約 3,871 件
https://w.atwiki.jp/galgerowa2/pages/209.html
GO MY WAY!! ◆LxH6hCs9JU イェーイ! 高槻やよいです! 貧乏だけど、頑張りますけど、とりあえず今日は帰ります! 賢く特売行ってきます! ええ、だからもう本当に帰らせてください! 家ではおなかを空かせた弟と妹が待ってるんです! 私、こんな暗くて怖いところ堪えられません! だから、お願いですから帰してください! 帰りたい、帰りたい、帰りたいったら帰りたいんです! 次頑張りますから、とりあえず今日は帰してください! うっうー……帰りたい、帰りたいよぉ……プロデューサーぁぁぁ………… ◇ ◇ ◇ 「うっうー……帰りたいよぉ……」 電灯もまばらな夜の市街地。人通り皆無の道端で、女の子が一人、泣いていた。 やや癖のある長髪を、両サイド二本に纏め上げた少女の名は、高槻やよい。 父親の仕事が安定しないために貧乏生活を強いられている彼女の職業は、アイドルだ。 長所は明朗快活な性格と、思いやりに溢れた心、強い責任感。短所は、強いて挙げるなら貧乏性だろうか。 私服のトレーナーはかなり着古しているのか、襟首の部分がくたびれており、アイドルらしさを感じさせない。 アイドルだというのに自前の携帯電話も所持しておらず、オフの日は小遣い稼ぎにバイトを入れる日もしばしば。 ――これが弱冠13歳の少女のプロフィールだというのだから、大人としては嘆息するほかない。 もっとも、そういった一端の感情を、彼――葛木宗一郎が持っているかどうかは不明だが。 「っぐ、っうう…………プロデューサーぁぁぁ…………」 「……お~い相棒、こういうとき、男として気の利いたセリフでもかけてやれねえのかよ」 「…………」 渋い声が一つ、やよいの前に立つ男……の、右腕から発せられる。 無愛想な男の容貌からは、不似合いにもほどがある腹話術専用パペット人形。 名前はプッチャン――装着者の意志を無視して、自分勝手に喋る人形だった。 とはいえ、声帯は装着者である男の声を間借りしている。 ゆえに、響く声はプッチャンの声ではなく、プッチャンの口調をした男の声。 それがひどく、プッチャンの印象をハードボイルドなものに変えている。 「おい、相棒。オイったらオイ」 「…………」 プッチャンの呼びかけにひたすら無言を貫き通すのが、装着者たる葛木宗一郎だ。 なんの不幸か、口やかましい上に自分では外せないという寄生虫のような人形を支給され、右手を封じられた状態で既に一戦。 今はその戦闘の際の『拾い物』を前に、傍観を続けている。 この状況も、かれこれ三十分ほど経過しただろうか。 ツヴァイと名乗る男から逃れた後、宗一郎とやよいは軽い自己紹介をすることになった。 とはいっても、語っていたのは主にやよいで、宗一郎は己の名前と職業くらいしか説明していない。 そしてやよいの自分語りが進み、崩壊は突然だった。 「う、うう……うっう……」 きっと、話しているうちに実感してしまったのだろう――かつての日常と、今ある現実の落差に。 ただでさえ、やよいは殺し合いが始まって間もないこの時期に、死の間際というものを体感している。 痛感。やよいが突然泣き出してしまった症状について説明するなら、この一言だけで事足りた。 そんなやよいに対し、宗一郎はただ待った。彼女が泣き止むその瞬間まで。 人情味に溢れた人間ならば、励ましの言葉くらいはかけただろう。が、それもない。 葛木宗一郎は――人並みの感情を失った暗殺者は――そういう人間だからだ。 「ごまえー……ごまえ……がんばぁぁってぇ……ゆーきましょ……」 嗚咽混じりのか細い声で、やよいが突然歌いだした。 曲名は『GO MY WAY!!』。 やよいの持ち歌であり、本来はもっと明るくポップな曲調だが、今のコンディションでは欠片の魅力も引き出せない。 子供はよく、怖い局面などに遭遇すると、自身を元気づけるために明るい歌を歌いだす。 今のやよいも恐怖に打ち勝つため歌っているのだろうが、背後に潜む恐れの原因が死だと考えると、ひたすら不憫に思えた。 職業など関係ない、やよいはどこにでもいる13歳の女子児童だ。 それも理解しているだろう。しかし宗一郎は、大人として、教師として、一参加者として、やよいの再起を待った。 決して目を背けず、去ろうと思えばいつでも去れるのに。 「……うん」 三十五分ほどかかっただろうか。一頻り歌い終えると、やよいは顔を上げ、涙を拭った。 ずっと待っていてくれた、厳しくもやさしい教師と顔を合わせ、やよいは言葉を弾く。 「あの、さっきはどうもありがとうございますっ! 葛木先生……それから、プッチャン!」 元気よく屹立。両手を後ろに大きく跳ね上げ、深くお辞儀。やよい独特の感謝のポーズ。 その子供っぽい仕草を見て、プッチャンは僅かに笑み。 宗一郎は、微かに唇を揺らした程度だった。 ◇ ◇ ◇ 高槻やよいは、涙を拭いながら決心を固める。 頑張ってゆこう。 殺し合いというゲームに対し、単なる子供にすぎない自分がなにをできるかはわからない。 少なくとも、悲しみに浸ったまま時間を浪費し続けることは正解ではない。それだけはわかった。 「落ち着いたか、やよい?」 「はい、なんとか。えーと、葛木先生……じゃなくて、プッチャン」 「そう。俺の名はプッチャン。それ以上でもそれ以下でもない」 (うっうー、すごく上手な腹話術ですぅ) 宗一郎の口は堅く閉ざされたまま、プッチャンの厳格な声が発せられる。 素人目だが、まったくの違和感が覚えられない、完璧すぎる腹話術だった。 「……肩が震えているようだが」 「え?」 やよいが達人の腹話術に感動していると、宗一郎が唐突に口を開いた。 元気を取り戻したかと思われたやよいの肩は、まだ小刻みに震えている。 体から恐怖が抜け切っていないのだろう。やよいはまだ本調子ではなかった。 「えへへ……まだちょっと、元気が足りないのかも。あ、そうだ! いつも学校でやってるアレやれば、怖いのも治まるかもっ!」 「アレ? アレって、なんだ?」 「葛木先生。私と、手をポーンって、合わせてくれますか? それやると調子出るんです」 やよいは宗一郎の難しい顔を眺め、普段プロデューサーと交わすような笑顔を振りまく。 「それじゃ、いきますよ~っ。うっう~、ハイ、ターッチ!」 「むっ」 満面の笑みを浮かべながら、やよいは右の手の平を高く突き上げた。 差し出された手の平に、宗一郎は反射的に自分の左手の平を合わせる。 「いぇい!」 パン、という爽快な音が響き、やよいの笑顔も明るみが増した。 「お、おもしろそうだなソレ。なぁやよい、俺ともやろうぜハイタッチ」 やよいと宗一郎のやり取りに共感を覚えたのか、プッチャンも名乗り出る。 このハイタッチは、自分を元気づけるためのおまじないみたいなものだ。 やよいは屈託なく頷き、再び手の平を突き上げる。 「いいですよ。じゃ、プッチャンもハイ、ターッチ!」 「ターッチ!」 やよいの手の平を目が――けず、プッチャンを装着した宗一郎の右手は、そのまま下方にずれていった。 プッチャンの小さな手が飛び込んだ先は、やよいのトレーナーに刻まれた『MARCH』のロゴ。 つまり、胸元である。 ぽふっ、という軽い音が一つ。 音に柔らか味が欠けていたのが、やよいにとって少しだけ残酷だった。 「うううっ、葛木先生~、どうしてそんなところにタッチするんですかー?」 「いや、違う。これはこいつが勝手に」 「はははっ、まあいいじゃねぇか。 コミュニケーションの苦手な相棒に代わって、俺がスキンシップを取ってやっただけのことさ」 やよいが頬を赤らませつつ困惑し、宗一郎が僅かに動じ、プッチャンが愉快に浸る。 「ううー、ひどいですプッチャン。私、ちゃんと手にしてほしかったのに……えいっ」 やよいはちょっとだけ怒った素振りを見せ、プッチャンの頬を軽くはたく。 すると、プッチャンは宗一郎の右手からスポッと飛び、そのまま地面に落下した。 「え……あ、あれ? ああ、ご、ごめんなさい葛木先生っ」 「……いや」 自分が弾き落としてしまったプッチャンを慌てて拾い、やよいは宗一郎の右手に嵌めようとする。 しかし、宗一郎は右腕を自分の背中に隠すことでそれを拒否した。 「え?」 「それは君に譲ろう」 「ええー? いいんですかぁ?」 抑揚のない声で、プッチャンをやよいに贈る宗一郎。 やよいはさっそく、プッチャンを右手に嵌めてみることにした。 宗一郎とは手のサイズがまるで違うが、やよいの手でも抜群のフィット感。 新しい玩具を手に入れた子供のように、やよいは童心のまま腹話術を試みる。 「うっうー! こんばんは、プッチャン! 今晩のおかず、アジ一匹でーす!」 「アジ一匹でーす、じゃねー! おい相棒! いきなりひでぇじゃねぇかー!」 「もげー!? 私、なにも言ってないのに、プッチャンが勝手に喋りましたー!?」 「気にするな。それはそういうものらしい」 「そうじゃねぇだろ! 出会ったばかりの相棒を捨てるなんて、おまえそれでも人間かコノヤロー!」 「右手が塞がっていてはいざというとき対処に遅れる。しかし……随分と可愛らしい声を出すのだな」 「んなー!? 笑った、おまえいま笑っただろう!? 顔じゃ笑ってなくても、心の中で笑っただろう!?」 「うっうー。なにがなんだかわかりません……私、実は腹話術の天才だったのかなぁ?」 宿主を宗一郎からやよいに移し、声質を少女のものに変えたプッチャンの怒声が響く。 プッチャンを単なるパペット人形としか思っていなかったやよいは、事態にただただ困惑。 宗一郎はそんなやよいへの説明すら放棄し、結局プッチャンが当人の声を借りて、やよいに説明する形になった。 ――理解が追いつく頃には、すっかり元気を取り戻したやよい。 アイドルとお喋りな人形、無愛想な男の三人組は、並び合って夜道を歩く。 三人の行く先には、一軒の巨大な建物が聳えていた。 博物館である。 ◇ ◇ ◇ 博物館内の電灯は、最初から点灯していた。 既に何者かが踏み入っているのでは、とも懸念したが、宗一郎を信じるにどうやらその線は薄いらしい。 いるとすれば、気配遮断を極めた隠密の者か……という言は、やよいにはよくわからなかった。 「しっかしなぁ……博物館っていうのは、恐竜の骨とか、船の模型とかが置いてあるもんじゃねぇのか?」 やよいの幼い声で、プッチャンが男らしく喋る。 言葉遣いと声質がまったくマッチしておらず、どこか舌足らずな印象を受けた。 「美術品や学術資料を展示しているケースが多いものだが……これも、そうだということだろう」 「うっうー……でも、どうしてこんなものがあるんでしょう? ひょっとして動くのかなぁ?」 「いやぁ……これは本物じゃなくて作り物だろう、さすがに……」 やよい、宗一郎、プッチャンの三者が見つめるのは、博物館に入っていきなり目に飛び込んできた展示品。 ドラム缶のような円筒形のフォルムに、取りつけられているのは二本のアーム。その先端にはドリル。 第一印象で捉えるならば、正にロボット……展示品の名を記すプレートから参照すると、『破壊ロボ』とあった。 「んでぇ、こっちのはなんだ? いや、あっちのダサいロボットに比べりゃ一目瞭然だけどよ」 「うっうー、ショベルカー、ですよね?」 破壊ロボから少し離れた地点には、また別の展示物。 ホワイトカラーに覆われた独特な車体は、工事現場などでよく見受けられる重機の一種。 ロボットなどに比べれば随分と一般的な、パワーショベルカーと呼ばれる代物が、そこに鎮座していた。 「『雪の名を冠さす少女が駆りし、伝説の機体』……おいおい、随分とご立派なショベルカー様だなぁ」 「ショベルカーって、いったいいくらくらいするものなんでしょうか?」 「この手の油圧ショベルなら、安いものでも三百万ほどはすると思うが」 「3000000円!? そんなにあったら、もやし祭りができちゃいますよっ!?」 「も、もやし祭りってなんだ……?」 「でもこれ、すっごく本物っぽいですけど……こっちは頑張れば動くんじゃ」 「頑張るって言ってもなぁ。おい相棒、おまえはこれ動かせたり……っておーい、勝手に先に進むなー!」 博物館の奥へと進む宗一郎の背を、やよいとが慌てて追う。 命を助けてもらった恩からだろうか。宗一郎と行動を共にすることへの疑問は、欠片も湧かない。 この人は味方。この人はいい人。この人といれば大丈夫。そんな安心感が、いつしかやよいの中で働いていた。 宗一郎の揺れる心とは、裏腹に。 ◇ ◇ ◇ 自分の背中をちょこちょことついて回る、アイドルの女の子と傍迷惑なパペット人形。 教師としての立場を考えるならば、他校の生徒であろうと守護の対象に加えるべき存在だ。 そんな常人の選択を、常人ではありえない宗一郎は、選び取ることができなかった。 (――殺し合い、か) こうやってやよいと行動を共にしているのは、仮の選択にすぎない。 殺し合いという現状を、葛木宗一郎という人間は、どう立ち回るか。 その決断は、まだできない。決断するための判断材料が不足しているからだ。 学園の生徒たる衛宮士郎と間桐桜を保護するか―― プッチャンの言う家族とやらを探してまわるか―― 高槻やよいを守りつつ彼女の知人を捜索するか―― 当面の選択肢はこの三つ。しかしこれは、どれも他者に用意されたものにすぎない。 人生のかかったゲームだ。選択肢は自らで調達し、自らの意志で選び取らなければならない。 なぜならば、ここには『指令』を与える者など誰もいないのだから。 「うっうー、待ってください葛木せんせーい」 この博物館の中に、宗一郎が選択肢を得るために必要な判断材料はあるのだろうか。 確率すらもわからない。あてもなく周旋する、旅人ならざる彷徨い人。 彼が答えを見つけ出す時は、いつか――? 【B-5 博物館/1日目 黎明】 【葛木宗一郎@Fate/stay night[Realta Nua]】 【装備】:なし 【所持品】:支給品一式 【状態】:疲労(小)。右肩に切り傷 【思考・行動】 1:博物館内を探索。 2:今後、どうするべきか考える。 3:高槻やよいを守る? 4:蘭堂りのと如月千早と菊地真を探す? 5:間桐桜や衛宮士郎に関しては保留。可能なら保護 ※自身の体が思うように動かない事には気付きました。 【高槻やよい@THE IDOLM@STER】 【装備】:プッチャン(右手) 【所持品】:なし 【状態】:肉体疲労(中)、精神疲労(小) 【思考・行動】 1:葛木先生と一緒に行動。 2:うっう~。千早さんと真さんに会いたいです。 046 求めなさい、そうすれば与えられる 投下順 048 クモノイト 045 まこまこクエスト~狸と筋肉とスライムと呪われし血脈 時系列順 049 胸には強さを、気高き強さを、頬には涙を、一滴の涙を。 001 Einsatz 高槻やよい 072 望郷 001 Einsatz 葛木宗一郎 072 望郷
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/787.html
97 名前: Fate/Ball TM 投稿日: 2007/08/09(木) 16 58 58 ――異様な光景だった。 まず飛び込んできたのが幾人もの死体、死体。死体。 傷だらけの死体。腕がもげた死体。・・肌が緑色の死体もある。――何故か全員、武道着を着用している。 「これは・・一体・・・」 事故?それとも病気?この荒野の中心で? 周囲を見渡す。 まるで隕石でも落ちたかのような穴、まるでサーヴァントの宝具がぶつかり合ったかのようにえぐれた大地。 荒々しく削られた大地は、事故以外の・・何かが起きた可能性を示していた。 丁寧にそれぞれの死を確認していくシロウ。だが彼の確認もむなしく、ここに生きている人間など一人もいないことがわかった。 「畜生。何故こんなことが・・・・!」 シロウ・・・。 いや、でもこれは・・。 「―――いえ、シロウ、まだ生きている人間の気配がします。こちらです!行きましょう!」 死体・・。必ず戻ってくるので、それまで放置していくのを許して欲しい。 ――これもまた異様といえば異様な光景だった。 生存者は5名。大怪我をしてるであろう男達が倒れ、中には丸裸の子どもまでいた。 一人だけ立っている小男が、這いずっている男にゆっくりながらも近づこうとしている。 「ぐ、ううっ・・・こ、このオレが・・ブザマだ・・・」 ずる、ずる、と球体まで這いずる男。――変な髪形の男だ。球体は前面が展開し、まるでカプセルのようになっていた。どうやらその傷まみれの男はそれに入りたいらしい。 そしてそれに止めを刺すべく剣を片手に迫る禿頭の小男。 「み、みんなのカタキだ・・死ねぇぇーーーー!!!」 「―――待つんだ!」 これから行われる殺人を止めようと大声を張り上げるシロウ。そして大きく目を開いて私達を見張る小男。 私達というイレギュラーの乱入に、周囲の空気が張り詰める。 「何をやってるんだ、お前は!その刀を放すんだ!」 「い、いや、これは・・・。いや、邪魔しないでくれ!こいつは、こいつは地球を滅ぼしに来たんだ!こ、こんな奴をかばわないでくれ!!」 シロウは殺人を許さない。例えどんな理由であろうと止めようとする。だが――今度ばかりはそれが裏目に出たようだ。 小男が私達に注意を払った隙に、這いずっていた男は球体へと乗り込んだ。 「ク、クククッ・・・バ、バカな地球人どもめ・・・。傷を癒し、ナメック星のドラゴンボールで不老不死を手に入れたら、す、すぐまた来てやるぜ・・・。それまでせいぜい楽しむんだな・・。ク、クク、ハッハッハッ・・・」 「ま、待てっ!ベジータ!!」 無情にも小男の叫びは届かず、球体の前面は閉じ、何の前触れもなく球体が浮いて空へと飛び去っていった。 98 名前: Fate/Ball TM 投稿日: 2007/08/09(木) 17 25 56 男が乗った球体は去っていった。 あれは・・何だったのだろう?私達を地球人と呼んでいたが・・。 私とシロウがこの出来事の考察に耽っていると、それまで虚空を睨んでいた小男が私達に視線を落とし、声を張り上げた。 「な、な、な、なんてことをしてくれたんだ、あんたらは!!あと・・あとちょっとで止めを刺せたのにっ!!!」 小男の叱責に驚く私達。確かに・・・事情がわからないというのに、手出しをするべきではなかったかもしれない。あの這いずる男―――小男が言うにはベジータという名前らしいが、そのベジータなる人物には邪悪な気配が感じられた。もしかすると・・私達は大変なことをしてしまったのかもしれない。 「い、いや、でも、あれ放っとくと殺してたじゃないか。どんなことがあっても殺人はよくないぞ」 「バ、バカヤローー!!あんたは奴のことを知らないからそんなこと言えるんだ!あ、あいつは・・あいつは・・」 (もうよさねぇか、クリリン) いきなり。 心の中から声が聞こえた。 このことは小男も驚いたらしく、私達と一緒に目を合わせている。 「ご、悟空か?お、お前の声が心に伝わってくるぞ・・?」 (あぁ。でもよ、クリリン。実は、さ、その人達が止めなくってもオラがおめぇを止めるつもりだったんだぜ?) 「しょ、正気か、悟空!?あいつは・・ヤムチャさんや天津飯、チャオズ・・しかもピッコロまで。―――ピッコロが死んでしまったから、神様も死んでドラゴンボールが石になり、みんな生き返れないんだぜ・・・?」 (あ、ああ、わかってる。でもよ、オラ思ったんだ。もったいねぇって。しょ、正直ビビったよ。オラは界王様のとこで修行して頂点を極めたつもりでいた。で、でも・・あのベジータはそんなオラを軽く超えるほどの強さだった) 「・・・・・・・・・」 (だ、だからさ。今度あいつが来た時はもっと強くなって絶対に負けねぇからさ・・。約束するよ) 「・・悟空。今度あいつが来たらチョイチョイっとやっつけてくれよ」 倒れている男・・ゴクウを見る。 遠くから見ても彼は重症だとわかる。でも・・・心なしかその顔は穏やかだった。 シロウは・・どことなく気まずそうだ。先程の会話を見る限り、彼らは悪人ではなかった。彼らを邪魔してしまったのを後悔してるのだろうか。 「とりあえず手当てをしましょう。特にゴクウ。ひどい重症ですよ。一刻を争います」 99 名前: Fate/Ball TM 投稿日: 2007/08/09(木) 18 02 43 病室。 そこでは包帯に巻かれたクリリンとゴハン、妙な器具の中に入ったゴクウが居た。 「へ、へへ。オラの体、治っても元通りに動けるか保障できねぇってよ・・」 ゴクウの体はどうしようもなかった。 あの後迎えに来たゴクウの身内によって急いで病院へと運ばれたが、彼の体は既に何を施そうと無駄なほど壊れきっていた。 「だ、大丈夫ですよ、セイバーさん。仙豆っていう豆を食べればお父さんの傷は治りますから。・・でも仙豆が新しく収穫できるまで時間が掛かるらしいですが・・」 というのはゴクウの子息であるゴハンの言。 仙豆・・・聞いたことがないが幻想種の植物か何かだろうか?食べればどんな傷でも治るらしい。 「でも・・生きていてくれて良かったよ。その仙豆ってやつを食べればまた動けるようになるんだろ?」 私とシロウはちょっとした縁から彼らのお見舞いに来ていた。彼らの邪魔を知らずにしてしまったという負い目もあったが・・・。 そしてその間、様々な話が聞けた。 まず第一に――――ドラゴンボール。 これには本当に驚かされた。七つの玉を集めればドラゴンが出てきてどんな願いも叶えてくれる・・。 世界中に散らばった玉を集めなければいけないという手間はあるものの、聖杯戦争に比べて圧倒的なローリスクで願いが叶われるのだ。このような物があったことに、心底驚かされた。ともすれば昔、私が命じた聖杯探索の発端は、このドラゴンボールの噂が変形して伝わったからかもしれない。 そして・・・汚染された聖杯では叶わなかった願いも・・・叶う可能性がある。 このことは私を大きく揺るがせた。 かつて諦めた王国を救うという夢。それがドラゴンボールによって果たすことができるのかもしれないのだから。 だがこの地球上では消えてしまったと聞いて落胆したが、続いてナメック星という所にあるかもしれないという話を聞き、再度私を迷わせた。 どうやらゴハンとクリリンは仲間を生き返らせてもらう為にナメック星へ向かうらしい。 これは決して手の届かない夢物語ではない。もし本当なら・・・私は・・・。 「私もそのナメック星という所へ一緒に行きます。・・・フフ、大丈夫、私は強いですから頼りになりますよ?」 ナメック星に行くフェイトメンバーを決めます。宇宙船は確定メンバー以外は三名までしか入れません。先に一人2票入ったら確定。 1、衛宮士郎 2、アーチャー 3、遠坂凛 4、間桐桜 5、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 6、バゼット・フラガ・マクレミッツ 7、ランサー 8、キャスター 9、バーサーカー 10、ライダー 11、間桐慎二 12、間桐臓硯 13、アヴェンジャー 投票結果 1 2 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0 7 1 8 2 9 0 10 0 11 2 12 0 13 0
