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タイトル 覚悟!!(かくご) シリーズ 宝石の肉編 話数 51話 収録 トリコ6巻 掲載誌 WJ2009-27 概要 宝石の肉編33話目。トリコVSスタージュン(GTロボ)3話目。 登場人物 トリコ 小松 スタージュン(GTロボ) ←50話 →52話
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殺す覚悟 ◆jRWsRROwBY 如月双七――本名、武部涼一。 神沢市の神沢学園に通う彼もまた、此度の殺人遊戯、神崎の言葉を借りるならゲームの参加者の一人だ。 彼には大体五歳位の時以前の記憶はほとんどない。 おぼろげながらながら残っている記憶も漠然としたものばかり。 割と普通の家庭だったことくらいしか覚えていない。 少なくとも、父も母もいた。特別貧しかった覚えもない。 両親も親としての資質に問題があった覚えもない。 簡単に言うと、断片的に残ってる記憶が真実ならば、如月双七の幼年時代はごく普通だったと言える。 普通に泣いて、普通に笑って、普通に怒ったりしていたのだろう。 しかし、以降の双七の記憶、いや、人生は決して平坦なものではなかった。 彼は人妖としての素質を持っていて、まだ幼少のみぎりにその能力を覚醒させてしまったのだ。 きっかけは子供の頃、一人で公園で遊んでいたときに遭遇した変質者から身を護るため。 襲い掛かる悪意に、吐き気を催した幼少時代の双七の防衛本能は、己の異端としての能力を心の奥底から引っ張り出してきたのだ。 幼い双七が目にしたのは、悲鳴に呼応して突如としてジャングルジムが飴細工のように変形し、変質者を絡め取ったいく光景。 変質者は、身動きできないほどにジャングルジムに絡め取られ、瀕死の重症を負ってしまったらしい。 潰されんまでに圧迫された肺と、眼球が飛び出さんまでに剥きだしになっていたのを、昔の双七はよく夢で繰り返し見ていた。 変質者は一命を取り留めたものの、半ば廃人のようになってしまったという。 事件はここで終わりではない。 例え相手が変質者であろうと、無意識のうちの行為と言えど、双七のやったことは明らかに過剰防衛。 なにより、人々に忌み嫌われている人妖であることが、双七の立場をさらに悪くさせた。 双七は琥森島と呼ばれる場所へ移送されることになった。 一口に人妖能力と言っても、その能力は人を軽々と殺せる能力から、虫も殺せないような能力まで様々にある。 大抵は、人妖と知られれば、即座に神沢市へと送られる。 しかし、一般には知られてないが、その人妖能力が危険すぎると判断された場合、琥森島と呼ばれる離島にある織咲病院へと移送される。 危険すぎる人妖能力を持つ者は、この島にある織咲病院に収監され、ここで暮らすことになる。 もちろん、如月双七もここで一生を過ごすはずだったし、事実ここで十数年の月日を過ごした。 しかし、アルカトラズ並に脱出が難しいと言われた堅牢防壁のこの施設を脱出することに、双七は成功した。 そして、追っ手から逃れるため、神沢市へと逃げ込むことになる。 神沢市は人口の96%が人妖で占められた異質な都市。 木を隠すなら森の中というわけだ。 ここで、双七は長年の夢の一つを叶えることになる。 学校へいくという、人によってはなんともかわいらしい夢だ、と笑いたくなるほど小さい夢だ。 人生の半分以上をあの琥森島で過ごした双七は、外の世界、あるいは日常というものに強く憧れていた。 島には娯楽施設など一切なかったし、病院では人間として扱われないこともしばしば。 時には名前で呼ばれず、患者番号(双七の場合227)で呼ばれることもあったほどだ。 基本的に、病院では双七たちは人妖能力を調べるためのモルモットであり、人権はほとんどなかったと言ってもいい。 他の人妖病患者とも、あまりそりが合わなかったのも大きい。 厳しく、辛い毎日に涙を流すことも多く、その悲しみを忘れるための手段の一つが漫画を読むことであった。 漫画の中の登場人物達は、毎日が輝いて見えた。 友達と遊んで、部活動に夢中になって、時には学生の身でありながら、酒を飲んだりと、毎日が楽しそうだった。 昼休みの売店での、人気のパンやおにぎりの争奪戦が、馬鹿らしくも羨ましかった。 面倒くさそうに勉強する姿さえ、双七には眩しく思えた。 何度も何度も、繰り返し繰り返しその漫画を見ては、つか学校に行ってみたいと思うようになっていった。 それが、逃亡の結果とはいえ実現することになる。 夢にまで見た学び舎が双七の眼前にあった。 当たり前の人生が、当たり前のように過ごせる。 非日常の凄惨さを知っている双七だからこそ、穏やかな日常の大切さをかみ締め、日々を大事に過ごすことができた。 漫画の中でしか見られなかった光景を、自分が同じようにできたときの感動を、双七は生涯忘れないだろう。 初めて食べた鍋料理もあまりのおいしさにまた泣いてしまった。 ともに琥森島を抜け出したすずには、そんなことで泣くなと何度も言われたが、溢れる涙を止めることはできなかった。 この感動を忘れまい、一生この日常を手放さずに守ってみせる。 如月双七の願いが一つ増えた。 さて、過去への旅路はここまでにすることにしよう。 如月双七は夜の闇の中を闊歩していた。 聞こえるのはサクサク、と土と草を踏む音だけ。 その音が、一定のリズムを刻みながら響く。 時折、双七のツンツンの髪を夜の冷たい風が撫でていく。 その優しい風の前に、双七は警戒を解いて、ひたすらこの夜風に浸っていたいという誘惑に駆られそうにもなる。 孤独、まさに世界にたった一人しかいないような錯覚にさえ陥る。 双七の歩いている場所がアスファルトに舗装された道路ではなく、草原であるというのもまた、この雰囲気を醸し出すに一役買っていた。 人工物が一切見当たらない、自然の道を歩きながら深呼吸する。 口を通して肺に入った空気は、今までの人生で一番の美味さと言えよう。 新鮮な空気を得た体は、夜の闇の前に訪れた眠気を吹き飛ばす。 その思いもよらず得られた冷静さで、双七は思案に耽っていた。 「えっと……会長と刀子先輩は問題ないだろうし、トーニャは俺と同じくらいか、もしくは俺より強いし、 加藤教諭は戦ってるところ見たことないけど、会長や刀子先輩より強いらしいし……」 寂しさを紛らわせるためだろうか、独り言が漏れてきた。 双七は自慢ではないが、自分の強さにはそれなりに自信がある。 自らに秘められた人妖能力と、九鬼耀鋼に教えられた闘法、『九鬼流』を使えば、その辺のチンピラには負ける気はしない。 しかし、双七が神沢学園で知り合った人たちは、そんな双七の常識というか、自信の驕りを容易く打ち破った。 四階から平然と飛び降りて、しかも怪我一つなかった一乃谷愁厳には、半ば卑怯ともいえる方法で勝ったが、正攻法ではまず勝てなかっただろう。 しかも、刀子は愁厳よりもさらに強いと言う。 トーニャとは明確に敵対したのはほんの一瞬。 愁厳と争っていたときに一発だけ、蹴りを受けそうになったときだけだ。 しかし、その蹴りの威力は双七の見立てでは、双七と同じ、もしくは双七よりも身体能力は上かもしれないほどだった。 そして、聞いたところによると、加藤虎太郎教諭はそんな愁厳や刀子よりも強いらしい。 なんでも、半径150メートル内の侵入者の有無も確認できるほどだとか。 つまり、如月双七は知り合いの中では一番弱いということになる。 どうやら、世界は双七が思っていたよりもずっとずっと広いらしい。 「あれ、もしかして俺って、心配する方じゃなくてされる方?」 ‘うむ、いますぐ双七君を探そう’‘ええ、そうしましょう、兄様’ ‘やれやれ、会長や刀子先輩や加藤先生はともかく、如月君は探して保護しないといけないでしょうね’ ‘さてと、この中ではまずは如月から探すとするか’ 何故か、皆が自分の事を心配する姿が容易に想像できてしまった。 確かに、この四人で強い順に並んだら双七が一番後ろに来るのだろうが、釈然としない思いがあるのもまた事実。 しかも、その評価が過小評価ではなくて、限りなく正確な評価であることも、双七のプライドを余計傷つけた。 げんなりしそうになる気持ちを抑えて、双七はブルブルと首を振り、己が思考を切り替える。 「いやいやいや、俺よりも弱い人はいるだろうし、そういう人を守ることはできるはずだ」 「人を殺すコトそのものは、まあ呆気ないもんだ。だから、その時どんな気持ちかと言われても……怪我した腕が 痛かったとか、蚊に刺されたところが痒かったとか……そんなコトしか頭に思い浮かばん。 だから、大事なのは人を殺す前と後だ。 激情にかられて殺した、不慮の事故だった。こういう動機は殺す前はいいんだ……殺す覚悟をしなくても済むからな。 だが、後がいかん。殺した人間の精神がマトモなら一生を後悔することになる。 逆にだ。殺す覚悟をして殺す場合、後悔はしなくて済む。だが簡単にそう言っても殺す覚悟ってのは、早々容易に身につくものじゃない。 殺す前なら、相手に殺されるという恐怖、相手を殺すという罪悪感。 殺した後なら、他にもっと平和的な手段はなかったのか。他にもっと上手いやり方はなかったのか……そんなことを考える。 殺人という行為は辛く、苦しく、不意に首を締めつけてくる縄だ。だが、それでも尚。人は人を殺さなきゃならんときがある。それが何か分かるか? 大切な人間を護りたいときだ。弱い者を護るときだ。自分が殺さなければ見知らぬ誰かが、あるいは見知った誰かが傷つき、死ぬ。 それは――自分が罪を被るより、もっと辛い。 いいか、涼一?人を殺さなきゃならないっていうのは、どっちみち辛い状況だ。覚悟しろ。いいか、罪を背負う覚悟をしろ。 殺される覚悟をしろ、戦う覚悟をしろ、そしてだ。生き残る覚悟をしろ。 まあ、正直言ってだ。……人なんてあんまり殺すもんじゃないと思うがね、俺は」 その当時の双七は九鬼の言葉を一言一句漏らさず覚えていた。 いつか来るときのときに備えてだったのだろうか、双七は言い終えた後の九鬼の分かったか?という言葉に、自分でも驚くほど神妙に頷いた記憶がある。 あの当時のやりとりは皮肉にも無駄ではなかったようで、今の双七は人生最大の山場を迎えている。 そして、何の因果か、九鬼耀鋼もまた、この舞台に呼ばれているのだ。 ふと、足を止めて、憧れの先生との思い出に浸る。 九鬼耀鋼は、琥森島で過ごしていた幼い頃の双七の人間形成に大きな役割を果たした人間の内の一人だ。 双七の憧れの先生であり、『先生』という呼び方は九鬼にしか使わないほど、双七は九鬼のことを敬愛している。 九鬼は四年前、一言もなく双七の元から去ってからも、双七の胸の中に強く生きていた。 九鬼が去ってからも、双七は九鬼に憧れ、九鬼の背中と足跡を追い続けていた。 いつの日か胸を張って会うために訓練を続けていたが、こんなところで会うとは思いも寄らぬ再会となる。 実際にはまだ会ってないが。 九鬼耀鋼は今ドミニオン所属らしいが、事態が事態だ。 きっと力になってくれるだろう。 「神崎と言峰だったか……? あいつらは多分殺せる」 言峰綺礼と神崎黎人。 殺し合いをゲームと称し、遊び半分で人の命を弄ぶようなやつなら躊躇いもなく殺せる自信があった。 よしんば、この二人を殺せたとしても、罪悪感に悩まされることはないだろう。 他にも、双七のような参加者の中で、血に飢えた輩ならば殺しても罪悪感は感じないだろう。 だが、他の参加者はどうだろうか? 例えば、この殺し合いに参加している誰かのために――例えば、親子や恋人――殺し合うことを選んだ人。 彼らはを絶対悪と断じることは双七にはできなかった。 双七にも帰りを待ってくれる存在もいるから、そう言った人たちの決心も痛いほど分かる。 ある意味、他人の為に自分の命を投げ出すことができる人には高潔ささえ感じることもある。 双七自身も、家族であるすずに何かあった場合、全てを投げ打ってでも助ける決意があるからだ。 「説得できればいい……けど、できるか?」 誰にともなく呟いた言葉は、夜の闇に音もなく消えていく。 説得が無理なら殺すか。 いや、それは性急だ。一度で無理なら二度三度と説得すればいい。 しかし、二度三度説得するということは、しばらく相手を拘束しないといけない可能性が高い。 その間に逃げられて、別の人間が殺されたら責任が取れるのか? それなら―― けれど―― 永遠につづくかと思われる心の中の葛藤。 明確な答えを見つけられぬまま、再び歩き始めた。 【H-2 平原/1日目 深夜】 【如月双七@あやかしびと -幻妖異聞録-】 【装備:なし】 【所持品:不明支給品1~3】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:仲間の確保と保護 1:移動して仲間を集める 2:向かってくる敵は迎撃。殺すかどうかはまだ葛藤中 ※双七の能力の制限がどうなってるかは未定です 030 えきぞちっく・といぼっくす 投下順に読む 032 月光カプリッチオ 時系列順に読む 如月双七 054 花がくれたおやすみ
