約 130,382 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5871.html
「本当は誰も入れるべきではないんだけれど、あなたを信用します。あなたなら大丈夫だと。古い付き合いだしね。だけど、花嫁におかしなことをしたら、許さないわよ。」 今日はあたしの結婚式。 人生の門出。 あたしは古泉君と結ばれる。 大学を卒業して就職したあと、古泉君に告白された。 三年ほどおつき合いをしてプロポーズされた。 SOS団は不滅だと言っていたけど、あたしが高校を卒業すると同時にみくるちゃんは遠い外国に行ってしまった。 有希は、あたしが知らない間に行方不明になっていた。あのマンションの部屋はいつのまにか何ひとつなくなっていた。 今あたしのそばにいるのは……。 「もう一度いいます。わたしは最後まで反対しました。しかしどうしても娘があなたに会いたいと。だから私はあなたを信用しました。決して花嫁におかしな真似をしないで下さい。」 ここは、ホテルの部屋。 あたしは、豪華な椅子に座っている。 大理石の床に高い天井。大きなシャンデリア。 大きな鏡がある。全身を映す鏡。 純白のウェディングドレスをまとった、あたしを映している鏡。 ママがキョンにしつこく念を押している。 馬鹿ね。 鏡の中のあたしがクスリと笑った。 そんなに心配しなくても、あいつがあたしに変なことなんかできるわけがないのに。 「涼宮さん」 キョンの声が聞こえた。 久しぶりに聞く声。 やっぱり大人になったのね。 太くて、練れた声。 男の声。 あたしは鏡から目を離して、頑丈そうな木の扉を見た。 「あなたは、俺を信用しているのですか。信用していないのですか。」 「何を言っているのですか。あなたを信用していると言ったでしょう。だから新郎以外決して入れるべきではない所にあなたを案内しようとしているのです。あなたは拗ねているのですか。ここに新郎以外の男性を入れることの意味がわかっているのですか。そんなことを言うのなら、やはり信用すべきではないですね。」 「あなたが俺を信用するのならば、何も言わずにここに俺を連れてくるべきでした。信用しないのならばこんな所に俺を連れてくるべきじゃなかった。違いますか。」 キョンったら、理屈っぽいところは変わってないのね。だけどそんなことを言ったら逆効果よ。ほら、親父が露骨に舌打ちをしているわ。 「あなたねえ、いい加減にしてちょうだい。あなたを信用しているって言ったでしょう。だけど万一のことがあったら困るから、釘を刺しただけ。わかりますね!」 「あなたは、俺を信用するのなら、信用したことについて責任を負うべきだ。 ここに俺を連れてきて何があったとしても自分で責めを負うだけのね。 あなたが信用しないというなら、信用しないことについての責任を取るべきだ。 あいつがあきらめるまで反対するべきだ。」 何だか様子がおかしい。 キョン…、何言ってるの? やっぱり拗ねてるの? あたしに、会いたくないの? 「俺には何の責任もない。 俺は古泉一樹君と涼宮ハルヒさんの門出を祝福するだけのためにここに来た。 俺は二人の友人です。それ以外のものでは決してありません。 俺がここでやるべきことはご祝儀を持ってくることと、披露宴を盛り上げることだけ。 違いますか。 俺には何の責任もありません。あなたがあいつに反対しきれなかったことに対する責任を負うつもりは毛頭ありません。 ではもう一度聞きます。 何の責任も負っていない俺を信用するんですか。しないんですか? 責任を持って決めて下さい。」 ママ、お願い! キョンを信用するって言って! あいつがあたしに乱暴したりするわけないわ! あたしはどうしてもあいつに会わなきゃならないの! ママが息を飲む音が聞こえた。 「失礼をお許し下さい。