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autolink KLK/S27-T13 KLK/S27-092 カード名:生徒会四天王 蟇郡 カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 ● パワー:2500 ソウル:1 特徴:《服》?・《風紀委員》? 【起】●助太刀3000 レベル2[① 手札のこのカードを控え室に置く](あなたは自分のフロントアタックされているキャラを1枚選び、そのターン中、パワーを+3000) TD:自分の命より友情を選ぶというのか C:弁明はきかん。即刻処罰する! レアリティ:TD C 14/02/17 今日のカード。
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KLK/S27-090 カード名:変身するたび変態 蟇郡 カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:1 コスト:0 トリガー:0 パワー:5000 ソウル:1 特徴:《服》?・《風紀委員》? 【自】このカードがアタックした時、クライマックス置場に「本能字四天王、極戦装束!」があるなら、あなたは他の自分の、《服》?かカード名に「マコ」?を含むキャラを1枚選び、次の相手のターンの終わりまで、パワーを+1500。 死縛の装の本当のおそろしさ、見せてやろう! レアリティ:C ・対応クライマックス カード名 トリガー 本能字四天王、極戦装束! 1・門
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武藤 雅紀vs蟇郡 苛&満艦飾 マコ 「先手必勝!喰らえ!『大祓詞』!!!」 武藤必殺のボディーブロー!!否、『退魔』攻撃である。 並の悪霊はこれで昇天してしまうほどの聖なる力の籠った一撃である。 「やった...か...?」 退魔の光と土煙の幕が晴れ行く中でボールギャグが怪しく蠢く...。 「っくっくっく、うぬの渾身の一撃がそれか!!この蟇郡 苛の皮膚にも及びはせんぞ!!!」 「なん...だ...と...」 当たり前である。 蟇郡 苛はボールギャグミイラなどといった悪霊などではなく、ただの変態魔人なのだから...。 『退魔』に力をどれだけ込めても何の意味もないのである...。 つまりはただのボディーブロー。鉄壁を誇る蟇郡 苛にとっては蚊の刺す程度なのだ...。 武藤は根本的に力の入れどころを見誤っていたのである。 まぁ、あの見た目では同情は禁じえない...。 「っく、なぜだ!!なぜ、こんなにも『退魔』の力を込めて放っているのに...。」 「ふはははは、いいぞ!もっとだ!もっと俺を殴りつけろ!!!絶頂に達するまでっ!!!」 距離を取ろうとする武藤を布で縛り捕まえては「ほら、もっとだ」と至近距離に引き込む蟇郡 苛。 どうみても悪霊であるかのような振る舞いである。 「オカシイ...何かが...オカシイ」 さすがの武藤も『退魔』の力ではなく純粋な物理攻撃のみが相手に伝わっているのが理解できた。 それでも彼の疑念は止まらなかった。 「オカシイ...何かが...オカシイ」 「っくっくっく。達したぞ!絶頂に!!見よ!これが死縛の装である!!!」 蟇郡の必殺技が決まり、武藤の右腕がへし折れる音が勝負の終わりを告げた。 「っぐ、あがっ...参った...それより...」 最早、彼の目は蟇郡には向いてはいなかったのだ。 「おわ~!先輩強いですね~!!私の対戦相手だったようだけど、ラッキーををじあうygsんbjへg」 突如、滝のように血を花から流す満艦飾 マコ。 「マズイ...こっちだったか!!!」 悪霊はいたのである。武藤の背筋を凍らせていたのは目の前の変態ではなく、その後方からの圧倒的魔力だったのだ。 悪魔の名は...『七つの大罪は貪食、魔王ベルゼブブ』!!!!!!!! 「なんてことだ...全てを食らい尽くす魔王の憑代になれるほどの器があんな小娘に...?」 「な、どうした!!?満艦飾!!!」 「一刻を争う!!手刀を首筋に打ち込め!!」 「む、鼻血の時によくする首トントンか...よかろう...」 蟇郡の首トントンはマコの気を失わせるには十分なほどの威力であった...。 「よし!こっちだ!!!」 刹那、武藤は息を大きく吸い込み、あろうことか魔王を取り込んだのだ。 「ブンブンブン、バカメ、貴様ゴトキガ我ノ憑代ニナレルトデモ...」 「そうサ...分かってイるサ...不十分な憑代デ貴様の魔力も1/10程度シか出せテいなイぜ...」 「ブンブンブン、デハサッサト死ネ!!!」 「あア、お前もナ!!!」 武藤は折れた右腕で自分の丹田を必殺のボディーブローで打ち抜いたのだ。 ありったけの『退魔』の力を込めて...。 「ブンブンブン、グワァ!コンナヨワイ憑代デハ...アバブベブバァァァァフタグン!!!!」 眩い光と共に崩れ落ちる武藤。 「おい!!何をしている!!大丈夫か!!おい!!!...息が...。誰かぁ!救急車を呼べぇ!!」 密かに世界を救った退魔師、武藤 雅紀。この場の誰にもその偉業を知られることなく眠りについた。 --------------------------------------------- 氏名 武藤 雅紀 性別 男性 必殺技名 大祓詞 生年月日 XXXX年XX月XX日 上記の者は真の退魔師であることを証明する 東京都XXX区XXX◎-▼ 神道退魔術協会 理事長 八重樫 --------------------------------------------- 応援作品へ移動<<|メニューへ移動|>>蟇郡 苛&満艦飾 マコの個別ページへ移動
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戦闘前 門司秀次vs蟇郡 苛&満艦飾 マコ 「だ、大丈夫??」 「ううん、ちょっと久しぶりだったからビックリしただけ...」 「こ、ここはどう?」 「っあ」 「ご、ごめん...」 「ううん、優しくしてね...」 「う、うん、こっちはどうかな??」 「っあん!」 艶めかしい太ももに伝わる筆...。 顔を赤らめ、男に下半身をゆだねる少女...。 ぎこちない男を誘うように少女はスカートをたくしあげた...。 かのように、風紀委員長:蟇郡 苛の目にには映ったのであった。 「ゴラァァ!!貴様らぁ!!何を白昼堂々と...不純異性交遊にうつつを抜かすとは!!!」 「っえ!!?いやこれは...」 「私、足を怪我...」 「ほう、ではすぐに医務員に頼んで運んで貰えばよかろう」 「い、いや骨が折れてないか診ていただけで...(折角、女の子の太もも凝視できるチャンスなのに・・・)」 「そ、そうです!門司君はそんな不埒な事思ってません!(折角、男子と密着できたのに・・・)」 「ならば、なぜ筆を使う必要がある!!貴様は医務特化型魔人であるか!?否!!貴様は書道部であろう!!」 「こ、これは筆で文字を書いて治そうと...」 「この期に及んでなお、かような申し開きをするとは...風紀委員長!蟇郡 苛!この名において第12風紀事項を執行する!!」 「(え?とりあえずこのオッサンをチョチョーイと倒せば良いとこ見せれるな...)良く分からんけど、やってやるぜ!!」 こうして半分正解、半分不正解の戦いが始まったのであった。 応援作品へ移動<<|メニューへ移動|>>蟇郡 苛&満艦飾 マコの個別ページへ移動
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「ふむ、この蟇郡 苛!決して貴様の心配などしておらぬからな!!風紀委員長としてこの機に乗じてよからぬ事を企む者共を...」 「大丈夫ですって~。この二つ星極制服があればちょちょいのチョイですよ~。」 「ふむ、グラウンドなどで躓いて擦り傷など出来ては事だからな。体育館あたりで健全に...」 「わかりました~!ここですね!!」 (ガラガラ) ・・・ッシュッシュ!!・・・シュッシュシュッ!! 虚空に放たれるボディブロー!! ・・・ッシュッシュ!!・・・シュッシュシュッ!! ・・・ッシュッシュ!!・・・シュッシュシュッ!! 虚空に放たれるボディブロー!! 「せんぱ~い!あの人何してるんですかね?ウォーミングアップにしては念入りな人ですね!」 「ふむ、人事を尽くして天命を待つ、良い心がけだな」 「あれあれ~?でもでも、彼なんだか辛そうですよ??だって息も上がってるし、独り言ブツブツ言ってるし、絶対変ですよ!!」 「ふむ、過ぎたるは猶及ばざるが如し、ここは風紀委員長として助言を...」 「はぁはぁ、なかなか手ごわい悪霊だったぜ...。(な、なんだ!!あの禍々しい姿は...ボールギャグを咥えたミイラだ...と...)」 「ふむ、貴様、停学処分を受けていた武藤ではないか?」 「・・・(なぜ?俺の名を!!ヤバイ!!真名を知ることは悪霊が憑りつく常套手段!!こ、これはやられる前にやるしかない!!)」 「悪霊退散!!!」 勢いよく飛びかかる武藤 雅紀に一切の迷いはなかった。 退魔師として、か弱い少女に憑りついたボールギャグミイラを見過ごす事は出来なかったのだ。 「貴様ぁ!!喧嘩騒ぎを起こし!あまつさえ停学処分を受けたにも関わらず、一切反省の色もなしとは!!その性根叩き直してくれるっ!!」 こうして『体育館』での(蟇郡 苛&満艦飾 マコ)VS(武藤雅紀)の戦いが始まったのであった。 応援作品へ移動<<|メニューへ移動|>>蟇郡 苛&満艦飾 マコの個別ページへ移動
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僕の考えたトレーナー // /r―_ ‐=ミ \ /{ / /{/⌒ =- \ {_〃´ }⌒ヽ =ミ \ \ j { / /⌒ \ \ ー―ア ノ V//ノ} } /⌒ヽ <{ Y ^T]_fう レ 〈⌒ } {⌒` }ヲ ヽ ̄ ノ /∨ / く n j | { } ` r‐}jく | { /| |', ヽr===- 、 l', j }ハ_ノ / l , Lこ ̄ ̄ j , / _ ‐ ⌒\ ′ ! | ', }__ /! ', _ ィ′ ′ ! /^ | ', ⌒/ ̄ | ',- 、 ′ | / ′ {\ | ', /^〉=― ! ,_ -,/\/′ / ′ { 、 | _ ノア / { ア¨] ', / ,/ ′ | / ′ 、 \ / ̄⌒ /⌒{ノ ̄ ! , ̄/ ′ | ___ ,/ / \ 、⌒\}/{ ̄ ̄乂__} ',  ̄ 7 { /\ / / 、 ノ // \/ / ̄ ̄] , く/___ ノ⌒\ 、( } ̄ | //{ /i i i / /i} 〉⌒\ ___ 、 \、___/ \//i i/,/i i i i i/ /i i} / /⌒Ⅵ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| /⌒\ ̄\ /⌒i i i i i i i i i i i i i i \_/i i i } ̄ ̄ ̄ ̄ / ]_______|/ \ \. /^}i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i/^ 、 / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒` 、 \ ノ 【名前】蟇郡苛(AA出典:『キルラキル』より「蟇郡 苛」) 【トレーナーステータス】 指示:C= 平均的な指示力。 育成:A+= 卓越した育成力。同じ趣味のポケモンに育成が1ランク上がる。 統率:C-= 平均的な統率力。同じ趣味のポケモンしか従えられない。 能力:B+= 『獣化』による『固有』と「がまん」の「技能拡張」の『固有』を持つ。 【固有ポテンシャル】 『しばりの装』… 蟇郡 苛固有ポテンシャル。 「蟇郡 苛」をPTに参加させる事が出来る。 『しばかれの装』… 蟇郡 苛固有ポテンシャル。 「技能拡張」により、 PTの全員が技「がまん」を繰り出す事が出来る。 「がまん」… 変化/ノ/-/-/自/×/優先度+4/自身を2ターン「がまん」状態にする。 「がまん」状態 行動する事が出来なくなり、その間に受けたダメージを一番最後に2倍にして返す。 このダメージは相手ポケモンの「まもる」等の技、特性、 相手ポケモンと相手トレーナーの防護ポテンシャルを無効化する。 【サポーター】 . / \ ヽ / \ \ . ' i | \ ヽ i ′ } 八 \ ヽ | | | i ' ,ハハ |ヽ 斗-ヽ } / } } | | | | _ハ 彳´ハ },x≠ミハ / 厂ヽ | | | 「 ,,x=ミヽ\ 〃f 心 iハ iハ / ハ ゜ | Ⅵ { |〃f し、 ヾ ツ }/ 〉 ! l | 八ハ 从ヽ ヾ ツ '一 ノ i{ \\'. } r‐匁 ハ ' . ヽ , }八{ヽ{. ヽ , / У \ \ ` , / /\ 、 , , ' ,' \ ` r‐< / / > 、 // ヽ / / 丶 ィ {/ } / / \ //| |__ / / \ / 〃 | | ` / / \ 【名前】橘純一(AA出典:『アマガミ』より「橘純一」) 統率:A+=『エンチャンター』の追加任命が可能。同じ趣味のポケモンに『スカウター』の追加任命も可能。 【サポート効果】 『痛いのが良いんだよ!』… 橘純一のサポート効果。 味方がダメージを受けた時、低確率で体力が1/4回復する。 【手持ちのポケモン】 ト、∧∧∧∧∧/l ___ ___ _ _ - 、 \ l∨vvvvvvvvv∨ / /、 O\//`ヽ__ ┌ 、ヽ', l==l=l=/==|、 ∠_ lO /// \ /∧`ー' ヘ f〈 ー 、¬ 「 r 7 〉ヽ/_/`ーァ__ O///////}///}-‐≦ ̄{ 〉「 o_ィl´ lro´フ〈 { l <__ O////////\ /∨マム、 乂{ { 〈 l 〉} /_ノ `丶、_ -‐  ̄ ̄ `ヽ/ ∨////////_-<l `ーム l ムヽ} ヽ _ / {/ l |. _ -' //// ム ∨///\_ノ /、 マムヽ弋 -──- / //´/__// |i l `ー、/ / \丶、 l `ー─‐ " /´ -‐ ´ `ヽ |i /l l / l\/ 丶、ー-\ / -‐=/ // ヘ. |i l |/./. l/l 、 ` マー- 、r‐/ // ヘ |i /l| / l', l\ マム / / ヘ / / イ /._', ム マム二/ / lヽ_l/ / ',l', ム マム _ </ 〈 ヘ > ´. ', \ _ -───- _ _ < / 〉/ヽヘ- ィ′ ', ト、 l\ f´ _ -─‐- _ ヽ _ < /  ̄/ / 〈/、_/| ',l マ | ≧s。{ / ̄ \_ .≦ // / / l ヽl マ.|_l l¨¨\ / /∠ --/ ヽ ヘ / ∨_ ', \/ /__// ∨ ヘノ ∨ l l | | l | /  ̄ l l l | | l | l 【名前】セルゲイ・ヴォルコフ(AA出典:『遊戯王ARC-V』より「セルゲイ・ヴォルコフ」) 【タイプ】はがね/かくとう 【特性】がんきょう… 相手の技が急所に当たらなくなる。 体力が満タンの時、必ず耐える。 【もちもの】 【技x5:アイアンヘッド、インファイト、あびせげり、ビルドアップ、ちょうはつ】 こうげき:B ぼうぎょ:AA+ とくこう:D とくぼう:A- すばやさ:A- 【ポテンシャル】 『不動のエース』… 「ここぞ!」という時、全能力値が上昇し、技のクリティカル率が上がる。 『改造Mの筋肉』… トレーナーが「育成:A」以上の時、自身の「防」の種族値を「AA+」にする。 『改造Mの開放』… 「がまん」状態によるダメージを2倍にする。 『改造Mの再生』… 「がまん」状態で相手にダメージを与えた時、自身の体力が1/4回復する。 『改造Mの矜持』… 相手の攻撃以外のダメージで「瀕死」状態にならない。 『Dホイール』… 自身の「速」の種族値を「A-」にする。 「おいうち」効果の付与された技の威力を半減する。 『魂の絆』… 場にいる限りトレーナーの指示を「1」ランク上げる。 低確率でポテンシャルを再度受けられる。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対地回避』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対地耐性』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対地反撃』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『気合い』… 稀に気合いで相手の攻撃を耐える。 残り体力が多いと発動しにくい。 『スラッグアーツ』… 「ここぞ!」という時、自身の「命中」を強化(1.33倍)する。 『キラー』がいると発動しない。 『ドM同盟』… 自身がダメージを受けた時、体力が1/6回復する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『耐えて、耐えて、耐えて、耐えて、耐えて!』… セルゲイ・ヴォルコフ専用ポテンシャル。 1/試/先行 「がまん」状態の時に、「技能拡張:こらえる」の追加行動を得る。