約 1,363 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/597.html
※ゆっくりんピース ※俺設定満載 季節は始まりの春。 進学や就職などで多くの人々が新たな人生の一歩を踏み出す。 それと同時に、今までよりもずっと厳しい世界の洗礼を受ける季節でもある。 「先輩、今開発しているこの薬は・・・?」 「ゆっくりカンパニーから依頼されたゆっくりだけに効果のある薬」 先輩と呼ばれた白衣の男は彼女の後ろを付いてくるメガネをかけた若い女性の問いにぶっきらぼうに答えた。 女性はその答えに対して不満があるらしく「そうじゃなくて・・・」と更に彼を問いつめる。 「ゆっくりにどう言う効果をもたらす薬ですか、って訊いてるんです」 「ひとつは死ぬ、もうひとつは植物型のにんっしんっが出来なくなる」 「そ、そんなぁ・・・かわいそうですよ、それ」 露骨に顔をしかめた女性を一瞥した先輩はふぅ、とため息をつく。 そのため息には彼女の言葉に対する同意とゆっくりへの同情と、仕方ないんだよ、という諦めが混じっていた。 しかし、後輩の女性はそれに気づくことなく彼に食ってかかった。 「先輩、私達はゆっくりんピース職員ですよ?なのに・・・」 「NPO法人だって所詮資本主義の内側の存在なんだよ」 「それって、お金のためってことですか!?」 後輩に睨み付けられた男性はまたため息をついてから、再び口を開いた。 「今のゆっくり関係の社会問題をいくつか挙げてみろ?」 「はい?・・・ええっと、捨てゆっくりに野良ゆっくり、農村での作物被害に・・・」 「ゆっくりの死体が原因の事故、他の動物を圧迫、あとあまり一般的じゃないが虐待だな」 男性が虐待、という言葉を口にしたと彼は顔を背け、女性は眉をひそめた。 どちらもゆっくりんピースに所属していることから判るように基本的にはゆっくり好きである。 その2人にとってゆっくり虐待は想像するだけで背筋の凍りつくような蛮行に他ならない。 「ちなみにこの虐待って言うのには手術や殺処分、動物実験の類も含まれるからな」 「ちょっと待ってください!だったら・・・」 女性は思わず叫んでしまった。 鬱陶しそうな周囲の視線に気づいて声を潜めて話を続ける。 が、そこから先の言葉を口にすることが出来ない。 「そうだ、動物実験だよ。ゆっくり関係の新薬開発には不可欠のな」 女性が言えなかったその言葉を、男性はこともなげに告げた。 絶句する女性を一瞥すると、まるで何事もなかったかのように仕事場へと戻って行く。 実験と称した虐待を行うための部屋に。 「薬の効果はどうだ?」 「萌芽抑制剤の効果を今から確認するところです」 「どのぐらい投与した?」 「ごく微量です」 微量の意図するところは主任もご存知でしょう、と受け答えしていた若い男性は付け加える。 彼はゆっくり愛好家ではないらしく、先ほどの女性のようにこの団体の建前と実態の矛盾に疑問を抱く様子はない。 本当にただ淡々と、ゆっくりを実験動物として冷めた目で見ていた。 「れいむ、す~りす~りするよ!」 「ゆゆっ!れいむ、ゆっくりしたあかちゃんがほしいよ!」 彼らの視線の先では2匹のゆっくりが最高に幸せそうな笑みを浮かべて頬ずりをしている。 一般にすっきりと呼ばれるゆっくり同士の交尾であり、これによって彼女達は子どもを増やす。 複数の人間に見守られながら交尾を続ける2匹は、やがて「すっきりー!」という言葉を発し、交尾を終えた。 「れいむ、とってもゆっくりしてたよ!」 「まりさのほっぺもとってもゆっくりしてたよ!」 「ゆぅ~ん、てれるよ!・・・・・・ゆぅ?」 お互いがお互いを褒め合いながら絆を深める2匹だったが、程なくしてある違和感に気づいた。 本来ならすぐに生えてくるはずの赤ゆっくりが生る茎が生えてこないのだ。 新薬が効果を発揮したことで研究者達はほっと安堵するその中心で2匹はおろおろとしている。 「ゆぅ・・・どうしてぇぇ?」 「ゆっくりわからないよ・・・」 「ゆゆっ!そうだよ、もういちどすりすりしようね!」 こうして2匹は再び頬を重ねたが、結局にんっしんっすることは叶わなかった。 彼女達が行おうとした妊娠は俗に「植物型」と呼ばれるもので、本来なら交尾後すぐに生えてくる茎に子どもを宿す。 他にも「胎生型」と呼ばれる妊娠も存在するが、こちらはかなり成熟した個体でないと出来ないらしく2匹にはまだ早かった。 「・・・やっぱり、可哀想ですよ」 「今のゆっくりの去勢や不妊手術のやり方って知ってるか?」 「知ってます。だからこれ以上何も言いません」 いつの間にか仕事場に戻って来ていた後輩の女性とそんなやり取りをしながら男性は2匹を回収した。 彼に抱かれた2匹は「どうぢでぇ・・・」などとぐずっていたが、女性からお菓子をもらって少しだけ元気になった。 ちなみに現在の不妊や去勢の手術はゆっくりの胴体に大きな穴を開ける上に、修復に子ゆっくりを1匹使い捨てにする必要がある。 「ところで、先輩。あの2匹はこの実験が終わったらどうなるんですか?」 「あの2匹は継続的な効果を見るための個体だから、胎生型への影響の有無、副作用の有無、薬の成分の残存なんかを調べて・・・」 「それが全部終わったら?」 「多分、無事なら持ち帰ってもいいと思うぞ」 その言葉に女性は少し安堵したらしく、ほっと胸をなでおろしす。 そんな彼女を眺めながら、男性は何となく今日の実験がゆっくり殺処分用の薬品の実験のほうじゃなくてよかった、と思った。 ついでに胎生で生まれた子どもが当然研究対象になるかも知れないことや両親から隔離されるかもしれない事は黙っておいた。 季節は灼熱の太陽が照りつける季節、夏。 冗談のような話ではあるが、エアコン代の影響で捨てゆっくりが増加する季節でもある。 「あ、バッジ付きだ」 作業服を着たゆっくりんピースの職員の男性は野良の中にただ1匹バッジを付けたゆっくりがいることに気づいた。 そのゆっくりはゆっくりありすで、彼女の周りには野良と思しき数匹のゆっくりが集まっている。 「ちょっとごめんよ・・・っと」 彼はその数匹のゆっくりを押しのけつつありすのそばまで行くと、懐から妙な機械を取り出す。 その機械をありすのバッジに当てると、そこから何らかの情報を読み取り、機械の画面に様々なデータが表示された。 更に携帯電話にその機械をつないで「更新」のボタンを押すと、画面に転居済みという文字が大きく表示された。 「捜索願いの届け出はなし。この辺にゆっくりと遊べる場所はないし、前の住所からの距離も遠い・・・」 「ゆゆっ、おにーさんなあに?」 「いや、何でもないよ。ただ、君が飼い主のお姉さんと会えるようにしてあげようと思ってね」 瞬間、ありすの顔に笑顔が浮かんだ。 人間には到底まねできないであろう余計な感情の一存在しない純粋な喜び。 それを見せられてしまった男性の心中には飼い主の無責任に対する深い憤りが生じた。 「ああ、お姉さんもきっと心配しているよ」 「ゆーっ!おにーさん、ゆっくりありがとう!」 しかし、彼はそんな内心を隠して柔和な笑みを浮かべると、薄汚れてしまったありすを抱きかかえた。 直後、足に何かがぶつかる感触を覚え、下を向くとありすの周りにいたゆっくりが膨れて威嚇をしている。 「「「ゆゆっ!ありすはみんなのおともだちだよ!つれてかないでね!」」」 どうやら、ありすを帰したくないらしい。 彼女達を見てため息をついた男性だが、特に何をするわでもなくポケットからゆっくりフードを取り出し、ばら撒いた。 すると薄情というかなんと言うか、ゆっくり達はありすをそっちのけでフードに夢中になる。 「さあ、ありす行こうか?」 「ゆっくりりかいしたわ!みんな、いままでゆっくりありがとう!」 微笑むありすを抱えて、男性は保健所へと向かった。 「さあ、ありす。ここでちょっとの間待っていればお姉さんが迎えに来るよ」 「ゆっくりりかいしたわ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「あ、ああ・・・ゆっくりしていってね。と言いたいところだけど、仕事があるからまたな」 そう言うと男性は足早に保健所を後にし、先ほどゆっくり達がいた場所に戻って行った。 目的はもちろん先ほどのゆっくり達。 もっとも、いまさら戻って彼女達が見つかるはずもなく、集団はすでに解散していた。 「仕方ないか・・・」 呟くと先ほどの機械を取り出し、別の機能を起動させる。 画面の中心が自分の現在地で、周囲にいくつか赤いポイントが存在していた。 この赤いポイントは先ほど撒いたフードを食べたゆっくりの現在位置を示している。 「全員この辺の野良だったか・・・」 これなら早く済みそうだ、と呟きながら機械の画面の情報を頼りにゆっくりの居場所を特定する。 最初に見つけたれいむは家族連れだったらしく、先ほどのフードを家族に分け与えていた。 久しぶりの美味しい食事を底部を怪我したまりさと4匹の子ども達と一緒に涙を零しながら味わっていた。 「っと、のんびり観察してる場合じゃない」 青年はポケットからゆっくり捕獲用の袋を取り出すとせめてもの情け、と彼女達が食事を終えるのを待つ。 「ゆっくりごちそうさま!」 やがて、彼女達が食事を終えると即座に子ゆっくり2匹を捕まえて袋の中に放り込む。 それと同時にこちらの存在に気づき、何か訴えようとする親ゆっくりと残りの子ども達。 しかし、彼はまともに喋る暇さえも与えずに彼女達を捕獲した。 「・・・・・・ごめんな」 袋の中で何かを叫び続ける彼女達には聞こえない声でそう呟くと、他のゆっくり達の回収へ向かった。 回収されたゆっくりの向かう先も保健所だが、彼女達には飼い主が迎えに来るまでの猶予など存在しない。 季節は実りと収穫の秋。 ゆっくり達が冬に備えて一生懸命野山を駆け回る季節でもある。 「ゆっくり被害にあった作物はこれで全部ですか?」 「はい」 「ゆー害以外の理由で売れない作物も安価になりますが、買い取りましょうか?」 ある山間の農村に赴いた一人の青年が壮年の農家の男性と商談をしていた。 青年はゆっくりんピース職員で、農村部でのゆー害への対策を専門にする人物であった。 主な職務は農家の人たちの相談相手になること。 「本当によろしいんで?」 「ええ、こうやって安価で購入したものをピース運営のゆっくり保護施設に回しますから」 「ああ、なるほど・・・」 男性はその言葉で彼の提案がただの親切心ではないことを理解し、契約のために必要な印鑑を取りに行った。 農夫の彼は気づいていないが、これにはゆっくりとゆっくりんピースに対するイメージの悪化を緩和する意図もある。 ゆっくりの地位向上を目指す以上、それは真っ先に気をつけなければならないことだ。 「それではお代は・・・こんなものでいかがでしょう?」 「もともと売り物にもならんものですから、それで結構です」 「では、商談成立ですね」 そう言って必要な契約や手続きを済ませ、作物を青年は農家の男性の家を後にした。 止めておいた車に乗り込み、ゆー害に遭った農家の場所とゆっくりが目撃された場所の記された地図を眺める。 「・・・・・・ここか」 地図上の情報から短時間でゆっくりが集団で生息しているであろう場所を割り出した青年は車を走らせた。 ゆっくりが人間の生活圏に降りてくる理由はいくつかある。 単純にゆっくりと人間の生活圏が近すぎるから。 人間の食べ物の味を覚えてしまったから。 ゆっくりの生活圏で食料不足が起きたから。 「今回は食料不足だな・・・」 それもゆっくりの集落で人口爆発が起きたことに端を発するタイプの、と心の中で付け加え青年はため息をついた。 彼がそう判断した理由は3つ。 まず、例年よりゆー害の発生件数が目に見えて増えている点。 害をもたらすのが味を覚えたゆっくりだけならばそこまで被害が急増するとは考えられない。 次にある農家が始末したゆっくりの皮の質が悪く、餡子が不必要に甘かった点。 ゆっくりは苦しむことで中身の甘みが増す性質を持つが、農家の男性は一撃で絶命させていたのでそこまで甘くなることはない。 最後に山中でのゆっくりやゆっくりの死体の目撃証言が非常に多い点。 こちらは農家のゆー害よりも更に激増しており、人間の通る道に足を踏み入れてでも食料を探さねばならない状況だと考えられる。 「車を止めるとしたら・・・ここら辺だな」 青年は適当な場所に車から降りると、ゆっくりの集落があるであろう方向をじっと凝視した。 道から見える木々の隙間を縫って、確かに多くのゆっくりが食べ物を探し回っている。 過去の調査でここに集落があったという報告はないが、新しい集落でもできたのだろう。 「ごはんさん、ゆっくりでてきてね!」 「むしさん、ゆっくりおへんじしてよー」 「おなかすいてゆっくりできないよ」 ゆっくりらしからぬ忙しなさで餌を探し求めるゆっくり達。 しかし、成果を上げる前に日が暮れてしまい、遊楽へ引き返さざるを得なくなってしまう。 重い足取りで家路を急ぐ彼女達を、男性は見失わないように、しかし見つからないように追いかけていった。 「やあ、ゆっくりしていってね!」 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 「ゆゆっ!にんげんさん、ありすのとかいはなむれになんのよう?」 群れの長と思しきひときわ大きなゆっくりありすのその一言で男性は全てを理解した。 一般にゆっくりありすはすっきりーを好むといわれており、彼女らが長になると集落のすっきり制限が緩くなり、時にはそれが推奨されてしまう。 また、愛するパートナーとのすっきりーを嫌うものなどいるはずもないので、子どもが際限なく増えてしまうのだ。 「そうか、君が長か。君に相談があるんだが良いかな?」 「ゆふん!とかいはなありすがおにーさんのおはなしをきいてあげるわ!」 「率直に言うよ。今度、人間の作物に手をつけたらこの群れ潰すから」 驚愕するゆっくり達はしばし呆然としていたが、やがて男性に向かって抗議し始めた。 どうしてそんなこと言うの、れいむ達何も悪いことしてないよ・・・などなど、ゆっくりから見れば至極真っ当な主張を繰り返す。 が、こちらは人間であり人間に害をなすものはたとえゆっくりであっても黙って放置するわけには行かないのだ。 「ゆっくりしないでかえってね!このいなかもの!」 「そうか、交渉決裂だな」 「「「ゆっくりでてってね!ぷくううううううう!」」」 男性に向かって威嚇するゆっくり達。 どうやらこの中には人間の恐ろしさを正確に把握しているものはいないようだ。 男性はもう何度目になるか分からないため息をつくと、目にも止まらぬ速さでありすを叩き潰した。 「「ゆっ・・・?」」 「お、おさ?」 「「「ゆ、っくりぃ・・・?」」」 ゆっくり達は何が起きたのかさえも理解できず、ただ間抜けな声を上げる。 10秒、20秒と時間が過ぎてゆくが群れで一番大きく、優秀なゆっくりのはずの彼女がたったの一撃で粉砕されたことが信じられないようだ。 1分たってなおも状況を飲み込めないゆっくり達を尻目に、男性は衣服の汚れを払った上で淡々と話し始める。 「俺は君達よりもずっと強い。だから潰されたくなかったら俺の言うことを聞いてくれ?」 「「ゆ、ゆっくりー・・・」」「ま、まりさはありすをゆっくりできな・・・」 「抵抗しても構わないが、他のゆっくりも酷い目に遭うだけだぞ?」 あくまで冷淡に、ただの事務的な事実確認をしているだけと言わんばかりの口調で抵抗の意思を削ぐ。 そうして、全員が恭順の意を示したところで、本題再び口を開いた。 「多分、君達は赤ちゃんが増えすぎてご飯が足りなくて困っているんだろう」 「ゆゆっ!どうしてわかったの!?」 「それは長のありすが“すっきりーはとてもとかいはでゆっくりできるのよ”とか言っていたのが原因だ」 またしても見事に彼が見たこともないはずの群れの内情を指摘され、ゆっくり達は驚く。 「このままだと、君達の赤ちゃんがずっとゆっくりしてしまうし、君達だって非常に危ない」 「ゆゆっ!れいむのおちびちゃん、ずっとゆっくりしちゃうの!?」 「だから明日の朝またここに来るから、その時に俺に子どもを預けてくれないか?」 彼の提案を聞いたゆっくり達は再び驚愕し、しばし悩んだ。 結局、人間の元で茎も含む赤ちゃんがゆっくり出来ることや、交換条件として野菜を提供することを約束するとその提案を快諾した。 勿論、交換した赤ゆっくりが無条件に保護を受けることなどあるはずもなく、良い飼い主に引き取ってもらえるものなどごくわずかに過ぎない。 最悪の場合は、ゆっくり食品の原材料やゆっくり関係の医薬品の実験動物として苦痛に満ちたゆん生を送ることになる。 しかし、ゆっくりんピースの職員達がその事実を漏らさない限り、親達は我が子の幸せを信じてゆっくり出来る。 季節は寒さが全ての生き物を等しく攻め立てる冬。 冬篭りの出来ない都市部のゆっくり達にとっては死の季節でもある。 勿論、飼いゆっくりにとっては何の関係もない話だが・・・。 この季節のゆっくりんピースの主な活動はゆっくりの死体の回収である。 が、それと並行して今年度の活動の総決算や来春に向けての様々な計画の立案が同時に行われていた。 「先輩、家庭に仕事を持ち込むと女の子に嫌われますよ?」 「いつの間にか我が家に上がりこんでる奴が何を言うか」 「ゆゆっ!おにーさん、おしごとしないでゆっくりしようね!」 「そうだよ!まりさたちといっしょにゆっくりしようね!」 「「ゆっくちー!」」 普段は白衣を着ている男性だったが、自宅でパソコンとにらめっこしている今はジャージ姿。 そんな彼の背中越しにメガネをかけた女性がパソコンの画面を覗き込む。 足元では成体のゆっくりれいむとゆっくりまりさ、そして彼女達の子どもと思しき2匹の子ゆっくりがせわしなく跳ね回っている。 「この資料なんですか?」 「えーっと・・・・・・」 女性にそう問われた男性はそれぞれの資料を弄りながら彼女に説明する。 これは回収した野良や野生のゆっくりの処分方法をまとめたリスト、これは保健所に提供したゆっくり安楽死用の薬品に関する資料。 これは有力な資金提供企業のゆっくりカンパニーから受け取ったゆっくり関係の医薬品に関するデータ・・・ 「・・・どうすればこんな発想が出てくるんでしょうかね?」 「ここから流される医薬品のデータはいつもこうなんだよ。人外じみた天才がいるとしか考えようが無い」 「これなんかノーベル賞ものですよ」 そのデータがなければあと30年は開発されないであろう医薬品の情報を眺めながら2人は唸る。 ちなみにゆっくりカンパニーというのはゆっくり関連のビジネスにおいて圧倒的なシェアを占める会社で、ゆっくりんピースにとっても重要な存在である。 ゆっくりの地位向上のために、あるいはゆっくりを売るために・・・目的は違えど同じくゆっくりのイメージアップを重要視する両者の利害は一致する。 それ故、ゆっくりんピースはゆっくりカンパニー内でのゆっくりの非道な扱いは摘発できずにいるのだが、大義のための小さな犠牲だとして目を瞑っているのが現状である。 「ま、凡人の俺達があれこれ考えても仕方ない。それより、こいつらを逃がちまった分の始末書かかないと」 「ゆぅ、しまつしょってなあに?ゆっくりできるの?」 「全然ゆっくりできねぇよ、チクショウ」 れいむの言葉に顔をしかめつつ、男性はだらだらとキーボードを打つ。 その傍らでは女性が床に腰を下ろしてゆっくり達と戯れる。 彼女達の手によって実験施設から解放された4匹は2人を信頼し、現在は男性の家でゆっくりした生活を満喫していた。 「おねーさん、れいむたちのおうたでゆっくりしてね!」 「ゆ~♪ゆ、ゆ~ゆ~♪」「ゆん、ゆんゆ~♪」 「「ゆっくり~ゆっくり~♪」」 もっとも、彼女達の解放が可能だったのは代替の利く実験が並行して行われていたことと、他の職員達の黙認によるものなのだが。 今も彼女達の知らないところでは別のゆっくりが、彼女達が受けるはずだった実験の犠牲になっているかもしれない。 ゆっくりんピースはこのような矛盾を個人単位でも、組織単位でも数多く抱えている。 「れいむ、まりさ。ゆっくりしてる?」 「「とってもゆっくりしてるよ!」」 「「ゆっくちー!」」 それでも何もしないよりはずっと良いだろう。 4匹のゆっくりした笑顔を眺めながら、彼女はそう思った。 ---あとがき--- たまにはあくまで人間本意のゆっくりんピースがあっても良いんじゃないかと思って書き殴った しかし、さすがにこれは法人としてのミッションと実態に乖離が酷すぎるかも知れん byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/403.html
小ネタ ◆概要◆ ◆ミッション関連◆フィールドについての小ネタ 作戦支援スキル「消費アイテム入手」について 戦士達の休息 ◆NPC・アバター関連◆アラガミ批評 現場感想 メモ ◆概要◆ 主にGE2RBの世界をより深く楽しむための情報を紹介するページ。 ◆ミッション関連◆ [部分編集] フィールドについての小ネタ 前作同様、難易度6クリア後は蒼氷の峡谷と創痕の防壁の背景に『樹』が追加される。 また、螺旋の樹変異イベント後は樹の形状が変化する。 追加エンディング後は『聖域』となる。 また、神機兵保管庫のD地点(スタート地点正面の広場)奥は最初は何もないただの壁だが、難易度6以降は機材の残骸が追加され、壁に穴が開いて螺旋の樹が見えるようになる。 開闢作戦開始後は螺旋の樹にマウントやタラップがつけられ、螺旋の樹に穴が空く。 作戦支援スキル「消費アイテム入手」について 作戦支援スキル「消費アイテム入手」で入手したアイテムは、まず所持品に入り、上限を超えた分が倉庫に送られる。 運次第にはなるが、これを利用することでサバイバルミッション中にもアイテム補充ができる。 また、スタングレネードは持ち込み上限は8個だが所持上限は25個なので、このスキルで入手すると持ち込み上限を超えた所持数で次のミッションに臨める。 (たとえば8個持ち込んで1個も使わず、スキルで1個入手したら次のミッションでは9個持ち込める) 無論アイテムを使わずクリアできればそれに越したことはないのだが、保険としてスキル所持者を連れて行けばサバイバルミッションが格段に安定する。 レベルが低いとあまり発動しないので、確実を期すなら最初からレベルMAXのシエルやシュンを連れて行こう。 支援効果発動+1で重複させれば入手数も増えるので、リヴィやユノも入れればそうそうアイテム枯渇はしなくなる。 戦士達の休息 サバイバルミッションの合間にベースキャンプの様子が追加されており、NPC達が思い思いの方法でくつろぐ。 また、立っている時と椅子に座っている時でアクションが異なる。 主人公(および他PCとアバター)は作戦支援スキルイベントのアクション数種(座る、足を組む、みかんを食べる、おでんパンを食べるetc... 詳細な数は不明)とおそらく作戦支援スキルイベントで使われていない眠るアクションの中からランダムで選ばれる。 また、NPCと違って座っているアクションしかないようだ。 NPC名 座っている時 立っている時 ジュリウス タブレット端末で調べ物農業の本を読む両手を握り目を瞑る お茶 コンテナに寄りかかってタブレット端末で調べ物 お茶 シエル 水筒からお茶を入れて飲むカルビを膝に乗せて愛でる ターミナルで調べ物 ギル ギターを弾く寝るウイスキーで一杯 コンテナに腰掛けてスキットルから飲み物をラッパ飲み ナナ おでんパンを食べるみかんを食べる 四つん這いになって何かを探している ロミオ 報告書を書くボトルから飲み物をラッパ飲みしてむせる暇を持て余している ベースキャンプ内を歩き回る コウタ 携帯ゲームをするタブレット端末を持ったまま寝る ターミナルの手すりに寄りかかり立ち エリナ 携帯ゲームをする水筒からお茶を入れて飲む 高いところのみかん箱を取ろうとする エミール 携帯ゲームをする紅茶を飲む 腿上げからスクワット アリサ タブレット端末で調べ物 料理 ソーマ 学術書を読む コンテナに寄りかかり立ち リンドウ ビールで一杯 コンロ前に椅子を置いて座る ハルオミ ウイスキーで一杯グラビア雑誌を顔に乗せて爆睡 コンロに座る カノン 伸びをして腰に手を当てる コンロ前に椅子を置いて湯が沸くのを待つ キグルミ 頬をかこうとしてずれた頭を直す ベースキャンプ内を歩き回る タツミ タブレット端末を見ながら悩む ターミナルで調べ物 ブレンダン 座禅を組む コンロ前にたたずむ シュン カードでイカサマの練習 椅子を何台か並べて寝る カレル 携帯で誰かに電話する ターミナルの手すりに寄りかかり立ち ジーナ 自分の指にとまった小鳥を見つめる指で髪の毛を弄る ターミナルの手すりに寄りかかり立ち リヴィ ゆで卵を食べるコーヒーを飲む寝る 神機の確認 フラン 舟を漕ぐ ターミナルの手すりに寄りかかって読み物とお茶 ヒバリ チョコ コーヒー ターミナルで調べ物 テルオミ 神機のカタログを読む 神機の確認(カメラを構えながら) ウララ せんべい&お茶 ターミナルとキャンプ外を往復しながら調べ物 リッカ クッカーで調理 神機の確認 ダミアン リンゴを剥く 備蓄の確認 レア タブレット端末で調べ物 コンテナに寄りかかって考え事 ムツミ みかん箱の上に正座してお勉強 料理 ヤエ 神機の折り紙を折る ベースキャンプ内を歩き回る カルビ ※座らないため、他のキャラは着席固定 キャンプ内を徘徊、おもむろに疾走 ユノ 楽譜を見ながら練習 ターミナルに立って他メンバーを見守る サツキ 膝にノーパソを置いて原稿を書く 携帯を弄りながら歩き回る クニオ スキットルから飲み物をラッパ飲み コンテナ前に背を向けて座る 追憶のケイト ウイスキーで一杯 コンロに寄りかかりウイスキーで一杯 追憶のヨシノ おでんパンを食べる 料理 ◆NPC・アバター関連◆ [部分編集] アラガミ批評 NPCが特定アラガミと会敵すると、一定の確率で専用の台詞が聞ける。