約 355,724 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4704.html
涼宮ハルヒのOCG(ハルヒ×遊戯王5D`S OCG) 今回初投稿させていただく者です。よくわからないことが多くて、更新履歴をややこしくしてしまってすいません。これからもよろしくお願いします。 ・涼宮ハルヒのOCG① ・涼宮ハルヒのOCG② ・涼宮ハルヒのOCG③ ・涼宮ハルヒのOCG④
https://w.atwiki.jp/haruhi_best/pages/1.html
管理人の独断と偏見で涼宮ハルヒのSSの名作集を作ってみました。 掲載話数は決して多くありません。 独断と偏見ゆえにwikiっぽくなくしてあります。 メニュー 長編 短編
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1026.html
第六章 とりあえずあの未来人…これからは俺(悪)としておく、によると俺はあの二人を何とかせねばならんようだ。 長門なら朝倉と一対一なので大丈夫だろうが古泉はあのアホみたいな顔をした巨人約50匹と戦っている、一匹でも数人がかりなのにな、かわいそうなこった。 やはり俺とハルヒが最初に閉鎖空間に閉じ込められたときと同様、ほかの機関の超能力者は入って来れないようで一人で戦ってるように見える。 俺は走って病院の駐車場に走った、窓から見るに古泉は病院に近いところににいる神人から倒しているようだったので。比較的近くにいたのですぐに古泉の下まで来れた。 「古泉!大丈夫か?」例の赤玉姿なのでやつの状態はわからないので聞いてみた。 「大丈夫です、涼宮さんはのほうは大丈夫ですか?」古泉は非常につらそうに言った。 「ああ、いろいろありすぎたが多分大丈夫だ。半分はな。」手伝えることが無いのはわかっていたがとりあえず聞いてみた。 「半分?まあいいでしょう、あなたが大丈夫だと言うなら大丈夫です。実はほんのちょっと前にわかったんですが、涼宮さんの能力を消去できるツールがあるようです。いったいどこにあるのかはわかりませんが存在していることは確かのようです。できればそれを探してきていただけませんか?恐らく近くにあるはずです。 一応言っておきますが何故わかったのかと言うとわかってしまうのだから仕方がありません。」 そんなモンが近くにあるのか?タイミングがよすぎるだろう。だがここはしかたない。 「わかった、探してくる。それがあれはハルヒは普通の人間戻ってこの巨人どもも消えるんだな?それまで持ちこたえてくれよ」 俺は古泉がニコッと微笑んだように見えた。そして古泉は返事をしなかった。 とりあえずそのツールとやらを探そう、古泉によるとこの近くにあるんだよな、とりあえず情報が少なすぎる、長門なら何かわかるかもしれない。 とりあえず病院内で朝倉と交戦中の長門のところに行って聞いてみることにする、なに場所なら簡単だ、どっかんどっかん言っているところがそうに違いない。なぜ病院が崩れないのかが不思議だ。 朝倉の目的は恐らく俺なので攻撃してくるだろうが長門が何とかしてくれるだろう。全く長門には頼りっぱなしだ。俺は恐らく長門と朝倉が戦ってるであろう場所を目指し走った。 爆音地に着くとやはり朝倉と長門がいた、長居は無用なのですぐに用件だけ伝えた。 「長門!古泉によるとハルヒの能力を消すツールがこの辺にあるらしいんだがどこにあるのかわからないか?」 すると高速で朝倉のどっかの細目の警官のような突きを交わしながらなんと俺のほうを指差した。 何?俺?俺がそのツール?いやいやありえねーよ、そんなわけが無い。まさかそんな真実があったなんて、やっぱ俺の正体も何かしら隠されてたのかー…などと喜んでいいのか悲しんだらいいのかよくわからん状態になってたら長門が「その後ろ。」 やっぱり?でー俺の後ろ?俺の後ろには何も無いぞ?と思った瞬間さらに長門が心を読んでいるのか「もっと。」だと。 なるほどね、ヒントはもらった。 つまりはこの方角のずっと先にあるってことね。「サンキュー長門。」 そうして走り出そうとし後ろを向いたとき、長門がそっと言った。「sleepingbeauty…」 またこれか…今はそんなこと気にしてる場合じゃない。「サンキュー長門」と言いなおしとっとと外に出た。 そして俺が長門の指した方向を見て俺はおどろいた、なんと見覚えのある大豪邸だ、言うまでも無くあれは鶴屋邸だ。 そうするとそのツールとは恐らくあのオーパーツの事だろう、そういえば10cmくらいの棒って…そんなお菓子があったような…、 なるほど。だいぶ話が見えてきたな。などと考えつつ鶴屋邸を目指した。病院から鶴屋邸までは5分も走れば何とかなる。 5分たったころには俺は鶴屋邸に着いた。 とりあえずとっととオーパーツを探そうとしよう。ここも閉鎖空間の範囲内なので誰もいないので大丈夫なはずである。 泥棒のような感じで嫌なのだが世界がかかってると言うことになると話が変わってくる、俺は鶴屋邸に不法侵入…もとい家宅捜索を開始した。 手当たり次第に探すのも効率が悪いので金庫などを調べてみようと思う。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………あれ? 金庫ぶっ壊したり手当たりしだい金目のものを隠してあるような場所を探してみた が見つからない。 30分は探しているが見つからない。 どこにあるんだ、俺はある場所以外を懸命に探していた。 それは鶴屋さん本人の部屋である。 いくらなんでもそれは鶴屋さんに悪いと思ったからだ。 しかしなんとか世界を救うためと自分に言い訳をして彼女の部屋に入った。 