約 529,897 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8318.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 む!?これは……クリーム?いや、牛乳臭さが…… 果物?なんと!果汁を煮詰めるだけでここまで濃厚な味が!! これが噂の『バカリンゴ』でござんすか! いやぁぁ!こりゃぁ参った!降参っ!! 所詮、流行り物と馬鹿にしてましたが、なかなかどうして! ラム肉のクセだけを隠して、蕩けるように! あぁ~!これはもうお上品さなんていりませんな! 骨のとこをこう持ちまして、下品にも口を開けましてな…… むむぅっ!至福っ!またワインによく合うっ!! ……はい?肉の感想はいらない?さっさと続きを話せ? まぁまあ、短気は金貨1枚の損ですぜ? 腹が減ってはアルビオンも落下するなんて言うじゃぁござんせんかぁ。 ――タハッ!こいつは手厳しい!確かにさっきから飲み食いしてばかりですわな! この店が美味すぎるのがイカンのですわ!いや全く! よし、小休止!食事は小休止ですわ! えぇ、ちゃんと話の続きをさせていただきましょうぞ! あ、でもワインのつまみぐらいは良ござんしょ? ……お姉さん!ピクルスを追加で! さてさて……近頃はね、旅も難しいもんじゃ無くなってきてますわ。 山道、獣道ぁ確かに厳しいざんすが、 こいつを越えて街道に出りゃ大きかれ小さかれ村町には繋がってまさね。 足取りかろやかに!私めの舌も滑らかに!一行は街へと…… おほっ!スゴい臭いっ!来た来た来たっ! いやー!このピクルスはまたクセになりますなぁ…… あぁ、失敬失敬、では話の続きを……うぅん、シャキシャキでたまらんっ! ゼロの黒魔道士 Another Note ~第肆篇~ 恋に落ちて 人の住む街の呼吸は、木々のざわめきとはそれなりの違いがある。 浴場の口笛と、王宮楽団によるファンファーレ程の差だ。 音楽には少々疎いスティルツキンにとって大した違いは無い。 どちらも聞く方にとっちゃ退屈極まりないだけの代物だ。 「ふわー!ふわー……ふわー、ふわぁああ!!!」 それよりは、この少女のような感嘆符のソプラノの方がよっぽど良い。 スティルツキンはそう考えた。 町としては中規模以下、建物の高さも空を遮るほどでは無い。 それでも、交通の要所として栄えたこの町は、 修道院出身の娘を満足させるぐらいの気前は見せている。 冬支度前の気ぜわしい空気、露天商の軽やかな口上。 それらが石畳を反射して、全体的に跳ねるようなメロディーを作り上げていた。 その真ん中で、少女は踊っていた。 自分の尻尾を追いかけまわす犬のように、くる、くる、くると良く回る。 見たいものを一度に見ようと、体をのけぞったり、斜めにかしげてみたりと忙しい。 それがまた無邪気で愛らしい。 「ジョゼットぉ、ふわっふわしてると迷子になるぞー!」 「お前が言えた台詞じゃぁねぇな、少なくとも」 これでもう1人の旅のお供がこのアホタレじゃなきゃぁなぁと、後悔せずにはいられない。 街道に出るまでのわずかな道程で、トラブルを起こした数はなんとか両手に納まるほど。 世の中の『困り事』を一まとめの塊にして、 四本ほどの腕と二本の足を継ぎ足せば大体この男と似た容姿になるだろう。 「師匠ぉ~……俺を何だと思ってんスか?」 「バカ」 「まさかのストレートっ!?」 頭が大文字で固有名詞としたいところの『バカ』を適当にあしらっていると、 くるくる回っていた少女の視点が一ヶ所でピタリと止まった。 鼻をひくひくさせ、体の半分以上がそちらに乗り出している。 「ね、アレ何ですか?アレ!なんかすっごくいい匂いがしますよっ!?」 「ん?あぁ、屋台だな。菓子か何かか?」 「すいませんっ!これ、何ですかっ!?」 スティルツキンが答えるか答えないかの内に、ジョゼットはそちらへと猛然と走り出していた。 間違いない、確かにスティルツキンに聞くよりは屋台の店主にでも聞いた方が解答は早かろう。 しかし、その行動がまるで…… 「犬、だな……」 それも子犬。キャンキャンよく吠えるタイプの犬だ。 素直さと従順さは良いが、いつでも遊ぶことに忙しいタイプの犬だ。 「ま、可愛らしいんじゃ無いッスかねぇ?」 あぁ、好ましい。少なくとも駄犬であるお前よりはな。 そうツッコむ前に、スティルツキンは男の言葉尻に何か引っかかるものを感じた。 「おや、いらっしゃい!どうですかい、おひとつ! 美味しい美味しい、バノーラ・ホワイトのクレープだよっ!」 だが、その引っかかりは店主の殊更に甲高い売り口上に吹っ飛んだ。 「ばのーら・ほわいと?」 「近頃、都で大流行のフルーツさっ!砂漠をはるばる越えた東方産だぜぇ? リュティスのセレブなメイジのお嬢さん方のお気に入りさっ!」 「ふわぁぁぁ……」 見れば、大なべの中にトロットロに溶けたそのフルーツとやらが、 店主の引きあげた棒に沿い、芳醇な蜜をネバーっと天に向けて糸を伸ばしていた。 なるほど、実に甘ったるそうで、実に女の子好みだ。 「今日は特別出血大サービス! お嬢ちゃん可愛らしいから、銅貨1枚でどうだっ!」 「銅貨……あー……」 明るかった少女の顔が、風船が萎むようにシュンとなる。 修道院や野宿と、一般社会の違い。 貨幣による社会構造という大きな壁がそこには存在する。 不特定多数と付き合うということは、 そこに金、銀、銅ぴかに光る信用が必要なのだ。 「……師匠、ギルあります?」 『ギル』と呼ばれるのはスティルツキンやその横のバカ男の出身地の貨幣単位だ。 信用を守るだけの流通力と、確かな信頼性がある。 信頼性、バカ男には決して備わらない貴重な存在だ。 だからこその価値なのだ。 「奢らないぞ、俺は」 「えーっ!?ケチーっ!!」 「バーカ。泊るとこ探すのが先だろうが。大事な宿代はとっとかなきゃな」 決して文無しな訳ではない。 スティルツキンも旅のために幾ばくかのギルは持ち合わせている。 必要なればこそ、と道中で見つけた品々を売るなどして蓄えたへそくりだ。 ギルの使い道は優先順位がある。 今回の場合、屋根つきの宿が甘味などという嗜好品をはるかに凌いでいる。 少々可哀想かもしれないが、こちらの世界の宿代の相場が分からないのだ。 クレープなどに費やさず、保険のために残しておく必要がある。 「ちぇ……しゃぁないッスね……っとぉ」 スティルツキンに断られ、四本腕の男は不肖不服といった様子でジョゼットに歩み寄った。 その際、『偶然』、本当にそうとしか見えないタイミングで、 通りを横切った男にぶつかった。ちょいと値の張る服を着た恰幅の良い男だ。 「前見て歩けっ!」 文句を一言。恰幅の良い男はそれだけで歩み去った。 ブツブツと呟いているところを見ると、何か商談でもこの後あるのだろうか。 たかだか肩のぶつかり合い程度で時間を浪費したく無いという速足だった。 「おぅ。悪ぃ悪ぃ……ごちそうさま」 舌をペロッと。 男の腕は四本。内三本は歩き始めたときと同じ手ぶらだったが、 残る一本、そこには男の服装に合わぬ高級そうな布袋が握られていた。 「ほい、ジョゼット、銅貨1枚でいいんだっけ?」 「え!いいんですかっ!?」 「手癖悪ぃなぁ……」 ジャラッと小気味よい金属の触れあう音。 それに目を丸くするジョゼットを見比べながら、 スティルツキンは溜息をついた。 なるほど、いかにも小悪党らしい特技だ。 少なくともこの馬鹿男は、なんとか今まで切り抜ける技を持っていたわけか。 「良いってぇ!おい、オヤジ!俺の分もな!銅貨2枚だな?」 「へいへい、毎度毎度……腕4つ?あ、亜人っ!?」 コインを差し出した手、袋を持つ手、『2』と形作った手、腰にあてられた手。 それらが全て別々の手であることを目にとめた途端、店主が素っ頓狂な声を上げた。 「んあ?」 「ひ、ひ、ひぃいい!!大変だぁ、亜人が出たぞぉおおお!!!」 まるで軍隊の突撃ラッパのような声だった。 それを聞きつけた人々の動きも似たようなもんだ。 まず、一瞬空気が止まる。 止まった空気が動き出すときには、全てが怒号へと変わる。 一方向へのエネルギーの噴出だ。 「何だとぅっ!!」「出やがったかっ!?」 「四本腕!?新手かよっ!!」「どうせヤツらの味方だっ!」 「女子供を隠せっ!!」「メイジ呼んでくれぇっ!!」 「お、おいおいおい、亜人って……」 「な、何、何、何!?」 他所の場所と風習が違うということはあるかもしれないが、 これを歓迎という風俗風土は存在しまい。 そう感じるが速いか、スティルツキンはジョゼットとバカの腕を引っ張っていた。 「おいマヌケ野郎!ジョゼット!!一旦出るぞっ!」 「え、師匠!?え、つかマヌケ野郎って俺っ!?」 「ななななんなんですかー!?」 『亜人』という呼び方に何やら侮辱的な響きを感じるものの、 スティルツキン達は走った。 無用なトラブルは御免だ。 「逃げるぞっ!」「待てぇっ!!」 「馬鹿、下手に追うんじゃない!!」 「メイジはまだかーっ!?」 ・ ・ ・ 街道外れの森の中、切り株や幹によりかかりつつ、 三者三様の息切れが白い煙を上げていた。 森の空気は冷たいが、街の中で向けられた視線よりはマシだ。 「ぜぇ、ぜぇ……な、何だったんスかありゃ一体……」 「突然……『亜人』って……」 「まぁ、ありそうな話だな」 戸惑っている二人を尻目に、スティルツキンは呟いた。 伊達に人生ならぬモーグリ生経験を得ているわけではない。 「師匠?」 「見た目で迫害されるってぇのはどこでもあることよ。 ハミ出し者が怖いのさ、大抵のヤツぁ」 異物に対する攻撃。 何のことは無い。身体と同じことだ。 毒を飲めば体が拒否して追い出そうとする。 相容れない物は拒否する。それは生物として当然のことだ。 スティルツキンはそう知っている。伊達に世界を回っていない。 どこでもあること、どこでも起こりうることなのだ。 とはいえ…… 「イジメみたいなもの、ですか……」 「ま、延長だわな。そこの馬鹿が無駄に腕くっつけてんのが珍しいからな」 「そ、そんなぁ……俺、ジンチク無害ッスよぉ?」 「いや、害だらけだ。少なくとも俺にとっちゃな」 「し、師匠の毒が心に痛ぇえ……」 とはいえ、この四本腕の大馬鹿は『まだ』何もしていなかった。 (スリ行為についてはバレてないので省いておくことにして) 多かれ少なかれ、いずれトラブルを起こすであろう馬鹿だが、『まだ』何もしていない。 それなのにあの町の者達は、自分達と違うものを敵意むき出しに追いたてた。 『亜人』、だったか。 