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流竜馬(新) 竜馬, りょうま, 男性, ゲッターロボ ゲットマシン, AACA, 200 特殊能力 底力, 1 160, 130, 136, 130, 169, 155, 超強気 SP, 50, ひらめき, 1, 根性, 1, 熱血, 11, 必中, 21, 覚醒, 32, 気合, 39 GETNEW_NagareRyouma.bmp, GETNEW_Dragon.mid GETLD_Heats.mid Getter.mid 神隼人(新) 隼人, はやと, 男性, ゲッターロボ ゲットマシン, AACA, 200 特殊能力 底力, 1 150, 145, 138, 158, 173, 162, 超強気 SP, 50, 加速, 1, 集中, 1, 機先, 4, 幸運, 5, 突撃, 32, かく乱, 43 GETNEW_JinHayato.bmp, GETNEW_Dragon.mid GETLD_Heats.mid Getter.mid 武蔵坊弁慶(新) 弁慶, べんけい, 男性, ゲッターロボ ゲットマシン, BAAA, 200 特殊能力 底力, 1 156, 131, 131, 126, 160, 160, 超強気 SP, 50, ド根性, 1, 気合, 3, 必中, 6, 鉄壁, 18, 友情, 22, 直撃, 35 GETNEW_MusasibouBenkei.bmp, GETNEW_Dragon.mid GETLD_Heats.mid Getter.mid
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前へ 早朝 上空2000m付近 飛行杯がふよふよとマルセイユの周りを飛ぶ。 中心にいるマルセイユは静止したまま動かず、銃口を向けたまま固まっている。 マルセイユ「…………」 たらりと汗が顎に伝う。そのまま拭いもせずにインカムに吼えた。 マルセイユ「……まだか!」 ≪中尉!掴まれ!≫ 朝の空気を引き裂いて一機の戦闘機が駆けてくる。 そのまま飛行杯の纏まりに突っ込む。慌ててマルセイユが右翼を掴むとさらに速度を増し、上空へと抜けた。 ≪遅いぞ、馬鹿!何してたんだ!?≫ ≪すまん!哨戒先で手こずった!≫ そのまま上空へエネルギー保持の為に上昇。飛行杯が追撃してくるのを横目で見ながら体勢を整える。 風防を開け、操縦席の後ろからマガジンを探り出してマルセイユに放った。 ≪ふいー……大丈夫だったか?≫ ≪問題ない…まったく、すぐ行くとか言って待たせるとはな…≫ ≪ハハーン、中尉なら平気だろ!?≫ ≪ふふん、否定はしないっ!≫ タイガーバウムが下に潜り、ロールからの迎撃に入る。上方の目標を失い、そのまま突っ込んで来た飛行杯をマルセイユが撃ち抜く。 そのまま飛行杯を引き付け、横に辷りながら降下。その真横を下から交差するようにタイガーバウムが突き抜け、後方の飛行杯の2機を数発で撃ち落とす。 ≪やっぱりその魔法便利だな≫ ≪こっちは底抜けのバケツで滝を受け止めてるようなモンだ!っふ、と、そっちだ!≫ ≪知ってる≫ ≪ハッハ、痺れるねぇ!≫ ≪そっちこそ……3機目!≫ ≪これで最後かァ?中尉!≫ ≪来い!!≫ 側面から迫りくるタイガーバウムとその後ろの飛行杯に狙いを定め、そのまま静止する。 にやりと俺が笑い、ほんの少し機体を傾けそのままマルセイユの真横を突き抜ける。 そのすれ違いざま、丁度傾いた分だけのスキマに銃弾を叩き込む。 銃弾は寸分の狂いもなく、吸い込まれるように飛行杯へと突き刺さった。 ≪まったく、なんてものくっ付けて来るんだ≫ 昇る朝日に砕けたネウロイの欠片がてらてらと輝く。 風圧で凪いだ髪を片手で押えながら、マルセイユはこちらに振り返った。 ≪ハッハ、背中は中尉に任せてるからな≫ 俺がからからと笑いながらマルセイユの隣にタイガーバウムを寄せる。 ≪ほら開けろ。指令部と繋ぐから≫ ≪へいへい、女神さまの仰る通りに…っと≫ ゴンゴンと少しばかり乱暴なノックに答え、風防を開けてやる。 熱気の籠った操縦席に、上空の冷えた空気が心地好い。 俺「っぷはぁ!やっぱ風を感じてえな!」 マルセイユ「ふふん、お前もストライク―を履けばいいんだ」 俺「なーに、コイツで充分さ」 マルセイユがさっと操縦席の左縁に腰かけ、計器盤に手を突っ込み通信スイッチをONにする。 そんな彼女を横目に、俺はゴーグルを上げて後部の酒瓶達を漁りだす。 マルセイユ「指令部?…ああ、うん。全部落とした…うん、分かった。了解」 がちゃがちゃと酒瓶を避ける音に混じって通信兵の安心したような溜息が聞こえる。 その応答にマルセイユは大げさだ、と少し照れながら笑って通信を切る。 俺「お!あったあった!見ろ、中尉!」 マルセイユがスイッチを切ると、タイミング良く横から俺がちょうど(俺の)掌サイズの籠を見せてきた。 茶色の綺麗に編まれた籠。使い込まれた感じのくすんだ金具。どう見てもバスケットだが、こんなに自信満々に見せられても困る。 間違えるはずはないけれど、マルセイユは少しだけ戸惑いがちに答えた。 マルセイユ「…バスケット?」 俺「半分正解だな。ほれ」 マルセイユ「サンドウィッチ……!」 眼を輝かせる彼女のお腹が小さく鳴いた。 しまったと、慌ててお腹を押さえるが頬の朱を隠し忘れている辺り年相応だなあと俺は思う。 俺「ハハ、そうだと思ったぜ。朝飯食ってなかったろ?つなぎだ」 マルセイユ「あ、ずるいぞ俺…うまいな」 俺「ブリタニアはローストビーフだけはうまいからなァ」 すでに食べていた俺にならって一つ掴んで食べる。 少しだけ焼いたパンにバター、ローストビーフ、チーズに戻し野菜。 パンにはローストビーフの焼き汁と戻し野菜の汁が染み、厚切り具合がちょうどいいし、 肉と野菜の間にかりかりとした砕けた胡椒の香ばしさが混ざっておいしかった。 マルセイユ「本当に料理出来たんだな」 俺「ハッハ、ガキのころから厨房にいたからな!ほら、もっと食え」 そう言って一緒に取りだした酒を飲む。雲も無く、風も明朗。世界の彼方まで見える位、大気は緩やかに巡っていた。 きょとんとマルセイユがチーズを伸ばしたまま固まったのでその食べかけを一口で食べ、また酒瓶を傾ける。 俺「さすが俺だな、今日もうまい」 マルセイユ「良いのか?」 俺「成長期はしっかり食わねえとな。俺は作ってる時に味見したからいいんだ」 マルセイユ「ふーん、食べちゃうからな」 俺「おうおう、食っちまいな。ふぁーー…ここは気持ちいいなァ」 くああと、もふもふと虎の毛が生えた姿であくびをする。 そう言えばこいつはいつ寝ているんだろうか。寝ている姿なんてほとんどみた事がない。 それに寝ていてもほとんど体が上下しないのも驚いた。 眠たげな俺を背にサンドウィッチを食べていると、空の向こうに綺麗な三角形が現れた。 マルセイユ「空は何もないからな……ほら、見えるか?あれがピラミッドだ」 俺「あんなにでかいのか…」 マルセイユ「ああ、王が無事天まで昇れるように…と造ったらしい」 俺「へぇ…そこまで願われて、慕われる奴はやっぱ凄かったんだろうなァ」 マルセイユ「古代エジプトでは王は絶対的な存在だったからな…当然だろ」 しばらく黙って見ていた俺が唐突に目を輝かせた。にっと口元に笑みを浮かべ、 俺「だが、空ではそれすら見下ろせる」 何とも図々しいと思う。 だが少しも敬意を払わないばかりか見下す俺は、なんだか型にはまっていた。 高く、遠い。そう思って、マルセイユは小さく笑った。 マルセイユ「…ここは、王ですら行きつけなかった最上の地」 遠く彼方のピラミッドを、その先を見ながら、俺がマルセイユの方を見る。 目が合うとにっと笑い返された。その顔を見て笑い、操縦席の縁に肘をかけた。 マルセイユ「やっぱり、私はここが好きだ」 俺「…ああ、俺もだ」 改めて景色に目を移す。縁に腰かけた彼女も顔をあげ、朝日に揺れる彼方を眺める。 上空5,000m。まるで頂点に立った様な錯覚を覚える高度。 インカム越しに聞かれぬ様に溜息を吐き、微かに震える彼女の手をそっと握った。 基地 俺「超・完・成!!俺特製パスタァァアアアア!!!」 稲垣「ミートボールスパゲッティですね!」 ペットゲン「え、ミートボール入れるの?」 俺「ミートボール大好きだからな!昔、軍のコックが作ってくれたのがうまくてなー」 パットン「うむ、また腕を上げたんじゃないか?俺」 朝食はミートボールスパゲッティだった。 散々作ると言っておいて、ようやく作った将軍達との約束の品。 加東「あら、将軍は召しあがった事が?」 パットン「コイツを基地に呼んだ時に作らせたのさ。有名だったからな…虎のパスタ」 モンティ「不味い飯じゃ士気も下がる。さすがロマーニャだな」 ロンメル「ブリタニア人が何を言っているか」 俺「やっぱりうまい飯が食いたいからな。さすが俺、今日もうまい!」 俺が豪気に笑って器用にフォークを操る。 本当に幸せそうに食べる。将軍たちもちくちく悪口を言い合いながらも食べていた。 パットン「実はこれが不味かったら軍法会議だったんだがな」 稲垣(食べ物に運命を左右されるって……) 口元のミートソースをぬぐい、パットンがぼそりと呟く。 なんだかその先まで見通せたようで、稲垣は小さく震えた。 マルセイユ「俺、おかわりだ」 俺「あいよ!…お、ソース付いてるぞ」 マルセイユ「どこだ?」 俺「あー!それ洗うの俺なんだから!ほら、口の端っこ!」 そう言うと俺がマルセイユの口元をぬぐい、そのまま指を口に運ぶ。 その様がどうにも自然で将兵達は反応に遅れ、怨恨の視線を俺へと送る。 マルセイユ「ん……ん?お前が洗ってるのか?」 俺「あん?当然だろ、雑用だからな。それよりも今日のソースうまいな!」 マルセイユ「ん?ああ、そうだな」 俺「おう。今度はたくさんあるからがっつり食えよ!」 ペットゲン(何だろう…何かを見過ごした気がする) じっと見ていたロンメルが不意に口を開いた。 ロンメル「さすがあの少将の子飼いだな。馬鹿さ加減がそっくりだ」 そう言って溜息を吐く。 少将と重ねているのか、その目はどこか遠くを見ているが。 俺「大胆と言ってくれ!」 加東「無茶と無謀とバカは大胆とは言わないの」 胸を張った俺に拳が飛ぶ。 加東の淡々とした物言いに、俺が良い事を思いついたとばかりに口元を歪める。 俺「アウチ…ったく、こんなだから貰い手が……おっと滑走路に行かなきゃなー!!」 加東「っの、俺ぇ!逃げるな!!」 稲垣「ケイさん!それしまって下さい!」ヤメテェ! マルセイユ「ケイ、もうちょっと左だ…そこ!」 タァン! <うおおおおっ!?ちゅ、中尉!カトー!やめ…ふおおおおおお!!? ゴロゴロ ペットゲン「後2分…あ、本日261人目」 <ちょっとこれ貸せ!な? <てめぇ虎野郎、貸せとか言って取るんじゃねええ!! バキィッ! はうっ その辺にいた兵を殴り倒し、ケッテンクラートを奪って滑走路へと走って行く。 苛立たしげにそれを見送った加東は、雑嚢に銃をしまった。 加東「…ネウロイはまだ観測されてないから、少しゆっくりしてていいからね」 マルセイユ「哨戒の連絡待ちか?」 加東「マルセイユはこの後哨戒ね。他のみんなも、いつでも出撃出来るようにはしておいて頂戴?」 マルセイユ「うえー…また私一人か?」 加東「あなたが一番目いいんだから我慢なさい。俺も付けるわよ?」 マルセイユ「午前は機体の点検だ」ムス 稲垣「あの、射場は空いてますか?」 加東「空いてるわ。手は…出されないか。無理しないようにね」 ペットゲン「マーミ!一緒にやろう?」 稲垣「いいのライーサ!?」パア ライーサ「もちろん!」 二人が食器を片付け、ぱたぱたと兵士達の間を抜けながら射場に向かう。 その様子を見る兵士達も、ほわほわと笑みをこぼしながら、さりげなく道を開けたり、おやつをあげたりしているのが見える。 こうして見てみると随分ここも変わった様な気がする。 俺が来てからと言うもの毎日鍛錬と喧嘩。慕うべき目標と言うか、マルセイユだけでは補い切れなかった部分まで、奴は一瞬で塗り替えてしまった。 戦う毎に先陣を切り、無茶を通して行く。ふざけて兵たちと遊び、アフリカを見渡していた虎を思い出しながら、長机に腰掛けた。 加東「……新型、どうするの?」 隣でスパゲッティを食べている少女に問いかける。 ふっと瞳が揺れ、溜息を吐きながら少女はフォークを置いた。 マルセイユ「この前将軍達に謝られたよ。サインもしたし…それに、もうケッセルリンクが黙ってない」 加東「F型、壊さないようにね。さ、ちゃっちゃと済ませて水浴びでもどうかしら?」 マルセイユ「…そうだな、マティルダに頼んでおいてくれよ」タタッ 手を振ってマルセイユを見送り、溜息をつく。 加東「2,3回履いて故障させる…か。やっぱり履かなきゃダメよね」ハァ 猛烈に胃薬と頭痛薬が欲しい。報告書だの始末書だの、俺のおかげで将軍達が多めに見てくれるからと言って、上に提出する書類をまとめるのは自分なのだ。 受諾したばかりの新型を2,3回で壊して「いい機体でした」なんて言ったらまた新しい奴が配備されるに違いない。 ああ、また研究員の言葉が頭をよぎる。忌々しい、何が『絶対大丈夫』だ。 加東「……絶対なんて言葉を使うのは、自信の無い臆病者か、よっぽどの馬鹿だけよ…!」 ――――――――――――――― 滑走路 俺「これもかー?」ゴロン 清掃班1「全部拾って下さいよー…あづぅ」コロン 清掃班2「いやーさすがに兄貴は早いですね。さすがパイロットだ」コツン 太陽が砂を焼く熱の中、マントを直しながら滑走路に落ちている石を、手に持ったバケツに放る。 毎日毎日乾いた風や、砂嵐が持って来る大量の砂と石を丁寧に掃除していく。 滑走路掃除は大変なのだ。それこそ、猫の手も借りたい位に。 俺「ハッハー、もっと褒めてもいいんだぜ?」ドヤ 清掃班3「はいはい、それも拾えよ」ゴロン 俺「わーってるよ…あちち」 清掃班1「手袋してくださいよ?」ミズー 俺「してるぜ?ほら」パッ 清掃班3「…これは、ドライビンググローブ!せめてパイロットグローブにしろ!」 俺「あー…よくある―――」 清掃班「「「無い!!」」」 <こんな細かい事気にすんなって! <兄貴は気にしなさ過ぎなの!だからバカなんだよ! <仕方ねえだろ!気になんねぇんだからよォ! ギリギリ <ギブギブ!ってあ゙ーーーー!! ガラガラ ―――――――――――――――― 整備班2「全部こぼしやがった…班長ー、滑走路掃除長引きまーす」 整備班長「報告御苦労!ったくまたあのバーカがなんかやったのか?」ガチャガチャ 砂を焼く日差しを避けた格納庫から整備兵が滑走路の様子を報告する。 傍らには数名の同期に双眼鏡。煙草が少々、酒瓶が5つ。 整備班4「清掃2にヘッドロックかけてますよ……おおっ清掃4の背後からの飛び蹴…あー顔面ストレート食った…いてて」 整備班1「鼻折れてねえか?全方向奇襲も通用しねえしよ…はーどうすりゃ勝てんのかねえ」ガチャン 整備班長「野郎共双眼鏡なんて覗いてないで整備しろ!…まあ、スパナ食らいたいなら話は別だがな」スラッ 整備班「「「「ラジャッ!!」」」」ビシッ イソガシーゼ! ソケットクレー! ネジアマッタゾー! ワイワイ 班長が自慢のスパナをポーチから抜けば、さっと持ち場に戻り整備を再開する。 サボってもいいが仕事はしろ、が最近の合言葉。 熱気が立ち込めるハンガー内を移動し、いつぞやのキューベルワーゲンの所へ向かう。 最近やっと俺の魔導エンジンの補給が届いたので、ついでに直しておいたのだ。今は調整中だが。 整備班長「ふぅーー…おい、キューベルの調子はどうだ?」 整備班3「班長殿、コイツは『バウムクーヘン』ですよ」ガチギリリ 整備班長「あいつのネーミングセンスはどうかしてるな…」 整備班1「酔った勢いで魔導エンジンをブチこんだ班長もどうかして――冗談です。