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【名前】葉隠覚悟 【原作】覚悟のススメ 【参戦時期】腑露舞撃破、零奪還直後 【呼称】一人称:私/俺 二人称:お前/キサマなど 【初期支給品】零式鉄球装着砲(仮称)@覚悟のススメ、??? 【追跡表】 No. タイトル 作者 登場人物 場所 時間 008 剣であった者/剣である者 ◆fRBHCfnGJI キャスカ、葉隠覚悟 C-3 逆十字学園内 深夜 036 Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg ロウヒーロー、カイム、アリオーシュ、葉隠覚悟、キャスカ、リュカ C-2 中央部 黎明
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相打ち覚悟 炎属性 スペル:詠唱破棄 (炎)(1) ターン終了時まで、対象のリゾネイター1体は【爆散】を得る 【ブレイク】 ターン終了時まで、対象のリゾネイター1体は【爆散】を得る スターターデッキ烈火の群狼で登場した炎属性のスペル:詠唱破棄。 収録パック等 烈火の群狼 1-091 C ヴァルハラの黎明 1-091 C
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覚悟 by 151さん 1 数時間ぶりに研究室の扉に手を掛けるのと、中から電話の呼び出し音が鳴り響くのはほぼ同時だった。 俺は小さく息を吐き、科技大で唯一安らげる場へと足を踏み入れる。 この数週間俺は多忙を極めていた。 近く開かれる学会での論文の制作、また、運悪くそれに重なってしまった試験の問題作成。 加えて、朝からぎっしり詰まった学生達への講義。 試験前ということもあり、暇ができたと思えば勉強熱心な学生に質問責めに合う…まぁ、丸毛典子くんのような生徒ならそれも苦ではないのだが。 とにかく、どこぞの誰かは俺のことを暇人だと責め立てるが、少なくともここ何日かは睡眠もまともにとれない多事多端ぶりだった。 そして今、やっと休めると研究室に戻ったところでこの電話だ。 俺は正直辟易していた。 持っていた書類を机に投げやり、けたたましい音を立てる機械に手を伸ばす。 「………上田ですが」 受話器を耳に当て発した声には、存分に機嫌の悪さが滲み出ていた。 電話先も相手もそれを察したのか、一瞬の間が生じる。 「……あの、山田です」 この声を聞いたときの俺の気持ちを何と表現したらいいだろう。 まず驚き、焦り、力が抜け、ガクリと椅子に腰を落とした。 今まで体にのし掛かっていた重圧がスッと取れ、安心感や幸福感といったものに包まれる。 そして何よりも、嬉しかった。 彼女は、声だけで、俺を幸せにしてくれるとても大切な存在だと思い知らされる。 誰も見てはいないのだが、にやけそうになる口元を咄嗟に押さえた。 「…えっと、今時間大丈夫ですか?」 先の俺の声色に恐縮したのか、いささか緊張した声が耳に響く。 「あ、あぁ……久しぶりだな」 緊張させてしまった謝罪の意味も込め、努めて柔らかい声で話しかけた。 「そう…ですね。………寂しかったか?」 彼女も俺の意を介したのか、いつも通りふざけた調子で返してきた。 「いや?忙しくて君の事などすっかり忘れていた」 俺も合わせていつも通りに返す。 もちろん返事の内容は全くのでたらめだが。 「な…!?……き、奇遇ですね。私も手品のショーが忙しくて、 上田さんのことなんかこれっぽっちも思い出す暇なんかありませんでした!」 尖った声に、笑みがこぼれる。 「そうか?じゃあ何で今電話掛けてきたんだよ」 「そっ!それは、その、ほんのちょこっとだけ時間ができたから…」 愛しい声に耳を傾けながら、突然の電話の理由を思案する。 はっきり言って奈緒子からの電話はかなり珍しい。 緊急の用件でもなさそうだし、やはり憎まれ口を叩いていても、寂しかったのだろうか。 それほど奈緒子を放っておいてしまった事を内心すまなく思う。 だが、相手に会いたかったという気持ちでは存分に勝つ自信はあった。 「……だから、今もお客さん待たせて……って上田さん、聞いてます?おい!上…」 「寂しかった」 「えっ…」 「俺は、君に会えなくて寂しかった。連絡しなくて悪かったな」 電話だと、俺も幾分か素直になれるらしい。 今の奈緒子の表情を想像すると吹き出しそうだ。 「……わ、私…も……」 そこで口ごもる奈緒子が可愛くて仕方がない。 一度開き直った俺は、どうもかなり重症のようだ。その先を聞かずとも十分に満足できるのだから。 「…あの、実は今、大学の近くまで来てるんです。今からそっちに行ってもいいですか?」 その言葉に少し驚いたが、嬉しさの方が多いに勝った。 「あぁ、もちろん。だが珍しいな…君が突然大学に来るなんて」 そう言いつつ前にも同じようなことがあった事を思い出す。 『あなたに…逢えてよかった』 そう言って俺の元を去った奈緒子を、俺は黒門島まで迎えにいった。 思えば、この時から俺は奈緒子に惹かれていたのかもしれない。 「えへへ…実は報告したいことがあって」 だが今回はあの時と違い、喜ばしい訪問だということが奈緒子の声から明らかだ。 「報告?」 「そう。上田!覚悟しとけよ!」 「覚悟?」 「じゃ!」 「あ、ちょっと待った、待たせてるお客さんはいいのか…?」 その質問への返事は荒々しく切れる受話器の音だった。 受話器を置き、椅子に深く腰掛けたまま、無意味に回ってみる。 久しぶりに奈緒子と会えることが嬉しくて落ち着かないのだと自分でも分かった。 奈緒子を待つ間も、俺は電話で聞いた"報告"の意味する所を考えていた。 …報告、声色から察するに嬉しい報告、そしてそれは俺が覚悟しなければならない内容。 「……なんじゃそりゃ」 さっぱり検討が付かず首を捻っていると、丁度背中を向けた瞬間に、扉が大きく開く音がした。 「!!…って、早いな!まだ一分も…」 慌てて椅子ごと体を扉の方に向け、視界に入った人物に、俺は固まった。 「……センセ、何してはるんですか?独りでクルクル回って」 「…遠心力の実験か何かですか?」 そこにいたのは異様に不自然な頭をした男と、それに付き従う自尊心の固まり男。 見慣れた刑事二人組だった。 状況に順応できず固まっている俺を余所に、刑事二人はズカズカと部屋に入り込み、悠々とソファーに腰掛ける。 「いやー、やっぱりいいですなぁ、ここは…涼し~!!」 「確かに、最近真夏日が続いて…って何普通にくつろいでるんですか!!」 慌てて立ち上がり、俺は動揺した声をあげる。 そんな俺をチラッと見ただけで、矢部さんは近くにあったファイル済の書類で顔を扇ぎ出した。 「まぁ、堅いこと言わんといて下さいよ~。センセと自分の仲じゃないですかぁ」 猫なで声でそんな事を言われても、はいそうですかと納得するわけにはいかない。 「矢部さん、悪いんですがもうすぐ来客が…」 「どうせ山田でしょう?」 速攻図星を言い当てられ、一瞬口ごもる。 「…っ!…ち、違うんですよ、今日は。本当に大事な来客があるんです!!」 「え~ホントですかぁ?」 不審や不満の篭もった目で俺を見上げる矢部さんに、引きつった笑顔を向ける。 もう一人の刑事はと言えば、さっさと冷蔵庫から取り出した飲み物をコップに注いでいた。 その時、矢部さんが手に持つ書類が偶然目に留まり、俺は慌てて駆け寄りそれを取り上げた。 「ちょっ!…これは今朝やっと完成した論文で…」 団扇替わりに使われたせいで付いた皺を涙目で伸ばしながら、それを机の引き出しにしまう。 「あれ?大事なもんでした?すいませんな~」 怒鳴りつけたくなる衝動を必死に押さえつつ、穏便且つ性急に、刑事達をこの場から去らせる策を巡らせた。 「あ、そうそう…センセ、今晩お暇ですか?実はいい店見つけたんですよ~」 小指を立て、厭らしい笑みを浮かべた矢部さんが俺を見上げる。 その挙動だけでどんな店かなど一瞬で想像がついた。 「けど今ちょうど給料日前でなぁ、あ、だから金の掛からないここに涼みに来たんですけどね…」 「僕は、お金ありますけど」 「うるさいわ!!」 横やりを入れた部下を、いつものように矢部さんが一喝する。 「えっと何でしたっけ?そうそう、だからセンセも一緒に行きませんか?」 暗に金を貸せ、または驕れと言いたいらしい。 俺は小さくため息を吐き、二人がくつろぐソファーまで移動する。 「結構です。僕はそんな店には行きません」 そう言って菊池さんの手からコップを取り上げた。 「またまた~、センセもいい加減、花開かせたがいいんと違いますか?」 『花ならこの間開いた!!』 と、声を大にして言いたかったが、理性しか兼ね備えていない人間である俺がそんなわけにもいかず、矢部さんから目を逸らす。 「すみませんが、今晩は予定があって…菊池さんと行かれたらいいじゃないですか」 「僕もそんな店には行きません」 「何?!菊池、お前なぁ…」 刑事達が押し問答をしている隙に時計に目を遣る。 電話を切った時間から考えて、もういつ奈緒子が来てもおかしくない。 もしここで奈緒子と刑事達がはち合わせたらどうなる? 俺の嘘が明るみになるばかりか、奈緒子との二人だけの時間が台無しになるのは目に見えている。 急がなければ…!! 「もうええわ!石原と行くから!…あいつ金持っとるかな?」 「矢部さん!もう本当に時間がないので今日の所は…」 「あー!そうやった!石原で思い出しました!!」 矢部さんの大きな声で再三の願いもまたかき消され、俺はガクリと肩を落とす。 「……何ですか?」 「実は面白い報告があるんですわ」 「"報告"?」 その言葉に俺は顔を上げた。 「山田の話なんですけどね」 「山田の?」 話に食い付いてきた俺に矢部さんが満足そうに微笑む。 「お!センセ、気になりますか~?びっくりしますよ~」 今から聞く話の内容は先に奈緒子が言っていた"報告"の内容と同一のものなのだろうか。 興味の無かった矢部さんの話も、奈緒子の事となるやいなや、俺の中で鮮明な色を持つ。 「あ、でも、もしかしたら、ちょっとショックかもしれませんな~」 そう言う矢部さんのにやけ顔に焦燥が募る。 「矢部さん!早く教えて下さい!」 「え~実はですね、山田のやつ…なんと…」 屈んだ俺の顔に矢部さんの顔が近づいてくる。 「男!!…ができたらしんですわ!!」 「何?!おと………え?男?」 …一瞬驚いた。 が、それは、もしかせずとも俺のことじゃないのか? 俺は脱力して矢部さんから顔を離した。 矢部さんはまだ俺の興味を惹きつけているものだと思いこみ、興奮したように話を続ける。 「何か最近山田の様子がおかしいってあのボロアパートの大家さんから聞きましてな、そりゃ警察として調べなあかん思て、 事務仕事で暇してる石原に調べさせたんですわ。そしたらもう、怪しい証拠が出るわ出るわ…」 日本の公務員は余程暇らしい。いや、こう言っては真面目に働く公務員に失礼か。 呆れつつも話の続きを待つ。 矢部さんは懐から手帳を取り出し、そこに書かれているのだろう、山田奈緒子恋人発覚事件の証拠を読みあげ始めた。 「えーと、まず、明るくなった。部屋から聞こえる変な鼻歌や突然のスキップがその根拠。次に、優しくなった。 これはジャーミー君…あの外人さんやね、への寛容な態度などから明らかやそうです。そして、お洒落になった。 箪笥の奥から普段は着ないような服を取り出して着てみてたらしいですわ」 「石原さん…覗いたのか…」 複雑な思いを抱えて小さく呟く。おそらくその思いの大半は嫉妬なのだが…。 「あ~、もう石原字汚いわ!!次いきますよ~、えっと、楽しそうにしとったのに突然暗くなることがある。 電話の前で三時間ほど体育座り、その後涙ぐむ。…何やこれ、訳わからんな」 ……いや。 いいや、俺には訳分かる。 そうか、たとえ少ししか話せなくても電話するべきだったな。 俺はただ、声を聞いたら会いたい気持ちが我慢できなくなると思って…。 あいつ、そんなに待ってたのか。俺の、電話を。そうか。………だめだ、にやける。 口元を押さえつつ再び意識を話に集中させる。 「それから…あ~こりゃ決定的やな。綺麗になった。まぁ…元々あいつ、顔だけはよかったけど、色気が出てきたらしいですわ。 この二週間、家とバイト先の往復中だけで8回!