その言葉の裏に隠されたものを知るのは、この世界の住人で無いので預かり知らないが、 いずれにしろ『亜人』に良い印象を持っていないことは間違いない。 「……どうしましょう……?」 「ここまで来て野宿ってぇのもなぁ――」 野宿は何度もしたので、それ自体には問題無い。 ただ、町の傍まで来ておいて(一度は入ったにも関わらず)、 なおかつ野宿とは、豪華な食事を目の前にして豆だけのスープを飲んでいるようなものだ。 さて、ここは1つ策を練らねばなるまい…… ・ ・ ・ 町の裏側、東門の方にある宿屋。 時折行商人が仮宿にするが、とても繁盛しているとはいえない。 それでも、女将が1人で突っ張りとおすだけの儲けはある。 月に2、3組も客を迎えれば贅沢では無い程度の生活は可能だ。 今も現に、客がちゃんと来た。 ブリミル様、日々の糧をありがとうございます。 やや年は食っているが、なおも豊満な胸をぶるんっとふるわせながら女将は感謝した。 「はい、それでは2名様。前金でよろしゅうございますか?」 「う、うむ。これで頼むゾイ」 「(ゾイってなんだよ、ゾイって!)」 「……?」 それは、奇妙な2人連れだった。 男の方はローブにくるまれているがそれなりの筋肉質。 女の方は箱入り娘という感じの白い服に白い肌で白い髪。 狩人と、その娘、というところだろうか。 やや詮索好きの宿屋の女将は、妹の方をじぃっと音がしそうなほど見つめた。 何やら妙な音が聞こえたような…… 「か、可愛いぬいぐるみでしょ?」 「フフ、ほーんと!生きているみたい!」 なるほど、ぬいぐるみか。 白いモフモフとした毛にくるまれたフォルム。 造形としても生きているように精巧だ。 きっと高価に違いない。 はて、狩人でそこまで財力を成す……むぅ、この男は何者なのだろうか? 溢れんばかりの好奇心は客に向けたまま、後ろの壁から鍵を取り外した。 「それでは、2階の部屋で。水は汲んでありますが、何かあったら言ってくださいね」 「う、うむ苦しゅうない!」 「ありがとうございます!」 「ふふ、お人形さんに負けないぐらい、可愛らしいお嬢さんですね」 「へ、お嬢さん?」 「あら?親子さんじゃないんですか?」 「ち、違うゾイ?」 予想が外れるとは。これは不覚。 親子では無い。好奇心の触手が一気に膨れ上がった。 「兄妹です!兄妹っ!!」 「あぁ、なるほど……可愛らしい妹さんで、お兄さんがうらやましいですわ♪ では、ごゆっくり……」 生憎、女性の二本腕では荷物を二階まで運ぶのは困難だ。 申し訳ないが、ここから先は客のセルフサービスとしてもらっている。 料金はその分格安、余計な従業員を雇う必要も無い。 女将は名残惜しそうに客の後ろ姿を見送った。 さてさて、あの二人本当に兄妹なのか? それともまさか、駆け落ち?あの身長差でカップル? うむ、なかなかそそる。 駆け落ちとすると……豪商の娘とその使用人、とか? 禁じられた愛、親の反対を押し切って愛の逃亡劇? 不器用な変装で必死にお嬢様を守る使用人…… くっはー!うん、ロマンチック!たまらない! 宿屋の女将の妄想が一階でとぐろを巻いているころ、 狩人の兄貴だか、駆け落ちの旦那側だかが、ローブを苦しそうにはぎとった。 四本腕、内下二本の腕は変に動かないように体にしっかり結び付けている。 涙ぐましい努力の成果、とやらだ。 「……ぷはぁああああ!!いてててて……」 「お前、才能無いだろ?」 「だ、だってぇ、演技なんてやったこと無ぇんスもん!」 「モノマネするわけじゃないんで、自分をゴマかすだけだろうが……」 自分もぬいぐるみ役としては『言葉を発する』という禁忌を犯しておきながら、 スティルツキンは『ゾイ』男にズケズケと文句を言った。 全く、変装も楽ではない。 「自分をゴマカスっつわれても……どうした、ジョゼット?」 「ん?え、ううん!な、何でも無いですよ?」 四本腕の大根役者から、ジョゼットへ視線を移す。 その向こうには窓がある。宿屋の部屋に窓があるのは当たり前だ。 その向こうには景色が、町並みが見える。これも当たり前だ。 だがその景色を眺めて溜息をつく、これは少々当たり前とは異なる。 「……ふー……」 と、後ろから溜息が。 四本腕で頭をポリポリかきながら、腕組みなんぞをしていやがる。 「俺とおーんなじ!演技下手だよな!」 「え?」 「一緒にしてやんなよ、可哀想だろ?」 自分の気づいていないことを気づいているらしい物言いに、 スティルツキンは若干の苛立ちを覚えた。 「――3つ、師匠の分も頼むぜ?」 「……あ」 銅貨が3枚、ちゃりんちゃりんと小気味良い音を立てて手渡される。 ふむ、スティルツキンは窓の外が見えるように背伸びをした。 なるほど、先ほどとは違う店主だが、似たような屋台が通りの向こうに見える。 「遅くなるなよ?」 「はいっ!いってきまーっす!!!」 銅貨を受け取ったジョゼットは、 まるで木の棒を投げてもらった飼い犬のように喜び勇んで駆けていく。 良い笑顔だった。純粋で、元気が溢れている。 「ふぅ……」 「――ちょっと聞きたいことがあるんだがな」 ベッドに腰を降ろした男に、窓から視線を戻さずに聞く。 下を見ると、ジョゼットが丁度宿屋の入り口から外に出たところだった。 「ん?何スか師匠?」 「……惚れたか?」 たった一言。効果は抜群。 窓のガラスに反射して、男の顔色が綺麗に変わるのが見て取れた。 その髪の毛と同じ真っ赤っかの紅色。 実に分かりやすい。 「だ、だだだだ誰がっ!?誰がスか!?誰が誰に!?」 「わっかりやすいなぁ、お前……」 思えば、ここに来る道中でもそうだ。 ジョゼットが落ち込んでいれば励まし、いつでも笑顔にさせるようにしていた。 そもそもジョゼットを連れて来るよう言ったのもコイツだ。 予想は容易い。ましてやこんな演技力の欠片も無い男ならば。 「いやいやいや、惚れたなんて、んなわけねぇじゃねぇスかー! 俺があの子に?えー?馬鹿言ってんじゃ無いスよー!ハハハ……」 「そうか」 慌てる男に、スティルツキンは淡々と返した。 窓の外では、ジョゼットが笑顔一杯で銅貨3枚を渡すところであった。 「だ、大体惚れたところで、俺みたいのにあの子が…… あの子には大切な『あの方』ってのがいるんしょー?冗談じゃないスよー!」 「そうか」 薄いクレープがまん丸に仕上がって行く様を、ジョゼットが目を輝かして見ている。 彼女に惚れるのも分からないでは無い。 汚れの無い彼女を見ていると、心が洗われるような気がする。 「いや、ホント、ねー。それに俺、この世界じゃ嫌われ者みたいだしー?」 「そうか」 ここで、スティルツキンは振り返ってベッドの上の男を見た。 馬鹿っ面をしょげかえらせている男を。 「……は、ハハハ……はぁ……」 「そうか……」 素直に言えば、そう見場は悪くない。 種族は違うとはいえ、ブ男では無いと思う。 「――俺、どうすりゃいいんスかね?」 「そういう話は苦手だな」 ようは、自信が無いだけなのだと、スティルツキンはそう思った。 この馬鹿は、自分に誇れるものが何も無いから、虚勢を張り、空元気を振りまくのだろう。 それがさらにトラブルを産んで、より自信を失う、という訳だ。 「師匠ともあろうお方がッスか?」 「買いかぶんな。俺にも苦手なことはある。 だが――そうだな」 まぁ、確かに、こいつに誇るべき点は…… いや、それは可哀想だ、考えるのをやめようとスティルツキンは思った。 今は、コイツをなんとか励ましてやるのが先決だ。 仮にも師匠と呼ばれている身だ。 鬱陶しい馬鹿ではあるが、それなりに情も無くは無い。 それなり、欠片ほど、塵ほど、とりあえず、一応。 まぁ、自分を慕う者を邪険にしては寝覚めも悪かろうというものだ。 「『狙った宝は何が何でも手に入れろ』、トレジャーハンターの鉄則だったけな」 「う゛」 「ハンター崩れだったろ、お前?手に入れろよ。何が何でも」 「……マジ、スか?」 コイツについては、励ますよりも命令した方が良いと考えた。 馬鹿は、目標を与えてやるに限る。 目指す過程で学べば良いのだ。 「俺も鬼じゃない。無理だと思う冒険を勧め無いさ」 「みゃ、脈あるんスか!?マジっスか!?」 「ゼロじゃないってだけだがな」 少なくとも、カエルが空を飛ぶよりは可能性はある。 どんなに絶望的でも、可能性がゼロで無い限り、あり得ないとは決して言わない。 それが冒険家の心意気というものだ。 「いよぉしっ!やるぞっ!俺やるぞっ!!やってやるぞぉお!!」 「……いや、ゼロじゃないが……」 ただ、この場合は少々言いすぎたのかもしれない。 あくまでも、ゼロではないが、この阿呆が突っ走って成功する可能性は…… 「うぉおぉお!師匠、俺はやりますっ!!!やってやりますゾイぃぃぃぃ!!」 「だからゾイって何だよ……」 やれやれ、とスティルツキンはかぶりをふった。 まぁ、失敗するのも良いだろう。その方がまだ慰めやすい。 そう思うことにして、スティルツキンは荷ほどきにかかった。 こういうときに効きそうな頭痛薬がどこにあったかを探しながら。 ピコン ATE ~拍手無きアンコール~ トリステインのアカデミーと言えば、ハルケギニアの研究施設の中でも最高峰に位置する。 万全の設備に、清潔感の漂う部屋や廊下はまさに最高の頭脳のための館であった。 その廊下に、最近奇妙な彫像が建つことが多くなった。 頭が牛、体が人という研究所よりもコロシアムの方が似合いそうな彫像。 「よう、ラルカス!元気か?」 「うむ」 人が通り過ぎる度、その彫像は低い声でボソッと挨拶を返す。 見た目よりは人づきあいの良い彫像のようだ。 「あ、ラルカスさん!この間の医術書はまだ借りてて良いですか?すっごく参考になってます!」 「それは良かった」 ガリアから月に2、3度。 この研究所を訪れ、こうして廊下の片隅で彫像のように立つミノタウロスは、 最早アカデミーの名物となっていた。 無愛想で牛面ではあるが、頭が良く論理的である物言いは、ここの気風に合っていたのだろう。 もっとも、解剖してみたいと思っている研究者も中にはいたらしいのではあるが。 「あれっ、ラルカスさん!今日お見えでしたか……すると、室長は?」 「まだ打ち合わせ中だ」 若手研究者がラルカスに近寄りこう聞いた。 別にラルカスに用があるわけではない。 ラルカスが首を向けた後ろの扉、その中に目的の人物がいる。 「それでは温室用の費用はこちらで負担ということで…… あぁ、それにしても良い香りだ」 銀色の髪の気障な男。こちらではない。 「お、おきに、お気に召しましたか!?」 メガネの良く似合う女性の方、こちらだ。 こちらこそが若手研究者のお目当ての室長、ミス・ヴァリエールだ。 