https://w.atwiki.jp/holygrailwar-junne/pages/192.html
――三日目、夜 郊外の森―― 遠坂は、確かケータイを持っていないはずだ。 というか、持っていたとしても私に番号は教えないだろう。彼女に連絡を取りたいのなら、魔術的手段しかない。 アサシンの刀を借りて指先を切り、血で使い魔を形成する。 触媒はないからたいしたモノは作れないけれど、片道切符で言葉を届けるには十分。 バーサーカーは倒した。 彼女との同盟は、もう解消されているといってもいい。 私が遠坂を頼るのは筋違いで、加えて言えば、本当なら互いに天敵のはずなのに。 『遠坂を頼ると良い…あそこなら、事情も知ってる』 私だけじゃ、何も出来ない。何も出来なかった。 何をすればいいか、誰も教えてくれなかった。 ただ我武者羅に拳を振るうだけで解決することなんて、世の中には数えるほどしかないのに。 唇を噛みちぎる。 悔しさに涙を流す権利なんて、私にはない。 何も知らなかっただなんて、子どもの言い訳だ。 握ったままの拳を開いて、倒れる彼の体を支えることさえ、私はしようとしなかった。 『…間桐の娘を、救ってくれ』 たとえ身内でも、誰かを救うために戦っていた男。 それを救うために、自分の命を捨てた。いや、 私が捨てさせたんだ。 間桐に逆らった、と、雁夜は言っていた。 ならば、彼が聖杯戦争に参加した理由は、きっとそのためだろう。 慎二がマスターではないのにバーサーカーを従えていたのも、恐らくはアレが間桐のサーヴァントだったから。 間桐の娘を、ということは、恐らくは妹の方…間桐桜も関わっているとみて間違いない。 それを、彼は助けようとしていた。 聖杯戦争での勝利よりも、ただ一人を救おうと、身を粉にして。 魔術師なんて、みんな利己主義の塊のはずだ。 私だって、あのバーサーカーを倒すために、彼を利用した。 けれど、けれども、 彼だけは誰かのために戦っていたんだ。 「珍しいものだな。お主が情で動くのか」 アサシンの言葉は、それでも珍しく嘲笑の色を帯びてはいなかった。 消える寸前のランサーと何かを話していた。彼も、何か思うところがあるのだろう。 「…何言ってんの? そんなこと、あるはずがないでしょ」 私は『正義の味方』じゃない。 救いを求める手の全てを握り返すことは出来ないし、第一やってらんない。 私は『優等生』じゃない。 借りを作られたままでは寝覚めが悪いとも思わない、むしろ返す必要なくなってラッキー。 でも、私は『文月夏奈』だ。 優等生が苦手で、正義の味方は信じてない。 群れるのが嫌いなくせに寂しがりで、けれども友達を作るのが下手で。 鉄板くらいなら軽くブチ抜けるくらいに強いけれど、陰口を聞いて泣き寝入りするくらいに弱い。 それが本物の『文月夏奈』、他でもない私自身だ。 優等生でも正義の味方でも無くて良い、むしろこっちから願い下げ。 けれど、私が『文月夏奈』であることは譲れない。 あの時、バーサーカーを倒せるかもしれないと、功を焦って同盟を結ばせたのは私だ。 あの時、ランサーのマスターに宝具を使わせたのは、他でもない私なんだ。 もしかしたらあの場で、彼を救う方法だってあったのかもしれない。 けれど、私は何も出来なかった。 雁夜は自分の命を賭してバーサーカーを倒したのに、私は無知な子どものフリをして立ち尽くしていただけ。 相手に苦渋の選択を強いて、自分は無知であることを盾にして、旨みだけを吸う。 そんなの、同盟じゃない。 彼に払わせてしまった代償に報いるには、せめて私がその遺志を継ぐこと。 自分のためではなく、誰かのために命を投げ打った、あの男。 同盟を結んだというのなら、私は彼と対等でありたい。 その思いは、本物だ。 だから、この在り方を曲げたら、私は『文月夏奈』ではなくなってしまう。 「…バーサーカーのマスターが、恐らく間桐にいるわ。サーヴァント一体を失ったからって、引き下がるとも思えない」 使い魔を飛ばし、遠坂に連絡を取る。助けてほしい、何でもするから、と。 相手は天敵だし、昼間だって袖にされたし、ここでまた手を借りるのはこれ以上に無い屈辱だ。 だけど、このまま独りで何も出来ないまま終わるのは、もっと屈辱。 恥の一つや二つ、掻いてやる。外聞なんて、これっぽっちも気にするものか。 「誰が令呪を持っているのかだけでも、この目で確認しておかないと」 それでももし遠坂が来てくれないのなら、この身一つで特攻でも何でもしてやる。 「そのついでに、ちょっと気に食わない魔術師共をぶん殴りに行くのよ。文句ある?」 「無いさ…なるほど、お主らしいな」 「でしょ?」 覚悟を読み取ってくれたのか、アサシンはまた静かに笑うだけだった。 笑い返すことは、まだ流石に出来なかったけれど。 返事は、思っていたよりも早く帰ってきた。 遠坂の使い魔は、優雅に翼を広げて旋回している。ガラス細工のような繊細な美しさ。梟だろうか? 羽根の細部まで無駄に凝っているところなんて、彼女らしい。 私が腕を伸ばすと、指の先にひらりと舞い降りた。 『話ダケナラ聞イテアゲル』 ――三日目、夜 幽霊洋館―― 指定された集合場所は、街外れの幽霊洋館。 郊外の森と遠坂の邸宅の、ちょうど中間の位置に当たる。 手入れもされず、伸び放題の芝生のど真ん中で、遠坂は立っていた。 隣にはライダーの姿がある。 此方もアサシンの霊体化を解いた。彼女が私を討ちに来る可能性だって、本当はまだ捨てきれないのだ。 「…バーサーカーを倒したって?」 向き合うなり、遠坂は私を睨みつける。 それは疑いか、それとも別の怨恨か。どちらにせよ、警戒はまだ解かれていないらしい。 判別もつかないまま、頷いて見せる。そもそも真実を騙ることに意味はない。 「私だけでは倒せなかった…ランサーのマスターが、先に交戦していた」 「つまり、実質的にバーサーカーを倒したのはランサー…ってことね」 「ただ、ランサーのマスターは」 言葉が途切れる。 どう説明すればいいのだろう。 端的に死んだと説明するのは憚られた。彼は勝利のために、自らの命を投げ出したのだ。 黙っていると、彼女も事情を察したのだろう。 わかったから続けて、と、話の先を促す。 「…間桐雁夜」 「 」 名前を出した瞬間に、遠坂の顔色が変わった。 まるで殴られたかのように、目を見開き、言葉を失う。 一瞬、泣きだすんじゃないかと思った。嵐の前の静けさとは、よく言ったものだ。 「……ああ、そう、そういうこと。全部理解したわ、クソッ…!」 腹立たしげに、彼女は唇を噛みしめる。 優等生の遠坂が、此処まで激情を表に出すのは滅多にない。まあ、私の前ではその皮は被らないのだが。 「名前、知ってるの?」 「…ええ、ごめんなさい。話を続けて」 切り替えの速さは、それでも優等生のもの。 自分が取るべき相応しい行動を、彼女は理解しているんだ。私とは違う。 少しだけ、言うのに心が重くなる。 「同盟を持ちかけたのは、私から。彼が魔力不足に陥りかけているのも知っていて、宝具を使うのを止めなかった…だから」 私が殺したようなものだ。 そう続けようとして、凛が手で制する。 「…やめなさい。そういう結論付けには、何の意味もない」 「けど、」 「貴方が同盟を持ちかけていなくても、雁夜おじさんは…単身でバーサーカーに戦いを挑み、死んでいたわ」 さすがは冬木の管理人、優等生。 私が与えた以上の一の情報から、十の結論を得る。私よりも正しく状況を理解している。 激昂はそのままに蓋をして、私の無意味な自虐を止めたのか。 これだから、『優等生』は嫌いなんだ。 私なんかよりも、面識のある彼女の方がきっと、間桐雁夜の死が辛いはずなのに。 いっそ感情のままに、お前のせいだ、と、罵ってくれた方が気が楽なのに。 理性で怒る人間は、たちが悪い。 ならば私も極力感情は排して、正しい情報を彼女に伝えなければならない。 「雁夜…さんは、間桐に逆らったと言っていた。おそらくあのバーサーカーは、間桐のサーヴァント」 「なら、マスター権限を持った人間がもう一人、間桐にいるということね…」 そして、その目星も私はついている。 「…一年後輩の、間桐桜。おそらくは、彼女がマスターのはず」 「さく――間桐さんが?」 下の名前で呼ぼうとしていた。 仲が良いのだろうか? あまり一緒にいるイメージはないけれど。 「…『間桐の娘を救ってくれ』、と…雁夜さんは、最後に言ったわ」 死ぬ間際まで呻いていた、彼の苦悶の表情が目の端にチラつく。 魔力不足で喘いでいた。当然だ、間桐の家系には魔術回路は存在しない。 ならば、その女の子もきっと、何らかの外法でサーヴァントを使役させられているのだろう。 最期の最期まで、自分ではなく、その女の子を助けてくれ、と、雁夜は―― 「私は、間桐に乗り込む」 赤い二人組の目が、信じられないモノを見るように見開かれていた。 遠坂はもちろん、話半分に聞いていたライダーも、その提案の突拍子の無さは理解できたらしい。 アサシンは、二人の反応を見て、くつくつと笑うだけ。 自分でもバカなことを言っている自覚はある。 けれど、私はそういうバカでありたい。 賢しく生きて、自分の身惜しさにこのまま引っ込んでしまうなんて。 そんなカッコ悪い『文月夏奈』は、私が許さないし、許せない。 「バーサーカー戦の同盟の延長とはいかないけれど…貴女を頼れ、と、雁夜さんは言ったから」 「あのねぇ…」 遠坂は私を疎ましいモノのように睨みつけ、思いっきり溜息を吐く。 「それで、なんでアンタが動くわけ?」 まあ、当然の疑問だろう。 魔術師なら、死が何を意味するのか、よく知っているはずだ。 死んだ相手と結んだ生前の口約束だなんて、何の意味も持たない。 「…自己満足よ。間桐は、前々から気に入らなかったし」 「…それに、その話を私が信じるとでも、」 思っているの? と、続けたかったのだろう。 が、そこまで沈黙を保っていたライダーが、突然吹き出した。 今度は私と遠坂が目を丸くする。 アサシンは、まだ愉快そうにくつくつ笑うだけ。ホントなんなんだ、このサーヴァント。 「ハハハ、冷たいねぇ! リン、アンタ、慌てて家を飛び出したさっきとまるで別人じゃないか!」 「な、」 「え?」 真っ赤になった遠坂の顔色で、ライダーの証言が確たるものなのだと理解できる。 …あの遠坂が? 慌てて? 「う、うるさいわね! 黙ってろ、ライダー!」 爆笑を残したまま、す、と霊体化するライダー。 慌てる、怒鳴る、肩を怒らせて呼吸を荒げる。 どれも、私が今まで見てきた遠坂凛の像とは、まるでかけ離れたものだ。 それになにより、 自分を守るためのサーヴァントを目の前で霊体化させる、その行為は。 「…まあいいわ。それで、プランとかあるのかしら?」 「え、あの、」 「何よ。まさか、ノープランで正面から突っ込む予定でした、なんて言わないでしょうね」 まだ、顔が赤い。 追及など許さない、とでも言いたげに、彼女は捲し立てる。 「手伝って、くれるの…?」 「アンタがそう頼んだんでしょ? 何でもするから、って」 ずる、と、あまりの拍子抜けに崩れそうになる。 いや、そりゃ、彼女と手を結べるのなら、これ以上に心強い味方はないけれど。 遠坂を頼れって言ったって、せいぜい情報を貰える程度だと思っていたのに。 「言っとくけど、私に貸しを作ったら高いわよ。3.5カラット以上のダイアモンド、年利5%は覚悟しなさい」 冗談めかして言っているけれど、半ば本気なのだろう。 半分本気で、そんな程度の安請け合いで、私に力を貸してくれるというのだ。 「…あり、がとう」 「……」 自分でもらしくない発言に、此方の顔まで火照るのがわかる。 遠坂も目を反らして、再び耳まで赤くした。 気まずい沈黙が流れる。 アサシンの意地の悪そうな下卑た笑みが、暗い洋館前に浮かぶ。 「で、結局プランは? 雁夜おじさんから、他に何か聞いてないの?」 照れ隠しだろう。遠坂は捲し立てるように言い募る。 けれど、私はまた首を振った。 私自身が得ている情報は、今話した全てだ。 「それで、どうするつもりだったワケ?」 「…ノープランで正面から突っ込む予定でした」 本日二度目、遠坂が殴られたような表情で私を見た。 正気ですかこの馬鹿は、とでも言いたそうに、目を白黒させて。 どういう仕組みか、霊体化したままのライダーの爆笑が響く。 「いいねえ! 気に入ったよ、アンタ! そういうバカさがうちのマスターにも必要だ、なあ、リン?」 そんなに悪いプランだろうか。 自分では、それでも行けると思っていたんだけど。 でも遠坂のこの表情を見る限り、上策とはいえないんだろうなあ。 「アンタに聞いた私もバカだったわ」 「どうも」 「先ずは情報収集よ。雁夜おじさんがどうしてそんなことを言ったのか、調べなきゃ」 ふむ、そういうものだろうか。 どうも方法が教科書的というか、やっぱり優等生というか。 調べたって状況が変わることはないんだし、正面突破で良いんじゃないか。 まあ、口には出せない。 私は彼女にお願いをしている立場なのだし。 「情報を探るなら慎二…って、駄目か」 「……」 恨めしげな遠坂の視線は知らんぷり。 彼女だって私の策に同調したんだから、共犯者だ。 「とにかく情報が集まるまで、突撃は禁止」 「……」 「いい、禁止だからね? おじさんの話が本当なら、間桐はサーヴァント二体を失って警戒を強めているはずよ」 「…わかった」 「血気を逸らせて単騎特攻なんてしたら、二度と同盟なんて組まないからね」 「わかったってば」 何度も繰り返して確認される辺り、余程信用が無いのだろう。 彼女の念を押す声を背に、私は拠点に戻った。 ――四日目、朝 自宅―― 花、鳥、風、月。 この世のものとは思えないほどに美しい夜景を見ている。 山紫水明、往く川の流れは絶えずして、千紫万紅、ただ春の夜の夢の如し。 景色は決まった形を持たず、ただ美しいという在り方だけを変えずに、変わり続けた。 ――夢だ 誰が見たともつかぬ情景は、この世にあり得るはずもないもの。 そうだと理解した瞬間。 「……つ、ぅ」 目覚めは、左腕の筋肉痛から。 夢はどれほど続きを見たいと望んでも、夢だと理解した瞬間に覚めてしまう。 「は、……っ」 意識の覚醒と同時に、肺から息が零れる。 首から走るようにして、肩甲骨、肘、手首。腰を回って、太もも、ふくらはぎ。 体中の筋が、まるで針で刺したかのように、鋭い悲鳴を上げていた。 緊張状態での魔術の連続行使は、普段のそれの倍以上に負担をかけるもの。 ベッドから起き上がるのも億劫だけれど、やはり学校に行くために起きなければ。 腕を支えに起き上がろうとして、無様に崩れる。 左腕には、全く力が入らなかった。筋か腱かをおかしい方に捩じってしまったらしい。 最低限の治癒魔術は施したけれど、恒例ながらもそういう消極的な魔術行使は苦手。 どうにか酷い筋肉痛程度に収めることは出来たけれど、そこが限界だ。 アサシンはいつも通り、窓の外を見ているようだった。 自分が暮らしていた頃との風景の代り映えを、目に焼き付けているのだろうか。 あの情景は、誰が見た景色か。 「…まあ、あの化け物と二日連続で殴り合ったんだから、これで済んだのは僥倖よね」 声をかけてくれるな、と、背が語っているけれど、無視して声をかける。 なんというか、酷く寂しそうな背だったから。 「そう言うならば、渡り合っていたお主も十分化け物だがな」 「……」 返ってくるのは、いつもの軽口。 いつも通りで安心はするけれど、やっぱりいつも通りに腹が立つ。 花だなんだと騒ぐ割には、どうも私はアサシンに花扱いされていないんじゃないか。 「女の子を化け物呼ばわりするのが、貴方の武士道なの?」 「ふむ、花は花でも食人花というものがあってだな」 強化の魔術を込めて放った枕は、霊体化によって難なくかわされた。 ――四日目、朝 通学路―― 魔術で施錠して、自宅を後にする。 咥えたトーストを落とさないように、小走りに。 アサシンの挑発に時間を食ってしまったため、歩いていては遅刻する。 担任は冬木の虎。面倒は起こしたくない。 信号待ちのうちに、今後の展望を練る。 間桐桜。話したことはないけれど、見かけたことは何度もある。 それこそ相手は御三家、意識しないわけにもいかない。 藤色の髪をした、か弱そうな女の子だ。 お淑やかで、大人しくて。アサシンは女性を花に喩えたがるけれど、彼女はまさにそれ。 名前は桜だけれど、どちらかというと菫とか桐のように、ひっそりと咲く花の方が似合う。 ミス穂群原である遠坂凛の地位を脅かす存在として、密かに私が期待を送っていた後輩でもあったんだけれど。 彼女が囚われている。おそらくは、バーサーカーのマスターとして。 聖痕が残っているのなら、まだマスターとして聖杯戦争に復帰できる。 おそらくは間桐は、再び彼女を拠り所に、新たなサーヴァントを従えるのだろう。 死に際の雁夜の姿が脳裏を過ぎった。 皮膚の下で蠢くアレを、確か彼は『刻印虫』と呼んでいた。魔術回路を失った魔術師から、魔力を搾り取るモノ。 もし彼女も間桐の家系なら、魔術回路は存在しないはずだ。 バーサーカーを現界させるための手段は、それしかない。 ゾ、と嫌な予感が走って、振り払うように顔をあげる。 「……遠坂、さん?」 視線の先に見慣れた赤い外套を見て、私はもう声をかけていた。 此方に気付いた影が、振り返る。 「あら、おはようございます、文月さん」 「……ぅゎ」 「何か御用ですか?」 そうだ、猫被りモード。通学路には登校中の学生も居るから、彼女は優等生の皮を被るのだ。 けど、なんていうか、こう、不気味。 満面の笑みに、甘ったるい猫なで声。実の両親のラブシーンを見てしまったかのような、言葉にできない気持ち悪さ。 昨日の彼女を見てしまっているから、違和感が果てしないのだろう。 余計なことは言うなよ、と、笑顔で無言のプレッシャーを浴びせかけてくる。 別にその主義に口出しするつもりはないけれど、此方が合わせなきゃいけない道理だってないし。 「聖杯戦争の件なんだけど、桜って娘の体に刻印虫が仕込まふぁもが」 「ちょっとアンタ何考えてんのっ…!?」 ばちん、と音がするほどの勢いで口を塞がれる。 息を呑むほどの剣幕。一瞬で剥がれる化けの皮。 確かに、私も迂闊だったけれど。 「…場所を変えましょう」 口をふさがれたまま、こくこく、と頷く。あー、ビックリした。 通学路を逸れて、人気のない裏路地へ。 人一人がようやく通れるほどの細さの道に来てから、彼女は私をジロリと睨んだ。 「魔術の守秘は魔術師の最低義務でしょ。少しは考えなさい…次やったら、管理者として黙ってはおけないわよ」 「いや、その…ゴメン」 「…貴女、考えるより先に体が動くタイプじゃない?」 然り、と、後ろの方でアサシンが笑っている。 胸糞悪い、さっさと本題に入らなければ。 「…『刻印虫』」 凛は此方の言葉を繰り返す。 「そういう件なら、知り合いにそういうのを得意にしてる魔術師がいるわ」 「治療魔術?」 「毛色は同じね。大別すれば治癒だけれど、『傷を治す』のではなく『傷を開く』奴だから」 「…なるほど」 わずかなニュアンスの違いでも、魔術行使には大きな差異が伴う。 遠坂曰く、やっぱり間桐の『刻印虫』は魔術回路の代わりになる代物らしい。 とはいっても、魔術回路は神経と同じ。それを無理矢理作るのだから、想像を絶する感覚なのだとか。 