約 3,013,547 件
https://w.atwiki.jp/kaihennsyaityia/pages/26.html
その1 「待て、兄貴!俺はお前と戦う気は無い!」 「そうよね、兄弟同士で戦うなんて、良くないわ」 「兄弟だったのは昔の話。今はみんな俺の花嫁だからさ!」 「ねぇ、兄貴、アンタ何かつまらない意地はってないにゃーの?」 「・・・別に。さぁ!京四郎、お前の心剣を抜け!」 「仕方ない・・・!」 EPISODE 3 永 × 空 心の剣を解き放て・・・ その2 「京四郎、面白い事を言うな」 「え?何て言ったんですか?」 「本当の王子様になりたいんだと」 「無理にゃーの、絶対無理にゃーの。」 「京四郎さん、王子様ということは強く、優しく、美しく、そしていつでも勝利するという事ですよ」 「それくらいわかってるさ・・・」 「フッ、ハハハハハ、やってみるがいい、だがお前に出来るかな?ハレェルゥゥゥゥゥゥヤァァァァァァァッーー!!!」 EPISODE 6 拝 × 啓 春のぽかぽか陽気が見せた、ときめきの白昼夢を解き放て・・・ その3 「カズヤ兄さん、いよいよ最終決戦ですね」 「ハーハッハッハ、言っておくが手加減はしないぞ!」 「本当に、戦うの・・・?」 「仕方ないにゃーの」 「誰か!二人を止めて!」 「え?手紙?誰から・・・」 「白鳥空、から・・・」 「拝啓 私の王子様 楽しいです!ワクワクです!キラキラです!」 EPISODE 7 白鳥くう × 綾小路さん バカヤロウ!(バサッ) その4 「かつてカズヤという名前の少年がいた。 絶対天使の強烈なマナを間近で浴びると人間は生きてはいられない。 だが、極稀にその力と一体化し、永遠不滅の天使の力を得ることがある。」 「本当の王子様だな。究極の洗礼。天上の歓喜。」 「いいや無理だ。千言万語どんな言葉をもってしても語れやしない。」 「王子様、誰です?あの人?」 「さあ?」 EPISODE 8 絶対 × ちから 行こう・・・一緒に・・・ その5 「無事だったか!白鳥空!」 「早速ですが京四郎さん・・・ついに、ついに来ました!来てしまいました!」 「な、何だ?」 「運命の瞬間、綾小路さんと私の運命の瞬間・・・」 「運命の瞬間・・・?」 「敵襲です!にゃーのが襲って来ました!」 「もう最高です!バンザイ、バンザイ、バンザイです!」 「ま、待てよ!おい!白鳥空、せつな!」 EPISODE 9 ワクワク × キラキラ 嬉しくて嬉しくてもう・・・・・死んじゃいそうです(バサッ)(エコー) その6 「無事だったんですか!京四郎さん!」 「早速だが白鳥空・・・華麗で強くて、でも優しくて、いつでも笑顔をくれる。 そして、何があっても必ず勝利する。兄さんは・・・」 「な、何ですか?」 「俺の神話だ・・・」 「神話・・・?」 「敵襲です!馬がひっかかりました!」 「すまない、変な話をしてしまって。」 「そ、そんなことないです!私にはわかります、その、私にも居るんです、そういう人。」 EPISODE 9 電波 × 同士 私と綾小路さんの、二人だけの秘密、です(エコー)・・・ その7 「久しぶりだな、京四郎・・・」 「カズヤ兄さん・・・!夢?・・・・いや、夢だっていい!・・・兄さん。カズヤ兄さん!」 「それより久しぶりにやるか」 「え?それってもしかして・・・」 ヽO丿 ウガアアア! ∧/ キョウシロウ! キョウシロウサン! .。.:* ) \○ \○ チュドーン!! ゚・*:. | | ○/゚・*:.。. .。.:*・゚゚ /\ ハ | ((ノりヾ ` ゙ . ゙ ゙ . ゙ `゙ . ゙ `゙ . ゙ ` ゙ . ゙ ` `゙ . ` `_/i /| <イコウ…イッショニ §(゚д゚§、 . 、 , ,. `゙ . ゙,. `゙ . ` ,. ゙,. .´ -‐i i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ EPISODE 10 再会 × 絆 行こう・・・一緒に(エコー)・・・ その8 「京四郎さん!助けに来ました!」 「ありがとう、白鳥空・・・」 「ちょっと、ちょっとアンタは大人しく眠ってるにゃーの、今アタシたち捕まってるにゃーの」 「こいつは、天使の牢獄、バスティーユ・・・どん詰まりだぜ。」 「どうしよう・・・ジン?」 「俺に良い考えがある!!」 「私も手伝います!大神さん!」 「おう!総員迎撃準備!全周囲防御陣形!」 EPISODE 11 来賓の × 方々 防御陣形を崩すな!(エコー)・・・ その9 「これは・・・!」 「白鳥空の日記集積装置!」 「白鳥空の絶対力を利用して本当の王子様を復活させようっていうんだな!止めなきゃ!だが、どうやれば!」 「拝啓 私の王子様」 「・・・バカヤロウ!(バサッ)」 「拝啓 私の王子様」 「大変にゃーの!変態兄さんが復活しちゃうにゃーの!」 「どうすりゃいいんだ!」 「・・・拝啓 私の王子様」 EPISODE 12 ときめき × 白昼夢 むかしむかし、女の子は、王子様と出会ったのでした(エコー)・・・ その10 「フッ、まさか君が俺のチェロだったとはなぁ」 「なんという眩しさか!」 「とにかく!これで3つの絶対天使が揃ったわけだ」 「天使の牢獄バスティーユ・・・!賛美歌だ!祝いの歌だ!」 「完全なる君!惑うこと無き最愛の君!あの日の麗しき君!」 「何という輝きだ!」 「来い!来い!」 「はぁ、もうたまらない・・・俺のチェェェェロォォォオ!」 EPISODE 13(終) 兄さん × だらけ 愛しのチェーーロよー(エコー)・・・
https://w.atwiki.jp/hoyoworkswiki/pages/729.html
今の時間は夜の8時50分。 映画が始まるまであと10分。 アルテミス さっきからずっと黙ってて、紋章らしくないわね。 紋章 ……。 さっきの先輩の反応があまりにおかしかったからよ。だから私もどう反応すればいいかわからなくなっちゃって。 アルテミス そんな事ないでしょう。 紋章 本当におかしかったよ。 それに、怖くなって。 アルテミス ちょっと、また私のことを脅かそうとしてるのかしら? 紋章 う〜ん…。 先輩の心の中の感情はとても豊かだから、気を付けないと何らかの体験と現実との混同が起きてしまってしまうと思うの。 アルテミス 聞いたことがあるわ。名優って言われている人の中には、役を演じた後も長期にわたって元 々の自分に戻ることができない人がいるそうね。 そして演じた人物の記憶のままでずっと生活していることがあるって。 だけどそういう現実との混同って、誇張して言われているものよね? 紋章 違うわ。 学園で練習している時に役に完全に成りきって、周りにいる人たちに全然気づかなかった時があったの、覚えてるでしょう? 誇張じゃないからこそ怖いのよ。 アルテミス ……。 紋章 プッ、先輩さっき、かなり慌てちゃってたでしょう? 怖がってる様子、やっぱりかわいいわ〜。 アルテミス もうっ—— 紋章 早く行きましょう、あと10分しかないわ。 アルテミス まったく.....あなたと真面目に話をした私がバカだったわ。 アルテミス もうたくさん人が並んでるわ。 すごく人が多いわね。 紋章 まあ名作の映画版の再上映だからね。 その素晴らしい内容に触れたい人が結構いるのよ。 枝門を出る前にチケットを見てわかってた。 座席の場所は真ん中あたり、三列目の11番と12番。 映画を鑑賞するのに理想的な席を確保していることから、紋章自身が素晴らしい内容に触れたい人のひとりだということを。 紋章 先輩はこの作品、見たことある? アルテミス 聞いたことだけ......。あっ—— そういえば小さい頃、お父さんに連れられてミュージカルを見に行ったのよね。でもまだ小さかったから……。 紋章 子供が見るにはちょっと早すぎよね。 アルテミス こういう内容の舞台があるって、お父さんによく連れて行ってもらったわ。 あの頃は三時間もじっと座って見てるの、本当に大変だったわ。 紋章 それが理由で先輩が舞台が嫌いにならなくて、ホントよかった。 アルテミス 同感よ。 でも……。 すごく行きたくなかったとしても、どの舞台も、小さい頃の私ですらぐっと目を引き付けられちゃう瞬間がいくつかあったのよ。 私たちの劇にも、そういう瞬間ってあるのかしら。 あれ……。 私ったら、何考えてるんだろう。 紋章 ……。 アルテミス そういえば、あなたが一緒に見に行くっていう映画、私てっきり......もっと派手な演出のものかと思ってたわ。 紋章 効果を考えれば、確かにそっちの方がいいのかもしれないけど。 これを選んだのには、少しだけ個人的な理由もあるの。 アルテミス この作品が好きとか? 紋章 なんて言えばいいのかしら.......。 オペラ座の怪人、この作品の主人公は残忍で高慢で、狂気じみていて孤独だけど、オ能に溢れているわ。 その彼が自分だけのヒロインを作ろうとする。 でも失敗しちゃうのよね。 クリスティーヌに対する愛がゆえに最後に諦めたのよ。 アルテミス もう、映画を見る前にストーリーを話すなんて悪い癖よ。 紋章 だって先輩、見たことがあるって言うし。 アルテミス そうは言ってもね.......。 紋章 ……。 この作品が好きか嫌いかは自分でもよくわからないの。 私も失敗したことがあるから、怪人の気持ちが少しわかるっていうのかな。 今この作品を見れば、きっと怪人の役にもっと入りこめそうな気がするのよ。 アルテミス 失敗したこと? 紋章 うん……。 なんか喉が渇いたから、飲み物とポップコーン買ってくるわね。先輩は並んでて。 私がおごるわ〜。 アルテミス 待って—— 一方的にしゃべったかと思うと、紋章は振り向きもせず映画館の中へと走っていった。 「行かないで。」 無意識の内に心の中でそう思っていた。 ある予感がしたから........。 彼女がこの場を離れてしまったら、もう二度と戻ってこないんじゃないかという予感が。 あの時と同じように。 アルテミス あの時? その瞬間、得も言われぬ心配が心の中をよぎった。頭の中もすごく混乱している。 アルテミス ダメよ、アルテミス。 彼女の話を意識しすぎちゃいけないわ。彼女のペースに巻き込まれたらもう負けなんだから。 とにかく列に並んで戻ってくるのを待ちましょう。 アルテミス ……。 遅いわね。 ポップコーンを買うのにそんなに時間がかかるかしら。 紋章に電話をかけた。 アルテミス ………。 「ただいま電話に出ることができません。時間をおいておかけ直しください。」 アルテミス 何してるのよ。 紋章はまだ戻ってこない。 アルテミス まさか今になってこっそり逃げたなんてことはないわよね..…。 映画館の入り口はこニーか所しかないし.......。 ……。 並んでた人たち、ほとんど行っちゃったじゃない。 紋章ったら......あと一分しか待たないから! 外で列を作っている人はもういない。 アルテミス 開始まであと二分しかないわ。 あの子、どこに行ったのよ。 人が捌けた売り場を覗いても紋章の姿はなかった。 アルテミス あれっ? 後ろに誰かがいるような気がするのに、振り向いても誰もいなかった。 —— 人はいなかったが、何かが地面に落ちていた。 アルテミス 9時上映……3列の12番?それって私たちの映画チケットだわ。 映画館の周りを見てみた。ほかの映画に並ぶ列もなく、並んでいた列の人たちも既に入場していたため、ほとんど人がいない状況だった。 そこに紋章の姿がないことは一目でわかった。 アルテミス チケットは持って.....拾ったわ。一枚だけだけど。 わかったわ。 ひとりだけ先に入って、チケットだけ置いていったのね。 それで放映が終わったら突然、私の前に現れて—— 「あら〜先輩、何時間もの間、ずっとそうして真面目に待っててくれたの、かわいい〜」 ……。 チケットの確認を受けて中に入れば、その予想が正しいかどうかがわかる。 アルテミス 想像通りだといいんだけど。 不安な思いを胸にチケットの確認を受け、指定された上映ホールの席へと向かった。 しかし……。 アルテミス いない。 紋章はそこにはいなかった。 しかも紋章だけではなかった。 上映ホールには私以外、誰もいなかった。 アルテミス 部屋を間違えたかしら? さっきあんなにたくさんの人が並んでたんだから、誰もいないはずなんてないもの。 名作を見ようっていう人たちが、どこかに隠れるなんてことあるはずないし.....。 何度も見直してみたが、そこは間違いなくチケットに書かれた上映ホールだった。 アルテミス 悪ふざけが過ぎるわ。 でも、そんなことできるはずが......。 紋章がいくらすごいとは言っても、あんなにたくさんの人を動員して私一人をからかうなんてことあるはずがないわ。 映画館なんていう公共の場なんだからなおさらよ。 あまりにも理解不能で、身の毛がよだつ気がした。 アルテミス とにかくここを出ましょう。 「——ピーターパンだ!」 アルテミス !? 外に出ようとしたところ、突然映画が始まった。 しかしスクリーンに映し出されたのは、見る予定だったものとは違っていた。 アルテミス どうして……。 放映されたのは『ピーターパン』だった。 流す映画を間違えたのかしら?今日の放映スケジュールには......いえ、ここ数か月のスケジュールにも『ピーターパン』はないはずよ。 しかし映画はそのまま流れていった。途中で止まることも、手違いの謝罪が行われることもなく。 まるで初めからこの内容の放映が決まっていたかのように。 「ティンク、ダメだよ、ティンク!」 「ティンクが死んじゃう。誰か!妖精はいると思うかい!」 アルテミス このセリフ、台本で見たわ。 私と紋章が出る.....重要なパートでのやり取りよ。 スクリーンに映し出された俳優たちの演技は下手だった。 動きも固く、セリフも棒読みで、カメラの動きも非常に不自然だった。 しかしピーターパンだけは違った。 ピーターパンだけは真に迫っていて、ほかのどの役者よりも生き生きとしていた。 演じている役者たちは私たちではなかったけど。 でもその映画にはまるで自分の影が映し出されているように感じた。 まるで.....この映画を通じて誰かがこう言っているのではないかと思った。 おまえたちの演じるピーターパンなんて、今流している映画と同じ、これっぽっちも見る価値なんてない。 アルテミス 誰よ!こんな冗談、ちっとも面白くないわ! その問いに答えるものはいなかった。 誰もいない上映ホールに自分の声と、映画の音楽だけが響いた。 薄気味悪い雰囲気の中で映画は終了した。 照明がつき、職員がドアを開け掃除をし始めた。 まるで何事もなかったかのように。 まるで.....『ピーターパン』が放映されたのを知っているのは私だけであるかのように。 アルテミス どういう......事なの.......。 めまいがした。 理解できないことだらけ。紋章はいなくなるし、心の中の不安感も際限なく大きくなっていく。映画館の外に出て深呼吸しても状況は改善しなかった。 ……。 アルテミス ………。 ハァ。 紋章にもう一度電話をかけてみた。 アルテミス やっぱり出ないわ。 もう、どこ行っちゃったのよ.....。 うん? 足元に何かある。 カード状のものに何か書いてある。 「この世界にはある秘密が存在している。知りたい?」 アルテミス このカード、どこかで見たことがあるような気がするわ。 カードを裏返すとインクの匂いが漂ってきた。おそらくマーカーで書かれたばかりなのだろう。そこには次のように綴ってあった。 「この世界には秘密が存在する.....あなたなら、いやあなただけがそれを知っている。」 アルテミス ……。 とにかく紋章を見つけてから考えましょう。 警官 何かお困りですか? アルテミス 友だちとはぐれてしまったんです。 私と同じくらいの背丈で、悪だくみしてそうな顔をした女子生徒を見かけませんでしたか? そういえば......写真、写真があります。 警察官に紋章の写真を見せた。 警官 あなたが探してるその人だけど......。 警察官はしばらく困ったような表情を見せた。目線は私の隣に向いているようにも見えた。 しかしそこには誰もいなかった。 警官 見覚えがありませんね。 アルテミス そうですか..…。 警官 はぐれてどれくらい経ちますか? アルテミス 大体、一時間くらいです。 警官 一時間……。 ……。 君は大丈夫ですか? アルテミス えっ? 私ですか?私は大丈夫です。 彼女、いたずら好きな所があるので、私をからかうために一時的に隠れてるだけだと思います。 でも、なかなか見つからないから少し心配になってしまったんです。 もう少し探してみます。すみませんでした。 警官 ……。 小走りにその場を離れた。 アルテミス 早く戻ってきてよ。戻ってこなかったら行方不明って言って届け出ちゃうからね。 ギター姉 ハ~イ、月の光のお嬢さん〜。 アルテミス そういう風に呼ぶの、できればやめてくれないかしら.....。 ギター姉 そんなに慌ててどこに行くんだい? アルテミス 人を探してるんです。 もし彼女を見つけたら.....私に歌を歌うようそそのかした茶色の髪の子を見つけたら、 すぐに私に連絡するよう伝えてもらえませんか? ギター姉 ああ、彼女だったら....。 ギター妹 姉貴、きっとあれだぜ!PUNK! 特別な演出のやり方とかあるだろう、きっとその類だ! ギター姉 へェ〜、月の光のお嬢さん、あんたたちずいぶんROCKだね。 アルテミス へっ? 二人とも会話にどんどん夢中になり、いつの間にか私の存在に気づかなくなっていた。 アルテミス 一体なんなのよ……。 これ以上、時間を無駄にするのはよそう。 少女 あっ!さっきのきれいなお姉ちゃんだ! アルテミス こんなにそいのに、まだお家に帰らないの? 気をつけてね。 少女 うん〜。ママ、もうすぐ来るって言ってたんだ。お店屋さんで待っててだってさ。 あれ……。 お姉ちゃん何かあった?なんだか心配そうな顔してるけど。 アルテミス ああ……。 友だちとはぐれちゃって、探してるところなのよ。 少女 それは大変! さっきお店で知り合った探偵さんがまだいてくれたらよかったんだけどな.....。 そうだ! お姉ちゃん、係の人に言って放送してもらったらいいんじゃない!? わたしもショッピングセンターとかで迷子になると、ママがいつもそうして探してくれるの。 アルテミス 放送……。 でもそれはさすがに、はぐれたその子も恥ずかしくなっちゃうんじゃないかしら。 少女 ダメ? アルテミス ううん、どうしても必要になったらその方法も試してみるわ。ありがとう。 ただかくれんぼをしてるだけかもしれないし、次の瞬間いきなり現れるかもしれないもの。 もうちょっと探してみるわ。あなたも変な人についていかないように、気を付けるのよ。 少女 わたし、ついて行ったりしないよ〜。 アルテミス じゃあね、バイバイ。 そうだ、この店に私と一緒に来た茶色い髪の女の子をもし見かけたら。 うん......その子にすぐにアルテミスに電話するよう伝えてもらえないかしら! 少女 えっ? でも……。 少女は何か言いたそうだったが、別の方向を一瞬見ると、疑問に満ちていたその表情が元の笑顔へと戻った。 そして会った時と同様に微笑みながら私に手を振った。 紋章を見かけた人は誰もいなかった。 さっき話しかけた人たちに聞いてみたけど、誰からも手がかりが得られなかった。 でもみんな紋章を見かけなかったというか......何かの話題をわざと避けながら話しているような気がしたのはなぜかしら。 まるで「紋章」が存在しないかのような話しぶりだった。 アルテミス 紋章......私を探しに映画館に戻ってないかしら.......。 ここまで慌てふためいて人を探すなんて初めてだった。彼女に何かあったらと思うと怖かった。でも、彼女がいなくなってからまだ一時間だったし、心のどこかでまだ大げさだと思う自分がいた。 こういう出来事に直面すると人は迷ってしまうという話、本当だったのね。 こういう体験もしっかりと覚えておかないと......。 アルテミス !? ……。 この状況で、私ったら何考えてるのかしら。 紋章が突然いなくなった事も「体験」の一環だと捉えるだなんて。 「先輩の心の中の感情はとても豊かだから、気を付けないと何らかの体験と現実との混同が起きてしまってしまうと思うの。」 アルテミス そんな事あるわけがないわ。私、そういうすごい俳優とかじゃ全然ないもの。 そうよ、彼女が私を探しに映画館に戻ってくるって強く信じればもしかしたら.....。 経緯はともかく、私たちははぐれてしまったのよ。 元の場所に戻って待つのが正しい選択よね。 両足が自然と動きだした。そして私の意識に寄り添うかのように、私の体を映画館へと連れていってくれた。 しかし、期待してはいけないという気持ちに全身を支配されていた。 そこに近づけば近づくほど、その気持ちは更に強くなっていったのだった。 それは視界に紋章がいないことだけが原因ではなかった。 アルテミス 私……。 今日一日、紋章と遊びに来て。 ティンカーベルをうまく演じたいと思って、方々で彼女とバカみたいなことをした。 それは紛れもなく実感に満ちた体験だった。 でも、いつもどこかに違和感があって、疑わしく感じずにはいられなかった。 今日起きた事を考えれば考えるほど、その疑いが真実のように感じられる。 でも荒唐無稽で、元々は全然信じてなかったけれど。 だけど……。 ——いい成績が全然出なかったとしたら。先輩はどう思うのかな? アルテミス この世界にはある秘密が存在している。 もしかしたら本当にそうなのかもしれないわ。 なぜ『ピーターパン』が流れたのか。 なぜ......あなたは突然、姿を消したのか。 でももし本当にそうだとしたら、あなたにはそれを隠さないでいて欲しいの。 私の前にまた現れて、教えて欲しい...…。 あなた自ら。お願い。 私、そこで待ってるから。 映画館に戻ろう。 アルテミス ここにいれば紋章は戻ってくるはず。 紋章 ……。 アルテミス ……。 ここで待っていれば戻ってくると思ってたわ。 紋章 私、どこにも行ってなかったの。ずっとそばにいたのよ。 アルテミス そうよね……。 「紋章が戻ってくる」って繰り返し自分にそう言い聞かせれば、あなたは現れてくれるはずだもの。 思った通りだったわ。 紋章 いつ気が付いたの? アルテミス ……。 今日、出発する前からどこかおかしな感じがしてたわ。 紋章、あなたは.......。 いえ、私は—— あの世界にどれくらいいたのかしら。 あの「演技」という世界に。 紋章 そんなに長くないけど、短くもないわね。 全国大会が終わってから、先輩はずっと「演じて」いたのよ。 役者として大会に参加したことのない「アルテミス」を——演じていたの。 