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz / ̄⌒冖¬=-ハ /{ア冖=- _ \}‐ 、 {_ノ\Xx≦三≧/ィ⌒} 人 /ィ^T0^o^0爪 ハ 7 /⌒ / Y ⌒ヽ \ ', _ -= 、_ -┴‐=ミ 込_ _ノ^ 、 ≫=―ミ、 __ _ {_ニニニニ=‐⌒\ \ \⌒⌒ ̄  ̄⌒ ‐=ニニニ} - _ _ - \ \ \ニニニ=‐ ^ 、 \ \/ / ‐=ニニニニ / / ̄⌒> . _ - \ 、 \ \ニニニ=‐ 、 / / ‐=ニニニニ / / / >⌒\ \ \ \ 、 \ニニニ=‐ / / ‐=ニニニニ / / / / \ \ \ \ \ \ 、/⌒\ _ /\ニニニ / / / /\ ハ ,/\ \ \ \ \ \__ / ____ \ 、,/ / / / \ / } / 、 ヽ 、 ヽ 、___/ (/⌒ ̄) ヽ/┬=ニニニニニニニニニニニ=- __ \ }_ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニi⌒{  ̄ ̄ }___」ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=‐ __」ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ」 八⌒\ /⌒ア⌒ ̄ ̄⌒冖¬=ニニニニニニニニニニニ=‐',ニニニニニニ=¬冖⌒ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /\_ノ}__ {/⌒\ / / /  ̄⌒¬=ニニニニニ=‐jニニ=‐冖⌒\ \ \ 、 /\/  ̄ ̄ \ /ニ=、 / / /  ̄⌒¬=」⌒ ̄\ \ \ \ /ニ/⌒\ /^ 、ニニニ\ ィ / / / ] 【名前】蟇郡苛(AA出典:『キルラキル』より「蟇郡 苛」) 【タイプ】みず/くさ 【特性】アロマガード… 自身への「メンタル効果」を無効化する。 相手の「C」が「±0」になる。 【もちもの】 【技x6:アクアブレイク、パワーウィップ、まとわりつく、ばらぞの、こうごうせい、くさかり】 こうげき:B ぼうぎょ:AA- とくこう:D とくぼう:AA- すばやさ:D 【ポテンシャル】 『エースキラーβ』… 『エース』から受けるダメージを半減する。 『エース』の「攻/特攻」の上昇(強化)を無視する。 『固有種』… 「蟇郡 苛」種がこの個体だけのため『オールドタイプ』を無効化する。 『縛装の混血』… 自身と同タイプの技のダメージを半減する。 『縛装の我慢』… 「がまん」状態の時、『エースキラーβ』がすべての『役割』に発動する。 『縛装の体勢』… 「がまん」状態の時、毎T終了時に自身の体力を1/8回復する。 『縛装の快楽』… 「がまん」状態になった時、自身の体力を1/4回復する。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対毒回避』… 敵陣に「毒」ポケモンがいる時、相手の「毒」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対毒耐性』… 敵陣に「毒」ポケモンがいる時、相手の「毒」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対毒迫撃』… 敵陣に「毒」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『戦闘続行』… 低確率で相手の技のダメージを自身の行動後に持ち越す。 『アンブッシュ』… 相手の『エース』が場に出た時、相手が場に出て最初に繰り出す技の優先度を「-1」に変更する。 『ドM同盟』… 自身がダメージを受けた時、体力が1/6回復する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『しばかれるのは俺だ!』… 蟇郡苛ポテンシャル。 『エース』が場に出た時、味方と任意交代して場に出ることが出来る。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 、 ', 、 ', 、 _/} ', 、 ___ノ^ / ', 、 /ア {_/{ ', 、 Y i{ / ( ', 、 ⌒, ノ} ハ厶 / ゙ 、 \/⌒V^廴 /{^( ノ ( 、 i{^ V', { _/⌒^` ゙ 、 { 7 \ r=ミv {_/ア }^ 、 ゙ 、 _i{/===ミ (⌒ {廴__/ r┘ /\ 「⌒{ ノ{\___ V^V _ア=彳厂レヘ /',¨¨¨ ア {^X v{ 个ヘ ノ丁^√⌒V__/- ― \/,¨¨ { / V {_/廴 j≧s。 }ハ{ V^} 「 7^ } j¨ア⌒/^ ー= ミk、 v{ [7 .〈/ /^/_ =≦__ ノ ヾ、 ノ〈 /レ' 厂 ̄ {_ノ {ア' { i{ 【名前】アルセルタス(AA出典:『モンスターハンター』より「アルセルタス」) 【タイプ】むし/じめん 【特性】ふゆう… 宙に浮かび上がる。 設置技の効果を無視する。 【もちもの】 【技x5:メガホーン、ドリルライナー、むしのていこう、ふきとばす、まきびし】 こうげき:AA- ぼうぎょ:C とくこう:C とくぼう:C すばやさ:A- 【ポテンシャル】 『エースアシストβ』… 場を離れる時、味方『エース』が受けるダメージをターン終了時まで半減する。 『山のヌシ』… 「いわ」技で受けるダメージを半減する。 『M甲虫の長角』… 自身の「攻」の種族値に「+」補正を得る。 相手の「防」の上昇(強化)を無視する。 『M甲虫の貫通』… 自身の「つの」「ホーン」等の技が相手の「まもる」等の技を貫通する。 『M甲虫の快楽』… 『エリアチェンジ』の発動時、自身の体力を1/4回復する。 『M甲虫の交友』… 『ドM同盟』の味方に『エースアシストβ』が発動する。 『エリアチェンジ』… 相手の攻撃を受けた時、味方と任意交代することが出来る。 『先の先』… 相手が優先度+1以上の技を使用した時、低確率で先に行動する。 『対炎回避』… 敵陣に「炎」ポケモンがいる時、相手の「炎」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対炎耐性』… 敵陣に「炎」ポケモンがいる時、相手の「炎」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対炎狙撃』… 敵陣に「炎」ポケモンがいる時、低確率で自身の技が「必中」する。 『戦闘続行』… 低確率で相手の技のダメージを自身の行動後に持ち越す。 『リターンヒール』… 味方と任意交代する時、中確率で味方の体力を1/4回復する。 『ドM同盟』… 自身がダメージを受けた時、体力が1/6回復する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『趣味より連携』… アルセルタス専用ポテンシャル。 1/試/先行 自身の攻撃技に「とんぼ」効果を付与し、技の優先度を+1する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz ____________________________| _________________________ || |三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三=| || |¨¨ ・・・ ‐=ニ三三三三三三三三三三三三三三三三三ニ| || | . .¨ ‐ニ三三三三三三三三三三三三三ニニ| || |───- . _ .゙气三三三三三三三三三三三三三ミ| || |───- . _ ¨ ・ . 气三三三三三三三三三三三三ニ| || | . . ¨ ・. . ヽ 气三三三三三三三三ニニニニ| || | /| .,i . \ \ 气三三三三三三三三三三ニ| || |/ | / i . /| ヽ ヽ 气三三三三三三三三三ニニ| || |__ | / i . ./ | ∧ ヽ | i三三三三三三三三三ミニ| || | ¨¨| / i ./ | / ∨ i i三三三三三三三三三ミ=| || | |/ i/ヽ j/ i |三三三三三三三三三ニ=| || |ゞ | l ¨ノ‐- ,,__ i i三三三三三三三三三ニニ| || | -‐‐-ミ i i三三三三三三三三三ニニ| || | x≦≧;、ヾ i i三三三三三三三三三ニミ| || | /三三三} ', jノ i三三三三三三三三三ニニ| || | {三三三/ } / 人 i三三三三三三三三三三ミ| || | ー=ニ彡 .ノ /. . .イ 三ミヾ三三三三三三三三三三ニ| || ト ._ /. 厶イ |三三三三三三三三三三三三ミ=| || | ¨ ‥ァ / .i ! |三三三三三三三三三三三三ミ=| || | ノ / .ノ/ .|三三三三三三三三三三三三ミ=| ||  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【名前】長月早苗(AA出典:『侵略!イカ娘』』より「長月早苗」) 【タイプ】ノーマル/みず 【特性】けんかうり… 味方と交代する時、5割で相手を「挑発」状態にする。 【もちもの】 【技x4:おんがえし、せんすい、あらいながす、まきびし】 こうげき:D ぼうぎょ:AA+ とくこう:C とくぼう:AA+ すばやさ:D 【ポテンシャル】 『エンチャンター』… 場を離れる時、味方の任意の能力値を上げることが出来る。 『幽体種』… 「長月早苗」が死後に『固有種』として生まれ変わったことで、相手の「ノ」「闘」技を無効化する。 『M淑女の賛同』… トレーナーが「育成:A」以上の時、自身の「防/特防」の種族値を「AA+」にする。 『M淑女の吹飛』… 味方と交代して場に出たT、相手の攻撃技を受けた(無効化)した時、味方と任意交代する事が出来る。 『M淑女の姿勢』… 味方と交代して場に出た時、T終了時まで相手の技の威力を緩和(0.67倍)する。 『M淑女の血痕』… 味方と交代する時、中確率で相手を「テレキネシス」状態にする。 『メシマズ』… 相手の回復をダメージに変換する。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対電回避』… 敵陣に「電」ポケモンがいる時、相手の「電」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対電耐性』… 敵陣に「電」ポケモンがいる時、相手の「電」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対電狙撃』… 敵陣に「電」ポケモンがいる時、低確率で自身の技が「必中」する。 『軍略』… 自身の「全体技」の威力を強化(1.2倍)し、相手の「全体技」の威力を低下(0.8倍)させる。 『リターンヒール』… 味方と任意交代する時、中確率で味方の体力を1/4回復する。 『ドM同盟』… 自身がダメージを受けた時、体力が1/6回復する。 / ヽ / ', / ',. / ゙, / ゙, / ゙,. l / .l. / / | / lー-、_ / / /| | / /| |ヽ,, | l `ー-、_ / / ,/ | | // /| /| / | / ヽ、|-‐ヽ | l ヽ / / / | | // / ,レ ,| / | //,.=─'',ヽ| l ヽ / / / | レレ / ー==-、 レ 、 ' ゞノ ノ=| l l / | |ヽl、ヘ ゞノ ノ  ̄ ` ─‐'' ,| | l / / /ヽヽ` ─‐'' ,' | | /l / / / ``ヽ 、 , / | | / l / / / \ , -、. / | | / l / / / ヽ、  ̄ / ... | | / l / / /\ `.. . __ ' ..... | | / \ \ .............. | |// . \ \` ;; | | / \ \ ` ;;,, | | / \ \ ` ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; | |/ 【名前】猿飛あやめ(AA出典:『銀魂』より「猿飛あやめ」) 【タイプ】ゴースト/ひこう 【特性】でんげきせん… 場に出た時自身の「速」が上がる。 【もちもの】 【技x6:かげぬい、あくのはどう、とんぼがえり、みずしゅりけん、おにび、まきびし】 こうげき:C ぼうぎょ:C とくこう:C とくぼう:C すばやさ:AA+ 【ポテンシャル】 『スカウター』… 場にいる限り、トレーナーの指示の前に相手のデータを解析する事が出来る。 『M忍者の鍛錬』… トレーナーが「育成:A」以上の時、自身の「速」の種族値を「AA+」にする。 『M忍者の挑発』… 相手のデータを解析した時、T終了時まで相手を「挑発」状態にする。 『M忍者の変身』… 相手のデータを解析した時、味方と任意交代する事が出来る。 『M忍者の妙技』… 敵陣にデータ解析済みのポケモンがいる時、自身と相手の「速」の能力値でダメージ計算を行う。 『カワラレ=ジツ』… 1/試 味方の被攻撃時、味方と任意交代して場に出ることが出来る。 『先の先』… 相手が優先度+1以上の技を使用した時、低確率で先に行動する。 『対霊回避』… 敵陣に「霊」ポケモンがいる時、相手の「霊」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対霊耐性』… 敵陣に「霊」ポケモンがいる時、相手の「霊」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対霊迫撃』… 敵陣に「霊」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『戦闘続行』… 低確率で相手の技のダメージを自身の行動後に持ち越す。 『タクティスコープ』… 敵陣にデータ解析済みの相手がいる時、自身の「避/命中」を強化(1.1倍)する。 『ドM同盟』… 自身がダメージを受けた時、体力が1/6回復する。 >‐=< / .ヽ / . __ (( ∨ |i /tッ、___,,ノ} i| __ 八((  ̄,⌒ッ〉 八 /⌒ _ ⌒≧s。____}゙、 ゞ 、 ノ/ __ 〈 { 〈〈〈 〈ヽ〈 ヽY⌒ 込 。s≦(〈/ ̄ \ _八 YYヽ\ ゝ} 〉 〉〉|===}__ ‐====‐ __ \ ⌒ヽ // }h、,ノ/==//⌒}h、  ̄ ̄ ‐====‐ __ ⌒≧s。 /\/ .≧=‐ イ\ ヽ  ̄ ̄ ‐====‐ / / Lcc 丶 \ // ⌒\ \ . .\ /| Yo \ 。s≦⌒ `、 \ /i i i . j{ |`¨¨´ /i i i`、 \ /i i i i i . j{ |/ ∨/ /i i i i i i i `~、、 \ //i i i i i i { j{o | ∨〈i i i i i i i i i i i i i i i i i ≧=‐ ─────‐--ミ /i i/i i i i i i i {\ j{o | ∨i i i i i i i \i i i i i i i i i i i i \i i i ⌒≧s。 /i i i /i i i i i i i /⌒ j{ ( )v `、i i i i i i i i \i i i i i i i i i i i i \i i i i i i i⌒≧s。 《i i i i /i i i i i i i / j{ V∧ \i i i i i i i i i \i i i i i i i i i i i i \i i \i i i i i \./i i i i i i i i }h、 八 マ', \i i i i i i i i i \i i i i i i i i i i i i \ }h、 /i i i i i i i i i }~、、}}===\__ マ \i i i i i i i i i \i i i i i i i i i /⌒ 《i i i >''" |\ ≧=‐── 彡 マ /i i i i i i i i i i i i >''" ´ | \ | | \ \ /  ̄ ̄⌒¨¨¨¨¨´. | \ |ノ >==彡> < 【名前】亀甲貞宗(AA出典:『刀剣乱舞-ONLINE-』より「亀甲貞宗」) 【タイプ】はがね/フェアリー 【特性】じゅんぱく… 相手の技が「こうかばつぐん」の時、相手の技の威力を緩和(0.67倍)する。 【もちもの】 【技x6:ざんてつけん、まほうのけん、おいうち、いあいぬき、ステルスロック、つるぎのまい】 こうげき:A+ ぼうぎょ:AA+ とくこう:D とくぼう:B+ すばやさ:C 【ポテンシャル】 『鬼人』… 先発で場に出ると、「こうげき」が上がる。 『M打刀の鍛錬』… トレーナーが「育成:A」以上の時、自身の「防」の種族値を「AA+」にする。 『M打刀の名刀』… 自身の「攻」の種族値を「A+」まで上げる。 相手の「防」の上昇(強化)を無視する。 『M打刀の抜刀』… 場に出て最初に「けん」「つるぎ」等の技を繰り出す時、威力を強化(1.5倍)する。 『M打刀の納刀』… 先発(死に出し)で場に出た時、T終了時に味方と任意交代する事が出来る。 『オノコガタナ』… 1/試 技「スチールソード」を繰り出す。 このポテンシャルはPTの「♂」全員が使用出来る。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対炎回避』… 敵陣に「炎」ポケモンがいる時、相手の「炎」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対炎耐性』… 敵陣に「炎」ポケモンがいる時、相手の「炎」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対炎迫撃』… 敵陣に「炎」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『戦闘続行』… 低確率で相手の技のダメージを自身の行動後に持ち越す。 『スターター』… 『先発』が発動した時、自身の全能力値を強化(1.05倍)する。 『ドM同盟』… 自身がダメージを受けた時、体力が1/6回復する。
