約 47,058 件
https://w.atwiki.jp/takanotume/pages/67.html
村娘 お爺ちゃんとお婆ちゃんにばかり苦労はさせないわ・・。 ★ 職業 ・・・狩人見習い ★ レベル ・・・16 ★ 生産 ・・・仕立て・鋳造見習い 爺様ページに戻る
https://w.atwiki.jp/takanotume/pages/64.html
GRD専用
https://w.atwiki.jp/neko_no_tume/pages/8.html
@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 アーカイブ コメント ニュース 動画(Youtube) 編集履歴 関連ブログ これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
https://w.atwiki.jp/takanotume/pages/112.html
マップ
https://w.atwiki.jp/takanotume/pages/107.html
マップ
https://w.atwiki.jp/takanotume/pages/18.html
======================================================================== Yusis ======================================================================== クラス:ロアマスター Lv:50 クラフト:風来人 メインキャラ エテン(PCでもMPでも)、クラスクエ、レイド、何でも参加しますよ? 生産で作れるもの ■調理師 ○レンバス レンバスは1個あたり原価10s96cなので、11sで作成承ります。1スタック15個なので165sとなります。 時々KSオークにも流すのでチェックしておいてくださいね。 ■宝飾師 〇トークン ・+4、+5など各種作成可能です。必要な材料は以下のとおり。 名称 効果 必要な材料 輝くエデルハーンのトークン +4 プラチナのインゴット(プラチナ鉱石x4) x 3磨かれたアダマント(アダマントx1) x 1 光り輝くのあるエデルハーンのトークン +5 霧ふり山脈の銀のインゴット(霧ふり山脈の銀x2) x 4磨かれたベリル(ベリルx3) x 2 ======================================================================== チャカ ======================================================================== #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (チャカ.JPG) クラス:紳士 Lv:50 クラフト:探検家 Altキャラ 世界の平和を願って瞑想するチャカ氏 その高貴な姿はまるでブッダのよう! #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (チャカ2.JPG) ======================================================================== ミラー ======================================================================== クラス:バーグラー Lv:50 クラフト:歴史家 Altキャラ
https://w.atwiki.jp/pokekora/pages/153.html
前回までのあらすじ まとめWikiを見てね!! 本編 ナタネは、阪神タイガースファンだった。 それもかなり熱狂的な。 マキ「何で?」 ナタネ「いや…ファンはファンだから仕方が無い」 マキ「じゃなくて! 何でジムを甲子園球場みたいにしたり、 BGMを六甲おろしにするわけ!?」 ナタネ「人生…人生、『やりすぎ』た方が面白いじゃない?」 マキ「(お、おわっとる…!!)」 ハクタイジムはもはやジムとしての面影は無い。 マキ「とりあえず、ツッコみをさせてもらおうかしら」 ナタネ「えぇーー、バトルしようよ」 マキ「うっさい! 阪神ファンなら、ボケとツッコみで成り立つ大阪人の心意気を少しでもわからんかい!! まず、ここまでジムを改装しておきながら何故ユニフォームを着ない!?」 ナタネ「し、資金が底を尽きちゃって…」 マキ「それと何で草タイプなん!? 草タイプで球団と少しでも掠るヤツはおらんやろが!!」 ナタネ「自分のポリシーを曲げたら負けかなと思ってる」 マキ「最後に、その…後ろに飾ってる…」 ナタネ「ああ、バース大権現様」 マキ「どうでもいいけど、それバースじゃないから!! カーネル・サンダースだから!!!」 ナタネ「う、嘘よそんな! ちゃんと『KFC道頓堀店』ってプレートも…」 マキ「『KFC』の時点で何かに気付け!!」 セレビィ『やはり生まれついてのツッコみ要因だ』 ※『』のセリフはテレパシーと思え タカヒロ「全く、マキの言うとおりだ!」 マキ「あ、いたんだ」 ナタネ「でも、こうするしかないじゃない! 今や世の中、カントージョウトホウエン… どこへ行っても巨人巨人! 挙句の果てには野球を良く知らない人までもが巨人が良いだのなんだの…! あんなの、他球団の良い人材を金で集めただけのただの寄せ集め集団よ! 邪道だわ! そう思うでしょ!?」 セレビィ『………』←熱狂的な巨人ファン タカヒロ「………」←サッカーファンだが、野球でいえば原監督ファン マキ「………」←トシちゃんのファン ナタネ「とにかく、もはや虎の意思を背負っているものとして、 ここまで言ったからにはタダで返すわけには行かない! ポケモンバトルよ!」 マキ「あ、あれぇ~!? 何か話がおかしな方向に…いやなってないか 望むところよ!」 次回、ハクタイジムでの激戦!!
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6994.html