いい意味で、です班長殿」ダラダラ 俺「おいおい班長、朝っぱらからスプラッタとかやめてくれよ」ヨッコイセ 整備班長「よう俺、いつ名前なんて付けてくれたんだ?」 俺「ぶっ壊した日だから……3週間とちょっとか?カッコいいだろ?バウムクーヘン」ドヤッ 整備班長「…タイガーバウムからおかしいと思っていたんだ、そのネーミングセンス……!」 俺「はっはっは!一つ前に乗ってた奴がグロールタイガーだったからな!タイガーを取った!」 整備班4「いや、グロールタイガーは普通だ」シンケン 整備班長「…うん、もういい」 俺「そういやクーヘンは直ったのか?派手に壊れたと思ったんだが」 整備班2「兄貴の機体のエンジン部品が届きましたからね。そいつで班長が直しましたよ」 整備班長「そう言う事だ、大事に使ってくれよ。俺の傑作なんだからな」フンス 俺「またかっ飛ばさせてもらうぜ!」フンス 整備班長「…ふは、はッスパナは、まだまだある…!!」ブンッ 整備班3「班長殿ぉ!お前ら取り押えろ!班長殿がご乱心だー!!」 ハンチョー トマッテ! コワレマスヨー!! ヤメロォオオ!! ガンッ!! ガホォォオ!? アニキーー!!? ――――――――――― 格納庫の隅 俺「野郎に治療してもらってもなぁ…」ハア 整備班2「俺だってやりたかねえよ!タイガーちゃんをいじってたほうが楽しいつうの!」ギュッ 俺「へいへい、そういやアレなんだ?見た事ねえけど」 頭に包帯を巻かれながら、一昨日は無かったカーキ色の幌をかぶった物体を指差す。 背の高い俺に苦戦しながらも包帯を巻き終えた整備兵が振り返れば、現在最高の不安材料が見え、思わず返答に詰まる。 整備班2「…マルセイユ中尉のユニットだよ。新型のBf109/G-2…エンジンに欠陥があるって評判の問題機さ」 整備兵1「昨日届いたんだが、中尉はコイツが大っ嫌いでね…今は調整と言う名の放置だ。まあ、お偉いさんの命令には逆らえんしな…」 格納庫に鎮座する最新のストライカーを見て、二人が重い溜息を吐き出す。 カーキの幌に包まれたそれは、マルセイユがどれ程嫌っているか分かる位に、一切の手も付けられていなかった。 俺「…なるほどな」 整備班長「何がなるほどなんだ?」 整備班達が作ったであろうリラックスチェアに横になりながら、俺はポケットから葉巻を取りだして咥えた。 その横にあった空き箱に班長が腰かけ、煙草を吸い吸い、無言でマッチを俺に投げて寄こす。 俺「中尉が悩んでるというかな…なんとなくだよ」シュッ 整備班長「さすが百戦錬磨の虎ってとこか?」フー 俺「女の子ってのは繊細なんだよ。特に16まではな」 整備班長「かっはっは、よく見てるよ、ホントに」 俺「かわいいもんだぜ?16の誕生日にわざわざ来りなあ」ハッハ 整備班長「いいねえ…久しぶりに夜の街にでも繰り出してぇなあ。どうだ?俺も」 ちらりと横目で俺を見遣る。夜に抜け出すのは、警備の兵も目を瞑ってくれる。 しかし、目一杯遊んで帰るには、早い足が必要だった。おそらくクーヘンの魔導エンジンならば、最速記録を簡単に破れるであろう。 そして何より、夜の撃墜王が喰いつかない訳がない。 俺「…ハッ、熱いセックスさえあれば、愛なんていらねえよ」 俺が楽しそうに喉をぐるぐる鳴らす。ニッと笑った俺を見て、 整備班長が立ち上がる。今日はいい酒を警備の奴等にやらないと駄目だと、思いを巡らせる。 整備班長「ヤッハ、決まりっ!野郎共に知らせなくっちゃな!!」 俺「おいおい、酒だけで終わっちまうぞ?」 整備班長「いいんだよ。夜を教えてやるだけさ」 俺「…だったらとびっきりを用意しなくちゃなァ」ニヤ 整備班長「金はお前持ちだぜ?少尉殿」 俺「おういいぜ!存分に楽しもうじゃねえか、兄弟!」 整備班長「はっはっは!そうこなくっちゃな!」 吸っていた葉巻を酒瓶に放り込み、俺が整備班長へと拳を突き出す。 その動作を見た班長も煙草を踏み消し、俺の拳に自身の拳をぶつかり合わせた。 ――――――――――――――――――――― ――――――― エンジンの轟音が辺りに響く。 音に遮られないように自然と声が大きくなるのはいつもの事。 エンジンの振動を聴き、異音が無いか、共鳴音はおかしくないかを全て聴き分ける。 オーバーホールはすでに4回目。必要な部品はすでに底を尽き、補給を今か今かと待ちわびる状況だ。 整備1「飛行時間を大幅に超えてるが…どうする?」 俺「…お前等の腕でどうにかしてくれ」 整備1「……了解」 俺「やっぱ特別製はキツイな…改造で補うしかねえか」 会話を交わしながらエンジンを切り、飛び降りる。 じわじわと奪われる水分を酒で補給しながら工具箱を手に取り、機首部分へと向かう。 整備班長「どの辺をやるよ」 俺「エンジンだ。また音が飛んでやがる」ガチャコガチャ 整備班長「俺達でも気付けねえよ…本当に繊細だな」テツダウゼー 俺のやっている場所とは違う個所を微調整しながら、問題個所を見る。 来た部品とは違う場所の魔法力伝道経路が焼き切れ、分散シャフトが残り数本しか残っていなかった。 俺「ありがとよ。回転供給経路を捻じ曲げれば…」ギリッガギギ 整備班長「……ッ!?これじゃ伝導率が高過ぎだろうが!」 俺「これでダイレクトに魔法力が供給される」 整備班長「確かに飛べるがなぁ、お前の負担が…!」 俺「俺を信じろ。それに、こっちの方が高く飛べる」ニシシ 耐えられるはずがないのに、この男は何故笑う。 ここまでの状態に陥ったものを飛ばそうなんて普通の神経をしていたら考えない。思考をよぎる事すらない。 どうして飛ぶんだ、約束がそこまで大事か?叩きつけたい言葉はコイツが来た時から溢れるほどにある。 全てを一つに、朗らかに笑う正面の男の眼を見据え、唸るように呟いた。 整備班長「…これは無謀だ」 整備の雑音が響く。タイガーバウムへの細かな整備をしている連中も息を潜めて次の言葉を待つ。 待っている時間すらも水分を奪う熱の中で、奴の眼をぐっと睨みつける。 整備兵達の生唾を飲む音が聞こえる。次第に猛烈な暑さの中に怖気が混ざりだすのを肌で感じた。 それすらも心地よいとでも言う様に、奴は笑みを深めた。 俺「俺を誰だと思ってやがる」 さあ、女神のお帰りだ。奴は言い、軍靴を鳴らしながらハンガーの外へと歩き出した。 エンジン音でも聞こえたのだろうか、なにせ奴はウィッチ達全てのエンジン音の聴き分けすら出来るのだから。きっと中尉が帰って来たのだろう。 整備班長「………大馬鹿野郎が」 遠くなった背中に向かって吐き捨てるように声を掛けるのが精一杯だった。どうしてこうも馬鹿になれるのか。 だが、その背中に憧憬を抱くのは何故なんだ… どうやら予想は当たった様で、降りて来た中尉を奴が抱きとめ、一言二言言葉を交えていた。 考え過ぎてぼんやりとしてきた脳髄に遠くの俺の声が染み入る。 俺「班長、今日はちょっくら忙しいぜ!タイガーバウム発進準備だ!」 覚醒は、一瞬だった。 整備班長「了解!!」 タイガーバウムに駆け寄り、整備兵達への指揮を飛ばすがもう半分以上は出来ていた。 さすが精鋭。急いでエンジンに手を掛け、配線、回路、オイルを手早く調整し、魔法力伝道経路にスパナを入れる。 整備兵3「ッ!?班長、そこは!!」ガシッ 整備班長「…最後の足掻きだ…やらせてくれ」グッ 整備兵3「…っく、おい!モーターカノンの給弾!早くしろ!!」 整備兵5「少尉!準備完了まで後2分です!」 怒号の様な掛け声が響く中、俺が中尉を姫抱きにして発進ユニットの方へ向かっていた。 スパナでも投げてやろうかと身構えるとけたたましく警報が鳴り響き、思わず遅いと唸る。 しかし、観測班の名誉の為に言わせてもらえば警報はいつも通りなのだ。 こういう事も多々あるが、俺が来てからはその力の方が役に立つとの少佐のお言葉で俺が基準になっていたのだ。 俺「行けるか!?」 整備班長「おう!状況は!?」 俺「地上部隊が奇襲を食らった!ついでにくっ付いてきた飛行杯で中尉のストライカーが破損!」ガッガ、ガロロロロロ なるほど、中尉が姫抱きにされてたのは状況報告とストライカーへの被弾で姿勢制御が難しかったからか… 無線を付けながら俺が計器盤を操作する。それを横目で確認しながら安全な場所へ移動。無線での会話に切り替える。 エンジンの轟音がハンガーを支配する。回転数は急ぎの為、極微量の魔法力で上昇させるている。これは結構魔法力を食うらしい。 整備班長「…分かった。で、お前はどうする?」 俺「決まってんだろ?…カトー達を待っている時間はねえ、だが数からして無理はない」ニイッ 整備班長「そう言うと思ったぜ!っし、チョーク外せーい!!」 俺「カトー達にはゆっくりでいいと伝えてくれ!」 整備班長「了解!ウィッチ達を頼んだぞ!」 俺「おうよ!ティグレ、出るぞ!!」ブロロロロロ 整備班長「おい、ストライカーは!?」 俺を見送り、破損したユニットに集まる整備兵達に声を飛ばす。 ずんずんと近寄ると状況がだんだんと見えてくる…ああ、誰も返事を返さない訳だ… マルセイユ「そうか…代えのフリッツも」 整備兵6「申し訳ありません…現在2機とも整備中です…」 担当整備兵が俯きながら謝罪する。 油断していた。丁度2機とも整備の時期に当たったし、最近襲撃も安定しているから忙しくなる前に…なんて甘い事を考えていた自分が憎い。 ここはアフリカ。甘い水なぞ湧きはせぬ。 整備兵5「しかし増援は要らないと―――」 マルセイユ「そんなもの、強がりに決まってるだろ!」 加東「その通り!!」 整備班長「わっ少佐!?」 加東「びびるな!それよりも全機発進準備急げ!」ピョコン 整備班「「「「「「了解!!」」」」」」 ペットゲン「遅くなりました!!」ダダッ 稲垣「ケイさん!状況は!?」キキィ! 加東「地上部隊が奇襲を食らったわ!…先行した俺に追いつくわよ!」ブロロロロロ 稲垣・ペット「「了解!」」タタッ 二人がさっとストライカーを履き、エンジンを吹かす。 その横では、マルセイユが今だホロを被った新型―Bf109/G-2―を見詰め、押し黙っていた。 加東「マルセイユ、あなたは平気よ。その辺で―――――」 ガツリと軍靴が鳴り響き、マルセイユがストライカーへと向かう。 前に立っていた整備兵は半分転びながら慌てて道を開ける。怪訝そうに加東がマルセイユを見遣った。 足音は止まらない ペットゲン「…ティ、ナ?」 新型との距離を詰め、その正面に立って震える手を伸ばす。 エンジン音は彼方に消え、辺りは水を打ったように静かであった。 幌の表面に手を置き、そのまま手を止める。 一度だけ深呼吸をした後に、震える手で幌を握り締め、そのまま一気に剥ぎ取った。 浅く積もった塵が太陽を受けて輝き、カーキの幌から磨き抜かれたストライカーが現れる。 取った幌を投げ捨て、マルセイユが発進ユニットへと上がっていく。 加東「マルセイユ…あなた……」 悲痛な面持ちでこちらを見る加東に、靴下を脱ぎながら答える。 マルセイユ「勘違いするなよ、ケイ」 マルセイユ「確かに嫌だよ。エンジンは危ないし、嫌な奴からの命令だしな」 ひたりと足音がやむ。ここを超えれば後戻りは出来ない。何が起きてもあのサインがある限り、これを壊れるまで使わなければならない。 加東「…私達だけで何とかするわ!これは――――――!」 マルセイユ「私は私の意思でこれを履く」 ぴしゃりと加東の言葉を遮る。言わんとしている事は百も承知。 まだ何か言いたげな加東を見据え、マルセイユ大胆不敵に笑ってみせた。 マルセイユ「それに、好敵手の危機の一つや二つ…救ってやれずにどうする」 全てを振り切る様に、マルセイユは足場から飛躍した。 前へ ページ先頭へ
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前へ 早朝 上空2000m付近 飛行杯がふよふよとマルセイユの周りを飛ぶ。 中心にいるマルセイユは静止したまま動かず、銃口を向けたまま固まっている。 マルセイユ「…………」 たらりと汗が顎に伝う。そのまま拭いもせずにインカムに吼えた。 マルセイユ「……まだか!」 ≪中尉!掴まれ!≫ 朝の空気を引き裂いて一機の戦闘機が駆けてくる。 そのまま飛行杯の纏まりに突っ込む。慌ててマルセイユが右翼を掴むとさらに速度を増し、上空へと抜けた。 ≪遅いぞ、馬鹿!何してたんだ!?≫ ≪すまん!哨戒先で手こずった!≫ そのまま上空へエネルギー保持の為に上昇。飛行杯が追撃してくるのを横目で見ながら体勢を整える。 風防を開け、操縦席の後ろからマガジンを探り出してマルセイユに放った。 ≪ふいー……大丈夫だったか?≫ ≪問題ない…まったく、すぐ行くとか言って待たせるとはな…≫ ≪ハハーン、中尉なら平気だろ!?≫ ≪ふふん、否定はしないっ!≫ タイガーバウムが下に潜り、ロールからの迎撃に入る。上方の目標を失い、そのまま突っ込んで来た飛行杯をマルセイユが撃ち抜く。 そのまま飛行杯を引き付け、横に辷りながら降下。その真横を下から交差するようにタイガーバウムが突き抜け、後方の飛行杯の2機を数発で撃ち落とす。 ≪やっぱりその魔法便利だな≫ ≪こっちは底抜けのバケツで滝を受け止めてるようなモンだ!っふ、と、そっちだ!≫ ≪知ってる≫ ≪ハッハ、痺れるねぇ!≫ ≪そっちこそ……3機目!≫ ≪これで最後かァ?中尉!≫ ≪来い!!≫ 側面から迫りくるタイガーバウムとその後ろの飛行杯に狙いを定め、そのまま静止する。 にやりと俺が笑い、ほんの少し機体を傾けそのままマルセイユの真横を突き抜ける。 そのすれ違いざま、丁度傾いた分だけのスキマに銃弾を叩き込む。 銃弾は寸分の狂いもなく、吸い込まれるように飛行杯へと突き刺さった。 ≪まったく、なんてものくっ付けて来るんだ≫ 昇る朝日に砕けたネウロイの欠片がてらてらと輝く。 風圧で凪いだ髪を片手で押えながら、マルセイユはこちらに振り返った。 ≪ハッハ、背中は中尉に任せてるからな≫ 俺がからからと笑いながらマルセイユの隣にタイガーバウムを寄せる。 ≪ほら開けろ。指令部と繋ぐから≫ ≪へいへい、女神さまの仰る通りに…っと≫ ゴンゴンと少しばかり乱暴なノックに答え、風防を開けてやる。 熱気の籠った操縦席に、上空の冷えた空気が心地好い。 俺「っぷはぁ!やっぱ風を感じてえな!」 マルセイユ「ふふん、お前もストライク―を履けばいいんだ」 俺「なーに、コイツで充分さ」 マルセイユがさっと操縦席の左縁に腰かけ、計器盤に手を突っ込み通信スイッチをONにする。 そんな彼女を横目に、俺はゴーグルを上げて後部の酒瓶達を漁りだす。 マルセイユ「指令部?…ああ、うん。全部落とした…うん、分かった。了解」 がちゃがちゃと酒瓶を避ける音に混じって通信兵の安心したような溜息が聞こえる。 その応答にマルセイユは大げさだ、と少し照れながら笑って通信を切る。 俺「お!あったあった!見ろ、中尉!」 マルセイユがスイッチを切ると、タイミング良く横から俺がちょうど(俺の)掌サイズの籠を見せてきた。 茶色の綺麗に編まれた籠。使い込まれた感じのくすんだ金具。どう見てもバスケットだが、こんなに自信満々に見せられても困る。 間違えるはずはないけれど、マルセイユは少しだけ戸惑いがちに答えた。 マルセイユ「…バスケット?」 俺「半分正解だな。ほれ」 マルセイユ「サンドウィッチ……!」 眼を輝かせる彼女のお腹が小さく鳴いた。 しまったと、慌ててお腹を押さえるが頬の朱を隠し忘れている辺り年相応だなあと俺は思う。 俺「ハハ、そうだと思ったぜ。朝飯食ってなかったろ?つなぎだ」 マルセイユ「あ、ずるいぞ俺…うまいな」 俺「ブリタニアはローストビーフだけはうまいからなァ」 すでに食べていた俺にならって一つ掴んで食べる。 少しだけ焼いたパンにバター、ローストビーフ、チーズに戻し野菜。 