内容は真面目なものからネタっぽいものまで様々。 NPCによっては大型アラガミだけでなく小型アラガミに対しても発生する。 ちなみに自室のターミナルからアーカイブでこれらを聞くことが出来る。 NPC 対象アラガミ 台詞の概要 ジュリウス ヴァジュラ神属 こいつが登竜門だ。足を狙って切り伏せろ、長期戦は不利だぞ! ザイゴート種 アラガミを呼ばれると厄介だ!さっさと片付けるぞ! グボロ・グボロ神属 軽くいなせるからと言って、こいつの正面に立つのは愚策だぞ! ウコンバサラ 電撃に気を付けろ!ぼーっとしてると黒こげになるぞ! マルドゥーク(RB編終了後) 因縁の敵・・・というやつか エインヘリアル(RB編終了後) 敵は己自身ということか?・・・面白い シエル クアドリガ神属 キャタピラは歩くためのものではありません・・・ ラーヴァナ 見た目通りの高火力です!背中の銃に気を付けて! コンゴウ神属 結合崩壊を優先に!攻略の鍵です! ウロヴォロス神属 その大きさが、最大の弱点・・・ ガルム 跳ねるような動きで攪乱してきます。注意しましょう 神機兵 相手はアラガミを倒すほどの強敵です。注意してください 零號神機兵 玩具(おもちゃ)というには、あまりに大きいですね・・・ マルドゥーク(主人公隊長時) 不思議ですね・・・倒したはずなのに、あの日を繰り返しているようで ニュクス・アルヴァ オラクル攻撃しか効きません!接近戦は避けてください! キュウビ このアラガミに・・・未来が懸かっているんですね シルキー 小型ですが油断ならない敵です。気を付けて ムクロキュウビ(RB編終了後) 作り物のいびつな力・・・私は負けません ナナ コンゴウ神属 うっほっほー、うっほっほー♪ グボロ・グボロ神属 顔ばっかだね・・・ ボルグ・カムラン神属 これって、虫?騎士? 零號神機兵(主人公隊長時) デカいからって、勝てると思ったら大間違いなんだから! マルドゥーク(主人公隊長時) キミは直接関係ないけど、やっぱり腹の虫がおさまらないんだよね! ニュクス・アルヴァ あのヒラヒラ、いいねぇ! カバラ・カバラ あはは!何か変なの~! キュウビ うっはー!強そうー! ヴィーナス こういうゼリーはさすがにまずそうだなー ラセツコンゴウ(RB編終了後) 私、こんなにごっつくないよ! ギルバート ツクヨミ ヴェノムにスタン、厄介な奴だ コクーンメイデン種 槍を何本持ってようが、木偶は木偶だ! デミウルゴス そのゴムみてぇな足、伸ばしてみろよ?ブッ刺してやるぜ 零號神機兵 ったく、邪魔くさいデカブツを残してくれたもんだ! マルドゥーク(主人公隊長時) テメェを見てると、無性に腹が立つんだ。消えろッ! イェン・ツィー 感応種である上に、空中機動か。まっ、どっちにしろ叩くのみだな スパルタカス コイツ・・・しっかりガードしながら戦わないと、泣きを見るぞ! キュウビ ハッ、相手に不足はねぇな! ヤクシャ神属 一体一体、確実にしとめるぞ カリギュラ テメェは似てるんだよ・・・俺の嫌いなアイツに! カリギュラ・ゼノ(RB編終了後) やれやれ・・・しつこい奴だぜ ロミオ シユウ神属 アイツ、無駄に固いから苦手なんだよな・・・ シユウ神属(焦燥) お、俺だって戦えるんだ! シユウ神属(克己) いつもの俺だと思うなよ! ナイトホロウ こんな奴、俺の相手じゃねぇっての! ウコンバサラ 水中に逃げられたら面倒だな・・・! マルドゥーク(RB編終了後) 負けないぜ・・・お前にはな! イェン・ツィー 出た、感応種! コウタ ヴァジュラ神属 動きに惑わされるな。着実に削っていくよ スパルタカス うぉ、威圧感ハンパねぇ・・・! キュウビ うーわっ!ヤバいだろ、これ・・・! ラーヴァナ こいつら、群れると厄介なんだよな・・・! エミール ボルグ・カムラン神属 騎士の名を騙る悪魔よ!本当の騎士道を教えてやる! オウガテイル神属 華麗な戦いを見せてやろう! ウコンバサラ ふん、何度来ても同じことだ。我が宿敵よ! ドレッドパイク 獅子は、兎を狩るにも全力を尽くすという。いざ! 神機兵 裏切りの人形め・・・!お前は恥を知るべきだっ! キュウビ 悪魔の王よ。相対して我が言うは否!疑いなく、否っ! エリナ ウロヴォロス神属 大きすぎる、どうしろって・・・ デミウルゴス 短足かと思ったら、手足が伸びるんでしょ!知ってんだからね! チョウワン やだ!?ちょっと、それってズルくない!? カバラ・カバラ 派手なカッコして・・・!こんな奴に負けてらんない! キュウビ コイツさえ倒せば・・・!行くよ、オスカー! ラーヴァナ 撃ちあいは不利です!このスピアで! リンドウ キュウビ キュウビのお出ましだ!焦るな、慎重に攻めるぞ! ハンニバル神属 ま~た因縁つけに来やがった。しつこい奴だな ウロヴォロス神属 おう、デカブツ。また懲らしめてやるぜ ガルム こりゃまたカッコ強そうな奴が出てきたもんだ カバラ・カバラ おいおい、何だよその色! アリサ ヴァジュラ神属 このアラガミは、私が倒します! クアドリガ神属 ミサイルを使った遠距離攻撃に注意してください イェン・ツィー 感応種といえど、基本は同じです。落ち着いて対処しましょう キュウビ これが、私たちが追い続けてきたもの・・・無傷でコアを手に入れたいですね! ソーマ ツクヨミ フッ、女神気取りかよ? チョウワン チッ、どっから湧いてきやがった・・・ ニュクス・アルヴァ クソッ、接近戦が通用しない相手だ キュウビ 見つけたぜ…そのコア、もらった! ハルオミ ザイゴート神属 まぁ、65点ってとこか コクーンメイデン種 キレイなバラには棘があるってか? サリエル神属 いや~俺はアリだと思うぜ。アラガミじゃなきゃ80点だ イェン・ツィー 胸はいいけど、顔ぐらい見せようぜ?50点だ ニュクス・アルヴァ コイツ、わかってるな・・・90点だ! キュウビ 怒った顔も悪くないねぇ、女狐ちゃん? カリギュラ また出たか・・・愛せないねぇ、お前だけは! ヴィーナス 大きいな。うん、そこだけ100点な カノン サリエル神属 あの~私、飛んでるのは苦手で… コンゴウ神属 コンゴウです!頭にブラストを打ち込んでみますね! グボロ・グボロ神属 後ろからこっそり撃てば、勝てそうな気がします! ドレッドパイク あまり強くないのがいました!排除しますね ニュクス・アルヴァ 飛んでます。当てにくそうですね・・・頑張ります キュウビ こ、こんなの倒せるんですか!? クアドリガ神属(覚悟) このアラガミには何かすごく通じるものを感じます サリエル神属(覚悟) 飛んでても、ちゃんと当てないとですよね ガルム(覚悟) よく動く敵ですよね。しっかり当ててかないと ジーナ ヴィーナス これ見よがしに…! コクーンメイデン種 この子、いい狙撃するわ・・・ ニュクス・アルヴァ ウフフ・・・何か通じ合うものを感じるわね タツミ オウガテイル神属 こいつにはさんざん世話になったな ウコンバサラ コイツ、尾を破壊しておくと少しは楽になるぜ! イェン・ツィー 本当のチームプレイ、見せてやろうぜ! ブレンダン 神機兵 正直、お前たちには期待していたが・・・残念だよ カリギュラ こいつの間合いには気を付けないとな シュン ボルグ・カムラン神属 装甲固い奴って面倒臭ぇよな・・・ デミウルゴス コイツ、きめぇんだよな・・・ スパルタカス 鱗がボコボコしてやがる・・・! カレル グボロ・グボロ神属 フン、いい的だ カバラ・カバラ フザけた顔だな・・・ ヤクシャ神属 中距離戦は俺が制する! リヴィ スサノオ こいつも・・・誰かのなれの果てなのか・・・ クロムガウェイン(RB編終了後) そういえば・・・こいつと初めて会ったのは、君と遭難した時だったな リンドウ侵喰 ヴァジュラ神属 アイツらの所へは…行かせねえぞ…! ウロヴォロス神属 何だ…?またコアを抜き取られに来たのか…? ハンニバル神属 てめえのコア…よこせ…! 現場感想 特定のNPCを特定のマップに同行させると、ミッション開始時もしくは終了時に一定の確率で専用の台詞が聞ける。 マップ NPC 台詞の概要 贖罪の街 ジュリウス(開始) 広大な戦域では索敵が有効だ。無駄な時間を過ごすなよ エリナ(終了) この街は以前綺麗だったんだろうね エリナ(終了) 壊れててもどこか神聖な感じがしますね・・・ ハルオミ(開始) 贖罪の街ね・・・ そんなに悪い事したのか? リンドウ(終了) しっかし、よく食い荒らしたもんだ・・・ リンドウ侵喰(終了) あいつら・・・無事逃げ切ったんだろうな・・・? タツミ(開始) 穴が開いてなかったころの風景、もう思い出せなくなっちまったな・・・ コウタ(終了) いつになったら、この戦いは終わるんだろうな・・・ 鉄塔の森 シエル(終了) ここの施設は、当時はどんな風に動いていたんでしょうね・・・ エリナ(開始) やだな、汚い水たまり・・・ ハルオミ(終了) オイルまみれになっちまったよ、もぅ体がギトギトだ カノン(開始) 高台は安全に見えて狙われやすいんです。気を付けていきましょう カレル(終了) ジメついてるな・・・さっさと引き上げるぞ 嘆きの平原 ナナ(開始) うひゃー、すっごい竜巻!あの中ってどうなってるのかな? ギルバート(終了) あの竜巻、いつになったら消えるんだろうな アリサ(終了) うーん、広いけどサテライトの候補地には向かないですね カノン(終了) 竜巻の影響で、射線が少しぶれてしまいました リンドウ(開始) 昔はここでよく戦ったもんだ・・・お前ら、気を抜くなよ シュン(開始) あの竜巻の真ん中どうなってんのかな? 鎮魂の廃寺 ギルバート(終了) 辛気臭ぇ所だな・・・ ロミオ(終了) うへー、なんか今にでも出てきそうな感じ・・・早く帰ろうぜ コウタ(開始) ここはとにかく通路が狭い!乱戦時には要注意だ ソーマ(開始) ココは、あいつとの・・・いや、なんでもない・・・ エミール(終了) 迷える魂よ、安らかに眠りたまえ リンドウ侵喰(開始) アイツ・・・俺を、助けたのか・・・? ジーナ(終了) フフ・・・月が綺麗ね 愚者の空母 シエル(開始) 一本道ですが・・・標的の分断はここでは難しそうですね ハルオミ(終了) こんな御時世でも、夕日は相変わらず綺麗だなぁ・・・ カノン(開始) 見通しがいいですね。見つからないように気を付けないと エミール(終了) 見ろ、この空母は人間の未熟さと愚かさの証。あぁ、それでも僕は人類を愛してやまない! カレル(終了) 人間同士で争った跡か・・・愚かな連中だ 煉獄の地下街 ナナ(終了) あっつーい、お腹すいたよー ギルバート(開始) 気をつけろ、マグマに落ちたら骨まで溶けちまうぞ ロミオ(開始) なんだよここ、溶岩だらけじゃんか! アリサ(開始) ここ、暑くてちょっと苦手なんですよね・・・ カノン(終了) 汗でびっしょり。早く戻ってシャワー浴びなくちゃ シュン(開始) あっちぃ…さっさと帰りてえ… 黎明の亡都 ジュリウス(終了) こんな時代にも夜明けは来る…俺はそう信じてる ナナ(開始) 荒らされる前はここも賑やかだったんだろうね コウタ(終了) 壊れてても貴重な遺産だ。少しでも長く残しておきたいよな アリサ(開始) この荒れ方じゃ、修復は無理ですね・・・ ソーマ(終了) さて、研究書籍の一つでも拝借してくるかな タツミ(終了) こういう緑が残ってるとこも 殆ど無くなっちまったよなあ・・・ ジーナ(開始) 任務が終わったら 図書館に寄ろうかしら 蒼氷の峡谷 ナナ(開始) なんか、懐かしい感じ・・・ ナナ(終了) ねぇねぇ、たまにここで雪とか氷とか食べたりするよね? ロミオ(開始) うぅ、さみぃ・・・さっさと終わらせて帰ろうぜ エミール(開始) 白銀の世界を汚す闇をこの僕が取り払う! リンドウ(開始) よーし、終わったら皆でスキーでもするか? タツミ(開始) やっぱ青空はいいねえ・・・昔と何も変わってないもんな! シュン(終了) さーみぃー…指、動かねえんだけど エリナ(終了) 足元、気を付けてくださいね。帰るまでがミッションですから 創痕の防壁 ジュリウス(開始) ここは何としても守り抜く、侵入を許すなよ! ギルバート(開始) ここを突破されたら後がねぇぞ! シエル(終了) 最終防衛ラインを死守・・・!お疲れ様でした! ロミオ(終了) へへ、守るべきものの為に戦うって、何かいいな エリナ(開始) ここから先は絶対に通さない・・・私が守る! アリサ(終了) ここは最後の砦・・・絶対に通さない! タツミ(開始) ここだけは何としても守り抜くぞ! ブレンダン(終了) なんとかここを守りきったな リヴィ(終了) いろいろな支部の防衛ラインを見てきたが・・・極東は群を抜いて緊迫しているな エイジス ジュリウス(終了) 折れた意思の墓標、か コウタ (開始) 安心して暮らせる場所は、俺が作って見せる ソーマ(終了) あれから二年か・・・ちっとも、変わってねぇんだな ハルオミ(開始) 夢破れて、アラガミありとは・・・やるせないねぇ リンドウ侵喰(開始) ここか・・・ようやく、辿りついたぞ・・・! ブレンダン(開始) ここでの任務は・・・気が引き締まるな 神機兵保管庫 ブレンダン(終了) これほどの技術・・・いくらでも使い道はあっただろうに・・・ カレル(開始) まだ多少は金目のものが残ってそうだな シエル(対世界を拓く者) 先生に受けた御恩は忘れません。ですが・・・! リヴィ(終了) ここが・・・ラケル先生の結論か・・・ 萌芽の神域 ジュリウス(終了) この新たな世界、守ろう。俺達で シエル(終了) 新しく生まれた世界・・・どれだけの可能性を秘めているのでしょう ギルバート(終了) 新しい世界か・・・途方もない話だな ナナ(終了) ここにも美味しい食べ物があるといいね ロミオ(終了) しっかし、大変なことになってるよね・・・ リヴィ(終了) 終末捕喰が生んだ再生の地・・・守らなくてはな メモ ここは質問・交流用コメント欄ではありません。雑談などは別の場所でお願いします。 コメントを全て表示 新しいフィールドは壁の形状が滑らかなものが多く、そういったところでエリアルステップをすると高度が大きく上昇する。これを利用するとドラゴンフライ+エリアルステップや、スカイフィッシュの前進と後退でスタミナが切れるまで高度を上昇させられる。 - 名無しさん 2015-06-14 00 23 22 壁際の地面も凸凹になってるから出っ張り部分を超えるようにステップすると硬直がキャンセルされてすぐにステップできるな。テクニックと言うほど効果があるわけではないけど - 名無しさん 2015-06-15 22 56 06 フィールドの小ネタ、ネタバレじゃね? - 名無しさん 2015-06-15 20 43 08 あの部分を反転にすればいいんでね? - 名無しさん 2015-06-15 21 37 15 蒼氷の峡谷 ヨシノ「うーん、寒いけど天気が良くて気持ちいいね」 - 名無しさん 2015-07-03 07 00 21 ハルさんのカリギュラへの台詞はハンニバル侵食種でも聞けた - 名無しさん 2015-07-07 15 20 56 自室ターミナルでキャラの戦闘ボイスを確認でき、特殊なセリフを聞くことが出来るよ - 名無しさん 2015-07-14 18 37 06 本編クリア後にだけど - 追伸 2015-07-14 18 38 15 ギルのカリギュラへのセリフは対ハンニバルでも言ってたはず - 名無しさん 2017-03-08 00 53 59 最近やり直してて気づいたんだが、レア博士がフライアから逃げ出してきた後の独白2回目のイベントシーン。壁にかかってるプレートの数字が違ってた。実際の病室には「22」とあるけどイベント中は「07」になってる。なお「07」がかかってる病室は反対側(黒蛛病の子がいた病室)のはず… - 名無しさん 2017-12-31 04 52 57 戦士達の休息でジーナさんも立ってる時ターミナルの手すりに寄りかかり立ちしてます。編集の仕方がわからないので良かったら編集出来る方、お願いします。 - 名無しさん 2018-02-09 19 50 13 小ネタ、と言うほどではないかもしれないけど。「報酬金額増加」で得られる金額は基本報酬で得られる金額と同額なのだけど…カレルとシュンのキャラクターエピソードで追加される任務だとこの金額が減っている。「分け前よこせ」って取られてるんだろうな… - 名無しさん (2018-04-21 08 27 48) 戦士の休息で、今更ギルが座っての - 名無しさん (2018-05-17 00 50 47) 途中送信してしまった。戦士の休息で、今更ギルが座って飲んでるシーンがあったので編集しといた。 - 名無しさん (2018-05-17 00 54 14) 名前
https://w.atwiki.jp/examinationroom/pages/111.html
深優とアリッサ B ・◆・◆・◆・ 大切な人と下りる山道 教会の屋根の向こうに燃える夕日が 遠くの山を黄金色に染め上げて わぁ~、眩しい! 黄金に輝いている世界ってこんな感じ? とってもキレイ。 これが美しい情景かどうかの判断は私にはできません、 ですが、アリッサ様のように、美しいと感じることのできる人が世界中に溢れている。そういう世界なのでしょう。 うん、とってもきれいで――、あったかい気がする。 パパが世界をこんな風にしたくて頑張ってるなら、アリッサも頑張らなくっちゃ。 アリッサ様なら、必ずやシアーズ総帥を黄金世界に導くことができるでしょう。 うん、アリッサ、頑張るよ。 パパのために、世界平和のために、アリッサもっともっと頑張らなきゃ。 ――アリッサ様、つけあわせのニンジン、今日はちゃんと食べて頂けますか。 えーっ、ニンジンキライ! いらないよぉ! しかし、きちんと食べないと、立派なHiMEにはなれませんよ。 それでは、ちゃんと食べてくださると約束されるなら、デザートにプリンを、ご用意します それって、プディンクじゃなくて? はい、ちゃんとお皿にプッチンできるものを選んでまいります。 ついでに、ハンバーグはネコの形にして差し上げます。 「我の名はアリッサ=シアーズ、汝に協力を要請する」 抑揚のないソプラノボイスが、深優を現実に引き戻した。 デイバッグのランタンを燈し、暗闇に色をつける。 6歳ほどの背丈の幼女は、ブロンドのボブカット、雪のように透き通った肌をしている。 だが、瞳の色は亡きアリッサのアイスブルーではなく、深優と同じ赤。 正確にはそれとも違う、ブラッディレッドの範疇に入るもの。 そう、彼女はシアーズの作り出したアンドロイド。 ああ、分かっていた、初めから分かっていたのだ。 アリッサ様はもう、戻ってこないと分かっていたのに。 生き返らせるつもりはないと決意したのに。 心は彼女の面影を求めてしまった。 今なら、深優に娘を投影した父の気持ちも分かる気がする。 アリッサの形を真似たものは丸い目を細め、拳で掌を叩く。 「無粋の口調が気に入らないのか……じゃあ、クローンアリッサのしゃべり方にしよっか。 えっと、こんな感じでいいんだよね?」 「いえ、貴女の言葉遣いに興味はありません。私のアリッサ様はただひとりですから。 それから、あの人に名にクローンを冠することは認めません」 深優は突き放した声で、黒い衣装の機人に応答した。 フリル付きのドレスはアリッサ様がHiMEとして戦い、散っていったときと同じもの。 まるで、あの人の生き様を否定されたような気がして、苛立たしかった。 金髪のアンドロイドの顔からあどけなさが無くなり、不自然に大人びた表情になる。 「汝はアリッサという名称を使うことに抵抗があるのか。ならば勝手な名で呼ぶがいい。 ああそうだ、製造番号でも構わんぞ。博物館の資料で把握済みであろう」 「いえ、それも………」 幼女の他人事のような口調に、深優はしばし言葉に詰まらせる。 今の彼女とって、名とはあの機人をどう捉え、どう扱うかを意味していた。 目の前のアンドロイドをアリッサとは絶対に認めない。それでも、番号で呼ぶのも抵抗はある。 彼女は深優の上位互換のOSを持ち、個としての人格を持っている、もしくは持ちえたかもしれない存在。 ただ、財団がこの機人にそのような生き方を望まなかっただけ。自分まで同じ振る舞いをしてよいのか。 深優は問いかけに沈黙したまま、話題を切り替えた。 「貴女はどうやって、消滅現象を免れたのでしょうか」 「空間が安定期に入るまで、最下層に退避していただけだ」 「でしたら、他に生存者がいるのですか?」 深優は九条むつみから渡された職員リストから、 死亡、消滅した人間を除外、生死不明者をカウントしている。 シアーズ構成員は中層に残るわずかな負傷兵を除けば、ほぼ壊滅だろう。 ただし、量子電算室とそれより下層の記録は未だに入手できていない。 「そう矢継ぎ早に話しかけるな。まだ、厄災の再発までに1時間の猶予がある」 偽りの幼女は傍のテーブルに飛び乗りながら言った。 「あの場所は別の意味で危険なのだ。逃げ込んだ職員は数分も経たないうちに狂死したな」 「別の意味、ですか。アンドロイドならば、その悪環境に耐えられませんか?」 「彼らは量子コンピューターと融合させた。滅亡現象のパターンを手早く計算したかったのでな。 結論を言えば、財団の現存戦力は我ひとりだ」 シアーズのアンドロイドは銀色の腕輪を付けた右手を、大型コンピューターに向ける。 これは深優の指輪と同じく、コンピューターを遠隔操作するためのデバイスだろう。 「我は共闘の意思を示すため、汝に例の演算結果を提供しよう」 すると、深優のパソコンに、量子電算室で起きた事故の情報が送られてきた。 そこにあるNYPジェネレーターはあの白い鎧、LEICAに力を与えていた。 だが、この装置に予期しないエラーが発生し、NYPリーサルウェポンは暴走し始めた。 問題はこれだけに留まらなかった。本来、擬似NYPは生命力を削り取るだけの力。 だが、ジェネレータのはが臨界点を突破し、きわめて特殊なものを衰弱させてしまった。空間そのものだ。 山辺美希のいた無人の世界は「緩やかに滅亡しつつある世界」である。 実際は間違いかもしれないが、支倉曜子はあの平行宇宙をそのように理解した。 そのため、枯れた空間はこの世界律とシンクロし、人類滅亡現象を引き寄せてしまった。 これこそが無差別神隠し事件の元凶である。 もし、深優が1時間前にこの話を耳にしても、夢想家の与太話としか考えなかっただろう。 だが、怒涛の怪異に遭遇してひねり出した推測は、この説明と恐ろしく似通っていた。 それに加えて、データ自体には論理的な矛盾はなく、改竄された痕跡もない。 すべて正しいとは言わないし、巧妙な改変もあるだろう。だが、大体において真実だと考えられる。 「本来は起こるはずのないトラブルだったのだがな。ゆえに対策が遅れてしまった。 技術班のチーフは発生率100億の123乗分の1と言っていたか」 それは位相空間の1点をランダムについて突いてビッグバンを起こし、深優たちと同じ宇宙の秩序が生まれる可能。 彼女がこのありえないほどの低確率を話題に出したのは、宇宙論の信憑性を論じるためではないだろう。 「あの確率の別名は『ヤコブ=ヘッケンシュタインの神の一刺し』、でしたか。 