約 2,014 件
https://w.atwiki.jp/cheerfruits/pages/23.html
サブタイトル 『涼宮ハルヒの憂鬱』 あらすじ ランキング4位に上昇 陽菜野文化会館大ホールでの公演決定 御前も出演決定 知事から連絡があり文化会館取り壊し決定が早まったとを知らされる 御前、ショックからか失踪 大ホール公演が始まる 小ネタ 「ガンバルンバ!」 『ユンケル黄帝液』のCM。タモリが出演。「ユンケルンバ ガンバルンバ」は1988年新語・流行語大賞の「特別賞・人語一体傑作賞」を受賞した。 ヒナネクタースタンプ 『秘密戦隊ゴレンジャー』のポーズ。『大戦隊ゴーグルファイブ』も同様のポーズなのでどちらかは不明。 プランB台本 STAGE 9 白銀の本気 ~Silver Serious~に出てきたノートのアイデアが使われている。 アルカトラズ星の異次元牢獄 アメリカのカルフォルニア州サンフランシスコにあったアルカトラズ島刑務所。 正義の白銀 アジアンペアー 「アジアンペアー」は、西洋梨ではなく日本梨のこと。日本梨は千葉県の特産品で収穫量日本一。主力品種は「幸水」。 アテナ プラチナム 『聖闘士星矢』のアテナの城戸沙織。 「こいつはすごいぜ!」 『超人機メタルダー』の予告の台詞。STAGE 2 普通の【ろこ】がヒロインやってみてもいいんだけどの予告で使われている。 「考えるな 感じろ」 映画『燃えよドラゴン』の台詞"Don t think, Feel"。『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の第34話「ゴワンゴワンのダインダイン! 獣拳巨神、見参」でも使われている。STAGE 8 青山妹、演出はじめるってよでも使っていた。 「合格じゃないけど、赤点でもない」 俳優「綾野剛」が俳優デビューした『仮面ライダー555』で、23テイクも撮り直しした後に石田秀範監督から掛けられた言葉。「ま、100点でもないけど、赤点でもねえよ」 「ゴールデングローブ賞もアカデミー賞もラジー賞も総なめなのです」 ゴールデングローブ賞。アカデミー賞。ラジー賞は最低の映画に贈られる「ゴールデンラズベリー賞」のこと。 「ベルトの風車も大回転だ~。お見せしよう」 『仮面ライダー』の仮面ライダー2号の変身ポーズ。途中で胸をはだけるのは第14話「魔人サボテグロンの襲来」での変身シーンで、初登場した一文字隼人が変身の際に、胸をはだけてベルトを見せてから変身するところを忘れてしまい、途中で慌ててベルトを見せる動作をしたのが、そのまま採用されてしまった。 スマホのストラップ STAGE 9 白銀の本気 ~Silver Serious~で登場した御守。 日光詣ステッカー 御前のスーツケースに貼ってあったステッカー。2015年4月18日に開催された「東武特急「日光詣スペーシア」デビュー記念乗車ツアー」に参加するともらえた。作中のステッカーは眠り猫が描かれていない。 ニコニコニンジャー 『ピュンピュン丸』の第19話「ニコニコ忍者ダヨーン」で登場した日光から来た「ニコニコ忍者」。 「ズバッと解決?」 『快傑ズバット』。 ラベルへのサイン 杏の「君も僕と握手!!」は、後楽園ゆうえんちのヒーローショーのCMの台詞。「君たち、後楽園ゆうえんちで僕と握手」 闇の魔女 キング嬢 『ウルトラセブン』で初登場した「キングジョー」。元々放送時は名前は無く、名前が付いた由来が脚本家の「金城哲夫」からとも言われている。県知事の叔母の名前は「金城一美」。 戦闘員 『仮面ライダー』の戦闘員。 マーク 『仮面ライダー』のショッカーのマークと、千葉県の県章を合わせた感じか? レビューランキング 順位 団体名 自治体 元ネタ 1- 超神天界!カミダイオーRX ジンジャーズ 神在市 2- ハイドロ戦士クララ&ミララ ザ・カークィーン 来間市 3↑ 参上!桃姫様 ピーチーズ 岡谷市 4RE 聖果戦士ヒナネクター チアフルーツ 陽菜野市 5↓ 羽衣天使ハモニアン Team弁財天 浜名護市 6↑ 月光くノ一忍者少女 くノ一少女隊 宇賀市 7↓ 超天界!カミダイオー ジンジャーズ 神在市 8↓ 肉汁戦士パティ&バンズ チームBLT 右世保市 9N 十聖剣乱舞 KAZAMA姉妹 風魔市 風魔の小次郎、十聖剣、風間三姉妹、? 10N ご奉仕!あわ姫ちゃん チームあわあわ 徳戸市 ?、阿波、徳島市? ※STAGE 5 ぷろじぇくと・ぶる~では180位にいた。 舞台 場所 備考 大多喜駅 大多喜高校 千葉県庁知事室 予告 「チーフ、キャップは故郷の星に帰っちゃうんじゃないかな。」「はぁ?」「だから、チアフル五つの誓いを言えるようにしなきゃ。」 『帰ってきたウルトラマン』の第51話(最終回)「ウルトラ5つの誓い」で、ウルトラマンが宇宙に帰っていく際、次郎少年が叫んだ「ウルトラ5つの誓い」。 「いきなり何?そんな誓い聞いてないし」「唐突なのも5つの誓いらしさだよ」 「ウルトラ5つの誓い」も最終回で主人公の郷が次郎少年に、唐突に視聴者が聞いたこともない「ウルトラ5つの誓いを言ってみろ」と言ってくる。 「一つ、腹ペコで学校に行かないこと。一つ、晴れた日には布団を干すこと。一つ、車に気を付けること。一つ、人の力をあてにしないこと。一つ、・・・」 空を見上げ、海岸を走りながら「郷さーん。ウルトラ5つの誓い。一つ、腹ペコのまま学校に行かぬこと。一つ、天気の良い日に布団をほすこと。一つ、道を歩く時には車に気をつけること。一つ、他人の力を頼りにしないこと。一つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶこと。聞こえるかい、郷さーん。」 メモ チアフルーツ 陽菜野市文化会館 大ホール公演 企画書 JA主催。3000枚の会場限定(?)Tシャツを発注。 熾烈な争い 御前に路子が抱きつき、はつりが「御前様僕も―」 ポスター 「聖果戦士ヒナネクター 陽菜野文化会館に現る!」新コスチューム。 駅前 午前7時と午後5時。「チアフルーツ現在04位」横断幕は前回同様、市ではなく「陽菜野町商店会」になってる。チアネクタースタンプ。 のぼり旗 「チアフルーツ4位 記念セール」順位を限定してしまっていいのか?「チアフルーツの街」「チアフルーツ スタンプラリー」 商店街 信号機があるが、大多喜町商店街には、ほとんど信号機はない。 聖果戦士ヒナネクターショー 台本 次回公演が第16回公演 ロハスエナジー 集めるとワームホールが繋がって陽菜野に行けるようになるらしい。 「あの二人の正義の心を取り戻す」 全員が本当の仲間になる展開。 ヒナリンゴ JAから相談されていた。アップルパイを作って売る計画。ランダムでステッカー1枚。 鬼の元さん 皆のトラウマになってる。 良い知らせ 3000枚完売。ネットでのリアルタイム配信決定。TVが生中継。 御前のキャリーバッグ 「I❤万葉 そうだ、万葉へ行こう」ステッカー、「NIKKO MOUDE 日光詣 (見ざる聞かざる言わざる)」のステッカー、「見ざる聞かざる言わざる」のストラップ、「ニコニコニンジャー」のステッカー、「味海 アジがあるね!!」ステッカー、「神在名産 ジンジャップルサイダー」ステッカー。 ニコニコニンジャー 日光のご当地ヒロイン。御前の祖父は視察で行ったらしい。「みんなの笑顔を絶対守る!いつもニコニコ、ニコニコニンジャー!」 文化会館の取り壊し 予算の可決が急に前倒しに。ごみ焼却場移転計画が頓挫して、浮いた予算で8/9に陽菜野市議会が決定。 8/9 御前の13歳の誕生日に祖父が倒れる。 聖果戦士ヒナネクターショー プランB 台本 緊張感のあるBGMが流れる。 ステージの上手、下手、下手などからメディア[見切れ](※メディカレッドの間違いか?) インブルー、チアイエロー、テラグリーン、ニトロピンク[見切れ] が、ロコモブラックと戦いながら駆け込んでくる。 レッド 「あたしたちの陽菜野城に何をしたのっ!?」 ブラック「陽菜野城は乗っ取った!もうまもなくあれは我らの暗黒 移動要塞となる!」 グリーン「何だって!?」 パープル「完成の暁には、暗黒宇宙に渦巻く闇の力を、陽菜野城に 召喚し、二度とフルーツが実らない荒れ地にして差し上げ ますことよ」 ブルー 「そんなことは私たちが絶対にさせない!」 ブラック「我々も見くびられたものだ」 パープル「その程度の力で我らに勝てると思って?」 ブラック「くらえ!!」 ブラック・パープル「暗黒邪霊波動!!」 一同 「きゃあ―――!!」 × × × フラフラと舞台袖から出て来るレッドたち一同。 舞台袖から金色のリンゴ(ギャラクシーアップル)が飛ん でくる。 リンゴを見事にキャッチするレッド。 レッド 「この香りは・・・・陽菜野の名産、ヒナリンゴ」 ピンク 「でも金色だよ!?」 ブルー 「これは地球のリンゴじゃない!?」 イエロー「え!?」
https://w.atwiki.jp/jososs/pages/31.html
会食彼女 (「偽装彼女」シリーズ・短編) 学生街のファミレスは安くて美味い。 奥のボックス席に向かい合わせに座り、俺がステーキののったハヤシライスを、相手は マグロのづけ丼を注文。ほっそりした清純派美少女がデート中に頼むモノではないが、現 役男子高校生は腹が減るのだ。 割に合わないドリンクバーはスルーし、代わりにシーザーサラダの大皿をシェアして食 べる。 白いハイネックや真新しいえんじ色のワンピースを汚さないようにか元々お行儀が良い のか、嫌味がない程度のテーブルマナーで須藤はドレッシングのかかったレタスを取って いく。ベーコンもクルトンも半分こ。 俺も腹が減っていたのでそれなりに食べながらではあったが、初めて見る奴の食事風景 を楽しんだ。大人しそうな見た目でも中身は年相応に食欲旺盛。白いドレッシングが赤い プルプルの唇に付いて、エロいなあと思ってたら舌先で舐めてしまった。 フォークを口に運ぶ手つきは危なげないどっかのお嬢様そのものなのに、食べる量はや っぱり同級生の野郎だった。 愛想のないウェイトレスも気にせずに、運ばれてきた料理をモリモリ食べる。トロ盛り もメニューにあったので「マグロ好きなの?」と聞くと、「一番食べやすい」と短く返し セットの味噌汁を音をたてずに啜った。シジミは美容に良さそうだ。 俺の食べるデミソと半溶けチーズが絶妙なハヤシライスもなかなかだが、上にのった肉 が特に美味かったので丼と少し交換する。ニンニクだか玉葱だかのソースが絡まってて、 噛むと肉汁がジュワッとして、ステーキだけでも美味い。奴の食べてた飯盛も、甘すぎず しょっぱすぎない醤油だれが染みてて飽きがこない感じ。 もりもり平らげてデザートを注文。どうせあとで俺の部屋でレシート付き合わせて割り 勘するので、お互い食欲のおもむくままだ。 「美味かったー」「うん」と空の皿を見送り、俺のパフェが来たあたりで色気のなさに ようやく気付く。これじゃあ部活帰りのスポーツ少年だ。 締めは洋風なのか、自分の注文したホットケーキを待つ須藤に声をかけた。 「来るまで食べる?ほれ、イチゴあーん」 「…要らない」 首を振って水を含み、厨房を気にする優等生。エロい意味じゃなく落ち着きない様子は なかなかレアな気がする。 「今焼いてんだろうから、一緒に食いながら待ちゃ良いじゃん」 「一人で勝手に食べてろよ」 俺にはうるさそうに吐き捨てて、出てきたウェイトレスを目で追う。仏頂面の女の手元 を凝視してから期待が外れたような顔をした。残念、別のテーブルのだったみたい。 「…ホットケーキ好きなん?」 なんとなく聞いてみただけなのにピクリと肩を震わせて、見向きもしなかった俺にゆっ くり向き直る。気にしてないよぅ、単にちょっと見てみただけだものー、とその仕草で超 アピール。わざとらしすぎだ。 「いや、そんな…それほどでも、ないけど」 「じゃあこのパフェと交換して良い?」 「………」 「…好きなの?」 あきらめたように首肯する女装イケメン君。別に気にするほどのことでもないと思うの だが、ウキウキしてたのが俺にバレて悔しいみたいだ。 そんな顔して、俺がつつかないわけがない。 「へぇ~」 アイスの層を終えてパイ生地にスプーンを差す。コーンフレークだと裏切られた感がある んだけど、こっちのサクサクは食べごたえがあってかなり嬉しい。 「ユカちゃんはホットケーキが好きなんだぁ?可愛いですねえ~」 「っ…お、お前だってそんなん食べてるじゃないか!」 人目を気にして、押し殺した声で反論してくる。赤いヘアピンでセミロングのサイドを 留めてるから、赤らんだ目の縁がよく分かった。 「いっつもツンツンしてるのに、フワフワのケーキが好きだなんて、ユカちゃんってば面 白いなあ。今度ケーキバイキング行こっか?」 「別にケーキ全般が好きなんじゃない!ホットケーキ!」 「おまたせしました」 素敵なタイミングで店長っぽいおっさんが、自ら宣言した少女の前に湯気のたつ皿を置 いた。ご立腹だった奴は途端に俯き、小さな声で「ありがとうございます」と言う。 「ごゆっくりどうぞ」 その愛想の良さを店員に分けてやってくれと言いたくなるような笑顔で、おっさんは伝 票を置いて離れて行った。 「食べないの?