パンにはローストビーフの焼き汁と戻し野菜の汁が染み、厚切り具合がちょうどいいし、 肉と野菜の間にかりかりとした砕けた胡椒の香ばしさが混ざっておいしかった。 マルセイユ「本当に料理出来たんだな」 俺「ハッハ、ガキのころから厨房にいたからな!ほら、もっと食え」 そう言って一緒に取りだした酒を飲む。雲も無く、風も明朗。世界の彼方まで見える位、大気は緩やかに巡っていた。 きょとんとマルセイユがチーズを伸ばしたまま固まったのでその食べかけを一口で食べ、また酒瓶を傾ける。 俺「さすが俺だな、今日もうまい」 マルセイユ「良いのか?」 俺「成長期はしっかり食わねえとな。俺は作ってる時に味見したからいいんだ」 マルセイユ「ふーん、食べちゃうからな」 俺「おうおう、食っちまいな。ふぁーー…ここは気持ちいいなァ」 くああと、もふもふと虎の毛が生えた姿であくびをする。 そう言えばこいつはいつ寝ているんだろうか。寝ている姿なんてほとんどみた事がない。 それに寝ていてもほとんど体が上下しないのも驚いた。 眠たげな俺を背にサンドウィッチを食べていると、空の向こうに綺麗な三角形が現れた。 マルセイユ「空は何もないからな……ほら、見えるか?あれがピラミッドだ」 俺「あんなにでかいのか…」 マルセイユ「ああ、王が無事天まで昇れるように…と造ったらしい」 俺「へぇ…そこまで願われて、慕われる奴はやっぱ凄かったんだろうなァ」 マルセイユ「古代エジプトでは王は絶対的な存在だったからな…当然だろ」 しばらく黙って見ていた俺が唐突に目を輝かせた。にっと口元に笑みを浮かべ、 俺「だが、空ではそれすら見下ろせる」 何とも図々しいと思う。 だが少しも敬意を払わないばかりか見下す俺は、なんだか型にはまっていた。 高く、遠い。そう思って、マルセイユは小さく笑った。 マルセイユ「…ここは、王ですら行きつけなかった最上の地」 遠く彼方のピラミッドを、その先を見ながら、俺がマルセイユの方を見る。 目が合うとにっと笑い返された。その顔を見て笑い、操縦席の縁に肘をかけた。 マルセイユ「やっぱり、私はここが好きだ」 俺「…ああ、俺もだ」 改めて景色に目を移す。縁に腰かけた彼女も顔をあげ、朝日に揺れる彼方を眺める。 上空5,000m。まるで頂点に立った様な錯覚を覚える高度。 インカム越しに聞かれぬ様に溜息を吐き、微かに震える彼女の手をそっと握った。 基地 俺「超・完・成!!俺特製パスタァァアアアア!!!」 稲垣「ミートボールスパゲッティですね!」 ペットゲン「え、ミートボール入れるの?」 俺「ミートボール大好きだからな!昔、軍のコックが作ってくれたのがうまくてなー」 パットン「うむ、また腕を上げたんじゃないか?俺」 朝食はミートボールスパゲッティだった。 散々作ると言っておいて、ようやく作った将軍達との約束の品。 加東「あら、将軍は召しあがった事が?」 パットン「コイツを基地に呼んだ時に作らせたのさ。有名だったからな…虎のパスタ」 モンティ「不味い飯じゃ士気も下がる。さすがロマーニャだな」 ロンメル「ブリタニア人が何を言っているか」 俺「やっぱりうまい飯が食いたいからな。さすが俺、今日もうまい!」 俺が豪気に笑って器用にフォークを操る。 本当に幸せそうに食べる。将軍たちもちくちく悪口を言い合いながらも食べていた。 パットン「実はこれが不味かったら軍法会議だったんだがな」 稲垣(食べ物に運命を左右されるって……) 口元のミートソースをぬぐい、パットンがぼそりと呟く。 なんだかその先まで見通せたようで、稲垣は小さく震えた。 マルセイユ「俺、おかわりだ」 俺「あいよ!…お、ソース付いてるぞ」 マルセイユ「どこだ?」 俺「あー!それ洗うの俺なんだから!ほら、口の端っこ!」 そう言うと俺がマルセイユの口元をぬぐい、そのまま指を口に運ぶ。 その様がどうにも自然で将兵達は反応に遅れ、怨恨の視線を俺へと送る。 マルセイユ「ん……ん?お前が洗ってるのか?」 俺「あん?当然だろ、雑用だからな。それよりも今日のソースうまいな!」 マルセイユ「ん?ああ、そうだな」 俺「おう。今度はたくさんあるからがっつり食えよ!」 ペットゲン(何だろう…何かを見過ごした気がする) じっと見ていたロンメルが不意に口を開いた。 ロンメル「さすがあの少将の子飼いだな。馬鹿さ加減がそっくりだ」 そう言って溜息を吐く。 少将と重ねているのか、その目はどこか遠くを見ているが。 俺「大胆と言ってくれ!」 加東「無茶と無謀とバカは大胆とは言わないの」 胸を張った俺に拳が飛ぶ。 加東の淡々とした物言いに、俺が良い事を思いついたとばかりに口元を歪める。 俺「アウチ…ったく、こんなだから貰い手が……おっと滑走路に行かなきゃなー!!」 加東「っの、俺ぇ!逃げるな!!」 稲垣「ケイさん!それしまって下さい!」ヤメテェ! マルセイユ「ケイ、もうちょっと左だ…そこ!」 タァン! <うおおおおっ!?ちゅ、中尉!カトー!やめ…ふおおおおおお!!? ゴロゴロ ペットゲン「後2分…あ、本日261人目」 <ちょっとこれ貸せ!な? <てめぇ虎野郎、貸せとか言って取るんじゃねええ!! バキィッ! はうっ その辺にいた兵を殴り倒し、ケッテンクラートを奪って滑走路へと走って行く。 苛立たしげにそれを見送った加東は、雑嚢に銃をしまった。 加東「…ネウロイはまだ観測されてないから、少しゆっくりしてていいからね」 マルセイユ「哨戒の連絡待ちか?」 加東「マルセイユはこの後哨戒ね。他のみんなも、いつでも出撃出来るようにはしておいて頂戴?」 マルセイユ「うえー…また私一人か?」 加東「あなたが一番目いいんだから我慢なさい。俺も付けるわよ?」 マルセイユ「午前は機体の点検だ」ムス 稲垣「あの、射場は空いてますか?」 加東「空いてるわ。手は…出されないか。無理しないようにね」 ペットゲン「マーミ!一緒にやろう?」 稲垣「いいのライーサ!?」パア ライーサ「もちろん!」 二人が食器を片付け、ぱたぱたと兵士達の間を抜けながら射場に向かう。 その様子を見る兵士達も、ほわほわと笑みをこぼしながら、さりげなく道を開けたり、おやつをあげたりしているのが見える。 こうして見てみると随分ここも変わった様な気がする。 俺が来てからと言うもの毎日鍛錬と喧嘩。慕うべき目標と言うか、マルセイユだけでは補い切れなかった部分まで、奴は一瞬で塗り替えてしまった。 戦う毎に先陣を切り、無茶を通して行く。ふざけて兵たちと遊び、アフリカを見渡していた虎を思い出しながら、長机に腰掛けた。 加東「……新型、どうするの?」 隣でスパゲッティを食べている少女に問いかける。 ふっと瞳が揺れ、溜息を吐きながら少女はフォークを置いた。 マルセイユ「この前将軍達に謝られたよ。サインもしたし…それに、もうケッセルリンクが黙ってない」 加東「F型、壊さないようにね。さ、ちゃっちゃと済ませて水浴びでもどうかしら?」 マルセイユ「…そうだな、マティルダに頼んでおいてくれよ」タタッ 手を振ってマルセイユを見送り、溜息をつく。 加東「2,3回履いて故障させる…か。やっぱり履かなきゃダメよね」ハァ 猛烈に胃薬と頭痛薬が欲しい。報告書だの始末書だの、俺のおかげで将軍達が多めに見てくれるからと言って、上に提出する書類をまとめるのは自分なのだ。 受諾したばかりの新型を2,3回で壊して「いい機体でした」なんて言ったらまた新しい奴が配備されるに違いない。 ああ、また研究員の言葉が頭をよぎる。忌々しい、何が『絶対大丈夫』だ。 加東「……絶対なんて言葉を使うのは、自信の無い臆病者か、よっぽどの馬鹿だけよ…!」 ――――――――――――――― 滑走路 俺「これもかー?」ゴロン 清掃班1「全部拾って下さいよー…あづぅ」コロン 清掃班2「いやーさすがに兄貴は早いですね。さすがパイロットだ」コツン 太陽が砂を焼く熱の中、マントを直しながら滑走路に落ちている石を、手に持ったバケツに放る。 毎日毎日乾いた風や、砂嵐が持って来る大量の砂と石を丁寧に掃除していく。 滑走路掃除は大変なのだ。それこそ、猫の手も借りたい位に。 俺「ハッハー、もっと褒めてもいいんだぜ?」ドヤ 清掃班3「はいはい、それも拾えよ」ゴロン 俺「わーってるよ…あちち」 清掃班1「手袋してくださいよ?」ミズー 俺「してるぜ?ほら」パッ 清掃班3「…これは、ドライビンググローブ!せめてパイロットグローブにしろ!」 俺「あー…よくある―――」 清掃班「「「無い!!」」」 <こんな細かい事気にすんなって! <兄貴は気にしなさ過ぎなの!だからバカなんだよ! <仕方ねえだろ!気になんねぇんだからよォ! ギリギリ <ギブギブ!ってあ゙ーーーー!! ガラガラ ―――――――――――――――― 整備班2「全部こぼしやがった…班長ー、滑走路掃除長引きまーす」 整備班長「報告御苦労!ったくまたあのバーカがなんかやったのか?」ガチャガチャ 砂を焼く日差しを避けた格納庫から整備兵が滑走路の様子を報告する。 傍らには数名の同期に双眼鏡。煙草が少々、酒瓶が5つ。 整備班4「清掃2にヘッドロックかけてますよ……おおっ清掃4の背後からの飛び蹴…あー顔面ストレート食った…いてて」 整備班1「鼻折れてねえか?全方向奇襲も通用しねえしよ…はーどうすりゃ勝てんのかねえ」ガチャン 整備班長「野郎共双眼鏡なんて覗いてないで整備しろ!…まあ、スパナ食らいたいなら話は別だがな」スラッ 整備班「「「「ラジャッ!!」」」」ビシッ イソガシーゼ! ソケットクレー! ネジアマッタゾー! ワイワイ 班長が自慢のスパナをポーチから抜けば、さっと持ち場に戻り整備を再開する。 サボってもいいが仕事はしろ、が最近の合言葉。 熱気が立ち込めるハンガー内を移動し、いつぞやのキューベルワーゲンの所へ向かう。 最近やっと俺の魔導エンジンの補給が届いたので、ついでに直しておいたのだ。今は調整中だが。 整備班長「ふぅーー…おい、キューベルの調子はどうだ?」 整備班3「班長殿、コイツは『バウムクーヘン』ですよ」ガチギリリ 整備班長「あいつのネーミングセンスはどうかしてるな…」 整備班1「酔った勢いで魔導エンジンをブチこんだ班長もどうかして――冗談です。いい意味で、です班長殿」ダラダラ 俺「おいおい班長、朝っぱらからスプラッタとかやめてくれよ」ヨッコイセ 整備班長「よう俺、いつ名前なんて付けてくれたんだ?」 俺「ぶっ壊した日だから……3週間とちょっとか?カッコいいだろ?バウムクーヘン」ドヤッ 整備班長「…タイガーバウムからおかしいと思っていたんだ、そのネーミングセンス……!」 俺「はっはっは!一つ前に乗ってた奴がグロールタイガーだったからな!タイガーを取った!」 整備班4「いや、グロールタイガーは普通だ」シンケン 整備班長「…うん、もういい」 俺「そういやクーヘンは直ったのか?派手に壊れたと思ったんだが」 整備班2「兄貴の機体のエンジン部品が届きましたからね。そいつで班長が直しましたよ」 整備班長「そう言う事だ、大事に使ってくれよ。俺の傑作なんだからな」フンス 俺「またかっ飛ばさせてもらうぜ!」フンス 整備班長「…ふは、はッスパナは、まだまだある…!!」ブンッ 整備班3「班長殿ぉ!お前ら取り押えろ!班長殿がご乱心だー!!」 ハンチョー トマッテ! コワレマスヨー!! ヤメロォオオ!! ガンッ!! ガホォォオ!? アニキーー!!? ――――――――――― 格納庫の隅 俺「野郎に治療してもらってもなぁ…」ハア 整備班2「俺だってやりたかねえよ!タイガーちゃんをいじってたほうが楽しいつうの!」ギュッ 俺「へいへい、そういやアレなんだ?見た事ねえけど」 頭に包帯を巻かれながら、一昨日は無かったカーキ色の幌をかぶった物体を指差す。 背の高い俺に苦戦しながらも包帯を巻き終えた整備兵が振り返れば、現在最高の不安材料が見え、思わず返答に詰まる。 整備班2「…マルセイユ中尉のユニットだよ。新型のBf109/G-2…エンジンに欠陥があるって評判の問題機さ」 整備兵1「昨日届いたんだが、中尉はコイツが大っ嫌いでね…今は調整と言う名の放置だ。まあ、お偉いさんの命令には逆らえんしな…」 格納庫に鎮座する最新のストライカーを見て、二人が重い溜息を吐き出す。 カーキの幌に包まれたそれは、マルセイユがどれ程嫌っているか分かる位に、一切の手も付けられていなかった。 俺「…なるほどな」 整備班長「何がなるほどなんだ?」 整備班達が作ったであろうリラックスチェアに横になりながら、俺はポケットから葉巻を取りだして咥えた。 その横にあった空き箱に班長が腰かけ、煙草を吸い吸い、無言でマッチを俺に投げて寄こす。 俺「中尉が悩んでるというかな…なんとなくだよ」シュッ 整備班長「さすが百戦錬磨の虎ってとこか?」フー 俺「女の子ってのは繊細なんだよ。特に16まではな」 整備班長「かっはっは、よく見てるよ、ホントに」 俺「かわいいもんだぜ?16の誕生日にわざわざ来りなあ」ハッハ 整備班長「いいねえ…久しぶりに夜の街にでも繰り出してぇなあ。どうだ?俺も」 ちらりと横目で俺を見遣る。夜に抜け出すのは、警備の兵も目を瞑ってくれる。 しかし、目一杯遊んで帰るには、早い足が必要だった。おそらくクーヘンの魔導エンジンならば、最速記録を簡単に破れるであろう。 そして何より、夜の撃墜王が喰いつかない訳がない。 俺「…ハッ、熱いセックスさえあれば、愛なんていらねえよ」 俺が楽しそうに喉をぐるぐる鳴らす。ニッと笑った俺を見て、 整備班長が立ち上がる。今日はいい酒を警備の奴等にやらないと駄目だと、思いを巡らせる。 整備班長「ヤッハ、決まりっ!野郎共に知らせなくっちゃな!!」 俺「おいおい、酒だけで終わっちまうぞ?」 整備班長「いいんだよ。夜を教えてやるだけさ」 俺「…だったらとびっきりを用意しなくちゃなァ」ニヤ 整備班長「金はお前持ちだぜ?少尉殿」 俺「おういいぜ!存分に楽しもうじゃねえか、兄弟!」 整備班長「はっはっは!そうこなくっちゃな!」 吸っていた葉巻を酒瓶に放り込み、俺が整備班長へと拳を突き出す。 その動作を見た班長も煙草を踏み消し、俺の拳に自身の拳をぶつかり合わせた。 ――――――――――――――――――――― ――――――― エンジンの轟音が辺りに響く。 音に遮られないように自然と声が大きくなるのはいつもの事。 エンジンの振動を聴き、異音が無いか、共鳴音はおかしくないかを全て聴き分ける。 オーバーホールはすでに4回目。必要な部品はすでに底を尽き、補給を今か今かと待ちわびる状況だ。 整備1「飛行時間を大幅に超えてるが…どうする?」 俺「…お前等の腕でどうにかしてくれ」 整備1「……了解」 俺「やっぱ特別製はキツイな…改造で補うしかねえか」 会話を交わしながらエンジンを切り、飛び降りる。 じわじわと奪われる水分を酒で補給しながら工具箱を手に取り、機首部分へと向かう。 整備班長「どの辺をやるよ」 俺「エンジンだ。また音が飛んでやがる」ガチャコガチャ 整備班長「俺達でも気付けねえよ…本当に繊細だな」テツダウゼー 俺のやっている場所とは違う個所を微調整しながら、問題個所を見る。 来た部品とは違う場所の魔法力伝道経路が焼き切れ、分散シャフトが残り数本しか残っていなかった。 俺「ありがとよ。回転供給経路を捻じ曲げれば…」ギリッガギギ 整備班長「……ッ!?これじゃ伝導率が高過ぎだろうが!」 俺「これでダイレクトに魔法力が供給される」 整備班長「確かに飛べるがなぁ、お前の負担が…!」 俺「俺を信じろ。それに、こっちの方が高く飛べる」ニシシ 耐えられるはずがないのに、この男は何故笑う。 ここまでの状態に陥ったものを飛ばそうなんて普通の神経をしていたら考えない。思考をよぎる事すらない。 どうして飛ぶんだ、約束がそこまで大事か?叩きつけたい言葉はコイツが来た時から溢れるほどにある。 全てを一つに、朗らかに笑う正面の男の眼を見据え、唸るように呟いた。 