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ぬいぐるみ 15 ポリン人形 98 チョンチョン人形 30 スポア人形 12 バフォメット人形 8 オシリス人形 24 バッタ人形 17 サル人形 16 タヌキ人形 26 古い魔法書 127 古いポートレート 14 ロキのささやき 39 母さんの悪夢 1 盲人の愚かさ 3 包装リボン 39 包装紙 42 ムナック人形 4 レッドチリ 45 金雲母 8 めのう 7 白雲母 30 薔薇水晶 13 トルコ石 5 黄水晶 70 輝石 6 黒雲母 97 古い鉄板 77 水晶のかけら 10 料理本レベル6 11 料理本レベル7 11 料理本レベル8 2 料理本レベル9 2 料理本レベル10 6 堅い鉄片 109 金の小銭 76 ポリンの卵 1 ドケビの卵 1 イグニゼム=セニアの卵 1 彷徨う者の卵 1 雅人形の卵 2 ラウレル=ヴィンダーの卵 1 ロリルリの卵 1
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もしも小学校の教師だったら・・・プロローグ もしも小学校の教師だったら・・・水銀燈編 もしも小学校の教師だったら・・・金糸雀編 もしも小学校の教師だったら・・・翠星石編 もしも小学校の教師だったら・・・蒼星石編 もしも小学校の教師だったら・・・真紅編 もしも小学校の教師だったら・・・雛苺編 もしも小学校の教師だったら・・・薔薇水晶編 もしも小学校の教師だったら・・・雪華綺晶編 もしも小学校の教師だったら・・・エピローグ もしも小学校の教師だったら・・・時間軸まとめ
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Story ID kR8g9urv0 氏(8th take) バンドにおけるポジションは不可変な物。 サポートアクトという形での補充は可能だが、本来の音を出すにはオリジナルメンバーである事が第一条件だ。 しかし、たまにはこういう事もあるようで─── -Metamorphose~気分転換~- 「ポジションを変える…ですって?」 翠星石の提案に対し、真紅は眉根を寄せて返答した。 他のメンバーもその提案の意味を掴みきれず、視線は翠星石へと集まっている。 レコーディングやインタビュー、そして練習にライヴ……多忙な彼女達。 そんな日々の中、今日は数少ない完全なOFFであった。 彼女達は例えOFFであってもメンバー全員が集まる事は珍しくなく、今日も行きつけの喫茶店で気だるくアンニュイな午後の一時を楽しんでいた。 そんな中での出来事である。 「そうです。…と言っても、ずーっと変える訳じゃないですよ」 香りを楽しむようにティカップを手にしている翠星石。 カモミールティの香りには身体をリラックスさせる効果があるというが、彼女の場合はそのような事など考えず、単に好みの香りだからという理由でカモミールティを注文する事が多い。 「………どういう事か、解らない。説明して…」 表情を変えず、淡々と薔薇水晶が問う。 翠星石曰く、「ただ他の楽器も触ってみたいだけ」という事らしかった。 しかしそれは誰しもが思っていた事であり──好奇心が旺盛なのも彼女達の特徴だ──せっかくなのでその提案に乗ってみよう、という事になった。 「私はぁ…ヴォーカルも時々やるしぃ…そうねぇ、ベースをどこまで奏でられるかをやってみたいわぁ」 「じゃあ僕はドラムスかな」 「やーなのー!叩くのはヒナがやりたいのー!」 「そう…じゃあ雛苺に譲るよ」 「やったのー!蒼星石大好き!」 「貴女達、ちょっと騒ぎすぎよ」 「………私…歌ってみたい…」 「翠星石はギターなんぞをやってみたいですね」 「ちょっとぉ、私のギター壊しちゃやぁよ?」 「解ってるですよ。ちゃんと自前のギターを用意するです。第一水銀燈のギターはネックが太くて持てんですよ」 「ならいいわぁ」 「じゃあ僕はキーボ…」 「そうね…じゃあ私はキーボードを」 「あぅ……」 「あら蒼星石。貴女もキーボードをやりたいの?」 「やってみたいけど…でも真紅がやりたいならいいよ」 「そう、悪いわね。じゃあ貴女は自動的に私のポジションかしら」 「え゙」 「それはいいです。蒼星石の歌声聴かせるですよ」 「………賛成」 「悪くはないわねぇ」 「え、いや、その…」 「カナも何かやってみたいかしら!」 「ダメよぉ。金糸雀、触っただけで機材壊れるしぃ」 「そ、そんな事はないかしら!!あれはたまたま…」 「…その割に、一度機材全滅させかけたよね」 「……うぅぅぅううぅぅうぅぅ」 話し合いの末、Vo.薔薇水晶・Vo Gt.蒼星石・Gt.翠星石・B.水銀燈・Kb.真紅・Dm.雛苺ということになった。 明けて、翌日。 6人は──金糸雀は、反論できずにマネージャーの仕事を普通に行う事となったのだ──練習用のスタジオに集まっていた。 