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プレダトリー・カウアード 日常編 19 コツコツと、無人の工場に足音が響く。 この場にいるのは、人外が三体。 人面犬、対抗都市伝説、そして――――吸血鬼。 あの時の吸血鬼ではない。あいつは僕が殺し、そして息絶えるのをこの目で見た。 何より、相手から流れ出る「マナ」の感じが違う。 では、この吸血鬼は…………? 「なあ、少年」 吸血鬼がその口を開く。 歩みは依然として止まる気配を見せない。 のろく、されど着実に僕へと近づくソレ。 それでも僕は、その場から一歩たりとも動けなかった。 動作はこの場を壊してしまう。吸血鬼が現れる事で奇妙な膠着へと陥った、場を。 ただそれも、あくまで少しの「先延ばし」にしかならないだろう。 吸血鬼は既にその弁を振るい始めた。 後はただ――――――「戦」ののろしが上がるのを、待つばかり。 ――――そして 「お前は、復讐が愚だと、そう思うか?」 声と同時、吸血鬼がその歩みを疾駆へと変える。 ――――「開戦」だ。 吸血鬼からマナが迸る。火の粉が炎へと転化する。 青のオーラ。その発現が意味するのは「本気」。 「接続」した目が、マナの流れを捉える。 力の道は一直線。対象は――――僕。 (「復讐」って…………?) 心の中で猜疑を漏らし、流れから身を外すべく行動を始める。 マナの流れは動線を表す。 本人の意図するしないに関わらず、吸血鬼が進む、あるいは攻撃する方向に先んじる形で、マナは放出される。 つまり僕の目に映るマナの奔流は、そのままイコールで吸血鬼の進路を示しているのだ。 だから、その流れの範囲外にさえ出れば、吸血鬼の拳が僕を打ち抜くことは無い。 ――――ただし、あくまで「逃れられれば」。 ゴッ! というにぶい打撃音と共に、僕の身体を衝撃が襲う。 殴られた箇所は肩の付け根。幸い以前のように無様に吹き飛ぶ事はなかったけれど、それでも痛みで脳が意識を手放しかける。 ……速い。「あいつ」より、ずっと。 たたらを踏むついでに、吸血鬼との距離を稼ぐ。 拳のめり込んでいた肩を念のために確認すると、既に青いマナがその傷の修復を始めていた。 少しだけ安心する。どうやら復元能力は今日も好調らしい。 …………でも。 (対抗都市伝説、「復元」するのにも、マナは使うんだよね?) 再び現出するマナの道。それを今度は身体を投げ出すように右へと転がる事で逃れながら、対抗都市伝説へと疑問をぶつける。 ≪そうだ。主が彼奴と接触する瞬間、主は彼奴から微量のマナを奪い、それを基に身体を再構成している≫ (さっきの肩の再生にかかったマナと、僕が吸収したマナの差は?) ≪無。それは等値であり――――残念ではあるが、種の『限界』も、そこにある≫ (そっか。了解) 短い対話を追え、僕は体勢を立て直す。 逃げに徹したお陰で、受けた掌打は先程の一撃のみ。 さらに僕と吸血鬼の間には、心もとないながらも若干の距離が生まれていた。 今の内に、対抗都市伝説との会話を整理する。 念頭に置くべきなのは、僕の取り込めるマナの総量に限界があるという事。 それを越えてのマナの摂取は、僕の身体を逆に蝕み、あの時同様の意識喪失、最悪の場合は死をもたらす。 あくまで堅実にいくのであれば、その限界を無視することは許されない。 そして次に考えるべきは、先程再生した肩レベルの傷が、僕にとっての「限り」であるということだ。 今言ったように、僕の吸収できるマナには限界がある。 その限界ギリギリまでマナを喰らい、それら全てを再生に当てた時の限度が――――先の肩。 つまり、僕が何のリスクも負わずに治療できるのは、打撲か、軽度の骨折まで。 それ以上はそれ相応のリスクを背負う事になる。 …………最悪だ。 「あいつ」と戦った時のような無茶はもう出来ない。 尚且つきついのは、たとえ再生の問題を乗り越えた所で、目の前の吸血鬼を倒すのが至難の業だという事だ。 僕には限界がある。 そして「あいつ」を倒したとき、僕は限界を超え、結果入院する事態となった。 対峙した感じ、この吸血鬼は「あいつ」と同じ、あるいはそれ以上のマナを保有している。 もしこの吸血鬼を殺したいのなら、ちまちまと相手のマナを喰らっては消化し、喰らっては消化しを繰り返さなければならない。 あの時のように、一度に大量のマナを喰らう事は、不可能。 ――――逃亡こそが至上。 以前、対抗都市伝説の発した言葉を思い出す。 今は、まさにそうすべき「時」だ。 己よりも強大な敵。戦うなど以ての外の相手である。 ……ただ、その「逃亡」もまた、難しいのだけれど。 ――――さて、どうする? ここまでの推考にかかった所要時間は数秒。 場には再び、二者間の膠着が始まっていた。 僕は、状況把握のために。 相手も恐らく、似たようなものだろう。 幾度の打ち損じ。それは決して、見逃していい事実ではないのだから。 沈黙が降りる。 後幾ばくもないそれを前に、両者は今一度、己の目的を再確認する。 僕は、逃亡。 そして相手は――――「復讐」と呼んだ殺戮の、再開。 【Continued...】 前ページ次ページ連載 - プレダトリー・カウアード
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《ちっ……まだ使える都市伝説があったのか》 「その“使える”って意味によるけどな 使用できる都市伝説ならこの通り、今の時点では俺の切り札だ 便利な都市伝説は残念ながら手元に無い」 『そんな言い草は無いだろう? まぁ、君のような単細胞契約者は一生かかっても僕を使いこなせないだろうがね』 「何だとぉ!? 人殺ししか脳に無いお前よりは遥かにマシだろうが!!」 「け、喧嘩は止めなよ!」 喧嘩とは言え、傍から見れば剣に向かって裂邪が一方的に八つ当たりしているようにしか見えない それに、一見すると黄金の柄の剣が口を聞いているように思えるが、実際は剣にとり憑いている紫の霊魂だ 「ティルヴィング」、「憑依霊」、「エルクレスの塔」、「ヴァルプルギスの夜」、そして「神出鬼没」 5つの都市伝説に飲まれた元人間である、裂邪の6つ目の都市伝説―――ナユタ 元々は人から人へ憑依して回り、他人の命を奪って愉しんでいた姿無き快楽殺人鬼だったが、 それを止める為に裂邪が強制的に仮契約を行った為、このような現状になっているのだ 《だが何を使えようが関係ない、俺は並行世界をも支配する男だ! 例え別世界の俺だろうと、たった1人の契約者が止められる訳がない!!》 周囲の小型UFOが砲撃の準備を開始する その数、凡そ20機ほど 「……おい殺人鬼、ここは一時休戦と行こうぜ」 『本当は即刻取り下げたいところだが…仮契約だか何だが知らないが、それでも君との繋がりは深いらしい 君に死なれると僕が消える……それだけは避けたいからね』 裂邪が「ティルヴィング」を前方に構える きらり、と切っ先が光を反射して輝いた 『言っておくが、足手纏いにはならないでくれたまえ』 「お互い様だろ馬鹿野郎……行くぞ、ナユタ!」 