約 987,819 件
https://w.atwiki.jp/futakotamagawake/pages/7.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
https://w.atwiki.jp/futakotamagawake/pages/10.html
@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 アーカイブ インスタグラム コメント ニュース 人気商品一覧 動画(Youtube) 編集履歴 関連ブログ これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
https://w.atwiki.jp/wktkwktk/pages/30.html
『もうお腹いっぱーい。ママ、残してもいいでしょー?』 『ピカピカー』 『なあに、ピカチュウ? もしかして、にんじん食べてくれるの?』 『ピカ、ピカチュ!』 『ありがと! ママには内緒だよっ』 『ひぐっ、えぐっ……ここ……どこ、なの……? ううっ……帰れないよぉ……』 『……ピカー……ピカー…………チュッ!』 『……ピカ、チュウ……? えぐっ……探しに来て……ひくっ……くれたの?……』 『ピカピカー』 ――――――――― ――――――― ―――― 瞼が朝日を受けて、その裏の夢を溶かしていく。 ……瞼を開く。 頭の中は真っ白で、それと同じように、視界も靄がかかったように霞んでいた。 「ピカチュウ……」 いつでも傍にいて。 いつでもあたしを見守っていてくれた、掛替えのないポケモン。 目の端を拭うと指が少し濡れた。瞬く。 クリアになった視界で辺りを見渡すと、 隣のベッドには、カエデが浅い寝息を立てて眠っていた。 無理に起こす必要はないだろう。 あたしは支度を整えて、一人静かに部屋を出た。 空の碧と海の蒼。 朝日を反射して聳え立つ高層ビル群。 行き交う人々。行き交うポケモン。 クチバシティの南にある大きな病院に着くまでに、 あたしの目に色々な景色が飛び込んできたけれど、 どれもどこか色褪せていて、何かが欠けていて、心に留めようと思えなかった。 「面会ですか?」 「はい。―――さんに」 「四階の405号室になります」 「ありがとうございます」 事務的な遣り取りを経て、405号室へ。 時間帯の所為か院内に見舞いの人間は少なく、 複層ガラスから取り入れられた外の光が、病室を、廊下を、寂しく白く染めていた。 あたしが部屋に入ると、そいつは――タイチは、ちっとも怪我人らしくない背中を見せて言った。 「……ヒナタか。毎日悪ぃな」 「ううん。なんか習慣みたいになっちゃったから」 「ひでぇ。俺は毎朝楽しみにしてるってのによー」 無条件に、ホッとする。 知り合ったのはたったの一週間前なのに、どうしてこんなに懐かしい感じがするんだろう? あたしは椅子に腰掛けて、調子はどう、とか、まだ傷は痛むの、とか、 毎回尋ねていることを、同じように尋ねた。 タイチもベッドの上で足を組んだまま、上々だぜ、とか、全然痛くねぇよ、とか、 毎回答えていることを、同じように答えた。 話題が、なくなる。 ふと、あたしはサイドテーブルの上に、橙色の輝きを見つけた。 あたしの視線の動きに気づいたのか、 「っと、すまん。直すの忘れてた―――」 慌ててそれを、引き出しの中に仕舞おうとするタイチ。 わたしは微笑えんだ。継ぎ接ぎだらけなのは分かってる。 「いいのよ、あたしに気遣わなくて。 それはあんたのバッジじゃない。あんたが眺めていたとしても、誰も咎めたりしないわ」 「違うんだ、別に俺は、バッジをゲットできたから嬉しくて眺めていたんじゃなくて、」 「分かってる。……タイチは、すごいね。 あたしはまだ、あの時のことを思い出すのが怖いの」 「別にすごくなんかねえよ。 俺はただ……やるせなくて、どうしようもねえから、 ただなんとなくコイツを眺めていただけだ」 ――ううん、そんなことないよタイチ。 だってあんたは、自分の行動に、ちっとも後悔してないじゃない。 タイチの手の平で光るオレンジバッジと、 タイチの右肩から二の腕にかけて巻かれた包帯を、交互に眺める。 胸が疼く。脳裏に記憶が再生される。 それを止める術を、あたしはまだ見つけていない。 ――――――― ――――― ――― カントー発電所の深部、管理区画を目前にして対峙した紅い少女は、化け物だった。 「三対一よ。怪我をしたくなかったら、そこをどきなさい」 「ポケモンで数えたら六対一ね。 その可愛いキュウコンを痛めつけられなくなかったら、 大人しくどいた方がいいんじゃない?」 あたしたちの警告に、その少女はまったくの無反応だった。 ただ、タイチの 「こっちは見ず知らずの小さな女の子とやり合う気はねえんだ。道を開けな」 という言葉にだけ面を上げて、 「女の子ではありません。わたしにはアヤという名前があります」 外見に見合わない上品なソプラノで、そう言った。 「そうかい。じゃあもう一度言うぜ。アヤ、怪我をしたくなかったらそこをどきな」 タイチが再び警告し、それに呼応するかのように、マグマラシが炎のブレスを吐く。 するとアヤはキュウコンの愛撫をやめ、 その首を抱き、耳許に口づけるようにして言った。 「――燃やして、キュウコン」 くぅん、と初めてキュウコンが鳴く。 それを境にして、ホールは"しん"と静まり返った。 多勢に無勢。圧倒的優位なのはあたしたちのはずなのに――。 何故か目の前のアヤとキュウコンに、一息で消し炭にされてしまいそうな錯覚を覚える。 でも、こんなところで立ち止まってはいられない。 あたしはピカチュウを取り戻す。 あの子が昔お父さんの相棒だったこととか、 本当は凄く強かったことなんて関係ない。 あたしたちや発電所に閉じ込められていた人の安全の保証と引き替えに、 その身を差し出したことも関係ない。 あんな別れ方、絶対納得出来ないんだから。 「カエデ、いける?」 「ええ。って、なんであんたがリーダーみたいな口ぶりなわけ?」 「タイチは?」 「ああ。俺は手加減は苦手なんだ。全力で行くぜ」 すぅ、と一呼吸。 見ればアヤは目を閉じて、まるでタクトを振るうかのように右手を高く上げたところだった。 まるであたしたちに、余裕を与えてあげる、とでも言わんばかりに。 上等よ、一瞬で終わらせてやるわ。 「ヒトデマン、"みずでっぽうよ"!」 「ワニノコ、"みずでっぽう"!」 「マグマラシ、"火炎放射"だ!」 自然と連携はとれていた。 ヒトデマンの噴射速度の高い水鉄砲に、ワニノコの水鉄砲が加わり、水量が増す。 そしてその水流に巻き付くように、火炎が放射されて――。 高温の水蒸気の幕が出来上がり、キュウコンとアヤを包み込んだ。 ように見えたのは、その一瞬だけだった。 轟、とはっきり聞こえるほどの風圧が、水蒸気を払う。 熱で蜃気楼のように揺らぐ景色の向こう、 キュウコンが九尾を無造作に揺らして、アヤの前に佇んでいた。 「チッ……。効果ナシかよ。 行け、マグマラシ。格闘で倒すぞ」 タイチが命令するより先に、マグマラシは動き出していた。 「パウワウっ、マグマラシを援護して!」 わずかに遅れて、パウワウが前に出る。 薄暗いホールの端から端を、炎を発したマグマラシが駆け抜ける。 ――速い。 その跡はあたしの眼に、まるで振り回した花火の軌跡のように儚く映った。 「今だ、"火炎車"!」 タイチが叫ぶ。その瞬間、アヤが初めてキュウコンに命令した。 「"電光石火"」 マグマラシが、纏った炎の火力を一気に増して飛びかかる。 だが着地点に、寸前までいたキュウコンの姿はなかった。 ……消えた? あり得ない想像が浮かび、その直後、あたしはマグマラシの背後に光る、キュウコンの紅い瞳を見た。 「マグマラシ、後ろだ!」 鈍い音がして、マグマラシの体が吹き飛ぶ。 即座にパウワウのオーロラビームが、マグマラシとキュウコンの間に照射されるが、 深追いしようとしなかったキュウコンは、悠々とそれを躱した。 「くそっ、俺のマグマラシが速さで負けるなんて……」 「――まずは一匹」 余裕の笑みを見せるアヤ。 あたしは歯噛みした。あたしのポケモンの中に接近戦が得意なポケモンはいない。 ヒトデマンは中距離タイプだし、ピッピは初めから戦力と数えられない。 あの子には、まだ数えるほどしか戦闘経験がない。 そしてそのいずれも、"ゆびをふる"で見当違いの技を出し、不戦敗となっている。 途方に暮れかけたその時、タイチが唇を動かさずに言った。 「ヒナタ、カエデ。今からキュウコンの気を引きつけること、できるか?」 「どういうこと?」 「説明してる暇はないんだ。頼む」 「やるわよ、ヒナタ。今まではなめてかかっていたけど、 本気でかかれば、倒せない相手じゃない。たかがキュウコンじゃない!」 