約 24,038 件
https://w.atwiki.jp/pikapika1/pages/17.html
掲示板 なんでもどうぞ。 荒らしなどの迷惑行為は勘弁。 テスト -- (火焔) 2008-02-03 17 26 09 レステスト(? -- (火焔) 2008-02-03 17 26 26 来ちゃったよ☆ 赤い夕日ってなんか『三丁目の夕日』っぽいね。 おーるうぇいず。映画とかしらねー… 面白い別館だね☆ 漫画とか楽しみデス ばいちゃ☆ -- (朝日) 2008-02-09 15 03 21 さんくす^^ またきてくれたまえ。 -- (火焔) 2008-02-10 11 44 51 キタよん。 HP作るのむづかしん。 -- (裂罅) 2008-02-22 14 59 40 いらっしゃい^^ HPホントに自分で作るの? がんばってねい・・・?? -- (火焔) 2008-02-23 17 53 43 hp作ったよ。 きてねん。↓ http //happytown.orahoo.com/tubasa123/ -- (裂罅) 2008-02-28 16 16 54 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/pikapika1/
とp絵 welcome!? ここは本館の裏版みたいな感じの所です(は ………って言うか趣味で個人で楽しんでる場所ですね; でもでも、本館には何も関係ない所ですので! ここには火焔(かえん)の イラストが置いてあったりします。 文とかもかいてあるかもね;;; 小説とかあるかもね?! 見ない方が身のためです!・・・真面目に。 メニュー説明 トップページ…ここです。 オリジナル漫画…私の考えた自作漫画。 2ch漫画…にちゃんねるの漫画。 イラスト…私の描いた絵。 ぼっつんpq^∀^)…小説(?)。後に漫画にするかも。 リンク…他のサイトへ飛びます。相互受付中!
https://w.atwiki.jp/pikapika1/pages/3.html
更新履歴 取得中です。
https://w.atwiki.jp/pikapika1/pages/23.html
とp絵用 -- 火焔 (2008-02-23 19 01 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tokyograil/pages/143.html
真壁一騎&アーチャー ◆arYKZxlFnw 東京は騒がしい街だ。 寝ても覚めても見渡す限り、人と光で埋め尽くされている。 生まれてこの方19年、ずっと島暮らしをしてきた人間にとっては、息が詰まるような場所だった。 「本物の東京も、こうだったのかな」 今となっては知る由もないが、失われた日本の本土とは、こういうものだったのだろうかと。 アパートの窓から街並みを見下ろし、真壁一騎は独りごちた。 「一騎は、この街が嫌いなの?」 「思ってたよりも、居心地はよくないな……なんというか、ざわざわする感じだ」 言葉にしにくい感覚を、手探りで手繰るかのように。 痕の残る左手を、握ったり開いたりしながら、一騎は問いかけに答える。 問いを発した同席者は、黒いフードをかぶった小柄な少女だ。 老人のような白髪と、闇に溶け込むような褐色肌が、どこかぼんやりとした印象を与えていた。 「それに聖杯のことを考えると、な」 「じゃあ、一騎は聖杯が嫌いなんだ」 真に受け入れがたいのは街よりも、街を作り出した存在なのか、と。 少女の問いかけに対して、一騎は沈黙で肯定する。 聖杯がいかな存在であるのか――直接会ったことのない一騎にとっては、それは想像するしかない。 それでも、人々を結界に閉じ込め、殺し合いを強いる行いは、彼にとっては間違いなく悪だ。 「俺は今まで、たくさんの死を見てきた」 まだ高校生にもなっていない、幼かった友の死を。 生まれてくる子供に会うことも叶わず、戦場に散っていった男の最期を。 「だから、身勝手に命を弄ぶ奴を、俺はどうしても好きになれない」 それらの無念と後悔の記憶が、一騎に嫌悪を抱かせる。 彼らが求め続けた明日を、叶わず届かなかった未来を、嘲笑い奪い去るものを、悪しき存在だと断定させる。 語る一騎の手に力が籠もり、ぎゅっと握り拳を作った。 「それでも、一騎はここにいる」 聖杯の性質を嫌いながらも、聖杯戦争の場に招かれている。 その時は知らなかったとはいえ、聖杯の持つ願望器の力に、少なからず惹かれていると。 「聖杯の持っている力を、一騎はどこかで欲しがってる」 「……多分、そうなのかもな」 遠慮のない少女の指摘に対し、一騎は、苦笑気味に答えた。 「他人を傷つけたくはない……そうまでして生き残りたいとは思えない。俺はそう思ってるつもりだった。 だけど多分、それだけじゃないんだ……理屈じゃない根っこの部分では、それでも生きたいって思ってるんだ」 真壁一騎の肉体は、限界まで酷使されていた。 侵略者フェストゥムと戦い、同化現象に蝕まれ、身も心もボロボロにすり減っていた。 表面的な症状こそなくなったが、蓄積されたダメージは、決してごまかせるものではない。 齢19歳にして、既に真壁一騎という青年は、残り3年の命だと告げられているのだ。 