約 17,772 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5214.html
『絶対絶命』 季節は四季に含まれない梅雨の真っ只中にある。 肌にまとわりつく湿気に、生温い風が頬を撫でる。外を眺めれば雨がしとしとと降 り続けている。エアコン等の空調設備が整っていない北高では、この春と夏の節目の 季節独特の倦怠感を緩和する事は叶わない。 そんな状況が一つの懸案事項と重なり、キョンを憂鬱たらしめていた。 懸案事項というのは、本日の登校時、下駄箱の中に一通の手紙が入っていた事が 起因している。 内容は実に短絡的な物で、味も色気もあった物では無かった。だが、それ故に書か れた文面が際立っていたのだが。 (「あなたに話がある。放課後1年5組にて待つ」) 何処かで似たような文面を見た憶えがあるのは記憶違いではないはずだ。そう、長 門有希が書いた栞に似ていた。彼女が書いたのは、要点のみを繋いだ短絡的なもので あったが、直筆だろう、明朝体の完成されていた字体が整然と書かれていた。 栞のそれに似ていたのだ。 (こいつは……、新しい宇宙人の陰謀か……、はたまた謎組織現る!とか、異世界か ら人型を装った悪魔が……、あほらしい……) 己の途方のない飛躍しすぎた思考に辟易とし、自嘲気味に口端を歪めた。 それに、文体や字が似ているからというだけでは何も解決される訳ではない。パソ コンやワープロを使えば整然とした字を作るのなんて造作もない事だ。 というか、やっぱり長門よ。ワープロでも使ったのか? キョンは溜め息を洩らしながら天井を仰いだ。天井の節目をなぞる様に視線を巡ら せ、深い溜め息と共に、がくりと肩を落とした。 (まあ、考えすぎ……だろう) どうにも、最近立て続きに在った非現実的な人物の登場やら、 閉鎖空間 という涼 宮ハルヒの造り出した――現実世界をトレースした位相空間――に連れ込まれる。な どという、一生の内にするかしないか、という程の事象が立て続けに身の周りで起き ていた為か、それが当たり前に存在するモノ、という認識を持ってしまった為……か。 上半身をよじり、後ろを振り返る。 湿気のせいで蒸し暑い教室。窓際も例外ではない。汗が滲んだ額と頬に艶な髪を張 り付かせ、むくれっ面で頬杖を付いて外を眺めている少女、涼宮ハルヒを横目で見た。 (よく解らんが、こいつが全ての元凶?何だよな……) 怪訝な視線を向けるキョンに気付き、ハルヒが「何よ」と憮然とした態度で構える。 「何でもないさ」 「そっ」 最近、ハルヒのキョンに対する態度が素っ気ないものになっていた。それは周知の 事実になるのに、そう時間はかからなかった。 話題性に事欠かないハルヒではあるが、最近は神妙な面持ちで窓を眺めている事が 多い。 SOS団兼文芸部部室に於いても、以前のバイタリティを遺憾なく発揮する事も無く、 無為な時間を過ごすに至っていた。 どうしたものか。だが、詮索する様な真似をする気は無いし、ハルヒが素直に答え るとは思えない。 (俺の出来る事なんて……) 何もないんだな。 漠然としてはいたが、しかし唐突に理解した現実。それのなんと虚しき事か。 自分がこれから先どうしたいのか。此処(SOS団)に居ていいのか。只の人間が、 彼女を取り巻く異様な環境に関わっていいものなのか。正直、分からなくなってし まっていた。 もう一度、ハルヒを見る。 ハルヒはキョンの顔を訝しげに見つめ、「あんた」と口にし、区切る様に口を噤む。 そこで彼女の言葉を遮る様に授業の終りを告げるチャイムが鳴る。 ハルヒは二の句を告げる事が出来なかった。キョンが逃げる様に、教室を抜け出し ていたからだ。 そんな、キョンの背中を見送り、授業中に振り向いた彼の顔を思い出し、胸が痛い 程締め付けられた。 (何て……顔してんのよ……) ハルヒは、見ていた。 あれは、何かに迷っている人間の顔だ。以前の自分がそうであった様に。 (でも、あたしは、あたしは……) 結局、あいつに何もしてやれないんだから。 だから、何も望んではいけない。 そう、無理矢理自分に言い聞かせた。 * 放課後、一応は文芸部室に顔を出したキョンは、しかし長居はしなかった。 相も変わらず、馴染みの席に付き、読書に励む長門有希が、「今日は誰もいない」 と本日休部を告げる一言を聞いたからだった。 朝比奈みくるはHRが終わるも早々に、文芸部室に来るのが既に習慣となってはいた が、長門有希と二人きりという状況に耐え切れなくて帰ってしまった。 古泉一樹に至っては、 バイト と称する閉鎖空間の鎮圧に赴いている。 「あいつが部活を休む何てな……、珍しい事もあるもんだ」 涼宮ハルヒ、SOS団団長である彼女は、退屈で居ても立っても居られなくなったり、 不機嫌になって帰る、という事は何度かあったが、部活動を完全に休むという事は無 かった。 部室棟と校舎を繋ぐ渡り廊下を抜ける際、いつの間にか雨が止み、雲の切れ間から 光が差し始めたのに気付く。 「雨……、止んだのか」 しかし、雨は止んでも己の心に渦巻く鬱々とした気分は晴れる事は無かった。 茜色の陽光が差し込む廊下を歩きながら、目的の場所へと向かう。 「あれ、キョン君。どうしたのこんな所で?」 「朝……倉……?」 全く彼女の接近に気付かなかった。 周りに注意を払えていない証拠だ。 「どうしたの?酷く疲れた顔をしてるけど……」 「いや……、何でもない。気にするな」 朝倉涼子、彼女とは浅からぬ縁があるキョンは、数日前に二人で長門有希の私服を 買いに行った事がある。 その途中から、涼子は著しく様子がおかしくなった。 以来、涼子は普段通りに接触はしてくるが、キョンは彼女に対して踏み込む事に億 劫になり、一線を引いてしまっていた。 「そう……。悩みあるなら、私で良ければいつでも聞くからね?」 「あ、ああ……。すまない」 「キョン君……、私ね……。私は……ね」 涼子は、何かを伝え様としては止め、というのを繰り返す。 その表情は切迫していた。 その痛々しい姿を見据える事が出来ず、視線を外してしまう。 「ごめん、朝倉。また今度な」 そう言って、駆け出す。 (また逃げ出すのか、俺は!) 自分の情け無さに嫌気がさしてくる。しかし、今のキョンにはその選択しか無かっ た。 「キョン君……私は……」 人間じゃ無いんだ。 涼子はそう、消え入る声で呟いた。 やっと、真実を告げる勇気が出来たのに。どうして上手くやれないのだろう。 唇を血が滲む程強く噛み締める。 胸が締め付けられ、喉が詰まる様な異質な痛みに戸惑いながら、朝倉涼子は遠ざか るキョンの背中を多発する処理不可のエラー警報が忌々しく脳内で鳴り響く中、見え なくなるまで眺め続けた。 * いざ、教室の前に立つと急に緊張が身体を萎縮させる。それが己のクラスであろう とも。喉は渇き張り付いているし、動悸も8ビートを刻んでいる。手紙の主がどんな 人物か、やはり手紙だけでは推測が付かず、谷口辺りの悪戯である事を切に祈りなが ら引き戸に手をかけた。 ガラッ、と戸を開き、人気の無い教室に足を踏み入れる。辺りに目線を泳がせるが、 待ち人はおろかそこには誰も居なかった。 「……何だ、結局は悪戯か」 ほっと胸を撫で下ろす。 正直、緊張していた分得られた安堵感は以外にも大きかっ た。それと同時に拍子抜けしてしまったが。 「……帰るか」 踵を返し、教室を後にしようとする、が。 「遅かったわね」 唐突にそれは聴こえた。 心臓が鷲掴みにされたかの様に縮小し、身体が跳ね上がる。身体中の鳥肌が総立ちし、 怖気とはこの事を言うのか、と肌身で感じながら、恐る恐る振り返る。 はたして、そこには北高のセーラー服を纏った栗色のツインテールの少女の後ろ姿が 在った。 言葉を失う。 誰も居なかった空間に突如として人が現れたのだ。超常現象――少しは慣れ始めたの かも知れないが、それでも驚愕の一言に尽きる。 「貴方がキョンさん?変わった綽名よね」 少女は肩を揺らしながら、クスクスと薄気味悪い笑い声を上げる。 「あなたに聞きたい事があるの」 そう言って振り返った。 茜色の陽光を背に少女の面立ちが露となる。 気の強そうな双眸に整った目鼻立ちに、撫然とした態度。それは一応美の付いていい 少女であった。 毅然とした佇まいに思わず見惚れてしまいそうになり、慌ててかぶりを振った。 「お、お前は……一体……」 ようやっと、逃げ腰になりながらもそれだけを絞り出すと少女は、 「私?私は橘。橘京子」 微笑を口許に浮かべ、名を告げる。 「俺は……」 「自己紹介は不要よ。あなたの経歴、出生、全て調査済みです」 「……何だって?」 「しかし、良くまあ巧妙に存在を割り込ませたものですね。脱帽するわ」 嘆息を洩らしながら、教台へとゆっくりとした足取りで歩を進めながら、橘京子は饒 舌に喋り続ける。 「何を……、言っている」 「あなた、何処まで知ってるんですか?否、何処から 覚えて るんです?」 「言っている意味が解らないんだが」 「へえ、シラを切るつもりですか?」 何を言っているんだこの女は?まるで、自分が全てを知っている様に言う。それに、 存在を割り込ませる?訳が解らない。 少女が登場した時点で、超常現象に対する許容範囲は臨界点に突入している。 既に思考回路はショート寸前。現実と幻想の狭間にある事実を直視する事は出来る訳 が無い。 キョンは眉間に皺を寄せ、両の拳を握り絞め、萎縮した身体を奮い起たせ口火を切る。 「何が言いたいのか解らない。だが、俺は何も知らないのは事実だ!」 ふうん。と橘京子は冷笑を張り付かせ、教壇の前に立ち、丈の短いスカートを翻し振 り返る。 「あなたが忘れているなら、呼び醒ませてあげますよ。その身体に刻み困れた殺戮の鼓 動を。血塗られた運命を!」 嗜虐的な笑みを浮かべ、口汚く吐かれた言葉。 殺戮?血塗られた運命? ナンダソレハ。 そう呟いた、刹那。 橘恭子の周囲の空間が凝縮される様に歪み、ドンッ!と腹の底に響く破裂音と共に、 不可視の何かが机やら椅子を薙ぎ倒しながら眼前に迫る。 それが圧縮し解放された空気の壁だと理解した時には、身体中を強かに打ちつけ吹き 飛ばされる。 「かはッ!」 背中を壁に強かに打ち、激しい痛みと困難になった呼吸のせいか、涙が滲み出てくる。 (何だよ……、何々だよこれは!) 心の中で叫び、しかし直ぐに状況を理解する。 眼前に立つのは一人の少女のはず。だが、今目の前に居るのは何だ? 「あれ、もう終わりですか?張り合いないなぁ。もう少し楽しませて下さいよ」 嗜虐的な微笑を浮かべ、首の骨を鳴らし、ゆっくりと、一歩、一歩と近付いて来る。 殺られる。 己の本能が激しく警告音を、心拍数という形で表している。 逃げなくては。 朦朧とする意識の中、震えておぼつかない足取りで教室の出入口に向かう、が。引き 戸を幾ら引いてもビクともしない。 鍵は掛っていないはず。なら何故開かない! 「無駄ですよ」 「な……に……?」 「気付いていないんですか?私が此処を、異層空間にしたのが。ああ、あなたが理解出 来る様に言えば、ここは閉鎖空間です」 「……何だって?」 閉鎖空間――涼宮ハルヒが溜った鬱憤を晴らす為に造った空間ではなかったのか? 辺りに目線を巡らせる。確かに、教室内は茜色ではなく、琥珀色の不思議な空間だっ た。 壁や天井一面に発行した琥珀色の紋様が浮かび上がっている。 「此処は私達の神様の心の映し世。あなたは何処にも逃げられない。でも、安心して? 殺さない様にするから。でも、万が一死んだらごめんなさいね」 疑念と困惑が満ちる。 恐る恐る、振り返ると少しは離れた位置で、情けない男の転末を嘲笑う様に「ウフフ ……」と不気味な笑い声を洩らし、その手に持つ白銀の光を放つ細剣――白銀の光の粒 子が圧縮され、刺突剣の形状をしている物――を掲げ、右半身を前に、右足をすり足で 前に踏み出し、真っ直ぐにキョンの方向へと切っ先を向ける。 その流美な動作と同時に、踏み出した勢いで足元のタイルを穿ち、寸分の狂い無く突 き出された細剣が疾風の如く迫る。 これは、死んだか? そう、諦めかけたその時、心臓が強く脈を打った。 (……な、……なんだ?) 橘京子の動きがスローモーションに見えた。そこで人が窮地に陥った時、脳のリミッ ターが解除され、抑制されていた五感や身体能力が完全に解放されるという。 それを瞬間的に理解し、同時に唐突に己の死を理解する。 だが、こんな所で訳も分からずに死ぬ訳にはいかない。 気付いたら身体が勝手に動き、身体を右に流れる様に深く沈ませる、が、猛然と突き 出された細剣の切っ先が肩口の肉を抉り、血渋きと共に痛烈な痛みが傷から身体中に走 る。 「ぐっ!」 衝撃を殺し切れず、机や椅子を薙ぎ倒しながら床の上を猛然と転がる。 「う……ぐ……」 後頭部を強かに打ち付けたのか、視界が霞み揺れる。しかし、このまま床に伏せてい ては、ただ死を待つだけではないか。 それでいいのか? キョンは己に言い聞かせる。 「いい訳ないだろう……ッ!」 何も出来ないなら、出来ないなりに抗って見せるとも。 「へえ、今の突きを躱せる何てね。大した反射神経と動体視力ね。でも、次は外さない」 橘京子は再び細剣を構え、くるりと手首を回し、殺気の篭った双眸を見開き、腰を深 く落とした。 それだけで、床に伏せた身体は地に根を張った様にビクともせず、完全に萎縮してし まっていた。 次は躱せない。 脳裏を絶望が霞める。 「こんなに呆気ないんじゃ、宛ては外れたって事ですかね?まあ、いいです。じゃあ、 死んで下さい」 再び、踏み出した足がタイルを穿ち、驚異的な速度で迫り来る細剣を、視界で捉える 事は出来たがそれまでの事。 終わったな。 呆気なかった己の人生を振り返ろうとしたが、明瞭な過去の記憶は浮かび上がらず、 ただ一人の少女の笑顔が浮かんだ。 朝倉涼子。 静かに瞼を閉じようとした、刹那。 蒼黒の髪を翻し、一人の少女が二人の間に飛込んだ。 はたして、少女は見事細剣の刀身を片手で受け止めたが、殺され無かった勢いが少女 の掌の肉を削り、心の臓を貫ぬかんとする寸前で、ピタリと細剣は止まった。 「朝……倉……?」 「ごめんね、キョン君。遅くなっちゃって……。でも、もう大丈夫だから」 その姿は、まるで天使が舞い降りたかの様にキョンの瞳に映った。 ──朝倉涼子の軌跡 絶体絶命 END──
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/10600.html
今日 - 合計 - 絶体絶命でんぢゃらすじーさん痛~怒りのおしおきブルース~の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 19時12分40秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/niconicojikyouplay/pages/2439.html
【ゲーム】絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌- (PSP) 【作者名】えびまよ 【完成度】更新中 【動画数】 【part1へのリンク】 【マイリストへのリンク】http //www.nicovideo.jp/mylist/12462680 【備考】主人公台詞読み上げタイプ +【紹介&発掘スレのレビュー】 以下発掘スレの000から引用 (08/12/10のレビュー) (現時点でのレビューはありません) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shironeko000/pages/1206.html
