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1 基調報告/山路 栄一(三重県職員) 私のパーソナル・マニフェスト(脱「お役所仕事」提案) ~自治体職員有志の会の設立の経緯をたどりながら~ 1 はじめに 本日は、自治体職員有志の会主催のシンポジウムに地元東海地区はもとより北海道や沖縄といった遠方からも、また、自治体関係者のみならず、広く自治体経営に関心をお持ちの一般のみなさんにもお集まりいただき、ありがとうございます。また、ご多用のところ基調講演をお引き受けいただきました後教授、パネルディスカッションにご出席を頂きました関西学院大学の石原教授、穂坂、森、白井、後藤の各首長の皆様、そして開催にご尽力を賜った地元高浜市の森市長をはじめ、職員の方、関係者のみなさまに改めてこの場をお借りして御礼申し上げます。 本日のプログラムのメインである名古屋大学の後先生の基調講演、3つの自治体、高知県、札幌市、福岡市の先進事例の報告、さらには石原先生と4市長、2人の職員によるパネルディスカッションに入る前に自治体職員有志の会の紹介を兼ねて、これまでの会の取り組みと今後の会の活動について私の想いも含めてお伝えしたいと思います。 本日、高浜市で開催する自治体職員有志の会主催のシンポジウムの参加者が当初予定していた150人を大きく超えて200人近くになりました。 もちろん動員などは一切なく、自治体職員、地方議会議員の方など自治体関係者や自治体の課題に関心をもっていただいている方が開催主旨に共鳴して自主的に申し込んでいただいた結果です。 かつて地方発の発信といえば補助金の恩恵に預かった豪華な箱物などのハードが中心でしたが、今ではニセコ町の自治基本条例や三重県の政策評価システム、岩手県、高知県、三鷹市などの行政経営品質向上活動、さらには高浜市や志木市などが取り組んでみえる市民、NPOとの協働、パートナー制度などソフトの政策で自治体が中央省庁をリードしています。 このシンポジウムではさらに進んで組織としての自治体だけではなく、個人としての職員も自治体の枠を超えて連携すればここまでできるという志や気概といったものを広く示す機会にしたいと念願しています。 これまで自治体職員のことがマスコミなどで取り上げられるのは、残念ながら汚職や官僚主義的な仕事のスタイルに関することなどマイナス面のことが多かったのですが、今こそ、自治体職員のワークスタイルをルールドライブ型からミッションドラブ型に転換することで「お役所仕事」からの脱却を宣言したいと夢に描いています。 ここ高浜でのシンポジウムは必ずや「脱・お役所仕事」の第一歩の場になるはずです。 「自治体職員有志の会」のそもそものはじまりは、昨年の1月に改革派の6県知事(高知県 橋本、宮城県 浅野、鳥取県 片山、岩手県 増田、和歌山県 木村、三重県 北川(当時)を集めて四日市市で開催された「シンポジウム三重」でした。その際、神戸都市問題研究所の大島さんと再会して、同研究所で開催される金井壽宏神戸大学大学院経営学研究科教授のキャリア・デザインの講演に誘われました。 金井先生の講演には、神戸市職員の方と私のほかにも他の自治体の方もみえていたのですが、せっかくの機会だから、神戸市職員の経営品質等のプロジェクト・チームを母体にキャリア・デザインや自治体改革について議論するメーリング・リストを発足させようということになりました。 その後、主に口コミで会員が増え、顔を知らない人も多くなったので1回オフ会を開こうということになったのですが、せっかく開くのなら先進的自治体経営をされている首長さんが求める職員像も聴きたいということになました。職員でも組織が大きくなると、自分の自治体でもなかなか首長の話を聞く機会が少ないので、常設型の住民投票条例や自治体業務のアウトソーシングで有名な高浜市の森市長に講師をお願いしたのがオフ会・講演会の始まりです。 さて、先の参議院選挙では定着した感もあって、以前ほど脚光浴びませんでしたが、最近の選挙ではこれまでウィッシュリスト(おねだりリスト)としての役割しか果たしていなかった公約に代わってマニフェスト(政権公約)が注目を集めています。 その本家の英国の例を持ち出すまでもなく、本来マニフェストは政党が作成するべきものですが、その有効性が北川前三重県知事らによって説かれて以来、増田岩手県知事、松沢神奈川県知事、西川福井県知事などの地方自治体の首長によっても統一地方選の際にマニフェスト(ローカル・マニフェスト)が作成されています。 組織の長期の目標であるビジョンへの貢献と自分自身のキャリア・デザインのためにも組織に属する個人もパーソナル・ビジョンを作成するべきであるという持論を持つ私は、この際個人もマニフェスト(パーソナル・マニフェスト)を作成してはどうかと思い、今回のお話のタイトルに使わせていただいた次第です。 2 自治体職員有志の会設立にかける想いときっかけ (1) 設立にかける想い 自治体の首長の任期の一期は4年間です。多選批判は一律には当てはまらないにしても永久にその座にあることはできませんから、改革を成し遂げるなどして優れた、評価の高い自治体経営者でもいつかは交替するときがきます。 それに対して職員は通常、中途採用を除き、40年あまりその自治体で働くのが普通です。 都道府県、市町村を問わず、多くの自治体で改革派の首長が登場し、話題を呼び、成果を挙げ、注目を集めていますが、問題は首長が交替したときその方向がどうなるかです。 自治体の首長は企業経営者と違い、単に組織(都道府県や市町村)のトップという立場だけではなく、いわばその地域の経営者という役割があります。公の地域の経営者を決めるのですから選挙という民主的な手法で選出されます。よって、現首長による後継指名というのもおかしいし、なじまない手法であると思います。 三重県の北川前知事が二期八年で引退を表明したとき、外部から興味本位で「三重県の改革の方向はどうなるのか、後退するのではないか」とよく聞かれました。かつて県内を走る国道23号になぞらえて「ルート23の県」といわれ、ほとんどの指標で47都道府県の真ん中くらいが定位置であった三重県を一躍、全国に知られる改革先進県にした北川前知事の引退後のことが注目されたのです。 私は、それに対して自治体の首長は職員が自分たちの組織のトップを選ぶのではないし、また自分の一票以外は影響力を行使できないのだから、そんなことをあれこれ考えてしょうがない。職員は職員として自らのベストを尽くすだけだと思いました。そして思うだけではだめなので、行動に移すため、首長だけではなく職員のレベルでも自治体の枠を超えて連携しようと「自治体職員有志の会」を、志を同じくする仲間と昨年6月に立ち上げました。 今の野呂知事も基本的にはその路線の継承を表明しています。要は、キャッチフレーズなり、やり方が変わっても基本となる理念、ビジョンがぶれないかどうかが重要だと思います。山への登頂ルートは一つではないということです。 「生活者起点の県政」(北川前知事当時)が「県民が主役の県政」(野呂知事)になっても目指すところは変わらないはずです。目標は、県民満足志向の県政ですが、そこへの到達ルートは様々あり、その時の首長がどういった手法を選択するかではないかと思っています。 そしてその実務を担い成果を挙げるのは、首長が替わっても継続して働く我々職員の役目なのではないでしょうか。 (2) きっかけ 中日新聞や朝日新聞、共同通信の配信を受けた地方紙に報道されるのに「神戸キャリアデザイングループ」では違和感がありましたのであまり深く考えず、名前を現在の「自治体職員有志の会」に変えました。 新聞で報道されたこと効果もあり、問合わせや入会希望が全国の自治体職員から相次ぎ、8月21日現在240人の会員がいます。 これまで全国各地で自治体の枠を超えて勉強会、研究会をしていた職員や主旨に共感した地方議会の議員の方が参加してくれたりしたためです。オフ会もこれまで5回開催し、会のホームページhttp //plaza.rakuten.co.jp/careerdesign/ のアクセスも増えています。(新聞で予想外に大きく取り上げられ、私の名前も出たことにより、予想もしない波紋(庁内で政治家になるのか、とか北川前知事の個人秘書にでもなるのかとうわさされました)を呼んだのは私の不徳の致すところであり、脇の甘さが出ましたが、庁内では知事、副知事、総合企画局長、総務局長といった方を回り、あくまでも個人の取り組みであって政治性を持つものではないことを説明して保身をはかりました。 公務員の世界では、このようなことを行うと、まだまだマイナス評価になるのだなと感じました。 3 自治体職員有志の会設立のこれまでの活動 (1) メーリング・リストによる意見交換 ウェブ上でメーリングリストグループを形成し、メンバー間で意見交換・情報交換を行い、相互研鑚を行っています。話題としては政策評価、ISO、キャリアデザインなどです。 (2) ホームページによる情報提供、提言活動 当会のホームページを立ち上げ、当会の意見交換の内容や地方自治や公務員のキャリア・デザインに関する提言等を行っています。 (3) 自治体首長を招いての講演会及びオフ会の開催 ウェブ上の意見交換に加えて、自治体改革に積極的に取り組まれている自治体首長をメインゲストにお迎えし、改革に向けた取り組みや課題等をお聞きするとともに、議論の場にお入りいただき、活発な意見交換を行うための講演会及びオフ会を概ね二ヶ月に1回、開催しています。 4 自治体職員有志の会のこれまでの成果と今後の展開 では、成果は何かと聞かれると一番困りますが、職員の立場でのボトムアップには限界がありますが、自治体職員同士が担当業務でない、自治体の課題、改革、経営について議論し、それを広める場を持てたことが一番の成果だとも考えています。 全国の志ある自治体職員を勇気づけ、枠を超えて連帯の輪を広げたということで、一定の成果をあげたとは思うのですが、発足してから1年が過ぎ、今日記念のシンポジウムを開催している中で、改めてこの会の目的、目標を考え、今後の新たな展開(民間企業経営者やNPO活動家との意見交換、志や情報発信を目的とした会としての書籍の出版)に想いをはせているところです。 また今後は、ただ首長のお話を聞くだけでは成果につながらないので会として考えた政策などを実施できるフィールドをもってみえる首長に提案していくことや将来的には会のNPO法人化も考えています。 ただ、この会はあくまでフラットな集まりなので私の想いがそのまま会の活動につながるわけではありません。 5 「自治体プロ職員」にかける想いと呼びかけ みなさんが一般的に「プロ」という言葉を聞いて、真っ先に思い浮かべる職業としては、スポーツ選手、芸術家などでしょうか。 しかし、組織に属する企業の社員や国の職員、自治体の職員もそれぞれ企業の発展、国の成長、地域の活性化という仕事に携わる以上は一流のプロでなければならないというのが、私の信念です。 つまり、担当している仕事に関してはオンリー・ワンの能力を持ち、置き換えのできない人材、余人をもって代えがたい存在つまり、他の誰によっても取って換わることができない人材にならなければ自分がその仕事を担当している価値がないと言えます。 私は、「力及ばず敗れることは辞さないが、力尽くさず挫けることは拒否したい」と思い、自治体職員としてプロをめざす中で「考えて正しいと思ったことは勇気をもって発言し、実行すること」を自らのポリシーにしています。 その信念に基づき、志をもって、惰性にながされないように、現場や細部にこだわりを持ち、仕事をしている中で生意気ですが、自らリスクをとって「カナリア職員」となり、「高位平準化」を目指して「結合改善」し、自治体職員の世界で「北京の蝶々」を飛ばしたいと思います。 言うだけではNATO(No Action Talking Only)になってしまいますので、私が仕事以外で個人的にやっていることをご紹介します。まず、新聞、書籍やインターネットなどのオープン情報で共感する首長や経営者と連絡をとって意見交換するようにしています。