「やっぱり、言えないよな。生きたくないなんてことは」 それが恐ろしくないなんて嘘だ。 あれほど目の当たりにしてきた死を、達観し完全に受け入れるなど、到底できることではなかったのだ。 だからこそ一騎は、心のどこかで、紅い月に期待した。 願いを叶える万能の器を、心の根本の部分で欲し、あの赤を瞳に映したのだ。 たとえ願いの代償に、その赤で手を染めることを求める、呪われた星だったとしても。 「分かるよ」 と、少女は言った。 意外にも黒ずくめの少女が口にしたのは、素直な肯定の言葉だった。 これまでの様子が様子だっただけに、一騎は驚きの色を込め、瞳を少し丸くする。 「どれだけ痛くても、苦しくても……それでも生きたいって気持ちはなくならないし、それに嘘はつけないんだ」 私は痛み以上の喜びを、生きていく中で知ったから、と。 そう話す少女の語り口調は、相変わらず静かなものだった。 それでもどこか、その言葉には、今までのそれにはなかった温度が、微かに感じられる気がした。 であれば、それは本音なのだ。 隠しも偽りもできない、この少女の本心からの言葉なのだ。 それを聞いて、一騎は初めて、この少女のことを理解できた気がした。 「……俺、君のことを誤解してた。君もここにいたいんだな」 静かで儚げな様子は、無関心の表れだと思っていた。 かつての自分がそうだったように、ここにいることに執着がなく、むしろ消えてしまいたいのだろうと思っていた。 それでも、違った。彼女もそこにいたがったのだ。 生きることを肯定し、精一杯に生きたいと願い、最期まで生き抜いた命だったのだ。 それを知って安心して、一騎は穏やかな笑顔を浮かべた。 「私も一騎と一緒だよ。生きていたいと思ったし……生きてほしいと思う人も、いる」 「だったら俺達は仲間だ。俺がこれからどうするにしても、君の手を借りなきゃならない時は、きっと来るんだと思う」 無茶の利かない身の上だから、自分独りではできないことが、山ほどあることは理解していると。 そして仲間が君であるなら、迷いも躊躇いも感じることなく、命を預けることができると。 「だから、その時は頼むな、アーチャー」 真紅の紋章が刻まれた、左手の甲を返しながら。 頼りにさせてもらうから、と、一騎は少女へと言った。 まるで友人にかけるような、気さくで、信頼に満ちた言葉だった。 「うん」 弓兵の名で呼ばれた少女は、一騎に対して短く返す。 アーチャーのサーヴァント――名を、ストレングス。 遠き夢の地を追われ、人界の地獄へと堕とされながら。 傷を負って世界を知っても、それでも生きたいと願った少女。 大切な友と半身を、命に代えても救いたいと願い、懸命に手を伸ばした少女。 彼女は死と転生の果てに、再び人の世へ降り立ち、戦うことを決意する。 新たに巡り会った仲間の命を、その手でもう一度繋ぐために。 【マスター】真壁一騎 【出典】蒼穹のファフナーEXODUS 【性別】男性 【マスターとしての願い】 一日でも長く生きたい 【weapon】 なし 【能力・技能】 家事 男所帯で家事を一手に引き受けているため、高いスキルを有している。 特に料理の腕は一級品で、手製の「一騎カレー」は島の名物になっている。 身体能力 本来は天才症候群の影響もあり、オリンピックの金メダルを総なめにできると言われるほどの素質を持っていた。 しかし体力が衰えた今では、その身体能力は失われている。 【人物背景】 宇宙から飛来したシリコン生命体・フェストゥムから、人類種を存続するために作られた人工島・竜宮城。 その唯一の喫茶店である「楽園」で、調理師のアルバイトをしている、19歳の青年である。 かつては対フェストゥム兵器・ファフナーを操縦するパイロットだったが、現在は第一線を退いている。 現在でこそ穏やかな物腰をしているが、過去に親友の皆城総士を傷つけたことから、 かつては強い自己否定に囚われており、近寄りがたい雰囲気を放っていた。 以来総士とも疎遠になっていたが、紆余曲折の末に分かり合い、性格も現在のように軟化している。 乗機であったファフナー・マークザインに蝕まれ、文字通りボロボロになりながらも戦い、パイロットとしての職務を全うした。 既に余命3年を宣告されており、彼は誰よりも強さを認められながらも、誰よりも安息を望まれていた。 しかし運命だけはそれを望まず、彼を新たな戦いへと誘おうとした。 本来の歴史に沿うならば、彼は聖杯戦争に招かれた日の翌日、再びフェストゥムの襲来に直面することになっている。 【方針】 未定。 【クラス】アーチャー 【真名】ストレングス 【出典】ブラック★ロックシューター(TVアニメ版) 【性別】女性 【属性】中立・中庸 【パラメーター】 筋力:B 耐久:D 敏捷:C 魔力:C 幸運:D 宝具:C 【クラススキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 単独行動:A マスター不在でも行動できる。 ストレングスは人間・神足ユウとして、長きに渡って人間世界に留まり続けた。 この経歴にもとづきストレングスは、破格のランクを保有する。 ただし自力で魔力を生成することはできない。 