約 14,405 件
https://w.atwiki.jp/orirowaz/pages/434.html
【第三回定例会議までの死亡者】 時間 場所 死亡者 殺害者名 死亡話 夜中 D-2/草原 犬山 うさぎ 日野 珠 129.オニガシマ・ダークサイド 夜中 E-2/診療所中庭 哀野 雪菜 虎尾 茶子 130.彼女たちのささやきが聴こえる 夜中 E-2/診療所中庭 リン 哀野 雪菜 130.彼女たちのささやきが聴こえる 夜中 E-2/診療所中庭 スヴィア・リーデンベルグ 天原 創 130.彼女たちのささやきが聴こえる 夜中 E-2/草原 神楽 春姫 山折 圭介 131.ラスト・エンペラー 夜中 E-2/草原 大田原 源一郎 山折 圭介 131.山折の祈り 夜中 E-2/草原 山折 圭介 大田原 源一郎 131.山折の祈り 真夜中 天宝寺 アニカ 虎尾 茶子 133.Z ―望み願い祈る― 真夜中 八柳 哉太 虎尾 茶子 134.Z ―永遠の山折― 真夜中 虎尾 茶子 虎尾 茶子 134.Z ―永遠の山折― 残り3/50名 最期の言葉 犬山 うさぎ 「おねがい……みんな……どうかーーー」 哀野 雪菜 「あっ……」 リン 「リンをゆるして!!」 スヴィア・リーデンベルグ 「ぐぶ……」 神楽 春姫 「そなたと過ごした日々、悪いものではなかったぞ」 大田原 源一郎 「女王ニ……仇為ス……存在ヲ……処理セヨ………!」 山折 圭介 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」 天宝寺 アニカ 「…………え」 八柳 哉太 「…………ごふっ!?」 虎尾 茶子 「―――――――――あたしの山折村に、美しき永遠を―――――――――ッ!!」 殺害数ランキング 順位 殺害人数 名前 被害者 スタンス 生存状況 1位 6人 大田原 源一郎 沙門 天二、郷田 剛一郎、和幸、碓氷 誠吾、小田巻 真理、山折 圭介 特殊部隊員(ジョーカー)→傀儡 死亡 山折 圭介 広川 成太、美羽 風雅、成田 三樹康、犬山 はすみ、神楽 春姫、大田原 源一郎 女王狙い→憑依→事態収束 死亡 2位 5人 虎尾 茶子 八柳 藤次郎、哀野 雪菜、天宝寺 アニカ、八柳 哉太、虎尾 茶子 事態収束目的(危険対主催) 死亡 3位 4人 黒木 真珠 佐川 クローネ、薩摩 圭介、上月 みかげ、田中 花子 特殊部隊員(ジョーカー) 死亡 4位 3人 八柳 藤次郎 環 円華、嵐山 岳、金田一 勝子 無差別マーダー 死亡 月影 夜帳 木更津 閻魔、烏宿 ひなた、月影 夜帳 無差別マーダー 死亡 独眼熊 気喪杉 禿夫、ワニ吉、クマカイ 無差別マーダー→傀儡 死亡 5位 2人 薩摩 圭介 臼井 浩志、遠藤 俊介 無差別マーダー 死亡 巣食う者 与田 四郎、氷月 海衣 無差別マーダー 消滅 6位 1人 乃木平 天 一色 洋子 特殊部隊員(ジョーカー) 生還 美羽 風雅 革名 征子 特殊部隊員(ジョーカー) 死亡 和幸 岩水 鈴菜 特定守護(対主催) 死亡 特殊部隊員 斉藤 拓臣 特殊部隊員(ジョーカー) 生存 リン 宇野 和義 自都合優先 死亡 成田 三樹康 物部 天国 特殊部隊員(ジョーカー) 死亡 犬山 はすみ 字蔵 恵子 事態収束→傀儡→事態収束 死亡 クマカイ 朝顔 茜 無差別マーダー 死亡 田中 花子 黒木 真珠 事態収束 死亡 神楽 春姫 独眼熊 事態収束 死亡 日野 珠 犬山 うさぎ 事態収束→傀儡 生還 哀野 雪菜 リン 事態収束 死亡 天原 創 スヴィア・リーデンベルグ 事態収束 生還
https://w.atwiki.jp/orirowaz/pages/367.html
「おやびん。ありがとうございました」 ある日、圭介が学校に向かう道中。 いつものように合流してきた友人、湯川諒吾が深々と頭を下げていた。 友人と言っても、年齢差があるためか対等な関係と言うより上下関係のある兄弟分といった関係なのだが。 「いきなり何の話だよ? あと、おやびんはいい加減やめろっての」 頭を下げられる覚えなどないのか、圭介が不可解な顔で諒吾を見つめる。 この2人の関係が始まったのは圭介が小学4年生になり、諒吾が小学2年生になった頃からである。 それはちょうど村長が代替わりした直後の時期であり、当時は村の子供たちも少なかったため学年の垣根なく一つの教室で授業が行われていた。 子供の頃の2歳差というのは大きい。同じ教室で事業を受けていたため交流自体は容易だったが、その年齢差もあってかあまり深い交流のない2人だった。 だから下級生がそれまで交流のなかった上級生に進んで意味もなく話しかけるなんてことは小さな村の中で珍しいことであった。 そんな中で、露骨に圭介に擦り寄ってきたのが諒吾だった。 諒吾は彼の曾祖父の意向で村長の息子である圭介に宛がわれた友人である。 幼いながらに諒吾も自分の役割を理解していたのだろう。 子供なりに精一杯の媚びを売り、最大限に相手を持ち上げる敬称が「親分」だった。 それが子供らしく舌足らずな「おやびん」と言う呼び方になって、それが関係性と共に今になっても続いていた。 「いやぁ、それがなんでも、住宅の抽選が当たったみたいで」 へへっと謙りながら諒吾が言う。 受託の抽選。それは圭介の父である村長が推し進める住宅開発についての話だった。 村の北部の田園地帯を取り潰して、そこに新たに高級住宅を建てようという計画である。 この政策は開発に反対する一部の頭の固い保守派の住民を除けば多くの住民に受け入れられ、その大半が今の古臭い住居を捨てて高級住宅へと引っ越しを希望していた。 同時に村外からの住民の受け入れ政策も進めていることもあり、住居移住の権利は応募多数で抽選制になっていたのである。 冒頭の礼は、それが当選したことに対する礼らしい。 「んなもん、俺に礼を言ってもしゃーないだろ。どう選んでるかも知らねーし」 「まあそうなんすけどね、けどひい爺さんや親が礼を言っとけって。畑に近い家に選んでもらえて助かりましたって」 湯川家は代々山折村で農家を営んできた家系である。 そんな湯川家に残された田畑に近い南東側の家が都合よく宛がわれたのは確かに出来すぎた話だ。 その辺の抽選は村長のお膝元である役所で処理されている。 息子の親しくしている友人が選ばれたというのは何かの忖度があったのかもしれない。 実際はどうだったかは別として、少なくともそう考える人間は発生するだろう。 「ま、いいさ。それについて変に言ってくる奴がいたら言えよ」 「いやまぁ。その辺は慣れたもんなんで気になくていいっすよ」 諒吾は曖昧に言葉を濁すが否定の言葉はない。 それは言外にそう言った物言いがあるという事実を示していた。 開発の割を食うのは広大な土地を有している田畑からという事もあり、農家の多くが開発に反対している保守派のスタンスである。 その中で、改革派のトップである村長に媚びを売る湯川家の蝙蝠のようなスタンスは、口さがない批判に晒されることも少なくはなかった。 実際に忖度があったかどうかは不明だが、こうして恩恵を受けたとなるとその風当たりも強くなるかもしれない。 「ったく、下らねぇよな。こんな小さな村で派閥だのなんだの」 こんな片田舎で派閥だの何だの、面倒な人間関係に振り回されている。 いや、田舎だからこそ、こんなつまらない言い争いをしているのかもしれない。 しがらみだらけな小さな世界でまったく嫌になる。 「……どうなるんすかねぇ、山折村は」 見通しの見えない未来への不安を吐露するように諒吾は呟いた。 村長が変わってから数年。村は変革の時期を迎えていた。 古きは新しきに生まれ変わると言えば聞こえはいいが。 古きものばかりの片田舎においてそれは全てを打ち壊すに等しい改革だ。 その改革が成功するのかなんて誰にもわからない。 もしかしたら村の伝統すら破壊しつくして、自然消滅するよりも悲惨な終わりを迎えるのかもしれない。 「俺っちも家の農家を継ぐことになるんでしょうけど……このまま村が開発されていったら農家なんてやっていけるんっすかねぇ」 開発を広げて行く上で、まず取り潰されるのは広大な土地を占有している田畑だ。 実際、今回の高級住宅街建造においては大きな田園地帯を取り潰して開発が行われている。 田園地帯はまだ残っているが将来的にどうなるのか。 消えていくのを待つしかない限界集落だった山折村の若者人口もここ数年で増えてきた。 何もしないままだったら、こんな小さな村など時代の波に飲み込まれて数年もせずに消えてしまっていただろう。 村の開発が進んで便利になってゆくのは村にとっては良い事だ。 だが、それが必ずしも全員にとって良いことであるとは限らない。 諒吾は農家なんて継ぎたくないという今どきの若者とは違って、積極的に農家がやりたいという今どきの若者らしからぬ少年である。 田畑が取り潰されていくのは彼のような人間からすれば悪いことだろう。 だからこそ、今山折村は開発をめぐる派閥争いなんかに巻き込まれているのだが。 「おやびんが村長になった時には、農業の拡大をお願いしやすよ」 揉み手で圭介へと媚び諂う。 山折家に生まれた圭介は将来の村長である。 村長は公選によって選ばれるものだが、この閉ざされた山折村においてはそうではない。 公選制になって久しいが、暗黙の了解により対抗馬など一度も現れるはずもなく。 村名と同じ名を関する山折家による実質的な世襲制となっていた。 どれだけ嫌がろうともそんな大人の中心に圭介は据えられる。 それが山折家に生まれた圭介の逃れようのない運命だ。 「村長になった時つっても、しばらくは親父の時代だろ」 だが、将来的に圭介が村長の座を継ぐとしても、それはまだまだ先の話だ。 少なくとも、父親が村長を引き継いだくらいの年齢になるまでは関係のない話である。 「だいたい。今の調子なら、山折家が村長やってくって仕組みも変わっていくかもな」 時代と共に制度も移り変わってゆく。 山折家が山折村の長じゃなくなる日も近いのかもしれない。 あるいはその変化は圭介の代で起こる出来事かもしれない。 それこそ春姫あたりが被選挙権を得られる年齢になったら暗黙の了解を破り出馬しかねない。 まあ、あの変人に人望で負ける気はしないが。 「ええっ!? おやびんには村長になっていただかないと、俺っちもこうして媚び売ってる甲斐がないってもんですよ」 「太鼓持ちが、言ってくれんじゃねぇか」 そう言って笑いあう。 こんな冗談を言い合える程度にはこの2人は胸襟を開いた関係だった。 媚びを売るのも忖度も、親側の勝手な意向である。そんな事情に子が従う道理はない。 周囲は2人の関係を勝手に受け取り勝手に解釈するだろうが。 圭介と諒吾はそう言った事情を理解したうえで、友人関係を築いているのだ。 「まあ、まだ習わしとして俺も『成人したら』。村長としての教育が始まるらしいけどな」 この村がどうなるのか、村長がどうなるのか、どれもこれも不確定な未来の話だが。 少なくとも今の圭介は村長になる線路に乗せられている。 その道を進んでいくしかない。 「へぇ。そうなんっすね。って村長の教育って何するんっすか?」 村長の勉強と言われても、村長が何をしているのかと言うのは傍から見れば漠然としていてイメージがしづらい。 それは直系である圭介も同じなのか、どこか投げやりに答える。 「さぁな? 大体は親父の手伝いだと思うけど、あとは村の歴史でもお勉強するんじゃねぇの」 「この村の歴史って……空から巫女が舞い降りて生まれたとか、なんか妖怪が封じられてるとかっすかね」 「んな迷信がある訳ねぇだろ。昔からクソ田舎でしたで終わりだろ」 これも時代の移り変わりか。 それとも村の歴史などに若者が興味をもたないのはいつの時代も同じなのか。 こんな寂れた村の歴史など迷信程度にしか妙味を持たれていなかった。 「けど、成人してからって話ですけど、なんかもうじき成人の年齢が引き下げられるって噂ですよ」 「マジかよ」 モラトリアムの時間はあまり残っていないようだ。 法律も変わり、改革によって村も少しずつ変わって行く。 だが、変化は受け入れる覚悟を確かめるように少しずつ緩やかに訪れるものだ。 急に何が変わるという訳でないだろう。 いきなり世界が変わるわけでもないのだから。 ■ 変わり果てた世界の中を、一人の少女が走っていた。 未曽有の大地震が襲い、小さな村の景色は崩れ去った。 村の地下に存在する秘密の研究所から漏れ出したウィルスにより発生したバイオハザード。 そしてその事態を解決するべく送り込まれた特殊部隊。 混沌に次ぐ混沌により、穏やかだった村の姿は見る影もない。 山折村の住民である少女、犬山うさぎは焦りの汗を滲ませ、息を弾ませながら走っていた。 生まれ育った村の変わり果てた光景が流れていくが、今の彼女に周囲の景色に目を向ける余裕はなかった。 何故なら彼女は逃亡と救援探しの真っ最中だったからだ。 うさぎを襲ったのは、送り込まれた特殊部隊の中でもとびっきりの最強の男だった。 そんな最強の男に狙われて、ただの女子高生であるうさぎがこうして逃げ切れるのは奇跡である。 もちろん、それはうさぎだけの力によるものではない。 仲間である鈴菜と和幸が命懸けで彼女を逃がし、時間を稼いでくれている。 大丈夫だという鈴菜の言葉を信じているが、和幸は重症を負っていた。 すぐにでも助けとなる人間を見つけて応援に行かないと最悪の事態もあり得るだろう。 早く早くと逸る焦りが背筋を蟻のように駆けずり回る。 焦燥の時間は永遠のようであり、実際は数分にも満たなかっただろう。 走り抜けていたうさぎは、ようやく人影を見つけた。 朝日が逆光になってよく顔が見えないが、二人組のようだ。 「おーい! そこの人たちぃ! お願いします、止まってくださーい!!」 構わず大声で呼びかける。 事態は一刻を争うのだ。 相手が安全かどうかなど吟味している余裕はない 助けとなってくれる人間かどうかも分からない。 最悪の場合、別の特殊部隊の人間と出会ってしまう可能性だってある。 それでも、接触せざるを得ない状況だ。 人影は呼びかけに足を止めてくれた。 うさぎはそこに駆け寄ってゆく。 近づいて行くと、その人物が見て取れた。 「圭介くん! それに光ちゃんも! 一緒だったんですね、よかった!」 