その若いながら理知的で、冷徹で非情までの仕事ぶりは、 このアカデミーにとってラルカスよりも古くからの名物だ。 「えぇ、とっても……これならお店で出しても良いんじゃないかなぁ?」 「そんな、お店だなんて……」 理知的、とは言えないかもしれない。 照れ笑いで目尻が下がる様を理知的とは言うまい。 「その価値はある。何なら、この僕が出資しても良いですよ」 「私は……その……貴方さえそのあの……キャッ」 冷徹、とも言うに難いかもしれない。 自身の想像というよりも妄想に悲鳴を上げることを冷徹とは言わないだろう。 「そうだなぁ、屋号は『銀の羽根亭』でどうでしょうか? ……どうされました?」 「え、い、いえいえいえ!な、何でもありませんわ!えぇ!!」 非情、とは言うわけにはいくまい。 自分の妄想を必死に、照れながら、訂正する様を非情などと言えるはずが無いのだ。 「室長……」 「ふむ」 「室長がこんなに可愛いなんて何かの間違いだっ!?」 「そうか?」 若手研究者はそう小声で叫ぶが、ラルカスにはもうお馴染であった。 銀髪の男、クジャというガリアの商人宰相の従者として、何度もアカデミーに出入りしているのだ。 知らぬ方がどうかしている。 あの室長、エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールは、 確実にクジャに惚れている。 何とも分かりやすいことではないか。 「御顔が優れてないようだ……折角お綺麗ですのに」 「き、綺麗!?そんな、私、私、私……」 「お疲れなら、続きはまた日を変えて……」 「綺麗……――はっ!? い、いえ!大丈夫っ!大丈夫ですっ!」 「そうですか?では、肥料の話ですが……」 だが、惜しいことにクジャは全くそれに気づいていない。 人を愛するという感情には少々疎いのだろう。 厄介なことに、見た目はかなり良く、声も魅力的。 商人として生きていた事もあり、世辞一つ言うにも迷いが無い。 女性の人気はそう悪くないのだが…… 自己愛の方がやや強く、美的センスが少々独特なのが効いているのだろう。 恋愛経験は皆無に等しいと、ラルカスは従者の視点から睨んでいた。 「何なの、アイツ!?あのタラシ何なの!?」 「……一応、我が主だ。放っておいてくれ」 「くそぅ、俺のドSな室長様が……でも可愛いなちくしょぉっ!?」 「……何も言うまい」 ただ、エレオノール女史の方もそちら方面には今一つのようだ。 恋愛経験は少ない上に、言い寄る僅かな男性はこのような変態のみ。 ラルカスは自分の主であるクジャ、そしてエレオノール女史双方にとってのラストチャンスと睨んでいた。 なんとか恋愛の手助けをしたい。 牛面のキューピッドはそっとドアの向こうからそう思った。 「――では、以上で……」 「もう、行かれてしまうのですか?」 「えぇ。世界がこの役者を欲してましてね。つくづく、体がもう1つあればと思いますよ」 「……残念ですわ、本当に」 残念なことだ。芝居にでも誘ってやれば良いのに。 いらぬ世話ではあるがラルカスはそう思った。 「珈琲、ごちそうさま。また来ます」 「はいっ!いつでも来てくださいねっ!!」 「えぇ、では……ラルカス、どうかしたか?」 「いや、何も」 牛の面が都合の良い点は、人の面よりも表情が分かりにくいことだろうか。 急に扉を開けられ、主と顔を合わせたところでその心情を読み取られる心配が一切無い。 お節介な恋の橋渡し役の心などは引っ込めておくに限る。 少々面倒な主の扱いが、結婚なんぞすればマシになる。そう思っていることは隠していた方が良いのだ。 「室長ぉぉお!!実験データですっっ!!」 一方、引っ込みがつかないのだろうか、引っ込める気が無いのであろうか。 先ほどの若い研究者がエレオノール女史の部屋に転がり込んだ。 途端、エレオノール女史の顔が音を立てんまでに冷え固まったのをラルカスは見て取った。 「……あなたは何度言えば分かるのですかっ!! 説明も無いグラフな上に、バラつきを考慮していないじゃないっっ!!」 「す、すいませーんっ!!」 声の張り方が違う。 評判を聞くに、こちらの方が普段の彼女なのであろう。 クジャといるときの猫もかくやという甘い声は珍品中の珍品なのだ、おそらく。 「もう一度、平研究員からやりなおしますか!? こんなデータ、統計的に信用を取れるわけが無いでしょうっ!この低能っ!」 「ひぃ、お許しをぉぉぉ……」 あまり見ない方が良いだろう。 ラルカスは後ろ手でそっと扉を閉じた。 若い研究者が少々嬉しそうな顔で上司の叱責を聞き入っている様など、見ていたいものでも無い。 「おもしろい人だねぇ。見てて飽きないよ。喜劇女優といったところかな」 「……」 ラルカスはふぅ、と鼻息をついた。 なんと鈍感なことやら、である。 頭は良いが、ある一点については愚鈍も良いところだ。 「どうした?」 「いや……あぁ、そうだ。手紙が届いていたぞ。トマからだな」 そう言いながら、主に渡すよう頼まれた手紙を渡す。 厳重に封をされた伝竜便だ。 「本当かい?やれやれ、やっとか……」 トマ。ラルカスと共にリュティス戦線で暴れた男は今、ロマリアにいる。 何でも器用にこなせる男は、その能力をもって宗教庁に忍び込んでいるのだ。 教皇が『不慮の事故でお亡くなり』になられた後のロマリアは混沌と化している。 表向きは『聖ブリミルの御膝元を復興せしめん』という大目標に向かってはいるが、 その実、宗教家は神を語る前に政治を語り覇を競い、 一般市民は焦土と化した街でなんとかその日の糧を得ようと彷徨うという様である。 辛うじて、表向きの大目標に対し『復興事業』という名の土木作業があるため、 生き残った人々が路頭に迷うまでに至っていないのが不幸中の幸いというところか。 そんなわけで、混乱の極みにある今こそ、 ロマリアの、ひいては宗教庁の暗部を探るには丁度良いと、 クジャが自ら指名しトマを遣わせたのだ。 例え、最大の黒幕が滅んだところでクジャは油断していなかった。 ブリ虫は完全に駆逐することは永遠に不可能なのだ。 根気強く、巣を見つけ潰して行かねばならない。 「っ!!」 「どうした?」 報告書の末尾にさしかかった辺りで、クジャの視線が止まった。 冬の寒さが一度に襲ってきたように、クジャの顔が凍張る。 「……舞台もはねたというのに……!!」 「おいクジャ?」 報告書から顔を上げたクジャの顔は、まるで死んでいるようだった。 ラルカスにはそう見えた。 ゾンビより死んだ顔だ。それぐらい青ざめていた。 「ラルカス、船の準備は!?」 「明日出発予定だったから、今はメンテナンス中だな。夕刻まではかかる」 「何だと……急がせろっ!途中で沈んでも構わないっっ!!」 「どうしたというのだ」 ラルカスは主のヒステリーとでも言うべき一種の恐慌状態には慣れていたが、 今回のはいつも以上に酷いものであることを感じていた。 本当に、死人でも見たような顔と声だ。 「アンコールの拍手も無しに、幕を開けるつもりか?クソッ!!」 「クジャ?待てよクジャ、おい!」 ラルカスは、結局見ることは無かった。 クジャが打ち捨てたその報告書の中身までは。 クジャと、それを追うラルカスの後ろで、 たった一行、締めくくりの一行。 それがシンプルこの上なく書かれていた報告書が、廊下の片隅にカサリと音を立て落ちた。 ≪―― 『始祖ノ聖杯』行方不明。奪ワレタ模様 ――≫ 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/bo-dode/pages/104.html
アレン・ローズクォーツ。 ゼロス・ワイルダー。 リシェル・メルゲンハイム。 「戦闘開始…って」 「所よ」 互い、戦いの火蓋が切って落とされた―― 「――あ、でもちょっと待ってくれないかしら?」 …と思った矢先、リシェルがふと思い立って声をあげる。 ガクッ! と勢いを削がれる様にゼロスがオーバーにずっこけた。 「あたた… 一体何さ、リシェルちゃーん」 「今、私の用事があるのは『コトナ』って子だけなの。 …そう言えば、隣のあなたはあの時一緒に居たわね。どこに居るか知ってるかしら?」 リシェルはアレンを指して尋ねる。 「…コトナさんは、今は小説家さんと一緒のはずです。 首尾よく、ゼルガディスさんと会えていれば良いのですが…」 アレンの回答を聞いて、リシェルは内心舌打ちをした。 …可能なら真っ先にコトナを発見して殺害し、証拠を消し去ってしまいたかったのだが。 「…そう。 なら、私がわざわざ単独で探しに来ることも無かったわね。 損したわ」 「単独……誰かと組んでいたんですか、あなたは?」 アレンの問いにリシェルは素直に頷いて見せ、続けて答えた。 「あの時命からがら逃げ出した先で、当の"ゼルガディスさん"とバッタリ遭遇したのよ。 …あなた達の居るこの町に戻ってきたのは、その為よ」 「…と言うことは、その為にコトナさんを探しに来たんですか?」 「ええ。 …どこに居るか知ってるなら、そっちに合流した方がいいかもしれないわね」 アレンに対して、そう促すようにリシェルは言う。 アレンはそれを汲んだようで、頷くと先導すべく先に駆け出す。 …が、アレンは足を止める。 ゼロスが行こうとしなかったのが気になったのだ。 「…ゼロスさん?」 「――ん、ああ、悪いアレン。 確かにコトナちゃんは心配だ」 どことなく煮え切らない様子のゼロス。 それを見てか、リシェルがアレンに申し訳無さそうに言った。 「あら…… ゴメンなさい、アレン…さん? ちょっと先に行ってて貰えるかしら。私はゼロスと一緒に行くわ」 急にそんな事を言い出したリシェルに、アレンはきょとんとした顔で反応を返してしまう。 「え? …いえ、でも一緒の方が……」 「…ゼロスとちょっと話があるの。 あの時は急に変な別れかたしちゃったから、色々と…ね?」 何が色々なのだろう? …などと思ううちに、リシェルがゼロスに近付いて…いや、これは近付くと言うか寄って、身体を寄せて、むしろ抱き付いて―― 「――あ、わ、わかりました。 じゃあ、二人ともお気をつけて… 先にコトナさんの所に行きますね」 アレンとて大人だ。 状況的に今それどころでないとは思いつつも、そういう状況だからこそそういう事もあるのだろうか… と、無理矢理納得して向こうへと走っていく。 あとに残ったのは、殆ど密着状態の二人。 「…でひゃひゃ、アレンには悪い事しちまったかな~」 「物分りのいい素直な人ね。 …騙され易そうで心配だけど、ちゃんと察してくれて安心したわ」 ゼロスの首の後ろに、リシェルが腕を回す。 「……で? なーに考えてるんだ、リシェルちゃん?」 少々の冷ややかさを含んだ声で、ゼロスがそう言った。 