整備班長「…これは無謀だ」 整備の雑音が響く。タイガーバウムへの細かな整備をしている連中も息を潜めて次の言葉を待つ。 待っている時間すらも水分を奪う熱の中で、奴の眼をぐっと睨みつける。 整備兵達の生唾を飲む音が聞こえる。次第に猛烈な暑さの中に怖気が混ざりだすのを肌で感じた。 それすらも心地よいとでも言う様に、奴は笑みを深めた。 俺「俺を誰だと思ってやがる」 さあ、女神のお帰りだ。奴は言い、軍靴を鳴らしながらハンガーの外へと歩き出した。 エンジン音でも聞こえたのだろうか、なにせ奴はウィッチ達全てのエンジン音の聴き分けすら出来るのだから。きっと中尉が帰って来たのだろう。 整備班長「………大馬鹿野郎が」 遠くなった背中に向かって吐き捨てるように声を掛けるのが精一杯だった。どうしてこうも馬鹿になれるのか。 だが、その背中に憧憬を抱くのは何故なんだ… どうやら予想は当たった様で、降りて来た中尉を奴が抱きとめ、一言二言言葉を交えていた。 考え過ぎてぼんやりとしてきた脳髄に遠くの俺の声が染み入る。 俺「班長、今日はちょっくら忙しいぜ!タイガーバウム発進準備だ!」 覚醒は、一瞬だった。 整備班長「了解!!」 タイガーバウムに駆け寄り、整備兵達への指揮を飛ばすがもう半分以上は出来ていた。 さすが精鋭。急いでエンジンに手を掛け、配線、回路、オイルを手早く調整し、魔法力伝道経路にスパナを入れる。 整備兵3「ッ!?班長、そこは!!」ガシッ 整備班長「…最後の足掻きだ…やらせてくれ」グッ 整備兵3「…っく、おい!モーターカノンの給弾!早くしろ!!」 整備兵5「少尉!準備完了まで後2分です!」 怒号の様な掛け声が響く中、俺が中尉を姫抱きにして発進ユニットの方へ向かっていた。 スパナでも投げてやろうかと身構えるとけたたましく警報が鳴り響き、思わず遅いと唸る。 しかし、観測班の名誉の為に言わせてもらえば警報はいつも通りなのだ。 こういう事も多々あるが、俺が来てからはその力の方が役に立つとの少佐のお言葉で俺が基準になっていたのだ。 俺「行けるか!?」 整備班長「おう!状況は!?」 俺「地上部隊が奇襲を食らった!ついでにくっ付いてきた飛行杯で中尉のストライカーが破損!」ガッガ、ガロロロロロ なるほど、中尉が姫抱きにされてたのは状況報告とストライカーへの被弾で姿勢制御が難しかったからか… 無線を付けながら俺が計器盤を操作する。それを横目で確認しながら安全な場所へ移動。無線での会話に切り替える。 エンジンの轟音がハンガーを支配する。回転数は急ぎの為、極微量の魔法力で上昇させるている。これは結構魔法力を食うらしい。 整備班長「…分かった。で、お前はどうする?」 俺「決まってんだろ?…カトー達を待っている時間はねえ、だが数からして無理はない」ニイッ 整備班長「そう言うと思ったぜ!っし、チョーク外せーい!!」 俺「カトー達にはゆっくりでいいと伝えてくれ!」 整備班長「了解!ウィッチ達を頼んだぞ!」 俺「おうよ!ティグレ、出るぞ!!」ブロロロロロ 整備班長「おい、ストライカーは!?」 俺を見送り、破損したユニットに集まる整備兵達に声を飛ばす。 ずんずんと近寄ると状況がだんだんと見えてくる…ああ、誰も返事を返さない訳だ… マルセイユ「そうか…代えのフリッツも」 整備兵6「申し訳ありません…現在2機とも整備中です…」 担当整備兵が俯きながら謝罪する。 油断していた。丁度2機とも整備の時期に当たったし、最近襲撃も安定しているから忙しくなる前に…なんて甘い事を考えていた自分が憎い。 ここはアフリカ。甘い水なぞ湧きはせぬ。 整備兵5「しかし増援は要らないと―――」 マルセイユ「そんなもの、強がりに決まってるだろ!」 加東「その通り!!」 整備班長「わっ少佐!?」 加東「びびるな!それよりも全機発進準備急げ!」ピョコン 整備班「「「「「「了解!!」」」」」」 ペットゲン「遅くなりました!!」ダダッ 稲垣「ケイさん!状況は!?」キキィ! 加東「地上部隊が奇襲を食らったわ!…先行した俺に追いつくわよ!」ブロロロロロ 稲垣・ペット「「了解!」」タタッ 二人がさっとストライカーを履き、エンジンを吹かす。 その横では、マルセイユが今だホロを被った新型―Bf109/G-2―を見詰め、押し黙っていた。 加東「マルセイユ、あなたは平気よ。その辺で―――――」 ガツリと軍靴が鳴り響き、マルセイユがストライカーへと向かう。 前に立っていた整備兵は半分転びながら慌てて道を開ける。怪訝そうに加東がマルセイユを見遣った。 足音は止まらない ペットゲン「…ティ、ナ?」 新型との距離を詰め、その正面に立って震える手を伸ばす。 エンジン音は彼方に消え、辺りは水を打ったように静かであった。 幌の表面に手を置き、そのまま手を止める。 一度だけ深呼吸をした後に、震える手で幌を握り締め、そのまま一気に剥ぎ取った。 浅く積もった塵が太陽を受けて輝き、カーキの幌から磨き抜かれたストライカーが現れる。 取った幌を投げ捨て、マルセイユが発進ユニットへと上がっていく。 加東「マルセイユ…あなた……」 悲痛な面持ちでこちらを見る加東に、靴下を脱ぎながら答える。 マルセイユ「勘違いするなよ、ケイ」 マルセイユ「確かに嫌だよ。エンジンは危ないし、嫌な奴からの命令だしな」 ひたりと足音がやむ。ここを超えれば後戻りは出来ない。何が起きてもあのサインがある限り、これを壊れるまで使わなければならない。 加東「…私達だけで何とかするわ!これは――――――!」 マルセイユ「私は私の意思でこれを履く」 ぴしゃりと加東の言葉を遮る。言わんとしている事は百も承知。 まだ何か言いたげな加東を見据え、マルセイユ大胆不敵に笑ってみせた。 マルセイユ「それに、好敵手の危機の一つや二つ…救ってやれずにどうする」 全てを振り切る様に、マルセイユは足場から飛躍した。 前へ ページ先頭へ
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概要 Shylock 傭兵ランク E パイロット名 シャイロック 所属 無所属 アリーナ 参加 職業 傭兵兼金融業 性別 女性 身長 172cm 年齢 19歳 設定使用条件 フリー 「金を返せない犬が人間の言葉を喋るんじゃないわよ。鳴いてみなさい」「アハッ、ワンワンいってるだけだから、何を言っているのかわからないわ」「お金だけでなんでも解決できないけど、お金で解決するなら簡単で好きなの」 ミグラントを相手に投資や融資を行うことで生計を立てるミグラント。ただし、その取り立ては地獄の果てまで追い詰めるほど熾烈であり、最終手段としてACを用いて強制返済を迫るケースもある。本業はあくまでもミグラント相手の金融業であるが、手頃な仕事がないときは、副業として傭兵としても依頼を受ける。操縦技術は平均といったところであるが、仕事の頻度は一般傭兵よりも少ないためランクは低い評価となっている。見た目の性格にそぐわず慎重なのか、戦場に赴くときは保険として僚機を雇うことが多い。また、取り立てのためにパーツの目利きに優れ、腑分けの技術も習得している。 ストレートの金髪で碧眼。銀縁のメガネを愛用する。誰にでも強気で業火のように辛辣な物言いをし、鋼鉄のような冷淡さを見せ、戦闘では特に顕著である。日常ではファッションも化粧も派手であり、高圧的な態度も相まって実年齢よりも高く見られることが多い。しかし、見た目の派手さは若年であることから甘く見られることを避ける目的とのこと。性格? 地です。 補足(クリックで展開 ){本名、『ベアトリクス・ボールドウィン(Beatrix Boldwin)』。代々金融業を営むミグラントであるボールドウィンの一族に生まれており、先代が引退時に諸々の権利とパイロットネームを受け継いだ。現シャイロックは何代目かにあたるが、実際に何代目となるかは記録が無いため不明。一族は、古参のミグラントであるが、身辺を警戒して実際の活動時には偽名を用いて活動するケースが多く、一族の人間であることを隠蔽している。実際に、彼女も複数の偽名を使い分けて仕事を行っている。 参考セリフ集(クリックで表示) ■作戦開始「取り立てるわよ」 ■作戦成功「取り立て完了」 ■敵AC出現「儲かるから仕留めるわ」 ■友軍被弾「無能なの? 」「この駄犬がっ! 」「屑ね」「雑魚! 」「仕事しなさい」「巫山戯るなら、あんたから潰して腑分けするわ」 ■友軍大破「やられたの? 使えないわね」「うろちょろしていたら、叩き潰してやるから」「駄犬はワンワン鳴いていなさい」「素晴らしい戦果ね。感心するわ。ところで、皮肉って知ってるかしら? 」「貴方と機体のどちらを腑分けしていいかしら? 」「いっそ死んでいればいいのに」 ■被弾「抵抗するほど、さらに請求するから」 ■撤退「帰るわ」 ■敵機撃破「こんなに壊れたら、あまり高く売れないわね」 ■友軍誤射「払って貰うから」 ■誤射「間違えたわ。報酬増やすから五月蠅く言わないで」 ■領域離脱「逃がさないわよ。地獄の果てでも追いかけて払わせるわ」 搭乗AC Brown Bess (C)1997-2012 FromSoftware, Inc. All rights reserved. 機体説明 機体名 ブラウン・ベス 機体タイプ 防御特化重量二脚 武装 レーザーライフルライフルフラッシュロケットシールド(TE防御型)レーザーブレード リコン 追従型 ショルダー 両肩 備考 ‐ 撃破報酬 ‐Au ASSEMBLE CATEGORY PART R ARM UNIT MURASAKI mdl.3 L ARM UNIT ISONOKAMI mdl.2 SHOULDER UNIT TOMOSHIBA mdl.1 OVERD WEPON - R HANGER UNIT Au-Q-D68 R HANGER UNIT AMAGOROMO mdl.2 HEAD HD-210 CORE YUGIRI mdl.1 ARMS AGEMAKI mdl.1 LEGS L2HA-213 FCS USUGUMO mdl.2 GENERATOR GA-319 BOOSTER Bo-C-L13 RECON UNIT ASATORI mdl.2 破壊よりもパーツの強奪を目的として組まれ、中距離からの射撃を主体とした重量二脚AC。重量級としてはある程度の機動性も確保し、さらに特筆すべきはシールドを併用することで突出した耐TE属性を誇る点。通常戦闘では中距離からフラッシュロケットによる攪乱と支援射撃を行うサポート型として行動する。しかしながら、レーザーブレードは附分けに使われる事が前提であるはずなのだが、近接時にはレーザーブレードやブーストチャージで強引に突撃し押し切ることも珍しくない。 関連項目 関連人物、所感 【Family】 兄 - 政府軍に入ったきり音信不通の実兄。特に心配はしてない「私、あんなエゴイストよりは、性格いいから」 【Business】 ジェイナス・“ジェヴォーダン”・ランスキー - 喫茶店のとぼけたおっさん「油断はできないけどね」 メリアドール・ベルベニア - 顔の広さと腑分けの技術は注目「見よう見まねで身につけたから、本業には敵わないのよね」 フランク・モール - やり手として参考にしている「簡単に真似できたら、誰も苦労してないわね」 【Hate】 コーヒー - 苦いので嫌い「なんであんなに苦いものを好きこのんで飲むのかしらね」 登場作品 オーダーミッションNo.038【報酬不払ミグラント制裁】 投稿者:ug 登録タグ:AC ug ミグラント 女性 重量二脚
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ぐっと腹に力を入れて起き上がる。そしてマルセイユの額ギリギリに俺は額を寄せた。 マルセイユ「まったく、女切れか?俺。やっぱりヘタレのロマーニャだったじゃないか」 俺「うるせぇやい。ったく、こんな事にウジウジ悩むなんてなァ……中尉、弾は?」 マルセイユ「売るほどあるさ。まあ、魔法力はほとんど無いみたいだがな」チャキ 右手に握られたマテバから零れる金色は淡く、今にも霧と散りそうな程の光だった。 そして俺の方はすでに光を纏っておらず、もふもふしているだけだ。 俺「ハッハー!当然だな、もって数秒だ!!」 マルセイユ「なっ、飛べないのか!?車じゃ追いつけないぞ!ほら!」ビシッ マルセイユがネウロイの方向を指し示すが残念。俺の目には遠すぎて映らない。 俺「こんなこともあろうかと!」 マルセイユ「ふわぁ!?」 中尉を抱えて跳び、キューベルワーゲンの助手席に座らせる。 そのまま助手席を飛び越えて運転席に着地し、エンジンを噴かす。この間僅か3秒。 俺「すでにコイツは車は改造済みだッ!!」ガォオン! キューベルワーゲンのエンジンからは、軍用車から聞こえるはずのない、獣の咆哮のような排気音。 そういえば行きの時も微かにこの音が響いたような…マルセイユの顔が待ってましたと言わんばかりに輝き、俺に詰め寄る。 マルセイユ「まさか…いつやった!?」 俺「ハァッハー!昨日整備班達と一緒にやったのさ!! タイガーバウムの魔導エンジンの流れを汲んだ奴を造って無理矢理コイツにブチこんだ!」 マルセイユ「すごいぞ…これなら…!!」 俺「ああ、行ける!…今から奴を追走して並ぶ。俺がネウロイ側になるように寄せるからお前はそこで撃て!」 マルセイユ「なっ俺?少しでもずれたら―――」 俺「俺はお前を信じてる!」 マルセイユ「――――ッ!」 俺「だから、俺を信じてくれ。中尉」 俺がギアを切り替え、ぐっとマルセイユの方へと体を向けた。 マルセイユが俺を見上げる。己を見つめ続ける俺にふっと笑いかけ、ずっと胸に秘めていた言葉紡ぐ。 マルセイユ「……当たり前だろ?少尉」 約束する。と俺が言い、前に向き直る。 小さく「すまない」と俺の零した言葉に、「馬鹿虎」と彼女が返す。 俺「…ハッハ!しっかり摑まっとけよ!さあ、アイツを倒せば!!」グッ マルセイユ「パーティータイムで!」ジャキッ 俺「OKって訳だ!!!」ガォオウッ!! アクセルペダルを思いっ切りベタ踏みし一気にエンジンを噴かす マルセイユは銃を構え、フロントガラスの縁を掴みながら俺に方角を知らせる マルセイユ「俺!南南東に3°!!」 俺「あいよ!!っとォ、あれだな!?」グイッ クラッチペダルをいっぱいに踏むと同時にアクセルペダルを戻す セカンドギア、サードギア、トップギア!! 俺「ハァッハーーー!!虎と鷲に狙われて、生きて帰れると思うなよォ!!!」 熱砂の上を駆けて飛ぶ。時々変な浮遊感が襲い来るが気にしない! 轟々と熱風を切り裂き、砂煙を巻き上げて、陸戦型ネウロイの土手っ腹に車体を飛び込ませる。 迫りくる雷鳴にネウロイが気付き、ぐんと速度を上げて襲いかかるキューベルワーゲンを、丁度車一個分程を開けて回避した。 標的を失い、僅かに蛇行する車体に上空の飛行杯共が機銃をばら撒く。 俺「っとお!しっかり掴まってろよ!!!」ギャリギャリギャリ!! スピードはそのままに、むしろさらにエンジンの回転数を上げて銃弾を左右に避ける! タイヤが煙をあげ、ゴムの焼ける臭いが肺を満たす。 マルセイユ「っうぇ…けほっ!…俺!そのままだ!!」ジャキ 俺「がってん!行けェ!!」グッ! ッパン!! 虚空に向けて弾丸を放つ。敵はいない…だが、マルセイユには見えている。 弾丸の射線に上空の三機―つまり全ての飛行杯が吸い寄せられる様に一列に並ぶ その瞬間、全ての中心を黄金を纏った弾丸が抉り去る! ドガアアアアアアア!! 爆散する飛行杯を見た俺が口笛を吹き、マルセイユの肩を叩く。 俺「やっぱりお前の射撃はすげえな!」 マルセイユ「ふふん、当然だ!私を誰だと思ってる?」 俺「ハッハー、この世界の果ての砂漠を照らす大鷲!! 