ほぼゼロとゼロは同義ではありませんが、未知のパラメータが存在すると考えるべきでしょうね」 「幸運の女神の仕込みなのだろう。ゲームバランスをとるためのな。 理論上、ジェネレータは無限の力を持ちえた存在、代償があっても不思議はない」 幼女は天井を見上げ、皮相めいた笑みを浮かべる。結局のところ、これは財団の尻拭いでしかない。 だが、彼らも十分すぎるほどの犠牲を払ったのだ。深優は彼女を糾弾する気にもなれなかった。 『アリッサ』は深優のランタンを手に取ると、人差し指の上でスピンさせる。 光の帯が目まぐるしく回転し、飛散する。機人が無意味な行動をするのは一見、奇異に見える。 だが、彼らはいわゆる"あそび"をすることで、作業効率を高めることができる。 深優もアリッサ様の歌を聴いたり、景色を鑑賞したりして調子を整えていたものだ。 それは感情の萌芽ともいえる。 「さて、次は消滅感染のパターンだ」 数秒後、深優の人工心臓は言葉にならない叫びを上げた。滅亡空間は活動期と安定期を周期的に繰り返す。 前者で対象のデリートを行い、後者で周りの空間に汚染を拡大させていく。既に下層の9割が危険な状態だ。 そして、2時間後に地下基地全体を、8時間以内に島全土を覆い尽くすことになる。 つまり、回避不能のジェノサイドエンドが発動してしまう。他の仲間の命運が深優の双肩に重く圧し掛かる。 避難所も存在する。ひとつは常人ならば狂死確実の最下層。もうひとつは人工HiMEの死を対価とする謎の古本屋。 これらの場所は不適合新位相幾何学的超越ユークリッド的隣接により、空間の折り畳まれた特殊座標に存在する。 結論だけを簡単に言えば、破滅に巻き込まれる順番は、島の中で最後になるらしい。 だが、狂死や生贄のリスクがある上、やがて消滅空間に囲まれて外に出られなくなってしまう。 これでは根本的な解決にはならない。 深優は次に過去の侵食パターンを閲覧する。 すると、消滅の波は深優を不自然に回避しているのが分かった。これが自分だけデリートされなかった理由だ。 ご丁寧にも、コメント欄に世界の修正による干渉と書かれている。つまり、Xの意思は実在するということか。 ただ、これは滅亡現象の初期段階だからこそ引き起こせた奇跡らしい。そう何度も星の加護に期待してはいけない。 深優は顔を上げ、ランプと戯れる『アリッサ』に質問する。 「仮に参加者が抹消された場合、星詠の儀は破綻しますか」 「信頼性84%の仮説によれば、その答えは否だ。 悪鬼が消えても残留思念は漂っている。ならば、HiMEの想いの力が残ってもおかしくはない」 幼女は部屋の中心を指差しながら答えた。 深優は思う。確かに、自分もこの部屋で殺気の残滓のようなものを感じた。 だが、それならば、Xは何のために私を生かしたのだろう。 そして、『アリッサ』はランタンをテーブルにおく。 「その質問をするということは、なすべきことを理解しているのだろう」 「星詠の儀を完遂させて、生存者を元の世界に強制送還させる、ですか」 「そうだ、ルールを逆手に取らせて貰う。儀式を完成させれば、この星がどうなろうと関係が無い。 そして、我には神崎なしで儀式を執り行う手立てがある――Real the word!」 機人は左の掌に一瞬だけ刀を具現化する。その形状は鎌倉時代の日本刀に見えた。 これがシアーズにとって、神崎の弥勒のようなものなのか。 深優は紅の瞳を見つめながら、 「ですが、最大の問題があります。それでは私達が生き残れません」 身体の軸を僅かにずらし、相手の攻撃を警戒する。 「案ずるな。我は汝を犠牲にするつもりはない」 幼女は机から飛び降りて、得意げに言う。 「この結果の中であれば、首輪を外しても、想いの力は他のHiMEへ移行する。 つまり、理論上は最後のHiMEだけを殺せば、儀式は完遂できるのだ。証拠もあるぞ」 「それは本当なの?」 深優は思わず、一歩前に出てしまった。神崎の放送が頭の中でリフレインする。 同級生のなつきはともかく、他二人とはたった数日、仲間として交わっただけなのに、 彼女たちの訃報がこれほど胸を締め付けるとは、思いも寄らなかった。 「ああ、カメラで放送後に玖我なつきの生存を確認済みだ。 ファルシータ・フォーセットも山辺美希も死体は確認されていない」 だが、その死の宣告は唐突に覆されたのだ。 深優は早鐘を打つ鼓動を感じながら、指輪をノートパソコンにかざした。 「確かめさせて貰います」 通信回線経由で、一番地の基地の監視カメラをジャックする。 リアルタイムの情報であれば、データを改変されている可能性は低い。 深優の背後から『アリッサ』の声が聞こえてくる。 「首輪を外せば、儀式で得られる媛星の力は少なくなる。当然、それを惜しむ者もいる。 こちらは一番地の神崎黎人を筆頭に急進派が優勢で、決戦前の和解は現実的ではなかった。 ついでに言えば、我も急進派だ。もっとも、非常時に妥協するだけの現実感覚はあるぞ」 「いえ、お互い様です。こちら側も貴方達に疑念や恨みを持つ者は少なくありませんから」 幼女は満足そうに微笑んで、 「ならば、補足しよう。我らは媛星の力を手に入れても、汝らに行使するつもりはない。 それはエネルギーの浪費だ。財団には反逆者を社会的に抹消する力があるからな。 どうしても不安ならば、別の世界に逃亡すればよい。強制帰還でもその程度の融通は利くらしいぞ」 実にアンドロイドらしい合理的な思考だ。彼女の目には目的だけが映っている。 敵に対して、そして味方に対しても、さしたる感情を抱いていないのだろう。 だからこそ、これだけ対立した後にも交渉の余地がある、とも言えるのだが。 ハッキング成功。深優は来ヶ谷唯湖の待機するポイントとその付近を映し出そうとする。 だが、PCのディスプレイは灰色の砂嵐で埋め尽くされる。 何度もパラメータを変えてアクセスするも、通信エラーが出るだけだ。 セキュリティを突破するには、数秒ごとに変化するパスコードを正確に入力する必要がある。 だが、回線が細く不安定になっているため、コードを探り当てるプログラムを起動させる余裕がない。 ケーブルや中継器の殆どを破壊したことが仇になるとは。深優はため息をつく。 「もっと良い通信環境に心当たりはありませんか」 「いや、ないな。セキュリティに関していえば、いくつかバックドアを用意していた。 だが、少し目を放した隙に、一番地に根こそぎ潰されてしまった」 『アリッサ』が首を左右に振ったとき、深優は視線の端に小さな奇跡を捉える。 ディスプレイからノイズが剥ぎ取られ、基地の様子が鮮明になっていた。 ・◆・◆・◆・ 【ここら辺はお姉さまのパート待ち】 今日の朝に語らったはずなのに、100年ぶりの再会の心地がする。 深優はモニターを見つめながら、頬の筋肉をわずかに緩ませる。 だが、戦況は決して良好とはいえない。彼らはアンドロイドの大群に包囲されている。 しかも、来ヶ谷は重傷、クリスも満身創痍で、実質的な戦力はデュランとなつきだけだ。 それでも、彼らならば生きて戻ってこられるはず、深優は強く願った。 不思議なことに、なつきやクリスよりも来ヶ谷の様子が気になって仕方なかった。 無論、瀕死であるということが大きな要因だろう。だが、それだけではない。 来ヶ谷唯湖は私に良く似ている。 いや、私が彼女にそっくりなのかもしれない。 共に自分を心無き人形と思い続けて、苦悩の果てに抱いたのは、 報われることのない恋だった。 その時、唯湖が望んだのは、己の死をクリスの魂に深く刻み込むこと。 私が願ったのは、生還して、玲二の記憶に新たな陰を作らないこと。 一見すると、ふたりの選択は真逆に見える。だけど、根本は変わらない。 あの人の瞳には、キャル=ディヴェンスの姿しか映っていないはずだから。 そうだ、彼はそうでなくてはならない。 深優=グリーアの死など気にも留めなければ良い。 その方が、あの人は強くあり続けられる。 それなのに、私はこの気持ちを抑えられない。 ほんの僅かでも良い、あの人の心の片隅にでも、 私の居場所があって欲しいと願ってしまう。 「我の述べた通りであろう」 深優の耳元に『アリッサ』の囁き。呼吸が一瞬止まる。 迂闊だった。相手に殺気はなかったとはいえ、吉報に気をとられて反応が遅れてしまった。 「……ええ、玖我なつきの首輪が外れていますね。彼女に鍵を使ったのは、言峰綺礼でしょうか」 か細き二の腕を肩から振りほどく。それは彼女の仕えた女の子と同じくらい軽かった。 『アリッサ』は少し離れたところにある、事務椅子の上にしゃがみ込み、厳しい口調で語る。 「神父は鍵を持ったまま、一番地基地に姿を晦ましてしまった。 だからと言って、一番地に伝えれば相手に主導権を奪われる」 深優は自分の首筋に触れ、内部センサーを用いて簡単なボディチェックを行う。 感知した限りでは、機人に何かされた形跡はない。 彼女は深優に奇襲を掛けて最下層に閉じ込める意思はないのか。 そのまま、引きこもっていれば、他の参加者は消滅して、安全に最後のHiMEを殺害できるだろう。 『アリッサ』は16%を恐れている。『HiMEが消えて儀式が終わ』る可能性を警戒しているのだ。 「それで穏健派は決戦前夜に、彼の潜伏先を九条むつみに伝えたのですね。 結界の原理を知った現在ならば、財団のリークにも納得がいきます」 当然、むつみも罠ではないかと警戒した。だが、誘導にしては、具体的な潜伏先が指定されていないこと、 何よりも、彼女自身を生き延びさせてきた直感により、一番地基地に向かうことにした。 『アリッサ』は少し疲れた声で言う。 「奴はこの波乱を予測して、逸脱行動をとったのだろう。まさに歩く厄災だ」 「その言葉には全面的に同意します」 深優は苦笑する。意見が一致したのはこれが初めてかもしれない。 紅眼の機人の声には、ほんの少しだけ、心の息吹が込められている気がした。 『アリッサ』はモニターの中の戦士を見つめ、小さな唇を動かした。 「善戦しているようだな。だが、来ヶ谷唯湖を見捨てれば、生存率は高まるだろうに」 深優は力強く言葉を紡ぐ。 「いえ、それは真逆ですね。なつきとクリスの戦闘力は精神状態に依存します。 彼らは少女を救いたいと思うからこそ、あれだけ奮闘できるのです」 「戦争心理学的にはあり得るか。兵士は仲間を守るためならば容易に命を捨てるものだからな」 『アリッサ』は口元に指を当て、不思議そうに首をかしげる。 「だが、かの二人は来ヶ谷唯湖などいなくとも、必死に互いを守るであろう。 そもそも、あの女を仲間と認識しなければ、死線に飛び込む必要もなかったはずだ。 彼らの行動を一言で要約すれば、愚かだ」 『言ったろ……守れなかった仲間たちがいたって……だから、今度こそ守るって……』 深優のメモリーに、一人の男の言葉が浮かび上がった。 現実は見えていたはずなのに、理想主義者で、お人好しで、涙脆くて、勇敢で、 裏切り者のはずの深優を、衛宮士郎の攻撃から庇ってくれた少年。 確かに、彼の死は師である九鬼耀鋼を狂気に、果ては死へと追いやった。 向こう見ずな自己犠牲は、全体的に見れば破滅をもたらすだけかもしれない。 きっと、それは善という概念を惨めなものに貶める、冒涜にも感じた。 けれども私は、如月双七の愚かさに、 命を、そして心を救われたのだ。 「……アリッサ=シアーズ」 初めて、目の前にいる幼女を愛する人と同じ名前で呼んだ。 もちろん、この『アリッサ』はアリッサ様ではない。そうであってはならない。 それでも、彼女と向き合うためには、この名を使うしかなかった。 深優は『アリッサ』が、何を思い、何を考えてきたのか知りたかった。 「なんだ、質問でもあるのか?」 小さなアンドロイドは片手で空を切り、その反作用で椅子を回転させる。 深優は亡き主人の名前を口にした刹那、己の弱さがむき出しになったような気がした。 けれど、その戸惑いがアリッサ様への思いの証ならば、ありのままに受け止めよう。 自分の右手を軽く握り締めた後、ひとつひとつ、言葉を確かめるように言う。 「貴女に、なにか守りたいものや、いつまでも、忘れたくないものがあるの」 「我は命令されたことがすべて、その問いは意味を成さない」 『アリッサ』は即答した。しばらく、穴の開いたような静寂があった。 「質問を変えます。貴女は自分の使命に対して、数値化できない気持ちを感じたことはありますか」 「それもない。我に感情の起伏はあれど、コンディションを知るための簡易センサーに過ぎぬ。 子守役と兵器とでは、OSの設計理念が違うのだ」 その時、ディスプレイの映像が砂嵐に戻った。 深優は基地の回線状況を確認する。辛うじて繋がってたケーブルがショートを起こしたようだ。 これにより、外部と交信は完全に断たれた。ファルと美希の生死は運を天に任せるしかない。 金髪の機人は回線の様子を見届けると椅子から飛び降りた。 「さて、閑話休題、交渉開始といこうか。我の要求はただひとつ、来ヶ谷唯湖の命だ」
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/105.html
「ジョ~~~だんじゃなーーーいーーーわよー!! あんたいい加減なんか言ったらどーなのよ!? ずーっとダンマリじゃあちしだってどーすりゃいいのか分からないの!」 「ひっ」 狭く薄暗い部屋にダミ声が盛大に響き渡った。 少なくない怒気を含まれたそれに"少女"は悲鳴と共に身を竦める。 栗色の癖っ毛、濃緑の学生服に焦茶色のスカート、吹けば飛んでいきそうな華奢な体躯。 小動物を思わせる琥珀色の大きな瞳いっぱいに涙を溜め、おずおずと上目遣いで見上げてくる姿。 さしもの"オカマ"もこの様には罪悪感が湧いたのか,少しだけ刺の抜けた声色で話しかける。 「今のは悪かったわよぅ。あちし、回ってるから喋りたくなったら言いなさい」 そう言うやいなやオカマは片足を頭の上まで持ち上げ、その脚と両腕で輪を作りながら残った片足を軸にクルクルと回転を―いわゆるバレエ選手がよくやるスピン―を行い始めたのだ。 自身よりも頭2つ3つも長身なオカマ、それも濃いメイクと衣装をした彼(?)が傍らで奇行を行っても、彼女は際立ったリアクションを行うことはない。 出会った時からずっとそうだ。オカマは内心でごちた。 召喚された、令呪も確認した、この少女は確かに彼のマスターなのだ。 しかし、最初に相互の名を「ボン・クレー」と「不二咲千尋」の名を教え合って以来、会話という会話が存在しない。 千尋はダンマリを続け、ボン・クレーから振った話にも我ここにあらずといった様子。 何やら自分の世界に篭っているようで、何かをずっと考えこんでいる。 苛立ちを隠そうと行われた回転は何十分も続く。 そして、ボン・クレーの怒りも収まり、三半規管に限界が近付き始めた頃だった。 「あのぉ……その、喋らせてもらっても、いいですか?」 場の空気がわずかに変じた。 重く沈んだ雰囲気に穴が開いた。 それは針で突いて生まれたような小さな穴。 しかし、ボン・クレーは回転を止め、表情を引き締めた。 こちらを見上げている千尋と目線を合わせる。 いい目をしている、素直にそう思った。 溜まった涙はまだ乾いていなかった、不安の色は見えた、恐怖への震えは拭いされていなかった。 だが、小さな決意の存在だけは確かに見て取れたのだ。 今まで何度か見かけた強き者達が持っている意思の光の欠片を。 だから彼には言わないといけないことがあった。 「ダメね」 「えっ……」 全く予期していなかった拒否の言葉。 何故、どうして、なんで。 そんな言葉達が千尋の頭を駆け巡る。 収まった涙が再び込み上がってきた。 零すまいと堪えるも、決壊は近い。 ボン・クレーはそんな彼女の頭を右手で撫でた。 「アンタねえ、ガッチガチじゃないのよぉ。 ほら、深呼吸しなさい深呼吸。 はい! アン ドゥ クラァ! アン ドゥ オラァ!」 「あ、あん どぅ くらぁ」 歯を大きくむき出しにした笑みとともに発される無駄に威勢のよい掛け声。 それとともに取られる無駄にバシッとしたバレエのポーズ達。 最初はあっけにとられていた千尋も途中からおずおずとボン・クレーの声を復唱していくことになる。 当然であるがポーズまでは真似していない。 しばしそれが続き。 「――――ってこれ深呼吸じゃないじゃないの! アンタもツッコミなさいよ!」 ボン・クレーのノリツッコミが部屋に響き渡った。 「くっ、くすくすくす」 手を当てた口元から思いがけない笑いが漏れてきた。 最初と同じ大声、しかし今の千尋にボン・クレーへの恐怖は存在していない。 そして、彼女は自身の緊張がいつの間にかほぐれつつあるのを感じた。 「ありがとねぇ、ボン・クレーさん」 「ほら、いいから喋って終わりにするわよ~ん。 それと敬語は要らないわ。あちし達、相棒なんだから」 千尋は頷き、口を開けた。 まだ硬さは残っているが、先程までのガチガチっぷりを省みるに大分改善された方だろう。 「じゃあ言うね。その前に聞いて欲しい話があるんだ」 一瞬の躊躇。 やはり、怖い。 最初の一歩を踏み出す覚悟は"あの場"でしていた。 それだとしても、実行に移すとなると体が震え出すのを感じた。 ボン・クレーの目を改めて見つめる。 彼は真っ直ぐな瞳で千尋を見据えていた。 再度覚悟を完了させる。 喉が灼けつくように乾いた。 舌は脳の制御から離れたかのように上手く回らなかった。 そして、頭が真っ白になるような緊張の中、彼女は自身の秘密を打ち明ける。 「実は僕――――男なんだ」 結果から言えば彼女、いや"彼"の告白は成功したといえるだろう。 ボン・クレーのリアクションはやたらと大げさなもので、目と口をコレでもかというくらい開いていたが、それだけ終わりだった。 そこにあったのは純粋な驚愕のみで、嫌悪や忌避などといった負の感情は一切見て取れなかった。 彼自身がオカマであったというのも大きなポイントとなったのだろう。 まずは第一関門を無事にくぐれたことに安堵した千尋。 汗が全身から吹き出し、呼吸は荒くなり、心臓は早鐘のように鼓動を鳴らし続けている。 それでも、彼の心には安心という温もりが僅かながらに萌芽した。 故に辿々しくなりながらも話を続ける。 「だけど……ボン・クレーさんみたいに堂々と女装してるわけじゃなくて。 女みたいな自分を馬鹿にされたくないから……最初から女の子に成り切っちゃえば……。 そうすれば誰からも男らしくないって馬鹿にされないから。 だから僕は女装を続けてるの。軽蔑……するかなぁ?」 彼の最大の懸念。それは『女装をしている理由の違い』だった。 ボン・クレーは色々な意味で堂々としている。 女装をしている自身に後ろめたいことなど何もないのだろうということが一目で分かるくらいに。 対して千尋が女装をしているのは逃避から。 男性らしくない自分から逃げるために女装を行うというチグハグな自己防衛。 故に怖かった。 弱い自分は嫌われてしまうのではないかというのがいたく恐ろしかった。 強張った顔をする千尋に、ボン・クレーは語りかける。 「いい、チヒロ。オカマってのはね男でも女でもないあやふやな存在なのよ。 あやふやな存在だからどんな奴がいても許される! そう! だから! だから! あちし、回るわーーーー!!」 所詮~~~んこの世は~~~男と~女~♪ しかし~~~オカマは~~~男で~女~♪ だ~~か~~ら~~♪最強!!! オカマウェ~イ♪ あー最強!!! オォ~~カマ~~ウェ~~イ~♪ 急に回りながら歌い始めたボン・クレーをぽかんと見つめながらも、千尋はようやく心底安堵した。 目の前のサーヴァントと共に行動をするに際して、最大の壁と予測していた事項がこんなにも容易く流されるなどとは全く予期していなかったのだから。 ある種の拍子抜けさはあったが、それは決して悪いものではない。 「つ、続けてもいいかなぁ?」 千尋の言葉に肯定の意思を肯首で伝え、歌はやめども回転は相変わらず続けるボン・クレー。 あんなに回ってて聞こえるのだろうかと疑念が浮かばなくもなかったが、さっき歌いながらも自身の言葉を耳に入れたことを考え振り切る。 ここからは不二咲千尋という人間がずっと持ち続けていた"願望"に触れる。 コンプレックスと鏡合わせになった痛みを曝け出す場面が来た。 自身の弱みを伝えた相手にだとしてもこれを伝えるのは妙な気恥ずかしさがあった。 彼はまだ気がついていない。 あれほど心を覆っていた恐怖が気恥ずかしさ程度までになっていることを。 無自覚のままに彼は話を続けた。 「だから僕は強くなりたいって思ってて……ボン・クレーさんみたいなオカマとしての強さもすごいと思うけど、僕は男らしさって強さが欲しくって……」 「それで聖杯戦争に来たってわけ?」 率直な疑問の言葉に、『半分は正解だね』と答える。 彼自身、聖杯戦争という言葉はノアの内部に召喚され記憶を取り戻してから初めて知った。 28組のマスターとサーヴァントによる殺し合いというルールもだ。 「昔、インターネットで月にある万能の願望器が話題になってて、僕もよくある都市伝説だと思って本気にはしてなかったんだけど一応調べてみて」 「ゴフェルの木を見つけたのね」 「うん、とんでもなく強固なセキュリティだったけど、僕は"超高校級のプログラマー"だから」 超高校級のプログラマー。 高校生にして企業からのオファーを受けてシステムの開発に勤しむ。 特別ハイスペックでもないノートパソコン一台で会話や自立思考が可能なIAを一から作り出す。 等と、千尋の技量はもはや天才の域に達している。 そのプログラミング技術の延長線として、彼のハッキング能力ももはや常人の域を優に飛び越えていた。 そんな彼を以ってしても解析と解除に四苦八苦させられたセキュリティ。 「けどね、今の今までずっと忘れてたんだぁ。あのファイルも難関なセキュリティを突破できたって記念と願かけとして残してただけだし……」 中身のファイルは謎の拡張子を持ったファイルが一つ。 セキュリティの方とは違い、ファイル本体は千尋がどれだけ手を尽くしてもうんともすんとも言わない。 イタズラにしては手が込みすぎているが、ファイル自体の用途は謎。 一時は躍起になって解析しようとしたものの、今ではすっかり忘れ去られていた存在。 今になって、それの正体が聖杯戦争への招待券であると理解できた。 千尋の話を聞いていたボン・クレーが疑問を率直に投げる。 「チヒロは男らしくなるために聖杯が欲しいってこと?」 「ち、違うよぉ」 慌てた様子で千尋がブンブンと首を振る。 今の話を聞けば、誰もがその結論に至るであろう推察だっただけにボン・クレーは首を傾げる。 「確かに男らしくなりたいけど……これは自分の力で解決しないといけないことだと思うんだ…… 人の力は借りてもいいけど、それでも最後は自分の力じゃなきゃ……そうじゃなきゃ本当の男にはなれないから」 「いい事言うじゃなーい、オカマ道に誘えないのが残念なくらいだわーー!」 心外だったのか、彼らしくない少々熱の篭った語調であった。 人の力を借りてでも最後に動くのは自分自身。 友人に自分が男だと打ち明けた。 強くなるために彼の力を借りて筋トレを始めた。 周囲に自身の秘密を晒け出そうと考えた時、友人に相談した。 それでも千尋は肝心なところを人に頼ろうとは一度も考えていなかった。 彼の見せた男気の片鱗に感銘したボン・クレーが彼なりの賛辞を述べるが、千尋はそれを苦笑いで流した。 ◆ ◆ ◆ 「あの、今からすごく突拍子のないこと言うけど……信じてほしいなぁ」 再び表情を固くした千尋が重さを纏った口調で話し始めた。 『聖杯戦争なんてのがあるんだから今更何があっても驚かないわよぉ!』と茶々を入れようかとも一瞬考えたボン・クレーだが、彼の真剣な様子に憚られ「分かったわ」と一言で済ませる。 話を聞き終え、あそこで余計なことを言わないで良かったと心底感謝することとなる。 千尋のような超高校級の才能を持った人間たちが集められた希望ヶ峰学園。 そこを舞台にして行われたコロシアイ学園生活。 モノクマという悪意の象徴によってもたらされたそれはまさに悪趣味の極みであった。 脱出するためには人を殺さねばならない。 しかもただ人を殺すだけでなく、殺人後に行われる学級裁判で自身の犯行を暴かれずに逃げ延びねばならない。 もしクロであることを当てられればその人間はオシオキという名の処刑を受けることとなる。 逆に犯人を当てることができなければ犯人以外の全員が死ぬ。 そんな狂気めいた遊戯のなか、千尋は3名の死体をその目で見せられた。 1人は魂が抜け冷たくなったその姿を、残りの2人は目の前で死んでゆくさまを。 思い出すだけで体が芯からサーッと冷たくなり、視界が揺らぐ。 そして何よりも衝撃的だった記憶へと話が進んでゆく。 友人だと思っていた青年が突如豹変し、自分を殺そうとしてきた時の記憶へと。 