … 生存しているのが「自身」のみになった時 [ エーストリガー … 「仲間が戦闘不能」になった時。 【セットアップ】 [ [3/5]ダークセイバー 2 / 「仲間単体」「単体/強化」「魔力+2」「闇+(Lv*5)(LvT)」「《闇撃》付与(LvT)」【なし/ドルマ】【2】 [ [2/3]亡者の一撃 5 / 「味方単体」「補助/強化」「従者」に「メインプロセス」を行わせる【なし/なし】[テ/1][Lv/戦]【3】 ※従者の使用する「MP」「テンション」は自身が消費する事 【特技】 [ [2/5]ソード・アイリス 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「ダメージの半分回復」「180(160+Lv*10)/80%」【斬撃/ドルマ】【3】 [ [4/5]ドルクマ 6 / 「敵単体」「単体/攻撃」「CS-50」「180~250(250+Lv*10)/-」【呪文/ドルマ】【2】 [ [2/3]赤色の従者 4 / 「味方単体」「補助/強化」戦闘不能になっている「味方」を「従者(LvT)」にする[テ/1]【3】 [ [1/2]血霧の盾 6 / 「自陣」「補助/強化」「血霧の盾設置(LvT)」「HP-10%」【設置/なし】【3】 ※血霧の盾:消費したHP分だけダメージを軽減する 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 吸血姫の鬱憤 / 「戦闘不能」の「仲間」が1体増える毎にステータスが上昇(+1/1体)する。【*】 [ 吸血姫の遊戯 / 「仲間」が「戦闘不能」になった時、中確率で「メインプロセス」を行う【*】 [ 吸血姫の饗宴 / 「モンスター」が「戦闘不能」になった際、全能力が上昇(+1)する。【*】 [ 吸血姫の傲慢 / 生存しているのが「自身」のみの時、「能力値」が低下しない【*】 【パッシブスキル】 [ [A]高嶺のエース / 「エース状態」になった際、ステータスが上昇(+1)する【*】 L[ [★]血の焦がれ / 「エース状態」の時、中確率で「クリンナッププロセス」に「戦闘不能」の「仲間」の数だけテンションが上昇する【3】 L[ [2/5]不死者の恩寵 / 「従者」が居る状態で「戦闘不能(OFダメージ含)」になった際、HPを回復(Lv*10%)して持ちこたえる。[1/戦]【3】 [ [2/3]血の絆 / 「味方」を「従者」にした時、HPが回復(10(Lv*5)%)する【2】 [ [2/3]血の祝福 / 「自身」のHPが「回復」した時、中確率でランダムな能力値が上昇(+Lv)する。【2】 [ [2/5]ライフブラッド / テンション量に応じて「自身」の「回復量」が増加(Lv*テ)%)する。【2】 [ [2/3]紅の王 / 「従者」の数に応じて与ダメージが増加(+Lv*10*従者数%)し、被ダメージが減少(Lv*5*従者数%)する【3】 [ [★]赤河の支配者 / 「従者」の数に応じてステータスが上昇(+1/1体)する。【3】 【アクティブスキル】 [ [5/5]赫き剣x / 《剣》によって行う「斬撃」攻撃の与ダメージを「魔力」で判定し、威力を増加(+25(Lv*5)%)させる。【2】 [ [2/5]クロスアタックz / 「自身」と「従者」が同じ対象を攻撃する時、命中率(+20(Lv*10)%)と威力(+30(Lv*15)%)が増加する【2】 L[ [★]クロススラッシュ / 『クロスアタック』に《突破》《貫通》追加【3】 【耐性】 [ 火:-20 氷:+10 風:0 光:-30 闇:+30 雷:+10 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]愚者の軍団 3 / 「自分以外の味方全体」「補助/強化」複数の味方を「従者(2T)」にする【なし/なし】【*】 L使用条件:エース発動時、自身のみが生存している zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【大友ソウリン(戦国乙女)&独眼流政宗(ランスシリーズ)】 【大友ソウリン(戦国乙女)&独眼流政宗(ランスシリーズ)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【エンジェル・ハイロゥ】 名前:【大友ソウリン】 おしとやか ♀ 【個人スキル】 [ ガンナー / 銃火器の扱いに長ける。特に砲を得意とする。 【特徴】 [ 新しいもの好き / 新しい物に目がない。 [ 修道女 / 神に仕えているらしい? 【マスタースキル】 [ [PS]弩・佛狼機砲-開幕- / 【大友ソウリン】固有スキル。仲間のテンションが「3」の倍数になった時、即座に自分が使用可能な命令を対象に使用する。【*】 [ [PS]弩・佛狼機砲-終幕- / 【大友ソウリン】固有スキル。テンションが「6」の仲間は「セットアップP」を放棄して「メインP」を二回行うことができる。ただし、同じ特技、アクティブスキルを使用することはできない。【*】 [ [PS]弩・佛狼機砲-再演- / 【大友ソウリン】固有スキル。仲間のテンションが1ターンの間に「6」から「0」になった時、対象をテンションを「6」消費した「テンション開放」を行った状態にする。【*】 PTコンセプト テンションに関わる能力で構成 刻印エース、騎獣、射撃型の編成 モンスター コードネーム:【バロール】 名前:【独眼流政宗】 種族:独眼流政宗 ♂ Lv80 イケメン HP 480 MP 16% 悪魔系デモン属 [ せいめいりょく … B+ [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … B- [ まりょく … C+ [ せいしん … B- [ すばやさ … A+ [ キャパシティ … [40/40] 【セットアップ】【6】 [ [3/3]進撃の号令 3 / 「仲間単体」「単体/強化」「登場ターンのみ」「攻撃+Lv」「守備+Lv」「テンション+1」【指揮/なし】【3】 [ [3/3]早駆の陣 4 / 「仲間全体」「範囲/強化」「速度+Lv」」「自身/テンション+1」【指揮/なし】【3】 [ [2/2]独眼流 3 / 「敵単体」「単体/妨害」「ダメージを軽減する効果をもつPSを任意でLv個まで無効化する」」[テ/2][T/終][Lv/戦]【魔眼/なし】【L】 【特技】【6】 [ [5/5]ふうじん斬り 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「3回」「(75+Lv*5)/90%」【斬撃/バギ】【3】 [ [5/5]じんらい斬り 5 / 「敵二体」「範囲/攻撃」「会心+10%」「220(200+Lv*10)/80%」【斬撃/デイン】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 梵天丸の独眼 / 「エース状態」の時、中確率で攻撃対象の「ダメージを軽減する効果をもつPS」のLvを「1」下げた状態として扱う。。「命中率」が常に「+10%」される。【*】 [ 梵天丸の景秀 / 「エース状態」の時、与えるダメージが増加(+30%)する。【*】 [ 梵天丸の光忠 / 「エース状態」の時、回避率が増加(+10%)する。【*】 [ 梵天丸の広光 / 「エース状態」の時、CSが増加(+50)する。【*】 【パッシブスキル】【24】 [ [A]独眼のエース / 「エース状態」時、「ダメージを無効化するPS」の発動を妨害する。[1/戦]【*】 [ [★]士気高揚 / 「戦闘開始時」に仲間一体の「テンション」が上昇(+1)する。【3】 [ [★]グランディア / 「自身」が「5回」攻撃を命中させると、仲間一体のテンションが上昇(+1)する。【3】 [ [2/2]戦意昂揚 / 「自身」の能力上昇値の合計が「8」以上になった時、「自身」のテンションが上昇(+1)する。[Lv/戦]【3】 [ [★]王の号令 / 「仲間」を「指揮」した時、「自身」のテンションが上昇(+1)する。[1/戦]【3】 [ [5/9]騎乗 / 「騎獣」スキルを持つ仲間が居る際、「騎乗状態」となる。「Lv個」の「騎乗派生スキル」を取得できる。【2】 L[ [★]名乗り上げ / 「騎乗状態」となった時、「自身」のテンションが上昇(+1)する。【3】 L[ [5/5]騎乗戦闘 / 「自身」が「騎乗状態」の時、与えるダメージが増加(+Lv*10)%する。【2】 L[ [3/3]騎乗防御 / 「自身」が「騎乗状態」の時、受けるダメージが増加(-Lv*10)%する。【2】 L[ [2/2]騎乗回避 / 「自身」が「騎乗状態」の時、回避率が上昇(+Lv*10%)する。【2】 L[ [2/2]騎乗連携z / 「騎獣」の能力値が上昇した時、その半分を「自身」に適用する。【1】 【アクティブスキル】【4】 [ [5/5]バッシュx / 「自身」が行う「物理攻撃」による与ダメージが増加(+Lv*5%)する。【2】 [ [3/3]エナジーパスx / 「自身」のテンションを「1」低下させ、仲間一体のテンションを「1」上昇させる、[Lv/戦]【2】 [ [★]政宗の目薬z / 「自身」のテンションが上昇(+1)する。[1/戦]【L】 【耐性】 [ 火:0 氷:-10 風:+10 光:-10 闇:0 雷:+10 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]ごうらいれっぷう 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《貫通》」「1+(消費したテンション数)回)「会心+5+(消費したテンション数*5)%」「100/80%」[テ/任意の数(最大3)]【斬撃(刀)/バギ・デイン】【L】 L使用条件:「エース」発動時、テンションが「6」の時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【鮎川天里(神のみぞ知るセカイ)&メタルエテモン(デジタルモンスターズ)】※ ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【バロール】 名前:【鮎川天理】 ひっこみじあん ♀ 【個人スキル】 [ 死の魔眼 / ただ見るだけで常人なら死の危険がある魔眼。魔素の高い者ほど抵抗出来るがそれのみでは完全には無効化出来ない。【★7】 [ 天使の祝福 / 生まれながらに祝福にて天使の力の一欠片を持つ、呪いとも。その力は祝福した天使の能力によって様々。 「死の魔眼」もこの一部。【★5】 [ 心理的外傷 / 魔眼のせいで多くの人の命を奪い、多くの人に狙われた事によるトラウマ。 常に目を閉じ前髪を伸ばす事で決して魔眼を開かないようにしている。【★1】 【マスタースキル】 [ [D]死眼の堕天使(ザラキエル) / 【鮎川 天理】固有スキル、敵一体の「守備力」か「精神力」どちらかを「E」にする。 このスキルは仲間が一体以上「戦闘不能」になった後、発動できる。[T/終][1/戦]【*】 [ [D]癒しの大天使(サリエル) / 【鮎川 天理】固有スキル。自身の魔物が「回復」の特技を使用する際、 回復量を特技に記されている「威力の数値」分そのまま回復させる。[2/戦]【*】 [ [PS]月知る御前天使(ディアナ) / 【鮎川 天理】固有スキル。敵の「状態異常」が解除された際に解除を無効化し、 更にその状態異常のT数を+1延長する。[2/戦]【*】 [ [LS]斉天大聖铁打也 0 / 【メタルエテモン】のリミットスキル。タイミング:SP 肉体が持つ不死の伝説を顕現する。 2Tの間「自身」は敵の攻撃の際のダメージ・威力を増加するスキル、能力上昇を無効化する。 PTコンセプト エースのワントップパーティ。 硬いメタルエテモンが状態異常をばら撒き戦況を混乱させ、天理のスキルで維持。ピンチの時に死の魔眼で逆転を狙う。 ガチガチに硬く見えるがメタルエテモンはHP低いので意外と耐久はそうでもない、突破・破砕は天敵。 その分HPが低いがダメ半減は割合回復ではない回復の影響高くなる コンビの関係性は、自身がどれだけ見ても影響を受けないパートナーに対して天理が唯一目を開き心を許している。 メタルエテモンも暗い天理を笑わせようと目を閉じても聞こえる音痴な歌で元気づけてる。 モンスター コードネーム:【ハヌマーン】 種族:メタルエテモン Lv80 おちょうしもの HP 350 MP 18% 自然系アニマル属 [ せいめいりょく … C(A) [ こうげきりょく. … A+ [ しゅびりょく … AAA [ まりょく … A+ [ せいしん … D- [ すばやさ … D+ [ キャパシティ … [39/40] [ 感情の引き金 … 「自身のHPが50%以下」になった時。 【セットアップ】【7】 [ [3/3]ヘヴィメタル 3 / 「自身」「補助/強化」「守備力+3」「精神力+3」「テンション+1」【歌/なし】【3】 [ [★]バナナスリップ 3 / 「自身」「単体/妨害」「転倒」「自身が食物を消費してる際、更に回避率-10%」【自然/なし】[テ/1]【L】 [ [3/3]プロボック 3 / 「敵単体」「単体/妨害」「憎悪/自身」「なし/90%」[Lv/戦]【なし/なし】【2】 [ [2/3]石猴大喝 4 / 「敵単体」「単体/妨害」「重圧」「なし/70(50+Lv*10)%」【なし/なし】【2】 【特技】【6】 [ [3/5]フルメタルヒップアタック 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「守備力(+1)につき威力(+10)増加」「260(230+Lv*10)/80%」【格闘/なし】【3】 [ [2/5]デスメタル 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「状態異常の対象への与ダメ―ジ判定を『守備力』で行う」「240(220+Lv*10)/80%」【歌/ドルマ】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 猿鋼の硬体 / 自身が受けるダメージを常に半減する。自身の最大HPを大幅に減衰する。【*】 [ 猿鋼の驚耐 / 自身が受けるダメージを低確率で0にする。自身の「最低ダメージ」の下限を-20する。【*】 [ 猿鋼の抗諦 / 自身が受けるダメージを「守備力」で判定する。使用される特技の効果と矛盾した際は特技が優先する。【*】 [ 美猴王不撓不屈 / 「エース状態」になった際、自身の「猿鋼の硬体」の効果は無視・無効化されない。【*】 【パッシブスキル】【22】 [ [A]無敵のエース / 「エース状態」になった際、被ダメージ時のみ全ての耐性を+20上昇する。【*】 L[ [3/3]闘戦勝仏 / 「前列」に一人でいる時、自身以外の仲間全員の受けるダメージを軽減(-30%(Lv*10))。自身が「エース」の状態だと更に(-15%(Lv*5))。【L】 L[ [3/5]くじけぬこころ / 他に仲間がいる状態で「戦闘不能(OFダメージ含)」になった際、HPを回復(Lv*10%)して持ちこたえる。[1/戦]【3】 [ [4/5]孤人城塞 / 「前列」に一人でいる時、受けるダメージを軽減(-40%(Lv*10))する。【2】 [ [3/5]ダーティファイト / 自身が「状態異常」にした対象の与えるダメージが低下(‐30(Lv*10)%)し、受けるダメージが増加(+30(Lv*10)%)する。【5】 [ [3/5]百日紅 / 「状態異常」にかかった対象一体の任意の能力値を低下(-3(Lv))させる。【2】 [ [3/3]悪の花道 / 自身が対象を「状態異常」にした際、テンションを+1する。[1/T][Lv/戦]【2】 [ [4/4]吃弼馬溫仙桃 / 「自身」が【食物】の効果により回復する際、更にHPを(60(Lv*15)回復する。【2】 [ [5/5]ガードナー / 自身の「守備力」が上昇したターン、受けるダメージが低下(-25%(Lv*5%))する。【2】 [ [5/5]クロンデジゾイド / 「守備力」の能力上昇に応じて与ダメージ/被ダメージが増加/低下(+1/7(Lv+2)%))/-7(Lv+2))する。【4】 【アクティブスキル】【4】 [ [2/3]モンキーマジックz / 自身の「守備」が上昇(+Lv)する。【2】 [ [3/3]猿武・猿回しz / 「自身」への能力変化の上昇値を全て0にし、上昇値の合計値分「守備力」を上昇する(補正無視)。クリンナップPに元の能力変化に戻る。[テ/1][Lv/戦]【2】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:+20 雷:-20 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]ラブ・セレナーデ 4 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「混乱(100%)」「260/100」【歌/ドルマ】【L】 L使用条件:「エース」発動時、OFの状態の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【鷲巣巌(アカギ)&人斬り抜刀斎(るろうに剣心)】 【鷲巣巌(アカギ)&人斬り抜刀斎(るろうに剣心)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ブラム=ストーカー】 名前:【鷲巣巌】 ゆいがどくそん ♂ 【個人スキル】 [ 閻魔の闘牌 / 様々な効果に分岐する運命干渉系スキル。かつて世界を左右した運命力の持ち主。現在は老いにより見る影もないが…。 【リミットスキル】 [ [LS]追憶幾星霜 / 【人斬り抜刀斎】のリミットスキル。タイミング:セットアップ。血塗れの道を歩んだ業を剣に宿すスキル。 HP30%以下。自身が戦闘中に特技およびスキルで与えた総ダメージの25%分だけ、敵一体にダメージを与える。 【マスタースキル】 [ [PS]鮮血遊戯 / 【鷲巣巌】の固有スキル。「裂傷」の判定が常に20%上昇し、「裂傷」のHP減少値も10%上昇する。 [ [PS]賭血遊戯 / 【鷲巣巌】の固有スキル。「裂傷」の深度が回復する際、任意の深度の回復を妨害することができる。[3/戦] [ [PS]吸血遊戯 / 【鷲巣巌】の固有スキル。場のモンスターのいずれか1体の「裂傷」の深度が5に達したとき、下記のスキルのいずれかを取得する。[3/戦] [ [D]全盛期の豪運 / 【鷲巣巌】の固有スキル。ターン中、仲間一体のスキルの発動率と追加効果発動率を+50%する。[1/戦] [ [D]全盛期の剛腕 / 【鷲巣巌】の固有スキル。ターン中、仲間一体の命中率と回避率を+30%する。[1/戦] [ [PS]全盛期の傲慢 / 【鷲巣巌】の固有スキル。任意の判定を再度行うことができる。[2/戦] PTコンセプト とにかく鷲巣の都合が最優先のPT。目先のダメージは捨てて「裂傷」を狙う。仲間は斬り捨てるもの。 モンスター コードネーム:【ハヌマーン】 名前:【人斬り抜刀斎】 Lv80 れいけつ ♂ HP500 MP20 亜人系 [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく … AA+ [ しゅびりょく … B+ [ まりょく … C [ せいしん … B [ すばやさ … AA [ キャパシティ … [38/40] 【セットアップ】 [ [2/2]上段の構え 3 / 「自身」「単体/強化」「こうげきりょく+2(Lv)」「会心率+10%」【なし/なし】【3】 [ [2/2]青眼の構え 3 / 「自身」「単体/強化」「こうげきりょく,ぼうぎょ+2(Lv)」【なし/なし】【3】 [ [2/2]居合いの構え 3 / 「自身」「単体/強化」「こうげきりょく,速度+2(Lv)」【なし/なし】【3】 [ [★]息吹 5 / 「自身」「単体/強化」「テンション+1」「命中,回避+1」[T/終][2/戦]【なし/なし】【3】 【特技】 [ [5/5]飛天御剣流・龍槌閃 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「会心率+10%」「裂傷(2/60%)」「300(250+Lv*10)/90%」【斬撃/なし】【2】 [ [2/3]飛天御剣流・双龍閃 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「2回」「会心率+10%」「裂傷(2/50%)」「170(150+Lv*10)/90%」【斬撃/なし】【2】 [ [2/3]飛天御剣流・土龍閃 6 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「マヌーサ(1T/50%)」「140(120+Lv*10)/80」【斬撃/なし】【3】 [ [1/2]飛天御剣流・九頭龍閃 8 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「裂傷(1/40%)」「隊列補正無視」「70(60+Lv*10)/80」[テ/2]【斬撃/なし】【5】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 抜刀斎の直斬り / 自身の斬撃で自身以外を戦闘不能にした際、「テンション+2」「次に行うメインP特技の会心率+30%」。【*】 [ 抜刀斎の首斬り / 「エース状態」の時、自身のメインPの特技で、対象のHPが10%以下になった時、「300/-/隊列補正無視【斬撃/なし】」の追撃を行う。[1/戦]【*】 [ 抜刀斎の見斬り / 「エース状態」の時、命中率と回避率が常に増加(10%)する。「呪文」を回避できる。【*】 【パッシブスキル】 [ [★]剣客のエース / 「エース状態」の時、【斬撃】によるダメージ+「こうげきりょくの上昇値*10%」。【*】 L[ [★]介錯 / 仲間に任意のセットアップ開始前のタイミングで、「残りHPと同じダメージ」を与える。【1】 L[ [2/2]斬刀狩り / 「エース状態」の時、【斬撃】によるダメージ+「自身が戦闘不能にした数*20(Lv*10)%」。【3】 [ [★]飛天御剣流 / 飛天御剣流の【斬撃】を取得することができ、その増加MPとキャパシティに補正を与える。【L】 [ [2/2]鍔迫り合い / 自身が【斬撃】を受けるとき、自身の「こうげきりょく」が相手の「こうげきりょく」を越えている場合、40(Lv*20)%の確率で攻撃を無効化する。【3】 【アクティブスキル】 [ [2/2]抜刀術y / 【斬撃】特技使用時、ダメージを軽減するスキルを無視する。[テ/2][Lv/戦]【3】 [ [2/2]天誅x / こうげきりょくの上昇が5以上で使用可能。【斬撃】によるダメージ+「40(Lv*20)%」追加効果の発動確率+「20(Lv*10)」。使用後のクリンナップでこうげきりょくの上昇は消滅する。[Lv/戦]【4】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]天翔龍閃 10 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《貫通》」「《突破》」「2回」「裂傷(3/70%)」「250/90%」【斬撃/なし】【L】 L使用条件:「エース」発動時、「OF」状態の時、戦闘中「敵味方問わず3体以上を戦闘不能」にしている時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【三村かな子(アイドルマスターシンデレラガールズ)&とら(うしおととら)】 【三村かな子(アイドルマスターシンデレラガールズ)&とら(うしおととら)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター 名前:【三村かな子】 のんき ♀ コードネーム:【オルクス】 【個人スキル】 [ シンデレラガール / アイドルの卵。「歌」や「踊り」に関する特技やスキルの発展に関する才能。【★3】 [ 甘味錬金術士 / 錬金術でお菓子アイテムを作り出した時、ワンランク上のアイテムが出来る。【★4】 【マスタースキル】 [ [D]ショコラ・ティアラ / 【三村かな子】固有スキル。仲間一体の「こうげきりょく」「しゅびりょく」「すばやさ」を「+2」する。[2/戦]。【*】 [ [D]桜色の華姫 / 【三村かな子】固有スキル。仲間全体にHP自動回復効果を3ターンつける[1/戦]。【*】 [ [D]キャンディアイランド / 【三村かな子】固有スキル。仲間一体のMPを最大値の半分低下させる[1/戦]。【*】 【リミットスキル】 [ [LS]轟炎雷 0 / 【とら】のリミットスキル。タイミング:メインプロセス。炎と雷が場を埋め尽くす。 「敵全体」「範囲/攻撃」「300/100%」【ブレス/デイン+メラ】 PTコンセプト 高コスト火力 回復タンク。 モンスター 名前:【とら】 コードネーム:【ブラックドッグ】 種族:【長飛丸】 ♂ Lv80 ツンデレ HP 500 MP 20% 自然系アニマル属 [ せいめいりょく … AA [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … B [ まりょく … A [ せいしん … B- [ すばやさ … A+ [ キャパシティ … [37/40] [ 感情の引き金 … MHPの「30%」以上のダメージをメインプロセス1回で受けた際。 [ エーストリガー … 「仲間が戦闘不能」になった時。 【セットアップ】 [ [4/5]らいめい突き 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「160(120+Lv*10)/100%」「使用後行動済」【刺突/なし】【2】 【特技】 [ [7/9]叩きつぶす 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「250(180+Lv*10)/90%」【格闘/なし】【2】 [ [6/9]食いちぎる 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「与ダメージのLv*5%HP吸収」「150/90%」【格闘/なし】【3】 [ [4/5]はげしいほのお 5 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「250(210+Lv*10)/90%」【ブレス/メラ】【4】 [ [4/5]はげしいいなずま 6 / 「敵一列」「範囲/攻撃」「270(230+Lv*10)/90%」【ブレス/デイン】【4】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 雷と炎の化生 / 自身の「メラ」「デイン」によるダメージが上昇する(10%)【*】 [ 妖怪大将 / 戦闘開始時、味方全員の好きな能力を+2上げる。【*】 [ 雷獣 / 味方全員の「デイン」の威力を10%上昇させる。【*】 【パッシブスキル】 [ [A]不死身のエース /戦闘中、メインプロセス終了時にHPが10%回復する【*】 L[ [★]金色の魔獣 /「エース状態」になった際、受けるダメージが10%減少する【3】 [ [5/5]自己再生 / 「自身」のHPを回復した際、中確率で「自身」のHPが回復(回復量の50%(Lv*10%)する。【2】 [ [5/5]満身創痍 / 自身の残りHPに応じて与えるダメージが増加(20%毎/+25(Lv+5)%)する。【3】 [ [5/5]ド根性 / HPが「0」になった際、中確率で「戦闘不能」にならず、HPが回復(30%(5+(Lv*5))する。[1/戦/自]【2】 [ [★]ピンチでかいしん / 「自身」のHPが「10%以下」になった時、次に行う攻撃が「会心の一撃」になる。[1/戦]。【2】 [ [★]肉体変化 / 武器を装備できない代わりに、「斬撃」「刺突」のスキルを使える【3】 【アクティブスキル】 [ [5/5]レイジx / 「自身」の残りHPに応じて与えるダメージが増加(20%毎/+25(Lv*5)%)する。[1/戦]【2】 [ [5/5]バッシュx / 「自身」が行う「物理攻撃」による与ダメージが増加(+25(Lv*5)%)する。【2】 L[ 「5/5]フルスイングy / 「自身」が行う「近接攻撃」による与ダメージが増加(+25(Lv*5)%)する。【2】 [ [4]バギングx / 「範囲/攻撃」である【デイン】の攻撃を「敵単体」「単体攻撃」にする。威力「+50」。[テ/1]【1】 【耐性】 [ 火:+20 氷:-20 風:0 光:-10 闇:-10 雷:+20 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]轟炎雷 / 炎と雷が場の全てを覆う。「敵全体」「範囲/攻撃」「300/100%」【ブレス/デイン+メラ】【*】 L使用条件:「オーバーフロー」時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ─────────────────────────────────────────────────── +【ココノエ(BLAZBLUE)&トリエラ(GUNSLINGER GIRL)】 【ココノエ(BLAZBLUE)&トリエラ(GUNSLINGER GIRL)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【バロール】 名前:【ココノエ】 れいせいちんちゃく ♀ 【個人スキル】 [ マッドサイエンティスト / いろいろネジが飛んでる科学者。 [ グラヴィトン / 自身が開発した重力制御装置。局所的に重力を操る事ができる。 【マスタースキル】 [ [D]重力の沼 / 【ココノエ】固有スキル。「全てのモンスター」の「固有スキル」以外での「隊列移動」を禁じる(3T)[1/戦]【*】 [ [D]虚空の陥穽 / 【ココノエ】固有スキル。「全てのモンスター」の「隊列」を入れ替える[1/戦]【*】 [ [PS]時の棺 / 【ココノエ】の固有スキル。「敵マスター」の「固有スキル」が発動した時、その効果発揮を1T遅らせる【*】 [ [LS]ラストオーダー・キルゾーン / トリエラ】のリミットスキル。 タイミング:パッシブ 起死回生の一撃を放つスキル。 「自身」が「戦闘不能」になった時に発動。 即座に「メインプロセス」を行い、「自身」は「HP1」で持ちこたえる。 PTコンセプト ココノエの能力により強制的に隊列を入れ替えし相手を想定通りに動かさずハメ殺す また固有スキルを使われた場合も「時の棺」で強制的に効果発動時間をズラし、 「使いたいタイミングで能力が使えない・使いたくない時に強制的に発動してしまう」という動きを強要する モンスターは全員遠近両対応型を揃え適当に削っていく テンションが有るならトリエラは初手ホローポイントで引き金を狙っていくのがベター モンスター コードネーム:【ブラックドッグ】 種族:【トリエラ】 ♀ Lv80 HP 667 MP 19% 死霊系 [ せいめいりょく … AA → AA+ [ こうげきりょく. … B → B+ [ しゅびりょく … C+ [ まりょく … E [ せいしん … B [ すばやさ … A+ → AA- [ キャパシティ … [42/42] [ 感情の引き金 … 「自身」の攻撃が命中しなかった時。 [ エーストリガー … 「仲間が戦闘不能」になった時。 【セットアップ】 [ [★]ガンフー 2 / 「自身」「単体/強化」「『射撃』の隊列補正を『格闘』と同じにする。【なし/なし】[T/終]【2】 [ [3/5]加速装置 1 / 「自身」「単体/強化」「CS」を「+30(Lv*10))」する。【なし/なし】[テ/1]【2】 【特技】 [ [5/5]ヘッドショット 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「会心(30%)「100(50+Lv*10)/100%」【射撃/なし】【2】 [ [5/9]みだれうち 3 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「4回」「60(35+Lv*5)/80%」【射撃/なし】【2】 [ [2/5]ホローポイント 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「会心+10%」「会心時《貫通》」「210(200+Lv*10)/50%」【射撃/なし】[テ/1]【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 死猟犬の忠誠 / 「マスタースキル」の効果を受けた時、全能力が上昇(+1)する。【*】 [ 死猟犬の遂行 / 「命令」系の「マスタースキル」の効果中、攻撃の威力が上昇(+30%)し、「会心率」が増加(+10%)する。【*】 [ 死猟犬の奮闘 / 「自身のマスター」が「マスタープロセス」を行わなかったターンの間、ステータスが上昇(+1)する【*】 [ 死猟犬の復讐 / 「自身」の攻撃で「会心の一撃」が発生しなかった時、次の攻撃の威力が上昇(+50%)する【*】 【パッシブスキル】 [ [A]猟兵のエース / 「エース状態」になった時、再び「感情の引き金」が使用可能になる。【*】 L[ [★]オーバースロット / 「エース状態」の時、「会心の一撃」の判定が「2回」行われる【2】 [ [2/3]アタックプログラム / 「命令」系の「マスタースキル」の効果を受けた時、その使用回数が減少しない。[Lv/戦]【3】 L[ [1/2]バトルプログラム / 「命令」系の「マスタースキル」の効果を受けた時、その持続時間が増加(LvT)する。【3】 [ [★]完全義体 / 「せいめい」「こうげき」「すばやさ」のステータスが1段階上昇する【3】 L[ [4/5]サイバーアーム / 「物理攻撃」の威力が上昇(+40(Lv*10)%)する。【2】 L[ [3/5]サイバーレッグ / 「CS」が上昇(+30(Lv*10)%)する。【2】 [ [3/5]エースキラー / 「エース」が発動した対象に与えるダメージが増加(+60(Lv*20)%)する。【3】 [ [★]死の銃弾 / 「会心の一撃」時、《破砕》を与える【3】 [ [★]絶望の銃弾 / 「会心の一撃」時、《突破》を与える【3】 【アクティブスキル】 [ [2/3]アームズリンクx / 「命中率」が上昇(20(Lv*10)%)する。【2】 L[ [2/5]ハイマニューバーy / 『アームズリンク』と同時使用。威力が上昇(30(Lv*15)%)する。【2】 【耐性】 [ 火:+10 氷:+10 風:0 光:-10 闇:+10 雷:-20 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]ぶいはかい 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「敵のステータスを低下(-2)」「250/80%」【*】 L使用条件:エース発動時、「OF」状態の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【霧崎マイ(超速スピナー)&ピュアノプシオン(惑星のさみだれ)】 【霧崎マイ(超速スピナー)&ピュアノプシオン(惑星のさみだれ)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ハヌマーン】 名前:【霧崎マイ】 クール ♀ 【個人スキル】 [ スピナー / ヨーヨーの扱いを得意とする。 【マスタースキル】 [ [PS]ワープスピード / 【霧崎マイ】固有スキル。戦闘開始時に仲間一体を指定する。その仲間の「速度」はあらゆる能力によって低下しない。【*】 [ [D]トップギア / 【霧崎マイ】固有スキル。「速度」が「10」の仲間の回避率が上昇(+10%)させ、「呪文」を回避できるようにする。[T/戦]【*】 [ [D]フルアクセル / 【霧崎マイ】固有スキル。「速度」が「10」の仲間を二回行動させる。[1/戦]【*】 PTコンセプト 速度を強化していくスタイル 刻印モンスターをひたすら連続で攻撃させる モンスター コードネーム:【バロール】 名前:【ピュアノプシオン】 種族:どろにんぎょう ♂ G(トループ) [与ダメ+20% 受ダメ-20% 回避-50% 隊列補正無視 戦闘開始時、任意の能力値2つを+3] Lv80 おくびょう HP 1800 MP 45% 物質系ゴーレム属 [ せいめいりょく … AA+ [ こうげきりょく … B+ [ しゅびりょく … B++ [ まりょく … B+ [ せいしん … B+ [ すばやさ … AA+ [ キャパシティ … [70/70] 【セットアップ】【4】 [ [5/5]ギガチャージ 0 / 「自身」「単体/強化」「ギガボディ専用」「任意の能力値+1*Lv」「テンション+(1+Lv/2)」【なし/なし】【4】 [ [3/3]ひゃくめ 4 / 「敵単体」「その他/その他」「対象の「ステータス/種族スキル/耐性」のいずれか一つの情報を取得する」[Lv/戦]【魔眼/なし】【L】 【特技】【8】 [ [5/5]ぐんぜいじゅうりん 5 / 「自身」「単体/強化」「敵ランダムを対象に(1+Lv)回の通常攻撃を行う」【なし/なし】【4】 [ [5/5]ほういせんめつ 5 / 「自身」「単体/強化」「ランダムの敵一体を対象に(1+Lv)回の通常攻撃を行う」【なし/なし】【4】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 十々眼の百目 / 戦闘開始時、「敵一体」の情報を2つ開示する。「命中率」が常に「+10%」される。【*】 [ 十々眼の運屋 / 「敵全員」に攻撃が命中した時、低確率でランダムの敵一体の隊列を変更する。【*】 [ 十々眼の群殴 / 「敵全員」に攻撃が命中した時、中確率でランダムの能力値が上昇(+2)する。【*】 [ 十々眼の群在 / 「通常攻撃」が回避された時、再判定を行う。[1/T]【*】 【パッシブスキル】【44】 [ [A]千眼のエース / 「エース状態」になった時、敵一体の情報をすべて開示する。【*】 L[3/3]三神骸 / 「エース状態」になった時、HPが回復(Lv*5%)し、MPが低下(-Lv)する。【4】 [ [5/5]無骨な一撃 / 「通常攻撃」の威力が増加(+Lv*5)する。【3】 [ [5/5]ベーシックキル / 「通常攻撃」のダメージが上昇(+Lv*5%)する。【3】 [ [2/2]ハードパンチャー / 「通常攻撃」の会心率が上昇(+Lv*5%)する。【4】 [ [2/2]研がれた拳 / 「通常攻撃」の命中率が上昇(+Lv*5%)する。【4】 [ [2/2]レギオン / ギガボディ専用。「連携行動」を使用した時、対象となる仲間の数を+「Lv」した状態として扱う【3】 [ [2/2]抗体物質 / 「状態異常」になる確立が低下(-Lv*5%)する。。【4】 [ [5/5]スピードスター / 自身の「速度」の能力上昇に応じて与える/受けるダメージが増加/低下(+1/+Lv%/-Lv%)する。【3】 [ [5/5]疾風怒濤 / 「すばやさ」の能力上昇が相手より高い時、与えるダメージが増加(+Lv*10%)する。【3】 [ [5/5]連携の極意 / 「連携行動」の効果が増加(+(Lv*10%)する。【2】 [ [3/3]グッドデザイン / 「自身」が行った攻撃が「回避」された時、中確率で判定を再度行う。[Lv/戦]【2】 [ [3/3]キラーピアス / 【物理攻撃】命中時、低確率で「Lv」回追撃(80/100%)を行う。【3】 [ [5/5]頑強 / 「自身」を攻撃した対象の「こうげきりょく」の上昇を「+Lv」まで無視する。【3】 [ [5/5]不動 / 「自身」を攻撃した対象の「まりょく」の上昇を「+Lv」まで無視する。【3】 【アクティブスキル】【14】 [ [5/5]威圧x / 敵の「守備力」の上昇を「+Lv」まで無視する。【2】 [ [3/3]エフニディアズモスx / 「メインP」で「攻撃」を行った際、ランダムな「対象:単体」に追撃(50/100%)を行う。[Lv/戦]【3】 [ [5/5]魔力撃y / 「自身」の与える「物理攻撃」のダメージが「まりょく」の「能力上昇」に応じて上昇(+1/(5+Lv)%)する。[テ/1]【2】 [ [3/3]総員散開z / ギガボディ専用。ギガボディ補正による回避率の低下を「Lv*10%」まで無効化する。[T/終][Lv/戦]【4】 [ [★]連携行動Ⅱz / 「連携行動」を使用した仲間の数に応じて与えるダメージが増加(+20%/40%)する。[テ/1]【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:-10 風:0 光:-10 闇:+10 雷:+10 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [AS]むすうのまなこz / 敵全体のランダムの「解析した情報数」個までの能力値を低下(-(解析した情報数)させる。【L】 L使用条件:「エース」発動時、「ひゃくめ」を使用した時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【エンリコ・プッチ(ジョジョの奇妙な冒険)&ストレイト・クーガー(スクライド)】 【エンリコ・プッチ(ジョジョの奇妙な冒険)&ストレイト・クーガー(スクライド)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター 名前:【エンリコ・プッチ】 コードネーム:【バロール】 どくぜんてき ♂ 【個人スキル】 [ スタンド / 自身の精神の反映である「スタンド」を魔物として使用できる。【*】 【マスタースキル】 [ [MP]「時は加速」する / 【エンリコ・プッチ】固有スキル。「敵味方全てのモンスター」の素早さの「+値」を「2倍」にする。[1/戦] 【*】 [ [PS]加速する世界 / 【エンリコ・プッチ】固有スキル。「敵味方全てのモンスター」の素早さの「+値」の上限が無くなる。【*】 PTコンセプト スピード特化。素早さの+値の高さによって恩恵を受ける能力で構成。 モンスター 種族:ストレイト・クーガー ♂ コードネーム:【ハヌマーン】 Lv80 あにきぶん HP 500 MP 17% 悪魔系イヴィル属 [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく … B [ しゅびりょく … B+ [ まりょく … C- [ せいしん … C [ すばやさ … A+ [ 感情の引き金 … 「エース」が発動した時。 [ エーストリガー … 素早さが「+10」以上になった時。 [ キャパシティ … [36/40] 【セットアップ】 【6】 [ [★]ラディカルグッドスピード脚部限定 3 / 「自身」「補助/強化」「そのターンのメインP最速行動」「そのターン中命中率+20%」「そのターン中回避率+20%」[3/戦]【L】 [ [2/3]フォトンブリッツ 2 / 「自身」「補助/強化」「素早さ+5」「テンション+1」「登場ターンのみ」[1/戦]【3】 [ [5/5]ピオラ 3 / 「味方単体」「補助/強化」「素早さ+Lv」【呪文/なし】【3】 【特技】【6】 [ [2/3]ばくれつきゃく 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「Lv+2回」「70/80%」【格闘/なし】【3】 [ [1/3]ストライクキック 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《貫通》」「250(220+Lv*30)/80%」【格闘/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 加速者の矜持 / 「セットアップP」に「自身」の素早さが上昇(+1)し、素早さ以外の能力がランダムで一つ低下(-1)する。【*】 [ 加速者の速撃 / 「攻撃」で判定する行動を行う際、代わりに「素早さ」で判定を行う。【*】 [ 加速者の連撃 / 「素早さが+10以上」の時、「2回行動」ができる。【*】 [ 加速者の瞬足 / 「メインP」に最初に行動するのが「自身」の時、そのターン「回避率」が増加(+30%)し、「呪文」を回避できる。【*】 【パッシブスキル】 【19】 [ [A]加速のエース / 「エース状態」になった際、素早さが上昇(+1)する。【*】 L[ [★]知覚できない速さ / 「エース状態」の時、「自身」の回避率と命中率が増加(+10%)する。【5】 [ [1/5]剛脚 / 溜まっているテンションに応じて「格闘」の威力が増加(+1/10%)する。【2】 [ [2/5]カウンター / 「自身」が攻撃を回避した際、中確率でその対象に反撃(100+Lv*10/80%/格闘)を行う。[3/戦]【3】 [ [5/5]速攻の蹂躙 / 自身の「素早さ」が上昇したターン、あたえるダメージが増加(25%)する。【2】 [ [2/5]疾風怒濤 / 「素早さ」の能力上昇が相手より高い時、与えるダメージが増加(+20%)する。【2】 [ [5/5]スピードスター / 自身の「素早さ」の能力上昇に応じて与える/受けるダメージが増加/低下(+1/+Lv%/-Lv%)する。【3】 [ [★]疾走する本能 / 自身の「素早さ」が上昇した時、中確率でテンションが増加(+1)する。【2】 【アクティブスキル】【4】 [ [3/3]オーバードライブx / あたえるダメージを増加(+50%)させる。行動後に、自身の「素早さ」を「3」低下する。【2】 [ [5/5]加速撃y / 「自身」の与える「物理攻撃」のダメージが「素早さ」の「能力上昇」に応じて上昇(+1/10%)する。[テ/1]【2】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]瞬殺のファイナル・ブリット 7 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《貫通》」「《突破》」「300/80%」【格闘/なし】【L】 L使用条件:素早さが「+10」以上の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【エンリコ・プッチ(ジョジョの奇妙な冒険)&ネロ・カオス(月姫)】 【エンリコ・プッチ(ジョジョの奇妙な冒険)&ネロ・カオス(月姫)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【バロール】 名前:【エンリコ・プッチ】 素数好き ♂ 【個人スキル】 [ 重力干渉 / 重力に干渉する能力。【★6】 L[ 擬似時間干渉 / 重力を操作し、擬似的な時間干渉を行える。 【特徴】 [ 神父 / キャラバン神殿の神に仕える聖職者である。 [ 素数好き / 動揺すると素数を数えて精神を落ち着かせる。 【マスタースキル】 [ [D]C-MOON / 【エンリコ・プッチ】固有スキル。MPにおける相手モンスター一体と自分のモンスター一体の行動順を交換する[2/戦]【*】 [ [D]メイド・イン・ヘヴン / 【エンリコ・プッチ】固有スキル。ターンカウントを「3」進める。(効果の持続時間は3ターン分減り、ターン経過で効果を発揮するスキルは3回分発動する)[1/戦]【*】 PTコンセプト C-MOONを用いて相手の計算を狂わせ、ダメージを与える。 刻印エースであるネロ・カオスの能力をメイド・イン・ヘヴンで補助し、奥義を狙う。 モンスター コードネーム:【ブラム=ストーカー】 名前:【ネロ・カオス】 種族:ヴァンパイア ♂ Lv80 がくしゃはだ HP 550 MP 18% 悪魔系イヴィル属 [ せいめいりょく … AA [ こうげきりょく … A [ しゅびりょく … B [ まりょく … B [ せいしん … B+ [ すばやさ … C [ キャパシティ … [37/40] [ 感情の引き金 … 「自身」のHPが50%以下になった時 [ エーストリガー … 「仲間が戦闘不能」になった時。 【セットアップ】【2】 [ [★]混沌の獣 3 / 「自身」「単体/強化」「混沌の獣を1体出す(6体まで保持)」【なし/ドルマ】【L】 [ [3/5]ダークセイバー 2 / 「仲間単体」「単体/強化」「魔力+2」「闇+(Lv*5)(LvT)」「《闇撃》付与(LvT)」【なし/ドルマ】【2】 【特技】【6】 [ [1/5]混沌開放 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「混沌の獣を一体出す」「220(200+Lv*20)/80%」【なし/ドルマ】【3】 [ [2/3]獣の数字 5 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「混沌の獣の数だけ攻撃」「60/80(60+Lv*10)%」【なし/ドルマ】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 混沌魔の招集 / 「エース」状態の時、毎ターン開始時に「混沌の獣」を一体出す。【*】 [ 混沌魔の湧出 / 敵の攻撃を受ける度、低確率で「混沌の獣」を一体出す。【*】 [ 混沌魔の産声 / 「混沌の獣」が出ると、テンションが上昇(+1)する。[1/T]【*】 [ 混沌魔の包囲 / 「混沌の獣」の数に応じて自身のステータスが増加(3体/+1段階)する。【*】 【パッシブスキル】【20】 [ [A]混沌のエース / 「エース状態」の際、混沌の獣を「2体」出す。【*】 L[ [★]血の響宴 / 「仲間」が「戦闘不能」になった際、テンションが上昇(+1)する【3】 [ [2/3]ブラッドヒート / 「自身」が敵を戦闘不能にした際、「HP」が15%回復する。[Lv/戦]【3】 [ [2/3]混沌闘法/ 「混沌の獣」の数に応じて与ダメージ/被ダメージが増加(1/+10(Lv*5)%)/減少(1/-10(Lv*5)%)する。【4】 [ [2/3]ケイオスシージ/ 「混沌の獣」が「6体」存在する時、「敵全体」の回避率は減少(-20(Lv*10)%)する。【4】 [ [★]ケイオスリターン / 「混沌の獣」が消費される度、何らかの能力が上昇(+1)する。【2】 [ [8/9]ドルマスタリ / 自身が行う「ドルマ」攻撃によってあたえるダメージが増加(+40(Lv*5%))する。【2】 [ [2/3]魔の一撃 / 魔力の上昇に応じて、「ドルマ」攻撃のダメージが増加(2/+10(Lv*5)%)する。【2】 【アクティブスキル】【9】 [ [1/3]ケイオスブラストx / 自身の攻撃の命中後に追撃(60(50+Lv*10)/100%)を行う。攻撃後、混沌の獣を一体消費する。【3】 [ [3/3]混沌障壁z / 混沌の獣を(Lv)体まで消費し、仲間全体が受けるダメージを軽減(-(消費した数)*10%)する。[テ/1]【3】 [ [2/3]混沌吸収z / 混沌の獣を(Lv)体まで消費し、HPを(消費した数*5)%回復する。[テ/2][Lv/戦]【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:-30 闇:+30 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]武装999 6 / HPを30%回復する。以後3Tの間毎ターン開始時に「混沌の獣」を6体出す。【なし/ドルマ】【*】 L使用条件:「混沌の獣」を「6体」出していて、最後の一人である時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【入巣京子(いりす症候群!)&如月モモ(カゲロウプロジェクト)】 【入巣京子(いりす症候群!)&如月モモ(カゲロウプロジェクト)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【オルクス】 名前:【入巣京子】 うしろむき ♀ 【個人スキル】 [ いりす症候群! / 因果干渉にまで昇華された鎮静のための一人遊び。自身が被ったことのある不都合が他者に伝染する。 [ 猫嫌い / 一身上の都合で猫やそれっぽいものが大の苦手。 【リミットスキル】 [ [LS]チルドレンレコード 0 / 【如月モモ】のリミットスキル。タイミング:セットアップ オーディエンスに目に物見せる歌を披露する。 「仲間全員」「補助/回復」「MPを『0』まで低下させ、それぞれ『低下したMP*2%』のHPを回復する」【歌/なし】 【マスタースキル】 [ [PS]カタテマの憩い / 【入巣京子】固有スキル。仲間が「集中」を行っても行動済みにならない。[テ/2]。【*】 [ [D]今日も誰とも喋らなかった / 【入巣京子】固有スキル。仲間に「集中」を指示した時、以下の効果から選択して発動する。[1/戦]【*】 1)敵マスターの「マスタースキル」の効果を打ち消す。[T/終] 2)指定した「敵一体」は、「自身」以外の敵味方全員にあらゆる干渉を行えない。[T/終] [ [D]さいきんせきどめがてばなせなくなった / 【入巣京子】固有スキル。仲間に「集中」を指示した時、敵一体のMPを「8」増加させる。[3/戦]【*】 PTコンセプト 後ろ向きと前向きの凸凹コンビ。いりすは単発の強力な固有で翻弄しつつ、とにかく相手のオーバーフローを早めていく。 モモは魔眼を基点に敵陣を掻き乱し、歌で仲間を鼓舞する支援型エース。 「集中」をキーにする固有を持ち、手持ちのモンスターも「集中を行った時~」「メインPを行わなかった時~」のような独特な条件のスキルが多い。 方針としては、相手に速攻を強要しつつ持久戦を展開するイメージ。 モンスター コードネーム:【バロール】 種族:如月モモ ♀ Lv80 まえむき HP 434 MP 20% 悪魔系イヴィル属 [ せいめいりょく … B- [ こうげきりょく … D- [ しゅびりょく … B [ まりょく … B+ [ せいしん … B [ すばやさ … C [ キャパシティ … [40/40] [ 感情の引き金 … 「エース」が発動した時。 [ エーストリガー … 自身が「MP」を合計「10」低下させた時。 【セットアップ】【8】 [ [★]目を奪う力 1 / 「敵単体」「単体/妨害」「モモの正面の相手として扱う(1T)」[テ/2]【魔眼/なし】【L】 [ [2/3]希望と栄光の国 4 / 「自身」「単体/強化」「テンション+1」「正面の相手への与ダメ+50(Lv*25)% 被ダメ-50(Lv*25)%(LvT)」【歌/なし】【3】 [ [1/2]如月アテンション 5 / 「仲間全体」「範囲/強化」「テンション+Lv」「全能力+Lv」[1/戦]【歌/ドルマ】【3】 [ [3/3]なごみのうた 2 / 「仲間単体」「補助/回復」「MP低下(-Lv)」【歌/なし】【2】 【特技】【6】 [ [3/5]プリズムリズム 4 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「2+Lv回」「『目を奪う力』の対象に『敵単体』『単体/攻撃』として扱える」「50/80%」【歌/なし】【3】 [ [1/5]オツキミリサイタル 5 / 「正面」「単体/攻撃」「『目を奪う力』状態の対象に範囲を拡大できる」「220(200+Lv*20)/50%」[テ/2]【歌/ドルマ】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 奪目の蛇眼 / 「エース」状態の時、『目を奪う力』状態の対象への攻撃に《侵食》を付与する。命中率が常に「+10%」される。【*】 [ 奪目の光彩 / 「エース」状態の時、低確率で攻撃を無効化し、次ターンの間『目を奪う力』状態にする。【*】 [ 奪目の圧倒 / 敵を『目を奪う力』状態にした時、「正面」の相手を「放心(1T)」にする。【*】 [ 奪目の引斥 / 敵を『目を奪う力』状態にした時、「正面」の相手の隊列を任意に変更する。[2/戦]【*】 【パッシブスキル】【18】 [ [A]注目のエース / 「エース状態」になった時、「2T」の間、敵全体を『目を奪う力』状態にする。【*】 L[ [★]カゲロウデイズ / 「エース状態」の時、「自身」の確率で発動するスキルの判定を2回行う。【L】 L[ [3/5]くじけぬこころ / 他に仲間がいる状態で「戦闘不能(OFダメージ含)」になった際、HPを回復(Lv*10%)して持ちこたえる。[1/戦]【3】 [ [★]応援歌 / 「仲間」が「応援」された時、低確率で更にテンションが上昇(+1)する。【2】 [ [★]ピースオブマインド / 「自身」が「MP低下」を発生させた時、中確率で「仲間一体」のテンションが上昇(+1)する。【3】 [ [1/2]蛇道な入れ知恵 / 敵が『目を奪う力』状態になった際、その対象のステータスを「Lv」解析する。【2】 [ [3/5]目に物を言う / 敵が『目を奪う力』状態の時、「自身」が受けたダメージの「30%(Lv*10)」を移し替える。[3/戦]【4】 [ [1/2]引斥力の悪魔 / 「隊列移動」を行った敵の「MP」が増加(+Lv)する。【2】 [ [2/3]自休自息 / 「メインP」を行なわなかった時、「クリンナップP」にHPとMPが回復(+Lv*10%/-Lv%)する。[1/戦/自]【2】 【アクティブスキル】【8】 [ [★]注目の的z / 自身の「正面」にいる相手が使用した攻撃の対象を「自身」に変更する。[1/戦]【2】 [ [2/3]エンジェルヴォイスz / 「歌」の対象になった仲間一体の任意の能力値を上昇(+2)する。[Lv/戦]【3】 [ [3/5]セラピィインパクトx / 攻撃対象のMPを「X」低下(Lvまでの任意の数字)させて、その値に応じて与えるダメージを上昇(-1/+20%)させる。【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:-20 風:0 光:0 闇:+20 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]カゴメカゴメ 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「正面の対象に会心補正2倍」「後列の対象に『重圧』」「280/80%」【歌/ドルマ】【L】 L使用条件:「エース」発動時、『目を奪う力』を使用したターン中。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【カテーリン(大帝国)&茅野カエデ(暗殺教室)】 【カテーリン(大帝国)&茅野カエデ(暗殺教室)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【サラマンダー】 名前:【カテーリン】 おこさま ♀ 【個人スキル】 [ 赤い石 / 手の甲に埋められた赤い石。【★7】 [ 魔法使い / 呪文の扱いに長ける。「ヒャド」系の呪文を得意とする。 【特徴】 [ 共有主義者 / 「共有主義」という思想を掲げている。 【マスタースキル】 [ [PS]共有主義 / 【カテーリン】固有スキル。仲間全員のテンションと能力値の補正を共有する。【*】 [ [D]粛清の凍土 / 【カテーリン】固有スキル。仲間全員もしくは敵全員の属性値が指定した仲間一体の「氷」属性と同じになる。[1/戦]【*】 [ [D]赤の大粛清 / 【カテーリン】固有スキル。指定した敵一体が「単体/強化」を使用した時、その効果を反転させ、対象を敵全員に変更する。[1/戦]【*】 PTコンセプト 「OF」状態で大幅に強化されるエグザイルの補正値を仲間と共有していく エグザイル以外の二体はヒャド特化 モンスター コードネーム:【エグザイル】 名前:【茅野カエデ】 種族:茅野カエデ ♀ Lv80 ようき HP 450 MP 15% 悪魔系デモン属 [ せいめいりょく … B+ [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … B [ まりょく … B+ [ せいしん … A+ [ すばやさ … A+ [ キャパシティ … [40/40] 【セットアップ】【4】 [ [3/3]ふんぬのうた 4 / 「仲間単体」「単体/強化」「テンション+1」「攻撃力+Lv」「対象がOF時テンション+1」【歌/なし】【2】 [ [3/3]ゆうきのうた 4 / 「仲間単体」「単体/強化」「テンション+1」「防御力+Lv」「対象がOF時テンション+1」【歌/なし】【2】 【特技】【6】 [ [5/5]ヴァジュラ 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「能力値上昇時、威力+(Lv*10)%」「(150+Lv*10)/90%」【斬撃/イオ】【3】 [ [5/5]はおうづき 4 / 「敵前後一体」「複数/攻撃」「前列時、隊列補正無視」「会心(30%)」「(190+Lv*10)/70%」【刺突/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 暗殺触手の殺意 / 装備しているアイテムに関わらず、「斬撃」「刺突」の特技を使用でき、「斬撃」「刺突」の威力が増加(+10)する。【*】 [ 暗殺触手の演技 / ターン開始時、任意の属性を増加(+20)し、任意の属性を低下(-20)させる。[T/終]【*】 [ 暗殺触手の執念 / 「OF状態」になった時、次のターンの行動が最速になる。【*】 [ 暗殺触手の暴走 / 「OF状態」になった時、溜まっているテンションに応じて全能力が上昇(+テンション数)する。【*】 【パッシブスキル】【23】 [ [A]触手のエース / 「エース状態」になった時、「火」属性を増加(+50)し、「氷」属性が低下(-50)する。【*】 L[ [★]燃え盛る触手 / 「エース状態」になった時、「自身」の使用する特技の属性に「メラ」を追加する。【L】 L[ [2/2]テンタクル・ハイ / 「OF状態」時、「クリンナッププロセス」終了時にテンションが増加(+1)する。[Lv/戦]【3】 [ [★]死神の針 / 「OF状態」になった時、「命中」が上昇(+1)する。[1/戦]【3】 [ [★]蛇の動き / 「OF状態」になった時、「回避」が上昇(+1)する。[1/戦]【3】 [ [3/3]流刑者の刻印 / 「OF状態」になった時、HPが回復(+Lv*5%)する。[1/戦]【3】 [ [5/5]堅牢守護 / 「自身」のテンションに応じて受けるダメージを軽減(+1/2+(Lv)%)する。【2】 [ [3/3]懇々歌謡 / 「歌」の効果を受けたターン、受けるダメージが低下(-Lv*10%)する。【2】 [ [5/5]ペインモード / 自身が「OF状態」になった時、与えるダメージと受けるダメージが増加(+Lv*20%)する。【3】 [★]ラストアクション / 「オーバーフロー」が発生する状態で、自身が「戦闘不能」になった際、即座に「メインP」を「1回」行う。【4】 【アクティブスキル】【7】 [ [5/5]ボルテクスアタックx / 「自身」が行う「物理攻撃」の「特技」の威力が増加(+40+(Lv*10)する。「オーバーフロー」時のみ使用可能。[1/戦]【2】 [ [3/3]異形の祭典x / 「自身」の「近接攻撃」に《拡散》を付与する。「MP+1」。[Lv/戦]【2】 [ [2/2]触手の種y / 「メインプロセス」で使用する「特技」のLvを上昇(+Lv)させる。上限Lvも突破する。「MP+1」。[T/終]【L】 [ [3/3]千変の肉体z / 「Lv」までの能力上昇値を任意の能力へ変更する。[Lv/戦]【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]ヒュドラの怒り 4 / 「自身」「単体/強化」「メインPで行う「物理攻撃」によって与えるダメージが増加(+50%)」「攻撃が命中した時、自身の能力上昇値の数だけランダムの敵を対象に追撃(20/100%/隊列補正無視)を行う」「《貫通》付与」【なし/なし】【L】 L使用条件:「オーバーフロー」時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【男主人公(Fate/EXTRA)&デモンベイン(デモンベインシリーズ)】 【男主人公(Fate/EXTRA)&デモンベイン(デモンベインシリーズ)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【オルクス】 名前:【フランシスコ・ザビエル】 ふとうふくつ ♂ 【個人スキル】 [ 不屈の戦意 / 如何なる逆境においても決して諦めず前に進もうとする意志の持ち主。 [ 戦術眼 / 豊富な経験に裏打ちされた洞察力。凄まじい精度で先読みを行う。 【マスタースキル】 [ [D]アトラスの悪魔 / 【フランシスコ・ザビエル】固有スキル。仲間一体が受ける全てのダメージを0にする [終/T][1/戦]【*】 [ [D]赤原礼装 / 【フランシスコ・ザビエル】固有スキル。仲間一体の状態異常を治療しHPを回復(30%)する。[1/戦]【*】 PTコンセプト デモンベインを守り通すスタイル モンスター コードネーム:【サラマンダー】 種族:デモンベイン ♂ G[与ダメ+30% 受ダメ-30% 回避-40% 隊列補正無視] Lv80 おひとよし HP 1540 MP 39% 物質系メカニカ属 [ せいめいりょく … AA [ こうげきりょく … AAA [ しゅびりょく … AA+ [ まりょく … A [ せいしん … B [ すばやさ … C+ [ キャパシティ … [42/66] 【セットアップ】 [ [4/5]ギガチャージ 0 / 「自身」「単体/強化」「ギガボディ専用」「任意の能力値+1*Lv」「テンション+(1+Lv/2)」【なし/なし】【4】 [ [5/5]めいそう 3 / 「自身」「単体/回復」「130(80+Lv*10)/80%」【なし/なし】【2】 【特技】 [ [1/5] ベギラゴン 7 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「CS-40」「180(170+Lv*10)/-」【呪文/ギラ】【3】 [ [5/9] 紅蓮の連撃 6 / 「敵単体」「単体/攻撃」「守備力上昇無視」「3回」「120(70+Lv*10)/90%」【格闘/メラ】【3】 [ [2/5] アトランティス・ストライク 7 / 「敵単体」「単体/攻撃」「守備力上昇無視」「会心(20%)」「260(200+Lv*30)/90%」【格闘/なし】【3】 【種族スキル】 [ 転生する魂 / 「配合」ができない。特定の条件を満たすか「転身」で能力を強化できる。【*】 [ 斬魔大聖の魔装 / 「エース」状態の時、全ステータスが増加(+2)する。【*】 [ 斬魔大聖の断片 / 「エース」状態の時、任意の属性値とCSが上昇(+50)する。【*】 [ 斬魔大聖の叡智 / 「エース」状態の時、自身の攻撃に《突破》を付与する。【*】 【パッシブスキル】 [ [★]機神のエース / 「OF」のダメージを受けない。ターン開始時にいずれかの能力値が上昇(+1)する。【*】 [ [★]2回行動 / 「セットアップ」の行動を放棄する事で、「クリンナップP」前に追加の「メインP」を行う。【*】 [ [8/10]一騎当千 / 敵の数が味方のPTの人数より多い時、与えるダメージが増加(+(Lv*5%))する。【3】 [ [8/9] ラッシュマスタリ / 「物理攻撃」によって「複数回攻撃」を行う攻撃の威力が増加(+Lv*5%)する。【2】 [ [7/9] アタックルーン / 「○○ルーン」の効果を受けている間、与えるダメージが増加(+(Lv*5%))する。【2】 [ [★]メラバースト / 「自身」の「火」属性が「+50」を超えた時、与えるダメージが増加(+「火属性」%)する。【3】 [ [3/5] 満身創痍 / 自身の残りHPに応じて与えるダメージが増加(20%毎/(Lv+5)%)する。【3】 [ [2/5] ド根性 / HPが「0」になった際、中確率で「戦闘不能」にならず、HPが回復(5+Lv*5)する。[1/戦/自]【2】 [ [5/5] 対魔力 / 「呪文」から受けるダメージを軽減(-Lv*10%)する。【2】 [ [4/5] 孤人城塞 / 「前列」に一人でいる時、受けるダメージを軽減(-Lv*10%)する。【2】 [ [3/5] 土俵際 / 「自身」のHPが「30%」以下の時、受けるダメージが減少(Lv*10%)する。【2】 【アクティブスキル】 [ [3/3]フレイムルーンy / 「メインP」終了時まで「自身」の「火属性」が上昇(+(Lv*5))する。【1】 [ [5/5]レイジx / 「自身」の残りHPに応じて与えるダメージが増加(20%毎/+(Lv*5)%)する。[1/戦]【2】 【耐性】 [ [ 火:+40 氷:+10 風:0 光:+20 闇:-40 雷:-30 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]レムリア・インパクト 7 / 「敵全体」「範囲/攻撃」「《貫通》」「《殲滅》」「360/100%」【格闘/メラ・ギラ】【L】 L使用条件::「エース」発動時、「OF」状態の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【ツグミ(ギルティクラウン)&グリムジョー・ジャガージャック(BLEACH)】 【ツグミ(ギルティクラウン)&グリムジョー・ジャガージャック(BLEACH)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ブラックドッグ】 名前:【ツグミ】 なまいき ♀ 【個人スキル】 [ オペレーター / 的確な指示を出すことが得意。 [ ブラックスワン / ありとあらゆる情報収集に長けた者。調べられることは全て調べられる。 【マスタースキル】 [ [PS]情報操作 / 【ツグミ】固有スキル。解析された時、全てのステータスを1段階低下したものとして表記する(戦闘は本来のステータスで行う)。【*】 [ [D]情報共有 / 【ツグミ】固有スキル。対象を解析した時、その耐性を自分のモンスターに適用する(増減分は適用されない)。【*】 [ [D]ハンドスキャナー / 【ツグミ】固有スキル。対象のステータスを解析した時、最も高いステータスから1段階低下したものを全てのステータスに適用する。[1/戦]【*】 PTコンセプト 情報を分析、または分析された時にその結果を適用させるスタイル。 モンスター コードネーム:【キュマイラ】 種族:破面(アランカル) ♂ Lv80 こうせんてき HP 495 MP 20% 自然系アニマル属 [ せいめいりょく … B- → B [ こうげきりょく. … AA- → AA → AA+ [ しゅびりょく … A- → A [ まりょく … C+ → B- [ せいしん … C+ → B- [ すばやさ … A → A+ [ キャパシティ … [38/40] 【セットアップ】 [ [★]けっきさかん 6 / 「自身」「単体/強化」「テンション(+2)」[1/戦]【なし/なし】【3】 [ [3/5]ウォークライ 3 / 「自身」「単体/強化」「攻撃力(+2)、テンション(+1)」【なし/なし】【2】 【特技】 [ [5/5]スピードクロー 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「威力(+CS/2)」「180(130+Lv*10)/90%」【斬撃(爪)/ギラ】【2】 [ [4/5]アガラールセロ 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「攻撃時、命中率+10%(1T)」「200(160+Lv*10)/80%」【射撃/なし】【3】 [ [5/5]グラン・レイ・セロ 5 / 「敵単体」「単体/攻撃」「威力増加(+Lv*5)」「250(200+Lv*10)/70%」【射撃/なし】【3】 [ [3/5]ガラ・デ・ラ・パンテラ 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「5回」「90(60+Lv*10)/80%」【射撃/なし】【3】 [ [1/3]デスガロン 6 / 「敵単体」「単体/攻撃」「奥義使用後」「《突破》」「300(270+Lv*10)/80%」【斬撃(爪)/なし】【L】 【称号】 [ “第6十刃” / 10ある死の形の「破壊」を冠する獣。自身の攻撃時に、低確率で《破砕》を付与する。[1T] 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 豹王の咆哮 / 「戦闘開始時」、敵一体を「硬直」にする。【*】 [ 豹王の蹂躙 / 自分の能力値が上昇している時、相手のバフ上昇を無視する。【*】 [ 豹王の激昂 / 「こうげきりょく」が上昇したとき、さらに上昇(+1)する。【*】 [ 豹王の解放 / 相手が「エース状態」になった時、条件を無視して「エース状態」となる。【*】 【パッシブスキル】 [ [★]暴虐のエース / 「エース状態」になった際、攻撃力ステータスが増加(+1)する。【*】 L[ [★]破壊衝動 / 「エース状態」の時、自身の「こうげきりょく」上昇に応じて、与えるダメージが上昇(+1/15%)する。【3】 [ [★]破面 / 自身の特技を「斬撃(爪)」としても扱う。【*】 [ [5/5]鋼皮 / 自身の被ダメージが減少(-25(Lv*5%))、【格闘】からの被ダメージを更に減少(-25%)。【3】 [ [2/3]響転 / 「解析」の対象になった時、解析を無効化する。[Lv/戦]【3】 [ [4/5]猛攻の蹂躙 / 自身の「こうげきりょく」が上昇したターン、与えるダメージが増加(Lv*5%)する。【2】 [ [2/3]鴬語花舞 / 「自身」の「テンション」が「3」になった時、「攻撃力」が上昇(+2+Lv)する。[1/戦]【2】 [ [4/5]ペインモード / 自身が「OF状態」になった時、与えるダメージと受けるダメージが増加(+80%(Lv*20%)する。【3】 【アクティブスキル】 [ [1/2]狂瀾怒濤x / 自身の「こうげきりょく」バフを全て消費することで、「単発攻撃」の攻撃回数が増加(+1/+(1+Lv/2))する。[テ/2][1/戦]【4】 [ [7/9]猛獣撃x / 「斬撃(爪)」攻撃時、威力が増加(+Lv*5)する。【2】 【耐性】 [ 火:0 氷:-10 風:+30 光:+10 闇:+30 雷:-30 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [AS]帰刃z / 全ステータスが増加(+1段階)する。すべての特技の威力が増加(+(消費テ*10))する。【*】 L使用条件:「エース状態」の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【春川英輔(魔人探偵脳噛ネウロ)&仮面ライダースカル(仮面ライダーW)】 【春川英輔(魔人探偵脳噛ネウロ)&仮面ライダースカル(仮面ライダーW)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ブラックドッグ】 名前:【春川英輔】 じしんか ♂ 【個人スキル】 [ 学者 / あらゆる学問に精通している。【★5】 【マスタースキル】 [ [PS]「1」と「0」の狭間 / 【春川英輔】固有スキル。仲間一体の「セットアップ行動」を放棄することで「クリンナッププロセス」終了時に「命令」か「分析」を使用できる。【*】 [ [PS]電子世界の守護者 / 【春川英輔】固有スキル。「マスタープロセス」時にすべてのマスターは「分析」を行うことができない。【*】 [ [PS]電人HAL / 【春川英輔】固有スキル。敵一体の情報をすべて開示した時、対象のすべてのPSのレベルを0として扱う。[T/終]【*】 PTコンセプト 「電子世界の守護者」で分析をロックし、自身は「「1」と「0」の狭間」とモンスターのスキルで解析を行い、「電人HAL」の発動を狙う 終盤で爆発力の上がるスカルと発動を合わせて行う モンスター コードネーム:【エグザイル】 名前:【仮面ライダースカル】 種族:スカル・マキナ ♂ Lv80 ハードボイルド HP 450 MP 15% 物質系ゴーレム属 [ せいめいりょく … B+ [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … B [ まりょく … B+ [ せいしん … A+ [ すばやさ … A+ [ キャパシティ … [40/40] 【セットアップ】【8】 [ [3/3]探偵の初歩 4 / 「敵単体」「単体/妨害」「対象に解析を行う」[Lv/戦]【なし/なし】【2】 [ [1/3]ヒーロー 4 / 「自身」「単体/強化」「全能力+Lv」「テンション+Lv」「登場後最初のターンのみ」[1/戦]【3】 [ [2/3]インデュア 2 / 「自身」「補助/強化」「【免疫】(LvT)」「なし/100%」【格闘/なし】【2】 【特技】【6】 [ [5/5]ひゃくれつけん 4 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「6回」「(45+(Lv*5)/90%」【格闘/なし】【3】 [ [5/5]スカルマグナム 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「自隊列前列限定」「隊列補正無視」「(200+Lv*10)/80%」【射撃/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 骸骨貌の極限 / 「エース状態」の時、「物理攻撃」によって与えるダメージが上昇(+20%)し、会心率が上昇(+10%)する。【*】 [ 骸骨貌の記憶 / 「エース状態」の時、「物理攻撃」から受けるダメージが減少(-20%)し、会心率が低下(-10%)する。【*】 [ 骸骨貌の覚悟 / 「OF状態」の敵に対する「物理攻撃」の「命中率」と「会心率」が上昇(+10%)する。【*】 [ 骸骨貌の信念 / 「OF状態」の敵に対して「会心の一撃」が発生した時、《突破》が付与される。【*】 【パッシブスキル】【16】 [ [A]髑髏のエース / 「エース状態」になった時、「回避」か「命中」を増加(+1)する。【*】 L[ [2/2]ガイアメモリ / 自身の能力値が上昇した時、テンションが増加(+Lv)する。[1/戦]【L】 [ [1/5]フィナーレ / 「HP」が「30%以下」以下の対象に対して与えるダメージが増加(+Lv*20%)する。【3】 [ [2/2]カーテンコール / 「HP」が「30%以下」以下の対象に対して会心率が増加(+Lv*5%)する。【3】 [ [5/5]ブレイズカノン / 溜まっているテンションに応じて「射撃」の威力が増加(+1/(10+Lv)%)する。【3】 [ [5/5]鉄拳気 / 溜まっているテンションに応じて「格闘」の威力が増加(+1/(10+Lv)%)する。【3】 [ [1/5]土俵際 / 「自身」のHPが「30%」以下の時、受けるダメージが減少(Lv*10%)する。【2】 [ [★]走馬灯 / HPが「30%」以下の時に攻撃を受けた際、そのメインPで行われた攻撃の命中率が半分になる。[1/戦]【2】 【アクティブスキル】【10】 [ [1/5]ボルテクスアタックx / 「自身」が行う「物理攻撃」の「特技」の威力が増加(+40+(Lv*10)する。「オーバーフロー」時のみ使用可能。[1/戦]【2】 [ [5/5]マキシマムドライブy / 「OF状態」の対象に与えるダメージが上昇(+Lv*10%)する。[1/戦]【2】 [ [★]ガン=カタz / 「銃」を装備している時、「格闘」を使用できる。[T/終]【3】 [ [5/5]ゴールドクラッドz / 「自身」が受けるダメージを軽減(-Lv*5%)する。【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:-20 闇:+20 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]スカルブレイク 6 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《突破》」「《破砕》」「《貫通》」「250/80%」【格闘/なし】【L】 L使用条件:「エース状態」時、「オーバーフロー状態」の時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【ダヴィンチ(トラウマイスタ)&ケルベルス(LOST CHILD)】 【ダヴィンチ(トラウマイスタ)&ケルベルス(LOST CHILD)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【エンジェル・ハイロゥ】 名前:【ダヴィンチ】 クソアーメン ♂ 【個人スキル】 [ アートマン(モナ・リザ) / アートマンと呼ばれる存在を自身の心の内より具現化させ従える能力。【★8】 L[ バインド / 適性を持つモンスター(任意)とアートマンを一体化させ、「アーミット」と呼ばれる存在に変化させる。 【リミットスキル】 [ [LS]最後の晩餐 / タイミング:任意 「受胎告知」で埋め込んだデータを喰らわせ、相手のリミットスキルを使用するスキル。 クリンナッププロセス時に「受胎告知」が解除され、それにより変化した能力を失う。 【マスタースキル】 [ [PS]ウィトルウィウス的人体図 / 戦闘開始時に相手エースのステータス・特技・耐性とリミットスキルを「解析」する。 L[ [PS]受胎告知 / 「ウィトルウィウス的人体図」で「分析」したデータを「アーミット」に埋め込み、ステータス・特技・耐性をそれと同じにする。 [ [D]荒野の聖ヒエロニムス / 「受胎告知」したモンスターの「状態異常」を回復する。 [ [D]東方三博士の礼拝 / 「受胎告知」したモンスターの任意の能力値を3つ「+3」する。[1/戦] [ [D]岩窟の聖母 / 「受胎告知」したモンスターをかばっているモンスターは戦闘不能にならない。[T/終][1/戦] PTコンセプト 相手エースから取得した特技で攻める。 エースを最後に残す戦い方をして、発動後は連続攻撃で攻める。 モンスター コードネーム:【キュマイラ】 名前:【ケルベルス】 種族:アーミット・ケルベルス ♂ Lv80 (元となるモンスターによる) HP 500 MP 23% 物質系ミネラル属 [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく … A [ しゅびりょく … A [ まりょく … A [ せいしん … A [ すばやさ … A+ [ キャパシティ … [33/40] [ 感情の引き金 … 「エース」が発動した時。 [ エーストリガー … 「特技の取得」が三度行われた時。 【セットアップ】【6】 [ [★]エーテル再構築 3 / 自身の任意の能力を一組、能力変化ごと入れ替える。【3】 [ [★]エーテル循環 3 / ターン終了までダメージを受けなかった時、クリンナップP終了時にHPを「30%」回復する。行動済になる。【3】 【特技】【0】 なし 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 甲晶体の英知 / 取得した特技のレベルを即座に最大にする。【*】 [ 甲晶体の心眼 / 自身のマスターが「解析」した対象からのダメージを軽減(-20%)する。【*】 [ 甲晶体の合成 / 「仲間」が「戦闘不能」になった時、その仲間が持つ特技を取得する。【*】 【パッシブスキル】【19】 [ [A]三首獣のエース / 「エース状態」の時、攻撃時に追撃(80/100%)が2回発生するようになる。【*】 L[ [★]バースト化 / 「エース状態」になった時、テンションが上昇(+3)する【3】 [ [★]永遠に続く慟哭 / 左腕を自在に変形させることができ、あらゆる特技を制約なく使用できる。【4】 L[ [★]デュプレの刃 / 「斬撃」・「刺突」による攻撃の際、《両断》を付与する。【3】 L[ [★]トールの鉄槌 / 「格闘」による攻撃の際、《破砕》を付与する。【3】 L[ [★]シャミノの長弓 / 「射撃」による攻撃の際、《狙撃》を付与する。【3】 L[ [★]奔放なる双翼 / 「呪文」による攻撃の際、《煌き》を付与する。【3】 【アクティブスキル】【8】 [ [5/5]バッシュx / 「自身」が行う「物理攻撃」による与ダメージが増加(+25(Lv*5)%)する。【2】 L[ [5/5]フルスイングy / 「自身」が行う「近接攻撃」による与ダメージが増加(+25%(Lv*5)%)する。【2】 L[ [5/5]デッドショットy / 「自身」が行う「射撃攻撃」による与ダメージが増加(+25%(Lv*5)%)する。【2】 [ [5/5]マスターマジックx / 「自身」が行う「特殊攻撃」による与ダメージが増加(+50%(25+Lv*5%))する。【2】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]ガルムスマッシュ 5 / 相手エース・仲間A・仲間Bから取得した特技をそれぞれ一つ使用して、3連撃を行う。【L】 L使用条件:「エース」発動時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【加藤保憲(帝都物語)&ゴ・バダー・バ(仮面ライダークウガ)】 【加藤保憲(帝都物語)&ゴ・バダー・バ(仮面ライダークウガ)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【ブラム・ストーカー】 名前:【加藤保憲】 やしんか ♂ 【個人スキル】 [ 魔人加藤 / 魔物と比べても遜色のない魔素を保有する。【★6】 [ 陰陽道 / 占星術を主とした魔術を修めている。【★5】 【マスタースキル】 [ [D]陰陽道・反魂転生 / 【加藤保憲】固有スキル。「味方のモンスター」が「戦闘不能」になったとき、CP時にHPを10%回復し蘇生させる。蘇生後は死霊系として扱う。[1/戦]【*】 [ [PS]風水・龍脈操作 / 【加藤保憲】固有スキル。「戦闘可能なモンスター」の数が変化したとき、偶数では味方の能力がランダムで2つ上昇(+1)し、奇数では敵の能力がランダムで2つ低下(-1)する。【*】 [ [PS]蠱毒・魔蠱呪成 / 【加藤保憲】の固有スキル。「全てのモンスター」は攻撃の対象に「味方」を指定可能になり、「対象」が「敵ランダム」「敵前列」「敵全体」の攻撃の範囲を「敵味方ランダム」「敵味方前列」「自身以外」に変更する。また、「全てのモンスター」は「自身」が「モンスター」を「戦闘不能」にしたとき「戦闘不能状態のモンスター*1」だけランダムに能力が上昇(+1)する。【*】 [ [LS]サギザザ・ビブブ / 【ゴ・バダー・バ】のリミットスキル。 タイミング:メインプロセス 敵に渾身の飛び蹴りを放つスキル。 「敵単体」「単体/攻撃」「PS無視」「能力上昇無視」「騎乗状態のときダメージ+50%」「250/120%」【格闘/なし】 PTコンセプト 敵味方問わず戦闘不能にしてとにかくバダーを強化していくスタイル。仲間は完全に肉盾兼餌要員である。 モンスター コードネーム:【ハヌマーン】 名前:【ゴ・バダー・バ】 種族:グロンギ ♂ Lv80 じしんか HP 454 MP 19% 自然系インセクト ダグバの力 [ せいめいりょく … B+ → A- [ こうげきりょく … B+ → A- → A- → A → A+ [ しゅびりょく … B+ → B+ → A- → A → A+ [ まりょく … C+ → B- [ せいしん … B- → B [ すばやさ … A+ → AA- → AA → AA+ → AAA- [ キャパシティ … [40/40] [ 感情の引き金 … 「ゲリザギバスゲゲル」が成功したとき。 [ エーストリガー … 「モンスターが2体以上戦闘不能」になったとき。 【セットアップ】【1】 [ [★] ふるいたてる 3 / 「自身」「単体/強化」「攻撃力(+2)/素早さ(+2)」【なし/なし】【1】 【特技】【4】 [ [2/3]ばくれつきゃく 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「4回」「70/80%」【格闘/なし】【2】 [ [5/9] せんぷうきゃく 4 / 「敵前列」「範囲/攻撃」「追撃」「140/90%」「20/100%」【格闘/なし】【2】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ キョグギンサギザザ / 「「騎乗状態」のとき、能力が低下しない。【*】 [ 飛蝗怪人の魔石帯 / 「ゲゲル」「ゲリザギバスゲゲル」「ザギバスゲゲル」に成功したとき、任意の能力を3つ上昇(+1)させる。【*】 [ 飛蝗怪人の強襲 / 「騎乗状態」のとき、自身よりCSの低いモンスターへの与ダメージが増加(+20%)する。【*】 [ 飛蝗怪人の翔脚 / 自身の「すばやさ」が上昇したとき、中確率でさらに上昇(+1)させる。【*】 【パッシブスキル】【27】 [ [A脅威のエース / 「エース状態」になった時、「すばやさ」の能力値の半分を加算し攻撃の与ダメージを判定する。【*】 L [ [★]バギブソン / 「エース状態」の時、「騎獣」スキルを持つ仲間がいなくても「騎乗状態」になる。【2】 [ [★]戦闘本能 / 「ふるいたてる」を行うとテンションが「1」上昇する。【3】 [ [1/2]キリングハッピー / 「自身」が「モンスター」を「戦闘不能」にしたとき、テンションが上昇(+1)する。【3】 [ [★]ゲゲル / 「戦闘開始時」から数えて「3T」以内に「自身」が「モンスター」を「戦闘不能」にしたとき、ステータスが上昇する。【2】 L [ [★]ゲリザギバスゲゲル / 「ゲゲル成功時」から数えて「3T」以内に「自身」が「モンスター」を「戦闘不能」にしたとき、ステータスが上昇する。【2】 L [ [★]ザギバスゲゲル / 「ゲリザギバスゲゲル成功時」から数えて「3T」以内に「自身」が「モンスター」を「戦闘不能」にしたとき、ステータスが上昇する。【2】 [ [★]一騎当千 / 味方が「自身」一体になった時、全能力が上昇(+2)する。[1/戦] 【3】 [ [3/5]ド根性 / HPが「0」になった際、中確率で「戦闘不能」にならず、HPが回復(20%)する。[1/戦/自]【2】 [ [5/9]騎乗 / 「騎獣」スキルを持つ仲間が居る際、「騎乗状態」となる。「5個」の「騎乗派生スキル」を取得できる。【2】 L [ [3/5]騎乗戦闘 / 「自身」が「騎乗状態」の時、与えるダメージが増加(+30%)する。【2】 L [ [1/2]騎乗回避 / 「自身」が「騎乗状態」の時、回避率が上昇(+10%)する。【2】 L [ [3/5]騎乗加速 / 「自身」が「騎乗状態」の時、CSが上昇(+30%)する。【2】 L [ [2/2]騎乗高揚 / 「自身」が「騎乗状態」の時、テンションが上昇(+2)する。【2】 【アクティブスキル】【6】 [ [★] アクセルスマッシュx / 物理攻撃の前に自身の「すばやさ」を上昇(+1)させる。[テ/1]【2】 [ [3/5]先手必勝y / 「行動済みでない対象に攻撃した際、与えるダメージと命中率が増加(+6%/+10%)する。[テ/1]【2】 [ [2/3]騎乗轢殺z / 「「自身」が「騎乗状態」の時、与ダメージを「素早さ」で判定する。さらにダメージが増加(+10%)する。[テ/1] [2/戦]【2】 【耐性】 [ 火:+10 氷:-10 風:+20 光:-20 闇:+20 雷:-20 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]ダグバの力 4 / 「自身」「単体/強化」「自身のステータスが上昇」【*】 L使用条件:ザギバスゲゲル成功時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【光津真澄(遊戯王ARC-V)&ゴ・ガドル・バ(仮面ライダークウガ)】 【光津真澄(遊戯王ARC-V)&ゴ・ガドル・バ(仮面ライダークウガ)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【オルクス】 名前:【光津真澄】 プライドがたかい ♀ 【個人スキル】 [ 宝石魔術師 / 宝石魔術を使用する。【★6】 【マスタースキル】 [ [PS]ジェムユーザー / 【光津真澄】固有スキル。戦闘開始時、所持しているアイテムの中から「宝石」を4つ選択し、この戦闘中コストとして使用できる。【*】 [ [D]パーティカル・ジェム / 【光津真澄】固有スキル。「宝石」を1つ消費する。味方全員の属性(消費した宝石の属性)を上昇(+消費した宝石の強度)させる、もしくは敵全員の属性(消費した宝石の属性)を低下(-消費した宝石の強度)させる。[T/終][5/戦]【*】 [ [PS]ダブレット・ジェム / 【光津真澄】固有スキル。コストとして消費した宝石を「パーティカル・ジェム」のコストとして使用できる。その時、「宝石の強度」を1.5倍して扱う。[1/戦]【*】 PTコンセプト 全体の属性を操作しながら、属性によって効果を発揮する能力を持ちいて戦う モンスター コードネーム:【キュマイラ】 名前:【ゴ・ガドル・バ】 種族:グロンギ ♂ Lv80 ぶじんはだ HP 450 MP 15% 悪魔系イヴィル属 [ せいめいりょく … A+ [ こうげきりょく … A [ しゅびりょく … A [ まりょく … B [ せいしん … B [ すばやさ … A [ キャパシティ … [39/40] 【セットアップ】【6】 [ [3/3]形態変化 2 / 「自身」「単体/強化」「氷、風、火の何れか属性を+Lv*10(1T)」【なし/なし】【3】 [ [3/3]雷電変貌 4 / 「自身」「単体/強化」「全能力+Lv」「雷+Lv*10(1T)」「登場後、3T目以降から」[Lv/戦]【3】 【特技】【12】 [ [5/5]あっかいけん 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「守備力上昇無視」「(250+Lv*10)/80%」【格闘/なし】【3】 [ [5/5]ひょうがづき 4 / 「敵一列」「範囲/攻撃」「速度+1」「隊列補正無視」「(150+Lv*10)/80%」【刺突(槍)/ヒャド】【3】 [ [5/5]らんきうち 4 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「6回」「(30+(Lv*5)/90%」」【射撃(弓)/バギ】【3】 [ [5/5]ばくえんぎり 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「命中時追撃(特殊/敵全体/60/70%)」「(210+Lv*10)/80%」【斬撃(剣)/メラ】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 殺戮甲虫の絶力 / HPが「30%」以下の敵に対して与えるダメージが上昇(+20%)する。。【*】 [ 殺戮甲虫の絶技 / HPが「30%」以下の敵に対して命中率が上昇(+10%)する。【*】 [ 殺戮甲虫の絶鎧 / 「自身」の得意属性以外から受けるダメージが減少(-10%)する。【*】 [ 殺戮甲虫の絶戦 / 「エース状態」時、「テンション解放」時のテンションを増加(+1)する。【*】 【パッシブスキル】【18】 [ [A]破壊のエース / 「エース状態」になった時、「攻撃力」が増加(+3)する。【*】 L[ [★]格闘体 / 全属性が「0」の時、「格闘」に「重圧(10%)」を付与する。【L】 L[ [2/2]百戦錬磨 / 「格闘体」時、与えるダメージが上昇(+Lv*10%)し、受けるダメージが減少(-Lv*10%)する。【3】 L[ [★]俊敏体 / 「氷」属性が得意属性の時、装備しているアイテムに関わらず、「刺突(槍)」特技を使用できる。【L】 L[ [5/5]亜音速流 / 「俊敏体」時、「CS」が増加(+Lv*10%)する。【3】 L[ [★]射撃体 / 「風」属性が得意属性の時、装備しているアイテムに関わらず、「射撃(弓)」特技を使用できる。【L】 L[ [3/3]迅速果断 / 「射撃体」時、「射撃」の対象へ追撃(20/100%/バギ/隊列補正無視)をLv回行う。[1/T][Lv/戦]【3】 L[ [★]剛力体 / 「火」属性が得意属性の時、装備しているアイテムに関わらず、「斬撃(剣)」を装備している状態として扱う。【L】 L[ [2/2]気炎万丈 / 「剛力体」時、「こうげきりょく」「ぼうぎょりょく」のステータスが上昇(Lv段階)する。【3】 L[ [★]電撃体 / 「雷」属性が得意属性の時、装備系統を無視して特技を使用でき、会心率が上昇(+10%)する。【L】 L[ [5/5]迅雷烈火 / 「雷撃体」時、使用した特技の属性に「デイン」を追加し、威力が増加(+Lv*10)【3】 [2/2]魔石ゲブロン / ダメージを受けたターンの「クリンナッププロセス」終了時にHPが回復(+Lv*5%)する。[Lv/戦]【3】 【アクティブスキル】【3】 [ [5/5]甲殻変形z / 「自身」が得意属性から受けるダメージを軽減(-Lv*5%)する。【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]ゼンゲビ・ビブブ 6 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《破砕》」「《貫通》」「自身の「雷属性」を2倍した状態として扱う」「330/80%」【格闘/デイン】【L】 L使用条件:「エース状態」時、「電撃体」の時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【闇理ノアレ(レイセン/林トモアキ作品)&戸愚呂弟(幽☆遊☆白書)】 【闇理ノアレ(レイセン/林トモアキ作品)&戸愚呂弟(幽☆遊☆白書)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【オルクス】 名前:【闇理ノアレ】 サディスト ♀ 【個人スキル】 [ 闇の眷属 / 邪神、悪神と呼ばれる存在と契約している……らしい。 【マスタースキル】 [ [PS]力消す黒影世界 / 【闇理ノアレ】固有スキル。敵味方の「応援」の効果を「仲間一体の「テンション」を「1」低下させる」に変更する。【*】 [ [PS]力蝕む暗黒領域 / 【闇理ノアレ】固有スキル。「命令」の効果を受けた敵味方は「硬直」「発狂」「放心」「心労」の内、何らかの状態異常になる。【*】 [ [PS]力縛る闇黒結界 / 【闇理ノアレ】固有スキル。敵味方の回数制限のある「命令」、「固有スキル」は一度消費した状態になる。【*】 PTコンセプト マスターの能力を殺しながら、モンスターで殴り合う モンスター コードネーム:【キュマイラ】 名前:【戸愚呂】 種族:戸愚呂 ♂ Lv80 まじめ HP 480 MP 16% 悪魔系イヴィル属 [ せいめいりょく … A+ [ こうげきりょく … AA [ しゅびりょく … A+ [ まりょく … D [ せいしん … D [ すばやさ … A+ [ キャパシティ … [38/40] 【セットアップ】【0】 [ [3/3]筋肉操作 3 / 「自身」「単体/強化」「(Lv)Tの間、クリンナップP終了時に攻撃力+(1+Lv)/テンション+1」[1/戦]【格闘/なし】【L】 【特技】【6】 [ [5/5]剛の拳 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「守備力上昇無視」「(250+Lv*20)/70%」【格闘/なし】【3】 [ [5/5]指弾 3 / 「敵単体」「単体/攻撃」「隊列補正無視」「(180+Lv*10)/80%」【格闘/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 魔筋の身体 / 「攻撃力」が「10」の時、「会心率」が上昇(+10%)する。【*】 [ 魔筋の肉体 / 「攻撃力」が「10」の時、「命中率」が上昇(+10%)する。【*】 [ 魔筋の本気 / 「攻撃力」が「10」の時、「攻撃力」が低下しない。【*】 [ 魔筋の全力 / 「攻撃力」が「10」の時、「物理攻撃」で与えるダメージが上昇(+50%)する。【*】 【パッシブスキル】【27】 [ [A]剛筋のエース / 「エース状態」になった時、「こうげきりょく」のステータスが一段階上昇する。【*】 L[ [2/2]死の闘気 / 「エース状態」になった時、敵味方すべてにダメージ(Lv*5%)を与え、HPが回復(総ダメージの半分)する。【3】 L[ [3/3]デスマッチ / 「エース状態」時、敵が「エース状態」の魔物のみの時、与ダメージが上昇(+Lv*10%)し、被ダメージが減少(-Lv*10%)する。【3】 [ [5/5]鋼の肉体 / 「攻撃力」の能力上昇に応じて「物理攻撃」から受けるダメージを軽減(+1/-(10+Lv)%)する。【3】 [ [5/5]闘気の鎧 / 「攻撃力」の能力上昇に応じて「特殊攻撃」から受けるダメージを軽減(+1/-(10+Lv)%)する。【3】 [ [5/5]抑圧解放 / 「状態異常」が回復した時、次の「メインプロセス」で与えるダメージが上昇(+Lv*10%)する。【3】 [ [2/2]闘気充満 / 「状態異常」が回復した時、次の「メインプロセス」に行う攻撃の命中率が上昇(+Lv*5%)する。【3】 [ [3/3]闘魂点火 / 「状態異常」になった時、高確率で「攻撃力」が増加(+1)する。[Lv/戦]【3】 [ [5/5]手枷足枷 / 「状態異常」時、「物理攻撃」で与えるダメージが上昇(+Lv*5%)する。【3】 [ [2/2]闘志咆哮 / 「状態異常」時、「物理攻撃」の会心率が上昇(+Lv*5%)する。【3】 【アクティブスキル】【5】 [ [3/3]豪拳x / 「自身」が行う「格闘」による与ダメージが増加(+Lv*10%)する。【2】 [ [2/2]拳圧y / 「格闘」を使用した時、隊列補正を無視する。[テ/1][Lv/戦]【3】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:-20 闇:+20 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [SU]100%中の100% 6 / 「自身」「単体/強化」「《突破》」「《貫通》」「メインPで行う「格闘」によって与えるダメージが増加(+100%)し、会心率が上昇(+10%)する」【格闘/なし】【L】 L使用条件:「エース状態」時、「攻撃力」が「10」の時 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【否定姫(刀語)&緑谷出久(僕のヒーローアカデミア)】 【否定姫(刀語)&緑谷出久(僕のヒーローアカデミア)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター コードネーム:【オルクス】 名前:【否定姫】 ひていてき ♀ 【個人スキル】 [ 否定 / 決して肯定をせず、例外なくすべてを否定する。言葉で世界に風穴を開ける。 