男に声掛けられてたそうですわ」 「!!…な!そ、それで…山田はどうしたんですか?!」 俺の剣幕に矢部さんは驚いたような意外そうな顔をして、もう一度手帳を見た。 「さぁ?それは書いてないなぁ」 弛んでいた顔の筋肉が一気に引き締まる。ぜひ、あとで奈緒子に問いつめなければ。 そういえば、奈緒子の言っていた"報告"は矢部さんのものとは違うみたいだ。 じゃあ一体何なんだ?奈緒子の言う報告とは。 奈緒子の口から聞けば分かることとは言え、それだけの長期間奈緒子を調べていた矢部さん、いや、石原さんか? とにかく彼ならその内容を知っているかもしれない。 奈緒子が何を俺に言うつもりであれ、俺が先に言い当てたら驚くだろう。 最近気付いたのだが、俺は奈緒子を驚かすのが大好きらしい。 残念ながら大抵失敗に終わるのだが、今回はうまくいきそうだ。 「まだあるんですよ、これ極めつけやな!あのですね…」 「あの!話の途中ですみませんが…実は先程山田から電話があって、どうも僕に報告したいことがあるらしいんですが、 矢部さん何か見当つきませんか?」 俺の言葉に矢部さんは不思議そうに首を傾げる。 「へ?だから…それこそ、男が出来たってことちゃうんですか?」 ふっと口をつきそうになった。それだけはありえない理由が。 …俺が、その、男なんだ。 否定する理由を考えている俺に、それまで興味なさげに話を聞いていた菊池さんが助け船を出してくれた。 「それはないんじゃないですか?」 「なんで?」 菊池さんが俺をチラリと見て、矢部さんに視線を戻す。 「すこし考えれば分かることだと思いますけど。まぁ当のご本人が言いたくないのであれば僕の口からは言いませんが」 「はぁ?」 さすがと言うべきか、意外と言うべきか、菊池さんは矢部さんほど鈍感では無いらしい。 「上田教授は山田さんからどのような報告があると、お聞きになったんですか?」 矢部さんを置き去りにしたまま菊池さんと俺との会話は進む。 「あ…そうですね。察するに、喜ばしいものだとは思いますけど。あぁ、あと覚悟するようにも言われたな」 「覚悟?」 菊池さんがその言葉に反応し、しばらく考えるような表情をした後、真剣な顔で俺を見上げてきた。 矢部さんはそんな菊池さんと俺の表情を交互に見遣る。 「上田教授、統計学的に見て、女性にとっては喜ばしく、男性は覚悟を要する内容の話題はそう多くないと思います」 「本当ですか?例えばどんなものが?」 「そう、ですね…」 なぜか、菊池さんが言いにくそうに目を背け、言葉の続きを口にした。 「……妊娠、とか」 その言葉の意味を認識するのに、数秒掛かった。 ちょ、待て待て待て…頼む、待ってくれ。 計算しろ、俺。 彼女に妊娠するきっかけをそう多くは与えてない…よな? まだ2回、いや、3回くらいか?…いや待てよ、1ラウンドを1回と数えるのか? 続けてしたりもしたしな…ちょっと待て、そもそもラウンドってなんだ?どこで区切るんだ? まずい、混乱してきた。落ち着け、要は何回出したか…だよな? ん?そもそも問題は回数じゃないのか。ってちょっと待て、俺ちゃんと避妊したよな。 うん、したしたした。え?避妊しても妊娠するのか? だめだ、冷静にならなければ。そうか、物理的に考えよう。 避妊具というのはそもそも膣内での…… 「あの、上田教授…」 固まったままの俺を申し訳なさそうに見上げる菊池さんと、俺同様状況を飲み込めず呆然とする矢部さん。 俺が冷静さを取り戻すのはその矢部さんよりも遅かった。 「えーーー!!山田の奴、妊娠しとるのか?」 矢部さんの大声でやっと現実に引き戻される。 「いや、あくまで可能性ですから、早計なさらないで下さい」 尋ねてきた矢部さんではなく、俺の方を見て菊池さんが答える。 そ、そうだよな。俺の避妊は抜かりなかっ………!! どうして、このタイミングで。 俺の脳裏に焼き付いてい離れない光景が鮮明に思い出された。 『…どうして中で出させたんだ』 俺の質問に紅潮した表情で答える奈緒子。 『自分でも分からないんです。安全日でも中で…その、出すのは危険だって分かってはいたんですけど、 なんか上田さんの切なそうな顔見てたら、まだ離れたくない…って思って、気が付いたら…』 「あの時の…」 忘れもしない。忘れるわけがない。 俺と奈緒子が初めて結ばれた時だ。 あの時、そうあの時だけ、俺は確かに奈緒子の中に精を注いだ。 ふと壁に掛かったカレンダーに目を遣る。 あれから約三ヶ月だ。 妊娠の兆候が出始めるのはまさに今頃だろう。 「い、いやー、やるなぁ、相手の男」 「だから、まだそうと決まったわけじゃ…」 矢部さんも動揺しているのか、先程の覇気が今は感じられない。 そんなことを思うほど俺はどこか冷静だった。 「…矢部さん、時間も押してるので今日は…」 「あ、そ、そうやな」 俺の申し出は、今度は驚くほどスムーズに通った。 「上田教授、本当に僕の早合点かも…」 そう言う菊池さんに軽く愛想笑いを浮かべる。 とにかく、今は奈緒子と二人きりで話し合わなければ。 まだ奈緒子がここに来ていないのが不思議なほど、あれから時間が経ってしまっていた。 立ち上がった二人より先に、扉の方へ歩む。 先導することで、より早くここから去って貰うためだ。 「あ…けど、上田センセはご存じじゃないんですか?相手の男」 「……さぁ」 NEXT>>
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登録日:2009/09/08(火) 22 28 19 更新日:2022/12/29 Thu 09 48 19NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 エクゾスカル零 ストイック ワンマンアーミー 主人公 人類最強候補 全裸フェチ 冥府魔道 名言量産機 堅物 山寺宏一 日本男児 漢 漢の中の漢 生真面目 真の漢 眼鏡 覚悟のススメ 覚悟完了 「その言葉、宣戦布告と判断する。当方に迎撃の用意あり!」 漫画 覚悟のススメの主人公。「はがくれ かくご」と読む。眼鏡をかけ、白い詰襟を着た少年。OVAでは山寺宏一が声を担当。 同作者の別作品『エクゾスカル零』にて文明崩壊後の世界で冬眠から蘇った姿はエクゾスカル零/葉隠覚悟参照。 幼い時より人類を守る剣となるため、実兄である散(はらら)と共に父・朧のもとで、 雪山の中、下着での取っ組み合い、異形と化した熊との格闘など厳しい修行に励んできた。 究極の格闘技「零式防衛術」を体得しており、強化外骨格「零」を纏い、人類の明日のため闘い続ける運命を背負っている。 非常に生真面目で自己抑制の強い性格。普段は至って感情の起伏が少なく、軍人のような古風な口調で話す。 また礼節を重んじ、認めた一流の敵にも礼節と敬意をもって応える。 反面、流し場に座り全裸で誘惑する美女に平手打ちで応え、 「口に入れる物を調理いたす場所に、尻や足を乗せるとは何事か!」と一喝するなど礼節のない相手には厳しい。 しかしながら生まれた時から修行の日々を送っていたせいで一般常識については疎い。 父の教えもあり暴力は極力避けるもの、恋は極力秘めるものとして恋愛には非常に寡黙だが、 罪子に恋心を抱いて以降は、相棒である英霊たち(後述)の制止を振り切るほど情熱的になっていた。 また父に許された直後はかなり浮かれっぷりを見せた。 生けるもの全てに対する深い慈愛の心も持っており、物言わぬ人間の成れの果てである肉虫たちの心を読み取り涙を流していた。 また、人類を守るためとはいえ殺生を重ねる己の矛盾に苦悩する一面も。 体の8カ所には葉隠家に代々伝わる「零式鉄球」が埋め込まれている。 これは自身の肉体に吸引することで皮膚を硬質化させることができるというもの。覚悟はこれにより体の56%を鋼に変えることができる。 ちなみにこの零式鉄球を埋め込む際、手術などという高尚なことはせず、父・朧が一発一発ガトリング砲でブチ込んでいる。 常人なら1発撃たれる度に死ぬほどの痛みを味わう。 【強化外骨格 「零」】 覚悟が纏う、生ける鎧。 普段は大きな学生鞄に収納されているが覚悟の「瞬着!」の掛け声と共に瞬時に装着が可能。 重量 90kg 材質 複合装甲・展性チタン合金 漆黒の装甲に純白の正義マフラーをなびかせる姿が印象的。 右腰部に生命維持装置、左腰部に科学兵器調合装置を装備。 脚部は爆芯靴と呼ばれる推進機能付きのブーツとなっている。 もともと強化外骨格は第二次大戦中、日本軍人・葉隠四郎率いる精鋭集団「瞬殺無音部隊」によって戦争投入を目的として開発されたものである。 開発の際には、三千にも及ぶ捕虜を使った人体実験が費やされた。彼らは英霊として、零に宿っている。 英霊たちは無念をこらえ、二度と自分たちのような存在を生み出さないように、覚悟と共に戦う決意を固めた不退転の士なのだ。 覚悟は零下70度の独房に全裸で入り、着装した際に英霊たちと同じ苦しみを味わうべく自ら切腹と介錯を行った末、 見事な血涙を流しその覚悟を認められ零の装着者となった。 英霊たちは覚悟に様々な助言を与え、戦いをサポートする。 経験の浅い葉隠を叱咤したり、稀にからかって笑ったりと、その様は愛すべきツンデレ。 ライや罪子の脳から情報を得ようとして覚悟に咎められたり、戦化粧の風習を知らなかったりと 兵士であるためか覚悟の武士的な価値観とは微妙なずれが生じることもあるが、うまく補完し合っている。 また、強化外骨格は英霊たちが宿って始めて威力を発揮するものであるため、英霊なき零はただの抜け殻となってしまう。 【零式防衛術】 肉体の限界を引き出し、必殺の一撃を生み出す格闘技。 覚悟はその中でも、相手の力を利用して放つクロスカウンター「因果」を得意とする。 ◆主な使用技 零式積極直突撃(じきづき) 敵に突撃しつつ放つ突き 零式因果直蹴撃(じきげり) 突撃してきた敵に対して放つ跳び蹴り 零式因果肉弾 突撃した敵に対して放つ体当たり 超振動 掌で振動を引き起こす技 螺旋の派生形と思われる 零式積極重爆蹴(じゅうばく) 敵に放つミドルキック 大義 忠誠よりも重き大義を乗せて放つ跳び蹴り 一本足因果 散のトルネード螺旋に対して覚悟が見せた構え 残念ながら散に押し負けた 輪廻 覚悟が朧の教えを受けて放った一撃必生の正拳突き 零式因果双拳 両腕で突撃してくる敵に放つ突き 覇岡が不良にからまれた際あえて手を貸さない、武芸者の悶十郎に絡まれても自ら負けを認めて引くなど無益な闘いはしない主義だが、 友や無力な者が被害を受けた時は容赦なく立ち向かう。 戦士としての性格は意外に好戦的で、散やライやボルトなど実力を認めた相手とは真っ向から打ち合うことを信条とする。 特に、敵の策略によって英霊たちが成仏してしまった時、零を失って尚まったくひるむことなく生身でボルトや腑露舞と戦うなど、戦士としても超一流。 敵と戦う時は説教めいた台詞を放つのがお約束。まさに名言製造機。 「キサマの愛は侵略行為」 「ここは現実の世界なり!」 「雑草などという草はない!」 「キサマが一番無用なり!」 「献愛は時に苦痛を伴うもの。だがおまえの胸にあるのは手を差しのべることの優越感のみ!」 「キサマほどの戦士がなぜ散などの配下にいるのかわからぬ!」 「ただ一点の曇りなき主君への忠義、敵ながら見事!されど忠義より重きものがある!」 「零式防衛術が腕で闘うものとでも思っているのか!」 「うぬら外道に身を苛まれても、人間の尊厳を捨てることなく人間であり続けた勇敢な人々が、ひとつになって俺に生命を授けてくれた!」 「見事なり!たとえ核兵器をもってしても、対超鋼をもってしても、キサマの守護(まも)るこの門を破ることはできまい!いかなる弾もいかなる者も通ることのできぬこの超門を、葉隠覚悟まかり通る!」 「貫く言葉はただひとつ!零式防衛術奥技…大義!」 「それ以上強い結びつきはあるまい!」 「人間に流れる血液に種類などない! 全て赤い血だ!」 「燃えるものか!道を外れた主君に向ける愛などに、この肉体が負けるものか!」 「当方に迎撃の用意…なし!」 「人間を殺めるのは、これで最後にしていただきたい」 「怖がらなくていい!もう寂しい思いはさせぬ!兄上!冥どの!玉太郎!生まれ変われ!」 「キサマの零式には大事なものが欠けている!」 「獅子は獅子であることを、吠えたりはせぬ!」 「台無しにされた人間の尊厳を思い出せ!おまえの同胞の苦しみも全て剣に込めるのだ!」 「我こそは現代の侍!牙なき人の剣なり!」 「戦士に敬礼!」 「君がいる限り、戦い続ける!!」 なお、短編「強化外骨格・雫の巻」で零式密漁師(ハンター)の剣を受け死んだかのような描写がされているが、短編集「銃声の子守唄」巻末の書き下ろしで無事であることが語られた。 