また、2年前の5月からメールマガジンを庁内外に発行しています。今では私のコミュニケーションツールになっており、やめるにやめられない状況です。そして昨年の4月に個人のホームページも立ち上げ、毎日更新しています。 最後に 「お役所仕事」という言葉を死語にすることが私の夢であり、期限も財源も明示されていなくて志だけなのでその意味では要件を満たしていませんが、これが本日主張したい私のマニフェスト「脱お役所仕事宣言」です。4つあるのでお聞きください。 (私たち、志ある自治体職員は)住民、企業や地域にとって必要で価値あることを迅速に実行することで「お役所仕事」という言葉を死語にするように努めます。 (私たち、志ある自治体職員は)規則に縛られた「ルールドライブ型」の仕事から、行政の本来の使命を達成する「ミッションドライブ型」の仕事のスタイルに転換します。 (私たち、志ある自治体職員は)住民や企業がここで住みたい、活動したいと思うような地域づくりに貢献するために、自らのキャリアをデザインし、その達成に務めます。 (私たち、志ある自治体職員は)住民やNPO、企業等と協働して地域の内発的発展と地域格の向上をはかり、その高位平準化に務めることで日本の明るい未来を切り開いていきます。 森市長にもこれをお見せしたとき言われたのですが、どれも極めて当たり前ことですが、それができていなかったということだと思います。ここにこれまでのそういったスタイルから脱却することを宣言しましょう! よく自治体や公務員がマスコミで話題になることは汚職など懲戒のことやその旧態依然とした仕事ぶりでした。それでは、我々は何のために自治体職員になったのかわかりませんし、地域の明るい未来も描けません。 白井市長がおっしゃるように退職したときに市役所などを誇りを持てる職場にしたいと思います。 ぜひ、地域経営に携わり、地域の内発的発展を使命とするプロとして顔の見えるこだわりをもった仕事をしていきましょう。 夏休みの土曜日という貴重な時間に、呼びかけに応じて全国から集まっていただいた200名近くのみなさまに心から感謝申し上げます。 この後の発表、パネルディスカッション、懇親会での交流をお楽しみ下さい。 「2 基調講演」に続く
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「自治体職員有志の会」入会手続 1 会の趣旨 自治体を取り巻く環境が大きく変わる中で、自治体職員として個々人が主体的に、地域の発展を担うための自治体のあり方とそれを支える自治体職員像を考え、志を同じくする職員が協働して「脱お役所仕事」を実現していくため、当会を設立します。 2 運営の原則 当会は、多くの高い志を持った自治体職員に純粋な気持ちで参加してもらうために、 (1)全国各地の自治体職員が所属や立場の違いを超えて個人の立場で自由に議論する「場」とします。 (2)政治性を帯びることなく、特定の自治体、首長、政党を支持や批判をしません。 3 構成員 自治体職員及び自治体関係者で構成します。 4 活動内容 (1)メーリングリストによる意見交換 (2)ホームページによる情報発信・提言 (http //site.google.com/site/cdkikaku/) (3)自治体首長等を招いてのシンポジウム等の開催 (4)月刊「ガバナンス」での連載(メンバーによるリレー連載) 当会の入会資格は、現役の自治体職員であることです。自治体関係者(首長、議員、省庁から自治体への出向者、出向経験者及び関係団体職員等)は現会員である自治体職員の紹介があれば入会できます。 意見交換は実名でお願いします。 入会を希望される方で、下記の規約に同意頂ける方は、 次のメールアドレスに”必要事項”を記載してご一報ください。 ○自治体職員有志の会規約(PDF 16KB) ○ご連絡・お問い合わせ先 JYKstaff@yahoogroups.jp ○必要事項 (1)お名前(ふりがな) (2)所属(自治体等の名称・所属部課) (3)登録を希望するメールアドレス (4)関心事・意見交換したいこと *メールタイトルを「入会希望(氏名)」としてください
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2007年度における英国の地方自治体の歳出総額は1,552億ポンドとなっており、国を含めた全公共支出の3割弱(29.0%)を占める 。(*1) 地方自治体の会計は、経常会計(Revenue Account)及び資本会計(Capital Account)に大きく二分される(*2)。このうち経常会計は、一般経常会計(General Fund Revenue Account)、商業会計(Trading Services Revenue Account)、住宅会計(Housing Revenue Account)の3つから構成される。 会計年度は日本と同様、4月1日に始まり、3月31日に終わる。 (1) 経常会計(Revenue Account) (a) 一般経常会計(General Fund Revenue Account) 英国の地方自治体の一般経常会計では、主に利用料及び手数料収入は、対応する歳出と相殺され結果的に歳出から控除した形で計上される。また、英国では一般経常会計と資本会計という区分が導入されていることから、元本償還費は一般経常会計としては計上せず、利払費と減価償却費が資本会計に計上される。 ア 経常支出(Revenue Expenditure / Current Expenditure) 経常支出は職員の人件費や、施設維持費、サービス費などの経常的経費に関するもので、主に地方交付金(Revenue Support Grant)等の政府補助金やノン・ドメスティック・レイト、カウンシル・タックス(6-2参照)などを財源としている。経常支出はその性質によって、様々な定義がある。 経常支出(Current Expenditure) すべての経常的経費に係る支出。 純経常支出(Net Current Expenditure) 経常支出から対応する使用料、手数料、その他の諸収入分を相殺し控除したもの。 経常(歳入)支出(Revenue Expenditure) 純経常支出からAEF(*3)外特定補助金を控除し、他会計繰出金を加えたもの。 純経常(歳入)支出(Net Revenue Expenditure) 経常支出からAEF内特定補助金を控除した支出。 2008年度のイングランドにおける純経常支出について見てみると、図表6-1のとおり教育分野(37%)、社会福祉分野(17%)、住宅(14%)及び警察(11%)の分野が大きな割合を占めている。 【図表6-1 2004年度~2008年度 純経常支出(イングランド)/目的別内訳】(*4) (単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 構成比 教育(Education) 33,290 36,020 37,972 40.135 41,480 37.0% 社会福祉(Socialcare) 16,310 17,359 18,094 18,587 19.478 17.4% 住宅(特別会計を除く)(Housing(excludingHusingRevenueAccount)) 13,288 14,066 14,963 15,844 15,987 14.3% 警察(Police) 10,206 10,957 11,651 11,704 12,229 10.9% 文化・環境・計画(Cultural、environmentandplanning) 8,519 9,162 9,651 10,139 10,361 9.2% 道路・交通(Highwaysandtransport) 4,673 4,843 5,313 5,636 6,101 5.4% 庁舎管理等(Centralservices) 2,953 2,432 3,453 3,541 3,695 3.3% 消防・救急(Fire rescue) 1,925 2,040 2,193 2,233 2,364 2.1% 裁判(Courts) 460 58 62 70 69 0.1% その他(Others) 275 206 159 360 328 0.3% 合計 91,902 97,142 103,513 108,249 112,094 100.0% イ 経常収入 経常収入のうち、地方交付金(Revenue Support Grant)、ノン・ドメスティック・レイト(Non Domestic Rate=NDR)、警察補助金、その他政府補助金(AEF内特定補助金及びGLA補助金)は中央政府から地方自治体に交付される財源であり、それぞれ図表6-2のとおり、3%、20%、4%、41%の割合を占めている。一方、地方自治体の主な自主財源(地方税)であるカウンシル・タックス(Council Tax)は24%にとどまっている。このように、英国の地方自治体は財源の多くを政府からの補助金等に依存しており、財政上の自立性はきわめて限られている。 2006年度から義務教育関係経費の特定財源化が行われ、それに相当する額が地方交付金から削減された。英国の地方自治体の歳出に占める義務教育関係経費の比重は非常に高く40%弱を占めていたため、この制度改正により地方交付金の総額は、2005年度の約267億ポンドから2006年度は約34億ポンドへと約87%減となった。 なお、使用料・手数料等の諸収入は歳出と相殺されているため、計上されていない。 【図表6-2 2004年度~2008年度における経常収入の財源内訳(イングランド)】(*5) (単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 構成比 地方交付金(Revenue Support Grant) 26,964 26,663 3,378 3,105 2,845 2.8% ノン・ドメスティック・レイト(Redistributed Non Domestic rates) 15,004 18,004 17,506 18,506 20,506 19.9% 警察補助金(Police Grant) 4,168 4,353 3,936 4,028 4,136 4.0% AEF内特定補助金(Specific grants inside AEF) 14,090 14,785 41,771 44,486 42,133 40.8% 自治体一括補助金(Area Based Grant) - - - - 2,731 2.6% GLA補助金(General GreaterLondon Authority Grant) 36 37 38 38 48 0.0% カウンシル・タックス(Council Tax) 20,299 21,315 22,453 23,608 24,759 24.0% その他 3,234 3,847 5,290 4,210 6,001 5.8% 合計 83,795 89,004 94,372 97,981 103,159 100.0% (b) 商業会計(Trading Services Revenue Account) 地方自治体は、様々な商業的なサービスを提供しており、これらは、基本的にはサービスの受け手の支払いによって成り立つ性質を有するものである。 商業会計では、手数料や使用料収入及び売却収入を伴う当該地方自治体を含めた地方自治体向け及びそれ以外の一般に対する行政サービスを対象とする。具体的には、地方自治体向けサービスとしては、建物の清掃や法務、廃棄物処理等があり、地方自治体以外の一般向けサービスとしては空港や劇場、公営市場の運営に関するものがある。 2007年度のイングランドにおける商業会計の歳出は約52億ポンド、歳入は約55億ポンドであった。(*6) (c) 住宅会計(Housing Revenue Account) 住宅会計は、地方自治体が所有する住宅に関する会計であり、地方自治体の納税者に直接賃貸され、賃貸料と中央政府からの補助金でまかなわれる。