翠星石は蒼星石のギターを借り、ドラムセットを除いたその他の機材はそれぞれで使いまわす事となった。 持ち運ぶ訳には行かないので、ドラムセットのみ備え付けの物を使う事になっている。 「…と言っても。皆、自分のパート以外の譜面覚えてる?」 蒼星石は至極尤もな疑問をそれぞれに投げかけた。 勿論ある程度は把握しているだろうが、「把握している」事と「演奏できる」事は違う。 几帳面な性格の蒼星石は、全パートの譜面を頭に叩き込んでるが、他のメンバーについては解らない。 当然の事であった。 「……私は、いつも聴いてるから歌える…」 ぐっ、とサムズアップする薔薇水晶。 普段から自分たちの曲を聴いている、というのは初耳だった。 「私もベースラインはソロの練習で使ってるから覚えてるわぁ」 簡単にラインを奏でながら水銀燈も応える。 他の三人は「完全に覚えていないまでもある程度の流れで補完することは可能」という事であった。 「どうせ本番じゃなくて遊びですし、気楽にやるですよ」という翠星石の言葉に「それもそうか」と納得し、まずは簡単に慣らす為にそれぞれ自由に奏でる事になった。 曲がりなりにも「音楽で飯を食っている」集団である。勝手が違ってもどうにかなるであろう、とその時は全員が思っていた。 ……が。 「翠星石、その持ち方じゃ弾きにくくない?ほら、僕と同じように─」 「う、煩いです!翠星石はこの持ち方で行くったら行くのです!」 「雛苺ぉ、バスに足が届かないならスツール下げたらぁ?ほぉんと、お馬鹿さぁん」 「うー、うー……でも下げると届かないのー…」 「………真紅…本当に、ピアノ習ってたの……?」 「し、仕方ないじゃない!ピアノとは勝手が違うのだわ!」 現実はそう上手くは行かないもの。 蒼星石と水銀燈は元のポジションのせいか少しの練習である程度の形にする事は可能であった。また薔薇水晶も歌をそつなくこなしている。 だが残りの3名はあまりにあまりであった。 サイズの足りていない雛苺、そもそもの基礎ができていない翠星石、ピアノを習っていたはずが複雑なキーワークをこなせない真紅。 大材小用、驥服塩車…そんな言葉があるが、彼女達の場合はそれ以前の問題である。 「キィー!こんな事やってられんです!一番初めに言い出したのはどこのどいつですか!!」 「…言い出したのは君じゃないか翠星石……」 癇癪を起こす翠星石と、溜息をついて宥める蒼星石。 結局短気の翠星石が真っ先に投げ出してしまい、この試みは失敗に終わったのであった。 ─その後、ひっそりとキーボードを練習する真紅や牛乳を大量に飲む雛苺、ギターの教本を人知れず購入する翠星石の姿が目撃されたが、誰もそれに突っ込むことはしなかったとか。 短編SS保管庫へ
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~第十八章~ 初夏の風に揺れる木立のざわめきに、小鳥の囀りが混ざり合う。 長閑な雰囲気の中で、雛苺は竹箒を手に、境内の掃除をしていた。 この季節は、まだ掃除も楽だ。 秋ともなると落ち葉が酷くて、掃き集める側から、落ち葉が積もる有様だった。 もっとも、焚き火で作る焼き芋は、とても愉しみだったけれど。 「雛苺、ちょっと来なさい」 「うよ? はいなのー、お父さま」 竹箒を放り出すと、雛苺は小首を傾げながら、ペタペタと草履を鳴らして社殿に向かった。 どうしたのだろう? なんとなく、声の質が硬かったけれど……。 怒られるようなコト、したっけ? 「お父さま~、何のご用なのー?」 「おお、来たか。雛苺」 育ての父、結菱一葉は一通の書状を手に、硬い表情をしていた。 そう言えば、ついさっき……お城から早馬が来てたっけ。 雛苺の視線は、書状に釘付けとなった。 「お手紙なのね。なんて書いてあるの、お父さま?」 興味津々で瞳を輝かせている雛苺に対して、一葉の表情が和らぐ事はなかった。 彼は、懐に書状をしまい込みながら、話を切り出した。 「旅の支度をしなさい、雛苺」 「……うよ?」 「狼漸藩で、なにやら良くない事が起きたようだ。お前も、ついて来なさい」 「わぁい! お出かけなのー!」 『良くない事』に深刻さを全く感じていないらしく、雛苺は陽気にはしゃいだ。 普段から、あまり遠出をする事がないので、余計に嬉しいのだろう。 けれど、一葉は雛苺の態度を、不謹慎だと叱ったりしなかった。 寧ろ、頼もしげな感すら有ったほどだ。 彼は狼漸藩の方角から押し寄せてくる何かの気配を、鋭敏に感じ取っていた。 (今度の一件、雛苺には厳しいかもわからん。 だが、この娘の陽の気が必要なのも、疑いない) 青々と木々が繁る稜線に遮られて、ここからでは狼漸藩の様子が全く判らない。 あの尾根まで登れば、なにか解るだろう。 「うゆぅ~。お父さま……ヒナね、なんか凄ぉく気持ち悪いの~」 一葉の真似をして狼漸藩の方角を見ていた雛苺が、胸元に手を当てて呻いた。 ちょっと目を向けるだけで、強烈に邪気を感じ取ったらしい。 やはり、雛苺には強い能力が眠っているのだと、一葉は確信した。 