約 481 件
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/6158.html
669: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 01 58 04 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 大陸SEED OGゲートネタ 台詞集その13 IFルート?GATE自衛隊クロスネタ その10 「まさか大洋のヘリ対策に持ってきた対空戦車がこんな形で役に立つとはな・・・」 「それでも対処療法だぞ、まるでゾンビ映画みたいに敵が増え続ける。」 『11時の方向、デモンゴーレムを発見距離約2000』 「言ってる傍からお客さんだ!」 「機銃の照準を合わせろ連中を町に近づけるな!」 襲撃後に駐留した米国の対空戦車部隊の会話の一部始終、元々は大洋の所有するストーク対策として持ち込まれた旧式の対空戦車であったがヴォルクルス出現以降は各地に出現するデモンゴーレム対策にイタリカにも駐留、周辺から来る避難民と其れを追って襲撃を仕掛けてくるデモンゴーレムの群れに対抗している。 「ヴォルクルスの動きは?」 「現在、ゆっくりと南東方面へと向けて進行中、周辺には護衛と思われるバラルの上位兵器群と約10万を越えると思われるデモンゴーレムや死霊装兵が陸空に展開して埋め尽くして居ます。」 「南東と言うと目的は帝都か?」 「断言は出来ませんが現状の行動を見ると人間が多い地域を集中して狙っています。」 「主任・・・いや企業に伝えろそっちのLLLと此方の機体を敵の前方に輸送する。それで帝都住民避難までの時間を少しでも 稼げる筈だ。」 「了解しました。作戦立案に取り掛かります。」 大洋派遣軍での作戦会議での一幕、この後大洋部隊と企業の無人機に寄って構成された部隊がヴォルクルス侵攻上のルートへと展開、掃討用MAに寄って有るデモンゴーレムやスナピルを撃破する事に成功するもヴォルクルスによる直接的な攻撃によって撃破され突破を許している。 「おい聴いたか、今ベルナーゴの方に出た化け物の話?」 「バケモノ?炎龍は討伐されたんだろ?」 「いや、どうもベルナーゴ辺りで別の奴が出たらしい。」 「本当なのか?」 「ああ、如何も其れが緑の人や魔王軍まで恐れるバケモノって話だ・・・」 「緑の人や魔王軍まで!?その話、詳しく聞かせろ!」 帝国首都に置ける市井での会話の一部、炎龍に勝った魔王軍や緑の人の話題は既に帝国中で話されておりそれらが恐れる怪物が現れたと言う事は帝都市民へと大きな衝撃を与え興味を誘っているその為、早期に噂は広まり市民から帝国上層部まで噂が流れ込んでいる。 670: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 01 58 39 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 「あの蛮族どもすら恐れる怪物か・・・」 「コレはチャンスかも知れませんな、その怪物を討ち果たせば或いは」 「兵の準備を急げ、奴等の鼻を明かしてやる絶好の機会だぞ!」 帝国の継戦派同士の会話の一部、彼らからすれば蛮族に実力の違いを見せるチャンスと考えられる事であり、帝国に残る継戦派に属する兵士と貧民等を含み市民の緊急徴集を実行、急造では有る物の約10万近い兵力を継戦派を中心に脅迫等や督戦隊を設ける形で動員ヴォルクルスへと向かわせる。結果としてはデモンゴーレムが数万増える結果に終り被害と帝国の屋台骨は深刻な域にまでヒビが入ることと成る。 『自衛隊特地へと緊急の追加派遣決定』 『要らぬ軍事費の増大近隣諸国に不安』 『××国外相「日本は帝国主義に回帰しようとしている」と苦言』 『特地は新たな満州国なのか?専門家が解説』 ヴォルクルス出現後に日本で行われた特地への増派に対する各種メディアの見出し、その多くは不透明な特地に対する予想が中心と成っており行われる増派を満州占領の再来では無いかと揶揄する声明も出されている。 「待ったく勝手な事を・・・」 「しかし総理、近隣諸国が不安を抱いて居る事は確かです此処はマスコミを特地に入れて真実を・・・」 「あのファンタジー映画をお茶の間に写せと?其れこそ悪い冗談だ。今の状況では東京にすら被害が及び兼ねないのだぞ?」 「しかし、あの巨体では門は・・・」 「あれが本当に違う世界から現れたなら門など関係なく此方に来るとは思わないか?最悪は戒厳令も出す事を視野に入れることも考えなければならないぞ」 上記の新聞記事での内閣での反応実際問題特地の状況は最悪もう一度銀座を戦場しなければ成らない戦況には成り始めている物の特殊な状況過ぎて情報開示を上手く行なえないと言う事態に陥っていた。その後、米国や大洋との協議の後ヴォルクルスの映像等が公開されるが其れは世間に大きな影響を与える事となる。 「はぁ、漸くアレイオンに馴れたと思ったら今度は帝都住民の避難の手伝いか・・・」 「まだ運用に慣れませんし、行き成り前線に行けと言われるよりはマシじゃないですかね?」 「まぁ、そりゃそうだけどさ・・・」 「隊長、大洋の連絡にあったへリあれじゃ無いですか?」 「あれ?あのヘリって確か・・・」 『聞えて居ますか?自衛隊の皆様方』 「ああ、聞えてる。」 『私は企業から派遣されたオペレーター、キャロル・ドーリーと申します。そして此方が実行部隊の主任です。主任、挨拶を・・・』 『宜しくお願いしますよ伊丹隊長殿~』 「相変わらず軽いなー」 「隊長、この人たち知っているんですか?」 「いや、まあ、アレイオン教習の時中にちょっと仮想エネミーやってもらって・・・通信だけで実際に有った事は無いんだけどさ」 「相変わらず訳の解らない人脈作ってますね・・・」 市民を避難させる為の護衛に選ばれた伊丹達アレイオン試験部隊と共同で任務を行う事に成ったPMC企業との会話の一部始終 伊丹と主任とは戦闘前にもシュミレーションで主任がエネミーを動かす形で訓練を手伝っており、キャロルがオペレーションを行なっている。 671: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 01 59 25 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 大陸SEED OGゲートネタ 台詞集その14 IFルート?GATE自衛隊クロスネタ その11 「私は息子の帰るこの家を守ります。」 「そうは言ってももし帰ってきた息子さんが貴方が家と一緒に潰れてしまっていたら悲しみますよ?」 「ですが・・・」 自衛隊による住民避難の一幕、急な主戦派による急な市民の徴兵に寄って家族が帰って来ない市民等は他の市民以上に避難を拒否する傾向が見られて居り、その説得に自衛他の面々や講和派の帝国関係者等のが当っている。 「列なって乱れないで入って下さい!」 『荷物は肌身離さずお願いします。繰り返します避難民の皆様・・・』 「魔王軍はこんな巨大な船を持って居るのか・・・」 「ワシ等は何処へ連れて行かれるのだろうな」 避難誘導に従い大洋の空中輸送艦へと入っていく特地住民の一幕、帝国住民から見れば数百mもある巨大な空を飛ぶ船を多数所有する魔王軍は驚きを持って迎えられると共にこれから何処に向かうかと言う未来に対する不満も漏れ出している。 『所で主任、何故この避難民が多く残るエリアの避難誘導の護衛を?もっと効率の良いエリアも有るようですが』 『彼ってさ~あんまり自分から積極的に戦う性分じゃ無いじゃん?仕事も趣味の為って言いきってるし』 『それは分析でも有りました。闘争への欲求に欠けると・・・』 『なら彼が積極的に動いた事例を再現すれば良いんじゃ無いかと思ってね?』 『・・・此処に敵が来ると?』 『派遣したあれ、突破されたじゃん。鋼龍戦隊に送ったボディからのデータだとそろそろお客さんが来る頃だし、彼には又避難民を守って貰おうってね』 『残されたUNACのレーダーに反応あり、主任の予測通りですね』 『ま、何か有ればルーキーが何とかするでしょ?あれでもエースクラスだし』 避難民誘導中の企業部隊内通信のログの一部、主任の方針としては自主的にリスクの大きい戦いには参加しないだろうと考えられる伊丹陸尉を戦闘に参加せざるを得ない状況に追い込む事を画策、予め非難に抵抗する住民の多い地域を選択して依頼を受けて護衛任務に当っている。 「寄りに寄って最大戦力が居ない時に!」 「各員射撃準備!前方のデモンゴーレムに火力を集中させろ!」 「隊長、避難民が近すぎますコレじゃグレネードの類は使えませんよ?」 「その為の接近戦用のブレードだ兎に角連中を避難民に近づけさせるな!」 伊丹率いるアレイオン試験部隊とヴォルクルス接近の影響で自然発生したデモンゴーレムとの戦闘での一幕、避難民を気にせず周囲の建物ごとアレイオンを破壊しようと迫って来る複数のデモンゴーレムに対して主任が避難民の護衛で離れてしまった為に全面に出なければ成らない状況と成っている。その後、伊丹を中心に各部隊が連携する事でデモンゴーレムの群れに対して応戦結果的に企業の援軍である傭兵「ハスラー・ワン」到着までに避難民を守り切る事で実力を示し、大洋側からは寄り「黒い鳥」の候補として注目されていく事となる。 672: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 02 00 03 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 「あの赤い機体一機で突っ込んだ!」 「幾ら性能が違うからってあんな動きアリなのか!?」 「うわ、敵蹴り飛ばして八艘飛びしてる…」 「…」 戦闘に参加したハスラー・ワンの戦闘を見ての試験小隊の通信の一部VACと言うアレイオンから見ても小型の機体が3倍近い全長を有するデモンゴーレム群相手に単機で近接戦闘を仕掛けて圧倒する様子は中隊でハスラーワン一機が相手にするのと同数の敵に苦戦する自衛隊側からすれば衝撃と言える光景となっており実力差や技術差を実感させるには十分すぎる光景と成って居る。 「避難民の脱出はどれ位進んでいる?」 「現在ホエールキング含む輸送艦隊が複数動員されていますが今の所30万程度ですな・・・」 「想定の3割程か・・・」 「主戦派はヴォルクルスに対して徹底抗戦の構えです。それに徴兵された人間の家族も脱出を拒んでいる様で」 「残り期間は数日だ何割かは自力避難出来る事を望むしか無いな。」 大洋の駐留部隊指揮官と副官の会話の一部、現在緊急時として動員された多数の艦隊に避難民を載せる事で脱出を促す物の完全に進んでいるとは言い難く帝国が負けると考えない住民や徴兵された兵士の家族、主戦派の住民は脱出を拒み帝都に残る事を選択している。その為、大洋としては説得は続けている物の残りは不可能と判断指示に従う住民のみを脱出される方向に転換している。 「所で監禁されていた外交官等の救助は?部隊を派遣した事までは報告を受けて居たが・・・」 「その件に関しては槻賀多外交官が護衛として付いて居たウルべ少佐と共に自力で周辺に居た兵士を撃退して脱出、救助部隊と 合流しました。」 「確か槻賀多は・・・」 「はいヤタガラス傘下の第八巫蟲衆を輩出する槻賀多宗家の出です。」 「其れならば自力脱出も可能か・・・部隊は引き続き他の講和派等の救出に当る様に通達しろ」 上記の会話の続き、今回の帝国との会談に置いて大洋は内部で不穏な動きありと言う情報を察知した事である程度自衛能力を有する人物を選択して護衛と共に送り出していた。その結果外交官と護衛のみで周辺に展開していた主戦派の兵士を中央突破して救助部隊へと合流、保護を受けている。 673: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 02 00 46 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 大陸SEED OGゲートネタ 台詞集その15 IFルート?GATE自衛隊クロスネタ その12 「状況は?」 「ヴォルクルスは現在帝国宮殿後に陣取り行動を停止しています」 「単に休憩中と言う訳では無いのだろう?」 「加藤陸軍少将の話では乗っ取った地脈を通じてマグを吸収急速に力を拡大させているそうです。」 「黙ってみているしか無いと言うのか・・・」 大洋の帝都監視部隊の会話の一部、帝都に到達したヴォルクルスは逃げ遅れていた約50万近い住民諸共帝都を生存者が存在しない様に徹底的に破壊した後、帝国の宮殿跡地に置いて周辺一体のマグを吸収して寄り力を取り戻そうと画策汚染した龍脈をラインとして各地から死霊等と共に発生したマグを魔力として吸収、完全に力を取り戻そうと活動している。 「ヴォルクルスに変動有り!」 「周辺に存在していた一部の死霊装兵がヴォルクルスに接触・・・いえ、融合しました!同時にヴォルクルス腹部に変化あり!」 「アレは腹部が・・・兎の耳?」 「何が起こっていると言うんだ」 「ヴォルクルス、再び行動を開始しました!」 上記監視部隊の監視の一部始終、周辺を漂っていた死霊装兵が融合すると共に腹部の女性型のパーツが兎型の亜人を思わせる造形に変貌すると共に咆哮が甲高く成る等の変化が発生している。以前までには考えられない変化に対して戸惑いつつも監視は続けられている。 「変貌したヴォルクルスは進路を東南にとりながら進行を再開、海沿いに向かっています。」 「それで狙いは?まさか海水浴と言う訳でも有るまい?」 「不明ですが監視データを受け取ったサマナー達からは何らかの目的意識を持って動いている様に感じると言う事です。」 「その目的は?」 「其処までは・・・ただ、映像のみでは判別でき無い物の周辺に送った悪魔からは強い憎悪を感じると・・・」 「抽象的過ぎるが、何らかのへの復讐が目的か・・・」 大洋特地駐留部隊指令と副官との会話の一部始終、再び活動的に成ったヴォルクルスの調査情報を偵察部隊のサマナーより受け取っての分析、活発に動いては居る物の行動の読めないヴォルクルスに対する調査をオカルト面から進めては居る物の護衛が多く接近が出来ないのはサマナーも同じで有る為、有効な対策が立てられないで居た。 「北部方面隊まで引き抜いて戦力の増強か・・・」 「我が軍も州軍装備から本格的に現役の陸軍装備を持ち出していますし、本国もそれだけ本気な証でしょうな・・・」 「此処を抜けられればダイレクトに東京だ。あの帝都の光景を東京で再現する事は絶対許されない」 「・・・」 狭間陸将と援軍に来た米陸軍指令との会話、現状アルヌスの駐屯地の陥落は事実上の東京での先頭を視野に入れた戦闘が起こり得るのと同義であり壊滅した帝都の映像はそれだけ自衛隊員達に危機感を与える事となった。 674: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 02 01 26 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 「・・・」 「隊長、黄昏てますね」 「流石にあの光景はね・・・」 「推定犠牲者50万名・・・戦後の戦闘の民間人被害でも大きい方ですからね」 カタクラフト試験隊の面々の移動中の輸送艦内での談話・・・特地に居る技術者だけでは導入されたばかりのカタクラフトの整備が追いつかないと判断された事で一時的にデューカリオンに同乗する形で整備を受ける事が決定され其処でしばらくは共同で任務に参加する事が決定され、試験部隊はデューカリオンクルーと共に戦闘を行う事となる。 『今回の戦闘での結果、カタクラフト試験隊の面々は発生したデモンゴーレム計50体を討伐、内15体が候補者の戦果です。』 『中々やるじゃ無い?それなりにはさぁ』 『性能差を加味しても一定水準以上である事は間違い有りません。』 『でもゴミ虫相手じゃまだ解らないかなぁ~』 『つまり寄り上位の相手が必要と主任はお考えで?』 『そう言う事、キャロりん彼らの配置どうなってるんだっけ?』 『この後はデューカリオン隊と共に行動を共にして周辺のデモンゴーレムの群れを排除するようです・・・』 『!コレは・・・ハハハ、ちょっとは面白くなりそうかな?』 『主任?』 『キャロりん、例の奴お願いねルーキーの分も』 企業部隊のログの一部主任に表示された作戦の情報書にはデモンゴーレムの一部に強力な個体が混じるとの記述の他、偵察に出た一部無人機部隊が行方不明に成っているとの情報が記録されており不確定要素があるとの記載が行なわれている。 「カタフラクト試験中隊の皆さん、デューカリオンへようこそ歓迎します。」 「これが連合軍が持って来たって言う船の中か…」 「と言うか本当に飛べるんですかこれ?正直信じられないのですが…」 「ああ、向こうに行ってない奴も居るんだったか…確かに向こうで見てないと信じられない所も有るよなぁ…」 連合が派遣した戦艦デューカリオンと合流した伊丹一行の会話の一部。連合側への渡航を許可されなかった面々からすれば一見すると飛行の為の翼を十分に持たない戦艦の様な機体が本当に飛べるか不信感を抱く部隊員も居たが実際に機体を艦載して飛行を行うとその不信感は一気に霧散している。 675: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 02 02 02 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 「まだ二十歳にも成って居ない子供たちを戦場に送るなんて何を考えて居るのですか!?」 「本来で有れば避けるべき事態ではあります。しかし、此方としてもやむを得ない事情があるのです。」 「それでもこんな幼い子供たちを…!」 「其処までにしておけ、今この場で騒いでも仕方が無いだろ黒川陸曹」 「…」 「部下が失礼しました。」 「いえ…常識で言えば未成年を戦場に向かわせざるを得ない我々の不甲斐なさでもあります。今回の事は常識の違いという事で納得して頂け無いでしょうか?」 「お気遣い感謝します。」 デューカリオンの艦載機部隊との顔合わせに於ける騒動の一幕、共同作戦と成るという事で艦載機を運用するマスタング小隊を始めとした部隊との顔合わせを行う事と成った試験中隊であったが部隊員の多くが未成年、しかも高校生程と言った年齢で有ったことから一部の自衛隊との間で不和がしてしまう事態が発生する。 しかし、その後自衛隊側から正式に謝罪が合った事から連合としては今回の事を異世界勢力同士の接触の際にカルチャーギャップの一つとして処理することで事なきを得ている。 「黒ちゃん流石にあれはヤバいよ…相手大佐に少佐よ?一応大佐許してくれたけど…」 「でも伊丹隊長も納得していないんじゃないですか?完全に国際法違反の少年兵の類ですよ?」 「それでもこれから協力する相手に食ってかかるの不味いって…相手の事情も分からないでしょ?」 「そう言う隊長は何かご存じなんですか?」 「ま、ぱっと見だけど大佐のすぐ後ろにいた子居たろ?あの子、あの年で多分相当修羅場潜ってる…」 「そんな事どうしてわかるんですか?」 「一つは階級、少なくとも艦載機パイロットであの年で少佐まで相当よ?後は対特殊機訓練シミュレーション覚えてる?」 「覚えています確か緊急事態に居合わせた学生が倒したって…まさか本当に?」 「部隊名も階級も有ってたから多分…」 自衛隊の割り当て区画に於ける会話の一部、デューカリオンクルーと別れた後も暫くは不和を抱えていた自衛隊メンバーであったが少年兵が前線に居るという事を納得できない人間もおり、そういった内部不和に対しては隊長である伊丹が解決にあたる事と成って居た。しかし、此処にきて更に広がってきた常識の違いは自衛隊側にも大きなカルチャーギャップを与えていくこととなる。 676: ナイ神父Mk-2 :2020/04/27(月) 02 02 44 HOST p2251-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp 以上ですWIKIへの転載は自由です。取り敢えず再掲載用に少し加筆したネタをば…
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/790.html
西暦2020年8月21日 21:10 日本本土 東京都中央区銀座六丁目 「こちら交機202!車輌を捨てて退避する!」 巡査長は無線機に向かって叫ぶと、既に殉職している同僚を置いてパトカーから逃げ出した。 ボンネットを一撃で叩き潰されているこの車は、いつ爆発してもおかしくない。 「下がれー!早く下がれー!!」 遮蔽物の陰から銃撃を繰り返す警官隊から叫び声が聞こえる。 巡査長は、一瞬だけ敵を睨み、そして仲間へ向けて駆け出した。 「おい!後ろ!後ろ!」 警官隊の誰かが叫び、そして巡査長は後ろから防刃ベストごと体を二つに裂かれて絶命した。 勝ち誇ったような叫び声が上がり、死と破壊は続行された。 「畜生!自衛隊はどこにいやがるんだ!!」 憎憎しげに叫んだ警察官の頭上を、報道のヘリコプターが軽やかに飛翔して行った。 その化け物は、唐突に出現したらしい。 最初の通報者は、そう言っていた。 携帯電話から通報してきた若い女性は、道路の真ん中に見た事もない巨大なライオンがいきなり現れたと叫んでいた。 直後に車のブレーキ音、衝突音が電話越しに聞こえ、クラクションと何かの絶叫、人間の悲鳴が連鎖してその電話は切れた。 次に入った情報は、パトロール中の警察官からだった。 悲鳴を上げた多数の民間人が避難している、何か巨大なものがこちらに向かってくる。 そこで報告は途絶え、二度と繋がる事はなかった。 更なる続報は民放局から現場中継という形で入り、そして自衛隊はこの時点でようやく事態を知った。 「どうしてこちらに情報が来ない!」 「SATが出動態勢に入っています。 既に警視庁所属のヘリも離陸しているそうです」 救国防衛会議は紛糾していた。 全ての参加者が警視庁の代表を睨みつけ、そして顔面蒼白になった彼は電話の相手に状況の説明を求めている。 どういうわけだか警察の情報は駄々漏れで、そしてそこから伝わってくるのは、契約不履行。 日本国の治安維持を行う代わりに給料を貰うという、警察官としての最低限の契約を忘れ、パワーゲームを楽しんだという証拠が続々と入ってくる。 「機動隊がこちらから給与した武装を持って出動しています!」 「各県警のSATが出動準備を完成させました!」 「説明しろ!今すぐここに警察庁長官と警視総監を連れて来い!!」 激怒した統幕長が机を叩いて叫び、彼の傍らでは副官や将官が忙しなく動いている。 「そうだ!防衛出動だぞ!なに?交通網が避難民で麻痺している? ヘリを使えばいいだろう!航空法なんぞ知ったことか!」 「港湾局が護衛艦の優先通行権を与えると言っています」 「街中に艦砲射撃なんぞ出来るか!だが感謝すると伝えろ!」 「羽田が航空機の避難を拒否した?ぶつかったらそっちの責任だと言って通信を切れ!」 額に青筋を立てた三軍の将官たちは、部下たちに次々と指示を与えていく。 防衛出動という大義名分を得ている彼らは、この国で一時的に最高の権力を握っている。 敵軍を殲滅するまでの間、彼らにとってこの世界最大の都市は、演習場よりも融通が聞く場所でしかなかった。 「統幕長、待機している部隊を派遣します」 「いいから早く離陸させろ、街中での発砲も許可する」 「はっ!」 陸幕長が敬礼し、次の瞬間には佐藤たちに出動命令が下された。 同日 21:15 日本本土 東京都中央区上空 <こちらは機長、あと五分だ。降下用意> インカム越しに機長より状況が伝えられる。 機内ではそれぞれの武器を握り締めた自衛官たちが、無言で座っている。 「まさか東京上空を完全武装で出動する日が来るとは思いませんでした!」 エンジンの轟音に負けない声で二曹が叫ぶ。 その顔には緊張がある。 「出来れば一生こないでほしかったがな!」 叫び返しつつ、佐藤の心の中では自分の言葉を強く反芻していた。 一生こないでほしかった。 まさにそうだ。 よりにもよって、陸上自衛隊が首都に完全武装で出動する必要が出てくるとはな。 電力制限が撤廃された都内は、全ての闇を消し去るように明かりを煌々と灯らせ、UH-60JAを照らしていた。 同日 21:17 日本本土 東京都中央区銀座六丁目付近 「いいぞ!もっとだ!もっとだ!」 目を輝かせたエルフが車の中で叫んでいる。 傍らでは、表情を輝かせた青年がハンドルを握っている。 フロントガラスの向こう、渋滞している車列の先では、燃え上がる車輌をバックライトに、警察官を牙に突き刺した化け物が雄たけびを上げている。 化け物は大きく、醜く、頑丈だった。 警察官の使用している9mm拳銃弾では、致命傷はおろか怪我すら与えるのは難しい。 その上空を、報道のヘリコプターが旋回している。 「上のアレ、落とせないか?」 青年が尋ねる。 「できるわよ、待っていなさい」 エルフが答え、そして次の瞬間、化け物は何かをヘリコプターに向けて発射した。 同日 21:18 日本本土 防衛省 救国防衛会議 「・・繰り返します、こちらは現場上空です。 化け物が、化け物が警察官を食べています! あ、今こっちを向きました」 レポーターの声に、怒鳴りあっていた一同は画面の方を向いた。 そして見た。 「・・れは、あれはなんでしょうか? 犬のような、狼のようなギャギュ!!!!」 化け物の口が開き、何かがカメラでは識別できない速さで飛び出した。 妙な声を聞き、カメラがレポーターの方を向く。 ヘリコプターの壁面が穴だらけになり、女性レポーターは妙な声を残してグロテスクな肉の塊へと変わっていた。 カメラマンの悲鳴、甲高いエンジン音。 機体が異常な挙動を示しつつ急降下し、穴の向こうにビルの壁が映った瞬間、画面は砂嵐へと変わった。 「・・・ヘリが撃墜されたぞ!」 「移動中の部隊を呼び戻せ!敵は対空火器を装備しているぞ!」 「周囲の民間機を撃ってもいいから追い払え!被害が広がるぞ!」 一瞬だけ固まった会議室は、再び賑やかになった。 同日 21:18 日本本土 東京都中央区銀座六丁目付近 大破したヘリコプターが石のように落ちてビルへと激突、爆発する。 一瞬にして燃え盛るビル。 破壊された壁面から、火のついた人が次々と飛び降りていく。 「大成功だ!」 狭い運転席で男性は飛び上がって歓声を上げ、傍らのエルフにキスをする。 「ありがとう、私もとっても嬉しいわ」 エルフは顔を赤く染めて喜びを伝える。 唖然と見守っていた周囲の人々が逃げ出す中、二人は車内で幸せそうにその光景を見ていた。 既に一般警官たちも逃げ出しており、この近辺には建物の中と大破車輌の中に取り残された人を残して無人となりつつある。 特等席から殺戮を見学したい二人にとって、ここは最高の劇場だった。 「おかあさーん!痛いよー!!」 その最高の劇場で、雰囲気をぶち壊しにする観客がいた。 二人の車の隣で、母親からはぐれたらしい少女が一人、大声で泣き喚いている。 逃げ出す群衆に突き飛ばされ、踏みつけられたらしい。 少女の服装は汚れ、手足からは出血があり、さらに肩を脱臼しているらしい。 愉快そうな表情を浮かべたエルフは、窓を開くと無言で短剣を少女に向けて投げつけた。 同日 21:19 日本本土 東京都千代田区丸の内1丁目 東京駅上空 <対空火器があるんだぞ!> 「近くで構わんと言っている、そこで下ろしてくれ」 帰還中だったヘリの中では、パイロットと佐藤が言い合いをしていた。 防衛省から来た命令は明確だった。 敵は対空火器を装備しており、空からの侵入は危険なため帰還せよ。 搭乗している部隊は車輌部隊と合流し、敵脅威を殲滅せよ。 なお、既に車輌部隊は現場へ移動中。 「車を待っていたのでは間に合わない」 佐藤は冷静に言った。 内心では今すぐ小銃を突きつけてでも現場に急行したいが、それにはパイロットの協力が必要不可欠である。 だからこそ、彼は出来るだけ冷静さを保っていた。 だが、彼の心の中では自衛官としての義務が声高に主張していた。 強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、 事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。 俺は自衛官として宣誓したじゃないか。 対空火器が何だ、俺は危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務めないといけない身分じゃないか。 覚悟を決めた彼が小銃の安全装置を解除しようとした時、ヘリの通過を確認したらしい車輌部隊から通信が入った。 <上空を移動中のヘリコプター!どこへ行く!俺たちを拾っていけ!!> 基地においてきた予備隊の三尉が叫んでいた。 彼の声は切迫しているが、まだ狂気は感じられない。 佐藤は安堵を覚えつつ、パイロットに何か話しかけようとした。 だが、それより前に彼は口を開いていた。 「こちら桜空輸、我々は貴隊との合流を命じられている。 敵は対空火器を有しており、我々は接近できない。搭乗している部隊を降下させる」 無常ではあるが、命令違反はしていない。 佐藤たちよりも大陸での任務が少なかったらしいこのパイロットは、未だ自衛官としての常識を残しているようだ。 <撃ち落されたいのか!今すぐ俺たちを現場に連れて行け!> 三尉の叫び声に、佐藤は慌てて下を見た。 車道も歩道も関係なく逃げ惑う人々によって、道路は完全に麻痺していた。 あちこちで赤色回転灯を回したパトカーや救急車が立ち往生しており、どうやら交通事故を起こしたらしい自家用車が残骸となって路上に点在している。 その路上に、武装した自衛官たちが次々と降車し、小銃を振りかざしつつ前進を試みている。 隣では、盾を構えた機動隊員たちも前進を試みているようだ。 小銃をこちらに向けて立っているのは、あれが三尉だな。 <総員対空戦闘用意!上の腰抜けヘリを狙え!> 正気を失いだした三尉の怒号が聞こえる。 あいつならば、本気で撃つだろうと佐藤は内心で覚悟した。 「ああもう!わかったよ!」 覚悟を決めたらしいパイロットは叫んだ。 しぶしぶというよりも、彼の内心で良識が常識に勝った感じの声音である。 「おまえらの大将を運んだら次はおまえらだ!銃を向ける相手を間違えるんじゃねぇ!!」 叫ぶなり電線や気流の存在を無視した急旋回を実施すると、ヘリコプターは乗客をミンチにするかのような荒っぽい機動で現場へ向けて移動を開始した。 周囲の風景が流れ、天地がまるで逆転したかのように動く。 平均感覚が失われ、佐藤はすっ飛んで二曹を押し倒していた。 「一分だ!何かに掴まってお祈りでもしてろ!」 二曹に蹴り飛ばされた佐藤の耳に、パイロットの怒号が入った。 同日 21:20 日本本土 東京都中央区銀座五丁目 三階建てのビルの屋上 「ジャスト1分だ!良い夢見れたか!?」 先ほどまでの殺人的な機動は終わり、ビルの屋上すれすれに機体を制止させたパイロットが叫ぶ。 ドアが開かれ、そして最初に二曹が飛び降りる。 「降りろ降りろ降りろ!!」 二曹が叫び、そして言われるまでもなく隊員たちはヘリコプターから飛び降りた。 小銃を持った隊員は安全装置を解除し、重火器担当の隊員たちは武装をヘリから下ろす。 <残りを運んだら近くで待機する!いいな!ここまでしたんだから絶対殺せよ!> 全員が屋上に展開した事を確認したパイロットは、そう叫ぶとヘリを上昇させた。 思わず見惚れるほどに見事な旋回を実施し、車輌部隊の方へと飛び去っていく。 「全員安全装置を外せ、だが、逃げ遅れた民間人が残っている可能性もあるため、動くものを片っ端から撃つんじゃないぞ!前進!」 佐藤が号令を下し、彼らは屋上のドアへと前進を始めた。 と、そのドアが内側から勢い良く開かれる。 「なんだてめぇら!!」 拳銃を持った男たちが現れる。 警察官には到底見えない。 「撃つな!撃つなよ!」 一斉に小銃を構えた隊員たちを制しつつ、佐藤は一歩前に出る。 目は血走り、構えた小銃は安全装置が解除されている。 「自衛隊だ、そのオモチャを捨てて直ぐに逃げろ」 「なんだと!もういっぺん言ってみろ!」 状況をわかっていないのか、それとも虚勢を張っているのか。 相手は佐藤の言葉に素直に従おうとしない。 隊員たちが一瞬で全員を射殺できるように、静かに展開していく。 「最後の警告だ。武器を捨て、この場から立ち去れ。 我々の行動を妨害するのならば、貴様と仲間たちは国家の敵だ」 佐藤は小銃の筒先を手前の男の顔面に突きつけ、そして言った。 「蜂の巣になりたいか!?」 脅しの効果は抜群だった。 何しろ、自衛隊は民間人相手にも平気で発砲できる事は周知の事実になっている。 ましてや、カタギの職業ではなく武装もしている自分たちが例外になれるわけがない。 男たちは、上位者に命令されるまでもなく武器を捨てた。 「下まで案内しろ」 日ごろの余裕を完全に失っている佐藤に命じられ、彼らは大人しくビルの玄関まで先導役となった。 同日 21:24 日本本土 東京都中央区銀座六丁目 路上 「いました。あそこです」 遮蔽物に身を隠しつつ、陸士長が小声で報告する。 ゆっくりと前進していた佐藤たちは、それを聞いて停止した。 化け物は負傷した避難民や警察官を、実にうまそうに食べている。 こちらに気付いた様子はない。 「9mm拳銃弾では致命傷を与えられないっていう話だ。 横田陸士長、二人連れて適当なビルの上から発砲しろ。だが、効果がなかったら直ぐに退却だ」 「復唱、横田陸士長ほか二名、ビル屋上より」「いいから行け」 「はっ!」 最後尾にいた三人が駆け足でその場を離れていく。 「我々はどうしますか?」 二曹が尋ねる。 「上からの銃撃が始まったらこっちも一斉射撃だ。 無反動砲は悪いが、路上に出て発砲しろ。ここじゃ狭すぎるからな」 「り、了解」 無反動砲を背負った陸曹が青い顔で答える。 「重機関銃は適当な位置を見つけて展開、ヤバイ時は武器を置いて逃げろ」 「はっ」 機関銃班が答える。 東京の路上を舞台に、自衛隊と化け物の戦闘が始まろうとしていた。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1460.html