カエデは終盤の方の声を張り上げた。挑発のつもりだったのだろう。 アヤの瞳が、不機嫌そうに眇められる。あたしは言った。 「ヒトデマン、"みずでっぽう"を乱射するのよ!」 カエデがそこに指示を重ねる。 「パウワウ、冷凍ビームで"みずでっぽう"を固めて!」 ばらけた水の塊が氷の礫に状態変化し、 散弾のようにアヤとキュウコンに降りかかる。 キュウコン単体なら、その体熱を放出するだけで、氷の礫を昇華させることができたはず。 しかし、何よりも優先すべきは、己のトレーナーが技に巻き込まれるのを防ぐことだ。 キュウコンは横に飛び跳ね、アヤに降りかかる氷の礫の楯になった。 マグマラシが、キュウコンのセーフティシールドから外れる。 「今だ、マグマラシ! "火炎放射"!」 タイチがそう叫んだ瞬間、マグマラシは横たえていた体を跳ね起こした。 あたしは思わず息を呑んだ。 演技、だったんだ。 考えてみれば、マグマラシは電光石火の一撃で戦闘不能になるほど弱くはなかった。 マグマラシが口を大きく開き、 それに気づいたキュウコンが首を捻り、 その瞬間には、アヤの無防備な背中に激しい炎が放射されていた。 そして―― 躱すことも相殺することも諦め、 キュウコンはその全身でアヤを包むようにして、火炎を受け止めた。 ただ、解放されたアヤのドレスの裾は、 一瞬間に合わなかったのか、熱に炙られて黒くなっていた。 「よくも、よくもわたしのドレスを……」 譫言のように呟くアヤ。 そんなに大事なドレスだったの? あたしはそう尋ねたいのを我慢し、策を練る。 信じられないことに、あれほどの火炎を受けて尚、キュウコンには火傷の跡一つなかった。 アヤの激昂は突然だった。 彼女は髪を逆立たせ、焦げたドレスの裾を握りしめて、年相応の幼い語調で命令した。 「―――あいつらを燃やして!」 くぅん。 遮る物のないホールを、キュウコンが音もなく闊歩する。 あたしはそれを、ただぼうっと見つめていた。否、魅入られていた。 キュウコンの紅い瞳を見ていると、 思考が溶けていく。何もしなくていい。ただそこで立ち竦んでいろ。 聞こえるはずのないキュウコンの意志が、頭の中に響いている気がした。 「ヒナタ!?」 「何やってんだ、逃げろ!」 ふいに、意識が浮上する。 目前にはむせ返るような熱気。 5mほどの間隔を置いて、あたしはキュウコンと対峙していた。 くぅん。 三度目の鳴き声がホールに木霊した瞬間、 キュウコンの体から、炎が渦を巻いて立ち上がった。 ――逃げなきゃ。 頭では分かっているのに、膝から下が震えて、 走ることはおろか、歩くことさえできない。 炎の渦はまるで意志を持った生き物のように空中でくねり、 急に確かな指向性を持って、あたしに向かってきた。 視界が炎で埋め尽くされる。あたしはただ目の前の恐怖に、悲鳴を上げることしかできず―― 「馬鹿野郎! 死ぬ気かよっ!」 体を突き飛ばされて、地面を転がる。 隣を見れば、右腕を押さえ、苦悶の表情を浮かべているタイチがいて。 「ごめんなさい、あたしの、あたしの所為でタイチが……」 「はぁっ……はぁ、痛ッ……今はそんなこと気にしてる場合じゃねえよ。退くぞ!」 あたしとタイチが身を引きずるようにして後退する頭上を、 冷凍ビームと水鉄砲が過ぎて行く。 ――カエデが援護してくれているんだ。 「もうっ、何やってんのよ馬鹿ヒナタ! キュウコンの眼は特別なのよ。見た者の隙をついて、心を自在に操る能力があるの」 「あたし、知らなかった……」 心の隙、もとい空洞が、何であるかは判りきっていた。 あたしは項垂れて、しかしすぐにキュウコンに向き直る。 水鉄砲と冷凍ビームは、最早全く意味をなしていなかった。 キュウコンのセーフティシールドに入ったそばから気化し、無効化されていく。 あたしたち三人のうち、誰もが絶望的だと知っていた。 接近戦が可能なマグマラシは満足に動けず、 他のポケモンの攻撃は意味がない。さらにはあたしのせいで、タイチが腕に火傷を負ってしまった。 キュウコンがゆっくりと近づいてくる。 殺される、と思った。 あたしは初めてポケモンに対して、死の恐怖を感じた。 今までにも何度か修羅場を経験してきたけど、 こんなに鮮明に、恐れを感じたのは初めてだった。 ピカチュウ――。 足許を見ても、黄色くて丸っこいねずみポケモンは、いない。 あたしはこんな状況なのに、泣きそうになった。 そしてキュウコンの熱気が、あたしの髪を焦がしそうなほどに近づいたとき、 「――殺してはだめ」 落ち着きを取り戻したアヤの声が聞こえた。 閃光が走り、キュウコンがボールの中に仕舞われる。 熱気が消失し、思い出したように、あたしの首を汗が一粒流れていった。 「時間稼ぎは終わりです。さよなら」 アヤは深紅のドレスを翻して、通路の影に消えていった。 あまりにも呆気ない終わり。 「ま、待ちなさい!」 あたしは追いかけようとした。 でも、まるで足が溶けた蝋燭みたいに床から離れない。 力を入れたそばから抜けていく。 情けないことにあたしは―― ピカチュウを取り戻すという意志を保てず、 あのキュウコンと再び戦うことへの懼れに屈してしまったのだ。 ――――――― ――――― ――― 後悔に焼かれた意識が、現実世界に戻ってくる。 あたしはポケットから、オレンジバッジを取り出して、手の平に乗せた。 ただ、グレーバッジやブルーバッジを眺めた時のように、 喜びはちっともわき上がって来なかった。 こんなの……あたしのバッジじゃない。 あの戦いの後、あたしたちはかなりの時間、ホールで立ち尽くしていた。 そこに管理区画の通路から現れたのが、 マチスさんを前頭とする、拘束されていたはずの人々だった。 発電所員は口々に感謝の言葉を述べ、 あの男たちがやってきた時のことをこう話してくれた。 『ある日突然、そいつらはやってきたんだ。 そいつらの要求は、発電施設の大部分を貸してほしい、ということだった。 勿論、私たちは拒んだよ。だが、その次の瞬間には、 私たちは何故か彼らの言葉を受け入れ、彼らに従っていたんだ』 マチスもまた、こう語った。 『オレが仲間を引き連れて来たとき、発電所は普通に活動しているようだった。 それで油断したんだ。いつの間にか俺たちはヤツらに囚われていた。 ガッデム、今度会ったらタダじゃおかねえ』 あたしたちは終始無言だった。 話し会わなければならないこと、 すぐにでも行動に起こさなければならないことが山ほどあったのに、 何もする気になれなかった。 『本当にありがとう』 そう声をかけられる度に、寒気がした。 労いの言葉なんて要らない。 感謝の言葉なんて、もっと要らない。 あたしたちは何も頑張ってない。 ピカチュウが犠牲になってくれた――、ただそれだけ。 その後、発電所は発電所員の尽力によって復旧し、 囚われていた先遣隊とマチスを中心とした調査隊の人は、 あたしたちと一緒にクチバシティに戻った。 腕に酷い火傷を負っていたタイチは、すぐに病院に運ばれた。 時間だけが変わらないスピードで過ぎていった。 クチバシティから非公式な功労賞として、 謝礼金とオレンジバッジ三つを所与された時だって、あたしの心の喪失感は埋まらなかった。 ピカチュウ、あなたは今どこにいるの? あたし、三つ目のバッジを手に入れたんだよ――。 そう心の中で呟いても、言葉は返ってこない。 「――タ――ヒナタ」 どこか遠くに済ませていた耳が、タイチの声を拾い上げる。 「……ん、なに?」 「バッジ見つめたまま動かないから、息してないのかと思ったぜ」 冗談交じりに気遣ってくれるタイチに、 あたしは嬉しく思うと同時に、自分を情けなく感じた。 なにやってんだろ、あたし。 怪我人に心配させて……これじゃあ本末転倒じゃない。 「あのね、タイチ。――ごめん」 「なっ、何だよいきなり。俺、お前に謝られるようなことされた憶えねぇぞ」 「違うの。あたし、まだあのとき、あんたに庇ってもらったこと、謝ってない」 そっぽを向くタイチ。 あれからというもの、タイチはあたしが庇ってもらったことを謝ろうとすると、 急に不機嫌になって、取り合ってくれなくなる。 「いいって、もうそのことは」 「よくない。だってその火傷、ずっと跡に残るのよ。 あたし、どんなにタイチに謝っても、足りないくらいのことをしてもらったのに……。 どうしてちゃんと聞いてくれないのよ」 「…………から」 「え?」 「……俺が、自分の意志でやったことだから」 タイチは再びベッドに寝転んで、 「お前に謝られるとさ。 なんか俺のやったことが、間違ったことみたいに聞こえるんだ。 でも俺は後悔してない。 お前を庇って、お前が火傷をしなくて済んで、本当に良かったって思ってるし、 確かに火傷は痛むけど、お前が火傷で苦しむのを見て後悔するのに比べたら、ずっとマシだと思うし」 よくこんな歯の浮くような台詞が言えるものね。 