『…仰せのままに』 《撃てぇ!!》 UFOから、裂邪に向けてレーザーが一斉に発射される それらは全て彼に被弾した――――と思いきや、逆に放射状にレーザーが放たれ、20機のUFOが撃墜された 《何っ!? どういう事だ!?》 「ヒハハハハハハ! 「エルクレスの塔」は光を反射して敵軍を焼き払った「アレクサンドリアの大灯台」の縮小型だ! だったらもう分かるよな? レーザーも光だろ!?」 《こ、小癪な……余り目立つ事はしたくなかったが、構わん! 全軍、黄昏裂邪を撃ち殺せ―――――》 命令されたと同時に、傍のUFOが両断され、爆音と共に木っ端微塵になった 何事か、と軍服裂邪が確認しようとした次の瞬間に1機、また1機と墜ちてゆく 《ええい、今度は何が――――――ッ!?》 彼はそこでようやく気付いた 先程まで地上にいた筈だった裂邪が、そこにいなかったのだ では、何処に行ったのか? 何気なく視線をやった先に、彼はいた 今まさに、小型UFOを真っ二つにせんとしている あ、と言う間もなく断ち斬ると、その瞬間に彼の姿が消える 「神出鬼没」による、擬似的なテレポーテーションだ 《消えた……!? 違う能力か!?》 《レーダーニ反応アリ。敵ハ303号機ニ乗ッテイマス》 《ちっ、550号機、753号機! 奴を303号機ごと撃て!!》 《《了解》》 指示通り、2機のUFOから再びレーザーが放たれる しかしその真っ直ぐ伸びる光条は、紫色に怪しく燃え上がる炎によって掻き消された 邪念の篭った攻撃を容赦なく祓う「ヴァルプルギスの夜」である 「あーぁ…良い具合にチートだよな、お前」 『素直に喜びたまえよ、今は君の力なのだから』 「ティルヴィング」を振り下ろし、UFOを撃墜すると、瞬間移動して先の2機も分断し、 飛んできたレーザーを全て跳ね返して確実に撃ち落とす 気がつけば、飛んでいるUFOは母艦だけだった 「ウヒヒヒヒ…おーい、世界の支配者さんよーぃ まさかこれで終わりとは言わねぇよなぁ?」 《……成程、腕は確かなようだ。ならこれはどうだ?》 母艦から謎の光が伸び、不気味な影が降り立った 全身は緑、脚は2本だが、鋭い爪を持った腕が6本あり、先端が棍棒になっている尻尾も2本伸びている 珍しく翼は生えてなく、代わりに胸部には赤く輝く結晶体が埋め込まれていた 目は左右に4つずつ、口はX字に裂けており、滴る涎がアスファルトを溶かす 「ジ・ジ・ゼ・ジ・ゾ……」 《今度はその「ミュータント」が相手だ》 「わお、これどこの三流RPGよ、何故か血が騒ぐぜ」 『子供かね君は』 「男はずっと子供なんだよ、馬鹿みたいに大人びるからあんなことになるんだ」 呟きながらも「ミュータント」の地面を穿つ攻撃はしっかりと回避する と言うより、本人が意識せずに、勝手に身体が動き出していた 「……おい、契約者には憑依できないんじゃなかったのか?」 『さぁね、仮とはいえ、契約したお陰じゃないかな?』 ナユタの本体は「憑依霊」だ 過去には契約者や都市伝説には憑依できず、一般人に憑依して戦闘を行っていたが、 どうやら今は裂邪に憑依できるらしく、彼の身体能力を底上げしているようだ 『ま、憑依してはいるが、君の意識が残っているのはちょっとショックだよ』 「ざまぁみろ、好き勝手にゃさせねぇよ!」 尻尾の棍棒を「ティルヴィング」で弾き返し、爪による斬撃を「ヴァルプルギスの夜」で無力化する 「神出鬼没」で背後に周り、背中から襲いかかる すぐに気付いた「ミュータント」も尻尾で応戦し、何とか背中の一撃は免れたものの、 その代償として尻尾の先が、鮮血を散らして空に舞う 小さくガッツポーズを決める裂邪だったが、体液を飛び散らせて再生した尻尾を見て萎える 「やっぱ再生すんのか…厄介な」 『再生しないように細かく斬り刻むか、焼くしかないようだ』 「殺しに関しては天才だな、お前」 次の瞬間、「ミュータント」の胸部の水晶体から、赤い光線が放たれる またレーザーかよ、と文句を垂れて「ティルヴィング」の切っ先を向け、「エルクレスの塔」の能力で光線を跳ね返す 光は水晶体もろとも焼き焦がし、「ミュータント」の身体に風穴が空く 咆哮を上げ、「ミュータント」は一瞬怯んだ 「っし、ナユタ、数撃手伝え!」 『言われなくともそのつもりだ』 裂邪は居合の構えで「ミュータント」に飛びかかる すれ違いざまに目にも止まらぬスピードで剣を振り、軽やかに地に足を付けた ぼと、ぼとぼと、と化け物は細切れになり、溶けて消えて無くなった 「………す、すごい……あんな化け物を、一瞬で……!」 路地裏から戦いを見ていた少女裂邪は、密かに感動を覚えていた 同時に、腹の底から湧き起こるようなとてつもない感情に、徐々に気付きつつあった 「ヒハハハハハハハ、そ~ら、もう終わりか? 何だったら遠慮なくその無駄にデカい船をぶっ壊させて貰うぞ!」 意気込む裂邪だったが、実は少しばかり体力の限界が近づいていた 殆どナユタの憑依による自動操縦状態だったが、裂邪は運動嫌いで且つ体力は同年齢の平均以下 UFOからUFOへと飛び回っていれば、その減り具合も納得である 《……ふん、安心しろ、まだ用意してある》 再び怪しげな光が出現し、先程の「ミュータント」が現れた ここまでは同じだが、問題はその数である 全部で、5体……流石の裂邪も、顔に出してしまう程の多さである 『もう体力切れか? 全く、よく多重契約なんて出来たものだ、呆れを通り越して…やはり呆れるね』 「どうも有難う、それよりまずいぞ、何とかしたいが……ん?」 目の前には、水晶体にエネルギーを溜める6体の「ミュータント」 恐らくこの後、先程のように胸から光線を出すのだろう 裂邪はポケットからスマホを取り出し時間を確認した後、空を見上げ、にやりと笑った 「問題です、雲の上には何がある?」 『は?』 「あぁ全く常識問題だ、答えは太陽 あの雲さえ退ければ、太陽が見られる訳だ」 『それがどうした――――――――あぁ、そういう事か』 5体の「ミュータント」が同時に光線を発射する 一つになって巨大化した光線を、裂邪は「ティルヴィング」の切っ先で天に向けて反射させた 《血迷ったか、何処を狙っている?》 「見りゃわかるだろ、雲だよ! そして、俺が狙ってるのは、その先に在る希望だ!」 反射した光線は雲を貫き、空に巨大な穴を開ける その穴から、眩い光を放つ神の目玉が、ぎょろりと覗いた 町中が、光に包まれる 町に、そして裂邪の背に、“影”が生まれる 「…ッヒヒ、やっぱ用意が良いな……来い!シェイド!ミナワ!理夢!ウィル!」 「了解シタ」 「はい、ご主人様!」 「OKィ!」 「がってんでい!」 