そして俺は驚嘆した、なんと例のオーパーツがなんと彼女の学習机の上においてあったのだ、メモのようなものもあった。 「キョン君がんばってくるにょろよ。」 全く…この人には驚かされてばっかりだ。 わかってるのかわかってないのか、なにものなんだろうか。 ていうか何をがんばるのか、その辺を詳しく書いて欲しかったな。 さて長居は無用である、すぐに病院に戻って何とかしなければならない。 古泉を何とかしてやらないとな。 俺は必死に病院を目指し走った。 しかしこれはどうやって使えばいいんだろう、古泉は何も言ってなかった。 ハルヒに向かって振ればいいのか? 1つだけ心当たりがあるのだが…恐らくこれは無いので今は考えないでおこう。 あれこれ考えているうちに病院に着いた。 俺は古泉に一礼し病室へと急いだ。 長門もまだ戦っているようで爆発音が鳴り響いていた。 朝比奈さんは気絶したまま、未来人も腕組んで壁にもたれてて、ハルヒは朝比奈さん(大)と話ていた。 一応聞いてみる。 「ハルヒ、この金属棒でお前を何とか直せるかも知れん。やり方とかわかるか?」 当然ハルヒがわかるわけも無く、首を横に振った。 「おい、そこの未来人。これの使い方わかるか?ていうかわかるだろ。教えてくれ。」 未来人は顔色一つ変えずに「教えない、これは俺の規定事項だ。お前にとってもそうだろう?朝比奈みくる。」 「ええ、そうね。でもこれは私の抵抗、キョン君。あの時の…最初のヒントを思い出して頂戴。」 最初のヒント…白雪姫か。 「わかりました。」 俺は考えた、ここは閉鎖空間であり、長門はsleepingbeauty、朝比奈さんは白雪姫。 やっぱあれか。じゃあこの金属棒はどうするんだろう。今は考えてばかりいる場合ではないような気がする。 何かしらの行動を起こしてみるか。 じゃあやはり学校に言ってみるか。あの時のようにすればいいのかもしれない。 思い立ったが吉日だ。 「おい、ハルヒ。お前外に出る余裕あるか?学校に行ってみよう。何かわかるかもしれない。」 ハルヒは一瞬考えて首を立てに振った。いつも主役なのに空気過ぎないか?お前。 とりあえずハルヒと俺だけの二人だけで学校に向かうことにする。 第七章
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/18.html
ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2から そんなこんなで、出発当日。 ハルヒから電話をもらった俺は、パッケージング・バイ・ハルヒのトランクを、俺の部屋から玄関へと運び、その到着を待っていた。 ほぼ予定時刻に、すでに涼宮家を満載したライト・バン型タクシー(?)が、うちの家の前に到着した。 「いわゆる空港行きの乗り合いタクシーだ。予約している飛行機の便を連絡しとくと、タクシー会社が調整して、ドア・トゥ・ドアで送迎してくれる。今日は、おれたちだけみたいだが」 とハルヒの親父さんが、運転手に代わってそのシステムを説明してくれる。 「それじゃあ、行ってくるから」 と家族に、特に妹に、言い聞かせるように旅立ちの挨拶をする。 「ご迷惑かけないようにね。涼宮さん、お世話になります」 「こちらこそ。無理を言ってすみません」 「いえいえ、うちの馬鹿息子は、本当にハルヒちゃんにはお世話になりっぱなしですから」 といった親たちのエール交換は、当人たちには「どうでもいい」というレベルを遥かに超えて「今日のところは、どうかひとつ、そこまでにしておいてくれ」というべき方向へどんどん発展していってしまう。 俺がハルヒの方を見ると、ハルヒも俺の方を見ていて、目の中で首を縦に振っている。よし、それじゃあ、 「そろそろ行かないと」 と俺が口火を切り、ハルヒはそれに合わせて、親父さんの脇をかるく肘でつく。 「ごほん。そうだな。じゃあ行ってきます」 大きな音で咳払いし、大きな声で親父さんが宣言。皆がうなずいて、車がゆっくりと前で出た。 「あれ、妹ちゃん」 車は走り出したが、妹が走って追いかけてくる。 うう、兄ちゃん、そこまでのドラマはいらないぞ。いつもどおりの妹でさえいてくれれば、カバンにこっそり入ってさえなければ。 「あれ、妹ちゃんが手に持って振ってるの、パスポートじゃないの?」 「わはは。お約束だな。大方、トイレに行っている間、持っててくれ、と預けたままってところか?」 親父さん、図星です。 車は止まり、俺とハルヒが飛び降りる。 俺はパスポートを受け取り、ハルヒは妹の頭をなでる。 「キョン君、気をつけていってくるんだよ。ハルにゃん、キョン君をお願いね」 「うん、わかったわ。絶対、元気にして帰すからね」 いや、それはやり過ぎと言うか、胸を張り過ぎというか。それから妹よ、あまり殊勝なことを言うな。そういう時は「お土産、忘れないでね」くらいにしておいてくれ。でないと、最近ただでさえゆるい兄の涙腺が……。 「ほら、キョン。ちゃっちゃと行くわよ。飛行機は、遅刻したナショナル・チームだって待ってくれないんだから」 確かに、ここでこれ以上ドラマを掘り下げたら、また搭乗まで話が進まなくなるだろう。 別れを惜しみつつ、いざ行かん、天国にだって近いという、なんとかいう南の島。 「それと、あんたのパスポート貸しなさい」 素直にハルヒに渡すと、ハルヒかバックから出した布製のケースみたいなのに俺のパスポートを入れて、返してきた。 「ほら、パスポート・ケース。これで首から下げられるから、なくさなくて済むわ」 「ちなみにお手製だそうだ」 「親父、うっさい」 午前の道は、俺たちの前途を祝福するかのようにガラすきで、空港へは登場予定時効の3時間前に着いてしまった。 「余裕があるに越したことはない」 と親父さん。 