「それでね、鉄アレイを振り上げた時の大和田君の顔が……顔が……」 無理をするな、辛いならば大人しく休め。 そのような趣旨の言葉がボン・クレーから送られてくるのが分かった。 全貌をまともに聞き取れるような状態ではない。 顔は真っ青に染まり、何かがこみ上げてきたのか口元を手で抑える。 しかし、そのような様でも彼は語りをやめようとしない。 「ごめん、最後まで言わせて欲しいんだ。僕を殺そうとした大和田君だけど……とてもかわいそうだったんだ。 上手く言えないけど……僕を殺したくて殺そうとしたんじゃない、そう言えばいいのかなぁ? でも、彼が僕を殺そうとしたきっかけはきっと僕にあるから。謝れるなら謝って僕は大和田君を助けたい。 ううん、大和田君だけじゃない。学園に残されてるみんなを助けたい 僕はそう思ったんだ」 ダンベルを持ち上げ、振り下ろそうとした時の彼の表情と言葉がフラッシュバックする。 何が彼を駆り立てたのかは未だに理解できなかったが、自分が地雷を踏んでしまったのではないかということだけは理解できた。 短い交流であったが大和田が悪人でないことは身に沁みてわかっていたのだ。 だからそんなキッカケを作ってしまったことに対し謝りたい。謝らなければならない。そして彼を"クロ"という運命から救わなければならない 千尋はそう考えていた。 大和田からの謝罪を受け取るという発想がないのは彼自身の人の良さ故か。 あるいは歪みといえるかもしれない。 そして、もうひとつの願い。殺し合い学園生活に参加させられた生徒全員を救いたい。 コレも偽らざる彼の本心だった。 長い時間を共にした相手ではない。 しかし関わりを持った以上は見逃すことができない だから彼は願い、望んだ。 周りが見えなくなるほど熱が入った千尋が我に返り正面を見ると、滝の涙を流すオカマがいた。 「えぐっ……ぐすっ…………ひぐっ………」 「ぼ、ボン・クレーさん?」 マスカラが流れ落ち大分残念なコトになっているオカマに対し、千尋はおずおずと喋りかける。 すると、ボン・クレーは急に千尋の両肩をガシっとつかんだ。 そして前後に激しく揺さぶりながら一気にまくし立てる。 「立派! 立派よチヒロ! アンタの願い、このボン・クレーがしかと受け取ったわ! どうするの? 暗殺? 撹乱? 潜入? あちしどんな汚いことでも手伝うわよ!」 ボン・クレーのクラスはアサシン。 そして彼をアサシンたらしめている宝具、それがマネマネの実。 右手で触れた相手の顔や体型を完璧にコピーする能力。 これにより、彼は一国を傾かせるほどの工作を行ったこともある。 彼はその陽気な性格に反して汚い仕事も抵抗なく行うことができる。 故に、アサシンとして不二咲千尋の願いを叶えることに尽力しようと。 友人のために聖杯を願う少年のサポートを全力で行おうと、そう考えていた。 そう、考えていた。 「ううん、僕が願うのは――――みんなで生きて帰ることなんだ。 学園のみんなだけじゃなくって、この聖杯戦争にいる人もみんな」 千尋を揺さぶる手が止まった。 散々揺すられた千尋は少しだけ苦しそうな表情を見せたが、それに構わず言葉を続ける。 「やっぱり人が死ぬのは悲しくって……それが知らない人でもやっぱり死んでほしくなくて……。 だから……僕たちは人を殺さないで生きて帰りたい。だめ、かなぁ?」 最期の言葉は疑問形だった。 疑問形であったが確かな圧力を持ってボン・クレーの元へと届いた。 ボン・クレーの唇がニィと吊り上がる。 「アンタ、甘いわ。大甘よ。 あちしの大好物のタコパフェなんかよりず~っと甘いわね でも、あちしはちーちゃんのそんな甘さが大好きよーーーー!!」 そう言ってボン・クレーは千尋を抱きしめた。 あまりに力強く締めてくるものだから、千尋は酸欠を起こしかけてるが、ボン・クレーがそれに気がつくことはない。 解法され肩で息をしながらも、千尋はボン・クレーに頭を下げた。 「あ、ありがとう。ボン・クレーさん」 「水くさいわねぇ。ボンちゃんでいいわよ!!」 髪をぐしゃぐしゃ撫でるようにボン・クレーが豪快に笑う。 千尋も釣られて鈴のような笑い声をこぼした。 「ねぇボンちゃん」 「どうしたのちーちゃん?」 「ボンちゃんには……聖杯に託す夢があったんじゃないのかなぁ?」 聖杯。万能の願望器。 不可能にも近い自身の願望を果たす権利をそうもあっさり捨てることができるのだろうか。 千尋自身の願いを述べた時からずっとそれだけがひっかかっていた。 「なぁ~~によぉ~~~。そんなことが気になってたわけ? あちきとちーちゃんはダチでしょ? ダチの願いを叶えるなんて当然じゃない」 当たり前のように、何を言ってるのだと言わんばかりに。 ボン・クレーは極々アッサリとシンプルな答えを導き出していた。 「聖杯に願いを託してた連中だったらちーちゃんの願いを聞いた瞬間に殺しにかかったかもしれないわよ。 そう考えたらあちきを引いたちーちゃんって超ラッキーじゃない!」 殺される。 その言葉を聞いただけで体がまたしてもブルりと震えた 「あ、あれ……震えがとまんないや。 ごめんねぇ……こんなたいそれたこと言ったのに、やっぱり、僕、怖いんだ」 情けないね。そう言って苦笑いをする千尋。 だが、ボン・クレーは軽い調子でそれを否定しにかかる。 「ん~~~、ちーちゃんは本当は強い子だってあちき知ってるわよぉ! 男になっちゃうのが勿体無いくらいに強い子よちーちゃんは。 どう、あきちとオカマ道極めてみない?」 「ごめんねぇ、やっぱり僕が目指したいのは男の中の男だから……」 にべもなく断られるも、ボン・クレーはさして気にした様子もなく「そう」とだけ呟いた。 「これから、よろしくねぇ」 「ええ、よろしく」 改めて互いに右手を差し出して握り合う。 手を握りながらボン・クレーがウインク一つ。 「さっきのちーちゃん、中々男らしくてカッコ良かったわよ」 【マスター】 不二咲千尋@ダンガンロンパ 【参加方法】 電脳世界に散ったゴフェルの木片を自身のパソコンで入手し参戦 【マスターとしての願い】 誰も死なせなずに脱出する。 【weapon】 なし 【能力・技能】 超高校級のプログラマー。 ノアの方舟にハッキングを行えるかは未明。 身体能力は標準の男子高生を遥かに下回る。 【人物背景】 「ダンガンロンパ」の登場人物 所謂男の娘。 人物背景は大体本文中で書いたので特筆することはない 【方針】 聖杯戦争を止める 具体的な方針は登場話に任せます 【クラス】 アサシン 【真名】 Mr.2ボン・クレー(ベンサム)@ONE PIECE 【パラメーター】 筋力B 耐久C 敏捷C 魔力E 幸運B 宝具D 【属性】 混沌・善 【クラススキル】 気配遮断:A この気配遮断は通常の気配遮断とは異なり、宝具によって変身中に変身先の気配だけは残したままボン・クレー本人の気配を消す。 つまり変身がバレにくくなるように働く。具体的に言うと服の違いや多少の性格の違いなら見逃されるようになる。 宝具欄で後述する理由もあり通常の気配遮断が持っている攻撃時に起こるランク低下の特性は存在しない 【保有スキル】 オカマ拳法:A+ バレエの動きを基調とした足技を多用する拳法 逃走:B 絶体絶命の状況においても逃げ道を確保するスキル。 仕切りなおしとは違いピンチでないと発動させることができない。 捕縛されてから1度の脱走、1度の脱獄、1度の生還を経たという逸話から。 声援:D 身を削るような声援によって奇跡を引き起こすスキル。 彼の声援が毒によって死にかけた未来の海賊王を彼岸の縁から呼び戻す一助となったという逸話から。 【宝具】 [マネマネの実] ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1 右手で対象の顔に触れることによって、その人物の姿・体格・声をコピーしその人物に化けるのを可能とする。 なお、服装についてはコピーするのが不可能な模様。 変身のリセットのためには左手で自身の顔に触れることが必要。 複数人の顔を組み合わせたり、記憶容量は無制限であったりはするが、変身中はオカマ拳法を使用不可になるというデメリットも存在している。 【人物背景】 オカマ。濃いメイクと白鳥を模した飾りにマント等の奇抜な格好をしたオカマ。 元秘密犯罪組織「バロックワークス」幹部。 その肩書の通り、アラバスタの国王に変身しその言動によって国民のクーデターを煽るさせるなどの工作を行っていた。 しかし汚い仕事を厭わない反面、本来の彼は非常に義理堅く友情に篤い人物である。 友であるモンキー・D・ルフィを救うために2度も絶望的な実力差の相手に立ち向かったことからも、そのことは見てとれる。 なお、ある意味オカマキャラの宿命のようなものだが、キレると粗暴な男口調になる。 【サーヴァントとしての願い】 ダチ(不二咲千尋)の願いを叶える 【基本戦術、方針、運用法】 マネマネの実の能力を活かした対主催の集団に潜り込ませての暗殺や、誤解フラグのバラマキが主な運用法である。 しかし、マスター不二咲千尋は優勝狙いを否定しているのでこの戦法は使用できない。 基本的な戦闘スタイルはオカマ拳法を活かした接近戦 有効な相手には変身能力も絡めて戦う 方針はダチにしたがって聖杯戦争を止める、具体的な方針は登場話に投げます
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4454.html
※ゆっくりんピース ※俺設定満載 季節は始まりの春。 進学や就職などで多くの人々が新たな人生の一歩を踏み出す。 それと同時に、今までよりもずっと厳しい世界の洗礼を受ける季節でもある。 「先輩、今開発しているこの薬は・・・?」 「ゆっくりカンパニーから依頼されたゆっくりだけに効果のある薬」 先輩と呼ばれた白衣の男は彼女の後ろを付いてくるメガネをかけた若い女性の問いにぶっきらぼうに答えた。 女性はその答えに対して不満があるらしく「そうじゃなくて・・・」と更に彼を問いつめる。 「ゆっくりにどう言う効果をもたらす薬ですか、って訊いてるんです」 「ひとつは死ぬ、もうひとつは植物型のにんっしんっが出来なくなる」 「そ、そんなぁ・・・かわいそうですよ、それ」 露骨に顔をしかめた女性を一瞥した先輩はふぅ、とため息をつく。 そのため息には彼女の言葉に対する同意とゆっくりへの同情と、仕方ないんだよ、という諦めが混じっていた。 しかし、後輩の女性はそれに気づくことなく彼に食ってかかった。 「先輩、私達はゆっくりんピース職員ですよ?なのに・・・」 「NPO法人だって所詮資本主義の内側の存在なんだよ」 「それって、お金のためってことですか!?」 後輩に睨み付けられた男性はまたため息をついてから、再び口を開いた。 「今のゆっくり関係の社会問題をいくつか挙げてみろ?」 「はい?・・・ええっと、捨てゆっくりに野良ゆっくり、農村での作物被害に・・・」 「ゆっくりの死体が原因の事故、他の動物を圧迫、あとあまり一般的じゃないが虐待だな」 男性が虐待、という言葉を口にしたと彼は顔を背け、女性は眉をひそめた。 どちらもゆっくりんピースに所属していることから判るように基本的にはゆっくり好きである。 その2人にとってゆっくり虐待は想像するだけで背筋の凍りつくような蛮行に他ならない。 「ちなみにこの虐待って言うのには手術や殺処分、動物実験の類も含まれるからな」 「ちょっと待ってください!だったら・・・」 女性は思わず叫んでしまった。 鬱陶しそうな周囲の視線に気づいて声を潜めて話を続ける。 が、そこから先の言葉を口にすることが出来ない。 「そうだ、動物実験だよ。ゆっくり関係の新薬開発には不可欠のな」 女性が言えなかったその言葉を、男性はこともなげに告げた。 絶句する女性を一瞥すると、まるで何事もなかったかのように仕事場へと戻って行く。 実験と称した虐待を行うための部屋に。 「薬の効果はどうだ?」 「萌芽抑制剤の効果を今から確認するところです」 「どのぐらい投与した?」 「ごく微量です」 微量の意図するところは主任もご存知でしょう、と受け答えしていた若い男性は付け加える。 彼はゆっくり愛好家ではないらしく、先ほどの女性のようにこの団体の建前と実態の矛盾に疑問を抱く様子はない。 本当にただ淡々と、ゆっくりを実験動物として冷めた目で見ていた。 「れいむ、す~りす~りするよ!」 「ゆゆっ!れいむ、ゆっくりしたあかちゃんがほしいよ!」 彼らの視線の先では2匹のゆっくりが最高に幸せそうな笑みを浮かべて頬ずりをしている。 一般にすっきりと呼ばれるゆっくり同士の交尾であり、これによって彼女達は子どもを増やす。 複数の人間に見守られながら交尾を続ける2匹は、やがて「すっきりー!」という言葉を発し、交尾を終えた。 「れいむ、とってもゆっくりしてたよ!」 「まりさのほっぺもとってもゆっくりしてたよ!」 「ゆぅ~ん、てれるよ!・・・・・・ゆぅ?」 お互いがお互いを褒め合いながら絆を深める2匹だったが、程なくしてある違和感に気づいた。 本来ならすぐに生えてくるはずの赤ゆっくりが生る茎が生えてこないのだ。 新薬が効果を発揮したことで研究者達はほっと安堵するその中心で2匹はおろおろとしている。 「ゆぅ・・・どうしてぇぇ?」 「ゆっくりわからないよ・・・」 「ゆゆっ!そうだよ、もういちどすりすりしようね!」 こうして2匹は再び頬を重ねたが、結局にんっしんっすることは叶わなかった。 彼女達が行おうとした妊娠は俗に「植物型」と呼ばれるもので、本来なら交尾後すぐに生えてくる茎に子どもを宿す。 他にも「胎生型」と呼ばれる妊娠も存在するが、こちらはかなり成熟した個体でないと出来ないらしく2匹にはまだ早かった。 「・・・やっぱり、可哀想ですよ」 「今のゆっくりの去勢や不妊手術のやり方って知ってるか?」 「知ってます。だからこれ以上何も言いません」 いつの間にか仕事場に戻って来ていた後輩の女性とそんなやり取りをしながら男性は2匹を回収した。 彼に抱かれた2匹は「どうぢでぇ・・・」などとぐずっていたが、女性からお菓子をもらって少しだけ元気になった。 ちなみに現在の不妊や去勢の手術はゆっくりの胴体に大きな穴を開ける上に、修復に子ゆっくりを1匹使い捨てにする必要がある。 「ところで、先輩。あの2匹はこの実験が終わったらどうなるんですか?」 「あの2匹は継続的な効果を見るための個体だから、胎生型への影響の有無、副作用の有無、薬の成分の残存なんかを調べて・・・」 「それが全部終わったら?」 「多分、無事なら持ち帰ってもいいと思うぞ」 その言葉に女性は少し安堵したらしく、ほっと胸をなでおろしす。 そんな彼女を眺めながら、男性は何となく今日の実験がゆっくり殺処分用の薬品の実験のほうじゃなくてよかった、と思った。 ついでに胎生で生まれた子どもが当然研究対象になるかも知れないことや両親から隔離されるかもしれない事は黙っておいた。 季節は灼熱の太陽が照りつける季節、夏。 冗談のような話ではあるが、エアコン代の影響で捨てゆっくりが増加する季節でもある。 「あ、バッジ付きだ」 作業服を着たゆっくりんピースの職員の男性は野良の中にただ1匹バッジを付けたゆっくりがいることに気づいた。 そのゆっくりはゆっくりありすで、彼女の周りには野良と思しき数匹のゆっくりが集まっている。 「ちょっとごめんよ・・・っと」 彼はその数匹のゆっくりを押しのけつつありすのそばまで行くと、懐から妙な機械を取り出す。 その機械をありすのバッジに当てると、そこから何らかの情報を読み取り、機械の画面に様々なデータが表示された。 更に携帯電話にその機械をつないで「更新」のボタンを押すと、画面に転居済みという文字が大きく表示された。 「捜索願いの届け出はなし。この辺にゆっくりと遊べる場所はないし、前の住所からの距離も遠い・・・」 「ゆゆっ、おにーさんなあに?」 「いや、何でもないよ。ただ、君が飼い主のお姉さんと会えるようにしてあげようと思ってね」 瞬間、ありすの顔に笑顔が浮かんだ。 人間には到底まねできないであろう余計な感情の一存在しない純粋な喜び。 それを見せられてしまった男性の心中には飼い主の無責任に対する深い憤りが生じた。 「ああ、お姉さんもきっと心配しているよ」 「ゆーっ!おにーさん、ゆっくりありがとう!」 しかし、彼はそんな内心を隠して柔和な笑みを浮かべると、薄汚れてしまったありすを抱きかかえた。 直後、足に何かがぶつかる感触を覚え、下を向くとありすの周りにいたゆっくりが膨れて威嚇をしている。 「「「ゆゆっ!ありすはみんなのおともだちだよ!つれてかないでね!」」」 どうやら、ありすを帰したくないらしい。 彼女達を見てため息をついた男性だが、特に何をするわでもなくポケットからゆっくりフードを取り出し、ばら撒いた。 すると薄情というかなんと言うか、ゆっくり達はありすをそっちのけでフードに夢中になる。 「さあ、ありす行こうか?」 「ゆっくりりかいしたわ!みんな、いままでゆっくりありがとう!」 微笑むありすを抱えて、男性は保健所へと向かった。 「さあ、ありす。ここでちょっとの間待っていればお姉さんが迎えに来るよ」 「ゆっくりりかいしたわ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「あ、ああ・・・ゆっくりしていってね。と言いたいところだけど、仕事があるからまたな」 そう言うと男性は足早に保健所を後にし、先ほどゆっくり達がいた場所に戻って行った。 目的はもちろん先ほどのゆっくり達。 もっとも、いまさら戻って彼女達が見つかるはずもなく、集団はすでに解散していた。 「仕方ないか・・・」 呟くと先ほどの機械を取り出し、別の機能を起動させる。 画面の中心が自分の現在地で、周囲にいくつか赤いポイントが存在していた。 この赤いポイントは先ほど撒いたフードを食べたゆっくりの現在位置を示している。 「全員この辺の野良だったか・・・」 これなら早く済みそうだ、と呟きながら機械の画面の情報を頼りにゆっくりの居場所を特定する。 最初に見つけたれいむは家族連れだったらしく、先ほどのフードを家族に分け与えていた。 久しぶりの美味しい食事を底部を怪我したまりさと4匹の子ども達と一緒に涙を零しながら味わっていた。 「っと、のんびり観察してる場合じゃない」 青年はポケットからゆっくり捕獲用の袋を取り出すとせめてもの情け、と彼女達が食事を終えるのを待つ。 「ゆっくりごちそうさま!」 やがて、彼女達が食事を終えると即座に子ゆっくり2匹を捕まえて袋の中に放り込む。 それと同時にこちらの存在に気づき、何か訴えようとする親ゆっくりと残りの子ども達。 しかし、彼はまともに喋る暇さえも与えずに彼女達を捕獲した。 「・・・・・・ごめんな」 袋の中で何かを叫び続ける彼女達には聞こえない声でそう呟くと、他のゆっくり達の回収へ向かった。 回収されたゆっくりの向かう先も保健所だが、彼女達には飼い主が迎えに来るまでの猶予など存在しない。 季節は実りと収穫の秋。 ゆっくり達が冬に備えて一生懸命野山を駆け回る季節でもある。 「ゆっくり被害にあった作物はこれで全部ですか?」 「はい」 「ゆー害以外の理由で売れない作物も安価になりますが、買い取りましょうか?」 ある山間の農村に赴いた一人の青年が壮年の農家の男性と商談をしていた。 青年はゆっくりんピース職員で、農村部でのゆー害への対策を専門にする人物であった。 主な職務は農家の人たちの相談相手になること。 「本当によろしいんで?」 「ええ、こうやって安価で購入したものをピース運営のゆっくり保護施設に回しますから」 「ああ、なるほど・・・」 男性はその言葉で彼の提案がただの親切心ではないことを理解し、契約のために必要な印鑑を取りに行った。 農夫の彼は気づいていないが、これにはゆっくりとゆっくりんピースに対するイメージの悪化を緩和する意図もある。 ゆっくりの地位向上を目指す以上、それは真っ先に気をつけなければならないことだ。 「それではお代は・・・こんなものでいかがでしょう?」 「もともと売り物にもならんものですから、それで結構です」 「では、商談成立ですね」 そう言って必要な契約や手続きを済ませ、作物を青年は農家の男性の家を後にした。 止めておいた車に乗り込み、ゆー害に遭った農家の場所とゆっくりが目撃された場所の記された地図を眺める。 「・・・・・・ここか」 地図上の情報から短時間でゆっくりが集団で生息しているであろう場所を割り出した青年は車を走らせた。 ゆっくりが人間の生活圏に降りてくる理由はいくつかある。 単純にゆっくりと人間の生活圏が近すぎるから。 人間の食べ物の味を覚えてしまったから。 ゆっくりの生活圏で食料不足が起きたから。 「今回は食料不足だな・・・」 それもゆっくりの集落で人口爆発が起きたことに端を発するタイプの、と心の中で付け加え青年はため息をついた。 彼がそう判断した理由は3つ。 まず、例年よりゆー害の発生件数が目に見えて増えている点。 害をもたらすのが味を覚えたゆっくりだけならばそこまで被害が急増するとは考えられない。 次にある農家が始末したゆっくりの皮の質が悪く、餡子が不必要に甘かった点。 ゆっくりは苦しむことで中身の甘みが増す性質を持つが、農家の男性は一撃で絶命させていたのでそこまで甘くなることはない。 最後に山中でのゆっくりやゆっくりの死体の目撃証言が非常に多い点。 こちらは農家のゆー害よりも更に激増しており、人間の通る道に足を踏み入れてでも食料を探さねばならない状況だと考えられる。 「車を止めるとしたら・・・ここら辺だな」 青年は適当な場所に車から降りると、ゆっくりの集落があるであろう方向をじっと凝視した。 道から見える木々の隙間を縫って、確かに多くのゆっくりが食べ物を探し回っている。 過去の調査でここに集落があったという報告はないが、新しい集落でもできたのだろう。 「ごはんさん、ゆっくりでてきてね!」 「むしさん、ゆっくりおへんじしてよー」 「おなかすいてゆっくりできないよ」 ゆっくりらしからぬ忙しなさで餌を探し求めるゆっくり達。 しかし、成果を上げる前に日が暮れてしまい、遊楽へ引き返さざるを得なくなってしまう。 重い足取りで家路を急ぐ彼女達を、男性は見失わないように、しかし見つからないように追いかけていった。 「やあ、ゆっくりしていってね!」 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 「ゆゆっ!にんげんさん、ありすのとかいはなむれになんのよう?」 群れの長と思しきひときわ大きなゆっくりありすのその一言で男性は全てを理解した。 一般にゆっくりありすはすっきりーを好むといわれており、彼女らが長になると集落のすっきり制限が緩くなり、時にはそれが推奨されてしまう。 また、愛するパートナーとのすっきりーを嫌うものなどいるはずもないので、子どもが際限なく増えてしまうのだ。 「そうか、君が長か。君に相談があるんだが良いかな?」 「ゆふん!とかいはなありすがおにーさんのおはなしをきいてあげるわ!」 「率直に言うよ。今度、人間の作物に手をつけたらこの群れ潰すから」 驚愕するゆっくり達はしばし呆然としていたが、やがて男性に向かって抗議し始めた。 どうしてそんなこと言うの、れいむ達何も悪いことしてないよ・・・などなど、ゆっくりから見れば至極真っ当な主張を繰り返す。 が、こちらは人間であり人間に害をなすものはたとえゆっくりであっても黙って放置するわけには行かないのだ。 「ゆっくりしないでかえってね!このいなかもの!」 「そうか、交渉決裂だな」 「「「ゆっくりでてってね!ぷくううううううう!」」」 男性に向かって威嚇するゆっくり達。 どうやらこの中には人間の恐ろしさを正確に把握しているものはいないようだ。 男性はもう何度目になるか分からないため息をつくと、目にも止まらぬ速さでありすを叩き潰した。 「「ゆっ・・・?」」 「お、おさ?」 「「「ゆ、っくりぃ・・・?」」」 ゆっくり達は何が起きたのかさえも理解できず、ただ間抜けな声を上げる。 10秒、20秒と時間が過ぎてゆくが群れで一番大きく、優秀なゆっくりのはずの彼女がたったの一撃で粉砕されたことが信じられないようだ。 1分たってなおも状況を飲み込めないゆっくり達を尻目に、男性は衣服の汚れを払った上で淡々と話し始める。 「俺は君達よりもずっと強い。だから潰されたくなかったら俺の言うことを聞いてくれ?」 「「ゆ、ゆっくりー・・・」」「ま、まりさはありすをゆっくりできな・・・」 「抵抗しても構わないが、他のゆっくりも酷い目に遭うだけだぞ?」 あくまで冷淡に、ただの事務的な事実確認をしているだけと言わんばかりの口調で抵抗の意思を削ぐ。 