自分で言ってて、恥ずかしくないのかしら――そう思ってタイチの顔を見ると、 案の定、赤くなっていた。 馬鹿、と言ってやりたかったけど。 それよりも適当な言葉が見つかったので、あたしはそれを言うことにする。 「……ありがと」 「おう」 タイチは笑顔で応えてくれた。 「"ごめんなさい"よりも"ありがとう"の方がよっぽどしっくりくるぜ。 それにさ、なんかお前にありがとうって言われると、 火傷の痛みが引く気がするんだ。だからもっと言ってくれ」 折角言うのをやめてあげたのに。 「もう、馬鹿じゃないの」 思わずそう言った後、あたしはふと、体が軽くなったような気がした。頬に手を添える。 「ヒナタが笑うの、久しぶりだな」 タイチの言うとおりだった。 カントー発電所から戻ってきてから今まで―― カエデと話している時も、タイチを見舞っている時も、 あたしはありのままの、自然の笑顔というものを忘れていた。 それが、こんな些細な切欠で、再び笑うことができるようになったなんて。 あたしは無意味に嬉しくなって、 それをタイチに悟られたくなくて、俯いた。 そして、今日必ず言うと決めていたことを、口にした。 「あのね、タイチ。あたし、ピカチュウを連れ戻しに行く」 タイチはいつもの調子で言った。 「ああ、さっさと行ってこい」 「随分あっさりしてるのね」 「まあな。……お前がそう言い出すのは分かってたから。 俺からしちゃ、いつまでクチバに留まって俺の世話焼くつもりなんだ、ってイライラしてたんだぜ」 突っぱねるような言い方が、実はタイチの気遣いであることをあたしは知っていた。 現実を見据えて言えば、ピカチュウの行方を捜すことは、 広大な広葉樹の森の中に一本だけ生えた針葉樹を探し出すことに等しい。 あの男と、アヤという少女、そして発電所を占拠していたその他の仲間の行方は杳として知れず、 発電所から手掛かりとなりそうな痕跡も一切見つからず、有力な目撃情報も得られなかった。 カントー発電所占拠事件を、クチバシティは明るみに出すまいとしているようだった。 各種メディアはカントー発電所復旧を、地方のお祭り程度に報道したのみで、 警察に設置された捜査本部も、事件の不透明性と被害が極小であったことも相俟って、 本腰が入っていないようだ、ということをジュンサ―さんが教えてくれた。 こうやって事件は風化していくんだろう、と思う。 あの日、あの場所で、あたしがピカチュウと離ればなれになったこと、 あたしたちが垣間見た組織の影のことは、世間の目に止まることなく、忘れ去られていくんだ。 でも、あたしは忘れない。忘れることなんてできない。 「まずは何処にいくつもりなんだ?」 「とりあえず、クチバシティの次に行こうと思ってた、シオンタウンに行くつもり」 「お前の従姉――カエデも一緒にか?」 「……う、ん」 うまく舌が回らないのは、まだそれが決まったことではないから。 「あんたの怪我が治るのを待ってようかとも思ったけど…… まだかかるみたいだから、置いてくわ」 「置き去りにされるのか、俺。薄情なヤツだな、ヒナタって」 「あら、あんたがどうしても、っていうなら、クチバに留まって、 毎朝リンゴを剥いて一口サイズに切って、口に運んであげるけど?」 「じょ、冗談だって。俺の怪我はまだ少しかかりそうだ。 遠慮なく置いてけ。……治ったら、そのときは、すぐにでも追いつくからよ」 あたしはゆっくり首を振った。 まるで、一緒に旅をすることを前提としたようなタイチの言葉に。 「いいの」 「何がだ?」 「別にあたしのことは放っておいてくれても、いいの。 タイチにもポケモンマスターになりたい、っていう夢があるんでしょ。 あたしはピカチュウを探しながら、強くなって、その試金石代わりにジムに挑戦するつもりなの。 それはきっと、普通にバッジを集めてポケモンリーグに行くより、ずっと遅い道程だと思うから――、痛ッ」 なにすんのよ、と大声を出しそうになって、 ここが病室の一角であることを思い出す。 あたしはでこぴんされた額をさすりながら、思いっきりタイチを睨み付けた。 タイチはふふん、と鼻で笑って、 「水くせぇこと言ってんじゃねーよ。 まだ会ってまもない……まあ俺はずっと昔からお前のことは知ってたんだけど…… あの発電所で一緒に戦って、お前とピカチュウの事情聞いたらさ、 もう忘れることなんてできねーわけ。 だから怪我が治ったら、俺もお前等の旅に合流する。約束する」 まるで明日の予定を決めるような調子で、そう約束してくれた。 「タイチ……」 「そんときまでに俺も強くなってるからさ、楽しみにしててくれよ。 今度あのちっこいアヤお嬢様に会うまでに、 炎ポケモンのなんたるかを教育してやれるようになってなきゃな」 「うん……、楽しみにしてる」 タイチならきっと、凄く強いポケモントレーナーになれるよ。 だってあんたのお父さんは、シゲルおじさまは、トキワシティのジムリーダーなんだから。 それからあたしたちは、他愛もない話をして、午前中の温い時間を過ごした。 帰り際、 「怪我、早く治ると良いね」 と言ったあたしに、タイチは火傷を負ってない方の手を挙げて、 「おう」 とだけ言って、背中を向けた。 あっさりしすぎているかもしれないけれど、 ポケモンマスターになってセキエイを目指す旅から、 ピカチュウを探す旅へと目的を変更した以上、 あんまり長く留まっていると、タイチにまた怒られそうだったから、あたしは振り返らないまま病院を出た。 ポケモンセンターの宿泊施設に戻ると、カエデが出迎えてくれた。 「お見舞い、行ってたの?」 「うん。カエデ、まだ寝てたから、起こしたら悪いと思って」 カエデはシゲルのファンで、タイチはシゲルの子供。 この子の性格を鑑みれば、あたしの行為は嫌味を言うに十分な材料だったはずなのに、 カエデは何も言わず、コーヒーを煎れてくれた。 あの日以来、カエデはあたしに、必要以上に気を遣ってくれている。 でも、それも今日で終わり。 「あたし、明日の朝にクチバシティを発つことにしたから。 手掛かりも何もないけど、やっぱりあたし、ピカチュウを探しに行く」 「えっ……?」 かちゃん、と陶器がぶつかりあう音がした。 落ちて割れていないだけ、あたしの言葉は予測されていたのかもしれない。 あたしはカエデが二の句を継ぐ前に、全部言ってしまおうと思った。 「それで、ハナダからクチバまで、短い間旅をしてきたけれど、 ここからはカエデには、自由に旅の選択肢を選んでもらいたいの。 あたしの旅の目的と、カエデの旅の目的は違うわ。 だからね――」 「まったく、何を言い出すかと思ったら。 これだから馬鹿ヒナタは困るわ」 つかつかとあたしの方に歩み寄ってきたカエデは、 あたしの右胸にトン、と右人差し指を置いて、思い直したように胸の真ん中に置き直し、 「あたしはね、あんたがいないと旅が出来ない都会ッ子なわけ。 一人じゃテントも張れないし、旅に必要な買い物の管理もできないし、 ポケモンセンターで部屋を取る方法も知らないし、とにかく何も出来ないの。 一人で旅なんか到底無理なの。不可能なの」 「う、うん」 「あたしは、ヒナタと一緒じゃなきゃダメなの。 それにね、ヒナタは何か勘違いしてるわ。 ヒナタはピカチュウが連れ去られたことが、自分一人の問題だと思ってるみたいだけど、 あたしにとってもピカチュウは大切な存在だったんだから。 あたしも、あいつらが許せない。 あいつらからピカチュウを取り返さなきゃ、気が済まない。 だからあたしは、ヒナタに着いていくわ」 「カエデ、本当にそれでいいの?」 「いいに決まってるじゃないの。 それにあたしはヒナタの従姉なのよ? 従姉が従妹の世話を見なくてどうするわけ?」 さっきまであたしがいないと何もできない、と言っていたのはどこの誰なのよ――。 あたしはその矛盾を問いただしたくなって、 でも結局、喉に込み上げてきた熱い塊に邪魔されて、その言葉を飲み込んだ。 「………ありがと、カエデ」 「なにお礼なんか言っちゃってるの? 気持ちわる。 あー、そういえばクチバシティを出発するってことは、 タイチくんと離ればなれになるってことよねー。 どうしよー、あたしやっぱクチバでタイチくんのお世話しとこっかなー」 下手な照れ隠しに、くす、と思わず笑みが漏れる。 それからあたしたちは荷造りした。 夕方までには、いつでも出発できるように準備が整って、 あたしはジョーイさんに、明日の朝出発する旨を伝えて、外の空気を吸いに出た。 夕陽に染め上げられた薄暮の街並み。 夜を駆逐するための街灯とネオンが瞬き、 見る間にクチバシティの未来的な景観に彩りを加えていく。 かつて、ただの港町だったクチバシティを知っているピカチュウは、 カントー発電所の復活によって、完全な輝きを取り戻したクチバシティを見て、どう思うんだろう。 なんとなく足許を見る。吸殻が落ちているだけだった。 なんとなしに右肩を見る。夏の湿気を含んだ風が通りすぎていった。 会いたい。会って、抱きしめたい。 ねぇ、ピカチュウ。あなたは今、何処にいるの? 「応えてくれないんなら、こっちから探し出してやるから」 『ピカ』 ふいに、耳慣れた鳴き声が聞こえた気がして。 声の聞こえた方向に眼を向けたけど、そこには当然、何もなかった。 たちの悪い幻聴ね――。 あたしはクチバシティの夜景を目に焼き付けてから、ポケモンセンターに戻った。 第八章 終わり