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反吐がでるほど青い空 ◆wIUGXCKSj6 人間は誰かを守る時、その愛情を知る。 人間は誰かを守れなかった時、その悲しみを覚える。 失った者も手に入れた者も、その感情は束となって繊維と化す。 やがて一枚の布となるその繊維――培った感情と経験は何者にも負けない力となる。 蟇郡が踏み込むと同時に纏は肩に担いだ傘を気だるく下ろし、迫る巨漢に対応すべく払いの構えを取る。 風を斬るように振るわれた傘と空気さえも砕いてしまえそうな拳が衝突し、彼らの周囲が震え上がる。 だが当の本人達はどれ程の衝撃が生まれようと、我関せずと謂わんばかりに一切の興味を示していなかった。 「随分と軽い拳だなあ蟇郡、テメェの図体は見せモンか?」 「貴様の一撃の方が軽いぞ纏……それでも貴様は纏流子かッ!!」 挑発に囚われず蟇郡は拳に力を送り込むと、拮抗していようがそれを覆すように強引に殴り抜ける。 傘の上を滑るように纏流子へ迫るも、彼女は後方へ跳ぶことによってこの一撃を回避。 「……ひゅー、怒りのゲージが振り切れてんのかよ」 獲物を失った蟇郡の拳は数秒前まで纏流子が立っていた地点を破壊していた。 振り下ろされた衝撃は大地に溝をつくり、何者をも砕く強い意思を開示しているようだった。 さて。と、呟いた生命繊維の怪物は肩を回しながら一呼吸。 うぜえ。うぜえ。うぜえ。 目の前に立つ邪魔な壁を殺すべく、大地を蹴り飛ばすように駈け出した。 風よりも速く弾丸のように突っ走ると、蟇郡を射程に収めた所で傘を振り上げる。 「ぶった斬れろォッ!!」 両腕で振り下ろした一撃は豪快な音を響かせ蟇郡の腕に阻まれる。 「この蟇郡苛――その程度の一撃で沈む程軟弱では無いッ! 伊織が作り上げた三ツ星極制服、侮るで無いッ!!」 顔の前に突き出された腕は纏流子の一撃を受け止めていながら、傷は無い。 それどころかあの生命繊維に正面から立ち向かっており、両者は硬直状態に陥っていることになった。 纏流子は知らない。 極制服が更なる進化を遂げ世界を守るために、未来の己と同じ道を歩んだことを。 「ド変態な服じゃねえと思ったが、それも極制服か……生命繊維に劣るゴミ屑かァ!!」 知ったこっちゃねえ。 纏流子は瞬発的に腕へ力を込めると、重なりあった傘と蟇郡の拳を起点に己の身体を空へ跳ばす。 傘を刀に見立て、取る体勢は全てを貫く突きの構え。 落下する現象を含め、力の上乗せで蟇郡の極制服を貫かんと急降下を開始する。 「甘いッ! 迎撃で貴様を終わらせるぞ!」 対する男は当方に迎撃の用意――腰を下ろし拳を突き出す体勢に移り纏流子を迎え撃つ。 生命繊維を纏った女だろうが、今の男は強い。いや、女が揺らいでいるのか。 極制服と云えど侮ることなかれ。この男、ちょっとやそっとじゃ崩れ落ちない生きた盾である。 「どっちが――甘いか解らねえなあ、おいぃ?」 太陽輝く昼夜の激闘であるが、蟇郡の視界が眩み、標的を見失ってしまう。 正体は傘だ。纏流子は斬るための武器では無く視界を閉ざすための目眩ましと使用。 己は逸早く大地に着地するとガラ空きの――蟇郡の腹へ豪快な蹴りをかます。 「グッ!?」 ヤクザキック。 直立状態から繰り出された蹴りは敵の腹を捉えると、重たいを音を響かせる。 身体を折り曲げた蟇郡。一瞬ではあるが戦場で止まってしまえばそれは格好の的となる。 「お前本当に弱くなったんじゃねえか? 解散総選挙で戦った時の方が何倍も強かったんじゃ! ねえかァ!!」 顎を豪快に撃ち抜く拳は天に轟く一撃だ。 正面から喰らえば意識を失うなど当たり前、それだけで勝負が終結してしまう。 「嬉しいだろ、感じまくって声も出ねえか?」 生命繊維を纏った怪物の一撃だ。身体を鍛えた猛者とてその拳に沈むだろう。 だが、この男は。沈まない。 「ぬ……ッ、フンッッ!!」 纏流子の一撃を耐え抜いた蟇郡は拳を組むと大槌のように振り下ろす。 轟と音と共に大気を震わせた一撃。喰らえばひとたまりもないだろう。 しかし纏流子は油断していた。完全に顎を撃ち抜いたと思い込んでいた彼女は動けない。 咄嗟の出来事に身体が反応せず、覚悟を持った男の攻撃を受けるしか選択は無かった。 苦し紛れに両腕を交差させ即席の防御態勢に移るも、槌は全てを粉砕する怒りの鉄砕だ。 哀れ。 女であろうと悪の道を歩むなら。昔の仲間であれど牙を剥くならば。 人間を殺す外道とならば。この蟇郡苛、容赦はせん。 足元に倒れる纏流子に対し蟇郡は手を差し伸ばすことをせずに声を飛ばす。 「纏流子。貴様が何故純潔を着ているかは聞かないでおこう。 俺はこの会場で学んだことがあった。だから、それは聞かないでおこう」 蟇郡の知る纏流子は鬼龍院羅暁によって洗脳され世界を包み込むための尖兵になっていた。 それを開放するべく、世界を終わらせないために鬼龍院皐月や満艦飾マコ、蟇郡苛は戦った。 死闘の果てに。纏流子を救った彼らは最終決戦のために本能字学園を取り戻すために――これが彼の知る世界の理である。 衛宮切嗣や折原臨也の邂逅を得て彼はワケの解らない真理を一つ知る。 世界は一つの布で覆われている訳では無い。自分が住んでいる世界の他にも世界が存在すること。 映画の中でしか有り得ない現象が現実問題として自分に降りかかっていた。 折原臨也との会話の中にタイムマシーンの単語も飛び出していた。 仮に時空を超越する機械が存在しているならば、どんな状況でも受け入れるしかあるまい。 この纏流子は蟇郡の知る彼女であることに違いない。けれど、同じ時間軸の存在では無い。 「しかああああああしッ!!」 腕を組み、修羅の如き形相で叫ぶ。 溢れ出る闘気は仁王立ちによく似合う。呼応するように大気が震え上がるのだ。 「人を殺すとは何事だ……そんなこと、許されるわけも! していい道理も無いッ!!」 神衣純潔に身体を囚われていようと。 世界の敵に洗脳されていようと。 大切な人間が殺されていようと。 如何なる理由を連ね、己の境遇を嘆き、悲劇の色で着色したとしても。 「目を覚ませなど言わん。俺の手で終わらせることが――死者と生者への手向けとなる」 今の纏流子を満艦飾マコが知ったらどんな反応を示すか。 鬼龍院皐月が再び過去に囚われた妹を見たらどんな反応を示すか。 差異や個々が抱く感情は本人しか解らず、蟇郡に真意を汲むことは難しいだろう。 しかし。 一つだけ。たった一つだけ。これだけは、理解出来ると己の心が叫ぶ。 彼女達を悲しませたくない。 纏流子を開放するとしたら。 あの時と全てが同じなら。彼女の心が囚われているならば。 満艦飾マコが居ない世界で――纏流子が元に戻る確証は無い。 纏流子を純潔から開放した戦いは、人類が生き残るために全てを捧げた総力戦であった。 装備も整わないまま纏流子の襲撃を受けた蟇郡達は鬼龍院皐月を中心に怪物を迎撃。 即席の人衣一体を果たし身体に無茶で訳の解らない負担を掛けた鬼龍院皐月と鮮血。 言葉が通じ合わない壁があるにも関わらず、纏流子にも引けをとらない戦闘を――継続出来る訳が無かった。 殴られ、蹴られの応酬を見せつけられた蟇郡を始めとする四天王一同は作戦のために動き出す。 やっとの思いで生命繊維からの開放を試みるも、作戦は失敗してしまった。 状況を打開する決定的な要因が満艦飾マコと鮮血であった。 鬼龍院皐月が斬り開いた道という名の隙間に。 満艦飾マコと鮮血を捻子込み精神世界で、纏流子を説得させる常識無視の荒業。 その中で何が繰り広げられるかは知らないが、纏流子は純潔を引き剥がした。 だが、その状況を此処でもう一度、再現出来るだろうか。 無理に決まっている。 鍵も頭数も戦力も。 何もかもがあの時とは違う。そして何よりも。 「折原臨也は貴様に殺される人間では無かった……少なくともこんな所で生命を落とす人間では、な」 目の前で仲間が殺されて。 許せる程、蟇郡は聖人ではない。 一人の人間として。持ち合わせている感情がある。 「……せぇ…………るせぇな」 む。と。眉をピクリと動かした蟇郡は倒れている纏流子が立ち上がる姿を見る。 開いた傘を閉じ、杖代わりに己の体重を掛けながら膝を起こし血反吐を吐く。 「お前も鬼龍院皐月と同じで、どいつもこいつも高いところから偉そうに垂れやがってよォ……」 流石に蟇郡の一撃が効いたのか辛そうな面立ちで睨んでいる。 しかし戦闘不能や致命傷、瀕死といった状態までは追い込まれていないらしく、戦闘に支障は無い。 傘を肩に担ぐと、尖らせた口が開き言葉が流れ始める。 「誰が誰を終わらせるって蟇郡ぃ? テメェ、忘れたか。 お前は一度もあたしに勝ったことが無いだろう……あぁ?」 「ふん。貴様とて他人を見下しているじゃないか。俺が以前の俺と同じに見えるか纏流子」 「服は変わったなあ……それと」 睨むように。 口角を上げ、一呼吸置いた後に憎たらしい表情で敵の心を煽る。 「今のお前じゃ鬼龍院皐月とも合流出来てなさそうだしなあ……折原臨也? さっきの男も守れてねえし。 主人のケツを追っかけることも出来なきゃ、仲間の生命も守れない……やっぱお前、弱くなってんじゃ――おいおい、怒るなって」 言葉を最期まで言い切る前に、怒りの鉄拳が紡ぎを断ち切った。 迫る拳を小さい動作で躱し、お返しの一撃をぶっ込むべく傘を振ろうとする纏流子だが、これも拳に阻まれる。 吹き荒れる拳の嵐を回避し、回避し、回避し……回避し続ける。 「当たらなくちゃ意味無えよなあ?」 薙ぎ払うようなラリアットが迫ればその場で屈むことにより回避する。 直進的なストレートならば身体を横へ移動させることで回避する。 接触の危険性があれば流すように攻撃を捌き回避する。 「だからお前はさっきの男の時と同じで……誰も守れずに、全部が遅えんだよ!!」 右ストレートを上から拳で叩き付け蟇郡の体勢を崩し、前のめりにさせる。 足が揺らいだ隙を狙い、姿勢を低くし懐へ入り込むと豪快に傘を振るい腹に攻撃を決める。 場外へ白球を運ぶが如きスイングは巨躯である蟇郡の身体を宙へ浮かせた。 舞う男を彩る黒赤は流れる血、漏れる血、吹き荒れる鮮血。 声にならない叫びを上げながら蟇郡は大地へと落下し、今度は纏流子が彼を見下す構図となった。 三ツ星極制服最終形態と云えど、生命繊維の化身である纏流子の戦闘力は桁が違う。 「無様に寝転びやがってよ……ったく」 近付きながら塵を見るような視線で蟇郡を見下す纏流子は荒れている。 彼女の中で何かが崩れているから。過去にはあって今にはない大切だったものが、崩れているから。 「守る守る守る……なぁ、蟇郡。誰が誰を守るだって?」 唾を吐き捨て、怒り混じりに言葉を投げる。 「放送聞いてりゃ解かんだろ、守れて無えじゃんかよ」 殺し合いが始まってから死者は絶え間なく出ている。 そして彼女はその手を黒い鮮血で染め上げてもいる。 「さっきの金髪野郎に今度会ったら守り方を教えるって……笑わせんじゃねえよ」 気付けば蟇郡が足元に来る所まで接近していた。 傘を振り上げ、一つの生命を殺そうと、それを振り下ろす。 守るべき存在。 それは嘗て纏流子にも存在していた。 けれど、消えてしまった。 遅い。 けれど、彼女が悪い訳ではない。 それは仕方のない話でもある。 だけど。 納得出来るだろうか。それもまだ成人にも満たない少女に。 言葉では表現出来ない。 笑顔を振り撒く存在で、明るさだけなら超弩級の少女だった。 悲しんでいる者を自然と笑顔にさせるような、太陽。 表すならば太陽のような存在だった少女はもういない。 とても強い少女だった。 そのくせ、涙も見せる時だってある。等身大の少女だった。 どんな時でも自分の味方で居てくれたのも、少女だった。 だけど。 「マコは死んだ――ッ! 誰が誰を守るんだよ……守れるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」 斬り裂いてやる。 振り下ろした傘は、今までのしがらみを断ち切る意味も込める。 本当に戻れなくなる。 知り合いを殺せば、もう。 あの頃には絶対に戻れ「ああ……満艦飾は死んだ」なくなるが、一撃は防がれた。 腕に装備された布で一撃を殺した蟇郡は、己の身体に鞭を打ち立ち上がらせる。 数分前に腹に貰った斬撃は鈍い衝撃を伴い彼の身体に大いな影響を与えてしまった。 紅く染まり、血も流れている。誰がどう見ても致命傷である。 「満艦飾が死んだのは事実だ。それは覆せん。俺が弱かったのも、事実だ」 「そうだよ……マコは死んだ。もう、遅えんだよ」 「遅いか……ならば一生嘆くのか、纏」 「ア?」 「涙を流すこともある。それは俺とて一緒だ。 だが……何時までも嘆いてその場で腐ることが満艦飾の望むことだと思うか?」 「何が言いたいんだよ、テメェ」 「……そうか。今の貴様にはこんなことも解らんのか」 解ってはいたが、変わっていた。 もう目の前に居る存在は知っている纏流子では無い。 嘗て純潔を纏っていた時でも、一つだけ彼女らしいことが残っていた。 鬼龍院羅暁の力になろうと、人類に牙を見せようと。 それでも。 人間を殺したことは無かった。 その枷が外された今――目の前の女は人間に対する、全ての参加者にとっての敵。 「何故! 己を奮い立たせないッ! 燻っていれば満艦飾が蘇るのか? 否、断じて否ッ!! 貴様は生きているのだろう纏流子ォ! ならば前を向け! 満艦飾はそれすら出来ない……抗うことさせ出来んのだぞ! 生きている俺達が! この手を汚すことで何が解決すると言うのだ!」 終わらせるのがせめてもの、知っている人間としての優しさ。 「前を向いてりゃ……戻んのかよ」 「ぬ?」 聞こえた声は小さくて、どこか弱さを感じさせる程度には細い。 「マコがまたあたしの前で」 「馬鹿やって」 「意味解かん無えことやって」 「ワケの解ら無えことやってよぉ」 「戻るワケが無えよなぁ……なぁ、蟇郡。あたしは今、最高にブチ切れてんだよ解るよな? 知ってのとおり……折原臨也? の時みたいに人だって殺してる……次は誰だと思う」 「とても同じ道を歩んだ女とは思えん。 何が貴様をそうまでさせたかは聞かん。被害が広がる前に――終わらせる!」 首から上を吹き飛ばすために放たれた蹴りとそれを迎え撃つ拳。 何度目になるか解らない衝突によって、最初から決まってはいたが、道が別れた。 もう戻れない。いや、戻る気も無いのだ。 戻った所であの時間は二度と、流れない。過ごせない。体験出来ない。 「お前も殺して! 鬼龍院皐月も殺してやるよ! ああそうだ! 全員、ぶっ殺せばよォ!!」 「そうはさせるか! 貴様の軟弱な手で皐月様に触れられると思うなよ纏!」 纏流子はその場で回転し蟇郡の胴体を狙うべく傘を一閃する。 しかし蟇郡は人類の英知であり、最期の希望である三ツ星極制服で覆われた腕でそれを防ぐ。 「軟弱だぁ? あたしに勝てねえ奴が何ほざいてんだよ」 「誇りも信念も持たない一撃など紙切れ同然ッ! 皐月様のお手を煩わせるまでもなくこの俺が相手で充分だ!」 一歩踏み込み、蟇郡の懐へ潜り込むとその場で跳び、頭突きを顎へ喰らわせる。 脳に走る衝撃。倒れそうになるも踏み留まり、纏流子の身体に拳を叩き込む。 「がぁ……テメェをさっさと殺して皐月も殺してやるよ……あああああああああああああああああ」 傘は腹を貫く槍となる。 その一撃を左腕で防ぐと、蟇郡の右腕が纏流子に迫る。 「それは叶わん! 一つに俺は貴様に負けない。この生命はもう俺だけのものではないからな。そして――」 纏流子は傘を引っ込めると、再度、目の前の敵を殺さんと突きを放つ。 対する蟇郡は己の右腕に炎を纏わせ。限界の一撃を叩き込まんと拳を振り下ろす。 「皐月様が! 今の貴様に負ける訳無かろうがあああああああああああああああああ!!」 「この勝負、テメェが敗者で勝者はあたしだ」 鮮血は飛び交わない。 聞こえるのは燃え盛る紅蓮の炎のみ。 纏流子が繰り出した突きは蟇郡の顔、その面積左半分を貫いていた。 傘は突き刺さったままであり、腕を離した流子は纏流子は勝利を確信し、嘲笑っている。 「テメェの生命も守れない奴が……守るって言っても説得力が無いんだよ」 聞こえているかは解らない。 けれど、自然と口が動いてしまう。 何か動きを示さないと落ち着かないのだ。 「じゃあな蟇郡。あの世で仲良くやってろ……会えたらな」 そしてその場を去る。 死体に語りかける趣味など持ち合わせていない。 渦巻く感情に縛られながら、彼女なりに前を見続ける。 神衣純潔が無かったら。着ていなかったら。 どんな未来を手繰り寄せることが出来たのだろうか。そんなことを考える思考回路を持ち合わせていない。 「誰があの世に行く……誰がだ」 風が吹いた錯覚に陥る。 信じられないと謂わんばかりに振り返ると、あの男が生きていた。 