そうして、全員が恭順の意を示したところで、本題再び口を開いた。 「多分、君達は赤ちゃんが増えすぎてご飯が足りなくて困っているんだろう」 「ゆゆっ!どうしてわかったの!?」 「それは長のありすが“すっきりーはとてもとかいはでゆっくりできるのよ”とか言っていたのが原因だ」 またしても見事に彼が見たこともないはずの群れの内情を指摘され、ゆっくり達は驚く。 「このままだと、君達の赤ちゃんがずっとゆっくりしてしまうし、君達だって非常に危ない」 「ゆゆっ!れいむのおちびちゃん、ずっとゆっくりしちゃうの!?」 「だから明日の朝またここに来るから、その時に俺に子どもを預けてくれないか?」 彼の提案を聞いたゆっくり達は再び驚愕し、しばし悩んだ。 結局、人間の元で茎も含む赤ちゃんがゆっくり出来ることや、交換条件として野菜を提供することを約束するとその提案を快諾した。 勿論、交換した赤ゆっくりが無条件に保護を受けることなどあるはずもなく、良い飼い主に引き取ってもらえるものなどごくわずかに過ぎない。 最悪の場合は、ゆっくり食品の原材料やゆっくり関係の医薬品の実験動物として苦痛に満ちたゆん生を送ることになる。 しかし、ゆっくりんピースの職員達がその事実を漏らさない限り、親達は我が子の幸せを信じてゆっくり出来る。 季節は寒さが全ての生き物を等しく攻め立てる冬。 冬篭りの出来ない都市部のゆっくり達にとっては死の季節でもある。 勿論、飼いゆっくりにとっては何の関係もない話だが・・・。 この季節のゆっくりんピースの主な活動はゆっくりの死体の回収である。 が、それと並行して今年度の活動の総決算や来春に向けての様々な計画の立案が同時に行われていた。 「先輩、家庭に仕事を持ち込むと女の子に嫌われますよ?」 「いつの間にか我が家に上がりこんでる奴が何を言うか」 「ゆゆっ!おにーさん、おしごとしないでゆっくりしようね!」 「そうだよ!まりさたちといっしょにゆっくりしようね!」 「「ゆっくちー!」」 普段は白衣を着ている男性だったが、自宅でパソコンとにらめっこしている今はジャージ姿。 そんな彼の背中越しにメガネをかけた女性がパソコンの画面を覗き込む。 足元では成体のゆっくりれいむとゆっくりまりさ、そして彼女達の子どもと思しき2匹の子ゆっくりがせわしなく跳ね回っている。 「この資料なんですか?」 「えーっと・・・・・・」 女性にそう問われた男性はそれぞれの資料を弄りながら彼女に説明する。 これは回収した野良や野生のゆっくりの処分方法をまとめたリスト、これは保健所に提供したゆっくり安楽死用の薬品に関する資料。 これは有力な資金提供企業のゆっくりカンパニーから受け取ったゆっくり関係の医薬品に関するデータ・・・ 「・・・どうすればこんな発想が出てくるんでしょうかね?」 「ここから流される医薬品のデータはいつもこうなんだよ。人外じみた天才がいるとしか考えようが無い」 「これなんかノーベル賞ものですよ」 そのデータがなければあと30年は開発されないであろう医薬品の情報を眺めながら2人は唸る。 ちなみにゆっくりカンパニーというのはゆっくり関連のビジネスにおいて圧倒的なシェアを占める会社で、ゆっくりんピースにとっても重要な存在である。 ゆっくりの地位向上のために、あるいはゆっくりを売るために・・・目的は違えど同じくゆっくりのイメージアップを重要視する両者の利害は一致する。 それ故、ゆっくりんピースはゆっくりカンパニー内でのゆっくりの非道な扱いは摘発できずにいるのだが、大義のための小さな犠牲だとして目を瞑っているのが現状である。 「ま、凡人の俺達があれこれ考えても仕方ない。それより、こいつらを逃がちまった分の始末書かかないと」 「ゆぅ、しまつしょってなあに?ゆっくりできるの?」 「全然ゆっくりできねぇよ、チクショウ」 れいむの言葉に顔をしかめつつ、男性はだらだらとキーボードを打つ。 その傍らでは女性が床に腰を下ろしてゆっくり達と戯れる。 彼女達の手によって実験施設から解放された4匹は2人を信頼し、現在は男性の家でゆっくりした生活を満喫していた。 「おねーさん、れいむたちのおうたでゆっくりしてね!」 「ゆ~♪ゆ、ゆ~ゆ~♪」「ゆん、ゆんゆ~♪」 「「ゆっくり~ゆっくり~♪」」 もっとも、彼女達の解放が可能だったのは代替の利く実験が並行して行われていたことと、他の職員達の黙認によるものなのだが。 今も彼女達の知らないところでは別のゆっくりが、彼女達が受けるはずだった実験の犠牲になっているかもしれない。 ゆっくりんピースはこのような矛盾を個人単位でも、組織単位でも数多く抱えている。 「れいむ、まりさ。ゆっくりしてる?」 「「とってもゆっくりしてるよ!」」 「「ゆっくちー!」」 それでも何もしないよりはずっと良いだろう。 4匹のゆっくりした笑顔を眺めながら、彼女はそう思った。 ---あとがき--- たまにはあくまで人間本意のゆっくりんピースがあっても良いんじゃないかと思って書き殴った しかし、さすがにこれは法人としてのミッションと実態に乖離が酷すぎるかも知れん byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/kaifuusha/pages/6.html
御随身近友が自讃とて、七箇条書きとどめたる事あり。皆、馬芸、させることなき事どもなり。その例を思いて、自讃の事七つあり。…(略)…一、当代、いまだ坊におはしましし比(ころ)、万里小路殿御所なりしに、堀川大納言殿伺候し給ひし御曹司へ、用ありて参りたりしに、論語の四、五、六の巻をくりひろげ給ひいて、「ただ今御所にて、紫の朱奪ふことを悪むと言う文を御覧ぜられたき事ありて、御本を御覧ずれども、御覧じ出されぬなり。なほよく引き見よと仰せ事にて、求むるなり」と仰せらるるに、「九の巻のそこそこの程に侍る」と申したりしかば、「あなうれし」とて、もて参らせ給ひき。…(略) 口語訳 鳥羽天皇時代の随身で中原兼武の子の近友(馬の名手)の自讃といって七か条書きとめてあることがある。それらはみな、馬術に関することで、たいしたことでもない諸事である。私もその先例を思って、私の自讃のことを七つ書きとめておいた。 …(略)… 一、後醍後天皇が、まだ皇太子でいらっしゃったころ、万里小路殿(冷泉万里小路)の邸が東宮御所になっていたときに、堀川大納言殿(源具親か?)が、お役で出仕なさっていられたその御所の御控えの間へ、用事があって参上しましたときに、「論語の四、五、六巻をおくりひろげになって、「ただ今、東宮におかせられては、紫の朱を奪うことを悪むという本文をご覧になりたいことがあって、ご本をご覧になるのだけれども、お見出しになれないのである。もっとよく捜しだしてみよとのお言葉で、捜しているのだ」と仰せられたので、「第九巻のどこそこのあたりにございます」と申しましたところ、「ああ、うれしい」と言って、それを持って、東宮におさしあげになった。 この二百三十八段は徒然草の構成で言えば終章の方の部分に当たるので、いきなり始めの方に持ってくるのはいささか奇異に感じるかも知れぬが、話の内容からすればさほど異質とは考えられぬのと、この二番目の自讃のエピソードが特に太平記に関連があると考えて敢えて取り上げることにした。元来、あまり自慢話なぞせぬ兼好が珍しく己にまつわる話を七話もしたのである。上に掲げた話は、後醍後天皇が東宮時代のエピソードである。話は、論語のどこそこにある一節「紫の朱を奪うことを悪む」という一文をご覧になりたいのだが、命じられたお仕えの者が巻の四、五、六巻あたりをひろげて捜しあぐねて、重ねての東宮の要望に立ち往生しているところに、たまたま遭遇した兼好がたちどころに「第九巻にございます」と教えて上げて、大層喜ばれたという内容である。これだけの歴史的なエピソードではあるが、実に示唆に富んだ多くの内容が蔵されている様に思われる。 一、先ず、後醍醐天皇に関してである。天皇は父後宇多院の第二子尊治親王として生まれたが、三才年上の長子邦治親王(後の後二条天皇)の陰に隠れて幼小年期は全く注目されることはなかった。邦治は二才で親王宣下されたが、尊治は十五才で親王宣下である。格段の差である。邦治親王は十三才で皇太子になり、十七才で早くも践祚される。(1301年)しかし、後二条天皇は二十四才(1308年)であっけなく早世してしまう。皮肉なことに、これによって尊治親王の天皇としての道が開けてくるのである。大覚寺統と持明院統との皇統争いが鮮明化している最中、その年に父後宇多上皇の工作により大覚寺統の期待として二十一才で立太子するのである。時の天皇は持明院統の花園天皇である。後醍醐天皇は異例の遅さで立太子するが、逆に分別のある青年皇太子として立場を自覚し非常に意欲的になったのではなかったか。それまで皇子としての帝王学の教育は専ら長子の邦治親王のみに注がれ、次子の尊冶はついでで三才年下というハンデもあり、教育する方もされる方もあまり熱が入らなかったのではないかと思われる。当然、論語、史記、白氏文集、文選、老子、荘子等々の書(ふみ)の講読も帝王学の必須科目として学習した機会に与ったであろうが、必然を感じない尊治には退屈な時間だったろう。しかし、論語のかの一節は何故か耳に引っかかっていたものと見える。思っても見なかった東宮になって、そのことを思い出し、お仕えの者に命じて一度ならず二度にわたって熱心に捜させた。そうして偶然その場に遭遇して助けたのが兼好だと言うのである。東宮の意欲に火がついたのが見てとれる。 というのがある。意味するところは、天下の理に正と邪悪とがあるが、邪悪はつねに正に勝ちやすい。色でいえば朱は国の正色で紫は間色であるのに、紫の方が濃艶なので人々はこれを喜び、朱が却って紫のためにその地位を奪われてしまった。ゆえに紫が朱を奪うのを悪むのである。楽でいえば、雅楽は正しく鄭声は淫靡で邪であるのに、鄭声の方が聴いて面白いので人々はこれを喜び、雅楽が却って鄭声のために乱されてしまった。ゆえに、鄭声が雅楽を乱すのを悪むのである。理の是非、人の賢愚には本より定論がある。しかるに口先の上手な人が巧みに弁ずると是非・賢愚を転倒して人を惑わして、君主これを信ずれば遂に邦家を覆すに至るのである。ゆえに口先が上手で人の邦家を転覆する者を悪む。といった内容であるが、特に「紫の朱奪ふことを悪む」が、「間色の紫(幕府)が中国古代の周時代には尊重されていた正色の赤(朝廷)を圧倒するのが憎い」と、今の朝廷と幕府の関係に対比されて、東宮尊冶親王の心にストーンと落ちてきたのではあるまいか。俄かに責任ある立場に就いたばかりに気負いの一端が窺われる。以後の波乱に満ちた倒幕運動、隠岐への遷幸、建武の新政、南朝の樹立などの生涯を考えると感慨深いものがある。 一、「陽貨 第十七」は、冒頭の「陽貨孔子を見んと欲す」の一文からタイトルをとっている。主に人生論を論ずることが多い論語の中では、陽貨篇では珍しく政治的な色合いの強い内容を扱っているのが特徴である。陽貨は陽虎ともいい魯の国の反乱の立役者の一人である。魯は周王室に繋がる君主がいていわば名門で、また世襲の大夫が国政を補佐して身分制が固定化していた。孔子の頃は国が出来て五百年も経て、君主は大夫の傀儡と化し、大夫も家臣に牛耳られ下克上の様相を呈していた。三桓と呼ばれる大夫の一人季孫氏の家臣に陽虎がおり、主人の季氏を拘束して季家の実権を握り、ついで魯の国政をも専断するようになる。反乱者の陽虎は有能な人材を欲しており、孔子の評判と実力に目をつけて、何とか我が陣営に入れようと接近をはかり策を弄する。論語によれば、陽貨が家に招いて面会しようとしたが、孔子は見(まみ)えなかった。陽貨は一計を案じて、孔子の留守に豚(当時束脩料が干肉一束、一頭分か)を贈った。当時の風習として目上の者から贈りものをされたら、お礼のために家に参上しなければならなかった。会いたくない孔子は陽貨の留守を見計らって出掛けるが、途中道で待ち受けていた陽貨と出会う。陽貨の方が一枚上手だったといえる。ここで陽貨と孔子が問答をする。陽貨は孔子に向って「こちらに来なさい。わたしは貴方と話そうと思う」といって、曰(い)うには 陽貨「道徳という世を治める宝を懐いていて国家の混乱を救わないのは仁といわれますか」 孔子「いいえ、仁とはいわれません」 陽貨「世を救うことを願っていながら、たびたびその機会を逸するのは知といわれますか」 孔子「いいえ、知とはいわれません」 陽貨「月日は過ぎていきます。歳月は人を待ってくれません。いつ仕える積もりですか」 孔子「承知しました。お仕えいたしましょう」 と返事をする。弟子達は驚いて従来の言動に矛盾する孔子に反対をするが、政治を実践する場が得られると孔子は本気だったようだ。しかし、陽貨は三桓勢力の反撃にあって間もなく失脚してしまう。この時の孔子の登用はなかった。 陽貨の失脚後、今度は同じ仲間の公山弗擾(こうざんふつじょう)が費という町で反乱を起し、陽貨と同様孔子を我が陣営にと招請してくる。この時も孔子は周囲の反対にも拘らずはっきりと参加の意志を表示する。理由は、「如し(もし)我を用うる者有らば、吾は其れ東周を為さんか」と述べる。意味は、私を登用して政治に参画させてくれるならば、私はこの中国の東の地にかつての輝かしい周王朝を再興してみせよう。という極めて高い次元での動機のためである。結局これも弟子の子路が強く反対して実現するには至らなかった。 陽貨といい、公山弗擾といい彼等を反乱者と見なせば、彼等の招聘に応えようとした孔子は、日頃の思想信条からは矛盾したものになり、長いこと政治的に漂白して世に受け入れられない孔子の焦りから来た迷いであるというのが大方の見方である。が、陽貨も志のあるひとかどの人物であると見ればどうなるか。むしろ固定化した体制にあぐらかいていた大夫達の方が国を乱す元凶であり、君主をないがしろにして国外に追放するなどして、反逆者のレッテルを貼るに値する十分な資格を有していたのではないか。反乱にも理があり、孔子が陽貨の招請を受けて動こうとしたのはあながち矛盾した行動ではなく筋の通ったことだったかも知れない。名門魯国ばかりではなく、大国晋の大夫趙簡子の領地である中牟(ちゅうぼう)の代官仏肸(ひつきつ)は主人が晋より叛いたのに因って、彼も中牟で叛いた。その時も仏肸は亡命中の孔子を召(よ)んだ。それに応えて孔子は往こうとしたが、やはり子路の反対にあって実現しなかった。春秋末期は、社会秩序が急速に崩壊した時期で、氏族制の紐帯の弛緩が著しく力あるものが台頭する土壌が醸し出されていた。盗と呼ばれる政治的テロリストが国を超えて自由に出入りし、中国全体がフライパンに熱せられた豆のように弾けて沸き立っていた時代である。陽貨も盗を使って政敵を暗殺してのし上がった凄腕である。孔子と弟子達は反体制派から一目置かれて引っ張りだこであったが、彼等の誘いを断ることは相当の政治的緊迫を強いられることを覚悟しなければならない。高遠な理想を説く政治より、今日の現実的な政治のほうが切実に必要とされて、古き体制も根強く温存されている現状では孔子の出番はまだ道遠しであった。孔子が亡命を余儀なくされるのも誘いを断って孤立していたのと無縁ではなかった。孔子が蘇えるのは、戦国時代を経て、秦の全国統一から、漢王朝の樹立を経てからである。 「紫の朱を奪うを悪む」 と言ったのは、事の本質を見極めて見失うなということであろう。安易な言葉ではない。 一、後醍醐天皇が夢にも思わなかった東宮になって、果たして鎌倉末期の政治状況や社会状況を見て見誤ることなく事態の本質を見極めて行動したであろうか。論語のほんの一節に触れただけで共鳴しボルテージが跳ね上がったのではあるまいか。後醍醐天皇の倒幕のスローガンの原点は、論語のこの一節にあったと考えてもよいのではなかろうか。朝廷と幕府の関係を考えれば、兼好が目撃した光景は何とのんびりとした無防備な振る舞いではなかったか。周囲にはいろいろな人間が出入りしたであろう。堀川大納言の大仰な本を捜しあぐねている時の振る舞い、また兼好に教わって捜し出した時の無邪気な喜びよう。東宮の真意を知れば喜んでばかりはいられなかったのでは。東宮には既にこの時点で倒幕の芽が萌芽していたと見てはどうだろうか。また、東宮は側近を交えて勉強会を開いていたとも考えられる。腹をわって安心して相談出来る腹心を探していたのはないか。論語をお一人で読んでも様にならないし、師を招いて内輪で勉強会を開いていたのかも知れない。後年の陰謀の温床となった勉強会の原型が出来つつあったか。それにしても公共の場ともいえる所で、持明院統側の眼も有り、六波羅の存在も有り、お側にお仕えしている者達は呑気で無警戒で、東宮の深奥にひそむ意図には全く気がつかなかったのか。慎重さのかけらもなく興味のあるところである。 因みに太平記に記されている勉強会とは、無礼講と言われているもので、正中の変(1321)の起因となる曰くつきの事件である。この話は太平記の虚構であるという説もあったが、花園院の日記にも書かれてあったことから信憑性は確認された。「21才で異例の立太子をし、念願の天皇の位に就いたのは十年後の31才(1318年)である。正に気力充実していた壮年である。しかし即位した頃は、父後宇多上皇が院政を敷いていた手前さほど反幕府的な行動は取らなかったが、上皇が健康を害して院政を停止して親政(1321年)に移ってからは、次第に反幕府的な色合いを密かに強めて行く。天皇は側近の日野資朝や日野俊基らと諮り、倒幕の狼煙を上げるならば何としてでも頼りになる武士を引き入れることが必要と考え、強力な同士を募る目的で無礼講なる勉強会が企画された。それに因れば、美濃国の住人土岐伯耆十郎頼貞、多治見四郎次郎国長という武勇の誉れの高い武士がおり、日野資朝は縁故を頼りに彼等に近づき、密かに同士に引き入れるように画策した。しかし倒幕という大事を簡単に打ち明けるわけにもゆかないので、相手の心を見定めるために現代にいう乱交パーティに近い無礼講なるものを開いた。本能をゆさぶりにかけて相手の本心を見極めてしっかりと取り込む作戦である。ある日集まった主な面々は、大納言藤原師賢、中納言四条隆資、洞院実世、日野俊基、伊達游雅、法眼玄基、足助次郎重成、そこへ例の多治見四郎次郎国長も加わった。公家、僧侶、武士の面々である。集まりの中身は実に驚くもので盃をさす順序は身分の上下を問わず、男は烏帽子を脱ぎ、髻を解いてざんばら髪になり、僧侶は衣を着けずに白衣になった。要するに寝室スタイルで宴会をしたということである。更に、みめ麗しく肌の清らかな十七、八の美女二十余人も加わった。彼女達には、みな薄く透けるすずしという単衣だけを着せて酌をさせたから白い肌は単衣から透けて見えて、かの白楽天が楊貴妃をうたった長恨歌の、太液の池の芙蓉の花が、今水の中から咲きそめたというのも、かくやと思われる美しさであった。宴席には山海の珍味が並べられ、美酒は湧き出る泉のごとく尽きず、歌や舞の乱痴気騒ぎのパーティであった。このようなパーティが続けられ、この間に専ら倒幕の計画が練られていたというのである。しかし、何の目的もなしに会合をしていれば人に怪しまれるだろうということになり、文学談義の会という勉強会にしようかと、当時才学無双といわれた、後醍醐天皇の宋学の侍講である玄恵法印という儒者を招いて「昌黎文集」の講義を行なわせた。法印は謀反の企てのだしに使われているとは夢にも知らず会合の日ごとに出掛けては、その深遠なる道理を講義した。しかし、もともと偽装の上の勉強会であるが故に、テキストの文中の一句に「昌黎が皇帝の怒りにふれて潮州に流された」という長編の部分にさしかかったところ、講義を聴いていた人々が、 「これは不吉な書だ。今は呉子、孫子、六韜三略というような戦術の書こそ読むべきなのに」 と言って、講義をやめてしまった。結局、気持が勉強会に馴染まないのである。日野資朝や日野俊基等が苦心して同士を糾合する工作を続けていても、密計はまもなく幕府の知られるところとなる。仲間の一員に加わっていた土岐頼員(頼春?)が裏切ったのである。彼の妻が事の重大さに悩む夫の異常に気づいて問い質したところ、問われるままに六波羅襲撃の計画を打ち明ける。驚いた妻は夫や身内を助けたい一心で、六波羅の役人でもある父・斉藤利行に計画を密告してしまう。計画の内容は、九月下旬の北野天神の祭りで喧嘩騒動をひき起こして六波羅の役人等をそこに惹きつけ、役所の備えが手薄になったところを襲って占拠し、南都北嶺の僧兵や近国の体制に不満な武士を糾合するという反乱側に極めて都合の良い計画であった。六波羅は鎌倉に急使を送る一方、九月十九日の早朝京内外の武士を集めて、陰謀に加担した土岐頼貞、多治見国長を急襲して自害させ、反乱の首謀者と目されている日野資朝、日野俊基を捉えた。彼等は隠密に行動していた積もりでも、当局からは危険分子としてマークされていたのである。やがて二人は尋問のため鎌倉に移送される。天皇も心痛穏やかならず、重臣の万里小路宣房がよりより相談してみずから告文(誓紙)を携えて勅使として関東におもむき、巧く釈明をして天皇の身の安泰を取り付ける。俊基は赦されて京に戻るが、資朝は有罪と裁かれて佐渡に流される。不燃焼に終わった正中の変は一応のピリウドを打つが、以後朝廷における幕府の僭上を批判する大義名分論の宋学(朱子学)の活況は尻すぼみになってしまう。 一、さて兼好のことであるが、この二百三十八段を書いた頃は徒然草も後半部分で時代は彼の想像以上に大きく変っていたに違いない。文中にある「当代、いまだ坊におはしましし比、……」とは、後二条天皇が急逝されて花園天皇が即位され、尊治親王が皇太子になられてそう日が経ってないころのことではないか。兼好は十九才で後二条天皇の蔵人として仕え、手足となって張り切っていて、鎌倉にも下向(一説)し、さあこれから本格的に奉公するという矢先に頼みの盾を失ってしまった。二十六才の時である。まだ、出家もしていなかっただろう。一生懸命勉強もしていただろうし、歌の精進もしたであろう。すべて宮廷で役立てて出世の手段としたであろう。論語の内容にも精通していたであろう。先のエピソードのようなことは朝飯前のことだった。本来ならば後二条天皇の朝廷で役立てる筈のものが、不本意な形で役立ってしまったのである。それと後醍醐天皇の企みの伏線になることとは見抜けなかったし、自讃することではなかった。世は持明院統の花園天皇に変って朝廷内部の勢力もあっという間に交替した。彼は朝廷に頼らず己の才覚で自立していかねばならなかった。学識をみがき、歌にも精進し、仏門の道にも入り、三十才前後には出家をもした。歌では二条派の四天王の一人と謳われる程に貴族社会に認められるようになった。 後醍醐天皇が1318年に予定通りに即位して、後二条天皇の遺子、邦良親王が皇太子にあてられた。しかも、後醍醐天皇は一代の天皇として、十年後には皇太子に譲位しなければならなかった。後宇多上皇の意向である。当然、邦良親王は天皇になる気でいるし、兼好もその気ではなかったか。邦良親王のサロンに出入りし、歌も献上している。下はその一例。 正中二年、春宮より歌合の歌めされ侍りしに、山路(ノ)花、稀(ニ)逢(フ)恋けふも又ゆくての花にやすらひぬ山わけごろも袖ににほふまで 訳 日々桜の咲く山路を分けながら旅をつづけてきて、今日もまた行く手に花を見ながら休んだことだ。旅の衣の袖に花の香が移ってにおうまでに。(邦良親王の約束されている王位の道をしっかりと見据えて…) 邦良親王の将来を祝福したかのような歌である。前年には正中の変の挫折で、後醍醐天皇の将来はないと見たか。しかし、皮肉なことに邦良親王は翌年の三月には薨じてしまうのである。兼好にとっても再度の挫折である。後醍醐天皇の倒幕運動はますます燃えさかり、世の中を未曾有の乱世へと導いて行く。貴族階級の没落、武士階級の完全なる権力掌握、兼好の若いときとは世の中の風景が全く異なっていたのではないか。自讃のことを書いた頃は、彼の活躍する場は乏しく、あっても高師直に有職故実を教えるとか、とても誇りの持てるものではなかった。真偽の程は兎も角、高師直の恋文の代筆事件というのもある。それに類似した代筆の内職はやっていたと考えてもあながち的外れにはならないのではないか。晩期は正に貴族の世界が崩壊し失意のどん底にあり、若き日の一瞬の恵まれた時期を思い出して、せめての矜持を保つために述懐したものと思われる。このエピソードは、「わが世既に蹉跎たり」と人生を厳しく嘆じた生涯の序章に過ぎなかった。 如何であろうか。 三章の参考文献、徒然草、太平記、太平記の群像、後醍醐天皇は二章と同じ 新たな参考文献 論語新釈 宇野哲人 講談社学術文庫 講談社刊 孔子伝 白川静著 中央公論新社刊 新日本古典文学大系 中世和歌集 室町篇 岩波書店刊 「和歌こそ、猶をかしきものなれ…(十四段)」に続く 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/star_grail/pages/120.html