連合軍第31戦闘飛行隊『アフリカ』所属カールスラント空軍中尉! ハンナ・ユスティーナ・ヴァーリア・ロザリンド・ジークリンデ・マルセイユ!! 麗しき『アフリカの星』を、誰が忘れるってんだ!!」 マルセイユ「―――っほら、早く追え少尉!!」 俺「はっはっは!舐めんなよ!女も車も空戦も!テクがねえと、なァッ!!」ッドウッ!! ぐんぐんネウロイとの差を詰める。止まって見えるほどの早さで追いすがる! 恐れをなしたか。ネウロイが急にターンを掛け、南東にその身を翻す! だがそれに付いて行けないほど――! 俺「虎は甘くねぇぞ!!」ギュイィッ!! ドンッ!! 今度こそ時速190kmでネウロイの横に車体をぶつける。ガリガリと車体とネウロイの体が擦れ、表面の塗装が、金属が剥がれ、火花を上げながら散って行く!! ドガァッ! ネウロイが渾身の力で押し返す!キューベルが横転しかけ減速し、後退するが、かまわず再度突撃を仕掛ける! ドゴォッ!! 腕木式方向指示器と左サイドミラー、追加でライトが激突の衝撃で吹き飛ぶ。脆い…否!良く持った! 中尉はさすがに座り、体が飛ばされないよう必死にドアにしがみ付いている。 この不規則な荒々しい揺れがなかなか堪えるのか脂汗を流し、細かに銃を握り締める手が震えている。だがその眼は凛とネウロイを睨み付けたままであった。 俺「そろそろッ!決着なんてどうだァ!?鉄クズ野郎ォオ!!」グイッ! ぐっと車体をさらにネウロイに当てるギャリギャリと金属の擦れる音が強くなる。たとえ魔導エンジンで出力が上がっていようが、 装甲はそこまで強化していなかった。大体ネウロイと車でぶつかりあうなんて考えていなかったのだ。せめてロケットランチャーに耐えられる位の改造なのだ! そんな訳でギチリと俺の方のドアが悲鳴を上げる 俺「んなぁっ!!?」 今だとばかりにネウロイがこちらを弾き飛ばし、機銃を乱射する! 俺「っぐぅ!パンクだけは勘弁!!」ギキィ! またもタイヤがすさまじい勢いで摩耗される ハンドルを強引に左右に捌き、ばら撒かれた弾丸を避けて行く。が追いつかない!残った弾丸が襲い来る!! マルセイユ「任せろ!!」 助手席でうずくまっていたマルセイユが俺の前に飛び出し、シールドを展開する。 …飛び出す? 俺「危ねえ!!」ガシッ いきなり目の前に飛びだし、シールドを貼ったマルセイユを引き寄せ、抱きかかえた。 タイミングはばっちりだ! マルセイユ「ふう、助かった」 俺「やっぱりシールドって便利だなァ…なにはともあれ助かった――――――――――あ」 マルセイユ「うん?どうかした―――か」 …咄嗟に左手で抱えたのが悪かった。左で手を出したため引っ掛かる場所がなく、 その、襟を思いっ切り引いてしまった為、ジャケットまでは良いが、ワイシャツまでも巻き込んでいた。 ボタンが数個飛び、そのやわらかくおおきい胸に左手が思いっ切り触れている。 マルセイユ「~~~~ぅ、くぁ」ぽふ 俺「…ぇ、え、え、え、」プルプル ぽんっと薔薇色に染まる頬、ボタンの飛んだワイシャツから覗く魅力的な胸、ベルベットのように柔らかで上品な手触り、そしてそこに浅く沈む俺の指……!!!! これぞ、まさに――!! 俺「エクセレントォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」ゴォオオ 底を尽きた魔法力が一気に溢れだす! すぐさまマルセイユのワイシャツ、ジャケットを整え、助手席に座らせ、ハンドルを握りしめる! 俺「ッフハッハ、ハァーッハッハ!!力が…みなぎって来たぜぇえええええええええ!!!!」ダンッ! 踏み抜くほどの勢いでアクセルを踏む!もちろんそのままベタ踏みで遠く離れたネウロイまでの距離を、風をも切り裂き一気に詰める! マルセイユ「っの変態!やっぱり変態だったじゃないか少尉!!!」 突然の急加速でもしっかり掴まり、赤くなった顔でうーうー唸り、胸元を抑えながらマルセイユが俺をバシバシ叩いて訴えてくる。 叩かれながらも野獣のような笑みを浮かべた俺はマルセイユの頭を撫でる。 俺「はっはっは!男なんてそんなモンだぜ、中尉!!いやあ…!」 マルセイユ「ぅ~~~っ!!なんだ、もう!」 俺「いいなぁ!!」サワヤカッ! マルセイユ「な に が いいな、だぁ!!」ドゴッ! マテバのグリップで虎の頭を殴る。しかしまったく効き目がない…正直泣きたい気持ちでいっぱいだった。 なんでこんな男を信じるなんていったんだろう?マルセイユは顔を真っ赤に茹で上げながらもう一度マテバを振りかぶる。 俺「いでぇ!っはっはっは!触りてぇもんは触りてぇ――――!!」 マルセイユ「言うなぁッ!!」バキィ ――――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――― ああ、やっと倒したか。 鉄の塊は砂漠を疾駆しながら考える。あれ程のモノに出会うなんて思いもしなかった。 …後方からきりきりと風の悲鳴が聞こえる。風がいや、大気が擦れる。これ程の速さで来るモノ… 鉄の塊、ネウロイはさらに速度を上げる。ばきりとどこからか嫌な音がするが気にしてなどいられない! 逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる 逃げろ!!! 有るはずの無い本能が叫び声を上げる!こんなもの知らない、来るな来るな来るな!! 速度を上げ、鉄クズを散らしながら金属の擦れるような叫びを上げる!! それでも虎は迫り来る 雷のように低く唸りながら 淡い希望を八つ裂きにして その夢も恥と変わる 俺「どおるぁああああああああああ!!!!」バゴオ!! ネウロイの右横に今度こそ完全に車体をぶつけながら並走する。 ネウロイがスピードを落として抜け出そうとするが、それすらも許されずに金属片が火花を散らす。 俺「逃がすか、よォ!!」ガンッ!! 俺がマントを引き裂き右掌に巻き付け、ネウロイの装甲に爪を立てる! そしてそのまま鉄をも引き裂き装甲を握りめ、ネウロイを装甲ごと掴み取り、引き摺る様に車体の横へ付けた。 マルセイユ「少尉!コアは腹部辺り…そのままかち上げろ!!」ジャキッ マルセイユが銃を構える。激しい揺れと不規則な加減速。 だが、そんなもの問題でも何でもない。 俺「任せとッけぇい!!」グァアッ マルセイユ「終わりだ…!!」パンッ ネウロイの体が大地から引き剥がされ、全体が見えた所で俺が手を離す。 ―最高のタイミングだ!!―にいっとマルセイユの口角が上がる 俺の親指と人差し指の間の僅かな隙間を弾丸が飛び抜ける ドッゴオオオオオオオオ!!! ネウロイが砕け散る。爆風にあおられ、横転しそうになるがぐっとハンドルを切りブレーキを踏む。 大量の砂煙を巻き上げながらキューベルワーゲンは停止した。 俺「っぶはあ!!…どんなもんだァ!!」 マルセイユ「…っく、はは!なんだ、本当に勝ったのか?」 俺「ハァッハッハッハ!!当たり前だ!な?信じろっていったろ?」ニシシ マルセイユ「ふふん、私は最初っから信じてたんだぞ?」ニヤ 俺「うぐっ、…それよりだ!ほんとに怪我は…?」 マルセイユ「ああ、そんなことか」 俺「そんなって…俺はなァ…」スッ マルセイユの左頬に手をやる。確かこちらの方に弾が行ったように見えたのだ。 ぺたぺたと左手で体を触るが痛がる様子はないし、鼻を寄せても血の匂いはなく、微かに花の香りが漂うだけ… マルセイユ「…ほら、これだ」 すっと彼女か手を差し出す。「早く」と急かされながら、ゆっくりと手を差し出せばその上に落ちる花弁… 俺「…なるほどな。お守りは効いたんだな」グッ 俺の手には落ちたのは、深紅のばらの花弁。 ぐっと花弁を握りしめ、俺が目を閉じた。ふふんと笑い、マテバをコツンと指ではじく。 マルセイユ「こいつがなかなか癖が強くてな、私の魔法力と混ぜて制御しながら撃ってたんだ。 だからシールドも張れなかったし、避けられなかった。 それにあの機会を逃せば、もう攻撃のチャンスは無かっただろうしな」 俺「…コイツに弾が当たって、それを俺とネウロイはお前の血と勘違い…騙されたってことか… ハッハ、でも無事でよかった…」ハフウ マルセイユ「まったく、任せろと言ったのに。こっちに攻撃が向いたら一人飛び出して。 ……でも、あの時お前が弾の軌道を逸らさなかったらどうなっていたか」 言いながら次第に声が小さくなり、うつむく。 解け始めた虎の姿で俺がぽんぽんとマルセイユの頭を撫でる。 俺「ハッハー、さすが俺だろ?」ニイ マルセイユ「…ばか。それに、こんな世界の果てで死んでたまるか」 俺「ハッハ、やっぱり良い女だな。お前は」ナデナデ マルセイユ「…本気にするぞ?」 俺「ハッハッハ!それ――――――うおっ!?」 「虎ぁああああああああああああああああ!!!!」ドキャアッ! 突然の来訪者を両手で受け止める。超高速で飛び蹴りをかましてきたそれは約6時間ぶりに出会う連合軍第31戦闘飛行隊指揮官―! 俺「…いーい蹴りだな、カトー!!」 加東「この馬鹿虎!何勝手な事してんのよ!!」 俺「いやー俺も長く戦ってるがなァ…ストライカーで蹴り入れる奴は初めてだぜ?」 加東「私も結構戦って来たけど、これで蹴りたいと思ったのはあんたが初めてよ!!」 さっと体勢を戻しながら加東は叫ぶ。しかし、これでひるむ程相手は弱くなかった。 マルセイユ「ふふん、ケイ見てたか?全部倒した!」ドヤッ 俺「おう!派手に決めてやったぜ!!」ドヤッ 加東「無茶ばっかりして…!――でも、良くやった!!」 加東が笑みを浮かべながら言い放つ。まったく予想出来なかった発言に、俺とマルセイユは顔を見合わせる 俺・マルセ「……っく…」プルプル 加東「あ、こら!笑うな!!」 マルセイユ「あっはっはっはっは!!駄目だ、限界!」 俺「はっはっは!さっすがカトーだ!器のでかさが段違いだぜ!!」 加東「はぁ…もうごちゃごちゃ悩んでたのが馬鹿みたいだわ…あなた達怪我はない?」 俺「ハッハ、怪我はないよな?中尉」 マルセイユ「…お前、ネウロイの銃弾を受け止めたよな?」 俺「この位かすり傷だぜ…っと」フラ マルセイユ「ほら、瘴気が回ってきてるじゃないか」ガシ 加東「受け止めた!?なんて事を…早く手をだす!」 俺「平気だ。ほれ」ポイポイ 加東「そんなに荒っぽく取らない!ああ、もう消毒よ」ダバァ 俺「っふぐぅッ!!?」 マルセイユ「うわぁ…ほら包帯」 俺「ありがとよ…っと完成だな!」グルングルン マルセイユ「…ところでケイ。一人で―――」 「虎あぁあああああああああああああああ!!!」ヒュォオ! クロスチョップ! 俺「おおっと!!…アフリカ式の挨拶ってのは随分過激だなァ、ペットゲン少尉!!」ガシッ ペットゲン「っく、何を馬鹿な事を…!ティナに何もしてないでしょうね!?」 大気を切り裂いて現れたペットゲンの上空からのクロスチョップをこれまた左手一本で受け止める。 エンジンの出力が上がり、ぎちぎちと左手がストライカーに食い込んで行く。 マルセイユ「おっ、ライーサじゃないか!今日は大丈夫だったか?」 ペットゲン「ええ、いつも通りだったわ」ギリギリ 加東「ま、今日はもう来ないでしょ。ほら、ライーサ出力を上げない」 ペットゲン「…今日の所はこれ位で勘弁してあげるわ…ケイ!ネウロイは!?」ハッ マルセイユ「ふふん、その事なら」チラ 俺「おう!任務完了だ!」 ペットゲン「嘘よ!だって相手は6―――」 加東「信じられないだろうけど本当なのよ…ライーサ」 ペットゲン「…陸戦型が6体よ?こいつはあの虎なのよ…?」 マルセイユ「まあ、私が一緒だったからな!」エッヘン 俺「ああ!一緒じゃなかったら出来なかったな!」 ペットゲン「…怪我は?」 俺「安心しろ。中尉にはカケラ一つも触らせてねぇさ…少尉」 窺わし気にペットゲンが俺を睨み付ける。 その視線に俺はニカッと笑い、彼女の問いに答えた。 その問いに、ペットゲンが驚くと共に、呟く様に名前を零した。 ペットゲン「……ライーサ」 俺「あん?」 ペットゲン「虎、良く覚えておきなさい。アフリカの星が二番機、カールスラント空軍少尉 ライーサ・ペットゲンよ。ライーサでいいわ、俺」ニコ 俺「…にしし、よろしくな、ライーサ!」 ペットゲン「あと、ちゃんとマミの事も名前で呼んでいいのよ?」 加東「ああ、そういえば自己紹介してなかったわね」 マルセイユ「それもそうだったな…これから合流する奴と一緒にするか?」 加東「名案ね、それで行きましょう。俺、撤退よ。ちゃんと着いてきなさい」ブーン 俺「おう!了解だ!」 ――――――――――――――― ―――――― ――――――――――――――― 「うぅ…早すぎですよう圭さん…」 「ルコ、もうむり…」 北野「ひゃああ!シャーロットちゃん駄目です!まだ戦闘が残ってるよ!」 シャーロット「アツい…う?見えた!ケイさーん!!」パタパタ 加東「あら、結構置いてきたみたいね…」 ペットゲン「だってケイ『待ってろ馬鹿虎!マルセイユ!!』って叫んだと思ったらもういないんだもの」 俺「ハッハー!カトー、心配だったんなら言えって!」 加東「…あんたの頭の中には何が詰まってるのかしら?」ピキピキ 俺「女と酒とパスタ…あとは浪漫!」 マルセイユ「っく、ははは!最高だ!!」ハッハッハ 加東「はぁ…見直したと思えばこれよ…」ボソ ペットゲン「…もう諦めるしかないんじゃない?」ボソソ 俺「おうおう、こんなに来るんだったのか?ちと多過ぎやしないか?」 マルセイユ「……武器も積んでなかったしな。もしもの為だろ?ケイ」 加東「そんな感じね。マイルズが三人もよこしてくれたし(あれ?あの時はあんな距離でも聞き取った癖に…)」 ペットゲン「ま、まあ今日はもうネウロイ来ないみたいだったし(聞かれなかったのかな…危ない危ない)」 北野「ケイさん!ネウロイは!?」 加東「もう撃破済みよ。このまま撤退」 マイルズ隊隊員1「へっ?航空ウィッチだけでやっちゃったんですか?」 加東「あー…俺とマルセイユが倒した。うん、嘘は無いわ」 向こう側全員「………え?」 マルセイユ「なんでいちいち驚くんだ?」 シャーロット「え、ええ?だって二人だけでしょう?武器も無いって言うからもう…」 俺「おいおいカトー、なんでしっかり伝えなかったんだよ」マッタク 加東「はいはい私だってマルセイユの証言とあんたの怪我が無ければ信じられなかったわよ それよりみんな!俺に自己紹介するの忘れてたから帰りながらやるわよ!質問は後!」 ムチャクチャナ… ダレカラヤルー? アンタカラデイイゼ?フソーノマジョサン? エエエエ!?ワタシデスカ! ―――――――――――――――――― 北野「ええっと、私からですか…北野古子と申します。出身は扶桑で階級は軍曹です。よろしくお願いします俺少尉」ニコ シャーロット「私はシャーロット。出身はカールスラントで階級はルコと一緒よ、虎」 マイルズ隊1「私はマイルズ隊の1です。ふふ、変な事したらアハトアハトで吹き飛んでもらいますからね」 マイルズ隊2「同じくマイルズ隊。2です。噂は聞いてますよ?」 マイルズ隊3「上に同じく3と言います。頑張りましょうね!」 ペットゲン「さっきも言った通り、カールスラント空軍少尉ライーサ・ペットゲンよ。忘れたら撃つから覚悟しといてよね」ニッ マルセイユ「ふふん、それは私の仕事だな。 カールスラント空軍中尉ハンナ・ユスティーナ・マルセイユだ。私が勝つからな。覚悟しておけよ、俺」 加東「まったくあなた達は…ああ、私ね 扶桑皇国陸軍少佐、加東圭子よ。ここでは指揮官をしてるわ。私から言う事は一つ。あまり無茶をしないように」 夕暮れの砂漠に高く、心地よい声が次々と響く。 皆一様に笑い、俺によろしくと声をかける。 それがあまりにも久しぶりで、懐かしくて、少し涙が出たのは秘密だ。 俺「…ハッハ、俺の名前は俺。 前部隊はロマーニャ空軍第3航空団所属特殊戦略飛行隊…いや、一匹支援隊か?今日から世話になる。