裂邪の影から、黒いローブを纏った人影、青い髪の少女、白い毛並みの獣、赤い人魂が次々と飛び出した 「シャドーマン」のシェイド 「シャボン玉」のミナワ 「獏」の理夢 「鬼火」のウィル 全て、裂邪の契約都市伝説 これまで彼を支えてきた、仲間であり―――家族 《ッバカな!? 一体幾つと契約しているんだ!?》 「都市伝説が……4つも増えた!?」 驚愕する2人の裂邪だったが、この光景はもはやお馴染みなので当の裂邪も半笑いである 「お前ら、状況は分かってるな?」 「全テ影ノ中デ見テイタ……ソコノ少女ノ事モナ」 「もぉ、厄介事に巻き込まれすぎですよ、ご主人様は」 「ついこの間まで誰かと入れ替わってたテメェが言う事かよ?」 「違ぇねぇ、結局は『都市伝説は引かれ合う』って奴でい!」 『のんびり話している暇があるなら前を見たまえ、来るぞ』 「ミュータント」が爪を立て涎を垂らし、ゆっくりと前進してくる ふん、と裂邪は鼻で笑うと、右手を前に差し出した 「まずは奴らの撃破……戦闘開始だ!」 ぱちんっ、という指の音と共に、彼等は一斉に行動を開始した ...To be Continued 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影
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雪に覆われた街 日本とは、こんなにも雪が多く降る国だったのか 寒さに負けて、地元展開しているらしいファーストフード店に入り、暖を取っていたイザークとジョルディ 窓から見える光景は、どこまでも真っ白だ ……この、街を覆う雪が、もし、一斉に溶けたとしたら…… (……それこそ、大洪水だな) 思うだけで、口には出さない 口に出したら、また、ジョルディが不安がるから ………ところで さっきから、やけにジョルディが静かなような? 「……ズ、ミミズ……」 ……… …念の為と、日本に来る前に日本の都市伝説を一通り教えたのが仇になったか 叫びだしてないだけ、マシか 「…安心しろ、ジョルディ。この店から都市伝説の気配は感じなかっただろう?それと、その都市伝説が主に語られているのは世界展開しているアレだ。ここはその店とは違う」 「あ、ぅ、でも…」 「ついでに言うと、お前、ハンバーガーは注文してないだろ」 軽く暖を取るだけのつもりだったので、自分達が注文したのはコーヒーとポテトだけだ まぁ、どちらも予想外に量が多めでどうしようかとは思っていたが 「……まったく。お前は怖がりすぎだ」 「う、で、でも……」 びくびくおどおどと、見上げてくるジョルディ その姿に、ふと、昔を思い出す -----一人は、怖いよぅ……早く、帰ってきてね? 「…イ、イザーク、どうしたの?」 「…いや、なんでもない」 駄目だ こいつを、不安がらせるな 怯えさせるな 自分は、この唯一の家族を護る為だけに、生きているのだから ーーーーーあのね、僕、ちゃんと待ってるから……絶対絶対、帰ってきてね あの時 こいつを、置いて行ってしまったから こいつを、一人にしてしまったから あんな事に、なってしまったのだ 「ほら、十分に温まったら、店を出るぞ?」 「あ、う、うん」 もう二度と、あの時のようなことは繰り返させない その為にも、なるべく、ジョルディを一人にさせるわけにはいかない 常に、自分がそばにいなければ そうすれば……自分が、護ってやることができるから できれば、戦ってほしくもないのだ 血に塗れてほしくない 血にまみれている姿を見ると、どうしても、あの時の事を思い出してしまうから (……それでも) 「13使徒」の一人である以上、ジョルディも戦わなければならない ……だからこそ、余計に、自分はジョルディから離れるわけにはいかないのだ 二度と もう、二度と ジョルディを、屍にしない為に to be … ? 前ページ次ページ連載 - 我が願いに踊れ贄共
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【電磁人の韻律詩51~恋路の見る夢~】 私は夢を見ていた。 思い出すのはどこか遠い昔の記憶。 どこか? どこかじゃない。 私が小さい頃過ごしていた軍の施設。 そうだ、私は――――じゃない。 そうだ、私は―――説じゃない。 そうだ、私は――伝説じゃない。 私は人間だった。 都市伝説の力で兵器として何人も何人も。 何人も何人も戦闘員も非戦闘員も容赦無く殺した。 命乞いされてもその言葉の意味も理解せずに殺した。 今まではそれが私のやった事じゃないと思っていた。 私の契約者のやったことで、私は悪くないと思っていた。 でも駄目だ。 今ならはっきり解る。 あれだけ人を見て、人として人と生きてきた今なら解る。 あんなことは人がしちゃ駄目なことだ。化け物のすることだ。 小さな村を一つ消した。 信じている神様が違うからという理由で戦争をする人間の手伝いをして。 そんな人間達の戦争を商売にしている人間達の命令で。 簡単だった。 少し能力を使うだけでまるで花火みたいに人が死んだ。 人の命があんな簡単に失われて良い訳がない。 泣き叫ぶ子供を殺した。 皆やりたがらないからやってあげた。 褒められて、嬉しかった。 私は喜んでいた。 私は……喜んでいたんだ。 私は駄目な人間なんだ。私みたいなのが人で良い訳無い。 駄目な人間な私は駄目な人間なりに殺された。 サムライみたいな男にゴミみたく殺された。 死にかけて、それでも戦おうとしたところで、都市伝説に飲まれた。 そして何時の間にか、私は都市伝説になっていた。 化け物になるのが報いとして丁度良かった。 化け物だったら、私はまだ生きていて良かったのに。 あんなことをしておいてどの面下げて生きていけばいいのだ。 何も考えなかったのが私の罪だ。 何も考えなかった私は何をすればいいのだろう。 恐らく何もしないのが一番良い。でもそれは…… 「―――――――あ。」 目が覚めた。 病院のベッド。 組織の病院じゃない。 「さっき明日君が血相変えて君を連れてきていたよ。」 「え……。」 「また戦っていたのかい?君たちも本当に無茶するねえ。 すぐ戻ってくるから待っていろだってよ?」 「う……。」 「うむ……、まだショックが残っているか。」 言葉が出ない。 どうすればいいのか解らない。 誰かに命令して欲しい。 ああしろ、こうしろ、そう言ってくれれば私はその通りに出来るのに。 楽なのに。でも駄目だ。また思考停止。 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 ワタシハヒトリジャナニモデキナイ 「私は一旦この部屋を離れるが……。何か有ったら言ってくれよ。」 太宰さんはそのまま行ってしまった。 私は一人。 私は一人? 解らない誰かに命令して貰わないと。 行動原理がない。 私は行動原理を持つなと言われた。 私は恋路じゃない。 だから知らない、恋路は明日真の為に動けた。 でも私は何をすればいいのか解らない。 都市伝説である恋路は明日真の為に力を尽くした。 契約者を守りたいと思った。 人間の私は名前もない私はどうすれば良いのか解らない。 私に出来ることはない。 私は私は私は私はアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止思考停止 ワタシハヒトリデココニイル ワタシハヒトリタッタヒトリ 私は再び目を閉じる 私は一人で夢を見る 【電磁人の韻律詩51~恋路の見る夢~fin】
