約 1,219,387 件
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/71.html
前へ 「・・・・ねえ。」 舞美ちゃんの家から仕事場に一緒に来た私は、楽屋の鏡の前でぼんやりしている千聖の横に立った。 「舞、さん」 「話があるから一緒に来て。」 腕を掴んで立ち上がらせて外に出ようとしたら、栞菜となっきぃが前にたちはだかった。 「ちょっと待って、舞ちゃん。栞菜も舞ちゃんに話があるんだ。ちっさーにも聞いてほしいから、ついていっていい?」 「舞ちゃん、私も。おとといの夜のこと、ちゃんと話したい。謝りたいよ。」 「2人とも、舞はちっさーと2人で話したいんだって。後でいいじゃないか。」 「でもっ」 ・・・ああ、そうか。 私がこの千聖のことをいじめるんじゃないかって、心配してるんだね。 無理もない。私は自分の感情にまかせて、かなりひどい仕打ちをしてきた。 挨拶無視にはじまって、一昨日はついに直接本人を責めた。 なっきぃはその現場にいたわけだし、栞菜の耳にだって入ってないわけがない。 愛理は私を睨んでいる。えりかちゃんは「舞美・・・」と何かいいかけて口を閉ざした。 皆にいじめっ子認定されちゃったわけか。でもそれも、自分の起こした行動が生んだ報いというやつなんだろう。 「別に、何にもしないよ。」 「でもさ、実際に舞ちゃんちっさーのこと」 「栞菜。早貴さん。」 その時、ずっと黙って私に手を引かれていた千聖がもたもたした口調で喋り出した。 「私も今舞さんと、2人で話がしたいわ。私が先ではだめかしら。」 「ちっさー・・・」 ちょっとボーッとしているみたいだ。顔色が悪くて隈が出ているから、寝不足なのかもしれない。 でも、はっきり「舞さんと話したい」そう言ってくれた。 「ごめん、もう行く。ちょっと時間がないんだ。」 「時間って、どういうこと?」 「ほらほら、舞がそう言ってるんだからちょっと2人にしてあげようよ。さ、行って。みんなは舞美のところに集合!」 ありがとう、お姉ちゃん。 きっと今回の事件について、みんなに話してくれるんだろう。 私も後でちゃんと、なっきぃと栞菜の話を聞かなきゃいけないな。 「こっち。ついて来て。」 ちょっと奥まった自販機の前に千聖を連れて行くと、 「おごって。」 と唐突に言ってみた。 「えっ・・・」 「前の千聖なら、舞におごってくれた。」 「・・・・ええ。」 千聖は困惑した表情で、ジュースを差し出してきた。 「舞の好きなやつだ。忘れてなかったんだね。」 「舞さんは、いつもこれを選ぶのよね。もちろん覚えているわ。」 微笑む顔につられて、つい表情を緩めてしまった。 この千聖と笑いあうなんて、これが初めてだ。 「・・・一昨日の、夜なんだけど。」 一呼吸置いて、私は本題を切り出した。 「ごめんなさい。舞が悪かったです。」 「舞さん、待って、頭を上げて。舞さんは悪くないわ。」 千聖の手が、私の手を包み込んだ。 「以前の私がどんな性格だったのか、自分ではわからないれど、本当に全く違うのでしょう? ずっと仲良くしてくれていた舞さんが、今の私を拒絶するのは仕方がないと思うの。 でもね、・・・たとえ舞さんが私を嫌いになってしまったとしても、私は舞さんが好き。 どうか、この気持ちだけは拒まないで。」 「もういいよ、わかったから。」 これ以上聞いていたら、また心が乱れてしまいそうだった。 動揺しているのをごまかしたくて、千聖の目元に手をやった。 「ひどい顔してる。また泣いてたんだ。あと、寝てないでしょ。顔色ヤバいって。」 「そん、なにひどい?」 「最悪だよ。アイドルなのに。 ・・・・・あの、さっきは、気持ちをきかせてくれてありがとう。だから、舞の話も聞いて。」 もう逃げない。 千聖の目をまっすぐに見つめながら、私は昨日舞美ちゃんと考えた事一つ一つを言葉に変えていった。 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/112.html
前へ 「いくら熊井ちゃんと茉麻ちゃんでも、千聖をいじめたら絶対許さないから!」 鼻息荒く、なっきぃが私たちのところまで歩いてきた。 「ちょっと待ってよ。イジメなんてしてない。」 カチンときて、思わず千聖のいる個室の前に熊井ちゃんと一緒に立ちはだかってしまった。 「なっ・・・!それなら千聖に会わせてよ!そ、そんな大きい二人で立ちはだからないでよぅ。」 少ししり込みしながらも、なっきぃは怯まずに私たちを上目で睨んできた。 「聞いて、なっきぃ。千聖さっきまで私たちと普通に話してたのに、急に言葉遣いが変わって、ここに逃げちゃったの。 だから私たち追いかけてきたんだよ。何か誤解させちゃったみたいだけど、いじめてないよ。」 とにかく、落ち着いて説得しないと。 なっきぃは完全に頭に血が上ってしまっているから、ちゃんと目を見て、ゆっくりと喋りかけた。 「・・・・そうだったの。ごめん、なっきぃの勘違いだね。そっか、千聖変な言葉づかいしてたんだ。3分ルールだもんね。」 3分?何のことだろう。 なっきぃはとりあえず納得してくれたみたいだけれど、今度はなぜかしょんぼりした顔になってしまった。 「あの、なっきぃ。そんな顔しないで?それより、千聖はなんであんな」 「ちょっとなかさきちゃん!