その片腕はリシェルの背に回しつつ、片手は腰に下げた光の剣に掛けて警戒している。 「何って…貴方に会いたかったから。 …なんて言って、納得したりはしないわよねぇ?」 「…それがもし本当なら、俺様嬉しくてもう一度リシェルちゃんと組んじゃうかも知れねーなぁ、でひゃひゃ!」 ゼロスがそういい終わるか終わらないかのうちに、リシェルの唇がゼロスのそれに重ねられていた。 「…件のゼルガディスが『コトナに会って謝りたい』って言い出したし、まさか彼女を手に掛けようとしたなんて言えないじゃない?」 わずかに重ねられた唇を離すと、呟くようにリシェルは言った。 「へーぇ……それでもしかして、バレない内にコトナちゃんを始末しようと単独でやって来たってのかな?」 「ふふ…結局、あてが外れちゃった様子だけど…ね。 今は少し途方に暮れてるわ。 どうしようかしら……」 そう言って、リシェルは体重を預けるようにゼロスにもたれかかる。 「…あの小説家にゃ、何かしら勝算みたいなのがあるみたいだけどな。 これがどうにかならない事には、生き残るのだってままならないだろうさ」 そう言ってゼロスは、リシェルの首に嵌められた首輪をトントンと軽く指でノックして示す。 小説家は――首輪を、何とか外そうと画策しているのか。 リシェルはそう受け取った。 「……どっちにしても、私は生存率の高い案を採りたいわ。 命あっての物種って、よく言うものね」 「ありゃ…そういう所はリシェルちゃんと俺様って、気が合うんだな~」 「どちらかと言うと、私と貴方は似ている気がするもの…。 すました顔で、心にも無い事が言えそうな辺りとか…ね?」 リシェルはそう言いながら、ゼロスの頬を撫でるように手を添える。 「…おー、怖いねぇ。 いつ後ろから吹っ飛ばされるかわかったもんじゃないな」 「その前に、貴方に私が斬られるかもしれないわね。 …でも心配いらないわ。こんな風にくっついてたら、私は下手に貴方に仕掛けられないし」 リシェルの攻撃手段は、手持ちの手榴弾と高出力のオリジナル魔法。 ゼロスどころか彼女自身を巻き込みかねないため、使えないのだ。 「今仕掛けても、私の生存率は低いわ。 もとより、私が直接手を下して私が不利益を被るなんて、全く御免よ。割に合わないわ」 「でひゃひゃ…そういう割り切った考え方も、俺様嫌いじゃないなぁ」 「ふふ… それに、私…」 「それに…?」 次の言葉を口にする直前に、リシェルは僅かに微笑んで見せた。 「…それに私、貴方みたいな男は嫌いじゃないもの。 会いたかったのも…全くの嘘じゃないのよ?」 「どうだかなぁ。 …それに万一本気にしたら俺様、狼になっちまうかもしれないぜ?」 「あら…… それなら、私は狼に抱かれた羊でも構わないわ。 …それとも、雌犬の方が良いかしら?」 「…で、結局どうすんのさ、リシェルちゃん?」 コトナは結局、目当てのゼルさんに会えただろうか。 二人連れ立って、彼らがいると思われる方向へ急ぐ。 「とりあえず、誠意を持って謝れば許してくれるのかしらね?」 ダメならゼロス、貴方と駆け落ち紛いに一緒に来てもらおうかしら。 そんなリシェルの呟きを、何となく複雑な面持ちでゼロスは聞き流していた。 【G3 街の電波塔入り口・夕方】 【名前・出展者】ゼロス・ワイルダー@テイルズオブシンフォニア ラタトスクの騎士 【状態】健康 【装備】光の剣@スレイヤーズ 【所持品】基本支給品一式 【思考】基本:適当に生き残る。打倒主催より、逃げる事を優先 1:さてさて、コトナちゃんは無事だろうかね 2:相変わらず気が抜けねーな、リシェルちゃんは。 妙な事しでかさないように気をつけないと 【名前・出展者】リシェル・メルゲンハイム@PQR 【状態】疲労(戦闘にはぎりぎり支障なし) 【装備】手榴弾×75個ぐらい エメラルドリング@テイルズオブシリーズ 【所持品】基本支給品一式 【思考】基本:生き残る。ゲームにも乗るが生存を優先 1:生き残る率の最も高い選択が大事よね… 2:ゼロスは味方につけて損は無いわね 3:コトナって子や他の連中に、果たしてまともに受け入れてもらえるかしら…? 4:首輪を外す事が出来たら、確かに生存率は飛躍的に上がるわね。 価値はあるわ * * * 「おや、遅かったねアレン君… 君一人だけか」 アレンがそこにたどり着くと、真っ先に声を掛けてきたのは小説家だった。 「あ、ええと…… 一応、ゼロスさんは無事のはずです。 それより…?」 アレンが見れば、向こうにコトナとゼルさんらしき姿(あれ、でもあれ女物の服…?)の人物。 小説家はやや離れたところで見守っているような状況だった。 「見ての通り、お邪魔したら悪いと思ってね」 こっちもか… と、アレンは溜息をつかざるを得なかった。 【F3 ほぼ街の中・夕方】 【名前・出展者】アレン・ローズクォーツ@セイラ 【状態】けっこうな疲労 【装備】スレイヤーズ呪文の束@ゴキブリ 糸 【所持品】基本支給品一式 【思考】基本:出来る限りの人を救い、このゲームを終了させる 1:どうしてあっちもこっちもイチャイチャと… 2:…ゼロスさん、無事のはずだけど。 ※アトワイトから晶術の知識を得ました 【名前・出展者】小説家@リアクション学院の夏休みエピローグ 【状態】所々に擦り傷(ほぼ直っている) 魔力切れ 【装備】魔血魂(デモン・ブラッド)のタリスマン@スレイヤーズ 【所持品】基本支給品一式 氷のフルート×10@みろるん 【思考】基本:主催を倒し、ゲームを終了させる 1:やれやれまったく 2:魔力が早く回復して欲しい * * * 前の話 071 巫女神子!巫女神子!巫女巫女ルイス! 次の話 073 信じる者、信じない者
https://w.atwiki.jp/monaring/pages/41.html
先駆け みんなでマジック・ザ・モナリングを作ろうよ第29版から登場のキーワード能力 http //love6.2ch.net/test/read.cgi/mona/1173234026/74 生贄にするとクリーチャー以外の呪文に先駆けを使えなくなるし・・・ 可能な限りさせられるタイプのほうがいいかな? テキストはこれでおk? 先駆けN [コスト1](あなたはこのカードを、その先駆けコストでプレイしてもよい。そうしたなら、あなたは時間カウンターをN個得る。 あなたのアップキープの開始時に、あなたが時間カウンターを1個でも得ている場合、時間カウンターを1個取り除くとともに、 あなたがコントロールするアンタップ状態の土地1つをタップし、自分のマナ・プールを空にする。)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/35821.html
登録日:2016/12/23 (Fri) 18 47 12 更新日:2024/03/10 Sun 07 46 37NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 えびす顔 タレント デンナーシステムズ 俳優 司会者 大阪市 大阪府 松竹芸能 笑福亭鶴瓶 芸人 芸能人 落語 落語家 関西弁 鶴瓶噺 麦茶 笑福亭鶴瓶(しょうふくてい つるべ) 1951年12月23日、大阪府中河内郡長吉村(現在の大阪市平野区)出身。本名、駿河学。 デンナーシステムズと松竹芸能に所属。息子は俳優の駿河太郎。 高校時代に桂三枝や笑福亭仁鶴に刺激され、高校、大学と落語研究会に所属。大学の落語研究会の友人にフォークデュオ「あのねのね」(*1)がいたことから一時はあのねのねとしても活動する(なお鶴瓶は踊るだけだったらしいが……)。 1972年に6代目笑福亭松鶴に入門。兄弟子には『生活笑百科』司会者として有名な笑福亭仁鶴や、ラジオパーソナリティとして人気になり日髙のり子等をアシスタントにしていた笑福亭鶴光がいる。 だが松鶴からはほとんど稽古をつけてもらえず、デビューからしばらくを除き、後述するタレント活動が中心になっていた。 ただし弟子は取っており、例えば「ショウヘイヘーイ!」でお馴染みの笑福亭笑瓶は彼の一番弟子だし、この他にも桂ざこばと「らくごのご」という番組もやっていた。 しかし、2002年に春風亭小朝との二人会をきっかけに落語家としての活動を本格的に開始。現在に至るまでテレビの仕事の合間に独演会を開いているほか、「六人の会」(*2)での活動も行っている。 なお、鶴瓶の弟子は基本的に松竹芸能に所属しているが、鶴瓶自身は上記の通りデンナーシステムズと兼任しており、一番弟子の笑瓶は太田プロダクション(最初は鶴瓶と同じ松竹芸能)、孫弟子(笑瓶の弟子)である笑助は仁鶴一門と同じ吉本興業と所属事務所が異なっている。 タレント活動は当初関西での活動が中心で、放送作家・新野新とパーソナリティを務めた深夜ラジオのイベントでは通天閣に5000人が集まるという人気ぶりを博した。 1980年代中盤から東京進出を果たし、現在に至るまで多くの司会番組を持っている。 現在の代表的な番組に「ザ!世界仰天ニュース」「鶴瓶の家族に乾杯」など。現在終了した番組では鶴瓶の名を高めた「突然ガバチョ!」「鶴瓶上岡パペポTV」、「笑っていいとも!」などがある。 また、これらの活動の一方で俳優としても活動しており、近年では「半沢直樹」の半沢の父親・慎之介役などでドラマにも出演している。 タモリとは交流が深く、「笑っていいとも!」ではベテランレギュラーが次々と卒業していく中で自身も卒業を申し出たものの、タモリから強く慰留されたため番組終了の2014年まで最長レギュラーとして出演。特にサプライズ出演しての「タモリへの番組終了の発表のフリ」という大役を担った。 やしきたかじんとは駆け出し時代から仲がよく、二人でホームレスから食品を恵んでもらったというエピソードもあるほか、たかじんの番組に出演した際は進行役も一切設けず、ただただ二人で飲んで歌ってgdgdに酔っ払って放送終了、という伝説的な回もあった。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 -アニヲタWiki- だが、鶴瓶はもう一つの一面を持っている。これは「悪瓶」(*3)と呼ばれ、これまで数々の業界関係者や共演者を震撼、そして画面の向こうの私たちを爆笑させてきた。 以下にその例を示す。 1975年に「独占!男の時間」(東京12チャンネル(現・テレビ東京))で傲慢な態度をとるディレクターにマジギレし、カメラにナニを押し付ける。