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ep.698【都市伝説】僕が聞いた真相お話しします「苗山事件」 放送内容 参加メンバー Tomo K-suke その他 登録されたタグ NHK X テレビ放送 ノイローゼ 上司 中能登町役場 停電 原子力発電所 参考音声あり 定年退職 広報誌 放送事故 東日本大震災 検索してはいけない言葉 総務課 能登半島地震 苗山事件 詐欺 都市伝説 都市伝説・オカルトまとめ ⇐PREV NEXT⇒ 名前 コメント すべてのコメントを見る
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都市伝説との戦いは、体が資本である 体を這って、時には命をかけて戦わなければならない …だから 今の俺の状態は、多分、その勲章と言うやつなんである 多分 「…38度3分…」 「風邪ね、完璧に」 うるせぇ 言い返そうとして、だが、代わりに咳きが出てきた あぁ、畜生 かんっぺきに、風邪である 原因は、わかりきっている 昨日、土砂降りの雨の中、傘をさしていなかったせいだ 「無理するからよ」 「うっせ…だからって、放置しておくわけにもいかないだろうが」 黄色い雨ガッパとの、戦い 土砂降りの雨の日にしか現れない、黄色い雨ガッパ チャンスだったのだ だから、傘がないからと言って、黙っている訳にはいかなかったのだ 「兄貴ん学校に、もう一人、都市伝説と契約してる人いるんでしょ?先生だったっけ。その人に任せる訳にはいかなかったの?」 「…あの先生が契約してるのは、人体模型と白骨標本だぞ。んなもん連れて、学校の外に出れると思うか?」 俺の言葉に、妹は黙り込む はっきり言って、無理だろう あんな不気味なもん(特に、人体模型の方)を連れて外に出るとか、まず無理だ ある程度は服で誤魔化せるかもしれないが、それでもきつい だから、花子さんを連れた俺がやるしかなかったのだ なんとか、委員長を助けられたのだし…まぁ、いいとしよう 「一日二日、食って寝てれば治るだろうし、問題ねぇよ」 「そう?…でも、父さんと母さん、仕事でしばらく家にいないんだよ?」 「全く動けない訳じゃないし、昼飯くらい作れる」 いいから、お前は早く学校行け 昼飯は、仕方ないから学食で済ませておけ うー、と妹はぐずっていたが、手鏡から声をかけてきた鏡婆にも説得され、学校に向かって行った うん、それでいい 俺は風邪を気合で治すから、お前は看病なんてしなくていい けほ、と小さく咳をしつつ、ぼんやりと天井を見上げる 「…けーやくしゃー?」 ひょこり 部屋の中に、花子さんが顔を出してきた てちてち、近づいてくる 「…花子さん。悪ぃ、今日は俺、学校休むな」 「風邪ひーちゃったの?大丈夫?」 ぺとし 額に、花子さんの小さな手が触れてくる ひやり、冷たくて心地いい 「凄く熱いよ?目玉焼きやけそう」 「あー…うん、まぁ、熱あるからなぁ。移るとまずいから、離れた方がいいぞ」 「へーきだよ。都市伝説だから、風邪なんて引かないもん」 それは、そうか 花子さんは、じーっと、こちらを心配そうに見つめてきている …まいった 花子さんを、心配させたくはないのだが が、だからといって、元気な姿を見せる余裕がある訳でもない 正直、疲労も結構溜まっていたのだろう 都市伝説との戦いは、人間にとってハードワークすぎる 「…悪い、花子さん。俺、ちょっと寝てるな」 「うん、わかった。ゆっくり休んでね」 にぱ、と笑ってくる花子さん そんな花子さんに、俺はなんとか笑い返し っふ、と…意識を、深い闇へと沈めるのだった 「………」 じーっと、己の契約者を見つめていた花子さん う~ん、となにやら考え込み …ピコーン!と 頭上に、電球が浮かび上がる いい事思いついた、と言うことだ てちてちてち、花子さんは、契約者を起こしてしまわないように そ~っと、部屋を出て行ったのだった …どれくらい、眠っていたのだろうか? ぼんやりと、意識が覚醒してくる 「…花子さん?」 返事は無い 学校に帰ったのだろうか とりあえず、かすかに空腹感を覚える 食事を作らないと…と、思ったのだが 体が、動かない どうやら、思った以上に重症だったらしい さて、どうしようかと悩んでいると …がちゃり 部屋の扉が、開いた 「あ、けーやくしゃ。起きた?」 「…花子さん?」 学校に帰ったのでは、なかったのか? てちてちてち 花子さんが、何やら運んでくる もぞ、と何とか、上半身だけ起こして確認すると、それは 「…粥?」 「うん!私が作ったんだよ!」 ぴ!と胸をはる花子さん それは、どう見ても粥だ それも、レトルトで作ったものではない きちんと、作ってくれた物だろう そう言えば、花子さんは、あの不良教師が契約している白骨標本から料理を習って、少し料理ができるようになった なぜ、白骨標本が料理できるんだと言う点はとりあえず突っ込まないでおいていたが 「けーやくしゃ、早く元気になってね!」 にぱ~ まるで、天使のような笑顔 俺は、思わずそれに笑い返す 「ありがとうな、花子さん」 ぽふ、と その頭を撫でてやると 花子さんは、ますます嬉しそうに笑って 都市伝説との戦い 体を這った、時には命すらかけた、戦い こうやって、体を壊してしまう事も少なくは無いが …たまには、こう言うのもいいか、と そう、考えてしまうのだった fin 前ページ次ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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“滅びの枝”より ――――植物園の一件より数日後、「組織」本部の一室にて (蓮華 ・・・・・・ふぅ 頭が働かない時は温かい緑茶に限ります 何故か分かりませんが、こうしていると落ち着くので それより (蓮華 どうしたものでしょうか・・・ 現在、私は2つのことについて悩んでいます 1つは、裂邪さんに預けた「レイヴァテイン」の今後 彼の契約していた「シャドーマン」が止めているとは思いますが、 いつ彼が契約して都市伝説に飲まれてしまうか分かりません 契約の負担が軽くできればいいのですが、そんな都合のいい話がある筈も無く