私は千聖のこといじめてないよ!イジメとか大ッ嫌いだもん!あと大きい2人って言わないでよ!」 「もうっそれはわかったってば!でも、大きいのは現実でしょ!」 ・・・熊井ちゃん、もうその話は終わったよ。 何とか励まそうとしていたら、ひどいタイミングで熊井ちゃんがなっきぃに反論し出した。 そのおかげでなっきぃはまた元気を取り戻して、熊井ちゃんとおかしな言い争いを始めた。 どうしたもんかと視線をトイレの個室に戻すと、ほんの少しだけドアが開いて、千聖がこっちを伺っていた。 「千聖!!」 私の声に驚いて、千聖がドアを閉じようとする。 駄目! 私は悪徳セールスマンのように、足をねじ入れて無理矢理中に押し入った。 千聖はポカンと口を開けて、私の顔を凝視している。 「あ・・・」 「ごめんね、ちゃんと顔見たかったの。」 こんな狭くて暗い場所で、ずっと泣いていたのかもしれない。 目じりが赤く腫れて、下まつげが心なしか湿っているような気がした。 「ちょっと!茉麻ちゃん何やってんの!開けてよ!」 「何で茉麻も入るの?外で話せばいいじゃんー」 外の2人はいきなり徒党を組んで、思いっきりドアを叩いてきた。 狭い個室だから、予想以上にグワングワンと音が反響する。 ・・・・こんなことやられて、怖かったよね。ごめん、千聖。 「茉麻さん・・・」 喉から搾り出すような声で、千聖が私を呼んだ。 その表情があまりにもいじらしくて、私は思わず千聖を抱き寄せた。 「千聖、まぁはいつも千聖の味方だから。もう何にも言わなくていいから、それだけは覚えておいて。」 「っ・・・・」 わずかに首を縦に振ったあと、千聖の体が小刻みに震えた。 「ごめんなさい・・・」 今は、腕の中で泣きじゃくる千聖を抱きとめてあげることしかできない。 それでもいい。 どんな千聖でも、私がいつでも両腕で受け止めてあげたい。 その気持ちが千聖に少しでも伝わるように、抱きしめる腕に力を入れた。 「・・・・茉麻さん、ありがとうございます。もう大丈夫です。」 しばらくすると、千聖が顔を上げて笑いかけてきた。 「うん、よかった。・・・あ、千聖。今更なんだけど、もものことどうする?ちょっと時間経っちゃったね。」 「あの、できたら、私一人で桃子さんのところに行きたいんです。・・・本当は、茉麻さんにお話しなければいけないことがたくさんあるのですが、今は先に桃子さんのところに行かないと」 「わかった。」 もう外の2人はドアを叩くのをやめて、またなにやら2人で論争を繰り広げている。 千聖の肩を抱いて外に出ると、一斉に私たちに視線が向けられた。 「千聖!大丈夫?さ、早く戻ろう?」 「早貴さん・・・来てくださってありがとう。でも私、ちょっと行かなければならないところがあるんです。」 千聖はやんわりと拒否するけれど、心配性ななっきぃはなかなか引き下がらない。 「じゃあ、なっきぃも一緒に行く。」 「待って、千聖は一人で行きたいんだってさ。」 私がなっきぃを引き止めている間に、千聖は一礼して廊下を駆けていった。 「千聖ぉ・・・」 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/1189.html
850 名前: NPCさん 2005/06/30(木) 07 07 06 ID ??? 新参者ですがヨロ。挨拶代わりにネタ投下。 俺の鳥取の困ったちゃん鈴木(仮名)の話。 ↓キャンペでシブい名脇役PCが好評。鳥取で語り継がれるPCになる。 ↓次のキャンペで、鈴木がそれを真似たとしか思えないPCを作ってくる。 シブ路線、似たようなデータ、似たような設定etc。 ↓周りの空気は微妙。前回行なわれたような掛け合いができず鈴木は不満顔。 ↓そのキャンペで今度は天才小学生PCが脚光を浴び、好評。 ↓次のキャンペで鈴木はクールな小学生PCを作ってくる。 ↓くり返し。(他にはアニメなどからパクってくる場合もある) 鈴木が使うと最終的にはヘタレな役回りになるからいいんだけど(藁 本人はいじられキャラだから嫌われてるわけじゃないみたいだし。 ただ明らかに真似してくるのは空気が悪いっつかなんつーか…。 947 名前: NPCさん 2005/06/30(木) 19 23 56 ID ??? 美しき困ったちゃん鈴木・・・・センスのある呼び名だ スレ74
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/6016.html
436 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 20 19.74 ID ??? 434 旧約聖書の厨二ぶりには惚れ惚れする あんなん実プレイでやったら晒されるレベル 437 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 21 34.26 ID ??? 436 神様はヨブにひどいことしたよね 442 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 24 09.82 ID ??? 