【保有スキル】 怪力:C 一時的に筋力を増幅させる。本来ならば魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。 使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。 幻術:D 魔術系統の一種。 ストレングスは人間世界にいた間、このスキルで他者の認識を操作し、自らの存在を溶け込ませていた。 ただしサーヴァントに対してはほとんど効果がない。 アンノウン:E 逸話なき英霊。 人の世に語り継がれることのない、夢の世界に生きたサーヴァント。 そのためストレングスは、真名を看破されることによるデメリットをほとんど持たないが、 代償として知名度によるパラメータ補正をほとんど受けられなくなる。 【宝具】 『掴み、明日へ繋ぐために(Orga Arm)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大補足:30人 ストレングスの体躯をも凌ぐ、巨大なサイズを有した機械腕。 四本指の先端は機関銃となっており、この宝具こそがストレングスをアーチャーたらしめている。 上述した射撃戦闘のほか、大質量を活かした格闘戦に用いることも可能。 平時は両手に装備する二本腕だが、最大駆動時には四本腕に増やすことができる。 『遥か遠き故郷(ウツロのセカイ)』 ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大補足:50人 かつて神足ユウが「虚の世界」に有していたテリトリーを、擬似的に再現する固有結界。 マグマの海を見下ろす、浮遊した巨大なルービック・ミラーブロックス。 この足場はストレングスの意志によって自在に変形し、彼女が有利な位置取りをする助けとなる。 それ以上の効果は一切なく、あくまで得意な戦闘エリアを形成するための宝具。 【weapon】 なし 【人物背景】 人の夢の向こうに広がる、痛みと苦しみが具現化された「虚の世界」。 ストレングスは、神足ユウという少女が虚の世界に生み出した、もう1人の神足ユウである。 本来は感情を持たず、本能のままに戦う存在であったが、 唯一ストレングスには、ユウの尋常ならざる苦痛や悲嘆に引きずられる形で感情が発現。 それに目をつけたユウによって、人格を交代させられ、自身は人間世界のユウの肉体へと移されてしまった。 その後10年以上に渡って、女子中学生の姿のまま、人間世界に留まり続けていたが、 その中で友人となった黒衣マトが、虚の世界絡みで抱えていたトラブルを解決するために、 彼女を虚の世界へと誘うことを決断する。 しかし目論見は失敗し、マトともう1人のマト・ブラック★ロックシューターは暴走。 責任を感じたストレングスは、友を救い出すために、ユウに奪われた本当の肉体と同化し、虚の世界へと舞い戻った。 しかし戦闘の最中、ユウに肉体の主導権を奪われたことにより、戦況は最悪の方向へと進行する。 このままでは何も解決しないと考えたストレングスは、自滅を選ぶことで、ユウを虚の世界から、現実世界へと送り返すことを決断。 戦いの中で致命傷を負い、最後の力もマトへと託したストレングスは、人間世界で知った生きる喜びをユウへと伝え、消滅した。 かつて虚の世界にいた頃の肉体は、現在よりも貧弱なものだったが、 本聖杯戦争においては、年月を経て強化された肉体を、ユウから引き継いでいる。 また、ユウが人間世界へ戻った後に生まれた、新たなストレングスとは別の個体である。 【サーヴァントとしての願い】 強いて言うなら、ユウやマト達の幸せを願いたい
https://w.atwiki.jp/vs-wiki/pages/2850.html
ASH/085 C 赤い月の夜 アルヴィン/エルフの森の護人 男性 パートナー 引き止める ラナ/エルフの森の護人 女性 レベル 2 攻撃力 2000 防御力 4500 【この島に嵐が来る。いつも以上に大きい嵐だ】《ココロ》《妖精》 【永】〔ベンチ〕 あなたのリングの、《妖精》か《魔法》を+500/+500。 作品 『シャイニング・ハーツ ~幸せのパン~』 関連項目 《ココロ》 『シャイニング・ハーツ ~幸せのパン~』 作品名に“シャイニング”を含むカード 引き止める ラナ/エルフの森の護人
https://w.atwiki.jp/darkstar_distantmoon/pages/14.html
+ミリラジMIDNIGHTより 小岩井さんが初公開された『昏き星、遠い月』のMVを視聴後「クレイジーなミリオンライブが帰ってきた!」と発言した +リリイベ、リリイベ後演者ブログより クリスティーナには際どい設定が存在する。「アイマスでこれをやっても良いのか」というレベル【昼の部】 (可能な限りの)注釈付きで、色々な設定が散りばめられていた【昼の部】 分厚い設定資料があるが、その内容を話すことは出来ない【夜の部】 エレオノーラの言う「アンジェラ」は子どもの名前ではなく、“天使(Angel)”を指す形容の言葉【夜の部】 最後の挨拶では他のキャスト陣がイベントの感想を語る中、小岩井さんが場内に向けて目を閉じるよう促すと、何かを噛んだような音を出して「これでもう、皆さんヴァンパイアです」というサービスがあった(https //japan.cnet.com/article/35116614/) アーマーリングを「枝豆を食べるのに便利そう」という発言は恐らくこのリリイベ後に投稿された、野村さんのブログが初出(https //gamp.ameblo.jp/kanako-nomura/entry-12361501385.html?__twitter_impression=true)