長年の修行の末に開眼した自分と違って、才能を持って生まれてきたのだ……と。 「出かけるのが辛いなら、此処に残っていても良いのだぞ」 「……平気なの。お父さまと一緒に、お出かけするのっ」 「ならば、急いで支度を済ませてきなさい」 促されて、雛苺は元気良く自室へと駆け出していった。 一身を賭して、雛苺を守り抜く。一葉の眼差しには、確たる意志が宿っていた。 ――六人の犬士たちが柴崎老人の邸宅を後にして、早くも一日が過ぎようとしている。 暮れなずむ空を見上げながら、とぼとぼと歩く山道。 金糸雀の幼少時代、色々と面倒を見てくれた女性が、この近くの村に嫁いだと 聞いて、情報収集も兼ねて立ち寄ってみたのだが……。 「ねえ、金糸雀ぁ。本当に、もうすぐ着くのぉ?」 「う、うん……その筈、かしら」 「その筈って、なんです! 適当で無責任なヤツですね、お前はっ!」 周囲は木々が生い茂り、見晴らしが悪い。 夜の帳が降り始めて、尚更、村の所在を確認する事が困難になっていた。 「しゃ~ねぇです。私が先に行って、確かめてくるですぅ」 痺れを切らして走り出そうとした翠星石の手を、蒼星石が掴んだ。 「ダメだよ、姉さん。まだ、傷も完治してないんだからね」 「で、でも蒼星石。このままじゃ埒が開かねぇですぅ」 「それでも、ダメだよ」 手を離そうとせず、にっこりと微笑む蒼星石の気迫に圧されて、 翠星石は渋々と引き下がった。 下手に逆らおうものなら、鳩尾に当て身が飛んで来ること請け合いだ。 そうこうする内に、事態が進展を見せぬまま、辺りはどんどん暗くなっていく。 「あう~。みんな、ごめんなさいっ! どうしよう~、困ったかしら」 「心配ない……もうすぐ、着くから」 「え? 貴女、知っていたの?! だったら最初から言いなさい!」 声を荒げる真紅に、薔薇水晶は「訊かれなかったし」と呟いて、前方を指差した。 村に到着して、ちょっと探すと、金糸雀の知り合いは直ぐに見つかった。 「あら! やだぁ、カナじゃないの! どおしたのよ~!」 「ちょ……みっちゃん! ちょっと、待つ、かしらーっ!」 戸板を開けて顔を覗かせた女性は、金糸雀を見るや抱き付いて、頬ずりを始めた。 そんな二人の様子を、呆然と眺める五人の娘たち。 この人たち、一体どういう間柄だったのか……。 「ねぇ……あの女の人、なんなのぉ?」 「ま、まあ、なに? 浅からぬ仲だって事は、解ったのだわ」 「……はっきり言えば……キチガもごもご」 「はっきり言わねぇでいいです。お前はホントに、バカ水晶ですぅ」 「姉さんも、そこまで明言しなくたって……」 みっちゃんと呼ばれた女性は、ひと頻り金糸雀を愛でると、五人に目を向けた。 眼鏡の奥で光る瞳は、次なる獲物を狙う猛禽のそれに似ていた。 「ちょっとちょっと。カナぁ、この可愛い娘たちは誰ぇ?」 「一緒に旅をしてる仲間かしら。山道を越えようとして、夜になったから」 「ははぁん……それで、今夜は泊めて欲しいって言うのね?」 「納屋でも構わないから、貸して頂けると助かるのだけど」 「なに言ってるの! カナの知り合いなら、部屋に泊めてあげるわよっ」 「でも、ボクたちが居たら、ご家族に迷惑なんじゃあ――」 「だぁいじょうぶ。旦那は留守だし、子供もいないからぁ」 実は、独りで寂しかったのだろうか。みっちゃんは大喜びで、彼女たちを迎え入れた。 質素だが、温かな夕食を取った後―― みっちゃんの餌食になったのは、意外にも薔薇水晶だった。 どうやら、洒落た眼帯が、みっちゃんのツボにハマったらしい。 食後のお茶を飲みながら旅の話に耳を傾ける間、彼女は薔薇水晶の肩を抱き締め、 決して手放さなかったのだ。 薔薇水晶は露骨に嫌な顔をしたが、みっちゃんは一向、気にする様子がない。 他の娘たちも身代わりにはなりたくないらしく、頻りに頬ずりされる薔薇水晶に 同情の眼を向けつつ、笑いを堪えるばかりだった。 ――そして就寝時間。 「酷いよ……みんな……」 涙を浮かべて膝を抱える薔薇水晶の肩を、翠星石がバシバシと叩いた。 「まあ、気にするなです、薔薇しぃ。人生、何事も経験ですぅ」 「……だったら、翠ちゃんも……やられれば良かったのに」 「わ、私は、頬ずりなんて経験済みだからいいです。ねぇ、蒼星石?」 「知らないよっ! なんで、ボクに話を振るの!」 蒼星石は夜目にも判るくらい頬を染めると、寝転がって背を向けた。 その後も「まったく、姉さんは……」と、なにやらブツブツ言い続けていた。 「それにしても、最後の貧乏クジは真紅だったわねぇ」 「みっちゃん、昔っから寂しがりだから……」 就寝前、みっちゃんは真紅に、一緒の部屋で寝て欲しいと願い出たのだ。 たった一晩とは言え、ご厄介になる以上、無下に断る訳にはいかなかった。 なぜ、こんな状況になっているのか。 布団の中で、身を強張らせる真紅。枕を並べた、一組の布団。 これ即ち、同衾……と言うヤツである。 てっきり二組の布団を敷くものと思っていたが、勝手な思い込みだったらしい。 