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 「しかし…、あの姫にも参った物よ…」 地下通路を杖の先に灯した魔法の明かりで照らして歩きながら、リッシュモンは憎々しげに呟く。 この地下通路はリッシュモンが万が一を考えて造らせていた抜け道であり、 タニアリージュ・ロワイヤル座の舞台の落とし穴はここへつながっていたのだ。 地下通路は自分の屋敷にも繋がっている為、リッシュモンはそこへ向かっていた。 屋敷に戻った後は集めた金を持ってアルビオン――否、今は新国家レコン・キスタか…――へと亡命するつもりだ。 その後、現在のレコン・キスタの総司令に願い出て一個連隊を預けてもらってトリステインへ戻り、 アンリエッタを捕まえ、自分が今日味わった屈辱の何倍もの辱めを受けさせ、辱めながら殺してくれる。 そんな事を考えながらリッシュモンは歩を進めていく。 「何処へ行くつもりだ、リッシュモン?」 ――背後から声が聞こえた。 リッシュモンは反射的に振り返る。 暗く湿った通路に立っていたのは銃士隊のアニエスだった。 「貴様か」 相手がアニエス――メイジではないと解り、リッシュモンはあからさまにバカにした表情を浮かべた。 それはメイジに良くある、平民の戦士を軽く見ている態度だ。 「平民上がりに捕まる私ではないわ、ハハハ」 「捕まえるつもりは無い…」 リッシュモンの笑い声を遮りながらアニエスは静かに言い、腰の銃を抜いた。 「貴様を殺す」 銃口を向けながら冷たく言い放つ。 その態度にリッシュモンは笑いを止める。 「何?」 「ダングルテール」 アニエスの言葉にリッシュモンは笑った。 「なるほど…、貴様はあの村の生き残りか」 「ロマリアの異端審問”新教徒狩り”。貴様は我が故郷が”新教徒”というだけで反乱をでっちあげた。 そのお陰で…何の咎無く我が故郷は滅んだ…」 言いながらアニエスは唇を噛み締める。血が滲んだ。 「…その見返りとして、貴様はロマリアの宗教庁からいくらもらった?」 「悪いが賄賂の額など一々覚えておらんわ。第一それを聞いてどうする? 気が晴れるのか?」 「殺してやる…、懐の中の物は冥土の土産にするがいい」 拳銃を握る手に力が籠もる。 リッシュモンも笑いながら杖を構える。 「フン、貴様の命など一捻りだ。そうだ…教えてやろう。 貴様の知りたがっているダングルテール事件の記録は、魔法学院の地下に在る」 「な!?」 リッシュモンの言葉にアニエスは一瞬動揺する。――それは致命的な隙だった。 「甘いわ!!」 リッシュモンが叫ぶや、杖から炎が飛び出す。 言葉の間にルーンを挟んでいたのだ。 動揺していたアニエスは迫り来る炎を避けきれない。 「うわあああぁぁぁぁぁ!!!?」 凄まじい炎に包み込まれ、アニエスは悲鳴を上げた。 ――瞬間、アニエスの脳裏に幼い頃の記憶がフラッシュバックする。 炎に包まれた故郷<ダングルテール> その故郷を見回しながら涙を流す幼い自分。 そして…… アニエスはゆっくりと目を開く。 目の前に炎の中に浮かび上がる人影が見えた。 その人影は黒いローブを身に纏い、首筋に火傷の跡が在った。 ハッとなり、アニエスは目を見開く。…その人影は姿を変えていた。 二メイル近い長身を紫のコートと帽子で包み、地面に付くほど長いマフラーをしている。 それはアンリエッタの護衛をしていた亜人だった。 「貴様は…?」 「ハァ…、ったく…つくづく俺は復讐とかに縁があるみてェだなァ?」 炎を防ぎながら、ジャンガはため息を吐く。 そして、振り向かずにアニエスにむかって言う。 「テメェみてェな奴は言っても無駄だろうからな…、協力してやる」 「何だと?」 「その代わり…」 肩越しにアニエスを見る。 「ケリはテメェで付けな」 燃え盛る炎を見つめながらリッシュモンは不敵に笑う。 「フン、たわいもない」 所詮は平民、自分の敵ではなかった。 さて、これで邪魔者はいない。あとは屋敷に戻って―― 「何とかなると思ったかァ~?」 ――背後からの囁くような声に背筋が凍り付くのを覚えた。 慌てて振り返る――よりも早く、自らの右腕が肩口から切断される。 ボトッと杖を握ったまま、腕が地面に落ちた。 「ぐあああぁぁぁぁ!!?」 「ギャーギャー喚くんじゃねェよ…、ガキじゃねェんだからよ?」 声のした方を振り返る。 紫色のコートを着込んだ亜人が立っていた。 「き、貴様…何者だ!?」 「オイオイ、余所見してていいのかよ? テメェの死神は目の前にいるゼ」 「何!?」 慌てて視線を前に戻す。 「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーッ!!!」 炎から絶叫と共にアニエスが飛び出す。 そのまま、リッシュモンの胸へと手にした剣を突き立てた。 「ば、ばかな……。メイジが…、貴族が…、へ、平民如きに……」 「剣や銃は玩具だと…前に言っていたな?」 言いながらアニエスは、柄も通れとばかりに深く突き立てた剣をゆっくりと回し、その胸を抉る。 「これは玩具などではないぞ。我等が貴様ら貴族にせめて一噛みと、磨いた牙だ。その牙で死ね…リッシュモン!」 「ぐおっ、ぐおおああああぁぁぁぁ…」 口から鮮血を溢れさせながらリッシュモンは、ゆっくりと地面に崩れ落ちた。 「これで、テメェの復讐も終わりって訳だな?」 壁に背を預けながら事のしだいを見届けていたジャンガが声を掛ける。 アニエスは目を閉じ、既に事切れたリッシュモンに背を向け、歩き出す。 「まだだ…、まだ終わってはいない」 「これ以上誰を殺すんだ? まさか…ロマリアとか言う国に殴り込みを掛ける気か? キキキ…そりゃ無謀って物だゼ? 命が幾つ有っても足りやしネェ…」 「違う」 「…なら、何をするんだよ?」 「…村を焼き滅ぼした者を全て撃ち滅ぼす」 アニエスは感情を押し殺す気も無いのか、恨みの籠もった声で呟いた。 「そのためにも、リッシュモンの言葉が真実であるかどうかを確かめる。 魔法学院の地下…そこに行けば真相が解るだろう」 「熱心だネェ~。そんなに復讐心剥き出しにしやがってよォ~?」 アニエスは答えない。ただ黙って歩を進めていく。 ジャンガは小さく息を吐く。 「…テメェの仇は俺が殺したゼ…」 アニエスの足が止まり、ゆっくりとジャンガを振り返る。 「どう言う意味だ…今の言葉?」 ジャンガは壁に寄り掛ったまま、爪で耳を穿っている。 「言った通りさ…、テメェの仇は俺が殺したんだよ。この爪で俺が殺した。 だから、この世にはもういねェ。いくら探しても見つからねェよ」 アニエスはジャンガへと詰め寄る。 「どう言う事だ…何で貴様にそんな事が解る、答えろ!?」 ジャンガはアニエスを見ずに答える。 「アカデミー実験小隊…、それがテメェの故郷を焼き尽くした連中の名前だ」 「やはりメイジの仕業か…」 アニエスは、ギリッと音がするほど強く唇を噛み締めた。 「…それを貴様が壊滅させたのか?」 「まさか…そんな俺と関係無い奴をわざわざ殺すメリットが何処に在るんだ? くだらねェ事をするほど、俺は暇じゃねェんでな」 「ならば、今の言葉はどう言う意味だ?」 「ジャン・コルベール。魔法学院の一教師で二つ名は『炎蛇』。…故人だけどよ」 「…まさか」 ジャンガはニヤリと笑ってみせる。 「ああ…そうさ。そいつがアカデミー実験小隊の小隊長。で、お前の村を直接焼き払った張本人って訳だ…」 アニエスは言葉を失った。 「…わたしの仇が…既に死んでいる?」 「そう言う事だ……残念だったな? まァ…こっちも色々と事情があったし、 お前の事も知らなかったんだからよ、恨むなよ…キキキ。 ま、これでテメェの復讐とやらも終わりだな? なら、もう考えんなよ」 ジャンガは笑いながら壁から離れると歩き出す。 そして擦れ違いざまにアニエスの肩を叩いた。 「…こんな”下らない事”はな」 ――次の瞬間、ジャンガは胸倉を捕まれ、凄まじい勢いで背中から壁に叩きつけられていた。 ジャンガは黙って自分を壁に叩き付けた相手=アニエスを見つめる。 アニエスは荒く息を吐きながらジャンガを燃えるような、怒りで満ちた目で睨み付けている。 