ともかく、だから傷を開くのだ。 外科手術と同じで、体内に埋め込まれた異物は取り出さなければならない。 そういう意味で、遠坂の知人はうってつけ。 「なんとか頼みこんで、やってもらうしかないわ…頼りたくもないような奴なんだけど」 「…お願いするわ」 私じゃ、どうにもならないことだ。 魔力を込めた拳で殴る、力の蓄積の一段階上、『濃縮』。 私の単純な魔術特性では、間桐の娘は救えない。 実体・不実体を問わず殴ることは出来ても、体の中から虫だけを、なんて器用な真似は出来っこないのだ。 おそらく遠坂自身にしても、それは同じことなのだろう。 やり場のない悔しさに拳を握りしめているのは、私だけじゃない。 ぐ、と沈黙を噛みしめて、頭上に響く鐘音。 キーン、コーン、カーン、コーン 「……あ」 顔を挙げたのは、優等生の遠坂の方が早かった。 何のチャイムだろう、と、一瞬だけ迷う。 そもそも私は何のために、満身創痍の体を無理矢理に起こして来たんだっけ。 「…遅刻確定ね」 ぎこちなく笑いかける私を、遠坂は恨みを込めて睨む。 「……」 時間を忘れていたのは、遠坂だって同じだ。私一人のせいじゃない。 そりゃ、まあ、呼びとめたのは私だけど。 何か言いたげに睨んでくる彼女には早々に別れを告げて、私は路地裏を後にした。 そろそろ、悠長に学校に通っている暇もなくなってきたのだ。 実質、今日学校に行く目的は、遠坂に間桐の話を聞くためだけだったし。 もとより、真面目な学生じゃない。担任の虎には、やっぱりあとで仮病を使おう。 ――四日目、昼 新都―― 学校をふけった私は、そのままの足で新都に向かった。 補導されるのも面倒だし着替えようかとも思ったけれど、コートの前を全部締めれば問題ないだろう。 今日はかなり冷え込むし、特に不自然でもない。 指定の学生鞄は、コインロッカーにでも閉まっておくとして。 以前から感じていた、ちょっとした違和感。 おそらくは魔術行使の余波というか、残滓というか、その程度のものなんだけれど。 聖杯戦争が始まる少し前から、この近辺で感じていた違和感。 結界…ではないだろう。似て非なるモノ。どちらかというと、私を拒むよりも誘っているような気配さえ感じる。 私が抱えている問題は、間桐の件だけじゃない。 他のマスターに関しても、同等に注意を払っておかなければいけないのだ。 「…探るか」 (探る、とは?) (魔術師が探るっていったら、使い魔とか、探知系の魔術とかでしょ) (お主にも、そんな器用な真似が出来たとはな…) あれ、不思議。手がグーになってる。 とはいってもアサシンの言う通り、探知系の魔術もからっきしだ。私の魔術特性は、攻撃に特化しすぎている。 使い魔の使役だって、遠坂を呼んだ時のような片道切符がせいぜいだ。 視覚を共有したり、向こうが伝える情報を読み取ったり、魔術の初歩の初歩が私には難しい。 そういえば、私はあくまで「特殊」なのであって「優秀」と同義ではない、と、魔術の師にも耳にタコが出来そうなほど言われたっけ。 ――四日目、放課後―― 予想を裏切らず、三十分、一時間。 昼食は近くのホットドッグの露店で済ませ、さらにもう一時間。 少しの魔力の綻びも見逃さないように、視覚には強化と広域化を施しても。 (…やはりな) (やはりって何よ) これだ、と思う発見は無かった。 なんとなく、把握はついているのに。 吸精行為でも行わない限りは、サーヴァントがこんな街中で魔術行使を行うメリットが無い。 十中八九、マスターの工房が近くにあるはず、なのだけど。 どうもあと一歩というか、灯台もと暗しというか、近くにあるのに見逃している感じがする。 こういう抽象的で漠然とした把握なら出来るのに。 わかっているのに見つけられない、というのであれば、どうにも相手が上手らしい。 (相手が上手というより、……いや、やめておこう) こ、の、 ああ、ダメだ。アサシンのいつもの軽口も流せないほどに疲れている。 体力には割と自身はある方なのだけれど。 (日は暮れつつあるぞ。どうする、夏奈) 決まっている。 自分のサーヴァントにここまで馬鹿にされて黙っていては、マスターの名折れだ。 もう得手不得手なんて関係ない、探知の魔術でも何でもやってやる。 (まあ良い、現世の街を歩き回るのも、中々) アサシンはどこ吹く風、完全に観光気分だ。 まるで初めから、私に見つけられるはずが無いとでも言いたげな。 頭に来た。その生意気な二枚目に吠え面かかせてやる。 魔術師の真骨頂、とくと見さらせ―― (物見遊山も堪能した。そろそろ帰ろうではないか) 違う。悪いのは私じゃない、相性だ。 夕日が沈み、人もまばらになった新都のど真ん中で、一人肩を落とす。 確かに戦闘に特化した魔術特性ではあるけれど、それ以外が出来ない、というわけでもないはずなのに。 結局は私の修練不足たるところなのだろうか。 成果…と呼べるものはないけれど、とりあえずわかったことだけでも遠坂に連絡しよう。 以前までとは違って、今は正式に同盟と呼べる仲だ。 ――四日目、夜 新都―― 『新都ニ魔術行使ノ気配。場所ノ詳細ハ特定デキズ。魔術師ニヨル工房作成ノ可能性アリ』 触媒には、血液と土、それから頭髪。 動物の死骸なんてあれば完璧なんだけれど、そんなものが都合よく街中に転がっているワケもなし。 魔力を込めると、ぼんやりと人魂のような燐光が宙に浮かぶ。 特定の形を持たない幽体。一方通行でメッセージを届けるだけの、最低ランクの使い魔だ。 ふよふよとシャボン玉のように浮いて揺れて、何とも頼りない速度でゆっくりと空へ上がっていく。 けれどもこれで十分。というか、今はこれしかできない。 暗号めいた手紙は、最低限の文字で済ませている。あまり容量が大きすぎると、調整が難しくなるからだ。 携帯電話のメールと同じで、重いものほど時間が掛かってしまうし、最悪辿り着く前に力尽きてしまう。 特に、繊細な魔術の操作が苦手な私は、よくその目安を測り間違えては師匠に呆れられた。 ものの数分で、遠坂のものと思しき使い魔が返ってくる。 紫水晶で作られた、例の梟だ。 (…お主が使い魔を作るより、返事が返ってくるまでの時間の方が早かったな) 「うるさい」 それにしても、なんで返事を返して来たんだろう。 特に返信を求める内容でも無かったと思うのだけど。 『遠坂邸マデ参ラレヨ』 これだけ綺麗で凝った使い魔を飛ばして来て、用件はそれだけだった。 ――四日目、夜 遠坂邸―― 煉瓦の敷き詰められた坂を登り、深山の住宅街の一番上を目指す。 幽霊屋敷とまで呼ばれている洋館は、遠くから見ても中々の迫力。 冬木広しといえども、玄関の前に門がある家なんて、此処を除けば衛宮と間桐の家くらいだ。 アサシンは霊化させたまま、周囲の警戒を頼んでいる。 時間も時間だし、残りのマスターの動向も未だ知れていない。 まだ油断のならないこの状況で、それでも私を呼びだしたということは、それなりの事情があるのだろう。 門前には、遠坂が一人で立っていた。ライダーは霊体化させているらしい。 別に、私を迎えるために待っていた、なんて気の利く女じゃない。 この手の魔術師の邸宅は、部外者が入るには難儀な結界が張られているのだ。 スムーズに入るには結界を取り除くか、家の主と共に入るか。 「あら、早かったわね」 「…用件は何?」 同盟を組んではいるものの、仲良しこよしという間柄じゃない。 私は彼女が苦手だし、彼女だって私が苦手なはずだ。そんなどうしようもない用事で、 「用件っていうか、直接話を聞いておこうと思っただけよ」 どうしようもない用事で、私は呼ばれてしまったらしい。 不満を隠さない私の表情を見て、遠坂が付け足す。 「…あんな不出来な使い魔で、伝わる情報なんて限られてるでしょ」 「明日学校でも会うのに」 「アンタが真面目に登校してくる保証が、どこにあるのよ」 う、と、言葉に詰まる。 いつもの調子で言い返せればいいのだが、なにぶん今朝は彼女の目の前で堂々とサボったのだから、言い逃れは出来ない。 「それにアンタのことだから、うっかり一般人の前でもそういう話とかしそうだし」 「…わかった、私が悪かった」 「わかればよろしい」 満足そうに頷いた遠坂に招かれるがまま、遠坂邸へと足を踏み入れる。 罠の可能性も捨てきれない、念のためにアサシンに探らせようか―― いや、やめだ。 同盟だと言ったら同盟なんだ。 招いた時点で遠坂だってかなりの割を食っている。それを更に疑ってかかっては、魔術師以前に人としての礼儀に悖る。 それでも裏切られたのなら、その時はこちらも容赦なく、全力で対応すればいいだけ。 それに、遠坂はそういう類の人間じゃない。 倒すなら正面から正々堂々と、圧勝で飾らなければ気が済まない奴だ。 バーサーカーも悠々と通れるほどの玄関を抜け、靴下が滑ってしまいそうな廊下を歩く。 通されたのは、赤で統一された居間。目にも鮮やか、というか鮮やか過ぎてちょっと目の奥が痛い。 レースのカーテン、毛布のように滑らかな絨毯、私のベッドよりもふかふかのソファー。 なんというか、雲の上に来てしまった気がする。 「何? 硬くなってんの?」 「…別に」 認めると、負けな気がする。 例によって霊化したままのアサシンが笑うけれど、今は無視。 さっさと帰りたい。なんというか、すごく居心地が悪い。 注がれた紅茶も、おそらくはかなりの高級品なんだろうけれど、味が全然わからない。 そもそもそういう高貴な文化とは縁遠いのだから、味の違いなんてわかるはずもないけれど。 美味しいです、と、一応でも褒めておいた方がいいのだろうか。 「…新都の魔術師、ね」 「え?」 急に遠坂の声に引きずられたので、思考が一瞬混乱して聞き返してしまった。 何それ、紅茶の銘柄? とでも口走ってしまった日には、この女なら同盟破棄も辞さないだろう。 「確かにあそこに工房を構えている魔術師はいるわ」 「…知ってたの?」 「聖杯戦争が始まる前から、見周りはしていたもの。異変があれば、すぐ気付くわよ」 当然の準備でしょ、と、優雅に紅茶を啜りながら言われて、返す言葉はない。 どうせ小細工が苦手な猪突猛進女だ、私は。 それにつけても、遠坂は冬木の管理人。 自分の土地で起きている異変は、逐一管理するのが彼女の仕事でもある。 やはり同盟を結ぶにおいて、これ以上頼りになる相手はいない。 「正体とか、どこの家系とかはわかる?」 「それを簡単に此方にバラすような手合いだったら、苦労はしないんだけどね」 苦々しげに溜息を吐く。かなり苦労しているようだ。 「とにかく、私の方に情報が無いってことは、外来の魔術師ってことよ。間桐とは関係ない」 なんで、ここで間桐が? わからず、遠坂を見る。 まるで聞き分けのない妹を嗜める、姉のような視線。 「だから、くれぐれも特攻することは無いように。攻めるにしても、もう少し情報を探ってみましょう」 「…余程に信用ないのね、私は」 「ええ、そりゃもう。英霊に殴りかかるような気狂いだもの、安心して見てられますかっての」 背中を預けるこっちの身にもなれ、と、責めるように睨まれる。 そんなこと言われても、本当に私にはあれしかないのだ。 みんながみんな、遠坂のように何でもできるわけじゃないんだから。 「新都のにしても、間桐にしても…魔術師の工房に攻め込むって、そういうことよ」 再三の注意に、肩を竦ませる。 特攻するしないは、私の勝手だ。言われたこと全てを鵜呑みにする義理はない。同盟とは言っても、仲間ではないのだから。 ただ彼女に最低限迷惑はかけない。それだけは誓おう。 頷き返し、紅茶を飲み干した。 時刻は十二時を過ぎている。そろそろ帰らなければ。 玄関先で、ふと、結局何のために遠坂は私を呼んだのだろうか、と思い至る。 新都の魔術師の情報は、彼女は元から持っていたのだから。 まさか私に忠告するためだけに、わざわざ呼んだということもないだろう。 (…お主が独り身なのも、頷けるな。友達甲斐の無い奴だ) アサシンの皮肉の意図もわからず、私はそのまま遠坂邸を後にした。
https://w.atwiki.jp/pararowa/pages/191.html
幻影と罰 ◆qbc1IKAIXA 長田結花は不幸な少女である。 両親は物心が付く前に亡くなり、彼女を引き取った養父母によって虐待を受けていた。 義理の妹は学校ですら彼女を追い詰め、雪のふる日に化け物となった。 力を得た長田結花は、果たして幸せだっただろうか。 その問は否である。 人を守りたいと告げる木場に同調する一方で、かつての不幸の象徴である人物たちは始末してきた。 胸の内に抱える二面性に悩みながらも、バケモノの力を振るい、追い立てられ、余裕を失っていった。 オルフェノクとなっても彼女は昔と何ら変わらなかった。 彼女を愛してくれる者はいない。 そう思い込むことが、彼女を不幸へと追いやっていたと気づかずに。 □ 月が傾き、夜に紫が混ざりはじめたころ、ロロは同行者である少女に振り向いた。 肩に掛かるか掛からないか程度に髪をまとめた、冷たい美貌を持つ十歳程度の女の子である。 「そろそろ行こうか、美遊」 「はい。ですけど、体の方はもういいんですか?」 「大丈夫。服も乾いてきたし、風邪も引いていないから問題はないよ。君が向かいたかった友達の家に向かおうか」 美遊は首を縦に振る。ロロの目的はもう一人の自分を始末し、あわよくば入れ替わることに変わった。 しかし、もう一人の自分を探すなど、現状では不可能である。 ならば彼女の信頼を深め、始末する準備を整えるのが先決だ。 情報、武器、地形の把握。 やるべきことは多い。ロロは荷物をまとめつつも、冷静に思考を続けた。 そんな時だ。 『誰か近づいています』 カレイドサファイアの忠告に身構える。美遊はとっくに準備をすませ、杖を握りしめていた。 敵か、味方か。 懐中電灯の光を消して、橋にかかる薄れ始めた闇を睨み続けた。 ほどなくして、人影が浮かび上がる。背の低さからして女性だろうか。 ロロは油断なく構えていたが、急に隣の美遊が警戒を解く。 「美遊……?」 「サファイア、もしかして……」 『はい。真理様が教えてくれました、長田結花様と特徴が一致しています』 サファイアが言い終えた瞬間、長田結花と推察された人物ははっきりと姿を見せた。 遠目から見ても、彼女は負傷をしているのがわかった。 服はところどころ敗れ、露出した肌は血で赤く染まっていた。 息遣いは荒く、危うい足取りだ。 「大丈夫ですか?」 美遊が冷静に尋ねると、相手の肩がびくっと震える。 結花らしき女性は何かに怯えているのか、少し後退った。 「あの、長田結花さんで間違いありませんか? わたしは美遊・エーデルフェルトと申します」 「どうして……?」 「真理さんからあなたのことを聞きました。わたしは味方ですので、今はあなたの傷の手当てをさせてください」 美遊は相手を刺激しないように説明を終え、近づいていく。 ロロは黙って成り行きを見ていた。下手に口を挟んで事態をこじれさせる訳にはいかないからだ。 一方、真理と聞いた瞬間に結花がわずかに安堵するが、それでも数歩後ろに下がる。 「長田さん……?」 「近寄らないでください! わ、私は……私は……」 彼女の顔に何かの影が映る。ロロは気のせいかと目を瞬き、結花の顔を覗き込みなおした。 儚げで綺麗な女性の顔だ。見間違いか、とロロは首をかしげる。 一方美遊は何かを理解したように頷いた。 「大丈夫です。真理さんから話を聞いたとき、その可能性も考慮していました」 「……園田さんから。でも、ごめんなさい。私は……もう……」 結花は悲痛な顔を浮かべると、一瞬にして姿を変える。 白い鉄仮面を被ったような、伝説上の生物ハルピュイアを彷彿させる外見だ。 彼女は泣いているかのような掛け声と共に、自分たちの頭上を飛び越えた。 あまりの事態にロロは混乱しかけるが、どうにか踏ん張る。 ここでうろたえるようでは、兄のお荷物でしかないからだ。 「美遊、あれは……」 「オルフェノクでしょう。サファイア、真理さんが知っていた可能性は?」 『ほぼ確定かと。彼女のオルフェノクに対する説明は『人類を追い詰めた怪物』なのに、優しすぎましたからね』 美遊も同意らしい。ロロはあれがオルフェノクか、と認識しながら告げる。 「彼女が味方なら、追いかけないとまずいことになる」 「ええ、あの方向は……」 顔を歪めた彼女を視界の端に、ロロは荷物を担ぐ。 彼女の決意は決まっているだろう。それにオルフェノクの情報は集められるだけ集めたほうが、ルルーシュと合流したときに都合がいい。 「なら早く追いつこうか」 『……よろしいのですか?』 「もとより危険は承知さ」 ロロがサファイアに答えると、美遊は頭を下げた。 結花は変身を解きながら、近くの木にもたれかかった。 気が強く、自分とは正反対の園田真理。美遊は彼女と出会ったといった。 正直彼女に会いたくなかった。 自分はバケモノだ。それだけならまだしも、自分は人を殺してきたし、また殺してしまった。 乾巧がオルフェノクである事実を真理が受け止めたのは知っている。 だけど、結花は巧とは違う。 人を殺すことを明らかに楽しんだ。その報いが回ってきたのだ。 警察に追われ、捕らえられそうになった。 デルタと遭遇し、ルシファーズハンマーを受けた。 きっと裁かれるべきなのだろう。そう自分の命を諦めかけていた。 瞬間、狼のような遠吠えが響き渡る。 同時に急に現れた黒い狼に体を切り裂かれた。 結花は地面を転がり、襲撃者を見つめる。 二足歩行の黒い狼にしか見えない。血のように赤いたてがみが風になびく。 ああ、きっと天罰だ。自分にふさわしい最後がきたのだと、結花は覚悟をする。 「砲射(シュート)!!」 なのに、決意を光が砕いた。 紫のドレスに黒いスカート。露出の大きい背中をマントで隠し、玩具のようなステッキを携える少女が自分の前に立つ。 「ケガはありませんか?」 美遊という名の少女が、助けに入ったのだと理解した。 黒い狼は着弾する前に跳躍し、魔法弾を避けていた。 軽やかな体捌きはオルフェノクでも追いつけるかどうか。 結花はそんなことをぼんやりと思いながら、美遊に視線を移した。 低く唸る獣を前にしても、彼女は落ち着いている。 なぜ、という疑問がまず結花に浮かんだ。 自分は死ななければならない。そして薄汚いバケモノだと彼女に見せたはずだ。 なのに、助けてくれた。 「どうして……?」 疑問が言葉となり、こぼれ出る。 美遊は敵を見据えながら、ステッキをゆっくりと胸の前に持ち上げた。 「わたしの一番大事な友だちなら、絶対あなたを助けに向かいますから」 『来ますよ、美遊様』 杖が喋った瞬間、結花は腕を掴まれて離れさせられた。 美遊が放った光と似たものを、黒い狼が放ったのだ。 いや、まだ両腕に光を溜めている。結花たちは知らないが、あれはポケモンの技の一つ「きあいだま」である。 「長田さん、一つ質問しますが、あれはオルフェノクなんですか?」 「……違うと、思います」 結花の返答を美遊は吟味するかのように頷いた。 黒い狼と距離を取り、結花を降ろす。小さな女の子なのに、すごい力だった。 「ならあれはおそらく……」 『タケシ様の世界からきた生物、ポケモンだと思われます。 彼のポケモン、ピンプクかウソッキーという可能性もありますが、いかがいたしますか?』 「なるべく傷つけないようにする」 美遊はステッキと会話しながら、戦闘態勢を整えていた。 ポケモンとか世界とか結花には理解できなかったが、相手を捕らえる気であるのは理解した。 黒い狼が爪をたてながら襲いかかる。 美遊は一直線に迎撃に向かった。獣の太い腕と少女の細腕がぶつかり合う。 彼女は見た目以上の力を持っているが、それでも人外の相手と正面からぶつかるのは不利だ。 実際、あっさりと弾き返された。結花はそんな不利な戦い方を選んだ理由に勘づいている。 オルフェノクである、バケモノである結花自身を守るためだ。 どうして、なんのために。 頭が混乱しながらも、結花は美優の戦いから目が離せなかった。 南空ナオミは現状が好ましくないことに歯噛みする。 一人で六十人近くの人間を始末できるとは思っていない。 最終目的は元の欧名美術館に戻り、夜神月がキラであることを世間に思い知らせ、婚約者の無念を晴らすことだ。 だからこそ交渉できる相手は交渉し、自らの目的を隠しながら行動を共にして、隙を突いて殺そうと考えていた。 そんな彼女の前に、いかにも『殺してください』と言わんばかりの少女が目に入ったのだ。 やや短絡的だが、減らせるうちに減らしておきたいと思うのが人情。 彼女の肩書きからすると信じられないほど、あっさりと始末することを決めたのだ。 ゾロアークの性能も確かめたかった、という打算もあったため、相手を襲う手段は獣自身に委ねた。 ただ一つ、作戦を秘めさせて。 誤算だったのは、あの少女が一人ではなかったことと、子どもがゾロアークと渡りあえることか。 ナオミの目付きが険しくなる。 まだ顔は見られていない。ゾロアークを退かせ、しばらく時間が経った頃に何食わぬ顔をして合流するという手もありだ。 頃合いを見計らうべきか、と撤退の合図を送る準備をした直後だ。 後頭部に硬い感触を感じたのは。 「動くな」 若い男の声だった。不覚だ。 「私はたまたまここを通り過ぎただけ……と言っても無理よね」 相手は無言で銃を更に強く押し付けた。