【マスタースキル】 [ [D]通常否定 / 【否定姫】の固有スキル。使用T、敵味方問わず全モンスターのPS・ASの「+XX%」は「-XX%」となり、 「-XX%」は「+XX%」となる。[1/戦]【*】 [ [D]二重否定 / 【否定姫】の固有スキル。通常否定使用時に、同時に使用できる。指定した1体のモンスターを通常否定の効果適用外にする。[1/戦]【*】 [ [D]三重否定 / 【否定姫】の固有スキル。3Tの間、敵味方問わず全モンスターのバフ・デバフの効果が反対になる。 バフ・デバフ値自体は変化せず、補正のみが反転する。増加や低下は通常の計算通りに行う。[1/戦]【*】 [ [LS]未熟の否定の否定の否定 / 【緑谷出久】のリミットスキル。タイミング:ASx いつか至る境地の「いつか」を「今」に否定するスキル。 こうげきりょくのステータスが増加(8段階)する。[T/終] PTコンセプト 序盤は自軍の能力低下・相手の能力上昇のデメリットのある技で凌ぎつつ、場が温まる中盤戦でマスタースキルで一気に形勢逆転を狙う。 三重否定の効果が切れる前に決着をつけないと、デバフだらけの自PTが普通に競り負けるので、思い切りも必要。 モンスター コードネーム:【キュマイラ】 種族:【緑谷出久】 ♂ Lv80 ねっけつ HP 440 MP 18% 亜人属 スマッシュ(5%) スマッシュ(100%) [ せいめいりょく … A+ [ こうげきりょく … B AA- AA+ [ しゅびりょく … B [ まりょく … C [ せいしん … B [ すばやさ … B [ キャパシティ … [40/40] 【セットアップ】 [ [2/9]ワン・フォー・オール 5 / 「自身」「単体/強化」「与ダメージ増加(+60(Lv*30)%)」「クリンナッププロセスに全能力-2」【8】 [ [3/3]攪乱の号令 3 / 「敵単体」「単体/弱化」「命中-3(Lv)」[T/終]【指揮/なし】【3】 [ [★]リフレッシュ 3 / 「自身」「単体/弱化」「能力変化を±0にする」[テ/1][1/戦]【3】 【特技】 [ [5/5]ばくれつけん 4 / 「敵ランダム」「複数/攻撃」「4回」「70(45+(Lv*5)/100%」【格闘/なし】【3】 [ [2/5]デラウェアスマッシュ 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「240(200+(Lv*20)/80」【格闘/なし】【4】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 未熟英雄の闘志 / 「エース状態」のとき、「スマッシュ(5%)」および「スマッシュ(100%)」のステータス増加が1段階さらに上昇。【*】 [ 未熟英雄の洞察 / 敵の特技を受けた時、中確率でその敵一体の「ステータス/セットアップ/特技/種族スキル/PS/AS/耐性」のいずれか一つの情報を取得する。【*】 [ 未熟英雄の窮地 / ターン開始時に「エース状態」でHPが10%以下の時、CS+200。【*】 【パッシブスキル】 [ [A]正義のエース / 「エース状態」になった時、テンションが上昇(+2)する。【*】 L[ [3/3]力は誰が為に / 「エース」状態の時、仲間が受けるダメージを軽減(15(Lv*5)%)する。【2】 [ [★]継がれし聖火 / 仲間が「戦闘不能」になった際、能力値の上昇・下降およびテンションを引き継ぐ。【2】 [ [★]正義の英雄 / 仲間が「戦闘不能」になった際、テンションが上昇(+2)する。【L】 [ [5/5]満身創痍 / 自身の残りHPに応じて与えるダメージが増加(20%毎/+10(Lv+5)%)する。【3】 [ [2/3]逆境の闘士 / 能力のマイナス値に応じて与えるダメージが増加(+Lv*マイナス値合計%)する。【3】 【アクティブスキル4 [ [★]スマッシュ(5%)x / こうげきりょくのステータスが増加(5段階)する。[テ/1][T/終]【4】 [ [★]スマッシュ(100%)x / こうげきりょくのステータスが増加(7段階)する。メインP終了後、最大HPの10%分、HP減少。[テ/2][T/終]【5】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP] デトロイトスマッシュ 8 / 「敵単体」「単体/攻撃」「《貫通》」「《突破》」「400/70%」【格闘/なし】【L】 L使用条件:「エース」発動時、HP10%以下。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── +【都城王土(めだかボックス)& 星熊勇儀(東方project)】 【都城王土(めだかボックス)& 星熊勇儀(東方project)】 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────── マスター 名前:【都城王土】 コードネーム:【ブラックドッグ】 ゆいがどくそん ♂ 【個人スキル】 [ 創帝 / 全身から電磁波を放出することができる。【*】 【マスタースキル】 [ [D]言葉の重み / 【都城王土】固有スキル。全てのモンスターの「命中率」を上昇(+20%)または低下(-20%)させる[T/終][3/戦]【*】 [ [D]理不尽な重税 / 【都城王土】固有スキル。「戦闘中に使用された」相手のマスタースキルを一つ選ぶ。そのスキルを戦闘終了時まで得る。[1/戦]【*】 PTコンセプト 命中操作。 序盤は命中率を上昇させサポートし、エースが発動した瞬間に命中率を低下させる。 相手がマスタースキルを使ってきた場合は「理不尽な重税」で対抗 モンスター 種族: 星熊勇儀 ♀ コードネーム:【キュマイラ】 Lv80 ごうかい HP 600 MP 16% 自然系アニマル [ せいめいりょく … A [ こうげきりょく … A+ [ しゅびりょく … A [ まりょく … D- [ せいしん … C- [ すばやさ … B+ [ 感情の引き金 … 「自身」の体力が30%以下になった時。 [ エーストリガー … 「酩酊C」が「8以上」になった時。 [ キャパシティ … [36/40] 【セットアップ】【6】 [ [★]駆けつけ三杯 4 / 「自身」「補助/強化」「酩酊C増加+3」「こうげきりょく+1」「テンション増加+1」「登場後最初のターンのみ使用可」[1/戦]【3】 [ [5/5]ウォークライ 3 / 「自身」「補助/強化」「こうげきりょく+3」「テンション+1」【3】 【特技】【6】 [ [3/5]ひゃくれつけん 4 / 「敵単体」「複数/攻撃」「6回」「60/90%」【格闘/なし】【3】 [ [1/3]きしんけん 4 / 「敵単体」「単体/攻撃」「280(250+Lv*30)/30%」【格闘/なし】【3】 【種族スキル】 [ 刻印の器 / 「配合」ができない。『セフィラ』の器となる存在。「転身」を行い、能力を強化できる。【*】 [ 酒呑鬼の酒乱 / 「自身」に溜まっている「酩酊C」の量に応じて、与えるダメージが増加(+1/10%)し、命中率が低下(+1/-10%)する。【*】 [ 酒呑鬼の酒飲 / 「セットアップP」に高確率で「酩酊C」が増加(+1)する。【*】 [ 酒呑鬼の酒剛/ 「酩酊C」が増加したとき、中確率で「攻撃」が増加(+1)する。【*】 [ 酒呑鬼の酒宴 / 「酩酊C」が増加したとき、中確率でテンションが増加(+1)する。【*】 【パッシブスキル】【21】 [ [A]鬼神のエース / 「エース状態」になった際、「こうげきりょく」と「酩酊C」が上昇(+1)する。【*】 L[ [★]酒呑童子 / 「エース状態」の時、「自身」の命中率の「低下」を「上昇」として扱う。【3】 [ [★]星熊盃 / このスキル以外の効果で自身の「酩酊C」が上昇した時、低確率で「酩酊C」が増加(+1)する。【2】 [ [1/5]大暴拳 / 溜まっているテンションに応じて「格闘」の威力が増加(+1/10%)する。【3】 [ [5/5]千鳥足 / 「自身」に溜まっている「酩酊C」の量に応じて、「回避率」が増加(+2/+10%)する。[3/戦]【3】 [ [5/5]猛攻の蹂躙 / 自身の「こうげきりょく」が上昇したターン、あたえるダメージが増加(25%)する。【2】 [ [5/5]金剛螺旋 / 自身が攻撃した対象の「しゅびりょく」の上昇を「+5」まで無視する。【3】 [ [★]咎人の外さぬ枷 / 「元々の命中率」が「40%以下」の特技を使用する場合、与えるダメージが増加(+30%)する。【2】 【アクティブスキル】【4】 [ [9/9]怪力乱神x / 命中率を低下(-10%)させて物理攻撃の威力を増加(+50)させる。【2】 [ [5/5]フルスイングy / 「自身」が行う「近接攻撃」による与ダメージが増加(+25%)する。【2】 [ [★]一撃入献z / 「酩酊C」を増加(+1)する。[テ/1]【2】 【耐性】 [ 火:0 氷:0 風:0 光:0 闇:0 雷:0 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 【奥義】 [ [MP]三歩必殺 10 / 「敵単体」「単体/攻撃」「三回攻撃」「《貫通》」「《突破》」「150/20%」【格闘/なし】【L】 L使用条件:「自身」の体力が30%以下の時。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 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251 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 01 25 31 ID hIgekDCW 全裸待機してたら彼女が毛布持ってきた そのかわりPCぶち壊された 252 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 01 51 11 ID 4rO0qmKe 夏も過ぎたのに厨は居座り そのせいで古参気取りが増える こうなるならヤンデレが流行らない方が良かった 253 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 03 10 30 ID koD7mpzQ 最近来たばかりであまり流れを読まずROMってないだけでしょ。そうかっかするなよ 254 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 06 42 41 ID FbsJ8m2X わたしたちが、ヤンデレだ! 255 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 16 13 13 ID lyeR0iKg わたしはヤンデレになれない… 256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 16 25 37 ID F1jyXa2G 2人で協力!4人で対戦! わたしもアナタもヤンデレだ!! ※ 協力…男1女1 対戦……男1を賭けた女4によるバトロワ 257 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 17 57 20 ID G1vK+tzz うぜえ 258 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/26(水) 19 17 20 ID JknF1fwT ヤンデロイドの続き読みてえ 259 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 20 02 12 ID U5ko7LCK ヤンデレに嘘八百の恋占いを教えたい。どうやってもいい運勢が出ないヤツ。 260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 20 44 03 ID U64zVzRi 「運命に甘んずるものではない、運命は変えるのよ!」 超ポジティブ理論で行動開始。 約束の日は近い… 261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 22 32 39 ID kkJLvxMv 260 何が起こるというんです? 262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 00 10 29 ID mJuYpTs4 261 第三次大戦だ 263 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/27(木) 00 30 28 ID NQoyQD0H 262 ちょww 264 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 00 41 57 ID Vpv7W2iY 20XX年、世界はヤンデレの闇に包まれた 265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 00 49 59 ID OOS7udNK 第三者はいい迷惑極まりない(^^; 266 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 01 09 32 ID DH6k/NGq 258 263 sageろカス 267 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/27(木) 01 44 03 ID ddpDFG/8 うぜえ 268 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 02 38 08 ID nqEHHhLn 最近は嬉しそうにヤンデレと自称するメンヘラの多いこと・・・ 269 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 04 44 57 ID B1TojNKd そんな世界の歪みを俺達が破壊する! 270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 08 50 29 ID +hdLTMJa 262 カービー将軍 乙 271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 00 33 32 ID aRl/Obbt 今日も見事に厨レスが目立つな 新参は馴染めてるつもりか? 素直にROMれないならせめて過去ログで見てこい 272 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 00 38 43 ID Bf4AvLkV もう何言ってもムダだよ ツンデレの二の舞 273 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 01 52 59 ID hXUDSG6s はいはいわかったわかった 274 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 02 01 44 ID pyy+XpRX 271 新参乙 275 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 08 00 52 ID 5tC7wjVi 初代が荒れまくり、ひたすらネタと雑談を繰り返したスレになにを言ってるんだか。 276 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 09 15 16 ID H1rw/GTA みんなどれくらい昔からこのスレにいるんだ? 俺はpart5くらいからだが 277 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 10 55 14 ID y1s2jaaf それを聞いて何になる? 278 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 11 08 37 ID 2jSNyd4d ・優越感ゲームは空気が淀むのでやめましょう ・専用ブラウザを使っている人は、まずsage設定を有効にしましょう ・以下の単語はスルー推奨です:『ニコ動』『大全』『ひぐらし』 279 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 11 56 07 ID BEFV/8FA スルー推奨追加 「朝倉」 280 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 13 16 50 ID MlZPnS1c これも追加 「なのは」 281 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 17 21 15 ID usVeucxM 荒らしてるヤンデレな娘に 荒らしはダメって注意してみたい。 282 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 18 53 23 ID WeDthjp5 「勇者さんには根性なんていらないし、がんばらなくてもいいんです。 もう疲れましたでしょう?これからは私が守ってあげますからね。 そんな事より勇者さんにはするべきことがあります。 分かりますよね?ふふ、そんな顔しなくても言いたい事は分かってますから。 そう、私を愛する事ですよ。これからは貴方の妻である私を愛する事だけを考えてください。 ね、私だけの勇者さん?勿論返事なんていりません。 私の言う事に従ってくれるだけで構いませんから……さあ、愛し合いましょうね」 突如として沸いた電波、突っ込み不可。 ファンタジーのヤンデレって良くね? 283 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 19 03 40 ID Cn08dwRG ヤンデレ魔王ですね、わかります 284 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 19 43 06 ID MlZPnS1c ヤンデレで男勝りな女戦士 ヤンデレで天然な女武闘家。 ヤンデレで素直クールな女僧侶。 ヤンデレでツンデレな女魔法使い。 …ゴクリ。 285 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 19 44 07 ID AIsXZH2i そういやヒロインが魔王の漫画あったな タイトル覚えてないけど 286 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 20 52 19 ID XXnVC77e 「私が世界の半分を焼き払った理由がわかるか? お前を手に入れるためだよ」 なんだか俺も電波受信してた 287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 22 28 05 ID 551JETbN 284 待て、主人公はどこ行った? 288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 23 28 21 ID JYOuiOZs 画面の隅っこに居ますwww 289 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 00 39 49 ID sCA8O3EA 魔王と男の尽力で和解(他の仲間[ 284参照]は猛反発) その後、女戦士は世界規模なギルドを造り、 武闘家も世界規模な道場を造る。どちらも一国並みの発言力と規模。 僧侶は何か、世界的に有名な大聖堂の教祖になって 魔法使いは魔法が全ての国を建国。 魔王は変わらず、だが魔物全てを大人しくさせ、魔王の城に住んでいる。 そしてそれらは同盟を組んで世界に平和になった。 …がしかし、ある日とある男が賞金首に上がる。 その金額のすごいこと。それで一列島を買っても暮らせる。 その男を同盟のどれか一人が捕まえたら、戦争が起きる。 男はもちろん元勇者。 こんなのを誰か書いてくれないかなぁ…… 290 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 01 36 38 ID 4IRJg40C お前書けるよ 291 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/29(土) 02 34 52 ID M8v/MXin ニコ動で申し訳ないが 良いヤンデレの曲があったので一つ。 ttp //www.nicovideo.jp/watch/sm5387061 誰か肉声で歌ってくれないかな・・・。 292 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 02 35 34 ID M8v/MXin あげちまったスマンorz 293 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 02 47 26 ID JCU3iP86 もうニコ動とかいらないから 294 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 03 06 11 ID RRQph8Vg おk、俺達は何も見なかった 295 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 04 16 39 ID 7TUvy6Zf 291 死ね 296 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 04 18 23 ID IN1Soe6w 291 魔王ネタか。 いいね、続きが気になる。 297 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 11 31 54 ID ABWcdoJO 296 何も無い所になんでレスしてんの? 298 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 11 35 57 ID x2u231qL 297 スルーも知らんガキはROMってろ 299 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 12 14 36 ID h5FipcvS 291 普通になかなか良いけど。 このスレではニコ動忌避されてなかった……てゆーか結構紹介されていたりしたのに、 いきなり 278で禁止ワードにされてて驚いたんだが。 なんか神経質なやつが増えたな。 300 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 13 19 39 ID tea2zSte ヤンデレネタにはなんでも食いつくスレなんだよな、それで問題もなかったし 強いて言えば荒らしたり問題になるのって 「あれはやめろこれもやめろ」 とか言う規制派かな 301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 13 34 45 ID a+2ntlkm ・優越感ゲームは空気が淀むのでやめましょう 302 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 13 41 09 ID h5FipcvS 別にそんなゲームはしてませんよw 303 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 14 17 22 ID ABWcdoJO 雑談が続くと、こういうことになるのか…… とりあえず、靴下のみ全裸待機だな 304 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 14 50 52 ID oNB6uJbR 303 ハクキンカイロおすすめ。暖かいぞ。 305 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 15 33 31 ID tea2zSte 神妙になることはないだろw 皆疑心暗鬼になってるな 306 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 17 06 55 ID PD774HQI ヤンデレが全裸ニーソで待機してますお 307 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 17 47 42 ID Hzi8FUMo 306 想像したら み な ぎ っ て き た ! 308 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 22 24 32 ID YzBP5xmE 男の全裸ニーソ想像して泣いた・・・何で想像しちまったんだ俺・・・ 309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 00 30 30 ID G6U2f3XW 308 ふふっ…他の娘のこと考えたお仕置きだよ? 男くんは私のことだけ考えてればいいの。 310 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 00 48 14 ID 6HAloDlz 命令に忠実なヤンデレ… 実に良い 311 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 01 08 17 ID 1NLA1Lyr レベルEであったな あの女性バージョンはいいかも 312 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 02 06 53 ID BQZ43v8p 雑談が前より続くようになったのは単純に 住人が増えただけだと思っていいよな? 313 名前:紳士 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 02 11 01 ID dl4DyePw 「お兄ちゃん!? 一体何やってるの!」 俺は慌てて振り向く。そこには俺の部屋の戸を開けて唖然としている妹がいた。 や、やっちまった。どう言い訳したらいいんだ。 何せ俺の格好は全裸。しかも黒ニーソだけを穿いている。白と黒の狭間で揺れ動いたが、やはりニーソといったら黒だと思うんだ、俺は。 と、そんな俺のニーソ論はどうでもいい。今すべきことはどうやってこの状況を誤魔化すか、だ。 何で俺がこんな怪奇な格好をしてるかといえば、「春……よくその目に焼き付けておきなさい、これが紳士の正装だ」と死んだ父さんが夢枕に立って――全裸にネクタイという珍奇な姿で――言ったからだ父さんの傍らには、死んだ母さんが微笑んで立っていた。 二人とも、とても幸せそうだった。 「父さん! でも俺はまだ社会人じゃないんだ! ネクタイなんて持っていない」 俺は、咄嗟に父さんにそう呼びかけた。すると父さんは、 「ならばネクタイではなく靴下を穿きなさい。それが、若き紳士の嗜みというものだ。お前がニーソックスを穿きこなせたとき、初めてお前は一人前となるだろう」 そう言い残し、父さんは母さんとともに去っていった。俺は、起きてからさめざめと泣いた。そして決めたのだ。紳士を目指すと。 その矢先にこの悲劇である。さすが一人前の証、ニーソックス。いきなり俺みたいな若輩者が穿きこなすには無理あったのか。 「も、萌、違うんだ、これには訳が」 死んだ父さんと母さんが夢枕に立ってこの格好を推奨したんだ! ……言えない。言えるわけが無い。そもそも言っても信じるわけが無い。俺だって、他人がそんなことを言っても信じない。というか間違いなく黄色い救急車を呼んで縁を切る。 しかし実際に体験した身としては、こうせずにはいられなかったのだ。まるで、父母の遺志をないがしろにするような惨苦に思えたのだ。 「お兄ちゃん、その靴下……」 妹はただ呆然と、俺の穿いているニーソを指差す。 そうだ。この靴下は萌のものだ。当たり前だろう、変態でもない普通の男が黒ニーソなぞ持っているはずもない。ならば当然買うか借りるかしなければならないわけだ。 幸い、俺には妹という存在がいた。よって彼女の箪笥からちょっと拝借した次第である。大体お兄ちゃんはな、萌には白ニーソのほうが似合うと思うぞ。ロリロリで。 しかしその選択が裏目に出たようだ。それもそうだ。兄の部屋に行ったら兄は全裸で黒いニーソックスだけを身に着けていた。これだけでアウトだ。 しかもそのニーソックスが自分のものであった。もうアウトを通り越してゲームセットだ。通報だ。『妖怪ニーソ穿き』として妖怪図鑑に登録される日も近い。 妖怪ニーソ穿きはその名のとおり、ニーソックスを勝手に穿く妖怪である。普段は全裸だが、戦利品のニーソックスを身につけている場合もあるという。 ……断固駆除されるべきである。この地球上に到底生かしておいて良い存在ではない。人類の敵である。 ああしかし私は気づいてしまった。鏡に映る自分の姿がその忌むべき妖怪そのものであることに。ああなんということだろう。嗚呼何たる悲劇。 死すべきだ。死すべきである。しかし悲しきかな、自身の妖怪ニーソ穿きという存在としての実存がそうさせてはくれぬ。それどころか、ニーソを盗み、それを穿くという自らが最も汚らわしく思っていた行為を実行せしめよと己の実存が責め立てるのだ。 穿いてはいけない。穿いてはいけない。穿いてはいけない。 だがしかし。ああ、どうしてこの責めに抗えようか。私がかくも弱く愚かであることは罪なるかな。人よ、かくも弱きその存在を憐れみ給え。神よ、かくも愚かしき我を憐れみ給え。 しかし人は私を憐れんでなどくれはしないだろう。私が、そうであったように。神は、人から堕ちた私を哀れみなどしないのだろう。悪魔によって堕落せしめられた幾千幾万の人のように、その焔で私の身を焼き尽くすのでしょう。 私は頭を抱えて部屋の隅でガタガタを震える。もう外にも出れない。どこにもいけない。出てはいけない。狂ってもいけない。 私が気を失い、次に意識を取り戻すとき。それは私がニーソを盗み、穿いたそのときの他ならないのだから。 ああ。嗚呼。 どうして私。どうして私なのだ! どうして私が、私がこのようなおぞましきけだものに身を窶せばならぬのだ! もはや私の悲哀を聞くものはなく、もはや私の慟哭を止めるものはない。 私に許されたことは、ただ震えることのみなのだから。 そうして、私は耐えねばならない。狂わぬように。狂いませんように。 そうして、私は待たねばならない。ただ、ただ終わりを。すべての、終わりを。ただ一人で。永遠に。 314 名前:紳士 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 02 12 15 ID dl4DyePw 「お兄ちゃん! どうしてそんなことしたの!」 妹の叫び声で俺は我に返った。現実逃避のあまり、妖怪にに身を堕とした一人の聖人の夢を見ていたようだ。恐ろしい夢だった。泣けてくる。 「……まだ萌には分からぬか。しかし我が妹よ、いつかきっと知るときがくるだろう。人が、なぜニーソを穿くかを」 妹はまったく反応を示さずこちらを見ている。ちょっとかっこよく言ってみてもダメか。まあ当たり前だろうけど。 「……………………のに」 妹は俯いて拳を震わせている。 「へ?」 「お兄ちゃんが欲しいっていうなら、そんな靴下じゃなくて私のすべてをあげるのに!」 ええっと、その話はどっから来たんだ? 妹。 「いつでも、お兄ちゃんのものになる準備は出来てたのに!」 妹はそういうと、俺に向かって飛び掛ってきた。 対する俺は一切の防衛の術を持たない。全裸とはかくも無防備なものなのか。それなのに、父さんはああも泰然とたたずんでいた。父さん、あなたの背中は俺にはまだ遠すぎます。 俺はそのまま妹にのしかかられ、組み倒された。妹は鼻息も荒く、ニーソックスには目もくれず、俺の胸部に嬉々として頬を擦り付けている。 「も、萌、一体どうしたんだ!」 俺の惨状を見て精神が崩壊したにしては、少々方向がおかしい。まるで主人に飛び掛る犬のような様子だ。 「萌がお兄ちゃんのものになるんだったら、お兄ちゃんも萌のものだよね。萌だけのものだよね。萌以外の誰のものでもないよね。 だから、お兄ちゃんは今日から萌の所有物なの。持ち主は所有物には何をしてもいいの。その代わり、お兄ちゃんも萌に何をしてもいいからね。唇も、胸も、アソコも、ぜーんぶお兄ちゃんのものだからね」 「な、何って!」 「ナニ?」 妹はそういいながら俺の股間の紳士に手を伸ばす。だ、ダメです! そんなばっちいのに触っちゃいけません! 何時までも無垢な少女のままでいて! 「汚いのなら、なめなめして綺麗にしないとね」 妹の赤い舌が、口の端からチロリと覗く。 「萌! 俺達は兄妹なんだぞ! 兄妹でこんなこと、許されるわけ……」 「許される? 一体誰が萌とお兄ちゃんを邪魔するの? お兄ちゃんを許してあげられるのは萌だけなんだよ?」 「神様とか、世間体とか、死んだ父さんと母さんとか……」 「そんな神様殺してあげる。そんな人間皆殺しにしてあげる。……それに、お兄ちゃん知らなかったの? お父さんとお母さん、兄妹だったんだよ?」 妹の狂気より、最後の一言に驚かされた。 「な、ななななな」 「な?」 「な! そんなバカな!」 「本当のことだよ。お母さんが教えてくれたもん。『男なんて、いざとなるとてんで駄目なものよ。女のほうから導いてあげないと、ね』って」 か、かかかかか母さん! あんたって人は! 俺の美しい思い出を返せ! 「お兄ちゃん、そんなに靴下が好きなら、靴下で踏み踏みしてあげる」 萌はそう言うと、そのまま白のニーソに包まれた足を俺の紳士の上におろした。 そのまま、両足でこねるように俺の紳士を刺激する。玉を軽く踏んだかと思えばもう片足を先端に走らせ。棒を両足で挟んだかと思えばそのまましごきあげ。執拗な責めに、俺の紳士もだんだん背伸びを始める。 「な、何するんだ萌! い……今すぐこんなことやめなさい!」 「うふふ、妹の靴下穿いて、妹の足で踏まれて興奮するような変態さんは、妹の足でも舐めてなさい」 そのまま俺の口に萌の足が押し込まれた。妹の足の香りと、俺のかすかな先走り紳士の味が俺の口いっぱいに広がる。 足なんて口に入れられたら激怒しそうなものなのに……萌の足の味が、俺にそうさせなかった。 いつの間にか、俺は自分の意思で妹の足をしゃぶっていた。 「くすぐったいよ、お兄ちゃん。どう、萌の足、おいしい?」 俺は妹の足をしゃぶるのに必死で、その嬌声に答えることもできない。妹は、嬉しそうに続けた。 「うふふ、お兄ちゃんはヘンタイさんだね。でも、ヘンタイさんだけどぉ……お兄ちゃんだから、だーい好き! ……もう、死んでも離さないんだから」 俺は、今では立派にネクタイをつけている。 315 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 02 12 50 ID dl4DyePw ひたすらに馬鹿なものが書きたくてやった。今は後悔している 316 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 02 16 53 ID Sf9+dFY4 315 リアルタイムGJ! ヤンデレ妹は、スタンダードで良いね。 317 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/30(日) 02 21 33 ID EXpYAOvD GJ!この続きが見たい 318 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 02 22 26 ID Ml6OahL8 GJ!! 317 下に同じ 319 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 05 42 31 ID 8hzMZwTQ ど…どうしようもねぇ…… 320 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 10 53 01 ID a4XVdPzC 315 GJ!! 俺も一人の男として早く一人前の紳士になりたいものだ…… 321 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 18 10 ID hZWgCSrL 315 GJ! 文章が異様に上手い! しかしニーソの男が……と想像すると、なんだか寒気が。 210氏にささげます。今回は痴漢とヤンデレネタです。 ただエロを加えただけですが。 322 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 19 07 ID hZWgCSrL 『痴漢とヤンデレ:エクスタシー』 平凡なサラリーマンとは、おそらく俺のことを言う。そう、この俺、『麻生忠雄(あそう ただお)』。 この現代日本の男の平均値を搾り出してみよう。ほら、君も俺の顔を思い浮かべることができるはずだ。 平平凡凡な顔、身体、運動能力。なにも秀でたところなんてありゃしない。社会の歯車でしかない二十六歳。 それなりの人生を生きて、それなりに死んでいく。そんな未来しか見えてない。 スリリングな生き方に憧れた若き日もあったように思うが、今ではもうそんなこと、忘れてしまった。 ……それにしても、俺は今いつも通りの満員電車に乗って通勤している。が、何かが変だ。 いつも通りではない。 揺れる電車の中、俺は一人の女子高生と密着状態にある。 その子は某名門女子高に遠くから電車で通っている娘らしく、俺は何度か電車内で見かけていたし、密着状態も一度や二度のことではない。 それはそうだろう。どの車両に乗るかは、意識的にせよ無意識的にせよ、だいたいは決まっているものだ。 その女子高生ははっきりといえば地味で、おとなしそうな少女だった。大柄でも小柄でもないのだが、オーラとも言うべき存在感にかけていて、体格よりも小さく見える。 髪は黒で、後ろで大きな三つ編みにしており、今は俺の胸をうっとうしくくすぐってくる。 顔はあまり眺めたことは無い。おそらく俺と同じ、平平凡凡なのだろう。眼鏡をしているという情報しか、俺の頭には残っていない。 制服の着こなしも地味以外の何もいえない。スカートは校則にきっちり準拠しているであろう膝丈。脚はハイソックスで覆い隠されている。 本来なら、俺は密着状態であろうがその少女になんの興味も示すことは無かった。 だが、今日は違った。 少女の背中に密着している俺だが、その首筋を見下ろしたとき、強烈なフェロモンを嗅ぎ取っていた。 そのフェロモンに当てられて、俺の理性に皹が生じたのだ。 ……その首筋、舐めたい。 323 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 19 38 ID hZWgCSrL いや――いけない。 俺は平凡なサラリーマン。そんな痴漢行為を働けば、いちやく変態サラリーマンの仲間入りだ。 せっかく婚約して同棲中の恋人もいるのに、俺は職とともに全てを失ってしまう。 ――そもそも、あいつがいけないんだ。 俺はフィアンセである、『一条美恵子(いちじょう みえこ)』を思い出す。今は俺の部屋にいるだろう。何をしているかは知らない。 「忠雄さん! ……こ、このいかがわしい読み物は一体なんなのですか!? わたくし、忠雄さんがこんなにいやらしい方だとは思いませんでした!」 ある日、俺の秘蔵の人妻本を発見した美恵子が叫んだセリフである。 一ヶ月ほど前から同棲を始めた美恵子は、真っ先に俺の部屋をガサ入れし、上記のものに類似したセリフを連発してあらゆるオナネタを捨ててしまったのだ。 曰く、「忠雄さん、わたくしという婚約者がありながら、なんですの! このいかがわしいサイトの観覧履歴は!」 曰く、「忠雄さん、このティッシュはなんでございますか! ゴミ箱を妊娠させるおつもりですか!」 曰く、「ああいやらしい! わたくし、このようないかがわしいビデオが世に出回っているなどとは、つゆほどにも知りませんでした!」 曰く、「わたくしの目の黒いうちは、不潔な行為を一切ゆるしませんわ!」 美恵子はつまり、俺にオナ禁を強要した。 ならば恋人なのだから、俺の下半身の世話を美恵子がしてくれるのかと思えば、その期待は間違っていた。 「まあ、まさか忠雄さんは婚前交渉をお持ちになろうというの!? この美恵子、そんな軽い女ではございませんわ!」 美恵子は、思うに、古風すぎるにもほどがあるのではないか。 いや、事実現代では珍しいほどの箱入り娘だ。しかし、ネットも大衆雑誌も無しの生活が、ここまでの堅物を生み出すのは予想外だった。 昔――俺が大学生のとき、当時高校生の美恵子の家庭教師をつとめたとき。これがきっかけで俺達は恋人になったのだが、俺はこの時点ではこれも魅力だと思っていた。 実際、美恵子のこういう世間知らずなところは俺は好きだ。 俺は箱入り娘の親に家庭教師を任命される(美恵子の父は、俺の大学の教授だった)程度にはまあ、高学歴というかインテリと言える人間だったので、美恵子とは知的な分野の話が異様に合った。 下品な外国文学の話ではない。日本の古きよき文学について、二人で話し合った。俺達は互いに惹かれあい、今に至る。 思えば、文学の話で結びついた俺達が性的なものの見解に相違があるなど、当たり前だ。 世の中、こういうことで別れてしまう、言うなれば『夢を見ていたカップル』がたくさんいるのだろう。 ……とまあ、こういう理由で俺は一ヶ月オナ禁であるので、性欲は十分すぎるほどに溜まっていた。 もちろん、美恵子のことは愛しているし、美恵子だってたぶん俺を愛している。――愛しすぎているくらいで、俺がテレビの女優をきれいだと褒めただけでそのテレビをスクラップにしたくらいだ。 324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 20 00 ID 5ENsMLTA 支援 325 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 20 12 ID hZWgCSrL その後、ストーカーや無言電話の被害でその女優が活動を休止したのは、偶然だろうか。文学的に考えると、美恵子の生霊が……? いや、ばかな。 とにかく、俺は目の前の地味な女子高生に、すさまじいまでに魅力を感じていた。 ごくり。唾を飲み込む。 いや、なにやってんだ俺は。美恵子のためにも、俺は善良なサラリーマンで有りつづけるべきだ。教授からたくされたあの箱入り娘は、俺以外の人間では手におえないだろう。 それに、美恵子は一人では生きていけない。あの性格では一生社会に出られはしない。俺が養ってやらないと、だめだ。 そう、ここで社会的地位を失うわけにはいかない。 と、ここで違和感に気付いた。 ちらちらと、女子高生が『下』を気にしている。 『下』? 俺は下を見る。 おおーっ!!!!??? NO! 俺の股間のビッグマグナムは見事に肥大化していて、少女の背中をつんつんとつついていた。電車が揺れるたびに、マヌケにも当たっている。 恥ずかしそうに顔を赤らめながら、少女は俺に態度で訴えた。 だ、だめだ……。 謝ろう。ここは謝るしかない。 しかし、無情にも電車の揺れは絶妙なタイミングで強化された。 「――うぁ!?」 倒れそうになる。まずい、何かに捕まらねば! 「んっ……」 ぽよん。……ぽよん? なんということか。おお、神よ。それほどまでに俺をスリリングな世界に導こうとしているのですね。 俺は見事に少女の胸を掴んでしまっていた。なんというか、柔らかすぎて一瞬別世界のものかと思った。っていうか、死んだかと思ってしまった。 その感触は、まさに天使。肉肉しいというか、俺の身体にはない女っぽさがどうしようもなく俺の興奮を促進した。 こういう地味な娘も、エロい身体してるもんなんだなぁ、と、なんだか感無量だ。 っていうかさ……ああ、俺、捕まったな。 今時さ、こういうセクハラ行為はな。すぐに警察行きのフラグが立つわけなんですよ。そうです。俺は人生終わりました。 皆さん、さようなら、さようなら! 326 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 20 43 ID hZWgCSrL ……と思ったが、ずっと少女の胸を掴んだまま放心していたにも関わらず、少女は何もしない。 後ろから顔を覗き込むと、ただ顔を赤らめてうつむいているだけだった。 ――俺の理性は崩壊した。 「――っ……!」 制服の上から、強く胸をもむ。少女は声にならないうめきを上げた。痛いのだろうか。 相変わらず柔らかくてとろけてしまいそうなエロい肉体だ。 股間のマグナムも、腰にすりつける。腰周りの肉も、ほどよくついている。気持ちが良い。 ぴくぴくと振るえる少女がなんだか可愛らしく、平凡なはずだった俺に眠っていた加虐心に火がつく。 制服の中に、下から手を突っ込み、ブラをずらして生乳を触った。 「はぅ……!」 手が冷たかったのだろう、少女はびくんと跳ねた。 周りの目を気にして見る。みな、背を丁度向けてくれている。俺達を見ている人間などいない。好都合すぎる。 俺は差し込んだ右手ですべすべの肌をひとしきり楽しみ、胸をちょいとつまんだ。 さらにうつむく少女。顔はゆでだこのように真っ赤だ。そんな少女にあまりに魅力を感じる。そうか、俺は変態だったのだな。 胸を、外側から円を描くように撫でてゆき、徐々に中心部に向かっていく。手触りからの推測だが、少女の胸には強いはりと弾力があり、なかなかのサイズながらもつんと上を向いている。 おそらく、俺の思ったとおりの場所――この円軌道の終着点こそが、少女のイチゴの生った場所なのだ。 「ひっ!」 しゃくりあげるように少女が小さく叫ぶ。その声は電車と、多すぎる人々の騒音に容易にかき消された。 俺の指が少女のピンクの果実に行き着いたのだ。色は見ていないが、どう見ても処女だし、なんとなくのイメージで、ピンクだとしておく。 乳首を指ではさみこみ、ちょいとひっぱった。 ぴくりと少女が反応した。 それに気をよくした俺は、くりくりと乱暴に弄ってみる。 「はぁ……ぁ……ぅ……」 あまりの羞恥心に、少女は興奮して息を荒くしていた。 乳首に刺激を与えるたびに、少女の口から声がもれ出る。 俺は、「感じてんのか? 淫乱な女だぜ」と言えるほど自分に自信は持っていない。 俺の手が冷たいからとか、屈辱だからとか、人前だからだとか、そういう羞恥心などの新鮮な刺激が少女を興奮させているのだ。 俺のフィンガーテクで少女が感じているなどとは、どうにも思えない。 が、それでも気分はいい。少女の反応は、痴漢もののAVで見たようなものよりよほど初々しくて可愛らしくて、エロい。 空いた左手も使おう。 327 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 21 13 ID hZWgCSrL 俺は大胆にも、少女の長いスカートをめくり上げ、少女のたっぷりとした尻を下着の上からつかんだ。 「んくっ……」 少女は脚を震わせて緊張を示した。拒絶の意か。 ならば、と、俺は胸を思いっきり乱暴につかみ、乳首を高速で擦り上げた。 「――っ!?」 ぴくんと少女の身体がはね、下半身への注意がそれる。その間に、するりと手を滑り込ませ、下着の中に手を差し込んだ。 もちろん、最初から急いで秘所に突撃などはしない。まずはその柔らかい尻の感触を味わうのが礼儀と言うもの。 左手で、丁寧に、ねっとりと、絡みつくように尻の肉をもみしだく。 直接触れる少女の尻はすべすべで、指に張り付くように肉質が見事な感触をかもし出していた。 「ぁぅ……ぅぅ……」 少女はもはや抵抗を示さず、俺にされるがままだ。上では乳首を弄られ、下では尻をもまれ。 おそらく人生でも最大級の屈辱だろう。 さて、肉感は味わいつくしたので、そろそろメインディッシュといきますか。 俺は左手をスライドさせ、股間に差し込んだ。 脚の付け根をすりすりと摩っていく。 「くぅ……ん」 少女の顔を後ろからまた覗き込む。あそこに触れる瞬間の顔が見てみたいからだ。 今の少女は、真っ赤な顔で、目を硬く閉じている。恥ずかしさに顔から火が出る勢いなのだろう。正直萌える。いや、燃える。 では、いただくとします。 「――ん――っ!?」 少女の茂みを探し出し、割れ目に指を当てた瞬間、少女の身体が大きくのけぞって口が開かれた。少女は声を抑えようと必死で、持っていたハンカチを噛んだ。 声にならない叫びが歯と歯の間から零れ落ちる。 ああ、いいよ、きみ。その大きさだと、周囲には聞こえない。 「ひぐ……ぁう……ひっ……!」 ちろちろと、弱い力で、じらすように花弁を弄くりまわす。 まだ本格的な性感帯は攻めない。ゆっくりと、反応をうかがいながらが良い。 ぐちゅぐちゅと、いやらしい音が響く。――実際には響いていない。周囲の騒音にかき消されている。 少女のそこは、既に濡れていた。まさか、俺の乳首攻めで本当に感じてしまったのだろうか。 いや、防衛本能というやつだろう。危険なときこそよく濡れるというらしいし。レイプの時が一番濡れるとも聞いた。 328 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 21 44 ID hZWgCSrL 少女は顔を上に上げて口を大きく開けて激しく息をしている。 肺から空気が押し出される感触があるのだろう。 そろそろいいか。と、俺はさらにその股間をまさぐり、小さな突起をみつけた。 「ん――!!!」 今までで最大の反応。俺がクリトリスをつまんだ瞬間だ。 少女は身体を大きくのけぞらせてびくびくと震えた。 おそらく、達してしまったのだろう。 早いな、つまらん。 俺はお構いなしに、クリトリスをさらに弄くりまわした。 「ひぐぅ……!?」 少女はついにこちらを向いて、抗議の目を向けた。初めて目が合った。 赤く染まった頬には、涙が流れ落ちていた。少女のその姿は、今まで見た誰より――美恵子より、美しいとさえ思った。 「イッたばかりなのに……!」とでも言いたげなその顔を無視しながら、俺は手をさらに加速させた。 「はぅ……あ、あぁ……!!」 少女の声が徐々に大きくなる。おいおい、周りに聞こえるぞ。 だが、誰も俺達を気にせず、吊り革を持ちながらうとうとしている。なんという平和ボケした連中だ。 もう、いいや。捕まってもかまわん。俺のやりたいこと全て、完走してしまおう。 俺は乳首を弄っていた右手を引っこ抜き、スカートの下に動かした。 左手ではクリトリスを弄ったまま、右手では、少女の割れ目を蹂躙し始める。 「ぃ、あぁ……ぅん……くあ……!!」 よほど気持ちよくなってきたのだろう。少女の腰はただの震えではない上下運動を始めていた。 少女はもの欲しそうに腰をくねらせ、その花弁は蜂を誘い、蜜をしたたらせていた。 ぱくぱくと何かを求めて開いたり閉じたりしている少女の秘所に、俺はついに指を……! 『×××駅ー! ×××駅ー!』 なんとっ! 車内アナウンスによって、俺は指を止めた。それは俺の降りる駅だ。 俺ははっと理性を取り戻し、少女から手を離してカバンを拾いあげ、電車から駆け下りた。 車内には少女を残したままだったが、気にしてる場合はない。 顔を覚えられた可能性は有るが、明日から車両を変えればいいだけの話。現行犯でもなければ証拠不十分だ。少女を避ければいいのだ。 とにかく……。 俺は駅のトイレに駆け込み、その個室で抜いた。 ありえない量。丁度アトリエかぐやで描かれるほどのレベルで出てしまった。 今までこれほどに女に欲情したなど、恐らく初めてではなかろうか。美恵子にすらここまで欲情はしたことない。 というか、美恵子はロリだ。 あの少女のように成熟した体はもってはいない。 ……その違いが、俺の脳を締め付ける。もしかしたら、俺は明日も少女に痴漢行為を働いてしまうかもしれない。 自分の中の『悪』が間違いなく俺自身の身体を蝕み始めていた。 329 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 22 21 ID hZWgCSrL 仕事を終えて、家に帰る。どたどたと慌てて美恵子が飛び出してきて、俺に抱きついた。 ああ、美恵子。なにもかもが懐かしい。 「……ん」 「どうした、美恵子」 「忠雄さん、あなた……浮気をしましたね」 「……!?」 俺は答える暇もなく、組み伏せられていた。玄関のタイルが冷たい。 美恵子は俺の腹に馬乗りになり、ヒステリックに叫ぶ。 「どうしてですか! どうして……忠雄さんには、わたくしがいるのに……! そんな雌犬の匂いと、精子の匂いを漂わせ、わたくしに対するあてつけなのですか!?」 「いや、違うんだ美恵子、誤解だ!」 「なにが誤解ですか!」 そうだ、何が誤解なんだよ、俺。全部俺が悪いんだ。美恵子の誤解なんか、なにもない。むしろ正しい。 「忠雄さん……わたくしが間違っていたのですね」 だが、美恵子は急にもうしわけなさそうな顔をして俺に謝り始めた。 「忠雄さんも、一人の男性です。やはり、将来的にではありますが、妻であるわたくしが……その、下のお世話も、しなければならないのですね……」 美恵子は、顔を赤くしながら自分の上着をめくり上げた。 ぺったんこで、ブラすらつけていない胸が剥き出しになった。あの少女と比べると、いささか迫力に欠けるだろう。 しかし、婚約者の今まで見たこともないような部分を見た俺のベストフレンドは、またまた天を目指して背伸びをしていた。 一発だしただけじゃ、一ヶ月の蓄積はなくならなかったと言うのか。 「忠雄さんの……」 ごくりと唾を飲み込み、美恵子は俺のズボンを剥ぎ取った。露出したマグナムを小さな手で掴む。 「ふごっ!!」 驚いて変な声を出してしまった。美恵子が俺のマグナムをぺろりと舐めたのだ。 「ああ、これが忠雄さんの……夢にまで見た、忠雄さんの……」 「お、おい美恵子、まて!!」 「忠雄さん、忠雄さん……!」 俺の声なんてまるで聞いてはいない。美恵子は夢中で俺のモノを舐め上げていた。 まるで大好物のアイスにでもしゃぶりつくように、小さな口で必死にむしゃぶりつく。 330 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 22 51 ID hZWgCSrL 「わたくしも、忠雄さんと同様に我慢していたのですよ……。でも、もう限界でした。忠雄さんが他の女に取られるくらいなら、こんなくだらない主義は捨てることにします!」 ……なんつーか。俺達は空回りしてるんだなぁ。と、つくずく感じた。 そういえば、美恵子は俺のモノを舐めている。ということは……。美恵子の尻はこっちを向いている。 俺は美恵子のスカートを掴んであげ、尻を露出させた。 二十四歳にしてはちいさくて可愛らしい尻と下着。 「た、忠雄さん……!?」 「我慢してたんだろ? なら、俺もご奉仕してやるよ」 下着を一部だけずらし、割れ目だけを露出させ、人差し指で触れた。 「ああ……!」 ぴくんと美恵子の尻が跳ねる。あの少女にしたときとは違って、声を押さえる必要がない。美恵子の、小さな少女のような声が心地よい。 花弁を指で押し広げ、中を確認してみる。 「た、忠雄さん、見すぎですよ! ……そんなところ、汚いでしょう!?」 「いいじゃないか。綺麗だぞ、美恵子」 ピンク色の膣が見える。俺はそこに人差し指を先っぽだけ入れ、ゆっくりかき回した。 「はぅ……ああっ!!」 ぴくぴくと、美恵子は反応する。その間にも俺の股間の怪物を小さな手で擦り上げるのは継続させている。 「お前、相当な淫乱だったんだな」 「ひぃ……い、言わないでぇ……!」 弄れば弄るほどに、美恵子の秘所からは蜜が溢れ出し、俺の顔に滴り落ちていた。 「俺の指を必死でくわえ込んで、可愛いまんこだ。お前にそっくりだぞ」 「わたくしの……一部なのですから……あっ……あたりまえ……です……!」 可愛い幼な妻(二十四歳なのに、外見は十四歳くらいに見える)への愛情を俺は完全に取り戻しつつあった。 あの少女の肉体に欲情した俺自身が、もはや嘘のようだった。 そうだ。 やはり、あの少女には絶対に近づかないでおくべきだ。 俺にはもう、こんなに魅力的な妻がいるじゃないか。 331 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 23 22 ID hZWgCSrL 次の日。 なぜ、こんなことになっているのか。 俺は再び少女と密着していた。 車両は変えたはず。 ……まさか! 少女も俺を避けるために車両を変え、それがたまたま同じになったとでもいうのか? いや、それにしてもできすぎている。 同じ車両でも、ここまで満員電車のなかで密着などできるか? 移動も制限されているのに。 少女がわざとここに来たとしか思えない。 「……あの」 「!?」 びくりと、今度は俺の肩が跳ねてしまった。 少女が話し掛けてきたのだ。 何を言われるのだ。まさか、俺の痴漢行為を携帯ムービーに収めたから、神妙にお縄につけというのか? それとも、俺を脅すのか? 金を出せと。なら、昨日大人しかったのは演技で、この少女はとんだくわせものか? 「あなた、麻生忠雄さんですね?」 「……ご、ごめんなさい」 俺は反射的に謝っていた。なんと、少女は俺の名前を知っていたのだ。馬鹿な! 調べたのか? それとも、毎日同じ電車に乗っているからいつのまにか知られて……。 ごまかすのももう無理だろう。しらばっくれるよりは、素直に謝ることにした。 「あなたは……犯罪者です……。それは、わかります、よね?」 丁寧な口調で少女が問い詰める。あまり怒っているようには見えない。感情の起伏が少ないタイプなのか。 それとも冷静に見えているほうがむしろ本気で怒っているというあれなのか。 「はい……どのような処分も甘んじて受けます」 もう、諦めた。 俺は小心者だ。こんな局面で対抗しようなんて気は起こらない。 「なら……」 少女は俺に何かを突きつけた。――って、ナイフ!? 「静かにしてください。これから私の要求を言いますから」 こくこくと、俺は必死で頷いた。 「まず、私は『近衛 木之枝(このえ このえ)』といいます。名前を復唱してください」 「こ……このえ」 「そうです」 少女は満足そうに微笑んだ。 332 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 24 05 ID hZWgCSrL 「麻生忠雄。名門国立××大学文学部卒業後、御神グループの系列である某大会社に入社。徐々にその能力を認められ、将来有望なエリートサラリーマン。その性格は真面目で、容姿とあわせて癖が無く、平凡そのもの。婚約者が一人存在。 名は、一条美恵子。その父は××大学文学部教授であり、彼の著書はロングセラーを多数たたき出す、かの有名な一条博士。……すばらしい経歴ですね。あなたのような方が、犯罪者などとは、世の中悪くなったものです」 「そ、その通りです……」 なんで、俺の情報がこんなに……! 馬鹿な! 一日やそこらで、俺の顔をチラッと見ただけで? 前々から調べてないとこうはならないんじゃないのか? 俺は、この少女……木之枝に底知れない恐怖を覚えた。腰が抜けて、まともに声も出ない状態に追い込まれる。 木之枝は、俺にさらに身体をすりつけてくる。 ――そして、その手が俺の股間を掴んだ。 「あなたのような犯罪者はほうっては置けません。よってこれからは私が管理させていただきます。わかりましたか?」 頷く。 「これからは毎朝、この時間のこの車両に乗ってください。そして、私のいる場所まで移動してください」 頷く。 「それからは私が監視します。私以外の女性に手をだしてはいけませんから、これからは私だけに痴漢行為を働くこと。これは、あなたのような犯罪者の性欲の捌け口を身を持って勤めるという、私なりの犯罪の抑止です。いかなる感情的行為にも当てはまりません」 頷く。 「これらの要求に逆らえば、分かりますよね? 順調な人生の素晴らしさは、失ってから気付くものなんですよ」 頷くしか、なかった。 「では、最後の要求です。私に昨日の続きをしてください」 もはや、恐怖で逆らうなどという選択肢は消えていた。 ああ……俺の人生、終わったな。 注:くれぐれも、痴漢は犯罪です。 333 名前:痴漢とヤンデレ:エクスタシー ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 13 25 07 ID hZWgCSrL 投下終了です。 210氏のすばらしいアイデアに感謝いたします。 334 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 14 23 36 ID GMmwnYOI 333 GJ。痴漢アカン 335 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 14 50 36 ID D5QeouZV 333 GJ!その通りだ。痴漢はいけない。 …というわけで俺もこうなるように痴漢するわ。 336 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 14 55 16 ID hg5vXnC8 うむ、痴漢イ・・・アカン 337 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 15 54 33 ID EBFRjbJF GJ 338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 16 32 47 ID AQf3RIWH ヤンデレ娘が逆痴漢なら大歓迎さ! 339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 17 32 38 ID D4dTlEEn ちょっと335に痴漢されてくる。 340 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/30(日) 19 00 51 ID /fPqX8dO つまんね 341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 19 21 05 ID ssYbLRp2 ヤンヤン♪ 342 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 19 21 35 ID Vuumy6Vc 333GJ! だが紳士の皆は真似しちゃいけないぞ! 343 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 20 11 02 ID Sf9+dFY4 333 GJ! 痴漢は犯罪です! というか異様に上手いなあ。 344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 22 18 16 ID 94/e38yE どの作品もハイクオリティでうれしいぜ 不妊症のヤンデレに「家庭を持つなら子沢山がいいな」って言ってみたい 345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 22 27 17 ID IyOcozwk ふぅ #8230; ウム、痴漢はいかんな 痴漢はいかんが 333GJ!! 346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 23 07 05 ID RTAk2POc 340 死ね 347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/30(日) 23 31 49 ID vNwNgI5J 前からこのスレ(というかたぶんこの作者)についてる粘着だから、反応しないほうがいいよ 大切なのは荒らしへの敵意より、投下してくれる人への敬意とGJの精神だ 348 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/12/01(月) 00 08 22 ID NNdmPvU5 346 作者乙 349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 10 07 ID aS/pGbqA 348 粘着ご苦労様です^^^^^^^^^^ 350 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/12/01(月) 00 12 19 ID EQo+XaYL 349 作者乙 351 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 15 36 ID EorITxF8 ヤンデレの邪魔をしたい 352 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 20 39 ID rvY8P6mu 351 ヤンデレ「邪魔しないで!!」 ―ザシュッ― 351「ぐはぁ!…」 ヤンデレ「○○君待って~」 353 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 20 52 ID LrEXnscC ヤンデレの目の前で他の女の名前を呼びながら抜いてみたい 354 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 22 14 ID sfIJbkx5 馬鹿な……! 危険すぎるぞ 355 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 22 35 ID WDaWTiCh ヤンデレの追ってる男に逃げるアシストをしたい 356 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 31 37 ID lXgpvpE4 よほど死にたいのかお前等は・・・ 357 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 38 14 ID Zecmvfyb 344 すさまじい外道だなw 358 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00 56 35 ID EQo+XaYL 359 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 01 40 38 ID PeLsRDdI 355 んじゃ、俺はヤンデレの追うアシストをするか。 俺「アシストするぜ!」 ヤ「邪魔よ」 俺「ぐはッ!(死」 ・・・邪魔しないでおこう 360 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 02 55 26 ID NG7HWXtK よし、婦女暴行犯とヤンデレさんで… 主人公が救いようの無いクズになるな… 男「ああ、もうどうにでもなれ!どうせダメなら一発ヤッてやる!」 ヤンデレ(その人生買った、やっと私のモノになる…) 男はノーパンミニスカートの女を後ろから羽交い締めにして車に引き込む。 男「来るんだ!…ヘヘッ…そんな恰好して…ジックリ可愛がってやる。」 ヤンデレ「あなたの方から手出ししてくれるなんて…やっと…やっと…」 男「な…悲鳴もあげないし怖がってもいない…どういう事だ!!」 ヤンデレ「わたしのものになりなさい。お楽しみは私の部屋で…」 バチッと言う音を立てたあと男は気絶した。次に目覚めたときそこは… ヤンデレ「お目覚めですか、愛しの…さん」 男「なんで…俺の名前を!何だこの部屋は…」 ヤンデレ「私とあなたの狂おしいまでの愛の部屋…すばらしいわ…」 男はレイプするつもりが監禁された。 361 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 05 05 16 ID 2Q7T1N5H 今年も後1ヶ月か…ぽけもん黒12月号マダー? 362 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 07 32 27 ID hqMnpsfu やたらと催促する奴が多いのは仕様ですか? 363 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 10 46 35 ID ZTdsoKjU エリートサラリーマンって平凡な存在なのか? 364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 12 55 40 ID i/dFDF35 しかも婚約者持ちって……。 リア充じゃねえか畜生! 365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 13 27 56 ID 61T2x4kQ おばあちゃんは言っていた、リア充ほど自分の事を平凡だと思うって…… 366 名前:『リア充』のなり方[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 15 17 00 ID tqHkITzv 364 「 364君大丈夫だよ! 364君は私にとって『特別な存在』だから! 大好きだよ 364君。あなたのためだったら私何でもしてあげるよ? 立派な職に就きたいのなら私が口利きをしてあげる。結婚したいのなら私が今すぐにでもしてあげる。 あなたに捧げる為に守り通してきたこの身体を思う存分滅茶苦茶に犯していいんだよ? だからもう他の女の事なんて見ちゃ駄目……あなたには私だけ、私にはあなただけでいいの。 ね?みんなに『リア充氏ね!』って妬まれちゃうくらい幸せな夫婦になろう?」 いつもの様に愚痴をこぼした 364の目の前で美しく微笑む少女。 しかし、その可愛らしい唇からこぼれた言葉からはありありと狂気が感じられた。 ずっとただの友達だと思っていた少女の激情を垣間見てしまった 364。 これから何が自分の身に降りかかるのかというあまりの恐怖に一歩も足を動かすことも出来ない。 しかし、彼は気付いてしまった。心のどこかでこの状況に微かな期待と喜びを確かに感じていることに。 (もしかして俺は望んでいたのか?こうやって誰かに気が狂いそうなほどの愛情を注いでもらう事を……) 最早 364にはその場から逃げ出そうという考えすら浮かばなかった。 そんな彼の姿を見て、少女はより一層美しく笑った。今まで一度も見た事のない妖艶な笑みを浮かべて。 「大丈夫……私がちゃんと 364君を『リア充』にしてあげるから……」 彼女は身動きの取れない 364をゆっくりと押し倒し、その体にしな垂れかかる。 そして、彼の唇に優しく噛みつきながらその柔らかな肢体を包む衣服を脱ぎ捨て…… (続きは省略されました。全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください) 367 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 17 16 33 ID R4Z8fN/2 ワッフルワッフル 364ウラヤマシス (´・ω・`) 368 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 17 16 40 ID 5oQKutz7 もっぽすもっぽす 369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 17 19 56 ID NrqLFDR/ ワッフルワッフル 370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 19 00 36 ID Zi9vrvhs ワッフルワッフル 371 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 19 13 28 ID rvY8P6mu ワッフノレワッフノレ 372 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 19 28 08 ID lXgpvpE4 ワッフルワッフル 373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 19 39 00 ID EorITxF8 わっふるわっふる 374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 19 54 13 ID hlZFzTXq ワッフルワッフル 375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 19 55 49 ID u3l8YIyq 無駄に使うなよ 376 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/12/01(月) 20 07 24 ID dsmWZBer 俺も 364 になりたいね 377 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20 09 20 ID dsmWZBer おっとsageを忘れてた 378 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20 19 26 ID WDaWTiCh 俺も養われてニート生活送りたい 379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20 37 53 ID Zecmvfyb しかしヤンデレに経済力と経済性があるとは思えない よって 378は心中ルートか え?無理心中じゃないよ?双方同意の上だよ? 380 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20 38 00 ID 9EXnB1KD リア充の 364なんか 死ねばいいのに 381 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20 56 10 ID iToyO80I 愛しい人を養うために仕事をしなければならない でも仕事に出かけたら当然その間は愛しい人に会えない ああ、どうしたら 382 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 21 04 39 ID qxuKuuuF 頂点に登り詰め、側近としてそばにおく 383 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 21 10 00 ID qv+XYR4b 愛する人の為に頂点に登り詰める ↓ 女よりどり ↓ ヤンデレの害虫駆除タイム 384 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 00 35 42 ID DjgsMK1U ヤン「気になる子とかはいないの? 『あの子が好き』なんてバカなことを言わなくても」 男のいるクラスは公立共学高校にして文系だから女子の占める割合が大きく、四十人のうち七割は女子だ。 ヤン「ねえ、なんでだんまりなの? 男くんに彼女が出来たとか聞いたためしがないけど、隠れて作ったりしてるの?」 男「何を? 最近は陶器を作ってるんだが」 話の意図がつかめず、とりあえず話を別方向へ持っていくためにダイニングテーブルの上に鎮座する花入れを指差した。 男「グリップ性を重視したそのつくりは、掴んで鈍器として使うのに最適」 ヤンデレが机を叩き、重そうな花入れが揺れる。華奢な体からは想像もつかないような一撃。不満のオーラがひしひしと伝わる。 ヤン「隠れて浮気して女作ってるかどうか、ってこと!」 男「まさか、いないよ。それに……いたら話してる」 ヤン「そっか、そうだよね。ひひひひひぃ、安心したよ」 この花入れが凶器になる可能性に1000ペリカ 385 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 00 39 04 ID vkMiGurA 第二次ヤンデレブーム来ないかなぁ 386 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 00 39 21 ID DjgsMK1U ヤンデレと女さんは微妙な仲。 至ってフレンドリーな女さんなのだから、 そこまで一方的に嫌わなくてもいいものをと思うが、 改善される様子は微塵もない。 387 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 00 46 16 ID 0hpeGTPc ほの純ノリはなんかな・・・ 388 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 30 51 ID 6Ib4SJyl 投下します 389 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 33 27 ID 6Ib4SJyl ――今日は卒業式。中学校生活最後の日。私は今日この中学校を卒業する。 その式も終わり、卒業生達は最後の思い出を作ろうとそれぞれ世話になった担任、仲の良かった友達や後輩,想いを寄せていた人の元へ足を運ばせている。 きっとあたしもその内の一人に入るのだろう。いろんな男子達から今更ながらの告白を受けたけど全て断り、今は人気のない校舎裏に向かっている。 しかし、彼女が二人きりで直接話したいことは一体何だろう? てっきり正義と三人で何かするのかと思っていた。 彼女はここを卒業して彼らと違う高校に通うことになる。寂しいことだけど彼女の両親は厳しいらしく、言うことには逆らえないそうだ。 しかし、彼女が推薦で合格が決定したと聞いた時、あたしは少しだけ嬉しかった。 今まではこのぬるま湯のような優しい関係が崩れるのが怖くて、互いに正義へ過剰なアプローチをかけることが出来ずにいた。 でも彼女が違う高校へ進学してくれれば、何の後腐れもなくあたしと正義は堂々と付き合うことが出来る。あたし達はこのまま地元の同じ学校に進学するから。 誰も傷つくことなく、彼女とは親友のままで正義を手に入れることが出来る。 そんな打算的な考えが浮かんだ自分がすごく嫌だった。 「ゴメンゴメン。なんかたくさん男子に絡まれてさ。今更告白してきてももう遅いってのにね?」 あたしの親友である『鈴音』が壁に寄り掛かり、ぼうっと立ちすくんでいた。 なんだか元気がない。今日は卒業式だから感傷に浸っているのだろうか? 「ふふっ、そうですねー」 いつもよりも声が硬く、春の野原で咲く健気な花のような笑みは見られない。 どうやら緊張しているようだ。 「んで話って何?正義と一緒に写真を撮ってこいって親がうるさいから早く行かないといけないのよ。全く小学生じゃあるまいし、困ったもんよね」 本当はこうでもしないと素直に正義と写真なんか撮れないのだけど、彼女の前だからいかにも迷惑そうに言っておく。 「あ、あのね。私、佳奈ちゃんにお願いがあるんですけど……」 彼女の声が震える。 「――私、よっくんのことがずっと好きだったんです!だ、だからよっくんに告白するのを手伝って欲しいの……」 その瞬間、あたしの中で一気に感情が爆発した。それはとても黒くドロドロとした醜い感情。 ああ、とうとう言っちゃったんだ。しかも、万が一告白に成功しても離れ離れになるっていうのに余計なことしてくれて。 あたしはずっと二人に気を使って言わなかったのに。鈴音だけずるいよ。あたしの方が正義のことを想っているんだから。 鈴音への憎悪や嫉妬であたしの心があっという間に覆われる。 そして次に感じたものは深い悲しみ。 こんな事を思ってしまう自分が嫌だった。できればずっと彼女とは親友でいたかった。 でももう元には戻れないことをあたしは悟っていた。 あたしと鈴音は親友ではなくなり、新たに構築された関係図に彼女はこう記される。 ――彼女は“敵”だと。 「――あ、あのさ」 だからあたしはいつもの様に嘘をつく。 「私と正義、実は付き合ってるの。だからゴメン……」 でもこの嘘は正義とそこまで親しくない人にしか使った事がない。 多分正義と極めて親しい鈴音に通用する確率は低いだろう。 だって正義本人がきっぱりと否定してしまえばそれまでだから。 彼は嘘をつかないことをあたし達はよく知っている。 390 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 34 16 ID 6Ib4SJyl 「え……?」 だがこの稚拙な嘘は思いのほか通じてしまった。 目を大きく見開き、カタカタと小刻みに震える彼女の姿は嘘をついた自分からしてもとても信じられなかった。 頭のいい彼女のことだ。すぐに嘘と見抜かれるかと思ったのに。 それだけあたしの事を親友として信頼していたのだろうか。そう思うととても胸が痛む。 しかし、これを機と見たあたしは彼女の動揺に乗じてすらすらと嘘を並べていく。 このまま一気に畳み掛けてしまえ。そう思ってしまう自分に恐怖しながらも嘘をつくのは止められなかった。 その嘘を素直に信じてしまった鈴音の顔は徐々に青くなっていく。足元もおぼつかない。 「そ、そうですか……ご、ごめんね。変なこと言っちゃって……………………よっくんと幸せにね!」 声は聞き取れないほどに震え、目からは涙が溢れそうになりながらも、彼女はあたしに祝福の言葉と精一杯の笑顔を贈った。 次の瞬間、鈴音は一言も喋らずにこの場から走り去る。 あたしは慌てて何か声を掛けようと手を伸ばした。 でも彼女に何と言って声を掛ければいいのかわからなかった。 「今のは全部嘘でしたー!ゴメンねー♪」なんて今更言えるわけがない。 そもそもあたしは鈴音に何か声を掛ける資格さえない最低な女だ。 あたしが彼女に出来ることは何もない。ただ黙ってこの咎を背負うことしか出来ない。 それに三人全員仲のいい友達のまま綺麗に別れることも出来たはずなのに、彼女は敢えてそれを壊すことを選択した。 その結果、あたしが賭けに勝ち、鈴音は負けた。 例えそれがイカサマを使った勝負だったとしても知らなければそれはイカサマじゃない。 あたしは親友という関係を鈴音に無理矢理壊されて、親友か正義のどっちを取るか、天秤に掛けさせられた。 その結果、正義を取っただけじゃない。あたしだけに非があるわけじゃない。鈴音だって悪い。 そう開き直れたら、自分の利益のためだけに生きることが出来たらどんなに楽だろうか。 「ごめんね鈴音……ごめんね…………」 懺悔のように繰り返し呟いている内に、いつの間にか頬に温かい雫が伝っていた。 その勢いは止まることなく、あたしを探しに来た正義と両親に見つけられても尚、あたしは涙を流し続けていた。 みんなはあたしが卒業式で感極まって泣いてしまったものだと勘違いして、いろいろと励ましの言葉を掛けて慰めてくれた。 違う!!そうじゃない!! あたしは親友を裏切って、傷つけた挙句、その過ちを今更後悔して勝手に泣いているだけのどうしようもない女なの。 みんなに慰められるどころか、罵倒されて当然の卑劣な人間なの。 でも何があったかなんて話せるはずもなく、ただ黙って泣き喚くことしか出来なかった。 甘い慰めの言葉を掛けられるたびに心を鋭く抉られる。みんなの優しさがただ痛かった。 ――あの日、あたしは何を選べば全てを失うことなく、仲良し三人組のままで笑い合っていられたのかな? 答えは一年以上経った今でも出ないまま、あたしは正義の一番傍で立ち止まっている。 391 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 35 26 ID 6Ib4SJyl 「ふぅ……」 窓の外から見える澄んだ晴れ空とは対照的に、なんとなく憂鬱な気分のあたしは周りに気付かれない程度にそっと溜息をつく。 相変わらず代わり栄えのしない日常をあたしは送ってる。 いつも通り正義に起こされ、正義と一緒に登校し、正義と一緒に授業を受ける。 これだけでも十分幸せなはずなのだが、人間という動物は一度満たされるとそれと同じ量の幸福では満足できなくなる。 つまり、あたしは人間だから満足できない。以上、証明終了。 そう割り切ることが出来たらどんなに楽だろうか。少なくともこの現状にやきもきすることはなかったに違いない。 あたしはいつだって正義のことを見てきて、正義のことを一番に考えて行動してきたっていうのに。 どうして正義はあたしだけを見てくれないのだろうか? 「……太田よ。この前話したと思うが俺が金欠でヤンデレッドのフィギュアを買い損ねたのは知ってるな?」 「まあ、あそこまで落ち込んでいた君を慰めたのは僕だしね。嫌でも覚えてるよ」 今だってそう。 正義が同じクラスの友人の太田君に、どんよりと落ち込んだ表情で話しかけている。 多分例によって特撮物についての話だろう。正義が彼と話す内容なんてそれ以外にない。 はっきり言ってあたしは太田君のことをあまり良く思っていない。 何故なら彼は正義にとって共通の趣味を持つ親友という重要度の高いポジションに位置しているからだ。 あたしには正義だけ、正義にはあたしだけでいいのに。正義の関心が少しでもあたし以外に向けられるのは耐えられない。 なのに彼はあたしと正義の時間を奪う。せっかく彼の恥ずかしい趣味をやめさせようとしているのに、それを助長するような真似さえする。 どうしてあたし達の間に割り込んでくるの?恥ずかしいと思わないの? あんた邪魔……邪魔なのよ…… 「それで?まさか僕のを譲れとか言い出すんじゃないだろうね?いくら君でもそれはダメだよ。オタクが全員観賞用、保存用、布教用に三体買うと思ったら大間違いだ」 「わかってるよ。俺はそんな見苦しい真似はしない。今でもあれが売っている店を知らないか聞きに来たんだ」 正義は真剣な顔をで太田君に何かを頼んでいる。 ああ、もうよく聞こえないじゃない。もっと大きな声で話しなさいよ。 「んー……ちょっと待って」 彼はノートを一枚破るとさらさらと何かを書き始めた。 一体何だろう? 「ほら。多分まだここなら売ってると思うよ」 「おお、恩に着るぞ太田!やはり持つべきものは友達だな!」 太田君から手渡された紙切れを大事そうに掲げて、まるで宝物を見つけた子供のように無邪気にはしゃぐ正義。 「はいはい。いつも君はそればっかだな」 そんな正義の姿を見て肩を竦めて呆れたポーズを取る太田君。でもその口元は微かに緩んでいる。 「細かいことは気にするな。わが親友よ!」 「こら、離せ。暑苦しい」 調子に乗った正義は太田君の肩に手を回し、豪快に笑い続ける。 太田君も嫌がっているような態度は取っているけど、本当はそうでもないのだろう。 でなければあんなに仲良く二人で笑い合うことなんて到底できやしないからだ。 そう。二人はいかにも僕達はお互いをよく理解している親友ですって顔で爽やかに笑い続ける。 ……むかつく。 あたしと一緒にいるときはそんな顔しないくせに。 雑誌に書かれているデートスポットについて話しても、おしゃれな服を着ているのを見せても、レストランで美味しい料理を食べても、あたしにはそんな嬉しそうな笑顔を見せてくれないくせに。 392 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 35 57 ID 6Ib4SJyl どうして?もしかして男の太田君の方がいいの?あたしじゃダメなの? ダメ!!そんなの絶対ダメ!!誰が何と言おうともあたしは絶対に認めないんだから!!! ホモなんてただの気持ち悪いだけの犯罪者予備軍だよ。太田君じゃ子供も作れないんだよ? 早く正義を止めなきゃ。そんな考え方はおかしいって説かなきゃ。 彼をそんな間違った方向に進ませちゃダメだ。あたしが正しく導いてあげなきゃいけないんだ。 そのためだったら、その……え、Hなことも教えてあげなきゃいけないよね?! せ、正義を正気に戻すためだったらし、しょうがないわ。 し、したくてこんな恥ずかしいことしてるわけじゃないんだからねっ!! ま、まずは優しくキスするのが基本中の基本よね?この前読んだ雑誌にもまずは雰囲気作りが大事だって書いてあったし…… じ、じゃあ、目ぇ閉じて、正義……んむっ……れろっ、ちゅ……んん?!んむむむむ…… っぷはぁ!はぁはぁ……し、舌まで入れるなんて聞いてないわよ正義ぃ…… それにしてもファーストキスがこんなに激しくていいのかしら……体が蕩けちゃいそう…… 次はあたしの服を優しく脱がせて頂戴。乱暴にやったら殴るわよ。 んっ……どこさわってのよバカ……くすぐったいわよ…… どう?これが女の体よ。結構スタイルには自信があるんだけど…… きゃっ?!ち、ちょっと、いきなりおっぱい揉むなんて…… んっ、べ、別に気持ちよくなんか……ひいっ!!乳首舐めちゃだめぇ!! え?じゃあどこを触って欲しい?ば、バカッ!!そんなの言えるわけないでしょ!!この変態!! ひゃうっ?!ど、どこ触って……きゃひぃ!!そ、そこらめなのぉ…… えっ!?ち、違うっ!!佳奈美変態じゃないもん!パンツぐちょぐちょになんかなってないよぉ…… あうっ!!だ、ダメって言ってるのにぃ……あひゃ!!そこぉ!!そこ気持ちい……え?な、何でやめちゃうの……? ダメって言ったじゃん?そ、それはその……言葉の綾で……本気で嫌がったわけじゃないのに…… え?!続きをして欲しかったらちゃんと素直になれ?で、でもそんな恥ずかしいこと言えるわけ…… ああっ!!ごめんなさい!!やめちゃダメッ!!言うからっ!!何でもするからやめちゃダメェ…… ごめんなさい。佳奈美は嘘つきました。あたしは本当は正義に触って欲しくておパンツびちょびちょに濡らして喜んじゃう変態です。 ち、ちゃんと言ったよ……だ、だから早くお、おまんこいじってぇ……ひぃぃ!!そこ、そこ気持ちいいよぉ!! だめえっ!!そこいじられるとおかしくなっちゃう!!あ、ああ……あああああああああああああっ!!! はぁはぁはぁ……い、イッちゃったぁ……あたし正義にイカされちゃったんだ…… え?まだ女の良さがよくわかんない?そ、それって……わ、わかったわ。ちゃんと最後までするわよ…… 見て、正義……ここが女の子の大事なところよ正義……ここに正義のおっきなおちんちんを入れるの…… あ、あのさ……あたし初めてなんだからちゃんと責任取ってよね?あたし正義とだからこんな恥ずかしいことまで…… んっ、んむむ……ちゅっ、じゅる……れろ、ぴちゃ……っはぁ……うん、あたし幸せよ。 だってずっと正義とこうなることを夢見てたんだから……ぐすっ…… ううん、嬉しくて涙が出ただけだから気にしないで。さっ、続けましょ? うん、そう……そこにそのまま優しく……っ、痛ぁ……ううん、平気だからやめないで……そのまま動かして…… っはぁ、なんか気持ちよくなってきたかも……んっ、んっ、あぅっ!そこ気持ちいいよぉ正義…… ハァ、もっと奥まで突いてぇ!!ギュッてして!!あたしを離さないで!! ダメッ!何かキちゃう!何かキちゃうよぉ、正義ぃ!!ハァハァ……一緒に、一緒にイこう? あっ、あっ、あっ、イクッ!!イ、イクゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!! はぁぁぁぁぁぁぁぁ……熱いのいっぱい出てる……あたし正義に種付けされちゃったんだ…… あは、あそこから白いのが出てきてる……もう、こんなにたくさん出したら赤ちゃんできちゃうでしょ! でもちゃんと責任は取ってくれるんだよね?愛してるわ、あ・な・た♪ 393 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 37 00 ID 6Ib4SJyl 「……おーい、大丈夫かー?」 ふと気付くと正義が怪訝な顔をしながら目の前で手を振っていた。 「キャアッ!!ななななななな何よっ?!」 思わず奇声を上げて後ろに飛び退いてしまった。 ううう、恥ずかしいよぉ…… 「いや、顔を真っ赤にしてボーっと涎を垂らしているから一体どうかしたのかと思って。風邪か?」 「べべべべべ別に何でもないわよ!!いいからさっさと席に着いて。先生が来るでしょ!」 いつの間にか卑猥な妄想に完全に意識を飛ばしていたせいで全く気付かなかったようだ。 慌てて否定をしながら口元を拭い、火照った顔を冷ますためにぱしぱしと頬を叩く。 彼には気付かれていないようだが、乳首は固くしこり、下着の下が熱く潤っているのがわかる。 学校という公の場所ではこんなに熱く体が火照っているのに慰めることもできないのが辛い。 まぁ、目の前にいる張本人がやってくれれば話が早いんだけど。 「いや、だってなぁ。どう見てもあれはヤバイ顔してた……いぎっ!?」 とにかくこの話は終わりにしたいのに正義は首を傾げ続けるので思い切り足を踏みつけてやった。 あまりこの話を長くされるとボロが出そうで怖い。というか、何気に失礼なこと言ってないこの男? 「い・い・か・ら!席に着きましょうか、正義君。そろそろ授業が始まるよ~?」 「ハ、ハヒッ……」 痛みで引きつった顔のまま素直に席に着く正義。何だか可愛い。 もう、学校でこんなHな妄想に浸っちゃうのも、照れてつい可愛い暴力を振るっちゃうのも、正義がいつまで経ってもあたしに告白してくれないせいなんだからね! そうよ、あたしが素直じゃないのではない。彼が自分の気持ちに素直にならないだけなのだ。 だって物心ついたときからずっと傍にいて、今でもずっと何をするのも二人一緒でお互いが好きじゃないなんてどう考えてもおかしいじゃない。 実際あたしは正義のことが好きだからこの法則は正しいと証明している。正義もあたしを愛してくれている。 なのに正義は奥手とかそういうレベルじゃないくらいにあたしに手を出さない。 まるであたしのことを友達としか見ていないかのようにだ。 ああ、もう。恋愛沙汰には疎いくせにやきもきさせるのだけは上手いんだから。 確かに正義はあと一年経たないと結婚はできないけど、あたしは既に結婚できる年齢だから今すぐにでも結婚を前提としたお付き合いはできるのよ。 もしかしたらキリよくあたしにプロポーズしようとしているのかもしれないけど。 ぶっちゃけそんなのはどうでもいいから早くこの曖昧な関係を崩したい。ロマンチックな展開だったら告白した後でいくらでもできるでしょ。 早くあたしを奪ってよ…… 394 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 38 14 ID 6Ib4SJyl 「はぁ……」 授業が始まってもこの憂鬱な気分は一向に晴れず、机の上で組んだ腕に頭を乗せながら溜息をついた。 ちらりと先生にばれない程度に正義の横顔を見る。 真剣な目で黒板を見つめ、書かれている内容をノートに写すその姿を見ているだけで心が熱くなる。 やっぱり彼はかっこいい。あの真剣な目で愛を囁かれたら、あたしはきっと何も言えなくなる。 ああ、早くさっきの妄想通りにならないかなぁ……そろそろあたしの我慢も限界。 あんまり遅いとあたしの方から正義を襲っちゃうよ? ぼやぼやしてる内に彼を他の女に寝取られるくらいなら彼を強姦した方がまだマシだ。 無理やりにでも行為に持ち込めば責任感の強い正義のことだからきちんと責任は取ってくれるはず。 女が強姦されることはあっても男が強姦されることはない。正義の言うことなど誰も耳を貸さないだろう。 それにもし子供が出来てしまっても、あたし達の仲にはとても寛容的な両親のことだからきっと出産することを認めてくれる。 正義が社会的にきちんと責任を取ることを前提にしてだけど。 まぁ、どうせ遅かれ早かれ、あたし達は結婚して子供を作ることは決まってるんだから大した問題じゃないよね。 あたしの手によって正義の周りに張り巡らされた社会的責任という網は確実にその範囲を狭めていく。 そして逃げ場がなくなり、雁字搦めに捕らえられた正義は大人しくあたしを受け入れる他になくなる。 こうしてあたし達は幸せになりました。めでたしめでたし。 「フン、馬鹿馬鹿しい……」 そう呟き、顔を腕に埋めてこの狂った考えを頭から飛ばす。 無理矢理正義を束縛して結婚させて彼は喜ぶだろうか。いいや、そんなはずがない。 いつも何かに縛られることなく自分の信じる道を突き進むのが赤坂正義という人間なのだ。 確かに先ほどの妄想通りにすれば確実に正義はあたしの物になる。 だが重圧に押し潰された結果、あたしの思うがままになってしまった彼は最早彼ではない。 ただの操り人形だ。 何事にも真剣に取り組み、曲がったことが大嫌いで困った人を放って置けない熱血漢。 でもどこか抜けていて危なっかしい行動を取りがちな優しいヒーローの正義があたしは好きなのだ。 もちろん付き合うことになったら、あたしだけのヒーローになってもらう予定だけど。 あたしはありのままの彼を愛し、愛されたい。 だからあたしはそんな真似はできればしたくない。正義の気持ちを裏切りたくないから。 今まであたしは数え切れないほどあたし達の障害になりそうな災厄の芽は一つ残らず摘み取ってきた。 それでも正義本人に直接手を出さなかったのは、彼“が”あたし“を”愛しているという証拠を見せて欲しかったから。 揺らぐことのない無限の愛をあたしだけに注いでくれると誓うところを彼本人の口から聞かないと不安なの。 あたし達がお互いを想い合う理想の関係になるにはその誓約が必要不可欠なのだ。 だから辛いけどあたしは待つ。正義が心の底からあたしを愛すると誓ってくれるその日まで。 ふと思いつき、開かれたノートの空白に相合傘を書きこんでみる。もちろん傘の下には『赤坂 正義』と『黒田 佳奈美』の名前を入れて。 それを見ると何だか心の奥がほっこりと温かくなって、自分でも気付かないうちに自然と柔らかい笑みがこぼれていた。 だから……信じていいよね、正義? いつかあなたの方からあたしに愛を囁いてくれる日がきっと来るって。 395 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 39 33 ID 6Ib4SJyl ……何だかまた正義の様子がおかしい。 太田君から例の紙を渡されてからずっとボーっとしていて、放課後が近づくに連れてそわそわとし始めた。 「どうかしたの?」とあたしが聞くと、嘘をつくのが下手なくせに言葉を濁してなんとか話を逸らそうとする。 あまりしつこく問い詰めると彼を不快にしてしまいそうなので追及するのを諦めたが明らかにおかしい。 そして、いざ放課後になると『登下校はいつも一緒』という暗黙の了解が私達の間にはあるのに、彼はそれを一方的に破ったのだ。 そればかりか、あたしの制止を振り切って、あたし一人を残してさっさとどこかへ行ってしまった。 ついさっきまで満たされていた心は、正義がいなくなると同時に空虚な器と化していく。 何で?どうしてあたしを独りぼっちにさせるの? 佳奈美のこと嫌いになっちゃった?あたしが何か正義を怒らせるようなことしちゃったの? それならいくらでも謝るから、何でもするからお願い……今すぐあたしの元に戻ってきて。 その逞しい腕の中にあたしを包ませて。体の芯から蕩けそうになるほどの甘い言葉を耳元で囁いて。 そうじゃなきゃあたし、あたし……壊れちゃうよ…… 気持ち悪い。吐き気がする。頭がぼうっとする。 ガクガクと足は震え、両腕はいなくなってしまった正義の代わりを果たすかのように勝手にこの身を抱きしめる。 寒い……心が寒いよ正義。 今すぐ抱きしめてくれなきゃあたし凍え死んじゃうよ。早くあたしの心を優しく温めて。 でもあたしを抱きしめる彼はここに、私の隣にいない。 何で?あたしを置いてどこかへ行ってしまったから。 何で?わからない。 どうして?どうして最愛の女性にして未来の妻、果ては一生涯を共にする伴侶であるあたしを置いていくの? 酷い。酷過ぎるよ。 あたしはこんなにも正義のことを想っているのにそんなことをするなんて。正義だってあたしのことを想っているはずなのにどうして…… もしかして誰かに悪いことを吹き込まれたの……? そうだよ。そうに決まってる。 だってそうじゃなきゃ説明がつかない。正義がこの世で最も愛している女性のあたしに対してそんな酷いことをするなんてあり得ないからだ。 誰よりも深く結ばれているあたし達二人の仲を引き裂こうだなんて一体どこのどいつだ。 正義に余計なことを吹き込んだ罪は重い。その報いはしっかりと受けてもらおうか。 彼を誑かす悪い奴等は一刻も早く始末しなければ…… 「――あ」 その時、あたしの中である考えが閃光のように走り抜けた。 ああ、何でこんな簡単な事に気付かなかったのかしら。愚鈍だった今までの自分が恨めしい。 「くふっ、くふふふふ……」 自然と口からは笑い声がこぼれる。足の震えも治まり、あれほど寒く感じていた孤独感もすっかり失せていた。 代わりに胸の内からふつふつと湧きあがってくるのは奇妙な高揚感。 そう、きっとこれは“悦び”だ。 ただし、それはどこまでも堕ちていく深い闇のような暗い“悦び”。 「そうよ……邪魔する奴等がいなくなれば、その分だけあたし達の幸せに早く近づくよね?」 あたしと正義が結ばれるのを邪魔する奴を排除する。妨害するモノがなくなれば必然的にあたし達の幸せな未来へとまた一歩確実に近づく。 何だ、簡単な事じゃない。邪魔する害悪がいたらそれを排除すればいい。 そして立ち塞がる障害全てを倒した後には、あたし達二人が幸せになる未来への道のみが切り開かれている。 やっぱり正義からの告白を待つだなんて甘っちょろいことを言ってる場合なんかじゃないのかも。 正義本人がそれを望んでいなくても結果的には彼のためになるんだから多少強引に事を運んでもいいよね? そうすればきっとあたし達幸せになれるよね? やがて訪れる幸せに思いを馳せながら私はそっと正義の後を追った…… 396 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 40 47 ID 6Ib4SJyl 正義を追っていくうちにあたしはずいぶんと遠くへ来てしまった。 わざわざこんな遠くまで来るなんてやっぱり怪しい。絶対に自分が何をしていたかわからないようにしているとしか思えない。 よっぽどそれはあたしに見られるとまずい用事らしい。そんなにあたしに見られたくないモノって一体何? ……まさかオンナ? 嘘っ!!嘘嘘嘘!!嘘よそんなの!!絶対に認めない!! 正義はあたしのもの!!他の誰にも渡したりはしない!! 一体どこのどいつだ。正義をたぶらかした薄汚い雌犬は。 誰に断ってそんな真似を……許さない。 殺す。殺してやる。絶対にこの手で殺してやる。 二度と正義の姿が目に入らぬようにその目を潰し、二度と正義の声が聞こえないように耳を鼓膜を破り、二度と正義の匂いを嗅げないように鼻を削ぎ落とし、 二度と正義を味わえぬように舌を引き千切り、二度と正義に触れられぬように四肢を切断して、それから早く死なせてと懇願するくらいの苦しみをゆっくりと与えながら殺してやる。 一刻も早く正義を見つけてその売女を始末しなければ。綺麗な正義が汚される前に速く始末しなきゃ…… 「ついにこの時がキターーーーーーーーッ!!」 「正義ッ?!」 突然近くから正義の叫びが聞こえた。 待っててね、今すぐそこに行くから!そして薄汚い体を摺り寄せる雌犬を処分してあげる。 建物の影から飛び出し、通りに出ると遂に正義の姿を視界に捉えた。 だがあたしの視界に映りこんだものは歓喜に震える正義と、 「……おもちゃ屋?」 何故か彼はおもちゃ屋の目の前で大声を上げて喜びに身悶えしていた。 えっと……これってどういうこと? さっきまでの勢いを急に失い、その反動で呆然と立ちつくすあたし。 するとあたしの脳裏にある記憶が浮かび上がってきた。 正義が同じ特撮オタクの太田君に何かを頼んでいる。 大田君は呆れながらも彼の頼みを聞きいれたらしい。 『んー……ちょっと待ってな』 彼はノートを一枚破るとさらさらと何かを書き始めた。 『ほら。多分まだここなら売ってると思うよ』 『おお、恩に着るぞ大田!やはり持つべきものは友達だな!』 その紙を受け取ると子供のようにはしゃいで喜ぶ正義。 397 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 42 30 ID 6Ib4SJyl 「もしかして……あの紙はこのおもちゃ屋のことだったの?」 一体これはどういうこと?ま、まさかあたしの一方的な勘違い?! そういえばこの前正義と進路のことで喧嘩して仲直りした際に、ケーキとかアイスとか奢らせて彼の財布の中身を散財させた時にも、 「ああ、俺の『修羅場戦隊ヤンデレンジャー ヤンデレッド Ver.(1/8スケールPVC塗装済み完成品)限定スペシャル版』を買うお金が消えていく……しくしく……」 と、涙ながらにぶつぶつとうわ言を呟いていたような気が。 