幸運なことに、出会ったのは顔見知りだった。 この村の長である山折家の嫡男、山折圭介。 手をつないだその先にいるのは、その恋人である日野光だ。 犬山家は山折村の神社を代々預かる家系である。 村の長である山折家とも古くから付き合いがあり、村の開発をめぐる対立からあまり友好的とは言えないが、家同士の付き合いもそれなりにあった。 まあそれ以前の話で、この小さな村で生まれ育った子供たちは皆顔見知りなのだが。 「…………うさ公」 どこか辟易したような声で圭介はうさぎの名を読んだ。 傍らの光は無言のまま、圭介に隠れるようにして佇んでいた。 普段から優しい笑顔が印象的な穏やかな人だったが、どこか顔色が悪いように見える。 これだけ村がめちゃくちゃになって色々あれば無理からぬことかもしれないが。 そして、圭介の恋人とつなぐ逆の手には巨大で物騒なものが握られていた。 それは建物の壁や車を容易く貫通するほどの威力を持つ凶器。 南アフリカの武器会社デネル・ランド・システムズが開発したダネルMGL(多連装グレネードランチャー)である。 あまりに物騒な凶器ではあるのだが、一般的に知られる拳銃とはあまりにも形状が違ったため、知識のないうさぎには掃除機にしか見えなかったが。 なんで掃除機持ってるの? などと言う呑気な質問を行えるような余裕のある状況でもない。 「っ。けどそうですよね……光ちゃんを連れてる圭介くんに頼むわけにもいかないですよね」 うさぎは苦々しい顔で言葉を詰まらせる。 二人との再会は喜ばしいものだったが、この出会いはうさぎの目的に沿うものではなかった。 うさぎは助けを求めていた。 ここで圭介に助けを求めるという選択肢もあるのだろうが、助けは誰でもいいという訳ではない。 下手な増援は犠牲者を増やすだけの行為にしかならないだろう。 相手は戦闘のプロである。 最悪、薩摩でもいいから出来るなら警官や猟師、もしくは数で相手を追い返せるような集団が望ましい。 圭介は日常においては頼りなるリーダー的存在だ。 友人である春姫は圭介を蛇蝎のように嫌っているが、個人の主義主張の問題だろうしそれはそれ。 うさぎからすれば圭介はいつもみんなを引っ張っていく頼りになる先輩である。 だが、今は日常ではない、非日常における異常事態である。 圭介が屈強な特殊部隊相手に助けになるかと言うと難しいだろう。 ましてや、彼は恋人を守護っている最中だ、無理強いする訳にもいかないだろう。 「すいません! こっちから引き留めておいて申し訳ないのですけど、急いでいるので行きます!」 「待てよ。何をそんなに急いでいるのか知らねぇが、事情くらいは聞かせろ」 だが、急ぎ立ち去ろうとするうさぎを圭介が引き留めた。 「そ、そうですね」 確かに、ここで事情も説明せずに立ち去っては圭介たちを危険にさらす可能性もある。 何にも知らないまま圭介たちが特殊部隊のいる方に向かって危険に巻き込まれてしまう可能性もある。 それはうさぎも本意ではない。 手短に事情くらいは話しておくべきだと思いなおして、走り出そうとした足を止める。 そんなうさぎの様子を圭介は暗い瞳で見つめていた。 彼がうさぎを引き留めたのは事情を聴きたかったからではない。 うさぎにうさぎの目的があるように彼には彼の目的があるからだ。 圭介はこの事態を解決すると決めた。 そのためには原因となる女王感染者を排除する必要がある。 だが、誰が女王であるかの判別方法はなく、殺して確かめるしかない。 全てを取り戻すためには、このピースを隠したパズルのような地獄のゲームをクリアせねばならない。 それでもやると決めたのだ。 この村の住民の一人として。 村を預かる将来の村長として。 なにより、愛する人を取り戻すために。 全てを殺しつくす覚悟を決めた。 その決断に躊躇いがないと言うと嘘になる。 そもそも人殺しなんて好き好んで誰がやりたいと思うのか。 それでもやらねばならない。 他の誰もやらないとしても。 いや、やらないからこそ自分がやらねばならないのだ。 それに、既に圭介はゾンビになった学友たちを道具のように使いつぶしている。 戻る道などない。 だが、政策によって誘致された外からの移住民であった山岡伽耶とその取り巻きたちと違って、うさぎはこの村で生まれ育った地元民だ。 圭介にとっても子供の頃から知っている顔見知りである。 それを殺すというのはどれほどの覚悟が必要となるのか。 母はゾンビになった。 父や友人たちも、きっとそうなっているだろうという希望的観測を並べ、彼らを殺す必要はないと自分を安心させた。 だが、もしそうじゃなかった場合に自分はどうするのか。 なんて半端な覚悟や決意。 そんな覚悟でこれから先、やっていけるはずもない。 平穏無事でいるうさぎの姿を見てそれを思い知らされた。 圭介にとって光以上に大切な存在なんかない。それは変えようのない事実だ。 問われているのは、大切な物のためにすべてを踏みつけにする覚悟はあるかという事。 古くからの知り合いである犬山うさぎは、その覚悟を試すにちょうどいい試金石だった。 鋭い目つきで周囲を見る。 生憎、操作できそうなゾンビはいない。 ただの女子高生一人殺すのにグレネードランチャーをぶっ放すなんてオーバーキルもいいところだ。 これから先、特殊部隊のような強敵を相手にするのだ。無駄弾は撃たず、グレネード弾は温存しておきたい。 故に、殺すのならばナイフだろう。 圭介が殺した特殊部隊の男から奪い取ったサバイバルナイフ。 引き金を引くだけで人を殺すのとも違う。 誰か(ゾンビ)に銘じて殺すのとも違う。 相手の喉を切り裂き、人を殺した感触を自らの手に直接刻み付けるのだ。 圭介はうさぎの死角となるよう後ろに回した手で、腰元のサバイバルナイフの柄を握る。 事情を話そうとしているうさぎに向かって、一歩、近づこうとしたところで。 「私のお友達が特殊部隊と戦ってるんです! すぐに助けを呼んでこないといけなくて……!」 その言葉を聞いて、圭介が動きを止めた。 「…………特殊部隊、だと?」 「はい。村の外から来た鈴菜さんって女の子と和幸さんが私を逃がしてくれて、今も特殊部隊と戦ってるんですよ……!」 「カズユキ?」 「うん。圭介くんも知ってますよね? 和幸さん」 圭介も村民の中に暁和之と言うプロレスラーがいるのは知っている。 だが実際は豚の和幸なのだが、ウィルスによって前世の姿を取り戻したなどと言うミラクルCが起きたなどわかるはずもない。 「だから、せっかく2人に会えたのに残念ですけど、すぐにでも助けを呼んでこなきゃいけなくって」 そう言っていそいそと走り出そうとする。 仲間が命を懸けて足止めしてくれている一刻を争う事態だ。 これ以上詳しい事情を説明している時間はない。 「待て、行くのはいいけど、そいつらはどこにいるんだ? 場所だけでいいから教えろ」 「どこって、えっと……」 問われて、うさぎは何か言いづらそうに僅かに回答を躊躇う。 だが、ここで逡巡している時間もないと気づき、その答えを口にした。 「…………諒吾くんの家ですよ」 出てきたのはうさぎとは同学年の級友にして、圭介の友人の名だった。 うさぎも二人の親しさを知っていたからこそ、言い出しづらかったのだろう。 戦場となっているのは友人宅である。 その情報を受け、圭介は神妙な面持ちで「そうか」と呟く。 そして僅かに考え込むように押し黙った。 生憎、うさぎに気長に返答を待っている状況でもない。 気づけば、時刻は既に6時過ぎになっていた。 時間の経過を歓迎できる状況でもないが、今なら新しい召喚ができる。 「お願い、着て…………!!」 うさぎが祈りを捧げる。 瞬間、草原に黒い鬣を風に靡かせる美しい馬が出現した。 その馬の体つきは彫刻のように美しく筋肉質であり、光沢のある栗毛の毛並みが朝日をキラキラと照り返していた。 一見すれば厳しい顔をしているようだが、落ち着いた瞳は深い知性を感じさせた。 圭介は突然現れた馬に驚き目を見開くも、すぐにそれがうさぎの異能であると理解する。 うさぎは現れた馬へと跨った。 「うさ公」 圭介はなにかを決意したような声で馬に跨ったうさぎの背に呼び掛ける。 振り向いたうさぎの視線を誘導するように南の方を指さす。 「あっちの方に八柳の奴がいる。ゾンビになってないまともな連中何人かで固まってるみたいだ」 「え、哉太くんが? 帰ってきているんですか!?」 村から出て都会に行った八柳哉太が帰省しているのは初耳だった。 だが、哉太の居所を知る様子の圭介は彼らと合流していない。 こんな状況だ、正気を保った人間は固まって行動したほうがいいはずなのに。 「圭介くんは……哉太くんと合流しないんですか?」 「俺は…………あいつらとは別にやる事がある」 先ほど特殊部隊の居る場所を聞いたことも合わせ、まさか向かうつもりだろうか、という考えが頭をよぎるがすぐにその疑念を否定する。 圭介が光をどれだけ大切にしているかは、傍から見ていてもわかるくらいだった。 普段から無鉄砲なガキ大将ではあるのだが、光を連れている以上無茶なことはしないだろう。 圭介と哉太が喧嘩別れしたとは聞いていた。 基本的には別の友達グループであったため当事者ではないのだが、狭い田舎世界だそういう風のうわさくらいは耳に入る。 この様子ではまだ仲直りはしていないようだ。 普段ならともかく、鈴菜たちの置かれている状況を思えば言葉を尽くして仲裁しているような時間はない。 一刻も早く、哉太たちと合流して助けに向かわなければ。 「ありがとう、圭介くん! 光ちゃんも! お互い無事にまた会おうね! それじゃあ、お願いウマミちゃん!」 慌ただしくも別れの挨拶を述べると、踵で軽く馬の腹を蹴って発進の合図を出す。 最後まで光は一言も発しなかった。普段のうさぎであればそれを気にかけるのだろうが、危機的状況に急かされている事もありそれを気にかけてる余裕はなかった。 軽やかに蹄を鳴らしてうさぎを乗せた馬は駆け抜けていった。 どこで乗馬の心得など得たのか、あっという間に駆け抜けていくその様は正しく人馬一体と言う風である。 あっという間に朝日に消えていくその様を圭介は見送り、学校へ向かっていた足を住宅街の方に向けなおす。 もちろん、うさぎから聞いた特殊部隊の居るという湯川邸に向かうためだ。 特殊部隊を排除する。 それが湯川邸に向かわんとする圭介の目的だった。 自分の命を狙われた先ほどとは違う。 明確に自分の意志により、進んで排除しようとしていた。 圭介が哉太の情報をうさぎに与えたのは特殊部隊の情報を得た対価という訳ではない。 むしろ情報を聞くだけ聞いて殺してしまう選択肢もあっただろう。 そうしなかったのは、いわば保険だ。 光は絶対に取り戻す。 その決意に陰りなどない。 しくじるつもりなどないが、それとしくじった場合の策を考えないのは別の話だ。 圭介の最優先目標は光を取り戻す事だ。 仮に自分が死んでも、それだけは果たされなければならない。 哉太たちが他の方法で事態を収束させてくれるのならそれはそれで構わない。 圭介は他の人がやらない圭介なりの方法でやるだけだ。 特殊部隊の連中も奴らなりのやり方でこの事件を解決しようとしているのだろう。 無関係な村民を皆殺しにしてでもこの事態を解決しようとしている。それに関しては圭介も同じだ。 ならば、それを行おうとしている相手を排除するのは矛盾しているのかもしれない。 だからと言って、奴らが解決してくれるのを待つなんて選択肢はあり得ない。 奴らは圭介たちの命を狙っているし、所詮奴らは村を荒らしている部外者だ。 そんな奴らが解決してくれるのを待つなんて、そんなのはクソくらえだ。 それに、特殊部隊と圭介の目的を同じくするのはバイオハザードの解決までだ。 その先で光が平穏な暮らしを取り戻すには、いずれにせよ特殊部隊は排除しなければならない 自分がしくじった場合、哉太たちをぶつけて特殊部隊を仕留めてもらう。 うさぎはそのために情報を運ぶ白兎だ。 これは山折村の問題だ、村民である俺たちで解決する。 部外者なんかにめちゃくちゃにされてたまるか。 バッドエンドで終わるにしても。 どのような結末になるにしても。 終わりは自分たちの手で掴み取る。 そうでなければ納得も妥協もできない。 (そうだろ…………哉太) 自分がしくじってもあいつなら。 そう言うある種の信頼がそこにはあった。 これでも同じ道場に通った仲だ。 哉太の強さは一番よく知っている。 それよりも今は圭介の脳裏に浮かぶのは別の友人の顔だった。 避難していて家主は不在だろうが。そこは勝手知ったる他人の家。 通い慣れたいつもの道筋を辿って、友の家を訪ねるとしよう。 【C-4/道/一日目・朝】 【山折 圭介】 [状態]:健康、精神疲労(中)、八柳哉太への複雑な感情 [道具]:木刀、懐中電灯、ダネルMGL(5/6)+予備弾6発、サバイバルナイフ [方針] 基本.VHを解決して光を取り戻す 1.女王を探す(方法は分からない) 2.正気を保った人間を殺す。 3.湯川邸へと向かいそこにいる特殊部隊を排除する。 4.知り合いを殺す覚悟を決めなければ。 ※異能によって操った光ゾンビを引き連れています ※学校には日野珠と湯川諒吾、上月みかげのゾンビがいると思い込んでいます。 【犬山 うさぎ】 [状態]:馬上。動揺、蛇再召喚不可(早朝時間帯限定) [道具]:ヘルメット、御守、ロシア製のマカノフ(残弾なし) [方針] 基本.家族と合流したい&少しでも多くの人を助けたい 1.南にいると言う八柳哉太を探して鈴菜と和幸を助けに戻る 078.研究所探訪 投下順で読む 080.風雲急を告げる 時系列順で読む 朝が来る 山折 圭介 Zombie Corps 逃げ出すよりも進むことを 犬山 うさぎ 風雲急を告げる
https://w.atwiki.jp/gspink/pages/249.html