退屈な日々が終わりを告げる。 空から現れた敵の増援を迎撃に、なのはがヘリから飛び降りていく。 時間と共にアルファが収集しては表示してくる情報に、思わずナニが勃ちそうで、 任務なんかクソ食らえと飛び出していきたくてしかたがない。 それはあまりにも希薄だけど、思い出すには十分な向こう側の世界の空気。 必死に自制を続けた果てに、ようやくヘリがリニアに追いついた。 さぁ、待ちに待った殺し合いだ。 魔法少女リリカルなのはStrikerS―砂塵の鎖―始めようか。 第5話 ひよっこどもの初陣、荒れ狂う心 「さぁて新人ども。隊長さんたちが空を抑えてくれているおかげで安全無事に 降下ポイントに到着だー。準備はいいかー!!」 「「「「はい!!」」」」 予想通りに現れた敵の増援を迎撃しになのはがヘリから飛び出していって何分すぎたか。 自制するのに必死だったせいで覚えていない。 アルファが送ってくれたなのは達の情報があまりにも魅力的すぎたから。 どんなに貧弱で脆弱だろうと全身が悲鳴を上げるほどに渇望したものがあったのだから。 衝動的にヘリを叩き壊してでも行きたくなる意識を必死に抑えつける。 やがて必死に自制に傾けていた意識を現実へ引き戻してくれたのは、 ヘリパイロットのそんな声と、ひよっこ4人の返事だった。 「凄腕さんも新人どもの面倒しっかりみてやってくださいよー。」 「覚えておこう。アルファ、セットアップ。」 そんな言葉をヘリパイロットに返したけれど、ほとんど生返事に近かっただろう。 既に意識は目の前の獲物に傾き始めているのだから。 宣言と同時にバリアジャケット(バトー博士の言うところのボロキレ)が 瞬時に展開される。 すぐに状態を確認。 全身のカラーリングは緑、若干の迷彩効果あり。 頭を保護するのはゴーグル付きのタンクメット。追加パーツとしてアルファと 同型の触覚あり。普段から被っているものとデザインに変更はないようだ、触角以外は。 上半身を覆うのはトランサーシールド。あの世界ではこの上ないほどの貴重品で、 その存在は都市伝説に近く、市場に出回った試しは1度として存在せず、 ほとんどの攻撃を受け止めるどころか片っ端から弾きとばす馬鹿げたプロテクター。 どこかの赤い戦車に乗った有名なハンターが着ていたというが真偽の程は分からない。 殺して殺して殺し続ける日々の果てに、右から左へ物を渡すような感覚で 次々と命を守るプロテクターは壊れて使い物にならなくなってプロテクター屑となった。 プロテクター屑のリサイクルを生業としていたトレーダー達にそんな過程で生まれた 冗談のように膨大な量のプロテクター屑を何度も持ち込んだ果てに、 たった1度だけこっそり横流ししてくれて、彼女と戦ったときにも身に着けていた 思い出深いプロテクター。それが上半身を覆っている。 下半身を覆うのは破ける度に直して、やがて馴染んできたと思えば再び破けては ズタボロになって、本当にボロキレになるまで履き続けた果てに買い換えてと 延々繰り返したカーゴパンツと何足履き潰したかさえ数えることさえ愚かしいほどに 履き潰してきたアーミーグリーブ。 その上から全身を覆うのはトレンチコート。このコートの中にどれだけの数の武器と 弾薬とクスリと手榴弾を格納してはあの荒野を走り続けてきただろう。 そういえば、腰の弾薬ベルトがないな。 あれほど身につけ続けていたのに。 腕を覆うのはパワーグローブという名の四六時中ドンパチやっている街キャノンエッジで 販売されていたガントレット。向こうのようにパワーサポートの機能はないようだが、 これでもかとばかりに見慣れた形状には安心感を覚える。 唯一違和感があるとすればトレンチコートの背中に折り畳まれて格納された上翅と下翅。 肩甲骨のあたりから生えたような感覚のそれには 無作為なようで緻密なまでに計算されつくした翅脈が奔り、 身体に連動して脈動するかのように青い光が翅脈に沿って迸る。 なるほど、まさにゴキブリじゃないか。 全身を覆う黒い装甲と追加の足がないだけで。 バトー博士なら『吐き気を催すこの独特のフォルム、ゴキブリにピッタリだよね。』とでも 褒め言葉のつもりで笑いながらそう言うだろう。 だが、同感だ。 実に機能的で戦闘用で殺戮に便利な俺向きの装備だよ、これは!! 「ハンター1、先にでるぞ。」 言葉と同時に格納されていた背中の翅が左右に展開され凄まじい勢いで振動を始める。 まるでフレアーのように脈動する青い光を振りまきながら・・・・・・。 無意識にタンクメットのゴーグルを下ろす。 これで空を飛ぶ準備はできた。 後は空に踏み出すばかり。 バトー博士を信じるならば、物凄い言い回しが続いたけれど要約すれば、 『地面があるのと変わりなく』動けると言った。 バトー博士は決して嘘をつかない。 ならば決して揺らがぬ絶対の完璧なる信頼をもって俺は応えよう。 かけらも疑わずに踏み出した俺は、開放されたハッチから文字通り『歩いて』空に出る。 数歩『歩いた』とき、その足は間違いなく確かに立っていた。 なにも存在しないまっさらな空の上に・・・・・・。 まるで地面を歩くのと変わらない感覚で・・・・・・。 「あは、あははははは、アハハハハハハハハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 この狂ったような笑いは俺が出しているのか。 時間も場所も忘れて身体が勝手に地面をのた打ち回ってしまいそうだ。 ああ、どうして、どうしてこんなにも狂ったような笑いが止まらないのか。 人間としてはかけらも理解ができなかった。 けれど、ハンターの思考と、遺伝子にまで刻み込まれた殺し合いの記憶は 笑いが止まらぬ理由を明確なまでに理解していた。 あまりにも単純で考えるまでもないこと。 それは、より戦いに向いた装備が手に入ったということへの歓喜の笑い。 ふと気がつくと、コールサインを叫びながらティアナとスバルが飛び降りていき、 バリアジャケットを展開・・・・・・っておい、なんで先に展開してから飛び降りない!! 飛び降りるときに下から対空射撃で蜂の巣にされるとか考えないのかよ!! 狂ってた俺も悪かったが、それでも砲座が見えないからって油断しすぎにもほどがある。 ってキャロとエリオも真似するな!! 着地して足を止めるな!! 初お披露目のバリアジャケットとかいう服に感動している暇があったらさっさと動け!! リインフォース曹長(で正しいのか?)ものんびり一緒に飛ぶな!! 曹長だろあんた!! 死にたくなければ足元まで気をまわせ!! 案の定、足元であるリニアの天井越しの攻撃に慌てている。 ってティアナ、射線の先に味方がいるときにトリガー引くんじゃねぇ!! スバルも出撃前にガジェット多数言われていたのに、躊躇いもせず中に飛び込むな!! リニア壊すな!! だから足を止めるなって!! 他にも言いたいことが山のようにありすぎて・・・・・・。 ああ・・・・・・。 もういいや。 ひよっこが多少死に掛けてもいい勉強だろう。 どうせ払うのは自分の命なのだし。 なんだろう、彼女を殺してからずっと抱え続けていた感覚とは別に、 体のどこかから抜け出していく火炎放射機や高出力レーザーよりも 熱く轟々と燃えているようで、冷凍弾よりも冷たいかのような感覚は・・・・・・。 ああ・・・・・・、死ねばいいのに・・・・・・。 ひよっこどもを眼下に収めながら、リニアを見つめる。 発作的に銃口をひよっこどもに向けそうになる。 かなり危ういところを必死に押さえ込みながら思考をどうにかアルファのほうへ向けた。 まずはアルファに追加された機能を試しておかねばならない。 そうだ、まずはアルファのほうへ気を回してひよっこどものことは一時忘れておこう。 それが一番全員にとってマシな選択のはずだ。 発作的に205mmキャノン弾種爆裂とかスリーバーストとか叫びそうな心を押さえ込む。 そうだ。少しぐらいサボっても大丈夫だ。 下でひよっこどもが勉強しているのだから多少サボっても問題ない。 アルファの機能把握をしても・・・・・・問題は・・・・・・ない。 そんな思考を必死に繰り返しながら、ふっと深呼吸をして、アルファに視線を向けた。 さて、なにはともあれアルチュウでヤクチュウでクレイジーでデンジャラスな道具に なんでも変形できるとバトー博士が請け負ったサポートデバイスの機能だが、 どうやって運用したものか。 手榴弾などの投擲系は場面次第で運用可能。 しかし、拾うというアクションが必要になることを考えると他の装備で代用が望まれる。 回復カプセルおよびドーピングタブなどの錠剤系は飲んだ跡で吐き出すか、 あるいはハラワタを切り裂いて取り出すハメになるからやや殺し合いには不向き。 それ以前に320kgの錠剤って飲み込めるのだろうか。 ・・・・・・あれ? 内容物はどうなっている? そして、エバ・グレイ博士の作ったあれはどういう扱いになる? 思考するのとほぼ同時にアルファに宣言していた。 「アルファ、回復ドリンク、1回。LOVEマシン3113、1トリガー。G3A3。」 「了解しました。マスター。」 変形するアルファを片目に、躊躇わず左腕のパワーグローブを脇に挟んで 左手を引き抜きながら、剥き出しになった腕を食いちぎる。 当然のように滴り落ちる血。 後から聞くところによると、バリアジャケットはプログラムとかいうので魔力から 作っている関係から一部だけを服みたいに簡単に着脱できないそうで、 俺が当たり前のようにやった行為にデバイスマイスターでもある通信士のシャーリーが 真っ先に卒倒しかけたらしく、メカニックスタッフが一斉に大混乱に陥ったそうだ。 やがて重厚な稼動音が止むと、右手に収まったアルファは1本のドリンク剤になっている。 さて、問題はここからだ。 蓋を開けて、躊躇うことなくドリンクの瓶に口をつけて一気に傾ける。 中身は・・・・・・ちゃんと入ってる!! 一気に嚥下する。 アルファが次の道具へと変形を始める。 だが、そんなことはどうでもいい。 今、気になるのはこの食い破った傷口だ。 さぁ、どうなる? 目の前で始まった光景はあまりにも見慣れすぎて聴き慣れすぎたモノ。 軋むような音と共に塞がっていく食い破った傷口があった。 「マスター、変形完了しました。」 アルファに言われるまで意識が跳んでいたのだろうか。 ほんの数秒に過ぎないが記憶が欠落しているような・・・。 目の前の現実に脳が焼き切れでもしたか。 実際は快楽物質が凄まじい量を分泌されたようで絶頂状態あるいは軽い気絶であったと 視界に奔るアルファが送ってくれた俺自身のバイタル上には表示されていた。 ふと、手元のアルファを見れば、まぎれもなくサイバーウェアの研究者である エバ・グレイ博士が作り出した不思議な機械LOVEマシンとなって手元に納まっている。 L・O・V・Eの4つのチップの配列から為る不思議な機械。 チップの配列によってあまりにも構造と原理を超越した効果を引き起こすことが、 アイなんていうあの世界で最も幻想じみたコワレた言葉にぴったりで、 チップ自体のアナグラムも合わせてLOVEマシンと 開発者のエバ・グレイ博士本人さえ呼んでいたそれが手元にある。 LOVEマシンの後に告げた3113とはチップの配列。 つまりLチップ3番、Oチップ1番、Vチップ1番、Eチップ3番の配列。 効果はスピードタブと呼ばれる神経伝達物質の分泌量を増やす錠剤と同じ効果。 この世界では麻薬とでもいうのか。 脳の安全装置が機能できる時間を確保した上での神経伝達速度を加速する薬は・・・・・・。 スピードタブの量が20mgと50mgのものがあるが、3113は20mgのほうだ。 もう、躊躇わない。 トリガーを引く。 それと同時に周囲の時間が遅くなっていく感覚に襲われる。 ああ、この感覚は数え切れないほどに覚えがある。 何度と無くお世話になったスピードタブのそれだ。 バトー博士、あなたは本当に天才だ。 「マスター、G3A3への変形完了しました。周辺の詳細情報を継続して送ります。 なのは達が敵増援の迎撃を終えたようです。」 アルファに言われるまでのほんの数秒、再び狂ったように笑いっぱなしだったようだ。 通信越しにリインフォース曹長とシャーリーとはやてが物凄い勢いで絶叫している。 ああ、なにをそんなに慌てているんだ・・・・・・って目の前で人が発狂したように 笑い続ければ騒ぎもするか。 しかし、なんてなんてなんて素晴らしい。 どうしてこんなに笑いが止まらないのか。 ハンターの思考が、遺伝子が、馬鹿げたほどに積み上げられた経験が歓喜に絶叫し、 人間らしい思考を侵していく。 まさにWhoop-de-doodleってやつだ。 ああ、そうかそうなんだな、お前ら。 ならば、もっと盛り上げてやろう。 お前らの性能テストとアルファの性能テストも兼ねて。 なんせ目の前に獲物があるのだから。 もっともアペリティフにすらならないかもしれないがな!! 視界に捉えたのはAMFによって戦うことさえままならず、 リニアから放り出されたエリオとリニアから飛び降りるキャロの姿。 「召還に似た強大な魔力収束が観測されています。」 アルファがそんなことを言っていた気がしたけど、既に俺の身体は加速していた。 さすがバトー博士、まさに落ちるのならば天井知らず。 具体的に魔導師でもわかるように説明するなら詠唱時間0の魔力消費0で ソニックムーブとかいうやつを使ったのに近かったらしい。 後でフェイトとエリオに反則呼ばわりされたがそんなに異常なことなのか? 気持ち程度にきつい程度の動きでしかないだろうに。 「ご、ごめんなさい。」 「そんな・・・・・・・こっちこそ・・・・・・。」 「おい、イチャついてるクソガキどもとクサレペット!! 片っ端から生爪剥がして片っ端から生皮剥いで、全身に釘と鋲と杭撃ち込んで 磔にして指先から順に切り刻んで膾にしてミンチメーカーにかけて 焼き尽くされたくなかったら黙って言うことを聞け!!返事は!!」 「「はいであります!!」」 「キュクルルル!!!!」 キャロのことしか目に入っていなかった僕の真横から響いた凄まじい言葉に、 いつの間にと思うよりも早く返事をしていた。 ほとんど条件反射で。 物凄く怖い人だっていまさら気がついた。 ドラゴンまで震え上がるっていったいはんたさんってどれだけ怖い人なんだよ。 言われた内容の意味に任務終了後、冷静になって気がつくとキャロと2人して 真っ青になって抱き合いながら震えっぱなしだったのだけど。 「キャロ!!打撃力、機動力、貫通力、使えるブーストは!!」 「あ、あの・・・・・。」 「誰でもわかるように簡単明瞭正確に一言で答える!!」 「2つ同時に全部使えます!!」 「だったらエリオに打撃力と機動力ブースト!!!! AMFは俺が片っ端からはがしてやるから、エリオはトップスピードのままで とっとと突っ込んで片っ端からぶち壊せ!!返事は!!」 「「はいっ!!」」 「リニアの上で呆けているひよっこ共、さっさと前に走らないとマジで殺すぜ!! アルファ!!ひよっこ4人と六課の管制メンバーに位置、距離、予想耐久力および 残存勢力数以外の全情報をオミットしてデバイスに転送。88mm砲、弾種エレキ!!」 「了解しました。マスター。」 横で重厚な音を上げながら複雑な変形を繰り返すはんたさんのデバイス。 フリードを足場に僕の後ろではキャロが涙目になりながら詠唱をしている。 ストラーダを構えた僕の周囲に物凄い量の情報がウィンドウで開いていく。 そんな・・・・・・。 こんな状態だったのに、僕達って・・・・・・。 意図的に削られていたのか、それとも本当に分からなかったのか。 とにかくどちらか分からないけれど、情報の嵐ともいうべき情報量の中で まだまだたくさんの敵が残っていることだけは分かった。 僕を投げ落とした目の前の大きなやつだけで終わりじゃないとも。 ジャキンと背筋が凍りつきそうなまでに冷徹な音が響き、 音のしたほうを見ればはんたさんのデバイスが 巨大な大砲(他になんていえばいいかわからない)になっていた。 「ブースト完了しました。」 「それじゃエリオ、さっさと行け。ファイエル!!!!」 「ストラーダ!!ソニックムーブ!!」 聞いたこともない凄まじい炸裂音と共に冗談じみた速度の魔力弾が飛んでいく。 それを追いかけるように、僕は飛んでいった。 魔力弾が着弾すると同時にAMFの上から紫電がほとばしり、 あれほど驚異的だったAMFが停止していく。 同時に脅威だった相手の攻撃も・・・・・・。 雷を使えばこんなに簡単だったなんて、どうして気がつかなかったんだ!! そんなことを考えている間にはんたさんの声が響く。 「2発目!!!!!!!!ファイエル!!!!!!!まだまだ続くぞ!!!!」 はんたさんの魔力弾がリニアの壁を横から貫いて紫電をほとばしらせる。 その度に複数のガジェットドローンが一斉に機能障害を起こし始める。 同時に傍らに表示された敵耐久力の本当の意味を知った。 はんたさんの攻撃で相手は動かない人形になった。 敵の耐久力が表示されるおかげでどれだけ攻撃すればいいか分かる。 おかげで攻撃の無駄が無くなる。 これならまだまだ加速できる!! 「作戦目標クリアー。継続して索的および警戒を続行します。 管制室、レーダーレンジ内に敵影ありませんが、問題はありますか?」 気がつけば背後にガジェットドローンの残骸が溢れていて、 はんたさんのデバイスのアルファ(そういえばインテリジェントデバイスなのかな?)が そう告げていた。 え? この残骸って・・・・・・僕がやったの? 「車両内・・・・・・・および・・・・・・上空のガジェット反応・・・・・・全て・・・・・・消失。」 「スターズF・・・・・・レリック・・・・・・無事確保。」 「車両の・・・・・・コントロールも・・・・・・取り戻した・・・・・・ですよ。今止めまーす。」 「ああ・・・・・・ほんなら・・・・・・ちょうどええ。スターズの3人と・・・・・・リインは ヘリで回収してもらってそのまま・・・・・・中央のラボまでレリックの護送・・・・・・ お願いしようかな。」 「ライトニングは・・・・・・どうします?それとハンターは?」 「現場・・・・・・待機。現地の局員に・・・・・・事後処理の引き継ぎ。よろしくな。 ああ、はんた!!絶対に絶対に現地局員血達磨にしたりしたらあかんからな。」 「それなら腕の1・・・・・・。」 「あかんて!!」 「了解しました。」 コレは夢コレは夢コレは夢と壊れたように呟きっぱなしのシャーリー。 他の課員も呆然としながら報告を口にする。 まさか六課の管制システムと同じかそれ以上の性能持ってるとか デバイスに言われたらデバイスマイスターとしては悪夢やしなぁ・・・・・・。 知識無い私らでも常軌を逸してると分かるのに。 しかし、はんた、最初こそ狂ったみたいに笑い出したりしてヤバイ思ったけど、 戦いだしたらもっとヤバかったわ。 なのはちゃんのときとか地上本部のときはまぐれやったと思い込もうとしたんやけど、 やっぱ本当に戦いになれている。 バトー博士みたいな物凄い言葉使ったんも苛立ちからやろうか。 私らはリミッターついてるし、戦いが楽しいとか思うたことはない。 それにひよっこのフォワード4人が育っていくのが見ていて楽しい。 けれど脊髄反射で殺し合いができるという彼の目にはどう映るのだろう。 まさに戦って獲物を屠るために生まれたような狩猟者(ハンター)には・・・・・・。 しかし、見れば見るほど台所の黒いあれと紙一重やなぁ。 はんたのバリアジャケットって・・・・・・。 どこかの施設において・・・・・・。 「刻印ナンバーⅨ。護送体勢に入りました。」 「ふぅむ。」 「追撃戦力を送りますか?」 「やめておこう。レリックは惜しいが彼女達のデータが取れただけでも十分さ。 1人だけデータをほとんど取らせなかった魔導師がいたが、 陸曹、いや空を飛んでいたから空曹かな、戦いなれた砲戦魔道師といったところだろう。 実に粒ぞろいだ。フフッ・・・・・・。」 そう言って白衣の男が邪悪な笑みを浮かべる。 とても楽しそうに・・・・・・。 「それにしてもこの案件は実に素晴らしい。私の研究にとって興味深い存在が 揃っている上に、この子達を、生きて動いているプロジェクトFの残滓を 手に入れるチャンスがあるのだから・・・・・・フフフフフフフフ。」 どこかの暗い施設の中、男の笑い声が延々と響き渡った。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/752.html
ノービス王国暦139年豊潤の月三日 聖なる森 この日は朝から火の精霊が元気だった。 聖なる森の守護者としてこれほど気分が悪くなる事はそうそうないが、今の状況はそれ以上ね。 「なんなのだあいつらは」 風の精霊を使って遠見をしていたターレフの方が震えている。 「あら、ターレフは随分とお怒りのようね」 「お怒り?当たり前だ。あいつらを見ろ」 相当腹を立てているみたいね、物見に来たというのにそんな大声出してどうするのよ。 「意味もなく草を刈っている。 秣にするわけでもない、もちろん本人が食べるわけでもない。 しかもどうだ?信じられない事に集めた草を焼こうとしているぞ。よりにもよって俺たちの目の前でだ。 俺はもう我慢できそうもない」 「あらいやだ、こんな昼間から誰かと交わるつもりはないわよ?」 一瞬で彼の顔が赤くなる。 『エルフに交渉を任せる愚か者はいない』という諺の通りね。 まあ、本当の意味は高慢なものに交渉は出来ない、というものらしいけど。 しかし『婆さんゴーレムを投げる』といい、人間の諺っていうのは面白いわね。 「そ、それでどうする?やるか?」 「だから、こんな昼間から誰かと」「それはどうでもいい。奴らだよ」 あぁ、これだから馬鹿は嫌いなのよね。 若いからって愚かな振る舞いが何でも許されるわけではないのに。 「あのねぇ、敵か味方かもわからない連中相手に勝手に事を起こしていいわけがないでしょ?」 「でも奴らは聖なる森のほとりで火を使っている」 「それは戦う理由にはなるかもしれないけど、貴方の判断で部族の総意と取られそうな行動をしていい理由にはならないでしょ?」 「しかし奴らは愚かな人間に過ぎないじゃないか。精霊魔法の一つでもやれば尻尾を巻いて逃げ出すさ」 あーちょっとまって、頭痛くなってきた。 まったく、部族長も『若い者の経験になるから』とかいう理由でこんなの押し付けないでよ。 ただでさえ最近は南の砂漠化や西の連合王国の件で大変だっていうのに。 「ちょっと考えてみて」 「何をだ?」 「聖なる森のそばで、最後に人間が火を使ったのはいつだか知ってる?」 「知ってるさ、今から100年前だろ、連合王国とかいう愚劣な人間の集団に、聖なる森の守護者にして誇り高き我々エルフが哀れみをもって教育を与えた話だな」 「いい?ターレフ、その下らない修飾語をたくさん思いつく脳みそで考えてみて?」 私はイライラしながら口を開いた。 そう、私は表に出る事を許されたエルフの代表者。 こんな馬鹿相手にいちいち声を荒げるわけにはいかないわ。 「人間がこの森の近くで火を使ったのは100年前。それから100年こんな事はなかった」 「ああそれで?」 あーこの顔は何も考えていない顔ね。 大方、聞き流してさっさと飛び出そうとでも考えているんだわ。 「100年っていうのはね、人間にとってはとても長い時間なの。 私たちはこの森にいる限り時間という概念とは切り離されているけど、彼らは違うわ」 ここで言葉を切ってターレフの顔をしっかり見る。 うん、とりあえず聞いてはいるみたいね。 理解しているかどうかはわからないけど。 「今あそこにいる彼らを20歳と仮定すると、100年前の出来事は遥かな祖先が体験した話よ。 それでも今まで何事もなかったのに、今ここで、急に火をたく理由はなんなのかしら? それも、あんなに無防備に、当たり前のように」 だから調べる必要があるのよ、と続けようとした私をさえぎって、この馬鹿は口を開いた。 「わからん。とりあえず今重要なのは、奴らがここで火をたいているという事じゃないのか?」 「わからないからこそ、調べる理由があるんでしょ? それとも何?貴方は死体と会話する能力を持っているのかしら?」 実際、戦う事自体には問題はない。 私はこれでも名の知れた精霊使いだし、ターレフは馬鹿とはいえ表に出る事を許されたエルフだ。 あそこにどれだけの人間がいるかは知らないけど、森の中から精霊魔法を使えば一方的に叩けるだろう。 でも、戦う前に確かめるべき事があるでしょうがっ!! 「彼らが火を使っていることは私もわかっている。今重要なのは“なぜ”火を使っているか、でしょ?」 「なんだ、そんな事はわかっているさ。奴らは愚かで鈍重な人間なんだ。聖なる森の守護者にして誇り高き」「ねえターレフ」 彼がたくさんの修飾語を使おうとしているところで私は口を挟んだ。 「今度私の前でその下らない修飾語の集団を使ったら、貴方の表に出る権利を永久に剥奪するわ。わかった?」 「わ、わかった」 慌てて頷いている。 エルフ族にとって、表に出て無事に帰ってくるという事は、成人になった事を意味している。 この資格を剥奪されるという事は、村中から軽蔑のまなざしを向けられつつ一生を送る事になる。 あまり脅迫みたいな事は言いたくなかったんだけど、しょうがないわよね。 「よろしい、それで?」 「い、いや、何しろ100年前だ。忘れてしまったんではないかと」 ああ神様、この愚か者に罰をお与え下さい。 それもとびっきり重い奴を。 そしてもうだめだ、こんなのと一緒に行動は出来ない。 「ターレフ、貴方に重要な仕事を任せるわ。 いいこと?私が戻ってくるまで、この木を見守り続けるの。 私が許可するまで絶対に行動しない事、返事以外に口を開かない事。 それだけ守れば今日のところは見逃してあげるわ。返事は?」 「わ、わかりました」 さて、と。 短刀がいつでも抜けるようになっている事を確認する。 周囲には異様に火の精霊が多いけど、大丈夫、風や水の精霊もいる。 念には念を入れて先に風の精霊の加護を得ておこう。 小声で呪文を詠唱する。これでどこから矢が飛んで来ても大丈夫。 よし、準備完了ね。 後ろを見れば、馬鹿はひたすらに木を眺めている。 うん、これで邪魔される事もないでしょう。 立ち上がり、海岸に向かって歩き始める。 どこからか見ていたのか、あちらは気づいたようだ。 何人かが集まってくるのが見える。 あの鉄の棒は何かしら?魔力は感じられないし、あんなゴツイ魔法使いってのは聞いたことないわね。 「そこの貴方たち!」 私は声を張り上げた。 今にして思えば、私のこの言葉から全てが始まったのよね。 西暦2020年1月13日 15:34 隣の大陸 橋頭堡建設地 「なんだ?」 空気が綺麗なせいか、どうも視界がクリアだ。 まあ日中なんだからクリアなのは当たり前だが、こいつはちょっと常軌を逸してるんじゃないか? 何しろ草刈をしている部下たちの額に光る汗までもがしっかりと見える。 おまけに草を刈った鎌の端から微量に飛び散った草の汁もはっきりとだ。 意識を集中してみる。 「ハァハァハァハァ」 草刈をする隊員たちの、荒い息がはっきりと聞こえる・・・・不愉快だ。 って、それはどうでもいい。 どうしてここまで感覚が鋭敏になっているんだ? 「・・・今日のところは見逃してあげるわ。返事は?」 「あ?何か言ったか?」 「は?・・・いえ、何も」 振り向いて尋ねた俺に、三曹は最初は怪訝そうな、そして次に優しい発音で答えた。 安心しろ、俺はまだ狂っていないはずだ。 そうとも、視界の端で全裸のちっちゃい妖精さんが踊っていたりなんてしないさ。 うん、隊員の構えるMINIMIから、小さなドラゴンさんがこっちに挨拶していたりもしない。 俺の抱えている89式小銃の銃身に、小さいが戦闘服を着た少女が腰掛けていたりするはずがない。 「なあ三曹、俺は疲れているのかな?」 「大丈夫ですよ三尉殿、こんないい天気です、幻聴の一つや二つ、聞こえてくるものです」 「そうだよな、うん・・・うん?」 何かが気になり、俺は振り返った。 隊員たちが汗をかきつつ草を刈るその向こう。 鬱蒼と茂った森の中。 誰かがいる。 二人だ。 銃火器は持っていなさそうだ。 「三曹、戦闘配置」 「はい?・・・・・了解しました、ダマテンで」 そのまま彼は監視塔の下を向き、なぜか持ち込んでいた砂袋を落とした。 大した音はしなかったが、それを見ていた隊員は、静かに最寄の倉庫へと入っていく。 直ぐに扉が開き、リアカーを押す隊員たちが現れた。 あれは、休憩を取っていた第二分隊か。 シートの下には・・・金属の擦れる音からして89式小銃、MINIMIもあるな。あとこの重い音は弾薬箱か? 「MINIMIまで必要か?」 「えっ?」 三曹は一瞬凍りついた。 だが、直ぐに感心する目になり、答えた。 「自分は必要かと考えます、三尉殿」 「そうか、外の連中はどうする?下げるか?」 「順番にしましょう、一番外側からで」 小声で命令が伝えられていくのがわかる。 外側から下がれ、騒ぐなうろたえるな。自衛官はうろたえない。 なんつーか、まあ普通に動いてくれればいいさ。 「よーし作業終了!戻って飯にするぞ!」 「飯だー!喰うぞー!」 元気良く陸士長たちが叫び、そこに陸士たちの声が加わる。 おいおい、あんなに大きな声を出していいのかよ。 ま、相手は動いていないみたいだしいいか。 ゆっくりと、しかし確実に隊員たちはゲートを越える。 それに比例して銃を構えた隊員たちがゲート周辺に散らばる。 よし、今のところは順調だ。 「そこの貴方たち!」 不意に女性の声が響いたのはその瞬間だった。 森から現れたのは、20代と思われる背の高い女性。 腰に短剣、全身は随分と機能的に見える戦闘服。 しかし銃火器の類は一切なし。投降者か? いや、それにしては態度がでかい。 「発砲用意、許可があるまで撃つな」 「わかってます。欧米系みたいですな」 「ああ、SASとかそういうのかな?」 「一人である理由がわかりません」 「とりあえず話してくる。いざという時は任せたぞ」 「御武運を」 「交渉ごとには必要ないな、それは」 手早く会話を済ませ、俺は監視塔から降りた。 はて、ロープを使った登攀はこんなに簡単なものだったか? まあいい。 「そこで止まれ!」 今まで出したことのない脚力を発揮した俺は、今すぐ習志野からお呼びがかかりそうな素早さで相手の前に出た。 ここなら監視塔からの銃撃の邪魔にはならないだろう。 しかしこいつ、実に良い女だ。 半透明の妖精さんがまとわりついていない事を除けば。 耳が妙に長いのは別にいい。 「何者だ?何のようだ?」 安全装置を外してある小銃をさり気なく掴みつつ尋ねる。 森の中にいるもう一人は・・・何をやっているんだ? ひたすらに木を睨みつけているが。 「それはこちらの台詞ね」 うん、やはり良い声だ。 しかし質問に質問で返されるのは好みではないな。 「質問しているのはこちらだ。 姓名と所属、目的を言え」 「偉大なる精霊王に仕える森の精霊エルフ第一氏族人界全権大使よ。出来ればもう少し丁寧な物言いをしてくれると嬉しいわ」 いまなんつった? 精霊王?エルフ? 「そうかい、自分は陸上自衛隊第一次朝鮮PKO派遣隊の佐藤三尉だ。 貴方が今踏み込んでいるのは我々の駐屯地の敷地内にあたる。申し訳ないが目的を教えてもらおう」 「面白いことを言うわね。ここは遥か伝説の時代より我々エルフの物よ。 目的は、よりにもよって聖なる森の傍で火なんかを焚いた理由よ」 「聖なる森?まぁそれはいい。そちらの国土を侵したことは謝罪します。 しかし我々も理由があってのことです。よろしければこちらの駐屯地で理由を説明させていただきたいのですが・・・そうもいかないな」 運悪くぶつかったヤクザに睨まれた事がある。 怒り狂った陸曹にどやしつけられた事もある。 だが、ここまでの殺気は初めてだ。 背後の森には、この“全権大使殿”に似たような格好をした連中が大勢いる。 弓矢に長剣、投擲ナイフのようなもの。 なんでもござれだな。 「後ろの方々はご友人ですか? 見たところ友好的には見えづらい格好をしていますが・・・全員伏せろ!応戦しろ!!」 尋ねている間に相手は矢を放った。 目標は・・・リヤカー周辺か! 「敵襲!敵襲!!」 銃声とは一味違う音が鳴り響き、続いて空気を切る音と共に矢が降ってくる。 硬い何かが柔らかい何かに突き刺さる、そんな一生忘れられない音が聞こえ、続いて隊員たちの絶叫が響き渡る。 「応戦しろ!そこじゃない!向こうだ!!」 ようやくの事応射を始めた部下たちだったが、初の実戦に浮き足立っているらしい。 どうしてあれほどはっきりと見える相手に当てられないんだ! あっちよ 89式に腰掛けた少女が指差す。 その先には、今まさに矢を放とうとしている敵が一人。 この少女が何者かはどうでもいい、まずは攻撃だ。 PAN!! 銃声が一つ鳴り、命が一つ消えた。 こっち PAN!! むこう PAN!! 何なんだこの少女は、俺の知らない間に、自衛隊は個人用フェイズドアレイレーダーでも開発してたのか? それと銃口から歓声を挙げて飛び出しているこの小さなドラゴンはなんなんだ? 「三尉!下がってください!危険です!!」 四方八方に銃弾と破壊を撒き散らしている監視塔から三曹の叫びが聞こえてくる。 言われんでも下がるさ。 「畜生、第三氏族ね」 なぜか一緒に避退している全権大使が忌々しそうに呟く。 「お友達ですか?」 「そんなようなも・・伏せて!!」 いきなり突き飛ばされ、俺は地面へと勢い良く飛び込んだ。 痛い。空気を切る音。着弾点はここか。畜生。 よりにもよって、俺は民間人らしい女性を盾にしつつ死ぬのかよ。 「偉大なる風の精霊王よ、我に力を」 女性の声、そして突風。 俺が知覚できたのはそれだけだった。 いや、正確にはもう一つ。 与えよう という、脳に直接響くような音だ。 とにかく、それだけだった。 俺や彼女に矢が突き刺さる事はなく。 周囲にですら矢は来なかった。 「なんなんだ?」 「聞け!第三氏族よ!第一氏族との戦いを望まぬのであれば直ちに兵を引けぃ!!」 彼女が叫んでいるのが聞こえる。 なんだ? こいつは本当に偉いのか? 俺の疑問に答えるように、森の中の連中はあれやこれやといいつつも次第に下がっていった。 「衛生!急げ!!」 「痛い!いたぃぃぃ!!!」 「あ、足が、誰か、俺の足がうごかねぇ」 背後から隊員たちの絶叫が響く中、こうして俺たちの第一ラウンドは終わった。 [[前へ http //www26.atwiki.jp/jfsdf/pages/50.html]][[次へ http //www26.atwiki.jp/jfsdf/pages/753.html]]
https://w.atwiki.jp/wiki8_siren2/pages/30.html