それと、もう1つ あの時・・・植物園で戦闘していた時 裂邪さんは影を失い、「シャドーマン」を含めた全ての都市伝説を使用できなくなった でもそれはただ単に、 傍に「シャドーマン」以外の都市伝説がいなかっただけ、とも言えます つまり、彼が何らかの方法で、例え離れていても他の都市伝説を呼び出せるようになれば 彼はもう、あの時ののような苦しい思いをしなくて済む筈 ・・・本当は、「組織」たる者、あまり一般人とは関わらない方が良いのですが、 それでも私はまだ、彼に返しきれていない気がして リュウゼツランの種の礼を、まだし足りなくて・・・ (蓮華 ・・・ダメですね、頭が破裂しそうです 少し、気晴らしにでも行くとしましょうか (蓮華 R-No.5、R-No.50はいらっしゃいますか? (レジーヌ 居る (蓮華 (2文字ですか・・・)少しだけ、彼女をお借りしても宜しいでしょうか? (レジーヌ 良し (蓮華 ありがとうございます 彼女に軽く頭を下げた後、私は部屋を出た それにしても、本を読みながら笑っていたような気がするのですが・・・気の所為でしょうか † † † † 少々自堕落なトップの所為で、このR-No.では、 我々上位メンバーが、区分けされた10の部隊をそれぞれ仕切っていますが、 その区分けされた中で、さらに10名が指揮官の補佐役として選ばれています R-No.50もその1人 『防衛班』を従える、R-No.5の補佐にして・・・抑制係 たまに暴走するR-No.5を抑えることのできる人材です そもそも、抜擢したのは私なんですけどね その彼女、R-No.50は、私が欲しかった程の能力を持っています 能力の性質上、色んな情報が入ってくるので、いつもその情報を提供してくれます ・・・性格に問題があるのですが コンコン (少女 『デビルアローは』!? (蓮華 『超音波』 (少女 『デビルイヤーは』!? (蓮華 『地獄耳』 (少女 『デビルウィングは』!? (蓮華 『空を飛び』 (少女 『デビルビームは』!? (蓮華 『熱光線』 (少女 よぉーし! 声が小さいからもう1回! バキッ!! 音を立てて、ドアは部屋の奥に飛んでゆきました 辺りに種と果肉が飛び散ってしまいますが、こういう時にスイカは便利です その奥では、私と同世代ほどの黒髪の少女がガタガタ震えて涙目で椅子に座っていました この少女がR-No.50です 正直、あの反応が好きで付き合ってるのかと聞かれれば、嘘とは言い切れません (R-No.50 な、なななな何さいきなり!? タチ悪すぎるよ蓮華さん!? (蓮華 貴方にだけは言われたくありません・・・ 単刀直入に言いますが、早速頼りたいのですよ 貴方の、「地獄みm (R-No.50 『デビルイヤー』! (蓮華 ・・・「地ごk (R-No.50 『デ・ビ・ル・イ・ヤ・ー』!!! (蓮華 ・・・・・・『デビルイヤー』という名の「地獄耳」の力を (R-No.50 ぐすん・・・結局言われた・・・ 彼女は観念して私に向き直った (R-No.50 分かった、ちゃんと話すよ ・・・って言っても、そんなに大した話はないよ? まだ『COA』の一件が過ぎて間も無いし、 「教会」がどうだとか、何とか契約書だとか、K-No.が怪しいだとか・・・ (蓮華 ・・・はぁ、やはりそうですか――――待ってください、今何と言いました? (R-No.50 へ?K-No.がどうかした? (蓮華 その前です (R-No.50 何とか契約書のこと? こっちはよく分かんないんだ なんだかブロックがかけられてるみたいでね (蓮華 ・・・契約書・・・その手がありましたか (R-No.50 それより『デビルマン』の話でもしようよ! 私は携帯電話を取り出した (蓮華 R-No.11ですね? 直ちにR-No.研究班を集結させてください できるだけ、機械に強い都市伝説と契約した人を多く動員してくれると助かります 携帯電話を閉じて、彼女を向いて頭を下げた (蓮華 ありがとうございました。私はもう戻ります (R-No.50 え、いや、今来たばっかりjお、おーい!? 何としてでも作り出してみせる 1日でも早く作り出してみせる そうでもしなければ、私の気は収まりませんから あの方に・・・顔向けできませんから ...To be Continued/新たな力へ 前ページ次ページ連載 - 赤い幼星
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色鮮やかな浴衣が踊る 己の契約者は、昨日とは違う浴衣を纏っていた 昨日の浴衣は戦闘中に汚れてしまったから、着る気がしないのだろう 帯を可愛らしく結び、子供っぽさを強調した姿 だが、そうだと言うのに、その浴衣のデザインは、どこか大人びたもの そのアンバランスさがまたいいのだが 「…変な事考えてない?」 「いや、何も」 契約者の言葉に、首を左右に振る 変な事は考えてないぞ 当たり前の事を考えていただけだ 「…なら、いいんだけど」 肩をすくめ、契約者は祭り会場を歩いていく 祭り会場には、相変わらず、堂々と歩いている都市伝説たちの姿が見えた まぁ、今回のような機会でもないと、祭に参加して楽しむなど、できない都市伝説たちも多いだろう 案外、いい機会なのかもしれない 祭というものはいいものだ ロリの浴衣、うん、素晴らしいぞ 浴衣になっても、歩き方は洋服のままの子供が多いから、微妙に浴衣が着崩れてきたり ちらり、ちらり、足が見えたり …うん、いいぞ、いいぞ 「…やっぱり、変な事考えてるでしょ?」 「いいや」 あくまで、首を左右に振ってみせる 変な事ではない これは、全て当たり前のことなのである ロリは素晴らしい だからこそ、ロリを観察するのは、別に変な事ではあるまい 「…全く」 契約者は、小さくため息をつく やや早脚になった彼女の後を、決してはなれずについていく 結局、彼女の父親は何も知らないままだ この秋祭りが、ある都市伝説を倒すために利用された事は知らないまま きっと、それでいいのだろう 知らないままの方がいいのだ 自分も都市伝説であるが、その存在は広く知られない方がいいと思う それによって、良い結果がもたらされるとは限らないのだから 「…それよりも、せっかくの祭なんだ。もう少し、屋台を楽しんだらどうだ?」 「……そうは言っても、ねぇ」 …まぁ、育ちが育ちである 出店の、屋台の食べ物なんて、ほとんど食べたことがないのだ 夏祭りの時とて、見て回っただけで、何かを食べたりはしていなかった 秋祭りの1日目だって、そうだ 自分の契約者は、祭を心から楽しむことなど、できていない 父親が金を出資している祭だから、視察に来ている それくらいの認識しかないのだ 1日目、友人である少年と一緒に居た時とて、少年がはしゃぐ様子を見て和んでこそいたものの…祭自体を楽しんでいる様子がなかった まだ、子供なのだ まだ、ロリなのだ もっと、無邪気に祭を楽しんでもいいと思うのに この契約者は、早く大人になろう、大人になろう、と焦りすぎている 大人に囲まれてばかりの環境、背伸びしたくなるのはわかるのだが …もっと、ゆっくりでいい ロリの時間は貴重なのだ まぁ、そうやって貴重だからこそ、ロリとは人類の至宝であり、護るべき存在であると理解しているが 「…楽しんだら、って言っても。