まぁ、あれは完全に正義に非があると本人も分かっていたし、あたしも文句を言わせるつもりはなかったのできっちり支払わせたけど。 おかしいな。これ以上正義の部屋に戦隊物のコレクションが増えないよう、あの時にかなりの額を使わせたはずなのに。 大方お母さんにお金でも借りたのだろう。昔からお母さんは正義に甘すぎて困る。 彼自身に収入がないから可哀想とでも思っているのかもしれないが、優しくするのと甘やかすのは全く違う。 正義が『いつまでもそんな物を』と謂れのない非難を浴びないようにと、あたしは心を鬼にして人の趣味の領域にまで口出しをしているのだ。 決して彼がフィギュアや何やらに夢中なのが気に入らないって訳じゃないんだからね! きっと彼は普段からうるさく口出しをするあたしの監視の目から逃れようと、強引にあたしの制止を振り切ってこんな遠くまで来たのだろう。 まぁ、無駄な努力だったけどね。だってあたしはここまで付いてきてしまったのだから。 さて、どうしてあげようかしら?今のあたしは少しばかり気が立っているわよ。 これは決して理不尽な八つ当たりなんかじゃないわ。勝手にあたしが妄想の末に勘違いしただけとは意地でも認めないんだから。 そもそも明日はあたしとの大事なデートだっていうのに、こんなところで使っていいお金なんて一銭たりともあるわけないでしょ。 たとえどんなにお金を持っていたとしてもそれは愛する彼女のあたしのために使われるべきだ。 あたしは喜び、あたしの喜ぶ顔を見れる正義も喜ぶ。まさに一石二鳥だと思わない? それをあんな子供が遊ぶような訳の分からないフィギュア、しかも女の子の奴に貴重な資金を出すだなんて……腸が煮えくり返りそう。 正義は所詮ただのおもちゃである人形に心奪われて、本当に彼のことを想っているあたしのことなど見向きもしない。 そんなの絶対に許せない。認められない。 本当なら今すぐ正義に怒鳴りつけて一発や二発鉄拳制裁をくわえてやっても、この苛立ちを抑えることはできないくらいだ。 しかし、あたしも鬼じゃない。今日の所は大目に見て、見逃してあげることにしよう。 喜びの絶頂に達している正義を一気に絶望の淵に叩き落とすのもそれはそれで体がゾクゾクしそうだけど、あまりに束縛し過ぎて正義に嫌われたら元も子もない。 彼に拒絶される。それを考えるだけでまるで体温がなくなったかのようにあたしは身体の芯から凍り付いてしまう。 それだけは何よりも忌避すべきことだ。適度にガス抜きもさせないとここまで築き上げてきた信頼や努力が一気に崩れてしまいかねない。 だから正義に嫌われない程度に彼の行動を制限し、同時にやりすぎないように彼の趣味はある程度までは許容している。 ここは何も見なかったことにして、正義がフィギュアを無事に買えたと安心しているところで、このことをちらつかせる。 きっと彼は驚愕、動揺、焦燥、様々な感情が入り混じった顔をあたしに向けてくれることだろう。 「あはぁ……」 それを想像するだけであたしの中の何かがざわめき出す。吐息は熱く乱れ、子宮がずくんと疼く。 正義を好きなように扱い、あたしの思うがままにコントロールする。彼はあたしの手の中で踊り続ける可愛いお人形さん。 ありのままの彼を愛したいという欲求と、あたしだけを見つめてくれる正義に作り変えたいという相反した欲求が心の奥底で交じり合い、渦を巻く。 最早彼に対して矛盾した醜い情欲を抱いてしまうほどにあたしは彼を愛している。 ああ、もうダメ。我慢できない。 心が、身体が狂おしいほどに彼を求めている。早く家に帰ってたっぷりと自分を慰めなきゃ。 今日の所は特別に見逃してあげるけど、明日のデートでこの借りはきっちり返してもらうからね!たっぷり振り回してやるんだから覚悟しなさいよ! 少し名残惜しいけど彼の喜んだ表情をしっかりと網膜に焼き付けてからこの場を立ち去る。 早くあたしを見る時、あたしと話す時、あたしとキスをする時、あたしを抱いている時にそんな素敵な笑顔を見せてくれるようになって欲しいなぁ。 彼への溢れる愛情と一抹の寂しさを感じながらあたしは帰路についた。 398 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 45 32 ID 6Ib4SJyl 『……ーン』 ……ん、今何時だ? 寝ぼけ眼を擦りながら目覚まし時計を手探りで探す。 カーテンの隙間から日の光が差し込んでいるので結構な時間が経っているのではないだろうか。 やべぇ。もしや俺寝坊したか? 昨日俺はヤンデレッドのフィギュアを買い忘れたショックのあまり、帰宅した後飯を食う気力もなくベッドに倒れこみ、そのまま眠ってしまった。 そう、目覚ましをかけることもなく。 おいおい、これはまずいぞ。急いで支度をしなくては。 いまだ覚醒しきっていない重い体を布団という楽園から何とか引きずり出す。 だが壁に張られているヤンデレンジャーのカレンダーが視界に入るとふと違和感に気付いた。 もしかして今日は土曜日じゃないか? そう、今の学生諸君はゆとり教育によって週休二日の恩恵に与っているのだ。 世間では学力低下が叫ばれているようだが遊び盛りの学生達にとってはまさに天国である。 そうと決まれば話は早い。たまにはぐうたらと不貞寝をするのもいいだろう。 俺がもう一度布団の中に潜り込もうとすると、 『ピンポーン。ピンポーン』 チャイムの音が二度この家に響き渡った。 そういえばさっきから一定の間隔で鳴り続けているな。この音で目が覚めたのだからずいぶんと前から鳴っているらしい。 しかし、うるさいな。ったく誰だよ土曜の朝っぱらから。 のそりともう一度起き上がり、寝巻き姿のまま玄関に向かう。 『ピンポーン。ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン』 その間にもチャイムの音は激しく鳴り響く。つーか鳴らし過ぎだろ。 朝起きたばかりの耳にはかなりうるさい。 一体どこのどいつだ?こんな非常識なチャイムの鳴らし方をする奴は。 寝起きの期限の悪さも相まって俺の不機嫌度は既にMAXだ。 このドアの向こうにいる不届き者に一言文句を言ってやらねば気がすまん。 苛立ちでいきり立った俺は鍵を開けてドアを勢いよく開き、 「すいません。うるさいんですけど……」 と、この無礼な訪問者に怒鳴りつけようとしたのだが、 「正義!!あんた今何時だと思ってんの?!もう約束の時間過ぎてるわよ!!」 何故か鬼の形相で怒り狂う佳奈美が目の前に立っており、その凄まじい怒鳴り声に何も言うことができなかった。 おお、体中が痺れる。鼓膜が破れたらどうしてくれるんだ。 「え、えっと……俺何か約束してたっけ?」 約束と言われても思い当たる節がないのでとりあえず聞き返すが、その口調に先ほどまでの勢いはない。 燃え盛る地獄の炎を背後に浮かび上がらせている悪鬼羅刹を前にしてはこんな情けない喋り方にもなる。 決して俺はチキンなわけじゃない。 「『何か約束してたっけ?』ですってぇ……?」 どうやら俺は佳奈美の逆鱗に触れてしまったようだ。 彼女はプルプルと怒りに体を震わせ、その拳はこれでもかというほど固く握り締められている。 その表情は俯いていてよく見えないが多分見えなくて正解だと思う。他の人が今の佳奈美の顔を見たら卒倒してしまうかもしれない。 「あんた今日はあたしとデー……買い物に行くって約束してたでしょ!!」 額に青筋を走らせながら佳奈美が大声で叫ぶ。なんとなく決壊寸前の堤防が頭に浮かんだ。 「……あ」 「『……あ』じゃないっ!!!!あたしがどれだけこの日を楽しみにしてたと……な、何でもないっ!!」 あまりにも普通に俺が忘れていたと知った瞬間、とうとう佳奈美の怒りが爆発した。 怒りのあまり、言葉が支離滅裂になっているようだ。それに所々何か気になるところもあるし。 だがその言葉で完全に思い出した。 今日は佳奈美のご機嫌取りのために街に繰り出して、高い飯を奢ったり、長い服選びに付きあわされ、重たい荷物を一人で持たされるという苦行を行う日だった。 俺は敬虔な修行僧というわけじゃないのに何故こんな酷い目に遭うのか。しかも、報酬を出すどころか、自腹を切らせるなんて。 お前は鬼か、佳奈美!……ああ、そうだ。今目の前にいるのは可憐な少女の皮を被った鬼だった。 こんなくだらないことを思い返している内にも佳奈美の機嫌は悪くなる一方だ。彼女の体から滲み出る怒りのオーラで周りの空間が歪んで見える。 これ以上彼女の機嫌を損なうと俺の身が危ない。ここは素直に謝るしかないな。 399 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 47 09 ID 6Ib4SJyl 「わ、悪い。すっかり忘れてた。すぐ支度するから少し待っててくれ!」 このままこの場にいると危険な気がするので準備をすると言って逃げ出す。 これは戦略的撤退であって、決してビビった訳じゃないぞ。 しかし、約束を忘れて寝過ごしていたといっても佳奈美に起こされたのは少し悔しい。 ……ん?そういえば何か佳奈美に言わなきゃいけないことがあったような…… まぁ、いいか。後で思い出すだろうし、今はさっさと着替えて支度するのが何よりも優先される事項だ。 「……三分で用意できなかったらぶっ飛ばす」 恐ろしく冷たいドスの効いた声が背後から聞こえた。思わず背筋が寒くなる。 こ、恐ぇ~。多分マジだ…… わずか十余年で生涯の幕を閉じるなんて冗談もいいところだ。ピンクさんというまだ見ぬ恋人に出会うまで俺は死ねないんだよ。 まだまだ命が惜しい俺は素直に佳奈美の言うことに従わざるを得なかった。 それから何とか無事に支度を終えた俺はいまだ怒りが収まらぬ佳奈美を宥めながら家を出た。 目的地に向かう間、ずっと佳奈美は俺に文句を言いまくっていた。 佳奈美がここに行こうと普段からうるさかった評判のレストランに入っても彼女の機嫌は未だ直らない。 飯でも食えば少しは機嫌も良くなるか……? 「えっと、これとこれとこれとこれとこれと、あ、これもお願いします」 ウェイトレスを呼ぶと早速馬鹿みたいに大量の注文をする佳奈美。 普段は可愛い女の子らしく見せようとしているのか、皆の前では少ししか食べない。 しかし、その実態はかなりの健啖家で俺よりも食うくらいだ。 さっき注文した料理もきっと気持ちがいいほど綺麗に完食してくれることだろう。 これで金を出すのが俺でなかったら何も文句はないのだが。 彼女の大食いといえば高校に入学して間もない頃のことを思い出す。 クラスで一緒に飯を食っている時に俺は彼女の弁当の中身が余りに少ないことに気付いた。 中学の時は一人男子に混ざって給食のお代わりをするような女子だったのにこれはどういうことか。 驚いた俺は思わず彼女にその訳を尋ねた。 「おい、こんな少しで足りるのか?いつもはもっと食べ……ぐおおおっ?!」 その先の言葉が俺の口から出てくることは遂になかった。 「あれっ?急にどうしたのかな~、正義クン?」 佳奈美がニコニコと可愛く笑いながら机の下ではタバコの火を消すようにぐりぐりと俺の脚を踏み潰していたからだ。 「お、お前……だってこの3倍は軽く……あがっがっががが!!」 多分クラスの皆がいる前で聞いたのが悪かっただろう。先ほどの3倍増しの威力で踏みつけられた。 うん、酷い目に遭ったけど今となってはいい思い出……のわけあるかボケ。 とりあえず公衆の面前で彼女の大食いをバラそうとすると大変なことになるというのは学習した。高い勉強代だったがな。 ちくしょー、可愛い子ぶりやがってこの女。お前に彼氏ができたらこっそりバラしてやろうか。 料理を作れないのに大食いな彼女、あるいは嫁って旦那としたらかなりヤバイと思うぞ? 「かしこまりました。そちらのお客様は?」 「……コーヒーで」 対する俺はコーヒー一杯。この後の出費を予想すると飯なんか恐ろしくて頼めやしない。 空きっ腹に苦い汁を一杯だけというのはあまり体によくなさそうだが、背に腹は変えられないのだ。 その後も、料理が来るまで佳奈美はいかに俺が女性に対して失礼な行動を取ったかをくどくどと説き続けた。 来た後も飯を恐ろしい勢いで平らげつつ、嫌味を言うのは忘れないという実に器用な真似を見せてくれる。 飯を食いながら喋るなって親に教わらなかったのかと思いながらも俺は苦いブラックコーヒーを啜るしかない。 今回はどう見ても俺に非があるからだ。 約束事を破った俺が悪いのは百も承知。それは認める。 だがな、十何年前のことまで話に持ち出してくるのはちょっと大人気ないんじゃないですかね、佳奈美さん? どこまで遡ってんだよ!それはもう時効だろ?! かと言って一度口答えすれば今度こそアウトなので何も言えない。 徳川家康も耐え忍ぶことによって天下を取ったって言うし、ここは我慢だ正義。 400 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 48 00 ID 6Ib4SJyl 「すいませ~ん、この『ウルトラスーパーデラックスパフェ』下さい」 佳奈美が追加注文を頼んだ料理の欄を見るとそこには驚くべき数字が並んでいた。 おいおい。こんなの何個も食べられたら、いくら橙子さんからもらった金があってもやばいぞ。下手したら予算オーバーだ。 この後佳奈美は服も買いに行こうと言い出す可能性が非常に高いのでここは一つ注意しなければ。 「あの、佳奈美さん……それ一つでコーヒー何杯飲めると思っているんですか?それにどうせこの後洋服を買いに……」 「何か文句でもあるわけ?」 「いえ、ありません」 チキンと言うなかれ。あの目は人を殺せる目だった。 結局手持ちの三分の一以上をいきなり失ってしまうことになり、佳奈美が夢中で料理を胃に詰め込む作業を見る羽目になったのであった。 よかった……正義はいつもどおりの正義だ。 ねちねちと嫌味を飛ばしながらご飯を食べていても、彼を細かく観察するのは忘れない。 あたしは彼に気付かれないようにほっと胸を撫で下ろす。 そうだよね。正義があたしのことを放っておいて他の女と浮気なんてするわけないじゃない。 一体あたしは何を思い悩んでいたのだろうか。 彼があたしを裏切ることなどあるはずもなく、これから先もないというのに。 そう考えると随分と気分が楽になり、焦燥に駆られていた心にも余裕が生まれる。 もう正義のこと許してあげてもいいかな? いや、まだまだ彼には反省してもらわなくてはいけない。未来の妻であるあたしを心配させた罪は重い。 それに彼がこうやってあたしの機嫌を取ろうと必死になっている姿を見ると何だかゾクゾクする。 この後、服を買いに行くからその時にあたしをたくさん褒めてくれたら考えてあげよう。 うふふ、正義と二人っきりで服を選ぶの。 『ねぇ、これどう?』 『ああ、すごく似合っているぞ。やっぱり俺の佳奈美は可愛いな』 『ちょ、やめてよ。こんなところで……』 『仕方ないだろ。本当の事なんだから』 『もう……バカ』 えへ、えへへへ……幸せかも。 そうと決まったら早速行かなきゃ。 「正義、次の所に行くわよ!分かったらさっさとコーヒー飲んでお金を払ってきなさい!」 「はいはい。とほほ……」 半分泣きそうになりながら力なくカウンターへ向かう正義。 フン、自業自得でしょ。あたしとのデートの約束を忘れて、家で寝過ごすだなんて万死に値するわ。 健気な未来の奥さんの気持ちを無碍にするとこうなるって覚えておきなさい。 「ほら、男ならいつまでもうじうじしてないでしゃっきり歩く!ヒーローがそんな顔で歩いていたら情けないわよ?」 店を出てからもぼんやりしているので、ばしんと正義の背中を叩いて発破をかける。 「お、おう。そうだな。ヒーローには落ち込んでいる暇はないもんな」 正義も何とか気を取り直したみたいで、ちゃんと顔を上げて歩き始めた。 隣り合って歩くあたし達。その距離は友達と言うには近すぎる距離で。 肩や手を少しずらせば触れ合ってしまうほど。 知らない人から見たらきっと恋人同士って思われるんだろうなぁ。 「何ニヤニヤ笑ってるんだよ?そんなに楽しみか?」 知らず知らずの内に笑みがこぼれていたらしい。正義に指摘された。 「そうね……楽しみにしてるわよ、正義?」 あたしはその問いにとびっきりの笑顔で返す。 正義はお金を払わされるという意味で受け取ったのか、溜息を吐いてがっくりとうなだれる。 その様子がおかしくてあたしはさらに笑いを堪え切れず、噴出してしまう。 どこまでも穏やかで優しい空間があたし達二人を包み込んでいた。 401 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 48 58 ID 6Ib4SJyl 「ふぅ……今日は一体何時間待たされるのかね?」 佳奈美が愛読しているファッション誌に掲載されていた有名店の中で一人立ち尽くす俺。 佳奈美は俺にここで待っててと言い残すと、さっさと目当ての服を探しに行ってしまった。 しかし、いかんせん手持ち無沙汰だな。ここは女物の服しかないので適当に服を見て暇を潰すことも出来ない。 以前その事を佳奈美に言ったら 「だったらあたしに似合うと思う服でも探してなさい。あんたのセンスをこの佳奈美様が見定めてやるわ!」 と言われたのだが、俺にそんなファッションのセンスはない。 大体俺が自分の服を買う時も何故か付いて来て、これはダメ,あれもダメと俺が選んだ服を片っ端から切り捨てて,自分が選んだ服を無理矢理買わせているじゃないか。 そんな佳奈美曰くファッションセンス0の俺が選んだ服を佳奈美に突き出したらなんかしらけた顔で見られそうだ。 それが怖くて、結局言われてから一回も実行していない。 しかし、それはそれで不機嫌になるのだから女ってのは難しい。 ああ、とにかく暇だ。ここはとりあえず先週のヤンデレンジャーの脳内ダイジェストでも…… 「だーれだ♪」 「おわっ?!」 「うふふー、問題です。私は誰でしょう~?」 突然視界を奪われ、同時に澄んだ張りのある無邪気な声が俺の耳に入ってきた。 この声、どこかで聞いたことがあるような……って昨日会ったばかりだろ。 俺は溜息をつくと瞼を抑える柔らかい手を優しく剥がし、呆れた口調でこのいたずらっ子の方へ向き直る。 「ったく。やっぱりお前じゃないか――」 ――認めよう。 あの時、あたしは有頂天になっていた。 彼の全てはあたしが支配し、これからもそれは続いていくと思っていた。 このままいけばいつかは正義と結ばれ、何事もなく幸せな人生を謳歌する。 そんな順風満帆な未来があたし達に訪れる事を確信していた。 天災は忘れた頃にやって来ると言う。なら人災はいつ来るのだろう? 雑誌に載っていた服を見つけたあたしはそれを持って急いで正義の元へと戻る。 これを着たあたしを見て、正義はなんて言ってくれるかな? 『似合ってるぞ』?『可愛いな』?『綺麗だ』? えへ、楽しみ…… あれ?誰かと話しているみたい。 相手は服棚が邪魔でよく見えないが、きっと店員さんと話でもしているのだろう。 以前違う店でも正義と来た時も、同じように正義が店員さんに 「うわー、彼女さん可愛い~!よかったわね、君!こんな子を捕まえられて!」 と言われて、苦笑いしていたからだ。 残念ながら事実とは違うのでとりあえずやんわりと否定しておいた。もう少しでそうなりますけど。 あの時と違うのは正義が楽しそうに話しているところ。 その事にあたしは少し違和感を覚える。 こんな女物の服しか売ってないお店で正義が満足するような話題を振れる店員がいるのか? まぁ、直接その店員に話を聞けば済む話だよね。もし店員さんが美人だからとかだったら思いっきり足を踏みつけてやろう。 そう思ってあたしは正義の元へ駆け寄る。 402 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 50 43 ID 6Ib4SJyl でもいつだって神様は残酷だ。かつてこれ程ほどまでに偶然を呪ったことがあるだろうか。 ――だって再び出会ってしまったのだから。 「ねぇ、これどう思う?正…よ……し………」 そこから先の言葉をあたしは口から出すことが出来なかった。 何故なら―― 「お、戻ってきたか。俺は昨日会ったばかりだけどお前は久し振りだよな?」 のんきに笑顔で彼女を歓迎し、あまつさえあたしと彼女を引き合わせる正義。 今はその眩しい笑みが本気で憎い。 彼の隣には可憐に咲く花のような笑みを浮かべてあたしを見つめる少女の姿があった。 一年前よりも彼女はさらに美しく、女らしく成長していた。 しかし、相変わらずねっとりと熱の篭った視線で正義を見つめる所は、憎たらしいことに少しも変わっていなかった。 「お久し振りです、佳奈ちゃん。元気にしていましたか?」 ――そこには一年前あたしが欺き、陥れ、切り捨てたはずの忌々しい過去の亡霊がニコニコと微笑みながら立っていた。 403 名前:Un reencounter[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 04 57 57 ID 6Ib4SJyl 投下終了です 書き忘れましたが、これは「Rouge?Blanc?」の続編です あとトリは付けた方がいいですか? 付けた場合、過去に名無しで投下した作品は申し出れば追加していただけますか? 404 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 05 53 59 ID XL9vicIy GJ!! 鳥はつけた方がいいと思う。 405 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 09 01 58 ID iKpbjW4j 403 GJ。待ってました。 鳥は無いよりあったほうが良いかと 406 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 12 18 35 ID pUbOYLkW 403 佳奈美が一人悶えてるエロ部分よりも、 泥棒猫をどうやってなぶり殺しにするかを考えている所に萌えてしまった俺ガイル。 407 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 13 52 37 ID AYn1EyT/ 続きキターーー!!GJ!次たのしみにしてます 408 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 16 34 01 ID cdfZ+2K7 ぐっじょぉぉぉぉぉぉぉぉぶ!!! この戦いはwktk感がすげぇwwwww 次回も待ってます!!! 409 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 16 55 26 ID 7fr3Tnhz 続き書かれないと思ってたからめっちゃ嬉しいぜ!! 410 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 17 17 43 ID 6kUpzDYV 待ってた甲斐があった! 411 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 20 50 45 ID mbekqtfE GJするしかない! 412 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 21 01 42 ID p5gZ70O5 じーじぇい! 413 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 22 51 59 ID tLXumNku 403 おもしろ過ぎて発狂したw GJ!!! 414 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 23 50 29 ID NYB1PMsT 鈴音キター! みなぎってきたぜ!! 415 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/02(火) 23 58 41 ID 3QedMfxd 403 GJ!! さあ、次はどんなバトルが……?と期待しまくりだ。 416 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/03(水) 00 14 08 ID nxmR9Wzm 403 超GJ!! テンション上がってキタアァ!! 417 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/03(水) 16 14 48 ID A8kIrHR0 佳奈美の病状も悪化してワクワクしてきたぜGJ!! 418 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/03(水) 18 06 35 ID tUOoJ+SM 403 GJ! クオリティタカスwww 419 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 18 42 32 ID eJSj8HQF vipper死ね 420 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 18 47 12 ID eJSj8HQF 419 誤爆した、すまんスルーしてくれ 421 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 19 51 15 ID aAgQ0Ff/ あの人を狙う雌豚は皆死ね 422 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 21 40 27 ID 8ofp383z 金持ちヤンデレと同居する男 ヤンデレの親からの仕送りで十分食っていけるのに、 男は「いつまでもお前のお父さんに頼っていられない」といってバイトへ出かける。 たまたま外出して、男の後をつけていくと、そこには懇ろに男と話をする女の姿が―― 423 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 22 02 25 ID kHoVN0kW すばやく護身用のコンバットナイフを確かめる。 ―――殺れる・・!ッ・・・。 気配を消して、そっと女に近づく。 女「男君って彼女とか居るの?」 424 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 22 25 22 ID 8ofp383z 男「いないよ、今度ウチに来る?」 女「うん」 背中を刺すような気配を感じたが男は気にしない。 男(やれやれ、あとはいかにしてヤンデレを外出させるかだな) 425 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 02 12 37 ID dO5fynha 雌猫さん死亡フラグ全開ですね 426 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 07 41 17 ID kUiJGfzj なんで猫なんだろうね 427 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 09 37 42 ID 76T9CMj4 「この泥棒猫!」から来てるんじゃね ヤンデレが「雌豚」って言うと少しアレだが「雌猫」ならなんだか可愛いげがある希ガス 428 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 12 18 25 ID 8UDFSlfr 雌猫でくぐったら、排卵日がなく交尾が成功した場合90%が妊娠するらしい あと発情期とかも関係あるんじゃないか? 429 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 12 36 30 ID dLCFz8jA 単純にさかる動物として身近だからでは。 春になればニャーニャー鳴きまくってうるさい。 猫は雄のペニスに逆さ向きにトゲがついていて、 射精後に抜くときに膣内をひっかく。 その強い痛みで排卵をする。 430 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 18 42 43 ID iewxNddR このどろぼうぬこ! なんか可愛くなった 431 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 18 43 37 ID AiZYWwT5 私の秋刀魚を返しなさい! 432 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 19 05 12 ID IOaeOMcI 431 「私の秋刀魚=愛しい○○君(のお○んちん)」という意味ですね分かります 433 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 20 41 49 ID kUiJGfzj わんわんお(∪^ω^) 434 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 21 57 06 ID YWiEszuo (∪^ω^)アルトくぅ~ん 435 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 22 00 16 ID a3Df30bX 顔文字きめぇ 436 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/06(土) 17 02 36 ID Z4ESyvSu ヤンデレメイドに明日デートの旨を伝えたい 437 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 00 03 ID 9YLzBs9Y ぽけもん 黒投下します 第十話です 438 名前:ぽけもん 黒 長老の頭が一番フラッシュ ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 01 37 ID 9YLzBs9Y 食事を終えた僕たちは、部屋に荷物を取りに戻るとそのまま桔梗町に向けて出発した。 三十番道路はお使いのときに一度通ったということもあり、実に順調な行軍だった。ただ、そこまで早く進めているわけでもない。完全に僕が足を引っ張っていて、全体の速度を落としている。ただの人間である僕には、二人の速さにはとても合わせる事が出来ない。 それと、以前のようにトレーナーを避けるのが難しくなってきたというのもある。今までは向こうも戦いに消極的だったっていうのもあるけど、全国の旅となれば当然、各地区にいるジムリーダーと戦っていかなくてはならなくなる。 トレーナーとパートナーを相手にした戦闘はジムでの戦いに向けた絶好の予行演習になる。それに、ここまでの旅で野生のポケモンとの戦闘に慣れて、自信がついてきたというのもあるんだろう。 すれ違うトレーナーは皆バトルに積極的だ。相手に見つかったら、問答無用でバトルを申し込まれてしまう。 ……まあ香草さんの相手にもならなかったんだけどね。ポポに空から降りてきてもらう必要も無く、僕が一切手出しを行う必要が無いくらい、瞬時に相手を戦闘不能まで持っていってしまう。 今まで野生のポケモンとしか戦ってなかったから香草さんの強さは半信半疑だったんだけど、香草さん自身が言うとおり彼女はまさに無敵という言葉がふさわしいような強さだった。 バトルに負けた相手は勝った相手に所持金の半分を差し出さなくてはならないと決まっているので経済的にはおいしいんだけど、なんだか罪悪感が積もる。 それでも日没までに三十番道路の終わりのほうまで進むことが出来た。ポケギアのGPSによる判断だから、実際に残りの道がきつい上り坂だったりすると、全然終わりのほうと言えないんだけどさ。 香草さんとポポはまだ進めると言ったが、ポポは相変わらず夜目が利かないため、やはりここで止まることにした。 若葉町から吉野町までの行軍で前よりも大部進むペースが速くなっているから、すべての食事を木の実に頼らず乗り切れるということに気がついた。でも、やはり食料を節約するに越したことはないので、以前のように朝食だけは木の実で賄うことにした。 いつものように香草さんとポポに挟まれ、夜を明かすと、また桔梗市へ向けて進む。その途中で、生垣に突き当たった。 両脇や周りは太い木が群生していて、下手に入ると危なそうだけど、ここだけ木の向こうは獣道のようになっていて迷わないようになっているから、この生垣を何とかできればかなりのショートカットが出来そうだ。 「こういう場所で居合い切りを使うのかな」 「居合い切りって?」 足を止めて考えていた僕に、香草さんが問いかけてくる。 「剣の達人とかさ、これくらいの藪とか細い木とかスパーンって斬っちゃえるんだって。シルフカンパニーが秘伝マシンを開発したらしくて、ポケモンは簡単に覚えられるみたいだよ。もちろん、覚えられないポケモンもいるらしいけどさ」 でも僕は居合い切りの秘伝マシンなんて持っていない。というか技マシンの一つも持っていない。僕の小遣いで買えるような安価なもので、特に必要のある技マシンがなかったというものある。 「あら、そんなものいらないわよ。見てなさい」 香草さんはそう言うと、両袖からそれぞれ数本ずつ蔦を伸ばし、それを束ねた。そのまま両腕を胸の前に交差し、強く左右に薙いだ。 一閃。――いや、二つの束だから二閃なのかな、まあそんなことはどうでもいい――彼女は一瞬の内に幅数メートル、奥行き数メートルの生垣を一掃した。 ……こういうのって、ありなのかなあ。 僕はただただ、彼女の破壊力の高さと非常識な発想に呆れるしかない。 「どうしたの、間抜けな顔して。早く通らないとまずいわよ、コレ」 香草さんに言われてみてみれば、薙ぎ倒された木々の切り口からはすでに木の芽が生え始めており、全体が急速に再生しつつあった。 そもそも、居合い切りで切れるような木というものは一部の人間の通行だけを許す自然の扉なのだから、こうでもならないと使われたりしないだろう。しかしそれが分かっていても、映像として目の当たりにすると驚かされてしまう。 僕は先を行く香草さんの後に続いて、慌ててその道を抜けた。ポポはそもそも空を飛んでいるから地上の木々など問題なく飛び越せる。 439 名前:ぽけもん 黒 長老の頭が一番フラッシュ ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 02 35 ID 9YLzBs9Y でも、このお陰で大きくショートカットに成功したのは事実だ。タウンマップによると、この道を通っていくと「暗闇の洞穴」を素通りしてしまうのだけど、 そこは真っ暗で、秘伝マシンの「フラッシュ」を使用されたポケモンがいないと何も見えないほどの暗さだということだし、そもそも最短ルートからは外れているからもともと立ち寄らないつもりだったので問題は無い。 僕らはそのまま三十一番道路を走破し、日没前に桔梗市へとたどり着いた。出来るだけ二人のペースに合わせていたから、疲労で足が折れそうだ。 この町を回るのは明日にすることにして、すぐさまポケモンセンターに行って手続きを終えると、その日はそれ以上のことはしなかった。ちなみに、ポケモンセンターの内装は全国すべて共通のようだ。 というのも、このポケモンセンターの内装が吉野町のものとまったく変わらなかったからだ。 初めてでも迷う心配が無いので便利というか安心というか、そういう意味で言えばそのとおりなんだけど、まったく違う場所なのにまったく同じ施設を建てる、というのも無駄な気がしなくもない。 外と変わらず、僕らは一つのベッドに三人で固まって寝ている。正直言って狭い。でも二人がこうじゃなきゃ嫌だというから、しょうがなく妥協している。 翌日は早朝から市内を巡ってみることにした。ここ桔梗市はさすが古都と言われるだけあって、町並みも建物も中々に趣がある。ポポは町並みにはあまり興味が無いみたいだったけど、香草さんは目を輝かせていた。 尋ねたら「ロマンチックで素敵」ということだ。確かにいい街なんだけど、いつまでもブラブラしているわけにもいかない。そもそも、市内探索だって半ば日が高くなって香草さんが本調子になるまでの時間潰しみたいなものだし。 この街には、「マダツボミの塔」と呼ばれる、古い塔がある。風もないのに大黒柱がゆっくりとだけどユラユラと揺れるとても不思議な塔で、この街の一番の名所になっている。一説によると、巨大なマダツボミが塔の柱になったから揺れているのだとか。 この塔はもともと修行のために建てられたということで、現在も多くの僧が修行に励んでいる。 僕がこの塔に来た目的は観光でも――観光という意味も少しはある――修行でもなく――そもそも僕らは僧侶じゃないしね――、この塔の最上階まで行くと秘伝マシンの一つ『フラッシュ』がもらえることになっているからだ。 秘伝マシンは戦闘に役立つものは少ないが、先に進むには無くてはならないものが多いため、是非とも手に入れたい。 というわけで、僕たちはマダツボミの塔へと乗り込んだ。 入り口から真正面にその例の大黒柱はあった。確かに、ゆっくりと揺れている。その大黒柱を囲うように座禅を組んだ修行侶が数人座っていて、なにやら物々しい雰囲気を醸し出している。 その修行僧さんの集団と目を合わせないようにしつつ、どんどん階段を上っていく。すると途中で修行僧さんに声をかけられ数回戦闘になった。 修行さん僧のパートナーのポケモンはみな揃ってマダツボミばかりだ。相性の問題を考え、全戦ポポで戦ったが、香草さんは自分でも楽勝なのに、と道中不満げだった。 そしてあっという間に最上階。そもそも五階建ての塔だから、上るのにそんなに時間はかからなかった。 その階の一番奥に、「長老」と呼ばれる老僧がいた。彼の後ろには箱が山積みにされている。アレがフラッシュの秘伝マシンなのだろう。 「よくここまで着ましたな。では、あなたが秘伝マシンにふさわしい人間か、テストをさせて頂きます」 長老さんは威厳のある、渋い声でそう言うと一歩後ろに下がる。すると脇に控えていたマダツボミが前に出た。精悍な顔つきをした、たくましい男だ。 「彼と戦って、三十秒以上気絶せずに耐えることができたら合格です。三十秒以内に気絶した場合は不合格ですよ」 その長老の言葉に合わせるように、マダツボミは大胸筋をピクピクと震わせた。 これは油断できないかもしれないな。 440 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 03 04 ID mvBMDrtu 支援 441 名前:ぽけもん 黒 長老の頭が一番フラッシュ ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 03 29 ID 9YLzBs9Y 油断する間も無かった。 念のため、戦闘を行っておらず体力が温存できている香草さんに戦ってもらったのだが――ポポは当然ごねたけど、いつものように宥めた――、秒殺、いや、瞬殺であった。 足元に放たれた蔦の一閃を避けた敵に突き刺さる容赦のないボディーブロー、そしてそれによって生じた一瞬の隙をついて蔦で上空へ放りなげる香草さん。 相手は一切の防御も反撃も取る間もなく、空中という飛行能力を持つ生物以外には回避不可能な領域で、蔦による情け容赦の無い無数の突きを加えられた。彼が地上と再会した頃には、もうすでに彼の意識は無かった。 落下してきたマダツボミによって巻き上げられた粉塵が引いてくると、そこから赤く輝く鋭い双眸が浮かび上がる。 長老さんは完全に引いている。えらいもん見ちまった……みたいな顔をしている。 「三十秒もたなかったみたいだけど、どうなの?」 香草さんの、研ぎ澄まされた刃物のような言葉を向けられて、長老はビクリとその身を震わせる。 「ご、合格です、おめでとう。これが約束の秘伝マシンだから……」 しかしさすがは年の功、と言ったところか。香草さんの睨みを意にも介さず……というのはさすがに無理なようだが、それでも自分に割り当てられた使命を果たそうとしている。僕だったら怖くて声もかけられないだろう。 「ど、どうも」 香草さんにこのまま荷物を受け取らせるのはなにやら危険な気がしたので、僕は自分から進み出て長老からダンボールの小包を受け取った。 「どうゴールド! 見た!?」 香草さんは先ほどの気迫はどこへやら、嬉々として僕に尋ねてくる。 「う、うん、すごかったよ」 一部速過ぎて見えなかったけどね……。 「当然でしょ! 私、ゴールドを相手にするときはいっつも手加減してるんだからね!」 彼女は誇らしげに胸を張ってそう言った。 確かに、蔦の速度といい、容赦の無さといい、僕に向けられるそれの比ではなかった。一応、乱暴ではあるものの、彼女なりにパートナーである僕を気遣っていたのだろう。 つい先日のことが思い出されてゾクリとする。あの状況で彼女にも僕にもなんの怪我もなく逃げ切れるなんてとんだ思い上がりだった。僕の持っている、出来れば使いたくは無い道具すら総動員しても、 彼女の初手に対応できない限り一切の活路はない。そういう意味では、あそこでおとなしく香草さんが引き下がってくれて本当によかった。きっとあの状況だと、香草さんがその気になれば僕は今頃五体満足ではなかっただろう。 尤も、ポケモンセンターの中でそんな大きな騒ぎを起こした時点で彼女の負けなのだが。 「坊や、少しばかりお話よろしいかな?」 帰ろうと振り向いたとき、後ろから長老さんにそう声をかけられた。穏やかな口調だ。もうすっかり冷静さを取り戻しているようだ。 再び振り向いた僕は、彼の様子から「二人きりで話したい」ということを感じ取った。 「香草さん、ポポ、先に降りててくれるかな。もう修行僧さんは皆倒したし、一本道だから大丈夫だよね?」 僕は二人にそう声をかける。 「どうして?」 香草さんは怪訝そうだ。 「長老さんと、二人きりで話したいんだ」 「話だけなら、私がいたっていいじゃない」 「ホホホ、お嬢ちゃん、男には女性に聞かれたくない話というものがあるのですよ。君がこの少年を好きなのは分かるがの」 長老さんは冗談交じりにそう言った。 「べ、別にそんなんじゃないわよ! ただパートナーとして気になっただけよ! いくわよ! ポポ」 香草さんは慌てて、ポポを引きずって階段を降りて行った。 たとえ事実でも、そこまで強く否定しなくても……。 若干へこんでいた僕に、長老さんは急にまじめな顔になって話を切り出す。 「さて、本題ですが……あの嬢や、只人ではないでしょう。あんな恐ろしい目は、そうそう見るものではありませんからの」 「目?」 想像だにしていなかった言葉に、僕は思わず鸚鵡返しに聞き返す。 「そうです。あの目に宿った影。あれはいずれ彼女自身を傷つけ、そして、君にも被害を及ぼすでしょう。あの影は、いつか無実の人を殺す」 442 名前:ぽけもん 黒 長老の頭が一番フラッシュ ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 04 10 ID 9YLzBs9Y 殺す、という物騒な単語に僕は驚いた。 長老さんが何を言わんとしているか、いまいち飲み込めない。目とか影とか被害を及ぼすとか……香草さんは確かに乱暴なところはあるけど……。 「彼女は決して悪い人間ではありません。彼女の強さでそう思ったのなら、それは見当違いです。彼女の強さとか、決意には理由があるんです」 「ゴールドさん、と言いましたかの? 今はまだ正気を保っていても、誰があの嬢やが変わらない保障できるのです? その力が、その目的以外に振るわれぬ保障など、誰も出来はしないのですよ」 何なんだ一体。香草さんを侮辱したいのか? 一方的に自分のパートナーが倒された腹いせか? 僕はだんだんいらいらしてきて、つい語気が荒くなる。 「長老さん、あなた、さっきから何が言いたいんですか! そんなに彼女を悪者にしたいんですか!」 「私は見てのとおり、老いさらばえておりますが、まだ耄碌してはおりませぬ。私は今まで無数の人を見てきた。 老いてこそ身につく能力というものもあります。ゴールドさん、あなたは彼女をしっかりと見守ってあげなくてはなりません。彼女を止めれるのは、一番近くにいるあなたに他ならないですからの」 長老さんは、僕に無礼な態度をとられたというのに、あくまで冷静だった。なにやら達観しているような、淀みの無さを感じる。 僕は無言で彼を睨む。しかし彼はそれをまったく意に介していないように続けた。 「ただ、あの嬢やの傍にいてあげるだけでいいのです。ゴールドさん、この老いぼれの言葉、努々忘れてはなりませんぞ」 「……ご高説どうも。では、僕はもう行きますので」 「待ちなさい。最後に一つだけ、これを持って行きなさい」 長老はそう言うと、懐から鈍色の、人差し指をふた周りくらい大きくしたような筒を取り出し、僕に差し出した。 「……なんですか、これは」 僕はそれを一瞥すると、それを受け取りもせず、長老を睨む。 「これが何か、は時が来ればおのずと分かりましょう。これを肌身離さず持っていなされ。きっと、ゴールドさんの助けになるでしょう」 そう言う彼の表情は真剣そのものだった。 あれだけのことを言われておいて、彼から何かを受け取るのは癪な気もするけど、彼が懐から取り出したということはおそらく持ち主に害を及ぼすものの類ではないだろう。もらっておいても損はないはずだ。 僕は無言でそれを受け取り、胸ポケットに収めた。 あなたの旅の息災を祈っております。その長老の祝福を背に、僕は階段を降りた。 外の明るさに、目を細める。 「早かったわね」 僕がものをちゃんと見えるようになるより前に、香草さんに声をかけられた。穏やかな笑顔をしている。これが、人を殺す者の顔であるはずがない。 「うん、大した話じゃなかったんだ」 「……で、結局どういう話だったの? あ、別に女の子には言えないような話が何か気になるとか、別にそういうんじゃないわよ!」 今も慌てて頬を染めて否定している香草さんが、悪い人間なわけが無いじゃないか。 「別に、旅の無事を祈る、みたいなくだらない話さ」 僕は半ば笑い飛ばしながら言う。 そう、くだらない話だ。 「そう、ならいいけど」 「……」 「どうしたの?」 「いや、疑わないのかな、って」 以前の香草さんなら、そんなの嘘でしょ! 馬鹿にしてんの!? くらいは言ってきただろうに。 「だって、もう私に嘘はつかないって約束したでしょ?」 香草さんはキョトンとして僕に尋ね返した。 「……そんな約束したっけ?」 そういえば、この間、もう私に嘘はつかないで、みたいなことを言われた記憶はあるけど、あれはあの場限りの話だと思ってた。 「したわよ」 煮え切らない口調の僕の迷いをぶった切るように、香草さんははっきりと言い切った。 「……したかもね」 「もし嘘ついたりしたら……酷いんだからね」 そう言って彼女は意地悪げに口の端を吊り上げる。もし彼女が蛇で僕が蛙なら、今頃恐怖で悲鳴すら上げられなくなっているだろう。 「はい、よおく覚えておきます。絶対に嘘をついたりはしません」 「よろしい」 僕の大仰な返事を受けて、彼女はにへーっと笑った。 「ゴールドと香草サンばっか楽しそうにしててずるいですー! ポポ寂しいですー!」 と、いきなり今までまったく話に加わっていなかったポポに飛び掛られた。 「ご、ごめんね」 僕はポポの頭を撫でながら謝る。しかし、今度は香草さんから鋭い視線を感じる。 う……こっちを立てればあっちが立たずだ。香草さんは一体何が気に入らないんだろう。 僕はただ、苦悩させられるばかりである。 443 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 05 55 ID 9YLzBs9Y 以上で投下終了です 当初は十話、約十万字程度で終わらせるつもりだったのが気がついたら十話でもまともにヤンでいないというのは一体どういう(ry どうかおおらかな心でお願いします 444 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 08 49 ID mvBMDrtu GJ、そして乙。 香草さんは十分ヤ(ry 445 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 15 36 ID a9pE3e2h リアルタイムGJ! 香草さんはもう片足以上危険ゾーンに突っ込んでると思う 446 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/06(土) 23 21 30 ID 2/qj+foN GJ だが香草さん無双すぎだw彼女が暴走したとき止めれる奴いるのか 447 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 00 15 39 ID 8i8GePnd 同じ草タイプなのにマダツボミ可哀想すぎるw GJ! 448 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 00 23 31 ID RYs32Fbz GJ!! 相手が弱点属性じゃなければ香草さんほぼ無敵だなw 449 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 00 27 06 ID lSUOdH2p 弱点属性であれば追い詰められてゴールドのためにさらに覚醒というのが見えそうで・・ 450 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 00 56 17 ID taKrNr8n サブタイトル酷すぎwwワラタwww GJ! 451 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 03 31 58 ID ZcU1mNj7 乙です てっきり長老の頭が30秒フラッシュするのかとおもたww 452 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 09 13 34 ID fn3GMyDI GJ! 十話どころか百話でも読んでいたいです! 殿堂いりするまでじっくり描いていただけたら嬉しいです。 453 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 10 51 13 ID pEsWriI1 GJ!! 毎回楽しませてもらってますw 454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 16 16 10 ID c56em8ct GJ!ついにマダツボミのとこへw 455 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 16 29 33 ID y+u5NYUe 「他の女に触っちゃだめ! 近づいちゃだめ! 同じ空気吸っちゃらめえええええ!!!!」 456 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 25 59 ID /kPuzFbe 最後のはどうしろと… 457 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 36 09 ID weaCV8HC 常に人工呼吸ってことだろ 458 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 38 52 ID J3QiSMbn ヤンデレは自己中 459 名前: ◆mkGolZQN7Y [sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 43 02 ID RYs32Fbz 鳥付けてみました 436を見ていたら妄想が止まらなくなってしまったので、 流れぶった切って投下です 460 名前:幸せになったメイドさん ◆mkGolZQN7Y [sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 45 35 ID RYs32Fbz 「俺さ、明日デートの予定あるから夕食の用意はしなくていいよ。彼女とどこかで食べてきちゃうから」 いつも一緒に日々を共に過ごしてきた家族同然のメイドに向かって、彼女の雇い主である男は喜々とした表情で意中の相手と明日デートすることを話した。 彼は長らく思い続けてきた女性に勇気を出して、 「よ、よかったら明日一緒に遊ばない?」 と今日ようやく言うことができた。 突然そんなことを言われて彼女も最初は戸惑っていたが、少し考え込むと 「うん、いいよ!でも、約束破ったりしたらひどいんだからね?」 と可愛らしく微笑みながら答えてくれた。 今その光景を思い出すだけでも顔が自然とにやけてしまう。主人としての威厳が。 しかし、明日のデートを想像するとどうしても頬が緩むのを抑えられない。 ニヤニヤと明日のデーットへ思いを馳せている主人を余所に、メイドの少女は顔も向けずに抑揚のない声で答える。 「旦那様。その件ですが、先方からなかったことにして欲しいとの連絡がございました」 「え……?だって今日『いいよ!』って言ったばっかりで……」 先ほど約束したばかりの彼女がいきなりそんなことを言うとは何事だ。 驚き、慌てて彼女の方を振り返ると彼はかすかな違和感を覚えた。 デートは中止にするとの旨の電話が掛かってきたと彼に伝えた彼女の顔はあまりにも無表情で、能面か何かのようだった。 「旦那様……女中風情の私が申すのは差し出がましいことでしょうが、あの御方と交際なされるのはあまりよろしくないかと。 旦那様は何よりも気高く、何よりも麗しく、何よりも優しい心をお持ちになった素晴らしい御方です。 その貴方様がせっかくお誘いになられたのに、それを軽々しく袖にするとは見下げ果てた方です。 そう、あんな女など……しまえば……いえ、何でもございません」 今男に対して忠告、あるいは警告をしている彼女は確かに普段と違っていた。 彼の話を楽しげに聞くいつもの穏やかな表情は今の彼女にはどこにも窺えない。 むしろ、そう……まるで激しい怒りを吐き出す寸前で何とか平静を保っている危うい顔をしていた。 端正な顔を眉一つ動かさずに淡々と喋り続けるその姿に違和感を覚える主人を置いて、彼女は冷たい口調で話し続ける。 「とにかく。旦那様には自分が騙されているかもしれないという自覚が足りていないように見受けられます。 旦那様はとても立派な御方。それ故に身の程知らずの恥知らずな女性達が、常日頃、息を潜めて貴方様を狙っているのです。 それに昔から『女心と秋の空』と言われるように、女の抱く思慕の情など移り気なもの。 もし、旦那様の眼鏡に適うような女性と交際をすることになっても、その方が本当に貴方様のことを想っておられる保障などどこにもないのですよ? 思慕の情を持たない相手にも金次第で簡単に股を開き、相手に飽きたら次々と交際相手を乗り換えるという呆れた女性達が世間には蔓延っているようですね。 一片の穢れもなく、清らかな身体のまま健やかに育ってきた旦那様にとってそのような方達は毒以外の何物でもありません。 彼女達に気を許したら最後。きっと貴方様を悩ませ、苦しませ、全てを蝕み、元の色が分からなくなるまで汚し、そしてボロ雑巾の様に捨てるでしょう。 決して貴方様をそのような不埒な輩に渡すわけにはいきません。そう、例え何があっても絶対に……」 過剰なほどに自分の主を褒めちぎり、それとは逆に今の女性が低俗な恋愛観を持っているかを力説する彼女の顔は俯いていてよく見えない。 だが固く握り締められたこぶしはプルプルと震え、彼女が何かに対して怒り狂っていることは男にも分かった。 しかし、彼には普段あまり感情を表に出さない彼女が一体何に対してそこまで憤りを感じているのかまでは理解できなかった。 最も理解していたところで彼の運命は変えることはできなかったに違いない。 461 名前:幸せになったメイドさん ◆mkGolZQN7Y [sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 48 30 ID RYs32Fbz 「どうしてもとおっしゃるなら、旦那様にそのような女性達の思惑を見抜き、誘惑に誑かされぬ屈強な精神を作っていただく必要があります。 そう……例えばこんな状況になったら旦那様はどうなされますか?」 言い終わって顔を上げた彼女は笑っていた。 いつも一番傍にいて、最も多くの時間を共にした男でさえ見たことのない妖艶な暗い笑みを浮かべて。 そして彼女は身に纏うメイド服に手をかけ、ゆっくりと一枚一枚丁寧に衣服を脱ぎ捨てていく。 まるで飢えた男を挑発するかのような淫らな動きを彼の目に焼き付けるために。 均整の取れた美しいプロポーションをメイド服の下に隠していたが、今それは月明かりの元に全てが曝け出されている。 メイドの思惑通り、自分の主人はただポカンと口を開いたまま、視線を外さずに食い入るように見つめることしかできなかった。 その様子を見て、一子纏わぬ生まれたままの姿になった彼女はおかしそうにくすくすと笑い声を漏らす。 「さぁ、旦那様。こうやって体を使って迫るような悪いオンナは早く振り払ってください。ほら……」 そう言うと彼女は出来る限り素早く、しかし主に痛みを感じさせぬように優しく押し倒す。 突然メイドが衣服を脱ぎだし、自分を誘惑するかのような行を目の当たりにして、半ばパニックになっていた彼は、あっと言う間の出来事に抵抗することも忘れていた。 ふと股間の当たりに甘い痺れが走る。気が付くと彼女が浅ましくズボンの中で暴れる彼自身を、布越しから愛しそうに撫でていた。 「ダメじゃないですか。こんなに大きくしてしまっては。これではやめろと言っても説得力の欠片もありませんね?ではこのまま続けます」 彼女は嬉しそうにズボンの中に窮屈に押し込められていた彼の愚息を取り出す。 本来自分に使えるメイドである少女に今は良い様に弄ばれているというこの状況に、彼の肉棒は痛いほど反応していた。 「素敵です、旦那様……いつまでも子供と思っていたらこちらの方もすっかりご立派になられて……私は嬉しいです」 恍惚とした表情でうっとりと顔を赤らめるメイド。最早その瞳は焦点を結んでおらず、情欲に潤みきっていた。 彼女の熱い吐息が男の肉槍にかかり、ひんやりとしたその細い指が決して逃さないように絡みつく。 その度に彼は情けない嬌声を漏らし、ビクンと身体を跳ねさせる。 「そう……これでいい……旦那様の純潔がどこぞの薄汚い泥棒猫に奪われるくらいなら、私が……」 自分が使えている主人のあられもない痴態を見て、彼女はとても満足そうに呟く。しかし、その声はまるで呪詛を唱えた様に低かった。 のそのそと体を起こし、仰向けに横たわる自分の主人の上に覆いかぶさる体勢となる。 そして、彼女は腰を浮かすと熱くそそり立つ彼の一物を掴み、自身の秘所へと導く。 既にそこは男と男そのものを欲しがるあまりに、溢れ出る蜜が糸を引くほどに熱く潤っていた。 最早彼女は我慢の限界に達していたが、わざとその蜜壷の中に彼を招待しようとはしない。 「んっ……入れたいですか、旦那様?いいですよ。たっぷりとこの卑しい召し使いめの肉壷の中にたっぷりと子種をお吐き出しになってください。 でもちゃんと言葉にして誓ってください……あのような端女のことなど忘れて、私のことを愛すると……そして、死が二人を分かつその時まで私を愛し続けると……」 彼に脅迫としか思えない言葉を投げかけ、入り口を怒張した陰茎の先端で軽く擦る。 だがその熱く潤った花弁の奥への侵入は決して許さない。焦らしているのだ。 その生殺しともいえる悪戯に男は情けない声で呻くのみ。 彼にはもう主人とメイドの禁じられた関係などを気にしている余裕はない。 『早く入れさせてくれ!!』『精液を吐き出して楽になりたい!!』 完全に性欲に支配された男の頭では、目の前で意地悪く微笑む少女の体内に自分の分身を埋めることしか考えられなかった。 462 名前:幸せになったメイドさん ◆mkGolZQN7Y [sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 49 22 ID RYs32Fbz 「―――!!」 とうとう耐え切れなくなった彼は息も絶え絶えに彼女に向かって何かを呟く。 まるで囁くような掠れた声だったが、彼女の耳は決してその言葉を聞き逃すことはなかった。 やっと彼女が大事に育ててきた想いが報われた瞬間だった。 彼女の顔に満面の笑みが広がる。しかし、それはあまりに美しく、妖しく咲き乱れていた。 もう誰にも渡さない。一生離さない。旦那様は私のものだ。 今は快楽に支配された体だけの淫らな繋がりかもしれない。しかし、いずれは心も私の虜にしてみせる。 そして、私にはその自信がある。何故なら彼をこの世で一番愛しているのはこの私なのだから。 「旦那様、愛しています……」 そう言って彼女は今日見た中で最も美しい笑みを浮かべ、彼の唇にそっと口付けをする。 彼女にとってそれは誓約であった。自分は男を愛し、男は自分だけを愛するという誓いを互いの体に、心に刻み付ける。 そして、彼女は最後の仕上げとして彼の熱く滾ったペニスを彼女の入り口にあてがうと、一気に腰を落とした――― その後、主人である男とメイドの少女は忽然と屋敷から姿を消した。そして、彼らの姿を見た者は誰もいない。 ただ一つ言えることは、かつてただのメイドにしか過ぎなかった少女はあの日、この世で最も幸せな女になったということだけである。 463 名前: ◆mkGolZQN7Y [sage] 投稿日:2008/12/07(日) 17 53 34 ID RYs32Fbz 投下終了です 前は皆さんにワッフルさせたり、大作の後がこれとか色々とスイマセン…… 464 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 18 04 46 ID taKrNr8n 463 メイドさんに俺から精一杯の祝福を贈りたい。 GJ! 465 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 18 50 17 ID zJ2feEcN 俺もデーットしたいぜ 466 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 19 41 51 ID xoAe/ByE しかしデーッドにもなる 467 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 19 55 52 ID 6puryr8x そろそろクリスマスだな おまえらの予定はどうよ? 468 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 20 16 50 ID FbaBu0/A 463 これは良いメイド しかし振られた女の子の逆襲も見たくなってしまったw 469 名前: ◆mkGolZQN7Y [sage] 投稿日:2008/12/07(日) 20 54 40 ID RYs32Fbz >>デーット なんというミス これはまちがいなくねたにされる と思ってたら本当にされてたorz 直せるものなら直したい しばらくROMってます…… 470 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 21 06 56 ID FbaBu0/A 保管庫に訂正して保管してもらえばいいんじゃない? 471 名前: ◆mkGolZQN7Y [sage] 投稿日:2008/12/07(日) 21 14 21 ID RYs32Fbz 470 そうですね…… 保管庫の管理人さんへ もし見ていたら他の誤字脱字はともかく、 460の12行目にある「デーット」だけはどうか「デート」に直していただけないでしょうか? 厚かましいお願いですが、どうかよろしくお願いします 472 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 21 22 43 ID YOOCQmAu wikiなんだから自分でやれよ 473 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 21 32 06 ID We3r0tDo まあまあ 自分の作品を自分で載せるのは抵抗がある人もいるし それに誤字と言っても無理に訂正する必要もない気もするけどな たいていの作品に一個や二個は誤字脱字はあるものだし 474 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 00 14 23 ID 7e6Rt89M GJ! いいなぁ…メイドいいなぁ… 475 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 01 16 15 ID /TF1kZBW 467 その話題に誰も触れようとはしない 476 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 01 48 22 ID KBT30P9l 自演乙 477 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 05 56 34 ID D33g1qUL 自演ではないが… ヤンデレの彼女が欲しい… 478 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 07 25 10 ID GrHzOXEv みんな欲しいよ! 479 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 09 23 08 ID 2cXWSHRk 477 一番大切なものって、案外すでに持ってたりするんだよな 480 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 13 54 20 ID zdqw3Jds 貴方の身辺の水面下で何が起こっているか把握したらあるいは… 481 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 20 25 27 ID mPIzvdZm 昔ちょっとヤンデレ気味の娘と友達以上恋人未満な感じだったんだが リアルに恐いと感じたことがあった…… 482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 20 46 24 ID QUfeXmiD 惜しい事を。 でも、今このスレに居るという事はその娘のことを忘れられないんだろ? 今すぐよりを戻せ。骨は拾ってやるから代わりに観察させろw 483 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 20 56 48 ID 2cXWSHRk 馬鹿だな。骨の一片まですべてあの子のものに決まってるじゃないか。俺達が手に入れられるわけが無い よって骨も拾ってやれないが行ってこい 484 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 21 25 08 ID X/uBjTtv いや待て、 481は「骨を拾わせる」という名目で 482を誘いこむ為のヤンデレ娘の罠ではないだろうか 485 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 21 33 55 ID o8pBTmPy 嫌な流れ 486 名前:482[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 21 36 47 ID QUfeXmiD ちょっと、骨拾ってくる。ノシ 487 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 22 24 39 ID p3fKUhBB ムチャシヤガッテ……(AA略 488 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/08(月) 23 14 13 ID e5dSRAPM ヤンデレの彼女が家にいない間に他の女を家に呼びたい スリルショックサスペンス 489 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/09(火) 03 34 26 ID 5jEd93gA 俺なんかヤンデレの彼女を大事に大事にしてみたいぜ。 でも相手からは俺の身体に触れさせないぜ! 490 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 15 41 ID P3hsFZwf 第8話投下します。 491 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 16 18 ID P3hsFZwf 飛鳥くんに拒絶されて、何がなんだかわからなくなった私はただ、子供のように泣きじゃくっていた。 視界がぼやけ、床が生き物のようにぐにゃりと歪む。立つことすらままならない。怖くて寒気がとまらない。今の私はそんな状態だった。 「…だから言っただろう。もうよせって。」 男の人の声がした。この声はたしか…斎木くんだったかな? 「私…もうだめだよ。飛鳥くんに拒まれてまで生きていたくなんかない。」 実際その通りだった。もしこの場にカッターナイフがあれば手首を縦に切り裂き、縄があれば迷わず首をくくれる。…もう絶望しきっていた。 でも、斎木くんはこう言った。 「結意ちゃんは悪くないよ。飛鳥ちゃんはきっと騙されてるんだ。」 「…だまされてる?」 「そう、騙されてる。きっと妹ちゃんにでもそそのかされたんだろ。でなきゃ突然あんなこと言ったりしないさ。」 斎木くんの言葉は魔法のようだった。今の私はそれを疑う術も、余裕もない。むしろ、私にとってその言葉は救いだった。 「…そっか、そうだったんだ。まったく…しょうがないなぁ飛鳥くんってば。それなら早く言ってくれれば良かったのに。でももう大丈夫だよ。」 そう、もう大丈夫。どうすれば飛鳥くんを解放してあげられるか気付いたから。 そんな悪い娘、死んじゃえばいいんだよね。わかってるよ、言ったでしょ? 「私、飛鳥くんの為ならなんだってできるんだよ?」 492 名前:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 17 06 ID P3hsFZwf * * * * * 結意ちゃんのほうはこれでよし、と。次は飛鳥ちゃんのほうだ。一応確認しとかなきゃいけないな。 おそらく…亜朱架さんがやったんだろう。あの人はそういう人だ。結意ちゃんもそうだけど亜朱架さんの愛情も、狂気じみたものがある。 わざわざ研究所を逃げ出してまでここに戻ってきたのは、たぶん結意ちゃんのせいだ。まったく…女のカン、ってのはつくづく厄介なものだよ。 「結意ちゃん。」俺はもう一度声をかける。「俺、これから飛鳥ちゃんのとこに行くけど、良かったらその弁当渡してきてあげるよ。」 「いいの?」 「ああ、たぶん結意ちゃんが行くと迷惑になっちゃうよ。帰ったらきっと妹ちゃんにお仕置きされちゃうんじゃないかなぁ?だから俺が行ってきてやるよ。」 これはもちろん嘘だ。妹ちゃんが飛鳥ちゃんに通常はあってはならない好意の抱き方をしていることは知っているが、実際にはまだそこまでは達してないはず。 亜朱架さんがいるから、まもなくそうなるかもしれないけどな。 「じゃあ、お願いするね。」結意ちゃんは弁当箱を預けてきた。俺はそれを受け取り、飛鳥ちゃんのもとへ向かった。 飛鳥ちゃんはやはり屋上に来ていた。この学校内で教師の目に付かない、サボりに適した場所といえばおのずと限られてくる。 今でちょうど三時限目のチャイムだ。どうせ渡すなら空腹がピークに達する昼時がいいだろう。 場所さえ確認できていれば、すこし寄り道しても問題あるまい。俺は屋上を離れ、人気のない旧校舎に足を向けた。 周りに人がいないことをよく確認し、俺は携帯を取り出した。電話帳から呼び出した番号は、飛鳥ちゃんの自宅だ。 「…もしもし、神坂ですが。」 やはり。この幼い少女のような…それでいてどこか知性が感じられる声。間違いない、亜朱架さんだ。 「お久しぶりですね、亜朱架さん。斎木です。」 「…あら、隼くん。どうしたの、今は授業中じゃあ?」ある意味当たり前の質問だ。 「亜朱架さんも人が悪いな。サボってるのわかってるくせに。」 「そうね。で、サボってまで電話してきて…なんの用件かしら?」 「では単刀直入に…飛鳥ちゃんの記憶をいじりましたね?」さて…亜朱架さんはどう答えるだろうか? 「ええ。飛鳥には悪いけど、あの結意っていう娘のことをちょっと忘れてもらったわ。」 「何のためにです?」 「あなたもわかっているんじゃなくて?妹のためよ。」電話口でひとつため息をついて、亜朱架さんはさらにこう続けた。 「妹の幸せが私の幸せなの。あの娘が飛鳥を愛していたことはずっと昔に知っていたわ。でもあの娘は飛鳥と2人でいられる幸せを壊したくないから言えずにいた。 飛鳥はあの娘のことを普通に妹としてだけ愛していたし、もし知ればあの娘を拒絶するのは目に見えているしね。だから隠していよう、と決めていたみたい。 でも、あの結意って娘のせいでぶち壊しになったのよ。あの小娘のせいで明日香は傷つけられた。だから、2人からその 傷 を消し去ってやったの。」 おおむね予測どおりの回答だ。亜朱架さんの気持ちはあのときから全く変わって…いや、より強固になったようだ。 「そうですか…でも、今回ばかりは俺も折れることはできませんよ。」 「…今でもあのことを忘れられないの?」 「当然でしょう。忘れられるわけがありませんよ、だからこそ同じことの繰り返しだけはしたくないんです。それでは。」 電源ボタンを押し、会話を強制終了する。今の俺の心境は最悪だ。 亜朱架さんは絶対に結意ちゃんを敵としてみなしているはず。俺にとっても今の亜朱架さんは敵だ。 だけどもう絶対に繰り返さない。でなきゃあ俺はまた失うことになる。俺が唯一愛した、あの人のように。それだけはさせない。 493 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 17 50 ID bN3TmLaV 天使のような悪魔たち でお送りします 494 名前:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 17 54 ID P3hsFZwf * * * * * ツー、ツー、と空しい電子音を鳴らす受話器を置き、もういちど今の会話を考察してみる。 まさか隼くんが結意さんについていたなんて……たしかに結意さんはどこか彼女に似ているけど、所詮代わりでしかない。 そんなもの求めたところで何の意味もない。彼もいいかげんそれに気づくべきなんだわ。 でも、私の…私たちの邪魔をするというなら無視するわけにはいかない。最悪、2人とも死んでもらわなきゃいけないわ。 そこまで思案したところで電子レンジのピー、ピーという音が鳴り響く。いけない、まだ昼食の準備をしているところだった。 明日香はテスト期間で今週は帰りが早く、そろそろ戻ってくるはず。さっさと作ってしまいましょう。 まったく…つくづく彼って私の邪魔でしかないわね。 * * * * * 「…ああそういえば、今日は不思議な奴に会ったよ。」 ここは図書室。俺こと佐橋歩は数ある椅子の一つに腰掛け、目前の少女と会話をしていた。話題は、俺が朝がた見張りをしていたときにここを訪れた男についてだ。 「不思議な?それって男?それとも…」 「男だ、心配するな。」 その少女…光は怪訝な表情で性別を尋ねてきた。まったく…こいつは俺が女子と軽く一言二言交わしただけですぐ嫉妬するんだ。 だからまず最初にこれを訊かれるのはもはや毎度恒例と化した。もし女子と話したなんてことになったら、なだめるのが大変なんだ。 「そ、ならいいや。それで、その子は何がどう不思議だったんだい?」と、光が言ってきた。それに対し俺は、 「…視えたんだよ。」とだけ応えた。光にはそれだけで通じるはずだ。誰よりも俺のことを知っている女だからな。 俺は あの件 以来、自分だけでなく他人の未来も視えるようになった。ただ、それはかなり限定…いや、唯一の最悪な未来だけ。それは、すなわち『死』だ。 朝の彼で7人目になるが、今までの6人は死んでいる。みんな俺の知り合いだ。 たとえば、突然行方不明になった級友の男がいた。そいつの未来は、姿をくらませる前日、学校での別れ際に視えた。 そいつは一週間後に死体で発見された。傍には女の死体がひとつ、寄り添うように在ったそうだ。 他にも、視えた直後に事故にあった奴や……自殺した奴までいた。 この間は、クラスメートの女が後ろから別の女に首を掻っ切られるのが視えた。…そしてどうやらその通りになったようだ。 だから俺は以前より人を避けるようになった。授業をさぼれるだけさぼり、その間は図書室にこもりっきりだ。 ノートは光のを写せばすむし…幸い、俺の見た目は不良そのもの。誰も何も言わない。そうやって、なるべく人と関わらないように。 こんな未来、視たいわけがない。止められない、変えられないのに…それでも、今日また視てしまった。 奴は…神坂 飛鳥といったか。あいつもまた、死ぬ運命にあるようだ。できれば外れてほしいが、恐らく叶わないだろう。 何故なら…俺の予知は 今まで一度も外れたことがない んだ。ほんと、無駄な能力だよな。 495 名前:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 18 46 ID P3hsFZwf * * * * * 俺はあのあと屋上に来ていた。さすがにこの季節はだいぶ肌寒いが、今更教室に戻る気もしなかった。 そのまま惰性でここに居続け、気付けば四限目の終わりを告げるチャイムが鳴っていた。と同時に俺の腹も鳴る。 「あー…弁当ねえんだったー…、どうしよ。」 明日香のつくった弁当は先ほど結意が持っていた。今から奪い返しに行くのもなんだかあほらしいな。…仕方ない。隼に何か買ってきてもらおう。 俺はメールを打つべく、ポケットを探る。が…携帯はなかった。それもそのはず、携帯は先日壊れたんだった。ちくしょう、なんてこった。 心のなかで悪態をつき、ため息をひとつ。そこでひとつの疑問符が浮かんだ。…そういや、なんで壊れたんだっけ? 「よお飛鳥ちゃん!やっぱここにいたか。」 聞き慣れた声がする。…隼か。 「ああ。腹減った、なんかないか?」期待はしてないが、訊いてみる。 「奇遇だなあ…実はこんなの持ってるんだ。」 隼は後ろ手に持っていた物体を差し出してきた。それは、先ほど結意が持っていた弁当箱のひとつ…怪しい方だ。 「なんでお前がそれを持ってるんだ?」俺は当然尋ねる。こいつがこれを持つ理由なんて思い当たらないからな。すると隼は、 「それは俺が訊きたいねえ?結意ちゃん、泣いてたぜ。何したんだ飛鳥ちゃん?」と返した。やつにしては珍しく真面目な表情だ。 何をしたか…分かりきったことをききやがって。 「簡単な話だ。ああいうのははっきり言ってやった方がいいんだよ。だからそうした、それだけだ。」と、簡潔に答えてやった。 だが何故だ?今の俺自身の言葉はどこか自分を正当化してる気がしてならない。…いや、俺は当然のことを言ったまでだ。悩むことは無い。 その言葉を聞いた隼は、なにやら黙りこくってしまった。……数秒おいて再び唇が開かれる。 「飛鳥ちゃん…結意ちゃんとデキたんじゃなかったのか?」 ―――――はぁ?結意に続いて隼まで…今日は厄日か?俺と結意が…ないない。あんな変態願い下げだ。もし本当にそうだったら何されるんだか…ああ考えたくない。 俺はその思いを隼に伝えた。 「………そっか、そりゃそうだよな。もし俺が好かれたとしても悪い気はしないけど…結意ちゃんは残念としか言いようがないしな!」 わかってくれたか。なら隼、もう結意の名前を出さないでくれ。 あの結意のすがるような姿を思い出すと無性にイライラするんだ。 くそっ…あんなやつ、どうなろうが知ったこっちゃねえはずなのに。 「ところで、これどうする。腹が減ったんじゃあ?」 「あほなことを訊くな。そんな何入ってるかわからんもの食えるか。どうしてもっていうんならお前が食え。」 「…いや、やめとくよ。」そういって隼はブレザーのポケットからパンを数個取り出した。…なんだ、最初からわかってたんじゃないか。 俺は財布から小銭を出して隼に渡し、パンをふたつほどいただいた。 496 名前:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 19 31 ID P3hsFZwf それから2人で他愛のないいつも通りのくだらない話をし続け…気づけば放課後のチャイムが鳴った。 空はオレンジいろに染まり、校門からはぞろぞろと生徒たちがあぶれていく。 「…俺たちも帰るか。」隼が切り出した。俺はああ、と返事をして2人で教室に向かった。 ドアをスライドさせ、教室に入る。誰もいない…と思ったら誰かがひとりいた。 あれは…うちのクラスの生徒会委員、穂坂 吉良の姿だ。 目が合った。穂坂は俺たちのほうへ向かって歩いてくる。 「またサボったんですか?だめですよ、ちゃんと授業に出なきゃ。はい、これ。」 穂坂が差し出したのは今日の授業のノートだ。ちなみに穂坂は俺たちがサボるたびにノートを見せてくれる。 とても字が綺麗なので見てて飽きることはないんだが…毎回毎回、どうしてノートを貸してくれるんだろうか。 以前その理由を聞いてみたら、「うちのクラスから落第点をだすわけにはいきませんから。」と言われた覚えがある。 事実、俺が赤点ぎりぎりの点数を取ったときにはめちゃめちゃ怒られて、強制的に残らされて勉強させられたのは記憶に新しい。 「神坂くんがこんな点数を取ったのは私の責任です!」とかいきなり涙目で言い出したんだ。 ここで断ったら周りの奴らから白い目で見られるだろう。なら、残るしかないじゃないかっ!というわけだ。 そういや穂坂は結意を嫌ってたみたいだが…まあ所詮ストーカー。生徒会委員からしたらきっと汚名でしかないんだろう。そういった意味では落第点も、か? 「ありがとう、参考にさせてもらうよ。」と、とりあえずノートを受け取る。 ちゃんと写さなきゃ、次の日チェックされるからな、こいつに。生徒会委員って、ほんと大変だよなぁ。 「あ、そうだこれ、神坂君にあげます。」すると穂坂は鞄から包みをとり出した。なんだそれは、と訊いてみる。 「私の手作りクッキーです。あ、斎木君のはこっちです。」穂坂は鞄から再度包みを出す。俺のと比較すると、若干地味な包みだが…きっとたまたまだろう。 ちょうど小腹がすいたころだ。さっそくクッキ-をいただくことにした。 サクッ、と小気味いい音を立てつつ咀嚼する。…旨いなコレ。ただ甘いだけじゃなく、なにか不思議な味がする。なんだろう…とにかくウマい。 「うまいよ穂坂。ありがとう。」「ありがとうな、穂坂さん!」俺たちは2人そろって礼を言う。穂坂は照れながら「いえいえ、どういたしまして。」と答える。 さて…ノートも写さなきゃだし、隼と一緒にマックでも行くとしよう。 「じゃ、ノート借りてくな。」 「ちゃんと写してくるんですよ?明日は数学提出ですからね。」 「ああ、さんきゅ。」 497 名前:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 20 23 ID P3hsFZwf * * * * * お兄ちゃん、今日も帰りが遅い。また例のストーカーに追われてるのかなぁ? あの雌猫め…私とお兄ちゃんの邪魔ばっかりして、ほんと許せないよ。 でも一番許せないのは、お兄ちゃん。 呼び方もお兄ちゃんの前では「兄貴」に変えて、私はもうこの気持ちがバレないように必死なのに… お兄ちゃんは変わらず私に優しくしてくれる。もう何度打ち明けようと思ったことか。でもお兄ちゃんはきっと私を選んではくれない。 わかってる。お兄ちゃんの「スキ」はあくまで兄としての「スキ」。私とは違う。 だからせめて、このくらいはいいよね…?お兄ちゃん。 私はお兄ちゃんのベッドに顔をうずめ、深呼吸をする。 すーはーすーはー…ああやっぱりお兄ちゃんの匂いすごくいい………。嗅いでるだけでもうぐっしょりだよぉ…。 もう…止められない。あとは頭をベッドでうずめながら一心不乱にあそこを弄くるだけ。 あはぁ!お兄ちゃん、きてぇ!もっと明日香の恥ずかしいとこ見てぇ!いく、いっちゃうよおぉぉ!ふぁぁぁぁん! …自己嫌悪。またやっちゃった。 シーツはまるでおねしょしたみたいに私のおつゆでびしょびしょ。こんなの兄貴に見られたら…嫌われちゃうよ。 そこで扉が開かれ、誰かが―――まさか、お兄ちゃん!?いや、見ないで!! でも、現れたのは私そっくりのシルエット。…お姉ちゃんだった。 「あーちゃんはホントに飛鳥のことが好きなのねぇ?」 そう言ったお姉ちゃんの表情は、けっして侮蔑や嘲笑などではなく…まるでお母さんみたいにほほえましい笑顔だった。 「うん…自分でもどうかしてるのはわかってる。でも、兄貴じゃなきゃだめなの!…好きなの。」 私はお姉ちゃんに、今まで心の奥にしまっていた思いを吐き出した。なんでだろう…わからないけど、お姉ちゃんになら打ち明けても大丈夫、そんな気がしたから。 「…そう。わかったわ、お姉ちゃんがいいこと教えてあげる。」 「…え?」 「見ててなさい。」 そう言うとお姉ちゃんは兄貴のベッドの下から雑誌を数冊とりだした。それは私が一番嫌いな、下衆で卑猥な類だ。 兄貴ったら…こんなもので処理してたんだ。そう思うと無性に目前の雑誌の表紙を飾る雌豚が腹立たしくて、切り刻んで…いや、殺してやりたくなった。 これが「いいこと」だっていうの?お姉ちゃん。わかんないよ。 そのとき、視界のなかでなにかが瞬き…雑誌は失せていた。これは…お姉ちゃん何をしたの? 「さあ、やってごらんなさい。」 「え?い、いまの?」 「簡単よ。これに向かって 消えろ って強く念じればいいのよ。さあ…」 * * * * * ノートを写し終え、隼と別れた俺は独り家路についていた。時刻は夜8時。空はとっくに紫いろだ。星も見えている。 ロマンチストならこんな夜空を見て詩を詠んだり出来そうだが…あいにく俺にはそんな才能も属性もない。 もういちど後ろを見やり、人がいないのを確認して俺は一安心した。今度こそ本当に解放されたようだ。やっぱりはっきり言ってやってよかったんだな。 俺は鼻歌をうたいながら、歩を速めた。今日はいろいろなこともあったが、これからはやっと平凡な日々が帰ってくるんだ。 そう思うと足取りも軽くなる。こんなにも明日が待ち遠しいのは某神の集団のニューシングルの発売前日以来だ。 しばらく歩き、家が近づいてくると後ろに人の気配を感じた。…まさか、結意か?俺は確認も兼ね、気配のするほうへと振り向いてみた。 が、それよりも早く、後続者から声が発せられた。それは、よく聞き慣れた声色だった。 498 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 18 24 28 ID P3hsFZwf 終了です。 第9話以降は選択肢でと考えてます。 今のとこ明日香と結意は決定で、穂坂は起用しようかどうか迷っています。 なにしろ今まで絡みが無かったもので…とりあえずもう急速に病む予定です 499 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/12/09(火) 19 03 36 ID 6gasx03l 待ってました! 500 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/12/09(火) 20 04 49 ID THu8pNBZ GJ
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アリアンロッドジェネシス第十七話リプレイ 今回予告 フーズルの狙いは女王だった。 決して捨てることが出来ぬはずの朋友すら囮として使い海賊王は今女王へと迫る。 自らの主を護るために首都へと急ぐ一行の前に再び―― ――ウルグ=ヴァーシャが立ちはだかる。 アリアンロッドジェネシス第十七話『フーズルの風』 ――風立ちぬ、いざ生きめやも「ポール=ヴァレリー『海辺の墓地』より」 登場NPC スノウドロップ アルティナ=フレアライト オルフェン=ヴァール ルーメリア=ファイシア=ヘイシス ゲオルギー 今ではない何時か起きるであろう明日未来の話。 自由都市戦争に共和国が勝利してから数日が経過した。戦後処理に一行が奔走しているとある日一行の元へとプロキオンにてオルフェン将軍の軍新本部が完成したという知らせが入った。そしてそこに備え付けられている『女王の騎士団』のギルドハウスも。 そしてその日、一行はギルドハウスの会議室に集まっていた。ある重大な事案について話し合う為である。 「――そういう訳で私たちのギルドハウスが完成しましたのですが、まだまだ施設を拡張する必要がありますわ。なんせまだ収納場所しかありませんもの」 ホワイトボードを背にルーシアがその場を仕切った。 「そこで今後ギルドハウスをどのように拡張していくか、忌憚なき意見を述べて下さいませ」 議題はギルドハウスの拡張計画について。 元々、ギルドハウスを新造する計画はプロキオン壊滅に際して急遽チュートとルシウスが立ち上げた物であり、一行の意見を反映させたものとは言い難い。その為、施工にあたって大工達は最低限の機能性しかギルドハウスに持たせていなかったのである。 しかし戦争を乗り越えた今、今後も共和国の主力となる一行の本拠地をぞんざいに扱っていい筈が無く、それ故に女王とチュートから一行が自由にギルドハウスを拡張する許可と予算が下りたのだった。 「さて、何かご意見はありませんこと?」 ルーシアが一行を見回すと先ずアルティナが手を上げた。 「肉体的疲労を癒すクアハウスのような物はどうです?」 「温泉ですか、悪くはありませんわね。温泉があると心身ともに安らげますものね」 ルーシアは微笑みながらホワイトボードにクアハウスと書いた。 「他に何か意見は?」 ガタリ、と身じろぎするとオルフェンが手を上げた。背筋を伸ばした良い姿勢で手を真っ直ぐに天へと突きだした。 「オルフェンさん!?」 ルーシアの声がやや驚いたように上がった。基本物静かなオルフェンが珍しく自己主張しているのだ。自然と皆の視線がオルフェンへと集まった。 「オルフェンさん、どうぞ」 頷くとオルフェンは立ち上がった。 「将軍位に就いた以上、部下との交流ももっと親密にとろうと思うんだ」 「なるほど、流石は将軍になった御方」 まるで将軍位の所信演説の様な事を言い始めた。 「それにここは冒険者ギルドとは違い『共和国の』騎士の本拠地だ。何か人を呼び、集えるような施設を作ろうと思うんだ」 「人を呼べる施設?具体的には」 ルーシアの問いにそれまで黙っていたゲオルギーが初めて口を開いた。 「酒場だ」 真直ぐで真ん中だった。 「ゲオルギーさん!?」 スノウとアルティナが同時に驚声を上げた。 「酒場ですの?風紀的に考えてどうでしょう?」 ルーシアが微かに眉を顰めた。 「問題ない」 ゲオルギーは静かに立ち上がった。 「俺達が居る」 暴れられるものならやってみろ。太い躰で雄弁に語っていた。太さ故にその言説は説得力を有していた。 同意するようにオルフェンも頷いた。 「……確かにお二方が居れば、羽目を外し過ぎる輩が出ても大事には至らないでしょう」 「……いつもその二人が羽目を外してると思うんだけど」 アルティナの尤もな突っ込みはしかし黙殺された。 「ちなみに一応聞いておきますがオルフェンさまも同じ御意見で?」 「ああ」 寸毫の間も置かぬ即答だった。 「……なるほど、強い希望がありますのね」 ホワイトボードにサルーンと書き正の字を二画書いた。そこにゲオルギーが歩いて行くとペンを手に取りそれでサルーンの文字を二重丸で括った。アルティナがそれを睨みつけたがゲオルギーは特に気にしていないようだった。 「す、スノウは何か意見は無いの?」 何やら酒場という方向に本格的にかじを切り始めていることを危惧したのかアルティナはスノウに意見を求めた。未成年で酒に弱いスノウならば間違いなくサルーンに反対するはず。そうなれば二対二に持ち込める。ルーシアがどう動くかは読めないが少なくとも拮抗にまでは持ち込める公算は高い。 そんなアルティナの胸の裡を見透かすようにルーシアはニコニコしながらその場の流れを見守っていた。 「静かに落ち着いて勉強できる場所、図書館かなんかはどうでしょう?」 スノウらしい意見にルーシアはなるほど、と頷きながらホワイトボードにライブラリと書き足した。しかしスノウはさらに続けた。 「でも、確かに温泉と言うのも捨てがたいですね。しかし何よりも皆さんの交流場所という意味でサルーンと言うのはいい考えだと思いますよ」 まさかの意見だった。 「スノウちゃんお酒飲めますの?」 「飲めません」 即答するスノウに思わず表情を綻ばせながらルーシアはフォローした。 「まあミルクも出ると思いますわ」 正直、煽りと紙一重だった。 「スノウ、酒場と言っても食事処でもある。食堂と捉えることもできる」 スノウのまさかの酒場推しに唖然とするアルティナを尻目にオルフェンはここぞとばかりにフォローし始めた。 「別に酒を飲めと言っているわけじゃない。みんなで食事を楽しむのが大事だろう。酒は望むものだけが飲めばいい。違うか」 「望むものが望むだけ飲むから問題なんでしょうが……」 アルティナの正論は再び流された。 「でも、食事処なら食堂でも良いのでは?」 ルーシアが至極自然な疑問を口をするとその場に沈黙が訪れた。 意外な援護射撃にアルティナまで言葉を失った。 間をおいて、オルフェンが口を開いた。 「…………いや、必要だろう」 開いたもののここから自分の飲酒に対する欲望を隠しつつどうアルティナとルーシアと説得しようか、思案してみたものの妙案は浮かんでこなかった。 「そう言えばゲオルギーさんはどう思いますの」 ルーシアがオルフェンと同じサルーン賛成派のゲオルギーに意見を求めると彼は静かに答えた。 「仕事終わりの一杯は格別だ」 もう隠しもしなかった。 ゲオルギーという男に衒いは無く、ただ真っ直ぐで太い幹の様なものが彼の中心にはあった。 だから彼の言葉はこれもまた太かった。 こうして、シュヴァリエ・デュ・ヴァンのギルドハウスの一階は開かれた酒場となった。 夢を見ている。 春節武闘祭で優勝が確定した晩に共和国の面々はささやかな宴を催した。 ウルグはフーズルと共にその宴に潜り込んだ。と言っても別に深い考えがあったわけではなく、お祭り騒ぎが大好きなフーズルどんちゃん騒ぎの匂いを敏感に嗅ぎ取ってウルグは彼に付き合っただけなのだった。フーズル程の男が領内のドンチャンス(どんちゃん騒ぎをするチャンス)を逃すはずがない。 スルー力の高いオルフェンやルーシアは状況を受け入れ流していたが、生真面目なアルティナは大いに戸惑っていた。まあ彼女の場合は実の父親との決戦が迫っていたので馬鹿共にかまってる余裕などなかったのだろうが。 その帰り道、酔っ払い二人は柔らかな月明かりが降り注ぐ夜道を歩いた。 「良い奴らだったな」 「おう、良い奴らだった。結構気に入ったよ」 よって火照った頬を春風が優しく撫でた。 「特にあのオルフェンとかいう小僧は大したもんだ。あいつは将来きっと立派な飲んだくれになるに違いない」 「フーズルみたいな、か?」 「いーや、俺様には敵わないだろう。俺を誰だと思ってる?俺様だぞ!!」 「ばーか」 軽口を叩くフーズルにウルグはカラカラと快活に笑った。ウルグ=ヴァーシャとフーズル=バルバリアは上下関係にあるがそれを感じさせない付き合い方をしている。どちらかと言うと親友か、或いは仲の良い兄弟のようであった。 かつてフーズルとオーリスがそうだったように。 「……できれば、このままヌルい付き合いが出来るといいんだがなぁ」 「うん」 しみじみと零すフーズルにウルグも頷いた。 「……いや分かってる。奴らは線の向こう側だ。もし必要になったら情けはない。必ずぶち殺す。身内のために」 フーズルはため息を零した。 「仕方ねぇよな。世界にゃみんなにいきわたるだけの幸せは用意されていない。だから余所から奪い取ってきた幸せを誰に分け与えるかをちゃんと取捨選択しねぇとよ。せめて身内くらいはちゃんと幸せになれる様に、な。みんなで幸せになることは出来ないんだから赤の他人なんて知ったことか」 昏い決意を滲ませるフーズルにウルグは口許を引き結んだ。フーズルの態度に、胸の奥の方がチクリと疼く。何度も自問した、もしもオーリスが生きていたら、あの時『歯牙』があんたを襲わなければ、オレが居なかったら、あんたはあの頃と同じようにみんなが幸せになれると言えたんじゃないか。 「……戦いたくねぇか?」 「……あいつ等とは一緒に飯を食ったし酒も飲んだ。アイツらを殺せば後味の悪い物が残るだろうな。二三日眠れないだろうし、長い間後悔を抱えることになるんじゃねーか。誰だってドンパチするより酒でも酌み交わす方が良いに決まってる。でもやるよ。俺はみんなのオヤジだからなぁ」 ウルグはフーズルの背を大きな音を立てる様に叩いた。 「大丈夫だ。もしそうなったらあんたにそんな思いをさせない。言っただろ『フーズル=バルバリアの敵はこのウルグ=ヴァーシャが噛み砕く』って。あんたの敵は俺が倒す」 フーズルは口元を緩め鼻を鳴らした。 「まあ、でも共和国とうちは政治的信条も似通ってるし、そんな事態にゃならんだろ?むしろ問題は十字会だろう。トンプソンはこのままでは終わらんだろうし面子を潰された枢機卿ダッシュウッドもいる。それに――」 「『鬼剣』だろ?確かにまだ全部が終わったとは思えねぇ。ここから気を一層引き締めねぇとな」 「おう、そんで全部終わったらあいつらが帰る前に今度はこっちが酒を振る舞ってやるか?」 「フーズル、オレ肉食いたい」 「おうよ。じゃあ暇が出来たら熊でも狩ってくるか」 「任せろ!!獣なんざオレの爆破斬術で木っ端微塵に……」 「いや……木っ端微塵にしたらだめだろ」 二人楽しそうに笑っていた。 プロキオン近くの河原で目覚めたウルグはなんと腕によって介抱されていた。川が涼しげな音を響かせる中、夏の湿った風が葉擦れの音を乗せて土の匂いを運んでくる。夜天には星々の川と欠けた月が煌めきを地上に落としてくる。 「流石の僕も少々驚いたよ。まさか金槌が川上から流れてくるなんてね」 跳ね起きて構えるウルグは全身の痛みがすっかり消え失せていることに戸惑う。 「肋の辺りはグチャグチャになってたはずなんだがな……」 「勿論僕が治療した。ああ礼は不要だ。なんせホラ、僕らは友達だ」 ヘラヘラと笑う腕に柳眉を歪めるウルグは爆破形成鞘を失ったことを思いだし忌々しげに舌打ちをする。そして腕を組み敷きその首に手をかける。 「……友達だっつーなら話が早い。代謝加速剤と知覚拡大用の薬剤を全て寄越せ」 「良い目だ」首を締め上げられながら、しかしそれを意にも介さぬ様子で腕は笑った「どんな手段を講じることも厭わない。すれすれの狂気と勝ち方に注文を付けるような傲慢を根こそぎ捨て去ったような潔い目をしてるね」 「気に入ったよ」 フッとウルグの肩に腕の白衣が掛けられた。ウルグが振り返るとそこには上半身裸の腕が佇んでいる。ウルグの手からは腕は消えていた。 「とはいえ、歯牙ちゃんをその恰好のまま寒空の下に放り出すわけにはいくまい。まあ今は夏だが。それを着たまえ、お望みの薬品はその白衣の内ポケットにたっぷりと入っている。それも好きに使いたまえ」 「……何のつもりだ」 「何のつもりもないよ?」 胡乱げなウルグに腕は肩を竦めた。 「いいかい?僕は『腕』だよ?いくら友達とはいえ君のような低能がその深淵に触れることが出来るとでも思っているのかい?思い上がるな低能」 「いかれめ」 鼻を鳴らすとウルグは踵を返して立ち去って行った。 「つーか腕?オレとお前が友達だった瞬間なんて嘗て如何なる時間軸にも存在しない」 「うん。そーだね」 あっさりと腕は首肯した。 「だって僕は君の愛しいフーズル=バルバリアの仇敵だもの」 ウルグは取り合わずに再び鼻を鳴らすと森の闇の中へと立ち去って行った。 「ばいばい。君の敗北を祈っているよ」 腕は小さく手を振りウルグの背中を見送った。 腕がしばらく川面に映る月を眺めていると足裏が現れた。 「?白衣はどうした?」 「追剥に遭ったんだ。全く物騒な世の中だよ」 「最強最悪の殺し屋に言われちゃ世も末だな」 足裏は二人ともつまらなさそうに鼻を鳴らした。 「腕の調子はどうだい?まあ文字通り君の肉体を腕が失われる前の状態に戻したのだから不都合などある筈もないが……」 「お前の治療の腕は大したものだが、随分とまあ大仰な言い方をするな。まあどうでもいいが……」 二人の間に息遣いのような沈黙が訪れた。二人のおっさんは並んでぼんやりと川の流れを眺めていた。奇妙な光景だった。 「で、何か用かい?ネバーランドの入口なら僕じゃなくて臓物のピンクを纏った性悪な妖精たちを探すんだ。彼らの生まれた岩屋の奥に咲く薄紫のバラがギターの弦の代わりになるから」 いつもの様に意味不明の戯言を吐く腕に足裏は冷ややかな視線を浴びせた。 「それとも愛の告白かい?気持ちは嬉しいけど……、友達のままでいよう」 「おまえさ」腕の戯言を意にも介さず足裏が口を開いた「なんで狂ってる振りなんかしてるんだ?」 その言葉が再び二人の間に沈黙を生んだ。だが先ほどとは違いその沈黙は微かに獣の息遣いに似た獰猛さのようなものを孕んでいた。 「意味が分からないな。僕は正気だよ。世界で唯一僕だけが正気の人間だよ?」 足裏は口の端を歪ませた。 「仮にそうだとしてもそれこそそんなことをする意味が分からないな。自己顕示欲や承認欲求から自分を賢く模範的に見せるのならばまだ理解できるが頭がおかしい振りをして僕にどんなメリットがあるんだい?それとも思春期における万能感から来るアレかい?馬鹿な?僕は30半ばの中年だよ?」 腕は両手を肩の高さまで上げるとヤレヤレと肩を竦めた。 「ははは、流石に鉄壁だな。お前は耳目のような無能とは違う。だが腕ぁ、今日は随分と物事を理性的に考えられるじゃないか?落ち着けよ?キャラがぶれてるぞ?」 足裏が愉しそうに笑い声を上げると潮が引くように腕の顔から感情の色彩が消え失せた。 「それにメリットならあるだろ?お前がイカれ野郎だってのは僧兵院や枢機卿連中にとっても周知の事実だ。だから必要に迫られた時を除きお前に近づく奴はいない。おかげでお前は腹の底にため込んでるものを探られることも無いわけだ。お前は孤立し孤独になったことで孤高となった。要するにお前が隠したい秘密ってのはそれほどの物なんだろう?」 クスリと腕は口許を綻ばせた。 「疲れているんじゃないか?どうやら君は神経症の気があるな。この間の敗北なら気に病む必要はないさ」 「はっはっは。お前も難儀な奴だな。命を救ってやるためには愛しのルーシアの暗殺を命じられてるんだから」 足裏の胸の裡に奥底から湧き上る邪悪な愉悦が広がっていった。 「まあそれも仕方がないか。大変だよな。もしルーメリアの秘密が知られれば奴もお前もただでは済まんからな」 「……足裏」 仮面の下から腕の能面のような素顔が顔をのぞかせた。その面に怒り、憎悪、恨み、殺意、そう言った負の感情をごちゃ混ぜにしたような鉛色が広がって行った。彼からおよそ如何なる言語を以てしても語る事も形容することも出来ぬ何かが湧き上って行った。 その殺気によく似た、しかしそれよりもはるかに昏く危うい何かを受け、足裏の背に戦慄が走った。彼は弾かれたように飛びのいた。 「ちょっと考えれば誰でもわかりそうなもんだもんな。そりゃお前が必死になってひた隠しになるわけだ」 話しながら足裏は彼我の位置関係を確認した。間合いを取ったため距離は10mほど、この距離なら飛び道具を持ち出されても余裕で避けられる。そして風上は此方、毒を散布される恐れも無い。 「……まあ待てよ腕。俺を始末したらこの情報が枢機卿連中に届くようになってるぞ」 その脅しに腕はぴたりと凍りついた。そんな彼の様子に足裏は忍び笑いを噛み殺した。 「それに俺様は結構寛容だ。だからこれはお前の為を想っての提案だ」 「愛しのルーシアだが、アイツは無理だ諦めろ。でもお前だけでも助けてやろうと思ってな」 クックと足裏は喉を鳴らした。 「お前が俺の言うことを聞いてくれたら、俺が気付いちまった奴の秘密について知らないことにしてやっても良いぜ」 「……君の望みは?」 「次の戦いで、お前は俺の指示に従え、なあ『お友達』よぅ」 「あのクソカス共はこの俺様を著しくムカつかせた、そんな連中生かしておけるかぁ?無理だな。だが流石に5対1じゃあきつそうだ。耳目が頑張ったところでたかが知れてるしな。だがお前は別だ。その気になりゃあんな屑ども1秒で皆殺しにできるんだろ?俺が気持ちよくなるために、お前は次の戦いで俺の指示に絶対服従、それでどうだ?」 少し腕は何かを考えたがやがて頷いた。 「……分かった」 その返事に足裏は安堵の溜息を零した。 「いや、良かったよ。お前が物わかりの良い奴で。なあ勘違いするなよ、本当は俺にとってお前やルーメリアがどうなろうと、そんなのはどうでもいいんだ」 緊張を緩め足裏は河原に腰を下ろした。 「なあ腕、あー、別に本名はあるんだろうが、腕でいいか。お前には夢はあるか?」 問われて腕は胡乱げに眉を歪めた。 「俺にはある。俺は超人になりたいんだ」 「百万馬力にでも改造してやろうか?」 