https://w.atwiki.jp/kokoko/pages/2.html
メニュー トップページ 漫画 短編集? 長編集? 絵 私の絵 お客様の絵 その他の絵 ミニお絵かき掲示板 アンケート
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/430.html
第六章 蝿の女王 _heavy_player_ 6 くるくる。と、少女は器用に白い裸身に黒い帯を巻きつけてゆく。 胸から、左腕、右腕。腰を通って下腹部、両脚と、荒廃の魔王の全身に魔殺の帯が巻かれてゆく。 その間、上条当麻は所在無さげに、佇んでいる事しかできなかった。 原因は右手。 神の奇跡すら打ち消す右手は、魔法治療の害にこそなれ益する所は何も無い。 見上げた空には紅い月。 第八世界に出現する、侵魔の張った月匣という小世界(けっかい)には、必ず出現する裏界の風景。 今の上条たちは、ウィザードたちが張った月匣の中に張られた、もう一つの月匣に包まれている状態である。 月匣の主(ルーラー)曰く「そう簡単には破られないわ」。そういう訳で、とりあえずも一休みと言ったところだ。 しかし、紅い月匣を展開したのは、上条の腕の中で、死にそうになっていたアゼルではない。勿論、ただの人間である上条でもない。 今、アゼルを治療している、この銀髪金眼の少女こそ張本人。そして、この数時間ばかりの騒動の元凶であった。 「っと。ま、こんなもんでしょ」 癒しの光がアゼルを包み込み、後には傷の消えた滑らかな肌。色白を通り越して蒼白の肌は、元々の瑞々しいハリとツヤを取り戻していた。 魔法でアゼルを癒したのは銀髪の少女。そして、遠因としてアゼルを傷つけたのも、この魔王。 治療がひと段落したところを見計らって、上条は声をかけた。 「お前、一体何なんだよ」 この少女が、アゼルの事を大切に思っている事はよく判る。口調は乱暴で態度はぶっきらぼうだが、その言動はすべてアゼル・イヴリスを案じているからに他ならない。 そうであるのに――― 「そうね。自己紹介をしましょうか。 我が名はベール・ゼファー。空行くモノを遍く支配する美しき蝿の女王。 そして、アゼル・イヴリスの所有者よ」 気を失い人形のように動かないアゼルに、輝明学園の制服を着せながら、魔王と名乗った少女の言葉。その不穏な響きに、上条は眉を顰める。 「所有者?」 「そう、アゼルはあたしの所有物(モノ)。 だから、そうね。上条当麻、アンタには一応礼を言っておく。 アンタがいなけりゃ、アゼルはきっとここまで来る事はできなかったもの―――」 「んな事はどうでもいい」 上条は問う。 「なんで、こんな事をしたんだよ」 「言ったでしょ。 これはゲームだから。この状況は必要なフラグなのよ」 足をそろえて畳んで地面に座り、アゼルの頭を白い太腿に乗せて、その少女はそう言った。 その物言いに、再度理性が跳びそうになる。 「ゲームだと………。それ本気で言ってるのか?」 「ええ。本気よ」 冷静に、努めて冷静に上条は言葉を重ねる。 「そんな下んねぇことで、こんな事を引き起こしたのか?」 「下らない。とは言って欲しくないわね。 必要だった。それだけよ」 静かに、空気が帯電する。 まるで零れる寸前にまで水を湛えたグラスのように、何かの切掛けがあれば、表面張力を失って溢れるだろう。 「アゼルを傷つけてもか?」 「ええ。必要だったから」 「アゼルは大切な存在(ひと)なんだろ?」 「ええ。それでも」 「巫山ッ戯んな!!!」 もう一度、上条当麻は爆発した。 「テメェのいうゲームとやらは、大勢の人を殺して、大切な人を悲しませて苦しませて、辛い思いをさせてまで、やんなくちゃいけない事なのかよ!!」 あふれ出した怒りを、止める術はない。 上条の怒号を前に、ベール・ゼファーは何も言わず、慈しむようにアゼルの頭を撫でる。 「そんなもんの何がゲームだ!! そんなもんに何の意味があるってんだ!!」 唯、瞳だけは真直ぐに、上条を見据える。 口を開きかけ、しかし留まって、一度唾を飲み込み、もう一度話そうとした、そのとき。 「―――上条君? ………ベル?」 朦朧と、意識を取り戻したアゼルが薄っすらと瞼を上げていた。 「アゼルっ!」 安堵と喜びを確かめようと、上条が右手を伸ばす。 その手を、 「触れるな! 上条当麻(イマジンブレイカー)ッ!!」 猛烈な剣幕で、ベール・ゼファーが叩き落とした。 「さっきも言ったけど、これ以上アゼルに触らないでくれる?」 本物の魔殺の帯を壊されてしまえば代えは無い。そうなれば、もうどうしようもない。と、ベルは言う。 それと、アゼルに着せた制服は呪錬制服という魔術的強化服であり、此方も幻想殺しの前では紙屑同然である。 