「たかが顔の半分を貫かれた程度で俺が死ぬと思ったのか?」 「はは……あははははははははは! そうだった……そうだった! テメェらはワケの解かんねえ連中だったな悪い悪い」 腹を抱えて嗤う纏流子は何処か嬉しそうだった。 更なる闘争か、予想を越えて来た生命力に対して、生存に純粋な心で喜んでいるのか。 真意は本人にしか解らないが、立っているならばやることは一つしか無い。 「黙って倒れていれば死なずに済んだのに馬鹿だよ、本当にお前らば――あ」 影。 視界が黒く染まる。 正体は蟇郡、嘲笑っている間に接近されていたのだ。 慢心か。それとも身体が止めを拒んだのか。 何にせよ。 蟇郡の一撃が纏流子の腹を捉えた。 紅蓮の炎は衝撃と共に消えた。 纏流子の身体に響いた一撃は生命繊維と云えど骨の数本は破壊しただろう。 腹を抑え鮮血を吐く女と、悲しげな瞳を持つ男。 この先の結末はただ一つ。戦いの果てだ、生きるか死ぬかの二択である。 何も思わない。そんなのは嘘だ。 けれど。此処で、今、殺さなければ。 誰のためにもならない。 そして。死ぬことこそが纏流子にとっての救いでもある。 「俺達もいずれは追い付く。あの時と変わらない笑顔を見せてくれ。あいつの涙はお前が拭け――むッ!!」 苦しむ纏流子に救済(止め)を刺さんと、鬼を身体に宿らせる蟇郡。 しかし彼の瞳に映る光景は、その拳を止めるに充分な現象が起きていた。 (神衣純潔が綻びを――引き剥がすことも可能か!?) 神衣純潔と云えど、幾ら生命繊維と云えどこれまでに繰り返された激戦は無視出来ない。 結果として蟇郡の拳が僅かな綻びを作ることに成功したが、それは彼だけの力ではなく、これまで積み重なった結果である。 誰一人して纏流子を開放すべく交戦したワケでは無いが――たった一つの淡い希望が灯った。 「俺に出来るかは解らんが貴様から純潔を引き剥がしてやる!」 鬼龍院皐月も、鮮血も、満艦飾マコも居ない。 ヌーディスト・ビーチの面々も居なければ、隣に立つ四天王も居ない。 自分では役不足かもしれない。だが、賭ける価値はあると判断した男は止まらない。 彼が目指すはただ一つ。 神衣純潔を纏流子から引き剥がし元の状態に戻すこと。 無理やり剥がせば生命の危険がある。そんなことは解っている。 それは纏流子の生命力に、底力に、ワケの解らない力に頼るしかない。 最も心配するべきは蟇郡自身の生命である。 極制服に覆われていない腹には横一文字の傷が刻まれており、血が流れ続けている。 戦闘の中で多数の打撃を浴び、一度は大地に倒れ伏していた。 そして――顔には未だに傘が突き刺さった状態であり、幾ら本能字学園四天王が一人の男だとしても――それでも彼は止まらない。 綻びの箇所――纏流子の胸に相当する場所に腕を差し込み、両の足は大地に突き刺す勢いで固定する。 傍から見れば変態の所業だが、やっていることは一世一代の大勝負だ。 彼らを知っている人間ならば誰も茶化すことはないだろう。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 渾身の力を込めようと、純潔は引き剥がせない。 まるで糸で縫われているように頑丈で、纏流子と一心同体になっているようであった。 人衣一体。 まさに文字通り。だが、怯むわけにはいかない。 「これでええええええええええ引き剥がれろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――――――――ぬ」 引き剥がすことだけを考えていた男は目の前の神衣純潔にしか視界を定めていなかった。 これさえ無くせば。この忌々しい生命繊維を引き剥がせば。 満艦飾マコが求めたあの纏流子が帰ってくると信じていたのだ。 それは無茶な希望論では無く、本気で彼女を開放しようとしていた。 現に一度、彼女が己の力で神衣純潔を引き剥がした光景を蟇郡は目撃しているのだ。 今回に限りそれは不可能。なんてことはあり得ない。 道理を蹴っ飛ばして無理を押し通す。 蟇郡がやろうとしていることは――不可能ではない。 しかし無理を押し通すからにはそれなりの代償が必要となる。 例えば、だ。 神衣純潔を引き剥がそうとしているが、纏流子は気絶している訳では無い。 意識は存在しており、勿論、行動することも可能である。 つまり、だ。 「テメェの心臓――これで潰したぜ」 嘗て大阪で纏流子と鬼龍院皐月の姉妹は激闘を繰り広げた。 その結末は妹が目潰しを活用し姉を追い詰め、姉は神衣純潔の肩をドリルのように伸ばし纏流子の喉元に突き付けた。 今、纏流子が着ているのは神衣純潔である。 「が……ぐ、纏……貴様……ぁ」 右肩から伸びた絶望の螺旋が蟇郡の心臓を貫いていた。 「いきなり他人の服に手を突っ込んだと思えば……テメェは馬鹿だなぁ蟇郡。 鬼龍院皐月と一緒だ。テメェ自身は絶対だと思い込んで勝手に他者を決め付けて痛い目を見る……あぁ、情けないねえ」 神衣純潔の螺旋を引き戻した纏流子は嘲笑いと共に目の前の男とその光を愚弄する。 絶対的な力を持っていても使い手が可怪しければ、真の力は発揮出来ない。 蟇郡があのまま止めを刺していれば幾ら生命繊維の怪物と云えど本気で死んでいたかもしれない。 だが、彼は手を差し伸ばした。それが運命の別れ道だ。 殺す覚悟はあった。 最初から殺すつもりで戦っていた。 慢心など無かった。ただ、一筋の希望に全てを捧げただけだ。 「………………俺が死んでも、俺は死なん」 顔、腹、心臓。 三箇所から血を流し続ける蟇郡は死んでいても不思議では無い。 だが、その瞳は死んでおらず、今も口を動かす脅威の生命力を見せ付けている。 「はぁ? 日本語で話せよ」 「皐月様が……仲間達が、俺が死んでもその志が死んだことにはならん」 「テメェが死ねばよ。それで人生は終わりじゃねえか」 「ふ……そうかもな。俺の人生はこれで終わるが、後悔など無い人生だったよ」 「聞いてねえよ」 「皐月様に出会えたことで俺の人生は実りのある人生だった。 猿投山、蛇崩、犬牟田……同じ四天王の仲間に出会えたこともだ。 本能字学園に通う生徒全てが俺達の財産であり、思い出だった。違うか」 「勝手に語ってんじゃねえ」 「この会場に来てからも俺が出会った仲間達は……そうだ、俺の人生は無駄なんかじゃ無かった」 「だから勝手に語ってんじゃねえ……! さっきまで勢いはどうしたんだよ。急に脈絡も無く語り始めやがって……何なんだよテメェは!」 勝者は纏流子であり敗者は蟇郡だ。 傷は両者喰らっているも差は歴然であり、蟇郡は今にも死にそうである。 だが、生に満ち溢れているのは何故か後者である男だった。 絶え間なく血は流れ続け、顔の半分が潰れている。 けれど、瞳は暖かく、とてもこれから死ぬ人間とは思えない。 彼の口から溢れる言葉は不満や罵倒では無く、思い出や感謝の念が込められている。 理解出来ない。この男が理解出来ない。 自分の中で渦巻く感情に処理が追い付かず、纏流子の身体中に不快感が駆け巡る。 「この蟇郡苛、己の生き様に後悔することなど何もない」 仁王立ち。 その修羅が生命を落とした。 誰にも看取られない最期ではあるが、何故か。何故か、説明は出来ないが。 背中や隣に寄り添う仲間達の幻想が纏流子の視界に映った――そんな感覚に陥っていた。 「んだよ……テメェの生命はこんな所で終わる程軽くてチンケなモンなのかよ……おい、おいおいおいおいおいおい」 苛立ちが止まらない。 勝ったのは纏流子である。だが、何だこの不快感は。 爽快感を求めて戦いを広げる狂信者では無い。けれど、なんだこの感情は。 「結局どいつもこいつも――あたしから離れてもう会えない所にまで行っちまう」 失ってから初めて気付くこともある。 失うことを経験しなければ得られないこともある。 だが、失うことを前提で考えるほど、人生を謳歌していない。 「あぁ」 空を見上げる。 太陽は変わらず輝き続いている。 けれど、失ったあの頃(輝き)はもう、戻らない。 「反吐がでるほど青い空だな」 【蟇郡苛@キルラキル 死亡】 【G-4/南部/一日目・昼】 【纏流子@キルラキル】 [状態]:全身にダメージ(大)疲労(大) 精神的疲労(極大)数本骨折、説明出来ない感情 [服装]:神衣純潔@キルラキル(僅かな綻びあり) [装備]: [道具]:腕輪と白カード、赤カード(19/20)、青カード(19/20) 、黒カード1枚(武器とは判断できない) 黒カード:不明支給品1枚(回収品)、生命繊維の糸束@キルラキル、遠見の水晶球@Fate/Zero、花京院典明の不明支給品1~2枚 [思考・行動] 基本方針:全員殺して優勝する。最後には繭も殺す 0:この場所から離れる。 1:次に出会った時、皐月と鮮血、セイバーは必ず殺す。 2:神威を一時的な協力者として利用する……が、今は会いたくない。 3:消える奴(ヴァニラ)は手の出しようがないので一旦放置。だが、次に会ったら絶対殺す。 [備考] ※少なくとも、鮮血を着用した皐月と決闘する前からの参戦です。 ※DIOおよび各スタンド使いに関する最低限の情報を入手しました。 ※満艦飾マコと自分に関する記憶が完全に戻りました。 時系列順で読む Back キルラララ!! わるいひとにであった Next Not yet(前編) 投下順で読む Back キルラララ!! わるいひとにであった Next Not yet(前編) 144 キルラララ!! わるいひとにであった 纏流子 149 killy killy MONSTER 144 キルラララ!! わるいひとにであった 蟇郡苛 GAME OVER
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あげたかったのは、未来で ◆gsq46R5/OE 凡そ殺し合いの舞台には不似合いなオープンカーが、爆速と呼ぶべき猛烈な勢いで疾走している。 運転テクニックは決して上等なものではなかったが、そんなことは気にも留めぬとばかりに爆走する。 もしその進路上に人が居ようものなら撥ねてしまうのではないか。 「否ッ! 皐月様の盾であるこの俺が、守護るべき命を見落とすことなど有り得ん!!」 この光景を見れば誰もが思うであろう疑問を、運転手の青年は淀みなく切り捨てた。 事実、彼の運転は未熟な面が目立ち、感情の昂りがその動作にさえ現れているが……しかし猪突猛進とは言い難い。 鬼龍院皐月の盾として殺し合いに怯える哀れな者達を守ることは、彼にとって何を優先してでも遵守すべき命題だ。 それは、紆余曲折の末に目をかけていた後輩の命が危うい状況にあっても変わらない。 蟇郡苛という男の忠義は、断じて熱に浮かされた程度で見えなくなる程度の重さではないのだ。 しいて言えば、蟇郡の運転は『安全危険運転』。 言うまでもなく矛盾しているが、確かに彼はその言葉を地で行く走行を見せている。 止まらないし止まるつもりもない。今はただ、本能字学園の風紀部部長として―― 「満艦飾……!!」 下衆の道楽で命を脅かされている、善良な一般生徒を守らねばならない。 当然、彼女と一緒に居た二人の少女についてもそうだ。 臨也の言った通り、あのジル・ド・レェを名乗る男はどこまでもきな臭い。 風紀部部長として、皐月の失脚を目論む反乱者と幾度となく戦ってきた蟇郡には分かる。 あの男は殺し合いに乗っている。放送の意味合いは単純明快、誘蛾灯だ。 友人の安否を知りたがる心と、義憤に燃える皆の善意を利用した……あまりにも卑劣で狡猾な作戦。 「許さん……断じて許さんぞッ!!」 蟇郡苛の目が黒い内は、そのような蛮行を見過ごすわけにはいかない。 彼は阿呆ではない。 放っておけば殺し合いは着々と進行していくだろうと考え、香風智乃と出会う前から一切楽観視をしていなかった。 越谷小鞠という無力な少女が殺されたこともある。 ――蟇郡は憤慨していた。 繭の甘言に誑され、私利私欲の為に殺し合いを享受する弱い心の持ち主達へ。 皐月の言葉を借りるならば、まさしく『服を着た豚』と呼ぶに相応しい連中だ。 さしもの蟇郡も殺人の経験はなかったが、この極限状況下でそんな過ちを犯してしまえばどうなるかは想像に難くない。 箍が外れて倫理観は暴走し、次から次へと屍を積み上げる。 止めねばならない。断じて、これ以上そんな豚共をのさばらせるわけにはいかない。 ――蟇郡は憤慨していた。 そう決意していながら、未だ満艦飾と悪鬼、そして二人の少女へ辿り着けない自分へ。 不甲斐なさがひしひしと巨体へのしかかって来るのを感じるが、しかしこれ以上の速度は出せない。 ワープ装置のように利便性に富んだ備えがあれば話は別。 しかし無い物ねだりをしたところで、それがもたらす生産性は真実皆無だ。 だから蟇郡は、ただ四輪を走らせるしかない。それがいち参加者としての彼に出来る限界だった。 ――『――おはよう。午前6時、定時放送の時間よ』 その時、最も憎むべき女の声が蟇郡の鼓膜を叩いた。 それでも彼は速度を緩めない。 自分の使命を果たすべく最善を尽くしながら、忌まわしい声へ耳を傾ける。 挑発するような口振りに血管が浮き出そうになるが、蟇郡は努めて冷静を取り繕った。 それから禁止エリアの説明があって、橋が壊されたという話に移る。 蟇郡は地図を確認しなかった。 まだ時間に猶予はある上、何より片手運転はご法度。自動車学校へ通う者ならば常識だ。 やがて、死者の名前が読み上げられる。 彼はそれでも車を止めなかった。 越谷小鞠の名を聞いた時には少しだけ眉を顰めたが、あくまでそれだけだった。 死者の中に満艦飾マコの名前が出なかったことに対し安堵するような不謹慎な真似はしない。 だから速度も緩めない。車も止めない。 アクセルは踏みっぱなしだ。 次に、二人の名前が読み上げられた。 一人は知らない少女の名前で、もう一人はよく知っている少女の名前だった。 蟇郡が、これから、助けに行く少女の名前だった。 車が、停まった。 ● 蟇郡が放送局を目指すことに変わりはない。 あの場所には満艦飾マコと、インスマス面の外道が待っている。 しかし、彼は何があっても停車させないとまで意気込んでいた車を止め、あろうことかそれを降りてすらいた。 そして、ただ遠く――放送局がある方角を見据え、たそがれていた。 「間に合わなかった――いや」 交流があり、底の知れない女として一目置いていた少女が死んだというのに、彼は涙を流していない。 ただ、その強面はいつも通りの険しさの中に僅かな悲しみを飼っているように見えた。 「最初から、間に合う筈もなかったのだろうな。 折原臨也の言う通り、あくまで彼女達は誘蛾灯……俺としたことが、判断を早まったか」 その発言は、端からすれば冷徹なものにも聞こえたやもしれない。 だが、もしそれを彼の主君……鬼龍院皐月が知ったなら、きっと目を伏せこう言うだろう。 『愚かな』、と。蟇郡の真意にすら気付けぬか、と。 蟇郡は今、自身の判断を恥じている。 どれだけ怒り悔やもうと、失われた命は絶対に戻ってこない。 どんな魔法でも、摩訶不思議な服の力でも――『なんだかよくわからない何か』でも不可能だ。 そして蟇郡苛という男は今、殺し合いを打ち砕くことを使命として行動している。 ならば、単身移動手段を拝借してまで飛び出したのは言うまでもなく愚策だった。 自分勝手も甚だしく、とてもではないが風紀を重んじる人間のすることではないといえる。 彼はやがて静かに、自身の拳を握り締めた。 何から何まで大きな体だから、それは拳というよりもはや岩にさえ見えた。 握り締めた拳が、軋む。 みしみしと音を立てて軋む。 このまま砕けてしまうのではないかと思うほどに、硬く硬く力を込められ凝固する。 力が入るにつれて、落ち着いていた蟇郡の表情が熱を帯びた。 彼を満たしていく感情が何であるかなど、もはや改めて語るまでもない。 「満艦飾……――――うおおおおおおッ、満艦飾ぅぅぅぅぅぅッッ!!!!」 声の限りに叫んだ。 殺し合いに乗った輩に見つかるかもしれないとは思ったが、叫ばずにはいられなかった。 いや。 ひょっとすると、彼は。 その身体に漲り、今にも破裂しそうになっている怒りを――叫び声に釣られてやって来た、どうしようもない外道にぶつけて発散したかったのかもしれない。 言わずもがなそんな言動は、鬼龍院皐月のしもべとして……彼女と学園を守る盾として失格だ。 だが、それも致し方のないことだろう。 蟇郡苛は盾である。そしてそれ以前に、一人の人間だ。 そして彼は初めて、気心の知れた――まして守ると誓った人物を、理不尽に奪われたのだから。 むしろこれが当然の反応。 しかしそこは蟇郡。すぐに吼えるのをやめ、息を整え、愛車の模倣品へ凭れかかるように身を委ねた。 「すまない」 頭は下げなかった。 涙も流さなかった。 それでも蟇郡は、心の底から満艦飾マコに詫びた。 「だが、お前の犠牲……決して無駄にはせん」 再び拳を握る。 今度は暴力的な強さではなく、思いを込めて握り締めた。 怒りに駆られて暴れ回るのでは、愚かな殺人者と変わらない。 そんな存在が、鬼龍院皐月の盾を、本能字学園の風紀部部長を名乗っていい筈もない。 だから彼は、敢えて沸騰した煮汁のように湧き立った心を鎮めた。 それは少しの間身体の奥で渦巻いていたが――すぐ、気にならなくなった。 「さて、……行くか。あのような外道に死後を弄ばれるなど、お前も不本意だろう。満艦飾よ」 放送局へ行くことは変わらない。 満艦飾をちゃんと埋葬してやりたいという個人的な理由もあるし、ジル・ド・レェが討つべき敵であることへの確信も持てた。 ――本能字学園の生徒へ手を出し、あまつさえ死者の安息さえ弄ぶその行い。 「断じて許さん」 この本能字学園風紀部部長、蟇郡苛の目の色が黒い内は。 運転席の扉を開け、乗り込もうとした時。 