「貴様…もう一度言ってみろ!?」 「何をだ?」 ジャンガはあっけらかんと答える。そのふざけた態度がアニエスの怒りを更に掻き立てる。 「わたしの復讐を”下らない事”などと言っただろ!!!」 「ああ言ったゼ。…それが如何した?」 アニエスは胸倉を掴み上げる手に更に力を込める。 「ふざけるな!! この為だけにわたしは生きてきたのだ! それを下らないだと!?」 「ああ…下らねェな。そんな事ばかり考えてたなんてよ…、つまらない人生送って来たんだな…テメェもよ?」 「……二十年前、わたしの故郷であるダングルテールが焼かれた。父も母も友人も…わたしを助けてくれたロマリア人も。 その時、既にわたしの人生は壊されたのだ。それからの二十年……全ては復讐の為だけにあった!」 「それまたご苦労さま~。二十年間も”そんな事”に人生費やして来たなんてよ…馬鹿馬鹿しくて笑っちまうゼ!」 アニエスは胸倉を掴んだ手を引き寄せ、ジャンガの顔を覗き込んだ。 「貴様などには解るまい…。何の咎も無く、理不尽に自分の幸せの全てが奪われる苦しみはな!」 「…解るゼ」 「何?」 その言葉にアニエスは呆気に取られる。 ジャンガは一切のふざけた感情を取り払った、真剣な表情でアニエスを見つめる。 「俺もな”こっち”に連れて来られる前に居た所で色々とあってよ…。 テメェのように幸せを奪われた。…いや、ある意味テメェよりも酷ェかもよ。 何しろ…生まれた時から親は俺を痛めつけるダメな奴等。周囲には友人が居ないだけでなく、俺を虐げる奴等ばかり。 唯一見つけた友人…と呼べるような奴も、どっかの金持ち野郎に家ごと焼かれた」 「……」 「だからな……解るゼ。解りたくても解っちまう…。大切な者を炎で焼かれたと言う所も、俺達は似ているからよ」 「…貴様は、復讐を考えなかったのか?」 「考えたさ」 即答され、アニエスは驚く。 そんな彼女の表情に、ジャンガは薄く笑いを浮かべる。 「当然だろうが? やられたらやり返すのは常識だゼ。俺を散々に痛めつけてくれたクソ親には礼をしてやったからよ」 「ならば…何故、わたしを止める!?」 「…お節介が居た。これ以上無い位のお人好しでよ…、俺に復讐の無意味さを唱えた。 俺はそれを納得が行かないまでも、受け入れた。いい奴なのは間違いなかったし、 俺もそいつが気に入っていたからよ。お陰で、俺は結局復讐はしなかった」 ジャンガの話にアニエスは眉を顰める。 「…だから、わたしを止めると言うのか?」 「まさか? そんな事だけで見ず知らずの他人を止めてやるほど、俺はお節介じゃねェし…第一メンドくせェ」 「ならば何故だ!?」 ジャンガは目を閉じ、ため息を吐く。 「『炎蛇』」 その名にアニエスは目を見開く。 「奴がよ、言ってたんだ」 ――それはコルベールを殺したあの夜…、コルベールと会話していた時… 「裁く事が出来る人間? 誰だよ?」 「ダングルテールの…唯一の生き残り…」 「全部焼き払ったんじゃなかったのかよ?」 「ああ…村の全てに炎を掛けた時……わたしは疫病など…発生していない事を……知った…。 真実を知ったわたしは……必死になって…村の中を駆けた…。 一人でも…生き残っていたら…助けねばと思って…な…」 「フゥ…今更じゃねェか」 「そうだな…。でも……それでもわたしは…生き残りが居たのなら……一人でも助けたかった…」 「それで?」 「…一人、見つけた…。幼い少女だった…」 「それがテメェの言う生き残り?」 「ああ…。わたしは…その少女を連れて…村を後にした…」 「…そいつはどうしたんだ?」 「連れて行く……わけにも行かなかった…。故に…毛布で身を包み…浜辺に寝かせた…。 その後…どうなったかは解らない…」 「なら、くたばったかもしれないんじゃねェかよ?」 「…いや、後になって……ダングルテールの近くで…少女が…保護された事を…知った…。 だから……彼女は…まだ生きている…」 「そうかい」 「…わたしは…彼女によってのみ…死ぬ事が赦されるはずだった…。 …彼女に会えずに…死ぬのは…どうにも心残りだ…。 でも……できることなら…彼女には……わたしのような道は歩まず…平穏に暮らしてもらいたい…」 ジャンガの話を聞き終え、アニエスは言葉を失った。 「まァ…あいつも色々思う事はあったんだよな。少なくとも…平然とはしてなかったゼ。 テメェの全てを奪った責任に押しつぶされそうになりながら、それでも優しく微笑んで…。 罪が消えないと理解しながら、多くの人間に尽くす為の努力と研究を続けて…。 それでいて…テメェに自分の生死を委ねてもいた。 解るか? あいつは生きるも死ぬも他人任せだったんだよ。身勝手だよな…、逃げてるだけだよな…。 だけどよ…後悔して、苦しんでるのは事実だった」 「だから…赦せと? ふざけるな!!! 苦しんだから、後悔したから、償おうとしたから、だから赦せと!?」 「誰も赦せ何て言ってねェだろうが…?」 「なら、何が言いたい!?」 ジャンガは再びため息を吐いた。 「復讐だけを止めろって言ってるんだ」 「何?」 「殺したところで…全てが戻るわけも無いだろうが?」 「…それがどうした」 「…俺もあいつと同じようなもんだ。 友人を殺し、その息子に仇として追われ、殺されたいと願いながら…死ぬのが怖くて…。 な? …そっくりなんだよ、俺とあいつは…。だからな…、お前の気持ちも良く解る。 俺は復讐者で仇なんだからな…」 「……」 アニエスの手から力が抜ける。 ジャンガはコートの乱れを直す。 「テメェ…故郷は無くなった、と言ってたよな?」 「…そうだ。もうダングルテールは存在しない。…閉じた、わたしの瞼の裏以外には…」 「テメェが必要以上にカリカリしてるのもその所為だな…」 「わたしに心休まる場所は無い…」 「あの姫嬢ちゃんの所もか?」 アニエスは、ハッとした表情になる。 その表情の変化をジャンガは見逃さない。 「…認めろよ。テメェにはもう新しい心の休まる場所が見つかったんだろ?」 「……違う」 「否定するのは簡単だけどよ…、それだと失った後の後悔は…更に深まるゼ?」 「……」 「認めろよ、テメェに正直になれ。…テメェ自身を裏切ったら、お終いだゼ?」 アニエスは大きく息を吐いた。 そして、ジャンガに背を向けると頭上を仰いだ。 「……貴様の殺したわたしの仇はどんな男だった?」 「先に言ったとおりだ。…いつも必要以上に笑っていて、礼儀正しく、生徒に優しくて…。 それでいて…心の中は脆くて、いつも悩んで、苦しんで…。 なのに他人を気遣う事も忘れない。生徒の危機には身を挺して庇い、 自分を殺した俺の事も案じる位のお人好し…。 ほんと……バカだけど、良い奴だった…。少なくとも……人を殺せるような奴には見えなかったな」 ジャンガは大きく息を吐くとアニエスを見る。 アニエスは黙って立ち尽くしていた。 「…わたしはその男を決して赦さないだろう。既に死んでいようと、後悔していようと、この憎しみは消えぬ。 幾たび生まれ変わろうとも、その気持ちだけは変わらぬだろう。 だが…心のどこかでは、その男に会わずに済んで良かったとも思っている自分がいる。 その男に出会っていたなら、わたしは恐らく…自分を抑える事は出来なかった。 