436 元々ノアの箱舟の話って、 人間が増え過ぎて煩くて神様が安眠できんから人間の数を減らそう、 って動機で大洪水起こす話だもんなw なんという困GM 443 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 25 32.30 ID ??? 442 出エジプト記のランダム災害チャートもひどすぎる 災厄級プロミネンスかよ 445 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 26 15.62 ID ??? 442 困GM(キャンペ長すぎてNPC増えたなー…PCが何代も続いたせいで、元PCや元PC家族とか多いし… よし、イベントで戦争起こして、大量に殺そう) こんな発想かな 451 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 38 03.14 ID ??? 聖書は不整合の固まりの上、その章となんの関係もない文章の 引用がしょっちゅう発生して、意味不明な部分ばかりなのに、 聖書にはなんの矛盾もない、矛盾があると感じるのは ちゃんと読めてないだけと言い張る手合いが昔から多いからなあ。 後、どう見ても昔のエロ詩集と思われる物がまぎれこんだ まま収録されてるっぽい章があったりとか。 455 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 44 21.80 ID ??? 451 それは君がおかしい 聖書とは起源の言葉(LOGO)であり秩序(LOGOS)そのもの 現代に蔓延るスラングめいた言葉の乱れこそが、このマッポー的無秩序を生み出しているのだと何故解らぬ 458 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 45 35.61 ID ??? 455 何言ってるか分かんないからヘブライ語で頼む 460 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 46 52.34 ID ??? それは君がおかしいヘブ 聖書とは起源の言葉(LOGO)であり秩序(LOGOS)そのものヘブ 現代に蔓延るスラングめいた言葉の乱れこそが、このマッポー的無秩序を生み出しているのだと何故解らぬヘブ 461 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 47 52.56 ID ??? 460 お前はゴブリンかw 463 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 50 45.55 ID ??? 語尾にヘブと付ければヘブライ語になる…だと… 464 :NPCさん:2011/06/17(金) 22 51 24.41 ID ??? 今夜もみんな楽しそうで何よりだ スレ275
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/109.html
大丈夫、私は一人じゃないし、いざとなったら店員さんだって動いてくれるはず。 愛理の手を引っ張って、ぐんぐん奥へ進んでいく。 「このっ・・・・・」 変態め!2人を解放しなさい!! ウサギ人間をにらみつけてそう叫ぼうとしたのだけれど、どうも様子がおかしい。 みぃたんとえりかちゃんのまん前に陣取るその人は、腕組み足組みふんぞりかえって、威圧感と貫禄はかなりのものだった。 でも、超華奢。 どう考えても大人の体つきじゃない。っていうか、 「舞ちゃんじゃん!」 「ぶははははははははは」」 もう耐え切れんとばかりに、みぃたんとえりかちゃんがテーブルを叩いて笑い出した。 「なっきぃ反応よすぎ!ねえねえ何で“このっ”って言ったの?何で何で?」 「“このウサギ野郎!”って言おうとしたの?あっはっはっは!」 くっ・・・! 年長者2人がかりの言葉責めに、顔が真っ赤になる。 いったん顔を上げた二人は、私のみかん星人Tシャツを見てさらに吹き出した。 「みかんー!」 背後で愛理が耐え切れずに「ケッケッケ」と笑い出す声が聞こえた。 うさぎ舞ちゃんの細い肩もカタカタ震えている。 ヒドいケロ!とんだドSグループだ! 「もーなっきぃはやっぱり最高だね。おいで。」 涙を流しながら、みぃたんは私の腰を抱いて横に座らせてくれた。 「本当なっきぃはかわいいなあ。」 「ちょ、ちょっとそんなことより、何でうさぎ?」 私の質問に答えるように、舞ちゃんがおもむろにうさぎの首を取った。 たっぷり笑ったから、機嫌はかなりいいみたいだ。はにかんだ顔が可愛い。 「・・・なんか、目立つかなと思って。」 「いや、目立つけど誰だかわかんないよ。」 好きな歴史上の人物は徳川家康。モノマネもできます。 好きな言葉は一石二鳥。でも使い方はちょっと変。 舞ちゃんはしっかりものだけど、やっぱりどこか天然で変わった子だった。 「・・・じゃあ、全員揃ったところで。」 えりかちゃんはお誕生日席に移動して、私のみかん星人と目が合わないように若干上を見ながら、話を始めた。 「多分みんな気づいてると思うけど、今日は栞菜と千聖の件で集まってもらいました。」 わかっていたこととはいえ、みんな昨日のあの光景を思い出したのか、一気に緊張が走った。 「ウチはあの後栞菜を送っていったんだけど、かなり落ち込んでたのね。