約 220,691 件
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/1374.html
29ページ目 ミニスカート「ただ我が家がここにあるってだけのこと!」 セリ「あぁ、そういうね」 セリ「私はてっきり……ねぇ?」 チヒロ「うん、ああいうことがあるとどうしても……」 ミニスカート「ちょっとぉ! 良心! 貴方はこの場で唯一の良心の筈でしょ!?」 セリ「さて、じゃあソノオの花畑も見たし、次はどこ行こっか?」 チヒロ「そうね……」 チヒロ「貴方のお勧めとかある?」 ミニスカート「え? 観光名所、みたいなもの?」 チヒロ「うん」 ミニスカート「そ、そうねぇ……」 セリ「それに聞くの?」 ミニスカート「“それ”って何よ、“それ”って!?」 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/thvision/pages/1445.html
《邪心の囁き》 No.858 Command <第十弾> NODE(2)/COST(1) 効果範囲:目標を取らず、複数のカードに及ぶ効果 発動期間:瞬間 〔このカード〕はあなたの場のカードが相手プレイヤーの場のカードより3枚以上少なくなければプレイできない。〔全ての相手キャラクター〕をスリープ状態にする。 (自動β): 〔このカード〕のプレイが無効にされた場合、〔相手プレイヤー1人手札〕を全て見て、1枚を選んで破棄する。 「最近新しく出来た寺は大層繁盛してるそうだよ」 Illustration:ティルム コメント 嫉視する夜叉のスリープ版。 相手を破壊するなどの強力さはないが、ブロッカーを軒並みスリープ状態にできることから一気呵成に攻め込むには持ってこいの一枚。 また数で押し切られそうなときもカウンターとしてやくにたつ。 関連 第十弾
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/58020.html
【検索用 こころのないうた 登録タグ 2023年 3774. VOCALOID after こ ぱんきちあんこ もましま 初音ミク 市村くう 曲 曲か 目瀞ちょす 真島ゆろ 餅海もち 驟々みそばた】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:真島ゆろ 作曲:真島ゆろ 編曲:真島ゆろ アニメーション:after(Twitter)・市村くう(Twitter)・inunouen(Twitter)・3774.(Twitter)・驟々みそばた(Twitter)・ぱんきちあんこ(Twitter)・目瀞ちょす(Twitter )・餅海もち(Twitter)・もましま(Twitter) 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『心のない歌』(こころのないうた) 歌詞 (piaproより転載) 掛け替えのないものってなんだろう 生活必需品じゃなくてさ ただつらいとき悲しいとき支えになるもの 時には傷ついて距離を置くもの ほんとは何かに頼らなくても 生きていけるのがいいんだけど でも偏りのない 片腹痛い 変なメロディが 許してくれた そんな気がした 君は僕らの『代わり』だけど 『掛け替えない』のかな? 心ない単調な歌声が 言葉じゃ言えない『本当』に変わってゆく 僕は君になって 君は僕になって パッケージされた同じカラダになって 情けない感情の産声は 拙いシンセサイザーの声になって 点は線になって 線は円になって 意味なんていらない みんな同じだから 右も左もわからないまま ただタップしたサムネの真ん中 耳元から流れ出した電子音が 僕らを迎えた Singularity 口ずさんだこのメロディに 創意工夫のストーリーを 浮かべて 奏でるのさ 心ない単調な歌声が 言葉じゃ言えない『本当』に変わってゆく 僕は君になって 君は僕になって パッケージされた同じ身体になって 心ない純粋な歌声は 言葉じゃ足りない『思い出』に変わってゆく 歌は意思になって 意思は場所になって 完成されたひとつのステージになって みんな醜さを隠しながら 手の中の温もりだけを信じている この世界は案外単純で みんな人間だってことなんだ この歌声で 心繋ごう みんな醜さを晒しながら 本当は暖かいってことを知っている この世界は案外単純で みんな人間だってことなんだ 心を込めた 心のない歌 コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/suifuden/pages/183.html
人心の収穫者 人心の収穫者 コスト:(2)(R)(R) タイプ:クリーチャー - ビースト P/T:3/1 (1)(R)、土地を1つ生け贄に捧げる:クリーチャー1体を選ぶ。 あなたはターン終了時まで、それをコントロールする。 そのクリーチャーは、ターン終了時まで速攻を得る。 コメント 関連 第二弾『幻想回向』
https://w.atwiki.jp/souhei_world/pages/3481.html
伝心の魔眼 [解説] 視線を交わした相手の脳に、自分の思っている事を直接伝達する能力を持った魔眼。 相手の目を視て魔眼にエーテルを流すと、その時の考えなどを声を介さずにダイレクトに伝えるというものだ。 視線を交わす事が前提条件の為、基本的に一人にしか思いを伝えられない。 また、考えを直接伝える為、取り留めのない思考やオブラートに包まない直接的な表現も伝わるので、使用する前に思考をよく整理しておかなければ、何を伝えたいのかが判らなくなってしまうだろう。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/1813.html
登録日:2011/06/21 Tue 18 56 22 更新日:2024/07/15 Mon 19 21 55 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 1977年 70年代テレビアニメ ※土曜夕方17時30分です。 ★ なんだよこの展開… みんなのトラウマ アニメ ガイゾック サムライ サンライズ サンライズ初のオリジナルアニメ ザザンザーザザン ザンボット3 スパロボ スパロボ参戦作 スパロボ補正の権化 トラウマ トラウマ多し ブッチャー モブ厳 ロボット ロボットアニメ 上川隆也お気に入り 不幸 人間爆弾 伊達政宗 作画崩壊 名作 名古屋テレビ 大山のぶ代 富野由悠季 広い宇宙へ羽ばたいていけ 悲劇の主人公 感動のラスト 月 涙腺崩壊 漫画版は別物 無敵 無敵シリーズ 無敵超人ザンボット3 皆殺しの富野 終始シリアス 超人 迫害 鈴木良武 静岡県 駿河湾 鬱展開 鬱展開の嵐 『無敵(むてき)超人(ちょうじん)ザンボット3(スリー)』はサンライズ製作のロボットアニメ。 1977年10月から1978年3月まで全23話が名古屋テレビ・テレビ朝日系で放送された。 原作・総監督は富野喜幸で、ロボットアニメ史上屈指の鬱展開で知られる。 【概要】 それまで東北新社傘下の創映社として『ゼロテスター』『勇者ライディーン』『超電磁ロボ コン・バトラーV』といったヒット作を送り出したサンライズ初の自社作品である。 放送局は当時のアニメとしては異例となる中京地区の名古屋テレビとなった。 以降40年以上にわたった長い付き合いの始まりでもある。 秋田書店『冒険王』にて漫画版が掲載され、劇中の登場人物の生死や技名をはじめ大きく変更されている。 作画担当の岩田廉太郎は手塚治虫のアシスタントであったため、絵柄が手塚作品そっくりである。 長らく未単行本化だったが、2011年に初めて「サンライズロボット漫画コレクション」vol.3として復刊された。 【あらすじ】 静岡の港町に住む近所でも有名な不良少年の勝平と、海底で「宝探し」を行う彼の家族は、実は母星を滅ぼされ地球へ移住したビアル星人の末裔だった。 メカブーストが自分の町を襲った日から、香月ら世間に非難を浴びながらも勝平は地球を守る為、先祖の遺産ザンボット3を操り戦う。 【登場人物】 CVはテレビアニメ版で、それ以外の媒体出演者は()内で解説する。 ○神勝平 CV 大山のぶ代/坂本千夏(スーパーロボット大戦シリーズ) 主人公。12歳でバイクを乗り回す。ザンバード操縦者。 ロボットアニメの主人公そのものな、強気な直情型。口癖は「うるせぇ!」。 ガイゾックから地球を守っているにもかかわらず、先祖がビアル星人という出自から世間や友人から批判・拒絶されることに悩む。 ただ、序盤の頃は、いきなり強力な巨大ロボという力を手に入れた事でかなり増長してる面もあり、 「助けてやってるのによ!」というような台詞や、自分達に罵声を浴びせる一般人を脅かして笑うなど彼自身にも問題がなかったとは言えず、度々仲間や家族から説教されている。 もっとも、最終的にはかなりの成長を見せており、仲間や家族を散々に喪った直後であるにもかかわらず ガイゾックの揺さぶりに飲まれず「皆良い人ばっかりだ!!」と気丈に叫んで見せた。 担当声優はあの大山のぶ代。 もともと大山はメカ音痴であることからロボットアニメの出演は拒否していたが、本作はストーリーの面白さからオファーを受けたことを語っており、「好きだった番組の一つ」として名前を挙げるほど。 一方、ドラえもん役就任後、スーパーロボット大戦シリーズには(ドラえもん勇退以降も)一切参加しておらず、スパロボ作品からは坂本千夏が二代目として引き継いだ。 大山は著書『ぼく、ドラえもんでした』では「あの子(ドラえもん)と一緒にお仕事をしている間は、ほかの声の出演はしたくないなー、という気持ちがとても強くなっていた」と述べており、これが降板の理由と言われている。 ○神江宇宙太 CV 森功至/古川登志夫(10~14話、スーパーロボット大戦シリーズ〈Z以降〉)/神奈延年(スパロボ〈IMPACT・A PORTABLE〉) 15歳。ザンブル操縦者。鬼太郎ヘアで左目が見えないそばかすボーイ。 皮肉屋で勝平と時折ぶつかるが、ガイゾックの仕掛けた同士討ち誘発を見破るなど頼りになる仲間。 最期はザンボットの両手が吹き飛ばされてもはや合体していては勝てないと悟り、ザンブルで特攻する。 なお「冒険王」の漫画版では死なず、戦後は東京大学を目指し猛勉強中。医者の家って大変だなあ…。 ○神北恵子 CV 松尾佳子 ザンベース操縦者。金髪ポニテ。美脚で可愛い。牧場を営む父のおかげで乗馬をこなせ、洋弓も得意。 当初は13歳だったが、12話にて誕生日を迎えたため14歳となる(しかしよりにもよってブッチャーと同じ日だった)。 おてんばな一面と、おしとやかで繊細な一面も併せ持つ少女。真面目な性格もあって勝平と宇宙太の仲裁に入ることが多い。 最期はザンブルを特攻コースに誘導、随伴して命を散らす。 なお「冒険王」の漫画版では宇宙太共々生還する展開になっている。 《その他の神ファミリー》 ●神家 ○源五郎 CV 岡部政明 勝平の父。漁師の網元。勝平に世間を憎むなと諭した。 地球に送った妻の花江たちのカプセルを守る為、ビアルⅢ世で赤騎士デスカイン、青騎士ヘルダインと刺し違える。 ○一太郎 CV 野島昭生 勝平の兄。メカニック役。母親似。 勝平を戒める為に、攻撃されているザンボットの制御を奪い放置する荒療治をした。 最期は弟を助ける為、バンドックを地球降下軌道に乗せた後ビアルⅠ世と燃え尽きた。 漫画版では死なない。 ○花江 CV 川島千代子 勝平の母。太っていて、銃片手に暴走した香月を止める肝の据わった人。 彼女の殴打が無ければ香月の更正は無かったかもしれない、という意味では地味ながら重要な人物である。 ○梅江 CV 武知杜代子 勝平の祖母。勘違いされがちだが兵左衛門の奥さんではない。好きな人の為なら戦地へも突撃するパワフルばあちゃん。 最期はバンドックの弱点(漫画版ではメカブースト・ダイガルン)にビアルⅡ世で特攻する兵左衛門に連れ立ち、長い生涯を閉じた。 ○千代錦 神家のペットの犬。大抵勝平と共にザンバードに乗り込んでいた。ザンボット3に合体する時1(ワン)のコールを鳴き声で担当するコメディ要素も見せている。 最終話でバンドック内部の自衛システムに撃ち抜かれて死亡、勝平は愛犬すら失って1人きりでラスボスと対峙することになる。 ●神江家 ○大太 CV 滝雅也 宇宙太の父。東京湾臨海地域で医師をしている。 最期は一太郎と共に勝平を助けて亡くなった。 ○すみ江 CV 加川三起 宇宙太の母。自分勝手に戦闘からビアルⅡ世と逃亡して宇宙太をガッカリさせた。 ○和行 CV 川島千代子 宇宙太の弟。人間爆弾の存在を初めて知って報告、キングビアルをオープンゲットしてミサイルを避けるなど活躍した。 ○きいろ CV 松尾佳子 宇宙太の妹。和行と比べて空気。 ●神北家 ○兵左衛門 CV 永井一郎 恵子の祖父で、一族の長老のため、勝平も「じいちゃん」と呼ぶ。実質的に対ガイゾックの指揮官。 勝平たちをザンボットに乗せる決断をした。「さぁて、どう戦い抜くかな?」の次回予告が有名。 最期は後世に託してビアルⅡ世で梅江と共に散る。 ○久作 CV 島田彰 恵子の父。長野で牧場を経営していた。実はブッチャーと中の人が同じ。 最期は一太郎と共に勝平を助けて命を落とす。 ○由美子 CV 浦山紀子 恵子の母。しっかりした人で心を鬼にして恵子に会わなかったこともある。 ○公子 CV 加川三起 恵子の妹。神ファミリー唯一のメガネっ娘。空気2。 《香月組》 ○香月真吾 CV 古川登志夫 勝平の友人でよくケンカをしていた悪友のようなポジション。 しかし、ザンボットやメカブーストという常軌を逸した力のぶつかり合い、今まで対等に接していたと思っていた友人とその家族が、 「急にすごい力を持ち出してどんぱちしだした」という状況を消化できず、 さらにザンボットとメカブーストの戦いの二次被害で母と妹と生き別れたため勝平達を目の敵にする。 彼が「神ファミリーのせいで皆被害を受ける」と率先して言いまわったことで、ザンボット3の作風が決定付けられた。