「俺なんか離陸の30分前に、食パンをくわえて出国審査を受けたことがある」 「あんたは転校一日目から遅刻するヒロインか!?」 ハルヒのつっこみも、今日は長打こそないが、確実に芯で捉えている。ボール(?)が見えている証拠だ。 「ちょっとチェックインしてくる。キョン君、わるいがそこのカートに積んでトランクを運んで付いて来てくれ」 「はい」 ハルヒの母さんとハルヒと俺のトランクをカートについて、自分のトランクを転がしながら先を行く親父さんの後を追う。 カウンターでは、これも親父さん的にはきっと恒例なんだろう。ナイストゥミーチュー、スパシーボなどなど、怪しい多国籍人を装う話術でカウンターのお姉さんの目を白黒させながら、それでも当初の目的を果たしてしまう。なるほど、ハルヒ母+ハルヒが、遠くで他人の振りをしているのは、このせいか。と、親父さんに気付いたのか、カウンターの奥の責任者っぽい人がカウンターにやって来た。 「ベルさん、今日は出張じゃなくて家族サービスかい?」 「何度も言うが、俺は鈴宮じゃなくて涼宮だ」 「こっちの彼は、お初だね?」 「ここはどこの飲み屋だ? こいつは保安官補でキョン。ついでにいうと、俺の娘と恋仲だ。まあ、いずれは決闘だな」 「おいおい、ハルヒちゃんも、そんな歳か。少年、しっかりやれ。この親父は悪いやつじゃないが質は悪いぞ」 「ははは」笑うしかないよな、ここは。 「おい、有能な彼女が手続きができたって、言ってるぞ」 親父さんは、ややオーバーアクション気味に、責任者さんに不平をいう。 「オーライ。じゃ、トランクに貼ったこのシールの切れ端を持ってってくれ。あとでトランクを探すのに役に立つ。ボンボヤージュ(よき旅を)!」 「発音がなってないよな。ま、とりあえず、ハルヒたちと合流するか」 その必要はなかった。カウンターでの一部始終を、涼宮家の女性軍は遠目ながらもしっかり見ていて、絶妙のタイミングで自分たちの位置を知らせるように歩いてきた。というより、彼女たち自体が、遠目からでも見落としようがない存在感やら何かを周囲に発散しているのだ。 そんな訳で、俺の隣にいた親父さんは言った。 「おい、いいだろ。あそこにいるのは、おれの女房なんだ」 「ぐっ」 さ、さすがにその手は……使うのは、何だかいろいろ怖い。 「すまんな。たまには年長者に勝ちを譲るのもいいもんだろ?」 その気になったら全戦圧勝じゃないですか、と心の中で言う。へたれ、俺。 「旅はまだ始まったばかりだ。陽気にいこうぜ、キョン君」 「ちょっと親父! またキョンをいじめたでしょ!?」 ハルヒが、つかつかつか、と早足でやってくる。ロボットのように肩をすくめる親父さん。 「オー、マイ、ドウター。ワタシガ、イツ、ゴシュジンサマ ヲ ソンナ メ ニ」 「読みにくいだけから、出典が明示できない物真似はやめなさい」 「でも、ふざけてるのはわかるだろ?」 と、ひらりとかわす親父さん。 「いつ真面目なのかが、わかんないの!」 それをも狙い打つ娘ハルヒ。 「いつもこんな感じよ」 と日だまりのようなニコニコ笑顔を絶やさないハルヒ母。 「はあ」 とすでに慣れてきているが、それがよいことなのかどうか、未だに判断がつかない俺。 次は手荷物検査場はずだったが、 「ああ、キョン君、俺たちはこっちから行こう」 「向こうの列、すごく混んでましたね」 「手荷物検査場はどうしてもなあ。関西の空港も優先ゲートができて助かってる」 「親父、わがままなくせに、待ったり並ぶのが嫌いだからね」 「わがままだから、嫌いなんだ」 俺たちが向かっているのは、専用ゲート(専用保安検査場)というところのようだった。なんたら会員(ゴールド・メンバー?)になっておけば、ただでさえ混む手荷物検査場も専門の(つまり空いている)検査場で済ますことができるし、さっき預けたトランクも優先取り扱いされて、到着後あまり待たずに受け取れるのだとか。どうすればメンバーになれるかって?親父さんによれば、 「要はたくさん飛行機に乗りゃいい」 だそうだ。 「といっても、伊丹じゃ、もう何が優先やら、って感じで混んじまってるがな」 優先検査場というだけあって、手荷物検査はあっけなく済んでしまった。ありがちな時計やらキーケースなんかの出し忘れを、事前にハルヒのやつに注意されていたからではないこともない。 「出国検査場じゃ、こうはいかんぞ」 とニヤニヤして脅す親父さん。 「おどかすんじゃない。パスポートにハンコ押してもらうだけでしょ」 とつっこむハルヒ。ほんと、いつもこんな感じなんだろうな。 「ハンコ押すだけだが、国の外に出しちゃいかんやつもいるからな」 「このメンバーだと、親父よね」 「笑い事じゃないぞ。俺のツレなんか、家族旅行なのに、昔やった悪事がバレて大変だったんだぞ」 「だったら3人でバカンスを満喫するまでよ」 「だから、ツレの話だよ」 出国検査場もまた、なんということもなく、一人づつパスポートを見せ、ハンコを押してもらう。 ハルヒの親父さんのパスポートは、さすがにすごいハンコの数だ 「全部、仕事でだ」 と、やれやれ顔をつくって親父さんは言う。 「早く引退して、ひきこもりになりたいよ」 「親父がひきこもって何する気よ」 「庭でライオン飼って、夕方になったらドビュッシーを弾く」 「なにそれ?」 「映画だ、『007カジノ・ロワイヤル』の古い方。見たことないのか? あの希代のバカ映画を」 とりあえず、これで「出国OK」ということだな。形的には、一応これで外国に出た、ってことになるのか。 「向こうに専用ラウンジなんてものもあるが、おまえら、どうする? 搭乗までは、まだ結構時間はあるが」 「免税店とかあるんでしょ? ちょっと見て回るわ」 とハルヒはすでに、俺の手首を引っ掴んで、スタンバイの体勢。 