本当にひどい状態だった。だから、すぐ助けてあげなきゃって思って。」 「、ちっさーも同じ。泣けなくなっちゃうぐらいすごいショック受けてた。それで、えりと相談して、今日この場を設けたの。」 「・・・・なんで、2人はあんな風になったの?」 えりかちゃんたちの報告を聞いて、舞ちゃんが静かに問いかけた。 「それは・・・ごめん、私が勝手に言っていいことじゃないから。ちゃんと仲直りできたら、舞にも直接話がいくと思う。もうちょっと待ってて。 でも、これだけは言っておくけど、どっちか一人が悪くてああなったんじゃないの。 多分気持ちのすれ違いと誤解がたくさん積もっちゃっただけなんだ。 あとね、できるだけ舞と愛理となっきぃには中立でいてほしい。 正直、私はちっさーからいっぱい話を聞いたから、きっとこの件に関してはちっさー寄りの考えになっちゃうと思うのね。」 「そうそう。ウチは逆に栞菜とずっといたから、今は特に栞菜の気持ちが心配でたまらない。」 「・・・・要は、ニュートラルでいてってことだね。」 愛理がつぶやくと、2人は5秒遅れて「ニュー・・そ、そ、そうそう。・・・多分。」と言った。 舞ちゃんもしばらく考え込んでから、小さなうなずきとともに「わかった。」と短く返事をした。 「なっきぃも了解。」 本当は詳しい話が聞きたくてたまらなかった。 あんなにも当事者2人が傷つき果てた事件を、このままうわべだけ知って素通りなんてできるはずがない。 でも、みぃたんたちがそう言うなら待ってみようと思った。 今は先入観なしで、2人の手助けをしてあげるべきなんだ。 「で、具体的に何を?」 「うーん、まあ何をするってわけでもないんだけどさ、ここで2人を見守ってあげて。」 見守る? 「今からウチは栞菜の家に行って、栞菜をつれてここに戻ってくるから。千聖にはもう連絡してあって、もう一時間もしないでここに来ると思う。 ウチらが変に口出しするんじゃなくて、2人でとことん話し合ってほしいから、みんなは本当に緊急の時だけ手を差し伸べて。」 「わかった。」 「お店の人には、サプライズを仕掛けたい子がいるから、私たちの姿が見えづらい席に案内してって頼んであるから。」 さすがお姉さんコンビ。ぬかりないな。 「じゃあ千聖が来るまで、何か適当にオーダー・・・・・おっと」 テーブルの上に出しっぱなしになっていた、えりかちゃんのケータイが光った。 「やっばい、千聖だ。・・・もしもし?」 えりかちゃんは声をひそめて電話に出た。 いつもならマナー違反!とたしなめるところだけれど、正直、会話の内容が気になる。 「えっあと1駅?ウチまだなんだよ。・・・・うん、ごめん。待ってて。」 どうやらもうすぐ着いてしまうらしい。 ちょっとあわてているえりかちゃんを観察しながら、お冷に入っていた氷をごりごりとかじった。 二言三言交わした後、えりかちゃんはおもむろに口元を手で覆って、ニヤニヤしながら電話を切った。 ぶはっ 私の口から飛び出た氷が、愛理のおでこにゴチンとぶつかった。 「なっきぃ何やってんの!?」 「え、え、え、えりかちゃん・・・・・!」 幸か不幸か、私はかなり耳が良い。口を隠したって、斜め横の人の声ぐらいなら拾えてしまう。 えりかちゃんはエロカの顔になりながら、こんなことを言っていた。 「待たせちゃうけどごめんね、お詫びに今度すごいのしてあげるからね、千聖。トロントロンにしてあげる。」 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/44.html
前へ 駅ビルの中にあるカフェの隅っこで、私は千聖から舞ちゃんとの事件のことを聞いた。 「知らなかった・・・舞ちゃんここ最近はちゃんとちっさーに挨拶してたから、もう大丈夫なのかと思ってた。」 私がなっきーとちょっと喧嘩になった日の出来事だったらしい。 その場に居合わせたというなっきーのことが気になった。 いつも明るく楽しいキュートでありたい。 そう思う私は、ついレッスン中も近くにいるメンバーにちょっかいを出してしまう。 なっきーはレッスンの時は真面目にやりたいタイプだとわかっていたのに、あの日は何だか浮かれていて、振りの確認をしているなっきーに頭突きを食らわしてしまった。 しかも最悪なことに、怒られた私はつい逆ギレをかましてしまった。 愛理にも後から注意されて、あわててなっきーにメールを送ると、そっけない返事が来てそれっきりだった。 単純に、まだ怒ってるのかなと思っていた。まさかそんな修羅場になっきーが立ち会っていたとは。 「早貴さんは、スタジオに戻ってきてくださった舞美さんと一緒にお帰りになったわ。舞さんもご一緒に。」 「え・・・じゃあちっさーは?」 「父に連絡をして、迎えに来てもらったの。」 私は瞬間的に頭がカッとなった。乱暴にバッグの中に手を突っ込んでケータイを探す。 「栞菜?」 「舞美ちゃんに連絡する。それは変だよ。何でちっさーだけ」 「いいのよ、栞菜。」 「やだよ。良くない。」 「栞菜!」 千聖が珍しくお腹に力を入れて声を出した。 「・・・・ごめん。」 「ありがとう、栞菜。一緒に帰らないと言ったのは私だから。舞美さんは私を誘ってくださったわ。」 千聖は微笑んで、注文したままおきっぱなしになっていたティーサーバーから、私の陶器に紅茶を入れてくれた。