どうぞ娘に会ってやって下さい。お願いいたします。」 数秒間、誰も何も言わなかった。親父も我慢しているらしい。 「バカだ、おまえら。親子そろって大バカだ!」 「なんだと、小僧、いい加減に……。」 親父の声が聞こえる。親父がキョンを殴るかもしれない。 「いい加減にしてほしいのはこっちだ! ハルヒもバカだが、親はもっとバカだ! 高校生のころから知っているからっていつまでも人を高校生のガキ扱いするんじゃねえ! これだけ言ってもまだ俺を花嫁の仕度部屋に入れようとするのか! あんたらがすべきことは、おまえは信用できないと言って、俺をここから追い払うことだ!」 「…大人だったらわかるだろう。おまえ、花嫁になんかしたら大恥かくことに…。」 「それで俺が大恥かいたら古泉がなんと思う? あいつが傷つかないとでも思ったのか! 何事もなかったとしても、それがあいつに対する裏切りだとは思わないのか! それがあいつに知られたとしても、きっとあいつは許すだろう。 だったらそれでいいのか? 許してくれるんだったら裏切ってもいいのか? あいつはもう高校生のガキじゃねえ! 立派な大人だ! これからハルヒを養っていく、一家の主だ!」 あの強面親父が完全に気圧されている。 映画撮影の時にあたしを惚れ直させた、本気のあいつ。 あたしが絶対にやっちゃいけないことをしたら、本気で怒ってくれる、キョン。 だけど今、そんなことを感じさせられたら、覚悟が…。 キョン、ここに来てくれないの? あたし、あんたに「あの言葉」を言ってもらえたら、覚悟を決められるはずなのに…。 「ハルヒがなんかしてほしいんだったら古泉にやらせろ! なんでただの友人の俺にやらせるんだ! 俺の友人としての立ち位置はあいつが決めたことだ! 自分で決めたことだ! 一人で決めたことだ! 花嫁の仕度部屋でやらせるようなことだったらどんなことであれ古泉にやらせろ! 頭おかしいのか、おまえらは! こんなこと、言い出す方も言い出す方だが、伝える方も伝える方だ! こんな親に育てられたから、ハルヒもあそこまで傲岸不遜なバカ女になっちまったんだ!」 キョンは、ここに来てくれない。ここに入ってきてくれない…。 「だいたいこんなことを聞かされて、俺が冷静でいられるとでも思ったのか! ちったあ、他人の、俺の気持ちっていうものを考えやがれ!」 俺の気持ち? あいつの、気持ち…。 あたしは椅子から立ち上がった。 ドレスの裾がまとわりついて走りにくい。 あたし、なんでこんなもの着てるんだろう? 突進するようにドアを開けた。 同時にキョンが背中を向けた。 廊下に両親が真っ青な顔をして立ちつくしているのが見える。 そんなことはどうでもいい。 「ハルヒ、それは古泉に最初に見せろ。」 キョンは、あたしに礼服の背中を向けたまま言った。 なんでこんなことになっちゃったんだろう。 ずっとこいつのことが好きだった。 だけどあたしはこいつにつらく当たってきた。 それでもこいつはあたしについてきてくれた。 あたしはこいつにつらく当たりつづけた。 きっと、許してくれていると確認したかったから。 まだ、見捨てられていないと確認したかったから。 そうしないと、もう見捨てられたのかもしれないと怖かったから。 こんなあたしを、こいつが好きになってくれるはずがないと思っていた。 ずっとあたしの片思いだと思っていた。 そうじゃないと気づいた時には遅すぎた。 両家の結婚話は、もう後戻りのできない段階に入っていた。 あたしのわがままが通るような状況ではなかった。 そんな段階ではなかったから? 違う。 たとえ裏切ったとしても、古泉君は許してくれたと思う。 両親は、許してくれたかどうかはわからないが、許してくれなくてもかまわなかった。 だけど、キョンが許してくれるはずがなかった。 あたしが古泉君を裏切ることを、キョンが許すはずがなかった。 