真紅はみっちゃんに背を向け、両手でしっかりと神剣を握りしめた。 金糸雀には悪いが、ちょっとでも変な真似をしたら、躊躇なく斬るつもりだった。 「そんな物騒な物、布団に持ち込まなくてもいいじゃないの」 「ここ、これは大切な剣だから、肌身離さず持つのは、と、と、当然なのだわ」 「そぅお? 寝返り打った時とか、痛いでしょお?」 「で、でも……」 「せめて、枕元に置いておきなさいな」 確かに、みっちゃんの言う通りだった。 剣を抱えたままだと寝返りを打ち難いし、変に身体を乗せてしまうと、物凄く痛い。 第一、布団の中に持っていては掛け布団が邪魔して、即座に抜刀できないだろう。 枕元に置いておく方が、よっぽど瞬時に対応できる。 (どうせ、穢れの者は神剣に触れないし――) 間違いが起きそうになったら、大声を出せば、みんなが駆けつけてくれる。 真紅は躊躇いがちに、神剣を枕元へ置いた。 それを見て、みっちゃんは、にへら……と、嫌らしい笑みを浮かべた。 「うふふふふ…………手放したわねぇ、お間抜けさん」 「えっ?」 みっちゃんは半身を起こすと、袖の中から、しゃっ……と短刀を抜き出した。 行燈の仄かな明かりに、みっちゃんの眼鏡が怪しく輝く。 逆手に握った短刀の刃が、ギラリと鋭い光を放った。 「……っ! ……っ!?」 「うふふふ。声が出ないでしょお? 身体だって、動かない筈よぅ?」 確かに、真紅の身体は全く動かなくなっていた。 ついさっきまで、なんでもなかったのに―― 意識を集中して、全身に気を送っても、金縛りは解けない。 自分の身に何が起きているのか、全く把握できなかった。 「神剣の加護がなければ、所詮は、普通の女の子。他愛ないわあ」 「! …………っ!」 「怖い目で睨んだってダぁ~メよぅ。 めぐの放ったムカデの毒に、全身を蝕まれているんだから。 ムカデの毒は、やがて貴女の心臓すらも麻痺させるわ。 どお、怖い? 死ぬのが怖い? でも大丈夫よ。貴女がムカデの毒で死なずに済む方法は、ひとつだけ有るから」 勿体ぶった言い方をして、みっちゃんは真紅の顎を、ぐいと押し上げた。 狡猾そうな冷笑を浮かべて、真紅の顔を覗き込んでくる。 「毒の恐怖から解放される、唯一の方法を――知りたい?」 みっちゃんは、真紅の耳元で、心底楽しそうに囁いた。 「簡単なコトよぅ。毒が全身に回りきる前に、死んでしまえば良いの」 「っ!! っ!?!」 「可哀相だから、お姉ちゃんが貴女を死の恐怖から解き放ってあげるわ。 ゆっくり……そう、ゆっくりと殺してあげるから」 矛盾に満ちた言葉を吐いて、みっちゃんは真紅の喉に、軽く歯を立てた。 最初は、甘噛み……。 それから宣言どおりに、じわじわと……徐々に、顎の力を増していった。 このままでは気管を圧迫されて窒息するか、喉を食い千切られるか、二つにひとつ。 ――なんとか、しないと。でも、どうすれば良いの? 全身を襲う痺れで、指一本を動かすことすら叶わない。 神剣を手放し、加護を受けなくなった途端、めぐの術に陥ってしまったなんて。 所詮、この程度でしかないのか。 真紅は自分の力の足りなさに、失望を禁じ得なかった。 【義】の御魂ひとつだけでは、四天王の術にすら満足に対抗できない……それが現実。 なんて、ちっぽけで、弱々しい存在なのだろう。 (それでも、私は――) やはり、みんなの御魂を集める気にはなれない。 そして勿論、こんなところで殺されるつもりも、断じて無い! (房姫……私の声が聞こえているなら……お願い! 力を貸してちょうだい!) 直後、真紅の身体が仄かな光に包み込まれる。法理衣が自発的に起動していた。 真紅の喉元で、ジュッ! と何かが焼ける音と、臭いがした。 「ふぐあっ!」 真紅の喉に噛みついていたみっちゃんは、両手で顔面を覆い、絶叫をあげた。 すぐさま、襖が乱暴に開け放たれ、五人の娘が雪崩れ込んでくる。 「真紅っ! 今の絶叫は何なのっ?!」 「……これは、どういうつもりぃ? 悪ふざけにも程があるわよっ」 蒼星石と水銀燈が、素早く左右に分散する。 薔薇水晶が正面で二本の小太刀を構え、みっちゃんの背後には翠星石が回り込んだ。 「金糸雀は、真紅の容態を診やがれですぅ!」 「わ、解ったかしら!」 金糸雀は短筒の照準をみっちゃんに合わせつつ、真紅の元に駆け寄った。 身体が麻痺しているらしい。声も、出せないようだ。 真紅の喉に残る歯形を目にして、金糸雀は何をされたかを悟った。 「誰なの、あなたは! 本物のみっちゃんは、こんな事しないかしら!」 「ふふふ……あ~あ、残念。もう少し遊んでいたかったのに」 みっちゃんの輪郭が、徐に、ゆらりと波立つ。 そして、一瞬の後には、眼鏡を掛けた娘の姿に変貌していた。 「お前は、のり!」 「あら? 憶えててくれたのね、蒼星石ちゃん。お姉ちゃん、嬉しいわ」 「いつもいつも、ふざけたヤツですぅ!」 「みっちゃんは! みっちゃんを、どうしたかしらっ!」 金糸雀は、半狂乱になって、がなりたてた。 