ずっと待ってたのに」 「…うるさい」 しばらく下を向いてたが、生クリームとストロベリーソースをパイのかけらと混ぜなが ら見ていると、おもむろに白い手がナイフとフォークをそれぞれ掴んだ。 二段重ねの厚いホットケーキに、バナナとイチゴが生クリームとチョコシロップに飾ら れのっかっている。下段には何も塗られてないのか、メイプルシロップの小さなポット付 きだ。 コテコテしたのよりシンプルなのが好きみたいで、大きな皿の中で慎重に上段をずらし、 何も付いてない生地を一口分切る。そういえば、普通のホットケーキはメニューになかっ たかもしれない。 きつね色に焼き上がった湯気をたてるそれを、軽く息を吹きかけてから食べる。キスす るみたいにすぼめられた小さな唇が開かれ、ぱくりとケーキを含んだ。 もぐもぐ、ゴクン。向かいの俺を気にして無表情を装ってはいるが、皿の上を見つめる 奴の顔は意中の相手に薔薇の花束をもらった少女のようだ。なまじ顔が良いから、無駄に 背景を描き込むことができる。 黙々と食べ進める奴を見ながら俺はパフェを完食。水を飲んでから、上段を果物をのせ たまま品良く切り分ける相手に再び声をかけた。 「一口もらって良い?」 「………は?」 うわ怖い。なんか怖い。お楽しみを邪魔された奴の背景から点描や花柄トーンは消え、 社会の底辺でも見るような目で俺を射る。彼女のこんなまなざしなんて初めてっ! 「だって、ユカちゃんてばすんごい嬉しそうに食べてんだもん。下のが好きみたいだから 、俺は上のでいっから」 「……仕方ないな」 奴が折れたのは、絶対セリフの後半部分のせいだと思う。 「あ、違う違う」 テーブルのペーパーナプキンでフォークを拭い、ナイフとそろえて皿と共に差し出そう としてきた奴を制止する。 「食べさせてよ」 「…はぁ?」 いよいよ彼女、いや彼の目つきは厳しくなった。 「お前、気は確かか?そんな…は、恥ずかしい真似できるか!」 押し殺した声で冷たいことを言うので、俺は大げさに溜め息をついてみせる。 「あーあー、ユカちゃんこないだアイス食べた時は『食べさせて』って甘えんぼさんだっ たくせに、俺にはしてくれないんだ?覚えてる?こないだ『あーん』ってさぁ…」 「わ、わかったから!わかったから声大きい!」 カウンター席の客に興味本位に振り返られてるのに気付き、慌てて皿を引き寄せた。先 ほど切り分けたのにたっぷりクリームとイチゴをのせてくれる。 そろりと掬い上げ、俺の口元へ。離れているので中腰になって身を乗り出してきた。ソ ファでなければ、裾の短いワンピの中が丸見えだったろう。 「……ほ、ほら。早く食べろよっ」 羞恥にフォークを持つ指も、その下に添えた手も震わせながら黒髪美少女は促す。 「俺がやってあげたの覚えてる?同じみたくしてよ」 「………そ」 「……忘れたんなら再現してやるけど」 「ぁ……っあーん!ほら、あーん!」 「そんなのできるか」と紡ぎかけた唇を震わせながら、奴は憎い相手に甘いホットケー キを差し出した。 「はい、あー…」 チョコシロップの染み込んだ生地に食らいつき、咀嚼する。舌でつぶせるイチゴの酸っ ぱさがクリームの甘みとマッチしていて、なるほどたしかに美味い。ほんのちょっぴり塩 味のあるホットケーキ独特の風味が、とってもノスタルジーだ。 差し向かう相手は、白い頬を上気させた黒髪美少女。カウンター席の横を通れば誰もが 注視してきた、そんな誰もが羨む「女の子」に恋人ごっこをさせている。 学校ではクールな王子様の須藤豊が、女装して同級生の野郎とファミレスデートだなん て、誰が知ってるというのだろう? 恥ずかしさに先程までの満足感もすっかり吹っ飛んでるっぽい相手に、俺はニッコリ笑 って「ごちそうさま」と言う。 「…んじゃあ今度は、バナナんとこが食べたいなあ?」 腹が減ってたからこの配置で座ったのだが、なかなか悪い選択じゃなかったみたいだ。 (おしまい)
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/336.html
ただいまっと。 一晩泊まっただけなのに、というより軟禁されていただけなのに、女装姿を人から見られないと思うと我が家のような安心感が有る。 パンプスを脱ぎ、玄関に上がりパンプスを揃え、スリッパを履き彼女の分のスリッパを床に置くいて立ち上がると、彼女に抱きしめられた。 このマンションの玄関の段差はあまり高くなく、上に立っていてもヒールを履いた彼女のほうが当たり前に大きく、普段通り僕の顔の位置に胸が来る。 少し強めに抱きしめられ、サバ折りのようになるがすぐに開放された。 彼女はその場にへたり込みそうになる僕の脇の下とお尻の下に手を回し、目線が合うように抱きかかえる。 興奮して力加減ができないのか普段より強く抱きしめられている。 柔らかいはずの彼女の胸が、今朝彼女にパッド入りのブラジャーを付けられた僕の胸を圧迫し、息ができなかった。 彼女はそんなことは気に留めずキスをしてくる。 「佐藤くん、しよっか?」 息ができず彼女の肩をタップする。 「あ、ごめんごめんやっと犯せると思うと興奮しちゃって。」 ご飯食べてからゆっくりやろうね。お姉ちゃんご飯作るからね。 「ぅう……めっちゃ濡れてるんだけど!」 ショッピングモールに併設されてるスーパーで食材や調理器具や食器を買ってただけなのに、何処に濡れる要素があったんだろうか。 まだ特殊な性癖を持っているのかこいつは…… 「違う、今日は一日中濡れてたの!もぅやっと犯せると思ったのに……けどご飯作ってもらってからにしないと、興奮してうっかり殺しちゃったら佐藤くんの手料理もう食べられないもんね。うん、わかった我慢する。」 人の命をなんだと思ってるんだろうなこいつは。 二人で荷物をキッチンに運びこみ、と言っても殆ど彼女が運んだが。 洗面所で手を洗い終えると、彼女に服を脱がされる。 「ちょっとコレに着替えて」 殆どお尻が見えるブーメランパンツの様なホットパンツと、ブラジャーを隠す程度の面積しかないTシャツを着せられる。 「そういえば今日、下も女の子用の下着着せてたんだったね。」 彼女は僕の腹部を腹筋の筋にそってゆっくりと舐める。 思わず声を出してへたり込んでしまう。 「もう、ちょっと味見しただけじゃん。佐藤くんは生娘か!」 僕の過剰な反応が興をを削いだのか、止めてた手を動かし、僕の髪を後ろにまとめ、エプロンを付けてくれる。 鏡を見ると、正面から見たら裸エプロンのみたいだった。 股間ギリギリの丈のエプロンよく見つけてきたな…… 料理に取り掛かる、1人で集中できて昨日今日の嫌なことを忘れられそうだった。 嫌なことの原因の為に作ってると思い出すと憂鬱になるが。 ちょうどご飯が炊きあがったと同時に料理が完成する。 シーザーサラダ、唐揚げ、つくねと豆腐のハンバーグ、ねぎとろ冷奴、豚肉と大根の炒めもの、ほうれん草のお浸し、豚汁。 作りすぎたというか、肉多いな…… 彼女を呼んでも返事がない、死んでくれてたら嬉しいな、なんて思いながら、ソファダイニングまでサラダを持っていく。 ソファでは彼女がイヤフォンで何かを聞きながら今日買った同人誌の整理をしていた。 テーブルの上に広げられた薄い本では男通しが抱き合っていた。 食欲なくなるなー。 「お、できたか!」 彼女と目が合うと彼女はイヤフォンを外す。 イヤフォンからは僕にも普通に聞こえるような音量で、昨日の僕の喘ぎ声が繰り返し再生されていた。後でこっそり消しとこう。 テーブル片付けて運ぶの手伝って。 「じゃじゃーん♪」 テーブルに料理を並べ終えた所で、彼女はビールを持ってきた。 ビールなんて買ってないし冷蔵庫にも無かった気がするんだけど。 「棚の中に入れておいたの。」 それにしてもキンキンに冷えていた。 「スーパーブレスで冷やしました!」 凍らせずに一瞬で適温まで冷やしたりできるんだな、相変わらず能力は凄いんだよな。 調理器具や材料のないこの家と、昨日から食事と言ったらピザ屋牛丼ハンバーガーしか言わない彼女を見て、お酒と言ったらビールって安易に思ってるんじゃないかなと、疑ってしまう。ずらっと並ぶ銀色の缶を見ると特に。 今こいつにスプーンを舌に押し当てた味って描いてる漫画読ませたら作者殺しに行くだろうな。 そもそも彼女はお酒飲めるんだろうか? お酒に酔うと能力がなくなるとかないかな? 僕はアルコールパッチテストでは問題なく飲める体質のようだった。 「お酒?飲めるよ、こないだ1人で飲んでみたけど特に問題なかったし。けど何かあったら止めてね?」 人類には無理です。 「大丈夫、佐藤くんがチューしてくれれば、佐藤1人の犠牲で止まるよ!」 自分で犠牲って解ってるんだ…… ビールをグラスに注ぐ。 「頂きます、カンパーイ。」 彼女が僕の作った唐揚げに手をつける。 口にあうか気になる。 「美味しい!唐揚げってこんなに美味しかったんだ!さくさくしてて、噛んだら旨味の塊みたいな肉汁が出てきて、味付けされた衣と合わさって味が変化するし、肉がぷりぷりしててすごい美味しい!こんなのつくれるなんて佐藤くん凄いね!」 コンプレックスのある容姿の事や、彼女に逆立ちしても叶わない勉強じゃなく、料理を褒められてすこし嬉しかった。 口がほころんで照れてしまう。 ご飯食べてる時可愛いね、また作るから一緒に食べようね。 うっかりお世辞を言ってしまった。 「佐藤くんも食べていい?」 やさしくしてね。 自分でもなんでこんなことを言ったのかわからない。 慣れないお酒を飲んだ所為か、ハイスペックな彼女に料理を褒められて嬉しかったからか その瞬間、壁に何かが刺さる音がした。 こめかみの横を視認できない速さで何かが飛んでいったのを、まとまりきらず下ろしていたウィッグの髪が揺れ、何本かがキレて落ちるのを見て理解する。 天井と壁に彼女が持っていた端が刺さっていた。 非常識な速さで握りつぶすと箸って飛ぶのか…… 運が悪ければ死んでいたな…… 気が動転したまま、自分の箸で唐揚げをつまみ、彼女の口へ放り込む。 あーんっ 声に出してしまった。多分僕はお酒に弱い。 「佐藤くん今日殺しちゃったらごめんね…」 彼女が小声で言う。 今までの行動から、彼女がこういう事を言う時は僕に萌えているんだと思うようになった。 そう思うと少し自信がつく。 自分の口に唐揚げを挟んで直接彼女の口に持っていった。 彼女は戸惑い気味に受け取る。 軽く彼女をハグし胸に顔をうずめてから、彼女の顔を見上げる。 涙を流していた。 「絶対殺す。」 ぼーっと言う彼女を見て酔いが覚め現実に引き戻される。 いろいろ省略されすぎだろ… 残った分を翌日に食べることを想定してかなり多めに作った料理も、彼女がほとんど1人で全部食べてくれた。 彼女の箸を取りにキッチンへ行った時に作った、おつまみの旨塩キャベツを食べながらビールを飲む。 気が付くと彼女の腰の上に座らされ太ももや腹部を撫でられていた。 テレビではサッカーの話題ばかりだった。 「佐藤くんサッカーしないの?」 できるわけねーじゃん、お前もできないだろ? 「私はできるよ、何年気を使いながら体育受けてると思ってるのよ。」 彼女は僕の頭を撫で笑いながら答えた。 お酒のせいで、そんな彼女が愛おしく思えた。 振り向いて座り直し、彼女にキスをする。 唇を重ね、彼女の上唇を軽く舐め舌を口に入れようとするが、彼女は受け入れてくれなかった。 顔を離される。 どうしてだろう、いい雰囲気だと思ったのに。 早くやらないと目をつぶると眠ってしまいそうだ。 彼女の胸をいじくりながらそう伝える。 「寝ていいよ。と言うか早く寝て欲しい。」 なんでここに来て急に冷たくなったんだろう。 「オナニーしたい。」 素直な彼女が可愛く思えキスをする。 「佐藤くん死にたいの?」 震えながら彼女が言う。 死にたくないキスがしたい。 舌動かしてよ。 「知らないよどうなっても…」 そう言うが彼女の舌は震えて動かない。 僕の舌の力では彼女の舌を動かす事ができないので 彼女の舌を愛撫する。唐揚げにかけたレモンの味がした。 おっぱい舐めたい。 「絶対無理。」 大女のキャミワンピースを脱がせるのは流石に無理と諦めた。 彼女の肩に頭を乗せてぼーっとする。 彼女にお姫様抱っこされて、寝室に移動する。 ベッドの上に彼女と一緒に横になる。 彼女に腕枕をしてもらう、彼女は呼吸が早く小刻みに震えていた。 もう始めてるのか… 目を閉じると意識が溶けていった。
https://w.atwiki.jp/alternativemind/pages/429.html