だから、あたしは覚悟を決めた。 もう、キョンのそばにいられなくても仕方がないと覚悟を決めた。 決めた、はずだった。 だけど不安だった。 だからキョンに「あの言葉」を言ってもらえればふっきれると思った。 最後に「あの言葉」を言ってもらいたかった。 「あの言葉」をもらえさえすれば、未練がなくなると思った。 「おまえが今やろうとしていたことは決して許されることじゃない。」 そう。誰が見たって、決して褒めてくれない行為。 なんで、こんなことしようとしたんだろう。 答えは、はっきりしている。 こいつがそばにいなかったから。 こいつのそばにいなかったから。 あたしは、こいつがそばにいなきゃダメだ。 そんなこと、ずっと昔からわかっていた。 くしゃりと視界が歪んだ。 大粒の涙が後から後からこぼれ落ちてくる。 覚悟が…、あんたのそばにはもういられないという覚悟が…、覚悟が、覚悟が! 「泣くなよ! おまえがもしここで泣いたら、古泉への最大の侮辱だ。そんなことは……俺が許さん!」 そうだ、覚悟なんかはじめから無かった。 覚悟を決めたつもりだっただけ。 いや、そうですらない。 覚悟を決めたと自分に言い聞かせただけ。 「あの言葉」を聞けば覚悟が固められるなんて嘘。 ただ、こいつにそう言ってほしかっただけ! 「泣くんだったら…、古泉の前で泣け。」 あいつの手を見た。 何回も何回もつかんだ手。 嵐の中で初めて握り返してくれた手。 あたしが崖から落ちても離そうとしなかった手。 後悔…、後悔、後悔、後悔! もう一度あのころにもどりたい! 毎日こいつの背中を見ていたあのころに…。 毎日こいつの声を聞いていたあのころに…。 あたりまえのようにこいつのそばにいられたあのころに…。 神様、今まで一度も信じたことなんかなかったのに虫が良すぎるけど、たった一つのお願い! あたしをあの、北高の部室にもどして! 「じゃあな、披露宴のキャンドルサービスで会おう。」 あいつの背中が遠ざかっていく。 それを追いかけることは許されない。 キョンが、許してくれない。 大好きな背中。 ずっと見ていた背中。 ずっと見ていたい背中。 なんで、しがみつかなかったんだろう。 なにが邪魔したんだろう。 みんなに美人だともてはやされていたプライド? 勉強もスポーツも音楽さえもあいつより優れているという自己満足? 平凡な容姿のあいつと結ばれるのは嫌だという女の見栄? 違う。 そんなものじゃない。 そんなもの、この背中に比べれば、ジュースの空き缶ほどの価値もない。 勇気が、足りなかっただけ。 それさえも、嘘。 勇気を、ふりしぼらなかっただけ! こいつにしがみついて振り払われるのが怖かった。 ただそれだけ。 こんなに大事なものだとわかっていたなら、何回振り払われてでもしがみつくべきだった! こいつが「やれやれ、しょうがないな」と言ってあたしを背中に乗せてくれるまで、何度でもしがみつけばよかった! 「おまえをこう呼ぶのも最後になるな。」 キョンが扉を開ける。 この廊下からさえも出ていく。 あの夜の校庭で、あたしだけをつれて駆けた背中が、あたしの前から消えようとしている。 せっかく、出会えたのに! この広い世界で、キョンに出会えたのに! 「おれは断じて見ていない。断じて見ていないが…、やっぱり意地があるようだ。…これだけは言わせてくれ。」 いや…、あれほど聞きたかった言葉だけど、今は聞くのが怖い。 そう。あたしの生涯でいちばん大切な思い出。 あたしにとって宝物のような、宝石みたいな思い出。 今それを聞いてしまったら…あたし…。 「ハルヒ。」 「…なに。」 「似合ってるぞ。」 扉がパタンと閉じた。 パソコンのディスプレーが見える。 電源は…、落ちているみたいだ。何も映っていない。 夕方のようだ。後ろに窓があるのだろうか。夕陽が照りつけている。 