「そんな浅い話じゃない。多分、強さという物の根幹にかかわるものなのだろう」 腕の弱みを握ったという喜びからか足裏は妙に饒舌になった。 「手前味噌が過ぎるやも知れぬが、俺は努力してきた。間違いなく僧兵院で一番な。そして俺には才能があった。恵まれた体躯があった。僧兵院の、お前が発明した人体改造に堪えうるほどの、な。だから俺は足裏になった。医者のお前なら分かるだろうが、足裏ってのは全身の体重を支える身体機能の要となる部位だ。その称号を得るためには天才が他の全てを犠牲にして脇目も振らず途方もない研鑽をつんでそれでたどり着けるかどうか、そういう領域だ。耳目のような特殊能力にかまけている雑魚とは違う。おまけに当時の俺は十字教の正義と下される使命を盲信していた。分かるか?天賦の才を無謬の修練で磨き上げた俺には使命に対する無私の精神まで持っていたんだ。そんな俺がどうなったか分かるか?」 「さあね。ただそれが本当なら君は既に常人を超越した人間、正に超人なんじゃないか?」 「いや違う。断じて違う。学ばされたよ。天賦の才?無謬の修練?無私の使命感?そんなものは所詮児戯にも等しい言葉遊びに過ぎんとな。俺は敗北した。手も足も出ずにな」 足裏の表情が歪んだ。 「いや、正確には戦いにすらならなかった。ただ俺は奴を試してやろうと稚気を抱いただけだった。任務で行動を共にしていた枢機卿の腕前を試してやろうとな。だが気が付いたら俺は抜刀すらしていない奴によって地に倒されていた。そして無様に赦しを乞いなんとか生き延びたよ。努力や才能ではたどり着けない世界があるんだと初めて知ったよ」 「……フリードリッヒ=ウィルヘルム。正義の体現者」 腕はある枢機卿の名を口にした。 「そう、最強の枢機卿だ」 屈辱の記憶を語っているにも関わらず足裏の表情は晴れやかだった。 「そしてあの方から俺は学んだ。所詮、努力や才能などただの前提条件の一つに過ぎぬことをな。人と超人とを分かつ物はもっと別の物だ」 「それは何だい?」 腕の問いに足裏は鼻の穴を膨らませて答えた。 「無論それは言葉で語り尽くせるほど浅薄なものではない。だが例えば、価値観だ。外側の価値観に隷属することなく己の正義のみに従えれば手段の聖邪、事の善悪のような下らない些末事に心を乱されることは無くなる。善悪も聖邪も所詮は他人が作った物差しに過ぎん。唾棄すべき旧弊なるガラクタだ。そんなものに隷属している限りそれはただの犬に過ぎん。与えられた価値観から解き放たれて初めて人は人になれる。少なくとも、あの方はそうだった」 足裏はほとんど恍惚とした表情で続けた。 「だから俺は先ず既存の善悪を破壊することにした。俺の良識や常識は今まで出会った他人に植え付けられたものだ。だから俺は俺の俺による俺の為だけの価値観を持ってこの世界を裁くのだ。あの方のように」 熱く語る足裏とは裏腹に腕は冷ややかな表情をしていた。 「……なるほど、中々興味深い哲学だ。しかし僕にとって重要なのは君との取引だ」 「それについてはさっき言ったとおりだ。連中をぶち殺したらそれで終わりだ」 足裏はやや不満そうに口許を歪めていた。 「ならそれでいい。悲しい限りだが彼女を殺すことで僕の平穏を買えるなら安いものだ。誰だって自分が一番かわいいからね」 それだけ言うと腕は潜伏地点の小屋に戻るべく歩き出した。 「作戦の決行も含め、全て君が舵を取ってくれ。ああ、僕に何か言っても無駄だよ?ホラ、僕は『狂人、腕』だから」 「ははは、難儀なことだ」 立ち去り際に腕は一度だけ振り返り足裏を一瞥した。その目は、いままで彼が見たこともない昆虫の様に冷たい無機質な物だった。気が付くと足裏の首筋が薄く粟立っていた。 少し早まったかと内省する足裏だったが首を振って否定した。 自分の推察が真実なら、腕は自分に従うほかない。 もしこの事実が十字会に流れれば奴は破滅だ。 オープニング シリウス防衛戦は共和国の勝利に終わった。 ドラグート率いる軍団を囮にオルチが本陣を襲撃する作戦は一行の前に敗れた。しかしその戦い自体はフーズルによる陽動だったのだ。 シリウスの平原でジェイクがオルチを詰問した。彼は収集した情報を分析し考察することでフーズルの狙いについての仮説を語った。自軍の作戦が全て看破されたことを悟ったオルチは観念したように頭を振った。 「以前ルーメリアさんがおっしゃった通り、仮にここから勝利したところで自由都市同盟は滅びの道を辿るでしょう」 「どういうことッスか」 一行と違い状況の認識を勝利という形で楽観視しているメティスが小首を傾げた。 「自由都市同盟はあまりにも多くの戦力を失いすぎました。幹部三人と戦力の大半を失ったのですよ?仮にここでフーズルが女王陛下を手中に収め、共和国を滅ぼしたところで、そんな摩耗しきった状態では十字会の侵攻をもう止めておくことは出来ないでしょう。結果、彼ら自由都市同盟は共和国を滅ぼしてしまえばそれが自身の滅びを招くことになる。そう共和国を滅ぼしてしまえば……!?」 「ええ、それは私も気になっていた所ですわ」 「フーズルの狙いはあくまでも女王陛下です。彼女を生きたまま誘拐しポステリオルまで持ち帰ることが目的だったのです。そして彼女を力ずくでテジャドと婚姻を結ばせることによって自由都市同盟は共和国の全てを手中に収めることが出来る、これがフーズルの書いた絵図です」 フーズルが共和国を手に入れる、それが意味する物とは、列車や蒸気機関そして廃棄文明の遺産に代表される規格外の技術力、或いは王の紋章保有者という外交上の交渉材料、或いはたった五人で故国存亡の危機を救った英雄への命令権。それら全てを自由都市同盟は今後使い捨て可能な手駒とする事である。 「更に、これは信憑性の低い情報ではありますが、フーズルは既に『大王』と『女王』の身柄と引き換えにエイトプラネッツ待遇で帝国に迎えられるという密約を交わしているそうです。そして帝国に入った後はその武威を以て自由都市同盟を護ると共に帝国の戦力で十字会を殲滅し、兄の復讐を果たすそうです」 その仮説にオルチは僅かに鼻を鳴らした。 「この情報が確かならば、つまり女王陛下が奴の手に落ちた場合……」 徐々に緊張感が高まりその場のメティスはゴクリと唾を呑んだ。 「世界大戦が起きます」 誇大妄想のようなジェイクの途方もない未来予想に皆言葉を失った。ただ、誰もがフーズル=バルバリアという男ならそれは実行可能であると理解してしまった。 「あ、あのー、質問良いッスか?」 メティスが背伸びしながら手を上げた。 「はい?なんでしょう」 「噂だとフーズルさんってとっても強いと聞いたッス」 「はい。貴方が先日手も足も出なかったという足裏、それよりも強い副団長のウルグ=ヴァーシャが完封負けに喫する程だとか……」 「だったらフーズルさんはなんでこんな大掛かりな復讐を目論んだんッスか?そんな強いなら一人でやった方が手っ取り早いんじゃ?」 「何事にも上には上がある」 メティスが疑問を口にするとそれまで黙っていたオルチが口を開いた。 「お前らも知っているだろうが、かつてフーズルは誘拐された兄を救うためにウルグと共に二人だけで十字会領に殴り込み枢機卿とその護衛の僧兵院を殺害して兄を奪還した。だがこれには続きがある」 無感情にオルチは続けた。 「その場にはもう一人枢機卿が居合わせていた。フーズルは最初はそいつも殺してやるつもりだった。だが一目見ただけで確信したそうだ。『どれだけの奇跡を用意しても奴には勝てない』とな。だから兄を背負ってポステリオルに逃げ帰った。それが世間では知られていない真実だ」 短く息を吐くと忸怩たる思いがオルチの表情に滲み出してきた。 「だからフーズルは奴がいる限り、最強の枢機卿が健在である限り自由都市同盟では聖堂十字会に勝てないと判断した。もし勝てたとしても俺達は果たして何人残るかな。どちらにせよあいつにはそんな暴挙に出ることは到底できなかった。だが、テジャドの命令でこの戦争が始まった際に思いついたんじゃないか。このやり方なら兄貴の仇を討ちながら何より俺達の恒久的な安全が手に入るって。結局俺達は本当に、アイツにとって重荷でしかなかったんだよなぁ……」 沈むオルチにメティスは構わず問うた。 「でもそれならなんで今回はフーズルさんは一人ぼっちで行動してるんスか?」 「それは……」 「それは彼が天才だからですよ」 答えかけたオルチにジェイクが割って入った。 「彼のような天才は窮地に陥ると全部一人でやりたがるものです」 「そう言うもんっすか」 メティスは小首を傾げたがやがて納得したのか小さく首肯した。 「さて、皆さん。こうなってしまいましたがまだ対策は打てます。フーズルを倒せばいいのです。いくら彼と雖もまさか半日で戦力の大半が壊滅するとは思っていない筈です。今から列車で向かえば間に合う可能性は高い」 一行はそれに頷いた。 「行きましょう」 「いえ、私はここに残ります」 アルティナの誘いをジェイクが断った。 「フーズル=バルバリアとの戦いに私が居れば足手まといになるでしょう。あの男と対峙して私は人質に取られない自信がありません。残って戦後作業のお手伝いをしていますよ」 はっきりと自分の弱さを受け入れている彼にルーシアは思わず口許を綻ばせた。 「まあもう諜報戦は終わって、ここからは実力行使の段階ですしね」 アルティナも頷きながらジェイクを見据えた。 「そう、ならここはお願いね」 「ええ、貴女も必勝を願っていますよ」 勿論だ、と言わんばかりにアルティナはその目に決意の火を燃やした。 「場所が場所で相手が相手、しかも守る相手もそう。負けるわけにはいかないわ」 そんなやり取りを眺めているとゲオルギーの服の裾をメティスが引いた。 「ししょう……」 「なんだ?」 珍しく気弱な声色だった。 「自分も、ここに残っていいでしょうか」 「構わん。ここでできることをやれ」 あっさりとゲオルギーが許可するとメティスはほっとしたように息を吐いた。 「でもどうしてですの?貴女は正直、戦力として数えられますのに」 するとメティスは珍しく歯切れの悪く口ごもるようにやや影のある顔で答えた。 「家族の敵討ちをしようとする人を止める権利なんて、私にはありませんから……」 沈み込んだメティスにアルティナが肩を叩いた。 「こちらに留まるなら止まるでジェイクのお守りをお願いしてもいいかしら。彼弱いから」 アルティナに頼まれるとメティスは表情を輝かせ胸を張った。 「お任せください!!必ずじぇいくさんを護ってみせるッス。見張ってるッス」 それとは反対にジェイクは表情を強張らせた。 「……一度、私と言う存在の認識について話し合う時間を取って頂く必要がありそうですね。アルティナ」 「こんな状況ですのよ。ただ優秀な密偵に護衛を付けるだけですわよ」 ルーシアのフォローを受けながらまだジェイクの表情はやや引き攣っていた。 「その言葉をアルティナの口から聞きたかったです……」 拗ねたような彼の様子にアルティナは小さくため息を吐いた。 「どちらにせよここで貴方を失いたくない。そう言う事よ」 その言葉でジェイクは途端に喜色を弾けさせた。 「『貴方を失いたくない』そう仰って下さるんですな。アルティナさん!!いやー、ははは、ようやく心が通じ合ったんですな。アハハハ」 「ええ、これが終わったら。まあ、考えておくわ」 ジェイクの浮かれた姿にもアルティナが動じない様子を見せると彼はふと神妙な顔つきになった。 「おや、それは楽しみです」 そしてオルフェンへと向き直った。 「オルフェン=ヴァール将軍」 「ん?」 「恐らくこれがこの戦争の最終局面です。そして貴方にはその結末を見届ける義務がある。どうかその結末が皆にとって善きものであることを祈っています」 「任せてもらおう。私たちは成すべきことを成すだけだ」 将軍と言う責任を負う男の自負心からかやや口調が変わっていた。ルーシアもそのことに気付いたのか殊更恭しい態度を取った。 「勝利しに参りましょう。オルフェン将軍」 一行が士気を高めているとそこへヨークとリオイが現れた。 「皆さん、列車の準備が整いました。どうか、ご武運を祈っております」 ヨークはねっとりと艶のあるいい声をしていた。 「私はここで兵士たちの慰撫を行いましょう」 そして彼はオルチの傍らに膝立ちになり彼と目線を合わせた。 「そして捕えた兵士たちは捕虜として人道的な扱いをするとお約束いたしましょう。勿論貴方やドラグート氏に関しては将官としての待遇をお約束いたします」 「……何が欲しい」 ヤクザ者が堅気を脅すようないかにも裏がありそうなヨークをオルチは歯ぎしりして睨みつけた。 「おや、オルチ氏は気が立っておいでのようだ。ならばまず捕虜の皆様に炊き出しでも行いましょうか。リオイ都市防衛総括?兵糧庫を開きなさい。今日くらいは多少贅沢しても良いでしょう」 「は?」 「おっと心配はご無用。我がシリウスには都市の食事を半年間は賄えるだけの備蓄があります。私の政治的手腕を以てすれば傷つき疲れた兵士の皆様にせめて幾許かの安息を与えることなど、フフフ容易い事」 首都を壊滅させるミサイルは二十分前に発射済みです、今にもそんなことでも口走りかねない怪しさで彼は物凄く人道的な事をのたまった。 「あの、よかったらこれを」 ルーシアが何時も携行している薬草を手渡すと彼はほくそ笑んだ。 「おっと感謝しますよ。薬草、しかもこれはかなりの上物ですねぇ。これだけのものがあれば、フフ、薬膳粥を配る事も、フフフ、容易い事!!」 そのまま彼は魔王の如く高笑いをして見せた。 そして一行が移動を始めるとリオイがゲオルギーに視線を寄越した。ゲオルギーが視線を返すと彼は両腕の筋肉に力を込めた。肉の膨張で彼の服の腕の部分が弾け飛んだ。すかさずゲオルギーも上半身に力を込めた。迸る波動で飛んできた木の葉が粉々に砕け散った。 すると男二人は満足そうに頷いた。 リオイは踵を返すと一顧だにせずその場を立ち去って行った。 ゲオルギーも彼の背を視線で追う様な女々しい真似はせず列車へと向かった。 「アレが男の挨拶ですのね。まあなんて雄々しい。……なんて言ってるのか全く分かりませんが」 「男は背中と生き様で語る物なのね。……まあなんて言ってるのか全く分からないけど……」 男は語らない。その現場を目の当たりにしたルーシアとアルティナは嘆息を漏らした。何を言っているのかは全く分からなかったが。 ともあれ一行はヨーク、ジェイクに見送られシリウスを発った。 一行を乗せた列車を見送りながらオルチは空に一人ごちた。 「すまねえフーズル。結局俺は、お前に何も返せなかったよ」 少し離れた所で同じように列車を見送りながらメティスは腰に佩いた山包丁を撫でた。 「……おかあさん」 少し翳のある声だった。 列車に揺られながらスノウはこれから起こるかもしれない事柄に思いを馳せた。 自由戦争、フーズルとの決着、そして世界大戦、終わらない暴力と憎しみの連鎖に苛立ちすら覚えた。 「いつまでこんな愚かなことを繰り返すつもりなんだ」 すると心の中に波紋が落ち、耳元でダブルフェイスが語りかけてきた。 「どうしたん?ズイブンとまあ心が乱れてるぜ」 「認めるよ、ねえ」 小さくため息を吐いた。 「こんな世界正しいのかな」 ダブルフェイスがこれ幸いとばかりに優しく語りかけてきた。 「正しいよ。人間は何時だって暴力で全てを手に入れてきた。だから暴力こそが正義へとつながる唯一のツールなんだよ。なあ、スノウ。期待するなよ。人間とは脅かすことでしか幸せを手に入れることが出来ない獣の名前だ。そんな獣が作る世界が優しい筈がないだろう」 「そうか」 吐き捨てる様に答えた。 「ならそんな世界、いつか俺がぶっ壊してやる」 スノウが決意を滲ませると何故かスノウは彼が優しく微笑んだような息遣いを感じた。しかしそれは一瞬ですぐに耳元に不快な嘲笑が届いた。 「クカカカカクァッコイイネェー!!スノウキュン!!」 「なんとでも言え」 「ところでスノウお客さんだぞ」 それだけ残すとダブルフェイスは再びスノウの意識の中へと埋没していった。 スノウが我に返ると列車の天井の方から何やら物がぶつかったような音がした。 怪訝に思い一行が視線を向けると今度は列車の装甲を突き破って剣の切っ先が突き出して現れた。するとそのまま刀身で鋸引きして天井を円状に切り取った。 空いた穴から昼下がりの陽光が差し込んでくるとそこを一人の人影が車内に飛び込んで来た。 ウルグ=ヴァーシャである。 酷い有様だった。元々重症だったのに走行中の列車に飛び乗る無茶をしたせいか頭から血を流らしている。もう握力を喪失しているのか利き腕には剣を持っているが握ってはいない。剣を手で包みそこに布を巻いて強引に握りを作っている。 そして洒落者で知られているがもう自分の身形に気を使う余裕もないのかプロキオンの戦いでボロ布のようになった衣服の残骸を体にまとわりつかせているだけだった。上に羽織った白衣がかろうじで肌を隠している。サラシもほつれており、豊かな乳房も見え隠れしている。服の下に体格を誤魔化すために纏っていた帷子も壊れてしまったのか、女性らしい悩ましげな腰つきもはっきりと見て取れる。 しかしその瞳に戦意を爛々と燃やし、彼女は剣を構えた。 「……女性、でしたのね」 ルーシアが珍しく驚いた様子を見せるとウルグはだからどうしたとばかりに鼻を鳴らした。 「殺す」 「そんな形で?」 ルーシアが肩を竦めるとウルグはそれを睨みつけた。月光のような怜悧な美貌を殺意に歪ませたその面はそれ故にどこか歪な美しさがあり、哀しかった。 「そうだ、どんな手を使っても、何をしてでもお前らは倒す。お前らは危険だ。だからここで倒す」 むせ返りウルグは血塊を吐き捨てた。 「フーズルの敵はオレが倒す」 半死人のような様態で押せば倒れそうなその姿に、しかし一行は緊張を高めた。 不退転、それどころか我が身を省みない純粋に目的遂行のための一つに機能になった彼女の意志がどれだけ危険で厄介で、そして哀しいものなのか一行には分かった。 目の前にいるのは重傷を負った一人の女性である。しかしその闘気は一行を飢えた狼の群れの中に迷い込んだかのような錯覚に陥らせた。 しかし 「列車の首都到着まであと数時間。私たちを倒せないのでしたら時間稼ぎにもなりませんわよ?それでもかかってきますの?」 だからと言って臆する一行ではなかった。負けられない理由は此方にも十分すぎるだけある。 「言ったろうが、オレはァッ!!」 彼女の纏う鬼気が壮絶さを増し、列車の窓ガラスがビリビリと震えた。 「お前らを倒しに来たんだよ!!」 「いやですわね。視野の狭い人は」 侮蔑するようにルーシアは鼻を鳴らした。 「そんな有様でしたらもっと他に策を巡らせた方がよろしいのではなくて?」 ウルグは痛みを堪えるかのように表情を歪ませた。 「俺は、人の殺し方しか知らない」 だがすぐにその感傷は闘気の中へと埋没していった。 「それに体の傷なんてどうとでもなる」 そう言うと彼女は白衣のポケットから注射器を二本取り出した。それを太ももに突き立てると拳の甲で中の薬剤を体内に流し込んだ。 すると彼女の全身から湯気が立ち上がると共に見る見るうちに傷が癒えていった。 「あの人の……、役に立つんだ……」 その姿にルーシアの脳裏に何時かの光景がよぎった。 ジャック=レイダーという哀れな少年の哀しい末路が。 「……その白衣、見覚えがありますわね。まさか」 「ああ、腕から巻き上げた」 あっさりと答えた。 「あの男から……?」 「顔見知りだったからな。オレは昔、僧兵院にいた。僧兵院『歯牙』それがオレだ」 その言葉にルーシアはやや目を見開いた。そんな彼女の様子に、舌打ちをするとウルグは語りだした。 「……かつてあの人を狙い、あの人に挑み、破れ、そしてあの人に救われた。オレは……、あの人のおかげで只の『牙』から人間になることが出来た。でもその所為であの人は兄を失い、背負わなくてもいいものまで背負うハメになったんだ」 窓から差す日が遠くの山々に遮られウルグの方へと影が落ちた。 「あの人は、フーズルは、本当は誰かを切り捨てることが出来るような男じゃないんだよ。自分を殺しに来た相手にすら救いの手を差し伸べる、優しい男なんだよ。それを、オレが変えちまった。オレの所為で、変わっちまったんだよぉッ!!」 彼女の言葉に嘘はない。恩人が自分を救ったがために変わってしまった。そして、そのことを償うことも出来ずに背負い生きてきた。それ故に彼女の想いは痛く哀しい。 「テジャドのやっている奴隷売買だって本当は嫌な筈なんだ。でもそれが自由都市の為だって言われてテジャドの手先になって手を汚している。全部全部オレの所為なんだよ。それなのにオレはまだあの人に何も返していない。あの人はオレの所為で大事なものをたくさん失ったのにッ!!」 彼女の左目から一筋、光る物が落ちた。 「この戦争が言いがかりみたいなもんだって事ぐらいオレにだって分かってる。全部全部こっちの勝手な都合で回してるんだって!!でもそれがあの人の決断なら俺はそれについて行く。正も邪も善も悪も無い。オレは、フーズルについて行く!!!」 湿った頬から湯気が上がり涙が蒸発していった。 「だからオレを怨んでくれ。筋の通らないことをしてるって嗤ってくれ。でもたとえ世界の全てに嘲笑われようともフーズルの敵はオレが噛み砕く!!」 満身創痍、そんな言葉では彼女の状態はとても言い表せるものではなかった。 武器を失い、それどころか鎖骨が折れ、筋肉は断裂し武器があったところでそれを握る握力も無い。肋は砕けその破片は臓腑に刺さっている。血を流し過ぎた為に全身は酷い悪寒に苛まれている。神経は灼熱し脳の感覚器が何時破綻しておかしくない量の痛覚の濁流が意識を押し流そうと猛っている。 それを薬物で強引に押さえつけ、満足に動くこともできない体を力ずくで動かし、救国の大英雄たちの前に立ちはだかった。 ただ、彼らの足を引っ張るために。 今こうして呼吸を繰り返すたびに彼女の寿命は削れてゆくだろう。こうして立っているだけで彼女の肉体は死へと近づいてゆく。 愚かである。愚かでそして哀れな生き方である。 でも彼女にはその生き方しか出来ない。愚かで、でも真っ直ぐな、その愚直なまでの誠実な約束の履行こそが彼女だった。 何故ならあの誓いが彼女の全てだから。 『いい考えだろ。この先、たぶんあんたの出番はないぜ!!』 あの夕焼けの帰り道で自分を人間にしてくれた男に捧げた誓いが 『フーズル=バルバリアの敵は、このウルグ=ヴァーシャが噛み砕く!!』 僧兵院『歯牙』は只の道具だった。 日々の僅かな糧を得るために血を吐く思いで修練を積み、そうして高い技術を身に着けても人斬り包丁以外の何物にも成れない。それを理不尽だとは思わなかった。そう思うだけの幸福を彼女は知らなかったから。 『人並みの幸せ』或いは『楽しさ』『喜び』それらは彼女にとっては別大陸や別の天体のように存在することは知っていても自分には永遠に無縁なものだと思っていた。 何故なら自分は僧兵院だから。僅かな小銭で親に売られ、それ故に人ではない道具。僧兵院という巨人が亜人を脅かす機能の一つ。つまり彼女はどれだけ効率よく人を壊すことが出来るか、殺人の機能だけが自分の全てだと思っていた。 だから、悲しみも苦しさも無かった。 それが当たり前の事だから。 飢える苦しさも、血反吐を撒き散らして死に掛けたことも、頭を踏みつけられたことも、どれも日常の一つに過ぎない。だって彼女は道具だから。道具を傷つけて道具に謝る人間はいない。酷使に耐えきれず壊れてしまえば道具は捨てられるだけだ。 だから未だ「破棄」されずに殺人機械として存在することが出来る自分はそれだけで恵まれており幸せなんだと思っていた。 そうして苦痛と悲哀しかない日常を繰り返してゆき、やがて自分も他の道具たちと同じように摩耗して壊れて消える。そうなればようやくこの苦痛と悲哀から解放される。それこそが自分に与えられた唯一の倖せなのだと、それが自分の運命なのだと、それを受け入れていた。 もう、他の何もかもを彼女は諦めていた。 何かを望むにはあまりにもこの世界は狭量で、運命は性悪だったから。 でも、そうじゃなかった。 自分ですら自分は無価値でこの世界に存在する必要のない人間で、それどころか多くの命を殺めてきた消えるべきモノだと思っていたのに、その男だけは。 『お前は、そんな人間じゃないよ』 最初は何を言っているのか分からなかった。 外国語の様に、その音の並びが意味する物が本当に分からなかった。 やがて意味が分かった時には愕然した。それも二度。 自分ですら見棄てていた自分をそんな風に認めてくれる人なんて初めてだったから。そして、人間だと言ってくれたから。世界の全てから見棄てられた只の殺人機械を、敵であるその男だけが人間だと。 そしてあろうことか男はこんなことまで言ってのけた。 『お前が必要だ』 誰かに必要だと言われたのは初めてだった。 胸の裡側がくすぐったいような不思議な感覚で疼いた。生まれて初めての感覚だった。気が付くと双眸からとめどなく涙が溢れだした。 みっともないので止めようとしたが何故か止まらずに涙は流れ続けた。 慌てた。 感情の制御が効かず訳が分からなくなった。何とか男に言い訳しようと口を開いたが舌が回らずに喉だけが震え不明瞭な喚き声が出た。 鼻の頭の辺りで熱いような酸っぱいような感覚が弾けた。 本格的に前後不覚に陥っていると、彼は彼女の頭に手を回しその顔を胸に抱いた。 『きっと、今より楽しいぜ』 悲しみなんて慣れていた。苦しいなんていつものことだった。痛いのなんて屁でもなかった。でも生まれて初めて他人に信頼され、認められ、必要とされ、もう彼女は耐えられなかった。彼女は堰を切ったように彼の胸で声を上げて泣いた。 死んでいた感情が甦った。 だからそれは当たり前の事だった。 ただ子供が、子供のように泣いているだけだから。 彼は彼女にこれから楽しくなると言った。未来はいつも輝いていると。 でも彼女はそれだけは信じられなかった。 だって 今感じているこの感情を上回る倖せなんて、存在するはずがないから。 「貴女が居なくてもいずれ同じ運命を迎えていたと思いますわよ」 ルーシアは小さく頭を振った。 「でもまあ、言っても無駄ですわね。そんな悲しみしか見ていないような有様じゃあ。全くフーズルさんが貴女に与えたものが憎しみや悲しみだけの筈が有りませんでしょうに」 そして哀れな女に吐き捨てた。 「新しい居場所を手に入れても、貴女が同じように生きているのでは何にもならないじゃありませんか」 「行為は同じでもそこに込められた意志は違う」 ルーシアに、それどころか世界中の誰からも認められなくても彼女は構わなかった。ただこの戦いで少しでもフーズルの抱えることになるモノが減るのならばそれで構わなかった。 確かに自分は今、かつてと同じように生きている。 でも、ただ終わりを迎える日を待っていたあの頃とは違い、今の自分の心臓は高鳴る鼓動を刻んでいる。顔に笑みを浮かべることが出来る。 全て、フーズルからもらったものだった。 「それがフーズルさんの意志だと」 「違う、フーズルに捧げたオレの誓いだ!!」 ルーシアは呆れたように溜息を吐いた。 「そのような頑なさでは何を話しても無意味ですわね。はっきり申し上げますが、貴女の戦いはまるで無意味ですわ。ああ、一つだけ意味がありましたわね」 痛烈に切り捨てながらルーシアはやや目を細めた。 「貴女のおかげでフーズルさんの人柄を知ることが出来ましたわ。これで分かり合う希望を捨てないですみそうですわ」 「そうか……」 ウルグは口許を強く引き結んだ。悔しさか、或いは憧憬から。 「……行くぞ」 「ええいらっしゃい。フーズルさんも貴女も、まあ追々もう一度話し合いましょう。それが、後々では貴女の望みに叶うと思いますわ」 それだけ言うとルーシアは軽く後ろに跳び間合いを取った。 同時にスノウがウルグの能力を見切りにかかった。その結果、彼女は専用装備を喪失しているため独自の戦闘術・爆破斬術を使用することは出来ない。しかし腕の薬物によって代謝加速しそれによって肉体の自動再生と感覚と身体機能が異常なほど向上していた。元々軽業師のような身のこなしと合わされば恐るべき脅威となるだろう。 先ずウルグは殺しの舞踏を刻み一撃の精度を高めた。それを受けてルーシアは味方全員に神聖魔術を掛け味方全員の行動の精度を高め、アルティナはリューネを呼んだ。 「そうやって誰かの為ならば己の身を省みないやり方を私は認めない」 「己を滅してでもオレは誓いを果たす」 「誓いを果たした時に貴女が居なければ、一番悲しむのはその誓いを捧げた相手でしょうが!!」 思わずアルティナは激昂した。多くの死別した戦友や父、兄弟子の存在が脳裏をよぎり、それ故にそれと同じ道を辿ろうとするウルグの生き方を彼女は決して認めることが出来なかった。 「無駄ですわ」 そんなアルティナにルーシアがそっと耳打ちした。 「悲しみの他に何も目に入らない彼女に何を言っても無駄ですわ。落ち着いて考え直せば身の回りにあるものがそれだけではないと気付くはずですのに。まあ彼女には倒れた後でじっくりと己を見つめなおしてもらいましょう。その為にも、彼女にはとっととお休み願いましょうか。死ななければ何時だって次が有りますもの」 ルーシアが言い終えるとゲオルギーが斧を構え殺気を迸らせた。 「とっとと倒すぞ」 とは言った物のどう迎え撃つかが問題だった。彼女の武器は攻撃と同時に状態異常を呼び起こす特殊武器だった。それを彼女が得意の高精度の広範囲攻撃に乗せて放てば大きな被害は避けられないだろう。 だからオルフェンが味方全員に防御魔術を施した。 「こちらも覚悟を決めましょうか」 一行はそれと正面から撃ちあうことに決めた。 いつもの様に散開すれば各個撃破に追い込まれる危険性を避けた形である。 「なら覚悟しろ、行くぞ『剣戟乱刃』」 「そうはいかん」 放たれた殺気に全身の毛が逆立ち、オルフェンはウルグの行動に割り込んで味方に更に神聖魔術を施した。 彼女がその場で軽く二三度跳躍すると、次の瞬間その姿が掻き消えた。 同時に列車内の壁と天井から同時に蹴られたような音が響いた。そして彼女は一行の背後に出現した。 一行は反応する事すらできずに彼女の斬撃を受けた。 しかし、その直前でアルティナは体をねじ込んで一行全員をウルグの凶刃から庇って見せた。 「関係ねえ、ぶった切る」 凄まじい鋭さの斬撃だったが、スノウとオルフェンの魔術、そしてアルティナ自身の防御力でそれを凌いで見せた。そもそもアルティナが全力で身を護った場合、それを打ち破れるだけの攻撃力はウルグにはない。 しかし、魔剣の呪いがアルティナに降りかかり彼女は久しく感じていない状態異常に陥った。尤も直後にルーシアによってそれは治療されたのだが。 だが治療を施しながらルーシアは内心で想像以上のウルグの攻撃精度に驚嘆していた。長引けば全滅するまえに魔剣の呪いで壊滅するだろう。 そこに再びウルグが襲い掛かった。 今度は先ほどと違い目の前にいる。だから一行は彼女の一徒手一頭足にまで気を配った。しかし彼女が剣を振ると再びそれは鋭利に閃いた。 しかしルーシアはそれを祈祷術で妨害すると紙一重でそれを躱して見せた。そしてオルフェンがスノウを庇った。これによって魔剣の呪いを受けた全員が無効化して見せた。その鋭ささえ封じてしまえば、ウルグに一行の守りを貫く手段は最早ない。 二度の攻撃で一人も倒れていないのを見てウルグは顔を顰めた。 「堅えェな……。クソがッ!!」 右手に剣を結び付けている布の端を噛み結びを絞めなおした。 「やっぱ強い……」 「そうですわ。私たちは強いですわよ」 ルーシアにアルティナも続けた。 「一人ぼっちの貴女とは違い、私達は仲間と共に戦っているのだから」 携えたフレアブランドの聖火が主の闘気に呼応するように猛った。 「たった一人で戦う貴女には、絶対に負けない。負けるわけにはいかない」 一行はウルグの保有戦力について見切り始めていた。 実際に二回目の攻撃は防御力に秀でたアルティナはおろかスノウを庇ったオルフェンやゲオルギーにすら有効打にはならなかった。 注意すべきは稀に出る彼女の会心の一撃のみ。 一行の間に漂う空気が弛緩し始めた。 だが、努力でも才能でもなく、奇跡に至るほどの人の想いという物を一行は思い知らされることとなる。 ウルグの攻撃を回避すると同時にルーシアはオルフェンにウルグを攻撃するよう指示を出した。そのままオルフェンは死角から彼女に殴り掛かった。 オルフェンの攻撃にミスは無かった。熟達の杖術使いであるオルフェンがルーシアの神聖魔術の補助で精度を高めたその一撃は並みの武芸者ならば反応すらできないだろう。 しかしオルフェンのその攻撃は空を切った。 そしてウルグはオルフェンの側方の空中に跳んでいた。 オルフェンには知覚できなかったが少し離れていたルーシアには何が起きたのか理解できた。彼女はオルフェンが杖を振り下すのに合わせて左足で地面をけると同時に右足をオルフェンの、杖を握るその手にかけたのだった。そしてそのまま振り下される勢いを利用して体を捌くと右足で跳躍して攻撃を躱したのだった。 「まだだ」 だが身動きの取れぬ空中で返す刀で振り上げたオルフェンの攻撃を躱すことは出来ずにウルグは直撃を受けた。咄嗟に刀身を体と杖との間に捻じ込んで盾にしたものの威力を殺すことは到底かなわずにウルグの体がくの字に折り曲がった。 ウルグは呻き声を上げ口元から堰に混じって赤い液体を地面に吐きだした。 そこにスノウの魔術が襲い掛かった。 魔力で大気を攪拌するかのような疾風の大渦を巻き起こしウルグを飲み込んだ。巻き上げた礫が列車の床や壁の鉄とぶつかり不快な擦過音を立てた。まともに食らえば最早原形をとどめる事すら難しいであろうその嵐が晴れると、そこにウルグの姿は無かった。 「まだだ、フーズルの……役に、立つんだ……」 振り向くと背後で亡者の様にウルグは呟いていた。 彼女は膝のばねだけで身長の高さまで跳躍すると左腕で壁を掴んで自分の体重を天井まで投げ飛ばしたのだった。そして天井を掛けて一行の背後まで回り込みスノウの大魔術を回避した。プロキオンでも見せた壁や天井を駆ける軽業師の如き身のこなしである。 しかしそのことにゲオルギーは寸毫の動揺も無く、神速でウルグへと斬りかかった。 アクロバットからの着地したてでウルグは躱すことが出来ずに鬼神の攻撃をまともに受けた。それこそ本物の蹴鞠の様に壁に床に天井に何度も弾みながら吹っ飛ばされた彼女はやがて背中から壁に叩きつけられた。肺から空気が絞るように出て行き、次の瞬間には嘔吐感と共に血塊が喉にせり上がってきてそれをその場にぶちまけた。 口から不明瞭な苦悶の呻きを漏らしながら彼女は座席を杖に立ち上がった。 そこに風を巻いて再びゲオルギーが斬りかかった。 振り下される斧の一撃は彼女に死を感じさせた。 ウルグは咄嗟に身を屈め座席の下に飛び込んでゲオルギーの斬撃を潜るように彼の背後に回り込んだ。彼女を追う様に斬撃の軌道を変えたゲオルギーだったがその一撃は座席を粉々に粉砕したものの彼女の身を捉える事には失敗した。 立ち上がり肩を上下させて荒い息を何とか整えながらウルグは立ち上がると剣を構えなおした。 一瞬彼女の体の輪郭がぶれると次の瞬間には彼女は斬りぬけていた。だが消耗が激しいのか或いは鋭いだけの彼女の攻撃に慣れたのかその斬撃はルーシアだけではなくゲオルギー、オルフェンまでその攻撃を躱しきって見せた。 そしてオルフェンはスノウを庇って見せたのだがそこでウルグの牙はオルフェンの命を掠めた。しかし一行は運命の加護と防護手段を集中し彼を生存させて見せた。 「ち、クソ、が」 歯噛みしウルグの動きが一瞬止まった。 その隙を逃さずにアルティナが突撃を仕掛けた。しかし―― 「食らうかよォッ!!」 その突撃は空を切った。 ウルグは突撃してきたリューネの前足に左足を掛けてその肩に駆け上がり、アルティナとすれ違う様に側方へと跳んでそれを躱した。 すると彼女は跳び退いて距離を取り再び殺しの舞踏を刻んだ。 ルーシアとアルティナはたった一人でこの場で一行に挑む彼女を愚かだと断じた。そして彼女自身それを肯定した。 だが僧兵院『歯牙』 否 赤髭海賊団副団長ウルグ=ヴァーシャはそれでも尚恐るべき脅威であった。 次更にその次、魔剣が続けて吠えれば一行を悉く行動不能に陥る危険すらある。 そう 海賊王の牙は確かに女王の騎士団に届く。 だが、一行とて黙ってやられるわけには行かない。 一行は気を引き締めて彼女の次なる攻撃に備えた。 そしてウルグ再び動く刹那、オルフェンが彼女に殴り掛かった。完全に機先を制された彼女は今度は反応すらできずに殴打された。続けさまに二度頭を殴られウルグの意識が遠のいた。 それでも何とか僧兵院の絶技を放とうとするその足元に地面に白衣の裾を縫い付ける様にナイフが刺さった。 「なッ!?」 「申し訳ございませんが、まだまだ私たちのターンですわ」 「クソがぁッ!!」 「むしろ、『ずっと私たちのターン!!』」 「ふざけんなァッ!!」 そこにアルティナの突撃が襲い掛かった。竜の突撃に跳ねられて空中を錐もみ回転して吹っ飛んだ彼女は地面に頭から落ちた。 だが、彼女はその細い体のどこにそんな力を秘めているのか剣を杖に立ち上がった。俯き肩で息をするその表情は窺い知ることは出来ない。ただ彼女はそんな状態でもただフーズルを想った。 「ふ、フー……ズル……、オレは……フーズルの、役に……」 もうそんな姿をスノウは見ていられなかった。だから彼女の悲痛な戦いを終わらせるために魔術を放った。勿論、そこに手加減は無い。放たれた魔力の大渦は速やかにウルグの意識を狩り取る筈だった。 しかし、迫りくる暴威を前に彼女の脳裏に諦めがよぎった。しかし、体が勝手に動いた。魔力の流れの中心点を見切りその一点を寸分の狂いなく両断した。すると魔術は霧散した。 「魔術を斬った!?」 信仰に近いフーズルへの忠誠心が、そして幼少期からの地獄の日々が技に昇華したように奇跡を呼んだ。 それは嘗て、僧兵院で彼女の師が一度だけ見せた技だった。 性別的にも体格的にも恵まれぬ彼女だったが、しかし彼女の師はそれ以上だった。彼女の師は盲人だった。先天的な身体機能の障碍は前世の罪によるものであるという信仰に拠り彼も僧兵院へと落ちた。だが彼は長きにわたる修練と独自の哲学から全知に触れ、到達者となった。 その彼が一度だけ戯れに彼女に見せたのだった。 鉄や鋼どころの話ではなく、水や大気や魔術、果ては時間や空間と言った形而上の物すらも切り落とす絶技を。 そして今、彼女は死の淵に立ちそれでもなお敬愛する男への忠誠からその一端に指先が触れたのだった。奇跡という他ない。 しかし奇跡は一度きりだった。 そして斬撃を放ったことで上がった彼女の顔に浮かんだ誰かの大切なものを壊してしまったのに、ちゃんと叱ってもらうことが出来なかったために、今にも泣きそうなのにそれを強引に押し殺しているような表情をもう一行は見ていられなかった。 ウルグ=ヴァーシャは純粋な人間だった。純粋で真直ぐな。 それ故に彼女の想いは悲しく痛い。 「アルティナさん」 口許を引き結んだルーシアがアルティナを促した。 「終わらせてください」 「ええ。任せて」 再び放たれたアルティナの突撃を躱す余力はもうウルグには無く、彼女は吹っ飛ばされると微かに手を動かしたが、やがてそれも止まりピクリともしなくなった。 「……フーズル、……ごめん」 そして奇妙なことに倒れると同時に彼女の体から立ち上がっていた湯気が消え、代謝の異常加速によって紅潮していた血色がもとに戻り、桃色に変色していた肌が元の軽く焼けた白に戻った。 「代謝加速剤の効果が……切れた?」 ルーシアは思わず眉を顰めた。これではまるで腕が彼女の命を救うために薬の効果を短くしていたようではないか。しかしあの狂人が果たして他人の身を案じることなどありうるのだろうか……? 「……腕、何のつもりですの?」 その真意は果たして何処に……? 一行は取り敢えずウルグの身をロープで縛っておき、列車に揺られながら傷の治療を行った。 南風が帆を畳んだマストを揺らし、ギシギシと音を立てて軋んだ。反して船に揺れは無く船体は揺れ一つなく穏やかだった。それもそのはず、彼が漕ぎ出したその海には波が無かった。 その甲板で男は一人舵輪を握り地平線の彼方を見据えていた。 海賊王、フーズル=バルバリア。駆る船は快速艇ミディッリ。赤髭海賊団旗揚げよりももっと前、彼が兄オーリスと共に密貿易商を始めた時に作った船である。それにハイレディンの図面から複製した粗悪な蒸気機関を積み込み一人でも操舵可能にした船である。 蒸気機関が音を上げ煙突から黒い煙が噴き上げると、その音に驚いたのか船体の遥か下方の地面で木の実を啄んでいた鳥が一斉に羽ばたいた。 そう、その船は空中を航行していた。 廃棄文明の遺産もとい、『聖剣フヴェルゲルミル』。 ラスアルハゲの街でマスカレイドを捉えた際にマクガフィンの首魁イクスが彼を救出するためにしようとした廃棄文明の遺産がフーズルの魂と共鳴したことでその真の姿が彼に吸収された。 その結果フーズルは疑似的な到達者となり、大気の状態を変化させる能力を得た。 今、彼はその能力を使い大気を液体化させ、そこへと船をこぎ出したのだった。 内陸部にあるベテルギウスには当然、戦艦の襲撃に対する備えなど無い。ならばプロキオンの様に都市を壊滅させるならまだしも城壁を粉砕して中心部まで襲撃するならば一隻でも十分すぎるほどである。 実際に在りし日の海戦では海賊船一隻で海沿いの砦を滅ぼした事例などいくらでもある。武装した船舶とは只の移動手段ではない。移動する前線基地なのである。 風が髪を舐り彼の頬を撫でた。 幼少期から幾度となく体感した風の気配の中にぽっかりと慣れ親しんだ潮の味だけが抜け落ちており彼は舌打ちをした。 作戦を告げる前に幾度となく自問した。 大切な仲間を切り捨ててまで得る勝利に果たして意味などあるのだろうか。 答えは出なかった。もしかしたら、もっといい道があるのではないだろうか。そんな木霊が彼の脳裏で反響し続けた。ただ、この戦いに負けて失う物と勝って得る物を比べて、彼は決断した。 やましさはあった。 負けて何かを失うのは彼の朋友たちだけで、勝って何かを得るのは彼だけなのだ。 だから彼は決めていた。 もしオルチかドラグート、どちらか一人でも不満を述べたのならば直ちに作戦を撤回すると。勿論、それで次善の策など望むべくもない。その時は特攻し仲間と一緒に死んでやるつもりだった。でもその方が嫌がる仲間を死地に送るよりははるかにましだ。 だが、二人とも文句ひとつ言わず微笑みさえ見せた。そして凱旋するかのように堂々と誇らしく死地へと赴いていた。 その時点で、もう他の選択肢は消えた。 賽は投げられたのだ。 『頼んだよ。フーズル』 兄の死んだ、いや、『最強の枢機卿』から逃げ出したあの日から取捨選択という根本原理が彼の前に現れ、そこから逃げ出す術はもう存在しなかった。 救う物を選び、見棄てる物を切り捨てる。その摂理に従って今まで生きてきた。 だからこそ今この場で変節することは許されない。彼を取り巻く全てと彼の歩んできた道程そして何より彼自身がそれを許さない。 それでも苦さが残った。それは決断を下した男に刻まれる紋章の様なものである。だから彼はせめてそこから逃げずに苦い感傷に浸った。 彼我を分かつ世界に行かれた一本の線、その彼岸、今彼の目に映るのそのどちらかに色分けされた世界だった。 ふと彼の脳裏に父の姿が浮かび上がった。そしてその最期が。 俺の実家は十字会領の豪商だった。父は優れた商人で一代で巨万の富を築いた。お袋は、いない。俺が四つの時に流行病で死んだ。親父は取引で遠方へ出かけてしまって、彼に看取られることなく、彼に感謝しながらこの世を去った。 神殺戦争中後、世界は大変な有様だっただろうに餓鬼の時分に食うに困った記憶はない。だから俺は恵まれていたのだと思う。 親父は商売で忙しく物心ついた時から碌に顔を合わせた記憶も無い。ただ一つ、親父の言葉で覚えている物がある。 『人間の手が掴める物は限られているんだ。だから何を優先するか、取捨選択を間違えるな。その手にあるものを優れた物だけに選別し終えた時、人生は完成する』 たしか、五つの時に捨て猫を拾ってきた時だったっけ。 その後捨てに行かされたんだよな。そんでもって、その日は飯抜きだった。なんでもその飢えでもって感傷を切り捨て人生の純度を上げさせてくれたんだと。馬鹿みたいだな。 俺はガキだったから。そんな親父の理屈をどうしても受け入れることが出来なかった。だってそうだろう。世の中歯車みたいに無駄を切り捨てて生きてる奴なんてどこにもいないだろう?誰だって人情とか愛情とかそんな無駄で不純なモノを抱えて生きているはずだろう。だから人生も世界もそんな計算ずくじゃあできていない、たとえ現実はそんな風にならなくても。そんな言葉を実家の商会が栄えるたびに噛み殺した。 だから俺は親父の事が嫌いだった。 そして親父もオレの事が嫌いだった。 物心ついてから商会の手伝いをやらされるようになって、俺は親父に褒められた記憶より殴られた記憶の方が多い。 まあ当たり前だ。ことあるごとに反発していたんだから。 そんな訳で実家での記憶はいつも不快な感傷が纏わりついた。 ただ二つだけ例外をのこして。 一つは初めて任された仕事を成功させてその報酬を受け取った時だったなぁ。 たしかあれは地元に密着した雑貨屋の地上げをするために雑貨屋を囲う様にうちの商会の雑貨屋を何店も出店したんだった。資本体力の差からあっという間に雑貨屋は潰れ、親父は二束三文でその土地を手に入れた。 後で聞いた話だと、その雑貨屋を営んでいた老女は自殺したらしい。その雑貨屋は彼女の亡き夫が彼女に残した遺産だったらしい。そして雑貨屋を通して地域社会とつながることが彼女の生き甲斐だったのだろう。だからそれを奪われて彼女は生きる意志を失った。そして雑貨屋を頼りにしていた近隣の集落は、不便な生活を余儀なくされたらしい。彼らは多分怨んでいるだろう、その計画の指揮を執った俺を。 親父はやや興奮した顔で俺を褒めてパンパンに膨らんだ茶封筒を渡してきたんだったな。そんなもんだから俺は、家を飛び出してそれをドブ川に投げ捨ててやったんだったな。 どいつもこいつも死んじまえ。 そんな怒りで頭がいっぱいになったよ。 もううんざりだった。 無駄や不純を孕みながらも上手く調和が成り立っている場所に土足で踏み込んで行って目茶苦茶にかき混ぜて全てを巻き上げて去っていく。残るのは不純物を除かれた調和の残骸だけ。 恐らくはそんな作業を大人の理屈では洗練というのだろう。 だけど、俺はそんなのは嫌だった。 だからそうして巻き上げた報酬をドブ川にぶちまけてやると愉快だった。 親父があれだけ狂奔して手に入れた財貨もこうして投げ捨ててやれば全部が台無しになる、あの雑貨屋と同じように。そんな事がたまらなく愉快だった。 二つ目は、そんな実家でも。 年の離れた兄と話をするのは楽しかった。 兄オーリスは俺が親父に反発して歯向かって、殴られて仕置き部屋に放り込まれた後、俺が腹を空かしているといつもヘラヘラと笑いながら食い物を持ってきた。 「今度は何やらかしたん?」 俺が気に入らなかったこと、ムカついた事、だからやった事、そして親父に言われた事への反発を愚痴るといつもオーリスは肩を竦めた。 「良いんじゃないかフーズル。俺は好きだよ、そういうの」 まあでもそんなんだから、俺は親父の稼いだ金で生活していくのは耐えられなくて十一歳の時に家を飛び出して、傭兵の真似事をしながら勝手気ままに生きて実家には本当にたまにしか寄り付かなくなっていった。 でも家に帰るとそれが真夜中でもオーリスはいつも俺を見つけ出した。そして全てを見透かしたように笑ったんだった。 「今度はどんな面白い事があったんだ、フーズル?」 だからいつも夜が明けるまで駄弁っていた。 俺が居なくなった後、親父はますます急進的になりだんだんとヤバいシマにまで首を突っ込むようになった。 だから破滅は当たり前だったのかもしれない。 人心や義理を切り捨てて経済効率だけを追い求めたが故に親父は大成功を収めたが、気が付けば周りは敵だらけになっていた。 そんな時だ。親父はある枢機卿の縄張りを侵し、その利権を横取りしてしまった。枢機卿さえ敵に回した実家はある晩、屋敷に火を放たれた。文句をいう奴なんているもんか、焼かれたのは嫌われ者のバルバリア商会で、焼いたのは正義の枢機卿だ。 幸い屋敷は広い敷地内に建っていたので延焼する恐れも無く、消火に来るものすらいなかった。 ただ、運よくその時俺は偶然、実家の近くに帰って来ていた。 騒ぎを聞きつけた俺は実家に駆けつけて燃え盛る我が家からオーリスを救出した。意識は無かったが幸いにも命に別状はなかった。だから俺はオーリスを物陰に寝かしつけるとそのまま今度は親父の救出に向かった。 家の中では炎が猛り狂い煤と煙が巻き上がり酷い有様だが、戦場での経験が俺を冷静に行動するゆとりをくれた。 書斎の辺りで倒れている親父を見つけた俺は奴を担いで出口を目指した。軽い、そして小さい体だった。一人で巨大なバルバリア商会を築き戦時中にもかかわらず兄弟二人を育て上げた男とは思えないほどに。 しばらく歩いていると親父は目を覚ました。 「気ぃついたか?」 「フーズルか……?」 親父は悄然としながら少し戸惑った様子だった。 「何故……。このような事が……」 「何故も何も……」 この期に及んで事の因果も分からない馬鹿な親父を俺は鼻で笑った。 「これがあんたのいう努力の成果さ?」 「何?」 「あんたは博打なんかしないだろうな。でも博打も商売も同じだ。一人勝ちはご法度だ。みんなで上手くやってくことが大切なんだよ。厄介なしがらみ全部無視してやりたい放題やってたらよ。そりゃそんな無茶苦茶いつかは破綻するさ」 「……そうか、私は間違っていたのか」 「いや?あんたは正しかったさ。でも、正しいだけなんてのは大間違いなんだよ」 「そうだな」 「なんだよ。気持ち悪ぃ。随分殊勝な態度だな」 本当に気持ちの悪いぐらい素直で殊勝な態度だった。こんな姿は記憶を探っても見つからないだろう。 そして親父は突然もがき出してオレの腕を振りほどくとその場にへたり込んだ。 「てめ、何やってんだよ。こんな時まで糞みたいな嫌がらせすんじゃねーよ」 カッと頭に血が上った。こいつは、この期に及んでまだ俺への確執を優先するのか。だがへたり込んだ親父は顔を上げるとそこにはひどく穏やかな表情を浮かべていた。 「フーズル……」 まるで父親が一人前になった息子を認めるかのような優しい顔を。 「私は間違えたのだ。だが私は商会の長として、今までの生き方を違えることは出来ない。フーズル、私はお前を見限った。見限ってお前を黙殺し続けてきた。故に私がお前に助けてもらう訳にはいかない」 「何言ってんだよ。そんな事言ってる場合か」 「病床の母のそばにいてやれというお前の懇願を無視して私は事業を優先した。恵まれぬ他人を見捨てられぬお前を愚かと断じ、私はお前を切り捨てた。お前も父が憎い筈だ」 勿論憎い、憎いし嫌いだ。でも 「だからって、それがお前を見殺しにしていい理由にゃなんねえだろうが」 「だが助けてもらってよい理由がない。さあもう行け。私がお前を切り捨てたように、お前も私を切り捨てよ」 「理由は……あンだろうが」 思わず、声が震えた。 「俺達は『家族』だろうが。理屈こねてんじゃねーよ。誰かを助けんのに、理屈なんか関係ねーんだよ」 だってどれだけ理屈を捏ねても、世界は断じてそれだけではできていないから。かつて親父が血族の維持に不要な筈の二男を長男と同じように育ててくれたように。 「理屈など関係ない、か、それがお前の生き方か。お前を木偶の坊と侮ったのはこの父の節穴だったな」 「オラ、立よ、肩かしてやっからとっとと行くぞ」 腕を掴み強引に立ち上がらせようとすると親父はその手を再び払った。 「『清風匝地』」 「あん?」 「真理を運ぶ清き風は何処にも吹く。フーズル、お前はお前のまま正しい。願わくばオーリスと仲良くな」 その時俺の背後から柱が倒れてきた。同時に親父は俺を突き飛ばし炎の中に消えていった。 「フーズルよ、故有れば思い出せ。取捨選択だけに取りつかれ、やがて己すらも切り捨ててしまった愚かな父を」 地平線の彼方にベテルギウスの城壁が姿を現した。遥か遠くに霞む町の影に、フーズルは兄を背負いポステリオルに帰った夜を思い出した。そしてオーリスの最期を。 奪還したオーリスはもう人間ではなかった。 拷問によって手足は捥がれ、皮膚は剥され、歯は折られ、鼻は削がれ、耳は千切り取られ、もう人間の姿をしていなかった。 何よりも、腹の中に魔族の組織を移植されその肉体は妖魔化していた。だが元々が人間であるオーリスに妖魔の体となる肉体の変貌に堪えうる体力などある筈も無く瘴気に侵された部分とそうでない部分とで拒絶反応を起こし肉体が腐食を始めていた。 ポステリオルの病院のベッドの上で無残な姿を横たえながらオーリスの命は今まさに燃え尽きようとしていた。 生きながらに体の内部から腐って行っているのである。苦しい筈である。痛い筈である。無念な筈である。 しかしオーリスは十字会や己の運命への恨み言は一切吐かずに、淡々と自分の死後、自由都市をどうするのかについて語った。やがて彼はテジャドに都市運営の方針を託すとフーズルを呼んだ。 「俺はここまでだ、フーズル、後は任せるよ」 今際の際に立たされてもオーリスのフーズルへと語りかける声は優しかった。そして彼は弟に託した。兄弟の夢を。 「無理だ。俺がそんな器だと思うか?」 静かにフーズルは首を振った。 「そんな責任負っても果たせねえよ。たった一人の肉親すら守れないような奴なんだぜ」 その顔に影が下りた。 「テジャドやアスクレピオスの方が適任だ」 「ううん。フーズルが一番だよ」 しかしオーリスは尚も語りかけた。在りし日にわがままを言う弟窘めた時と同じように。 「過大評価も甚だしいな。親父の言ってることは正しかったよ。どうせまた大事な所で逃げ出しちまうような俺はクズなんだよ」 「違うよ、フーズルはクズなんかじゃない。俺は知っている」 己を卑下する弟に兄ははっきりと告げた。 「フーズルは、お前が思ってるよりもっとずっと凄い奴だよ」 いつもそうだった。 「オーリス……」 父親に見棄てられ、誰からも認められなくても、ただこの人はいつも自分の事を認めてくれていた。 「いくらお前でも、俺の自慢の弟を侮辱したら許さない」 ――ああそうだ。 「自由都市同盟の頭はフーズルだ。もう決めた」 この人が言うのならばそうなんだろう。分かるさ―― 「兄貴、俺はッ!!」 ――兄弟だから。 「フーズル」オーリスは小さく微笑んだ「頼んだよ」 二人の間に息遣いのような小さな空白が訪れた。しかしフーズルはすぐに決断した。 「任せろ」 その声は微かに擦れていた。 でもその言葉に安心したようにオーリスは目を閉じた。それが永の別れとなった。フーズルは一度だけ俯き目を瞑った。しかしすぐに顔を上げて目を開いた。 「……フーズル……、オレ……おれぇ……」 部屋の隅で俯き肩を震わせているウルグの頭に手を置いて髪をかき混ぜた。 「別にお前が悪いわけじゃない」 そして扉を開けると表に出た。 嵐の夜だった。 頭上は厚い雲に覆われて月明かり一つ地上には差してこない。雨を巻き上げる黒い風がうねりを上げて渦巻いている。 そんな天候にもかかわらず、オーリスを担ぎこんだ医院の前には多くの人が集まっていた。恐らくはポステリオル中の人間が指導者の安否を気遣い集まったのだろう。 フーズルが小さく首を振ると何人かが崩れ落ちた。 フーズル=バルバリアは我儘な人間である。責任なんてものはどこ吹く風の身勝手で自分本位な子供である。 何かを背負うことなど決してしない男だった。 しかし彼はこの光景を、兄が最後に残した贈り物を確りと誇りとして胸に刻んだ。 彼は人込みを抜けて切り立った崖に立った。抜けながら人々の顔を見た。 泣いている者もいた。絶望して立ち竦んでいる者もいた。諦めて呆然と天を仰いでいる者もいた。 誰も彼もみんな、雨曝しのまま悲しみに打ちひしがれていた。 ――ああ、兄貴。大丈夫だよ。 「ガキじゃあるめーし、そんなにめぇめぇ泣くな」 まるで何でもない事を言う様にフーズルは言った。 「別に世界が終わったわけじゃない」 一切の光は嵐と夜に呑まれその場には何ら光明は差してこない。蔓延る悲哀にフーズルは思わず肩を竦めた。 「兄貴のやったことの始末はつけるさ。仕方ねえよなぁ、俺がやらにゃぁな。……兄弟だから」 自嘲するように口ごもらせた呟きの後半は風音にかき消されて皆の元に届くことは無かった。 ――俺には自分の為に誰かを見捨てる事なんてできないよ。そんな賢さは終ぞ身につかなかったよ。 「兄貴は死んだ。救出した時点で手遅れだった。そしてそのことは聖堂十字会の連中も分かっているはずだ」 今度ははっきりと声を通らせて彼は淡々と事実を述べた。 「直に連中は軍を率いてここに攻め込んでくる。兄貴を救出するために枢機卿を一人殺した。だから名誉挽回のために連中は本気だろうな」 群衆がざわついた。彼の言葉に誤りはないだろう。だとすれば今すぐに逃げ出さなければならないだろう。 逃げる? どこに? 棄民である彼らに他に行ける場所などある筈もない。 その場に諦念の影が降りかかった。 「でも大丈夫だ。ここには俺が居る」 打ちひしがれた群衆に彼は語りかけた。かつて兄がそうしたように。 「そりゃ兄貴みたいに上手くは出来ねぇよ。だからあいつの理想までは継いでやれない。だが、お前らのことは見捨てないし投げ出さない。お前らを護り、未来まで連れてゆく。たとえそれがどれだけの重荷になるのだとしても背負ってやる。約束する。……だから泣くな」 はっきりと言い放った。皆を護り導くと。そのためなら生き方を変えることも厭わないと。 「お前……」 オルチ=ドーリアが彼へと駆け寄った。オルチは誰よりもフーズルがそんな生き方が出来るような性格ではない事を知っていた。だから駆け寄らずにはいられなかった。もしかしたら今この瞬間、彼は兄の死に殉じて取り返しのつかない傷を負ってしまうのではないかと。 気遣うような表情のオルチに彼は無言で、だが力強く頷くと群衆へと向き直り叫んだ。 「だからテメェラァぁ!!」 同時に、彼方に稲妻が走った。 「黙って俺について来い!!!!」 未来は何時だって嵐の中だった。 向かい風ばかりが強く、吹きつける雨は容赦なく体温を奪う。眼前には荒れ狂う黒い海原が広がり、わずかな海路の日和も差してこない。 それでも彼は運命の中へ軋む船を漕ぎ出した。器に余るだけの重荷を背負いながらも、ただ一滴もそれを零さぬように。逃げ出したい気持ちに歯を食いしばってジッと耐えて。安らぎに背を向け、自由を捨て去り、生き方を変えることになっても懸命に前に進んだ。 彼は聖人ではない。 それどころか世間では悪党と後ろ指を指されるような男である。 人を殺したことも両手の指では数えきれないほどある、 しかしそれでも彼は背負い込んだ。 なぜなら、それは―― ――彼が男だったから。 未来を切り開くために運命と戦うことを定められた『男』と言う生き物だったから。 「さて、行くか」 城壁の上の兵士を視界にとらえるとフーズルは頭を振って感傷を振り払った。 「ガキの理屈に、付き合う暇なんざ、ねえよ」 城壁の喧騒が微かに耳に届いた。都市を護る兵士たちは目の前の不可思議現象に思いっきり動揺しながらも弓や鉄砲、大砲などをかき集めてなんとか迎撃態勢を整えているようだった。 「健気な事だ。だがお前らの遊びには付き合わん」 フーズルの体から青緑色の蛍火が立ち上がった。 聖剣フヴェルゲルミル、その効果によって彼は再び大気を液体化させた。しかし今度は城壁の高さまで浮かんでいるミディッリの甲板よりも高い地点の大気を、である。 現在も彼は城壁の高さまで大気を液体化させている。そこに液体化した上空の大気が流れ込んだ。 その結果、フーズルの作り出した大気の海はその水嵩を大きく増した。その海面が城壁の遥か上空になるほどに。 「悪いな。俺と遊びたいなら額に汗してついて来い」 兵士たちは自分たちの頭上を悠々と通過するミディッリの船底を呆然と見上げた。 ミディッリはそのままベテルギウスの外壁部、軍部、市街地、政治中枢部を通過し一直線に王宮へと迫った。 ベテルギウス防衛の兵士たちは成す術が無かった。 内陸部のベテルギウスで空中を航行する武装船に対処する手段などある筈もない。しかも船を駆るはフーズル=バルバリア。十字会では『嵐の化身』として恐れられる怪物である。 ミディッリが王宮へと近づいてくるとフーズルはフヴェルゲルミルを段階的に解除し始めた。徐々に液体化した大気が再び気体に戻って行き水嵩が減り始めた。 水面が王宮の二階ぐらいまで下がるとフーズルはそこでフヴェルゲルミルの解除を止めた。そして船に積んでいた大砲を甲板まで運び出すと砲弾を撃ち込んで王宮の外壁を破壊した。本来ならば最上階を吹っ飛ばしてやりたかったが、万が一にもそれで女王を殺害してしまうわけにはいかなかったのである。 フーズルは甲板を蹴って大砲で開いた外壁の穴へと飛び込んだ。そうして王宮内へと踏み込むと、既にそこには大勢の兵士たちが武装して待ち構えていた。 「好き放題やってくれたが、ここまでだ!!海賊王!!」 「そうだ、共和国は『女王の騎士団』だけではない。我々の手で陛下の御身をお守りする!!」 「相手は一人。むざむざやられに来たようなものだ!!」 皆、武器を構えフーズルを囲った。多対一どころの話ではない。王宮を守護する兵士はおよそ百以上。しかもそこに外壁部からフーズルを追った兵士たちが次々と駆けつけて来ている。 考えるのが馬鹿らしくなるほどの戦力差である。 フーズルは思わず口の端を歪めた。 「なあ、おい」 彼らの思い上がりがあまりにも可愛らしかったので。 「いちいち吠えるな。煩ぇから」 フーズルは人差し指で兵士たちを誘った。 「要は俺と遣り合おうって訳だ。そんな形で、時間が無いからとっとと遣ろうぜ。ちびっても大丈夫なようにバッチリとオシメ履いて掛かって来な、案山子共!!」 痛烈に罵倒され兵士たちは殺気立ちながらフーズルへと殺到した。 先ずはフーズルへと左右から挟撃の形で兵士が斬りかかった。それをフーズルは後ろに軽く飛んで躱した。しかしそこに正面から三人の兵士が剣を突き出しながら突撃を仕掛けてきた。 「空中ならば身動きとれまい!!」 空中でフーズルは身を捩ると器用に剣と剣の隙間に体をねじ込んだ。 「バーカ」 真ん中の兵士の肩に肩を押し当てて動きを制しながら左右の兵士の顎の下に掌をねじ込むと一気に押し上げた。人体で最重の部位である頭部、しかも重い鉄兜を被っているそれを跳ねあげられて二人はバランスを崩して後ろにひっくり返った。 「なッ!?」 その二人の肉体がその背後から迫ってきた三人の兵士にぶつかった。突然吹っ飛んできた仲間の体の下敷きになった兵士はぐえ、と潰れたカエルの様なうめきを漏らした。だが更にそこにもう一人の体が吹っ飛んできた。真ん中の兵士がフーズルの肩で打つ体当たりで吹っ飛ばされたのだ。 同時にフーズルは背後から首を狩りに来た切り払いの斬撃を、身を沈めて躱した。思い切り振りかぶった攻撃が空振った為に僅かに重心が前に傾いた彼の足を払い彼を転倒させた。 転んだその体を踏み台にフーズルは再び跳躍して背後で剣を振りかぶった兵士の顎を頭で強打した。 「そこをどけえぇッ」 十人でかかって行き、一太刀も浴びせぬまま八人が倒されたのを目の当たりにして囲いの外にいた男が吠えた。 声に従う様に人垣が開くと男は銃を構えていた。 「遠距離からなら!!」 銃口が火を噴き炸裂音が吠えた。しかし 「無駄だ」 フーズルの体から青緑の光が立ち上がると、彼と男との間の空間が撓み、銃弾は意思を持ってフーズルを避ける様に軌道を歪ませてフーズルを囲う人垣へと突き刺さった。 「何ィィッ!!?」 パニックを起こした男は弾倉が空になるまで引き金を連射した。しかしどれも先ほどと同じようにフーズルに届くまでに軌道を変えて仲間の兵士に命中した。 やがて弾倉の弾が尽きると男は狼狽しながらそれでも引き金を引き続けた。カチカチとう間抜けな音がその場に響いた。 「不便な能力だよな」 吐き捨てながらフーズルは男へと歩み寄った。 「どうせならもっとこうビームとか出る感じの直に強い能力が良かったよ……」 そして訳が分からないと言った顔をしている男を殴り倒した。 「見ての通りだ」 背後を振り返るとフーズルは言い放った。 「俺に飛び道具は効かん。無駄だから止めておけ」 ハッタリである。 彼はフヴェルゲルミルの力で銃口と自分との間の空気の状態を変化させることで密度を変え弾丸の軌道を歪ませたのである。そんな能力の行使は相当の計算が必要であり不意打ちにまでは対応できない。 しかし共和国の兵士たちはそれにかかった。 同士討ちをさせられたという事実。そして何より、『海賊王』の言葉は鉛の説得力をもって彼らの胸に突き刺さった。 兵士たちは再び剣を構えた。しかしここまでフーズルの圧倒的な戦力を目の当たりにさせられて、勇敢に斬りかかってゆくものは最早いなかった。 「あのな」 めんどくさそうにフーズルは頭を掻いた。 「オジサンは結構忙しいんだ。にらめっこしたいっつーんなら、こっちから行くぞ」 そう言うと鋭い眼光で兵士たちを射抜いた。 それだけで兵士たちは心臓を握りつぶされたかのような戦慄を覚えた。鉄条網の様に緊張が彼らの精神を縛り上げた。 そこにフーズルは右足で半歩先の地面を強く踏み込み大きな音を鳴らした。 兵士たちはびくりと身を震わせたが、そのうちの一人がそのフェイントに引っ掛かってしまった。彼は見えない糸に引っ張られるかのように緩慢な動きでフーズルへと斬りかかった。 「ば、馬鹿野郎!!一人で行くな!!」 慌てて仲間たちも彼を追うがもう遅かった。 「フーズル=バルバリアは無刀取りの達人だぞォッ!!」 剣が振り下される刹那、フーズルの右腕が大蛇となって閃き彼の手の中から剣を奪い取った。 「期待通りの攻撃ありがとう」 ――自在徒手。彼はこの技をそう名付けた。 由緒正しい由来のある技ではない。彼が町でチンピラと喧嘩した際に思いつきで身に着けた技である。しかしそれが逆に彼の天才性の証明となる。 無刀取りという剣術の奥義を彼は独力で編み出したのである。 かつて『歯牙』ほどの腕前を持つ剣士もこの技の前に一太刀も浴びせることなく敗れた。只の、しかも狼狽した兵士の剣を奪い取ることなど彼にとっては朝飯前である。 「それじゃあ終わりにしようか」 押し寄せる兵士たちに向かってフーズルは剣を構えた。同時に彼の身体から再び青緑の光が立ち上り、剣の刀身で大気が渦を巻いた。その渦は徐々に勢いと規模を増していった。 フーズルが軽く剣を振るうと渦は刀身を離れて竜巻の様に室内の大気を飲み込んで成長してゆきながら部屋の中央へと移動していった。 そこで渦は一瞬だけ収縮させると一気に弾けて室内の空間全てを攪拌するような大渦と化した。 これまで徒手の彼に圧倒されていた彼らが武器をたずさえたフーズルに勝てるわけも無く、不幸にも兵士たちはそのことを理解してしまった。 そこに思い当たった彼らは身を強張らせてしまい大気の渦にのまれた。突風に体を空中に投げ出されるとそのまま上下左右の自由がきかないまま壁に天井にと叩きつけられて彼らは意識を失った。 「安心しろ。殺しゃあしねえよ。全部終わった後はお前らも貴重な手駒になるんだから、な」 最後にそんな事を言い残しながら悠々と王宮の奥へと踏み込んで行くフーズルの背中を見送りながら。 そのままフーズルは立ちはだかる兵士たちを蹴散らしながら王の間を目指した。兵士たちは問題にもならない。まさに鎧袖一触であった。 すぐに彼は王の間へとたどり着いた。 扉を開き中へと踏み込むとそこで殺気を感じ咄嗟に前へと跳び身を放り投げた。 そこに鋭い回し蹴りがさっきまで立っていた場所を凪いだ。 腕で体を跳ねあげて立ち上がったフーズルの視界に玉座に座す女王と、喪服のような黒スーツを纏った丸眼鏡の気難しそうな男が入った。 共和国宰相代行のチュートである。 「……ルーメリアも言っていたが、妙だとは思っていた。」 その姿にフーズルは舌打ちした。 「……話と違うじゃねえか」 「正直な所、この状況に私は未だ戸惑っている。だが私の立場と使命を考えれば、そんな事情が私の行動を妨げる要因になどなりはしない」 その男の放つ鬼気を前に、かつて『最強の枢機卿』と相対した時と同じ戦慄がフーズルの背を舐めた。 「この国の指導者として、フーズル=バルバリア、貴様を排除する」 それだけ言い放つと彼は足を肩幅に開き、肘を曲げて両手を胸の高さで構えた。両手の指は揃え、背筋を曲げて顎を引きながら目線をフーズルの肩のあたりに置いた。 前へ倣え、をするような特異な構えだった。 それが並ではないことは分かっていた。 しかし、フーズルは臆することなく風を巻いて仕掛けた。 逡巡すればそれだけ朋友を犠牲に稼いだ時間が、いわば同胞の命の対価が失われてゆく。危険を読みそれを避ける段階はとうに過ぎている。後は全身全霊をかけて使命を遂行するのみ。 一瞬で間合いを詰めると左手をチュートの目の高さに上げて視界を遮り、その刺客から兵士から奪った剣を心臓めがけて突き出した。 一合で決着がつくとはフーズルも思ってはいない。しかし兇器による攻撃ならば武術習得者は必ず体捌きと受けで対処するはずである。ならばその回避行動に合わせて追撃を加えることで此方の攻勢は続く。 攻勢を続ければ受け損なう可能性はそれだけ高くなる。そして自分は武器を手にしている。一撃が致命傷になる可能性は高い。なによりも、相手が守勢に回るということは此方に被弾の可能性が無いということである。何故なら体を捌きながら打撃に有効な体幹の捻りを生むことは出来ない。どうしても手打ちの攻撃となる。どんな武術であっても、高リスクなカウンターを除けばまずは避けるか受けてから反撃に移る。つまり攻め手が攻撃を受けるには守り手が二動作しなければならないのである。ならば受けた直後に連続で攻撃を浴びせてやればよい。単純な話である。 チュートが構えた一瞬の間にそれだけの打算を働かせた。 だがチュートの技はその彼の打算を打ち砕いた。 フーズルの刺突を先ずチュートは左手で円を描くように受けた。手刀で剣の腹を押して軌道を体から反らしたのである。同時にチュートの右手がフーズルの左胸にめがけて突き出された。そしてチュートは地面を蹴って前進した。 打撃には威力を発揮するために五つの要素が存在する。位置、間合い、角度、力、虚実の五つ。通称当身の五要素である。このうちで位置、間合い、角度については手打ちでも実現可能である。虚実もカウンターとして打つのならば問題ない。問題は力である。 通常、打撃を打つ際には腰と肩を捻じることで力を生む。しかし対捌きやもう片方の手を使っている時にはそれが出来ないのは前述の通りである。 だがチュートの使用する技術系統はそれを受けながら地を蹴り前進することで解決した。攻守一体の技術、バースティングという。 既存の技術系統の枠を外れた。斬新かつ画期的な戦闘術。 かつて世界で最高峰の知性を持っていたが、その為に禁忌に触れ滅ぼされたある少数民族が生み出した戦闘技術の一部である。 左胸を強烈に押されてフーズルは後ろへと押し出された。何度かたたらを踏んだがダメージはない。当たり前である。ただ押されただけなのだから。しかし、フーズルの額に冷や汗がにじみ出した。 「……流石に凄い反応だな『海賊王』」 フーズルは左腕を二三回握り開き、様子を確かめた。折れては居ないようだった。 「直撃すれば心臓浸透で一撃死なのだがな」 通常、バースティングは距離を取り仕切りなおす技なのだが、チュートの場合はそれが一撃必殺となる。なぜなら生体の構造を知悉している彼は二千分の十五秒を手中に収めており、心臓を軽く押すだけで心室細動を起こすことが出来るから。 しかし今回は不発に終わった。 命中の直前に嫌なものを感じたフーズルが左手を左胸とチュートの右手の間に捻じ込んだのである。 息を整えながらフーズルは自分に走った戦慄が間違いではない事を悟った。ただ一合でそのことを悟った。 目の前の男が保有する戦力は自分のそれを上回っている、と。 だがその事実は逆にフーズルを冷静にさせた。 兄の後を継いで以来、弱き者の指導者となってから不利な戦況などいつもの事だった。そして彼は戦力で劣る戦いを幾度も勝利してきた。だから今回も同じように勝機見出すために思考を巡らせた。彼は別に武道の有段者や競技の王者になりたいわけじゃない。どんな手段を使ってでも、勝ちたいだけである。勝って、同胞を護りたい。ただそれだけであった。 ふと、フーズルは厭らしい悪辣な笑みを作った。 「思い出したよ」 先ほどチュートが現状の認識の不確かさを口走っていたのを思い出したのである。 「悪かったなぁ、テメェがあんまり変わってるもんだから気付かなかったよ。ハハハ、でもお前の面の皮の厚さは大したもんだな。恥知らずってのはお前のための言葉だな」 過去を突っつくように鎌をかけてみると、チュートの顔に微かに動揺が波紋を落とした。 「なあ、お前どの面下げてアイツのそばにいるんだよ?」 「!!何故それをッ!?」 「そりゃあ、俺が……」 言っている途中でフーズルはチュートの頭に来ていたコートを被せた。 突然視界を奪われてチュートは一瞬頭が真っ白になったがすぐに冷静さを取り戻しフーズルの言葉がただの鎌かけ出会ったことに気づきひとまずは安堵した。 そして次なるフーズルの攻撃に備えて大きく飛びのき、コートを被ったまま窓を背に立った。コートを剥ぎ取るために両手を使えばその隙を突かれ何をされるか分かった物ではない。 だからそのまま構えた。 王の間の床は大理石、そしてフーズルは皮のブーツを履いていた。いくら絨毯の上でも歩行すれば足音は否めない。故に聴覚に意識を集中させて奴が間合いを詰めてくるのを待った。 射程距離に入り次第、チュートはフーズルの胸骨を踏む砕いてやるつもりだった。 深い呼吸をしその時を待つチュートは突如、両足を掬われて重心が大きく後ろに流された。 「トチったなぁ、カンフーマスター」 後頭部でガラスを突き破りながらフーズルの嘲るような言葉と共に彼は空中へと投げ出された。 「何ぃッ!!?」 咄嗟に手を伸ばし窓の淵を掴んだチュートは窓枠からぶら下がりながらフーズルが絨毯を投げ捨てるのを目にした。残ったガラスが手に食い込み血が噴き出した。 「絨毯引っ張ってお前を窓の外まで持ち上げてやったんだよ。お前のボクササイズに俺が付き合う道理はねえだろ?」 「もう勝ったつもりか?こんな窓枠すぐによじ登って……」 チュートが腕に力を込めると窓枠がミシリと軋んだ。 「俺に負けたらもうその先はノーチャンだ。そういう星の下に生まれてるみたいなんだ。だから、もう諦めろ」 フーズルがそう吐き捨てるとそれに呼応するように窓枠が崩れチュートは落下して行った。 「……あいつ、凄えぇな……、どういう握力してんだよ……」 落下してゆくチュートを見下ろしながらフーズルは呆れたように呟いた。落下しながらチュートは外壁部を掴み何とか減速しようとしていた。そして実際に減速していた。だが外壁に手が削られ噴き出した血が線を引いていた。只の悪あがきにしかならないことは明白である。 「……まあ、頑張れよ」 吐き捨てて彼は女王へと乾いた双眸を向けた。 「さて、怖い番犬も退けたことだし、残念だったな。これでお前はもうジジイの玩具だ。何か言い残すことはあるか」 アネットは少しだけ目を瞑ると脳裏につまらない悋気からスノウに暴言を吐いた光景が浮かんできた。 「……もう少し、素直になっておけば良かったなぁ、と」 頭を掻きながらフーズルは女王へと近づいて行った。 「ん、まあ、そりゃあ残念だったな。もう手遅れだ。でもまあ安心しろ。今ここでお前をどうにかする気はない」 そう言ってフーズルが後ろめたさからか一瞬だけ目を離した隙にアネットは王座の下から短刀を取り出すとフーズルへと斬りかかった。しかしフーズルはそれを楽々と奪い返すと窓の外へと放り捨てた。 「そりゃそうだよな。子供だもんな、夢希望、色々あるよな」 空振りに終わったが初めて他人を刺殺しようとしたからかアネットは肩で息をしていた。フーズルはそれを乾いた眸で見下ろしていた。自分の娘と、そう年の変わらない少女を。 だからかアネットが顔を上げて彼を見返すとその瞳の奥に微かな苦悩の色を感じ取った。 「貴方は……」 言いかけたアネットの言葉を遮るようにフーズルは言い放った。 「だが、お前は線の向こう側だ。あいつ等を……」 言いかけて言い直した。 「いや俺のエゴの犠牲になってもらう」 彼はどれだけの非道に手を染めても一度たりとも言い訳をしなかった。 「だが、詫びが述べん、俺を好きに怨め」 その潔さがアネットには悲しかった。これだけ強い男の瞳の奥が諦念で染まっている事がやるせなかった。そしてそんな現実に対して何もできない自分の無力さが、無念でならなかった。 「できれば暴力に訴える手は使いたくはありません。大人しくご同行願いますか?『女王陛下』」 自分がどれだけ悪辣な人間であるかを見せつけるためにフーズルは敢えてアネットに女王として相応の畏まった態度を取った。 だがそこに―― 「断る!!」 ――共和国の守護者達が帰還した。 「陛下!!助けに来ました!!」 入口で高らかに言い放つとスノウは王の間へと踏み込んだ。 「スノウ!?」 アネットが声を上げるのと同時にフーズルは目を見開いた。 「何故……お前らがここに」 だがすぐに思い当たったようで表情を歪めた。 「くそッ、しくじった。俺の見積もりが甘かったか。これじゃああいつらは犬死じゃねぇか……。オルチ……、ドラグート……」 そんなフーズルを尻目にスノウはアネットへと微笑んだ。 「御怪我はありませんか?」 アネットは微かに頬を朱に染めて口ごもるように答えた。 「あ、う、うん」 「大事なウォートロフィーを傷つけたりしねーよ」 それにフーズルが挑発するように続けた。だがそれには乗らずスノウはあくまでも冷静にフーズルを睨みつけた。 「貴方の狙いは女王陛下ですか?」 「ああ」 「なんの為に」 「こいつを色々と良いように使うためだ。出汁殻になるまでしゃぶりつくしてやるよ」 自分に臆する様子が無いスノウにフーズルは敢えて悪辣な表情を作った。スノウの語調が段々と強いものになって行った。 「もしそれを邪魔すると言ったら?」 「女一人、男二人?やることは一つだろ?」 「そうですか。手加減は出来ませんよ」 「お前は手加減して欲しいのか?」 「勿論無用よ」 肩を竦めるフーズルにスノウと同じように王の間に踏み込んできたアルティナが答えた。 「貴方とは酒を酌み交わした仲ですが、貴方がそこにいて陛下がそこにいる。それだけで私には戦う理由は十分すぎるわ。そして二人というのは違うと思うけど」 そこにゲオウギーとオルフェンが踏み込んで行った。 「“鬼神”ゲオルギーか、噂は聞いているよ」 「……お仲間さんはやや細すぎたが、貴様はどうかな?」 「ん?オルチもドラグートも結構いい体格だと思うが……」 ゲオルギーは不敵に笑い筋肉に力を込めた。 「俺が、細いと言っている」 全身に搭載した巨大な肉が膨張し纏った鋼鉄の装備がミシミシと音を立てて軋んだ。ゲオルギーは太い男だった。切り立った崖に立ち波濤を砕く巌のように、或いは万年を経た巨木のように、太くそれ故に揺るぎなかった。 「……ビューリフォー……!!」 フーズルもその肉体に思わず舌を巻いた。自身の天才性を熟知している彼だが、こういう類の天凛もあるのかと思わず感心した。 「……俺も鍛え直すか、お前ら倒したら」 小さく頭を振るとオルフェンに対して人好きのする表情で手を振った。 「よう、オルフェン」 「……相変わらず、私欲の為に随分な事をやっているようだな」 厳しく睨みつけられると何故かフーズルの口許に柔らかい微笑みが浮かんだ。 「ああ、俺は悪い海賊だからな」 だが再び挑発するかのように悪辣に嗤った。 「で、お前は滅私奉公尽忠報国の為にこんなとこまでやって来たわけか。ご苦労なこった。ああそうか、親父さん、俺がぶっ殺しちまったからなぁ」 「だからこそ、ここでお前を倒す。身内を失う人をこれ以上出さないためにもな」 フーズルは小さく頷いた。 「理解はできるし共感も出来るよ。俺も同じさ。じゃあ殺し合おうかね」 フーズルから殺気が立ち上がり、フヴェルゲルミルを構えた。しかしそれをルーシアが遮った。 「共感が出来るのならばそのまま手を取り合えばよろしいんじゃなくて」 その言葉にフーズルは困ったように頭を掻いた。 「お前さんはまたそれかい?」 ルーシアは微笑を浮かべながら親しい友人とでも話すように続けた。 「全く手ひどく暴れてくれましたわね」 「ハッハッハ、凄いだろ?」 フーズルもラスアルハゲと同じように快活に笑った。 「で、どうですの?」 しかしその顔にすぐに翳が降りた。 「それは呑めねえな」 「何故ですの」 「俺の信条、俺達の状況、そしてお前たちの信じるものが、それを許さねえさ」 「まあそうですわね」 ルーシアは初めから答えが分かっていたのかショックを受けた様子も無く肩を竦めた。 「貴方が遣わした……、いえ彼女が勝手に来たというべきですわね。まあそれはともかく彼女も同じことを言ってましたわ」 「……彼女?」 怪訝そうに眉を顰めるフーズルにルーシアははっきりとその名前を告げた。 「ウルグさんでしたっけ」 「ウルグが……生きているのか」 その名前を聞いてフーズルは目を見開いた。 「良かった。そうか、ウルグは生きているのか……。良かった」 そんな彼を微笑ましげに眺めながらルーシアは続けた。 「ええ、私たちを襲撃してきたので返り討ちにしましたがまだ息はありますわ。危険な薬物を使用していたようですけど一先ずそれも大丈夫ですわね」 彼の表情が微かに緩み安堵の溜息を零した。 「……本当に良かった」 そんな彼の様子にルーシアは何か確信を深めた様に頷いた。 「成程、彼女の言っていたことは正しかったようですわね」 「あん?」 「貴方は良い人ですわ」 「良い人がこんなことするかねぇ?」 肩を竦めるフーズルにそれがあまりにも子供のようだったのでルーシアは思わずクスリと笑みを零した。 「勿論、良識的とも常識的とも言い難いですわね。でも少なくとも人道的なのではなくて?」 「人道的?」 「何があったのかは知りませんが貴方はご自分の限界を思い知らされたのでしょう?でもだからと言って何も投げ出さずに言い訳一つせずにその範囲でみんなを護ろうとしている。勿論、その結果で敵をつくるにせよ。立派だと思いますわ。その限界の範囲には同意しませんけど」 フーズルは己の罪を知っている。だから殊更一行に露悪的に振る舞った。しかし一行には分かっている。 そんな底の浅い馬鹿が『海賊王』に、弱き者たちの剣になどなれる筈がない事を。 そんな底の浅い馬鹿なら、あんなにもたくさんの人々に慕われその背中に付き従われる筈がないと。 フーズル=バルバリアは間違いなく男の中の男だった。 「……椅子取りゲームみたいなもんだよ」 「椅子取りゲーム?」 フーズルがぽつりと零すとルーシアは聞き返した。 「この世界には、全員に行き渡るだけの倖せは用意されていない。誰かを幸せにするには誰かをドブに蹴落とさなきゃならない。だから俺は見ず知れずの他人に不都合押し付けてでも幸福をかき集めるよ。身内を養うために。俺は『オヤジ』なんだから」 微かに遠くを見つめる眼差しをしていた。雲の彼方、嵐の中に消えた夢の残骸を探すように。 「ごもっともだとは思いますが、やり方は一つではありませんわ」 「……やる事は一つだよ。椅子取りゲームには蹴落とされて消える誰かが必要だ。さあ――」 フーズルの体から青緑色の光が立ち上がり王の間の大気が液体化した。 「――消える方を決める戦いを始めようか」 この男は既に自分の生き方を決めている。それ故に一行と彼とは絶対に相容れない存在となっている。 だから、皆は彼を倒すことにした。 彼の生き方を変えて、共に歩むために。 「まあ、作戦状況は最悪だが、シチュエーション的には悪くない。悪い海賊と正義の騎士様がオヒメサマ巡って戦うんだからな!!」 不敵に笑うフーズルにルーシアも微笑した。 「まぁ、たしかに悪くないですわね。でも誰が悪いのかは、後でお話しましょうか」 フーズルにつられたのか柄にもなくルーシアも軽口を叩いた。 「倒しますわよ『海賊王』。全く世の中殴られなければわかない人ばかりで嫌になりますわね。でもまあ、なら殴って分からせるだけですわね」 その言葉にアルティナは苦笑した。 「同感だけど、貴女からそんな言葉を聞く日が来るとは思わなかったわ」 「言葉で分からないなら肉体言語で分からせるしかありませんわ。私は得意ではありませんが」 「安心しろ」 ゲオルギーが鬼気を迸らせた。 「俺は得意だ」 そんな一行にフーズルは思わず口許を手で覆った。 「ヤダ……。この人たち怖い」 しかしすぐに思いついたように 「おっと」 女王を押すと彼女を玉座まで下がらせた。フヴェルゲルミルの水流に流されて彼女は小さく悲鳴を上げた。その弾みで女王を玉座に座らせると持っていた剣を投擲し彼女のスカート裾を玉座に縫い付けた。 「やっぱ賞品はこうじゃないとな。派手に行こうか『女王の騎士団』」 ルーシアは苦笑した。 「スノウちゃんに怒られますわよ。陛下を物扱いなんて」 「え?」 驚いたようにフーズルはスノウとアネットの顔を見比べた。 「下品ですね」 スノウは澄ました顔をしていたがその声は仄かに怒気を孕んでいた。 「貴方のような人に女王を任せるわけには行きません。貴様を倒して彼女を取り返す!!」 女王を護る騎士は襲撃してきた海賊王に勇ましく言い放った。 それを聞いてアネットは微かに頬を紅潮させた。それを見てフーズルはアネットの『素直になっておけばよかった』という言葉を思い出すと、いかにも意地悪そうな顔をした。 「いいね。こういうノリは大好物だ」 「あ、確かに今悪そうな顔してますわ」 ルーシアは思わずツッコんだ。 先ずいつも通りスノウがフーズルの能力を見切りにかかった。既にポステリオル防衛戦で彼の戦闘を見ている為に能力の識別自体は上手くいった。 しかし、海賊王フーズル=バルバリアの保有する戦力は過去最大級だった。 先ず彼自身の馬鹿力と無刀取り、海賊としての戦闘術。更にはフヴェルゲルミル。 大気の状態を変化させる能力はそれ自体は脅威ではない。 しかしその弱い能力が彼に使われることによって凄まじい汎用性を持つに至った。液体の衝撃を伝播しやすい性質を利用した攻撃範囲の拡大、流体の性質を使った強制移動、そして激流を起こし他者の行動力を損耗させる技。 おまけに彼には倒した相手から全てを奪い取るというある種の運命を持っていた。 かつて彼は兄の死に乗じて攻めてきた十字会の大艦隊を相手に遥かにか弱い戦力を率いて防衛戦を行った。死力を尽くして戦った結果、彼は満身創痍になりながらも十倍以上の戦力を持つ相手を撃退した。 そして十字会艦隊の撤退中に事件は起きた。 季節外れの黒い北風が嵐を伴って訪ねて来て艦隊は瞬く間に海の藻屑と消えた。 彼が十字会領で『嵐の化身』と畏れられる所以である。 生半可な力で行けば自在徒手で返されるだろう。 そして万が一倒されればそこで終わる。 最悪なことにオルフェンはウルグによって生命の呪符を使わされている。 長引けば不利。 ルーシアはリソースを集中させて短期決戦に臨む決断をした。果断に富んだ彼女らしい判断だった。 彼女は高速で動き範囲を拡大した神聖魔術を効果延長の魔術を掛けて仲間全体に掛けた。少しでも自在徒手に対抗するためである。 同時にアルティナはリューネを呼び、オルフェン、ゲオルギーも攻撃の準備をし短期決戦の構えをした。 そこへ黒い風に捲かれた嵐が襲い掛かった。もしも気の弱い者だったら実際に嵐に吹かれたように意識を吹っ飛ばされて心神喪失状態に陥るだろう。それはフーズルの放った殺気である。その意にフヴェルゲルミルの全知が呼応し心を侵す精神波となったのである。 しかし一行は並ではない。 殺意の嵐に巻き込まれても一行は取り乱す様子一つなくそれを受け止めた。その姿にフーズルは感心して舌を巻いた。 「ほう」 「そよ風ですね」 「……まあ、貴方と言いウルグさんと言い、生き方と才能が噛み合っていませんわね」 「うっせ、じゃあこれならどうかな?」 にやりと笑うとフーズルの手の中で大気が渦を巻いた。やがてそれに呼応するように部屋中の大気が濁流の様に一行の体を押し流し始めた。 「仲間との絆が武器だというのなら、それをバラバラにしてやったら、ん?どうする?」 沖合に入り乱れる潮流の様にフーズルの起こした大気の濁流は一行の陣形をバラバラにしようと勢いを増した。 「勿論阻止しますわ」 ルーシアはフーズルへと酸の入った瓶を蓋を外して投げつけた。 フーズルは舌打ちをするとフヴェルゲルミルを解除し、瓶と己の間の空間に再び展開した。液体化した大気の中に入り込むと酸はその液体に溶け込みフーズルには届かなかった。しかしフヴェルゲルミルを解除したことで彼が作り出した潮流も同時に消えていた。 「随分と面白い手品を使う様になりましたわね」 「鬼剣とトレンチコートをボコってカツアゲした」 珍しく感心したようなルーシアにフーズルはフヴェルゲルミルを再展開しながらつまらなそうに吐き捨てた。 そんなやりとりを尻目にオルフェンは味方全員を神聖魔術で強化した。これで一行の戦闘準備は整った。後は根限り遣りあうのみ。 「……馬鹿の考え休むに似たり、やっぱ殴る方が性に合ってるわな」 そんな一行にフーズルは大気の大渦を叩きつけた。アルティナがいつもの如く仲間を庇おうとしたしかし―― 「おっと、やらせねえよ。俺だってお前らの戦法は知っている。お前が要だろ?ならちょっと退いてろ」 大気の波濤がアルティナの足元に絡みつきスノウと彼女は離されてしまった。自分を庇う者と引き離され海賊王の暴威と直面したスノウ。しかしスノウは一歩も引かず魔力で大嵐を作り出してフーズルへと返した。 そんな少年の姿にフーズルは何処か嬉しそうに悪態をついた。 「渡したくねえもんあるなら、ちゃんと守ってみせろやァッ!!」 スノウの放った嵐は『嵐の化身』の放った嵐を凌駕した。水と風の竜巻が激突し、室内に爆音は炸裂した。 「ハハハ、やるな。だが護ってくれる奴抜きに俺と遣りあうのは些か無謀だったな」 しかし土煙の下から無傷のスノウが姿を現すとフーズルは眉を顰めた。 「……絶対防御か」 「いつまでも、誰かに守られてばかりじゃありませんよ」 スノウは魔力の糸を編んで自身の周りに魔力の障壁を展開した。それは防波堤の様に波濤を主に届かぬように押しとどめたのである。 「……!スノウちゃん凄い。あのフーズルに一歩も引いていない。何時の間にあんなに強くなったのですの」 その威風堂々たる姿はルーシアをも驚嘆せしめた。 「やるなスノウ、じゃあ俺も行こうか」 その殴り合いに当てられたのか凄い笑みを浮かべたゲオルギーがぬぅっと踏み出した。フーズルの大渦によって彼はかなりのダメージを受けている即ち、あの鬼の如き攻撃が可能なのである。 「早まりましたわね。貴方の御蔭で最初からゲオルギーが最大火力で攻撃できますわ」 「知ってるよ」フーズルは小さくため息を吐いた「そいつを半端に殴るなってのはウチでも有名だ」 「その割には躊躇なく行きましたわね」 「おう、ぶっ壊す時は一番出っ張ったところから、が俺のやり方だ」 奇しくも、いや必然かそうでないかは定かではないが彼はウルグと同じことを言った。 「だ、そうですがゲオルギーさん御返事は?」 ゲオルギーは獰猛な笑みで応えた。立ちはだかるモノ全てを粉砕する鬼の表情である。 するとフーズルの愉しそうに藁って見せた。 「お二方同じ穴のムジナのようですわね。私はか弱い乙女ですので保身に努めさせていただきますわ」 「異議あり」 ゲオルギーへと意識を向けながらフーズルは手拍子で突っ込んでいた。 ゲオルギーは構わずに斧を叩きつけた。 「食らうかよ」 即座にフーズルは自在徒手でゲオルギーの斧を奪いにかかった。しかしゲオルギーの斬撃は鋭い。交差する両者の腕。次の瞬間 ゲオルギーの斬撃はフーズルを捉えていた。 「何ッ!?」 吹っ飛ばされたフーズルは空中で体を捻じって受け身を取った。 「……俺の自在徒手を凌いだのはお前が史上二人目だ」 「あまり私達を舐めない事ね、そう言ったはずよ」 アルティナは言い放つとフーズルは舌打ちをして睨みつけた。そんな彼を見下しながらゲオルギーは己の太い腕を誇示するように斧を肩に担いだ。 「言っただろ、お前らはか細い、と」 ゲオルギーに続くようにアルティナが突撃を仕掛けた。しかし 「テメェらこそ」 フーズルの腕が閃き、一瞬の交差の後にフレアブランドを奪い取った。 「俺を舐めるなァ!!」 フレアブランドの聖火を渦に変えてフーズルはそのまま一行へと反撃した。炎を孕んだ大渦は燃える大気で一行を取り囲むと、押しつぶすように徐々に口径を狭めていった。やがて渦は爆炎と共に炸裂し一行をその中に呑みこんだ。 「最悪、要のテメェは死んだろ……。クソがァ」 アルティナが全員を庇うのはフーズルも承知していた。しかし大きな傷を負いながらもアルティナは静観してのけた。 「……マジで」 「まあ切り札を使わされた上に大分削られたけどね……。でも騎士の誇りを侮らないで!!」 アルティナは肩で息をしながらも反撃を耐えて見せた。 「薬師も、ですわ」 そう言ってルーシアは全員に薬を施して行動精度を更に高めた。 「侮ったつもりはないが、強いな。しばらく魘されそうだよ」 「経験ないままの人生でしたらよろしかったのに」 ルーシアが挑発するがそれには乗らなかった。 「まあ全ては悲しい現実だ。現実は人間の感情を斟酌しちゃあくれねえよ」 「でしたら」 ルーシアの声に怖いものがこもった。 「これから迎える敗北と言う現実にはどうおつきあいするつもりですの」 敗北という言葉がフーズルの胸に斧の様に突き刺さった。 「別に」 昏い怒りが言葉の奥でふつふつと燻ぶっている。 「今更、長い付き合いだ」 再びフーズルは大渦を作り出すとそれで一行を飲み込んだ。 「そしてお前らも、そうなる」 「それはどうかしら」 しかしルーシアは一人、その渦潮を躱して見せた。 「……お前は最後だ」 諦める様にフーズルは頭を振った。 「まあ確かに私たちの防御は大分破られましたが、果たして私に順番は回りますの?」 再び攻撃をアルティナが一人で受け止めることはフーズルにも分かった。だが先ほどの攻撃で大きく体力を削られているアルティナにはこの攻撃を耐えることは出来ないだろう。そしてフーズルによって倒されたのならば嵐の化身は全てを巻き上げてゆく。アルティナは再起不能になるだろう。 そうなればオルフェン一人では仲間全員を庇うことが出来ず、一人ずつ確実に狩り取ってゆくことが出来る。つまり一行は直に全滅するだろう。 ――しかし 「何を、……勝ち、誇る……、海賊王!!」 渦が消えるとそこに先ほどよりもボロボロになりながらもアルティナは確かに立っていた。 「ッ!!生命の呪符か」 先ほどの反撃の際にアルティナはそこで生命の呪符を使うことを覚悟した。しかしルーシアが呪符を温存するために味方全員の防御を集中させるよう判断したのだった。フーズルは強い、生命の呪符でなければ耐えられない攻撃が必ず来るという読みだった。その判断が今生きた。 「守りが破られたとは申し上げましたが、それでアルティナさんを倒せるとは一言も申していませんわよ」 フーズルは憎々しげに表情を歪め一行を睨みつけた。 「手荒な真似はしたくありません」 そこにスノウが魔力を暴走させた大魔術を放った。 「でも貴方には少々手を荒げてもいいでしょう」 過去最強級のスノウの奥義にフーズルは吹っ飛ばされて呻きを上げた。しかし額から血を流しながら再び受け身を取って立ち上がった。 そこにゲオルギーが襲い掛かった。 「こっち来んな、クソ『鬼神』」 「つれないな、遊ぼうぜ『海賊王』」 反射的に飛び退いて躱そうとするフーズルだがスノウが魔力を込めて作りだした風の鎖が足に絡みついて失敗した。 「させませんよ。貴方は倒れてもらいます」 ゲオルギーの連撃を受けフーズルは血を撒き散らしながら吹っ飛んだ。 「まだですわ。ここで一気に畳み掛けますわよ」 しかし再び構える一行より早く頭から血を滴らせながらフーズルが仕掛けた。 「舐めんな、まだ俺は壊れてねぇ。俺を止めたきゃなぁ、完璧にぶっ殺してみろやァッ!!」 裂帛の気合いを放つフーズルにボロボロになりながらもアルティナが返した。 「ウルグさんにも言ったけど、たった一人で、一人ぼっちで戦うあなた達に、私『達』は倒せない。私たちは、絶対に負けない!!貴方も仲間と共に戦うべきだったんだ!!」 「あぁん?そりゃお前らが強いから吐ける言葉だ。俺の仲間は、アイツらは弱い。だから俺が体張らなきゃならねえんだよッ!!」 「だからと言ってッ!!」 「だからこそ!!」 フーズルもアルティナも満身創痍、しかしその闘気はますます鮮烈さを増している。 「守ってやりてぇんだろうがァッ!!」 そうして放った渦潮は彼の想いに応えた様に過去最大の破壊力と精度だった。 それをルーシアは躱した。しかし頬を掠め髪が二三本引き千切られていった。 「私に本気を使わせたのは初めてですわ。流石は『嵐の化身』」 「テメェは後だぁッ」 既にアルティナは体力も防御も大きく損耗している。オルフェンもウルグによって生命の呪符を破壊されている。スノウでは到底耐えることは出来ず、ゲオルギーも体力を削れている。しかしアルティナの言葉の通り一行は仲間の力を合わせて凌いで見せた。 一行の絆の力、スノウとゲオルギーの防御魔術を使うと、一行はフーズルの暴威から生還した。 「ち、グソ……!!」 最後の力を一行に凌がれてフーズルの体から力が抜け始めた。 「言ったでしょう。私達は、負けない。一人ぼっちの貴方にはァッ!!」 「テメェの突撃如きィッ」 アルティナが突撃を仕掛けるとフーズルは再び自在徒手を仕掛けた。だが、そこにスノウが風の鎖を放ち彼の腕を縛り上げた。反撃に失敗して彼はアルティナとリューネに吹っ飛ばされた。 最早受け身も取れず地面に叩きつけられた彼だが血を吐きながらも即座に立ち上がった。 しかし既にスノウはそこめがけて魔術の詠唱を終えていた。 「終わりです」 放たれた魔術はフーズルに直撃すると薫風となり彼が囚われていた嵐と共に彼を吹っ飛ばした。 そして地面を倒された彼はピクリとも動かなくなった。 勝った。戦いは一行が勝利した。 しかし、フーズルは再び立ち上がった。 全身血まみれになりながら、最早意識も朦朧としているであろうに。 「どうした。まだ終わりじゃねえぞ。俺を止めたけりゃよぅ。殺すしかねえぜ。オラどうした?俺を消して見せろや」 悪鬼羅刹の如き執念を見せる彼に、しかしルーシアは涼しげに微笑んだ。 「貴方を殺す理由が何処にあるのかしら?」 フーズルは足を引きずりながら一行へとゆっくりと間合いを詰めてきた。 「消える方を選ばなきゃなんねぇって言ったろうが、お前らがこの先へ行きてぇなら、立ちふさがる小石を除けて見せろ」 取捨選択、兄が死んだその日から彼はその根本原理に囚われていた。自分が切り捨てる側になっても逃げださない潔さと共に。 「お断りしますわ。貴方は勝者が全てを決める為にここにいらしたのでしょう。だから、私たちも同じことをするだけですわ」 そっとその場の緊張感が緩んだ。 「ですから、私たちは貴方を切り捨てない」 ルーシアがそう言うとフッとフーズルの表情が緩んだ。優しくそして哀しい表情だった。 「お前たちはそうやって誰にでも手ェ差し伸べんだな……」 自分が無くしてしまった幼稚な夢を深く悼む様に。 「お前たちは何も知らないからンな事言えんだよ」 「ええ知りませんわ」ルーシアは彼の諦念など意にも介さなかった「ですから教えてくださります?貴方が何故そんなにも諦めてしまったのか」 小さくフーズルは鼻を鳴らした。 「世の中、自分にこの先どんな奇跡が起きたって決して勝てないような奴がいる。そしてソイツらは正義を振りかざして取捨選択を迫る。何も切り捨てなれないガキの手には、何も残らない。選ばなきゃならねぇんだよ」 フーズルの顔が苦悩に歪んだ。 「なら、俺は俺の仲間を、守るべき奴らを選ぶ。あいつらが少しでも笑って生きていけるなら、俺はどんな悪行だってやってやる。どんな正義だってぶち殺してやる」 かつて彼はウルグ=ヴァーシャに博愛を語った。それが己の夢だと。しかし現実に打ち負かされ諦め、挫折した。 「家の裏に住んでるマーティは腕のいい綿織物の職人だった、でも十字会で枢機卿の息の掛かった連中の製品を売りさばくために無実の罪を被せられて指を切り落とされた。女房の行きつけの八百屋の看板娘のエリスは、歌手を夢見る平凡な娘だった。だが司祭のガキに競技会で勝っちまったばっかりに浚われて水銀飲まされて声を失った」 どれだけ身勝手な彼であっても、背負った多くの人生を投げ出してまで幼稚さに縋りつくことは出来なかった。 「何の咎も無く、ただ十字会領で亜人に生まれたばかりにあいつらは夢も未来も踏み躙られた。あいつらはそんな境遇でも、そんな理不尽に打ちのめされても腐ることなく真直ぐに生きてるんだ。だったら俺はなんだってやるさ。だってよぅ」 彼の前にはいつも嵐とそれに飲まれて難破した小舟があった。 風に捲かれ黒い水がどんどんと船体に流れ込んでくる。その横を順風満帆な豪華客船に乗った者たちが抜き去ってゆく。立てた波に、飲まれる者のことなど意にも介さずに。そんな状況でも、彼らは櫂を握り未来へ向けて船をこぎ続けていた。血豆が潰れ痛みと血が滲む手で、涙を堪え、恨み言を飲み込みながら。 そんな者を見捨てることなど彼の“仁”が、“侠”がそれを許さなかった。何故なら―― 「頑張って一生懸命生きてる奴らが、倖せになれなきゃそんなの嘘だッ!!」 ――彼は男だから。 満身創痍の体で、一度負けても彼の誓いは折れなかった。放たれる殺気はまさに嵐。たとえその身を焼かれても、一握の灰に成り果てても、彼は弱き者の為に戦い続けるだろう。 そこに女王が一行に声を掛けた。 「みなさん、これまでの戦い、全てお見事でした。流石です。戦争を嫌だと駄々をこねながら、何もできない無力な私とは大違いです。ですが皆さん、今から私はともすれば皆さんの頑張りを水泡に帰すような愚かな、幼稚なことを行います。この国にこの戦争で何もできなかった私に皆さんに命令する権利はありません。だからお願いします。どうかこの愚かな君主の幼稚な暴挙をお許し下さい」 そう言って彼女は頭を下げた。 「暴挙とおっしゃっても何をなさるのかお聞きしなければ……」 言いかけてルーシアはスノウを見た。つられるようにスノウへと視線が集まってゆく。 「まあ、貴方の騎士の意見も聞きましょうか」 その言葉に『女王』もスノウの目を見据えた。 「スノウ……」 「僕は――」 スノウは逡巡なく微笑んだ 「――あなたを信じます。今までと同じように、そしてこれからも」 その返答にアルティナも満足そうに頷いた。 「ありがとう」 女王は一人でフーズルへと歩み寄った。 するとフーズルは獰猛で表情を歪め女王の細い首に手をかけた。 「陛下!!」 アルティナが咄嗟に抜刀しようとするが女王によって制された。 「馬鹿なガキで良かったよ。このまま首をへし折れば取り敢えずこの場は凌げるな」 邪悪に喉を引き攣らせるフーズルに女王は臆する様子無く静かに告げた。 「貴方にはできませんよ」 「舐めてんのか?ガキ一匹始末すんのに今更躊躇うと思うか?」 「はい。貴方がそんな自棄を起こすような人ならとっくに自由都市同盟は崩壊しているはずです」 「あん?」 フーズルは眉を顰めた。 「貴方は言いましたね。『誰かを蹴落とすことなしに誰かを幸せにはできない』と」 「それが?」 「私はそうは思いません。みんなが望むままに幸せになれる。そう信じています」 フーズルの胸の奥が疼いた。 「そりゃお前がガキだからだ。現実を知らないからンな戯言抜かせんだよ」 フーズルは女王を鼻で笑った。 「どんな優しい理屈だってな、それを実現するためにどれだけ努力したって、ほんのちょっとの悪意で全部がぶち壊しになるんだよ。救う奴をちゃんと選ばないと、一番救いたい奴すら守れない。全部を選ぶってのは全部を見捨てるのとおんなじなんだよ」 かつてフーズルはその精神の結果兄を失った。それ故にフーズルは確かに若い女王よりも現実を知っている。その身を打ちのめされるほどに。しかしだからこそ見えない物がある、そう言わんばかりに女王は退かなかった。それどころか更に続けた。 「それは貴方の理屈です。私は違う。全てを選ばないことが全てを見捨てるのと同じだというのなら、見棄てられた人すら救えるほどの優しさを持つだけです。そして悪意に負けないだけの強さで理想を貫けばいいじゃないですか」 恐ろしい海賊王に首を絞められてそれでも女王は全く臆する様子がない。その姿はいつもの少女のそれではない。理想を以て国家を導く女王の姿だった。 「言葉遊びしてんじゃねぇよ。綺麗ごとほざいてんじゃねえぞ!!」 「ええ綺麗ごとですよ。でもなんだって綺麗な方が良いじゃないですか」 「現実は甘くはねえんだよ。んなお花畑、食い物にされておしまいだ」 「そうはなりません」 「あ?」 訝しがるフーズルに女王は堂々と言い放った。 「だって私達は、私の騎士は、共和国は、貴方よりも強いから。貴方が切り捨てなければならなかったものも、私達は抱えたまま進むことが出来る。ねえスノウ君」 呆気にとられたようなフーズルを尻目に女王はスノウに視線を寄越した 「この前の夜、言ってたよね『力だけの世界なんて俺がぶっ壊してやる』って」 「ええたとえ幼稚だとしても、力だけに支配され誰かを見捨てなければならない世界なんて絶対に間違っている。」 その答えに女王は満足そうに頷いた。 「その通りです。たとえ大きな力が立ちはだかるのだとしても、私達は何も見棄てません。前へ進みつかめる物を全て掴む。でももしそこに、貴方方もいて下さるなら、もっと大きなものを掴むことが出来る筈です」 「お前……何を言ってる?」 いつの間にか女王はフーズルを精神的に呑んでいた。 「貴方にも勝てないモノがあるなら、私たちも手を貸します。だから貴方もその手を、私の夢に貸してくれませんか」 「夢?」 フーズルが聞き返すと女王は友にそうするように微笑んだ。 「ええ。いつか、『みんながみんな、同じように幸せになれる様に』」 その言葉にフーズルは息を呑んだ。 それはかつて不条理な世界に怒り願った祈りだった。そして現実を前に挫折した彼が幼稚だといって切り捨ててしまった、ウルグ=ヴァーシャに語った彼の夢だった。 「俺……は……」 気が付くと女王の首から手を離し後ずさった。 そこに女王は歩み寄ると手を差し伸べた。 「フーズル=バルバリア。あなたほどの男がごちゃごちゃと女々しいですよ。貴方は負けたんです」 そしてあの嵐の船出と同じ言葉を口にした。 