「さっそく二人になりたい、とハルヒは思った」 オヤジさんは肩をすくめてみせる。 「へんな心理描写いれるな」 「じゃ、これからは茶々を入れてやる」 「よけい悪い! あんまりかわらないけど」 「検査が全部済んだと言っても浮かれるなよ。確率的には、今から搭乗するまでが、一番馬鹿みたいな失敗が多い」 「大丈夫よ」 ハルヒもおれも、パスポートとチケットは、ハルヒ謹製のパスポート・ケースに入れてある。 「時間厳守だぞ。時間が来たら、ナショナル・チームでも飛行機は待たんからな。で、おまえら時計持ってるのか?」 「あ」 「普段ケータイで時間を見てるような連中は、こういうはめに陥る。免税店で安いやつを見繕ってこい」 親父さんに一本とられたのが悔しいのか、ハルヒはアヒル口になって、無言で俺を引っ張っていく。 ハルヒの母さんはニコニコと俺たちを見送り、自分の鞄から布のブックカバーをつけた文庫本を出して読み始める。親父さんもそれに合わせてか、上着のポケットからペーパーバックを取り出す。 ハルヒは振り返らず、前だけを見てぐんぐん進む。俺は引かれていく。 「時計なんて、空港中いたるところにあるじゃない!」 「まあな」 「向こう着いたら、時間を忘れて遊ぶんだからね!」 「ああ、そうだな」 ハルヒはどこからかカードを取り出した。正確には取り出して構えた。 「腹立ちまぎれに無駄遣いしてやるわ」 「こらこら」 なんなんだ、その高級そうなクレジット・カードは? 「ブランド品なんかに興味はないけどね」 何故だか、恨みはないけどね、と聞こえるぞ。 「店ごと買うとか言うなよ。機内持ち込みできんぞ」 「わかってるわよ、そんなこと」 そりゃ、わかってるだろうけどな。 「ねえ、キョン。あんた、すごーく高い時計欲しくない?」 ほら、そうやって必ず不穏なことを思いつくんだ、おまえは。 「おまえはどうすんだ?」 「そんなの2つも買えないわよ。すごく高いんだから」 「全然高くないやつ、2つにしろよ」 「だーめ。もう決めたの」 「ヤクザかナンバーワン・ホストでなきゃ持てないような時計はいらんぞ」 「あほ。そんな時計、あんたに似合わないわよ」 じゃあ、「俺に似合う、すごーく高い時計」を探しているのか? それはすごーく嫌な予感がするぞ。 「はい、これ。安心しなさい。何十万も、何百万もするものじゃないから」 「あ、ああ」 「総称でパイロット・ウォッチって言ってね、文字通りパイロットがつける腕時計ね。元祖のブライトリング社のなら、満十万するけど。この文字盤の周囲についてるリングがあるでしょ。これが回るの。目盛りの刻み方が変なのに気付いた? これ回転計算尺になってるの」 「計算尺ってなんだ?」 「計算が、とくにかけ算と割り算だけれど、一瞬でできるものね。尺という位で、物差しタイプが一般的だけど、それを円形にまとめたものがこれ。パイロットは計器やコンピュータがみんな狂っても、残燃料と空港までの距離だとか、落下速度と地上までの距離とか、計算したいものが沢山あるでしょ、それも時間がらみで。だから時計に計算尺をつけたのは大正解ってわけ」 「ほう」 「わかってないわね。親父の腕時計、見た?」 「え?いや」 「まあ、あっちは元祖の本物だけどね。何万年に数秒しか狂わない電波ソーラー式時計の時代に、毎日10秒以上も狂う自動巻時計って何考えてんのかしらね。計算尺の使い方は、どうせ搭乗まで暇だからゆっくり教えてあげるけど、親父に聞けば、語りに語り続けるわ。旅行が終わっちゃうわね、多分」 わー、すげえ聞きたいが、今は聞きたくない感じ。 「だが、ひとつきりで、どうすんだよ」 「まだ、わかんないの?」 いや、わかってはいるが、今わかるわけにはいかない、というか。 「あんたがあたしの『時計係』になるに決まってるでしょ」 ラウンジの、ハルヒの親父さん&母さんのところに戻った。ハルヒが鼻息も荒く、俺の左手首を、とくに親父さんに、見せびらかすように高らかにあげる。俺は自由になる右手でこめかみを押さえる。オー、ジーザス。ああ、ほんとにすいません。 親父さんは「やれやれ」という意味のジェスチャー、ハルヒ母は読んでいた文庫本を口に当てて笑いがこらえられない様子だ。 「娘よ、やってくれたな」 「どう? ぐうの音も出ないでしょ?」 「負け惜しみで言うんじゃないが、キョンを日本に置いていったらな、どこかのバカの国際長電話代で、そんなもの5、6個は買えたぞ」 「と言ってる時点で、完全に負け惜しみね」 「ぐう」 しかたない、といった感じで本をしまったハルヒの母さんは、 「お父さん、いつ搭乗口に向かいます?」 「もう15分もすればアナウンスがあるだろうが、少し遅めに行こう」 「そんな、とろとろとしたことでいいの?」 腰に手をあてて胸を張り、暫定勝者ハルヒが親父さんを見下ろす。 「日本人は時間とアナウンスには従順だからな。合わせて動くと混雑を応援に行くようなもんだ。俺たちの席は前の方だから、少し遅れて乗り込む方が邪魔にならなくていい」 「あー、たいくつ、たいくつ!」 電車の長椅子に上って窓を見たいから靴を脱がせろと騒ぐ幼児のように、暴れ出すハルヒ。涼宮家ではこれにどういう風に対処するのか、後学のためにしばらく見ていよう。 「なんのために、キョンを連れてきたんだ」 って、親父さん、いきなり俺頼みですか? ハルヒの母さん、もう笑いスイッチ入ってますね? 「キョンはそんなんじゃなーい」 お、ハルヒ。あまり期待してないが、言ってやれ。 「キョンはね、キョンはね・・・」 それじゃ、古来の、針が溝をなぞっていた頃の壊れたレコードだ。 「・・・うー……と・に・か・く、キョンなのよ!」 「随分とテツガク的な惚気をありがとう」いや親父さん、今のは惚気では、ないと思います、よ。 