住宅会計の大きな特徴は、地方自治体がその裁量で一般経常会計との間で資金の移動を行えないことである。すなわち、住宅会計の収入は住宅以外の他の用途に用いることはできず、また、住宅会計外の収入は原則として住宅会計の支出として当てることは認められない。 イングランドにおける2007年度の歳出は約84億38百万ポンドで、歳入は約84億37百万ポンドであった。(*7) (2) 資本会計(Capital Account) (a) 資本支出 資本支出とは、土地の取得、道路及び建物、その他の構造物の取得、建設等に係る支出を指し、2008年度の歳出規模はイングランド全体で約198億ポンドとなっており、目的別では教育(24%)、交通(22%)、住宅(22%)が大きな割合を占めている(図表6-3)。 【図表6-3 2004年度~2008年度資本支出(イングランド)目的別内訳】 (*8) (単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 構成比 住宅(Housing) 3,987 4,534 4,507 5,008 4,350 21.9% 教育(Education) 3,087 3,492 3,442 3,711 4,733 23.8% 交通(Transport) 2,905 3,461 3,480 5,916 4,386 22.1% 図書館、文化、遺産(Libraries, culture heritage) 227 329 296 321 366 1.8% スポーツ、レクリエーション(Sport recreation) 306 424 415 446 793 4.0% 警察(Police) 561 606 531 550 781 3.9% 社会福祉(Social services) 284 387 364 411 352 1.8% 消防、救急(Fire rescue) 82 96 126 169 193 1.0% 農業・漁業(Agriculture fisheries) 66 93 96 85 97 0.5% 裁判(Magistrates courts) 46 1 0 0 0 0.0% その他(Other) 2,725 3,218 3,052 3,342 3,810 19.2% 合計 14,276 16,641 16,307 19,958 19,861 100.0% (b) 資本収入 資本収入の内訳は図表6-4のとおりで、2007年度において借入金が全体の30%を占めている(*9)。資本補助金は、インフラ整備、地域再生など特定の目的のために中央政府等から交付されるもので、資本収入総額の34%を占めている。なお、経常収入を資本収入に繰入れることは可能だが、資本収入を経常収入に繰入れることはできない。 PFIなど民間資本を活用した社会資本の整備・改良により、地方自治体もこうしたスキームを活用することによって初期投資の負担を軽減するとともに、効率的に社会資本の整備を行っている(8-4参照)。 【図表6-4 2004年度~2007年度 資本収入(イングランド)内訳】(*10) 財源の内訳(単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 構成比 資本補助金(Central government grants) 3,196 3,909 4,083 7,007 34.4% 資本売却収入(Use of usable capital receipts) 2,647 2,812 2,628 2,665 13.1% 経常収入繰入金(Revenue financing of capital expenditure) 2,757 2,568 2,763 2,593 12.7% 借入金 4,724 6,130 5,655 6,110 30.0% その他 1,080 1,378 1,343 2,018 9.9% 合計 14,404 16,797 16,472 20,395 100.0%
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4 パネルディスカッション 「テーマ:自治体改革の戦略と新たな自治体職員像」 ○コーディネーター: 石原 俊彦 関西学院大学産業研究所教授 ○パネリスト(順不同): 穂坂邦夫(埼玉県志木市長) 森貞述(愛知県高浜市長) 白井文(兵庫県尼崎市長) 後藤國利(大分県臼杵市長) 戸崎将宏(千葉県職員) 藤井理香(長崎県国見町職員) ・石原先生:前半は自治体改革の戦略、後段は新たな自治体職員像についてパネルを進めていく。 後教授の講演や3人の抱負を聴いてがんばらなければと思っていたが、4市長は既に盛り上がっているので、大丈夫だろう。 進め方は、まず自治体改革の方向性の新たな戦略について整理する、続いて、激しい環境変化、いい意味で競争関係のある中で、自治体職員はどうするのか、前段の議論とも関連させながら進めていきたい。 私は役所のシステム改革を重視する立場、後先生のようにNPOや市民との協働を重視する立場など戦略の相違があるなかで、自治体職員、NPO、トップ、外部など、今までの経験を共有したい。ただ、住民がハッピーな自治体という到達点は一緒であるが、手法は違う。その意思決定の壁に直面しているのが現場の実情であろう。 ここからこの後の自治体職員のミッション、方向性を探りたい。 まず10分ずつ4市長から取り組みの話を頂く。並び方は、単純に東から西という順番でお願いしたい。 ・穂坂市長: もともと県庁職員、市町村職員、議員、市長として活躍している。 いままでは適当にやればお金が入ってきてやっていればよかった。 都市間競争が激化して、この5年間が正念場になるだろうと思っている。国家構造、行政構造も転換を迫られる。 2006年からは人口減少、消費税1%で2兆円。 大改革が迫られる。ぬるま湯もだいぶ冷えてきた。 4点だけ申し上げたい。 都道府県のあり方も曲がり角にきている。これから道州制の問題もある。広域機能を持つ都道府県が何をすべきか? 補助金から税源へ。都道府県と市町村関係のあり方が課題になってくる。税源委譲は地方6団体の要請もあったが、前途は困難だか進むことを願っている。いまは市町村の重要性が高まっている。 国の職員は知識の切り売りをしているだけで、取り立ててキャリアだからといって優秀だとは限らない。一方で、市町村の職員が一番難しいのは確か。一番大事だと思っている。 そして、地域力の結集が国力である。これはパキスタンのような軍事政権でも共通。 2つめは、自治体という非営利独占的なサービス供給主体の構造も転換が必要であるということ。そこで第二の市役所である市民委員会をつくった。住民も一緒に考える。 民間と違うのは、特殊意見や少数意見の尊重の姿勢が必要なところだが、システムを変えていこうと思っている。 3つ目は、自治体に個性があってよいということだ。今までは護送船団方式、金太郎飴だった。限られた財政では、あれもこれもできない。都市と農村、西と東、寒冷地とそうでないところいろいろある。 地方自治に関する特殊な経歴だけは負けない。行ったりきたりで33年、贖罪の意味もかねて頑張らないといけないと思う。 4つ目としては、そうは言っても首長は一人、役所を変えるのはある時期までは首長であるが、トップダウンには限度がある。改革の原動力は職員、新しい職員、組織をどうかみんなで造っていてほしい。 ・森市長: まず全国各地からきていただいて歓迎申し上げる。 志木市長の話、いつも私が言っていることと同じことが言われているようだ。従来のようにあれもこれもではなく、財政難のなか選択と集中が必要。 政策とは、実際の条例・予算を通して執行してその適否を首長が選挙で問われる、という姿勢で取り組んでいる。 競争に勝ち抜くには、トップダウンで一定のところまで追及するとともに、職員の力をどう引き上げるかが競争上重要、そうでなければ、住民が誇りを持つまち(裏返せば職員がやりがいを持てるまち)を造りだすことはできない。 職員の力、住民の力、住民力があれば、行政の自治体の職員の力が総合力になって、大きなまちづくりができるのではないかとおもう。究極的には、地域の力は住民力である。 協働の機会を数多く持つことが現実にできている。そして、ここにもカリスマ職員がいる。カリスマ性をもったリーダーシップをもつプロフェッショナルが求められ、活躍するようになれば、大きな力を持って来ると思う。 この今日の会場は難儀をしている再開発事業の一区画だが、商業施設ではなく将来を見据えて、専門学校を誘致した。計画を変えること、あえて変化を恐れずに挑戦した結果だ。こうしたチャレンジによる無限の可能性があるし、自信を持って取り組むべきだ。 今日はせっかくの機会なので、まちの歴史・伝統を知って頂いて、明日からそれぞれの地域でプロフェッショナル、カリスマ職員として羽ばたいて頂ければ、まちも発展することができるのではないか? ・白井市長: 今日を楽しみにしていたが、他の有名な3市長に比べてまだ実績はないもので、プレッシャーを感じている。食事ものどを通らないと思いながらも一緒に来た職員よりも早く昼食を食べ終えた(笑)。 尼崎市は財政難で、財政再建が大命題である。 自分の就任時には、すでに行政内部にNPMの発想があった。個人的には「行政経営」という言葉にひっかかる。効率一辺倒の経営に疑問はあるが、今は「尼崎市を経営してゆく」という視点で取り組んでいる。実際にいろいろなシステムを導入しているが、なかなか苦戦中。悩み相談も兼ねて、以下、個別にお話したい。 まず、「事務事業評価制度」は、平成13年12月に決算とは別に導入した。事務量が多い割に活用されておらず、管理職のなかでも評価は分かれている。 「ネットモニター制度」は比較的うまくいっている制度である。サイレントマジョリティの市民層(特に20代~30代)からの応募を得た。オフ会も開催し、顔の見える関係になった。調査項目の選定から市民にやらせてほしいとの申し出を受け、嬉しく思った。 「YAAるぞ運動(全庁的改革改善運動)は成功事例。初年度である昨年度は、113チーム、計1915人の参加があった。強制ではなかったこと、事務局の盛り上げ上手、ノリが良い組織文化などが成功の秘訣か。市としての自信に繋がる成功体験となった。 「施策評価委員会」は、石原先生が座長を務めてくださっている。評価委員会で最低評価(D)の施策がうまく行っている場合もあれば、評価がAの施策でも議会で修正否決になったものもあり、なかなか難しい。 「パブリックコメント制度」は、導入初年度には19件中9件が「意見なし」だった。市民への情報提供の仕方が今後の課題である。 「即決・プロポーズ大作戦」は、「YAAるぞ運動」同様、福岡市の制度を模倣して始めたが、会議で決めたことでも実践できていないことがある。 「枠配分予算」も、原局の理解が得られにくく、苦戦中である もっとも、これら全ては手段に過ぎない。手段と目的を取り違えないよう目標達成に向かって今後も努力したい。 ・石原: (尼崎市の改革には直接携わっているだけに)この10分は長かった。(笑) 今日は司会だから反論の機会はないので・・。 ・後藤市長:人口3.5万人、合併を進めている。市長はもう2期やっているが、合併を目前にして今後どうするか悩んでいるところである。 資料で用意してきたことと今までの首長の発言には共通することがある。 パブリックサーバントとリーダーシップという題で話したい。 まず、NPMへの違和感がある。パブリックサービスの向上のためにバランスシートを石原先生などのご指導で作り始めた。国は最初はBSなどいらないと言っていたが、東京都の石原知事が誕生したとたん変わってしまった。制度を変えていくことはできるものなのだ。バランスシートはパブリックサービスの成長のためのもの。なのに、いつのまにか評価システム一辺倒になっている。いつのまにか一人歩きをはじめ、数値一辺倒の財政的側面ばかりを見据えるものになった。