何をしたらいいのかわからないわ」 ぼそり 契約者が呟く …祭を楽しんだ事がないから 楽しみ方も、わからない 「気になる食べ物があれば、買って食べて見ればいいだろうし、クジなり射的なりをやってみたかったら、やってみればいい 幸い、軍資金はたっぷりあるだろ?」 「まぁ、確かにそうだけどね」 それじゃあ……と、契約者は、周囲の屋台を見渡しだす …その、表情に かすかに、子供らしさと言うか、歳相応のロリっぽさが戻ってきて その事実に、ほっとした やはり、ロリはロリらしくしているのが一番だ 「…ところで」 「何だ?」 「浴衣姿のちみっこたちに見とれてんじゃないわよ?」 っが!!!! 下駄で、盛大に足を踏まれて おぉおおお……っ!?久々に程よい痛みがっ!? こちらがうめいている間に、契約者はさっさと歩き出して 痛む足を引きずりながら、慌てて追いかける 秋祭り、最終日 せめてこの日に、契約者が少しでも楽しんでくれればいいのだ fin 前ページ連載 - 赤い靴
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【上田明也の探偵倶楽部22~宴の準備~】 ~前回までのあらすじ~ 殺人鬼「拝戸直」との激戦を経て自らの異常性に気づいた上田明也。 朝比奈秀雄との戦いで受けた傷もほとんど治癒し、彼は探偵業務を再開したのであった。 そんな彼にスポンサーであるサンジェルマンからの依頼が入る。 ~前回までのあらすじ、終わり~ 「だから言ってやった訳よ、お前それでも人間か!ってさあ。」 「アハハハハハハハ!」 「笛吹さんたらもう、何言ってるのよぉ!」 こんにちわ、私立探偵の笛吹丁だ。 只今事務所のお金を使って綺麗なお姉さんが居る店で豪遊中である。 単に遊んでいるだけのように見えるがこれも立派な仕事の一環だ。 「あ、俺用にウイスキーと……この子達にドンペリ適当にお願い。」 「おやおや笛吹さん、今日は飛ばしますねえ。」 「いやぁ、良いことがあったからね。」 「成る程、それは良かった。ところで今日は私立探偵殿に一件依頼をお願いしたい。」 「それは良いんだけどさ、事務所の帳簿ごまかしてる分、後で建て替えておいてね? 飲みに出たのばれると事務所の女性陣が怖いから。」 俺の前で佇むダンディでヨーロピアンな髭紳士はサンジェルマン伯爵という男だ。 彼は世界中の貴重な都市伝説をコレクションしては人間に配布して回るという妙な趣味を持っている。 ちなみに普段は金髪碧眼の優男なのだが今回は自らの力で姿を変えているらしい。 この姿の時はロイド=マスタングと名乗っているそうだ。 「ありがとうございます。 報酬はいつも通り貴方の口座に振り込んでおきましょう。 依頼の内容を話したいので少し女性陣には席を……。」 「えー、やだー! 普段俺もてないんだからー! こういう時くらいは美人の皆様に囲まれる至福の時間を楽しみたいのー! もうちょっとだけ頼むって!」 「はいはい、後で好きなだけ時間取ってあげますから。 それでは皆さん少々…………。」 「くそーぅ!リンちゃんメアド交換してくれー!」 「笛吹さんたらすぐに新入りの女の子に声かけるんだから!」 「またお話聞かせてね笛吹さん!はいこれメアド!」 「あ、抜け駆けしないでよー!」 「じゃあ私もあげちゃうもん!」 「私も笛吹さんと遊びに行きたーい!」 「ロイドさん、今度はお酒も頼んでね!」 ああ、綺麗なお姉さん達が別の席へ……。 まあ興味ないから別に良いのだけどさ。 「…………で、お仕事って何よ?」 「ええ、もうそろそろ朝比奈秀雄が倒されるらしいんですよ。」 「朝比奈秀雄?俺が戦った竜男かい?」 「そうです、偶然貴方が彼に接触したのがラッキーでした。 そのおかげで橙さんの情報網にもかからない“教会”の情報が手に入った。」 「ふぅん、その情報で朝比奈が倒されるって解ったの?」 「いいえ、それとは別です。」 「別なのかよ!」 まったく、困った奴だ。 人に物を話す時は要点をまとめろというものだ。 「私が確認したのは朝比奈秀雄が契約した都市伝説です。 なんと彼は“教会”が封印していた複数の『竜』の都市伝説と契約していたのですよ。」 「そりゃあ俺だって知ってるよ。俺自身が戦ったんだもの。 まあ複数だったのは俺も知らなかったけどさ。」 「今回大事なのは教会が封印していた竜達だということです。」 俺は少し考え込む。 ……ああ、そういうことか。 俺にはサンジェルマンの言いたいことがよくわかった。 教会が封印していたってことはサンジェルマンには手が出せない。 しかし今、朝比奈秀雄が敗北することになれば……。 「朝比奈秀雄の敗北時に朝比奈が手放すであろう竜を俺が確保すれば良いんだな?」 「その通りです。『組織』に籍を置く私の友人によれば、 Dナンバーの黒服が契約を解除させる類の都市伝説を持ち出しているようです。 おそらくそれで竜は朝比奈秀雄の制御を外れます。」 「成る程、そいつぁ素敵だね。誰も知らないところで暗躍する訳か。中々かっくいいな。」 「でしょう?」 「で、お前のにらむその戦闘の日って何時よ?」 「それについては橙さんがすでに予測を出しています。 三日後、ですね。貴方に確保して頂きたい竜は実はすでに決まっています。」 「いつもながら良い仕事だ。完璧な情報有っての完璧な仕事だよ。」 「才能にも相性が有りますからね。 橙さんの能力で前もって情報を得られていれば、貴方の交渉能力や作戦立案能力は何倍にも輝く。」 「ちなみに確保して欲しい竜の種類は?」 「タラスクス、亀です。詳しいことはまた後から教えましょう。 とりあえず今はまだ飲みたいんでしょう?」 「いや、良い。残りは帰ってからだ。ネタバレなんてあまり面白くないだろう?」 俺はサンジェルマンに会計を任せてさっさと家に帰ることにしよう。 こういう店の雰囲気は苦手だし…… 正直言って大人の女性というのは近くに居るだけで嫌なのだ。 「そういえば気になってたんだけどさ。」 「どうしたんですか?」 「朝比奈秀雄って、本当に悪い奴なのか?」 「……どういうことでしょうか?」 「いや、俺が戦った限りでは確かに悪い奴っぽかったけどさ。 なんていうか、違うんだよなあ? あいつが悪い奴ならもっと楽しようと思うはずなんだよ。 あれじゃあまるで、『組織』が憎いみたいじゃないか。」 「私の頭では貴方の話が理解出来ないようです。」 