獲得ルーン ルーン images.php?file=5344207035.jpg images.php?file=1633120597.jpg images.php?file=7381657223.jpg images.php?file=8980853844.jpg images.php?file=4253392827.jpg images.php?file=4859965112.jpg 個数 ハイルーン images.php?file=0643168497.jpg images.php?file=4435421307.jpg images.php?file=9530511914.jpg images.php?file=5920615938.jpg images.php?file=2089895918.jpg images.php?file=9304724953.jpg 個数 スタールーン images.php?file=6800477849.jpg images.php?file=1482160508.jpg images.php?file=1299529086.jpg images.php?file=0614012135.jpg images.php?file=5361648401.jpg images.php?file=8293814641.jpg 個数 宝箱
https://w.atwiki.jp/yamimugen/pages/88.html
影野「一人目・・・」 隼人「遼‼」 葵「遼さん‼‼」 影野「少しは楽しめるかと思ったけど・・・残念な予感がする」 斬‼‼ 葵「うわ‼」 隼人「ち‼こりゃあまずいぜ‼」 右足活性‼‼ 隼人「葵‼全力で行くぞ・・・ビジェット‼」 カチャ‼‼ 逆噴射‼‼ 影野「ほう・・・お前は出来そうだ」 葵「う‼・・・行きます‼・・・ネロ、おいで」 ガルルルルルル‼‼‼ 影野「さあて・・・そっちを先にだな」 割‼‼ 葵「うわ」 ガルル‼ 葵「ありがとうネロ・・・」 拡散ボム‼ 隼人「ナイスアシスト‼‼」 噴射‼‼ スワロー・フライング・ブレイク‼‼ 影野「ほう‼‼‼」 切‼‼ 葵「おいでネロ‼‼」 白豹ガトリング・アロー‼‼ 影野「なるほど、出来る」 斬‼‼ 隼人「葵‼行くぞ」 葵「はい‼‼」 スモーク・ボム‼‼ 隼人「行けえええええええええ‼‼‼」 噴射‼‼‼ スワロー・フライング・ブレイク‼‼‼ 影野「なるほど、煙で惑わすのか・・・」 瞬割‼‼‼ 葵「な・・・」 ザク‼‼‼ 隼人「葵‼‼」 影野「子供騙しだ・・・さあ、一対一になってしまったな」 隼人「クソ・・・」 クルクルクル・・・カチャ 隼人「禁書・・・解錠‼‼‼」 影野「さあ始めようか、地獄の戦闘を」 光「・・・駄目だ、隼人達には繋がらないな」 恭介「どうしたんでしょう・・戦闘中ですかね」 翼「でもこの基地にいる戦闘員は上幹部とそれ以外は隊長以下、通信出来ないほど過酷じゃないと思いますが」 光「・・・どうなっていても俺らにはどうにも出来ないしな」 隼人「フゥ・・・」 ジェット・ショット‼‼ 影野「何だ・・・随分つまらない攻撃をするじゃないか・・・‼‼?」 白豹ガトリング・アロー‼‼ ズドーーーーーーーーーン‼‼ 隼人「葵・・・大丈夫なのか」 葵「はぁ・・・ええ・・・隼人さんに比べれば・・・」 影野「すまんな・・・少々甘く見ていた・・・少し食らっちまった」 隼人「・・・ち・・・駄目だ、禁書は厳しいな・・・」 ガチャ 隼人「活性ならいいんだけど・・・」 影野「ただし・・・ガス欠かな」 隼人「まだまだだぜ・・・」 噴射‼ スワロー・ジェット・バースト‼‼ 影野「さあ来なよ」 斬 ホーミング・ボム‼ 影野「貴様・・・まだ息があったとは・・・恐れ入る‼‼」 ズドーーーーン‼‼‼‼‼‼ 影野「ボム小僧から息の根を止めてくれる‼」 隼人「へ、俺に背を向けたな」 瞬身‼‼ 炎吸引‼‼ 影野「な・・・貴様何者だ‼この技を使える人間など‼‼」 隼人「俺の炎率、130%・・・解錠‼」 クルクルクル・・・カチャ 隼人「これが俺のフル装備だ」 瞬身 スワロー・オーバーヘッド‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 影野「グハ‼‼・・・へ・・・まさか勝った気でいるんじゃないだろうな・・・」 隼人「この状況でか?まだなんかする気力があるとは思えないが?」 影野「それが上幹部の実力だ、それが証拠に・・・ボム小僧は倒れた」 隼人「葵・・・」 影野「じゃあ終いにしようか」 斬撃玉‼ 隼人「・・・斬撃が浮いてる・・・何と非現実的な・・・」 影野「これにビビるお前がここを落とすのは無理だという事だ」 斬撃玉発射‼‼ 隼人「避けられるスペースが無い・・・クソ‼‼‼」 飛嵐斬‼‼ 影野「何‼‼?斬撃玉が・・・別の斬撃で止まった・・・そんなでかい斬撃を出せたか」 隼人「俺じゃねえ・・・あれは・・・」 連乱魂弾‼‼ バシュ‼ 影野「あんな小さい玉で・・・俺の玉を・・・粉砕するなど・・・」 瞬身 影野「赤い・・・髪・・・」 右腕活性 JET拳‼‼‼‼ 影野「い・・意識が・・・」 ドサ・・・ 隼人「一発・・・?」 ノア王国及びキリノ王国国王の名の元に・・・敵基地破壊部隊を・・・援護する‼‼‼ 隼人「まさか・・・潤さん‼‼?」 潤「久々だな、隼人」
https://w.atwiki.jp/hdlwiki/pages/308.html
絶体絶命都市2 -凍てついた記憶たち- 【メーカー】アイレムソフトウェアエンジニアリング 【発売日】2006/3/30 動作報告 HDA3.0 SCPH-50000(V10) 純正 hdl_dumb+ 起動確認 ある特定のムービや場所でとても重たくなる場所がある。 それ以外は問題なし。 HDA3.0 SCPH-50000(V10) 純正 hdl_dump+ マスターでも確認しましたが、同じように動きが重たくなります。 HDL0.7c SCPH-37000 HDS728080PLAT20 hdl_dumb+ クリア確認。 HDL0.7c(/N /L /C) SCPH-50000NB(V10) 純正(SCPH-20401) hdl_dumb+ 0.8.3-6β3 クリアまで確認、不具合見られず。処理落ちはオリジナルでも発生する仕様ですw HDA3.0 SCPH-50000 純正 PS2本体でインスト 全体的な読み込みが速くなります。 商品の説明
https://w.atwiki.jp/k-onvip/pages/621.html
329 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 06 36.32 ID GSvEwbldO 『桜高少女』これまでのあらすじ ひょんなことから唯たち軽音部は自分たちにしか倒せない改造人間と戦うことになる。 明日をもって人類は滅びると敵が通告してきた。その意図を探るためさわ子と梓は敵の本拠地へ再び潜入捜査に向かう。 その頃、学校では律、澪、紬がアリの精神に取り憑かれた和を律の人間離れした力でどうにか払うことができた。 しかしこれが敵たちの合図であると知る由もなかった…。 奴等は唯と梓を迎えに来るのである…。 331 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 11 58.59 ID GSvEwbldO バシ!! 律「おいおいどうなってんだよ!?」 アリを双剣で切り伏せる律! 澪「知るか!!さっさと叩け!!」 紬「きゃ!見て!!」 律「うへーアリの大群!!」 双剣をしまいこみ弓を構える律 律「まとめて焼き散らしてやる!!フレアアロー!!」 シュバーン!放たれた炎の矢は瞬く間にアリたちを殲滅した 紬「それにしてもここに来ての総攻撃…まさか手紙の内容が本当だったの…?」 澪「でも手紙には明日って…」 律「フライングじゃねーか!」 ?「いいえ、これは平沢唯様をお迎えするためのセレモニー…」 律「お前は…」 『桜高少女』第七話「絶体絶命!」 333 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 16 19.78 ID GSvEwbldO ?「お初にお目にかかります」 そこに現れたのは2メートルを優に超える巨漢…素手であるが、それは圧倒的な威圧感を持っていた ?「私が…ええ、皆様が目の敵にされている…そうですね、宇宙から来たナート人…とでも言っておきましょう」 澪「ナート?」 律「どちらにしろやっぱり宇宙人か!」 紬「そして…あなたが主犯なのね?」 ?「ええ、私が宇宙人をまとめる存在です。そう言って差し支えないでしょう…名前などありません。どうぞお好きなようにお呼びください…しかし…」 ?「肝心の平沢様がいらっしゃらないようですね…」 澪「唯に用があるのか?」 ?「ええ、まあそうです。中野様が私の下へきてくれたので、平沢様も入れ違いでしょうか…?」 律「!梓…梓とさわちゃんはどうした!?」 ?「中野様はおもてなしの最中ですが…さて、もう一人は存じませんな…?」 律「この野郎!!」 澪「律…こいつを倒せばどうやら全部片付きそうだな…」 律「ああ…」 336 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 27 30.49 ID GSvEwbldO 二人を待たずして、電光石火の如く一人の少女が飛び込んだ! 紬「はあ!!」 シュン!!鞭は高音をたて空を切る! ?「おやめなさい、明日に尽きる命をここで捨てることはない」 紬「その台詞はそのままあなたに返すわ!!ソニックスローター!!」 紬の必殺技が巨漢に炸裂した!! 澪「よし!!スターロッド!!」 間髪いれずにエネルギー波をぶつける澪!! 律「下がれムギ!!ファイアアロー!!!」 シュボゥ!!火の弓が敵目掛けて放たれた! 律「しゃあ!!」 ?「ふふふ…なかなか素晴らしい力をお持ちのようですね…あなた方は…」 337 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 32 38.67 ID GSvEwbldO 澪「な!?効いてない!?」 ?「いえいえ…この通り傷を負ってしまいました…」 律「にしたって全然だろ…?」 ?「やられ放題では部下に申し訳ありませんので、ここは少しばかり反撃いたしますか…」 ドス!鈍い音が響き渡る 紬「かはっ!」 ドサ…そのまま紬は倒れこんだ 澪「ムギ!!」 ?「無反応の上一撃で沈まれては面白みに欠けますね…」 瞬間巨漢は再び姿を消し ガギン!今度は鈍い音を立てた 律「くは…どんだけ馬鹿力…」 膝をつく律 澪「律!!??」 ?「素晴らしい動きですね…彼女をかばいつつ自分へのダメージを双剣で防ぐとは…」 338 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 36 31.45 ID GSvEwbldO 澪「バカ!どうして私をかばった!!」 律「バカはお前だ。ぜんっぜん敵の動きが目に入ってないじゃねーか」 澪「く…」 律「でもやばいな…こいつは相当だぜ…」 ?「ふ…この辺にしておきましょう。あなた方の力に免じここは一旦帰るとします…」 澪「なに!?」 ?「平沢様だけでも、あなた方総出でもかまいません。中野様とともにお待ちしております…ただし、来られた方には例外なく人生を終えていただきますがね…」 そのまま巨漢の男は踵を返し去っていった… 律「…っっつう…」どさ… 澪「律!?律!!」 律「大丈夫だって…我慢して倒れないようにしてただけだし…ホントあの一撃はヤバイぜ…」 紬「…っく…」 澪「ムギ!?無事なのか!?」 紬「ええ…これでも体は鍛えていますから…」 律「だよな…ムギの攻撃が5人の中で一番パワフルだし…」 339 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 45 43.45 ID qNWYt0bEO 唯「みんな!!」 澪「唯!!」 唯「はあはあ…どうしたの!?変だなと思って飛んできたら…」 律「敵の親玉が直々に乗り込んできて…このザマさ」 紬「どうも唯ちゃんを探していたみたいなの…」 唯「私を…?」 澪「とにかく一旦部室へ行こう」 音楽室 律「平沢唯様と中野梓様を今晩お迎えに参ります…か、なるほどな」 澪「まさか手紙の続きを見落としていたなんて…」 唯「ごめんね…」 紬「いいのよ、それにみんなが集まってなくてかえってよかったわ…」 澪「そうだな、あの巨漢には正攻法で戦っても私たちじゃ絶対に勝てない…」 律「梓と唯がいて連れてかれていたら…まあまだマシってことか」 唯「でも…あずにゃんと先生がその巨漢さんに捕まっているんでしょ!?だったら助けに行かなきゃ!!」 340 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 48 59.51 ID qNWYt0bEO 澪「わかっている…けれど…」 紬「なんとか見つからないように潜入して…」 唯「でもでもそれで助けた後はどうするの!?」 澪「結局あいつとは戦わないといけないわけだよな…」 紬「うん…でも奇襲をかけられればなんとかなると思うわ」 律「けどよ、私たちの必殺技を三連発してもダメージ受けてなかったぜ?」 紬「実はね…これがあるの」 唯「これなに?」 澪「綺麗な宝石だな」 紬「この宝石は未知の物質で作られた宝石なの…魂を込めて相手に投げつけるとすごい火力で相手を吹き飛ばすそうよ」 律「そんなスゲーもんがあるのか!?」 紬「ええ、さわ子先生が渡してくれたの。私が単独で敵の本拠地に潜入するときにね…」 澪「それをなんとか相手の頭にでも炸裂させてやれば…」 紬「ええ、先生が言うにはヘビ以上の敵が現れても一撃で仕留められるようになっているそうだし…これが3つあるからどうにか意表をつければ…」 341 :なめたん ◆k05EaQk1Yg :2009/09/04(金) 03 53 08.15 ID qNWYt0bEO 唯「そうしたらムギちゃんはどこかに隠れて私たちが巨漢さんの相手をすればいいじゃん!」 律「どうにかアイツのスキを作って…」 唯「どっかーんだよ!!」 澪「それしかなさそうだな…さっきの戦いで相手の動きだけならどうにか追いつけそうだし…」 律「お!なんだよさっきはビビッて動けなかったくせに!!」 澪「違う!あれは本当に見えなかったんだ!だけどさ、なんか一回見たからか次はかわせると思うんだよね」 紬「だけどまともには打ち合えないわ…それぐらい強い…唯ちゃんも気を抜かないでね…。あの手にもし武器でも握られていたら…」 澪「…そうだな…」 律「タラレバの話は実際なってから考えようぜ!」 澪「実際なってからじゃタラレバじゃないだろう…」 唯「みんな行こう!絶対最後の戦いにする!!あずにゃん…先生…待っててね!!」 第七話「絶体絶命!」終わり
https://w.atwiki.jp/kanekura/pages/15.html
学校一の金持ち 金倉健太のパーティーに竜次の欲しがっている本を貰う条件ででかけたまりあ。 しかし 案の定そいつは危ないヤツだった!! さあ まりあがエジキになる前に気づくのか?竜次 週刊少年ジャンプ1989年48号掲載。(本文より抜粋) 手術経過手術台への固定 触診 衣服の切開 患者の心的負担の軽減 下着の切開