アルテミス そうだったのね........。 それで私、そのこと自体忘れてしまっていたのね.....。 私たちの舞台劇が実はもうとっくに終わってしまっていたという事実を——自ら望んで忘れていたのね。 ……。 ………。 (回想) 星綺 この劇について、みんなの意見を聞かせてほしい。 コンテストに参加するのか、それともある程度楽しめればいいっていう感じにするのか。 始めにこうして決めておけば、後で文句を言うこともなくなるよね。 バビロン学園の演劇部には、名門として活躍した輝かしい過去があったかもしれない。 全国大会に参加するにしても、ちょっと面白い工夫とまあまあの演技をするだけで簡単に初戦を突することができる。 その後も他校を次々と破って——決勝へと駒を進めることができた。 そう、これは過去の歴史であって演劇部の記述として残っていること。 最近の演劇部は決してそうではなかった。 私が入って以降の演劇部は、既にどれほど努力しても初戦を突碱できないレベルになってしまっていた。 演劇部のメンバーたちにとって、かつてのように再び全国に駒を進めること自体、到底実現することのできない夢のまた夢となっていた。 全国大会は.....学生に対してだけ開かれたコンテストではなかった。 既に卒業し、社会に出た人たちで構成された団体で参加する人たちもいた。 コンテストの相手は、私たちが想像していたよりもずっとすごく、恐ろしかった。 「どうする、参加する~?しない〜?」 メンバーたちの議論する声であたりは包まれた。 アルテミス でも実際には、相手が手強すぎる事だけが原因じゃなかったわ。 大会に参加するだけの実力が私たちになかったのよ。 紋章 落胆したということを言いたいのよね、先輩は。 アルテミス 違うわ、期待を抱いていなければそもそも落胆なんてするわけがないもの。 紋章 本当に素直じゃないわね。 期待してないんだったら、どうしてこういう場をもったの? アルテミス ……。 紋章 信じてさえいれば変えられる、そういう風に思っている人がまだいるはずよ。 あなたも含めて。 どうする、また新しくチャレンジする? 既にある変わらない現状を打彼して、自分がかって夢見た未来を真に追い求めてみる? アルテミス 現状を打破...…。 紋章 私たちに残された時間はもう多くないわ。 この狂気の世界で.....私に付き合って。 ……。 (回想終) そう、あれがすべての物語の始まりだった。 …………。 (回想) 1、2、3、4……。 はい、ここまで! 星綺 完璧だったよ!みんなお疲れ様〜! 演劇部の部員 アルテミスの状態、かなりいいわね。今回は私たち、希望持てるんじゃないかな? 今回の役者は、超豪華だしね! アルテミス ありがとう。 私、まだまだだけど頑張ってみんなについていくから。 紋章からの提案で、私は大胆な決断をした。 主役として、役者として舞台に登るという決断を。 私は変わりたかった.....そして何よりも証明したかった。 自分がしたいと決めたことにおいて結果を出せることを。 でも……。 「8位に入賞したのは——」 司会者が順位を読み上げている。 星綺 お願い! 高学年の先輩 大丈夫よ、結構うまくできたし。 お客さんの反応もよかったし、今回は絶対いけるわよ! アルテミス ……。 お願い。 こんなに緊張したのは初めてだった。 ステージに立つ時よりもずっと緊張した。 「7位は——」 下位から順番に入賞チームが発表されていく。 周りから歓声が聞こえてくる。しかし私たちは心に大きな石がのしかかったかのような重圧を胸に、ただ祈ることしかできなかった。 「5位のチームは——」 早く、早く呼ばれて……。 紋章 ……。 どうやらよくない結果みたいね。 「4位——」 正直言うと、その時の私は希望を抱いていなかった。 私たちが上位4位に入賞する?そんな事、絶対にありえなかった。 それでも何かの間違いがあるかも、というかすかな気持ちを持っていた。 元々信じられないような事を、私はその時、現実になるかもしれないと思っていた。 万が一、私たちがいつもよりずっと内容の良い劇をしていたら、万が一.....童話の中の奇跡が起きたかのように一位を受賞したとしたら? 努力と覚悟は裏切らないはず—— 星綺 ……。 フッ……。 いつの間にか星綺先輩が立ち上がっていた。 アルテミス 順位は?何番まで呼ばれたの....。 ため息も、悔しさで泣く声もしなかった。ただただ静まり返っていた。 きっとまだ私たちが呼ばれていないから、みんな緊張のあまり息をすることすら忘れているのよ—— 星綺 行こう。 アルテミス 行くって……どこに? その時、私はようやく気が付いた。 星綺先輩の頬を涙が流れ落ちていることに。それでも彼女は微笑んでいた。 星綺 帰ろう。 ……。 失意と悔いが、声を奪っていただけだった。 涙だけがとめどなくしたたり落ち、司会者の結果発表の声も聞こえなくなっていた。 落選、それが結果だった。 どんな期待を抱こうとも、何をどう変えたとしても。 私たちは落選してしまったのだ。 (回想終) アルテミス 『ピーターパン』……。 それは私たちが大会に参加した時の演目だったわ。 巡演公演の劇なんかじゃなかったのね。 落選に終わった後、演劇部のメンバーたちはあなたも含めて、ほとんど部活に来なくなってしまった。 紋章 だから先輩の視界から私は「消滅」したのよ。 先輩の心の奥底にある潜在意識が「紋章は去ってしまう」と先輩に訴えるがゆえに。 アルテミス 演劇部はそれ以降分裂してしまって、以前とまったく違う状態になってしまったのよね。 私が役者として参加していなかったら、結果は違っていたのかしら。 あれが全国大会なんかじゃなく、ただの高校の巡演公演だったら.......。 みんなあんな苦しい思いをせずに済んだのかしら。 紋章 先輩......ずっとそういう自責の念に苛まれていたのよね。 だから自分を欺いていた。大会は始まっていない、劇をするのも大会じゃなくお遊びだと。 チャンスはまだあると。 アルテミス ハハハ……。 滑稽だわ。自分をそこまで騙せるくらい演技が上手だったら、本番でうまくいかないなんてことないはずなのにね。 紋章 感情の爆発って一言で言っても、強弱の違いがあると思うの。 先輩は色々と聞き分けのいい人だから、ティンカーベルという人物の理解がどうしても足りない部分が出てくると思うのよね。 だけど……。 それ以上紋章は言わなかったが、言わんとしていることが私には伝わった。 自らの後悔の念、それにみんなの失意が私にとって最も強烈な感情になった。 紋章 私、ずっと先輩に合わせてきたの。 先輩が自分を欺きたいと思っているから、私は先輩の相手役となって。 先輩が「存在しない高校合同演公演」を演じるのにずっと付き添ってきたの。 アルテミス ……。 もっと早く演技の世界から私を呼び起こしてくれればよかったのに。 紋章 だって私にも責任があるから。 先輩をこの世界に連れてきたの、私だもん。 私が.....先輩にそういう演技の方法を教えてしまったから。 私のちょっとした勝手な考えで、危うく先輩をダメにしてしまうところだった。 アルテミス …… 少し気持ちを整理する時間が欲しいわ。 これまでの体験がすべて私の空想だったということは、巡演公演も実際には存在しないということよね。 それじゃあ私、これからどうすればいいというの.....。 紋章 ……。 すべてが空想というわけじゃないわ。 だってあれは私たちが、みんなが確かに過ごした時間だった。 それを壊されたくなかったから、先輩は心の中でそれを繰り返し体験してただけなのよ。 そう言うと紋章は微笑んだ。一番最初に私を指導した時の、あの寂しげな笑顔で。 そして彼女は商店街を進んでいった。 アルテミス どこに行くの? 紋章 アルテミス先輩、無事元の状態に戻ることができたじゃない。だから私の任務も終わったし、もう一緒に演じ続ける必要もなくなったから。 私、決めてたんだ。もし先輩がずっと逃避し続けるのなら、私も...…。 先輩と一緒にずっと演じていこうって。 私たちがアルテミス先輩にプレッシャーをかけすぎちゃったのよね。 「あの世界」にもう戻らないためにも。 演技のことはもう諦めましょう、アルテミス先輩。 私は紋章がそう言い残し去っていくのを黙って見ていることしかできなかった。引き留めるだけの力すらもう残っていなかったから。 持っていた目標が一瞬の内になくなってしまった。 (学園・演劇部に戻る) カメラね……。 いつも劇が終わるとこのカメラで集合写真とか撮ってたのよね。 同じ場所でも、その都度違う人と一緒に立って撮ったりして。 まさに回を重ねて歩んできた足跡ね。 アルテミス あら? カメラの下に写真が挟まっている。 アルテミス これは読み合わせの時に先輩のひとりが撮ったものだわ。 あの時、台本の内容が紋章に書き換えられてしまっていたけど、私、こんなに集中してたのね。 写真を撮られていることすら気が付かなかった。 アルテミス あの時はバカみたいに騒いでたけど。 でも私たち……。 こんな笑顔を見せてたんだね。 舞台劇の脚本だ。 『ピーターパン』の表題が消され、『大きくならない子』になっていた。 内容が修正されているみたい.......。 アルテミス 修正された部分だけを見るとすると........。 第一場のティンカーベルとピーターパンのセリフ。 ティンカーベルを子供たちに会わせるために、ピーターパンが招いた子供たちは既に島に来ている形になっているわ。 第二場はほぼすべて変えられているわね。ピーターパンとウェンディたちがネバーランドに来る際の過程が省かれているわ。 第一場の修正はこの部分へとつなげるためなのね.......。 次のシーンは雷鳴はそのままだけど、子供たちが雷鳴の轟く嵐の中で遊ぶ展開に変わって、テインカーベルも一緒に楽しむ形になっているわ。 「彼女たちは夢にまで見たネバーランドへとやってきた。嵐ですら彼女たちの小躍りする心を止めることはできなかった。」星綺部長、脚注まで書いてるわね。 次の第三場の前半はあまり変わってないようね。海賊が登場して、嵐よりももっと恐ろしい試練となるのね。 後半は子供たちと海賊たちとの駆け引きね。ティンカーベルの自分勝手な行動によって、トゥートルズが誤ってウェンディを号で射ってしまう。 第四場は、その前にあった出来事が理由で、ティンカーベルが皆の元を去った。この時、ネバーランドはまるで魔窟のようにティンカーベルの目に映り、役者の動きやダンスの表現も得体の知れないモンスターを表現するものへと変わってるわ。そしてティンカーベルはすごく怖がっている。 まさにこの時、ネバーランドから光が発せられ、子供たちが散り散りになり、フラミンゴもあちこちを飛び回る。 そしてティンカーベルは、ピーターパンと海賊たちの決戦があるということをフラミンゴから聞いて知る。迷うティンカーベルはみんなと一緒に嵐にすら勝利したことを思い出して、戻ってピーターパンを助けに行くことにする。 第五場では、ティンカーベルが子供たちに謝り、子供たちの海賊と戦う勇気を呼び起こしてピーターパンを助け、勝利へと導く。 「みんな、海賊が理由でネバーランドを嫌いになるようなことはなかった。子供たちが本当にネバーランドを離れたいと思ってしまったら、ネバーランドは消滅しティンカーベルも消滅してしまうから。」 それでティンカーベルは無事、みんなの元へと戻ることができ、力を合わせて戦いに勝つができた。 あら?最後にマークされてる部分があるみたい......。 こうして子供たちは勇気を持つことができた。ティンカーベルは.....みんなのそれに応える使者だったのだ。 そう、「それ」とは笑い声のかけらから生まれ、もたらされた最も純粋な楽しさのことだ。 ……。 道具係ではない私たちも、時々演劇部に来て座って—— 地べたに座ってパネルの道具を一緒に作ったりしてたのよね。 (スプレーを振ってみた……。) 中身がまだ残ってるみたいね。 あの時、私がこれを使って草のパネルを作ったんだっけ? そういう経験、初めてだったわ......。 私、これからどうすべきなんだろう。 そう考えながら歩いていると、知らず知らずのうちに演劇部へと戻ってきていた。 誰もいない演劇部は元の姿のままだった。 道具や色々な物があちこちに置かれている。いらないと思った頃に突然必要になるからだろうか。もしかすると.....みんな疲れて片づけるのが面倒くさくなっただけなのかもしれないけど。 ゴミ溜めのように汚いとまでは言わないけど、かなり散らかっているわ。 アルテミス だけど、どれもこれもたくさんの思い出がある.....。 さっきもそうだったけど、これらの物を手に取ると、演劇部の仲間たちと楽しく過ごした日々を思い出す。 私、どうして演劇部に入ったんだろう.....。 この劇に参加した時、私ずっとそれについて考えていた。 アルテミス その答えはもう見つけられたのかしら? 高等部に進学してから、学園で寮生活することに決めて。 演劇部での活動もその頃から始めたのよね。 家での堅苦しいルールから少しでも離れたいと、あの時は思っていた。 そして嵐を逃れる船のように逃げてきて、ここでの生活を始めた。私は演劇部にいる時だけ、自分の時間と自分の意思による選択ができているという実感を持つことができたのよね。 そう、演劇部に訪れるようになったきっかけは逃避だった。 でも……。 意味もなくふざけあったり、思いっきり打ち込んで汗を流したり、屈託なく笑いあったり。 そうする中でみんなとの結びつきがどんどん強くなって、心の中の夢が日を追うごとに明確になっていった。 そして、いつかみんなと一緒に、何か形になるものを残したいと思うようになった。 最終的に傷だらけになって、後悔と苦しみがこのがらんとした部室に満ち溢れることにはなったけど。 それも思い出の一部として今の今まで残されている。 それらが私を演劇部にずっと留まらせているんだわ。 アルテミス 演劇部に入った理由は今はもう重要じゃない。 みんなともっとたくさんの思い出を作りたい。成功だろうと失敗だろうと結果なんてどうでもいい。とにかくみんなと一緒にステージでたくさんの劇を演したい。 それこそが今、私が本当にやりたい事よ。 星綺 ようやくアルテミスさんの本心を聞くことができたね。 アルテミス 星綺部長!?どうしてここに.……。 星綺 もうすぐ退くにしても、今は私が演劇部の部長なんだから、ここにいても別におかしくないでしょ? アルテミス ごめんなさい。私が勝手なことを言い始めたばかりに、みんなの努力を無駄にしてしまいました。 星綺 謝罪は受け取ったよ。負けず嫌いのあなただから、今の言葉、とても勇気が必要だっただろうね。 実のところ、あなたの事を責める人なんて誰もいないんだけどね。あなたは本当に自分に厳しいんだから。 私たちもね、勝手にあなたと紋章さんにかなり期待しちゃってた所があったし、まあお相子ってことで。 アルテミス はぁ……。 星綺 アルテミスさん。 ネバーランドって知ってる? アルテミス 私たちが演じた劇の中にネバーランドが出てきますよね。 ピーターパンの家がある、子供たちの楽園だったと思います。 星綺 それは単に名詞としての説明だよね。実際の劇でも出演したし、心の中での劇にも出演したしね。 でも、ネバーランドの存在理由を深く理解できてないんじゃないかな? アルテミス えっ? 星綺 ネバーランドはね、ここにあるんだよ。 星綺部長が背伸びをして私の頭をさわった。 星綺 人によってそれぞれネバーランドは違う。人によって追い求めるものが違うからね。 ネバーランドは心の楽園であって、夢のような天国でもある。 ネバーランドではみんな、不可能な事なんてないと思っていて。 常識にとらわれず、人から責められる事もまったく心配しなくていいんだ。 アルテミス つまり......白昼夢みたいなものですか? 星綺 リアリストっていうのかな?アルテミスさんみたいに物分かりのいい子って、そういう所の見方が冷めてたりするよね。 私はずっとこう思ってた——演劇部はメンバー全員にとってのネバーランドなんだって。 だからそこでみんなの願いを実現したかった。みんながやりたいと思うことはなんでもやろうと思ってた。 でもあの自由奔放な舞台劇を演じる中で、みんな次第に演技を楽しむよりも、大会で勝ち抜けるかどうかに注意がいくようになっちゃってさ。 本来は空を駆け巡ることのできる自由さが、「勝利」という名の世界に囚われれてしまった。 演劇部の活動はみんな好きだからしているわけで、どうしなくちゃいけないとか、どうあるべきとかいうものではないはずなのにね。 アルテミス それで星綺部長はこの題材を選んだのですね.......。 星綺 私はあなたたちのことを責めたりしないよ。私だってもっと上の舞台に行ってみたいと思ってるから。 でも、もしここが今のあなたたちにとっての「ネバーランド」なら、周りの人たちの声に惑わされて右往左往しないで欲しい。 勝ち抜けるのなんて不可能だとか、学生レベルの劇団としての限界だとか、そういうのはすべて忘れて欲しいんだ。 思い切って、今回は勝てるって信じてみようよ。負けたら負けたで思いっきり泣いてさ。また次回、思いっきりやればいいだけなんだから! それは......学生でいられる数年間だけ許された特権のようなものなんだからさ! アルテミス !? 星綺 演劇部は今も分裂なんてしていよ......分裂どころか、みんなあなたの事を心配してる。でも紋章さんは、大丈夫だから自分に任せてって言ってね.......あの子はこういう真面目な事でも大きく出る所があるんだよね。 アルテミスさんが望めば、演劇部のみんなはまた集まるから。 アルテミス みんな頑張って、それでも結果に結びつかないとしても......ですか? 星綺 みんながどういう判断を下すのか、それはみんな次第だよ。でもあなた自身の事は説得できるはず。 星綺 みんなが考えている世界に耳を傾けてみて。そうすれば、本当はあなたがどういう選択をしたいと思っているのか、きっと見えてくるはずだから。 アルテミス ……。 私、紋章の言う「別の世界」にはまり込んでしまう事を恐れているわけじゃないんです。 私が恐れているのは、前へと続く道が見えなくなってしまう事です。 私.....みんなを連れ戻してきます。 いつも人を小ばかにするようなあの子も、私が連れ戻します。 もう一度信じてやってみます......。 星綺 頑張ってね。 ……。 …………。 行っちゃった。 アルテミスさんには言わなかったけど—— あの時、あなたが出演するって言う前から、紋章さんはあなたの事をこう言って推薦してたんだよ。 「子供のような純粋な心を持った、世界に夢のような未来があると信じているような人だから、もしかするとピーターパンに一番ピッタリな人物かもしれない」ってね。 でもあなたは純真であるがあまり騙されやすく、あれこれと悩んでしまいがちで。それで次第にそのまなざしも暗い霧に遮られるようになってしまった。 それでも、あなたの心の中の炎は弱まりながらも燃え続けた。その足元を再び照らすために。 だからアルテミスさんはあの後もずっと演劇部に留まり続けていた。 小さい頃って何を考えてもいいものなんだから。子供だからと周りも大目に見てくれるし。 でも成長して大きくなると、私たちは非合理的なものを否定するようになって、より成長した大人もそれを否定するのを支えるようになって。 ネバーランドも次第に消えてなくなってしまう。 そして自然と、妖精の存在も、人が本当は空を飛べることも誰も信じなくなってしまうんだ。 そうそう、最後に物語をひとつ話しておこうかな。 昔々、ある所に女の子がいました。 女の子はある日、月明りの下で両目に全銀河が収まってしまいそうなくらい光り輝いているひとりの女の子を見かけました。 その子の両目は手をいくら伸ばしても届かない、はるか遠くを見つめていました。 女の子がその子を見かけたのはそれっきりでした。 女の子はもう一度その子に会いたいと心から願っていました。 会うことができれば、自分もその星の光の道を進むことができるのではないかと思ったからです。 女の子がその思いを胸に秘めたまま、時は一年、また一年と過ぎ、そしてある日.......。 そしてある日—— 女の子はステージ上で月の光が舞っているのを見ました。 学園の生徒募集のためのパーティーでの舞台ではありましたが、とても煌びやかでした。 その子の目は以前のように前を見据えてはいましたが、輝きはかなり失われているように見えました。 —— そして女の子は、その学園に進学することに決めました。 女の子......今や少女となった子はこう決意しました。 かって自分が追い求めた星の光に、再び輝きを取り戻させるんだと。 そして……。 最後の舞台が幕を開けました。
https://w.atwiki.jp/hoyoworkswiki/pages/730.html