「おい、貴様・・・ふざけているのか? なんだこの頭部は!!よりによって 裏切り者のシュナイダーが開発した簡易品など・・・! 私は本来の頭部パーツの復旧を依頼したはずだぞ!!」 スクールからの脱獄に際して、なんとか奪還した愛機だが。 その頭部の修繕を業者に依頼してみれば、 まるっと全くの別物に差し替えられている。 「オイオイ、バカ言ってんじゃねぇよ。 あんな予算じゃ装甲も張りなおせねぇよ! そもそも、オッサンの機体にVP−44Dはカッコよすぎだって」 何しろ、自慢の愛機たるガルブレイヴと同型である。 やはり、このデザインはヒロイックな高機動ACに併せてこそ。 見た目のロマンにもまだまだこだわりたいお年頃であった。 投げ売り価格で買い取ったラマーガイヤーヘッドだけでは 流石に申し訳ないと思い、コアのセンサーを 第二の頭部と見做しても良いくらいには補強しているのが ヴァッシュのなけなしの良心だと言えよう。 「なっ・・・!?顧客に対してなんだその態度は!? 貴様、どういう教育を受けているんだ・・・?? そもそも、提示した金額は前金だと言ったはずだ。 この機体を復旧できれば、温存していた資産を回収して 追加の報酬を提示すると説明したではないか」 「あ〜〜〜ハイハイ。いるんだよなぁ、そういう奴。 おつむに回ったコーラルが抜けてから出直してきな」 男の必死の訴えも、擦れっからしの ヴァッシュにはてんで響かない。 「貴様っ・・・この私を誰だと・・・コホン、 まあいい。ひとまずはこれで勘弁してやる。 私が資産を回収した後で泣きついても 1COAMたりとも払わんからそのつもりでいろ!!」 憤懣やる方ない、とでも言いたげに鼻息荒く 機体に乗り込んだ男に、ヴァッシュは ひらひらと手を振って気のない見送りを返す。 「へ〜へ〜、まぁがんばんな。毎度ありぃ〜」 騒々しい足音を立てて苛立たしげにガレージを去った ACを見送り、あまりにもお座なりな店主の対応に アシュリーはため息を吐く。 「・・・流石に塩対応が過ぎるぞ、ヴァッシュ」 「いいんだよ。ホラ吹いてタダ働きさせようなんて 厄介客なんざこっちから願い下げだっつーの。 さ、一仕事済んだことだしメシにしようぜ。 ここだとなぁ・・・旨い店があるんだよ」 その一言で、先のやりとりが頭からすっぽ抜けたアシュリーも、 尻尾をブンブン振りながらヴァッシュの後に続く。 件の店、『ミサキ』は、ラカージュが回収したマザーワーム、 エリザベス由来の食材の卸先の一つでもある。 「おお、ピーファウルさんのとこの新入りだな? お前さんのトコから仕入れた食材がなかなか好評でな。 こちらもいい商売をさせてもらってるよ。 どうだ?自分が仕留めた獲物、味わってみないか?」 店主であるホールデンににこやかに迎え入れられ、 アシュリーがウキウキ丸出しで首を縦に振る。 「おお!?プロが調理したらあの食材が どれほど化けるのか・・・ ぜひともお手並み拝見と行こうではないか!」 相棒の浮かれように半ば呆れつつも、 露店の周囲に配置されたテーブルのほとんどが 埋まっている様子にヴァッシュもその 盛況ぶりを理解する。 「今日も混んでるなぁ・・・っと、 悪ぃ、兄さん。隣、邪魔してもいいか?」 どうにか、4人がけのテーブルに座った 二人組を見つけて相席を提案する。 「・・・君は・・・いや、なんでもない。 俺は大丈夫だ。お前、少し空けてやれ」 「はぁ〜い。どぞ!」 静かだがやや荒んだ気配の青年と、闊達な少女の二人組。 兄妹と見るには印象が違いすぎる。 特に、青年の顔に走る裂傷の跡。 よほど本格的な戦闘にでも参加していない限り つきそうもないもので、一瞥して カタギの人間でないことは明らかだった。 どういう関係なのかわからないが、それについては こちらも同じか。奇しくも年齢は逆だが。 「かたじけない。ときに・・・ご両人。 この店は馴染みだろうか? おすすめのメニューがあればぜひご教示願いたい」 「それならねぇ・・・今食べてるコレ! ミートボールがすんごいジューシーで 何個でもいけちゃうよ!!」 少女が指差した大皿には、 トマトソースパスタが山と積み上げられている。 「こ、これは食べごたえがありそうだな! それに、ニンニクが効いたいい匂いだ。 じゅる・・・店主!こちらも同じものを頼む!」 「勝手に決めんなよ!?」 腹ペコだったアシュリーは即座にこれを注文し、 狭いテーブルには真っ赤なパスタの大皿が2枚、 窮屈そうに鎮座することとなった。 まずは、どっさりと乗せられたミートボールから。 「では早速・・・ふむ」 肉汁は豊かだが肉質がやや硬いホーンワームを ミンチにして繊維を細断し、程よく配合したツナギに 旨み溢れる肉汁をキャッチしつつ適度な歯応えに整えられた ミートボールは絶品の仕上がりだ。 「トマトもパスタも星外製の本物だな! ミラクルムがルビコンに進出してから この星の食糧事情もだいぶ改善した。 ありがたいことだ」 「特におめーみてえな食い意地張った奴にはな」 ヴァッシュの皮肉もどこ吹く風。 頬を膨らませてパスタをかきこむアシュリーは すっかり食事に夢中だ。 「コラてめぇ!ソレで肉団子4つ目だろ!? こっちはまだ2個しか食ってねーんだぞ!!」 「フガ、甘いぞヴァッシュ!体積は私の方が 大きいんだ。これは正当な配分というものだ!!」 「体積増やしてんのはその駄乳だろうが!! まーたくっだらね〜屁理屈捏ねやがってよぉ・・・ だからお前と大皿囲むのはイヤなんだよ!!」 「えっ」 一瞬の気まずい沈黙。 「その・・・嫌なのか? 私と食事をするのが??」 一転して、捨てられた子犬のように瞳を潤ませる アシュリーの視線にヴァッシュが勢いを失う。 「いや・・・嫌じゃねぇよけどよ。 お前、いつもすげー旨そうに食うしさ。 お前と一緒だとメシが美味くなった気がするから、 その・・・別に嫌とかそういうのは・・・」 その一言で、アシュリーの表情がたちまち晴れる。 「そうか!じゃあ遠慮なく美味しくいただくぞ!!」 「ああああああーーーーっ!!てめぇ!! だからそれは俺の分だっつってんだろうがァ!!」 怒涛の勢いで食糧を奪い合う二人に 同席した青年と少女は若干引き気味だ。 「な、仲いいんですね、お二人とも」 若干引き攣り気味な笑顔で少女が呟くと、 「「どこが!?」」 異口同音にヴァッシュとアシュリーが反論する。 二人の口からはパスタがはみ出し、 それは一本のロープとなって両者を繋いでいる。 これはこっちのものだ!と言わんばかりに フォークでチャンバラを繰り広げる 二人の醜態に、ずっと沈黙を守っていた青年が 微かに微笑む。 「・・・元気そうでよかった」 生憎と、顔面にフォークが刺さって絶叫する 二人には青年の声は聞こえていなかったが。 嵐のようなランチタイムが終わりに近づいた頃、 ヴァッシュの手元で端末が着信を告げる。 「おい、アッシュガル、ヒマそーじゃねェか。 アタシ1人じゃ手に余る仕事があってよォ、手伝ってくれるか?」 バジャーリガーから送付されたメッセージを、ヴィルが読み上げる。 「依頼主はアーキバス、窓口はV.Oサリエリだ。 作戦内容はある人物の襲撃と捕縛。 対象は・・・スクールNo.6から脱走した 元V.Ⅶ、スウィンバーン。 どうやら奴は、ヴェスパー時代に着服した資産を ヴァイオント鉱山に秘匿しているらしい。 我々のミッションは、それを回収に向かうスウィンバーンを 待ち伏せし、これを捕縛。必要ならば拷問を行い 隠し資産の場所を吐かせてこれを回収することだ」 元ヴェスパーの脱走者追討とは、 確かになかなかの大仕事になりそうだ。 「せっかく再教育センターに収監したってのに、 その時は隠し財産の存在に気づいてなかったのかよ? マヌケな話だぜ」 「ヴェスパーの会計はあの男が掌握してたんでな。 よほど巧く誤魔化してやがったんだろうよ」 まぁ、そんな背景情報は独立傭兵にとっては 余録に過ぎない。 「悪ィ、兄さん。急ぎの仕事が入っちまった。 また今度ゆっくり話そうぜ!!」 そそくさと立ち去ったヴァッシュと入れ替わるように、 ある人物が青年たちのテーブルに相席する。 「・・・貴様が、オキーフの奴が言っていた 独立傭兵、ラステッド・ファングだな。 貴様の腕を見込んで・・・折入って依頼がある」 ミッションフィールドであるヴァイオント鉱山は、 アイビスの火以前にはすでに廃坑となっている。 古い遺構には、今更省みるべきものなど何もないと 思われていたが・・・ 「なるほど、そういう意味では資産を隠すには 最適の地理だな。 差し詰め、スウィンバーンの埋蔵金といったところか」 鉱山へ至る渓谷の上でターゲットを待ち伏せる ヴァッシュとアシュリー、そしてバジャーリガー。 「撒いてたリコンに反応があった。 想定通りのルートで来やがったなァ・・・ いや、待て。反応が3つある」 程なく視界に飛び込んできたACは3機。 そのうち一つがスウィンバーンの搭乗機なのだろうが・・・ 「お、オイィ??」 どうにも、見覚えのある機体が混じっている。 冷や汗をかくヴァッシュの沈黙の意味を 理解せぬまま、アシュリーがあっけらかんと言い放つ。 「おや?おいヴァッシュ!アレは私たちが 整備した機体じゃないか!! どうやら彼がスウィンバーンその人だったようだな! 彼が言っていた資産は実在したのか! これは傑作だ!わはははは!!」 「言うなよぉぉぉぉぉ!! でかい儲け話を拾い損ねた、なんて 改めて言うなよぉぉぉぉおおおお!!」 がっくりと項垂れるヴァッシュだが、 こうなってしまっては仕方がない。 「い、いや、まだセーフだ。 ここでスウィンバーンを締め上げて 埋蔵金の場所を吐かせれば俺たちの総取りだ! いくぜぇ野郎どもッ!皆殺しだァ!!ヒャッハー!!!」 山賊まがいの野蛮なテンションで、 ヴァッシュは渓谷を進むAC部隊に強襲を仕掛ける。 「やはり来たか。アーキバスの連中も お前の隠し資産のことは把握していたようだな」 「むぅ・・・止むを得ん!連中を迎撃してくれ!」 「はぁーい!任せてよ!!」 スウィンバーンを守るように、 護衛のACが前後に布陣する。 「敵AC『ヒバナ』。識別名『ラステッド・ファング』、Bランク。 敵AC『ワンダー』。識別名『シルヴィ』、Fランク」 ヴィルが即座にアリーナのデータベースに照合する。 「いずれも近接戦から中距離戦まで対応可能な バランスの良い中量二脚型だ。 『V.V イレヴン』との遭遇戦を生き延びた実績もある。 ランク以上の実力を備えているものと思え」 己の姿を見せつけるように渓谷を駆け下るガルブレイヴに、 ヒバナとワンダーが即座に反応する。 ライフルとリニアライフルによる迎撃を スラローム走行で掻い潜りながら、 ヴァッシュも反撃のトリガーを引く。 5連グレネードガンの爆炎が前方を広く覆ったところへ、 上空から襲いかかるブレードドローン。 集中的に照準されたヒバナが迎撃に注力している間に、 第二の襲撃者が後方から襲いかかる。 「むっ!スウィンバーンさん、下がって!!」 急接近するアリオーンの前に進み出たのはワンダー。 Fランクとは思えぬ素早い反応だ。 突撃と同時に振るったレーザーレイピアは、 パルスブレードによって弾かれる。 「なるほど・・・その胆力と反応速度! 端倪すべからざる敵手と心得た!!」 一撃離脱を旨とするアリオーンが、突撃の余勢を駆って 再度の突入を図るべく大きく迂回する。 「面倒な連中だ・・・おい、速度を上げて振り切れんか!?」 スウィンバーンの声に、ファングが否定の言葉を返す。 「足は連中の方が早い。 それに・・・どうやら、頭を抑えられたようだ」 ヒバナが睨む進行方向には、鮮やかなカラーリングの 高機動タンク型が陣取っている。 「ここから先は通行止めだぜェ、ノロマなドンガメどもがよォ」 バジャーリガーの操るパステル・キャノンボールが、 全速力でバック走行しながらスウィンバーン達の 行手を抑え、肩部拡散レーザーキャノンをばら撒いて その前進を妨害する。 「おい貴様ら!しっかり護衛しろ!! 十分な報酬は提示したはずだぞ! 金額相応の働きを示さんか!!」 芳しくはない状況に焦れたスウィンバーンが 用心棒達を叱咤する。 「・・・ちょっとやる気出ないかも」 ぼやくシルヴィを、不承不承ながらもファングが諭す。 「言うなよ、シルヴィ。これも仕事だ」 護衛対象を中心とした密集体系でダメージコントロールを図る ファング達は、ダメージを蓄積させつつもどうにか襲撃を 凌ぎ続け、戦場はいつしか鉱山内部へと遷移していた。 「勝てる勝負だと思ったんだがな・・・案外しぶといぜ」 廃鉱山内部は狭隘な地形に破損したまま打ち捨てられた 機器や崩落した岩塊が散乱し、襲撃者側の アドバンテージである機動力が思うように活かせない。 「・・・ここならばいいだろう。 クライアント、振り切るのは無理筋だ。 追手を殲滅するぞ、手伝え!!」 「雇われ風情が私に指図など・・・ だがまぁいい。妥当な判断だ。 堕ちたりと言えど私も栄えあるヴェスパーの一員、 野良犬如きに遅れは取らぬ!」 決戦の舞台は、廃鉱山内部に広がるドーム上の空間。 一斉に振り返り、こちらに正対したターゲット達に 追手も本格的な戦闘の開始を察知する。 「私だって、たくさん特訓してるんだからね! ファングだけに頼ってられないよ!!」 真っ先に動いたのはシルヴィ。 背部双対ミサイルを皮切りに、ライフルを連射しながら急接近、 真っ直ぐに突っ込んでくるアリオーンに 正面からぶつかっていく。 「突撃戦でこのアリオーンに挑むか! その意気や、良し!!」 対するアリオーンも2挺のレイテルパラッシュを構え、 立て続けに発砲。 ワンダーのACS負荷を一気にレッドゾーンまで蓄積する。 「まだまだぁ!!」 レーザーレイピアが発振したタイミングを見切って ワンダーが2連グレネードを発射。 爆炎で視界を塞いだところに止めの パルスブレードで斬りかかる。 「全く、これだからランクなど当てにならんと言うのだ」 スタッガーに陥り動けないアリオーンだが、 そこに焦りは見られない。 ブレードがアリオーンを捉えんとするまさにその時。 