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2209.html
この項目では『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』のゲーム化作品である『史上最強の土下座』と、スピンオフである『泣きの1回 絶対服従ばいおれんす校長 ワガハイが1番えらいんじゃい!!』を紹介します。判定は共にバカゲーです。 絶体絶命でんぢゃらすじーさん ~史上最強の土下座~ 概要 特徴 ミニゲーム その他バカゲー要素 評価点 賛否両論点 問題点 総評 その後のシリーズ展開 余談 絶体絶命でんぢゃらすじーさん ~泣きの1回 絶対服従ばいおれんす校長 ワガハイが1番えらいんじゃい!!~ ストーリー(校長) 概要(校長) ミニゲーム 特徴・評価点(校長) 問題点(校長) 総評(校長) 余談(校長) 絶体絶命でんぢゃらすじーさん ~史上最強の土下座~ 【ぜったいぜつめいでんぢゃらすじーさん しじょうさいきょうのどげざ】 ジャンル ギャグアクション・アドベンチャー 対応機種 ゲームボーイアドバンス メディア 64MbitROMカートリッジ 発売元 キッズステーション 開発元 六面堂 発売日 2003年9月26日 定価 4,800円(税抜) 判定 バカゲー ポイント 自称「クソゲー」でも原作もだいたいこんなノリ 絶体絶命でんぢゃらすじーさんシリーズ 概要 ハチャメチャで不条理な世界観、でも大長編は本気で泣かせにくる作風で人気を博し、現在20周年を記念しYouTubeにまで進出している曽山一寿作『絶体絶命でんぢゃらすじーさん(*1)』のゲーム化作品。 ストーリーは世の中の危険から身を守る方法を教えることが生き甲斐の「じーさん」が、突如地球に侵攻してきた宇宙人「みょみょみょ星人」から世界各国の都市7ヶ所を守り侵略を阻止するといったもの。 特徴 プレイヤーの想像を超えた(斜め上にぶっ飛んだ)操作性やゲーム性。 決定キーがAボタンではなくRボタンになっている。 説明書無しでは始めることすら困難。ある意味マニュアルプロテクトの一形態…な訳はない。 ストーリーの展開を左右するのは後述のミニゲーム。 基本的には勝利しないといけないが、負けても大丈夫なものもある。 一度ストーリーでミニゲームが登場すれば、その後はミニゲームモードで自由にプレイできる。ただし、ルールはストーリー中と若干異なる。 物語の内容を無視したクリアが可能。 前述の通り、主な目的は侵略の阻止なのだが、阻止しなくてもストーリーにはそれほど影響しない。 それどころか、わざと侵略させないと発生しないイベントなども存在する始末。 ラスボス戦が最速約2秒で終わる。さらにラスボスに勝たなくてもエンディングに行く。 事件を解決せずに即町を抜けることも出来るため、最短10分以内にエンディングへ辿り着ける。 ちなみに、こちらが本作のTAS動画。クリアタイムは7分18秒。特別なテクなどは一切使用していないので頑張れば誰でも狙えるタイムである。 このように今作にはいわゆるゲームオーバーという概念がなく、どんな形であれエンディングまでは到達する。 マトリックスシステム ミニゲームの結果とストーリーの進め方により、じーさんが25種類の異なる姿に変身する。 ミニゲームに勝つと「かっこいい」負けると「面白い」方向に、侵略阻止に成功すると「良い」失敗すると「悪い」方向に変身していく。 「かっこいい」を極めると最早ギャグマンガには見えない姿になる。 しかし、そんな「かっこいい」の中にも、スタイルのいいハイレグ水着姿でかっこいいというよりはキモい「ハイレグじーさん」や、その名の通り不気味なほどにリアルで、何故か生首の「リアルじーさん」などがあったりする。 能力やミニゲームの結果によっては滅茶苦茶なストーリー展開になる。 能力によってはミニゲーム開始直後に操作不能のまま敗北確定、または無敵状態になり絶対にクリアできたりする。それ以外にもいい意味でも悪い意味でも能力一つでゲーム難易度が激変することがある。 変身形態の多様性から、ある種のデジモンライクな育成ゲーとしての側面が強く、集める楽しみもある。 更にじーさんの姿はエンディングにまで影響する。苦労してラスボスを倒したのに紆余曲折の末まさかのバッドエンドなんてことも…。 SEがものすごく独特。ゲップとかオナラみたいな音とか悲鳴とか。 「ちょりーん」「うそーん」とかに至っては言葉では説明不可能。実際にプレイして聞いてください。 敵の宇宙人がじーさんの家に出入りする際には、律儀にも「おじゃましまーす」や「おじゃましましたー」というSEが流れる。 これらのおバカ要素は全て原作譲りである。原作を知らない人はともかく、知っている人からはほぼ想定の範囲内。 ミニゲーム 全11種類。前述の通り能力によっては難易度が激変する。 + 一覧 もう釣りまくりじゃっ!! 釣りゲー。ゲージを止めてルアーを投げる距離を決め、その後タイミングを合わせて釣り上げる。 やってみるとわかるが結構難しい。特に一番遠くに投げるとシビア(*2)。 投げた位置やじーさんの姿によってはとんでもないものが釣れるが、難易度自体やクリア扱いには変化はない。 恐怖!大根攻めじゃっ!! 連打ゲー。Aボタンを連打して大根を食べる。 ストーリーでは「○秒で○○個食え!」と場所に応じたノルマを指定され、ミニゲームモードでは最高記録+1本の数がノルマとなる。 食べているうちにじーさんの顔が青ざめていき、更に食べると喉を詰まらせてタイムロスとなる。つまり、如何に詰まらせずに多く食べられるかが攻略の鍵。ちなみに、一度でも詰まらせると一時的な画面暗転の後、じーさんの傍らに意味深なバケツが登場する。 ストーリーでは場所によってはA以外のいずれかのボタンを押すことで高速で食べることができたりする。しかし、その説明は本編では用意されておらず、少し離れた所でヒントが出たりする。 じーさんの姿によっては押しっぱなしで高速で食べれたり、喉に詰まると即失敗になったり、手がないので1個も食べれなかったりする。 ちなみに最初に挑むゲームはこれなのだが、その際開始直後に「3秒で225個食え!」とか無茶な要求をされる。実はこの時はRボタンを押すと早食いができるのだが、要求内容によってはこの方法でもクリアできなくなる。しかも、クリアしようがしまいが「ダイコンは関係ない!」の一言で一蹴されるだけでストーリーには何の変化も起きない。 じーさん 危機一髪じゃっ!! 記憶力ゲーム。ゲーム開始直後に爆弾もしくはウ○コの位置が示され、それらを避けてゴールまで導く。 ミニゲームモードでは失敗するまでエンドレスでゲームが続き、成功した回数が記録となるため、記憶力よりも集中力のゲームとなる。 障害物の位置が表示される時間がわりと長く、数もそんなに多くないので意外と簡単。しかし、とある場所ではとんでもないスピードで障害物が設置され、記憶力よりも反射神経のゲームとなる。 じーさんの姿によっては一度だけ目の前の安全を確認できたり、空を飛んでるので無敵だったりもする。また、1回だけだが孫を囮としてどこかのマスに設置させることができ、そこが爆弾の位置だった場合はそのまま孫が爆死してしまう。 サッカーボールでウハウハじゃっ!! リフティングゲーム。ボールの下に向かってボールを蹴り上げ、ターゲット「(天使?)」に当てる。 ミニゲームモードではターゲットは出ず、落とさずに蹴り続けた回数が記録となる。 実は通常プレイではお目にかかれないレアなゲーム。 じーさんの姿によっては体がないためにヘディングになる。 ジャンプジャンプで大冒険じゃっ!! 世にも珍しい左スクロールアクション。 コースは全3種類。その内一つはまさかの強制スクロール。ミニゲームモードではプレイできないので死んで覚えるしかない。 初めは顔だけの状態で、転がって移動する。不気味…。 途中に現れる「なぞ」ブロックを叩くと現れる大根を取ると手足が生えてパワーアップ。一回だけダメージを無効化できる。 敵は「クリボーっぽいの」「ノコノコっぽいの」「パックンフラワーっぽいの」の三種類。あくまで行動パターンがそれっぽいだけでデザインはゲーム中はおろか漫画本編にも登場しない奇天烈なもの。 ここまで読めば分かるだろうが、明らかにマリオのパロディ。 「クリボーっぽいの」はこちらのジャンプに合わせて急上昇してくることがある。とんだ初見殺しである。 ジャンプした時にオナラの音、大根を食べた時に「お゙え゙っ…」っというボイス、前述のクリボーっぽいのが急上昇したときにジェットエンジンの音がするなど、SEの使い方が11種あるミニゲームの中でも独特。 そして死ぬと断末魔が響き渡る。さらに敵に当たって死んだ場合、『魔界村』のアーサーばりに白骨化する。でも元が元なのでむしろ笑える。 じーさんの姿によってはパワーアップ中、手に持った武器で直接敵を攻撃できる。 ゴールについてだが、なぜか青いゴミバケツの中に入ればゴールになる。最後までツッコミ要素が絶えない。 リズムをとってプップップ~じゃっ!! 左右から流れてくるダイコンアイコンに合わせてリズムをオナラでとるゲーム。 じーさんの姿によってはダミーアイコン「天使(?)」が流れてくるがそれを含めても3種類しかアイコンがないので楽勝… かと思いきやシナリオでは鬼門になるゲームだったりする。理由は「1ミス=即ゲーム終了」というリズムゲーにあるまじき仕様のため(*3)。 跳び箱で飛ぶのじゃっ!! 跳び箱に乗って宇宙人を撃墜する横シューティング。なぜ「跳び箱を飛ぶ」ではなく「跳び箱で飛ぶ」なのかは原作を読んでください。 全4ステージ。ストーリーでは最後まで生き残ればクリアで、ミニゲームモードでは撃墜した敵の数が記録となる。 敵が一切弾を撃たず、やる気なさげに体当たりしてくるぐらいというクソっぷり。ただしこちらを追尾してくるメカは少し厄介。 専用のBGMが用意されているのだが、メロディーの前奏が劇場版銀河鉄道999のエンディング、中盤以後は宇宙戦艦ヤマトのオープニングに酷似している。 じーさんの姿によってはオプションがついたり、武装が貫通するレーザーになったりするが、パワーアップはなし。レーザーは一般的なシューティングのようなエフェクトでなく、ぶっとい光の棒がズドンと投下されるようなものになっている。 さらに、一部のじーさんは跳び箱に乗らず宙を浮きながら武器で直接戦う。もはやタイトル関係ない…。 ラスボスともこのゲームで戦うが、なんとラスボスの攻撃手段も体当たりのみである。世にゲームは数あれどラスボスの攻撃方法が体当たりだけというのはそうそうないだろう。 パズるんじゃっ!! 一風変わったパズルゲーム。野菜(大根・リンゴ・ナス)を3個以上並べ、それを指定されたキャラのブロックと隣接させて消す。 『ワリオの森』に少し似ているがかなり独特。クオリティも高い。 ストーリーでは○○を○個消せなどのノルマを指定され、ミニゲームでは消した数が記録となる。また、消した数が増えるほどブロックの落下スピードも上がる。 じーさんの姿によっては2個繋げるだけで消えたり、4個以上繋がないと消えなくなったりする。 つぶすのじゃっ!! 『ボンバーマン』風の対戦アクション。ただし攻撃手段はブロックを押して相手を潰すこと。ペンゴに近い。 ミニゲームモードでは残ったブロック数がスコアになる。 じーさんの姿によっては持っている武器で直接攻撃したり、地雷を設置したり出来る。 敵に接触すると負けになるが、ブロックを全て使い尽くして攻撃手段が無くなった場合は何故か勝ちとなる。 敵は見た目だけが違うが、みょみょみょ星人の他はみょうちきりんな白い化け物の2種類がいる。シナリオではみょみょみょ星人としての対決なのになぜか後者の化け物が襲い掛かってくる。 ドライブぶ~ぶ~じゃっ!! レースゲーム(?)。前を走っている相手を追い抜けばクリア。 時間が999じじい(1じじい=0.1秒、約1分40秒)を迎えると負けとなるが、そんな時間がかかることはまずない。恐らく最も楽なミニゲームだが、逆に言うとわざと負けようとすると面倒なミニゲーム。 星を取るとターボがかかり、ウ○コを取ると減速してしまう。 じーさんの姿によってはブレーキが利かなくなったりAB同時押しでエンストしたりするが、元の難易度の低さも相まって殆ど気にならない。 真剣勝負じゃっ!! じーさんごとに用意された2種類の技を駆使して相手の体力を削るバトルゲーム。 技ごとにコマンドが用意されており、素早く入力すると技の威力が高まる。 じーさんの姿によってはとんでもない技が使える(*4)。 内容はぶっちゃけ『ポケモン』である。 勝利すると「経験値を獲得した」とのメッセージが表示されるが、もちろんそんなシステムはない。 唯一ミニゲームモードに登録されないミニゲーム。 専用BGMが設定されているが、中盤が山本リンダの『狙いうち』、そして終盤がちびまる子ちゃんの『おどるポンポコリン』(*5)である。 念のためにもう一度言っておくと、これらのバカゲー要素はほとんど原作譲りである。 その他バカゲー要素 「史上最強の土下座」などと意味ありげなサブタイトルだが意味は全く無い。単に語感から命名したものと思われる。 オープニングのムービーで本編と全く関係の無い映像が流れ、途中で「来年発売予定! お店で予約じゃ!!」と締めくくろうとする。じゃあこのゲームは一体なんだ? 実際、来年には本当にじーさんのゲームが2本発売された。 + オープニング映像 オープニングのBGMは牛若丸三郎太「勇気のしるし」+スイス民謡「おおブレネリ」+「小さな世界」で、エンディングのBGMのイントロがまんま「男はつらいよ」である。 前者はまだしも、後者のような年代の限定されるネタが、果たして当時の子供達に伝わったのだろうか。 通信対戦専用ミニゲームとして「ジャンケン」ができる。 まずこのゲームを他に持っている人が身近にいるかどうかが問題であり、それ以前にジャンケンなら現実ですればいいだけの話である。 敵の宇宙人の侵略の方法がいちいちおかしい。 + 侵略方法一覧 一応ネタバレ注意 日本(東京) → 東京タワーから催眠電波を流して住人の知能をサル以下にする。 中国(北京) → 神隠し。住人を町の奥の大岩「フンドシいわ」に封じ込める。 フランス(パリ) → 凱旋門を封鎖して住人を引きこもりにさせる。 エジプト(カイロ) → ピラミッドに封印された謎のおっさん「おかださん」の力でピラミッドをスベスベにする。 アメリカ(ラスベガス) → 劇場の出し物を歌舞伎に変えて地球人から魂を抜き取る。 唯一中国だけは真っ当な侵略方法だといえる。日本についても馬鹿馬鹿しい上に回りくどいが一応侵略にはなってはいるだろう。しかしながら門が閉まったところで何も起こるはずがないし、劇場の出し物が変わっただけで魂が抜き取れる訳もない。そして何より、ピラミッドがスベスベになったからどうしたというのだろう。 + その他ゲーム本編内の雑多なネタの一部を紹介 ステージはカーソルを動かして選択できるが、その際に紹介されるステージ名(地名)にも悪ふざけが混ざっている。 例えばエジプトのカイロは「カイロじゃ!」と普通に紹介することもあれば「ホッカイロじゃ!」などとしょうもない親父ギャグを言うことがある。 じーさんの自宅の茶の間が22畳。異様に小さい畳を大量に敷いているのか、それとも…。 東京なのに京都府の金閣寺がある。調べると孫がやんわりとツッコミを入れる。 北京のとある男に話しかけると肉まんとあんまんとどっちが好きかと聞かれる。