ソレを理解して、上条は手を引っ込めた。 ゆっくりと、身体を起こして、アゼルは周囲を見回す。 状況を把握し、彼女はほっと溜息をついた。 「良かった。上条君もベルも無事だったんだね」 何よりも先ず、他人(上条とベル)の無事を確認して、そして荒廃の魔王は自分の状態に気が回る。 「これは………、魔殺の帯? どうして―――」 「あたしがすり替えといたのよ」 それだけで、聡い少女は総てを理解した。理解出来てしまった。 「――――どうして?」 呆然と、呟く。 それ以外に言葉はなく、それ以外は心にない。 その目で見つめられて、蝿の女王はその言葉を口にした。 「理由は二つ。 一つは、魔殺の帯を壊されるわけにはいかなかったから。それはこれから必要に成るもの―――」 人差し指を一本立てて、次いで中指を立てる。 「そしてもう一つ。それはこの問いを発する為」 超越者の証である黄金の瞳を、ベール・ゼファーは上条に向け、 「上条当麻。アンタはこれで完全に部外者になった。 唯の巻き込まれただけの一般人(被害者)に成り下がった ――――」 魔殺の帯は戻り、完全ではないものの、死の嵐『荒廃の力』は押さえ込まれた。 そして、魔殺の帯を奪ったのはベール・ゼファー。上条が詰め寄った通りに元凶といえるのはこの目の前の少女。 もう何処にも、上条当麻がアゼル・イヴリスの味方をしなければならない理由など、存在しない。 「アンタはもう加害者(アゼル)と同じ所には立っていない。 それでも、アンタは―――」 ―――アゼルの味方でいられるの? 人外の色を湛えた瞳で、ベール・ゼファーは上条を見つめる。 「―――」 少しの沈黙を挟んで、上条当麻は息をつく。 唇を開いて、答えようとしたその瞬間。 巨大な硝子を砕くような音と共に、空の紅月が砕け散った。 景色が揺らぐ。 広がるのは変わらぬ廃墟、しかし境界の壁は蒼く。 空には両手の指ほどの数の影が、 「ちっ……良い所で」 小さく、魔王が舌打ちして。 「此処までだエミュレイター!! 一網打尽にぶち殺してやる!!」 ウィザードの殺気が三人を打った。 7 あふれ出す殺気は、どろりどろりとヘドロのように。 質量を錯覚させて彼ら三人にまとわりついた。 人間とは、ココまでナニカを憎めるのだろうか。 強烈な感情に中てられて、上条当麻は内臓がひっくり返る様な不快感を覚える。 狂笑(えがお)すら見せて、怒り狂うウィザードを、けれどベール・ゼファーは 「ご苦労な事ね。 その内、渋谷の駅前に銅像が建つんじゃない? その忠犬ぶりは」 後ずさるアゼルを支え起し、心の底から詰まらないものを見るような貌で、彼らを見据える。 「忠犬? 何の事だ」 彼は、訝しげに首を傾げた。そうして曰く。 俺たちは、野良犬だ。己の意思でココにいる。 「極上生徒会は、アゼル・イヴリスを拘束しろ。と、命令を変えた。 そんなもの、俺たちは呑まない」 「命令無視かよ!?」 驚く声は上条のもの。 しかし、考えてみれば『魔術師』という連中は、ヤニ臭い似非神父しかり露出多過な女教皇しかり、自分の信念以外に興味を持たない生き物ばかりだった。 ナニモイラナイカラ、ワタシノジャマヲスルナ。 そんな、子供みたいな考えを極めた連中が、上条当麻の知る『魔術師』というもの。 だとすれば、彼ら(ナイトウィザード)はどうして、其処までアゼル・イヴリスを憎むのか。 「言っただろう? 上条当麻。 俺は被害者だ。加害者を憎んで何が悪い―――」 ウィザードは語る。 マジカルウォーフェアと呼ばれる戦争の一幕を。 土星圏での惨劇と悲劇を。 「あの戦場で、星々の海で、ただ一人生き残った俺だけは―――。 決して、そこの怪物を許すわけにはいかない」 なんて解り易い、個人的な理由(うらみ)。 ナニモイラナイカラ、オレノジャマヲスルナ。 告げるウィザード。己と同じでありながら、全く正反対の相手。 加害者の理由だとか過程だとか、内心だとか行動だとか、最終的にそう言ったモノで救われるのは、横で見ているだけの傍観者だけ。 どちらの当事者にとっても、ソレが救いになる事は無い。 上条が何を言おうと、最初からその言葉が届くはずも無かったのか―――? 苦しげに、上条当麻はウィザードを見る。 それに、 「ばっかじゃないの?」 蝿の女王は心底馬鹿にした口調で、そう言った。 ザワリ。と、空気が蠢く。 爆発寸前の爆弾を、気化したガソリンに放り込んだ様な剣呑さ。 意にも解さず。 「なんつーかね。あたしもさ、馬鹿って嫌いじゃないのよ。 ソコのソレ(かみじょうとうま)とか、アソコのアレ(ひいらぎれんじ)とかね。観てて面白いもの。 でもさ、アンタのソレは面白いけど、酷く不愉快だわ。 そうねえ―――。巷に溢れているクズ芸人みたいなもんかしら? 滑稽なマネをしなければ笑いを取れない三流共―――」 本物の芸人と言うのは、ただ喋っているだけで人を笑わせる(たのしませる)ものだ。と、 比喩表現(はつげん)の意図が掴め無いウィザードを憐れみながら、 「アンタは滑稽なの。見てて可哀想になるぐらい。 そんな見当違いの信念(いかり)を掲げて、あまつさえあたしの所有物(モノ)に手を出そうなんてさ――ホント、いい加減してくれない?」 呪ってやる。 魔王は低く笑い。そして、告げた。 ―――アンタさ、一体何時からロンギヌスやってんのよ。 「 。え?」 何を言われたのか解らない。と、ウィザード葛葉亨は間抜けな声をあげた。 呑み込むまで数瞬。 葛葉亨が、ロンギヌスに名を連ねたのは、マジカルウォーフェアで減った補充人員として。 ソレがどうした。と、いったい何が言いたいんだ。と、応えようとして、 (なに?) 小さな引っ掛かりに息を呑んだ。 その隙間に滑り込むように、 ―――アンタが『学園迷宮(スクールメイズ)』に放り込まれたのって何でだっけ? 魔王は、そんな問いを重ねてきた。 ソレは、ウィザードとしての研修のために。ロンギヌスになってから日の浅い自分たちは、もっと経験を積まねばならない。 そう、冥魔『夜闇よりも冥きもの』の時のように。 (??) 口には出せない。答えを思い浮かべる度、激しくなる違和感が唇を縫い付ける。 ―――アンタが、アンゼロットに『学園迷宮』に送り込んだのは何で? アンゼロット。 現在第三世界に出張している、第八世界の本当の守護者。 それは答えるまでも無い。それこそ冥魔に関わる事件だからだ。 彼の高名な魔剣使い、柊蓮司と、現守護者代行、赤羽くれはと共に、そしてこの魔王ベール・ゼファーともそこでまみえたのが初見の筈だ。 それは、様々な思惑の絡み合った事件であった。 守護者アンゼロットは策のため、当時――と言ってもそれほど昔の事ではなく、今と変わらず三下だった自分たちを任務に就けたのだった。 其処には、成長を願った部分もあったそうだが―――柊蓮司のように世界を救えるようなウィザードになれるように。 上品に罵倒されて、内心泣きそうだったのは秘密だ。 (???) なんだろう。ナニカが引っかかる。悪魔の言葉など聞いてはいけないのに、ナニカが心をつかんで離さない。 思考の海が広がる。 いったい何が引っかかっているのか、一体ナニに違和感を覚えているのか。 葛葉亨は、ウィザードだ。 所属は超時空多次元機甲特務武装黄金天翼神聖魔法騎士団。通称ロンギヌス。 常に、人間の世界を奪いに来るエミュレイターとの戦いの最前線にでる部隊にいる事は、彼の誇りだった。 そして、この学園世界でも彼は魔王がらみの任務についていた。 学園世界に入り込んできた二体の魔王。その魔王の監視が、その任務の内容だった。 そして、その日が来た。 異世界の街に吹き荒れたのは、プラーナを収奪する死の嵐。魔王アゼル・イヴリスが荒廃の力。 絶好の機会であった。 裏界の最終兵器たる荒廃の魔王を斃す。それは、第八世界の平和の為に、意義のあること。 世界を護るウィザードとして、命を懸けて成し遂げねばならないことだった。 『そして何より、希望の宝玉を廻る土星会戦で散った同僚たちの仇をとるためには、この機会を逃すわけには行かなかった』 そうだ、だから、ウィザードとしてだけではなく個人としてもあの怪物を許す事はできなかった。 そうでなければ、絶対である命令に逆らったりはしない。 この胸にある虚。其処に満たされた怒りは、押さえようがなかった。 だから――― 矛盾を噛殺す。 違和感を踏み潰す。 アゼル・イヴリスを殺す。 この胸の虚に、渦巻く憎悪は止められない。 それが、なければ――― 「くだらない」いらいらと「結局ソコに落ち着くわけ?」 ベール・ゼファーは呟いた。 「はっきり言わないと解らないようだから、言葉にしてあげる」 死神の鎌を振り下ろす冷酷さで、 「幻想殺しも無いアンタが、荒廃の力を潜り抜けられると思ってんの?」 冷徹な真理を舌に乗せた。 鉄は熱いうちに鍛て。冷え固まれば、最早砕く事しかできないのだから。 バキン。と、何かが壊れるような音がした。 『荒廃の魔王』アゼル・イヴリス。 裏界の荒野に佇む孤独な魔王。周囲から無差別にプラーナを奪い取るが故に、同じ侵魔たちからも忌み嫌われる怪物。 身体に巻く帯状結界で能力を抑制したところで、完全に押さえ込む事ができるわけではなく、そのチカラは視認できる距離に近づいただけで並みのウィザードを消し飛ばす。 だから、土星戦役では数多くのウィザードがその力の餌食になった。 葛葉亨の『同僚』もまた。一切の矛盾もなくそのチカラはスベテを喰らう。 ―――だとすれば、なぜ、葛葉亨は生きている。 「それが、矛盾?」 気付いてしまえば、後は容易い。 刻まれた溝が川になるように。 そもそも、新米ロンギヌスの自分が、どうして土星戦役に参加していたんだ。とか目を凝らせば、穴は幾らでも浮かび上がってきた。 だとすれば、この胸の虚も其処に渦巻く憎悪も、スベテ――― 「まさか。一体誰が、何のために―――」 「考えれば判るでしょ? アゼルを殺させるために」 ウィザードが魔王を斃すのは当然であり。その事実が都合の良いダレカが。 「そんな記憶など、俺には―――」 ない。と、応える前に答えに気づいた。 「―――the dream hunter」 それは『夢使い』と、分類される魔法使い。 幻想と精神を操る彼らならば―――、在り得ない記憶を刻み込む事も、その逆もまた、容易だろう。 人であるウィザードに可能なら、人ならざる悪魔であるのなら、 その異能(チカラ)は、<偽りの記憶>という。 「嘘だ――……」 それは、致命的なまでの、破滅(呪い)だった。 立脚点を否定される。 