神武の超鋼よ、我を立たせ給え 牙なき人の明日の為に 無限の英霊よ、我を砕き給え それが永久への礎なら 我が身は既に 完 覚 了 悟 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\因果‼/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] エクゾスカル零の彼は戦士としてのデータだけをコピーされたクローン・・・みたいなオチが待ってる気がする。NEO CONTRA的な。 -- 名無しさん (2013-12-13 11 39 07) これほど熱く「漢」という言葉が似合う人物もいないが、現実には存在しないのが悲しい。 -- 名無しさん (2013-12-13 11 44 01) ↑自分がコレになろうとしてみ 理由が分かるから -- 名無しさん (2013-12-13 11 52 37) ↑現実にいたら困るよねwという例が『平成武装正義団』の神風 零w -- 名無しさん (2013-12-13 11 55 19) そして『超』が着く程真面目、なろうと -- 名無しさん (2014-03-30 22 33 49) ミス:なろうとすると本物の覚悟程でなくとも茨の道を歩む事になるだろうな。 -- 名無しさん (2014-03-30 22 35 05) 自分の倫理や理想を持ちつつ、人に迷惑をかけない範囲なら他人の行動を否定したりしないよね、覚悟は。そーゆー人間になる課程が既に大変ですよ。 -- 茶沢山 (2014-05-06 06 51 04) だから理想の漢として認められるんだろうね。散も別の意味で凄いが・・・・。 -- 名無しさん (2014-05-06 09 45 49) 外伝で208号の心を救うために敢えて悪役を演じて刺された覚悟に漢を感じた。生きていてよかった。 -- 名無しさん (2014-05-25 12 16 44) ↑受難と情熱、二つの意味でパッションの人なんだよな。皆の笑顔のために自身には極限の忍耐と節制を強いる。『安らぎは受け取らぬ!安らぎをもたらすのだ!』という零の言葉にすべてが凝縮されている。 -- 名無しさん (2014-05-25 13 21 20) 「こう言う生き方しか出来ない」て、ホント厄介と言うか大変なんだけど、それを愚痴らない自制心て凄い。 -- 名無しさん (2014-05-25 13 47 31) ススメの覚悟を見た後でエクゾスカルの覚悟を見てるとちょっと本気でへこむ。「歯ぁ磨いてやろうか?」とかワケ分からん絡み方する奴も居ないんだもんなぁ -- 名無しさん (2014-06-14 00 12 43) 生きていたのか、良かった -- 名無しさん (2015-04-27 14 22 05) 悪鬼となった武帝「景明」と是非戦った欲しい所。 -- 名無しさん (2015-06-13 16 11 26) 最高にかっこいい主人公だったわ -- 名無しさん (2019-08-28 11 08 04) 名前 コメント
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危険や困難を承知しながらも、それを受け止めなけれないけない時がある。 一人前になる覚悟、自分の命を懸ける覚悟、そして大事なものを捨てる覚悟。 誰もがそれぞれの覚悟を決めて、自分の信じた道を歩んでいく。 決断なきところに、道はない。 前に進む者ならば、胸に刻め。 『覚悟』の二文字を。 カオス 「覚悟なんて決めてなけりゃ、人一人守れやしねぇんだよ」 ホタルを連れ戻しにきたヴィオスとの会話の中のセリフ 「大丈夫だ。例え義理でも、俺の子は簡単に死んだりしねぇよ」 カオルへの励まし レインド 「なら俺は家族としてお前と共に歩もう…道が見えないなら、俺が照らしてやる」 浅花と一緒に居た際にでて来たレインドさんの名言ktkr! キルビス 「俺はもう決めたんだ、家族や友人をこの手で守ると・・・その為に世界を壊させるわけにいかねえんだよ!」 パープとの戦闘中に言ったセリフ リンク 「せんべいさえあれば、海だって乾かせますよ」 せんべいの凄さを語っている時に放った迷言。 彼の天然っぷりが発揮されている。 「私はもはや、不死身を名乗る資格はありませんから」 最初の不死身を持った出演者だが、それを放棄する。 上の迷言とのギャップが……。 ソードプリム(リポーターB) 「真相を突き止めるまで死んでも帰らないでござる」 ターゲットの前に立ちはだかるマリオに言い放ったが直後吹き飛ばされる。 のんのα 「元就様…この命…貴方様に捧げます」 新生元就軍結成編で元就の部下になる際に言ったセリフ。 「!?で、ですが…私は…貴方様に命を捧げた身…共に逝きます。」 混沌乱戦!混沌ヶ原の戦いで、伊達政宗に敗北し自害しようとする元就に言ったセリフ。 アキラ 「…何を後悔する事があるっていうの?私兄さんの妹だもん、何処へだって付いて行くよ。」 L 「私はLです」(公式) 誰もが知っている名言。 堂々と自己紹介。 「思います 見えます」(公式) あの月を起こらせた名言。 彼に気遣いは無いようだ。 中村 翼 「たとえ正義としての行動だっとしてもそれが誰かを悲しませることもあり得る!」 かなでに言った言葉 魅上 照 「神 仰せの通りに」(公式) 私は貴方の言うとおりにやりました。 ミキ 「分かってるわよでも医者としてそこは諦めない意地があるのよ?」 愚かな発言かもしれないが心底から医者の人にとってはプライド、患者為に絶対諦めたくないって言う思いが込められてるって自分はそう思う。 ルークから現実はそんな甘くないって言われた時こう喋り返したセリフ 棗 恭介 「レインド…今…そっちいくぜ 」 タイムリミットの言葉 ダークリンク 「失敗について考えるな。成功を見せろ」 圧倒的な物量でリンクに勝った時の励まし。 成功は勝ちのこと 「珠姫は俺が守る!」 告白&決意 「俺はお前の影。貴方は俺の光だ」 最期の発言 シルフィール=ネルス=ラーダ 「新時代機関は大丈夫ですよ・・・きっと・・・リセットなんて・・・出来ないと思います。だって、その組織に刃向う人々の意思は・・・揺るぎません・・いいえ、揺らがないと信じていますから・・・!」 機関に襲われると恐れているライオンカービィに言った台詞。 ポコタ 「俺はこれでもタフォーラシア王国の王子だぜ?これくらいの事・・・当たり前さっ!」 前述の名言に続いて言った台詞。可愛くてかっこいいぬいぐるみだと言う事がこれで分かるだろう。 ルパン三世(さんせい) 「ここで捕まったら御先祖様に合わせる顔がねぇや!」 両津達に追い詰められそうになったルパンが放った一言。先祖思いの良いやつ。 ここで言う御先祖とはアルセーヌ・ルパンだろうが、先祖と言うほど年は離れていないのだが・・・ アオ 「今の俺には…その仲間が、ちゃんとついてる」 追跡者戦闘中、孤独でないことへの訴え 「レインドさん……今度は俺が助ける番だ」 過去、現在、それは彼ら二人を全く反対の状況にする サンデーから攫われたレインドのことを聞き、決意した瞬間 「―――…『信じる 力』か……俺を信じて待ってくれている人が居るん だ、俺も―――信じなきゃ」 ゼネア戦において窮地に追い詰められた際の言葉 彼にとって信じるとは大切な人達のために生き抜くための覚悟なのかもしれない N 「モンスターボールに閉じ込められている限り、ポケモンは完全な存在にはなれない。ボクはトモダチの為、世界を変えねばならない・・・」 チルノフとの初ポケモンバトルが終わった後、その場を去る時に言い残した一言 ソープ 「ただ俺が護る…そう約束したからだ」 時風に対してエルキュールと接する理由を言った時 霞夜 「あなたはあなたのやるべき事を全うしなさい、じゃないと男として情けないわ。」 対追跡者&黒ずくめの暗い男戦にて、その男に向けて放った言葉。男には、やらねばならぬ時がある事を…彼女は知っているのだ。 クロブ 「だからこそ…壁を越えなければならない…! 結果が…どあろうとな…!?」 「よせ…此処では暴れたら余計酷くなるだけだ… それこそ災いの元だ…」 「何かを覚悟するとか戦うって言うことに楽って言う文字は存在しないからな……」 龍助に言った台詞。 別の少将 「でもな~?軍って言う仕事はな死ぬのも仕事でもあんだよ~!?」 リサに言った台詞。 戻る
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かくごー 自作 1994年から「週刊少年チャンピオン」で連載され、後にスピンオフ作品となる『エクゾスカル 零』も刊行された、 敵と戦うため「覚悟完了」の台詞と共に変身する葉隠覚悟を主人公とする山口貴由の漫画は何? (2016年9月1日 2016年8月のQui2投稿問題まとめ。 ) タグ:漫画 Quizwiki 索引 あ~こ 掘江罪子
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登録日:2009/09/07(月) 03 59 32 更新日:2024/05/18 Sat 02 35 52NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 1994年 OVA みのりん語録元 アニメ アフターアポカリプス グロ スプラッター マッドマックス 世紀末 兄弟愛 名言の宝庫 基本全裸←なんだか知らんがとにかくよし!! 変身ヒーロー 山口貴由 怪作 文明崩壊後の世界 漢の義務教育 漫画 熱い 秋田書店 覚悟のススメ 覚悟完了 週刊少年チャンピオン 週刊少年チャンピオンにて1994~1996年にかけて連載されていた漫画である。 作者は他に悟空道、シグルイなどで知られる山口貴由。 王道を貫いた正義と悪のぶつかり合いを書いた漫画であり、作中に溢れる男気と勢いに加え、無駄に仰々しい台詞回しや多用される四文字演出といった山口節が魅力の逸品なり。 連載終了後も読み切り短編が4作書かれている。 本作は血が吹き飛び、内臓が飛び交う修羅の世界。 覇気に耐えられぬ一般市民は足下に気をつけて緊急避難。 実際問題このエログロ全開の作風は有名な作品だからと軽い気持ちで手に取った読者を絶句させるのには十分な威力。 第一話からこんなの出てくるが平常運転である。 ◆ストーリー 核戦争と環境汚染によって荒廃した近未来の世界。 人々はその中でも懸命に生きようとしていた。 そこへ暗躍し罪なき人を蹂躙するは、現人鬼散率いる不退転戦鬼軍団。 一人彼らに立ち向かい人間を守るのは、零式防衛術の使い手にして強化外骨格零と共にある者、葉隠覚悟。 戦え、覚悟!人類滅亡まで猶予はもはやない! ◆登場人物 葉隠 覚悟 [CV 山寺宏一] 本作の主人公。 冒頭で逆十字学園に転校してくる。非常に生真面目な性格で自己抑制が強く、感情を表すことは殆どない。 零式防衛術を体得し、強化外骨格「零」を着装する。純白の詰め襟に身を包み、眼鏡を着用。キメ技は「因果」と呼ばれるクロスカウンター。 生身の時点で滅法強く、全編通して見ると実は零に頼らない戦闘シーンもかなり多い。 怒りの心や煩悩を抑えつける鋼の心を持ち、己が身が傷ついても弱き人を守ろうとするまごうことなき漢。 葉隠 散 [CV 緒方恵美] 覚悟の兄にして不退転戦鬼軍団の頭領。強化外骨格「霞」の着装者。 ある出来事をきっかけに地球のために人間を滅ぼすことを決意。性別を超え、人間の身を捨てた現人鬼となる。 ガラン城を拠点とし、数多くの人外たちをそのカリスマ性でまとめあげる。 覚悟を遥かに上回る零式防衛術の使い手で、掌より螺旋状の波動を相手の体内に叩き込んで破壊する螺旋波紋掌打を得意技とする。 「これで私はファイヤー散!!」 掘江 罪子 [CV 堀江美都子] 覚悟の同級生で、彼が心を寄せる女生徒。ヒロイン。 歌が上手で持ち前の明るさは学園の光となっていた。 心優しい性格で、醜く崩れた被害者も抱きしめる優しさを持つ。 作中では中盤以降ポッチャリになる。 名前の由来は作者自身が大ファンである堀江美都子。そのためか、アニメ版では堀江美都子が役を演じている。 覇岡 大 [CV 森川智之] 覚悟の同級生。 趣味は歯磨きで特技は野球。罪子とは3歳の頃からの幼馴染である。当初は覚悟に目をつけて絡んでいたがのちに親友となる。 銭形先生 [CV 千葉繁] 覚悟のクラスの担任。 昼間から飲酒し、授業はカセットテープを再生するだけで自分は寝ている不真面目教師だが、いざという時は生徒を気にかけている。 