喫茶店シリーズ#5 -#1 -#2 -#3 -#4 『『喫茶店の人々』 #5 倉院の里にほど近い駅に、男女の団体が降り立った。 ぞろぞろと改札を出るとそこに、この里でよく知られた倉院流霊媒道の装束の女性が待っている。 「いらっしゃい!みんな」 綾里家の、和室をふすまで二つに仕切れるようになった大きな部屋へ荷物を置いて、一向はワイワイと周囲を見てまわった。 「あ、霧緒さん。あの向こうに見えるのがそうじゃないですか?」 渡り廊下に出たみぬきが、遠くに見える、木の壁で囲われた施設を指さした。 「あんなところに、温泉が?」 「温泉を引いたプールなんだって。観光対策で作ったって真宵さんが言ってました。霧緒さん、水着持ってきました?」 真宵が、喫茶店のマスターと常連客を倉院の里に招待したとき、「各自水着持参でね」と言ったのは、新しくできた倉院のレジャー施設にある「温泉を使った温水プール」のためだった。 最初は滝にでも打たれるのかと思ったことは口に出さず、成歩堂はみぬきに露出の少ないスカートつきの水着を買ってやった。 こんなのこどもっぽい、と不満そうなみぬきの苦情は、断固として受け付けなかった。 「楽しみだな、みぬきの水着」 牙琉響也が腰に手を当ててみぬきの大きなカバンを覗き込み、御剣と王泥喜がすばやく成歩堂を後ろからはがいじめにして止める。 「おちついてください、成歩堂さんっ」 「むうう、離すんだ、王泥喜くん、御剣っ」 「見苦しいぞ成歩堂!」 それを見て笑いながら、霧緒が冥の隣に膝を突いて小声で言った。 「私、新しいの買っちゃいました。うふふ」 冥は穏やかに、笑顔でそれに応えた。 茜が自分の荷物を抱えてきて、そこからショップの袋に入ったままの水着を引っ張り出す。 「私も買いましたよ、ほらほらっ」 まだタグのついたそれは、オレンジ色の三角ビキニ。 成歩堂を背中から押さえつけたまま、王泥喜がその生地の小ささに思わずぶっと噴出した。 女性たちが盛り上がる中、久々に仕事を離れた男たちは、思い思いにくつろぎ始める。 自然に御剣の視線が霧緒を追い、成歩堂の視線が冥を追い、冥は庭に面した廊下へ出た。 なにげなさそうに、マスターが立って来て冥の隣で外を眺める。 「アンタは、来ないのかと思ったぜ」 ひとり言のように言って、空を見上げた。 「心配しなくても、こんなところでみっともないマネはしないわ」 冥は緑の多い土地の空気を、大きく吸い込む。 「いいのか?」 言葉はそっけないが、その口調にいたわりと優しさがあった。 「・・・狩魔は、ジャマなプライドも捨てられないのよ」 そう言ったその横顔に浮かぶ、かすかな微笑。 ・・・コイツは、なにかを後悔しながら生きるような女じゃないんだな。 部屋の中で女たちの笑い声が上がった。 マスターはつられたように後ろを見たが、冥は振り返らなかった。 唇をぎゅっと結んで庭をにらみつけ、風に乱される髪を押さえる。 その左手首には、マスターの知る限り常にそこにあった、プラチナの細いブレスレットがなかった。 ふいに、横顔が泣くまいとしている子供のように見えた。 マスターはそっと欄干を離れ、冥の背中に言った。 「強くなりな、ご令嬢。・・・もっと」 「温泉プールもいいけど、まずちゃんと温度の高い温泉に浸かりたいッスね、御剣検事」 部屋の中で大きな体をごろんと畳に転がして、糸鋸刑事が手足を伸ばした。 「おい、ジャマだ刑事。そんなとこにいたら踏みつけちまうぜ」 部屋の中に戻ってきて糸鋸につまづいたマスターが、軽くその脚を蹴った。 「うう、相変わらずひどいッス、昔と変わらねえッス・・・」 王泥喜は、その言葉にひっかかった。 「あれ、イトノコさん、マスターと知り合いだったんですか?」 畳の上で足を伸ばしている男たちと、それぞれの水着やリゾートファッションを披露している女たちが、いっせいに手を止めて王泥喜を見た。 「・・・え?あれ?」 突き刺さるいくつもの視線に、王泥喜が前髪を垂らした。 「クックッ、おもしれえ」 マスターが、知らん振りを決め込んだ成歩堂の横にあぐらをかいて座った。 「この坊ちゃんは、何にもしらねえで、よくあんな胡散臭い店に通ってくれるよな」 誰も何も言わなかった。 王泥喜が、えっと、とつぶやき、茜が腰を浮かせた時、廊下に面したふすまが勢いよく開いた。 「みんな、広間にお昼ご飯の用意できたよ」 倉院流霊媒道家元が元気な声をかける。 それから、部屋の中を見回して、自分の後ろに立っている春美と顔を見合わせる。 「ん?どうしたの?あ、食後のコーヒーは神乃木さんが淹れてくれるんだよね?」 「ああ、かまわねえぜ。とびきり美味い豆を持ってきたからな」 気軽にマスターが引き受け、みんながぞろぞろと真宵の後について廊下に出る。 残された王泥喜の背中を、茜がぽんと叩いた。 「神乃木荘龍。マスターの本名だよ。聞いたことくらいあるでしょ?」 真宵と春美が用意してくれた、山の幸満載の昼食の後で、一行は腹ごなしに春美に里を案内してもらい、それからレジャー施設の温泉プールへ行こうということになった。 全員の水着やタオルの入った荷物を背負って、糸鋸が元気に先頭に立つ。 みぬきと春美が、糸鋸の両腕にぶら下がるようにして歩くのを見送って、マスターは渡り廊下から里を眺めた。 「神乃木さん、行かなかったんだ」 後ろから、真宵が声をかけた。 欄干にもたれていた神乃木が、肩越しに振り返る。 「里は見たいが、あの集団はどうもな。それに、温泉プールもこの体にはちとキツイぜ」 「じゃあ、里は、後であたしが案内してあげるよ。昔、お姉ちゃんが山ブドウを取ろうとして落ちた池とかね」 神乃木が、口元だけで笑った。 「千尋は、ここで育ったんだな」 「・・・うん」 「前に来たときは、こんなにゆっくり眺めてるヒマもなかった」 あの事件の時に。 真宵は隣に並んで欄干に肘をついて、両手で顎を支える。 すっかり、家元の衣装がなじんでいる。 「神乃木さんは、まだ定期的に病院へ?」 「ああ。おかげでかろうじて生きている」 晩秋の風が、真宵と神乃木の髪を揺らした。 「本当は、もうこの体で長く生きる必要はねえと思っていたんだがな」 「・・・」 「あんな連中と、こんな風に賑やかに過ごすことになるなんざ、予想もしなかった」 ふふ、と真宵が笑う。 「考えたら、すっごいメンバーだもんね」 マスクの奥の不自由な目で何を見ようとしているのか、頭を上げて遠くへ顔を向ける。 風に乗って、静かな里に響き渡る歓声がかすかに聞こえてくる。 「あーあ、大騒ぎだね。はみちゃん、ちゃんと案内できてるかなぁ」 それから手を伸ばして、神乃木が腕を置いている欄干の傷を指でおさえる。 「これ。あたしと遊んでて、お姉ちゃんがつけた傷」 神乃木は、愛しそうにその古い傷を撫でた。 「子供の頃からお転婆だったんだな、千尋は」 「・・・元気だったら、今頃神乃木さんと一緒に喫茶店やってるかな。それとも弁護士続けてるかな」 神乃木は欄干の傷を、ぐっと握り締めた。 「・・・オレは。今は、もう少しこの体を持たせたいと思ってる。もう少し、アイツらを見ていたい」 「神乃木さん」 「その方が・・・、そう遠くなくアイツに会った時、面白い話がしてやれるんじゃねえかと思うのさ」 神乃木は、成歩堂の中に千尋が生きていると言ったことがある。 でも、神乃木の中にも、千尋は生きているのだ。 真宵は、ほんの少し嫉妬に近い感情を覚えた。 「神乃木さん」 「ん?」 「お姉ちゃん・・・、呼ぼうか?」 「・・・」 神乃木が、真宵をじっと見下ろす。 「ほら、あたしこれでも霊媒師だし、家元だし。もちろん、霊媒料も取らないからね」 おどけた言い方ながら、真剣な目で真宵は神乃木を見つめた。 見つめ返す目は見えないが、神乃木の動揺は伝わってくる。 「・・・いや」 長い間沈黙してから、神乃木は低く言った。 「オレはまだ、アイツに話せるようなことはなにもしてねえ」 ―――あなたはこの先の人生を、後悔するためだけに生きるつもりか。 御剣の言葉が、よみがえる。 真宵は、神乃木から離れた。 「ここ、夕方には冷えてくるからね」 神乃木を残して、廊下を引き返す。 温泉プールでは、みんなが大騒ぎをしているだろうか。 御剣検事なんか、鼻まで温水に浸かって動かないんじゃないかな。 なるほどくんは、冥さんの水着姿に鼻血出してなきゃいいけど。 それに、イトノコさんが暴れたら、温水なんか全部なくなっちゃうかも。 いいなあ、あたしだって皆と遊びたいよ。 少し不自由な立場になった家元は、それでも自分を探す修行中の霊媒師の声に返事をして、足を速めた。 里を歩き回ってプールで散々騒いで、温泉に浸かった後は夕食で飲んで食べてすっかり満足した一行は、ふすまで仕切った部屋に男女で別れて布団を敷いた。 水着に続いてパジャマで大騒ぎする女性たちに、男性たちはそれを見ながら部屋に持ち込んだ缶ビールを空けてゆく。 夜が更けて、さすがに全員が寝静まった頃、神乃木はそっと寝床を抜け出した。 秋とはいえ、大勢が一室で寝ている空気が暑い。 ゴウゴウといびきをかいて眠っている糸鋸をまたぎ、ふすまを開けてそっと外の廊下へ出る。 風の冷たさが心地よかった。 千尋がつけた傷のある欄干を手で探りながら歩く。 廊下の先に、ぼんやりと灯りが見えた。 なにげなく、足をそこへ向ける。 小さな灯りは細く開いたふすまから洩れており、中に人がいた。 思わず、手をかけて開ける。 かたん、という音が深夜の静寂を破った。 ゆっくり振り返る、霊媒師の装束を着た女性。 にっこり、笑う。 限りある視力でもわかるその笑顔を、神乃木は知っている。 「眠れないんですか、センパイ」 喉がひりつくほどに渇いて、声が出ない。 「・・・それ、誰だ?」 彼女はくすっと笑った。 「春美みたい。急に呼び出すんだもの」 「そうかい・・・」 「さっき、真宵と少し話をしたの。みんな、来てくれてるのね」 「ああ・・・」 「明日は、私のお墓参りなんですって?」 「ああ・・・。やっとここへ帰ってこれたぜ」 神乃木が手を伸ばして、髪に触れた。 「私は、向こうにいても良かったのに。センパイ、いつも来てくれるでしょう?」 引き寄せて、抱きとめた。 会うことはできないと言った意地が、溶ける。 「・・・千尋」 腕の中に抱いたのは、まぎれもなく愛した女だった。 言葉が、口をついて出た。 「すまねえ・・・オレはお前を守れなかった」 ただ、それだけを思って生きてきた。 千尋は力をこめて神乃木を抱きしめ返した。 「ごめんなさい。私は、あの時あなたを守ることができなかった」 神乃木の表情に、驚きが広がる。 「後悔してたの。あの時、一緒にいなかったことを。あの子があんなマネをするのを、止められなかった」 お互いに。 お互いの、最大のピンチの時に、そばにいなかった。 「・・・そうだったのか」 神乃木が後悔し続けたのと同じように、千尋も後悔していたのだ。 そっと頬を撫でる。 「不思議なもんだな」 春美の体のはずなのに、形状と意識は千尋。 「私にもよくわからないの。だって、霊媒師の修行はしたけれど、霊媒される方は教えてもらわなかったから」 千尋が少し笑った。 「でも、私が出て行ったら、元通りの春美に戻るはずだから・・・」 神乃木は後ろ手にふすまを閉めた。 小さな燭台の明かりの中で、神乃木は千尋の唇をふさいだ。 長くそうしてから、千尋の耳元でささやく。 「いいのかい・・・」 答えを待たずに、千尋の体を抱きかかえるようにして畳に横たわらせた。 触れた脚も腰も、なつかしさと愛しさがよみがえる。 密着した肌から伝わる温もりが、すでに失われたものなのだと思うと、神乃木はただ強く千尋を抱きしめることしかできなかった。 手の中に抱くことでよりいっそう、失いたくなかった、守りたかったという思いが強く自分を責める。 後悔だけが、神乃木を満たす。 「・・・泣いてるんですか」 痛いほど抱きすくめられていた千尋が、腕の中で体を震わせる神乃木に言った。 「いやですね、泣きたいのは私ですよ。なんせ、死んじゃったんだから」 「千尋、オレは」 「後悔、しないでくださいね」 「・・・」 千尋が神乃木の言葉を唇でさえぎった。 「それ、全部私にください。センパイの後悔」 神乃木の背に回した腕に、力をこめて千尋は言った。 「だから、できるだけ、できるだけでいいからそばにいてください。あの子たちの、そばに」 「・・・」 「私のできなかったこと、お願いします」 「・・・」 「それで、できなくなったら。その時は私に、あの子たちの事、話してください。ね?」 「・・・」 「やだ、まさか忘れたんですか、男が泣くのは」 神乃木は親指で千尋の唇を押さえた。 「そうだ。まだ終わっちゃいねえ・・・」 うなじに手を回して、指で押し広げた唇に舌を差し入れるように口付ける。 千尋の舌がそれに応え、むさぼるように求めた。 果てしなく続くかと思えるほどの長いキスの後に、神乃木は千尋の装束の帯を解いた。 時間が、急速にさかのぼる感覚。 神乃木は千尋の耳に舌を差し入れ、首筋や背中に跡を残さないように、柔らかく唇を這わせる。 ぎこちない動きが次第になめらかになり、触れるか触れないかの危うさで乳房をなぞった。 その質量と柔らかさを確かめるように手の中に収める。 「ん・・・」 千尋の腕が神乃木を抱いた。 失われた時間をとりもどすかのように、千尋は神乃木を、神乃木は千尋を求めた。 千尋が上になると、神乃木の胸に腹に腕に口付け、撫でる。 しなやかな指が湿った唇が、皮膚を撫でる感覚が神乃木の体の奥に火をつけた。 自分の上の千尋の腰を掴み、そのまま感触を楽しみながら上へ手を滑らせる。 吸い付くような肌のなめらかさは、記憶のままだった。 豊満な尻をなぞった手を、花弁に差し入れる。 「・・・っ」 千尋が一瞬震え、神乃木のまだ残る理性がその先をためらわせた。 潤んだそこに、それ以上なにかすることへの罪悪感。 今の千尋の肉体に対する、不安感。 神乃木が手を引いたのを感じて、千尋は下の方に頭を下げた。 柔らかくて生暖かい粘膜に包まれて、神乃木は低くうめいた。 体中の血流が集まるかのような快感に、股間に伏せた千尋の頭をつかむ。 指の間に髪をからめると、ほどかれた毛先が太ももをくすぐる。 だんだんと卑猥な水音を立てながら、千尋は神乃木を愛撫した。 壊れ物のような体に負担をかけないように。 「ク・・・」 技巧的に優れているとはいえないその愛撫にも、次第に熱がこもる。 千尋の口に余るようになったそれが、息を詰まらせた。 「んは・・・っ」 唾液と体液でぬめったそれを口から離す。 神乃木が体を起こして千尋を組み伏せた。 やや乱れた息遣いで、片脚に手をかけて開かせる。 「大丈夫・・・?」 神乃木の体を気遣うように言う千尋の言葉は、神乃木の唇でふさがれた。 「・・・男は上だ、コネコちゃん。そいつがオレのルールだぜ」 やおら両脚を肩に担ぎ上げ、目の前に開いたその場所に口付けた。 