ここに、『秘密結社』という言葉がある。 この言葉を聞く時、多くの人間は何か不穏なものを感じるだろう。 後ろ暗い空気。人目を憚る者の気配。良からぬ思想。 程度の差こそあれ、この言葉に対して正のイメージを抱く者は殆どいないだろうと言っていい。 魔術結社、犯罪組織、邪教、あるいは世界を背後から牛耳るもの。 それらは得体の知れなさゆえに、「秘密」に触れ得ざる者たちの恐れを掻き立てるのだ。 では、この言葉に『悪』という枕詞を加えてみよう。 悪の秘密結社。 不穏さを確かに持っていたはずの言葉は、途端に陳腐な、ひどく子供じみた響きに変わる。 例えるなら、コミックやテレビ番組でヒーローに打ち倒されるのが約束されているような。 より正確に言うならば、その勧善懲悪劇を自分は安全な場所から見ていられるような。 そんな「浮世離れ」の感覚を、多くの人間は感じるに違いない。 そういう意味では――この『世界征服を企む悪の秘密結社の研究所』然とした一室は、確かに陳腐の極みだった。 ざっと見渡すだけでは何に使うのかも理解不能な、雑多なメーターやボタンに覆われた機器の数々。 それぞれの機械は煤けたパイプやチューブで互いに繋がり合い、時折真っ白い蒸気を噴出させている。 照明は薄暗く、機械から張り出したモニターの電光が周囲を照らしている様は、ひどくチープだ。 極めつけは、部屋の中央にふたつ備え付けられた、巨大な半透明のカプセルだった。 定期的に気泡を吐き出す蛍光色の液体で満たされた、カプセルの中に浮かぶもの。 言うまでもなく、それは一糸纏わぬ裸体であった。 なんたる陳腐、なんたる創造力の欠如か。 しかし。 「――マスター、お目覚めを」 女の声。 カプセルの外から呼びかける声に反応して、液体中に浮かぶ「男」が両目を開いた。 筋骨隆々。目にする者に無条件の威圧を与える肉体である。 内部の液体が排出され、やがてカプセルの前面が開くと、男は重い足取りで歩み出た。 数歩歩き、それから立ち止まって自分の手のひらを眺め、数度握って開いてを繰り返す。 それから、男は不敵極まる笑みを浮かべ、口を開いた。 「新たなボディ、よく馴染む。急ごしらえではあるが気に入ったわ。でかしたぞ、アヴェンジャー」 「恐悦至極にございます、我がマスター」 応える声は先ほどの女のもの。 男の方へと一歩歩み出したその姿をモニターの明かりが照らし、その全身が露わになる。 褐色の肌。背はすらりと高い。引き締まった脚と豊満な胸が目を引く。 レオタードめいたボディースーツを身に纏い、その上から船乗りが着るような上着をマントのように羽織っている。 そしてその頭には、何処の国のものとも違う船長帽を乗せていた。 彼女こそが「復讐者/アヴェンジャー」の英霊であり、カプセルの男はそのマスターである。 「私とマスターに与えられた聖杯戦争の知識から、魔術回路を有する肉体を生成する試み。成功ですね」 「うむ。己に魔術師としての能力がなければ、肉体ごと作り替えればいいだけのことよ」 「この部屋も私の『体内』なれば、この程度の開発設備は容易く作成が可能でございます」 「流石は人類史に名高き『潜水艦の祖』……ますます聖杯のシステムに興味が沸いたわ」 会話しながら、男は真っ赤な軍服を身に纏う。 その上からマントを装着し、最後に同じく真紅の軍帽を頭に被った。 その中央には、彼を象徴する意匠の徽章が装着されていた。 すなわち、翼のある髑髏の徽章が。 「では征くか、アヴェンジャー! 手はずは整っているな!」 「無論でございます。既に皆、波止場に集まっている頃かと」 「フハハハハハ! ならば我らの船出、盛大に飾ろうではないか!」 邪悪な哄笑。 それを聞いても眉ひとつ動かさず、アヴェンジャーはただ、手をゆっくりと掲げた。 それと同時に、地中から『艦』が浮上する。 ここに、『秘密結社』という言葉がある。 この言葉を聞く時、多くの人間は何か不穏なものを感じるだろう。 後ろ暗い空気。人目を憚る者の気配。良からぬ思想。 程度の差こそあれ、この言葉に対して正のイメージを抱く者は殆どいないだろうと言っていい。 魔術結社、犯罪組織、邪教、あるいは世界を背後から牛耳るもの。 それらは得体の知れなさゆえに、「秘密」に触れ得ざる者たちの恐れを掻き立てるのだ。 では、この言葉に『悪』という枕詞を加えてみよう。 悪の秘密結社。 不穏さを確かに持っていたはずの言葉は、途端に陳腐な、ひどく子供じみた響きに変わる。 例えるなら、コミックやテレビ番組でヒーローに打ち倒されるのが約束されているような。 より正確に言うならば、その勧善懲悪劇を自分は安全な場所から見ていられるような。 そんな「浮世離れ」の感覚を、多くの人間は感じるに違いない。 そういう意味では――この『世界征服を企む悪の秘密結社の研究所』然とした一室は、確かに陳腐の極みだった。 ざっと見渡すだけでは何に使うのかも理解不能な、雑多なメーターやボタンに覆われた機器の数々。 それぞれの機械は煤けたパイプやチューブで互いに繋がり合い、時折真っ白い蒸気を噴出させている。 照明は薄暗く、機械から張り出したモニターの電光が周囲を照らしている様は、ひどくチープだ。 極めつけは、部屋の中央にふたつ備え付けられた、巨大な半透明のカプセルだった。 定期的に気泡を吐き出す蛍光色の液体で満たされた、カプセルの中に浮かぶもの。 言うまでもなく、それは一糸纏わぬ裸体であった。 なんたる陳腐、なんたる創造力の欠如か。 しかし。 「――マスター、お目覚めを」 女の声。 カプセルの外から呼びかける声に反応して、液体中に浮かぶ「男」が両目を開いた。 筋骨隆々。目にする者に無条件の威圧を与える肉体である。 内部の液体が排出され、やがてカプセルの前面が開くと、男は重い足取りで歩み出た。 数歩歩き、それから立ち止まって自分の手のひらを眺め、数度握って開いてを繰り返す。 それから、男は不敵極まる笑みを浮かべ、口を開いた。 「新たなボディ、よく馴染む。急ごしらえではあるが気に入ったわ。でかしたぞ、アヴェンジャー」 「恐悦至極にございます、我がマスター」 応える声は先ほどの女のもの。 男の方へと一歩歩み出したその姿をモニターの明かりが照らし、その全身が露わになる。 褐色の肌。背はすらりと高い。引き締まった脚と豊満な胸が目を引く。 レオタードめいたボディースーツを身に纏い、その上から船乗りが着るような上着をマントのように羽織っている。 そしてその頭には、何処の国のものとも違う船長帽を乗せていた。 彼女こそが「復讐者/アヴェンジャー」の英霊であり、カプセルの男はそのマスターである。 「私とマスターに与えられた聖杯戦争の知識から、魔術回路を有する肉体を生成する試み。成功ですね」 「うむ。己に魔術師としての能力がなければ、肉体ごと作り替えればいいだけのことよ」 「この部屋も私の『体内』なれば、この程度の開発設備は容易く作成が可能でございます」 「流石は人類史に名高き『潜水艦の祖』……ますます英霊召喚に興味が沸いたわ」 会話しながら、男は真っ赤な軍服を身に纏う。 その上からマントを装着し、最後に同じく真紅の軍帽を頭に被った。 その中央には、彼を象徴する意匠の徽章が装着されていた。 すなわち、翼のある髑髏の徽章が。 「では征くか、アヴェンジャー! 手はずは整っているな!」 「無論でございます。既に皆、波止場に集まっている頃かと」 「フハハハハハ! ならば我らの船出、盛大に飾ろうではないか!」 邪悪な哄笑。 それを聞いても眉ひとつ動かさず、アヴェンジャーはただ、手をゆっくりと掲げた。 それと同時に、地中から『艦』が浮上する。 ▼ ▼ ▼ 冬木市の波止場に集まったのは、年齢も性別も様々な人々であった。 役人がいる。チンピラがいる。学生がいる。主婦がいる。老人がいる。 彼らに共通するのは、たったふたつ。 ひとつは、翼の生えた髑髏のバッジを体の何処かにつけているということ。 そしてもうひとつは、彼らが心の奥底に「悪性」を抱えているということだった。 この社会を転覆させてやりたいと思う悪意、その僅かな萌芽。 そして彼らは、指導者の到来を目にした。 地中から、波しぶきを上げて浮上する、巨大な船。 およそ全人類が知る潜水艦の中で最も名高き、潜水艦の中の潜水艦。 女の――アヴェンジャーの声が、響く。 「我が旗のもとに集いし同志たちよ! 今こそ我が艦の全貌を見せよう! これこそが我が夢! 我が牙! 我が揺り籠にして我が棺! 我が生涯の具現、怨念の化身、復讐の権化! アヴェンジャーの器たる怪物にして、海底二万里の旅路を征くものなり!」 この艦こそがアヴェンジャーの宝具。 それを惜しげもなく開帳する、その有様はあまりにも聖杯戦争のセオリーから外れている。 しかし、あまりに有名過ぎるこの艦の真名を秘匿することなど、どのみち不可能なのだ。 そして、この艦こそがアヴェンジャーの誇りであるからには。 彼女は、高らかにその名を叫ぶのである。 「そう! これこそが! 超級万能潜水艦『ノーチラス』である!」 アヴェンジャーが――いや、もはや真名を伏せるまでもない。 彼女こそが、キャプテン・ネモという英霊の殻を被って現界したサーヴァントである。 そしてノーチラスの甲板に立つ男。 その朗々と響く声が、興奮に打ち震える人々の耳朶を打つ。 「この威容こそが、貴様らの野望を支える『力』である!」 さながら独裁者のごとく弁を振るう男の体が、ふわりと宙に浮いた。 その全身を支えるのは、体に纏った青白い炎のようなオーラ。 人の悪意の具現――サイコパワー、その力。 それを自由に振るえる人間などただ一人。 すなわち、この男こそが。 「我が名は『ベガ』! 秘密結社シャドルーの総帥として、この場に集いし新たなる構成員たちに告げる!」 ベガの言葉に、甲板を見上げる波止場の老若男女――いや、シャドルー構成員たちが歓声を上げる。 それは、己の悪性を肯定する存在を、まるで待ち望んでいるかのようだった。 そして、それを知っているからこそ、ベガは彼らに大義名分を与えるのだ。 「この街に潜む魔術師どもを狩り立てよ! この街の仮初の平和の裏に潜む欺瞞を、暴き立てるのだ!」 ひときわ大きな歓声が上がった。 それはもはや、鬨の声のようだった。 これまでの人生で抑え込んできた悪性の、矛先を向けていい人間がいる。 その事実は彼らにとって喜びだった。 アヴェンジャーの宝具により、そういう人間だけがこの場に集っているのだった。 熱狂の中で、ベガは傍らのアヴァンジャーへと冷酷な笑みを向けた。 「昂ぶるか、アヴェンジャー」 「――ご冗談を。この女が、昂ぶっているようにお見えですか」 「ならば自覚するのだな、己の心に潜む歓びを」 アヴェンジャーはその無表情を崩さず、豊満な胸を支えるように腕を組んだ。 「私は復讐者。復讐こそが我が歓び。そしてその矛先は、この腐り切った西洋文明なれば」 「それを破壊する時が待ち遠しいと。果たして『キャプテン・ネモ』はそう答えるかな?」 「分かりません。私は父様の船。英霊『ノーチラス』は、『キャプテン・ネモ』の復讐を受け継ぐ器に過ぎませんので」 「ならばその舵は私が取るまで。このベガが、貴様に世界征服を見せてやる」 シャドルーの旗のもとに蹂躙される世界。 それを想像し、思わず頬が上気するのを自覚して、アヴェンジャーは初めて恥じらいの表情を浮かべた。 【クラス】アヴェンジャー 【真名】キャプテン・ネモ 【出典】『海底二万里』 【マスター】ベガ 【性別】女性 【身長・体重】167cm・54kg 【属性】混沌・悪 【ステータス】筋力C 耐久A 敏捷B 魔力E 幸運D 宝具C 【クラス別スキル】 復讐者:A 復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。 周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちにアヴェンジャーの活動魔力へと変換される。 忘却補正:B 人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。 忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃はクリティカル効果を強化させる。 自己回復(魔力):C+ 復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。毎ターン微量ながら魔力を回復し続ける。 更に宝具の特性により、アヴェンジャーは周囲の魔力を吸収して回復量に上乗せすることが可能。 【保有スキル】 航海:A++ 船の操舵技術。海のみに特化しているため、馬や戦車は乗りこなせない。 アヴェンジャー自身が船であるため、スキル適性は最高ランク。 自己改造:EX 自身の肉体に別の肉体を付属・融合させる。このスキルのランクが高くなればなるほど、正純の英雄からは遠ざかる。 アヴェンジャーは自身の本体である宝具に、魔力で生成した武装を搭載して際限なく強化することが可能。 善悪の舵:A 船はあくまで乗り物に過ぎず、乗り手によってその本質は変化する。 このサーヴァントの属性「善/中庸/悪」は、契約するマスターのものと同じになる(性格も若干変化する)。 加えて属性に合致する行動を取る限り、サーヴァント及び宝具の現界に伴う消費魔力が軽減される。 【宝具】 『二千海里の怪物(ノーチラス)』 ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:1 #65374;70 最大補足:100人 ジュール・ヴェルヌの「海底二万里」であまりにも有名となった潜水艦の祖、ノーチラス号。 潜水艦の開発が黎明期を脱しない十九世紀末において、既に現代の原子力潜水艦に匹敵する性能を持っていたとされる。 このたび英霊の殻を被ってアヴェンジャーとして召喚されたのはノーチラス号自身であり、いわば宝具こそがサーヴァント本体。 魔力で形成された宝具と化したことにより、地中を海中同様に航行することが可能となった。 更に海中で回収した素材のみで自給自足を行うシステムが、水中および地中の魔力を自身のものに変換する機能へと昇華されている。 本来の武装は小説で一角鯨に擬えられた艦首の衝角のみだが、アヴェンジャーは現界後に自己改造スキルで多数の武装を追加。 新たに装備された武装は魚雷・垂直ミサイル・艦砲・魔力ソナー・対魔術デコイなど多岐に渡り、もはや海底戦艦とでも言うべき重武装となっている。 もっとも最大船速をもって全質量を一点に叩き込む衝角攻撃が、最強にして最後の切り札なのは依然変わりない。 『在らざる者の旗(フラッグ・オブ・ネモ)』 ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:1 #65374;100 最大補足:130人 黒地に金文字でキャプテン・ネモの頭文字「N」を刻んだ、ノーチラス号の旗印。 ネモという名が「誰でもない者」を指すのと同様この旗もいかなる国家にも所属しないことを示し、同時に同志達の拠りどころである。 この宝具は、影響範囲内にいる「キャプテン・ネモと同じ善悪属性を持つ者(現在は「悪」)」に対して、擬似的なカリスマを発揮する。 カリスマの効果は相性が良ければ心酔の域に至るほど強力で、また及ぶ範囲や条件についてはある程度任意で調整することが出来る。 洗脳を行う能力ではないので意に沿わぬ者を従えることは出来ないが、思想が合致する者は喜んで傘下に加わるだろう。 本来はノーチラス号のクルーとなりうる者を選別するための宝具だが、マスターであるベガが効果を悪用。 ここ冬木においては事実上シャドルーの旗印と化し、人々が内に秘めた悪性を引きずり出して配下に加えている。 【weapon】 「無銘:ライフル」「無銘:サーベル」 宝具に搭乗していない場合の携行武器。 これらが決して貧弱というわけではないが、やはりこのサーヴァントの真価は宝具搭乗時にこそ発揮される。 【解説】 キャプテン・ネモ。 ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万里』および『神秘の島』の登場人物、あるいはそのモデルとなった人物。 十九世紀末に自ら建造した潜水艦ノーチラス号で海底に潜伏し、多数の艦船を撃沈した男。 「誰でもない者」を意味する「ネモ」を名乗っているが、元々はインドの王族であったとされる。 しかし彼の愛する祖国は、大英帝国の侵略政策によって蹂躙され続けていた。 1857年、インド人達の怒りは頂点に達し、第一次インド独立戦争(いわゆる「セポイの乱」)が起こる。 しかしその結果は敗北。インドはイギリスの直接的な植民地と化し、彼の妻子は戦乱の中で死亡した。 愛する国、家族、誇り。その全てを失った男は「ネモ」を名乗り、人知れず復讐の航海を始めたのである。 なお、その復讐譚の結末は明らかにされていない。 ヴェルヌは『神秘の島』にてネモの最期を描いているが、この小説には『海底二万里』との矛盾点が存在する。 これは『海底二万里』が実際にネモと対面したアロナックス博士の手記を元にしているのに対し、『神秘の島』はヴェルヌの創作だからであろう。 では、彼は復讐を成し遂げたのか……という点であるが、残念ながら、それを肯定するのは困難である。 少なくとも彼の祖国が大英帝国の支配から脱したのは、第二次世界大戦の終結を待たねばならなかったのだから。 ……ここまでが、「本来の」キャプテン・ネモの来歴である。 今回の聖杯戦争でキャプテン・ネモの殻を被って召喚されたのは、英霊となった「ノーチラス号」そのものである。 本来、単なるモノが英霊の座に登録されるなどまずあり得ないことだが、ノーチラス号は潜水艦の原型としてあまりにも有名過ぎた。 加えて本来のネモに我が子同然の愛情を注がれたことにより、キャプテン・ネモの「娘」たるアイデンティティを得、英霊の疑似人格を後天的に獲得。 敬愛する父に代わって今度こそ復讐を完遂するために、父の名を借りて現界したのである。 【特徴】 褐色の肌をした長身の美女。 切れ長の目、すらりとした長い脚と豊満な胸が目を引く。 ハイレグのレオタードめいたボディスーツに身を包み、肩の上から船長服をマントのように羽織っている。 また頭にも船乗りの帽子を被っている。 褐色の肌をしているのは、インド人であるキャプテン・ネモの娘という自己認識によるもの。 女性の姿で現界しているのは、古来より船舶は女性として呼び習わすという慣習を踏まえたものである。 性格は、普段は冷静沈着で事務的な口調。 自分は道具にすぎないと理解しているので自己主張をせず、淡々と任務をこなす。 しかしその内面には祖国を焼いた西洋文明への怒りが燃え上がっており、ふとした弾みで復讐心が露わになる。 タガが外れた彼女は、その激情に身を任せて敵を焼き尽くそうとするだろう。 【サーヴァントとしての願い】 祖国インドから西洋文明を駆逐する。 【マスター】 ベガ@ストリートファイターシリーズ 【能力・技能】 『サイコパワー』 邪悪な思念を操る、一種の超能力。 発現時には青白い炎のようなオーラを体に纏う。 肉体に纏わせることで肉弾戦の能力を向上させる他、他者と接触することで悪意の思念を流し込み、洗脳することも可能。 それどころか、サイコパワーを極めたベガは自身の魂すらある程度操作できるようになっており、 たとえ肉体が滅びても魂のみを他の肉体に移植することで復活することができる。 この場合の肉体はあらかじめ用意したクローン体だけでなく、優秀な肉体を持つ人間なら代替ボディにすることが可能。 『格闘』 ベガは基本的に武器を使わず、肉体にサイコパワーを纏わせて徒手空拳で戦う。 その技量は非常に高く、一流の格闘家とも互角以上に戦うことが出来る。 もっとも、ベガが格闘を行うのは相手の力量を確かめるという意味が強く、正々堂々の戦いを重んじるということは断じて無い。 そのため、必要と判断すれば躊躇なく、もっと直接的な殺害手段を取るだろう。 【人物背景】 一刻に匹敵する軍事力を持つ悪の秘密結社『シャドルー』の総帥。 真っ赤な軍服に身を包む、筋骨隆々とした体格の男。 邪悪な思念の発現であるサイコパワーを操る能力を持つ。 外見年齢はここ数十年変化しておらず、実年齢は不明。 これはサイコパワーで自身の魂を操作し、他の肉体に乗り替えているからである。 性格は冷酷にして残忍。高笑いしながら弱者を踏みにじる邪悪の化身。 力こそが全てという価値観を持っており、弱い者を殺すことには何の呵責も持たない。 反面、力を持つ者は評価し、自身の傘下に加えようとする(もちろん人間的な信頼を寄せることはない)。 その悪行により、直接的・間接的にストリートファイターシリーズの多くの人物の人生を狂わせている。 【星座のカード】 水瓶座 【マスターとしての願い】 聖杯に懸ける願いはない。 真の狙いは聖杯そのもの、そして英霊召喚というシステムをシャドルーのものとすることである。
https://w.atwiki.jp/semavatarheroes/pages/1102.html