「黙って私について来なさい」 ただフーズルとは違い彼女には何かを任せ託すことが出来る仲間が居た。フーズルとは違う意味での仲間が。 そこに不愉快な嘲笑が響いた。 「おぉおっと、良い所に来たんじゃねーのぉ!?」 その場に足裏、耳目、腕が現れた。 「御誂え向けに全員ボロボロじゃねーか。ツいてる。こりゃあツいてるぜ。なぁああ腕!!」 腕は小さく肩を竦めた。 「しかもここにおわすは十字会の大敵、彼の『海賊王』様じゃああーりませんか。ここの六人分の首並べりゃあどんな恩賞が出るか想像もつかねぇぜ」 そう言って下品に大笑いしながら足裏は凄まじい殺気を放った。 プロキオンの街で一行の前に敗れた足裏だが、今の満身創痍の一行ならば倒すのは容易い、そういう思いがあった。 しかも今、彼のそばには協力を約束させた腕がいる。 一行をどう痛めつけてやるか。そのことに胸を躍らせていた。 しかし、彼が動く前に、フーズルが動いた。考えての行動ではなかった。ただ 『みんながみんな、同じように幸せになれる様に』 その言葉が彼の身体を動かした。 彼は女王を掴むと一行へ向けて投げた。アルティナが受け取ると同時に彼の身体から青緑の光が立ち上り再び大気が液体化した。 すると更に彼は潮流を作り出すとそれで一行を押し流した。 「なッ!!ちょっと!!」 完全に不意を突かれた一行は反応できずにそのまま窓から外へと流されて行った。そして一行が視界の外へと消えるのを見送るとフーズルはハッと我に返った。 「……何してんだ俺……」 彼自身、今自分が何をしたのか分からなかった。 「あいつ等は……線の向こう……」 それを遮るように足裏が猛った。 「テメッ、何人の得物を逃がしてくれちゃってんだァ。この糞カスがよォ」 だが向き直ったフーズルは自分でも気付かないうちに満足気に微笑んでいた。 ――そうか、俺はあいつらを逃がしたのか 彼の脳裏に遠き日の事が思い浮かんだ。 その日、実家の商会の任された取引の収益金を横領したとして、フーズルは父親に折檻としてしこたま殴られた後、地下牢に放りこまれたのだった。 「いてて、糞が、好き放題殴りやがって」 痛みに顔を引き攣らせながらフーズルは大の字に寝転がって鉄格子の窓から覗く月を眺めていた。 「……月ってパクチー散らしてニョクマムつけたら美味そうだよなぁ。あー、腹減った……」 「そうか?どっちかっていうとスイーツ系じゃないか?」 そこにオーリスが現れるとフーズルにサンドウィッチを差し入れた。フーズルはそれに飛びついて貪り食った。そんな弟の姿をオーリスは微笑ましげに眺めていた。 「もう少しお前は後先考えろよ。フーズルは頭は良いんだから、もうちょっと損得勘定できればすぐに一人前になれるのにもったいねえよ」 「過大評価だよ」 「今度は何したんだ」 「……別に」 兄に追及されてフーズルは珍しく口ごもった。 「分かってるよ。お前は小遣い欲しさに人の金に手を出すようなクズじゃねえことくらい」 「どうだか」フーズルは誤魔化すように鼻を鳴らした。 オーリスは黙って真直ぐにフーズルを見つめ続けた。 やがて根負けしたようにフーズルは上体を起こし頭を掻いた。 「……よくアウストラリスでサボってる時によく寄ってた店なんだが、借金の抵当がヤバイ筋に流れたらしい。調べたら相当ヤバい、バックには司教クラスが付いていた。それで途方に暮れてた。だからくれてやった。たった50万で人生を救えるんだぜ。確かに大金だが家に取っちゃ大した額じゃない。俺にとってもこうして親父にボコられて、後で一二ヶ月ただ働きすりゃ返せる額だ。でもあいつらにとっては命と同じ重さだった。だから、まあ……」 「でもそれはお前がババ引いてまで助けてやる理由はないだろう?」 「……理屈じゃねえよ」フーズルは吐き捨てる様に言った「泣いてたんだ」 「うん?」 「いつも俺の事を金持ちボンボンの穀潰しだのなんのギャーギャー絡んでくる生意気なメスガキが、泣いてたんだよ」 オーリスは神妙な顔をした。 「その娘のこと、好きなのか?」 「いや全然」 フーズルは即答した。 「あるぇー、今俺ここで弟の秘めたる思いを知って、その恋の成就の為に蔭ながら力になる素敵なお兄様ロールする流れじゃなかった」 「オーリスは既に素敵なお兄様だから気にするな。つーか普段から悪態ついて来る奴なんて好きになるわけねーじゃん。ツンデレなら何しても許されると思うなよ」 「アッハイ」 もっともな意見だった。 「ただ俺は、悲しみが嫌いなんだよ。俺が我慢してそいつを無くせるってんなら、いくらでも我慢するさ」 「損な性格だな」 フーズルは不敵に笑った。 「構うかよ。男の価値ってのは、飲み込んだやせ我慢の量で決まるもんだろ」 「いいんじゃないか。俺は好きだよ、そういうの」 オーリスは微笑みながら弟に誇らしげに頷いた。 「カッコいいよ。お前」 「ああ分かってるよ、兄貴。実は俺も、本当はそういう俺の幼稚さが気に入ってんだ。未だに捨てられないくらいにな」 絶体絶命の窮地に有りながらフーズルはあの日と同じように不敵に喉を鳴らした。 「ああん?何をぶつくさほざいてやがる?恐怖のあまりおかしくなっちまったか?」 嘲笑する足裏に鼻を鳴らした。顔を上げるとそこには獰猛な笑みが張り付いていた。 「いや、ふと、しみじみと噛み締めてんだよ」 ――運命は何時だって嵐の中だった。 「やっぱ俺って、超カッコいいよな」 ――そして俺は、今も嵐の中にいる。 フーズルによって窓の外に投げ出された一行は重力に引かれて落下して行った。しかし彼らが地面に叩きつけられる前に再び液体化した大気へ着水し緩やかに地面へと沈殿していた。そのままゆったりと着地するとアルティナは抱えていた女王を下ろした。 「全く……」 ルーシアがふわりと着地しながら髪をかき上げた。己を二の次にして自分たちを逃がすなんて、やはりあの男は馬鹿だ。馬鹿で考えなしで、そして優しい男だ。 「すぐに戻らないといけませんわね。全く、折角愉快なお仲間が増えそうでしたのに……」 ルーシアに同調するように女王は頭を下げた。 「私からもお願いします」 臣下たるものに何一つ憚ることなく頭を下げた。ドレスの裾を握る手に力が籠り震えた。自分の無力感を痛感させられて、悔しかった。何もできない自分が、祭り上げられて君臨して、それでも無力な自分がたまらなく忌々しかった。 でも、自己嫌悪に浸るのは何時でもできる。ならせめて自分は今できることをしよう。そして、どれだけ無力であっても『自分』でいつづけよう。そんな自分に仕えてくれる騎士たちの想いを裏切らないために。 「分かり合えると思うのです。あの人なら、理想を共にする同胞に成れると……!!」 でも、と女王は続けた。俯き唇を噛んだがすぐに顔を上げた。 「でも、私はこの戦争で何もできませんでした。だから決断は皆さんに委ねます。皆さんの決断がどのような形であろうとも、私はその道を進みます。私は……」 そして決断した。 「私は皆さんを信じます」 フーズル=バルバリアは天才だった。そして周りに集うのは打ち捨てられた弱き民たちだった。だから彼はいつも危機に対して自分一人で立ち向かっていたしそうして凌いで来た。 アネット=オルレアンは凡人だった。しかし彼女には『仲間に思いを託すことが出来る』という一点に於いて王としての資質がフーズルよりも勝っていた。 「陛下が手を差し伸べられたのならば、もうあの男は仲間です。仲間の危機に起たぬ騎士はいませんよ」 「ティナ姉さま」 アネットは表情を輝かせた。 「私にも異論はありませんわ。あの男は諦めていただけです。なら教えて差し上げましょう。その時にはなかったものが今はあるということを、ね」 ゲオルギーとオルフェンもそれに頷いた。 「行きましょう皆さん。俺達の『仲間』を救うために」 「スノウ君!!」 仲間たちも彼女に応えた。 胸の奥から込み上げてくるのを彼女は必死に堪えた。 「そしてオルフェン」 彼女はオルフェンの目を見据えた。 「そしてオルフェン、この戦争の決着は貴方に委ねます。大将軍であるあなたに」 その眼差しをオルフェンは真っ直ぐに受け止めた。 「それが陛下の意志ならば」 「ありがとうございます」 アネットが再び頭を下げると、その背後からズルズルと湿った物が這う様な音がした。 「――事情は大体分かった。陛下の身は俺がお守りしよう」 そしてアネットの背後に黒スーツを纏った丸眼鏡の男、チュートが現れた。 「チュートさん」 一行は驚声を上げた。無理もない。彼は全身血みどろだった。 「その……大丈夫ですの?というか何がありましたの?」 「フーズルに窓から投げ落とされた」 「本当に大丈夫ですか!?」 アルティナが聞いたがどう見ても大丈夫じゃない。意識があるのが一種の超常現象に思えるほどの有様だった。 「大丈夫だ」 彼は即答した。 「大丈夫ッ!?」 思わず鸚鵡返しする一行にチュートは付け足した。 「給料が発生している限り、俺は『大丈夫』としか答えん」 そして柔らかく表情を綻ばせた。らしくもない冗談に一行も彼に女王を任せて大丈夫だと思った。 「では陛下の身の安全を任せますよ『宰相代行』」 「ああ任された。だからこの先を任せる『女王の騎士団』」 一行はチュートと女王をその場に残して王の間へと駆けた。 王の間にたどり着くとフーズルは地に膝を着いて蹲り左目を手で押さえていた。そこから血が滴り落ちている。 それを足裏、耳目、腕が囲んでいた。彼らは一行が王の間に帰ってきたのを見ると警戒して飛びのき間合いを取った。 そしてフーズルは戻って来た一行を見て驚愕し、信じられないような顔をした。 「は?な?ええ?おま、逃げるチャンスじゃん。せっかく俺が超かっこよく逃がしてやったのに?なんで戻って来てんの?」 本気で狼狽しているようで、一行は思わず可笑しくなってしまった。 「お前ら……ばかなの?」 「馬鹿は貴方だ海賊王、『仲間』を一人置き去りにする騎士などどこにもいない。それに貴方一人に届かない物でもみんなで力を合わせれば届くものですよ。それを教えてあげますから取り敢えずは反省しなさい」 彼に駆け寄りながらアルティナは彼を叱責した。しかしその口許には三日月が浮かんでいた。 「アルティナさんの言う通りですわ。貴方こそ馬鹿ですわ、何故私たちが逃げなければなりませんの?」 「お前らッ」フーズルは叫んだ「お前ら俺がどれだけ痛みつけてやったと思ってる。そんな形で奴らに勝てるとでも……」 「勝てますわ」 喚くフーズルを遮ってルーシアははっきりと言い放った。 「みんなの力を合わせれば、あんなものは何ら脅威とは言えませんわ」 「みんな。勿論、貴方を含めてよ。手伝ってもらいますよ」 アルティナは子供でもあやすかのようであった。 「手伝え……。力を合わせる……。『仲間』か」 初めて聞く言葉の様に一行の言葉を反芻しながらフーズルは頭を掻いた。 「ルーメリアとかいったっけ?お前プロキオンの戦いで言ってたよな?『分かり合うことは出来ないのか』ってアレ、今でも変わりは無えか?」 「そうですわねぇ」 問われてルーシアは考えるような素振りを見せた。 「アレは貴方方を仲間にしたいから言った面もありますけど、まあ、変わりませんわ何かを諦めるとか、そう言うのはあまり好きじゃありませんの。どうせだったら幼稚でも何も諦めずに足掻いている、その方が見ていて楽しいじゃありませんか」 堂々と答えるルーシアにフーズルは顔を伏せ口許を微かに綻ばせた。しかし再び顔を上げるとそこには先ほどと同じ敵意ある表情が張り付いていた。 「オルフェン、知っての通り俺はメルテスを殺した。お前の養父を、だ。さっきは女王の手前で言いたい事も言えなかっただろうが、今は違う。お前は俺を許せるのか?」 張りつめた雰囲気のフーズルに対してオルフェンは肩を竦めた。 「俺はこの国に色々な物を貰った。だから陛下が大切だと仰るのなら、それを護るのは俺の仕事だ。お前が馬鹿やってるのと同じようにな。だからお前を信じてやってもいい」 返答に満足したのか彼は小さく微笑んだ。 「なあオルフェン。俺の手、“自在徒手”はかなりかゆいところにも手が届く。その手を貸してやるからこれからはお前が使い道を考えろ。その代わり、ちょっと手を貸してくれないか?疲れすぎてて立てねえんだよ」 伸ばされた手をオルフェンはしっかりと掴み取った。 「なんなら肩も貸そうか?」 オルフェンが引っ張り上げるとフーズルは立ち上がった。 「そのうち頼む。兄弟」 そうしてフーズルは一行と並び立った。 「おいおいおいなぁーに和んじゃってんだこのタンカス様はァァッ」 漂い始めた和やかな雰囲気を破るように足裏が怒声を上げた。 「襤褸雑巾にゴミクズが何個付いたって関係ねえよ。なぁああカーイーナー。とっととあいつ等ブチこ……」 その足裏の首筋に注射針が突き刺さった。 「腕ッ!!」 ルーシアが思わず腕の方へと視線を向けると彼は吹き矢を構えていた。 「腕、テメッ、俺様に何しやが……ッ!?」 目を剥く足裏に言い寄られても腕は飄々としていた。 「ああ、吹き矢だよ。主に患畜に麻酔を施すのに使う」 「そうじゃない。お前は今俺に何をしやがった!!」 動揺する足裏に腕は浅く笑った 「超人になりたいんだろう?ならせてあげようと思ってね?ああ、それは脳の知覚におけるある分野に作用する。そして強制的に阿頼耶識を開くものなんだ。まあ末那識を開いていない人間が阿頼耶識を通じて全知にアクセスしたりしたら、自我や魂なんて物は、情報の奔流に呑まれてきれいさっぱり消滅してしまうんだろうけどね。ああ礼は不要だ。だってホラ」 奈落の色をした瞳に足裏の姿を映しながら。 「僕たちは友達じゃないか」 「な、ッ」 顔色を変える足裏に腕は更に続けた。 「そうそう君の憧れだが、実存主義哲学において『精神的超人』という。まあ既存の学問の型にはまったありふれたものなんだよ」 「何、言ってやがる」 「要は自分が何者であるかを自分で定義できる人間と言う事さ。ちなみにさっき言った末那識と言うのはそう言った自我への認知の事なんだ。まあそれはそうとして、分からないかい足裏君。君はそんな存在に憧れて、そんな存在になりたいと渇望しているんだよ?そこにどれだけ途方もない矛盾があるか、気付かないのかい」 「貴様ぁッ、俺にこんなことしてルーメリアが……」 そこまで言って足裏は言葉を切った。もがいても、もがいても続く言葉は口から出てこなかった。魂の上書きが始まり言語機能が喪失したのである 「おっと、自我の消失が始まったようだね。君の耳識が消える前に伝えておこうか。足裏、お前は超人にはなれないよ」 腕はもがき苦しむ足裏の耳元へ口を寄せた。 「お前は只の惨めなワナビーだ」 突如、足裏が蛍火に呑まれた。苦悶のあまり呻き声を上げて彼はのた打ち回った。 それに冷ややかな目を注ぎながら腕が耳目に撤退を促した。 「今からここで『暴力』が行われる。多分誰も逃れることは叶うまい。そうなる前に逃げておきなよ。君のような女の子には少々ハードコアすぎる世界だ」 「貴様……、足裏は……仲間だったんじゃ……」 耳目も驚愕し額に汗を浮かべていた。 「仲間だよ。僕は彼の為にやってやったんだよ。僕たちの友情さ、僕は彼の夢を叶えさせてやり、彼はかなわぬ夢を叶えた。実に美しい友情じゃないか」 そう言って穏やかに微笑む腕にやるせなさそうに顔を歪めると怒りにまかせて吐き捨てた 「この、化物め!!」 そして耳目はその場から逃げ出した。 浅黒い光の塊に変貌しながら足裏の残骸は腕へと襲い掛かった。腕はそれを悠々と躱しながら感心したように唇を尖らせた。 「ほぉお、記憶を無くしても僕への憎しみを忘れない、か。中々興味深い症例だ」 そう言って彼は次々と襲い掛かる足裏の暴力の連撃を楽々と躱して見せた。 しかし数合凌いだ後にハタと腕の動きが止まった。そこに足裏の暴力が襲い掛かると彼は糸の切れた凧の様に地面に身を打ち据えながら目茶苦茶吹っ飛ばされて窓の外へと放り出されて消えた。 皆、何が起きたのか分からなかった。しかしルーシアだけはそれが分かった。 「腕ァァッ!!」 彼は自分と射線を重ねられてしまったが故に、動きを止めたのだ。躱せば足裏の攻撃が彼女に当たる。だから彼は身を挺してそれを受け止めたのだ。 「腕……、何のつもりだ」 ルーシアは奥歯を噛み絞めた。あんな男に庇われたという事実は不快と言うよりも気味が悪かった。 しかしそんなルーシアの動揺を慮ることなく足裏は次なる狙いを一行へと定めた。 それは身震いし雄叫びを上げると力の波動が迸り、近くにあるモノを瓦礫へと変えていった。 「……数は減ったが、状況はあんま変わってないみたいだな……」 「むしろ悪化してるまでありますね」 呆然とするフーズルとアルティナの前で足裏は更なる変貌を遂げた。 最早彼の面影は消え失せて人間の形をした浅黒い塊になった。 スノウが識別するまでも無く、その正体を一行とフーズルは見透かすことが出来た。 それは原初より現れて遍く人の世を連ねく階級闘争の根本原理。 其の名も正しく『暴力』 今一行の前にいるのは足裏という工作員ではない。 彼の魂を触媒に降臨した全知に記されし概念の顕現体だった。 「……何分ですの?」 「ん?」 「あの化物を何分で屠りますの?」 ルーシアは『暴力』を取るに足りぬものを見る様に見下した。 「五分は待ちませんわよ」 珍しく苛立っているようだった。 「腕は私を庇って攻撃を食らった。不本意ながら私はあそこから吹っ飛ばされていったあの変態を追う義務が生じてしまいました。ですからあの汚物はとっとと片付けましょう」 いつも泰然自若としている彼女にしては本当に珍しく何か気負っているようである。アルティナがその肩を叩いた。 「気持ちは分かるけど落ち着いて、今は目の前に集中しましょう」 「ですから何分かかるのか、と」 そこにスノウも口を挟んだ。 「ならとっとと倒しましょう」 そんな三人のやり取りにフーズルは思わずオルフェンに聞いた。 「好戦的だな……。お前らいつもこうなん?」 オルフェンは肩を竦めた。代わりにゲオルギーが答えた。 「お前も直ぐに慣れる」 呆れたようにフーズルはため息を吐いた 「まあ、そんな剣呑も『仲間』なら頼もしい限りだ」 「上手く説明でき無いんだが……」 フーズルは頭を掻いた。 「俺のフヴェルゲルミルとアレは多分奥の方で繋がっている」 「“全知”ですの?」 フーズルは頷いた。 「ああ。だから俺なら概念でしかない奴を物質界に縛り付ける事が出来る、その間なら奴を倒す事が出来るだろう。……任せていいか?」 一行の答えは決まっていた。 「勿論ですわ。言ったはずです『五分は待たない』と」 「ええ、とっととやりましょう」 「あんな奴をこれ以上この場に存在することは許せないわね」 「そうだな」 「殺す」 地面から海賊帽を拾ってフーズルは被った。 「頼りになるよ、ホント」 彼の身体から青緑の光が立ち上った。同時に大気が液体化した。しかし先ほどとは違いその空間にも青緑の光が煌めいた。 そして彼が『暴力』へ向けて手を翳すと散漫に広がっていた光が収束し始め糸状に変化した。 フーズルの体から蛍火が迸ると同時に光の糸は『暴力』へと絡みついた。 「言っておくが、長くは保たんぞ」 「心配無用」 フーズルが『暴力』を縛り上げるとアルティナが突撃した。彼女の剣は確かに『暴力』を捉えた。しかし手ごたえは無く、霞を切るような感触だった。 「……妙な手ごたえね。気持ち悪い」 しかし攻撃を受け確実に『暴力』はダメージを受けていた。 そこにオルフェン、スノウ、ゲオルギーも続いた。 連続攻撃を畳みかけられて『暴力』は一層揺らいだ。しかし『暴力』も負けじと反撃を行った。 アルティナへと狙いを定めると世界に遍在する暴力と同じように距離を問わずに転移した。そして大きく振りかぶると緩慢な動きで彼女へと腕を振り下した。アルティナの生命の呪符は既に破壊されている。そしてもし『暴力』の前に屈すれば仲間にも累が及ぶだろう。 「アルティナさん!!」 「分かってるわ!!」 しかし『暴力』攻撃は空を切った。 足裏、ウルグそしてフーズル。数多の強敵を越えてきた一行にとって『暴力』はあまりにも弱すぎた。 粗暴な足裏の魂が到達した概念が暴力だというのは納得できる。しかし彼はそれだけではない。そもそも、原初より存在する単純な暴力が一体どれほどの脅威になるというのだろうか。暴力と言うといかにも恐ろしげだが、砂場で子供が癇癪を起して腕を振り合しているのだって暴力である。 しかし足裏は違う。暴力を、才能で祭り上げ、研鑽で磨き、悪辣で武装し、彼は脅威となった。 暴であっても武ではないそれに一行を脅かすだけの力は無い。 「オルフェン将軍」 『暴力』の攻撃を凌ぐとルーシアがオルフェンに促した。 「決着を」 「ああ」 オルフェンの持つ杖が曙光を放った。 鋭く息を吐くとオルフェンは一足で間合いを詰め一気に『暴力』を殴打した。 杖が『暴力』へと食い込むとその体に亀裂が走った。だがそれで止まらずにオルフェンは杖を振り抜くと腕を頭の上で回して更にもう一発叩き込んだ。 亀裂が開き『暴力』は全身に生じた裂傷から黒い靄の物を噴き出した。まるで風船から空気が抜ける様に『暴力』は萎んでゆき、それと共にその輪郭が薄れていった。 そして『暴力』は何の痕跡も残さずに消滅した。 フーズルは気が抜けた様に息を吐いて崩れ落ちた。 「あー、疲れた」 どこか憑き物が落ちたような穏やかな声色だった。 その場に和やかな空気が漂い始めた。 しかし 「……フー……ズル?」 入口に剣を杖にしたウルグが現れた。彼女は室内に広がる光景に目を見開き、その顔が絶望に染まった。 彼女の視界には一行の前に血だらけのフーズルが倒れているという光景が広がっている。 「……よくも」 擦れた声が震えた。 それは彼女がなんとしても避けたかった光景だった。 命に代えても 「よくもフーズルをッ!!」 怒りと憎しみで瞳孔が開き、黒い殺意を全身から迸らせた。 その頬を涙が伝った。 「殺してやる!!お前ら全員、殺してやるゥッ!!」 絶叫し彼女は憎悪で顔を歪め、足を引きずりながら一行へと向かってきた。 そんな彼女を 「落ち着けこの慌てん坊」 起き上がったフーズルが後ろからチョップした。 「ゲボラァッ!!」 女性とは思えない呻き声を上げて彼女は地面に叩きつけられた。フーズルは彼女の生きていることに安堵したのか溜息を吐いた。 「……フーズル」 「おう」 「本当に……フーズルなんだよな」 「おう、逆さに振ってもフーズル=バルバリア君しか出てこねえよ」 ウルグは地に這い顔を地面に押し付けた。その肩と声が震えた。 「フーズル……オレ……おれぇ……」 彼女はフーズルに対する後ろ暗さと申し訳のなさで押しつぶされそうになっていた。勝手に行動して、約束も誓いも果たせず、彼から受けた恩に何一つ報いることが出来なかった。だから彼の傷だらけの姿にどの面を下げればいいのか。もういっそウルグは死んでしまいたかった。 そんな彼女を起こすとその頭をフーズルは胸で抱いてやった。 「ウルグ」 そんな思いつめるなよ。 そんな事よりもっとほら、楽しい事とか面白い事を考えようぜ。 優しい馬鹿者は傷ついた不器用な馬鹿者にそんな事を思った。 この自由奔放な馬鹿者は何時だってそんな幼稚な夢を抱いていた。 「帰るぞ」 「うん」 フーズルとウルグが去った後、ルーシアはアルティナから借りたリューネを駆り王宮の中庭にやって来た。上を見ればチュートが落下した王の間の大穴が見える。 彼女の目の前には血の水溜りが広がっていた。 彼女は腕を探してここに来た。 彼女を庇い『暴力』によって吹っ飛ばされて王の間から落下して行った。見上げる王の間は十数メートルはあるだろう。しかもここは石畳、さらに目の前に広がる血溜り。 普通に考えれば腕に命はないだろう。 しかし彼女にはそうは思えなかった。 何せあの腕である。 しかし 「あの男が何故、私を……」庇ったのか ルーシアは忌々しげに舌打ちをした。 「私は私について知ら無すぎる」 太陽に雲がかかり彼女の踏みしめている影が瞬き視界の隅でちらついた。 「――全てを知った時……私は……」 顔に影が差し、彼女は思考の渦へと飲み込まれていった。 だがその時 「ッ!!」 彼女の視界が暗転し額に痛痒が生じた。 「……不覚」 沈み込んだ彼女をリューネが甘噛みしたのだった。 そんな考え込むなよ、そう言わんばかりの態度だった。 「戻りましょうか」 噛まれたことは気にせずにルーシアは再びリューネにまたがった。 「結局、分かるべき時が来れば全てを知ることが出来るでしょう。どんな運命が待ち受けているのやら、その時考えればよろしいですわね」 スノウは女王を迎えに行った。 そこで彼は事の推移を彼女に説明したのだった。 「陛下も大丈夫でしたか?」 「うん、チュートさんがいたから」 アネットは背後にいるチュートを振り返った。すると彼女は表情を凍りつかせた。 「チュートさん……気絶している!?」 彼は立ったまま気を失っていた。 「……お疲れ様です。ホント」 スノウが表情を引き攣らせるとアネットは思い出したように声を漏らすとスノウへと向き直った。 「スノウ君」 そして表情を柔らかく綻ばせた。 「お疲れ様」 エンディング フーズルとの決着から数日後、アネットは国民を王宮前の広場に集め国王として戦勝報告と今後の共和国の指針について演説を行った。 自由戦争の結果、指導者間の協議を経て自由都市同盟は消滅し全てが共和国に吸収されることとなった。しかし女王の強い要望により、自由都市同盟はあくまでも同胞として共和国に合流することになりテジャドやフーズルといった幹部にすら報復のような事はせずそれを禁止した。 彼女がその方針を発表すると国民はざわついた。 国民たちは戦いに勝ったのなら支配して搾取することを望んでいた。チュートはそれをよく理解していたのでアネットに国民感情を宥めるような演説の原稿を渡していた。 だが、アネットはその原稿を掴むと投げ捨てた。羽ばたく白鳥が残した羽の様に朝日を透かして白い紙が空中に舞った。 王としてアネットは真直ぐに国民たちを見据えた。 『――申し訳ありませんが私は征服者になるつもりはありませんよ』 臆することなく彼女は言い放った。 『力で何かを奪い取る事はしたくありません』 『叶う事ならばこの手は奪い取るのでなく、差し伸べたい。苦しみ病める人々の悲しみに』 『そう言ったら、ある人に幼稚だと言われました』 『勿論、力を否定するつもりはありません。力なくば私がこうしてこの場に立っている事も無かったでしょう』 『ある方が仰っていました。『世界は残酷で不条理で理不尽で狭量で、この世には全ての人にいきわたるだけの幸福は用意されていないのだ』と。そしてそれは多分、正しいのでしょう。だから、本当なら私は自分の手の届く範囲に行き渡るだけの幸福を確保するために、隣人を陥れ、猜疑心と貪欲を正義とし、弱き人の血と涙を貪り、その残酷と冷徹で支配区域に君臨するのが正しい統治者の姿なのでしょう』 『偉大なる「大王」キング=アガネムノンの様に』 『或いはこの世にありとあらゆる不条理と理不尽を用意してくださった神様の様に、肌の色や身体的な特徴の差異で人生を楽しんで良い者とそうでない物を選別して幸福を分配し、その裁量権を『君主』と定め頂に戴く物が正義なのでしょう』 『聖堂十字会の崇高なる「法王」ノエル7世のように』 『そうやって取捨選択をして、拾うものと捨てるものを定める機能こそが統治者のあるべき姿なのでしょう。そんな思想と機能と知識を振りかざして貪欲の掻き立てるままに人間性を失わせて感情を死滅させ、涙の川と流血の海の上に気付かれた楽園が諸君らの望みですか』 『私はそんなものは願い下げです』 『確かに、世界は悲しみに溢れています』 『弟の為に傭兵に売られた人がいます』 『狂信的な宗教結社に人生を歪められ命まで狙われている人がいます』 『戦火に親を焼かれ、育ての親までも奪われた人がいます』 『敬愛する父を冥府魔道から立ち返らせるためにその手にかけた人がいます』 『ただ生きているだけで疎まれ憎まれた人がいます』 『そして、弱き民の為に生き方を変えて悪を纏った人がいます』 『運命は何時も嵐の中で、私たちは無力で、雨曝しのまま立ち竦んでいるしかないのかもしれません』 『でもそれが何だっていうのですか』 『たとえ世界がどんな冷酷を以て恐るべき姿を現そうとも、もし諸君らが幸福になる事を望むならばそんなものは取るに足りない事です』 『神様がどんな理不尽を用意しようとも、人間が自由な意志を以て未来と対峙するならばいかなる不条理も乗り越えることが出来る筈です』 『貪欲には理性を以て』 『恐怖には勇気を以て』 『脅かすだけの力には意志を以て』 『定められた選別には自由を以て』 『それぞれ自分の中にある魂を篝火としてかざし対峙すれば如何なる悲惨も人間の自由意思を脅かす値しない』 『幸福が足りないなら、皆がほんの少しの感情と博愛の心を分け合えばいい。そうすれば用意された幸福がくだらないものに思えるほど、素晴らしいもので世界は満ち溢れるだろう。弱き人よ、恵まれない人よ、救われぬ人よ、己を見くびってはいけない。人間には皆、幸福を生み出す力がある』 『だから摂理が未来を覆い隠そうとも奴隷になってはいけない』 『法理に切り捨てられようとも、絶望してはいけない』 『諸君らよ勘違いするな!!世界には諸君らが犠牲になってまで成し遂げられねばならないあるべき世界など絶対に無い』 『今より正しい世界などない』 『そして今より続くこの先を諸君らは選択する力がある。今がたとえ汚物にまみれていようとも、それが永劫であることは意味しない』 『自由意思を以て歩みを止めぬなら、必ず白く澄んだ未来にたどり着けるはずです』 『諸君らよ、君達は自由です。憎悪も惨禍も克服し、皆が皆、望むままに、空に明日を描くことが赦されているのです』 『強者も弱者も、純人も亜人もありません。我らが掲げる名前は唯一つ『人間』です。他に呼び名などあり得ません』 『さあ、夢を見よう』 溢れんばかりの拍手が沸き起こった。彼女の選択を支持したのだった。何も切り捨てず、理不尽な摂理と戦うという道を。 この時、アネットは本格的に『王』として王道を歩み始めたのだった。 物陰から演説を聞いていたフーズルは口の端を歪めた。 「おいおい、お嬢ちゃん。あんたとんでもない事言っちまったよ。そんな事言っちまったらさ。『大王』や十字会とはもう、俺達みたいになあなあでやっていくことはできないぜ、おい」 そして目を瞑る拳を左胸に置きと囁くように言った。 「女王陛下、万歳」 数日後、国を挙げて戦勝記念兼、女王アネットの王政の始まりを兼ねたお祭りが催された。 その夜、スノウは女王に呼び出された。何時かと同じようにスノウはアネットと王宮のバルコニーで会った。星空の下の祭りの喧騒を風が二人にも届けてきた。 アネットはスノウの顔を見ると少し頬を赤らめ小さく唸るといきなり頭を下げた。 「この間はごめんなさい」 「顔を上げてください」 スノウが面食らっているとアネットは申し訳なさそうに視線を反らした。 「私、スノウ君に酷い事を言ったと思うんだ。スノウ君はなんにも悪くないのに……」 ああそのことか。 ようやくスノウは何の話か得心が行った。 「別に気にしていませんよ」 「ううん。私が気にするよ」 スノウは肩を竦めたがアネットは頭を振った。 「変な話だけどさ、私って結構鷹揚な方なんだ。でもね、スノウ君の事になると感情が理性の箍を外れちゃうんだ」 躊躇う様にそこで言葉を切ってアネットは俯いた。何やら決意している様子のアネットにスノウは息を呑んだ。 やがてアネットは意を決したように顔を上げた。 その顔が微かに赤い。 「私ね、スノウ君の事がす――」 そこで扉が荒々しく開かれた。 「おうスノウここにいたのかよ!!探したぜー!!おっと陛下もご一緒でしたか、ぎゃははお邪魔だったかな?なんつって、なんつって」 ゼグドだった。 彼はスノウと肩を組むと酒臭い息を吐きかけた。 「ゼグドさん、既に相当出来上がってますね……」 「おうよ!!祭りなんだぜ、飲まなきゃ嘘だろ!!」 駄目な大人はドンと胸を張った。 「つーかスノウ。お前も付き合えよ。飲めないならジュースでもいい。俺の飲み友達にお前を紹介してくれってせがまれてるんだよ。な?みーんな俺達のヒーローを一目見たいんだってんだ。いいだろ?な?な?」 ゼグド=ヴェイラは困った大人だが悪い人間ではない。こんな風に素直に年上の彼にヒーローと敬われてスノウも悪い気はしなかった。 「分かりましたよ。すぐに行きますから先に行っててください」 ゼグドは手を振りながら去って行った。 「おう絶対だぞ!!七番通りのジョニーって店で溜まってるから絶対来いよ!!約束だぞ!!」 小さく苦笑しながらスノウも手を振った。 「失礼しました。全く困った人ですよね。で、お話の続きは何でしょう?」 アネットへと向き直ると彼女は顔を真っ赤にして目の端に涙を浮かべてプルプルと震えていた。 「す」 「す?」 「すごく、頼りにしているから」 そしてアネットはトボトボとその場を立ち去っていった。 「ごめんね、スノウ君。少し疲れたから私はもう休むね」 「大丈夫ですか!?」 「うん体は大丈夫。ちょっと心が折れただけだから……」 アネットの背中を見送るとスノウはレラに問いかけた。 「何か怒らせるような事言ったっけ?」 レラは小さくため息を吐いた。 ゲオルギーは一人で飲み歩いていた。騒がしいのは彼の好みではない。しかしそんな彼に人影が近づいて行った。 「ししょー、何やってるんですか」 後ろからメティスがゲオルギーの腕にしがみ付いた。彼女の膨らみ始めた双丘が腕を挟み込んだ。 「ゴキゲンだな」 ゲオルギーはメティスを一瞥し眉を顰めた。吐き出す呼気から酒の臭いがする。既に相当回っているのか妙に舞い上がっている。 「アハハ、なんか楽しいッスね。すっごいフワフワします」 「……お前、何を飲んだ」 ゲオルギーの鋭利な視線にメティスは上気した顔ににこやかな表情で答えた。 「さっきそこのジョニーってお店でもらったジュースれす」 「それは本当にジュースだったのか?」 「はい」メティスは断言した「私に下さったゼグドさんが言ってたから間違いないッス」 取り敢えずあのスーパードラゴンには一度分からせてやろう。ゲオルギーがそんな事を思ったかは定かではないが、少なくとも抱き上戸の弟子に内心で蟀谷を押さえたのは間違いないだろう。 しかし、まあ二日酔いに苦しむのも修行の内だろうと思いそれ以上何かを言うことをはしなかった。彼自身かなり大らかな性格をしているのだ。 しばらくメティスを自由にしたまま街を歩いた。腕にしがみ付いた彼女が空を見上げるとふわあぁと感心したように吐息を零した。つられて見上げると初夏の夜空には大きな満月が浮かんでいた。 「月が綺麗ですね」 メティスはぽつりとそう漏らすと、呻きを上げてゲオルギーから口許に手を当てながら離れた。 「吐くか?」 苦笑するゲオルギーだったがメティスは何とかせり上がってくるものを飲み込んだようだった。しかし 「暑いッス」 彼女は路上で突然服を脱ごうとし始めた。流石のゲオルギーもそれは止めた。 「はしたないぞ」 シャツをまくり上げる手を取ってそれを止めた。すると普段は服の下に隠れている腹や背中にアイロンを押し付けたような火傷の跡や刺し傷などがあった。だがゲオルギーは何も聞かなかった。 「本当に月が綺麗な夜」 ふとメティスの顔に影が差した。 「――お母さんが殺されたのも、こんな夜だったんですよ」 ゲオルギーは眉を微かに動かした。この少女が何か仄暗い事情を抱えているのは知っていた。だがそこに踏み込むような事は敢えてしなかった。 しかし続く言葉は無く彼女はゲオルギーの腕にしがみ付いたまま寝息を立て始めた。 「困った奴だ」 取り敢えずゲオルギーは彼女を宿に返し再び飲み歩きを行った。 アルティナが雑務を終えて遅ればせながら祭りに夜に飛び込んでいくと彼女を待っていたジェイクに声を掛けられる。 「今宵は月の綺麗な祭りの夜です。どうか私めにエスコートをさせて下さい。我が麗しのご婦人よ(マイフェアレディー)」 彼らしい芝居の掛かった口調に思わず苦笑した。 「貴方、いつもそんな調子で女性を誘っているの?」 「正直成功率は高いとは言い難いですね」 彼は気にしてないように肩を竦めた。 「でもせっかくの祭りの夜ですよ。ご一緒しませんか?」 「ま、相手もいませんし」 アルティナはジェイクに柔らかく微笑んだ。 「今夜くらいはいいでしょう。ちゃんとエスコートして下さいね。紳士らしく」 そんなアルティナの言葉にジェイクは目を丸めた。 「!!デレ期ですか。アルティナにもとうとうデレ期到来ですか。やりましたね今夜は祝杯です。パーリナイッ!!です」 「別にあなたにツンツンしていた覚えはないんだけど……」 そこに凄まじい殺気が襲い掛かった。 ジェイクはそれを機敏に感じ取るとアルティナを庇うように前に立った。 「……ッ!!アルティナ!!」 「ジェイク?」 アルティナは怪訝そうに眉を寄せた。そこにペタペタという軽い足音が近づいて行った。 伸びた金の癖っ毛をした闇の瞳をした少年が現れた。足音の主は大レグルス帝国第三皇子アレス“ヴァーミリオン”だった。 「兄さんが父さんの名代で戦勝祝いに行くのにつれてこられたんだ。『お前はもっといろいろな世界を知るべきだって』ありがた迷惑だよね」 言葉とは裏腹に彼は首からは縁日の屋台で買った安っぽいラメの入った金色の水筒をぶら下げ、胸にフライドチキンのバーレルを抱え、焼きトウモロコシを片手に持っていた。 「……満喫しているようね」 「獣は肉を食らうものだよ」 アレスはアルティナの尤もな突っ込みを無視した。 「まあ今宵は折角の祭りなのだし楽しんでね」 その言葉にアレスは小首を傾げた。 「アルティナ=フレアライトは寛容だね」 彼の足元の石畳が砕け熱気が立ち上がり二人の間の空気が揺らめいた。 「それにお父さんの仇を前に随分冷静だね。気持ち悪いよ」 「別に、恨みだけが全てじゃないわ」 アレスは理解できないように無垢な瞳に当惑の色を浮かべた。 「やっぱり僕には難しいよ。人間の事なんて」 「分からなくてもいいよ。でもね」 アルティナは子供をあやすように言った。 「そんな事よりも今夜は折角のお祭りよ。悪さをする気が無いなら、貴方もしっかり楽しみなさい」 「まあいいや、別に悪さをするつもりはないから安心してよ。ご飯もおいしいしね」 まだその言葉に完全には納得していないようだが、ひとまずアルティナに戦う意思がない事は理解したようで彼は意味深な言葉を残して立ち去っていった。 「心配しなくてもまたすぐ会うことになると思うよ。まあその時は多分味方なんだろうけどね。ガッカリした?」 右手、もとい右手に持ったトウモロコシを振りながらアレスの背中が遠ざかってゆくとジェイクは安堵の息を漏らした。アルティナが顔を向けると額には薄らと汗が浮かんでいた。 「……なんですかアルティナ?別に私はビビってませんよ」 「何にも言ってないわよ」 「いいですか。ビビってるっていう方がビビってるんですよ!!」 「だから本当になんにも言ってないわよ……」 アルティナは蟀谷を押さえた。そんな彼女にジェイクは唇を尖らせた。 「どうも私は恰好が最後まで尽きませんね」 「でも醜態を忘れさせるくらい楽しませてくれるんでしょ?」 ジェイクは謎めいた笑みを浮かべながらアルティナの手を取り祭りの喧騒へと引いて行った。 オルフェンは部下を率いて酒場を梯子していた。 戦場では頼りにならない彼らだが酒場では勇猛果敢にも鯨飲馬食を重ねていき酒樽をいくつも空にしていった。 しかし飲み比べを挑むのにかの鋼鉄の男は流石に相手が悪く、数時間後には全員が酔いつぶれオルフェンは一人、起きている者のいないバーで蒸留酒を舐めていた。 そこに一人の男が入ってきた。 赤いナポレオン調のコートに同じデザインの黒いベスト、頭には海賊帽を被り左目には包帯を巻いていた。『海賊王』フーズル=バルバリアである。 「探したぞ?」 「楽に見つかっただろ?」 「まあな」 彼は転がっている酒瓶を拾い上げると喉に流し込んで空瓶を投げ捨てた。そして彼はオルフェンの正面の椅子に腰かけた。 そして適当な酒瓶を開けると勝手に呑み始めた。しばらくそうして二人言葉も無く酒を飲んでいた。 「そう言えば」 やがてオルフェンが口を開いた。 「アイツはどうなった?」 「……命には別条ないそうだ。まあしばらく入院だろうがな」 ウルグ=ヴァーシャは幸いにも大きな怪我は無かった。代謝加速剤の力で肉体の損耗自体は回復していたからである。しかしそれ故に臓器と体力が大きく消耗しておりそれが癒えるまでは療養が必要だという。 「気になっていたんだ。奴の抱える……」 「ああ、明るい奴ほど抱える闇は深いものだ。それにあいつは隠し事まで抱えていたからな。まあテジャドの奴は気付いていたようだが」 「それを吐き出せるような奴は居たのか」 「俺ぐらいだろうな。そしてそれが問題だってのも分かるさ」 フーズルは空になった空き瓶を覗き込みもう一滴も残っていないことを確認するとそれを投げ捨てた。 「まあでも安心しろ。今後アイツがお前らに牙を剥くことはないさ」 「そうじゃない」 オルフェンは空いたグラスに酒を注ぎこんだ。 「孤独だっていうのなら今度俺達と一緒に飲もうぜ、って話だ。仲間なんだしな」 フーズルは小さく破顔した。 「そりゃあいい。ドラグートやオルチも連れてお邪魔するよ」 それだけ言うと再び二人の間に沈黙が訪れた。 「どっちかってっと俺の方が問題だな」 今度はフーズルから口を開いた。 「目な、視力戻らんらしい。隻眼になって距離感が死んだら俺はもう凡人だ」 彼の戦闘術は天賦の才によるものが大きい。だからその才を生かせる条件を失ってしまえば彼は戦闘者としてもう再起不能となる。しかし彼には不思議と気落ちした様子は無かった。 「丁度いいじゃないか。あんな無茶をしたんだ。一生分もう暴れたらだろ?」 「ハッハ、そりゃそうだ。それに俺ももうオッサンだし、斬った張ったはもうやめて内勤で楽させてもらうよ。でどこ行くかだが、色々誘いもあったし、引退して商会でもやろうとも思ったが……」 オルフェンをじろりと睨みつけた。 「参謀府に入ってプロキオンに行くことにしたよ。だって必要だろう?」 共和国の若き大将軍を。 「お前みたいな若い将軍には、俺みたいな抜け目ない副官が」 「ウチの労働条件は過酷だぞ?」 そう言ってオルフェンが手を差し伸べたが彼はそれを拒んだ。 「言っておくが馴れ合う気はないぞ。忘れんな、お前の親父さん殺したのは俺だ。だからその辺を実利の為に割り切ってほしくない。いいか俺は悪党だって忘れるな」 それだけ言うと彼は転がっていた大ぶりのゴブレットになみなみとを蒸留酒を注ぐとそれを掲げ挑発するような視線をオルフェンに寄越した。彼も同じように酒杯を掲げると「女王陛下万歳」と乾杯した。 それを一息で飲み干すと独り言のように呟た。 「ガキの頃、オレは早く大人になりたかった。大人は強いもんで、俺も大人になればどんな悲しみだって蹴っ飛ばしてやれるって信じてたよ。でもいざ大人になってみるとどうだ?投げ出せない物や捨てられない物ばかりが部屋の隅に転がってる洗濯物みたいに溜まっていって、身動き一つ取れず泣き出すことも出来なくなっちまった。ガキの頃は空だって飛べる気がしたのに、今じゃあ地べた這って歩いて行くのがやっとだ」 かつて彼は大人になった。それ故にもしかしたら弱くなったのかもしれない。 「俺は逆に、今も子供だしいつまでも子供のままだと思う。何も背負わずに自由に生きてきた。明日も同じように空だってあるけるさ」 そんなオルフェンにフーズルは目を細めた。憧憬と郷愁から。 「オルフェン。そのままのお前でいろ。明日からは敬語を使わなければならんだろうから今日の内に言っておく。人生を先んじた先輩として」 オルフェンの目を見据えると静かに言った。 「俺のような大人になるなよ。俺のような弱くて卑劣な、『悪い』大人にな、まあ当分の間、お前がこの先大人になるまでくらいは、そばで悪い見本で居続けてやるよ」 「存分に見本にさせてもらう」 フーズルは小さく鼻を鳴らすと立ち去っていった。 「『悪い』見本だけどな」 ルーメリアは祭りも早々に切り上げ自室で薬の調合を行いながら物思いに耽っていた。そこで扉が荒々しくノックされた。ルーシアがいらえをすると兵士たちが何やら報告があるという。 ルーシアが扉を開くと彼らは整列をし敬礼をした。 「お休みの所、申し訳ございません!!」 「それで御用は何かしら?」 「それが……その……、なんと申し上げますか……」 思案を妨げられてルーシアは若干イラついていた。兵士たちの妙に歯切れの悪い様子もそれを助長した。 「用が無いのなら帰って下さりません?」 ジロリと一瞥されると兵士たちはビクリと身を震わせ、やがて意を決したように告げた。 「……『腕』を捉えました」 その報告にはさすがのルーシアも目を見開いた。 「なんですって」 兵士によると街で上半身裸の不審者の目撃情報を聞きつけ駆け付けた彼らは現場に到着するとそこで腕は佇んでいたという。 武器を構える兵士たちに彼は抵抗らしい抵抗も無く拘束されたという。 しかし彼を捉えたはいいものの兵士たちは流石にもてあましルーシアに相談に来たのだという。 ルーシアは彼らの話を聞いて腕と面会してみることにした。王の間の戦いで彼は明らかにいつもとは様子が違っていた。そして謎に包まれた自分の過去、それを知っているのはあの狂人だけだった。 ルーシアは兵士に案内されて地下の留置場へとやって来た。ひんやりとした黴臭くじめじめと湿った空気が漂うそこはお世辞にも快適とは言い難かった。裸電球に照らされた仄暗い牢獄の最奥に僧兵院最強の化け物は囚われていた。 「やぁルーシアちゃん久しぶり。イラついた顔が今日も可愛いぜ」 拘束着に包まれた腕はいつもの調子で軽口を叩いた。 「腕……」 ルーシアは腕を一瞥すると道案内の兵士に下がるように促し、彼の独房の正面の椅子に座った。 「てっきり貴方は逃げおおせたものと思っていましたが……」 「吹っ飛ばされて一回死んじゃったからね。まあ折角だから生き返ったんだけど。兵士に囲まれちゃったからね。殺さずに逃げるのはちょっと面倒だったんだ。殺さない約束だからね。それで抵抗せずに囚われた訳さ。ドジな腕クンを笑ってお上げよ」 「面白くない冗談ですわね」 ルーシアがニコリともしないで答えると、何がおかしいのか腕はキャッキャッと子供のように笑い声を上げた。 「まあ私がここに来たのは貴方に聞きたいことが有ってのことですわ」 腕は何かを誤魔化すように肩を竦めた。 「そうかそうか、僕も言いたいことがある。恐るべき発見だ」 「なんですの」 「共和国の独房は、僧兵院の僕の自室よりも寝心地が良い」 「そうですの」 ルーシアは冷徹に吐き捨てた。無関心であった。 「私からも質問してよろしくて?」 「……何かな?」 戯言に取り合わず真っ直ぐに自分の意を通すルーシアに腕は微かに片眉を上げた。 「貴方は何故あの時、私を庇った」 言葉と同じくらい真っ直ぐなルーシアの瞳から目を反らしながら腕はおどけた。しかしルーシアは引き下がらなかった。 「何のことかな?」 「とぼけるの勝手ですが、最近分かったことが有りますの」 一端切るとルーシアは続く言葉を一息に告げた。 「貴方の行動にも理由を伴うことが有ります。確かに貴方は人を殺し、破滅をばら撒く悪魔かも知れない。しかし他方で『神医』の名に恥じぬほどの腕を振るい人の命を救って見せた。そして貴方はその二面性で何かを隠している」 「隠し事の無い人間なんているのかい?」 しかし腕はルーシアの言葉をそよ風の様に受け流してしまう。 「それともう一つ」 「なんだい?」 「貴方はあの時、足裏というあの男に対しては随分と饒舌でしたわね」 「?友達とお喋りしてるときは君だってテンション上がって饒舌になるだろう?」 間を置かずに答える腕にルーシアは見透かすように口許を綻ばせた。 「何かを隠す時、人は饒舌になるモノですわよ」 腕はため息を吐き肩を竦めると観念したように頭を振った。 「そうだね。僕は隠し事をしている」 「私に話すつもりは?」 「ないよーん」 はっきりと拒絶した。そんな腕にルーシアは伏し目がちに内面を吐露した。 「私は最近、知りたいことがあります。今までは私は過去なんでどうでもいいと思い興味も無かった。人は今と未来だけを見て生きてゆけばよいのですから。しかし、それを翻すわけではありませんが、最近はどういう事か視界の端にちらつく影のようなものがある」 それを茶化すように腕はふざけた。 「おやおや、それで僕が気になるのかー。それはアレだ。君は僕に恋しちゃっているんじゃないかな?気持ちは嬉しいが、友達のままでいよう。残念だね」 「残念なのは貴様の頭だ」 一刀両断であった。 「過去など無いと思っていた人間が過去の残滓に追いつかれた時、心を掻き乱されて困っている。そう言う話です」 ルーシアの顔に影が差した。すると腕は困ったような顔をした。 「だとしてもそれは、君が自分で真実に辿り着かなければならない問題じゃないかな?大体さぁ」 殊更明るい声色で彼は続けた。 「僕の言葉を君は信じるのかい?」 ルーシアはクスリと口許を綻ばせた。 「それは確かに」 それで会話は終わり腕は同房のベッドに横になりルーシアに背を向けた。 「まあ、しばらく僕はここでのんびりするつもりだから、おしゃべりの相手が欲しいならいつでもきなよ」 ルーシアも席を立った。 「そうならばごゆっくり、御機嫌よう」 立ち去るルーシアの背中に腕は世間話の様に告げた。 「そうそうルーシアちゃん。知っての通り僕は腕のいいお医者さんだ。生物に関してなら僕に治療できないものはない。それについては他ならぬ君が頼むのならば手を貸してやらぬことも無いよ?」 「この間の本だけでも正直恐縮していますのに、貴方に頼みごとをするなんて正直ゾッとしますわね」 素直な感想に腕はカラカラと笑い声を上げた。 「それは言い。まあ、うん。確かに代償として僕は契約の悪魔が謙虚に思えるほど持っていくからね」 それに答えずにルーシアが立ち去っていくと腕は一人ごちた。 「おやすみ、ルーメリア」 それからさらに数日後フーズルはオーリスの墓参りをし戦後報告を行った。フーズルは兄の墓石を磨いた後、それに酒を掛けた。 「悪ぃ、兄貴。負けちまった」 そう言って顔の前で手を合わせた。いつもどんなことをしても、オーリスは彼が頭を下げると困ったような顔をしながら許してくれたのだった。だけれども、当たり前だが今の彼を許してくれる者はいなかった。 「でもまあ、アイツらならあんたや俺の理想をもっとずっといい形で実現してくれるよ。だから、まああいつらについて行こうと思う。やっぱ俺は、神輿の上に座ってるよりもみんなと担いでいる方が性に合ってるよ」 ふとフーズルの声が沈んだ。 「なあ兄貴、おれ……上手くやれてたかなぁ」 するとフワリと南風が吹いてフーズルの海賊帽を浚って行きその下の髪を撫でていった。 「また来るよ。兄貴」 海賊帽を拾い上げて被りなおしたその顔には満足そうな男の顔があった。 「……っつても。もう俺の方が年上になっちまったな」 この日を以て自由都市同盟という組織は崩壊し、共和国に吸収されることとなった。そして同時にそれは赤髭海賊団という組織の消滅を意味した。 赤髭海賊団最後の航海日誌にはこう綴られていた。 『星歴1538年6月10日、本日は晴天明朗、波は穏やか、風は南。洗濯物がよく乾く』
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151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 02 21 36 ID L4JgZ4j9 GJ!!!キモウトいいよキモウト。 しかし六人の彼女はすごいなーwww 実は全員ヤンデレだったりしてwwwww 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 02 36 37 ID ivzt5M90 アルティメットヤンデリズムにGJ! 153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 06 59 14 ID 0L+Bf/fc 151 いやぁ、ろくに争いもなく穏健に関係を続けてるんだからそれとは真逆だろw 154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 09 34 43 ID GMqhbfxN 全員が全員ご主人様の望む事を何より優先するタイプの性格ならありえるけど。 155 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 16 45 44 ID APrSEPmV 投下します 156 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 16 48 19 ID APrSEPmV 目が覚めると俺は自分の部屋の天井を見つめていた。 「…あれは…夢…だったのか…」 枕を触れば寝汗でぐっしょりと濡れていた。 服はいつの間にかパジャマに着替えられており、 制服はいつものようにきちんとハンガーに綺麗な状態で掛けられていた。 「あれ…俺は…昨日……菊池が…ぅっ!!?」 頭がずきりと痛む。喉がかすれている。関節が痛い。 ずきん…ずきん…ずきん… この感覚に覚えがある。 記憶の欠落。 あの後俺はどうした…?思い出せ…思い出せ…思い出せ…!! 親父の書庫で本を片付けながら、つい読みふけってしまった俺。 汚れた台所には誰も居らず、焦燥感に駆られた俺。 予想通りの場所に佇む夏海。 そして壊れた人形… そうだ…なにがおかしいことがあるんだ?壊れた人形はゴミ捨て場にあるべきなんだ。 なのに、俺は何かがおかしいと感じている。 そう、夏海は壊れた人形を捨てに来ただけじゃないか。 俺がそうしたように。 夏海もごみを捨てにきたんだ。 ………………………………………? いや、よそう。 もう、考えるのはやめよう。 夢だ。夢に違いない。ふぅ…まいったな… そんなふうにベッドの上でうだうだしていると、微かに階段を駆け上がってくる音が聞こえる。 きっと、夏海だ。 「お兄ちゃん!?いつまで寝てるの?もぅ…アルバイトに遅れちゃうよ? 早くご飯食べて…って…お兄ちゃん?どうしたの…なんだか…顔色悪いよ?具合悪いの?」 心配そうに俺の顔を覗き込む夏海の顔。 そうだ、こいつがあんなことできるわけ無いじゃないか… 「あ…ああ…いや、ちょっと悪い夢を見たせいかな…」 「本当に大丈夫?アルバイト…お休みする?」 「いや、大丈夫。直ぐに降りるから。先に行っててくれ。」 「うん…でも、無理しないでね?あ、お母さん、さっき寝たところだから静かに下りてきてね?」 「ああ…すまないな夏海…あ、そうだ…ちょっと馬鹿なことを聞くけどいいか?」 「?なぁに?お兄ちゃん。」 「昨日…誰か家に遊びに来てたっけ?なんか昨日のことがよく思い出せなくって…」 夏海は本当に不思議そうな表情で、しかしはっきりと俺に言った。 「?昨日は誰も遊びになんて来てないよ?お兄ちゃん…もう、惚けるにはまだ早いよ♪」 そんなふうにあいつはくすくす笑いながら階段を静かに下りていった。 そうか…やっぱり俺の勘違いか… ふぅ…とため息をつくと俺は素早く着替えて一階に下りていった。 夏海の作った朝食をかき込むと、弁当箱を引っつかんで家を飛び出した。 出掛けにちらりとゴミ捨て場を覗くとそこには何も残っていなかった。 「ったく…夢に決まってるだろ…しっかりしやがれ…」 後ろを振り返らず自転車に跨りバイト先まで全力で漕ぎ出す。 くだらない夢で遅れてしまった時間を取り戻すように。 流れる景色と額に触れる早朝の空気の冷たさが気持ちよかった。 また、今日も変わらない日常が続くはずだった。 学校で菊池が行方不明になっていることを聞くまでは… 157 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 16 51 58 ID APrSEPmV 小泉八雲は考え込んでいた。 珍しく彼の周囲には彼の取り巻きの六人が揃っており、 皆楽しげに談笑していたのだが,彼は一人自分の世界で誰かと対話しているようだった。 そんな様子を見かねた一之瀬京子が恐る恐る口を開いた。 「あの…八雲様。何かお悩み事でしょうか…」 「ああ、少し妹のことでね…」 「香住様…のことですか。」 それだけで総て心得たと言ったように、 二階堂愛、三鷹梓、四谷楓、五代瑞樹、六道洋子はそれぞれに口火を切った。 「それで…八雲様はどのように考えておられるのですか?」 「香住様に諦めていただくか…藤岡様に告白していただくか…でしょうか…」 「ですが、藤岡様も香住様のことは憎からず想って居られるように見受けられましたが…」 「では、なぜ香住様の告白を袖になさったのでしょうか」 「藤岡様にはよく懐かれている妹君が居られます。おそらくそこに何かの原因が…」 「藤岡様は香住様よりも、その妹さんを愛しておられると?」 「いえ、その逆でしょう。その妹さん…夏海さんでしたわね。 お姿を幾度か拝見いたしましたがとても可愛らしい方でしたが… ただ、私の調べたところによれば既に数人の殿方の告白をお断りされているそうです。」 「その理由が兄への偏愛だと?」 「確証はありませんが…ですが、同じクラスにいる私の妹からの情報によれば、 藤岡様への好意を示す言葉を口にした女子に対して釘を刺してきた…そうです。」 「釘?…要するに脅しですか?」 「仔細までは不明ですが、取らないで欲しい旨を告げられたそうですが、 どうもその際に夏海さんの眼が怖かった…というよりも、殺されると感じた…のだそうです。」 「殺される?それは穏やかではありませんわね。どうします?」 「普段の素行に関しては問題なく、寧ろ優等生といってよい方ですが… どうも藤岡様のこととなると壊れておられる…そういった方なのですね?その夏海さんは…」 「ええ…ですから、藤岡様が香住様の告白をお断りになられたのは、その辺りのことを懸念してではないかと…」 「藤岡様では夏海さんを抑えられないのでしょうか?」 「普段から壊れている方ならいざ知らず、普通に接している限りではとても可愛い妹さんだそうですので… 邪険にもしにくいのでしょう。」 「それでは、私たちで夏海さんに対して何らかの措置を講じますか?」 「それこそ、藤岡様が黙っておられないでしょう。大事な妹さんであることに代わりはないのですから…」 「結論から言えば、夏海さんが藤岡様以外の方とお付き合いいただくことが最良の解決策ですが、 早瀬さんも袖になさったと聞いておりますし、それ以上の素材となると…」 「それは無理でしょう。そういった程度の方に靡くようであればここまで悩みはいたしません。 簡単に考えれば私たちに八雲様を諦めさせる手段と考えてもよいでしょうね。」 158 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 16 53 07 ID APrSEPmV ふぅ…と、八雲はため息をついた。 そうだ。夏海ちゃんはこの子達と同じ…いや、僕と同じく壊れた人間だ。 この子達や夏海ちゃんが諦めるとすれば… それは僕や春樹の死か、或いは自身の死によってか… 理想であれば僕や春樹の手にかかって死にたいと思うのだろう。 僕だってそうなんだから…。 そんな彼女たちだからこそ、僕が 「夏海ちゃんを殺してくれないか?」 と頼めば躊躇うどころか喜んで殺しに行くだろう。 だが、それでは春樹が悲しんでしまう。 それは出来れば避けたいことだ。 なら僕はどういう結末を望む? それは春樹と香住が幸せになることだ。 それ以外の結末は望めない。 春樹と香住が同時に幸せになるにはあの二人が付き合わなければならない。 僕が愛する春樹と、僕の魂の分身である香住が付き合うことで僕は満たされる。 僕が春樹と付き合っても、香住と付き合っても駄目だ… 香住には春樹の子供を産んでもらわなくてはならない。 僕には春樹の子供を産んであげることはできないのだから… そうだ僕が幸せになるには春樹と香住が笑っていられる世界が必要なんだ。 春樹は香住が好き。香住も春樹が好き。 であれば、やはり邪魔なのは夏海ちゃんだけか… 誰がやる?僕か?彼女たちか?…いずれにせよ上手にやらないとね… でないと、僕が春樹に殺されてしまうよ… いや…まてよ?それも悪くないな…ふふ…僕が春樹に殺されるのか… それもいいな… その場面を思い描くだけで… 小泉八雲は勃起していた。 159 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 16 55 27 ID APrSEPmV 投下完了です。 まだ、もうちょい続くのですが… だんだんと自分でも本当にヤンデレ? とゆーか、デレ少ない(見当たらない)と思うのですけど 一応、ヤン&デレのつもりです。 160 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/04(月) 18 16 32 ID bjQ7XcoA ちょwww八雲が一番やべぇwww 161 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 18 31 01 ID ATn+BFnL GJ!!ってか6人の彼女もみなヤンデレ会! コワスでもwktk 162 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/04(月) 18 38 33 ID U7aMV7Sp 158夜雲テラクレイジーwww 163 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 18 42 02 ID tNy1ktF+ キモウトVSヤンデレw どっちが勝つのかwktk 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 18 59 41 ID L4JgZ4j9 GJ!!!151だが、宝くじに当たった気分だwwwww しかし八雲タソもヤンデレとは恐れいりますた。 まさにヤンデレハーレム!!!! 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 20 15 16 ID Y+5IN+YY 158 このSS、マトモな人間がいねぇ……! GJ! 166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 12 21 ID 6DIa0wjA 165 凄いほめ言葉だwwww 167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 12 21 ID GMqhbfxN 唯一まともっぽい香澄ちゃんに期待w 果たして彼女は想いを遂げられるのか! 168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 13 25 ID GMqhbfxN 香住ちゃんだった…… 誤変換申し訳ないっす。 169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 22 46 32 ID Q+MHL2lT 途中まで八雲が実は女でしたー、という淡い妄想をしていたが…… イヤ、これはこれでいいかもしれん…… つーかイメージ的に薔薇のマリアのアジアンだなぁ 170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 23 23 58 ID JbTkgrPr またマイナーなのをたとえだすなww 169 こんなところでその名を聞くとは 171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 23 50 52 ID OQQre61b これはGJ! >まだ、もうちょい続くのですが… この話が「もうちょい」程度で収まるなんて想像できないw 172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 23 52 21 ID tJxXTVKa 早く続きこないかな、wktkが止まらない 173 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 23 58 22 ID APrSEPmV 投下します。 174 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 01 12 ID APrSEPmV ぶんっ…!と凶器を振り下ろすと、それは西瓜のように紅い中身を曝け出した。 ぶん…ぐちゅり…ぶん…ぐちゅり… 奇妙な音を立てながらそれは潰れていく。 潰れながらもその指先はまだ動く。 ぴくり…ぴくり… ぎゅっ… 指先に力を更に込める。 ぐちゅり…ぐちゅり… 行き場を失った体液が内側から溢れ出す。 それはまだ微かに動いていた。 助けて欲しいと懇願するかのように。 何故死ななければならないのだと嘆くように。 しかし、同時にそれは喜んでいた。 まるで、それを待ち望んでいたかのように… まるで、それを待ちわびていたように… やがて、それの時間はゆっくりと止まっていく。 ゆっくりと…ゆっくりと… まるで電池の切れかけた時計のように。 やがてそれは完全に動きを止めた。 くっくっく…あははははは…あははははははははははは 笑い声が響く。押さえようとしても内側からこみ上げてくる。 何故だろう。何故こんなにもおかしいのか。何故こんなにも楽しいのか。 手に伝わる肉が潰れる感触も。断末魔の叫びも。溢れる血の匂いも。 その表情も。その壊れた身体も。その潰れた眼球も…あはははははは!! やがて、それが完全に死んだことを確認した後、 遊びつくした玩具を捨てるかのように、 それをゴミ捨て場に捨てに行ったのだ。 175 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 02 35 ID APrSEPmV 小泉八雲、一之瀬京子、三鷹梓 六道洋子 はいつものように午後のお茶を楽しんでいた。 「それで…間違いありませんか?」 「ええ、二階堂さん、四谷さんに続いて五代さんも昨日から家には戻られていないそうです。」 お茶を優雅に口元に運ぶと、三鷹梓は言葉を続けた。 「菊池さんを含めると行方不明者はこれで4名ですね。」 「やはり…といいますか、夏海さんに返り討ちにあったと見るのが妥当でしょうか?」 「それであれば自業自得ですね。八雲様からの指示なく動いた、云わば抜け駆け…独断専行の結果ですから…」 一之瀬京子は八雲の顔色を窺うと、八雲はいつものようににっこりと微笑むだけだった。 「あの3人が死んだと断ずるにはまだ早いのではないですか?」 「あら貴女はあの3人がまだ生きていると考えているの?」 「ええ、私なら拷問の末に殺しますから」 クッキーを齧りながら、楽しそうに自分の趣味を語り始める六道洋子を横目に一之瀬京子が話を進める。 「あなたのいい趣味はさておき、本当に…夏海さんがあの3人を殺したのですか?」 「あの人以外の誰があの3人を殺しまふの?」 「私たちの誰か…という線はありませんの?」 「…八雲様とのルールを無視する度胸のある人がここに居ると?」 「確かに…ですが、あの子にあの3人を殺すことが出来たとはどうも考えにくいのです。」 「油断があったのではないですか?」 「その可能性は捨て切れませんが…では、どうします?」 「春樹さまに事が露見しないうちに、夏海さんを誘拐、監禁。出来る限り外傷を抑え、可能であれば洗脳。最悪、春樹様の傍を離れるように説得する…」 「…やはり、一人で事を起こすのは困難ですね。」 「ですが、これが最も八雲様の意向にそった方針なのでは?」 八雲は微笑みながら微かに こくん と頷いた。 「…では、いつ決行しますか?」 「善は急げと申します。今夜はいかがですか?」 「ええ、丁度今夜は曇りですわ。」 「獲物はどうしますか?」 「まずは誘拐ですからクロロフォルム、ガムテープ、ブラックジャック、スタンガン程度でよろしいのでは?」 「移送手段は?」 「車は私が用意いたします。」 「免許は?」 「そんなもの必要ありません。動けばよいのです。」 「あとは香住様、春樹様に事が露見しないことが重要ですけど…」 一之瀬京子が八雲に指示を仰ぐようにその言葉を待った。 「香住なら大丈夫だよ。あの子はあれ以来、春樹とは距離をとっているからね。 それに春樹なら今日はアルバイトのはずだ。だから、6時から10時までの間に終わらせれば露見しないだろうね。 よろしく頼むよ?春樹の為に…いや…僕の為にね…」 八雲の言葉に一之瀬京子、三鷹梓、六道洋子の顔がぱぁっと輝く。 「はい!必ず…必ず成功させてみせますから!」 そう、声をそろえて宣言すると、喜び勇んで部屋を出て行くのであった。 そんな彼女たちの様子をいつもと変わらない優しい表情で見送ると、 携帯電話を取り出し電話をかける。 RRRRR……RRRRR… 呼び出し音を待つ間…その口元が緩み、 うふふふ… と笑みがこぼれる。待つ時間さえも今は楽しい時間だった。そして… がちゃ…という音と共に電話が繋がった… 176 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 04 11 ID APrSEPmV とりあえず、投下完了。 一気に投下したいのは山々なのですが、もーちょい 見直ししてから投下します。 相変わらず、デレ少なくて申し訳ないのッス。 177 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 22 33 ID z5DhbTSq お久しぶりです。13話を投下します。 178 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 24 16 ID z5DhbTSq 第十三話~無計画な2人~ 華に二度目の告白をされた。 それだけならいい。女性には何度告白をされても嬉しい。 俺が気になっているのは、華の告白に込められた想いの強さだ。 華に初めて告白されたとき、正直言って嬉しかった。だが、あまり真剣には受け止めていなかった。 男を美化するあまりに行われる、ごくありふれた告白と変わりないと思っていた。 しかし、昨日の華の様子を見ていると、その考えは吹き飛んだ。 俺のことを昔から思っていた、俺が他の女と付き合っていたとき悔しかった、 俺が就職して離れていったときには寂しかった。 どう考えても、幼馴染としての好意とは違うものだった。 執着心、嫉妬、怒り。 持てる感情の全てをぶつけるような華の様子は、普段の冷静なあいつとは程遠いものだった。 華の気持ちに対して、どう応えるべきなのか。 俺は華に対して好意を持っているが、華を性的な対象としては見ていない。 そんなものは付き合っていくうちに変わっていくだろうが、問題はそこではない。 華を受け入れてしまっていいのか、というところが問題だ。 あの時、かなこさんが死んでしまってもかまわない、とまで華は言った。 華とかなこさんが向かい合ったとき、絶妙のタイミングで爆発が発生していなければ、 華とかなこさんはぶつかっただろう。 その結果がどうなるのかはわからない。ただ、無事では済まないということはわかる。 取り返しのつかない事態になっていた可能性もある。 そう思うと、華の気持ちにどうやって応えるか、迷うのだ。 気持ちに応えるより先に華の性格を矯正してやるべき気もする。 それとも、華の性格が歪んだのが俺のせいだというなら、気持ちに応えるべきなのか。 だが、それだけの理由で付き合うというのもおかしい。 そんな不真面目な気持ちで付き合うのは、華に失礼だ。 ……ふう。 肩の力を抜いて、ため息をひとつ。 大仰な動きをすると、店長に何を言われるかわからない。 ただでさえ今日は遅刻して大目玉をくらっているというのに。 俺は今、アルバイト先のコンビニでレジ当番をしている。 菊川の屋敷から十本松の案内に従って自宅に帰って、最初に思いついたのは今日はアルバイトの日だということ。 昨晩はかなこさんに襲われたせいもあり、体はとてもだるかった。 それでも体に鞭を打って全速力で自転車をこいで来られたのは、店長の教育の賜物だろうか。 レジのカウンターに立って雑用をしながら、昨日のことを思い出す。 かなこさんとの情事、前世の絆、華の告白、爆発事件。 どれもこれもが日常とはかけ離れているものばかり。そして、全てが俺と無関係ではないということ。 俺自身がどう動くべきか、それすら決まっていない。 179 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 25 59 ID z5DhbTSq 午後4時。アルバイトを終えて、今は事務所の椅子に座っている。 今日は午前8時から12時までシフトが入っていたが、家に帰りついたのが11時だったため、 繰り下がって12時から午後4時までのシフトになった。 どうやら、香織が俺の代わりに入ってくれていたらしい。 本当に香織には世話になりっぱなしだ。後で何かお礼をするとしよう。 事務所のテレビをつけて、ニュース番組にチャンネルを合わせる。 予想通り、菊川邸で発生した爆発事件のことを報道していた。 今朝の午前7時ごろ、菊川邸にて二度の爆発が起こった。 犯人の名前や、犯行の動機などは不明。 死傷者の数は報じられていない。 二度の爆発以降、目立った破壊行為は見られない。 他の局にチャンネルを合わせてみても、内容は同じだった。 どこでも人的被害についての情報は一切流れていない。 せめて、かなこさんが無事かどうかだけでも知りたかったのだが。 俺が気になるのは、犯人の正体だ。一体誰が菊川家に爆弾をしかけたのか。 テレビでは菊川家当主を狙ったテロだ、恨みによる犯行だ、無差別テロだ、 と色々な可能性が議論されていたが、どれも的を射ていない。 被害者が公表されていないのが意見の混乱を煽っているのかもしれない。 せめて知り合い――かなこさんと十本松が無事でいてくれればいいのだが。 「あ」 今思い出した。十本松に無事に帰りついた、と連絡することを忘れていた。 アパートに帰り着いてから、すでに5時間が経っている。 いつまでに連絡しろとは言われていないが、早めに連絡した方が良いだろう。 「……連絡が遅れてすまん。……11時に帰り着いたぞ、と」 簡単な文章を打って、十本松宛のアドレスに送信する。 送信してからあまり時間を空けずに、メールが着信した。 十本松か?やけに早いな、もしかして連絡がくるまでじっと待っていたのだろうか。 携帯電話を見つめながらじっと待つ十本松……想像できるのがなんだか嫌だな。 メールを開いて送信者を確認する。送り主は十本松ではなく、華だった。 なんとも絶妙なタイミングで送ってくるものだ。 それに、華が俺にメールを送ってくるなんて珍しい。 アドレスを交換してから一度もメールを送ってこなかったのに。 本文には『おにいさん、アルバイトは終わりましたよね? 早く帰ってきてください』と書かれていた。 なんで華がアルバイトの終わる時間を知っているんだ? アパートに帰ってきたらそれぞれ自分の部屋に入ったから、華は俺の部屋には入っていないはず。 カレンダーにはシフトの時間を書いているが、それを見なければわかるはずがないのに。 まさか部屋に入りこんだりは……さすがにしないか。 180 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 27 41 ID z5DhbTSq 店に出て缶コーヒーを買って、事務所に戻って、缶コーヒーを飲み干しても十本松から連絡はなかった。 無理もないか。なにせ十本松は菊川の屋敷に部屋を持っているんだし、かなこさんとも知り合いだ。 事情を聞いたり、聞き出されたりで忙しいんだろう。向こうからの連絡待ちだな。 缶コーヒーをゴミ箱に突っ込んで、さて帰ろうか、としたとき。 「雄志君。ちょっと待ってくれないかな」 後ろから肩を掴んで、俺を制止する人物がいた。 振り返る。腰に手を当てて、俺を見つめる香織がいた。 俺の経験に基づく推測によると、香織は不機嫌なようである。 「最近、雄志君は遅刻が多すぎるよ」 「すまん。今朝はいろいろあったんだ」 「いろいろって、何?」 「えっと……」 まさか昨晩俺の身に起こったことを言うわけにもいくまい。 とりあえず、事実をぼやかして伝えるとしよう。 「友達と一晩中飲んでたんだ。そのせいで起きたのが11時だったんだ」 「嘘っぽい」 勘づかれた?そこまで俺は顔にでやすい人間だったのか? 「雄志君に、ボク以外でそこまで仲のいい友達、いた?」 「……ああ、そういう意味か」 何気に失礼な発言だな。 俺に友達がいないみたいじゃないか。……あながち外れてもいないけど。 「もしかして、その相手って……華、ちゃん?」 「は?」 「華ちゃんじゃないの? 一緒に飲んでいた相手って」 「なぜそうなる。あいつはまだ未成年だぞ」 正論を言ったつもりだった。 が、香織は疑惑の眼差しを俺に向けたままである。 「お酒に酔った華ちゃんを、無理矢理どうにかしようとしたとか……」 「そんな犯罪行為に身を染めるほど俺は馬鹿じゃないぞ」 第一、華にそんな手が通用するはずがない。 「華ちゃん、可愛いから。雄志君が華ちゃんを選んだとか」 「……安心しろ。まだ選んではいないから」 言い聞かせるように静かな口調で言う。 香織は俺に好きだと言っていた。だから隣に住む華のことが気になっているんだろう。 俺自身、自分の気持ちに整理がつかない。いろいろありすぎて。 香織を選ぶか華を選ぶか……かなこさんの思いを受け入れるのか、迷っている。 香織は俺の言葉を聞いて、少しだけ表情を柔らかくした。 「あ、そ……そうなんだぁ、よかった……」 安堵した表情。香織が変わっていないことに、つい和んでしまう。 俺と香織の関係は、少しずつ変わっているのだろう。 変わって、変わって……最後にはどうなるのかはわからないけど、悪いことではない。 できるなら、良好な関係でいたいものだ。 181 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 29 38 ID z5DhbTSq 香織は自分のバッグを持つと、事務所から出て行こうとした。 「じゃあね、雄志君。……また」 俺は香織を見送ろうと思ったが、あることを思いついた。 「香織、今から予定があるか?」 「え? ううん、今日は特にないけど」 「じゃあ、どっか遊びに行かないか」 香織は俺を見つめながら、何回か瞬きをした。 そして。 「いいの!? じゃあ、今が、っら」 噛んだ。 香織は口を抑えながら後ろを向いた。 何度かうめき声を上げるとようやく回復したのか、俺に向き直って口を開いた。 「今から、付き合って欲しいお店があるんだ」 「いいぞ、どこだ?」 「あのね……」 耳に口を寄せて、香織が伝えた場所。 俺はそれを聞いて、自分の発言を後悔した。 誘う前に、せめて目的地だけでも設定しておけばよかった、と。 ・ ・ ・ 俺の住むアパートからバスに揺られて、50分ばかりして降りると、隣町の駅前に到着する。 駅前を歩く人々の人口密集度はなかなかのもので、それに比例して店舗も集まっている。 そのうちの一つの店舗。歩道を歩く人から見ればいかにもな喫茶店。 しかし、その実態は喫茶店ではない。実は甘味処である。 店のドアに張り付いているお店の名前は、この町ではところにより有名なもの。 あえて名前は伏せる。重要なのは名前ではない。 『カップル限定 40%OFF』と壁に貼られているチラシの方が重要なのだ。 言うまでもなく、熱々のカップル達が集う場所である。 そして、香織の手によって恋人でもないのにここに連れてこられた。 意図はわかる。恋人としてお店に入りましょう、ということだ。 自分の注文したショートケーキを食べ終え、コーヒーを飲みながら目の前の女を見る。 甘いものを食べられる嬉しさによるものか、俺と一緒にいるせいなのかはわからないが、 幸せそうな顔をしている。 女の前にはパフェやらモンブランやら、甘いものが大量に並んでいる。 その全てに少しずつ手をつけながら、女は言う。 「おいしーっ! やっぱりおごりで食べるのって素晴らしいね!」 普通の店――1人でも入れるところなど――であれば、香織が出している大声は迷惑だろう。 だが、ここは一種の異空間。まわりでもカップルが似たような声を出している。 テーブルによっては女の子だけの集団もあるが、女の子にとって甘いものは麻薬の一種なのか、 値段を気にせず食べているようだ。 対して俺は、香織の胃がいつになったら満たされるのか、と不安になっている。 香織に向かって奢るなんて、言うもんじゃないな。 182 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 31 37 ID z5DhbTSq 近くを通った店員にコーヒーのおかわりを注文する。 店員はかしこまりました、というと俺と香織を見て、微笑んだ。 予想どおり、恋人同士に見られているらしい。この店に男女で入ったらそう思われて当たり前だが。 店内にいる人間で、俺たちのような関係にあるカップルはいくらいるのだろう。 窓際に座っている中性的な顔をした男と、男の向かいに座る背の高い女などは姉弟なのではなかろうか。 が、女がフォークでケーキをくずし、ケーキを男の口に運ぶ様から鑑みるに、やはりカップルだ。 日本にはここまで甘い空間が存在していたのか。 そして俺は甘甘な空気に満ちた店で何をしているのだろう。 俺が思案に暮れていると、店員がコーヒーを持ってきてくれた。 息を何度か吹きかけて少しだけ飲む。甘い。 この店ではコーヒーは甘いのがデフォルトであるらしい。 コーヒーを注文して加糖したコーヒーが出てくるというのはいかがなものか。 そんな些細なことすら脳内議場で議論対象になるほど、今の俺はおかしい。 香織を見る。チーズケーキをフォークでつついていた。 ぼんやりと観察していると、香織が口を開いた。 「欲しいの? チーズケーキ」 「いいや。チーズケーキは好きだけど、欲しいわけじゃない」 「ふーん……」 香織は俺からチーズケーキへと視線を移した。 薄い黄色のスポンジを切り、フォークで突き刺す。 それは香織の口へと運ばれていくのだろうと思った。が。 「なんで、俺にそのフォークを向ける?」 「あーん」 「……いや、食べないぞ」 「あーーん」 こいつ、俺にいわゆる恋人的な行いをさせるつもりか? 冗談じゃない。そんな恥ずかしいことができるか。恋人でもあるまいし。 俺が口を頑なに閉ざしていると、香織の声が沈んできた。 「……あーん、してよぉ……」 涙目で見ないでくれ。突き出したフォークを小刻みに動かさないでくれ。 周りの人たちの視線が痛い。遠巻きに俺の行動を期待するのはやめてくれ。 香織の口から、小さな嗚咽が漏れた。途端、周りの空気が濃くなる。殺気さえ感じられる。 ……くそう、覚えてろ、香織。 少しだけ身を乗り出して、軽く口を開ける。香織の顔がまぶしいほど輝いた。 「あーん」 という、香織の声と共にチーズケーキが口の中に運ばれた。 「美味しい? 雄志君」 半眼で香織を見つつ、頷く。 チーズケーキは美味しかった。だが、香織の行いが影響しているわけではない。 考えを口に出すことはこの場ではばかられるので口にしないが。 183 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 33 52 ID z5DhbTSq まだ食べる、という香織を半ば引きずるかたちで店を後にする。 携帯電話で時刻を確認すると、すでに7時。1時間近くは甘味処に居たことになる。 40%引きとはいえ、香織の食べたケーキがあまりに多かったせいで俺の財布から紙幣は消えてしまった。 香織の体のどこにあれだけのエネルギーが収まるのだろう。……たぶん胸だな。 そういえば華は小食だった。だから胸が慎ましいサイズなのか。納得。 隣で歩く香織のふくらみを見ていると、手のひらで視界を覆われた。 「……えっち」 「誰が?」 「雄志君に決まってるでしょ! なんでボクの胸をじーっと見てるのさ!」 なんとなく。というのが答えだが、別の答えを返してみる。 「悪いか?」 「え? 悪くは、ないけど……じゃない! 悪いに決まってるじゃないか!」 「はいはい、もう見ませんよ」 香織から目をそらして、町並みに目を向ける。 7時を過ぎると日はすでに沈んでいて、空には月と星が浮かんでいた。 駅前に並ぶ店の前には看板がある。ネオンの紫、青、緑の色が看板を彩っていた。 周りを歩く人たちはまばらになったが、構成は変わっていない。 スーツを着たサラリーマンやOL、自分で選んだファッションに身を包んだ同年代の男女、 学校帰りの小中高校生、道路脇で客を待つタクシーの運転手。 人の流れに乗りながら歩き、駅前のロータリーでバスの時刻表を確認する。 アパートの近くへ行くバスの、最終時刻は…… 「……6時、45分」 「だね」 明るい声でうなづく香織の声を聞きながら、俺はうなだれた。 自宅までの距離は、バスで移動して50分ほど。移動するための手段はバスしかない。 自宅近くには駅がないので電車は利用できない。 ヒッチハイクは上手くいくとは限らない。リスクも大きい。 となると、タクシーか? 「香織、いくら持ってる?」 「えっとね……4000円と小銭が少々」 「俺は帰りのバス代しか残ってない」 「……タクシーの料金、足りるかな?」 「わからん。でも香織の家にいくらか置いてあるだろ。家に着いてから払えば大丈夫だ」 「無いよ」 髪の毛を揺らしながら首を横に振る香織。こいつ、なんて言った? 「残りのお金は全部銀行に預けてあるから、部屋には置いてない」 「……ほう」 「雄志君は?」 「香織と同じ」 見つめあいながら、沈黙。そして、自分達の無計画さに、後悔。 料金がいくらかかるかわからないタクシーに乗って帰るか。潔くこの町で一晩過ごすのか。 心の中で、救いの手を差し伸べてくれる人が現れることを望んだ。 今時、そんな甘い話はないよな、と自覚しながら。 184 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 35 13 ID z5DhbTSq 13話は終了です。 次回もこんな感じかもしれませんが、しばらくお付き合いください。 185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 01 04 59 ID RYMVwZIl すりこみ氏andことのはぐるま氏一番槍GJ!! こんな良作品を連続で見られるなんて幸せ。 続き待ってますね~ 186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 01 06 27 ID OsD9F3Js wktkと書き込んでからすぐに投下が来て凄くびっくりしました お二方ともGJです 187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 10 34 49 ID Di2ArLb8 なんだなんだこの投下ラッシュは 素晴らしいGJ! 176 男のヤンデレなんて見たくないと思っていたが八雲には負けたw 183 雄志が自爆している件w wktk 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 17 46 44 ID hHRYltAq 嫉妬スレでこんなん出てたけど。 既出? ttp //nekomarudow.com/y/ 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 18 06 26 ID 6JKCnYnI 188 既出 190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 18 10 27 ID hHRYltAq スマソorz 191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 31 47 ID g4hPYe0L 4月1日ネタだと思ってたんだが… 本当に作る気なのか 192 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 36 08 ID xpjDH9+s ダンスしてるドット絵が可愛いなw 193 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 46 26 ID 6ihmgdxP オマイラ!!これもガイ出ですか??? 個人的に期待度大 ttp //www30.atwiki.jp/yandere 194 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 47 00 ID hHRYltAq 191 aboutにある一番下のリンク先とか。 止マナイ雨ニ病ミナガラとか、最早立派なヤンデレゲー。 早く出ないものか。 195 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 50 12 ID 6ihmgdxP なんというタイムリー・・・・ 196 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 50 59 ID T+qJr/yq 結婚か? 197 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 53 35 ID MIYy+fR2 193 ガイシュツ。 そして、そこの分派も既にガイシュツ。 現在のヤンデレゲーは同人で一つ、VIPで二つが開発進行中。 198 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 54 01 ID 3ypHhpjX 193 絵が気に入った 病み状態の表情いいね 199 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 21 57 32 ID 6ihmgdxP スマソorz 200 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 22 16 11 ID fs0caWSf 183 香織ファンにはたまらない展開にwktk 201 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 23 53 32 ID 8za5MvVJ ニコニコで見つけたものですが、既出だったらスマソ。 ttp //www.nicovideo.jp/watch/sm243628 202 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/05(火) 23 58 29 ID 8za5MvVJ sage忘れたorz 203 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/06(水) 00 33 52 ID bMSIxW9D 何も言いません。ごめんなさい。投下します。 ■■■■■■ 祐人が首輪に繋がれて4日が過ぎた。時間は平穏極まりなく過ぎて行く。 「祐人」 「ああ真弓、愛してるよ」 姫野真弓がせがむような目をして見上げれば聖祐人は彼女の頭を撫でながら応じる。 それこそ機械的に、反射的に。だがあくまで手つきや声はやさしくまるで恋人のように。 真弓は満足そうに笑いながら甘えかかる。 真弓は、祐人がやっと素直になってくれたと思っている。 祐人は、助けが来るまで波風立てずに生きれば良いと思っている。 その2人を姫野亜弓は薄く笑いながら見ていた。 204 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/06(水) 00 34 48 ID bMSIxW9D 「仲が良いのね…」 そう呟くと亜弓は自室に下がろうと席を立った。 祐人はまだ気付いていない。彼はこの異常な状況が早くに終わると思っている。 彼がまだ芯から変わらないで居られるのはいつかこの状態が終わると思っている からだった。それまでは機械的に真弓に従う。終われば全て忘れて元に戻れば良い。 無駄に抵抗して痛い目に合うのは避けたい。 だが、彼はまだ気付いていない。真弓に好きだと告げるたびに上辺から少しずつ 変化していくことを。虚構だって何度も重ねれば少しは本物に見えてくることを。 祐人は理性の鈍い頭に自分自身で暗示をかけているようなものだった。真弓、愛してると。 時間をかけたり衝撃を与えれば上辺からの変化だって芯に届くことがある。もしそれに 気付いていれば名前を呼んで頭を撫でて好きだと告げて自分の中の何かを少しずつ 真弓に渡すことがどんなに危険かわかったろうに。 亜弓は少し憐れむような笑みを浮かべた。 「仲が良いのはいいことだと思うわ」 そのうち、何もかも普通になる。 今日も昨日と同じように寝て、明日も同じように起きるのだろう。 亜弓の読みではそろそろ真弓が焦れて次の手段に出る頃だ。 それと恐らく、外の世界も動くだろう。今日か明日か明後日か。 ■■■■■■ 205 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/06(水) 00 37 15 ID bMSIxW9D ■■■■■■ 首輪に繋がれてから5日が過ぎた。真弓は今は学校だ。今日は亜弓まで外出していた。 おそらく彼女が外出するのはこの何日間かで初めてだろう。 祐人はぼんやりと考えた。彼は相変わらず真面目に食事をとっていたので テキパキと思考を組み立てることなど到底でくなかったのだが。 ああ、とふと思いつく。自分の今の姿勢が何かに似ていると記憶を転がしていたが あれだ。何かの映画で見た拷問具の椅子だ。あまりに簡単な連想なのに 思いつかなかった自分に苦笑する。 背もたれに首輪、両手首両足首をも拘束されてる姿勢なんてそうは無いだろう。 むしろそのものズバリと言うべき合致なのに。思考力が鈍っているどころの騒ぎではない。 まるっきり無いじゃないか。 5日目だ。もうすぐこの生活も終わるはずだ。朝起きて、日によっては椅子や ベッドに磔にされて真弓を送り出して亜弓と昼食をとって帰宅した真弓と会話して 時折頭を撫でて好きだと言う生活もあと少しで終わる。休日ですら登校という部分が 抜け落ちただけでほとんど変わらなかった。 早く時が過ぎて終わりが来るように祐人は祈った。 ■■■■■■ 206 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/06(水) 00 38 30 ID bMSIxW9D ■■■■■■ 「それでね、お姉ちゃん」 「真弓……学校の話はもういいから早く本題の相談を始めたら?」 祐人が家で椅子に繋がれている時、亜弓は真弓と向かいあって近所の喫茶店にいた。 「わざわざ私を外に呼び出したんだもの……学校の話がしたかったのでは無いでしょう?」 亜弓が微笑むと顔を赤らめてうつむいたまま真弓がポツリと言った。 「……祐人さ、なんで私に手を出さないんだろう。やっぱり私色気無いのかな?」 「真弓は体薄いから……腰も細いし。でも少女特有の色気みたいなものはあると 思うのだけど。手足が細い方が危うい感じがしてぐちゃぐちゃに犯したくなる ものじゃない……?祐人くんがそういう好みかはわからないけれど…… でも胸もちゃんとあるし……」 「お姉ちゃん……よくそんなことためらいもせず言えるね」 「あらでもそうだと思うわ。肌も綺麗だし鎖骨の形綺麗だし……舐めたくなるもの」 「お願いですもうやめて下さい」 真弓は耳まで赤くなってうつむいて少し肩を震わせていた。 「真弓……可愛いわね」 「なんで久しぶりにたくさんしゃべると思ったらそんなことなのよ!」 「涙目になって……よくこれで祐人くんも耐えられるわね」 「褒めてどうするのよ」 「わからないわ。祐人くんだって手を出しかねてるだけかもしれないじゃない……」 「じゃあどうしたらいい?どうしたら先に進めるかな?」 顔を正面から見るのが恥ずかしいのか少し斜め下に視線を逸らしながら聞く。 「真弓から迫ってみたら?」 「女の子からなんて……出来ないよ」 「でもこのままだと真弓は我慢出来ないのでしょう……? 大切過ぎてかえって手が出せないのかもしれないわ」 「私から仕掛けるの……ありだと思う?」 「私は思うわ」 真弓は顔を赤くしたまま口の中で無理だよ、と呟いた。 ■■■■■■ ■■■■■■ 207 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/06(水) 00 40 10 ID bMSIxW9D 投下は以上です。 本当にごめんなさい。一万と二千回謝っても足りませんね。 書きかけ放置だけはしない約束をします。 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 00 45 49 ID EU6d8NTA 恋人作りだ! リアルタイムGJ! 真弓が祐人を……何て展開だ!wktkするしかないじゃないか! 謝るなんてとんでもない。これからも作者様のペースで頑張って下さい! 209 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 02 47 03 ID RZHUXEsj 207 待っていた……お前のような作者が戻ってくることを…… 祐人はすでにグロッキー。対して真弓はやる気まんまん(性的な意味で)。 逆レイプ、くるか?それとも薬物が出るのか?楽しみだ。 210 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 22 16 ID CEzbNnHt 投下します 211 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 23 22 ID CEzbNnHt 「ねぇ、春樹君。君の家に遊びにいってもいいかい?」 「…それはなんの冗談だ?」 「冗談?僕が君に冗談を言ったことがあるかい?」 「…いや…覚えがないな。」 気がつけば小泉八雲…いや、小泉八雲の姿をした香住が俺の家の前に立っていた。 「だろ?まぁ、この姿で居るのには訳があるんだけど…君にならわかるだろ?」 「…ああ」 「それじゃぁお邪魔するよ。あはは…なんだかドキドキするなぁ」 まるで本物の八雲がそこに居るように思えるほど、香住の立ち居振る舞いは八雲のそれとまったく同じだった。 「夏海ちゃんは今頃、駅前のスーパーで買い物だね。帰宅はおそらく5時半頃かな…」 香住は壁掛けの時計を見ながら独り言のように呟いた。時刻は4時8分を指していた。 「君の部屋に行くのがいいのかい?それともこの場所でも問題はないのかい?」 「部屋に行こう…」 「ん…なるほど…了解した。」 いつもと変わらないにこやかな笑みのまま、香住は俺の後ろをついてくる。 まるで本当にそこに八雲が居るような気分にさえなってくる。 「へぇ…思った以上に整理されていて綺麗な部屋だね…」 香住は遠慮なくベッドに腰をかけた。 俺はしかたなく、椅子を引っ張り、背もたれに身体を預けて香住と向かい合った。 212 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 26 17 ID CEzbNnHt 「そんなことを言いに来たわけじゃないのだろ?今は…付き合えないと …この家には近づくなといったはずだ!」 香住はようやく八雲の仮面を外し、柔らかい笑顔のまま 「はい、わかっております。私もまだ春樹さんと付き合えるとは思っておりません。」 そんな風ににっこりと微笑んだままベッドに寝転ぶ香住。 「ですから、今日は色々と確かめに参りました」 「何を…確かめに来たんだ?」 「藤岡冬彦…春樹さんのお父様ですが、5年前から行方不明。生きていれば45歳。 職業はサラリーマン…で間違いありませんか?」 「ああ…」 「冬彦という方は、見た目はよろしいのですけど、その中身に多少…難のあるお方で …女癖がお兄様と同じく来る方は拒まない性格だったそうです。 その際に春樹さんがお出来になったそうです。」 「…それで……?」 「5年前に冬彦という方が行方不明になられたときはその女癖の悪さから、 新しい女と駆け落ちした…と考えられたそうで、現在に至っても行方不明…なのですが…」 香住は言葉を区切り、俺の顔を見つめて… 「私はそうは思わないのです。だって…春樹さん…」 「あなたが冬彦さんを殺した……そうですよね?」 「……」 俺の沈黙を肯定と受け取ったのか、否定と受け取ったのかはわからない。 だが、そんなことはどうでもいいというように香住は淡々とした口調で言葉を続けた。 213 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 28 09 ID CEzbNnHt 「冬彦さんのことをさらに調べると…ある特殊な性癖の持ち主だった可能性が浮かび上がるのです。それはペドフィリア(小児性愛)の可能性です。」 …香住が小児性愛なんて言葉を使うなんて意外だった…いや、八雲なら使いかねないか… 香住と八雲…こいつはどっちなんだ…いや…今はそんなことはどうでもいい… 「冬彦さんが小児性愛の代償行為として晶子さんと結婚なさったのであればある意味…理性的な行動と考えられなくもないのですけど …私はある仮説…というよりも直感なのですけど…冬彦さんが晶子さんと結婚なさった決定的な理由 …それは夏海さんにあったのではないかと考えているのです。」 「…何故そう思う…」 「女の感…といいますか…春樹さんと夏海さんを観察してみると何となくそんな風に感じるのです…」 「……」 「夏海さんの中身は様々なコンプレックスの集合体…ファザコン・ブラコン・ユディットコンプレックスが混ざり合った歪んだ感情。 夏海さんは春樹さんのことを愛している。 でも、心のそこでは男というものに怯えている… それはおそらく…春樹さんと冬彦さんの面影がだんだんと重なってきているからではないでしょうか…」 「……」 「だから、夏海さんは春樹さんのことを好きだとしても直接的に行動を…同じ布団を共にしながら春樹さんを誘惑できない …いえ、誘えないのでしょうね。もし、そういう関係に至っていれば…今はつきあえない…あなたはそんな曖昧な言葉は言わないでしょ?」 「……」 「にも拘らず…夏海さんは春樹さんを取られることを極端に恐れている…まるで春樹さんが居なくなると冬彦さんが戻ってきてしまうかのように …くすくす… 春樹さんにとっては生殺しの状態ですよね。 夏海さんは身体を許さない… なのに、他の女が春樹さんに近づくことを許さないだなんて …くすくす… 本当に酷い仕打ちですね。」 「……」 214 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 30 30 ID CEzbNnHt ベッドに仰向けに寝転がり天井を見上げたまま、 香住は突然思い出したかのように口を開いた。 「そういえば菊池裕子さん…行方不明だそうですね?彼女を殺したのは…どちらなんですか?」 「どちら…?」 「はい、夏海さんですか?それとも…春樹さんですか?」 「何故…そう思うんだ?」 「菊池さんは春樹さんに好意を持っておられたそうです。だから夏海さんがそれをもし、何らかの形で知ったとしたら… …例えば、家に遊びに来た菊池さんの口から聞いたりしたら…菊池さんはただじゃすまないでしょうね…。」 「そうじゃない!何故…なんで俺に菊池を殺さなきゃならない理由があるんだよ!」 自分の声が部屋の中にこだまする。息が荒い…くそ…くそ…くそ…。 香住は微かに不思議そうな顔を見せると 「春樹さんが菊池さんを殺す理由ですか?そんなのは決まっているじゃないですか」 香住はにっこりと微笑みながら 「そうしないと夏海ちゃんが菊池さんを殺したことになっちゃうじゃないですか。」 と、まるでその場に居合わせたのだといわんばかりに… まるで俺の心を見透かすように… 「ですから…私は春樹さんの言葉…『今は…』というのは夏海さんが生きている間は ずっと…そう理解しています。」 そんなとんでもないことを、平然と俺に言いやがったのだ。 215 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 32 34 ID CEzbNnHt 「じゃぁ…お前も…お前もあいつらみたいに夏海を殺そうとしているのか…」 「私がそんなことをするわけないじゃないですか…」 「じゃぁ…あいつらは一体なんだったんだよ…」 「一之瀬さんたちですか?…あの人達は兄を愛しておられた方ですから… きっと間違われてしまったのではないでしょうか…いえ、兄はきっとわかっておられなかったのでしょう」 「…間違えた?わかっていなかった?」 「ええ…決して夏海さんに手を出してはいけないってわかっていなかったんです。 だからお亡くなりになられたのですよね?」 「………」 「兄が私に手を出す何人にも容赦しないのと同じように… 春樹さんは夏海さんに手を出す何人も許さない… 夏海さんに手を出す者は殺されて当然…いえ、寧ろ殺すべき害虫… そう…壊れているのは夏海さんだけじゃない… 寧ろ、夏海さん以上に壊れているのは春樹さんです。そのことを兄も理解していなかったんです。」 「ですが、いかがでしたか?プレゼント…喜んでいただけましたでしょうか?」 「…なにがだ…」 「電話…致しましたでしょう?夏海さんを誘拐、拉致しようとする不届き者が居ると…」 「……」 「一之瀬さんたちは二階堂、四谷、五代の三名を殺したのが夏海さんだと思っていたようですから …きっと油断なさったのではないでしょうか?あの方たちの心意気は素敵なのですけど… 殺すことに関しては初めてだったようですから…」 「香住……お前…」 「それで…一之瀬さんたちはいかがでしたか?お電話差し上げた通りの時刻にちゃんと見えられましたか?」 