「・・・あ」 舌が縦に何度も往復すると、千尋の唇から切なげな声が洩れた。 「はあ・・・、あ、あ、んっ」 わざと大きく立てるぺちゃぺちゃという音とその声で、神乃木の最後の理性は落ちた。 差し入れた指は程よいきつさで締められる。 充血してふくらんだ花の芯に触れると、千尋の体は弓なりに反る。 その突起を舌先で押したりこねたりすると、焦れたように千尋が腰を波打たせた。 執拗に加えられる刺激から、逃れようとするかのように。 すでにすっかりあふれている蜜壷をを強く吸い上げると、悲鳴のような短い声が上がった。 「ああっ、もう・・・」 それでも執拗に舐め上げ、つつき、吸い続けると、千尋は両手で畳を叩くように身をよじる。 「や・・・っ、あ、あっ」 神乃木の両手で押さえつけられた脚ががくがくと震えた。 がっくりと力の抜けた腰から離れて、神乃木はいきり立った彼自身をそこに当てた。 「ん・・・っ」 愛する人を受け入れた喜びが、千尋を満たした。 愛する人に受け入れられた喜びが、神乃木を満たす。 始め緩やかに、だんだんと速さと強さを増す律動が、二人を上り詰めさせる。 神乃木が眉根を寄せて息を乱す。 千尋が腕を伸ばしてその首を抱いた。 「あ、あ、あああっ」 千尋が体を反らし、びくりと震える。 神乃木が喉の奥でくぐもったような声を発して、体を引いた。。 千尋は体力を使い果たしたように突っ伏す神乃木の背に、優しく触れた。 「・・・情けねえな」 顔を背ける神乃木の耳元に、くすくすと笑いながら千尋は囁く。 「私・・・死んじゃうかと思いました」 二呼吸分の時間、神乃木は考えた。 「・・・すごいことを言うようになったな、千尋」 体をひねって腕を開き、千尋を抱く。 いつまでこうしていられるのか、それを聞くのは怖かった。 「オレが近いうち、そっちに行ったら・・・」 聞き取れるかどうかといった声で、神乃木が言う。 「間違いなくお前のところへ行けるように、迎えに来てくれねえか」 「センパイ?」 「もしそっちでこの目が役に立たなかったら、会えねえかもしれねえだろうさ」 「・・・」 「それだけが、心配でな」 千尋が、ぎゅっと神乃木を抱きしめた。 「ダメですよ。まだ来ちゃだめ。まだまだ、あの子たちはあなたを必要としているもの」 その言葉に、神乃木は意外さを感じた。 ただ生きているだけになりそうだった自分の毎日に、彼らが与えてくれた生き甲斐。 誰かが尋ねてきて、闇色の飲み物で笑顔を見せる。 それを楽しみにできる、日々。 「必要?オレを?」 千尋の手が神乃木の頬に触れ、温かみが伝わる。 「そうですよ。センパイの喫茶店がなければ、あの子たちどこで息抜きするんですか。どこで、あんな嬉しそうな顔して、あんな楽しそうにはしゃぐんですか」 「・・・千尋」 「私は待てるから。急がなくても、あなたを待てるから」 神乃木は、それ以上語る言葉を見出せなかった。 「センパイ。まだ」 「ああ。・・・泣いちゃいねえ」 そう言う唇に、千尋のそれが押し付けられた。 翌朝、一行は真宵の案内で、墓参りへ出かけた。 それぞれが、さまざまな思いで綾里家の墓に手を合わせた。 最後まで墓前で手を合わせていた成歩堂が顔を上げると、横に真宵がいた。 「ありがとう、なるほどくん」 成歩堂は、墓石を見つめる。 「千尋さんは、僕のことを怒ってるね。きっと」 今の姿を、千尋になんと説明してよいか。 真宵は、言葉の代わりに成歩堂の背中をバシンと叩いた。 「いいんだよ、なるほどくんはなるほどくんだから」 「・・・」 「いいんだよ。なるほどくん」 成歩堂は、少しうつむいた。 「ありがとう、真宵ちゃん」 綾里家の墓に背を向けて、成歩堂と真宵はみんなの後について歩き出す。 「なるほどくん」 「ん?」 「もし、この先、なるほどくんが子育てに追われてお嫁さんをもらい損ねて、みぬきちゃんがお嫁に行って、寂しい老後を迎えたらさ」 「なんだよ、それ」 成歩堂が笑う。 真宵は、真剣だった。 「そしたらさ、老後はこっちへおいでよ。なるほどくんの一人や二人、面倒見てあげられるよ」 「・・・」 「ね、そうしなよ」 顔を上げると、みんなの後姿が見えた。 まっすぐに背を伸ばして歩く、冥の背中も。 「ありがとう。真宵ちゃん」 真宵が、ほっとしたように笑った。 荷物をまとめて、一行は綾里家を後にして駅へ向かった。 もっとゆっくりできるといいのにね、と真宵は言ったが、今回このメンバーが同時に休みを取るのもかなり難しかった。 みぬきと別れを惜しんでメアドを交換する春美に、昨日と変わった様子はみえない。 神乃木はやや複雑な思いで、それを見つめていた。 「あーあ、明日からまた現実が戻ってくるんだ」 思い切り腕を伸ばして、先頭を歩く王泥喜がぼやき、 「仕事のないヒマな現実が?」 と、隣で茜が茶化す。 その後ろを、響也と並んで歩きながら、みぬきが口をとがらせた。 「みぬき、もう少しここにいたいなあ、ねえパパ?」 「そうだねえ」 なにげなく、みぬきと響也の間に割り込んで、成歩堂が父親の顔で笑った。 「成歩堂さんはともかく、みぬきちゃんは学校もステージもありますから」 のんきな成歩堂親子を、しっかり者のマネージャー、霧緒がたしなめる。 「ボクも、もっと休みが欲しいんですけどね」 と言う響也の苦情を、背後から御剣が言葉でひねりつぶした。 「検事局はいつでも人手不足だ。キミに回したい案件が私のデスクに山積みになっている」 後輩をやりこめた御剣は、あえて霧緒と距離をとり、歩調をゆるめて後ろを歩いている冥に並ぶ。 冥は御剣が言葉をかける前に、斜め前にを歩く糸鋸に追いつくようにすっと御剣から離れた。 今はまだ、御剣に優しくされたくなかった。 人の荷物まで持てるだけ持って歩く糸鋸に並ぶと、封筒に入ったお土産代を渡す。 「駅の売店で、忘れずに買うのよ」 「検事局にお土産ッスか?狩魔検事も気のきくところがあるッスね」 「あいかわらず、バカのバカげた発想ね。検事局がいつそんなのんびりした職場になったの。 あなたが刑事課に配るお土産に決まってるじゃない。裁判長の分もよ」 「か、狩魔検事・・・!」 「あっはは、よかったねーイトノコさん!イトノコさんのお給料じゃ、マコちゃんのお土産しか買えないもんね!」 送りがてら付いて来た真宵が、感動している糸鋸の大きな背中を叩いた。 一番最後を歩きながら、神乃木はその様子を眺めている。 それぞれが、前へ歩いていく後姿を、眺めている。 あの子たちの、そばにいてくださいね。 千尋の声がする。 あの子たちは、あなたを必要としているもの。 神乃木は、空を見上げた。 この目が空の青を知覚できることを、幸せだと思った。 「・・・マスター!」 風に乗って、神乃木を呼ぶ声がする。 駅に着いたあの子たちが、遅れた神乃木を呼んでいる。 神乃木はもう一度だけ里を振り返ると、唇の片端を持ち上げてかすかな笑みを作り、足を速めた。 これまでの、そしてこの先の人生を、後悔しないために。 完
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/376.html
Gu-L part58-497-499,503~512 497 :Gu-L:2011/09/17(土) 21 52 32.22 ID 9Naax3lR0 未解決にあったGu-Lいきます。 死亡パターンも入れときます。でも回想は多いんではぶくよ! 登場人物 赤橋圭介:主人公。根暗っぽい。 七瀬隆也:友達。明るく親切で、手先も器用。最近よく喉が渇く。 朝茅裕太:友達。おしゃべりな奴。やたらと技術力が高い。 前沢智:ムードメーカー。ノリは軽いがバカではない。 冴島アイリーン:アメリカからやってきた。片言だけど優しい子。 鈴木月絵:ヒロイン(?)。主人公がこっそり思いを寄せている。 新島暁子:仕切り屋タイプ。性格はかなりきつい。化粧が濃い。 石原亜美:大人しい子。怒鳴られても暁子にベッタリ。死亡フラグまでべったり。 飯田信彦:不良。まさに不良。戦闘ではとてもお世話になります。 神崎栄次:無口。どうみてもチートです(ry 田中勉:デブ。こいつの死亡だけは不可避。まあどうでもいい。 高校最後の修学旅行。しかし、思いっきり雨に降られていた。 月絵の落としたペンダントを圭介が拾う。どうやら、壊れてしまったようだ。 直せると嘘をつき、圭介はそのペンダントを預かった。 バスの中、友人の隆也に月絵から預かったペンダントを見つけられる。 しかし、隆也は代わりに直してやると言ってくれた。ありがたい。 裕太も入れてゲームの話をしていると、轟音と共に視界が赤と黒で埋め尽くされた。 気が付くと、どことも知れぬ山の中。まわりには、10人しかいない。 けが人も多く、特にアイリの腕の出血が激しい。 止める栄次を無視して、バスに向かう。それは、最早原型を留めていなかった。 何かの焼けるような臭いに嫌悪感を覚え、圭介はその場を立ち去る。 しかし、転がっていた救急箱を見つけ拾い上げた。 ※救急箱を拾った後、アイリに話しかけると治療できます。 ここでちゃんと治療しないと死亡。治療するとアイテムがごっそり減ります。 なお、アイリ以外のキャラも治療できます。必要ではありませんが。 498 :Gu-L:2011/09/17(土) 21 53 40.59 ID 9Naax3lR0 救助を待つ一行。しかし、どれだけ待っても何も変わらない。 隆也の提案で、火を熾すことに。 しかし、突然の雨に火はかき消される。 けが人もいる上に、亜美が寒さで発熱。これ以上はここにいられない。 隆也の提案で、雨を避けられる場所へ移動することにした。 空には、修学旅行先で楽しみにしていた怪奇月蝕が怪しく浮かんでいた。 運よく、古びた洋館を発見した一同。もしかしたら、人がいるかもしれない。 勉が大声で叫ぶと、中から無表情なメイドが出てきた。 「何……用……?」 隆也が怪我人の治療と外部への連絡をお願いすると、メイドはうなずいた。 片言で安住と名乗ったそのメイドは、全員を中に招き入れてくれた。 洋館に入ろうとした圭介は、何かにつまずいてしまった。 しかし、疲れが先に出ていた圭介は、何につまずいたのか気にもしなかった。 (作者曰く「住人の頭蓋骨」とのこと) 洋館の中は、予想以上に広かった。 安住は既に夜であり、嵐も来るため明日まで休むように告げた。連絡も明日すると。 隆也が訊ねると、洋館の主人は不在で、今は安住しかいないという。 暇つぶしにうろうろする圭介の横で、隆也と栄次は嫌なものを感じていた。 ※ここで懐中電灯を手に入れておかないと、月絵を助けることができません。 食堂と思しき扉を見つけ、近づく圭介。 すると、その向こうから聞くに堪えない生々しい音が。 扉が開く気配を感じて身を隠す圭介。すると、安住がそこから出てきた。 安住が暁子と亜美のいる部屋に入ったのを見届けて、圭介は部屋に戻った。 顔色が悪いと気遣う隆也に事情を話そうとしたところで、安住がやってきた。 食事の用意ができたから、食堂に来るようにという。 しかし、先ほどの音が脳裏をよぎり、圭介は憂鬱な気分になった。 食事は豪華なものだった。しかし、圭介はどうにも食べる気になれない。 他の皆が美味しそうに食べているのを見て、気を取り直して手を伸ばす圭介。 しかし、その料理を横から勉が奪い取る。 取り返そうとすると、いきなり勉がもがき苦しみ、死んだ。 どう見ても、毒殺。騒然となる一同。 しばらくしてやってきた安住に、必死で訴える圭介。しかし安住は冷たく吐き捨てた。 「……何故……生きてる。お前が……」 499 :Gu-L:2011/09/17(土) 21 54 53.72 ID 9Naax3lR0 凍りつく一同。すると、奥の扉から説明しようと声がした。 出てきたのは、白衣の男達に付き添われた、車椅子に乗った化け物のような老人。 「初めまして皆さん。私がこの屋敷の主……長田幸三です。どうぞよろしく」 飛びかかろうとした暁子を拳銃で牽制し、長田は説明を始める。 圭介達は被験者であるということ。毒入り料理はただのオープニングであること。 抗議する隆也を見て、何故か長田が動揺する。 しかし、長田はそのまま隆也に発砲。そのまま、隆也は穴に落とされた。 錯乱して暴れる圭介を栄次が取り押さえ、信彦が黙らせる。 威嚇射撃でようやく大人しくなった一同に、長田は説明を続けた。 実験はゲーム形式。プレイヤーは彼ら。ラスボスは長田。ボスを倒せば、クリア。 狂ったように笑う長田は、自分の元に来るよう告げて消えていった。 それと同時に、彼らの背後におぞましい化け物が現れた。 何とかそいつを撃退し、とりあえず食堂を離れることに。 静かな洋館は、今や化け物の巣窟と化していた。とりあえず、手近な一室に逃げ込む。 しかし、暖炉に違和感が、調べてみると、暖炉の裏に隠し扉が。 その向こうには階段が。怪しいが、化け物が迫ってきている。 中に入り、入り口をふさぐ。何とか、安全な場所は確保できた。 一息ついたところで、栄次が武器を探そうと提案した。 拳銃があるのだから、何か武器になるものがあるはずだという。 とりあえず少数で館を探索することに。 暖炉をどかして外に出ると、部屋の外から聞きなれた声がする。 ドアを開けると、そこには隆也が。無事を喜ぶ圭介。隆也の右目は、何故か赤かった。 隆也に事情を説明すると、隆也もついてくるという。 隆也の言動に微妙な違和感を感じながらも、承諾する。 洋館内部の他の部屋は、かつてあったのだろう惨劇の跡がそのまま残されていた。 探索していくと、バッテリーや鍵などの実用品に混じって銃器や弾などが。 途中安住と会うも、掃除中だからとスルーされる。 地下への道を見つけ降りる。そこは、武器庫だった。 武器を持って戻る途中、隆也は忘れ物をしたと言って一人武器庫に戻った。 ※信彦がいる場合、武器を多く持っていかないと信彦が離脱し死亡確定。 ただし、多く持っていくと移動速度が低下します。 どう見ても隆也が(ry 今回はここまで。 次回からは隆也が頑張ります。色々と。 503 :Gu-L:2011/09/18(日) 17 09 31.50 ID +yrlMLLX0 Gu-L続きいきますー。 なお、バッテリーがないと死亡確定なキャラがいるので取り逃しのないように。 隆也が目を開けると、そこは内臓の中のような空間だった。 