そして1年半程後の番組の最終回ではカメラの前でアナルを見せてスタジオから逃亡、テレ東局内の噴水に飛び込んで当時社長が大切にしていた時価数百万単位の錦鯉を噴水にぶっ刺して殺す。この一件でテレ東およびから出禁を喰らい、レギュラーを持った2003年まで立ち入りを許されなかった。 一方、錦鯉の一件前後にレギュラー出演していた「金曜10時!うわさのチャンネル!!」(日テレ系)で山口百恵の歌唱中にナニを露出。レギュラー降板の上で出禁になった。ただ、この時はスタッフが機転を利かせてナニが映らないようにした(ただ、山口が絶叫する様子はカメラに収まった)ため、出禁は数年で解除された。 なお、この二つの番組は生放送だったため、東京のスタッフの間では「何をするかわからない」ということになって東京進出に失敗。その後東京で大きく活躍するのは「パペポ」以降となる。 1997年、「27時間チャレンジテレビ」(テレ朝系)で行われたブリーフ4(ビートたけし、東野幸治、今田耕司と共演の企画)で丹波哲郎邸の骨董をかけたゲーム企画の時のこと。前の企画(*4)で飲酒していた鶴瓶は深夜の住宅街で歌うやら口説くやらしてほかの3人から制裁を受けていた話が出るなど、嫌な予感しかしない状況下で「たーんばさん、パーンパン」と歌いながらノリノリで脱糞(モノこそテレビに映らなかったとはいえ、この際に東野がモノを受け止めたとのこと。)。 2002年、「27時間テレビ」(フジ系)での中継企画にて。進行が遅れた結果深酒した鶴瓶は半ケツを晒した上で、明石家さんまが若手時代に京都の恋人と駆け落ちした話を暴露。 翌2003年の「27時間テレビ」では、前年の例から酒を飲まないと宣言するもまたもや進行が遅れたおかげで怒りを紛らわすため深酒。結果、深夜中継でパンツを半分下ろして寝ていたところを起こされた際にナニを露出。とっさに相手役のココリコやスタッフが対応してCMが流れた(*5)。この件についてはスタッフが煽ってしまったことなどもあり、フジテレビは出禁などの処分は下さず、鶴瓶に対しては社長に対しての謝罪で済んだ。 どうやら、この悪瓶は「酒」「激怒」のいずれかが重なると発動するようだが、近年ではこうなっても発動することは少ない。 そのようなテレビ界を騒がす所業の数々を残している一方で、近年では「家族に乾杯」での地元の人たちと触れ合う好々爺な様子や、「A-Studio+」では番組ラストにゲストが退席した中でゲストの感想について一人語りする様子などをタモリからは「偽善芸の集大成」と評されている(タモリ曰く「これを言うと怒る」)。もっとも、前述の通り親交が深いからこそ言える言葉ではあるが。 加筆は伝説を知っている方がお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 生放送中に心霊写真が原因で、母親が娘の生首抱えて飛び込んでくる…って都市伝説は生放送でのやらかしまくりが原因なんだよね -- 名無しさん (2016-12-23 19 12 19) 「らくごのご」と「スジナシ」は本当に面白かったが……伝説とのギャップが凄いな -- 名無しさん (2016-12-23 19 21 29) 錦鯉はドン引きですわ -- 名無しさん (2016-12-23 19 32 27) もうマトモに「家族に乾杯」見れねえよ…w -- 名無しさん (2016-12-23 20 59 47) 古畑任三郎で犯人役だったときの顔芸が印象に残る -- 名無しさん (2016-12-23 21 43 05) こんだけ破天荒な部分もあるがとても愛妻家、後Aスタジオの締めのゲストへの一言が面白い -- 名無しさん (2016-12-23 22 09 42) メチャクチャやないか -- 名無しさん (2016-12-23 22 27 21) 今年の後妻業の女のCMの「通天閣どころやない、スカイツリーや!」はある意味悪瓶の再来と言えるかも。シン・ゴジラや君の名はを見に来た人間を本編鑑賞前に変な気分にさせた -- 名無しさん (2016-12-23 22 43 06) 何だろう…ドン引き必須な事してるのに笑っちまった -- 名無しさん (2016-12-23 23 53 44) ぶっ飛んだ事するなぁ、鶴瓶・・・アニメ実写化と同じ位だ。 -- 名無しさん (2016-12-24 08 24 49) 上方の奴らはちゃらんぽらんだな -- 名無しさん (2017-01-21 21 47 14) 怪盗グルーの吹き替えは、ハマリ役だと思う。 -- セイ (2017-08-16 23 06 48) 志村ナイナイとの英語禁止ボウリング、昔の映像を見て昔は過激だったけど今は時代の都合でいろいろ寂しくなった。 -- 名無しさん (2019-02-14 11 17 10) ↑来年は遂に放送されなくなってしまった…。 -- 名無しさん (2019-12-30 12 53 38) そんな人にぶっつけ本番の旅番組をやらせてるのか皆様の公共放送w -- 名無しさん (2020-06-16 12 54 19) 1番弟子の笑瓶が先に逝ってしまったのは本当に無念だったと思う -- 名無しさん (2023-10-30 22 24 53) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/remiriakouryakusiyou/pages/44.html
【端近くNH】 ○ 上りJA J6C 66 J6A 3A ☓ 上りJA J6C 9H~ 上に追ってコンボをしようとすると、高度が高すぎて魔方陣が取れなかったりそもそも技がスカったりする。66だ!66666666! 【端近くCH】 大体はNH時と同じ66で大丈夫だが、JAがCHした高度がやたら高い場合は9Hで追う。 9H JA J6A J2B J6C 9H JA J6B J6C 9H 66 J6B J6C とか適当に。 ↑二つのヒット確認を無視した超安定択 JA J6C 44 J6C( 44 J6C) ハイパー安定魔方陣。その代わり死ぬほど安い。 【端】 DA(先端) 浮遊霊(2HIT) 9HJ J6B 9H ※ DA(密着) 浮遊霊(2HIT) 7HJ J6B 9H ※ 前後受身両対応。 ※ JA J6A 移動、暴れ狩り 1H JA 4Aor3Aor上りJA ずりおろしからの云々 狩るかずり下ろすかでまず二択となっているので、JAをガードされたら読み負けたと割り切り、そこから空中固めへ移行するJA J6Bという構成は消極的すぎるので除外(密着しすぎててJAがHITしてもJ6Bは外れてコンボにならない)。JAは当たるものと想定しておく。コンボは JA J6A 着地振り向き 7J JA J6B J6C とかで適当に。 仮にJAをガードされたとする、そうなるとJ6Aはスカってしまうのだが、こちらが先に着地出来る為結果オーライなずりおろしが可能。その場合 JA J6A(スカ) 着地 4A 6B J6B J6C という空ガー不を狙うわからん殺しができる。
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/2648.html
強くてニューゲーム やり直しているんです。 彼と何の障害も無く一緒に居られるために。 僕は平民の出で、彼は良家の次男坊です。 身分差など気にせず、彼は対等に接してくれました。僕を見下したりしなかった。 僕の描いた絵を彼が褒めてくれて、屋敷に招いてくれたのが交流のきっかけです。 僕らは最初は良い友人になり、僕は彼の元へよく通うようになりました。 そしてじきに友情を越えて愛し合うようになったのです。 そのことはバレませんでしたが、彼の両親は、友人としての僕すら認めてくれませんでした。 無学な貧乏絵描きなど、友人に相応しくないと交友を阻まれたのです。 出自を考えれば当然のことだったのかもしれません。 しかし僕は諦められなかった。彼を説得し、僕らは逃げた。 ところが優しい彼は、捨ててきてしまった家族のことをずっと気にしていて、何度も連絡を取ろうとした。 その度に僕は説得していたけれど、そのうち彼は気に病むあまり、本物の病に倒れてしまったのです。 来世で会おうという僕への言葉と、家族の謝罪の言葉を口にして、彼は逃亡先で息を引き取りました。 僕は泣きました。同時に、どうしようもなく悔しかった。 来世だなんて、そんなもの。会えるかどうかわからないじゃないですか。 僕は嫌だった。僕は今生で彼と結ばれたかった。堂々と彼の隣に居たかった。 だから、やり直した。 彼の両親に見下されないように、僕は必死で勉強しました。 絵で稼いだ金はすべて本へとつぎ込みました。彼に釣り合う教養を手にしたかった。 ところがやはり反対されたのです。今度は家柄が釣り合わぬと言われました。 しかも、彼が席を外しているときに、ひどく高圧的に。 息子は将来この家を背負う人間なのだ、君のような者と付き合っていると堕落すると。 なんて馬鹿馬鹿しい人達なんだろうと思いました。あんな人達と彼とが血が繋がっているなんて。 あのときの悔しさが腹の底で蘇りました。僕は我慢できなかった。 その頃はすでに、僕と彼の関係は深くなっていました。 彼が僕の部屋で眠っているときを見計らって僕は彼の屋敷へ向かい、火を放ちました。 これで邪魔者は居なくなると僕は安堵していました。 ところが、計算外のことが起こった。 夜が明けぬ内に彼が目を覚まし、僕が居ないのを不審に思い、家の方へ戻ってきてしまったのです。 燃え盛る家を見て半狂乱になった彼は、僕の制止も聞かず家に飛び込んだ。 そして炎に包まれて、彼は焼け死んだ。 僕は心から後悔した。それこそ死ぬほどに。 だから、やり直した。 今度は彼に出会うずっとずっと前から、僕は準備しました。 慣れない媚を売って愛想笑いを浮かべて金持ち連中に取り入って、とある家の養子に収まりました。 屈辱的なこともありました。我慢も沢山しました。好きな絵を描く時間もなかった。 でも彼と共に居られない辛さに比べれば、なんということもありませんでした。 これで平民だと馬鹿にされることはなくなったのだから。 そして進学させて貰い、僕は彼に再び会うことができた。 それはこれまでの出会いとは違ったけれど、彼は彼のままでした。僕の愛する彼でした。 すぐに僕と彼は良い友人になった。今度は彼の両親も何も言いません。 僕は嬉しかった。してきた事がようやく報われたのだと。 ところが、また計算外のことが起こった。いや、起こっていた。 彼に、許婚が居たのです。そんなもの僕は知らなかった。 『過去』にそんな女性などいなかった。 