例えその男を敬愛する生徒が止めに入っても、わたしは躊躇する事無く、剣を振り下ろしていただろう」 「……」 「しかし…そうなれば、今度はわたしがその生徒達に恨まれるだろう。決して赦さなかったであろう。 復讐とは連鎖する物、永遠に伸び続ける…繋がり続ける鎖。何処かで止めなければ、永遠に終わらない。 だから……わたしはこの瞬間、その鎖を断ち切ろう」 「そうかい…」 「わたしはその男の考えが……本当は良く解る。…軍人とはそう言うものだと。 命令されれば身体が動いてしまう。その男も命令に従っただけの事、わたしと何ら変わりが無い。 …だから解るのだ。…解るが…認められなかった」 「だがよ…お前はそれを認めた。だから復讐を止めた…、立派だゼ」 アニエスの頬を涙が伝う。 「貴様は…生徒に恨まれなかったのか?」 「んなわきゃねェだろ? きっちりしっかり恨まれたさ…、これ以上無い位にな…」 「すまない…、本当ならばその恨みはわたしが背負うはずのものだったのに…」 「気にすんな、テメェの為にしたわけじゃねェしよ…。それに、何だかんだでもう打ち解けてるしな…」 「そうか…」 アニエスは目の涙を拭い、歩き出した。 「何処へ行く気だ?」 「戻るのだ、陛下の所に。リッシュモンの制裁は終わったと報告せねばならぬ」 「…ああ、そうだな。ま、上ももう片付いているだろうしな」 アニエスに続いてジャンガも歩き出した。 トリスタニアの地下に掘られた、この地下通路の一番近い出口はチクトンネ街の排水溝だった。 そこから姿を現したアニエスとジャンガを、道行く人々が不思議そうに見つめる。 「おーおー、注目の的だな?」 「行くぞ」 周囲の目を気にせずにアニエスは歩き出す。 「オイオイ、歩いていくのか? 時間掛かるゼ」 「だからこそ急ぐのだ、馬を探す時間も惜しい」 アニエスは足を止めずに言った。 そんな彼女を見ながらジャンガはニヤリと笑う。 素早く近寄り、彼女の身体を抱き上げる。 「な、何をする!?」 突然の事にアニエスはうろたえる。 ジャンガはニヤニヤ笑いながらそんな彼女を見下ろす。 「な~に…こっちの方が早いからよ」 言うが早いか、ジャンガは疾風の如く駆け出す。壁を蹴って屋根に上り、劇場の位置を確認する。 そのまま屋根から屋根へと飛び移り、一分と掛からずにタニアリージュ・ロワイヤル座の前に到着した。 「ほら、到着だ。普通に歩くより早ェだろ?」 「…あ、ああ…」 アニエスは呆気に取られながらも頷く。 と、銃士隊の面々がいるのが見えた。 「!? お、下ろせ!」 アニエスは部下に気が付き、慌ててジャンガの腕が逃れようともがく。 「と、とと…慌てるんじゃネェよ」 呟き、アニエスを下ろす。 両手でマントなどの乱れを整える。…その頬が微妙に赤みを帯びているのは気のせいだろうか?」 「照れてるのかよ? 可愛い所もあるじゃねェか…キキキキキ」 「う、うるさい!」 アニエスは笑うジャンガを一喝し、部下達の方へと歩を進める。 何やら慌しくしていた銃士隊の面々は隊長の姿を認め、敬礼をする。 「あ、隊長! お戻りに為られましたか!?」 「リッシュモンの制裁は済んだと陛下に報告したい。…陛下は何処に?」 アニエスの言葉に銃士隊の面々の表情が暗くなる。 その表情にアニエスは不吉な物を感じた。 「どうした…何があった!?」 「あ、ジャンガ!!?」 アニエスの声を遮って別の声が聞こえてきた。ルイズ達だ。 ルイズは身体の数箇所に包帯を巻いており、ジャンガは怪訝な表情を浮かべる。 「ンだ、お前? その怪我どうしたんだ?」 「……」 ルイズは黙って俯く。その両目には涙が溢れている。 ジャンガは後ろに居たタバサ達に視線を向ける。 「何があった? こいつの怪我はどうした? 姫嬢ちゃんは何処だ!?」 タバサは唇を噛み締めながら搾り出すような声で答えた。 「ごめんなさい…」 「何…?」 ルイズが涙に濡れた顔を上げた。 「姫様が……姫様が攫われたのよ!!!」 ――同時刻:アルビオン・ハヴィランド宮殿―― 暗い地下牢の扉が開かれ、一人の男が足を踏み入れた。 その義手になった左手で誰かの首を絞めている。――男はガーレン、首を絞められているのはアンリエッタだ。 「さて、ではここで大人しくしてもらおう」 腕を振り上げ、アンリエッタをガーレンは牢の奥へ投げ捨てた。 後手に縛られている為、受身も取れずに背中から硬い床に落ち、激痛が全身を駆け巡る。 「げほっ、ごほっ」 首を絞められていた苦しさと背中の激痛に、激しく咳き込むアンリエッタ。 呼吸を整え、それでも気丈にガーレンを鋭い眼差しで見つめる。 それをガーレンは鼻で笑った。 「フン、無能は無能らしく下らぬ復讐に手を染めてここに攻め込めばよかったのだ。 それを…無駄に正義感を発揮して、戦争はせぬなどと言いおって…。 お陰で大分予定とは変わってしまった。我輩が出る幕も無かっただろうに…」 「…あなたは、レコン・キスタの者ですか? それともガリアの?」 「さて…どちらでもない、と言おうか?」 「ふざけないでください」 「ククク、別にふざけてなどおらぬよ。…我輩は我輩だ。誰かの下に傅いて利を得ようなどとは考えぬ。 何者も及ばぬ頭脳、そして気高き理念と心の強さ。それらを持ち合わせた我輩は何者にも縛られぬ。 そう…我輩こそが絶対の支配者、我輩が傅くのではなく、全ての他者が我輩に傅くのだ」 アンリエッタは怪訝な表情を浮かべる。 「ならば…何故レコン・キスタに手を貸すような真似をするのです? 今の言葉と矛盾してませんか?」 「それは必要な事だからだ。貴様が愚かしくも身一つで危険に身を投じたのと同じようにな…」 痛い所を突かれ、アンリエッタは唇を噛む。 その様子にガーレンは笑う。 「滑稽だな…、国の事を案じて今回の件を急ぎ、その結果…国を更なる危険に貶める事となった。 ククク…いやはや、滑稽だ。有能な素振りを見せたと思えば、無能な所も見せてくれるとは。 実に器用だな、貴様は。我輩としても久しぶりに笑わせてもらった」 「……」 「まぁ案ずるな…。そもそもこのアルビオンへは必ず攻め込んでもらわねばならなかったのだ。 でなければ…”悪夢”の収集に支障が出たのでな」 「悪夢?」 「貴様には関係ない。…貴様はただトリステイン・ゲルマニア連合軍を呼び寄せる為の餌となっていればいいのだ。 その時、アルビオンは白の国ではなく…赤の国となるのだ。多くの痛苦の叫びに彩られてな…」 アンリエッタは恐怖した。目の前の男はわざわざアルビオンに軍隊を呼び寄せて戦争をしようというのだ。 そして、その結果…大地が血に染まるのを望んでいる。 「何故、何故そのような事を望むのです!? このアルビオンにはレコン・キスタとは関わりの無い者も大勢居るのですよ!? それを…争いに巻き込もうなど…」 「必要だからだ」 たった一言だった。 アンリエッタは両目を見開く。 「必要…?」 「そうだ」 「大勢の無辜の民を巻き込む事にどのような必要性が在るというのですか!?」 「それは貴様の知るところではない」 「ふざけないでください!」 アンリエッタは不自由な身ながら、ガーレンへと飛び掛る。 そのアンリエッタの首をガーレンは義手で掴んだ。 「あぐ!?」 