「ハル、暇なら何か読む?」 「うん。母さん、何持ってきたの?」 「旅行には、やっぱり旅行記よね」 「って、えーと、クセノポン『アナバシス』? カエサル『ガリア戦記』? クラウゼヴィッツ『ナポレオン戦争従軍記』? って、全部、旅行記じゃなくて戦記でしょ!」 「あら、でもみんな遠征してるわよ」 「遠征は、旅っていえば旅だけども!」 「俺のを読むか?」 「期待しないけど、聞くだけは聞いてあげる。・・・Making a Good Script Greatって、何これ?」 「映画のシナリオをどう書き直すかのマニュアル本だな。ハリウッド映画だと、制作費が馬鹿でかくて映画が当たるか当たらないか不確定だから、映画自体に保険をかける。保険会社がキャスト表とシナリオを分析して、これだと当たりそうだから保険の掛け金は低くてこれくらいでいいや、このシナリオだとヒットしそうにないから掛け金を高くしよう、ってな具合にな。で、保険の掛け金を低く抑えたい映画会社やプロデューサーは、シナリオを『シナリオ・コンサルタント』のところに持っていくんだ。シナリオ・コンサルタントは元のシナリオの長所を生かしながら短所を修正していくんだな。どうやれば冒頭シーンで客を引きつけられるとか、どうやって泣かせるとか、いろいろ手練手管がある訳だ。これはそのシナリオ・コンサルタントの一人が書いたマニュアル本で・・・」 「そんな本読んで、どうしようっての?」 「あ、この映画はあの手をつかってやがる、ちがう、そこで例の手を使えばいいのに、といろいろ突っ込めて楽しいぞ」 「キョンは、あんな悪魔に魂売っちゃ駄目だからね」 俺はすこーし、その本を読むのもいいかもしれん、と思ったぞ。次作の超監督とかが。俺が読むと、俺が窮地に陥る気がしたので、口にはしないがな。好事魔多しとは、こういうことを言うんだろうか。 日本語と英語で、搭乗開始を知らせるアナウンスが流れた。 あちこちで腰を上げ、指定された搭乗ゲートの方へ流れていく人たち。親父さんと母さんは読書を続け、ハルヒと俺は、買ったばかりの腕時計の計算尺リングを回して、1.69×2.7といったかけ算をしているのだが、頭を付き合わせ、手を取り合って、何をしてるように見えるんだかね。 「人ごみが薄くなってきた」 親父さんがゆっくり腰を上げた。他の3人もそれに合わせて立ち上がる。 「ぼちぼち、ぶらぶら、まったり、行くか」 とにかく全く急がないで進もうという親父さんの提案に、他3人はそれぞれ違った風にうなずいた。多分、考えていることなんかも、それぞれに違っているんだろう。 搭乗口は、さっきまでゴッタ替えしていたようだった。自動改札みたいなのの側に係員のお姉さんが立っていて、そこでチケットを入れると、席の位置を示す半券みたいなのが出てくる。 親父さんはシナリオのリライト・マニュアルを読みながら、チケットをいれ、 「パスポートは?」と問いかけ 「あ、拝見します」という返事を待たずに、ポケットからパスポート入れを出して係員に渡している。あれもハルヒ謹製と見た。 「何をやるにも不真面目ね」 続いてハルヒがぷんぷん怒りながら通っていく。続いて俺。最後がハルヒの母さん。さすがに本はしまってある。 「思ったより、飛行機飛んでないわね」 大きなガラスの向こうの滑走路を見ながら、ハルヒの母さんが言う。 「国内便はみんな伊丹にいっちまった。午前10時から午後4時まで、ここから成田へ行く飛行機は一機もないそうだ」 という親父さんの答えに、 「そうなの」とハルヒの母さんはつぶやいてチケットをしまった。 すでに搭乗予定のほとんどの人が乗り込んでおり、飛行機の中に入ると中にはぎっしり人が詰まっていた。 親父さんが言ってたとおり、俺たちの席は、入り口からたいして離れていないところにあった。 ハルヒに窓側を譲ろうとしたが、「キョン、あんた始めてなんだから、あんたが窓際行きなさい」と頑として聞かない。 ようやく俺の頭に、いつぞやの古泉の言葉が浮かんだ。 「わかった。じゃあ窓際に座らせてもらうぞ」 「どうぞ」 3人がけの席で、ハルヒは俺の隣に座る、その向こうが通路側になりハルヒの母さん。親父さんは通路を挟んで、さらにその向こうに座る。 機長の自己紹介やら、救命設備の説明アナウンスやらが流れて、スチュワーデスさんが踊っているように装着の実演をやっていた。 「最近はビデオ流して済ますのが多いがな。マイナーな路線ほど、今のダンスが見れる」 2つ席の向こうから、親父さんが解説してくれる。 こうしてしっかり席についてから、離陸のために飛行機が滑走路を走り出すまでの時間がけっこう長い。これだけでかい空港でも、滑走路の数は少なくて、待ち時間なんかがあるためだそうだ。 全然別の経験なんだが、予防注射って奴は、注射のちくりという痛みよりも、注射されるまで並んで待っているのが案外つらいんだよな。 気がつくと、ハルヒの母さんの、ニコニコという音がほんとにしそうな笑顔からも、親父さんの何故か声はしないが「ゲラゲラ」というのが伝わってきそうな笑いからも、どこか生暖かい視線にも似たものが飛んで来ていた。 なるほど。そういえば、いつも騒がしいとなりの奴が、席に着いた途端に、借りてきた猫のようじゃないか。 「なあ、ハルヒ。ひょっとしておまえ、飛行機こわいのか?」 「ば、ばかじゃないの? 怖いわけがないじゃない!」 「鉄の塊が飛ぶのは、おかしいとか、信じられないとか、その手の類か?」 「こ、こんなもんはね、目つぶって寝てたら、いつのまにか現地に到着してるものなの!」 「それだと機内食も食えないだろ。ほら、手、貸せ」 「は?なに?」 「手だ。握っといてやる」 「あんた、ばかじゃないの。……親もいるってのに」 「かまわん。俺は気にせんぞ」 「あんたが気にしなくても、あたしが気にするわよ……その、ちょっとは」 「じゃあ、そっちの目はつぶってろ」 「意味わかんない。……わかったわよ、握ればいいんでしょ、握れば」いかにも渋々といった感じで、俺の手を取りに来る。 「……離したら、承知しないからね」 「母さん、ピンチだ。たすけてくれ。自分の娘と婿に萌え死にそうだ」 「まだ婿じゃありませんよ」 「『恋愛が与えることができる最大の幸福は愛する女性の手を握ることである』(スタンダール)」 「何か言いました?」 「いいなあ、って言ったんだ」 「飛行機に乗るなんて、いつものことじゃありませんか」 「忘れられんフライトになりそうだ」 その4へつづく