そんな彼女を、のりの冷たい視線が射抜き、冷水の様な笑みが吹きかけられた。 「馬鹿ねえ。あんな女、とっくに食べちゃったに決まってるでしょお? この村の連中も、お姉ちゃんが一人残らず食らい尽くしてやったわ」 「な……っ!」 「なのに、貴女たちったら全然、気がつかないんだもの。 お姉ちゃん、笑いを堪えるので大変だったんだから。あはははっ!」 「この……外道めっ!」 「んふふっ。あら嬉しい。蒼星石ちゃんから、最高の誉め言葉をもらっちゃったぁ」 四面楚歌であるにも拘わらず、のりは悠然と笑みを浮かべていた。 絶体絶命の危機に陥っていながら、何故、余裕綽々としているのか。 ハッタリか。それとも、まだ……何か罠を仕掛けているのか。 「かかって来ないのぅ? つまんなぁい。こっちから仕掛けちゃおうかな」 言って、のりが指を鳴らした途端、轟々と四方の壁が燃え上がり、 八畳間は忽ち、焦炎地獄と化した。 幻覚などではなく、本物の炎だ。肌が、ちりちりと痛くなった。 「これで、貴女たちは袋の鼠。このまま蒸し焼きにしてあげるわ」 「その前に……お前を、殺せばいいだけ」 薔薇水晶は発動型防御装甲『圧鎧』を起動して、のりに斬りかかった。 =第十九章につづく=
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Story ID tsU7P4afO 氏(123rd take) 「今日はよく来たな【ピーー】野郎ども!【ピーー】な【ピーー】が【ピーーー】にしてやるからな!」 な真紅 「この前のオフにねぇ、【ピーー】になってたのー。だから【ピーー】したら【ピーー】が溢れて【ピーーー】」 な雛苺 テレビカメラを破壊する銀様 司会者の話を聞かない翠星石 「こんなバラエティみたいな音楽番組大っ嫌いだ!」 って本番で言っちゃう蒼星石 どのタイミングでもことごとくフレームアウトする薔薇水晶 短編連作SS保管庫へ
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ローゼンハイム 幻想郷支社第04回にて、翠星駅駅前に建設された分譲マンション。ニコニコ鉄道の社宅としての機能も兼ね備えている。 1号棟の水銀燈は入居希望者が殺到した為に倍率120倍のくじ引き抽選が行われた。 現在9号棟の管理人を巡って、1号棟と5号棟の管理人との間で冷戦が続いているとかいないとか・・・ 1号棟 水銀燈 2号棟 金糸雀 3号棟 翠星石 4号棟 蒼星石 5号棟 真紅 6号棟 雛苺 7号棟 雪華綺晶 8号棟 薔薇水晶 9号棟 くんくん 0号棟 麻生閣下
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雪華綺晶のページを見つけた者はここに知らせてくれ 暇潰しに俺も作った訳だが ローゼン 質問情報用掲示板(ローゼン用) 翠星石 水銀燈 エロ銀様 ちょっぴり意地悪銀様 甘い銀様 可愛い銀様 雛苺 真紅 薔薇水晶 蒼星石 エロ蒼い子 金糸雀 アイドル 質問情報用掲示板(アイドル用) 大塚愛 aiko エロaiko YUKI YUKI 椎名林檎 浜崎あゆみ 倖田來未 木村カエラ 持田香織 アニメキャラ 質問情報用掲示板(アニメキャラ用) ラクス 綾波レイ ミスマル・ユリカ ホシノ・ルリ ルナマリア 大崎ナナ その他 質問情報用掲示板(その他用) 于禁 (´・ω・`) りりぃ アヤ 貂蝉
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(゚д゚) ! _(ヽっノ_ ヽ ヽ 【名前】 コボルト 【読み方】 こぼると 【種別】 悪魔 【種類】 闘鬼 【Lv.】 不明 【初登場】 1stday 【出典AA】 2ch 【人物】 小さな犬の鬼。 初期のキチガイもこの悪魔だったが、集団で登場したコボルトはキチガイと明らかに姿が違うためやらない夫も判別するのに時間がかかった。 あまり強くはないが非常に数が多いのが特徴。薔薇水晶の手によって全滅した。 作者は一人プレイでこの悪魔になんども殺されたことがあるらしい。
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Story ID KEIqfuZQ0 氏(213th take) 銀「その点真紅は不安ねぇ…( ̄ー+ ̄)ニヤリ」 紅「(ギクッ)そうね…」 金「薔薇水晶いるかしr…水銀燈」 銀「金を落とした韓国人が一匹…ジャンクにしてあげるわぁ…!」 紅「(ナイス人柱、GJ!!!!)それじゃこれで…」 雛「あっ!!真紅それ50本限定くんくんギターなの!!!凄まじいなの~!!!!(いろんな意味で…ぺっ)」 翠蒼「(雛苺…恐ろしい娘ですぅ(だね」 薔「アッガイギター…シューマイギター…」 短編連作SS保管庫へ