ほのかなジャスミンの香りで、昂ぶった気持ちが落着いてきた。 「でもちっさー。キュートをやめた方がいいなんてことは絶対ないから。 舞ちゃんはプロレスごっことか一緒にふざける相手がいなくなって寂しいだけだよ。 今のちっさーにだってだんだんと慣れていくって。みんなそうだったでしょ。 舞ちゃんは年下だし頑固なところもあるから、時間はかかるかもしれないけど。 そうだ、じゃあさ愛理にも頼んで今度4人で遊びに行こうよ。私ちゃんとフォローもするし。 舞美ちゃんやえりかちゃんだって協力してくれるよ。なっきーも。だってさキュートは家族だもん。」 私は興奮すると、やたら早口でおしゃべりになるらしい。考えが追いつかないうちに、言葉だけがぽんぽん口を突いて出てくる。 ちっさーを引き止めたくて必死だった。 「栞菜。・・・舞さんは、私のせいで何度も泣いているの。」 「舞ちゃんが?」 知らなかった。舞ちゃんはまだ中1なのにしっかりしていて、何があっても気丈に前を睨みつけていられるような強い子だ。私は舞ちゃんの泣き顔なんて、ほとんど記憶にない。千聖や私の方がよっぽど泣き虫だと思う。 「昨日も泣いていたわ。舞さんは私のことを考えるたびに胸を痛めている。 今もそうなのかもしれない。私の前で泣いていなくても、わかるの。・・・大好きな人のことだから。」 ちっさーの眉間にしわが寄って、声が震えた。泣くのかと思ったけれど、少し潤んだ瞳から涙は落ちなかった。 「ちっさー・・・・・それでも私はちっさーがいなくなるなんてやだよ。もうキュートにいるのは辛い?嫌になっちゃった?」 ちっさーの腕を掴む。体に触れていないと、どこか遠くへ行ってしまいそうで怖かった。 「いいえ。私も栞菜と同じ。キュートを家族のように思っているわ。 だけど・・・・・ううん、だからこそ、私がいることで傷つく人がいるなら、私は去らなければいけないと思うの。」 「やだ。お願い。どこにも行かないでよ。 舞ちゃんはちっさーがいて辛いかもしれないけど、私はちっさーがいないと辛いんだよ。 そしたらちっさーどうすんだよ。みんなだって辛いに決まってる。 ちっさーがいないと傷つく人の気持ちはどうなるんだよ」 もう自分でも何を言ってるのかわからない。周りの人が驚いた顔で私とちっさーを見比べているけれど、もうそんなことはどうでもよかった。 「栞菜ったら。何も今すぐに決めるというわけではないのよ。」 ちっさーはそろそろ出ましょうかと言うと、私のバッグを一緒に持って店の外へ出た。 知らないうちにかなり時間が経っていたらしい。もう夕暮れが近づいていた。 興奮して喋りすぎたことがいまさら恥ずかしくて、私はちっさーの顔を見ることができず、ひたすら繋いだ手に力を入れ続けた。 「・・・私から誘ったのに、楽しいお話じゃなくてごめんなさいね。でも話を聞いてもらえて嬉しかったわ。」 それきり無言で歩いているうちに駅に着き、改札の前で私達は向き合う。 「では、またね。」 「うん。」 「ごきげんよう。」 ちっさーはつないだ手を離して、私の方を一度も振り返らずに改札の向こう側へ消えていった。 取り残された私は家に帰る気にもなれず、駅のターミナルを抜け、線路沿いの小路を黙々と歩いた。 ちょうど踏み切りの前まで来ると、ホームの端にちっさーが立っているのが見えた。 声が届くかもしれない。 「ちっさ・・・・」 叫びかけた私の声は、途中で止まった。ちっさーは、今まで見たことがないほど険しい顔をしていた。その顔がふいに歪んで泣き顔へと変わる瞬間、ホームに電車が入り、私達の間を遮った。 そうだよね、ちっさー泣きたかったんだ。あんなに泣き虫なのに、私が困らないようにこらえていたんだ。 私は友達なのに、仲間なのに、家族なのに、何もしてあげられない。 ちっさーが乗った電車が遠ざかっていくのを見つめて、ただ途方にくれるしかなかった。 「私に何ができるかな・・・・」 明日は新曲の衣装合わせがあった。私は舞ちゃんと話す時間を作ろうと決心した。 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/1460.html
807 名前: NPCさん 2006/02/27(月) 11 17 41 ID ??? 軽い困ったちゃん。 システムはD&D。 ダンジョンは古代の王城で、ラスボスは二体のドラゴン。 その正体は、そこの二人の王子で、呪いでドラゴンに変えられたという。 で、結局倒すことになったんだが、自分はその王子の境遇に同情した。 せめて弔ってやりたいな、と思い、ちょうど「なんでも入るバッグ」を持っていたので DMに質問。 「ドラゴン、このバッグに入れて持ち帰れます?」 「お、それ面白い。OK」 というわけでドラゴンの遺体を持ち帰り、その日は終了。 さて、その続きのセッションの日。 DMは嬉しそうに一覧表を見せてくれました。 「こないだのドラゴンを触媒に召喚できるモンスターを作ってきたよ。 まず牙を使ってドラゴントゥースソルジャー、鱗でドラゴンスケイルゴーレム、目玉は ドラゴンアイビホルダーになって……」 意思疎通はしっかりしないとダメだね、というお話。 809 名前: NPCさん 2006/02/27(月) 11 37 35 ID ??? 見た瞬間にとりあえずクロスレにはっつけて来た。 【そして職人任せの困ったちゃん】 スレ90