蟇郡苛は、自分から見て右の方向よりやって来る、金髪のバーテン服を見咎めた。 こんな分かりやすい特徴を持った人間が、よもや会場に二人居るとは思えない。 蟇郡は閉めようとした扉を再び開けば、その男――越谷小鞠を殺して逃走した、目下ジル・ド・レェとさえ並ぶ最大級の危険人物……平和島静雄へと歩き出した。 ● 放送を聞き終えるまでに、静雄は六本の標識と二台の自販機を破壊した。 繭の声が聞こえた瞬間、まず『速度制限』の標識をついねじ切った。 煽るような口振りの挑発で、頭に血管を浮かべて煙草の自販機を拳一発叩き壊した。 死者を読み上げ始めた時に、「止まれ」の標識を引き抜いて地面へ叩きつけへし折った。 越谷小鞠の名前が呼ばれた時、缶ジュースの自販機を持ち上げて思い切りぶん投げた。 豪速で吹き飛んだ自販機は二本の標識を折ったところで、真っ二つになってやっと止まった。 「繭だか何だか知らねぇがよ……手前はアレだな。ノミ蟲野郎の次くらいにはブチ殺してえわ」 女に暴力振るうのは好きじゃない。 だが、あの糞女だけは話が別だ。 どんな事情があろうと、絶対に殺す。 泣こうが喚こうがブチ殺すと、平和島静雄は放送を聞き終え改めてそう思った。 折原臨也の名前は呼ばれなかったのに、越谷小鞠の名前は呼ばれた。 その事実を噛み締める度、静雄は全身の血管が切れそうな怒りに襲われる。 何故、あんな人を陥れるしか能のない男が生きて、何の罪もない少女が殺されなければならないのか。 理屈を付ける気にすらなれなかった。 そんなことをしていると、本当に脳出血か何かで倒れてしまいそうだった。 死ぬのは嫌だし、脳出血なんて怖すぎる。 第一、こんなけったいな場所で命を落とすなど死んでも御免だ。 「…………あ?」 放送が終わって静寂が帰ってきた筈の会場に、どこからか大きな音が響いている。 よく聞いてみると、どうやら人の叫び声のようだった。 野太い声だから女ではないだろうが、どうも剣呑なものを感じる。 どうせ道中だ。平和島静雄は、声の方向へ足を運んでみることにした。 オッサンだろうがなんだろうが、殺されそうなら見捨てるのは寝覚めが悪い。 逆に殺す側という可能性もある。それならそれで、心置きなくぶちのめすだけだ。 静雄は黙って歩いていく。 それから程なくして、オープンカーと、それへ乗り込もうとする男の姿を見つけた。 特に窮地にある風には見えない――しかし、その男は静雄を見るなり車を降り、近寄ってくるではないか。 当然、静雄に尻尾を巻いて逃げる理由はない。 足を止めずに進んでいけば、自然と男と向き合う形になった。 男は大柄だ。静雄も長身な方だが、相手は恐らく二メートル以上は優にあるのではないかと思う。 数秒の睨み合いがあって、それから男が問いかける。 「平和島静雄だな」 「だからどうした。何か用でもあんのかよ」 次の瞬間、静雄は――男の身長が、何倍にも膨れ上がるような錯覚を覚えた。 それは威圧感。平和島静雄ほどの男をして、只者ではないと悟らせる濃密なそれ。 ちとばかし骨が折れるかもしれねぇな……静雄はここまでは冷静だった。 「越谷小鞠を殺したというのは、本当か」 ――――その言葉を聞いた瞬間、ブチ切れた。 血が沸騰する感覚があった。 だが脳味噌は、体感ではマグマも目じゃない熱さに燃え滾っていた。 こいつは今、なんと言った。 越谷小鞠を殺したと言ったのか? よりにもよって、俺が? 意味を理解し、反芻する前に拳を放っていた。 人間へ本気で打てば死んでもおかしくない、鉄筋に容易く風穴を開ける拳が男の腹筋に直撃する。 「手前、喧嘩売ってるってことでいいんだよな? 俺がコマリを殺しただの、そんなふざけたことを宣うってことはよぉ。 俺とやり合いたくてノコノコ歩いてきたってことでいいんだよなぁ?」 「……答えろ」 しかし――男・蟇郡苛は倒れない。 壮絶な衝撃に肺の空気を吐き出すが、それでも静雄の拳を正面から肉体で止めている。 こんな経験は静雄にとっても初めてだった。 蟇郡にしてもそうだ。 極制服を纏ってもいないのに、極制服着用者を凌駕するレベルの腕力を振るわれた。 自分の極制服が防御に特化したものだったから良かったが、そうでなければ余裕は保てなかったに違いない。 成程、確かに聞く通りの男らしい。 だが蟇郡苛は、火に油を注ぐと分かっていて尚問い続ける。 「――平和島静雄ッ!! 貴様が、越谷小鞠を殺したのかッ!?」 拳が飛んだ。 受け止めた。 拳が飛んだ。 受け止めた。 制服の布地を掴み、思い切り投げ飛ばされた。 しかしすぐに立ち上がった。 平和島は既に噴火している。 彼は火口の溶岩が泡立ち破裂する音かと見紛うような声で言った。 「殺すわけが、ねえだろ」 殺すわけがない。 折原臨也へは何度も殺すつもりの暴力を振るった。 さっき殴りかかってきた男も、正直死んでいてもおかしくないと思う。 だが、越谷小鞠は彼らとは違う。 彼女は何も悪いことはしていない。 ただ人並みに笑い、怖がり、優しいだけの少女だった。子どもだった。 「俺が? コマリを? ふざけるのも大概にしやがれ! 聞きてえのはこっちだ! なんだって、アイツが殺されなきゃならなかった! 俺を殺したきゃ俺に喧嘩を売りゃいい! だがあのノミ蟲臨也はコマリを殺しやがった!! だから殺す! あの野郎は、俺が必ず探し出してブチ殺す!!」 しかし彼女は死んだ。殺された。 日常の領域へ踏み入ってきた理不尽な非日常に、あっけなく踏み潰されて消えた。 静雄は吼える。それを蟇郡は口を挟まず聞き、受け止め、頷いた。 『ノミ蟲臨也』の下りで、一瞬だけ眦を歪めたが……それだけだ。 「そうか」 蟇郡は頷いた。 静雄は、何澄ました面してやがると怒った。 彼の顔面を、思い切り殴り飛ばした。 蟇郡は抵抗しなかった。 奥歯が飛んで、殴られた箇所は赤黒くなる。 それを見て静雄は、怒りへ水を差された気分になった。 喧嘩に精通する彼には分かる。 今のは――今の受け方は、『わざと』食らう時の受け方だ。 「俺は越谷小鞠のことも、貴様のことも知らん。 だが、どうやら事実無根の疑いをかけたのは間違いないらしい。 今の一発はその罰として受けた。 平和島静雄。貴様には聞きたいことがあるが……行き先は何処だ?」 「……放送局だ」 「俺も同じだ。乗っていけ」 「おいコラ、待てや」 踵を返して車へ戻ろうとするその肩を、静雄が堪らず掴んだ。 彼の顔には苛立ちがある。だがそこには、僅かばかりの困惑も混じっていた。 「手前、俺を疑ってんじゃなかったのかよ」 「疑っていた。だが、間違いであると気付いた。だから――」 「だから、手前はどうやって俺がやってねぇと思ったんだ」 「……私欲で人を殺すような――そのような心の弱き『服を着た豚』の怒りではなかった」 蟇郡と静雄の視線が交錯する。 静雄の怒りは粗暴であったし、振るう暴力は確かに話通りのものだった。 しかしそれでも、亡き小鞠について憤慨する姿は、蟇郡には殺人鬼のそれには到底見えなかった。 「話は道中で聞こう。少し急ぎの運転になるが、安全運転には善処する」 「盛大に矛盾した発言だな……」 「悪いが、俺もあまりモタモタとはしていられんのだ。 倒さねばならん外道もいるし――弔わねばならない友もいる」 ……正直な所を言うと。 放送を聞く前の蟇郡であったなら、静雄を信用はしなかったかもしれない。 人を殺した挙句嘘をべらべら並べ立てる不届き者として、戦いへ持ち込んでいたかもしれない。 では一体何が、彼に静雄の怒りを理解させたのかといえば。 それはやはり、満艦飾マコの死以外にはない。 彼女の死を知り、蟇郡は一度激昂した。 静雄の怒りを目の当たりにして、その時の自分と彼の姿が重なった。 だから思った。 ――この男は、越谷小鞠を殺してなどいない……と。 「……そうかよ」 静雄もまた、蟇郡の発言を聞き彼の事情を悟った。 先の放送では、普通の死者と別枠で名前が読み上げられた参加者がいる。 大方あの二人は、放送局のジル・ド・レェが配信で撒き餌にしていた中の二人なのだろう。 そしてそのどちらかが、蟇郡苛の旧知だった。 彼もまた、殺し合いの中で喪失を味わっているのだ。 そう理解させられれば、さしもの静雄も怒りを引っ込めた。 示される通りに助手席へ乗り込めば、蟇郡の運転でオープンカーは走り始める。 かくして、激突は必至であった筈の二人は皮肉にも、死別を通じて道を同じくした。 静雄は、大男二人で隣り合わせたぁむさ苦しいな、と内心で愚痴をこぼした。 それから、本当ならばこの車の後部座席に、小さくて怖がりなメイド服の少女が一人乗るかもしれなかったと考えて。 溜息をついて、遠くの空を見た。 【F-6→F-5/朝】 【蟇郡苛@キルラキル】 [状態]:健康、顔に傷(処置済み、軽度)、左顔面に少しの腫れ [服装]:三ツ星極制服 縛の装・我心開放 [装備]:コシュタ・バワー@デュラララ!!(蟇郡苛の車の形) [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル [思考・行動] 基本方針:主催打倒。 0:放送局に行き、外道を討ち、満艦飾を弔う。 1:平和島静雄を信用。彼から話を聞く。 2:皐月様、纏との合流を目指す。優先順位は皐月様>纏。 3:針目縫には最大限警戒。 [備考] ※参戦時期は23話終了後からです ※主催者(繭)は異世界を移動する力があると考えています。 ※折原臨也、風見雄二、天々座理世から知り合いについて聞きました。 【平和島静雄@デュラララ!!】 [状態]:折原臨也およびテレビの男(キャスター)への強い怒り [服装]:バーテン服、グラサン [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:ボゼの仮面@咲-Saki- 全国編 不明支給品0~1(本人確認済み) [思考・行動] 基本方針:あの女(繭)を殺す 0:テレビの男(キャスター)をブチのめす。そして臨也を殺す 1:蟇郡と放送局を目指す 2:蟇郡の話を聞いておく [備考]: ※激昂・暴走状態はひとまずおさまっています。蟇郡との一件もあって、小康状態といったところでしょう。 時系列順で読む Back 貴方に穏々日和(やわ)らぐ Next ノーゲーム・ノーライフ 投下順で読む Back 女はそれを我慢できない Next ノーゲーム・ノーライフ 083 寸善尺魔 蟇郡苛 120 変態ではない!変身だ! 089 変わりゆく平和 平和島静雄 120 変態ではない!変身だ!
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変態ではない!変身だ! ◆45MxoM2216 平和島静雄は、暴力が嫌いである 「臨也じゃ…ない!?」 平和島静雄が学生の割には老け顔の大男、蒲郡苛と合流してしばらく 互いに情報交換をするうち、静雄にとっては寝耳に水な事実が判明した 「ああ、あの折原という男、越谷小鞠が殺された時間帯はずっとラビットハウスという喫茶店にいた。この俺自身も一緒にいたのだから間違いない。 さらに言えばこの殺しあいが始まった直後、折原は先ほど話した空条承太郎と一条蛍の二人と合流している。 普通の少女である一条はともかく、空条は中々の使い手のようであった。 折原も中々小賢しいようだが、空条に隠れて誰かを殺せるとは思えんぞ」 言われてみれば不自然な点は多くあった 詳しく思い出そうとすると暴れたくなってしまうので朧気だが、あの妙な館内放送では臨也の声はしなかった あの耳障りな声がしなかったおかげ…いや、せいでキレる寸前でありながら小鞠を巻き添えにしないために隠して行く程度の判断力は残ったのだ 考えてみれば、臨也にはわざわざ自分の声を誤魔化す必要はない あの声で「シズちゃん」なんて呼ばれたら、それだけで静雄がキレると知っているのだから、それをしない理由もない さらに、臨也はああ見えて直接凶器を持って静雄以外の誰かを殺そうとしたことはなかった 女の子を殴る趣味はないと言って笑いながら女の子の携帯電話を踏みつけるような人間だが… 普段からナイフを隠し持っていて初めて会った時も(静雄の方から殴りかかったとはいえ)斬りかかってくるような人間だが… 折原臨也は、人間を直接殺すような人間ではない 「じゃあ…誰なんだよ…!クソが…!」 蟇郡苛は、平和島静雄を評価していた 誰かを失った悲しみを背負う者同士、一種のシンパシーがあったのかもしれない 先ほどの一瞬の衝突の際、生身でありながら極制服着用者を凌駕するような一撃を放ってきたこともあり、これから共に戦う者として頼りになるとも思っていた 短気で熱くなりやすいようだが、直情型なのは自分も同じだ だからだろうか… 彼は余計なことを言ってしまった 「うむ、あのキャスターという外道を討伐した後、衛宮殿に話を聞こう」 「衛宮?」 「うむ、ゲームセンターの様子を確認しに行ったのは彼だからな。 俺が平和島を越谷小鞠殺しの下手人だと思ったのも――」 そして、蟇郡は説明してしまった ラビットハウスで香風智乃が腕輪探知機を使ったこと その結果、ラビットハウスのあるG―7エリアに蟇郡苛と香風智乃含め八人もの参加者がいたこと その後折原臨也を含む四人組と合流したこと その四人組の中の衛宮切嗣が残る二人――平和島静雄と、越谷小鞠を探しに行ったこと 衛宮切嗣が越谷小鞠の死体を発見し、平和島静雄が犯人の可能性が高いと話したこと バキ、と何かが折れる音がした 蟇郡が驚いて横を見ると、なんと平和島静雄が車の縁を手で砕いていた 「何をする!」 車を止めて蟇郡は思わず叫ぶ 「衛宮…衛宮切嗣…」 「おい、平和島?」 ただならぬ雰囲気で呟く平和島静雄に、蟇郡は困惑する 平和島静雄は、決して頭の良い人間ではない 小学生の頃、同級生である岸谷新羅が言っていた「一世代での進化」という推察も、未だによく理解できていない(これに関しては静雄が馬鹿というよりは新羅が天才すぎただけなのだが) だが、物を一切考えられないような能無しでもない あの時G―7エリアにいた八人 空条承太郎 一条蛍 折原臨也 香風智乃 蒲郡苛 衛宮切嗣 越谷小鞠 そして自分―――平和島静雄 そのうち、自分と小鞠を除いたら六人 その六人のうち、折原臨也を含む五人がラビットハウスにて待機 越谷小鞠を殺せるのは…唯一単独行動をとっていた、衛宮切嗣だけだということが分からないような能無しではない 「ええええぇぇぇぇぇぇえ゛みいいいいいいぃぃぃぃい゛や゛あああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!!」 喉も裂けよと言わんばかりの絶叫をあげる平和島静雄 車から素早く降りたと思ったら、なんと車を持ち上げだしたではないか! 平和島静雄は、暴力が嫌いである 「落ち着けぇ!!!確かに状況証拠的には衛宮殿が怪しいかもしれんが、彼はこの便利な乗り物を快く俺に譲ってくれた!とても悪人には見えん!」 持ち上げられた車から飛び降りて着地した蒲郡は、持ち前の大声で一喝した後に静雄に説得を試みる 蟇郡にとって衛宮切嗣という男は、物欲しげな視線を送ってきた自分に対して快くコシュタ=バワーを譲ってくれた上に、気遣う言葉さえかけてくれた恩人だ さらに言えば蟇郡はこの殺し合いに巻き込まれてから、パラレルワールドといった「なんだかよく分からない」現象に遭遇した そんな「なんだかよく分からない」中で、状況証拠だけで恩人を殺人者だと決めつけるほど短気ではなかった だが… 「あああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 平和島静雄の暴力には、理屈も理論も通用しない 激情を抑えきれない静雄は、とうとう車を空高く放り投げてしまった 数瞬の後、大きな音を立てて落下した車は、いつかの壊惨総戦挙でサバイバル自動車部に襲撃された時のようにボロボロになってしまった そしてなんと、静雄は南東…ラビットハウスの方面へ行こうとしているではないか! (平和島静雄という男…見誤ったか!) 短気なところもあるが、信用できる男だと思っていた しかし、あまりにも短気すぎてすぐに我を忘れるほどの怒りを見せる男だったようだ 完全に回りが見えなくなっているようで、あれではもしラビットハウスに行ったら衛宮だけでなく周りの人間も巻き込んで暴れるだろうことは容易に想像できた これでは、折原臨也の言った『誰であろうと喜び勇んで暴力を振るう悪いやつ』というのも、ある意味的を射ている 本人に悪気はなくても、結果的にそうなってしまうのだ 「行かせんぞ!!」 蟇郡は静雄の前に立ちふさがる 「三ツ星極制服、最終形態…!」 (だが!!そんな人間だからこそ、風紀部委員長として手綱を握らなければならん!) 蟇郡の身体を光が包む なんか全裸になってるようにも見えるが、光で局部は隠れているのでよしとしよう 「縛の装・我心開放!!極戦装束!!!」 そして、蟇郡は『変身』した そこに先ほどまでの制服の面影はない 顔には防具のような戒めがあり、腹部は大きく開いている さらに両腕が金属質の布で覆われており、右腕には炎を纏っている これが縛りの装・我心開放 伊織糸郎が四天王に繕った最後の極制服―――戦極装束の一つである 「さぁ、気が済むまで俺を殴れ!」 蟇郡は静雄の激情を受け止めることにした 言葉での説得が通じないなら、肉体言語で臨むまでだ 「邪魔だああああああ!!」 完全に我を失っている静雄は、全力で腕を振りかぶる (我心開放に変身した以上、多少殴られようがかまわん!俺の胸を貸してやる!) 自らの防御能力に絶対の自信を持つ蟇郡は、静雄が落ち着くまで彼の攻撃を受けきることにした 「こい!平和島静雄!」 