ディスプレーの向こうに、長机が見える。 その先に、ボロボロの扉が見える。 見慣れた場所のような気もするし、ひどく懐かしい場所のような気もする。 自分の体を見てみた。 北高のセーラー服を着ている! 左袖…。 見間違うはずもない! 真っ赤なSOS団団長の腕章! だけど…、まだ安心できない! そうだ! 学生カバンの中を必死に探る。 あった! あのホテルの部屋にあったバカでかい代物とは全く違う、高校生の身の丈にあった粗末な鏡。 意を決して見る! 涙と鼻水でボロボロのひどい顔をしている。だけどそんなことはどうだっていい! あたしの髪には、あのティアラとかいう用途不明の装飾品ではなく、黄色いリボン付きカチューシャがはめられていた。 悪い夢を見ていたのだろうか…。 それとも、神様があたしのたった一度のお願いを聞いてくれたのだろうか。 そう言えば、今日一日授業を受けた後団活をして、団長机で居眠りをしてしまったような記憶がある。 だけど、高校を卒業して大学に進み、就職をして古泉君と交際をして…、という記憶もあるような気がする。 どっちでもいい。 あたしは、ここにいる。 北高の部室にいる。 ここにいる…はず。 自信がない。 あれは、夢なんかじゃなかった。 そう、あれはきっと、もう一つの現実。 体の震えがまだ止まらない。 あれが現実で、今あたしが見ているのが、ホテルの救護室で見ている夢だったら… 深く考えるのが怖い。 立ってあの扉を開けるのが怖い。 やっぱりあたしは臆病ものだ。 勇気をふりしぼることができない。 あの扉の向こうのどこにも、キョンがいなかったらと思うと怖い。 なんでこんなに怖いんだろう。 キョンが、あたしのいる部屋に入ってこなかったせいだ。 キョンが、あたしを廊下に残して、後ろ手にドアを閉めてしまったせいだ。 キョンがあの扉を開けて、ここに入ってくるまでは安心できな……。 ガチャ。 「ハルヒ、起きたか? 他の三人は帰ったぞ。コーヒー買ってきたんだけど飲むか? 一本しかないから半分こな。まあ、おまえに半分と言ってもほとんど飲まれちまう…。」 さっきまでの焦燥と不安がみるみる消えていく。 胸の辺りから生まれた安心感がゆっくりと全身を包みこむ。 あたしは、声に出して言っていた。 「か、か、かみざま……、あ…、あじがどう……。」
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/21322.html
男の背中(おとこのせなか) 概要 ヴェスペリアに登場した称号。 登場作品 + 目次 ヴェスペリア 関連リンク関連称号 ヴェスペリア カロルの称号。 取得者 カロル 取得条件 効果 ▲ 関連リンク 関連称号
https://w.atwiki.jp/taroktaro/pages/29.html
https://w.atwiki.jp/eroradi/pages/165.html
htmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。 【放送状況】 【放送タイトル】 【放送URL】 【紹介文(共通)】 座薬型生姜や柚子胡椒軟膏を開発したインテリ料理人見習い。 そのトークは幅広く、エロから怪談話、そして熱い人生観トークまでもこなす万能DJ。 社長面接当日の朝という大事な時に「淫乱テディベア事件」を巻き起こしたのは記憶に新しい。 【紹介文+@】 淫乱な怪談話を電波に乗せるテディベア貴公子。 乱れながらも時にはマジメな話を真剣に考える一面も見せる。 テクニックの基本は社長陥落。 デープスペクター大好き ィィ!が口癖だったのは過去の話 ベリーズ工房の大ファン アンパンマンの物まねが得意 コメント欄 風俗にやたら詳しい -- 名無しさん (2006-03-05 18 46 34) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/799.html