返答がわりだろう。 もっとも、そんな言い訳が通用するとは思っていない。 「降参よ」 「だったらあのポケモンを戻してもらおうか。彼女からある程度、ポケモンについては教えてもらっている。嘘は無駄だ」 「そう。あの子を退かせるため、口笛を吹かせてくれないかしら?」 「いいだろう。だけど妙な真似をするな。どんな行動を取ろうと、僕のほうが速い」 たいした自信だ。ナオミは大人しく彼に宣言した通り、ピィーっと甲高い口笛を吹いた。 ゾロアークは美遊への攻撃をやめ、こちらに踵を返す。 銃を構えている少年はその行動にも気を緩めていない。できる。 だが、こちらは準備をしていたのだ。ナオミはほくそ笑み、回し蹴りで少年の銃を蹴り飛ばす。 「くっ!」 そのまま逃げようとするが、次の瞬間少年は飛ばされたはずの銃を握りしめ、自分に向けていた。 何をしたかは知らないが、たしかに速い。引き金にかかる指に力が入っていた。 だけど、ゾロアークの『きあいだま』が二人の間に割って入るのが早い。 これで、第一段階は終わった。 「ロロさん!」 遠くの美優の声を耳にしながら、ロロはおのれの迂闊さを呪った。 油断はしていなかった。何らかの格闘技はかじっていただろうと用心していた。 予想通り銃を蹴り飛ばされたが、ギアスで挽回できた。そのまま撃ち殺せるはずだったのだ。 まさか、ギアスの有効範囲が狭くなっているなんて。 いつもなら彼女が持っていた黒いポケモンにも効果は及ぶはずだった。 結局ポケモンの行動は縛れず、攻撃を放たれてしまったのだ。 体力の消耗が激しくなっている時点で、効果範囲も疑うべきだっただろう。 兄ならその可能性に思い至ったはずだ。自分の愚かさが嫌になる。 半ば意地になりながら、煙をかきわけて殺人鬼の女性を探す。 「見つけた!」 黒いライダースーツに包まれた細い腕を思いっきり掴んだ。 間違いない、銃を突きつけたあの女性だ。今度は逃がすものか。 ロロが更に拘束しようとした時、相手の口から炎が走った。 虚を突かれ、頭の中が真っ白になる。ただ、危険を察知して本能で距離を取るだけだ。 地面を転がり火を必死になって消す。いったいどういうことだ。 「砲射(シュート)! ロロさん、火は!?」 「大丈夫……とっさに飛び退いたおかげか、ヤケドはひどくない」 ようやく追いついた美遊に対して強がりながら、敵を観察した。 彼女は両手に光を溜めている。 『あれは……先ほど相手したポケモンの技で間違いありません』 「あの人もポケモンということ……?」 『いえ、今分析の最中ですが、幻影系の魔術に近いものが使われているかと。ならば、あれは先程のポケモンと判断したほうがいいでしょう』 なるほど、とロロはサファイアの説明に納得し、悔しさに奥歯を食いしばった。 知らなかったとはいえ、あからさまな罠に引っかかったのだ。 悔しくないはずがない。 再びあの女に化けたポケモンが、両手に光を作る。足手まといにならないようロロは立ちあがろうとしたが、膝が崩れた。 火炎放射の威力は馬鹿にできない。それに気づいた美遊は庇うためか障壁に力を入れる。 このまま逃げられるのか。 だが、横から白い影が女を突き飛ばし、攻撃は中断される。 同時に女の影が消えて、黒い狼のポケモンへと姿が戻った。 「長田さん!」 美遊を助けに入った存在、オルフェノクに変身した結花に声をかける。 手助けするほど余裕が生まれたのだと安堵したのだ。 一方、ロロは彼女の危うさを感じ取った。精神的に追い詰められているように見える。 そのことを伝えるべきだろうが、傷が痛む。強がったとはいえ、ヤケドの痛みは響くか。 「はぁぁぁぁぁっ!」 表情の見えないはずの彼女は、明らかに鬼気迫っていた。 素早い格闘と身のこなしで反撃を許さず、確実に追い詰めていく。 「長田さん、行きますッ!」 美遊が魔法弾を放ち、ポケモンの動きを止めた。 合間を縫って結花が蹴り飛ばす。ポケモンはたまらず木々を蹴って逃げようとしたが、オルフェノクである結花の方が速い。 気合を込めた叫びと共に、彼女の背中から光の羽が伸びた。 周りの木々を切り裂きながら、ポケモンに迫る。 その瞬間、ロロは目撃してしまった。黒い狼の顔が、人間のように微笑んだのを。 ポケモンは真上に跳躍して、必殺の一撃を避けた。 なのに、ブシュッと液体が噴出する音が鼓膜を叩く。 血に濡れる灰色の怪人の腕に、ロロたちを襲った女の首が落ちた。 いきなりの状況に、殺人鬼の死体が灰になるまで、全員の視線は釘つけになった。 殺される直前、南空ナオミは逃げる準備を整えていた。 結花を発見するまでに、ゾロアークの特性、イリュージョンを知ったのだ。 そしていざというときは自分に化けたゾロアークが引きつけているうちに逃げ出し、再起を図る。 口笛から連なる作戦は、最後の手段であった。 手持ちの戦闘道具を失うのは惜しいが、戦闘能力のある人物を三人相手取るのは分が悪い。 だから最後の手を使った。ナオミはポケモンを意志のない道具としか見ていないためだ。 それが、間違いであった。 ナオミはゾロアークの生い立ちを知らない。 Nに心を許すまで、特性『イリュージョン』により人に追い詰められ、傷ついてきた。 アカギたちによってモンスターボールに手を加えられなければ、ナオミはおろか、他の人間に心を許すはずがない。 だからこそ、自由を与えて敵をひきつけるように指示したのは、彼女の過ちだ。 ゾロアークは結花に追い詰められた振りをしながらも、巧みに攻撃位置を誘導していたのだ。 少しずつ、確実に、反意を抱いていると悟られず。 南空ナオミを殺すため、機会を伺っていた。 ゆえに結花の攻撃の間合いを測りながらも、限界まで引きつけてから跳んだのだ。 結果、結花の刃はナオミの首に届いた。 それを死ぬ直前、彼女は悟った。 だけど、ゾロアークを恨む心はなかった。 こうなって当然、裁きが下ったのだと納得したのだ。 デスノートに人の行動は操れても、心は操れない。 レイ・イワマツを殺された復讐に、関係ない月の恋人を巻き込んで、また六十人近くの人たちに犠牲を強いた。 結局そう考えが行き着いたのは、彼女の心が憎悪に染まった証拠である。 ゆえにこの結末は、キラは報いを受けるべきという彼女の理屈に照らし合わせると、必ずたどり着く答えだった。 今起こった現実の光景に、誰一人反応出来なかった。 確かに彼女は結花を殺そうとしたが、だからと言って殺すつもりはなかった。 どうして、という疑問が頭の中でぐるぐる回る。 『あのポケモンに注意をしてください!』 しゃべるステッキが何かを叫んでいる。意味が頭に入らない。 ボーっと見つめていると、黒い狼は灰の中から赤と白のボールを拾い、脱兎のごとく逃げ出していった。 誰も追いかけようとはしない。結花もどうすればいいかわからなかった。 『気にする必要はありません。これは不幸な事故です。あのポケモンが動いた先に人がいるなど、誰も判断が不可能な状況でした。 それに、殺害をあのポケモンが誘導している節が……』 「サファイア、そこまで」 『……申し訳ありません』 なぜステッキが謝るのか、結花はわからなかった。 人を殺したのは確かな事実なのに、ステッキは悪くないないのに。 「美遊……ちゃん? でしたか?」 「はい」 「園田さんに伝えてください。私に……殺されないようにしてください。探さないでください、と」 美遊は目を丸くした。冷静な印象だったが、意外と表情豊かのようだ。 「あなたたちも、私から離れてください。私は……私は、人殺しのバケモノですから……」 返事を聞かず、結花はその場から必死に離れた。 何も聞きたくない。見たくない。 『この会場に呼ばれた中で、“悪い人”を退治してきて欲しいんです』 意図せず、あの女性の言う通りに動いてしまった。 ただあの子を守りたい。自分を助けようとする子どもだけは、死なせてはいけない。 そう思っただけなのに、運命は許さなかった。 きっと無様な結末が汚れた怪物にはお似合いだろう。 結花は涙が流れているのも気づかず、ただ自分の知っている人たちから逃げ出した。 「長田さん! くっ……」 『申し訳ありません、わたしが迂闊でした』 「サファイアのせいじゃない。きっとなにを言っても、長田さんは引き止められなかった……」 美遊はうつむき、悔しさで体が震えた。 イリヤならどうしたのだろうか、と思わずにはいられない。 一番の親友である彼女なら、何も考えず理屈抜きに感情論で結花を引き止めただろう。 それがわかっているだけ、自分に足りないものを自覚していく。 あの、イリヤが空を飛べた時のように。 「追いかけないのかい?」 ロロが上着を着ながら尋ねてきた。 ヤケドはどうしたのだろうか。 「僕の最後の支給品、やけど直しのスプレーが役に立ったよ。ここまで即効性があるなんてね」 こちらの心を読んだかのように、彼は続けた。 いや、今の自分なら何を考えているのか当てるのは簡単だろう。 ロロはすくっと立ち上がって、デイパックを背負う。 「それで、長田結花さんだっけ? 彼女はあのまま進むと、君を苦しめたバーサーカーに遭遇しちゃうけど……どうする?」 「……放ってはおけません」 美遊は答える。サファイアは判断しかねるのか、黙っていた。 このままバーサーカーのもとに向かうのは自殺行為に近いが、このままでいいはずがない。 結花を見捨ててイリアを探したなど、胸を張って言えるはずがない。 「友達の家に向かうのがまた遅れちゃうね」 「ロロさんは先にそちらに向かってもらえますか? さすがに長田さんとロロさんをかばいながら、バーサーカーから逃げきるのは難しいので」 「大丈夫だよ。ほら」 ロロがそういった瞬間、彼の手にサファイアがあった。 えっ、と驚く美遊の手に優しく返される。 「この力なら、逃げ出す手助けができる。助けに向かうなら、早くしないとね」 掴みどころがないが、ロロの態度に美遊は助けられる。 内心感謝しながら、もう一度バーサーカーの前に立つ決意を固めることにした。 体が震える。傷めつけられた記憶が蘇る。 けど、自分ならきっと乗り越えられる。そう信じながら、一歩踏み出した。 美遊を向かわせることができて、ロロは内心安堵した。 オルフェノクにしろ、美遊の魔法少女にしろ、味方にすると頼りになる力ばかりだ。 兄と違って人心掌握術は不得意だが、印象を良くしておいて損はない。 どちらもこの殺し合いで、兄と共に脱出するための力として申し分ないのだ。 もちろん、彼女たちに気を遣う部分もあるが、優先順位の問題だ。 ロロにとって彼女たちより、兄であるルルーシュが大事であるというだけ。 それに、とロロは冷徹に思考する。 話に聞いたバーサーカーならば、ナナリーや別世界の自分を自然に始末するのに都合がいいのではないか、と。 自らの居場所を奪うため。 充分に幸せを噛み締めたもう一人の自分の立場を奪うため。 都合のいい駒となりうるなら、バーサーカーを利用すべきである。 ロロは冷徹な思考を隠しながら、美遊と共に結花を追った。 月が沈みかけ、空が白み始めた。 ゾロアークは鼻を天に向け、己のトモの匂いを嗅ぎ分ける。 彼の味方はNだけだ。理解してくれるのはNだけだ。 南空ナオミのせいで余計な時間を食った。 だから急がねば。トモの元へ。 【南空ナオミ@デスノート(実写):死亡】 【C-6/森の南東/一日目 早朝】 【長田結花@仮面ライダー555】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(小)、怪人態、仮面ライダー(間桐桜)に対する重度の恐怖 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品1~3 [思考・状況] 基本:??? 1:仮面ライダー(間桐桜)から逃げる 2:仮面ライダー(間桐桜)に言われた通り、“悪い人”を殺す? 3:木場さんの為に、木場さんを傷つける『人間』を殺す? 4:自分を知っている人から離れたい [備考] ※参戦時期は第42話冒頭(警官を吹き飛ばして走り去った後)です 【たった一人の 家族/友達 を守り隊】 【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】 [状態]:ダメージ(小) [装備]:カレイドステッキサファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ [道具]:基本支給品一式、クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、支給品0~1(確認済み)、タケシの弁当 [思考・状況] 基本:イリヤを探す 1:結花を追いかける 2:ロロと行動 3:凛を始め、知り合いを探す(ロロの知り合いも並行して探す) 3:結花の件が片付いたら、橋を渡って東部の市街地を目指す(衛宮邸にも寄ってみる) 4:真理の知り合いと出会えたら、真理のことを伝える 5:ナナリー・ランぺルージには要警戒。ユーフェミア・リ・ブリタニアも、日本人を殺す可能性があるので警戒。 6:『オルフェノク』には気をつける [備考] ※参戦時期はツヴァイ!の特別編以降 ※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません 【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [状態]:ギアス使用による消耗(中)、半乾きの服 [装備]:デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個) [道具]:基本支給品、デザートイーグルの弾、やけどなおし2個@ポケットモンスター(ゲーム) [思考・状況] 基本:この殺し合いを止める 1:ナナリーとロロ・ヴィ・ブリタニアを殺害し、自分の居場所を守る 2:ロロ・ヴィ・ブリタニアを陥れる方法を考える。 3:ナナリーの悪評を振りまく。 4:ルルーシュと合流する 5:殺し合いを止めるための仲間を集める。 6:美遊・エーデルフェルトと行動。衛宮邸に立ち寄りつつ、住宅街を探索 7:『オルフェノク』と『バーサーカー』には気をつける。 8:バーサーカーを利用できるのでは? [備考] ※参戦時期は、18話の政庁突入前になります ※相手の体感時間を止めるギアスには制限がかかっています 使用した場合、肉体に通常時よりも大きな負荷がかかる様になっており、その度合いは停止させる時間・範囲によって変わってきます 【共通備考】 ゾロアークが自分のモンスターボールを持ってNを探しています。 南空ナオミのデイパックがC-6の森に放置されています。 内容は基本支給品と不明支給品0~1です。 【やけどなおし】 使用することでやけどの状態異常を回復できる、即効性の薬。 本来はポケモンのアイテムだが、ポケモン以外でも使用可能。 061 対決~英雄の真髄 投下順に読む 063 淑女のフォークリフトVS仮面ライダー……観客 怪奇蛇男(前編) 時系列順に読む 045 「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 美遊・エーデルフェルト 085 Lost the way ロロ・ランペルージ 023 monster. ~愛故の狂気 長田結花 026 その南空ナオミをぶち殺す 南空ナオミ GAME OVER
https://w.atwiki.jp/yaranaio/pages/32.html
長編 ホロ やるやらホロナギが食べ歩くようです グルメ やる夫が騎士団に入団したようです 元ネタ有り:ヴィーナス&ブレイブス やる夫blivion 元ネタ有り:The Elder ScrollsⅣ: Oblivion やる夫が不思議町の住人になるようです。 元ネタ有り:足洗邸の住人たち ヒロイン:雪華綺晶・セイバー・ホロ ナギ やる夫と静かな非日常 オリジナル コトコト煮の短編をあなたに やらない夫のサラリーマン哀歌 オリジナル やらない夫の月は綺麗なようです オリジナル ヒロイン:雪華綺晶・やらない子・ナギ・弱音ハク・チンク 逢坂大河 やる夫達は広島でB級グルメを食べ尽くすようです グルメ 完結済み やる夫たちは文化祭でバンドるようです オリジナル 完結済み やる夫達は広島でB級グルメを食べ尽くすようですの続編 やる夫達は様々な事から卒業するようです オリジナル 過去ログ直リンク やる夫たちは文化祭でバンドるようですの続き やらない夫は猫を拾ったようです オリジナル R-18 バラライカ 愛のやらバラ日記 オリジナル 完結済み やる夫は自分らしく生きるようです 元ネタ有り:シャドウハーツ2 紅月カレン やらない夫は教師になるようです 元ネタ:サモンナイト3 ヒロイン:巡音ルカ・シグナム・ルイズ・紅月カレン・ティアナ やらない夫達は捻れた世界にいるようです オリジナル 過去ログ直リンク ナナリー・ヴィ・ブリタニア やらない夫は学生映画を作るようです オリジナル C.C やるなぎ 元ネタ有り:短編「よめなぎ」 アイギス あっぱれやらない夫 元ネタ有り:戯曲『あっぱれクライトン』 ヒロイン:水銀燈 やる夫が混沌に立ち向かうようです 元ネタ有り:TRPG ウォーハンマー ヒロイン:アイギス・麻呂重 ルイズ やらない夫は教師になるようです 元ネタ:サモンナイト3 ヒロイン:巡音ルカ・シグナム・ルイズ・紅月カレン・ティアナ やらない夫で TALES OF THE END のようです オリジナル ヒロイン:ルイズ、読子・リードマン かえってきた やらない夫 オリジナル(2次創作SS元作) ヒロイン:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール やらない夫板直リンク グラハム やらない夫のペルソナ4 元ネタ有り:ペルソナ4 完結済み ヒロイン:薔薇水晶・霧雨 魔理沙・小早川 ゆたか・星野 ルリ・菊地 真・ナタル・バジルール・亞里亞・グラハム やる夫はミステリー調査部の部長のようです オリジナル 完結済み ヒロイン:秋山澪(・グラハム) 乱崎凶華 やらない夫は天使の彫像を彫るようです 元ネタ有り:Sound Horizon 完結済み 綾波レイ やらない夫が美少女なロボットと同棲するようです 元ネタ有り:My Merry May 完結済み ヒロイン:綾波レイ・翠星石 僧侶 高校球児やる夫 スポーツ 完結済み エリー やる夫で学ぶ陶芸入門シリーズ 学ぶ系シリーズ物 構成は以下の通りやる夫で学ぶ陶芸入門 やる夫で学ぶアロマテラピー入門 やる夫で学ぶビリヤード入門 やる夫がカリブ海で大統領になったようです元ネタ有り:トロピコ ~南の島の楽園~ やる夫で学ぶ電子タバコ入門 やる夫がピーターラビットになったようです やる夫で学ぶダーツ入門 ゼオラ・シュバイツァー やる夫がメールのせいで大忙しなようです 元ネタ有り:ペルソナシリーズ 鑑純夏 やる夫がカウンタックを手に入れるようです・やる夫がカウンタックを手に入れたようです 元ネタ有り:漫画『カウンタック』 鋼鉄ジーグ 初代ジー子・ジャパン オリジナル グゥ やらない夫が少女に罵られながら 女の尻を追いかけるようです 元ネタ有り:サンサーラ・ナーガ2 完結済み 伊藤伸恵 やらない夫は嘘をつかない オリジナル 完結済み エリカ・フォンティーヌ やる夫がドラゴンクエスト5の勇者?になるようです 元ネタ有り:ドラゴンクエスト5 完結済み 関内・マリア・太郎 やる夫がドラゴンクエスト5の主人公のようです 元ネタ有り:ドラゴンクエスト5 完結済み エルルゥ やらない夫が竹中半兵衛になるようです 歴史系 フレーム使用ホーム 直リンク シェリル・ノーム やる夫は憂いを取り去る者 元ネタ有り:ブルーブレイカー クラン・クラン やる夫は転校生のようです 元ネタ有り:東京魔人學園剣風帖 レヴィ やる夫はハートに火をつけるようです 元ネタ有り:牧場物語3 ファルネーゼ やらない夫が破滅の剣を手にするそうです 元ネタ有り:ヴァンダルハーツ イカ娘 やらない夫と幻の大地 元ネタ有り:ドラゴンクエスト6 星野ルリ やらない夫のペルソナ4 元ネタ有り:ペルソナ4 完結済み ヒロイン:薔薇水晶・霧雨 魔理沙・小早川 ゆたか・星野 ルリ・菊地 真・ナタル・バジルール・亞里亞・グラハム 菊地真 やらない夫のペルソナ4 元ネタ有り:ペルソナ4 完結済み ヒロイン:薔薇水晶・霧雨 魔理沙・小早川 ゆたか・星野 ルリ・菊地 真・ナタル・バジルール・亞里亞・グラハム 亞里亞 やらない夫のペルソナ4 元ネタ有り:ペルソナ4 完結済み ヒロイン:薔薇水晶・霧雨 魔理沙・小早川 ゆたか・星野 ルリ・菊地 真・ナタル・バジルール・亞里亞・グラハム ナタル やらない夫のペルソナ4 元ネタ有り:ペルソナ4 完結済み ヒロイン:薔薇水晶・霧雨 魔理沙・小早川 ゆたか・星野 ルリ・菊地 真・ナタル・バジルール・亞里亞・グラハム ベール=ゼファー やらない夫は数奇な人生を歩むようです 元ネタ有り:ドラゴンクエスト5 ヒロイン:ベール=ゼファー・エヴァンジェリン・桜木茉莉 エヴァンジェリン やらない夫は数奇な人生を歩むようです 元ネタ有り:ドラゴンクエスト5 ヒロイン:ベール=ゼファー・エヴァンジェリン・桜木茉莉 桜木茉莉 やらない夫は数奇な人生を歩むようです 元ネタ有り:ドラゴンクエスト5 ヒロイン:ベール=ゼファー・エヴァンジェリン・桜木茉莉 読子・リードマン やらない夫で TALES OF THE END のようです オリジナル ヒロイン:ルイズ、読子・リードマン 遠野秋葉 やる夫はフラグクラッシャーのようです オリジナル 桂言葉・間桐桜・竜宮レナ・遠野秋葉 麻呂重 やる夫が混沌に立ち向かうようです 元ネタ有り:TRPG ウォーハンマー ヒロイン:アイギス・麻呂重 イブ(金色の闇) 牧場スローライフ オリジナル 過去ログ直リンク ヒロイン:蒼星石・柿崎めぐ・竜宮レナ・北条沙都子・金色の闇(ToLoveる) シオン・エルトナム・アトラシア やらない夫は経済帝国の影を生きるようです 元ネタ有り:シャドウラン2版 ヒロイン:やらない子、シオン・エルトナム・アトラシア 秋元こまち やらない夫のワールドネバーランド 元ネタ有り: ワールド・ネバーランド ~オルルド王国物語~ ヒロイン:黒井ななこ、イリヤ、秋元こまち、フェイト・テスタロッサ、アイビス・ダグラス アイビス・ダグラス やらない夫のワールドネバーランド 元ネタ有り: ワールド・ネバーランド ~オルルド王国物語~ ヒロイン:黒井ななこ、イリヤ、秋元こまち、フェイト・テスタロッサ、アイビス・ダグラス 三千院ナギ やる夫はアンデッドを封印するようです 元ネタ有り:仮面ライダー剣 速水厚志 兄、ちゃんとしようよっ! 元ネタ有り:姉、ちゃんとしようよっ! ジェレミア・ゴットバルト 兄、ちゃんとしようよっ! 元ネタ有り:姉、ちゃんとしようよっ! 音無小鳥 やる夫がフラグの塔をのぼるようです 元ネタ有り:アザーライフアザードリームス リリアーヌ(怪物王女) やる夫たちは凸凹カップルのようです オリジナル シャナ やる夫はみんなに狩られるようです オリジナル ヒロイン:セイバー、シャナ、琴吹 紬