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/19346.html
登録日:2010/02/15(月) 18 16 50 更新日:2024/07/17 Wed 16 49 24NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 NHK おじゃる丸 ちっちゃいものクラブ ボロ布 ヤンデレ 満願神社 神 神社 貧ちゃん 貧乏神 雑巾 齋藤彩夏 CV:齋藤彩夏 アニメ「おじゃる丸」に登場する貧乏神で、月光町の満願神社に住み着いている。 しかし、貧乏神であるため満願神社はいつもボロボロ。 おこりんぼうからは疎まれている。 見た目は手の平サイズのボロ布で、ボソボソとか細い小声でしゃべる。 あのボロ布は服なのだが裸の姿は誰も知らない。 耳かきや風呂などの日が年に一回決められており、その際におじゃる丸が貧ちゃんの服の下を見ようとするのはお約束。 ニコ坊には「貧ちゃん神さん」、おじゃる丸には「貧」と呼ばれるほか、カタピーには「ムッシュ貧」と呼ばれるが、神様なので性別は無い。 が、初登場時は「僕」と言っていたのがいつのまにか「私」に変わっており、 スタッフは女の子として描いているのではないかと思える節がある。 人間には姿が見えない。 また、神様なので怒ると目茶苦茶恐い。 とてもネガティブな性格。趣味は裁縫。 触れた生物の「やる気」を吸い取る程度の能力を持ち、板チョコのような「板やる気」として蓄えている。 しかしなぜかうすいさちよ28歳独身に触れてもやる気を吸い取れないばかりか、 うすいが妄想を糧に漫画を精力的に執筆し始めると、眩しすぎるといってこっそり去る。 かつてうすいさんを自分の手で不幸にしようとしてくっついていたが、 おじゃる丸から彼女が幸せを望んでいると聞かされてからは再び満願神社に居着いた。 さらに「貧乏になってみたい」という金パパの願いを叶えに向かった時は、金パパの溢れる金持ちオーラにあてられ、体が金色になって固まってしまった。 一定期間やる気を吸い取らなかった場合も体が金色になり、不良ぽくなる。こっちは多分スーパーサイヤ貧的なもの。 ちっちゃいものクラブ会員番号7番だが、集会には出ないことが多い。 細胞分裂のように体を何体にも分裂させることが出来る他、 『長老』『貧たん』『貧どん』などの貧乏神仲間がいて同窓会を開いたりしている。 よく似た声の合法ショタがいるが、金持ち校と名高い桜蘭高校に通っているのでおそらく関係ない。 同じように人妻眼鏡武器屋を目の敵にしているドワーフロリババアや輝く金の花の妹とも関係ない。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 皆に自分のテーマソング考えてくれ言ったのに 散々文句言ったあげく自分で作って唄っていたな -- 名無しさん (2014-01-09 09 40 05) かわいい。めっちゃかわいい -- 名無しさん (2014-05-25 14 09 10) ある回で未成年だと発覚 -- 名無しさん (2014-05-25 14 12 15) 実は吹雪を起こせる それでおじゃる丸を凍らせたことが・・・ -- 名無しさん (2014-06-05 09 04 55) おこ・にこの狛犬兄弟を美少年にしちゃったことがあった。 -- 名無しさん (2014-06-05 09 09 55) おこを耳かきしているときおこがとても気持ちよさそうだったのを思い出した。これで貧乏神じゃなかったら・・・・。 -- 名無しさん (2014-06-05 09 40 16) 服(?)を裏返しに着ると逆に福の神になる。 -- 名無しさん (2015-01-30 22 32 15) もしあの世界にこの子より強い貧乏神がいたら、金ちゃんファミリーもド貧乏にできる…かも? -- 名無しさん (2023-01-29 16 19 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/328.html
お嬢様は私の顔を見てにっこりした。漫画とか絵みたいに、笑うと目が一本線になっちゃって、私もつられて笑顔になる。 「お嬢様って、笑顔がすっごく可愛いですねー」 ストレートにそう言ってみると、お嬢様は「あら、そんな、ウフフ」と少し顔を赤くしてはにかんだ。 「ほらほらかわいー!」 「ちょっと、友理奈ちゃん!お嬢様をからかわないで!」 ぷくぷくなほっぺたを突つこうとしたら、なかさきちゃんが即座に止めに入ってきてしまった。 「何でー。ヤキモチ?」 「ち、違うし!何言うの、もう!お嬢様、気にしないでくださいね。私のお嬢様への愛は、他の人と比べるようなものじゃなくどうのこうの」 「むふふ」 必死になってるなかさきちゃんはちょっと可愛いと思う。何か、キョドッてるハムスターみたいだ。 高等部で同じクラスになって知ったけれど、なかさきちゃんはお嬢様のお屋敷で管理している寮に入っているらしい。おしゃべりしていると、頻繁にお嬢様の名前が出るのはそういうわけだったのか、と私は妙に感心したことを思い出した。 「さ、お昼休み終わっちゃうからもうそろそろ行こう。