・左手 ・魔竜の鱗入り(盾)は大グレードアップの可能性あり(通常で鱗なしにPOW+1,DEX+1,INT+1がプラスされるようです) ・グレードアッパー入りは大グレードアップの可能性あり(※ダウンもあり) ・ステータスは、ジュエルを入れない数字です(入れて作成したものからジュエル分を引いているのもありますので違う場合もあります) ランク ステ P D I C L ジュエル 材料 - +3 3 - ハロウィンゆうれいのぬいぐるみ 凶王の居城跡 - +5 1 1 1 1 1 - 三色団子(小・左手用) (GU)不思議な宝箱+丸いカギ 1 +1 1 ビーカー サイエンスビーカー×2 2 +1 1 アイス(イチゴ) 大きな氷×2+スウィートパウダー×2+赤い着色料×1 2 +1 1 アイス(レモン) 大きな氷×2+ピュアシュガー×2+黄色い着色料×1 2 +2 1 1 アイス(ソーダ) 甘い海水×1+大きな氷×2+スウィートパウダー×2+錬金術の粉×1+青い着色料×1 3 +1 1 カップケーキ スウィートパウダー×1+ハッピーケーキ×2 3 +3 1 1 1 カップケーキ スウィートパウダー×1+手作りケーキ×1 - +4 1 3 - すいか (GU)不思議な宝箱+丸いカギ 3 +2 2 すいか 青い果実×2+変異の粉×1+緑の葉×2 1 ウッドセットシールド 加工された原木×2+動物の毛皮×2 1 ウッドセットシールド(魔竜の鱗入り) 加工された原木×2+動物の毛皮×2+魔竜の鱗×1 2 オークシールド 加工された原木×2+万能接着剤×1+ブロンズパーツ×1+真新しい革×1 2 オークシールド(魔竜の鱗入り) 加工された原木×2+万能接着剤×1+ブロンズパーツ×1+真新しい革×1+魔竜の鱗×1 2 +2 2 ノースシールド アイアンパーツ×1+繋ぎ合わせた魔獣の牙×1+万能レザー×1+溶接剤×1 2 +5 3 1 1 ノースシールド(魔竜の鱗入り) アイアンパーツ×1+繋ぎ合わせた魔獣の牙×1+万能レザー×1+溶接剤×1+魔竜の鱗×1 - +2 2 - ブリキの盾 赤い宝箱(中)+ねじれたカギ 2 ブリキの盾 アイアンパーツ×1+カラパスパーツ×1+万能レザー×1 2 ブリキの盾(魔竜の鱗入り) アイアンパーツ×1+カラパスパーツ×1+万能レザー×1+魔竜の鱗×1 - +3 3 - プレートメイクシールド (GU)赤い宝箱(小)+尖ったカギ - +3 3 - プレートメイクシールド (GU)赤い宝箱(小)+ねじれたカギ 2 +2 2 プレートメイクシールド アイアンパーツ×1+ミスリルの破片×1+溶接剤×2 2 +5 3 1 1 プレートメイクシールド(魔竜の鱗入り) アイアンパーツ×1+ミスリルの破片×1+溶接剤×2+魔竜の鱗×1 - +3 3 - ミスリルの盾 (GU)赤い宝箱(小)+丸いカギ - +3 3 - ミスリルの盾 (GU)赤い宝箱(中)+丸いカギ 3 +3 3 ミスリルの盾 ミスリルパーツ×1+万能レザー×1 3 +6 1 4 1 ミスリルの盾(魔竜の鱗入り) ミスリルパーツ×1+万能レザー×1+魔竜の鱗×1 - +3 3 - ホワイトクィーン (GU)赤い宝箱(中)+尖ったカギ 4 ホワイトクィーン アイアンパーツ×1+シルバーパーツ×1+ムーンストーン×1+融和の水晶×1 ホワイトクィーン(魔竜の鱗入り) アイアンパーツ×1+シルバーパーツ×1+ムーンストーン×1+融和の水晶×1+魔竜の鱗×1 +1 1 バラの花束・一輪左手用 バラ×1+バラの花束作成キット×2 バラの花束・三輪左手用 バラ×3+バラの花束作成キット×3 +4 3 1 バラの花束・いっぱい左手用 バラ×5+バラの花束作成キット×4 白バラの花束・一輪左手用 白いバラ×1+バラの花束作成キット×2 2 +2 2 白バラの花束・三輪左手用 白いバラ×3+バラの花束作成キット×3 3 +4 1 3 白バラの花束・いっぱい左手用 白いバラ×5+バラの花束作成キット×4 5 +4 4 一輪のバラ バラ×1+フェアリーパウダー×2+錬金術の粉×2 5 +8 1 3 4 星型の指輪・左手用 ありふれたリング×1+星の宝石×1+天使の宝石×1 7 +7 5 1 1 桃の扇 戦人の骨×2+職人の裁縫セット×1+神秘の枝×2+東洋の神秘×2+七色織物×1+神風の水晶×1 8 +9 5 2 2 可 海賊の銃(ゴールド) カラパスパーツ×2+ゴールドパーツ×2+ミスリルパーツ×2+錬金術の粉×3 8 海賊の銃(シルバー) カラパスパーツ×2+シルバーパーツ×2+ミスリルパーツ×2+錬金術の粉×3 8 +5 5 可 一輪の白いバラ 月光の実×1+白いバラ×1+フェアリーパウダー×2+錬金術の粉×2 秘伝 +8 8 可 ノーブルローズ エナジードリンク×1+太陽の花×1+フェアリーパウダー×3+錬金術の粉×2 - +3 3 - 鉄棒 (GU)赤い宝箱(中)+ねじれたカギ - +4 2 2 鉄棒 (GU)赤い宝箱(大)+丸いカギ 10 +6 2 2 2 可 鉄棒 アイアンパーツ×1+繋ぎ合わせた魔獣の牙×2+万能ハンマー×2+ミスリル×3+烈火の水晶×1 10 +8 5 3 不可 金剛鬼の金棒 ゴールドパーツ×1+鬼神の大骨×2+万能ハンマー×2+ミスリル×2+烈火の水晶×1 10 +14 2 10 2 可 イーリスの妖剣・左手用 オリハルコンパーツ×1+煌く玉鋼×1+邪竜の巨大牙×2+繋ぎ合わせたべヒモスの牙×1+魔幻の刀身×2+地風の宝珠×1 2 +2 2 神秘の弓・左手用(エメラルド) 神秘の弓のレシピ・左手用(エメラルド)×1+型紙×1 2 +2 2 神秘の弓・左手用(ゴールド) 神秘の弓のレシピ・左手用(ゴールド)×1+型紙×1 2 +2 2 神秘の弓・左手用(シルバー) 神秘の弓のレシピ・左手用(シルバー)×1+型紙×1 神秘の弓のレシピは5枚まで重ね可能 +1枚ごとに元のステ以外の場所に+1 3 +5 2 2 1 円月輪・左手用(寂) アイアンパーツ×1+煌火石×2+七結の戦糸×1+霊水晶×1 11 円月輪・左手用(寂)(Gアッパー入り) アイアンパーツ×1+煌火石×2+七結の戦糸×1+霊水晶×1+グレードアッパー×1 5 +9 3 3 3 可 円月輪・左手用(凛) ミスリルパーツ×1+煌火和鉄×1+七結の戦布×1+霊水晶×2 11 円月輪・左手用(凛)(変幻+毒猪) ミスリルパーツ×1+煌火和鉄×1+七結の戦布×1+霊水晶×2+秘伝術式【変幻武器生成】×1+毒猪の毒牙×3 12 円月輪・左手用(凛)(変幻+サイコロ) ミスリルパーツ×1+煌火和鉄×1+七結の戦布×1+霊水晶×2+秘伝術式【変幻武器生成】×1+天運のサイコロ×4 12 円月輪・左手用(凛)(Gアッパー入り) ミスリルパーツ×1+煌火和鉄×1+七結の戦布×1+霊水晶×2+グレードアッパー×1 7 +6 3 3 狂気のノコギリ刃・左手用 サボテンの針×1+シルバーパーツ×1+とろける鉱液×1+熱火の砂石×1 11 狂気のノコギリ刃・左手用(変幻+砂サソリ) サボテンの針×1+シルバーパーツ×1+とろける鉱液×1+熱火の砂石×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+砂サソリの猛毒×3 12 狂気のノコギリ刃・左手用(変幻+ゴブキン) サボテンの針×1+シルバーパーツ×1+とろける鉱液×1+熱火の砂石×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+ゴブリンキングの宝石×2 12 大鮫の牙・左手用 海王鮫の鋭い牙×1+月王獅子の巨爪×1+毒猪の毒牙×1+熱火の砂石×2+ゆがんだ大骨×1+和布×1 11 大鮫の牙・左手用(変幻+砂サソリ) 海王鮫の鋭い牙×1+月王獅子の巨爪×1+毒猪の毒牙×1+熱火の砂石×2+ゆがんだ大骨×1+和の布×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+砂サソリの猛毒×3 12 大鮫の牙・左手用(変幻+ゴブキン) 海王鮫の鋭い牙×1+月王獅子の巨爪×1+毒猪の毒牙×1+熱火の砂石×2+ゆがんだ大骨×1+和の布×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+ゴブリンキングの宝石×2 11 海竜のナイフ 海翼竜の尾×1+海翼竜の鉤爪×1+海翼竜の背びれ×1+鍛えられた毒猪の革×1+ガマの油×1+万能加工薬×2 11 海竜のナイフ(変幻+毒猪) 海翼竜の尾×1+海翼竜の鉤爪×1+海翼竜の背びれ×1+鍛えられた毒猪の革×1+ガマの油×1+万能加工薬×2+秘伝術式【変幻武器生成】×1+毒猪の毒牙×3 12 +13 2 2 9 海竜のナイフ(変幻+サイコロ) 海翼竜の尾×1+海翼竜の鉤爪×1+海翼竜の背びれ×1+鍛えられた毒猪の革×1+ガマの油×1+万能加工薬×2+秘伝術式【変幻武器生成】×1+天運のサイコロ×4 12 海竜のナイフ(Gアッパー入り) 海翼竜の尾×1+海翼竜の鉤爪×1+海翼竜の背びれ×1+鍛えられた毒猪の革×1+ガマの油×1+万能加工薬×2+グレードアッパー×1 4 +3 3 魔力の教本(グランド) 天空の羊皮紙×2+魔力の詰まった小瓶×2 11 魔力の教本(グランド)(Gアッパー入り) 天空の羊皮紙×2+魔力の詰まった小瓶×2+グレードアッパー×1 11 魔力の教本(グランド)(変幻+砂サソリ) 天空の羊皮紙×2+魔力の詰まった小瓶×2+秘伝術式【変幻武器生成】×1+砂サソリの猛毒×3 12 魔力の教本(グランド)(変幻+ゴブキン) 天空の羊皮紙×2+魔力の詰まった小瓶×2+秘伝術式【変幻武器生成】×1+ゴブリンキングの宝石×2 6 +5 5 魔力の教本(ウォータ) 天空の羊皮紙×3+魔力の詰まった小瓶×3+海の妖精の紋様図×1 11 魔力の教本(ウォータ)(変幻+砂サソリ) 天空の羊皮紙×3+魔力の詰まった小瓶×3+海の妖精の紋様図×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+砂サソリの猛毒×3 12 魔力の教本(ウォータ)(変幻+ゴブキン) 天空の羊皮紙×3+魔力の詰まった小瓶×3+海の妖精の紋様図×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+ゴブリンキングの宝石×2 12 魔力の教本(ウォータ) (Gアッパー入り) 天空の羊皮紙×3+魔力の詰まった小瓶×3+海の妖精の紋様図×1+グレードアッパー×1 8 +7 7 魔力の教本(ダーク) 天空の羊皮紙×4+魔力の詰まった小瓶×4+真理の眼×1 11 +11 2 9 不可 魔力の教本(ダーク)(変幻+砂サソリ) 天空の羊皮紙×4+魔力の詰まった小瓶×4+真理の眼×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+砂サソリの猛毒×3 12 +11 11 不可 魔力の教本(ダーク)(変幻+ゴブキン) 天空の羊皮紙×4+魔力の詰まった小瓶×4+真理の眼×1+秘伝術式【変幻武器生成】×1+ゴブリンキングの宝石×2 5 +4 2 1 1 月星の指輪・左手用(ブラックムーン) ベーシックリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1 6 月星の指輪・左手用(ブラックムーン)(火入り) ベーシックリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる火霊の魔石×1 6 月星の指輪・左手用(ブラックムーン)(水入り) ベーシックリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる水霊の魔石×1 8 月星の指輪・左手用(ブラックムーン)(地入り) ベーシックリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる地霊の魔石×1 8 +6 2 2 1 1 月星の指輪・左手用(ブラックムーン)(風入り) ベーシックリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる風霊の魔石×1 10 月星の指輪・左手用(ブラックムーン)(光入り) ベーシックリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる光霊の魔石×1 10 +6 1 1 2 1 1 月星の指輪・左手用(ブラックムーン)(闇入り) ベーシックリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる闇霊の魔石×1 7 月星の指輪・左手用(レッドムーン) マジカルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1 8 月星の指輪・左手用(レッドムーン)(火入り) マジカルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる火霊の魔石×1 8 月星の指輪・左手用(レッドムーン)(水入り) マジカルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる水霊の魔石×1 10 月星の指輪・左手用(レッドムーン)(地入り) マジカルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる地霊の魔石×1 10 +9 2 3 2 2 月星の指輪・左手用(レッドムーン)(風入り) マジカルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる風霊の魔石×1 12 +9 3 2 4 月星の指輪・左手用(レッドムーン)(光入り) マジカルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる光霊の魔石×1 12 +9 1 1 3 2 2 月星の指輪・左手用(レッドムーン)(闇入り) マジカルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる闇霊の魔石×1 9 月星の指輪・左手用(イエロームーン) スペシャルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1 10 月星の指輪・左手用(イエロームーン)(火入り) スペシャルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる火霊の魔石×1 10 月星の指輪・左手用(イエロームーン)(水入り) スペシャルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる水霊の魔石×1 12 月星の指輪・左手用(イエロームーン)(地入り) スペシャルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる地霊の魔石×1 12 月星の指輪・左手用(イエロームーン)(風入り) スペシャルリング×1+輝く月の宝石×1+輝く星の宝石×1+神秘なる風霊の魔石×1 月星の指輪・左手用(イエロームーン)(光入り) +11 1 1 4 3 2 月星の指輪・左手用(イエロームーン)(闇入り) 2 +4 1 1 1 1 ランタン 壊れたランタン×2+溶接剤×1+火のエレメント×1 +5 1 2 1 1 黒蝶の籠(ゴールド) 魔法の鳥かご(ゴールド)×1+黒蝶の残滓×5 +5 1 1 2 1 黒蝶の籠(シルバー) 魔法の鳥かご(シルバー)×1+黒蝶の残滓×5 +5 1 1 1 2 黒蝶の籠(ブルーブロンズ) 魔法の鳥かご(ブロンズ)×1+黒蝶の残滓×5 4 +6 1 1 2 2 可 守護者のナイトシールド エレメントの結晶×1+大きな砂岩石×1+頑丈な爪×1+朽ちた古代騎士の盾×1+研磨剤×1+白水晶×1+ブロンズパーツ×1 10 +10 1 3 3 3 可 破壊者のナイトシールド 融和の水晶×1+昇華結晶×1+繋ぎ合わせた海底ガニのハサミ×1+朽ちた古代騎士の盾×1+研磨剤×1+白水晶×1+シルバーパーツ×1 ※ TH萌芽の鍵編、PD紅蓮の不夜城での合成品は各ページに記載
https://w.atwiki.jp/maidswork/pages/132.html
到下一頁 回首頁 1763年6月第一周 - Day 1 - 晚上十時 家主之宮 - 女主人的家政室 「咯嘻!哈!公主!我就是公主!」這個長耳朵的女孩在小時候就是這樣給人哄逗後嚷著...... 「……公主……我要成為公主!……」這個長耳朵的女孩在小時候受嚴峻的儀態訓練時就是這樣哄逗自己...... 她的名字是蘇菲亞‧依積士,雖然她不是第一個精靈進入艾肯斯家族當女僕,但是為美人胚子的她擁有豐滿的身材,修長的腿部,白金的髮色,和成為她代表符號的白色手套,無可置而在女性僕役中是最突出的一個。 "那個漂亮美麗的尚族精靈女僕" 對她有善的女僕同寮會這樣稱呼她,她們仰慕她的美貌,她們欣賞她的儀態,她們感激她對她們的善意幫忙。 "那個媚外淫蕩的尚族精靈女僕" 對她有敵意的女僕同寮會這樣稱呼她,她們妒忌你她身材,她們不滿她的高傲,她們憎恨她對主人的無恥勾引。 但是對這些事她可以控制嗎,不,她並沒有選擇,在最初,這少女那青綠色的眼眸仍在捕捉著親人離去的背影時,奴隸鐵閘關上的聲音同時隔絕了她的未來之路。 但是對這些事她可以控制嗎,不,她並沒有選擇,以奴隸身分進入艾肯斯家的蘇菲亞,帶著的只是反抗的心態,背負著指責與懲罰而過著每天,對於別人的冷言冷語只是以倍數計地增幅進入了自己的腦海之中。。 所謂的尚族精靈的尊貴帝皇血統並沒有令她可以隨心所欲地自由創造自己的一生,說真的,其實她的血統正就是令她墮入奴隸之路的原兇,她,並無選擇。 經過四年的奴隸生涯,她終於由一個普通的雜務女僕,晉升為侍奉少主艾斯特‧西格-艾肯斯的近身女僕,原來的原因只有女家主本人才知道,但是妒忌她的人就當然會根據自己的意願想出理由來。 「這賤貨一定是連自己的身體也出賣了」這就是有敵意的女僕同寮一致所認為的理由,當然蘇菲亞本人自己很清楚自己才沒有做過甚麼傷風敗俗的事,但是對這些事她可以控制嗎,不,她並沒有選擇。 今晚,她受到女僕長瑟伊妮的請求,要求在今天工作完結之後,到女主人的家政室一趟,說是要商討你未來的事宜...... 蘇菲亞來到了家政室的門口,瑟伊妮已經在這兒等候你的到來。 我的未來?從艾肯斯家的鐵閘,走至家政室的門口,雖然只是一小段的路。 但是,蘇菲亞卻足足走了四年。由以奴隸的身份把情緒都發洩在工作之上,慢慢從其他女僕身上學慬怎樣可以保護自己,怎樣在艾肯斯家族中生存下去。 在白天,她是擁有著自信的晳金精靈;在晚上,褪去穿著的女僕外衣,她只是一個仔細舐平自己內心傷口的孤兒。 以為女僕的生活可以過得更加像人,卻招來了與朋友一樣多的敵人;以為晋昇作近身女僕可以找會作為尚族皇室的丁點尊嚴,換來的只是足以撲滅主人關心的惡毒謠言。 但是,她沒有放棄。她相信,「公主」不是家族出賣自己的一個耻辱…… 就如那晳金的髮絲,摸著它,蘇菲亞就相信,終有一天她可以不再剪斷自己的髮絲;而是一把及腰的公主長髮。 「晚上好,蘇菲亞,今天的工作辛苦你了。」 望著比自己更高的瑟伊妮,她的笑容令蘇菲亞鬆開因為緊張而揉著金髮的手。 和平常的日子一樣工作至晚上,瑟伊妮的前來已是令蘇菲亞感到一絲的特殊。當聽到女家主要商討自己的未來一事時,蘇菲亞在餘下的工作中,腦袋就已經不停地圍繞此事而打轉。 「能在艾肯斯家服務艾斯特少爺,是我的榮幸。」 以微笑應對著微笑,雖然站在自己面前的是比自己更高的女僕長,但是那晳金的精靈並沒有一點卑微的心。 「我已經準備好了。」 在轉身推開那門之前,蘇菲亞以感謝的心向瑟伊妮作了一個半躬身的道謝。 「很感謝女僕長一直以來的照顧和教導。」 蘇菲亞在轉身推開那門之前,瑟伊妮突然把著你剛要敲門的手...... 「蘇菲亞,在你進入家政室前,容許我說幾句嗎?」瑟伊妮向蘇菲亞走近,她緋紅色的眼睛看著蘇菲亞,然後她將蘇菲亞的手溫柔地放到蘇菲亞自己的胸前。 「蘇菲亞,聽好了,跟著接下來的會是一個表面上很容易決定的選擇。」瑟伊妮在你的耳邊用柔和的語氣和你說:「但是這是不是你心裡面真實所寄望的呢?這個你就要詳細思考了,發生任何事也好,請你小心。」她說完之後就放開你的手,亦退後了幾步。 瑟伊妮敲一敲家政室的門,過了一會,女家主從家政室內傳出確定後,瑟伊妮也幫你開啟家政室的大門讓你進去。 家政室是艾肯斯家族的女家主 - 菲娜妮婭女仕管理家中所有事務的大本營。 踏進大門,小時家訓中被告知的東西,終於與腦想中的設想重叠在一起了。 那並不是貪婪、好奇、或者是緊張的目光,那……更像是遇到了未曾見過面的親人。 一種陌生,而又熟悉的融入感。 進門時第一眼就看到琉璃窗花的大栱及地窗戶陽台,從高處看下去就是對出的曉月市南部全景。 地上名貴但是溫和顏色的地毡給人溫暖但是不失豪華的感覺,在房間中心的晶鏡吊燈亦照出溫和淡淡的光芒。 家政室內放滿了女主人的家政工具:老舊的衣車,水壺,和油燈,看來應該是女家主的嫁妝。 而家政室兩旁就是書櫃,書的種類琳瑯滿目,但是就不離和持家有關的書籍:縫紉書,食譜,禮儀書,僕役和家室的管理方法,家傳的藥劑調製秘方等等。 房中就是兩張用紅漆真菌纖維所做成的辦公桌,手工和材料也像極古老的硬木桌子:那張大的,但是空空如也的桌面的辦公桌和主人的椅子就放在窗戶陽台前,看來已經很久沒有用了;而另外那一張就坐立在家政室的左側,雖然桌面上放滿書籍,文具和寫滿東西的紙張,但是也全部整齊的排好。 而房間左旁放置了會客用的軟坐長椅和咖啡桌,咖啡桌上放了一些棕色的粉末和用溫爐暖著的溫暖牛奶,旁邊亦放置了一些精美的茶具,而坐在這邊的是一位全頭白髮,穿上紫色高貴婦女衣裝,佩帶了名貴但不俗氣首飾的的老太太,以你所知道,她就是艾肯斯家族的女家主菲娜妮婭女仕。 華麗、莊重的陳設並沒有打亂了蘇菲亞的步伐,蘇菲亞來到軟坐長椅的前方。 「唔嗯,這位精靈女孩,你就是蘇菲亞嗎?」她微微露齒地向你微笑,雖然是滿面皺紋的老女仕,但是你亦可以從她的相貌和儀態看得到,她也曾經是一個天姿國色的美人。 「是的,菲娜妮婭主人。」 「果然是聞名不如見面,真是是儀態優美的女孩,唔。」她上下打量了你。 雙手交合輕按著身穿的短裙,彎腰的蘇菲亞同時向著菲娜妮婭低下了頭,然後再次站直了身子。蘇菲亞看著眼前這位帶著寛容的老太太,心中對於進去前因為女僕長的提醒而引起的警愓稍稍降了點溫,語氣上也沒有那麼的拘緊。 「這全靠瑟伊妮女僕長一直以來的耐心教導。」 盡管蘇菲亞明白至小在未慬事前就是在自己家族的嚴厲教導下成長,但是這四年間關於女僕禮儀的教導卻是她在自我意願下訓練的成果。而且對於自己家族那份被背叛卻又難以捨割的情感,這顯然並不是一個適合表露的場合。 身體自然而帶著自信地呈現在菲娜妮婭的目光下,蘇菲亞也並沒有因此而把自己的目光移開,只是帶著善意而有禮地等待老太太的下一句說話。 「要和我這個老太婆喝個睡覺前的溫暖牛奶嗎?」她示意你坐在她身邊,而同時間瑟伊妮亦站在菲娜妮婭女仕的另外一邊。 「工作辛苦嗎?蘇菲亞。」她問道 「作為艾斯特少爺的近身女僕,能協助減輕少爺的工作和侍候少爺的生活;看到他的笑臉,是一件很開心而又幸褔的事。」 「那就好了,蘇菲亞。」瑟伊妮同時亦動手準備熱牛奶,但是菲娜妮婭女仕輕把著瑟伊妮的手:「可以讓我來嗎?女僕長。」 瑟伊妮聽到這情況也退讓了給菲娜妮婭女仕來準備茶具和牛奶:「是的,夫人。」 「艾斯特是一個好男孩,是吧?」菲娜妮婭女仕一邊微笑著和你說,一邊熟練地將可可粉混合熱牛奶,然後倒入奉茶用的茶杯裡,最後將其中一杯放在咖啡桌上給你享用,以你的觀察,雖然菲娜妮婭女仕並非在煮茶,但是你知道她對奉茶技巧的認識十分深入透徹。 「嗯,少爺一直都很照顧我們。」 折服在那熟練的技巧之下,蘇菲亞的驚訝並不比讚賞為低。 一直以為,自己小時的生活全是被欺騙作為賣入艾肯斯家族而強迫的女僕技巧,那並不是作為公主而需要的東西…… 眼前艾肯斯的女家主卻做得比任何一個女僕更加地出色。那並不是一般貴族裝模作樣的表面功夫…… 「唔,蘇菲亞,恕我老太婆多事了,我想知道呢,蘇菲亞你心目中的完美配偶會是怎樣的人呢?」 她從桌上拿一張正方形的紙餐巾,對摺摺疊成三角型,放在你的茶杯牒下,然後看著你用溫柔的語氣問: 「你現在有沒有心上人呢?」 菲娜妮婭的問句,打斷了蘇菲亞的思緒。對於在蘇菲亞的成長中接觸的異性,可謂少之又少。一直想成為公主的她,在未曾找尋那夢中的身影之時,就被帶進了艾肯斯的鐵閘之中,從年幼的夢中驚醒過來。 沒有立即回答的她,合上眼飲了一口溫熱的牛奶;讓那甜香的味道帶引著自己回到那個仍然充滿幻想的童年。 露出了天真笑容的她,這時才第一次知道,那個在夢中缺失的身影究竟是甚麼。 「王子。對於現在沒有心上人的我來說,嘻,那是一位和我互相深愛著的王子。」 「王子嗎?.....王子.....啊,當然了,脫俗的公主當然是要配非凡王子了。」菲娜妮婭女仕由聽到你那個令人疑惑的答案的沉思中恍然大悟起來:「又或者是說,要成為一對非凡脫俗一對中的其中一邊吧,我有沒有對你的意思理解錯誤?」說完老太太就喝了一口溫奶。 「艾斯特是一個我最喜歡的孫子,他從小雖然體弱多病,學習上又沒甚麼成就,不過他天生已經是一個令人喜歡的男孩了,很會感覺別人的想法和感受,對人和藹可親但不虛偽,現在二十有五也自力創出了一些成就,唔,他最後也沒有令家族上下失望呢。不過呢.....」她把裝有半滿溫奶的茶杯放下。 「他也是時間要找一個另一半了,這孫子就是這樣的了,有自己的事業和朋友就行,也不擔心自己的未來,其他家族的小姐們他也看不上眼。話說回來,他心目中的心上人,也可能是一位和他互相深愛著的公主呢......」 她把視線放在你碧綠色的眼睛上,會心微笑地說:「你認為,艾斯特他有資格成為你的王子嗎?」 「菲娜妮婭主人……」 蘇菲亞仔細地聽著菲娜妮婭的說詞,並沒有中途插話。因為菲娜妮婭所說的,實在是她想也未曾想過的事。而她的言下之意似乎是再清楚不過的事了。 「那……」 為難的她在這四年來已看清了自己的出身,沒落的皇族更是以奴隸的身份進入艾肯斯家族當女僕…… 蘇菲亞只能用深深的呼吸才足以調節自己內心的疑慮。事情彷彿就如同瑟伊妮在敲門前所說的話一樣古怪。對艾肯斯少爺沒有任何特殊感情的她,亦不敢胡亂應話。 「艾肯斯少爺絕對是大家心目中的王子。」 「艾肯斯少爺絕對是大家心目中的王子。」蘇菲亞回答 「是這樣啊......唔,很好啊蘇菲亞,對答大方得體又不失禮。」菲娜妮婭女仕她面露笑容:「似乎失禮的反而是我老人家呢,如果剛才令到你有感被試探而冒犯到蘇菲亞你,請多包涵啊。」 「看來呢,我老人家是有點等不及了,那我實話實說吧。」她用紙餐巾輕印自己的咀角,然後繼續說:「其實幾年前我已經在留意你了,在因為自己特殊的身分和別人冷嘲熱諷的這樣不利的環境之下,你也可以不失儀節潔身自愛地侍奉我家,我感覺會你是一個好的女主人,而就算不仕人妻,也會有所作為。」 「而艾斯特呢,是我最喜歡的孫子,所以.....我亦想他會有一個好妻子,好的女主人和他共諧連理......」菲娜妮婭稍為停止了說話,她皺起了眉頭,看來意識數到自己又因為心裡焦急而有說出失禮的話:「哎呀,其實這也不是甚麼已經定下的婚姻,我會很尊重你自己的決定。但是我倒是想你可以嘗試一下和艾斯特相處一下,看看兩人情投意合與否......」 而瑟伊妮亦幫忙你們把杯裡的溫奶添滿,你也看到瑟伊妮面缺笑容,眉頭也輕皺了起來,究竟為甚麼呢? 「唔..... 如果我和艾斯特有這種福份,你的特殊身分也會有反方向的轉變啊,到那時,你可以拋棄自己的過去,成為我家的女主人,也令你自己成為王子所愛的公主。」