撃たれた上に落とされたはずなのに、どこも痛くない。 さまよううちに、濁った水をたたえた巨大な水槽を見つける。 その中から、突然怪物が現れる。肉を求めて襲いかかるそいつらを何とか撃退する。 化け物達を避けながら進むうち、喉の渇きを覚える隆也。 装置を動かすと、突然周囲の壁――亜歯奴無が動き出した。 隆也を食べようとする亜歯奴無。すると、どこからか伸びた手が隆也を引っ張った。 呼びかけに隆也が目を開けると、目の前にはウサギがいた。 壁に生えた巨大な口が、エサを取ったとウサギ――ダニエルに怒っている。 藤枝と呼びかけられたその口は、自分はアバドンだと名乗る。哀れむダニエル。 ダニエルに深呼吸させられ、何とか落ち着いた隆也。 次に亜歯奴無に隆也をよく見せ――目がないことに気付いて臭いをかがせる。 思い当たる節があったのか、絶叫する亜歯奴無。 亜歯奴無にしっかり口止めすると、ダニエルは隆也を連れて隠しラボへ案内した。 中には、マトモそうな人間の助手、松田桜子がいた。やっと落ち着いた隆也。 落ち着いた隆也に、ダニエルは事情を話し始めた。 ウサギにしか見えないダニエルは、元々はここの研究員だった。 しかし、長田の実験材料にされ、このような姿になり決別したという。 ダニエル達はここに隠れて長田に歪められた生物達を救うための研究をしているのだ。 そして、ダニエルは入手した監視カメラのデータによって圭介達のことも知っていた。 ついでに一緒に圭介達を助けようと言うダニエル。 制御室に忍び込み、非常用通路を使える状態にすれば脱出できるはずだという。 ただ、防御システムがあり、その解除方法が分からない。 そこで、隆也が調べてくることに。ダニエルも松田も、見つかるわけにはいかないのだ。 喉の渇きを訴えた隆也。ダニエルが止めるより早く、松田が嬉しそうにそれを出した。 「黒ヤツメ松田スペシャル」 真っ青になるダニエルをよそに、隆也はそれを飲みほし美味いと絶賛。喜ぶ松田。 水やジュースでは癒えなかった喉の渇きが、初めて消えた。 ダニエルに武器などを提供してもらい、隆也は動き出した。 504 :Gu-L:2011/09/18(日) 17 10 11.06 ID +yrlMLLX0 制御室に入った途端、研究員に見つかる隆也。 研究員達は、突然異形の怪物となって襲い掛かってきた。 倒した研究員は、隆也の目の前で溶けて消えた。 彼らの残したパスコードを使って防御システムを解除しようとするが、開かない。 他のところを探そうとする隆也。その胸を、後ろから放たれた弾丸が貫いた。 研究員が一人、隠れていたのだ。 隆也がふと我にかえると、その研究員は肉塊になっていた。血まみれの右手。 そして、やけにまぶしくなった照明。右目を閉じると、普通に戻った。 やりにくいので、何故か血まみれの医務室で眼帯を見つけ右目を塞ぐことにした。 塞がった傷。溶ける死体。嫌な予感を覚えながらも、とりあえず戻ることに。 ※信彦が離脱していると、ここで爆破現場が見られます。 突然の揺れに、休んでいた一同は驚いた。裕太が言うには、武器庫が爆破されたとのこと。 実は裕太は、武器庫に盗聴器を仕掛けてあったのだ。 武器庫を爆破したのは、隆也。 錯乱する暁子。死にたくないとばかりに武器を持って一人で外に出る。 止めに行く圭介に、亜美も一緒に行くと言い出した。 部屋を出ようとした圭介は、ドアの向こうから聞こえて来る声に凍りついた。 無邪気に呼びかける隆也の声。次第に本性を現し、隆也はドアを蹴り破る。 現れた隆也は、右腕がない。一歩進むと、ぼとりと、心臓が落ちた。 何故だと問いかける圭介に、隆也は応えた。 「僕は、グールだから」 流石にここまで来て気付かないほど、圭介達も鈍くない。 これは、隆也ではない。本人もそれを認めた。 隆也をうらやみ、隆也の大事なものを奪ってやりたいといい立ち去る偽者。 呆然とする圭介を、亜美が引っ張る。今は、暁子の方が先だ。 玄関ホールで何とか暁子に追いつく。 しかし、暁子は聞く耳を持たない。玄関に鍵などかかっていなかったのだ。 出て行こうとする暁子を何とか止める。 ※ここで選択を間違えると暁子は外に出てしまい死亡。 ついに自分の意見を言った亜美に、圭介も暁子も驚く。 亜美の必死の説得に、暁子は渋々戻ることに同意した。 裕太と暁子が何とか和解し、圭介達は隆也の偽者について話した。 グール。東洋の伝承にある悪鬼。それと何の関係があるのだろう。 どちらにしても、彼は確実に隆也と関係があるのだ。 と、どこからともなく長田の声がした。言い忘れたことがあるというのだ。 玄関の鍵をかけ忘れたが、外に出ればペット達の餌食になるだろうという忠告だった。 ※暁子が外に出ていると、ここで亜美が拳銃で自殺。 もう一度探索のために、一部のメンバーが洋館を探索する。 血まみれの部屋で、ロッカーに詰められた死体を発見。死体は、鍵を握っていた。 505 :Gu-L:2011/09/18(日) 17 11 38.38 ID +yrlMLLX0 隆也は、夢を見ていた。 隆の母親の着ていたものと同じ着物を、ダニエル経由で取り寄せていた安住。 そんな彼女に、ダニエルはついでにと母親が作っていた手毬2つも渡す。 別れの時は必ず来る。そう告げながら。 安住は、隆の世話を事細かに焼いていた。しかしそれは、主の方針とは反するものだった。 それでも、安住は隆に心を持ってもらいたかった。彼を助けたかった。 そんな安住に、主は一つの頼みごとをする。 Gu-L第一号となった安住の想い人、秋山。その後を継いで第二号となってもらいたいと。 隆也が目を覚ますと、そこはダニエルの秘密ラボだった。 ラボの前で倒れていたという。また、右目にも異常が見られる。 事情を話す隆也。ダニエルも原因が分からず首をかしげる。 それよりも、パスコードが先だ。解読を始める3人。 松田が解読に成功し、隆也は解除に向かうことに。 無事に解除に成功、入った制御室は真っ暗だった。 とりあえず歩いてみるが、何かに引っかかる。 うっとうしい眼帯を外すと、景色がはっきりと見えた。 中に居た研究員を、素手で引き裂き殺した隆也。 自分が人間ではないかもしれないことを自覚する隆也。喉が、ひどく渇く。 目の前の血溜りに口をつける。なぜか、美味しく感じた。 ふと後ろを振り向くと、そこには自分がいた。 何も知らない隆也に、隆は冷たく言い放つ。 そのうち人の肉しか食べられなくなるのだから、友達には会わない方がいいと。 隆は、隆也の双子の兄なのだ。 父親に、仕事がうまくいけば全員で暮らせるようになると言われていた隆。 しかし、隆は早く母に会いたかった。友達と遊びたかった。 ずっと我慢をしつづけていた隆は、弟と入れ替われるチャンスを逃したくなかった。 とっさに殴った隆也の拳は、隆の目を潰す。しかし、隆の目はすぐに元通りになった。 自分のことを思い出し、ぞっとする隆也。 仲良くケンカをしたい隆は、そのまま隆也に殴りかかってきた。 ケンカをしながらも、隆は隆也に自分の夢を語った。 「普通の暮らし」をしてみたい。でも、父を一人にすることはできない。 隆也の友達とも遊んでくると言い残し立ち去る隆。 引きとめようとする隆也だったが、傷が深く動けない。 痛む体に鞭打ち、防御システムを解除しダニエルの元に戻ることにした。 今回はここまで。 信彦と裕太の死亡フラグ回避って分かりにくいよね。 506 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 03 00.18 ID R9PnRTkD0 Gu-L続きいきますー。 というかもう最後までいきますー。 ダニエルは、松田に思い出話をしていた。 安住はもともと秋山の養女であること。 彼らは研究員仲間の秋山のために、何も知らない安住に嘘をつきつづけたこと。 秋山が、研究に嫌気がさしてプロジェクトを抜けるといってきたこと。 そして、それっきり秋山が帰ってこなかったこと。 秋山がGu-L実験に使われたことを知ったのは、ずっと後のことだった。 安住は秋山が消えたことで研究に気付き、被験体にされた。 そして長田は、ダニエルと藤枝にも疑惑の目を向けた。 食事に薬が混ざっていることに気付いたダニエルは辛うじて自我を保てたが……。 難を逃れたダニエルは、自分を追ってやって来た松田と共に隠し部屋に潜んだ。 ダニエルは、この事態を終わらせなければならない。 注意書きの書かれた扉の向こうは、血飛沫が飛んでいる以外は普通の部屋だった。 夢に出てきたのと、同じ部屋だ。 鮮やかな着物。手作りの手毬。その1つを、隆也は持ち出した。 ※毬を持っていかないとトゥルーエンドに行けません。 隆に会ったことを告げられたダニエルは、隆也に真相を告げた。 隆は、死産だった。だから隆也の母は、隆がこうしていることを知らないのだ。 長田は、自身の延命のために遺伝子を改造していた。 その遺伝子を受け継いだ息子の死体を使うことで、理想的なGu-Lを完成させた。 そしてその遺伝子は、隆也にも受け継がれている。 ダニエルから真相を語られた隆也は、まずは長田をどうにかするのが先決だと言った。 しかし、もし隆が友人を傷つけるのなら―― 通路は通れるようにしたが、上に乗っている何かのため下からは上がれない。 出来ることは全てした。上にいる圭介達を信じて、隆也は待つことにした。 507 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 03 32.44 ID R9PnRTkD0 安住の部屋は、血まみれだった。血で錆びた大斧にドン引きする圭介。 しかし、安住の過去の姿を日記から垣間見ることができた。 長田の部屋のドアをこじ開け押し入る。重要な資料があるとみて、一度全員を呼んだ。 政府が世界に追いつくために立ち上げたプロジェクト「AtoZ」。 Gu-Lは、その中でも特に有力視されている研究だという。 長田は、細胞に微弱な電波を与えることで体の一部分を作れるということを発見した。 まずはマウスで。次に、人間で。実験は次々に進んだ。 しかし、長田の体はどんどん電波によって歪んでいった。 Gu-Lを完成させるため、屋敷を売って人を呼び、更に研究を続ける。 そして、長田はついに隆の遺体に手を出した。 狂気に満ちた日記にぞっとする一同。しかし、長田の居場所は分からない。 と、裕太が日記に挟まっている紙とCDを発見した。 どうやら、電算室で使うらしい。栄次に道を教えてもらい、電算室に向かうことに。 すると、月絵が自分も行きたいと言い出した。続いて裕太と智も。 仕方ないので連れて行くことに。 しかし、真っ暗な電算室の廊下を前に智の心が折れる。彼女は、暗所恐怖症だったのだ。 最初の隠し部屋では化け物への恐怖が勝って入ることが出来たが、今回は無理だった。 仕方が無いので、裕太に残ってもらうことに。少し不満そうだが、裕太はうなずいた。 ふと、圭介は懐中電灯を持っていることを思い出した。 ※懐中電灯をつけた場合 廊下を歩いていると、背後に隆が現れる。怯える月絵を、圭介は背後にかばった。 隆也の兄だと名乗る隆に、二人は動揺する。 隆の目的は、友達を作りたいということ。しかし、そんなものは受け入れられない。 月絵を守ると宣言した圭介。ふと、隆の脳裏に安住の言葉がよみがえる。 悲しげな目で月絵を見つめ、隆は去っていった。 ※懐中電灯を持っていない、もしくはつけなかった場合 暗闇を走る途中、背後から月絵の悲鳴がした。呼びかけるが、返事はない。 ただ、背中をつかんでいた手の力が強くなり、震えていた。 さらに走っていると、不意に明かりがついた。 振り返ると、そこに月絵の姿はなく。ただ、腕だけが転がっていた。 その向こうで、隆が死んでしまった月絵をつまらなさそうに眺め、去っていった。 やはり危険だということで、智と裕太も呼ぶことに。 しかし、月絵の腕のケガを見て裕太が怒りをあらわにする。 (月絵が死んでいるとさらに怒ります) 実は裕太も、こっそり月絵に想いを寄せていたのだ。 裕太は怒り、どこかへ走り去っていった。智が後を追いかける。 慌てて月絵と圭介も後を追いかけた。 508 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 04 09.06 ID R9PnRTkD0 智の落としたストラップをたどり追いかける。 広い部屋の中央、島のように残された僅かな足場の上で、智は動けずに居た。 助けようとする圭介の前に、隆が現れる。しかし、戦うつもりはないらしい。 そして、隆は智を助ける方法を圭介に教えた。 12個の台座に水晶を正しく配置すれば、智を助けられるという。しかし、間違えば―― 隆は智を助けたいが、頭の中の声が邪魔をして助けられないという。 水晶のありかを圭介に教え、隆は立ち去った。 ※水晶配置に失敗すると智は串刺しになって死亡。 水晶を置くと、智のいる足場に届く道ができた。しかし、足が震えて歩けない智。 支えようと手を伸ばすが、圭介は智ごと落ちてしまった。 幸い高さは無かったが、背後――智のいた島のあたりに、針の山が。 もしあそこから落ちていれば……。 戻れないので、地下通路を先に進む。すると、死体を発見した。 と、死体が動いた。しかも喋った。 まだ理性を残している彼だったが、もう口と左腕しか動かない。 彼は、拳銃を渡して欲しいと頼んできた。 ※渡しても渡さなくてもおk。ちなみに彼は秋山です。 圭介は、念のため1発しか弾の入っていない銃を渡した。 男は感謝し、礼としてポケットの中の鍵を取るように言った。 教えられた道を進むと、背後で銃声がした。 圭介のポケットで、圏外のはずの携帯がなった。裕太だ。 どこにいるのか訊ねるが、裕太は応えない。 ※ここで選択をミスる、もしくはバッテリーを持っていないと裕太は死亡。 何とか廊下の突き当たりにいることを聞き出した圭介。 和解しかけたところで、突然電話の向こうで銃声が。 慌てる圭介の携帯電話は、さらにバッテリーが切れそうだ。 もしここで裕太とのつながりを失ってしまったら―― 509 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 04 36.19 ID +yrlMLLX0 ※死亡確定の場合 廊下に血の跡が。