熊井ちゃんも、ノート落としてるよ?ほら・・・」 また茉麻が私たちを促してくれて、足元に転がっていた私の数学のノートを拾い上げた。 「結構マジメにノート取ってるじゃん・・・」 「あっ」 ペラペラとノートをめくる手が、最後のページでピタリと止まった。待って、それは、さっきももたちにも―― 「・・・・えー…」 案の定、茉麻はノートの“あの部分”を凝視したまま固まった。 「熊井ちゃーん・・・」 「違うんだってば、もう!」 「なにが?」 「待って、なかさきちゃんは本当にだめ!」 茉麻でこの反応なら、なかさきちゃんは絶対に大げさに大騒ぎする!そう思って、私はなかさきちゃんの頭を手で抱え込んだ。小顔ななかさきちゃんの顔は、私の大きな手によくフィットした。 「ぐぇっ」 「ちょ、熊井ちゃん!だめだよ!なっきぃ死んじゃうから!」 茉麻にベリッと引き離されて、なかさきちゃんの顔を見ると、半笑いで「キュフフ・・・キュフフフゥ・・・」と半分天国に行ってしまっていた。 いつものカ゛ミカ゛ミ風紀委員の時とぜんぜん違う半白目みたいな顔が面白くて、自分がこんな目に合わせたっていうのに、私は少しにやにやしてしまった。 「まあ、素晴らしいあいあんくろーね!熊さ…熊井、さんもぷろれすを嗜んでいらっしゃるの?千聖も結構強いのよ」 「いえいえ、それほどでもー。ていうか、別にプロレス技かけたつもりなかったんですけど」 「あら、それなら素質がおありなのかもしれません。今からでもその体躯をお活かしになって・・・」 「そんなトークしてる場合かー!」 なかさきちゃんが大変なことになってるっていうのに、暢気におしゃべりしていたら、私もお嬢様も茉麻におでこをペチンとたたかれた。 「あいたー!」 「きゃっ!」 おでこは痛いけど、茉麻はこういうとき、平等にしてくれるから何かいいと思う。ってまた余計なことを考えてしまった。 「でさ・・・話戻るけど熊井ちゃん・・・このノートはいったい」 ももたちほどあからさまにドン引きはしてないものの、さすがに茉麻の顔も少し引きつっていた。 そんなに変な行動だったのか・・・。なんとなく気分が落ち込んできてしまった。だけど、 「あら、千聖のお名前がたくさん・・・?」 横からノートをひょいっと覗き込んだお嬢様は、みんなの反応とは違って、別にどうってことないような顔をしてくれた。そのかわり、説明を求めるように、私をじっと見つめてくる。 「違うんです、変態じゃないんです。何か、お嬢様の名前って可愛らしいからつい何度も書いてしまって。それであのそのえっと」 いつだったか、噂話大好きなクラスの子が、「お嬢様の機嫌をそこねた生徒は即退学らしいよ!」と言っていたことを思い出した。 引かれる前にどうにか弁解を・・・!そう思ってできる限り早口でしゃべりかけるけれど、私の口はもともとあんまりよく回るようにはできていない。ああ、もどかしい!このくまくまボイスが憎らしい! 「そうなんですか。千聖、自分でも自分の名前が気に入っているの。嬉しいわ。」 だけど、お嬢様はそんな私を見てもやっぱり怒りもせず、まるで赤ちゃんが見せるような無邪気な顔で笑ってくれた。 「本当に・・・?」 「ええ。だって、私の大好きな両親が付けてくれた、大切な名前ですもの。褒めていただいて、嬉しくないはずがないわ。ちなみに、聖母マリア様から文字をいただいたのよ。 熊・・・くまいさん、は、ユリナさんというお名前なのね。とても綺麗なお名前。由来は・・・まあ、どうなさったの、熊さん!」 「うっ・・・うえええ!私、退学じゃなくていいんですか?大丈夫ですか?」 「まあ、急に何を・・・どうして熊さんが退学になるの?ああ、泣かないで。私も悲しくなってしまうわ。」 「うわーん!」 感極まって泣き出すと、お嬢様も目を潤ませてヒックヒックと小さくしゃくりあげた。 「な、何か、名前を褒められるのってすてきですねっ・・・ひっく」 「そうね、ひっく。千聖も嬉しいわ。ひっく」 視界の端っこで、もうついていけないって感じの茉麻が書類の片付けを始めた。手伝わなきゃって思うけれど、一緒に泣いてくれる人がいると、いつまでたっても涙が収まらない。 そのうちに、仮死状態だったなかさきちゃんが何度かまばたきをした後、ゆっくりと起き上がって私とお嬢様の方を見た。 そして私たちの状態を確認するや否や、 「・・・・ちょっとー!!!!友理奈ちゃん!!お嬢様を泣かせたの!!!????」とすごいキンキン声で絶叫した。 「違うの、なっきぃ。ひっく。私たち、ひっく。嬉しくて泣いてるの。ひっく。」 私がムキになって反論する前に、お嬢様はなかさきちゃんに上手な説明をしてくれた。 「そ、そうなんですか?でも・・・あー、もう時間ないから行きましょう、お嬢様、茉麻ちゃん。まったく、熊井ちゃんはぁ」 「うふふ。また、今度ね。熊さん。」 なかさきちゃんに促されるまま、岡井さんは今度こそ廊下の向こうに消えていってしまった。可愛いお手振りつきで。 「また呼び方戻ってるし!・・・でも、いっか。」 私だって、もぉ軍団の力を借りなくたって、こうやってお目当ての人と仲良くなることができるんだもん。あとで、ももと梨沙子に自慢してやらないと。 鼻歌交じりにスキップで廊下を進んだ。野次馬さんたちが道を開けてくれる。今日、また会えるかな?生徒会のお手伝いがあるのかな?もっと話したいな。いっそお取り巻きさんたちに仲間にいれてもらおうかな(でも私ももの友達だから無理かな)? これからのことをいろいろ空想すると、すごく楽しい気持ちになる。新しい友達になれるといいな。私はすごく晴れ晴れした気持ちで、高等部の教室に戻った。 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/83.html