リスト 昭和80年の人物:三上脩(大人)/ツカサ 昭和51年の人物:三上脩(子供)/加奈江/太田常雄/太田ともえ/三上隆平 その他人物:多河柳子/沖田宏/木船倫子/中島一郎/池田麻衣/四方田春海/SDK 三上 脩 (Shu Mikami)(年齢:33歳)▲ <本編> 現代(昭和80年)の人間。 人気の小説家。代表作は「人魚の涙」 現実に公式サイトもある。 三上脩オフィシャルサイト http //www.shu-mikami.com/j/index.html 過去の事故(29年前の夜見島島民消失事件)で視力と記憶を失った。 翔星丸が遭難した後は、三上とツカサだけ29年前の世界にとばされ、過去の自分と再会する。 29年前にとばされた後、サイレンが鳴る前から視界ジャックを使うことができた。 夜見島でいろいろ過去の痕跡を辿り、徐々に思い出していく。 冥府で母胎に取りこまれるも、意識体(霊体)となって章子や阿部の前に現れ手助けをする。 最後、母胎戦においては幼年時代の声で加奈江に呼びかけ、それに応じて自刃した加奈江の魂と共に赤い海で眠りについた。 出番は今ひとつだったが、物語の中核となる1人である。 一樹 -07 00でツカサと共に波にのまれた後、時間の不安定な「時空ののりしろ」というものに取り込まれ、 29年前にタイムスリップしている。 また、「時空ののりしろ」には母胎の力が及んでおり、そこを通過したため、幻視を使用できると思われる。 遊園で過去に何かをしたことがあるようだが、実は冥府の門を開けようとした事があり、その後失敗している。 阿部を助けたのは、目の代わりをしてもらった御礼のようなもの。 章子を助けたのは、章子の中に眠る加奈江を感じ取ったから。 ツカサ(♀)(年齢:1歳)▲ <本編> 三上の愛犬。 弱視の三上を助ける盲導犬。シェパード。 三上を庇って小屋に潰され死亡したと思われたが、藤田シナリオで首輪を発見。 阿部19 00シナリオで阿部と2度会い、阿部のライターをもってくる。 阿部EDで鉄塔の下で阿部と再会する。正ヒロイン? 以下、アーカイブ『ツカサの首輪』からドッグタグの文面 「Tsukasa of Jilldoll 2004/3/3 Female ♀ 」 <疑問点> 藤田05 00で壊れた首輪を入手できるが、阿部19 00で登場する時は首輪をしている。 その後、阿部EDでは、首輪をしていない。 三上 脩(幼少) (Shu Mikami)(年齢:4歳)▲ <本編> 29年前(昭和51年)の人間。 考古学者である父とともに身重の母が夜見島に移住した直後に生まれた子供。 三年前に母を海で亡くしている。 夜見島で生まれたので銘の入った滅爻樹が与えられている。 夜見島事件の唯一の生存者 加奈江の最期を看取るが、その影響で視力と記憶をなくす。 加奈江が何度も繰り返した「脩、見ちゃダメ」という言葉が影響してると思われる。 成長した三上はアーカイブの雑誌で以下のようにコメントしている。 「あの事件の記憶はほとんど無いんです。発見後しばらくは口も利けない状態だったようです」 加奈江に母を見る。 母胎戦中には彼の視界をジャックできる。 加奈江 (Kanae)(年齢:18)▲ <本編> 29年前(昭和51年)の存在。 29年前(少なくとも島民消失事件と同じ年)に、夜見島海岸に漂着しているところを三上親子に発見され保護される。 日の光を嫌い昼間は外に出なかった。 三上脩に対して息子のように執着している。また、3年前に死んだ三上母に酷似している。 夜見島に歌詞のみ伝わる巫秘抄歌の今は失われたはずのメロディーを口ずさんだ事から、三上隆平を驚かせた。 その正体は母胎の「鳩」の1人。 岸田百合、多河柳子と顔が同じ。 昼間外に出ない、街灯等の光にあたると極端に眩しがる事や、アーカイブのともえの日記から、光を嫌う鳩としての性質がわかる。 事件当日、太田に指揮された島民が乗り込む直前に三上親父を刺し殺す。 その時の狼狽し家から逃げ出す姿を、章子の過去視で見ることができる。 赤い津波=サイレンが鳴る前から幻視(視界ジャック)ができ、それを駆使して、子供脩を連れ島民達から逃げ回るが、夜見島灯台前の石橋で追い詰められる。 だが突如、橋が崩れ海へ落下。 直後に赤い津波とサイレンが鳴り、残った島民達は異界の夜見島へと飛ばされる。 最期は船に乗った子供脩の前で、「見ちゃダメ」と繰り返しながら、朝日により海に溶けていく(あのデモは脩の記憶のもので、実際はもっとグロテスク)。 これが、脩が視力と記憶を失った原因らしい。 赤い津波直前に喜代田章子が行った過去視内で、脩に冥府の門について話している事がわかる。 この時冥府の門を開けさせようとしたが、母性的本能が勝り、断念している。 物語から退場したように思えたが、過去視をして、真実を知ろうとする喜代田章子の人格を徐々に侵食し、遂には完全に乗っ取り肉体を得る。 その後、母胎戦中に突如現れ、脩を呼びつづける。 その時に、章子の服装をしており、元が章子であることを確認できる。 戦闘中、修の声に応えるように「闇那其・痕」で自傷行為。 これにより、一樹と郁子の「闇那其・痕」が武器へと変わる。 なお、太田ともえの目撃した、加奈江が追い払っていた「気持ちの悪いもの」とは、加奈江の存在を感じて群がってきた屍霊のことである。 ちなみに、加奈江(鳩)は無作為に相手(冥府を開く者)を選んでいる。 太田 常雄 (Tsuneo Ota)(年齢:60)▲ <本編> 29年前(昭和51年)の人間。 太田家は夜見島の封印を守りし一族。 故に余所者に対して、異常なほど嫌悪感を持つ。 特に穢れと同じ特徴をもつ者=加奈江を許さない。 ゲーム中では生前もプレイヤー(加奈江&脩)を襲う敵であるが、加奈江は地上奪還を狙う母胎の使いなので、実は正しい行動をしていた。 瀕死の状態で藤田と再会するが、目の前で絶命し、屍霊に憑かれ屍人化する。 藤田・市子を武器庫に追い詰めるが、市子の微笑みを見て、恐怖し逃げ去る。 後に闇人甲式化するも一樹に滅せられる。 穢れから夜見島の封印を守る一族が、穢れの一部にされるとはなんとも皮肉である。 <疑問点> 阿部12 00での闇人常雄のいう「こちらから招かれてやったというのに、未だ我々の災いとなるか」とはどういうことか? ↑喜代田章子の中に眠る加奈江に向けて「お前らと同じ異形の仲間になったのに、29年前みたいにまた逆らうのか」的な事を言っている? あるいは人間である阿部と喜代田に対し、「お前ら人間の世界(写し世だけど)に来てやったのに、我々から住処を奪っただけでは飽き足らないか」みたいなニュアンス? 「お前ら人間の世界から写し世(サイレンと津波が発生して飲まれた世界)に移ったのに、未だ我々の邪魔をするというのか」ということを言いたいのかもしれない? 太田 ともえ (Tomoe Ota)(年齢:24)▲ <本編> 29年前(昭和51年)の人間。 加奈江や百合と会った時のデモの印象からヒステリ娘でいつも不機嫌そうな顔をしていると思われがちだが、 佐藤氏曰く、 『あれは加奈江を追い詰めて、ちょうど怒っているときに取り込まれたため、感情が高ぶったままの顔になっています』とのこと。 アーカイブから父親思いの優しさと自分の立場を理解し、総領娘として伝統と島を守ろうという使命感を持ったよくできた女性であったことがわかる。 外山氏曰く、 『アーカイブの写真とか日記の文面から伝わるともえの印象って「周りを気遣う優しい子」だと思うんです。そんな子が島を開発で荒らされて、あそこまで怒っている。』 屍霊に追われ転落、胴をアンテナに貫かれ死亡。屍人化。 屍人となってもなお、ブライトウィン、夜見島遊園と百合をどこまでも追ってくる。 闇人乙式化した後は、「お父様にもらった大事な髪飾り」を持つ一樹を追ってくる。 闇人時の「都会ってどんなところかなぁ」という発言から、総領娘として自覚を持ち余所者を嫌いつつも、本心では都会に憧れていた事がわかる。 因みに、ともえの言っていた「加奈江が気持ちの悪いものを追い払っていた」というのは、加奈江の存在を感じて群がってきた屍霊のことである。 三上 隆平 (Ryuhei Mikami ?)(年齢:不明)▲ <本編> 29年前(昭和51年)の人間。 三上脩の父親。考古学者。 33年前、身重の妻とともに、夜見島にやってきた。 妻は息子・脩を生むが3年前に海で死亡。夜見島に永住することを決める。 余所者という事で島民から嫌がらせを受けていたようだ。 加奈江が若い頃の妻にあまりにも似すぎている事に不審を抱きつつも、保護をする。 カセットテープで加奈江が巫秘抄歌を歌っていた事に驚いていたのは、考古学者として歌詞の存在は知っていたが、誰も知らないはずの失われたメロディーを初めて聞いたため。 太田家が加奈江抹殺のため三上家に乗り込む直前(島民消失事件の直前)に母胎と同調した加奈江によって刺殺される。 大人三上と太田常雄の前で屍霊に憑かれ、屍人化し、常雄を追って外へ飛び出す。 後に闇人甲式化するが、章子によって、「三上脩銘の滅爻樹」で滅せられる。 前作の竹内多聞の父、竹内臣人とは学者友達だったようだ。 なお、「鳩」が全て弥生の顔なのは、弥生が海に転落して死んだ後、「現実と虚無の間の小さな綻び」を通じて虚無の世 界に流れ着き、母胎がこれを模して鳩を作ったためである。 アーカイブ「三上隆平の手帳」の踏ん切りとは加奈江を殺すかどうかということである。 多河 柳子 (Ryuko Tagawa)(年齢:18)▲ 現代(昭和80年)の人間。本名は木船柳子。(多河という名は飲食店の人の名前から) 阿部の恋人。 ゲーム内では故人。 木船倫子と中島一郎の娘、木船郁子とは双子の姉妹。 木船倫子の胎児に鳩の因子が寄生し、覚醒したもの。 役者は百合と同じ人で、設定でも同じ顔という設定。 倫子は救出された後、二人を出産して東京に上京したが、生活苦のため柳子のみ引き取った。 日記の文面から、一年前に「永い眠りから覚めた=鳩として覚醒した」と考えられる。 その際、倫子の元から無断で離れ、苗字を偽名にし、阿部と同棲する。 なお、日記の7月31日にある「もう一人の私」とは岸田百合(もう一人の鳩)のことである。 デモでの百合との会話などから、鳩として完全に覚醒していて、母胎の存在や、他の鳩の存在も理解していた。 しかし、鳩として覚醒しているにも関わらず、その役目を放棄し人間として生活していたので、母胎の意思により岸田百合に殺された。 昭和80年8月1日午後4時の事。 死因は頭部(顔面)を何度も殴打された事による撲殺。 この事件が阿部と章子が夜見島に旅立つ切っ掛けとなる。 阿部ED後は因果律の崩壊により、阿部と出会ってないことになっている。 (アーカイブNo.69の写真から消滅) 恐らく、普通の人間として暮らしていたのではないだろうか(木船柳子として) 人魚姫の話になぞらえると、海に還る事を拒み、王子(阿部)との愛を選んだため、泡となって消えた。 (裏切り者として百合に殺される) 補足: 柳子は鳩として覚醒する前は、郁子と同じ顔だった。 <疑問点> 「母胎の鳩は覚醒後顔が変わり、死亡によって元に戻る可能性がある」と言う説があるが、それは本当だろうか? 日記の7月30日の「彼女」とは章子の事 沖田 宏 (Hiroshi Okita )(年齢:31)▲ 現代(昭和80年)の人間。 陸上自衛官、階級は二等陸曹、永井の良き先輩だったらしい。 永井は母親にも沖田のことを良い先輩だと言っていた。 二年前の羽生蛇村災害救助任務で三沢一尉(当時)と一緒に組んだ経験がある(この時一藤二孝もいた)。 ヘリの墜落時に永井を庇い瀕死で登場し、即屍人化する。 夜見島金鉱社宅(三沢岳明/幻影)や夜見島小中学校(永井頼人/特攻)などでたびたび登場する。 闇人化するが、最期は永井によってTNT(ダイナマイト)を咥えさせられ、爆破、滅せられる。 因みに、アーカイブ53番からも伺えることだが、モロヘイヤが大好物で、永井の母親からも、モロヘイヤを貰っている。 木船 倫子 (Noriko Kifune ?)(年齢:14)▲ 19年前(昭和61年)の人間 亀石野中学校に通う中学生。 市子とは親友。お揃いのブレスレットを所持している。 中島一郎とは恋仲であり、中学生の時点で既に性行為を経験していて妊娠している。この時妊娠していたのが郁子と柳子である。 市子、中島と乗ったブライトウィン号で事件に巻き込まれる。(公式HPに掲載されている『ブライトウィン号の怪』参照) 中島や市子と違って怪物(鳩)と接触しつつも生還するが、殺されはしなかったものの胎内に侵入されてお腹の中の双子に鳩の因子を植えつけられている。 生還して約4ヵ月後、双子を出産。 倫子は東京に上京するが、生活苦のため、柳子のみを引き取る。 郁子宛の手紙から昭和80年にも普通に生活している事、 郁子と柳子を引き離した事を後悔している事、 そして柳子が行方不明だという事とその身を案じている事がわかる。 何故、柳子が殺害されたことに気付かなかったかと言うと、殺害された当時柳子は偽名を名乗っていて、覚醒で顔も変わっていたからである。 木船 倫子 (Noriko Kifune ?)(年齢:33歳) 現代(昭和80年)の人間。阿部ED後の木船倫子。 因果律の崩壊により、ブライトウィン号事件に巻き込まれず、娘達を鳩にされていない。 ただ、中学生妊娠ということから、同じような運命を辿ったのではないか? 昭和79年から中島一郎と同棲していたが、昭和80年8月1日に中島殺害の容疑者となる。 動機は痴情のもつれか?(つまり中島の浮気) 現実での事件は、阿部倉司が犯人ではなかったから、木船は犯人ではないと思われる。 中島 一郎 (Ichiro Nakajima ?)(年齢:14)▲ 19年前(昭和61年)の人間。 亀石野中学校に通う中学生で、一年前に転入してきた。 木船倫子とは恋仲で、既に性行為も行っていた。郁子と柳子の父親にあたる。 学ラン少年でテニス部のエース。 市子や倫子とブライトウィン号事件に巻き込まれ、消失。 怪物に取り込まれつつも必死で抗い、倫子を生存させようとした結果、倫子は生還したが中島は帰ることはできなかった。 中島 一郎 (Ichiro Nakajima ?)(年齢:33歳) 現代(昭和80年)の人間。阿部ED後の中島一郎。 因果律の崩壊により、ブライトウィン号事件に巻き込まれず、消失もしていない存在。 昭和79年から木船倫子と同棲していたが、昭和80年8月1日に倫子に撲殺される。 動機は痴情のもつれか?(つまり中島の浮気) <疑問点> 現実での事件は、阿部倉司が犯人ではなかった。だから、木船は犯人ではないのではないか? 池田麻衣 (Mai Ikeda ?)(年齢:当時14歳)▲ 一樹の手帳にあった一樹宛の手紙を書いた人で、新聞記事の切れ端の自殺未遂者本人。 一樹と親しかったのは確かだが恋人だったのかは不明。 胸にアザがあることでいじめられ悩んでおり、唯一信頼していた一樹にも裏切られたと思い込み自殺未遂する。 事件当時は14歳であるが、その当時の一樹の年齢は不明。同級生か近い年齢であるとは考えられる。 この自殺未遂事件が一樹に大きなトラウマを残した。 アーカイブNo.28「港職員の日誌」は「池田」という職員が書いたものであり、関係性が疑われる。 雑誌のスタッフインタビューで金鉱に勤めていた人の家族の中に妊婦がおり、伝承を知らないために海に入ったかもしれないことをほのめかしてもいる。 胸のアザと上記のインタビューから、鳩化した子供と考えられるが、夜見島から職員が撤退したのは昭和45年、池田が一樹の同級生だとしても出生年が昭和74年、30年近く妊娠しているはずがないので、 その時の池田職員の娘であるはずがない。 鳩とは全く関係ないとも考えられるし、孫ではないのか?とも考えられる。 なお、まだ「池田麻衣」という名前がまだ公表されておらず、その存在がア-カイブでのみ知ることができた頃に、胸の傷やいじめられていた事から木船郁子と同一人物と考えられた時期もあるが、 名前が公表され、別人という事がほぼ確定した。 四方田春海 (Harumi Yomoda)(年齢:当時10歳)▲ 2年前(昭和78年)の人間。 前作の生存者であり、唯一の現実帰還者。 須田によって異世界から救出され、三沢によって現実の羽生蛇村災害跡から救助された。 前作のゲーム中、屍人に襲われる(触られる)と即アウトだった。 つまり、一度も屍人に触れる事はなかったために、赤い水の影響をほとんど受けなかったことが生還に繋がったという公式見解がある。 よって、羽生蛇村から生還後、屍人になったということはまず考えにくい。 三沢の夢や三沢団地条件2終了デモに出てきた春海は「幻影」であるとの公式見解。 三沢がそれだけおかしくなっていたという症状の表れだろう。 そして、本当の四方田春海も少なくとも「このような状態」にはなっていないとのこと。 三沢団地条件2終了デモをよく見るとわかるが、あの顔のモデルは春海ではない。 そもそも春海のモデルは2制作時点で別の会社に移っている為、出演自体かなり大変だと思われる。 SDK(年齢:16歳)▲ 2年前(昭和78年)の人間。失踪張り紙は昭和78年8月2日。 本名:須田恭也 (Kyoya Suda) 昭和78年8月3日に羽生蛇村にて異界に取り込まれる。 以下、1のネタバレ。 前作の主人公。当時16歳。 異界に取り込まれた後、物語のキーとなる少女、神代美耶子と出会い、心を通わせる。 途中で屍人化を食い止める為、神代美耶子による血の「契約」を受け、望まずして永遠の命を得るが、同時に神代の呪いをも引き受けることに。 このため、肉体が朽ちて尚、永劫に異界を彷う運命にある。 美耶子との夢の中で屍人の殲滅を約束し、それを果たすために立ち上がる。 その前には美耶子を村から連れ出す約束もしていた。 通常の人間では命と引き換えでしか発動不可能な神器・「宇理炎」を無制限に扱い、神獣「木る伝」宿した日本刀「焔薙(ほむらなぎ)」を振るう。 また、装弾数5発なのに10発撃てる魔法の狩猟用狙撃銃(EDで10発撃ってたというネタ名)を持つ。 すべてを終わらせるという美耶子との約束を果たすべく、異形殲滅に青春を賭ける永遠の16歳(多分)。 各地の異界に現れ、そこで蠢く異形を殲滅しては次の異界に飛んでいくという、異形にとってはとんでもない存在。 今回は残念ながら彼を視界ジャックしてもスタンド神代美耶子は登場しない。 SDKというのは彼がオカルトランド掲示板で使用していたハンドルネーム。 「SuDaKyoya(須田恭也)」でSDK。 SIREN2においてはキャストロールでもSDKとなっている。 オカルトランド http //www.occultland.com/ 二年使っても切れないカセットプレイヤーのバッテリーは最大の謎だろう。 今でもなお聞き続けてるその曲の名は「THE BUSTER!」 前作のジェノサイドEDでも流れたその曲はSIRENファンの間ではあまりにも有名。 なお、メニュー画面でも16歳となっており、前作終了後すぐに飛んできた可能性がある。 もしくは異界では年をとらないのか?神の血の力の影響も考えられる。 時間が経ってないだけなのか、神の力か「元に戻ろうとする」と言う異界の法則のせいか、異界のどこかで電池を拾ったのかもしれない。 そもそも、今作のSDKはただのおまけキャラなので正史とは何も関係ないかもしれない。
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/736.html
神聖グレザリア暦1340年 六代目皇帝の月13日 城塞都市ダルコニア 派遣兵団総司令部 「早く!賢者の書を運ぶのよ!」 日ごろの余裕がある表情を捨てたセレーが叫ぶ。 その命令に、慌しく書籍を運ぶ兵士たちの動きが早まる。 「シンディ、タロウを任せましたよ」 「この命に代えても」 旅装束に身を固めたシンディが跪きながら答える。 なんだよこれ。 「沖に敵の軍艦が出たぞ!」 兵士たちの叫び声が聞こえ、遠くからは航空機の爆音が聞こえてくる。 あれは基地祭で聞いたことがある。 航空自衛隊のF-2だ。 「さあタロウ、時間がありません」 怖い顔をしたルースが俺の腕を引っ張る。 「なんで、なんで自衛隊がここに攻めて来るんだよ」 爆発音。 宮殿からそれほど遠くないであろう場所から響き渡ってくる轟音。 絶叫。何かが崩れる音。 「シンディ、ルース、勇者様を連れて逃げるのよ。早く!」 さっきやっつけたのに、また来たのかよ。 この街にそれほど必死になる何があるって言うんだ? 「タロウ!」 シンディに腕を引っ張られる。 痛いじゃないか。 「海に近寄っちゃ駄目ですよ!」 俺はセレーに改めて警告しつつ走り出した。 「ゴエー艦に気をつければいいのよね!わかっているわ!」 騎士たちに命令を出していたセレーが振り返って答えてくれる。 うん、やっぱり彼女は美人だなって、何を考えてるんだ俺は。 「艦砲射撃にだよ!」 「ええ、それにもね!大きい建物から人を離しておくわ!」 21世紀の軍隊がどういう戦い方をするかは短い時間だけどしっかりと伝えた。 何回か徹夜もして紙にも残した。 これできっと、グレザール軍は負けはしない。 んでもって、負けなければセレーたちは出世できるし、勝てなければ自衛隊も諦める。 あとはグレザール帝国をセレーたちの力で共和国にして日本と和平。 完璧じゃん。 「シエンセントーキだ!」 空を監視していた兵士が叫んだ。 大変だ。空自は本気で空爆をするつもりだ。 「こっちへ来るぞ!対空魔法用意!」 監視塔の上から兵士が叫ぶ。 あちこちで弓や杖が空へと向けられる。 その狙いは適当ではない。 「十五番から十八番の間!よく狙え!準備!」 俺が考えた対空攻撃は、いわゆる弾幕と言う奴だ。 とにかく放てるだけのすべてを大体の方向へ向けて、みんなで一斉に撃ちまくる。 その方向を決めるために、大勢の精霊たちに頼んで方位を確認し、あちこちの建物に印をつけている。 ジェット戦闘機は確かに強いだろうが、低い高さで決まった方向へ向かってくるならやっつけられるはずだ。 「勇者様は早く宮殿の地下へ!あそこが一番安全です」 シンディが叫びつつ俺の腕を引っ張る。 確かに、あれだけ深い場所ならばきっと大丈夫だ。 自衛隊はバンカーバスターをもっていないし、燃料気化爆弾もなかったはずだ。 「シンディ!急ごうぜ!俺たちじゃあ空には何も出来ないからな!」 数人の兵士たちと共に、彼は宮殿の地下へと駆け出した。 そこには、自衛隊の想像を超えた魔法施設がある。 西暦2021年4月14日 10:30 ゴルソン大陸 城塞都市ダルコニア沖合1300m 海上自衛隊護衛艦「かずさ」 「隊司令、時間です」 腕時計を見ていた艦長が報告する。 延長に延長が重ねられた自衛隊幹部でありながら今年で定年を迎える予定である。 「うん、それでは始めようか」 「全艦増速、左対地戦闘用意!」 この戦隊に参加しているのは三隻の護衛艦。 いずれもが二門の127mm54口径単装速射砲を装備している。 全てを合わせた破壊力は一個自走砲大隊に相当するとも言える。 何しろ、発射速度毎分40発の砲が合計六門だ。 「CIC戦闘準備よろし、目標データ送信中」」 「左舷対地戦闘よぅーい、CIC指示の目標ぉー!」 独特の抑揚を付けた命令と復唱が交わされ、艦内は慌しく戦闘準備が整えられていく。 海士たちが与えられた部署へと駆けつけ、次々に水密扉を閉じる。 今のところ護衛艦に損傷を与えられる敵戦力は確認されていないが、自衛隊の辞書に油断という文字はない。 「艦砲射撃準備完了、全艦戦闘準備よろし」 復唱が行われ、全ての艦砲が市街地を向く。 対空戦闘にも用いられる砲だけあり、その動きは奇妙なまでにスムーズで軽やかである。 「撃ち方始め」 全ての準備が整った艦橋で、戦隊司令は短く命じた。 「撃ちぃー方はじめぇー!」 号令が響き渡り、艦内中に発砲に備えるためのブザーが鳴り響く。 安全装置が解除される。 そして発砲。 127mm砲は20世紀初頭の戦艦たちに比べると随分と頼りない外見をしている。 だが、それでも12.7cmの砲弾とそこに込められた高性能爆薬は、人体や建造物を破壊するのに十分な性能を持っている。 合計六門の艦砲たちは、事前の計画に基づいて設定された目標へ向けて砲撃を開始した。 目標までの距離はおよそ5km。 一昔前の機関砲のような勢いで放たれ続ける砲弾たちは、音速を超える速度で市街地へ向けて飛び続ける。 グレザリア帝国暦1490年 二代目皇帝の月13日 城塞都市ダルコニア 派遣兵団総司令部 はじまりは突然だった。 撤退作業が続く総司令部付近の建物。 頑丈な石材で作られたそれが、突然爆発したのだ。 「何事!?」 撤収作業を指揮していたセレーは爆発の瞬間を見逃した。 しかし何かが起こっている事だけは理解していた。 「セレー様!敵の攻撃です!沖の軍艦が何かを飛ばしています!」 水の精霊たちに万が一の消火をさせようと待機させていたアニタが飛び込んでくる。 彼女が口早に報告している間にも、風を切る音と爆発が連続して発生している。 「うろたえないの!風の精霊を使って飛んでくるものを跳ね返しなさい!」 人間の魔術師ならば数名がかりでやっとの事でも、エルフならば一人でできる。 この世界の常識である。 もちろん、一人で厳しければ人間も手伝えばよい。 「駄目です!重すぎて、それに早い!」 アニタがそこまで叫んだところで、彼女の後ろで爆発が発生した。 瞬時に飛び出した数名の騎士たちのおかげで、セレーは全てを目に出来た。 総司令部の入り口の向こうで発生した閃光。 次の瞬間、失禁をこらえきれない凄まじい轟音が響き渡り、同時に目に見えない速さで砕かれた石材と煙が押し寄せる。 「あぐおぅ」 未だかつて出した事のない奇妙な声を出しつつ、彼女は後ろに向けて強く吹き飛ばされた。 吹き飛ばされつつも彼女は気絶していなかった。 もっとも、その視界に入ってきた光景は、気絶していたほうがよほどましなものだった。 まず最初に煙から現れたのは、全身を引き裂かれたアニタだった。 エルフらしい小柄な彼女は、人間と同じ赤い血を切断された胴体や腕、足などから迸らせつつ飛来した。 その首は、胴体から捻り取られているにもかかわらず、何かを叫ぼうと口を動かしていた。 ほぼ同時に、自分を守ろうと咄嗟に飛び出した騎士たちが登場する。 魔法防御の施された頑丈な鎧を胴体各所にまとったまま、彼らは爆発の圧力に間接が負け、四肢が切断されている。 幾多の戦場で地獄を目にしてきたセレーはそれでも意識を保っていたが、直後に飛来した誰かの腕が顔面に激突し、ようやく失神するという幸運を手にした。 もちろん艦砲射撃は今も継続されており、逃げ惑う人々はセレー以上の地獄を目撃していた。 ある騎士は、港の守りに付いたまま周囲の兵士たちや資材、むしろ港湾施設ごと砲撃で砕かれた。 気がつくと、無数の兵士たちを従えていたはずの彼は、赤黒い何かに取り囲まれていた。 精神が崩壊しかけた彼が最後に見たのは、物凄い速度で自分に接近する丸い何かだった。 角ばっていない鉛筆やボールペンを目に向けて見るとわかるが、自分に向けて飛来する砲弾は、視認できる部分の関係から円に見えるといわれている。 別の兵士は、監視についていた塔の基部を砲撃で破壊された。 同僚たちと共に空中に投げ出され、いかなる作用か地面を見つつ落下する事になる。 逃げ出そうと背中を向けて走る別の兵士が見え、臆病者と罵ったところで彼の視界は暗転した。 もちろん、それきり意識が戻る事はない。 別の魔術師は、すっかり数の減った同僚たちと飛来する何かに対して魔法を唱え続けていた。 ファイヤーボールは相手が早すぎて当てられない。 風の精霊を呼び出し、精神の限りを尽くして攻撃を逸らそうとするも力が足りない。 彼は絶望していた。 周囲にいるのは帝国を担う騎士団の一つ、その有力な魔術師たちである。 それが十人も集まっているにも関わらず、敵が無数に放つ攻撃の一つたりとも止められない。 敵が全力を尽くした決戦のつもりでない限り、これではグレザール帝国に勝ち目はない。 そして、タロウから聞いた話では、ここに来ているのは自分たちでも勝てると目された敵軍のごく一部である。 彼はカガクという恐るべき力を確認した。 それは誰でも同じ結果が得られる、材料さえ揃えば直ぐに実現できる力。 二千年以上という帝国暦よりも長い歴史でチキュウという世界の人々が積み重ねてきた結果の集大成。 何でも出来るわけではないが、出来る事は誰でも同じ結果になる。 それがいかに恐ろしい事か。 頭上に飛来した砲弾が炸裂するその瞬間まで、彼の脳内にはカガクに対する対策が無数に練られていた。 もっとも、その脳髄は直後に発生した爆発によって粉砕されてしまったのだが。 被害を受けているのは軍人たちだけではない。 とある家族は聞いた事の無い轟音に自宅で怯えつつ、屋根に直撃した砲弾の爆発によって全滅した。 路地裏に隠れていた花売りの少女が爆風によって切り刻まれ、同じく近くにいた浮浪者も絶命させる。 悲鳴を上げ、荷車を引きつつ移動中だった商人が、彼の命より大切な商売道具ごと虐殺される。 近隣住民が集まった集会所が直撃を受け、そこにいた二十世帯が全員致命傷を負う。 重傷を負った数人の大人と子供が、立ち込める粉塵に咳き込む事すらできずに死を待つ。 避難中の区画に数発の砲弾が落ち、その時そこにいた百人余りを全滅させる。 民家という民家が軒並み叩き潰され、商店が燃え上がり、公共設備が砕かれ、軍事施設が崩壊する。 逃げ惑う人々の頭上に爆装したF2スーパー改が現れ、開けた場所や無傷の建造物めがけて爆弾を投下していく。 周囲に展開した部隊が迫撃砲を次々と放ち、十分な殺傷能力を持った砲弾を降らせていく。 弾庫に砲弾を満載した護衛艦隊は、休むことなく砲弾を放ち続ける。 最初から圧倒的劣勢だったが、とにかくグレザール帝国軍に組織的抵抗は不可能だった。 無秩序に見えて、彼らの攻撃はある程度以上の大きさか高さがある建造物を中心に行われていた。 事前に構築された防空網は全くの無駄だった。 航空機を除き、グレザール帝国軍の射程に接近する者はいなかったからだ。 タロウの中途半端な知識に基づいて構築された対空射撃システムは、高速で駆け抜ける支援戦闘機相手には不十分な能力しかなかった。 そして、彼らにとっては大変に不運な事に、自衛隊は決して対地攻撃能力に特化した組織ではないが、無防備な中世の市街地を破壊するのには十分な火力を持っていた。 「ああ、ああ」 次々と発生する振動に、ルースは成す術を持たなかった。 彼女は現在、避難民たちと共に教会で動けなくなっている。 本来であればタロウのそばにいなければならないのだが、そこへ誘導するための兵士たちがいつまでも来ないからだ。 彼女を護衛するための兵士たちが、至近距離に着弾した127mm砲弾によって血煙と化している事を彼女は知らない。 「ルース様!賢く偉大な神に仕える神官たるルース様!我らをお導きください!」 帝国臣民たちに囲まれ、彼女は困惑していた。 教会は、大きく分けて二つに分かれている。 派閥が対立しているというのではなく、民間人に教えを与える組織と、軍と共に敵を倒す組織の二つに分かれているのだ。 彼女は前者ではなく、後者に属している。 闘う力を持たない民間人などを奮い立たせる方法など皆目見当が付かない。 「神よ、我々に力を。 残虐なる敵に抗うための力を」 困り果てた彼女は、両手を掲げて救いを求める言葉を発した。 いつもならばここで、彼女の言葉を借りて指揮官たちが号令を発するのだが、避難民で溢れているこの場でそれをしてくれる人物はいない。 彼女は自身の言葉だけで、怯える避難民たちを落ち着かせなければならない。 「神よ!」 彼女はさらに声を張り上げた。 圧倒的な暴力に晒されている中で、攻撃魔法も優れた武術も持っていない彼女にはそれしか出来ない。 「神官様に続くんだ!」 誰かの叫びが聞こえる。 見れば、いつの間にか紛れ込んでいた一人の兵士が両手を掲げている。 「皆のもの、神官様に力を貸すのだ」 一人の老人が、震える腕を必死に掲げようとしている。 その周囲では、家族らしい中年の女性、子供たちが後に続いている。 「神よ!」 「神よ我々に力を!」 恐怖に怯えていた群集は、姿かたちも分からない神という存在に救いを求めて一致団結した。 悲鳴は消え、身動きの取れるものたちは誰もが祈りを捧げ、神へ救いを求める言葉だけを口にした。 「ああ、神よ、ありがとうございます」 全身を縛り付けていた恐怖はいつの間にか消えていた。 ルースは、その事だけでも十分に神に感謝していた。 そんな彼女に対する返答は、明り取りの窓からやってきた。 ガラスが砕ける音を耳にし、彼女は後ろを振り向いた。 正確には、振り向こうとした。 それはかなわず、何者かに強く突き飛ばされる。 フードが飛ばされてしまいそう。 人生の最後で彼女が考えたのは、そんな事だった。 直後、彼女は続けて飛び込んできた砲弾の爆発に巻き込まれ、四肢を吹き飛ばされつつ飛来した石材に頭部を砕かれた。 西暦2021年4月14日 10:30 ゴルソン大陸 城塞都市ダルコニア 作戦エリアD2 「いいぞいいぞ!悪党どもを吹っ飛ばしてしまえ!」 墜落した機体の中で、ヘリオス74に搭乗していた隊員が歓声を上げていた。 彼の視界で一番大きい石造りの建物が、内部に飛び込んだ砲弾によって破裂している。 それはルースが避難民たちと逃げ込んだ教会であったが、彼にそんな事はわからない。 もっとも、目の前で大勢の仲間が奪われた直後だけあり、そうだと知ってもやはり彼は歓声をあげただろう。 「やはり無線は駄目です」 破損した機体に足を挟まれた副操縦士が報告する。 彼は両足が動かせないが、手だけは何とか動かすことが出来た。 そのため、周辺警戒を行う隊員に代わり、本部との通信を再開しようと試みていたのだ。 ちなみに、機体後部にいた他の隊員たちは、あるものは空中で放り出され、別なものは機内に飛び込んできたローターによって刻まれている。 「そうか、モルヒネはもっといるか?」 歓喜の表情を浮かべたまま、彼は尋ねた。 助け出す事は自力では不可能。 無線が壊れているために救援は呼べない。 つまり、自分たちは絶体絶命である。 「スマンなぁ、俺にもっと力があれば助けてやれたんだが」 「過去形で言わないで下さいよ」 申し訳なさそうに告げる隊員に、副操縦士は激痛をこらえつつも苦笑して答える。 「介錯は任せろよ」 「だから死ぬ事にしないで下さい!」 まるでギャグ漫画のようなやり取りをしている間にも、沖合いの護衛艦から放たれ続ける砲撃は止まらない。 少しでも人間を殺傷できるようにと、故意に大きい建物を狙って放たれ続ける砲撃は、殺害人数という意味では確かに大きな効果を挙げていた。 その大半が非武装の民間人であったが、自衛隊に取ってその事実は些細な誤差どころか計画通りである。 「小銃、置いてってくださいよ」 不意に、彼は言う。 死亡した隊員たちから弾倉を集めようと考えていた機長は、一瞬動作を鈍らせる。 「拳銃だけで十分じゃないのか?」 「三つも四つも小銃を持って行ってどうするんですか? 自分も陸上自衛官です。射撃ぐらい出来ますよ」 その言葉に、隊員は胸の中に溜め込んでいた息を吐き出す。 破壊された機体から銃撃を繰り返しつつ離れていけば、目の前の副操縦士が助かる可能性も少しは増えると思ったのだが。 「パイロットでも、自衛官は自衛官ってことだな」 「差別反対、ですよ。さあ、自分にも小銃を下さい。 ああ、それと拳銃も。自分のは使えそうもないんです」 繰り返しになるが、副操縦士の足は破損した機体に挟まれている。 彼の肉体を包み込んでいる機体の残骸は、何も足だけを挟んでいるわけではない。 「弾が尽きるのが先か、敵が乗り込んでくるのが先か。 いや、その前に砲弾が降ってくるかな?」 「その前に救援が来るかもしれませんよ。アイタタ」 悲観的な意見のみを述べる陸曹を励ますように副操縦士は希望的観測を述べ、激痛に顔を歪ませる。 彼らの生存確率は、算出する必要がない程に低かった。 西暦2021年4月14日 10:40 城塞都市ダルコニア近郊 陸上自衛隊佐藤戦闘大隊指揮所 「第二次攻撃が始まりましたね」 轟音を立てて頭上を通過した支援戦闘機を見上げつつ、二曹は佐藤に声をかけた。 第四次攻撃が終了するまで突入の予定がない彼らは、現在のところ包囲網の維持と迫撃砲での無差別砲撃以外の仕事が無い。 「あとで突入する我々の仕事が少しでも減った事を祈ろう」 双眼鏡で全てを見つつ、佐藤は簡潔な感想を述べた。 現在の彼らには現在位置の固守以外の任務は無い。 「とりあえず迫撃砲を撃ちまくれ。 一人でも多く殺しておかないと、あとでこっちが苦労する」 市街地へ無差別砲撃を指示している指揮官らしい言葉を告げて、佐藤は双眼鏡を構えなおす。 今の彼には、自分の言葉が現実世界に与える影響を目視する必要がある。 「二曹、作戦要綱を確認しても良いか?」 「はい、第四次攻撃終了後、直ちに突入。 万難を排し、目標人物の捜索と殺害に当たれ、です」 簡潔でわかりやすい命令である。 石造りの町に四回に分けて全面攻撃を加えた後ならば、予め対策を立てていない限りはそこにいた連中はかなりの損害を受けているだろう。 願わくば、顔だけでも良いから識別可能な形で対象人物をあっさり発見できるといいのだが。 「増援はどうなっている?」 「ヘリで一個中隊がこちらへ向けて移動中。 第四次攻撃終了までには到着予定です。 それと、敵がさらに抵抗を見せた場合に備え、特科大隊が普通科中隊の護衛つきでこちらへ移動中です。 なお、これに先行し、合衆国海兵隊より一個砲兵中隊が空輸にて移動しています」 それだけいれば大丈夫だろう。 現状でも包囲をなんとか維持しているところに増援が来るのだから、何も問題はない。 佐藤がそのような事を考えている間にも、砲爆撃は継続されている。 また一つ石造りの建物が倒壊し、また別の建物が直撃を受けて破裂している。 今までで何人死んだかな。そして、これからで何人死ぬかな。 おや、また大きな建物が炸裂したな。 形状からして、屋内に人がいたとすれば50人はいただろう。 対象がいたとしたら、瓦礫に埋まっていない事を祈るばかりだな。 他人事のように佐藤が感想を漏らしている間にも攻撃は継続されている。 護衛艦隊は砲弾を振りまき、支援戦闘機はありったけの爆弾やミサイルを叩きつける。 そして包囲部隊からは途切れる事のない迫撃砲弾による嫌がらせが継続される。 神の視点から見ると、この街に対する自衛隊の攻撃はとても有効だった。 既に軍人4,296名、民間人6,914名が死傷し、その数は現在進行形で増え続けている。 その具体的な数は知らないにしても、この攻撃に参加する自衛隊員たちは、この街がひどい有様になっていることは十分承知している。 しかし、彼らには自己の判断で攻撃を中止する権限など存在しない。 ついでに言えば、この作戦に参加している現場指揮官、つまり包囲部隊、飛行隊、護衛艦隊の各指揮官たちは、徹底した攻撃を行う必要性を知らされている。 結果として、鉄の暴風はさらに吹き荒れることになる。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/37973.html