背中見せずに歩こう 私が終わらないように 『他人』には 見せられない 彼女できない僕 背中見せずに歩こう 露伴をボッたくれるように 機嫌をとらなくちゃ 少しがめつい僕 このドアは80万円 二千万みてもらおう 背中見せずに歩こう 露伴のケシゴムを取るため シャカシャカ上るよ 妙な動きの僕 背中がかゆいと 騒ぎ出した露伴 突然床が抜けた 満足気に笑う露伴 背中見せずに歩こう 私が終わらないように 『他人』に見られた 背中裂かれた僕 干からびた僕 原曲【坂本九「上を向いて歩こう」】 元動画URL【http //www.nicovideo.jp/watch/sm2878088】
https://w.atwiki.jp/taroktaro/pages/10.html
https://w.atwiki.jp/atgames/pages/200.html
https://w.atwiki.jp/marcher/pages/656.html
喫茶リゾナントの地下にある鍛錬場で私は天を仰いだ。 ずっと動いていたせいか、息が切れる。 まだ鍛錬を始めて間もないのに、体力が全く追いつかない。 「こんなんじゃ……ダメなのに」 下唇を噛むが、私の膝は折れることを要求していた。 結局それに従い、私はため息をついて腰を下ろし、天井を仰ぐ。 短く息を吐きながら、昼間のことを思い出す。 太陽がじりじりと睨みを利かす午後、私は敵と遭遇した。 下っ端中の下っ端だったのか、男は図体は大きいものの、大した能力者でもなかった。 私はチャンスだと思った。いままで先輩たちとともに行動してきたけど、今日はたまたまひとり。 自分の力を存分に発揮できるのだと意気込んだ。 戦闘自体はものの10分もかからなかった。 図体が大きい分、振りも大きいために隙が多く、私はあっさりと相手の懐に入り込み、顎を砕いた。 力はまださほどついていないが、小刻みに拳を入れたことで、相手は膝を折った。 私はできる。私でも勝てる。充分な戦闘要員になれるのだと私は勝ち誇った。 だが、相手に背中を見せた瞬間だった。 男は何処から取り出したのかその手にスイッチを握っていた。 それが自爆装置の起動スイッチだと気付くのにはものの5秒も必要なかった。 何処に自爆装置があるのか、起動まで何秒かかるのか、なにも把握できなかった。 私が思考を止め、脚さえも止めてしまったとき、男の指先が動く。 スイッチが押される瞬間、私は右から走ってきた人に抱きかかえられ、そのまま転げるようにビルの陰に隠れた。 激しい爆音と爆風が走る。 耳を伝い脳の奥へとじんと痛みが走り、直後に上からチリチリとなにかの破片が落ちてきた。 「だいじょうぶと、工藤?」 私が目を開けたときに降ってきた優しい声は、私の最も尊敬する人のものだった。 彼女は優しく笑って髪についた破片を払い落としてくれる。 「なんで、此処にいるんですか?」 「んー?愛佳から聞いたんよ。工藤がひとりで闘ってるって。やから急いで来てみたと」 彼女はそうして立ち上がるとビルの陰から男を見た。 彼は当然のようにバラバラになり、その肉体は欠片すら残っていなかった。 人肉の燃える嫌な臭いが鼻をつき、彼女は「うぇー」と鼻をつまんで現場を確認する。 「……なんで、ですか?」 そんな彼女を見て私の中になにかが燃え上がる。 間違っているのに、こんなの私の思い上がりでしかないのに、どうしてか、止められない。 「私ひとりじゃ信用できませんか」 「んー、そういうことやないけんさ」 「じゃあなんで来たんですか!私ひとりでも闘えました!勝ってました!」 私はまるで子どものようにそうやって訴える。実際、私はまだ13歳と子どもなのだけれど。 