校長先生 [CV 緒方賢一] 逆十字学園の校長。 基本的に真面目な態度を取っているが、時々銭形先生と一緒に校内で酒を飲んでいたりする。 また、罪子の熱狂的ファンであり、教師でありながら密かに彼女の制服ボタンに発信機・録音機を仕込むなど、ストーカー行為を行っている。 三千の英霊 零の中に宿りて動かす霊。 そのほとんどは生前は捕虜で零を開発する際に人体実験によって殺された者たちだが、今は国を超え侵略戦争をなくすために覚悟と共に戦う。 作中一度策略で昇天するも、天国で割腹して戻ってきた。 経験の不足が目立つ覚悟を時に叱咤激励し、時に諌め、時にからかう良き相棒。 それゆえ、彼らを失った「エグゾスカル零」の覚悟には悲愴感が漂う。 意外に絡み酒なところがある。 葉隠 朧 [CV 柴田秀勝] 覚悟と散の父。強化外骨格「雹」の着装者。故人。 幼い頃より二人を厳しく鍛え上げ、零式防衛術を教え込んだ。 厳格ながらも息子たちを深く愛する良き父だったが、現人鬼となった散と戦って敗れ殺害される。 葉隠 四郎 覚悟と散の曽祖父。強化外骨格「霆」の着装者。 零式防衛術の創始者であり、「瞬殺無音部隊」を率いる陸軍将校。零式防衛術や強化外骨格や戦術鬼を開発するために数多くの捕虜を殺してきた悪逆非道の男。 119歳であるが存命である。 ライ 散さまの御側役。 筋骨隆々とした男であり、体内に埋められし21個の零式鉄球にて戦鬼形態となる。 覚悟に決闘を挑むが敗れて死亡。散さまにとっては伴侶のような特別な存在でありその死の際には意識なき状態で涙を流した。 血髑髏 戦術鬼総支配。 卑怯な策を好む男で、仲間内からもすくたれ者と蔑まれている。 しかし一時でも散さまが悲しむことがあってはならないと相討ちを否定するなど、散さまへの忠誠心は本物。 罪子を洗脳し、三千の英霊を昇天させると覚悟を苦しめるが、零式防衛術の心得の前に敗れ散る。 ボルト 衛兵隊長で四百鬼の機動鎧を率いる。 ガラン城の防衛を任されており、城門で覚悟と戦った。 鎧の下に強化外骨格「震」を着込んでおり、先に覚悟によって全滅させられた機動鎧の霊をまとって戦い、覚悟に致命傷を負わせた。 しかし己も重傷を負い、城門を守るように立ちふさがったまま死亡する。 我理冷夫 理系総支配。 2つの首を持つが、人格は一つのようである。 非常に小物な性格で、覚悟を包んだ肉虫を退治するために科学絶滅砲で母なる大地ごと傷つけるなどやりすぎなところがある。 小心者ゆえに弱いものには高圧的だが、蘇った覚悟の前にはなすすべもなく自殺する(単行本ではそれすら許されず覚悟に殴り殺された)。 腑露舞 御典医、頭頂に口、前後の右側に眼の肉塊のような姿から戦術鬼と見られる。 意識を取り戻すために役に立てなかったことを恥じ、蔭腹を切って覚悟との戦いに臨む。 炎に包まれた単眼の竜のような姿のファイヤー腑露舞となって体内に零を取り込み2000度の炎で苦しめるが、 肉虫をまとい人間の尊厳形態となった覚悟に奪い返され、燃え尽きて死亡した。 死後、遺された炎を散様へ託し「ファイアー散」へと進化させるが、その後散様がその炎を活用した様子はない。 細かいことを気にしないタイプなのである。 影成 老中。 普段は老人の姿で体内に霞を保持している。 蟷螂や蜘蛛のような霊虫形態となり覚悟と戦うが取り逃す。 その後、霞装着の儀において散さまのために覚悟の零式防衛術をコピーして組み手を挑み、螺旋を受けて散さまの勝利を確信し螺旋の爆発とともに霞を放出して散った。 知久 大老。 普段は老人の姿をしているが、有翼の獅子のような霊獣形態となる。 霊的な知識に詳しく血髑髏に三千の英霊成仏の法を授けたのも彼。 ガランに侵入した四郎と戦うが脱水鱗粉の前に敗れて瀕死になり、肉体を体内に宿った散さまを蘇らせるのに使い死亡する。 チビル 罪子が拾った黒い子猫……だったが散さまの燃える口づけを受けて猫では居られなくなった猫、 翼の生えた黒豹の様な姿になった。 ◆専門用語 零式防衛術 葉隠四郎が作り上げた人類の潜在能力を極限まで引き出し一触必殺を可能とする最終格闘技。 主に自ら攻撃をしかける積極と相手の攻撃に反撃する因果に分かれる。 零式鉄球 表皮に埋め込むと体内に取り込んで皮膚を鉄と化すことができる特殊金属。 1つの球で皮膚の7%を鋼鉄化できる。 大砲で撃ち込む事で埋め込まれるが、1つ埋め込むだけで常人ならば絶命する苦痛が伴う。 戦術鬼 簡単な話が改造人間。 精神は生前のエゴイズムを醜く追求するようになり、己の欲求を満たすために攻撃的になる。 動力源は人間の骨髄液。 強化外骨格 葉隠四郎が作りし武器内蔵耐熱防弾防毒鎧。 本作はやたら名言が多いことで知られている。 『その言葉 宣戦布告と判断する 当方に迎撃の用意あり』 『零式防衛術は己のための剣にあらず 牙を持たぬ人の剣なり ゆえに剣を抜くのは決して己ではなく 牙を持たぬ人の祈りなり』 『怒りを胸に沈めてはならぬ 怒りは両足に込めて 己を支える礎とせよ』 『暴力は極力避けるもの 恋は極力秘めるもの』 『雑草などという草はない!』 『当方に人間の尊厳あり!!』 『ムム 全裸!』『ヘンタイか覚悟ー!』『脱いでどうする!』『なんだか知らんが とにかくよし!!』 OVAにてアニメ化もされたが、残念ながら戦術鬼編(ただし永吉戦が恵魅戦の後になっている)で完となっている。 また覚悟が覇岡に殴られたり、朧が螺旋一発で死亡したりと「待てい!」と突っ込みたくなる改変もある。 しかし豪華声優陣による演技と、影山ヒロノブによる主題歌「覚悟完了!」はかなり熱い。 チャンピオンRED 2010年12月号より本作のスピンオフ作品「エクゾスカル零」が連載開始した。 若先生によると本作のパラレルワールドの世界らしい。 2015年からは本作を始めとする諸作品のキャラが架空の江戸時代を舞台とした『衛府の七忍』が連載開始。 間違えることが恥ではない! 直さぬことが恥なのだ! 項目編集を制するものは 技術でも知識でもない この項目 情報不足と判断する 当方に追記の用意あり △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\因果‼/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] まさに艦の -- 名無しさん (2013-10-28 21 40 11) ↑じゃなかった(打ちミス)まさに漢の生き様を描いた熱き血潮の漫画!覚悟の生き様は見ていて凄く燃える! -- 名無しさん (2013-10-28 21 44 17) 罪子ちゃんはまさにこのマンガに無くてはならないヒロインであり一輪の花なり! -- 名無しさん (2013-10-28 22 02 47) ハゲよ!俺はうろたえぬ -- 名無しさん (2013-10-28 22 06 53) 最終回までアニメ化するのは無理なのかなぁ・・・ -- 名無しさん (2013-11-10 22 11 39) ジャイアントさらば!このセリフいいなぁ・・・・。 -- 名無しさん (2013-11-10 22 21 45) 結局覚悟って実験材料二〇八号に殺されたんだよね? -- 名無しさん (2013-11-10 22 29 42) ↑あの後罪子に無事な覚悟から電話がかかってきた?と思しきシーンが描かれてるし、罪子自身があとがきで「死んでません!」って言ってるのでそれはないかと。むしろ『エクゾスカル零』でああなっちゃったことの方がショック。・・・あの覚悟は『戦士・葉隠覚悟のコピー』みたいなオチが待ってる気もするが。 -- 名無しさん (2013-11-11 00 51 44) 戦術鬼がどれも物理的にも根性的にも吐き気を催す邪悪 -- 名無しさん (2014-01-21 17 17 13) 若先生作品では定番だが、コミック化に伴い細部にわたって絵や台詞の改変がかなりある。チャンピオン連載時の台詞の方が好きだったなあ、ともったいない気分に浸ることもw -- 名無しさん (2014-01-21 17 20 23) 二○八号のために敢えて悪役を演じた覚悟は漢だ! -- 名無しさん (2014-01-21 17 38 04) アーツ動かすの楽しい -- 名無しさん (2014-01-21 17 40 15) 何で冥は赤ん坊に会えて成仏したのに散は体が女のままなんだ? -- 名無しさん (2014-01-21 17 42 34) 謎の画力と謎のハイテンションで最後まで突っ走る。だからこその名作 -- 名無しさん (2014-02-10 08 08 52) 最近のスパロボ見てたら参戦してもおかしくないように見えてきた -- 名無しさん (2014-08-30 23 22 03) エクゾスカル零読んでるんだけど、こっちも読んだ方がええの? -- 名無し (2014-09-26 17 57 37) ↑いや、それほどがっつりしたリンクでもない。・・・ただ、こっちの方が漫画としては圧倒的に面白いし、こっちを読んだ後でエクゾスカル零を読むと精神的ダメージは100倍になる。 -- 名無しさん (2014-09-26 18 12 19) ↑5 冥との一体化で女体化したんじゃなくて、バラバラになった体を零式鉄球使って再構成したついでに女体化させたからな -- 名無しさん (2014-09-26 18 21 28) ↑何故女体化?したし -- 名無しさん (2015-01-21 00 34 41) ファイアー散さまに関しては零の超凍結冷却液で凍ったときに「紅蓮の炎と化して内部から溶かしてくれる」っていってるから一応使おうとはしてるんじゃないかな -- 名無しさん (2016-04-13 12 16 18) 久々に会った父の敵である兄がノリノリでウェディングドレス姿になってればそりゃ驚きもするわ。散さまがときどきよくわからなくなる… -- 名無しさん (2016-04-28 17 32 49) 久しぶりに読み返して気付いたけど覚悟のススメの舞台って2016年だったんだな -- 名無しさん (2016-06-28 20 33 07) 殴られても我慢できるなら派手な動きで避けるより忍耐する方が立派ってことでアニメ版の描写の方が適切なのではなかろうか -- 名無しさん (2016-07-17 19 25 36) これOVAのキャスト豪華すぎて眼疑うんだよね。声優だけじゃなくて原画もスタジオも一OVA作るために集まったレベルじゃない。当時基準でも余裕で映画作れる -- 名無しさん (2016-12-26 06 49 02) 四郎は悪霊かなんかだと思ったら普通に長生きなだけか・・・いや待て普通か? -- 名無しさん (2017-09-20 14 54 43) 某動画で視聴中にコメントで活字で読み難い幹部名を誰かが書いてくれてたんだけど一人だけ「千葉繫」って紹介されてて吹き出した -- 名無しさん (2020-03-08 17 33 19) こんな右と左に同時に喧嘩を売りつつ賞賛するスタンス、例えチャンピオンであっても今じゃ連載なんかできないよね… -- 名無しさん (2023-06-23 22 15 54) 名前 コメント