「いや、悪いことするだけなら『組織』を敵に回さなくたって良い。 俺みたいに自分の我が儘で動くんなら仕方がないけどさ。 ―――――――違うかい?」 「まぁ、別に悪いことだけが目的ならばそもそもこの町に来る必要はない。 というのは正しいですね。」 「じゃあ彼は何をしに来たんだろうか?ここで俺は面白い仮説を一つ立てた。」 「聞かせてもらいましょうか…………。」 「あいつは単に家族が欲しいだけなんじゃないかなあ?」 「え?」 「第一に、家族の為じゃなければ人間にあんな非道な真似はできない。 第二に、家族の為じゃなければそもそもこの町にこだわる必要はない。 第三に、家族、乃至大切な人の為じゃなければ大量の竜との契約など無茶な行為は出来ない。 違うかな?」 「それは………………。」 まあ答え合わせはどうでも良い。 思いつくままに話しただけだ。 サンジェルマンに会計を押しつけると俺は綺麗なお姉さんの居る店を出ることにした。 プルルルルルル プルルルルルルル 電話だ。 明日恋路からの物のようだった。 おおかた明日真の身に何かあったのだろう。 と、なると黒服Hも出張ってきたか? 「はい、こちら笛吹探偵事務所。」 「やぁ所長、これから……」 「これからあまり事務所に行けなくなりそうだ。 何故なら組織、というか黒服Hに止められたから。 違うか?」 「正解。なんで解ったの?」 「声の調子で解る、人間心理なんて所詮パターンだ。 心は無限に変化するなんて綺麗事、俺には通用しないぜ。」 「そうですか、じゃあ理由もわかりますね?」 「おう、お前の主が『組織』と対立せざるを得なくなったら俺に電話しろ。 その時は面白い物を貸してやる。」 「え?」 「俺が只のフリーの契約者だと思うなよっつー話だよん。 これから忙しいから切るぜ、じゃあな。」 通話は早々に切った。 組織が今の通話を利用して俺の位置を特定してくる可能性もある。 俺はとりあえず急いで事務所に帰ることにした。 「組織、教会勢力、首塚、朝比奈秀雄、あと呂布、この町は問題を抱えすぎている。 まあ町なんてどこだって問題を抱えているだろうが……。 いくら何でも多すぎる。 何かに誘われているんじゃないか?」 「さぁて、それはどうでしょう?」 「……誰だお前。」 俺の隣をいつの間にか黒服の女が歩いていた。 とりあえず村正で斬りつけてみる。 見事に直撃。 豊かな胸から鮮血を吹き出して彼女はその場に倒れた。 「まあこれ喰らっちゃえば死ぬんだけどさ。」 「ハーメルンの笛吹きから得た悪魔の能力ですか? 一瞬で心臓を抜き取るなんてそんなことされたら “私死んじゃう”じゃないですかぁー。」 むくりと起き上がる。 黒服の少女はあっけらかんと笑っていた。 「誰だお前?」 「私は『組織』の中でも貴方を快く思っていない人間です。」 「こいつは愉快だ、『組織』に俺を快く思っている人間が居るのか?」 「あはっ、良いこと言いますね!」 「俺は良いことしか言わない、そんなの知っているよ。ついでにお前の能力も知っている。」 「それは嘘ですよー。」 「良いのか?嘘だ、なんて言っちゃって。」 正直に言うと当たりはついているが詳しくは知らない。 今解っているのは『言葉』が発動条件。 そして直接攻撃は出来ないということ。 おそらく何かしらの制限をもうけたタイプの都市伝説で言葉を交わさなければ俺を倒せない。 “私死んじゃう”の所だけ微妙に緊張していた所から推理すると 自分が出した言葉を現実に変える能力だろうか? 「嘘なんて、つくもんじゃないだろう? そういう能力の持ち主ならばなおのことだ。 言葉は選んで使わなきゃ、嘘なんてものも意味はない。 虚しいだけだ。」 キョトンとした顔でこちらを見つめる黒服。 恐ろしい物でも見たかのように顔が引きつっている。 馬鹿め、お前の気持ちなんて丸っとするっとお見通しだ。 「さしずめ黒服になる前に近親者を俺に殺されたってところか。」 黒服の顎に手を当てて顔を傍に引き寄せる。 中学生、高校生、少なくとも二十歳を超えているとは思えない。 「いいや、お前が被害者だったのかもしれないな? 覚えがあるぞ、お前の顔には。 そうだ、あのクラブだったかなあ? 俺が殺戮した少女Aだったかもしれないね。」 「さあどうでしょうかー? そもそも私が元・人間の黒服かどうかさえ…………。」 「純粋な黒服に言葉を介して発動する複雑な都市伝説の発動はできない。」 黒服が腰から銃を抜き放つ。 俺は村正でそれを真っ二つにして彼女の腹を割く。 「駄目だな、暴力で俺に勝てる訳がない。」 「それは、“嘘でしょう”。それにその刀じゃもう私は傷つかないですよー。」 次の瞬間、黒服はすごい勢いで俺を組み伏せた。 さっきまでの子供の何処にこんな力が有ったのだろうか? だがこれで推理は徐々に確信に近づく。 あと少しで、完璧にこいつの正体がわかる。 「お前、沢山の黒服と一緒に来ていたりするんじゃないか?」 「へ?何言ってるんですかー? 憎い仇相手なんだから自分でぶっ殺したいじゃないですかー。」 「そうか、このまま俺は殺される訳か?」 「いやいや、ゆっくり苦しんでから死んでもらいますよ。」 解った。 こいつの能力は嘘を現実にする能力ではない。 現実を嘘にする能力だ。 唯の能力に似ているがネタが割れれば対処しやすい能力だ。 黒服の手が首に掛かる。 「お前の能力、自らの言葉を嘘に出来るわけじゃないな。 俺の言葉しか嘘に出来ていない。 さっきから俺の言ったことが次々覆されている。 更に気になるのが今の俺の台詞は覆せるのか? 出来ないはずだ。 俺の言葉の中で俺とお前の間でだけ成り立つような物のみが現実になる。 まだ使いこなしていないみたいだな、それ。」 袖から取り出した小型の拳銃で黒服を撃つ。 小さな身体が道の中央に転がった。 「こんな攻撃で死ぬなんて……、嘘だ!」 少女の傷が一気にふさがる。 どうやら先ほど俺は余計なことを言ってしまったようだ。 まだつかいこなしていない、などと言えばそれを嘘にすれば彼女がレベルアップする。 あくまで俺との戦いの間だけ、しかもそれなりに代償は払ったのだろうが……。 今だけは彼女は嘘に出来る範囲が広がったらしい。 現実を少しばかりいじれるようになったみたいだ。 だが都市伝説の能力の拡張には限界があると考えて良いだろう。 今の彼女は恐らく自分に関わることならば嘘に出来るに違いない。 「本当に、嘘かな?」 「え?」 「俺には解らないな。」 「えっと……」 「それは事実かもしれないんじゃないか?」 曖昧なことは嘘に出来ない。 疑問は嘘に出来ない。 疑問から暗に込められた真意を読み取るのは人間だ、都市伝説じゃない。 こうすれば、都市伝説による無効化は不可能だ。 黒服の動きが止まる。 攻めるなら今だ。 「俺には解らない。 そして君にさえ解らない。 君が言ったことは本当に嘘なのだろうか? 幸いなのか不幸にしてか此処には君と俺以外誰もいない。 