登録日:2017/09/27 (水) 00 10 58 更新日:2024/04/03 Wed 16 50 42 所要時間:約 15 分で読めます ▽タグ一覧 ×唐揚げ ○ざんぎ きゃんでぃそふと きゃんでぃそふとの本気 ざんぎ なぜなに自衛軍 エロゲー オーバードチルドレン←中二病乙 ガンナイトガール ゲーム ロボット 多脚戦車 学園モノ 平和ボケ 機動外骨格ガンナイト 無力な主人公 自衛隊 訓練生 軍事 ガンナイトガール GUNKNIGHT GIRL―――――――――――――――Σ⊃ 『ガンナイトガール』は2012年末にPCゲームメーカー『きゃんでぃそふと』から発売されたアダルトゲーム。萌えゲーアワード『シナリオ賞金賞』受賞作品。 原画は同メーカーの『もっと姉、ちゃんとしようよっ!』のすめらぎ琥珀氏、シナリオも同作のかずきふみ氏が担当。 2015年には値段がミドルプライス(税抜き3800円)まで抑えられた廉価版『ガンナイトガール-REPRICE EDITION-』発売された。 初回版に付属していたサントラ等も付いているので、今から買うならこっちがおすすめ。 コミカライズがTECH GIANで連載され、単行本も発売(全一巻)。書下ろしエピソードも収録されている。 概要 『姉しよシリーズ』や『つよきす』といった明るい日常風景を売りとした作品で有名なこのメーカーとしては珍しい、軍隊や兵器(ロボット等)といったミリタリー・SF要素が多い異色作。 軍隊やロボが登場はするとはいっても、急にどうしたレベルで軍事色が強い『群青の空を越えて』や、 ロボ燃えを前面に出した戯画の『バルドシリーズ』やageの『マブラヴ オルタネイティヴ』のような極端な作風ではないのでそのあたりは注意。 ストーリーは一般人の主人公と訓練生のヒロインたちが共同生活を送る学園モノ。 訓練などはあるが戦闘メインの場面はそれほど多くなく、軍要素が混ざる日常と学園生活がメインの序盤に、選択肢を選びながら各ヒロインのルートに進むことになる。 メインストーリーに入ると、主人公の日常に入り込んだ軍隊という異物、それに時間と共に慣れてしまう違和感、 やがてそれすら蝕んでいく奇妙な事件、対岸の火事であった筈の危うい世界情勢を意識してしまう焦り、といった平和な日常が徐々に壊れていく様子や、 事件に関わることで知ることになる不可解な事実に戦慄する展開などミステリー+ややホラー的な要素も入ってくる。あと微妙に猟奇描写も。 シリアス一辺倒というわけではなく、キャラクターたちの掛け合いは明るくユーモアがあるものが多いため、陰鬱とした状況でも暗くなりすぎることはあまりない。 世界観やメカ設定に気合が入っており、軍関連の設定は現役自衛官が協力しているとのこと。公式HPには解説漫画や動画まである。 ちなみに公式HPの宣伝ムービーでは同メーカー作のあるキャラクターがゲスト登場している。あの人みたいにやってみる! ルートはヒロインに対応した5つだが、ましろ、志乃、恋歌以外は最初はロックが掛かっている。 この3人の攻略で環ルートのロックが解除。小夜子は環を攻略後に解除される。 初めの3人のルートで示唆される謎や伏線は、環~小夜子ルートで解き明かされる構成になっており、 ましろ、志乃、恋歌のルートでは憶測のまま放置されてしまう謎もある(各々物語としては纏まっている)。 今作の主人公は一般人であり「基本的に無力」ということが全ルートで共通しているのも特徴。 主人公は何の力も持たない(別にフリでもなんでもなく)ただの学生であり、料理や地元の地理といった日常で役立つスキルを持ってはいても、それは困難を打破できるようなものではない。 主人公にもその自覚はあり、自分に何か出来ることは無いかと行動するが、徒労となることの方が多い。 そんな主人公がヒロインと絆を作り、各ルートで最終的にどんな選択・決断をするのか、というのも本作の見所の一つ。 ストーリー(ガンナイトガール公式HPより) 2034年、日本。 海の向こう側では、今もどこかで戦争が起こってる。 そういう世界情勢を、なんとなくは把握していたけれど。 どこかで響く銃声は、あまりにも遠い。 なんてことない田舎町に住む俺にとっては、そのはずだった。 でも、とある事情で俺たちの通う学園は無期限の休校となってしまい、校舎は陸上自衛軍に接収されることになってしまった。 そしてやってきた、陸上自衛軍 女子工科学校の学生たち。 部隊名:第0教育隊第2区隊。 所属隊員はすべて女性。 物珍しさから少し興味はわいたけど、物騒なことは嫌いだった。 だから絶対に関わるつもりは無かったのに、なぜかその0教2区隊ってやつに組み込まれることになって……。 これは平凡に過ぎるはずだった毎日が、少しずつ変わっていく物語。 ――いずれ戦地に赴くあの人に、俺はなにをしてあげられるだろう。 登場人物 ○主要人物 宗方ましろ cv 萌花ちょこ 陸上自衛軍女子工科学校の二年生。階級は二等陸士。 おっちょこちょいだが、明るく礼儀正しい、軍人と民間人の壁を感じさせない良い娘。口癖というわけではないが、驚く時には「んまー」とやや古いリアクションをする。 腹ペコ属性持ちで、班長の出す微妙な料理には内心辟易としており、料理上手な絢斗が厨房に立つと聞いた時は誰よりも喜んだ。班長「あれ~?」 変な聞き間違いをすることが多く、志乃には「耳腐ってるんじゃないの?」と呆れられている。 志乃とは町にくる前からの友人であり、どこか抜けているましろをフォローする真面目な志乃という凹凸コンビ。 剣道部員だったため、ゴムブレードを使った訓練ではそのノリでつい力んでしまうことも。 風祭志乃 cv 白雪碧 陸上自衛軍女子工科学校の二年生。階級は二等陸士。 なんかいつもびっくりしてるツンデレ系。ましろからは『お志乃ちゃん』と呼ばれている。ついでにプレイヤーからの愛称も満場一致でお志乃ちゃん。またはざんぎ。 絵に描いたような堅物優等生で、いつも軽いノリの絢斗たちの態度には冷たい。特に絢斗には初対面で着替えを覗かれた事故もあって基本突き放している。 他人の恋愛には積極的にお節介を焼くタイプで、その時のキャラの違いには普段はウザがられる立場の絢斗がちょっと引くほど。 実はかつて北海道の街一つが壊滅した事件の被害者遺族の一人であり、戦時中でありながら戦争を対岸の火事と楽観する絢斗たちの態度には強い怒りを表す。 七海恋歌 cv みる 陸上自衛軍女子工科学校の一年生。階級は三等陸士。 本作のロリ枠にしてダウナー系後輩。口数は少なく、基本的に先輩の命令には従順だが、たまに毒を吐く。 作中でナナミンというあだ名を付けられたが、本人はあまり気に入っていない。 後輩である分、先輩たちとは体力などにまだ差があるが、洞察力が鋭いため何気に油断できない存在。 性格的に顔に出ないので分かり辛いが、変わり者で軍人な自分に分け隔てなく接する絢斗には一定の好意を持っており、意外にも健気に尽くすタイプ。 実はドが付くほどのマゾ。本人曰く「痛みは友達」らしい。 体を痛めつける訓練や筋肉痛にさえ密かに興奮しており、組み手で良い一撃を食らった際は相手(女性)に惚れかけたと漏らしたことも。 古宮環 cv 桜川未央 隊の班長。階級は二等陸曹。教官という立場ではあるが本職は整備士で、0教2区隊の強化外骨格のメンテナンスを担当している。 口調が軽くあまり軍人らしさを感じさせない気さくな人物。しかし教官として締める場ではきっちり締める。 0教の給食係だったが、本人が味音痴なこともあって生徒からの評価は散々(でも上官に文句は言えない)であり、それを察した絢斗が代わりに料理を担当することになった。 教官を務めるだけあって戦闘力はかなり高く、特に白兵戦では人間離れした技を披露したこともあった。 高遠小夜子 cv かわしまりの 陸上自衛軍女子工科学校の三年生。階級は一等陸士。 クラスの最上級生で、微笑みを絶やさない大らかな人物。 初対面の筈だが何故か絢斗を知っている素振りを見せ、序盤から明らかな好意を寄せている等、謎も多い。 生徒の中でも特に秀でた外骨格の操縦技術を持ち、1対2の状況でも余裕で翻弄できる。 その腕は教官以上とも囁かれるほど。どういうことなの…… 少しネタバレ ずっとこうしたかったし……もっと深い関係にもなりたかったけれど……うまくいかないものね 物語のある日を境に、小夜子は意味深な言葉を残して消息不明となってしまう。 それと同日、町の上空で自衛軍による謎の戦闘機撃墜事件が起こったことから、 絢斗は小夜子が事件に巻き込まれたのではないかと区隊長に説明を求めるも、返事は現在調査中と言うだけでただの脱走なのかどうかも不明のまま時が過ぎていく。 七海によれば軍人としての小夜子の行動にはおかしな部分がいくつもあるとのことで、「小夜子の失踪には何か裏がある」と情報を出さない軍に憤る絢斗に警告した。 実際、小夜子は自分がその日からいなくなることを分かっていたかのような行動をしており、 戦闘機撃墜とかぶるタイミングで消えたこと、軍が必要以上に情報を開示しないこともあってただの失踪以上の何かがある可能性がある。 桧森絢斗 cv なし おかっぱに見えなくもない髪形が特徴の主人公。語尾に~がよく付くためチャラい印象があるが、実際は押しに弱いシャイボーイ。 特別な才能もなにも持たないごく平凡な青年であり、生まれた町で友人たちと過ごす日常を何よりも大切にしている。 それゆえに軍隊や戦争を意識させるニュースやネットの情報は意識的にシャットアウトするほど戦争アレルギー。 趣味は山に行って野宿するなんちゃってサバイバルで、食えるなら野草やカエルさえ食べるその姿勢は幼馴染からもドン引きされている。 母親とは表面上は普通に接してはいるが、あきらかに距離を感じる微妙な関係が続いている。 日常を壊す存在には強い嫌悪感を持ち、軍人にも最初はかなり苦手意識があったが、彼女たちの人となりを知ってからは壁を作らずに接する度量の広さを持っている。 それでもかつて町で起こった戦闘機墜落事故のこともあって軍隊そのものの不信感は消えておらず、作中で起こる事件によってその悪印象は強くなっていく。 軍隊を嫌う理由はかつての事故もあるが、軍と繋がりがある『施設』に務める母親の存在も大きい。 『施設』での仕事が家族そっちのけで打ち込むほどの存在なのか、という軽蔑と疑念があるため、母親のことに関しては感情的になり頑なに反抗してしまう。 要は遅れた反抗期というか、マザコン。 ○その他 庫元健太郎 cv ほうでん亭センマイ 絢斗の幼馴染その1。主人公の絢斗を除けば貴重な男キャラ。幼馴染トリオでは色んな意味で目を離せない他二人のブレーキ役を務める苦労人。 絢斗と同じく軍隊に不信感はあるが、ミリオタであるため0教が持ってきた銃や強化外骨格には興味しんしん。 ロボットアニメも視聴しているようで、ロマン系にも理解がある。だからか、宣伝ムービーでははっちゃけて危ないネタを入れている。 事情通且つノリの良い性格であるが、親しい人物以外には結構ドライであり、何かきっかけがない限りは0教の隊員に積極的に関わろうとはしない。 疑問は潰していかなければ気が済まない性質だが、危ないと感じれば足踏みし慎重になる自称チキン。 逆に言うと常識があるともいえ、そこが目的を定めたら暴走しがちな絢斗との違い。 なお同姓同名の弁護士が実在するかモデルとなったかは不明。 小杉唯奈 cv 宮沢ゆあな 絢斗の幼馴染その2。実家は大規模な食料プラントを経営している。山を持ってたり、本置くスペースが無くなったという理由で家を建てるほどの大金持ち。あと天パ アイドル声優を目指しており、普段から自分を『ゆいにゃん』と自称して語尾を猫語にしたり、その場限りの姫様設定で寸劇を繰り広げたりするイタイ系。 幼馴染が男二人であるためか、素の性格はやや男勝りで口が悪い。しかしとても友達思い。 キャラ作りに拘っているわりには急に素に戻って自嘲したり、勢いで女やめてるレベルの下ネタを平然と言ってのけるある意味強者。 しかし内面はやはり繊細な少女であり、否応なく戦争を実感してしまう戦闘機の飛行音などには、町で起こった事故のこともあって過剰反応してしまい、酷い時には過呼吸を起こして倒れてしまう。 重要なネタバレ 実はすでに貫 通 済。オ○ニー中にバイブで。 荒川千歳 cv 貴方撫勹 0教2区隊の区隊長。階級は一等陸尉。 隊で一番偉い立場だが、保育士を思わせる優しい物腰で接する母性的な人物。 しかし甘いわけではなく、生徒が舐めた態度を取れば軍人らしい口調になり、容赦ないしごきを強いる鬼上司の顔も持つ。 環とは上司と部下であると同時に友人でもあり、二人きりの時は菓子の取り合いをするような微笑ましい仲。 環によれば近いうちに三佐、将来的には間違いなく一佐までいくと言われる程のエリートだが、女性士官の立場向上を良く思わない人もおり、苦労しているらしい。 素晴らしいお胸様の持ち主なのだが、残念ながら彼女とユイニャンするシーンはない。が、お返しコンテンツにて……? 桧森薫 cv 海乃奏多 絢斗の実の母親。『施設』に務めており、かなり忙しいらしく家にはあまり帰ってこない。作中では名前ではなく桧森博士と呼ばれることが殆ど。 息子の絢斗に対してもいつも冷たく感情のない声で話すが、昔はもっと明るい人物だったという。絢斗によれば『父』が原因であるらしいが……? 一般人だが『施設』では一等陸佐相当の高い権限を持っている。 世界観 2034年の近未来の日本が舞台。多脚戦車や強化外骨格のような人型兵器が普通に登場するなど、科学技術は現在よりかなり進んでいる。 世界大戦というほど激化はしていない様子だが戦争自体は起きており、さらに世界中で細かい火種が山積みになっている。 作中で言われているだけでも、アメリカとロシアの均衡が崩れ一触即発の危うい状態、 ギリシャ・中東では宗教問題と資源争い、世界的に異常気象頻発による不作、大国の地下資源の限界、等々どこかで何があってもおかしくない状況になっている。 本編から2年前には、北海道にある街一つが何らかの理由で壊滅した事件もあった。 2~3ヵ月で報道規制が入り、殆どニュースでも取り上げられなくなったが、 庫元は原因の発覚で本格的な戦争への移行を恐れた首相が隠蔽したと予想している(首相は自衛軍解体を掲げていたため)。 ロシアの原子力潜水艦が何らかの要因で爆発し、その余波に巻き込まれたというのが一般的ながらも、その後に何も動きが無かったことから偶発的な事故だったという見方もある。 (なぜ日本近海にいたのかという疑問点もあるため信憑性は半々といったところらしいが)。 荒唐無稽なものでは、ブラックホール爆弾を海上で実験した結果だとか、実は日本が開発した新兵器の暴走で自爆したなどもある。それほどに凄惨な被害だったということか。 主人公の住む町(具体的な位置や町名は不明)は日本の田舎。 山に囲まれた場所にあり、住民は若者よりも老人が多く、まともな買い物は隣街のスーパー(ざすこ)まで行かなければならないなど、田舎町の見本のようなところ。 そのためあまり近未来っぽさは感じないが、主人公宅を基準に見るに家電も新しくネットも通っている様子で、 移動手段以外ではそこまで不自由している様子はない。田舎といっても『近未来の田舎』といった感じか。 1年前、航空自衛軍所属の戦闘機が山に墜落する事故が発生しており、 北海道での一件もあって住民は事故という公式発表にも耳を貸さず「爆弾が落ちた」とパニックになった住民の多くが町から離れる事態になった。 それによって主人公たちが通っていた学校は生徒不足で休校になってしまい、残った校舎を0教2区隊が利用することになる。 用語 □0教2区隊 正式名称は第0教育隊第2区隊。所属生徒はましろ、志乃、恋歌、小夜子の4名。他に区隊長の荒川千歳、班長の古宮環が所属している。 第0教育隊は学年混合部隊であり、男子のみの1区隊が存在するが、そっちは別の場所にいるらしく本作には登場しない。 同時に「学年の枠を越えた部隊」とのことで、通常の軍学校の様な年功序列の決まり事の一部は省かれている。 通常とは違う目的で存在している隊であると区隊長から説明を受けてはいても「わざわざ未熟な訓練兵を使う理由」や、 「戦時中で情報漏洩などのリスクがあるにもかかわらず絢斗たち一般人をわざわざ校舎に受け入れたこと」など、 この0教の在り方に庫元は違和感を感じており、自分たちは知らずの内に何かに巻き込まれているのではないかと不信感を積もらせている。 区隊長によればこの状況は「持ちつ持たれつ」であるらしく、何らかのメリットや狙いが存在しているとのことだが……?。 □七九式強化外骨格 ライドアーマー型の第一世代。卵の様な丸いボディに手足が付いたような見た目が特徴。 搭乗者は一九式戦闘服というピッチリけしからんパイロットスーツを着用する。 訓練用の旧式であり、現在実戦で使われているのはもっと人に近い動きができるらしい。 旧式でも熟練のパイロットが乗った動きはかなり俊敏で歩兵が勝てる相手ではないが、関節が弱いため無理な動きを繰り返すとすぐ壊れてしまうのが弱点。 □ハチ(八四式多脚戦車乙型・改) 多脚戦車の第一世代型。現在は型落ちの旧型だが、開発当時は話題になっていたらしい。 弾は装填されていないため撃てないが、ガトリングを二門とリボルバーレールガンを装備している。 現在凍結中のAI育成プロジェクトで使われていた人工知能が実験的に搭載されており、カタコトながら会話も可能。 AIの教育係を担当している小夜子からは半ばペット感覚でハチ(八四式だから)と呼ばれている。 ちなみに声は小夜子のものを元に作成されている。つまりCVはかわしまりの。 戦車と言うには小型だが、人一人が上に乗っかれる程度の大きさはあるため、作中では移動手段として重宝されている。 最高速度は百キロ(!?)とのことだが、田舎ということもあってその速度が活かされる場面はあまりない。 戦車であるため頑丈だが、AIが乗っかってる分デリケートであるらく、そのためかAIが収納されているスペースを触るのは厳禁であり、何かあったら怒られるではすまないとか。 少しネタバレ 小夜子は行方不明になる直前にAIの教育係を絢斗に変更し、名称をハチから夜刀に変更、それまでの成果を反映させAIの知能レベルを一段階向上させた。 それによって以前より流暢に喋る(これは絢斗の喋り方を真似ているとのこと)ようになり、機械ながらかなり感情豊かに見える。 その知能によって他の端末にハッキングをかけたり、軍の通信を傍受することも可能になった。 もはやどこかの多脚戦車のごとく自由に動いているが、基本的には教育係の絢斗からは見えない場所に待機しているか、区隊長や班長の命令で雑務を処理している。 小夜子が残した命令により教育係の絢斗を第一に行動しているため、 何かあった時に絢斗から頼られれば法に抵触しかねないこともAIであるため平然と行えてしまう危うさがある。 □『施設』 0教の隊員からはラボとも呼ばれている、町から少し離れた場所にある製薬会社のこと。絢斗の母親はここで働いている。 表向き製薬会社ということになっているが、軍の車両が行き来するところを頻繁に目撃されており、町の住民からは疑惑の目を向けられている。 0教の宿舎もここの敷地内にあり、放課後には生徒が順番に訪れていることから考えても、軍と何らかの繋がりはあるのは確実と言って良い。 ――いずれ追記・修正に赴くwiki篭りに、俺はなにをしてあげられるだろう。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 主人公の髪型が謎だったな 「覚醒した戦ったりとか絶対にしません」ということを説明する為にあの髪型にしたのかと疑ったわ -- 名無しさん (2018-07-21 23 02 19) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2375.html
「内部からの襲撃だぁ!?」 シャマルからの報告に、ヴィータはまさしく寝耳に水といった声を上げた。 ゲームで悪質な反則を見た気分だった。 数日前からホテルの警戒に当たり、今も敵の如何なる奇襲にさえ対処出来るよう万全の体勢を整えていたというのに、敵はまともな手順を飛ばしていきなり王手を掛けて来たのだ。 「どっから侵入された!? こっちは何も察知してねーぞ!」 『オークションの人形が突然動き出したって……! 信じられないわ、クラールヴィントのセンサーもさっき突然反応したの!』 「なんだとぉ……っ」 ホラー映画を真に受けたような報告を聞いて、ヴィータの脳裏に浮かんだのは以前の夜の事だった。 予兆のない突然の襲撃。時間も場所も関係ない、影の中から湧き出るような出現。 ヴィータとシャマル、そしてザフィーラには覚えのある感覚だった。 「襲撃者は<悪魔>か!」 『<悪魔>? 何のことだ?』 思わず口を突いて出た言葉を聞いて、通信越しにシグナムが首を傾げる。しかし、今は説明している暇がない。 「すぐに援護に向かう!」 『待って! センサーに新しい反応、今度は外部から複数の接近よ!』 『来た来た、来ましたよ! ガジェットドローン陸戦Ⅰ型、機影30!』 「このクソ忙しい時にっ!」 矢継ぎ早に飛び込んでくる凶報に、ヴィータは思わず悪態を吐いた。 真に守るべきオークションの中枢を既に襲撃され、おまけに挟み撃ちの形で追い討ちがやってくる。 理不尽を感じずにはいられない状況だった。 「部隊長、隊長陣から命令は出てるか!? ホールの状況はどうなってんだ!?」 『なのは隊長からの命令、「外部からの襲撃者の迎撃に専念せよ」「内部は独自に対処する」とのことです!』 『援護が必要ではないか? テスタロッサ以外、室内戦には向いていないぞ』 『―――待って、はやて部隊長と通信が繋がりました』 現場の状況や通信を纏め、司令室へ中継していたシャマルが言った。 『こちらはやて、現在地はホールに繋がるドアの前や。マズった、締め出されたわ。敵はホールを結界で隔離しとる。ここからでは様子も分からん』 話の内容に反して、声色には僅かな動揺すらも見せないはやての声を聞き、全員の心に僅かな安堵が浮かび上がった。 不測の事態の中で最高指揮者の無事を確認出来たことは朗報だったし、揺るがぬ部隊長の態度は混乱と不安を払拭する効果があった。 こういった混戦状況で、実戦経験のある上司の言動は大きな信頼性を持つ。 『現状ではホールに手は出せん。ライトニング分隊、スターズ分隊は共に外の襲撃者を迎撃。内部の迎撃は隊長陣に任せる』 なのはの命令と状況を合わせ、判断の下、改めて部隊長から正式な命令が下される。これに逆らうことは出来ない。 正直、ヴィータは不安に後ろ髪を引かれる思いだったが、なのは達への信頼で僅かな迷いを振り切った。 内部に回れば外側が薄くなる。いずれにせよ、敵の侵入を許した段階で苦しい判断は避けられないのだ。 『私も外で合流するつもりやけど、この結界は得体が知れん。どこまで隔離されてるか分からんから、その間の現場指揮はシャマルに一任する。各員、速やかに行動に移れ!』 『了解!』 「了解!」 戦況は一気にピンチだ。気がかりは山ほど。 しかし、やるべき事を決めたヴィータは今やその真価を発揮していた。 まず、この機動六課が守る場所へ近づく身の程知らずどもを吹き飛ばし、それが終わったら中に戻って今度は侵入したドブネズミどもを一匹残らず磨り潰す。シンプルだ。 「いくぜ、グラーフアイゼン!」 《Anfang.》 迷い無き意思を秘め、鉄槌の騎士は自らのデバイスを呼び起こした。 「とりあえず、外はこれで大丈夫かな……」 通信を終えて、はやては小さくため息を吐いた。 短い通信だった。こちらの様子がおかしいことは悟られていないだろう。 余計な不安や懸念は抱かせたくなかった。つまらない自己犠牲精神などではなく、隊長としての全く合理的な考え故だ。 ―――息を潜めて曲がり角の物陰から外へ向かう通路を覗き込めば、そこには枯れ木のような人形が数体、観客のいない人形劇のように徘徊していた。 例の得体の知れない結界のせいで、ホテルから外に出るルートはかなり限られている。 この人形が徘徊する通路を抜けることは必須だ。 はやてはもう一度ため息を吐き、壁に背を預けて自分の判断が正しかったどうかを考えた。 シグナムかヴィータに護衛を頼むべきだったか。いや、外部の敵への対応を万が一にも間違えるわけにはいかない。本来最終防衛ラインとなる隊長陣がいきなり襲われたのだ。 部隊長という地位とその命の価値をはやては正確に理解していたが、それ故に優先順位もしっかりと決めていた。 分の悪い賭けじゃない。今はリスクを犯す時だ。 「ガチンコは苦手やけど」 もう一度深呼吸して、目を開く。 意思は固まった。 通路へと飛び出す。 「―――久々に走るか!」 はやての気配に気付き、得体の知れない敵意が一斉に向けられる。 久しく感じる危機感と緊張感で顔を引き締め、それでも尚不敵に笑いながら、はやてはバリアジャケットを纏って駆け出した。 魔法少女リリカルなのはStylish 第十三話『Chance Meeting』 『前線各員へ! 状況は広域防御戦です。ロングアーチ1の総合管制と合わせて、私シャマルが現場指揮を行います!』 ホテルの外周を警備していたティアナは、スバル達との合流の為にホテルへと足を戻していた。 そこへ、シャマルの通信が届く。 「<スターズ4>了解」 シャマルの報告に、ティアナは緊張と責任が肩から一つ降りるのを実感した。 副隊長陣を含むベテランが今回の任務には参加している以上、新人は前線から一歩退くことになる。 すでにヴィータとシグナムがホテルから出撃したことは確認しているし、必然的に自分達新人の仕事は撃ち漏らした敵の迎撃になるはずだ。 その事に若干の安堵と、同時に物足りなさを感じてしまうのは若さゆえの血気なのかもしれなかった。 しかし、本当は初出動時の激戦が異常だったのだ。 もちろん、今回は後方に回るとはいえ、それを理由に気を緩めるような愚行は犯さない。 ティアナは前線の様子を確認する為、シャマルにモニターを回してもらうよう個人的に通信を開こうとして―――それより早くシャマルの方から通信が繋がった。 『ティアナ。前線の様子をモニターして、クロスミラージュに送ります』 「え……っ? あ、はい」 元より自分に状況を見せるつもりだったらしいシャマルの言葉に、ティアナは戸惑いながらも応じる。 その疑問に答えるように言葉が続いた。 『なのは隊長から、戦闘時にはアナタの意見も取り入れるように言われているの。敵の勢力図と味方の配置も付属して送るから、率直な意見を聞かせて』 すぐさまシャマルからモニターとマップが送られ、目の前に表示される。 予想していなかった展開に、ティアナは動揺した。 一新人魔導師に過ぎない自分の意見が望まれるとは思ってもいなかった。しかも、それを命じたのがなのはだ。 自分が嫌われてるとか、蔑ろにされてるとは思っていない。だが、それでもティアナはなのはとの間に確執を感じていた。 意に沿わぬ訓練。疑問に応じない態度。 それらは全て、目の前に突きつけられた現実を見て吹き飛ぶ。 ―――あたしは、能力を買われている。 「……了解!」 適度なリラックスを保っていた体に、不意に力が漲るのを感じた。 まだ戦闘に入ったわけでもないのに気分が高揚するのを実感する。 目の前に敵の姿を捉え、その攻撃が視界を掠める―――そんな実戦の中ではない。しかし、確かに今自分が戦闘に関わっている緊迫感があった。 常に前へ出て戦い続けてきたティアナにとって、全く未知の感覚だった。 それは<指揮する者>の戦い。 「―――味方の配備はこれでいいと思います。エリオとキャロにはコンビで動くよう徹底させてください」 スバルの合流を待つティアナの現在地から正面に捉えた方向に、最も多くの敵勢力が迫りつつある。それを迎え撃つ為にヴィータとシグナムは先行していた。 しかし、もちろんその方向からのみ敵が来るわけでもなく、反対側からはホテルを挟み込むように別働隊の敵が接近していた。 比較すれば少数勢ではあるが、残ったザフィーラだけでは捌ききれないこの敵の迎撃をエリオ達ライトニング分隊が担当していた。 単独でも戦闘可能なティアナとスバルのコンビが、単純に数の多い敵の対処へ回るのは当然のことである。 「ただ、ザフィーラには先行した攻性防御を重点に行動するようお願いします」 『二人への援護は要らないのね?』 「エリオとキャロの戦い方なら互いにカバーし合えます」 『了解。ではそれを加えて、これより作戦行動を開始します!』 シャマルとの通信が打ち切られるのと同時に、ティアナの元へスバルが駆けつけた。 「お待たせ!」 「デバイスを起動させて、周囲を警戒。そろそろ前線での戦いが始まるわよ」 そして、ティアナのその言葉が予言であったかのように、遠くの空で爆発の音と光が瞬き始めた。 「てぉぁあああああああっ!!」 青い獣の咆哮が響き渡る。 ザフィーラの<牙>が地を割き、崖を砕いてガジェットを串刺しにした。 大地から隆起する無数の光の杭。 ガジェットの熱線は強靭な障壁を揺るがすことも出来ず、逆にザフィーラの攻撃はAMFを貫通して敵をただの鉄屑へと変えていった。 戦闘力の差は明確だった。 しかし、戦力差はその限りではない。ガジェットは単純な武力―――物量の力で以って、盾の守護獣の牙を何体かがすり抜けていく。 それを追う為に踵を返そうとして、しかしザフィーラは思い留まる。 「エリオ! キャロ! そちらに数体向かったぞ!」 撃ち漏らしを後方の新人二人に任せ、彼は積極的に獲物を捕らえ、狩ることに専念した。 不安はある。しかし、同時に楽しみでもあった。あの少年少女が自分の信頼に応え得るのか、すぐに分かるだろう。 「了解! キャロ、いくよ!」 「はいっ!」 『キュクルー!』 迫り来る敵影を捉えて、キャロを背後に控えたエリオが戦闘態勢を取った。 あの列車での死闘で得た、二人の戦い方。 敵を迎え撃つエリオの体に不必要な緊張はなく、見据えるキャロの瞳に悲壮な覚悟もない。たった一度の実戦が、幼い二人を大きく成長させていた。 「ブーストいきます!」 「頼む!」 キャロのデバイス<ケリュケイオン>が淡い輝きを放つ。 「我が乞うは、清銀の剣(つるぎ)。若き槍(そう)騎士の刃(やいば)に、祝福の光を―――」 《Enchant Up Field Invade》 「猛きその身に、力を与える祈りの光を―――!」 《Boost Up Strike Power》 両手左右で別々の増幅魔法を行使。フィールド貫通特性の付加と、攻撃力の向上の効果を持った二種類の光がエリオを包み込んだ。 「いっくぞぉぉおおおーーーっ!!」 吼え、駆ける。 恐るべき速さで飛び出した若い獣は、迫り来る鋼鉄の群れに一切の恐れ無く喰らい付いた。 複数体による弾幕も何ら脅威にならない。 新型ガジェットの持つ強力な熱線や、常軌を逸した<悪魔>の眼光に晒された時の圧迫感に比べれば。エリオにとってそれらは想定する脅威『以下』のものだった。 全身を突撃槍と化したかのような一撃が機体を食い破り、ブーストにより強化され、衰えることを知らない勢いがすぐさま次の標的へ襲い掛かる。 