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覚悟のススメ ◆40jGqg6Boc氏 地に転がるは無数の亡骸。 鋼鉄の身体に改造されし彼らは改造人間と呼ばれた者達。 様々な生物の力を人工的に与えられた彼らの力は強大そのもの。 熟練した軍人が武装しようとも容易に仕留められるとは限らない。 だが、既にざっと見渡すだけで数十体以上の改造人間が哀れな末路を晒け出している。 その中に敢然と立ち尽くし、構えの体勢を取る男が一人。 生身の身体に纏うものは超鋼(はがね)。 只の鎧ではなく、英霊を封じ込めしそれは拭えようのない業から生み出された。 魂を持つ鎧の名は『零』――強化外骨格『零』。 そして零を纏う男こそ人類の希望であり一本の剣。 牙無き人々のためには己が刃で悪鬼共の肉を裂き、赤黒い血を浴びる事も厭わない。 たとえ幾多の屍の山を踏み荒らす事となっても後退する事は許されない。 物心ついた時からその身と心に刻まれし使命。 成し遂げるこそをこの世の花と認識した契り事を成就する……それがたった一つの願い。 弓の家に生まれた彼の名は葉隠覚悟。 ――このバトルロワイアルに生き残った参加者の一人なり ◇ ◇ ◇ 「ヒャハハハハハハハハハハハ! 精々楽しませてくれよなぁッ!!」 一体の怪人が狂ったように叫ぶ。 声の主はジゴクロイド、蟻地獄を模したBADANの改造人間。 様子から察して上機嫌には間違いない。 事実、彼はすこぶる機嫌が良かった。 参加者の監視などいたずらに欲求を高まらせるしかない仕事には未練はない。 BADANに抵抗し、それでいてある程度の強さを持ち合わせるバカな参加者。 たとえば村雨良こと仮面ライダーZXのような奴と闘いたい……それこそジゴクロイドが沸々と望んだ希望。 自分の渇きを満たしてくれる存在が目の前に居る事でジゴクロイドの心は躍る。 既に目星は付けていた。村雨と同じくらいに自分を楽しませてくれそうな男。 そんな彼に対して、一通の招待状を――血生臭い闘いという誘い――を送るためにジゴクロイドは動く。 「オラァ!」 怒声と共に右腕を突き出す。 蟻地獄の鋏と形容するに相応しい腕を振りかざし、ジゴクロイドは文字通り突進。 BADANでNo2の存在である暗闇大使の一部から生み出されたジゴクロイド。 スペックは通常の怪人の上を行き、ましてや幹部クラスではない再生怪人との差は歴然。 経験こそ浅いものだがその力は大きく、容赦などはない。 唸るようにジゴクロイドの右の刃が空を切りながら、目の前の対象物に肉薄する。 「チッ! 簡単にはやらせてくれねぇか!」 しかし、ジゴクロイドには肉を引き裂く心地の良い感触がなかった。 それもその筈、ジゴクロイドの凶刃は獲物を――葉隠覚悟の身体に到達していない。 斜めから袈裟掛けに振り下ろされたジゴクの右鋏を覚悟は右の腕で受け止めている。 改造人間の身体を容易く両断する鋏の刃は並大抵のものではなく、たとえ鋼の鎧で肉体が包まれていようとその衝撃は大きい筈。 だが、覚悟は微動だにしない。 そのまま押し込み、斬りかかろうとするが覚悟の力には及ばず。 バイザーを下げ、深く被った鉄のヘルメットの奥底で覚悟は只、ジゴクロイドを睨む。 鬼すらも逃げかえるような険しい形相を目の当たりにしジゴクロイドは――笑った。 自分の予想以上の力を覚悟は持っている事に悔しさが吹き飛んだとでも言うかのように。 ジゴクロイドは純粋に喜びを見せている様に口元を歪めた。 「余裕だな、おい!」 右腕が止められるものならばどうするか。 取るに足らない自問に答える間もなくジゴクロイドは空いた左腕を振るう。 既に右腕と同じように変化させている左の鋏がしなりながら覚悟の左上半身を狙う。 依然、ジゴクロイドの右腕をしっかりと掴んだ覚悟には動く素振りは見られない。 いや、動かないわけではない。 “未だ”動く必要はなかったのだろう。 肘を立てて、左腕を翳す事によりジゴクロイドの斬撃を受け止める。 零の左腕部装甲とジゴクロイドの左鋏が鬩ぎ合い、軋むような音がまるで悲鳴の如くに響く。 力と力の均衡によりジゴクロイドと覚悟の二人は互いに一歩も動こうとはしない。 しかし、それも所詮僅かな時間での出来事。 数秒にも満たない間隔を経て、ジゴクロイドは右足を振り上げ漆黒の膝で覚悟の腹部へ叩き込む。 まさに我ながら絶妙なタイミング。 両腕を覚悟のそれらと重ねながらジゴクロイドは密かに笑みを零す。 刹那、唐突にジゴクロイドの視界一杯に“何か”が広がった。 「ガッ! てめええええええええええ!!」 放った膝蹴りは覚悟の身体には届かず、それどころかジゴクロイドは苦しそうな叫びをあげる。 まるで頭の先から後方へ向かって引っ張られたように、上半身を仰け反ったジゴクロイドの顔には赤い模様が散在している。 それは改造されし身体に流れる人工血液の一片。 一瞬の内に人間でいう口の部分が無残にも潰された事で赤い血液が散らばり、やがてジゴクロイドの足元にも滴り落ちた。 そして頭部を引いた覚悟のヘルメットに映るものもは幾つもの赤い斑点。 ジゴクの打撃よりも速く、零で覆われた強固な頭部で頭突きを繰り出した覚悟には外傷などある筈もない。 再び予想以上の反撃を食らったジゴクロイドは思わず数歩後ずさる。 自然と覚悟の両腕に食い込んでいたジゴクロイドの両の鋏が緩む。 ジゴクロイドが気づいた時には既に遅い。 その隙を見逃す事もなく、覚悟は両の腕でジゴクロイドの拘束を跳ね退け、息をつかせる間もなく跳んだ。 鋼に包まれし両脚をまるでバネのように使い、前方へ踏み飛ぶ。 ジゴクロイドの目の動きよりも一手、二手以上先を行く動きで覚悟の右腕が滑るように叩き込まれる。 「ガアアアアアアアアアアアアッ!!」 打ち出すのでは手緩い。 まるで“撃ち出す”ように放たれた覚悟の右の拳がジゴクの左頬へ走る。 速さは正に疾風の如く、衝撃は鈍重な鉛の如し。 ジゴクロイドの左顔半分を抉るように覚悟は拳を奮い、周囲に一際大きな鈍い音が鳴る。 幼少の頃から鍛えしその剛なる拳は地に聳える大木すらも打ち倒す。 堪え切れずジゴクロイドの身体は簡単に後方へ吹っ飛んでゆく。 洩らすものは痛みと悔しさに塗れた叫び。 外へ吐き散らすものは鮮血と涎が入り混じった汚らしい液体。 たった一度の拳で醜態を晒す事になったジゴクロイドと、入れ替わりに一つの影が覚悟へ駆け寄る。 「シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ!」 ジゴクと覚悟の闘いを見届け、好機を狙っていたのだろう。 面倒な事を嫌い、最終的に自分が手柄を収めればジゴクが別にどうなろうとも問題でない。 ジゴクロイド、そしてカマキロイドと同程度の残虐性を内に秘めし存在が覚悟に挑む。 赤黒い甲殻に覆われたボデイに背中、腹部、両腕と計八本の鋏。 暗闇から生まれしもう一体の怪人、カニロイドが奇声を上げながらジグザグに疾走する。 名前が示すとおり、蟹の特性を受け継ぐ改造人間であるカニロイド。 一直線でなく多角的に、それでいて見かけとは裏腹の高い機動性を持った動き。 幾ら零を纏ったといえども、敵捕捉補助の機能は内蔵していない。 カニを模した頭部についた口の部分から白い泡をぶくぶくと吐き出しながら、覚悟を撹乱する。 「シュ!」 やがて一歩も動かず待ち構える覚悟にカニロイドが顔を向ける。 途端にカニロイドの口元が動き、ノズルのような物体が出現。 現れたと同時にその物体から白色の液体が噴出される。 それこそ特別に精製され、金属やコンクリートすらも溶解する腐食液。 直撃を受ければ、いかに零が展性チタンという特殊金属で出来ていようとも無事であるとは限らず。 狙いの先は勿論、侵入者覚悟のみ。 わざわざ受けてやる義理もない。 更には不意打ちといえども一度両目にしっかりと焼きつけた手段。 覚悟は軽く後方へ跳んで自らに降りかかって来た液体から逃れる。 みるみる内に溶けていく床に少しだけ気を取られるが、覚悟は直ぐに前を向き直す。 その瞬間、覚悟の眼前のカニロイドの身体が跳び込む。 ほんの僅かな時間だけカニロイドから眼を放した覚悟。 まるでそれだけを狙っていたようにカニロイドは長く伸びた両腕の鋏で地を蹴るように弾き、跳躍。 上方から馬乗りの体勢に持ち込むように今度は背中と腹に付いた鋏を突き立てながら、覚悟へ跳んでいた。 しかし、覚悟には動じる様子はない。 只、何も慌てる様子も見せずに軽く両脚を開き――腰の動きと連動する様に右脚を逆袈裟に振り上げた。 「!?」 何が起こったのだろう。 果たしてそう考える時間がカニロイドにあったのかは定かではない。 少なくとも判る事は左脇腹の辺りに強烈な衝撃が走った事。 強固な殻で覆われているにも関わらず、覚悟の上段廻し蹴りはカニロイドに確かな痛みを思い知らせる。 更にカニロイドの身体は先程、内心無様なものだと鼻で笑っていたジゴクロイドと同じように吹き飛ぶ。 意志とは関係なく横殴りに宙を舞う事になったカニロイドは強引に身を捩じり、再び覚悟の方へ向き直った。 蟹の特性を持っている事も要因し外殻の強度には相応の自信はあり、覚悟への闘志は未だ潰れていない。 しかし、振り向いた先に映った影を確認した事で、カニロイドは只驚いたように真っ白な複眼で凝視する。 映った者は勿論、覚悟。 但し、当の覚悟は左手を開き真っ直ぐ此方に向けている。 瞬間、カニロイドは己の危機を悟った。 「シ、シュシュシュシュシュシュ!?」 束の間もなく覚悟は左腕から超高熱弾、“昇華弾”を発射しカニロイドに追撃。 カニロイドは悪鬼の一人であり残虐非道なBADANの一味。 許せぬ感情はあれど、掛ける情けなど考える余地は皆無。 昇華弾の行く末を覚悟はその両眼で見届ける。 一方、カニロイドもそのまま何もしないわけにはいかない。 カニロイドが咄嗟に取った行動は一つ。 見るからに高い温度を持っている事が判る昇華弾に対しカニロイドは背を向けた。 何故ならカニロイドの背中には一際堅牢な甲羅を模した外殻で構成されている。 ショットガンすらも、ヘリコプターの特攻ですらも凌ぐほどの強度を持つ自慢の殻。 これなら心配する事もない。 そう思い込みカニロイドは半ば安堵すらも覚えながら昇華弾の接近を許す。 直撃する昇華弾の感触を確かめ――る間もなくカニロイドの背中に炎が燃え広がり、やがて全身が赤い業炎に焼かれた。 データで確認したよりも更に高い発熱に身を悶え、転がるように床を移動しカニロイドはそのまま覚悟から距離を取る。 一瞬の内にジゴクロイド、カニロイドの両名を撃退した覚悟。 零を全身に纏っているために外からでは判別できないが、彼らとの闘いで感じた疲労の色は見えない。 「ケッ! やってくれるじゃねぇかぁ……葉隠覚悟ッ!!」 その事が既に体勢を持ち直したジゴクロイドは気に食わなかっただろうか。 言葉とは裏腹に若干この状況を楽しんでいる様子すらも感じられる。 実際、あっさりと自分をいなした覚悟の事が憎々しもあり、それでいて認めているに違いない。 手合わせをしてから培っていた想いは更に固くなり、ジゴクロイドは覚悟を自分に喜びを与えてくれる存在だと完全に認識する。 「だがなぁ! まだまだこれからってもんよぉ! もっと楽しもうぜぇ……クヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」 下品染みた、節操もない笑い方。 禍々しい形相を浮かべるジゴクロイドはジリジリと覚悟の方へ再び近寄る。 手痛い反撃を貰ったが未だ足りない。 寧ろ改めて身を持って覚悟の力量を体感した事で欲求は深まった。 底知れぬ欲求を糧にジゴクロイドは自らの戦意を、歩みを止めようとはしない。 燃え盛る炎をようやく消し終え、慎重に事の成り行きを観察するカニロイドにも興味はないようだ。 ジゴクロイドの興味の対象は既に覚悟只一人のみ。 両腕をだらしなく開き、鋏の先端で床を擦りながらジゴクは一歩ずつ進み続ける。 「……おい、どうした? てめぇ、本当にヤル気あんのか……」 しかし、ジゴクの表情は歪み、段々と機嫌が損なわれていく。 元々気性が荒く、感情の浮き沈みが激しいとはいえこれ程までにもはっきりと顔に出るものなのか。 否、ジゴクの感情の推移には確かな理由がある。 事の張本人は今も対峙する覚悟。 それは今まで気にはなっていたが口には出していなかった事。 「なんでずっと黙ってやがる! 気に入らねぇ…… ああ!その澄ました態度は気に入らねぇなああああああああああああああああああ!!」 そう。初めの宣言以来覚悟は一言も口を開いていない。 既に眼を通し、実際に監視カメラで見た分では確かに覚悟は無口という部類には入るだろう。 だが、これほどまでに言葉を発しないのには流石に不信感を覚えるのは無理もない。 やがて募った思いは不審すらも超えて、いつしか明確な苛立ちへと姿を変えてゆく。 両腕を打ちつけて、不愉快な音を撒き散らしながらジゴクロイドは狂ったように叫ぶ。 いつ飛び出しても可笑しくはない。 言うなれば拘束の首輪を外された獰猛な獣が野に放された光景。 ジゴクロイドの兄弟とも言えるカニロイドは動かない。 じっと石のように固まり、自分の最善の行動を見定めるように沈黙を貫く。 そしてジゴクロイドの怒声すらも碌な反応を見せなかった覚悟。 そんな彼は漸く強化マスクで隠された口元を動かし始める。 「……一つだけ訊かせてもらいたい」 「あぁん!?」 呟いた覚悟に口汚く言葉を返すジゴクロイドを気にした様子は見られない。 只一つの問いかけに対する答え。 覚悟には既に予想は出来ているかもしれない。 だが、それでも“ある”事を決断するためにも――覚悟はジゴクロイドに再び問う。 「キサマの拳は何のためにある? BADANのためにか? だが、それでは味方を容易く見捨てる理由にはあらず! たとえキサマは同士と認めていなくとも我らを打ち倒すため、BADANの野望とやらを達成するには一人でも多い方が良いだろう」 「ハァ? 何かと思えばつまらねぇコト訊きやがって……俺は楽しめればそれで良いんだよ。 大体なぁ、俺がてめぇに負けるわけがねぇ! 取るに足らねぇ人間如きが……其処等辺に生えてる雑草の様な奴らがBADANである俺に挑む事自体笑えるぜッ!!」 