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Story 845 氏 僕は桜田ジュン。「RozenMaiden」の衣装コーディネイト担当だ。 衣装コーディネイトというのは、ただ綺麗な服を作ればいいというものじゃない。 そのデザインには、そのままバンドのコンセプトを形にすることが要求される。 だがその一方で、毎度毎度同じでもいけない。バンド自体の停滞をイメージさせかねないからだ。 「という訳で、今回のツアー向けには新しい衣装を用意した。ソロのコーナーではこれに着替えていってくれ」 * 「みんな今日もきてくれてありがとなのー!」 Illust 845 氏 まず、口火を切るのは雛苺だ。 今回のツアーコンセプト「破壊と新生」に沿って、メンバーそれぞれのイメージのあえて逆、一番遠いカラーを持ってきてみた。 「それで雛苺が黒ってわけぇ……?」 「でも、よく似合ってると思うよ。いつもの可愛らしさも殺してないし」 もっとも雛苺の場合、むしろソロコーナー用衣装としては、これこそが本来あるべき姿だった、とも言える。 「ファックファックファックファックファックファックファックファックファックファック ファックファックファックファックファックファックファックファックファックファック ファックファックファックファックファックファックファックファックファックファック ファックファックファックファックファックファックファックファックファックファック ファックファックファックファックファックファックファックファックファックファック!」 「出たぁ!黒苺さんの1秒間に10回ファック発言だ!」 「息継ぎしないなんて死ぬのが怖くないのか~!?」 小さな身体で、可愛らしい唇から迸るは、まさに戦慄の旋律。 「はぁ……あの歌い方は止めなさいと言ったのに……」 「すっかり定着しちゃったですねぇ」 つくづく、あの小さな身体のどこから、あのデス声が出てくるんだろう。 * さて雛苺が口火を切った後、たたみかけるは水銀燈のギターソロ。 更にオーディエンスのテンションを、最高潮に引き上げて行く。 「銀様ァァァァァァ!!」 「罵ってくださァァァァい!!!」 いつもならそんな煽りが似合うところだが、フッ甘いな。 今日の水銀燈はひと味違うぜ。 Illust 845 氏 「……って、ピンク?」 「そう言えば、音もなんかちがくね?」 いつものテクニカルでアグレッシブな――それ故に、口の悪い評論家には「テクニック自慢でしかない」とも揶揄されがちな演奏ではない。 また、アンコールで時に聴かせる、アコースティックなそれでもない。 どちらかと言えば甘く、優しく、可愛らしいとさえ言える――それでいていつも以上の「毒」をも忘れないパフォーマンス。 「……銀ちゃん……かわいい……♪」 「見とれてるんじゃないです、お前も出番近いんだからとっとと着替えてくるです」 * 「じゃあねぇ……ばいばぁい……♪」 水銀燈のパフォーマンスが終わりを告げた。 いつもの締めの言葉も、いつもより少しだけ甘さを増しているように感じられる。 「さぁ、次はリーダーのベースソロだな」 「黒い雛タンに、カワイイ路線の銀様ときて、リーダーはどう来るかな?」 そろそろ、今回の趣向がオーディエンスにもわかってきたようだ。 やがてそのざわめきの中に、いつになく静かで、厳かなベースソロが流れ始める。 一瞬の静寂の後、スポットライトが当てられた、そこに居たのは―― Illust 845 氏 「リーダーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」 「レッドキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」 「ちょwwwスカートwwwモエスwww」 _ ∩ ( ゚∀゚)彡 スカート!スカート! ⊂彡 前の二人をしのぐ歓声。はにかみながらも、満更でもなさそうな蒼星石。 これまで蒼星石にはどこか、こういう女の子女の子したスタイルを自分から「諦めてる」感じがあったけど、これで少しは自信を持ってくれたかな? 演奏の方も、いつものウッドベースで奏でられるブルージィなものでなく、サイレントベースを駆使して、軽快なロックベースを聴かせている。 心なしか、いつもよりステージの少し前の方に立っていることに、蒼星石自身は気づいているんだろうか。 思った以上の効果に、僕も思わず頬が綻ぶ。 フッ、計画通り。 「……ジュン、その邪悪な笑顔は何?」 「ジュンは新世界の神なのー」 「???」 * 蒼星石のソロがゆったりと、その音を閉じていったかと思うと、 それに重ねて、今度はインダストリアルなフレーズが短い単位で繰り返し奏でられていく。 そのフレーズが少しずつテンポを上げていくと共に、ステージ中央に彼女が姿を現す。 Illust 845 氏 「ばらしーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」 「ちょwww生肩www」 「ばらしーwwwテラエロスwww」 「ハァ━━━━━━(*´Д`*)━━━━━━ン!!!!!」 