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/6045.html
もぐもぐ。 解説 ころうばのうp主めーじん氏がデータクラッシュからのリハビリとして開いた大会。 基本はチーム戦だがいくつか独特のルールが入っている。 2011年10月29日、完結 ルール 参加キャラクラーは大将候補(以下ネクロマンサー)として12人。中堅・先鋒候補(以下ゾンビ)として24人の計36人。 まず、抽選王を使用してこれらのキャラで3人1組のチームを12チーム形成する。 その後は、ランセレによりチーム間対戦を繰り返し、最後の1チームになるまで戦う。 脱落は以下の特殊ルールで判定される。 各キャラはライフポイント(以下LP) ネクロマンサーは3、ゾンビは2がLPの初期値となる。各キャラはラウンドを落とすとLPが1減少する。 ゾンビは、ゾンビ・ネクロマンサーからラウンドを取ると、もぐもぐ。してLPが1回復する。 ゾンビがゾンビによりLPを0にされると全部もぐもぐ。されて成仏する(キャラが大会から除外される)。 ネクロマンサーがゾンビのLPを0にするとLP1の自分の下僕にすることが出来る。 ネクロマンサーがネクロマンサーにLPを0にされると全部もぐもぐ。されて下僕諸共昇天する。 ネクロマンサーがゾンビにラウンドを取られると、もぐもぐ。感染されてLP 1のゾンビチームになる。 チームは最大4人。ゾンビの序列はLPの低い順に先鋒から。同値の場合は前の序列順を優先。 下僕が4人を越えると一番LPの低い下僕を生贄にささげて新しい下僕が加入する。この際に、ネクロマンサーのLPが1回復する。 ネクロマンサー + ... 間桐桜 モーラ 天草四郎時貞 ワラキアの夜 テスタメント ゴッドルガール ダンテ 神楽那由他 ブロントさん 毛利元就 アンジェリア アミバ ゾンビ + ... アドラー ムラクモ ヴァイス ジル 豪血寺お梅 豪血寺お志摩 沙耶 翡翠 黒河雲母 八神庵 麟 A.B.A 羅刹丸 ミラ マリア レイレイ 朧ビシャモン ジャギ P3主人公 織田信長 スコーピオン 藤原妹紅 八雲紫 汚い忍者 関連大会 ころしてでも うばいとる ばとる おやつトーナメント【間食】 ころしてでも うばいとる ばとる2 コメント 今度はPCふっとばないといいな。 -- 名無しさん (2011-08-25 14 30 34) 大将ゲーで勝ってもおいしくないタイミングがほとんどなのはわざとなんだろうな -- 名無しさん (2011-08-25 18 28 58) 大将無双=配下ゾンビLP減りまくりだからただ生き残ったってだけでチームとしては得があまりない。ゾンビが増えてあふれないとネクロマンサーのLPが回復しないルールがいい感じだな -- 名無しさん (2011-08-28 15 43 23) 大将間の強さにちょっと差があるような気もするけどな -- 名無しさん (2011-08-28 20 31 58) ゾンビを奪うタイミングが難しいな、ネクロマンサーに当たる前に大抵前のゾンビ倒してるはずだからLP1のゾンビに遭遇しない -- 名無しさん (2011-09-01 22 25 09) まさか、アンジェがジャギ付とは思わなかった。さすがにネクロマンサー同士の強さはもう少し統一しておいて欲しかった -- 名無しさん (2011-09-10 21 59 45) ぶっちゃけついててもついてなくてもバリバリの凶だぞアンジェ。 -- 名無しさん (2011-09-13 14 31 32) 現状、桜はあの2人で乗りきるしかないな…多分紫が強すぎてゾンビの強奪は無理臭い。 -- 名無しさん (2011-09-15 15 06 47) ライフゼロよりソンビ化のほうが優先されるのか。そのほうが面白くなるって判断なのかな -- 名無しさん (2011-09-17 20 23 08) LP1の下僕複数のチームは数が有ってもいつ窮地に立たされるか分からない 一気に2人チームから居なくなるのなんて稀じゃないのが怖い -- 名無しさん (2011-09-17 21 45 18) 那由他がどんどんゾンビ仲間増やしまくってるw -- 名無しさん (2011-09-24 21 18 02) 那由他が疫病神すぎるw -- 名無しさん (2011-10-02 14 52 16) 生き残りすくねえwゾンビばっかw -- 名無しさん (2011-10-02 16 10 29) 感染拡大とはよく言ったものよ…… -- 名無しさん (2011-10-02 17 29 50) 那由他負けて先鋒になってから大暴れだな。そして移動しまくりだなw -- 名無しさん (2011-10-02 17 47 13) 今回だいぶ動いたな -- 名無しさん (2011-10-08 10 04 11) なゆたおつかれさまでした。 -- 名無しさん (2011-10-08 16 00 35) なゆたはまさしくMVPだったなw -- 名無しさん (2011-10-10 23 43 54) 新作 あと1回で終わりそうね -- 名無しさん (2011-10-14 15 20 03) 一発の試合でここまで形勢が変わるとはなあ。色々もう読めない。そしてこの大会が初代天草となゆたの知名度貢献に繋がって他でも見られるようになればいいなって思う今日この頃 -- 名無しさん (2011-10-15 00 09 09) 中盤戦以降が望外に面白い -- 名無しさん (2011-10-15 01 42 21) ネクロゾンビ取って安泰かと思ってたら一試合で窮地だからな。ワラキアも決して安泰とは言えない状況だ -- 名無しさん (2011-10-15 02 06 44) 同じ作者だから仕方ないことだが M AM Aうるせぇな -- 名無しさん (2011-10-23 18 46 58) ほぼ一騎打ちプラスはぐれ一匹になったな。 -- 名無しさん (2011-10-23 19 04 37) そして誰もいなくなった -- 名無しさん (2011-10-29 16 01 31) うん EXやった時に嫌な予感してたんだよ畜生w -- 名無しさん (2011-10-29 17 17 42) 結論:結局はころうば2への前哨戦に過ぎない大会だった (本音:第六天魔王とナユタには盛大に笑わせてもらいましたw) -- 名無しさん (2011-10-29 20 33 47) MV -- 名無しさん (2011-10-29 21 13 19) 間違えた MVPはなゆただよなこれwあいつのせいでカオスになったしw -- 名無しさん (2011-10-29 21 13 31) 結論:M A再結成したかっただけ -- 名無しさん (2011-10-29 22 21 48) アンジェ何試合ぶりの活躍だったんだろうw -- 名無しさん (2011-10-29 22 53 22) テスタってあんなに設置張れたんだなwww -- 名無しさん (2011-10-29 23 52 47) ジャギ様が嬉しそうで何よりwwwwひそかにゾンビエンド期待してたが実現するとはw -- 名無しさん (2011-11-01 13 50 54) 那由他・忍ブロ対決・3タテとポーションの天魔王、モーラの奮闘などなど見所が多くて楽しい大会だったなw -- 名無しさん (2012-03-30 03 25 44) 最近このトーナメント見つけて最後まで見たけど楽しいなこれwwwテスタはカレーループ自重してもよくやったよ・・・ -- 名無しさん (2013-08-15 22 52 23) 名前 コメント マイリスト
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/6343.html
大半の動物がペットになりそうにない気がするけど、そんな事を気にしてはいけない大会 解説 魔界杯の作者である無双丸氏が送るタッグ大会。ブリーダーと動物?たちが協力して戦いを繰り広げる。 なおマイリスのコメントによると【ゆっくり主催】お前ら動物園に来るなタッグトーナメントをリスペクトして作られているらしい。 大会の手順 ランセレでブリーダーと動物を選択して、ブリーダーと動物のタッグを2組作る。 作ったタッグ同士で戦闘。なお、動物がブリーダーより先に死んだ場合、ブリーダーのライフは0になる。 無事戦闘で勝利して、かつブリーダーが生存している場合には、チャンスタイムに突入する。 チャンスタイムではタッグを組んでいた動物と1対1で直接対決を行う。 チャンスタイムでブリーダーが動物に勝利した場合は、ブリーダーとその動物は固定タッグになる。固定タッグになると能力などが強化される。 一度戦ったキャラはランセレからしばらくの間除外される。また勝ち残ったキャラはAリーグに留まるが、負けたキャラはBリーグになる。 再びランセレに復活した後は、再び戦闘して勝敗によってリーグを分かれていく。その際に固定タッグのいないブリーダーは再びランセレで動物を選択し、この手順を繰り返す。 Bリーグで敗退すると脱落となる。またブリーダーに2回勝利した動物も、ブリーダーに愛想を尽かしてランセレから除外される。 出場選手 各キャラ細かく調整がされているので注意。 + ブリーダー カワイマン プリエ 川澄舞 エトナ マローネ アーサーなんだぜ? 魔法剣士(ディスガイア) 妹(うろブラ) タツオ 緋雨閑丸 先代巫女 ミラ・ミシアーノ アサギ アオバ 男 テリー・ボガード ヴァイス クラリーチェ・ディ・ランツァ ゼニア・ヴァロフ リリカ・フェルフネロフ 美凰 朱鷺宮神依 廿楽冴姫 愛乃はぁと リーズバイフェ・ストリンドヴァリ 両儀式 蒼崎青子 シオン・エルトナム・アトラシア 制服秋葉 間桐桜 白井黒子 ナイア・ルラトホテップ 空条承太郎 DIO ダンテ シャオ・カーン キワミ けんちゃん CCO 師範4P カルマ ジョイメカヒスイ オトナシ ルシェカ アナザーブラッド 水原奈優 スク水ゆうかりん イングリッド + 動物 1 犬枠 レオパルドン きゅうきょくキマイラ わんわん ワンワン イギー シナモン いぬさくや このは 2 猫枠 ぬこアルク ネコカオス・ブラックG666Mk2 フェリシア (´・ω・`) T.A.C. ねこ セフセフなレンたん 塩レン 3 鳥枠 ペリカン 天魔様 プリニー プリニーアサギ 十得制御棒うにゅほ いろは ペットショップ 音速丸 4 ドラゴン枠 FF5神竜 ブラッドヴェイン 恋するドラゴン グリゼラ kuro dragon リューゲン 5 ネズミ枠 ボン太くん ソニック・ザ・ヘッジホッグ 6 海洋生物枠 Primeus アノマロカリス イカ娘 カモノハシのハッシー(ビーバー) すけとうだら クレイクロウ 7 蟲枠 ガーゴイルキューブ ニャッキ ぽんこつ魔王 ダーマ FWガイガン(カマキリ) メガロ 8 牛枠 モーモー・ダイナマイツ ゾッド オックス バイソン(ベガ) 9 豚枠 鈴々 クリーパー ぶりぶりざえもん こぶた 10 うさぴょん枠 EXウサピー ヤコプ デップーイナバ ウサピー 11 蛇枠 デス=アダー オロチ(戦国ランス) シュリセル ゲーニッツ 12 サル&ゴリ枠 エイプマン ウゴカザル ソンソン キングコング 13 植物枠 エイリアン・グリーン ビオレンテ アダツボミ アミンゴ 14 ナマコ枠 ナマコ クリーパー 15 熊枠 アナログマ クロウベア 16 パンダ枠 白湯 ホイホイ 17 お徳用枠 セクメト ネロ・カオス 18 たぬき枠 たぬき ポンタ 19 獣人枠 フェリル ガロン 20 トカゲ枠 スペースゴジラ ハウザー ゴジレン バーティゴ ディアブロ ゴルゴン タロン アロサウルス その他 いたち きりん ぞう クッパ しかと きつね デュアルヘッド・モケーレ・ムベンベ 動物番長 関連大会 【ゆっくり主催】お前ら魔界でやれタッグトーナメント 人間界軍vs魔界軍 人間界争奪ランセレ勝ち抜き決戦 お前ら魔界でやれチームトーナメント 動物と一緒にタッグトーナメント タッグで挑め!魔界サバイバルレース チームで駆け抜けろ!魔界サバイバルレース 手書きキャラonlyトーナメント ペットを大切にしない奴は死ねトーナメント ペットを大切にしない奴は死ねトーナメント愛情デカ盛りLOVEMAX! win 新MUGEN交流戦!ワイド画面でタッグトーナメント ポイント争奪!MUGEN学園バトル ばけものフレンズ大会 愛と拳とジャパリまん 並盛りシングルトーナメント サイドメニュー コメント + ネタバレ注意 暇になるまで待ってもページが出来なかったらページ作ろう、とか思ってたら、ページ作った時には既に大会終盤になってたけど気にしてはいけない件。自分が応援してたタッグをとっくに落ちてたけど気にしては(ry…まずいところやミスがあれば修正お願いします。 -- 名無しさん (2011-12-29 14 22 50) シナモンのやばさに驚く動画。 -- 名無しさん (2011-12-29 15 24 19) ページ作成乙! -- 名無しさん (2011-12-29 19 31 10) 面白い大会だから作るか作るまいかでやきもきしてたところだった。作成乙。 -- 名無しさん (2011-12-29 20 50 16) 記事作成ありがとうございます -- 夢想丸 (2011-12-29 21 58 18) ↑ 今年一年楽しい動画をありがとう!毎度の神展開とBGMには腹を抱えて笑いました -- 名無しさん (2011-12-29 23 23 41) ビオレンテやシナモンが活躍していて嬉しいなぁ -- 名無しさん (2011-12-30 02 02 41) まさかの怪獣対決 -- 名無しさん (2011-12-30 11 53 53) 強豪が結構落ちたな、桜とシナモンに勝てそうなのいるのか -- 名無しさん (2011-12-30 17 04 09) 白黒もおかしいがビオレンテもタッグ相当強いな、単体だと精々強か凶下位もいかないレベルだとは思うんだが -- 名無しさん (2011-12-31 04 12 16) 動物側このままだと多数出番なしで終わるなこれ。つうかもう出番なし確定? -- 名無しさん (2012-01-02 21 20 36) ついに終わったか。 -- 名無しさん (2012-01-04 16 26 17) フェリルの回復がずるいっていう意見が多いけど、「いかに強いペットを獲得するか」もこの大会の醍醐味の一つだからこの大会では文句はお門違いだよな。 -- 名無しさん (2012-01-04 20 17 30) 奈優も獲得戦で、あの木を出された上で勝ったわけだしな -- 名無しさん (2012-01-04 20 36 47) まあ、このシリーズは如何にも「撮り直しはない」と思える展開でその点良かった -- 名無しさん (2012-01-05 18 39 40) 「白黒デモーニッシュ」を巡って荒れてる件。 -- 名無しさん (2012-01-05 19 16 47) 最終回動画見たが、それ関係のコメがひとつも見当たらない件について・・・どっかのスレかなんかか? -- 名無しさん (2012-01-05 20 02 55) デモーニッシュ関連での動画タグの埋め立てとかが起ってるっぽいね -- 名無しさん (2012-01-05 20 41 59) 明日からサバイバル形式の大会を開きます。楽しんでいただければ幸いです -- 夢想丸 (2012-03-02 12 13 41) 期待してます。今回も人外多めかな? -- 名無しさん (2012-03-02 12 56 06) ↑2人間界軍VS魔界軍の動画はもう見れないんでしょうか? -- 名無しさん (2012-03-02 23 36 54) ヒャッハー!楽しみにしてまーす。 -- 名無しさん (2012-03-03 15 23 35) 名前 コメント マイリスト
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/7743.html