パブリックサーバントとしての高貴な精神はどこに行ったのか?パブリックマネジメントなのかパブリックサービスをやっているのか基本を問い直すべきだ。管理と奉仕のリーダーシップが求められる。ここで重要になってくるのは、選択と集中、判断と責任である。 ・石原: これからの進め方 戦略について、キーワード、本音をもとに、自治体職員の立場から2人から質問などを。 ・藤井: 効率的ではないところが行政なので、難しい、本来の仕事とはなにか聴きたい。女性の市長さんは当たり前ではないとおもうので、何か感じたことはなにか? ・石原: 効率的でないところを効率的にするのが行政の役割、そのなかで官と民との役割分担になってくるもの、様々な提供手法がある。何をするか何をやるかコメントを。 ・穂坂: 行政の役割は、基礎的自治体においては、一つは、コミュニティの醸成である。もう一つは、一般行政をいかに効率的にしていくか。効率が悪いことではなく、特殊性、少数意見の尊重、社会的弱者の救済は一般行政と区分するもの。業務目的の特性であって ずっといままで同じことをやっているのか?議会に透明性を高めても市民にわからなくては意味がない。みんなで考える時代になったのでは? ・森: 今後の課題として介護保険と支援費の問題がある。「財源」の論点から入れば支援費は大きな境目を迎えているが、「地域福祉」の論点から入れば、いかにして地域社会のなかで高齢者、障害者、子供たちを支えられるかと言う問題であり、「財源」とか「効率」とか言う以前の問題である。 住民の一番身近な生活にスタンスをおいて、住民の方に示す方向を分かっていただき、住民自信で舵をきっていただく。愚直にこれを追求するほかはないと思っている。 ・白井: 民間でできることは民間でやる。行政は縮小の方向にある。ただ、やらなければならないことは常に変化しており、行政も変化し続けなければと感じている。女性市長としては、最初は「女性だから」「若いから」大丈夫かと言われることもあったが、今はあまり聞かなくなった。「女だから」と言われないように心掛けている。 ・後藤: 市民のお役に立つ仕事をする。ニーズがあることをやる。間違ってはならないのは必要なこととわがままの見極め。議会では、多様な要求が出てくる場合がある。命がけで守らなければならない。ともすれば、行政は責任を回避するため、他所でやっているとかマニュアルや先例に従おうとするが、「最も必要なことは何か」を考えることが行政の仕事と思う。 ・石原: ここまでをまとめると「選択」へシフトするということ。選択責任として「誰がする」という問題がある。主権者、パートナーである市民と調整をどうするのかと言う問題。難しい問題だが4人の市長からそれぞれお答えいただいた。 後半は、職員の立場として戸崎さんから問題提起していただきたいと思います。 ・戸崎: 職員に一番発揮してほしい力とは? 市長の想いを職員と共有するための手段は何か?を聞かせていただきたい。 ・後藤: どうしても管理型、権力形に陥りやすい。どのように脱却していくかが最大の課題。権力を超えた威厳を身につけ、住民との信頼関係を築きながら仕事をしてほしい。 ・白井: 何か新しい提案をすると、できない理由ばかり挙げ、できる理由を述べてくれない。また、話をしていても表情のない人が多く、何を考えているのかが分かりにくい。市民との関係でも同じだと思う。もっと熱意とやる気と本気を示してほしい。 信頼関係を築くために、職員との対話研修を積極的に行っている。また、職員の私的な会合やノミニケーションも大切にしており、悩みも素直にぶつけている。メルマガやメールを活用したりして、次第にコミュニケーションも取り易くなった。 ・森: 市民の皆さんのほうが変化に敏感である。変化に対応する力を示してほしい。職員が後向きになればいくらいいことであっても住民に理解してもらえない。首長が考えていることを職員に伝えるため、折に触れて現場に出て行く。 奥の院にいる首長は職員から御しやすい。首長が前に出てくると現場が分からないと言えなくなる。現場に出る事によって住民の考え方や変化を敏感に感じることができる。選択する能力をつけることは、職員にとっても大きな財産になる。 ・穂坂: 職員に求めることは柔軟性と創造性。専門性はあって当たり前。志木市では行政に執行権のあることでも条例化しようとする。一例を挙げると子育て憲章があるが、これは「どのように子育てするか」であって条例化に馴染まない。条例化しようとすると議会への説明も必要となるが、その必要があるのか柔軟性をもって考えてほしい。 透明性の議論についても、理解が得られやすいための道筋がある。専門性で硬直化してしまうのでなく、臨機応変にやって、住民が求めるものを目指してほしい。 職員との情報共有のため、ウィークリー講座を2時間かけてやっているが質問が出ない。もう一回すると質問が出るのかもしれないが・・・。私はノミニケーションはしない。全職員と飲むわけはいかないし、飲みに行けなかった人は寂しく思う。 ・石原: 首長から見た自治体職員像を聞かせてもらった。ここからはフロアの皆さんから自治体職員のキャリアデザインや、お役所仕事を脱却していくにはどうしたらよいか?など質問をいただきたい。 ・竹内(泉大津市): 地方自治体の政策評価と国の政策評価が違うという話があるが、中央省庁との違いについて教えてほしい。 ・穂坂: 国と都道府県、都道府県と市町村、全く違うものと考えるべき。はっきり分類したうえで、何処をどのように変えて行くか考えることが重要。 ・井上(長崎県): 白井市長さんから「熱意を見せてほしい」との話があったが、「なるべくしてなった」という面もある。その原因分析と今後の対策を聞かせてほしい。 ・後藤: 「お役所仕事として甘えていた」と言うことにつきる。 禅に「回向顕正」と言う言葉がある。ある人がよいレストランを作ろうとして、調査し、お金も貯めた。材料もそろえ良いシェフを集めた。いざ店を開こうとしたところ、何が一番得意かと聞かれ困ったという話がある。人は、「何をしたいか」を忘れてしまうことが往々にしてある。役所に入ったころの志を思い出してほしい。 ・白井: 今迄どおりやっていた方が楽な組織だから、それが骨身に染みている。上司から評価されることも少なかったのではないか。良いところは褒め、悪い所は注意することが大事。自分を磨こうという気持ちになって来なかったことが問題。 頑張って成功すると、「ああ、頑張ってよかったな」と感じるものだ。自分で自分を褒めてあげたいと思うような体験を積んでほしい。成功は自信につながる。 ・多田(群馬県): 職員採用が法律分野に偏っている。何故、経済やマーケティング等の採用を増やさないのか? 職員採用についてどのような工夫をしているか? ・若林(三重県): これからの県の役割は? これから進むべき道は? また今の県に欠けているものは? ・星乃(大阪市): 「熱意をもって取り組みたい」と思っているが、なかなか伝わらない。新しいことに取り組むにはチャレンジがいるしリスクも伴う。リスクについての考えはどうか? ・松迫(西宮市): 行政評価や事業評価において、原課は無難なものを出しがちである。本音の評価を探り出すのにどういう努力をしているか? ・星野(川崎市): 専門性が高まるなかで雇用のあり方をどう考えるか? プロの職員の採用については? 幹部職員の人事に関する適材適所の要諦は? ・森: 職員採用に関しては、年齢制限枠を拡大して、経験重視の考え方をとっている。民間人を面接に取り入れ、民間人の意見と役所側の意見とを総合して検討している。専門職は保健師などがあるが、社会で豊富な経験を積まれた方をどのように加味していくかによって見えてくるのではないかと考える。また、キャリアアップのための機会は多く与えるが、チャンスをつかむのは本人次第。 県には優秀な人材が集まっているが新しい課題に挑戦しなくなっている。減点主義。力があっても発揮できない。分権の時代のなかで地域社会にフィードバックする活動をしてほしい。 リスクは首長が取ればよい。リスクに対し前向きになり、失敗を恐れない、変化を恐れないという姿勢を示せばトライできるようになる。 ・白井: 市民の視点で評価することが重要。その評価を見て市民がどのように感じるのかを念頭におく必要がある。評価を公表していく事によって意識が変わってくる。 ・石原: 現行制度に対する不満も多かったようだが、結びとして、会員の代表二人に今後のキャリアデザインをどのように考えていくのか、どう思ったのかなどの感想をいただき、それに対するエールなどを4人の市長からいただきたい。 ・藤井: 首長さんが現場をしっかり把握しておられるので、私達もしっかりしなければならない。また、社会に敏感になって努力し続けることが必要だと感じた。 ・戸崎: 都道府県のポテンシャルを生かしていきたいと思う。また、やる気が出せる人事システムを仕事のなかで拡大し、外の市場にも出て行けるよう考えたい。 ・石原: フロアの代表としてお二人から話をお聞きしたが、褒めるのが得意な白井市長から一言づつ励ましのお言葉をいただきたい。 ・白井: 尼崎市は財政再建団体転落回避のために取り組んでいるが、財政再建団体になってもいいじゃないかという職員もいる。精一杯ならないように取り組みましょうと声をかけている。一人では何もできないことを思い知った1年8ヶ月だった。変化を起こすことの大変さは良くわかっているが、変化はいつも一人から始まるものだ。皆様が最初の一人になり、また、仲間を助けてあげて欲しい。評論家の時代は終わった。出来ることから行動に踏み出してほしい。共に頑張りましょう。 ・森: 21世紀の早い時期に住民自治の時代がやってくる。その時、黒子になっていただけるのが皆さん。山路さんからmailをいただき、その誘いに乗った。乗って私は幸せだった。なにより仲間ができた。住民自治にとって皆さんがどれだけ大きな力を発揮するか、期待で一杯である。 ・穂坂: 志木市では特区構想も出した。トップがやる気を示せばよい。やればできる。 昔はそんなこと言っても仕方がない状況だった。出来なくてもあきらめないということが大切。 職員にプロの専門性は必要ない。高校か大学程度の知識を持っていれば十分。後は専門家か学者に任せればよい。 国でなければできないことは国、都道府県でなければならないことは都道府県、後は全部市町村に渡してしまえばよい。そのように考えれば、やるべきことが見えてくる。 今迄は思考停止の状況だった。時代は地方を認めざるを得ない状況になってきている。 ・後藤: 御用聞きができるようになれば自ずから解決する。実践することが重要。小さなことから一歩づつやって行く。皆でやりましょう。 今日この場所に180名が集まった。凄いことだ。こんなに熱心に聴いていただけて大変幸せだ。 ・石原: 有難うございました。以上で終了させていただきます。 今回のシンポジウムのアウトプットがどういうアウトカムに繋がるか、有志の会の皆様で考えていただきたいと思います。