しかし『今』はそれが現実でした。 僕が彼に釣り合うよう必死に努力していた陰で、彼は僕ではないひとを好きになっていたのです。 信じられなかった。 何も変わらない筈なのに、不都合な現実を変えたきただけの筈なのに、変わってしまっていた。 絶望する僕には気付かないようで、彼は僕に笑いかけました。 「うちに来て絵を描いてくれないか」と。よりにもよって、彼と許婚の二人の絵を。 そのときどんな顔をしてどんな返事をしたのかはよく覚えていません。 ただ、家を訪ねる約束をして、一旦帰宅して、僕は絵筆の代わりに、ナイフを握りました。 僕はやり直しているんです。 彼を愛しています。彼も僕を愛してくれています。 彼の隣に居るためにやり直しているのに、どうしてこんな風になってしまうのだろう。 今度こそ、今度こそ、上手くやらないと。 あの、僕は死刑になるんですよね?二人も殺してしまったのだから、そうなりますよね? 捕まるなんて、これも計算外だった。 時間が勿体無い。早く死刑にしてください。僕は、早くやり直さなければならないのです。 「馬鹿だな、君は」 私は目の前の男に言葉を投げたが、彼の瞳は虚ろでこちらの言葉は届いていないようだ。 言いたいことをただ一方的に喋るだけ喋って、あとは薄く笑みを浮かべているだけ。 彼の言を信じるのなら、またやり直すことができると確信しているからだろう。 「君は一刻も早く死にたいようだが、今の君は神経衰弱だと診断されている。 よって死刑にはならない。『今回の』君は、残りの一生を病院の中で暮らしていくことになる」 勿論、死は平等だからこの男にもいつか訪れるだろう。しかし、それは彼の望む時期ではない。 彼にとって辛い事実を突き付けているも同然の筈だが、やはり彼からの反応は無い。 しかし私は構わず彼に語りかける。 「まったく、君の執念には呆れを通り越して感心するよ。それは君の美点でもあると思うが、同時に欠点でもある。 先程も言ったが、君は馬鹿だ。美点を美点として制御できれば、いくらでも幸せになれるだろうに」 一つのことに目標を定めると、周りが見えなくなる性質なのだろう。 しかし見えなくなるにしても限度がある。 「今にして思えば、駆け落ち程度で驚いていたのは浅はかだったよ」 私は少し前屈みになって、男の瞳を覗き込む。 「邪魔な家族を殺そうとしたところまでは、理解したくもないが理解しよう。 しかし、まさか弟本人にまで手にかけるとは思わなかった。婚約者諸共とは言え、ね」 「おとうと……?」 男はぼんやりとそう呟き、不思議そうに首を傾げた。 もしや会話が成り立つかと期待して続く反応を待ったが、またすぐに彼の瞳は虚空へ戻ってしまう。 私はため息をつき、背もたれに凭れ掛かった。 「私の話を簡潔にしてあげよう。 一度目、私は君達を追って愚かにもこの身体で屋敷の外に一人出て事故に遭った。 二度目、君の放った火にまかれて逃げられないまま焼け死んだ。 三度目、弟に君を屋敷に招くように頼んだ。『一応の用心で』、警備員と医者を手配した。 それからこれは私の希望が混じった推測だ。 一度目、弟は君の目を盗んで一度だけ実家へと連絡を取り、私の死の経緯を知った。 二度目、私の身を案じ、弟は自分の危険も省みず私を助けに向かおうとした」 目を細めて彼を見据える。 恐らく、弟を失ったと同時にこの男は死を選んだ筈だ。 ならばもし、彼が自殺を選ばず――選ぶことができず、このまま無様に生き長らえたら。 考えているとふと背後でノックの音がして、ドアが開く気配がした。 「お時間です」 聞こえてきた事務的な声に、私は振り向かずに頷く。 「ああ、結構だ。行こう」 静かな足音が背後まで迫り、失礼しますとの声と共に、私の車椅子はゆっくりと方向転換する。 私は最後にもう一度男の方を見やり声を投げる。 「また来るよ。次はカンバスと絵の具を持って。実は、私は君の描く絵画のファンなんだ」 反応は無い。 私は笑みを浮かべた。視界の隅で迎えの男が僅かに眉を顰めたが、何も言わなかった。 真っ白な部屋を退室し、無機質な廊下を進みながら私は問いかける。 「弟達の容態はどうかな?」 「はい。依然、意識は戻られておりませんが、峠は越えたと先ほど連絡が」 「それは良かった。落ち着いたら花を持って見舞いに行こう。 しかしまずは、先方への根回しが優先だな。あとは父さんと母さんにも適当な説明が必要か」 あまりご無理をなさりませんように、という言葉が降ってくる。私は鷹揚に頷いてみせた。 わかっている。 わかっているが、逸る気持ちを抑えるのは難しいのだ。 今度こそ、私は何をも失うわけにはいかないのだから。 猫っぽい人×犬っぽい人
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/131.html
「あひゃひゃひゃひゃ、あ~いい湯だな。」 大柄な、米軍服を着た男が歌うように叫んでいる。 ちなみにここは北海道は札幌市、雪祭りで有名な大通り公園である。 もちろん彼は風呂になどは入っていないし、そもそも温泉などはない。 もうそろそろ冬である。 肌寒いのに半そでの軍服を着たマッチョに絡まれたい奴などごく一部の特殊な方々だけだ。 「何を見てるんだね君たち?見世物じゃねぇんだよ?」 目を合わせないように避けている人々に向かってこの台詞である。 「まったく何を考えているんだかわかんねぇんだよ、ジャップはよ」 胸ポケットから葉巻を取り出し一服する。 「このキャプテン☆ストライダムを何だと思ってやがるんだ?」 大きく葉巻を吸い込んで、むせた。 「ゲホっ、ゲホッ、くそ、タバコまで俺に逆らいやがる」 なぜ俺はこんなところまできているんだろう? 心底ストライダム将軍は思った。 どれもこれもあの勇次郎のせいなのだが、最近は頭の中にさえ「勇次郎のせいだ」という単語が浮かんでこない。 なるべく勇次郎のことは考えないようにしているうちにそれが習慣になってしまった。 379 :ある昼休み :2006/10/26(木) 12 42 11 ID 21t77lbg0 実は空気を読むのがうまい勇次郎である。 下手なことを考えていると即座に当てられ、非常に怖い顔を見せられる。 「ババアゾーンのババアに匹敵するんだよ、あの表情はよぉぉぉ」 ちなみに独り言である。 もう随分独り言を喋っていたので喉がからからだ。 駅前にスターバックスを見かけた。 アメリカでもポピュラーな店だ。 ストライダムの故郷の味というには余りに新しいが、CMをたくさん見ているとなんだか故郷の味に思えてこなくもないのだ。 ストライダムも久しぶりに故郷の味が恋しくなっていた。 カランとドアベルを鳴らしながら中に入る。 落ち着いた店だ。 レジに並び、順番が来た。 「いらっしゃいませ」 カウンターの女性が笑顔で「どちらになさいますか?」と聞いてくる。 ああ、日本人の笑顔はいい、仕事への誠意にあふれている。 そう思ったストライダムは嬉しくなった。 レジを打つ、美人ではないがかわいらしい女性にコーヒーをブラックで頼むと笑顔で 「ああ、熱くて寒い、ここはいい、ベトナムの戦場に匹敵するよ。いい雰囲気だ。」 と流暢な日本語で礼をいい。 「ステキな笑顔をサンキュー、ハニー」 と軍学校時代の若かりしころの習慣までサービスした。 レジの女性の顔は引きつっていたが、見えてはいないらしい。 要するに脳が捉えなければ見えているとはいえないのだ (馬鹿の壁にそんな文章はあっただろうか?) まったりと外を眺めながらコーヒーを飲む。 秋の北海道の風景は美しい。 心底そう思う。 もっとも駅前にはビルしかない。 普段からコーヒーは飲むが、専ら自分を落ち着けたり、目覚ましのために飲む。 静かにコーヒーの香りを楽しむなど久しくしていない。 「ふぅ、いいものだな、こういう時間も」 せわしなく道行く人を見ながら、自分が持っている特権的な気分を楽しむというのも、いたずらをしているようで楽しい。 装いが秋から冬に移ろうとしている町もいい。 ストライダムは雪の降る町の出身なのだ。 冬が近づいてくると、冬の匂いというのを感じることがある。 それがなんなのかはよくわからない。 ひょっとすると排気ガスなのかもしれないが、それはそれでかまわない。 「冬か」 故郷の冬は長らく見ていない。 今年は帰れるだろうか? 月並みではあったが、青春を過ごした街である。 たまには帰ってみたい。 少し寂しげな笑みを浮かべると、もう一杯コーヒーを注文した。 どれだけ帰っていなかったか… 指折り数えてみる。 長いな。 これというのも…ゆ○○○○のせいだ。 あれ?誰のせいだったか。 思い出せないというか、思い出したくないような…。 まぁいい、今は勇次郎との待ち合わせの最中だ。 街中をきれいな赤髪の女性が歩いていた。 道行く男は皆、彼女を見て振り返っていく。 喉が渇いた女性がスタバに入ってきた。 彼女は近くの敏腕OLで、ここの常連さんである。 彼女は店に入ってくると、初老の米兵が自分に向かって敬礼しながら走ってくるのを見た。 最早何がなんだかわからない。 何故自分が敬礼されねばならないのか? 仲のいい店の女の子も自分をいつもとは違う眼で見てくる。 軽蔑でも、哀れみでも、好奇の眼でもない。 畏れの混じった視線である。 一体私が何をした?というかこの兵士は何?中年というか壮年。 何でわたしに敬礼しながら走りこんできたの? 新手のセクハラ?そういえば今日もあのハゲいやらしい眼をしながら肩に手をかけてきたわ。 何なのよ一体? そして、大男はいきなり大声で叫んだ。 「すまない、勇次郎!!!!!悪気はなかったんだぁ!!!!!」 もはや美人OLに事態を把握することなど不可能である。 店内にいる人々も同様である。 てか勇次郎って誰よ? まさか奈津子さんって本名は勇次郎? 転換済みってこと? あの米兵何? お相手? などなど皆が行間を埋めるのに最大限の想像力を発揮していた。 OL奈津子には人々の心が聞こえてくるようだった。 日頃の激務でたまったストレスが、この一件で一気に沸点を超えた。 主に上司のセクハラが原因であるのだが… 「ざけんじゃねぇよ、誰が勇次郎よ!ああ?でかいなりして何を言ってんだよ、ぉのカス。何?あなた?新手のセクハラ?わたしは奈津子よ、もぉ、勇次郎なんかじゃないわ」 この迫力に多くの人は彼女の背後に獅子か鬼が吼えているような影を見た。 「ひぃぃ、すまない、勇次郎!」 「誰が勇次郎よ、誰が!」 余談だが、息継ぎの関係上で変な位置で入った「もぉ」の一音で後に以下のような噂: 奈津子、本名は勇次郎は性転換をしにアメリカに渡り、そこで知り合った米兵と駆け落ちした。 