在修飾了的言詞當中給你一個簡單的意思:成功成為為艾斯特的妻子,到時你高貴的身分就就可以消去那個令你悲哀的奴隸身分...... 「唔,不知道你可不可以成全我老人家的心願呢?」 聽著菲娜妮婭的讚美,蘇菲亞只能臉帶微笑地聆聽著,不知回應些甚麼,也沒有甚麼想回應。 只是聽到最後菲娜妮婭的暗示時,卻讓蘇菲亞不自覺地以右手輕撫過那代表尚族皇家的晳金絲髮。 「菲娜妮婭主人,雖然我未為人母;但是我也是別人的女兒,作為父母對子女的著緊和關心,多少也能體會。」 白色的手套下,讓那髮絲的顏色更為耀眼。 「很感謝菲娜妮婭主人並沒有因為我的身份……反而讓我由奴隸,變成普通的女僕,少爺的近身女僕,甚至有意……」 蘇菲亞在說話時,以沉默的點頭代替了那些未能以言語所表達的內容。 「至於……婚嫁的事……在敝下與少爺之間仍是感情空白的現在來說,一切都是太快了點。」 「當然了,蘇菲亞,對雙方來說是太快,對的,不過,聽你的言下之意,也有意嘗試一下是吧?」菲娜妮婭起皺的眼簾也在上揚,藍色的眼睛流露出期待的眼神:「其實你也不需要特意地要做些甚麼的,我當天讓你成為他的近身女僕的最主要原因除了因為你的侍奉能力外,有小部分也是想製造機會讓你和他親近交往一下,自然讓感情萌芽是最重要的。」 「話說回來,其實你只需要記著我提出的這個意思就可以了,最後要怎樣,還是你自己的決定啊。大家也知道,勉強地將兩人結合在一起也是沒好結果的。唔...... 大約就是這樣了,不如你也說說你所想的?我也想知道你的真正意思是怎樣啊。」 瑟伊妮也在旁說:「蘇菲亞,就讓夫人知道你自己的意思是怎樣吧,不可以讓長者擔憂啊。」 「呵呵呵,女僕長啊,這兒誰是真正的長者啦。」菲娜妮婭笑著說「不過想當年啊......我也是坐在蘇菲亞的位置,你也對我說了差不多的話呢。」你聽聞過菲娜妮婭當年也是現家主洛恩的近身女僕,是飛上枝頭變鳳凰的一個活例子...... 菲娜妮婭等候著你的下一句話...... 聽到這裡,蘇菲亞那收不起來的尖耳漸漸地紅了起來。 以目視僅可以觀察的角度,蘇菲亞輕輕點了點頭。 以目視僅可以觀察的角度,蘇菲亞輕輕點了點頭。 「唔,這樣我明白了......」菲娜妮婭看到你猶豫不決的態度也不禁皺一皺眉頭:「這樣吧,記著我說的話吧,通往幸福的大門隨時為你而開的啊......」 「明天也是工作天,我也不阻礙你休息了,明天也拜託你好好照顧艾斯特了。」菲娜妮婭回個頭和瑟伊妮說:「女僕長啊,有幫我預備好我說的東西嗎?」 「是的主人」瑟伊妮回答後,從她自己辦公桌上拿起一件用粗紙包好的小包,拿到你面前:「這是女主人要送給你的,作為你辛勞工作的獎勵。」 「好了,你回去休息吧蘇菲亞,今天辛苦了。」菲娜妮婭微笑著對你說,而瑟伊妮亦點頭向你示意離開了。 「很感謝菲娜妮婭主人和女僕長。」 雙手接過禮物,蘇菲亞安置好眼前的牛奶。 「我會記住你的教導的。」 說完,蘇菲亞就退出了主人房,把那禮物抱入懷中,避免平白再增更多的冷嘲熱諷,匆匆回到自己的房間了。 蘇菲亞退出了家政室後,女僕長和女家主就在只有兩個人的空間私下說起話來。 「夫人..... 恕我多言了..... 你認為這是一個適當的決定嗎?」 「怎麼了啦女僕長,當年我也不是這樣嫁入艾肯斯家嗎?」 「夫人你就不要叫我女僕長了,你現在是艾肯斯家族的當家了,已經是我的主人,而不是當年年輕時身為我女僕學生的你了,稱呼上的體面是必要的.....」 「你也不就說了嗎?那身為當家我的決定,你還有懷疑嗎?」 「不是這樣的主人..... 但是當年的情況和現在不同啊,當年家主只有夫人你一個當老爺的近身女僕啊。」 「當年家主不是還有你嗎?如果不是你讓出幸福給我,我的身分會和現在很不同啊。」 「你是知道我的出身的.......所以夫人請你不要再說這樣的笑話了.....」 「我是知道艾斯特還有兩個近身女僕啦,但是露加小姐是妖紋海族的海妖呢。」 「蘇菲亞也是尚族精靈啊,她也是異族的。」 「你知道我不只是這意思的啦。」 「唔,她的情況尚可不提,但是菲娜露小姐呢?」 「你忘記了她是艾斯特的近親表兄妹嗎,這比露加小姐來說更加不太可能啦。」 「夫人.... 但是他倆..... 唔.... 夫人抱歉,我多言了.....」 「就是了,所以你就不要擔心啦。」 真的不用擔心嗎?同一時間,在曉月之館某處的隱敝房間內...... 到下一頁 回首頁
https://w.atwiki.jp/divine_revelation/pages/253.html
目次 1.瞑想とは、外(そと)なる目を閉じて、内(うち)なる目を開(あ)けることである 2.反省的瞑想――誤てるところを取り除きながら、実相の世界へ参入する 3.幸せの瞑想――人間がより良く、より幸せに発展する方法を内なる目で見る 4.幸せを感じ取る能力が増大すればするほど、人間は、光そのものに近づける 5.地獄で幸せを感じ取ることのできる霊は、ひとりもいない 6.どのような人生観の色調で、自分が人生を流れて来たのかを考えなさい 7.人生を川にたとえるならば、幸せの瞬間は、湧(わ)き水のごときものである 8.人間は誕生においては、美しく、純粋無垢(むく)で、穢(けが)れのない魂である 9.幸せの方法――自らの人生のなかで、幸せな瞬間を発見する 10.不幸だと思う人は、自分の人生の幸せな瞬間をもう一度探してみなさい 11.あなたの人生途上にあった、いろいろな感激の瞬間を思い出しなさい 12.感激の瞬間と瞬間とをつなぎ合わせて、幸せの空間を広げていきなさい 13.神の子として目指す方向は、幸せは大きく、不幸は小さく見ていくこと 14.人間の永遠の発展は、「我は幸福のみを見つめる」という姿勢のなかにある 15.高級霊界へ行くほど幸福感覚は強く、地獄の奥ほど不幸感覚が強くなる 1.瞑想とは、外(そと)なる目を閉じて、内(うち)なる目を開(あ)けることである 天之御中主(あめのみなかぬし)です。本日は、幸福瞑想法のなかの一章として、私の「幸せの瞑想」というのが取り入れられることとなったがために、こうしてまた、通常の霊言とは別に、私自身の考えというものを瞑想という形を通して、世の人びとにお教えせんとするものであります。 瞑想ということに関しては、すでにさまざまな方が、話をしてこられたでありましょうが、何のために瞑想があるのかということを、まず第一に、明らかにしておきたいと思います。瞑想とは、「目を瞑(つぶ)って思う」と書きます。なぜ目を瞑るのか、ここが出発点です。瞑っておる目というのは、いわゆる肉眼であり、この地上世界を見んとする目であります。この地上世界を見んとする目を閉じたときに、人間はまた、この地上世界以外の世界を見ることができるのです。 外なる目を閉じて、内なる目を開けよ。これが瞑想であります。外なる目が開いておっては、なかなか内なる目は開かんのです。外なる目を閉じて、内なる目を開けということです。したがって、瞑想なるものを、単に目を閉じて思えというのは間違っておるのです。外なる目を閉じて、内なる目を開きなさい。内なる目を開いて、心のなかの世界を見なさい。これが、瞑想ということです。 瞑想は、単に目を瞑るということではない。それを間違えてはならぬ。第三の目を開くということです。この目を開かずして、ほんとうの意味で見ることも、思うこともできはしないのです。 2.反省的瞑想――誤てるところを取り除きながら、実相の世界へ参入する さて、そうした内なる目を開いて、世界を見んとする瞑想にも、さまざまなるやり方があります。 そのなかのひとつは、反省的な瞑想のやり方でありましょう。代表的なものです。ひとつひとつ反省の形をとりながら、自分の誤てるところを取り除いていくという、そうした導入段階を経て、実相の世界へ参入するという反省的瞑想というのがありましょう。あるいはこれは、天台智覬(てんだいちぎ)などが言っておる「止観(しかん)瞑想」ということであるかもしれません。 3.幸せの瞑想――人間がより良く、より幸せに発展する方法を内なる目で見る さてしかし、私はここで、話の立脚点を変えておきたいと思うのです。少なくとも瞑想というものは、この世的なるものから、あの世的なるものへと考え方を切り換えることであり、想念の転換をすることであろうと思います。 そうであるならば、単にこの世のことのみを考えることが、瞑想ではあるまい。この世のことを手掛かりとして、あの世の心の段階の諸階梯(しょかいてい)を駆け登っていく、そういう瞑想もあろうと思う。それについて、今日は話をしていきたいと思うのであります。 この「幸せの瞑想」とは、別名「発展の瞑想」でもあるのです。どうしたら、人間がより素晴らしくなっていくか、より良くなっていくか、より幸せになっていくかということは、結局のところ、発展の瞑想であるということです。すなわち、瞑想という形をとって、自らの内なる目でもって、自分自身を見つめるときに、そのなかにおいて、さらに向上していくための萌芽(ほうが)としての自分自身をとらえるということです。 4.幸せを感じ取る能力が増大すればするほど、人間は、光そのものに近づける 人間の人生というものを振り返って見たときに、そこにはさまざまな感激というものがあったはずです。人びとは、ある人びととの出会い、ある事件との出会い、ある風景との出会い、ある環境との出会い、そうしたものを通して、感激というものを感じ取ったことがあるはずです。 あるいは、ささやかな話をしていくならば、同じ家庭のなかにいても、ほんとうに自分の兄弟の素晴らしさを知った瞬間、あるいは、ほんとうに父というもの、自分の父親というものを感じ取った瞬間、ほんとうに母親というもの、母というものの大切さを感じ取った瞬間、人間は幸せを感じていくのです。 こういうふうに、幸せを感じ取る能力というのは、やはりこれも、大切な能力であり、五官を越えた六官以降の世界の感覚であるわけです。そして、この幸せを感じ取る能力が、増大してゆけばゆくほど、その人間というのは、光そのものに近づいてゆくのです。 5.地獄で幸せを感じ取ることのできる霊は、ひとりもいない 地獄の世界にいる霊のなかで、幸せを感じ取ることのできる霊などはひとりもおらんのです。嘘だと思うのなら、地獄へ行って、そこで、直接聞いてみるがいい。「あなたは幸せか」と聞いて、「幸せだ」と言う人はいない。仮に言ったとしても、それは自分自身をごまかしている幸せだろうと思う。腕力を奮(ふる)えるとか、人を自分の思うままにやっつけられるとか、ということに幸せを感じておるのかもしれないが、そうしたことが、いつまでも続く心のなかの幸せでないことは、だれが見ても明白であろうと思う。 ほんとうの幸せというものは、感激というものを通さずしては、わからんものです。地獄に感激があるかどうかです。地獄の釜のなかでゆでられて、感激などないのです。地獄で刀で八つ裂きにされて、感激などないのです。地獄の穴倉のなかで、はい回っておっても、感激などないのです。血の池地獄はいかに深くとも、そんなところにいたからといって、感激を得るわけではないのであります。 6.どのような人生観の色調で、自分が人生を流れて来たのかを考えなさい そうしたふうに、幸せというものを、安っぽく定義することは可能だけれども、安っぽくなく、ほんとうの意味での幸せというものを考えていくとき、一番大切なものは、何かに感激したことがあるか、胸が高なったことがあるかということだと思う。そうした瞬間を、幸せの瞬間と言います。 この方法でもって、人間は、自分の人生というものをもう一回振り返って見る必要があるわけです。そして、どういうふうな人生観の色調でもって、自分が人生を流れて来たのかどうかを見ることです。人生の色調のなかで、暗褐色のような色が流れておらんかどうか、灰色のような色が流れておらんかどうか、緑色のような色が流れておらんかどうか、どす黒い墨のような色が流れておらんかどうか、澄み切った人生として流れておるかどうか。そうしたことを確かめねばならんと思う。 7.人生を川にたとえるならば、幸せの瞬間は、湧(わ)き水のごときものである 人生というものを一本の川にたとえるならば、この幸せの瞬間、感激との出会いの瞬間というものは、川のなかに出てくる湧き水のごときものである。 川というものは、水源地、すなわち、山の奥において、小さな泉にはじまる。小さな泉から湧き出す水というものは、非常に清冽(せいれつ)な滾々(こんこん)と湧き出す水であり、何の穢(けが)れもない。それは、実に幸せそのものの泉である。 その小さな泉が、やがて谷をつくって流れていく。そのなかで、木の葉が交(まじ)ったり、土砂が交ったりしていく。やがて、小さな小川となっていく。そして、木の下をくぐり、草の間をくぐり、だんだんに平地へと出ていくのであり、そうしたなかで、川というものは、雨が降る雨期の時期には、土砂降りのなかで、にごってもみる。旱(ひでり)のときは、砂地をはいつくようにして、流れておる。あるいは、現代では、工場の廃水(はいすい)であるとか、さまざまなもので汚染されたりしている。こうして、河口までたどりつくまでの間に、いろんな形で変貌(へんぼう)をとげるのが川であろうと思う。 ところが、その川のいたる地点において、やはり浪々と湧き出る清水というものが、その川底から出てきておるのです。川がどんなににごろうとも、汚れようとも、滾々と湧き出る泉というものは、必ずあるのです。そうした水が湧いているところが、川のなかには、必ずあるのです。 自分の水が下流に行くに従って、やがて汚染され、汚れてきて、にごってきたとしても、もとなる泉の清らかさ、新鮮さ、透明さ、こうしたものを忘れてはならんのです。そのためには、下ってくる途中途中にある小さな泉というものを、しかと目を向けて見てゆかねばならんのです。この比喩の意味がわかるでしょうか。 8.人間は誕生においては、美しく、純粋無垢(むく)で、穢(けが)れのない魂である 人間もまた、この一本の川なんです。その誕生においては、湧き出(い)ずる泉のごとく美く、純粋無垢で、穢れのない魂なのです。すべての人が、悟った存在として、母の母胎に宿っておるのです。それが、肉体というものを持つことによって、さまざまな汚れ、さまざまな穢れというものをまといつけていくのです。こうしたときに、この汚れや穢れを取っていくものは何かというと、本来、人間の出発点にあった、その清冽(せいれつ)な水、滾々と湧き出(い)ずる泉の水なんです。 こうした泉というのが、川の途中途中で、必ず用意されておるのです。その上を流れてゆきながら、そこに水が湧いておったことを忘れるようであっては、人間というのは、真の喜びを得ることはできんのです。 9.幸せの方法――自らの人生のなかで、幸せな瞬間を発見する 自らの、その湧き出でている泉というものを発見してゆきなさい。これが、幸せの方法なのです。どんな人間にも、幸せな瞬間というのは必ずあったのです。あったけれども、それを忘れておる。忘れておるだけなのです。 天上界にあって、今度、人間として地上に生まれて来るというときには、あの世の世界においては、友人たち、あるいは、昔の恩師とか、かつての両親とか、そういういろんな方がたが皆んな、送りに来ておるのです。そして、皆んなで手を振って、頑張って行って来いと、送り出されとるんです。そのときには、新たな、新鮮な経験、それを前に、胸を踊らせるような、運動会に行く前の子供のような、そうしたワクワクした気持ちでもって、人間というものは生まれて来るのです。 10.不幸だと思う人は、自分の人生の幸せな瞬間をもう一度探してみなさい にもかかわらず、いったん生まれた以後、その新鮮な考えを、感動というものを忘れて、愚痴り、妬(ねた)み、謗(そし)り、怒り、足ることを知らぬ欲望のままに流されていくのが人間なのです。そして、運命を怨(うら)みます。 自分がこんなに不幸なのは、両親が貧乏であるからだとか、両親が不健康だったから自分も体の具合が悪いのだとか、あるいは、家が狭いがために、自分は幸せでなかったとか。あるいはまた、兄弟の数が多すぎたために貧しかったとか。兄弟がいなかったために、ひとりっ子となって、おかしくなったとか。あるいは、自分の希望したとおりの学校へ行けなかったから、自分は、不幸になったとか。自分の好きだった人と結婚できなかったから、不幸になったとか。 このように、環境のせいばかりにしておるのです。本来の清らかな決意というものをいつのまにか忘れ去って、そういう自分自身の害、意欲心のもとに、間違った人生を歩んでおるのです。 ですから、そのなかで、やはり本来の自分を取り戻すための努力というのが必要です。その努力というのが、川のなかに湧いておる泉の発見です。自分の人生を不幸だとして決めつけるのは簡単ですが、そのなかにおいて、滾々(こんこん)と湧き出でる泉のごとき瞬間がほんとうになかったかどうか。そうした感激の瞬間がなかったかどうか。幸せを感じる瞬間がなかったかどうか。絶対にないわけはないのであります。もしないと言い切る人は、その泉の上を通り過ぎておりながら、水が湧いておることを見逃しておるのです。これを振り返って、もう一度考えてごらんなさい。 11.あなたの人生途上にあった、いろいろな感激の瞬間を思い出しなさい 自分の幼少時に、ほんとうに楽しかったことはなかったか。母がランドセルを買ってくれたときのあの感激を憶(おぼ)えておるか。小学校一年に上がるときの、ランドセルを前にして、明日から学校へ上がるというときの喜びを憶えておるか。あのランドセルの皮の匂いを憶えておるか。 あるいは、はじめての運動会に出る前の日のあの興奮を憶えておるか。運動会のときに、両親とお弁当を一緒に食べたときのあの美味(おい)しさを憶えておるか。父と一緒に川に魚を釣りに行って、大きな鯉を釣ったときのあの感激を憶えておるか。あるいは、はじめて自転車を買ってもらって、補助輪をつけなくとも、自分で自転車に乗れるようになったときのあの感激を憶えておるか。あるいは、女性であるならば、はじめて異性から手紙をもらったときのあの胸のときめきを憶えておるか。 夜遅くまで、電気スタンドをつけて一生懸命受験勉強をしていたときに、父や母が夜食を運んでくれたときのあの感激を憶えておるか。雪のしんしんと降る夜に、その雪を見つめながら、古今東西の偉人たちの文章に接していたときのあの感激を憶えておるか。 青春期の不安のまっただなかにおいて、ひとつの小説を読み、文学書を読んで感激した思い出を憶えておるか。あるいは、地方から上京して来て、そうして、はじめて新たな世界でもって、自分ひとりで一軒の家、または、一間のアパートを借りて生活をはしめたときの感じがわかるか。あるいは、社会に出て、はじめて給料をもらったときのあの感激をまだ憶えておるか。自分がはじめて働いて得たお金でもって、ネクタイの一本を買ったあのときの嬉しさがわかるか。はじめてのボーナスでもって、両親に万年筆なり、ハンドバッグなりを買ってあげたときのあの感激をあなたは思い出せるか。 あるいは、父や母が、あなた方が困ったときに励ましてくれた言葉のひとつひとつを憶えておるであろうか。あなたのことを悪く言った人も、数多くいたかもしれないけれども、そのときどきにあなたを庇(かば)ってくれた人がいたということを憶えておるだろうか。 全世界人類が敵だと言うような人はいないはずです。どんな人であっても、その人に味方し、その人の人格を信頼し、その人を良き人だと思ってくれた人がいるはずです。そうした人との出会いというものを、もう一度考えてみようではないか。 あるいは、「いい人ね」と言われたときの嬉しさを憶えておるか。はじめて映画を見て、海外の素晴らしい風景を見て、感動したことを憶えておるか。 あるいは、お金を貯めて、はじめて車を買ったときの感激を憶えておるか。はじめて新婚旅行へ行ったときのことを憶えておるか。はじめて子供が生まれたときのことを憶えておるか。その子の将来について、夫婦で語り合ったことの感激を憶えておるか。 また、自分が老(お)いていったときに、子供たちが独立していくのを見て、自分の父母が、自分のことを、かつてどれだけ愛してくれたかということを感じ取る感激というものを思い出すことができるだろうか。 12.感激の瞬間と瞬間とをつなぎ合わせて、幸せの空間を広げていきなさい 人生のいたるところに感激の瞬間があるのです。人生という大河のいたるところに滾々(こんこん)と湧き出でて止まない清冽(せいれつ)な清水があったのです。泉があったのです。ただ、その泉の存在を人間は忘れ去っておるのです。泉の存在を忘れ去って、水を汚しているものばかりに、目を奪われておるのです。 その感激の瞬間、瞬間というのをつなぎ合わせていきなさい。点と点を結んでいきなさい。そうすれば、線ができます。線と線を結んでいきなさい。やがて面ができます。そうして、自分の幸せの空間というものを広げてゆきなさい。 このように、人間は、環境によって、幸、不幸が決まってしまうものではないのです。そのなかにおいて、何をどう感じ取っていくかという、その能力によって、幸、不幸が別れてゆくのです。不幸感覚の強い人間というのは、どうしても不幸になってゆくのです。不幸なことは大きく、幸せなことは小さく感じる人間というものは、自然に不幸な人生になります。しかし、不幸なことは小さく、幸せなことは大きく感じる人間というものは、自然に明るい方面へと向いていかざるをえんのです。 13.神の子として目指す方向は、幸せは大きく、不幸は小さく見ていくこと このように、人生というものの組み立てを、幸せなものは大きく、不幸なものは小さく見ていこうという方向なのです。素晴らしい方向なのです。 人生のなかで、自分の父や母が亡くなることがあるでしょう。しかし、父が亡くなったことを何十年も悔やんだところで、それは何にもなりません。ひとりの人が亡くなった後には、ひとりの赤ん坊が生まれているかもしれない。その赤ん坊が生まれた喜びをわずか一日しか考えず、人が死んだことの悲しみを一年間も悲しんでおったなら、その人は、どうしても幸福にはなっていくことができないのです。 このように、幸福というのは、それを感じとる感覚を磨いていくことによって、ほんとうに得ることができるのであるならば、なぜその感覚を磨いていこうとはせぬかです。 天上界の高級霊たちは皆、素晴らしい幸福感覚というものを持っております。下へ行くほど、不幸感覚が強くなってゆきます。地獄へ行けば、不幸感覚の持ち主ばかりです。被害妄想の人たちばかりです。この地上においても、自分を不幸だと思っている人たちは、決して幸福の世界には来れないのです。 14.人間の永遠の発展は、「我は幸福のみを見つめる」という姿勢のなかにある 地上の皆さんも、努力をして、不幸な自分ではなくて、幸福な自分をつかみ出していく、幸福な瞬間を見つめていく、どうかそういう努力をしていただきたい。かつて自分が歩んで来た人生のなかで、幸福な自分というものを見出してきたならば、これから毎日の人生においても、おそらく幸福を見出していくことができるはずです。 どんなことのなかにも、幸福を見出していける力こそ、あなたの人生における最大の武器であり、最大の力なのです。どんな場面においても、「我は笑顔を忘れす、我は幸福のみを見つめる」、これがほんとうの姿勢なのです。そして、このなかにこそ、人間は、永遠の発展という、本来の課題というものをまっとうしていけるのです。幸福を見出していく能力のない人間にとって、発展はないということです。幸福を見出していける能力のある人間であるからこそ、石段を一段一段と積んでいけるのです。それを、不幸ばかり発見する能力があれば、石段の向こうが、いつ崖(がけ)になるかがわからんのです。 15.高級霊界へ行くほど幸福感覚は強く、地獄の奥ほど不幸感覚が強くなる 今日は、これだけでも知っておいてほしい。つまり、天上界では、上へ上がれば上がるほど、幸福の感覚を持つ人が多くなる。下へ下がれば下がるほど、地獄の奥へ行けば奥へ行くほど、不幸感覚が強くなるということです。それが、人間の心の作用であるならば、それを鍛えていくこと、それこそが、魂の最大の修行ではないでしょうか。 どうか皆さん、外なる目を閉(と)じ、内(うち)なる目を開(あ)けて、内なる目でもって、自分というものをもう一度見つめ直していただきたいのです。そして、そのなかで、ほんとうに幸せだった自分というものを、ひとつひとつ探し出して、心のなかのアルバムにスナップ写真として並べてゆきなさい。そこにあなたの感動の歴史があるはずです。そして、そのスナップ写真こそ、あなたがあの世へと持って還れる唯一の貴重品であり、唯一の財産なのです。どうかそのことを忘れないでいただきたい。以上が、私の今日の話です。