ある意味で重要な存在である。 その後もある時は恵子を人質に、銃を片手にキングビアルに侵入、内部を滅茶苦茶に荒らしたことも。 しかし、戦いが進むにつれ、勝平達が体を張って戦う姿を見た事、自身もガイゾック達の遊び半分な殺戮を目にしたことで、 神ファミリー最大の理解者&勝平の最高の友になる。 状況を正確に理解してからはガイゾックとの最終決戦にまで同行するまでになった。 漫画版ではブスペアと祖父母を失い失意の底にいた勝平に生きる希望を取り戻させるべくわざと引っぱたいて「悔しかったらガイゾックをぶっ飛ばしてお礼しに来い」と啖呵を切る。 ラストページで明らかお釣りの加わったお返しを食らった。 ○浜本 CV 石丸博也(13話)・水島裕(17話) ★にされた。周りに被害を出さない為に勝平達と別れたのち死にたくないと本音を吐露する姿はもはや涙腺崩壊兵器。 漫画版では未登場ゆえに人間爆弾にはされなかったが、その代わり、ミチが人間爆弾にされてしまう。 余談だが、浜本役の1人である水島氏は後に、人間爆弾のような運命を背負う主人公を演じる事になる。 ○林 CV 井上和彦 ★。掃除機メカブーストに吸い込まれる直前に爆発させられた。理由は「★にする前の人間を爆発で殺さないため」。マジキチィ…。 《ブスペア》 ○アキ CV 川島千代子 勝平を一時期憎んでいたが、メカブーストから避難所を必死に守る姿を見て和解。 その後、ガイゾックに捕らえられながらも、勝平に救出され、キングビアルに保護されるが、彼女の背中には★が…。 爆発した際、高温の防火シャッターを構わず叩き、彼女の名前を叫び続ける勝平を見るのが辛い…。 漫画版でも人間爆弾で死んでしまうことに変わりはないが、勝平のために爆弾を起動させるという、最後の愛を見せる。 ○ミチ CV 加川三起 元から勝平が好きだった女の子。やっぱり一時期嫌ってはいたが和解。全てを終えて眠ってしまった勝平を膝枕で迎えた。 漫画版では未登場の浜本の代わりに、人間爆弾にされてしまうが、アキと同じことをする。 《ガイゾック》 ○キラーザ・ブッチャー CV 島田彰 ガイゾックの指示で動くサイボーグ。太り気味の体にスキンヘッドのタラコ唇。皮膚が緑色。 虐殺が大好きな鬼畜外道で、人間の和平大使を拘束、風船を付けて高高度から弓矢で墜落死させた。…手間のかかることを。 初期はサウナや風呂から指示を出し誰得なサービスを披露。もう殺してしまえ。そして恵子のサーb(ry かつてはある未開の星の住人だった。 『スパロボZ』でガイゾック達の異常な会話を見て「こいつらヤベエ…」「いくらワシでもそこまではせんぞ」とドン引きするベガ大王は必見。 ○ガイゾック CV 渡部猛 ラスボス。正確には(ガイゾック星人が作った)「コンピュータードール第8号」。バンドック内にある巨大な脳。 憎しみや妬みなどの負の感情を一定量感知すると、その星を破壊しに現れる。「弱いアンチスパイラル」みたいな認識で大体あってる。 地球人という「悪」を倒すために襲ってくるという当時としては斬新なラスボス像が物議を醸したが、 アニメ本編での台詞や描写が少ないため、神ファミリーと地球人の諍い以外の事で 視聴者に判るような地球人を悪と断じた材料や描写が無く、さらにビアル星を滅ぼした事についても情報が少ない 他人には「お前ら悪だから殺すね」と言っておきながら、いくら悪認定した生命体とは言え 倫理もへったくれもなく面白半分に嬲り殺すブッチャーの所業を止めていないなど行動判断の基準が割りと不明瞭である。 その為スーパーロボット大戦等のクロスオーバー作品では他のロボアニメやオリジナルキャラに影響を受けて 人類抹殺を企てている「何かしらの手駒」「暴走した機械」のような存在にされる事が多い。 実際の所アニメでははっきりしたことは語られておらず、実態がどのようなものなのかは想像に委ねられている。 ちなみにガイゾックはSF小説「バーサーカー・シリーズ」にインスパイアされていると言われている。興味が出たら読んでみよう。 《一般人》 作中の重要な要素である「被害者」にして「加害者」。 ザンボット初出撃時には、戦闘機のパイロットが親しげに勝平に語りかけるなどそう悪い反応を示してはいなかったのだが、 「神ファミリーのせいで地球が襲われる」という風潮が蔓延して以降は、神ファミリーを別の角度から追い詰める要因にもなった。 もっとも神ファミリー自体、国から公認されてる訳でもないそこらへんの一般家庭であり(*1) また事前に説明するでもなく急にどんぱち始めている上、勝平のミスで不要な被害を出してしまったケースもあるので、一般人が猜疑心に苛まれるのも無理の無い事だろう。 とは言え、話が進むに連れて、勝平達の命がけの戦いが功を奏し、9話あたりを境目に、少しずつではあるが理解者が増えて行った。 物語後半になると神ファミリーを非難する描写も減り、浜本も最後間際には、自身を申し訳なさそうに見る勝平に対し恨み節ではなく、 「かっこよく散らせてくれ」と強がって見せたり B.ジェイムスのように、大局的な勝利のために自らを犠牲にし、最後には神ファミリーに檄を飛ばして散る軍人、 人間爆弾にされたことで逆に他の人質を逃がしつつ、ガイゾックに一泡吹かせようと、華々しく散った漢が居るなど 決してこの作品に登場する「地球人」全てが悪意に満ちた存在という訳ではない。 最終的には国がザンボットを接収しようとした際、国が用意した「大人のモブ兵」が「勝平達との力量の差」を見せられて大人しく退き、 地球人類の貴重な戦力であるザンボットを民間人である神ファミリーに委ね、私情から決戦に挑もうとする彼らを見送るなど、扱いがかなり向上している。 【メカ】 特徴として名前にバ行が入る。 □ザンバード 勝平が操縦。戦闘機。 ザンボエース時の両足が機首にあたり、足の甲の部分にキャノピーで覆われたコクピットがある。向かって右に勝平、左に千代錦が乗る。 ザンボットの頭と胸。 ↓変形↑ □ザンボエース 人型。コクピットは足から頭部へ移動。連射可能でグレネードやスコープ等のオプションも装備可能な単発銃、ザンボマグナムで戦う。SEはファーストガンダムのビームライフルと同じ。 □ザンブル 宇宙太が操縦する重戦車。武器はミサイルやアームパンチ。ザンボットの腹と腕。 □ザンベース 恵子が操縦する偵察・分析担当の爆撃機。ザンボットの両足。 ザンボットコンビネーション! 1(ワン)!! 2(ツー)!! 3(スリー)!! □ザンボット3 上記の3体が合体した巨大ロボ。人型で伊達政宗の甲冑がモチーフ。 武装もグラップ(サイ)、ブロー(槍)、カッター(刀)、バスター(手裏剣)と和風。 必殺技は「ザンボット・ムーンアタック」。両手と頭の月にエネルギーを溜めて、頭から三日月形の塊を放出。敵に当たる前に月が取り囲むような軌道が特徴。 眠狂四郎の円月殺法にどことなく似てる。 装甲はめちゃくちゃ頑丈であり、第20話では全身のパーツ全てが水爆のアンモスガーの自爆から、海に潜っただけで大破を免れていた。(流石に直撃したらヤバかったらしい) バンドックとの最終決戦で両腕を破壊されてしまい、戦闘続行不可能となる。変形機構が多すぎて火器内蔵が難しかったのだろうか 後に『鬼滅の刃』で思いっきり技をパクられる □キング・ビアル 神ファミリーが乗る戦艦ビアルⅠ〜Ⅲ世が合体した形態。武器はミサイルやイオン砲。 水爆にすら耐えるザンボット3に不本意ながらダメージを与えたあたり結構強いのだが、スパロボでは『Z』までユニットとして登場せず。 □バンドック 敵の総本山でもある巨大戦艦。人間爆弾やメカブーストの製造、ガイゾックの内蔵もしている諸悪の根源。 凄まじい量のミサイルや、シャワーノズルのように多角に撃てるレーザーも完備。 ちなみに警報音はホワイトベースと同じ。 防御も充実して接地した状態で張るバリヤーはザンボット単体では突破出来ず、これまたザンボットでは耐えきれない深海に潜航可能。 遮光器土偶にそっくりな顔だちをしている。 ビアルⅠ世の臨時イオン砲を使ったザンボットに撃退された。 【スーパーロボット大戦シリーズ】 初参戦は『第4次スーパーロボット大戦』。 悲惨なシナリオは殆ど再現される例がなく、何らかの形で救済措置が取られるなどスパロボ補正の対象となることが多い。 コンピュータドール8号に対しても、他作品のキャラクターが「詭弁を言うな」「それは独善だ」と論破し、原作最終回ほど勝平が苦しめられることはない。 まあそれはそれとして人間爆弾イベントが恒例の如く挟まれたりするのだが。 参戦する場合はほぼ100%の確率で次回作『無敵鋼人ダイターン3』との同時参戦になる。 そのため、(世界観が繋がってるわけでもないのに)ダイターンとの合体攻撃が挟まれることも多く、 『Z』シリーズではトライダーG7も加わった。 『R』では原作最終回の状態で開始となりザンボット3も出撃不可能なのだが、ガイゾック(ドール8号)は倒せなかったため戦略的にはほぼ無傷のままという 原作に輪をかけた最悪の展開になっていた。 しかし、主人公達が過去に飛びガイゾック戦役に干渉したためにドール8号が白日の下にさらされ、遂に完全にガイゾックは滅亡。 エンディングでは神ファミリーは全員存命となり、ナデシコCと共にキャンベル星との講和に向かった。 『V』では初の本編終了後参戦になったが、流石に本編最終回から直結させると『R』宜しくザンボエース以外機体が無い状態になるので、 『ナデシコやソレスタルビーイングが協力してくれたため、ガイゾックとの決戦ではザンボット3はかろうじて全壊に至らず、宇宙太と恵子(あと一太郎と千代錦)は生存できた。』という原作よりだいぶセーブされた終わり方になった。それでも、兵左エ門や源五郎は亡くなっているので、やはり神ファミリーの心に残った傷は大きい。 そんな失意の底にいた3人が再び戦いの荒野に舞い戻る道を選んだ時、万丈やナデシコクルーといったかけがえない友がいたことは、何よりも幸いであった。 他作品との絡みでは、『勇者特急マイトガイン』のショーグン・ミフネがザンボット3を気に入り、奪い取ろうとしてくる。 【用語】 ○ビアル星 勝平たちの先祖が住んでいた星。漫画版によれば数千年にも渡り一切の戦争が無かったとされるなど科学水準が高かったが、ガイゾックに滅ぼされる。 回によって滅ぼされた年が300年前だったり200年前だったり150年前だったり安定しないが、まあ恐らく地球に辿り着くまでの時間が100年くらいかかったという事なのだろう。 ○ガイゾック 今作の敵方。地球を侵略する為、メカブーストという巨大ロボットを繰り出してくる。 ガイザックではない。 ○人間爆弾(★) ブッチャー考案の作戦。人間に爆弾を埋め込み、記憶を消去、解放して生活先で爆発させる超絶鬼畜戦法。 爆弾は人類の技術では解除不可で死を待つしかない。 人間爆弾か見極める方法は背中の黒い星★のアザ。 今ならきっとBPOがすっ飛んでくるトラウマ兵器。 【小ネタ】 予算がなかった為に作画の大小のチェックミスが多い。富野御大ですら「ひどい作画だった」と悔やんでいるほど。興味のある人は「ザンボット3出現!」の恵子の戦闘服、「スカーフよ、永遠なれ」の合体前のザンボエースの脚部を注意して観るといいかも。キャラクターデザインを担当した安彦良和は、「優秀な作画監督をつけるように」という趣旨のオーダーを出していたが、予算等もろもろの都合で叶わなかった模様。 第20話「決戦前夜」はいわゆる再生怪人ならぬ再生メカ回なのだが、話数調整で急遽追加されたという。予算や時間の制約の多い中でバンクや止め絵を駆使した、ダイターンや劇場版ガンダムなどでも発揮される富野の編集手腕が光る回である。 劇中では最終決戦に間に合わず実現しなかったが、神ファミリーはザンボットを量産することを政府に提案していたりする。 「民間人に迫害される主人公達」「救いが無い」「全滅エンド」という印象で語られる事が多いが、実際には一部の家族や香月が最終決戦前に地球に送り返されているし、「勝平の「俺達、くだらないことなんか…しなかったよなあ…なあ、アキ…」という台詞に応じるように、最後には勝平達が守った人々(*2)が勝平の生存を喜びながら迎えに来る所で話が終わっている。また、上記のように物語後半になると神ファミリーへの迫害等はほぼ止んでいたりする。 お前…勝平のこと、好きなんだろ? あたし、ブスだから…… いいじゃねぇか。俺だって好きなんだ、コイツに惚れてんだ! 一方で2017年刊行の『グレートメカニックG2017AUTUMN』のザンボット3特集で衝撃の事実が明かされた。小説版においては最終回で人々が勝平の元に集まってきた本当の理由が「宇宙人の最後の生き残りを葬り去るため」であることを暗示する締めになっていたらしい。小説版は未公開のままで富野監督が墓まで持っていく予定であり、TV本編とどこまでリンクしているのかも不明であるが、「未発表に終わってよかった」と胸を撫で下ろしたファンは多い。 ネタバレステルス 神北恵子の戦闘服が何故か勝平と同じ赤だったり、溶解されたはずの脚が再生、逆の脚が溶けている。…さすがドラえもん? さぁて、どう追記・修正するかな? △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ↑3 ひえぇ…未公開で本当に良かった… -- 名無しさん (2018-05-03 23 05 28) バトルスピリッツブレイヴの主人公は世間や友人、更には家族からも迫害を受けてて余計悲惨。しかもその原因が同じ人間の手によるものだし -- 名無しさん (2018-05-06 11 24 02) コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2018-05-26 22 33 50) 野暮なことだが、一つだけ突っ込みせてほしい。……『無敵』じゃないじゃん! 最終回で中破して、ザンブルとザンベース特攻したし! -- 名無しさん (2018-05-27 07 22 20) バルディオス「気にするな!『明日を救え』と歌われて救えなかった俺が言うんだから気にするな!」 -- 名無しさん (2018-11-11 11 02 36) ブッチャーは「楽しんで」殺してるから負の感情では無いと判断されてるんじゃないだろうか。まともな価値観の奴だと義憤や罪悪感を感じて「悪」と判断されて処分されるのかも -- 名無しさん (2019-09-24 00 13 16) ↑3 勝てばええねん! -- 名無しさん (2019-10-07 13 16 08) あの世界は最後の戦い以降どうなったでしょうねぇ残されたザンボット3の設計図にまだいるかもしれないコンピュータードールと火種は尽きないようですがさぁて、どう戦い抜くかな? -- 名無しさん (2020-02-20 23 42 44) ガイゾックはきっと、創造主の星に人々の腐りきった心に絶望した生みの親が、「目標の種族の悪い面だけ察知して、よい面は評価しない」ようにプログラムされていたからじゃないか説を出してみる -- 名無しさん (2020-07-17 09 49 10) 楽しんで殺す奴は良心の呵責を感じないから戦力としては使いやすい。要するにガイゾックが唱える善悪も結局はガイゾックの価値観に基づいたものでしかないってことだろう。否定されたのは勝平の正義じゃなく、正義や善悪って概念そのものだと思ってる -- 名無しさん (2021-08-04 19 36 38) ↑7 それを言ったら超人でもないじゃん!ロボットじゃん!! -- 名無しさん (2021-08-04 21 43 25) スパロボzだと思いっきり反論されてましたねガイゾック。 -- 名無しさん (2021-08-07 18 05 54) 「本当に強いのは人の意思であってロボットではない、だから『無敵ロボ』ではなく『無敵超人』とした」って話を聞いたことがあるな -- 名無しさん (2021-08-22 22 27 43) 富野監督曰く「最終話の放映後、プロダクション、スポンサー、広告代理店が真っ青になった」 -- 名無しさん (2021-08-22 22 53 24) 「小説版は未発表なので正史にならないのが幸いである」って書いてあるけど、小説版は結局別メディアである以上、そっちがどんな結末を辿ったとしてもそれがテレビ版の真相にはならんでしょ。まして富野作品のノベライズなんてテレビ版と大幅に違う展開になることもしょっちゅうなんだし -- 名無しさん (2021-11-28 00 08 27) 本編は確かに作画崩壊のオンパレードだがOPは出色の出来。やっぱり企画はしっかりしてたから気合いが入ってたんだろうか。 -- 名無しさん (2021-12-12 12 48 25) 少し前に全編通しで鑑賞して、最終回はボロ泣きしながら観てたんで、やれ鬱だトラウマだ全滅だって風にばっかり語られてるのが悔しい。根本にあるのはあくまで人間讃歌だよ。 -- 名無しさん (2022-03-03 20 35 26) 項目内でも触れられてるけど、ブッチャーみたいなのを野放しにしてる時点でコンピュータードールには説得力なんて微塵も感じなかったな。 -- 名無しさん (2023-03-18 09 20 15) ↑結局ガイゾックも全然正義じゃないんだよな。手前勝手な「正義」を振り翳して命を弄ぶガイゾックを、ただ目の前の誰かを守ろうと命張って戦い抜いた勝平が打ち破った。負け惜しみに言った「お前達に守ってくれた誰が頼んだ?誰もお前達に感謝なんてしない」に対して待ち受けてたのは今まで勝平が守り抜いてきた市民からの温かい歓迎だったのを見れば、本当に正義を否定されたのは勝平じゃなくガイゾックの方なのは明らか -- 名無しさん (2023-03-18 09 38 25) ガイゾックを見ている限り、神を気取った自己中心的なコンピューターにしか見えないから破壊されて当然だわ。むしろこんなガラクタにも劣るような物を生かしておけば身勝手な判断による被害者がまた増えるだけだし -- 名無しさん (2023-08-27 13 11 12) 勇者シリーズの原点。「ダ・ガーン」の一話がこれの一話と殆ど同じ展開だったのには笑った。ライターが同じと言う事もあるが。 -- 名無しさん (2024-05-18 16 32 55) >残されたザンボット3の設計図 サンライズ時系列的にはこれをもとにGGGロボが開発された、と言う設定でも無理はないな。 -- 名無しさん (2024-05-18 16 35 22) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/babai/pages/24.html
悪夢は、夢が個人的なものである以上、その人が理解せねばならない特別の事柄を示している。そしてその理解は、理解に対する理解(反省)を必要とし――全ては、全ての人が「夢のような」幸福を感じられるような結論へ、善良な人へと導かれるような結論へ為されねばならない。例:民衆は天才に、人民は貴族に、人間は神に、地上は天国に、地球は太陽に、万人はひとつに。 つまり、悪夢に対する勝利は、健全で目覚めた理性にあるのだ。健全で目覚めた理性の鍵は、良心にある。良心は今は――天国で眠っているが、人は地上にあっても目を覚ますことが出来るし、そうならねばならない。そのときは、地上は天国に移行するか、あるいはこの私が地上となって、降り注ぐ良心の王座を、形成するのだろう。 おいおい
https://w.atwiki.jp/mayyugioh/pages/317.html
「センセ、今日は何を見せてくれんだ?」 「ああ、あの子が作った機械をね。結構興味深いわよ」 「あの失敗作の山か? そういやハカセはどこ行ったんだ?」 「そういえば、姿を見てないわね。また新しい機械を作ってるんじゃない?」 笑いながら並んで歩く美琴と英理。 今日は英理の弟子である発明家を笑いに行くようだ。 しかし、肝心の本人はここ数日姿を見せていない。何が起こっているのか、二人は知らない。 「しっかし、このデュエリスト狩りってのはなんなんだ?」 「さあ?」 公園の壁の掲示板。そこに貼られた小さな紙には、巨大な機械族を使うデュエリストによる、デュエリスト狩りが横行している……と書かれている。 「巨大な、機械……? まさか、な。あいつはそんな人間じゃねえや」 「同感ね。抜けてて迷惑ばっかりかけてるけど、根っこはいい子だしね」 ともに知り合いを思い浮かべたようだが、二人ともすぐに否定する。 ……しかし、そんな思いは公園からの爆音で否定されることになった。 「顔、見てみましょうか」 「ああ」 急いでその公園に入っていく。 「あははっ、これも違う。美琴はどこ?」 そこには、ほうほうの体で逃げ出すデュエリストと、二人がよく知った顔。 笑いながら相手を破壊する、朝霧菫の姿があった。 ただ、普段と違っているのは美琴もよく知っている、命従士の衣装を纏っているところ。 今デュエルしていた相手は幸いにも逃げ出せたようだが、病院送りになったデュエリストもおそらく多いだろう。 「ハカセ、あんた……」 「あ、見つけた。美琴……見つけちゃった」 にへらにへらとしまりのない笑顔を浮かべ、歩み寄る。 「迎えに来たのよ。私と一緒に、素敵な世界に行きましょ?」 「……チッ、イっちまってる! センセ、こいつは……」 「わかっているわ。そこね」 デュエルディスクに備え付けられたレーダー。 そこにはその場にいた3人のほかに、もう一人の反応があった。 「あーら、バレちゃった。結構うまくいってたのに」 空間が歪み、人の形が浮かび上がる。そこから現れたのは今まで何度となく戦いを繰り広げた仇敵……リリカの姿があった。 『光学迷彩アーマー』のカードを持って、残念そうに笑う。 「やっぱり、得体の知れないカガクなんて、ダメね」 「お前ッ! まさかハカセを命従士にしたのか!?」 怒りをあらわにし、詰め寄る美琴。 「あら、勘違いしないで? この子は命従士にするには少し賑やか過ぎるわ。 まだ見習いよ。せいぜい命従人形ってところね。着せ替えだけはさせたけど」 その言葉通り、菫の眼光からは意思の輝きは完全に消えている。 今の菫の瞳は、ガラス球をはめ込まれたような人形の目をしていた。 「ご主人、目標を見つけました」 その虚ろな瞳のまま、菫がリリカに傅き、頭を垂れる。 「あらご苦労様、それじゃ、せいぜいがんばって倒してちょうだい?」 「了解しました」 完全に服従の態度でリリカに接する菫に、二人は言葉を失う。 「あなたに勝ったらね、命従士にしてあげる約束してるのよ。タトゥーはどこにしてあげようかしら? そのバカみたいに大きい胸もいいし、肩なんかにも、いや、頬? ふふふっ」 リリカは嘲るように体のさまざまな部分を指差す。 「ふざけんなよ! 見てろ、ハカセは絶対取り返してやる!」 息巻く美琴に、あくまで嘲る態度を崩さずにリリカが返す。 「お人形になるときまで、あなたに謝ってたわよ? ごめん。ごめん……って。 あ。そうそう、ちゃんとその辺もケアしてるのよ。賢いでしょ?」 「どういうこった?」 「まだお人形だから完全には洗脳しきってないの。デュエリスト狩りをさせてたのもこのため。 心はちゃーんと今の自分のしてることを見てるわ。万が一元に戻っても、良心の呵責ってやつ? それに耐えられずにおかしくなっちゃうかもね。 泣きまねしてるだけで簡単に引っかかるほどの、お人よしさんだもん、クスッ」 「っ、リリカァァァッ!!」 人の良心までも踏みにじり、自分のために利用する。そんなリリカの所業に、美琴は怒りを爆発させた。 しかし、今にも飛び掛らんとするのを、さえぎる手があった。 「センセ、止めるな! こいつはアタシがブッ潰す!!」 「そんな状態では勝てるものも勝てないわ。私に任せなさい」 「でも!!」 「しばらく頭を冷やしてなさい。不出来な弟子を教育するのは師匠の役目よ」 そう言われ、少し冷静さを取り戻し一歩下がる。 「っ……わかった。でも、頼むぜ」 「当然よ。さ、始めましょ?」 「でもよセンセ、もしかしたらこれがハカセの……」 かつて自分が操られたとき、悲しい顔を浮かべていたといわれた。 ならば、笑っている菫はこれが本心なのだろうか? そういう疑問が頭をよぎった。 しかし英理は即答する。 「その可能性はゼロね。これが心からの笑顔に見える?」 美琴があらためて見た彼女の笑顔……いや、笑顔というにはあまりにも不自然な表情。 まるで本当の表情を塗りつぶされて、笑顔の面を貼り付けられているようだった。 「そ、そうか。そうだよな! まったく、こんなときまで人騒がせなんだからよ、待ってろ。すぐに叩き起こしてやる!」 「あらあら、本命は隠れちゃうの? つまんなーい」 舌を出しておどけるリリカと美琴の前に、英理が立ちはだかる。 「何とでも言いなさい。さあ……特別授業の時間よ。 バカ弟子と、非行児童のね」 「いいわ、まとめて奪って、命従士にしたげる! 行きなさい、お人形!」 「……仰せのままに」 二人はデュエルディスクを構える。 「デュエル!」 そうして、デュエルが始まった。 「先攻は私がもらうわ。ドロー」 デュエルディスクのシステムにより、先攻に選ばれた英理がカードに手をかけ、ドローする。LPは5000で始まる、少し変則的なデュエルとなった。 そうでもしなきゃすぐ終わっちゃうから、チャンスをあげるとリリカは嘲笑を込めて言った。 「マシンナーズ・スナイパーを召喚。永続魔法カード・機甲部隊の最前線を発動させてもらうわ。そしてカードを2枚伏せて、ターンエンドよ」 英理の背後から、まるで兵舎のような建物が出現する。 さあ、どう出てくるか。まずは様子見といったところである。 「私のターン、ドロー!」 いかにも楽しそうな、しかし無理やり出されているような、そんな菫の声。 「私は、無頼特急バトレインを召喚! そして、マシンナーズ・スナイパーに攻撃!」 「相討ち狙い? いったい何をたくらんでいるのかしら」 攻撃力はお互い1800、暴走する列車が狙撃兵に向かって突進する。 冷静に狙撃兵は車輪を撃ちぬき、制御不能としたが、勢いのまま半回転し狙撃兵もろとも吹き飛ばし爆発した。 「機甲部隊の最前線の効果を発動、私はマシンナーズ・ピースキーパーを召喚するわ」 「ふん……カードを1枚セットし、ターンエンド。エンドフェイズに墓地へ送られたバトレインの効果を発動。 レベル10の機械族・地属性のモンスターを手札に加える。私は深夜急行騎士 ナイト・エクスプレス・ナイトを選択!」 残骸と化した列車から現れた小さな貨物列車が、1枚のカードを菫にもたらす。 藤山英理 LP:5000 手札:3 場:ピースキーパー(守) 伏せ魔法罠2・機甲部隊の最前線 朝霧菫 LP:5000 手札:5 場:伏せ魔法罠1 「破壊をトリガーにサーチ、そこまではいいけど、場を空にするのは何かの作戦かしら? 私のターン、ドロー。」 冷静さを崩さず、カードを見つつ戦略を練る。 「マシンナーズ・ディフェンダーを召喚。ダイレクトアタックよ」 本来は守衛を担当する機械だが、今回は攻撃を仕掛ける。 肩に乗せた機銃が朝霧に向いた瞬間、朝霧は笑みを浮かべた。 「待っていたわ! 手札の除雪機関車ハッスル・ラッセルの効果発動! このカードを手札から特殊召喚して、自分の魔法・罠カードすべてを墓地へ送り、その数に200をかけたダメージを与える! スノー・フォール!」 けたたましい音とともに現れた機関車。菫の場にあった『神の警告』のカードとともに跳ね上げられた雪が、英理を直撃する。 「く……なるほど。カードを1枚伏せて、ターンエンド」 「私のターン、ドローよ!」 うかつであったか。現在のところ、守備力3000の牙城を崩せる手はない。 英理が喋り終わるより早く、菫がカードを引く。 「私は深夜急行騎士 ナイト・エクスプレス・ナイトの効果を発動! 元の攻撃力をゼロにする代わりに、リリースなしで召喚が可能になる!」 電車を背負った騎士が現れ、その電車を走らせる体制にするよう寝そべる。 これにより最上級モンスターがいとも簡単に2体揃ってしまう。 「覚悟はできたかしら? 私はハッスル・ラッセルとエクスプレス・ナイトでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!! 狂気の知識が交わるとき、その結晶は死を撒き散らす! 世界に破壊をもたらせ! 超巨大空中宮殿ガンガリディア!」 空から雲を裂き、巨大な建造物が降下する。栄華を極めた宮殿も、今は狂気の温床と化した廃墟にしか見えないが。 「ガンガリディアの効果発動! 相手の場にあるカードを1枚破壊し、相手に1000ダメージを与える! メガトンダイブ!」 ガンガリディアがさらに降下し、英理の場に降りてくる。 先ほど伏せられた次元幽閉ともども、英理を踏み潰し、再び上昇していく。 「ぐううっ……効くわね、これは。でも、これであなたのガンガリディアは攻撃の権利を失うわ」 「そんなことは知っているのよ……これさえ、この素晴らしい力さえあれば、そんなのは無に帰すわ! RUM-バリアンズ・フォース発動!」 「それでいいのよ、お人形。力を貸してあげるわ」 リリカが指をはじくと、菫の手の甲にまがまがしい紋章が姿を現し、同じ紋章が記されたカードが手札から現れる。 「バリアンズフォース……センセ、気をつけろ! 来るぞ!」 一度その力を使った美琴が叫ぶ。あの時も非常に強烈なモンスターが現れた。 しかも今度は母体が母体である。恐ろしさは想像に難くない。 「ガンガリディアでオーバーレイ・ネットワークを再構築! 究極の宮殿よ、すべてを灰燼に帰すために、鎧を纏いて死と破壊の嵐を巻き起こせ! 現れろ、CX-超巨大空中要塞バビロン!!」 ガンガリディアが混沌の渦に飲まれ、新たなモンスターが現れる……はずだった。 しかし、二人の眼前にはそれらしきモンスターは存在しない。代わりに、まるで日が落ちたように暗くなっていく。 「なんだ、空が曇って……いや、違う! 上だセンセ!!」 そのモンスターは、全員の頭上に存在した。まるで太陽を隠すかのように、全員をその巨体の影で覆う。 「あははは! よくやったわお人形。こんな大きいだけのガラクタでも使いではあるのね!」 「攻撃力、3800……なかなか厄介ね」 後ろで戦いを見ながら無邪気に笑みを浮かべるリリカ、それと対照的に渋い表情の英理。現在の両者の明暗を示しているかのようである。 「覚悟はできたかしら? 超巨大空中要塞バビロンで、マシンナーズ・ディフェンダーに攻撃! グロース・シュトラール!」 巨大な砲塔から、それに見合った巨大な光線が放たれ、ディフェンダーに殺到する。 「速攻魔法、月の書! これでディフェンダーを裏側守備表示に変更するわ!」 月の光が降り注ぎ、ディフェンダーは守備の体勢を取る。 しかし、その月光すらも飲み込む暴虐の光は止まらない。瞬く間にディフェンダーは光に飲み込まれ、バラバラになった。 「ディフェンダーのリバース効果を発動。デッキから、督戦官コヴィントンを手札に加えるわ」 「それがどうしたの? バビロンの効果発動よ! 相手モンスターを戦闘で破壊したとき、その攻撃力の半分のダメージを与える! ファイナル・オメガショット!」 最悪の事態は免れたが、今度は英理にバビロンの爆撃が襲い掛かる。攻撃力が少ないのか当たる数が少ないとはいえ、なかなかの脅威だ。 「なかなかきついものがあるわね。最前線の効果で、マシンナーズ・カノンを特殊召喚させてもらうわ」 「攻撃力0のカノンなら、逃れられるとでも思ったの? 甘いわよ! バビロンのもうひとつの効果発動! ガンガリディアをオーバーレイ・ユニットにしているとき、 ユニットをひとつ取り除いてもう1回攻撃が可能になる! リーズィヒ・シュトラール!!」 ユニットによりエネルギーが急速に上昇し、1回目以上の出力を伴ったレーザーが射出。 爆風と煙がフィールドを包み、しばらく互いが見られなくなるほどの光線は、今度はピースキーパーを飲み込んだ。 「脆いわ! さあ、またバビロンの効果発動! ダメージを受けてもらうわよ!」 「ピースキーパーの効果発動……デッキからユニオンモンスター1体を選択し、手札に加える。マシンナーズ・ギアフレームを手札に加える。 そして残念だけど、もう私のデッキにこれより低い攻撃力のモンスターはいない。よって効果は発動しないわ」 爆撃が降り注ぐ中、ピースキーパーのアラートが鳴り響き、それに応じてデッキからモンスターが手に加わった。 「いくら手を増やしても、もうどうしようもないわ! ターンエンドよ」 藤山英理 LP:3150 手札:3 場:マシンナーズ・カノン(守) 伏せ魔法罠1・機甲部隊の最前線 朝霧菫 LP:5000 手札:2 場:超巨大空中要塞バビロン(攻) 伏せ魔法罠1 「センセ……どうすんだ、こいつ……」 ただでさえ攻撃力3800という巨大なモンスター。さらにバーン効果に、2回攻撃と、攻撃に関しては完璧な性能。 バーン効果を読んで出したカノンも裏目に出て、美琴の顔が珍しく、青ざめていた。 「センセなら、なんか考えてるんだろ? 教えてくれよ」 その一言に応える時間を少し置き、口を開いた。 「……わからないわ。いい方法があったら、教えてちょうだい」 「へっ!?」 あまりにも予想外の声、記憶の中を探っても、英理が初めて出した弱音。 そんな姿に、思わず固まり素っ頓狂な声を上げる美琴。 「……魔法カード、一時休戦。お互いカードを1枚ドローし、次の相手のターンまでお互いの受けるダメージは0になる」 「逃げるつもり? カガクがどうこう言って、最後は逃げ腰だなんて!」 カードを1枚ドローし、ターンを終える。 次の菫のターンがめぐってくるが、そこでリリカの声が飛ぶ。 「変に動かないでいいわ、もう相手は虫の息なんだから。そこの目障りな鉄クズだけ吹き飛ばしなさいよ!」 「仰せのままに。バビロンでマシンナーズ・カノンに攻撃して、ターンエンド」 英理を守っていた最後の壁も脆く崩れていく。 もはや万策尽きたか。そう思った瞬間、二人の鼓膜を耳障りな笑い声が揺らした。 「あはははは、いい気味よ、何がカガクよ、何が叡智なの? こんなガラクタひとつに負けちゃう叡智なんて、脆すぎるわ! そんなものより、この私の力を込めた人形のほうがよっぽど賢いわ!」 完全に勝利を確信したリリカが、高笑いとともに英理を嘲る。 しかし、その言葉は、消えかけた英理の闘志を再び呼び覚ますには、十分すぎた。 「なめてくれるじゃない……」 「センセ、何か思いついたのか!?」 「まだよ、でも前言は撤回するわ。まだ私は次のドローをしていない。そのドローを含めての戦術を考えないとね。 素晴らしい技術を持った要塞をガラクタと呼び、人の心を塗りつぶして操る。 科学の力を、私の愛弟子を、冒涜したあなたを許すわけには……いかない」 弟子とともに、自らの生涯を捧げたもの。それを踏みにじられて、英理の心は燃え滾っていた。 「せ、んせ……」 その思いは、人形と化した菫に響いたのか。狂喜に満ちていたさっきまでと違う、心を込めた言葉がこぼれた。 「そこで待っていなさい。私のターン……ドロー!」 カードを引き、そのカードを確認する。 「……マシンナーズ・ギアフレームを召喚し、効果発動! デッキからマシンナーズと名のつくモンスター1体を手札に加える。 私は、マシンナーズ・フォートレスを選択するわ。そして……」 「罠カード、強制脱出装置を発動。ギアフレームを手札に戻してもらいま……うわ」 ギアフレームの足元から巨大なバネが現れ、吹き飛び手札に戻った。 「ん? なんでだ? ユニオンするのを警戒でもしてんのか?」 一見美琴には不可解な行動。しかし、英理はこれを見抜いていた。 「わからない? あの子は自分を取り戻しかけているのよ。あの口車が効いたようね。 だからあえて不利になるような行動をしている。さっき、『もらいます』って言いかけたのもそのせいよ」 「ほへー……よくわからねえが、ハカセが戻りかけてるってことでいいんだな!」 「そうよ。罠を無駄遣いさせたってところね。フォートレスと、コヴィントンを墓地へ送り、特殊召喚! 鋼と知識の要塞、無数の策を従えて姿を現せ! マシンナーズ・フォートレス!」 コヴィントンの指揮により、英理を守護するかのように現れる大要塞。要塞同士が対岸でにらみ合う形となる。 「守備表示だから攻撃はできない。カードを1枚伏せてターンエンドよ」 「バカじゃないの? これで時間稼ぎでもするつもり? 自爆特攻のライフももうないから動けない、無様だわ!」 彼女のランク10主体のデッキ、フォートレスを放置して展開されれば、グスタフの砲撃でいずれ負けてしまう。 これは、英理の賭け。心を取り戻した菫ならば、必ず…… 「っ、私の、ターン……ドロー……」 彼女の中で、二つの心がせめぎあう。 手札を何度も見たり、場を見渡したりと不可解な行動をし始める。 「待っているわ、貴方が私の期待通りの答えを出してくれることを」 「攻撃せずに待って、グスタフとかいうオモチャでも作ってやれば終わりよ、さあやりなさい!」 英理は信じた。リリカは命じた。 そして、震える手で、震える声で、菫は叫んだ。 「……バビロンで、守備表示のフォートレスに攻撃!」 「ば、バカ!? 何をしてるの!? やめなさい!」 リリカが止めさせようとするが、一度下した命令は変えられない。 激しい光線が要塞に降り注ぐ。 「バビロンの効果を発動! 戦闘破壊したモンスターの半分のダメージを与える!」 「フォートレスの効果発動。このカードが戦闘で破壊されたとき、相手の場のカード1枚を選択して破壊できる。対象はもちろん、バビロンよ!」 マシンナーズの要塞も、ミサイルや砲弾、レールガンと搭載された武装で猛烈な反撃をバビロンに与える。 その攻撃が交差したとき、激しい光をもたらす。その光が晴れたときには、2つの要塞は跡形もなく消滅していた。 「バビロンの弱点は、耐性が一切ないこと。フォートレスの効果で破壊はできるわ。そしてそれを待っていた…… 忘れたわけじゃないでしょうね。機甲部隊の最前線の効果で、マシンナーズ・ギアフレームを特殊召喚するわ」 「くっ……何をしてるのよ、このボロ人形!」 思い通りに動かない菫に、怒りをあらわに叫ぶリリカ。 自分の所有物だと思っているリリカには、信頼などかけらもなかった。 「そんなに反抗的なら、もう一度体を操ってやるわ!」 ヒステリックに、菫に術をかけるリリカ。 菫の目から、取り戻しかけた光が、顔からは表情が消えていく。 「指1本だけは自由にしたげるわ。何も伝えられないもどかしさを味わいなさい! 言っておくけど私もバカじゃないわよ。字や絵なんて書いたらわかってるわよねぇ?」 唯一自由を維持している指1本。その指1本で、何やら伝えようとしている。 そうしてその指は、何かリズムのようなものを取り始めた。 「苦し紛れに曲でも作ってるのぉ?」 「センセ、これは何やってんだ?」 「何かを伝えようとしているわ。これは……」 意味を知ろうともせず嘲笑うリリカ、意味がわからない美琴、そして、意味を知り始めた英理。 デュエルディスクを腕にかけたその指でとんとんと自らの体を叩いたり、体をひっかくようになぞってみたり。それを何度も何度も繰り返す。 菫の指の動きは、リリカにも美琴にも意味はつかめなかった。しかし…… 「なるほどね」 一人、何か納得した表情の英理。 そうしている間にも操られている菫はデュエルを進める。 「カードを3枚伏せて、ターンエンド」 藤山英理 LP:1900 手札:5 場:マシンナーズ・ギアフレーム 伏せ魔法罠1・機甲部隊の最前線 朝霧菫 LP:5000 手札:1 場:伏せ魔法罠4 「私のターン……あら、ごめんなさいね」 カードをドローするのをわざと手間取り、時間を稼ぐ。急ぐ菫が何かを伝えるための時間を。 そうして菫の指は、強く3回指を叩き、3回体をなぞり、最後にまた3回叩いたところで動きを止めた。 「……ありがとう、教え込んだ甲斐があったってものね。今ドローしたのはサイクロン、これを発動するわ。 私が破壊するのは……一番左、聖なるバリア・ミラーフォースよ!」 見えてもいないカードを宣言し、それに向けてサイクロンを発動する。 旋風に煽られて出てきたカードは……宣言のとおり、ミラーフォース。 「どうして……!?」 「あなた、余裕を見せたんでしょうけど、とんでもない墓穴を掘ったわね。もうフィールドも手札も丸分かりよ。 当てて見せましょうか? たとえば、残った3枚の真ん中に伏せているこけおどしの『臨時ダイヤ』なんてあったわね。手札に持っている1枚は、出せないフォートレスかしら?」 リリカの顔が青ざめる。真偽はもう、この表情から明白だった。 「すっげぇぜセンセ! どうやって当てたんだよ!」 「この子がすべて教えてくれたわ。モールス信号……これも科学の力よ。 人間の叡智と科学は、点と線だけで、意思疎通を可能にしたのよ」 不可解な指の動きは、すべて信号。その信号で菫は、手札や伏せたカードの内容、場所、すべてを英理に伝えたのだ。 「こんなことできるのかよ……あ、じゃあセンセ。ハカセが最後に3つずつやったのはなんなんだ?」 「あれもモールス信号よ。意味は……救難信号、SOS。伝わると信じて、助けてほしいとあの子は願ったのよ。そして、もうその手段は私の手にあるわ」 「なるほどな! よっしゃ、早く助けてやってくれよ!」 「もちろんよ」 そんな二人に、一杯食わされたリリカが激昂する。 「何よ、何よ何よ何よ!! いくら伏せてあるカードがわかったところで、対処できなきゃ同じよ!!」 声を荒げるリリカを無視するように英理がカードを手に取る。 「マシンナーズ・ソルジャーを召喚。効果により、もう1体のマシンナーズを手札から特殊召喚できる。私はマシンナーズ・ディフェンダーを召喚! そして魔法カード、アイアンコールを発動するわ。これにより、墓地のマシンナーズ・スナイパーを召喚。 さらに、伏せていたリビングデッドの呼び声を発動し、督戦官コヴィントンを蘇らせる……さあ、仕上げよ!」 「来るぜ! センセの最強モンスターが!」 「コヴィントンの効果を発動! ソルジャー・スナイパー・ディフェンダーを墓地へ送り、デッキからマシンナーズ・フォースを特殊召喚する! マシンナーズ・フォーメーション!」 コヴィントンが指揮を取り、3体のモンスターは見る間に合体していく。そして、3体は1体の巨大なメカへと姿を変えた。 「ふん、攻撃力4600と言っても、攻撃するのにライフを1000も使うポンコツじゃない! 1回でおしまいのこんなのがカガクの結晶なの!?」 「何とでも言いなさい。さあ、今解き放ってあげるわ! マシンナーズ・フォースのダイレクトアタック!」 「トラップカード、リビングデッドの呼び声。これで、再びバビロンを呼び戻す……」 地底が蠢き、再び巨大要塞が姿を現した。 「攻撃が巻き戻されたわね。ならば、改めてバビロンに攻撃! アナイアレート・シュート!!」 しかしいかにバビロンが巨大モンスターでも、まだ攻撃力が負けている。ならば取る方法は…… 「「速攻魔法、リミッター解除発動!!」」 まったく同時に二人が叫んだ。互いの切り札が、倍の攻撃力を得て戦闘を開始する。 激しく攻撃を行う2機の巨大な機械。しかし、今度はフォースがバビロンの光線を切り裂き、そのままの勢いでバビロンの本体を一直線に貫いた。 今度こそ大爆発を起こし、空中要塞が沈んでいく。 「う、く、くぅ……まだよ、ガラクタが破壊されたくらいで!」 「……貴方、何か忘れていない?」 あくまで強がるリリカに、英理が声をかける。 そこには、まさに起動を終えたギアフレームとコヴィントンの姿があった。 「そんな、そんなまさか!?」 「今度こそ終わりよ、コヴィントンでダイレクトアタック、メタルスカッド!」 コヴィントンが指揮する兵士たちが狙いを定め、菫の手の甲に植え付けられた紋章を打ち砕く。 「そして、ギアフレームのダイレクトアタック! ギアーズクラッシュ!」 その兵士の群れを切り抜けたギアフレームの、巨大な歯車での一撃が菫の体に突き刺さる。 文字通り、糸が切れた人形のようにライフが尽きた菫は崩れ落ちた。 「まったく、いつも手間取らせてくれるんだから、この子は」 藤山英理 LP:900 手札:0 場:マシンナーズ・フォース マシンナーズ・ギアフレーム 督戦官コヴィントン 機甲部隊の最前線 朝霧菫 LP:0 手札:1 場:なし 「ぐぐぐ……この、役立たずッ!!」 倒れた菫に八つ当たりするように蹴りを加え、足早にリリカが去っていく。 「覚えてなさい、もっと質のいいお人形を用意してやるわ!」 もちろんまくしたてるような捨て台詞とともに、である。 「どんなに人形の質がよくても、操るほうの腕が悪くちゃ、ね」 「やっぱセンセはすげえぜ! っと、大丈夫か?」 リリカが去った後、菫に駆け寄ろうとする美琴より早く、英理のデュエルディスクから伸びたワイヤーが菫の体を拘束する。 「な!? センセ、何してんだよ!?」 「……弟子をひとり失いたくはないから、ね。お望みなら舌も噛み切れないようにしてやるわよ」 「あ、そっか。そんなこと言ってたな。まったくあの野郎、とんでもねえ置き土産してったもんだな」 そうして、程なく菫が目を覚ます。 その顔は、目を開けるなり涙でぐしゃぐしゃになっていった。 「わ、私、私っ……取り返しのつかないことを……!」 操られていたとはいえ、無辜の人々を次々と襲い掛かったという事実。 根は優しい菫には、耐えられなかった。 「ハカセ、本心じゃないんだろ?」 「でも、でも……!」 美琴と菫の会話に、英理も割り込む。 「自殺はやめなさい、私が手間取った甲斐もないし、貴方は生きなければならないわ。私からの命令よ。 死んでしまえば、それこそあの子の思う壺よ。すべてを失っても、生き続けるのが貴方の義務」 「死ぬよりつらい日々が待っていたとしても?」 「だとしても、よ」 「忌み嫌われながら生きることなんか、耐えられない……」 「またやり直せばいいのよ」 「無理です先生、もうふり出しには戻れません」 「……いえ、それは思い込みよ。いい? もし明日死ぬとわかっていても、やり直せないことはない。まだまだこれからよ」 そう言われ、涙の量がさらに増す。 「ほら、アタシも協力してやるって。アタシだって同じような目にあったけど、こうして元気なんだからよ! センセだって後始末してくれるし、元気出せよ!」 「うっ、ぐすっ……えぐっ……いいの、かな……」 「もちろんだぜ!」 子供のように泣きじゃくる菫の肩を、バンバンと叩く美琴。 「いつでも、いくらでも、やり直せる。望、これでいいのよね」 誰にも聞こえないつぶやきをした後、菫の顔に近づく英理。 「貴方、発明は失敗ばかりだけど、友達選びは大成功したようね」 「う、うん。あと、先生を選ぶのも、成功しました。これだけは胸を張って……」 「ばか」 ワイヤーを解き、こんと軽く菫の額を指ではじく。 「気付くのが遅いのよ」 「はい、ぐすっ、遅すぎました」 「まったく……さて、どこかで食事でもしましょうか」 「おっ、いいな! もちろんこんなに頑張らせたから、ハカセがおごってくれるんだろうな?」 「あ、うん……たぶん大丈夫、だけど……」 「よし決まり! ほらほら、さっさと行くぜ! うまいイタリアンの店知ってるからよ!」 そうして、3人は立ち上がり、公園を出る。 菫の心とかばんの中には、リリカに強いられた悲しみを上回る嬉しさと、ちゃっかり手に入れたカードたちが詰まっていた。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/507.html
最初の使者 ◆OSPfO9RMfA 今日の お昼ご飯は 配点(100ptの菓子パン)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 本多・正純は極貧だ。 悲しいまでに極貧だ。 故に、今日のお昼ご飯は100ptの菓子パン一個のみである。 100ptだ。120ptではない。 空を見上げる。漂う雲が、菓子パンに見えてくる。 「……いかんいかん」 正純は首を振って気を引き締める。 一緒に昼食を食べようと誘ってくる友人を振り払ってまで屋上まで来たのだ。 周りに人がいないことを確認すると、通神帯《ネット》を使用する。 即座にライダーのサーヴァント、少佐が出た。 ●副会長 『私だ。少佐、通達は聞いたか?』 ●戦争狂 『あぁ、聞いたとも。教会でのヘルプ対応、残数28人、B-4での重大なルール違反、違反行為“この冬木の街の日常を著しく脅かすこととなる場合”の徹底。なんともまぁ、ずぼらでマヌケな対応だ』 少佐が人を煽り、人を食ったような口調で言うのはいつものことだ。しかし、彼は過小評価も過大評価もしたりしない。故に、その理由が気になった。 ●副会長 『と、言うと?』 ●戦争狂 『B-4で表向きに何か異常があったとは聞いていない。そして、彼女らルーラーも具体的に事件や犯人を突き止められないのだろう。あんなのはただのハッタリだ。児戯にも劣る。案外、出し抜くのは簡単かも知れないぞ?』 ●副会長 『なるほど』 正純もあの通達の不自然さは感じていた。ルール違反があったのなら、忠告などせずさっさと引導を渡せば良いだけである。それを全体放送の通達に混ぜて言うのは、彼女らの状況が不利な証拠だ。 彼女らのポーカーフェイスなどの交渉能力、証拠を探すための捜査能力はそう高くない。つまり、交渉の場を作れさえすれば、こちらがアドバンテージを得たまま進められる可能性もある、ということだ。 ●戦争狂 『もっとも、あまりにも稚拙すぎて罠じゃないかとは思うがね』 ●副会長 『ですよねー』 まぁ、無理もない。 ●副会長 『他に何か進展はあったか?』 ●戦争狂 『それならもう一つある。新都のB-10地区で暴行事件があった。ジナコと名乗る令呪を刻んだデブ女が、我が宿敵、アーカードの名を呼んでいた』 ●副会長 『アーカード……!』 その名は正純にも聞き覚えがあった。 少佐から聞いた生前の行いに、何度もその名を連ねていた。 ●戦争狂 『そう。我が宿敵、アーカード。彼がこの『方舟』にいる可能性が極めて高いと言うことだ』 少佐のその語りには、強い熱が籠もっていると感じた。 が、はたと思う。 彼は正純に言った。 「お嬢さん、私は私が望んだ戦争をやりきった。 結果はムーンセルから与えられたデータを見るに、私は我が宿敵を討ち漏らしたようだが、それもまた戦争だ。 私は私の全てを賭けて私の宿敵たちとの戦争をやりきった。 あの時ああしていればだとか、もう一度できさえすればなど、それは敗北主義者たちの戯言に過ぎない。 あれは最高に良い戦争だった」 ――では、再び宿敵と相まみえる機会を、少佐は喜ぶだろうか? ●副会長 『少佐、アーカードを倒すことは可能か?』 ●戦争狂 『ふむ? 珍しいことだね。君が戦争をしたがるなんて。まぁいい、答えてあげよう。正攻法では無理だ。私は宿敵を倒すために50年間考えてきた。30年ほど宿敵を封印することはできたが、それもたった30年で破られた。同じ策は通用しまい。今の私には正攻法で宿敵に勝つ術はない』 ●副会長 『正攻法ではない方法とは?』 ●戦争狂 『ここでは宿敵もサーヴァント、いやいやマスターかもしれないが、どちらにせよ、その片方を殺せば宿敵も死ぬ。この手段であれば宿敵を滅ぼすことも不可能では無いだろう。あるいはサーヴァントなら、魔力が尽きれば消滅する。そうすれば宿敵の再生能力も働かないだろう』 要するに、基本的には勝てないと言うことだ。 アーカードを存在消滅の窮地にまで追い込んだ少佐が言うのだ。間違いないだろう。 ●副会長 『では、アーカードを味方に引き入れることは可能か?』 ●戦争狂 『ふむ。個人的にはまっぴらゴメンだが、奴は脳筋で煽り耐性が無くてだな。闘争のニンジンを餌に吊して誘導することは、駄馬を教育するより容易い。聖杯にけしかけることも十分可能だろう』 ●副会長 『なるほど』 ほんの少しだけ思考し、結論を見いだす。 ●副会長 『少佐。マスターとして命ず。アーカードとの交戦は必ず回避せよ。備蓄に乏しい今、令呪を使うことはないが、それに匹敵する命令だと認識して欲しい』 ●戦争狂 『……わかった。マスターの命なら仕方ない。宿敵との交戦はしないことにしよう』 通神帯《ネット》越しで少佐がどのような表情をしたのかは分からない。 だが、これで良かったんだと、正純は思う。 少佐は生前に最高の戦争を堪能したのだ。 こんな場末のちゃちな戦争で、その余韻をかき消す必要は無いだろう。 だが、少佐には宿敵を前に闘わないという選択肢を選ぶことは出来ない。 なら、マスターたる正純が命じなければならないじゃないか。 ●戦争狂 『しかし、武蔵副会長。聖杯と戦争すると啖呵を切ったはいいが、我々はまだ何も把握していない。宿敵を聖杯に当てるにも、聖杯と戦争する術を私達はまだ持ち得ていない』 ●副会長 『耳が痛いが、全く持ってその通りだ……地道に情報を集めていくしかないが』 ●戦争狂 『うむ。ところで、午後にシャア候補の後援会へ赴く予定だったな』 そうだ。この通信を終えた後、シャア候補の演説を確認しなければならない。 ●戦争狂 『だが、後援会の開始にはまだかなり時間がある。そこで、その前に私が交渉しに赴きたいのだが、どうかね?』 ●副会長 『少佐が、か』 安心して送り出せる、とは言い難い。 何故なら少佐は戦争狂なのだ。それだけで不安になるには十分だ。 ●戦争狂 『不安なのはお互い様ではないかな?』 ●副会長 『……まぁ、不本意ながら、な』 しかし、不本意ながら戦争にしてしまう交渉をしてきた身としては、否定しにくい。 少佐も正純の交渉に不安を持っているだろう。 ●副会長 『わかった。無難にやってくれ』 ●戦争狂 『はは、善処しよう』 その言葉を最後に通神帯《ネット》を切ろうとする。 ●戦争狂 『あぁ、そうそう。武蔵副会長、言い忘れた事があった』 ●副会長 『ん、少佐にも言い忘れることがあったのか。一体何だ?』 ●戦争狂 『ありがとう』 「ふぇっ!?」 思わず変な声が出てしまった。 通神帯《ネット》を確認すると、既に接続は切れていた。 結局、何に対する感謝かもわからぬままだ。 だが時間は迫っている。 腹の中に菓子パンを放り込むと、情報室に向かった。 【C-3/月海原学園/一日目 午後】 【本多・正純@境界線上のホライゾン】 [状態]まだ空腹 [令呪]残り三画 [装備]学生服、ツキノワ [道具]学生鞄、各種学業用品 [所持金]さらに極貧 [思考・状況] 基本行動方針:他参加者と交渉することで聖杯戦争を解釈し、聖杯とも交渉し、場合によっては聖杯と戦争し、失われようとする命を救う。 1.シャア候補との交渉に備えて彼の過去の演説に当たるなどして準備する。 2.マスターを捜索し、交渉を行う。その為の情報収集も同時に行う。 3.聖杯戦争についての情報を集める。 4.可能ならば、魔力不足を解決する方法も探したい。 5.小等部を無断欠席中の遠坂凛の家に連絡くらい入れるのもありか。 ※少佐から送られてきた資料データである程度の目立つ事件は把握しています。 ※武蔵住民かつとして、少女(雷)に朧気ながら武蔵(戦艦及び統括する自動人形)に近いものを感じ取っています。 ※アーカードがこの『方舟』内に居る可能性が極めて高いと知りました。 ◆ 政治家シャア・アズナブルの講演会は、C-6のホテルのワンフロアを借りて行われる。 時間は19時~21時の2時間。 前半の30分にシャアが講演し、残りの時間は立食式の食事が行われる。 勿論、ただ食べるだけではない。そこで立ち話という会合が行われ、その積み重ねにより、後援者との信頼を深めていくのだ。 そしてそれは表舞台の話。 17時~19時まで支援者による準備が行われ、21時~23時まで後片付けが行われる。 さらに言えば、支援者はC-5にある事務所にて13時~16時半まで準備に追われている。 現在の時刻は13時過ぎ。 昼食を済ませたシャアは事務所に向かった。 本来のスケジュールでは、シャアが事務所に行くのは15時であり、先方もそのつもりで準備している。 意味も無く早く来ても、支援者達の仕事の邪魔になるだけだ。 しかし、聖杯戦争が始まった今では、そうは言ってられなかった。 事務所に入ると応接室を借り、ある人物を呼び寄せる。 「(まったく、ここで彼と出会うことになるとはな……)」 そう思いにふけるのもつかの間、すぐにノックが聞こえ、一人の青年が扉から入ってくる。 「こんなに早く来てどうしたんだい、シャア。二時間後に来る予定じゃなかったか。みんなが慌てていたぞ」 「すまない、ガルマ。用を思い出してしまってな」 ガルマ・ザビ。 シャアのただ一人の友人。そしてシャアが謀殺した男でもある。 12年前の一年戦争の最中。シャアは復讐の念にかられていた。ガルマはシャアの父を暗殺したザビ家の四男であり、仇だった。 シャアはガルマを謀殺した後、ザビ家長女も殺害。他のザビ家の人間も戦死し、復讐は完遂に遂げた。 そして今、目の前にガルマがいる。 彼は12年前と変わらず20歳のままだ。 今ここにいるガルマとはNPC時代からの付き合いで、今日もシャアの講演会をサポートしてくれる。 20歳のガルマと33歳のシャア。そのギャップがシャアが記憶を取り戻す要因の一つになったのは、ある種の皮肉だと感じていた。 「ところで、君に頼みがある。良いだろうか?」 「水くさいな、親友じゃないか。何でも言ってくれ」 「(親友、か……)」 ガルマのその友情を利用して、ガルマを殺めたことに罪悪感を覚える。 当時は復讐することに必死だった。ガルマを殺めたのはなんてことはない、殺しやすかっただけだった。他人を疑うことを知らないお坊ちゃんで、だがシャアの友人だった。 復讐とは儀式だ。生きてる者が次に進むためのスタートラインでしかない。 故に、彼を殺したことに罪悪感はあるものの、後悔はない。 しかし、彼の友情を利用して謀殺した上で、改めて友情を利用する様は醜いとは思う。 そんな良心の呵責を押し殺せるようになったのは、果たして成長と言えるのだろうか。 「これから尋ねることは、他言無用で頼みたい」 「わかった」 ガルマは迷うことなく首を縦に振る。 「まず、聖杯戦争について知らないだろうか?」 「聖杯戦争? なんだい、それは? 神話か何かか?」 「いや、知らないならそれでいい」 次に袖を捲り上げ、右の二の腕に刻まれた令呪を見せる。アルファベットのAのマークのような、アズナブルのイメージマークを模した形だ。 「これについて、どう思う?」 「酷い傷じゃないか――いや、これは痣? 刺青? それとも蛍光塗料か? どうしたんだ、これは?」 「いや、大丈夫だ。問題はない」 シャアはそれから、『方舟』、ゴフェルの木片、サーヴァント、英霊などについてもガルマに尋ねる。 ガルマは一貫して、“知らない”“わからない”と答えた。 「すまない。君が今、何かとんでもないことに巻き込まれていることはわかった。でも、どうも君の力になれそうに無い」 「いや、そんなことはない。君が“知らない”と言うのなら、他の誰に聞いてもわからないだろう。それは一つの収穫だ。ありがとう」 しょぼくれるガルマの肩を叩き、右手を取って握手をする。 「むしろ忙しい中、時間を取らせて悪かった。先ほど尋ねたことについては、忘れてくれて構わない」 「それに、他言無用で、だろう? 分かっているさ」 ガルマは笑って返すと、時計を確認する。彼にも仕事があるのだ。 「それじゃあ失礼する。まだそこで支度をしているから、何かあったら言ってくれ。出来ることならいくらでも力を貸すよ」 「それは心強い。また頼むことになるかもしれない。その時は頼む」 「ああ」 ガルマは爽やかな笑みを向けると、応接室から出て行った。 『マスター、今の彼って……』 『あぁ、間違いない。NPCだ。もしくは予選落ちしたマスターかもしれないが、少なくとも、今残っている28人のマスターの一人では無いだろう』 念話で話し掛けてきたアーチャーのサーヴァント、雷に答える。 ガルマと会話している最中も、彼女は霊体化したままずっと彼の側に付き添っていた。ガルマはそれに全く気付く素振りを見せなかった。 『でも、質問が多すぎたんじゃないかしら』 『いや、私は彼がNPCだと思ってたから、先のような質問をした』 『そうなの? でもどうして?』 『NPCが聖杯戦争について、余りにも無知すぎる』 先ほどのガルマとの会話を思い出す。彼が聖杯戦争について知っていることは、何一つ無かった。 『この街は常に戦場となる危険性を孕んでいる。地獄と化す可能性がある。だと言うのに、NPCはその危機感がまるでない』 『確かにそうね』 『そして私達、聖杯戦争の参加者は、これら無知なNPCを如何に攻撃せずに、参加者のみを攻撃することを強いられる……妙だと思わないか?』 『そう言われると……そうね』 『何故、彼らNPCがこの戦場に留まり続けているのか。留まり続けなければならないのか。『方舟』は私達に何を求めているのか』 『……NPCの彼らを救いたい、と思ってるの?』 『……わからない。けど、二度も死なせたくない相手なら居る』 『なら、頑張らなきゃ、ね。大丈夫、私に任せなさい』 『頼む。そして、ありがとう』 やはり、雷との会話は心が安らぐ。つい、自然と微笑んでしまう。 シャアは念話での会話を終え、立ち上がろうとする。 しかし、それと同時に扉がノックされる。 座り直して入室を許可すると、怪訝な顔をしたガルマが入ってきた。 「シャア、面会人が来ているのだが」 「面会? 誰だ?」 「私の知らない人物だ。それが、『ライダーの使い』と言えば分かる、としか」 ◆ シャアによる講演が行われるC-6のホテルのスイートルーム。そこにライダーのサーヴァント、少佐は居た。 「聖杯戦争――戦争と名が付いているが、これでは全く『戦争』とは言い難い」 少佐は椅子に座りながら、ひとりごとを言う。 「戦争と言えどもルールは存在する。とは言え、所詮公正に裁く審判が居ないルールでしかない。大いに破るのもまた戦争だ」 戦争のルール、簡単に言えば、非戦闘員や捕虜への攻撃の禁止、非戦闘員に偽装した軍事行動、拷問や非人道的処遇の禁止、無差別な破壊や殺戮の禁止などである。 これらを犯せば、戦後に戦争犯罪として極刑も免れない。 もっとも、裁かれるのは戦後であり、極刑まででしかない。 今この瞬間殺したり殺されたりする戦場で、後で死ぬかもしれないだなんて律儀にルールを守るだなんて、滑稽とすら感じる。 少佐は戦前、平然とこれらの非人道的行為を網羅するかのごとくやってきた。 「だがコレは何だ? 絶対的な権限を持つ裁定者が居て、非戦闘員に対する攻撃を禁止、違反した者にはその場で罰を与える。その割には参加者は便衣兵さながら非戦闘員に紛れ込み、例え降伏して捕虜になったとしても殺害を推奨される。まるで滅茶苦茶だ」 不平不満を言いながら、万年筆を紙の上で踊らせる。 しかしながら、この聖杯戦争は普通の戦争ではない。 ならば、何故違うのかと踏み込んでいけば、聖杯戦争への解答が得られるのではないだろうか。 だがまだ情報が足りない。もっと集めなくてはならないと実感する。 少佐は紙に文字を記し終えると、封筒に封をする。 「少佐ー、頼まれたもの、買ってきたよー」 不意に、部屋の入り口から一人の少年の声がする。 扉はノックも開いた様子もない。先ほどまで少佐以外誰もいなかったこの部屋に、彼は唐突に現れた。 「ここではライダーと呼びなさい、シュレディンガー准尉」 「へっへ、ごめんなさーい」 彼の名はシュレディンガー准尉。猫耳軍服の少年。少佐の宝具『戦鬼の徒(ヴォアウルフ)』により召喚されたサーヴァント。 『どこにでもいて、どこにもいない』。 それが彼の持つ特殊な能力で、彼が自分自身を認識できる限りどこにでも存在できる。 生前、対アーカードへの最終兵器であった。 シュレディンガー准尉は二つの物を少佐に渡す。 一つは札束。一つは何かが入った紙袋。 少佐はマスターの正純とは違い、大金を持っている。 何故か。 その秘密は、彼の宝具『最後の大隊(ミレニアム)』にある。 『最後の大隊(ミレニアム)』は少佐の固有結界。燃えるロンドンを覆い尽くす『戦鬼の徒』を含んだ1000人の吸血鬼、さらには飛行船などを全て自らのサーヴァントとして召喚する。 ――飛行船などを全て そう、潤沢の資金を積んだ飛行船をも召喚することが出来るのだ。 もっとも、実際に召喚するには魔力も準備も何もかも足りない。 今できる事と言えば、手の平サイズの固有結界に片手を突っ込んで、金塊をもぎ取ってくることぐらいだ。 それでもかなりの魔力を消費し、その埋め合わせにルームサービスのスパゲティを五人前平らげてしまった。 そして金塊のままでは清算ができない。 シュレディンガー准尉は召喚されると直ぐに、換金しに走らされた。 「それで、僕を呼んだの、まさかこんな使いっぱしりじゃないよねー?」 「はっはっは、まさかまさか。もっと大事な任務だよ」 少佐はそう言って、先ほど書き上げた一通の封筒を手にする。 「これをシャア・アズナブル氏に手渡しするのだ」 「やっぱり使いっぱしりじゃないですか、やだー」 「つべこべ言わず頑張ってくれたまえ、准尉。とても大事な任務なのだよ」 「しかたないなー。わかったよわかったよ。じゃーねー」 シュレディンガーは手紙を手にすると、瞬きする間にその場から居なくなる。 「やれやれ。さて、私は頼んだ物を処理するとしよう」 少佐はシュレディンガーが持ってきたもう一つの物、紙袋を空けた。 ホットドッグ。フライドポテト。コーラ。 ファーストフードのテイクアウトだ。それも一人前ではない。三人前だ。 ルームサービスのスパゲッティはもう食べ飽きてしまった。 「しかし、彼一人召喚するのも大変だ。何らかの方法で魔力を供給することも考えないといけないね。その為にドグを呼んで、するとまた魔力が……やれやれ」 ホットドッグに齧り付く。これも大事な栄養補給だ。食べないわけにはいかなかった。 ◆ 「『ライダーの使い』か」 「あぁ、そう言えば伝わると言ってる。どうする?」 「ふむ」 ガルマの言葉に、シャアも怪訝な表情をする。 罠だろうか。 赤いバーサーカーの一件で、注意深くなっているのは自覚している。だが、虎穴に入らずんば虎児を得ず。逃げ回っているだけでは得られるものも得られないだろう。 「入れてくれ」 「わかった」 念のため、雷は実体化させておく。 それから数分と待たず、一人の少年が応接室に入ってくる。 猫耳に軍服の少年。これを怪しむなと言う方が無理がある。 彼を見ると、パラメーターが見えた。 「僕はシュレディンガー。階級は准尉。ライダーの特使として来たよ。よろしくー」 「よろしく」 まるで猫のような、身分や立場を考えない振る舞いだな、とシャアは思う。 それを咎めることなく、握手は交わさずに挨拶だけを交わす。 「君が『ライダーの使い』なのか? パラメーターが見えるようだが」 「それは僕がライダーの宝具で呼ばれたサーヴァントだからじゃないかなー」 「ふむ」 サーヴァントがサーヴァントを呼ぶ。そう言うこともあるのか。 言われてみれば、シュレディンガーから感じるソレの気配は、雷から感じるソレと比べると、今にもかき消えそうなほど薄く感じる。 「それで、どういった用事だろうか?」 「ライダーより、これを渡すように言われたんだよね」 「あ、私が受け取るわ」 シュレディンガーが取り出した手紙を、雷が横から奪うように受け取る。確かにこれが罠でないとは言い切れない。ありがたいサポートだった。 「えっと、読むわね」 『シャア・アズナブル候補、その側にいる少女へ。 諸君。私はライダーとして現界しているサーヴァントだ。 一度、諸君らと話がしたい。 私はシャア・アズナブル候補が講演会するホテルに一室設けている。そこで会話をするのも良し。 私が場所を指定するのが気に入らなければ、諸君らが指定した場所に私が行くのも良し。 電話で会話するのも良し。 シュレディンガーを通じて会話するのも良し。 とにかく私は君らと話がしたい。快い返事を待っている』 「なるほど、対話を望んでいる、か。二、三点、質問があるが良いだろうか?」 「いいよ。答えられることならね」 快諾するシュレディンガーに、シャアは質問をぶつける。 「一つ、これはライダー独自の判断だろうか? マスターの許可は得てるのだろうか」 「んーっと、ちょっと待ってね」 数十秒の沈黙。 シュレディンガーは目線を空に泳がせ、頷き、何者かとコンタクトを取っているような仕草を取った。 「マスターはシャア候補の講演会に出るみたいだよー。で、ライダーがその前に一度話をしてみたいって。マスターの許可も出てるらしいよ」 「なるほど。二つ目、これは今浮かんだ疑問でもあるのだが、文面にある『シュレディンガーを通じて』と言うのは?」 「僕はライダーと念話できるから、僕を仲介して、と言うことだろうねー。今もライダーに聞いたけど。でも面倒だからこれは嫌かなぁ」 「ふむ、納得した」 レスポンスは非常に遅くなるが、一応話は出来ると言うことか。 シュレディンガー准尉の性格からしても、手紙の最後に書いてあることからしても、できれば使いたくない手段なのだろう。 「三つ目、何故私達がマスターだと思った?」 「んー、もっかい待ってね」 再び、しばしの沈黙。 「そのまま伝えるよ。『政治家であるシャア候補が、銃撃に出くわす。それは非常に目立つ出来事だ。そして、聖杯戦争が始まっていることを考えるに、参加者の交戦と考えるのが自然だ。あとは直感だよ』。だってさ」 「特定するには至らず、直接確認しに赴いた。そう言うことかな?」 「たぶんそうじゃないかなー」 なるほど、だから『使い』を寄せたのか。 ライダーは意外と戦闘が苦手なのかもしれないな、などと計算する。 「四つめ、何故私達の場所が分かった?」 「僕は『どこにもいてどこにもいない』んだよ。だからあなた達の所にも来れたんだ」 「ふむ……そう言う能力がある、という解釈でいいのかな?」 「そだよ」 わかるようなわからないような。 何とも煮え切らないが、自身のニュータイプ能力も他人に説明しづらい力だ。そういうものだと納得するしかないだろう。 それに、これは『逃亡しても逃げ切ることが出来ないのではないか』と考える。 それを直接口に出して尋ねるほど愚直ではないが。 「これが最後の質問になるのだが、何故ライダーは対話を望んでいる?」 三度目の交信。返事は早く、シュレディンガー准尉は直ぐに答える。 「『そこから先は、対話をしてからにしよう』だってさ」 「そうか」 何時までもシュレディンガー准尉越しに押し問答をしているわけにもいかない。 ここまで十分やりとりできた。 どうするか、決断しなくてはならない。 【C-5/シャアの支援事務所/一日目 午後】 【シャア・アズナブル@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】 [状態]:健康 [令呪]:残り三画 [装備]:無し [道具]:シャア専用オーリスカスタム(防弾加工) [所持金]:父の莫大な遺産あり。 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争によって人類の行方を見極める。参考として自分より未来人のマスターがいるのなら会ってみたい。 0.ライダー(少佐)との対話をするか否か決断する。 1.午後に後援会の人間との会合に行き、NPCから何か感じられないか調べる。 2.赤のバーサーカー(デッドプール)を危険視。 3.サーヴァント同士の戦闘での、力不足を痛感。 4.ミカサが気になる。 [備考] ※ミカサをマスターであると認識しました。 ※バーサーカー(デッドプール)、『戦鬼の徒(ヴォアウルフ)』(シュレディンガー准尉)のパラメーターを確認しました。 ※目立つ存在のため色々噂になっているようです。 【アーチャー(雷)@艦隊これくしょん】 [状態]:健康、魔力充実(中) [装備]:12.7cm連装砲 [道具]:無し [思考・状況] 基本行動方針:マスターに全てを捧げる。 1.シャア・アズナブルを守る。 2.バーサーカー(デッドプール)を危険視。 [備考] ※バーサーカー(デッドプール)、『戦鬼の徒(ヴォアウルフ)』(シュレディンガー准尉)の姿を確認しました。 【シュレディンガー准尉@HELLSING】 [状態]健康 [思考・状況] 0.シャアの決断をライダーに伝える。 【C-6/シャアの後援会が行われるホテルの一室/一日目 午後】 【ライダー(少佐)@HELLSING】 [状態]魔力消費(大)、シュレディンガー准尉の現界維持中 [装備]拳銃 [道具]不明 [所持金]莫大(ただし、そのほとんどは『最後の大隊(ミレニアム)』の飛行船の中) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯と戦争する。 1.シャア候補との交渉に備える。自身としては少女(雷)の方に興味あり。 2.通神帯による情報収集も続ける。 ※アーカードが『方舟』の中に居る可能性が高いと思っています。 ※正純より『アーカードとの交戦は必ず回避せよ』と命じられています。令呪のような強制性はありませんが、遵守するつもりです。 BACK NEXT 081 そして、もう誰にも頼らないのか? 投下順 083 end of hypnosis 「Standing for Defend You」 081 そして、もう誰にも頼らないのか? 時系列順 083 end of hypnosis 「Standing for Defend You」 BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT 070 ソラの政治家達 本田・正純 090 健全ロボダイミダラー 第X話 悲劇! 生徒会副会長の真実! ライダー(少佐) 109 ライク・トイ・ソルジャーズ シャア・アズナブル&アーチャー(雷) ▲上へ
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/447.html
被験者は自身が元凶である可能性について語れない ◆hNG3vL8qjA 暗いトンネルに立ち込める臭いが、天才の鼻を刺激する。 列車がレールの上を走るときに撒き散らすような――鉄がわずかに焦げる時のソレ。 列車の中を掃除するときに湧き出てくるような――土埃が舞う時のソレ。 列車で先日許されざる者へ贄の洗礼として放った――薬莢が飛び出した時のソレ。 職業柄、常人以上の嗅覚を持つ彼にはこの三重奏が少しばかり鬱陶しいようだ。 彼の掻傷からポタリと滴り続ける赤い独奏はすっかり脇に追いやられてしまったらしい。 天才は手探りを交えながら、仲間の知り合い『だった』物の側まで歩いてしゃがみこむ。 そしてネズミを仕留めた猫のように背中を丸めると、それをまじまじと見た。 千切れたコード、破損した電子回路、歪曲して疲労を起こしている金属の断片…… 誰がどうみてもゴミの塊だった。『彼』の知り合いが見れば誰もが『彼』だとわかるゴミの塊だった。 天才の観察につられるように、背後から2名が近づいてきた。 片や獣の野良猫はその残骸に天才よりも接近し、片や女の下手人は凶器を抱え、観察し始めた。 生まれて始めて身内の葬式に参列した時のように。感情の向けどころがわからぬ幼児のように。 * * * * * * 「なんで? 」 声を挙げたのは、ミーに止めを刺した八神はやてだ。 足先から脳天まで……彼女は震えていた。 肢体の微弱なアップダウンが、引き金に掛かった指先と銃身を抱えた腕を遊ばせている。 H&K MP7が彼女の拘束から自由の身になるのも時間の問題だろう。 「……私、な、何をしなひゃぁッ!? 」 はやてが二言目を発しようとしたその時、彼女の体が突き飛ばされる。 彼女が持っていたH&K MP7、支給品一式を入れたディバッグも解き放たれて宙を舞う。 体勢を整えるほどの心的余裕は今の彼女には当然無く、大きく尻餅をつくのは自然なこと。 対して彼女の所持品は彼女の前方に飛び出し、同じく前方にいた一人と一匹の側に中身を吐き出しながら落ちる。 だが八神はやては闇の奥へ進む自分の持ち物にも、尻餅をついた自分の体にも興味を持つことは無かった。 彼女の思考を今もなお奪い続けているのは、ミーの成れの果て。 そして彼女の前に立ち片腕を盾にする自称婚約者、クレア・スタンフィールドと彼の片腕に工具を突き刺す野良猫・マタタビの対峙。 「……本当に刺すつもりは無かった」 「わかるさ。俺が前に出てはやてを庇ったからだろ? 」 「脅し。あくまで問い詰める手段に過ぎなかった」 「それもわかる。俺もそうしようと思ってた」 「納得のいく動機が知りたかっただけだ」 「動機? まるではやてがあいつを……あ~『ミー』だったか? 始末したような言い草だな」 「死体がある。その死体の死因を引き起こしたと考えられる武器を持っている奴が、間近にいる。疑わねーのか? 」 「疑うさ。『普段』はな。だがそれは有り得ない。なぜなら俺がそう思っているからだ」 クレアの言葉がマタタビの手に、より力を込めさせる。強く握られた工具が、クレアの傷口から更に血を漏らせた。 触発された感情は、友の死に対する怒りなのかズレた持論を語る相手への呆れなのか。 わかっているのは、今のマタタビは知人の死を冷淡にあしらうような現実主義者ではないこと。 仲間との別れが当たり前だった野良猫時代に研がれた牙は、ミーとその仲間たちと出会いで磨耗していた。 傍目から見ればその牙は、ちょっと気難しく義理人情に厚い猫の八重歯に成り下がっていた。 「……成る程その性格だ。どうやらテメーには、他人の気持ちを汲む思いやりってものが」 「あるさ。俺だって人の子だ。同僚が殺されたら同僚を殺した奴を殺す。はやてが殺されたらはやてを殺した奴を殺す」 「この工具、そのまま腕を刺し貫いてやっても拙者は構わんぞ。その前に抜き取れるのならな」 「凶器と考えられる銃も、はやての道具もお前のすぐ側に落ちてるじゃないか。というか、俺がそうさせたんだが」 「だったら余計に引き下がれねえ。お前たちは入り口側。調べている間に逃げられたら冗談じゃない」 「わざわざ証拠品をそっちに渡したんだぜ? 普通ならそれで身の潔白を証明したようなもんだろう」 「『普通』ならな。だが車掌兼殺し屋が素手で猫を殺せないわけがあるまい」 「良くわかってるじゃないか。俺ならこの状況でもお前を口封じする事は可能だろう」 「……拙者には貴様かあの女のどちらかがミーを壊した、と妄信するつもりはない。 まずこのトンネルにいるという事実にすら、何ら説明がつかないんだからな」 「ああ、このトンネルは確か地図に載っていたな。そもそも俺は一度ここにいたんだ。温泉からそう遠くない距離にあった」 「距離の問題じゃない。拙者たちはいつからここにいた? そしてミーは何故死なねばならなかったんだ?」 「死んだのは間違いなくこのトンネル内だな。超絶な俺の鼻が曲がりそうだ」 「第三者の介入は考えられん。拙者たちの隙をつけるのなら最初に狙うのは女のはやてか猫の拙者、そして人間の貴様だ」 「俺たちの事を知っている第三者なら、殺すのに一番手間がかかりそうなミーを始末するのは余計に変だしな。 俺は殺られるわけがないし、この俺がはやてをむざむざ見殺しにするはずがない。だから殺されるとしたらお前だ」 「そうだ、だからこそはやてが犯人、もしくはお前との共犯と考えたほうが筋が通る。 はやての事を一番よく知っているのは、他ならぬ連れてきたお前だ」 「このトンネルにいつのまにか俺たちがいたのも彼女の仕業か? それはどう説明をつける? 」 「種がわかれば……唯一絶対の強者のクレア様なら努力して出来る、じゃないのか」 マタタビの言葉がクレアの腕に力を込めさせる。刺さった工具が、傷口から更に血を吐き出させた。 してやったり顔のマタタビに対する彼の感情は侮蔑なのか。否、彼は笑っていた。 原因は自分が天才だったことを一瞬だとしても忘れていたことへの自嘲なのか。 それ以前に、突然トンネルに飛ばされた自分の境遇か、それともフィアンセ(予定)の凶行の嫌疑による混乱か…… 天才の思考を考察するにはあまりにも不毛な論理だが、重要な事項ではないのでここで割愛する。 わかっていることは今のはやてが、クレアが、マタタビがミーの死に準じた行動をしていること。 そして、掛けられていた呪詛の命令のままに行動していないということ。 「はやて! 」 「……は、へ」 「今すぐこのトンネルから出るんだ」 「え、え、え!? 」 「なに、すぐ終わる。血生臭い真似はしないさ。君は人殺しをするような女じゃないからな」 クレアはにこやかな表情で首を後ろに回し、腑抜けていたはやてに呼びかける。 その笑顔は新婚夫婦が朝に『行ってきます』のキスを交わしそうなほど穏やかなものだった。 その笑顔が彼女の瞳にどのように映ったのかはわからない。 しかし鶴の一声のように、はやては光のさす方へ駆け出した。ただひたすら、真っ直ぐに。 「……出鼻をくじかれたな。クレア、貴様が共犯だとしても、武器を振るう意欲がすっかり萎えてしまった」 「悪く思わないでくれよ。はやてを庇いながら俺がお前と一戦交えて勝利するのはわけないが、 それだとはやてか俺がミーを始末したという嘘の事実を認めたことになる」 「どこまでも自分本位な野郎だ。結局自分の思うがまましか信じてねぇだけだろうが」 「そうさ。強者だからな。この世界が俺の思い通りにならないはずがない」 「これだけ判断材料が揃っていても、はやてが直接的にも間接的にも全くの白だと思っているのか? 」 「……証拠も推理もクソくらえだ。俺が無実だと言っている。彼女は白さ」 「そうかい、じゃあこれからテメーをじっくり尋問させてもらおうか」 マタタビはクレアの腕から工具を抜き取り、はやての持ち物を一つにまとめあげる。 勿論、クレアへの警戒を怠らぬまま。時計の秒針よりもゆっくりと。 「好きにしろよ。だがなマタタビ俺は……いや、俺たちは絶対にやっていない」 「あーへいへいわかったから、とっととはやてを連れ戻してきてくれ。 そのかわりもう一回拙者をハめやがったらただじゃおかないからな」 「好きにしろよ。あ、そうそう。これは返してもらうぜ」 クレアが右と左のそれぞれの手で何かを見せびらかす。 マタタビはそれがついさっきまで自分の手元にあった物だと気づき、ハッとする。 H&K MP7、そしてフライング・プッシーフットの制服がいつのまにかクレアの手元に移動していたからだ。 「……いつの間にくすねやがった! 」 「はやてを迎えに行くのに手ぶらはアレだろう? 服も乾いたしな。 ほら、他の荷物は預けといてやるよ。それにこれは元々彼女が持ってたもんだ」 「あーわかったわかった! 今のが最後のチャンスだからな! 拙者が馬鹿だったって事で勘弁しておいてやるからさっさといっちまえ! 」 「じゃ、俺ははやての所に行ってくる。まだ遠くには行っていないはずだからな――」 * * * 元来たトンネルの入り口に向かって一人の女が走っている。彼女の名は八神はやて。 彼女が走っている理由は、彼女自身にもよくわかっていなかった。 と、いうよりも今の彼女には何から何までが理解不能だった。 自分が温泉にいたまでの事は覚えている。自分以外に誰があそこにいたのかも覚えている。 だが、その後の記憶が無い。 気がつけばトンネルの中にいて、クレアとマタタビがいてミーの残骸があって、自分は弾切れの銃を持っていた。 そして目の前にいる猫と男が押し問答を始めて、自分はトンネルから出るよう指示された。 だが、それでも今の自分は――この走っている自分の体の動きを、はやてはまだ把握していないのだ。 自分はこれからどうすればいいのか、何をすべきなのか。それすらちゃんと思考されていなかった。 それは、クレアの言葉が突き刺さっているからなのかもしれない。 ――君は人殺しをするような女じゃないからな―― 頭の中で色々な過去の情景が小麦粉入りカレーのようにグチャグチャと混ざり合う。 自分がやってしまった過ち。悲痛に悶える少年。あざ笑う神父。割り切って蓋をしたはずの過去が脳幹を濡らす。 そして浮かび上がる、無邪気なサイボーグを自分が崩してゆく妄想。 幼きころから死線は味わっていたはずなのに、身に覚えが無いような有るような……曖昧な『悪しき行為』。 そう、まるでそれはかつて自分が起こしてしまった…… 「あかん! 私は何をしとるんや。大事なのは今や! まだ、全てがそうと決まったわけやない! 」 だがはやては『狸』だ。助けを待つのに疲れる日々を送る、古城のお姫様ではない。 いつまでも腐っていくつもりは毛頭無いらしい。彼女は立ち直り改めて考え始めたようだ。 自分の状況を整理する為に、常闇に煌く明晰な頭を使って。 (私はそもそも全部がわかっとらん。ミーに覚えが無いことをヤッたとは考えたくない。 戻るべきや! 2人とこ戻て、なんとかして身の潔白を訴えるべきやろ! もし犯人が私ら以外の人やったら、トンネルにいたのも何かの魔法やもしれへん。とりあえず2人の所へ――) ふと、はやては立ち止まった。 定理の証明法を閃いた数学者のように、妙案を閃いた策士のように、体の背筋をピンと伸ばして両目を大きく開いた。 そして両目は、まるで充血したかように緋色に染まってゆく。彼女の眼球の黒も白も、まるでフィルターを被せたようだ。 「せや」 はやては突然ぐるりと体を捻らせ、トンネル内を走りだし、そのまま入り口から飛び出した。 そしてすかさず右手を額にかざして、この世界の中心部を見つめながら、A-7からH-7まで伸びる道路の上を走り出した。 その瞳から読み取れる感情は無垢。覚悟を決めて思考停止させた尖兵のソレではなく、単純思考で出来た電脳人形の眼だった。 「エリア中心部に行かな」 【G-7路上/一日目/日中】 【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]:健康、強い決意、上下の下着無し(下はタイツのみ着用)、ギアス [装備]:無し [道具]: [思考] 基本思考:力の無いものを救い、最終的にロージェノムを逮捕する。 1:『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』 2:突然の事態の困惑。ミー殺しの無実をマタタビとクレアに伝えたい。 3:クレアの求婚に困惑。変な気持ち。でも人殺しをしてしまったので、クレアへの良心の呵責。 4:慎二の知り合いを探し出して、彼を殺した事を謝罪する。 5:読子達にデイパックを返したい [備考] ※ムスカを危険人物と認識しました ※シータ、ドーラの容姿を覚えました。 ※モノレールに乗るのは危険だと考えています。 ※言峰については、量りかねています。 * * * はやてに遅れること少し。 トンネルを抜けようとしている人物がいた。 多くを語る必要は無い。その人物は言うまでもなく、先ほどマタタビと一緒にいたクレアだ。 「おっ光が見えてきたな……本日2度目の脱出だ。はやてはどこに行ったんだ……? 」 ……物事には『始まり』と『終わり』が存在する。 形あるものには崩壊があるように、生きるものには死があるように。 そして、物事には『始まり』と『終わり』について何かしらの『ルール』がある。 これからあることについて唐突に語る事を許していただきたい。 『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』 絶対的能力による制約にも『始まり』と『終わり』はあるという事を。 では、このルールの『終わり』とは何なのか。 八神はやて、クレア・スタンフィールド、マタタビが起こしたこれまでの行動は、 『エリア中心部に向かう途中でミーに半ば強引に呼び止められ接触。彼の忠告を“害”とみなし排除した』ことだ。 つまり、上記のルールを『一通りこなした』、と考えられる。 だから彼らは制約から解放されたのではないか。制約中での行動を全て忘れさり、正気に戻ったのではなかろうか。 全てはルルーシュ・ランルページが宣告した命令が一息だったから。 『エリア中心部に行く』『他の参加者に接触する』『使えそうかどうかを判断する』が別個の命令としては成立していなかったのだ。 ルルーシュ本人の真意はわからない。 だが、命令を下していた当時の彼が酷く憎しみに染まり一時の感情で激昂していたのは事実。 彼にとっては、命令の細分化的判断はさほど重要ではない、という意識がどこかにあったのかもしれない。 そもそも、この点において螺旋王による何らかの介入があったのかもしれない。 また、ギアスという能力には、その利便性と応用性に富む能力ゆえにしばしば効果への『ひずみ』が生じる。 それはギアスをかけられた本人に命令が効かないという意味ではない。 ギアスをかけられた者がギアスによる命令をこなした後の反応がまちまちであるということだ。 『死ね』『殺せ』という、生死を持ってでしか完結しえない命令ならばまだしも、 『喋るな』『アイツを自分のところを差し出せ』『真実を話せ』『生きろ』といった抽象的な命令をかけられた者は、 命令をこなした後に、正気に戻り我に返るのだ。 ようするに今回ギアスをかけられた2人と一匹は、後者だった。 つまり先に述べた条件をこなせばいつでも本来の彼らに戻れるということだ。 だが、これは『終わり』ではない。 「……ん~こりゃはやての奴、トンネルの外まで行っちまったのか。行くとしたら温泉か? 」 この場合、ギアスの命令をこなした彼らが一度本来の彼らに戻ったとしても、何らかの条件を満たせばギアスはまた発動するのだ。 一度、一連の行動をこなしまた正気に戻ったとしても、また何らかの条件を満たせば再度ギアスの命令をこなす為に動く。 あくまでギアス自体が解除されたわけではないのである。 「応援で温泉にいた奴らを連れてこようとしているのかもしれない。 まぁいい。急いで温泉に向かい彼女をつれ戻さ――」 そしてその再発動、つまり『始まり』の条件とは、 “誰かに会う為に自分が目星をつけた目的地に行こう”という一連の思考をした時ではないだろうか。 「そうだった、俺はやらなければならない事があったんだ」 ……これはむしろ『終わりが無いのが終わり』と言うべきである。 勿論ギアスにかけられている間の彼らの記憶は残ることがないので、本人達が気づくことはない。 まるで夢遊病患者のように、彼らは自らが引き起こし続ける現実を受け入れるしかないのだ。 その呪縛には治療の余地はあるかもしれないが、ギアス自体の解除、という完治に到達する可能性は極めて低い。 だが、最も注意すべきはギアスによる全ての命令がこの可能性に当てはまることは、断じて無いということだ。 あくまで今回、ルルーシュ・ランルページが温泉で2人と一匹にかけたギアスへの、可能性のみに特化して述べたと考えてほしい。 「エリア中心部に行かないとな」 【H-7トンネル入り口/一日目/日中】 【クレア・スタンフィールド@BACCANO バッカーノ!】 [状態]:疲労(少)、右腕負傷、自分への絶対的な自信 、ギアス [装備]:フライング・プッシーフットの制服(下着無し) [道具]:セラミックス製包丁@現実 、H K MP7(0/40)+予備弾40発@現実、バスタオル [思考] 基本:脱出のために行動する 、という俺の行動が脱出に繋がる。はやてと結婚する。 1:『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』 2:はやてをマタタビのいるトンネルに連れ戻し、彼女のミー殺しへの無実を証明する。 3:自分たちがトンネル内にいたことに疑問。 4:モノレールとやらに乗ってみたい。名簿に載っているのが乗客なら保護したい。 5:はやての返事を待つ。 * * * 「……お前の支給品は拙者が預かっておく」 トンネル内で一人壁を背にして座り込むマタタビは知人『だったもの』に話しかけた。 その知人は、これまで日常と非日常の境目を共に生きてきた一人。 『仲間』というには程遠く、どっちかと言えば厄介事を持ち込んで自分を巻き込んでくる、はた迷惑な『隣人』だった。 だがそれは知り合ってから充分に年月が流れ、その上でマタタビがなんとなく感じたこと。 共通する敵の為に一緒に戦ったこともあるし、トラブルを一緒に解決したこともあった。 そしてその場には……いつもクロがいた。 そもそもマタタビとクロを引き合わせたのは他ならぬミーとその仲間であるコタロー&剛万太郎博士である。 どんなにマイペースで自分勝手に生きていたマタタビでも、 野垂れ死ぬところを一食一飯の恩義で救ってもらった時の義理をマタタビが忘れることは無かった。 気が向けばいつでもクロと戦える。 クロが居候をしている家で大工稼業に勤しむことが出来る。 気がつけばクロの家で居候させてもらっている。 五月蝿くても、彼を仲間だと言って信じてくれる同胞が集まってくる。 彼がその全てを得たのは、ミーたちと出会ったから。 全ては――『平穏』だった。 螺旋王によって集められたこの状況も、言うなれば日常だとマタタビは割り切っていた。 大したことではないと言わんばかりに、クロとミーが好き勝手して、滅茶苦茶にして、自分を時折巻き込んで、全てを終わらせる。 それが、マタタビがこれまで考えていた率直なイメージだった。 だが、そうではなかった。 「何故だ……第二回放送で決まった禁止エリア!? キッドが死亡!? もうとっくに昼は過ぎているだと!? それに……! 」 彼を巻き込む2つの台風は、すでにこの世から消えていた。 平穏を提供した知人は目の前で果てていて、唯一無二のライバルはどことも知れぬ場所で死んでいた。 「なぜキッドの奴が持っていたはずの“コレ”がここにあるんだ……」 マタタビはクレアの鞄から取り出したビンを睨む。 中に入っている目の玉が、標本のように中で揺れている。 この目玉の持ち主はマタタビであったが、現在の所有者はクロだった。 遡ること数年、ささいな事で縺れたクロがマタタビの目玉をえぐり取ってしまった。 マタタビは目を諦めたが、クロはその目玉をこっそり回収し、大切に保管していた。そして彼はある日マタタビにこう言ったのだ。 ――この目玉、返して欲しいか? ヘヘッ返して欲しけりゃ自分の手でオイラから奪ってみろよ―― だがそれ以来、取り替えそうと思っても、マタタビは未だにクロからこの目玉を取り返せてはいなかった。 それが、今ここにある。クレア・スタンフィールドのディバッグの中に入っている。 「クレア……! 」 目玉との有り得ない再会に、マタタビは考える。 クレアがこれを持っているということは、彼がクロと会ったことがあるということだ。しかし彼はその事をマタタビに話さなかった。 クレアがクロに何かをした、とは考えにくい。 クレアが奪ったのなら置き去りにするはずがないし、捨てているだろう。 クロがクレアに目玉を託したのならば話すはずだし、後から温泉にやってきたミーと知り合ったのならば、なおのこと。 マタタビがクレアと出会ったのは第一回放送が流れた直後であり、そのころはクロはまだ死んでいなかった。 覚えの無い走り書きを信用するのは不本意だが、クロが第一回放送と第二回放送の間で死んだとしたらクレアにはアリバイがある。 席を外す時があっとはいえ…… 「……ヤれたとしてもクレアにキッドを殺す時間があっただろうか? それにこの血まみれの人間の女モノの下着は……!? 」 マタタビは自らの記憶を思い出す作業にかかる。 クレアが最初に戻ってきたとき、彼は『彼女』を引き連れていた。 それから、席を外す度に『彼女』が側にいた。 結婚しようだの愛するだの浮ついた言葉が飛びかい、彼女が公衆の面前で醜態を晒していたのは記憶に新しい。 だが、あの時に怪しい素振りはなかった。つまりクレアにクロを殺す機会はない。 ということは消去法で残るは彼女だけ。彼女がクレアに罪をなすりつける為に、 自分の目玉をクレアに渡した(プレゼントと称するか、こっそりバッグにいれたか)と考えるべきだろう。 そもそも、彼女がクレアと出会う前にどこで何をしていたのかはわからないのだから。 そして今、彼がはやてのバッグから発見した血に染まる赤い下着。 これらから考えても、良からぬ発想はいくらでも可能だ。 「……いや待て。あの書置きは確かにキッドの字だった」 マタタビが最初に彼女に話しかけたとき、彼女はクロの書置きを自分に見せてきた。 それは紛れもないクロの字。つまり、クロがはやてを信頼していたことは間違いない。 「では……キッドにあの書置きを書かせた後、隙を突いて殺害したとしたらどうだろうか」 彼女が隙を突いてミーを殺したのだとしたら、この考えは一応の筋が通る。 クロを殺せる実力者ならば、ミーを殺することも不可能ではない。 クロからまんまと『お墨付き』をいただいて、虚言をふりまけばマタタビとミーの始末も容易である。 クレアを手玉に取っているのを踏まえれば、有り得なくはない。 「だが……引っかかる……」 マタタビは頭を掻き毟る。 やはり自分達がいきなりトンネルにいた事に説明がつかないからだ。 まるで時がふっ飛んだような感覚。魔法でも使わない限りこんな事は無理であり、不可能。 この謎への糸口を見つけなければ、これまでの思考は所詮机上の空論だった。 「やはり会って話を聞いてみないことにはな、そろそろクレアが戻ってくるだろうが、待ってられん。拙者も行くか――」 マタタビは荷物を急ぎ足でかき集めると、ダッシュでトンネルを走り始める。 しかし、突然彼は走るのを止めてしまった。そして彼はその場に立ち尽くす。 ただ、ただ、空ろに。まるでその名の通りの植物に酔いしれたかのように。 そして彼は、呟いた。 「エリア中心部にな」 【H-8トンネル内/一日目/日中】 【マタタビ@サイボーグクロちゃん】 [状態]:健康、ギアス [装備]:大工道具一式@サイボーグクロちゃん、マタタビのマント@サイボーグクロちゃん [道具]:支給品一式×5(マタタビ、はやて、クレア、読子、ミー)食料:缶詰 メカブリ@金色のガッシュベル!!(バッテリー残り95%) 、トリモチ銃@サイボーグクロちゃん マタタビの目玉入り瓶@サイボーグクロちゃん、拡声器@現実、世界の絶品食材詰め合わせ@現実 レイン・ミカムラ着用のネオドイツのマスク@機動武闘伝Gガンダム 、アニメ店長の帽子@らき☆すた テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード、血に染まったはやての下着(上下) [思考]: 1:『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』 2:強い憤り。はやて・クレアから2人の関係、特にはやてにはクロとミーの死について必ず真意を問い質す。 3:リザを待てないので、リザと接触したい。 4:暇があれば武装を作る。 【ギアス“エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する”】 1:一連の命令をこなすと正気に戻る。 2:しかし"誰かに会う為に、(本人が目星をつけた)目的地に行こう”という一連の思考をした時に再びギアスが発動する。 3:その他の情報は不明 時系列順で読む Back 言峰綺礼の愉悦 Next 蒼き槍兵と青い軍服の狙撃士 投下順で読む Back いまひとたびの生 Next こころの迷宮 168 それでもボクは分からない 八神はやて 190 ボクのセカイをまもるヒト(前編) 168 それでもボクは分からない クレア・スタンフィールド 190 ボクのセカイをまもるヒト(前編) 168 それでもボクは分からない マタタビ 190 ボクのセカイをまもるヒト(前編)