だが、彼の両親の反対に合い、頼りない彼に絶望して北海道までやってきたのだ。 が流れ戸籍証明まで取りにいってデマであることを証明する羽目になるのだが、それは置いておこう。 キャプテン☆ストライダムは我に返った。 赤い長髪の日本人を見たのでつい勇次郎だと思ってしまったのだ。 よく見ると、勇次郎と比べるとはるかに体格も小さいし、髪もしっとりと整っているし、美しい。 「すまなかった、君は勇次郎ではないな」 「当たり前でしょ」 当然である。眼がどうかしているとしか思えない。 よかった。 ストライダム将軍は安堵の笑みを浮かべた。 だが表情というものは周りの状況、シチュエーション、空気、見る側の精神状況でまったく別のもののに見えるものである。 脳が捉えなければ人はものを見ているとは思わないものだ。 奈津子の眼にはストライダムの安堵は、寂しさをこらえる初老の男の表情に映った。 おそらくこの男は戦場で共に戦い、恋に落ちた女兵士を探しているのだろう。 看護兵だった心優しい彼女は戦場の悲惨さに耐え切れず、逃げ出して平和な日本にやってきたのだ。 日本人にしては彫りの深い顔のわたしを見てその女性と勘違いをしたのだろう。 ちなみに勇次郎と呼ばれたことはこの時点で完全に頭から消えている。 脳が(略) ストライダムが見せたあまりに寂しそうな顔に、奈津子は少し可哀想に思った。 「何があったの?」 「すまない、(仕事柄)言えないんだ」 あー疲れているな俺は。 おかしくなってきている自分に気づいたショックに、呆然としたが、戦士たるものそこで自失するわけには行かない。 絞り出すように笑顔を見せて、 「語ることなど何もないさ、ぼけた老兵は消え去るのみだよ、お若いレディー」 ストライダムが何とか見せた笑顔はひどく寂しげで、今にも壊れそうに見えた。 BSEじゃあるまいな? まったく変な肉を喰わせるなよ農林水産省。 焼肉はともかくハンバーガーはシグルイではないのだよ? 庶民にだって陳腐でチープなプライドはあるのだぜ。 など、政府の悪口をあたまの中で並べつつ。「すまなかった」 まずは奈津子に誤り。 「スミマセン、オサワガセシマシタ」 店の人にも謝ってストライダムは店を後にした。 もう冬の空模様である。 ドアを開けると冷たい風が入り込んできた。 枯れ葉が踊っている。 「まって」 後ろから声が聞こえた。 振り返ると先ほど人違いをした女性が自分を呼び止めていた。 「あのさ、よくわからないけど、人は自分の道を生きなきゃいけないと思うんだ。つらくても、平凡でも。」 ストライダムは、ぐっ、と親指を上げ、奈津子も親指を上げた。 互いにふっと微笑むと、ストライダムは店の前から去っていった。 奈津子はしばらく彼の行った先を見ていたが、寒いので店内に戻った。 まだコーヒーも注文していなかった。 早くしないと昼休みも終わってしまう。 まだ顔を引きつらせている仲の良い(かった)店員にコーヒーを注文して、一息ついた。 人生いろいろあるものだ。 大通り公園に戻ったストライダムはすぐに勇次郎を見つけた。 「なにやってたんだよストライダム?おせぇじゃねぇか」 「スマナイ、ユウジロウ。トイレに行っていたものでね」 「なんだか嬉しそうだな?」 「イヤ、ちょっとねカワイイ女の子がいたのだよ」 「そうか、それはいいが、ストライダム、今日俺がお前をここに呼び出した用件がわからねぇんじゃあるまいな?」 勇次郎のオーラが秋の空を盛大に歪めた。 ストライダム将軍の苦労は続きそうである。 将軍の未来に幸あれ。 完
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/12136.html
このページはこちらに移転しました 星駆け 作詞/504スレ57 作曲/旋風 靴下をベランダに干したら 流れ星が空から降ってきて 翌朝 中を覗いたら 凍った星が光ってる そんな夢みたいな話 今夜も唄いながら ベランダに干し掛けるの 私の靴下 星形クッキーを添えて 音源 星駆け
https://w.atwiki.jp/idatenhistorimateri/pages/30.html
美川秀信:「いだてん~オリムピック噺~」 史実での「美川秀信」 美川秀信の史料・文献金栗四三 伝記『走れ二十五万キロ』 熊本県南関町在住の「美川秀信さんの親族」 インターネット上に散在する「美川秀信の足跡」■1910年:明治43年 ■1911年:明治44年 ■1912年:明治45年 ■1915年:大正4年 ■1916年:大正5年及び1917年:大正6年 ■1918年:大正7年 ■1919年:大正8年から1921年:大正10年 ■1922年:大正11年 ■1923年:大正12年 ■1924年:大正13年 関連人物 関連項目 登録タグ 美川秀信:「いだてん~オリムピック噺~」 演:勝地涼 主人公・金栗四三の同郷の友人。 彼の誘いで四三は「東京高等師範学校」へ入学する事になる。 ところが当の美川は、東京高師で落第生の烙印を押され、遊女「小梅」に入れあげた挙げ句、東京高師からいつの間にやらいなくなり、 寄席やら駆け落ちやらカフェーやら満州やらと、ありとあらゆる状況と場所で四三や美濃部孝蔵その他諸々の人たちの前に出没し、 出るたびに何かをやらかしては登場人物と「いだてん」クラスタをお騒がせし、 逆に出ないとあっては「なんで出ない??」「どこ行った美川??」「美川を探せ!!」と大騒ぎとなり、 「いだてん」随一のネタキャラとして愛された。 あ、愛され………?!? うん、愛され。 美川秀信 (みかわひでのぶ)とは【ピクシブ百科事典】 史実での「美川秀信」 そしてこの美川秀信。 実在した「金栗四三の幼馴染みの友人」が基になって出来た登場人物である。 金栗四三が伝記制作の折りに「美川秀信の思い出話」を語った事から史料に残り、 日本で、いや世界で最も過酷な駅伝と言われる「富士登山駅伝」の誕生に関わった人物であるにも関わらず、 富士登山駅伝 - Wikipedia 長らく「謎の人物」とされてきていた、のだが。 美川秀信の史料・文献 金栗四三 伝記『走れ二十五万キロ』 美川秀信の事が金栗四三から語られたのは、伝記である『走れ二十五万キロ』においてである。 走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版) - 熊日出版 走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版) 熊本日日新聞社:Amazon 概略するとこんな感じ。 二人は玉名中学校の同級生だった。 共に東京高師に入学し、上京。 夏休みの帰郷の際、富士登山に挑戦したが途中で断念した。 美川は「俺は教師になんかなりたくない」と言いだし始め、徐々に授業にも出なくなった。 そして金栗四三が本科一学年(二年生)に進級した頃には、美川は東京高師から姿を消していた。 その後、金栗四三は美川秀信の消息を訪ねる事は無かったので、その後、美川がどうなったのか、金栗四三が知ることは無かった。 そして金栗四三は、 美川がいなくなって寂しくなった。 なんとしても東京高師に留まらせておけばよかった。 と回想していた。 ところが。 熊本県南関町在住の「美川秀信さんの親族」 「いだてん」制作の取材過程で、ドキュメンタリー番組「ファミリーヒストリー」スタッフから「遺族や親族の探し方のノウハウ」を聞いて、それを実行した結果、 『いだてん』取材担当・渡辺直樹インタビュー 前人未到の大河ドラマ『いだてん』はいかにして作られたのか 取材担当者が明かす、完成までの過程|Real Sound| ファミリーヒストリー - Wikipedia 熊本にいた、美川秀信の親族が見つかった。 そして美川秀信役の勝地涼が親族の方たちと面会したり、 「いだてん」勝地涼が語る“ストレイシープ”な美川の気持ち「コミカルだからこそ切ない」<前編> | ザテレビジョン 「中村勘九郎さんとは絶対に一緒にやりたかった。幼なじみ役で出演できてうれしいです」勝地涼(美川秀信)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】 | エンタメOVO 勝地涼、『いだてん』で“全髪クネ男”好演!「金栗氏~」の一言で印象付け | マイナビニュース 熊本県南関市のローカル誌に「実際の美川秀信に関する特集記事」が掲載された。 しっとんね vol.27 | kumamoto ebooks | 「勝地涼さん演じる『美川秀信』は南関の人」(1) 「勝地涼さん演じる『美川秀信』は南関の人」(2) インターネット上に散在する「美川秀信の足跡」 そして現在、日本や韓国(!!)のあちらこちらのインターネットデータベースで「美川秀信の足跡」を確認し、辿る事が出来る。 ネット時代、すげえ。 以下、判明した「美川秀信の足跡」を年代順に記述していく。 ■1910年:明治43年 金栗四三と共に「東京高等師範学校」に入学。 東京高等師範学校一覧. 明治43年4月-44年3月 - 国立国会図書館デジタルコレクション 東京高等師範学校一覧. 明治43年4月-44年3月 - 国立国会図書館デジタルコレクション 美川秀信さん、実際には「数物化学部」で理系だったんですね。 (「いだてん」では「国語漢文科」設定です) ■1911年:明治44年 美川秀信、東京高師からいなくなる。 東京高等師範学校一覧. 明治44年4月-45年3月 - 国立国会図書館デジタルコレクション ところが。 ■1912年:明治45年 美川秀信、農商務省管轄の「水産講習所 製造科」に入学する。 官報. 1912年07月16日:彙報 / 入學許可 水産講習所(農商務省) - 国立国会図書館デジタルコレクション ちなみにこの「水産講習所」とは、後の「東洋海洋大学」に連なる学校となる。 水産講習所 - Wikipedia 沿革:東京海洋大学 ■1915年:大正4年 美川秀信、「水産講習所」を卒業する。 官報. 1915年10月22日:彙報 / 卒業證書授與 水産講習所(農商務省) - 国立国会図書館デジタルコレクション そして美川秀信の「水産講習所」への入学許可が、官報にて公示された1912年7月16日の前日は、 金栗四三がストックホルムオリンピックのマラソンに出場し熱射病で昏倒、目覚めた翌日の1912年(明治45年)7月15日に当たる。 金栗四三 - Wikipedia なにこの偶然。いったいどういうことなんです?? ■1916年:大正5年及び1917年:大正6年 「水産講習所 助手」を務める。 