「…お前…なにを言ってやがるんだ…」 「私一人ではあの方達を処分することは出来ませんでした…ですから私に出来ることをしただけです。 いつ来るかわからないのでは…厄介だと思いまして…」 216 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 35 01 ID CEzbNnHt 「八雲は……八雲はどうした…」 「兄ですか?…兄は私がきちんとおしおきしておきましたのでご安心ください。」 そういって、香住はベッドに膝を立て、ズボンのジッパーをゆっくりと開き… そこから真っ赤な血に染まった男性器を取り出した。 その勃起した男性器はまるで香住の股間から生えているかのように雄雄しくそそり立っていた。 「兄からの伝言です。これを貴方に受け取って欲しい…のだそうです。」 そういって香住はそれをそのままゴミ箱に投げ捨てた。 「ゴミは…ゴミ箱に捨ててよろしかったですか?」 「ああ……」 「他のゴミは…どこに捨てられたのですか?」 「ゴミはゴミ捨て場に捨てているぞ…?」 「ゴミ捨て場…ですか…」 香住は怪訝そうな表情を浮かべて、俺の言葉をかみ締めているようだった。 「?…それ以外のどこに捨てるって言うんだ?」 俺の言葉を遮るように香住はベッドから立ち上がり、服装を直しはじめる。 「そろそろ夏海ちゃんが戻ってくる頃だね。僕はそろそろお暇するとしよう。 それじゃ、春樹…また明日学校で会おう。夏海ちゃんによろしく伝えておいてくれないか?」 それは八雲の笑顔なのか、香住の笑顔なのかわからないまま 「春樹が性欲を持て余すようであれば僕が処理してあげてもいいと…」 その紅い唇が動き中から紅い舌がみえる。 「僕は夏海ちゃんのことも嫌いじゃないんだ…だから春樹…僕は八雲なんだ… 君の親しい友人の小泉八雲だよ。だから君が望むのなら…いつだってこの身体を使うといいさ。 …君のことだからまさかとは思うが僕のことが好きで一途に貞操を守り通しているとかそういうことはないよね? いや、もしかしてそうだったのかな?それなら春樹…早く言ってくれればいいのに。僕も春樹のことを…」 香住と八雲の姿が完全に一致する。違いなんて見当たらない。 いや、はじめからこいつは香住だったのか?その笑顔もその声も八雲のものだ。 じゃぁ、香住は…香住はどこに居る? いや、こいつは八雲で香住なのか…いや、香住が八雲なのか…何故だ…何故だ… 世界がぐらりと歪む。どうしてこいつは…何故……何故……何故… …何故……何故……何故……何故……何故……何故……何故… こいつらはこんなにも狂っている? 何故俺に…何故俺なんだ…何故俺でなければならないんだ…どうして…何故… 八雲の声が聞こえる。静かな世界の中で八雲の声だけがはっきり聞こえる。 まるで俺の心を見透かしたかのように 「春樹…君は炎だ。そして僕らは飛んで火に入る夏の虫なんだよ…その身を焦がしてでもその明るさに惹かれてしまう ・・・いや、寧ろその身を焦がすために火の中に飛び込みたいと願ってしまう…これは理屈じゃない…本能といってもいい …僕も君のその歪みに惹かれているんだよ?春樹…」 気がつけば部屋の中には誰も居ない。 全てが自分の妄想であって欲しいと思った。 だが、ゴミ箱の八雲だけが…それが夢でなかったことを教えてくれた。 217 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 37 17 ID CEzbNnHt 投下完了っす。 多分、次で完結予定(?) 蛇足を足そうか足すまいか検討中ですが、とりあえずシンプルに 最終章で終わらせる予定です。 218 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 39 12 ID LqnXwcw6 正常な人間が一人もいない!(褒め言葉) 219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 10 47 18 ID W5bf4Tir 最近の作品投下スピードは異常 220 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 12 18 18 ID gu8B5w6S 207 恋人作りが帰ってキター! 祐人がじんわりと洗脳されていっているのが怖い でも真弓がんばれw 217 まさか香住まで病んでいたとは もうこうなったら誰か一人だけでもいいから幸せになってほしい 221 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 14 27 ID cQRlnMcP 実験作を投下。 エロもなければ脈絡も続きも補完もありません。 222 名前:実験作[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 15 13 ID cQRlnMcP 「あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 少女の哄笑が響き渡る。其れは闇に、地に天に。 黒く、暗いその眼の鋭さを彩るのは墨汁交じりの朱の色殺意。 はや沈み掛けの黄昏すら届かぬ、薄汚れた狭い路地の中にて、対峙するは二つの影法師。 其の片割れは退治の為に、もう片割れは泰事の為に。 響くたった一人のオーケストラは前者の壊れた喉笛より撒き散らされる。 ああ、ああ! それは人間の、人間のみに許されたカプリチオ。 狂想の曲は独唱を終え、第二幕をバイオリンを加えて始めたいと願う強く尊く醜い人の意思は数多を捻じ伏せ唯一。 既に弓は彼女の手に。弓の名は“草刈鎌”。 うるはしき其の御手にて喉の肉の弦を掻き切り給えよ人の御子! さすればひゅう、ひゅうなる音、そなたの打ち倒さんとする肉塊より漏れ出でん! 「あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!! よくここまで逃げられたね逃げられたね売女ぁああああああ! あっはははははははは! でも終わりだよお、すぐに、すぐにわたしと××ちゃんの世界から消してあげる。堕としてあげる。潰してあげる。抉ってへし折って叩き割って引き裂いて磨り潰して焼き尽くして撒き散らして……あああああああああ!! わたしのばか、ばか、ばか! 本当に神聖な××ちゃんの名前をこんな溝鼠の前で言うなんて穢しちゃう! それもこれも全部あなたのせいだよ、失せろ、失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろ失せろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 夕闇に煌くは鎌の刃、沈む陽の紅に飽き足らぬ貪欲が求めしは何か? 熟れに熟れたトマトの赤? 否! 天空に輝く蠍の心臓の赤? 否、否! 紅玉の如き葡萄酒の赤? 否、否、否! 其は偽者にあらず、真実人の血。 晩餐にて取り繕うな娼婦の子、大工の継子! 我らが血潮は何者にも代えられぬ! 飛沫くは赤。漏れるは赤。 求めに従い銀弧は飛ぶよ、其の刀身を乙女を貫き血に濡らす為に!! 「死ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいねぇえええええええええええええええええええ!」 ああ、されどされど。されどされどされどされど! 悲しきかな哀しきかな人よ、人の力は人の御技によって御されるが定め。 其れは文字通り御す為の技なのだから。 「嗚呼、神よ感謝します。素晴らしい」 「………………っ!!」 振り下ろされたる死神の愛道具。 其れを容易く抜け、スケイプゴウトは己が裁定者を抱きしめる。 その硝子よりなお蒼い眼球に滲むは涙。其れは歓喜。 喚起するは万感の想い。 見ているのですか偉大なりしヴィーザル! 斯くして兄殺しの盲目者は己が咎の源、かつてヤドリギに貫かれしものに許されるということを! 「は、放せ……! 放せ放せ放せ放せ放せ放せ放せ放せ放せ放せ!」 「刃をお納めを。私はあなたの存在に非常に感激しているのですから……」 「……、何を言っているの。あなたが居なければ、あなたが奪おうとしなければ!! うわあああああああああああ!!」 藻掻き藻掻くも万力はぴくりとも動かず。 宣教の真言は故に、否応無しに羊の耳に入り込む。 223 名前:実験作[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 15 55 ID cQRlnMcP 「私はあなたから彼を奪うつもりなどないのですよ。 そもそも何故に彼を奪う必要などあるのですか。」 「決まっているよ、そうしないとわたしを見てくれないから! ううん、そんなはずはない××ちゃんは何よりわたしをアイしてくれてるのそしてわたしもなによりアイしてるのだから他の人に××ちゃんのアイが行くのは許せないの一片たりともわたしに向けてくれるアイが減るのは許せないんだから!!」 歓喜の笑みは慈愛の笑みに。 ……否、之は自己愛。故に慈愛などでは決して有り得なく。 「いと気高き私の同志にして先達よ。あなたは正しい」 「さっきからなに言ってるの……!だったら早く死んで、死んでよ!! さっさと死んで死んで死んで、」 「しかし、たった一つだけ勘違いしていることがあります」 「間違ってるはずない間違ってるはずないそれよりさっさと死んで死んで死んで、」 「彼の愛が有限だと考えること。それがあなた様の唯一の間違い……。 彼の愛は無限です。ですから、あなた様に向けられる愛が減ることなどありえません。 無限は割り切れない故に無限なのですから」 「うんそうだったらいいかもしれないけどでもそんな保証はないんだよだからさっさと死んで死んで死んで、」 「偉大なる彼の寵愛を何より早くより受けたる聖女たるあなた様が彼を信じなくてどうするのですか。 いいえ、あなた様が分かっていないはずがないでしょう。彼がそれほどまでに大きな存在かを」 「うんそれはそうだけど××ちゃんはすっごい人だけどそれは当然の事だしそれはともかくさっさと死んで死んで死んで、」 「なればこそです! 私が彼の本当の価値を、いいえ価値などという尺度に換算する愚かな私めが此処に至りようやく啓示された真実を生まれながらに知るあなた様ならお分かりかと……!」 「……何を?」 漸く詩の朗読より戻りたる聖女。浮かぶ表情は人形よりなお雄弁に無為を語る。 絶対者を崇められ、自身を讃えられることが彼女に何をもたらしたのか。 下賎の女に見出せしものは果たして殺意か同意か無視かそれとも。 ゆうらりと万力を緩め、陽炎の動きにて距離を取る下女。 ―――――いずれにせよ、次の言葉にて全ては決す。 「嗚呼、何と寛大なのでしょうさすがあの方に選ばれた方! ええ、故に私は提言します! あなた様とこの私め、彼の素晴らしさを知る二人は同志であると! 否、私はあなた方二人の下につくものであると! 故に、あなた様が私を退ける必要はないと! ええ、それだけ、それだけの事なのですよ!!」 「……ふーん。」 聖女の言葉に込められた思いは何か。 夜の帳は下りた。鎌に集うは星の光、蠍の赤い光。 襲う為か捨てる為か、それは、一瞬揺らめくように掲げられ―――――― 「―――――――嗚呼。美しい。何もかもが美しい。 素晴らしいよ、僕の為にここまでしてくれるなんて。」 224 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 18 06 ID cQRlnMcP うーん、ほんとになに書きたかったんだろ。 鎌と体術のバトル書くつもりだったのに。 ちなみに鎌は有効な攻撃が突き刺すのと掻き切るくらいしかないので、見た目の割に殺傷力は低めだったりする。 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 21 38 ID IkV3p4eC う~ん…とりあえず、壊れた時に、あんまりそこまで 「あはははは」とか「くけけけ(ry」とか書かなくてもいいと思う。 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 37 16 ID RZHUXEsj 前スレの最後辺りに書いてあった躁状態のヤンデレってやつか? 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 46 49 ID H+fh5YUp なんつうか文章が自己陶酔入ってる気がする。 もっと普通に読みやすい文章の方が良いと思われますが如何? 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 22 53 34 ID 1P40Bg4z まあ病む過程とかそっちのけと言うか、鬱々とした感じではないからなぁ。 いきなりテンション高杉て、ぶっちゃけ読んでて吹いた。 でも面白いと思うけどなぁ。 ヤンデレとしては今ひとつなのか。 最後の主人公のセリフは入れるなら次が良かった。 続くなら期待。 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/07(木) 01 02 43 ID aR61cf4Q 誤字というか、幾つか用法の間違いがあるね。 あとは好みじゃないかな。 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/07(木) 01 43 29 ID 9Sd/pn/8 他人が読むことを考えていない自己陶酔な文章だな。 すまないが、チラシの裏に(ryって言いたくなる。 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/07(木) 02 02 55 ID flFBTu7N あはは(ryとか消えろ消え(ry無限だ神だとかボトムズかなんかか? 232 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/07(木) 22 19 58 ID hvErkt/8 ハンターハンターのパームってこれでもかって言うほどのヤンデレだよな。 233 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 22 51 37 ID RsTTLffE 投下します。14話です。 234 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 22 53 14 ID RsTTLffE 第十四話~雄志の告白~ 「1170円になります」 コンビニ店員の声を聞いて、千円札と100円玉を2枚レジに置く。 店員はそれを素早く手にとると、慣れた手つきでレジを打つ。 「30円のお返しになります。ありがとうございました」 レジ袋を手にとって、コンビニエンスストアの自動ドアを通り抜ける。 季節はまだ2月。昼間の格好で出歩くには少々寒い。 俺が1人でコンビニへやってきた理由。それは、今日の夕食と明日の朝食を買うためだ。 夕食と朝食だけで1170円も払うほど、俺はブルジョワジーではない。 ではなぜ1170円分の食料を買い込んだのか?もう1人の非ブルジョワジー人間のためだ。 天野香織の胃袋は、世間的によく囁かれるように甘いものは別腹、というものらしい。 俺は2食共カップラーメンだ。合計しても300円を越すことはない。 残り900円近くのパンや弁当は香織の分である。その差、3倍。 歩きながら考えてみる。 香織が活動する際に消費されるエネルギーは俺の3倍を越すのだろうか? 高校時代にリサーチしたところ、香織の身長は165cmだという。 ちなみに俺は就職していたころに受けた最後の健康診断で、171cmだった。 体格ならば俺のほうが大きい。よって香織の燃費の悪さは別の要因が絡んでいることになる。 男女の身体構造の違いによってエネルギーの消費量が異なる、というのはどうか。 女性が活動する際、男性よりもエネルギーを多く消費する。 なるほど、1番合点がいく仮説だ。しかし、納得のいかないところもある。 なぜ若い女性はあれほどダイエットに熱心なのか? 女性の内臓と筋肉のエネルギー消費量が男の数倍あるならば、女性がダイエットをする必要はないはずだ。 女性全員が男の数倍の食料を毎日摂取しているとも考えられるが、昔から知り合いである幼馴染の 食事量を考慮してみると、疑問点が残る。 以上を踏まえた結果、身体構造説は否定される。 ……馬鹿なことを考えて退屈を紛らわすのはやめよう。答えはわかっている。 香織の食欲が人一倍旺盛である。これが答えだ。 そうでもなければ、2人合わせた所持金5720円からビジネスホテル代4500円を引いた結果残る、 1220円いっぱいに食料を買ってきてくれ、とは言わないだろう。 ホテル代を出してくれた香織の手前、俺に反対する権限はなかった。 そんなに食べたら太るぞ、と危うく口にしそうにはなったが。 ぼんやりと思考しながら歩いていると、ビジネスホテルに到着した。 壁に貼ってある料金表を見る。シングルルームに一泊して4500円。 高いのか安いのかはわからないが、2人で宿泊しても値段が据え置きだというのはお得だ。 贅沢は言えないが、できるならば2部屋あれば有り難かった。 今夜、俺は香織と同じ部屋で一晩を越さなければならないのだ。 仕切りでもなければ、落ち着いて寝られるものではない。 235 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 22 57 39 ID RsTTLffE 今夜俺たちが泊まる部屋は3階のエレベーターの近くの部屋、301号室である。 エレベーターから降りると、すぐそこにカードの自販機があった。一枚、千円。 このカードを使うと部屋のテレビである種の娯楽番組が見放題になるという、特殊なカードだ。 以前旅行をしているときはお世話になったものだ。だが、もう利用しようとは思わない。 なぜなら、翌日になると購入したことがとても馬鹿馬鹿しく感じられるから。 その寂しさたるや、1人で対戦型の戦術シミュレーションゲームをおこなったがごとし。 今夜は、いかなる理由があろうとも購入しないし、そもそも購入できない。 寂しさを味わう心配はしなくてもよさそうだ。 部屋をノックして、しばらく待つ。ドアの隙間から声がした。 「……残酷の」 「世界史」 合言葉を交わすと、ドアが開いて香織の姿が目に入った。 香織は俺の手からコンビニの袋をひったくると、数個のパンと弁当を取り出して奥へ向かった。 放置されたビニール袋の中にはカップラーメンが2つ。 さすが長年の付き合い。俺が何を買ってくるかよく分かっている。 俺は味噌ラーメンをとりだすと、包みを破り、沸かしておいたお湯を注いだ。 そして3分待つ。待つ時間は嫌いではない。食べる時間は大好きだが。 椅子に座って味噌ラーメンを食べながら、ベッドの上で食事する香織を見る。 手に持って集中して食べているのはチキン南蛮弁当だ。香織の好物らしい。 ときどき顔をしかめると、むせたように胸を叩く。 そのたびに手が胸に沈むが、あさっての方向を向いて意識しないことにする。 実は、俺は緊張しているのだ。香織と一晩を過ごすというこの状況に。 いくら親友相手とはいえ、俺の審美眼が麻痺することはない。 香織は可愛い。これは、中学時代から俺が思っていたことだ。 目は綺麗な形をしているし、肌にはしみひとつない。 香織のちょこまかした動きに合わせるように動く髪には茶色が軽く混じっていて、 柔らかい雰囲気をかもし出している。 さらにスタイルもいい。24歳になっても保たれている童顔と、出るところが出て引っ込むところが 引っ込んでいるスタイルの組み合わせは、人によってはたまらないものだろう。 俺自身、高校時代はときどき香織に見とれていた。 昔を思い出しながら香織を見ていると、容姿にほとんど変化が見られないことに改めて気づく。 うらやましいやつだ、と心の底から思う。 香織は弁当を残らず食べ終わると、両手を合わせた。 「ごちそうさま。……ああ、美味しかった」 目をつぶりながら喋る香織の頬は、嬉しそうにほころんでいた。 俺もカップラーメンを完食して、ゴミ箱に突っ込んだ。 香織はベッドから下りると、テレビのリモコンを掴んで、またベッドの上に座った。 その一連の動作をなんともなしに見ていたのだが、不意にここがどこであるのか思い出した。 ビジネスホテル。男も利用する場所である。 男が何もない場所で一晩すごすとき、一体何をするのか。 言うまでもなく、俺はわかっている。だというのに、なぜ気づかなかったのか。 テレビの電源を入れたとき、最初に映るものがなんであるかということに。 236 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 22 59 19 ID RsTTLffE テレビの電源を入れる音が聞こえたときには、遅かった。 もしかしたら違うものが映るかも、という俺の期待にテレビは応えてくれなかった。 リモコンの信号に応えたテレビが、音を出す。女性の嬌声を。 「あ、あっあっあっあんっ、だ、めぇぇぇ」 テレビに映し出されたのは、予想通りエロ番組だった。 一瞬目に入った画像から推測するに、OLが会社でセックスをしているようだった。 すぐに目をそらし、うなだれて、ため息を吐く。 こんなものを見たら、香織は一体どんな反応を示すものやら。 首を倒したまま、ちらりと香織を見る。 「…………」 ベッドに座り、リモコンを持った手は伸ばしたまま、呆然とした顔でテレビを見ている。 まばたきをすることすら忘れたように、じっと前を向いている。 意外な反応である。てっきり顔を紅くしてテレビを消すかと思っていたのだが。 テレビから漏れる音は、男と女の体がぶつかりあうものだった。 時々水音が混じり、段々ペースが速くなっていく。 「あぁぁぁあ、く、るぅっ! いっちゃう、いっくう、い、っっくぅぅぅぅ!」 香織の目が大きく見開かれた。……と思った瞬間だった。 「……以上の理由から、私は法案成立には反対です」 テレビの画面が、男女の裸がぶつかり合うものからスーツを着た初老の男たちが意見を述べる ニュース番組へと勝手に切り替わった。 今日ほどテレビの向こうにいるおっさんの声に安らぎを覚えることはない。 今だけ、感謝の言葉を述べるとしよう。たまには役に立つな。ありがとう。 香織はというと、あからさまに面白くなさそうな顔をしていた。 玩具を取り上げられたような子供の表情は見ていて面白いが、変でもある。 何を不満に思っているのだろうか。 「香織」 「ふひゃぁっ! ……あ、なに、雄志……くん」 「どうかしたのか? ぼーっとして」 「あ……ううん、何でもないよ」 「何でもないようには見えないんだがな。もしかして、お前……」 「え、えっ! ち、違うにょ、ボクはそんなつもりじゃ……」 「ああいうのを見るのは、初めてなのか?」 首をすさまじい勢いで振っていた香織は、俺の言葉を聞いて動きを止めた。 天井を見ながら何かを考える仕草をすると、無理矢理つくったように笑う。 「そ、そう! 実は見たことがなくって、それでびっくりして」 「まあ、女なら無理もないか」 「……うん、聞いたことがあるだけで、どんなものかは……」 そこで言葉を止めると、香織は俺の顔を見た。 そして、ちらりと視線を下に動かした。 「あんなもの、入るのかな……」 「あんなもの?」 「あ……なんでもない! ボク、お風呂に入ってくる!」 香織はベッドから飛び降りると、浴室へと飛び込んで、勢いよく扉を閉めた。 237 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 01 06 ID RsTTLffE 2人とも風呂から上がり、歯磨きを済ませたころには窓の外はすっかり暗くなっていた。 香織は部屋にあらかじめ用意されていた浴衣を着ていた。 せっかくだから着てみた、と言うのだが、見ているほうが寒くなる。 風邪をひかないよう暖房を入れて、さて寝ようかと思ったのだが、ここで問題が発生した。 「実は俺、ベッドで寝ないとむちうちになるんだ」 「それは初耳。ボクが華ちゃんと一緒に雄志君の家に泊まったときはそんなこと言わなかったよね」 「ああ……実は違うんだ。枕が代わると俺は寝られなくって」 「中学と高校の修学旅行では爆睡してたよね」 手ごわい。どんな理由を並べても反論でねじ伏せてくる。 この部屋にあるベッドはひとつ。当然、ベッドの上で眠れるのは1人だけ。 香織は床では眠りたくないようである。それはそうだろう。俺だって同じだ。 「香織、俺は寝癖が悪いらしいんだ」 「……それで?」 「寝ている間にベッドをひっくり返すこともあるらしい。そうならないためにも、ここはひとつ……」 「しつこいよ、雄志君。ボクがホテル代を出したんだから、ボクがベッドで寝るの!」 「ぐっ……」 代金のことを言われては、どうしようもない。 しかし、こうなったのは俺のせいなのか? 俺が普段から金を持ち歩いていないわけではないのだ。 香織が俺の財布の中にいる千円札を全滅させるほどケーキをバカスカ食べたのが悪いのだ。 奢ると言ったのは俺だが、いくらなんでも遠慮というものをすべきだろう。 香織は俺がひるんだ隙に、ベッドに横になって布団を被った。 「雄志君は床に寝ること! 枕だけは恵んであげるから」 「……この暴食女」 「ん、何か言った? 廊下で寝るほうがいい?」 「わかったわかったわかりました! 寝ますよ、寝ますともさ」 仕方なく部屋に用意されていた予備のシーツを被って、床に寝転ぶ。 絨毯が敷かれているが、眠れるほどの弾力はない。 これなら俺の部屋にあるつぶれた敷布団のほうがマシである。 枕に頭を埋めて、目を閉じる。眠れ眠れ、と念じてもやはり眠くならない。 それは床の固さのせいではなく、部屋の電気が点いたままだからだ。 「おい、香織」 「ひぇっ! 待って、まだ準備が……」 「ベッドの横に蛍光灯のスイッチがあるから、消してくれ」 「……ああ、そうだね。電気が点いてたら、眠れないもんね」 香織の言葉とともに、部屋の電気が消えた。 「おやすみ、香織」 「おやすみなさい……雄志君」 238 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 03 39 ID RsTTLffE ・ ・ ・ 「また、泣いてるのか? 香織」 「だって、もう雄志君と会えなくなる、なん、って……」 「あのなぁ、一緒の会社に就職できなくても、会うことはできるだろ?」 「でも……この町じゃなくて、ずっと遠くの町に引っ越しちゃうんでしょ。 そしたら、偶然会うことだってなくなっちゃうよ」 「たまに連絡をとりあえばいいだろ。電話してくれればちゃんと話すって」 「嘘だよ……就職しちゃったら、忙しくってボクのことなんか気にしなくなって…… 同じ会社の女の子にかまうようになって、電話の相手もしてくれなくなるんだ……きっと」 高校からの帰り道、嗚咽を漏らす香織をなだめながら俺は歩いている。 数週間前、俺と香織は同じ企業の面接を受けた。 結果として俺は内定をもらったが、香織には薄っぺらい封筒が届いた。 香織と同じ会社に就職できたらいいな、と俺は思っていたが現実はやはり甘くない。 「ね、内定を蹴ったりは……しないよね、やっぱり」 「さすがにそれはできないな。他の会社は全滅だし」 「うん……あ、そうだ! ボクと一緒に暮らさない?」 「はあ?」 「雄志君が引っ越したところに、ボクも一緒に住むの。 ボク、家事はそれなりにできるし、アルバイトもする! だから……ね?」 「ね?じゃないだろう。まったく……そんなに嫌なのか? 俺と会えなくなるのが」 「……そんなの、当たり前でしょ。雄志君は違うの?」 「そりゃ、同意見ではあるけどな」 「だったら!」 「駄目といったら駄目だ」 「うぅぅ……」 香織が顔を覆って立ち止まり、再び泣きはじめた。 髪の毛が顔を隠していて、香織の顔は見えない。 けれど、地面に落ちていく涙は見える。どうしたものか、これは。 俺と会えなくなるのが嫌、俺と連絡を取れなくなるのが嫌。 ……なら、連絡が取れればいいのか? 「香織、携帯電話貸してくれ」 「……ぅぇ? ケータイ……?」 「メールなら電話より気軽にできるし、いつでも見られるから。それならどうだ?」 「ボク、ケータイ持ってないんだ」 「なら、買えばいいだろ」 「今月、お金ない……」 「はあ……わかった。俺が買ってやるよ。新規で買えば安くつくし」 「…………いいの?」 「ああ」 このときに浮かべた香織の笑顔は、見ている俺が嬉しくなるほどに輝いていた。 次の日に2人で電気店へ行き、香織のために携帯電話を買った。 銀色の、1番安い携帯電話だったけど、香織はすごく喜んでくれた。 239 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 06 07 ID RsTTLffE ・ ・ ・ ふと目を覚ました俺は、まだ夢の中にいるのかと錯覚した。 香織のむせび泣く声が、静かな部屋に響いていたのだ。 体をベッドの方へ向ける。香織の姿は見えないが、泣き声はよく聞こえるようになった。 「ひっ……く、ひっく………う、ぅぇぇぇ……」 俺はまず、何かしてしまったのか、と自分を疑った。 今日一日を振り返ってみても、香織を泣かせてしまう理由は見当たらなかった。 まとわりつくシーツをどけて体を起こし、ベッドの上に肘を乗せて香織を見る。 布団は肩にかかっていて、寒そうには見えなかった。 部屋の空気に触れているのは頭と、両手。両手で何かを握っているように見える。 暗くてよく見えないが、目をこらすと形だけはわかった。 たった今見た夢の中で、香織に買ってあげた携帯電話だ。 「……あ…い、たいよ……会っ…話し、たい…………の、っく……に…… いなく、な……ぁないで……ボクと……いっしょに……いようよ……」 続けて、寝言で俺の名前を呼んだ。消えてしまいそうな声だったが、確かに呼んだ。 寝ている香織に喋りかけても、聞いてはくれないだろう。 香織の手を握る。ひんやりと冷たい。細すぎて、簡単に折れてしまいそうだ。 「ん……あったか…………だぁれ……」 香織の声が、少し覚めた。聞こえるか、聞こえないかぐらいの声で呼びかける。 「起きたか? 香織」 「ああ、うん……雄志君だぁ……あれ? なんでボクの手を握ってるの?」 「え、ああ、これはだな……」 つい香織の手を握ってしまったが、俺は何をするつもりだったのだろうか。 香織の目が俺を見ている気がする。とりあえず、話を逸らそう。 「その携帯電話って、俺が買ったやつか?」 「……これ? うん、そうだよ」 「もう4年以上経ってるのに、なんで替えないんだ?」 「……これじゃないと、駄目なんだ。他のケータイは持ちたくない」 「そっか」 短く答えて、それ以上は問い質さないことにする。 香織にも好みがあるのだろう。それに、物を大事にするのはいいことだ。 「ねえ、雄志君。理由は聞かないの?」 「理由があるのか?」 「理由がなくちゃ、同じケータイを使い続けたりはしないよ。 ……理由はね、雄志君を身近に感じられるからなんだ。 雄志君を身近に感じたいから、ボクはずっと同じものを使ってるの」 「そうだったのか……」 香織がそこまで俺と会いたがっていたなんてな。 昔から何をやっているんだ俺は。香織を泣かせてばかりだ。 240 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 08 34 ID RsTTLffE ベッドの脇にあるランプのスイッチを入れる。 控えめな明かりは、香織の顔と、ベッドを照らしてくれた。 目を細めて光の明るさに慣れてから、香織の様子を再確認する。 肩には布団が乗っていたが、足は布団の外に出されたままだ。 香織は浴衣を着ているので、自然と生足が目に入る。 白い足から、慌てて目をそらす。見とれてしまうところだった。 「どうかしたの?」 「いや……それより、さっきから足が出てるぞ。それじゃいくら暖房を効かせても同じだ」 「……ニブチン」 「誰がニブチンだって……、!?」 香織は布団を跳ね除けると、俺に全身を見せた。 さっきまで眠っていた香織が着ている浴衣は乱れていた。 浴衣の端から下着がのぞいていて、ふとももは丸見え、胸の谷間まで見える。 「ボク、やっぱり魅力が無いのかな」 「いや、そんなことはないぞ」 この場にいるのが俺以外の男なら、すぐに狼になっているだろう。 「じゃあ、どうして雄志君はボクを……抱いて、くれないの?」 予想外の言葉に心臓をつかまれて、揺さぶられたような気がした。 俺が、香織を、抱く? 「ごめん。今日、ケーキをたくさん食べたのは雄志君と一晩過ごしたかったからなんだ。 いっぱい食べてゆっくりして、最終バスの時間を過ぎるようにしたんだ。 お金が無ければ、2人でホテルに泊まることになるだろうって、そこまで計算して」 ……全然、気づかなかった。 「一緒の部屋に泊まれば、もしかしたら雄志君がボクを抱いてくれるかな……って。 でも、やっぱりボクじゃ無理なんだね……雄志君をその気にさせるのは」 香織は手で顔を覆い、体を丸めた。そして、泣き始めた。 「ごめん、ごめんね……勝手なことしちゃって」 泣かないでくれ。俺は、お前を泣かせたり、悲しませたくないんだ。 「ただの友達には、そんなことできないよね……」 違う。俺にとって香織は親友で……。 親友?本当に、それだけなのか? 俺は香織のことを、ただの親友としてしか見ていなかったのか? ……違うな。香織を泣かせたくないと思う気持ちは、それだけじゃ説明がつかない。 俺は、他の友達よりも近くにいて、1番近くで香織の笑顔を見続けていた。 いつのまにか俺は、香織の笑顔をずっと見ていたくなっていた。 ああ、そうか……きっと、この気持ちは――ただの友達には湧かないものだ。 「香織、俺の話を聞いてくれ」 「いいよ、もう。慰めなんて……」 「好きだ。香織」 香織の嗚咽が乱れた。顔から手を離すと、涙に濡れた目で俺を見つめる。 「ぇ…………今、なんて……?」 何度も言わせるな。恥ずかしい。 「俺は、香織のことが好きだ。友達としてじゃなく……女として」 241 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 10 21 ID RsTTLffE 香織の目から流れる涙は止まっていたが、その代わりに目は大きく開いた。 口は半開き。顔はでたらめに赤色系を塗りたくったように赤い。 「す、すすすすす、好きって、今、ぁ……雄志君、言った……?」 「ああ、言った。はっきりとな」 まっすぐな香織の目から目を逸らしたくもある。だが、ここで逸らしたら真剣さが伝わらない。 対する香織は目を逸らさない俺の様子に、何かを感じ取ったようだ。 「好き……ボクのこと、好き……雄志君が、ボクのことを、好き……」 ベッドに顔を伏せ、自分が聞いた言葉を忘れないよう、反芻している。 香織は呟きを止めると、ベッドの上に正座した。 「香織はどうなんだ? 俺のことがまだ好きか?」 「はい! もちろん、当然、なにがあっても、好きなままです!」 「じゃあ……恋人になってくれるか?」 告白したんだから、あえて言うまでもない質問である。 しかし、俺と香織のような仲になるとお互い好きだと言い合っても、変化が薄い。 今までの関係とは違うとわからせるためには、聞く必要があるのだ。 「こ……恋人……雄志君と……」 「……」 「もちろん、OKです……こちらこそ、不束者ですが、よろしくお願いします」 ベッドの上で座礼をする香織。俺も同じように礼をした。 俺の中に常に存在していた、香織を泣かせたくないという思い。 その思いを抱く理由。それは、香織に対しての好意によるものだったのだ。 「……ふわぁぁぁ……へへへ」 香織はとろけた、ふにゃりとした表現が似合う顔で俺を見ている。幸せに浸っているようだ。 さて、このまま眠りについてもいいんだが……興奮して眠れそうにないな。 「香織」 「うん、なあに……?」 「抱いてもいいか?」 とろけた表情が一変、唇を横一文字にして固まった。 「抱くって、あの、テレビみたいに……?」 「まあ、そういうことだ」 香織の体を抱きしめて、ベッドに押し倒す。暖かいうえに、柔らかい。特に胸の辺りが。 「ま、待って……まだ、心の準備が……」 「安心しろ。やっていくうちに覚悟ができてくるから」 体の下にいる香織の顔を覗き込む。いったいどこまで紅くなるのだろう。試してみたくなってきた。 唇にキス、をするように見せかけて、頬にキスをする。触れた途端に柔らかくかたちを変えた。 続けて額、耳の下、顎の下にくちづける。一段と香織の顔が紅くなった。 最後に、唇にキスをする。 「んん…………ん……んんっ、……ぁ……………………ふぁ」 数秒唇を当てていると、香織の顔が横に向けられた。俺を避けたわけではなく、気絶してしまったようだ。 肩をゆすっても、頬を叩いても起きる気配はない。おあずけである。 香織を仰向けにして着衣の乱れを直し、布団をかける。俺は床に寝ることにした。 同じベッドで寝ていたら、ついイタズラしてしまいそうだったからだ。 ……次の機会があったら、香織をあまりからかわないようにするとしよう。 242 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 11 49 ID RsTTLffE ・ ・ ・ 電話の音で目が覚めた。携帯電話の着信音ではなく、室内に置いてある電話から音が出ていた。 かかってきたフロントからの電話によると、10時になる前に部屋を出てもらわないと追加料金がかかるらしい。 時刻は9時半。かなりギリギリである。 電話を切り、ベッドで寝息を立てたままの香織を起こす。 「起きろ、香織」 「ああ、ううん……おはよ、雄志君……、!!!」 香織は俺を見ると、ベッドを転がって、床に落っこちた。 「大丈夫か?」 「うん、なんとかね……って、駄目だよ! 朝から、その、し、しようだなんて……」 「何を根拠に言っているのかわからんが……そういうつもりじゃない」 いぶかしげな顔の香織に事情を説明する。 事情を聞くと、時間がないということにすぐ気づいて身支度を始めた。 「着替えるから、あっち向いてて!」 「見たら、駄目か?」 「いや、駄目じゃ……違う、駄目ったら駄目!」 香織が着替えを終えてから、荷物をまとめて部屋を出る。 ホテルのフロントに行き、鍵を返す。追加料金は請求されなかった。 243 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 17 15 ID RsTTLffE 近くの銀行でいくらかお金をおろし、バス代を確保する。 駅前に行くと、運よく自宅近くへ行くバスが停まっていた。 バスに乗る。結構広いバスだったが、他の乗客はいなかった。 俺が窓際に座ると、香織がくっつくようにして横に座った。 「変なこと、しないでね」 「するか、こんなところで」 バスが動き出した。眠くなりそうなほどにゆっくりと、国道へ向かって進んでいく。 窓の外を見たまま、手探りで香織の手を握る。 香織の手は一瞬躊躇したが、すぐに俺の手を握り締めた。 指の間に香織の指が絡まっていて、くすぐったかった。 バスが香織の自宅近くの信号で停車したタイミングで、話しかける。 「香織、明日は暇か?」 「うん。今日はバイトがあるけど、明日は入ってないし。……ねえ、どっか行かない?」 「俺もそのつもりだったんだ。それじゃあ明日、香織の家に行くよ」 「うーん……ううん、ボクから行くよ。いいでしょ?」 「ああ」 こだわる理由も無いので、うなずきを返す。 間を空けないうちに、香織の自宅前にバスは到着した。 バス停の前で手を振る香織を見ながら、バス代を用意する。 片道料金は720円。昨日あんなことがあったからか、これだけの金額でも大きく思えた。 5分ほどして次のバス停へ到着した。 バスから降りたとき、目の前に広がっていたのは懐かしい光景、俺が住むアパートの外観。 緩む頬をそのままに、アパート前の駐車場を歩きながら、2階にある自分の部屋を見る。 そのとき目に飛び込んできたものを見て、俺は一瞬歩みを止めた。 「……」 部屋の前に、華が立っていた。無表情のままで俺を見つめている。 部屋の前に立っている華の手が動いた。携帯電話を耳に当てている。 もしかしてと思っていると、ポケットに入れていた携帯電話が振動した。 ディスプレイには、華、と表示されている。 ごくり、と喉を鳴らしてから、電話に出る。 「……もしもし?」 「おにいさん、おかえりなさい。……ずっと、待ってたんですよ。ここで」 2階に立っている華が携帯電話を下ろすと、通話も同時に切れた。 そういえば、昨晩外泊するということを華に伝えていなかった。……間違いなく、怒っているな。 華に出会い頭で何を言われるか不安に思いながら、俺は2階の自室へ歩き出した。 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 17 58 ID KzGB2hXt 支援ズサー  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧ ⊂(゚Д゚⊂⌒^つ≡3 245 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 19 09 ID RsTTLffE 14話はこれで終了です。 なんとなく最終回っぽく感じられますが、まだまだ続きます。 246 名前: ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 19 49 ID RsTTLffE 244 支援、サンクス! 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/07(木) 23 21 33 ID KzGB2hXt 遅かったorz でもGJ てか雄志が地雷踏みまくりワロタw 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 00 26 30 ID H805gnal こ、こここれから寝ようって時に何てもの見せてくれやがりますかッ!? 神よ、ありがとう。 GJ 249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 04 14 12 ID EMpIubaO ん?今はコンビニで24時間お金が下ろせるよな 手数料はかかるけど宿代ほどじゃない 250 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 07 43 32 ID BYfCOq1V 246 GJ! でもああああああ 香織に告白してるう! 個人的にはまさかの展開だw 251 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 08 10 03 ID 52ndi9Iz 249 地方銀行は夜間おろせないところもあるよ 252 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 08 50 50 ID BYfCOq1V 香織は気付いても黙ってる 雄志は鈍感だから(ry とか思った 253 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 18 50 54 ID EMpIubaO 251 でも大抵は9時までだろ? バスがないのに気付いたのが7時すぎなら間に合ったんじゃないか? 254 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 21 34 43 ID Jf82lKh3 一番病んでないヒロインを選ぶか、主人公よ しかしそれは恐怖の双鬼から己も女も守らなければならぬ茨の道ぞ と言ってみる俺ナッシュ!GJ! 255 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 21 37 02 ID C8L4795n VIPで三つ目のヤンデレ企画が立ち上がった。 前の二つに比ると、ぶっちゃけ、期待薄。 ttp //cabin.jp/koizumi/niji/index.html 256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 23 54 40 ID 0irr/duG ヤンデレも記号化が進んできたような気がする。 257 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 00 06 06 ID 6febIchO 嫉妬 憎悪 殺害 異物混入 笑い声 トラウマ 白痴 オナニー ストーキング 自己完結 やたら地雷を踏む想人 妄想 未発達の社会性 偏愛 結界依存 残虐性 想人の偶像化 ヤンデレの記号って大体、こんな感じかな? 258 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 01 11 44 ID //yFGhgk 249 251 253 ・香織は気付いていたが黙っていた。雄志は気付いていない ・辺境だったので近くにコンビニがない ・時代設定が昔だからコンビニでおろせない さあ、好きなのを選べ 259 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 01 22 41 ID dyNdB8BN 257 ここはヤンデレを愛でるって感じだが、vipの奴らは遊んでるって感じだな あと、あんまりメジャーになりすぎると女共が介入してきてそのジャンルは滅ぶ 260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 02 53 26 ID KSdVdImA 259 そういや、すでにヤンデレ同盟とかあったんだよなぁ……orz 261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 03 07 50 ID 7yE6sQBU ヤンデレを理解するのはいいが、一度はヤンデレの魅力を体感しないとものは作れんと思う。 とは言え、このジャンルだけは女は立ちいれんと思うが。 男が病むゲーム作るのがせいぜい。 262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 04 05 40 ID BvkdJ7iD 259ツンデレみたいに女性週刊紙に取り上げられる日が来るのか。 病的なわがままの免罪符になりそうだ。 「あなたを愛し過ぎて、あたしヤンデレになっちゃった。」 「家事やって。ブランド物買って。合コンくらい行かせて。」 「愛の証し見せないと、あたし狂って殴っちゃうかも」 自分で書いてて胸糞悪くなってきたわい。 263 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 05 20 23 ID ULsJ+OYe 262 それ、ヤンデレの意味を知らない人からすれば頭の弱いわがまま女にしか見えない。 ツンデレにしてもヤンデレにしても、二次元の美女・美少女がやるからウケるということをあの手の雑誌は理解していない。 いや、女に間違った行動を起こさせて自爆させるのが狙いなのかもしれないが。 264 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/09(土) 09 20 08 ID Szxqy9dS このての奴は基本的に二次元だから許される部分があるからなぁ ツンデレ喫茶も明らかに勘違いしてるし 265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 09 52 29 ID gY8r5zwq THE 地球防衛軍【さ、3だー!】 266 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 09 54 13 ID gY8r5zwq 誤爆した……。 とりあえずヤンデレブームが起こらないことを祈る。 267 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 10 43 15 ID dyNdB8BN 260 うわぁ、なんか凄く趣旨を間違えて活動してそうだな 268 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 10 44 40 ID dyNdB8BN ヤンデレ同盟より抜粋 □管理人の独断と偏見で、勝手にヤンデレ分析 ▼移動動作が極端に遅い ▼そのわりに攻撃速度となると、異常なほど速い ▼身振り手振り、大げさに振舞う ▼声高らかに笑う ▼でも目が笑ってない ▼ごめんなさい、大好きなど、同じ言葉を連呼する ▼連呼しながら相手を殴ったり蹴ったり、果てには刺したりする ▼人の話を聞かないというか、聞けない ▼病めば病むほど本人は陶酔状態に、周りは不安を覚える ▼根は純粋…のはず ※当同盟は暴力行為を推奨するものではありません。 269 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 10 51 06 ID st3k3113 268 なんだかなぁ…… なんでもかんでもヤンデレにするなって感じだ 270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 11 01 35 ID XODhjDxb 268 どうみてもアスペルガーにしか見えないw てか、ここで定義しているヤンデレって、元々精神を病んでいる女が 男(女?)を愛すことであって、男(女?)を愛して病むのではないと思う。 271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 11 12 02 ID ksWXR62K ヤンデレはこうだ!とか自慢げにやたら細々狭々定義しても寒いだけ。 272 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 12 33 47 ID pXf8Jq5s 考えるんじゃない、感じるんだ 273 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 13 52 58 ID ULsJ+OYe 268 こんな感じか? 夜の帳が落ち、アスファルトが黒く塗りつぶされて足元があやしく感じられる、深夜2時。 街灯の明かりはすでに消え、歩道を照らすものは月明かりのみ。 洋介は、自分が走っている場所がどこかもわからずに走り続けている。 洋介は自分の身に起こったことがまだ理解できていなかった。 夜、いつものように部屋でくつろぎながら恋人と会話をしていると、ナイフを持った女が部屋に入ってきた。 「見ぃつけた! 洋介君!」 闖入してきた女はまず、洋介の恋人に目をつけた。 恋人は目の前にやってきた女を睨み返した。 そして、女の凶刃を首筋に受けて、血を噴き出して倒れた。 恋人の近くに座っていた洋介は、血の雨が止まるまで、返り血を浴び続けた。 しばらくは、目の前で何が起こったのか理解できなかったのだ。 それもそのはず。洋介の目には、突然恋人の首に切り目が入り、突然血が噴き出したようにしか見えなかったのだ。 闖入してきた女の振るったナイフの軌道はおろか、初動さえも見て取れなかった。 「邪魔者は消えたよ、さあ、次は……」 大仰な仕草でナイフを空に向けて振るい、洋介の目の前にかざした。 「き・み・だ・よ」 ナイフの輝きを見て、洋介は目が覚めた。 女を足で蹴り飛ばし、洋介は家を飛び出した。 一度家の外で立ち止まり、女がでてくるのを待った。 女が出てきたのは、洋介の冷や汗がひくころだった。 緩慢な動作。右手にナイフを握り、だらりと両手を垂らしている。 一歩一歩、地面を確かめていくような歩き方は、非常にゆっくりとしたものだった。 女は洋介を視界に捉えると、声を上げて笑った。 「あはははははははははははははははははははははははははははははは くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ ぎゃはははははははははははははははははははははははははははははは!」 洋介から見て、女の目は笑っているようには見えなかった。 家から全力で走り、ひたすら走りぬいた洋介は壁に手をついた。 止まっても、誰かが追ってくるような足音は聞こえてこない。 緊張感を解き、洋介は地面に座り込んだ。 その時、洋介の前に光が広がった。 夜の闇に慣れた瞳では、その光を直視することはできない。 目をつぶり、顔をそらしてしばらく待つと、光の気配が消えた。 洋介がゆっくりとまぶたを開いていくと、バイクに乗った人の姿を確認した。 目が慣れていくに従い、やってきた人が恋人を殺した女だということがわかった。 女はバイクに乗って、洋介のあとを追ってきていたのだ。 274 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 13 54 00 ID ULsJ+OYe 女はゆっくりとした動きでありながらも、停滞を感じさせない動きでバイクから降りて洋介と向き合った。 右手に握られているのは、当然、恋人の命を奪ったナイフ。 月明かりをナイフが受け、そこだけが鮮明に、はっきりと見えた。 洋介は女に向かって、初めて怒声を浴びせた。 「なんなんだよ、お前! あいつを、なんで殺した!!!」 「洋介君、ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してね」 「てめえ、人の話を聞けよ! なんであいつを殺したんだ!」 「すぐに、私のものにしてあげる」 この女は話を聞いていない。洋介はそう思った。 ただひたすらに、自分の目的を完遂することしか考えない。 そのために邪魔をするものは、なんであろうと排除する。 草も、木も、犬も、猫も、鳥も、そして人間でさえも。 洋介の心に、言いようもない怒りがこみ上げた。 幼馴染の恋人。いつも自分の傍にいて支えてくれた恋人。 栄養が偏ると言って、洋介に食事を作ってくれた。 毎日のように河川敷を通ってふざけあいながら帰った。 初めて抱いたときには洋介の名前を呼びながら、抱きしめ返してくれた。 その命を、目の前にいる女はたやすく奪った。 恋人の命を、何でもないもの、どうでもいいものだと考えている。 あいつのことを何も知らないくせに。俺がどれほどあいつを思っていたのか知らないくせに! 洋介は拳を振り上げて、立ち止まる女に殴りかかった。 腰をひねり、腕、肩、背中の筋肉を総動員してパンチを放つ。 腕が伸びきったとき、衝撃が走ったのは、拳の先ではなく、頬。 女の放った拳が洋介の頬を完璧に捉えていた。 よろけながらも立ち続けようとする洋介は、女の蹴りを股間に受けた。 内臓が締め付けられる。息がつまり呼吸が出来ない。脳が圧迫される。 股間を押さえて倒れた洋介を蹴りながら、女は喋り続ける。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。 本当はこんなことしたくないの。だって、私洋介君のことが好きなんだもの。 あ…………今私、好きって言った? 好きって言った? 好きって言った? キャー、恥ずかしい! もう、こんなこと言わせないでよね! 洋介君の馬鹿! でも……やっぱり好き! 大好き! 大好き! 大好き! 大好き!」 女は洋介の体をでたらめに蹴り続けた。 洋介の顔がブーツに踏みつけられ、鼻が折れ、涙が流れる。 みぞおちに蹴りを叩き込まれ、胃の中のものが逆流する。 骨のあちこちが軋むたび、脳が危険信号を放つ。 このままでは死ぬぞ、と。 275 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 13 56 39 ID ULsJ+OYe 女の蹴りが止まったころには、洋介は痛みで声もあげられない状態になっていた。 涙が視界をぼやけさせ、吐瀉物が口に貼りついて、ぐちゃぐちゃの気分だった。 女は洋介を仰向けにすると、体の上に乗った。 両手を天に向けてかざしているようだったが、今の洋介には何も見えなかった。 「これで、洋介君の一番大事なものが手に入るよぉ。 いぇへへへへへへへへへへ。いひひひひひひひひひひひひひ。 ずっと、私が永久に愛し続けてあげるから、心配する必要はないよ。 あの女よりも、幸せにしてあげるから。だから、ちょっとだけ――」 女の手が、振り下ろされた。 「おやすみなさい」 夜の闇に、鮮血が舞った。 男の胸から噴き出す血は、女の顔を隅々まで濡らしていく。 大口を空けて笑う女の口に、血が入る。 女は血を味わった後、いまだ血を噴き出し続ける男の胸に口を当てた。 流れ出していく血を、女は飲み続けた。 渇いた喉を潤していくように、貪欲に吸い続ける。 この光景を見た人間は、女が狂っているとしか思わないだろう。 だが――女の目の輝きは、狂っている人間の物ではない。 子供のように、純粋に輝いていた。 いきなり 268みたいなことをやられても、俺は萌えないな。 だって……デレがないやん!デレがなきゃヤンデレとはいわへん! 276 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 14 03 06 ID 4KSJbTJz いきなりそのシーンはどうかと思うが 277 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 14 17 18 ID iqMfc1Ip 座敷女を思い出した 278 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 14 21 33 ID dxdKX5QY 普通の女が恋していく過程で狂っていくのにカタルシスを感じる 279 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 18 23 55 ID 9KN7HSMV 俺はエロスを感じる 280 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 19 46 21 ID eLLWmt14 つい最近ヤンデレってのを知ったペーペーだけどこんな感じでいいの? 題材はアイマスの黒春香 プロデューサーさん・・・私・・・ずっとプロデューサーさんの事好きでした。気付いて・・・ませんでしたよね。 プロデューサーさんは私の事見てくれなくて・・・・・千早さんしか見てませんでしたよね? あははっ。いいんですよ、別に気にしてませんから。 でも、千早さん意外と怖がりなんですよ?私が包丁でケーキを切ってるだけなのにガタガタ震えて、突然大声で叫んだりして。 ヒドイですよね。そりゃあ私の作るお菓子はあんまり美味しくないかもしれないけど、不味くは無いと思いますよ。 だからあんまり騒いだら近所迷惑だから少し注意したんです。そしたらそのまま大人しくしてくれました。 千早さん、いつもは厳しいけど、ああ見えて本当は凄く心が弱い人なんです。すぐ何かあれば自分に甘えて・・・レッスンだって直ぐサボるんですよ。アイドルとして自覚が無いですよね。 私はどんな事があってもレッスンをサボるような事はしません。だって、どんなに辛い事があってもプロデューサーさんの顔を見れば嫌な事、全部忘れちゃいますから。 281 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 19 55 18 ID eLLWmt14 ・・・・って私の声、もう聞こえてないですよね。あはは、大丈夫ですよ。プロデューサーさん、私はもう一人でもアイドルやっていけますから。だから、そこで見てて下さいね。プロデューサーさん・・・・・・ アハハハハハハハハハハ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!! こうですか?わかりません>< 282 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 20 10 16 ID 8JlpcaSc 281 元ネタ知らないからなんとも言えんが、独り立ちするよりは 「これでやっと二人きり……私はプロデューサーがいないとダメなんです。さあまた二人だけでやっていきましょう?」 の方がいいような 283 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 21 16 35 ID lYBfGBVD だな、基本的にヤンデレは好いている相手は見捨てないイメージがあるから むしろ絶対に離れさせない為にどんな手でも使うのがヤンデレだと思うんだ 284 名前:280[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 21 31 21 ID eLLWmt14 282- 283 評価、アドバイスありがとうございます。うーん・・・ヤンデレ少女の中にも独り立ちするような芯の強い面があってもいいかな?と思って書いたんですがそれだと逆にマイナスになる事が分かりました。これからも頑張るッス(`・ω・´) 285 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 21 47 11 ID YEI+4ZBW まあ…ヤンデレは「弱いからこそ」狂うのだと思うぜ… 依存の果てとかな 286 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 22 12 35 ID WfeSpeiO 変人の女性が恋をしたというパターンなら強い面があっても変じゃないと思うが 恋するあまり病んでしまったパターンだったら監禁とかはしても見捨てはしないと思うな 287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/09(土) 22 57 06 ID hTSafdTI 284 いや、元ネタ的には君の解釈で正しいんじゃないかな? といっても元ネタもノリで構成されてるところがあるから正しい解釈というのはないのかもしれないけど。 つまりは、あんまりヤンデレキャラではないということだよ。病みはしてるのかもしれない。 288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 01 05 03 ID QBq4uGgj 「相手への異常な執心により、常軌を逸した思考または行動を取る」ぐらいかな、俺が定義するとしたら。 ヤンデレはひとつの属性とされてるけど、まだ最小単位ってことはないだろう。 289 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 44 43 ID eTE5kQkN 投下しまっす。 290 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 46 49 ID eTE5kQkN 私は何の為に生きているのだろう… ふと、自分自身のことであるのに他人事のように思えるときがある。 生きる目的…人は何の為に生きて、そして何を成して死ぬのだろうか… 私はその目的を遂げる為には手段を選ばなかった。ううん…それしか選べなかった… でも手段を選ばなかった結果…大切な目的が遠くに感じるようになったら… やはり、その手段は間違っていたのだろうか? だけど、あの時選んだ選択肢の他に私に選べる道があった? 人生にもしも…はないってことを知ってる。だから私は自分の選択に後悔なんて無い。 後悔なんて微塵も無いはず… でも、じゃぁどうして私はそんなことを考えてしまうんだろう… 「生中お代わりお願いね~♪」 空になったジョッキを振り回し、姿の見えない店員に向かって叫ぶと「はぁい、よろこんで♪」と、元気な返事が返ってくる。 そんな私の様子を呆れ顔で見つめているのは高校時代からの悪友、遠山景子だ。 「それで…君はまた…なんで地雷を踏むかな?」 「…地雷じゃないよぉ~…ん…敢えて言えば…運命?」 「あれを地雷と呼ばずしてなんと呼ぶのだ?君の脳細胞は学習能力がないのか?それとも懲りるという言葉が辞書から消えうせているのか?」 「前の…そりゃぁ失敗だったけどさぁ…でも、今度のは…ちょっと違うんだよぉ?」 同じような会話を前にもした覚えがある。それはさっき?それとも前回? 景子の主張は要約するとこうだった。 「君は男運が決定的に悪いんだ。」 確かに、前の夫との離婚の際には景子には世話になった。 いや、正確には景子のお陰で離婚できた…そのことはすごく感謝している。 前の夫は結婚当初は本当に優しい彼だった…でも、優しかった笑顔はたった半年で霧散し、 彼は仕事がうまく行かないのはお前のせいだ、 夏海が泣くのはお前のしつけがなっていないからだって… 何かことあるごとに私をなじり、殴り…そして犯した…。 その当時の私は自分自身の至らなさが彼を怒らせたんだ…もっと頑張らなきゃ …そんな風に自分自身を責めていた。だって、そう考えないと …あの優しかった彼が変わってしまった理由が思い浮かばなかった…そう思うことで救いを求めていたのかもしれない。 そんな私の様子を見かねて景子が力になってくれなかったのなら…今頃私はどうなっていたのだろうと今でも思う。 この街に住むことも、前の夫と別れることも…そしてあの人に出会うこともきっとなかった・・・ そう思うと景子にはどれだけ感謝しても、したりなかった。 「って景子・・・なにをやってるの?」 「いや?君が私をほったらかしにしてまた自分の世界に入っているものだからな。 どうせその新しい男のことでも考えていたんだろ?そんなわけで、退屈しのぎに君がどれくらい気づかないのか実験していたところだ。」 気がつけば景子は大きなカメラを片手に私の頭にネコミミのカチューシャを被せ、ぱちりぱちりと写真を撮っていた。 ……我ながら…ど~してここまでされてて気がつかないかにゃぁ… ぱちりという音とまぶしい光 「まぁ、また何かあったら相談するように…いいな?まぁ、落ち着いたら一度様子を見に家の方に遊びにいくからその時はよろしく」 しゅたっ!と右手で南無~のポーズを取る景子の姿はまるでお母さんみたいだった。 291 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 48 08 ID eTE5kQkN 「えっ!晶子さん…結婚するの!?」 「そ~なんですよ♪だからフグタさん…お祝いくっださいね♪」 「いや、だから僕は福田(フクタ)だって…」 賑やかな店内にフグタさんの声が響き渡る。フグタさんはよく店に来てくれる常連さんで週に五日ぐらいのペースで通ってこられる。 今日もいつものように一人、開店時間から店に足を運んでくださった。 「晶子さん、今度美味しいものでも食べに行きませんか?」 「う~ん…ごめんなさい。また今度誘ってくださいね?」 「うん、じゃぁまた…今度誘うよ。」 そんな挨拶代わりのやり取りも今日で何回目だっけ?と指折り数えて…いち…にぃ…さん……たくさん? フグタさんは何でも大きな会社の偉い人…らしいんだけど、全然偉ぶってないし、他のお客さんを連れてくるわけでもないし… 一度もスーツ姿を見たことはないし…とてもそんな風には見えないところはフグタさんの謎で面白いところだと思う。 「そっかぁ……それで…相手はどんな人なんですか?きっと…いい人なんでしょうね。それじゃぁ…晶子さん…お店辞めちゃうんですか・・・」 「いえ、まだ再来月まではお店に居ますよ?だからぁ…遠慮しないでお祝いくださいね♪」 いつのもようにまんだむのポーズで考え込むフグタさんは、ぼぉっと壁に掛かっている絵… なんとか言う有名な画家の作品らしいけど私はあんまり好きじゃない…絵を見つめていた。 「あの…絵と高価なものはいらないですよ?」 「あ…そうなんですか……じゃぁ…晶子さんは…なにが欲しいですか?」 「ん…欲しいものですかぁ…」 幸せな毎日…不安の無い毎日…穏やかな日々…でも、プレゼントでもらえるようなものじゃないよね?…う~ん…う~ん…う~ん…」 「遠慮せずに言ってください。私でできることでしたら・・・」 「…欲しいもの…ですかぁ………今は思い浮かばないですね♪」 「…そうですか…それでは、私のほうでも何かいいものがないか考えておきますね。」 フグタさんはそういってグラスの中のウイスキーを飲み干した。 結果から言えば私はフグタさん…いえ福田さんに退店の時に大きな花束を貰った。 「晶子さん。お幸せに…」 祝福の言葉と、初めて貰うような真っ赤なバラの花束に感極まって瞳に涙が溜まる。 「はい、フグタさんも…お元気で」 できる限りの笑顔で微笑み、タクシーに乗り込み、もう一度フグタさんに手を振る。運転手さんに行き先を告げると、 フグタさんとの距離が少しずつ広がっていく。ネオンの光の中にその姿が見えなくなるとまた涙が溢れた。 「幸せに…か…」 今までの人生をふと振り返りながら、ふと花束に目を移すと小さなメッセージカードが添えられていることに気がつく。 「へぇ…」 ちょっと意外だった。あのフグタさんがこんな可愛いメッセージカードを私の為に選んでくれている姿を想像すると、 くすりと笑みが零れると同時に涙が溢れてきた。 「なにが書いてあるんだろう…」 私は可愛い封を丁寧に剥がした。 292 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 49 18 ID eTE5kQkN 「じゃぁ、次はこれを着てくれるかい?」 彼はいやらしい笑みを浮かべながら私にその衣装を手渡した。 体操服にブルマー…部屋の中を見渡すと無数の制服…制服…制服… 私は俯きながらそれを受け取り…躊躇いながらも…ゆっくりと着替え始めた。 結婚後、私と夏海は冬彦さんの家に引っ越しすることになった。 それというのも、冬彦さんは郊外に大きな古いお屋敷…小さな蔵もあるような大きな家を持っており、そこに春樹君と二人で暮らしていると言っていたからだった。 「いやぁ…家が広いのはいいんだけどね?広すぎちゃって困ってたんだよ。ほら、掃除も行き届かないしね。」 タクシーにお金を払い、荷物を下ろすと大きな屋敷が目に入った。 「……おっきぃね…」 「うん…これ広いとかって…レベルじゃないよね…」 その夏見の言葉どおりに冬彦さんの家…いえ、私たちの家はとても大きかった。 しかし、その中身はといえば 「……きちゃないね…」 「うん…でも、これは…汚いって…レベルじゃないよね…」 家に一歩足を踏み入れると、黒いゴミ袋が無造作に積み上げられ、机の上にはインスタント食品の容器や菓子パンの袋、ジュースの缶やパック、 開けっぱなしのお菓子の袋…台所には洗いものが山のように積み上げられ、洗濯物はあちこちに散乱していた。 冬彦さんは器用に飛び石を歩くように物の置いてない床を選んで奥へと進んでいく。 「いやぁ、あっはっは。なにせ男所帯だからさぁ…」 そんな風に笑っていたが、時折その隙間を縫うように足元を黒い物体がかさかさと我が物顔で這い回っているんですけど… とんとんとん… ゆっくりと視界に入ってくる小さな足。 木製の階段をゆっくりと下りてくる影があった。 「おぅ、春樹か。ちょうどいいや、ほら、ちゃんと挨拶しろ。今日からお前のお母さんになる晶子さん …は、前に会っていたっけ?まぁ、いいや。あとお前の妹になる夏海ちゃんだ。」 「おかあ…さん?…いもうと…?」 春樹くんは突然のことに呆然とした様子だった。あれ?…なんで驚いているんだろ… そんな風に考えていると 「あれ?言ってなかったけ?父さんな…再婚したんだ。で…今日から一緒に住むことになったんだ。」 「…あの…冬彦さん?もしかして…春樹君に言ってなかったんですか?」 「ああ、うっかり…」 「うっかりじゃないですよ!ほら、春樹君だって驚いているじゃないですか!」 驚く春樹君の前にしゃがみ、目線を合わせて頭を撫でる。 「お…香亜…さん?」 「うん……でも、春樹君が私をお母さんって呼ぶのが嫌だったら…晶子さんでもいいからね? でも…夏海とは仲良くしてあげてね?」 背中に隠れてもじもじしている夏海の手を引き、春樹君と引き合わせる。 「ほら…夏海?ご挨拶は?」 「……小西夏海です…」 「……藤岡春樹です…」 「夏海?今日からあなたも藤岡…なのよ?」 「……藤岡?」 「そう、あなたの名前は今日から藤岡夏海。私も…藤岡晶子になったのよ♪」 「藤岡…夏海…」 「とりあえず…よろしく」 「…あ…あの…」 そういって春樹君は手を差し出した。夏海は胸の前で手を組み戸惑っているようだった。 …しょうがないわねぇ…私は二人の手をとって握手をさせた。 「ほらっ、あ・く・しゅ♪二人とも仲良くしてね?」 顔を真っ赤にして俯く二人。でも、私は二人の小さな声が聞こえていた。 「…ぅん」「…ぅん」 二人の微笑ましい初々しさに思わず笑みがこぼれる。 …でも、まずはこの家をなんとかしなくちゃねぇ……かさかさと動き回るそれを横目みながらそう思った。 293 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 50 28 ID eTE5kQkN 翌日から大掃除に明け暮れる毎日が始まった。 ゴミを片付けゴミ袋にまとめ、家の中からゴミを一掃していく。殺虫剤を振りまき、炊事場を磨き、洗濯機を回し、たまった洗い物を片付ける。 …これって…終わるのかしら?ゴキブリほいほい満員御礼の状態に思わずそんな独り言が漏れる。一匹見つけたら三十匹…って言うけど……ふぅ…とため息をつきながら丸めた新聞紙で闊歩するそれを叩き潰す。 「でも、最初の頃に比べると…少しはマシに…なったのかなぁ?」 頬に手を当て思わずため息が漏れる。あんな環境で育った春樹君は少しだけ…世間とずれているところがあった。ゴミを捨てるという習慣と… 「この虫を見てもなんとも思わないところよねぇ…」 冬彦さんはなんとも思わなかったのかしら…そんなことを思いながら、ふと微笑む。夏海は相変わらず泣き虫だったけど、春樹君は素直で面倒見のいいお兄ちゃんになってくれていたのだ。しかも、春樹君は私が教えたことを 「いいか?ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てなきゃいけないんだぞ?」 「?うん、わかりましたぁ♪」 夏海にちゃんと教えて…まぁ、内容はともかく、面倒を見てくれることが嬉しかった。 二人の仲のよさは私にとって微笑ましく、またこの家での生活を明るくしてくれていた。 冬彦さんは仕事の関係で忙しいらしく、家に帰ってくることは少なかった。でも、家に居る時には積極的に子供たち …夏海とも遊んでくれるいい夫…だった様に思う。なにより、前の夫と違い私に暴力を振るうことはない。 景子が心配した悪癖…冬彦さんの女癖の悪さ…も結婚前の約束を守って治まっているように感じていた。 その代わりに私は彼の要求に全て応える。それが結婚前に彼と交わした約束だった。 「きっと君に似合うと思うんだ…」 そういって彼は私の手を引き、この小さな蔵に誘った。 薄暗い蔵の中には外面とは裏腹に、まるでテレビ局のような撮影機材と無数の制服と大量のビデオテープが所狭しと並べられていた。 ここだけ家とは違いきちんと整理整頓が行き届いた空間だった。 私は異様な匂いを感じ…すん…と鼻をならした。鼻腔に浸入してくる奇妙な匂い…男と女の汗の匂い… ここで一体過去になにがあったのか…考えるまでもない。ここは冬彦さんの城だった。 ここに冬彦さんは連れ込み…ここで… 部屋の中央にはマットレスが無造作に置かれ、その上には白いシーツ。それを取り囲むようなライトとビデオカメラ… 冬彦さんは嬉しそうに鼻歌を歌いながら部屋の隅で衣類を物色していた。 「ど・れ・に・し・よ・ぉ・か・なぁ…ふふふ」 それが私と冬彦さんの夫婦生活の始まりだった。 結婚し始めた頃はそれこそ毎晩、子供たちが寝静まると蔵の中に誘われていた。 …そういうものなのかな…そういうものなんだ… 私は冬彦さんの趣味…嗜好を受け入れていた。 人に言えない部分。 人に明かせない…明かしにくい部分を冬彦さんは正直に打ち明けてくれたんだ。 受け入れよう。彼の望むことを受け入れよう… 恥ずかしさはもちろんあった。 でも、冬彦さんが誉めてくれるたびに私は満たされていた。 294 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 51 53 ID eTE5kQkN 「…え?…なんで……なの…」 ゴミ捨て場で背中から包丁を生やして横たわっている冬彦さん。 そして、その傍らで荒い息を吐いている春樹君…そして蔵の中から聞こえる夏海の泣き声… 何?何?何…なにが…どうして… 心臓がばくばくと高鳴る。 何が…どうなって… 春樹君が…冬彦さんを…刺した…ころ…した…? 冬彦さんが…し…んだ…?しんだ?…嘘…嘘…嘘…嘘… 救急車!?…でも、なんて言えばいいの…春樹君が冬彦さんを刺したって… それに、死んで…死んで…死んで…春樹君が…捕まる… 警察…!?でも、なんで…どうして…どうして…どうして… …落ち着いて…落ち着いて…落ち着いて…落ち着いて…落ち着いて… でも、なんで…どうして…なんで…どうして… どうすれば…私はどうしたらいいの? 私にはわからなかった。 冬彦さんが死んでいることも受け入れられなかった。 目の前に横たわる冬彦さんを目の前にしてもそんな事実は受け入れられなかった。 春樹君が刺したなんて事実も受け入れられなかった。殺してない…殺してない… 春樹君がそんなことをするわけが無い…あんないい子がそんなことをするわけ無い… 夏海が蔵の中で泣いているわけが無い…そんなはずはない…だって…だって… …夢…悪い夢…醒めて欲しいと願った・・・誰かに嘘だといって欲しかった。 こんなのは嘘だって…こんなのは嘘だって…こんなのは嘘だって… 295 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 52 53 ID eTE5kQkN 「晶子さん…大丈夫ですか…?」 気がつけば目の前にはフグタさんが心配そうな顔をしている。 春樹君の姿も夏海の声も聞こえない。 …あれ?…なんでフグタさんがこんなところに居るんだろう…… あ…そうか…私がフグタさんに電話したんだ… 「あのぉ…フグタさん?お久しぶりです」 「あ…晶子さん!お…お久しぶりです。ですが、こんな夜更けに一体どうされたんですか?」 「あのぉ…私…人を殺しちゃったんです。」 「な…なにを…言っているんですか…あの…大丈夫ですか!」 「はぁい。大丈夫です。私がぁ…冬彦さんを…刺して…殺しちゃったんですよ?」 「と…とりあえず落ち着いてください。今どこです?直ぐに行きますから!」 「今ですか?今はぁ…家にいますよ?」 「そこから動かないでください!直ぐにいきますから!」 …なんかそんなことを電話した気がする…… 手を見れば真っ赤な血の付着した包丁がしっかりと握られていた。 …あれ?・・・…あ、そっかぁ…私が冬彦さんを刺したんだ…何度も何度も… 「とりあえず…この包丁は処分しますので…こっちに渡していただけますか?」 いつの間にか目の前に居たフグタさんが包丁の刃先をつまみ、落ち着いた様子で私に話しかけていた。 …フグタさん…どうしてこんなに落ち着いているんだろ… 「はい、ゴミはゴミ捨て場に捨てておいてくださいね?」 「…ゴミ…ゴミですか?」 「はい、だってここ…ゴミ捨て場ですし…」 フグタさんは携帯電話をポケットから取り出して…何かを喋っていた。ぱちんと携帯電話を閉じポケットにしまうと。 「わかりました。それならゴミはきちんと回収業者が回収に来るそうなので…安心してください。」 「よかったぁ…ちゃんと引き取って貰えるんですか?」 「はい…ちゃんと責任もって処分させますので…ご安心ください。」 フグタさんの顔が頼もしかった…なんでだろう…何故だかほっとする。 「晶子さん…冬彦さんは…申し訳ないのですが女と失踪した…そういうことになりますので…」 …失踪…女と?…失踪……なんだ…死んだわけじゃなかったんだ…よかった…本当によかった …生きてさえ居ればきっとまた会える。 あの人はきっと私のところに帰ってくる…あの人はきっと…帰ってくる…いつかきっと… 「そうですか…本当にしょうがない人ですね。もぅ♪」 微笑みながら、ふと服を見ると随分と汚れている… 「あらあら…どうしましょう…この服は…クリーニングに出さないと駄目かしら…」 「いえ…あの…晶子さん。それももう…処分した方がよろしいかと…」 「あ、そうですね。じゃぁ…お願いできますか?」 汚れた服を脱ぎ始めると、フグタさんがなんだか慌てた様子で背中を向けた。 …どうしたんだろ…ふっと、力が抜ける。どうしよ…お風呂に入って…今日はもう寝よう… なんだか今日は…とっても…疲れた… 背中越しにフグタさんもタイミングよく 「晶子さんは…もう、今夜はお休みください。あとは私が責任をもってきちんとしておきますので」 その声に安心した。…よかった…フグタさんが居てくれて… 「はい、それではおやすみなさい。フグタさん♪」 軽く会釈し、家に戻る。熱いシャワーを浴びると疲れも一緒に洗い落とされていくようだった。 「冬彦さん…浮気しちゃったのかぁ…また景子にお説教されちゃうのかなぁ…」 そんなことを私は考えた。 それはとっても悲しいことのはずなのに… なのに…何故だか私は安心していた。 大丈夫…いつか冬彦さんはきっと帰ってきてくれると… 296 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 08 56 15 ID eTE5kQkN 投下完了。次回で完結…といいながら微妙に長くなったの 次回に続きます。 申し訳ないorz 297 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/10(日) 10 08 58 ID AYOJNC7t 296 GJ! しかしこの話の結末はどうなるんだろうか 全く想像できない 298 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 12 45 ID EiMbBP8L 296 GJ!いえいえ素敵なヤンデレが拝めて幸せです ↓投下します 299 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 15 04 ID EiMbBP8L 磔にされた日は帰宅するなり真弓が上に乗ってきて1つずつ枷を解くというイベントが 待っているものだった。しかし今日は亜弓があっさり外して行った。 姫野真弓が聖佑人の上に馬乗りになって、必要以上に顔を近づけ吐息のかかるほど 近くで外して行く。何となく圧迫感のような恐怖感を覚える行為だったがなければ 無いで拍子抜けした思いだった。 「お帰りなさい」 「……ただいまっ」 祐人が真弓に声をかけるとはじかれたように振り返って、すぐに視線を逸らしてしまう。 「真弓?」 これもまた今日だけは亜弓が繋いだ手錠を佑人が引くと無言のままそっぽを向く。 「ご、ご飯にしよう」 真弓は明らかに挙動不審だった。 ■■■■■■ 300 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 16 36 ID EiMbBP8L ■■■■■■ 「き……今日は別々にお風呂入りませんか」 夕食後に真弓がこう言い出すに当たってさすがの祐人も突っ込んだ。 「真弓今日変じゃないか?」 「そんなこと無いと思うよ!いつも通りだよ!!」 「そうか?」 問い返すとまた目をそらす。真弓は決して佑人の目を見ようとしなかった。 「真弓?」 佑人はそれでも顔を覗きこもうとして、肩のあたりに凍るような気配を覚えた。 振り返ると亜弓が微笑んでいる。 「……不毛な言い争いはもういいから……2人ともお風呂入ってきなさい……」 「おっお姉ちゃんっ私の話聞いて」 「今更何を恥ずかしがっているの……?」 「恥ずかしがってる訳じゃないよ!」 亜弓はなおも言い返そうとする真弓の耳に何か囁いた。 途端に真弓は赤い顔を更に真っ赤にして俯く。 「さあ入ってらっしゃい……」 ■■■■■■ 301 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 18 41 ID EiMbBP8L ■■■■■■ ちゃぷ…… 湯を掬って手から零す。片手しか使えないから本当に児戯のようだ。佑人は 真弓がシャワーカーテンの向こうで体を洗っている間この意味の無い動作を 繰り返していた。風呂の間は2人とも良くしゃべるのだが今日は無言だ。 体を流す音がした。真弓が体を洗い終えたのだろう。彼女が体を洗い終えると その日の風呂は終了。洗った後に彼女も湯に浸かった方がいいと佑人は言ったのだが、 真弓は恥ずかしいという全くもって今更な理由でそれを固辞していた。 佑人が出るか、と真弓に声をかけようとしたとき。 なんの前触れも無く2人を隔てていたシャワーカーテンが開いた。 302 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 21 51 ID EiMbBP8L 「………」 佑人は思わず見惚れてしまった。色白の薄い肩、綺麗に浮き出た鎖骨、控えめだが 形の良い胸、平坦な腹から細い腰。少女の裸体は透明に輝いて見えた。明るい茶の髪が うなじに張り付いて妙に色っぽい。 「今日寒いから一回入る」 そうぶっきらぼうに目を伏せながら言い放つと真弓は浴槽に入ってきた。姫野家の 風呂は標準サイズなので2人入ると当然窮屈でたまらない。というよりは体が密着する。あくまで腕などの側面同士だが。 「……真弓?」 「たまにはいいじゃない」 真弓は顔を真っ赤にして半ば湯船に沈みながら答えた。 可愛い。正直に言えば可愛い。佑人は思わず頭を撫でようとして手を上げる。 カチャリと鎖が音を立てた。 一瞬迷う。俺はいつの間にかこの状態を許容している。最初は抵抗しないように していただけの筈だったのが手錠や首輪を当然のものとして受け止め始めている。 これでいいのだろうか。この生活は本当に終わるのだろうか。 一瞬迷うが、すぐにそれを振り切る。大丈夫だ。必ず外から誰か俺を探し当てるだろう。 中途半端に上げた手を真弓の頭におろす。 「本当に今日はどうしたんだ?」 軽く撫でてやると頭を上げた驚いたような目をしている。少し顔を近付けて 問いかけるように覗きこんだ。 「佑人……」 真弓の薄い桜色の唇が名前を紡いで、そっと佑人のそれに触れた。 ■■■■■■ ■■■■■■ 303 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 22 49 ID EiMbBP8L 以上です。 304 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 35 11 ID gjxWN9vA GGGGJ! 真弓かわいいよ真弓ぃ!祐人は早く陥落されてしまえばいいんだこの野郎! 305 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00 48 03 ID cL0lbNSe 303 っしゃあああ!エロktkr! しかし、監禁しておきながらいざするとなると恥ずかしがる真弓、イイ! 306 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 22 17 ID cyMlVjZS 「・・・く・・・・・・くん。」 急に掌にかかる力が痛いほどに強くなった。そう、誰かに握られているように。 「・・・つもと・・・くん。・・・・くん。・・・・まつもとくん。」 誰かが、清涼感のある声で僕の名前を呼んでいる。 おぼろげながら聞こえていた声が次第に存在感のあるそれとして聞き取れるようになっていく。 その声はどこかで、いや、もっと身近なところで聞いたことのある声のようだ。 そして、重い瞼を緩慢な動きで見開くとすぐに味気ない天井のクリーム色が視界に入った。 自分が今、横たわっているのは雪白の整えられたベットの上であり、横にはテレビが載っている棚が置かれている。 今、僕がいるのはこの光景からは百人が百人、間違いなく病室というだろう。 何故こんなところに自分がいるのか、という疑問はすぐに浮かんだが、その回答は記憶回路の中に存在しない。 「松本君。目が覚めたのね。」 手を握っていたやや長身、黒髪の少女は、心からうれしそうな笑顔を浮かべつつ、静謐に言った。 「あなたは、三日間の間、ずっと、この病室で寝ていたのよ。」 「・・・・・。」 自分の頭はなぜこんなところにいるのか、という疑問が占めてしまっているため、急にそんな事を告げられても混乱するばかりで、返す言葉に窮した。 明晰な反応を得られなかったことが理由か、北方さんの笑顔が崩れ、事故の様子を回顧したためか、やや哀切さを含んだ憂いのある表情に変わった。 307 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 24 19 ID cyMlVjZS 「覚えていないのかしら?あなた、土手から転がり落ちて、出血もひどかったのよ。それですぐに手術になって・・・。それで、あなたはこうして今、病室にいるの。」 「・・・・もしかして、私のこと、・・・覚えていないのかしら?」 そういった彼女は、より強い力で僕の手を握り締め、今にも泣き出してしまいそうな悲しげな表情で、漆黒の吸い込まれてしまいそうな瞳を潤ませて、見つめている。 当然、僕が彼女のことを覚えていないはずがない。 「北方さん、僕は北方さんのことを忘れているわけではありません。ただ、少し何が起こったのか良く分からないので、もう少し説明をしてもらえませんか?」 彼女の話を要約すると、僕は北方さんとサイクリングをしていた途中、訳あって自転車をお互いに交換し乗っていたところ、 僕が乗っていた北方さんの自転車が分解して、その結果僕は土手を8メートルほど転がり落ちて、その途中で四分五裂した自転車の部品と、 土手に身体を打ち、大きく身体を切り、出血がおびただしく、内臓にも損傷があったりしたためこの病院へ搬送され、すぐに緊急手術が開始された、という所だ。 話を聞いていると、北方さんは自分の責任でこうなってしまったのだと思い込んでしまっているようだった。 「・・・ごめんなさい、松本君。・・・私が自転車を換えなければ、あなたは無事だったのに・・・。」 僕はこの事故が北方さんのせいであるなんて、毛頭思っていない。 第一、自転車を交換したい、と言い出したのは僕なのだから、北方さんが悪いわけがないのだ。 「北方さんは、僕が言うままに自転車を交換しただけなんだから、北方さんが元凶だ、なんて思ってないですよ。」 「・・・・でも、あの自転車の欠陥に気づけなかったせいで、あなたが、私の・・・。」 そう言い掛けて、彼女は言うのを中断した。なぜ、中断したかは理解できなかった。しかし、彼女は本気で自分がこの事故の原因だと思っているのかもしれない。 もし、そうだとすれば、彼女を苦しめるだけのその誤解をといてあげたい。 308 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 26 06 ID cyMlVjZS それにしても、そんな目に遭っていながら生きていた僕自身のしぶとさには驚きだった。 体力がない、と自認していた僕が大出血や手術に耐えられるなどと思いもよらなかったのである。 何かのラノベで読んだ敵役の、まるでゴキブリのようにしぶとくあれ、などという件を咄嗟に思い出し、つい失笑を禁じえなかった。 なんというか、シュールなネタという奴は思い出したときはいつでも、思い出し笑いをしてしまうんですよ、これが。 状況認識が甘い、なんて父親から怒られることがあるが、こんな時にこんな馬鹿げたことを考えるとはまさにその通りだ。 でも、北方さんが曇った表情でそれを咎めてきたので、心配してくれたのにやはり失礼かと思って謝った。 それから、いろいろと僕が眠っていた間の話をしてもらった。 北方さんは淡々とその間に起きた出来事や、連絡事項を話し始めた。 僕の手術中に理沙が泣き崩れて、まるで抜け殻のようであったこと。北方さんは理沙を慰めたが何も口をきかなかったらしい。 僕の家族が心配してくれて、いろいろと面倒を見てくれるはずだったのが、父は出張で、母は運悪く僕が事故にあった翌日に死亡した、 近親の葬式の手伝いと参列のために両親ともに家をあけていること。 さらに理沙は自室に篭ったきり出てきていないこと。 また、あの子はよくできた子だから、おそらくこんなことになってしまったことが自分のせいだと責めているに違いない、と付け加えて言った。 そして、両親も理沙もこの病室には何度か訪れて荷物を持ってきてくれたようだが、その間、僕の世話をしてくれたのは北方さんであったようだ。 確かにずっと眠っていたわりには僕の寝巻きは清潔で、荷物も几帳面な彼女らしくまとめられている・・・ って、そんな重要なことを僕は気づかなかったのか。 309 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 26 58 ID cyMlVjZS ・・・なんという鈍感・・・なんという恩知らず・・・。 身の回りに心配かけるだけかけておいて、周りの人が何をしてくれたか気づかないとは、我ながら恥ずかしいものだった。 第一、今回も自転車が壊れると予兆がありながら、それに気づけなかったから、こんなひどいことになったはずだ。 もしこんな鈍感さのままだったら、どっかであっけなく死ぬかもしれない。 しかし、僕は自分が鈍感だと知ったところでそれを直せる自信がない。 生まれつき、気の利く何事にも敏感な人がいるが、ああいうのとは対極にあるようだ。 まぁ、要するに馬鹿は死んでも直らないと言うように、鈍感は死んでも直らない、のかもしれない。 でも馬鹿な事を考えられるようだから、僕もすぐにいつもどおりの僕に戻れる、そんな根拠のない考えを抱いた。 やはり愚かな考えだろうが、僕にはネガティヴな思考よりこういったほうが似つかわしい。 そんな場違いなまでにのんきな考えを僕のそれとは比にならない、北方さんの洞察力は察したらしく、 時折見せてくれるくすくす、という微笑を垣間見ることができた。 310 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 28 08 ID cyMlVjZS 慰めが功を奏してか、明るく振舞っていた北方さんだったが、何か言いたいことがあるような感じがしたのが気になったが、 彼女が切り出さない以上、こちらが詮索しても詮無いことだと思ったので、特に突っ込まないでおいた。 それから、北方さんが病院食は食べるに忍びないという理由から作ってきてくれた夕食を二人でとり、 彼女の家に遊びに行ったときと同じようにいろいろと話をして過ごした。 学校関連の話では、田並先生が心配して駆けつけてくれたことが意外だった。 また、病室から出て来れないことから、気分転換にと花を買って持ってきてくれたらしく、 花瓶にその優美な花が飾られていた。 特に強烈な印象はなく、落ち着いていて香りも良い花で、いつも面倒なことが嫌いで、 不精な担任、というイメージからは考えられないハイセンスさだと、北方さんも感心していた。 311 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 29 49 ID cyMlVjZS 他の生徒は僕が事故で怪我したと聞いても、奴は死ぬわけがないから大丈夫、などと公然とのたまった猛者がいたそうだ。 こいつめ、後の事を考えずに何を言っているのか?シベリアに送られてしまえ、人でなしめ。 まあ、学校に復帰したら少し遊んでやれば気が済む程度だが。 そんなこんなであっという間に時は過ぎていき、既に外は暗くなりつつあった。 とすれば当然、面会時間ももう少しで終わりになるだろう。 母が持ってきた荷物の一つでもある、目覚まし時計を見て確かな時間を確認すると、もう七時に近い時刻であった。 そろそろ家に帰るようにしてはどうか、と北方さんに勧めた。 「・・・どうかしたの?時計なんか見て。」 「え、ああ、うん。もうかなり遅いから、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないかな、と思ってさ。」 「・・・そうね。」 312 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 31 36 ID cyMlVjZS 普通、そんなに考えるところでもないにも関わらず、帰るか帰らないかの返答にわずかながら間を取ったことが変に気になった。 何を考えたのか分からないが、さっきは詮索しなかったが、やはりまだ黙っていることで言いたいことがいくつかあるのかもしれない。 その証拠に返事したにもかかわらず、彼女自身の荷物が多くて荷物を片付けなければならないわけでもないのに、 僕の病床の傍の椅子から立ち上がろうとすらしていない。 「北方さん、どうかしたの?やっぱり無理をしたから疲れているんだよ。早く、家に帰って休んだほうが身体にいいと思うよ。」 しかし、その問いに対する返答はなく、暫く遠い目で、何かを考えているようなそぶりを見せた後、 やおら立ち上がると、病室の扉の傍へ行き、なんとドアの鍵をかけてしまったのです。 そして、暗くなってしまった外でこうこうと光が燈っているこの病室で、北方さんは感情を読むことができない、 固有のポーカーフェイスを浮かべて、歩み寄ってきました。 この彼女特有のポーカーフェイスは学校でももはや、お馴染みのものと言えるかもしれないけれど、 今までの彼女のそれとは比にならず、言葉では表現しきれないほどの怖さがあった。 ゆっくりと歩み寄っているのにもかかわらず、かえってその威圧感は強く感じられ、 金縛りにあったようにというべきか、腰が抜けてしまってか、動くことができずにいた。 313 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 34 08 ID cyMlVjZS 体と体がぶつかるくらいの所にまで彼女が来るまでに、 理由は明確ではないが僕は体中から冷や汗を流し、恐怖に駆られていた。 さっきまでいた位置と変わらないくらいの距離に彼女はいるだけなのに、 急にそれが異物感や恐怖感となって伝わり、身の毛をよだたせる。 「き、き、北方さん、急に、いったい、どうしたの?」 やっと紡ぎだした言葉は自分でも呆れ返るほどに、 どもった高い声で恥ずかしいものだったが、そんな事を言っている場合でない。 その質問には答えずに、その冷徹な双眸を僕の瞳に向けるだけであった。 そういえば、こんな恐怖感を何度か抱いたことがあったが、 そのどの回でも彼女はここまで近くに来ていないし、鋭いまでの視線を向けていたこともなかったと思う。 314 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 35 24 ID cyMlVjZS 「・・・本当に、北方さん、どうかしたの?」 そんな再三再四の質問には取り合わずにポーカーフェイスを崩さないまま、僕に唐突に質問した。 「この事故の真実について知るつもりはないかしら?」 この事件の真実?いったい何のことであろうか。僕には当然のことながら、 そんなことは見当のつかないことではあったため、すぐさま鸚鵡(おうむ)返しにしてしまった。 「そう、文字通りの、真実。嫌ならば、話さないけれど・・・。」 冷静な声でさらりと告げたが、非常に意味深長な発言であった。 もしかすると、さっきから話そうかどうか考えていたことはこれのことなのかもしれない。 仮にそうだとすれば、ここで彼女の話を聞くことは良い選択だともいえる。 しかし、真実ということは現在、僕が認識している事故の経緯は虚偽であるということに他ならない。 ならば、いったい何故、虚偽の認識を僕に持たせる必要があったのか、それが理解できない。 しかし、意を決して彼女の話を聞くことにした。 315 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 37 12 ID cyMlVjZS 「・・・そうね、どこから話そうかしら・・・。」 彼女は僕から視線を逸らさずに、もう一度、淡々と事故の経緯を語り始めそれを終えると、 自転車の異常が原因になったことから、自転車の状態を分析させたことを話した。 あの自転車は北方さんが彼女の家を出発前に確認したので壊れているはずがないのにも関わらず、 人の手でボルトが緩められていたり、ブレーキが時限式で利かなくなったり、 といった明らかに人為的な悪意ある工作が仕掛けられていた痕跡があるらしい。 「・・・ということは、誰かが僕たちの命を狙っていたということ?」 「ええ、極論で言えば、そうなるわね。」 「でも、いったい誰がそんな事を・・・。」 しかし、その質問には北方さんは明快には答えなかった。彼女の態度から言って、彼女は心当たりがあるのだろう。 僕には主な心当たりがなかったが、彼女の自転車に細工がされていたとするならば、 僕ではなく、彼女だけを当初は狙っていた可能性も当然出てくる。 誰かがそんな悪意を彼女に対して抱いたと仮定すると、 彼女の話では事前に北方邸で彼女は自転車のコンディションを確認してきたのだから、 その後に僕の家に一度停めて、北方さんは家に上がって少しの間、休憩した間にしか、その自転車に細工はできない。 そうすると、おのずと細工をした人間は絞られてくる。 ・・・はずだが、あの間に誰かが自宅に訪れた様子もない。 となると、内部犯しか考えられないが、両親はあの時まだ寝室で寝ていたし、 理沙だって僕たちの行く支度をしてくれていた。そうすると、誰かが特別怪しい、と断言することができない。 いったい誰を疑えばよいのだろうか? 316 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 39 34 ID cyMlVjZS 北方さんにとって、僕の考えていることなどは洞察することなど簡単なようで、 腕を組みながら考えている僕に彼女の分析の結果の『答え』を冷厳な裁判官の判決のように告げた。 「理沙さんが、細工をしていたとしか考えられないわ。」 しかし、到底その内容は信じられるものではなかった。 「いや、それはない。理沙は北方さんも知ってのとおり、僕たちのサイクリングの準備をしていたのだから、 不可能だろう。」 ほぼ即答だった。やや粘着質なところがあるが、兄想いの優しく賢い理沙が人を傷つけるような馬鹿げた真似をするはずがないからだ。 「・・・そう。」 そう静かに言うと、五枚程度にまとめられた分析結果の冊子を取り出し、自転車の破損部分の写真と分析が記されているところを僕に読ませた。 『・・・・自転車に残された痕跡などから、犯人が大人ほどの力の持ち主の仕業ではないと考えられる。 わずかではあったが、確実にねじが緩められていたために、 うまく時限式に近い形で分解させることに成功したと考えられる・・・。 これらのことから、被害者の身近にいる、女子ないし子供程度の力の持ち主が確信犯として、 自転車の所有者・北方時雨さんに何らかの危害を加えるためにこの細工を施したと思われる・・・。』 この結果は恐るべきものであった。 こんな分析が正しいという確証はどこにもないじゃないか、と叫んで目の前の事実を否定してしまいたかった。 しかし、自分でもそんなことが無意味であること位分かっている。それだけに悲しいのだ。 誰も望んでいないのに、涙が堤を破るようにして、あふれ出てきてとまらない。 北方さんの前なのにも関わらず、恥も外聞もなく涙を流すことができた。 なぜ、理沙が急に、そんな事を・・・。本当に理由が分からない。 317 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 40 26 ID cyMlVjZS 「・・・やっぱり、こんな話、しないほうが良かったわね。ごめんなさい。」 北方さんが僕の取り乱した姿を見て、申し訳なさそうに言った。しかし、そんな彼女の声は僕には届くわけもなく。 ただただ、理沙が何故こんなことをしたのか、また、予兆を察知できなかったことを悔いた。 今回は怪我したのは僕だから、まだ良かったようなものだが、他人が怪我をする事を考えただけでも恐ろしい。 さっきは肯定したが、やはり僕の天性の鈍感さは災いにしかならないのだ。到底肯定すべきものではないのだ。 「どうして・・・どうして、僕はこうなるのを止められなかったんだろう・・・。」 何の意図があっても、理沙が行ったことは誤り、ひいては犯罪以外の何物でもない。 でも、あの理沙がこんなことを行うのを止められなかった、自分にも同等の責任があるともいえる。 それは、身近にいる兄としての責任を欠いためでもある。 今頃になって、最近の理沙とのかかわり方が走馬灯のように思い出されてきた。 僕は明らかに、今までのあの子への接し方に比べて、おざなりな対応をしていたように感じられる。 もしかしたら、あの子と同じ視線で話すように心がけていれば、こんなことはならなかったのかもしれない。 少なくとも、予兆だけでも察知できていただろう。 ・・・どうして・・・彼女のことを考えてあげられなかったのだろう・・・ ・・・・・何故、予兆を察知できなかったのだろう・・・ 結局、僕は兄としてふがいなく、失格だったから、こんなことになってしまったんだ・・・。 ・・・こんなはずじゃ・・・・僕は・・・・ 318 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 42 05 ID cyMlVjZS 松本君はうわ言のようにそんな事を繰り返し続けていました。 きっと、今の松本君はやり場のない、虚ろさと怒りを抱えているのでしょう。 信頼していた妹が暴走してしまい、それを止められなかった、それを断腸の思いでいるのは重々承知しています。 ただでさえ、うわ言で聞き取りにくかった声は一層小さくなり、しかも震えだして聞き取りにくくなってきました。 「・・・・松本君。あなたは何も悪くないのよ・・・それに・・・・これはどうにもならなかったこと。だから、自分を責めないで・・・。」 そう、悪いのはあなたじゃない。松本君。 本当に悪いのは、勝手に勘違いを繰り返して、私を狙った挙句、あなたをそんな半死半生の目に遭わせたあの寄生虫なのだから。 日々、松本君を友人のなかった私に相談しなければならないほどにまで、追い詰めるだけでは飽き足らず、結果的に自分の兄を 傷つけて、それなのに、こうして松本君が悲しんでいるときには自宅でのうのうと過ごしていて、自分の罪に気づかずに、謝罪すら しない。 これは人間のする事ではない。やはり、あれは害物、松本君を苦しめるだけの駆除されるべき寄生虫なのだ。 私はあれを絶対に許さない。 319 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 43 12 ID cyMlVjZS それにしても、松本君が可哀想だ。 私が毎晩寝る前に見ている、写真の彼は明るい笑顔の松本君だ。 私の彼を慕う心の中にいる彼もまた笑顔だ。 学校でも私に見せてくれる表情は非常に豊かなものではあるが、決してこんなに悲しい顔などしていない。 その笑顔一つが、言葉一つ交わしていなかった時でも、いかに重要な糧であったことか―。 それをあの害物は一瞬にして奪ったのだ。 本当に松本君は可哀想で可哀想でならない。 「・・・理沙・・・・どうして・・・・」 「・・・・・・」 その時、私は無意識のうちに立ち上がり、彼の涙にぬれた顔を胸元に抱き寄せた。 そんな姿はもう見ていられなかったから。 私は慰め、勇気付けられてきたのに、彼に何もできないのは悲しすぎたから。 「かわいそうな・・・松本君・・・」 私はできる限り強く、松本君を強く抱きしめた。 あんな寄生虫のために心を痛める必要はないから。早く立ち直って欲しいから。 それに、彼の傍には、負の影響しか与えない害物だけじゃなく、私が居てあげられるのだから。 320 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 45 06 ID cyMlVjZS 「・・・もう、涙を流さないで・・・あなたには、私が居てあげるから・・・。」 一つ一つやっとのことで紡ぎだしたように、震えた小さな声で彼は聞き返しました。 「・・・・どうして・・・・どうして北方さんは・・・何もできない・・・・僕のことなんかを・・・」 「・・・それは、あなたの事が好きだから。いいえ、愛しているから。」 疑うことなく、私はそう心から思ったことをはっきり言いました。 未だに流れる涙を押しとどめることができない、松本君の充血した瞳をひたすらに見つめ続けて言った。 「そう、あなたの事を本当に愛しているのは私。あなたの痛みは全て私が代わってあげたい。 あなたの喜びは全て、私にとっても喜ぶべき事よ。そして、あなたの望みは私の望むところ。」 「それから、もう自分を卑下しないで・・・。あなたは気づかなかったかもしれないけれど、 あなたは立派に皆の役に立ってるわ、現に私はあなたに救われた。だから私もあなたのことを慰めてあげたい。」 そして、驚きを隠せずにいる松本君に鼻と鼻がぶつかるほどにまで、顔を近づけ、唇を重ねた。 今まではどれだけ想像の中の事でしかなかったことが、現実としてそこにある。 柔らかな唇の感触と彼の確かなぬくもり。 松本君も最初は少し驚いていたが、拒否することなく、寧ろ受け入れてくれている。 「・・・・北方さん・・・ありがとう。僕も北方さんを愛していると思う・・・」 そう言うと、松本君も涙を流すことをやめ、積極的に私を求めてきてくれた。 こんなときに不謹慎とは思いながらも、松本君と結ばれる喜びが自然と泉の水のように湧き上がってきた。 それから私は身体を痛めている松本君に注意を払いつつも、私たちは文字通り一心に肌を重ね合わせた。 321 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 47 54 ID cyMlVjZS 地下の薄暗い一室―。 試験管やビーカー、そして様々な試薬の入った薬瓶といった化学の実験室にあるような種々の実験器具が、 所狭しと置かれている薄暗い部屋。 何度となく涙を流したことが伺える、疲れ果てた表情でこの部屋の主である、松本理沙は薬品を混合させながら、 ヘッドフォンを耳にあてる。 本来、細心の注意を払うべき薬品の精製や実験において、ヘッドフォンを耳につけるというのは邪道ではあったが、 そのヘッドフォンから聞こえてくるであろう、兄である弘行の温もりを何よりも彼女は欲していた。 彼女は、手術後に兄の部屋になるであろう部屋を先に洗い出し、盗聴器を複数個仕掛けておいたのである。 だから、目が覚めていない昏睡状態であっても、その部屋のわずかな音ですら聞こえてくるのだ。 その節々に兄の温もりを見つけようと彼女はしているのだ。 しかし、その願いは残酷でナイフのように鋭利な逐一、聞こえてくる事実によってずたずたに切り苛まれてしまった。 聞こえてきたあえぎ声は紛れもなく、あの憎むべき雌猫のもので、体中の力が抜け、めまいがするのが感じられた。 こんな事実は嘘に決まっているに違いない、あの雌猫がお兄ちゃんを襲っているに違いないのだと思いました。 そして、自分の愛する兄を救うために病院へ駆けつけようと思いましたが、 その考えもヘッドフォンから聞こえてくる事実によって脆くも否定されてしまった。 「あ、あんっ……ふあっ……松本くん、激しい……!」 「……じゃあ、ゆっくりする……?」 「意地悪……」 自分だけの兄が強要されたわけではなく、自ら望んで、自分以外の誰か、 しかもよりによってあの雌猫と睦みあっているという事実を知り、魂の抜けた抜け殻のように、力なくその場にへなへなと座り込んでしまった。 322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01 49 24 ID cyMlVjZS 第七話ここまでです。 酔っていたので、誤字脱字はいつもより多いかもしれないです。すみません。 323 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 02 57 ID KB9hD5g0 最終話投下しまっす。 324 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 04 09 ID KB9hD5g0 「あ、いらっしゃい♪」 いつもの時間にドアが開くいつもの光景、いつもの挨拶。 静かな店内に流れる音の中、フクダさんの姿が見える。 背広を預かりハンガーに吊るしている間に、フクダさんはいつものカウンター席に腰をかけていた。 「いつものでいいですか?」 「はい、いつもので…」 手早く氷とボトルを用意し、グラスに氷を割り入れウイスキーを注ぐ。 とくとく…とく… コースターの上にグラスを静かに置くとフクダさんと眼が合った。 「今日はお一人なんですね。」 「ええ、今日は……」 チーズを切りながら言葉を交わす。 そういえば、ゆっくりフクダさんとお話しするのは久しぶりかもしれない。 ふと、そんなことを思った。 325 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 05 16 ID KB9hD5g0 「…で?…なんだって?」 「だからぁ……冬彦さん…女の人と…逃げちゃった…えへ♪」 「…だぁかぁらぁ…あれほど地雷だと忠告しといただろうがぁ!!」 景子は珍しく語気を荒げて怒っているように見えた。 いつもの居酒屋で私と景子は結婚後初めて会うことになった。誘ったのは私。 「あ、生中お代わりお願いね~♪」 「人の話を聞け!」 「聞いてるよぉ…だから景子に相談してるんだよ?」 「…まぁ、いいさ・・・それで?相談内容はなんだ?離婚の手続きか?それとも逃げた冬彦を探し出すのか?」 「ううん…きっとね?冬彦さん…戻ってきてくれると思うんだぁ…だってあそこが冬彦さんの家なんだし…」 「ほぉ…なんだ?離婚する気はないのか?」 「うん…春樹君のこともあるし…」 「ふぅん…」 ぐびり… とビールを飲む景子。なんだろう?…珍しくなにか考え込んでいる様子だった。 「で?…じゃぁ、相談ってなんなんだ?」 「それは…」 私は自分の就職活動の苦労話を率直に打ち明けた。 冬彦さんがいなくなって、昔の貯金を少しずつ削って生活していること。 もともとある程度の貯金はあったのだけど、このままではいずれ虎の子貯金にまで手をつけなきゃいけないこと。 お金を稼ぎたい…でも、お昼の仕事だけだと子供二人を養う金額は稼げず、また水商売をしようと考えていること。 以前、勤めていたお店に相談することも考えたけど、通勤に時間が掛かりすぎること。 この近くで探したのだけど、なかなか採用してもらえないこと。 「そうだね。この近辺だと…今は難しいだろうね。」 「うん…もう私もそんなに若くないし……そんなに仕事を選べないこともわかってるの。 …でも変なお店は…できたら…いやかなぁ…って」 「……まぁ、心当たりがないわけじゃないけど…」 「ほんと!?お願いっ!景子!一生のお願い!」 「……君の一生は一体何回あるんだ?」 326 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 07 41 ID KB9hD5g0 …そんな経緯でこのお店のママを引き受けることになったのだ。 場所は市内の歓楽街の中心地。そのオーナーは意外なことに景子だった。 「いやね?知り合いのお姉さんが引退して田舎に帰るというのでこのお店を買わないか? と持ちかけられていたんだよ。まぁ、大赤字にならない程度にやってくれたらいいから。」 お店の内装は以前のお店のまま…ダークブラウンの壁に敷設された棚には無数のレコードやCDがずらりと並び、 スポットライトの僅かな明かりがお店の中を幻想的に照らしている… そんな落ち着いた大人の隠れ家のような素敵なお店だった。 「前のママがね…ジャズが好きで始めたお店なんだ。それを辞めるにあたり大切なレコードも進呈してくれたんだよ。 そんな訳だからできたらこれはそのままにしておいて欲しいけどいいかな?」 それが景子の出した唯一の条件だった。給料は稼いだ分だけ貰っていいよ?と言ってくれたものの 一等地でのお店の立ち上げはもちろん、ママの経験だってない私にはどうしていいのかさっぱりわからなかった。 景子が仕入れや会計なんかに関しては力を貸してくれたものの、当初はお客さんの数もまばらで…大赤字にはなんとかならなかったものの 「本当にこれでやっていけるのかなぁ…」 そんな不安な毎日だったように思う。疲労もピークに達していた頃かもしれない。 その当時の私は多分…不安そうな表情を子供たちにも見せていたのかもしれない。 春樹君が学校を辞めて働く…そんなことを私に言ってきた時期でもあったから… その時の事を思い出すと今でも心臓が止まりそうになる。 春樹くんを必死で説得し、なんとか思い留まってもらえた時の安堵感は同時に焦燥感だったように思える。 確かに春樹君と夏海が進んで家事の手伝いをしてくれるようになったことは嬉しいと同時に悲しかった。 本当ならもっと友達と遊んで、自分の時間を楽しみたいはずの子供たちに苦労をかけている… 冬彦さんがいないせいで…私のせいであの子達に苦労をかけている… でも、その時の自分には仕事と家庭を両立させるだけの余力は残っていなかったんだと思う。 その時私にできたことはあの子達の前では笑うこと… 余計な心配をこれ以上かけないこと… それだけしかその当時の私にはできなかった。 327 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 08 50 ID KB9hD5g0 そんな毎日が変わり始めたのは一本の電話からだった。それはフグタさんからの電話だった。 「お久しぶりです。何か変わったこととかはありませんか?一応、家のほうは定期的には見回らせていただいているんですが…特に今のところ異常は…ないようです。」 「あ…そうなんですか?ありがとうございます。変わったことですか?…あの実は…」 このお店でママをやっているんです。そんな風にお伝えしたその日にフグタさんは大きな胡蝶蘭を幾つも持ってお店にお祝いに来てくれた。 「いい店ですね…とても落ち着いていて…」 そんな風に誉めてくれたように思う。私の手柄じゃなかったけどやっぱりお店を誉めてもらえると嬉しかった。 そしてその日はいつものように、フグタさん以外のお客さんの姿は見えず、ゆっくりと久しぶりにお話ができたように思う。 お店をやめてからのこと。冬彦さんがいなくなるまでのこと…何故だかフグタさんには素直に話すことができた。 フグタさんは言葉数少なかったけど真剣に私の話を聞いてくれていた。 「なんだか…私ばっかり喋っちゃって…ごめんなさい…」 気がついたときには日付が変わっていた。人とゆっくり話すのも…しかも男の人とこんなに長時間話すだなんて…本当に久しぶりだった。 「いえ、今日は本当に楽しかったです。また来ます…必ず…」 そういって店先で見送ったフグタさんは、それからは必ず誰かを連れてお店に来てくれるようになった。 連れて来られる方の業種も職種も様々で、主に会社の役員や役職者、文化人、芸能人などが多く… フグタさんとどういった関係なんだろ?と思って聞いてみると 「仕事の関係です。」 とフグタさんが笑って答えるのが決まりになっていた。 フグタさんの連れてきてくれたお客さんは、今度は別のお客さんを連れて来られ、 そして、そのお客さんがまた別の方を連れて来てくれていた。 …そんな風にお店は少しずつ軌道に乗り、昔のように誰も来ない日のほうが珍しくなっていた。 328 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 10 24 ID KB9hD5g0 だから、フグタさんが一人で来られるのもお店に他に誰もいないことも、 あの時以来だなぁ…そんな風に思い出に浸っていた。 「久しぶりですね…こうやってフクダさんと二人きりでお話しするのって…」 フクダさんは驚いたような顔のまま、何故か固まっていた。 「フクダ…さん?」 「あ…いえ、あの…少し驚いてしまって…初めてきちんと福田って呼んでくれたので…」 「そう…でしたか?」 …そういえば何故なんだろう?…来られるお客さんが 「フクダさんにまたよろしくお伝えください。」 判を押したようにそう言われ続けたからだろうか?…なんだろう?そういえば… 私はいつからこの人のことをフクダさんと呼んでいたのだろう… …何かが心に引っかかる…なんだろう… 「あの…」 「なんでしょう…?」 「どうして…こんな私に…私にこんなにも良くしてくれるんですか?」 フクダさんはごくりとウイスキーを飲み干し、俯いたまま動かなかった。 「あの…すみません…変なこと聞いちゃって…ごめんなさい…」 すると急にフクダさんは顔を上げ…そして真剣な表情で口を開いた。 「貴女の笑顔が…見たいだけなんです…」 329 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 11 38 ID KB9hD5g0 出勤前に、いつものようにぶらりと本屋に立ち寄り、いつものように本を買う。 ジャンルは何故かいつも少女漫画だった。 ハッピーエンドな話がいいな… そう願うもののヒロインに悲劇が訪れたら読むのをやめてしまう私は… いつまでたってもハッピーエンドにはたどり着けなかった。 「どうしてなのかなぁ…」 少女漫画のヒロインたちが本当にみんな最期には幸せになっているのかさえ、確かめられなかった。 店員さんに「これはハッピーエンドですよ?」と勧められて購入したものでさえ、最後まで読んだものは一冊も無かった。 ハッピーエンドのはずなのに必ず訪れる不幸。 不幸なしにハッピーエンドを迎えるお話は本当にないのだろうか? それとも…不幸が無ければハッピーエンドにはたどり着けないの? それとも…お話だから? ううん?最後には報われなきゃ嘘だ。だって、こんなに不幸なんだから… でも、本当に幸せになれるの? 私のように…幸せになって終わった次の瞬間… どうしようもないほどの絶望に襲われるのだと知っていたら。 彼女たちはその道を選ぶだろうか? でも、不幸だったらハッピーエンドにたどり着くことが本当にできるのだろうか… いつの日か…幸せだって本当に心のそこから笑える日が来るのだろうか… 330 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 14 25 ID KB9hD5g0 日に日に冬彦さんの姿と重なっていく春樹君。 日に日に私の姿と重なっていく夏海… 同じベッドで眠る二人の姿が私と冬彦さんの姿に重なっていく。 私の居場所は本当にここにあるのだろうか… 冬彦さんは…いつ帰ってくるのだろうか…本当に帰ってくるのだろうか… いえ、もしかしてもう…帰ってきているの? 毎日、家に帰宅する時はいつもゴミ捨て場を眺めてしまう。 最期に冬彦さんを看た場所。どうして私は冬彦さんと喧嘩をしてしまったのだろう? 冬彦さんが怖がって逃げだすのも仕方がないと思う。 悪いのは私。 包丁で刺したりしたら誰だって逃げ出すと思う。 怖いと思う。 だから冬彦さんは他の女に逃げてしまったんだ。 冬彦さんは悪くない。悪いのは私… でも、どうすれば冬彦さんは許してくれるのだろう… それとも…もう…私のことは許してくれないの?もう…許せないのかなぁ 331 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 15 47 ID KB9hD5g0 ある日、気がつくとゴミ捨て場には死体が転がっている。 冬彦さんじゃない女の死体が糸の切れた人形のように転がっていた。。 制服…春樹さんの学校の制服…女の子が死んでいる。 死体…この死体は…だれ?誰なんだろう…どうしてこんなところに…? どうしてこんなところで死んでいるんだろう…私が殺した? どうして?…どうして? …もしかして…冬彦さんと逃げた女? そっか…だから私…殺しちゃったんだ…そっか…そっかぁ… じゃぁ…冬彦さんは…戻ってきてくれたのかなぁ… 家の中に…冬彦さんいるの? 帰ってきて…くれたの? 私は急いで携帯電話を取り出す。 「フクダさん…冬彦さんと逃げた女を見つけたんです」 「そんな…それで…どうしたんですか!?」 「殺しちゃいました。だって……気がついたら死んでいるんですよ?」 「とりあえず…そこから動かないでください!」 「はぁい♪」 私はその場で待った。どうしてだろう。フクダさんの言葉は素直に聞ける。 フクダさんだけは…信用できる。フクダさんはいつだって力になってくれる。 フクダさんが動くなと言うんだから動かないほうがいい…きっと動かない方がいい… 30分ほどでフクダさんと回収業者の方が来られて手際よくゴミ捨て場を片付けてくれた。 「これで…冬彦さん戻ってくるのでしょうか?」 期待の眼差しでフクダさんを見つめる。フクダさんは言いにくそうに 「いえ…どうやら冬彦さんは…別の女のところにいるらしいんです…」 そっかぁ…そうなんだ…この人は冬彦さんに捨てられちゃった人だったんだ。 捨てられて…ゴミになっちゃった人だったんだ。 なんだか可愛そうだった。必要が無くなって捨てられたその人が可愛そうだった。 でも、やっぱり冬彦さんはその人には満足できなかったんだと思う。 だから、きっと帰ってくる。 最後には必ず… 冬彦さんは私のところに帰ってくるんだと… 強く願った。 332 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 16 56 ID KB9hD5g0 …気がつけば目の前には3体の死体。 ゴミ捨て場にまるでゴミのように打ち捨てられていた。 また、同じ春樹さんと同じ学校の制服 …冬彦さん…やっぱり若い女の子が好きなんだ… だから私から…逃げちゃったのかなぁ… また、3体の死体。 同じような死体。 春樹さんの学校の制服 …冬彦さん…もしかして学校に…いるのかな… 333 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 18 24 ID KB9hD5g0 初めて仕事を休んだ… 学校に冬彦さんがいるかもしれない …そう思うと…いてもたってもいられなかった。 学校が終わる頃…学校近くの喫茶店で冬彦さんの姿を探した。 永遠とも思える時間…氷が全て解け落ちた瞬間 …私は信じられないものを見てしまった。 冬彦さんと…そしてその隣で楽しそうに微笑んでいる私。 腕を組んでいる。冬彦さんに甘えている私。 その私は今の私じゃなかった。 冬彦さんが好きそうな… いえ、冬彦さんが今愛しているのは…あの若い私なんだ… あれ?…どうしてなんだろう… ハッピーエンドじゃない? 私と冬彦さんが幸せそうに歩いている。 不幸なんて微塵も見当たらない。 そっか…そうだよね。あはは…バカみたい… 違ったんだ…あの子達じゃなかったんだ… 冬彦さんはちゃんと…私のところに帰ってくれていたんだ。 ずっと昔から…私の傍にいてくれたんだ… でも、それはこんな年老いた私じゃなくて… ずっと若くて綺麗な私のところに…帰っていたんだ… じゃぁ…私は誰なんだろう… どうして私は…私は…冬彦さんの隣にいないんだろう… 私は…だれ?…私は…誰なんだろう? あの冬彦さんと幸せそうに歩いているのが私なら… 私は私であってはいけないんだよね… じゃぁ…私は…私の名前は…… 334 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 19 27 ID KB9hD5g0 「大丈夫ですか!?晶子さん!晶子さん!」 気がつくと目の前にはフクダさんが心配そうな顔をして私を見つめていた。 …ここは…どこだろう… 「あの…ここは…」 「失礼かと思いましたが…私の車の中です。 知人が喫茶店で具合を悪そうにされている晶子さんを見かけまして… それで私が…すみません。余計なことをしまして。」 「いえ…いつもすみません。なんだか恥ずかしい姿ばかり見せてしまって…」 晶子…それが私の名前?…でも…喫茶店……ずきりと頭が痛い。 なんだろう…なにか頭が痛い。だって…冬彦さんの傍にいるのは私… じゃぁ、冬彦さんの傍にいない私は誰なんだろう… 車のミラーに映る私の姿を見つめると、私じゃない私が虚ろな瞳で私自身を見つめていた。 「ねぇ…フクダさん…私…とっくに冬彦さんの傍にいたんです… なのに、そのことに気がつかなくって… 冬彦さん…やっぱり私のことが好きだったんですよ。 だって、ずっとずっとずっとずっとずぅっと…私の傍に… 私の一番近くにいてくれて…私のこと守ってくれてたんです。 なのに、私はそんなことにも気がつけなくって… …奥さん失格ですよね。 だから冬彦さんは…私じゃない私の傍に… もう、こんな私のことは…見てくれないのかな… こんな私に…生きている価値なんってあるのかなぁ…」 涙が瞳から溢れる。冬彦さんの傍にいない私には価値はない。あの死体たちと同じように価値はない。 いらない…いらないから捨てるんだよね。 でも、冬彦さんは私を選んでくれたんだよね?でも、その私は私じゃない… そんな思考を遮るようにフクダさんは私の身体を強く抱きしめていた。強く…とても強い力で…。 そして耳元で囁くように 「冬彦さんは…晶子さんのことを今も大切に想って…いるはずです」 「なんで…どうして…」 「冬彦さんは…まだあの晶子さんを抱いていないそうです。」 「どうして…ねぇどうして…あの人に抱いてもらえないの!?」 「あの晶子さんは…冬彦さんを拒んでいるらしいんです…」 そんな…酷い… …なんで私は冬彦さんを受け入れてあげないんだろう… あんなに冬彦さんのことを愛していながら受け入れないなんて… 違う…あれは私じゃない …私じゃない…私なら冬彦さんを拒んだりしない。 冬彦さんを受け入れたい…冬彦さんの望むことならどんなことだってしてあげたい。 なのに…その私は拒んでいる… 「もしかして…偽者なの?」 突然、脳裏に閃く一つの可能性を口にする、 「…おそらくは…」 「そっか…冬彦さん…また騙されちゃったんですね。本当に仕方ない人ですね。」 そうだったんだ…そうだったんだ…よかった…よかった…あの私は偽者だったんだ… 安堵とともに危機感がつのる。冬彦さんが騙されているなら…助けてあげなきゃ… そんな私の心を見透かしたように 「…その件に関しては…私に任せてもらえないですか?」 「フクダさんに…ですか?」 「ええ…いくら偽者とは言っても晶子さんの分身には違いありません。 その方を殺したら…」 「冬彦さんが悲しむ…ですね。わかりました。 それじゃぁ…その件はフクダさんにお願いしてもよろしいですか?」 「ええ…お任せください。」 335 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 21 25 ID KB9hD5g0 その言葉通り…翌日、冬彦さんの傍にいた私は姿を消していた。 冬彦さんは慌てていた。慌てて必死に私の姿を探していた。 電話でも慌てている様子だったのがわかった。 嬉しかった…そっかぁ…冬彦さんは私がいなくなったら… こんな風に探してくれるんだ。 「母さん!夏海が…夏海がいないんだよ!」 かぁ…さん?冬彦さんは私のことを母さんって呼んでたのかな? …でも、子供たちの前では…そんな風に呼んでくれていたよね。 うん…確かそうだったよね♪ 夏海?…そういえば…夏海…は…どこに行ったのかなぁ …小さくて可愛らしい夏海…もしかして誘拐…されたの!? 「私も心当たりを探してみるけど…アナタの方には心当たりはないの?」 あなた…なんて久しぶりに使う気がする…懐かしい… 冬彦さんは電話口でもわかるぐらいにはっと…何かに気がついた様子だった。 「なんでもない…母さんも心当たりを探して」 そっか…冬彦さんには心当たりがあるんだ… じゃぁ…冬彦さんに任せておけば…大丈夫よね。 家に帰ると1体の死体…男?女?… でも、もうそんなことはどうでも良かった? 「フクダさん?ゴミ…また増えているみたいなんです… 回収業者の方によろしくお伝えしていただけますか?」 「な…!?また…それは…」 「お願いしますね♪」 かちっと…電源を切る。 わかる。家の中にはあの人がいる。 もう、あの悪い私はいない。 私なら大丈夫だよ?もう、怒っていない。ううん…大丈夫。 私は全て許すよ?世界中があなたの敵になっても… 私だけはあなたのことを愛しているから。 あなたが私を裏切っても、私はあなたを裏切らないから… その夜…私は冬彦さんに抱かれた。 泣いている冬彦さんを受け止めた。 私も涙が溢れた。 やっと逢えた。 やっと触れることができた。 やっと抱いて貰えた。 やっと…冬彦さんが私のところに… 本当に私のところに帰ってきてくれた… 私たちは何度もお互いを貪った。 逢えなかった時間を埋めるかのようにお互いを貪った。 ごめんなさい。 刺してごめんなさい。 殺してしまってごめんなさい。 心の中で私は何度も冬彦さんに謝った。 謝りながら何度も絶頂に達していた。 子宮の中に冬彦さんの迸りを感じるたびに 頭の奥が真っ白になる。 私は幸せを感じていた。 冬彦さんに選ばれた喜びと… 女としての悦びを… 336 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 24 02 ID KB9hD5g0 気がつけば病院の中…白い天井…夢…? 幸せな夢を見ていた。まるで少女漫画のような幸せな夢を見ていた。 嫌なこともあった…不幸な出来事もあった…だけど最後にはハッピーエンド… そんな幸せな夢を見ていた。 「母さん…大丈夫かい?」 私の顔を心配そうに覗き込んでくれるあの人の顔。 よかった…夢じゃない。ちゃんと私の傍にいてくれる… 「うん…少し怖い夢を見ちゃった…あなたがいなくなっちゃう夢…」 「僕は…いなくなったりしないよ…」 「うん♪」 大きくなったお腹を擦りながら、眩しい彼の笑顔に笑顔で応える。 「そうだ…母さん…その子の名前…もう決めたの?」 「うん…ゆっくり考えられる時間もあったし… あなたもきっと…気に入ってくれると想うの……」 ずっと心のどこかに残っていた名前を口にする。 彼はきっと喜んでくれる。 いい名前だね… って誉めてくれることを期待しながらその名前を口にした。 「夏の海と書いてなつみ…いい名前だと思わない?」 337 名前:すりこみ[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 32 08 ID KB9hD5g0 「すりこみ」は以上で完結です。 文章の拙さももちろんのことながら、消化不良が多すぎると自分自身 反省しまくってます。どーにもこーにも推敲が足りません。orz… 最後になりますが、最後まで読んでいただいたお暇な方々に多大な感謝を… ヤンデレって難しいねぇ… 338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 53 07 ID wMjlfHtj ちょ、ダブルで投下て何だw 幸せすぎてコメントに困るぞ。 まあ取り合えず一言だけ言わせて貰う。 「あ、あんっ……ふあっ……松本くん、激しい……!」 「……じゃあ、ゆっくりする……?」 「意地悪……」 重症なんだから自重しろよ松本弘行。 ……いいぞ、もっとやれ! 339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 02 55 38 ID RyWvS73v 投下ラッシュktkr! GJ! 322 北方さん派の俺としては嬉しい展開だが でも理沙ガンガレ! きっとまだ病みが足りないのさ 337 完結乙でした って、うわあああああああああ! 母親エンドか! 他の皆全員死亡!? これだけのキャラが揃ったんだからこの話は長編で読んでみたい キャラごとの個別の話とか 340 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 03 10 09 ID 8FI0s4c2 337 GJ! 母親もまた病んでいたとは・・・ 予想の斜め上を行かれた・・・ 341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 03 11 29 ID lLvgt4FT 337個人的な意見なんだが、病んでる登場人物が多過ぎて物語が散漫になってるように感じた。 え?フクダさん何者?とか、へ?八雲兄妹死んだの?とか… GJとか萌えとかより「?」が胸に残った。 俺は他の住人より読解力が足りないんだろうか… 完結乙でした。 342 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 16 15 24 ID Y1LZWdlh 341 オレの拙い想像力を総動員した結果 夏海を殺害して春樹を食っちゃった、でFAかと 343 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 16 19 08 ID Y1LZWdlh すまん。少し読み間違えていたな おそらく八雲兄弟と八雲の恋人たちも全員死んだんだろうけど それを今まで脇役とすら呼べなかった存在感の母親が処分してしまったせいで うまくオチがついていないように感じる 母親が一人勝ちするのはまだいいとしても八雲一派や夏海視点での終焉描写が欲しいところだ 344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 16 56 41 ID 1vAe7IU+ 視点変えた補完は読みたいな あと、八雲兄妹中心の番外編とか これだけ狂っていた二人とこのままサヨナラは惜しい。 345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 19 27 36 ID 29Bspr9/ ふと閃いたんですが、ヤンデレカップルを眺める第三者の視点のSSってのはアリですか? 以下プロット。 主人公の両親はヤンデレ行為の末強引に結ばれた姉弟だった。 ふたりは法的に結婚はしていないものの2児の親として(ヤンデレ的に)幸せな家庭を築いていた。 そんな家庭を普通の物として見ていた主人公は社会(学校)に出て少しずつ違和感を覚えていたが あるとき彼の弟がヤンデレ女に惚れられてしまいその相談を受けていると… 「兄さん、彼女のしていることは異常だよ。でも父さんや母さんも同じ事をしているし」 「しっかりしろ弟よ。そうだ言いたくないけど父さんや母さんは異常なんだ。 だから僕たちは反面教師として真っ当な…げっ!彼女さん!?」 「お義兄さん、私と弟クンの仲を引き裂くんですかー!?(のこぎり上段構え」 「「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!」」 346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 19 29 40 ID jM/lXpQM ドタバタギャグやないか。 347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 22 01 43 ID Cg6uTtrl ドタバタギャグええやないか。 348 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 22 42 29 ID ao8IthR4 今更なんだが『戯言遣いsaraの戯言部屋』の「病んだ心を持つ少年」もかなりのヤンデレだよな。 あそこ更新遅いし、基本最強系だし、文法おかしかったりで癖は強いんだが、何故かこのSSだけは大好きなんだよな。 更新再開すれば直ぐにでも読みにいくんだが…… 流れぶった切る話でスマソ。 ここに投下してる職人さんたち愛してる。 349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 22 42 35 ID gjxWN9vA 第三者視点じゃなくて、親子二代のヤンデレじゃない? 350 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 23 08 46 ID pWekyl/k きみあるナトセルートで、ナトセは夢とレン以外の家族を殺してしまうのでは!! と考えた俺は間違えなく病んでる…
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第5話(BS57)「天勇之壱〜錦上添禍〜」( 1 / 2 / 3 / 4 ) +目次 1.1. 花嫁と護衛役 1.2. 弟と契約魔法師 1.3. 伯母と護送役 1.4. 従弟と保護者 2.1. 城下町の諸相 2.2. 邂逅と再会 2.3. 自分の居場所 2.4. 独身領主と未亡人 2.5. 傭兵仲間 2.6. 女神の仮説 2.7. 勇者の星 2.8. 熊と蝙蝠の夜想曲 2.9. 未練と宿縁 3.1. 星を求めて 3.2. 覚醒する星々 3.3. 表層の真相 3.4. 深層の真相 3.5. 一時の合流 3.6. 「友達」として 3.7. 父と子 3.8. 突然の帰還 3.9. 海の怪異 4.1. 花嫁の決断 4.2. 去り行く来賓者達 4.3. 母の耳飾り 1.1. 花嫁と護衛役 ブレトランドの対岸に位置するアトラタン大陸西部の領邦国家アロンヌは、ヴァレフールと同じ幻想詩連合に所属する大国である。その中北部の一角を支配するコンドルセ家は、アロンヌの三大勢力の一つであるルクレール伯爵家と近縁の名門貴族であり、その歴史はブレトランドの三王家よりも古い。家系的にはノルドの系譜に連なる一族でありながら、歴代の君主は芸術文化に造形の深い者達が多く、南方の優雅な貴族文化を積極的に取り入れていることで知られている。 約一年前、そんなコンドルセ家の現当主アンリの三男シャルル(当時17歳)と、当時のヴァレフール騎士団長ケネス・ドロップスの孫娘モニカ(当時15歳/下図)の婚約が当主間の協議で決定され、コンドルセ家の居城であるオリビア城へとモニカが招かれることになった。 ところが、その新婦モニカの到着直前に、新郎となる筈のシャルルがオリヴィアから出奔し、行方不明となってしまう。彼がなぜモニカとの結婚を拒んだのかは明らかにされていないが、大陸へと渡った花嫁モニカの立場は宙に浮いた状態となってしまった(その後のシャルルの物語はブレトランド水滸伝1参照)。 ひとまずアンリはそのままモニカを王城に滞在させつつシャルルの帰還を待ったが、半年以上待っても消息が掴めなかったため、やむなく婚約を白紙に戻し、代わりに次男フィリップとモニカとの間で改めて婚約を結ばせ直すことにした(アンリとしては、ヴァレフールとの関係を断ち切りたくなかったらしい)。ところが、今度はその直後にフィリップもまた海難事故で(?)消息不明となってしまったのである(その経緯はブレトランドと魔法都市1参照)。 それでも何とかヴァレフールとの縁を維持したいと考えたアンリは、モニカを再度説得して、今度は離婚歴のある(モニカとはやや歳の離れた)長男ルイを彼女の(三人目の)婚約者に指名し、モニカもその旨を了承する。そしてまもなく、二人の結婚式が開かれることになったのだが、約一年間、中途半端な立場で城に滞在を続けていたモニカは、どこか憂鬱な様子であった。 モニカは元々引っ込み思案で、あまり社交的な性格でもないため、嫁ぎ相手も不在の状態での異国での生活は、常に孤独感と共にあった。そんな彼女にとって、この地で心を許せるほぼ唯一の人物が、彼女と同い年(現在16歳)の傭兵イェーマ(下図)である。 彼は傭兵団「暁の牙」の一員であり、現在はモニカの護衛役を任されている。元々は大陸某国の孤児院出身で、数年前にその孤児院が焼け落ちた時に「暁の牙」の団長ヴォルミスに拾われて、傭兵となった。ここまでは、乱世における「よくある青年傭兵の物語」である。 ただ、邪紋使い主体の「暁の牙」の中では珍しく、彼は「聖印」を持つ君主であった。彼の育った孤児院の人々の証言によれば、彼は幼少期に孤児院に預けられた時から「聖印」をその身に宿していたらしい。それが誰から預けられたのか(もしくは自力で作り出したのか)は不明であるが、彼はその聖印の力を駆使して、攻防一体の剣技を用いた腕利きの傭兵として、この「異国からの花嫁」の護衛役を任されていた。 イェーマは実直な性格の青年であり、きらびやかな貴族文化に包まれたオリヴィア城の中では浮いた存在であるが、その純真な性根が、周囲に対する警戒心で疲れ切っていたモニカにとっては癒やされる存在だったようで、いつしか二人は懇意な関係となり、二人きりの時にはイェーマは敬語を使わずに話せる程の親密な間柄となっていた。 そんなモニカが、正式に結婚式の日取りが決まった頃、ふと自室でイェーマに対して、呟くように語りかける。 「私のために、随分長居をさせてしまって、すみません。でも、それももうすぐ終わりますから」 「まぁ、長いのは君のせいじゃないし、しょうがないと思うよ」 「でも、私がここに来る直前にシャルル殿は出奔されてしまった訳ですし……」 実際のところ、三男シャルルに関しては完全に彼の個人的な事情に基づく出奔だったのだが、そのことを知らないモニカは、それが自分のせいだと思い込んでいる(そして当然、イェーマもそのことは知らないので、この件に関しては何も言えない)。 「どうも私がこの世界に存在し続けることで、周囲の人達を不幸にし続けてしまっているような気がするのです。父様も、母様も、兄様も、そしてフィリップ殿もいなくなってしまいました」 それらも全て、直接的には彼女の責任ではないのだが、今の彼女は自分自身が疫病神のように思えてしまっているらしい。 「それに、こっそり聞いてしまったのです。ガーランド様が、今回の結婚式で何かまた不吉なことが起きる兆候が見えると……」 ガーランドとは、このオリヴィアの領主アンリの契約魔法師であり、未来予知を得意とする時空魔法の専門家である。その彼が「危険な予兆」を察知するということは、確かに何らかの災いが発生する可能性は高いのかもしれない。 「でも、多分、君のせいで不幸になることはないと思うよ。だって、それなら僕も不幸になっている筈だけど、僕は今、すごく平和だからね」 イェーマは笑顔でそう言った。実際、この一年間、一番モニカの近くにいたのは間違いなくイェーマであるが、彼には一切何の不幸も発生しなかった。 「確かにそうですが……、でも、傭兵のあなたにとって、『平和であること』は幸せなことなのでしょうか?」 モニカには、何も起きないまま、イェーマをただ自分の近くで待機させ続けていることが申し訳なく思えていた。無論、彼女も決して自分の周囲で争い事が起きることを望んでいる訳ではないし、自分やイェーマの身を危険に晒したい訳ではない。ただ、彼女の中では「傭兵稼業の人々は、常に戦いに身を置きたがる性分」だという先入観があったため(それは彼女の実家の近辺にはそういった類いの傭兵達が多かったから、という経験則に基づいているのだが)、イェーマが内心では今の境遇に「物足りなさ」を抱いているのではないか、と危惧していた。 「一傭兵として幸せかどうかは分からないけど、今まで平和な時間というのを味わったことがなかったから、その意味では、いい経験だと思っているよ」 屈託のない笑顔でそう言われると、モニカは少し救われたような気分になる。だが、そんなモニカの中に、再び「嫌な記憶」が湧き上がる。 「でも実際、私は子供の頃から……」 彼女はそこまで言いかけたところで一旦止めようとするが、イェーマの表情を伺う。彼は興味深そうな表情で、その話に聴き入ろうとしていた。 (この人になら、話してもいいかな……) 何の根拠もなく直感的にそう思ったモニカは、そのまま話を続けることにした。 「……子供の頃から、混沌災害に遭遇しやすい体質なんです。微々たるものだとは言われてるんですが、時々、私の周囲に異界の魔物が現れることがあって……。私のお祖父様と契約していた召喚魔法師の方が仰るには、どうも私は混沌を呼び寄せやすい体質らしいのです」 唐突にそう言われたイェーマは、やや困惑しながらも話を聞き続ける。少なくとも、この一年間を通じて、彼女の周囲でそのような現象が起きた記憶はイェーマの中にはない。 「ですから、もしかしたら、今回の結婚式の最中でも、何か起きるかもしれません。もし、本当にそうなってしまった時は、私ではなくて、今回出席する『弟』や『伯母様』や『従弟』を優先的に守って下さい。特に伯母様は、聖印を持たない身ですし」 今回のモニカの結婚式には、彼女の実弟のラファエル(ヴァレフール北部の湖岸都市ケイの領主代行)、彼女の父の姉であるシリア(先代ヴァレフール伯ワトホートの弟トイバルの妻)、そしてそのシリアの息子(モニカの従弟)であるゴーバン(現在はヴァンベルグの港町ハルペルにて居候中)が、彼女の親族として参列する予定であった(下図参照)。 「聖印を持っていないのは、君も同じなんじゃないの?」 「そうですけど、でも、私が混沌を呼び寄せる原因なのであれば、むしろ私がここでいなくなった方が、この不幸な連鎖の宿縁も断ち切れるでしょうし……」 あまりにも暗い面持ちでそう語る彼女に対して、イェーマは少し戸惑った表情を浮かべる。 「不幸ねぇ……、不幸かぁ……。まぁ、境遇としては僕も幸福とは言えなかったからね。幼い頃から混沌災害が起きやすかったんだっけ? 僕の場合は、生まれた時から混沌災害の近くで育ったからなぁ」 正確に言えば、イェーマは自分がどこで生まれた存在なのかは知らない。ただ、自分が育った孤児院が、自分がまだ幼かった時に混沌災害に見舞われ、その後は傭兵として生きていくことになった都合上、どうしても混沌災害とは常に隣り合わせの生活が続いていた。 「でも、あなたは聖印に選ばれた方なんですよね?」 「らしい、ね。たまたま、何かしらの影響で得たらしいけど」 この件については、イェーマも全く想像がつかない。何処かの高貴な家の御落胤なのではないかと噂する者もいれば、生まれながらにして聖印を手にした「神の子」だと考える者もいたが、イェーマ自身は、あまり深く考えることなく、これまで一人の傭兵として生きてきた。故に、彼は「君主」と呼ばれる立場ではあるものの、治めるべき土地も民も有していない。 「それならば、きっとあなたは、私なんかの護衛ではなく、もっと多くの人々を救うためにその力を使うべきでしょう。そのために聖印の力が宿っているのだと思います」 「でも、聖印は守るための力なのだとしたら、僕は君を守るよ。当たり前じゃん。自分をあまり卑下するのは良くないよ。お姫様なんだから、もっと堂々としていればいいんじゃないかな」 笑顔でモニカにそう語るイェーマであったが、モニカはそんな彼の笑顔を眩しく思いつつも、「自分には守られる価値なんてない」という気持ちを払拭出来ずにいた。 「そうですか、あなたなら、私の願いを叶えてくれるかと思ったんですけど……」 俯きながらそう呟くモニカに対して、イェーマとしてもそれ以上は(少なくとも、今の護衛傭兵の身では)何も言えない。ひとまずは、彼女の語る「悪い予兆」のことを気に留めつつ、彼女の部屋を出て、周辺の警備に戻ることにした。 1.2. 弟と契約魔法師 今回の結婚式に参列予定のモニカの三人の親族のうち、最も血縁的に彼女に近いのは、彼女の実弟のラファエル・ドロップス(下図)である。モニカの父のマッキーと兄のアンディは既に亡く、母のネネは行方不明で、姉のチシャは現在、重病の祖母リンナの看病のためにアキレスを離れられないため、彼女にとっての「長年共に暮らした家族」の中では、ラファエルが唯一の参列者であった。彼はまだ14歳であり、領主代行に就任してから一年も経っていないが、その堅実な統治方針から、領民達の中でも高い信頼を勝ち取りつつある。 その彼の統治を支えているのが、彼よりも二歳年上の契約魔法師ローラ・リアン(下図)である。今回のラファエルの渡航にあたり、彼女もまた、彼と共に参列することになった。 「ローラさんについて来てもらうべきかは迷ったんですが、何かあった時に連絡してもらうためにも来て頂きた方がよろしいかなと……。姉様に紹介したいのもありますし……」 オリビアへ向けての出発の準備をしながら、少し照れ臭そうにラファエルはローラにそう告げる。彼にとっては、ローラは自慢の契約相手であり、周囲に親族がいない今の彼にとっては「家族」も同然の存在となっていた。 「なるほど。分かりました。御一緒させて頂きます」 「で、お相手の方はルイ・コンドルセさんと仰る方らしいんですけど……」 その名を聞いた瞬間、ローラは急に表情が凍りつく。 「ル……、ルイ様、ですか……?」 「あれ? ご存知でしたか?」 「いや、その、何というか……、うーん……」 ローラは迷いながらも、彼女の記憶の中にある彼の印象を伝える。ルイはかつて、ローラの義姉であるメーベル・リアンの契約相手であったが、あまりにも執拗に彼女に対して性的接触を求め続けたこともあって解約に至り、更に他にも多くの女性に手を出していたことが当時の妻の逆鱗に触れ、婿養子先から追い出されたという過去がある(その後、実家に帰った彼は、出奔した末弟シャルルに代わって属領の一つであるホール村の領主となった)。また、ローラとも以前に「無人島合宿」の際に同席しており、その時もルイ(とローラの後輩の少年)の不用意な言動が騒動が引き起こすことになった(詳細はブレトランドと魔法都市1参照)。 「はぁ、それは……、大丈夫なのかな、姉さん……」 ラファエルの知る限り、モニカはあまり堂々と自分の意見を口に出せる性格ではない。そこまで女癖の悪い領主との婚約ということになれば、色々な意味で辛い思いを背負い込む可能性は十分にあるだろう。 「ですから、少し不安と言いますか、何と言いますか……」 ローラはそう呟きつつも、既に決まってしまった縁組に対して、異国の契約魔法師の身では何も言えなかった。 ****** そして、二人がそんな会話を交わしている中、留守番役として騎士団長イアン・シュペルターとその妻のヴェラが到着する(下図参照)。彼等の本拠地であるアキレスには、先代騎士団長にして先代のアキレス領主であったケネスの妻であるリンナが暮らしているが、最近、彼女の体調が急激に悪化し、彼女の(家系図上の)孫である護国卿トオヤと彼の契約魔法師のチシャが、彼女の看病も兼ねる形で滞在している。そのこともあって、結果的に玉突き状のような形でイアン達が(最前線の地でもある)ケイの留守居役を買って出ることになったのである。 「この機に、様々な人々に触れ、見聞を広めてくると良い。私も以前、大陸を旅したことで様々な知見を得た」 現ヴァレフール伯爵の伯母にあたるヴェラがラファエルとモニカに対してそう告げると、彼女の夫である騎士団長イアンはまた異なる角度から「若い二人」に助言する。 「まぁ、結婚式というのは一種の『男女の出会いの場』でもあるから、これも一つの経験だと思って参加してくれば良いだろう」 実際のところ、ラファエルにはそろそろ各地の諸侯から縁組の話が舞い込みつつある。ただ、彼は今の自分があくまで「領主代行」という中途半端な立場であることから、当面は誰かを妻に迎える気はなかった。なお、ケイの民の一部には「領主様と契約魔法師様は既に恋仲」という噂も広がっているが、今のところ二人の間にそのような関係は成立していない。ただ、女魔法師に君主が手を出すというのは「よくある話」なので(実際、ヴェラ自身もそのような経緯で生まれた伯爵令嬢であった)、その辺りのことのことも含めて、思春期のラファエルとしては、そろそろ色々と「勉強」すべき段階に入っていることは間違いない。 ****** そしてこの日の夜、ローラは義姉であるメーベル・リアン(下図)に、魔法杖を用いて通信を試みた。メーベルは現在、ケイの北側に位置するグリース領マーチの領主セシルの契約魔法師となっている。 「あら、ローラちゃん、どうしたの?」 「もしかしたら、このお話を聞いて、あまりいい思いはしないかもしれないのですけど……」 彼女はそう前置きした上で、先刻ラファエルから聞いた話をそのまま伝える。 「は?」 それが姉弟子の第一声であった。 「ごめんね、ローラちゃん。もう一度確認していい? ルイ・コンドルセがもう一度、今度は11歳年下の女の子と結婚するって?」 「はい、それで合ってます」 やや怯えた声でローラはそう答える。 「合ってるのね。ありがとう、ローラちゃん。まぁ、私は別に、何もすることはないけど」 「本当ですか?」 「本当よ。だって、ルイのことなんて微塵も気にしてないもの」 「お姉さま、その割には声に少し……」 「大丈夫大丈夫、ちょっと仕事が増えただけ」 「ね、姉様?」 「さて、『お祝いの品』の準備でもしましょうかね」 彼女はそう言って、通信を切った。 (私は、火に油を注いでしまったんでしょうか……。国際問題に発展しなければいいんですけど……) ****** 魔法杖通信を終えたメーベルが、おもむろに得意の爆薬製造(使途不明)を始めようとしたところで、一人の同僚が声をかける。 「メーベルさん、ボンバーマンやります?」 「あら、ありがとう、SFCさん」 彼女がそう答えると、SFCと呼ばれたその女性は、おもむろに自らの身体の一部を用いて、彼女に「操作法」を伝え始める。 「爆弾を設置する時はですね、まずこちら側から相手の退路断つように順番に設置していくんです。爆弾は一つでは意味がないですから、こうやって……」 その後、何がオリビア城に送りつけられることになったのかは定かではない。 1.3. 伯母と護送役 ここで時は少し遡る。ルイとモニカの縁談の日付が決定した時点で、傭兵団「暁の牙」の一員であるウィルバート(下図j)の元に「ルイ・コンドルセとモニカ・ドロップスの結婚式に出席するシリア・D・インサルンドをオリビア城まで護送する」という依頼が届いていた。 シリア・D・インサルンドとは、前ヴァレフール騎士団長ケネスの娘にして、現ヴァレフール伯レアの義理の叔母(叔父トイバルの妻)にあたる女性である。夫の死後はひっそりと離宮で暮らしており、あまり表に出ることはなかったが、今回は(行方不明の新婦の母ネネに代わって)姪のモニカの保護者として出席することになったらしい。 今回の依頼は、新郎の父であるアンリ・コンドルセが(もともと花嫁の護衛役としてイェーマを雇っていたという縁もあり)「暁の牙」に会場の警護を依頼し、それに対して傭兵団長のヴォルミスがウィルバートをシリアの護送役として指名したらしい。ウィルバートの父であるゲイリーはその旨を彼に告げた上で、更にこう付言する。 「どうやら今回は、結婚式会場に団長も来るらしい」 「団長が?」 「どうやら、今回の結婚式会場の近辺で大規模な混沌災害が起きるという予兆を、現地の契約魔法師殿が予見したそうだ」 なお、ヴォルミスはアトラタン大陸全体でも十指(もしくは五指)に入ると言われるほどの剣の達人である。 「それはつまり、別に団長が『新郎や新婦の知り合い』という訳ではなく、純粋に『戦力』として、ということか?」 「あぁ。とはいえ、団長が自ら出向く必要があるのかは分からん。まぁ、団長はイェーマのことはお気に入りだからな。それで、今回の任務のことが気になるのかもしれん」 「なるほど。分かった」 その上で、どこから混沌災害が発生するのか不明なため、ひとまず、ヴォルミスが先に現地に入った上で、主要な来場者の中で「聖印を持たない貴族」であるシリアのところにウィルバートが護衛役として派遣されることになった、という訳である。 ****** それから数日後、ウィルバートはヴァレフールの首都ドラグボロゥに到着した。ヴァレフールが実質的に国内冷戦の状態にあった頃はアキレスで息子達と共に暮らしていたシリアであるが、現在は首都へと移住し、和解の証として亡夫トイバルの遺品を(王城の裏庭に位置する)歴代伯爵家の一族の墓地へと埋葬した上で、現在も喪服に身を包んだまま、静かな隠遁生活を続けている(一方、彼女の子供達の中で唯一この国に残っているドギは、彼女の母のリンナと共にアキレスに残っていた)。 そんなシリアが人前に姿を現すこと自体、極めて稀な事例であったのだが、モニカは両親が不在のため(正確に言えば、母のネネは生死不明)、新婦の親族達の中で彼女の「親代わり」として出席すべき人物として、シリアに白羽の矢が立ったのである(もう一人の伯母であるプリスは、息子のトオヤと共に祖母リンナの看病に従事していた)。 その上で、なるべく目立たないように渡航したいというシリアの意向もあり、今回は「護送部隊」という形ではなく、ウィルバートが一人で派遣されることになった。本来はウィルバートは暁の牙の中でも「部隊長」に相当する立場なのだが、「もし仮に巨大な敵や大人数の山賊と遭遇しても、一人で撃退出来るだけの人物」であることを期待した上での抜擢であった。 そんなウィルバートを前にして、漆黒の喪服に身を包んだシリアは、重い表情を浮かべる。 「あなたが私の護衛役ですか。よりによって『暁の牙』の……」 彼女は消え入りそうな声でボソッと呟きながら、ウィルバートに尋ねる。 「私の護衛をしろと言ったのは、あの人の差し金ですか?」 「あの人?」 「あなたのところの団長殿です」 「まぁ、団長の指示で来ましたけど、それが?」 明らかに困惑した様子でウィルバートが答えると、彼女はウィルバートの表情を凝視しつつ、更に問いかける。 「あなたはそれ以上のことは何も聞いていない、ということですね?」 その質問に対して更にウィルバートが混迷の表情を浮かべると、彼女は視線をそらしつつ、彼の答えを待たずに再び口を開く。 「すみません、特に他意はないです。よろしくお願いします」 明らかに訳ありそうな顔ではあったが、そんな事情に対して首を突っ込んでもロクなことにならないことを知っているウィルバートは、微妙に嫌な空気のまま、何も言わずにそのままシリアとその侍女達と共に、大陸へと向かうために、港町オーキッドへと向かうことになった。 1.4. 従弟と保護者 領邦国家アロンヌの東部に位置するヴァンベルグ伯爵領は、幻想詩連合の一員であると同時に、国主アントニアを初めとする聖印教会信徒の君主達が集う国として知られている。そのヴァンベルグの唯一の港町であるハルペルの領主アーノルド(下図)は、家系的にはヴァレフール貴族の血を引く一族の末裔であると同時に、オリビア領主であるコンドルセ家の遠縁でもあり、コンドルセ家の属領の一つであるライト村の領主ユリシスの従兄でもあった(なお、ユリシスがこの地の領主に赴任する前は、現当主アンリの次男フィリップがこの地を治めていた)。 先日、そのユリシスから、アーノルドに一通の手紙が届いていた。それは、オリビア城で開催予定のルイ・コンドルセとモニカ・ドロップスの結婚式の立会人として、現在ハルペルの近辺に滞在中の高名な神父であるルキアーノ(下図)を連れて来てほしい、という依頼であった。 (出典: お兄さんも作れるおじさんメーカー ) ルキアーノ神父は、聖印教会内では名の知れた「領土を持たない君主」の一人であり、主に結婚式などの祭事を取り仕切ることを専門とする聖職者である。これまで数多くの結婚式を担当し、彼の目の前で愛を誓った者達は必ず幸せになれるとされ、破局した夫婦は一組もいないと言われている(ブレトランドでも、古くはワトホート夫婦、最近ではレヴィアン夫婦の結婚式を担当したことで知られていた)。当然、それほどまでの「縁起物」となると引く手数多の存在なのだが、幸運にも今回の結婚式当日は彼の予定が空いていたため、アーノルドが協力を打診すると、あっさりと了承を得ることが出来た。 そして、アーノルドの元にはもう一通、結婚式関連の書状が届いていた。それは、彼にとっての「初恋の人」でもあるシリア・D・インサルンドからの手紙である。要約すると「ゴーバンと会う機会が欲しいから、オリビア城での結婚式に連れて来て欲しい」という内容であった。 ゴーバン・インサルンド(下図)はシリアの長男(第二子)であり、現在は諸事情により、アーノルドが治めるハルペルの地で「修行中」の身である。今は実質的にアーノルドが「父親代わり」の役割を果たしていた(その経緯はブレトランド風雲録6およびブレトランドの光と闇6参照)。ひとまずアーノルドは、ゴーバンを自室に呼びつける。 「なんだなんだ? また何か事件か?」 「いや、そうではない。まぁ、事件と言えば事件かもしれないが、めでたい話だ。君のお母さんから手紙が来てね」 その瞬間、ゴーバンは複雑な表情を浮かべる。 「え……? い、いや、俺、まだ帰らないからな!」 彼は名目上は「修行」としてこの地にいるが、実質的には「家出中」である。直接的に母親と喧嘩してる訳ではないが、彼の中には実家に帰れない「理由」があった。 「いや、すぐ帰れという話ではない。ただ、今度、アロンヌのオリビア城で、ルイ殿とモニカ殿の結婚式がおこなわれることになってな」 「あぁ、そうか。やっと決まったんだな。モニカ姉ちゃんも一年以上も先延ばしにされてたみたいだけど」 「ほう、知っているのか」 「モニカ姉ちゃんが国を出たのは、俺よりも前だからな」 そう考えると、確かに奇妙な話である。まさかモニカも、一年間も独り身のまま放っておかれるとは思わなかっただろうし、その間にゴーバンが隣国に修行(家出)で来ることになろうとは、予想出来る筈もない。 「その結婚式に、お前もついて来ないか、という話だ」 アーノルドのその発現に対して、ゴーバンは少し迷ったような顔を浮かべる。 「結婚式かぁ……。まぁ、あんまり興味はないけど、モニカ姉ちゃん、友達とかいないだろうしなぁ。俺くらいは行ってやらないとなぁ……」 実際のところ、ゴーバンもモニカとは特に仲が良かった訳ではない。気性は正反対であるし、会話も噛み合わない。ただ、それでも「親族」としての繋がりは感じていたし、「ゴーバンが家を出る理由となった事件」とも彼女は無関係なので、特段悪印象だった訳でもなかった。 「あと、モニカ姉ちゃんって、昔から色々と厄介事に巻き込まれやすいし、何かあった時には、俺が守ってやらないとな。どうせブレトランドの方もまだ色々ゴチャゴチャしてて、チシャ姉ちゃんも忙しいだろうし、リンナ婆ちゃんも病気らしいし、ウチの親族で他に来れる奴もいないんだろ?」 「あぁ。それで、君の母上も参列される、ということだ」 そう言われたゴーバンは、改めて複雑な表情を浮かべる。どうやら彼の中では、まだどこか母親と会うことに躊躇があるらしい。 「そ、そうなのか……。うーん…………、まぁ、いいや! とりあえず、俺はモニカ姉ちゃんを守るために行くから!」 「そうだな。安心させてやるといい。期日までに出発の準備を整えておくように、いいな」 こうして、翌日、ルキアーノ神父と共に、彼等はアロンヌへと向けて出発するのであった。 2.1. 城下町の諸相 結婚式当日まであと二日に迫った頃、ローラとラファエルはオリビアの城下町へと辿り着いた。領主の御曹司の結婚式の開催に向けて住民達が沸き立つ中、町中には観光客向けの出店が立ち並び、そして街の中央広場には、美しい音色を奏でる紅のヴァイオリンを弾く青年(下図)の姿があった。 その優美な旋律に街の人々が聞き入る中、彼は視線の先にラファエルを見つけると、演奏を切り上げてラファエルに向かって歩み寄り、そして唐突に話しかける。 「おぉ、ラファエルか。大きくなったな!」 「え、えーっと、すみません、どちら様でしょうか?」 「あぁ、俺はな、ネネからの預かり物をモニカに届けるために来たんだ。そのついでに祝福の曲を披露するつもりなんだがな」 男は自分の身の上も名乗らぬままにそう言った。そして、唐突に「行方不明の母」の名が出てきたことで、ラファエルは驚愕の表情を浮かべる。 「ということは、母のお知り合いの方なんですか?」 「……チシャと同じ反応だな」 約一年前のやりとりを思い出し、楽士はニヤリと笑う。そして、ラファエルの傍らに立つ少女に対して、興味深そうな視線を向けた。 「隣のその娘は、アレか? お前の……」 「契約魔法師の、ローラさんです」 その名を聞いたところで、今度は楽士の方が驚いた様子を見せる。 「ローラ? ほう、ローラという名前なのか」 「はい、ローラ・リアンと申します」 ローラ自身がそう答えると、楽士は不思議な微笑を浮かべる。 「そうか、ローラか。それはまた、偶然にしては数奇な巡り合わせだな」 楽士にとって、それは「かつて愛した女性の名前」であり、ラファエルにとっては「まだ見ぬ祖母」の名前でもあるのだが、そんなことをラファエル達が知る筈もない(詳細はブレトランド風雲録4を参照)。 「まぁ、いい。結婚式の参列に来たのなら、またそのうち式場で会うことになるだろう」 そう言って、楽士は二人の前から去って行く。その後姿を、ラファエルとローラは何とも言えぬ表情で見送っていた。 「ローラさん、あの方、ご存知ですか?」 「いえ、初めてお会いしました」 「ですよね。何だったんだろう……?」 二人はそんな会話を交わしつつ、改めて城へと向かって歩き出した。 ****** 同じ頃、別の方角の入口から、アーノルド、ゴーバン、ルキアーノの三人もまた、オリビアの城下町へと辿り着いていた。初めて来た町で物珍しそうに周囲を見渡しているゴーバンの目に、一人の「興味深い人物」が映る。 「なぁなぁ、あいつさ、あいつさ……」 ゴーバンは、自分の眼前にいる人物を指差しながらアーノルドに語りかける。 「こら、気になっても指差すのはやめなさい!」 「なんかあいつさ、すんげぇ強そうじゃね?」 そう言われて彼の指差した先にいる人物(下図)を見た瞬間、アーノルドは度肝を抜かれる。 そこにいたのは、傭兵団「暁の牙」の団長ヴォルミス。アトラタン全体でも十指(あるいは五指)に入るとも言われる剣技の使い手である。 「あれは、かの有名な『暁の牙』の団長……」 「え? そうなのか? ちょっと腕試ししてきていいかな?」 「こら! やめなさい!」 アーノルドはそう言って、全力でゴーバンの腕を掴む。ヴォルミスが何の目的でここに来ているのかは不明であるし、子供が突っかかってきた程度で真面目に相手をするような人物ではないと思いたいが、万が一、彼を本気で怒らせたら、一瞬にして首が飛びかねない。およそ気安く関わって良い相手ではない。 「そういうことは、まず私から一本取ってから言うものだ」 「保護者」にそう言われると、ゴーバンは素直に足を止める。アーノルドの本来の得物は弓であり、ゴーバンとはそもそも戦う土俵の違う相手なのだが、それでも、ゴーバンにとって最も有利な至近距離の間合いから稽古をしたところで、まだゴーバンの腕ではアーノルドには遠く及ばない。 「じゃあ、アーノルドならあいつに勝てる?」 「それが無理だから、言っているんだ」 真剣な表情でアーノルドがそう答えると、ゴーバンの中で更に好奇心が掻き立てられる。 「クレア師匠と、どっちが強いかな?」 いつの時代も、少年は「最強論争」が大好きである。「クレア師匠」とは、一時期ゴーバンに稽古をつけていた聖印教会の女騎士クレア・シュネージュのことであるが、実際のところ彼女もヴォルミスも、そのあまりの桁違いの実力故に、人前で本気で戦うことは滅多に無い以上、誰もその答えを出すことは出来ない。 なお、どうやらヴォルミスは街角で誰かと待ち合わせのために周囲を見渡しているようだが、今の時点であえて彼と関わる理由もない以上、ひとまずアーノルドはゴーバンの腕を引っ張って、ルキアーノ神父と共に、ヴォルミスがいない方の道を選んで王城へと向かうことにした。 ****** 一方、城下町のもう一つの入口からは、ウィルバートに護衛される形で、シリアとその侍女達が到着していた。そんな彼女達が大通りを歩いて城へと向かおうとしたところで、その道の中央に人だかりが出来ている様子が、彼女達の目に留まる。その群衆達に取り囲まれるような形で、「金髪の女性」と「黒髪の女性」が口喧嘩を繰り広げていた。 「なんで、あんたの方が手切れ金が高いのよ! 私の方がルイ様にお呼ばれした回数は多いのに!」 「数よりも質でしょ? あんたと私の価値の差が金貨10枚なんて、安いくらいだわ」 「生意気言ってんじゃないわよ!」 金髪の女性がそう言って、黒髪の女性に向かって近くに転がっていた小石を投げつけるが、黒髪の女性はあっさりとそれを避ける。そして小石の軌道の先にはシリアがいたのだが、すぐさまウィルバートが割って入って彼女を庇う。さすがに邪紋使いであるウィルバートの身体にはその程度では傷一つつかないが、金髪の女性はそのことを謝ることもなく(というよりも、そもそも無関係の人に当たったことすら気付いていない様子で)、黒髪の女性に向かって殴りかかり、周囲の街の人々は笑いながらその二人の喧嘩を囃し立てている。 (関わり合いたくねえな……) ウィルバートはそう思いつつも、一般人の痴話喧嘩のために道を変えさせるのは、身分のある貴婦人に対して失礼であろうと判断し、身を挺してシリアに危害が及ばないように「壁」となりつつ、そのまま野次馬達を押し分けながら、強引に真っすぐ王城へと護送することにした。その過程で、街の人々の噂話も耳に入ってくる。 「なぁなぁ、ルイ様、今度は何ヶ月持つと思う?」 「いやー、でも、あの新婦のお嬢さん、気弱そうな性格っぽいし、ルイ様が何しても許しちゃうんじゃないかな」 「あー、そうか。だからルイ様、あの人を選んだのかな」 そんな下衆な会話が聞こえてきたところで、ウィルバートはシリアの顔色を伺うと、彼女は微妙に険しい表情を浮かべている。シリアの侍女の一人は、恐る恐る彼女に声をかけた。 「大丈夫なのでしょうか? 噂通り、かなり女癖の悪い若様のようですが……」 ルイ・コンドルセに離婚歴があるという話は、彼女達も聞いている。しかも、その離婚の原因が「婿養子だったにもかかわらず、様々な女性の寝所に通い続けたこと」にあったという話も、彼女達の耳に入っていた。 「所詮、殿方とは『そういうもの』です。そうでしょう?」 シリアがそう言いながらウィルバートに視線を向けると、彼は淡々と答える。 「男でも女でも、ヒドいやつはヒドいでしょう」 そう言われた瞬間、シリアの脳裏には「かつて、婚約者がいたにもかかわらず、謎のヴァイオリン弾きと駆け落ちしようとした姉」のことが思い浮かぶ(その真相はブレトランド風雲録6参照)。無論、そのような事実をウィルバートが知る筈もない以上、別に自分の身内のことを揶揄された訳ではないのだが、それでも、これ以上この話を続ける気にはなれなかった。 「……まぁ、そうですね」 シリアがそう答えると、より一層彼女の周囲の空気が重くなっていくが、あえてそれ以上は誰も何も言わないまま、粛々と王城へと歩を進めていった。 2.2. 邂逅と再会 やがて夕刻へと差し掛かろうとする頃、結婚式を二日後に控えながらもまだどこか憂鬱な表情のモニカを警護していたイェーマの心に「謎の声」が届く。 《聞こえますか、我が前世よ》 (え!?) イェーマは思わず周囲を見渡すが、この部屋の中には自分とモニカしかいない。そして、モニカが喋っている様子もなければ、彼女はそもそもその声に気付いていない様子である。 《ようやく、私の声が届いてくれたようですね。ということは、他の星々が言っていた通り、星の仲間がこの街に近付きつつある、ということでしょうか》 その声の正体にも、話している内容にも、全く心当たりのないイェーマは混乱するが、その直後に今度は部屋の扉が開いて、新郎のルイが現れる。 「おぉ、麗しの我が花嫁よ。ご機嫌いかがかな?」 満面の笑みを浮かべながらルイが部屋に入って来ると、モニカは少し困ったような、怯えたような、そんな表情を浮かべるが、ルイは笑顔のまま語り続ける。 「色々とあなたには弟達のせいでご迷惑をおかけしてしまったのだが、もう安心だ。少々回り道をしてしまったが、それもまた人生。お互いに運命の人の存在に気付くのに、ほんの少しだけ時間がかかってしまった、というだけのこと。これから先、二人でじっくりと愛を育んでいきましょうぞ」 ルイはそう言いながら、イェーマに対して「ここは空気を読んで、二人きりにさせろ」と言いたそうな目線を送るが、一方でモニカは「お願いだから、二人きりにはさせないで」と訴えているような気がする。どうやら、モニカは今回の結婚に関して了承はしたものの、あからさまに軽薄なルイの口説き文句に対しては、どこか苦手意識があるらしい。もう結婚を決意した以上、彼のことを愛せるように努力しなければならない、と分かっていても、まだ生理的なレベルで心の整理がついていない様子である。 そんな板挟みの状態に立たせられたイェーマは、すっと目を伏せつつ、その場に立ち続ける。それは「護衛だから、この場を去る訳にはいかない」という無言の意思表示であった。自分と目を合わせようとしないイェーマを目の当たりにして、ルイは一瞬舌打ちしつつ、モニカにまた何かを告げようとしたところで、扉の外(廊下)から、一人の侍女が現れた。 「モニカ様、ラファエル・ドロップス様が到着されました」 その報告を聞いた瞬間、ルイは水を差された気分になりながらも、モニカの前で不快な表情を浮かべる訳にもいかないので、気持ちを切り替える。 「ふむ、そうか。ならば、我が新たな弟君にも挨拶しなければな」 ルイはそう言って、侍女にラファエルをこの場に連れてくるように命じる。少し安堵した表情をモニカが浮かべる中、やがて侍女がラファエルを連れて戻ってきた。 「おぉ、あなたがラファエル殿で……」 そこまで言いかけたところで、ルイはラファエルの隣に立つローラの姿に気付いた。 「おぉぉぉ、おま、お前は! あの時の!? なぜ、お前がここにいる!? そうか、あいつか! あいつの差し金か!?」 ルイがそう言いつつ、微妙に後ずさりしていくのに対し、ローラはローラで、かつて彼が聖印教会の面々と親しくしていた時の記憶が思い浮かび(実際には、あの時は成り行きで聖印教会の一派と手を結んだだけで、ルイ自身は聖印教会の信徒でも何でもないのだが)、怯えるようにラファエルの後ろへと下がる。彼女は異界の女神「ヘカテー」を信仰する一族の出身であり、聖印教会とは不倶戴天の敵同士なのである。 ここに来るまでの間にローラからその時の事情を聞いていたラファエルが微妙な表情を浮かべる一方で、モニカは何が起きたのか分からないまま困惑する中、ひとまずイェーマはラファエルとローラに挨拶する。 「護衛のイェーマです。ラファエル様と、その契約魔法師のローラさん、でしたっけ?」 「あ、はい。ラファエルです」 「ローラです、よろしく」 この時、ローラは自身が隠し持っているヘカテーの聖章(ホーリーシンボル)が、目の前のイェーマに反応して微かに揺れていることに気付く。 (!?) ローラにはその反応の意味が分からない。これまで、彼女の聖章がこのような反応を示したことは一度もなかった。だが、そこから感じられる微妙な波動は、彼女の中で「言い表し様のない程の嫌な予感」を沸き立たせていた。 一方、ルイはようやく気持ちを落ち着かせて、今のこの状況を整理する。 「そうか、契約魔法師殿、か……」 まさか結婚相手の弟の契約魔法師が、彼にとっての宿敵である「あの女」の義妹であろうとは、全くもって想定外だった。だが、さすがにそのことを理由に今更婚約を解消する訳にもいかない。その上で、ルイは無人島での「思い出したくない出来事」を必死で思い返してみる。 (こいつは「あの連中」の中では、まだ「まともな方」だったな……) 実際、彼女は怒り狂う義姉を抑えた上で、ルイに対して「人として最低限度の尊厳」を保証しようとしていた。そして、彼女も義姉もブレトランドの君主と契約を交わしている以上、仮に自分とラファエルが義兄弟の関係になったとしても、直接的に干渉してくる可能性はきっとおそらく少ないであろう、とルイは自分に言い聞かせる。 そんな思いを抱えながら、ひとまずルイがその場から退散すると、ラファエルはそんな彼を微妙な表情で見送りつつ、気持ちを切り替えて、モニカに対して笑顔で語りかける。 「姉さん、お久しぶりです」 それに対して、モニカは少し疲れたような雰囲気を醸し出しながらも、ルイがいなくなったことで安堵した表情で答える。 「ラファエル、元気そうで何よりだわ」 「姉さんは、あんまり、元気そうではないですね……」 「あ、いや、大丈夫。心配しないで。大丈夫だから。大丈夫だから……」 その様子から、明らかに彼女が「大丈夫」ではないことは、その場にいる全員が推察する。そして、その直後に今度はまた新たな来客を侍女が連れてきた。ゴーバン、アーノルド、ルキアーノの三人である。 「よ! 久しぶりだな!」 ゴーバンがそう言って部屋に入って来ると、微妙な空気だったモニカとラファエルの表情が一瞬にして和らいだ。二人にとってゴーバンは「主君筋の従弟」という微妙な関係だが、幼少時からいつも元気に誰にでも絡みに行くゴーバンは、二人にとってはどこか癒やされる「愛すべき弟分」でもある。 久しぶりに会った親族同士で和気藹々と談笑を始める中、彼と共に入室したルキアーノ神父は、イェーマを見るなり、目を見開いて驚く。 「あなた、もしかして……、イェーマですか!?」 「え? あれ? 私のことをご存知でしたか?」 イェーマがそう言って困惑する中、アーノルドも横から口を挟む。 「おや、ルキアーノ殿、お知り合いですか?」 少なくとも、この地に来るまでルキアーノ神父は「現地に知り合いがいる」とは一言も言っていない。それだけに、少々驚いた様子であったが、神父はそのままイェーマに対して語り続ける。 「あの孤児院が無くなったと聞いて心配していたのですが、ご立派になられたようで……」 感慨深そうな声色でそう語る神父であったが、イェーマには全く彼の記憶はない。この口ぶりからして、幼少期の自分のことを知っているようだが、果たしてそれが孤児院に預けられる前なのか後なのかも見当がつかない状態である。 そんな中、部屋の外の廊下から、一人の従者の声が聞こえてきた。 「神父様、こちらで御領主様がお待ちです」 「あぁ、失礼。ではまた」 そう答えて、神父はその場から去って行った。おそらくこれから、結婚式の段取りについての打ち合わせがあるのだろう。特に新婦との間で事前に確認すべきこともない以上、彼としてはこの場に長居する理由はなかった。 一方、アーノルドは自身の「籠手」がイェーマに対して特異な反応を見せていることに気付く。 (なんだ、あの聖印は……?) そんな声が、アーノルドの心に響き渡った。その声の主は「籠手」である。アーノルドの家系に代々伝わるこの「コンドール」という名の籠手は、かつて英雄王エルムンドが用いていた「五つの銀甲」の一つであり、聖印の力によって作り出された「魂」が宿っている。コンドールは困惑した状態のまま、アーノルドの心の中で語り続けた。 (この者は確かに君主。だが……、得体の知れない不気味さが感じられる……) (「護衛の彼」からか?) (あぁ、彼からだ) (……少し、注意して見ておくことにしようか) アーノルドはコンドールとの間でそんな会話を心の中で交わしつつ、そのことを気取られぬよう、あくまでも平然とイェーマに挨拶する。 「神父様と、モニカ殿の従弟ゴーバン・インサルンドの護衛、アーノルドと申す」 「護衛のイェーマです。よろしく」 そう言って答えるイェーマの様子を見る限り、特段怪しげな人物には見えない。まだあまり世間なれしていない、朴訥な青年剣士、といった様相である。現時点ではイェーマは聖印も見せてはいないため、傍目には君主かどうかも分からない。コンドールの声がなければ、むしろ邪紋使いか何かだと勘違いされそうな雰囲気ですらある。 一方、イェーマの方はアーノルドに対しては特に何の違和感も抱かぬまま、先刻のルキアーノの言葉と、そしてその前に自分の心の中に響き渡った「謎の声」のことが気掛かりな心境だったのだが、今度はそんな彼の目の前に「はっきりと見覚えのある人物」が現れる。 それは、また別の侍女によってこの部屋へと案内された「傭兵仲間」のウィルバートであった。彼の隣には、モニカの伯母であるシリアの姿が見える。十数年ぶりに「初恋の人」を目の当たりにしたアーノルドの胸中に様々な想いが沸き起こる中、モニカが彼女に声をかける。 「伯母様、わざわざブレトランドからお越し下さり、ありがとうございます」 モニカがそう言って頭を下げると、シリアは姪御のやや疲れたような様子を目の当たりにして「嫌な予感」が過るものの、まずは素直に祝辞を述べる。 「モニカ、色々とあったようですが、ようやく嫁ぎ先が決まって何よりです」 「はい……」 そう答えるモニカであったが、その彼女の様子は、彼女とは初対面のウィルバートの目にも、明らかに情緒不安定な様子に見えた。 一方、そのウィルバートに対して、ラファエルがやや躊躇しつつも声をかける。 「あなた、確かあの時の……」 実はこの二人には奇妙な因縁がある。一年前のブラフォード動乱の際、「暁の牙」に偽装したアントリア軍を率いたウィルバートは、当時ラファエルが留守居役を務めていたマーチ村を通過して、当時ガスコイン領であったケイへと援軍に向かった(詳細はブレトランド風雲録10参照)。この時点でのラファエルは「原因不明の体調不良」で病に臥せっていたため、直接面会することはなかったが、ウィルバート達が撤退してアントリア領へと戻ろうとした際に、一瞬だけ顔を合わせている。 当然、ウィルバートもその時のことは覚えているが、ここは公的な場であり、あくまでも自分は「要人の護送」のためにこの地に来ている以上、その要人の縁者との余計な因縁を表に出す訳にはいかないため、あえてその言葉に対して何も反応しようとはしない。ラファエルの側も、彼があくまで「傭兵」としてこの場にいることは理解出来たので、あえて彼が無反応を決め込むのであれば、それ以上は何も言わなかった。 そしてイェーマもまた、同胞のウィルバートが目の前にいるとはいえ、さすがに今は公務中ということで、あえて声をかけようとはしない。そんな中、ゴーバンは母であるシリアに近付き、小声で語りかける。 「なぁ……、ちょっと、いいか……?」 彼はそう言うと、母親の手を引いて、他の面々から少し離れた、部屋の隅へと連れて行く。おそらく何か秘密の会話を交わそうとしていることを察したアーノルドは、その場を動かないまま、密かに耳を傾けた(当然、彼としては、二人の話の内容が気にならない筈がない)。 「ドギのことは、知ってるんだろ?」 「えぇ……。だから、あなたの気持ちも分かります」 「ドギ」というのがゴーバンの弟の名であることは、アーノルドも知っている。だが、ドギのことについては、ゴーバンはあまり深く語ろうとはしない。おそらく何か深い事情があることは察していたが、その詳細まではアーノルドは聞かされていない。だが、やはりそれが「家出」の原因なのであろうと、改めてこの会話でアーノルドは確信した。 「俺は、帰らないからな。『あいつ』を連れ戻すまで!」 「それでいいです。ただ、命を粗末にすることだけは、やめて下さい。そして、周囲の人々の意見を聞いて下さい。あの人のようにだけは、ならないで……」 そんな二人の会話の意味は、アーノルドには分からない。また、実は密かにウィルバートの耳にもこの会話は聞こえていたのだが、彼はアーノルド以上に何も知らないため、ここから何も推察出来る筈もなかった。 こうして、それぞれに複雑な過去と因縁を胸に秘めながら、やがて親族達が諸々の会話を交わした後に、賓客達はそれぞれの城内の客室へと案内される。なお、モニカの親族三人の他に、ラファエルの契約魔法師であるローラと、コンドルセ家の親戚でもあるアーノルドも「賓客」扱いであったが、ウィルバートはあくまでも「シリアの護送」のために雇われた立場であったため、この時点で実質的には「往路の任務」を完了したという扱いとなり、結婚式が終了するまで、町中の宿屋の一室を与えられることになった。 2.3. 自分の居場所 久しぶりに親族達と会ったことで、モニカは少しだけ顔色が良くなったように見えた。だが、それでもまだ完全に晴れやかな表情になったとは言い難い。 「色々と苦労をかけるかもしれませんが、あと二日間、よろしくお願いします」 そう語る彼女に対し、イェーマは心配そうな声で語りかける。 「大丈夫? ただ疲れてた訳じゃなさそうだけど、やっぱり、結婚相手が……」 さすがに「嫌?」と直接的に聞く訳にはいかないため、イェーマは言葉に迷うが、彼の言いたいことはモニカにも伝わっていた。 「正直、あの人に関しては、私にはよく分からないというか……、でも、多分、私が生きていける場所は、ここしかないんです。お爺様が私をこの地に嫁がせようとしたのは、表向きは政略結婚ということになっていますけど、実は……」 そこまで言いかけたところで、モニカの心の中で「この人に、これ以上話して良いのだろうか?」という疑念が湧き上がる。別に、機密事項という訳ではない。だが、「あと二日で契約が切れる相手」に対して、自分の身の上話をして何になるのだろう? という気持ちが彼女の中で広がっていく。しかし、それでも、誰かに心の内を語りたい、という衝動を抑えきれなくなった彼女は、そのまま語り続けた。 「……あなたが気付いているかどうかは分かりませんけど、この土地は、普通の土地に比べて、混沌濃度が低いんです。なので、私のこの『混沌を呼び寄せる体質』を分かった上で、周囲に迷惑をかけないようにするには、このような土地に嫁ぐのが良いと思ったのでしょう」 実際、オリビア城周辺の地域は、なぜか他の土地に比べて混沌濃度が低い。その要因に関しては、一節によれば「数百年前にこの地域に降り立った異界の神々」がもたらした加護の影響ではないかとも言われているが、真相は不明である。 「混沌に魅入られた私では『聖印』を受け取ることも出来ない。かと言って、姉様のような『魔法師としての才能』もない。私が生きていくことが許されるのは、このような特別な力が働いた地しかない。お祖父様はそう思って、私をこの地に嫁がせようとしてくれた。でも、そんな私を嫌がって、城主様にとって大切なお子様が二人もいなくなってしまって……。だから、こんな私でも受け入れると言って下さったあの方のご厚意に報いなければ……。あの人に見捨てられたら、私にはもう、居場所はないんです」 イェーマとしては彼女の境遇に同情しつつも、今の「一人の傭兵」としての自分に出来ることはない。もっとも、彼を「一人の傭兵」としてではなく、「一人の男性」として見れば、様々な選択肢が理論上は存在するのだが、少なくともこの時点で、イェーマの中には「そのような感情」は存在しなかった。そして、そのことはモニカもまた分かっている以上、あまりこの話をイェーマとの間で深めるつもりはなかった。 「とはいえ、私がそこまで疲れているように見えるのであれば、私はもう寝ます」 「そうだね。ただ、覚えておいてほしいのは、君は自分の居場所が無いって言ってたけど、僕は君の味方だ」 その言葉は、モニカの心に深く突き刺さる。それはモニカに一瞬の幸福感をもたらしたが、彼女の中の理性が、すぐに彼女を「現実」へと引き戻す。 「そうですね。『あと二日』は、私の味方でいて下さい」 「いや、ずっと味方でいるよ!」 その言葉は、モニカの心の更に深層を揺り動かす。だが、それでも彼女は自分の中で「甘えてはいけない、夢を見てはいけない」と言い聞かせながら、平静を装いつつ、視線を横にそらしながら答えた。 「でも、私個人にはあなたほどの方を雇い続ける資金はないですし……」 実際のところ、彼女がルイに嫁いだ後、「彼女が自由に使える金」がどれほど与えられるかは分からない。ただ、イェーマがそれほど法外な報酬を要求しない限りは、領主婦人が護衛一人を雇い続ける程度のことは認められるだろう。そして、イェーマはこの一年間、特に危険もなく高い護衛費を受け取り続けて、特に散財する機会もなかったため、現状金に困っている訳でもない。 むしろ、モニカの本音としては、イェーマをこれ以上雇い続けられない理由は他にあった。 (これ以上、この人が私の近くにいたら、私はきっとこの人のことを……。それは駄目! 絶対に許されない! あの人に嫁ぐと決めた以上、私はあの人を愛さなければならない……。そのためには、これ以上、この人に甘える訳には……) モニカがそんな葛藤に揺れる中、イェーマは彼女にこう言った。 「一年も一緒にいるんだから、そんなすぐに見捨てたりはしないよ。契約とかは抜きにして、これは一人の『友人』として話しているだけだから」 イェーマの「友人」という言葉に対して、モニカは一瞬、何とも形容しがたい微妙な表情を浮かべるが、その表情の奥にある彼女の真意は、イェーマには全く伝わらなかった。 「今日はもう夜遅いから、僕も帰るとするよ」 そう言って去って行くイェーマの背中を見送りつつ、モニカは改めて自分に問いかける。 (何をがっかりしているの? 「友人」と言ってもらえただけでも、感謝すべきことじゃない。こんな疫病神の私のことを、真剣に心配してくれてる。それだけで、本当は心から感謝しなきゃいけないのに……。どうして……、どうして私は、いつからこんな欲張りな人間に……) 2.4. 独身領主と未亡人 モニカの部屋を去った後、アーノルドはシリアの客室を訪れていた。彼女の方も、アーノルドに言いたかったことがあったようで、快く迎え入れる。 「ゴーバンを連れて来てくれて、ありがとうございます」 「母」として丁重にそう言って頭を下げるシリアに対し、あえてアーノルドは子供の頃のような口調で語りかける。 「もともと私の方でも、神父様を連れてくるという依頼があったんだ。どっちにせよ、ここには来ていたよ。それより、久しぶりだね、シリア」 その語り口に、シリアは表情を和らげ、彼女もまた「一つ年下の幼馴染」に対して、昔に戻ったような心持ちで答える。 「あなたもすっかり、立派な領主になったみたいね」 「まだまださ。しかし、ゴーバン君は相変わらず、そちらには帰りたくないという様子だ」 その言葉に対し、シリアは少し悩ましい表情を浮かべながらも、素直に今の自分の心境をそのまま語り始める。それは、ヴァレフールの王族の一員として、決して公的な場では語ることが出来ない「弱音」であった。 「正直、私は、妻としても母としても、勤めを果たせたとは言えなかった。だから結局、ゴーバンを止めることも出来なかった、ということになるのかしらね……」 物憂げな表情で語るシリアに対して、アーノルドも悩ましい顔を浮かべつつ答える。 「すまない、私もそちらの事情は知らないことが多いから、あまり多くのことは言えないが……、彼を預かること以外にも、私に出来ることがあったら、遠慮なく言ってほしい」 真剣な声色でそう言われたシリアは、逡巡の想いを抱えつつも口を開く。 「それは……、今でも十分、迷惑をかけているし、私が言えた義理ではないけれど……」 シリアはそう断りつつ、自分が「悪い女」になっていることを自覚した上で、あえてアーノルドの善意に甘えることにした。 「……死んだあの人も、父親として、彼に道を示すことは出来なかった。だからと言って、あなたに父親代わりを押し付けるというのは、筋が通らない話だと思うけど……、でも、あなたが君主として道を示してくれれば……、あなたならきっと、ゴーバンを正しい方向に導いてくれるんじゃないかと、勝手ながら思ってる」 実際のところ、シリアは幼少期のアーノルドが自分に対して一定の好意を抱いてくれていたであろうことは、薄々察している。彼女は子供の頃から美姫として有名だったこともあり、同世代の少年達からは何度も想いを告げられては「私はいずれ伯爵家に嫁ぐよう、父から命じられていますから」と断り続けてきた。アーノルドは彼女に対して一度も明確にその気持ちを伝えたことはないものの、シリアはアーノルドから、そんな少年達と似た空気を感じ取っていたのである。 無論、あくまでもそれは子供の頃の話であり、今でもアーノルドがその時の気持ちを抱き続けてくれているとは思っていない。だが、いずれにせよ、過去の自分に対して恋心を抱いてくれていたかもしれない男性に対して、「自分と他の男性との間の息子」を押し付けるということは、やはり彼女の中では罪悪感が生まれてしまう。だが、今は「女としての罪悪感」よりも「母親としての判断」を優先すべきと彼女は考えていた。少なくとも彼女は、ゴーバンの成長のために必要な「父親役」として最適なのは、間違いなくアーノルドだと確信していたのである。 「そうなるよう、日々努力しているつもりだ。とは言っても、僕も彼には色々と気付かされてばかりだよ。本当に、こういう機会があって良かったと思っているんだ」 笑顔でそう答えたアーノルドに対し、シリアは心の底から感謝しつつ、これ以上この話を続けていると、「彼に対する更なる願望」が生まれてしまうかもしれない、と考えて、ひとまず話題を切り替えることにした。 「それはそれとして、ここの若様の評判は聞いてる? 街中で悪い噂は色々と聞いたわ。どうなのかしらね? 貴族の男性ということであれば、そりゃあ、寄ってくる女性も沢山いるでしょうけど……」 そう言われたところで、アーノルドも反応に困る。彼はコンドルセ家とは遠縁の関係ではあるが、アンリやルイとは直接的な接点はない以上、その実情はよく分かっていない。そして「貴族の男性」の一般的な性倫理がどうなのか、ということに関しても、長年清貧な生活を続けてきたアーノルドには、答えようがなかった。 「ウチの人の場合は、色事よりも殺し合いの方が好きな人だったから、あんまりそういう話は聞かなかったけど……、それでも、私だって全てを確認している訳じゃない。私の子供以外にも、あの人の子供がどこかにいるのかもしれない」 実際のところ、ヴァレフールの伯爵家においても、昔からそういった噂話はいくらでもある。彼女の義父であるブラギスもまた、自身の契約魔法師に娘(ヴェラ)を産ませていたが、実際には他にも隠し子がいたという説もある(その一人についてはブレトランド風雲録6参照)。傍若無人で知られたトイバルであれば、好き勝手に妻以外の女性を孕ませることがあったとしても、誰も驚きはしないだろう。 「そんなことは、ない、だろう、きっと……」 アーノルドが、どんな顔で答えれば良いか分からぬまま微妙な声色でそう呟いたところで、ふとシリアは思いついたことをそのまま口にする。 「そういえば、あなたはまだ独身なの?」 一瞬の沈黙が走る。そして直後に、シリアは自分が軽率に個人の領域に踏み込むようなことを(しかも「かつて自分を好きでいてくれたかもしれない相手」に対して)口走ってしまったことに気付いた。 「あ、ごめんなさい、そうね、それは色々、それぞれの人生観があるからね……」 「いや、そういうのじゃないんだ。ちょっと早合点しないでくれないかな」 アーノルドが言うところの「そういうの」が何を意味しているのかは不明だが、どうもあらぬ誤解を招いたと彼は考えたらしい。とはいえ、さすがに今のこの場で彼女に対して「本音」は言えないため、ひとまず話題をそらす(元に戻す)ことにする。 「ま、まぁ、とはいえ、その、なんだ、恋多き男性が、伴侶を貰った途端に一途になる、ということもあるらしいじゃないか。そうなることを期待するしかないんじゃないかな。決まってしまった今となっては」 「そうね、確かに……」 「じゃあ、遅くなってきたことだし、今夜はこれで」 「えぇ。あなたも、ゆっくりお休みなさい」 こうして、アーノルドはかつての想い人の客室から去って行く。そんな彼の背中を、シリアは複雑な想いで見送るのであった。 2.5. 傭兵仲間 イェーマがモニカの私室から出て、城内に設置された彼自身の私室へと戻って来ると、そこに現れた一人の男性が、イェーマに声をかける。 「よぉ!」 ウィルバートである。イェーマと同世代(一歳年上)であり、幼少期から共に「暁の牙」の中で傭兵達に囲まれて育った、兄弟分のような関係であった。彼はひとまず任務を終えたところで、イェーマに会うために(城内兵士達からイェーマの部屋の位置を聞いた上で)彼の部屋の前で待っていたのである。 「おぉ、久しぶり、だな」 イェーマはそう答えた。その声色や口調は、公的な場で雇い主達と会う時とも、モニカと二人きりの時とも異なる。おそらく、これが幼少期から荒くれ者達と共に過ごした「傭兵としてのイェーマ」の素の状態なのだろう。きらびやかな雰囲気の城内では封印していた彼の「無骨な戦士」としての一面が、ウィルバートと再会したことで解放されたのかもしれない。 「本当に。一年ぶりだもんな」 「こっちも色々あってな」 「そうだな、ここでちょっと話をしたいんだが……」 「じゃあ、近くに酒場があるから、行くか」 そんな会話を交わしつつ、二人はイェーマの行きつけの城下町の酒場へと向かうことにした。 ****** 酒場内は、結婚式を見物に来た近隣の村々の住人達で賑わっていた。まだ二日前の時点でこの調子なので、おそらく当日までにはもっと多くの人々が集まることになるだろう。二人は小さな食卓に向かい合わせで座りながら、それぞれ酒瓶を片手に語り合う。 「で、どうしたんだ?」 「いや、まぁ、仕事の関係で依頼人をこの街まで送ってきた訳だけど、久しぶりにお前の顔が見れたから、ちょっと喋りたいなと思ってな」 「確かにな。それにしても、もう一年か。長いな……」 「本当ににな。この一年、俺もヒドいことばかりあった……」 イェーマがモニカの護衛でこの街に留まり続けている間、ウィルバートはコートウェルズ遠征(ブレトランドの英霊4)、ティスホーン武術大会(ブレトランド八犬伝4)、ラピス浄化作戦(ブレトランド八犬伝8)、そしてブラフォード動乱(ブレトランド風雲録10・ブレトランド風雲録11)と、目まぐるしく各地を転戦し、その過程で、彼としては「知りたくなかった真実」を知らされるなど、精神的に疲弊させられることもあった。とはいえ、さすがにその詳細について、詳しく語る気はない。 「そっかぁ。なんというか、大変だったな。俺は特に何もなかったが……、そういえば、顔付きが変わったな」 イェーマがそう言うと、ウィルバートは改めてこの一年の諸々に思いを馳せ、複雑な表情を浮かべる。 「そうかもしれない。この一年、無駄に修羅場をくぐってきたからな……」 「で、今回は護衛だろ? こちらとしては、護衛が増えるのはありがたい話だ」 「あぁ……。そういえば、どうよ? 旦那さんは?」 「旦那さん? あぁ、アイツ……、あ、いや、あの方か」 さすがに新郎のことを「アイツ」呼ばわりするのはまずいと思ったのか、すぐにイェーマは言い直す。その上で、ウィルバートに顔を近付けつつ、周囲の客達に聞こえない程度の小声で「本音」を伝える。 「正直、あまり良くないとは思うけど、俺はあくまでモニカ様の護衛だから、モニカ様がそうしたいのであれば、止める権利は今のところ俺にはないと思う。それが正しいのかどうかは分からないけど……、まぁ、依頼だから、守りはする。もちろん。まぁ、嫌なら……、あ、いや、なんでもない」 実直なイェーマが珍しく口籠もる様子を見て、ウィルバートも、あまりこの件に関しては深くは突っ込まない方が良いと思いつつ、微妙に話題を変える。 「今回は、団長も直々に来てるからな」 「団長も!?」 「あれ? 聞いてないのか? まぁ、とにかくそういう訳だから、団長の顔を潰すような真似はするなよ」 「あ、あぁ……。というか、今回は団長が来るほどの大事なのか?」 「俺も、その辺りの事情についてはさっぱり分からん。普通は来ないと思うんだが……」 ゲイリーは「お気に入りのイェーマの様子を見に行きたいんじゃないか」と考えていたようだが、さすがにそれだけの理由では動かないだろう。シリアの様子を見る限り、彼女との間でも個人的に何らかの因縁があるように思えたが、その件について考えたところで余計な厄介事が増えるだけであろうし、あえてイェーマに伝える気もない。 「だよな……。だが、わざわざ団長が来るというのなら、警戒を強めておくことにするか」 「あぁ、あんまりのんびり飲み食いしている訳にもいかないな。お互いに注意しよう」 そう言って、二人は手元の酒瓶を飲み干したところで店を出て、それぞれの宿舎へと帰還することにした。 2.6. 女神の仮説 やがて夜が更け、夜空を美しい月が照らし、城内の客室で寝支度を整えていたローラのベッドに月光が差し込み始めた頃、彼女の脳内に「一人の女性の声」が響く。 それは、彼女が崇める異界の女神ヘカテーの声であった。 「あの青年、危険な存在です……」 それが、女神の第一声である。ローラが女神の声を聞くのは約半年ぶりであり、そして、女神の声が聞こえる時は、決まって「良からぬ出来事」が起きる時であった。 おそらく、女神が言うところの「あの青年」とは(聖章の反応から察するに)イェーマのことだろう。自分の契約相手であるラファエルの姉の護衛を務めている彼からは、ローラ自身は特に不吉な気配を感じることもなかった。だが、彼の存在そのものが危険だというのなら、ローラとしても何らかの覚悟を持って対処法を講じる必要がある。ローラは女神の意志を確認すべく、そのまま彼女の話に聞き入った。 「……彼のことは絶対に、生かしておかなければなりません」 そう言われた瞬間、ローラは一瞬混乱しつつ、あえて聞き返す。 「生かしておかなければならない?」 「危険な存在」と言われた直後にそう言われれば、聞き間違えたかと思うのも当然だろう。だが、女神はそのまま話を続ける。 「彼が死ぬと、おそらく、あの聖印が崩壊した時点で、『極めて危険な何か』が発生します」 聖印と混沌核は元は同じ存在である以上、君主が何らかの形で命を落とした場合、確かにその聖印は消滅し、その空間には混沌核が発生する。しかし、その混沌核からどのような投影体が出現するのかは、普通は分からない。仮に、その聖印が形成されていく過程で「かつて巨大な混沌核だった存在」を浄化吸収したことがあったのだとしても、それが「聖印の一部」として取り込まれた時点で、元の投影体としての性質は完全に失われる筈である。少なくとも、それが「通常の聖印」であるならば。 「彼の聖印はおそらく、本来は『非常に危険な投影体』を無理矢理封じ込めるために作られた聖印なのではないかと思われます。しかも、それはおそらく私と同じ世界から投影された、非常に危険な存在である可能性が高いです」 どうやらこの女神は、イェーマに宿っている聖印は「通常の聖印」とは異なる特殊な存在であると考えているらしい。そして、聖印が混沌核となった時点で、それを誰か他の君主が浄化吸収することも出来ないまま、即座にその「危険な投影体」が出現する、というのが彼女の憶測のようである。 「そうなんですか……」 ローラはそう呟くが、現状において、その神託が必ずしも正しいとは限らない。少なくとも、この女神は過去に「自分にとっての主神」と「主神と同じ名を持つ、全く別の世界の玩具のオルガノン」を混同した前科がある以上(ブレトランドと魔法都市1)、その言葉をそのまま額面通りに受け取って良いかどうかは分からない。そもそも、まだ実際にイェーマの聖印を見たこともない状態において、何を根拠に女神がそう判断しているのかも不明である。 とはいえ、いずれにしても「不吉な予兆」であることは間違いないだろう、ということだけは、過去の経験上、ローラとしても確信出来る。ヘカテーが自らローラに語りかける時は、いつも決まって「ろくでもない事態」が起きる時ばかりであった。 「傭兵という立場であれば、いつ命を落とすかは分かりません。問題は、彼がそのことをどこまで自覚しているか、なのですが……、少し、気をつけておいた方が良いでしょう」 実際のところ、ローラが見た限り、イェーマは自分自身が特殊な存在だと認識しているような青年には見えなかったし、この城内での扱いを見る限り、周囲の人々も、彼のことを「ただの一人の傭兵」としてしか認識していないように見えた。 その意味では、イェーマに対して何やら思わせぶりなことを言っていた神父だけは、彼の中に何かを見出しているように見えたが、さすがに異界の投影体を「女神」として崇めているローラとしては、自ら率先して聖印教会の神父に話を聞きに行く気にはなれない(なお、アーノルドの「籠手」が反応していたことに関しては、彼女は何も聞かされていないので、知る由もない)。 「分かりました」 ローラがそう答えると、彼女の脳裏から女神の気配が消える。またしても厄介な事態が自分の周囲で発生しつつあることを自覚した彼女は重苦しい気分を抱きつつ、改めて日課の「女神へのお祈り」を済ませた上で、ひとまず就寝の床につくことにした。 2.7. 勇者の星 城全体が夜に包まれ、住人達も来客達もその大半が寝静まった頃、イェーマの夢の中に「謎の声」が聞こえてくる。それは、先刻ローラの部屋で聞こえてきた声と同じ響きを放っていた。 《聞こえているのですよね? 私の声が》 夢の中で唐突にそう問われたイェーマは、その謎の声の主に対して叫ぶ。 (誰だ!?) 《私は「あなたの来世」に相当する者です。「天勇星」と呼ばれていますが、あなたにとっては名前はどうでも良いものでしょう。私があなたに伝えるべきことは……》 夢の中のイェーマが混乱した状態のまま、その「謎の声」は話を続ける。 《……このままではこの世界は崩壊する、ということです》 (えぇ!?) さすがに、唐突すぎるその宣言に対して、イェーマは更に困惑を深める。 《ブレトランドの民ではないあなたがご存知かどうかは分かりませんが、「大毒龍ヴァレフス」という存在について聞いたことはありますか?》 (ヴァレ……?) イェーマには全く聞き覚えがない。彼の中で「ブレトランド」という地名は「モニカの故郷」という程度の認識でしかない。そして彼女がイェーマに対してそんな「昔話」をあえて語るような機会もなかった以上、知る由もなかった。 《数百年前にこの世界を危機に陥れた、ブレトランドで出現した巨大な大毒龍です。それがもう一度、この世界に蘇ろうとしています》 そう言われても、今ひとつ事態の深刻さが理解出来ずにいるイェーマであったが、その「天勇星」と名乗る謎の声は、そのまま話を続けた。 《私は、今、この世界を『星』として照らしています》 (星?) 《私は元々は『あなた』でした。あなたが、これから数年後か、数十年後かは分かりませんが、命を落とした後、星界(Starry界)という世界に転生した後、今から約2000年のこの世界に「投影星」として現れた存在。それが私です》 その説明を聞いても、イェーマとしては即座に全容を理解することは出来ない。ただ、君主として、最後の一節で語られた「投影星」という言葉が気になった。 (つまり、お前は投影体なのか?) 《そうです》 (俺は将来、投影体になるのか?) 《正確に言うと「あなたの来世」が、です。「来世」という考え方が正しいのかどうかは知りませんが、私は他の言い方を知りません》 (なるほど……) まだ完全に理解出来た訳ではないが、ひとまずそのまま話を聞くことにした。 《その上で、私には前世、つまり「私があなたであった時」の記憶は殆どありません。だから、詳しいことは分かりません。ただ、感覚的に一つ言えることは、あなたは間違いなく「私の前世」である、ということです。あなたは夜空を見上げた時、他の人には見えない星が見えていますよね?》 (あぁ、そう言えば……) 《それが、元は八つ。その星の数が、最近になって増えてきている筈です》 確かにイェーマは子供の頃から、「他の人には見えない特殊な輝きを放つ八つの星」が見えていたし、その数はここ数日の間に急速に増えつつある。厳密に言えば、増えた星々の中には「最初から存在していた八つの星」と同じ輝きの星もあれば、色合いが異なる星もあったのだが、いずれにせよ、それらの正体についてはこれまでずっとイェーマの中では謎のままであった。 そして天勇星はイェーマに対して、自分達と大毒龍のこれまでの戦いについて語る。かつて星界に大毒龍が出現し、108星の力を結集して倒したこと。その大毒龍の投影体が「約2000年前のシャーン(大陸極東地方)と「約400年前のブレトランド」に出現したこと。最初の投影の時は、同時に出現した108星が「異世界(天界→地球)に再転生した自分達の分身」を召喚することで倒したこと。二度目の投影の時は当時のブレトランドで戦っていた「英雄王エルムンドと七人の騎士」に八星の力を託し、残りの百星は「名を知られていない一人の魔法師」によって大毒龍に叩き込むことで、どうにか倒したこと。そして、残った八星が「イェーマ以外の人々の目には映っていなかった八星」であるということ。 だが、「英雄王エルムンド」の伝承も知らないイェーマには、この話を聞いても、今ひとつしっくり来ていない様子である。とはいえ、それは天勇星にとっても大した問題ではない。より重要なのは「過去を知ること」よりも「未来を築くこと」なのである。 《まだ実感はないかもしれませんが、あなたには「私の力」を受け取ってほしい。というよりも、「私の力」をあなた自身の手で、この場で作り出してほしいのです。そのために、あなたの望む「理想の未来」を思い描いてほしい》 なぜ自分にそのような力があると言えるのか、その根拠がまだよく分かっていないイェーマであったが、ひとまず彼は、その要望に対する疑問を率直に投げかける。 (望む未来か……。ざっくり言うとそれは、願いを叶えるため、ということか?) 《そうですね。あなたがこの世界で実現したい未来、です》 天勇星にそう言われたイェーマは、少々悩み始める。実際のところ、今のイェーマにはこれといった「我欲」や「野望」がない。自分自身のために叶えたい願い、というものが、具体的に思いつかなかった。 (それは、他人の未来でもいいのか?) 《問題ないです。世界そのものの未来でもいいですし、誰か個人の未来でもいいですし、不特定多数の人々の未来でも良いです。あなたがこれから先、作り上げたい未来です》 (作り上げたい未来、か……) イェーマはそう呟きつつ、今の自分の「願望」を思い浮かべる。 (それなら、モニカの周囲に起こる混沌災害を無くしてほしいな。そういうのでもいいのか?) 《なるほど。それがあなたの今の一番の望みなら、それで構いません。その未来像を強く思い描いて下さい》 イェーマが言われた通りに「モニカが混沌災害に苦しまずに済む未来」を想像すると、彼の目の前にその願いが「青白い輝きを放つ星」となって現れる。それは、彼が幼少期から毎晩夜空で見てきた八つの「他の人には見えない謎の星々」と同じ光を放っており、どこか聖印の輝きにも似ていた。 (おぉ!) 《それがあなたの力の源です》 イェーマがその星に触れると、彼の身体の中に吸い込まれていく。 《それは星核(スターコア)。聖印でも混沌核でもない、「星の前世」の者達だけが生み出せる力です。その星核の力を百八個集めれば、大毒龍を倒せます。そして今、おそらくこの地に、他の星核の創造主も何人か集まりつつある筈です》 天勇星がそう考える根拠は、他の星々から聞かされた(星同士の間でしか共有出来ない)情報に由来している。もともと夜空に浮かんでいた八つの星のうち、現時点で星核の力を覚醒させたのはイェーマが五人目であり、過去の四人の時も(他の者達とは異なる経緯で力を手に入れた最初の「一人目」以外は)星の声が届いた時点で、その近くに同じ星の力を持つ人々が集まっていた。おそらく今も、同じような状況にあるのではないか、という推測である。 《誰が「星の前世」なのかは、聖印なり魔法なり邪紋なり、その人が持つ力を発動させれば、本能的に分かる筈です。私の中の仲間の記憶が、あなたの心に同調して伝わる筈ですから》 そう言われたところで、やはりイェーマとしては実感しきれてはいないが、ひとまずそう言われるのであれば「その時が来たら、分かるのだろう」と割り切るしかない。 (とりあえず、何年後かに龍が出て来て、それを倒す、ということでいいのかな?) 《正確には分かりませんが、おそらく出現まで一年も無いと思います。そして、仲間の一人が今、とある湖の近くに砦を築いたという話も届いています。ただ、問題はこの大毒龍という存在自体が、ブレトランドの人々にとっては恐怖の象徴です。そしてこの大毒龍は、人々の恐怖心を糧としています。つまり、大毒龍が復活するという話が広まれば広まるほど、大毒龍は力を増します》 (じゃあ、秘密裏に探した方がいい、ということか) 《その通りです。この話を教えても問題がないのは、仲間の人々と、あなた達であれば必ず大毒龍を倒してくれると、あなた達のことを信用してくれる人だけです》 そこまで自分を信用してくれる人がいるかどうか、イェーマにはよく分からない。だが、願いを叶えるにはそれくらいの困難が必要となるのだろう、と自分に言い聞かせる。 (分かった。じゃあ、これで契約成立、かな?) この場合「契約」という表現が適切かどうかは微妙な話だが、傭兵であるイェーマにとっては、それが最も馴染みのある言葉なのだろう。 《はい。そうですね。その上で、これから先、仲間を見つけた場合、あなたの星核をその人に触れさせることによって、その力は伝わる筈です》 天勇星はそう告げたところで、まだ何か他に聞きたいことがあるかどうか、イェーマに確認しようとしたが、その前にこのイェーマの夢の中に、唐突に「異物」が紛れ込むことになる。 2.8. 熊と蝙蝠の夜想曲 それは、ヴァイオリンの音色であった。イェーマは即座に、これは「夢の中の音」ではなく、「現実世界の音」だということを理解し、次の瞬間、彼は目覚めて寝床から飛び起きて、そのヴァイオリンの音が聞こえてくる方向を確認する。それが城の中庭の方面から発せられていることを確認した彼は、即座に武装を整えた上で、部屋を飛び出した。少なくとも、この城には「夜中にヴァイオリンを奏でる」という風習はない。そして、このヴァイオリンの音色から、彼は何らかの「不吉な気配」を感じ取っていたのである。 イェーマの寝室は城の二階にあるため、中庭に向かうには階段を降りる必要がある。まずその前に窓から中庭の様子を確認した彼は、一人の青年が月明かりの下で紅のヴァイオリンを弾いている姿を発見する。そして、ゆっくりとその彼に向かって近付いていく「寝間着姿のモニカ」の姿を発見した彼は、慌てて階段を駆け下りて、そのまま中庭へと直行した。 その間に、中庭では楽士の青年がヴァイオリンを弾きながらモニカに語りかけていた。 「モニカ、君は本当に今回の結婚を願っているのかい?」 「……」 「今、君にとって大切な人が他にいるのなら、その想いを貫けばいいんだよ」 「……」 「いるんだね? 誰なのかな? その果報者は」 楽士がそこまで問いかけた数秒後、イェーマが辿り着いた。この時点で、モニカは楽士に対して、虚ろな表情で何かを伝えているように見えるが、その内容までは(ヴァイオリンの音にかき消されて)イェーマの耳には届かない。 そしてイェーマの姿を確認した楽士は演奏を止め、それと同時に、モニカは膝から崩れ落ちるようにその場に倒れようとするが、イェーマが即座に走り込んで、彼女の身体が地に着く前に抱き抱え、そして楽士を睨む。そんな彼の鋭い視線に対して、楽士は興味深そうな微笑を浮かべた。 「君が、イェーマ君かな?」 「そうだが、お前は誰だ!?」 「このうら若き花嫁の本音を聞きたいと思ってね。Ladyの部屋に忍び込むのも無粋なので、この美しい月明かりの下で語ってもらおうと思い、呼び出したのだが……、どうやら、厄介なものが目覚めてしまったようだな」 楽士がそう言って周囲を見渡すと、中庭の辺りに次々と混沌核が収束していくのが分かる。本来、この城内はオリビア地方の中でも特に混沌濃度が低く、およそ混沌災害が起きることはないと言われていた土地なのだが、それでも、体感的に少し混沌濃度が上がっているようにイェーマにも感じられた。 イェーマが警戒しながら剣を構えると、少し遅れてローラとウィルバートも中庭に現れ、そして二階の窓の一つから、アーノルドが弓を構えているのが分かる。どうやら、彼等もヴァイオリンの音と、そこに込められた不吉な気配に気付いて、現場へと急行したらしい。 やがて、中庭の各地に、イェーマとモニカと楽士を取り囲むように八体の「巨大な熊のような形状の魔物」が出現する。どこの世界から投影された存在なのかは彼等には分からないし、自然発生した投影体なのか、何者か(楽士?)によって使役された従属体なのかは分からないが、少なくとも、イェーマ達に対して友好的な態度は示していない。 (モニカの気持ちを高ぶらせてしまった結果がこれか……。やはり、「ローラ」の血を最も強く受け継いでいるのは彼女らしい) 楽士は心の中でそう呟きつつ、再びヴァイオリンを奏で始める。すると、彼の周囲に無数の蝙蝠達が出現し、イェーマとモニカの周囲を飛び回る。(同世代・同門の召喚魔法師の影響もあってか)召喚魔法のことにもある程度通じているローラの目には、それらが二人を守ろうとしているように見えたが、他の者達にはその意図は分からない。 だが、少なくともその混沌の規模から察するに、蝙蝠よりも八体の巨大熊達の方が危険な存在に思えたアーノルドは、聖印を掲げた上で、二階の窓から三本の火矢を同時に熊達に向かって放った。その中の一本は熊の身体に刺さると同時に聖印の力によって「鎖」へと変わり、そのまま熊の身体を縛り上げる。そしてこの時、イェーマの中に宿る天勇星がその聖印の力に「既視感」を感じ、その感覚がイェーマへと伝わる。 《この力は、おそらく「天の星」の一つ……》 更に続けて、ウィルバートがその身を「龍」の姿へと变化させると、ローラは直後に魔法でその牙を強化させ、そして彼は夜陰に紛れて影から虚を突くように熊の一体の身体を刳り裂き、更にそこにアーノルドからの援護射撃も加わったことで、その熊は一瞬にして倒れ込む。この時点で、イェーマの中ではローラの魔法とウィルバートの身体に対しても「同じような懐かしさ」を感じていた。 《この二人の力は、おそらくは「地の星」……》 天勇星のこれらの声は、この戦場に集中していたイェーマには届いていない。ただ、その既視感だけがうっすらと感覚的にイェーマの心に伝わっていた。なお、ウィルバートに関しては(以前はここまではっきりと龍の姿になることは出来なかったものの)過去に何度もその邪紋の力を見たことはあった筈なのだが、イェーマが天勇星の星核を自ら作り出したことで、それまで感じることが出来なかった感覚を共有出来るようになったらしい。 もしかしたら、この三人が、天勇星が言っていた「星の前世」なのかもしれないとイェーマは思いつつも、まずはこの目の前の状況をどうにかしないことには会話も出来ない。そして、イェーマは本来、一人で多くの人々を守るために、聖印の力によって敵の憎悪を自分一人に引きつけて撃退する戦術を得意としているのだが、モニカを抱えた状態ではそれも難しいと判断した彼は、彼女を抱えた状態のまま、現時点で最も熊から遠い位置にいるローラへと向かって走り出す(そして蝙蝠達も彼に引きずられるようについていく)。 「魔法師さん、彼女をお願いします!」 イェーマはそう言って、モニカをローラの傍らに寝かせると、すぐさま取って返してウィルバートの加勢へと向かい(蝙蝠達はこの時点でイェーマからは離れて、今度はモニカとローラの周囲を飛び回っていた)、ウィルバートを襲おうとしていた熊の目の前に立ちはだかると、彼に代わってその凶爪を受け止める。これに対して、二階の窓からアーノルドが聖印の力でその熊の一撃の威力を抑えようとするが、それでも完全に止めきることは出来ず、イェーマは深手を負い、その身体からは血が流れ落ちる。 一方、他の熊達は中央でヴァイオリンを奏でている楽士に向かって襲いかかるが、彼はモニカの安全を目で確認しながら、飄々と演奏を続けながらも軽々とその攻撃を交わし続けていた。その様子を二階から眺めていたアーノルドは、困惑しつつもこの状況を整理しようとする。 (あの魔物達から攻撃されてる? ということは、奴が呼び出した訳ではないのか?) 当初、アーノルドはあの楽士こそがこの混沌災害の原因だと考えていたが、明らかに彼のヴァイオリンによって出現した蝙蝠達には一切攻撃する気配がなく、逆に熊達が楽士を襲っているという状況から、少なくともこの「巨大熊との戦い」という戦局においては彼は「敵ではない」と認識して良いのだろうと判断した上で、アーノルドは楽士に対して、弓を構えた。 「楽士殿!」 次の瞬間、楽士の身体に向けてアーノルドは特殊な光の矢を打ち込む。それは、弓を得意とする一部の君主にのみ発動可能な「貫かれた者を瞬時に別の場所へと移動させる能力を与える矢」である。楽士は即座にその意図を理解し、すぐにその場から離れると、その直後に(楽士を殴るために)その場に集まっていた熊達にアーノルドはまとめて攻撃し、その中の一体はその場に崩れ落ちる。だが、それでもまだ六体もの熊達がこの戦場には残っており、まだ数の上でも熊達が優勢な状況にあった。 そして、血を流しながら戦い続けているイェーマを目の当たりにしたローラは、先刻の女神の言葉を思い出す。 (この人が死んだら、大変なことになる!) そう決意したローラは、まずイェーマに対して(義姉譲りの錬成魔法の技術を用いて)万能薬の効能を抽出した結晶体を形で投げ込むことで、彼の傷口を塞いで出血を止めつつ、巨大な雷撃魔法を中庭の中心にまとまっていた熊達に向かって放ったことで、四体の熊を同時に消滅させることに成功する。ローラはもともと性格的に人を傷つける類いの魔法は得意ではないが、「人以外の存在」に対してであれば、躊躇なくその力を解き放つことが出来る。その圧倒的な威力によって、一瞬にして形勢は逆転した。 (すげー!) イェーマは心の中で簡単しつつ、生き残った二体をウィルバートと力を合わせてどうにか撃退する。そして、熊達の脅威が去ったことを確認した楽士が演奏を止めると、蝙蝠達もまた夜陰に紛れて姿を消していくのであった。 2.9. 未練と宿縁 こうして、ようやく城の中庭が真夜中の静寂を取り戻したところで、また別の客人がこの地に現れる。シリアであった。彼女もまた、ヴァイオリンの音色が聞こえてきたところで「嫌な予感」を感じ取って、この場へと向かったらしい。そして彼女は、楽士と目があった瞬間に、その「嫌な予感」が的中していたことを確信する。 「あなた! 姉上のところに出入りしていた、あの……」 彼女の中では、それは思い出したくもない「忌まわしい記憶」を呼び起こす存在であった。 「おや、これはこれは妹君。相変わらずお美しいお姿で」 「『昔のままの姿』のあなたに言われても、嫌味にしか聞こえませんわ。これだから地球人は……」 「いやいや、本当にお美しい方は、歳を重ねてもなお美しい。むしろ、歳を重ねることによってこそ醸し出される美しさもある」 そのやり取りを窓から見たアーノルドは、不穏な空気を感じて、慌てて一階へと駆け下りる。その間にも二人の会話は続いていた。 「むしろそのお言葉は、姉上にでも言ってあげて下さい」 シリアにそう言われた楽士は、それまでの軽薄一辺倒の満面の笑みから、少し影を帯びた表情へと変わり、そして口調も一変する。 「俺はもう、彼女にはフラれた身だからな。この世界で言うところの、二十年以上前に」 「……で、今度は妹の私に手を出す気ですか? こんな出涸らしのような私に」 「いや別に彼女にフラれたからじゃない。そこに美しい女性がいれば、俺はいつでも愛を捧げる。それだけのことさ。だから今のあなたが寂しい想いをしているのなら、放ってはおかない」 「あいにく、私には子供達がいますから」 「そんなことは些細な問題だが……、どちらにしても、今はその時ではないな」 楽士は周囲を見渡しながらそう呟きつつ、ゆっくりとその姿が宵闇へと溶けるように消えていく。それと入れ替わりに、激しい足音を立てながら、一人の男が走り込んできた。傭兵団「暁の牙」の団長ヴォルミスである。 「団長!?」 イェーマとウィルバートが声を揃えて驚く中、ヴォルミスは中庭の状況を確認する。彼は城の外壁の警備を担当していたのだが、城の中庭の方面から戦いの物音が聞こえたため、慌てて駆け込んで来たらしい。 「どうにか、俺が来る前に片付けたようだな」 ヴォルミスはそう言いつつ、何か言いたそうな団員二人には目もくれず、真っ先にシリアに視線を向ける。 「よぉ、久しぶりだなぁ、姫さん」 「……あなたの中では、まだ私は『姫』なのですか?」 シリアが(先刻までの楽士に対する表情以上に)嫌そうな顔を浮かべながらそう尋ねたのに対し、ヴォルミスはニヤリを笑いながら答える。 「そうだな。あの時の約束を果たしてもらうまで、俺の中で『あんたの時』は止まったままだ」 「では、気付いていたのですね。それなら、何故その時に……」 「アレはアレで『手付金』としては悪くなかったからな。ある意味、『本物以上の価値』だった。もっとも、別にあんたにその気がないなら、今更どうこうしようとは思ってねえよ。ただ、永遠に果たされない約束として、あの時のアンタが俺の中に居続けるだけだ。こう見えて、意外とロマンチストなんだよ、俺は」 ヴォルミスはそう言って、周囲の安全を確認した上で、呆然とした様子のイェーマやウィルバートには何も告げぬまま、その場から立ち去っていく。そして彼と入れ違いに、今度は階段を駆け下りたアーノルドが中庭に辿り着いた。 「皆さん、無事ですか!?」 激しく息を切らしながら彼がそう叫ぶと、その場には既に楽士がいないことに驚く(なお、直前までヴォルミスがいたことには彼は一切気付いていない)。 「あのヴァイオリンの男は?」 「消えました。煙のように」 そう答えたのはイェーマである。当然、言っているイェーマ自身も、どういう原理で彼が姿を消したのか、全く理解出来ていない。アーノルドは先刻のシリアに対する彼の態度を思い返しながら(その具体的な会話内容までは聞こえてはいなかったが)、心の中にモヤモヤした感情が溜まっていく。 (一体、あの男は何者なんだ? やはり、熊達と一緒に狙い撃ちすべきだったか……?) 一方、モニカはまだ気を失った状態のまま、ローラの隣で眠っている。シリアはそんな彼女に駆け寄りつつ、彼女にこれといった外傷がないことを確認した上で、周囲の面々に対して改めて問いかける。 「とりあえず、何があったのか説明してもらえますか?」 それに対して、ひとまずアーノルドが大まかな状況は説明するが、楽士とイェーマの会話までは聞こえていなかったため、その点に関してはイェーマが付言した(その前に楽士がモニカに語りかけていた内容については、誰も聞こえていない)。 シリアはその説明を聞いた上で、不可解な顔を浮かべながら首をかしげる。 「なぜ、彼がモニカに……? トオヤやロジャーなら分かるのですけど……」 困惑した様子のシリアに対して、アーノルドが問いかける。 「彼の目的に心当たりがあるのかい?」 先刻までの「二人きりの時」の幼馴染口調のまま問いかけたアーノルドに対し、シリアは(他の人々の目もあったので)公的な「王族としての口調」で返す。 「彼は昔、私の姉と『色々』ありましたので……。でも、モニカの両親とは……、少なくとも、彼女の父であるマッキーとは何も関わりはなかった筈なのですが……」 そこまで言った上で、改めてシリアは真剣な表情でその場にいる者達に明言する。 「……ただ、一つはっきり言えることは、彼が関わるとろくなことにはならない、ということです。おそらく、皆が不幸になります」 何を根拠にそう言っているのかは誰にも分からなかったが、誰もが皆、なんとなく彼女の言いたいことは理解出来たような気がした。 その上で、イェーマは、ひとまず気を失ったままのモニカを抱えて彼女の部屋へと連れて行き、アーノルドとシリアもモニカの部屋までは彼と同行する(ウィルバートとモニカはひとまず自分の宿舎へと戻る)。その後、モニカを自室のベッドで寝かせたところでシリアもまた自室へと戻り、そしてイェーマは万が一に備えてこの日は彼女の部屋の扉の前で座りながら眠ることにした。 アーノルドはそんなイェーマの姿勢に感服しつつ、改めて彼の目の前で聖印を掲げる。 「警護を担当して下さるということで、恩に着ります。応急手当だけでもさせて下さい」 彼はそう言って、先刻の戦いで受けた傷を聖印の力で治療する。そして、この時点でもイェーマは彼の聖印から「昔どこかで感じたような気配」を感じていた。 「ありがとうございます」 イェーマがそう言って、扉の前に座り込んだのを確認すると、アーノルドは立ち去って行く。その後姿を眺めながら、イェーマは改めて、アーノルドから感じられた「気配」を思い返していた。 (あの人達が「星の前世」なのかな……) そんな不確かな感覚を旨に、彼は剣を片手に扉の前で座り込んだまま、徐々に眠りに就いていくのであった。 3.1. 星を求めて 翌朝。陽の光が廊下を照らし始めた頃に目を覚ましたイェーマは、扉の奥でモニカが目覚めたような物音に気付く。モニカに気を使わせたくないと考えた彼は、夜通しで番をしていたとは気付かれぬよう、たまたま朝の時点で通りかかったような様相を装いつつ、部屋から出てきた彼女の前に姿を現した。 「あぁ、おはよう」 「おはようございます。あ、その、えーっと、その……」 モニカはイェーマに対して、何か言いそうな素振りを見せるが、上手く言葉が出て来ない。 「……すません、なんでもないです」 そう言って、モニカは自ら話を打ち切った。どうやら彼女は、昨夜のことを何かうっすらと覚えているようだが、それが現実だったのか夢だったのか、よく分かっていない様子である。ただ、(ヴァイオリンの影響か否かは不明だが)ぐっすり寝ることは出来たようで、顔色は少なくとも前よりは良くなっている。その点に関しては、イェーマは安堵していた。 なお、この日は結婚式の前夜祭として、一部の来客達を招いた祝宴が開かれる予定であった。言わば新郎と新婦にとっての「独身最後の宴」である。 「今日は、前夜祭までに何かするの?」 「そうですね。昼の間に、明日の挙式とお色直しの衣装の確認を……」 「なるほど……」 そうなると、さすがに男性の身であるイェーマには、彼女を護衛するにも限界がある。この日の彼女の身辺警護に関しては、城の人々に任せるしかない。その上で、昨夜のような謎の混沌災害が再発しないとも限らない以上、イェーマはまず、昨晩の中庭での戦いに協力してくれた面々を集めて(「星」の件も含めて)改めて話をしよう、と思い立った。 ****** 最初に向かったのは、傭兵団の同胞であるウィルバートの宿である。最終的に城で集まることを考えると、まずは城外にいる彼を連れて来るのが優先であろう。そもそもウィルバートの場合、今日は「非番」である以上、早めに声をかけなければ会える保証もなかったのだが、幸いにも、イェーマが宿屋を訪れた時、ウィルバートはまだ自分の客室にいた。 「あぁ、どうした?」 「昨日のこともあるので、ちょっと話をした方が良いかと」 イェーマにそう言われたウィルバートは、昨夜のことを思い返した上で、少し考える。確かに今の自分は非番の身だが、明らかに何か不穏な気配が広がっていることは間違いない以上、ここで黙って傍観する気にはなれない。傭兵として、任務(往路)と任務(復路)の間に独自の判断で動いて良いかどうかは微妙な問題だが、少なくとも護送対象が危険に晒される可能性がある以上、混沌災害の芽は先に摘み取っておくべきだろう。 「そうだな……。じゃあ、団長の所に行くか?」 ウィルバートはそう提案する。だが、イェーマとしては、確かに団長の昨夜の発言なども色々と気になるところではあるが、現状においてはまず、「星の前世」についての話を進めておきたかった。そのためには、「星の前世の一人」であるかどうかの確信が持てない団長よりも先に、まずは「星の前世である可能性が高い三人」を相手に「星核」を覚醒させることが出来るかどうかを確認しよう、と考えていた。 「とりあえず、まずは今回の来客の護衛を担当している人達と一緒に話したい」 「なるほど、そうか」 ウィルバートとしても、それならそれで納得出来る話でもある。実際に昨夜の戦いに参加していた面々の方が話は通じやすいし、立場的にも結婚式当日は同じような役回りになることが予想される面々の方が、連携も取りやすいだろう。その点に関して言えば、中途半端にヴォルミスを混ぜることによって、彼の指揮下にはないローラやアーノルドとの間で足並みが揃わなくなる可能性もある。この一年の間に何度も「実質的な多国籍軍」の一員として戦った経験を持つウィルバートとしては、ひとまず今回はそのイェーマの提案に乗ることにした。 ****** 続いて、二人は城に戻った上で、アーノルドの客室へと向かった。アーノルドはイェーマから話を聞くと、即座に理解を示す。というよりも、彼も彼で、昨夜の件がずっと気掛かりであったが故に、まさにこの話は渡りに船だった。 「分かった。そういうことなら、今から行く。少し待ってくれ」 そう言って、彼はいつでも臨戦態勢に入れるように、武装を整える。結婚式の前日に物々しい装備で城内を闊歩するのは本来ならばあまり望ましい話ではないが、城主に雇われた新婦の護衛役からの協力要請というお墨付きがあれば、抵抗も少ない。 「あとは、ローラさんですね」 イェーマが二人にそう告げると、アーノルドはこう言った。 「彼女を同席させるなら、ラファエル殿も一緒にいた方が良いのではないか?」 ラファエルは昨晩の戦いには参加していないが、聖印を持つ君主である。歳はゴーバンと2歳しか違わないが、既に領主代行としての勤めを果たしていることから、彼はただの賓客ではなく、自分達と同じ「戦力」として計算に入れるべき人物であるようにアーノルドには思えた。そもそも、君主と契約魔法師の関係である以上、彼女がその話の内容をラファエルに伝えるのを止めることも出来ない(なお、事態の全容がまだ不明ということもあり、アーノルドとしてはゴーバンを同席させるつもりはなかった)。 イェーマとしても、確かにその理屈は分かる。ただ、ラファエルに関してはヴォルミスと同様、まだ「星の前世」としての兆候が見えない以上、今の時点で巻き込んで良いかどうかは分からない。天勇星曰く、「星の前世のことを信頼している者」であれば、108人以外の者に対しても話しても良い、という話ではあったが、ローラとラファエルの関係性についてはまだ殆ど何も知らない以上、今の時点で判断することは難しい(そしてイェーマ自身が契約魔法師を抱えた経験もないため、どのような関係性が一般的なのかについても、よく分かっていなかった)。 そこで、ひとまずはローラに話を振ってみた上で、彼女が望むならばラファエルも同席させる、という方針を固めた上で、彼女の部屋へと向かう。 ****** その頃、ローラはラファエルの客室を訪れていた。彼女もまた昨夜のことが気になって、主君に報告していたのである。 「なるほど。そんな大変なことがあったのですか……」 どうやらラファエルは、昨夜のヴァイオリンの音には全く気付かなかったらしい。実際のところ、城内においてもあの音に気付けた者は(なぜか)ごく僅かであったが、その後の熊達との戦いの喧騒で目を覚ました人々はそれなりにいる。だが、ラファエルは(よほど疲れて熟睡していたのか)その物音にも気付けなかったため、昨夜はすっかり快眠だったらしい。 その上で、ローラはラファエルに対してもう一つ、報告すべき情報があった。昨夜のこともあって嫌な予感が湧き上がっていた彼女は、今朝の時点で時空魔法を用いて「今日の前夜祭で起きそうな出来事」に関する予兆を調べていたのである。その結果、彼女は「君主」「混沌」「乱入」「暴走」「帰還」「怨念」「殺戮」という七つの言葉を導き出していた。決してそれが「確定した未来」という訳ではないが、明らかに不穏な言葉が混ざっているのは見逃せない。 「なるほど。おそらく、ここの契約魔法師殿も同じような予言を得て、『暁の牙』の団長ほどの人物までをも雇うに至ったのでしょう。しかし、『怨念』かぁ……」 この時点で、ラファエルとローラは同時に「嫌な心当たり」が思い浮かぶ。 「『怨念』は、その……」 ローラが言いにくそうにしているところで、ラファエルは付言する。 「でも、『魔法』や『魔法師』という言葉はない」 「はい」 「『錬成』という言葉も」 「はい。ですので、その、お姉さまに関することではないのかもしれません」 「まぁ、原因が何であろうと、気をつけなければならない。前夜祭も、無粋ではあるけど、帯剣した状態で出席させてもらうことにしよう」 そこまで言ったところで、ラファエルは改めて「昨日、城下町で出会った楽士」のことを思い出す。ローラが見た限り、それは「昨夜、中庭に現れた楽士」と、明らかに同一人物であった。 「あの人は一体、何者なんだろう? 僕のことを知ってて、しかも、行方不明の筈の母様からの預かり物もある、と言っていた。本当かどうかは分からないけど……」 二人がそんな会話を交わしているところに、イェーマが到着する(彼等は最初はローラの部屋に行ったものの、不在だったため、周囲の人々から居場所を聞いて、ここまでやってきた)。 「あ、ラファエル様。ローラ様とちょっと話をしたいのですが、いいですか?」 そう言われたところで、ラファエルよりも先にローラが答える。 「じゃあ、しばらく席を外しますね」 そう言って、彼女はあっさりと単身でイェーマ達に合流する。こうして、どうにかイェーマの目論見通り、「星核候補者達」だけを集めることにイェーマは成功したのであった。 ****** 「まずは、窓からの参戦という形になってしまったこと、申し訳ない」 四人が揃ってイェーマの部屋に集まったところで、開口一番にアーノルドはそう言って頭を下げた。もともと遠距離戦においてこそ本領を発揮する聖印の持ち主とはいえ、自分よりも遥かに年下の、しかもまださほど親しい訳でもない(魔法師を含めた)面々に前線を任せて、安全な場所からの参戦となってしまったことに、後ろめたさを感じていたらしい。 「いえ、むしろご協力ありがとうございます。助かりました」 イェーマはアーノルドに対してそう告げた上で、改めて疑問に思っていることを皆に対して率直に投げかける。 「昨日のあの『ヴァイオリンの人』のことなんですけど、どう思いますか? 私のことを知っているようでしたが、私はあの人のことを何も知らないので……。何か、ご存知ですか?」 彼のことに関しては、この場にいる者達は誰も何も知らない。しいて言えば、「ラファエルのことも知っているらしい」ということをローラは認識しているが、そのことがイェーマと彼の関係を読み解く上での手掛かりになるとも考え難かった。むしろ、ローラとしてはイェーマ個人の素性を確認したいところだったのだが、「異界の神からのお告げ」に基づく話を、聖印教会の信徒であるアーノルドの前で話題出すのは難しく、この場では言い出せない。 一方、アーノルドもまたイェーマ個人の正体について色々と確認したいところではあったのだが、さすがに「籠手から聞いた話」という前提に基づく話を理解してもらうのは難しかったため、まずは「無難な方向性」から話を切り出すことにした。 「そういえば、ルキアーノ神父も君のことを知っていたようだったな。君が君自身のことが分からないというのなら、もう少し彼に聞いてみてもいいかもしれない。まぁ、今は彼は結婚式の準備で忙しいかもしれないが……」 「なるほど……。確かに、それは時間があるなら聞いてみたいですね」 実際、それは確かにイェーマにとっても気になる話ではあったが、まずはその前に「今、この場にいる三人に対してのみ話したいこと」がある。 「あの、急にこんな話をするのもおかしいのかもしれないのですけど、実は昨日、夢で……」 真剣な表情でイェーマがそう語り始めたところで、彼以外の三人は、扉の外から人の気配を感じ取り、視線を扉に向ける。 「ちょっと待ってくれ、イェーマ殿」 アーノルドがそう言って話を止めると、「扉の外にいる何者か」に気付かれぬよう、物音を立てずに扉の前へと移動し、そして勢いよく開ける。 すると、そこにいたのはゴーバンであった。彼は気まずそうな顔を浮かべつつ、視線をそらしながら口を開く。 「いや、アーノルドがどこに行ったのかな? と思って、他の人に聞いたら、なんかこの部屋に集まってるのを見た、って聞いて、何か大事なことでも話をしてるのかな? と思って……、いや、別に、盗み聞きしようとした訳じゃないんだけど……」 やや焦った様子でそう答えるゴーバンに対して、アーノルドは溜息をつく。 「分かった。偶然通りかかっただけなんだな。そういうことにしておこう」 「……もし、モニカ姉ちゃんに何か危険なことがあるんだったら、後で俺に言えよ」 「ありがとう」 アーノルドがそう言うと、ゴーバンは素直に部屋から立ち去って行く。ゴーバンはやんちゃで無鉄砲な性格ではあるが、これまでの諸々の経験から、自分の未熟さは分かっている。アーノルドが自分を呼ばずに他の来客の護衛達と話をしているということは、おそらくそれは「自分が参戦しても足手まといにしかならないような案件」なのだろうと察していたため、無理に話に混ざろうとはしなかった。だが、それでも好奇心だけは抑えきれなかったため、話をこっそり聞こうとしていたらしい。 「どうやら、気を使わせてしまったようだ」 去り行くゴーバンが視界から消えたのを確認したアーノルドがそう言うと、改めてイェーマは「夢の話」をそのまま三人に伝えるのであった。 3.2. 覚醒する星々 「昨日の戦いの時に皆さんから『その力』を感じたのです」 イェーマがそう言って一通り話を終えたところで、三人は明らかに困惑した顔を浮かべる。そもそもイェーマ自身が「その力」のことをまだよく分かっていないし、そもそも「大毒龍ヴァレフス」なる存在に関する知識がないせいか、あまり危機感を感じさせない口調で淡々と話していたこともあり、どうしても今ひとつ現実感のない話に聞こえてしまった。 なお、「大毒龍ヴァレフス」に関しては、ブレトランド育ちのアーノルドは当然知っているし、その時の話は当事者の一角である「籠手」からも聞かされている。ローラもブレトランドに就職した際に、現地の歴史については一通り勉強している(更に言えば、義姉の赴任地である「隣村」には「大毒龍と戦った七騎士の一人」がいる)。そしてウィルバートもまた、英雄王エルムンドの話をコートウェルズで「当事者」の一人から聞かされている(その経緯はブレトランドの英霊4参照)。故に、彼等はいずれも、その危険性については十分に分かっていた。 (とはいえ、御伽話のようなものだと思っていたが……) アーノルドはそんな感慨を抱きつつも、改めて「籠手」の話を思い浮かべて、そのことをイェーマに投げかけてみることにした。 「ところで、実は私も、イェーマ殿の聖印に、他の聖印とは違う気配を感じていた」 「そうなんですか?」 「あぁ、はっきりとは言えないんだが……、それが星核というものなのかな?」 「私には、違うというのは分からないのですが、そう感じたのなら、そうなのかもしれません」 この時、イェーマの中の天勇星は、二人のやりとりに違和感を感じていた。現時点で星核の力に目覚めていないアーノルドには、イェーマの星核を感知出来る筈がない。だとすれば、イェーマの聖印には、星核とはまた別の特別な何かが宿っているのではないか、とも思えたのだが、天勇星自身も確信が持てないことだったため、この時点ではあえて何も言わなかった。 「うん、ある程度納得がいったよ。ありがとう。で、君はその話を我々にして、協力を仰ぎたい、ということでいいのかな?」 アーノルドが単刀直入にそう問いかけたのに対し、イェーマも率直に答える。 「正直に言ってしまうと、そうですね……、特に協力することによる利点を私が提示出来る訳でもありませんし、私の話が信じられないなら仕方ないですが、私はこの話は正しいと思っています。ですから、協力をお願いしたいです」 とはいえ、そう言われてもまだ今ひとつ実感が沸かない様子のアーノルドを横目に、先にウィルバートが立ち上がった。 「じゃあ、とりあえずは試してみようか」 ここはまず、「暁の牙」の同胞である自分が率先して動くべきだと考えたのだろう。彼がイェーマの前に立つと、イェーマはウィルバートの目の前で、青白い光を放つ「星核」を具現化させる。イェーマ自身も夢の中で見ただけで、実際に現実世界の中で目の当たりにするのは初めてであったが、彼はその星核を右の掌に乗せた状態でウィルバートの右手を握る。すると、その手を通じて星核の力がウィルバートの内側にも伝播していき、ウィルバートは自分の身体の中に何かが入り込んできたような感覚を覚える。 そして次の瞬間、ウィルバーとの心の中にも、謎の声が響き渡った。 《あなたの望む未来を、思い描いて下さい》 ウィルバートはその声に対して、心の中で怪訝そうな態度で答える。 (それは、お前が叶えてくれる、ってことなのか?) 《「それを叶えるための力」は、あなた自身が作り出すことが出来る筈です。しかし、人が何かを作り出すためには必ず標(しるべ)が必要となる。その標となる「星」をあなた自身が作り出す、ということです》 その説明で納得したのかどうかは分からないが、ウィルバートは心の中で、その「謎の存在」に対して、こう告げた。 (この望みは俺が自分でやんなきゃいけないことだ。余計な手助けはするなよ) そして、彼は一年以上前からの宿願を改めて強く願う。 (俺の望みは、あの時から変わらねえ……。イゼルガイアを倒す!) ウィルバートがその宿願を果たした瞬間を思い浮かべた直後、彼の目の前に彼の来世の姿である「地悪星」の星核が現れる。しかし、その色彩は青白ではなく、赤味を帯びた色合いの星核であった。 「これが、ウィルバート殿の星核……」 アーノルドは感嘆の念を込めてそう呟くが、ウィルバートは微妙に納得のいかない表情を浮かべながら、自分の星核とイェーマの星核を見比べている。 (アイツの星核の方が、カッコいいな……) どうやら、星核の「色」が気に入らなかったらしい。とはいえ、自分自身の中に「今までになかった力」が宿っていることは確かに実感している。 「とりあえず、嘘では無さそうだな」 ウィルバートがそう呟くと、アーノルドも改めてイェーマの聖印を凝視する。 「そうなると、大毒龍が復活し、世界が滅ぶというのも、一層真実味を帯びてきた、ということか。なるほど……」 彼はそう呟きつつ、悩ましい顔を浮かべながらイェーマに語りかけた。 「とはいえ、私はハルペルの領主なんだ。その街を放ったまま、ずっとブレトランドでその脅威と闘うということは難しい。だが、短期間であれば、今ここに来ているように、代理の者に留守を任せて手伝うことは出来るとは思う。本当に、僅かな助けにしかならないかもしれないが、私にも大毒龍討伐を手伝わせてはくれないか?」 アーノルドがそう言いながら右手を差し出すと、イェーマはその手を先刻のウィルバートの時と同じ容量で、その手をしっかりと握る。 「もちろん、それはこちらからお願いしたいことです」 イェーマがそう答えたところで、彼の右手を通じてアーノルドの中にも「何か」が流れ込み、そして彼の心の中にも同じ声が聞こえてくる。 《あなたの望む未来を描いて下さい》 唐突に聞こえてきたその声にアーノルドは一瞬戸惑うが、彼は既に似たような経験を「籠手」との間で交わしていたこともあり、存外あっさりとその状況を受け入れる。 (私の望み、か……。それは、領主になる前から変わってないことだ。「混沌のない世界」が実現して、人々が混沌の脅威から解放されて暮らすこと。それが、私が生涯をかけて叶えたい願いだ。これでいいのか?) 彼が心の中でそう呟くと、今度はイェーマの星核と同じような光を放つ、アーノルドの来世である「天牢星」の星核が現れる。 「青白い色ですね」 イェーマがそう呟き、ウィルバートは羨ましそうな目でアーノルドを見るが、おそらくこの星核は交換することが出来る類いの代物ではないだろうと推察していたアーノルドは、そのウィルバートの視線に対して、困った表情を浮かべる。 一方、そんな二人の様子を確認した上で、ローラもまたイェーマの前へと一歩踏み出した。 「お二方がそのように星核を出されたということは、やはりそのヴァレフスの話も真実に近いものなのでしょう。私にとっては、ブレトランドに大切な人達がいるので、もしヴァレフスがそのように復活するのであれば、出来る限り止めたいです。だから、私はあなたに協力したいと思います」 彼女はそう言いながらそっと手を出し、イェーマがそれを掴む。その瞬間、彼女の魂に対しても、同じような声が語りかけてきた。 《あなたの望む未来を描いて下さい》 それに対して、ローラは落ち着いた面持ちで答える。 (私が願うことは、ブレトランドに平和が訪れることです。平和が訪れた時には、もう一度リアン一門が集まって、仲良くおしゃべりが出来たらいいなと思います) 彼女の義姉達はグリースの君主に仕え、同門の後輩はアントリア(厳密に言えばノルド)の君主の契約魔法師となった。だが、それでも彼女の中では「大切な家族」であることは変わらない。そんな彼女の未来像がはっきりと描かれたところで、彼女の来世である「地奇星」の赤い星核が出現した。 こうして、昨夜の時点で感じた「懐かしい気配」の持ち主である三人の星核を覚醒させることに成功したイェーマであったが、当然、まだ他にもこの地に同じ星核の力の持ち主がいる可能性はある。長年の付き合いであるウィルバートに対しても、昨夜(自分自身が星核の力に目覚めた後)に至るまでその気配を感じることがなかったということは、この城に住む君主や魔法師にもまだ誰かが潜んでいる可能性はあるし、ヴォルミス、ラファエル、ゴーバン、などの来訪者達からも、今のイェーマが見れば何らかの力を感じる可能性はある(ただ、昨夜の時点で明らかに「特殊な力」を用いていたあの紅のヴァイオリン弾きからは、明確に何も感じなかった)。そして、先刻話に挙がったルキウス神父もまた(特殊な聖印の持ち主とはいえ)君主であった。 「では、私は神父さんに話を聞きに行きますけど、他の皆さんはどうしますか?」 イェーマがそう言ったところで、珍しくローラが話に割って入るように口を開いた。 「その前に、なんですけど……、今日の前夜祭のことについて占ってみたら、ちょっと不吉な予兆が出てきたんです……」 そう言って彼女は、今朝の時点で導き出した7つの言葉(「君主」「混沌」「乱入」「暴走」「帰還」「怨念」「殺戮」)を彼等にも伝える。 「穏やかじゃないですね……。何者かが怨念を持って帰って来て、乱入して殺戮を始める、と?」 「あんまり考えたくねえけど、行方不明者が二人いるんだよな、ここの一族には」 「花婿殿の弟二人、そのどちらかが帰還してくる……、確かにその可能性もあり得るか……」 イェーマ、ウィルバート、アーノルドの三人が深刻な表情でそう呟く。無論、この七つの言葉がどのような形で繋がるのかは分からない以上、どう並べて解釈したところでそれは憶測にしかすぎないのだが、いずれにしても、何らかの不吉な未来しか予想出来ない。 「とりあえず、この前夜祭で何かが起きるかもしれないので、皆さんには警戒しておいてほしいと思い、お伝えしました」 ローラにそう言われたイェーマとウィルバートは、改めて顔を合わせる。 「昨日の夜以上のことが起こらなければいいが……」 「起こりそうな予感はするな」 二人はそのな言葉を交わしつつ、改めてイェーマはローラに頭を下げた。 「とりあえず、その情報はありがとう……、ございます」 ローラは自分と同世代くらいの少女ということもあり、ついモニカと二人きりの時に話すような口調になりかけていたところで、慌てて取ってつけたように敬語調に戻る。とはいえ、ローラは別段礼儀を気にするような性格でもないので(礼儀以前に最低限の常識が欠如した後輩との付き合いが長かったので?)、その微妙な不作法ぶりを特に気にする様子もなかった。 そして、イェーマはアーノルドに紹介される形でルキアーノ神父のところへと向かうことになり、女神から言われたことが気になっていたローラも彼等に同行を申し出る。アーノルドが知る限り、あの神父は魔法師の存在そのものを許さないような教派の人間ではないので、魔法師を同行させても問題はないだろうと判断した彼は、その申し出を了承した。 一方、ウィルバートはヴォルミス団長に話を聞きに行くことにした。なお、ヴァレフス復活の件についても、「おそらく団長ならば自分達のことを信頼してくれているだろうし、そもそも大毒龍復活にも臆することはないだろう」というのがイェーマとウィルバートの共通認識だったので、彼にも「今聞いた話」を一通り伝えるということで、イェーマとも合意に至った。 3.3. 表層の真相 イェーマ、アーノルド、ローラの三人が城内の兵士達にルキアーノの居場所を聞くと、彼は既に結婚式の段取りに関する打ち合わせを終え、客室で静かに神への祈りを捧げていた。城の使用人からイェーマ達の来訪を聞かされると、彼は笑顔で迎え入れる。 「イェーマ、あなたが無事で本当に良かった。まぁ、無事であろうとは思っていたのですが」 改めて「心底安堵した表情」でそう語る神父であったが、イェーマには相変わらず、その表情の意味が分からない。 「どこかでお会いしたこと、ありましたっけ?」 そう問いかける若き傭兵の表情を、神父はまじまじと見る。ルキアーノの記憶が確かならば、イェーマは今年で16歳の筈。その瞳には今も少年としての輝きを残しながらも、その精悍な表情からは、既に自分自身の手で自分の人生を切り開いていくだけの覚悟が備わっているように感じられた。 「そうですね……、おそらくこれは、話しておいた方が良いことなのでしょう……」 ルキアーノは、イェーマが既に「分別のある歳」になっているであろうことを推察した上で、語り始める。 「とはいえ、言えることに限度はあるのですが……、結論から言いましょう。あなたの両親は、いずれも強力な邪紋使いでした」 「ほう?」 「あくまで稀な事例ですが、あまりに強力すぎる邪紋使い同士の子供の場合、生まれる前の段階から邪紋に身体を乗っ取られる、ということがあります。あなたの場合がまさにその事例でした。あなたは母親の胎内において、あなたの身体に邪紋が結合して強大な混沌核となり、極めて危険な投影体として、この世に生まれそうな状態になっていたのです」 「親の邪紋が胎児に引き継がれる」という事例は、現実問題としてあまり一般的な現象ではない。だが、聖印とは異なり、邪紋は身体そのものに刻まれた存在である以上、一つの可能性としてあり得る話のようにも聞こえるし、それが事実であるか否かにかかわらず、世間の一部からは「邪紋使いの子」であるというだけで「汚れた存在」として忌避の対象となることもある。 唐突に語られた真実に皆が戸惑う中、ルキアーノはここで唐突にローラに視線を向ける。 「私は聖印教会の一員ではありますが、魔法師の方々の意見にもそれなりに耳を傾ける立場にあります。とある魔法師の方が言うには、オリンポス界、もしくはタルタロス界の投影体で、かつてこの世界にも極大混沌期に出現した、『テュポーン』と呼ばれる『巨人とも神とも称される存在』が、あなたの身体を介して生まれようとしていたのです」 その名は、この場にいる誰にとっても聞き覚えがない。しかし、確かにそれはローラの信奉する女神ヘカテーと同じ世界に住む、極めて禍々しい存在であった。無論、この時点でルキアーノがローラの出自を知っているとは考えにくいので、彼はあくまでも「一魔法師」としてのローラに語りかけただけなのだろうが、いずれにせよ、少なくともローラの中では、その説明は昨晩のヘカテーからの神託の信憑性を裏付けるに十分な話であった。 「私の聖印には、この世界の人々を守る力はありません。しかし、その代わりに、混沌を浄化することに関してのみ、特殊な力が宿っています。私はとある方から依頼されて、『母親の胎内にいたあなたの身体に宿っていた混沌核』を、あなたが胎児の状態のまま『聖印』へと作り変えました。その結果、あなたは聖印を持って生まれてきた、ということです」 あまりにも衝撃的すぎる内容に、その場にいる者達は絶句する。聖印には確かに混沌核を浄化する力があるが、一般的にはそれは「混沌によって作り出された投影体や魔境を破壊した直後に出現した(その次に別の何かを生み出そうとする直前の)混沌核」であって、「人体に邪紋として取り込まれた混沌核」を浄化した上で、吸収することなく宿主の身体の中でそのまま「聖印」として作り変えることが出来る聖印など、聞いたことがない。 ましてやそれが、直接触れることが出来ない母親の子宮の中にいる胎児ということであれば、明らかにそれはこの世界の君主としての常識を超えた能力である。この神父には通常の君主としての持つ力が一切宿らなかった代わりに、この世界の理(ことわり)をも書き換えるほどの尋常ならざる能力が備わっているらしい。 イェーマは自分の中で神父の話を改めて整理した上で、問いかける。 「じゃあ、あなたのおかげで私は君主になれた、ということですか?」 「君主になれた、というよりも、君主にならなければ、あなたは危険な存在としてこの世に生を受けていた、ということになります。ただ、あなたの御両親は『非常に特殊な立場』の方々でして……、あなたの存在自体をあまり公にする訳にもいかなかったため、私があの孤児院にあなたを紹介することにしたのです」 「なるほど……、そういう事情があったのですね。ありがとうございます」 イェーマがそう言って頭を下げたところで、神父は改めて今の彼の状態について説明する。 「あなたの聖印は、あなたの身体そのものに取り付いている状態なので、他人に譲渡することは出来ません」 つまり、従属聖印を作り出すことも、誰かの従属聖印になることも出来ない、ということである。今までイェーマは邪紋使い主体の傭兵団の中にいたため、他の君主との間で従属関係を形成する必要がなく、そういったことを気にする必要もなかったのだが、今後、どのような人生を歩むことになるか分からない以上、自身の聖印の特殊な性質については、理解しておく必要があるだろう。 「あなたの聖印を譲渡する方法があるとするならば、これから先、あなたに子供が生まれた時でしょう。似たような事例を聞いたことがありますので」 神父が言うところ「似た事例」とは、エルムンドの七騎士の一人に受け継がれていた「愛の聖印」の話なのだが、その詳しい実態については神父も正確には把握していないし、それが本当に「似た事例」と呼べるかどうかも分からない(その真相はブレトランドの英霊7を参照)。 「逆に言えば、子供を作らずに死んだ場合、その瞬間にあなたの聖印は混沌核へと変わり、テュポーンが出現します」 「は!?」 さすがにイェーマも、この忠告に対しては思わず声を荒げる。聖印の持ち主が死ねば聖印が混沌核へと変わることはイェーマも知っていたが、一般的には、何らかの投影体を消滅させた上で出現した混沌核を聖印に浄化吸収したところで、その聖印にその投影体の性質が残る訳ではない以上、仮に聖印を割って混沌核を出現させたとしても、そこから何が出現するかは分からないし、大抵の場合は近くにいる君主がその混沌核を浄化吸収するか、邪紋使いに食われることでその養分されることが多い。 だが、イェーマの聖印の場合、浄化された後で神父の聖印に吸収されるのではなく、自身の身体に宿った状態のまま強引に聖印へと書き換えられたため、その聖印の内側にテュポーンの因子が残ってしまっているらしい。通常であれば、仮にイェーマが死んでも、誰かがそこに出現した混沌核を浄化吸収すれば良いだけなのだが、特殊な方法で作られたイェーマの聖印の場合、聖印としての性質を失った直後に混沌核がテュポーンへと切り替わってしまう、というのが(どこまで正確な話なのかは分からないが)神父の憶測である。 「そ、そうなんですか……」 イェーマは呟くようにそう答えると、しばらく黙り込む。これまでイェーマは、傭兵として、あまり自分の命を重んじることなく生きてきた。危険な任務があれば率先してこなし、護衛対象を守るために自身の身体を盾とすることも日常茶飯事であった。結果的にこの一年間は平和な日々が続いていたが、もしモニカが危機に晒された時は、その身を投げ出してでも守る覚悟で任務に就いてきた。それだけに、この神父の忠告は、イェーマにとってはあまりにも重い。 (そういうことだったのですね、ヘカテー様……) ローラもこの話を聞いて概ね事態を把握出来た。どうやら今回に関しては、女神の神託は間違いではなかったらしい。こうなると、ローラとしてもこの任務中に彼を全力で守らなければならない、という気持ちが高まってくる。 「まさかあなたが、そこまで特殊な存在だったとは」 アーノルドは思わずそう呟いた。おそらく、イェーマを見た時に籠手が反応していたのは、まだその時点では未覚醒だった天勇星の気配ではなく、彼の聖印の中に眠っているテュポーンの気配だったのだろう。聖印教会の一員として、そのような「混沌を仮封印しただけの危うい聖印」の存在を認めて良いのかどうかは見解の分かれるところであるし、人によっては「生まれる前に殺すべきだった」と主張する者もいるだろうが、今のアーノルドはその倫理的な是非以前に、それほどまで人智を超えた力を備えた神父に対して、ただひたすらに感服していた。 そして、イェーマはしばらく考え込んだ上で、重々しく口を開く。 「な、なるほど……、とりあえず、私は死んだら駄目なのですね」 「はい。ですから、孤児院が無くなってあなたが行方不明になったと聞いた時、私は冷や汗が止まりませんでした。しかし、テュポーンが出現したという話も聞いていないので、おそらくどこかで生きているのだろうとは思っていましたが」 「……命を大切にしようと思います」 「はい。そうして下さい」 そこまでのやり取りを経た上で、イェーマは当然の如く、より深い次元の真相についても訪ねようとする。 「あと、両親のことに関しては……」 今の話を聞く限り、ルキアーノはイェーマの両親のことを知っているらしい。少なくとも、母親とは直接会っている筈である。だが、純真な瞳でそう聞いてくる青年に対して、神父は視線をそらしながら答えた。 「知らない方がいいと思います。色々な意味で……」 少なくとも神父の中では、それは「思春期の青年」に対して、第三者が軽々しく語って良い話ではなかった。そしてイェーマもまた、そう言われた時点であっさりと引き下がる。 「分かりました。いつの日か、知ることが出来ると嬉しいです」 イェーマはそう言った上で、アーノルド、ローラと共に神父の部屋から去っていく。本来ならば、神父が「星の前世」なのかどうかを調べる必要があったのだが、神父の聖印は特殊な状況下でないとその真価を発揮しない以上、確認は難しい。また、紅のヴァイオリン弾きについての話も聞く予定だったのだが、三人とも、イェーマの出自を知ったことによる衝撃が大きすぎて、そのことがすっかり頭から抜け落ちてしまっていたようである(もっとも、仮に聞いたところで、神父は楽士については何も知らなかったのだが)。 そして、イェーマの出自についてのより深い真相は、イェーマのいない場所で、意外な人物の口から語られることになる。 3.4. 深層の真相 「ここまでの護衛、ご苦労だったな」 ヴォルミスの宿舎を訪ねたウィルバートに対して団長がそう言ったのに対し、ウィルバートは真剣な表情で、イェーマから聞いた話をそのまま伝える。ヴァレフスが復活すること。それを倒すために百八人の仲間が必要なこと。その中の二人が、自分とイェーマであること。 あまりにも突飛すぎる話だが、ヴォルミスは真剣な表情で聞き続けた。この混沌に溢れた世界においては、いつどこで何が起きるかは分からない。歴戦の傭兵である彼は、いかに奇想天外な話であろうとも、「そういうこともあり得るのかもしれない」と思える程度には、柔軟な思考の持ち主であった。 「で、俺はその中に入っているのか?」 「それは、イェーマに聞いてみないと分からねぇ」 より厳密に言えば、イェーマを初めとする「もともとこの世界の夜空に残っていた八つの星」の誰かならば分かる話なのだが、そこまで詳しい事情まではウィルバートは聞かされていない。 「なるほどな。それなら直接聞いてみるしかないが……、しかし、そうか、あいつがなぁ……」 ヴォルミスは何やら思わせぶりな言い回しで呟きながら、感慨深そうな表情を浮かべる。 「『あいつ』と『お前』か……。まぁ、ある意味、何かそういう『特殊な宿縁』を持つ連中だけなのかもしれんな。その『星の前世』なる者達は」 何やら懐かしそうな口振りでそう語る団長に対し、ウィルバートはもう一つ「気になっていたこと」を問いかける。 「ちなみに団長、シリア殿の護衛についた時に、何か思わせぶりなことを言われたんだが、詳しい話を俺は知っている必要はない、ということでいいんだな?」 「まぁ、彼女のことに関してはな。だが、今の話を聞く限り、お前はイェーマのことに関しては知っておく必要がある」 「ほう?」 「『あいつの正体』に関して、一応、お前には説明しておいた方がいいだろう。そして、結果的にそれが、『彼女の話』とも繋がってくることになる……。とはいえ、あんまり素面で話す気にもならねえからな」 そう言って、ヴォルミスは長年愛用している鞄の中から「秘蔵の酒瓶」を取り出し、栓を開け、使い慣れた二つの古びた盃に注いでいく。その匂いからして相当強い酒であることが分かるが、ここで拒んでは話が聞けないと判断したウィルバートは、覚悟を決めた上でその盃を受け取り、そのまま一気に体内に流し込んだ。まだ若い彼の身体にはかなりの刺激であったが、それでもどうにか意識を保ちながら、自分の目の前で盃を軽々と飲み干して二杯目を注ぎ込もうとするヴォルミスに視線を向ける。 「若い頃の話だ……。まだ、俺が『暁の牙』なんてものを作るよりもずっと前、お前くらいの歳だったか……、傭兵として、そこそこ名が売れてた頃だ。当時、俺はヴァレフールで、とある仕事に就いていた。その時に、当時騎士団長だったケネス・ドロップスがな、俺にちょっと無茶な任務を押し付けてきやがって、さすがにそれには応じられねえと思った。少なくとも、奴が提示した金額じゃあ、命を賭けるには安すぎると思ったんだ」 ヴォルミスはそこまで言ったところで、二杯目の酒を勢いよく飲み干し、そして赤ら顔でニヤリと笑いながら話を続けた。 「で、まぁ、冗談半分にな、騎士団長に『お前の娘を一晩貸してくれるんだったら、やってもいいぞ』と言ったら……、奴はその話に乗りやがった」 ケネスには二人の娘がいる。長女のシリアと、次女のプリス。後にシリアは伯爵家の次男トイバルに嫁いでサラ、ゴーバン、ドギの三人の子を産み、プリスはケネスの側近であったレオンの妻としてトオヤとロジャーの母となった(それが公的な記録上の二人の経歴である)。 この時点で、ヴォルミスがどちらの「娘」の話をしているのかは明言していないが、話の文脈上、おそらくシリアの方であろうことは、ウィルバートにも分かる。実際、当時のシリアは宮廷内でも指折りの美女として知られており、ヴォルミスだけでなく、ケネスの傘下にいた荒くれ者達の中では、まさに憧れの「高嶺の花」だった。 「まさかと思いつつ、その日の晩、俺が寝床で待っていたら、『本物以上に、俺の理想の姫様』とでも評すべき女がやってきた。あまりにも俺の理想通りだったから、こいつは本物じゃないことは分かった。分かったが、まぁ、本物以上の偽物が手に入るなら良いかと思ってな。で、その日の夜は『色々』あって、俺は翌日、死ぬ気で任務をこなした」 つまり、傭兵として、受け取るべき「報酬」をしっかりと受け取った、ということである。それが偽物であることを看破していた以上、ヴォルミスが契約を律儀に守る必要はなかったのだが、彼の中では「自分が命を賭けるに値するだけの一夜」を得たということで、それに見合うだけの仕事をやり遂げるにしたらしい。 なお、この「偽物」に関しては、ヴォルミスも噂に聞いたことがあった。ヴァレフールには「パロット(鸚鵡)」と呼ばれる変幻自在の「幻影の邪紋使い」がいるらしい、ということを。幻影の邪紋使いはその姿を(性別や種族すらも)自在に変えられるだけでなく、他人を魅了する能力にも長けている。おそらく「彼女」は、当時のブレトランドにおける最高峰の「枕事の達人」だったのだろう。 その上で、シリアの反応から察するに、おそらく彼女もまたケネスからその話を聞かされた上で、「ヴォルミスと会った時には、口裏を合わせるように」と伝えられていたのだろう。たとえ実際には自分の身に一切触れられることがなかったとしても、シリアにしてみれば心地の悪い話であることは間違いない。そして、その「心地の悪さ」は当時のヴォルミスも感じていたらしい。 「その後、なんとなく、本物の姫様に会うのも気まずくなってな。しばらくヴァレフールを離れることにしたんだが、とある筋から、どうもその『偽物』が俺の子を孕んだらしい、という話を聞いた。まぁ、俺をここまで満足させるような奴だから、おそらく、相当な実力の邪紋使いだったんだろう。で、『強力な邪紋使い同士の子供』は、胎内で邪紋が混ざり合って『投影体』として生まれてしまうことがあるようで、どうやらその『俺の子』も、その『偽物』の胎内で、そんな状態になっていたらしい」 ヴォルミスは三杯目の盃に手をかけながら、淡々と話を続ける。 「そのことを知ったあの騎士団長は、そんな危険な存在が生まれてくる前に、とっとと殺そうとしたらしいんだが、『人道派』と呼ばれている当時の副団長がそいつを匿った上で、聖印教会の『特殊な力を持った神父』を連れて来て、その子供が生まれてくる前に、その混沌核を聖印に書き換えたらしい。ただ、聖印教会の連中としても、『そういう存在』を認めて良いのか、ということについては異論もあったみたいで、『その子供』は生まれてすぐ、大陸の孤児院に出された。で、その孤児院が色々あってぶっ壊れたと聞いて、俺はその場に遺されていた『その子供』を助けた。そういう訳だ」 ここまでの話を聞けば、その「孤児院に預けられた子供」がイェーマのことを指していることはウィルバートには分かる(なお、この時点でケネスの元を離れたその邪紋使いは、以後は「副団長派」へと転じ、「次世代の後継者」を育てつつ、「次代のヴァレフール伯爵の影武者」となるのだが、それはまた別の物語である)。 その上で、既に泥酔状態にあったウィルバートは、目の前にいるのが「団長」であるにも関わらず、今まで彼に対して抱いてきた畏怖も敬意も全て忘れて、心の底からの叫びを解き放つ。 「なんで俺の周りは、こんなロクデナシばっかりなんだ!」 事情は全く異なるものの、この話を聞かされたウィルバートは「見境なく幾人もの女性に手を出し、ろくに子育てもしなかった実の父」のことを思い出さずにはいられなかった。 「まぁ、お前も、もう少し歳を取れば分かるようになる。もう少し『男』になればな」 「一生、分かんねぇ!」 正直、聞いてる方も素面では聞けない話だった。 「まぁ、お前だけは分かっておいてやれ。似たような境遇だろう」 「じゃあ、団長。交換条件として、俺とあいつは勝手に動いていいな?」 どういう意味での「交換条件」なのかはヴォルミスにはよく分からなかったが、微妙に苦味を帯びた笑いを浮かべながら頷く。 「あぁ、世界を救うために、な。もちろん、そのために俺の力も必要だってんなら、いつでも言ってこい」 「分かった。じゃあ、最後にこれも伝えておく」 ウィルバートはそう言って、ローラが語っていた「七つの予言」の話を伝える。その言葉一つ一つに、団長は真剣に聞き入った。 「なるほど。だとしたら、俺が呼ばれた要件も、おそらくはそれだな……」 ヴォルミスが納得した表情を浮かべつつ、実際に起こりうる「混沌災害」の可能性について熟考し始めたところで、要件を済ませたウィルバートは、極めて不機嫌な形相のまま部屋から去って行った。 3.5. 一時の合流 ひとまずイェーマに報告するために彼の部屋へと向かったウィルバートは、ちょうど神父の元から戻ってきたイェーマ達と、部屋の前で鉢合わせた。この時点で、まだウィルバートの顔は紅潮したままであり、足元も若干ふらついているように見える。 「あれ? 呑んだ?」 「団長に付き合わされた……」 「あぁ、それは、大変だったな……。で、何の話をしてたんだ?」 イェーマとしては何の悪意もない当然の質問なのだが、ウィルバートとしては、さすがに「あの話」を本人に伝える気にはならない。ひとまず、今日の警備に関しては団長も協力するということと、星核の件については自由にやらせてもらえる、という言質を取ったことだけは伝える。 「そうか、団長が助けてくれるなら、安心だな」 青年傭兵二人のそんなやり取りを目のあたりにして、アーノルドはふと呟く。 「私が思っていたよりも、暁の牙は『風通しが良い組織』なんだな」 確かに、「星核」や「大毒龍復活」などといった突拍子もない話を団長があっさりと受け入れた上で、各団員に自由行動を認めてくれるというのは、比較的規律の厳しい貴族(そして聖印教会)社会で生きてきたアーノルドから見れば、随分と緩やかな組織に見えるだろう。実際、ヴォルミスは「(酒の席とはいえ)団長のことをロクデナシ呼ばわりする青二才」の悪態を笑って聞き流す程度には、上下関係に寛容な人物であった。 一方、イェーマの方は自分が聞いた話をそのまま伝える。 「俺はどうやら、お前と同じように『強力な二人の邪紋使い』の間に生まれた子供らしくて、生まれる前に混沌に取り込まれそうになったんだけど、あの神父さんが助けてくれたらしいんだ」 その話は、ウィルバートが聞いた話と確かに一致している。ただ、どうやらイェーマはその「両親」が誰なのかまでは聞かされていないらしい、ということも、ウィルバートは概ね推察した。なお、実はウィルバートの「本当の父親」は邪紋使いではないのだが、そのことは(イェーマの両親の話以上に)語るつもりはなかった。 「あぁ、うん、そうだな、うん……」 色々な意味でまた嫌な気分がぶり返してきたウィルバートが目をそらしながら小声で呟くと、イェーマはどこかその様子がおかしいことに気付く。 「あれ? もしかして、酒呑んで疲れた?」 「そうだな……。申し訳ないが、前夜祭が始まるまでは休ませてもらう……」 「おぉ、お疲れ」 こうして、ウィルバートは自分の宿舎へと去って行く。まだ微妙に足元がおぼつかない様子の彼をアーノルドとローラは心配そうに見送りつつ、彼等もそれぞれの客室へと戻ってそれぞれの同行人と一旦合流しつつ、今後の方針について考えることにした。 なお、この時点でイェーマが「現在のヴァレフール護国卿の異父弟」だということを知る者は、「彼等の母」自身には以外は誰もいない(ウィルバートもヴォルミスもルキアーノも、護国卿の出生は知らず、護国卿や先代騎士団長はイェーマの存在を知らない)。 3.6. 「友達」として 一旦皆と散会したイェーマは、もう一度モニカに会いに行くため、「お色直し」の確認が終わった頃合いを見計らって、彼女の私室へと向かった。すると、扉の前まで来たところで、中からルイの声が聞こえて来る。 「いやー、楽しみですなぁ。我が花嫁の晴れ姿。そして……」 「失礼しまーす」 あえて何も気付いていないフリをして、イェーマは淡々と扉を空ける。入って来た彼に対してルイは嫌そうな顔を浮かべるが、モニカはホッとしたような表情で出迎えた。そして、ふと何かを思い出したかのように、ルイはイェーマに問いかける。 「ところで、昨晩は何があったのだ?」 どうやらルイも、夜中に何かドタバタしていたことには気付いていたらしい(しかし、自分からそれを解決するために現場に向かう気はなかった)。イェーマとしては、楽士の正体が分からない以上、あまり気安くこの話を口外したくはないし、目の前にいるモニカにも楽士のことは伝えたくない。とはいえ、一般人であるシリアが気付いて現場まで来ていたことから察するに、おそらく、あの戦いを目撃していた者は(表には出てこなかっただけで)他にも城内に一定数はいるだろうと考えると、中途半端にごまかす訳にもいかない。 「実は、中庭で魔物が出まして。とりあえずは退治しました。ルイ様は寝ていらっしゃったんですか?」 「あぁ、まぁ、そうだな……、私が出る程の相手でもなかったようだし……。しかし、混沌濃度が低いと言われているこの城内で魔物が出現するとは……。これは『何者か』が裏で糸を引いているのではないか?」 当然、ルイの中では「かつての自身の契約魔法師」の顔が思い浮かぶ。 「それは分かりませんが、もしそうだとしたら、この結婚を破棄させようとしているとしか思えませんよ。さすがにそんなことはないと思うんですが」 「うん……、そう……、だ、な……」 ルイは「彼女」以外にも頭の中で色々な「心当たり」が思い浮かんだようで、徐々に表情が暗くなっていく。 「誰かに恨みを買われるようなことでもあったんですか?」 「それはない。それはないだろうが……、やはり、庶民の女性達の中にも、私のような尊い生まれの者との貴賤婚を夢見る者もいるからな。まぁ、それは、夢を見させるようなことをしてしまう私も悪いんだが、一応、ちゃんと、全部ケリはつけた筈だし……」 徐々にルイは小声になっていくが、途中でフッと顔を上げて、開き直ったような表情でモニカに向き直る。 「大丈夫ですぞ。あくまで、あくまで全て過去の話ですからな」 そう言われたモニカがどう反応すれば良いのか分からずに困惑した顔を浮かべる中、イェーマが改めて忠告する。 「とはいえ、そういうことがあったので、一応、ルイ様もお気をつけ下さい」 「あぁ、まぁ、そうだな」 微妙な表情を浮かべつつ、ルイは部屋から去って行く。まだ彼にも声が聞こえるかもしれないと判断したイェーマは、ひとまず「外向きの口調」でモニカに語りかける。 「モニカ様も、お疲れさまです」 「そうですね……。昨夜は魔物が現れていたという話は私も聞いたんですけど……、やっぱり、私ですよね、原因は……」 再び表情が暗くなっていくモニカに対して、イェーマも今回ばかりは全面否定することは出来ない。昨夜の様子を見る限り、モニカに騒動の責任があるとは思っていないが、彼女が原因である可能性は十分に考えられる話であった。 「そうとは言い切れないけど、そうかもしれない……。でも、逆に考えてみようよ。もしそうだとしたら、ここにいても駄目じゃないか。守れる人は必要だろう。ルイ様は君を守れるかな?」 彼女が本音ではこの結婚には乗り気ではないことは(ここまでの彼女の態度を見る限り)明白である。それでも、自分の居場所がここ(混沌濃度が低い地方)にしかないと思っている彼女に対して、あえてイェーマはそう言ってみたのだが、それに対して彼女は「最悪の回答」を返す。 「でも、そこまでして私がこの世界に生き続ける権利があるのでしょうか?」 「あるんじゃないかな。だって……」 イェーマは少し迷いつつ、自分のことも話すことにした。 「僕は、実は、両親が両方共強い邪紋使いだったらしくて。だから、僕自身も、危険な存在だったらしいんだ。この世に生まれてきてはいけない存在だと言われてたんだけど、でも、神父様が助けてくれた。だから、君も誰かに助けてもらえれば、君も生きてていいんだよ」 「助けてもらう……」 モニカはそう呟きながら、自分の心の声に向き合おうとする。彼女は確かに今、助けを求めている。出来れば「今、自分の目の前にいる彼」に助けてほしい。 (でも、私にそんな価値があるの……?) モニカはそんな疑惑を婉曲的に「彼」に問いかける。 「『助けてくれた人』に、私は何を返せば良いのでしょう? あなたのように、聖印や剣が使える訳でもない……」 「なるほど。じゃあ、僕が君を助けるというのは、どうだろう? 僕と君は『友達』だから、別に、見返りなんて必要ないし、そんなこと気にする必要はない。そもそも僕は君といて楽しいから、何かを返せなんて言うこともない。少しは、頼ってほしい、な」 その言葉に対して、モニカの中では二つの心が同時に浮かび上がる。 (こんな自分のために、そこまで言ってくれて嬉しい!) (でも、この人の中ではあくまで「友達」なのね……) (何様のつもりよ! 「友達」でも十分すぎるくらいじゃない) (そうなんだけど、でも……) 心の中でそんな自問自答を繰り広げつつ、彼女は平静を装いながら口を開く。 「そう、ですね……。少し、考えます」 「ありがとう。それと、魔物が出ている訳だから、気をつけて。僕も君の近くにはいるけど、出来るだけ気をつけて」 そう言って、イェーマが部屋を出たところで、ばったりと一人の少年に出会う。モニカの従弟のゴーバンであった。彼もまた、モニカのことが心配で訪ねてきたらしい。 「お、おぅ、イェーマ、だっけ?」 「はい、イェーマです」 反射的にそう答えたイェーマに対し、ゴーバンはバツが悪そうな顔をしながら語りかける。 「あのさぁ、これ、俺が言うべきことかどうか分からないけどさ……、お前、なんか、俺の知ってる奴に似ててさ。何が似てるって、その、うーん、鈍感なんだよな。多分、あいつも、もうちょっと早くレアねーちゃ……、あ、いや、それはもういいとして……」 小声でボソボソとよく分からないことを呟きつつ、改めてゴーバンはイェーマの目を見て、こう告げた。 「多分、モニカねーちゃんがお前に期待してるのは『友達』じゃないと思うぞ」 どうやら、彼は扉の前で先刻の会話を聞いていたようである。そして、彼はなぜかいつも妙なところで勘が鋭い。考えるよりも先に何かを感じることで生きている、そんな少年であった。 だが、イェーマにはゴーバンが何を言おうとしているのかが全く分からない。そんな彼の様子を見て、ゴーバンは思わず溜息をつく。 「いや、お前にその気がないなら、別にいいんだけどさ」 ゴーバンはそう言って、その場から立ち去って行く。本当はモニカに何か言いに来ていた筈だったのだが、なんとなく、今のモニカに対してかける言葉が思いつかなくなってしまったらしい。 イェーマは釈然としない表情を浮かべつつ、今度はもう一つの案件を確認すべく、団長ヴォルミスの元へと向かうことにした。 3.7. 父と子 ヴォルミスの宿舎へとイェーマが辿り着いた時、部屋の中にはまだ酒の匂いが充満していた。どうやら、ウィルバートが去った後も、一人で「おもいで酒」に浸っていたらしい。それでも、顔は赤らめながらもはっきりとした口調で、ヴォルミスはイェーマに語りかける。 「さて、ようやくお前の任務もこれで終わる訳だが、とりあえず、さっきウィルバートから話は聞いた。世界を救うための云々の話をな。それに関して、俺が『その一人』かどうかということは、どうすれば確かめられる?」 「とりあえず、邪紋の力を軽く使ってみてもらえますか?」 そう言われたヴォルミスは、愛用の大剣を握り、自らの邪紋を発動させて、自身の右腕と剣を一体化させていく。更にそこから全身に邪紋を行き渡らせることで激しい闘気をまとっていくが、イェーマはそこから「ウィルバート達から感じたような気配」を感じることは出来なかった。 「多分、違いますね……」 「そうか……。その大毒龍とやらとは、やり合ってみたかった気もするが、お前の話によれば、その力を持たない者では、そもそも太刀打ち出来ないのだろう?」 「多分……」 実際のところ、イェーマの中でも明確な根拠のある話ではない。ただ、彼自身の中の天勇星は、星核の力を持たない者の参戦を拒んでいるように感じる。 「それなら、仕方ない。まぁ、そもそも傭兵というものは、本来、金にならない仕事はやるべきではないしな」 そう言って剣をしまいつつ、邪紋の力を解きながら、改めてイェーマに語りかける。 「どちらにしても、明日でお前の仕事はお役御免になるだろう。その上で、そこからどうするかはおまえの自由だ。世界を救うために何かするでもいいし、別に俺に内緒で闇営業したければ、それでもいい。そういう特殊な事情があるのであればな」 「なるほど。まぁ、何をするか決めたら、伝えはすると思います」 もっとも、どちらも魔法師が傍らにいる訳でもない都合上、そう簡単にすぐ連絡が取れるという訳でもない。状況によっては即座に判断しなければならないこともあるだろうし、事後報告にならざるを得ないこともあるだろう。 「で、どうだった? 一年、この城で暮らしてみて」 「そうですね……、大分このあたりは平和ですね」 「平和は、性に合わんか?」 「いや、まぁ、いい経験にはなったと思います。正直。まぁ、でも、そうですね、多分、僕はどっちでも大丈夫なんだと思います。平和が性に合わないとは思ってませんし、今までの戦ってた日々が嫌だったとも思ってません。ただ、私は死ぬ訳にはいかなくなったので、今までのように傭兵を続ける訳にはいかないと思います」 唐突にそんなことを言い出したイェーマに対して、ヴォルミスはピクッと反応する。 「ウィルバートから『話』を聞いたのか?」 ヴォルミスとしては、別に口止めした訳でもないので、先刻の話がイェーマに伝わっても別に構わないと思っていたが、もし知っているのなら、「父」として改めて話をすべきだろう、と思い始めていた。だが、イェーマは何の話をしているのかが分からず、首をかしげる。 「何のことですか?」 直観力に優れたヴォルミスの目には、イェーマが話をごまかしている様子には見えない。本当に先刻の話を聞いていないのだとすると、別の方向から「自分の正体」を知ったのだろうか……、と考えた末に、ヴォルミスはあっさりと「正解」に辿り着く。 「そうか、そういえば、『例の神父』も今回ここに来ているんだったな……。まぁ、いい。お前がどこまで何を知っているか、なんてのは、どうでもいいことだ。その上で、仮にこの後、世界を救ったとして、その後で、お前は何をしたい?」 「その後、ですか……」 「『世界を救う戦い』が何年かかるかは知らんがな」 「それは僕にも分からないですね。あ、でも、こっちに来て『友人』が出来て、守らなきゃいけないと思ったので、とりあえずはその人と一緒にいたいですね」 「お前が『守りたい友人』か……」 今まで、イェーマにとっての「友人」とは、基本的には「仕事仲間」であり、「守るべき友人」という存在はいなかった。彼が言うところの「友人」がどのような存在なのかは分からないが、少なくとも、何らかの心境の変化があったことは確かだろう。 「世界を守る戦い、なんてものに俺は関わったことがないから、それがお前の中でどれくらいのものなのかは知らんが、それはそれとして、お前自身が手にしたいものがあるのであれば、それはそれで生きる糧になるだろう。それが見つかったなら、一年ここに駐在し続けた意味もあったと言えるだろうな」 思わせぶりな口調でそう語る団長に対して、イェーマは唐突にあることを思い出す。 「あ、そうだ。最後に一つ聞きたいんですけど、僕の両親って、すごく強い邪紋使いだったらしいんですけど、何か心当たりはありませんか?」 イェーマにしてみれば、自分を拾ってくれた団長なら、何か知っているかもしれないと考えるのは自然な発想である。そこから更に「一つの可能性」として真相に辿り着くことも理論上は可能な筈だが、この時点でのイェーマはそこまで思い至らなかったらしい。 ヴォルミスはそんなイェーマの心境をその表情から察しつつ、他人事のように答える。 「それほど強い邪紋使いなのであれば、いずれどこかで出会うのではないか? お前がそれに匹敵するだけの力を得ればな。強い者とは、いつか出会う。それが強い者同士の宿命だ」 「なるほど。仲間を見つけていくうちに、出会えるかもしれませんね」 「あぁ、そうだな」 あくまでも興味無さそうな素振りを続けるヴォルミスに対し、最後にイェーマはこう告げる。 「あと、お酒の匂いは消しといた方がいいですよ。前夜祭には偉い人達も来ますし」 「いやいや、俺はそんなとこには出席しねえよ。そういう時に外回りして、何かが起きた時に対応するのが俺の仕事だ」 そう言って、ヴォルミスは改めて剣の手入れを始める。そんな彼に一礼して去って行くイェーマを見ながら、「父」は心の中で呟いた。 (俺は「偽物」しか手に入れることが出来なかった。その結果としてお前がいる。その上で、お前が「本物」を手にすることが出来るなら、ある意味、俺の宿願が果たされたことになるのかもしれない。まぁ、お前にとっては、どうでもいい話だろうがな……) 3.8. 突然の帰還 一方、その頃、アーノルドは城下町へと出た上で、現地の聖印教会の人脈を頼りに「ルイに対して恨みを持っている人物」の心当たりなどを調査していた。その結果、次々と「容疑者」が浮かび上がってくることになる。 ルイと仲が悪かった人々として、まず筆頭に挙げられるのは「約一年前まで彼が婿養子に入っていた、アロンヌ西部の港町イオの領主であるデュヴェルジェ家の人々」である。彼等とは実質的に絶縁状態にある上に、立場的にも彼等は現在のアロンヌの中でコンドルセ家が所属する「ルクレール派」とは対立する派閥に属しているため、この機に何らかの形でルイに対して嫌がらせ工作を仕掛けてくる可能性は十分にある。 次に疑わしき人物として、「イオの領主時代のルイの契約魔法師だった女性」である。この人物については詳細は分からなかったが、彼から何度も性的関係を求められたことで嫌気が差して(極めて異例な形ながら)彼女の師匠の仲介によって契約解消に至ったらしい。かなり険悪な形で破局した人物だけに、ルイに危害を加えようとする動機は十分すぎる程にあるように思えた(なお、その人物がローラの義姉という情報までは得られなかった)。 また、イオの街でも、このコンドルセ家の領内でも、ルイが手を出した庶民の女性は数知れず、その中には円満な手切れに至らなかった者達は多いらしい。当然、ルイに対して今でも様々な感情を抱いている者達がいる可能性はある。ルイに対して憎悪ではない執着感情を抱いている場合でも、結婚式そのものを妨害してくる可能性はあるだろう。 そして、ルイは実の家族からも見限られてる、という説もある。次男フィリップとは表面上仲良くしていたが、フィリップは内心では兄のことを軽蔑していたとも言われており、三男シャルルとの間には明らかに子供の頃から「溝」があったらしい。そして父のアンリを初めとする一族の者達全体の中でもルイへの評価は芳しくなく、彼が後継者となることを不安視する者も多い。その意味では、次期当主の座を狙う遠戚の人物がルイの暗殺を試みてもおかしくはないし、状況次第では父がそれを黙認する可能性もあるのでは? という憶測も一部では広がっていた。 ここまでの調査を経た上で、あまりの容疑者の多さにアーノルドは頭を抱える。正直、この調子では誰が犯人でもおかしくないし、特定は極めて困難であった。 (やはり、もう一度ローラ殿に話を聞きに行くべきか……) アーノルドは聖印教会の信徒ではあるが、魔法師や邪紋使いの力を借りることに対して(その人物が信用出来る人格の持ち主であるならば)抵抗はない。ただ、宗教国家ヴァンベルグの君主という立場上、あまり公に魔法師との協力姿勢を示す訳にもいかないため、なるべく周囲に気付かれないようにローラと接触しなければ……、と考えつつ、一旦城に戻ろうとしたところで、街の大通りの方面から、人々のざわつく声が聞こえてくる。 「お、おい、あれ……」 何が起きたのかとアーノルドがその方向へと向かうと、そこには、一人の見慣れない男の姿があった。その男は、(元は豪奢な貴族服であったと思しき)ボロボロの服を身にまとい、やつれた様相でフラフラとした足取りながらも、眼光だけは鋭くオリビア城を睨みつけながら、周囲の人々を押し分けるように大通りの真ん中を歩き続ける。 その様子を遠巻きにみている人々は、口々に小声で囁き合っていた。 「フィリップ様、だよな……?」 「あぁ、あんな身なりだが、どう見てもあれはフィリップ様だ……」 ****** 「フィリップ様がご帰還されたらしいぞ!」 その知らせはすぐにオリビア城内にも届いた。フィリップという名前はこの地域では平凡な男性名だが、この時点でこの地に「帰還」する人物ということになれば、現当主の次男にしてルイの弟であり、モニカにとっての「二番目の婚約者」であったフィリップ・コンドルセのことを指していることは明白である。 「ローラ殿、何やら騒がしくなってきたようですね」 城下町から急いで戻ったアーノルドは、ローラの客室に辿り着くと同時に、そう告げる。それから少し遅れて、イェーマもまた彼女の部屋を訪れた。 「次男殿がご帰還されたそうです。私は、彼のことはあまり詳しく知らないですけど……」 イェーマがそう言ったところで、ローラは「無人島」でのことを思い出し、なんとも言えない表情を浮かべる。彼もまた、あの時はルイと共に聖印教会の側に協力して自分達に敵対しつつ、戦況不利を悟ると同時に、兄を見捨てていち早く船で逃亡した人物であった。少なくとも、ローラの中での印象は極めて悪い。 「ローラ殿の予言のこともありますし、放っておくには危ない事態かと。私は様子を見に行ってきます」 そう言って、アーノルドは装備を整えて城下町へと向かった。彼は、朝の時点でのローラの予言の中にあった「帰還」という言葉から、フィリップがこの地に帰ってきたことが契機となって、何らかの形で混沌災害を引き起こすのでは、と考えていた。この重要な局面において、時空魔法の結果を信用出来る程度には、彼はローラに対して信頼を寄せていたのである。 一方、ローラは改めてこの時点で「フィリップ」に関する情報を時空魔法で得ようと試みることにした。 ****** 時空魔法による予言は一定時間集中する必要があるため、しばらくの間、彼女は何も出来なくなる。その過程で(少し休んで酔いを醒ました)ウィルバートもまた(当初はイェーマの部屋を訪れようとしていたが、彼がローラの客室に向かったと聞いたので)彼女の元へと到着していた。 そしてローラが導き出した言葉は「遭難」「混沌」「怨霊」「憑依」「異形」「魔物」「兄」という七つの単語であった。 「まずいですね、これは……」 イェーマはそう呟く。もはや疑う余地もなく、フィリップこそがこれから引き起こされる混沌災害の引き金であろう。既に彼が町中に入り込んでいる以上、ここは一刻も早くアーノルドの後を追う必要がある。そして、その思いはウィルバートも同様であった。 「走るか!」 ウィルバートはそう口にすると同時に、一目散に城の出口へと向かって走り出す。それに呼応するようにイェーマは、隣りにいたローラの身体を片手で持ち上げて、そのまま小脇に抱える。 「え? イェーマさん!?」 「どうせ君は、走るのは得意じゃないでしょ?」 緊急事態ということもあり、イェーマは同世代のローラに対して「タメ口」でそう告げた上で、ウィルバートの後を追って走り出す。 「いや、私のことは置いていってもらっても……」 「そんな訳にはいかないでしょ! 僕よりずっと強いんだから!」 実際のところ、ローラは本来は戦闘が得意ではない。だが、昨夜の戦いでのローラの放った電撃が一瞬にして巨大熊達を燃やし尽くした光景を目のあたりにさせられたイェーマには、とてもそうは思えなかったようである。 3.9. 海の怪異 一足先に城下町へと飛び出したアーノルドに対して、彼の「篭手」が嫌な声色で語りかける。 (極めて強大な混沌核に近づきつつあるな……) その声がアーノルドの心の中で共鳴する一方で、彼の耳には、目の前の大通りでフィリップを取り囲む人々の声が聞こえてくる。 「フィリップ様、今までどこに?」 「あれから、どうされていたのですか?」 フィリップは無言でそんな人々を押し分けるように、城へと向かって、重い足取りで歩を進める。やがて、アーノルドの後方から、話を聞いて駆け付けたルイの声が聞こえてきた。 「フィリップが帰って来たというのは、本当か?」 それに対してアーノルドが片手を伸ばして静止する。アーノルドとルイは遠縁の親戚だが、実際に会ったことはない。しかし、城に掲げられていた肖像画から、アーノルドはすぐにそれがルイだと認識出来た。 「ルイ殿、少しお待ち下さい」 「どうした?」 「私の杞憂であれば良いのですが、今の彼からは『とてつもなく強い混沌の力』を感じます」 「なん、だと……?」 二人がそんなやり取りをしている間に、フィリップの姿がルイの視界にも入った。言われてみれば、確かにどこかフィリップの様子がおかしいようにも見える。 そんなフィリップが無言でルイへと近付いてくるのに対し、アーノルドが間に入る。 「失礼、あなたがフィリップ殿で間違いないのですか?」 「私は貴様など、知らん!」 そう言ってアーノルドを片手で払いのけようとするが、その圧力に抗おうとするアーノルドによって、逆に弾き飛ばされた。もともと体格的にはフィリップの方が細身である上に、今のフィリップは明らかに身体状態が本調子ではなく、足腰も不安定である。 「フィリップ、どうしたんだ、お前。一体……」 駆け寄ろうとしたルイに対して、フィリップは激しい憎悪を込めた表情で睨み付ける。 「貴様さえ、貴様さえいなければ……、貴様の痴話喧嘩に巻き込まれたせいで、この俺は……」 フィリップはそう呟きながら、徐々にその身体を異形の怪物へと変化させていく。彼の外皮は不気味な海洋生物のような色へと変わり、徐々にその身体は膨張しつつ、その四肢はそれぞれに分裂する形で八本の触手へと変わり、もはや「フィリップ」であった時の面影を完全に消失した「巨大な蛸のような怪物」へと変わっていく。どうやら彼は、行方不明となっている間に何らかの形で混沌の力に取り込まれてしまったらしい。 「ルイ殿、ここは二人で引き止めましょう!」 さすがに「この状態の彼」を、城に近付ける訳にはいかない。そう判断したアーノルドであったが、彼がそう叫びながらルイに視線を向けた時、既にルイは(街の人々と共に)怪物に背を向けて一目散に城へと向かって逃げ出していた。 アーノルドはやむなく一人で聖印の力を発動し、怪物から距離を取りつつ、全力で聖なる光矢を放つ。その一撃は怪物の身体を貫き、そのまま光の鎖となって怪物の身体を縛り上げる。だが、次の瞬間、その怪物の周囲の石畳の公道が消滅し、代わりにその空間に「海」が出現した。その空間の変異は怪物から距離を取っていたアーノルドの足元にまで及び、彼もまた「海」へと落下する。聖印の力によって生み出された浮力によって、かろうじて上半身は水面上に保ちながら、そんな彼に対して遅い来る怪物の触手をかろうじて避け続けていた。 そんな中、アーノルドの後方から、ウィルバート、イェーマ、そしてイェーマに抱えられた状態のローラが駆けつけた。 (また海!?) ローラは思わず内心でそう叫ぶ。彼女はかつてエーラム均衡の山岳地帯にて、突如として地面が「海」へと変化する場面に遭遇したことがあった(ブレトランドと魔法都市2参照)。そして、彼等が駆け付けたのはアーノルドから見て「背後」の方面であったが、ウィルバートが到着と同時に「龍化」を始めたこともあり、その気配からアーノルドはすぐに状況を察する。 「皆さん! 助かりました!」 アーノルドは援軍に対して背を向けたままそう叫びつつ、ひとまず必死に身体を動かして「海」の領域の外に出たところで、ローラの魔法でその弓の威力を強化してもらった上で、二度目の光矢を放つ。そしてローラは立て続けに他の仲間達の武器を次々と強化しつつ、雷撃球の魔法を発動する。既に彼女の目には、アーノルドが戦っている相手が「フィリップ」とは認識出来ていないため、そこには何の躊躇もなかった。 だが、この怪物はそんな二人の攻撃を受けても全く怯む様子もなく、その身体を縛る光の鎖を強引に破壊した上で、そのまま城(ルイの逃げた方向)へと進み、それと同時に「海」の領域も移動した結果、(一度は陸地に上がった筈の)アーノルドを含めた全員が「海」へと落下した。 しかし、龍(ウィルバート)とイェーマは、気にせずそのまま泳いで怪物へと近付き、それぞれに牙と剣で戦いを挑む。それに対して怪物は反撃を試みるが、ウィルバートの妨害工作とローラによる支援魔法の効果もあって、怪物に有利な水中であるにもかかわらず、全員がその触手による攻撃を見事にかわし続ける。 そしてローラの錬成魔法によって気力を回復したアーノルドによる閃光の如き一撃と、ローラによる一点集中型の雷撃魔法、更にはウィルバートの(「影」としての属性を生かした)急所攻撃と、星核の力を用いて放たれたイェーマの斬撃が次々と繰り出され続けた結果、最終的には激戦の末に怪物の混沌核は破壊され、その周囲の「海」は元の石畳の地表へと戻り、混沌核の残骸はイェーマとアーノルドの聖印によって浄化・分割吸収されたのであった。 4.1. 花嫁の決断 「結局、何だったんだ……?」 逃げ惑っていた街の人々は、怪物が消えたことでようやく落ち着きを取り戻すが、アーノルド達自身も含めて、何が起きていたのかは誰も理解出来なかった。ただ、公衆の面前でフィリップが「貴様のせいで」とルイに対して言い放っていたので、何らかの兄弟喧嘩があったであろうことは伝わっている。 なお、戦場から真っ先に逃げ去ったルイは、城に戻ると同時に全ての兵士に対して「籠城」の命令を出していたらしい。「今、この城の中に姫がいるのだから、守らなければ」というのがその理由であり、実際、怪物は城に向かおうとしていたので、その判断自体は客観的に見れば間違いではない(実際には、怪物は「城」ではなく「ルイ」に対して向かっていたのだが)。 一方、本来の城主であるアンリは、この騒動の最中、主賓格となる来客の出迎えのため、フィリップの出現場所とは反対側の城下町に出ており、彼が城に戻った時には、既に事態は収束した後だった。彼は報告のために帰城したアーノルド達に対して、城の入口で深々と頭を下げる。 「お客人には、我が息子のためにご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした」 「いえ、あなたが気にされることではありません」 「ですが、そもそも、息子達がこのようなことになってしまったのも、私の責任ですし」 実際のところ、なぜフィリップが異形化してしまったのか、原因は定かではない。おそらくは、あの無人島合宿の際にいち早く逃げ出した彼の船が、何らかの海難事故に遭って海上の混沌に取り込まれてしまったのだろうが、それが自然発生的な事故だったのか、何者かの意図がその背後にあったのかは不明である(なお、フィリップが一人で無人島から去った際の経緯については、目撃者であるローラは何も言わなかった)。 そんな中、モニカが彼等の前に現れた。その傍らには、彼女を守るために城に残っていたラファエルの姿もある。モニカは何かを決意したような強い面持ちで、アンリに対してこう告げた。 「本来、滅多に混沌が発生することのないこの地で、このようなことが起きてしまったのは、私の責任としか思えません。ですので、大変申し訳ございませんが、今回の縁談、辞退させて頂きます」 モニカはそう言って、アンリに対して頭を下げる。 「いえ、そのようなことは……。これはあくまでも我が息子達の……」 「先程、ルイ様にもこのことはお伝えした上で、納得して頂きました。大変身勝手なお願いかとは思いますが、どうか御了承下さい」 いつになく確固たる信念を込めた表情でそう語るモニカに対し、アンリは彼女を引き止める言葉を持ち合わせていなかった。実際のところ、今回のフィリップの一件はモニカとは全く無関係の混沌災害だったのだが、アンリとしては既に過去二回に渡って婚約不履行という前科を犯してしまっている以上、彼女の側からこう言われてしまっては、引き止められる立場ではない。 そもそも最初からモニカがこの結婚に前向きではないことは、アンリも分かっていた。故に、おそらく彼女の中では今回の件はただの契機にすぎず、「新郎側が原因の混沌災害」を理由にするとカドが立つと判断した上で「自分が原因」ということにしてくれたのだろう、とアンリは解釈していたのである(実際には、モニカは本気で自分が原因だと勘違いしていたのだが)。 「分かりました……。大変残念ではありますが、当方としてもこれ以上、ヴァレフールの大切な御令嬢をこの地に縛り続けておくことは出来ません。今更私が言えた義理ではありませぬが、どうか、新たな御良縁に恵まれることをお祈りしております……」 アンリはそう言って、結婚式に参列予定の来賓達への謝罪のために、この場を後にした。なお、この直前にモニカがルイに婚約解消を申し出た時のルイの反応も、概ねアンリと同様であった。ルイとしては、フィリップに恨まれる心当たりは十分すぎる程にあった上に、その真相を知るローラが来ている現状において、この問題について掘り返されることを恐れていたため、モニカが「自分のせい」だと勘違いして場を収めてくれるのであれば、その方が好都合だったのである(更に言えば、もともとローラを通じて「元契約魔法師」との縁が繋がってしまうと知った時点で、彼自身もまた内心ではこの結婚に対してやや及び腰になっていた)。 その上で、モニカはその場に残ったアーノルド達にも頭を下げる。 「せっかくご来場頂いた皆様には申し訳ございませんが、このようなことになってしまいました。私はもう花嫁ではないので、この地にこれ以上残る訳にはいきません。もっとも、だからと言って私が故郷に帰って良いかは分かりませんが……」 彼女がそう語る傍らで、ラファエルは複雑そうな表情を浮かべていた。実はこの騒動の直前の時点で、ラファエルはモニカに「もうお祖父様はいないし、この婚約も、嫌だったら破棄してもいいと思う」と告げていたのだが、それに対してモニカは「でも、今更帰っても、皆に合わせる顔が無い……」と躊躇していた。そんな彼女にどう声をかけるべきかラファエルが迷っていると、彼よりも先にイェーマが口を開いた。 「それなら、一緒に行く?」 彼のその一言に対して、モニカは歓喜と困惑が入り交ざったような複雑な表情を見せる。 「……どちらへ?」 「うーん、どちらだろう……?」 イェーマとしては、これから先の自分の「旅の目的」をモニカに事情を話して良いかどうか、まだ迷っていた。彼女は自分のことを信頼はしてくれているとは思うが、ブレトランド育ちであるがゆえに大毒龍の伝承のことも知っているであろう(しかも、明らかに気弱な性格の)彼女が、この話を聞いた上で恐怖しない、という保証はない。 一方、モニカは自分がイェーマの「傭兵稼業」に付き合って一緒に旅をするという姿が、どうしても想像出来なかった。 「少なくとも私は、傭兵としては全く役に立ちませんよ」 「まぁ、それは一向に構わないけど……、僕はある理由でブレトランドに行かなきゃいけないんだ。行くとこないなら、一緒に来る?」 そんなイェーマの言葉に対して、どう反応すれば良いか分からない様子のモニカの表情を伺いながら、ラファエルも何かを察する。 (やっぱり、姉さんはこの人のこと……) ラファエル自身、まだ「そういうこと」には疎い。だが、そんな彼の目にも、モニカはイェーマに対して「ただの護衛の傭兵」以上の感情を抱いているように見えた。その上で、そんな彼の言葉にどう答えれば良いのか分からずにいる姉に対して、改めて「弟」として提言する。 「姉さんが本当の混沌を呼び寄せる体質なのかは分かりませんし、もし姉さんがケイに来るのであれば、受け入れるつもりでいます。もちろん、タイフォンでも、ドラグボロゥでも、どこでも受け入れることは出来ると思います。ローラさんとしても、それで良いですよね?」 「もちろん、構いませんよ」 ローラは笑顔でそう答える。そんな彼等の反応に対して、モニカはまだ色々と迷いながらも、ひとまずはイェーマと共に、ラファエルの仮所領であるケイへと向かうことになった。イェーマとしても、ブレトランドに全く土地勘がない以上、現地の有力者であるラファエルの元へと向かうことは有意義であったし、ローラもローラで、もしイェーマが仲間を探すためにグリースへと向かうことになった場合、義姉との関係性を生かして自分が橋渡し役となることも出来るかもしれない。そして、イェーマの身の安全を確保するという意味でも、しばらく彼等と同行することは、女神ヘカテーの信徒としての彼女にとって望ましい話であった。 4.2. 去り行く来賓者達 こうして、イェーマとモニカはケイへと旅立つことになった。その一方で、ウィルバートは当初の予定通りにシリアをヴァレフールの首都ドラグボロゥへと護送することになる。同じヴァレフールへの帰還ではあるものの、ケイに向かうイェーマ達はアキレス経由となるのに対し、ドラグボロゥへと向かうウィルバートとシリアはオーキッド経由での入国となるため、彼等と歩調を合わせる必要もなく、彼等よりも先に出国することになった。 ウィルバートにしてみればは、自分自身で「星の前世」の者達を識別することは出来ないものの、イェーマとは別行動を取って各地を旅することによって、大毒龍に関する何らかの情報を探し出せる可能性もある。ちなみに、シリアは今回のモニカの決断に対しては何も言わなかった。ただ黙って、彼女が決めたことを粛々と受け入れることにしたようである。 なお、「暁の牙」の団長であるヴォルミスは、イェーマともウィルバートとも顔を合わせぬまま、いつの間にか街から去っていた。後に兵士達が話していた噂によると、ヴォルミスはフィリップの帰還の直前の時点で、城下町の一角で「怪しげな雰囲気を醸し出していた楽士」を発見し、その人物の身元を問いただそうとしたところで彼が逃げ出したため、しばらく彼との間で追走劇を繰り広げた結果、フィリップによる怪物騒動には関わることが出来なかったようである。 一方、アーノルドもまた、ゴーバンを連れて所領のハルペルへと帰ることになった。ゴーバンは今回の一件に関しては何が起きたのか全く知らされないままの帰国となり、釈然としない様子ではあったが、モニカの婚約解消に関しては(もともと彼女が乗り気ではないことは察していたため)なんとなく「それで良かったんじゃないかな」と漠然と思っていた。 ルキアーノは結婚式中止の連絡に対して「まぁ、こういうこともありますよね」と淡々と答えた上で、次の任地であるバルレア半島東岸のユーミル男爵領へと向かうことにした。長年神父を務めてきた彼にとっては、こういった形での「想定外の事故による(?)結婚式中止」は、それほど珍しくないことなのかもしれない。 アーノルドはそんなルキアーノに別れを告げつつ、自分自身の出発直前に(モニカの出立準備が整うのを待つためにまだ街に残っていた)ローラに声をかける。 「ローラ殿、少し、よろしいでしょうか?」 「はい。なんでしょう?」 「まずは、先程の戦いではありがとう。私の方からは何も言わなかったのに、適切な援護をしてくれて」 アーノルドとしては、自分があの戦場において全体をまとめなければならなかった、と思っていたらしい。それは君主としても年長者としても当然の考えではあるのだが、とはいえ、あの状況下で(弓使いであるにもかかわらず)一人で最前線に立つことになってしまっていた彼には、戦場全体を見渡すような余裕がある筈も無かった。 「そんなことはありませんよ。私にはそれくらいしか出来ませんから」 「いや、本当に素晴らしい支援だった。恥ずかしながら、私はこれまで魔法師の方と一緒に戦ったことがなかったのだ」 それは主に信仰上の都合であり、より正確に言えば、立場上の都合でもあった。しかし、今回の戦いを通じて、改めて「状況によっては魔法の力を借りることとも必要」ということをアーノルドは痛感していた。 「そうでしたか」 「なので、今回のことでも、意識的にか無意識的にか、あなたには頼るまいと思って行動してしまっていたのかもしれない。そのことについては、本当にお詫びしたい」 「私としては、そんなことは感じられませんでしたよ」 「そうであれば良いのだが……。これから、この星核に関してまた色々あると思うのだが、もしまた一緒に戦うことがあれば、その時もよろしく頼む」 「分かりました。私の出来る範囲でお手伝いします」 「ありがとう。その時には私も、今以上に君の力になれるように約束するよ。では、お互いお達者で」 「はい。また会う時があれば」 こうして、本来ならばおよそ関わることのない「唯一神を信仰する君主」と「異界の女神を進行する魔法師」の奇妙な共闘は、ひとまず終わった。そして、次に彼等が出会うのはおそらく、大毒龍復活を阻止するための最後の戦いの時となるだろう。 なお、この結婚式の中止に伴い、城に届けられた引き出物や祝いの品は、それぞれの送り主の元へと返されることになったらしいが、その中に「グリース領マーチ村」からの品が含まれていたのかどうかは定かではない。 4.3. 母の耳飾り 翌日。ラファエル、ローラ、モニカ、そしてイェーマの四人は、ブレトランドへと向かうために、オリビア城を後にした。そして数日後にアロンヌの港町へと辿り着いた時点で、彼等の前にあのヴァイオリン弾きの男が現れる。 四人が警戒して身構える中、彼は懐から一対の「耳飾り」を取り出す。 「これを渡そうと思っていたんだが、残念ながら、その機会はなかったようだな」 その耳飾りは、確かにモニカにとって見覚えのある一品であった。 「それは、母様の……」 「あいつが、嫁入りする時に付けていた耳飾りらしい。だが、これを渡すのはもうしばらく先か……。いや……」 そう言いながら、ヴァイオリン弾きの男はチラッとイェーマを見て、ニヤリと笑う。 「そう先ではないのかもしれんな……。いずれにせよ、もうしばらくしたら、お前の叔父さんか叔母さんが生まれるから、俺は今からそちらに行かなければならない。それじゃあな」 楽士はローラにそう告げると、イェーマ達がその言葉に反応するよりも先に、自身の周囲に再び蝙蝠達を出現させ、そして蝙蝠達に包まれた状態のまま、霧のように姿を消していった。結局、彼が何者だったのか、何をしたかったのかは分からない。ただ、彼が消え去った後の残り香から、モニカとラファエルはなぜか不思議な懐かしさを感じ取り、そんな彼等の様子を、イェーマとローラは心配そうな面持ちで見つめるのであった。 八つの光が揃うまで、未醒の星はあと三つ。夜空に希望が満ちるまで、未還の星は八十三。 【ブレトランド水滸伝】第6話(BS58)「天威之弐〜神々の戯れ〜」 グランクレスト@Y武