遅れて飛来した散布型ミサイル群がワンダーを直撃。 二人仲良くスタッガーに陥ったアシュリーとシルヴィが 至近距離で睨み合う。 「これがアリーナだったら、もっと純粋に 勝負を楽しめたのかもね・・・!」 「待てぇい!貴様、誉なき引き撃ち戦法など言語道断! そこに直れ!指導だ、指導!!」 空中からパステル・キャノンボールを追うR e ガイダンス。 しかし地上を全速退避する軽量タンクには追いつくべくもない。 「ワイロで敵を買収しようとした奴がよく言うぜェ。 どうだ?お前の言う隠し資産の8割を こっちに寄越すなら、見逃してやってもいいんだぜェ?」 「なんだとぉ!?貴様、この私を愚弄するかァ!!」 逆鱗を的確に突く挑発で敵機の挙動が直線的になった 一瞬を狙い、フルチャージしたレーザーキャノンを発射。 それは過たずスウィンバーンを直撃したが、 同時にその瞬間には、R e ガイダンスも 反撃の一射を放っていた。 「っくゥ〜〜〜・・・やってくれんじゃねぇか、 ヨボヨボの落武者風情がよォ!」 足元を吹き飛ばす大型グレネードの一撃に足元を掬われた パステルキャノンボールも派手にスピンし、 勝負は仕切り直しだ。 残るひと組はガルブレイヴとヒバナ。 アジャイル・フェアリングをフル稼働させた高速機動で ラステッド・ファングを翻弄しているかに見える ヴァッシュだが、操縦桿を握る手には じっとりと汗が滲み、内心の緊張が見て取れる。 展開したタレットと両手のグレネードガンによる 猛攻を、最小限の動きで捌くヒバナからの反撃は 一切ないが・・・それこそが恐ろしいのだ。 敵機の武装は、高火力型リニアガン2挺を主軸に、 肩には拡散バズーカとパイルバンカー。 もしこれらの火力を一時に収束されれば、 確実にACS負荷は限界を超える、 そこにパイルバンカーを撃ち込まれれば・・・ 一瞬の油断で、勝敗は決する。 一瞬の隙も見せることなく、この腕利きを相手に 確実な命中弾を出してノーミスで勝負を決める。 まさに薄氷を踏むが如きギリギリの戦いだ。 「・・・ザイレム以来だな、ヴァスティアン・ヴァッシュ。 随分と腕を上げたじゃないか」 ボイスチェンジャー越しの、懐かしいその声は。 「・・・その声は・・あんたなのか!?」 薄氷を踏み抜くには十分だった。 一瞬の動揺を捉え至近に踏み込んだヒバナが 放つ拡散バズーカの一撃には、かつて干戈を交えた V.Ⅰ フロイトを思い起こさせる圧がある。 爆炎を貫き、リニアライフルのフルチャージショットが2連発。 瞬く間にACS負荷は限界に達し、 ガルブレイヴの機動がついに止まる。 「だが、まだ甘いな。もっともっと技を磨け。 守りたいものがあるなら。 果たしたい使命があるなら!」 ゼロ距離へと踏み込んだヒバナの左腕で、 パイルバンカーが爆炎を噴き上げる。 「言われなくったってなァ・・・!」 ガルブレイヴの全身のハッチが解放され、 ジェネレーターから迸るコーラル粒子が放射される。 「負けっぱなしじゃあ・・・いられねぇんだよッ!!」 コーラルアサルトアーマーが零距離で弾け、 ヒバナの攻勢を跳ね除ける。 間合いを取り直し、睨み合う両者に オープン回線で割り込むアシュリーからの通信。 「あっちゃぁ・・・?ヴァッシュ?? ちょっとマズいかもよ〜〜〜??」 いや、これはエセリアの言葉か。 「今ので、鉱山に走ってたコーラル支脈が刺激されたっぽい。 逆流が来るよ!さっさと逃げちゃいな!!」 疑念を挟む暇は無かった。 放出されたコーラルの煌めきが岩盤に達するや、 その奥に潜んでいたコーラルが一斉に深紅の 焔を噴き上げる。 「ったく、これじゃ全部ワヤじゃねぇかよォ!」 こういうとき、バジャーリガーの 逃げる判断の速さは一級品だった。 「えぇーーーっ!なにこれなにこれぇ!?」 浮き足立つシルヴィを、ファングの声が叱咤する。 「考えるのは後だ。とにかくここを離れるぞ!!」 言うが早いか、アサルトブーストを起動して 元来た道を引き返すヒバナを、ワンダーも追う。 「ちょっとぉ!置いてかないでよぉ!!」 ガルブレイヴ、アリオーンもこれに続く中、 最後に残されたRe ガイダンスだけが 未練がましく廃坑の奥を見つめていたが・・・ 「おああああああーーーっっっ!? わ、私がコツコツと貯めてきた資産がぁああああっ!!!」 それも、鉱山の奥から溢れ出すコーラルの怒涛を 前にしては観念せざるを得なかった。 ─── エセリアの警告が無ければ、逃げ遅れていたかもしれない。 一瞬の逡巡が明暗を分けかねない、際どい脱出劇であった。 それでもどうにか、6機のACは鉱山から脱出し、 コーラル逆流の惨禍を免れることができた。 「ちょいと肩透かしな結末だったが・・・ あんたと潰し合いにならなくてよかったよ」 「それは同感だな。次はぜひ、味方として肩を並べたいもんだ」 奪い合うべき標的を失い、和やかに語らう ヴァッシュとファングをよそに。 「うう・・・あんまりだ・・・ 裏帳簿をこさえ、資材を横流しし、業者にリベートを送り、 来る日も来る日も、少しづつ少しづつ、貯めに貯めて ようやくここまできたというのに・・・!!」 スウィンバーンは、頭を抱えてうずくまる。 「それは・・・こうなって然るべきなんじゃないかな」 呆れ気味のシルヴィがぽつりと呟いた。 関連項目 アッシュガル グレイクレイン ラステッド・ファング シルヴィ バジャーリガー 投稿者 堕魅闇666世
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2242.html
※虐待されないゆっくりが居ます ※虐待と言うよりは虐殺かもしれません ※俺設定入ってます ※東方キャラがほんのちょっとだけ出てます <<ふつうとちょっとだけちがうゆっくりさくやのおはなし>> ゆっくりさくやというゆっくりがいる。 銀髪にまるでメイドのようなカチューシャの形をした飾りを持つゆっくりだ。 数はあまり多くないらしく中々見かける機会は少なかったのだが、とある事情により我が家で飼うことができるようになった。 これは、普通とほんの少しだけ違うゆっくりさくやと俺のある日の出来事である。 「だんなさま、あさですわ! ゆっくりおきてください!」 ある日の朝。いつものようにさくやに起こされた。さくやはいつも俺より先に起きる。一度さくやが寝るまで待ってみようとした事もあったが、 さくやも寝ずに根競べになって三日三晩寝ずにすごしてダブルノックダウンとなってからは諦めた。 このさくやは元々湖の向こうにある紅魔館という所で飼われていたゆっくりで、里に行商に行った際に会ったそこに住む赤い髪の悪魔さんから譲り受けた。 なんでも屋敷にいたほかのゆっくりと問題を起こして屋敷に置けなくなったが、捨てるには忍びないので誰かに譲りたかったらしい。 何で縁もゆかりもない俺かと疑問に思ったものだが、間違っても屋敷に来ないような人なら誰でも良かったらしい。 まあ、信用してもらえたのなら有難い事だ。出来るならば俺の露店の商品を買ったり胸触らせてくれたりしたらもっと良かったが。 しかしまあ、そこでの教育の成果なのだろう、このさくやは、人間の俺から見ても非常に優秀でそつがない。 こいつ本当にゆっくりなのか? そう思わせるほどに見知ったゆっくりの印象と違う。 まず控えめであり、人間(俺)を立て、ぎゃあぎゃあと騒ぐ事もない。家に侵入したゆっくりを仕留めておやつに出してくれるくらいだ。 逆にちゃんと戸締りをしてくれと注意もされた。それなら何故追い出されたのだろう、と思うが、妖怪の考えることは分からん。 恐らくこの性格からお嬢さまの機嫌でも損ねたのだろう。 「あいよ。しかしお前ほんとゆっくりしてないよなぁ」 「だいのゆっくりをえるためにはしょうのゆっくりはすてるのがしんのゆっくりですわ!」 ……さいですか。本当はゆっくりに姿を変えた向こうのメイドさんじゃねえのかお前。 寝床からのそのそと這い出て居間へと向かう。まずは飯を食わねば仕事も出来ない。 「さて、作業に入るか。さくや、外で遊んできていいぞ?」 俺は木を使った細工物を作る職人だ。作ったものを露店で売ったりもするが、オーダーメイド物のほうが売り上げはいい。 家庭でゆっくりを飼う事が多くなってからは。ゆっくり用のおもちゃやゆっくりが好む棲家用の家具も作っている。 そういった物を扱う店からの注文が一番多いが、まあ蛇足だろう。 さくやに手伝える事はあまりないのでそう言うと、さくやはこっちに向かって跳ねてきた。 そういえば、コイツに頼まれて作ったものがあったな…… 「だんなさま! おねがいしていたものはできました?」 「おう。出来てるけど他の家のゆっくりに向けて使うんじゃないぞ? 危ないからな」 そう言って出したのは木でできた小さなナイフ。ゆっくりが口に咥えて丁度いい、と言うくらいの大きさで、先端に重りが仕込んである。 ゆっくり種は大抵幻想郷の英雄や妖怪に似た顔を持ち、オリジナル(実際は違うらしいが便宜上そう呼ぶ)が持つ物を持ちたがる傾向にある。 例えばみょん種なら木の枝(刀のように使うらしい。飼いゆっくりでは木刀や小刀を持ちたがるとか。)、 ぱちゅりー種なら本(文字を書いた紙切れなら何でもいいらしい)等。 コイツの場合、オリジナルのメイドさんのように投げナイフを欲しがった。流石に刃物は危ないのでこうして木を削ったものを与えているが。 実際腕はたいしたもので、飛んでいる胴なしのきめぇ丸を仕留めた事もある。 「そんなばかなまねはしませんわ! ぷんぷん!」 心外だ、とばかりに膨れるさくや。こういうときばかりはこいつもゆっくりらしいなぁ、と思うので、ついついからかってしまうのだ。 「はは、悪い悪い。ほらよ」 与えてやると喜んで髪の下にしまい込む。前に見せてもらったが、まりさ種のように帽子がないためずり落ちないように工夫している。 その時はよく考えたものだなぁ、と感心したものだ。 「それではだんなさま、おひるにはもどりますわ! きょうのおやつはなにがいいですか?」 「あー、そうだな。ここ暫く餡子だったしそれ以外が食いたいな。まりさとれいむ以外だったら何でも良いや。 でもゆかりんだけは勘弁な」 「かしこまりましたわ!」 開けっ放しの戸から出て行くさくや。近所で飼っているゆっくり達と遊んだ帰りに野良を狩って来てその日のおやつにする、 というコースがいつもの流れで、多いときは4・5匹狩ってくることもある。その際にナイフを使うので、それなりに消耗が激しい。 まあ端切れの木材で作れるし甘味は得られるしで収支としては大いにプラスだ。 さくやも俺が喜んでくれるのが嬉しいらしく、嬉々として狩っている。楽しそうで何よりだが、 たまに怪我をして帰ってくるのであまり熱を上げすぎないようにとは言ってある。 狩って来たゆっくりは適度に恐怖を与えてある為美味いが、さくやが死んでは元も子もないのだ。 そして正午。ゆっくりが跳ねる音がするのでさくやが帰ってきたと思ったが、縁側に上がってきたのは違うゆっくりだった。 狐のような耳と9本の尻尾が生えたゆっくりと、猫のような耳と2本の尻尾が生えたゆっくり。 ゆっくりらんとゆっくりちぇんだ。何やら追われているようで、しきりに後ろを向いて酷く怯えた様子で震えている。 「どうしたんだお前ら。ここは俺の家だぞ?」 「わ、わかるよー! でもおわれてるんだよー! わかってねー!」 「何に追われてるんだ?」 と聞くと今度はらんが、 「と、とってもゆっくりできてないゆっくりだよ! ゆっくりたすけてね!」 「まー、良いけど。取り合えず中に入っておけ。そこだと見つかるんじゃないのか?」 手招きすると凄い勢いで跳ねてきて膝に乗った。まだ恐いのかガタガタと歯を鳴らしながら震えている。 そうしていると、少ししてまたゆっくりが跳ねてくる音がした。目を向けると、そこにはうちのさくやがいた。 らんたちの震えが一層酷くなる。なるほど、そういうことか。 「おい、あのさくやがお前達を追いかけてたゆっくりか?」 「そ、そうだよー! あのさくやがいきなりおいかけてきたんだよー! わかってねー!」 「にんげんさん、はやくあいつをやっつけてね! やっつけてくれたらおとなしくでていくよ!」 どうやら俺とさくやの関係は知らないらしい。俺はそんな2匹の頭を掴み、軽く持ち上げながらさくやに聞く。 「こいつらが今日のか?」 びくりと手の中の2匹が硬直する。どうやら俺とさくやの関係を理解したらしい。 「はい、だんなさま。たまにはいきのいいゆっくりでもとおもいまして」 2匹が激しく震えだす。俺は手をさくやの方に向ける。丁度、2匹の底面がさくやに向けられる形になる。 たまにはおやつの前にちょっとしたショーでも見ることにしよう。 「さくや、真ん中に当てろ」 「かしこまりましたわ!」 言うが早いか、さくやの姿が軽くぶれる。直後、2匹が「ゆぎぎっ!?」と悲鳴を上げる。 2匹の底面には俺がさっき渡してやったナイフが刺さっていた。丁度底面の中央、相変わらずいい腕をしている。 「よし、よくできた。後でごほうびをやろう」 さくやに笑いかけて、ナイフが刺さったままの2匹を天地逆にして床に置く。 ゆっくりは底面を動かして跳ねたり這ったりするため、底が損傷したり逆さにされると動けなくなる。 ナイフは刺さったままの為、迂闊にひっくり返ろうものなら深く刺さって悪ければ即死だろう。 