——あの日の景色を、私は決して忘れてはいけない。 高い所に立つと、目の前にある街頭がひとつひとつ灯っていった。まるでステージの足元の照明のように。 日頃、何度歩いたか数えきれない歩道ですら、あの時はとても美しく感じられた。 あの場所で踊りたい。あの道をずっと走り続けたい。 たとえ悔し涙を流す最後の場面しか記憶に残っていなかったとしても、信じずにはいられない—— その先の未来が訪れることを。 アルテミス 忘れたわけじゃないわ。 ただ……。 「理想」というものがまぶしすぎる存在になってしまっただけ。 あまりにもまぶしくて、目をそらしてしまうほどに。 ……。 3月11日、星綺先輩が部長として全国大会に挑戦するグループを結成した。 紋章の推薦を受けた私は、初めて主役として出場することになった。 3月12日、私は紋章や他の演劇部のメンバーたちと共に演技について学び始めた。 4月14日、ティンカーベルの衣装を初めて着た。その後も役に近づけるように、練習の際はほぼ毎回、その衣装を着た。 そして5月3日、3日間行われた大会の最終日、私たちは演技に臨み—— 同じ日の午後5時に予選の結果が発表された。 バビロン演劇部の『大きくならない子』は予選を勝ち抜くことができなかった。 アルテミス その翌日の5月4日から、私たちは演劇部に集まらなくなってしまったわ。 みんなが自信を失ってしまったということが私には分かった.......いいえ、私はこれまでずっとそう思っていたの。 あるいは、演劇部で辛抱強く取り組む意欲を失ってしまったのだと。 気分が落ち込む中、5月6日に.......。 私はまた「未経験」の役者としてバビロン演劇部のリハーサルに参加した。そう、存在しないはずの劇のリハーサルに。 そうして繰り返し自分を騙してきた。もし私たちの劇が初めから全国大会に参加するためのものではなかったら。 どうでもいい、ただの出し物のようなものだったら。 一連の記憶も忘れ去ることなく私の中に残り続けたかもしれない。劇の後にみんなが.....演劇部が散り散りになってしまうこともなかったかもしれない。 貪欲にも結果を欲してしまったがあまりに。 私は頭の中で、自分の視線すら完全に遮って.....現実には存在しない舞台を作り上げてしまったわ。 アルテミス そして今日—— 最高の劇は演じられないかもしれないけど......身勝手なお願いかもしれないけど—— どうか、戻ってきて一緒に劇をやって欲しい。 あなたたちの心の中の物語を私に聞かせて。 あなたたちが夢見たネバーランドを私の前で描いて見せて。 またバカみたいなことを繰り返すだけ、そう思ってもらってもいいから.....。どうかもう一度、私と一緒に演じて欲しい。 ……。 アルテミス それにあなたもね。 勝手に逃げたりしたらダメよ。 ティンカーベル だって私は——もうこっちの世界にいるんだから。 学園の枝門と舞台の緞帳。それらはまるで重なり合っているかのよう。 そして……。 幕が開けた。 ピーターパン ティンクはもう戻ってこない。 ティンカーベル ふたつ目の角を右に曲がって、夜が明けるまでまっすぐ行くとあなたの家—— ピーターパン、そこがあなたの家なの。 ネバーランドに戻りたいと誰よりも望んでいるのはピーターパン、あなたよ。 ネバーランドが消滅することを、あなたはきっと望んでいないはず。 永遠に成長しないとしても、ネバーランドが消滅することなんか望んでいない。 あなただけじゃない。みんなもそんなことは望んでいないわ! 今から.....私がそれを証明するわ。 チリンチリン、ティンクが戻って来たよ! 双子A ティンク、戻ってきたんだね! 双子B でも僕、もう戻りたくないよ。フック船長すごく怖いし、ネバーランドは危険過ぎるよ! ティンカーベル ネバーランドには本当に危険しかないの!?フック船長は絶対に倒せないとでもいうの!? 双子A ピーターですらどうにもならないんだから、ティンクにも無理だよ! 双子B 絶対に勝てっこないよ! ティンカーベル 私もそう思う……。 でもネバーランドには恐ろしくて危険な事しかないわけじゃないの。 私......もう一度見たいの! かつてネバーランドでみんなと一緒に見た、今では完全に忘れてしまったあの景色を。 あなたたち、出てきなさい! ティンカーベル 私に見つかっちゃったわね。 今回のかくれんぼもあなたたちの負けね! 双子A 負けるのも無理ないよ。だってティンクは飛べるから。 双子B 僕たちは飛べないもん。僕たち、ティンクみたいにすごくないし。 ティンカーベル バカ! すてきで素晴らしい事さえ考えていれば、あなたたちも空を飛べるのよ! あなたたちが言うように私が本当にすごいだけの存在なら、過ちをおかしてウェンディにケガをさせてしまうこともなかったはずでしょう。 ……。 私、あなたたちに本当に一緒に来てもらいたい。でも......。 でも、そのあとみんなが何を得られるのか、私にはわからない。 だから私、自分のことを説得したいと思ったの! ねえ、あなたたちにとってこのネバーランドの真の姿ってどういうものなのかな? ティンカーベル 私、聞きたいの。あなたたちにとって.......。 アルテミス このネバーランドの真の姿が......どういうものなのかを。 双子A ……。 双子Aの役者 私にとっての……。 双子B 真の……。 双子Bの役者 姿がどういうものかを? アルテミス 私は勝てない大会に出てプレッシャーと後悔の念を感じたわ。 あなたたちもきっとそうよね? じゃああなたたちにとって、演劇部で過ごした時間はどういうものだったのかしら。 それを聞きたいの。 あなたたちにとってそれがどういう世界だったのか、あなたたちの口から聞きたいのよ—— 双子Aの役者 う〜ん……。 双子Bの役者 もちろんそれだけじゃないわ! 双子Aの役者 あなた……。 双子Bの役者 みんなとお化粧をして、かつらをかぶるだけでまったく別の人になれるだなんて想像もしてなかった。 以前だったらそういうの笑い飛ばしてたかもしれないけど、今じゃこれまで体験したことのない人物ですら演じることができるんだってわかった。 ここには新鮮なものや、普段の生活では体験できないものがたくさんあふれてて......それまではテレビでしか見なかったような事とかもね。 私はここで勇者になったこともあるし、双子のお姉ちゃんなったりしてさ! こういうのって、本を読んだりして学ぶことのできるものじゃないと思うのよね! 双子Aの役者 ……。 私も同じ! 失敗が続けばもちろんすごくつらいよ。 でもだからこそ、なんとしても一度は勝ちたいと思うの。 初めの頃はこれが先輩たちの夢なんだって思ってたけど、何度も劇をするうちにいつの間にか私自身の事になって。 私、ここに来るためだったらどんなに早起きだって平気だし、練習がいくら長引いたって一度も退屈しなかった。 私はそういう世界がすごく好きだったんだ。 アルテミス ……。 それはつまり......とてもいい思い出があるという事よね。 あなたたちの気持ちは伝わったわ。 ふたりに差し出したその手に、もう以前のような迷いはなかった。 なぜなら私もそうした思い出があったからこそ再び舞台へと戻ってきたのだから。 アルテミス 一緒にやりましょう。もう一度......もっとたくさんの新しい思い出を作るのよ。 ティンカーベル 恐ろしい敵がいるからこそ、心に恐怖を抱く人も存在する。 私も例外じゃないわ。 だからあの時、逃げてしまった。 そういう恐ろしい敵が、また他の人たちを傷つけてしまうのが怖かった。 みんなの苦しい表情を再び目にするのが怖かったの。 だけどそれだけじゃない。 ピーター!これまで私たちが出会った、このネバーランドでずっと暮らす人々は......。 一度挫けたらもう立ち上がれない人たちばかりじゃないのよ。 トゥートルズ ティンク、戻ってきたんだね! 君ならきっと戻ってくると思っていたよ。 ティンカーベル あなたずっと頑張ってるわね! みんながいなくなってあなただけになっても、粘り強く戦い続けているだなんて。 トゥートルズ あの時、後悔した気持ちがまだはっきりと残っているから。 僕はもう二度と—— トゥートルズ役の少女 二度と自分のために言い訳を探すようなことはしたくないから。 私たちに正しい選択が何かを教えてくれる人はいない。 採点の基準もわからない。加点項目も禁止項目も、結局自分たちが決めているだけなのよね。 私たちがいるのはそういう世界なのよ。 アルテミス 「あの時、ぐるりと回る動作をしない方がよかったのかしら」、「場所がずれるミスがなかったら、評価はまた違ったんじゃないかしら」、「もし道具をあの時落っことさなかったら」……。 トゥートルズ役の少女 「動作が終わった後にふらつかない」、「飾りや道具が落ちたとしても、何事もなかったかのように演じ続ける」、「演技を間違ったとしても自然に振る舞い演じなおさない」....。 アルテミス 基準となる答えはないとしても、それでも私たちがしっかりやろうとこだわり続けた事はたくさんあったわ。 世界全体のルールを私たち自身が決めているかのように。 トゥートルズ役の少女 小さい頃ゲームをした時みたいに、世界を自分で作ったみたいだったわよね。 私たち、こんな素晴らしい世界にいるのよね。自分たちの手で作り上げることができる世界に。 だからもう自分のために言い訳なんか探す必要なんてない。 アルテミス これからどうするの? トゥートルズ役の少女 最後の最後までついていくわ。 そして、たくさんの人に見てもらう。 カーリー ピーターが「君たちはもうこれ以上進むな」って言ってたよ。 ティンカーベル それはピーターの意思なの?それともあなたの意思!? カーリー どっちだって一緒だろう!結末は初めから決まっていて、何をしようと変えられないんだから。 それはティンクが来たって同じだ! 違う。おまえたちが原因でこの状況になったと言うべきだよ。 僕たちの家は元々こんなんじゃなかった.....おまえたちがフックを怒らせなければ、僕たちがこんな目にあうこともなかったんだよ! レッドスキンズもそう思ってるし! ティンカーベル 確かにそうかもしれないけど......。 初めから、自分の考えにみんながついてきてくれるだなんて期待してはいけないのよ。 フックに挑戦することだって、全員が賛成することなんてあり得ないじゃない。 だけど私たちがあなたに強制してはいけないのと同じよ。 私たちの前に進み続けたいという心だって、あなたに阻止されるべきじゃないし、そうされるつもりもないわ。 カーリー 今の島が嫌い。 アルテミス 早く追いついて、出発するわ!先輩たちはずっと待ってるんだから。 カーリー かって過ごした時間......。 カーリー役の少女 あの頃はすごくよかった。 学園ではふざけたり騒いだりで色々あるけど、演劇部に来るとどんな悩みだって忘れられた。 次はどこに行って劇をするのかなって、毎日のように楽しみにしてた。 でも昔からの慣例だからって大会に参加したことで—— すべてが変わってしまったのよね。 アルテミス いいえ、昔からの慣例だからやり始めたわけじゃないわ。 あれは未だ実現していない夢だったから、みんなが追い求めるものが目の前にあった、だからこそみんな夢中になったのよ。 でもそうね.......あなたの言う事ももっともよ。 みんなが同じ考えを持つなんてこと、最初から期待すべきじゃないわ。 みんながみんな同じ夢を抱いているわけじゃないもの。 カーリー役の少女 私はとっくに幻想を捨てて現実を受け入れてた。 そんな私だったけど、あなたたちのその輝きに戸惑いを感じて.......。 とても苦しかった....。 初めは勉強のストレスから逃げようとして演劇部に来てたから。 アルテミス うん。 今思うと、大会の参加もそうだけど…。 題材選びだって、完全に意見を一致させられた事なんてなかったわよね。 ひとりひとりにとってのネバーランドはみんな異なるんだから。 カーリー役の少女 それにしてもあの頃、私たちはその目で一体何を見据えていたんでしょうね。 生まれたてのひよこみたいに、ものすごく無邪気に笑ってた気がする。 ……。 私はあなたたちに強制されたくないけど、でも逆に言えばあなたたちを止める権利だって私にはない。 だからもし一緒にやらないとしても、私はあなたたちのこと応援するわ。 ピーターパン ティンク、戻ってきたのかい。 この島はもう君にふさわしくないよ。 ティンカーベル 勝手にここに私を連れてきたと思ったら、今度は自分勝手に私のことを追い出そうとするのね。 ふざけるのもいい加減にして。 ピーターパン 僕は君の事を心配して言ってるんだ。 ティンクは空を飛び続けられないとダメなんだ。 でもそういう君を見ていると、君の妖精の粉がどうしても欲しくなる。 君とこの青い空を羽ばたきたいから。 でもそうすると君の妖精の粉はいつの日か尽きて地上に落ち—— あの残忍なフックに殺されてしまう。 ティンカーベル 私のことを心配して……。 アルテミス 今のあなた、常に自分が正しいと思ってる大人たちと何も変わらないじゃない。 永遠に子供だから?ピーターパンという人物にピッタリですって?笑わせないでちょうだい。 本当は誰よりも成熟してて物事が分かってるじゃない。だから普段の生活でも余裕を持てているのよ。 もし本当に小さな子供と同等だなんて言うのなら、最後まで気ままな性格を貫いて、私に対しても泣いたり笑ったり叫んだりすればいいのよ。そしてまた—— 「僕のティンカーベルになって。」って言えばいいの。 紋章 うう……。 アルテミス先輩がこんな風に怒るの、初めて見たわ。 アルテミス ……。 だって私、聞いたし。 見たんだもの。みんなが心の中で追い求めている楽園がどういうものなのか。 ここで私たちはそれぞれ違う人物を演じ、異なる人生を体験しているわ。 他人の足跡を歩み、無意識の内に星の光をその身に浴びているのよ。 そして次第に自分自身も輝きはじめて、後から来た人たちが追いかけて行く道しるべとなるの。 でも、世界にはそうしたひとつひとつの輝きを見えないように覆ってしまう恐ろしい雲があるのかもしれない。 それが理由で私たちの元から誰かが去ってしまうと、かつての思い出もひとつまたひとつと剥がれ落ち、時間の経過と共に塵と化してしまっているのかもしれないわ。 たとえそうだったとしても、私たちは追い求めるの。 子供の頃にしたゲームのように、いつの日か、世界が私たちの望む方向へと良くなっていくこを。 そしていつの日か、ずっと目指して登り続けていた高みへとたどり着き、果実を手にできることを。 紋章 その高みって、一生かかってもたどり着けないかもしれないわよね。 アルテミス それならずっと、ずっと登り続けて動けなくなるまで登り続ければいいのよ。 動けなくなるまで登ったら、足元を見てみるの。 登りに登って木が揺れたことで、別の果実がたくさん落ちてきているかもしれないじゃない。 私は願ってる。ううん、信じているの…....。 忘れてしまったものって、理にかなわない、過度に理想化された未来を信じようとする心なんじゃないかしら。 紋章 だけど、それはもう取り戻すことができたわね。 アルテミス さて、私にとってのネバーランドの話はこれでおしまい。 ——聞かせてくれないかしら、あなたのネバーランドのこと。 紋章 私の……。 私にはそういうのないわよ。 先輩が言ったように、小さい頃から「物分かりが良い子ども」をずっと求められてきたタイプだから。 ほめてもらうために、その人が一番喜ぶであろう役を演じてきたわ。 だから......人に合わせて生きてきた私には、自分だけのネバーランドなんてあるわけがないの。 アルテミス 本当にそうかしら。 私、みんなの事連れてきたわよ。 紋章 !? アルテミス もし本当にどうでもよかったら、あなたが演劇部の活動に参加している時のあの集中力、それに屈託のないあの笑い声は—— すべてうそだったとでもいうの? あなたは誰よりも演劇部を大切にしていると私は思う。 ここにはみんなもいる事だし..…。 あなたにとってのネバーランドがどういうものか、自信をもって、ここにいるみんなに教えてちょうだい。 紋章 ……。 アルテミス もし誤魔化そうとしたら、手刀じゃすまないんだから。 やっとの思いで家を離れ、やっとの思いで世界を築きあげたんだもの。 それをいとも簡単に終わりにしてしまうのはもったいなさすぎるわ。 さあ、紋章。 今度はあなたが私に「付き合う」番よ。 この抂気に満ちた崩壊に瀕する世界に、ね。 紋章 ものすごく強気ね。 いいわ、その誘いに乗ってあげる。 アルテミス えっ? 紋章 だって先輩からのお誘いなのよ?これまで一度も断ろうだなんて考えた事ないし。 むしろ、先輩が私に手を差し伸べる時をずっと待ってたというか。 心の準備はいいかしら。私たちの敵は想像しているよりも手強いわよ。 アルテミス ええ。でも挑戦できる時間は限られているから、この時間をもっと大切にしないと。 こうして、何度も何度も.....ずっと挑戦してきたわよね。 家柄や時代なんて関係ない。 すべての子供がいつかはこういう試練に直面することになる。 甘えれば欲しいものが与えられることもなくなり、 童話を信じれば人に笑われる。 誇りをもって自分の夢を語っても、現実的ではなく高望みしすぎだと思われてしまう。 「正しさ」を振りかざされ、未来へのあこがれを絶えず修正されてしまう。 そうして打ち負かされた子供は、成長するにつれて美しいものを失ってしまう。 そういう時は皆、妖精が出てきてこう語りかけてくれることを望むだろう。 大丈夫。すごくいいよ。試しにやってみればいい。うまくいかなくたって思いっきり泣けば済むことじゃないか、と。 そして妖精も望むだろう。あなたの心の奥底に押し込められている理想の世界の話を聞かせて欲しい、と。 それが実現できるかどうかにかかわらず、 妖精はその話に静かに耳を傾け、 あなたが話し終わると、妖精の粉をくれる。 そして妖精はあなたと共に、この世界を自由に飛び回ることだろう。 紋章 結局、ここに戻ってきたね。 先輩も私も。 アルテミス 今さら後悔しても遅いわよ。 紋章 後悔なんてしないわ。 元々、先輩に寄り添って—— 先輩が現実を受け入れるだけの勇気を得られるか、現実にあらがうだけの思い出を作ることができたら、先輩のそばから離れようと思っていたのよ。 先輩を支えられる何かがあれば、先輩が演技の中から戻ってきた後も、ちゃんと歩み続けていくことができるだろうしね。 でも、実は私も自分に対してうそをついていたのよね。 アルテミス どういうこと? 紋章 私にとってのネバーランドもずっとあったんだ。 小さい頃、ある人のキラキラと輝く目を見てね。 その人が見た星空が、私の心の中のネバーランドになったのよ。 私は彼女を信じたい。いつの日か私たちがあの場所へとたどり着けると信じたいの。 そしてすべての大人たちに、自分の未来を決める能力が私たちにあることを証明したい。 アルテミス それは本当に、誰かに語る価値のある物語だと思うわ。 紋章 あの光り輝く目は、一度は現実によって暗く閉ざされてしまったけれど。 でも今.....また再び輝きを放ち始めたわ。 アルテミス !? 紋章 ふふっ。 先輩、どうしたの?まさかさっき......「紋章が言ってるのって私のこと?」だなんて思ってなかったわよね? アルテミス ……。 そ、そんな事—— 紋章 そうよ。 アルテミス えっ? 紋章 これからもお願いね。私のティンカーベル。 アルテミス。 アルテミス ……。 やらなきゃいけない事がたくさんあるわよ。 まずはみんなを呼んできましょう。 そして、新たな物語が始まった。 ——拍手の音。 高学年の先輩 本当に先輩の送別パーティーでこの劇をやるだなんて、さすがね。 八重凛 姉様、舞台劇って本当に面白いね〜。 八重桜 そうじゃな。招待してくれたシィルに感謝しなければならぬ。 他の部の送別パーティーだからか.....妾らがここに座っているとどうも不自然じゃが。 八重凛 そんなの関係ないよ〜。今回は凛たち、裏方みたいなものだし! 高学年の先輩 オードラン学園にも演劇部はあるんでしょう? 八重桜 似たような部はあるが......。 うちの経費は全然比べ物にならないぞ。 演劇部の部員 カーテンコールよ! 高学年の先輩 みんなとてもうれしそうね。これでなんだか安心したわ。 大会で挫折して、一時はもう立ち上がれないんじゃないかと思ってたけど。 これで安心して引退できるわね〜。
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/443.html
第026話 「変調(後編)」 一部を除けば意外に片付いた部屋だ。 人の部屋をあれこれ詮索する癖のない秋水でも、素直に感じた。 ここにはひどく清浄な空気が漂っているようにも思われた。 部屋の右手には寄宿舎備え付けの木製ベッドが壁と平行に横づけさ れており、淡い無地のピンクで統一された寝具一式が、柔らかそうな 感触を放っている。秋水はそれに見覚えがある。寄宿舎転入後ほど なくして千歳がつきつけてきたブ厚いカタログだ。 新鮮なインクの匂いもすがすがしいカタログには、色とりどりの寝具が 幅やら長さやら価格やらの羅列とともに載っていた。 聞けば布団や枕などの安い備品については各自好きなモノを選べる らしい。 きっとその時、寝具のついでに選んだのだろう。 少なくても秋水の殺風景な自室にはない、余裕ある物体がベッドボー ドの間に挟まれている。 三段の引き出しから成る白いカラーボックスだ。 何が入っているかは詮索すべきではないが、一番上にカタツムリの プリントされたコップやアースカラーで彩られたアナログ式の目覚まし 時計が置かれている。 そこから細長い板を組み合わせた古めかしい床に視線を落とし、更に 左に這わせていくと、チリ一つゴミ一つ見当たらず、最後に壁際の学習 机へと到達する。 これは元々部屋に備え付けのモノで、秋水の部屋にあるものとそう変 わりはない。ただ、机の上で何冊ものノートや筆記用具、果てはなぜか コンパスまでもが開いたままで放置されているのはあまり感心できない。 桜花ならばすでにてきぱきと課題をこなして、通学鞄に放り込んでいる 時間だ。秋水も同じく。 けれどまひろのノートは、少し凝視すればネコが出来損なった生物が 何匹も飛びまわっており、秋水はさすがに軽く溜息をついた。ふだん接 している態度どおり、あまり勉強には向かない少女であるらしく、わざ わざ扉の前からまひろのノートを覗き見るのもいい趣味とはいいがた い。目の良さは時として命取りになるのだ。震える山にいるパイナップ ルならそういうだろう。正確には市街地でドンパチやらかしており、名前 も海産物じみているが、これまた本題ではない。 やるべきコトは、他にあるのだ。 薄い扉が濡れたように光る黄金の稜線を走り抜け、軽い衝突音を奏でる。 扉が閉じたようだ。 秋水に背を向けているまひろでもそれだけは分かった。 呼応するようにカーテンを閉めて、言葉を探し始めた。 後ろ手で部屋を外界と隔絶した動作に、何の意味があったか問われ ればきっと秋水は回答できなかっただろう。 新しい動きが連ならなければ一切活性せぬ無造作で反射的な動作。 口を開いたきり二の句を探しているような状態ともいえる。 寡黙な青年は懸命に言葉を紡がざるを得なかった。 窓と扉。部屋の両端に佇む二人の間で空気が張り詰めるコトしばし。 咳ばらい、ラジオ、CDケースの山がばらばらと床に落ちる音。 他の部屋からの生活音が二人を避けるように駆け抜け、ベッドや机す ら通り抜けていく。 無音という概念はあれど、実在するか定かではない。 沈黙にすら生活音が割り込み、それが止んだとていつ果てるとも分か らぬ耳鳴りが世界に響く。 フラットライナーじみた金切音とともに見る後ろ姿は、ただなる可憐の 少女の物であるのに、正体不明の重圧に揺らいで見える。 自分だけ足もとが崩れて奈落に落ちていきそうな錯覚すらある。 緊張、なのだろう。 他者の根幹に関わる言葉を吐く事の重大さを認識すればするほどそ の「重大さ」が精神的質量を帯びて足にへばりつき、動きを阻害し、ま たは前述の通り足もとを崩していきそうな錯覚を生産している。 それでも。 いかなる重圧をも跳ねのけ動かねばならない時がある。 カズキならば葛藤を葛藤のまま放置せず、必ず最後には取るべき行動 を取っていた。 秋水は違う。桜花の危機には何もできなかった。 だからカズキが眩しく見えるし、一つの実感へと帰結してもいる。 (終生及ぶ事はできないだろうな。それでも──…) 開いた拳を愁いの瞳で見る。 かつて彼の握ったそこは、今でも確かな感触を覚えている。 