ガラガラと、崩れ落ちる様な音がする。 「嘘だ嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁあああああああああッ!!」 ウィザードの絶叫は、灼熱の妖光、月匣を砕く轟音に、熔けて消えた。 8 蒼色をした境界線が砕ける。 魔法使いの月匣は、地獄を遮る板子の床。 犇き蠢く悪鬼羅刹。吹き荒れる咆哮は求める声。命を望む亡者の怨嗟。 檻を外され、ケダモノたちが踊り嗤う。 ゆらり。と、熱波に景色が揺れた。 陽炎の向うから現れる、小さな影。 金糸を梳いた髪を二つに括り、飾りの鈴をぶら下げた少女。年のころは十三か、十四。白い小袖に緋袴という、上条当麻に同級生を髣髴とさせる服装。 素直に巫女服と表現できないのは、足全体を覆う緋袴が膝の上で断ち切られ、プリーツの入ったスカートのように見えるからか。 何にせよ、奇妙な少女と評しても間違いではない。 「パール・クール……」呆然とアゼルが「そんな、自分から出てくるなんて―――」 ちりん。と、髪留めの鈴が涼やかな音を立てた。 少女は、パール・クールは笑っている。唇の両端を吊り上げて、三日月のように口元が裂けていた。 「まったく、使えない犬よね。高々人形一つ壊せないなんて―――」 結局私が出て来なくちゃいけなくなったじゃない。 無邪気に邪悪に嗤われているのは、上条ではなかった。 灼けて熔けた地面を挟み、そそり立つ光の壁。防御魔法の輝きの向うに、立ち尽くすウィザード。 葛葉亨。 犬と呼ばれた監視部隊のウィザードは、焼け焦げた身体で新たな魔王を見る。 「おまえは、何を言っている」 全身が赤く、何処か白っぽい。 典型的な温熱熱傷の症状。人間の皮膚は約四五℃の温度で熱傷になり、七〇℃以上の高熱に曝されると一秒で組織の崩壊が始まる。 深度Ⅱと呼ばれる症状。 今の彼は、全身に強い痛みと灼熱感に苛まれている筈だ。 すぐにでも治療をしなければ、命に関わるだろう大怪我で、しかし彼は、 「答えろ! パール・クール!!」 その手の槍を、魔王に向けた。 言葉で否定されても、感情は付いていかない。 この胸に抱く虚。ソコに渦巻く憎悪と怒り。 それは、どうしようもない恐怖に取って代わった。 この胸に抱く信念が砕かれる事の方が恐ろしい。と、このどうしようもない感情の波は何処にぶつければいいのか、と。 一瞥する魔王を睨みつけ、 魔法の光に飲み込まれた。 再び吹き荒れる熱光波。見えない力の壁が軋み、閃光に目を閉じた上条は、サウナに放り込まれたかの様な錯覚に襲われる。 光が収まり、静寂が戻った。攻撃そのものは一秒にも満たず、薄っすらと目を開ければ、 「ふん、狗の分際でご主人様に歯向かってるんじゃないわよ」 あっさりと、魔法使いの姿はソコから消え去っていた。 「―――――」 あまりの事に、言葉が出ない。 いままで目の前で喋っていた人間が、一瞬で消え去った。 冗談か、悪夢であるといわれれば、そちらの方が納得し易いほどに コロサレタ。 メノマエデヒトガコロサレタ。 瞬間、上条当麻は絶叫を放っていた。 魔王は五月蝿げに視線を流す。 「何? 何であんたが怒るのよ。アレはあんたの敵でしょ? 片付けてやったんだから涙でも流して感謝しなさいよ。 ありがとうございますパール様、このご恩は一生忘れません。ってね」 咽の奥から這い出す、言葉にならぬ感情。 視界が白濁する。聴覚が遠ざかる。 灼熱する脳髄の深奥。その熱に導かれるまま、上条の足が大地を蹴った。 後であがる制止の声も届かない。激情に駆られるがまま間合いを詰める。硬く握った右手を叩き付けるために。 一秒でも早く、この巫山戯けた餓鬼を殴り飛ばす為に。 魔王は動かない。 人間の拳など脅威ではないという事か。 それでも、何体かの下級侵魔が主を庇うように前に出た。 夫々に鉈のような大爪を振り上げる。一撃で人の頭など西瓜のように砕くであろう打撃。 上条の足は止らない。 瞬殺。 軽い右手のジャブ。連射された上条の拳に触れた瞬間、黒い悪魔は霞と消える。 その光景に、魔王は多少驚いたのか、先程よりも眼を見開いていた。 踏込む。 突進を、無理矢理に止めた左足の負荷を、腰を回し肩を入れて、この右拳の威力に加算する。 ゴッ!! と、上条の拳が空気を裂いた。 何を感じたか、咄嗟に両腕を掲げて防御した魔王の両脚が、大地を離れる。 数メートル吹き飛ばされた魔王は、一瞬の空白を挟んで怒りに染まる。 「人間の分際でッ!!」 「テメェはッ!! 人の命を何だと思ってやがるッ!!!」 爆発した。 そうとしか表現できない怒号は、悪魔を前にして見当違いも甚だしい。だからこそ力のこもった人間の咆哮。 呆気にとられたパール・クールは、一瞬、怒りを忘れた。 そんな馬鹿馬鹿しい事を、正面きってぶちまける人間など、終ぞ見たことは無かったのだから。 「エサよ」 だから応えた。 「私たちは喰らうもの、あんたたちは餌。 あんただって見てたでしょうが、ソコのアゼル・イヴリスが街一つを食い尽くすところを。 私がやったことと、そいつのやったこと、何が違うのよ」 「―――ねぇよ……」 震えながら、上条は言う。 「テメェとアゼルを一緒にするんじゃねぇよ!!」 