俺は動けないようにした後囲炉裏に薪を放り込んで火をつけた。どちらかといえば、俺は焼き饅頭の方が好きなのだ。 それに底と口を焼いておけば、ナイフを抜いた後でも動けないし、食べる時に叫ばれなくて済む。 火を熾していると、背後でまた悲鳴が上がった。振り返ると、さくやが2匹の顎からナイフを貫通させて口を縫いとめていた。 そこまでしなくても良いのになぁ、と苦笑する俺の前で、薪がぱちぱちと燃え始めていた。 「さて、さくや。今日はご苦労さん。昼に言ってたごほうびだぞ」 夜。良い月がでているので、月見酒としゃれ込もうと縁側に出ていた。 俺とさくやの間にはさらに盛られた、いかにも美味そうな饅頭。この間寺子屋に顔を出した時にガキの時分世話になった慧音先生に会ったので、 髪飾りを差し上げたらお礼にと貰ったのだ。先生、できれば今度その胸にある2つの饅頭を揉ませてください。 ちなみにいうと、ゆっくりではない。ちゃんと材料の段階から吟味して丹精こめて作られた高級品だそうだ。 「おいしそうですわ!」 眼に見えて喜ぶさくや。やはりゆっくりなのか、甘いものには目がないようだ。 俺が饅頭を手に取ると、口をつけるのを確認してから時分も取って食べ始める。 本当、できたゆっくりだよお前は。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ……!」 目尻に涙を浮かべながら心底幸せそうな顔をする。いわゆる「へぶんじょうたい!」と言う奴だろうか。 そのいつもは見せない愛らしさに俺自身も「へぶんじょうたい!」となっていた所に水を差すかのように、 ぱたぱたと言う羽音が聞こえてきた。 「うー! うー! なんかいいにおいがするどぉ~?」 庭に下りてきたのはゆっくりれみりゃ。しかも胴付きだ。 捕食種として有名で、狩人の家では飼われることも多いれみりゃだが、胴付きはあまり好かれる事はない。 赤ん坊の頃からしっかりと教育された物ならともかく、野良の胴付きは図々しい個体が多いのだ。 胴なしは飛び回りこそすれ、多少我侭だが飼う際は他のゆっくりと余り大差はない。 だが、胴付きの固体は手足があり戦闘力が(ゆっくりにしては)非常に上がる反面、 慢心する事が多く常の生意気なゆっくり以上に自分を過信しすぎる。つまり非常に身の程知らずなのだ。 暫く辺りを見回していたれみりゃだが、どうやら俺や饅頭に気付いたようだ。 あのゆっくり独特のふてぶてしい笑みを浮かべ、こちらに向かって歩いてくる。 「おいしそうなあまあまがあるんだどぅ~。こーまかんのえれがんとなおぜうさまがたべてあげるからそれをよこすんだどぉ~?」 「だが断る」 そういってさっと家の中に皿を滑らせる。そして面食らったようなれみりゃに、畳み掛けるようにまくし立てた。 「俺の趣味は木で細工物を作る事ともうひとつ、自信満々に要求してくるゆっくりの要求を却下する事だ。 というか人の物が欲しいなら『寄越せ』はないだろ。『ください』だろ普通。まあくださいといってもやるつもりはないが」 言い放ってやると、れみりゃはぽかんとした後遅れて顔を真っ赤に染めて地団太を踏んだ。 そしてさくやがいるのに気付くと、俺を指差して大声で怒鳴り散らした。 「さくやー! そのあまあまをもってきてれみりゃによこすんだどぉー! そしてそいつをしょけいするんだどぉー! おぜうさまのめいれいだどぉー!」 れみりゃ種とさくや種の間には、オリジナルの様にさくやがれみりゃに奉仕するという奇妙な共生関係を築く場合がある。 初対面同士であってもそうらしいが、本能にそういうものだと刻まれているのだろうか。 しかしさくやは返事をしない。正直、素直に言う事を聞いてしまうのではないかと危惧したが、流石は元紅魔館のゆっくり。 その辺りの教育もしっかりしているようだ。 「…………」 さくやの顔は俯いていて良く見えない。心なしか震えているように見える。 本能が「れみりゃに奉仕せよ」と言っているのに抵抗しているのだろうか? だが、それは、間違いだと俺は気付かされた。さくやがなぜ紅魔館から追い出されたのかと言う理由を知ると共に。 「ざくやぁー! なぁにをじでるんだどぉ! ざっざとあまあまをもっでぐるんだどぉ!」 ゆでだこの様に真っ赤になって怒鳴り散らすれみりゃ。しかしさくやは動かない。 そして震えは良く見ずとも確認できる程に大きくなっていき、それが頂点に達した時、 まるで今日の昼と同じように、さくやの姿がぶれた。 「いぎゃぁぁぁぁぁっ!? でびりゃのぶりぢーなおべべがいだいんだどぉー!?」 れみりゃの悲鳴にそちらを向くと、れみりゃの両目にナイフが突き刺さっていた。そう、俺がさくやに作ってやったあのナイフだ。 れみりゃはそれを抜こうとするが、目測を誤りさらにナイフを押し込んでしまう。たまらず転倒し悶えるが、 さくやの動きがれみりゃが地面に倒れるよりも早かった。目にも留まらぬ速さでれみりゃに体当たりをすると、 胴体にストンピングをかました後、新しく取り出したナイフで四肢を縫いとめたのだ。 そして再度ナイフを取り出すと、今度は胴体に向けそれを突き刺し、引き抜き、それを何度も繰り返す。 「ふざっ! けるなっ! おまえのようなっ! くそまんじゅうがっ! おぜうさまでっ! あるものかっ! わたしのっ! おぜうさまは! れみりあさまっ! ただひとりっ! おまえのようなっ! できそこないがっ! かるがるしくっ! そのなまえをっ! かたるなぁっ! しねっ! しんでしまえっ! おまえのようなっ! ごみくずはっ! ゆっくりっ! しないでっ! さっさとっ! しねぇぇぇっ!」 突き刺し、抜き、また別の場所に突き刺し、抜く。 胴体に突き刺す場所がなくなれば今度は四肢、四肢に刺す場所がなくなれば今度は頭。 れみりゃ種は高い再生力を持つが、今回はそれが裏目に出た。他の場所を刺す間にその傷が治れば、 今度は治った場所から順に刺されていく。さくやの突然の狂乱は、それから暫くして れみりゃがゆっくりともいえないようなミンチに成り果てて動かなくなってから、ようやく終わった。 「はぁっ、はぁっ、おもい、しったか、くそ、まんじゅうめ……!」 「落ち着け、さくや。もう死んでる」 息を荒げ、なおもれみりゃに突き刺そうとするさくやを抱え上げ、抱きしめる。 抱き上げられる事で我に返ったのか、さくやはふるふると震えだした。袖が暖かい液体で濡れる感覚は、さくやが泣いているからだろうか。 「どうしたんだよいきなり。お前らしくもない」 「だ、だんな、さま……」 「取り合えず、洗ってやるよ。話はその後だ。今のお前、肉汁で凄いことなってるぞ?」 さくやの身体は、れみりゃの肉汁でぎとぎとになっていた。人間でいうなら、返り血で真っ赤に染まっているというところだろうか。 震えながらぽろぽろと泣くさくやを抱えながら、俺は風呂場へと向かった。 それから、暫く後。俺は居間でさくやの身の上話を聞いていた。 自分は生まれも育ちも紅魔館であること。自分は紅魔館の主、レミリア=スカーレットが戯れに手ずから育てたゆっくりであること。 主の事が大好きで、紅魔館を追い出された事も恨んではいないこと。そして、自分が紅魔館を追い出される事になった原因を。 「わたしは、おぜうさまがだいすきでした……こんなあるじにそだてられて、わたしはげんそうきょういちのしあわせものだともおもいました。 だから、ゆるせなかったんです、れみりゃが。あんな、おぜうさまをぶじょくするようなそんざいが……」 ゆっくりの多くは生意気で身の程を知らず、オリジナルにすら歯向かって殺される事もあるという。 ゆっくりアリスのレイパー種など、オリジナルからすれば皆殺しにしたくなるであろうものもいる。 さくやは、主の事を本当に慕っていた。忠義に篤い、ゆっくりらしからぬゆっくりなのだろう。 だから、れみりゃが許せなかった。オリジナルが飼っているれみりゃにすら牙を剥いて、殺してしまった。 それでやむなく紅魔館から出される事になったのだと言う。殺されなかったのは、せめてもの温情だったのだろう。 「そうか……まあ、気持ちは分かるよ。俺も生意気なゆっくりは腹立つし。 でもまあ、何事も程々が肝心だ。抑えるところを抑えるのも、瀟洒なメイドって奴だと思うぞ」 「はい……」 「俺は別にさ、それを知ったからってお前を追い出そうとかそういうのはないんだよ。 むしろ、嬉しいくらいだ。お前が腹の底までさらけ出してくれてさ。 だからさ……もっと抑えるところは抑えて、立派なメイドになれよ。 オリジナルが嫉妬するくらいに凄いメイドにさ」 「だんなさまぁ……っ!」 さくやが胸に飛び込んでくる。そういえば、こいつが自分からこうしてくるのは初めてだな…… 俺はそんな事を思いながら、声を上げて泣くさくやを抱きしめていた。 ―――――――――――――――――――――――― あとがき どうも、初めまして。95スレ 754です。 前々から書いてみようか、とは考えてたんですが、いまいちネタが浮かばずに居たところに 95スレ 750の人の一言にインスピレーションを得て書いてみました。 れみりゃ虐待SSというよりは、さくやメインのSSになってしまった感がありますが。 れみりゃを溺愛する咲夜さんというのが先達の方々のSSでよく見かけたので、 逆にさくやを育てるレミリア様がいてもいいのではないかと思いまして。 そして、そんな主に育てられたさくやは果たしてれみりゃを「おぜうさま」として認識できるのか?とも。 自分は「オリジナルをに愛されて育った後にゆっくりを見ても、主のまがい物にしか見えないのでは」という見解に至りました。 オリジナルに会った事がないさくやなら別なんでしょうけれど。 今回出てきたさくやは主に対する忠誠心が高すぎたさくや、と言う感じです。もはや狂信の域に達してるなぁこれ。 しかし、まだまだ虐待の仕方が甘いですね。虐待というより虐殺ですし。精進せねば。 今度はタカアキさんのやつのような、道具というか機械や虐待する為のものにゆっくりを放り込んで~みたいな物も書いてみたいです。 あと、一言だけ。今回はれみりゃを虐待しよう! ということでこういう感じになりましたが、 別にれみりゃが嫌いじゃないんです、俺。それだけですが。 最後に予想されるであろう質問に対するQ&A。 Q・なんで木工細工の職人なん? A・ナイフを作って与える都合上。深い意味は無いです。 Q・さくや速過ぎ。 A・紅魔館の英才教育マジパネエ。 Q・おっぱい揉みたがるなんて変態じゃねえか。 A・多感な時期に目の前にあんなものぶら下げられたらそりゃおっぱい星人に育とうというものです。 以上。 書いたもの ふつうとちょっとだけちがうゆっくりさくやのおはなし
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/8081.html
342: 奥羽人 :2022/07/24(日) 21 48 30 HOST sp49-98-167-247.msd.spmode.ne.jp 近似世界 1940年9月末 とある広い一室に置かれた円卓。 そこに着席するのは、この日本に住まう人間の中でも有力な者ばかりだ。 「……それではこれより定例会議を始める」 夢幻会。 彼らは全てがその会の有力なメンバーであり、尚且つ、とある目的の為に集まる仲間……つまり派閥である。 「さて……まずは皆に紹介しておこう」 そして今現在、この円卓の椅子に座っている者達こそが、その派閥の主要メンバーであった。 「彼は帝国総合商社の者で、今回の交渉の纏め役を担って貰っている」 そう言って、一人の男が隣に立つ男を手で示す。 「以後、宜しくお願い致します」 丁寧に頭を下げるその男は、如何にも仕事が出来そうな風貌で、スーツ姿も実に様になっている。 「では早速だが……説明を頼む」 「はい」 進行役らしき男の合図を受け、男が口を開く。 「ご存知の通り、今回我々がこうして集まった理由は他でもありません。我ら帝国総合商社とハーランド氏の間で締結される予定の協定についてです」 その言葉を聞き、その場の雰囲気が少しだけ張り詰める。それも当然だろう。何せこれから話し合われる内容こそ、彼らにとって(今のところ)最も重要な議題なのだから。 「既にハーランド氏との話し合いには私も参加させて頂きましたが……」 そこで一度言葉を区切り、全員の顔を見渡す様に視線を動かす。 「結論を申し上げますと……………… …………交渉は成功しました。ハーランド氏は日本国内での活動に意欲的な姿勢を見せております」 瞬間、室内にどよめきが広がる。 それはそうだ。何しろ難航すると思われていた交渉が、たった一日足らずで纏まったと言うのだから。 「……ふむ。どうやら我々の予想以上に事は上手く運んでくれたようだな」 「えぇ、お陰様で。ハーランド氏は……人格に少々難はありましたが……元々事業拡大に意欲的であったようで、皆様方の“出資”が彼の心に届いたとのことです」 「成程。ならばこちらとしても、より一層協力しやすくなるというものだ」 満足げに呟くメンバー。 「しかし、本当に大丈夫なのか? あの国は我が国とは文化も違えば価値観も異なる。そんな状況で無理に事業を展開しても、損失が膨らんでしまうのではないか。事実、史実での一号店はほぼ失敗に終わっている」 そう口にしたのは、先ほどの人物の隣に座っていたメンバーだ。 