https://w.atwiki.jp/soulpots/pages/90.html
配置 逃走用ダチョウ 2 3 4 5 怪盗スカイハイ 派手囮クジャク 8 窓割りキツツキ 10 色仕掛けのキューチャン照明落としのフクロウ声紋コピーインコ 荷物持ちペリカン 鍵開けハチドリ 差し入れハハドリ 15 16 ※色仕掛けのキューチャン、照明落としのフクロウ、声紋コピーインコの3体は排他関係の様子。 どれか1体が出ると他2体は出現せず。 怪鳥七面相 怪盗スカイハイ - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 魔撃 3.5 スキル スティールハート 無 魔撃 3.5 敵単 TPダメージ魔攻力と魔防力にダメージ使用者の魔攻力と魔防力が上昇(与ダメ分と同等) ガード 見かわしレインボー 全 確率で回避 その他 ※完全怪盗マニュアル(本)所持 ※見かわしレインボーは斬撃、突撃、打撃、射撃、爆撃、神撃、魔撃、音撃に反応を確認 七面鳥賊団 逃走用ダチョウ - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 風+~25? 打撃 1.0 スキル 奇声ダッシュ 無 打撃? 1.0 敵全 待機ゲージが上昇 ガード 敵前逃亡 全 確率で回避最後列まで移動 その他 ※ランナウェイシューズ(戦闘靴)所持 ※奇声ダッシュに対して強欲が反応、攻撃力への影響を確認 ※敵前逃亡は距離1.0以内~3.0以遠の斬撃、打撃、突撃、射撃、爆撃、魔撃、神撃、音撃に反応を確認 ※敵前逃亡の発動後、次の行動まで最後列に待機。次の行動後に定位置へ戻る。 窓割りキツツキ - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 木+~25? 斬撃 1.5 スキル ガード カウンタ 直接 確率で反撃 その他 ※ウィンドウブレイカー(長剣)所持 ※スキル使用を確認できず 鍵開けハチドリ - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 突撃 1.5 スキル 貫通耳ほじり 無 突撃 1.5 敵単 ダメージ ガード ディフレクト 直接 確率で回避 その他 ※クチバシマスターキー(細剣)所持 差し入れハハドリ - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 射撃 2.5 スキル 差し入れ毒弁当 闇+0 射撃 2.5 敵単 ダメージ猛毒追加 ガード マジックバリア 魔法 ダメージ軽減 その他 ※ボールペン型隠し拳銃(銃)所持 ※差し入れ毒弁当の猛毒追加は中確率?(17/48回) 派手囮クジャク - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - GCOLOR(#fdd5f2) 花+~25? 射撃 2.5 スキル アピールダンス GCOLOR(#fdd5f2) 花+~35? 射撃 2.5 敵縦 ダメージ睡眠追加 ガード マイティガード 全 ダメージ軽減 その他 ※霊銃紅華孔雀(霊銃)所持 色仕掛けのキューチャン - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 音撃 3.0 魅了追加 スキル 色魔の鳴き声 無 音撃 3.0 敵単 ダメージ睡眠追加 ガード マジックバリア 魔法 ダメージ軽減 その他 ※ムーディピアノ(楽器)所持 ※色魔の鳴き声の睡眠追加は低確率?(13/36回)ダメージは通常攻撃と同程度。 照明落としのフクロウ - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 突撃 1.5 スキル ガード サイドステップ 魔法 確率で回避 その他 ※豆球スラスター(槍)所持 ※スキル使用を確認できず 声紋コピーインコ - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 音撃 3.0 スキル 声真似 無 音撃 3.0 敵単 声紋コピーインコは(PC名)の声を真似したダメージ ガード マジックカウンタ 魔法 確率で反撃 その他 ※インコ型変声マイク(マイク)所持 ※声真似はDSだけコピーする? 荷物持ちペリカン - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 神撃 2.5 スキル 巨大ペリカン瓶 無 神撃 2.5 敵円 ダメージ ガード 四次元下あご袋 間接 確率で無効化 その他 ※認印鑑型注射器(注射器)所持 ※四次元下あご袋は射撃、魔撃、神撃、爆撃に反応を確認 ドロップ 装備 名称 種類 Lv 属性 攻撃 防御 魔攻 魔防 命中 制御 行動 固有ギフト スロット 備考 ウィンドウブレイカー 長剣 16 木 144 0 0 0 48 0 0 木10% ○ ウィンドウブレイカー 長剣 23 木 201 0 0 19 66 11 0 木12% ○ 豆球スラスター 槍 20 無 150 69 0 0 70 0 0 ○ 科学鑑定 ランナウェイシューズ 戦闘靴 8 風 56 0 0 0 23 0 40 風6% ○ ランナウェイシューズ 戦闘靴 10 風 68 0 0 0 28 0 48 風8% ○ ランナウェイシューズ 戦闘靴 22 風 136 0 0 0 56 0 96 風12% ○ ランナウェイシューズ 戦闘靴 23 風 141 0 0 0 58 0 100 風12% ○ 完全怪盗マニュアル 本 18 無 0 0 126 0 0 86 0 追尾効果Lv1 ○ 完全怪盗マニュアル 本 19 無 0 0 133 0 0 91 0 追尾効果Lv1 ○ 完全怪盗マニュアル 本 20 無 0 0 139 0 0 95 0 追尾効果Lv2 ○ 完全怪盗マニュアル 本 21 無 0 0 145 0 0 99 0 追尾効果Lv2 ○ 完全怪盗マニュアル 本 22 無 0 0 152 0 0 104 0 追尾効果Lv2 ○ 完全怪盗マニュアル 本 23 無 0 0 158 0 0 108 0 追尾効果Lv2 ○ 完全怪盗マニュアル 本 24 無 0 0 164 0 0 112 0 追尾効果Lv2 ○ 完全怪盗マニュアル 本 25 無 16 11 198 0 28 117 7 追尾効果Lv2 ○ 認印鑑型注射器 注射器 21 無 0 0 115 84 0 76 0 ○ 認印鑑型注射器 注射器 22 無 0 0 120 88 0 80 0 ○ 認印鑑型注射器 注射器 23 無 0 0 125 91 0 83 0 ○ ムーディピアノ 楽器 22 無 0 0 160 0 0 96 0 魅了追加Lv4 ○ インコ型変声マイク マイク 22 無 0 0 144 48 0 96 0 ○ 霊銃紅華孔雀 霊銃 3 花 23 0 0 0 30 0 0 花5% ○ 霊銃紅華孔雀 霊銃 18 花 105 17 0 27 133 6 17 花11% ○ 霊銃紅華孔雀 霊銃 21 花 107 0 0 0 138 0 0 花12% ○ 霊銃紅華孔雀 霊銃 22 花 112 0 0 0 144 0 0 花12% ○ 霊銃紅華孔雀 霊銃 24 花 121 8 39 0 180 38 15 花12% ○ ボールペン型隠し拳銃 銃 21 無 122 0 0 0 122 0 0 貫通効果Lv2 ○ ボールペン型隠し拳銃 銃 22 無 128 0 0 0 128 0 0 貫通効果Lv2 ○ ボールペン型隠し拳銃 銃 24 無 138 0 0 0 138 0 0 貫通効果Lv2 ○ ボールペン型隠し拳銃 銃 25 無 144 0 0 0 144 0 0 貫通効果Lv2 ○ クチバシマスターキー 細剣 4 無 38 0 0 0 22 0 12 ○ クチバシマスターキー 細剣 20 無 144 11 27 12 80 16 44 ○ クチバシマスターキー 細剣 23 無 158 0 0 0 91 0 50 ○ 怪盗手袋 手袋 13 無 0 10 30 55 0 40 -40 ○ 怪盗手袋 手袋 19 