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第1回オフ会 講演概要 講演会&オフ会の風景 講演概要 1 日 時:平成15年6月27日(金)16時~18時 2 場 所:名古屋国際センター5階 第4、第5会議室 3 内 容:以下のとおり (1) 講演 ① 講 師:森貞述高浜市長 ② テーマ:「住民自治の確立とこれから求められる職員像」 ③ 内 容 ・今日、6月27日は企業にとっては、株主総会が集中する特別な日である。シャンシャン大会で済む時代は終わり、まさにガバナンスが問われている。 ・自治体も同じである。あえて経営と言わせていただくが、自治体経営のあり方が問われている。三重県の北川前知事はマニフェストを提唱された。これは従来、抽象的な表現だった公約を期限付、数値付にするものである。 ・経常利益日本一のトヨタは取締役の報酬が2,100万円であるが、カルロス・ゴーンにより立ち直ったとはいえ、トヨタとは開きがある日産の役員報酬は、1億4千万で、トヨタの約4倍である。これをどう考えるか。 ・かつて地方自治体の置かれている立場は護送船団であったが、今後は、勝ち組と負け組に二極分化する。 ・企業に起きている変革と同じ現象が、自治体にも降りてくる。基礎的自治体が自立するときである。 ・後で新聞(6・27日経新聞朝刊)を回すが、最高裁の小法廷で固定資産税に関して評価額を実勢価格より高く設定するのは違法との判決が出た。かつて土地を持っていることが価値であったが、活用しなければ価値がない時代になった。 ・固定資産税や都市計画税は市町村にとって基幹税(6割)であるので、この判決の持つ意味は大きい。 ・持続可能な自立した都市を目指す必要がある。「じりつ」にはもう一つあって自律」-身の丈にあった分相応ということも大事である。 ・マーケット・オリエンテッド、コンシューマー・オリエンテッドということ、つまり市民志向でいくべきである。 ・自治体は、これまで供給側の論理でやってきたが、今後は需要者側の論理が求められる。 ・納税者である市民には3つの顔がある。株主、利用者、パートナーの三つである。供給者側の論理は通用しない。「予算、人がない」ということをよく言うが、ない中でサービスをどのように提供していくかである。 ・職員が「市長が恥をかくといけない」とレジュメをくれたが、書いたものを読むのが苦手なので置いておきます。 ・任期中のことを振り返ると第一のターニング・ポイントは再開発事業だった。JR名古屋やほとんどの地方都市の駅前再開発が頓挫している。高浜市ではあえて専門学校(日本福祉大学)をもってきた。 ・職員には方程式の答えを求めるのではなく「プロセスを大事にせよ」と言っている。結果の責任は首長が取れば良い。 ・第二のターニング・ポイントは高齢社会の問題である。かつて高齢化、国際化、情報化(今と違う意味)ということが言われたが、あれもこれもはできない。何を選択するかが重要。行政は黒子に徹しながら、その担い手となる素地を育てて いく。 ・12年1月に地方分権一括法と介護保険法が成立したが、これが第三の転機である。この介護保険の導入により市町村が自己決定、自己責任を持つこととなった。高浜市も福祉自治体として福祉ユニットを活用することになった。 ・介護保険では、県と市町村の関係から国と自治体の関係へと変化する中で市町村の力量が試された。供給側でないものを生み出した。 ・第四番目の転機としては、市町村合併を含めた流れである。来年4月から地域福祉が努力義務となった。地域福祉については住民、地域を切り口に考える。 ・住民参加については、職員も住民として参加する。恥ずかしい話だが、第四次総合計画までは策定をコンサルに丸投げだったが、住民の参画を得てワーキング・グループがコンサルを入れずに作った。これにより職員のレベルが上がった。 ・港湾の管理について、プレジャー・ボートの放置の問題がある。PFI手法を取るにはVFMの考えが要る。NPOを入れた高浜マリンクラブを作った。職員にとって挑戦していく手法となる。どれだけのエネルギーを使うかを学習するプロセスである。 ・家族ケアと施設の中間にユニット・ケアがあり、第一号を杉並区がつくり、高浜市は第二号である。 ・財政がきつくなったときに、いろいろな選択肢、引出しを持っていることを示す。 ・社会福祉法人の理事を県会議員がやっている場合が多いが、彼らは大規模特養を求めている。 ・挑戦を続けていけば、風穴を開けることができる。 ・首長が政治を使ったら職員は育たない。担当を飛び越していくと、職員の発想を殺すことになる。職員を生かし、職員が対応している状況を把握することから始まる。政治を使うときはお礼を言ってもらうときだけにしている。 ・首長の任期は4年であるが、自治体は企業と同じゴーイング・コンサーンである。 ・合併の問題には行政資源の最大化合併過程にある圧力から職員が鍛えられるがある。合併圧力を跳ね返すための切磋琢磨が必要。企業には小が大を飲む合併や対等合併があるが、自治体の場合は、小が大を飲む合併や対等合併はありえない。 ・職員には強いものを徹底的に伸ばせと言っている。高福祉、高負担と言い切っている。自治体OBの方は、大変と言われる。(悪い意味) ・統一地方選挙では「ただにします」という発言が多かったが、受益と負担の関係が要ると思う。 ・常に他との違いを際立たせていくことは、いばらの道だがやらなければならない。 ④質疑応答、意見交換 冒頭のトヨタと日産の役員報酬の話は、ゴーンが社員に痛みは強いるが成果が出れば、他はどうあろうと横並びではなく、ちゃんと報いるということだと思う。 Q)ブレーンはいないが、経済紙を参考にされているということだが、市民の声をどのようなアンテナでつかむようにしているのか。 A)父親との約束で家業(醸造業)はやめないことにしているので、消費者の声は商売からも入ってくる。ものごとには経済事象から入るようにしている。それが自治体にどう返ってくるか。成果主義でやっていくことが求められる。定型的に 求められるものではない。選挙の時期も声が入るが、市長室に閉じこもらないで現地や現場へ出かけるようにしている。「よきに計らえ」では、良い情報しか入らない。「高浜市行政行動規範」をつくって唱えるようにしている。 Q)市民満足と職員満足の関係についてどう考えるか。 A)悩ましい問題であるが、「自治体職員は」という枕詞に対してどちらに重きを置 くか。職員の時間単価とパート職員の差も考えないといけない。公認会計士に「役所の職員は変わらない」と言われる。市内の企業の経理を見ていると公務員は まだまだ恵まれているということだ。拠って立つところは税ということ、市民の 納税意識を考えないといけない。賃金では職員満足は難しいが、登用や研修では図っている。 Q)住民が怒らない、自治体が再建団体にもならないことが問題ではないか。 A)「マーケット・セグメントしろ」と言っている。自治体はあまねく公平と言われるが、そうやれるか。郵便局はあまねく公平だそうである。自治体職員の最後の砦は政策形成能力だと考えている。 Q)NPOの活用について A)行政が仕切ってはダメ。自己実現することから始めなければ何も出来ない。自立した組織になることが重要。宅老施設の食事について、料金などに差が出ると不 公平との意見もあったが、各施設の判断に任せた。「金は出しても口を出すな」である。行政にとって重要なのは就労の場を確保することである。職員の雇用が大事か、地域の自治が大事かを考えなくてはならない。時代とともに担い手が変わっていく。NPOに変わるものもある。職員はもっと高度な計画立案などに注力することが重要である。 4 連絡事項 次回は8月下旬から9月上旬にかけ、尼崎市の白井市長をゲスト・スピーカーに関西地区で開催する。     講演会&オフ会の風景 当日、高浜市森市長を講師に講演会を行いました。 参加者は全国から集まった会員22名です。 森市長を囲んで真剣な質疑がおこなわれました。 素晴らしい講演会となったと思います。森市長を始めお世話に なりました参加者の皆様に厚く御礼申し上げます。
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日本では日本国憲法により地方自治が保障されているが、英国では普通の法律と区別された憲法典はなく、地方自治については英国議会が制定する法律及び慣習法がその拠り所となっている。 地方自治体は、原則として、英国議会が制定する法律により個別に授権された事務のみを処理できる(「1972年地方自治法(Local Government Act 1972)」など)ものとされており、授権された範囲を超える行為は、権限逸脱(Ultra Vires:アルトラ・ヴァイリーズ)の法理により違法になるとされてきた。しかしながら、「2000年地方自治法(Local Government Act 2000)」により、地域社会および住民の福祉の増進に関する3分野(経済 Economic Well-being、社会福祉 Social Well-being、環境 Environmental Well-being)の政策を一定の制約の下で自由に実施することができるとされた。 国と地方自治体および同一地域内における各地方自治体の役割分担(3-3参照)は、原則として分野により明確に区分されている。
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<自治体職員有志の会の第5回講演会・オフ会でのニセコ町逢坂町長のお話> ○日 時:平成16年6月18日(金)18:00~19:30 ○場 所:ニセコグランドホテル ○講 師:ニセコ町長逢坂誠二氏 ○テーマ:「自治基本条例の『心』を具現化する職員像と人材育成について」 ○内 容:以下のとおり(文責 自治体職員有志の会 会員:山路) <講演概要> ・自治を進めていく上で情報が大事である。情報のないところで自治はない。 ・情報がなければ健全な問題意識はない。情報こそが自治を動かす原動力である。 ・最近、住民参加、参画ということがよく言われるが、これは何も特別なことではなく、責任をもって自治の活動をするということなので参加は当たり前のことで特別なことではない。 ・戦後、しばらくの間、日本を引っ張っていくには自治のことを考えなくてもよかったが、財政難、価値観の多様化、少子化などを背景として、自治健全に機能しなければ、日本の諸課題は解決できない状況となっている。 ・1985年のプラザ合意以降、日本の財政政策がおかしくなった。 ・行政では、情報を積極的に出し、厳しいこともお話した上でやっていく仕組みが大切である。 ・そうは言っても情報共有は骨の折れることであり、戦後50年の間続いた「お任せ民主主義」の体質はいかんともしがたい。こういったお任せ体質は、市民ばかりではなく、職員にもあった。 ・町政についてルール化、明文化が大事ということで「まちづくり基本条例」をつくった。 ・こういった条例についてはこれまで日本に参考にするような雛形がなかったので職員は右往左往したが、「逆に先例がないということは自由にやれるということだ」と励ました。 ・北大を中心に外部からの知識を吸収するように務めた。札幌地方自治研究会がベースになって九州大学へ移られた木佐教授を中心に指導していただいた。 ・その内容は非常に精緻でうまく使いこなせないと思ったので、原石というかダイヤモンドを身の丈に合うものにした。その基本姿勢は単純化である。 ・指導者の基本的な資質で大切なことはコミュニケーションである。レーガン元大統領はグレート・コミュニケーターと言われたが、コミュニケーションをはかるには言葉の単純化が大事である。つまり、当たり前の感覚を大事にすることである。 ・私は「アイデア町長」と言われたりするが、それは当たらない。日常の中にしなければならない仕事のカギが一杯ある。 ・自治の活動は民主主義を語る上で欠くことができないが、自治と民主主義の関係が忘れ去られている。 ・イギリスのブライスは「(民主主義の源泉たる)自治は民主主義の学校である」と言った。<民主主義の源泉たる>という枕詞を忘れてはいけない。 ・民主主義は文字として理解していても皮膚感覚としてわからないというところがある。分権といっても世界の潮流からは相当ずれているのではないか。 ・元総理の石橋湛山は「地方自治の比較的重要なのは、その小なりにあり」と言っている。また、福沢諭吉は「子供に鋭利な刃物を与えて、自身を傷つけることに懲りて学ばなければならない」と言っている。これらのことからも明らかなように「実践と当事者意識なしに民主主義は機能しない」と言える。 ・国民年金の議論を聞いていると、国政で議論している人は、自治の実体験を欠いて机上で議論していると思う。市町村合併、住民基本台帳の問題もしかりである。 ・職員にどう成長してもらうかが自治体にとって財産になる。公務員のランキングで国ー都道府県ー大きい市ー小規模市町村ということが言われるが、小規模町村では職員の能力開発がされていなかっただけである。 ・国の職員は確かに優秀だが、すごい研修を受けている。自治体職員は職員になる前に、研修を受けていない。 ・議会から職員の研修費を50%削減の要求があったが、厳しいときほど研修に力を入れるべきだ。 ・コンサドーレ札幌は財政の健全化のために有力な選手を出しているが、これではたとえ、財政は再建できてもチームを維持できない。このことからも財政が厳しい中でも人を育てることがいかに大事かがわかる。 ・「行政はサービス業である」とおっしゃる方があるが、これは少し違うと思う。 サービス業の意識を持って業務に当たることはもちろん大切なことであるが、行政の本質は権力である。経済効率に合わないことをやるということ。 ・行政の世界の常識は一般の世界と異なる。もちろん、NPMなどの新たな行政経営の手法は必要であるが、行政の本質ではない。 ・行政の仕事を優先順位の低いものからそぎ落としていって最後に残るのは広義の「公共の福祉」である。これを忘れると「納税しない者は選挙権もなくていい」という極論につながる。 ・民主主義は数ではなく、多様性を認めることである。 ・合併で住民投票をする場合があるが、すべての住民が同じ重さでステークホルダー足りうるかという疑問を持っている。というのは合併しても何の影響もない人、合併でプラスになる人やマイナスになる人がいるのに同じ一票が正しいことかという気がする。 ・たとえ、結果は同でも違いをいかに知るかというプロセスが大切である。 <質疑応答> Q)「情報のないのはメニューのないレストラン」ということを言われてる。一方住民の側も自治を自身のことと思う当事者意識が欠如していることもある。このことから、行政はわかりやすい情報というメニューを提示し、住民は当事者意識を持つということが自治では大事だという理解でいいか。 A)そのとおり。当事者意識が大事で、これがないととんでもないことになる。 Q)自治の手法について A)自治は職員が実践して理論武装し、また実践すること。世間の常識が通用しないのは税の問題で顕著である。交流を大事にしており、他の団体へ出向くだけではなく、マスコミや民間企業からも人を受け入れている。異物を組織の中に入れておくことがが大事で、交流のないところに発展はない。歴史上、よそと交流のなかった文明は滅びていく。 Q)あるべき職員像を教えて欲しい。 A)思いつきだが、あるべき職員像としては、「柔軟性」、「開拓力」、「やさしさ」が挙げられる。 <感想> ・時事通信の官庁速報によると、仏教大調査で全国の市区町村長が最も手本にしたいと考えるのは北海道ニセコ町という結果が出ました。 ・よく小規模自治体がすぐれた取組みで話題になると「あれは小さいところだからできることだ」ということが言われますが、これはまったく後付けの理屈であり、できないことの言い訳に過ぎません。 ・逢坂町長が実践され、持論でもあり、私も使わせていただいている「高位平準化」でニセコ町の取組が全国に広がり、日本の閉塞状況に明るい展望が開けることを願いたいものです。
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英国の地方自治体では従来、行政府は議会の各委員会が執行機関となる議会統治型の類型であり、日本のように議会と行政府が並立し、行政府のトップが直接公選により選出される大統領型とは大きく異なってきた。しかしながら、従来の委員会中心の議会制度は、会議に多大な時間が費やされる等の非効率性や、誰が実質的な決定をしているのかが判りにくい等の透明性の欠如が批判されてきた。 この批判に対し、政府は、「2000年地方自治法(Local Government Act 2000)」で、議会については、従来型の議会全体で行ってきた政策決定とその評価に係る責任の所在を、政策決定に責任を持つエグゼクティブ(内閣構成議員)と政策評価を担当するバックベンチャー(一般議員)(*1)に明確に区分することとし、一方首長については、直接公選首長を採用するか否かについて選択することができるとした。 その後制定された「2007年地方自治・保健サービスへの住民関与法(Local Government and Public Involvement in Health Act 2007)」(以下「2007年地方自治法」という。)により、さらにこの方針が徹底された。 その結果、現在、全てのイングランドの地方自治体(人口85,000人未満の小規模地方自治体は除く。)(歴史的経緯から独特のしくみを持つシティ・オブ・ロンドン・コーポレーション(City of London Cooperation)と、地方自治体ではないグレーター・ロンドン・オーソリティー(Greater London Authority)も除く。)に対し、 議会から選出されたリーダーが率いる内閣が政策決定を行う「リーダーと内閣(Leader and Cabinet)」制 直接公選された首長と議会又は首長により選出された内閣が政策決定を行う「直接公選首長と内閣(Mayor and Cabinet)」制 の2つの地方自治体構造(Executive Arrangementと総称される。)のうちいずれかを選択することが義務付けられている。(2000年地方自治法第11条、2007年地方自治法第62条、2007年地方自治・保健サービスへの住民関与法政府解説(Local Government and Public Involvement in Health Act 2007 Explanatory Notes)(以下「2007年地方自治法政府解説」という。)第157項) ただし前述のとおり、人口85,000人未満の小規模地方自治体は、従来からの「委員会」制を採用できる(Alternative Arrangements)。(2000年地方自治法第31,32,33条、2007年地方自治法第71条、2007年地方自治法政府解説第176項) 異なる制度への移行には、議会の議決が必要である。 「直接公選首長と内閣」制の採用にあたっての手続きは、次の3通り存在する。 有権者の5%以上の請願により、住民投票が行われる形 議会が、その議決により、直ちに「直接公選首長と内閣」制を採用する形 議会が、その議決により、住民投票に諮ることを決める形 なお、1度住民投票を行い過半数を獲得できなかった場合、次の住民投票は10年間行うことはできない。(2000年地方自治法第27条、34条、2007年地方自治法第64、65、69条、2007年地方自治法政府解説第174項) 現在のところ、(1)リーダーと内閣制は299、(2)直接公選首長と内閣制は11、(3)委員会制は42の地方自治体が採用している。(*2) 上記の2つの地方自治体構造における、議会と執行機関の関係はそれぞれ次のとおりである。 (1) 「リーダーと内閣(Leader and Cabinet)」制 この形態は従来の委員会の機能を内閣に集中したものであり、リーダー(任期4年)の指揮の下、内閣が日々の政策に関する意思決定、執行機能を担う。 リーダーは本会議において任命され(議会は議会自ら定める条件のもとリーダーを罷免することもできる。(2007年地方自治法第67条44c、2007年地方自治法政府解説第170項))、それ以外の内閣構成員(任期4年)はリーダーにより任命される。(リーダー、及び内閣構成員となれるのは、議員だけである。)内閣構成員の人数はリーダーを含めて10名以内という上限が定められている。(2000年地方自治法第11条(8)、2007年地方自治法第62条、2007年地方自治法政府解説第159項) リーダーは内閣の議長となり、内閣の一員でもある。 一方、内閣構成員ではない議員(バックベンチャー)は、通常、政策評価委員会(Overview Scrutiny Committee)の構成員となる。 政府が示したモデルの中で、最も多くの地方自治体に採用されている。従来の「委員会」方式に最も近く、議員、職員とも特定の者に権限が集中することへの反対が根強いことを示している。 なお、事務部局は議会から任命された事務総長(Chief Executive)のもと、リーダー、内閣及び政策評価委員会に対する必要な助言及び支援や各部局における政策実施等を行う。 【図表2-1 「リーダーと内閣」制】 (2) 「直接公選首長と内閣(Mayor and Cabinet)」制 この形態は、内閣(内閣構成員となれるのは議員だけである。)が日々の政策に関する意思決定、執行機能を担う点、また首長が内閣の議長となり内閣の一員でもある点は先に述べた「リーダーと内閣」制と同じである。しかし、その大きな違いは、内閣を率いる首長が、地方自治体の有権者により直接選挙される公選首長(任期4年)であるという点である。 この直接公選首長は、議長(Chairman/Mayor)の持つ儀式への出席など対外的に地方自治体を代表する役割と、リーダー(Leader)の役割を併せ持つことになり、また何より、「リーダーと内閣制」のリーダーとは異なり、議会にその任命を依存しておらず(「直接公選首長と内閣」制の首長は議会により罷免されることもない。)、直接住民の投票で選ばれているため、強力なリーダーシップを発揮することになる。 なお、事務部局については「リーダーと内閣制」と同様である。 「直接公選首長と内閣」の是非を問う住民投票の結果、2002年にワトフォード、ドンカスター、ハートルプール、ルイシャム、ミドルズブラ、ノース・タインサイド、ニューハム、ベドフォード、ハックニー及びマンスフィールドにおいて、さらに2005年にトーベイにおいてこの制度が採用された。 なお、「Mayor」という呼称は、ここで使用されている「直接公選の首長」を指すもののほか、イングランドにおいて、従来より慣習として次のとおり使用されているため、注意が必要である。 ディストリクトカウンシルのうち、歴史的に「バラカウンシル」という名称を使用している自治体の、カウンシル(議会)の議長 ロンドン区の、カウンシル(議会)の議長 議長を従来より「Mayor」と称していた自治体が、「直接公選首長と内閣」を採用した際の対応は、自治体により分かれ、その後は議長をMayorと称することをやめる場合と、引き続き議長もMayorと呼び結果として二人の「Mayor」が存在することとなる場合とがある。 【図表2-2 「直接公選首長と内閣」制】 (3) 委員会制(Alternative Arrangements) 議会と執行機関との基本的な関係は上記の2類型(Executive Arrangementと総称される。)であるが、人口85,000人未満の小規模地方自治体のみ、従来からの委員会制度を採用することができる 。(*3) 議会は、地域住民から直接選挙により選出される議員によって構成され、地方自治体における最高の意思決定機関である。また同時に、議会は執行機関でもあり、行政分野又は地域別に委員会もしくは補助委員会を設置して行政の執行にあたり、最終的な責任を負う。ただ、議長(ChairmanまたはMayor)は、実質的な政治的権限を有しておらず、議会多数党の議員により互選されるリーダー(Leader)がその権限を有しており、施策の決定や運営に大きな影響力を与える。 委員会は、本会議(Full Council)によって適宜設置される。 これに対し、事務部局は、常勤の職員である事務総長(Chief Executive)により統括され、議会やその委員会の指示により行政事務を執行する。また、事務部局全般にわたる統合・調整を図るため、主要部局長により構成される主要部局長行政管理チーム(Executive Management Team)が設置されている地方自治体が多い。 【図表2-3 「委員会」制】 【図表2-4 直接公選首長制の導入を目指してこれまで行われた住民投票】 (注) 下記のうち、太字が過半数を獲得したものである。また、★印は、2000年地方自治法で導入され、2007年地方自治法で廃止された「直接公選首長とカウンシル・マネージャー(Mayor and Council Manager)」制を目指したものである。その他は「直接公選首長と内閣」制を目指したものである。 