撃破を示す爆発が次々と巻き起こり、その中をエリオの放つ魔力光が駆け抜けていった。 一方的な展開の中から、一体のガジェットが運良く逃げ出すことに成功する。 仲間を省みない機械的な行動と、単純な数の有利によるものだった。 ガジェットの向かう先。そこには、直接的な戦闘力を持たないキャロの姿があった。 後方支援から潰そうというセオリーどおりの判断。 しかし、もちろんそれを彼女に従う白い下僕が許すはずもない。 「フリード! <ブラストフレア>!!」 『キュァアアアッ!!』 キャロの命令に従い、フリードはすぐさま火球を吐き出した。 その一撃。火炎を生み出すタイムラグは短縮され、圧縮率は倍近く上がっている。実戦で何かを得たのは二人だけではなかった。 硬球ほどにまで圧縮された火炎は、やはり単純な魔力量が及ばず、AMFによって無効化されたが、炸裂と同時に生み出された強烈な衝撃はガジェットの動きを硬直させた。 その一瞬の停滞を、背後から迫るエリオは見逃さない。 背中から貫通して顔を出したストラーダの穂先。そのまま槍を振り上げてガジェットを真っ二つに切り裂くと、エリオが離脱すると同時に遅れて爆発が響いたのだった。 「ほう―――」 戦いながらも後方の戦闘を伺っていたザフィーラは思わず感嘆を漏らした。 見事な連携だった。自分達がどんな特性を持ち、それをどう活かすか理解したうえで行動している。互いのサポートも申し分ない。 自分に先行した単独戦闘命令を与えた理由も分かる気がした。 エリオとキャロは二人で一つ。分担して戦うことは出来ないが、コンビを組むことで新人であっても高い完成度を誇ることが出来る。 「残念だったな。これで盾は二重だ。貴様らがここを突破できる可能性は万に一つもなくなった!」 愚直な前進を続けるガジェットの群れに向かい、ザフィーラは後方の二人を背にして誇らしげに言い放って見せた。 不測の事態の中で、健闘する機動六課。 しかしこの時、彼らにとって二度目となる脅威が近づき始めていた。 「―――っく!? これは……っ!」 「どうしたの、キャロ!?」 何かと共鳴するように明滅するデバイスを押さえ込み、苦しげに呻くキャロを見てエリオが慌てて駆け寄る。 慣れ親しんだ寒気と苦痛の中、キャロは虚空を睨み据えながら呟いた。 「近くで、誰かが召喚を使ってる……。しかも、これは……!」 『クラールヴィントのセンサーにも反応! だけど、この魔力反応って―――!』 シャマルの言葉を、司令室で情報を解析していたシャリオが引き継ぐ。 『以前確認したパターンです! 反応複数、気をつけてください! これは、前回の<アンノウン>と同様の反応です!!』 悪魔、襲来。 「―――動きが変わったな」 「っつか、もう見た目からして変わってるじゃねーか」 上空に退避したシグナムとヴィータは、シャマル達の報告と連動するように変化したガジェットの様子を見て顔を顰めた。 新たに加わった増援のガジェット、また撃破には至らなくともかなりの損傷を負わせた機体も含めて、鋼鉄の体に肉の皮膚を張り付かせた姿でそこに浮かんでいた。 破損した部分をその奇怪な肉塊で繋ぎ合わせ、巨大な眼球とそこから放つ不気味な生気を持った機械と生物の融合体と化している。 それは間違いなくリニアレールで遭遇した、ガジェットに正体不明の蟲が寄生した姿だった。 <寄生型>と仮称されたそのガジェットが群れを成す光景は、初見のシグナムとヴィータを戦慄させるに足る異様さを醸し出している。 『確認した<アンノウン>はそのガジェット寄生型。それとホテル周辺から、こちらは全く未知の反応が複数出てるわ』 「またかよ! 防衛線の意味ねーじゃねえか、卑怯くせえ!」 「室内戦になるか……私が行こう」 『いえ、違うの。その反応が出現してから、外へ向かってるのよ』 シャマルの言葉に、シグナムとヴィータは眉を顰めた。 内部へ浸透するならともかく、わざわざ外部へ姿を現す。敵の目的はホールの襲撃ではないのか? 『目的は分からないけど、スターズFやライトニングFに向かって移動しているわ』 「こちらと戦うことが目的なのか?」 「どちらにしろ、このままじゃガジェットと挟み撃ちだ。こっちもガジェットの数を全部押さえつけられるわけじゃねぇんだぞ」 次々と舞い込む悪い報せに、ヴィータは思わず悪態を吐いた。 敵の―――<悪魔>の目的は何となく分かる。それは、あの夜の戦いを経たヴィータやザフィーラが実感を持って理解するものだった。 奴らが欲しがるモノがあるとしたら一つだけ。 それは血だ。 その生贄に、何故自分達を選ぶのまでは分からないが。 「―――ヴィータ、ラインまで下がれ」 歴戦の騎士をして戦慄を抱かせる化け物の参戦に、背後の新人達への不安を隠せないヴィータへシグナムが言った。 「敵の数が多すぎる。二人で戦っても確実に何機かは撃ち漏らすだろう。 混戦になれば新人達の経験不足が痛い。誰かサポートする者が必要だ。行ってやれ」 「わ、わかった!」 「シャマル、ザフィーラにも伝えろ。こちらから援護には向かえん」 『分かったわ』 ヴォルケンリッターのリーダー格であるシグナムの判断の元、四人の歴戦の戦士達は更に追い込まれる戦況の中で行動を開始した。 「スバル、ヴィータ副隊長が援護に来てくれるわ。それまであたし達だけでやるのよ」 「お、おう!」 「スバル」 「な、何……?」 「ビビるな」 「お、おう!」 やれやれ。ティアナは完全に萎縮した相棒に気付かれないようにため息を吐いた。 新たに参入した敵の正体が、あの列車に現れた者と同質であることを告げられた途端、スバルはこの様になってしまった。 ティアナは敵の正体を知り、スバルは知らないという差もあるだろう。 だがそれを差し引いても、<悪魔>とスバルの相性はあまり良くないらしい。 <悪魔>の持つ、人を根源から恐怖させる闇の存在感が、無垢なスバルの感性を撫でつけ、その危機感を無闇に煽るのだ。 ―――最悪、戦えないかもしれない。 冷淡とも言える考えを抱きながら、ティアナはガジェットの群れが迫る方向に背を向けて、守るべきホテルの方向を睨みつけるという奇妙な状況に陥っていた。 そして、全くの謎と告げられた敵の姿がついに確認できる。 「何、アレ……?」 何が出て来ても驚かないし、どうせ理解なんて出来っこない。 <悪魔>に対して、前回の戦いでそう学んだスバルだったが、眼前の光景にそんな開き直りすらあっさりとなくなってしまった。 搬入口のあるホテルの裏手からゆっくりと現れる敵の群れ。その姿は少なくとも人の形はしている。 それらは継ぎ接ぎの布袋を出来損ないのピエロの衣装のように見せかけて、しかし決して人間では在り得ないようなぎこちない動きで跳ねるように歩いていた。 右腕が巨大な処刑刀そのものになっており、足は単なる棒切れが二本、裾から伸びて地面に突き立ち、フラフラ動いてその不安定なバランスを終始保っている。 一体、どんな生物がその中に入っていれば、こんな存在そのものがぎこちないピエロが出来上がるのだろうか? その答えを示すように、不意に敵がティアナとスバルへ向けて何かを投げつけた。 思わず身構える二人の眼前で、放り投げられた物が力なく地面に横たわる。 それは、丁度敵の<服>と同じ袋のような―――いや、中身が入っていなければ、まさに単なる布袋としか見えないような物だった。 では、その<中身>とは何なのか? 「まさか……」 ティアナが想像したものが何なのか、口にするより早くソレらは現れた。 何かの擦れる微細な音が幾つも重なり、連続した一つの音となって四方八方から接近してくる。 「ひ……っ!?」 それが羽音を含む『虫の移動する音』だと気付いた瞬間、スバルは思わず悲鳴を漏らしていた。 特定の方向ではなくホテルの周辺の森林地帯から、木々の間を抜け、茂みを這い。空中から地面から、黒い煙としか表現できないほど密集した虫の群れが現れ、二人の間をすり抜けて行った。 そしてそれらは、まるで吸い込まれるように横たわる布袋の中へ入り込んで行く。 空気のように中を満たされた布袋は膨れ上がり、蠢き―――そして立ち上がった。 「うぇええっ!?」 「まったく、虫に縁があるわね」 不気味なピエロの中身を知り、スバルは盛大に顔を顰めて、ティアナは皮肉交じりの笑みを浮かべた。 無数の虫―――<スケアクロウ>が群れを成して布袋に入り込み、あたかも一つの生命のように振舞う姿。 それが、新たに現れたおぞましい敵の正体だった。 「ね、ねぇ、ティア。アレ殴って、もし袋が破れたら……」 「帰りに殺虫剤買っていきましょ」 「うわぁあああ、嫌だぁー! 最大のピンチだよぉ!」 すでに虫がトラウマになりつつあるスバルの横では、他人顔のティアナが射撃武器であるクロスミラージュを構えていた。 ある意味普段通りである二人のやりとりの前では、先ほどと同じプロセスで次々と敵が数を増やしている。まるで風船のような手軽さだった。 「真面目な話、必要以上にビビることなんてないんだからね。スバル、アンタは強いんだから」 「う、うん。分かった!」 非現実的な光景に恐慌を起こしそうになるスバルの意識を、普段通りのティアナの姿が現実に繋ぎ止めていた。 その不気味さ以外、全く未知の力を秘めた敵。<スケアクロウ>の数は、既に10を超えている。 「いくわよ!」 「おう!」 否応の無い緊迫感が周囲を支配する中、ティアナの銃火が開戦の合図となって二者の間で瞬いた。 『スターズF、<アンノウン>との交戦を開始しました! ライトニングFもたった今接敵!』 「クソ、何でこんなことに……!」 オペレーターの報告が通信機から漏れ、ヘリの機内でヴァイスは拳を握り締めた。 閉じられた手のひらの中には無力感があった。 シャマルからの通信がヴァイスに向けられる。 『ヴァイス陸曹。敵は今のところホテル内部には向かっていませんが、いつ目標を変更するか分かりませんし、これまでの修験パターンを省みるに、奇襲の可能性も考えられます。危険を感じたら、すぐにヘリを上空へ退避させてください』 「……っ、了解」 戦闘能力を持たない単なる移動手段であるヘリとそのパイロットであるヴァイスに対して、まったく妥当な命令ではあったが、同時に彼への戦力外通知であることも明らかだった。 その事実に、何故かどうしようもない情けなさと焦りを感じる。 焦燥感の理由は分かっていた。 今、機動六課は苦しい状況にある。 隊長陣は押さえ込まれ、護衛すべき要人達はすでに窮地に立たされている。浮き足立つ戦況の中、正体不明の敵の追撃まで現れ、味方の戦力は絶望的に足りない。 そんな中で、戦う力を持っているはずの自分が後方で燻っているという事実が、どうしようもなくヴァイスを焦らせ、責め立てるのだ。 戦えるだけの技能を持ち、武器も手元に、そして何より自分の尻にまで火が付きそうな戦闘の最中―――でも何もしない。 自分はヘリパイロットだから。 それが愚にも付かない言い訳なのだと理解しているからこそ、尚ヴァイスの焦燥感は増した。 (ここまで追い込まれてるってのに、頭の中がグルグル回るのをやめねぇ。指一本動かせば戦えるのに!) トリガーを引く為の指一本。ソイツが動けばいい。それだけで自分は敵を撃ち続けるマシーンになれる。その戦力を今は誰もが必要としているのに。 動かない。 狙撃手として、前線で戦い続けてきた自分の中で最も新しい経験が、引き金を引くことを躊躇わせる。 (俺は、ビビっている。敵味方が入り乱れる混戦の中で、俺の弾が味方のすぐ傍を掠めるだけで竦んじまう……) 過去の失敗。一般人の誤射。それが実の妹。 自分の魔法が正義の為に放たれ、女子供を人質に取るようなクソ虫の犯罪者どもを確実に貫き、一瞬で意識を砕く―――そう信じて疑わなかった頃だ。 敵に気付かれずに倒すのが<狙撃> その為に誘導性を削って限りなく弾速を高めた魔力弾は、実弾と同じくただ直進する破壊の塊。決して当たる物を選びはしない。 それ故に重い一発の弾丸の重みを、スコープの先で倒れる妹を見てようやく実感したのだ。 その重さが、狙撃手としてのヴァイスの歩みを止めてしまった。 命に別状は無かったが、光を失った妹の片目が自分を見る度に彼の良心は苛まれる。 同じことが繰り返されたら―――? その自問が、今のヴァイスを押さえ込む最大の原因だった。 (俺はヘタレか? ヘタレだな。俺の狙撃にはもう絶対なんて無くなっちまった。それを知っただけで、もう指一本動かせねぇ……) この手は、ただただ無力感を握り締めるだけで、あとは何の役にも立たない。 ホテル屋上にある来客用のヘリポートからは、戦況が一望出来た。 上空で瞬くシグナムとガジェットとの激突。地上の戦闘は、ティアナとスバルのいる方向が一際激しい。 状況が有利なのか不利なのかまでは分からないが、二人の少女が激戦の中にいることだけは分かった。 二人のうち、自分と同じ限りなく実弾に近い魔法を操る少女を思い浮かべる。 (ティアナ、お前は撃てるんだよな。制御の利かない弾頭を、味方に当たるかもしれない弾丸を、味方の為に撃てるんだよな―――) それは彼女が誤射を経験したことが無いからなのかもしれない。 しかし、そんなものは何の言い訳にもならず、ただ現状で自分とティアナとの差が明確に表れていることだけは確かだ。 ティアナは撃てる。 自分は撃てない。 それが何よりも事実。誰かの為に撃てる彼女と、撃てない自分の違い。 覚悟の違い。 (俺がヘリを選んだのは、こんな時に篭って震える為じゃねぇ!) トラウマを克服出来たわけじゃない。だからこんな物に乗っている。 しかし、戦いが一人一人の覚悟や決意を待ってくれるような悠長なものではないことはヴァイスも理解していた。 自分に嘘をついて、心の傷を欺きながら、少しだけ戦場に近づく。 コクピットに取り付けられていた待機モードのデバイスを引っ掴むと、ヴァイスは意を決して座席から立ち上がった。 (少しだ! 少しだけ腹を括る! それくらいなら、今の俺にも出来る筈だ!) 手の中のデバイス<ストームレイダー>が、久方ぶりに呼びかける主の命令に応じて真の姿を現した。 第97管理外世界の質量兵器に酷似した形状。 ヴァイスのイメージに応じて、スナイパーライフルの姿を持ったデバイスは戦いの息吹を放っていた。 「こちら、ヴァイス! 緊急事態につき、狙撃による援護に回ります!」 驚くシャマルを押し切り、ヴァイスは<悪魔>との戦闘に参戦した。 「リボルバーシュートォッ!!」 スバルのナックルから放たれた衝撃波がスケアクロウ数体をまとめて吹き飛ばした。 戦って分かったことだが、敵の動きは遅い。 人体の構造に囚われないトリッキーな動きと数だけは脅威だったが、いずれも高い運動能力を持つスバルの脅威には成り得なかった。 横合いから飛び掛ってくる敵の一撃を大きく避け、刃が空しく地面に突き立った瞬間を狙って蹴りを叩き込む。 骨格を持たない体がグニャリと折れ曲がり、次の瞬間吹っ飛ぶ。 リボルバーシュートで吹き飛んだ仲間と同じく、そいつは地面を転がった。 しかし、人間ならば悶絶する一撃を受けても、奴らは意識を失うことなどない。 無数の蟲が寄り集まって人の形を取っているだけの存在に、一つの意識などというものが存在するかははなはだ疑問だが。 「ダメだ、キリがないよ!」 「威力が足りないだけよ、腰が引けてるわ! もっと踏み込んで、スバル!!」 一撃を与えることは容易いが、ダメージらしきものを感じない敵の動きに焦るスバル。それをティアナが叱咤した。 今のスバルの動きはティアナの目から見ても精彩を欠いている。 反してティアナの攻撃は冴えに冴えていた。 両手が火を吹く。二人を包囲するように動く敵の最中へ、ティアナはクロスミラージュの魔力弾を次々と送り込んだ。 衝撃波特有の広い範囲と浅い貫通力を持つリボルバーシュートとは反対に、ティアナの形成する魔力弾は小さく硬い。 布の防御を易々と突き破り、内部の蟲を消し飛ばして、確実にダメージを刻み込んでいった。 ズタズタに撃ち抜かれた目標から順番にスケアクロウは消滅していく。 出血のように内部の蟲の死骸が穴から噴き出し、最後は粉々に破裂四散して、グロテスクな死に様を晒していった。 「スバル、もっと動いて! アンタのスピードなら、こんな奴ら敵じゃないのよ!?」 「期待してもらってるところ悪いけど、これで精一杯だよ!」 互いに交わす軽口。しかし、応じるスバルの声には少しずつ余裕が無くなってきている。 単純な攻撃力ならば、ティアナよりスバルの方が優れていることは自他共に認めているのに。 ―――やはり、スバルは<悪魔>を相手にして竦んでいる。 ティアナは冷静にそう結論付けて、内心で舌打ちした。 予測し辛い敵の攻撃や、その数の多さもプレッシャーになるだろうが、そもそも思い切りの良さがウリのスバルにそんな理由は副次的なものとしか思えない。 彼女は、ただ<悪魔>を怖がっている。 それが<悪魔>と戦い慣れた自分以外の人間が持つ普通の感覚なのか、ティアナには判断出来なかったが、状況が芳しくないことだけは理解出来た。 「とにかく、敵を倒すことに集中して! ガジェットまでやって来たら厄介なことになるわ!」 「わ、分かってる!」 足を砕いて転倒させた敵に銃弾を撃ち下ろしながら警告するティアナに、しかし返す言葉は頼りない。 仕方がない。 スバルが戦えないのなら、自分が戦う。 単純な道理だった。 「OK! なら、あたしが踊ってあげるわ―――!」 闘争心に満ちた獣が牙を剥くように口の端を吊り上げ、ティアナは嬉々として<悪魔>の群れを睨み付けた。 つい先日も感じた高揚だ。昔は何度も感じていた。 初めての生娘じゃない。<悪魔>を狩るのは得意だ。 ティアナは『いつものように』敵中へ自ら突っ込もうと足に力を込め―――不意に脳裏を走り抜けた。 自分が戦う時、いつも無意識に思い描いていた<不敵な笑みと赤いコート>の姿とは別に、<揺るがぬ瞳と白い外套>の姿が。 『チームの中心に立って、誰よりも早く中長距離を制する―――』 自分の積み重ねてきた戦い方に間違いは無い。 そう確信しているが、訓練で何度も教えられた教導官の言葉が、突撃しようとするティアナの足を止めた。 戦うのはいい。その為に自ら前に出ることも。 でも、それじゃあ今本調子じゃないスバルは? 『前だけを見ないで。一度足を止めて、視野を広く持てば、周りの仲間の動きも見えてくる。そして味方を活かすの―――』 ティアナは自分一人で戦うことを選ぶと同時に、無意識にスバルを切り捨てようとしていたのだ。 それに気付いた瞬間、愕然とした。 リスクを背負って前に出ることは、ただ自分の覚悟の問題だと思っていた。 その結果、残された相棒がどうなるのか忘れていた。 圧倒的な力を持つダンテと共に戦った昔とは違うのだ。あの時の経験は自分の中で確かに自信となっているが、今ここに立つ自分は勝手気ままな子供ではない。 機動六課の一員であり、スターズ分隊のセンターガードの任を与えられた管理局員だ。 ただ敵を倒すだけじゃない。仲間と共に戦い、任務を果たす義務がある。 その責任を背負う自覚と覚悟をするだけの歳は重ねてきた。 『貪欲になることはいいことだよ。でも、強くなることは自分を追い詰めることじゃない―――』 昂ぶり、熱くなった頭が急激に冷えるのを感じた。 「―――スバル、もう一度リボルバーシュート!」 「え!? ……了解!」 突然のティアナの言葉にも、スバルは反射的に従った。 解き放たれる衝撃波が数体の敵を巻き込んで、混沌としつつある戦場を一掃する。 しかし、やはりそれは敵を倒す決定打には成り得ない。地面に叩きつけられたスケアクロウは、ノロノロと次々に起き上がってくる。 ―――その無防備な瞬間を、ティアナの正確無比な射撃が狙い撃ちにした。 「ティア、ナイスショット!」 「作戦変更! スバルは動き回って、敵を引っ掻き回して! アイツらじゃあアンタのスピードには追いつけないわ! 援護とトドメはあたしがやる!」 「了解っ!!」 倒した敵の数こそ数体だったが、その一撃は戦いの流れを変えた。 これまでとは違う、互いに要所でカバーし合う方法ではなく、一方が一つの役割に徹する新しいコンビネーション。 ティアナの強力な援護を得たと確信した途端、動きに迷いの無くなったスバルが思う様駆け抜け、後方からティアナが射的ゲームよろしく敵を狙撃する。 「どりゃぁあああっ!」 ミスショットなど一度も無く、連続して炸裂する魔力弾の音に勇気付けられたのか、スバルの声に力強さが戻った。 抉り込むようなリボルバーナックルのブローが敵の腹を打ち破って、黒い中身を撒き散らしながら宙へ跳ね上げる。 空高く舞い上がった標的を、ダメ押しにティアナの射撃が貫いた。 流れを味方に付け、順調に撃破数を重ねていく中で、左手のクロスミラージュのカートリッジが尽きた。 「リロードに入るわ! 援護、少し薄くなるわよ!」 「了解!」 一度勢いのついたスバルは簡単には止まらない。 もはや、ティアナの援護に後押しされまでもなく、彼女は自ら駆ける。 右の火力を維持しながら、ティアナはバレルカートリッジをパージして、左腰のパウチにある予備のバレルを装着しようと腕を下げた。 その時。 『スターズF、そちらにガジェットが接近しています! まもなく接敵距離!』 「く……っ!」 シャマルの切羽詰った報告が、ティアナを一瞬動揺させた。 グリップとバレルがガチッと噛み合う音と、ほぼ同時に木々の間を抜けて一機のガジェットが飛び出してくる。 迎撃は。間に合う。 間に合う、が。AMFを思い出した。咄嗟の一撃でフィールドを撃ち抜けるか? 確実さを欠いたギャンブルの一発にティアナは歯噛みしながらも魔力を可能な限り集束する。 それを放とうとした瞬間、馴染みの薄い射撃音と共に空中のガジェットがその身に弾痕を刻んで爆発四散した。 スバルではない。全く予想だにしなかった援護の射線を追ったが、その先にあったのはホテルだけだった。 「今のは!?」 『―――こちらヴァイス。増援は任せろ。離れた敵を優先して、俺が狙撃する』 「ええっ、ヴァイス陸曹!?」 スバルの上げた驚愕の声は、ともすればティアナも漏らしてしまいそうだった。 援護も予想外なら、それを行った人物自体予想外だ。 一瞬で着弾した魔力弾の弾速から、自分と同じ誘導性を削った集束率を見出したティアナは、それをホテルからの距離で正確に当てたヴァイスの腕前に戦慄した。 ティアナの命中精度も相当高いが、それと狙撃では必要とされる技能が全く違う。 「すごい……」 思わず感嘆が漏れた。 これまでの自分の戦い方に疑問を持ちはしないが、新しい見方が増えた気がする。 足を止め、敵を見据え、そして撃つ―――これを極めれば、きっと自分はもっと強くなれる。 「おっしゃぁああー! 待たせたな、雑魚どもォ!!」 間髪入れずに幾つもの鉄球が流星のようにスケアクロウの群れに降り注いだ。 ガジェットに遅れて駆けつけたヴィータのシュワルベフリーゲンが一撃で一体、威力に物を言わせて敵を引き裂く。 スバルとティアナの前に降り立つ真紅。 小柄な上司は、その身にそぐわない圧倒的な力強さを以って敵の群れを一瞥した。 「……オメーら、よく持たせたな。こりゃぁ、あたしのお守りなんて必要ねぇか」 肩越しに振り返り、悪戯っぽく笑うヴィータに対して、ティアナも思わず苦笑を浮かべる。 「いえ、援護感謝します」 「相変わらず固い奴だな。知ってるか? なのは隊長は部下のそんな態度に結構傷付いてるんだぜ」 「この任務が終わったら、善処しますよ」 「なんだ、今日は素直じゃねーか」 「いろいろ思うところがあったんです」 ヴィータは深く尋ねなかったが、自然と二人の間には訓練の時に出来た溝はなくなっていた。 先ほどの一撃でスケアクロウの数は随分減り、周囲を見回す余裕の戻り始めた状況でスバルがヴィータの傍に駆け寄る。 「ヴィータ副隊長、ガジェットの方は!?」 「おう、シグナム一人で全部抑えられるとは思えねぇ。すぐに来るぞ」 『来たわ。寄生型ガジェットが3体、正面から来ます!』 シャマルからの正確な情報が飛び込み、三人はすぐさま身構えた。 援護のヴァイスを加えた四人の中で、自然とティアナが指示を下す。 「ヴァイス陸曹は<アンノウン>への狙撃をお願いします!」 『了解、任せときな!』 「接近するガジェットに対しては、まずあたしが先行射撃を加えます! その後は―――」 「よし、射撃後三秒で突撃すっぞ! いいな、スバル!?」 「了解!」 淀みなく打ち合わせを追え、ヴァイスの狙撃が小気味よく周囲の敵を吹き飛ばす中、ティアナはカートリッジをロードした。 足元に展開される魔方陣。増加した魔力と鍛え上げた技術で周囲に10発を超える高出力の魔力弾を形成する。 「いきます! <クロスファイアシュート>―――Fire!!」 空中に姿を現した寄生型ガジェットの不気味な姿を捉え、それに向けてティアナは全力射撃を叩き込んだ。 爆裂する閃光と煙。その中でまだ尚蠢く影に向けて、青い影と赤い影が突撃していく。 圧倒的不利な状況下で始まった戦闘は、しかし今や人間の勝利で終わろうとしていた。 戦いの最中、ティアナの手に残った新しい力の片鱗を感じさせる感触と共に。 「―――全滅した」 戦いの音が途絶えたホテルの方向を見つめ、ルーテシアが簡潔に戦闘の結末を告げた。 同時に彼女の足元で広がっていた暗黒の空間は波が引くように消えていく。 ルーテシアの言葉がガジェットと悪魔の全滅を示すことだと、ゼストは理解していた。 こちらの敗北に終わった結果だが、どんな形にせよこの少女が闇の力をこれ以上使い続けなくても良いというのは望ましいことだ。 「そうか。目的が達せられたかは分からないが、もう我々が関わる必要もないだろう」 「ん」 ゼストの渡す外套を羽織り、ルーテシアは小さく頷く。 「ここまで手が届くは思えんが、早くこの場は去った方がいい」 元々気の進まないことだっただけに、さっさとルーテシアを連れてここを離れたかった。 あのホテルにいる筈の協力者とやらもゼストにとっては得体の知れない存在だ。 あえてその情報を渡さないスカリエッティ本人も含めて、全く信用の置けない者ばかりだった。 ルシアを数少ない信用の置ける者達を除いて、積極的に関わりたいとは思わない。 「ルシアは?」 「もうこちらに向かって来ている。あとで合流する」 「わかった」 「さて、お前の探し物に戻るとしよう」 ルーテシアを促し、踵を返す。 「……む?」 何の前触れも無かった。 その瞬間、ゼストが異変を察知できたのは歴戦の勘と、何より長くルーテシアと付き添うことで磨かれた闇の気配への感性だった。 僅かな違和感に振り返った時、ゼストの視界に異様な光景が飛び込んできた。 何も無い場所にポツンと、黒染みのような『影だけ』が広がっている。 「―――ッ! ルーテシア!!」 咄嗟に少女の体を自分の元に引き寄せた。 僅かな違和感はあっという間に巨大化し、凶悪な獣の形となって二人に襲い掛かった。 地面に広がる影から、まるで『物に影が出来るのではなく影から物が出来るのだ』と言わんばかりに真っ黒な豹の化け物が飛び出す。 間違いなく<悪魔>の一種だった。 襲い掛かる影の化け物。僅かなヒントと一瞬の判断を間違えなかったゼストは、幸運にもその攻撃からルーテシアを守ることに成功した。 つい先ほどまでルーテシアのいた場所を<悪魔>の爪が薙ぎ払う。 ルーテシアを抱えたまま、ゼストは慌てて距離を取ろうとしたが、敵は間髪入れずに追撃を仕掛けてきた。 影そのもので構成された獣は、開いた口を巨大化させて、二人まとめて喰らい尽くそうと跳ねる。 「ちぃ……っ!」 悪態は迫り来る死の影に何の意味も無く。 ゼストは腕の中のルーテシアを庇うように、敵の前に自らの体を差し出して盾にしようとした。 しかし、覚悟を決めても体の一部を失うような激痛はやって来ない。 「お前たちは……」 視線をやれば、代わりに敵が吹き飛ぶのが見えた。 二人を救ったのは、何処からとも無く現れた二匹の白い狼だった。 文字通り『何処から』とも無く―――ルーテシアの足元に一瞬広がった影の中が、この世に存在する『何処か』である筈が無い。 対峙する黒い豹と相対してルーテシアとゼストの前に立ち塞がった二匹の白い狼は、やはり<悪魔>に類する者だった。 「ありがとう―――<フレキ><ゲリ>」 ルーテシアの抑揚の無い言葉に、二匹の狼は僅かに顎を動かして応答した。 この二匹も<悪魔>には違いない。 ルーテシアは<悪魔>を使役するが、その支配は完全ではなく、奴らにとって人間は等しく生贄だ。また、この二匹には別に主が存在する。 しかし、そんな<悪魔>の中でも、この二匹の狼は比較的マシな方だとゼストは認めていた。 少なくとも、この二匹はルーテシアを守ろうとしている。 互いに威嚇する唸り声を上げ、白と黒の<悪魔>が睨み合う拮抗状態が展開された。 条件は五分だ。なんとかして、この状況から抜け出さなくてはならない。 ゼストは素早く思案し―――拍子抜けするほどすぐに変化は起こった。 「ゼスト! ルーテシア!」 木々の間から人影が飛び出す。 駆けつけたルシアは拮抗した状況の中、一瞬で黒い塊を敵と判断すると、空中で全身を錐揉みさせながら遠心力の乗ったダガーを投げ放った。 銃弾に匹敵する加速を得た刃は敵の眉間に突き刺さる。 生身とは思えない姿では、その一撃がダメージを与えたかまでは判断出来ないが、攻撃を受けた敵はあっさりと身を足元の影に沈めて消えていった。 「―――去ったか」 脅威が消えたことを確認して、二匹の狼もまた霞のように消滅していく。 彼ら<悪魔>には時間も場所も関係ない無く―――ゼストは改めてこの不可思議な存在に戦慄した。 「ゼスト、今のは?」 「ルーテシアが呼び出した<悪魔>ではないな」 周囲を未だ警戒するルシアにゼストは答える。 二人の間で、珍しくルーテシアが口を開いた。 「……私以外にも、<悪魔>を召喚できる人がいる」 「本当か?」 「さっきと、私が召喚した時も、何かと共鳴した。あのホテルに―――」 「なんてことなの……」 ルーテシアの指差す先。ホテルにいるらしい、もう一人の悪魔召喚師を思い浮かべて、ルシアが吐いたものは悪態などではなく、ただはっきりと憐れみだった。 敵であろうと味方であろうと、まともな人間が<悪魔>と関わって不幸にならない筈が無い。 今のルーテシアがそうであるように。 ルシアとゼストは互いの顔に浮かぶ悲痛な表情を見合わせ、諦めたようなため息を吐いた。 一体、<悪魔>は何処まで自分たちに付き纏うのか? 「……さあ、もう行きましょう」 重く沈む空気を捨て置き、ルシアは二人を促した。 また追撃が迫る前に、この場を離れなければ。 三人はまたいつもように寄り添って森の奥へと消えていった。 「そういえばルシア、随分と速かったな」 「警備の人間が予想以上に健闘していたわ。私が手を出したのは、ほんの少しだけよ」 「なるほど。管理局も、なかなかやるようだ」 「いずれ、私達とぶつかることになるかもね」 「かもしれんな」 「―――キャロ? キャロ、大丈夫?」 「……エリオ君」 なんだか我武者羅なままに戦闘は終了した。 二度目の戦闘は初めての時と同じ緊張の連続で、しかしただ一つ違うことは集中出来たことだった。 恐れ戦き、動けなくなることはない。自分の力で戦い抜けたことが、今のエリオには誇らしい。 しかし、共に戦った少女が虚空を見据えたまま微動だにしないのを見て、エリオは緩んでいた気を引き締めた。 「ひょっとして、まだ何かいるの?」 キャロには自分には無い力がある。 それは、エリオが漠然と感じていることだった。 死んでしまいそうな儚さと、全てを圧倒するような力を同居させる不思議な少女の存在は、エリオの中で知らず大きくなっている。 「ううん、大丈夫。あのピエロみたいな敵はもういない―――と、思う」 根拠を話せないのに断言するものおかしいかな? と思い、キャロは付け加えた。 「そっか」 「うん。ただ、逃がしちゃったな、と思って」 「逃がした?」 「敵を」 その言葉の真意を、エリオは全く誤解した。 夢中で戦い続ける中で、敵を一匹残らず倒せたか確信は無い。おそらく、何匹かは逃げたのだろう。 キャロはそれを指している、と―――。 しかし彼は知らない。 キャロが、この襲撃の一因となる者達に、あとわずか指を掛け損なっていたという事実を。 (わたしと同じ、<悪魔>の力を持つ人……) 自分の影に戻ってくる<シャドウ>が怒りの感情を燻らせているのを感じ、キャロはぼんやりと思索した。 仲間意識なんて感じない。 今は見ぬ<悪魔>の力を使う同胞に対して抱く感情があるとすれば、それは僅かな畏怖であった。 あの列車の一件以来、この力を不必要に恐れることは止め、使うことを覚えたが、当然のように頼もしさや自信なんて欠片も感じはしなかった。 相も変わらず<悪魔>は恐ろしく、おぞましい。 今も命令にこそ従うが、明らかな不満と指定した獲物をただ屠殺することだけを欲する闇の獣は、人が従えるような存在では決して無い。 ―――心なんて許せない。気を緩めれば、その瞬間殺される。 だからこそ、あれほど多くの<悪魔>を召喚し、使役した敵に対して、キャロは畏怖しか感じなかった。 (きっと、その人はわたしとは違う) <悪魔>を恐れていないのだろうか? <悪魔>を愛しているのだろうか? いずれにせよ、自分とは違う<悪魔>との関わり方を持つ相手だ。 もし、これから先その人と顔を合わせることがあったら、一体どうなってしまうのか自分自身でも分からない。 「……敵で、良かったのかも」 キャロは思わず本音を呟いていた。 どんな相手にせよ、敵なら分かりやすい。殺し合いをすればいいだけだから。 「エリオ、キャロ。よくやった。周囲の敵はこれで一掃されたようだ」 先行してガジェットを狩り続けていたザフィーラが戻って来て、幼い二人を労った。 今や、彼は二人の認識を完全に改めている。 彼らはベルカの騎士が認める戦士だった。 「スターズ分隊も戦闘を終了している。これより合流するぞ」 「あの、フェイト隊長達の方は……」 「連絡待ちだ。あの二人なら問題はないだろうが、合流後も連絡が取れなければ、おそらく副隊長陣が突入することになるだろう」 「たぶん、大丈夫だと思います」 「む? ……キャロがそう言うなら、そうかもしれんな」 根拠の無いキャロの言葉にも、ザフィーラは納得して見せた。 彼もキャロの独特の感性は知っている。 レアスキル持ちは理屈では説明できない能力を持つ者も多い。断定は出来ないが、キャロの保証は少なからずなのは達の身を案じていたザフィーラとエリオを安堵させた。 「……あれ?」 三人連れ立って合流地点へ向かう中、最後尾を歩いていたエリオはふと地面に光る物を見つけた。 駆け寄り、それを拾い上げる。周囲に散乱したガジェットの残骸の最中にソレはあった。 「ナイフ……」 矢じりのような刃と、握って振るうことを目的としていない細い柄。 投擲用のスローイングダガーだった。 異様と言えば異様な物が転がっていた。 単純な金属物であるダガーを扱う者などこの場にはいない。 