いつものクリスタルピアノではなく、シンセサイザー。 それも、あえて電子的な音色を選び、打ち込みも多用しつつ、人間業とは思えない早弾きで、複雑な変拍子を織り交ぜた難解なフレーズを、軽々と弾きこなしていく薔薇水晶。 その非人間的とも言える演奏を、いままでになく露出を増やした艶めかしい衣装が引き立てる。 機械的なものと、人間的なものの対比が織りなす相乗効果。うん、これまた計画通り。ニヤリ。 「まぁ、ジュンもお年頃のオ・ト・コだったってことねぇ。気持ちはわかるわよぉ♪」 「ちがーーーーーーーーーーッ!」 「……まったく、本当に人間のオスは想像以上に下劣ね」 * 唐突に、薔薇水晶の演奏が終わる。まるでスイッチが切れたかのように。 続いてひときわスモークが濃く焚かれたかと思うと、その霧の中から、さながら遠雷のように、激しいドラミングが響く。 Illust 845 氏 「翠の子キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」 「なんか着物っぽいのキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」 _ ∩ ( ゚∀゚)彡 振り袖!振り袖! ⊂彡 「おまえら待たせたですねー! さぁ健やかにィー!のびやかにィー!ぶちかますですよーッ! 翠星石のドラムを聴きやがれーーーーーーーーっ!ですぅ!!」 いつもの要塞ドラムセットに、更に和太鼓まで加えた、パワフルなパフォーマンスが繰り広げられる。 ただ……正直に言うと、翠星石の衣装だけはちょっと不本意だったんだよな……。 「まだ拘っているの、ジュン」 「折角、蒼星石にスカートを穿かせたんだからさ……翠星石にはズボンで行きたかったんだけどなぁ」 「僕も説得してみたんだけどね。どうしてあそこまで頑なにスカートに拘るんだろう?」 「あの髪型にしても……ねぇ。ほぉんと、演奏のジャマだと思うんだけどぉ」 いや……まぁ、わかってるんだけどね。 ま、確かに、スカートを膨らませちゃった方が、目立たないもんな。 メンバー随一の、安産体型が。 * 翠星石のドラムパフォーマンスが最後のクライマックスを迎えると、 それに合わせて、ステージの一角にスポットライトが向けられた。 「ラストクル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!」 「真紅様クル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!?」 「真紅!真紅!真………………………………あれ?」 客席がどよめく。 ドラムが途切れた時、そこに佇むのは真紅ではなく―― Illust 845 氏 「……ばらしー?」 「ばらしーの番はさっき終わったじゃんよ」 「コスがさっきとも違う……てか眼帯逆じゃね?」 「キーボードじゃないのかー?」 オーディエンスの戸惑いと喧噪を余所に、「彼女」はおもむろにフルートを唇に当てる。 やがて流れ出すメロディの前に、次第に会場全体が静まりかえっていった。 彼女の名は雪華綺晶。薔薇水晶の姉にして、Rozenmaidenに詞や曲を提供してきた、影のメンバー。 そして――薔薇水晶の、もうひとつの姿。 最初薔薇水晶から「彼女」のことを聞いた時には、正直救急車を呼んだ方がいいんじゃないかと思った。それも黄色いやつ。 僕を含めたみんなの前で、薔薇水晶が眼帯の左右を入れ替えて――「彼女」が僕らの前に現れた、その直前までは。 「本当に、あいつをステージにあげちゃってよかったのか?」 「僕も危なっかしいとは思うけど、薔薇水晶……と、「彼女」のたっての希望だしね」 「これまでもあの子の音は私達の中にあったのだもの、あの子自身が皆の前に立つことを望んだのなら、 私達に拒む理由はないのだわ」 「だからって……」 「うや、でも自分から約束してたのなの。ぜったい歌わないって。だからきっとだいじょうぶなのよ」 「確かに……あれなら絶対歌えないわねぇ」 薔薇水晶が言うには、「雪華綺晶」の歌声は、時として非常に危険だそうだ。 聞いた人と「波長」が合ってしまうと、「効き過ぎる」とか何とか。 実際それがどういう意味なのか、それはわからない。 「ばらしーちゃんとの約束だから」とのことで、歌声を聞くことは叶わなかったから。 「彼女」が現れた途端、雰囲気も口調も、なにより声まで変わってしまったのには確かに驚いたが。 確かに、彼女の奏でるメロディは「圧倒的」だった。 翠星石のパフォーマンスによってヒートアップした心身を、冷え切った手で鷲掴みにされたような。 甘く、優しく、巧みにどこか遠くへ――二度と戻れない深淵の彼方に連れて行かれてしまうかのような、危険な魅力。 それは、そんな「音」だった。 ――命だけは、助けてあげますわ。 後になって、オーディエンスはみんな、「彼女」の名前と共に、そんな言葉を思い返すのだった。 