無力と咎の果てに与えられた、たった一つの確かな物。 拳を握る。彼に及ばぬとしても精いっぱい力強く。 秋水は微かに相好を崩し、それから瞳と頬を引き締めた。 「俺も姉さんを失いかけた事がある」 カーテンの前で振りむいたまひろの顔には、軽い驚きが上っていた。 「その時俺は姉さんに何もしてやれなかった。ただそばで弱っていく姉 さんを眺めているだけで、悲嘆に暮れていた。だから──…」 往時を思う青年に向く瞳は、ドロップのように丸く、はたと見張られ、ま るで雨に打たれた子犬が病人を心配するような色さえ浮かんでいた。 「だから、今の君の気持ちを少しは、理解……できると思う」 まだ言葉を告げるには不慣れで、背中に汗がにじむ。声が震える。 視線を合わせながら言葉を告げているだけの行為が、戦闘とはまるで 違う激しい緊張感をもたらしてくる。 「もしどうしても耐えられなくなったら、俺に話してくれないか。できるコト は少ないが、せめて聞き役ぐらいは務めてみせる」 やっとの思いで告げ終わっても、まだ終わりではない。 秋水は直立不動の姿勢を崩さぬよう努めながら、まひろの反応を見た。 剣同様、言葉にも相手がいる。ただ投げかけるだけでは不十分だとい うコトを、最近の秋水は知りつつある。 自分の行動に対する種々の反応に対し、原則から逸脱しない範囲で 更なる反応を返し、更に更に返されて、幾合もの応酬の末に相手が 納得できる結果をもたらさなくては意味がない。 力任せに竹刀を振って相手をいたぶり、時には真剣で背後から刺 し貫くような好き勝手は、本来世界の中では許されないのだ。 しばし、恐れた。 まひろの言葉を待つ間、秋水の心の中にある弱い部分が恐れていた。 傷つけていないかどうかをまず怖れ、次に頼られないコトを恐れていた。 時をほぼ同じくして、秋水の部屋の扉を叩く者がいた。 その者は数多くのノックの末、殴るような手つきで扉を一打し無遠慮に 引き開けると、誰もいない部屋の暗さに舌打ちした。 そして端正な顔に悪鬼のようなひきつりを浮かべて踵を返し、せわしな く歩きだした。 後ろにはひどく沈みこんだ同伴者が一名。 機械のような足取りで前の人間についていく──… 「実をいうと、ね」 窓際から一歩も動かないまま、まひろは秋水から軽く目線を外した。 「劇の練習をしてるのは、斗貴子さんのためなんだ」 回答はやや予想した方向よりズレてはいるが、まずは聞くコトにした。 だんだん秋水は、この少女のズレというモノを許容する癖が身について きたような気がする。 「……ほら、斗貴子さん、いま一番傷ついてるから、せめて何か面白い コトをやって励ましてあげたくて……えーと。変、かな。こういうの」 困ったように眉をハの字にするまひろに秋水はかぶりを振った。 「正しいと思う」 本音だ。 少々意外だったが、まひろの劇に対する真剣さだけは身近で見て知っ ている。ただ、それで斗貴子が納得するかどうかは別の話であるが。 「うん。そういって貰えると……嬉しい。喜んでくれたら、いいけど」 嬉しそうな微笑も、どこか弱々しい。 きっとまひろ自身も、劇一つやるだけで全てが好転するとは確信してい ないなのだろう。 「でね。昔……、夏になるとお兄ちゃんとよく一緒にかき氷を食べてたん だ」 回答としてはやや要領をえないが、口ぶりに籠った真剣さからすると 彼女なりに一生懸命筋道を立てているのだろう。 秋水は先を促すワケでもなく、ただ一頷きして沈黙を守った。 「お兄ちゃんは男のコだからメロンでね、私は女のコだからいちごだっ たんだ。……でもね、昔の私ってわがままで……」 お正月かクリスマスにも門松かツリーのコトでカズキを困らせてしまっ た記憶がある、と申し訳なさそうにまひろはいって、更に続けた。 「かき氷の時もそうで……私、女のコなのにメロンが食べたいっていっ たんだ。そしたらお兄ちゃん、食べさせてくれたんだけどワンピースにこ ぼれちゃって、私、すごく泣いたんだ。でね……お兄ちゃんがなだめて くれて何とか泣きやんだんだけど、その頃にはもうメロンもいちごも」 「溶けてたのか」 「……うん。だからもし、私があの時泣かなかったら、お兄ちゃん、ちゃ んと残りのメロンを食べれたと思うんだ」 脇道に逸れてもいるし、傍目から聞けば些細な何というコトのない話だ。 けれど秋水自身、幼いころの負い目は簡単には消えないと知悉して いる人物の一人である。何故ならば桜花を助けられなかったからこそ 彼女を守れるだけの力を求めて剣術修行にいそしんでいたからだ。 よってまひろの心理が少しずつ分かってきたし、その確証もまひろ自 身の吐露から得るコトができた。 「だからあの日以来ね、お兄ちゃんの前では泣かないコトにしたの。泣 いてワガママいったら、お兄ちゃんのしたいコトが、かき氷みたいに溶 けてなくなっちゃうような気がしたから…… 夏祭りの日だって”長いお 別れ”になるかも知れないっていわれたけど、お兄ちゃん、きっとみん なの味方だから、止めたらたくさんの人に迷惑がかかる気がして…… でも、でもね」 まひろは肩を落として、スカートの生地を握りしめた。 「そのせいで、斗貴子さんが今一番傷ついちゃってるんだ……」 同時に瞳の表面が俄かに湿った光を帯びるのを秋水は忸怩たる思い で見た。 「どうしてあの時、”斗貴子さんとだけは別れちゃダメだよ”っていえな かったのかなって。最近、そればかり思っちゃうんだ」 ああ、と秋水は眩しいものを見るような目つきをした。 最近のまひろの寂寥は、ただ単にカズキを失っただけではなく、斗貴 子の傷心を作り出してしまったという負い目も混じっていたのだろう。 そういう部分はカズキと限りなく似ている。 やはり兄妹なのだ。 それを実感すると、カズキへの敬意がこの少女への好ましさに転化する 反面、ひどく心痛を覚えてしまう。 秋水自身にそれを説明するコトはできない。 同情か共感なのか、もっとありきたりな、若々しい青年が純朴な少女に 対して覚えるべき感情なのかは、判別がつかないし、つけられたとしても それを推し進める資格はないと秋水が断ずるにあまりある過去の負債を 彼は未だもって抱えている。 「斗貴子さん、ああ見えて傷つきやすい所があるから、お兄ちゃんに置 き去りにされて平気なワケないよ。でも私は……お兄ちゃんにそういう コトをいえなくて……」 黒い瞳に滲出した涙が球状になって落ちている。 その光景に秋水はいてもたってもいられず、反射的にまひろへ歩み 寄っていた。 「君のせいじゃない」 学生服のポケットをさぐると洗いたてのハンカチがあった。実はそれは 事前に桜花が渡していた物だから、彼女はこういう事態を予測していた のかも知れない。 「一言でいえば不可抗力だ。あの時、武藤と津村は一緒にいれば津村 だけが死んでいた。だから彼は、置いていかざるを得なかったと思う」 カズキが月に消えた時の状況は、いろいろな要素が絡みあい過ぎて いた。 まず敵の存在。ヴィクトリアの父・ヴィクターはその数奇な運命の果て に得た能力と、果てしない憤怒によりひたすら強大であり、攻撃力だけ ならば戦団で一・二を誇る 【焼夷弾(ナパーム)の武装錬金・ブレイブオブグローリー】 【全身鎧(フルプレートアーマー)の武装錬金・バスターバロン】 の猛攻を軽くしのいでいた。 前者が瞬間的にだが周囲五百メートルもの範囲を五千百度の炎で燃 やし尽すコトができ、後者が身長五十メートルの巨大ロボットであるコ トを鑑みれば、いかに戦団が無力であったか分かるだろう。 その上厄介なコトにヴィクターは、周囲にある総ての生命からエネル ギーを吸収する生態を備えており、人海戦術で攻めたとしても打撃を与 える傍から回復されるという難点もあった。 よって次に対抗手段の欠乏があり、加えてヴィクターを人間に戻すため の切り札たる「白い核鉄」すら完全な効力を発揮しなかった。 そこでカズキは咄嗟にヴィクターを命無き月の世界へと放逐するコトを 思い立ったが、同伴の斗貴子を巻き込めば地球圏を離脱する時の重 力か宇宙の真空の中で彼女は息絶えていただろう。 カズキは違う。彼は「不可抗力」によってヴィクター同様の怪物の体質 を持っていた。 正直、上記の点は戦士とは無縁のまひろに説明するのにはあまりに 複雑な内容ではあるが…… 秋水は説明した。 額から汗が噴き出るほどに詳細に。 最後に至ってはネコまがいのクリーチャーが乱舞するノートを拝借すら して、カズキの置かれた状況をできうる限り精密に描きこんだ。 それを部屋中央の床に置き、二人して覗きこむ。 「……そうだったんだ」 「ああ、こういう状況でもなければ、武藤は一つの選択肢だけを選ぶ ようなコトはしなかった。だから君のせいじゃない」 まひろに続いて秋水が汗でぬめるボールペンを握ったまま視線を左 右させると、まひろはポケットからティッシュを取り出し拭ってくれた。 「感謝する」 「ううん。こっちこそ」 礼をいいあう二人が俄かにハっと顔を赤らめたのは、意外なほどに顔 が接近していたからだ。 ともに座ったまま肩が触れ合い、顔といえば互いの前髪が交差してその 匂いを味わえるほど近くにいる。 栗色でややぱさついた髪の質感が鼻にふれたような気がして、秋水は 彼らしくもなくどぎまぎした。 秋水は説明の後の虚脱状態で、まひろはそれによって汗ばんだ彼の 手を拭くのに気を取られていて、必要以上に距離を縮めすぎていたようだ。 少し涙で赤くなったまひろの瞳が秋水を映していた。 汗で前髪が濡れ光る秋水の瞳にまひろが捉われていた。 身を固くしながら秋水が横に移動する頃、盛大な音が上がった。 見れば勉強机の下の方、椅子がおかしな方に飛び出ていて、その中に まひろがおかしな体制で刺さっていた。 勢いよく飛び退くあまり、ミサイルのように勉強机に吶喊していたようだ。 「だ、大丈夫か」 「だ、大丈夫! 私ってけっこう頑丈だから」 というやり取りをしながら脱出を試みたまひろは、机の引出しにまず頭を 思いっきりぶつけた。 「痛い! 大変、もっと早く脱出しないと!」 「ちょっと待て落ち着くんだ。あまり暴れると──…」 「ダメだよこういう時こそ早く避難しな……きゃっ!?」 大きなコブのついた頭を振りまわし身もだえしながら机の下でじたばた するとどうなるか。 乱雑に散らかった机上から降るわ降るわ。 ノートは子ネコをいじめるカラスのようばらばらはばたきながら栗色で 丸っこい頭を叩きまくり、筆記用具も極小の丸太のようにふくよかな体 をぺしぺし打ちまくった。 さすがにコンパスが鋭い針を光らせながらまひろに向かった瞬間は 秋水は色を成した。 で、思わず手を伸ばして払いのけようとしたら、手の甲に刺さった。 幸い深さはそれほどでもない。 が、彼はコンパスを引き抜きながら困った。 痛みには慣れているが、傷を見られればどういう展開がくるか位は 予想できている。 ここは分からぬよう秘匿して、後で核鉄でも当てようと考えたが、それ も手遅れと知った。 机から脱出したまひろが、申し訳なさそうに秋水の手の甲とコンパス を見比べていた。 秋水は知らない。 ほぼ同時に、別の場所で、ひどく苛烈な人物に所在がつきとめられ、 その所在に対して恐ろしい情念を覚えられたとは。 「すまない」 それは核鉄を当てれば治る程度のケガに、手当をさせてしまったコトに 対してか。もっと別な意味を本来なら込めて、さらになぜ別な意味を込め るか詳細な説明をするべきなのだが、当面は四文字しか伝えられずに いる。 「大丈夫大丈夫。かばってもらったし、私は手当するの得意だから」 包帯を巻き終わったまひろは屈託なく笑った。 そこに先ほども影がないのに秋水は安堵したが、まひろの頭の上に 載っているナースキャップには首を傾げざるを得ない。 (そういえば再殺部隊の楯山さんも潜入捜査の際にセーラー服を着たと いう噂だし、衣装というものはそういうものかも知れない) 要するに女性というのは自らの内実を超えたモノを演じる時、衣装や 化粧といったものに力を借りるのだろう。 桜花などは化粧の他に、「体裁」というのをひどく重んじてその腹黒い 狡猾な気質を見事に「いい生徒会長」のイメージでコーティングしてい る。それと同じで、一女子高生たるまひろはナースキャップで医療従事 者と化し、二十代も後半に差しかかった千歳はセーラー服を着用する コトで八年というあまりにも大きな力の壁で世界な闇な年齢差の限界 越えて女子高生になっているのだろう。 「え? 違うよ。趣味だよ! うん」 思惑を告げるとまひろはゆったりとした胸の前で腕組みをしつつ頷いた。 「趣味なのか」 その回答によれば二十代後半のとある女性がひどく奇矯で哀れな存在 に思えてくるが、本題ではない。 「またありがとうね。秋水先輩」 「また?」 「うん。また。学校から送ってくれた時と一緒だよ」 ああ、と秋水は思い当たった。そういえばあの時、寄宿舎の下駄箱で 秋水をガクガクとゆすりながら「嬉しかった」とまひろはいっていたが、 それか。思い起こせばあの時、桜花の出現で答えが聞けなかったが…… まひろは包帯の残りを救急箱に詰めると立ち上がり、それをカラーボッ クスの一番下にしまった。 「あの時ね、 ──「彼は必ず戻ってくる。君の元へ戻るコトを諦めたりはしない」 っていってくれて、本当に嬉しかったんだよ」 ごく自然に秋水の隣に座ると、ひどくほぐれた笑みをまひろは浮かべた。 「……斗貴子さんのコトはまだ辛いけど、それでもお兄ちゃんが帰って くるって信じているから。そこだけは大丈夫だよ。本当」 「そうか。それなら、津村のコトは俺が──…」 といってみるものの、秋水はどうもまひろの顔が眩く、そして輝かしく思 えて目が合わせられない。 自分の言葉が何をもたらしたかいざ知ると、表情をいかにすべきか 見当がつかない。どういう感情がいま自分に渦巻いているかすら、 よく分からない。 「あ、もしかして秋水先輩、照れてる?」 ウェーブのかかった豊かな髪を揺らしながら、まひろはすり寄ってきた。 好奇心がそうさせるのだろうが、秋水としてはまたまひろが距離の近さ に驚いて机に突っ込んだりしてはたまったものではない。 「君がそういうのなら照れているんだろう」 わざとぶっきらぼうな声をだしながら後ずさる。 「じゃあそうだね。でも秋水先輩のそういう顔って珍しい~」 まひろはまひろで美麗極まる副生徒会長の変化が面白いらしく、膝立 ちで歩を進め──… 背後で扉が開く音がした。 秋水はその一瞬、莫大な殺気が爆ぜるのを感じた。 もし声がかけられなかったら、敵襲と錯覚しまひろをかばいながらソー ドサムライXを発動していただろう。 もっとも、その必要はなかった。 「探したぞ早坂秋水」 声の主は、当面の味方だ。 当面、というのは以前は敵対関係であり、今もなお相手の心情的には 秋水を敵とみなしているからである。 「……いい身分だな。こんな場所で」 彼女は腰に手を当てながら鋭い眼光で部屋を見回し、最後に秋水を 激しい敵意のこもった下目で睨みつけた。 まひろだけは敢えてその人が自分から目線を放したような気がした。 正確にいうと、申し訳なさと親愛に基づくなんらかの決意の光を本当 に一瞬だけまひろに這わせてから、殺気を爆発させ部屋を見回し秋水 を睨んだような気がした。 「話がある。彼女とともに管理人室まで来てもらおうか」 津村斗貴子は厳然たる面持ちと声でそう告げた。 背後にはヴィクトリア。彼女は彼女でひどく落胆と憔悴した表情である。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/205.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』5 カートの上に四匹のまりさ共を乗せ、俺はある一室に入った。 この部屋は、通常の人間の居住空間になっており、 家具や調度が一通り揃っていた。 実際に、俺はここで寝泊まりをすることになる。 八畳ほどのこの部屋には、 冷蔵庫や布団をはじめ、必要な生活用品が揃っている。 特殊なのは、壁のうちある一面が全面鏡張りになっていることだった。 そして、部屋の一角には頑丈なケージがあり、 およそ2m余り四方を区切っている。 この部屋に、まりさ種の四匹を放した。 カートの籠から持ち上げ、部屋の真ん中に投げだしてやる。 「ゆぎゅっ!」 顔面から板張りの床に叩きつけられ、呻く親まりさ。 俺を見上げて悪態をつく。 「ゆゆっ!!なにやってるんだぜごみくず!! このまりささまをいたいめにあわせて、ぶじですむとおもってるのかだぜ?!」 無視して、今度はバスケットボール大の子まりさを出す。 こちらはケージの中に放り込む。 「ゆぎゃ!」 「なにしやがるんだぜ!?」 「あやまったってゆるしてやらないんだぜ!どげざするんだぜ!!」 少しの間喚いていたが、 やがて部屋全体を見渡し、様子を見てとると、 親まりさが予想通りの言葉を吐いた。 「ゆゆっ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! おい、ごみくず!!しごとをめぐんでやるんだぜ? はやくあまあまをよういするんだぜ!!」 「はやくするんだぜごみくず!!」 「ここでもどれいにしてかいごろししてやるんだぜ!! まずはかんしゃのどげざをするんだぜ!!」 「あまあま!!あまあま!! もってきたらしーしーをのませてやるんだぜ!!」 相変わらずの罵詈雑言を聞き届けると俺は息をついた。 早速始めることにする。 まず、ケージの中の三匹の子まりさ。 その後に親まりさの順で、おれは手早く帽子を取り上げた。 「ゆっ!!?なんのつもりなんだぜ?!」 「まりささまのおぼうしがああああ!!」 「ごみくずううううう!!かえせええええええ!!」 「ごみくずはじぶんのたちばがわかってないんだぜええ?! しつけなおしてやるからぼうしをかえすんだぜえ!!」 「返してほしければ、俺から奪い返してみろ」 「ゆっ?」 俺の前にいる親まりさが、小馬鹿にした笑みを浮かべた。 「じぶんがなにをいっているのかわかってるんだぜ? まりささまにけんかをうっているんだぜ!? もしかしてまりささまにかてるとおもっちゃったんだぜ? ばかはすくいようがないんだぜ!!ゲラゲラゲラゲラ!!」 子まりさともどもひとしきり嘲笑した後、 真顔に戻ってまりさは侮蔑の視線を送ってきた。 「ぼうしをかえすんだぜ、ごみくず。 こうかいしないうちにかえしたほうがいいんだぜ。 いまならはんごろしでゆるしてやらないこともないのぜ?」 俺は手に握った帽子をぐしゃぐしゃに握り潰し、ズボンの裾に突っ込んだ。 まりさの目が怒りに燃え上がる。 「ごみくず…… くそのやくにもたたないおまえを、 まりささまはきょうまでがまんしてかってきてやったんだぜ? それはまりささまのなさけだったんだぜ。 そのまりささまにたいして、おまえはそんなたいどをとるんだぜ?」 「おとうさん!!そいつをころすんだぜ!!」 「こわれたどれいはようずみなんだぜ!! たっぷりいじめころしてやるんだぜ!!」 「はじめておとうさんのけんかがみられるんだぜ!!わくわくだぜ!!」 子まりさ共が口々に叫ぶ中、親まりさは宣告した。 「もうあやまってもゆるさないんだぜ。 いくらないても、あやまっても、まりささまはゆるさない。 じっくりとなぶりごろしてやるんだぜ。 ごみくずはたっぷりこうかいしながらしぬんだぜ!!」 親まりさが跳び、俺の足に体当たりをしてきた。 直径50cmの饅頭の体当たりは、さすがにそれなりの質量がある。 不意打ちで喰らえば、尻餅をついてしまいそうだ。 しかし正面から向かってくる今、まるでダメージにはならない。 親まりさは何度も何度も体当たりを繰り返してきた。 俺はそれを見下ろしながら黙っていた。 十分ほどそうしていた後、 ぜえぜえと息をつきながら、親まりさはこちらの顔色を伺っていた。 なぜ倒れないのか不思議そうな顔だ。 「痛くない」 俺がそう言うと、愕然として口を半開きにした。 子まりさ共が、おかしいとばかりに口々に叫ぶ。 「おとうさん!おあそびはもうおわりにするんだぜ!!」 「そろそろとどめをさしてやるんだぜ!!」 「ゆ、と、とどめなんだぜ!!」 親まりさは数歩下がってから、 助走をつけて全力で体当たりをしてきた。 俺は少しばかり腰を落として構えただけで、小揺るぎもしなかった。 ぜひ、ぜひ、息をつくまりさの前に屈み込み、その顔を覗き込む。 「な、なんでなんだぜ……?」 その左頬を、右腕で力を込めて殴りつける。 これだけ成長した饅頭なら、 そう慎重に手加減しなくても、そうそう死ぬことはないだろう。 「ぐびゅえっ!!」 あえなく悲鳴を上げる親まりさ。 俺は親まりさの頭を左手で押さえつけ、同じ場所を殴り続けた。 「ゆがびゅっ!!ぼびゅっ!!ばっ!!ゆびぃっ!!ぼぉ!!」 何十発殴っただろうか。 親まりさの顔面の左側は、今や全体が内出血ならぬ内出餡で黒ずんで腫れあがり、 左目は開かなくなっていた。 手を休めて眺めていると、ごほごほと咳き込み、 口から少量の餡子とともになにかをばらばらと吐き出した。 歯だ。 腫れあがってでこぼこになった左頬を、そっと触れる。 「ゆぎぃ!!」 それだけで悲鳴が上がった。 左頬をつまみ、つねり上げてやると、涙を流して呻いた。 「やべで!!やべで!!づねらだいでええええ!!」 「ゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「いだい!!いだい!!いだいいいいいい」 また左頬を殴りつける。 「ゆびいいい!!」 「俺の話を聞くんだ。いいな?」 状況が掴めていない様子で、不思議そうに親まりさの右目が俺を見上げる。 また右手を振り上げてやると、親まりさは泣き喚いた。 「ぎぎばず!!ぎぎばずうう!!なぐらだいでえええええ!!!」 「ここをゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「ばいいい!!いいばじだあああ!!」 「いいだろう。ここは俺の部屋だが、俺から奪ってみろ。 俺を倒せば、この部屋はお前らのものだ。お前らの帽子も奪い返せる」 半ば子まりさの方を向きながら、俺は説明した。 「この部屋に住めば、毎日山ほどのあまあまが運ばれてくる。 沢山の人間達や美ゆっくり達がお前たちの世話をするし、すっきりもし放題だ。 楽しい玩具だってふかふかのクッションだっていくらでも、前の部屋なんかより沢山ある。 お前らはここで存分にゆっくりできるんだ」 その言葉を聞き、それまで呆然と成り行きを見守っていた子まりさ共は、 声を奮って親まりさを叱咤激励した。 「おとうさん、たちあがるんだぜ!!なにしてるんだぜ!?」 「まりさたちはゆっくりしたいんだぜ!!」 「おぼうし!!ゆっくりぷれいす!!はやくするんだぜ!!」 「ゆ……ゆ……」 哀れっぽい視線を、子まりさ達、そして俺に向ける親まりさ。 