「ならば――その腐った認識がいかに愚かなコトか思い知らせるのみ!!」 相変わらず騒々しさが目立つ叫びよりも更に大きな声を持って覚悟は一喝。 更に両の拳を握りしめ、覚悟は再び雷鳴の如く闘気を周囲へ醸し出す。 先程の闘いで覚悟が無言で闘っていたのは昂った心を静めるための手段に過ぎない。 最終格闘技零式防衛術は己の感情を殺す事で完成と見なす。 仲間の命に対して何も感じる節が見られなかったジゴクロイドへの大きな怒り。 内なる感情の渦を抑え、ジゴクロイドとカニロイドの相手をしていたが覚悟の挙動は確かに変化を見せ始める。 漸く本気になったのだろうか。 ジゴクロイドのお手軽な気性は打って変わって次第に良好なものとなってゆく――わけにはいかなかった。 「おいおい……ヤル気になったんじゃねぇのか、これ以上イラつかせんな。これは最後の警告ってやつだぜ、わかってんのかぁ……!」 「無論、伊達や酔狂でやっているわけではない」 「ッ!だったらよぉ――――」 呆れたように言葉を投げ掛けるジゴクロイドの表情は依然険しいもの。 寧ろ先程よりも険しさが酷くなり、呆れ返った様子に現れ始めた怒りは隠しようがない。 言葉を続ける度にその程度は増し、覚悟のさも平然とした答えが拍車を掛ける。 たった今覚悟が返した言葉がジゴクロイドにとって無性に気に入らない。 良くもそんな事を真顔で言えたものだ。 言葉と共にどす黒い悪意をジゴクロイドは覚悟に容赦なくぶつける。 そう。やっと言葉を発し、本腰を入れて闘う気になったと思った矢先に―― 「なんで、てめぇはそんなフザけたもんを持ってやがるッ!?」 覚悟が一本のハリセンを手に取ったのだから。 ◇ ◇ ◇ 『覚悟! 何を考えている!? 我らには無駄にする時間などない!!』 今まで覚悟の闘い振りに感心し、口を出していなかった零が交信を飛ばす。 既に心を繋いだ仲である覚悟と零は一心同体の身。 覚悟の意思が零の意思となり、零の意思が覚悟の意思となる。 しかし、零の口調には慌ただしさがはっきりと感じ取れた。 何故なら零にとっても覚悟の行動は全く持って理解不能であったから。 BADAN壊滅のためには逸早く此処を突破する事は必要不可欠。 零式を持って迅速にこの場の敵を殲滅こそが第一の目的に違いはない。 たとえ自分が居なくとも覚悟なら容易く行えるだろう。 覚悟が繰り出す零式は既に従来の格闘技を軽く超越するものであり、事実彼は即急に決着を付ける筈だと零は思い込んでいた。 そのため、態々時間を掛けるような真似を仕出かす覚悟が零にはどうにもわからない。 「すまん、零。60秒……いや、30秒程で良い。俺に時間をくれ」 零の問いかけに答える覚悟。 その表情、声色が織りなすものは強い意思。 先程、覚悟自身が言ったように、決して伊達や酔狂のような軽い感情から起きたものではない。 覚悟の只ならぬ決意を全身で感じ取り、零も腹を据えた。 『了解! 信じるぞ、覚悟!!』 「応!」 想いは一つ、零は再び覚悟に全てを委ね彼はそれら全てを心身で受け止める。 右腕に強く握りしは真っ白な、何の変哲もないハリセンのみ。 だが、覚悟が放つ闘気はいつにもまして無骨ながら一流が成せる代物。 そう。それで十分なのだろう。 未だ覚悟の真意が判らずとも零が覚悟を信頼しない筈がない。 彼ら二人を結ぶ絆がその程度でどうにかなるものでもないのだから。 燃えるように滾る覚悟の熱い鼓動を直に感じながら、零と覚悟は再び一つの炎となる。 「ふざけんじゃねえぞおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 そんな時ジゴクロイドが地を蹴り飛ばし、覚悟へ向かう。 この状況であんな玩具のような物を取り出した覚悟。 どう考えても自分を舐め切っているとしか思えない行動。 しかもそれでは飽き足らず今度は此方を無視するかのように鎧と会話をしている。 我慢の限界はとっくの前に過ぎ去っており、そもそもジゴクロイドに引き下がる理由もない。 思い立つ事は覚悟をどんな風に殺してやろうかという事だけ。 一瞬では面白くない。 出来るだけ楽しめるように、覚悟に恐怖を植え付けるように、惨たらしく殺すために。 思わず笑みすらも零れそうな甘美な妄想にふけながら、ジゴクロイドは正面を見据える。 只の望みで終わらせるのではなく、現実のものとする。 覚悟とはまた異なった決意を抱きながら突撃するジゴクロイドはやがて――眼を疑った。 ジゴクロイドが見たものは今までとは違い、自分の方へ疾走した覚悟。 それだけならジゴクロイドは驚く事はなかったかもしれない。 だが、あくまでもそれはジゴクロイドの予想の範疇内での行動を覚悟が行った場合に限る事。 「なっ!?」 そう。只、覚悟が見せた速度があまりにも速かった事にジゴクロイドは純粋に驚いていた。 横殴りに振りかぶった右の刃は呆気なく避けられ、覚悟が一瞬で距離を詰める。 確かに監視カメラによる今までの戦闘記録や事前データで覚悟が相当の実力者である事はわかっていた。 しかし、これはあまりにも予想を超えている――ならどうするか。 どうにか状況を把握し、次の対抗策への決定を僅かな時間で迫られたジゴクロイド。 既に闘う意思は十分な覚悟が悠長に黙っているわけがない。 更に前へ踏み込み、左腕を振り翳そうと動くジゴクロイドへ覚悟の身体が飛び込む。 「遅い」 「ッ! てめぇ、やっぱり俺を舐めてるだけじゃねぇかッ!!」 今や重なるかと思うほど近づいた二つの身体が再び離れる。 ジゴクロイドの横を抜ける間際に覚悟はハリセンを振い、一閃の軌道を描いた。 右腕に握ったハリセンを少し下げ、掬い上げるように一気に振りぬく。 丁度胴に値する部位を弾く様に打ちつけるような一発がジゴクロイドの身体を叩いた。 無論、その打撃に殺傷性などある筈もなくあるのは只、闘いに似つかわしくない軽快な音の響き。 もし覚悟の獲物が一本の真剣であったならば既に致命傷と成り得る一撃。 遊ばれているとジゴクロイドが思うのも無理はないだろう。 碌なダメージは受けていないため、直ぐにジゴクロイドは覚悟へ振り向く。 振り向きざまに覚悟の頭部に狙いを付け、右腕を怒りに任せて振り上げる。 「クソがッ!!」 しかし、覚悟は僅かに身を逸らす事で襲い来る斬撃から逃れた。 焦る様子など微塵も見せない。 何処か別の場所からジゴクロイドの挙動を見通しているかのように、その行動には無駄もない。 それどころか覚悟はカウンターの要領で、ジゴクロイドの右腕を逆にハリセンで弾く。 先程と同じくジゴクロイドの身体に痛みは生じないが、ジゴクロイドの表情は更に歪む。 またも覚悟に良いようにやられた事。 そして相変わらずこんな胸糞の悪い事をやってくれる覚悟の真意の不明瞭さがイラつかせる。 寧ろ不気味さえ思えてきたジゴクロイドはがむしゃらに左腕を、右腕を――両腕を振り廻し覚悟の身体を切り刻みに掛る。 同時に覚悟も依然ハリセンを握りしめ、ジゴクロイドへ駆け寄る。 この闘いで見せた中で一際速い速度を鍛え抜かれた両脚で演出しながら――覚悟は叫ぶ。 「キサマは宣言した、人間など取るに足らぬ存在だと……否! 断じて否! そんな戯言は認めん! 今、この場で敢えて拳を使わない理由は一つ! 俺はキサマが軽んじた人間の力を打ち込んでいる!」 交差するように迫ったジゴクロイドの両腕を掻い潜り、ハリセンを振るう。 同時に声を大にして叫ぶのはジゴクロイドの言動への怒り。 人間を人間と思わないジゴクロイドはまさに真の悪鬼、遠慮はいらない。 猛烈な勢いで打ちつけたのはジゴクロイドの左頬。 只、人間の尊厳のためだけに振るったハリセンだが未だにジゴクロイドに碌な外傷は与えられない。 だが、幾ら打撃性がないと言えど全く意味がないわけでもない。 ジゴクロイドの左頬を抉る様に走ったハリセンによる衝撃。 使い手である覚悟の尋常でない力により繰り出されたその一撃にはハリセンでは到底考えられない程の威力がある。 流石に首が捻じれ切れる程はないまでも、ジゴクロイドの頭部を揺さぶる事には充分。 反吐が出るような覚悟の言葉、思わず視点を揺さぶられた怒りを燃やしながらジゴクロイドは一旦距離を取ろうとする。 「受け切れまい! このハリセンは我が戦友が遺した品、キサマが笑いし人間の力が籠っている! そうだ、今の俺にとってはたとえ一本の刀よりも心強い! 俺を信じてくれた友の! 俺が信じた友の! 繋いだ絆が俺を熱く滾らせる!! キサマは人間の力に負けるのだ、悪鬼ッ!!」 だが、覚悟は逃さない。 右に左に、何度もハリセンを振いジゴクロイドはやがて視線を一定に保てなくなる。 覚悟の脳裏に浮かぶ人影はこのバトルロワイアルで戦友と認めた一人の男。 特に秀でた能力はないにも関わらず義の心を――失われた侍の魂というべきものを秘めていた少年。 志村新八から譲り受けたハリセンを存分に振るいながら、覚悟は天を突く勢いで言葉を並び立てた。 さながら疾風怒濤の猛攻で攻め立てる覚悟にジゴクロイドは為す術がない。 自分が信じる人間の尊厳の炎を燃やし、信念の元に闘う覚悟にかかればハリセンですらも見る者に脅威を齎す。 今まで周囲を包囲していたコマンドロイド達もカニロイドも一歩も動けない。 非殺傷の武器でジコクロイドを此処まで追い詰める覚悟に彼らは思わず戦慄していたためだ。 しかし、依然、猛攻を受け続けているジゴクロイドの表情がやがて嬉しそうに歪む。 そしてなりふり構わず両腕を使って強引に後方へ跳んだジゴクロイドが口を開く。 「ク、クヒヒヒヒヒヒヒ! 記憶にあるぜ! 確かお前にそれをやったのは志村新八というガキ……ケケ、あいつの最期は呆気なかったなぁ! 吉良吉影とやらに騙されて、あいつの能力……スタンドで爆発させられてたぜ! そうさ、あっさりとマジで何もできずに死にやがった……あの時は腹を抱えて笑わせてもらったもんだ!!」 ジゴクロイドが本当に嘲笑っていたのかは判らない。 参加者の監視といえども、一般人の部類に入る新八を態々気にかけていたかどうかは疑問が残る。 恐らくジゴクロイド自身も記憶が確かではないのかもしれないが、そんなことは最早関係がない。 覚悟が口に出した新八を口汚く罵る事で溜まりにたまった鬱憤を晴らそうと考えたのだろう。 ハリセンの猛打によって、赤く腫れ上がっていたジゴクロイドの表情はみるみる活気を取り戻す。 残虐非道の性格の持ち主であり、矮小な人間が恐怖で慄く様子が好きでたまらないジゴクロイド。 満足げに浮かべるその醜い笑顔には一種の達成感すら見えていた。 そしてジゴクロイドは視線を動かし始める。 自分の言葉を受けて覚悟はどういう反応を示すだろうか。 悲しみに暮れるか、それとも自分自身に対して怒り狂った姿を見せつけるか。 いや、もしかすればショックで馬鹿みたいに呆然と立ち尽くしているかもしれない。 密かに抱いた期待を膨らませながら、ジゴクロイドは覚悟を捜すが――その必要はなくなった。 「ガッ!」 「戦士の最期を侮辱する者――畜生よりも劣るなり!!」 何かが火を噴く音が聞こえていたかと思うと、ジゴクロイドの右頬に鋭い衝撃が走る。 打撃の主は勿論覚悟、使用した獲物は今まで通りのハリセン、ジゴクロイドが聞いた音は零のバーニアの音。 ジゴクロイドが離脱した瞬間、既に追撃のために覚悟は突進を掛けていたためジゴクロイドは予想外の一撃を貰う。 新八の死について吉良がやったという事だけは服部平次から既に聞いていた覚悟。 それでも再び新八の死を、それも詳細を知らされる事は酷な事だろう。 事実、覚悟の動きは若干鈍り、ジコクロイドへの攻撃はほんの少し遅れていた。 だが、覚悟は泣きごとの一つも決して口には出せない。 ジゴクロイドのような下賤な男に言いように言われた新八の尊厳を守るように、宿した感情を力に変えて叩き込むのみ。 あまりの衝撃、覚悟の本気の力が籠ったハリセンは圧倒的な力を生み、ジゴクロイドの身体をきりもみさせ――吹き飛ばした。 まさかハリセン如きでこれまで――。 思わず周囲を取り囲んでいた全員がそう思っていただろう。 そう。それは宙を舞うように浮いていたジゴクロイド自身が一番強く思っているに違いない。 「――ッ! 何してやがる、てめぇらッ! さっさとこいつをブチ殺せええええええええええええええええええッ!!」 最早、手段などどうでも良くなったのだろう。 無理やり身体を捻り、両腕で床を切りつけるように跳ね上がってジゴクロイドは大勢を整えた。 雁首を揃えて事の成り行きを見守るしかなかったコマンドロイド達に、ジゴクロイドは指示を飛ばす。 誰がどう見ても怒り心頭といった様子で両目は赤く血走っている。 暗闇の子とも言える存在であるため、コマンドロイドは命令に逆らうわけにはいかない。 