平和島静雄の拳が縛りの装の腕に当たり… 「ああ~いいぞぉ、もっとだ、もっと責めろ、俺を責めてみろ~!」 蟇郡の甘い声が周囲に響き渡った… 「お前、変態だったのか…」 余りにも予想外の出来事に怒りが霧散した静雄は、複雑そうに呟く 平和島静雄は、暴力が嫌いである 折原臨也以外には好んで暴力を振るわない彼は、一度激情が収まると、とりあえず話を聞く気にはなった 「変態ではない、変身だ!」 『変態』などという言いがかりをつけられた蟇郡は『変身』を解いて断固抗議するが、とにかく今は平和島が冷静なうちに話をするべきだと判断した 「先ほどの情報交換でも話したように、この島にはなんだかよく分からないものが溢れている 状況証拠だけでは犯人と断定はできん!なにより今は、あのキャスターという外道を成敗するべきであろう!!」 キャスター討伐が本来の目的だった以上、静雄もこれには反論できなかった 「しかし!お前が彼を疑うのもまた道理! キャスター討伐を終えた後、改めてもう一度彼に話を聞く! それで構わんな!!?」 「…ああ」 渋々といったように返事をする静雄 完全に納得したわけではないようだが、ひとまず落ち着かせることができたようである 一息付いた蟇郡は、コシュタ・バワーに元の形に戻るように念じる 元通りになったオープンカーを見て、こんな便利な物を快く渡してくれた人物が殺人者だと疑いたくはないという思いを強くする蟇郡 だが、今はそれよりも優先すべきことがある 「さぁ、時間を浪費してしまった 乗れ!!放送局へ急ぐぞ!!」 示される通りに助手席へ乗り込めば、蟇郡の運転でオープンカーは走り始める かくして、今度こそ衝突は必至であった筈の二人は一人の男の甘い嬌声によって再び道を同じくした 静雄は、老け顔の変態の大男と二人きりたぁうすら寒いな、と内心で愚痴をこぼした それから、本当ならばこの車の後部座席に、小さくて怖がりなメイド服の少女が一人乗るかもしれなかったと考えて 犠牲者は俺だけで充分かもな、と遠くの空を見た 【E-4 T字路/朝】 【蟇郡苛@キルラキル】 [状態]:健康、顔に傷(処置済み、軽度)、左顔面に少しの腫れ [服装]:三ツ星極制服 縛の装・我心開放 [装備]:コシュタ・バワー@デュラララ!!(蟇郡苛の車の形) [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル [思考・行動] 基本方針:主催打倒。 0:放送局に行き、外道を討ち、満艦飾を弔う。 1:平和島静雄の手綱を握る 2:キャスター討伐後、衛宮切嗣から話を聞く 3:皐月様、纏との合流を目指す。優先順位は皐月様>纏。 4:針目縫には最大限警戒。 [備考] ※参戦時期は23話終了後からです ※主催者(繭)は異世界を移動する力があると考えています。 ※折原臨也、風見雄二、天々座理世から知り合いについて聞きました。 【平和島静雄@デュラララ!!】 [状態]:折原臨也およびテレビの男キャスターへの強い怒り 衛宮切嗣への不信感 [服装]:バーテン服、グラサン [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:ボゼの仮面@咲-Saki- 全国編 不明支給品0~1(本人確認済み) [思考・行動] 基本方針:あの女(繭)を殺す 0:テレビの男キャスターをブチのめす。そして臨也を殺す 1:蟇郡と放送局を目指す 2:犯人と確認できたら衛宮も殺す 3:こいつ(蟇郡)、変態だったのか… [周辺への影響]: E-4エリアのT字路にて、平和島静雄がコシュタ・バワー@デュラララ!!を空高く放り投げました 近隣エリアにいれば、コシュタ・バワーを目撃できたかもしれません 時系列順で読む Back 進化する狂信 Next 女はそれを我慢できない 投下順で読む Back 進化する狂信 Next Trouble Busters 095 あげたかったのは、未来で 蟇郡苛 132 One after another endlessly 095 あげたかったのは、未来で 平和島静雄 132 One after another endlessly
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寸善尺魔 ◆X8NDX.mgrA 夜道を三人の男が歩いている。 先頭は蟇郡苛、その少し後ろに衛宮切嗣と折原臨也。 各々デザインは違えども黒を基調とした服装をしており、傍目から見るとかなり怪しい。 それどころか、黒ずくめの服装と独特な風貌が合わさって、非常に近寄りがたい雰囲気を醸し出している。 先頭を往く蟇郡苛。彼の眼光は鋭く、しっかりと前を見据えている。 本人にしてみれば進行方向を見ているだけなのだろうが、その視線は一般人を委縮させるのには十分なものだ。 二メートルはあろうかという大男なのも、誤解を生む原因足り得るだろう。 次に衛宮切嗣。一見すると普通の男性だが、その眼は明らかに死んでいる。 虚無を感じさせる黒々とした双眸から、感情の類を読み取ることは難しい。 これが正義の味方を目指した男だと、誰が想像するだろうか。 最後に折原臨也。彼は一見すると整った顔立ちの青年だ。 威圧感も虚無感も持ち合わせておらず、ただその内心では、人間への貪婪な好奇心が膨らみ続けている。 一見すると危険性に気付かない、という意味では一番危険な男である。 そんな三人が、行動を共にしている。 目的地はゲームセンター。殺人事件の現場に向かい、現場を調査するのが主な目的だ。 もっとも、三人のうち二人は密かに別の目的を持って動いているのだが。 「ねえ蟇郡君、腕輪探知機の反応はどう?」 ラビットハウスを出てから会話らしい会話をしていなかった三人の間に、きっかけを作ったのは臨也だった。 といっても、腕輪発見器の人数を確認するだけのこと。 形式的と言えばそれまでだが、どうやら蟇郡は忘れていたらしく、探知機を取り出して操作した。 「む?これは……」 立ち止まり、怪訝な声を出した蟇郡に、臨也と切嗣は近づいていく。 蟇郡は振り返ると、二人に人数の表示を見せた。 しかめっ面の蟇郡に対して、臨也は興味深そうな声を漏らし、切嗣は眉を僅かにひそめた。 ラビットハウスで確認した際には「7」だった数字が、「9」に増えていたのだ。 「参加者が増えたか……平和島静雄と遭遇していなければいいが」 「このエリアに来たってことは、当然目指すのはゲームセンターかラビットハウスだろうし、もしかしたら承太郎君たちの方に行ったかもね」 「なんにせよ、危険人物でないことを願いたいな」 名も知らない参加者の身を心配する蟇郡。 不安を煽るような言葉を吐く臨也。 嘆息と共に結論付ける切嗣。 三者三様の反応を示して、三人は再び歩き出した。 ■ 蟇郡たちが腕輪発見機を操作する十数分前。 「あれがゲームセンターか……結構大きいんだな」 「エリアは……G-7だ。間違いないな」 ゲームセンターの外観を見上げながら、二人の参加者が小声で会話していた。 風見雄二と天々座理世。 学生服とメイド服という奇妙な組み合わせの二人だ。 二人は幸か不幸か、他の参加者とは遭遇せずに、このゲームセンターまで辿り着いていた。 支給品の確認をして以降、石橋を叩いて渡りながら来たため、時刻はすでに黎明になって、三十分以上が過ぎている。 そのことにリゼは少なからず焦りを感じているようで、雄二へと早口で話しかけた。 「風見さん、早く入ろう。誰かがいるかもしれない」 「ああ、だが少し待て。……見ろ、あれを」 雄二が指し示す方向を見たリゼは、その惨状に唖然とした。 剥がれた路面に、変な方向に曲がったガードレール。果ては倒れた自動販売機。 交通事故のニュースで流れているような映像が、そのまま雄二たちの目の前にあった。 「恐らくは戦闘があったのだろう。遠目からでは詳しくは分からないが、銃火器が使われた可能性が高いな」 「……じ、じゃあ、まだ近くに……!?」 口を開けたままだったリゼは、雄二のその言葉で現実に引き戻された。 銃火器を持って、しかも戦闘を行うような参加者がこの近くにいる。 リゼも武器は保持しているが、戦闘目的で使用した経験がない以上は素人も同然だ。 危険人物に恐怖が湧いてくるのは必然だった。 (まさか、この近くで待ち伏せをしているんじゃ?) 戦争で警戒するべきなのは、待ち伏せと急襲。その程度の知識はリゼにもあった。 それ以上の恐ろしい想像までしたようで、リゼは恐怖を振り払うように頭をぶんぶんと振る。 (弱気になるな、いざというときには、私がチノやシャロたちを守るんだからな!) そう自分に言い聞かせるリゼをよそに、雄二は惨状に近づいていった。 地面に落ちた破片を拾ったり、ガードレールの曲がり具合を見たり、抉れた地面をなぞったりしている。 躊躇なく惨状に近づいて行った雄二の後を、リゼは恐る恐るついていった。 「ちょ、ちょっと」 「しっ。……静かに。周囲で何か聞こえるか?」 唇に人差し指を当てた雄二の言葉に、リゼは目を閉じて耳をすませた。 そして十数秒後、ゆっくりと目を開ける。 「……いや、聞こえない」 「そうだな……この近くにはいない、と見るべきか」 こればかりは二人にとって幸いなことに、平和島静雄はこの場にはいなかった。 確かに、越谷小鞠の死体を発見して激昂した静雄は、ゲームセンター周辺にその怒りをぶつけた。 だが、少なくともこの時には、破壊衝動を器物損壊という形で表現することを一旦終えて、宿敵折原臨也を探し回ることに集中していたのだ。 結果として、ニアミスした雄二たちは噴火の余波を受けることはなかった。 それでも、姿なき破壊者の存在は、雄二たちに危険だという意識を植え付けた。 とりわけリゼには、その意識が強く植え付けられた。 「その人物がここに戻ってくる可能性もある。それまでにゲームセンターの中を調べよう」 「ちょっと待ってくれ、その危険人物に知り合いが襲われているかもしれない。 私の知り合いは……襲われたらまず助からない!」 破壊の痕跡を見たためか、リゼは焦りを隠せないでいた。 チノやシャロたちを守ると誓ったリゼにしてみれば、その心配は当然のものだ。 そんなリゼと対照的に、雄二は全く焦った様子はなく、コンクリートの破片が落ちている辺りに屈んで付近の地面を探っていた。 そしてリゼの言葉に、その体勢のまま返事をした。 「落ち着け。よく考えるんだ、居場所も分からない相手をどうやって探す。 それにこんな破壊をやってのける奴に、焦って挑んだところで勝ち目はない」 その雄二の言葉には、説得力が感じられた。 圧倒的な武力の前に、何の対策も講じずに立ち向かうのは、勇気ではなく無謀である。 もしこの惨状が銃火器やそれに類するもので行われたのだとすれば、現在の手持ちの装備では対応しきれない。 このような説明を受けたリゼは、いくらか冷静になって、周囲の破壊の痕跡を確認した。 改めて見ると、破壊の爪痕はただの拳銃程度では再現できそうもないほどに大きい。 「確かに、こんな破壊をするには、バズーカ砲でもないと……」 「いや、もしかすると銃火器は使用していないのかもしれない」 「え?」 前言撤回した雄二の言葉に、リゼは疑わしげに首を傾げた。 リゼにしてみれば、この破壊跡はどう考えても激しい戦闘が行われた結果である。 そのことを反論しようと口を開きかけるリゼだったが、雄二の真剣な眼差しに口をつぐんだ。 雄二は立ち上がって辺りを見渡すと、確信を持った口調でリゼに向けて話し始める。 「この辺りには破壊された跡はあるが、弾痕も無ければ薬莢も無い。 硝煙の臭いが全くしないのも不自然だ。 それにあの倒れた自販機だ。ぶっ倒れて配線は引き千切れているのに、倒れたときにできた傷以外には凹み一つ見当たらない」 銃撃や爆発で倒されたにしては綺麗すぎるのだ、と。 雄二に促され、リゼは二人で倒れた自動販売機を見下ろした。 リゼの目から見ても、弾丸が撃ち込まれたり、刃物で傷つけられたりといった傷は無かった。 そして、その事実がリゼを更に困惑させる。 「でも、それってつまり、素手で自動販売機を倒したり、電信柱を砕いたりしたってことだよな……。 そんなのありえるのか!?」 「俺は実際に目の前にある事象は、何であれ信じることにしている。 ……詳しいことは、あの破壊された壁のあるフロアに行けば分かるかもしれないな」 「破壊された壁」と言いながら雄二が指し示した方を見て、リゼは再び驚愕した。 ゲームセンターの壁に、爆弾で破壊されたような大穴が開いていたのだ。 あの破壊も生身の人間によるものなのだろうかと考えて、リゼは背筋が凍るような感触を覚えた。 ありえない。そう考えたかったが、雄二の意見も否定することはできない。 「もしかすると、『魔術』とやらが関係しているのかもしれないが……」 リゼが混乱の極みにいる中で、雄二はぽつりと呟いた。 アゾット剣の説明にあった魔術という単語が、雄二の心に引っかかっているのだろうとリゼは察した。 とはいえ、雄二にもリゼにも魔術に関する知識が無い以上、それが現実においてどう作用するのかは想像の域を出ない。 雄二もそれ以上は考えを保留にしたようで、リゼに向けて顔を上げた。 「思わぬ時間を食ってしまったな。さっさと探索を済ませよう」 「ああ。……だが、一つ謝らせてくれ。 すまない、風見さん。私はまた動揺してしまったらしい……」 顔を伏せて落ち込む様子を見せるリゼ。 大切な友人たちを心配するあまり、焦って冷静さを欠いていたのはリゼ自身も理解していた。 そして、それを責めずに窘めた雄二に、リゼは申し訳なさを感じていた。 余計な時間を取らせてしまったことは明白だったからだ。 だが、雄二は特に気にした様子もなく、こんな言葉を返してきた。 「ネガティブなイメージが沸くのは、危機管理が出来ている証拠だ」 「え?」 「危機管理が出来ている方が、俺としても守りやすい。そのままでいてくれ」 返ってきた発言の意味を噛み砕いて、それがある種の慰めの言葉であるらしいと気付いたリゼは、雄二に対する認識を改めた。 冷静なのは確かだが、その一言で言い表せる人ではない。 「……ありがとう」 「よし、行くぞ」 照れながら発した言葉には反応せず、雄二は早足でゲームセンターの入口へと向かう。 リゼは急いで、雄二の背中を追いかけた。 ■ 「そういえば、蟇郡君とは情報交換してなかったよね?」 ラビットハウスからゲームセンターへの道中。 数分間続いた無言を破ったのは、またしても折原臨也であった。 先頭の蟇郡に対して情報交換を持ちかけるその顔は、臨也を詳しく知る人物からすれば胡散臭さを感じるものだったろう。 しかし、顔を合わせて一時間と経っていない蟇郡に臨也を警戒するという発想はない。 「む、そういえばそうだな」 「衛宮さんとはもう済ませたんだ。君も知り合いとか、もし危険人物がいたら教えてよ」 「了解した。ではまず……」 鬼龍院皐月、纏流子、そして満艦飾マコ。 蟇郡は名簿にある知り合いの三人を、簡単な特徴と共に告げていく。 皐月を紹介するときには些か誇らしげに、マコを紹介するときには些か複雑な面持ちで。 臨也はそこから、蟇郡の心情の機微を少なからず感じ取った。 もちろん、それを口に出すことはしない。 「俺も含めた四人は、本能字学園の生徒だ」 「本能字学園?確かこの島にもそんな名前の施設があったよね?」 「ああ、全く同じ名前だ。実際に見ていないからなんとも言えんがな」 それから、と蟇郡は危険人物についての話をし始めた。 前置きとして鬼龍院財閥について説明が始まり、その内のREVOCSコーポレーションについて特に詳細を語った。 ようやく針目縫の名前を出したところで、臨也が一旦蟇郡を遮った。 「ちょっといいかな? 俺、その鬼龍院財閥とか、REVOCS社?っていうの、初耳なんだよね。 君の話だと、世界に誇るレベルで相当に有名な会社みたいだけど」 その言葉に、蟇郡は振り向いて臨也に詰め寄った。 巨体が覆いかぶさるようにして、臨也にプレッシャーを与える。 「なんだと?REVOCS社は世界各国に進出している大企業だ、知らぬということはあるまい。 鬼龍院財閥とて同様、遍く世界に名の轟いている財閥だぞ」 「いや、僕もそんな会社は聞いたことがないな」 「なっ!?」 臨也のみならず切嗣にも否定され、蟇郡はひどく動揺した様子を見せた。 蟇郡からしてみれば、世界の常識を否定された気分なのだから当然だろう。 そしてこの反応は、臨也にある推測をさせるのに充分だった。 「どう思いますか?衛宮さん」 「……文字通り、住む世界が違うということなのかな」 「そう思いますよねぇ、やっぱり」 「どういうことだ?」 臨也と切嗣が頷き合うのを見て、蟇郡は首を傾げる。 それを見た臨也は、口元に笑みを作り、得意げに推論を話し始める。 「蟇郡君にとっての常識と、俺や衛宮さんにとっての常識が違ってる。 これってつまり、“世界が違う”か“時代が違う”って考えるしかないんじゃない?」 「……?」 意味が分からないという顔をする蟇郡を尻目に、臨也は再び歩き出した。 それを見た蟇郡は、思い出したように臨也の後を追ってくる。 「君と俺の住んでいる世界は、異なる世界ってこと。 平行世界(パラレルワールド)とか、そういうのを想像すると理解しやすいかな」 「馬鹿な……?タイムマシンでも使ったというのか?」 蟇郡はにわかには信じがたいようで、臨也に不審そうな目を向けている。 そんな視線を受け流し、臨也は蟇郡に向けて単語を列挙し始めた。 ひとつひとつ、ゆっくりと、蟇郡の反応を横目に見ながら口にする。 「『平和島幽』『聖辺ルリ』『殺人鬼ハリウッド』……」 「ん?なんだ突然」 「今挙げた単語で聞いたことのあるものは?」 臨也が並べ立てた単語は、全国民が知る、とまでは言えないが、それなりにメディアに触れていれば記憶に残る程度の知名度がある。 