がたがたと震えている。 「さあ、準備運動はここまでだ。 お互い本気で戦おうじゃないか」 そう言って俺が立ちあがると、親まりさの顔が一瞬歪み、次に命乞いをした。 「も、もうやべで……」 「なに、やめるのか?」 「まりささまは……もうたたかえないんだぜ……」 「やめるって言ってるぞ」 子まりさ共のほうを向いてそう教えてやると、 ケージの中で三匹の子まりさ共は飛び跳ねて激昂した。 「なにいってるんだぜ!! まりさたちがゆっくりできなくなってもいいんだぜえ!?」 「おぼうし!!おぼうし!! おぼうしがないとゆっくりできないいいい!!」 「はやくたたかええええ!!なにふざけてるんだぜえええ!!? おとうさんはつよいっていつもいってたんだぜええええ!!」 「ゆあぁ……ゆあぁ……」 呻く親まりさ。 この饅頭は、以前まではあの家の主に君臨し、 普段から子供に対しても威張り散らしていた。 面倒を見もせずに親れいむ達に任せ、それどころか旨いものを横取りしてもいた。 その親まりさを子まりさ達が慕っていたのは、ひとえに強さへの羨望と尊敬によるものだったのだ。 帽子を奪われ、ゆっくりぷれいすを前にした今、 その親まりさが戦わないとすれば、 子まりさが今まで親まりさの横暴に耐えてきた意味がなくなる。 ここで子まりさ達が親まりさの降参を許すはずがなかった。 親まりさにも、それはよくわかったようだ。 「ごべん……ごべんだざい…… まりさ……だだがえだい……」 「ばやぐじろおおおお!!ぐぞまりざあああああ!!」 叫ぶ子まりさ達に、俺は確認した。 「始めていいんだな?」 「はやくはじめるんだぜ!!さっさとやられるんだぜ!!」 「ゆ、やべぶぎゃぁ!!」 懇願しようとする親まりさの口内を、つま先で蹴り抜く。 これだけの大きさの饅頭はそうそう蹴り飛ばせるものじゃないが、 それでも親まりさは少しばかり浮き、後方に着地して倒れ込んだ。 「ゆばぁ……あがぁ……」 涙を流しながらえずく親まりさの口から、また歯がこぼれる。 前歯が殆どいかれたようだ。 「やべで……やべびぇっ!!」 腫れあがった左側面にローキックを叩きつける。 「びぎぃいい!!びぎぃいいい!!!」 飛び跳ねてもんどりうつ親まりさ。 ここにきて親まりさはようやく立ち上がった。 しかし、こいつが選んだのは闘うことではなく逃げることだった。 「にげるなああああ!!なにしてるううううう!!」 「さっさとたたかえええええ!!」 「まりさたちがゆっくりできなくてもいいのかああああ!!? それでもちちおやなんだぜえええええ!!?」 「ぶひゅう……!ぶひゅう……!!」 部屋の隅に背中を押しつけ、泣きながら荒い息をつく親まりさ。 俺はあえて追わず、子まりさ共に向かってルールを説明した。 「勝負が終わる条件はふたつ。 親まりさが死んだときと、子まりさ達が負けを認めたときだ。 あいつが死ぬか、おまえ達が負けを宣言すれば、勝負は終わりだ」 おかしなルールだが、これはもとから勝負ではない。 「負けた時点で、お前たちは俺の奴隷になる。 そうなったらゆっくりさせない。ずっとゆっくりさせない。 これから先、お前らが死ぬまで、 あまあまももう食べられない。すっきりもできない。 遊ぶ時間なんかないし、眠ることも許さない。 永遠に痛めつけ続けてやる。 ここで負ければ、お前たちは、 ずっと、ずっと、永久に、ゆっくりできない」 まりさ共の顔色がみるみるうちに青ざめていった。 ゆっくりすることが全てに優先し、 ゆっくりするために生きているゆっくりにとって、 それは死刑宣告よりもずっと恐ろしい成り行きだろう。 「だだがえええええ!!だだがえええええええ!!」 「ぐぞまりざあああああああ!!!わがっでるのがああああ!!!」 「ゆびゅうううう!!ゆびゅううううう!!」 涙を流し続ける目を見開き、親まりさは鳴き声を発していた。 闘うしかない。 それはわかっていたが、体がついていかなかった。 がたがた震えつづける体を引き摺り、親まりさは少しずつ前に出てきた。 俺の目の前にやっとのことで辿り着くと、 親まりさは息をついてから、緩慢な動きで体当たりをしてきた。 ぼでんと足に当たった後、親まりさは悶絶した。 「びぃいいい!!いだい!いだいよううう!!」 歯が折れ、腫れあがった顔面では、 体当たりをすると自分が痛い目を見ることになる。 ゆっくりの唯一といっていい攻撃手段が、ここにきて用をなさなくなった。 この一発で、親まりさは早くも音をあげた。 「だべでずうう……だべでずうう……だだがえまぜん…… ばりざをだすげでぐだざい……だずげでぐだざい……」 「負けか?」 「まげまじだあ……ばりざのまげでずうう……」 「お前には聞いてない。お前の子供たちに聞いてる」 親まりさの顔が絶望に歪む。 「負けか?」 「まげじゃないいいいい!!!がづ!!がでええええ!!」 「だだがえええええええ!!!ばがあああああ!!ぐぞまりざあああ」 「がでええええ!!ぼうじがえぜええええええ!!! ゆっぐりでぎないのいやだあああああああ!!」 「じねえええええ!!!がでなぎゃじねえええええ!!! まりざだぢをゆっぐりざぜないぢぢおやはじねえええええ!!!!」 「むりだよおおお……いだいよううううう……」 ぼろぼろぼろと涙を流し、子供たちを見つめる親まりさの頭を、 俺はしたたかに踏みつけた。 「あぎゅううっ!!」 踵で踏みつける。踏みつける。何度も何度も踏みつける。 「あぎゅ!!ぐゆう!!びゅう!!びゅ!!ぎゅぶぃいい!!」 踏みつけるたびに上顎と下顎を叩きあわせる音が響く。 次に右足を頭に押し付け、体重をかけて押しつぶす。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 押しつぶしながら、ゆっくりと足を左右にこじってやる。 ぺきぺきと、口の中で歯が折れる感触が伝わってきた。 「ゆうぐううううううううううう!!!」 失禁した。 よく見ると脱糞もしている。押しつぶしたせいもありそうだ。 足をどけて開放し、また横に蹴り飛ばす。 「さあ、頑張って帽子を奪い返そうか」 俺が近づいていくと、親まりさは必死に起き上がり、 ずりずりと這いながら逃げていった。 再び部屋の角にすがりつく親まりさの上に、 俺は覆いかぶさるように立ちはだかった。 「ゆぐ……ゆぐ……ゆぐじでぐだざいぃ………」 「命乞いなら子供に言うんだな」 そう言ってやり、今度は右頬を蹴りつける。 壁に両手をついて体を支えながら、俺は蹴り続けた。 「ばっ!!ゆびぃ!!びぃ!!ぎゅう!!ゆぶじびぇっ!!」 何十発と蹴っていくうちに、右側もぱんぱんに腫れあがった。 もう親まりさの顔面に腫れていないところはなくなった。 黒い風船のようにいびつに膨れ上がり、一回り大きくなったように見える。 両目は開かず、歯もほぼ全部抜け落ちた状態だ。 「あいいいいいぃぃぃぃ……あいいいいいぃぃぃぃ…………」 小休止をして眺める。 親まりさは、今や壊れたおもちゃのように音をたてるだけだ。 「負けか?」 「ば……ばりざは……ぼう……」 「じねえええええ!!じねぇええええええ!!」 子まりさ共の叫びは、もはや「闘え」でも「勝て」でもなかった。 「おで……おでがい………ばりざ……ばりざの…おぢびぢゃん……」 見えない目で、声を頼りに親まりさは子供のところへ這いずっていった。 ひどく遅い歩みを、休憩がてら邪魔せずに見守ってやる。 親まりさにとっても必死だろう、今やすがれるものは子供だけだった。 ケージの格子に頬を押し当て、親まりさは懇願した。 「ゆぶじで……ゆぶじで……」 「もどれええええ!!ぐぞまりざああああ!!」 「だだがえまじぇえん……いだい…いだいんでずううう…… まえもみえだい……がらだがいだぐで……はねられだい……」 「まげるなあああ!!だだがえ!!だだがえええ!! まりざざまはづよいんだろおおおおおお!!?」 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん……」 「負けたら永遠にゆっくりできない。 思いつく限りの方法でいじめ抜いてやる。 それでもいいなら、お父さんを助けてやるんだな」 俺が念を押してやると、 子まりさ共は恐慌をきたし、ケージにしがみつく親まりさに体当たりを始めた。 「いげえええええ!!ぐぞまりざあああああ!!」 「ゆぎゅうぅ!!」 腫れあがった顔には、ケージの格子ごしでも痛みは大きいようだ。 それでも親まりさは離れようとせず、子まりさに懇願を続けた。 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん…ゆぶっ…… ばりざの……びぃ!……がわいいおぢび……ぶっ……ぢゃん…… おどうざんを……おどうざんをだず……げで……… いいごだがら……あびゅう!………………おでがい……おでがい……」 負けを認めたとき、子まりさ共の末路は決まっている。 それがわかっていながら、この親は自分の命を懇願していた。 口では猫なで声を出していても、このまりさは全く子供を愛していない。 餡子脳でもそれぐらいはわかるようで、 子まりさは懇願されるほどに憎悪をむき出しにして罵った。 「ぐぞまりざあああ!!ぎだないがおをみぜるなあああ!!」 「だまれ!!だまれ!!だまれ!!だまれえええええ!! おまえだげはゆっぐりずるなぁあああああああ!!!」 「じねええええ!!おまえがじねええええ!! だだがっでがっでじねええええええええ!!!」 体当たりでは飽き足らず、 格子の隙間からはみ出る親まりさの皮膚に噛みつき始めた。 「あいいいぃ!!」 弾かれるようにケージから離れる親まりさ。 「話し合いは終わりだな」 「ゆぶ!ま!まっで!!まっでぐだざい!! ごどもだちはごんらんじでるだげなんでず!! いま!いまばなじあいをぉ……ゆぎいいぃ!!」 親まりさのお下げを引っ掴み、引きよせる。 泣き喚き謝り懇願する親まりさを、俺は殴り続けた。 皮が裂かれて中の餡子が出ないように打ち方には留意し、 ひたすら打撲傷のみを与え続ける。 こめかみを殴りつけた。 体中を張り手で叩き続けた。 口をこじ開けて下顎を踏みつけた。 逆さにして頭を床に叩きつけ、底面を何度も踏みつけた。 持ち上げて、顔面と言わず顔と言わず背中と言わず壁に叩きつけた。 全身が赤黒いいびつな饅頭と化し、親まりさは床に転がっていた。 もはや、髪がなければどこが顔なのかよくわからない。 それでも、荒い息と断続的なうめき声、 そして流れ続ける涙が、意識を保っていることを示していた。 もともと、ゆっくりは人間と違い、気絶も発狂もしない。 人間なら苦痛から精神を守るためにそういう現象が起こることもあるが、 ゆっくりの精神にそんな高度な活動は不可能だった。 「あび……………ゆび……………」 呻く親まりさ。 ここまでしても、俺の心は全く晴れなかった。 それどころか、こいつらに対する憎悪と、そして虚しさがつのるばかりだ。 こんな脆弱で醜い生き物が、俺の家族を殺し、俺の人生を壊した。そしてそうさせたのは俺だ。 「お前らの負けだ」 俺は宣告した。 「ゆゆっ!?」 「なにをいってるんだぜごみくず!!くずまりさはまだいきてるのぜ!!」 「あれ、いきてるのぜ?」 「いきてるんだぜ!!まだうめいてるんだぜ!!」 「もういい。負けだ。俺が決めた」 文句を言う子まりさ共に、俺は繰り返した。 「やくそくをまもるんだぜ!!ごみくず!!」 「おぼうしかえせええええええ!!」 「今度はお前らの番だ」 俺の言葉に、子まりさ共がびくりと身を震わせる。 親まりさの戦いを見て、自分たちでは勝てないことぐらいはわかるようだ。 俺は子まりさ全員をケージから出して言った。 「三匹一緒にかかってこい」 「ゆ!?」 「さんにんならかてるのぜ!!」 「ごみくずはつくづくばかなんだぜ!! ひとりにかったからってちょうしにのってるんだぜ!? さんにんならまけるわけがないんだぜ!! なぶりごろしにしてやるんだぜえええ!!」 詳細は省く。 今、俺の前には、ぐずぐずの風船になって転がる親まりさと、 全身の半分を赤黒く腫れあがらせた子まりさ三匹が転がっている。 やや面倒になったので、子まりさのほうは親ほどには傷めつけていない。 それでも全員、言葉にならない呻きを漏らして涙を流している。 「今日からお前たちは俺の奴隷だ。いいな?」 俺は言い渡した。 答えがなかったので、一匹ずつ蹴りつける。 「あじゅ!!」 「ゆびゃっ!!」 「だいぃいいい!!」 「ゆがぁあ!!」 「返事をしろ。いいな?」 「「「「いいいいいいでずううううう!!」」」」 「立て」 のろのろと立ち上がる子まりさ達。 親まりさは全身の痛みに苦悶しながら、だいぶ遅れてどうにか立ち上がった。 「背中を向けろ」 子まりさ達がすぐに背中を向ける。 親まりさはずるずると床の上で回転したが、あらぬ方向を向いて止まった。 両瞼が腫れあがり、目がふさがっているので自分の向きがわからないようだ。 「あいぃいいい!!」 髪を掴んで持ち上げ、強引に背中を向けさせる。 俺は太い注射器を取り出すと、 背中を向けて並んだまりさの一匹を選び、 背中に注射器を突き立てた。 「ぐいいいいい!!いだいごどじだいでええええええ!!!」 悲鳴をあげる子まりさの内部に、注射器内の液体を注ぎ込む。 オレンジジュースだ。 どれだけ消耗していても、これを与えればゆっくりは回復する。 三匹の子まりさ、そして親まりさに、同じように処置を施す。 親まりさには表面のキズがいくつかあったので、 小麦粉の溶液をちょいちょいと塗り込む。 放っといてもいいが、なにかのはずみで傷から餡子が漏れないとも限らない。 これで、しばらくおけば普通に動き回れるようにはなるはずだ。 その前に、最初の子まりさに命じる。 「こっちに来い」 怯えながら、子まりさはこちらに這いずってきた。 その頭を押さえつけ、したたかに殴りつける。 「ぎびゃああっ!!」 「お前、さっき俺に「痛いことしないで」と命令したな」 「べいれいじゃありばぜええんん!!おでがいでずうううう!!」 「同じだ。いいか、饅頭共、お前らは俺の奴隷だ 奴隷に、俺に対して要求する権利はない。わかったな?」 言いながら、俺は同じ箇所を何度も何度も殴りつける。 「あぎいいいいわがりばじだあああああ!!!」 さんざん殴り、子まりさの右頬はぱんぱんに腫れあがった。 再び、背中からオレンジジュースを流し込む。 二度手間だが、上下関係ははっきりさせておく必要がある。 他のまりさ共も、がくがくと震えながらこちらを見ていた。 しばらく待った後、俺は頃合いを見て壁のスイッチを押した。 とたんに、鏡張りになっていた一面の壁が、隣の部屋の光景を移した。 この壁はマジックミラーで、鏡の状態と透明な状態を、 ボタン操作で切り替えることができるようになっていた。 今は向こうからも見えるようになっている。 部屋の向こう側は、本当のゆっくりプレイスだった。 部屋の間取りはこちら側と同じく八畳程度だったが、 壁には草花や青空や動物たちがデフォルメした可愛らしい画調で描かれ、 ふかふかのクッションやソファがあちこちに山ほど積まれている。 ブランコや滑り台や砂場、遊び場や玩具もふんだんにあった。 部屋の隅には餌場があり、いつでも砂糖水が飲め、 定期的にお菓子が補充されるようになっている。 そこには大小さまざま、およそ十数匹のゆっくり共がくつろいでいた。 ソファに寝転び、滑り台で遊び、家族で歌を歌う。 この部屋には常時二人ほどの人間が世話係を勤めており、 好き勝手に垂れ流される排泄物をはしから処理したり、 求められれば遊び相手になったりしていた。 「ゆぅうううううう…………!!」 おおむね体力を回復させたまりさ共は、 眼前に広がるゆっくりプレイスに目を輝かせた。 「ゆぅうううう!!すごいのぜ!!とっっっってもゆっくりできるのぜ!!」 「あれはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! あいつらはおいだしてやるんだぜ!!」 自分たちの状況を完全に忘れて騒ぎ立て、壁に体当たりする子まりさ共。 壁が破れないとみるや、俺の方を向く。 「おい、ごみくず!まりささまをあっ……」 俺の顔を見たとたんに、状況を思い出したようだ。 子まりさは失言に気づき、口を閉ざして震えだした。 親まりさは失言こそしなかったものの、期待に目を輝かせていた。 その目が、すがるように俺を見上げている。 「俺は言ったはずだ。ずっとゆっくりさせないと」 そう言ってやりながら、俺は失言した子まりさを踏みつける。 「びゅぇええっ!!」 何度も踏みつけてやりながら、俺は説明する。 「あのゆっくり共はお前らとは関係ない。 あいつらはあそこでゆっくりするが、お前らはここでずっと苦しんでもらう。 わかったな」 「ゆひぃぃいいい………」 慈悲を求めるように目を潤ませるまりさ共。 「わかったな!」 「わがりばじだあああ!!」 踏みつけていた子まりさを蹴り飛ばし、親まりさに叩きつけると、 ようやく返事が返ってきた。 ゆっくりプレイス側のゆっくりが、不安げにこちらを見つめていたが、 隣にいる世話係の人間が説明してやると安心したようだ。 どこか侮蔑を顔に浮かべ、にやつきながら眺め始めた。 踏みつけた子まりさにオレンジジュースを軽く注入してから、 親まりさ共に言ってやる。 「さて、その前に、飯の時間にしようか」 「ゆゆっ!?」 まりさ共の目が輝く。 オレンジジュースを注射器で注入されてはいても、 口からではないので味は楽しめないし、満腹感もない。 人間でも、栄養剤をいくら注入されても腹は膨れないのと同じことだ。 すでに丸一日、こいつらには何も食わせていない。 さんざん甘やかされてきたこいつらにとって、空腹は耐えがたいだろう。 口には出さずとも、軽く飛び跳ねて催促するまりさ共。 通信機で連絡をつけると、ほどなくして食事は運ばれてきた。 食事が、隣のゆっくりプレイスに運ばれる。 そこに運ばれてきたのは、信じられぬようなごちそうだった。 大皿に盛られたケーキ、プリン、フルーツ。 数多のトッピングがちりばめられたあまあまだ。 かつてこのゲス共が食べていたものとは比べものにならない高級品である。 「ゆっ!!ゆっくりできるごはんだよ!!」 「あまあま~、あまあま~!!」 「あわてなくてもたくさんあるからね!!なかよくゆっくりたべようね!!」 隣のゆっくり共の声が聞こえてくる。 マジックミラーで遮ってはいても、 スピーカーによって、こちらによく声が通るようにしてある。 「あまあま……あまあまたべたいぃ……」 「おなかすいたぁぁ……」 涎を垂れ流しながら、マジックミラーにへばりつくまりさ共。 向こうのゆっくり共は一心不乱に食べている。 「うっめ!めっちゃうっめまじうっめ!うっめ!ぱねぇ!!」 「むーちゃ、むーちゃ……しあわせえぇぇぇ!!」 「ちちちちちちあわちぇええええ!!」 「すっっごくゆっくりしてるよぉぉ……」 「ゆっくりしたいよぉぉぉ………」 「おにいさん……まりさにも、まりさにもあまあま……」 「お前らの飯はない」 俺の言葉に愕然とするまりさ共。 「ゆゆっ!ご、ごはんのじかんだよ?」 「向こうのゆっくり共のことだ。お前らに関係ない」 「おねがいします!ごはん!ごはんくださいぃぃぃ!!」 要求してきた子まりさの顔面を爪先で蹴る。 「びぃゆううう!!」 「さっき言ったはずだ。 お前らは俺に負け、奴隷になった。 もう飯はやらない。ましてあまあまは一生食べられない」 「ぞんな………ぞんな………」 「ゆっぐり、でぎだい………」 「何度でも言う。お前らはもう一生ゆっくりできない」 絶望と悲しみに大口を開けて震えるまりさ共。 子まりさが一匹失禁した。 「ちちちちあわちぇー♪」 「む~ちゃ!む~ちゃ!ゆっきゅりできりゅよぉぉぉ!」 ゆっくりプレイスの赤ゆっくりの歌が響く中、 まりさ共は絶望の淵にいた。 しかし、まだまだこいつらには余裕がある。 今後しっかりと、さらなる絶望を堪能してもらわなければならない。 とりあえず、少しずつ段階を踏んでいく。 この部屋にまりさ共と共に寝泊まりしながら、 最初のうちは手を下さず、餌を与えずに放置した。 ゆっくりという生物(と呼ぶべきなのかどうか)は、 非常に脆い反面、おそろしく頑丈な面もある。 どれだけ傷をつけられようと、 体内の中心部にある中枢餡が破壊されるか、 もしくは中の餡子があらかた漏れ出さないかぎり死なない。 餓死や病死という死因もあるが、 適当に室内で世話していれば、よほどのことがないかぎり病気にはならない。 餌は、一月ほど与えなくても大丈夫らしいが、 食欲はおそろしく旺盛なので、 一日抜いただけでも天地がひっくり返ったように暴れる。 まずは食からだ。 三日目にして、すでにまりさ達はこの世の終わりのような表情で、 だらしなく床に寝そべっていた。 初め、三匹の子まりさは親まりさを罵っていた。 「おまえのせいだ!!おまえがまけたせいでゆっくりできないんだ!!」 「さんざんいばってたくせにぜんぜんよわかったんだぜ!! くそまりさのうそつき!!ぺてん!!さぎ!!」 「やかましいんだぜええ!! おまえらだってまけたんだぜ!!ごみくず!!」 傷があらかた回復した親まりさは、子まりさに叫び散らしていた。 もはや威厳も何もないが、力だけはあり、 子まりさ共に襲いかかられても勝てる。 もはや暴力だけで、親まりさは子まりさ共を恫喝していた。 何度となく掴み合いの喧嘩、というか殺し合いを始めたが、 その度に俺が蹴りをくれたので、ほどなく罵り合うだけに留まった。 そして今、疲れきって体力もなく、 四匹とも力なく床に横たわるだけである。 一日中、獣じみた呻きを発するか、ぶつぶつと文句を言うばかりで、 暴れたり罵ったりする気力はないようだ。 最初の頃は俺に食事を懇願していたが、 その都度顔中が腫れあがるほど殴られたため、 いまではびくびくして俺に近づかないようにしている。 それでも、一日に五度の隣の食事が始まると、 全員でマジックミラーにへばりついた。 幸福にのたうちながら舌鼓をうつゆっくり共の姿を、 涙と涎を垂れ流しながら恨めしそうに眺めていた。 このゲスまりさ共は、かつて俺の部屋でずっと主として君臨していた。 他のゆっくり共を目下に従え、ふんぞり返って威張っていた。 そのプライドが、これまでまりさ共の口を閉じていたが、 ついに親まりさの心が折れた。 「おねがいです!まりさたちにもわけてください!!」 プライドをかなぐり捨て、向こうのゆっくり共に物乞いを始めたのだった。 それを皮切りに、子まりさ共も喚き始める。 「おねがいしますうう!!」 「おなかがすいてしにそうなんですううう!!」 「すこしだけでいいですから!!あまあまくださいいいい!!」 隣のゆっくり共がこちらを振り向いた。 その後、ゆっくり同士でひそひそと何事か囁いていたが、 やがてこちらを向いて言った。 「ひとごろしまりさにあげるあまあまはないよ!!」 「ゆっくりくるしんでね!!」 「そんなあああああ!!おねがいしますうううう!!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「よだれでべちょべちょ!みっともないね!!」 「おちびちゃんたちはあんなふうにならないよね!!」 「うん!あんなばかにはぜったいならないよ!!」 その時は、食事が残らず食べ尽くされるのをじっと見守るしかなかった。 その日、次の食事がやってきた時も、まりさ共は懇願した。 懇願するまりさ共を、始めのうちは罵っていた隣のゆっくり共だったが、 やがて、それまで部屋の中心で食べていた食事を、 まりさ共の鼻先にまで押しやってきた。 「あああああありがどうございまずううううう!!!」 「あまあま!!あまあまありがどうございまずううううう!!!」 分けてもらえると思い、嬉し涙を流して叫ぶまりさ共。 しかしそこまでだった。 まりさ共の目の前に積み上げられた食事を、ゆっくり共が食べ始めた。 マジックミラーに遮られて手を出すこともできず、 すぐ目の前で、まりさ共は食事を見せつけられることになった。 「む~ちゃ♪む~ちゃ♪しあわせぇ~♪」 「このくっきーあまあまだよぅ~♪ゆっくりぃぃぃぃ~~」 「たべないの?とぉ~~~ってもゆっくりできるよぉ~? む~ちゃむ~ちゃ……しししししあわせぇぇ~~~~!!」 まりさ達の方を向きながら、ことさら美味そうに食べてみせるゆっくり共。 涙を流し、まりさ共はぎりぎりと歯噛みしていた。 ゆっくりという生物は、弱い者を苛めるのが大好きである。 どんなに性格がよさそうに見えるゆっくりでも、 自分より弱い者や無抵抗の者を見ると、たちまち嗜虐心を燃え上がらせる。 その陰湿さは、俺自身が体験してきてよく知っている。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎいいいいいいい!!!」 怒りと悔しさと空腹に歯ぎしりするまりさ共。 「ゆぎぎぎぎ~~~♪」 「おなきゃすいちゃ~♪あみゃあみゃくだしゃ~い♪」 マジックミラーごしに、赤ゆっくり共がまりさ共の顔真似をしてみせ、 大人ゆっくり共がそれを見て笑う。 親たちが喜ぶのを見て、赤ゆっくり共はあの手この手でまりさ共をからかう。 地獄だった。 その地獄が、食事のたびに繰り広げられた。 続く 選択肢 投票 しあわせー! (1) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/200.html