無 0 14 42 77 0 56 -56 ○ 怪盗手袋 手袋 20 無 0 14 44 80 0 58 -58 ○ 怪盗手袋 手袋 21 無 0 15 46 84 0 61 -61 ○ 怪盗手袋 手袋 22 無 0 16 48 88 0 64 -64 ○ 怪盗手袋 手袋 23 無 0 16 50 91 0 66 -66 ○ 怪盗手袋 手袋 24 無 0 17 52 95 0 69 -69 ○ 偽警備員章 腕章 19 無 28 42 28 42 21 21 56 ○ 偽警備員章 腕章 21 無 30 46 30 46 23 23 61 ○ 偽警備員章 腕章 22 無 32 54 35 48 38 28 67 ○ 偽警備員章 腕章 23 無 33 50 33 50 25 25 66 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 17 無 0 0 0 152 0 31 -76 回避上昇Lv3 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 18 無 0 0 0 160 0 33 -80 回避上昇Lv3 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 19 無 0 0 0 168 0 35 -84 回避上昇Lv3 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 20 無 0 0 0 176 0 36 -88 回避上昇Lv4 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 22 無 0 0 0 192 0 40 -96 回避上昇Lv4 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 23 無 2 0 1 200 18 44 -100 回避上昇Lv4 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 24 無 0 0 0 208 0 43 -104 回避上昇Lv4 ○ 闇隠れの黒衣 法衣 26 無 0 31 0 224 38 70 -112 回避上昇Lv5 ○ 鴉装束 戦闘服 15 無 22 68 22 68 0 0 0 回避上昇Lv3 ○ 鴉装束 戦闘服 19 無 28 84 28 84 0 0 0 回避上昇Lv3 ○ 鴉装束 戦闘服 20 無 29 88 29 88 0 0 0 回避上昇Lv4 ○ 鴉装束 戦闘服 21 無 30 92 30 92 0 0 0 回避上昇Lv4 ○ 鴉装束 戦闘服 22 無 32 96 43 96 19 0 0 回避上昇Lv4 ○ 鴉装束 戦闘服 23 無 33 100 33 100 0 0 0 回避上昇Lv4 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 7 無 0 0 24 0 0 36 0 耐神防御Lv1 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 9 無 0 0 29 0 0 44 0 耐神防御Lv1 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 15 無 0 0 45 0 0 68 0 耐神防御Lv1 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 18 無 0 0 53 0 0 80 0 耐神防御Lv1 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 19 無 0 0 56 0 0 84 0 耐神防御Lv1 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 20 無 0 0 58 0 0 88 0 耐神防御Lv2 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 21 無 0 0 61 0 0 92 0 耐神防御Lv2 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 22 無 0 0 64 0 0 96 0 耐神防御Lv2 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 23 無 0 0 66 0 0 100 0 耐神防御Lv2 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 24 無 0 0 69 0 0 104 0 耐神防御Lv2 ○ 鳥賊の羽根飾り 髪飾り 25 無 0 0 72 0 0 108 0 耐神防御Lv2 ○ 鳥目鏡 眼鏡 4 無 16 0 0 0 24 0 0 耐射防御Lv1 ○ 鳥目鏡 眼鏡 16 無 65 0 0 3 83 0 0 耐射防御Lv1 ○ 鳥目鏡 眼鏡 18 無 53 0 0 0 80 0 0 耐射防御Lv1 ○ 鳥目鏡 眼鏡 19 無 56 0 0 0 84 0 0 耐射防御Lv1 ○ 鳥目鏡 眼鏡 20 無 58 0 0 0 88 0 0 耐射防御Lv2 ○ 鳥目鏡 眼鏡 21 無 61 0 0 0 92 0 0 耐射防御Lv2 ○ 鳥目鏡 眼鏡 23 無 66 0 0 0 100 0 0 耐射防御Lv2 ○ 鳥目鏡 眼鏡 24 無 101 2 9 0 104 25 12 耐射防御Lv2 ○ ※本家アイテムデータの並び順と同様 魂片 名称 種族 Lv 属性 ギフト 逃走用ダチョウ 鳥 6 風 天翼強化Lv1 逃走用ダチョウ 鳥 15~16 風 天翼強化Lv2 逃走用ダチョウ 鳥 18~22 風 天翼強化Lv3 逃走用ダチョウ 鳥 24 風 天翼強化Lv4 窓割りキツツキ 鳥 7~10 木 速攻強化Lv1 窓割りキツツキ 鳥 14~17 木 速攻強化Lv2 窓割りキツツキ 鳥 19~23 木 速攻強化Lv3 窓割りキツツキ 鳥 24~26 木 速攻強化Lv4 鍵開けハチドリ 鳥 14~17 無 速射強化Lv2 鍵開けハチドリ 鳥 18~23 無 速射強化Lv3 鍵開けハチドリ 鳥 24、26 無 速射強化Lv4 差し入れハハドリ 鳥 6、9 無 速射強化Lv1 差し入れハハドリ 鳥 12~17 無 速射強化Lv2 差し入れハハドリ 鳥 18~22 無 速射強化Lv3 差し入れハハドリ 鳥 24~25 無 速射強化Lv4 派手囮クジャク 鳥 6 花 速攻強化Lv1 派手囮クジャク 鳥 15~17 花 速攻強化Lv2 派手囮クジャク 鳥 18~23 花 速攻強化Lv3 派手囮クジャク 鳥 24~25 花 速攻強化Lv4 色仕掛けのキューチャン 鳥 16~17 無 速魔強化Lv2 色仕掛けのキューチャン 鳥 18~23 無 速魔強化Lv3 照明落としのフクロウ 鳥 16 闇 硬翼強化Lv2 照明落としのフクロウ 鳥 18~23 闇 硬翼強化Lv3 照明落としのフクロウ 鳥 25 闇 硬翼強化Lv4 声紋コピーインコ 鳥 14、16 無 速唱強化Lv2 声紋コピーインコ 鳥 22 無 速唱強化Lv3 荷物持ちペリカン 鳥 6、8 無 速魔強化Lv1 荷物持ちペリカン 鳥 15~17 無 速魔強化Lv2 荷物持ちペリカン 鳥 18~23 無 速魔強化Lv3 荷物持ちペリカン 鳥 24 無 速魔強化Lv4 ※敵並び順と同順 探索 なし タイプ:イベント 属性:無? マップLv:PT平均Lvを基準に難易度選択(-1、±0、+1、+3、+6)で増減 スキップLv:なし クリアボーナスSB:5+(キャラLv÷10)の端数切捨て クリアボーナスAsh:300+(キャラLv×30)Ash クリアボーナスSP:+1 クリアボーナスアイテム&魂片 名称 種類 Lv 属性 効果 七色七面鳥 食料 1 無 全属性防御値が15ずつ上昇する / 料理不可 名称 種族 Lv 属性 ギフト 怪盗スカイハイ 鳥 5 無 ターキーボーナスLv1 怪盗スカイハイ 鳥 10 無 ターキーボーナスLv2 怪盗スカイハイ 鳥 15 無 ターキーボーナスLv3 怪盗スカイハイ 鳥 20 無 ターキーボーナスLv4 怪盗スカイハイ 鳥 25 無 ターキーボーナスLv5 雑感 2012/11/25の第57回に行われた限定イベント『怪鳥七面相』の舞台。 胡乱な言動が特徴的な謎の人物……鳥物?「怪盗スカイハイ・スカイウォーカー」を迎撃するミッション。 属性は風、木、闇、花。 異常は猛毒、魅了、睡眠。 固有で持つガードアビリティの対応力の高さが目を引く。固定出現の怪盗スカイハイに逃走用ダチョウと荷物持ちペリカンらが加わると思いの外長引くことも。 イベントテキストは リンク先 にて。