自治体名 実施日 賛成票数 賛成票割合(%) 反対票数 反対票割合(%) 投票率 Berwick-upon-Tweed 2001/6/7 3,617 26 10,212 74 64 Cheltenham 2001/6/28 8,083 33 16,602 67 32 Gloucester 2001/6/28 7,731 32 16,317 68 31 Watford 2001/7/12 7,636 52 7,140 48 25 Doncaster 2001/9/20 35,453 65 19,398 35 25 Kirklees 2001/10/4 10,169 27 27,977 73 13 Sunderland 2001/10/11 9,375 43 12,209 57 10 Brighton Hove 2001/10/18 22,724 38 37,214 62 32 Hartlepool 2001/10/18 10,667 51 10,294 49 34 Lewisham 2001/10/18 16,822 51 15,914 49 18 Middlesbrough 2001/10/18 29,067 84 5,422 16 34 North Tyneside 2001/10/18 30,262 58 22,296 42 36 Sedgefield 2001/10/18 10,628 47 11,869 53 33 Redditch 2001/11/8 7,250 44 9,198 56 28 Durham 2001/11/20 8,327 41 11,974 59 29 Harrow 2001/12/6 17,502 43 23,554 57 26 Plymouth 2002/1/24 29,559 41 42,811 59 40 Harlow 2002/1/24 5,296 25 15,490 75 25 Newham 2002/1/31 27,263 68 12,687 32 26 Southwark 2002/1/31 6,054 31 13,217 69 11 West Devon 2002/1/31 3,555 23 12,190 77 42 Shepway 2002/1/31 11,357 44 14,438 56 36 Bedford 2002/2/21 11,316 67 5,537 33 16 Hackney 2002/5/2 24,697 59 10,547 41 32 Mansfield 2002/5/2 8,973 55 7,350 45 21 Newcastle-under-Lyme 2002/5/2 12,912 44 16,468 56 31.5 Oxford 2002/5/2 14,692 44 18,686 56 34 ★Stoke on Trent 2002/5/2 28,601 58 20,578 42 27 Corby 2002/10/1 5,351 46 6,239 54 31 Ealing 2002/12/12 9,454 45 11,655 55 10 Ceredigion 2004/5/20 5,308 27 14,013 73 36 Isle of Wight 2005/5/5 28,786 43.7 37,097 56.3 60.4 ★Fenland 2005/7/14 5,509 24.2 17,296 75.8 33.6 Torbay 2005/7/14 18,074 55.2 14,682 44.8 32.1 Crewe and Nantwich 2006/5/4 11,808 38.2 18,768 60.8 35.3 Darlington 2007/9/27 7,981 41.6 11,226 58.4 24.6 Bury 2008/7/3 10,338 40.1 15,425 59.9 18.3 Stoke-on-Trent 2008/10/23 14,592 41 21,231 59 19.23
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福島県※放射能の健康被害を小さく見せようと県ぐるみで工作 新潟県※頑張っている 東京都多摩市※事故後に良い対応 茨城県東海村村長「脱原発を真剣に考えるべきだ」 神奈川県横浜市 ※子どもに未検査給食押しつけ 千葉県流山市(御用学者中村尚司の奇妙な文書をホームページに掲載。タイポはあるわ、知識不足だわ、何のデータにもとづいているかわからない珍説を掲載。問い合わせても「知りません」) 独自の基準を打ち出す自治体が出てきています。 *埼玉県川口市:年1.64ミリシーベルト、毎時0.31マイクロシーベルト *千葉県野田市:放射線の被ばく限度 年1ミリシーベルト、毎時0.19マイクロシーベルト http //blog.goo.ne.jp/kodomogenki 県と原発 http //www47.atwiki.jp/genpatsu-seijika/pages/40.html
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第4回オフ会&講演会 案内文 1.講演会 ● 日 時:平成16年2月6日(金)14時00分~17時30分 ● 場 所:フォーシーズンズ志木「ふれあいプラザ」(右参照) ● 参加費:実費を参加者で負担していただきます。懇親会費と込みで5,000円ちょっとを予定。 ● 講演① 14:00~15:30 「これからの自治体職員のチャレンジ課題」 ヘイコンサルティング 浅川 港さん (講師紹介) 1947年生まれ。一橋大学社会学部卒業。スタンフォード大学ジャーナリズム学科修士。講談社を経て、89年より11年間、ニューヨークで講談社アメリカの経営に従事。この間、比較文化、経営、回想録、未来論など240点の英文書を刊行。A・ドブチェク(プラハの春指導者)、ジョージ・ミッチェル(元民主党院内総務)、R・トリセリ(民主党上院議員)らの本は国際的な反響を呼び、何点かは『ニューヨークタイムズ』のベストセラーになった。2000年に講談社アメリカ副社長を最後に帰国。ヘイ・コンサルティング・グループで経営コンサルティングと講演、執筆活動に従事。 ● 講演② 16:00~17:30 「志木市における住民自治確立のための取り組みと今後求められる自治体職員像」 志木市 穂坂 邦夫 市長 (講師紹介) 1941年生まれ。埼玉大学経済短期大学部卒業。埼玉県職員、足立町(現志木市)職員を経て、志木市議会議員(4期)、埼玉県議会議員(5期)を勤めた後、2001年6月、志木市長選挙に無投票で当選し、就任。 ● 討論会 17:45~19:15 参考:志木市HP http //www.city.shiki.saitama.jp/ 会場連絡先TEL.:048-486-1000 URL:http //www2.ocn.ne.jp/~palcity/fureai_plaza/f_guide/f_map.htm#f_map02 2.オフ会(懇親会) ● 日 時:平成16年2月6日(金)19:30~21:30 ● 場 所:イタリヤ料理店「オステリア・ロヴァータ」 ※(同店のHP)http //r.gnavi.co.jp/g352000/ ★お申し込み・お問い合わせ先 自治体職員有志の会(事務局) (財)神戸都市問題研究所:大島 博文 電話:********(携帯)********(自宅) *******(勤務先) E-mail:tmk5@abox8.so-net.ne.jp 第4回講演会&オフ会 連絡係 高崎市 伊藤 孝史 電話:********(携帯) *********(勤務先) E-mail:tito1273@yahoo.co.jp ㈱ヘイコンサルティンググループ 浅川 港氏講演 1.日 時 平成16年2月6日(金)14時00分~15時30分(第1部) 2.場 所 フォーシーズンズ志木(埼玉県志木市) 3.テーマ 「これからの自治体職員のチャレンジ課題」 4.講演概要(以下) ○今日の講演では、細かい項目に立ち入らず、大きく3つに分けて三大話としてお話したい。 ○ソニー、松下、トヨタといった日本のメーカーの世界への影響力が大きい。一方で、日本のメディアは遅れている。世界では通用しない。 ○唯一、日本のメディアの例外といえるのは「NHK」だ。なかでも、「NHKスペシャル」は、よく取材され、世界的な影響力を持ちうる内容であるといえる。 ○日本の活字メディアには、自分たちの影響力を世界に及ぼすだけの力がない。その意味では、世界との間にある種の「壁」があるといえる。 ○日本に立ちはだかるもうひとつの「壁」がある。それは、「アメリカの壁」だ。 ○アメリカのやっていることについては、その背景にある歴史、国家の成り立ちを考えてみないとわからない。 ○日本の都道府県の英訳である「Prefecture」について、何の疑いもなく「Prefecture=県」と考えられているが、「Prefecture」は、英語では「中央から行政官が出向いて統治する直轄領」といったニュアンスが含まれる語句である。戦前は官選知事がいてそれに近かったが、いまはそうではない。 ○これでは、日本の県は、独立の自治体とは捉えられない。県を「Prefecture」ではないと考えるところから始めるべきだ。 ○「取締役」についても、同様のことが言える。企業を経営するのは、取締役ではなく「Director」であると考えるべきだ。取締る役ではなく「指示役」であり「リード役」というのが本来の役割。 ○ 以上、「Prefecture」と「Director」の例から言えることは、いまの日本でも、戦前からの考え方がいまだに払拭しきれていない面が多々あるという現実があるということだ。 ○次に、今はどういう時代かということをお話したい。 ○現在は、資源の価値が相対的に低下し、技術の価値が高まっている時代といえる。 ○そのような時代にあって、日本の置かれた状況は、従来とは一変している。 ○すなわち、現在は、生産能力過剰・選択消費経済の中にあるといえる。 ○今の日本の状況について、「日本にはないものがない。ないのは希望だけだ」といったのは「失われた10年」という言葉を考え出した作家であったが、私はそうは思わない。日本には希望はたくさんあると思っている。ただ、ないのは「自信」ではないか。国も自治体も、あるいは政治も「自信」を持てない状況にあるのではないか。 ○私は、いまようやく「普通の時代」が到来したと思っている。 ○では、これまでの時代はどのような時代だったかというと、1985~1990年代はじめまでのバブル期は、「異常な時代」といえ、1985年までは、「特殊で例外的な時代」だったといえる。 ○ いまは「普通の時代」になったといったが、「普通の時代」にこの国をどう運営するかというノウハウがない。高度成長を前提とした仕組みをこの「普通の時代」に使おうとしても無理がある。 ○その理由は、戦後の考え方、システムが新しい時代にあったものになっていないからだ。高度成長型といえば聞こえはいいが、戦後の日本のシステムは後進国型のものだったという事実に気がつかなければいけない。 ○今日は、志の高い公務員の方が集まっているので、次に公務員に対する期待、お願いを述べたい。 ○経済至上主義が与えてきた「企業」への過剰な特権を見直す必要があるのではないか。 ○NPO、NGOの必要性を改めて考えてみる必要がある。 ○米国の覇権の見直しが必要ではないか。戦後60年も経って、第二次大戦で確定したままになっている世界中の領土問題を国連で合理的に討議することはできないのか、といった発想が必要。 ○三大話のうちの3番目として、これからの国と自治体のあり方について述べたい。 ○これまで、「地方」は有為の人材を「中央」に提供し、彼らが経済活動をやめて田舎に帰ると、介護その他でケアしてきた。この矛盾をいま是正することが求められている。 ○また、産業の振興のために、こうした人材の供給も必要だったが、これからの経済構造では人材は各地で必要になってくる。 ○ここでは、「納税先選択制」を提案したい。 ○ハンガリーでは、所得税の5%を自分が選んだNGOに寄付することができる制度になっている。 ○松井秀喜選手を育てた町や県は、長期的には大きな投資(学校などの整備)をしているにもかかわらずリターンがない。納税先選択制を採用すれば、このような自治体に納税したいという納税者の税金が入ってくることになる。 ○また、自分の出身地や、保護したいという自然など(屋久島など)のために税金を払いたいという人も出てくるかもしれない。 ○昔はコンピュータがなかったから「納税先選択」というシステムは不可能だったが、現在は、それほど難しい問題ではないと思う。 ○公務員は、これからの世界を変える存在である。 ○また、日本の公務員のレベルは世界的にみてもかなり高いといえる。 ○しかし、宝の持ち腐れになってはいないか。そのレベルの高さが十分に発露されていないといえるのではないか。 ○労働の流動化を促すインフラ整備がされていないことにその原因を求めることができる。 ○税法学者からは反対されるかもしれないが、例えば、10年以上同じところに属していたら、使用者、雇用者の税金を上げるという税制が望ましいのではないか。 ○日本では、勤務の流動化は、社会的にみてもきわめて大事なことだ。それによって、日本社会の動脈硬化を取り除くことができる。 ○アメリカ以外の海外諸国は、日本に非常に期待している。海外に行くとそれを実感する。日本企業が、ロックフェラーセンターの買収などを行っていたとき、当地のメディアは批判的であったが、市井の人々の中には溜飲が下がると感じる人もいた。 ○公務員のみなさんには、「自信」を持って世界に発信できるような仕事をしてほしいと思う。 ★意見交換 質:公務員の世界は、机上の議論があまりに多いのではないか。変化に柔軟に対応できる体制づくりのためにはどうすればよいか。 答:同じようなことは、自治体に限らない。これも、日本人の真面目さに起因するのではないかと思われる。細部にこだわりすぎる、継続してやっている人が力を持つという日本文化に根ざしているといえる。しかし、自治体は、首長の交代で変化するケースがありうる。また、行政にも、司法における裁判員制度のような大規模な住民参加の仕組みを考えたらどうか。 質:自治体内部のジレンマ、有志の職員の敗北感を超えて、内部から自治体を変える仕組みはどんなものがあるのか。 答:政府で検討中の地方公務員法改正案、公務員制度改革大綱等がある。また、首長に対して、職員が建議、提案していくことがその第一歩ではないか。 質:納税先選択制について、納税先の知名度などで、格差が生じることが予想されるが、それを正すアイデアはあるか。 答:日本人は職人気質で、よいことをしていれば気づいてくれると考えがちだ。しかし、これからは、説明説得する能力を高めていかなくてはいけない。健全な競争が必要といえる。 質:「自信」について、「自信」をつけさせる学校教育が必要ではないか。 答:岩手県の「がんばらない宣言」に共感している。がんばるというのは「生産経済の中でがんばる」ことを暗黙のうちに意味している。今の教育について、「分数ができない学生」など色々言われているが、当然の現象だと思う。親、社会の側からの、子どもが学ぼうと思う動機付けがない。自分たちがああなりたいと思うイメージがない。それを作り出せないのは先行世代の責任だ。 (以 上) <志木市長講演録> 1. 日 時 平成16年2月6日(金)16時00分~17時30分 2.場 所 フォーシーズンズ志木(埼玉県志木市) 3.テーマ 志木市における住民自治の確立と今後求められる自治体職員像 4.講演内容(志木市長) (1)自治体の現状と課題 ● 私は自治体職員や議員の経験があり皆さんの気持ちもわかる。 ●昔は公務員の給料は安かった。今になって文句を言われるのは約束違反だと在籍者は主張してもよいと思う。自らの生活も大切である。一方、自治体運営のことを考えればこれ以上人件費を増やせないという結論に至っている。よって当面、新規採用しない。 ●自治体改革には反対はつきものだが党派や立場を超えて「良い」と思う施策は実施できるように協力していくべきだと考える。 ●国や県は住民からの距離が遠い。市役所は日々住民の存在を感じる。 ●全ての仕事において納税者である住民の顔を思い出すべきだ。住民にこびる必要はないが常に住民を意識した取り組みが求められる。 (2) 制度疲労の顕在化、社会・経済環境の激変 ●現在、我が国の財政は自治体だけでなく国も破綻状態である。世界的にも深刻な状況にあるといっても過言ではない。そのことは現在の行政システムのあり方と密接に関係している。 ●戦後、地方行政システムが基本的に変わっていないのは異常だ。また変わらないことが異常に思わないことも異常だ。当事者意識が欠如しているためだと思われる。 ●これからは現在の地方行政システムを維持することは財政的に不可能だ。 ●持続可能なローコストのシステムを確立する必要がある。 ●少子高齢化・人口減少への対応も遅れている。10年経てば激変する! ●日本の現状はまず地域コミュニティが崩壊し、バブル崩壊後、企業内コミュニティも崩壊した。新しい21世紀型コミュニティ(村落共同体)が必要だ。 ●役所の文書は難しく情報公開も不充分だ。これらが役所の閉鎖性につながり、住民意識やニーズとますます乖離していく。 ●自治体の護送船団も早晩崩壊する。極度の安全性ばかり重視すると極端に効率性が犠牲にされる。自治体運営にあたってもバランスが重要である。 ●自治体業務で最も大切な教育・福祉・防災等でマンパワーが不足しており、職員だけでは十分ではない。住民自身の参加(住民自治)が必要である。 ●行政評価も十分にされてこなかった。そのため行政責任は曖昧にされた。 ●随分前から地方自治制度は「制度疲労」していた。経済成長による増収の影に隠れて見えなかったのが、今になって顕在化しただけだ。 (3) 住民自治の確立に向けて ●住民には主権者である自覚を前提とした住民自治確立の覚悟を求めたい。 ●行政のあり方として独占的な供給者(非営利独占サービス供給者)の立場による運営から、あくまでも需要者である住民がイニシアティブを持つことが必要だ。 ●行政と住民が一体化し、お互いに責任を持って役割分担すべき。 ●役割分担をするためには、徹底した情報公開が前提となる。 ●住民の無関心が改革にとって最も障害になる。 (4) 志木市の改革~地方行政システムの転換~ ●私の基本姿勢として「発想の転換」と「先送りしない」を重視している。 ●住民の視点重視と徹底した前例主義の排除がその内容となる。「規則があるからダメ」という発想は最悪である。「よいことは何とか実現する。」という発想が大切である。また、良い改革であれば1日でも早くすることを心がけている。時間が経過するにつれて実現は難しくなる。 ●改革を行うにあたって公共の領域と担い手の検証を行った。またトップダウンによる明確な大目標の設定とボトムアップによる中小目標の設定を行った。 ●即時断行により失敗することもある。ただ実行しなければ改革は始まらない。結果的に良い方向にいけば、朝令暮改でも良いのではないだろうか。 ●改革の骨組みを明確にするため、「市政運営基本条例」を制定するとともに、住民自治を確立するために公募に応じた市民252人による「市民委員会」が役者側の組織に対応する形で設置され、「第2の市役所」として政策の企画立案やチェック機能を果たしていただいている。例えば「公用車の廃止」は市民の目から見れば当たり前のことだが、行政や議会からは自らの不利益になる点もありなかなか提案されない。そのような提案がなされ改革が進むことを期待しているのである。 ●改革を進めるため、全既存事業(927事業)を、行政及び議会、市民委員会がそれぞれ検証を行い、事業見直しを考えていく上でのバックボーンとした。 ●教育ではいち早く「25人程度学級」を実現した。埼玉県には1/2補助及び同意を求めたがいずれも拒否された。教育にとって教師と生徒のコミュニケーションが極めて重要であり、そのためには少人数で教育を行うことが必要だと思ったので実現に向けて決断した。 ●自然再生条例や1億円以上の公共事業市民選択権保有条例などはまさに住民の視点を大切にするために制定したものである。 ● 今後は市民との随時の共同プロジェクトの立ち上げなども検討している。 ●職員の意識改革はなかなか困難である。現在でも私のスタンスへの理解者は1/3程度ではないだろうか。根気よく取り組んで行かねばならない。 (5) 地方自立計画の導入と21世紀型「村落共同体」の実現 ●行政と市民による協働により、住民が主体となったローコストの自治体運営を行って行く必要がある。 ●ローコストを実現するためには、最終的に人件費に手をつけざるを得ない。そのことによって初めて、公的サービスの持続も可能となってくる。 ●私は最終的には、現在の1/10の職員で運営可能だと考えている。職員の仕事として最後に残るのは、①公権力の行使、②広い裁量権を持った業務、③特別の専門性が必要な業務に限定されることとなる。 ●職員の時間外手当を削って市民参加を行うワークシェアリングは「邪道」である。そもそも職員と住民の役割分担を明確にして、参加を促すべきである。 ●職員を減らす代わりに市民から有償ボランティアである「行政パートナー」に仕事を担ってもらうこととしている。現在は、700円の時給と10%の運営経費で頑張っていただいているが、将来的には、地域振興券で対価を払うようにし、地元商店街の活性化にも寄与する取り組みができないか検討している。 (6)今後求められる自治体職員像 ●あくまでも発想の転換と意識改革を求めたい。住民が自治体のオーナーであり、自治体は委任を受けて独占的に非営利事業を委任を受けて実施しているという意識や前例主義との訣別、社会経済情勢への敏感なアンテナが求められる。 ●専門性と住民の目線維持との比較でいけばあくまでも住民の目線を大切にしてほしい。専門性を重視しすぎると、独善性に陥りやすいと思われる。 ●また情報の開示は共有が基本であり、「できない」から「できる」への発想の転換、多様な情報を収集・理解を進めることが求められる。 ● 職員の責務として、それぞれの立場で責任を果たしていく必要がある。 ● 人材の活用や育成、研修等も重要である。 ● また、市の基本理念を理解しながら相手の立場に立った包容力のある職員が必要だ。 (7)地方から国を変える ●志木市では、積極的に特区申請の取り組みを行っている。小規模の混在型の福祉施設はその一例である。 ●激動の時代であるから、提案すれば改革が実現する場合がある。これを進めていけば、地方から国を変えていくことが実現する。 ● 当たり前のことを普通にやっていくことが改革の鉄則である。 ★ 意見交換 質問:議会との関係はうまく言っているか。 回答:住民以外に議会とも協働を行って927事業の検証を行ってもらった。その結果をベースとして、住民自身が予算を編成する段階にまでいたっている。議会にも予算編成などの取り組みを求めていきたい。 質問:ブレーンは存在するのか。 回答:特別なブレーンはいない。タウンミーティングによる住民との触れ合いの中からアイデアを見つけ出すほか、新聞や雑誌、職員からも意見の表明を待っている。 質問:キャリアを振り返って「大きな節目」となった出来事は何か。 回答:県庁を辞める時が大きな節目であった。他にはあまりない。 質問:市民委員会の人数が252人であることの根拠は何か。 回答:根拠はない。希望者に全員入ってもらっただけである。最初は180人ぐらいと思っていたが市民の関心も低かったためわずかにとどまった。そこで職員が駅までビラを配って再度呼びかけたところ、定数よりも大幅に超過して集まった。 質問:市民委員会の取り組み等は議会の形骸化につながらないのか 回答:増額補正ができないなど議会を取り巻く規制なども撤廃していく必要がある。ただやる気があれば独自のチェックは可能で、全体を変えるという視点で、協力していきたい。