解説 ありそうでなかった、ビンゴゲームのルールに基づいた大会。 狂上位~狂最上位のキャラが中心となっている。 ルール 女性のみのREDチームと男性のみのBLUEチームによる対抗戦。 試合は制限時間99秒、2ラウンド先取のシングル戦。 ゲームの流れ まず両チーム共にランダムで25人ずつ選び、5×5のマスに配置する。 25人の中からランダムで1人ずつ選び、試合を行う。 負けたキャラは一旦脱落となり、そのキャラに勝ったキャラが負けると復活できる。 復活は1ゲーム3回までで、3回負けると次のゲームには参加できない。 負けたキャラが1列以上揃うと列の数だけ相手側にポイントが入り、次のゲームに移る。 先に5ポイント取ったチームが優勝となる。 出場選手 + REDチーム 選手名 キャラ製作者 カラー 備考 孤独な美凪さん rakurai氏 5P AILv 5 アンジェラ dkn氏 12P 紅蓮の魔導師出現 黒衣玖V2 piyo氏 12P 弾幕Lv 3、召喚AILv 2 ブラッド秋子さん 作者不明 11P 聖なるセシリア melt氏 1P 精霊化・時止・TU回復 OFF、与ダメ追加 シャルロット masquer氏 - ファンタズマ氏AI、AILv 9 ドラノール・A・ノックス シロト氏 12P エレシュキガルEASY EINZBERN氏 11P ハレイムクラニ パピット氏 12P クリスマスチキンの代用品使用率高、マネートラップモード Hei_F FLAM氏 12P キャンセルコストなし、性能変化3 アイドル翡翠 夫氏 7P 喰らい抜け頻度多め 星影 stupa氏 12P 魔界公式モード、ドクロ減らない 右代宮朱志香 シュウ氏 12P ジョーカー式 解体夜氏 9P AILv 11 Julius Emery macbeth氏 9P AILv 11 カルマ 獅子堂久遠氏 9P AILv 10 KENDOU 影縫氏 12P 小悪魔AC 1/8192氏 11P AILv 11、11P向けオプション設定 黒リムカスタム 黒い鳩氏 10P AILv 5-3-3 Lord of library 紅毛玉氏 12P AILv 6、イントロ賢者の石発動 魔砲少女青子 駄菓子菓子氏 7P 春日舞織 アフロン氏 - 蜂百合氏AI、AILv 10、性能変化3火アルカナ固定、姉妹が勝手に率最大 間桐桜 六雪氏 - ボスモード、全ゲージ回復、開幕巨人 先代巫女(心綺楼風ドット) プレート氏 1P 熄癈人氏強化パッチ、微強化、全攻撃ガード不可耐久UP 桃レン サクラ氏 11P AILv;3 ニルヴァーナ Lates氏 11P 影縫氏強化パッチ ペトラ・ヨハンナ・ラーゲルクヴィスト Ina氏 - 蜂百合氏AI、AILv 10、性能変化3時アルカナ固定 possibility of Chizuru tokage氏 11P リヴァイヴァー まるがお氏 1P 復活なし、狂モード R久那妓 lunatic氏 10P Sレミリア 熄癈人氏 1P 自重、AILvUPなし シューティングスター魔理沙 軟骨カレー氏 11P Spera みかえる氏 5P スピーディースーサイド A.c.c.氏 7P DISRUPTER Kaixa氏 12P AILv 6 聖帝空 amimba氏改変版 - オプション全開 T椛2nd tmtm氏 11P AILv 10 ティセ-WB 深山氏 1P AILv:7、紙モード、自爆あり、フライング強化、小人と光球なし 朱鷺宮神依 匿名スマブラー氏 9P AILv:5、攻撃補正なし 幽香ちゃん oga氏 10P + BLUEチーム 選手名 キャラ製作者 カラー 備考 Aアギト aaa氏 10P アレンジカイン A.c.c.氏 1P AILv:2、フライングペナルティLv:2 アレンジマリオ SuperMario193281氏 4P アスラ しもつき氏 9P 暴走アレックス 影縫氏 12P バルバトス・ゲーティア クロガネ氏 7P 剛体20 Crazy-Catastrophe 熄癈人氏 1P 自重、%n・Pバグ・親捏造・時止・専有超必以上・輪廻・因果・死誘・狂爆全て封印 ドクオ サクラ氏 12P AILv:3 fh-Mr.Karate huolisi氏 7P ディオボロ氏改変パッチ、ストライカー登場頻度:2ストライカーMr.カラテ封印、胡散臭さ:3 ゴッドアーデルハイド 608氏 12P DLS氏AIパッチ 超サイヤ人4ゴジータ SHELD氏 10P オカチャンマン氏AI、覚醒復活なし 波動ケン SAMSARA氏 1P 服部半蔵 Masquer氏 - ファンタズマ氏AI、AILv:9身代わりの術:全てON・確率1 Hige しげふらいど氏 1P イオリミックス 黒い鳩氏 5P AILv:11 ジョンス・リー キシオ氏 11P Lv60氏改変パッチ、AILv:11、一撃制限撤廃 K-カービィ 車掌B氏 10P AILv:10 限界突破ブロリー かませ氏 5P AILv:5、LSSJモードスタート ルイージ閣下 STG氏 2P TU回復以外の全スイッチON、ダメージ制限350 マスタークリス humi氏 - 軟骨カレー氏AIパッチ、AILv:2、強化2 マスターダルトン 漢氏 7P マガキEX こんちゃん氏 7P マスターゴッドリュウ M@kUBEX氏 12P aaa氏強化パッチ、ストライカーあり 機皇帝ワーロック∞ kuron氏 9P Mr.Dragon-JC DLS氏 6P 無界3 KAMUI氏 9P 剣聖ムラクモ 駄菓子菓子氏 3P 覚醒条件軟化 七夜葬志貴 STYM氏 3P PKおとこ スターマン・センゾ氏 11P 猛禽王ペットショップ 雑魚氏 - ルガール2nd fxm508氏 12P 作者不明AI リョウ・サカザキ ポポポンタ氏 12P 聖霊サラマンド (笑)氏 8P AILv:6、3ラウンド限定解除、覚醒なしフライングペナルティあり シン 平成㌢氏 12P AILv:11、死兆星・バスケ・ムテキング ショボーンSF サクラ@氏 9P AILv:11 トキ シュウ氏 12P AILv:12、指先一つでダウンさモード ベガEX PotS氏 11P 123456789氏改変パッチ、論外化OFF、バリアON 吹き荒ぶ旋風のゲーニッツ モジャック氏 11P AILv:4、EXやみどうこくノーゲージON 美しい斬鉄Hard Silverstar氏 7P 暁絶N 十字星Nkz氏 12P Try氏AI、AILv 6、ファイナルベロシティ制限2喰らい抜けあり、ゲージ上昇2対狂モードII、威霊の錬成具・真夜の錬成具2無常の太刀Lv4以上1、ファイナルベロシティ脳2 コメント なんか…すいません。 -- はいうぇい (2014-06-28 17 55 51) 露骨に強化キャラを勝たせていて残念な大会 -- 名無しさん (2014-10-11 08 33 11) 庵MIXは超強化の分類だからしょうがないのさ -- 名無しさん (2014-10-11 19 08 36) まずOPの段階で散々指摘されていたバランス崩壊をそのまま押し切って始めた時点でね…狂中位上限くらいのキャラと狂最上位がハンデなしで混ざっている絶望 -- 名無しさん (2014-10-11 21 56 21) キャラ交代で参戦した改変ヴァネッサはリドミ詐欺やらかしてる神キャラなんだよな 以前から狂じゃないとかちょくちょく言われてたんだけれど -- 名無しさん (2014-10-11 22 52 39) ブログの方もなかなかひどいな。こうなるの狙ってやってたんじゃないかな -- 名無しさん (2014-10-11 23 33 31) ブログ見てみたけどちょっと酷いね。コメで注意されてるのにキャラ批判も何度もしてるみたいだし…mugenの大会に正解はない、でも明らかにいろいろ間違ってる大会はある -- 名無しさん (2014-10-12 00 39 08) ブログってどれ? -- 名無しさん (2014-10-12 08 10 52) 名前 コメント マイリスト
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/7798.html
第2回です 解説 投稿者やまびこ氏初大会であった第1回 4人タッグVSボス 大会の続編 大会構造上今回はMUGEN1.1を利用した4人制タッグシステムとして開催されている また第2回だけあって前回とはルールが多少変わっている ルール タッグ28チーム、ボス28人による対戦 タッグ・ボスそれぞれランセレで選び、60秒2R先取で戦う タッグ側のメンバーは狂下位が上限(全員1P)ボス側は凶~狂となっている タッグ側は3敗、ボス側は1敗で脱落。そのため勝っても「基本的」にライフは減らない 復活ルール 具体的に「タッグの脱落組」+「ボスの脱落」=10になるごとにランセレで1人(組)?が復活する タッグ側が復活した場合、該当タッグは1敗で脱落 ボス側が復活した場合、味方の生き残りボスの誰か1人のライフが「50%」ダウンする(2回選ばれたらライフは1になる)。復活した本人は1敗で脱落 相手チームを全滅させた方の勝ち 出場タッグ + ... チーム名 メンバー シスター エルザ・ラ・コンティ(発破氏AI) クラリーチェ・ディ・ランツァ(蜂百合氏AI) シエル(IQS氏AI) アノニム(おまけの人氏AI) 鎌 みやかか アクセル=ロウ(ACモード) テスタメント アイリ 2世 Gアーデル(DLS氏AI・アーマーON) ロック・ハワード(MKⅡ氏AI) レイミ・謝華 ジョルノ・ジョバァーナ(ama氏AI) 戦争 夜水 IV号戦車D型改F2型 DISRUPTER 傭兵 色物 ネコアルク(YK氏AI) 四条雛子(対モード) ネコアルク・カオス Mr.師範(GURI氏AI) 居合 セシリア(el氏AI) 琥珀(IQS氏AI) リンディス(誠治氏AI) ジョニー(yuki氏AI) 時間 十六夜咲夜(>天<氏AI・メイドインヘブン使用ON) 朱鷺宮神依(自動で死祀ON) 空条承太郎(misobon-ism氏AI) 暁美ほむら(お家氏AI) 芸人一座 春日舞織(蜂百合氏AI) 城門光(青村氏AI) リーズバイフェ・ストリンドヴァリ(お家氏AI) ブリジット(ナテルオ氏AI・GGモードON) ビーム 上海人形(ユリポエ=久瀬佐祐氏AI) hybrid ケーブル サイクロップス お色気 山田青葉 ミラ・ミシアーノ(お家氏AI) イアリ・ヴェグルレスフ ナイア・ルラトホテップ(蜂百合氏・AIレベル10・ボイス:本多未季) カンフー カンフーマン(口水軒氏AI) カンフーマン2009(AIレベル11) ミッシングパワーカンフーマン アナザーカンフーガール(カサブタ氏AI) 働き者と怠け者 たいが~&ぶるま ルーミア(覚醒ON) リリィ・カーン(Silvan氏AI) リリス・エルロン バイオレンス ロールシャッハ(おまけの人氏AI) 朝倉涼子(おまけの人氏AI) 右代宮楼座(ペパーミント氏AI) 桂言葉 鉄拳制裁 ゴリ条さん 右浪清 高町なのは(ディオボロ氏パッチ入り) 恵曇愁子(お家氏AI・タッグスイッチON) 妹 犬若なずな(紅炎氏AI) アフターアネル リーゼロッテ・アッヒェンバッハ(どっせいうさぎ氏AI) 神崎ゆん 厨二 弾幕七夜 小田桐統果 ローレン・レディアンス ユーリ・ローウェル(KELN氏AI) 種運命 右代宮譲治(>天<氏AI) フリーダムガンダム(リュウセイ氏AI) 竹中半兵衛(Lifeend氏パッチ入り) 両儀式 保護者 桃レン(弾幕レベル9) 一方通行(>天<氏AI・飛び道具反射確率10・アドガレベル10) ケビン・ライアン(DHQ氏AI・AI超反応ON・ヘルキャン速度人外速度) エリアス・パトリック(おまけの人氏AI) スカーフェイス 花山薫 ルビィ・ハート(あかさたレオン氏AI) 梅喧(ナテルオ氏AI・GGモードON・ACモード・AIレベル11) 幾世あやね(AIレベル10) 姉 ゼニア・ヴァロフ(蜂百合氏AI・AIレベル10・タメ技設定1) ボウソウ 鬼・千鶴 レギン・ヴェグルレスフ 神崎ゆか(旧版・jurica氏AI) 援軍 仏教文化の重み 二条乃梨子 花諷院骸羅 弥勒 破魔明星鳳凰(AIレベル最大) 病人 トキ(nemeless氏AI・一撃解除) パチュリー・ノーレッジ(蜂百合氏AI) 橘右京(mage氏AI) アナザー栞 ロリママ アル・アジフ(Tinoza氏AI) 鳴雪 洩矢諏訪子(robo氏製作) 羽入 モンスター KJ晴香(おまけの人氏AI・避け設定全開) ジルチェ(お家氏AI) ロードレイナブスEX(赤敷氏製作AI) 沙耶(NS氏AI) 傘 アリエッタ 緋雨閑丸(ファンタズマ氏AI・AIレベル9) 朱憐香乃(おまけの人氏AI・AIレベル16) 黒河雲母(AIレベル4) 蒼の剣 伊達政宗(雑魚氏製作強化パッチ付き・一撃ON) 美樹さやか(おつかい氏製作) チルノ(ふるれ氏製作) テムジン747J 魔法使い 霧島佳乃(sekt氏AI) シャーロット・オーリン ミント(ペペロン氏AI) ルシェカ(木。氏ボイスパッチ付) 二丁拳銃 ジョン・プレストン ペトラ・ヨハンナ・ラーゲルクヴィスト ルナ姫木(QK2Key氏AI) アサギ(金プリニー5体 自爆0% 常時フィーバー 変身確率100%) 出場ボス + ... ラオウ(12P・ハートキー氏AI) バルバトス・ゲーティア(1P) 間桐桜(12P・ボスモード・開幕巨人あり) 大地神(12P) ベール=ゼファー(12P・エマノン氏AI) ゼノン・ゼシフィード(12P) 真カムラナート(12P) 聖夜ノエル(12P・カオス同盟氏AI) アナザーブラッド(12P・QAZ氏AI) ベルンカステル(12P) 神ベガ(1P・名無しのぽろろ氏改変パッチ入り) 神人豪鬼(1P・名無しのぽろろ氏改変パッチ入り) オメガルガール2nd(12P) マスタークリス(12P) ミランダ・謝華(12P・くねくね氏AI) 範馬勇次郎(7P) 赤(9P) Psyqhical(7P・ディオボロ氏パッチ入り) グスタフ・ミュンヒハウゼン(11P・PP氏AI) 動物番長(12P) 悪魔将軍(12P) マスターギース(AILv6) HIGE(9P) デス=アダー(1P・>天<氏AI) エルクゥ(鬼化パッチ入り) 綿月依姫(1P・AI Insane) アルテラシアTYPE-H(1P) 空母ヲ級(12P) 関連大会 第1回 4人タッグVSボス 大会 多分ゼットン未満男女タッグトーナメント めざせ名勝負! 打倒神1Pトーナメント(リスペクト) 悪役4人 VS 正義1人 勝ち抜き大会 30Fまで駆け上がれ ゲージMAXサバイバル大会(リスペクト) 第2回 4人タッグVSボス 大会 相方が死ねば負けトーナメント 暑いぜ! 漢トーナメント スーパーJrカップ 凶1 VS 強2 タッグへの挑戦 大実験 凶タッグ VS 狂上位 取り直し大会 Border Line Carnival 第3回 4人タッグVSボス 大会 強ランクタッグ タイムアタック大会 メリークリスマス! みんなで祝おう!タッグ大会 マニー主催!! お年玉争奪杯 懐かし男女タッグトーナメント 第4回 4人タッグVSボス 大会 アタックVSディフェンス チームバトル 1Pのチカラトーナメント 仁義なき6兄弟トーナメント 第5回 4人タッグVSボス 大会 コメント 今回もページを作らせていただきました。完走期待してますよ -- 名無しさん (2014-08-03 19 57 09) いつもお世話になります。バランスが難しいですが、完走を目指します。 -- やまびこ (2014-08-03 21 52 26) 名前 コメント マイリスト
https://w.atwiki.jp/infinityclock/pages/257.html
アーチャーのクラスを得て現界せしサーヴァント、アタランテは俊足を誇る。 今は陽が昇り人々が活発に動く時間、つまり人目が増える時間帯である。 だが人目につかないよう用心しながらであっても彼女は速やかに、実体化は維持したまま移動することができる。 彼女の足を以ってすれば会場の区切りに換算して4ブロック程度の距離は遠出と呼べるほどのものではない。 細心の注意を払いながら、アーチャーは思考の隅で先ほどの出来事、すなわちランサーと刃を交えた後同盟を結んだ時の事を思い出す。 (何故ランサーは私の真名をたったあれだけの戦闘で見抜けた―――?) 現状、自分は同盟相手たるランサーに一方的に真名を知られている状況にある。 これは不味い。同盟である以上いつかは破綻するのは必定であり、いざ再びランサーと相対した時にこの情報差は確実に致命となる。 ましてあの飄々としたランサーからはどこか陰謀の気配を感じる。既に何か対策を練られていると考えて良い。 ならばこそ今は味方であるはずのランサーに対して思考を巡らせるのは当然であると言えよう。 先の戦闘、アーチャーは確かにある程度のスキルを披露していた。 とはいえ宝具は使用しないままに戦闘が中断された以上、たったそれだけの情報で真名をピタリと当てることなど出来るものか? もしかすると、他の要因によって真名を見抜けたのではあるまいか? 例えば互いの生前や出身に手掛かりを得ていたのだとすればどうだ? (私はあの男の顔を知らない。少なくともアルゴノーツの勇士という線はない。 しかしランサーは私を知っていた……ならば奴は同じギリシャの、私よりも後の世代の英雄、とは考えられるか。 加えてあの槍捌きはヘラクレスには及ばずとも並の英傑に収まる技量ではない。つまり大英雄と呼べるだけの実力を伴ったサーヴァント) よく思い出してみるとあの鎧の装飾にはどこか見覚え、というよりアーチャーの知る勇士たちが身に着けていた鎧の名残があったように見受けられる。 さらに高い実力を有しながらハッタリや駆け引きにも通じる油断ならぬ頭の冴え、何よりこのアタランテの足に初見で対応してのけたという事実。 「まさか……」 トロイア随一の名将と呼ばれた、ペレウスの息子アキレウスと何度も渡り合った大英雄の名前が脳裏に浮かぶ。 トロイア戦争の時代といえばアタランテの活躍した時代にほど近い年代だ。少ない手掛かりでも自分の真名に辿り着けても別段おかしくはない。 とはいえ、確証があるわけでもない。どうにかして確認を取りたいところではあるがどうするか。 あの男ならカマをかけたところではぐらかされるのがオチだ、いっそ直接言い当ててみるのも悪く無いかもしれない。 「……む?」 ふと、嗅ぎ慣れない匂いが漂ってきた。 自然の中で野生動物同然に育ったアーチャーにとって現代の空気はもとより不快な匂いではあった。 嗅覚が英霊の中でも一際鋭敏な彼女にとってそれは少なからぬ苦痛だったがここ最近はさすがに慣れのおかげか気にならなくなりつつあった。 今感じた匂いは世界そのものが放っているものとは別の匂い、NPCたちからは生じ得ない類のそれだ。 「あれか」 千里眼を持たずとも、弓兵らしい超視力、動体視力も併せ持つアタランテである。 匂いの発生源の正体はすぐさま特定できた。 自身のはるか前方、S中学校の近くに煙草を咥えて路傍に立つ一人の男の姿をしかと捉えていた。 一般人に溶け込んでいるつもりのようだがアーチャーの目と鼻は誤魔化せない、奴はマスターの一人だ。 とはいえサーヴァントが側に控えている可能性が高い以上、狙い撃つには些か早すぎる。 アーチャーの狙撃とて同じサーヴァントであれば迎撃することはさして難しいわけでもない、焦りは禁物。 少しして、学生らしき一人の少女と男が交差しようとした瞬間のことだった。 少女の側から柔和にして鋭利といった印象を与える青年が出現し、それと同時に男の側からも無骨な印象を与える青年が現れ突撃していった。 これこそはまさしくサーヴァント同士の戦闘。最後までの生き残りを賭けた戦争なればこそここは見に徹するが上策。 そうしてアーチャーは死を運ぶ刃が如きアサシンと全てに破壊を齎さんが如き銃使いの戦いの一部始終を見届けることにした。 ▼ ▲ ―――思っていたより持っていかれるものだな。 死神を取り逃がしてから僅かに数分、それだけの時間で両腕の再生を果たした霧亥を見ながら衛宮切嗣は供給した魔力量に思考を巡らせる。 燃費が良いサーヴァントにも種類というものがある。 例えば戦闘に使う魔力が多い代わりに体内に有する機能によって莫大な魔力を生成して補うタイプ。 例えば魔力総量に優れない代わりに消費する魔力が圧倒的に微小で済むタイプ。 霧亥はどちらかといえば後者のサーヴァントであった。 最低値を示すパラメーター上の魔力が示す通り霧亥が保有できる魔力総量そのものは格別に秀でているというわけではない。 霧亥の超絶的スタンドアローン性を支えるのは超高ランクの単独行動のスキルと宝具の反則的なまでの魔力消費の少なさだ。 両腕を丸ごと失うほどの負傷を一気に治癒しようとすれば、流石に全く負担を感じずに済むというわけにはいかないらしい。 さて、ここからどうするかと心中で独りごちる。 中学校に潜伏していたマスターは先の死神を統べていた少女であるに違いない。 出来ることなら彼女と一時休戦し、中学校の情報について聞き出したかったが霧亥の度を越した攻撃性によってその目論見は潰えた。 また討伐対象たるヘンゼルとグレーテルの思慮の浅さを思えば彼らもしくは彼女らがそう長生きできるとは考えるべきではない。 危険を承知で序盤からこうして動きまわった挙句成果は他のマスターに取られた、などという事態になっては笑い話にもなりはすまい。 ―――アーチャーの千里眼に頼るべきか? これまで意識して頼るまいとしてきた従僕の能力を今こそ有効に使うべきか思案する。 何しろ相手は双子のマスター、霧亥ならば十分発見できるだろう。 しかし、切嗣は安易に霧亥の保有スキルを頼ることにどうにも抵抗感があった。 まず如何に霧亥の千里眼が強力であれ敵もまた超常存在たる英霊である以上絶対とは言えない。 先ほど気配を点滅させるという、切嗣にさえできない芸当で霧亥の千里眼から逃れた死神のような、こちらの裏を掻くスキルを持つサーヴァントもいるだろう。 慢心し従者の力に依存すればいずれそのツケを命で支払わされる時が来よう。 また暴れ馬どころではない制御の困難さという問題を抱える霧亥にフリーハンドを持たせて良いものか、という考えもあった。 奴は決して狂戦士(バーサーカー)ではない。何か口実をつけて切嗣の制御から逃れようと画策している可能性もゼロではないのだ。 そしてその疑念は先の独断専行によってより深まっている。 霧亥に戦略を依存すれば何か取り返しのつかない状況を招くのではないか、という不安から切嗣は情報収集を極力自らの力で行ってきていた。 とはいえ本戦が始まって生き残ったマスターも英霊も粒ぞろい。そろそろ独力の現界が見えているようにも感じられる。 「狙撃だ」 相も変わらぬ端的に過ぎる言葉と同時に、風を切り矢が飛来した。 切嗣が明瞭に状況を認識できたのは霧亥が銃把で矢を叩き落とした一瞬の後のことだった。 「…アーチャーか!」 強化した視力が捉えたのは数キロ先の民家の屋根の上に立つ獣の如き耳と尻尾を生やした少女。 弓を構えたその姿は紛れも無く霧亥と同じ弓兵のクラスで招かれしサーヴァントの一柱。 あからさまなマスター狙いの一撃はマスターの指示によるものか、サーヴァント自身の判断かは判然としないが手段を選ばぬ敵は得てして手強いものだ。 しかし、敵のマスターの姿が見つからず自身は敵のアーチャーに一方的に狙われているこの状況は些か不利だ。 というのも霧亥は不死性こそ備えているものの常軌を逸した火力と攻撃性を併せ持った超攻撃特化型のサーヴァントであるからだ。 防具の類は所持しておらず、不死の肉体も攻撃を通さぬわけではなく傷つきはするため護衛という仕事は比較的に苦手としている。 「片付けろ、アーチャー。宝具は極力建造物やNPCを巻き込まないよう最低出力でのみ使え」 だが、それがどうしたという。 ことサーヴァント戦において霧亥に多少の苦戦はあるとしても敗北はまず有り得ない。 