この中で一番の古株である。 343: 奥羽人 :2022/07/24(日) 21 49 55 HOST sp49-98-167-247.msd.spmode.ne.jp 「その点に関しては問題ないかと思われます。確かに価値観の差異はありますが……我々の活動によって、舶来品を受け入れる土壌は確実に育っております。更に言いますと、史実での失敗は当時の経営者の資質によるものが大きく……ハーランド氏が直接指揮している間は問題無いと予想されています」 「ほう……。随分と言い切るのだな」 自信満々に答える男を見て、古株の男はフッと笑みを浮かべた。 「そうか。ならばこれ以上は何も言うまい」 それだけを言い残し、再び椅子に深く腰掛ける。 すると他の面子も納得したのか、それ以上何かを言う事は無かった。 「では続きまして、本題に入りたいと思います……例のモノを!」 男の声に合わせ、後ろに控えていた者が台車を押して前に出す。 そこには、クローシュ(金属製の半球状の蓋)が被せられた皿が、人数分載せられていた。 その皿達が一つづつ、メンバーの前に提供される。 「これが……?」 「はい。事業展開の打ち合わせの為に来日しているハーランド氏が、出資者達にと」 「おぉ……」 目の前に置かれた皿を覗き込みながら、メンバーが感嘆の声を上げる。 「では早速、頂かせて貰おうではないか」 「あぁ」 そしてリーダー格の男の言葉を皮切りに、一斉にクローシュが開かれた。 そこから姿を現したのは……なんとも食欲を刺激する匂いを放つ、香ばしい香りの衣に包まれたチキンだった。 それは、まるで今し方揚げられたかのように艶やかで、見ているだけで唾液腺を刺激してくる。 そして、クローシュが解放された瞬間から、匂いはより一層強くなって鼻腔をくすぐっていた。 その油と肉と、いくつかのスパイスがブレンドされた薫りは、早く食べろと急かしてきているようにさえ感じるほどだ。 「これは……素晴らしい出来栄えですね」 「あぁ。見た目だけでなく、味の方も期待できそうだ」 そのチキンを見た瞬間、その場に居た全員がゴクリと喉を鳴らす。 「では、失礼して……」 「うむ」 最初に手を伸ばしたのは、やはりと言うべきか、この場のリーダーを務める男だ。 彼はそのままチキンを手に取り、ゆっくりと口元へと運ぶ。 そして―――パキッ! 小気味の良い音を立て、チキンが噛み切られる。 その途端、口の中に広がるジューシーな肉汁。 「……美味い」 「えぇ、非常に」 他のメンバーも、次々に口へ運び始める。 その表情は、どれも満足げなものばかりだ。 「これですよ……これです……!」 「あぁ。実に………………良い」 「流石は…………」 口々に賞賛の言葉を述べる。 そして誰もが心の底から思うのだ。 ―――また、あの店に行ってみたい、と。 344: 奥羽人 :2022/07/24(日) 21 50 52 HOST sp49-98-167-247.msd.spmode.ne.jp ハーランド・サンダース 別名ケンタッキー・カーネル………… …………【カーネル・サンダース】 これだけで、もう詳しい説明は不要だろう。 史実における、世界的なフライドチキンチェーンの創始者である。 「転生・憑依」を経てこの世界にやって来た無幻会のメンバーにとって、故郷である史実世界の思い出。 それをもう一度堪能したい、そう思うのは不自然ではないだろう。 特に、“一回目”で敢えなくアメリカを崩壊させてしまった所の面々は、よりその想いが強い。 しかし、その手の飲食チェーンの製法というのは基本的に企業秘密であり、いくら前世の知識を持ち、文明を進め、世界を影で操る夢幻会だとしてもどうにかできるような事ではなかった。 “秘密のレシピ”が入った金庫の中身を知る者が転生してくる、などというピンポイントな幸運は望むべくもない。 故に、彼らは自らの力を使い、早期の輸入を志した。 夢幻会の有志を集め活動資金を募り、商社をフロント企業として世界中(特にアメリカ)へと飛び、そこで将来の“才気ある者達”に目を付け………… そういった者達がポケットマネーを出し合い、帝国総合商社を窓口にしてハーランド・サンダースにラブコールを送った結果が、彼のフライドチキンの日本上陸なのである。 彼は史実通り、今年の7月に「11種のハーブとスパイスからなるオリジナルレシピ」を発明しており、その味は、まさしく彼ら夢幻会メンバーの記憶の中のそれを思い出させるモノであった。 彼らは皆、それに夢中になった。 それはまるで、心の飢えまでをも満たす様に。 だがしかし、いくら食べても飽きない様な……そんな中毒性すら感じてしまう程の、極上の心地であった。 ────── 少しの後 「おや、もう始めていましたか」 円卓の間に一人の男が入室してくる。それはスーツ姿の初老の男性で、片手には書類鞄を抱えていた。 「随分と遅かったですね」 入ってきた男に対し、一人の男が声をかける。 「えぇ、今戦争のことで新たな情報が」 「何かあったのか?」 男が口にした言葉を聞き、部屋の空気が僅かにざわつく。それも当然だろう。何せ現在は、まさに第二次世界大戦真っ最中なのだから。 そうして部屋中の意識を集めた後で、その男はようやく口を開く。 「そうですね…………中華民国軍が香港とマカオを占領、その勢いで南明と武力衝突が始まった話と……ダカール沖で仏戦艦リシュリューが英艦隊を叩きのめした末に対英宣戦した話の、どちらから聞きたいです?」 345: 奥羽人 :2022/07/24(日) 21 52 55 HOST sp49-98-167-247.msd.spmode.ne.jp 今回は以上となります
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4768.html
※何気にシリーズものだったりする ※でも、過去作は見なくても無問題 中学校で教職員やりながら剣道部顧問をやっていると色んなガキ共に出会う 暴力事件を起こす奴もいれば、高校でインターハイ準優勝なんてしてしまう逸材もいた モンスターペアレントの保護者に殴り込みをかけられて辟易した事だってある それはさて置き、目覚まし時計のメアリーにたたき起こされた俺はいつも通り6時半に電車に飛び乗り、7時には学校に到着した 俺がこんなに朝早くから学校に向かうのは剣道部の朝練のためで、もはや日課になっているのでなんら苦痛ではない ここまでは良い。要するにいつも通りの平凡な朝の風景だからな 「うーっ!おじさん、れみぃにけんどうおしえてほしぃどー!」 何故か学校の正門前で物陰に隠れていたゆっくりれみりゃに剣道を教えてほしいと言われた さすがの俺も、こんな経験は初めてだった もちろん、今までにそんな話を聞いた事だってない さて、どうしたものか・・・ 「・・・まあ、いいか。ただし、教わる限りは真剣にやること!いいな?」 「うっうーっ!ゆっくりりかいしたど~♪」 俺の返事を聞いたれみりゃは両手を頬にぴたっとくっ付けるとしなを作る その後、両手を天に掲げると腰を振りながらうーうー歌い始め、一向に道場に向かう気配を見せない 痺れを切らした俺は踊り続けているれみりゃに背を向け、さっさと道場へ急いだ 「うぅ?れみぃのおれいのだんすをみないの~?」 「・・・それ、お礼のつもりだったのか」 やっぱりゆっくりの考えることは良く分からん 「いいか、これが竹刀で、これが防具だ」 「うーっ!そんなことよりはやくおしえてほしいんだど~♪」 「そんなこととか言わないっ!」 防具を放り投げて竹刀を掴んだれみりゃの手を素早く打ち据える すると、れみりゃは「うぎゃ!?」と短く悲鳴を上げて竹刀をぽとりと落とした 「うあ゛あ゛ああ゛あああ!いだいどおおおお!?」 「防具を甘く見るとこうなる。わかったな?」 「いだい゛いいい゛!?ざぐやああああ!ざぐやああああ!?」 「やかましいっ!」 今度は面打ち 軽快な音と衝撃の効果で一瞬泣き止むが、れみりゃは再び泣き顔になる 何となく『となりのト○ロ』のさつきの泣くシーンを髣髴とさせるものがある あれ、映画館で見たときは正直リアルすぎて引いたんだ・・・ 「やかましいっ!!」 「うぎゃん!?う、あ゛うー!いだぃぎゃ!?」 「しゃらっぷ!!」 どうやら全然学習しないらしく、一向に泣き止む気配を見せない 痛みで教えるなんて時代遅れの方法は流石にゆっくり相手でも無理だったか? 「なあ、れみりゃ?」 「うあ゛あああ゛あああ!?いだいいい!ざぐや゛ああああ!?」 「泣き止んでくれないか?」 「ざぐや゛ああああああ!?あのおぢざんがいぢべるどおおおお!?」 「おーい、れみりゃ?」 「お、おばえなんが・・・ざぐやにやっづげあれぢゃえええええ!?」 「無理だ!これ以上は近所迷惑だ!喝っ!」 「うぎょべ!?」 と言う訳で、れみりゃが泣くことすらも叶わなくなるまで叩き続けることにした 教育者として正直どうかとは思ったが、まあ仕方ないだろう 「さて、ようやく泣き止んだ所悪いが早速防具をつけてもらうぞ?」 「うぅ・・・でびりゃのぶりぢーなあだまがぁ・・・」 「・・・・・・話を聞いてるか?」 「は゛、はい゛いぃぃ゛ぃ!?ぎ、ぎぃでまずぅぅぅうぅ!」 どうやら散々引っぱたいたのが効いたらしく、れみりゃは俺の言葉に即座に反応した もっとの、想像を絶する恐怖に震え、双眸からは恐怖のあまりに涙が零れ落ちているが まあ、瑣末なことだろう。気にするほどのことでもない 「さあ、面は超大顔面用!篭手と胴は一番小さいサイズを用意してやったぞ!袴は・・・別にいらんだろ」 「うぅ・・・もうげんどーは・・・」 「今更剣道嫌とか抜かしたら脳天かち割るからな?」 「うぅ・・・ぼーぐをゆっくりづげるどぉ・・・」 「待て待て。流石に初心者が自力で防具を着けられる訳が無いだろう」 と言う訳で、俺が手際良くれみりゃに防具を装着させてやる 何故か凄まじい表情を浮かべたまま大人しくしているのでこの作業が案外楽で助かった 「さて、最後は面だな」 「・・・・・・」 と、れみりゃに面をつけつつ、いきなりゆっくりに関する豆知識を披露したい もっとも、この時点では知らなかったことで、後で朝練にやってきた部長に教えられて初めて知ったことなんだが ゆっくりってさ、全身が嗅覚で、人間よりもずっと敏感らしい で、更に話が逸れてしまって申し訳ないんだが、剣道の防具って物凄く臭いんだよな 剣道を始めたばかりの頃部室に入った瞬間異臭騒ぎで警察呼んで先輩に殴られたことがあるくらい臭い 一体、何であんなに臭いんだろうな 「うあ゛あ゛あ゛あああ゛あああぁあ゛!!?」 そんな訳で、れみりゃは気が狂ったかのように叫びながらぶんぶん竹刀を振り回し始めた しかも、そのまま俺めがけて思いっきり突っ込んでくる 今にして思えば異臭で正気を失ってしまっていたんだろうが、その時俺はれみりゃのやる気の表れだと勘違いしてしまったんだ 「しかしゆっくりしすぎだ!篭手っ!!」 「うあ゛ああ゛あああ゛あああ゛あ゛!?うるざいどおおおおお!?」 「いやあ、お前のが五月蝿い!胴っ!!」 「うっぎゃああああああ!?」 ここでまたゆっくりトリビアで申し訳ないんだが、ゆっくりって全身聴覚でもあるらしい しかも、大きな音で鼓膜もとい皮が破れることはないんだろうが、最悪大きな音で苦痛を感じることもあるとか そして、面に綺麗な打ち込みをもらうと分かると思うが、あの時の音は結構な音量だったりする 俺達人間には分からないんだろうけど、胴や篭手のときも似たような状況になっているんだろうな・・・ 「うあ゛ああ゛ああっあ゛あああ゛あ゛!?」 「だからそんなデタラメな打ち込みじゃ無駄だっての、面っ!!」 つまり、今れみりゃは素人の蛮勇で俺に挑んできているように見えるがその実態はもがき苦しんでいるだけ にもかかわらず、俺がそのことに気づかないので延々と轟音と異臭と苦痛に苛まれる かと言って、痛みに耐え切れずにうずくまろうものならがら空きになった背中に竹刀による一喝が飛んでくる 「竹刀を持っているときにうずくまるな!」 「ぼうやだど・・・うぎゃぴぃっ!?」 「竹刀を放り投げるな!」 こんな調子でれみりゃの初めての剣道体験は件の部長がやってくるまで続いた 「へぇ、あのれみりゃ。お前のペットなのか」 「ペットじゃなくて友達です」 「何にせよ、あのれみりゃはお前に構って欲しくて剣道を教わりに来たんだな」 「みたいです。ちょっと感動しちゃいますよね・・・と言う訳で、れみちゃん!」 彼女は長い白髪を揺らしながら竹刀を手に勢い良く立ち上がると、あのれみりゃに半ば強引に防具を装着し、道場の真ん中へと引きずっていく それから、れみりゃの竹刀を悠々とかわしながら軽く屈伸を済ませ、更に防具を着けると「今度は私が稽古をつけてあげるね!」とれみりゃの面を引っぱたいた ちなみに、彼女は辻斬り属性持ちと恐れられるほどに試合形式になると過激になり、練習内容も恐ろしくハードになる 「うあ゛ああ゛あ゛あっああ゛あ!?」 「遅い!面っ!!寝転がらない!破っ!!竹刀を投げない!篭手っ!!」 「ぼうやだああああ!でびぃ、ごーまがうぎゃっ!?」 「敵前逃亡は死と同義!突っ!!」 分間20回以上もの打ち込みを食らって、よだれや肉汁や涙を撒き散らしつつのた打ち回るれみりゃを眺めながら呟いた 「・・・ご愁傷様」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 2代目が誕生したよ! 『ゆっくりいじめ系2897 ゆっくりボール』の作者さんだよ! 皆、ゆっくり沢山可愛がってあげてね!・・・主に性的な意味で それはさて置き、高校時代剣道部に可愛い先輩が居たんだよ 美人とか格好いいじゃなくて可愛い、ね しかもかなり強い先輩だった 私は勇気を振り絞ってこんなお願いをしてみたんだ・・・ 「先輩!先輩の防具の匂いを嗅がせてください!」 困惑しつつも了承してくれた彼女の防具の匂いは・・・普通に臭かった、んほぉ byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/83452/pages/9141.html