ガジェットの武装であるはずもなく、仮に第三者がこの場に居たとしてもこの武器を使う者が単なる魔導師や魔法生物であるはずがなかった。 「エリオ、何をしている?」 「あ、はい! 何でもありません、すぐ行きます!」 ザフィーラの呼び声がエリオの意識を呼び戻し、答えの出ない思考は中止された。 一先ず、拾ったダガーを懐に収め、エリオは慌てて二人の後を追った。 「ホテル周辺、敵影ありません」 幾つもの報告が飛び交っていた司令室に、最も望まれる一言が告げられる。 突然の奇襲に始まり、混戦気味の戦闘で絶えず緊張感を強いられていたオペレーター達にようやく安堵の色が広がった。 つい先ほど、簡潔だがなのはから内部での戦闘が終了した報告も受けている。 しかし、一つの山を越えた穏やかな空気の中で、ただ一人グリフィスだけが周囲とは全く反対の方向へ表情を変化させていた。 「八神部隊長に通信を繋げ! 早く!」 凛とした声は緊張感を失わず、むしろそこに焦りすら加えられていた。 「えっと……特に部隊長から指示は出ていませんが」 「だから、こちらから繋げと言っているんだ!」 困惑するオペレーター達の遅々とした反応に、グリフィスは珍しく苛立ったような態度を示す。 慌ててコンソールを操作し、通信を担当したルキノはようやく異変に気付いた。 「あ……っ、通信繋がりません!」 「ホテル内の敵影をもう一度調べろ! 一番近いのはヴィータ副隊長だったな、すぐに『救護』に向かわせるんだ!」 最初にはやてと通信を交わした段階で、彼女の言動に違和感を感じていたグリフィスは現状を既に想定していた。 だからこそ、戦闘の最中最も苦心したのは、戦力を割いてはやてを救いに行くよう命令を下すことを自制することだった。 「『救護』って……部隊長、襲撃されてるんですか!?」 「十分考えられるだろう? 外を襲った<アンノウン>もホテルから出てきたんだぞ。とにかく、部隊長の無事が確認できるまで最悪を想定して動け!」 「でも、部隊長なら自分の身を守るくらい……」 「バカヤロウ! 部隊長の魔法特性を知らないのかっ!? 室内戦で戦える人じゃない!」 おそらく初めて聞くグリフィスの怒声に、ルキノは思わず身を竦めた。 普段の穏やかな物腰を一切無くした余裕の無いグリフィスの様子を見て、全員がようやく緊急事態を察する。 慌てて各々が行動しようとする中、不意に通信モニターが開いた。 『アロー、聞こえますか? 窓から見たけど、戦闘は終了したんかいな?』 「八神部隊長!!」 バリアジャケットを纏っているが、変わりないはやての顔がモニターに映し出されるのを見て、その場の誰よりも大きなグリフィスの声が響いた。 いつの間にか、傍らにはリインも浮いている。 「は、はい! 戦闘は終了しました。こちらに損害はありません。ホテルの人員に関しては、まだ調査待ちです」 『ごめんごめん、ちょっとさっきまで立て込んでてな。戦況把握出来てへんねん』 「付近に敵は? 救援は要りますか?」 『あらら、やっぱりグリフィス君にはバレてたのねん』 努めて冷静にはやての様子を伺っていたグリフィスは、負傷の様子も無いことを確認して、ようやく本当に安堵のため息を吐くことが出来た。 はやてのテンションが少し高いことを除けば、切羽詰った様子は見られない。状況は安定したのだろう。 「……貴女の考えを知ることが、僕の任務ですよ」 グリフィスは苦笑しながら、少しだけ皮肉交じりに言って返した。 『相変わらず殺し文句上手いなぁ。愛してるよー、グリフィスきゅん!』 『……すまないね。心配かけまいとしているが、本当に危なかったんだ』 不意に、はやて以外の男の声が通信に割り込んだ。 モニターを共有して現れたのは、オークションの参加者とも思えるようなスーツ姿の麗人だった。 機動六課にとって多少なりとも関わりのあるその人物の登場に、グリフィスは驚愕する。 「ヴェロッサ=アコース査察官!?」 『や、グリフィス君。なかなか素敵な台詞だったよ。今度ご教授してくれ』 はやての副官として働く中で、グリフィスはヴェロッサとの面識を得ていた。 「アコース査察官が、部隊長を?」 『ああ、保護したよ。例の謎の襲撃者に関連する<アンノウン>だね。なんとか駆逐出来た』 『あー……ごめんな、グリフィス君。心配掛けて』 先ほどまでの、何かを誤魔化すような騒がしさは身を潜め、はやては苦笑を浮かべながら言った。 グリフィスが自分の陥っている事態を察し、その上でこの状況で正確な指揮を執ってくれるという信頼があった。 しかしそれは、彼の心配を知って無理を通したのと同じことだ。 隊長としても、一人の人間としても、自分の命は自分だけのものではない。はやてはそれを自覚していた。 「いえ、無事ならそれで結構ですよ。―――近隣の観測隊に通達を出し、念の為周辺の森林を探ります」 『うん、お願いな。救護隊への通達は?』 「すでに済んでいます」 『なら、私はこのままアコース査察官と一緒にホールへ向かってなのは隊長達と合流するわ。応援が来るまで、部隊は警備を続行な』 「了解しました」 『ところで、グリフィス君』 「はい?」 『さっき、チラっと見えたのはデレっちゅーことでええ?』 「通信終わります」 冷たく通信を切り、シャリオ達の忍び笑いを聞き流しながら、グリフィスはようやく普段の機動六課の空気が戻ってくるのを感じた。 戦闘が終われば、ホテルの周辺は拍子抜けするほど平穏を取り戻していた。 相変わらず<悪魔>どもは倒れた後に一切の残骸を残さない。 息も出来ないほどの大乱闘を繰り広げたと思ったのに、実際に残るのは木や地面に刻まれた破壊の跡と散らばった鉄屑だけだ。 「あたしは地下駐車場を見てくる。オークションの品物が一部、まだあそこに置いてあるはずだ」 簡潔に警備の続行を命じて、ヴィータはスバルとティアナに告げた。 再び新人達を残していくことに僅かな不安を感じるが、未だ興奮冷めやらぬスバルはともかく冷静なティアナには任せてもいいと思った。 「警備員がいるはずだけど、一般のだからな。あの化け物どもが残ってたら逆にやべえ。お前らも、まだ油断すんなよ?」 「了解。ライトニング分隊と合流後、少し周囲を散策します」 「あの、なのはさ……隊長は?」 スバルはなのはの安否というよりも、ただなんとなく声が聞きたいなと思って尋ねた。 戦っている時は夢中だったが、あの不気味な敵との遭遇で心臓は今もドキドキ言っている。 自分でもよく分からないが、記憶の奥にある何かが、あの化け物の放つ雰囲気と共鳴して恐怖を生み出しているのだ。 「ホールも結構メチャクチャらしいからな。フェイトは残って、なのはだけこっちに向かってるよ」 「そうですか。よかった……」 戦闘員にあるまじき安堵の笑顔を見て、ティアナは『油断すんな』と釘を刺した。ついでに頭にクロスミラージュも刺した。 「戦闘で民間の協力者がいたらしいからよ、ソイツも同行してる。警戒すんなよ」 「協力者?」 「ま、詳しくは後で取り調べだろ? じゃ、あたしは行くからな」 「お気をつけて」 「おう」 後頭部を抑えて悶絶するスバルを尻目に、ヴィータとティアナは先日より幾分壁の無い会話を交わした。 ヴィータが立ち去った後、ティアナは何となく周囲を見回した。 シグナムは、ヴィータと同じく敵の残党を警戒して、森林をチェックしながらこちらに向かっているらしい。 「……敵は、いないみたいね」 「分かるの?」 「勘だけどね」 「なんか、ティアが言うと説得力があるよね」 能天気に笑う相棒を見て、ティアナも苦笑を浮かべた。 「スバル」 「うん?」 「ありがとう」 「え、いきなり何?」 とても貴重な笑顔と素直な言葉を聞き、その理由に思い至らないスバルは焦った。 慌てふためくスバルを尻目に、ティアナは一人、今日までの出来事を反芻する。 長く出会わなかった<悪魔>との遭遇。久しぶりに闇に浸した闘争本能は、知らず自分の心をささくれ立ったものにしていたらしい。 なのはが言っていた。自分は、焦っている。 確かに、そうなのかもしれない。 今日の戦いで掴みかけた新しい感触が、それを自然に認めさせている。 自分はもっと多くの事を学べる。一人ではなく、仲間と共に戦える。 その実感が、ティアナの中にあった気付かない焦燥感を少しずつ消していってくれた。 答えが出るのはまだ早い。しかし、確かにこの手には―――。 「…………なのは、さ」 少しだけ歩み寄ってみようと、小さく囁くようにあの人の名前を口にしてみようとして―――それは運命の悪戯に遮られた。 ホテルの正面玄関が開く。 ティアナとスバルは思わず視線をそちらに向けた。 警備は未だ続行中。敵襲を退けたとはいえ、今はまだ危険な状況下だ。 ホテルの人員には未だ内部での待機を命じられ、ティアナ達にも無断で出る者は強制的に中へ戻す権限が与えられている。 ましてやそれが、オークションの参加客であれば、それは在り得ない筈のことですらあった。 「あの人……」 スバルが呆然と呟いた。 ホテルからまるで当然のように外へ出て来たのは、明らかにホテルの従業員ではない、豪奢な服に身を包んだ男だった。 真っ白なスーツを見せびらかし、黒いブーツの歩みはホテルの襲撃など気にも留めてない。 葉巻の煙を燻らせ、自分が歩く先に何の障害も無いことを微塵も疑わない不遜な態度は、違和感を通り越して呆気に取られるしかなかった。 間違いなくオークション参加者の富豪の一人であり、真っ先に戦闘が開始したホールにいたはずの人間でありながら、怪我一つ無いその男は、二人の護衛を引き連れてホテルから歩き去ろうとしていた。 「あの、ちょっと待って下さい! 危険ですから、中に戻って……!」 慌ててスバルが追い縋るが、相手は声すら届いていないかのように無視して去っていく。 歯牙にも掛けないその姿勢に、スバルは持ち前の性格で怒るよりも一層心配そうに声を掛けた。 「あの、待って……!」 「Freeze(動くな)!!」 刃のように鋭い声が割って入った。 警告というよりも敵意の混じった罵声のような声を聞いて、それを向けられた本人でもないのにスバルは竦み上がる。 先ほどの落ち着いた様子から激変して緊迫感に満ちた相棒を、スバルは振り返った。 「ティ、ティア……どうしたの? 危ないよ、降ろして!」 ようやく足を止め、しかし背は向けたままの男に向けて、ティアナはあろうことかクロスミラージュを向けていた。 二人の護衛が静かにティアナの方へ向き直る。 しかし、ティアナは決してデバイスを納めようとはしない。 「デバイスなんてやりすぎだよ! あの人は一般客なんだから……」 「こっちを向け! 従わないと撃つわよ!」 突然の豹変に驚き、更に続く言葉を聞いてスバルは今度こそ顔面蒼白になった。 守るべき一般人にデバイスを向けた上、射撃の警告まで突き付けている。正気とは思えない。 そして、だからこそ混乱した。 普段は冷静沈着なティアナがなぜこんな暴挙に出るのか? あまりに唐突で、あまりに意味不明だった。 完全に思考のショートしたスバルは、ただひたすらティアナと男の間に視線を往復させる行動しか取れなくなった。 「―――君は、管理局員か?」 背を向けたまま、男は尋ねた。 見た目通りの、重苦しく、力に溢れ、同時に力の無いものを嘲る意思を含んだ声色だった。 人を圧迫する声だ。 それが理由かは分からないが、険しいティアナの表情が更に皺を刻んだ。 「問題だな」 答えを聞くまでも無く、呆れるように吐き捨てると、男はそのまま歩みを再開した。 「動くなって言ってんのよ!」 ヒステリックに叫び、ティアナは本当に撃った。 スバル以外の誰が見ても目を疑う行動。 狂気の弾丸は真っ直ぐに男を狙い―――瞬時に射線へ割り込んだ護衛の一人が、あっさりと魔力弾を弾き散らした。 いつの間にか両手に携えた曲刀が、波打つような形状の刀身に魔力光を帯びて虚空へ突き出されている。 ティアナの魔力弾の弾速に反応し、その貫通力を相殺してみせた、護衛の力と技だった。 もう一方の護衛がティアナに向けて刃を向ける中、男はようやく振り返ってみせた。 「驚いたな。本当に撃つとは……」 言葉とは裏腹に、男の鋭い瞳はこの世の全ての物事に無関心だった。 その瞳を、ティアナは無尽蔵の敵意を持って睨み据える。 「何のつもりかね、君は?」 「あたしの名前はティアナ=ランスター」 「ふむ、知らんな」 ティアナの名乗りが一体どういう意味を持つのか『本当に、心底心当たりがない』といった様子で男は呟いた。 その言葉に、ティアナは笑みを浮かべた。 リラックスや友好とは全く正反対の、獣が殺意と共に牙を剥き出しにする時と同じ行動だった。 「6年前、アンタが起こした事件で死んだ……アンタが殺したティーダ・ランスター一等空尉の妹よ―――<アリウス>!!」 血を吐くような叫びが木霊し、傍でそれを聞いたスバルは愕然とティアナを見つめた。 自分を見つめる激昂した少女の視線と、その魂の叫びを聞き届けたアリウスは、一つだけ頷く。 「知らんな。他所を当たってくれ」 納得でも疑問でもなく、アリウスの感想はただそれだけだった。 話は終わったとばかりに踵を返し、何の躊躇いもなく歩き去る姿。その背に護衛も付き従う。 ああ、そうか……。 ティアナは、そのいっそ清々しいとも言える無関心さに、それまでのゴチャゴチャした思考は綺麗さっぱり無くなっていた。 前触れも無く仇を目の前にした動揺。 意思に反して体を突き動かす憎しみの衝動。 引き金に掛かった指を止める理性。 自分の行動に対する混乱。 ただ一つの疑問。 何故、兄を―――? そんなあらゆるものが心からすっぽり抜け落ちた。 自分を路傍の石としか見ていないような、一切躊躇いのない歩みを見送って、ビックリするほど静かに悟る。 ああ、そうか。 ―――コイツは、もうここで殺していい。 「アァァリィウゥゥゥゥーーースッ!!!」 ティアナはその瞬間、正義や仲間の為ではなく、ただ憎悪の為だけに引き金を引いた。 荒れ狂う憎しみを表すように、暴走染みた出力で放たれた魔力弾はプラズマを撒き散らして、無防備なアリウスの背中に殺到する。 しかし、今度は突如出現した巨大な炎の壁に防がれた。 「何っ!?」 アリウスとティアナ達の間を遮るように地面から噴き出した爆炎は、それ自体が物理的な防御力を持つかのように、飛来した魔力弾を打ち消す。 尋常ではない現象に、ティアナとスバルが共通した抱いた感覚は、やはり<悪魔>の出現と同じものだった。 そして、それは正解だった。 轟々と唸る炎の音がそのまま獣の唸り声へと変化し、それに合わせて形を持たない炎が独りでに捻れ、束となって人型を形作る。 現れたのは、人の体と牛の頭を持つ巨大な炎の悪魔だった。 「ア……アレは……っ」 スバルの脳裏にかつての記憶と恐怖が蘇った。 幼い頃、自分に初めて死の恐怖を植えつけた火災の中で見た怪物―――思い出したその姿と寸分違わぬ形でソイツは再び目の前に現れた。 ソイツを目にした瞬間、スバルの中にあった<悪魔>への漠然とした恐怖がはっきりと形になって蘇る。 幼い日に出会ったアレが。忘れていたはずのアレが。 わたしは、怖い。 過去の悪夢との再会にスバルが完全な恐慌状態に陥る中、一方のティアナは具現した上位悪魔の存在には目もくれず、その炎の先を見ていた。 「アリウス……ッ!」 炎の向こうで、あの男が嘲笑したような気がした。 それは、運命の悪戯としか言えなかっただろう。 あるいはこの時の再会が、別のものであったのなら。 この場に居合わせた二人の男の再会のうち、ティアナの想いを知る優しいハンターとの再会であったのなら―――全ては違っていたかもしれない。 彼女の心は余裕を取り戻し、新たな生活の中で手に入れかけていたかけがえのない物を身に付け、一つの成長を遂げていただろう。 だが、そうはならなかった。 ほんの少しの、タイミングの違いでしかなかったが。致命的なまでに。 望まれながらも決して望まれない悪夢の再会は果たされた。 理性は焼き切れ、胸に抱いた義務感は消え、明日を見る為の瞳は光を失った。 今はただ、長年燻り続けていた無念を燃やし、憎しみだけを糧にして、過去を切り裂くのみ。 その手に掴みかけていた<たいせつなこと>は、もはや頭の中から消え去って―――。 ティアナが抱くのは、ただはっきりと―――憎悪。 to be continued…> <ダンテの悪魔解説コーナー> スケアクロウ(DMC4に登場) ちっぽけな虫けらでも、そいつが<悪魔>の一種となったら油断は禁物だぜ。 一匹一匹は便所にたかる蝿にも劣るような奴でも、奴らには常識では計り知れない行動で力を付ける闇の本能がある。 スケアクロウという名前自体は魔界の甲虫に付けられたものだが、ここではコイツらが群れを成して形を取った出来損ないのピエロみたいな人形のことも指している。 布袋に密集して入り込み、まるで一つの意思を持つようにのように行動するのがこの悪魔の正体だ。 完全な一つの意思に統率されていないせいか、動きはフラフラと落ち着きがない。 トリッキーな動きといえば聞こえはいいが、冷静に見れば無駄な動きで隙だらけだ。ダンスの仕方を一から教えてやろうぜ? ただ、やはりその数と、肉体を持たないせいか一撃では致命傷になりにくい特殊な耐久性が曲者と言えば曲者だ。 それでも雑魚には違いない。ビビらずに、中の害虫をくまなく駆除してやるとしよう。 まあ、殺虫剤が効かないところが普通の虫よりちょいと厄介なところだな。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/412.html
Don't lose yourself(前編) ◆gFOqjEuBs6 ――どこだ? ここは 真っ暗な闇の中で、始は意識を取り戻した。 まだぼんやりとした意識で、今までに起こった状況を整理する。 始の記憶の中での最も新しい情報を呼び覚ます。 そうすることで、段々と記憶が蘇る。 始は確か、市街地で一人の男と戦っていた筈だ。 それは、神を名乗って、殺戮を繰り返す半裸の狂人。 雷を使って、自分と戦う姿が。男の気味の悪い高笑いがフラッシュバックする。 次に感じた疑問は、自分は今どういう状況にあるか。 男と戦っていたはずの自分が、どうしてこんな真っ暗な空間にいるのか。 始の周囲には何もない。あの男はおろか、建物も何もない。 前後左右、どちらを向いても永遠に続く真っ暗闇。 そこで気付いた。自分はそもそも目を開いていないのだ、と。 しかし、目を開けようにも、瞼に力が入らない。 なら身体は? 身体は動くのだろうか? 腕に力を入れる。しかし、反応はしない。腕が動いた気がしない。 それらを踏まえて考えた結果は一つ。 始は負けたのだ。あの狂人に、ビルから叩き落されて。 込み上げてくる悔しさから、拳を握り締めて、己の不甲斐なさを呪う。 護ると誓ったのに。あの家族を護るために戦うと誓ったのに、自分はあんな奴に負けてしまった。 そんな始を嘲笑うように、今度は誰かの声が聞こえてくる気がした。 『ジョーカー……ジョーカー……』 その声は、気味の悪い声で何度も、何度も名前を呼んでいた。 どこかで聞いたことのある声が、始の頭の中で響いている。 忌々しい声を振り払おうと、始は頭を揺さぶる。 されど、声は止むことなく始に語りかける。 ――俺と戦えというのか。 始は頭の中で呟いた。 何度も始を呼ぶそいつは、始と決着を付けようとしているのだろう。 そうだ。この声には聞き覚えがある。 あの雪山での戦いで、とうとう決着を付けられなかった敵の声だ。 その声の主はまさしく、ダイアのカテゴリーキング――ギラファアンデッド。 カテゴリーキングの声が、何度も何度も俺を呼ぶ。 戦え、戦えと。逃れられない運命に従うままに、その忌々しい名前を呼び続ける。 そこまで決着を付けたいと言うのなら、始に逃げる理由など存在しない。それこそ望むところだ。 その声はもしかしたら幻聴なのかもしれないが、そんなことは関係ない。 ギラファアンデッドが始と戦いたがっているのは恐らく事実なのだろう。 相手が戦いを求めるのなら、始はそれに応える。そして、恒久的な闇へと封印するのみだ。 ギラファアンデッドの声に呼び覚まされるように、始は全身の感覚が戻ってくるのを感じた。 瞬間、始ははっと目を開き、飛び起きた。 自分に掛けられた薄い毛布を払いのけ、周囲を見渡す。 見る限りどこかの医務室だろうか。微かな薬品の匂いと、自分の周囲に設置された器具からそう判断する。 自分の腕を見れば、ご丁寧に包帯まで巻かれていた。 怪訝な表情を浮かべながら、始は自分の腕をぼんやりと眺めていた。 ふと、始が寝ていたベッドから離れた場所で、音が聞こえた。 それは、ガタッ、と。何者かが椅子から立ち上がるような音。 始は、突然聞こえた物音に視線を向ける。 紺色のショートカットの女が、銃を携えて立っていた。 その傍らには、金髪に眼鏡を掛けた女が一人。 こいつらには、確かな見覚えがある。 そう。それはつい数時間前、自分が襲った人間達。 命を刈り取るために、カリスになって襲った人間達だ。 ◆ 時は数時間前へと遡る。 相川始を背負ったギンガ・ナカジマは、実に一時間という時間をかけて目的の場所へと移動した。 その目的地とは、言うまでもなくインテグラル卿の待つHELLSING本部。 しかし、真っ先に目指すのはインテグラル卿の待つ地下牢ではない。HELLSING本部内の、医務室だ。 その理由も最早説明するまでもないだろう。先刻自分が見つけ、保護したこの青年の治療をする為だ。 医務室にたどり着いたギンガは、備え付けられたベッドに、始を寝かせる。 始が持っていたデイバッグと、自分の持っているデイバッグをベッドの脇に置くと、まずは戸棚の中から消毒液を取り出した。 まずは怪我を治療することが先決だと判断したからだ。 だが、ギンガはここで驚愕することとなる。 「これは……傷が無くなってる……?」 先ほど見た時は確かに火傷の傷だらけだった。 されど、現時点での男の身体は、黒い煤さえ残っているものの、火傷らしき痕が一つも見当たらないのだ。 それはどういうことか。いくつかの理由がギンガの脳裏に浮かぶが、やはり最終的に思い当たる理由はただ一つ。 この男は、自分がここまで移動するまでの一時間で回復したのだ。 その理由として最も考えられるのは、“この男も人間ではない”という単純な理由。 殺生丸さんや、吸血鬼アーカードのような人外の存在が参加させられている以上、それ以外の生物が居ても何らおかしいことではない。 すぐにその考えに至る事が出来たのも、やはり日頃の捜査官としての眼力の賜物だろう。 次にギンガは、打撲していると思しき青紫の痣をいくつか発見した。 恐らく、単純な外傷は回復したが、内部に及んだダメージまでは回復が追いついていないのだろう。 まずはそういった箇所の治療を優先しようと、始の腕を取ったところで、ギンガは気付いた。 (血が黄緑色をしてる……) 所々に残った緑色の液体は、恐らく人外であるこの青年の血なのだろう。 そう考えるなら、この体中を汚す緑の液体の正体にも納得がいく。 消毒液は人間の物しかないが、大丈夫だろうか。そんな不安がギンガの頭を過る。 しかし、悩むのも一瞬。少し不安だが、きっと使わないよりはマシだろう。 血こそ緑色ではあるが、だからといって消毒液が効かない事には繋がらない。 それにこうしている間にも回復が進んでいるのなら、さして悩む事でもないだろう。 打撲した箇所に包帯を巻き終えたギンガは、デイバックからパンとペットボトルに入った水を取り出す。 今度はコップと、医務室の戸棚に入っていた熱に効きそうな薬をいくつか用意し、それらを始の傍らにそっと置いた。 最後に、医務室の冷凍庫に入っていた氷を漬けた水道水に浸したタオルを絞って、始の額に乗せると、 ギンガは極力物音を立てないように注意しながら、医務室を後にした。 ◆ 薄暗い地下の牢屋の、その一室。 狭い部屋の隅で、インテグラは膝を抱えて座っていた。 ふっと微笑むと、懐かしい思い出を記憶の中から呼び覚ます。 そういえば、あれは今から調度十年前だったな、と。小さく微笑んだ。 十年前のあの日。それは先代ヘルシング家の当主が死んだ数日後。 権力に目が眩んだ叔父に命を狙われたインテグラは、その日も今のように小さく座り込んでいた。 あの時と違うのは、一つだけ。自分の横に、あの吸血鬼が居るか、居ないか。 吸血鬼とは、HELLSING機関の宿敵にして、人間の天敵。 吸血鬼とは、不死の化け物――アンデッドなどど呼ばれた存在。 吸血鬼とは、インテグラの世界で人間が最も恐れるべき存在。 そんな吸血鬼と、自分はここでじっと隠れていたのだ。 そんな思い出に浸りながら、インテグラはふと、ぽつりと呟いた。 「なぁ、アーカード」 記憶の中の吸血鬼に。 そして、今も自分と同じこの会場に居る吸血鬼に。 インテグラは呼びかけた。 その一言に込められた気持ちは、アーカードに対する疑問も込められていた。 お前は一体何人の人間を殺したのだ、と。 先ほど行われた放送で死んだ13人のうち、一体お前は何人殺したのだ、と。 きっとあの吸血鬼ならば、出会った人間は皆殺しているのだろう。 もしもその脅威を碌に知りもせずに、あの吸血鬼に命の取り合いを仕掛けるバカがいたなら。 そいつはまず間違いなく生きては帰れないだろう。 どんな武装をしていたって、せいぜい軽い平手打ちの一発で首ごとふっ飛ばされるのが関の山だ。 それほどまでに、アーカードは凶暴なのだ。アーカードは人間が匹敵する相手ではないのだ。 もしかしたら、先刻の放送で呼ばれた13人のうち、12人がアーカードに殺された可能性だって否めない。 殺生丸と呼ばれるヨウカイを殺したのはあの金髪であろうことから、12人に減らしてはいる。 あくまで可能性の一つであり、アーカードのような殺人鬼が他にもいるとすれば、その確率は低いという事は彼女にだって解る。 されど、そんな不安を抱かずにはいられない程に、アーカードは危険な存在なのだ。 少なくとも、半分近くの人間を殺しているのは間違いないのだろう。 そして、あの放送に踊らされ、相手の実力も知らずに命を奪おうとするバカがもし、アーカードと出くわしたら。 また人が死ぬ。同じ事の繰り返しだ。 死んだ人間が生き返ることなど、吸血鬼にでもならない限りあり得ないのに――― 「待てよ」 と、そこでインテグラの思考はストップした。 自分は今何を考えた? 死んだ人間を生き返らせようと思えば、吸血鬼にするしかない。 仮にあのアリサと呼ばれる少女が、最初から吸血鬼にされていたとしたら、どうする? それも、ただの吸血鬼ではない。アーカード並の、最悪の部類に入る吸血鬼だ。 もしそうであれば、頭が爆ぜたにも関わらず、次回放送で生き返っていた理由が納得できる。 頭を潰されようが、四肢を潰されようが、奴ら吸血鬼には関係ないのだから。 心の臓を潰されない限り、何度だって蘇る。 それが吸血鬼。それが人間が吸血鬼を恐れる理由の一つ。 しかし、あの女にそんな事が出来るのか? あの女は自分の世界とは何のかかわりも無かった筈なのに。 いや、そう決めつけることも出来ない。例えあの女が吸血鬼でないとしても、その技術を持っているとしたら。 この会場には、このHELLSING機関を始め、自分やアーカードのような存在までも集められている。 この本部と、吸血鬼が一人と、主人が一人。たったそれだけだと、誰が断言できる。 このHELLSING本部を丸ごと持ってこられたくらいなのだ。 あの女が自分の世界からそれだけしか持ってきていない等と、誰も断言出来やしない。 もちろんこれはただの仮説に過ぎないが、アリサが復活した理由としては、吸血鬼化という理由で十分に説明できるのだ。 そして、もしもプレシアが吸血鬼の情報を持っているとしたら。 (あの女がナチと関わっている可能性もある……ということか) そう。あの忌々しきナチスの残党。 ミレニアムの連中と関わっている可能性も考えられるということ。 そう考えると、少々厄介な相手になる。 どうしたものかと。インテグラは思考を巡らす―――その時であった。 足音が聞こえる。この地下牢の中をゆっくりと歩いて接近してくる、何者かの足音が。 インテグラは念のため、牢屋の扉に設置された小さな窓から死角になる位置に身を潜める。 もしもこれが敵なら、今はなんとかやり過ごすしか自分には出来ないから。 しかし、そんな不安は取り越し苦労に終わったらしい。 「お待たせしました。大丈夫ですか? インテグラル卿」 入口の扉の向こうから聞こえる声は、まさしく待っていた人間の声。 ギンガか? と、一言つぶやくインテグラに、少女は一言、はいと答えた。 直後。インテグラは、牢屋に入ってきたギンガの顔を見るや否や、まず一番に驚愕した。 「お、お前……その頭はどうした?」 「これが私の……私なりの決意の証です。そんなに可笑しいですか?」 ギンガの言葉に、一拍の間を置いて、インテグラはいや、と答えた。 次にインテグラの顔に浮かぶのは、小さな微笑み。ギンガには気づかれないように小さく、ふっと微笑む。 この一時間と少しの間に、ギンガの表情がすっかり変わっていたからだ。 殺生丸が死んだとあって、流石のギンガも随分と堪えていたようだが、今のギンガにその顔色は見られない。 もしもこのままギンガが腑抜けになってしまうようであれば、 インテグラはギンガを捨て置いて先に進むつもりであったが、どうやらその心配も取り越し苦労だったらしい。 恐らく殺生丸の死を受け止め、その上で前に進むことをギンガは選んだのだろう。 インテグラは、小さな満足と安心を胸に湛えながら、牢屋から一歩、足を踏み出した。 ◆ 「ほう……状況は把握した。それで、その化け物(フリークス)の青年は?」 「今は医務室で寝かせています。一応治療も済んでます。」 ギンガは、インテグラを医務室へと連れて行く途中、この一時間に起こった出来事を報告していた。 恐らく、自分たちを襲ったエネルなる人物が、一つのエリアを壊滅させたのであろうこと。 その際の災害に巻き込まれ、倒壊したビルの麓で倒れていた青年を保護し、医務室で治療をしていたこと。 青年の血は緑色で、尚且つ驚異的な回復力を持ち合わせている事から、恐らく人外の存在であること。 殺生丸の刀を回収し、その思いと力を受け継いだ事までは、インテグラには報告しなかった。 それは報告するまでもないことだし、きっとインテグラもそれについては聞きはしない。 インテグラも、そこまで無粋な性格をしていないということは、ギンガも良く解っていたから。 「さて……その青年を拾うのは構わんが、一つ問題があるな」 「はい。彼がこの殺し合いに乗っているのかどうか。」 「そして、そいつがこの六時間で一人でも誰かを殺したのかどうか、だ。」 インテグラの言葉に、ギンガはその表情を僅かに曇らせた。 勿論その状況もギンガが想定していなかったことは無いが―――もしもあの青年が殺し合いに乗っていたら。 戦力を持たないインテグラを危険に晒すことになる。自分だって人外相手にどこまで戦えるかは解らない。 それ故に、あの青年が味方であってくれることを願うのみだ。 ややあって、医務室にたどり着いた二人は、小さなテーブルに向き合って座った。 念のためにコルトガバメントをすぐ傍に置き、いつでも青年の襲撃に耐えられるように。 幸いにもベッドは部屋の奥に設置されており、テーブルは比較的入口に近い位置に備え付けられている。 それ故に、もしもの時の為に入口の扉は開けっ放しにし、脱出経路は用意しておく。 常に青年から目を離さないようにしながら、ギンガとインテグラは状況を整理していた。 「ギンガ、あの放送の……参加者を生き返らせるという言葉についてはどう思う?」 「私は不可能だと思います。」 「ほう、それは何故?」 インテグラの鋭い眼光が、眼鏡越しにギンガを見据える。 しかしギンガは、今更それに委縮することもなく、言葉を続けた。 「私たちはパラレルワールドから連れて来られている事は既に解っている事です。 それを利用すれば、別の世界の同一人物を連れてくることも可能かと。」 「ふむ……上出来だ、ギンガ。確かにその可能性もあり得る」 ギンガが言いたいのは、至って簡単な話だ。 例えばギンガの居る世界には、機動六課に所属するスバル・ナカジマが存在する。 勿論他の部隊に転属になった話など聞いたことが無いし、六課を止めたという記録もない。 しかし、インテグラの世界に存在するスバルの経歴は、六課だけには止まらない。 インテグラの世界に存在するスバルは、六課から出向し、HELLSING機関にまで所属しているとのこと。 これらを踏襲した上で、パラレルワールドにおける同一人物という特性を利用すれば、あのショーは実演可能となる。 勿論、ギンガが考えていることは常識外れ極まりない。そんなことはギンガ自身にだって解っている。 しかし、ここではこれまでの常識は通用しないということもまた事実。 現に自分とは異なる世界に生きていた筈のインテグラが、こうして目の前に顕在しているのだから。 そして、それを成したのは他でもない主催者――プレシア・テスタロッサその人なのだから。 それはいい。ギンガには別に引っかかる点が存在した。 それは、インテグラの物言いについてだ。 彼女は確かに、「その可能性もあり得る」といった。つまり、他の可能性も考えているということになるのだ。 「その可能性……と、いう事はインテグラル卿も何か別の可能性について心当たりが?」 「あぁ。まぁな……お前の説に比べれば随分と突飛な話になるが、あり得ない話ではない」 「……それは一体、どういった話でしょうか?」 「我々人類が吸血鬼を恐れる理由の一つとして、その不死性が挙げられる―――」 怪訝そうに尋ねるギンガ。 インテグラは、まずは吸血鬼の不死性について語り出した。 アーカード並の吸血鬼ならば、頭を爆発させられた程度で死ぬことはまずない。時間がたてば元通りだ。 HELLSING本部を丸ごと移動させ、あらゆる世界の施設を一つの会場に持ってきたプレシアならば、 考えたくはないが普通の吸血鬼の不死性を遥かに凌駕した、それこそアーカード並の吸血鬼を生み出すことも不可能ではない。 何せ、ここでは不可能はないのだ。傍で寝ている青年だって、殺生丸だって、人間ではない。 もしかしたら、吸血鬼以上の不死性を備えた化け物だって存在するのかも知れないのだから。 といっても、アーカード以上の不死性はインテグラには考えられないらしいが。 それだけにアーカードは危険な存在なのだろうと、ギンガも再認識する。 「それでは……現状で考えられる理由は二つ。パラレルワールド説か、吸血鬼説か 私は前者であって欲しいとは思いますが、もしも後者なら……」 「もしも後者なら、まず間違いなくあの女一人にそれだけの芸当をこなすのは不可能だ。 間違いなく裏に仲間が存在する。それこそ、ミレニアムのような大規模な組織がな」 ギンガも、ミレニアムについてはインテグラと最初に情報交換をした際に少しだけ情報を聞いている。 もしも吸血鬼か、それに準ずる不死性を持つ生体実験のようなものが裏で行われていたとしたら、 プレシア一人でそれを成しているとは考え難いし、それは間違いなく最悪の事態だ。 しかし実際、これだけの量の施設を丸ごと転位させている以上、それも考えられない話ではない。 これほどの大規模な催し事をするのであれば、不穏な要素を孕んだ施設をわざわざ選んで転位させるとは思えない。 まずここにある施設はすべて、その情報をプレシアに掌握されているとみて間違いないだろう。 そう考えれば、吸血鬼や、その他の様々な技術もまた、プレシアの手に渡っている可能性が高い。 「でも……だからって、ここで立ち止まる訳には行きません」 「その通りだ、ギンガ……我々に退路は無い!」 「はい!」 インテグラの言葉に、ギンガは力強く頷いた。 様々な人間の思いを背負ったギンガに、立ち止まることは許されないのだから。 例えば、殺生丸さんから受け継いだ誇り。 例えば、矢車さんから受け継いだ完全作戦。 例えば、見捨ててしまったキャロへの思い。 そして、救えなかった全ての参加者への誓い。 それら全てが、ギンガを動かす糧となっているのだ。 もう同じ後悔はしたくない、と。 その思いを込めて、殺生丸さんの刀を受け継いだ。 長かった髪の毛を切って、この誇りと共に突き進むと、決めたのだ。 決意を胸に、ギンガは再び刀を握り締めた、その時であった。 ギンガの視線の向こうで、ずっとうなされてた青年が飛び起きたのだ。 咄嗟に置いていた銃を掴み取り、身構える――が、青年が襲ってくる様子は無かった。 ただぼんやりと、自分の手を眺めているだけで、何もしようとはしない。 やがてこちらに気づいたのか、青年は一言呟いた。 「何故俺を助けた」 青年は警戒心を剥き出しにしながら、ギンガ達を睨んでいた。 当然だろう。相手が銃を構えていれば、それは自然と相手を警戒させる要因となる。 相手に信用してもらうには、まずはこちらが武装を解除する必要がある。 少なくとも起きていきなり襲われる、という事は無かったのだ。 それ故にギンガは銃をテーブルに置き、ゆっくりと始に接近した。 「私は時空管理局陸士108部隊所属捜査官、ギンガ・ナカジマ陸曹です。 まずは貴方の話を聞かせ――」 「何故助けたかと聞いているんだ」 先に質問したのは相手だ。 まずは自己紹介をと思ったが、どうやら相手はその返事を待っている様子。 仕方がないとばかりに、ギンガは口を開いた。 「目の前で人が倒れてるのを、無視して通り過ぎる事は出来ません」 「俺が頼んだ訳じゃない」 「どうやらこいつは、恩人に対しての口の聞き方を知らないようだな」 二人の会話にインテグラが割り込んだ。 その口調からは少しばかりの苛立ちが感じられる。 「勝手に助けたのはお前たちだ」 「そうか。なら次からは死にかけのお前を見かけても放っておこう」 「そうしてくれ」 それだけ言うと、もう何も話す事は無いとでも言いたげに、始は立ち上がった。 それと同時に膝から地面に崩れ落ちると、始は苦しげに唸り声を上げる。 どうやら小さな外傷は治っているように見えても、内側にまで及んだ傷はまだ完治していないのだろう。 すぐにギンガは始に駆け寄り、その体を再びベッドへと寝かせた。 「ほら、まだそんな体じゃないですか。無理しないで下さい」 「クッ……うぅ……」 苦しそうに呻くと、始は目を閉じ、眠りについた。 Back せめて哀しみとともに 時系列順で読む Next Don t lose yourself(後編) Back Deathscythe 投下順で読む Back 誇りの剣 インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング Back 誇りの剣 ギンガ・ナカジマ Back 誇りの剣 相川始 Back Round ZERO ~ SAWS CUNNING(後編) 金居 Back Round ZERO ~ SAWS CUNNING(後編) 武蔵坊弁慶