それは中庭を通り、頑丈な鉄扉の向こうに続いていた。 そこは拷問部屋だった。中央の棘だらけの椅子に、裕太は座らされていた。 血まみれで息絶えた裕太を見るが、圭介は泣くことすらできなかった。 ※死亡回避の場合 慌てて廊下に向かうと、隆と裕太が向かい合っていた。 裕太は、出会い頭に隆に発砲し反撃されていたのだ。 なぜ嫌うのか。そう問いかける隆に、圭介は怒りのままに銃を向けた。 「お前が化け物だからだ!」 理解してもらえない悲しみに、頭の中の父の声は皆殺しにしろと囁く。 邪魔な声。でも聞かなければならない。隆は、その声に従った。 圭介に撃退され、悲しげに消える隆。 裕太は、圭介に先ほどのことを謝った。とりあえず、一度戻ることに。 今までのことを皆に報告する圭介。体勢を立て直し、再び電算室へ。 しかし、栄次は調べたいことがあるからと残ることを宣言。 ※アイリに死亡フラグがある場合、アイリも戦闘に参加しません。 隆は、父に頭の中の声を取り除いて欲しいと言った。 友達が欲しいのに、友達を殺せと囁く邪魔な声。 父は安住への恨み言を吐いた後、声を止めてやるから好きなだけ遊べと答えた。 あの子猫と同じように。 電算室の天井からは、何故か血がしたたり落ちていた。 天井を見上げると、そこには血まみれの隆が。 ぞっとする圭介に、隆は無邪気に遊ぼうと呼びかけてきた。 ちっとも痛そうにせず、残念そうに消える隆。 電算室のPCをいじっていると、今度は栄次から電話がかかった。 長田の部屋にあった装置を使って、屋敷内なら通話できるようにしたのだ。 圭介がパソコンをいじったことを伝えると、栄次は早く戻るように告げた。 長田の部屋に戻ると、壁に穴が開いていた。隠し通路があったのだ。 どうやら長田は、徹底的にラスボスを演じたいらしい。 栄次の言動に疑問を抱く圭介。しかし、栄次はそれをスルーする。 どちらにしろ、いかなければならない。 梯子を降り、先に進む。すると隆が現れ、早く父の元に行くよう告げる。 隆也はどうなっているのだろう。とにかく、先に進むしかない。 ※アイリ死亡フラグがある場合、隆がアイリを水路に突き落とします。アイリ死亡。 ただし、冒頭のケガがもとで感染症を引き起こしていたのでどのみち助かりませんでしたが。 510 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 05 08.18 ID /epzXcpx0 長田の部屋を掃除していた安住は、見知らぬ男を見つけた。 「もう……俺の事も分からない……か?」 安住はしばらく立ち止まるが、不意に頭痛をおぼえてうずくまる。 人口脳が、外れかかっていたのだ。 不意に自我を取り戻した安住。目の前にいたのは、南澤だ。 フレイムの力を使って姿を変え、ここにきていたのだ。 人口脳は外れたが、今までの記憶は安住の中に残っていた。 愕然とする安住を抱きしめる南澤。彼は、ずっと安住のことを愛していたのだ。 しかし、安住は自分自身を赦すことができなかった。 窓を開けて飛び出した安住を、南澤はただ見送ることしかできなかった。 降りた先にあった扉の向こうから、懐かしい声がする。 身構える圭介だったが、出てきたのは本物の隆也だった。 隆也に案内され、圭介達は遅れてきた栄次と共にダニエルのラボに向かった。 挨拶してきたアバドンに、圭介達は硬直する。説明を放棄する隆也。 そしてダニエルの姿にさらに硬直する圭介達。まあ、仕方ない。 ダニエルは、圭介達にパスカードを渡した。 これさえあれば、いつでも長田のところにいけるという。 今まで渡さなかったのは、隆也一人で行かせるわけにはいかなかったからだ。 長田の居場所と共に、ダニエルはパスカードを圭介に渡した。 しかし、パスカードは一度しか使えない。つまり、一度行けば戻って来られない。 行くべき時は自分で決めろ。ダニエルはそう皆に言った。 ※トゥルーエンドにいくためには、ここで残留思念を集める必要があります。 パスカードを使い、赤外線を抜ける。 と、そこで隆也がダニエルと松田のことを思い出した。 しかし、後には戻れない。先に進むことに。 と、途中のドアから血まみれの研究員が這い出てきた。 その研究員を追って飛び出した影は、研究員だけでは飽き足らず圭介達に向かってきた。 何とかしりぞけ、さらに奥へと進む。 511 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 05 43.33 ID +yrlMLLX0 奥にいたのは、おぞましい姿の怪物だった。それは、長田の声で挨拶をしてきた。 Gu-L計画は最終段階に入ったと狂気をはらんだ声で告げる長田。 隆の行方を尋ねる隆也に、長田はあっさりと答えた。 無限にエネルギーを生産する道具として、自分に組み込んだと。 動作実験として、長田は圭介達に襲い掛かってきた。 全員の猛攻に、長田はたじろぐ。しかし、死なない。 そこで、栄次がエネルギー源である隆を長田から切り離すことを提案。 ためらいは残るものの、隆を引きずり出すことに。すると、隆が目を覚ました。 やりたい事がある。そう言った隆の体が姿を変えていく。 「だからもう……もう皆死んでよ!!!!!!!!!」 バッドエンド:全員死亡 隆を切り離されたことにより、長田は体を保てなくなった。 しかし、長田もしぶとくプラズマとなって体から離脱した。 そんな時にダニエル乱入。ついに、長田にとどめを刺しに来たのだ。 ダニエルの指示で松田がかけた黒ヤツメ松田スペシャルトレビアン。 隆也の喉の渇きが癒えたことをヒントに、グールワクチンとして改良したのだ。 体を取り戻させられた長田。ついに、息絶えた。 ほっとしたところで、突如研究室が燃え出す。慌てて一行は逃げ出した。 途中、ふと隆也が足を止める。 「……ゴメン……俺、やっぱり行けないや」 そう呟いた隆也の胸を、まだ生きていた隆の手が貫いた。 皆、死んでしまった。助けられなかった。 どうでもよくなってしまった圭介は、こめかみに銃を当てた。 一人脱出した栄次。Gu-Lの終了を、報告した。 ノーマルエンド:トゥルー条件を満たしていない (隆也死亡まではBADと同じ展開) 衝撃で立ちすくんだ圭介は、栄次に引きずられて脱出させられた。 その後、生還者達は救助された。彼らは、この事件のことを口にしないことを誓った。 512 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 06 41.21 ID /epzXcpx0 トゥルーエンド:全員生存、必要アイテム所持 必死に戦い、隆はついに倒れた。しかし、やっぱり死なない。 自分の体を再生するために隆を呼び戻す長田。呼びかけに、隆は反応しなかった。 隆の目の前には、かつて見た安住の微笑みがあった。 安住の言葉の意味をようやく理解したのだ。 バイバイと言い残し、隆は自分自身と共に長田を消し飛ばした。 しかし、長田もしぶとくプラズマとなって体から離脱した。 そんな時にダニエル乱入。ついに、長田にとどめを刺しに来たのだ。 ダニエルの指示で松田がかけた黒ヤツメ松田スペシャルトレビアン。 隆也の喉の渇きが癒えたことをヒントに、グールワクチンとして改良したのだ。 体を取り戻させられた長田。ついに、息絶えた。 ほっとしたところで、突如研究室が燃え出す。慌てて一行は逃げ出した。 途中、ふと隆也が足を止める。圭介が呼びかけ、再び走り出した。 長田の死体を前に、南澤は静かに佇んでいた。 ここだけは、南澤の能力でもすぐには燃やしきれなかったのだ。 南澤はGu-Lのデータ、並びに長田博士を消去したことを報告する。 また、死者を炎として纏いその人物になりすます幻影焔も上手くいった。 Flameの実験は、成功だ。 バス事故を仕組んでまで作戦を仕組んだ甲斐があったと喜ぶ研究者達。 しかし、南澤は後悔していた。携帯を床に叩きつけ、どこかへ去っていった。 そして、全てが燃え落ちた。 海の見える崖の上、圭介達はただ海を眺めていた。 たった一晩しかいなかったのに、何日も過ぎたような気分だった。 生きてみよう。そう決意した隆也の目に、通りかかった船が映った。 無事に生還できた彼らだったが、圭介はAtoZのことが忘れられなかった。 ダニエルと松田も、同じように空を見上げていた。 黒ヤツメの威力はすさまじく、ウサギだったダニエルを人間に戻していた。 AtoZがどうなるか、この国がどうなるか。 それは、圭介達次第だ。 レポーターが、淡々とニュースを告げる。 栄次が、死体で発見されたという。手首を切ったことによる自殺だという。 死亡推定時間は、修学旅行の2日前。 以上です。 ボイスと誤字さえどうにかすれば面白いゲームです。是非DLしてみてください。
https://w.atwiki.jp/twvoice/pages/105.html
「ワンタの言葉」 「ワンタの言葉」一作目・二作目・三作目 「ワンタの言葉」四作目 「ワンタの言葉」一作目・二作目・三作目 2008年3月 「ワンタの言葉」 シナリオ 坂之上・聖 一作目 佐倉純一役 月形・双慧 浅野深幸役 朧夜・綺羅 宮内圭介役 如月・ハルヒ 二作目 佐倉純一役 珠水・真耀 浅野深幸役 彩・清花 宮内圭介役 月形・双慧 三作目 佐倉純一役 霧島・屠龍 浅野深幸役 風桜・忍 宮内圭介役 坂之上・聖 「ワンタの言葉」四作目 2009年12月 「ワンタの言葉」 シナリオ 坂之上・聖 四作目 編集 坂之上・聖 佐倉純一役 夕暮・刻夜 浅野深幸役 セレナーデ・ヘカテ 宮内圭介役 八神・真夜 新☆ぼいすどらま同好会
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3205.html
お兄ちゃんと呼ばないで 「やっほー。お邪魔するよー勉強教えてくれ」 「嫌だ」 要求を一言で拒否すると、ええ、と背後で大袈裟な声が上がった。 それでもそいつは出て行こうとはしないで、駆け寄ってきて俺の首にしがみつく。重い。 ノートに数式を書き付ける手を止めて、渋々俺は振り返った。 毎朝懸命に撫で付けている焦げ茶色の癖っ毛、愛嬌のある顔。亡母譲りで真っ黒けな硬い髪と、父親譲りで強面気味な俺とは全く違う。 「あのな、けーすけ。お前がテスト前ってことは俺もテスト前なの。人の面倒見てる暇ないんだよ」 「そう言わずにさー、頼むよおにーちゃん」 「おにーちゃん言うな、気色悪い」 「ひっでー。そういうこと言っちゃう?」 「言う。俺は憚らず言うね」 こんにゃろう、と圭介が俺の首に圧力をかける。 たまらず椅子から転げ落ちて、俺は圭介の腹に手をつく。ぐえ、と呻くのは完全に自業自得だ。 俺は椅子に戻りながら、本当にじゃれあう兄弟みたいになっているな、と溜息をついた。 俺の家は母親が居なくて、圭介の家は父親が居なくて、俺達は鍵っ子のご近所同士、昔から仲は良かった。 俺は三月生まれ、圭介は四月生まれ、学年は違えど殆ど年の変わらない友達同士、だった。 父親の再婚を知らされたのは俺が高校二年の時で、俺を追っかけるように同じ高校に入ってきた圭介が一年生の時で。多分互いの子供が高校生になるまでは、と待っていたんだろうと察した記憶がある。 ――なー、俺とお前が兄弟だって。笑えるよなー。 最初、圭介はけらけらと、少し照れくさそうに笑っていた。 それから段々、ふざけ半分に、俺をお兄ちゃん、と呼ぶようになった。 本当は兄弟が欲しかったんだって。 俺を兄みたいに思っていたって。 俺はそんな風には、ずっと思えないでいたのに。 「……ぶーたれんな。しょうがねえな、どこだよ。見せろよ」 「やったね! さっすがお兄ちゃん」 お前がお兄ちゃん、って呼ぶ度に、ふざけ混じりな声が少しずつ自然になっていく。 少しずつ、俺達は『兄弟』になっていく。 それに焦りを感じながら、俺は兄貴みたいに義弟を甘やかす。だって、そうすると圭介が喜ぶから。 「テスト終わったら何かお礼する。何かよーきゅーはありますかね」 「んー……」 俺は圭介の教科書に目を落としながら、考える振りをした。 ――お兄ちゃんって呼ぶなよ。 ――昔みたいに、下の名前で呼び捨てろよ。 そんな言葉を飲み込んで、俺はありふれた言葉を吐き出す。 「学食奢れ」 「あ、やっぱり? 来月の小遣い入ってからで、いい?」 無邪気に笑う圭介の顔は、昔とちっとも変わらない。複雑な気持ちでそれを見遣って、いいよ、と俺は呟いた。 寂しがりや
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8091.html