「…ふざけた真似は止めていただこうか?」 そのままギリギリと首を締め上げる。 苦しさにアンリエッタは意識が遠のくのを感じた。 「貴様を此処に連れてきたという事実が出来た…、それで貴様自身は既に用済みなのだ。 代役ぐらい簡単に用意できる。貴様が生かされてるのは万が一を想定して、 そして我輩の慈悲による物だと言う事を良く考えるのだな」 アンリエッタが完全に意識を手放す寸前、ガーレンはその手を離した。 地面に崩れ落ち、アンリエッタは激しく咳き込んだ。 彼女が呼吸を整えた時には既にガーレンは牢の外だった。 「…あなたは…何が望みなのです?」 「望み?」 一瞬呆気に取られ、次いで笑った。 「グハハハハ! それはもう言ったはずだ! 我輩の望みはただ一つ…世界の支配者となる事、ただそれだけだ!」 一頻り笑い、ガーレンはアンリエッタを見据える。 「では、アンリエッタ殿…これで失礼する。ああ、そうだ。そこに一応の食事を用意している。 粗末な物だが、無いよりはいいだろう」 アンリエッタは壁際に目を向ける。そこにはパンが浮かんだ、スープの入っている古ぼけた皿が一つ在った。 「…これでは、食べれません」 アンリエッタが縛られた腕を見せる。 「口は動くだろう? そのまま食べればいいではないか」 「っ! …貴族の、王家の者への対応とは思えませんね」 「我輩にとってこの世界の者は等しく傅くべき者なのだ。そこには平民も貴族も王族も関係無い。 まぁ、無理に食べろとは言わない。そのまま餓死するのも貴様の自由だからな、ククク」 「……」 「では、今度こそ失礼するよ。我輩もまだやらねばならぬ事があるのでな」 そう言って、ガーレンはその場を去っていった。 ガーレンが居なくなり、見張りのやりムゥ達だけが数匹残った。 喋る者がいなくなり、アンリエッタは深いため息を吐いた。己の愚かさを嘆いたため息だ。 ジャンガの言ったとおりの事態になった…、自分は敵に囚われの身となってしまったのだ。 後悔しても遅い、もう起こった事は幾ら悔やもうが取り返しはつかないのだから…。 「それでも…このままで良い訳がありません」 自分の罪は自分で贖わなければならない。 アンリエッタは皿の方に歩み寄ると、身を屈めてスープに直接口を付けた。 スープを啜り、パンを口だけで噛み千切る。 彼女を知る者、貴族のプライドに拘る者が見れば正気を疑いそうな光景だ。 だが、アンリエッタはそんな屈辱的な姿勢でも食事を続けた。 自分はまだ死ねない…、死んではならないのだ。 こうなってしまった責任は全て自分に在るのだから、それを償うまでは死ねない。 その為にも今はどんな事をしてでも、どんな恥辱を味わおうとも生きなければならない。 それに…ルイズやジャンガが自分を助けに来てくれる、…そうアンリエッタは信じていた。 都合の良い考えではある。自分で引き起こした事態に例え友人であろうと巻き込んで言い訳が無い。 だが…あの子の事だ、周囲が止めても自分を助けに来ようとするはず。…そう言う子なのだ。 「だから…わたしは生きます。どんな事があろうと、絶対に死にません」 アンリエッタは固い決意を胸に秘め、食事を続けた。 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6942.html
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 タルブの草原での戦から数日。 突如侵攻を開始したアルビオン軍に対し、数で劣るアンリエッタ率いるトリステイン軍は奇跡的勝利を収めた。 数で勝る敵軍を破った事により、王女アンリエッタは『聖女』と崇められその人気は絶頂となった。 対し…アルビオン軍の戦力の大半を倒し、実質的な勝因となったジャンガやルイズには特に何も無かった。 それは何故か? ルイズに関して言えばアンリエッタの口止めにある。 伝説の『虚無』に関わるかもしれない為、迂闊に恩賞などを与えようものなら事が公になってしまう。 そうなれば、強大なる力である『虚無』を狙い、様々な”敵”がルイズを狙いかねないからだ。 故に礼を述べるだけに止めるしかなかったのだ。 だが、ジャンガの場合は違う。…”メンドくせェ”と断ったからだ。 元々、正義だの悪だの善行だの悪事だのには拘らず、奇麗事には嫌悪感を示してきた彼である。 ”敵を破り国を守った英雄”などと言う扱いは蕁麻疹が出来る思いのする物だった。 故に恩賞などは”こっちからお断りだ”と拒んだのだ。 そして、ルイズ達やアンリエッタ率いるトリステイン軍は勿論の事、一部始終を見ていたタルブの村人達にも他言無用と釘を刺した。 …まぁ、その後シエスタに強引に誘われ、御礼の歓迎を受ける羽目となったが。 兎にも角にも、トリステインに平和は戻り、今日も国民達は『聖女』アンリエッタを称えるのだった。 当然、魔法学院にも何時も通りの平穏な時間が戻り―― 「モンモランシー…、本気なのか?」 「当然よ…他に道は無いんだし」 「だ、だが……もしも万が一、失敗したら…」 「……へ、平気よ…。し、失敗なんて…するわけ、わけ、ないわよ…」 「…声が震えているよ? やっぱり止めた方が…」 「仕方ないじゃない! 作った以上は使わないと気が済まないのよ!」 「はぁ……それなら作らない方が良かったんじゃないか?」 「しょうがないわよ。…興味があったんだし」 ――何だか、別のベクトルで大変な事が起きそうである…。 「くわぁぁぁぁ~~」 アウストリの広場のベンチに座り、ジャンガは大きな欠伸をした。 三日三晩続いたタルブの村での祝宴に疲労困憊なのである。 「ったく…、英雄扱いなんざケツが痒くなるだけだってのによ…。シエスタ嬢ちゃんは強引過ぎるゼ…」 正直、ああ言う祝いの席は嫌で嫌でしょうがなかった。 だが、シエスタ嬢ちゃんが余りにもしつこ過ぎる為、流石のジャンガも根負けしてしまった。 「まァ……美味い物が食えて良かったがよ…」 そう言って強引に納得する事にした。 懐から赤茶色のヒーローメダルを取り出す。 ”ブランクメダル”のワンランク上、”ブロンズメダル”だ。 それを暫し眺め、ジャンガはほくそ笑む。 「テメェのメダル…曾孫が”持っててくれ”って言うからよ、遠慮無く持たせてもらってるゼ、ガーレン」 タルブの村での祝宴の最中、ジャンガはシエスタに彼女の曽祖父について色々と尋ねた。 例の夢やこのメダル、棚の上にあった見覚えのある帽子からある程度の予想は付いていたが…。 予想通り、メダルはガーレンの物であり、シエスタの曽祖父はガーレンである事が判明。 シエスタは自分の曽祖父とジャンガが知り合いだった事に心底感激した。 そんな彼女を見て、ジャンガは滑稽に感じ、その曽祖父が実は悪党である、と言おうと思ったりもした。 だが、過去がどうあれ今は家族。家族に対して色々と思う所があるジャンガはその事を結局伝えなかった。 悪党が良き曽祖父…、知らぬが仏、とはよく言った物だ。 そんな事を思い返していると、不意に声が掛けられた。 「こんにちは、今日もいい天気ね」 「日当たりはまだ少々キツイがね」 声の方に顔を向ける。そこにはモンモランシーとギーシュが立っていた。 …なんだか妙に不自然な笑顔だ。 