『首無しライダー』も池袋界隈を沸かせたが、そのような都市伝説とはわけが違う。 「どれも知らないな。殺人鬼など聞いたことも――」 「あれー、おっかしいなぁ。どれも俺の世界ではテレビで話題になった、常識みたいなものなんだけど」 臨也の言葉に、蟇郡は言葉を詰まらせた。 蟇郡の世界での常識を臨也が知らないだけならば、蟇郡にとって臨也は単なる世間知らずな人間である。 だが、臨也の世界の常識を蟇郡が知らないということになれば、双方向に未知の事実が存在していることになり、臨也の平行世界説を補強する。 蟇郡の反応は、そういう意味で臨也の思惑通りであった。 「……納得はできんが理解はできた。 つまり、あの少女には異なる世界を移動する手段があるということだな」 だが、直後の蟇郡の適応の速さは、臨也にとって少し予想外だった。 もともと蟇郡は、風紀委員長を務めるだけあって堅物なのは間違いないが、だからといって柔軟な思考ができないわけではない。 極制服や生命繊維など、一般的な感性からすれば超常の存在を知識として持っている。 パラレルワールドという超常現象も、理解しようとすればできるのだ。 「ま、タイムマシンっていうのも可能性としてはありだよね。 となると俺からしてみれば、蟇郡君は未来の人ってことになるんだけど。 ……衛宮さん、時間や空間を移動する、魔法めいた方法に心当たりはありませんか?」 臨也は軽い調子で、ほとんど喋っていない男性に問いかける。 臨也にとって、この質問自体に大した意味はない。 むしろ“切嗣がどう返答するか”を期待するところが大きい。 切嗣が臨也の性質を見極めようとしているように、臨也も切嗣を観察し分析しようと試みていた。 この島に来てから、既に空条承太郎という面白い『人間』を見つけていたが、それはそれ。 飽くなき探求心にも似た貪欲さを発揮して、臨也は切嗣が『人間』なのか否かを観察して判断する。 その手段として、映画館で承太郎にしたように、カマをかけた。 とはいえ、まだ切嗣は底が知れない相手であったから、先刻のようにナイフを向けたりはせず、言葉の上での問答を用いたのだ。 「……どうかな。ただ、僕としては折原君の意見を尊重したいと思うよ」 そんな意味を含んだ問いかけに、目を伏せて答える切嗣。 第三者からすれば肯定とも否定ともつかない曖昧な返答であったが、臨也は言外に切嗣の意志を感じ取った。 それは“尊重”という一つの単語だ。 この単語、出会って間もない相手に使うには非常に違和感があるし、かといって、いい大人が誤用をしてしまうような難単語ではない。 つまり、臨也に対してプラスの感情を抱いていることを、切嗣が婉曲的に表現した、と臨也は考えた。 好意的で楽観的な解釈ではあるが、臨也は半ば確信していた。 (シズちゃんを嵌めたのは間違いなくこの人だろうし、出来ることなら、二人だけで話したいね……) ただ、切嗣をより深く理解するには、二人きりでの対話が必要だと臨也は判断する。 返答が曖昧であったのも、一対一の状況ではなかったことが原因であると推測できる。 臨也としては、初対面であろう平和島静雄を嵌めた理由などは、是非とも尋ねてみたかった。 ゲームセンターで対話の場が設けられれば万々歳、臨也はそう考えた。 「それより、そろそろゲームセンターが見える。ほら、あれだ――」 その声に、臨也は思考を切り替えて、切嗣の指さす方を見た。 歩く速度はラビットハウスを出た直後に比べれば落ちていたが、それでも歩みを進めていた以上、目的地には辿り着く。 三人の目には、周りの建物よりひときわ高い、ゲームセンターが見えていた。 ■ ゲームセンターの探索を始めてからしばらく経った雄二は、些か拍子抜けしていた。 三階までくまなく探索したが、期待した成果は何も得られていない。 プライズゲームが主な一階では、リゼがゲームの景品に目を奪われてしまい多少時間を喰ったが、肝心の探索は緊張感を持ちつつ淡々と進んだ。 それなのに、参加者はいない。目立った箇所もない。 時計を見ると、既に三十分以上を費やしている。 ここの探索が無駄足で終わるのではないかという不安が、雄二の頭にはよぎり始めていた。 「意外と何もないな。普通のゲームセンターって感じだ」 近くにいたリゼも、緊張感を失ったのか、だいぶ表情が柔らかくなっている。 無駄に緊張しすぎるのもよくないため、これはむしろ良い傾向だと雄二は考えた。 「そうだな。例の壁に開いた大穴は、おそらく次のフロアだろう。 なにかしら手がかりが残されていればいいんだが」 言いながら階段を上って行き、新たなフロアへと足を踏み入れる。 紹介文によれば『ビデオゲーム・対戦ゲーム』が中心のフロアで、今までと同様に騒がしかったが、それとは別のことを雄二は感じ取った。 風が入り込んでいるのは、開けられた大穴からだろうと推測できる。 その風に乗って、何かが雄二の鼻腔を鈍く刺激する。 (これは――血の臭い!?) 戦場で何度も嗅いだ臭いに、雄二は足を止め、緊張を募らせた。 しかし、リゼは今までのフロアで緊張してきた反動か、さして警戒した様子もなく、機械的に探索を進める。 その理由は、リゼが血の臭いをかぎ分けるだけの経験がなかったこともあるだろう。 また、探索することに慣れてしまったこともある。 どちらにしても、リゼ自身が気づいて抑制することはできなかった。 「リゼ、不用意に進むな!」 「でも壁を壊した犯人は外にいるんだろ? だったら平気で…………っ、いやああああっ!!?」 「くっ!」 悲鳴と同時に、きれいに腰を抜かすリゼ。 雄二は急いで駆け寄ると、リゼが見ている方向へと視線を向けた。 そこにあったのは、頭がゲーム筐体の下敷きになっている人間の姿だった。 「しっ、死んでるっ……!」 「……」 それがもはや動き出さないことは、誰が見ても明らかであった。 全く動けない様子のリゼは落ち着くまで放置することにして、雄二は遺体の元へと歩み寄る。 顔は見えなくても、体型から遺体が少女だということは簡単に判別できた。 雄二は慎重な手つきで、メイド服の下も含めて身体を検分する。 それはたった数分で終わった。目立った外傷も、内出血も、暴行された形跡もなかった。 メイド服も汚れたり破れたりはしている箇所はない。 しかし、何故か下着を“はいてない”ことには流石の雄二も困惑した。 (いや、落ち着け。こういう趣味ということも考えられる) 雄二は冷静に状況を調べることを続けた。 まず、頭部以外の肉体には傷らしき傷がないと分かったが、肝心の頭部を潰している凶器は、百キロはあるだろうゲームの筐体だ。 これで頭部を潰すのは、そうとうな力がなければできないと予想できる。 それこそ外の破壊を行えるような馬鹿力が必要だ。 「な、なあ……ちょっといいか……?」 「ん?……あぁ、気を付けて行ってくれ」 声に振り返ると、そこでは顔色の悪いリゼが口元を押さえていた。 死体を見たことで嘔吐感に襲われたが、かろうじてその場で吐くことを留まったのだろう。 雄二はそう判断して、すぐにリゼをお手洗いのマークがある方へと促した。 リゼは矢も盾もたまらずといった様子で駆け出した。 そしてその瞬間に、雄二は電流が走ったような感覚に襲われた。 (まさか、この少女が下着を付けていない理由は――!) 雄二はフロアの中をくまなく探索した。 そして、雄二の仮説を裏付けるものが、このフロアには存在した。 サイズからして少女の物と思われる、下着を含めた脱ぎたての衣服である。 雄二は僅かに湿ったそれをまじまじと見つめながら、これがこのフロアにある意味について考えた。 そして考えをまとめると、上階への階段へと急いで向かった。 ■ ゲームセンター内のトイレにて。 リゼの脳内では、先程見た死体がフラッシュバックしていた。 力なく床に横たわった小さな身体と、周囲に飛び散った赤黒い血液。 ゲームセンターという日常に近い場所で、殺人が行われたという事実は、平凡な日常を過ごしてきたリゼに強い衝撃を与えた。 (チマメたちと同い年くらいの女の子が、頭を、潰されて――!!!) 「うぶっ……」 あまつさえ、リゼ自身や知り合いが物言わぬ死体となった瞬間を想像してしまい、リゼは堪え切れず嘔吐した。 そうして胃液まで出し切って落ち着くのには、数分間を要した。 「はぁーっ……はぁ……」 洗面台を汚した吐瀉物を水で流して、リゼは鏡を見た。 その顔は自分の目から見ても酷いもので、リゼは両手で顔をぴしゃりと張った。 「チノやココアたちを、あんな風に死なせちゃいけない……!」 自分への戒めの言葉を呟いて、リゼはトイレを出た。 一番近いトイレは二階にあったため、雄二のいる四階に戻るには階段を登らなければならない。 そのことに多少の疲れを感じながら、階段に足をかけようとしたその瞬間。 「そこの女子!貴様も参加者か!?」 質量を持ったような声が、リゼを背後から襲ってきた。 「ひっ!?」 いくら自分を戒めようが、背後から突如大声で呼びかけられたら、緊張に身体を震わせてしまうのは当然だろう。 リゼは後ろをゆっくりと振り返る。 そこにはリゼよりも、同行者の雄二よりも更に大きい男が立っていた。 (まさか、この人が……?) 蟇郡の巨体を見て、ゲームセンター前の破壊活動を行ったのはこの人物ではないか、とリゼが考えるのもまた、道理であろう。 なにせ蟇郡は、自動販売機よりも大きい身の丈をしているのだから。 しかし、リゼが抱いたその不安は、良い意味で裏切られた。 「あのさぁ……どうして怖がらせるようなことするの?」 「え……」 黒服の巨体の背後から、別の人間が現れたことで、リゼは叫んで雄二を呼ぶことを思い止まった。 未だに警戒は解かないものの、相手の話を聞くことに集中する。 「いやぁ、ごめんね怖がらせちゃって。この人いつもこんな感じなんだ。 俺は折原臨也。こっちは蟇郡苛。あともう一人いるんだけど、その人は周囲を捜索してから来るみたい。 俺たちは目的があってここに来たんだけど……。 って、いきなりすぎたかな。よかったら名前を訊かせてくれるかな?」 「……私は天々座理世だ」 両掌をリゼに向けながら、笑顔を見せて警戒を解こうとする臨也。 実際のところ、臨也の整った容姿と丁寧な対応、優しい声音によって、リゼはこの時点で半ば信頼しかけていた。 同時に、相手の状況を把握したことから冷静さが生まれて、普段の調子で返答が出来るまでに回復していた。 「そっか、リゼちゃんっていうんだね。 随分顔色が悪いけど、どうしたのかな? ……もしかして、女の子が死んでいるのを見ちゃった、とか?」 「っ!?」 このとき、リゼは緩めていた警戒を再び引き締めようとした。 具体的には、距離を取って拳銃に手を伸ばそうとしたのだ。 だが、こと言葉の上での駆け引きにかけて、情報屋はあまりに有利であった。 「ああ、警戒させちゃったみたいだね。 実は俺たちがここに来た理由の一つが、その女の子の遺体を調べることなんだ。 あまり大声じゃ言えないんだけど、俺の知り合いが殺したかもしれなくってさ」 拳銃に伸ばしかけた手を硬直させ、リゼは臨也の語る内容に耳を傾けた。 臨也はリゼに気付かれないように薄い笑みを浮かべ、すらすらと淀みなく話し続ける。 “立て板に水”とはこのことである。 「リゼちゃんも見ただろう?ここの近くが、めちゃめちゃになっていたのを。 自販機が倒されていたり、このゲーセンの壁に大穴が開いていたり。 あれをやったのも、そいつの仕業なんだよ。 だから俺たちは、その女の子の遺体を調べて、確固たる証拠を見つけたいんだ」 確かに理屈は通っていると、リゼは思った。 女の子の頭部を潰していたのはゲームの筐体で、かなりの重さがありそうだった。 あれを持ち上げて落としたのだとしたら、それこそ巨体の蟇郡でもないと不可能な芸当だ。 「どうかな、信頼して貰えたかい?」 「えーっと……」 「なるほど。あの女の子が誰に殺されたかは、俺も興味がある。是非とも聞かせて貰えないか」 リゼの背後から、階段を下りてきた雄二が臨也に声をかけた。 片手には支給品のキャリコを油断なく構えている。 戻ってこないリゼを心配してか、それとも蟇郡の声が聞こえたからか、様子を見に来たらしい。 「それじゃ、情報交換といこうか」 そう呟いた臨也の声を、リゼはとても愉快そうだと感じた。 ■ ゲームセンターの五階。 五人の参加者の情報交換は、切嗣が予想したより遙かに早く終了した。 というのも、風見雄二と天々座理世の二人は他の参加者と遭遇していないらしく、情報らしい情報は知り合いの名前しかなかったのだ。 一方の切嗣たちが持つ情報は、主に臨也が伝えた。 空条承太郎、一条蛍、そして香風智乃。ラビットハウスで待っている三人の名前。 「本当か!?ラビットハウスにチノが!?」 「間違いない。俺は香風にコーヒーを振る舞われた」 「そうか……よかった……生きてて……」 そんなやりとりをしてから、次に臨也と蟇郡の知人の名前が伝わった。 臨也から園原杏里と平和島静雄の、蟇郡から針目縫の危険性について強く語られたリゼは、安堵した表情を一転して引きつらせていた。 その後は、遺体となっていた少女の名前が越谷小鞠であること、支給品は盗難を懸念して預かっておいたことを切嗣が説明した。 さらにそれが終わると、臨也が再び平和島静雄を貶すことに終始した。 「じゃあ、その静雄って人がゲームの筐体を投げて……」 「ああ。そうに違いないよ。 外の暴風が通ったみたいな破壊の跡は、間違いなくシズちゃんだ。 監視カメラでもあればよかったんだけどね……生憎ここのはダミーみたいだし」 臨也は静雄の危険性をオーバーに話しながら、ときおり切嗣と視線を合わせてくる。 なにもこの瞬間だけでなく、ゲームセンターについてから、臨也はまるで切嗣に協力するかのような行動を取っていた。 例を挙げると、蟇郡が筐体を持ち上げたときがそうだ。 切嗣は筐体の下から灰皿の破片が発見されないか焦ったが、臨也の過剰な反応のお陰で、全員の視線が頭部に集中して事なきを得た。 遺体に適当な毛布がかけられて、砕けた灰皿が再び筐体の下に隠れてから、臨也がこちらを見てきたのは偶然ではない、と切嗣は考える。 臨也は切嗣の所業を理解しており、自分に協力する意思があると切嗣は確信していた。 「生身の人間なのに、あれだけの破壊を行えるのか?」 「ああ、池袋でもことあるごとに大暴れしてるよ。 その強さたるや、見た人からは“最強”って呼ばれてるくらいだ。 この殺し合いの場で放っておいたら、どんな被害を出すか分からない」 ラビットハウスを出てから、折原臨也の動向を観察していた切嗣は、一つの結論を出していた。 それは臨也が「同盟関係を組むのに相応しい相手である」ということ。 至極冷静な人物で、並行世界の可能性を考え付く程度には頭の回転も速い。 リゼの信頼をそれなりに得ている辺り、コミュニケーション能力も申し分ない、そして口がよく回る。 切嗣が交渉材料を持ち出すより早く、切嗣の犯罪を擁護するという形でフォローを入れる駆け引きの上手さもある。 協力できれば心強い人間だ――裏を返せば、引き留めておかなければ利用されかねない。 (そうなると、折原臨也と対話したいところだ) 目下のところ、切嗣が欲しいのは臨也と二人きりで対話をする機会だった。 とはいえ都合よく事態は進まないもので、情報交換が終わり、臨也は雄二と行動方針について熱心に話し合っている。 無理に二人きりになろうとすれば、怪しまれる可能性がある。 そして、全員でラビットハウスへ向かうことで話が固まりつつあったとき。 「あの、なんか変な声が聞こえるような……?」 この場でただ一人の女性であり、萎縮したのか知り合いの情報を話すとき以外は黙っていたリゼが、ここで口を開いた。 切嗣が耳をすますと、確かにそれまではしなかった音がBGMに混じって聞こえる。 「声?……ああ、確かに。上のフロアかな?」 「ならば俺が見て来よう」 臨也が天井を仰ぎながら言うと、それに対して蟇郡が腰を上げた。 流石は風紀委員長といった堂々とした様子で、声のする上階への階段へと向かう。 「いや、全員で行った方がいい。……何があるか分からないからな」 結果的に雄二の提案通り、五人は蟇郡を先頭に階段を上がった。 当然のことながら、広さや奥行きはそれまでのフロアと変わらないが、それまでと違い、ゲームのBGMなどが響く中で、耳に残る声がする。 雄二たちも未踏だった『ギャンブルゲーム』のフロアの壁に、本来ならばゲームに使用されているのであろう大きな画面がある。 そこに映っていたのは、ゆったりとしたローブを幾重にも重ねて着ている、長身の男であった。 遠目から見える不気味なインスマス面にも、独特な抑揚のためか芝居めいて聞こえる話し方にも、切嗣は嫌というほど心当たりがあった。 画面に近づいて確認するまでもなく、その男は自ら名乗りをあげた。 『此度の放映をご覧頂けた幸運なる皆様。私、キャスターのサーヴァント、ジル・ド・レェと申します』 切嗣以外の人間は、不快感と好奇心が入り混じったような表情をしている。 キャスターが口上を述べ終えると、三人の少女が映像に映された。 少女たちは、明らかな不審人物を前にしても微動だにせず、不自然に身体の一部を隠されていた。 キャスターによる放送という時点で、切嗣はある程度予想をしていたが、少女たちの様子からある確信に至った。 「この女の子たち、大丈夫なのか……?」 (いや、あの少女たちは生きて帰れないだろう) 恐怖と困惑の混じった顔のリゼの呟きを、切嗣は声に出さず否定した。 切嗣はキャスターの主従が冬木市において、聖杯戦争とは無関係の連続殺人を行っていたことから、その危険性を理解している。 しかも、キャスターがセイバーとアイリに接触した際に名乗った名は、放送でも本人が名乗ったように“ジル・ド・レェ”だ。 