しかし、どちらを答えても何故か殴られる。 パリ初日ではどう見てもルパン三世な「ルパン」というキャラが登場し、話しかけると何故かかくれんぼを申し込まれる。 パリの美術館やエジブトのピラミッドの壁画には「アホ」とだけ書かれた絵やどう見てもう○こな絵が飾られている。 ピラミッドの中に入るために必要なのが「ひらけゴマ」、ピラミッドの中の門番をどかすために必要なのが「へそのゴマ」である。 カイロのピラミッドに封印されていたのは「ナメクジよりヤバいおかださん」という何処にでも居そうな眼鏡のおっさん。しかしながら常人ならざる力を持っているらしく、じーさん達は彼に宇宙人の撃退を頼むのだが、「遊びたい」というのを理由に拒否される。そして、侵略阻止に失敗すると何故か宇宙人ではなくおかださんがカイロを侵略してしまう。 ラスベガスなのにラシュモア山の大統領の彫刻や自由の女神像がある。女神像に関してはレプリカが実際に設置されているそうだが、それなら最初からニューヨークにしておけばよかったのでは…。 ラスベガスでは孫に変装したみょみょみょ星人がいるのだが、そもそも変装すらしていない自の姿でなりすましをしている。そしてじーさんはそれに騙されている。 じーさんのライバルキャラである校長の扱いがやけに酷い。敵の宇宙人にやられるのを皮切りに、催眠電波で操られ、トラックに轢かれ、最強さんに喰われ、その辺の子供にタコ殴りにされ、クマの群れにやられ、最終的にはラスベガスで殺される。でもその後平然と生き返る(*6)。 さらにその後、校長を襲った犯人を当てる推理イベントが起こる。犯人を当てれば話が進展するのだが、それ以外の人を当てるとじーさんが勢いでその人を殴り殺し、殺人罪で現行犯逮捕されて即侵略阻止失敗となる。本作でミニゲーム以外で都市の命運が決まるのはこの場面だけである。また、ある人物を当てるとじーさんが返り討ちにあって死ぬ。勿論こちらも阻止失敗扱い。 なお、真犯人を当てた後、先の平然と生き帰った校長と共に最終決戦に入るが、1回目のミニゲームで負けるとやはり校長が殺される。 北京のある民家ではドラクエみたいに壺を調べられるが、調べると何と中には校長が詰まってたことが発覚し、じーさんが驚愕するシーンがある。とにかくネタには事欠かないようである。 敵の母艦に侵入する方法は「ポストの中に入って速達で配達される」こと。その数秒後当たり前のように敵船に侵入している。 ちなみにこの時出てくる仲間の多くは原作第1巻の嘘人物紹介に出ていたキャラクターである。唯一タコ船長だけはラスベガスにいるが。よく分からないが宇宙人を弱らせることに成功した小野寺さんと言い、名前だけ聞くとどう見ても悪役にしか感じられない暗黒大魔王など、色々とカオスである。 ラスボスが対戦前にじーさんに対し「我々の仲間になれば地球の半分をやる」という交渉を持ちかけてくる上にじーさん側にも選択肢が出る。何処かで見たようなネタだが果たして当時の子供達は元ネタがわかったのだろうか。 これらの唐突かつ理不尽なギャグの数々は氷山の一角に過ぎない。しつこいようだが、これもまた原作譲りなのである。 評価点 マルチエンド式。グッドエンド・バッドエンドに関らずどれも「じーさんらしい」な笑えるものが多い。 しかし隠しエンド(通称:小林エンド)は感涙物?…かと思いきや、やっぱり最後でひっくり返す。なお、この物語は原作者の曽山氏が実際に漫画化している。 じーさんの変身形態の奇抜なセンス。 原作にも登場した姿の他、ゲームオリジナルも用意されている。どれも常人にはまず思いつかないものばかりで、なかなか面白い。 変身形態によってミニゲームの難易度が変わるのも、面白みを増していると言える。 ストーリーと関係するところから全く関係ないところまで、あらゆる場所でギャグを絡めてくる。 上に同じく原作のネタもあれば、本作オリジナルのものもある。 侵略を阻止したか否か、日付、じーさんの姿などで起こるイベントや会話の内容が変わったりと、意外に細かい。 賛否両論点 ギャグのテイストが独特で人を選ぶ。 前述の通り元々不条理な笑いを身上としている作品のため、ハマる人はハマるがそうでない人はとことん置いてけぼりにされてしまう。 何の落ち度もなく一方的に殴られる孫やとばっちりを喰らう校長の姿は見る人によっては気の毒に見えるだけである(一応ギャグとして扱われているが)。ただしまたまたこれも原作譲りではある。 隠しマップの存在意義が薄い。 問題点 エンディングの分岐条件がわかりにくい。 おそらくじーさんの変身と侵略阻止の可否が影響しているのだろうが…むしろ方法がわかっていれば隠しエンドの方が出すのがラク。 加えてマルチエンディングなのにエンディングを見終わって、もう一度確認する「ギャラリー」のようなものがないため、いまいち集めてる感がない。 エンディングが8割方バッドエンド。 といっても基本ギャグ展開なのでいらつく人はあまりいないと思うが。そもそも原作の方も大抵の場合、登場人物が死亡することも珍しくないバッドエンドで終わるためある意味これも原作を再現しているといえる。むしろ、原作を知っている人からすれば最初からグッドエンドなど期待していない人の方が多いのではないだろうか。 当然グッドエンドもあるのだが、こちらは良くも悪くも何の捻りもない、清々しい大団円エンドである。原作のノリや他のエンディングと比べるとむしろグッドエンドの方が浮いていると感じるかもしれないが、グッドエンドの無いゲームというのも芳しくないためこれはこれでアリとすべきではある。 + グッドエンディングの詳細 ラスボスを倒した事を仲間に報告する → 一同で日本に帰る → 街の人々がじーさんを出迎え宇宙人を追い払ってくれた事に対し感謝を述べる → 住民から胴上げされるじーさんと孫の1枚絵が表示され終了 基本的に難易度は低い…が、部分的に難しい部分がある。 特に「パリ」は異常に難しい。まず、「リズムをとってプップップ~じゃっ!!」が強制プレイとなり、ミスると即座に防衛失敗となる。 上記の一戦が難しすぎるせいであまり指摘されないが、実はその後にもミニゲームが3回(内2回は負けると侵略)待っている。これは本作の中でも多い連戦回数であり、ただでさえ高い難易度を無駄に引き上げてしまっている(*7)。 「カイロ」も、征服阻止の為にプレイする必要のある「ジャンプジャンプで大冒険じゃっ!!」が強制スクロール面であり、難易度が高めである。 最初にプレイする「東京」でも「ジャンプジャンプで大冒険じゃっ!!」をクリアしなければ征服を阻止できないが、中盤で「狭い足場で加速とジャンプを同時に入力しないと届かない」足場があり、元になったゲームに慣れていないと即死して阻止失敗になってしまう。 インターフェイスがこなれていない。 特に会話スキップがないのが痛い。何度も繰り返してプレイするタイプのゲームなのにこれでは…。 セーブが町を出たときにしか出来ないのも問題。ある程度展開を進めたところでセーブして再開…といった事ができないので、一度負けてやり直す場合にまた最初からやり取りを見なければならなくなる。この仕様のせいで、上記の「パリ」が苦痛以外の何者でもなくなっている。 総評 このようなことから作者自ら「クソゲー」と暴露した希有なゲームだが、そもそも原作自体がこのような滅茶苦茶で出鱈目な作品であるため、原作通りのキャラゲーでありバカゲー。 しかしながら作り込みは良く結構遊べるゲーム。原作のファンなら買って損はないだろう。 その後のシリーズ展開 じーさんのライバルキャラである校長を主人公に差し替えた事実上のスピンオフ作品が発売。詳細は後述。 その後もGBAで2作、DSと3DSで1作ずつ作られている。 GBAの1個目『絶体絶命でんぢゃらすじーさん痛 ~怒りのおしおきブルース~』はジャンルをアクションゲームに一新しつつ、旧作に劣らぬバカゲーっぷりを発揮している。 一方、2個目『絶体絶命でんぢゃらすじーさん3 ~果てしなき魔物語~』はギャグ要素こそ残っているものの、内容自体は普通のアクションゲームに纏まってしまっている。 DSの『絶体絶命でんぢゃらすじーさんDS ~でんぢゃらすセンセーション~』に至ってはクソゲー以上の「ダメゲー」を自称しているが、その出来は…。 しばらくゲームは発売されていなかったが、バンダイナムコゲームスから3DSソフトとして『でんぢゃらすじーさんと1000人のお友だち邪』が発売された。 余談 コロコロの「発売中ゲームで欲しいゲームランキング」で3ヶ月間1位を保持する記録を達成した。 こんなゲームだが一応攻略本が存在する。その名も「絶体絶命でんぢゃらすじーさん ~史上最強の土下座~ マジてきと~役立たず攻略ガイド」である。名前もさながら表紙の下に「ゲームの攻略には、あまり役立たない可能性が高いので、GBAを持っていない人も、安心してお買いもとめください。」などと書かれているなど、本編に劣らぬふざけた内容となっている。 実際のところ攻略本の内容自体も、当ゲームの数多くのイベントや複数のエンディングにたどり着く条件、各種じーさんの変身条件など肝心の部分が補完しきれておらず、あまり役に立たない。 公式攻略本でさえこの有様なので、当ゲームの攻略情報はインターネット上でも取り上げているサイトはなかなか少なく、後述の校長のスピンオフ作品を含めて未だに不確かな部分が多い。 本作に登場する最強さん(原作世界における地上最強のおじさん)は一言も喋らない。本作が発売された時点では彼が喋るシーンが皆無であったためだが、のちに本編で普通に話せることが判明。このことを知った開発スタッフは「もっと早く喋らせてほしかった」と作者にこぼしたらしい。 後に本編の単行本に載ったオマケ漫画で、作者が近所のゲームショップで本作が100円で投げ売られているのを見てショックを受けた、という話がある。 変身形態の一部にはパロディが存在する。例えば… 「勇者じーさん」は『ドラゴンクエスト3』の男主人公に似ている。 「スーパーじーさん」はどう見てもアメコミのスーパーマン。 「デュエルじーさん」は同誌の人気漫画『デュエル・マスターズ』の主人公「切札勝舞」のコスプレ(?)。 別冊コロコロコミックでかつて連載されていた漫画『新世紀ゲーム王 巧』(おおせよしお作、単行本未発売)の最終話で本作が取り上げられ、隠しエンドの出現方法が公開された。作中で「ドライビングにはうんこじーさんだ!」と書かれたコマがあるが、うんこじーさんだとエンストが起こるのでむしろ逆効果である。 後に同じキッズステーションが発売したゲーム『学園アリス ドキドキ☆不思議たいけん』に、この作品のミニゲームが一部流用されている。 エンディングの途中で作者の曽山一寿が登場しメッセージが表示されるのだが、表示スピードが速すぎてまともに読めない上にその内容がまたこっぴどい。流石に『てめェーだよ てめェー』や『なかじまかおる26才』に比べれば遥かにマシではあるが…(*8)。 + そのメッセージの内容。クリックで開閉 やあ!作者の曽山です。 ゲームクリアおめでとう! ボクがスゴイがんばって作った ゲームどうだった? どれくらいがんぱったかというと いそがしすぎてイライラしちゃう ぐらいがんばったよ! イライラしちゃうといえば この前もタンスの角に 足ぶつけてよー。 アレ絶対向こうからぶつかって きたよな、やってらんねえよ。 最近なんもいいことねー。 外にでてもコンビニと100円 ショップぐらいしか行くとこねーし あとウチの近所のマンガ喫茶の 店員なんであんなにやる気ねえ んだよ。 客商売なんだからもっと笑顔とか 作れよ。 あとオレの友達の友野君早く 2000円返せよ! てゆーかなんで金もってねーのに ファミレスくんだよ! 最初っから借りる気じゃねーか! 電車とかも1つの車両に あんなに人乗るなよ! せいぜい10人ぐらいでいいよ。 そもそもよくこんなバカな マンガのゲームやる気になったな。 はっきりいって時間の無駄だよ! ゴミひろいとかしてるほうが よっぽど世の中のためになるよ。 だいたいさあ、 最近の子供ってのはさあ…… 完 (曽山の顔に「完」の文字がぶつけられ、強制的に終わる) 作者のメッセージに気を取られて気付きにくいが、よく見るとスタッフロールにも「バカつぼ」「マスエロ」などおかしな名前が入っている。密かにLRボタンで表示速度を変えることができるので、興味のある人はRボタンを押しっぱなしにして見てみよう。 2021年12月27日にテレビ朝日系列で放送された『テレビゲーム総選挙』の放送中で原作者がTwitterで「本作が何位に来るか」というツイートがあった。ランクインはしなかったので101位という事にしたという。 このツイートに対して「このゲームは563位」という返信が来ていた。563位というのは原作の大長編に由来する。 絶体絶命でんぢゃらすじーさん ~泣きの1回 絶対服従ばいおれんす校長 ワガハイが1番えらいんじゃい!!~ 【ぜったいぜつめいでんぢゃらすじーさん なきのいっかい ぜったいふくじゅうばいおれんすこうちょう わがはいがいちばんえらいんじゃい】 ジャンル ギャグアクション・アドベンチャー 対応機種 ゲームボーイアドバンス メディア 64MbitROMカートリッジ 発売元 キッズステーション 開発元 六面堂 発売日 2004年3月18日 定価 4,800円(税抜) 判定 バカゲー ポイント まさかの校長が主役意外にも作りは丁寧 ストーリー(校長) じーさんが地球を危機から救ってから、たった3時間後…。 前回活躍できなかった校長が、自分も侵略から地球を救いたいと言い出した! 校長の泣きの1回を受け、じーさんも立ち上がる! 今度の敵はじーさん!? 大迷惑のみょみょみょ星人を率い、わがまま校長とじーさんが大激突!! 前回以上にパワーアップしたギャグ満載の校長編スタート!! (公式サイトより) …オイ、ちょっと待て。 概要(校長) なんともアレなストーリーから始まる『史上最強の土下座』のスピンオフ作品。今度の主役は原作で毎回ヒドイ目にあう校長。 作者曰く、「GBAで校長のゲームが出ると聞いたときは冗談だと思った」とのこと。 オープニングムービーでは偽のゲームタイトルが次々と表示されては爆破され、最後に正式なタイトルと校長が出てくるがそのままのノリで爆破される。主人公なのにこの扱い…。 今回の舞台は東京、シドニー、ハワイ、サバンナ、イースター島、+隠しマップ2つ(校長王国、アトランティス)。観光地だらけなのは校長のワガママ。 なお、基本システムは全て『史上最強の土下座』のものを使っており、内容だけが異なる。 前作と同じく隠しマップが2つ存在する。前作は片方しか行けなかったが、今作は両方とも出現させる事が可能。 校長王国は前周でグッドエンディングを観て、次周の6日目を迎えると行けるようになる。 校長王国のある建物では、普通に入っても何も起きないが、横綱校長に変身していると、客席に多くのキャラが集まっており、特別なイベントが発生する。 アトランティスへ行く手順が大変。 2日目のハワイである人物と会話すると貰える「やくそう」と「ぬののふく」を入手する → 4・5日目以降のイースター島で曽山に話しかけると動物が4頭登場し、彼らに話しかけるとミニゲームが発生(失敗しても再挑戦可) → 4つ全てクリアする事で、ようやく次の日にアトランティスへ行く事ができる。 ミニゲーム 全12種類。流用よりは新作の方が多く、流用されているのは「ジャンプジャンプで大冒険じゃい!!」「真剣勝負じゃい!!」くらい。 + 一覧 逃げるんじゃい!! ミサイルを避けながらゲーム終了まで逃げ続ける逃げゲー。