ジャンガは怪訝な表情を浮かべ、二人を睨み付ける。 「何の用だ?」 「えと……その…」 モンモランシーは言い難そうに口をもごもごとさせる。 そして、意を決したのか、後ろ手に持っていたグラスを差し出す。 グラスには冷たそうなドリンクと思しき液体が注がれている。 グラスとモンモランシーを交互に見比べるジャンガ。 「ほ、ほら…今日は暑いでしょ? 喉も渇いてると思って、飲み物を差し入れに…」 「…どう言う風の吹き回しだ?」 ジロリと睨まれ、モンモランシーは頬を引きつらせる。 ギーシュがそこへ口を挟んだ。 「別に何も企んでなどいないさ! モンモランシーは君に純粋に冷たい飲み物を差し入れようと思ってだね――」 「”企んでいる”なんざ、一言も言ってねェぞ?」 …空気が冷えた。 表情を凍らせる二人にジャンガは空気以上に冷たい視線を投げかける。 「テメェら……俺に何飲ませるつもりだ?」 「いや…、その…、別に何も…」 「そ、そうさ…。君に何かを企むなんて命知らずな行動を…誰が…」 ジャンガは二人を睨み続け……徐にモンモランシーのグラスを奪い取る。 「あっ…?」 突然の事にモンモランシーは声を漏らす。 気にせず、ジャンガはグラスを揺らし、注がれているドリンクを日に透かして眺めている。 …見た限り特に変わりは無い。だが、見た目で解り易くするほど相手もアホではないはずだ。 暫くそうやって考えていると、向こうを歩く人影に気が付いた。 ジャンガはニヤリと笑い、人影に向かって歩いていく。 モンモランシーとギーシュはジャンガの後を視線で追い、凍り付いた。 ――ジャンガは本塔の入り口から出てきたキュルケに向かっていたのだ。 「よう、雌牛。相変わらず今日も暑いな?」 突然話しかけてきたジャンガにキュルケは僅かに顔を顰める。 「あら? あなたから話し掛けて来るなんて…明日は雨かしら?」 「随分な言われようだゼ…キキキ」 ジャンガは笑う。 「どうしたのあなた? この暑さでその厚着……頭がやられちゃった?」 「言うじゃねェか雌牛。…そんなテメェにプレゼントだ!」 叫ぶと同時にジャンガはグラスの中身をキュルケの口の中に強引に流し込んだ。 突然の事にキュルケは為す術も無い。吐き出す間も無く、流し込まれたそれを飲んでしまった。 ゴホゴホとむせ返り、顔を上げてジャンガを睨む。 「何をするのよあなた!?」 ジャンガはやれやれと言った感じで首を振る。 「別に心配すんじゃねェよ。ドリル頭と気障ガキが差し入れてきたドリンクだから危険は無ェ。 ――毒でも入ってなきゃよ…、キキキキキ」 笑うジャンガ。対してキュルケは飲んだ物の影響か…徐々に顔を赤らめていく。 その様子にジャンガは”やっぱりか”と自分の予測が正しかった事を確信する。 「気分でも悪いか? 言っておくがよ…恨むんならそんな物を俺に飲ませようとしたドリル頭を恨むんだな」 キュルケはジャンガの話が終わらぬうちに、踵を返すと走り去っていった。 その後姿を見送り、ジャンガは忌々しげに鼻を鳴らす。 「さてと…、おいテメェら!?」 叫びながら振り返る。…そこには誰も居なかった。 レアムゥの様に忽然とその姿は消えていた。 チッ、と舌打をし、ジャンガもその場を後にした。 ――その夜。 飯を食った後、ジャンガは何か面白い事でも無いかと学院内を闊歩していた。 ガチャリ 「ン?」 直ぐ真横の扉が開くのを確認し、ジャンガは立ち止まる。 その扉から出てきたのは一匹の巨大な赤いトカゲ、キュルケのサラマンダーのフレイムだ。 きゅるきゅる、と鳴きながらフレイムはジャンガのコートの裾を噛み、頻りに引っ張る。 どうやら部屋の中に連れて行きたいらしい。だが、トカゲ如きに付き合ってやる通りは無い。 ジャンガはフレイムの噛み付きを軽く振り解くと、歩みを再開する。 が、首のマフラーが突然引かれ、ぐぇ、と苦しそうに呻き声を上げて仰向けに転ぶ。 振り向けばフレイムがマフラーの端に噛み付いていた。 「テメェ……よくも…、ぐぇ!?」 怒りの視線を向けるジャンガだが、フレイムがマフラーを引っ張った為、再び呻き声を上げる羽目と為った。 そして、そのまま部屋の中に引っ張り込まれた。 部屋の中は真っ暗だった。 フレイムはジャンガを引きずり込むと、漸くマフラーから口を放す。 ゲホゲホ、と咳き込むジャンガ。 「この火トカゲ…、何のつもりだ…あン!?」 怒りで目を見開き、フレイムを睨み付ける。 「フレイム、扉を閉めて」 突然割り込む声。 声に従い、フレイムは扉を閉めた。 ジャンガは声の聞こえた方に顔を向ける。 そこにはベビードールのみを纏った悩ましい姿のキュルケが立っていた。 キュルケは顔を赤らめ、潤んだ瞳をジャンガへと向けている。 月明かりに照らされた褐色の肌は非常に魅力的であり、並大抵の男なら即座に悩殺される事は間違い無い。 だが、ジャンガには大した効果は無かったらしく無反応。…寧ろ冷めた視線を向けている。 「何の真似だ…テメェ?」 ジャンガの言葉にキュルケは切なげに、ため息を吐く。 「突然の事だから混乱しているでしょ? ごめんなさいね。でも…普通に誘ってもあなたは来ないと思ったから…」 キュルケは悩ましげに首を振りながら言う。 そして、ゆっくりとジャンガに歩み寄る。 床に手を付き、顔を覗き込む。 「あたしの二つ名は『微熱』」 「ンな事ァ知ってる」 「そう、松明の様に燃え上がり易いの。だから、いけない事だとは思うけど、こんな風に呼んだの」 「迷惑極まりねェ…」 「そうね、そう思っても仕方ないわ。でも、あなたはきっと許してくれると思うわ」 「なんでだよ?」 「あたし……あなたに恋しているの」 ――耳に飛び込んだ単語を頭が理解しきれない。一瞬、思考がストップする。 「……………ハァ?」 間抜けな呟きがジャンガの口から漏れた。 キュルケは構わずに続ける。 「あたしね、前々からあなたが気になっていたの。ただ、タバサを傷付けたのもあなただし、素直になれなかったの。 でも、この思いを偽り続ける事は出来なかったわ。あなたには二度も命を助けられたし」 「何の事だ?」 「誤魔化さないで。ラ・ロシェールでゴーレムに襲われた時…、そしてあのピエロの時よ。 何れの時もあなた…凄く魅力的だったわ。そう、まるで伝説のイーヴァルディの勇者の様に。 当然、痺れたわ…、そして昼間…あの時に実感したわ。これこそ”情熱”…、間違い無く”情熱”って」 「オイ…」 「あたしの二つ名の『微熱』はつまり”情熱”なのよ! そして、あたしは部屋に戻ってからマドリガルを綴ったわ。 マドリガル…恋歌よ。…あんなに嫌っていたのに、こうして言い寄るあたしをはしたない女だと思うでしょ? 節操が無いと思うでしょ? でもね…全部あなたの所為なのよ、ジャンガ?」 「ざけんな…」 ジャンガは頭痛がする思いだった。 何だってまたこの女は自分に言い寄って来るんだ? 幾らなんでも変だ。 ――あの後、ドリル頭を捕まえて白状させたが、ドリンクに混ぜられていたのは調合した精力剤の様なポーションだとの事。 とりあえず、毒ではなかったが……実験台にした報いとして三分の一殺しにはしておいた。 だが、精力剤でここまで変わる物か? ジャンガのモンモランシーに対する疑惑は更に深まっていく。 