https://w.atwiki.jp/rokurei60/pages/243.html
前100|トップ|後100 501 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/08/22(火)09 46 59ID 8djDAa2H お久しぶりです。今になってですけど・・・ ガチでアフリカに上総掘りの井戸だの、インドネシアに稲作だのを伝えようとしている 人々居ます。言語とか労働力とか治安とか地理的諸般とか、事情はありますが 伝来はかなり難しそうです。 2chで海外支援野郎の装備文書みたいなん、つくれない。 肛門コピペの16倍速の感動とかじゃないんですから。 上総堀は江戸時代の技術。 どうやらこのスレ、かなり序盤で頭打ちになりそうです。 現に今、弥生文明でも軍事と金属は無しとか凄い展開になりつつあるし。 竪穴式でも無理とか言ってる人居ますけど、バミューダ一丁やTシャツ姿で 掘り出されたレンジャー米兵とかが、築ける範囲が少人数具体的技術列挙の限界でしょう。 それでさえ最高限度だし、それを超えたら文系の歴史列挙の域に入ります。 レンジャー陸曹の人が来ても、誰が来ても、中世になるかならないかの予感。 残念ですが、このスレは・・・ 502 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/08/22(火)09 48 31ID 8djDAa2H 戦国自衛隊の「愚かなことだが今になって~気がついた」を彷彿としますね我ながら。 それはそうと、インドネシアにリアルで新石器レベル&共食いの部族居るそうです。 煙幕をヘリ風で散らされるなど香ばしい映像がありました。 ああいうの凄い萌えます。 503 :オーバーテクナナシー:2006/08/23(水)22 56 37ID +4/+bijq わわ、聖女さま降臨ですね。 このスレをお救いくださいませ。 504 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/08/24(木)00 11 10ID 9U6uUIdS レンジャー陸曹や啓蒙ボランティア熟練者が来ても救えないのがこのスレです。 諦めましょう・・・・・・ 505 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/08/24(木)00 14 27ID 9U6uUIdS 495 今の文明も、なにげに稲作時代からの本源的蓄積なのを忘れたらだめですよ。 減反とか言ってられるのも、近代と戦後の蓄積の賜物。 いきなり荒野にほりだされたら、普通は縄文化しますって。 506 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/08/24(木)00 15 44ID 9U6uUIdS 495 今の文明も、なにげに稲作時代からの本源的蓄積なのを忘れたらだめですよ。 減反とか言ってられるのも、近代と戦後の蓄積の賜物。 いきなり荒野にほりだされたら、普通は縄文化しますって。 507 :kenzi:2006/08/24(木)01 18 45ID itYTm67G 原始人にはまず、上下関係から教えないとな、次に物を作る技術だな しかし原始人というと、北京原人クラスの知能しかない人間にそれを 教えるのは至難の業だろうな。 508 :オーバーテクナナシー:2006/08/25(金)01 07 55ID //7Qtizh シミュレーション Defend! http //www.newgrounds.com/portal/view/134747 難:普初出:part30の109操作 画面クリック:設置 ER:回転 海岸から上陸してくる兵士を倒す 509 :オーバーテクナナシー:2006/08/26(土)01 18 46ID U12vVoej 仕事の合間に毎日楽しく妄想していた1がふと我に帰ると、 目の前にあったのは糞コテを崇めるきもい村の設定群だったのでした。 1は全ての関連資料をごみ箱に放り込み、その翌日・・・ 何事もなかったように日常へ戻っていきました。 510 :オーバーテクナナシー:2006/08/26(土)20 02 38ID ijRfyy9a このスレ密かに応援してたのにな 残念だ 1さんももう終わりにするつもりならフェイドアウトじゃなくて一言くらい欲しいな 511 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/08/29(火)15 22 47ID yPDGFw3k わらひがもっと早く気づいていれば・・・・・・ でも、サバイバルの荒野に住宅や工房を建てる方法が模索できるかも、と 淡い期待をしてはいました。無念です、二重の意味で・・・ 512 :オーバーテクナナシー:2006/08/30(水)21 28 22ID m8EqGLkI 聖女様、ざんねんでしたね。 いっぱい、なでなで・・・・。 513 :死者の代弁者:2006/09/11(月)08 20 51ID P0/GG+Dp 初期ルールの練りが甘かったんだろう 1氏の予想以上に世界が広がり、収拾がつかなくなった そこでコンピュータゲーム的な枠に押し込めようとしたが、融通が利かなくなった さらに特定の技術を抑制したことで面白みがなくなった もっと、いいかげんさを許容する素地を作るべきだったね ルールを練り直して再出発するエネルギーが残っていればいいのだけど 514 :オーバーテクナナシー:2006/09/11(月)09 27 33ID uUdjKpkF ☆ ☆ 未 完 の 名 作 認 定 ☆ ☆ 515 :オーバーテクナナシー:2006/09/11(月)11 21 38ID DdyK6oja 1の跡継ぎ誰かやんない? 516 :オーバーテクナナシー:2006/09/11(月)11 35 34ID O6pgh5Sf 銃を与えると雄同士が殺しあって絶滅。 517 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/09/11(月)15 59 17ID CDJrXavv 513 ノールールでも、伝達方法が通常の2chレスに留まっている限り、 絶望です。 518 :死者の代弁者:2006/09/11(月)20 37 02ID P0/GG+Dp 517 いいとこ突きますね。 でもTVやラジオができるまで、人類は言葉と文字だけでほとんど全てを伝えてきたんだ。 絵を使うことも許容されてたことだし、決定的な不可能の事由にはならないと思いたい。 現代日本の我々にその能力があるかはともかく、だけどね。 それに、ネ申にだって学ぶところがあっていいと思う。 知識だけじゃなくて、限られた手段で相手に意図を伝える手法とか。 515 仮にだけど、もし私がゲームマスターをやるなら、イチから再出発したいと思う。 他の人がやるにしても、ここまで設定や何やが出来上がった世界を再構成するのは容易ではないんじゃないかな? 個人的には、ネ申の言葉を伝える中継器だか石だか、あれを作ってしまったのが崩壊の始まりだったと思ってる。 あれで1氏は自分の首を絞めたね。 スレに対する自分の権力を制限してしまった。 細かい設定を欲しがる人は何処にでもいるし、それ自体は悪いことじゃないんだけど、 でもゲームマスターは少々のことは無視して、世界を覆すだけの力を保持しなきゃいけないと思うよ。 場合によっては強権発動できるぐらいじゃなきゃ。 でないと、たった一人のゲームマスターが、何十人ものスレ読者の上を行くことなんてできない。 崩壊しかけた世界を書き換えるなんて、そういうお約束でもないかぎり、できることじゃないよ。 1氏はとても頭がいい人だったけど、それだけじゃ無理だったんじゃないかな。 519 :死者の代弁者:2006/09/11(月)20 38 21ID P0/GG+Dp ここまで育ったものを放棄して、イチからやりなおすのは困難な事になると予想される。 それでも本気でやりたいって人は、失敗の理由を分析してみるものいいんじゃないかな。 それで、本当にやれそうなら、再出発の目もあるかもしれないよ。 初代1氏のスレ自体はフェードアウトしてしまったけれど、アイデアは秀逸だった。 みんな随分楽しんだし、2週間ぶりのレスでも見てる人がいるのがその証拠。 もし再出発できるなら、それもまた良いかもしれない。 また失敗したら3回、4回やればいいじゃない。だってゲームだし。 520 :オーバーテクナナシー:2006/09/11(月)20 48 49ID G8Y4m40W 死者の代弁者さんも、おつかれさまでしたの、なでなで・・・。 521 :オーバーテクナナシー:2006/09/11(月)23 24 14ID 9CfXCCze 518 まあやるにしてもサイと石器と竪穴式住居はクリアした段階でもいいんでない? そこまでの流れは文句無いだろうし、 522 :オーバーテクナナシー:2006/09/11(月)23 54 54ID taPolsc8 小生もこのスレを興味深く拝見し、幾度か投稿もさせて頂きました。 今、当スレがこのようなことになって誠に残念であります。 小生は時間・能力の不足から、新たなゲームマスターにはなれそうにありませんが、 奇特な方が手を挙げられれば、住人として協力する意志はあります。 協力者を募集されるようであれば、及ばずながら力添えをしたいとも思います。 他力本願で誠に恐縮ですが、一縷の望みを託して毎日このスレを覗いております。 523 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/09/12(火)00 01 38ID sBjnOrvi 【 512の膝台座でなでなでしてもらいながら】~(ミ^-^) そうですね。 達成されたところまで年表をコンバートするのは吉ですね。 その上で、文字とHPリンクで熟練ボランティアやレンジャー陸曹のような 凄い芸当をするわけですね・・・。壮大なゲームになりそうですね。 GMは神々の代弁者とかHN改造してシ者(何)の人がするのはいかがでしょうか。 524 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/09/12(火)00 03 53ID sBjnOrvi 523は 521にです。 522 わらひは 501で挙げたハードルを、どうクリアするかがキーになると思っております。 525 :オーバーテクナナシー:2006/09/12(火)18 10 06ID /w5hSSnf 他の板にも「~~ですが何か質問ある?」みたいなスレ有りますよね あっちの場合は、誰が回答者になってもいいルールじゃないですか それみたいに、誰が原始人になってもいいルールにしたらどうでしょうか? 名無しの原始人Aみたいな存在でも参加出来るように そうすれば、手の空いてる人が原始人をやってスレを進める事が出来ます もちろん、固定ネームの原始人もOKで、巫女みたいな特別な存在は廃止して 全員が神の声聞こえるルールで その場合、やっていい事とやっては行けない事のルールの大枠は決めておくんですよ たとえば、原始人は教えてもらう事以上の知恵を働かせてはいけない、とか 一度教えてもらった知恵は忘れないので、何回も同じ初歩的な失敗は繰り返さない、とか 神側があれこれ議論してるんだから、原始人が複数居れば、原始人同士も議論出来れば面白いですよ 「神に~を教えてもらったけど、これどうやるんだろう?」 「それは前に教えてもらった~で出来るだろ?」とか (技術忘れの防止) 「~はどうするんだっけ?」「そんな言葉しらね」とか (知らない技術使用の防止) 「~うまくいかないんだけど」「俺も出来ない」「無理だね」とか (思いつきの知恵を教えられた場合の複数人での検証) 526 :オーバーテクナナシー:2006/09/12(火)19 14 22ID 8SHFH/8U 525 聞くのはいいにしても技術が実際に運用可能か否かというのを いい加減に答えられるとよくないわけで、原始人側に技術検証協議会みたいな メタ議論ができる掲示板ができると便利かもしれませんね。 その協議の過程で派生的に技術案が生成されたら、ネ申役もかねて教えてみるなど、 よさげなフィードバックが生まれるような気がする。 他にも初代1が苦手としていたギーコとしーの色恋沙汰やら その他こまごまとした日常の人間模様を検討する民俗・ストーリー検討会や 宗教・習俗で生産されるいろいろな神話民話童話を創造する神話民話創造会や エデン島のこまごまとした植生や地形と惑星全体の地形構造を設定する 地形・生物・資源分布検討会や 話されている言語の様子を予測・設定する原始人語作製会や スパイスとして少し不思議な現象を付け加えるSF設定会や まとめサイトを作製し、さらにそれを分析して現状の社会や技術水準を 定期的に報告する原始人スレ研究会や・・・・・・・・・ よく考えるとこれだけの仕事を一人でよくやったものだよ。初代1は。 527 :死者の代弁者:2006/09/12(火)19 44 31ID NZvNJFst 520 うは、ありがとう。自分が言われてみると意外と和みますね(w 521 最初から多少の技術を持ってスタートするのもいい考えですね。 522 やっぱり時間がいくらでもある訳じゃないから難しいですよね…。 のんびりペースになるのは仕方ないのかもしれません。 私も働かなくては喰えない身の上なので、よくわかります。 523 私は怒りっぽいし、人格的に問題あるかも…言いだしっぺの法則?(汗 それに、私はやはりルールを作り変えなければ、GMできないと思います。 初代1さんはとても頭のいい人でしたし、同じルールでもっとうまくやる自信はないですね。 525 それは斬新ですね。目からウロコです。 むしろそれだけで一つのスレが作れるかもしれないですね。 528 :525:2006/09/13(水)09 17 49ID GksUUa2z そうした場合、「原始人同士の議論」、「神の原始人には聞こえない話」、「原始人に聞こえる話」 が混在してはスレ内がごちゃごちゃになりそうなので 思い切ってスレを二つに分けてしまってはどうかと思うんですよ 「原始人達の住むスレ--エデン1」、「神々の集うスレ--天上界1」みたいな感じで お互いをリンクさせて同時進行させます 原始人は普段は自スレ内でガヤガヤやって、狩りに行ったり商売をしたり恋愛したりしているんですよ そのあたりは原始人同士の話し合いで決めていいと思うんですね そして、ある問題が起こって、知恵が必要になった時は、神スレの方に原始人の声として書き込みます 神は教えていいかどうか話し合った後、原始人スレの方に神の声としてとして書き込みます 神スレの方は今までの方式と大差ないので分かりやすいと思います 神と原始人は掛け持ち可、で名無しとして通りすがりの参加も可 ただし、自分で教えて自分で実現でどんどん発展、のような暴走を防止するために 原始人は、聞いた技術は一旦他の原始人と相談してから手を付けるようにしたらいいと思う これは、原始人側での複数人による検証のルールです もちろん、神側でも教える前にちょっと話し合って欲しいのですが、あまり縛りをきつくすると 気軽に参加しにくい雰囲気になるし、なにより大事な「知ったかぶり欲」が満足出来ませんね(笑 なので、ルールというよりももっとゆるく、そうしてくれるといいな、程度がいいと思います 529 :オーバーテクナナシー:2006/09/13(水)19 07 12ID ZcJqsYvF 528 実際はネ申をやるより、原始人をやるほうが難しい。 その世界にまだ存在していない技術や知識を言及するのはタブーだし、 時代背景や文化的背景に考慮して言葉を慎重に選ばなければならない。 ゆえに原始人役としての飛び込み参加はきわめて難しいと思う。 むしろスレは「原始人に技術を教えるスレ 第二期-1」だけにして、 初代1がやっていたような技術検証・世界設定・ストーリー・まとめ・考察発表などの 作業について相談する場をHPか何かで作ったほうが現実的かと思う。 原始人役は、ここでいろいろと相談の上でいろいろとスレで話すということで。 まあ、今度やるにしても気候・地形・動物・植物・資源分布・ 惑星全体の中での位置と緯度経度・地軸の傾き具合・星系の様子とか 各キャラクターの性格や個性・生い立ち、相互の人間関係や まとめサイトの編集フォーマットなど いろいろ決めるのに時間がかかりそうだ。 530 :死者の代弁者:2006/09/13(水)21 30 46ID PTlJchSK 528 GM不要なのはいいですねえ。 529 資源分布とか敵の内情とか、誰でも見えるところにあると、マズくないです? 先に細かく発表しちゃうと、あとあとGMが苦しくなりますし。 --- こんな案はどうでしょう。 【原始人になろう】 A・原始人は誰がやってもいいけど、無断で既存の主要キャラに乗り移るのはナシ。 B・原始人をやる人はネ申を引退する。ネ申をやる人は原始人を引退する。同時にやるのはダメ。 【原始人の役割】 C・原始人役は大きな発明の許可や、資源の発見はなるべくやらない。やるときはGMに相談してから。 D・その他の技術(料理・楽器・遊び…たくさんあります)の検証・許可は、原始人役がやってもOK。 E・原始人役に慣れてきたら、だんだん大きな役割をネ申に依頼されると思うよ。 【原始人同士で技術検証】 F・原始人役がウッカリ未出の技術を使ったりしても、ほかの原始人が理解できないので広まらない。 G・でもちょっとぐらいなら、原始人が何か思いつくことだってあるよね。(不自然なのはやめて) H・混乱が起こった場合はGMによりMIBが出動、原始人の記憶の消去などを行う場合もあり。 【原始人をやめるとき】 I・原始人の中の人が続行できなくなったときは、キャラを旅に出させたり死亡させたりしておく。 J・ただしチョイ役の原始人の場合は放置してもOK。 K・重要な原始人の中の人が行方不明になったら、GMがかわりにそのキャラを旅立たせてしまうかも。 まあ、あくまで案なので、ツッコミ歓迎です。 531 :423:2006/09/14(木)03 31 44ID A03rpPJG 530 B・原始人をやる人はネ申を引退する。ネ申をやる人は原始人を引退する。同時にやるのはダメ。 これは、いらないね C以降により原始人とネ申を同時にやっても、 他者よる抑止力が発生するはずだから、 それにやや強引にでもストーリーに干渉しうる隙間がないと、 今まで通り技術提案者は、遊ばれて終わることになる。 これはTRPGライクではあっても TRPGとは違って現実にはテーブルではなくネットの繋がり でしかなってことを汲まないといけないとおもう。 オイラは面白いと思うけど 理想的すぎて、無理な予感。 あとガツガツ盛り上がる為には、読み物として成立させる必要がある。 532 :オーバーテクナナシー:2006/09/14(木)09 12 40ID xhNQCw8r 529 その世界にまだ存在していない技術や知識を言及するのはタブーだし、 時代背景や文化的背景に考慮して言葉を慎重に選ばなければならない。 ゆえに原始人役としての飛び込み参加はきわめて難しいと思う。 私はきわめて難しいなんて事は無いと思います その世界にまだ無い物の名前を言ってはいけないというのはあたりまえの話しだし 時代背景や文化的背景というのも、その役になり切れば自然に出来る事だと思います 要は、時代劇の役者をやって遊ぶみたいなもので、その時代設定が原始時代になるだけで 演じる人は自然と、外来語のような横文字言葉を使ってはいけないな、とか 技術的な単語は話せないな、とか この固有名詞はまだ無いはずだから、どういう風に言い換えようかな、とか 考えて話すと思いますよ 寧ろ難しいのは、技術の検証の部分で、技術が高度になるに従い 実際にやってみて再現してみるのは不可能になってくるわけで そのあたりの「出来る・出来ないの判断」をどうつけるかなんですね 1人だけで考えるのは無理なのは分かった訳で そこで原始人の人数を増やして、本を読んだり、ネットで調べたり 知識のある人を呼び込んだりという、フリーに参加できる頭脳を加えて 数人で話し合ってGOサインを出すかどうかを決めたら良いんじゃないかと思ったわけです 533 :525:2006/09/14(木)18 52 24ID xhNQCw8r 530 技術が複雑になってくると、やっぱり原始人だけで話し合ってGoサイン出すのは難しくなってくるかな…… なんか「たたら」の時みたいに、出来る出来ないで収拾が付かなくなってくるような気もしてきました やはり、そういうのを超越して英断を下せる、GMは必要になってくるでしょうかねえ…… GMが「これは出来る」と言ったら、少々危なっかしそうでも出来るという方向で話を進める、という感じで で、肝心のGMの定義がされていませんよね やっぱり複数人居た方がいいのかな? 私は初代1さんが帰ってきて引き受けてくれれば良いと思っているのですが…… 初代1さんへ:今度は原始人と掛け持ちじゃないので、多少負担は軽いと思いますけどどうでしょう? もちろん、原始人参加もOKですよ 見てたらちょっとコメントいただけませんか? 534 :死者の代弁者:2006/09/14(木)22 17 06ID Y0M3h0v6 何が難しいかっていうのは、初代1さんに聞かないと判らないのかもしれませんね。 GMやってみたら、意外なところで苦労するのかもしれません。 ところで皆さんは、今後どのようになれば/すればいいと思います? 希望がわかったら、解決方法とか考えやすいかもしれません。 1 家康派 なんとか今のゲームを続けたい ・もうしばらく初代1さんが戻ってくるのを待ってみよう ・初代1さんが戻って来やすい提案とかしてみよう ・誰か後を継いで欲しい/むしろ俺が継ぐ など。 2 信長派 終わりは終わり ・続けられないのなら仕方ない ・このスレ、楽しかったぜ! ・他の遊びを考えよう など。 3 秀吉派 再出発しよう ・もう一度出直せば、今度こそうまくいくかもしれない ・誰かが同じようなスレを作れば、少しぐらい遊んでやるぞ ・ここを立て直すのは無理そうだけど、最初からならやりなおせるかも など。 4 その他 ・死者の代弁者ごときが思いつかない秘策が俺にはある ・みんな気付いてないけど、こういうのはどうか ・話は変わるが、もっと面白そうなスレがあるぞ など。 まあ、信長派が勝っちゃったら、どうしようもないんですが…。 私は、どれかっていうと秀吉派ですけど、秘策があったらとってもうれしいです。 535 :522:2006/09/15(金)01 00 32ID +U/0jtRJ 小生は秀吉派に一票です。 初代1氏のご苦労の元は「検証」を一人で背負い込んでしまったことにあるかと。 であれば、先に提案があった「複数人でネ申を分担する」という方法は、 GMの負担軽減という意味で効果が大きいと考えます。 スレを分けるか、2ちゃんとは別にHPを立ち上げるか、詳細は詰める必要が あるかとは思いますが、小生は大枠でこの方法に賛成です。 自分では何の案も出せず心苦しい限りですが、少しでも前向きな方向性を示して くださる「死者の代弁者」はじめ皆様方に頭が下がります。 536 :525:2006/09/15(金)09 44 58ID OAluk0mv じゃあ私は、秀吉派とその他の中間位ということで 今のままの方式でやり直しても、やがて破綻するのは目に見えています それは初代1さんのせいではなくて、誰がやってもこの方式のままでは無理だと思うから 問題点は改良しなければなりません 逆に問題点をあげてみましょうか 1・検証の仕組み。1人では全方位の知識をカバーするのは絶対無理 (誰でも知識に偏りは有るし、興味のある分野も違うので、ストーリーにバイアスがかかる) 2・検証のやり方。実際にやってみて再現出来るかどうか、という検証の仕方自体間違い (初期の道具レベルは良いけど、製鉄を再現なんてほぼ不可能。資料と話し合いで決めるべきだと思います) 3・GMのストーリーへの干渉過多、というか創出の可否 (資源が取りに行けない場所に有ったり、橋フラグ、他部族設定 等、未消化設定) 4・進行役が1人しか居なかったため、ストーリーの停滞 (アイデアの供給過多になったり、取り上げてもらえなかったり、話が進まなかったりという神側のストレス増大の原因に) 今思いつくのはこのくらいでしょうか なのでGMと原始人の人数をそれぞれ増やして解決してはどうか、と考えました 537 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/09/15(金)17 26 37ID GDOf/8Dg しかし・・・・・リアル世界で稲作や上総堀を赤道の近い途上国に伝えようとしている 日本人は居ます。彼らと同じ芸当を、こんな文字とリンクが主力の仮想世界で展開するのは、 複数人で力を合わせようと相当困難になる悪寒。 試練ですね・・・・・・。秀吉派@三度目の朝鮮出兵を目論む、みたいな感触がしています。 538 :オーバーテクナナシー:2006/09/16(土)05 08 21ID SKhNiwUs 動物や害虫に荒らされ続けたりもせず餓死者が出るほど切迫もしてない そこそこ恵まれた原始人村でなら現実ほどの苦労もなくて済みますし。 539 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/09/16(土)08 35 32ID wWnpH81s しかし、その状況だと・・・どんな鉱物が完備されていても、余力と発明は結びつかないかも。 恵まれてて、文明レベルが共食い有りの旧石器に留まるのは、インドネシアにも南アジアにも実例あるし。 腰蓑と石槍でOKの生き易い環境なのが、ネックかも・・・ 米大陸インディオも、獲物が豊富すぎて停滞してたわけだし・・・ 540 :オーバーテクナナシー:2006/09/16(土)14 46 34ID stmoHZAb 生活に余力ができて、少しでもいい生活をしようと、樹木伐採を おこなった(燃料、耕作用の土地など)結果、土地が砂漠化して えらい目にあったらしき痕跡、記録は大量に有りますが・・・ 541 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/09/16(土)20 00 51ID RUOSWLsn 焼畑なら中世欧州でもメインでした。 あまりにも豊か(狩猟採集レベルで)だとか、逆に余りに現状から浮かび上がれない(資源無い)だとか、 両極端なのは停滞を招きます。温帯以外のヤツらのことを思いましょうよ。 542 :SAGE:2006/09/16(土)20 28 32ID stmoHZAb 焼畑とは違います。 今は砂漠の中にある某集団が爆破した某仏像とか。 あれだけの岩を削りだすのに必要な道具をつくり 作業員を養うのにどれだけ木材が必要だったか? 543 :死者の代弁者:2006/09/16(土)21 27 59ID 4snBbP2x 箱庭世界だから、現実より難易度を下げることはできます。 初代1さんだって、実際に全てを作って難易度を確かめていたわけではないでしょう。 逆に、現実以上に難易度が上がっていた場所もあるようですしね。 GM以外が自由に難易度を下げ始めたら収集がつかないけど、GMがやるなら問題ないでしょう。 544 :死者の代弁者:2006/09/16(土)21 38 55ID 4snBbP2x 追記。 難易度は箱庭世界の「現実らしさ」にそのまま直結します。 だから、GMといえど、いくらでも下げていいというものではない。 でもネ申の限界を超えてしまってはゲームオーバーです。 こういう調整は、GMのバランス感覚が問われるところではあると思います。 ただ、原始人に多少の試行錯誤はさせるなどすれば、GMに判断にも幅を持たせることができます。 ネ申の力を限界まで引き出しておいて、GMが原始人の立場で一押しする。 それがゲームとして可能な難易度の最高点でしょうね。 545 :聖女◆9RaBw0NoLw:2006/09/17(日)14 26 09ID fv5TxWt5 542 イースター島でも似たような事態になりましたよね。 わらひも消高学年の頃に遠足で崖に浮き彫りになった巨大仏像を見た事が ありますが、あのカオナシ(ぉ)には負けそうです。 >シ者 米陸軍サバイバルマニュアルみたいな感じに進めた方が吉ではなかろうか? 546 :オーバーテクナナシー:2006/09/17(日)16 18 16ID jODpau7N 539, 541 これは現実をではなく、技術の発展をシミュレートしたゲームにすぎないし 発明は原始人がするのではなく、ネ申が与える物なのですよ? ゲームに、現実に起こる(かもしれない)停滞の心配をするなんてナンセンスなのでは? 547 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2006/09/17(日)23 30 50ID 2BaMCVsg かなり久しぶりですが、とりあえず、ブログを立ち上げたので報告しておきます。 録霊徒然草 原始人または人工言語 http //rokurei60.spaces.live.com/ そこにも書いてありますが、原始人に2ndSeasonを行うつもりなら部分的に 協力してゆきたいと思います。 こんどやるなら、女性キャラが少ないのでツー、でぃ、レモナ、モー娘系 あたりがいると面白い気がする。 548 :オーバーテクナナシー:2006/09/18(月)06 17 09ID hwnlxDab AA使わんのにAAキャラの名前使うこともないべ 549 :オーバーテクナナシー:2006/09/18(月)13 43 25ID 7qc4Od9/ GMにどこまでの権限を持たせるのかを決めておかないとダメかもしれんね 例、 1. 技術使用の 許可・不可 の決定 2. ストーリーへの干渉 (例えば災害発生等) 3. ストーリーの分岐設定(あるイベントでAへ行くかBへ行くか、それによってその技術は有り、無しを決める) 3. 不具合の有る技術、ストーリーの取り消し (MIB権限) こんなところかな? 