※初めまして、最初で最後のゆっくり虐待に挑戦してみます。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※最初の数回は読者様のストレスをマッハにすることに腐心しています。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』1 「おちびちゃんたち、じじいのあたまにしーしーしてね! くそじじいにはもったいないけど、あんまりきたないから しーしーできれいきれいしてあげるんだからね!ありがたくおもってね!」 「ちーちーしゅるよ!ちーちー!」 「ゆっ!くちょじじい、もっちょあちゃましゃげちぇね! りぇいむのちーちーできりぇいにしちぇあげりゅ!」 額を床につけている俺の頭に、正面から横から、 赤れいむのしーしーがびたびたと打ちつけられる。 気持ちよさそうに震えながらしーしーをしている赤れいむは四匹。 土下座の姿勢では見えないが、俺の正面では、 一匹のゆっくりれいむが嘲笑を浮かべながらこちらを見ている。 「ゆゆ?じじい、さっきからだまりこくってどうしたの? なにかいうことがあるんじゃないの?ばかなの?しぬの?」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 親のれいむが罵るのを聞くと、すぐに赤れいむたちが口を合わせて合唱を始める。 「ばかなじじいはいわれなきゃわからないみたいだから、 しんせつなれいむがゆっくりおしえてあげるね! きれいきれいしてもらったらおれいをいうんだよ! さあ、いいこだからおちびちゃんたちにおれいをいってごらん?」 俺はしーしーの水たまりに頭を伏せたまま黙って体を震わせていた。 握り込んだ手のひらに爪が食い込む。 「どうしたの?いいたくないの? それともばかだからおれいのしかたをしらないのかな? いいこだからよくきいてね。 「ぐずでのろまの、きたないくそじじいに しーしーをめぐんでくださってありがとうございます」っていうんだよ!」 「いうんだよ!」 「はやきゅいえ!ごみくじゅ!」 「…………」 「ゆ?どうしたの?いえないの? ばかにはむずかしかったね。 だったらいいんだよ!おねえさんにおしえてもらおうね!」 「ぐ……」 歯茎から血が出るんじゃないかと思うほど震えている顎を 苦労してこじ開けながら、俺は絞り出した。 「ぐずで、のろまの…」 「おそいんだぜ!」 俺の後頭部を衝撃が襲う。 バスケットボール大の饅頭、ゆっくりまりさが飛び込んできたのだ。 「ちゃっちゃというんだぜくそじじい! いちにちはみじかいんだぜ?ごはんとそうじがまってるんだぜ! あさのしゃわーぐらいてばやくすませるんだぜ!」 後頭部で飛び跳ねられる度に、俺は顔面を床に打ちつける。 床に鼻血が滴る。 背中のほうでは、ソフトボール大の赤まりさたちが飛び乗り、 親に便乗して俺の上で飛び跳ねはじめている。 「はやきゅすりゅんだじぇ!」 「まりしゃしゃまたちはおなきゃしゅいたんだじぇ!」 「ごはん!ごはん!」 「ぐずでのろまの汚いクソ爺に、 しーしーを恵んでくださってありがとうございます」 「ゆはははは! いったよ、ほんとにいったよこのじじい!」 親れいむが爆笑した。 それに合わせ、赤れいむ、まりさ親子、 そして奥のほうから眺めているありす親子が笑い出す。 「ほんのじょうだんだったのに、 ほんとにいうなんておもわなかったよ!じじいはばかだね! それともほんとにうれしかったのかな? おちびちゃんたちはやさしいから、たのめばまいにちしーしーくれるかもね!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「おい、しーしーじじい!ごはんをよういするんだぜ! まりささまのせわをさせてあげてるんだから、 ごみくずはかんしゃしてちゃっちゃとうごくんだぜ!はやくしろ!」 尻に親まりさの体当たりを受け、再び俺は床のしーしーに顔を打ちつけた。 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 話は二か月前に遡る。 「「ゆっくりしていってね!!」」 大学から帰ってきた俺を出迎えたのは、 居間の真ん中に転がる二つの饅頭だった。 部屋中は惨憺たる有様で、 あちこちひっくり返して見つけ出し食べ散らかした食べカスや、 排泄物らしき餡子、砂糖水、びりびりに破られてまき散らされた雑誌類などが そこらじゅうにぶちまけられていた。 冷蔵庫も開けられ、中の食材がすべてやられているようだ。 カーテンは半ば引きちぎられ、ポットも炊飯器も倒され、 寝室から引きずり出された毛布が汚れを吸って無数の染みを作っている。 案の定、窓ガラスは割られて床にガラス片が四散していた。 ここはマンションの一階。 お定まりのパターンというやつで、 石を投げてガラスを割り、侵入してきたようだ。 その時、俺が部屋に帰ってくるのは三日ぶりだった。 友人が婚約したとかで、 その祝いでひとしきり飲み騒ぎ、外泊が続いたのだ。 その間中、このゆっくり二匹が部屋を蹂躙していたわけだ。 最近になって、俺の住むこの街でも ゆっくりの被害が幾度となく取り沙汰されるようになった。 ゆっくりの数は全国で着々と増え続けているらしい。 被害に遭った知人の話を聞くにつけ、俺も対策しなければとは思いつつ、 もう少し後でいいだろうとたかをくくり、ずるずると先延ばしにしていた。 きちんと対策していれば。思い起こすたび後悔で身をよじる。 侵入してきたのは、ゆっくりまりさとれいむの番いだった。 野良のゆっくりらしく、二匹はひどく汚かった。 成体になりたてのようで、大きさは共にバスケットボール大。 全身にこびりついた土の汚れが、そのまま部屋中に足跡を残している。 「ゆ!ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!!」 「にんげんさんはたべものをもってきて、ゆっくりしないででていってね!!」 さっさと追い返せばすむ話だった。 だが、この時はさらに不幸が重なっていた。 「きゃあ、可愛い~!!」 恋人の由香を同伴していたのだ。 友人との飲み会でもずっと一緒に騒いでいた。 騒ぎ疲れてこの家に帰ってきて、ついでに一戦交えるつもりもあったが、 ゆっくりに水を差された形になった。 悪いことに、由香は筋金入りのゆっくり愛好家だった。 「かっわいいわあ~。すーり、すーりっ」 「ゆゆっ!おねえさんなにしてるんだぜ!?」 小汚いゆっくり二匹を両方抱え上げ、頬ずりを始めた。 「ゆ、ゆっくりやめてね……すーり、すーり♪」 「まりささまのびはだによいしれてるんだぜ!」 ゆっくりの方もまんざらではなさそうだ。 「お、おねえさん!まりささまはおなかがすいてるんだぜ。 とっととたべものをもってくるんだぜ!!」 まりさの方が早くもしびれを切らし、食事を要求してきた。 「あ、ごめんね!」 由香がゆっくり共を床に下ろし、周囲を見渡した。 しかし部屋の様子はすでに記述した通りである。 仕方なしに由香は立ち上がった。 「ちょっと待っててね。食べ物持ってくるからね」 「ゆゆっ、さっさとするんだぜ! ぐずにいきるかちはないんだぜ!!」 まりさの方はゲスなんじゃないか、と思っている俺に由香が言う。 「コンビニ行こ!」 この部屋の様子を見て、部屋の主を目の前にして なんで呑気にそんな事が言えるのか。 由香も承知の上らしく、俺の反論を封じるように 腕を引いて外へぐいぐい引っ張っていく。 「とっととするんだぜ!!」 背中から苛立たしい声が聞こえてきた。 「なに考えてるんだよ!?」 「ごめん、圭一!」 圭一は俺の名である。 部屋からある程度離れた路上で、由香は俺に手を合わせた。 「あんまり可愛いものだからつい……」 「どこが!?」 「全部!」 由香のゆっくり愛好ぶりはただごとではなかった。 ゆっくり愛護会だかなんだかの会員である。 携帯電話にはゆっくりキーホルダーがごちゃりとぶら下がり、 ゆっくりバッグの中には他にもゆっくりグッズが満載だ。 いつもゆっくりショップの前を通るたびに立ち止まり、 陳列されているゆっくり共を前にため息をついている。 俺には苛立たしいだけなのだが、 彼女の目には天使のように映っているらしい。 「ね、飼お!」 「はあ!?」 えらいことを言い出した。 あんなゲス(俺の中では決定)は一刻も早く追い出したいのだが。 「人間の手がついちゃったゆっくりより、 野生のゆっくりとお友達になりたかったの」 「あんな尊大な奴らと?おかしいんじゃないか?」 「おかしいのは自分でもわかってる。 でも、あのわがままさがたまんない……わかってもらえないと思うけど」 このあたりが筋金入りなのだ。 そこらにいる半端なゆっくり愛好家なら、 人の手でしつけられたゆっくりを愛護し、ゆっくりショップを利用する。 野生のゆっくりと付き合うほどの忍耐力を持つ者はそうはいない。 しかし、あのゆっくりならではの傍若無人ぶりをこそ愛する 本物の愛好家が稀にいる。 俺に言わせれば物好き、あるいはキワモノ好きだが。 「お前の家で飼ったら?」 「だめ。うちはもうゆっくりでいっぱいだし、 飼いゆっくりと野生のゆっくりを一緒に置いておくと 喧嘩になったりするらしいの」 由香の家族もゆっくり愛好家で、 家に何十匹のゆっくりを飼っていた。 由香の家庭についてはあとで触れる。 由香は飼いゆっくりは十二分に堪能できているはずだが、 野生のゆっくりと触れ合いたい欲求もあったようだ。 つくづくマニアである。 「あたしも毎日通ってお世話するから、お願い!」 俄然、揺れた。 ここまで読まれた方にはとんだ我儘女に見えたかもしれないが、 由香は本当にいい女なのだ。 可愛く美人、スタイルもよくて理知的だ。 飲み会でも出しゃばらず、いろんなところによく気が回る。 そして家が金持ち。 いつも周囲の友人に羨まれる、極上の女であった。 その彼女の唯一の欠点が、病的なほどのゆっくり好きという点だ。 それでも俺にとっては、 ひとつぐらい欠点があったほうが安心するぐらいのもので、 そこも含めて愛する気満々だった。 俺の家で飼いたい、というのにはさすがに躊躇したが、 家に毎日来てくれるという。 ゆっくりを餌にすれば、いつでも家に連れ込める。 これはなんとも魅力的だった。 結局、俺は首を縦に振ることになった。 ちゃんと世話しろよ、と釘を刺しつつ。 「やった、ありがと!圭一大好き!」 俺の肩に飛びつき、熱烈なキッスを浴びる。 たまに見せるこういうところが可愛い女なのだ。 「ゆっくりおそいんだぜ!!おねえさんはぐずだね!」 「ごめーん」 「ゆ、さっさとたべものをおいてでていくんだぜ!」 由香はゆっくりに詫びると、 コンビニで買ってきたプリンの蓋を開けてゆっくり共の前に置いた。 ゆっくり共はわき目も振らずにプリンに突進し、容器を突き倒した。 床にぶちまけられたプリンにゆっくり共は顔を突っ込み、 涎やらプリンやらをまき散らしながらむさぼり食う。 「うっめ!!これむっちゃうっめ、まじうっめ!ぱねぇ!!」 「むーちゃ、むーちゃ……ししししあわせえぇぇ!!」 感涙しながら食べ尽くしたまりさとれいむは、 顎の下にあるあにゃるを突き出していきみ始めた。 「うんうんするのぜ!」 「うんうんするよ!」 たらふく食べて満足したあとは、排泄である。 俺の部屋の床に、二匹のゆっくりはうんうんをひり出した。 「ゆっ!にんげんさんはまりささまのうんうんをそうじするんだぜ!! さっさとするんだぜ!!」 「おぉ、くさいくさい。ゆっくりしないでかたづけてね!!」 臭いうんうんの前から自分は一歩も動こうとせず、 片付けるように命令してきたゆっくり共。 由香は文句も言わず、にこやかにティッシュにくるんで捨てた。 「ゆっくりできた?」 「まりさはゆっくりしてるのぜ!!」 「れいむはとってもゆっくりしてるよ!!」 由香の質問に答えるまりさとれいむ。 「よかった。これからもここでゆっくりしていってね」 「ゆ?あたりまえなんだぜ!! ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ?」 「あ、ごめん。そうだったね」 「ごはんはたべたからにんげんさんにようはないんだぜ!! とっととでていくんだぜ!!」 「あ、あたしたちもここでゆっくりさせて!」 手を合わせてお願いしはじめる由香。 ゆっくり相手にこんなことをする人間は他にいるまい。 「ゆゆ?なにいってるんだぜ?おねえさんはばかなんだぜ? やくにたたないくずをおいておくよゆうはないんだぜ!!」 これだけ広い部屋を、饅頭二匹で占拠するつもりらしい。 「そろーり、そろーり」 まりさの背後に、れいむが大声で何か言いながら近寄る。 そして耳打ちした。 「まりさ、ちょっとこっちにきて!」 「ゆっ!なんだぜれいむ!ばかなにんげんをいまおいだすところなんだぜ!」 そう言いながられいむに促され、まりさはこちらから離れていった。 俺たちから離れていくと、二人はこちらに背を向けながら相談を始める。 「ひそひそ、これくらいはなれれば ばかなにんげんさんたちにきこえないよ!」 1メートルしか離れていない。 当然丸聞こえであるが、まりさは気づく様子がない。 「ばかなにんげんにきかれてこまることなんてないんだぜ?」 「まりさ、よくきいて!このにんげんさんたちはたべものをもってるよ! まりさがかりにいかなくてもこいつらにもってこさせれば、 このゆっくりぷれいすでずっとゆっくりできるよ!」 「ゆ!めいあんなんだぜ!! まりさがちょっとおどしてやれば、 にんげんどもはばかだからいくらでもごはんをさしだすんだぜ!!」 「まりさ、むちだけじゃだめだよ! あめとむちをじょうずにつかいわけて、にんげんたちをしつけるんだよ。 こんきよくがんばれば、にんげんだってきっとやくにたつよ!」 「れいむはあまいね!でもわかったんだぜ。 いかさずころさず、なるべくながいあいだつかってやるんだぜ!!」 そんな会話を、由香はニコニコしながら聞いていた。 俺のほうは、聞いていて気分のいいものではなかったが、 ゆっくりの馬鹿さ加減はよく知っていたし、 あとで躾けてやればいいだろうぐらいにその時は考えていた。 「おねえさんたち、よくきくんだぜ!!」 密談らしきものを終え、まりさがこちらに向かって声をはりあげた。 「まりさたちのゆっくりぷれいすにいたかったら、 まいにちまりさたちにごはんをもってくるんだぜ! そうじもするなら、とくべつにここでゆっくりさせてあげるんだぜ!」 「やったあ、よろしくね!」 大げさに喜んでみせる由香。 話を合わせて、このゲスぶりを堪能するつもりらしい。 ゆっくり愛好家を称する人間は多いが、 ゲスをすら楽しむほどの物好きは、 日本中探しても五人もいないのではなかろうか。 その日から、ゆっくり共との生活は始まった。 二匹のゆっくりは部屋の中で傍若無人に振舞った。 「まりささまにごはんをもってくるんだぜ!!」 「かわいいれいむにあまあまをちょうだいね!!」 腹が減ればいつでもどこでもわめき出す。 「ゆっくりうんうんするのぜ!!」 「しーしーするよ!!」 うんうんとしーしーも、気が向いたときに垂れ流し、 それが終わると俺たちを呼びつけて片付けさせた。 「それはなんだぜ!?まりささまにさっさとよこすのぜ!! ここのものはぜんぶまりささまのものなんだぜ!!」 ちょっと興味が沸くと、すぐに俺たちが持っているものを差し出させた。 勉強中には鉛筆を奪われる、掃除をしていれば掃除機を奪われる。 そのうち飽きて放り出すからまだいいが、 何をするにも中断させられるはめになり、邪魔でしょうがない。 「ゆ~♪ゆ~♪ゆっゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪」 突然大声で歌い出すのでうるさくてかなわない。 「ゆぁああああ!!なんだぜこれぇえええ!!?」 「おにいさあああん!!はやくきてかわいいれいむをたすけてねぇえええ!!」 慣れない家の中で勝手に動き回るものだから、 本の山に押しつぶされたりそのへんの隙間に挟まったりして、 しょっちゅう俺たちを呼びつけた。 「おそすぎるんだぜ!!もたもたなにしてたんだぜぇええ!? やくにたたないにんげんはごみくずなんだぜぇ!!」 「なんでもっとはやくたすけないのおおぉ!? かわいいれいむがくるしんでてもへいきなの!?ばかなの!?しぬの!?」 助けてやったところで、礼を言われたことは一度もない。 何度となく叩きつぶしたくなったが、その度に由香に止められた。 「この子たちは好きにさせてあげて、ホントにごめん!」 その可愛い顔のために、俺は耐えつづけた。 もともと俺は、愛護派でも虐待派でもなく、ゆっくりに興味はなかった。 思い入れがないぶん、ただの饅頭の言うことだと聞き流し、 まじめに取り合うことなく一歩引いて接することができていた。 とはいえ、それでも我ながらたいした忍耐力だったと思う。 結局、おれも変人だったのかもしれない。 ゆっくりという生物は、甘やかせばどこまでもつけあがる。 後日、このゆっくり達の存在は日本中に知れ渡るのだが、 そのつけ上がり具合に、誰もが驚愕することになる。 よくもそこまで、殺さずにつけ上がらせつづけたものだと。 ある日、由香が祖父を伴って俺の住むアパートにやってきた。 「やあ、圭一くん。こんにちは」 「こ、こんにちは。おじい……長浜さん」 この老紳士、長浜氏は政財界では名の通った名士である。 建築業の重鎮で、大企業長浜建設の名誉会長を務めると同時に、 多くの著作をものした社会学者でもある。 すでに述べたように、恋人の由香の祖父であり、 可愛い孫の恋人である俺の動向にさりげなく目を光らせている人だ。 お祖父さん、と一瞬呼びかけた俺に対する視線が一瞬きらりと光ったのは気のせいではあるまい。 人当りがよく、理知的な人であり、俺との関係もひとまず良好だ。 安アパート住まいとはいえ、自分で言うのもなんだが、 俺が国立有名大学に通い、トップクラスの成績をマークしてそれなりに優秀なことも大きいだろう。 これほどの人だから、孫の相手には、 トップクラスと言わず首席級の男をと言いだしても不思議はないが、 そこは孫の意思を尊重してくれている。 漫画に出てくるような偏屈爺とは違う、ごく普通に良識的な紳士というわけだ。 とはいえ、やはり会うたびに緊張してしまう。 「どうぞ、何のおかまいもできなくて」 「いやいやいや、こちらこそ。急に押しかけてすみませんでした」 若輩の俺に対しても、長浜氏は礼儀正しく頭を下げる。 「孫の話を聞きましてな。ぜひ見せていただきたいと思いました」 そう言い、長浜氏はさっきから喚いているゆっくり共のほうを見た。 「おじいさんはゆっくりできるひと? かわいいれいむにあまあまをちょうだいね!!はやくちょうだいね!! きこえないの?ばかなの?ばかなにんげんさんなの?」 「くちょじじい!!さっさとあまあまをよこすんだぜ!! よこしたらまりさのゆっくりぷれいすからでていくんだぜ!!」 「これはこれは……」 長浜氏は目を細めて笑い、懐から飴玉を取り出すとゆっくり共に投げ与えた。 わき目もふらずに飴玉に食いつくゆっくりを見届け、彼は俺に向きなおった。 「いやはや、大したものですな」 「いや、どうも毎日大変で……まあ」 挨拶を交わしながらソファを勧めようとしたが、 ゆっくり共のうんうんやしーしーで汚れきり、とても人を座らせられる状態ではない。 来るとわかっていればせめて洗濯していたのだが。 床にありあわせの座布団を敷き、座ってもらう。 それまでのやりとりで大体の事情はわかったが、一応話を聞くと、 孫がゆっくりを全力でゆっくりさせることに挑戦していると聞き、興味を抱いたらしい。 この長浜氏、やはり非常なゆっくり愛護派である。 大きなゆっくり愛護団体の会長をも務めるほどで、 日々ゆっくりを苦しめる虐待派のふるまいに心を痛め、ゆっくり愛護を市井に呼びかける一方、 都市部に繁殖するゆっくりへの対処問題に腐心している。 由香の住む家は長浜氏所有の邸宅であり、 家族ぐるみでゆっくりと付き合っているのはこの人の影響によるものだ。 「ね、とっても可愛いでしょ!!」 