そんな彼の考えなど知る由も無いキュルケは更にジャンガに言い寄る。 そして、目を瞑るや、黙って唇を突き出した。 ジャンガはその行動にあからさまに顔を顰める。 と、窓が開かれ、男の声が聞こえた。 「キュルケ…、待ち合わせの時間に君が来ないと思えば…」 「あら、スティックス」 メンドくさそうな表情でキュルケは窓の外の男を見る。 「悪いけれど、今日の約束はキャンセルね」 「話が違う!! 大体、君はその亜人を嫌っていたはずじゃないか!?」 「恋はいつも突然なのよ」 言いながら胸の谷間に挟んでいた杖を取り出して振る。 それなりの大きさの炎球が飛び、男を吹き飛ばした。 そして、何事も無かったかのようにジャンガに向き直る。 「無粋なフクロウよね」 「いいのか? 悪けりゃくたばったかも知れねェぞ…あの野郎」 「今は関係ないわ。とにかく、あたしが一番愛しているのはジャンガ…あなたなの」 再び唇を近づける。 と、また別の男の声が聞こえた。 「キュルケ! なんでそんな奴と!? 今夜はぼくと激しく――」 言い終わる前にキュルケの炎球が男を吹き飛ばした。 悲鳴も上げずに落ちて行く男を露程も気にしない様子でキュルケは再度ジャンガに向き直る。 「時間は無駄にしたくないわ。太陽は直ぐに昇って来てしまうんだもの」 と、三度男の声が聞こえた。 今度は三人分、同じ台詞を口にしている。 「「「キュルケ! そいつは一体なんだ!? 何でそんな奴と一緒にいるんだ!?」」」 「フレイム」 扱う炎や『微熱』の二つ名とは正反対な、冷たい言葉で使い魔の名を呼ぶ。 フレイムは立ち上がり、猛烈な火炎を窓目掛けて吐いた。 火炎は窓ごと三人を吹き飛ばす。三人は炎に包まれながら仲良く落下していった。 「…随分とまァ、男を漁り捲くってるみたいだな?」 「言ったはずよ? 松明の様に燃え上がり易いって…。でも、今はあなただけを愛してる!」 キュルケはジャンガの頭を両手で挟むや、有無を言わさず唇を奪う。 反応する暇も無く、ジャンガは押し倒された。 (この雌牛……いい加減にしとけよ…) もう我慢出来ない…、後々どうなろうと知った事か…。大体、主人の言う事を聞かないペットは始末に限る。 自分に圧し掛かる女を退かすべく、ジャンガは爪を構え―― バンッ! その時、凄まじい勢いで扉が開かれた。 何だ? と思って目を向けるとそこにはネグリジェ姿のルイズが立っていた。 キュルケもそちらに目を向けるが、直ぐにジャンガに戻す。その間、唇を離そうとはしなかった。 ルイズは爆発一歩手前と言った表情でズカズカと部屋に入ってくる。 「キュルケ!」 ルイズの怒鳴り声にキュルケは漸く唇を離す。 起き上がり、ルイズを軽く睨む。 「何よ、ルイズ? 今は見ての通り取り込み中なの。帰ってくれるかしら?」 「人の使い魔に勝手に手を出しておいて偉そうに言わないでよ!」 「仕方ないじゃない、燃え上がってるんだから」 「あなた、こいつの事…心底嫌ってたんじゃないの!?」 ジャンガを指差し、ルイズは言った。 「そうね…確かに。でも、恋ってのは突然なのよ。自分も自覚しないうちに胸の内に芽生えて、熱を持っていく。 そして…ある日突然燃え上がるのよ。今がその時…、一度燃え上がった恋の炎は誰にも消し止められないの。 恋と炎に身を焦がすのはフォン・ツェルプストーの宿命。あなたが一番ご存知でしょう?」 ルイズはわなわなと震え、ジャンガをギロリと睨む。 その眼光はジャンガの物と寸分違わない凶悪な物だ。 「来なさい、ジャンガ」 「テメェに言われるまでもねェ」 立ち上がろうとするジャンガの左腕をキュルケが掴む。 「あら、お帰りになるの? まだ夜はこれからじゃない」 「放しやが――」 「放しなさいよ、ツェルプストー!!」 ジャンガの言葉を遮り、ルイズが叫ぶ。 そんなルイズをキュルケはニンマリと笑いながら見つめる。 「あら…、ひょっとして嫉妬?」 「なっ!!?」 唐突なその言葉にルイズは口をあんぐりと開ける。 キュルケは、ぷぷ、と口を押さえながら笑う。 「そうなのね? 嫉妬したのね? ふふふ、可愛いわね」 「ち、ちちち、違うわよ!? だだだ、誰がこんな、こんな、ば、化け猫なんかの事で…」 「隠さなくてもいいじゃない? 一緒に添い寝をしたくせに」 「添い寝?」 ジャンガは、何の事だ? と怪訝な表情を浮かべる。 彼はルイズとタバサが自分の腕を枕代わりにして寝た事を知らなかった。 「わーっ! わーっ! わーーーーーーーーっ!!!?」 ルイズはこれ以上無い位に取り乱し、喚き立てる。 そして、ジャンガの右腕を掴むや、力任せに引っ張る。 「と、とにかく!! こいつはわたしの使い魔なんだから、ツェルプストーに渡してたまるものですか!!!」 対するキュルケもジャンガの左腕を引っ張った。 「彼はあなたの使い魔を本気でやってる訳じゃないのよ? あなただって好きじゃないんだし、問題は無いじゃないの」 ルイズが引っ張り返す。 「大有りよ! 絶対に渡したりしないわ!」 キュルケも引っ張る。 「彼に告白したのはあたしが先よ! 勝負も恋も早い者勝ち…よっ!」 引っ張っては引っ張り返し、引っ張っては引っ張り返し、その繰り返し。 やがてジャンガもイライラが頂点に達し―― 「ウゼェんだよ!!!」 両腕を思いっきり引き、腕にしがみ付く二人を真正面から衝突させた。 ゴンッ! と痛そうな音がして二人は完全に伸びてしまった。 仲良く倒れる二人を見下しながら、ジャンガは苛立たしげに鼻を鳴らすと部屋から出て行った。 途中、フレイムをジロリと睨み付けて。 ――翌朝。 食堂は生徒達で賑わっている。――これは普通。 生徒達は食事をしながらもヒソヒソと話している。――余り珍しくない。 生徒達はある一点をチラチラと覗き見ている。――ちょっと珍しい。 視線の先ではキュルケが隣に座った相手に頻りに言い寄っている。――全然珍しくない。 キュルケの隣にはジャンガが、あからさまに不機嫌な顔で座っていた。――異常。 ジャンガはいつも通り厨房で朝食を取ろうとしたのだが、キュルケが現れて彼を連行。 自分の隣の席に強引に座らせ、あの手この手でアプローチを掛けてきたのだ。 悩ましい仕草でしな垂れかかったり、愛を囁いたり、スプーンで掬ったシチューを飲ませようともした。 ジャンガはそれらを極力無視しつつ、目の前のパンやら焼き魚を貪り、ワインを豪快に飲み干していく。 ジャンガの更に隣にはタバサが座っている。だが、今の彼女は目の前の料理に手をつけていない。 「信じない…、嘘…、これは夢…、わたしはまだ寝てる…、これは悪夢…、これは悪夢…、ぶつぶつぶつ…」 ――何だか良く解らないが、意味不明な事を先ほどから繰り返し呟き続けている。 向こうのテーブルでは、ルイズが杖を圧し折らん勢いで捻じ曲げながら怒り狂った表情を向けている。 食堂の出入り口では茫然自失のシエスタが立ち尽くしている。 ジャンガは再び頭痛に悩まされた。 ちなみに、夕べのキュルケの”知り合い”達+太っちょが嫉妬に駆られて飛び掛ってきたりもしたが、 全員纏めて蹴り飛ばした。今、彼等は天井まで吹き飛ばされ、ムゥンズ遺跡の絵文字の如くめり込んでいる。 そんなこんなで食事を終わらせると、ジャンガはコソコソと食堂を出て行こうとする二人の生徒を見つけた。 