律梓「くわずぎらい!」 律「梓~くわずぎらいやろうぜ!」 梓「とんねるずのやつですか?」 律「そうそう!やろうぜ!」 梓「…練習は」 律「いいから~」 梓「…仕方ないですね」 律「じゃあ好きな料理三品と嫌いな料理三品きめるんだ!」 「あたしはこれだぜ!」 ハンバーグ 生春巻き 豚骨ラーメン オニオンサラダ 梓「…じゃああたしは」 オムライス つくねやきとり レアチーズケーキ ビシソワーズ(じゃがいも冷静スープ) 律「じゃあ実食だぜ!」 梓(律先輩たべたいだけなんじゃ…) 実食! 律のターン 梓「…それじゃあ」(ここは軽めのもので様子見…でもこれは好き嫌いわかれるぞ!) 「生春巻きで!」 律「…そうくるのは予想済みだよあずさぁ!」バンッ 梓「にゃあっ!」ビクッ 律「…中身は挽き肉と野菜諸々か…日本人向けにアレンジしてある感じかな?」 「それにこの甘辛いソースを…」 とろ~り 「よし…いただきます」 パクッジュワーシャキシャキモグモグ 律「うん!いいかんじだ!ちょっとこい挽き肉とソースが新鮮な野菜と中和されて絶妙だ」シャキシャキ 「うん…ピリ辛なソースがいいな…食欲を掻き立てる!」モグモグ 梓「…」ゴクリ 律「野菜が新鮮だから口の中が水分でみたされてる!」 律「」パクパクシャキシャキモグモグゴックン 「ごちそうさまでした!」 梓「」ダラァ 律「どうしたのかね、上のお口がだらしないよ?」 梓「う…次はあたしのたーんです!」 律「…それじゃあ梓には…レアチーズケーキだな!」 梓「…な!物事にはセオリーというものが…」 律「なにを注文してもいいルールだが…」 梓「くっ…」 チーズケーキ「ふわふわ」 梓「…まあいいでしょう!うわぁ…おいしそう」 律「…」ゴクリ 梓「いただきま~す!」フワッパクン モグモグ 梓「うん…程よい…ただ甘ったるいんじゃなくてさっぱりとした甘さ…なのに濃厚なんです」モグモグ 「ベリーソースの甘酸っぱさと混じって口の中がパラダイス!…チーズの香りも新鮮だし…」 「あ…下のタルト生地もいい…柔らかいだけじゃなくてメリハリつけてくれる…」サクサク 律「…う…うまそう」 梓「…ふう食前にドルチェとはいただけませんでしたが…なかなかおいしかったですね」 律「…今のは好きだな…めちゃくちゃうまそうに食ってた…」 「さああたしの番だぞ!早く選びなさい!」 梓「…それじゃあ」 律「…豚骨か」 梓「律先輩共食いになるんじゃないですか?」 律「」グリグリ 梓「あひー!」 豚骨ラーメン 律「うまそーっ!」ダラダラ 「いただきまーす!」 パキン ズズーッズルズルムニャムニュ 律「…うん!細麺がうまい具合に豚骨スープと混ざり合ってる!」 ズズーッ 律「なかなか喉越しがいいな…次はスープを」 梓「…レンゲつかわないんですか」 律「」ズルーッゴクゴクゴク プハーッ 律「いや、なかなか濃厚なスープだよ!ダシがでてコクがある!とってもまろやか!」 梓(良くこんな濃いの直のみできるな…下品) 律「…おまえいま下品っておもったろ?」 梓「…さあ?」 律「…まあいいや…チャーシュー…トロトロ」パク 「うん…でも赤身のところもしっかり残ってるこの噛みごたえがなきゃ肉食ってる感じしないんだよな」モキュモキュ 「メンマもたれがしみてて…程よい味付けだな…」シャキシャキ 梓「…」 (ああーっうまそうだ!私も次郎入れときゃよかったかな…ああ!今すぐ食べにいきたい!) 律「」モグモグズズーッズルズルゴクゴクゴク 「…ぷはーっ!ご馳走サマ!」 梓「次はアチシの番です!」ダラダラ 律「おいおいせかすなよ…つかよだれ…」 律「うーん…じゃあ…つくねの焼き鳥かな!…でもなぜつくね?」 梓「肉団子って美味しいじゃないですか!」 律「…おこちゃまうすだな」 梓「そんなことないです!」 つくね パチッパチッジュー 律「焼きたて…炭火…」ゴクリ 梓「うおォン」ゴクリ 「いただきまーす」 ハフッハフッモグッ…モキュモキュ 梓「うほっ…柔らかすぎずかたすぎず…なかなかの肉の弾力です!モチモチして…」コリ 梓「………!?」コリコリ 梓「…これは軟骨!!…ああ…口の中でいいリズムを刻んでます」モグ…コリコリ 「そしてこの甘いタレが肉の油と合わさってまろやかに…」 律「…」ゴクリ 「あ…あずさ?一口だけ…」モジモジ 梓「…仕方ないですね」 梓「…はい」アーン 律「…え?」 梓「はやくしてください」 律「お…おう」ドキドキパクッ 梓「…」モジモジ 律「う…うまい」 (でもなんでだろ…いつもよりおいしく感じるのは…素材がいいのか?) 梓「…この黄色いのは?」 「ハッ」 「わ…ワタシとしたことが黄身につけるのをわすれていた…」 律「…なんか趣旨ずれてきてないかな」 梓「…仕方ないこの最後の一個を」チョイチョイトロ~ン パクッモグトロン 梓「うん…黄身が肉をコーティングしてよりまろやかに…タレの甘さもおさえられて…」 律「」シュビッ (いかん…またよだれ…) 梓「律先輩ですね…」 律「まってました!」 梓(危うく趣旨を忘れていたけどこれは相手の嫌いな料理を当てるゲーム…) (相手の考えを読み取りかつ完璧な演技で相手を欺く…そう!夜○月のように!) 律「はやくしろよー」 梓(くっ…読めない…) (いつもはふざけてばかりで一見ただのバカにしか見えない…) (だが…実は想像より頭の回転が早い…多分澪先輩も目じゃない…) (そう…!それはまさに信長!) 律「あずさぁ!」バンッ 梓「はいっ!ただいま!」 「ハンバーグで!」 (だいたい律先輩作ってたし!嫌いな人がいるはずがないし!) 律「まってましたあ!」 ハンバーグ ジュワアアアアアアア 律「うおお!この音!」 梓「…」ゴクリ 律「さっそくきっちゃうぜー!」シャキン キイッ…ジュワン 律梓「…」ゴクリ 律「いただきー」 ハグッモムモム…ジュンッ… 律「これは…すごい!ボリュームたっぷりでまさにティーンエイジャーって味だぜ」 梓(なんだそれ…) 律「ただ…何かが…何かが足りな…」ハッ! 唯「失礼します!」 律「…?唯?どうして…しかもその格好…メイド?」 唯「りっちゃん!ごはんはおかず…だよ?」パチッー☆ 律「…!」 唯「じゃあ失礼しました!またね!あずにゃん」 律梓「…」ゴクリ ご飯「」ホカホカ 律「…我慢できないよ梓」…いいかな」ゴクリ 梓「…はい…いっちゃってください…」ゴクリ 律「…うおお」ワシワシ ガツガツアフッモグモグモムモム 律「ふぁ…ふぁんばーぐむぉ…」 バクンッ…ジュワアアモムモムガツガツ …ゴクンッ 律「ふぁ…ふぁ…ひぃあわふぇ…」 梓「…」 シュビッ 梓「…!」 (な…よだれが…) 律「へへん…やっぱりハンバーグ大好物だな!」 梓(あ…コイツバカだ…) 律「うーんやっぱりこの肉汁と食感…幸せってこんななんだな…」 梓(絶対バカだ…) 律「梓…幸せだったよ…」ニコニコ 梓「…まったく」(無邪気な律先輩可愛いな…) 律「じゃあ梓…」 梓(さあ…どうでる!) 律「オムライス!」 梓「…きたか」 オムライス 梓「きましたあ!」 律「ふふっ…」(意外と無邪気だな…) 梓「しかも卵が…」 トロトロ… 「半熟ですぅ!」 梓「ハムッ」 トロン…モムモム…ゴクンッ 梓「…」 律「…梓?」 梓「…すいませんトリップしてました」 梓「このふわトロたまごがチキンライスをつつみこんで周りのデミグラスソースが食欲をかきたてる…」モムモムポロポロ 律「食ってからしゃべれ!」 梓「…」ハグリモムモム 梓「…ふぅ」カラン 律「満足そうだな!」 梓「まあ満足ですね!」 律「じゃああたしの番か…」 オニオンサラダ 梓「玉ねぎだけですね…」 律「みずみずしくて新鮮そうだろ!しかもあたしの大好物澪特性のドレッシングがまたいいんだよな…」 梓「…」ムッ… 律「いただきまっする」 梓「…」 バク…ザクッシャキシャキモグモグ 律「おほっ…やっぱり野菜食べると体が喜んでる感じがするねぇ…玉ねぎのパンチのきいたなかに繊細な甘味が…いい…」 シャキシャキ 梓「シャキシャキって音がここちいいですね…」 梓「さあラストですね」 律「オシャレなスープだな…」 梓「お上品な味なんですよ」 ビシソワーズ 梓「…」スイッ スゥ…ゴクン 梓「はぁ…落ち着きますね…まろやかで優しく口の中に広がるんです」 律「…」ゴクン 梓「スウ…」 梓「ごちそうさま」 律「さあ食べおわったことだし」 「梓は何が嫌いかなー」 梓「覚えてたんですね…」 梓「さあ!勝負です」 律「おう!こい!」 梓(やっぱりメニュー的にここは…) 律「~♪」 唯「では両者解答を!」 15
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/897.html
幻想郷。 失われた自然といまだ人が共存する地。 大地の恵み、川の恵み、風と雨に立ち向かい、その猛威を畏れ、恩恵に感謝する。 自然と対峙し、ときに糧を得るべく狩り、または育む。 人が自然の中に生きるために狩るもの…それは、ゆっくりと呼ばれる存在であった。 この村には風変わりな家がある。この家には一人の男が住んでいる。 村の規模はまだ小さく、発展の途上にあることが十分に伺える。頑丈な、これだけはまずしっかりと拵えた柵の内に村人は家を建て畑を耕し、しかし、この男と幾人かの村人は農民の生活に合わせず、 朝は遅くまでベッドの上、夜はいつ帰るともしれず、それでいて男を見る村人の眼はいつも尊敬の念にあふれていた。 そんな男の家は村の中心にあり、村長の家をしのぐ大きさを誇る。ただ、その形が異様だ。大きな台形のような外見で、二階には大きな窓が二つ、屋根は真っ黒に塗られ、天井は高く尖り、家の後ろには波打った藁のようなものが垂れていて、 近くで見るとつるつるとした壁肌が、村からゆっくり離れて、段々とその形が周辺の者なら誰でも見覚えある形にまとまって見えてくる。大きな、大きな、ゆっくりまりさの形に。 この男の家はゆっくりでできていた。 村の中で異彩を放つ、その家は庭のようにちょうど周囲を取り巻く柵を境に、ゆっくりを丸ごと家に改造したものなのだ。 かつて村を襲った脅威の一つ、10m級ドスまりさを剥製化して、職人を招き、住居として手を加えたもの。 あんぐりとあけっぱなした巨大な口には、すっぽりと豪奢な鉄のドアを嵌め込んで。 目の部分は二つの円窓を誂え。 皮は、樹脂とゆっくりの餡子を練りこんだ特製の油を塗りこみ、コンクリートのように硬化処理し。 風船のようにぷっくりと広げた内部は餡子を残らず抜き取って大黒柱と支柱を数本立て、床には絨毯を敷き詰め。 帽子と髪の毛も腐敗処理を施して屋根として利用してある。 この家はまさしく、「ゆっくりの家」だ。 そんな奇妙な家の内装もまた、あらゆるものがゆっくりで作られていた。 成体のゆっくり各種を背中から切り開き、餡子を抜いて代わりに綿を詰めて縫い合わせたゆっくり縫いぐるみ。 生きたままのゆっくりの頭部に穴をあけ、花の種を植えたゆっくり植木鉢。これはゆっゆっと掠れた声でぴょんぴょん跳ねながら、頭の花をゆらゆら揺らしている。 柱に打ち付けられたゆっくり時計。膨らんだ腹部に鳩時計と同じ仕掛けを施し、定時になると生まれたての赤ん坊ゆっくりがぽーんと転がり出てくる。 箪笥や、床に置いた道具箱などもゆっくりから拵えたものばかり。 なぜ、これほどにゆっくりにこだわるのか。男にしてみると、こだわるとかそういった問題ではなかった。ただ、生活に関わるあらゆるものが、ゆっくりであっただけで… この男の職業は、ゆっくりハンターだから。 人口は百足らず。時折訪れる行商人とのわずかな交易と狩りの成果に頼る小さな村は、つい最近の開拓によって作られた。 都市を出て郊外を離れ、ずっと森の中に分け入ったさらに先、自然の趣たっぷりな平野に新天地を求めた人々によって築かれた。 だが、そこは伝説でしか知られない不自然の脅威にさらされる地だったのだ。 大きな森や山に必ずいるという、生まれつきの素質をもつ個体が、強運と狡猾さで生き延びて、群れを支配するまでに巨大化した、ドスまりさ。 都では滅多に確認されない、ドス級の巨体に加え、鮮やかな桜色のリボンがトレードマークのれいむ種、リオれいむ。ドススパークに匹敵する火炎球を放つという。 姿かたちは元の種と変わらず、やや大きめの体に人間でも追跡できぬ異常な素早さと凶暴性を秘めた、ちぇんクック。さらに凶悪なちぇんガルルガなる種も噂に語られる。 