前ページ次ページ悪魔の虹 ――ハルケギニアから打って変わり、地球。ニューギニア 虹の谷の洞窟にて 「おい、誰が発見しようと公平に山分けだぜ?」 ウィスキーのボトルを呷りながらサングラスを掛けた男、小野寺は二人の男達を振り向いて言う。 「今さらそんな、水臭い事いうなや。ねぇ」 「ああ」 関西弁で喋る川尻が答え、三人の中で一番若い平田圭介も同意する。 はるばる日本からニューギニアまでやってきた彼らは、ある目的を持ってこの洞窟を訪れていた。 平田圭介の兄は戦時中、この洞窟で卵大の大きさをしたオパールを発見し、捕虜収容所に入れられる寸前にまたここに隠していたのだ。 20年経った今、何とかして密輸をしようとしたのだが、彼はその時に足を負傷していたせいもあって代わりに弟の圭介、友人の川尻、小野寺を現地へ向かわせてそのオパールを回収しようとしていたのである。 彼によれば、そのオパールは捨て値でも2億円はすると言う。そして、既に中国の宝石ブローカーとも売買の約束をしているため、何としてでも日本に持ち帰らなければならない。 万が一、そのオパールが誰かに先を越されて見つからなくても探せば他にも宝石はあるかもしれない。 とにかく、手ぶらでは帰れないのだ。 「この辺らしいぞ」 兄から渡されたメモを参照しつつ、洞窟の奥へと進んでいった平田圭介は記された地点まで来た所で立ち止まった。 〝入口から15メートル。突き当たって右〟そうメモには記されている。 「おい、小野寺。手ぇ貸せや」 小さな水溜りがある付近の岩を動かしつつ、川尻が言う。 小野寺はボトルをしまい、同じく岩を動かしている圭介の方を手伝った。 「おっ……なんじゃこれ。骸骨やないか」 「こんなもんで驚いてどうすんだよ?」 「気持ち悪いなぁ……」 川尻が岩を動かすと、その下には古い白骨があった。小野寺は驚く彼の姿に軽く吹きだした。 ちなみに今回の密輸計画に当たって、彼らは船員の川尻が乗り込んでいる貨物船〝あわじ丸〟に乗り込んでやってきている。 本来、船員ではない圭介と小野寺だが、事前に川尻が船員手帳を偽造しているため、問題は無い。 そして、あわじ丸は現在このニューギニア近辺の島々の港を回っており、三人はニューギニアの港へ来た際に無断で脱船してここへ来ている。半月後にまたニューギニアの港へ戻って日本へ向かうので、それまでに戻らなければならない。 半月もの間、脱船していた理由に関しては小野寺の提案で、〝戦時中に亡くなった戦友の遺骨を回収する〟という名目にしてある。 その後も三人は必死に重い岩を動かし、目的のオパールを探し求めていた。 全身に汗を流しつつも、隅々まで岩を動かしていく三人。 その時、大きな岩をどかした川尻が土の下に奇妙な布に包まれた物を見つけた。 もしや……と思い、彼はそれを手にして厳重に包まれた布を剥いでいく。 ――しかし、全て剥ぎ取ってみても……。 「……なんじゃ、こりゃ」 「あ? どうした? 見つかったか?」 川尻が声を上げるのを聞いて、小野寺が振り返る。 「からっぽや……」 残念そうに呟き、川尻は何も入っていない布の包みを投げ捨てた。 恐らく、この中にオパールが入っていたのだろう。しかし、包みの中は既に空だった。 つまり、誰かにもう先を越されてしまったという事だ。 本来、この洞窟は近辺が原住民すら近づけない密林であるため、大丈夫だろうと踏んでいたのだが……。 「……大博打が外れちまったか」 小野寺は舌を打った。 しかし、発見から20年も経過しているのだからこの事も予想はできたはずだ。そもそも、この計画自体が一種の大博打なのだから。 「……兄貴も残念がるだろうなぁ」 圭介もこのような結果を心底、悔しく思っていた。彼がこの計画に参加したのは、元々航空士として大空を飛び回る夢があり、独立して小さな観光飛行機会社を設立するための元手を集めるためだったのだ。 そのため、ライセンスを得てすぐに勤めていた航空会社も辞めたというのに……。 「――!! ……か、川尻さん……!」 「何や?」 唐突に顔を青ざめ、圭介はおののく。川尻はその様子を見て、怪訝そうにしていた。 気付くと、小野寺もサングラスを外して険しい顔で川尻の足元近くに視線をやっている。 「……しっ。……そのまま」 圭介が腰に携えている登山用の大型ナイフを抜き、屈んだまま静かに川尻に歩み寄る。 川尻は二人の視線が気になり、足元へ自らの視線をやる。 「……!! ひっ……!」 「動かないで……!!」 びくりと驚こうとした川尻を圭介が制止し、ナイフの刃先を川尻の右膝にそっと当て―― 一気に右膝に付いていた異物を剥がし、地面へ投げ捨てる。 川尻は腰を抜かしたままその異物から慌てて離れていた。 その異物が、銃声と共に地面の上で撃ち抜かれた。 小野寺が携えていた小型リボルバーが向けられ、銃口から硝煙を棚引かせていた。 地面の上では、今の銃弾によって貫かれた一匹のサソリの死骸があった。 この洞窟には、兄によると毒サソリがいるという。刺されればカバでさえ五分と耐えられない猛毒を持つそうだ。 「し……心臓に悪いわ……」 すっかり気力を無くし、へたりこむ川尻。 「命があっただけでも、拾い物だぜ?」 リボルバーを収めながら、小野寺は言う。 その後、三人はオパールが発見できなかった代わりを探して洞窟内をくまなく散策していた。 何度か、毒サソリを見つけては小野寺の銃や圭介のナイフで仕留められていく。 「ひい、ふう、みい……こんな物か。……こいつを代わりに持って帰るか」 「せやな。一応、これだけでも儲け物やで」 結果、洞窟内の数箇所から小さなダイヤモンドが十数個見つかった。 目的のオパールを手に入れる事はできなかったが、このダイヤだけでもそれなりに売れるはずだ。 小野寺と川尻は嬉しそうだったが、圭介は険しい顔だった。 「しかし……一体、どこの誰がオパールを持っていったんだろう?」 圭介はふと、疑問に思った。あのオパールが隠されていた場所は誰かが手をつけた様子が無い。わざわざ元の状態に、しかも包みだけ戻しておくなんて変だ。 「さあな。だが、既に持ってかれちまったたんだから……今さら悔やんでも仕方がないぜ? それより、当面の目的は果たしたんだ。さっさとずらかろうぜ?」 「せやで。ほら、行こうや」 小野寺と川尻に促され、圭介はまだ懐疑的に思いながらも荷物をまとめ、二人と一緒に洞窟を後にしていた。 「大阪に帰ったらな。ワシはマンション買うて、国から女房子供呼んで一緒に暮らすんや。船乗りなんかやってられるかい」 洞窟を出て、川尻は自分が見つけたダイヤモンドをしまいながらえびす顔で揚々と語っていた。 小野寺もボトルのウイスキーを呷りながら、未だ手にするダイヤモンドを弄ぶ。 「お前の夢も実現するやないか。もっと喜べや」 「え? うん……」 川尻に肩を叩かれ、耽っていた圭介も自分が見つけたダイヤモンドを手にしながら反応した。 その後、日本へと帰国する途中、小野寺がマラリアと水虫を患ってしまい、あわじ丸の船室で寝込んでしまったが、三人は何とか無事に日本へと帰国する事に成功した。 神戸港で宝石ブローカーと共に待っていた圭介の兄は目的のオパールが手に入れられなくて残念がっていたが、代わりに持ち帰ったダイヤモンドが捨て値の数倍もの額で売れた事に満足していたようだった。 「あのオパール……本当に誰が持っていったんだろう」 仲間達が喜び、兄の家で計画成功の祝杯を挙げる中、圭介は未だにオパールの事が気になって仕方が無かった。 「どうした、圭介? お前の夢も叶うんだ。もっと喜べよ」 「あ……ああ……。ありがとう、兄さん」 兄がコップに注いでくれたビールを一気に飲み干しつつも、圭介はやはり気になっていた。 一体、誰があそこから持ち去ったのだろうかと。 彼らは知る由も無いだろう。 その目的の物が、もはや地球上のどこにも存在しないという事実に。 前ページ次ページ悪魔の虹
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/107.html
【マスター】 御剣怜侍@逆転裁判シリーズ 【参加方法】 殺人事件の現場に落ちていた、証拠品と思しき人形を糸鋸刑事が持って来た所、それがシャブティだった。 【マスターとしての願い】 聖杯戦争の真実と、その裏にいるであろう巨悪を暴く。 【weapon】 【能力・技能】 検事として優れた頭脳と推理力を誇る。が、身体能力については、特筆するべき所はない。 【人物背景】 優れた検事である狩魔豪に師事した、若干20歳と言う年齢で検事になった天才検事。 検事となって以降は一度も無罪判決を出した事がなく、間違いなく天才の誉れが高かった検事。 彼が初めて敗北を喫したのは、小学校時代の親友である成歩堂龍一と争った時である。 父親に、当時は高名な弁護士であった御剣信を持ち、ある時期まで父のような弁護士を目指そうと決意していた事があったが、 9歳の時に経験したDL6号事件と言う事件を切欠に父親を亡くし、それ以降、犯罪者と弁護士を憎むようになる。 DL6号事件での挫折から、嘗てのような正義感を失っていた御剣だったが、親友の成歩堂と出会い、彼と裁判上で争った事で心境に変化が見られ、 実際に殺人事件の被告人に御剣がなってしまい、成歩堂が彼の弁護を引き受けた結果、完全に心境が変わる。 以降は検事について深く考える為に検事業から身を引き、1年後に復帰。ある時期まで海外研修を行っていたが、友人の矢張から成歩堂の事故を聞き、緊急帰国。 彼の代わりに特別弁護を行い、事件解決後は、再びアメリカに戻り、1か月の研修を行うのだった。 今回の御剣は、逆転検事2の第5話と逆転裁判4において成歩堂が法曹の世界にいられなくなった事件が起こる間の時期からの参戦である。 【方針】 検事業を続けながら、他の参加者を探してみるか。
https://w.atwiki.jp/orirowaz/pages/207.html
【名前】日野 珠(ひの たま) 【性別】女子 【年齢】14 【職業】中学生 【外見】ショーカット、スパッツにスカート、動きやすさを重視した服を好んでいる 【性格】好奇心旺盛、人懐っこく物おじしない性格、男女の隔てがまるでない 【異能】 『ワクワクの導く先へ(フェイトマイロード)』 イベントの発生が視覚的に分かる能力。ドロップアイテムなども発見可能。 重要なイベント程、強い光になって視覚化される。いわば運命の可視化である。 【詳細】 好奇心の塊のような火の玉ガール。行動力の化身。 日野 光の妹で、その彼氏であり彼女にとっても幼馴染である山折 圭介には妹分として可愛がられている。 最近転校してきた堀北 孝司、天原 創にも興味津々だったが堀北 孝司に近づくと川中 蔭子に睨まれるためその矛先は主に天原に向かっている。 エージェントである天原からすれば常に絡んでくる彼女は少し厄介な存在となっているが、中学生男子としての天原は嬉しそうである。 常に新しものを求めており探検が趣味。 暇さえあれば人気のない山中やら森の中を木の棒を片手に一人探索している。 その探索中にうっかり地下研究所の入り口を見つけてしまったことがある。 扉は固く閉ざされており入れなかったため、本人はそのことを忘れている。 + 執筆用人称情報 一人称 私 To 天原 創 創くん スヴィア・リーデンベルグ スヴィア先生 先生 上月 みかげ みか姉 山折圭介 圭介兄ぃ 日野 光 お姉ちゃん 光姉 熊田 清子 清子ちゃん 父親 お父さん 母親 お母さん 朝顔 茜 茜さん 氷月 海衣 海衣ちゃん 君 氷月さん 海衣さん 与田 四郎 与田先生 与田さん 田中 花子 花子さん 碓氷 誠吾 碓氷先生 愛野 満子 愛野さん 神楽 春姫 春ちゃん クマカイ 最悪なヤツ From 山折 圭介 珠 あいつ 気喪杉 禿夫 珠っち 天原 創 日野さん 珠さん スヴィア・リーデンベルグ 日野くん キミ 上月 みかげ 珠ちゃん あなた 八柳 哉太 珠ちゃん 朝顔 茜 珠ちゃん 氷月 海衣 珠ちゃん 薩摩 圭介 お前 与田 四郎 日野さん 田中 花子 珠ちゃん アナタ あなた 浅葱 碧 珠ちゃん 哀野 雪菜 珠さん 黒木 真珠 ホースのガキ 碓氷 誠吾 日野 日野 珠 日野の小娘 日野の 小娘 日野 光 珠 隠山 祈 キミ あなた 女王様 貴女 乃木平 天 日野珠さん 神楽 うさぎ あの子 真田・H・宗太郎 彼女 終里 元 日野と言う娘 ※(HE-028-Z) 一人称 私 To 山折 圭介 あなた 君 神楽 うさぎ 君 幼神 お前 あの亡霊 日野 光 日野光 彼女 アルシェル あの魔王 浅葱 碧 彼女 神楽 春姫 君 神楽春姫 独眼熊 彼 隠山 祈 君 厄災 お姉さん 大田原 源一郎 私の戦鬼 彼 君 天宝寺 アニカ 君 天宝寺アニカ 9時の酉 彼女 From 山折 圭介 女王 お前 神楽 うさぎ 貴女 あなた 女王様 女王 神楽 春姫 そなた 隠山 祈 あなた 天原 創 天原創君 彼 大田原 源一郎 女王 梁木 百乃介 女王
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1623.html
Gu-L part58-497-499,503~512 497 :Gu-L:2011/09/17(土) 21 52 32.22 ID 9Naax3lR0 未解決にあったGu-Lいきます。 死亡パターンも入れときます。でも回想は多いんではぶくよ! 登場人物 赤橋圭介:主人公。根暗っぽい。 七瀬隆也:友達。明るく親切で、手先も器用。最近よく喉が渇く。 朝茅裕太:友達。おしゃべりな奴。やたらと技術力が高い。 前沢智:ムードメーカー。ノリは軽いがバカではない。 冴島アイリーン:アメリカからやってきた。片言だけど優しい子。 鈴木月絵:ヒロイン(?)。主人公がこっそり思いを寄せている。 新島暁子:仕切り屋タイプ。性格はかなりきつい。化粧が濃い。 石原亜美:大人しい子。怒鳴られても暁子にベッタリ。死亡フラグまでべったり。 飯田信彦:不良。まさに不良。戦闘ではとてもお世話になります。 神崎栄次:無口。どうみてもチートです(ry 田中勉:デブ。こいつの死亡だけは不可避。まあどうでもいい。 高校最後の修学旅行。しかし、思いっきり雨に降られていた。 月絵の落としたペンダントを圭介が拾う。どうやら、壊れてしまったようだ。 直せると嘘をつき、圭介はそのペンダントを預かった。 バスの中、友人の隆也に月絵から預かったペンダントを見つけられる。 しかし、隆也は代わりに直してやると言ってくれた。ありがたい。 裕太も入れてゲームの話をしていると、轟音と共に視界が赤と黒で埋め尽くされた。 気が付くと、どことも知れぬ山の中。まわりには、10人しかいない。 けが人も多く、特にアイリの腕の出血が激しい。 止める栄次を無視して、バスに向かう。それは、最早原型を留めていなかった。 何かの焼けるような臭いに嫌悪感を覚え、圭介はその場を立ち去る。 しかし、転がっていた救急箱を見つけ拾い上げた。 ※救急箱を拾った後、アイリに話しかけると治療できます。 ここでちゃんと治療しないと死亡。治療するとアイテムがごっそり減ります。 なお、アイリ以外のキャラも治療できます。必要ではありませんが。 498 :Gu-L:2011/09/17(土) 21 53 40.59 ID 9Naax3lR0 救助を待つ一行。しかし、どれだけ待っても何も変わらない。 隆也の提案で、火を熾すことに。 しかし、突然の雨に火はかき消される。 けが人もいる上に、亜美が寒さで発熱。これ以上はここにいられない。 隆也の提案で、雨を避けられる場所へ移動することにした。 空には、修学旅行先で楽しみにしていた怪奇月蝕が怪しく浮かんでいた。 運よく、古びた洋館を発見した一同。もしかしたら、人がいるかもしれない。 勉が大声で叫ぶと、中から無表情なメイドが出てきた。 「何……用……?」 