ストーリーの中で最初にプレイすることになる。 Lボタンで左、Rボタンで右と校長を操作する。 校長の姿によっては高速で走ることができ避けやすくなる。 綱引きじゃい!! LボタンとRボタンを使って孫が動いた方向に綱を引いていく。 孫の動きに合わせていくとなぜか画面右からじーさんやゲベ、宇宙人などのキャラが転がったり、飛んできたりする。 操作を間違えると綱が画面右側に移動し、何度も間違えると吹っ飛ばされてゲーム失敗となる。 ゴムパッチンじゃい!! 十字キーを上下左右に連打してじーさんを指定されたノルマよりも多く吹き飛ばす。 グリグリが早すぎると校長自らが吹っ飛んで壁に突き刺さり、ゲーム失敗となる。 校長の姿によっては変身した姿で直接ミニゲームに登場する。 まきとるんじゃい!! トイレットペーパーを指定された数まで巻き取る。なおら巻き取っているときに「おちんちん」という効果音が流れる。 巻き取りが早すぎると校長の顔が赤くなり、頂点に達すると紙がちぎれてゲーム失敗になる。 校長の姿によっては高速で巻き取れたり、手がないので巻き取れなかったりする。 かわすのじゃい!! 制限時間が0になるまでじーさんが飛ばしてくるうんこが孫に当たったり、下のトイレにはまったりしないように避けていくミニゲーム…なのだが、じーさんが飛ばすうんこの飛距離がかなり読み取りづらい。 その為、避け切れずに孫に直撃してゲーム失敗になりやすい。おそらく本ゲームの中で一番難しいと思われる。 校長の姿によっては手がないせいでゲームスタート前に孫がトイレにはまってしまい、ゲーム失敗となる。 ばいおれんすウォーズ!! リヤカーに乗せられた孫にトマトを投げつけて相手の陣地まで持っていくゲーム。 Aボタンでトマトを投げるという操作方法はいたってシンプルだが、CPUであるじーさんも高頻度でトマトを投げる為手強い。 校長の姿によっては手がない為にトマトを投げることができない。特にシドニーではこのミニゲームに負けると即侵略されてしまう為、最早詰んだも同然。 ジャンプジャンプで大冒険じゃい!! 前作の流用だが、ステージのデザインや登場する敵、パワーアップアイテムは全て一新されている。 校長の姿によっては前作同様近接攻撃や遠距離攻撃が可能になる。 競争じゃい!! 前作「ドライブぶ~ぶ~じゃっ!!」に似てはいるものの、並走するUFOよりも先にゴールすることが勝利条件となっている。 ウンコをとるとスピードダウン、星をとるとスピードアップするのは前作と同様。 校長の姿によってはアクセルがオートになる。 さがすのじゃい!! 記憶力ゲーム。マップ上の12か所ある地点の中にじーさんが隠れるので、十字キーとAボタンを操作して探し当てる。 ちなみに、当たった時はじーさんの頭に刀が刺さる。 校長の姿によってはブサイク仙人などのダミーが混ざってきたり(*9)、探し当てた場所を間違えると最強さんが出現して捕食される。 拾うのじゃい!! 宇宙人に当たらないようにステージ上に落ちているコインを集めてクリアを目指すゲーム。 宇宙人の動きがやや予測しづらい為、運が悪いと挟み撃ちにされてゲーム失敗になることもある。 校長の姿によっては宇宙人を飛び越えられたり、空を飛んでいるので壁を無視して操作できたり、近接攻撃で宇宙人を倒せたりできる。 潜るんじゃい!! 前作「跳び箱で飛ぶんじゃっ!!」とよく似たシューティング式のミニゲームだが、前作と違って何も操作せずに放置すると校長が画面下に向かって下がっていくのが異なる。 敵はじーさんを模した魚、ザリガニのような何か、宇宙人を模した魚。 UFO内では前作と同様みょみょみょ大王と戦うことになる。大王側の攻撃方法が体当たりだけなのは相変わらず。 校長の姿によっては変身した姿が直接ミニゲームに登場したり、追加武装で発射可能な銃弾が増えたり、近接攻撃になったりする。 真剣勝負じゃい!! 前作と同じく『ポケモン』のオマージュであるバトルゲーム。BGMも流用。 テキストがカオス化。ダメージを受けると「縮んだ」「砕けた」だの「300キロぶっとんだ」だのと表示される。敗北した時のテキストも「頭が割れた、30点」「救急車で運ばれた」「枯れてしまった」だの馬鹿馬鹿しくも笑える。 技の中には「山田くん」なるキャラクターを呼び出して座布団で攻撃するという某バラエティー番組のネタまで仕込まれている。 特徴・評価点(校長) スピンオフにもかかわらず、テキスト、ストーリーは全面的に書き直されており、前作からの使い回しがほぼない。 マップも東京と宇宙船内以外は全て新規。流用マップについても住人が全く異なる。 イベントも原作再現よりは新規イベントが中心。ノリはいつものじーさんなので安心して笑える。 ミニゲームは流用よりは新作の方が多い。 前作の「リズムをとってプップップ~じゃっ!!」の様な鬼畜難易度のミニゲームはない。 強いて言えば「綱引きじゃい!」がシステム的にはやや近いが、同時に押すボタンが一つだけでミス許容回数も多いなど難易度は雲泥の差。 余談だが、BGMはクラシックアレンジが中心であり、使い回しが多い。 オマケ要素もなかなか豊富。 とある条件を満たすとあの名迷曲「おちんちんのうた」がカラオケモードで聴けるという誰得な追加要素が手に入る。もう…何と言っていいのやら…。 アニメ版では自主規制のためか全く違う歌に差し替えられていたのでこれは貴重である。 + これがその「おちんちんのうた」 問題点(校長) 一部の校長が通常プレイでは入手不可。 片方は『史上最強の土下座』との通信なので、まだ入手しやすいが、もう一つはイベント限定。現在は入手手段が存在しない。 ストーリー面での練り込みがやや甘い。 前作では「催眠音波発生装置で洗脳してやる! → オナラの音で打ち消せ! → リズムをとってプップップ~じゃっ!!」や「野菜型爆弾で攻撃だ!→所詮野菜だ、食っちまえ! → パズるんじゃっ!!」など頭がおかしいなりにちゃんとしたストーリーになっていたが、今作ではなぜその状況でそのミニゲームなのか、という状況が多くなっている。 またゲーム自体も孫が巻き添えを食らっているものが多いのだがその辺の説明は一切なし。特に「ばいおれんすウォーズ!!」と「かわすのじゃい!!」はシチュエーション自体が意味不明なレベルである。 前作に引き続きやたら多いバッドエンド。 そもそもが校長のワガママから始まった物語であるため、自業自得と言えばその通りではあるのだが… 中には校長が消滅(死亡)してしまうエンドも存在する。原作の1シーンをなぞったそれほど珍しくない展開だが、原作と異なりギャグによるフォローが無いためやや後味が悪い。 総評(校長) バカゲーなりにちゃんとスピンオフしている意外な佳作。 前作とはまた違った面白さがあるので、両方プレイしてもいいだろう。 余談(校長) 前作の記録を超える開始後1分以内にエンディングという偉業を達成可能。 こちらがその動画である。クリアタイムはなんと44秒45である。前作の半分以下である。もう、ギガゾンビもビックリというレベルではない。 ちなみに、エンディングのBGMは低音だがあの「蛍の光」のフルVer.である。 上記のタイムはクリアまでの時間だが、エンディングを入れても上記の動画は1分50秒しかない。 本作には変身として「女王様校長」が登場するが、見た目は同じ女王様でもSM女王となっている。大丈夫か…? タイトルがムチャクチャ長い。発売当時はコンシューマーで一番長いタイトルのゲームであり、発売予定リストでは2行使って書かれていた。 曽山氏が税務調査された際には、この長いタイトルを調査官の前で読み上げることになったそうな(参照)。 ちなみに現在の最長タイトルは2015年発売の『夏色ハイスクル★青春白書 ~転校初日のオレが幼馴染と再会したら報道部員にされていて激写少年の日々はスクープ大連発でイガイとモテモテなのに何故かマイメモリーはパンツ写真ばっかりという現実と向き合いながら考えるひと夏の島の学園生活と赤裸々な恋の行方。~』である…長い。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3182.html
絶体絶命都市2 -凍てついた記憶たち- 【ぜったいぜつめいとしつー いてついたきおくたち】 ジャンル サバイバル・アクションアドベンチャー 対応機種 プレイステーション2 メディア DVD-ROM 1枚 発売・開発元 アイレムソフトウェアエンジニアリンググランゼーラ(ゲームアーカイブス版) 発売日 2006年3月30日 定価 7,140円(税込) プレイ人数 1人 レーティング CERO 15才以上対象 廉価版 アイレムコレクション2008年2月7日/2,800円(税込) 配信 ゲームアーカイブス2015年2月18日/1,000円 判定 なし ポイント 水害で沈みゆく街の群像劇グラフィックや表現は○豊富な選択肢頻発する処理落ち 絶体絶命都市シリーズ 1 - 2 - 3 - 4Plus 概要 あらすじ 特徴 評価点 バカゲー要素 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 アイレムが送り出したサバイバルアクションゲーム『絶体絶命都市』シリーズの第2作となる作品。 災害を生き延びるコンセプトは同様だが、「地震」を扱っていた前作に対し、今作は大雨による洪水や濁流と言った「水害」をテーマとしている。 それに伴って舞台も初夏の島から真冬の地下都市へと移っており、基本システムは踏襲しつつもゲーム性は大きく変化している。 また、今作では複数主人公制を採用しており、立場の異なる主人公の視点を描く群像劇の構成となっている。 あらすじ 首都島の壊滅から数年。失われた第3首都の座は空席のまま、都市開発の波は激しさを増し、様々な都市に及んでいた。ここ、富坂市もその一つ。四方を山と海に囲まれた地方都市、富坂市。この街を変えたのが、限られた土地を有効かつ計画的に開発する地下都市開発計画「ジオフロンティア計画」。この計画は、富坂市に飛躍的な発展をもたらした。今もなお、その勢いは留まるところを知らない。そして2010年12月、ジオフロンティア計画の第1期工事が完了する。この日から、富坂市は地上と地下を融合させた都市「ジオシティ」として本格的に歩み始める。折しもこの日はクリスマスイブ。季節外れの大雨は祝福の雨か、それとも…(説明書より抜粋) 特徴 今作の舞台は前作から5年後、真冬の地方都市「富坂市」が舞台。都市開発競争が進む中、限られた土地を有効活用するべく発案された「ジオフロンティア計画」によって、地上と地下を融合させた人口約118万人に及ぶ巨大都市「ジオシティ」に発展した。 しかし連日降り続いた豪雨によって市内を流れる川が決壊。大規模な浸水によって地下都市の陥没事故が多発し、ジオシティは崩壊・水没していく。 今作はこの大水害に見舞われた絶体絶命の富坂市にて生き延びることを目的とするが、必ずしも「都市からの脱出」を目指すとは限らない。 今作では主人公が5名(+隠しキャラ1名)存在し、それぞれが全く異なる立場・視点から同じ災害の中で生き抜いていくオムニバス方式となっている。 主人公はプレイヤーが任意に選ぶのではなく、予め決められた順番でプレイしていく。 一度エンディングを迎えた後は任意のシナリオのみをプレイする「フリーゲーム」が追加される。 + シナリオ紹介(後半のネタバレ含みます) 第一話「篠原一弥」 ジオフロンティア計画の完成祝賀記念式典のパーティー会場でウェイターのアルバイトをするため街に来ていた、大学生の篠原。仕事を行っている最中に、チーフウェイターから大雨で市内を流れる羽代川が決壊したとの情報を告げられる。 チーフの命令で客の誘導に奔走している最中、大規模な水害が発生。同じくアルバイトをしていた藤宮春香と共に更衣室に取り残されてしまう。篠原は藤宮と共に地下からの脱出を図る。 第一話ではあるが、最も長いシナリオ。災害から逃げ回って脱出を目指すオーソドックスな内容であり、回る場所は非常に多くその分災害に巻き込まれやすいため死亡ポイントはかなり多い。ただし、中盤で街から脱出することも可能。 また、他のキャラと絡む場面が多く、篠原の取った行動が後の主人公の攻略時に大きく影響することも多い。 特殊技能は「暖めあう」で、同行者である藤宮と暖めあうことでTPを回復できる。ちなみにこの時の反応は藤宮の好感度によって変化する。 厳密には藤宮とTPを平均化する。そのため、藤宮のTPが低い場合は逆にTPを奪われる。本作の同行者はTPがゼロになる事は無いので、使い所次第ではただデメリットしか無い場合もある。 第二話「佐伯優子」 会社の人間からの書き付けで兄である佐伯聡のマンションを訪れた優子。しかし、そこで目にしたのは殺害された兄の姿だった。さらに、突然駆けつけた警察に殺人の罪を着せられ逮捕されてしまう。 しかしその後、災害で収監された警察署が崩壊し、脱走に成功する。佐伯は自らの無実を証明するため、偶然出会った田辺知事の秘書である青山透と共に水没しつつある街を探索する。 第一話に次いで長いシナリオだが、第一話に比べ死亡ポイントは少なめ。ただし、佐伯は凶悪犯として扱われているため、市民の誘導に当たっている警官に見つかると即座にゲームオーバーとなるという制限がある。 なお、警官に見つかった場合でもゲームオーバー画面で消息不明となるのは本来ツッコミどころだが、とある人物の言動を考えるとむしろ納得である(後述)。 冒頭で手錠を填められてしまうため、ぶら下がりができないと言った一部制限がある。ただし、着替えは可能である。どうやって着替えているのかなどと突っ込んではいけない。(*1) 特殊技能は「出来心」。使用することで街にいるキャラからアイテムを盗む事が出来る。本当の犯罪者になります。と、説明にあるが別にペナルティは無い。この方法でしか手に入らないアイテムもある。 第三話「柘植明」 タクシー運転手の柘植はコンビニでいつものように立ち読みをして暇つぶしをしていた。業務に戻り、偶然コンビニで乗せた作業員風の客を韮沢ジオセクションまで送り届けると、今度は記者の本多涼子が乗り込んでくる。 本多は持ち合わせがないにもかかわらず「着払いで払う」と言い張り、結局連れて行くことになる。その後、事件の調査に半ば無理やり協力させられ、様々な場所を巡らされることになる。 運転手という職業柄、移動はタクシーを使うことになる。探索シーンは少なく、主にタクシーによる移動がメイン。山道や川を突き抜けたり、建物内をタクシーで走り回って水害から逃げる迫力のあるシーンもある。 タクシーに乗っていれば雨風は防げるし、ヒーターを使っていつでも回復が可能。一見、楽なプレイができそうだが、壁などにぶつける度にタクシーは壊れていき、走行不能に陥ることこそ無いものの最終的には窓が割れて雨風が入り込むようになる上に回復も不可能になってしまう。こうなるとアイテムを使って補強するか、非常に目立たない場所にある修理屋に行かなければならない。 特殊技能は「カーラジオ」。固有の移動手段であるタクシーに乗っている時のみ使用可能で、災害情報とバラエティの2種類を聞くことができる。 どちらも時間帯によって放送されている番組が異なる。 第四話「西崎佳奈」 富坂商業高校に通っている西崎は内向的な性格のせいか、同級生の桜坂綾乃に毎日のようにいじめられていた。災害が起き、避難勧告が出ている日も例外ではなく、綾乃たちに掃除用具入れに閉じ込められ、避難しそびれてしまう。 