自分に過失がないように、あなたが来なくても勝てたんだと、なぜか駄々をこねた。 「田中さんに来てもらわなくても…充分に」 「れなはお邪魔やったかいな?」 「そうじゃないですけど……私は、立派なリゾナンターの一員です」 認められたかった。 はるか遠く、ずっとずっと先を行く先輩たちの背中に追いつきたかった。 弱いところなんて、見せたくなかった。 いつまでも、新人なんかじゃない。 「知っとぉよ、だから来たんよ」 私が子どものようにそう叫んでも、田中さんは笑ったままだった。 少しだけ困ったような、少しだけ寂しそうな笑顔をつくって、田中さんは返した。 「仲間やけん、いっしょに闘おうって思ったっちゃん」 田中さんはそうやって目を細めて笑うと、私に近づいてきた。 てっきり怒られるのかと思ったけれど、彼女はぽんぽんと私の頭を撫でてくれた。 「仲間が闘っとぉけん、れなもいっしょに闘う。ひとりよりふたりの方が良いやろ?」 それだけ言うと、田中さんは歩き出した。 私は振り返ってその背中を見る。急に気恥ずかしくなった。 田中さんは仲間だって認めてくれていたのに、自分だけ、空回りしていたんだと。 でも、どうしても、焦ってしまう。その背中を見ているだけでは物足りない。 ずっとずっと前を行くあなたたちに追いつきたくて、肩を並べたくて、もっと前に進みたくなる。 同じ目線で、同じ高さで、同じ距離を、同じ時間を共有したかった。 「ほら、帰るよ工藤」 呼ぶ声がして、私は「はい」と駆け出す。 それはやっぱりまだまだ遠くて、高くて、手は届きそうもないなって思った。 「あーーー……もう」 私は大の字に寝そべった。 同じ場所にたどり着くには、自分を高めていく以外にない。 そのためには精一杯努力するしかないんだ。自分の能力を、もっともっと研ぎ澄ましていかなくてはいけない。 肩を並べて闘いたいってそう思う。 あの人と同じ場所で、同じものを見ていたい。 「はーっけーん」 そうやって感傷に浸っていると、大抵現れるのがこいつだ。 顔を覗き込んできた彼女は肩まで伸びた髪を耳にかけると「もー探したんだよ」と言った。 別に探される義務もないんだけど。 「なんの用?」 「どぅーに宿題教えてほしくて」 「自分でやれよ、そんなの」 「自分で考えて分かんなかったから教えてほしいのー」 彼女はそう言うと私の横にぺたりと腰を下ろした。 どうせ宿題教えてという割に、全部私のを写すに決まっている。いままでの経験から私はそう考えた。 その割に成績が良いのは彼女のほうだ。どうも人生はうまくいかない。かみさま不公平です。 「じゃー、まーちゃんと勝負する?」 突拍子もない言葉を理解するのに数秒必要だった。 私の脳みそは不測の事態に対応するのが遅いようだ。そのせいで今日も危なかったのだが。 「まーちゃんが勝ったら宿題教えて」 「……勝つわけないじゃん」 「分かんないよ~、まーは強い子ですよぉー」 小馬鹿にするように彼女はくるくると指を私の前で回して見せた。 その態度が非常に腹立たしくて、私は勢いをつけて状態を起こし、立ち上がった。 勝負する気なんてさらさらなかったのだが、私がぐっと伸びをすると、彼女も髪をひとつに束ね、準備体操を始めた。 「能力使うのナシね、手合せだけ」 「はーい」 私の提案に元気よく彼女は手を挙げた。 こういうところはやっぱり、彼女は子どもだと思う。 というか、歳相応の態度なのだろうかと考えながら、私は構えた。 決着は18分後についた。 彼女は肩で息をしながらずるずると膝を折り、床に腰をついた。 思ったより時間がかかったなと思いながら、私も息を整えて腰を下ろす。 「はぁー……やっぱどぅーは強いなぁ」 彼女は「へへっ」と私に笑って言う。 なんだかその笑顔は悔しさとかが滲み出ていなくて不思議な感じがした。 「まだまだだよ。