ジャンガの目が自然と吊り上がり、次の瞬間には駆け出していた。 「待ちやがれ、ドリル頭!!!」 突然の怒号にモンモランシーとギーシュは、ビクッ、と身体を振るわせる。 恐る恐る振り向けば、そこには予想通りの相手。そして予想を大きく上回る恐ろしい表情。 有無を言わせず、ジャンガは彼女の胸倉を掴み上げた。 「オイ、ドリル頭…。俺が何を言いたいか…解るよな?」 モンモランシーは黙って頷いた。 ジャンガはあまりの怒りに引き攣った笑みを浮かべた。 「精力剤とか言ったよな? 精力剤程度であんな風になるのかよ?」 モンモランシーは首を振る。 「じゃあ…あれは精力剤じゃないって事だよな?」 「えと…、その…」 「答えやがれ…、あれは何だ? そして……」 「ダーリン♪ あたしを放って行っちゃ嫌よ~♪」 ジャンガの背に追いかけて来たキュルケが覆い被さった。 ジャンガは盛大にため息を吐くや、モンモランシーを睨み付ける。 「早く、こいつを何とかしやがれェェェェェーーーーーー!!!」 ジャンガの叫び声は学院中に響き渡るほど大きかった。 ――数分後―― ――モンモランシーの部屋―― 「惚れ薬ぃぃぃーーー!?」 話を聞いたルイズが叫び声を上げる。 モンモランシーはルイズの口に手を当て、もう片手の指を立てて静かにの意を示す。 「禁制の品なんだから、大声を出さないでよ!?」 「そんな事は解ってるわよ! と言うか、どうしてそんな物を作ったのよ!? 何でキュルケが飲んだのよ!?」 モンモランシーとギーシュは事の経緯を説明する。 興味本位で禁断のポーションをギーシュと一緒に調合した事、 危険と知りつつギーシュの制止も振り切ってジャンガを実験台にしようとした事、 ジャンガがポーションを飲まずにキュルケに無理やり飲ました事、 そして現在に至る事包み隠さず話した。 ちなみに、今部屋にはモンモランシー、ギーシュ、ジャンガ、ルイズ、キュルケ、タバサの六人が居る。 「あ、あんた……バカにも程があるわよ?」 ルイズの言葉にモンモランシーは反論出来ずに項垂れる。 ジャンガはそんな彼女にキレる一歩手前の鋭い視線を叩きつける。 「なるほどなァ…、実験台か…、この俺様を…『毒の爪のジャンガ』様を実験台とはな…。キキキ…」 薄ら笑いを浮かべながらモンモランシーの胸倉を再び掴み上げる。 そして、苦しむ彼女の顔を真正面から睨み付けた。 「俺はどうやら最近妙に優しすぎたみたいだな。まァ色々あったからよ、そうなっても仕方なかったのかもな。 でもよ、羽目を外し過ぎだゼ。…正直ウゼェ、ウザ過ぎる。 ここらで一つ…バカなペットを躾け直しておくか。テメェの立場って物を解らせてやる」 言いながら爪を振り上げる。 その腕にギーシュは慌ててしがみ付いた。 「ままま、待ってくれ!? モンモランシーを傷つけないでくれ! 止められなかったぼくにも責任は在る! だから、やめてくれ! お願いだ!」 ギロリと睨み付ける。 ギーシュは一瞬怯んだが、それでも必死に懇願する。 ジャンガは視線をモンモランシーに戻し、暫く見つめていたが、やがて爪を放した。 床に座り込み、咳き込むモンモランシー。 それを見下ろしながらジャンガは口を開く。 「この雌牛を元に戻せ…、そうすりゃ勘弁してやらなくもないゼ」 彼の背中には未だにキュルケが幸せな表情でしがみ付いていた。 漸く呼吸が整ったモンモランシーは、しかし首を振る。 「無理よ」 「ああン!?」 「どう言われても無理なのよ! 必要な秘薬も無いし」 「ンな事知るか!!! 金でも何でも貢いでその秘薬とやらを揃えろ! そしてとっとと戻せ!!」 「お金が幾らあっても無理、非売品なのよ…その秘薬『精霊の涙』は」 「持ってたって事はテメェは手に入れられたんだろうが!? もう一度手に入れて来い!」 「無理よ…、今と昔じゃ状況がまるで違うんだから」 「いいから何とかしやがれ、ドリル頭!!! じゃなけりゃ、テメェの見ててウザってェそのドリル髪! 一本残らず刈り取って、ただでさえデコなその頭…あのコッパゲが”マシ”に見える位のツルッパゲにしてやるぞ!!?」 鬼気迫る表情で怒鳴るジャンガにモンモランシーは後退る。 と、唐突にジャンガは落ち着いた表情に戻る。 「まァ…別に無理に言わなくてもいいか」 「え?」 ジャンガはニヤニヤした笑みを浮かべながら横目でモンモランシーを見つめる。 「別にテメェだけが当てになるわけじゃねェ。あの姫嬢ちゃんにでも相談するさ。…と、今は女王だっけか?」 モンモランシーは、ハッ、となる。ジャンガの考えが読めたのだ。 「お前が何とか出来ないんだからな…他を当たるさ。あいつなら女王だし、借りも在るんだから良い案出してくれるだろうゼ。 ああ、そう言や惚れ薬は禁制の品なんだよなァ? さ~て…姫嬢ちゃんに教えたらどうなるかなァ~…キキキ」 モンモランシーの顔が青くなる。 ジャンガはそんなモンモランシーの肩を爪でポンポンと叩いた。 「なァに、安心しやがれ。路地裏で生活するようになっても俺が先輩として生き方を教えてやる。 さんざん傷直してくれた礼も含めてな…。だからよ、安心しな」 そして、ジャンガは背を向ける。 「解ったわよ! 取りに行くわ!」 ジャンガは相変わらずのニヤニヤ顔で振り返る。 「そうかい? すまないなァ…キキキ。じゃ、直ぐに出るか」 モンモランシーが反応する。 「ちょっ、ちょっと…今から出るの!? 授業は!?」 モンモランシーがそう言った瞬間、ジャンガは窓へ移動していた。 「姫嬢ちゃんとこまで行ってくるゼ」 「解った! 解ったから止めて!!!」 「最初からそう言やいいんだよ…。タバサ?」 ジャンガに名前を呼ばれ、タバサはコクリと頷く。 窓へと近づき、口笛を吹く。シルフィードが窓の外まで飛んで来た。 最早ツーカーだった。 「それじゃとっとと行くゼ。…それで、場所は?」 ジャンガの言葉にモンモランシーはため息交じりに答えた。 「ラグドリアン湖よ。水の使い手はそこで水の精霊と契約を交わすの」 その言葉にジャンガはあの夜の事を思い返した。 「…あいつか」 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
https://w.atwiki.jp/mekameka/pages/3359.html
NEOGEOオンラインコレクション 龍虎の拳~天・地・人~ 【Art of Fighting Anthology】 メーカー SNKプレイモア 発売日 2006年5月11日 対応機種 PS2 2Dの対戦格闘ゲーム3作品を収録したオムニバスソフト 龍虎の拳 龍虎の拳2 ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝 収録 NEOGEOオンラインコレクション コンプリートBOX 上巻 ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝 NEOGEOオンラインコレクション コンプリートBOX 上巻 な行 オムニバス プレイステーション2 龍虎の拳 龍虎の拳2 PR ネオジオ オンライン コレクション ザ ベスト 龍虎の拳~天・地・人~