掃除用具入れから出た時(*2)には既に大半の生徒が脱出した後。西崎は残って生徒を探していた教育実習生の比嘉夏海と共に避難場所である体育館へと進む。 最終話を除けば最も短いシナリオ。死亡ポイントもほとんどなく、難易度はかなり低い。 特殊技能は「おもいで」で、特定の場所に来たり物を調べると西崎の思い出が蘇えり、このコマンドを使うとこれらをいつでも回想できる。 ちなみに、思い出の内容は「トイレにいたらバケツの水をかけられた挙句学校に来るなと罵られた」「貴女の存在自体がイライラすると罵られた」「何もしていないのに土下座を強要された」など。思い出と言うよりトラウマに近い。 第五話「速水裕司」 災害の渦中(*3)、目覚めた青年。彼は災害によって負った頭の傷のせいなのか、記憶を完璧に忘れてしまっていた。自身を「速水裕司」と呼ぶ成瀬沙耶と一緒に、記憶を取り戻すため思い当たる場所を巡ることになる。 ある程度災害が広がっている状況から始まるためか、エアベッドやゴムボートなどを使った移動シーンが多い。また、他のシナリオに比べあたたまりポイントや回復アイテムが少ないため、難易度は若干高い。 特殊技能は「記憶を思い出す」で、様々なイベントで手に入る記憶の欠片を繋ぎ合わせて、自分の名前や性格など色々なことを思い出せる。後半ではこれを行うことが必須となる。 『パチプロ風雲録4 ~銀玉殺人事件~』に登場した推理エディタを簡略化したようなものである。あちらは起点から結論までをピースで繋ぎ合わせるものだったが、本作は全てのスペースをピースで埋める形となる。 記憶の欠片にはネタ要素もあり、繋ぎ合わせる情報によっては全然違う記憶が完成することもある。それは思い出すというより自分で記憶を作っているというのではないだろうか…?(*4) 最終話「篠原一弥・須藤真幸」 第一話で篠原が富坂駅まで辿りついているかどうかによって主人公が変わり、篠原が途中で街から脱出していた場合、前作主人公の須藤が操作キャラになる。 詳細は隠すが、目的はどちらも同じで「水没する駅からビルに逃げ込み、メディアタワーの頂上にたどり着く」だが、須藤の場合、足を負傷しており移動速度が非常に遅いというデメリットを負っている。なお、水没のスピードも空気を読んで遅くなるので難易度が大きく変わるということはない(*5)。 須藤の特殊技能は「解き明かす」で、様々な情報を集めそれを繋ぎ合わせて謎を解き明かすというもの。ただし、やることは速水と同じである。これをやったか否かで結末が変わるが、完成させるには条件がある(*6)。 主人公がとった行動が別の主人公のシナリオに影響を与える「主人公相互干渉効果」というシステムを搭載しており、主人公同士の思いと行動が交錯する様を描き出している。 例を挙げれば、「スプリンクラーを作動させてしまった事で警官が出現し、その場に居る別の主人公の行動に制限がかかる」「主人公が他の主人公に手を貸すことで、もう一方の主人公の攻略が楽になる」など。 中にはかなり後になって干渉効果が発覚する物や、攻略・他主人公のエンディング条件に直結するような物もある。 不要なアイテムをゴミ箱や「回収おじさん」という謎の人物に預けておくと、後に別の主人公がそれを回収することもできる。 ゴミ箱は当然入れたそのゴミ箱からしか回収できず、他の主人公がそこを訪れるかどうかもその時点では分からないので、受け渡し目的で利用するのは得策ではない。以降の主人公にアイテムを渡したい時は回収おじさんを頼るべき。 但し、回収おじさんの登場頻度は決して多くは無く、1シナリオにつき1~2回がいい所。見掛けたら要件は全て済ましておこう。 前作の「喉の渇き(QP)」に代わり、今作では「体調(TP)」を管理する事が重要となる。 舞台は真冬の都市であり、その上雨や水しぶきなど服や体が濡れる要素がそこかしこに存在している。体が濡れた状態で放置しておいたり、雪が降っているような寒い場所にいるとTPが減少(体調が悪化)して動きは緩慢に、視界も悪くなっていき、TPが尽きると「行き倒れ」てしまいゲームオーバーとなる。 濡れの度合いは水滴のアイコンで表示される。水滴が多いほど濡れている事になり、TPの減少が早くなる。乾燥時は「DRY」と表示される。また、主人公達の服や髪などの外見にも反映される。 前作同様、揺れが起きた際に踏ん張らないと転倒してダメージを受けるのだが、今回は濡れた場所で倒れると一気にびしょ濡れになってしまうため、前作以上に転倒には気を付ける必要がある。 傘、雨ガッパといったアイテムを装備すれば濡れを抑える事ができる。ただし、これらを装備したまま飛び降りたりジャンプしたりと激しい行動を取り続けると壊れてしまう。 前作のような体力ゲージ(HP)は存在せず、転倒や落下でダメージを受けるとTPが直に減少する。TPがそのままHPの役割も果たしているため、本作は「主人公の状態に応じてHPが徐々に減少する」ゲームという解釈で良い。簡単に言えば、居るだけでどんどん毒が悪化していくフィールドを探索するようなものである。 体調は使い捨てカイロや救急セットで回復/維持できる他、ストーブや焚き火などの「あたたまりポイント」で暖まる事で服の乾燥と体調回復が一度にできる。厨房のコンロすらもあたたまりポイントになり得る。 あたたまりポイントはセーブポイントも兼ねているため、要所要所に設置されている。 鍋やフライパンなどの調理器具を持っていれば「食事」も可能で、カップラーメンやレトルトカレーなどの食料アイテムを消費してTP自動回復の効果を一定時間得ることができる。水道の無い所では雨水でも使っているのだろうか? しかし、中には濡れて使い物にならなくなっていたり、燃料切れのため燃料を探してこなければならない物も存在している。 アイテムの中でも「カセットコンロ」や衣装を解体した「可燃ゴミ」は使い捨てのあたたまりポイントとして利用可能。但し、前者はガスボンベが、後者はライターが必要。 前作同様、深い水に落ちてしまったり、高所から落下してしまうなどすると即ゲームオーバーとなる。これらは少しの操作ミスで落ちることも多々あるので、気を抜かずプレイする必要がある。 急に足場が崩れる・物が上から降ってくるなどの初見殺しも多いため、何度も死にながら進めることになるだろう。 エンディングは、選択肢や行動によって変化するマルチエンディング方式。エンディングによっては、主人公が死亡ないし消息不明となることもある。生還しても逮捕されてしまう、なんて結末も。 また、どのようなエンディングを迎えたかによって他の主人公のエンディングが変化したり、新たな主人公が出現する事もある。そのため、隠し要素の開放のためにはベストエンド以外のエンディングを迎える必要があることも。 シナリオを一つクリアする度、今クリアしたシナリオのまとめが、主人公またはその同行者のモノローグという形で挿入される。 これは本作サブタイトルにもなっている「凍てついた記憶たち」としてシナリオ毎に5つまで保存可能であり、スタートメニューから自由に閲覧できる。 ネタ選択肢もちゃんと拾うので、時には抱腹絶倒ものの回想になる事も。 前作同様、チュートリアルモードも搭載されているが今回はストーリー仕立てになっており、「富坂市民災害センター」という施設で災害の疑似体験をするという設定になっている。操作キャラは第一話と同様に篠原(*7)。 5つの部屋を(最初以外)好きな順番で巡るが、どの部屋も最奥部にいるマスコットキャラのジオくん(CV 阿澄佳奈)に話しかける事でクリアとなる。 すべての部屋をクリアすると部屋ごとの成績が集計され、成績に応じて称号が与えられる。また、初めてチュートリアルをクリアした際には「市民災害センターコンパス」というコンパスを入手できる。 操作に失敗してダメージを受けたか否か以外にも、クリアまでのタイムも成績に反映されている。最高評価を出すにはかなり急ぐ必要がある。 なお、各部屋の成績は部屋前で観察している男性の台詞から大凡分かるようになっている。最高点を出せていれば「僕が見た中で一番○○だったよ」と評される。 評価点 被災地の表現。前作よりもグラフィックが進化している事もあり、常に緊張感に満ちたプレイとなる。 前作ではゲーム開始時には既に街はほぼゴーストタウンと化していたが、本作は災害発生時のパニックや避難する人々の様子などをよりリアルに描いている。 BGMもかかる場所が少なく、多くの場所では雨音や足音といった効果音のみが響き渡る。これも被災地の緊張感を再現する事に一役買っている。 突然の鉄砲水や濁流など、ダイナミックなアクションシーンも多数存在する。こう言った場面ではしっかりBGMが流れてプレイヤーに緊迫感を与える。 キャラのポリゴンも進化。2006年のPS2ソフトしてはあまり高品質とは言えないが、それでも前作よりは格段に良くなっている。今回はちゃんと口パクもある。 操作性の向上。 一部の場所を除いて右スティックによる視点操作が可能になり、周囲を見渡しやすくなった。また、ぶら下がり状態から下に飛び降りることも可能になり、探索しやすくなった(*8)。 走る際もスティックを軽く倒すと駆け足、大きく倒すと全力疾走になり、使い分けが可能に。災害から逃げるシーンでは緊迫感も出る。 ふんばり状態で移動する事で、四つん這いでの移動も任意に可能になった(前作では必要な場面で自動で行っていた)。 ロープや手すりなどの傍で「ふんばる」ことで掴まるのは前作同様だが、今作では突然の急流で吹き飛ばされる箇所や激しい水流の中を進むシーンも多いので重要なアクションとなっている。 「叫ぶ」もストーリー上で必須の場面が幾つか存在する。時にはただ叫ぶだけでは駄目な場合も。 泳ぎは不可能になったが、水に身を浸す事自体が命取りな今回の設定を考えると妥当だろう。 テーマとシステムの上手い絡め方。 前作の地震と渇きというオーソドックスな題材に対して今作は水害と体調という変化球を攻めており、その上で濡れ・着替え・食事など舞台設定を上手く活かしたシステムとなっている。 「あたたまりポイント」は、暖を取っただけで瞬時に服が乾く、前作の水道に比べると配置が自然ではない(*9)など、リアリティ面では前作に劣るゲーム的な都合の大きいシステムではあるが、水害という珍しいテーマをシステムに落とし込んだ稀有な例である事は確かである。 前作ではHPの重要性が低かったが、今回はTPと一纏めにした事で常に減少の危険性に晒されるため即死ばかりに気を付ければ良い訳ではなくなり、新たな緊張感が生まれた。 豊富な収集要素。 マップのあちこちに収集要素がちりばめられており、災害という危機的状況ながら隅々まで探すのが楽しい。 前作同様に「コンパス」が存在し、まさにコンパスといった普通の物からゲーム内容にちなんだ物、ネタに走った物、さらにはアイレムに関係する別ゲーネタまで幅広くカバーしている。 リストの最後に入るコンパスはなんと「絶体絶命都市3のコンパス」である。製作陣の次回作に対する熱意が窺える(*10)。 今作では「装備品」の収集要素もある。こちらも雨ガッパやコート、ゴム長靴、婦警服(*11)など実用的な物もあれば、サンタ服やナース服、はたまたネコ耳やアフロヘアーなどのネタ装備品までかなりの数が存在する。 もちろん、そういったネタ装備品を装備していてもゲームは普通に進行し、シリアスなシーンではふざけた格好のままシリアスに進む。それがたとえ、黒幕との直接対決の真っただ中であろうとも…。 装備のカテゴリも、上下で個別に設定できるのはもちろん、頭・顔・手・足・肩・腰と、非常に細かく装備できる。次回作以降は種類の豊富さと引き換えに、上下や靴がセットになって自由度が下がっているので、本作ならではの要素である。 同行者に渡して着せる事も可能。鼻眼鏡だろうがネコ耳だろうが装備可能な品であれば喜んで装備してくれる。 なお、装備品は基本的に装備することで寒さに強くなるため、ネタ装備でも決して何の役にも立たないわけではない。ふざけた外見だがサンタ服は見かけ通り防寒性能が高いなどの利点もある。 その他、「解体」することで可燃ゴミにすることも可能で、ライターさえあれば燃やしてTPを回復&乾燥もできるため、ゲームを進めて行く上でも装備品の収集は重要になる。 クリア後は一度でも入手した装備品はゴミ箱から無制限に取り出すことができる。好きに着替えられるのはもちろん、回復アイテムが無限に手に入るということでもあるので取り逃した要素の探索もしやすくなる。 隠しアイテム的要素の「宝石」もある。これは前作から引き続き登場の宝石女(*12)こと竹辺幸にアイテムを渡したり会話したりすることで入手でき、5人の主人公で5つ全て集めるとささやかなご褒美がある。 ストーリー性の向上。 オムニバス形式になったことで、様々な思惑が交錯する複雑なストーリーが描けている。 個々のシナリオの密度は前作より下がっているものの、あるキャラの行動の理由が別の主人公で明らかになったり、前のシナリオでの出来事が意外な所に繋がったりと、群像劇ならではの物語構成が魅力。2周目のプレイでは新たな発見もあるだろう。 また、シナリオが増えたことでボリューム自体も増加。総合的には前作よりも長いストーリーとなっている。 選択肢の高い自由度。 前年に発売された同社の『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』の特徴を継承しており、明確に主人公のキャラクターが固まっていた前作と違って本作の主人公達の振る舞いのほとんどは選択肢に委ねられる。その中に明らかにその場の雰囲気や展開にそぐわない、いわゆる「ネタ選択肢」が大量に存在する。 「娘(春香)に代わってくれ」という電話に対し「私が春香よ」と返答する(この時の主人公は男性)、今まさに命の危険にさらされている人物からの救助要請に対し「チップを弾むなら」と言い放つ、何故兄を殺したと言う刑事の問いかけに「兄の財産目当てよ!」と言い放つなど、言動が外道そのものな選択肢も多い。 台詞以外にも、客に届ける冷水を雨漏りの水と入れ替える、高架橋からぶら下がっているコック長からコック帽子を取り上げる、足が挟まって動けない教育実習生にサラダ油を塗ったくるなど、明らかに常軌を逸した行動も取れたりする。 こういったネタ選択肢を選ぶと、担当声優の熱演・怪演が聞ける。通常プレイに飽きたらどうぞ。 特に、いじめを受けていた主人公の1人「西崎 佳奈」が、命の危機に瀕しているいじめの首謀者を前にして言い放つセリフは必聴。「すぐに助ける」「今までのことを謝るなら助ける」「冷やかに見下ろす」「拒む」と言った中に「罵る」があり、その選択肢が異様に多い。その内容も「いつまでもそこで寝転んでるがいいわ!」「遺言があるなら、聞いてあげますよ」「もうすぐ私に会わなくなるから嬉しいでしょう?」など、半端ではない。 助けるか見捨てるか罵るかの選択は二度あるのだが、一度目に罵る時には個別に選択するのが面倒な人のために「まとめて罵る」(すべてのセリフを1回ずつ言う)という選択肢もある。公式が病気である。 そして、最後はこのいじめの首謀者の生死はプレイヤーに委ねられる。「許さないが見捨てもしない」という王道プレイの他、「散々罵った挙句見捨てる」という鬼畜プレイも、「すべて許して命を助ける」聖人プレイも、散々罵倒しておいて最後の最後で度量の広さを見せて許すといったツンデレプレイもできる。 ただし、最後の場面で見捨ても助けもしないでいつまでも罵り続けると、逆に主人公が報いを受ける羽目になる。珍しい因果応報である。 