よろしく頼むぜ、お嬢さん方!」 俺が全員に届くように吠える。 その返答に8人の魔女は微笑み、歌うように口をそろえた 『ようこそ!アフリカへ!!』 ――――――――――――――――――― ――――――基地 整備兵1「ああ!中尉が帰って来たぞ!!」 整備兵2「無事か!?怪我はどこにもないか!!?」 整備班長「馬鹿野郎!逃げろォオオオオ!!!」 俺「どありゃあああああああ!!ここだぁぁああああ!!!」ギキィイイ!! 全開ノンブレーキでスピンターンを決めながらハンガーに突っ込む。その間にも5,6人の整備兵を轢きかけて行った。 俺「そいやっとォ、中尉、大丈夫だったか?」スタン! マルセイユ「ああ、お前のおかげで何とかな」トトン 俺「ハッハ、それはよかっ――――――――」 整備班長「虎ァアアアアアああああ!!!!」ッブン!! ガキンッ!! 整備班長がオーバースローで投げたスパナを歯で噛み止める。そのままゴムのように噛み締めて吐き出す。 俺「ぺっ、ハッハー、ストライクだ!整備班長!!」 整備班長「てめえ虎この野郎!たった二人でネウロイ6体撃破とか何やってんだ!? 中尉を危険に晒して!俺達の傑作をこんな…廃車寸前まで追いやりやがって!!」ズビシッ 俺「ハッハ、それに良くあるこった!気にすんな!」ダッハッハ 整備班長「そんなに俺のスパナが喰いたいか…!!お前ら!!」 整備兵1「準備は出来てますよ!班長!」(マルセイユ中尉とデート…もし中尉が何かされてたら俺は…俺はッ!!) 整備兵2「ああ!良くやったと言いたいが…我慢ならん!!」(ああ中尉、今日も今日とて美しい…一句!) 整備兵3「買い物とか羨ましかったんだよ!ざまァみやがれ!!」(大丈夫でしたか!?少尉!) 整備兵4「お前ら言動が乱れてるぞ!!…つまり俺達が言いたい事はなァ―――!!」 整備班「「「「「俺達と闘えって事だよ!!!」」」」」 声を揃えて叫ぶ整備班にマルセイユが声を殺して笑う。 地面に買い物袋を下し、固まった筋を伸ばしながら、俺が整備班達の方へと歩み寄る。 マルセイユ「お前どれだけ整備班に嫌われてるんだ?」ププ 俺「はっはっは、これは男の魂の交流だからな!気にすんな!」 マルセイユ「ばかだなぁ…そうだ、言い忘れた」ピョン そういうとマルセイユは隣に立つ俺の肩に手をやり、ひょいと飛んで耳打ちしてきた。 マルセイユ「俺、夕飯が終わったら私の宮殿に来い」ポソリ 俺「……ハッハ、姫から直々に労いを頂けるのかい?」 マルセイユ「ふふん、そんな所だな。必ず来いよ?」タタッ これだけ言うとさっさと夕飯を食べに行ってしまった。 マルセイユの通った後に、笑顔が咲き乱れる。誰もが「おかえり」と声をかけ、声をかけられた兵士が喜びすぎて転んでいる。 生き生きとした表情を見て、前線には付き物の絶望がこの基地には無いことに気付いた。 これがアイツの力かと、アフリカの女神を見つめながら、約束を思い出す。 俺「…覚えてたのか」 整備班長「…言い残す事はそれだけか…虎」ギリッ 俺「…さあ中尉もいねえ…全力で相手をしようじゃねか、兄弟!!」 整備2「いーい度胸だな、あれだけ見せつけといてよォ…」ゴキ、ポキ 整備4「中尉は汚させんぞ…虎!!」フシュウウウ 整備3「ああ、そのニヤケっ面ぶっ飛ばしてやるよ!!」ボキボキ 整備1「もう一度言おう…闘え!少尉!!」 俺「ハッハー、まとめて相手にしてやらぁ!かかって来やがれ!!」ガルルルル ドゴォ!! バタン、ゴッ! セイビ1--! セイビ1、アア、2モヤラレタ!!シキュウオウエンネガイタシ!! ナンテコトダ…コレガウィッチ!? チガウ!コンナモノウィッチジャナイ!…トラダ!! クラエヤーー! ハンチョォオオオオオ!!!?? ドガバキィグシャッメキィ 加東「あの馬鹿またおっぱじめて…」 「はっはっは!どーだ、少佐!心配なんぞいらんかっただろう!?」 米神を抑える加東に、酒気を纏った将軍たちが危なっかしい足取りで歩み寄る。 この野郎、こんな時に飲みに行きやがって…羨まし……っおおぅ、危ない。 さっと表情を変え、にこやかに返事を返す。 加東「今帰りましたか、パットン少将」 パットン「わっはっは!安心しておけ!奴は馬鹿だが虎だ!!」 ロンメル「我が輩はトラウマになりそうだ…」 モンティ「ぶふっ、何時から冗談なんて言うようになったんだ?ロンメル!」ブフー 従兵1「料金は自分が出しておきました…少佐」ドヨーン 加東「御苦労さま…晩御飯たくさんおかわりして良いからね…」ハァ 従兵1「寛大なお気づかい感謝します…!」(落ち込む少佐も可愛い//)グスッ 俺「おうパットン。推薦の恩は返したぜ!」 加東「あら、もう終わったの」 パットン「なんだお前、こんなもんで返せたとでも思ってるのか?」ニヤニヤ 俺「生憎俺はそんなに小せぇ男じゃないんでな。コイツは俺からの気持ちみたいなモンだ」 パットン「ハンッ餓鬼が。いいか俺、貴様の居場所はアフリカだ。今はそれだけ分かっていればいい」 俺「ハッハ、そうだったな。世話になるぜ」 スッキリしたような顔で俺が笑う。 あれほどまでに嫌っていた『留まる事』をあっさりと受け入れた俺に、ロンメルがぱちくりしながら聞き返す。 ロンメル「何だ?やけに素直じゃないか」 俺「やっと見つけたのさ、仲間って奴をな」 パットン「…餓鬼が。何当たり前の事言ってやがる」 俺「ハッハ、信じられなかった俺の弱さだ。聞き流してくれ!」 静かにパットンが溜息を吐く中、俺は子どもの様に笑った。 ゆったりとお互いを確かめるように睨み合い、パットンが懐から取り出した葉巻を、俺に投げて寄こす。 渡された葉巻を見詰め、くっと笑う俺を尻目にパットンは歩き出した。 パットン「はっ、餓鬼を苛めて楽しむ程落ちぶれちゃいないさ。さっ、晩飯でも食いに行くか」 モンティ「おいパットン足元がぶれてるぞっとっとっと…次も死ぬなよ、俺」 ロンメル「馬鹿どもめ、我が輩も行くぞ!!」 コロブナヨー オットオ!ナニシヤガルロンメル!! ギャーギャー!! 加東「危なっかしいわね…ちゃんと辿り着けるかしら?」 俺「平気だろ、将軍だしな!」 加東「はいはい、じゃ、天幕まで案内するわよ」テクテク 俺「あ?飯の後じゃねえのか?」 加東「大方、マルセイユの天幕で酒盛りでしょ?誰かさんの天幕で寝ないうちに 案内しとかないと何言われるか分かんないでしょうに」マッタク 俺「カトー、あんた策士だな」 加東「阿保か。ほら行くわよ」テクテク やたら真剣な顔でこちらを見詰める俺の背を叩き、天幕へと向かった。 ―――――――――――――――――――――――― 辺りに散らばる工具、帽子、そして砂。 誰もいなくなった格納庫に夕飯を告げる声が届く。が、起き上がる者は一人、後は皆倒れたままだった。 整備班長「生きているものは…誰か生きていないのか…?」ググ 整備兵2「…うぅ整備兵2、背中をやられた…!」ウゥ 整備兵1「こちら1、ほっぺが痛いであります…はあ…またか…」 整備兵3「3であります…自分は腰を…班長殿…?」 整備班長「ふぅ、皆生きていたか…まあ当たり前だよな…あ、スパナあったよ…うげ!?」 整備4「どうしました…ってえ゙ぇ゙?」 整備2「なんだ…うえぇえ!!?」 整備班長「スパナに…歯型…?…はははっ、マジかよ…」 ―――――――― モンティ「早速命令違反か…アイツに始末書は出さなくていいよな?」 ロンメル「それでいい。もう見る気も起きんわ」ハフゥ パットン「はっはっは!あんなに反対してた癖にしっかり認めるじゃないか」ニイ ロンメル「妻との喧嘩を止めてもらった礼だ。…それに奴は本物だ。繋いで飼える程大人しくない」 モンティ「私も同じだ。それにあの娘もそんな感じだしな。これが丁度いいんだろうよ」 パットン「さ、行こうか。飯が冷めちまう」 モンティ「そうだったな。今日は何だ?」 パットン「扶桑料理だ。マミちゃんが作ってくれたようだな!待っててくれー!!」ダダッ ロンメル「貴様待たんか!!」バキッ ――――――――――――――― 天幕前 俺「でかいな…あ、ハンモック吊っていいか?あの辺良さそう」ビシ 加東「あなた一人しか住まないから別に平気よ。それに中は好きに使っていいわ」 俺「へえ、ベッドにチェストか…なあ、女性陣側と近くねえか?」 加東「はぁ…どうせ変な事もしないでしょ?する気もなさそうだし」 俺「あんたの固有魔法は心まで覗けるのか?」 加東「こういうのは信頼してるって言うのよ…それより、その耳、どうしたの」 俺「あー気付かれちまったか…」 加東「当たり前でしょ。あの時はあんな距離で私の足音を聞きとったのよ?」 俺「…魔法力の話はしたよな、カトー」 加東「まさか、あがり…?」 俺「ハッハ、そんな簡単なモンじゃねえよ。…俺は使い魔を殺したんだ」 加東「っ!?じゃあどうして力が使えるのよ?そもそもなんで――――」 俺「カトー、大丈夫だ。しっかり話す」 加東「…そのこと、いえ、扶桑海での事も話してもらうわよ」 俺「くくっ、こんなに注文を付けるとはなァ…さては―――」 加東「さっさと話す!」 昼間の暑さとは一転、涼しげな風が体を冷やす中、加東の怒号が砂を揺らす。 少しばかり震えた加東に、手に畳んで持っていたマントをかけ、巻きつける。 俺「ハッハッハ!焦るな。俺はこいつを殺して使い魔にしたのさ。扶桑海事変に行く途中にな」 加東「?」 俺「実はあの事変が始まった時、俺はまだウィッチじゃなかったんだよ。まあ、空戦技術は基地の中じゃ頭一つ抜けた位だったがな」 俺「そんで扶桑行く途中、俺は大陸の密林に墜落したんだ。久々に操縦したから勘が鈍ったんだろうな」 加東「久々ってどういう事よ」 俺「中尉にしか言ってなかったな。俺はレーサーやってたんだよ。パイロットがつまんなかったからな。それにお嬢様方との遊びの方が楽しかったし」 加東「…それで良く事変に参戦しようと思ったわね」 俺「無理矢理出撃しようとする俺に少将閣下が下さった命令が『乙女らを救って来い』だからな。色んな権限も頂いたしよ。 それに女の子が戦うってんのに、男は黙って見てろってか?」 威厳たっぷりに俺が笑う。…この男はこんな理由で戦ってきたのか? ロマーニャ人はなんて分かりやすい奴らなんだろうか… 加東「…今確定したわ。ロマーニャ人は大馬鹿だったのね」 俺「ハッハッハ、良く分かってるじゃねえか!」 俺「墜落して、そしたら相棒、エルドラドに会ったのさ。そんでそこから一週間殺し合って――――」 加東「ストップストップ!ちょっと待って、殺し合ったってどういう事よ!?」 俺「そのままの意味だぜ。俺とコイツで殺し合って、この傷を付けられて、そんで最後は相討ちになって。 だが気紛れで誇り高いコイツが、そう簡単に死ぬと思うか?」 謎かけのような声色で問いかける俺に、可能性としての一つの答えが、加東の頭に浮かぶ 加東「まさか…使い魔としてあなたの中に生きている…とか」 俺「ご名答!ハッハ、こんな狭い密林で王として死ぬよりも、俺と一緒に世界を回った方が楽しいだろってなァ」 加東「なんというか…似たもの同士だったって訳ね…」 俺「まあな。それにこの殺し合いの中でサバイバルの方法に戦術、そしてやらなきゃいけないこと、 守るべきもの…沢山見つけたよ。コイツは俺の相棒で師匠みたいなモンだ」 俺「相棒は、俺を生かして楽しむ為に自分の全生命力を注ぎ込み、使い魔となって俺の中に命を繋ぎ止めた。 今は眠って注ぎ込んだ分とあの時の傷とかを回復してるんだ。たまに話したりするけどな。 だから『あがり』じゃない。難しい話なんだが、今使っているのは『俺』の魔法力。 身体の変化と筋力、感覚器官の力が虎に近くなる『観察眼』は『俺』のもの。 そしてあの金色の光が『エルドラド』の魔法力。つまり『攻撃特化』はエルドラドのものなんだ。 だからアレは使い過ぎると俺にも、コイツにも影響が出てくるのさ。」 加東「なるほど。さっきの聴力は初期症状ってことね。本来使い魔と 契約した時に調和して一つになるはずのものが何らかの原因で別々になったままと」 するすると正解を言い当てる加東に、俺が口笛を吹く。そんな俺に、呆れたように加東が続きを催促する。 俺「ようするに魔法力の不調和。力の使い過ぎだ。相性は抜群だがな…まあそのおかげでこの状態を何年も保ててるんだよ」ニシシ 加東「…笑い事じゃないわよ!なんでそこまでして戦うの?つまり十分な休養を取ればいいだけの話でしょ!?そうすればどっちにだって――――!!」 俺「『この力を多くの人を守る為に』」 加東「…!」 おかしい。ここまでして戦うだろうか?第一この男は「女と遊べればそれでいい」と、平気で言い放つような男だ。 反論しようと声を荒げた。しかしそれを遮った言葉に思わず固まる。…この男は何と言った?その言葉は…… 言葉が出ず、目を見開いた加東に、俺は続きを話す。 俺「コイツとやり合って扶桑に流れ着いた時に、俺を助けてくれた人の言葉だ。 …名も知らぬ俺を助け、俺のバカみたいな言葉も信じてくれて、俺に戦うための翼をくれた。 いつか恩を返すと言ったら、こう返されたのさ。礼はいらないからってよ」 俺「男はな、誰かの為に強くならなくちゃならねぇ。俺は俺自身の力、イチローから貰った翼、少将閣下から頂いた力…俺は女の子の為だったら惜しむことなく使うぜ」 決意を秘めた瞳が加東を射竦める。なんて馬鹿なんだろうと思った。 自分はこの男の表層しか見ていなかった。最初から真っ直ぐに聞けばよかったのだ。 加東「…俺、一つ聞くわ」 俺「なんだァ、カトー?」 加東「その自信は、決意はどこから?」 俺「…無論、歩んだ道から」 前へ 次へ ページ先頭へ