https://w.atwiki.jp/wktkwktk/pages/24.html
「おもーい、だるーい、歩きたくなーい」 約27回目となるカエデの弱音に、ヒナタと僕は慣れきってしまっていた。 「地図を見た感じだと、あともう少しよ。頑張りましょ」 「ヒナタ、さっきから同じことばっか言ってるじゃないの」 「ピカァ……」 それは君が言えた台詞じゃないだろう……。 それにいつまで経っても目的地が見えてこないのは、 君の歩みが果てしなく遅いからだぞ。 「ね! ここら辺で休憩しない? お腹もへったし。あたしクチバシティでおやつ買ってきたんだ」 勝手に座り込んで、リュックサックを開けるカエデ。 ヒナタと僕は視線を合わせ、深い深い溜息を吐く。 ここは十番道路の外れ。 イワヤマトンネルの手前あたりの入り江をパウワウの力を借りて渡り、 僕たちはかつての無人発電所に向かっている。 さて――何故僕たちがこんな辺境に赴いているのかといえば、 それには約5日ほど、時間を逆行させなければなるまい。 ハナダシティを出発した僕たちは滞りなく(カエデの我儘を除けば、の話だ)クチバシティに到着した。 時間は小夜。既に辺りは夜の帷に包まれている。 最初に違和感に気づいたのは、カエデだった。 「ねぇ……なんか暗くない?」 「そうかしら。夜も遅いし、普通じゃない?」 「……ううん、やっぱりおかしい。 あたしクチバに遊びにきたこと何度もあるけど、 街灯とかネオンとか、もっと明るかった気がするの」 僕は記憶を手繰り、サトシと訪れた十数年前の街の風景を思い描く。 だが、記憶が不明瞭な上にかなり過去のものであることも手伝って、 クチバシティの暗さが「正常」なのか「異常」なのか、判断できなかった。 ヒナタが言った。 「とりあえず、ポケモンセンターに行きましょ。 街の人に聞けば、何か分かるかもしれないわ」 果たして、カエデの直感は当たっていた。 街の中を歩いていると、等間隔に設置された街灯はその半分が意図的に消灯されていることがわかる。 ポケモンセンター内の照明も、かなり絞られており、 自然と、この街が電力不足に陥っていることが理解できた。 「最近、大規模な停電があったの」 と、ジョーイさんは困憊した表情で語った。 「この街の電力の過半が、十番道路にある発電所で賄われていることは知っているかしら?」 「いいえ、初耳です」 「昔は、その発電所は無人で、それはそれは寂しい場所だったのよ。 クチバシティが海岸側に発展して、その発電所に誰も寄りつかなくなって、何年もの月日が流れたわ。 最深部には伝説のポケモン、サンダーが棲み着いている、という噂もあって、危険区域にも指定されていた時期もあったわね。 でも、クチバシティの都市化に伴って、無人発電所復旧計画が立案されて―― 復旧作業は、あっという間に終わったわ。もともと設備は備わっていたから、まあ当然ね。 そして無人発電所は、カントー発電所として生まれ変わったの。 今ではクチバシティにとって、なくてはならない発電施設よ」 既に知っていたらしいカエデは退屈そうに髪を弄っている。 ヒナタが訊いた。 「それで……、その発電所に、何か異常が?」 ジョーイさんは頷いて、 「もう半月ほど前になるかしら。 ある日、街全体が真っ暗になるほどの停電が起きたの。 すぐに電気は復活したんだけど、供給量は元の半分以下に落ち込んでしまったみたいで……。 原因がカントー発電所にあることは、すぐに判明したわ。 でも、どんなに街の方から連絡を取ろうとしても、発電所からは反応がなかったみたい」 「反応がなかったって、まさか発電所で働いていた人の身に、何か起きたってことですか?」 「そこまでは分からないの。 発電所の備蓄には余裕があるみたいだから、 なんらかの事故で身動きがとれなくなって、助けが来るのを待っているのかもしれないし、 ただ単に通信機のトラブルで、電力供給が低下した原因を伝えられなくて困っているのかもしれないし。 でもね……、」 とジョーイさんは急に歯切れの悪い口調になって、言った。 「原因究明のために、停電の二日後に出発した先遣隊からの連絡が途絶えて、 そのさらに三日後に出発した、ジムリーダー、マチスを中心とした調査隊も、まだ帰ってきてないの」 「えっ!? じゃあ今、クチバシティジムは――」 「閉鎖中よ。発電所で何があったんでしょうね……本当に不気味だわ。 話が長くなっちゃったけど、今日はここで泊まる? 部屋はまだいくつか空きがあるけど?」 お願いします、とヒナタは消沈しきった声で答えた。 ベッドテーブルに備え付けられたライトが、 淡く、ヒナタとカエデの横顔を照らしている。 二人の間には、カントーとジョウトの地図があり、険悪な雰囲気が互いに遠慮なく醸されていた。 「発電所に行くわ」 「イヤよ。面倒だもん」 不毛だった。 僕はピッピ、ヒトデマン、パウワウ、ワニノコと一緒に、輪になって座り、頭を抱えていた。 どうして僕たちの主人はあんなに折り合いが悪いんだろうね。 「この街で留まっていたら、いつオレンジバッジを手に入れられるかわかったもんじゃないわ。 発電所に行って、マチスに会って、ついでに発電所の問題も解決しちゃえば、一石二鳥でしょ?」 「どーしてあたしたちがそんな無駄なことしなきゃいけないわけ? 他の人たちに任せとけばいいことじゃない。あたしは絶対ヤだから」 「あーもー、分かったわよ! あたしは一人で行くから。カエデはクチバシティで待ってればいいわ!」 鬼の形相で言い捨て、ベッドに潜りこんでしまうヒナタ。 びくっ、とカエデの肩が震える。 カエデは普段は高圧的だが、一旦ヒナタが怒ると、姉に叱られた妹のように縮んでしまうのだった。 「い、いいもん! あたしはポケモンと一緒に眠るから!」 つかつかと僕たちの方に歩み寄り、 パウワウ、僕、ヒトデマン、ワニノコ、ピッピの順にソファに並べて、その横になるカエデ。 彼女の温もりを肌で感じながら、僕は心の中で、夜伽できないことをヒナタに謝った。 翌日。 発電所探索のために荷物を小分けし、 余った荷物をポケモンセンターの預かり所に預けたヒナタは、 朝からどこかに出かけていたカエデと、ばったりセンター前で出会った。 ヒナタはつん、とそっぽを向いて、 「それじゃあたし、行ってくるから。あんたとの旅は短い間だったけど、楽しかったわ。 ここで待つなり、旅を続けるなり、お好きにどうぞ」 歩き出す。 「ま、まま、待ちなさいよ。やだ、ヒナタ、待って!!」 その裾をカエデが掴んだ。彼女の抱えていた買い物袋が、ばらばらと散らばる。 ヒナタが振り返る。怖面だが、唇は三日月型に笑っていて――。 「あたしがカエデを置いてくわけないでしょー。 あんたの性格なんてお見通しよ。それより何? やっぱ着いてきてくれるの?」 カエデは俯いたまま、 「……うん」 と頷いた。ヒナタは散らばった買い物袋を拾い上げながら、 「正直言うと、もしかして本当に一緒に来てくれないのかな、って不安だったの。 朝からどこに行ってたの?」 「ショップ。あたし、リュックサックに旅に必要なもの、全然入れてなかったから……いろいろ買ってきたの」 「そうだったんだ」 嬉しそうに微笑む。 その後、一旦ポケモンセンターに戻って、 カエデも準備を済ませ、僕たちはいよいよカントー発電所に出発した。 そして、時は現在に至る。 「ピカ、ピ……」 「旅に必要なものって、そのことだったのね……」 むしゃむしゃとお菓子を頬張るカエデに、僕とヒナタは辟易していた。 あの『旅の決意』の正体がこんなものだったなんて、カエデ、君には失望せざるを――。 「ピカチュウも食べる?」 「……ピカ」 得なくもないな。 クチバシティの特産物"マルマイン饅頭"はその名の通り体を表していて、 二層構造になった餅と餡が絶妙なハーモニーを奏でている……おっと、何を普通に賞味しているんだ僕は。 焚火から離れて、ヒナタの膝の上に座る。 カエデの我儘通りに休憩がとられたものの、 案の定、食べたら動きたくなくなる法則が発動し、発電所を手前にして二度目の野宿となった。 ぱち……ぱちぱち。 薪の爆ぜる鋭い音が、しかし眠りに誘うように聞こえてくる。 「眠ってもいいわよ、ピカチュウ。 今夜はあたしとカエデで、交代で番をするから」 ヒナタの細くて柔らかい指に撫でられると、どんなに堅い意志でも蕩けてしまう。 だが、いくら他のポケモンが主人に甘えようとも、僕は深く眠るわけにいかなかった。 不慮の事態はいつ何時起こるか分からない。 ――特に君は、そういったものに巻き込まれるよう運命付けられているんだから。 僕は右耳を倒して、ヒナタに告げた。 