「へぇ、ソレと私と、一体何処が違うのかしら? そもそも、アンタはソレの何を知ってるのよ」 危険な響きを含ませて、パール・クールは呟く。 「知ってるさ。 たった数時間だけどな。俺はアゼルと一緒に居たんだから」 目の前には強大な魔王。 恐らくは、夏の海で出会った天使にも、勝るとも劣らぬ超越者。 「コイツは人を殺した。数え切れないくらい沢山の人を。悲しませた人の数はきっとそれ以上だ」 罪は消えない。ソレが自分の意思ではなかったとしても、その事実が多少なりとも救いとなるのは横で眺めている傍観者だけだ。 「でもな、知ってるんだ、ソレが許されないコトだって。 被害者と加害者が明確な以上、どんな事情があったって一切の感情移入を否定されるべき怪物なんだって―――」 だから、苦しいのだ。 だから、これ以上被害を出したくなくて、それでも関係の無い高校生を巻き込んでしまって。それが、更に苦しくて、護りたくて、その身に刻む傷すら、その命すら些細な事で。 「もう一度言う、巫山戯んな。お前の何が、何処と同じなんだ!!」 この数時間、上条はアゼルと共に居た。 だから知っている。彼女がどれだけ悲しんでいたか、苦しんでいたか。 決して表には出さなかったけれど、それでも肌で感じていた。 罪を罪と知る者と、力を理由に正当化する者。 その差異は僅かだろう。 しかし、その紙一重は、明らかな断絶だった。 だから、被害者に成り下がった上条当麻は、ソレでもアゼル・イヴリスの味方を出来る。 「アゼルを―――」 上条は、溢れる感情を込めて、金の髪をした魔王を睨みつける。 「テメェみたいなバケモノと一緒にするんじゃねぇ!!」 行間 六 「アゼルを―――テメェみたいなバケモノと一緒にするんじゃねぇ!!」 その言葉を聞いた瞬間、彼女の心に溢れたのは歓喜だった。 ある程度予想はしていた、恐らくは、上条当麻ならばそう応えるだろうと。 けれど、人の心などこの世で一番解らないもの、上条のような人種になれば尚更のこと。 だから―――完全にフラグが立った事を、『蝿の女王』ベール・ゼファーは心から喜んでいた。 これで必要なものはすべて揃った。長い時間をかけて準備してきたものが実を結んだ。 その達成感、充足感が血管を駆け巡る。 成長が喪失の回復であるのなら、それをもたらすのは、希望ではなく絶望。 けれど、失っている事すら知らなかった。 だからこそ、これでお膳立ては十分。 ここでやるべき事は全て終わった。だからこそ、役の跳ねた演者には早々に舞台から去ってもらわなければ。 人間に正面から怒鳴りつけられて、パール・クールは目を白黒とさせていた。 当然か、魔王相手に此処まで言う人間など、第八世界には居そうにない。 あの柊蓮司だって、魔王=捕食者と言う構図(だいぜんてい)に、文句をつけるような事はしないだろう。 全く、馬鹿は愉しい。 小さく微笑んで、息をつく。 ―――名残惜しいが幕を引こう。 成すべき事は総て成した。後はスタッフロールに名を連ねるだけ。 変わらず笑みを浮かべながら、ベール・ゼファーは腕を振るった。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1155.html
『ふぁ・・・』 口を塞いでも塞いでも洩れる自分の呼吸音が恥ずかしいの。 だけどひとつも逃すことなく聞いててよね。 アナタの癖をひとつも逃したくないのと一緒。 アナタの手のひらはいつもあったかくて、私の左頬を優しく撫でるの。 いつも優しい瞳をしてるのに、夜だけは大胆な艶っぽい瞳。 だけどどっちも好きよ。 アナタが与えてくれる甘ったるい刺激に耐えられなくなって目を瞑ると、 『あ〜ちゃん?目、閉じちゃ駄目だよ?』 なんて子供をあやすように優しく囁いて、 私の髪に埋もれた耳を唇で探しあてるの。 『ちゃんとのっちのこと見てなくちゃ、ね?』 耳元に甘い声。 脳みそまで響いてる。 二人シーツにくるまって、まるでじゃれあってる猫みたいにお互いの体を引き寄せて愛を確認しあうの。 いつも恥ずかしさと強がりのせいで何も言えない私を、アナタはシーツと一緒に愛情で包んでくれる。 いつだって “のっちはわかってるから大丈夫だよ” って顔をして。 何も言えない私を責めたりなんかしない。 むしろその逆で、優しく優しく左頬を撫でるの。 『っつ、、ぁっ、はぁ・・』 自分の口から洩れる声が恥ずかしいけれど、嬉しそうに笑うアナタを見ていたいから、我慢しないの。 『あ〜ちゃん、、あ〜ちゃん、、、あ〜ちゃん・・・』 いつだって何度も何度も名前を呼んでくれる。 快楽の波に二人一緒に沈んでいく、この瞬間が好き。 私のパーマの髪を鼻でかきわけて、耳の裏側、ちょっと下。アナタはいつだってそこにキスをする。 『のっちの跡つけたもんねっ!wもう離さないよ?w』 いたずらっ子みたいにニカッと笑うアナタがいる。 “離さない”は私の気持ち。 だけどいつだって優しく言ってくれる。 快楽の波が一段と大きくなって、心も体もアナタに持ってかれる、この瞬間が一番好き。 『愛してるよ・・・』 最後にはいつもそう言って、ちょっとだけ真剣な顔をして、愛の深さを教えてくれるアナタ。 いつだって私が迷子にならないように。 揺れるシーツが私の心をさらってアナタへと辿り着く。 残された紅い跡は、アナタへと続く道しるべ。