百年戦争の終結に貢献しながら、その後は黒魔術に耽溺、大勢の少年を虐殺したことで知られる、フランスの英雄の一人。 異常な人物であることは疑いようもない。 更に、それが聖杯戦争において魔術師(キャスター)の英霊として呼ばれたのだ。 純粋な戦闘力だけであれば最弱のクラスであるキャスターが、勝利するために取る手段は一つ。 「罠クサいねぇ、これ」 映像を見て呟いた臨也の言葉に、切嗣は心中で頷いた。 魔術師のクラスはその特性上、強力な魔術工房と権謀術数を駆使して戦争を勝ち抜かなければならないのだ。 霊力の強い土地に自らの陣地を作り、その場に他の英霊を誘き寄せて、圧倒的に有利な場所での戦闘を行う。 キャスターの放送で映された三人の少女は、いわば食虫植物が放つ甘い匂いのようなもの。 それに釣られて寄って来た参加者を、新たな犠牲とするつもりに違いない。 切嗣はこの時点で、準備もなしに行動することは危険だと判断していた。 『不肖ジル・ド・レェ、僭越ながらこの可憐な少女達を保護させて頂いております。 ご友人の方々は是非とも放送局までお越し下さい。彼女達もきっと喜ぶことでしょう』 切嗣や雄二が地図を確認して、放送局の場所を確認する。 とはいえ、キャスターの口車に乗って放送局に向かおうと提案する者はいなかった。 たった一人を除いては。 「間違いない……あれは満艦飾だ!」 切嗣が階下に戻ろうと歩み始めたそのとき。 映像が途切れても画面を凝視していた蟇郡が、ゲームの音声をかき消すほどの大声で叫んだ。 どうやらキャスターが引き連れていた少女たちの中に、知り合いがいたらしい。 それを聞いた切嗣は、蟇郡の次の発言、及び行動が予想できた。 「……俺はラビットハウスには行かず、直接放送局へと向かせてもらう!」 薄々感づいてはいたが、切嗣は蟇郡の思考があまりに単純なことに溜息をついた。 騎士道精神を持つセイバーやランサーよろしく、誰かのために忠義を尽くすタイプの人間であるらしい蟇郡は、友人の保護を選択した。 しかも、単騎で魔術師の陣地に突入するというのだ。 サーヴァントの脅威を知る切嗣はもとより、そうでない者でも無謀だと感じるだろう。 しかし、当の蟇郡の瞳は決意に燃えており、前言を撤回する様子は微塵もない。 キャスターの連れてきた子供たちを守ろうと、強く切嗣の名を呼んだ騎士王の姿を思い出し、切嗣は舌打ちをしたい気分になった。 ■ 蟇郡の頭の中は、満艦飾を救うということでいっぱいだった。 蟇郡は同じ四天王の犬牟田と違い、思慮が浅いことは自覚しているが、それでもキャスターの放送が罠であることは理解できた。 しかし、それを考慮してもなお、満艦飾を保護するべきだと考えたのだ。 「天々座、香風への言伝を頼めるか。『放送局に行き友人を保護してくる』と」 「あ、ああ。分かった」 「それと、風見。これを渡しておこう。元は香風の支給品だが、俺が持つよりはいいだろう」 雄二に、蟇郡は腕輪探知機の入ったカードを手渡した。 黎明に使って以来、だいぶ時間が経っていることを思い出し、参加者が増えている可能性が蟇郡の頭をよぎったが、実際に口には出さなかった。 それ以上に、ただただ満艦飾のことが心配だった。 雄二は受け取った探知機をポケットにしまうと、はやる蟇郡に対して尋ねた。 「移動手段はどうするんだ?」 「む……」 この雄二の質問には、それまで即決してきた蟇郡にも迷いが生まれた。 放送局があるエリアと、現在地との距離を鑑みるに、徒歩ではどう考えても時間がかかりすぎる。 一刻も早く放送局に行きたい蟇郡は、迷ったような視線を切嗣に向ける。 切嗣がコシュタ=バワーを保持していることを知ってのことだ。 「構わないよ。蟇郡君、これを」 「だが、それでは俺が一方的に好意に甘んじることに……」 視線に、切嗣は快く応じた。 一方、コシュタ=バワーの入った黒カードを渡された蟇郡は、少し負い目を感じて受け取ることを渋った。 蟇郡の支給品は本人支給の極制服のみ。お返しにと切嗣に渡せる道具はなにもないのだ。 無意識に物欲しげな視線を送ってしまった自分自身を、恥じる気持ちもあった。 「いや、君の支給品はその学生服……極制服だったかい? それしかなかったんだ。気にすることはないよ」 しかし、蟇郡の心配をよそに、切嗣は気遣う言葉さえかけてきた。 蟇郡は思う。衛宮切嗣のような親切な人間と出会えたことは幸運であったと。 「……恩に着る。では、俺はこれで」 蟇郡はコシュタ=バワーを取り出すと、念じて愛用の車の形にした。 念じただけで変化する不思議な物質に興味を抱くこともなく、蟇郡は西を見据えている。 「待っていろ、満艦飾……すぐに行く」 満艦飾はよくわからない人物だが、こんなところで殺されていい人間ではないと断言できる。 本能字学園の風紀部委員長は、大事な生徒を保護するために、一路放送局を目指す。 【G-7/一日目・早朝】 【蟇郡苛@キルラキル】 [状態]:健康、顔に傷(処置済み、軽度) [服装]:三ツ星極制服 縛の装・我心開放 [装備]:コシュタ・バワー@デュラララ!!(蟇郡苛の車の形) [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル [思考・行動] 基本方針:主催打倒。 0:放送局に行き、満艦飾を保護する。待っていろ。 1:平和島静雄が殺し合いに乗っている人物だと皐月様に報告せねばならない。 2:皐月様、纏、満艦飾との合流を目指す。優先順位は皐月様>満艦飾>纏。 3:針目縫、平和島静雄には最大限警戒。 [備考] ※参戦時期は23話終了後からです ※主催者(繭)は異世界を移動する力があると考えています。 ※折原臨也、風見雄二、天々座理世から知り合いについて聞きました。 ■ 勢いよく放送局へと走り去った蟇郡を見送ると、臨也は雄二たちに向けて言った。 その顔には、情報交換の頃からずっと、柔和な笑みが浮かんでいる。 「じゃあ、ここは俺と衛宮さんで探索しておくから、風見君たちはラビットハウスに行ってよ」 「え、いいのか!?」 リゼはこの提案に二つ返事で承諾した。 知り合いを心配していたリゼならば、当然の反応だろうと雄二は考える。 しかし、雄二は違う。ある懸念事項が雄二の心中に渦巻いていた。 「できることならもう少し探索したいんだが」 「やだなあ、風見君。リゼちゃんを一人にするつもりかい? この島に来てからずっと一緒なんでしょ?一緒に行ってあげなよ。 俺や衛宮さんが一緒に行ってもいいけど、それはリゼちゃんにとっても負担じゃない? さっき知り合ったばかりの大人と一緒にされるよりは、風見君が一緒の方がいいと思うけど」 ところが、ゲームセンターに残るという案は臨也によって否定された。 その反対意見の理屈も通っている以上、無碍にすることもできない。 リゼを保護するというのが最初の目的であったことも、雄二にそれ以上食い下がることをさせなかった。 「それに、もうこの上の階層には、参加者はいないはずだから、そんなに人手もいらないしね」 そう言って手をひらひらと振る臨也。 口調だけでなく動作も軽いが、しかし隙らしい隙は見せない。 情報屋というのは、そういった技術も必要なのだろうかと雄二は考える。 「……そうか。なら言葉に甘えて、俺たちは先にラビットハウスへと向かわせて貰う」 「ああ、それがいい。リゼちゃんは一刻も早くチノちゃんに会いたいだろうしね」 口元に笑みを絶やさずに喋る臨也の姿は、雄二に胡散臭さを感じさせた。 とはいえ、相手が胡散臭いというだけで食って掛かるのは、短絡的が過ぎる。 雄二の背後でリゼがそわそわとしていることも手伝って、最期まで雄二には効果的な反論が思いつかなかった。 「それじゃあ、俺たちもすぐ行くからさ!承太郎君たちによろしくね」 「道中は気を付けてくれ」 そう言うと、臨也と切嗣は再びゲームセンターの店内へと入って行った。 雄二はリゼを促して、共にラビットハウスへと歩き出す。 すると、ゲームセンターから少し離れたところで、リゼが雄二に話しかけた。 「風見さん、どうしてゲームセンターに残ろうとしたんだ?」 心から不思議そうな声で問うリゼに、雄二は質問で返した。 「越谷小鞠を殺害した犯人は誰だと思う?」 「え?平和島静雄って人なんだろ?」 「どうしてそう思った?」 「どうしてって……それは……ゲーム機を投げられる馬鹿力があるらしいし……。 それに、衛宮さんは壁を壊して出てくるところを見たって言っていたじゃないか」 リゼの意見はもっともだった。 平和島静雄について、折原臨也は危険性を証言し、衛宮切嗣は壁を破壊したことを証言した。 二人の発言を全て信じるならば、越谷小鞠の殺害犯は確定したのも同然だ。 しかし、雄二は蟇郡一行と情報交換をしてから、ある一つの可能性を思い浮かべていた。 「そこが引っかかるんだ。 平和島静雄が殺人犯だと判断できる情報は、現状では伝聞されたものしかない」 例えば、犯行の瞬間を捉えた映像や音声。 或いは、被害者の越谷小鞠によるダイイングメッセージ。 平和島静雄の凶行を証明する、物的証拠が存在しない。 「あくまで可能性の話だが……全部が全部、嘘ということも考えられる」 「まさか!?」 リゼは大きな声を出して、それが早朝の街に響いたことに驚いて口を噤んだ。 しかし、困惑した視線を引き続き向けてくるのは変わらない。 困惑しているのは雄二も同様だった。 ただ越谷小鞠の遺体が置いてあるだけなら、悩むことはなかった。 だが、越谷の服と、その後に駆け足で探索した上の階層で、不自然に荒らされていたプリクラの衣装が、雄二の頭を悩ませた。 (あの濡れた下着と、プリクラの試着室から越谷の着ていたものと同じ型のメイド服が漁られていたことから考えられる仮説がある。 『平和島静雄が下着を濡らした越谷小鞠のため、メイド服を上階から調達した』というものだ。 ……この仮説がもし正しいとしたら、平和島静雄はそもそも殺人を行うような人物とは思えない) 平和島静雄は本当に犯人なのか?という疑い。 それは殆どが雄二の推測であり、確実性は臨也や切嗣から伝え聞いた情報と大差がない。 “平和島静雄の犯行ではない”ことを証明するのは、悪魔の証明に近いものがある。 だからこそ、雄二は全員の前で言い出さなかった。 殺人を犯していようがいまいが、平和島静雄が危険であるという事実は、ゲームセンター周辺の惨状から見て明らかだ。 それを徒に覆して場を混乱させるのは、得策ではないと判断した。 「とはいえ、現状では平和島静雄にだけ気を付けていればいいだろう」 「そ、そうだな。なんたって壁を壊すほどの奴だからな……」 そう言いながらも、雄二は仮説を打ち立てていた。 平和島静雄が壁を破壊したときに、それを目撃していたということは、即ち近辺にいたということになる。 腕輪発見機の反応のことを考慮に加えると、越谷小鞠を殺害できるのは二人だけなのだ。 そう、平和島静雄を除けば、あと一人。 (衛宮切嗣――この男が平和島静雄に罪を着せた……?) 雄二はこの仮説を、リゼにすら話さない。 雄二は目の前の事象は信じることを決めているが、翻せばそれは不確定な情報で思考を縛ることをしないということだ。 切嗣が越谷小鞠を殺害したとして、その動機も殺害方法も、何ひとつ判明していない。 そこまで考えると、雄二はかぶりを振って思考を断ち切った。 雄二は切嗣への疑念を、あくまで一つの可能性として、留めておくだけにした。 (それにしても、あのキャスターとかいう男……) 雄二は続けて、ジル・ド・レェと名乗った男について考えを巡らせた。 テレビ放送を流すことで、参加者を誘き寄せようとしている危険人物なのは明白だった。 だが、それ以外にも雄二の心に引っ掛かるものがあった。 ある男と声が似ていたのだ。 雄二の父親と絵画を通じて関係があり、身寄りを失った幼少の雄二を引き取って人形めいた扱いをした男。 雄二の殺人マシンとしての才能を見込んで、少年兵を育成する施設に送り込んだ男。 雄二の師匠、日下部麻子らによる館の襲撃の際に姿を消した男。 (似ていた……ヒース・オスロ、あの男に……) 雄二にとっては快いものではない記憶が想起される。 このとき、雄二の中の心的外傷(トラウマ)が疼き始めていたことに、雄二自身もまだ気付いてはいなかった。 【G-7/一日目・早朝】 【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】 [状態]:健康 [服装]:美浜学園の制服 [装備]:キャリコM950@Fate/Zero、アゾット剣@Fate/Zero [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ、腕輪発見機@現実 [思考・行動] 基本方針:ゲームからの脱出 1:天々座理世を護衛しながら、ラビットハウスに向かう 2:入巣蒔菜、桐間紗路、香風智乃、保登心愛、宇治松千夜の保護 3:外部と連絡をとるための通信機器と白のカードの封印効果を無効化した上で腕輪を外す方法を探す 4:非科学能力(魔術など)保有者が腕輪解除の鍵になる可能性があると判断、同時に警戒 5:ステルスマーダーを警戒 6:平和島静雄、衛宮切嗣、キャスターを警戒 [備考] ※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。 ※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛と情報交換しました。 ※キャスターの声がヒース・オスロに似ていると感じました。 【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】 [状態]:健康 [服装]:メイド服・暴徒鎮圧用「アサルト」@グリザイアの果実シリーズ [装備]:ベレッタM92@現実 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:不明支給品0枚 [思考・行動] 基本方針:ゲームからの脱出 1:チノがいるラビットハウスに向かう 2:風見さんと一緒にチノ以外の友人も探す 3:外部との連絡手段と腕輪を外す方法も見つけたい 4:平和島静雄、キャスターを警戒 [備考] ※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛と情報交換しました。 ■ 蟇郡苛が去り、風見雄二と天々座理世が去ったゲームセンター内。 騒がしいフロア内で、二人の男が相対している。 かたや笑みを浮かべており、かたや一貫して無表情を崩さない。 「さて、と。衛宮さん、やっと二人でお話しできますね」 「ああ……こればかりはあのジル・ド・レェに感謝しないといけないな」 切嗣は軽口を叩いて臨也を見据える。 有用な人物に協力を取り付けるせっかくの好機を、逸する訳にはいかない。 幸いなことに、臨也にも切嗣と対話をするつもりがあるようだ。 切嗣は噛み煙草を口に含みながら、どう交渉したものかと思案を巡らせた。 【G-7/ゲームセンター内/一日目・早朝】 【衛宮切嗣@Fate/Zero】 [状態]:健康、緊張感 [服装]:いつもの黒いスーツ [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(20/20)、青カード(20/20) 黒カード:エルドラのデッキ@selector infected WIXOSS 蝙蝠の使い魔@Fate/Zero 赤マルジャンプ@銀魂 越谷小鞠の不明支給品0~2 噛み煙草(現地調達品) [思考・行動] 基本方針:手段を問わず繭を追い詰め、願いを叶えさせるか力を奪う 1:折原臨也を利用する。そのために臨也と対話。 2:1の後、ラビットハウスの一団からも改めて情報収集をする 3:平和島静雄とは無理に交戦しない 4:有益な情報や技術を持つ者は確保したい 5:セイバー、ランサー、言峰とは直接関わりたくない [備考] ※参戦時期はケイネスを倒し、ランサーと対峙した時です。 ※能力制限で魅了の魔術が使えなくなってます。 他にどのような制限がかけられてるかは後続の書き手さんにお任せします ※空条承太郎、折原臨也、一条蛍から知り合いと危険人物について聞きました。 ※風見雄二、天々座理世と情報交換しました。 【折原臨也@デュラララ!!】 [状態]:健康 [服装]:普段通り [装備]:ナイフ(コートの隠しポケットの中) [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:不明支給品0~2 [思考・行動] 基本方針:生存優先。人間観察。 1:とりあえず衛宮切嗣は『人間』なのかどうか観察。そのために切嗣と対話。 2:俺が何もしていないのにシズちゃんが自分から嵌められてくれた。 3:空条承太郎君、面白い『人間』だなあ。 4:DIOは潰さないとね。人間はみんな、俺のものなんだから。 [備考] ※空条承太郎、一条蛍と情報交換しました。 ※主催者(繭)は異世界を移動する力があると考えています。 ※風見雄二、天々座理世と情報交換しました。 時系列順で読む Back 195×(144+164) Next その覚醒は重畳 投下順で読む Back 195×(144+164) Next その覚醒は重畳 032 グリザイアの兎 風見雄二 111 和を以て尊しと為す(上) 032 グリザイアの兎 天々座理世 111 和を以て尊しと為す(上) 047 殺人事件 衛宮切嗣 086 『犯人』に罪状が追加されました 047 殺人事件 折原臨也 086 『犯人』に罪状が追加されました 047 殺人事件 蟇郡苛 095 あげたかったのは、未来で