「チュウ」 ほら、また釣られてきたぞ。 「うぃーっす。ねぇねぇ、俺らも焚火当たらせてくんない? 「あー俺わかっちったー。キミタチもあの発電所目指してんでしょ? 同じポケモントレーナーだしねーあはは、共鳴ってヤツ?」 馬鹿笑いしながら近づく若者二人。僕は冥福を祈った。 ここで引き返せば無事に帰れるというのに。実に哀れだ。 「ヒナタ、あんたが行きなさいよ」 「カエデ、お菓子ばっか食べてないでたまには働いたら?」 「だらしない女みたいな言い方しないでよね」 「あーはいはい。じゃあまた二人で片付けましょう。そっちの方が早いわ」 二閃。ポケモンバトルに呼び出されたと思ったのだろう、 闘志に充ち満ちた構えで現れたパウワウとヒトデマンは、若者二人を認め、げんなりした風に見えた。 「待った待った。俺たちは平和の使者なわけ。 君ら美人姉妹と、友好の繋がりを持とうとはるばるやってきたんだって。ほら、ポケモン仕舞いなって」 「今晩は仲良くやろうぜ。つーわけで、おっ邪魔っしまーす」 ヒナタが投げ遣りに言った。 「"バブル光線"」 ヒトデマンが十数倍にも希釈したバブル光線を、若者の足許に放つ。 つるつるに滑る足場を歩き続けた二人は、派手に転んで大地に接吻する。 これが最後のチャンスだ、今すぐ起き上がって逃げろ――。 そんな僕の心の忠告も虚しく二人はゆらりと起き上がり、 「あー……ちょっと君たち、悪ふざけが過ぎるんじゃない?」 「俺らにも我慢の限界ってヤツが――」 ヒナタとカエデは、顔を見合わせて頷き会った。 「ヒトデマン、"みずでっぽう"をお願い」 「パウワウ、"冷凍ビーム"で固めてあげなさい。あとあたしたち、姉妹じゃないから」 ばしゃ、と水が浴びせかけられ、 冴え渡る冷気が、その水を瞬間的に凍らせて……。 若者二人がいた場所には、めでたく氷の彫像の完成していた。 絶叫の形相のまま氷漬けにされたその姿に、僕はごくり、と生唾を飲み込んだ。 「これで何個めかしら」 「さあ、憶えてないわ」 カエデは何事もなかったかのように欠伸し、 シートの上に横になって、ポケモン考古学の専門書を読み始めた。 いつもながら、普段の彼女を知る僕にとってはあまりにも意外すぎる光景だ。 「ねぇヒナタ」 「何?」 「ポケモンがどうやって誕生したのか、想像したことある?」 「なによいきなり急に……」 と言いつつも、両手をチューリップのような形にしてそこに顎を乗せ、瞑想するヒナタ。やがて彼女は言った。 「あるわ。あたしが赤ちゃんの時から傍にいて、 時には遊んでくれて、時には一緒に戦ってくれるポケモンが、 いったいいつ誕生して、どのように人間と生活圏を重ねていったのか……。 でも、所詮は想像よ。 学校で習ったけど、まだ確かなことは何一つ分かっていないのよね?」 「……うん。その原初の解明が、ポケモン考古学者の夢なの。 天文学者や物理学者にとっての、ビッグバンの真相究明と同じようなものねー」 「ふーん。じゃあカエデも将来は、ポケモン考古学者になって研究に明け暮れるんだ?」 「そうできたらいいなって思ってるけど……」 カエデが遠い目で、焚火の揺らめく炎を透かし見る。 恐らく彼女の頭の中には、ハナダシティジムリーダーを継ぐという選択肢が芽生え初めてきているのだろう。 ヒナタと和解し、アヤメの誤解も晴れた今、 強制されることなきジムリーダーという仕事は、彼女の瞳に魅力的に映り初めているのかもしれない。 「ピカ、ピカチュ」 カエデ、君は気づいていないかもしれないけれど、それはとても幸せなことなんだよ。 ポケモン考古学者とジムリーダーの仕事を天秤にかけられる子が、この世に何人いると思う? カエデは本を置いて目を閉じる。 それを見て、ヒナタがタオルケットを取り出そうとした――その時だった。 「ははーん。なるほどな。 こんなにキレイな誘蛾灯が二つもありゃあ、アホな男どもが寄っては散っていくわけだ」 暗闇から若い男の声。 直後、閃光が走る。 ぼうっ、と人魂のように揺らめく炎は、ポケモンが発している物と見て間違いない。 「誰ッ!?」 ヒナタが誰何し、カエデが飛び起きてベルトに手をかける。 「おいおい、俺は敵じゃねえっつーの。物騒な奴らだな……」 「いきなり現れてポケモンを出すあんたの方が物騒よ! 今すぐ立ち去らないと、容赦しないからね。お願い、ヒトデマン!」 「やれやれ、こっちは話がしたいだけだってのに。 そうやってあの男どもを氷漬けにしてきたのか? 追い返されても仕方ない奴らだとは思うが、あいつらマジ泣きしてたぞ」 「知らないわよそんなのっ。行って、パウワウ!」 時間差で二閃。 呼び出されたパウワウとヒトデマンは、 従前とは違う緊張した空気に、いつ命令されても素早く反応できるように身構えた。 そして―― 「俺は氷の彫像になるなんてまっぴらご免だぜ。マグマラシ、しっかり守ってくれよ」 「ヒトデマンっ、"みずでっぽう"よ!」 「パウワウっ、"冷凍ビーム"!」 繰り出された技に手加減の跡はなかった。 高速で噴出された水が、軌道上の水蒸気を凝固させるほどの冷却光線が、 一直線に男のポケモンに浴びせかけられて―― 僕は視た。 瞬間的な状態変化が連続で発生し、空気が一気に膨張するのを。 「ピカッ――」 伏せろ! 僕の意図が伝わるよりも先に、凄まじい暴風が吹き荒ぶ。 「きゃっ――!!」 「いやっ――!!」 風が収まったとき、辺りは惨状と化していた。 焚火は消え、お菓子の袋はあらかた飛んでしまって、 一生懸命建てたテントも傾いでしまっている。 ヒナタとカエデは、目を覆ってその場にしゃがみ込んでいた。 水鉄砲を気化させ、 冷凍ビームを無効化するほどの火炎、か。 久々に僕の出番かもしれないな。 頬から電流を走らせる。 闇夜にその青紫はよく映えた。 男がポケモンとともに近寄ってくる。顔は未だ窺い知れない。 「おいおい、大丈夫かよ。 お前らを攻撃するつもりはなかったんだ。正当防衛ってやつさ」 僕はフラッシュを使った。光が一帯を照らす。僕は驚愕に目を見開いた。 何故ここに君が? 嘘だろう? ヒナタが再び誰何する。 「やだ、来ないでよっ……。あんたいったい誰なの? どうしてあたしたちに関わろうとするのよ!?」 「だからそんな警戒すんなって。俺の名はタイチ。 ポケモンマスターを目指して旅をしてるポケモントレーナーさ。 バッジを集めてクチバまで来たら、 停電騒ぎでマチスの野郎が発電所に向かってるって聞いて、ここまでやってきたんだが、」 「……タイチ。どっかでその名前……あっ」 僕の心に、理解の波が押し寄せてくる。 この風貌といい、パワーに任せた防御の仕方といい―― 若い頃のシゲルにそっくりのこの少年は、 「あんたもしかして、シゲルおじさまの息子なの?」 「ああ……って、どうしてお前がその名前を?……あっ、お前……もしかして……ヒナタか!?」 「どっ、どうしてあんたがあたしの名前を知ってるのよ!?」 「マジかよ、信じられねぇ。こんなところでヒナタに会えるなんて! 俺、俺――」 情報が錯綜し、軽い混乱状態に陥る少年とヒナタ。 しかし何を思ったのか、そのタイチなる少年はがばっとヒナタを抱擁しようとし、 「うごっ」 不可視の障壁にしこたま頭をぶつけて昏倒した。 ――リフレクター? 僕は呆然とするヒナタの背後に回り込む。 するとそこには予想どおり、ぎゅっと目を瞑って、指を振り続けるピッピがいた。 ほう。やれるじゃないか、ピッピ。 30分後。 そこには奇妙な図が出来ていた。 まず中心に、額に大きなたんこぶを作って眠る哀れな少年、タイチ。 その横でタイチの額に濡れタオルを当て、目を覚ますのを今か今かと待ち構えているヒナタ。 そしてその周りを、蕩けた笑顔で「きゃあきゃあ」言いながら小躍りしているカエデ。 事情を知らない第三者がこの場を訪れたら、 あまりの奇妙さに後ずさって逃げていくレベルの図だ。 タイチが昏倒した後、彼のポケモンであるマグマラシは大人しくボールに戻った。 突然の事態に戸惑いつつも、とりあえずヒナタは倒れたタイチを介抱することにしたのだが、 その時、僕はとてつもなく嫌な予感がして振り返った。予感は寸分の狂いもなく的中していた。 暴風によって瞑っていた目を開けたカエデは、 財布の中から一枚の写真を取り出し、タイチの顔と見比べ、喜色満面になってこう言ったのだ。 『奇跡よ! 若い頃のシゲルが時空を超えてあたしの前に現れるなんて!』 ―――――― ―――― ――― 僕は今一度タイチを観察する。 裾のすり切れたベイカーパンツにラグランTシャツ、胸元にはフレアネックレスと、 軽さ全開の格好だが、顔の造形は年齢に見合わず大人びていて、 そこに長い前髪と睫が、細い影を落としていた。 まったく……見れば見るほどシゲルにそっくりだ。 「う……んん……」 瞼が僅かに動く。ヒナタは濡れタオルから手を離して、 「目が覚めた?」 