通常の選択肢でも、例えば何か依頼を受ける時にもそれを使命感を持って引き受けるのか、嫌々引き受けるのか、敢えて断るのかと言ったように細かい態度を選べたりもする。 + さらにはクライマックスでも…(少々ネタバレ) 終盤、黒幕と対峙するシーンでは銃を突きつけられ、殺人ウイルスを渡すように迫られるのだが…。 ここでもはっきり拒む主人公らしい選択肢の他に、「快諾してあっさりと返してしまう」「返す代わりに見返りを要求する」などといった外道分たっぷりの選択肢や、「自分だけの物という理由で引き渡しを拒む」というマッドサイエンティストのような返答、さらには「仕方がないので返す」と最後の最後でヘタレる選択肢まである。当然これらの選択肢を選ぶと、それに応じてストーリーが進行し、選択肢によってはそのままエンディングを迎える。 さらには、黒幕の動機を聞いた後には「黒幕の思想に同調し、忠誠を誓う」という選択肢まである。「むしろ悪役に同情したくなる」という人向けの選択肢まであるとは…恐るべし。 ちなみに、黒幕が正体を現した際にはその人物の名前を選ぶ選択肢が出てくるが、ここで登場する選択肢には正解のほかに名ありの男性キャラの名前がほぼ全て出現している。正解以外を選んでもゲームは進行するが、全力で別人の名前を叫ぶ主人公と冷静にツッコミを入れる黒幕の図はもはやコントにしか見えない。 この特徴は本シリーズの他、パチパラシリーズ収録の『パチプロ風雲録』や『R-TYPE TACTICS II』など、以降の九条一馬プロデューサーが関わるアイレム作品及びその後身であるグランゼーラ作品へと更に継承されて行った。 主人公の振る舞いは大半が選択肢に委ねられるので、本編での主人公自身のキャラクター性は薄めだが、オブジェクトを調べた際にはなかなかに個性的なコメントを返してくれる場合もある。第3主人公の「柘植 明」は特にユニーク。 バカゲー要素 前述の選択肢やコスチュームに加えて展開や演出もバカゲー要素が高い。 上述したチュートリアルは、操作やシステムの説明が主だが、この時点で既にツッコミ所満載である。 「主人公の全力ジャンプでやっと崖の淵につかまれる程度の幅と、数メートルはあろうという高さのある谷間を飛び越えさせる(*13)」「肘ぐらいの高さのフェンスがあるにもかかわらず「手が滑った」とバケツの水を主人公に降り注がせる清掃のおばちゃん」「梯子を上ったり、細い足場をつたってようやくたどり着けるような場所に平然と移動しているジオくん」など、中々にツッコミどころに溢れた仕上がりとなっている。 というか、4部屋目以降の部屋は失敗すれば普通に負傷、運が悪ければ命を落としかねないような構造である。リアルな災害を体験するという意味では決して間違っていないのかもしれないが、安全面には大いに問題があると言わざるを得ない。 評価を教えてくれる男性は、上述のおばちゃんに水を掛けられる部屋で最高評価を出すと「僕が見た中で一番(水を)被っていたよ」と言う。それは成績に関係あるのだろうか…? メイン主人公の篠原は女性を担ぎながら手だけで綱を渡ったり対岸にジャンプするなど単なるバイトの学生なのにレンジャー部隊か自衛隊並で、笑えるほどの体力の持ち主である。さらに、篠原と同じように壊れた高速道路から落ちた料理長が息子の写真を見て死んだ後、篠原は一人で高速道路の柱にロープなしで登り、汗もかかずに頂上にたどり着く。なんという身体能力…。 西崎も篠原ほどではないが、気弱ないじめられっ子は演技だったのかと思えるような「SASUKE」ばりの行動を取ることもある。 ただのタクシー運転手のはずの柘植も、時にはアクション映画顔負けのカースタントを披露する。 主人公以外にも、土砂崩れや鉄砲水に巻き込まれても何事も無かったかのように現れる秋本刑事、ダム決壊による濁流に呑まれても(場合によっては車に撥ねられても)平然と復活する辺見先生など、驚異的な生命力の持ち主がちらほら存在する(*14)。 篠原編ヒロインの藤宮春香には主人公への好感度とある人物への感情度が設定されており、それに応じて一部の展開が変化する。 途中、篠原が高架から転落するシーンがあるのだが、ここで好感度が高いと「私の彼が!」と叫ぶ。水害発生まで篠原とはただのバイト仲間だったはずだが、ほんの数時間で急接近し過ぎ(或いは本人だけがその気になっているのか)である。吊り橋効果、恐るべし…。 全体で見ると数は多くはないが、ネタに満ちたサブイベントも用意されている。 特に篠原編冒頭のアルバイトは迷子を助けたり、○○を持ってきて欲しいという依頼を受けたり、ジオくんの着ぐるみを着られたり(*15)と、かなりきめ細かく作られており、大いに遊ぶことができる。会場内でふざけた行動を取ると即座にチーフが飛んできて怒られるのも面白い。 なお、厨房にいるコックの中には更衣室の壁に穴を空けて女子更衣室を覗こうとしている男(*16)や、コック長(中年男性)の写真を大事にロッカーにしまっている男も居たりする。何なんだこの職場…。 ゲームプレイ面で。柘植編では、タクシーを運転しながらアイテムを入手することができる。どんなタクシー運転手だ…。 賛否両論点 ストーリー性が高まったのは良いのだが、その分「災害を生き延びる」という要素が薄い展開が増えた。 「襲い来る災害からの逃亡・脱出」に重きを置いているのは第一話の篠原編だけで、他は「無実を証明する」「不正の証拠を掴む」「テロを阻止する」と言った目的のために被災地を駆け回る事になるため、災害から逃げるという点については副次的な要素になりがち。 第四話はそういった大掛かりな目的こそないものの、後述するようにシナリオが短く、内容も「辛い思い出に浸りながら避難する」というものなので、緊迫感やサバイバル要素は薄い。 敵に襲われるシチュエーションではほぼ毎回災害に助けられる(*17)ため、まるで恐怖の対象であるはずの災害を味方に付けているようなシナリオ運びも見受けられる。特に第二話が顕著。 また、前作でも陰謀渦巻く展開で風呂敷を広げ過ぎた事に対する批判はあったが、本作の被災地もまた大掛かりな陰謀が渦巻いている。上述した主人公達の目的もこの陰謀に関連した事である。 しかし前作が陰謀自体が災害に関係していたのに対し、今回は災害によって陰謀に狂いが生じたという形になっており、前作とは趣が異なっている。 これらにより、「災害から逃げるサバイバルアクション」としてのコンセプトが前作よりも薄まってしまった点は否めない。反面、展開に多様性を持たせて各シナリオを差別化できているのも確かなので、一長一短と言った所か。 上述したネタ、バカゲー要素も「雰囲気を壊す」「重くなりすぎず楽しめる」などと賛否両論な面も。前作はバカゲー要素が少なかったので尚更である。 『バンピートロット』や『パチプロ風雲録』のような作品ならともかく、大災害の渦中でこういう事をやるのは不謹慎ではないかと言う意見も、こういう状況だからこそ娯楽が必要という意見も、どちらも然りである。 ただ、これでも悪ノリが加速する次回作以降に比べれば、まだ健全な方である。以降が暴走し過ぎとも言えるが…。 それを別としても、選択肢が多い割には実質的には「すごく優等生」か「すごく鬼畜」の2択だったり、方向性が鬼畜に傾倒していたりなど、バランスの悪さが散見される。 例えば、ヒロインが逃げ遅れた身内の心配をしているシーンで4択が出るのだが…。 + あなたはどれを選びますか? 「それは心配だね」 「こんな状況じゃ助からないよね」 「さっさと逃げればよかったのにね いい気味だ!」 「他人のことなんか心配してられないよ!」 中間など無い両極端ぶりに加え、一番目以外は犬畜生ものの返答である。1つ入れるのは分かるが、4分の3もぶち込む意味は一体…。 シナリオ紹介で前述した通り、篠原が途中で脱出すると最終話の主人公が前作の須藤に変わる。 本来ならある場所を目指す藤宮に付き添い、それによって篠原は富坂市水没寸前まで街に残ることになって最終話へと続いていく流れなのだが、途中で篠原が街を去ることで最終話の操作キャラがいなくなるため、須藤が登場することなる。内容も事件を解き明かして脱出するというトゥルールート的なものなのだが…。 + ネタバレ 篠原編のストーリーが消化不良のまま終わるのは仕方ないとしても、篠原が脱出するには藤宮にボロクソに言って無理矢理ヘリに乗せる(*18)か、或いは藤宮を被災地に置き去りにする(*19)かしなければならない。 この「パートナーを見捨てて自分だけ脱出」エンドは前作から恒例であり、エンディングの一種としてはあって悪いものではないのだが、須藤編をプレイするためにこのような鬼畜選択肢を必ず選ばなければならないのは好みが分かれるだろう。 また、須藤が解き明かす黒幕の動機も、前話の速水編で黒幕自身から既に明かされている。謎を解くと言うよりは情報を整理するようなものであり、プレイヤーからすれば今更と思えてしまう。 そしてスタッフロールも、専用のED曲があった篠原の時と違い、何故か速水編のテーマである悲劇的なBGMが流れる。バッドエンドならともかくグッドエンドでも同じであり、カタルシスが感じられない。 問題点 処理落ちが酷い。屋内は比較的症状が軽いが、屋外だとかなりの頻度で処理落ちが起きる。 特に、雨の降っている場所は顕著。メニューを開いたり、アイテムを拾ったりするだけで数秒かかることも多い。 須藤編は上述の通り主人公の移動速度が遅いのだが、これと処理落ちとの相乗効果でとにかく時間の掛かるシナリオになってしまっている。 PS3ゲームアーカイブス版でもこれは変わらない。 後半になるにつれどんどん存在感が薄くなる相互干渉システム。 干渉する/される人物に偏りがあり、その上後半になるにつれ「なくても構わない」程度の干渉しか存在しなくなる。後述のように本作のシナリオは尻すぼみ感があるため、必然的に後半での存在感が無くなっていく。 第1主人公である「篠原 一弥」と、第2主人公である「佐伯 優子」の二名がほとんどの主人公と関わるのに対し、第3主人公の「柘植 明」と、第4主人公の「西崎 佳奈」はシナリオ中わずか2回しか他の主人公とかかわるポイントがない。 しかも、後者2名の干渉ポイントはシナリオに大きな影響を与えるものではなく、攻略難度に直結したりもしない。言ってしまえば存在しなくても何も問題がない。 公式コンプリートガイドのスタッフインタビューでは「影響の少ない干渉ポイントを入れたのはどのポイントが大きく影響するか分からないという駆け引き感を出したかったから」という旨が語られているのだが、それにしても影響の大小が偏っていると言わざるを得ない。 主人公毎にシナリオの長さのばらつきがある。 特に第四話の西崎編は非常に短い。主人公の西崎自体も本筋のシナリオには全くと言って良い程絡まない、まるでおまけのようなシナリオである。 最終話を除けば、他は作中時間で2日以上あるのだが、この第四話は一日(しかも昼過ぎから日没までの僅か数時間)で終わってしまう。舞台も学校の中だけで、他のシナリオとは比較にならないほど狭い。 前半に発生する辺見先生とのチェイスだけは初見殺しだが、肝心の災害に襲われるシーンも極めて少なく、(チェイスイベントを除けば)自分で高所から飛び下りたりでもしない限りゲームオーバーになることはほとんど無い。結局、人間が一番怖いのか…。 前作のサブヒロインだった比嘉夏海がパートナーということになっているが、彼女と行動を共にする場面自体ほぼ皆無で、西崎に追随するシーンすら無く、パートナーと呼んでいいかも怪しい扱いになっている。寧ろ、いじめっ子である桜坂綾乃の方が終盤で共に屋上を目指す分、よほどパートナーらしい。 ストーリー上の位置付けは第五話でキーとなるコンテナが舞台の高校に流れ着いていたという程度の関わりしか無く、また、空気を読まずいじめ関連の回想ばかりするので、災害についてもかなりおざなりになっている。寧ろ、女子高生を出したかっただけではなかろうか(*20)。 柘植編も西崎編ほどではないが短い。マップが広く、探索要素があるお陰で初見ではそれなりに掛かるものの、クリア手順を知っていると急がなくても1~2時間程度で終わってしまう。 一番長いのが最初の篠原編で、以降は佐伯編、柘植編、西崎編とシナリオを進めるにつれて短くなっていくため、尻すぼみな感覚が否めない。 第五話の速水編が佐伯編に次ぐ長さなのが救いだが、既に街の崩壊が進んでいるのと展開の都合もあって自由度は低く、サクサクと進んでしまう。 作中で明かされない謎や消化不良な箇所がある。 冤罪を着せられた佐伯を災害の中で追い続ける秋本刑事。彼は優子が犯人だと確信しているが、鉄砲水に流されようが土砂に飲まれようが執拗に優子を追い続け、逮捕どころか射殺までしようとするが、なぜ彼がそこまでして優子を逮捕もしくは殺害したかったのかは明かされないまま話が終わる。 一応、「今の刑法は生ぬるい」「この檻がなければ俺がこの手で」と発言するなど、優子と言うより犯罪者という存在に対して強い憎悪を抱いている事は早いうちに判明する。しかし、肝心の「なぜそのような考えを持つに至ったのか」という点は何ら明かされないまま退場してしまうので、強烈な行動の割にはキャラが浅い印象を受けてしまう。 このような言動のせいで警官に見つかってゲームオーバーになった際に、消息不明と表示されることに妙な説得力が生まれている。秋本刑事に消された(*21)のだろう。 様々な主人公にかかわったある人物が、終盤に瀕死の重傷を負った状態で現れるのだが、こちらも全ての真実は明かされずじまいで終わる。 その人物と別れた際、見覚えのある人物がその後を追うかのように歩いていく演出があるが、これに関しても思わせぶりなだけで何も語られない。 あるサブイベントで「命より書類が大事」と周りの制止を振り切って橋を渡った挙句、そのまま橋が崩れて行方不明になるモブの女性がいるのだが、この人物に関しては何の説明も無い。このイベントで何かアイテムが手に入る訳でもない。 この女性を追って橋を渡ろうとした場合、橋が崩壊して渡れなくなる上にこの後のエリアが面倒なことになるため、警告のようなイベントに近いか。少々思わせぶりが過ぎるが。 いじめっ子の筆頭である綾乃は、西崎の存在を否定するほど酷いいじめをしており、水害発生時には彼女をロッカーに閉じ込めたり避難所の体育館の扉に鍵を掛けるなど、西崎の命を脅かしかねない真似すら行なっている。 しかし、これに関してもそこまでする動機などは明かされず、後に体調を崩してあっさり西崎に今までのことを謝罪して助けを求める。 「いじめに大した理由なんか無い」「所詮は小物」ということかもしれないがこれも秋本刑事同様、過激な行動の割にキャラの浅さを感じざるを得ない。 しかも西崎が転落死するエンディングを迎えると、落ちていく西崎を眺めながら意味深な笑みを浮かべるという演出がある(*22)。 また、西崎編に登場する辺見先生も、普段はいい先生のように振舞って実は変態教師という強烈なキャラながら掘り下げ自体はほぼ無く、ポッと出の域を出ない。秋本刑事と同じく、鉄砲水に流されようが執拗に西崎を追い続けるがそこまで(ry 前作の主人公である須藤は足が不自由になっているのだが、その理由は語られない。 前作終盤で銃撃を受けているシーンはあるが、撃たれた部分は腕であって歩けなくなるような目には遭っていない。後に九条Pは「(足が不自由な理由は)別の機会で語る予定」と述べているのでやはり無関係の模様。 佐伯編でキーになり、エンディング直前で主人公に託されるディスク。そしてそれに関連するウイルスの感染者と思しき高校生や教師達などに関しても触れられることなく終わる。 