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前へ 次へ 「どありゃあああああああ!!!」 「押せ押せえ!生身の虎に鉄のティーガーが負けるか!」 「車長!装甲がひしゃげますって!」 「ポルシェ大尉に怒られるー!!」 熱砂の上で午前の訓練を終えた兵士達が熱狂する。 砂上を席巻するのは一輌の虎。アフリカ三頭目の虎にして極初期生産戦車型ティーガーⅠ。 そしてそれを正面から押し上げ、車体を半分ほど浮かせる男。 この男こそアフリカ二頭目の虎、俺。通称“虎”である。 声援に熱が籠るのも当然。その所為か太陽も気持ち強めの光を砂に突き射していた。 補給班「補給は以上になります―――指令殿!どっちが優勢ですか!?」 指令「トラトラトラ!俺少尉だ!!」 ポルシェ「もっと呪力を増やすべきだったかしら?」 シュミット「戦車型だからどうにも…まあ、突破力よりも砲の破壊力だと思うんだがなあ」 加東「実戦配備はいいわよ……なんで俺と比べてるの!」 どっちが強いか気になったから。そんな至極簡単な理由に加東は日除けの下で溜息をついた。 気温は40度を超え、日陰でも容赦の無い熱が襲い来る。 再び暑さの帰ったアフリカは炎熱の如く熱かった。 前日まで若干暗かった空気は一新。むせ返る程に帰った熱気は頼もしいがうっとおしい。 来たる一週間後に向けて発令されたのは『午前は各自訓練、午後からは自由』のみ。 そして何故か補給がどっさり来た。このティーガーも今朝届いたものである。 俺「オラオラオラァ!!てめえの虎はこんなモンかァ!?」 車長「ふおおお!!エンジン全開!!」 操縦手「壊れます!絶対壊れますよ!!」 無線手「ぱふぱふは受けたいけどバキバキはいやぁあああ!!!」 俺「――ハートが足りねえ。出直してこい」 太陽よりも明るい金の炎をその身に侍らせ、ティーガーⅠを後方に押し飛ばす。 ぶるりと一つ震えた後、虎は楽しげに拳を合わせて天に吼え猛る。 始めて聞いた新兵達は肩をすくめ、慣れている兵士達は同調するように雄叫びを上げた。 ポルシェ「アルファロメオの犬め……」 加東「犬よか虎よ」 俺「チャオ、フレデリカ。あの虎はなかなか強いんじゃねえか?」 シュミット「お疲れ俺君。ポルシェの車なんてどうだい?」 性能の良さ、安定性ともに世界一だ。俺に酒瓶を渡しながらシュミットが笑う。 その言葉に俺は卓上の報告書へ適当に書き付けていた手を止め、酒瓶を傾ける。 俺「俺はアルファロメオって決めてんだ」 ポルシェ「あの馬面の弟子が…アウトウニオンに来なさいよ」 俺「レースはヤメさ。楽しかったがな」 ポルシェ「散々辛酸を舐めさせておいて良く言うわ。地を這うのが虎でしょう?」 ペンを回してポルシェは睨む。 散々レースを引っ掻き回して来た馬鹿師弟。その弟子がロマーニャ空軍のパイロットだとは夢にも思わなかった。 しかもそいつはウィッチと来た。虎が空を飛ぶなんて滑稽じゃないか。 そんな気持ちを汲んだか汲まずか、俺は高く澄み切った空を仰いだ。 俺「俺はな、空が好きなんだよ」 ポルシェ「……そ、なら仕方ない」 しっしと俺を払い、ポルシェは報告書に目を通す。いつも通り的確な報告に軽く苛立つが抑え、修正点を書きあげる。 そんなポルシェに口元をゆるめ、俺は日除けの外に身をさらした。 加東「私にはさっぱり」 シュミット「はっはっは、そんなものですよ」 俺「よしカトー、そろそろ次の拠点行こうぜ!」 加東「補給班はもう行ったの?」 加東は団扇で熱風をかき混ぜながら、虎耳をぴこぴこ動かす俺に目をすべらせる。 親指で指す先を見ると、補給班はまだ兵士達と談笑していた。 俺「そろそろマイルズ達が来る。昼も食ってねえだろ?」 ポルシェ「みんな一緒よ。地形図は寄こしなさい」 俺のポケットから地図を抜き取り、ばさりと卓に広げる。 この辺一帯だけの地図にはびっしりと窪みや障害物が書かれ、僅かな傾斜すらも書き込まれている。 加東「これをマイルズ達のと合わせれば……取り合えずアラム・ハルファ周りは完成ね」 シュミット「これで戦車と陸戦ウィッチが自由に走り回れる。打つべき手はすべて打たなければ」 俺「まあな。設営に道でも作らせるか?」 ポルシェ「んー…将軍に任せるわ。私達も整備と調整に行かなきゃいけないし」 加東「私達は補給班の護衛と地形図があるし……はぁ、休みが欲しいわ」 俺「オラ、さっさと行こうぜ。終わったら水浴びが待ってんだからよ!」 そう言って加東の肩をばしばし叩く。そんな俺を加東は丸めた地図で迎え撃つ。 いつもと変わらない光景に、ポルシェ達が溜息をつく。その時だった。 「――少尉…覚悟!!」 銃床が俺の頭を狙う。 堅いそれがぶつかるよりも速く、俺はとんとステップを踏むように避け、蹴り飛ばす。 加東「…今日に入って258人目。よく堂々と歩けるわね」 俺「ハッハー!こうでなきゃあ面白くねえ!」 マントを翻し、瞬時に眼を滑らせる。 即座に潜んだ兵まで感知すると、俺はニイっと牙を剥いた。 将校「戯言も今のうちよ!総員、かかれぇ!!」 兵士『イエッサァアアア!!!』 飛び出て来た将校に続いて、次々と兵士が襲い来る。 だが誰も気にしない。ポルシェもシュミットも普通に作業を続け、 加東はまた団扇で扇ぎ、声援を送る兵士達と共に、流れるように闘う俺を眺める。 兵士a「ちぃっ、これで!」 俺「甘ァい!!」 兵士b「おのれ虎――がふっ!?」 勇んで来た兵を投げ飛ばす。巻き込まれて5人が倒れる。 燦々たる戦況に息を飲んだ将校まで一気に駆け、アイアンクローをかました。 将校a「痛い痛い!ギブ!俺達の負け!!」 俺「おうおう、これで終わりか?」 将校a「おのれぇ―――おい俺!正直に言えよ!」 頬についた砂も払わず、将校が噛み付く勢いで俺に迫る。 本日258回、全ての理由である問に、のびていた兵達が息を吹き返す。 将校「マルセイユ中尉が好きなんだろ!」 兵士c「うぐぅ…そうですよ少尉、ハッキリ言って下さい!」 兵士b「軍医の先生に聞いたぞ!中尉可愛かった!」 がなりながら再び攻撃を仕掛ける兵を軽くいなし、俺は頭の後ろを無造作に搔く。 今にも噛みつきそうな兵士達の表情に、俺の表情は困惑、疑問と浮かび、最後には余裕そうな笑みが残った。 俺「恋はな、燃え上がるもんだ」 将校「………?」 俺「ガキ共、少しだけ教えてやる」 低く、それでいて良く通る声に兵士は動きを止める。 何時に無く男は真剣に、ニイッと牙を覗かせ、口を開いた。 俺「恋なんざ何時でもできる」 将校「何を――――」 俺「ハンナに惚れた。それだけだ」 将校の肩を叩き、加東の待つキャーベルへと歩く。 キューベルが発進するまでを茫然と見送り、お互いに顔を見合わせた。 マイルズ「…まったく、ロマーニャ人はロマンチストね」 車長「多くを語るは男にあらず。背中で語るが真の男ってとこですかね?」 溜息をつきながら呆れるマイルズに 車長はからからと笑い、サンドウィッチをほおばる。 兵士e「カッコいいですね……」 兵士n「馬鹿野郎、ああいうのをジゴロっていうんだよ」 兵士b「でもさ、憧れるよなぁ」 マイルズ「はいはいそこまで。射表は完成よ。あとはあなた達が頑張りなさい」 細かく区切りの書き込まれた地図を将校に渡す。 連絡帳もついでに渡し、マイルズがサンドウィッチに手を伸ばす。 車長「この区画はこれで終わりですね」 将校「今後はどうするのです?」 マイルズ「次は隣ね。あなた達の覚える範囲はそこまで。でも補える所は―――」 司令「ご安心ください。女の子達が頑張っているのを、黙って見ている我々ではありません」 胸を張って指令がマイルズの肩に手をやる。 自信に満ちた兵士達に、マイルズは小さく笑った。 マイルズ「頼もしい限りです。それでは、私はこれで」 司令「お気をつけて。諸君、敬礼!」 キューベルのクーヘンで砂漠を駆ける。 遮蔽物を書き込む手を止め、加東は隣でハンドルを操る男に目をやった。 加東「虎が随分大人しくなったものね」 呟かれた加東の声に、俺がきょとんと視線を移す。 前を見ない危険極まりない運転だが、加東は気にも留めない。 俺「ロマーニャ人の人生は少しばかり複雑なのさ」 加東「馬鹿ばっかりって事?」 俺「ハッハッハ!ああ、そうかもなァ!」 加東「……いなくなったらどうするのよ」 補給班の車両を眼の端に、俺の顔を盗み見る。 まだこちらを見ていた瞳に吸い込まれそうになる。俺はあせりも無く笑った。 俺「笑うなら笑え。俺は幸せだ」 加東「笑えないわよ。あなた、そんな恋も出来たのね」 俺「ハッ、ありがとよ」 加東「馬鹿ね、けなしてるのよ」 「俺、起きろ!」 俺「うぐぅうう……何だァ?もう調査か」 「何寝ぼけてるんだ。まだ午前だぞ?」 俺「ハンナがキスしてくれたら起きる」 マルセイユ「馬鹿か」 俺「銃はしまえ。冗談だ」 背中に突きつけられた銃を片手で制し、 木箱に登ってハンモックに腰かけていたマルセイユの髪を手で梳く。 俺「ご用件は?」 マルセイユ「遊ぶぞ、俺」 ベルトから懐中時計を取りだし、俺の前にちらつかせる。午前11 36 俺は傍のワインを飲みながら今日の予定を反芻する。 俺「補給の手伝いと戦地調査か……少しだけだぜ?」 マルセイユ「お前が勝てればすぐに終わるんだ」 俺「ハッハ、生憎俺は喰い殺すより飼い殺す方が好きでね」 ハンモックから飛び降り、マルセイユに手を差し出す。 熱風に揺れる亜麻色の隙間から、ラピスラズリが涼やかに笑った。 マルセイユ「喰えるものなら喰ってみろ。私はここだ」 俺「虎が鷲に敵わねえとでも?腹ァ括って飛べよ、嬢ちゃん」 マルセイユ「ふふん、望むところだ」 稲垣「あれ?もう飛んじゃったんですか」 加東「ええ、来たと思ったらもう空よ」 稲垣の持ってきたお昼を食べながら空を見る。 先程から熾烈なドッグファイトが繰り広げられる空。 訓練の終わった兵士達と整備班とで、格納庫では昼食を食べながらの観戦が始まっていた。 マイルズ「遊べるのは今の内だからって」 加東「でもこれで三日連続よ?元気ね…」 整備班長「こんな油臭い所でご飯ですかい?」 加東「自分の城を悪く言うことは無いわよ?」 整備班長「光るもの全てが、金とは限りませんからね」 加東達のテーブルに緑茶やら紅茶やらを置き、整備班長も食べ始める。 焼けるほどの日射は防げているものの、格納庫の隅は暑かった。 時折聞こえる機銃のタタ、タタタという音と、小さく光る赤色が空の模様を伝えてくれる。 シャーロット「ねえマミ、あれなに?」 稲垣「あれは……捻り込みかな?あ、次はロールだよ」 整備兵6「また一段とミスが減ってますね…」 ペットゲン「あはは……さすがに付いて行けないかも」 加東「あの二人は別格よ」 少ししょんぼりと肩を落としたライーサを撫で、再び空を仰ぐ。 上から狙えばその真下に、側面から叩こうと旋回すれば急旋回と横辷りに翻弄される。 魔法障壁の有無も知らぬとばかりに、俺は悠々とマルセイユから右へと逃げる。 加東「ただのエースが100人いたって勝てっこないわ」 シャーロット「そうなの?」 稲垣「うん、私じゃ一発も当たらないよ。全部見えてるみたいに避けられちゃう」 滑翔する様にマルセイユが俺を狙う。 留まること無く動く機動を読み、射線に入れるが、俺はすっと横にずれる。 獣の狩りを思わせる二人に目を奪われる。 彼等は決して深追いをしない。ただただ一瞬を狙い、その一瞬の為に観察を続ける。 弱った瞬間、迷った一瞬、筋肉のしなる瞬間、僅かな動き。 見抜き見抜かれ、何百手先まで読んでいるであろうその機動 ライーサ「空で頂点に立てる者は唯一人ってね」 パットン「随分飛ぶな…訓練は終わりだぞ?」 モンティ「また遊んでるんだろう。ほら、また正面から行った」 パットン「あんの馬鹿虎がァ!儂のエンジェルちゃんが危ないだろうが!!」 モンティ「ティー位静かに飲まんか。一騎打ちで無ければ弾が当たらんとはな……」 パットン「はしゃぎ過ぎだ」 喰らいつくように、パットンが窓から双眼鏡で二人を眺める。 ちょうどマガジンが切れたようで、俺が風防から新しいものを投げていた。 無線士1「ナイスおしりロード。今日も絶好調ですね」 パットン「ああ、まったくだ」 従兵「将軍ずるいですよ。あ、本部より入電です」 パットン「うむ、繋げ」 従兵に双眼鏡と労いの言葉をかけ、通信機の方へと歩く。 通信機を取ろうとした手は、モントゴメリーの手によって空をつかんだ。 モンティ「やってくれたじゃないか。ロンメル」 ≪当然だろう。まったく、本部がどれだけここを希望的に見ている事か≫ この北アフリカ戦線の特徴の一つとして、やたらウィッチが少ないのが上げられる。 しかしそんな中でもこのアフリカ軍団は世界で唯一全戦全勝を上げ、士気の高さも世界一。 現在本部は総力を上げて間近に迫った東部戦線での 大規模奪還作戦”オペレーション・ウラヌス”へと補給を集めていた。 極寒、そして激戦の予想されるスターリングラードと世界の果ての防衛戦。 補給の配分には抗えない。だが、ロンメルはそこで諦める男ではなかった。 ≪限界まで取って来たぞ。吾輩はしばらく本部で事務仕事だよ≫ パットン「だが、これでモグラ叩きは終わりだ。一気に巻き返してくれる」 ≪さすがに肝が冷えたぞ……こんな無茶をしたのは何時ぶりだ?≫ モンティ「さてな。だが、奴が原因である事は間違いない」 モントゴメリーが口元を緩める。 通信機の向こうから聞こえた呆れたような溜息に無線士がニッと笑った。 ≪そうだな。俺がいなければ事はもっと楽に済んだ≫ ≪――だが、俺が居なければ我々は、明日への夢を見る事は叶わなかった≫ パットン「…男って奴は、馬鹿にこそ夢を見るのさ」 紫煙をくゆらせ、パットンが言う。 何時の間にやら迷い込んで来た虎は、空の大きさを語る様な男だった。 地を這う虎が見せた夢は、いつしか全員を巻き込み、散っていた輝きは空を埋める。 パットン「元々アフリカの兵は優秀だったさ。ただ、茶目っ気が多かっただけで」 ≪空と陸を、全てをつなぎ合わせた。たった二ヶ月で、だ≫ パットン「やはり、呼んで正解だったな」 モンティ「階級でも上げるか?」 ≪止めておけ。アイクは俺が大嫌いだ≫ 二、三言葉を交わした後、ロンメルは通信機を置いた。 「ロンメル」 ロンメル「何でしょう」 「…何が君を砂漠に惹きつける。そこに元帥を蹴る価値があるかね?」 ロンメル「――砂漠は清らかですから」 重厚な木の扉が閉まる。 遠ざかる靴音を耳に、分厚い木の卓に向う男は溜息をついた。 前へ 次へ ページ先頭へ
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編集メダロット一覧 メダロットリスト (メダロットアルバム順) バージョン別機体 メダロットリスト (メダロットアルバム順) 主な入手方法の文字の色でカブトVer.限定、クワガタVer.限定それぞれを表している。 No.1~70までは前作「メダロットDS」でも登場したメダロット。 No.71以降の登場欄が赤いものが今作から新規参戦・再登場したメダロット。 なお、No.1~70までは型式番号(A~Z)順、No.71以降は登場作品の順番(1→2→R→3→4→5→G→navi→7新規)。 ただし初登場3のゴールドフィンだけはメダ4組の間に配置されている。まぁミスだろう 覚えておくとパーツ転送時に送りたいパーツを探すときにちょっと楽になるぞ。 ※メダガチャDXは全部第2弾で出現なので注意。 No メダロット名 型番 変形 主な入手方法 性別 登場 1 レストアンジェ ANG02 カジノ景品、メダリンク、トーナメント ♀ DS 2 リバイブアンジェ ANG03 メダリンク、トーナメント、カジノ景品 ♀ DS 3 スペナグメノーグ ASR00 【クリア後】帝王、ブラックジャック N DS 4 ボアブースター BAB00 【第7章】フォレス村コンビニ、メダガチャDX ♀ R 5 ゴーフバレット BAT01 【第6章】もろこし町コンビニ ♂ 2 6 バストロイヤー BBS00 ジャングル ♂ 3 7 ノワールカッツェ BCT00 【クリア後】チトセ、メダガチャDX ♀ DS 8 ドクタースタディ BOK00 【第4章】もろこし町コンビニ ♂ 1 9 バロンキャッスル BRK00 【第8章】メダロッターズ ♂ R 10 ペッパーキャット CAT01 【第6章】メダシティコンビニ ♀ 2 11 カネハチまーく2 CLA01 【第6章】海底都市コンビニ ♂ 2 12 セブンカラーズ CMO00 【第4章】フォレス村コンビニ ♂ 1 13 エイムフラッシュ CMR00 【第8章】メダシティコンビニ ♂ BRAVE 14 バッドハッカー CRH00-C ★ ジャングル ♂ 4 15 さくらちゃんZ DFL00 【クリア後】メダロット博士 N DS 16 ドンドグー DGU00 【第4章】メダシティコンビニ ♂ 1 17 ブルースドッグ DOG01 もろこし町コンビニ ♂ 2 18 オランピア DOL00 【クリア後】巨像広場のクーヘン、メダガチャ ♀ DS 19 ムーンドラゴン DRA00 ピラミッド ♂ 1 20 ドラゴンビートル DRF00 【第4章】フォレス村コンビニ、ジャングル ♂ 2 21 アグリィダック DUC00-C ★ 海底公園、メダガチャDX ♀ 3 22 ベルゼルガ DVL01 月洞窟 ♂ 2 23 キングファラオ EGT00 5番街道、メダガチャDX ♂ 1 24 ギガファント ELF01 雪山、メダガチャDX ♂ DS 25 ボトムフラッシュ FFY00 【第4章】フォレス村コンビニ ♀ 2 26 パステルフェアリ FLY00 もろこし町コンビニ ♀ 1 27 ファンシーロール FSL00 メダシティコンビニ ♀ R 28 ポタトインセクト GCT00-C ★ メダロッターズ ♀ 3 29 クイーンベスパ HNT00 【第4章】3番街道 ♀ DS 30 ヒポポジャマース HPP00 遺跡博物館 NPC (頭、脚)、スノール村 民家の男の子 (頭、右腕)メダリンク ユウキ (左腕)、3番街道 