遠目からでも、地響きと20mという巨体ゆえに目立つ、ティガれみりゃ。 それ自体が一つの山と数えられ、もはや災害そのものにまで増長し、都の防衛庁が対策を講じねばならぬという、ラオシャンみょん。 もはや伝承ですら語られることも稀な、 伝説に忘れ去られた古代の知識を身に着け、天を裂き山を揺るがし、自然現象を操る超常の種、ミラボレぱちゅ。 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………… 辺境の村はどこもゆっくりの脅威に晒された。ある村は蝗の様に襲いかかるゆっくりの大群に畑を食い尽くされ、ある村は見たこともない巨大なゆっくりに家を踏み潰され、村があった場所はもはやただの平原に変わったという。 ゆっくりを対処する手段が求められた。ゆっくりを研究し、ゆっくりにのみ通用する毒やゆっくりの本能を刺激して罠にかける方法が編み出された。だが、それだけでは足りなかった。 小さなゆっくりには人的手段が通用したが、災害に等しい巨大種には常人では対抗しきれない。 そうして立ち上がったのが、ゆっくり虐待派と呼ばれた青年たちだった。はじめ、彼ら彼女らは生き物を無残に遊び殺すと忌避された。しかし、ゆっくりを様々な方法で玩ぶうちに、虐待派はゆっくりのあらゆる特性を学んでいった。 彼ら彼女らはただゆっくりを殺害する手段だけではなく、生活に役立つ道具としてゆっくりを加工する手段も編み出していったのだ。 いつの間にか、森に棲むゆっくりを狩り、ゆっくりから武器や防具を加工して、仲間同士で連携して巨大種を倒す技を身につけた者を 「ゆっくりハンター」 と呼び、いまや開拓村、辺境の町ではなくてはならない存在となった。 ハンターには素質が必要だ。それはゆっくりを傷めつける虐待の精神がなにより重要とされる。 ゆっくりは極めて世代交代のサイクルが短い。また、個体自体の「進化」と他の生命体なら呼ばれるだろう環境への適応能力もまた著しく高いのが特徴である。 その最たる例が、『虐待などで過度のストレスを長期受け続けたゆっくりの餡子は非常に甘くなる』というものである。 これは殆どのゆっくりに当てはまる、環境への自己適応である。 ハンターはゆっくりを狩り殺すだけが能ではない。生業として成立するために、ゆっくりから様々な道具を作り出す知識を身につけている。ゆっくりにかける負荷の度合いや部位によって、硬度や弾力性に変化を持たせることで、 巨大種の皮や餡子、または眼球や舌などから衣服、調度品、薬品、そしてハンターがゆっくりを狩るための武具を作り出すのだ。 ゆっくりを狩る者にも色々いるが、(都では、身長を超えるような大きな玄能を嬉々として振り回す少女のハンターがいるともっぱらの噂だが)時には、胴体付きゆっくりを捕獲して調教ないし教育し、 ペットや使用人、あるいは狩りの手伝いをする助手として利用することもある。 この開拓村に、ゆっくりの家を造って暮らす男は、随一のハンターである。討伐、捕獲、採集、あらゆる依頼をこなし、かつてはラオシャンみょんの進行を阻止する要塞戦で勝利を収めたほどの猛者だ。 日が沈み、夜が訪れる頃。 男の家に客人が現れた。村長だ。曲がった腰を杖で支え、ドアをゆっくり叩いた時、男はちょうど食事の時間で、飼いゆっくり(ピンクと白の縞々帽子をかぶせたまりさ)を撫でながら、コックのれみりゃが作った小籠包を味わっていたところだった。 村長の用事はわかっていた。それは依頼だ。 「急ですまんがの。また森のほうでゆっくりがあらわれたそうじゃ。行商人が依頼を持ってきた。なんでも近く都のほうで新しい建設の計画があるそうじゃが、その付近で凶暴なゆっくりが群れをつくっとるそうじゃ。都から派遣されるハンターと共同で討伐してくれとの。」 男はそれだけ聞くと、口元の肉汁を拭い、膝の上のゆっくりを払い落して無言のまま、壁に掛けた武具を取り出し装着した。 彼が身につけるのは、かつてラオシャンみょんを討伐した際、剥ぎ取った表皮を乾燥させ、薬品に漬けこむことで銃弾の衝撃を吸収するほどの耐衝撃性をもたせたものを甲冑として鍛えた「暁丸」、 武器はラオシャンみょんの牙を削った太刀「楼観剣」である。 準備が整うと、村長が手配したゆっくり車(底部に車輪を取り付け、横長に変形した2m級のドスまりさ二体が牽引)に乗り、鞭を振るった。 ひぃっと小さく声を上げると、ドスまりさがゆっくりと移動を始めた。 地図に示された狩り場に辿り着くのは深夜。もっとも狩りに適した時間だ。それまで男は休息を取るべく目を閉じた。ハンターの習性ゆえに、男はすぐに眠りに落ちた。 目が覚めた時には、非情かつ冷酷なハンターがそこにはいるだろう… (続く) おはようとそしてこんにちは、それからこんばんは VXの人です。 どうしても書きたかった。後悔はしてはいけないと信じてる。シンジテル。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/hikaroon/pages/42.html
<ベトナム|1|2|3|4|5|6|7|8|9|> 大雨 8時頃起床。寝ながら聞こえていたが、車外からは激しい雨の音がする。3人はまだ寝ている。僕は日記の続きを書いて過ごした。10:00、列車は1時間遅れてフエに到着した。3人はフエで何泊かするらしい。別れを言って、列車はまた動き出す。さっきまでの賑やかさから一転、急な静けさに変わり、すっかりセンチメンタルな気持ちになってしまった。天気も益々下り坂だ。 水没した田 景色は一面の田んぼだが、大雨のせいか、大部分が水没している。そこに、アヒルの大群が、まるで米粒のように集まっていたり、牛が嬉しそうに草を食べている。特に、子牛がジャボジャボと嬉しそうに跳ね回りながら、親牛の周りをぐるりと周る様子は、平和そのものだった。広大な田を抜けると、列車は湾の南側を進む。この辺から天気は回復に向かい、透明な川に飛び込んで遊ぶ子供たちが見えたりした。列車の中は冷房が効いていて涼しいが、それでもあのように川で泳いだら、どれほど気持ちいいだろうと思った。湾を抜けると、列車は山を一つ越える。山道に入った途端に、天気はまた下り坂だ。果たして、ハイバン峠で晴れるだろうか?山の天気は本当に変わりやすく、サイコロを振っている気持ちだ。 ハイバン峠 列車は湖畔を進む。湖からは無数の柱が突き出ていて、その上に家が建てられている。湖上で生活しているようだ。それから、南シナ海を左手に、崖を登っていく。この辺の海は、一部青いところもあるが、泥で黄色く濁っている。大シケだ。ところが、いよいよハイバン峠にさしかかると、不思議に雲が去り、陽が差してきた!そのおかげで、断崖を右へ左へうねりながら進む列車と、崖下に臨む濃緑、海の明黄、空の軽青を楽しんだ。遠くにはダナンのビル群が見える。峠を越えてしまうと下りは早いもので、20分ほどでダナンへ到着した。時刻13時頃。 ダナン ダナンは快晴。なので、太陽の位置を参考に方角を知る。Hai phong通りを東に進み、Tran Phu通りで南下した。まず気づくのが、生活水準の高さだ。店は路端でやっているのは皆無で、きちんとした看板がある。道で物売りをしている人や、ザルを運んでいる人など見かけない。そして何より、(交通量の絶対量も少ないのかもしれないが)渋滞が無く、クラクションも全くうるさくない。歩道は広く歩きやすい。むしろ、歩道がきちんとあることが衝撃的だった。それから、信号等の交通ルールもしっかりしていて、大変道を横断しやすい。建物も、高めのビルや、変わったデザインの橋や、音楽ホール等があり、ハノイと比べて大分近代的に感じた。一方で、ハノイのクラクション地獄に慣れてしまった僕には、秩序が物足りなく感じるのだった。 場所が違えば食べ物も違う 適当に通りの店に入る。この辺では、フォーはメニューにない。あったとしても、「ハノイのフォー」と書かれている。注文した料理名は忘れてしまったが、汁の少ない麺に、ナッツやら海老やら乗っているのを食べた。 Han市場 一階は日用品、食料品コーナーとなっている。野菜、果実、ハーブ、香辛料、肉、干物、魚介・・等が所狭しと並んでいて、歩いているだけで楽しい。面白いのは、生きているカニが売られていたこと。縄で縛られて、ハサミも動けないようにしてゴロゴロと転がしてある。僕はバナナが食べたかったが、売っているのは実が何十とついている一房単位だ。そこで、「一個だけ欲しい」と伝えると、商品にはならなかったため切り取っただろうバナナ屑をくれて、シッシッとやられた。少し黒い部分はあったがとても美味しかった。日本で普段目にするもの(フィリピン産?)よりも、黄色くて短い気がする。ダナン教会の前で頬張りながら、ホイアン行きのバスを待った。バスは一時間に一本だが、幸運にも直ぐに来た。ホイアンへは一時間ほどで着いた。 宿探し 市街地まで歩いていくが、バイタクが乗せてやるよとうるさい。まあ歩けば着くだろうと思って、バイタクに乗っていった外人の後をつけて行ったのだけれど、途中で見失ってしまった。仕方なくバス停まで戻って地図を見たのだけれど、バイタクが走っていった方向はなんと市街地とは間逆の方向だった!ぐるぐる遠回りしながら運ばれるのだろうか? このバイタクたちは本当にしつこい。たった1kmほどの距離なのに、5USDもふっかけてくる。こちらが低い値を言っても馬耳東風で、「市街地は5km離れていて遠い」とか、「皆乗っている」とか、ひたすら繰り返している。「どこへ行きたい?」「何を望んでいる?」って言うから、「こっちは何も望んでねーよ。何かを望んでいるのはそっちだろ」と言い返した。相当イライラしていた。 宿はいくつか見てすぐに決まった。4階の部屋で、窓は無いけれど清潔で、小さなテーブルまでついている。これで10USDなので大満足だ。シャワーを浴びて汗を流す。 予期せずミーソン遺跡ツアー 昨日今日は満月であり、ホイアンではランタン祭が開かれるらしい。シャワーを浴びながらも、外から賑やかな太鼓が聞こえてくる。急いで着替えて部屋を出る。地図を貰うためにフロントに寄るが、中国人のおばさん一行が、ミーソン遺跡のツアーを値切ろうとして盛り上がっている。このおばちゃん達がなかなか面白い人で、僕はミーソンに行く予定ではなかったにもかかわらず、いつの間にか負けてもらうための工作に加わっていた。そのおかげで、1USDも安く参加することができた。 ランタン祭 そしてランタン祭り。ホイアン旧市街に、色とりどりのランタン(というより提灯だが)が幻想的に光っている。小雨がさらにしっとりとした雰囲気にしていて、格別だ。いくつかの通りでは太鼓が聞こえていて、人々が集まって何かを見ている。それは獅子舞だった。子供二人が前足・後足となり、踊る。日本と異なるのは、獅子舞は子供の頭を噛むのではなく、「お金を噛む」こと。次次にお店をまわり、店の中で踊る。そして、店主は稼ぎの一部を持ってきて、獅子舞の口に入れる。それでも獅子舞は、「足りねぇぜ」って感じで店に居座って、手を舐めたり毛繕いを始める…その動きがコミカルで大爆笑であった。それから、灯篭流しもした。紙製の器の中にロウソクが輝いていて、それをThu Bon川へ流す。このとき、川縁まで来てみて、洪水があったことをようやく知った。水位はまだまだ高く、波止場は浸水していた。橋の欄干は流されていて、通行禁止になっていた。水位が高くなった橋には、流れてきた草が大量に引っかかっている。クレーンがそれをひっきりなしに掴んでは下流に流す。灯篭のいくつかは、草に絡まり、行き場を失っていた。まるで、託した望みもそこで止まってしまったかのように思われた。 久しぶりのお米 それから夕飯だ。ホイアンは観光の町。洒落た土産屋やレストラン、カフェが立ち並び、観光客で繁盛している。しかし、そんな店には興味が無いし、第一高すぎて予算が足りない。そこで中心街から少し離れたところにある市場で食べた。こちらは薄暗くて少し汚いが、住民が利用する場所という感じでとても気に入ってしまった。そこでDIA LONというのを食べた。ご飯の上に色々な種類のお肉が乗っていて、肉汁の染みたご飯がとても美味しい。これがたった20.000VDなのだから、とてもレストランで食べる気が起きない。あまりに美味しかったので、おばちゃんに「明日もまた来るよ~」と言って席を立った。おばちゃんは握手をして、「待ってるからね」と言ってくれた。 商人の町 それからBIERE LARUEを買った。お店のおばちゃんがまた面白い。何とか負けさせたくて、「ビールと水を買うから、5.000VD負けて!」というと、「ハァ?何言ってんの笑」と言われるが、それが茶目っ気に溢れていて楽しい。商売を楽しんでいるのだなぁというのが心底伝わってくる喋りだった。バイタクのように「押し売り」ではなく、潔い。買わないなら、それでよい、という感じ。それでお互い条件を出して楽しむのだ。港町ホイアンは流通がよく、昔から商売で栄えてきた場所だというが、まさにそれを味わった。 ベトナムのビール BIERE LARUE は15.000VD、333ビールは20.000VD、TIGERビールは25.000VDとあった。しかしBIERE LARUEでも十二分に美味しい。 <ベトナム|1|2|3|4|5|6|7|8|9|>