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4079.html
ハルヒの2回目の世界改変、それは全ての終わりを意味していた。でもまぁ俺にとっちゃあどうって事も無いんだが。 宇宙人、未来人、超能力者。ハルヒが願い、集めた奴等。 ある日、俺は団活をして普通に帰った。別に、普通に古泉とチェスをしただけだがな。帰り道俺はふと思い出した。長門がカミングアウトした次の日に、朝倉が俺を殺そうとしたこと、それを長門が命を懸けて阻止してくれたこと。俺は長門に頼り過ぎている。分かりきった事なのだがほとんどの事件を長門の力が解決しているような気がする。そんなことを考えている内に後数十メートルで家に着く距離まで来ていた。 俺の目は信じられない物を見た。目の前の少し離れたところに“朝倉”が居た。今まで気付かないのがおかしい。 「あっ!」 俺は声を出してしまった。だが、こちらに気が着いていない様だ。このまま立っていれば見つけられ、何かのアクションを起こすだろう。逃げなければ。すぐさま反対方向へと駆け出し、回り道をして家に帰った。不思議な事に、家に着くまで朝倉は追って来なかったし、おかしな事にもなっていない。 「明日長門に聞いてみよう。って何も反省できてないじゃないか、俺!」 いつあいつが来るのか脅えながらも俺は数時間を過ごした。寝る前に気付いたのだが、あいつは俺の記憶が読めているのだろか。長門によれば数十メートル程の近い距離ならば有機生命体の記憶をいつも感じ取れるって言ってたが、それならば俺が朝倉に気付く前にあいつは何かする筈だが、何も無かった。何なんだ。俺に興味が無くなったのならそれで良いが、宇宙人、いやTFEI端末というべきか、まぁそのTFEI端末についての記憶があるのならすぐさま記憶操作をする筈・・・考えれば考えるほど矛盾してくる。もう考えるのをやめよう。明日にゃあ明日の風が吹く~ってな。
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/52.html
二学期がもうすぐ終業式を迎えるある日の午後。 コンビニに行くと言って席を立った古泉は、扉の前でいつもの微笑をたたえ、SOS団アジトを振り返った。 「何か用がございましたらどうぞ」 「古泉くん、あたし雪見だいふくお願いね!」 早速ハルヒが勢い良く挙手して言った。 お前には遠慮と言うものが…ま、古泉だしいっか。 「古泉、ジャンプ頼む。料金後払いでな」 「あのー、古泉くん、ハンドクリームを…あればでいいです。 よろしくお願いします」 朝比奈さんが律義に古泉に頭を下げるのを見つめていると、長門がいつの間にやら古泉の真横に移動していた。 「私も、行く」 ん?古泉に頼んだらどうだ?そのために奴も皆の注文を聞いているんだろうし。 俺がそう思っていると、ハルヒも同じように思ったんだろうな、 「有希、古泉くんに頼んだら? 遠慮してるんだったら大丈夫よ、古泉くんは私が見込んだSOS団の副団長だもん。 断るなんてキョンみたいなケチ臭いことしないわよ!」 市内探索の度に全員分の昼食代やら茶代やらを払っている俺のどこがケチ臭いと言うんだハルヒさんよ。 「いいの?」 古泉、今すぐ俺と代われ。 長門にそうやって上目使いに尋ねられるんならパシリくらい安いもんだ。 「勿論です。どうぞご遠慮なく」 コートを手に取った古泉が長門に爽やかスマイルで促すと、長門は 「昼、少ない日用。羽付き」 とだけ呟いた。 「ゆーきぃー!!!」 長門の一言で外の気温よりも冷たくなった空気の中、真っ先に動いたのはハルヒだった。 「な、長門さん!」 少し出遅れた朝比奈さんも、ハルヒと同じく長門に駆け寄った。 ふたりして長門を抱き寄せ、顔に掛かるふたり分の胸の圧力に身動きできずにいる、なんとも羨ましい状態の長門を古泉から引き離す。 その古泉はと言うと、あまりのことに爽やかスマイルのままその場に固まり、このクソ寒いのに汗を一筋流すなどと高度な技をやってのけていた。 ハルヒと朝比奈さんは俺と古泉から最も離れた場所、つまりハルヒの団長机まで長門を連行して、そこでやっと長門を解放した。 「ゆゆゆ、有希、あなた学校でなったの?」 「なった」 「どうして私に言わないの!? みくるちゃんでも良いわ、とりあえずそーゆー時は知っている人に持ち合わせがあるかどうか聞くもんなのよ!」 ハルヒの物凄い剣幕に、長門はそうなの?とでも言うように首を傾げ、朝比奈さんはハルヒの言うことにこくこくと頷いていた。 「でも、聞くと言っても、そういうのは男の人に聞いちゃだめです」 そこでハルヒ達は全員が全員、俺と古泉の方を見た。 ハルヒは睨み付け、朝比奈さんまでもが咎めるように。 長門はただ見つめただけだったが、なんだなんだ、ハルヒと朝比奈さんのその目は。 俺も古泉も誰にも何もしてないぞ。 何故か冷や汗が垂れてきた。 「それに、古泉くんと有希が一緒にコンビニ行って、よ。 