千聖は不思議な子だ。 ずいぶん長い付き合いになるけれど、昔の千聖はとにかく明るくて、無邪気で、いたずら好きで、絵に描いたような子供らしい子供だった。 誰にでも分け隔てなく接する千聖はみんなに可愛がられていた。 キッズにいたときからすでに浮きがちだった私なんかといるより、中心のグループで楽しそうに大口開けて笑っているほうがふさわしい。 そう思っていたんだけれど、なぜか千聖は私に対して強い興味を示してきた。 「ももちゃん、大好き。」 「ももちゃん、かわいいー」 そんな風にストレートな言葉で私を褒めて、日に焼けた顔をクシャクシャにして抱きついてきた。 どうして、私に? そう思わないこともなかったけれど、何の計算もなくただ純粋に慕われるというのは決して悪い気分じゃなかった。 そして千聖は私にだけじゃなく、ある意味同じような境遇だった舞波ともすごく仲が良かった。 千聖は見た目どおり男の子っぽい性格で、こと人間関係においてはやたらとあっさりしたものを好むから、私たちぐらいのゆるい関係が好ましかったのかもしれない。 私も千聖といる時は肩の力を抜くことができて、2人ではしゃいだりたわいもない話をしているだけで、ゆったりした安心感に包まれていた。 どんな状況でも自分を受け入れてくれる人がいる、ということがどれほど尊いことなのか、私は千聖と接することで知った気がする。 私が先にデビューが決まってからも、千聖の態度は全く変わらなかった。 ある意味キッズで取り残されてたメンバーであるにも関わらず、屈託のない笑顔でベリーズ工房全員をハイタッチで送り出してくれた。 あの時の千聖の手の感触は、今でも忘れられない。 そして、千聖は今でもあの頃と全然変わらない態度で、私の側に寄り添ってくれる。 大人になっていくうちに失ってしまう子供らしい感受性やひたむきさを、千聖は14歳の今でもまだたくさん内に秘めて成長している。 その分、年のわりに大人びている舞ちゃんや愛理と比べてずいぶん子供っぽいところはあるけれど、私は千聖の純粋さをいつまでも守ってあげたい、と思っていた。 今の千聖の「秘密」を梨沙子から聞いたときは、表には出さなかったけれど、かなり動揺した。 何だ?お嬢様って。 私の頭には、昔の少女漫画みたいにブリブリピンクのドレスを着た縦ロールの千聖が、超ワガママになって高らかにオホホ笑いをしながら練り歩く薄気味悪い姿がよぎった。キモッ! もちろん実際見たらそういうことではなくて、言葉遣いと所作がとても綺麗になって、あとは足を閉じて座るようになったりしたのが目立つ変化みたいだ。あとは、服装とか。 千聖が私の小指を直そうとするように、私が千聖の足をガッと閉じさせるのが2人の間のお約束だったのに、それをする必要がなくなったのはちょっと寂しい。 まあ、だからといって、今の千聖に失望したとかそんなことはまったくない。 千聖がどう変わろうとも、私の千聖に対する気持ちは揺ぎ無いものだ。 千聖が私を支えてくれたように、私も千聖を助けたいと思うのは自然なことだ。 中2トリオにも、キュートのメンバーにもできないような方法で、千聖を守ってあげる。 きっと、私にしかできないことがあるはずだから。 「あれ?もも、梨沙子は?」 みんなが待つ控え室まで戻ると、みやが首をかしげてこっちを見た。 「一緒に戻ってくるのかと思ってたんだけど。」 「あー、愛理と千聖がお見舞いしてた。また少し経ったら見てくる。」 「じゃあ次私が行くよ。」 「いやっいい!ももが行ってくるから!」 まだ千聖がいるかもしれない。3人とも気が昂ぶってる今、私以外の誰かと接するのは危ない気がした。 「・・・なんかもも、今日変だね。梨沙子もだけど。」 まぁが口を開くと、みんないっせいにうなずいた。 「変といえば、千聖もちょっと変だったよ。さっき廊下で見かけたけど。」 「千聖?」 「ちがっ!千聖は関係ないでしょ!」 今ここでその話を膨らまされると困る。 慌てて割ってはいると、また訝しげな視線を向けられてしまった。 「・・・まあ、別にいいよ。ももがうちらに心を開かないのなんて、前からじゃん。どうせ、ベリーズはキュートと違って、家族的じゃないからね。」 さっきまでのケンカ口調とは違う、ちょっとしずんだような声で徳さんが皮肉っぽく笑った。 「ももぉ。」 あー。困った。 「ねえ、ももってば・・・」 「ごめん!今のはももが悪い。でも、いろいろ話すのはまだ待ってて。事情があるの。 ちょっと私、もう一回梨沙子のところ行ってくる。」 返事も待たないで、私は逃げるように部屋を出た。 女の子の集団って、本当に難しい。 一人で空回りして、私は何をやってるんだか。 ケンカ中とはいえ、徳さんのあの表情を思い浮かべたら胸が痛んだ。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -