約 427,637 件
https://w.atwiki.jp/freesword/pages/22.html
固定キャンペーンの募集について 固定キャンペーンの自動廃止について 固定キャンペーンの募集について 固定キャンペーンのメンバーの募集は自由の剣亭,自由の剣亭EXチャンネルを使用して構いません。その際は開催日や時刻、内容についても触れておくのがbetterです。 固定キャンペーンの自動廃止について GMやPLが前置きなしで不在になり、続行不可能になったキャンペーンが発生してしまうことを防ぐため、以下の条件すべてをを満たしたキャンペーンは自動的に廃止となります GMもしくはPLが音信不通になり1ヶ月が経過している。 GMの開始予定日から1ヶ月が経過している。 この条件を満たした場合は一度キャンペーンは解散となります。ご協力よろしくお願いします。
https://w.atwiki.jp/keroro00innovator/pages/1346.html
自由への進撃 自由への進撃 アーティスト Linked Horizon 発売日 2013年7月10日 レーベル ポニーキャニオン デイリー最高順位 1位(2013年7月13日) 週間最高順位 1位(2013年7月16日) 月間最高順位 1位(2013年7月) 年間最高順位 1位(2013年) 初動売上 129110 累計売上 262907 プラチナ スーパーロングセラー 週間1位(V2) 月間1位 年間1位 下半期1位 紅白歌唱曲 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 紅蓮の弓矢 進撃の巨人 OP 2 自由の翼 3 もしこの壁の中が一軒の家だとしたら ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 7/16 1 新 129110 129110 2 7/23 1 → 29747 158857 3 7/30 3 ↓ 13922 172779 4 8/6 4 ↓ 9600 182379 2013年7月 1 新 182379 182379 5 8/13 9 ↓ 7236 189615 6 8/20 6 ↑ 6982 196597 7 8/27 8 ↓ 5179 201776 8 9/10 10 ↓ 4337 206113 2013年8月 6 ↓ 23734 206113 9 9/10 10 → 3384 209497 10 9/17 5 ↑ 2841 212338 11 9/24 6 ↓ 2536 214874 12 10/1 3 ↑ 2793 217667 2013年9月 8 ↓ 11554 217667 13 10/8 7 ↓ 2253 219920 14 10/15 5 ↑ 1792 221712 15 10/22 3 ↑ 1527 223239 16 10/29 13 ↓ 1200 224439 17 11/5 18 ↓ 1098 225537 2013年10月 11 ↓ 7870 225537 18 11/12 ↓ 1050 226587 19 11/19 744 227331 20 11/26 728 228059 21 12/3 25 ↑ 1342 229401 2013年11月 45 ↓ 3864 229401 22 12/10 13 ↑ 1409 230810 23 12/17 8 ↑ 1278 232088 24 12/24 7 ↑ 1483 233571 25 14/1/5 5 ↑ 2969 236540 2013年12月 10 ↑ 7139 236540 26 1/7 3 ↑ 4438 240978 27 1/14 6 ↓ 2450 243428 28 1/21 8 ↓ 1839 245267 29 1/28 6 ↑ 1419 246686 30 2/4 18 ↓ 1235 247921 2014年1月 10 → 11381 247921 31 2/11 ↓ 990 248911 32 2/18 878 249789 33 2/25 817 250606 34 3/4 766 251372 2014年2月 39 ↓ 3451 251372 35 3/11 644 252016 36 3/18 584 252600 37 3/25 633 253233 38 4/1 577 253810 2014年3月 40 ↓ 2438 253810 39 4/8 11 ↑ 595 254405 40 4/15 5 ↑ 524 254929 41 4/22 14 ↓ 537 255466 42 4/29 ↓ 551 256017 43 5/6 638 256655 2014年4月 37 ↑ 2845 256655 44 5/13 611 257266 45 5/20 410 257676 46 5/27 343 258019 47 6/3 381 258400 2014年5月 ↓ 1745 258400 48 6/10 280 258680 49 6/17 287 258967 50 6/24 241 259208 51 7/1 240 259448 2014年6月 1048 259448 52 7/8 237 259685 53 7/15 229 259914 54 7/22 184 260098 2014年7月 650 260098 55 8/19 244 260342 56 12/30 272 260614 57 15/1/6 227 260841 CD/総合ランキング 週 月日 CDシングル 総合シングル 順位 週/月間枚数 累計枚数 順位 週/月間枚数 累計枚数 58 9/8 620 261461 59 9/15 18 1446 262907 配信ランキング 紅蓮の弓矢 週 月日 デジタルシングル 順位 週/月間DL数 累計DL数 1 9/8 7 1550 1550 2 9/15 11 3613 5163 進撃の巨人 OP 前作 次作 紅蓮の弓矢自由の翼 心臓を捧げよ! 関連CD 美しき残酷な世界 楽園への進撃
https://w.atwiki.jp/changerowa/pages/359.html
← 戦いが始まったと分かれば杉元のスイッチが即座に切り替わる。 全方位から常に死が迫る日露戦争を、骨の髄まで味わって来た男だ。 動くべき時に動けない愚行を今更犯す筈も無く、右手を跳ね上げ引き金を引く。 コルト・パイソンが火を吹き、肉の壁と見紛う脚を食い千切った。 更には内部で爆発した弾丸が神経を破壊する。 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』 残念ながら巨人への効果的なダメージにはならない。 対未確認生命体用の特殊弾も、規格外のサイズを誇る巨人相手では豆鉄砲に等しい。 的が大きい故、自他共に認める射撃下手の杉元でも当てられるのはほんのちっぽけな慰めか。 大した傷で無くとも攻撃は攻撃、小癪な真似に出た一匹の虫が最初の標的に選ばれた。 地上の蟲に鉄槌を下す神の如く、上空より襲来する足底。 大質量の急接近に空気が悲鳴を上げ、危機感をこれでもかと高めさせた。 道で蠢く目障りな蟻を潰すように、人間一人の命が容易く奪われる。 だが自らの終わりを黙って受け入れるかは別。 纏わり付く死を幾度となく跳ね退けたからこそ、只の人間でありながら不死身の異名を手に入れた男なら尚更だ。 迫る脅威を火薬に、自らを弾丸に変え疾走。 蓬莱人の身体能力でも十分な距離を取らねば無事では済まない。 「うおおおっ!?」 回避成功を喜ぶ暇もなく、振り下ろしたばかりの足が襲って来た。 たっぷり蓄えた猪のような親指が視界いっぱいに映り込む。 骨が折れる程度では済まない、半身が粉砕されるのは確実。 「甜花!」 「う、うん……!」 死を遠ざけ、巨人に立ち向かうのは杉元一人の役目に非ず。 金塊争奪戦でアイヌの少女や脱獄王がそうだったように、此度も彼の仲間が黙っていない。 ビルドと斬月、合図へ頷き二人の戦士が銃撃を開始。 ライドブッカー、ドリルクラッシャー、無双セイバー。 三つの銃口から放たれたエネルギー弾が巨人の足を狙い撃つ。 爪が割れ肉が弾け飛び、病院前の地面を赤く彩る雨が降り注ぐ。 「痛っ!爪!爪が当たった!」 杉元の額へ爪の欠片が突き刺さったが事故である。 ともかく蹴りの勢いが僅かに弱まり、反対に杉元は両脚の筋肉を総動員。 数秒前までの位置を巨人の足が通過、背中へ嫌な風圧を感じながら跳び退いた。 仲間への援護が上手くいった代償として、怒りの矛先が二人のライダーに変更。 同じ銃撃でも威力で言えば彼らの方が上、しかしうなじ以外の攻撃は決定打になり得ない。 再生が始まっている足で地面を踏みしめる姿から、エネルギー弾が堪えた様子は微塵も無し。 殲滅を促す脳からの指令と、絶えず湧き出る憎悪に突き動かされ拳を振り下ろす。 拳一発蹴り一撃が災害級の威力だ、直撃すれば仮面ライダーの装甲があっても無事では済まない。 「ま、やっぱりそう来るよな…!」 敵意が今度は自分達に向けられるのも承知の上だ。 巨人の蹴りを杉元が躱した時点で、ビルドはとっくに次の行動に出ている。 ライズホッパーに跨り、後ろに斬月を乗せ準備完了。 拳が地面に叩きつけられたのは猛発進した直後のこと。 「ひぃん……!は、速い……!」 「キツいだろうけど振り落とされるなよ!」 猛スピードで駆けるライズホッパーに、斬月は目が回りそうだった。 変身せずにいたら確実に地面を転がっていただろう。 とはいえ相手が相手だ、ビルドだけならまだしも斬月が一緒ならばこれくらいの機動力は必須。 巨人が大股で一歩踏み出せば、たったそれだけで呆気なく追い付かれる。 加えて巨人は肉体の密度が薄い、巨体に反して俊敏な動きも可能という厄介さ。 巨人討伐に慣れた調査兵団であっても、基本は『遭遇しない』のを大前提とする理由の一つ。 しかしライズホッパーは、飛電インテリジェンスが開発を行ったスーパーマシンだ。 全速力の巨人であっても簡単には追い付けない。 これが殺し合い開始直後のような暴走だったら、巨人はビルド達から引き離されたままだろう。 されど忘れるなかれ、今の巨人は洗脳と憎悪の影響で対象の殲滅に最適解を弾き出す殺戮マシーン。 速度で勝る相手だろうと決して逃げられない。 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』 大地を陥没させん程に踏みしめ跳躍。 ただそれだけで暴風が巻き起こり、装甲越しから容赦なく叩きつける。 上空から眼下の標的へ狙いを定め拳を突き出す。 落下の勢いも上乗せした一撃の急接近は、走行中のビルド達へ更なる警鐘を鳴らす。 ライズホッパーの速度を上げるも猛烈な悪寒は消えてくれない。 ビルドの脳がフル回転し次の行動を決定、走っているだけでは拳を避けるのは不可能。 だが手はある。 「ちょっとだけ無茶やるから耐えてくれ!」 「えっ?ひゃっ、きゃああああああっ……!?」 拳が振り下ろされた先に哀れな死体は無い、潰された地面が見えるだけだ。 直撃の寸前にハンドルを操作し、何とライズホッパーは前方へと大きく飛び跳ねた。 地面を離れ宙へと逃げ込んだ安心は長続きせず、再び脅威が急接近。 どこへ行こうと関係ない、降り立つ前に捕えるべく巨人は反対の手を伸ばす。 巨大な掌に掴まれ、後は握り潰されるか腹の底へ真っ逆様の二択。 尤も、それを予測できないビルドではない。 斬月の手を取り、ライズホッパーを乗り捨てる形で跳ぶ。 落下するバイクには目もくれず、伸びたままの腕へ着地。 じっとしていれば摘ままれるか潰されるかだ。 ラビットフルボトルの成分でハイジャンプを行い、巨人から遠ざかる。 無論、巨人がそのまま見逃すのは有り得ない。 「ピ~カ~!!」 相手の動きに注意を払い続けるのはこちらも同じ、でんこうせっかで追いかけて来た善逸が妨害に動く。 鬼との戦い、特に上弦や無惨との死闘では1秒たりとも集中力を切らせなかった。 僅か一瞬の気の緩みが即座に死へ繋がるのを、嫌と言う程に知っている。 気絶しそうな恐怖の中でも巨人から決して意識を逸らさず、ピカチュウのわざを発動。 天空より降り注ぐ一筋の光。 神が下す裁きの如く、眩い雷光が巨人を――貫かない。 「ピカ?ピカアアアアアアア!?(あれ?ええええええええ!?何で!?今雷落ちたよね!?)」 まさかの大外れに、たちまち頭はパニック状態。 巨人目掛けて雷を落とした、自分の攻撃なんだからそれは間違いない。 なのに当たらなかったのは一体どういう訳か。 幾ら何でもあんな巨大な相手に外す、なんてことはないだろうに。 DIOや姉畑相手には綺麗に命中したのが、何故今に限って外れるのだろうか。 かみなりはでんきタイプのポケモンが使う中でも高火力のわざだ。 しかし10まんボルト等と違い、常に必中する訳ではない。 天候によって命中率が左右され、晴天時には半分の確率でしか当たらない。 現在は日がほとんど沈んだ為、晴天時程低くはないがそれでも確実に命中するかと言えば否。 雨天時に起きたPK学園での戦いの時とは異なり、こういったかみなりが外れる事態も出てくるのである。 そういったポケモントレーナーの常識を善逸が知る訳が無く。 まして対峙中の巨人にはもっと関係無い。 『■■■■■オオ■■■■■■オオオ■■■■■■■!!!!!』 また一人滅ぼすべき者が目の前に現れた。 それだけ分かれば十分であり、それ以外を考えなどしない。 完全に再生を終えた足が地面を蹴り上げる。 拳の餌食に選ばれたのは、人間よりも小さな生物。 なれど巨人が止まる理由には断じてならず、振り下ろす鉄拳はさながら巨岩の投擲。 青褪め甲高い悲鳴が耳を劈こうとも知ったことではない、黄色い体躯が拳の真下に消え失せる。 手をどかせばそこには赤い染みが、見当たらなかった。 「ピ、ピカ~~~~~~!!!!!」 汚い高音の叫びは標的がまだ無事な証拠。 音の発生源を即座に探し当て、我武者羅に駆け回る黄色い体躯を睨み付ける。 但し巨人が見たのは、複数体のピカチュウが逃げる姿だった。 「ピカピ!?ピッピカチュウ!?(ってあれ!?なんか俺増えてる!?)」 自分のことながら善逸も困惑を隠せない。 これもまたピカチュウが使えるわざの一つ、かげぶんしんだ。 名前の通り分身を作り出し、攻撃の回避率を上げる効果を持つ。 今さっき潰されたのは分身の一体であり、本体はこうして逃げ延びた。 増えたなら纏めて潰せば良い。 巨人が足を振るえば、たったそれだけで分身全てが薙ぎ払われて消滅。 あっという間に本体一匹へ逆戻り。 再度かげぶんしんを行う余裕は与えず、掌が善逸の逃走を阻む。 「どおおっせええええいっ!!!」 なれば巨人を阻む者もまた、当然の如く現れる。 颯爽と駆け付けた不死身の杉元、抜き放つ得物は和泉守兼定。 鬼の副長と恐れられ、英霊にまで至った剣豪の愛刀。 杉元が知る老剣士程使い慣れてはおらずとも、蓬莱人の身体能力と自らの技能で補う。 気合一閃を絵に描いた刃は、巨人の指を数本纏めて斬り落とす。 「ついでにこれもだ!」 善逸を掴む筈の指が無くなり、黄色い獣はすり抜けるように逃げた。 憎悪の矛先は最初と同じく杉元へ変更。 だが杉元は動じない、殺気だなんだを向けられるのは最早日常茶飯事。 刀を納め両手を自由に、翳した掌から火球を連続で発射。 弾幕ごっこと違って見栄えを全く考えない、威力優先の火炎地獄。 たちまち肉が焼ける臭いが立ち込めた。 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』 それがどうしたと言わんばかりの咆哮。 体中が焼かれようとも知ったことか、火球諸共薙ぎ払う。 腕を振るう単純な動作が、まるで大木を叩きつけたかの強力無比な一撃と化す。 跳んで避け切れるかは微妙なところ、自ら地面に倒れ込みやり過ごすのを選択。 頭の上を大質量が横切る感覚、思わずヒヤリと寒気が走った。 「杉元!」 自身を呼ぶ声に何だと聞き返さず、意図を察知し急ぎ後退。 入れ替わりに前へ出たビルドがカードを取り出す。 巨人と目が合い、こちら何をする気か察したかは不明だが腕が伸ばされた。 次の手に出る前に叩きのめすつもりか。 『メロンスカッシュ!』 突如横合いより投擲された物体が腕に命中、肉を削ぎ骨を砕く。 ロックシードのエネルギーで強化されたメロンディフェンダーだ。 敵の意識が外れたなら大技をぶつけるチャンス、ゲーム内でのお約束である。 これは画面の向こうの世界では無く現実で、実行に移した斬月は緊張感に襲われているが。 『FAINAL ATTACK RIDE BUI・BUI・BUI BUILD!』 斬月が標的にされる前にビルドも動かねばならない。 ディケイドライバーにカードを装填、解放されたエネルギーがグラフ型の滑走路を作り出す。 スマッシュを撃破した蹴り技はここでも健在、グラフを滑り急加速し巨人へ足底を叩きつけた。 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!??!』 咄嗟に両腕が伸ばされるも、瞬間的なスピードはビルドに軍配が上がる。 脚部へ当たった足底のキャタピラが高速回転、蹴りの勢いに加えて皮膚を削り取っていく。 時間を置かずに再生こそされるだろうが、巨体を支える箇所の損傷だ。 巨人の体勢が崩れ膝を付く。 痛覚が薄い巨人が痛みへ叫ぶことはない、代わりに悉く小賢しい真似に出た者達への憎悪を一層滾らせる。 そしてこの瞬間に5人目の戦士が動く。 「変身!」 『蒼き野獣の鬣が空になびく!ファンタスティックライオン!流水三冊!紺碧の剣が牙を剥き銀河を制す!』 物語の語り手を思わせる電子音声が剣士の降臨を知らしめる。 青い装甲と胸部のライオンはそのままに、より重厚さを増した姿。 右肩には神獣が、左腕にはおとぎ話の力をそれぞれ纏う。 神楽も一度は見たが、自身が変身を行うのはこれが初めて。 仮面ライダーブレイズ・ファンタスティックライオン。 三冊のワンダーライドブックで変身するブレイズの強化形態。 「おっしゃ!やってやるアル!」 巨人は膝を付き、意識は完全にビルドら4人へ向けられている。 少し離れた位置でブレイズになったブレイズは完全にノーマーク。 康一を助け出すには正に絶好のタイミングだ。 飛行能力を持つブレイズならばうなじへ近付くのも難しくない。 そう考え飛び出そうとした所へ戦兎が待ったを掛け、自分達が隙を作るから待つよう言われた。 反論する前に各々動き出し、悩んだが勝手な行動が大きな過ちを引き起こすのは自分が一番分かっている。 逸る気持ちを抱え続け、とうとうその時は来た。 右肩のペガサスボールドが天を翔ける力をブレイズに与える。 翼を広げ地から足を離した際の機動力は、タケコプターとは比べ物にならない。 (これならいけるネ…!) 自由に空を飛び回る解放感に、こんな状況でなければ喜んだかもしれない。 僅かに浮かんだどうでもいい感想を追いやり、意識全てを巨人へ集中。 自分の罪を知っても責めず、仲間として受け入れてくれた者達が作ったチャンスだ。 つまらないミスでふいにするのは許されない。 村で康一に何が起きたか考えるのも、助け出してから聞けば良い。 銀時を失って錯乱した自分を立ち直らせてくれた康一を、託された聖剣で取り戻す。 決意の固さはそのまま柄を握る力の強さに変わる。 (もう少し…!) うなじまで後もう僅かの距離。 背後からの気配に気付いたのか、巨人の首が揺れ動いた。 それでも速いのは自分の方だと勝利を確信、ブレイズの聖剣が寒風諸共うなじを切り裂く。 「これで…!」 取ったと、その場にいる全員が思った。 康一を閉じ込める肉の檻をこじ開け、無事救出。 そんな都合の良い展開は、キンッという音と共に否定される。 「なっ!?」 流水は巨人のうなじを正確に狙った。 本来の巨人討伐に用いる装備で無くとも、ブレイズの能力と無数のメギドを斬って来た流水があれば、康一本体を引き摺り出すのも不可能ではない。 だが現実の光景は無情だ。 流水はうなじを斬れず皮膚に弾かれた。 皆が作ったチャンスは脆く呆気なく失われ、巨人の瞳がブレイズをハッキリ捉えて離さない。 巨人となったエレン・イェーガーの能力は、単に巨体を利用し暴れ回るだけではない。 ロッド・レイスが所持していた薬により手に入れた硬質化。 正史において、ライナー・ブラウンを始め巨人化能力者との戦闘で幾度も発揮された力だ。 当然精神が別人になっても硬質化能力は健在。 東エリアの街で起きた戦闘時でも使われ、雨宮蓮達を大いに苦戦させた。 硬質化に関しての情報を戦兎達に教えなかった件で、神楽を責めるのは酷だろう。 何せ神楽が覚えている暴走した時の康一は、このような能力を一度も使わなかった。 こんな力が巨人にあったなど、神楽にだって予想外。 といった事情も巨人の知ったことではない。 またもや滅ぼすべき蟲が現れた。 不意を打つつもりだったようだが硬質化を破れず、結果間抜けにも凍り付いたまま。 殺さない理由がどこにあると言う。 「っ!!あっぶね…!!」 小蝿を仕留める気安さで平手打ちがブレイズを襲う。 硬直から咄嗟に動けたのは、やはり万事屋銀ちゃんの従業員として数々の大事件を解決して来た経験からか。 ファンタスティックライオンの固有能力の一つ、肉体のゲル化を使用。 液体を叩いたところで無意味。 しかしこれも制限の対象になっているのか、ブレイズの意思とは無関係に短時間で実体化。 尤も既に地面へ着地を終えており、ビルド達に並ぶ。 「な、何で急にカッチカチになったネ?新八みたいに一人でシコシコやってるアルか?」 「シ……!?あ、あの、それって……あうう……」 「んなハッキリ言ってやるなよ。男ならまぁ…」 「ピカ!?(なななななんで俺を見るの!?)」 「急に下ネタぶち込むんじゃないよ。ってかそんな場合じゃないでしょーが」 ほんのちょっぴり流れたギャグ漫画の住人ならではの空気は、巨人が発するプレッシャーで消し飛ぶ。 おふざけが通用する時間は完全に終わりだ。 二本足でどっしりと大地に立ち、地蟲を睥睨する憎悪の化身。 姿形はこれまでと何ら変わっていない。 しかし纏う存在感が否応なしに理解させる。 ここからが地獄の始まりだと。 『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!』 天地を揺るがす雄叫びが開戦の合図。 体を支える左足はそのままに、右足を大きく振り上げ指先が空を睨む。 踵部分が硬質化、断頭台の如く降ろされた鉄塊に全員の肌が総毛立つ。 避けろと言ったのは誰か、短い言葉を聞き届けるより早く跳び退く。 巨体を利用し、硬質化で威力を高めた踵落とし。 直撃せずとも発生する衝撃波が吹き飛ばす。 己の意思とは無関係に体が宙を舞い、地面への激突は時間の問題。 「俺は…不死身の杉元だ!!」 「ピカ~~~!?」 異名を名乗り上げ己を鼓舞、足場のない状態でありながら踏み止まる。 幻想郷の住人だから可能な飛行能力だ。 偶然傍を横切った黄色い獣を掴み、直後眼前へ迫る拳。 慌てて急降下し回避、頭上を通過する鉄拳を見ないままに善逸を降ろす。 巨人の二撃目を一々待つつもりはない、再度飛び上がり火球を連射。 場所を空中に移しての第二戦だ。 「ホアチャアアアアアアアッ!!!」 杉元とは別方向から飛翔する青い剣士。 ブレイズも飛行能力を駆使して落下を防ぎ、攻撃を再開。 海賊の船長のようなフックを振り回し、ライドブックの力を引き出す。 ブレイズの動きに呼応し空中に水が生み出される。 真下に流れ落ちる筈の水はなんとリング状へ変化。 更には妖精やライオンがリングを通って現れ、巨人に攻撃を仕掛ける。 おとぎ話の住人達を味方に付ける、これこそ変身に使った二冊目のライドブックの力だ。 炎の弾幕と妖精が狙うのは巨人の両腕。 腕を一時的にでも使用不能にさせれば、再びうなじを狙いに行ける。 だが巨人の腕に二人の猛攻はまるで効果が無い。 うなじを守ったのと同じ硬質化を、今度は両腕に使用。 僅かな焦げ目と掠り傷が精一杯の悪足掻きなど、脅威には程遠い。 しゃらくさいとばかりに左右へ拳を突き出した。 「チッ…!」 巨体からは考えられない程に速い。 攻撃を中断し回避へ集中。 掠めるだけでもまず致命傷は免れず、おまけに避けても発生する暴風で体勢を崩される。 死線を何度も潜り抜けて来た杉元と言えど、ここまで巨大な敵との戦闘は未知の領域。 気付かぬ内に緊張の汗を流す。 拳の通過位置を大きく移動し背後を取る。 ブレイズも同じ考えだったのか、反対方向から巨人の背を狙うのが見えた。 腕の破壊が難しいなら、多少無理してでもうなじを攻撃。 名刀と聖剣を抜き、囚われの少年が埋まっている箇所へ急接近。 硬質化はさせぬとばかりに振るわれた二刀はしかし、切っ先すらも届かない。 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』 腰を大きく捻り、伸ばした腕が半円を描く。 ストレッチにも似た動きを巨人が行えば、それは災害と変わらない。 全身を叩きつける暴風に揉みくちゃにされ、強制的にうなじから引き離される。 武器を落とさず握り締めれただけでも奇跡に近い。 装甲を纏うブレイズでもノーダメージは恐らく不可能、生身の杉元は言わずもがな。 ロクな受け身も取れないまま、あわや地面の染みと化す。 『KAMEN RIDE GHOST!』 『レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ!ゴースト!』 『メロンアームズ!天・下・御・免!』 『ジンバーメロン!ハハッー!』 待ち受ける末路は二人の仲間の手で変えられた。 仮面ライダーゴーストとジンバーメロンアームズの斬月が、それぞれ杉元とブレイズの元へ急行。 前者は幽霊のように浮遊が可能であり、後者はメロンディフェンダーを使った飛行能力を有する。 杉元達を空中で受け止め事なきを得た。 「助かった!」 礼もそこそこに、またもや放たれた拳を避ける。 善逸以外は空中戦が可能であれど、状況は何も良くなっていない。 さりとて文句を言っても始まらない。 手持ちの武器をガンモードに変形し、ゴーストは二丁の銃からエネルギー弾を発射。 斬月もゴーストに倣い、ソニックアローで矢を射る。 二人が狙うのは巨人の顔面、怯ませ隙を作り出す。 硬質化させた腕で防ぐも、巨人を相手取るのはゴースト達のみではない。 うなじ部分を目指し杉元と神楽が再度接近。 エネルギー弾の掃射に気を取られ、今度は一手反応が遅れる。 しかし、正気を失っても脅威の察知能力までは失くしていない。 刃の到達を待たずに跳躍、後方へ轟音を立てて着地。 巨人が大きく動けばその分空気は揺れ、余波が周囲に被害を齎す。 咄嗟に距離を取ったお陰で巨人に衝突こそされなかったが、吹き飛ばされるのは避けられなかった。 そこを助けたのはゴースト。 パーカーゴーストを複数召喚し杉元達を支える。 『■■■■■オオ■■■■■■オオオ■■■■■■■!!!!!』 巨人はうなじへの攻撃を避ける為だけに跳んだのではない。 降り立った場所は丁度、聖都大学附属病院のすぐ傍。 着地の振動だけでガラスが大量に割れるのもお構いなし、白亜の宮殿をガッチリと掴む。 「おい、まさか……」 嫌な予感は見事に的中。 壁に亀裂が走ったかと思えば、力任せに引き剥がす。 一階部分と既に禁止エリアへ面した病棟こそ無事だが、残りは巨人の得物と化す。 標的は無論、空を飛び回る目障りな連中。 存分に怪力を駆使し投擲、命を救うための施設が無骨な凶器へと変わった瞬間だった。 「っ!神楽!」 「わ、分かったネ!」 名前を呼ばれただけで瞬時に意図を察したのは、命懸けの戦いに慣れているからか。 ゴーストがカードを取り出し、ブレイズは聖剣の柄に手を置く。 一刻の猶予も無い、焦りを隠さず各々迎撃に移る。 『FAINAL ATTACK RIDE GHO・GHO・GHO GHOST!』 『流水抜刀!ペガサス!ライオン!ピーターファン!三冊斬り!ウォ・ウォ・ウォ・ウォーター!』 6体のパーカーゴーストと一体化し、それぞれの紋章エネルギーが右脚に力を宿す。 英雄たちの力を借り技の威力を更に強化した横で、ブレイズも剣を引き抜いた。 流水の力の源である水がエンブレムから湧き出し、渦潮へと変え鉄塊目掛けて射出。 飛来する病院の勢いを一時的に押し留め、流水片手に突撃。 ゴーストもまた蹴りを放ち、高威力の打撃と斬撃が病院を粉砕する。 パラパラと地面へ小雨のように破片が落ちる中、巨人は既に次の手に出ていた。 「おいまたかよ!?」 悲鳴染みた声が出るのも無理はない。 今投げたのは二階から上の箇所、ということは一階部分はまだ使える。 吹き抜けと化したロビーに手を突っ込み、さっきと同じく引き剥がした。 もう一度投げるつもりだろうが、技を放ったばかりのゴーストとブレイズが動くにはほんのちょっぴり遅い。 となれば、残る二人がどうにかするのみだ。 「仕方ねえ!気合入れろ大崎!」 「う、うん……!」 『ロックオン!メロンオーレ!ジンバーメロンオーレ!』 プレッシャーと恐怖で縮こまりそうになるも、ソニックアローを強く握って震えを誤魔化す。 二つのロックシードから流れ込んだエネルギーが、アークリムに充填され緑に輝く。 杉元もまた炎の翼を展開し、両腕に霊力を集中。 具体的なイメージは出来ていない、ただ目の前の障害を叩きのめす殺意を糧に技を形作る。 「今だ!」 巨人が投擲の構えを取ったタイミングでそれぞれ撃ち込む。 病院が目の前まで飛んでくるのを、わざわざ待つ意味はない。 ソニックアローを振るい、アークリムより緑の光刃が巨人を切り裂く。 タイミングを合わせた杉元の掌からはこれまでの火球ではなく、一筋のレーザーが放たれた。 妹紅のスペルカード、『原罪【正直者の死】』を思わせる攻撃だ。 手から離れかけた病院の残骸諸共、斬撃と光線が薙ぎ払う。 巨人が手にした凶器は木っ端微塵に砕け、煙が巨体を覆い隠す。 二撃目も凌いだ、だが終わりはまだやって来ない。 自身を包む煙を払い除け、巨人は地を蹴り跳ぶ。 追い打ちを掛けられ更に破壊された病院には見向きもしない。 一蹴りでこちらを見下ろす羽虫達の元へと辿り着く、否、彼らをも見下ろす位置まで跳んだ。 『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!』 鼓膜を破りかねない咆哮を発し、右手を振り下ろす。 硬質化で一点を強化した拳を食らえば、人間など途端にひき肉だ。 巨人が自分達の頭上を取ったその時点で、全員回避へ動き出している。 されど此度は落下の勢いをも味方に付けた、悪夢の如き一撃。 直撃を避けても、地面を叩いた衝撃波は空にいようと関係なしに襲い掛かった。 「んなくそ…!」 何とか宙で踏み止まろうとしても上手くいかない。 というか飛行能力自体が発動されない。 不死以外で妹紅の肉体に課せられた、もう一つの制限がここで影響し出す。 支給品で飛行可能となったジューダス等と違い、杉元は肉体の能力で最初から空を飛べる。 但し永久的に飛ぶ事は不可能であり、一定時間経過で杉元の意思に関係無く地へ落とされるのだ。 これまで飛ぶ機会は度々あったものの、長時間の飛行は今回が初めて。 制限へ気付くには遅過ぎた。 為す術なく砲丸のように吹き飛んだ挙句、病院とは名ばかりの瓦礫の山へ突っ込む。 「うおおおおおおおおおおおおっ!?」 「きゃあああああああああっ!?」 ライダーに変身し重量が増していようと最早関係無い。 浮遊能力でさえまともに機能しない中、ゴーストの視線が捉えたのは自分同様吹き飛ばされる白武者。 彼女が空を飛ぶ為の盾は、足元を離れ何処かへ姿を晦ましている。 それを見た時、既に自分が受け身を取るなどは二の次となった。 パーカーゴーストをどうにか呼び出し、彼女の元へと向かわせる。 英雄達が彼女を受け止めるのが見えると同時に、全身へ衝撃と痛みが来た。 「がはっ……」 ゴーストが纏う防護スーツとパーカーの恩恵で、これでもダメージは抑えられた方。 とはいえ流石に無傷とはいかず、吹き飛んだ時の勢いも殺せていない。 ドライバーが外れて変身解除、佐藤太郎の肉体を戦場に晒す。 処置を受けた箇所と新たに負った傷へ、冷たい夜風が酷く沁みる。 「戦兎さん……!」 パーカーゴースト達のお陰で斬月は無傷で着地できた。 駆け寄る白武者へ安堵の笑みを浮かべるも、向こうからしたら全然笑えない。 自分を守るために、彼はまた傷付いた。 頑張ろうと、彼の力になろうと決意したのに結局はこうだ。 仮面の下で顔がくしゃりと歪む。 『■■■■■オオ■■■■■■オオオ■■■■■■■!!!!!』 甚大な被害、されど全滅には未だ至らず。 それを、怒れる巨人は断じて認めない。 求めるのは自分以外の死。 生存者が一人でもいる限り巨人は止まらない、憎悪は掻き消えない。 絶望感と死を予感させる大地の震動。 圧倒的な暴力の化身を前に、ちっぽけな存在が立ち塞がった。 「ピ、ピカアアアアアアアアアアアア!!!!」 巨人を相手取るには余りに小さい体躯。 黄色い体は怯えで蒼白に変色し、放って置けば倒れそうなくらいに震えている。 溢れる涙は両目がふやけんばかりの量。 今すぐにでも逃げ出したい、考え付く限りの名前を口にし助けてくれと叫びたい。 骨の髄まで蝕む恐怖に蝕まれ、己が情けないと自覚しながらも善逸が選んだのは戦闘の続行。 赤丸の頬がバチバチと放電、溜め込んだ電気を解き放つ合図だ。 邪悪なスタンド使いにも絶叫を上げさせた10まんボルト、だが今回ばかりは大きな効果を望める自信が無い。 「一人でカッコ付けてんじゃねーヨ……」 小さな体に抱え込んだ不安を笑い飛ばし、隣へ女が並び立つ。 オレンジ髪の海賊は額から垂れる血を拭い、恐れを微塵も宿らせない視線で巨人を射抜く。 既にブレイズの変身は解除された、再生能力もない生身のまま堂々と現れるのは自殺行為。 だが神楽の目は死んでいない、勝負を投げ出し自暴自棄になったつもりはない。 「男が馬鹿やったら、止めるのは女の役目ってマミーがしょっちゅう言ってたネ。姉御や家賃家賃うるせーババアも同じこと言う筈アル」 得物は聖剣ではなく細い棒。 うなじを斬るのはおろか殴れば逆にへし折れそうな、巨人相手には頼りなさを覚える武器。 だけど神楽には分かった。 理由は上手く言えないけれど、今の自分ならこの棒の力を引き出せる気がする。 「だからお前がこれ以上馬鹿やる前に、二日酔いの銀ちゃんみたく大人しくさせてやるネ」 雲が現れる。 空を覆い隠し星の輝きを遮る無粋な帳に非ず。 神楽の背後へ黒々とした雲が出現し、時折電気を迸らせる。 本来、この技を神楽が使う事は不可能。 魔法の天候棒が手元にあっても、技を使うのに必要な知識が神楽にはない。 気象学を熟知し、天才的なセンスの持ち主であるナミだからこそ使えたのだから。 しかし、PK学園でDIOを吹き飛ばしたように此度もまた、神楽自身にも説明は付かないがやれると分かった。 善逸が幾度も放った電撃が、肉体に宿る記憶を呼び起こしたのか。 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』 具体的な理由は分からない。 ただ今は、目の前で望まぬ暴力を強いられる仲間を取り戻す。 「雷光槍(サンダーランス)=テンポ!!!」 「ピ~カ~チュウウウウウウウウウウウウウ!!!」 光が巨人を貫く。 呪いを祓い、憎悪を焼き潰し、閉ざされた魂を照らす輝き。 黒雲から放たれる一筋の光と、ピカチュウが最も得意とするわざ。 重なり合った二つの電撃が雷の槍となり、巨人の進行を押し留めた。 『!!!!!??!!』 巨人にとっても予想外の威力だったのか、猛烈な痺れに動きが止まる。 強靭な生命力を誇る動物系古代種の能力者にも、絶大なダメージを与えた技だ。 そこへ10まんボルトの威力も加算されれば、巨人と言えども無視できない。 堪らず片膝を付く間にも痺れが襲い、鬱陶しくて仕方ない。 『ッ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!』 なれど、巨人は己の沈黙を受け入れない。 少しばかり動きが鈍くなったから何だと言う、この程度で滅びから逃れられるなど有り得ない。 自らの憎悪を燃料に立ち上がる。 握り締めた拳を硬質化、狙うは大技を放った直後の一人と一匹。 「ピカ~~!?(ぎゃああああ!また立った!お姉さん早く逃げないと…!)」 「うぐ…康一…!」 変身解除される程の勢いで地面に叩きつけられ、悲鳴を上げる体に鞭打って巨人を止めたのだ。 技が命中したとはいえ、神楽の方も息切れを起こし座り込む。 隣で善逸が何と言ってるのか不明だが、焦り自分を急かしてるのは間違いない。 言われなくてもじっといしているつもりはない、しかし巨人が黙って逃走を許してはくれない。 怒りの鉄拳がまた一つ罪を重ねる、それを防ぐは手首を射抜く緑の矢。 再生し掛けた箇所がまたもや焼かれ、焦げた臭いが漂う。 ギロリと、擬音が聞こえそうな射殺さんばかりの視線。 睨み付けられた白武者はビクリと震え、心臓が五月蠅いくらいに鳴る。 「うぅ……」 神楽達を助ける為咄嗟に矢を放った。 絞り出した勇気に巨人が返すのは感心の拍手ではなく、絶対的な暴力。 自身を苛む痺れを振り払おうと、大股で一歩進む。 たったそれだけで足底が斬月のカメラアイを覆い隠し、終わりまでの時間を短縮。 怪獣に踏み潰される映画のモブキャラはこういう心境なんだろうか。 一瞬浮かんだ場違いな感想諸共、蟻のように潰される。 『KAMEN RIDE DRIVE!』 守ると約束した少女の死へ異を唱えるは、高らかに名を上げた電子音声。 視界の端に赤い影が映り込み、次いで感じる浮遊感。 体が地面から離れてる、まさか死んであの世に昇る真っ最中なのか。 悪い想像に思わず顔を上げ、見えたのは赤い仮面の戦士。 初めて見るけど自分の知るヒーローだと分かり、そこでようやく彼に抱き上げられていると気付いた。 真っ赤な装甲、胴体部分へ装着されたタイヤ。 まるで車をモチーフにしたかの姿は、仮面ライダードライブ。 相棒のベルトと共に機械生命体との戦いに挑んだ、とある刑事が変身した戦士。 最上との戦いの際には見なかった仮面ライダー、能力は未知数だがこの場においては変身して大正解だ。 ドライブの基本形態であり、高速戦闘に特化したタイプスピード。 一時的に高速移動を可能にし、斬月の救出も間に合った。 視覚センサーが巨人の動きを細かく把握、集約された情報がメット内部に表示。 神楽達が放った電撃は残留しているらしく、一挙一動がこれまでよりも幾らか遅い。 となれば今しかない、戦況を一気に変えるにはここ以外になかった。 勝利への法則が組み立てられ、道筋が完成。 後はその通りに動けるか否か。 「ひゃっ……!せ、戦兎さん……!?」 「甜花。このまま動くからあいつの足を狙えるか?」 「え、そ、それって……抱っこしたまま……わ、分かった……!」 上擦った声で承諾。 巨人への恐怖はある、戦うことへの緊張感だって全然無くなってない。 でも彼が、助けになりたいと思ったヒーローが自分を頼ってくれた。 プレッシャーと、同じくらいの嬉しさと、勇気をくれる。 頷き合い、ドライブの全身を反重加速フィールドが覆う。 用いるのは二本の足だけであるにも関わらず、スーパーカーをも追い越すトップスピードを発揮。 上空より振り落とされる拳に方向転換、ブーツ部分のグリップパーツが急激な移動にも振り回されないようアシスト。 余裕の回避をやってのけた。 『ロックオン!ソイヤッ!メロンスカッシュ!』 生きたモンスターマシンへ乗りながらにも関わらず、斬月の狙いは正確無比。 生身の人間を遥かに上回る視覚センサーと、射撃精度の低下を防ぐソニックアローのレーザーポインダ。 戦極凌馬が開発した高機能システムにアシストされ、エネルギー矢を発射。 足首部分の肉が弾け飛ぶ。 ただでさえ痺れが抜けていないのに加え、ドライブのスピードに翻弄された結果だ。 硬質化が間に合わず被弾を許すこととなった。 『FAINAL ATTACK RIDE D・D・D DRIVE!』 斬月の攻撃は始まりに過ぎない。 矢が放たれたのと同じタイミングでカードを装填、タイヤ型のエネルギー体が複数出現。 本来は敵を包囲し蹴り技に繋げるが、今回は使い方が違う。 エネルギー体はドライブ自身を背後から弾き飛ばし更に加速、地面を削りながら装甲ブーツが巨人の足へ追い打ちを掛ける。 骨をも砕き、皮数枚で繋がった足がどうなるかは言うまでもない。 『!!!!!!??!!』 巨体を支える二本の内、片方損傷の影響は少なくない。 巨人の憎悪を嘲笑うように足首が引き千切れ、途端にバランスを崩す。 踏み潰されるだけのちっぽけな蟲にしてやれた、二度目の屈辱。 再生が完了するまでを敵は待ってくれない。 『KAMEN RIDE SABER!』 『勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』 斬月を降ろし、新たなライダーの力を解放した 勇ましい名乗りと共に火柱が立ち昇る。 火炎を切り裂き現れたのは、ドライブとはまた違う赤のライダー。 ゼロワン同様令和の時代で物語を紡いだ、とある小説家のもう一つの姿。 仮面ライダーセイバー。 全知全能の書を巡る争いを終わらせ、二つの世界を守った剣士。 そして、もう一つの炎が迸る。 「ぐうるおごあああああああああああああああああああ!!!!!」 瓦礫が四方八方へ弾け飛ぶ。 戦線復帰を妨げる無粋な檻は必要無いとばかりに堂々と参戦。 最早言語としてまともに機能しないナニカを叫ぶそいつへ、誰もが意識を向けざるを得ない。 夥しい量の赤を全身に塗りたくった少女。 老いて色を失ったのとは違う、一種の美しさが宿った白髪すらも赤に染めて。 だというのに生命力へ満ち溢れている。 最も死へ近い有様でありながら、誰よりも激しく己の死を否定する。 何度死に誘われようと抗い跳ね退け、冥府の遣いすらも戦慄させるその姿やまさしく―― 「俺は……不死身の杉元だ!!!」 不死鳥の如き翼を広げ、両手が放つもまた火炎。 大地を、空気を、人を焼き潰す灼熱の塊。 『不滅【フェニックスの尾】』。 そこに美麗さはない、殺意を収束させた砲弾が憎悪を撒き散らした巨体を焼く。 「相変わらずメチャクチャだな…」 『FAINAL ATTACK RIDE SA・SA・SA SABER!』 杉元に驚かされっぱなしな自分へ、呆れ笑いを浮かべる。 ああしかし、仲間の奮闘をこうも見せられたなら柄にもなく滾ってしまうじゃあないか。 こういうのはアイツのが似合うだろと、どこぞの筋肉馬鹿を思い出しカードを装填。 セイバーへの変身後、手元に現れた剣が炎を纏う。 火炎剣烈火のエンブレムが生み出した炎はやがて、燃え盛る竜へと変化。 不死身の兵士に負けじと剣を振るう。 竜と不死鳥、二体の伝説が同じく伝説上の怪物を喰らう。 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』 右腕が消し炭と化し、全身は焼け爛れた。 なれど憎悪と言う名の炎は、自身を苦しめるどんな火よりも激しく燃えている。 立てないからどうした、片腕が使えないから何だという。 腕はまだもう一本残ってる、自分は死んでない。 何より、滅ぼすべき者達が滅んでいない。 憎悪の理由も分からず、何故滅ぼすのかも考えられず。 止まる事の出来ない己への嘆きなど抱く訳もなく。 硬質化させた左拳を振り下ろす。 『流水抜刀!ワンダーライダー!』 『この動物!この動物の力が、剣に宿る!』 だが巨人が止まらないように、彼女は仲間を決して諦めない。 傷の痛み、重しと化して体中へ纏わりつく疲労。 その全てを知ったことかと捻じ伏せ、聖剣を抜き放つ。 泥棒猫の肉体に再度装着される装甲。 水流を断ち切り現れた姿は先程と一変。 百獣の王の意匠はそのままに紫のフードを纏う。 スペクター激昂戦記。 流水の本来の使い手が出会った戦士の力を秘めた、ブレイズの派生形態。 姿形が今更変わろうと巨人が特別な反応を見せはしない。 そうだ、相手が誰でも関係無い。 たとえ打倒主催者の志を共にして、再会を約束した仲間であっても。 葛藤も迷いも一切宿らせない、無慈悲な拳が振り下ろされた。 大地を叩き、周囲一帯を覆い隠す土煙。 仲間であった筈の少年の手で、余りに呆気なく少女の物語が幕を閉じる。 『必殺読破!流水抜刀!この動物一冊斬り!ウォーター!』 なら、今聞こえたこれは何だ。 拳の下に少女はいない。 どこに行ったとの答えは、遥か頭上から電子音声が告げる。 纏う炎は己が身を滅ぼす為に非ず、自由を手にした鳥のように羽ばたく為だ。 見上げる者と見下ろす者、人と巨人の視線が入れ替わればそれは終わりの始まり。 憎悪を断ち切る剣が煌めく。 「康一…今助けるアル!」 宣言を聞いても巨人がブレイズを見る目は同じ。 憎悪以外何もない、忌々しい害虫へ向ける目だ。 今更そんなもので怯みはしない。 自分がしくじり、巨人が猛威を振るい続けた先に待つのはきっとロクなもんじゃあない結末。 康一にとっての悲劇が約束されている。 地球に来て、万事屋銀ちゃんの従業員としてかぶき町に住んで随分経つ。 色んな依頼を受けて、それを解決したのだって一度や二度じゃない。 珍騒動に巻き込まれるのだってすっかり慣れたけど、全部が笑い飛ばせるバカ話で終わった訳じゃない。 時には人が死ぬような事件だってあった。 殺した奴、殺された奴、そいつらと関りの深い人々。 誰もが幸せなんかじゃ無かった、細かい違いはあっても良いことなんて無かったのだ。 友を、そして家族を失う悲しみ。 誰かの命を奪ってしまう絶望。 どちらも知ったからこそ、康一に自分と同じ苦しみを与えるなどあってはならない。 『■■■■■オオ■■■■■■オオオ■■■■■■■!!!!!』 咆える、怒りを籠めて咆える。 それでも間に合わない、残った腕の迎撃も、うなじの硬質化も遅過ぎる。 特大の電撃に始まった総攻撃と、放送前に起こった戦闘での消耗。 疲労が足枷となったのは巨人も同じだった。 まるで、彼をこれ以上進ませまいとするように。 「康一ィイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!」 彼女の剣を届かせるように。 阻む全てが遅い、誰にも止められないし止まってやらない。 正しいことに使えるはずと、そう託してくれた流水でやり遂げるのだ。 水と炎、対となる力を纏った聖剣が走る。 切り裂く、彼を閉じ込める檻を。 本当の彼を踏み躙る、憎悪の鎧を。 「―――――――――――――――――――」 それは何と言ったのか。 変わらぬ憎悪か、或いは少女へ向けた感謝の念か。 拾い上げた者は一人もおらず、彼自身にも分からない。 巨人はもうここにいない。 解放された少年を迎える風が吹き、今度こそ幕が下りた。 →
https://w.atwiki.jp/faeria/pages/127.html
Stats 名前 自由の闘士(Freedom Fighter) 色/種族 Human タイプ クリーチャー レアリティ コスト 5 必要属性 攻撃力/ライフ 3 3 効果 速攻 戦略 コンボ メモ コメント name
https://w.atwiki.jp/sing-sh/pages/309.html
自由への進撃 <> Linked Horizonのセカンド・タイアップシングル。 TVアニメ「進撃の巨人」の一期・二期OP主題歌を担当した。 ポニーキャニオンより2013.7.10に発売。 初回限定盤と通常盤の二種類が発売された。 ボーカル Revo/柳麻美 ナレーション Sascha 収録曲 1. 紅蓮の弓矢 2. 自由の翼 3. もしこの壁の中が一軒の家だとしたら 初回限定盤特典 DVD「紅蓮の弓矢」ミュージックビデオ 予約購入先着オリジナル特典 アニメ描き下ろしチェンジングジャケット(Revo ver.) アニメイト アニメ描き下ろしチェンジングジャケット(ミカサver.) ローソンHMV アニメ描き下ろしチェンジングジャケット(リヴァイver.) タワーレコード アニメ描き下ろしチェンジングジャケット(エレン ver.) TSUTAYA アニメ描き下ろしチェンジングジャケット(アルミンver.) ポニーキャニオン アニメ描き下ろしチェンジングジャケット(サシャver.) 応援店
https://w.atwiki.jp/freesword/pages/17.html
登録している冒険者が冒険に出る際に支給されるアイテム 6人用のテント 登録した際に支給されるアイテム 自由の剣亭のエムブレム(交差した剣)
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/50532.html
ジョラゴン&モモキング~自由の絆~ SR 火/自然文明 (8) サイキック・クリーチャー:マスター・ドラゴン/ヒーロー・ドラゴン/ジョーカーズ (10000) ■P革命チェンジ:コスト5以上のジョーカーズまたはコスト6以上のドラゴン ■マスター・T・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを3つブレイクする。このクリーチャーが出たターン、各ブレイクの前に、相手のクリーチャーを1体破壊する) ■このクリーチャーが出た時、カードを1枚引く。その後手札を2枚山札の下に好きな順序で置く (ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札に含めず、自分の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す) 裏面:(ジョラゴン&モモキング・メモリー) 作者:?の助 フレーバーテキスト (フレーバーテキスト) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/puyo2que/pages/1706.html
自由の炎獣モニカ レアリティ ☆6~7 カードタイプ たいりょくタイプ・単体 スキル効果 相手全体をn回「混乱」状態、nターンの間、「怯え」「麻痺」状態にし、2ターンの間、4属性以上の同時攻撃で味方全体の攻撃力をm倍にする Lスキル効果 味方全体のステータスを強化するさらに6個以上の同時消しでフィールド上の色ぷよをあかぷよ優先でn個「プラス状態」にし、味方全体にこのカードの「かいふく」×4の回復 コスト 52,64 概要 2023年4月5日からの「もうすぐ10周年!フルパワーガチャ」で登場。 魔獣ガールズ初の派生カード。 ステータス たいりょく こうげき かいふく ☆6 Lv99 5300 2300 320 ☆7 Lv120 9010 3105 432 スキル 相手全体をn回「混乱」状態、nターンの間、「怯え」「麻痺」状態にし、 2ターンの間、4属性以上の同時攻撃で味方全体の攻撃力をm倍にする ノーマル ☆6:1回「混乱」、1ターン「怯え」「麻痺」、攻撃力3.5倍 ☆7:2回「混乱」、2ターン「怯え」「麻痺」、攻撃力4倍 発動条件は40個。 フルパワー ☆6:1回「混乱」、1ターン「怯え」「麻痺」、攻撃力4倍 ☆7:2回「混乱」、2ターン「怯え」「麻痺」、攻撃力4.5倍 発動条件は55個。 状態異常+条件エンハンススキル。 このコスト帯と条件にしては低めの倍率だが、「怯え」「麻痺」により実質的な倍率は大きくなる。 また「混乱」により相手の行動を止められるため、状態異常が有効なら強力なスキル。 弱点は、状態異常が無効だとやや低めの倍率の条件エンハンスのみになること。 また、同じく状態異常(「怒り」「怯え」「脱力」)によるダメージアップが前提のスキルを持つカード(蒸気都市のゴゴットや高杉晋作、ゆらめくメイリィなど)とは組みにくい。 状態異常ターン数減少に対しては、みちびきのラフィーナのようなリーダースキルがあれば対応できる。 赤属性には戦乙女ドッペルゲンガーアルルがいるので他の属性よりも対応しやすい。 リーダースキル 味方全体の攻撃力をn倍、体力をm倍、回復力を1.5倍にする さらに6個以上の同時消しでフィールド上の色ぷよをあかぷよ優先でk個「プラス状態」にし、味方全体にこのカードの「かいふく」×4の回復 ☆6:攻撃力3.8倍、体力3.2倍、回復1.5倍、4個「プラス状態」 ☆7:攻撃力4.8倍、体力3.5倍、回復1.5倍、5個「プラス状態」 プラス状態にする際に優先される色が異なる点以外は、 ひやくのウィッチ、めくるめくアリィ、しろいマールと同じリーダースキル。 コンビネーション 「ガールズ」「つの」「あっちっち」「まじゅう」 本家と同じ。 デッキ考察 評価
https://w.atwiki.jp/changerowa/pages/358.html
声がする。 滅ぼせ、全てを滅ぼせ、目に映る何もかもを滅ぼせ。 滅び尽くすまで決して止まるな。 声の主が誰なのか、何故滅ぼさねばならないのか。 至極当然の疑問は露程も生まれず、彼は前に進み続ける。 明確な目的地など決めていない。 そもそも今の彼はそのように思考を働かせること自体が不可能。 繰り返される声に逆らわず、何より己の内から泉のように湧き出る憎悪が彼を突き動かす。 誰を、何を憎んでいるのか彼は分かっていない。 果たしてそれが、本当に自分自身の憎悪なのかすら判断が付かなかった。 それでも彼は決して歩みを止めない。 破壊と憎悪だけが今の彼にとっての全て。 垂らした呪いに蝕まれた精神は、最早黄金とは程遠い腐臭を放つ呪物と成り果てた。 守るのではなく壊す、救うのではなく殺す。 正義を歩む光り輝く道は最早どこにも存在しない。 屍を転がし、夥しい血で彩られた冥府魔道。 一歩、また一歩と歩を進めれば足元が沈んで行く。 二度と戻れない泥の底へ自ら落ちつつあると気付きもせず、やがて彼は辿り着いた。 聳え立つ白亜の宮殿。 命と心、両方を救うドクター達の戦場。 侵してはならない聖域を前に、憎悪が沸き立ち声が濁流の如く流れ込む。 ――滅ぼす。 ――全部、駆逐してやる。 ◆ 横たわった少女を前に、善逸は言葉に表せぬ奇妙な感覚を覚えた。 正面玄関から見えない位置、ずっと奥へ設置された霊安室。 簡素な作りの寝台に身を横たえた赤毛の少女。 死体を見るのには慣れている。 鬼の被害に遭った中には、原型を留めず食い散らかされた犠牲者だって珍しくなかった。 シーツを捲り顔の部分のみを覗かせた彼女こそ、善逸が再会を望んだ仲間の器。 元々色白の肌は今や完全に色を失い、結んだ口から沈黙が破られることは永遠にない。 どれだけ彼女の顔を見つめたとて、決して視線を返しはしてくれない。 瞼が閉じられる前、彼女の瞳は最後に何を映し出したのだろうか。 思い浮かべるのはやはりもういない男の顔。 寡黙で涙脆い、無念の最期をこの目でしかと見た仲間。 前の死とこの場での死、どちらがマシかは分からない。 「ピカ……」 少女の肉体は腐りゆくだけの肉袋。 本来あるべき少女自身の魂はおろか、胡蝶しのぶの意識は欠片も残っていない。 蝶の髪飾りを付け微笑むあの人がここにいた、そう己の目で実感できるものはやはりどこにもなくて。 以前蝶屋敷で世話になった頃の記憶が浮かんでは消え、名前も知らない赤毛の少女の顔が変えられない現実として今を映す。 結局自分はもう一度言葉を交わすことも、顔を見ることすら出来なかったのだと分かり。 涙を流さずとも改めて悲しみに胸を突き刺された。 「……」 覚めない眠りについた少女を見下ろす神楽に言葉は無い。 普段の彼女らしからぬ重苦しい空気。 目の前に横たわるのは神楽が犯した罪の証。 彼女が仲間と共に生還を果たす、有り得た未来を自身が粉々に打ち砕いた。 忘れられないし忘れるつもりもないけれど、こうしてしのぶを前に悲しみに暮れる善逸の存在を感じ取れば、罪悪感に息が止まる思いだ。 (でも…私はまだ死ねないアル。恨み言なら私がババアになって、最後に卵かけご飯食べて死んでから思いっきりぶつけるヨロシ) 生きてるのが辛くとも、生きて帰らなければならない理由があるから。 糖尿病持ちの天パ、ツッコミ属性のメガネ、ずっと変わらないと思っていた神楽の居場所。 彼らの死を伝えねばならない人々がいる、だから自分は生きる事を投げ出せない。 亡き人へ想いを馳せる、ある意味では恵まれた時間。 それも長くは続かない。 感傷に浸り続けるのを認めぬとばかりに鳴り響く、新たな章の幕開け。 ハッと顔を上げ部屋を飛び出した一人と一匹は見た、天高くに姿を現した少女を。 ◆◆◆ 死者を悼む者がいれば、現状打破への一歩を踏み出そうとする者もいる。 食堂での語らいを終えた戦兎と甜花は病院内を探索していた。 目的は首輪解除に使う工具の入手。 これまではナナと斉木の接触や悲鳴嶼達の来訪などが立て続けに起きたが、今ならば探索の時間的余裕も幾らかある。 探すのは自分がやるから甜花は休んでいて良いと伝えたところ、手伝いたいと言われた。 無理をして欲しいとは全く思わないが、好意を無下にする気もない。 やる気を出す彼女へ水を差すのも却って悪いと考え承諾。 用務員のロッカールーム等を訪れ数十分、ようやく目当ての物が見付かった。 「せ、戦兎さ~ん……!」 どこか苦しそうな声に駆け寄ると、納得の光景があった。 金属製の箱を両手で持つ彼女はふらつき、今にも転倒しそうだ。 余程重いのか、必死に運ぼうとしている割にほんのちょっぴりずつしか進んでいない。 よいしょ、よいしょと口に出すのは微笑ましいと言えるのかもしれないが、本人からしたら笑えないだろう。 ふらつく甜花へ咄嗟に手が伸び支える。 「おっと。大丈夫か?甜花」 「あっ、う、うん……。あっちで見付けたんだけど、凄く重くて……あう、ごめんなさい……」 彼女が運んで来たケースを開けてみれば、成程これは重いだろうなと内心で独り言ちる。 箱いっぱいにギッチリ詰まった工具一式が金属特有のにおいを発し、鼻孔を突く。 多少の錆こそ見られるも、使う分には問題無い。 ざっと取り出しても首輪を解体するのに必要な物は揃っており、あれがないこれがないと頭を抱える事態にはならない筈。 「謝らなくて良いし、むしろ見つけてくれて大助かりだ」 「そ、そうかな……?にへへ……甜花、お手柄……」 しゅんと肩を落とした姿はどこへやら。 褒められた嬉しさはストレートに表情へ出すらしく、たちまち破顔。 大崎姉妹の妹の庇護欲を刺激する独自の雰囲気は、体がその妹になっても健在。 工具箱を受け取り、戦兎自身のデイパックに仕舞う。 サイズに関係無く収納可能で、しかも重さは一切変わらない性能はこういう場面で役に立つ。 改めてどんな仕組みか調べたい欲求が生まれるが、それは殺し合いを止め生きて帰ってからだ。 まずは自分達の命を縛る枷を取り外すのが優先。 と意気込んだは良いものの、着手するのはまだ先。 二人の耳にもハッキリ届いたのだ。 忌々しいチャイム音、定時放送を告げる合図が。 「こ、これって……」 強張った顔で震える甜花の横で、戦兎も表情に険しさが生まれる。 これより伝えられるのは全て必要な情報だ、耳を塞ぐ愚行に出る気は皆無。 しかしどうやったって緊張は抑えられない。 『よ、よぉー…。初めましてだな、みんな』 引き攣り笑いを浮かべた少女のしどろもどろな挨拶。 斉木空助、ハワード・クリフォードに続く新たな主催者側の協力者登場に始まり伝達事項が語られる。 最後は少女にとっても予想外だったのか、動揺を露わに放送を終わらせた。 「……」 「……」 室内には先程までのほのぼのとした空気は霧散し、痛い沈黙が流れる。 佐倉双葉なる少女の話した内容はどれも、少なからず衝撃を与えるものばかり。 甜花からしたら何から考えていけば良いのかすら難しく、頭の中がしっちゃかめっちゃか。 チラリと横目で戦兎を見ると、真剣な顔付きで考え込む姿が映り込んだ。 話しかけたら迷惑かな、そう思い彼の名を口に出すのに躊躇が生じる。 尤もそこまで悩む必要もない。 考えを整理し終えたのか、真剣さを宿した声が掛けられた。 「一旦全員で集まって話し合った方が良いな。俺は神楽達を呼びに行くから、甜花は杉元の方を頼む」 「わ、分かった……!」 アイドルの仕事をしていれば、現場でスタッフから次々指示が飛ぶのは日常茶飯事。 頷き、すたたっと言われた通りに動き出す。 見張り役を引き受けた仲間の元へ向かう甜花の背を見送り、戦兎も霊安室へと足を速めるのだった。 ◆◆◆ 絶えず地面を濡らし、雨粒が弾ける音を響かせた雨は止んだ。 ガラス一枚隔てた外から聞こえるのは、時折吹き付ける風のみ。 間もなく夕日も消え、殺し合い開始直後と同じ闇が訪れる。 昼夜問わず常に気を張る医療スタッフは影も形もおらず、いるのは病院で身を休めた5人の参加者。 ロビーにて顔を突き合わせる彼らは皆、喜びや楽しさとは正反対の表情。 それぞれ聞いた場所は違えど、全員放送はしかと確認済みだ。 病院へ戻って来た時よりも、纏わりつく空気へ重圧が増すのも無理はない。 「先に俺から良いか?」 痛い沈黙を真っ先に破ったのは白髪の少女。 蓬莱人の肉体を得た兵士、杉元は5人の中で最も死を身近に感じて来た男だ。 仲間の脱落を悼む気持ちはあれど、延々それを引き摺りはしない。 冷静に放送の内容を受け止め、今後必要となる情報を読み解いていく。 「放送が正しいなら脹相は死んじまったってことだけどよ、ありゃおかしいだろ」 「ああ、体が全然違う奴だった」 別行動を取った仲間の一人は先の6時間で命を落としてしまった。 今になって死亡者発表に嘘を交えるとは考えられず、脹相の死は紛れもない事実だろう。 奇妙なのは放送で表示された脹相の肉体について。 デンジなるガラの悪い少年が殺し合いで脹相に与えられた体。 知らない者にとっては気にもしないだろうが、甜花を除いた病院内のメンバーはハッキリとした疑問を抱く。 脹相の体は501部隊所属のウィッチ、ゲルトルート・バルクホルンだ。 病院を出発する前の顔合わせで確認しており間違いない。 だというのに放送で全く別人の体が映し出された理由は、然程時間を置かずに導き出される。 「杉元。最初に善逸と会った時、体を入れ替えたかもしれない奴がいたって言ったよな?」 「ん?おう。変わった耳飾り付けた奴で、ただそいつもさっきの放送で呼ばれて…あ、そういうことか」 一番最初に二足歩行のカエルことケロロ軍曹の体に入っていた参加者。 その何者かが姉畑にウコチャヌプコロされた直後、今は亡き鳥束と体を入れ替えた。 放送で名前を知ったが竈門炭治郎の体となったそいつは、杉元達の知らない所で今度はデンジの体を手に入れたのだろう。 となると、元々デンジの体だったのは放送で脱落者に名を連ねた絵美理という少女と考えられる。 デンジの体になったそいつとナナ達が宇宙船で遭遇。 どうにか撃退できたものの脹相が犠牲となり、バルクホルンの体も奪われてしまった。 ややこしいが体の入れ替えが可能な力の持ち主がいる前提があれば、大まかな経緯は推測できる。 「つまり…あいつはまだ生きてるってことか」 杉元をして強敵だと認識せざるを得ない戦闘技能の持ち主は、未だ死を逃れている。 生存者の数が減り禁止エリアの影響で移動範囲が狭まった以上、再戦の可能性は決して低くない。 若しかすれば、アシリパや白石の体に入れ替えられることだって有り得なくはない。 と言っても現在に至るまで放送でアシリパ達の名が呼ばれていない為、実際には巻き込まれてないのではとも薄々感じ始めている。 ただ確証は持てないので、組み合わせ名簿の確認は変わらず今後の方針に付け加えたまま。 アシリパ達が無事ならその場合、知り合いは本当に姉畑のみが参加という余りに不可解な疑問が残されるのだが。 姉畑で思い出すのは主催者側のボスなる者からの伝言。 亀で、今はカメラ。 何のこっちゃとしか言いようのない内容だが、参加者を煙に巻く戯言と切り捨てられない。 動物が参加者に登録されたのを知っている故に、殺し合いの黒幕もまた動物の可能性は無いと言い切れない。 ちなみに亀という単語からそれぞれタートルフルボトル、竜宮城での騒動、灯織が考えた話を連想したが全て無関係である。 カメラに精神が入っているかもしれないのも、貨物船という存在を知っていれば理解出来なくも無かった。 改めて考えても貨物船に自我が宿る意味が全く分からないが。 もし姉畑が生きていたらどんな反応をしたのだろうかと、非常にどうでもいいことつい考えそうになる。 死して尚も混乱を引き起こす男の存在を頭から追いやり、朗報と言うべき情報に思考を切り替える。 戦兎達にとって目下最大の脅威であるDIO、その部下のヴァニラ・アイスも先の6時間を生き延びられなかった。 地下通路のモノモノマシーンへ向かってから、同じくモノモノマシーン目当ての参加者と衝突。 結果殺されたのかもしれない。 殺害者の正体は不明だが、これでDIOの戦力が削がれたのは悪い情報ではないだろう。 尤も殺害者が殺し合いに乗っているならば、脅威がいつこちらに向かって来るか分からないのが悩みの種。 こちらの与り知らぬ所でDIOも部下と同じく脱落、とは流石に期待し過ぎか。 またDIOとの詳細な関係性は不明だが空条承太郎も死亡。 こちらは神楽曰く、康一から信頼できる男と伝えられたらしい。 終ぞ会えなかった少年に与えられた体はなんと燃堂だった。 本当に高校生かと疑いたくなる凶悪な面構えが、まさかバカとしか言いようのない燃堂の元の体とは驚きである。 殺し合いをまるで正確に理解していない彼と言えども、自分の体が失われたと知れば流石に平気ではいられない筈。 もしそれすら理解出来なければ、同行しているナナが説明に苦心するのは想像に難くない。 そのナナに関してもクラスメイトの犬飼ミチルが死亡しており、精神的に余裕があるかは不明だが。 (千雪さんと、真乃ちゃんは大丈夫みたい……) 自分の知るアイドル達の無事へ、甜花は内心胸を撫で下ろす。 放送の度に彼女達が名前を呼ばれる可能性に怯えて来たが、今度も大丈夫だった。 千雪が無事というのは即ち、戦兎が強く警戒するエボルトの生存に繋がる為決して気は抜けない。 それでも親しい者達の体が失われていない事実には、やはり安堵が勝る。 真乃の体になったダグバがどんな人物かは分からないけど、殺し合いに乗っていない人であって欲しいと願うばかりだ。 親しい者の生存を知る一方で、喪失を嘆く者もまた現れる。 「ピカー…ピカピ……(無惨が死んだけど…でも……)」 全ての悲劇の元凶、鬼殺隊の宿敵であろうと殺し合いでは絶対の存在に非ず。 証明するかのように無惨も死亡。 動物とも違う奇怪な生物の体になっていたことへの驚きはあれど、これ以上犠牲者が生まれないのを考えれば喜ばしい。 残念ながら知ったのが良い情報だけとは限らない。 鬼殺隊の長であった耀哉もまた、無惨と同じ6時間の間に死んでしまった。 しかも与えられ体がよりにもよって、怨敵である無惨なのは最悪の組み合わせと言う他ない。 自分でさえ衝撃を受けているのだから、耀哉を強く慕っていた柱達にとっては到底受け入れ難いだろう。 彼らがこの事実を知らず二度目の死を迎えたのは、果たして幸運だったのか否か。 善逸には答えが出せなかった。 更に悪い情報として、肉体だけだが炭治郎の脱落も発表された。 体を失い、精神はどうなっているか今も不明。 ひょっとすれば二回目の放送で言われた肉体側の精神の復活に、炭治郎が当て嵌まった可能性とて有り得る。 確たる証拠は無いけれど、完全否定だって出来ない。 もしそうなら、炭治郎は本当に善逸の知らない所で死んでしまったことになる。 無惨との決戦を生き延びた仲間であり友である少年が、こんな訳の分からない場所で命を落としたなど信じたくない。 仮に自分が生還出来ても禰豆子や伊之助、カナヲに一体何と説明すれば良いのか。 皆が揃って悲痛な顔をする光景を嫌でも考えてしまい、どうしようもなく心が沈む。 「ゲンガー……」 善逸同様、神楽の表情にも影が差す。 離れの島で出会った仲間はまた一人、無情にも再会叶わず去って行った。 これで残ったのは自分と康一の二人だけ、出会った頃の騒がしさが遠い過去に感じられてならない。 誰に、どのような形で殺されたのかは知る由も無い。 真実が何にせよ、ゲンガーと言葉を交わす機会は二度と訪れない。 決意を貫き、殺し合いに乗った者達へのイジワルとジャマモノをやり遂げたのか。 カイジが別行動を取る原因を作ったメタモンの死亡も喜ぶ気になれず、言いようのない寂しさが胸を突き刺す。 また神楽と直接の面識は無いが、康一の友である東方仗助の体の持ち主も死亡とのこと。 ゲンガーや承太郎の死へ追い打ちを掛ける内容に、康一への心配は募るばかり。 加えて、ロビンの仲間のチョッパーの体も脱落者に加わっていた。 せめて彼女の仲間の体は元に戻してやりたかったものの、チョッパーに関しては不可能となったのも神楽の精神をより曇らせる。 沈痛な面持ちの二人と一匹へ安易に声を掛けるのは憚られる。 しかし時間による解決へ期待する余裕は残されていない。 2時間後にはD-3も禁止エリアとして機能し、聖都大学附属病院は完全に出入り不可能。 猶予はまだあり、少し急げば十分間に合うがのんびりしてもいられない。 悲痛な空気に横槍を入れると承知の上で、戦兎は地図を取り出し広げる。 「予定通り柊達との合流に行こうと思う。急がねえと俺達だけじゃなく、アイツらの方も危険だ」 自分達がいるD-3、参加者が大勢集まるだろうD-6の街、そしてモノモノマシーンが設置されたG-5。 新たな禁止エリアから、主催者が参加者の誘導を行おうとしているのは察せる。 恐らくは北西に設置された網走監獄周辺へ一同に集めるつもりだろう。 そうなれば網走監獄の丁度真下のエリアにいるナナ達が、集まった参加者と接触する可能性は高い。 打倒主催者を掲げる者ならともかく、DIOのような危険人物とぶつかっては最悪の展開となってしまう。 戦闘が可能な脹相がいない現状、ナナと燃堂の二人だけではどうぞ殺してくださいと言っているようなもの。 手遅れになる前に合流を急ぐべきだ。 「……ごめん、私はやっぱり康一を探しに行きたいネ」 そこへ異を唱えるのは神楽。 ナナ達の元へ急いだ方が良いのは分かる。 だが病院での合流を約束した仲間は未だ姿を見せず、不安は募るばかり。 康一が追いかけていた巨大な虫…グレーテの死は放送で確認出来た。 彼女はアルフォンスの言ったように錯乱しているだけだったのか、或いは明確な意思で殺し合いに乗ったのか。 今となってはもう分からない。 ハッキリしているのはグレーテが死に、康一は彼女を追ったまま6時間以上経っても病院に現れないこと。 村で何かあったんじゃないか、アルフォンスから聞いた危険人物に襲われたのでは。 負傷し、身動きが取れずにいる可能性だって否定できない。 「お前らは先に行ってるがヨロシ。私も康一を見付けたら急いで追いかけるアル」 「…分かった。ならバイクを渡すからそれを使ってくれ」 迷いのない瞳で言われ、僅かな沈黙を挟み戦兎も承諾。 放送が終わっても病院に康一が来ない場合に、捜索へ行くのは戦兎も考えた。 本当ならば戦力を分散せず、5人で康一を探した方が安全だろう。 しかしそうなると今度はナナ達が危険に晒される。 リスクは承知で二手に分かれる、それしかない。 「ピカ!(お、俺も一緒に行く!)」 片手(前足)を上げ、黄色い獣が同行を名乗り出た。 神楽が仲間を心配するのは見ていてよく分かったし、そこを否定する気はない。 ただ、一人だけで探しに行くのを黙って見送れない。 仲間を次々に失う痛みは、鬼との戦いと殺し合いでの喪失から善逸にも痛いくらいに理解出来る。 だからこそ残った仲間の為に無茶をしでかさないか心配だ。 それに、罪悪感という形であれど自分と共にしのぶを悼んだ縁もある。 DIOのような危険人物との遭遇を考えれば恐くて堪らないが、神楽を放って置けない。 少女と少年の決意を嘲笑うように異変が起きたのは直後だ。 「ピカ…?」 最初に気付いたのは善逸。 ピカチュウの長い耳を揺らし、不審な音の接近を聞き取った。 次いで起こるは建物の振動。 病院全体が揺れている。 最初は極僅か、徐々に揺れが大きくなりロビー備え付けのパンフレットが落下。 まるでこちらの不安を煽るのが目的と言わんばかりに、振動は激しさを増す。 「じ、地震……?」 「違う。こいつは……足音か?」 揺れは一定の間隔で発生しており、自然災害とは違う。 一つの可能性に思い至った杉元だが、自分の言葉ながら俄かには信じ難い。 ヒグマを始め凶暴な野生動物との遭遇は多々あれど、ここまでの振動を移動だけで起こす存在は見た事がない。 一体全体何が近付いているのか、何が始まろうとしているのか。 膨らむ疑問へ長々考える必要はない。 ガラス窓を挟んだ外へ視線を移せば、向こうから答えが歩いてやって来たのだから。 「は……?」 間の抜けた声を発したのは誰だったか。 互いがどんな顔でソレを見ていたか。 少なくとも、この時の彼らにそんなものを気にする余裕はゼロ。 全員の意識を掻っ攫い、暫し思考をフリーズさせる存在がいた。 巨人、である。 10メートルを超える人型の物体を表すのに、他の言葉は思い付かない。 剥き出しの歯を打ち鳴らし近付く光景は、怪獣映画の世界に迷い込んだかの荒唐無稽さ。 病院に留まり続ける間にも、危険な参加者から襲撃を受ける可能性は頭に置いていた。 だが幾ら何でも、ここまで規格外の存在の出現は予想外。 「康一…!?」 凍り付いた意識を引き戻したのは、唯一巨人の正体を知る少女の声。 彼女もまた予期せぬ事態に反応が遅れたが、他の者より復帰は早い。 自然と神楽に視線が集まる。 「おいまさか、探しに行きたがってた仲間ってあいつか…?」 「そうアル…。でもなんで……銀ちゃんみたいにいちご牛乳が切れて禁断症状が出たアルか?」 「ピカ!ピガアアアアア!!(っていうかこっちに来てるって!どうすんの!?どうすんのこれ!?)」 「で、でも神楽さんの仲間なら……襲ったりとかはしないんじゃ……」 困惑する一同を巨人の瞳が捉える。 見下ろす視線に宿るものは、友好的とは程遠い。 早急な対処を脳が激しく訴え、全身の細胞が痛いくらいに刺激される感覚。 死闘を経験した者達ならば知らない筈がない、極大の殺気が叩き付けられた。 「おい来たぞ!」 「っ!変身!」 『KAMEN RIDE BUILD!』 『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』 敵対者からの殺気とは即ち、導火線への点火と同じ。 何故、どうしてと頭で考えるより先に体が動く。 回避を促しつつ、杉元自身も全身をバネに変える勢いで跳び退いた。 右手には善逸を抱え、左手では未だ困惑から覚めぬ神楽を引っ張って。 信頼する仲間に襲われるショックから、直ぐには切り替えられなかったのだろう。 「きゃっ……!」 「文句は後で聞くから我慢してくれ!」 ディケイドライバーにカードを叩き込み、ビルドに変身するや否や戦兎も動き出す。 巨人が発する殺気に身が竦んだ甜花を抱え病院を飛び出る。 ラビットフルボトルの成分で強化された脚力を最大限に行使、迫りつつある死から少しでも遠ざからなければ揃って御陀仏だ。 『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!』 あれだけの殺気を叩きつけておきながら何もしない、などと肩透かしな筈も無く。 足を後方へ振り上げ、ボールを蹴り付けるような気安さで巨人の足が猛接近。 ガラスが砕け散り床は粉砕、四方八方へ吹き飛んだ椅子が更なる破壊を齎す。 たった一撃でロビー内は見るも無残な惨状に変貌。 単なる移動でさえ命をゴミのように刈り取れるのだ。 明確な殺意で以て対象の殲滅に動けば、齎される破壊の規模は想像するのも恐ろしい。 しかし巨人の望んだ光景は実現されていない。 ここにいるのは怯え逃げ惑うだけの弱者に非ず、紙一重ながら全員病院を脱出した。 「こ、康一…なんで……」 「頭の中がこんがらがってるだろうけど教えてくれ。どうやったら止められる?」 動揺を露わにわなわなと震える神楽へ、時間が惜しいとばかりに問い掛ける。 康一が巨人となり自分達を襲った理由を考えるより、大人しくさせる方が先だ。 先程神楽は巨人を見て康一と言った、なら康一が巨人になれる事を知っていたと見て間違いない。 現状打破の鍵を握る神楽に、知っている情報を話してもらう必要がある。 「えっと…確か……」 混乱から覚めぬ頭で必死に記憶の糸を手繰り寄せる。 康一は巨人になる能力を制御出来ていなかった筈。 だから最初ロビンと会った時、暴れ回る彼を止めるのに協力してくれと頼まれた。 だというのに康一は再び巨人の姿になった挙句、案の定理性を失っている。 一体村で何が起きたのか。 制御不可能と分かっていながら巨人にならざるを得ない程、危機的状況に陥ったのか。 自分がグレーテへの対処を誤らなければ康一が村に近付く必要も無く、このような事態にならなかったんじゃあないか。 ごちゃごちゃし始める脳内を必死に探り、離れの島での情報交換を思い出す。 互いに持つ能力や支給品、体の情報も教え合い巨人についても聞いただろう。 そうだ、確かあの巨人は―― 「うなじ…うなじって言ってたネ!そこに康一が埋まってるから、引き摺り出せば元に戻る筈ヨ!」 弱点は分かったが無邪気に喜んでもいられない。 標的が全員健在なのを知り、巨人からの敵意が一層膨れ上がる。 簡単に止まってはくれないだろうプレッシャー。 DIOとの戦いの時とはまた違う緊張感が一同を包み込む。 「へ、変身……!」 『ロックオン!ソイヤッ!』 『メロンアームズ!天・下・御・免!』 放って置けば自らを支える芯まで蝕む恐怖。 己を支配下に置く感情を振り払うように、ロックシードを勢いよく装填。 アーマードライダー斬月に変身し、甜花は戦兎の隣に立つ。 顔は仮面で見えない、それでも決して顔色が良いのでないくらい察せられる。 「甜花……」 「だ、大丈夫……!恐い、けど……でも、戦兎さん達と頑張るって、決めたから……!」 声に震えは隠せない、しかし確固とした意思が宿っているのも確か。 躊躇は一瞬、共闘を受け入れ強く頷き返す。 決意に水を差すのを憚れるだけではない。 どこかに隠れていろと言っても相手のサイズがサイズだ。 病院内に身を潜め、結果巨人の攻撃で倒壊が起きる可能性も十分ある。 ならば彼女の近くでフォローに動いた方が良い。 『■■■■■オオ■■■■■■オオオ■■■■■■オ■■■■■■■■!!!!!』 お喋りはもう終わりだ。 放送が過ぎ、次なる舞台への準備は整えられた。 三人の支配者が雌雄を決する場。 善意と悪意が交差する因縁のステージ。 そして此度もまた一つ、新たな闘争の幕が上がる。 →
https://w.atwiki.jp/lotro_jp/pages/1433.html
自由の民の失われたロア 適正レベル:30 授与NPCの名前:デルロス 授与NPCの所在:裂け谷「最後の憩」館内の図書室 前提クエスト:学問の道:第3章 派生クエスト:―― 授与ダイアログ 「ちょっと力になってくれませんか、 名前 。ミスランディアの口利きもあって、自由の民の歴史が記された本を数冊、イムラドリスの書院からブリー郷の万人村に貸し出すことをエルロンド師が許してくださいました。闇と戦うための心の絆をはぐくみ、異なる民族の伝承を読むことで相互理解が生まれると、ミスランディアは訴えたのです。ブリー郷まで本を輸送して、しばらく貸し出したら、イムラドリスまで本を持ち帰るという予定で、ハリー・ホイールライトという気さくな御者の荷馬車で旅をすることになりました。エルロンド師はハリーを信じていましたが、馬車をけん引する馬たちの能力がバラバラで...イムラドリスに戻るとき、馬が獣の臭いに驚いてしまい、街道をはずれて暴走したのです。本は荷台から落ちてなくなり、我々は肩を落とし、ハリーはしょげこんでいました。そこで、ハリーと話して、紛失した本を探しにいってほしいのです。本を持ち帰ったら、イムラドリスの高級書斎を使っていただいても構いません。海と山に囲まれていて、研究家や宝飾師が道を追い求めるには最高の環境でしょう」 「ハリーなら、イムラドリスの馬屋にいるはずです」 背景 荷馬車でイムラドリスに向かっていたとき、さびし野のモンスターが馬を驚かしたため、いくつかの本が落下してしまい、デルロスはその本の行方が気になっているようだ。 目的 目的1 ハリー・ホイールライトに話しかける ハリー・ホイールライトはイムラドリスの馬屋にいる。 デルロスの頼みで、イムラドリスで暮らしている荷馬車の御者、ハリーに会って、さびし野での不運な事故について話を聞くことになった。 目的2 人間用ロアの書を手に入れる-ホビット用ロアの書を手に入れる-エルフ用ロアの書を手に入れる-ドワーフ用ロアの書を手に入れる 荷馬車はさびし野の街道をはずれて南の沼地に入り、本をまき散らしながら暴走していったらしい」 デルロスの頼みで、南の沼地を暴走していった荷馬車のわだちをたどりながら、落下した本のたばを4つ、取り戻してくることになった。 目的3 デルロスに4冊の本を持っていってください デルロスは裂け谷にあるエルロンドの館の書院にいます」 デルロスが、失った本が見つかったことを知ったらさぞ喜ぶでしょう。 報酬 固定報酬 スキル:上質の書斎の使用 選択可能な報酬 ―― 経験点 経験点:2592XP 攻略情報 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (map.jpg) 人間 :沼に入る手前に落ちている(34.4S, 26.2W) ホビット:沼の中の小さな島に落ちている(35.3S, 27.2W) エルフ :人間のロアから南、壊れた馬車からやや南西に離れた場所(35.7S, 26.5W) ドワーフ:人間のロアから南、壊れた馬車のそば(35.7S, 26.3W) コメント/ヒント等 名前 コメント