「いやはや……こら、じいちゃんは圭一くんと話してるんだ。 ちょっと静かにしていなさい」 孫娘に飛びつかれ、やや困り顔ながらもこぼれる笑みを抑えられないようだ。 しかし由香を引き離すと、改めて俺に向きなおると、深々と頭を下げた。 「このたびは、孫娘のわがままでまことにご迷惑をおかけしとります」 「あ、いえいえいえ!」 予想外の成り行きに慌ててしまう。 まさか俺ごときが、この人に頭を下げられるなんて思っていなかった。 「我儘放題なゆっくりの言うことを聞き続け、自由にさせる。 なんと馬鹿なことをと、わしは説得しました。 わし自身、なんとも困ったゆっくり狂いという悪癖を持っておりますが、 それでもわがまま放題にさせるなんてことは、 人間にとってもゆっくりにとってもためにならん。 それぐらいはわきまえとるつもりです」 「……はい」 「しかし、こやつは言うのですな。 人間の都合でゆっくりを飼う、いや、飼わせてもらっている。 だから、人間は全力でゆっくりをゆっくりさせる義務があるのだと。 わしは……返答に困りましたわい」 「ですが……人間の社会で生きていくんだったら」 「もちろん、そうです。 ここで生きるならここのルールを教えるのがゆっくりのためだ、 そんな御託はいくらでも並べられますし、正論です。 しかし、それでも、わしは答えられませんでしたわ。 確かに、わしらは飼わせてもらっておる。ここで生きることを強要したのはわしらだ。 強要しておいて、そのための忍従を強いるのは、やはり横暴でしょう。 ゆっくり狂いの馬鹿な戯言とお思いでしょうがな」 「…………」 答えられなかった。 事実、そう思っていたからだ。 良識ある人かと思っていたが、子供じみたセンチメンタリストなのか。 「甘やかされきったゆっくりの行き着く末路は、もちろん想像がつきます。 しかし、こやつは全力でゆっくり達を守るという。 圭一くんも協力してくれるからと。 それなら、一度、やってみる手かもしれんと思いました。 無茶な実験をするようですが、これもまた、ゆっくり研究の一環ではありましょう。 なにしろ愛護者でさえ、そんな事をやり通した者はほとんど聞きませんからな。 ゆっくりのわがままにとことん付き合うのは非常に、非常に骨の折れる話です。 それに挑戦してみることは、ある意味、こやつの為になるかもしれんです」 長浜氏はそこで、再び居住まいを正して、俺にふかぶかと頭を下げた。 「どうか、孫娘に付き合ってやってはくださらんか。 ゆっくり馬鹿、孫馬鹿の耄碌爺の戯言ではありますが、聞いて下されませんか」 一瞬、慌てながらも言葉に詰まった。 少々意外だったからだ。 良識と常識ある人かと思っていたが、孫娘のこんな暴挙、 しかも他人である俺を巻き込んだ暴挙、止めるのが普通というものだろう。 しかしこの人は、他人の俺に、我慢して共に耐え忍んでくれという。 ずいぶんと非常識な願いと思わざるをえない。 いや、一応、結婚すれば他人ではなくなるのだが…… あ。 そうか。 俺はそこで、老人の目論見がわかった。 この人は俺を試しているのだ。 可愛い孫娘の恋人、あるいは夫として、俺がふさわしい男かどうか。 甘やかされて育った娘を受け入れられる忍耐強い男かどうか、 このゆっくり共を試金石にして確かめようというのだろう。 確かに、忍耐力を試すのにゆっくりほどお誂え向きの存在もない。 また、由香の家族と付き合うのならば、ゆっくりとの付き合いもできたほうが断然いい。 そういう方向でも試す目論見がありそうだ。 そういうことならば、迷う理由はない。 あなたの孫娘を任せられる男であることを、見事証明してみせようではないですか。 俺は笑うと、力強く言い放った。 「万事お任せください」 頭を上げ、俺の表情を確かめた長浜氏は、満足げに目を細めた。 続く 選択肢 投票 しあわせー! (0) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/sengensyouplus/pages/72.html
館の中に案内された皆は、まずその華美な内装に驚かされた。 その上で、派手ではあるが決して品のないようなものでもなく。 館の広さも相まって、成る程。パーティ会場に相応しいと思えた。 菊理: 「うわぁ…土弄りが仕事の私には酷く場違いな気がする…」落ち着かなさげにそわそわ ユメヌ: 「派手ねぇ……」 桔梗: 「わぁ、綺麗な場所ですね」 GM/男: 「その言葉をお聞きになれば主はきっと喜ばれることでしょう」>桔梗 GM/男: 「さて。パーティまでは今暫くかかりますので。2階の客室までご案内します」 菊理: 「客室って個室なんですか?」 桔梗: 「はい、お願いしますね」ついて行きつつ腕時計をチェックします。 GM/男: 「えぇ。パーティの参加者にくつろいで頂けるように部屋を手配しています」>菊理 GM/男: 「…………ふむ。皆様はご同室で?」 菊理: 「んーと…どうする?」>二人 GM: えーと、時間的にはお昼前程度の時間帯>時計 ユメヌ: 「別に、どっちでもいいんじゃない?」 桔梗: 了解です。……念のため、秒針が止まってたり針が逆回転とか変な動きはしてませんよね GM: ないですねw 桔梗: ですよねw ユメヌ: 念には念をw 菊理: もしもってやつですねw 桔梗: 「三人ですし、一緒でいいんじゃないですか?」 菊理: 「じゃあ一緒の部屋でお願いしまーす」 GM/男: 「了解しました。…………こちらです」 と案内されたのは階段を上って直ぐ傍の一室。 GM/男: 「こちらの客室になります」 菊理: 「どれどれ、部屋もやっぱり豪華なのかな?」部屋のドアを開けて ユメヌ: とりあえず、何かあるかチェックしてみる GM: ドアを開けると、開放的な感じの光が差し込む部屋で、やはり内装は非常に煌びやかなもの ユメヌ: 「うわぁ、これは疲れるわー……」 ぼそっと GM: 部屋は2つに区切られていて、片方は寝室(ダブルベッドがある)がある。寝泊りも考慮されていて、メタ的に言えばホテルの一室のような感じ。 菊理: 「『かるちゃーしょっく』って奴だね…」落ち着かないように椅子に座る 桔梗: 「凄いですね……」 GM/男: 「それでは私は少し所用のため失礼しますが、メイドが居ますので何かあれば彼女らにお申し付けください」 GM/男: 「何かあれば今のうちにご用命いただければ対応します」 桔梗: 「わかりました、ありがとうございます」 ユメヌ: 「別に、私は無いわー」 菊理: 「御苦労様でーす」 GM/男: 「では一旦失礼しますね」 と扉を静かに閉める ユメヌ: 「はぁ……明るいのと派手なのは苦手なのよねー……」 ひじょーに面倒そう 菊理: 「やっぱり行方不明者も客室にいるのかな?」 桔梗: 「一度、全体を視てみましょうか」 ユメヌ: 「さて、家捜しでも始めますか……」 桔梗: クレアヴォヤンスを……いや、見回ってみてからでも遅くないか…… ユメヌ: 「一応客だし、堂々と回ったって大丈夫じゃない?」 菊理: 「パーティ始まるまで部屋から出るなとは言われてないしねー」 桔梗: 「……ですね。どうやらこの館は魔力に覆われてるようですから、無闇に力は使わない方がいいかもしれません」集中しようとしてたのを中断しつつ ユメヌ: 「ま、隠れて行くならこれもあるし」 闇精霊をさして 菊理: 「ま、とりあえずは普通に見て回るとしますかー」 GM: あ、部屋出ます? 菊理: 出ましょ出ましょ GM: えーと。ではここから時間管理と進行の解説をします。 現在: 11:30 カウント 0/26 GM: 1回部屋を移動するごとに(廊下はカウントしていません)カウントが1、時間にして15分経過します。 GM: また、移動の際15分以内に行われる行動であれば移動と同時に行って構いません(カウントの消費をしない) GM: また、イベントによってはカウントを進めるものや、時間と関係して発生するものがあります。 GM: 以上。こんなところですね。改めて質問などありますか? 菊理: 私は大丈夫ですー ユメヌ: とりあえずは無いかなー? 桔梗: 大丈夫ですー GM: では ―――――――――[階段] | | [???] [PC客室] GM: 現在このような状態となっています。左側は曲がり角となっておりよく分かりません。隣には部屋がありますね。 菊理: とりあえず近い所から? ユメヌ: ですね 桔梗: ごーごー 菊理: じゃあお隣の部屋へ GM: では廊下を歩き始めたところで感知判定を。感覚+感知 専門スキル判定は……聴覚と幻想で。 ユメヌ: 6+4+8(3D6 2 3 3) = 18 桔梗: 7+15(3D6 6 5 4) = 22 菊理: 6+6(3D6 3 1 2) = 12 GM: では桔梗のみ。廊下はやはり先ほど歩いたとおりとても綺麗に掃除が行き届いており、歩きやすく思えていたがどこか違和感を感じた。というより……足音がそういったところを歩くものではないような気がした GM: もう少し、言葉で説明できない部分も含むが……より硬質な音がするべきなような……?(フラグ+1) 桔梗: 「……? 何か、足音に違和感が……」床はどんな感じなんでしょうか。 ユメヌ: 「足音?そうかしら?」 廊下の端っこの方をげしげし蹴ってみる GM: 見た限り材質は石材のように見えますが、それならばもう少し硬質な音がしそうに思います 菊理: 「そーいや廊下ピカピカだよねー」調べすらせず ユメヌ: 「この辺に隠し扉があるとか」 どしどしとその辺を踏みつけてみる 桔梗: では、人目がなければ床をよーく見つつ床を剣でひっかいてみます 菊理: 「何もおかしくない気がするけどなぁ…」ぺたぺたと床を触る GM: 少しばかり廊下に傷がつきます。当然音がしますが…………桔梗だけはやはり違和感が拭えない感じの音です GM: 逆に言うと桔梗でも注意して聞いていなければ特に変わったようには感じない音だともいえますね。その程度の違和感です 菊理: 「そんなことより早く他の場所見てみようよー」隣の部屋を指さし 桔梗: 「何でしょう、やはり少し見かけと違うような……うーん、とりあえず覚えておきましょう」 GM: では隣に移動します? 桔梗: ですねー 菊理: 移動移動 ユメヌ: ですです 隣の部屋に向かってみる一行。そこはどうやら、一般開放もされている図書室のような場所のようである。 鍵もかかっておらず、特に入っても問題はなさそうだ。 探索シーン(現在: 11:45 カウント 1/26) GM/司書さん?: 「あら。お客様ね。どうぞ入って頂戴」 菊理: 「ふえーっ…こーゆー部屋もあるんだ…」中に入ってキョロキョロ ユメヌ: 「ふぅん、こういう部屋もあるのねー……お邪魔させてもらうわ」 入る入る 桔梗: 「図書室ですか……ここはどんな本があるんですか?」 ユメヌ: とりあえず司書さんを観察してみよう GM/司書さん?: 「そうね…………。色々あるけど……」 見れば多種多様な本が整然と大きな本棚に並べられている GM: 司書さんは黒髪ストレートの眼鏡っ娘でございます(何 GM: 図書室自体の規模は大きめ。紅魔館の図書館とかには流石に遠く及ばないけど、家の規模に見合った程度にはあるみたい GM/司書さん?: 「モノとしては少し古いのが多いかしらね。ここも建ってから長いから」 菊理: 「大体どれくらいなんですか?私、つい最近ここの存在知ったんだけど…」 ユメヌ: 「あら、結構量があるのね」 書架をあさってみよう 桔梗: 「なるほど……ここのお屋敷の由来ってどんなものなんですか?」 GM: お、そこ突っ込んだか GM/司書さん?: 「元々~」 と由来が聞かされますが、明らかにおかしな話が入ってきます 彼女は文献でしか読んだことのない外の国の名前や、貴族として何をしたなどといった話をはじめた。 どうやら家柄としては外の西洋の国の貴族か何かが元だったようだが、その話には大きな違和感があった。 GM: 何故か彼女はその外の国の話しかしません。幻想郷に関することを全く話さない。 GM: なので外の世界を知っている人には違和感。知らない人にはチンプンカンプン、な内容が展開されました。 菊理: 「へー…とりあえずすごい話なのはわかった」なんのこっちゃといった顔で 桔梗: 「そ、そうなんですか……それじゃあできてから何年経つのか…………えーと、すみません。今年って何年でしたっけ?」 GM/司書さん?: 「えーと、○○××年ですよね?」 言われた年は今より遥かに昔 桔梗: (やっぱり西暦ですかぁ…… えーと、妖怪暦に直すと今から……ちょっ、ええっ!?随分前じゃないですかっ) 菊理: 「あー…そりゃあ結構長い感じではありますねー…」棒読み ユメヌ: 「…………」 知っている本があるか調べてみても良いですか? GM: 良いですよ。知性+文献検索ってところですね。スキルなしでも判定可能です ユメヌ: 9+1+11(3D6 1 5 5) = 21 文献検索 ユメヌ: 「この建物、外から来たってのは間違いなさそうね……」 ぼそっと GM: さて。今後特定の何かを調べるために本を探すことも可能です。ですがその場合文献検索2回につきカウントを+1させていただきます GM: 文献検索の結果としては…………そうですね。幻想郷由来の本はあまり見つかりません GM: 外の世界の本が多いように思います ユメヌ: 種族はわかるかな……? GM: 種族は……前回男にしたように幻想知識辺りですかねー ユメヌ: 9+5+15(3D6 6 3 6) = 29 幻想知識 GM: 高いw 菊理: ほんま、ユメヌさんの観察眼は五大陸に響き渡るで GM: さ、流石にその値では分かりますね。人間のようですが何故か違和感を感じます ユメヌ: 「……ははーん」 思うところがあるようで GM: ……と。ディテクションがありましたっけ? 桔梗: 絶賛持続中です GM: では桔梗の眼にも幽かながら魔力を彼女から感じ取れます GM: 感知視覚で判定すればもう少し情報を出せます。 桔梗: 感覚と組み合わせでしょうか? GM: そうですね。感覚で 桔梗: 7+3+2+2+9(3D6 1 6 2) = 23 感覚+ 感知/視覚 +専門補正+種族補正 GM: よく見ると分かりますが、その魔力は彼女の持つものや纏っているものではないようです GM: 種族的なもので見えるものではなく(ユメヌさんの観察で人間判明してるので当たり前ですが) GM: どちらかというと魔法的痕跡のようですな。それも他者からの 桔梗: なるほどなるほど。 菊理: 大体見えてきましたね 探索シーン(現在: 11:45 カウント 1/26 ??ポイント(フラグ) +3) GM/司書さん?: 「さて、皆様お探しの本はありますか?ここには様々な本がありますから、ごゆっくりしてくださいな」 桔梗: 「はい、ありがとうございます」 菊理: 「ユメヌーっなんか面白い本あった?」 GM: 先ほども言いましたが何か調べるならば文献検索。また、図書館内を調べたい場合は適時言ってください。情報とスキルを明言します ユメヌ: 「あんたが読んで面白そうな本は無いわねぇ……」 とりあえず後で良いかなー? 菊理: 「うえー…ムズカシイ本だけかぁ………とりあえず他の部屋も覗いてみる?」 ユメヌ: 「……そうね、先はまだ長そうだし…… あ、司書さん?この館の見取り図ってあるかしら?」 桔梗: 「そうですね、せっかくですから色んなところを見て廻ってみましょう」 GM/司書さん?: 「見取り図ですか…………えーと、何処だったかな」 ガサゴソ GM: ここでちょっとした運の判定を。3d6を全員振ってくださいな。結果次第で色々変わります 菊理: 11(3D6 6 4 1) = 11 桔梗: 15(3D6 6 4 5) = 15 ユメヌ: 8(3D6 1 3 4) = 8 桔梗: ドヤァ…… GM: 平均5だと……w ユメヌ: ごふっ 菊理: ダイス神のえこひいきーっ! GM: まぁそんな値が出されたら出さざるを得ないな…………w GM: 「あ、ありました。ちょっとボロボロですが…………」 2階と1階の見取り図を全開放しますね ユメヌ: 「どうもー どれどれ……?」 のぞいてみる 館の見取り図 一階 二階 GM: 大体部屋の位置関係が分かるようになっているようですね。ただ、古すぎて部屋を示す字が消えているようです GM: 記号は判別のための便宜上のものとしてください。 桔梗: hがPC客室で、iが現在位置の図書室のようですね GM: そうですね。 ユメヌ: 「さてと、これでだいたいの位置は分かったわけだけど……次行く?」 菊理: 「とりあえず一つずつ奥の部屋にいくってのは?最後に一番大きいLに行って下に降りる感じで」 菊理: j→k→l→下なルートで。 ユメヌ: 「ま、それが一番簡単そうね」 桔梗: 「特に優先すべき部屋も見つかってませんから、それでいいと思います」 GM/司書さん?: 「あら、もう行かれるので?」 菊理: 「せっかくだから色々な部屋を見て回ろうと思って」 ユメヌ: 「暇になったら戻ってくるわー」 GM/司書さん?: 「そうですか。ではごゆっくり~」 GM: では部屋を出てjに行く感じで? 桔梗: ですです ユメヌ: ですねー 部屋を出て次の部屋に向かう一行。 ここにきて、何故か人とすれ違うことがないことに気づく。 この奥はあまり人が立ち入らないのだろうか…………? 菊理: 「他のパーティ客を見ないけど…みんな一階にでもいるのかな…?それとも部屋にこもってるとか?」 ユメヌ: 「……さっきのやつ、ディスペルかけたら戻ったんじゃない?」 桔梗: 「私もそう思いますが、あまり大きな変化を起こしてしまうと警戒されてしまいそうですので……一通り情報を集め終わったら試してみようかと思います」と、ユメヌさんに。 GM: というわけで部屋を調べようとしますが。部屋には鍵がかかってますね 菊理: 「…開かない」ドアをノックしてみよう ユメヌ: 「ま、ここは敵地だものねぇ……っと、開かないの?」 桔梗: 鍵開けもアンロックも持ってなかった……っ ユメヌ: そんなの鍵のところに消失かければ一発さ! 桔梗: やったッ!流石ユメヌさん!私達にできないことを平然と(以下略) ユメヌ: とりあえずドアのすきまに闇属性精霊を押し込んでみる…… ……ぶにゅっと。 桔梗: シュール…… ユメヌ: 駄目だったか…… GM: いやまぁ、うん……(笑) GM: ただそうですね。消失ならOKです。 桔梗: その前に、鍵穴を覗いてみます。 GM: 見ると色々物資が積まれてますね GM: 見るに物置みたいな部屋のようです 菊理: 「ぶにゅってなったけど大丈夫なの、この子」うにょーんと精霊をひっぱってて見る ユメヌ: 「流石に人の家のドアに穴を開けるのはねぇ……」 ユメヌ: 「大丈夫なんじゃない?」 うにょーん GM: やばい精霊になんか癒されるw 桔梗: 「でもちょっとかわいそうじゃ……」なでなで 菊理: 「……次の部屋行ってみる?」ぶにゅぶにゅ、うにょうにょ ユメヌ: 「なんか面白そうなものあった? 必要があれば穴あけるけど」 桔梗に 桔梗: 「色々と物資が置かれていました。物置みたいですね」 ユメヌ: 「物置ねぇ……後回しでもいいか」 菊理: 「次行こ行こー」 桔梗: 「そうですね、隣の部屋を見てみましょう」 GM: ですが実は隣の部屋も鍵が…………w 菊理: 「ここも開かないみたいよ?」再び鍵穴を覗き込む GM: 今度は誰かの個室みたいですねー ユメヌ: 「あら、こっちも開かないの?」 GM: 客室とかとは違った作りなので館内部の人の部屋と思われます 菊理: 「『すたっふおんりー』って奴ね。たぶん」 桔梗: 「そうですか……それなら何か手がかりがありそうですね、あとで強引にでも調べてみる価値はありそうです」 桔梗: と言いつつ自分も覗いてみる GM: まぁ大体同じ。整然とした室内ですけどね 桔梗: 「魔法的な反応は無し、と……では、次に行ってみましょうか」 菊理: 「次はあの一番大きな部屋よね…」 GM: 次…………というとLで? 菊理: ですです 部屋の前まで行くと、ドアがカチャリと開けられ、人が出てくる。 「…………おぉ?」…………それは他でもない、霧雨魔理沙その人だった。 探索シーン(現在: 12:00 カウント 2/26 ??ポイント(フラグ) +3) 桔梗: 「あら、この前の白黒さん。こんにちはです」 菊理: (この人が人里でそれなりに有名な霧雨の…)観察観察 ユメヌ: 「あら、あんたも来てたのね」 GM/魔理沙: 「おぉ、桔梗に…………、なんだ。ユメヌか。結局人と一緒に来たのか、嬉しいぜ私は」 菊理: 「二人とも知り合い?」 桔梗: 「一応、知り合い……ですかね。ユメヌさんのご友人で、白黒さんと言います」 ユメヌ: 「なんだとは何よ……誘ったのはあんたじゃない」 GM/魔理沙: 「いや悪い悪い。もうちょっと後に来るか、或いは結局行かないかと思ってな。ほらお前出不精だし」 ユメヌ: 「行くと言ったら行かないわけにはいかないでしょ……それに、こんな早くに来ることになったのも、半分以上はあんたのせいよ」 菊理: 「ほうほう…白山菊理といいます。宜しくです白黒さん。」 GM/魔理沙: 「私は白黒じゃないぜ。いや白黒だが。霧雨 魔理沙ってそれはそれは立派な名前がある」 桔梗: 「あれ……そう言えば名前を聞いてませんでしたね。改めて宜しくです、黒白さん」 菊理: 「おとと、失礼黒白 魔理沙さん。野菜が欲しかったら私を訪ねてちょうだいね」 GM/魔理沙: 「だから私は霧雨魔理沙ってなぁ…………まぁいいや」 GM/魔理沙: 「ん、野菜?野菜はいいな。栄養価たっぷりだぜ。今度茸持ってくから交換しようぜ」と菊理に。 菊理: 「おお、茸!茸と野菜で茸鍋にしよう。決まり決まり」一人納得 桔梗: 「それよりも、この部屋は何があるんですか?」 GM/魔理沙: 「んぁ?…………なんだ、呼ばれたとかじゃなかったのか」 GM/魔理沙: 「ここはこの豪奢な扉と最奥にあることから分かる通り、当主の部屋だよ」 GM/魔理沙: 「礼儀正しく有名人な私は是非挨拶したいってことで通してもらったんだ」 菊理: 「ってことは今当主はこの中?」 GM/魔理沙: 「んだな」 菊理: 「…どうする?会ってみる?会えるかどうかわかんないけど」 GM/魔理沙: 「んー。まぁ大分気さくな人だったし大丈夫だと思うぜ。堅苦しい話抜きに出来たしな」 GM/魔理沙: 「今は執事が居ないから羽を伸ばせるんだと」 苦笑して GM/魔理沙: 「…………ところで」 彼女は突然声を潜め、今までとは違う口調で尋ねかける GM/魔理沙: 「お前らどこまで見たか?」 ユメヌ: 「……どこまでって?」 こっそり聞き返す 菊理: 「やっぱ色々と怪しい感じ?」