水産講習所一覧. 自大正4年至5年 - 国立国会図書館デジタルコレクション 水産講習所一覧. 自大正5年至6年 - 国立国会図書館デジタルコレクション ■1918年:大正7年 「日本醸造株式会社」在籍。 水産講習所一覧. 自大正6年至7年 - 国立国会図書館デジタルコレクション ■1919年:大正8年から1921年:大正10年 「中村水産研究所」在籍。 水産講習所一覧. 自大正7年至8年 - 国立国会図書館デジタルコレクション 水産講習所一覧. 大正9年 - 国立国会図書館デジタルコレクション しかもこの史料には「在 青島」の文字が。 水産講習所一覧. 大正10年 - 国立国会図書館デジタルコレクション 青島?!って、もしかしなくても中国の?!?www 美川秀信さん、満州どころか中国に行ってたの?!? ■1922年:大正11年 「中華●業株式会社」技師(青島) 水産講習所一覧. 大正11年 - 国立国会図書館デジタルコレクション 美川秀信さん、まだ中国・青島にいらっしゃる模様。 なお「●」は「塩」の旧字の「鹽」だそうです。 お答えのTwitterツイート ということは「中華鹽(塩)業株式会社」ということになります。 ■1923年:大正12年 大正12年の『水産講習所一覧』が国会図書館デジタルに掲載されていない為、不明。 ■1924年:大正13年 「星製薬株式会社」所属。 水産講習所一覧. 自大正12年至13年 - 国立国会図書館デジタルコレクション 「星製薬株式会社」って、ここのことかな? SF作家の星新一のお父さんですか。 星製薬について 星製薬のあゆみ|星製薬株式会社 (とんでもなく長いので、少しずつ追記していきますー。) 関連人物 金栗四三 関連項目 東京高等師範学校 朝鮮総督府 登録タグ 東京高等師範学校 美川秀信 金栗四三 ↓↓イイネ!!はこちら ↓↓↓↓↓ 1940年:昭和15年1月11日。 美川秀信さんが日本統治下朝鮮総督府京畿道仁川府にて亡くなりました。 享年49でした。 National Library Media Integrated Viewer Service
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/103.html
コンコン 「どうぞ」 「よっ、準備できたんだって?・・・よく似合ってるじゃねぇか」 「あたりまえじゃん、あたしを誰だと思ってんの?そういうアンタは・・・ま、まあまあじゃん」 「おいおい、こういう時ぐらいカッコいいとか言えねぇのかよ・・・」 「キモッ!自分でカッコいいとか何言っちゃってるのこいつ!? あんたナルシストっぽいところあると思ってたけど、そういうところ直したほうがいいよ? …なんてね、冗談だって。カッコいいじゃん『兄貴』」 「こんなときでも相変わらず口がへらねえのな、お前も。というか何だよ、今更『兄貴』なんて」 「ん~・・・ちょっと昔のこと思い出しちゃってさ。そのせいかな」 「昔のことねえ。・・・そういえばお前にミスター・シスドーだのなんだの言われて色々言わされたこともあったか」 「うっ・・・」 「おっ、まさか図星か?たしか『そんな道理ッ!私の無理でこじ開ける!!』だったか。 今更シスコンだとかそういうのは否定するつもりもねえけどよ、今思えばあれは今まさにこの状況を望んでたってことだったのか?」 「・・・あんたが悪いんじゃん。何をしてもあたしの気持ちに気付きもしないし。 あのころのあたしがドンだけ苦労してたかわかんないでしょ?」 「うぐ・・・ま、まあいいじゃねぇか。今お互いこうしていられるんだからよ」 「結果論じゃん・・・色々あったよね、あたしたち」 「そうだな。・・・後悔してるのか?」 「してるわけないじゃん。これはあたしが望んだこと。それを後悔なんてするわけない」 「・・・」 「ただ、この場に『あいつら』がいないのがちょっと・・・ううん、すごく残念、かな」 「駆け落ち同然に家を飛び出して、色んなところを転々としてきたからな。 今頃なにやってるんだろうな、あいつら。案外昔とほとんど変わってなかったりしてな」 「あははっ、流石にそれはないでしょっ」 コンコン 「はい、どうぞ」 「お邪魔しますね。おお、お二人ともよくお似合いですよ」 「ありがとうございます、神父さん」 「いえいえ。準備が出来たのでお呼びにきたんですよ」 「そうですか、わかりました。んじゃ、行くか。桐乃」 「うん、兄貴」 「それまだ続けるのか?」 「いいじゃん、なんかそういう気分なの!」 「へいへい」 「こんな辺鄙な教会で式を挙げてくださるというので、こちらも張り切って準備したんですよ」 「それは、なにかすいません。気を使わせてしまったみたいで」 「お気になさらないでください。…こちらです。この扉の向こう。きっとお二人ともびっくりなされますよ」 「え?それってどういう・・・」 「それでは、どうぞ」 「「え?」」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「よう!久しぶりだな高坂!こんなめでたい席に呼びもしないなんて友達がいのないやつだな!」 「そうですよ先輩!ちょっとぐらい声かけてくれたっていいじゃないですか!お久しぶり、桐乃ちゃん!」 「あ、赤城!?」 「せ、せなちー!?な、なんでここにいるの!?」 「私たちもいるよ、きょうちゃん」 「へへへ、かなかなカッコいいじゃんか!あんちゃん!」 「麻奈実、ロックも・・・」 「桐乃、久しぶり・・・」 「なんだ、結構元気そうじゃんか。そっちの変態兄貴も♪」 「あやせ、かなこ・・・」 「なんでみんなここに・・・」 「拙者がよんだんでござるよ」 「沙織!」 「お久しぶりでござるな。きりりん氏、京介殿」 「お前、なんで・・・」 「何でとはまたつれないでござるな京介殿。拙者とお二方の仲ではござらんか」 「そうじゃなくて!何であたしたちがここにいるって・・・それに式のことも」 「それは、そこにいる神父殿でござるが・・・実は拙者のおじい様であるからして」 「「ええええええ!!?」」 「というのは嘘で、実はそちらの方はお父様のお知り合いでして。その関係でこちらに情報が流れてきたでござるよ」 「沙織さんがあなた方を探しているというのは私も聞き及んでいましたので。勝手ながら連絡させてもらいました」 「そ、そうだったんだ・・・もう、あんまりびっくりさせないでよね!・・・でも安心した。沙織、あんた何にもかわらないわね」 「だよな。しかし沙織よ、そのドレスにぐりぐりめがねはどうかと思うぞ・・・」 「はっはっは!そう褒めないで下され、照れるではござらんか。作戦成功でござるな。 では失礼して・・・そうそう、お二人にはまだ会っていただきたい人がいるんですよ」 「え・・・」 「まさか・・・」 「久しぶりね、二人とも。相変わらず兄妹そろっての間抜け顔で安心したわ」 「・・・」 「桐乃、京介、心配してたのよ」 「あんた・・・」 「親父、母さん」 「京介」 「・・・なんだよ、親父」 「もう私はしのごのいうつもりはない。お前達の覚悟も、決意もよくわかっているつもりだ」 「親父・・・」 「だがこれだけは覚えておけ。もし桐乃を泣かせるようなことがあれば、今度こそお前を許すつもりはない・・・わかったな」 「そうよ、京介。そんなことしたら、もう家の敷居またがせないからね。覚えておきなさい」 「ああ、わかったよ。親父、母さん。絶対に桐乃を泣かせるようなことはしない。約束する」 「それさえ聞ければもう私は言うことはない。・・・京介」 「なんだよ?」 「・・・すまなかった」 「!・・・ああ」 「ほら、あなた。席につきましょ」 「うむ」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「黒猫・・・」 「・・・」 「あたし、アンタになんて言っていいか・・・」 「・・・ふう、やっぱりあの時のことを、いまだに気にしてたのね。あきれたわ」 「そんなことって・・・!あたしは!ずっと、アンタに謝りたくて!でも、どういえばいいか、わかんなくて・・・」 「謝られることなんてあったかしら?彼は私ではなくあなたを選んだ。ただそれだけのことでしょう?」 「でも!」 「もう、しつこいわね。私がいいと言っているのだからそう受け取りなさい。・・・そうね、そんなに私に悪いと思っているのなら・・・」 「な、なによ・・・」 「せいぜい幸せにおなりなさい?私が、私たちがあなたたちをやっかむほどにね。 私はあなたが嫌いだけれども、あなたたちが幸せならそれでいいわ。だって私達は・・・と、友達でしょう?」 「!!・・・~~~っ!」 「きゃっ!・・・いきなり抱きつかないでくれるかしら?ああ、もう、涙をおふきなさい」 「だって、だって・・・!」 「ふう、・・・高坂桐乃」 「・・・なに?」 「あなたには、私の真名を呼ぶことを許すわ。これからは私のことは瑠璃と呼びなさい」 「! くろ・・・瑠璃、ありがとう。それとごめんね。あたし、あんたのこと・・・大好きだから!」 「!・・・そう」 「よう、久しぶりだな、黒猫」 「そうね、誰かさんに見限られて以来かしら?」 「むぐ、相変わらずキッツいっすね黒猫さん。そういわれてもしかたないんだけどね!?」 「ふふ。、さて、そろそろこの子を離してもらっていいかしら?いつまでも抱きつかれていたらたまらないわ」 「・・・そうか。ほら、桐乃離れろって。あ~あ~こんなに泣いちまって。ほら、これで涙拭けよ」 「ぐすっ、・・・うん、ありがと」 「じゃあそろそろ席に着くわ。失敗して恥をかかないようにね?『兄さん』?」 「余計なお世話だよ!?」 「みんなかわらねえな。なんか安心しちまったぜ」 「そうだね。・・・ねぇ兄貴」 「なんだよ」 「絶対にこの手はなしたら嫌だかんね?離したら一生恨んでうやるから!」 「離すつもりなんてはなからねーよ。それこそお前が嫌だっつってもな!・・・桐乃、今幸せか?」 「当たり前じゃん!兄貴が隣にいて、みんなが祝福してくれるんだよ?あたしちょー幸せだよ」 「そっか。そうだよな・・・」 「・・・?どうしたの兄貴」 「いや、控え室いるときにお前が昔のこと思い出してたっていってただろ?」 「うん」 「俺もちょっと思ったんだよ。もし昔の、お前に人生相談受ける前の俺が今のお前を見たらなんて言うかって。 でも考える必要もなかったわ」 「ふ~ん、なんで?」 「あのころの俺がなんて言うかなんて分かりきってるってこった。そう、あのころの俺はきっとこう言うんだろうさ・・・」 俺の妹がこんなに可愛いわけがない