無論他のサーヴァントを侮るわけではないが、切嗣を狙わせず、かつ一対一に持ち込みさえすれば大抵のサーヴァントは圧殺できる。 純粋な強者や先の死神のような例外であっても為す術なく負けることはほぼない。何せ不死身なのだ。 とにかく、現状でこちらが敗北する要素があるとすれば切嗣自身が殺されることだ。 霧亥とともに離脱を図る手もあるがそうなると彼の強みを殺し、弱点を露呈した状態で敵のアーチャーと向き合う羽目になる。 (問題があるとすれば……) 霧亥の異常な攻撃性。最低出力であっても現代の建築物を蹂躙する宝具、GBEの火力。 街やNPCに余計な被害が出るのではないか、という懸念だけは拭いがたい。 しかしサーヴァントに対処できるのはサーヴァントだけだ。 マスターを捉えられない状況下にあっては衛宮切嗣に出来ることは何もないのが現実である。 不安があれども今は霧亥に対処、いや処理を任せる以外にない。 民家の屋根に跳躍した霧亥と別れると、切嗣は建造物を盾にしながら全力でアーチャーを撒くべくこの場からの離脱を図った。 遠くから聞こえるGBEの発射音から本格的に戦闘が始まったことを察した。 先ほどの一瞬で透視したアーチャーのパラメーターは敏捷性以外に特筆するべきところはなく、その敏捷にしても霧亥と同等程度。 死神のような、霧亥の射撃すら逃れるような手合いであっても霧亥と戦うだけで精一杯であろう。 「………!」 ―――だというのに、不意に背中を死の予感が襲った。 咄嗟に物陰に隠れたと同時に、超音速で飛来した矢が舗装されたコンクリートを破砕した。 数多の修羅場を潜り抜けたことで培われた直感が今の矢は流れ弾ではないと告げている。 「Time alter――double accel!」 衛宮切嗣にのみ許された固有魔術、固有時制御を二倍速で発動。 遮二無二、加速して逃げる、逃げる、逃げる。ただ生き残るために。 「それでは遅いぞ、魔術師」 側面でも正面でも背後でもなく、上空から飛び出した翡翠の少女が弓を構え矢を番えようとする。 同時にGBEの破壊の光条が迸り周囲を容赦なく抉っていくが、少女は二倍速となった切嗣の目にも写らぬほどの速さで軽々と躱してのけた。 信じ難い。あの霧亥が振り切られたというのか。 死神の技巧に満ちた回避とは種類の違う、理不尽なまでの機動性による千里眼からも逃れる回避性能。 翡翠の弓兵はあろうことか、GBEを回避するだけでなく同時に攻撃に転じようとしている。 そしてその射程には衛宮切嗣が収められているとなれば、どこに矢が放たれるかは自明の理だ。 駄目だ、躱せない、殺される。二倍速の時間切れを待つまでもなくあの矢は自身を射抜く。 ならば――― ▼ ▲ (何と凄まじいサーヴァントか) 必然の事象として、アタランテは死神と交戦する霧亥の暴威に強い警戒を抱いていた。 無論その霧亥と相対して五分の勝負を演じる死神の殺戮技巧も目を見張るものがある。 しかし、より明確にアタランテとランサーが思い描く戦略に支障を与えるのは霧亥であることは疑いない事実だ。 両者の真名を知らず、サーヴァントの能力を透視することもできない彼女にも互いのクラスと戦いの趨勢は見て取れる。 紛れもなくアサシンであろう青年は釘や拳銃という、およそ武装としては頼りない代物を巧みに操り小型の銃を構える男に着実にダメージを与えていっていた。 それ自体にも驚くが、アーチャーがより強く着目したのは戦闘開始時の両者の動き出しだ。 猛烈な破壊を齎す銃の担い手は明らかにアサシンの気配遮断を看破していた。 暗殺さえ無効にできるほどのサーヴァント感知能力の高さを以ってすれば、件の双子を見つけ出すことも容易いに違いない。 もっと言えばあの馬鹿げた身体能力とさらなる潜在火力を秘めていると思しき銃を駆使すれば双子のサーヴァントが何であれ簡単に鏖殺できるだろう。 そうなってしまっては困るのだ。 アーチャーとしては出来る限り長く―――桜に危害が及べば別だが―――双子の主従には生存してもらい、多くのマスターの注意を惹きつけてくれた方が望ましいからだ。 討ち取れば令呪が得られるという討伐対象にして多くのマスターにとって共通の敵が存命していればその分だけ桜に危険が迫る確率は下がる。 そればかりか、自らを狩る側と認識している者どもの背中をアーチャーが狩る機会が増えることをも意味する。 故に、この状況を早期に終わらせる可能性が高い者は見逃すわけにはいかない。 やがて戦闘が終わり、自分がいる方へ近づいてきた死神主従をやり過ごすべく息を潜め霊体化。 しばらくしてからどちらに狙いをつけるか、僅かの逡巡の後決定した。 狙うは血と硝煙の匂いを漂わせるマスターとアーチャーの主従だ。 双子の主従を殺害する危険度の高さではアサシンも良い勝負ではあるものの、あれを追跡するのは骨が折れるし何よりマスターの攻撃性が低い。 アーチャーのマスターに対して何か会話ないし交渉を試みていたのをアタランテは見逃さなかった。 その点で比較すると銃使いのアーチャー陣営はマスター、サーヴァント共に極めて攻撃的と言えよう。 特にサーヴァントは糸のようなもので両腕を切断されて尚戦闘を継続しようとする呆れた戦闘狂だ。 そのくせサーヴァントを察知する能力にかけては右に出る者はいないのではないかというほどであり、あらゆる意味で放置するには危険すぎる。 そう、奴らが殺すのは双子の主従のみではない。いずれはあの破滅の光が桜をも―――――― ―――アーチャーさん、いかなきゃだめですか? 「………っ!」 ギリ、と。我知らず唇を噛み締めていた。 先ほど出発する直前、桜から投げかけられた言葉が胸を締めつける。 桜は自分が勝ち残れるマスターではないことを自覚している節がある。 もっと言えば彼女にとって苦痛のないこの世界で死んでも構わない、終わっても良いと考えているようにも見える。 客観的に見てもいくら魔術回路が優れているといえど何の自衛手段もない幼子が優勝するには聖杯戦争という環境は厳しすぎることは理解できる。 「終わらせるものか…!我が全てを捧げても、必ず……!!」 けれどそんな無情な結末は、仮令如何なる存在が容認しようとこのアタランテだけは決して認めはしない。 誓いを新たに、高所へと昇り天窮の弓(タウロポロス)を強く、限界を越えて引き絞る。 これから相手にするサーヴァントが如何に強大であるかなどは百も承知。 しかし―――今、この状況と条件ならば自分の方が圧倒的に有利だ。 「策を誤ったな、魔術師。貴様はそのサーヴァントを伴って出るべきではなかったぞ」 相手方のサーヴァントはマスターを守るしかなく、逆にアタランテは一方的にマスターを捕捉している。 尋常な決闘なら勝ち目は乏しいであろうが、これは果たし合いではなく殺し合いにしてバトルロイヤルだ。 相手に有利な条件で戦ってやる必要などどこにもなく、わざわざ強みを発揮させてやる理由もまた存在しない。 見る限りあちらは自分と同じく攻勢に特化したサーヴァント、であるなら守勢を強いれば自然こちらが優位となる。 限界を越えて引き絞った弓からマスター狙いの一矢を放った。 アタランテ自身の膂力はさしたるものではないが、天窮の弓に宿りし加護により放たれた矢の威力はAランクにも達する。 しかしそれを迎撃するのは聖杯戦争において最強と呼んでも過言ではない実力を誇る霧亥だ。 アタランテの行動を察知していたこともあり、持ち前の筋力で矢を軽々と叩き落としてみせた。 この程度の奇襲で倒せる相手でないことはわかりきっている。これは布石だ。 ―――遥かなる吾が故郷アルカディア、峻険なる山嶺連なりし彼の地の岩から岩へと、飛び渡り遊びし吾なりき 霧亥が防御行動を取った一瞬の隙に、獣もかくやというほどの俊敏さで屋根から屋根を渡り接近する。 如何にサーヴァントの能力が人間を大きく超越するといっても足場が悪ければ機動に制限を受けることは間違いない。 しかしアタランテはそんな道理など知らぬとばかりの軽やかさで霧亥へと接近を図る。 そう、接近だ。遠く彼方から敵を射抜くことが本領の弓兵にあるまじき戦法である。 霧亥もまた、明らかに自らを上回る速さを発揮して迫るアタランテを撃滅するべくGBEを構えた。 彼の千里眼には全てが見える。たかが圧倒的速さを誇るだけではその眼から逃れることは至難の一言だ。 狙うは必中。マスターの命令通りに出力を最低に抑え敵の動きを読み、発射。 あまりにも暴力的な銃撃、否、砲撃と呼ぶにも過剰な光条がアタランテの命を刈り取らんと迫る。 ―――先にゆけ。しかるのち吾、疾風となりて汝を抜き去るべし 「殺ったぞ」 上空からの声。霧亥の目に空から弓を引き絞るアタランテの姿が見えた。 ランサー、ヘクトールとの小競り合いにおいても披露したスキル、追い込みの美学。 仮令高ランクの千里眼を持つ霧亥が先読みを働かせようとも後の先を必ず制す。 さらに言えば、霧亥の千里眼が如何に強力な代物でも必ず射撃を当てられるわけではない。 銃という兵器の構造上の特徴として、トリガーを引かなければ発射できず発射された弾丸も原則真っ直ぐにしか飛ばない。 つまり予備動作を見切る技術と一定のスピードがあればGBEを回避すること自体は絶望的に困難というわけではないのだ。 死神もこの事実を利用して霧亥の射撃から逃れ反撃を加えてみせたのだった。 アタランテは元より死神を大きく上回る機動力の持ち主である。 加えて先ほどの戦闘を偵察していたことで霧亥の戦い方、動きをある程度まで見知っている。 これだけのアドバンテージがあれば、GBEを余波まで含め完全に回避することなどは難しいことではない。 GBEの発射と同時にアタランテは大きく前方へ跳躍、空中から引き絞った矢を霧亥の頭部目掛けて放った。 十全の態勢ならば迎撃や回避が可能だっただろうが、今この瞬間においては霧亥といえど満足な回避行動はできない。 およそあらゆる宝具を凌ぐ破滅的火力を誇るGBE、しかし無視できぬ欠点もまた存在する。 その最たるものが反動の大きさだ。霧亥の筋力でも抑えきれない反動によって発射直後は仮令最低出力であろうと大幅に動きに制約が生まれる。 先の戦闘を盗み見ていたことでこの弱点を知っていたアタランテが狙ったのはまさにこれだ。 それは死神とは真逆の発想、敢えてGBEを撃たせ、回避しつつ反動で硬直した隙を突くサーヴァントであってすら正気を疑う策だった。 戦車砲をも凌ぐ威力を与えられた矢は過たず霧亥の頭部を吹き飛ばし、その身体は仰向けに倒れ伏した。 「これで…斃せたのか?」 空中で霧亥を追い越し、着地したアタランテは注意深く討ち取ったであろう敵の姿を見やる。 会心の手応えがあったというのに、何故か強敵を倒した安堵を感じない。 確かに相手の戦法を見て、対策を立て必殺の気合で矢を打ち込みはした。 だというのに、何か妙だ。上手く行き過ぎている―――そんな漠然とした不安が拭えない。 「!」 有り得ないことが起きた。 地に倒れ伏した筈の霧亥の腕が、GBEの銃口がアタランテへと向けられた。 有り得ぬ筈の発砲。無論十分な狙いのついていない一撃に当たるアタランテではないが驚きは隠せない。 「不死(しなず)の英霊、というわけか」 信じ難いことに、霧亥は急速に破壊された頭部を再生し立ち上がろうとしていた。 当然通常のサーヴァントには不可能な行いである。頭部とはサーヴァントを形成する霊核の一つであるのだから。 これでは肉体全てを吹き飛ばしたとて本当に殺せるかわかったものではない。 しかし不死性を持つサーヴァントの存在は聖杯戦争の開始以来全く考慮していなかったわけでもない。 そしてどんなに強力な不死のスキルないし宝具を持つ英霊であろうとも、その力を発揮、維持せしめるのはマスターの魔術回路に他ならない。 とどのつまり、マスターさえ失えば戦闘力も不死性も維持できなくなるのがサーヴァント故の避けられない泣き所というわけだ。 倒せなかった場合の予定通りにマスター一点狙いに移行、特徴的な匂いですぐに場所はわかった。 衛宮切嗣の隠形はマスターとしては高いレベルにあるが、アタランテからすればまさしく「頭隠して尻隠さず」に等しい。 むしろ純粋な一般人の方がまだしもアタランテの追跡を撒ける可能性は高かっただろう。 ▼ ▲ 「それでは遅いぞ、魔術師」 そして高速で走り逃れようとするマスターの姿を容易に捉え矢を番える。 追ってきた霧亥の銃撃を身を捻って回避、直後にアタランテの矢が敵マスターの頭蓋を砕く―――はずだった。 「令呪を以って我が傀儡に命ず!僕を守れ、アーチャー!!」 最早逃げきれないと悟った霧亥のマスター、切嗣は令呪に訴え従者を自らの下に引き寄せ盾とした。 それがこの状況において悪手であると理解していても、そうする以外にないほど追い詰められていた。 銃で矢を弾いた霧亥は左腕で切嗣を抱え、アタランテから逃れるべく走り出した。 「逃がさん、汝らはここで落ちろ」 「くっ……!」 まさしく、アタランテにとって絶好の狩り場の完成であった。 絶え間なく矢を撃ちながら、霧亥の近接攻撃の届かない中距離を保っての追撃を仕掛けるアタランテに対して霧亥はただひたすら逃げることしかできない。 有効な反撃をするには片手でGBEを撃たなければならないが、令呪の縛りが銃撃を許さない。 何故なら切嗣を抱えた状態でGBEを撃とうものならば致命的な隙が生まれ、生じた隙に切嗣が打ち抜かれることになる。 そうなれば当然令呪の強制に反することになり、故に霧亥は何の反撃もできないままただ逃げることしかできない。 「何てことだ……!」 抱えられながら、切嗣はただ歯噛みするしかなかった。 千里眼の自立稼働で無駄なく矢の猛射を避ける霧亥だったが、マスターという荷物を抱えたまま、それも庇いながらとあっては完全な回避は望むべくもない。 腕、肩、腰と次々に被弾していき、ダメージもまた蓄積していった。 勿論、マスターある限り霧亥が敵の攻撃によって死を迎えるようなことはない。 しかし霧亥は不死ではあっても攻撃を受け付けない無敵性は有しておらず、傷つけばその分戦闘力、性能にも陰りが生まれてしまう。 とはいえ十分な力を発揮できない護衛という状況下でもマスターに傷一つつけていないのはさすがに最強のサーヴァントと言うべきか。 「そこだ」 「ぐっ」 されど、追うアタランテも世界最速クラスにして弓兵としてもトップランクの技量を誇る神代の狩人。 霧亥が地を蹴り空中へ飛び出した直後、その動きを読んでいたかのように放った矢が霧亥の膝から下を吹き飛ばした。 さしもの霧亥も空中でバランスを崩し、切嗣諸共道路に身を投げ出す格好になった。 この間がどれほど致命的な隙となるのか、誰もが明瞭に認識していた。 「我が弓と矢を以って太陽神(アポロン)と月女神(アルテミス)の加護を願い奉る」 霧亥たちが空に投げ出され、起き上がるまでの間にアタランテは渾身の魔力を込め弓矢を空高くへと掲げた。 誰の目にも明らかな、英霊の半身たる宝具の起動であった。 アタランテの持つ天窮の弓は格の高い武装なれどそれ自体は彼女の宝具というわけではない。 矢が怪しい輝きを放つ。そう、弓と矢は彼女の宝具を発動するための触媒に過ぎない。 弓に矢を番え空高くへ放つという術理それ自体がアタランテが誇る宝具なのである。 「この災厄を捧がん――――――訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)!」 空へと放たれし二本の矢は輝く軌跡を残しながら遥か空へと舞い上がる。 それは神への訴えだった。アポロンは弓矢の神、アルテミスは狩猟の神を司る。 彼らはアタランテが加護を求めた代償に災厄―――無論敵方に対しての―――を求める。 空から淡い光が降り注ごうとしている予兆を霧亥の千里眼は余すところなく捉えていた。 今まさに、霧亥と切嗣を断罪すべく災厄(カタストロフ)という名の豪雨が襲おうとしていた。 「出力を上げる」 光り輝く矢の雨が出現したと同時、起き上がった霧亥がGBEを空へと掲げた。 片足を失った身では切嗣を連れて逃げることは叶わず、であるならば対処は迎撃のみ。 この世のあらゆる存在を蹂躙する破壊の光が空を貫き、今まさに降り注がんとしていた矢の雨を一つ残らず消滅せしめた。 霧亥と宝具の撃ち合いをすればどうなるか。当然すぎるほどに当然の結果だ。 「―――そうだ、汝はそうするしかない。 仮令――――――その先に敗北しか待ち受けていないとしても、な」 ―――であるならば。アタランテがこの未来を予見することもまた必然である。 限界まで引き絞り、放たれた矢が伸びきった霧亥のGBEを持った腕を吹き飛ばした。 アタランテは最初から訴状の矢文がGBEに撃ち負けることを前提として宝具を使ったのだ。 如何にGBEが最強に等しい火力を誇るのだとしても、同じ宝具を撃ち落とすならば出力を上げざるを得ない。 出力を上げるということは反動の増大を意味し、発射直後の硬直が大きくなるということ。 そこまでを読み切っていたアタランテの本命の一矢が趨勢を完全に決定づけた。 アタランテの訴状の矢文は空へ矢を放ってから光の矢が降り注ぐまで僅かのタイムラグが存在する。 そのタイムラグを最大限有効活用すれば、このように宝具に対処させた隙に次の攻撃を浴びせることも可能なのだ。 「では、これで詰みだ」 反撃、防御、回避。全てを封じられた哀れな獲物を仕留めるべくとどめの矢を番える。 もう何をしても死の未来を回避することはできない―――たった一つの手段を除いては。 「………令呪を以って命じる!僕を連れて転移しろ、アーチャー!!」 残り二画になった令呪。絶対の窮地を前にして切嗣は二度目の使用を決断した。 魔力の光が二人を包み、矢が命中する直前でその場から完全に掻き消えた。 「逃したか……。これがマスターの援護なきサーヴァントの限界ということか」 残念ながら相手はアタランテの知覚範囲の外まで転移してしまったらしい。 圧倒的に有利な条件で戦い、宝具まで晒したというのに最後の詰めの段階でマスターの有無の差が出てしまった。 とはいえあちらも令呪を二画も使った以上、もう一度同じ条件で戦えれば自分があのマスターを仕留めて勝つだろう。 それにあそこまで消耗させたならば早々に双子を仕留めに行くこともできないはずだ。 最低限の結果は出せた、と考えるしかない。 ―――もしこの場にアタランテの同盟相手であるランサーがいたならばこう付け加えるだろう。 「いやいや上出来上出来。向こうさんは令呪が欲しいのに逆に使わされたんだ。 これで焦って派手な行動にでも出て自滅してくれれば儲けもんだ」 【B-2/一日目・午後】 【アーチャー(アタランテ)@Fate/Apocrypha】 [状態] 疲労(小)、魔力消費(小)、精神的疲労(大)、聖杯に対する憎悪 [装備] 『天窮の弓(タウロポロス)』 [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:もう迷わない。どれほど汚れようとも必ず桜を勝たせる 1 追撃はせず引き続き遊撃。一度ゴーストタウン付近まで後退する。 2 討伐クエストには参加しない。むしろ違反者を狙って動く主従の背中を撃つ 3 正体不明の死霊使い、及びそれらを生み出した者を警戒する 4 ランサー(ヘクトール)との同盟関係を現状は維持。但し桜を脅かすようであれば、即刻抹殺する [備考] アサシン(死神)とアーチャー(霧亥)の戦闘を目撃しました 衛宮切嗣の匂いを記憶しました 建原智香、アサシン(死神)から霊体化して身を隠しましたが察知された可能性があります ランサー(ヘクトール)の真名に気付きましたがまだ確信は抱いていません ▼ ▲ ゴーストタウンの一角にある幽霊屋敷と呼称されるビルディング。 その屋上で気怠げに槍を持ち座り込んだサーヴァントが一人。 「あ~、暇っていうのはいいことだねえ」 如何にもやる気がなさそうな声音で呟く様は十人が見れば九人は呆れ返るだろう。 しかし、残りの一人はこの態度が彼の本気を隠すポーズに過ぎないことを見破れるかもしれない。 (アーチャーに俺の真名を悟られた可能性は……まあ五分五分ってとこかね) 一見して腑抜けたようにも見える仮面の下では冷静に状況の分析、思考を進めていた。 先ほどのアタランテとの遭遇戦、鬼気迫る様子で戦う彼女を真名を当てるという一手で講和、同盟に持ち込んでみせた。 しかし何故アタランテの真名を言い当てることができたのか、という点については種も仕掛けもある。 そもそもランサーはアタランテが思考したような、出身地や活躍した年代だけで相手の真名を特定できたわけではない。 いや、何の予備情報もなくともある程度までは絞り込む自信はあるがさすがに一人にまで特定することは如何なヘクトールでも無理な話だ。 (俺は特異点の事を憶えているのにあちらさんには記憶が無いらしいってのはどういう基準なのかね) 一体何故ランサーがアタランテの真名を特定できたかと言えば、単に最初から知っていたからに過ぎない。 人理焼却の一環で生じたとある特異点での聖杯戦争においてランサーとアタランテは敵同士だった。 最後には互いに刃を交えたこともある故姿を見た時点で彼女の正体についてはわかりきっていたのだ。 あたかも戦闘スタイルで特定したかのような物言いをしたのは彼女にも特異点の記憶があるのかどうか、カマをかけるためだ。 