有希がそれ持ってレジに並んだら、古泉くんがなんてリアクションしたら良いか解らなくて困るでしょ!」 「べ、別に何もリアクションなんてしませんが…」 うん、こればっかりは俺も古泉がハルヒに反論するのも無理ないと思うぞ。 俺だって見て見ぬフリをするさ。 「解ってくれましたか?長門さん」 朝比奈さんがまるで姉のように長門に問い掛け、長門がこくっと頷いた。いいね、和む。 「って、悠長にしてる場合じゃないわ!」 ハルヒは自分の鞄に手を突っ込んで小さいポーチを取り出すと、長門の手を掴んで扉までずかずか歩いて行った。 古泉が扉の前から退くと、何故かハルヒは奴を一瞥してから勢い良く扉を開けて部室から出て行った。朝比奈さんもそれに続く。 そりゃな、あんな会話をした後に男共とひとりで残るのは気が引けるだろうよ。 ぱたん、と扉が閉められる音を聞いてから、盛大な溜息をついて俺は机に突っ伏っした。 はー、やれやれ、一気に疲れた。 古泉が壁にもたれ掛かって、そのままずるずると床にへたり込む。 こりゃいつものオーバーリアクションじゃなくて素っぽいな。当然か。 「それにしても、驚きました」 「ああ、宇宙人の長門にもそーゆー…」 「近頃のコンビニって何でも置いてあるんですね」 そっちかよ。今時パンツだって売られてるぞ。 いや、そうやってツッコむ気力さえ今の俺にはもう無いさ。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5155.html
ハルヒ×SILENT HILL×F.E.A.R.×many other ※クロスオーバー、グロ、ホラー、オリキャラに該当します。 ※前作「涼宮ハルヒの静寂」との関連はありません。 注意 F.E.A.R.について 海外製FPSのタイトルです。 TRPGとは一切関係ありませんのでご了承ください。 畏怖・涼宮ハルヒの静寂 (二訂版) 第1周期 第2周期 第3周期 第4周期 第5周期 第6周期 周期数不明 畏怖・涼宮ハルヒの静寂2 phoeniXXX 第1周期 第2周期 第3周期 第4周期 周期数不明 Brack Jenosider DistorteD-Answers_畏怖・涼宮ハルヒの静寂0 第1周期 第2周期 アーカイブ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1834.html
涼宮ハルヒと藤岡ハルヒを同じ部屋に閉じ込めてみた(前編) 涼宮ハルヒと藤岡ハルヒを同じ部屋に閉じ込めてみた(後編)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2337.html
今日も部室とうへと足を運ぶ。 ここに足を運ぶことが日課になってしまった自分がちょっと忌々しい。 「うひゃあ…あ…や、やめてくださぁ~い……」 「みくるちゃん!はやく着替えるのよ!!!」 あの馬鹿…またやってやがる 今日という今日は止めなくては。 バタンッ 「ハルヒ!またやってるのか!いい加減にしろ!!!朝比奈さんが嫌がってるだろう!」 「み…見ないでくださ~い…」 「何よキョン!あんたは雑用係なんだから団長に反抗する権利はないわよ!!!」 朝比奈さんすいません、バシっと言わせてください。 このままではあなたはずっとハルヒの言うとおりにさせられますよ。 「何言ってるんだ!団長なら少しは団員の気持ちも考えろ!朝比奈さんがかわいそうだろ!!!」 「うるさいわよ!団長の言うことはちゃんと聞くのが団員なの!!!団長への反抗は許されないわ!!!」 「朝比奈さんの気持ちも少しは考えろって言ってるんだ!!!仮にも上級生だぞ!朝比奈さんはお前のおもちゃじゃない!!!」 「何言ってるのよ!!!みくるちゃんは私のおもちゃよ!!!」 このとき生まれて初めて、「頭に血がのぼる」というのがわかった気がする。 目の前が真っ赤になった。 このクソ女、何が団長だ、ふざけんな。 「このやろ……!!!」 俺の手を誰かがきつく握ってやがる。 誰だよこの野郎。手を離せ馬鹿。この女は殴られなきゃわかんねんだよ。 振り返ると、そこには俺の握った拳を押さえている古泉がいた。 俺は無意識のうちにハルヒを殴ろうとしていた。 「少し落ち着いてください。あなたらしくないですよ。」 ハルヒは少し驚いたような表情で俺を見ていた。 朝比奈さんは半泣きしながらも、今のこの状況に驚きを隠しきれない。 「ちょっときてください。」 古泉は少し強い力で俺の腕を引っ張って部室とうから出て行った。 「今の行動はあなたらしくないですよ。一体どうしたのですか。」 俺もやっと少しずつ冷静になってきた。 「もしもあの時あなたが涼宮さんを殴っていたら、SOS団は崩壊していましたよ。そしたら涼宮さんも機嫌が不安定になる。そうするとまたあの例の閉鎖空間を生み出してしまうというわけです。少し冷静に考えてください。」 「すまなかった…反省するよ…」 「また涼宮さんと仲を取り戻してくださいよ。あの空間の拡大を抑えるためにも。」 「ああ…わかったよ…」 バタン ドアが激しく開いた。 「今日はもう帰るわ!!!」 そのままハルヒはズカズカと帰っていった。 朝比奈さんは元の制服姿に戻っていた。 次の日 俺が教室へ入ると、ハルヒは俺と目を合わせようとしないでずっと窓の外を見ていた。 俺もなんとなく顔を合わせにくい。 俺はそのままハルヒの前の席に座った。 無言 とにかく気まずかった。 授業が始まっても、俺もハルヒも話をすることはなかった。 いつもならたえず後ろからペンでつつかれて、今日の部活は何をしようかとかをハルヒのほうから話かけてくるのだが、ハルヒはずっと窓の外を見たまま目を合わせようとしない。 