「あ、ああ……そうだ、ヒナタ、俺――」 「ターイーチーくんっ。おはようっ。 ヒナタから話を聞いた時ははらわたが煮えくりかえって もう卒倒しちゃう寸前だったんだけど、あの子とシゲルの関係については綺麗さっぱり忘れることにしたの。 どんなにあたしがファンでも、シゲルは既婚なのに変わりはないしー、 あたしはまだ十代だしー、やっぱり現実を見なくちゃね☆ 聞いた話だとタイチくん、シゲルの息子さんなんですってね。 あの、わたし、ヒナタの従妹のカエデって言います。 それで良ければこの出会いを機会にお付き合いを――」 「カエデはちょっと黙ってて」 ヒナタに頬をつねられて、ふがふが言うカエデ。 タイチは困惑した様子で言った。 「お前、本当にヒナタなのか?」 「ええ、そうだけど?」 「なんつーか、その……変わったな。俺が知ってるお前は、もっとお淑やかで、可憐な百合の華みたいで……」 ぺし、とデコピンが炸裂する。 「どういう意味よ、それ」 「いや、全然悪い意味じゃねーんだ。本当だぜ!」 「まあいいわ。ところで、とても大事な質問があるんだけど、聞いてもいいかしら。 どうしてあんた、あたしの名前知ってるの? あたしたち、初見よね?」 「…………………は?」 三点リーダ七個分の間に、 タイチの顔は血色の良い肌色から蒼白色になり、土気色になって、やがて完全に生気を失った。 「……嘘、だろ? なあっ、嘘って言ってくれよ!」 「嘘なんか言ってないわ。あたしがあんたと会うのはこれが初めてよ」 我慢できなくなったのか、タイチはがばりと身を起こし、 「違う! 本当に忘れちまったのか? あれはもう10年も前のことだけどさ、 俺が親父に連れられてマサラタウンに寄って……、 そんとき初めて俺はお前と出会ったんだ。 親父たちに外で遊んでこいって言われて、 俺と一緒に出かけたお前はすっごく緊張してて、 でも、恐る恐る繋いでくれた手はすっごく柔らかくて……。 森の中でキャタピーに襲われた時のお前の顔は今でも忘れられねえよ。 あのときポケモンを持ってなかった俺は、無様に大人を呼びにいくことしかできなかった……。 その時俺は誓ったんだ。 誰にも負けない一流トレーナーになって、お前を守れる存在になるまで、 お前の前に姿を見せないってな……ふっ、我ながらキザな少年時代だったぜ」 「うわ……」 ヒナタは完全に引いていた。 僕も引いていた。カエデだけが嫉妬の炎をメラメラ燃やしてヒナタを睨み付けていた。 この自意識過剰っぷり……重傷だ。それもかなり。 ヒナタは目を閉じて、溜息を吐くようにして言った。 「ごめん、あたし、やっぱり思い出せない」 意外にもタイチの反応はあっさりしていた。 「今すぐ思い出してくれなくてもいいぜ。ゆっくりでいい。俺は待つから」 「べ、別に待ってもらっても困るんだけど……」 「待つって。ま、そのうちヒナタが思い出さなくてもいいようになるかもしれないけどな」 爽やかな笑顔。漲る自信。 この出所不明のポジティブシンキングは――やはり親父譲りなのか。 思わず自分の体を抱きしめたくなるほどに、冷たい沈黙が影を落とす。 ヒナタは相変わらず笑顔のタイチと、いよいよ爆発しそうなカエデを交互に見て言った。 「あの、紅茶あるんだけど……呑む?」 第七章 上 終わり
https://w.atwiki.jp/ressenrowa/pages/12.html
施設名のみ 山奥に作られたジュラル星人の基地@チャージマン研! DIOの館@ジョジョの奇妙な冒険 ハギろうじんの家@ポケットモンスターオメガルビー ポケモン研究所@ポケットモンスターソード サメハダ岩@ポケモン不思議のダンジョン 時・闇・空の探検隊 奇跡の泉@DRAGON QUEST -ダイの大冒険- アリアハン城@ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 ミナモデパート@ポケットモンスターオメガルビー キン肉ハウス@キン肉マン 超人ホイホイ@キン肉マン クチバシティの港@ポケットモンスター赤緑 レインボーロケット団の城@ポケットモンスターウルトラサンムーン カプセルコーポレーション@ドラゴンボール超 ブロリー エナジン社@ランペイジ 巨獣大乱闘 ふたごじま@ポケットモンスター赤緑
https://w.atwiki.jp/planet_mira/pages/23.html
居場所 種別 名前 レベル 出現条件 感知 居場所 Normal 原初 ウェルキン・アクイラ 21-23 日中 視覚+乱入 岩盤要塞奥の崖の上 リーヴ・アクイラ レベル 出現条件 感知 居場所 スカイ・アクイラ レベル 出現条件 感知 居場所 Normal 忘却 ゲイル・アクイラ レベル 出現条件 感知 居場所 タイフーン・アクイラ レベル 出現条件 感知 居場所 名前 レベル 出現条件 感知 居場所 名前 レベル 出現条件 感知 居場所 Overed 名前 レベル 出現条件 感知 居場所 名前 レベル 出現条件 感知 居場所 ドロップマテリアル アクイラの無精卵 全種共通 Rare アクイラの笑い袋 / ??? 笑い袋は原初の荒野のアクイラから ???は忘却の渓谷のアクイラから Common 背中破壊報酬 アクイラの一本角 全種共通 Common 角破壊報酬 アクイラの求婚羽根 全種共通 Common 尻尾破壊報酬 欠けたクチバシ 全種共通 Common 汚れた羽根 全種共通 Common その他 ウェルキンは図鑑上常時になっているが、夜間はどこに?
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/1351.html
6ページ目 チヒロ『はい、もしもし』 セリ「もしもし、チヒロさん?」 チヒロ『あ、セリさん』 チヒロ『どうしたの?』 セリ「シンオウ地方、って行ってみたくない?」 チヒロ『シンオウ地方?』 チヒロ『是非、行ってみたいわ』 セリ「うん、ありがとう」 セリ「じゃあ今度会って、詳しく話しましょう」 チヒロ『了解、どこで会おうか?』 セリ「そうね……」 数日後、カントー地方・クチバシティ、カフェ チヒロ「こんにちは」 セリ「こんにちは、チヒロさん」 チヒロ「シンオウに行くって話だったっけ?」 セリ「そそ。ちょっとした旅行にね」 チヒロ「どこに行くの?」 セリ「ヨスガシティかな。ナギサから入って」 チヒロ「ヨスガ? ってどんなところ?」 セリ「はいパンフ」 チヒロ「準備いい! 流石セリさん!」 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/pokekioku/pages/102.html
___ /― ―\ /u 〓 〓 \ | ⊂⊃ (_,、_,) ⊂| \ n,っ ィ' ( m/ ノi ) 乂_ イ _ノ───────────────────────────────────────【やる太】「さて、なんだかんだで手探りな旅になりそうだお。」スタート地点は、命蓮寺のあるネオトキワシティから【タウンマップ(関東地方)】 ┏━━凸 ┃ ⑪ ▲━━━━④━━━■ ◎ ③━━┳┛ ┃ ▼ ┃ ● ┃ ┃ ┃ ┃ ◆ ⑦━━━━━⑥━━━⑤ ┃ ┣━━┫ ┃ ┃ ┗━② ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ▽ ⑧●━━┛ ┃ ┃ ┃ ① ▽ ┃ ▽ ┃ ┣━━┻━━━⑨━━┛ │ ⑩ ◎①【ネオマサラタウン】 ▽迷いの竹林②【ネオトキワシティ】◆:魔法の森 / ●:地霊殿③【ネオニビシティ】 ▲:妖怪の山④【ネオハナダシてぅ】■:研究所 / 凸:ドーム⑤【ネオシオンタウン】▼ムゲンマウンテン⑥【ネオヤマブキシティ】⑦【ネオタマムシシティ】⑧【ネオクチバシティ】 ●:地霊殿⑨【ネオセキチクシティ】⑩【ネオグレンタウン】 ◎ふたご島 戻る
https://w.atwiki.jp/maidensnow/pages/95.html
怨念に満ちた鳴き声と共に、口から火を吹く 不吉な姿をした怪鳥。 種族 獣・鳥 出現場所 駅前通り・センター街・暗き根の路・風の通り道 アイテム エッセンス(炎123・魔装1・炎3・混乱1炎1・混乱1炎3灰かぶりのワンド弓ランダム 使用スキル クチバシで通常攻撃炎の息 備考 ゲームを始めて最初に苦戦するであろう敵真正面に立つと非常に火力の高い火属性のブレスを吐いてくるHPを半分以上減らされることもあり、更に回避も高めなので注意が必要強敵ではあるのだが移動速度が通常より遅く、後手技を含めて位置取りの重要性など、いかにして被害を抑えて戦うかを学ぶ機会になるこれを苦もなくノーダメージで対処できるようになればシステムを理解しつつあると言えるだろう コメント 名前