黒幕に関しても、悪事は明らかになるのだがその後どうなったのかは一切語られない。 九条Pは「悪役がいつまでも生き残っていると後味の悪さを残すが、それも悪役の存在意義」という持論を語っており、次回作でも「去就が語られない殺人者」「他人を復讐に利用しながら咎めを受けないキャラ」が登場する。これもかなり人を選ぶスタンスである。 豊富なコスチュームが存在するが、キャラ毎の装備制限が結構ある。 キャラによって装備出来るものと出来ないものが決められているのである。性別毎の制限ならともかく、別に着用しても何ら不自然は無いような服が着られなかったりと、結構装備制限が厳しい。服装のカスタマイズの自由度は決して低くは無いが、高いとも言えない。 帽子、手袋、靴、バッグ辺りは制限が極めて緩い(*23)一方、肝心のトップス、ボトムス、上着はキャラ毎にせいぜい2~3種類が良い所である。 例えば各主人公の初期装備は本人以外はまず着る事ができないため、キャラ間の衣装を入れ替えるような楽しみは存在しない。高校の制服を西崎以外が着られない事に不満を持つプレイヤーも居たとか。 パートナーでも、藤宮が最初に着ているウェイトレス服は上下とも個別のアイテムとして存在し、道中で拾える。しかし装備可能なのは藤宮と本多だけであり、藤宮は初期装備、本多には別にウェイトレス服を着るイベントが存在するので、アイテムとして存在する意味は殆ど無い。 高校生の西崎が女子用ジャージを着られないなどの意味の分からない制限もある。 比嘉は一応パートナーに含まれるにもかかわらず、上述の通り同行するシーンがほぼ皆無のためか全装備が装備不可(*24)。ますますパートナーとしての立場を無くしている。 須藤編は衣装が1つも無く、ゴミ箱も無く、そもそも須藤操作中はメニュー画面から装備変更を選択することすらできない。比嘉と言い、前作キャラは着替えてはいけないのだろうか。 転倒したりしゃがんだりして顔が水中にある状態で一定時間が経過すると溺死する。というシステムがあるが、ほぼ死にシステムとなっている。 転倒すればすぐに起き上がるし、長時間水に潜っていなければいけないようなシチュエーションも特に無い。溺死までにもかなり時間的余裕があり、わざとやらない限り死ぬことはまず無い。 一方で水に顔を付けられる場所では例外無く機能しており、わざとやると災害発生前の平和なパーティ会場の噴水で溺死というシュールな事すらも可能。 後年の続編のように永遠に息を止めていられるよりかは、リアリティがあって良いかもしれないが…。 にもかかわらず、溺死時の死亡演出は(深い水に落ちた時とは別に)しっかり個別で作られている。「辺見先生に棒立ちで抱きつかれる」「致命傷を受けて倒れた後に悲鳴を上げる」など他の死亡演出は適当なものが幾つもあるのに何故かここは凝っている。ならば、もっと活かせば良かったのではないだろうか。 前作同様に同行者にもパラメーターが存在し、TP減少に伴って動きが鈍くなったり濡れ演出もあるし、アイテムを渡して回復させることもできるのだが、やはり同行者は不死身なので意味が無い。 前作ではアイテムを渡すことで好感度が変動し、エンディングにも影響したので全く意味が無い訳ではなかったのだが、今作ではそう言った要素は皆無。 篠原編なら同行者の藤宮の好感度に影響したり、TPで藤宮の反応も変わったり、特殊技能の「暖めあう」にも関係しているのだが、他のシナリオとなると本当に意味が無い。 食事を行う際にも「1人で全部食べる」「2人で食べる」「同行者に全部食べさせる」から選べるが、これも1人で食べる以外にメリットが無い。 直接は関係ないが、速水編で食事をすると同行者の成瀬が「女性」と表示される。当然速水は名前を知っているのだが、ミスだろうか? 速水編の「思い出す」もシナリオ進行に必須の項目以外は思い出そうが思い出すまいがストーリーに影響は無い。 自分の職業を「エアベッドの研究者」や「変質者」にすることもできるが、何の意味も無いので面白みは薄い。 そもそも特徴で触れた通り、手に入れた情報を繋ぎ合わせて推察しているのであって、厳密には思い出している訳ではない。 佐伯編のシナリオ終盤、あるアイテムを取るために梯子を昇降するのだが、その際に手錠の鎖が伸縮する。 ゲームの進行上、梯子が使えないのでは先に進めないので仕方無くはあるが、なんともシュールな光景である。無理に梯子を使う場面を入れなくても良かったのではないだろうか。 そのアイテムは敵対者に奪われないように隠されてあるものなのだが、そこは風雨に晒される場所でどう考えても隠し場所には相応しくない。 そもそもアイテム自体隠されてすらおらず野晒しで置かれている。もっと説得力のある場所に隠して梯子も使わなくていいようにするなど、他にやりようはありそうなものだが。 そもそも手錠を付けているのに着替えやバッグに袖を通したり、どんな相手にも気付かれずアイテムをスったりと、手錠に関してはかなり自由に動いている。ゲーム的な都合もあるとは言え、この開き直りぶりは「リアリティが無い」と気になる人もいるだろう。 ゲーム内でとあるアイテムを使った際に「このアイテムはもう必要ないようだ、このアイテムを捨てますか?」という『バイオハザード』を彷彿とさせる選択肢が表示される場面があるのだが、あるアイテムに限り、後々にそのアイテムを使用する機会がある。しかも複数回。 選択肢に従って捨ててしまうと一部のアイテムが入手出来なくなる。そこまで大きな要素ではないがかなり悪質なトラップである。前述の『バイオハザード』シリーズを経験しているプレイヤーなら尚更引っかかるであろう。 そのアイテムは使用ブロック数も多いので、後々必要であることが分かっていなければ空きスペース確保のためにまず手放してしまうはずである。 ゲーム中は出会ったキャラが人物リストに追加されていくのだが、そのキャラと最後に出会った主人公の視点での情報で更新されるため、一部のキャラは最終的に変な形で登録されてしまう。 特に西崎は最後の登場は速水編で遭遇した際なのだが、この時の主人公である速水にとって西崎は名前も知らない女子高生に過ぎないため、最終的にリスト上にて「西崎佳奈」ではなく「女子高生」という名称で確定されてしまう。 仮にも主人公の一人にこの扱いは酷いのではないだろうか…。確かに本筋のストーリーからすれば関わりの無いただの女子高生に過ぎない訳だが。 黒幕は当初は本名だが、黒幕であることが判明するとコードネームで確定される。その後に更新されるイベントを起こせば元に戻せるのだが、そのままということもある。何というか、シュール。 須藤に至ってはしっかり作中で名前が出ているにもかかわらず、何故か人物リスト上の名称は終始「ジャーナリスト」である。初代主人公になんという仕打ちだろうか…。もちろん、最終話で須藤を操作しても変わらない。 真冬の水害の中、寒さと戦いながら生き抜くコンセプトなのだが、作中のキャラの多くは防寒をしていない。一般人は季節相応の服装をしている一方、ストーリー上のキャラはスーツ姿などでほとんど防寒せず被災地を駆け回っている。 主人公達はそんな暇すらないほど急に災害に巻き込まれるので不自然さは無いのだが、余裕があったであろうキャラですら全く防寒着を着ないで行動している場合が多く、違和感がある。 特に速水編の同行者の成瀬沙耶はワンピースにカーディガンを羽織っただけという、どう考えても寒さに耐えられなさそうな服装をしており、災害が無かったとしてもこの時期に外を出歩く恰好ではない。足元もこれまた寒そうである(参照)。 着替え可能なキャラなので、衣装を渡せば防寒させられる。しかしそれまではこんな状態で丸一日速水を探して街を彷徨っていたらしく、実際に速水との合流後は体調を崩して一度倒れている。 成瀬は主人公達と違い、避難勧告に背いて自らの意志で街に留まっているキャラである。相応の準備をする余裕はあったと思われるが…。 一部演出の劣化 揺れた際にふんばらないと転倒するのは前作と同じだが、前作では走っている最中に転倒すると前に転がり、静止中だと尻餅をつくという感じに分けられていたのに対し、本作ではどんな場合でも「後ろに倒れる」で固定で少々不自然になった。 これは吹っ飛ばされた時やイベントも同様で、一部例外を除けば必ず仰向けに倒れるので状況によってはかなり不自然になる場合も(*25)。 前作ではストーリー進行に応じて主人公や同行者の服が破れたり包帯が巻かれる演出があったが、今作では濡れの演出がある程度で前作に比べると危機感が薄れた。服装が自由に変えられる関係上、仕方ない話ではあるが。 総評 前作の正当進化と言えるゲームであり、前作よりも大きく進化した要素が多い。 災害シミュレーターとしては水害という新しい災害をテーマとし、前作とはまた違うサバイバル体験や防災知識を得ることができる。 ゲームとしてもオムニバス形式のシナリオで多角的な物語を楽しむことができ、さらには豊富な収集要素やバカゲー的な選択肢によって、プレイする毎に違ったスタイルでプレイできる自由度の高さが魅力である。 しかし、頻発する処理落ちや一部主人公の妙に短いシナリオなど、詰めが甘い所も多く見受けられる。 また、開き直ったバカゲー要素がシリアスな雰囲気を壊すという見方が出来るの事実で、人を選ぶ部分も出て来た。 決して悪いゲームではないが、良作とも言い難いゲームである。 それでも次回作以降はボリュームが少ない、ネタに走り過ぎ、胸糞シナリオ、単純に出来が悪いと言った様々な問題を抱えているため 総合的に考えて本作がシリーズ最高傑作だというファンも少なくない。 余談 以下の動画は上記のいじめっ子のシーンの部分である。選んでいる選択肢はもちろん、他の選択肢も要注目。よくここまで用意できるものである。 + さようなら 綾乃さん 本作の公式サイトからは、妙に凝った作りの「富坂市公式サイト」に行くことができた(アーカイブ)。 当然ながら富坂市は架空の都市なのだが、このサイトは本当に富坂市が存在するかのような作り込みになっており、且つこの製作陣らしい小ネタも随所に仕込まれている。おしらせ欄でアイレムゲーの宣伝をする市があるか。 実在の企業であるコロンビア・スポーツウェアとコラボしており、作中に製品を模した大型バックパックが登場する。 大量の荷物を持ち運べる便利なアイテムだが、次回作ほど露骨な宣伝は入らない。説明書を読まなければ気付かないレベルである。 前作と同じく、説明書には「災害対策マニュアル」という、ゲーム本編とは特に関係のない情報が書かれている。 なお、前作のマニュアルは主に地震災害に対応していた内容だったが、今作のマニュアルは水害に対応したものとなっている。 本作に登場した不死身の刑事秋本は『パチパラ14 ~風と雲とスーパー海IN沖縄~』収録の『パチプロ風雲録6 ~情熱編~』にも登場している。 同作でも殺人容疑が掛けられたヒロインを逮捕するという役割で冤罪逮捕は相変わらずだが、本作の横暴ぶりが嘘のような誠実な刑事になっている。 本作を含む『絶体絶命都市』シリーズは、2011年3月に全作品が販売終了、廃盤となった。 しかし後に九条Pを始めとするアイレムのゲーム部門主要スタッフが設立した会社「グランゼーラ」が本シリーズの版権を取得。今後は既存タイトルの配信開始と、続編の復活に向けて活動すると発表され、2018年には新作が発売された。 現在では『3』までの過去作が全て配信で入手可能である。 本作は以降のシリーズ作との関連は薄めだが、本作に登場したキャラの一部は次回作以降に出演することもある。 柘植編パートナーの本多は『3』の本編に登場する唯一の『2』キャラである。また、柘植もマルチプレイのステージのみだが続投している。 本多は初代主人公であり先輩である須藤と共に『4』の後日談にも登場。相変わらずの強引な取材方法で同作主人公を振り回す(と言うか主人公が自分から振り回されに行く)。 メインヒロインの藤宮は『4』の後日談にさりげなく登場し、本作についてもほんの少しだが触れられている。 また、グランゼーラ開発の『巨影都市』には絶体絶命都市シリーズのキャラがゲスト出演しており、本作からは篠原、佐伯、青山、柘植、速水、秋本、辺見先生と、特に多く登場している。主人公が1人足りない?気の所為でしょ? いずれも原作をプレイ済みならニヤリとする登場の仕方であり、特に篠原はバイト中に怒られてしょんぼりする演出まで再現されている。 余談だが、『巨影都市』では着せ替え可能且つ、本作には無かった服の破損演出がある。しかし、着せ替えの自由度が高い本作で、しかもハードの性能的に同じものを求めるのは酷だろう。 藤宮春香(ジオフロ春香)が、『どきどきすいこでん』のパロディ版「はれ ときどきすいこでん」のエイプリルフール用アイレムサイト「EXIDNA」(架空のゲーム機)に登場。このゲーム機は新富薬局が作ったのだろうか、その名前からして...。 2006年のアイレムのエイプリルフールサイトで、佐伯聡が謎の生物の目撃者の1人であることは言うまでもない。本作に物語が始まる前に殺された聡はどうやって生き返ったのだろう…。 本作でもヘリコプターによる救助活動が描かれるが、第一話では主人公が乗るはずのヘリが墜落するシーンがある。二度も。 1機目は主人公含む避難民を迎えに来るが、着陸に失敗して即座に爆発炎上。2機目は着陸はするが主人公が来るや否や地面が陥没を始め、そのまま水に呑まれてしまう。 主人公の疫病神不運ぶりも然ることながら、その見事な落ちっぷりから「安心と信頼のカプコン製ヘリ(*26)で来てしまった」などとネタにされることも。 本作以外のシリーズ作品ではヘリコプターこそ何度も登場するが、墜落することは基本的に無く(*27)、こんなにあっさり落ちるのは本作の第一話のみである(本作もこれ以外は落ちない)。普段ならアイレム製ヘリは信頼できるはずなのだが…。ここだけカプコン製を使ったのか。 作中ではジオ君の着ぐるみはすぐ脱ぐ訳だが、仮に着たまま行動したらどうなるのか?というネタが当時のアイレム公式サイトの四コマで描かれていた(その1、その2、その3)。とりあえずゲームでの判断が賢明だったのは確かのようだ。 他にも篠原編、佐伯編(何故かこれだけ2つ)、柘植編、西崎編、速水編と一通りのパロネタもアーカイブされているので、本作プレイヤーは是非見て頂きたい。 前作は海外で『Disaster Report』及び『SOS The Final Escape』というタイトルで発売していたが、本作の海外版タイトルは『Raw Danger!』となっている。 舞台が海外に変更されて主人公達の髪の色なども変わっているのは前作と同じ。パッケージは前作では完全に欧米人に直された主人公とヒロインが描かれていたが、今作では欧米チックな絵柄は変わらないもののデザイン自体はオリジナルに忠実になっている。 パッケージの背景には洪水が描かれているが、周囲には黒と黄色の警告枠に(某ゲームではなく本来の意味の)バイオハザードの記号やドクロマークも描かれている。「Raw Danger」というタイトルと言い、水害よりも後半から出てくる殺人ウイルスの方が注目されていたようである。 『巨影都市』の早期予約特典には本作メイン主人公&ヒロインである篠原と藤宮の衣装(ウェイターとウェイトレスの制服)が収録されていた。 また、同じくグランゼーラ開発の『マンガ・カ・ケール』では本シリーズ関連の素材がDLCで配信されている。本作からは篠原&藤宮の衣装の他、ジオくん、ジオくんコンパスがチョイスされている。