結果はシロ。言動から考慮するにアタランテは特異点での記憶は一切引き継いでいないのは間違いない。 とはいえ異常なのはあちらではなくランサー自身の方であろう、ということはわかっていた。 聖杯はどのような判断でランサーに記憶の引き継ぎを許したのか、推理したいのは山々だが今は如何せん情報が足りなさすぎる。 (むしろ今すぐ考えとかないと不味いのはアーチャーのことだよな。 やれやれ、何で味方と一緒に頭痛の種まで増えるんだかねえ) 考えても仕方ない事柄への対処を早々に打ち切り、今は同盟者となった二人の少女に思いを馳せる。 同時に、少しは様子を見ておくべきかと思い立ち霊体となってビルディングの中へするりと入り込んだ。 霊体というのも便利なもんだ、などと思いながら桜とルアハがいる部屋へと入った。 「どうかなさいましたか、ランサー様」 「ああ、ちっと様子を見にな。ところでマスター、あの子はどこ行ったかわかるかい?」 部屋にいたのは相も変わらぬ機械的な態度を崩さぬルアハのみだった。 部屋を見渡してみれば、桜が羽織っていたコートが彼女が元いた位置に置いてあった。 「桜様でしたら、本を読みに行くと言っておられました」 「そうかい、ありがとよ」 ヘラヘラとした外面を崩すことなくルアハに礼を言い、桜を探すことにした。 レイラインの繋がっているルアハはともかく、そうではない桜は自分の足で見つけるしかない。 とはいえここは既にランサーにとって勝手知ったる屋敷だ。 そう時間をかけずに、一度手に取ったのであろう本を棚に戻そうとしているらしい桜の姿が見つかった。 「ランサーさん」 当然、コートを置いていっていた桜は一糸纏わぬ全裸だった。 いくら幼いにしても少女が男の自分に裸体を見られて顔色一つすら変えないというのは如何なものか、と思わずにいられない。 彼女は年齢のわりには聡いと思える節がある。感性が育っていないとは考えにくい。 先ほどアタランテがポツポツと話してくれたが桜は元いた世界でも、こちらでも陵辱の限りを尽くされたらしい。 女性としてあるべき羞恥の感性をも摩耗させてしまった、と考えるのが妥当なのだろう。 夫であり父親でもあったヘクトールからすれば苦々しい思いしか込み上げてこない話ではあるが。 とはいえここは努めて平静を装って話すべきか。 「よう、オジサンはちょっとばかし疲れたから休憩してるとこだ。 桜ちゃんは本でも読んでたのかい?」 「はい、でもわたしにはよめない字ばかりでした」 出会った時から変わらぬ光のない瞳で話す桜は手で身体を隠そうとさえしない。 全く育っていない平らな胸も未熟な女性器も晒したまま平然と話している。 ランサーでさえこんな有り様を見せられては痛ましいと感じずにいられないのだ。 アタランテがこれまで受けてきた精神的苦痛たるや、想像するに余りある。 「ランサーさん、ひとつきいてもいいですか?」 「ああ、オジサンにわかることなら何でも答えてやるよ」 「死んだら、いたいことやくるしいことは全部なくなりますか?」 空気が凍った。いや、そう感じたのはランサーだけだったのだろう。 ほら、現に桜は純粋な疑問だけを顔に浮かべたまま自分を見上げている。 とりあえずここは適当にはぐらかしておこうか。 「はは、そりゃあ桜ちゃんが知らなくても良いことさ。 桜ちゃんが死んだりしないようにオジサンがこうして気張ってんだから」 「でも―――ランサーさんはさいごにわたしをころしますよね?」 「―――――――――」 今度こそ凍りついた。見えないけれど、きっと自分の表情が。 ああ、これは駄目だ。こういう察しの良い子どもは大人がどんな理屈で煙に巻こうとしても勘だけで見抜いてしまう。 桜は聖杯戦争についてきちんと理解している。ならば殺し合いが続いた先に待つ結果についても認識しているのは当然ではあったか。 最後に残るのは一人だけであり、であれば同盟というものが最後には破綻するしかないということも。 「……そうだなあ。オジサンはあのお人形さんのサーヴァントだからなあ」 「気にしなくてもいいですよ。間桐の家にかえっても、どうせ……」 俯いて座り込んだ桜を見て、そういえば彼女は魔術師の家系の娘だったと聞かされたことを思い出した。 何でも養子に出された家が蟲を操る魔術を扱う家系で、淫虫に身体を貪られることを鍛錬と称して強制されていたのだとか。 「魔術師って人種は何だってこうも業が深いのかねえ……」 「?」 単なる虐待としか思えない行為にも魔術的には何か意味でもあるのだろうか。 ルアハのサーヴァントとしては無用な思考と理解していても、つい呆れが口をついて出てしまうのは仕方ない。 そう、ランサーであるヘクトールはあくまでもルアハを生かし助けるための従僕(サーヴァント)であって間桐桜は一時的に利用する存在に過ぎない。 何故自分は桜に何もしてやらないのか。外套の一つもかけてやるなり、ささやかでも出来ること自体はあるはずだというのに。 決まっている。いつか桜を殺さねばならない時が訪れた時、万に一つ以下の確率であろうとも槍の穂先が鈍ることは許されないからだ。 どれほど同情の余地ある人間であろうと己のマスターとの線引きは明確でなければならない。 だからこそ、情が移らないよう今も自らを律しているのだ。 必要とあらばヘクトールは平気な顔をして、この槍で間桐桜を貫くだろう。 もっとも、平気な顔をして殺すことはできても平気で殺せるかといえば自信はない。 ランサーは将軍であり政治家でもあった故に、何時如何なる時も非情に徹することはできる。 できるが決して心からの冷血漢ではない。単に感情を相手に悟らせない術を身に着けているだけだ。 「ランサーさん、人が死んだらどうなりますか?」 「……別に何もないさ。オジサンは死んでから、気がついたらこっちに呼ばれてたって感じかね。 けど何だって死んだ後のことなんて気にするんだい?」 「だってわたし、もうすぐ死にますから」 間桐桜は自身が置かれている状況を幼いなりに理解していた。 聖杯戦争というものを椅子取りゲームに置き換えればわかりやすい。 何人いるかもわからないマスターがたった一つしかない椅子に座るための競争。 それならただでさえ運動が苦手な自分が椅子に座る一人になるのは無理だろう、と諦めている。 いつか訪れる死の運命を粛々と受け入れようとしている。 桜は別段自殺願望を持っているというわけではない。 ただ、自分が最後まで生き残っているという希望を信じていないだけだ。 それは何もかもを奪い尽くされた少女に許されたたった一つの処世術だった。 あらゆる希望、光は存在しないものとして徹底的に目を背け絶望に身を浸すことで桜はギリギリのところで心を壊さずに済んでいる。 それでもこの世界では唯一親身になって世話をしてくれているアーチャー、アタランテにだけはある程度心を開いていた。 元々この世界は間桐家に比べれば遥かに良い環境―――少なくとも桜にとっては―――だったが、彼女のおかげで今は何の苦痛もない世界にいられる。 後は全てが終わるその時まで彼女が寄り添っていてくれればもう何も文句はないのだけれど、やはりその望みも叶わないようだ。 ―――アーチャーさん、いかなきゃだめですか? 先ほど彼女がこのビルディングを出る直前、それとなく側にいてほしい旨を伝えたもののやはり届かなかった。 荷物以外の何でもない自分を聖杯戦争の勝者にするという出来もしないことを本気で成し遂げようとしていることは理解できる。 もっと本気で止めた方が良かっただろうか。けれどそうすると彼女はまたあの顔をするだろう。 何かに対して怒っているような、それでいて泣きそうにも見えるあの顔に。 あんな顔はしてほしくないから、なるべく迷惑をかけないよう言いつけを守ってじっとするようにしている。 (はあ、こりゃあアーチャーが躍起になるはずだわ) ランサーはまるで望まれるままに振る舞うだけの、ルアハとは異なる意味で人形のような少女を見て今は共闘する間柄のサーヴァントのことを思う。 当然生前に面識などあるはずもないが、アタランテの逸話から考えれば彼女が何を思い桜に肩入れしているかは自明だ。 親の愛情に恵まれなかった捨て子のアタランテが全てを奪われた少女に自分を重ねたか懸命にマスターを救わんと戦いに身を投じる。 なるほどこの一文だけを見れば間桐桜に配されるべくして配されたサーヴァントだったと取れるのかもしれない。 (けど如何せん相性が悪すぎるんだよなあ……) しかしこの二人、根本的なところで噛み合っていない。 桜は絶望に浸かるあまり希望と呼べるものの一切を信じておらず、聖杯という願望機が放つ眩くも妖しい光さえ目に入っていない。 そんな少女に対してただひたすら希望を訴えたところでその心にまで届くはずもない。 事実桜は親切にしてくれる人間としてアタランテを慕っているものの、自らを闇から拾い上げてくれる救い主であるとは全く信じていない。 もし桜の心に触れて救えるような者がいるとすれば、それはアタランテやヘクトールのようなまっとうな英雄ではなく桜に共感できる反英雄の方だろう。 あるいは間桐桜という人間の本質が正統英雄と相性が悪いと言えるのかもしれない。 そして桜という存在はアタランテに対して深刻な悪影響を与えている。 親に見放され、望まぬセックスを強要されるなどその境遇はアタランテの生前のトラウマを踏み抉るものであることは容易く想像できる。 そんな桜に接するアタランテは四六時中精神を苛まれ続けているようなものであり、その結果今のアタランテは暴走に近い状態にある。 アタランテは桜を勝者にするため積極的に動いて回っている。 一見してサーヴァントとしてごく当然の行動に思えるが、一つの前提が抜け落ちている。 そもそも桜は現状に満足しており聖杯を求めていない。 どこを目指すのかが未だはっきりしていないルアハと異なり、明確に闘志を捨てて勝利を目指していない。 つまり聖杯の力を以って桜を救おうというのはアタランテの願望であって桜が望んだことではないのである。 この二人は聖杯戦争への向き合い方という大前提からしてまるで噛み合っていないのだ。 が、そのこと自体は恐らくアタランテも理解しているはずだ。 理解した上で自らのエゴを押し通そうとしているのだろう。 むしろ聖杯を求めず現状に甘んじる桜のスタンスがよりアタランテの暴走を強めていると言える。 アタランテからすれば桜が深い闇の底に在ることそれ自体が既にして耐え難いことなのだ。 故になりふり構わず、それこそ生命・魂・誇りの全てを擲っても桜を救おうと足掻いているのだろう。 それは子を想う母の無償の愛にも似ている。 であるからこそ、もし桜が先に死ねば残されたアタランテがどうなるか容易に想像がついてしまう。 今は辛うじて抑えている桜を貶め傷つけた要因に対しての怒りとか憎悪といった感情が暴発する。 それこそ聖杯戦争のセオリーになど構うことなく際限なく狂い堕ちていくことだろう。 「……嫌だねえ」 無論、アタランテがどうなろうとランサーはルアハのサーヴァントとしての務めを果たすのみだ。 必要とあらば桜をこの槍で貫くことも、アタランテを切り捨てることも躊躇せず行ってみせる。 しかし出来ればそんな事態が来てほしくない気持ちがあることも事実だ。 アルゴー船の一員として名を馳せた麗しの狩人が狂気に支配され堕ちる様など好き好んで見たくはない。 【A-8/ゴーストタウン・幽霊屋敷/一日目・午後】 【ルアハ@赫炎のインガノック-what a beautiful people-】 [状態] 健康 [令呪] 残り三画 [装備] なし [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:自動人形として行動 【ランサー(ヘクトール)@Fate/Grand Order】 [状態] 疲労(微)、精神的疲労(小)、肩に軽度の刺し傷 (回復中) [装備] 『不毀の極槍(ドゥリンダナ)』 [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:とりあえず、程々に頑張るとするかねえ 1:拠点防衛 2:『聖餐杯』に強い警戒 3:アーチャー(アタランテ)との同盟は、今の所は破棄する予定はない。ただしあちらが暴走するならば…… [備考] ※アタランテの真名を看破しました。 【間桐桜@Fate/Zero】 [状態] 健康、全裸 [令呪] 残り三画 [装備] なし [道具] 毛布、大人用コート [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:アーチャーさんの言いつけを守ってじっとする 1 …アーチャーさんにぶじでいてほしい 2 どうして、お人形さんは嘘をつくの? [備考] 精神的な問題により令呪を使用できません。 何らかの強いきっかけがあれば使用できるようになるかもしれません ▼ ▲ 「馬鹿野郎……」 衛宮切嗣は既に二画が消えた令呪を見ながら、悔恨とも怒りともつかぬ言葉を吐いた。 言葉の向かう先は今も負傷の治癒を行っている霧亥、ではない。 戦略そのものに大きなダメージを受けるほどの失態を犯した自らの迂闊さをこそ切嗣は呪うのだ。 「僕はこれだけの兵器(サーヴァント)を与えられながら何をしていた……!」 今回に限っては霧亥には何の落ち度もなかった。 敗因はただ一つ、衛宮切嗣の軽率にして迂闊な行動にのみ存在する。 もっと合理的に戦略を練り動いていればこの敗戦は決して有り得なかった。 切嗣を襲撃してきたアーチャーの真名はアタランテと判明した。 アルゴー船の乗組員として勇名を馳せた稀代の狩人であり、アーチャーとしても最高峰の実力を持つ英霊の一人だろう。 狩人。そう、あの戦闘はまさしくアタランテによる狩りとでも表現すべき一方的なものだった。 今にして思えば奴は予め霧亥の能力、戦術を把握した上で仕掛けてきたのであろう。 そしてどこで霧亥の情報が漏れたかといえばその前に戦った死神との戦闘を見られたからであることは疑いない。 つまり双子を狩るためにこの序盤から動き回り早仕掛けに走った切嗣の軽率さが招いた敗北だった。 如何に相手が神代を駆け抜けた英傑であろうともう少し戦闘条件がマシだったなら、霧亥ならば瞬殺は難しくとも勝利することは十分可能だったはずだ。 例えばこちらが一方的にアタランテのマスターを射程に捉えているような状況なら討ち取ることは難しくなかっただろう。 よりにもよってギリシャ最高の狩人に、狩りという絶好のシチュエーションを与えてしまってはいくら霧亥が絶大なサーヴァントでも不利を覆せるわけがない。 「…他にも選択肢はあったはずだ」 何故魔術師殺しとまで呼ばれた切嗣がこれほどの失敗をしてしまったのか。 その原因は霧亥の持つ精神異常のスキルとそれに端を発する異様な攻撃性への不信感だ。 衛宮切嗣の価値観ではサーヴァントは兵器であり道具だった。 故に武器や道具が勝手に誤作動を起こし発砲、暴発するなどという可能性は到底認められるものではなかった。 だからこそ切嗣が戦略の全てを主導するために本来の彼ならしないようなサーヴァントと行動を共にするという策を取った。 「僕が多少魔術師を狩ることに長けていたとしても狩りを生業にする英霊からすれば問題にもならない。 少し考えれば簡単にわかったはずだ……くそっ!」 気づかないうちに自らのマスターとしての実力を過大に評価してしまっていたのだろう。 攻撃特化の霧亥と暗殺、対魔術師戦に特化した切嗣が共に行動したところで性能を発揮するどころか強みを殺し合い弱みを増やすだけ。 現にたった今護衛に意識を割くしかなかった霧亥も、サーヴァントに一方的に狙われた切嗣も全くもって真価を発揮できなかったではないか。 予選で何の問題もなく勝ち進めていたことが勘違いを深めてしまったのかもしれない。 確かに霧亥の精神異常については警戒して然るべき案件ではあっただろう。それは今でも間違っていたとは思わない。 しかし切嗣はその一点を過剰に警戒するあまり自身と霧亥の性能を活かすことを疎かにしてしまっていた。 何も仲良く揃って行動せずとも使い魔を介して様子を見つつ単独行動させるなり取りうる方法はあったはずだ。 いや、そもそも馬鹿正直に討伐クエストに参加するべきではなかったのだろうか。 無論クエストに参加することによって生じるリスクについて承知していないわけではなかった。 双子を討伐しようと自らを獲物を仕留める狩人と信じて疑わない者の背中を撃たんとする者は出てくるだろうとは考えていた。 というか霧亥の精神異常の件さえなければ切嗣も迷わず討伐クエストに参加した者を狩ろうと動いていた。 「…そうか、そもそも最初から僕らしい方針ではなかったということか」 少なからぬ主従が双子討伐へ動き出しているであろう中で、衛宮切嗣の性能を活かすことを捨ててまで令呪を欲した結果がこれだ。 いや、それでももっと積極的に霧亥の千里眼を活かすなりすればこんな無様は晒さなかったはずだ。 たかが魔術使い一人が、サーヴァントの力を活かさず動いたところで英霊に祀り上げられた者どもに競り勝てると何故勘違いしてしまったのか。 「……腹を括るか」 現状は極めて不味い。霧亥の制御に使用する予定だった令呪は自己防衛のためだけに二画も消費し、連戦による魔力消費もそろそろ馬鹿にならない段階に達しつつある。 宝具の連続使用はともかく数度に渡る重傷からの回復はそれなりに魔力を持っていかれるのだ。 加えて翡翠の弓兵、アタランテは今も切嗣らを追っていると考えておくべきだ。 拠点からも遠く離れたところに転移してしまった今、もう一度同じ状況で奴と接敵してしまえば為すすべなく殺される。 事前にK市の地理は端末の検索と実地での調査で把握しており、ここはB-7の海岸付近であるとわかる。 つまり拠点にまっすぐ戻ろうとするとアタランテを避けて通るのが難しいということ。 しかしこれだけの不利が重なっているとしても、霧亥の性能が多くのサーヴァントを圧倒できるものである事実は動かない。 実際には彼を凌駕するような英霊も存在するかもしれないが、今は魔術師殺し一人の能力と裁量だけで切り抜けられる状況では決してない。 今は霧亥の力が必要だ。暴走のリスクがどうだのと言っていられる段階はとうに過ぎた。 「アーチャー、千里眼を最大限に稼働させて索敵に専念してくれ。 そしてその視界を僕もレイラインを通して共有する」 視界共有。使い魔を操れる程度の力量を持った魔術師なら誰でも修得している魔術だ。 切嗣は今、千里眼を自律稼働させた霧亥の視界を自身が見ることによって同時に多数の情報を得ようと考えた。 霧亥の視界ならばサーヴァントの位置情報も特定でき、余計な戦闘を避けながら移動することが可能だ。 そして最大限上手く行けば双子の位置も特定し、討伐することで失った令呪も一画は補填できる。 が、この方法には大きなリスクが伴う。 ただでさえも超常存在たるサーヴァントである上に常軌を逸した千里眼の持ち主である霧亥の視界を見るという行為に切嗣の脳が耐えられるかは未知数だ。 衛宮切嗣は自らを目的を遂行するための機械と規定しており、そうであるが故に焼けつくことも辞さないなら限界を超えた駆動も厭わない。 そもそも魔術師というものは後先さえ考えないのなら自身の限界などというものは容易く超越することができる。 (―――しかし、それでもやはり限度はある) あの霧亥の視界ともなれば下手をすれば一瞬にして脳が視覚を通して入り込む情報を処理しきれず廃人と化す恐れもある。 この懸念があったために今までこの手段を禁じ手として封印してきたのだった。 だが今はその禁じ手すら使わなければとてもここから先を勝ち抜くことはできない。 意識を集中し、視界共有の術式を発動した。 【B-7/海岸付近/一日目・午後】 【衛宮切嗣@Fate/Zero】 [状態] 打撲、魔力消費(小)、焦燥 [令呪] 残り一画 [装備] なし [道具] 小型拳銃、サバイバルナイフ(キャリコ短機関銃を初めとしたその他武装は拠点に存在) [所持金] 数万円程度。総資金は数十万以上 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯による恒久的世界平和の実現 1:アーチャー(霧亥)と視界共有を行い入手した敵陣営の位置情報を元に方針を練る 2:アインツベルンの森の存在が引っ掛かる 3:討伐対象の『双子』を抹殺し、令呪を確保したい 4:アーチャー(アタランテ)を強く警戒。勝てる状況が整うまで接敵は避ける 5:ひとまずアーチャー(霧亥)への疑念は捨て置き存分に性能を活かす [備考] アーチャー(アタランテ)の真名を看破しました アーチャー(霧亥)と視界共有を行います。 どの程度の情報が得られるか、切嗣への負担の大きさなどは後の書き手さんにお任せします 【アーチャー(霧亥)@BLAME!!】 [状態] 疲労(中)、魔力消費(中)、右腕左足喪失(急速回復中)、ダメージ(中) [装備] なし [道具] 『重力子放射線射出装置(グラビティ・ビーム・エミッター)』 [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯獲得 1:サーヴァントの討滅 2:アサシン(死神)、アーチャー(アタランテ)は殺す