直ぐに各々地を蹴って、覚悟を倒すべくコマンドロイドが殺到する。 そしてハリセンを構えていた覚悟は己の身体を徐にコマンドロイドの集団に向き直す。 何故か再び覚悟はバイザーを下げ、その素顔を周囲へ曝け出し、ハリセンを見つめ続ける。 『気が済んだか、覚悟?』 「ああ、すまなかったな零。これで迷いはない」 『ならば良し! きっとお前の友も満足であろう』 「そうであるコトを希望する。では――行くぞ、零!!」 『了解!!』 ハリセンを凝視していた覚悟の視線がやがて離れる。 両目に映る影は自分の方へ群れをなして走ってくるコマンドロイドの大群。 覚悟は必勝の身では非ず、いつかはその命を散らすだろう。 しかし、恐怖などはない。 必ずしも勝てるとは言い切れない闘いに身を投じた時は口に紅を引いて、敗北の瞬間に礼を尽くす。 そう。たったそれだけの事。 負ける事は恥じる事ではない、闘わぬ事が恥なのだ。 故に覚悟はどんな状況でも闘い、そして絶えず己の死を覚悟する身である。 だが、今この闘いでは覚悟は微塵にも恐れは感じていない。 その手に握り締めたハリセンが覚悟に言いようのない力を与えてくれるためだ。 本来の世界で堀江罪子や覇岡大らと結んだ仲間という絆。 この殺し合いで知り合い、別れ、そして歩んできた仲間の一人一人の面影を思い浮かべ覚悟は再び構えを取る。 バイザーを上げ、ハリセンをその場に置き、雷鳴染みた闘気を遠慮なく焚きつける。 ――覚悟完了! 再度、零と心を繋ぎ、覚悟はコマンドロイドに真向から突撃する。 ◇ ◇ ◇ 「おいおい……なんの冗談だよ、これはよぉ!!」 ジゴクロイドが叫ぶ。 その声には今まで見せなかった恐れすらも見える。 そう。ジゴクロイドは今、目の前で起きている事が信じられない。 未だに覚悟の身体が地に倒れ伏していない事にジゴクロイドはその場に立ち尽くしていた。 「どうした! 俺は未だ健在なり!!」 既に残骸となりしコマンドロイドの数は十よりも多い。 仮面ライダーZXのボディを模して造られたため、そのスペックは一般の戦闘員にしては低くない。 覚悟と零の力量が更にその上を行くだけの話。 その実力は必要以上の感情を消去されたコマンドロイドですらも畏怖する。 だが、命令がある限り彼らは覚悟と闘わなくてはならない。 更にもう一体のコマンドロイドが意を決したように覚悟へ挑む。 覚悟へ拳を叩きこもうと右の拳を振り上げながら走りゆく。 「直突!」 しかし、粉砕されたのはコマンドロイドの方。 コマンドロイドが放った拳は覚悟の左手の掌握により完全に沈黙。 お返しと言わんばかりに打ち放った拳で覚悟はコマンドロイドの頭部を潰す。 相手の攻撃を受け、逆に避ける暇もなく反撃を行う。 言うなれば肉を切らせて骨を断つカウンター技法こそ覚悟の真骨頂。 今まで何度かコマンドロイドの拳を受けたため、左腕には若干のしびれがあるが問題はない。 正拳――直突を放った拳を引き戻し、覚悟は次の攻防に備え始める。 見れば今度は残った五体のコマンドロイドが一斉に覚悟へ向かっている。 今更動じる事もない。 冷静に左腕を構えて、覚悟は咆哮を上げた。 「零、昇華弾!」 『任せろ! 昇華弾発射!!』 撃ち出された業火の弾丸が一体のコマンドロイドに直撃。 あまりの威力に周囲のコマンドロイドにも飛び火し、彼らの進行の勢いは衰える。 やがて沈黙を余儀なくされた一体から距離が遠い順に、計三体のコマンドロイドが覚悟を襲う。 先頭のコマンドロイドは簡易型の電磁ナイフを構え、我先にと覚悟の腹部へ突き刺すに繰り出す。 後方の二体は十字手裏剣、そして特別に持たされた衝撃集中爆弾で覚悟の動きを牽制する。 一人一人では相手にはならないため、集団戦を仕掛けた事は評価出来るだろう だが、その挙動も覚悟には遅いものであった。 幾らスペックが優れていようとも心が――魂がなければ恐るには足らない。 ――一体目 十字手裏剣と衝撃集中爆弾を多少その身に受けながらも、掻い潜った覚悟に肉薄。 電磁ナイフを身を横に逸らす事で避けられ、反撃に強烈な肘打ちを胸部に喰らう。 たちまち教部装甲がボロボロと音を立てて崩れさる。 一体目が地に倒れ伏すまでに覚悟は眼もくれず、突進。 続く二体目に向かった。 ――二体目 主に十字手裏剣での掃射を担当していたコマンドロイド。 今まで目の前で同類達が何度もやられているのを確認したにも関わらず、覚悟の速度を誤算。 ショートレンジの闘いを余議なくされ、右足による回し蹴りを狙うが時既に遅し。 突進の勢いを利用し、一回転を経て繰り出した覚悟の裏拳を顔面に直撃する。 防ぐ事は叶わず、めでたく残骸の仲間入りを果たす。 そして既に標的は三体目に移り変わる。 ――三体目 衝撃集中爆弾を投げていたコマンドロイド。 二体目と同じく距離の近さを確認。 先の一体よりは余裕があったため、右膝に衝撃集中爆弾をセット。 自爆覚悟で右膝蹴りによる着弾を狙う。 渾身の力で振りぬくが、覚悟との距離感が著しく狂った。 瞬時に軽く零のバーニアを噴き、距離を詰めた覚悟が放ったものは正拳。 剛拳により胴を貫かれ、やがてそれっきり動かなくなる。 右腕を振い、三体目のコマンドロイドの残骸を振りほどき、覚悟は更に前方へ跳んだ。 ――四体目 先刻、昇華弾の直撃を喰らったコマンドロイドの一番近くに居た一体。 漸く炎の勢いも収まり、体勢を整え直した矢先に覚悟の急速な接近を察知。 直ぐに覚悟の攻撃に備えようと構えるが、ふいに彼のメインカメラが死んだ。 コマンドロイドの顔面に、覚悟の右足が突き刺さり、全てを粉砕している。 己の作戦失敗を悟り、四体目、最後のコマンドロイドの意識は深い闇に沈む。 ――そう。此処を持ってこの場に居る全てのコマンドロイドが機能を停止した。 「シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュッ!!」 そんな時、今まで様子を窺っていたカニロイドが覚悟へ向かう。 恐らく覚悟の疲労が溜まるのを待っていたのだろう。 コマンドロイドを覚悟の消耗を誘うために敢えて自分は手出しに入らなかったカニロイド。 見てみれば覚悟が纏う零にも所々傷が見え、覚悟の息も荒い。 ジゴクロイドに手柄を、得物を取られる前に自分が覚悟を殺すのには絶好のチャンス。 そう思い立ち、カニロイドは全速で覚悟の元へ走り始めた。 「――赤熱化!!」 一方覚悟も零のバーニアに火を灯し、カニロイドへ突撃。 零によって発された高熱を全身に纏い、真っ赤に発光する覚悟。 蒸気すらも立ち昇り、その温度の高さを物語る。 両腕を握り前方へ突き出し、真紅の弾丸となりてカニロイドへ恐るべき速度で迫る覚悟にカニロイドの両眼が妖しく光った。 再び口元のノズルを動かせ、強力腐食液を噴射するカニロイド。 真っ向から突き進む覚悟に避ける様子は見られず、カニロイドは勝利を確信する。 だが、それが間違いである事をカニロイドが知る事は永久になかった。 「手緩い! 激突!!」 赤熱化により高熱の膜とも言うべきものを纏った覚悟。 そんな覚悟に振りかかろうとした腐食液はあまりの高温で蒸発。 覚悟には一滴も掛かる事はなく、覚悟を遮るものは最早は何もない。 勢いを殺すことなく、覚悟は赤く光った両腕で呆然とするカニロイドの身体を一瞬でぶち貫き――通り抜けた。 「――!!!!!?」 赤熱化を解き、軽く膝を地につく覚悟の後ろでは大きな穴が空いたカニロイドの姿。 先程の昇華弾で相当装甲が脆くなっていたのだろう。 背中の殻ごと身体の半身を削り落すように焼失したカニロイドはゆっくりと倒れ、やがて大きな爆発が起きる。 それが暗闇の子の一人、カニロイドの最期だった。 「てめえええええええええええええええええええええええええええええッ!!」 カニロイドが死んだための叫びではない。 ジゴクロイドが抱くのは只、これほどまでにも好き勝手にやってくれる覚悟への怒り。 覚悟に抱いていた恐れを振り払い、ジゴクロイドは両腕を翳しながら両脚を走らせる。 このまま戦況を暗闇大使に報告するわけにはいかない。 自分が必ず覚悟の首を取らなければこの失敗は許してもらえないだろう。 がむしゃらに身体を動かし、覚悟にありったけの恨みや怒りをぶつけるためにジゴクロイドは地を駆ける。 そんな時、ジゴクロイドは見た。 何故か、一段と険しい表情を浮かべた覚悟の姿が異様に大きな存在に錯覚してしまう。 理由は全くわからない……いや、認めたくない。 そう。ジゴクロイドは今も恐怖していた。 覚悟の計り知れない力は到底自分が叶うものではない――その事実を認識することが、只純粋に。 「おらあああああああああああああああああああああああああああああッ!!」 両腕を真上から真下に振り下ろす。 後の事など考えていない、考える余裕もない。 覚悟を殺すだけを考えて放った斬撃――しかし大きな手ごたえを感じない事に思わずジゴクロイドは怒りを通り越し、悲しみすらも覚えた。 そして零の左腕部の辺りに小さな亀裂が入った覚悟が飛び込む。 右腕を振りかぶり、ジゴクロイドの懐へ一瞬で近づき―― 「――因果ッ!!」 天に突き上げたかのように撃ち出した必殺の正拳、“因果”がジゴクロイドの腹部に食い込む。 所詮、一発でしかない拳。 だが、その一撃はジゴクロイドに尋常ではない痛みを味あわせ、彼は抵抗の術を失った。 貫かせたまま覚悟は腕を上げた事により、ジゴクロイドの身体が宙へ浮く形となる。 既に勝敗は決した。 だれの目にもジゴクロイドには腕一本動かす力はなく、覚悟が勝負を制したと思える光景。 しかし、ジゴクロイドは勝ち誇った顔で口を開き始める。 「けっ……俺に勝ったからっていい気になるんじゃねぇぞ……。BADANには親父が……暗闇大使が居る……。 津村斗貴子とかいう女が殺し合いに乗ったのも……親父のお陰だ……」 「なんだと! 真か!?」 「当たりめぇだろ……へっ、親父は俺たちより容赦がねえぜ……精々後悔するんだな。 ……人間の……分際で親父を、BADANを……敵に回したお前たちの愚かさを……地獄で待ってるぜ、クソ野郎が…………」 苦し紛れに言い放ったジゴクロイドの言葉。 津村斗貴子の一件に暗闇大使という男が関わっていたという事実が強烈に響く。 ルイズを、柊つかさを、川田章吾、そして自分達に襲いかかった悲劇。 許してはおけない。 全ての発端となった悪鬼の存在を認識し、打倒暗闇大使を深く心に刻み込む。 そして覚悟は口を開く。 悪鬼といえども自分に対し最後まで闘ったジゴクロイドに言葉を送るために―― 「ならばキサマ達、BADANが何度でも我らに勝利はないと言ったとしてもその都度、俺はこの言葉で答えよう――」 バイザーを下げ、空いた拳を握る。 それは決意の現れ、今後全ての使命を必ずやり遂げる事を示す近い。 既に何も反応を示さなくなったジゴクロイドに、何処かで見ているかもしれないBADAN共に叩きつける。 「人間は――決してBADANには負けない」 牙無き人々のために闘う覚悟は人類を愛し、その力を知っている。 その口調には一片の迷いなどはない。 持ち上げた腕で昇華弾を撃つのと、覚悟が言葉を発したのはほぼ同時。 赤黒く燃え上がるジゴクロイドの残骸を振り落とし、覚悟はやがて背を向けた。 ――この殺し合いを一刻も早く終わらせるために。 【ジゴクロイド@仮面ライダーSPIRITS:死亡確認】 【カニロイド@仮面ライダーSPIRITS:死亡確認】 【エリア外 サザンクロス内部/2日目 日中】 【葉隠覚悟@覚悟のススメ】 [状態]:全身にダメージ中。疲労中。首輪が解除されました。 [装備]:強化外骨格『零』@覚悟のススメ [道具]:大阪名物ハリセンちょっぷ 滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)、首輪(覚悟) [思考] 基本 牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者BADANを必ず倒し、大首領を殺す。 1:別れた仲間と合流。 2:葉隠四郎、暗闇大使を必ず倒す 3:ヒナギクを愛さない 【備考】 ※零と一体になる事に迷いはありません 【対主催者グループ共通思考】 『大首領を殺す作戦』 1:大首領を強化外骨格の中に降ろしてから、成仏鉄球で成仏させる。 2:そのためには大首領を弱らせる必要がある。 3:強化外骨格内部の死者ならば、大首領を内側から攻撃できる可能性が高い 254 真・仮面ライダー ~決着~ 投下順 256 Bellis perennis 254 真・仮面ライダー ~決着~ 時系列順 256 Bellis perennis 251 人の瞳が背中についていない理由は 葉隠覚悟 258 拳