ひそひそ GM/魔理沙: 「あー…………その様子じゃあんまり、みたいだなぁ。まぁここは見たまんまなお気楽パーティ会場、ではなさそうなことだけは確かだな」 ユメヌ: 「それはそうでしょうね……人間も反応が変だし」 桔梗: 「黒白さんもここを調べてるんですか?」 菊理: 「図書室の司書さんもなんか変な事言ってたし」 GM/魔理沙: 「面白そうだからな」(きっぱり>桔梗 GM/魔理沙: 「司書さん、ねぇ?図書室か、ちと調べてみる価値はあるかもな……」 ブツブツ 菊理: 「黒白さんはなんかわかった事ある?」 GM/魔理沙: 「そうだな…………まぁちと信じがたいことも幾つかあるが……」 GM/魔理沙: 「今のところはこれだな。何が見えても変なことはしない方がいいぜ?」 桔梗: 「……と、言うと?」 菊理: 「物騒な事はまだやっちゃいけないって事?」 GM/魔理沙: 「いや何、単純なことさ。お前らも分かってる通り、真相を知ってるやつは極少数ってこと」 GM/魔理沙: 「変に騒ぎ立ててみな。内外問わず混乱が起こって碌な結果を生まないぜ?」 GM/魔理沙: 「回りくどくて私も嫌になるけどな。とにかく気をつけたほうがいいさ」 ユメヌ: 「確かに、あの様子だとここの異様さには気がついてないみたいだしね……さっさと帰りたいわ……」 桔梗: 「ええ、その辺はわきまえているつもりです。とにかく、いっそう気をつけることにしますね」 菊理: 「あー…他の人間さんもパニックになっちゃうしね」 GM/魔理沙: 「ま、他の招待客に関しては私も対策何か考えておくさ。そんじゃ私はこの辺で行くぜ」 GM/魔理沙: 「気が付いたことがあったら教えてくれ。後、人手も借りることになるかもしれん」 桔梗: 「分かりました、ありがとうございます」 GM: あ、あと一つ。ふと魔理沙の眼を見ると、片眼が蒼くなってます。ついでに桔梗にはそこに魔力の光も感じました、と 桔梗: ちょっ ユメヌ: !? 菊理: な、なん(ry 桔梗: 「黒白さん、その眼はどうしたんですか?」 GM/魔理沙: 「ちょっと必要があって魔法をかけてるのさ。色々視るためだよ。色々な。それ以上は企業秘密だ」 菊理: 図書室の司書さんも片目が青いのかしら GM: 司書さんは普通ですね。黒眼で。 ユメヌ: と、とりあえず自分の目が青くなるような魔法があるか魔法知識してみよう……? GM: あー、うん。魔法知識どうぞ ユメヌ: 9+5+9(3D6 1 6 2) = 23 GM: 眼にかける魔法の影響でそういうことはありえるかも?という感じですね。 菊理:「 ところでなんで片目?両目に魔法かけないの?」 GM/魔理沙: 「いや、まー…………色々理由があるんだ。気にするな。大したことじゃないから」 GM: どうやら彼女は自分からあんまり教えたくないようです ユメヌ: 「ま、あんたが何の魔法を使おうが知ったことじゃないけど、それで分かったことはちゃんと伝えなさいよ」 GM/魔理沙: 「それは勿論だぜ。そっちも頼むな」 GM: …………といった感じですかね?別に彼女が非協力的なわけじゃないです 菊理: 「また後でねー」手を振り GM/魔理沙: 「そんじゃ、頑張れよー」 手を振って彼女は去っていった 菊理: 「なーんか嫌な予感。当主にはまだ会わない方がいいような気がしてきたけど……どうする?下行く?それとも会う?」当主の部屋のドアを指さし GM/???: 「…………誰と会わない方が良いって?」 扉からにゅっ( ユメヌ: 「…………どうも」 とりあえず 菊理: 「あー…いや、その、あはは……どうも」一歩下がってぺこり GM/???: 「うん、こんにちはー」 とりあえず扉から出てきてにっこり 桔梗: (!?)「こ、こんにちはっ」ぺこり 菊理: 「あなたがこの館の当主さん?」 GM/エリカ: 「うん。エリカっていうのよ」 桔梗: 「まだ会わない方がいいかなっていうのは、黒白さんがきたばかりで立て続けに訪ねるのも悪いかな、と思いまして。パーティの中お忙しくはないですか?」 菊理: 「菊理と言います。本日はパーティにお招きいただき誠にー…えーとなんだっけ」 GM/エリカ: 「あはは、いーよ。硬くしないで」 桔梗: 見た目はどんな感じですか? ユメヌ: まさか…… GM: 白のワンピースを纏った幼…………ゲフンゲフン、少女です。 GM: 先ほどからの会話でも少し分かると思いますが子供っぽい言動ですね 桔梗: 瞳の色はどうでしょう? GM: 両眼が鮮やかな蒼。魔理沙の片目の色とは違う感じですね。あっちはもうちょっと濃い感じでしたし GM: 髪も金髪なので…………まぁ西洋人形のような感じ、といってもいいかもしれません 菊理: 「それにしても毎日パーティなんて派手な事考えついたねー」 ユメヌ: そそーっと後ろの方へ GM/エリカ: 「…………まぁ色々退屈でね」 少し影のある笑顔 桔梗: 「とても素敵なパーティですね。お招き下さってありがとうございました」丁寧に言いながらも無意識にエリカを抱きしめている…… ユメヌ: 無意識だと…… 菊理: これが天狗式挨拶である GM/エリカ: 「はぅっ!?」 じゃあバタバタと 菊理: 「あー…またいつもの癖が…」にやにや GM/エリカ: 「あぅ、あぅぅ…………///」 菊理: 「でも一応その辺にしといた方がいいんじゃない?」桔梗の頭をぽんぽんと ユメヌ: 「話をややこしくしない程度にね……」 桔梗: 「んにゅー、かわいい……ハッ!? す、すみませんっ!これは……つ、つい?」 桔梗: バッと離して手をぶんぶんと振る 菊理: 「この子に悪気はなかったんです、どうかお慈悲を…」にやにや GM/エリカ: 「ふ、ふみゅう…………あ、うん…………良いよ、別に」 GM: どこか気恥ずかしげに顔を真っ赤にして俯かせ GM/エリカ: 「こんな風にされたの…………久しぶりだから、びっくりしただけ」 桔梗: ああ、これは良い…… GM/エリカ: 「…………あ、えぇと!」 気が付いたように首と手をブンブンと振って GM/エリカ: 「…………お昼、まだ食べてないですよね?一緒に食べませんか?」 桔梗: 「ご一緒にですか? もちろんいいですよっ」 菊理: 「あー…そういえばもうそんな時間だっけ。いいよー」 ユメヌ: 「見事に釣られてるわね……」 GM/エリカ: 「そ、そうですか!じゃあどうぞ!」 という感じで中に招き入れる仕草 菊理: 「きっと食事も豪華に違いないよー」中に入ろう ユメヌ: 「おじゃまするわー……」 うしろについて行って 桔梗: 「楽しみですっ」行きますよー GM: では中に入ると…… GM: 長い、長ーいテーブルと、椅子が並ぶ、見るからにそれっぽい食卓が出迎える GM: 奥にはまだまだスペースがあるようであり、恐らくそちらが生活用空間となっているようである ユメヌ: 「…………すごい部屋ね」 菊理: 「……最大何人座れるのかな」 桔梗: 「凄いですね……」 GM/エリカ: 「そうでもないよ。一緒に食べる人が居なければ寂しいだけだよ、こんなの」 菊理: 「やっぱりちゃぶ台が性に合ってるかなー…面白いからいいけど」 GM/エリカ: 「さ、食べよ食べよ!おーい!」 とメイドさんの1人を呼び、支度をさせる ユメヌ: メイドさんって何人もいるの? GM: 少なくとも今見えたのは1人です。ただ、既に客室に行くときの1階通った段階で何人か動いていたのは見ています GM: どうやら部屋の中に調理が可能な部屋と使用人待機用の部屋があるようですね 菊理: 「すごいなぁ…いつもこんな感じなの?」 GM/エリカ: 「うん…………。本当は私が料理するー!って言ったりした時期もあるんだけどね。怒られちゃうの」 GM: というわけで暫し待つとメイドさんが皆の分も含めた昼食を運んできました。その内容は豪華といえます。かなり凝った料理も多く、旬の食材も多く使われています。 菊理: やっぱり洋食? GM: そうですねー、洋食です。海鮮物を使った料理もいくらかあります。具体的に言うと鮪のカブト焼きとか蛸とか使ったカルパッチョとか伊勢海老のお造りとか。 桔梗: 「わあ、豪勢ですね……こちらの新鮮な海鮮物はどちらから?」 GM/エリカ: 「んー?分からないなぁ。いつも仕入れは全部任せてるから……」 菊理: 「後で執事さんに聞いてみようか」 桔梗: 「そうですね、家でも是非食べてみたいですし」 ユメヌ: 「……ちょっと怖いわね」 つんつん 菊理: 「…たぶん大丈夫でしょ。きっと」伊勢海老を一口頂きます GM/エリカ: 「それじゃ、食べよっか!」 って手が早いなw GM: そんじゃ丁度いいや。伊勢海老を食べた菊理さん。精神抵抗をどうぞ。刻符は禁止で。 菊理: 8+9(3D6 2 6 1) = 17 GM: それじゃ特に違和感もなく。新鮮な海老の甘みが口一杯に広がり。珍しいご馳走をとても美味しく感じる 菊理: 「問題ないみたい……というか、なにこれすっごい美味しい…!」 桔梗: 「そうなんですか? じゃあ、私も頂きます」 とせざるを得ないなあこの状況…… ユメヌ: (うわぁ、勇気あるー……) ユメヌ: 「……ごめんなさい、私は遠慮させてもらうわ……」 それとなーく GM/エリカ: 「あら、残念ね。どんどん食べてー」 パクパク食べてます 桔梗: んー……一応幻影かどうか見分けようとしてみましょうか GM: どう見分けようとします? 桔梗: 何か物理的に違和感がないかよく見てみます。イリュージョンやファンタズムを見破るのと同じ感じで。 GM: では…………ファンタズムの記述から知性+感知が妥当かな 桔梗: 3+3+2+2+18(3D6 6 6 6) = 28 桔梗: うおっ GM: ちょ!?w ユメヌ: !! GM: すげーw 菊理: クリティカル入りましたー! GM: まぁ流石にそれは見破れますね……では、視界は元に戻りますが、明確に桔梗は認識します。 ”これは現実のモノではない” GM: と。ただし、幻覚を認識したのみですね。 GM: それと、ここで公開します。??ポイントは違和感によるボーナスのポイントです 探索シーン(現在: 12:00 カウント 2/26 違和感ポイント +3 精神抵抗現目標値:22) GM: 完全に幻覚と見破ったので目標値も公開します。 桔梗: 精神抵抗については回数制限やタイミング等の指定はありますか? GM: 有ります。こちらから求めたとおり一定のタイミングでのみ可能とします。回数制限に関しては可能なタイミングであれば問題ないので有りません 桔梗: 了解しました。 GM: 一応幻覚であるということを教えるかどうかはPL、またはPCの選択にお任せしますね GM: 一応は分からなくても抵抗自体は出来ますのでご安心を GM: ちょっとばかり特殊な裁定ではありますが、ご了承ください。 GM/エリカ: 「…………?どしたの?」 桔梗を見て不思議そうに 菊理: 「二人とも食べないの?おいしいのにー」ぱくぱく もぎゅもぎゅ 桔梗: では、食べようとしたところで、「あ……お、思い出しました……そう言えば、お医者様に今日は飲み食いしてはいけないと言われてまして……すみません」と言って頭を下げる GM/エリカ: 「…………?じゃあパーティでも食べられないの?」 と聞きます 菊理: 「うわぁ…ついてないね…こんなにおいしいのに」もぎゅもぎゅ ごっくん 桔梗: 「残念ながら、薬の副作用で……でも、パーティは食事だけではありませんから楽しませていただきますね」 GM/エリカ: 「そうね。ちょっと残念だけどその分楽しんでくれたら嬉しいなっ」 桔梗: 「はい、ありがとうございます」ユメヌさんにチラッと目配せしておこう ユメヌ: 「…………」 なんとなーく伝わったような伝わらなかったような 菊理: 「いやー、美味しかった…御馳走様でしたー」それは満足そうな顔でナプキンを置いて GM/エリカ: 「そうっ良かったー。お口に合わなかったらと思ったけど…………そこのお二人さんは残念だったけど」 菊理: 「桔梗ちゃんはしょうがないとして、ユメヌも食べなかったよね…魚嫌いだったっけ?」 ユメヌ: 「私はもともとあまり食べない方だから パーティーは楽しみにしてるわ」 GM/エリカ: 「そっかー。じゃあパーティの時ね!あ、何か好きなのある?作らせておくけど」 ユメヌ: 「んー、果物類が好きだけど……あまり気を遣わなくても大丈夫よ」 GM/エリカ: 「大丈夫だよー。それじゃ言っておくね」 GM: そして暫し歓談して過ごし…… GM/エリカ: 「付き合ってくれて有難う、楽しかったよ」 食事も終わり、そろそろといったところで。 菊理: 「こっちも楽しかったよ、御馳走様でしたー」 GM/エリカ: 「またパーティで会いましょ」 にこっ 桔梗: 「はい、楽しみにしてますね」笑顔を返す GM: じゃあそんな感じで部屋を出る感じかな? 桔梗: ですねー 菊理: ですです ユメヌ: おけです 第三章に続く
https://w.atwiki.jp/bitacolle7/pages/3119.html
名称:永遠の宇宙犬・ライア レアリティ:☆12 属性 火 一覧番号 2629 入手先 入手先1:入手先2:入手先3: レベル 1(99) HP 36453(71246) 攻撃力 10786(21643) 治癒力 1003(1895) コスト 12 売却価格 ??? 進化必要素材 進化先 必殺技:銀河の彼方、人類を見てる 必要ターン数 12(12) 効果(Lv1) 1、3ターンの間、100%の確率でチェリーが成立する抽選を行う。2、敵単体のHP40%減、味方の必殺技カウントを12減、敵単体の行動を4ターン遅延。 効果(Max) 1、3ターンの間、100%の確率でチェリーが成立する抽選を行う。2、敵単体のHP40%減、味方の必殺技カウントを12減、敵単体の行動を4ターン遅延。 リーダースキル:永遠の宇宙犬 火属性攻撃力36倍、水、木への与ダメージ6倍。HP8倍治癒力6倍R開始時敵待機T3増加。ステージ開始時必殺技22減少。必殺技遅延無効。
https://w.atwiki.jp/dm8_dm7/pages/29.html
初期LP 60000 初期フィールド 闇 入手DC 20 入手ドミノ 5000 デッキ内容 NO. モンスター名 レベル 種族 攻撃力 守備力 召喚魔族 コスト 投入枚数 575 Y-ドラゴン・ヘッド ☆4 機械 1500 1600 炎 207 2枚 590 Z-メタル・キャタピラー ☆4 機械 1500 1300 雷 183 2枚 149 X-ヘッド・キャノン ☆4 機械 1800 1500 風 260 2枚 535 マジック・ランプ ☆3 魔法使い 900 1400 風 161 3枚 268 ブラッド・ヴォルス ☆4 獣戦士 1900 1200 悪 289 3枚 001 青眼の白龍 ☆8 ドラゴン 3000 2500 白 95 3枚 741 ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- ☆4 魔法使い 1200 1100 黒 121 1枚 234 オベリスクの巨神兵 ☆12 戦士 4000 4000 神 0 1枚 380 青眼の究極竜 ☆12 ドラゴン 4500 3800 神 999 1枚 698 究極竜騎士 ☆12 ドラゴン 5000 5000 神 169 1枚 348 光の護封剣 魔法 300 3枚 601 死者蘇生 魔法 250 3枚 657 巨大化 魔法 200 3枚 672 ハーピィの羽根帚 魔法 100 3枚 784 心変わり 魔法 500 3枚 789 強欲な壺 魔法 150 3枚 692 激流葬 罠 200 3枚 召喚魔族&魔法・罠の合計数 炎 2枚 悪魔 3枚 神 3枚 水 - 白 3枚 雷 2枚 黒 1枚 魔法 18枚 土 - 幻想 - 罠 3枚 風 5枚 森 - 攻略法とか ストーリー上で戦った時と同じで、XYZの合体をメインにしたデッキ。 合体したところで攻撃力は2100~2400程度。XYZ3体合体は、まずありえない。 しかも合体後、すぐに攻撃を仕掛ける事はできず 表側表示になる為、自身の起動効果も使用出来ない。 モンスターは全て、原作・アニメで社長が使用したヤツらだけで構成。 永遠の間にいる連中にしては、珍しいことである。 それが災いしたのか、初期フィールドの「闇」に適応しないモンスターが多い。 厄介な効果モンスターも「マジック・ランプ」程度であり、全体的な攻撃力は低めだと言える。 初期LP60000の連中では、最弱かもしれない。 しかし制限・準制限ルールは、ご覧の通り完全無視している上 三幻神獣の1つ「オベリスクの巨神兵」まで使ってくるので 生け贄モンスターを揃えさせないように戦おう。 対策など: 下級モンスターの攻撃力はやや低くても、召喚魔族はバラバラなので 壁モンスターで攻撃を防ぎつつ、三幻神の生け贄を揃えるという戦法は通用し辛い。 ただ相手は幻想魔族を持っていないので、こちらは黒魔族を主力にするのがベスト。 「秒殺の暗殺者」「ダーク・エルフ」「女邪神ヌヴィア」なら、全ての合体モンスターを戦闘破壊できる。 要注意カード NO. モンスター名 レベル 種族 攻撃力 守備力 召喚魔族 枚数 備考 535 マジック・ランプ ☆3 魔法使い 900 1400 風 3枚 起動効果モンスター。自分の場に「ランプの魔精・ラ・ジーン」を1体特殊召喚する。生け贄確保だけでなく、戦力強化も同時に行う。出てきたらラ・ジーン諸共、素早く除去したい。 268 ブラッド・ヴォルス ☆4 獣戦士 1900 1200 悪 3枚 レベル4の通常モンスター。レベル4以下の単体では「マジック・ランプ」の効果で現れる「ランプの魔精・ラ・ジーン」の次に強い。 001 青眼の白龍 ☆8 ドラゴン 3000 2500 白 3枚 生け贄2体で召喚される上級モンスター。攻撃力は高いが、黒魔族の前では無力である。 234 オベリスクの巨神兵 ☆12 戦士 4000 4000 神 1枚 生け贄3体で召喚出来る三幻神獣。起動効果モンスター。相手モンスターを全て破壊し、相手に4000のダメージを与える。召喚されたら、ほぼ勝ち目は無いだろう。 380 青眼の究極竜 ☆12 ドラゴン 4500 3800 神 1枚 生け贄3体で召喚される上級モンスター。攻撃力は高い。生け贄召喚できない状況が続くと、墓地に捨てられる事も多い。 698 究極竜騎士 ☆12 ドラゴン 5000 5000 神 1枚 生け贄3体で召喚される永続効果モンスター。自分の場に存在するドラゴン族モンスターの数×500ポイント、攻撃力・守備力がアップする。最低でも攻撃力・守備力ともに5500。攻撃力だけなら最強クラスのモンスターだ。青眼の究極竜同様、生け贄召喚できない状況が続くと、墓地に捨てられる事も。 348 光の護封剣 魔法 3枚 3ターンの間、相手モンスターの攻撃を封じ込める。発動時の相手の場に、裏側表示モンスターがいた場合、全て表側表示にする。三幻神獣を含む、全てのモンスターの攻撃を封じるぞ。攻撃出来ない状況でも、相手モンスターを除去する手段が欲しいところだ。 601 死者蘇生 魔法 3枚 相手の墓地の一番上に存在するモンスターを、自分の場に呼び出す。戦力強化・生け贄の確保と、使い道は様々。 657 巨大化 魔法 3枚 自分の場のモンスター1体の攻撃力・守備力を500ポイントアップさせる。種族を選ばない、万能な強化魔法。 672 ハーピィの羽根帚 魔法 3枚 相手の場に伏せてある、魔法・罠カードを全て除去する。魔法・罠を伏せる時は1枚だけにしておこう。 784 心変わり 魔法 3枚 相手の場の、攻撃力の一番高いモンスター1体を自分のモンスターとしてコントロールできる。「洗脳-ブレイン・コントロール」とは違い、永続。 692 激流葬 罠 3枚 相手がモンスターで攻撃した時、発動。相手の場のモンスターを全て破壊する。攻撃したらこちらが全滅…は、正直笑えない。最も警戒すべき罠カード。3枚もある為、うかつに攻撃を仕掛けないように。 アンティ一覧 アンティカードも、原作・アニメで社長が使用していたものが多い。 稀に「オベリスクの巨神兵」を貰える事がある。 制限カードなので、あまり意味は無いけど… NO. モンスター名 レベル 種族 攻撃力 守備力 召喚魔族 コスト パスワード 001 青眼の白龍 ☆8 ドラゴン 3000 2500 白 95 89631139 149 X-ヘッド・キャノン ☆4 機械 1800 1500 風 260 62651957 181 秒殺の暗殺者 ☆4 悪魔 2000 2000 黒 319 96890582 234 オベリスクの巨神兵 ☆12 戦士 4000 4000 神 0 存在しない 268 ブラッド・ヴォルス ☆4 獣戦士 1900 1200 悪 289 14898066 337 サンダー・ボルト 魔法 150 12580477 380 青眼の究極竜 ☆12 ドラゴン 4500 3800 神 999 23995346 535 マジック・ランプ ☆3 魔法使い 900 1400 風 161 54912977 575 Y-ドラゴン・ヘッド ☆4 機械 1500 1600 炎 207 65622692 590 Z-メタル・キャタピラー ☆4 機械 1500 1300 雷 183 64500000 601 死者蘇生 魔法 250 83764718 657 巨大化 魔法 200 22046459 661 死のデッキ破壊ウイルス 魔法 100 57728570 669 闇の呪縛 魔法 300 29267084 692 激流葬 罠 200 53582587 698 究極竜騎士 ☆12 ドラゴン 5000 5000 神 169 62873545 741 ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- ☆4 魔法使い 1200 1100 黒 121 17985575 784 心変わり 魔法 500 04031928
https://w.atwiki.jp/touhoumtg/pages/336.html
紅より儚い永遠/An Eternity that is More Transient than Scarlet 紅より儚い永遠/An Eternity that is More Transient than Scarlet(2)(R)(R) 部族エンチャント - 吸血鬼 あなたが吸血鬼呪文を唱えるたび、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。紅より儚い永遠はそれに、その呪文の点数で見たマナ・コストに等しい点数のダメージを与える。 参考 紅魔郷-レア