NPC男の子 (両腕) ♂ R 31 フライファルコン HWK00 【第3章】1番街道、神殿遺跡 ♂ 3 32 グレードカブキ KAB00 メダリンク、メダガチャDX ♂ 3 33 メタビー KBT00 ゲーム開始時に一式入手最強ジャンプ 2012年 12月号にて配信※終了 ♂ 1 34 アークビートル KBT04 カジノのボーナスゲーム、スーパーメダガチャ【クリア後】ヒカル ♂ R 35 ブラックビートル KBT05-C ★ 【第1章】イベントで一式入手、メダガチャ第7弾【クリア後】メダロット通信【第22回目】にて配信 ♀ 3 36 サイカチス KBT05-C ★ 【第4章】イベントで一式入手【クリア後】メダロット通信【第21回目】にて配信 ♂ 3 37 ガンノウズ KBT10 【第4章】イベントで入手【クリア後】メダロット通信【第20回目】にて配信 ♂ DS 38 マーサイモラン KLN02 最強ジャンプ 2013年 1月号にて配信※終了メダガチャ、【クリア後】コハク ♂ DS 39 アビスグレーター KNG00 漁師小屋NPC、メダガチャDX ♂ 2 40 カソートーチュ KNK00 【第4章】フォレス村コンビニ ♂ 2 41 ロクショウ KWG00 最強ジャンプ 2012年 12月号にて配信※終了ゲーム開始時に一式入手 ♂ 1 42 ブラックスタッグ KWG05-C ★ 【クリア後】メダロット通信【第22回目】にて配信【第1章】イベントで一式入手 ♀ 3 43 ドークス KWG05-C ★ 【クリア後】メダロット通信【第21回目】にて配信【第4章】イベントで一式入手 ♂ 3 44 サンジューロ KWG10 【クリア後】メダロット通信【第20回目】にて配信【第4章】イベントで一式入手 ♂ DS 45 ラグナ6 LF LHB03 ピラミッド、トーナメント ♂ DS 46 ラグナ6 RF LHB04 ピラミッド、トーナメント ♂ DS 47 ピュアマーメイド MAR00 海底都市コンビニ ♀ 1 48 ブライトネス MID00 メダシティコンビニ ♀ DS 49 マジカルカード MJC00 月洞窟、メダガチャDX ♂ R 50 サーティーン MTS02 【第6章】フォレス村コンビニ ♀ DS 51 アウローラ MWB03 ピラミッド宝箱、海底プラント、メダガチャDX ♂ DS 52 セントナース NAS01 【第5章】メダロッターズ ♀ 2 53 ニンニンジャ NIN00 【第5章】もろこし町コンビニ ♂ 1 54 ナイトアーマー NIT00 メダシティコンビニ ♂ 1 55 ピンゲン PEN00 スノール村コンビニ、メダガチャDX ♀ 1 56 ヘルフェニックス PHX00 神殿遺跡、メダリンク (脚部以外)、トーナメント ♂ 1 57 ライノラッシュ RIN00 3番街道 NPC男の子 ♂ R 58 サーキュリス SAQ00 下水道 ♀ 2 59 フラッペ SBL00 スノール村コンビニ ♀ 2 60 ポイズンスコピー SCP00 サンドラシティコンビニ ♂ 2 61 フレイムティサラ SLD00 5番街道、メダガチャDX ♀ 2 62 セーラーマルチ SLR01 メダロッターズ ♀ 2 63 マックスネイク SNA00 サンドラシティコンビニ ♂ 1 64 シュートスパイダ SPI01 サンドラシティコンビニ ♂ 2 65 マカイロドウス STG02 メダガチャ6弾、【クリア後】コハク (左腕以外)最強ジャンプ 2013年 1月号にて配信※終了トーナメント (右腕、左腕) ♂ DS 66 アタックティラノ TIR00 【第6章】サンドラシティコンビニ ♂ 2 67 キースタートル TOT01 【第7章】もろこし町コンビニ ♂ 2 68 レジェンドホーン UNI02 フォレス村広場 ♂ DS 69 プリティプライン VAL00 【第9章】スノール村コンビニ、メダガチャDX ♀ 2 70 ゴッドエンペラー WEA01 スーパーメダガチャ (メダロット通信【第4回目】を受信後) ♂ 2 71 レッドマタドール COW00 【クリア後】グリード、メダガチャDX ♂ 1 72 クローテングー CRW00 1番街道 ♂ 1 73 ブラックメイル DVL00 月洞窟、メダガチャDX ♂ 1 74 ア・ブラーゲ KTN00 もろこし神社の神主 ♂ 1 75 オーロラクイーン QUN00 メダガチャDX ♀ 1 76 ユイチイタン SAK00 海底トンネル、メダガチャDX ♂ 1 77 サムライ SAM00 【クリア後】ダイフク、メダガチャDX ♂ 1 78 ビーストマスター WEA00 【クリア後】スーパーメダガチャ ♂ 1 79 アントルジャー SAT00 メダガチャDX ♂ 2 80 アンタッカー WAT00 メダガチャDX ♂ 2 81 ゴクード GKD00 5番街道、メダガチャDX ♂ R 82 シンセイバー SIN00 【クリア後】サケカース、メダガチャDX ♂ R 83 シャーマンミコ SMK00 1番街道 ♀ R 84 クライバンシー BCY00 ピラミッド、神殿遺跡 ♀ 3 85 フロートスピナー SPN00 7番街道 ♀ 3 86 ファーストエース TJO00-C ★ 【クリア後】大富豪の息子、メダガチャDX ♀ 3 87 ガンキング TKG00-C ★ 【第9章】イベントで一式入手 ♂ 3 88 アトラクター ARL00 下水道、メダガチャDX ♀ 4 89 チベヒーモス BHM00 月洞窟、メダガチャDX ♂ 4 90 クウケンタウロス CTR00 神殿遺跡 ♂ 4 91 ブロッソメイル DVL03 ★ メダロット通信【第4回目】 対戦データ「メダロットしゃ2」スーパーメダガチャ (メダロット通信【第4回目】を受信後) ♀ 4 92 ゴールドフィン GFS00 海底公園、メダガチャDX ♀ 3 93 グリークヘッド HDR00 カジノ (ボーナスゲーム) ♂ 4 94 ミリヴァイアサン LWT00 海底トンネル ♂ 4 95 ディスティニー TRT00 月洞窟 ♀ 4 96 クウワイバーン WVN00 メダガチャDX、メダリンク、トーナメント ♂ 4 97 カナブンブン SCB00 ジャングル、フォレス村コンビニ ♂ 5 98 ガイライン PCV00 【クリア後】コイシマル、メダガチャDX ♂ 5 99 ハードネステン DND00 【クリア後】アン ♀ 5 100 ブルーコランダム SPR00 【クリア後】アン (右腕以外、Ver.1.1は全部入手可能)メダロット通信【第3回目】 対戦データ「メダロットしゃ」 ♀ 5 101 ピジョンブラッド RBY00 【クリア後】アン (左腕以外、Ver.1.1は全部入手可能)、キクヒメ (両腕)メダロット通信【第3回目】 対戦データ「メダロットしゃ」 ♀ 5 102 テオドラベリル ERD00 【第5章】イベントで一式入手 ♀ 5 103 ドコカノオージ PRC00 【クリア後】大富豪の息子 ♂ 5 104 オトギプリンセス PRC00 【クリア後】月姫、【クリア後】大富豪の息子 ♀ 5 105 ヒメダッカー MDK01 海底都市コンビニ ♀ 5 106 チアンツー FLP01 海底都市コンビニ ♀ 5 107 スノーフェンリル WLF01 スノール村コンビニ、メダガチャDX ♂ 5 108 アステリオス MNT00 【第7章】サンドラシティコンビニ、メダガチャDX、火山洞窟 ♂ 5 109 グリード FDR00 【クリア後】帝国都市、メダガチャDX ♂ G 110 ブレザーメイツ BLZ00 【第5章】メダシティコンビニ ♀ navi 111 バグスティンク STN00 5番街道、メダガチャDX ♂ navi 112 サイドムーブ CLB02 海底都市コンビニ、火山洞窟 ♂ 7 113 ジラスジダス ELL01 サンドラシティコンビニ ♂ 7 114 ルージュカッツェ CAT04 【クリア後】サクラ、メダガチャDX ♀ 7 115 コバルトセッター DOG04 【第4章】メダロッターズ ♂ 7 116 クロムトータス TOT04 火山洞窟、メダガチャDX ♂ 7 117 アラゴスター RAY04 【クリア後】カジノ景品 ♂ 7 118 スピードアラート PLC01 ジャングル ♂ 7 119 ジ・エッジ HLC02-C ★ 神殿遺跡 ♂ 7 120 タービュレント RYM00 【クリア後】サケカース ♂ 7 121 アリンスダユー OIR00 【クリア後】スルメ、メダガチャDX ♀ 7 122 チュウゲンハオー CHA00 【クリア後】シオカラ、メダガチャDX ♂ 7 123 サイショウグンシ CHA01 【クリア後】サラミ、メダガチャDX ♂ 7 124 フラッパクンフー FEI01 メダガチャ、メダリンク ♀ 7 125 ギンバンフェアリ FSK00 スノール村コンビニ ♀ 7 126 ククルティカル MAY00 メダロット通信【第15回目】イベント発生後 ピラミッドでロボトル ♂ 7 127 イシュカラクルム MAY01 【クリア後】大ババ様 N 7 128 フラカン MAY02 海底プラント、【クリア後】大ババ様 ♂ 7 129 カオスフィクサー COT00 【クリア後】帝王 N 7 130 ガルトマーン GAL00 ★ ジャンプフェスタ2013にて一式配信最強ジャンプ 2013年 2月号にて配信※終了誰かに譲ってもらう(ツイッターで定期配信の告知があったりします) N 7 131 シャーフー CRC01 【クリア後】キャプテン ♂ 7 132 シュシュタイト RAP02-C ★ 月面 N 7 133 マーサイライボン KLN03 カジノ景品、メダリンク、トーナメント ♂ 7 134 シミタートゥース STG03 メダリンク、トーナメント、カジノ景品 ♂ 7 135 バスターティラノ TIR02 ジャングル ♂ 7 136 ストライクホーン UNI03 カジノ景品、メダリンク ♂ 7 137 LEDシャドウ NIN04 火山洞窟、カジノ景品 ♂ 7 138 メタビーG KBT50 グランドチャンピオンシップ優勝(カブトのみ、クワガタには送れない) ♂ 7 138 ロクショウP KWG50 グランドチャンピオンシップ優勝(クワガタのみ、カブトには送れない) ♂ 7 ブリキオー BLK02 ★ ♂ 7 No メダロット名 型番 変形 主な入手方法 性別 登場 ▲ページ上部へ▲ バージョン別機体 カブトVer.限定メダロット メタビー、サイカチス、ガンノウズマカイロドウス、ブルーコランダム、メタビーG クワガタVer.限定メダロット ロクショウ、ドークス、ブラックスタッグ、サンジューロマーサイモラン、ピジョンブラッド、ロクショウP ほとんどのバージョン別機体はメダロット通信で入手できる。 ブルーコランダム⇔ピジョンブラッドは対戦データ再受信方法で入手可。 一つのソフトで入手不可の機体は、メタビー⇔ロクショウ・マカイロドウス⇔マーサイモラン、配信限定のガルトマーン。 ▲ページ上部へ▲ ※入手方法が現在不明の機体は、wi-fiでの配信またはイベント配信で今後入手可能にしていく予定、とのこと。
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キラ・ヤマト アスラン・ザラ シン・アスカ ルナマリア・ホーク カガリ・ユラ・アスハ ムウ・ラ・フラガ(ネオ・ロアノーク) キラ・ヤマト ◆能力 初期値 最大値 コスト 格闘 30 60 8 射撃 40 99 6 ガード 20 50 10 回避 30 90 8 SP 100 255 4 指揮 M クリティカル耐性 5 60 15 ◆精神コマンド 精神コマンド 消費SP ひらめき 35 加速 25 愛 70 -- - ◆特殊技能 SEED --- --- ◆備考 能力成長は射撃と回避を優先。 SP160で加速を修得。移動時間の短縮に役立つ。 アスラン・ザラ ◆能力 初期値 最大値 コスト 格闘 40 99 8 射撃 30 60 8 ガード 10 50 10 回避 40 90 8 SP 100 255 4 指揮 M EN回復 5 15 15 ◆精神コマンド 精神コマンド 消費SP 鉄壁 30 ひらめき 45 加速 25 -- - ◆特殊技能 SEED --- --- ◆備考 格闘の上限値が高いが、乗機の装甲が薄いので、最優先で上げるべきは回避。 余裕があればSPを上げて『鉄壁』を修得すると、強制出撃ミッションに対応しやすくなり、得意の格闘攻撃も活かしやすくなる。 シン・アスカ ◆能力 初期値 最大値 コスト 格闘 30 99 6 射撃 30 70 4 ガード 5 50 8 回避 20 70 4 SP 100 255 4 指揮 M ブレイク追加 0 45 5 ◆精神コマンド 精神コマンド 消費SP 熱血 35 不屈 60 気合 45 -- - ◆特殊技能 SEED --- --- ◆備考 まずはSPを130まで上げて『気合』を修得。『気合』を3回使えれば開幕直後からSEEDを発動できる。 能力的には格闘が得意だが、乗機の装甲の薄さを考慮し、まずは回避と射撃を上げるのがおすすめ。 ルナマリア・ホーク ◆能力 初期値 最大値 コスト 格闘 25 85 4 射撃 5 50 8 ガード 5 50 10 回避 25 70 4 SP 100 255 4 指揮 P 格闘能力 0 20 30 ◆精神コマンド 精神コマンド 消費SP 熱血 35 根性 70 ふれあい 40 -- - ◆特殊技能 --- --- --- ◆備考 能力的には格闘が得意だが、乗機は装甲が薄く格闘攻撃の必要性もあまり高くないので、まずは回避を上げるのがおすすめ。 カガリ・ユラ・アスハ ◆能力 初期値 最大値 コスト 格闘 10 50 6 射撃 10 50 6 ガード 5 40 10 回避 10 50 8 SP 100 255 4 指揮 P 獲得経験値(%) 0 99 10 ◆精神コマンド 精神コマンド 消費SP 激励 95 ふれあい 30 愛 70 -- - ◆特殊技能 SEED --- --- ◆備考 能力値は低めだが、激励と指揮能力が有用。射撃と回避を強化した後は、SPと指揮能力を強化したい。 ムウ・ラ・フラガ(ネオ・ロアノーク) ◆能力 初期値 最大値 コスト 格闘 40 70 20 射撃 60 90 20 ガード 20 50 10 回避 40 80 15 SP 100 255 4 指揮 M 必殺技耐性 10 40 20 ◆精神コマンド 精神コマンド 消費SP 直撃 30 ふれあい 35 脱力 60 -- - ◆特殊技能 --- --- --- ◆備考 元・地球連合軍のエースパイロット。初期能力高めで育成コストも高め。 精神コマンドの『脱力』が重宝するので、指揮能力と併せてSPも強化したい。
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工藤シン能力 精神コマンド 特殊技能 備考 工藤シン 能力 初期値 最大値 コスト 格闘 10 60 10 射撃 50 99 10 ガード 10 50 8 回避 40 90 8 SP 100 255 4 指揮 P 回避能力 10 30 15 精神コマンド 精神コマンド 消費SP 加速 30 熱血 25 激励 85 --- -- 特殊技能 --- --- --- 備考 参入時点で『加速』を持つため、乗機の特徴も含め、コンテナ回収など移動速度を求められる任務に向いている。 育成すれば精神コマンドの『激励』を使用可能に。 指揮能力(回避能力)がリアル系の引率に役立つ。