「彼女」は一言も発していないはずなのに。 * ステージから「彼女」――雪華綺晶が姿を消しても、まだオーディエンスは静まりかえっていた。 正直、僕も身震いが止まらない。 そんな中に、どこからか響いてくる優しい音色。 Illust 845 氏 雪華綺晶が置いていった恐怖と狂気。 為す術もなく立ちつくすしかなかったオーディエンスを、金糸雀の奏でるヴァイオリンのメロディが優しく包み、癒していく。 「さすが……だね」 蒼星石が嘆息を漏らす。 いつも、 「頭脳派のカナは、ライブパフォーマンスとか疲れることはしないのよ。 あくまでも裏方に徹して、楽してズルして大もうけかしら♪」 とか何とか言ってはいるが、Rozenmaidenのメンバーみんなが知っている。 金糸雀の演奏テクニックと音楽的センスが、他のメンバーに全くひけをとるものじゃないことを。 それどころか、正しく「音楽」を学んできた知識については、メンバー以上だということを。 そして、そんな金糸雀こそが、一番疲れる仕事を一手に引き受けてくれていることを。 「はぁ……た、ただいまーかしら」 先ほどまでの張り詰めた静寂が嘘のように、熱気を取り戻したオーディエンスを背に、金糸雀がステージ袖に帰ってきた。 その金糸雀を、クラッカーの破裂音が出迎える。 「カナおっかえりぃ~!!!!!」 「み、み、みっちゃん!?さ、撮影はー……」 「もっちろんバッチリ撮りに撮りまくってるわよー!」 金糸雀の保護者、草笛みつ――通称みっちゃん。腕の立つカメラマンだ。 今度、Rozenmaidenの写真集を出すことになっている。 金糸雀が今回、ステージに立つことになったのは、他でもない彼女のたっての願いなのだ。 「はあああああん可愛いいいいーーーーっ! 夢にまで見たRozenmaidenとカナのコラボレーションー! みっちゃん幸せっ……!」 「キャー!み、みっちゃんが倒れたかしらぁー!?」 「ちょっ……なんで翠星石の方に倒れてくるですかこのでか人間ー! お、おもいですぅー!可及的速やかにどきやがれですぅぅぅぅーーーー!」 * と、騒ぐメンバーの中に、スタスタと真紅が進んできた……と思うと。 「うるさい」 一喝と共に、その身を一回転。長い金髪が風を切る。 「へぶぅ!」 「キャーかしらー!」 「とにかく、みっちゃんさんを控えに運びなさい、急いで」 さらりと言うと、ギターを手にステージに向かう真紅。 他の面々は、失神したみっちゃんさんを抱えて、奥の控えに消える。 真紅は肩越しにそれを見届けると――ふと、立ち止まった。 「――ジュン」 「何だよ」 「抱っこして頂戴」 「……は?」 「してくれなければここを動かないわよ、ずっとよ」 思わず周りを見回す。 今、ここには僕と真紅の二人きり。 いつも毅然として、何事にも動じないように見える真紅。 だけど、僕は知ってる。 「……ダメなの?」 それは全部、本当の姿の裏返しで、本当は誰より、臆病で怖がり屋だってことを。 黙って、真紅を正面からそっと抱きしめる。 かつては恒例だった、真紅がステージに向かう直前の儀式。 初ライヴの時、メジャーデビューの時、初めてのTV出演の時…… 「……やっぱり、相変わらず幼稚園だな」 「失礼ね!」 頭一つ低いところにある、真紅の顔を見下ろすと――澄んだ青い瞳が、僕を見つめていた。 やがてその瞼が、静かに閉じられ―― * 「二人続けてスペシャルゲストだったなぁ」 「あれが噂の第7ドール・雪華綺晶か……」 「二人目誰よ?」 「素人め、オールナイトVIPチェックしてないのか? あれこそ薔薇乙女一の自称知性派、どじっこマネージャー金糸雀たんじゃねーか」 「カワイスwwwジャーマネだけやらしとくの惜し……」 Illust 845 氏 「真紅様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」 「大トリキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」 歓声に包まれたステージ上には、いつも通り自信に満ちた、堂々たる風情の真紅。 「真紅が問うわ。薔薇の指輪に服従を誓う?誓うのなら───指輪に、キスを。」 ただ……その雰囲気がいつもより少し柔らかいように見えるのは、新しい衣装のおかげだけでもない、というのは……僕の贔屓目に過ぎるかな。 * ちなみに、数分前のステージ袖。 「す……すごいのかしら……こんな危険な大人の世界があったなんて……」 「カナってばお子様ね、ヒナはとっくにこのスリルの味を覚えていたのよ……」 「……あ、キスした……」 「キャーーーーーーーーーーーーーーーーー!」×2 「ええい見えんですー!声を潜めて静かに観察を楽しみやがれですぅ♪」 「クスクス……みっちゃんさぁん、ちゃんと証拠写真撮ってるぅ?」 「ええもうもちろんバッチリ!やるなぁ、ジュンジュン♪」 「……つまり、このための気絶のフリだった、と……はぁ……」 おわーり コラボ作品保管庫へ