そんな気まずい雰囲気の中、とうとう4時限目が終わり、昼休みとなった。 そこで俺は勇気をふりしぼり、学食へ行こうとするハルヒに話しかけた。 「ハ……ハルヒ」 「な、なによ」 ハルヒは少し慌てたような表情を見せた。俺と目を合わせようとしない。 そんなハルヒを見ていると、俺も少し顔が熱くなってくる。 「そ…その…なんだ…き…昨日は悪かった。謝る。ゴメン」 「わ…私のほうも少しやりすぎちゃったわ。あんたの言ってることは正しかったわよ。ごめんなさい。」 ハルヒに謝られたのは初めてだ。 そんな少し申しわけなさそうなハルヒの表情はけっこう可愛かった。 「その…俺、今日弁当持ってきてないんだ。今から学食行くんだったら、一緒に食べないか?」 「うん!そうしましょう!」 最高の100万ワットくらいありそうな笑顔だった。 考えてみると、もしあそこで古泉が止めてくれなかったら、ということを想像するとゾッとする。 今回は古泉にも感謝しないとな。ありがとよ、古泉。 END
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/584.html
「なあ古泉、ハルヒの力は過去にも影響するのか?」 「ええ、多分。洞窟で涼宮さんがやっぱり気のせいだと思っていたのなら、あの島には多分、今は誰もいないはずです」 それを聞いて少し安心だ。 ハルヒも、あの島に本当に殺人鬼がひそんでいることは望んでいないだろう。 と思っていると、先ほどまで女4人で話していたハルヒがこちらに近づいてきた。 「古泉君、そろそろお弁当買ってきてちょうだい」 「かしこまりました」 ハルヒにそう言われ、古泉は売店まで行く。 まあ、これぐらいの罰で許してもらえてよかったじゃないか。 どうせ、その金は機関とやらからだろ。 で、ハルヒはというとてっきりそれを言ったら女性陣のもとへ戻るのかと思ったが、先ほどの古泉の位置で、突っ立っている。 柵にもたれかかり、海の流れを見ているようだ。 そして俺は、そのハルヒの横顔を見て、迂闊にもキレイだと思ってしまった。 「なんだかんだ言っても、楽しかったわね」 ハルヒが呟く。 「ああ。俺としちゃあ、もうちょっと島らしい遊びをしたかったが」 「まあ、少しは泳げたからいいじゃない。今度プールにでも行きましょうよ」 「そうだな」 海からの風がハルヒの髪をなびかす。 さっきの『迂闊にも』はなしにしてくれ。 「新川さんもいい人そうじゃない。ただ、あいつと名前が同じなんてかわいそうなんだけど」 多分、同じクラスの荒川のことを言ってるのだろう。 だが、俺はあいつのことよく知らないからな。分からん。 「あそこまで最悪な男はいないわね。仮入部のときにあたしの腰蹴ってきたのよ!」 確か・・・あいつは空手部だったか? だが、蹴ったのもお前がその前に何かやらかしたんじゃないのか? 「そんなことないわよ。あの時ね・・・」 それから、ハルヒはその時の様子を語った。 確かに、思ってたよりはハルヒは悪くなさそうだ。 殴ろうとしたのはどうかと思うが、それもふせいだんだから、それだけでいいだろ。 その後、別に蹴らなくても。 「全く、女のあたしにそんなことしていいと思ってんの!」 いや、それ以前にお前が男をジャガイモ程度にしか思ってないだろ。 「あいつは中学の時から・・・」 それからもハルヒの話は続く。 ああ、あいつも中学は谷口やハルヒと同じ東中か。 そういえば、俺が最初にハルヒに話しかけたときに笑ってたような・・・ 「あんなヤツと比べたら、谷口がマシな人間に思えてくるわ」 そこまで荒川はひどいのか! 「まあ、漢字が違ってるだけよかったわ。字のとおり荒川は荒れてるって感じ」 そうかもしれんが、新川さんが新しいとは思えないな。 ところで、いつ漢字まで教えてもらったんだ? 「後、同じ中学出身の、鈴木」 鈴木?一番最初の座席で俺の前に座ってた人か。 「仮入部したときに、一緒に試合することになったのよ。部長さんが同じクラスだからって変な気をつかって一緒のチームになって」 お前は、鈴木のことも嫌ってるのか? 「別に嫌ってはいないけどね。ただ役立たずなのよ」 鈴木も、まだ入ったばかりだから弱いのはしかたないだろ。 「違うわよ。あいつ中学のときもバレー部だったの。本当にちゃんと行ってたのかしら?」 あいつはバレー部か。 「球技大会がバレーボール部になったら、ちょっと心配ね。まあ、あたしがいるから大丈夫だけど」 すごい自信だな。 「他にも、日向とか・・・同じ中学出身のやつはなんかね。高遠はまあ、マシかもしれないけど」 そういや、前に谷口が言ってたかな? うちのクラスの東中出身は・・・10人ぐらいだって。 たった30人のクラスで、4校からのうちの1校だけが10人って多いな。 まあ、東中は4校の中でも北校から近いほうの中学だし、 俺の中学は校区の関係上、市立に行ったヤツが多いからな。 そこまで言うほど多くはないのかもしれん。 と、柵にもたれかかって海のほうを見ながら、俺はそんなことを考えていた。 少し、横目でハルヒのほうを見てみる。 ハルヒもこっちのほうを見ているようだ。 「何見てんだ?」 「えっ!えっと、あんたの・・・情けない顔よ」 「はぁ?」 「あんたもね、古泉君くらいのサプライズをあたしに提供しなさい。内容によっては、副々団長の承認も考えてあげなくもないわよ」 いらねーよ。そんな階級。 「そうね、あんたには雑用がぴったりだわ」 それもそれでむかつくけどな。 「あっ!古泉君が帰ってきたわ!お昼にしましょ!」 そう言って笑顔になって、ハルヒは他のメンバーのもとへ駆け寄った。 やれやれ。 ところで、さっきのハルヒの目線は俺の顔よりも首のほうを見ていたような気がするんだが、本当にどこ見てたんだろうな?