2は、洪水で橋が流れちゃいました、外敵に攻め込まれました等、より高度な技術の誘導に使えます 3は、例えば、外敵と戦闘になった場合、生かす・殺すという選択を決めます 生かせば何らかのメリット・デメリットが有るかもしれないし、そのサブストーリーはさらに分岐を生むかもしれません 殺せばそのイベントはそこで終るか、他の外敵を刺激して更なる戦闘を誘発するか… 3のような事は今までネ申が話し合っていましたね しかし、プレイヤー側であるネ申が話し合っても結論は出ないと思うんですよ こういうのは、ネ申とも原始人とも独立したGMが有無を言わさず決めないと話が進みませんね ネ申は技術を教えたり、問題の対策を考えるの側 GMはストーリーの行く末を考える側 原始人はアイデアを実現し、遊び、ストーリーにイレギュラー要素を持ち込む役 と明確に役割を分離したらどうかと提案します さて、GMをどうするかなんですが 登録制にして、順番に、例えば1週間づつ持ち回りでやると言うのはどうでしょう? これなら精神的負担も軽いし、忙しくて出来ないということもないでしょ 550 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/18(月)20 19 53ID MRmlM7bo およそ、1ヶ月半ぶりになります。皆様お元気でしたでしょうか? 1年と少しの間、一緒に遊んでいただきましたが、色々ありまして、たいへんかってながら 私こと初代1は、私がこれ以上ゲームの進行役を続けることができないと判断しました。 思えば、このスレというか、遊びを思いついたのはとても単純な理由でした 「最新技術ってやつにも、元ネタはあるわけだよな」 っと、なんとなく、おもったことがきっかけでした。 技術の流れというものを、逆にたどっていくことが、どこまで可能だろうか? 「多岐に分岐統合される技術の流れを見ることができれば、きっと面白い」 いま、考えると、非常にどうしようもなく、暇人の発想です。 実際、色々な事に挫折し、八割方ニートと化していた私はとても暇人でもありました。 これが、いかに途方も無く、そして、私1人の中には納まらないことには、すぐに予想がつきました。 そこで、色々巻き込んでみようとおもったわけです。 これが、このゲームを思いついたきっかけでした。 551 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/18(月)20 33 06ID MRmlM7bo 巻き込むにあたって、頭をひねってみたのです。 普通にやるのでは、面白みが無く、色気の無い内容に他人はついてこないと思ったのです。 現実としての技術系統図をそのまま形にしても、面白みが欠ける だったら、架空のものを最初から書き上げるか? そうすれば、目標とするモノの完成までの道のりを楽しめるかもしれない。 「楽しいかもしれない」と「面白いか」が判断基準でシンプルなルールを作り 誰もが気軽な知識を披露できる場所を探しました。 それが、この板であの内容になりました。 はじめにレスがついたときのことは、今でも覚えています。 別に釣り師を気取った訳ではなかったのですが、 「良し釣れた!!」 というのが、正直な感想でした。 やがて、話が少しずつ大きくなるにつれ、予想のとおり 私1人では、収まらなくなりました。 552 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/18(月)20 45 11ID MRmlM7bo 私が、間違ったときに、親切に補正してくれた方々 スレの運営についてあれこれ、助言してくれた方々 コテハンで場を盛り上げてくれた方々 一緒に遊んでいただいた、全ての方々 とても感謝しています。 特に、まとめサイトを作っていただいた、録霊さん 唯一原始人として参加していただいた、ウズメの中の人さん お二方には、言葉にすれば、陳腐になるだけとしか言えないほど 感謝しています。 いろいろな方の、支えがあってやってきましたが 再就職がきまり、人並みの生活に戻ると、 調べている時間、妄想している時間というのが少なくなってしまいました。 図書館に行ってったり、知り合いに相談したり、実験をしてみたり こういった時間が、少なくなったことが、大きな原因です。 553 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/18(月)21 05 26ID MRmlM7bo あまりに、多方面に手を広げすぎたとこも 私1人で収まらなくなった原因であります。 技術や、知識が少なかったころであれば、単純かつ分かりやすい状態だったのですが 宗教がからみ、政治がからみ、経済が、恋愛が、あれやこれが・・・・ もともと、私の得意分野ろ言うのが中学校程度の科学で、やや化学に偏っている。 もしくは、初歩の情報技術関連という狭い範囲だったことも、原因でした。 なにせ、広げすぎた大きな風呂敷を一人でたためなくなってしまっているのが現状です。 しかし、一度、無理やりにもたたんでおいたほうが、良いかと思い。こうして書き込んでおります。 引継ぎ等を希望される方が、万が一いるのなら、遠慮なく言ってください。 と、いっても、文章化、資料化されているものなど、ほとんど無く、 漠然と、初代1の脳内で進んでいたことなので、お渡しできるものも少ないと思います。 たぶん、これがゲーム崩壊の一番大きな原因かもしれません。 最後に、一言 「孔雀石から、銅と取り出す実験は、どうしてもできませんでした。 不純物の分だけ温度が高くなっているか、不純物のほうが多いのが原因です」 以上です。 554 :オーバーテクナナシー:2006/09/18(月)21 14 57ID 7qc4Od9/ 初代1さん、おひさ(^o^)丿 もし第2シーズンやることになったとしたら 一緒に遊んでいただけますか? 555 :オーバーテクナナシー:2006/09/19(火)01 36 18ID kjfQjgsi 553 一度とりあえず成功例を見ておきたかったら、市販の活性炭の粉とガスコンロを使うのがオススメ ttp //www.rika.com/topic/F35-1475.html それと乙 556 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2006/09/19(火)12 13 33ID H6pDFUHj 原始人に技術を教えるスレが始まったのは、2005年1月20日。 某米国大統領が2期目に就任した日ですが、 私がこのスレに出会ったのは三宅島帰島が決定した同年2月あたりだったと思います。 そして今日に至るまでの約一年と7ヶ月にヨハネ・パウロ2世が崩御し、福知山線が脱線事故を起こし、 ロンドンでテロが起こり、ニューオーリンズがハリケーンで水没したり、 郵政解散で、造反組が大量アボーンしたり、パキスタンで地震が起こったり、 いわゆる姉歯事件が起きたり、日本の総人口が始めて減少に転じたり、 「ライブドアオート」のCMで回転していた堀江門が逮捕されて、まさに閉店状態になったり、 四点セット攻撃で栄えた民主党がいわゆる永田メール事件でチャンスをピンチに変えたり、 大雪が降ってたいへんだったり、雪どころか北朝鮮からミサイルが7発ほど日本海に降ったり、 いろいろと不幸なことがありました。 私個人もいろいろと不幸なことがありましたが、それでも自殺という選択肢を選ばせなかったのは、 このスレへの興味が残っていたからでした。 初代1様、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。 wasan nusi tokjo, nde asimgum nauris tokjo. 「ひとつの時代がおわり、新しい時代が始まる。」 so mes-gjib ko. 「我は汝を讃えん。」 557 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/20(水)18 40 58ID 2dOzBJG7 もしも、次回があるなら できる範囲で協力させてほしいです 今度は名無しのネ申としても参加したいですし 月に一度くらいで客観的に村の出来事を読み物風にまとめるくらいはできるとおもいます 558 :オーバーテクナナシー:2006/09/21(木)11 22 01ID 5YV7JRH4 なんだかんだいっても楽しかったなー 559 :オーバーテクナナシー:2006/09/22(金)02 03 23ID xyJEgFdU 白い人に技術で追いつけなくても 結局は頭数で勝てることになってるっての むりして鉄なんか作らず農業で基盤作り寸の優先です 560 :オーバーテクナナシー:2006/09/22(金)03 01 27ID UUabYEOz そしたら農地や備蓄等を襲って基盤を弱体化させて食糧補給を滞らせるという王道戦術で来るよ 561 :オーバーテクナナシー:2006/09/22(金)04 58 49ID SE2cSdww それ、なんてAOE? 562 :オーバーテクナナシー:2006/09/22(金)11 10 18ID 6Y8bPKXi むしかえすな 563 :オーバーテクナナシー:2006/09/22(金)16 18 05ID xyJEgFdU 復活してくださいhttp //www.frgm.org/cgi-bin/slg/005.php 564 :オーバーテクナナシー:2006/09/23(土)03 29 54ID JO4LsfrB 今はじめて読んだが。 こんな面白い遊びを何でやめるのさー くそ、参加したかった 最初から参加するからからやり直せ! 565 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2006/09/23(土)20 01 04ID NEL7Yi2F 557 それは心強いですね。 ところで、新キャラ案についてです。 「ツウ」 名前の由来はAAキャラクター「ツー」(゚∀゚ )。 AAとしての性別設定は未定、というか魔物だが、この場合女性という設定。 村一番の美女「しー」の妹で、それなりに美人。 しかし、動作や振る舞いは男性的かつ野卑で乱暴ものでもあるため敬遠されて、 男のほうからやってくることは稀。 そのため、なにもしなくても男が貢いでくれる姉の「しー」と違い、積極的であり、 しばしば「ダッキング」と叫びつつ押し倒して食料を強奪してゆく。 口から出る言葉は「~だぜ」「~じゃねえか」などという近来聞くことが稀な 古きよき昭和時代の俗っぽい男言葉で、一人称は当然「俺」。 男関係に積極的なのも、乱婚制社会の中、 病気の妹や多数の子供を養うためのやむをえない行為のようである。 姉御肌で世話焼きな性格であり、多くの男たちに恐れられ 同性受けもあまりしないわりに子供たちには人気がある様子。 投石など飛び道具の才能に長け、幼馴染であり彼女のいじめの対象である モーナーに向けていろいろなものを投げつけてからかっているが、 酒で酩酊状態にならない限り、いつも間一髪の距離ではずしている。 また、料理が発達すると肉や魚を捌く才能を発揮し、 口は悪いが家庭的なところがはっきされ村の人々の印象も変化してくる。 酒やタバコ、大麻、コーヒー、茶、マタタビなど常習性のある嗜好品は大好物である。 対人関係については、比較的だれにでも恋愛フラグを建てられる柔軟性がある。 詳細はブログ http //rokurei60.spaces.live.com/blog/cns!828123C266ADB696!158.entry 566 :オーバーテクナナシー:2006/09/23(土)23 14 21ID PcWNw67B 死なない原始人は、中の人がちゃんといて神の声を聞ける原始人だけのほうがいいと思う。 567 :オーバーテクナナシー:2006/09/24(日)00 02 49ID xyb0VAGT http //digarc.pd.saga-u.ac.jp/sin-kyozai/kankyou/jinkou.html 白い人の問題を考えると人口を増やしたい。それには農業で基盤作りが希求だとおもう。 568 :オーバーテクナナシー:2006/09/24(日)03 14 03ID qXXuP+OY この舞台では食糧生産従事者の1人当たりの生産量がそんなに乏しいの? それとも採取・漁・農業などの食糧生産業に携わる人間の割合が極端に少ないの? 569 :オーバーテクナナシー:2006/09/24(日)15 55 05ID HuMaRgG5 以前の状態では食料生産の技術初歩の初歩、効率、確実性があまりにも 低い状態だったんだと思う。 スタート時の採取のみの段階よりそれでも総量が増えたので 餓死者も減り、物流の初期段階までは漕ぎ着けた と これより先を求めた場合、問題になったのが 村人のやる気 「何故めんどくさい作業をしなければならないか」 必要性 「そこそこ食えるんだから」 も説明するひつようがあったから。戦闘に関しても同じ、 知識、参考例、はあっても仮想の村人を「説得」することが意外と 難しかったんだと思う。 その辺は初代1氏の絶妙なさじ加減だったんだけど、面白さにも足枷にも なっていたと思う。 次があるならどうすれば良いだろう?神同士で行ける、とされた技術を 機械的に受け入れるシステムも広がりがなさそうだし。。。 570 :オーバーテクナナシー:2006/09/24(日)19 03 41ID JJpma31O 食料保存技術と食料以外の価値あるもののが増えてくると 物々交換がさかんになって生産者と消費者の間に入る商人が出現 生産者はやめときゃいいのに生産拡大して余剰による価値暴落 基本的な経済発達の流れはこうらしいから 身近な需要を超えて生産拡大されるのは買ってくれる商人が出てから 571 :死者の代弁者:2006/09/24(日)22 07 32ID TyQa954D 初代1さん、お疲れ様でした。 これだけの人が続きを望むというのは素晴らしいですね。 流石、お見事です。 566 GMが使えるNPCがいないと話がさらに遅くなりますよ。 同時に複数の場所に存在させるような無茶はできないですからね。 偵察行のような行動ができなくなってしまう。 でも不老はともかく、不死ではなくてもいいかもしれないですね。 事故や怪我で死ぬ可能性とか。 568-569 このゲームは人を説得するところが面白いんですよ。 提案して、ただ受け入れられるのであれば、出来のよいコンピュータゲームがいくらでもあります。 そんなものでいいなら、わざわざ2chでやらなくても、もっと手軽に遊べます。 採用の可否の加減が難しいのが判っているから、誰もが気軽に原始人になれないのですし、 GMの権限を削って皆が好き勝手を始めれば、あっというまにゲームバランスが崩壊します。 もともとGMの負担が大きいのは宿命的なものであって、 その負担を如何に問題を起こさずに減らすか、というのが問題なのではないでしょうか。 572 :オーバーテクナナシー:2006/09/25(月)00 57 45ID CRfJP24u 新ルールを模索してみる ネ申ーーーいままでどおり。 原始人ーー自由参加、ただし要演技力 GMーーーーMIB、舞台設定等 GMの権限 自然現象と地理的条件を定めれる。 発明の一般化を許可できる。 原始人にMIBを使い、記憶消去ができる。 不特定多数の原始人への直接的な介入(○○は浜辺で桜貝を拾った等) GMの制限 GMはコテハンをなのる(要トリップ) GMは連絡用のメルアドをさらす(捨てアド推奨) GMは互いに連絡をとる。(できる範囲で) 新規参入GMは既存GMが許可する。 原始人の役割 馬鹿になってネ申に質問する。 GMの手の平の上でなるべく素直に踊る。 興味をもった技術に対する考察をする。 GMが一般化を宣言するまではうまくいかないことにする。 キャラクタ設定に自己責任をもつ。 ネ申の役割 原始人が困っていることに助言する。 目標とする技術まで原始人を導いてみる。 GMに認められるまで、いろいろがんばる。 573 :オーバーテクナナシー:2006/09/25(月)01 23 21ID CRfJP24u 新ルールを模索してみる その2 検証は、みんなでやる。 検証が十分かはGMが判断するが、 原始人が興味を持っており、なおかつ、十分に理解できている様であれば、基本的に一般化させる。 逆に、興味をもつ原始人がいない、もしくは原始人が理解できていない場合は、基本的に却下。 ネ申の資料提出が十分な場合、部分的な許可はあり。 絵での原始人への説明と、GM向けの参考URL提示は最初から有効にする。 資源についても技術と同じような感じでGMが許可する。 GMが設定する、資源の配置、植生、地形などで矛盾が発生しても、基本的には無視する。 (石炭と石油と岩塩と鉄鉱石が同時に取れる場所があってもいいし、 パイナップルの木のとなりにりんごの木があってもよい。) 原始人は独立して村を作ってもよいし、派閥闘争にあけくれてもよいが、責任はもつ GMの介入で殺されても文句はいわない。 ネ申の声受信装置は無いことにする。 声の聞こえる奴をやるのもよいし、そうじゃなくてもよい。 あとは、初代1さんのルールでもいいきがする。 最初はやっぱり、サイが村に攻めてきたか? 574 :オーバーテクナナシー:2006/09/25(月)11 23 30ID oQ1g5pXC 573 ネ申の声受信装置は無いことにする。 声の聞こえる奴をやるのもよいし、そうじゃなくてもよい。 原始人側から「神様、どうしたらいいんだべ?」というサインを送った場合だけ 神様の声が聞こえる、というのでいいのかな? 検証が十分かはGMが判断するが、 資源も時間も十分な原始人に対して、神は無力ですよねw ・完全な検証は、技術発展の歴史を再現する事であるので無理がある ・必ずしも我々の世界と同一の現象が起きるとは限らない ・あくまでゲームであり、リアル追求よりゲームとしての成立を優先する ・「問題」を同時多発させすぎない というところでどうしょうか・・・ 575 :オーバーテクナナシー:2006/09/25(月)13 03 42ID 8gOKb2WK 572-573 良いですね。私の考えてたのとすごく近いかも 原始人は馬鹿になりきるというよりも、無知になりきる感じかな 「技術」ではさほど問題ないですが、「文化」になるととたんに 現代の常識や理屈や倫理観がモロ出てきてしまいます 過去ログで恋愛や結婚のあたりで議論したのを思い出します 現代の常識や倫理観に支配されている人を説得するのがどんなに 難しいと思った事か・・・ 571 >もともとGMの負担が大きいのは宿命的なものであって、 >その負担を如何に問題を起こさずに減らすか、というのが問題なのではないでしょうか。 本来のテーブルトークRPGにおける「GM」の仕事と「検証人」を同一人物がやっていたから 負担が大きくなりすぎたので、この二つは絶対に分離するべきだと思います 576 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2006/09/25(月)14 59 29ID jRFYMTEN ネ申々と同じようにGMも相当な人数がいて、ローマの元老院のような人材プールをつくって いろいろな役割を分担したり兼任したりすると全体的に負担が経るかもしれない。 また、たくさん人数がいればいざというときの死亡欠員にも対応できます。 ○ネ申(参加者) 原始人に技術を教えます。 ○GM集団 原始人に技術を教えるスレに関する様々な運営を行う人々。 │ 役割は複数掛け持ち可能というか推奨。 │ まとめサイト内のGM用掲示板などでの相互連絡必須。 │ ├GM長 各部門の意見を総合し最終的な判断を下します。(非常設) │ ├文芸系 読み物としての面白さを演出する役割です。 │├原始人 原始人を演じてネ申々に対して受け答えをします。 │└SS いろいろなエピソードをはじめ、神話、民話、ポエムの作製をします。 │ ├まとめサイト系 まとめサイトの運営を行います。 │├ログ保存 │├記事作製 │└NDC分類 『日本十進分類法』第9版についての知識がある人推奨。 │ ├専門知識系 専門的知識を必要とする系統の役割です。 │├設定 地形・気候・資源分布・動植物分布・他部族・人種的特徴・風俗習慣・言語などの設定をします。 │├研究 本スレおよびまとめサイトに定期的に現状報告記事を載せます。 │└検証 提案された技術の検証を行います。(GM衆全員参加推奨) 577 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2006/09/25(月)15 13 37ID jRFYMTEN 大まかに言うと『GM集団』は『GM長』をトップとして 『文芸系』『まとめサイト系』『専門知識系』の三部門から構成されます。 この中でも話のつじつまを合わせるため、 文芸系と専門知識系は相当緊密な連絡が必要です。 まとめサイト系は、三権の中の司法なみに孤立しています。 この中で私ができそうなのは、『まとめサイト系』全セクションと 『専門知識系』の『設定』の言語設定と『検証』を手伝うぐらいでしょうか。 文型なので『検証』できる範囲は、ごく初歩的なところに限られます。 ちなみに演劇と創作文芸については、苦手分野なので『文芸系』はきついと思います。 578 :死者の代弁者:2006/09/25(月) 20 33 22ID MLbXeEWz 575 >本来のテーブルトークRPGにおける「GM」の仕事と「検証人」を同一人物がやっていたから >負担が大きくなりすぎたので、この二つは絶対に分離するべきだと思います 前にも述べたことがありますが、部分的に分離することは良いと思います。 初代1さんが原始人を募集していたのも同様の理由からでしょう。 しかし完全に分離してしまうとGMの弱体化になり、GMやるのがつまらなくなるでしょう。 ネ申にとって楽しいゲームであると同時に、GMも楽しめるようでなくてはいけません。 でなくては誰もGMをやらず、ゲームは始まりもしないでしょう。 テーブルトークRPGには、分厚いルールブックがありますよね。 ルールブックは何のためにあるかというと、GMが世界を無から作る負担を軽減するためです。 同時にプレイヤーの行動指針でもありますね。 ルールブックなしでテーブルトークRPGをやると、どうなるでしょう。 プレイヤーは何も出来ないか、好き勝手を始めるかのどちらかしかありません。 だってルールがないのだから。 そんな状況でゲームを成立させていた、初代1さんは確かに凄い。 しかし初代1さんの発言力と、初代1さんに逆らわないという不文律がなければ、それも無理だったかもしれません。 579 :死者の代弁者:2006/09/25(月) 20 48 05ID MLbXeEWz 576-577 ほとんど同意です。 ルールを増やしすぎない効果もありそうですし、非常に良いと思います。 ただ、GM長は常設にした方がよいのではないでしょうか。(交代はアリで。) 2chでの話し合いは、多少強引にでも進めていこうという人がいなければ、小田原評定になるのがオチです。 これは今までのゲームで、ネ申々の話し合いの中でもよく起こっていました。 しかし同格のGMの一人が強引なことをすれば、他のGMとの間がこじれるでしょう。 GM陣は代表1人と補佐が数名、という形になった方が良いのではないでしょうか。 代表がコケても、補佐の中から次の代表が選出されるようになっていると、なお良いと思います。 スタート当初に予想されるGM/原始人の不足も、GM長が補うことにすれば乗り切れるかもしれません。 580 :死者の代弁者:2006/09/25(月) 21 10 11ID MLbXeEWz 572-573 いいですね。私はどっちかというと、 573がよさそうに思います。 殺されて文句言うなっていうのも厳しい気はしますが、最悪の場合だけでしょうし。 ゲームは最初からやるとして、最初のイベントはサイというのも象徴的でいいですが、 世界や地形なんかはどうしましょうね。 たとえばこれはただの思いつきですけど、「ネ申の声」が途絶えて数世代後の未来技術村なんてどうでしょう。 技術の多くは失われ、いくつかの災害に会いつつ、細々と生き残る彼らの子孫に興味はありませんか? 581 :オーバーテクナナシー:2006/09/26(火)01 08 47ID DBHaekI0 俺はもっと単純に この技術を知ったら次はコレに繋がって そのおかげでコレができるようになった みたいな連鎖を未来技術まで見たいんだが。 582 :死者の代弁者:2006/09/26(火) 08 10 16ID AUOvBOR7 581 じゃあ、1回目と同じように、同じ段階からスタート? それもリセットらしくていいですね。 前に、多少の技術は持ってスタートすればいいという意見もありましたが、 そこのところは、どっちの意見が多いのでしょう? 583 :オーバーテクナナシー:2006/09/26(火)16 36 03ID TGYYrXw2 579 横からちょっと失礼します GM陣は代表1人と補佐が数名、という形になった方が良いのではないでしょうか。 代表がコケても、補佐の中から次の代表が選出されるようになっていると、なお良いと思います。 これ、代表できそうな人といったら、今までの発言の強さから考えても 死者の代弁者さん、録霊60さん、初代1さんの御三方しか居ませんね でも、どの方も色々理由付けて尻込みしてらっしゃいます 他の名無しの中から立候補者が出てくるとも思えません やるとしたら、前に案が出ていたように持ち回りでやるしかないのでは? 584 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/26(火) 21 42 34ID 3zp2SXWl 意見が、出揃ってきたみたいですね。 運営体制は 576 原始人だけ分離でして 572-573 っていう感じが実現すると、私単独のときよりも、ずっとうまくいくと思います。 580 はじめからやるのは、きついかもしれませんから、ある程度の下地舞台として 前回を参考程度に考えると、楽に運営できるかもしれませんね。 582 でも、結局のところ、まだ、「オレがやる」って言う人がいないので 名乗り出さえすれば、その人が決めたルールと、世界設定に従うと思いますよ。 周りの意見を聞きすぎると、色々失敗しますしね(^^; 583 一番は、GMを名乗る人がいない事ですね。 前回のゲームを放棄した当人が言うのも何なんですが、 困った時にしか出てこないGM長という形で、GM長をやっても良いかと思っています。 でも、私不在でも進むのが、今の私の理想です。 死者の代弁者さんと録霊さんがやる気なのでしたら、もう少し具体的なところに 話を進められるかと思います。 っていうか、ニートの私にもできたのですから、他の方にできないわけがないのですよ 皆さんも、やってみても良いかな、って軽い感じでやると、きっといいとおもいます。 585 :録霊60◆CcpqMQdg0A:2006/09/26(火) 22 49 05ID xAYUTCmz 579 GM長は、GMの人数が小隊規模(5~6人)になったら常設にしたほうがいいかも しれませんね。 そのあたりになると話し合いでまとまりにくくなりますから。 580 はじめからやったほうが、複雑な印象を与えず済むと思います。 それに、単純な技術でもそこへ至るファーストコンタクトの衝撃は、 なかなか面白いものでした。 586 :オーバーテクナナシー:2006/09/26(火)23 52 25ID 4mWeJOQj 581 シヴィライゼーションやってるな?w 587 :死者の代弁者:2006/09/27(水) 00 19 32ID HcVnN7Th 尻込みする訳ではないのですが…。 私は学生の頃、機械工学を専攻しました。 そういう意味では、お役に立てる部分もあるかと思います。 といっても仕事はコンピュータ系なので、現役の人ほどの知識は維持できていません。 仕事柄、使える時間がちょっと少ないかも。 --- 話は変わりますが、【聞こえない声】について。 基本的に声は聞こえないことにして、【聞こえる声】だけ聞こえる方がいいと思います。 ずっと以前にも出た提案ですが、そのときは「いまさら変えるのは大変だから」と見送られました。 最初からやりなおすなら、変更するよい機会になるでしょう。 588 :オーバーテクナナシー:2006/09/27(水)00 19 55ID 3J4pHG1H 586 そういうお前もやってるな? 太古からの科学技術ツリーがみたいんだよ。 詳細な。 589 :死者の代弁者:2006/09/27(水) 00 28 28ID HcVnN7Th 586 古い話で恐縮ですが、ふと思い出したので。 スーパーファミコンで「無人島物語」というゲームがあります。 限られた資源と僅かな食料をやりくりして生き残りつつ技術を高め、無人島を脱出するというものです。 今のゲームと比べるとショボいですが、ここの住人なら結構楽しめるかもしれません。 参考 http //www.super-famicom.jp/g_mujintou.html 590 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/27(水) 00 58 42ID 7xbLWjLn 587 本当に必要な検証作業は 「提示された方法で実際にできるか」 なので、知識というより、 資料あさりが中心になります。 「どの程度できるか」については その場の雰囲気でアバウトに決めてもよいはずです。 こっちの方は、実験してみないと何とも言えない部分があります。 例えばですね、木炭で絵がかけるか?ってあったじゃないですか 木炭は硬いので、紙にこすりつけても、絵は描けないのですよ。 でも、目の荒い軽石のような岩だと、書ける場合があったり、 表面についている、ススで、書けてしまったりもします。 あと、木炭をすりつぶしても、粒子が荒すぎて墨汁のようにはならないのです。 では、実際には?というはなしだと。 獣油などのススの大量に出るものを燃やしてススを集めて、ニカワで固めたり、水に溶いたりするんです。 他の顔料も原始人の技術では実際には無理がある部分が多多あります。 逃げ道として、フレスコとして漆喰に塗り込むという方法で許可をだした、というのがあのときの顛末です。 実際には、色斑がかなり出たり、塗装後変色したりと言ったことがおきます。藍銅鉱なんかは、灰色っぽくなるはずです。 ゲームとして楽しむためには「できるか?」を重視して 「どこまで?」はかなりあいまいにした方が、テンポが良いと思います。 591 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/27(水) 01 08 07ID 7xbLWjLn 技術ツリーは私の始めの目標でもあったのですが、 私が調べた範囲では 打製石器、木工品(ただの木の棒含む)、土器の3つに集約されるっぽいみたいです。 土器はかなり後の時代のものなので、木工品と打製石器が全ての根本といってもいいかもしれません。 布も、皮製品もどちらかがないと、作る難易度が馬鹿みたいにあがります。 農耕も道具発見以降のものなので、道具の応用であると考えられます。 なので、実際には、Civのように多方面からの発達ではなく。 2~3つの根からの多数へ分岐統合される構造になるようです。 592 :オーバーテクナナシー:2006/09/27(水)01 21 10ID BSrpLVTQ http //isweb28.infoseek.co.jp/play/beantank/slugwar/menu.html 593 :オーバーテクナナシー:2006/09/27(水)11 47 29ID wrvWDzI9 587 デフォが【聞こえない声】で 原始人に話す時だけ【聞こえる声】宣言する方式に賛成します 賛同者居ないとサラッと流れちゃいそうな提案だったので、1票入れときます^^ 594 :オーバーテクナナシー:2006/09/27(水)15 50 39 ID J3gFrIsl 589 スレ違いになるからあまり深くは話しませんが 紹介してくれるのは嬉しいんですが昔散々やりこみましたですよ 595 :オーバーテクナナシー:2006/09/27(水)19 27 48 ID JjOkSzVq 593 私もデフォが【聞こえない声】で 原始人さんが【聞こえる声】のときに反応する案に賛成ですね 【聞こえる声】 原始人さん、ネ申が『会議中』なのでちょっと待っていてくださいね。 『会議中』というのはみんなで集まって話し合いをしていることですよ。 596 :オーバーテクナナシー:2006/09/27(水)21 49 28 ID jrmXli8Z 再就職がきまり、人並みの生活に戻ると、 調べている時間、妄想している時間というのが少なくなってしまいました。 っていうか、ニートの私にもできたのですから、他の方にできないわけがないのですよ 分担するにしても、具体的に1週間に何時間くらいかけたらできそうなかんじ? 597 :オーバーテクナナシー:2006/09/29(金)16 56 24 ID rV5ohHPx 590 木炭デッサンで使う木炭は何か特別な物なのですか? 598 :死者の代弁者:2006/09/29(金) 19 41 12 ID tt+BAruV 597 木炭デッサンは紙が違うんですよ。 丈夫でザラザラの、専用の紙を使います。 石などになら描けるでしょうけど、木炭の粉は紙や石にはくっつきにくい。 だから粉がついても取れてしまうようですね。 …まあ、実際に試したわけじゃありませんが。 599 :オーバーテクナナシー:2006/09/29(金)22 07 16 ID xZv6oAw7 597 あれは木じゃなくて何か特定の草の茎を炭化した物だったと思う。 芯抜きしないと画質荒れるし。木質に芯は無いだろ。 600 :初代1◆zhFdGsjV7M:2006/09/29(金) 23 36 37 ID DE1k6pNF http //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%B3 木炭を使う場合には、ヤスリのような表面の特殊な紙を使用します。 一般の紙や、キャンバスを使う場合には http //ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%A2%A8 これを使います。 柔らかな炭で、鉛筆なんかのように、小さく薄く(分子レベルで)はがれる構造になっています。 どうしても、木炭から墨汁のようなものを作ろうと思った場合には 砕く>軽石のようなもので粉にする>軽石を砕いたものと混ぜさらにかき混ぜる >さらに細かく砕いた軽石を混ぜ臼に入れてつく>水と混ぜ合わせ布でこしとる これで、かなり灰色っぽい、しかも色の薄い墨汁ができるはずです。 おそらく、素直にススを集めたほうが手っ取り早い。 前100|トップ|後100