田中さんとかに比べたら、私なんて全然…」 「どぅーはだいじょうぶ。絶対、田中さんに追いつけるよ」 そんなことを言われると悪い気はしない。 別に深い意味はないのだけれど、彼女に言われるとなんだか本当にそうなりそうな気がする。 実際、田中さんには追いついてみせる、絶対にあの背中を超えてみせる。 と、そこまで考えて私はハッとする。 もしかして彼女は励まそうとしているのか? わざわざ鍛錬場まで降りてきて?宿題という口実をつくって? 「どぅーならできるよっ!」 そうして彼女は笑って、がんばれと言いたいのか両手をぎゅうと握ってきた。 その仕草はやっぱり歳相応なのだけれど、私はなんとなく気恥ずかしくなって顔を逸らす。 なんだ、いちばん子どもなのはやっぱり私かと口をもごもごさせる。 「……宿題、やろっか」 私がそうして立ち上がると、彼女はきょとんとした顔のままこちらを見上げていた。 目なんて絶対に合わせてやらない。どうせ凄く情けなくて、顔なんて真っ赤に染まっている気がしたから。 「ほら、早く行くよ」 歩き出した私を認めると、彼女は慌てて立ち上がり追いかけてきた。 「捕まえたー」 と、私の背中をどんと押してくる。 彼女は追いつくのが早い。きっと、私よりも前を行くことがあるのかもしれないななんて思ってしまう。 だけど、だからこそ、負けたくなかった。 あの小さな背中に、追いつきたいから――― 「………で、此処のXにさっきの数字を代入すれば良いんだよ」 私が教科書を読みながら彼女に説明したが返事はなかった。 あれ?と彼女を見ると、視線を落としたまま、ぴくりとも動かない。手に持ったシャーペンはいまにも落ちそうだったが。 人に頼んどいてその態度はなんだと、私は眉をひくひくと動かし、その耳元で叫んだ。 「起きろ優樹ぃ!」 「うわぁ!もー、どぅーうるさいぃ!」 「宿題やれよちゃんとぉ!」 結局今日も、まーちゃんは私のノートを丸写ししそうな気がした。
https://w.atwiki.jp/utauuuta/pages/4017.html
そのせなかがにじむまで【登録タグ そ ぴぼ 曲 滲音かこい】 作詞:ぴぼ 作曲:ぴぼ 唄:滲音かこい 曲紹介 笑えたかな。 「さよなら」の言葉の裏に。 歌詞 (piaproより転載) 空が透き通った今日は 日差しが少し強くて 肌の心配をしたの 綺麗になる理由はもうないのに あなたに会えるときは いつも心が弾んで 自然と笑顔になった だけど今は練習が必要で あなたはいつも通りの優しい目で ゆっくりと言葉を紡ぎ始めて 最後は笑ったんだ 心の底に根付くために あなたは振り返る その背中が滲むまで 笑えたかな あの時の君の顔、可笑しかったとか 新しいカフェができたとか 理由を奪うように、声を 終わりを延ばすように、上げ続けた 覚悟したのにな 言葉が止まらないの きっとひどい顔してるよね 嫌いにならないで ーなんてね 最後の時がくる 「さよなら」に何て返せばいい? 言葉が溢れていく もういいの、ありがとうね 最後は笑ったんだ 心の底に根付くために あなたは振り返る その背中が滲むまで 笑えたかな 笑えたかな コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/12806.html
MG/W39-025 カード名:背中にキス…? カテゴリ:クライマックス 色:黄 トリガー:2 【自】 このカードが手札からクライマックス置場に置かれた時、あなたは自分の控え室の黄のカードを1枚まで選び、ストック置場に置き、自分のキャラすべてに、そのターン中、ソウルを+1。 真宵「むぐっ、むぐっ」 レアリティ:CC ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 混乱状態 八九寺真宵 0/0 500/1/0 黄