それはすなわち君と俺しか今此処で起きたことに真偽の判定が出来る人間は居ないってことだ。 しかしその二人が解らないのだ。 君が怪我しているかは俺たちに解っているんだろうか? 明快じゃないね、まったく訳がわからないように感じられる。 ところでだ、君とは明日真の居たクラブで出会ったらしいが、君はどうやって俺に殺されたんだ? ワラのように?屑のように?塵芥のようにかな? 惨殺か、斬殺か、銃殺か、重殺か。 一度死んだのに、一度殺されたのに、まだ俺とやりあおうだなんてずいぶん頑張り屋サンだ。 おいおい何か話せよ、君の能力はそういうものだろう?」 ジワリと黒服の傷口から血がにじむ。 少しずつ集中力がそがれているようだ。 物事を嘘にし続けるには集中力が必要らしい。 「そして次にお前はこんな弱い自分は嘘だ、と自己否定を始める。」 「こんな弱い自分は……嘘だ! ――――――!?」 「君は俺を倒すには力が足りないと思ったね? ところで俺に見越されていた程度の自己強化で俺にとどめを刺せると思うかい? 君の乱れた集中力で、君の『あぎょうさん』はどこまで保つんだい?」 黒服はジワジワと後ろに引き下がり始める。逃げ出す気だ。 恐らく俺の言った都市伝説は完全に当たりだったのだろう。 「おい、待てよ。」 黙ってこちらに背を向けて逃げ出す黒服。 仕方がない。 「仕方ないなあ……。」 息を大きく吸ってよく通る声で彼女に語りかける。 否、命令する。 「 ひ れ ふ せ 。」 ベタコーン! 彼女はまるでひれ伏すかのように頭を地面にたたきつけた。 「足がもつれた……?」 「驚いただろう?俺の特技だ。 俺は人間の意志を操ることが出来るんだよ。 元々人と会話する能力に長けていたからね、 少し操作系の都市伝説の影響を受けただけでもここまで特技が強化されたんだろうな。」 「そ、そんなの『組織』でも聞いていない!」 「そりゃあそうだろうさ、俺が独自に見つけた技術なんだから。 都市伝説は人間が本来持っている才能を磨き上げる能力があるのさ。」 俺はゆっくりと地面にひれ伏す黒服に近づく。 まるで自分が王者か何かでもあるように。 「顔をあげて良いぞ。」 再び逃げようとする黒服。 同じことをしても無駄だというのに。 「ひ れ ふ せ 。」 ベチコーン! 再び彼女は頭を打ち付けた。 「誰が逃げて良いと言った?」 「ひ、ひぃ……!」 脅えた少女の目。 良いぞ、ゾクゾクする。 「安心しろ、お前は殺さない、これから一晩かけて俺の話を聞いてもらう。」 まだこの年ならばハーメルンの笛吹きの能力も効くだろう。 契約者、特に黒服といえど此処まで心を折られたならもはや俺の操り人形だ。 俺のような操作系もそうだがこの手の事象に直接干渉する都市伝説は高度な集中力を要する。 もう彼女は俺に抵抗できない。 ところで先ほどの「ひれふせ」だが当然嘘である。 さっき組み伏せられた時、彼女の服の裾などにワイヤーを少し仕込んだだけだ。 それを彼女が逃げだそうとした時にひっぱって転ばせただけである。 無論、彼女は自分が操られていると錯覚したようだがそんなことはない。 言葉をかけるだけで相手を操れるなんて化け物の所行だ。 「一晩かけて俺の話を聞けば多分だけど俺を憎むことは出来なくなるだろうな。 安心しろ、退屈はさせないし殺しもしない。 ただ一瞬だけ、俺の下僕になってもらえるように丁寧にハーメルンの笛吹きの能力で後催眠をかけるだけだ。 まず、組織で俺を討伐する場合積極的に志願すること。 次にお前の目の前で俺を殺そうとした奴をお前がその腰の銃で撃つ。 ただそれだけの行動をお前の精神に嫌と言うほど刻み込んでやる。 お前は俺の下僕になるんだよ。 黒服になったんなら俺に関わらずに生きていれば良かったのにな! アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! フフフハハハハハハハハハハハハ!」 さて、これで少し娯楽が増えそうだ。 ドラゴン退治の前に少しばかり楽しいおもちゃが出来た。 自我を失うまで調教してやることにしよう。 【上田明也の探偵倶楽部22~宴の準備~fin】
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「足売り婆さん」 やあ、久しぶり。娯楽遊だよ☆俺ってさ、部活系の話にしか出てないよね。一応契約者なのに。そうそう、最近この辺で都市伝説 を見たって情報が有るんだ。これって俺の出番だよね☆ 遊「この辺で出るって聞いたんだけどなぁ」 そんなことを言いながら歩いていると、お婆さんの声が聞こえた 「足は要らんかえー足は要らんかえー」 この声、この台詞。間違いなく『足売り婆さん』。足は要らんかと聞いてきて、要ると答えれば足を無理矢理付けられ、要らないと答えれば 足をとられる、と言うものである。 遊「足売り婆さんか。…いくよ、サーカス☆団!」 遊はそう言ってポケットからテントを取り出した。そしてそこから… 「団長~呼びました~?」玉乗りをしながらジャグリングするピエロが 「アンタ達、団長がお呼びよ!」「「ガウ!!」」熊やライオンを従える猛獣使いが 「団長」「あたし達に」「「お任せ下さい!!」」空中ブランコを華麗に操る男女が 「……がんばります」綱渡りをする男が、飛び出してきた。 遊「よし、今回のターゲットはそこにいる『足売り婆さん』だよ☆」 足婆「足は要らんのかえ?」 ピエ「そこにいるやつですね~」 猛獣「生憎、足なら間に合ってるわ」 足婆「要らんのなら…寄越せ!!!」 猛獣使いのその言葉に反応し、足売り婆さんが飛び掛ってくる。しかし、 ピエ「危ないですよ~婆さん」 その攻撃はピエロの大玉で阻まれてしまう 足婆「な……」 空中「僕たちの」「絆を」「「見せてあげる」」「よ!」「わ!」 空中ブランコの男女が足売り婆さんを高く飛ばす。 綱渡「……!」 綱渡りの男が棒で足売り婆を突き上げる 猛獣「レオ、あの火の輪を潜りなさい!」「ガルル!!」 猛獣使いに命令されたライオンが火の輪に飛び込む。…足売り婆を巻き込みながら 足婆「ぐ…熱い…焼けるぅ……!!」 当然、足売り婆の体は燃え上がる。 遊「よし。ここまですればもう動けないよね。さ、〈勧誘〉してやって☆」 ピエ「了解しました~」 遊がそう指示すると、ピエロたちは足売り婆を紐で結んだ。そしてピエロたちは目の前に不思議な穴 のようなものをつくり…そこに足売り婆を放り込んだ 遊「さ、これでお前も僕のサーカス団の仲間入りさ☆『サーカスは人拐い』…これが俺の契約した都市伝説だよ☆」 ピエロたちが放り込んだのは異空間にあるサーカスの楽屋。そこに入れられれば強制的にサーカス団の一員となるのだ。 遊「ふぁーあ。お前たち、もう戻っていいよ☆」 「「「「「では、お言葉に甘えて」」」」」「「ガウッ!」」 こうして娯楽遊の都市伝説退治が終わるのでした 続く