隆也が怪我人の治療と外部への連絡をお願いすると、メイドはうなずいた。 片言で安住と名乗ったそのメイドは、全員を中に招き入れてくれた。 洋館に入ろうとした圭介は、何かにつまずいてしまった。 しかし、疲れが先に出ていた圭介は、何につまずいたのか気にもしなかった。 (作者曰く「住人の頭蓋骨」とのこと) 洋館の中は、予想以上に広かった。 安住は既に夜であり、嵐も来るため明日まで休むように告げた。連絡も明日すると。 隆也が訊ねると、洋館の主人は不在で、今は安住しかいないという。 暇つぶしにうろうろする圭介の横で、隆也と栄次は嫌なものを感じていた。 ※ここで懐中電灯を手に入れておかないと、月絵を助けることができません。 食堂と思しき扉を見つけ、近づく圭介。 すると、その向こうから聞くに堪えない生々しい音が。 扉が開く気配を感じて身を隠す圭介。すると、安住がそこから出てきた。 安住が暁子と亜美のいる部屋に入ったのを見届けて、圭介は部屋に戻った。 顔色が悪いと気遣う隆也に事情を話そうとしたところで、安住がやってきた。 食事の用意ができたから、食堂に来るようにという。 しかし、先ほどの音が脳裏をよぎり、圭介は憂鬱な気分になった。 食事は豪華なものだった。しかし、圭介はどうにも食べる気になれない。 他の皆が美味しそうに食べているのを見て、気を取り直して手を伸ばす圭介。 しかし、その料理を横から勉が奪い取る。 取り返そうとすると、いきなり勉がもがき苦しみ、死んだ。 どう見ても、毒殺。騒然となる一同。 しばらくしてやってきた安住に、必死で訴える圭介。しかし安住は冷たく吐き捨てた。 「……何故……生きてる。お前が……」 499 :Gu-L:2011/09/17(土) 21 54 53.72 ID 9Naax3lR0 凍りつく一同。すると、奥の扉から説明しようと声がした。 出てきたのは、白衣の男達に付き添われた、車椅子に乗った化け物のような老人。 「初めまして皆さん。私がこの屋敷の主……長田幸三です。どうぞよろしく」 飛びかかろうとした暁子を拳銃で牽制し、長田は説明を始める。 圭介達は被験者であるということ。毒入り料理はただのオープニングであること。 抗議する隆也を見て、何故か長田が動揺する。 しかし、長田はそのまま隆也に発砲。そのまま、隆也は穴に落とされた。 錯乱して暴れる圭介を栄次が取り押さえ、信彦が黙らせる。 威嚇射撃でようやく大人しくなった一同に、長田は説明を続けた。 実験はゲーム形式。プレイヤーは彼ら。ラスボスは長田。ボスを倒せば、クリア。 狂ったように笑う長田は、自分の元に来るよう告げて消えていった。 それと同時に、彼らの背後におぞましい化け物が現れた。 何とかそいつを撃退し、とりあえず食堂を離れることに。 静かな洋館は、今や化け物の巣窟と化していた。とりあえず、手近な一室に逃げ込む。 しかし、暖炉に違和感が、調べてみると、暖炉の裏に隠し扉が。 その向こうには階段が。怪しいが、化け物が迫ってきている。 中に入り、入り口をふさぐ。何とか、安全な場所は確保できた。 一息ついたところで、栄次が武器を探そうと提案した。 拳銃があるのだから、何か武器になるものがあるはずだという。 とりあえず少数で館を探索することに。 暖炉をどかして外に出ると、部屋の外から聞きなれた声がする。 ドアを開けると、そこには隆也が。無事を喜ぶ圭介。隆也の右目は、何故か赤かった。 隆也に事情を説明すると、隆也もついてくるという。 隆也の言動に微妙な違和感を感じながらも、承諾する。 洋館内部の他の部屋は、かつてあったのだろう惨劇の跡がそのまま残されていた。 探索していくと、バッテリーや鍵などの実用品に混じって銃器や弾などが。 途中安住と会うも、掃除中だからとスルーされる。 地下への道を見つけ降りる。そこは、武器庫だった。 武器を持って戻る途中、隆也は忘れ物をしたと言って一人武器庫に戻った。 ※信彦がいる場合、武器を多く持っていかないと信彦が離脱し死亡確定。 ただし、多く持っていくと移動速度が低下します。 どう見ても隆也が(ry 今回はここまで。 次回からは隆也が頑張ります。色々と。 503 :Gu-L:2011/09/18(日) 17 09 31.50 ID +yrlMLLX0 Gu-L続きいきますー。 なお、バッテリーがないと死亡確定なキャラがいるので取り逃しのないように。 隆也が目を開けると、そこは内臓の中のような空間だった。 撃たれた上に落とされたはずなのに、どこも痛くない。 さまよううちに、濁った水をたたえた巨大な水槽を見つける。 その中から、突然怪物が現れる。肉を求めて襲いかかるそいつらを何とか撃退する。 化け物達を避けながら進むうち、喉の渇きを覚える隆也。 装置を動かすと、突然周囲の壁――亜歯奴無が動き出した。 隆也を食べようとする亜歯奴無。すると、どこからか伸びた手が隆也を引っ張った。 呼びかけに隆也が目を開けると、目の前にはウサギがいた。 壁に生えた巨大な口が、エサを取ったとウサギ――ダニエルに怒っている。 藤枝と呼びかけられたその口は、自分はアバドンだと名乗る。哀れむダニエル。 ダニエルに深呼吸させられ、何とか落ち着いた隆也。 次に亜歯奴無に隆也をよく見せ――目がないことに気付いて臭いをかがせる。 思い当たる節があったのか、絶叫する亜歯奴無。 亜歯奴無にしっかり口止めすると、ダニエルは隆也を連れて隠しラボへ案内した。 中には、マトモそうな人間の助手、松田桜子がいた。やっと落ち着いた隆也。 落ち着いた隆也に、ダニエルは事情を話し始めた。 ウサギにしか見えないダニエルは、元々はここの研究員だった。 しかし、長田の実験材料にされ、このような姿になり決別したという。 ダニエル達はここに隠れて長田に歪められた生物達を救うための研究をしているのだ。 そして、ダニエルは入手した監視カメラのデータによって圭介達のことも知っていた。 ついでに一緒に圭介達を助けようと言うダニエル。 制御室に忍び込み、非常用通路を使える状態にすれば脱出できるはずだという。 ただ、防御システムがあり、その解除方法が分からない。 そこで、隆也が調べてくることに。ダニエルも松田も、見つかるわけにはいかないのだ。 喉の渇きを訴えた隆也。ダニエルが止めるより早く、松田が嬉しそうにそれを出した。 「黒ヤツメ松田スペシャル」 真っ青になるダニエルをよそに、隆也はそれを飲みほし美味いと絶賛。喜ぶ松田。 水やジュースでは癒えなかった喉の渇きが、初めて消えた。 ダニエルに武器などを提供してもらい、隆也は動き出した。 504 :Gu-L:2011/09/18(日) 17 10 11.06 ID +yrlMLLX0 制御室に入った途端、研究員に見つかる隆也。 研究員達は、突然異形の怪物となって襲い掛かってきた。 倒した研究員は、隆也の目の前で溶けて消えた。 彼らの残したパスコードを使って防御システムを解除しようとするが、開かない。 他のところを探そうとする隆也。その胸を、後ろから放たれた弾丸が貫いた。 研究員が一人、隠れていたのだ。 隆也がふと我にかえると、その研究員は肉塊になっていた。血まみれの右手。 そして、やけにまぶしくなった照明。右目を閉じると、普通に戻った。 やりにくいので、何故か血まみれの医務室で眼帯を見つけ右目を塞ぐことにした。 塞がった傷。溶ける死体。嫌な予感を覚えながらも、とりあえず戻ることに。 ※信彦が離脱していると、ここで爆破現場が見られます。 突然の揺れに、休んでいた一同は驚いた。裕太が言うには、武器庫が爆破されたとのこと。 実は裕太は、武器庫に盗聴器を仕掛けてあったのだ。 武器庫を爆破したのは、隆也。 錯乱する暁子。死にたくないとばかりに武器を持って一人で外に出る。 止めに行く圭介に、亜美も一緒に行くと言い出した。 部屋を出ようとした圭介は、ドアの向こうから聞こえて来る声に凍りついた。 無邪気に呼びかける隆也の声。次第に本性を現し、隆也はドアを蹴り破る。 現れた隆也は、右腕がない。一歩進むと、ぼとりと、心臓が落ちた。 何故だと問いかける圭介に、隆也は応えた。 「僕は、グールだから」 流石にここまで来て気付かないほど、圭介達も鈍くない。 これは、隆也ではない。本人もそれを認めた。 隆也をうらやみ、隆也の大事なものを奪ってやりたいといい立ち去る偽者。 呆然とする圭介を、亜美が引っ張る。今は、暁子の方が先だ。 玄関ホールで何とか暁子に追いつく。 しかし、暁子は聞く耳を持たない。玄関に鍵などかかっていなかったのだ。 出て行こうとする暁子を何とか止める。 ※ここで選択を間違えると暁子は外に出てしまい死亡。 ついに自分の意見を言った亜美に、圭介も暁子も驚く。 亜美の必死の説得に、暁子は渋々戻ることに同意した。 裕太と暁子が何とか和解し、圭介達は隆也の偽者について話した。 グール。東洋の伝承にある悪鬼。それと何の関係があるのだろう。 どちらにしても、彼は確実に隆也と関係があるのだ。 と、どこからともなく長田の声がした。言い忘れたことがあるというのだ。 玄関の鍵をかけ忘れたが、外に出ればペット達の餌食になるだろうという忠告だった。 ※暁子が外に出ていると、ここで亜美が拳銃で自殺。 もう一度探索のために、一部のメンバーが洋館を探索する。 血まみれの部屋で、ロッカーに詰められた死体を発見。死体は、鍵を握っていた。 505 :Gu-L:2011/09/18(日) 17 11 38.38 ID +yrlMLLX0 隆也は、夢を見ていた。 隆の母親の着ていたものと同じ着物を、ダニエル経由で取り寄せていた安住。 そんな彼女に、ダニエルはついでにと母親が作っていた手毬2つも渡す。 別れの時は必ず来る。そう告げながら。 安住は、隆の世話を事細かに焼いていた。しかしそれは、主の方針とは反するものだった。 それでも、安住は隆に心を持ってもらいたかった。彼を助けたかった。 そんな安住に、主は一つの頼みごとをする。 Gu-L第一号となった安住の想い人、秋山。その後を継いで第二号となってもらいたいと。 隆也が目を覚ますと、そこはダニエルの秘密ラボだった。 ラボの前で倒れていたという。また、右目にも異常が見られる。 事情を話す隆也。ダニエルも原因が分からず首をかしげる。 それよりも、パスコードが先だ。解読を始める3人。 松田が解読に成功し、隆也は解除に向かうことに。 無事に解除に成功、入った制御室は真っ暗だった。 とりあえず歩いてみるが、何かに引っかかる。 うっとうしい眼帯を外すと、景色がはっきりと見えた。 中に居た研究員を、素手で引き裂き殺した隆也。 自分が人間ではないかもしれないことを自覚する隆也。喉が、ひどく渇く。 目の前の血溜りに口をつける。なぜか、美味しく感じた。 ふと後ろを振り向くと、そこには自分がいた。 何も知らない隆也に、隆は冷たく言い放つ。 そのうち人の肉しか食べられなくなるのだから、友達には会わない方がいいと。 隆は、隆也の双子の兄なのだ。 父親に、仕事がうまくいけば全員で暮らせるようになると言われていた隆。 しかし、隆は早く母に会いたかった。友達と遊びたかった。 ずっと我慢をしつづけていた隆は、弟と入れ替われるチャンスを逃したくなかった。 とっさに殴った隆也の拳は、隆の目を潰す。しかし、隆の目はすぐに元通りになった。 自分のことを思い出し、ぞっとする隆也。 仲良くケンカをしたい隆は、そのまま隆也に殴りかかってきた。 ケンカをしながらも、隆は隆也に自分の夢を語った。 「普通の暮らし」をしてみたい。でも、父を一人にすることはできない。 隆也の友達とも遊んでくると言い残し立ち去る隆。 引きとめようとする隆也だったが、傷が深く動けない。 痛む体に鞭打ち、防御システムを解除しダニエルの元に戻ることにした。 今回はここまで。 信彦と裕太の死亡フラグ回避って分かりにくいよね。 506 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 03 00.18 ID R9PnRTkD0 Gu-L続きいきますー。 というかもう最後までいきますー。 ダニエルは、松田に思い出話をしていた。 安住はもともと秋山の養女であること。 彼らは研究員仲間の秋山のために、何も知らない安住に嘘をつきつづけたこと。 秋山が、研究に嫌気がさしてプロジェクトを抜けるといってきたこと。 そして、それっきり秋山が帰ってこなかったこと。 秋山がGu-L実験に使われたことを知ったのは、ずっと後のことだった。 安住は秋山が消えたことで研究に気付き、被験体にされた。 そして長田は、ダニエルと藤枝にも疑惑の目を向けた。 食事に薬が混ざっていることに気付いたダニエルは辛うじて自我を保てたが……。 難を逃れたダニエルは、自分を追ってやって来た松田と共に隠し部屋に潜んだ。 ダニエルは、この事態を終わらせなければならない。 注意書きの書かれた扉の向こうは、血飛沫が飛んでいる以外は普通の部屋だった。 夢に出てきたのと、同じ部屋だ。 鮮やかな着物。手作りの手毬。その1つを、隆也は持ち出した。 ※毬を持っていかないとトゥルーエンドに行けません。 隆に会ったことを告げられたダニエルは、隆也に真相を告げた。 隆は、死産だった。だから隆也の母は、隆がこうしていることを知らないのだ。 長田は、自身の延命のために遺伝子を改造していた。 その遺伝子を受け継いだ息子の死体を使うことで、理想的なGu-Lを完成させた。 そしてその遺伝子は、隆也にも受け継がれている。 ダニエルから真相を語られた隆也は、まずは長田をどうにかするのが先決だと言った。 しかし、もし隆が友人を傷つけるのなら―― 通路は通れるようにしたが、上に乗っている何かのため下からは上がれない。 出来ることは全てした。上にいる圭介達を信じて、隆也は待つことにした。 507 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 03 32.44 ID R9PnRTkD0 安住の部屋は、血まみれだった。血で錆びた大斧にドン引きする圭介。 しかし、安住の過去の姿を日記から垣間見ることができた。 長田の部屋のドアをこじ開け押し入る。重要な資料があるとみて、一度全員を呼んだ。 政府が世界に追いつくために立ち上げたプロジェクト「AtoZ」。 Gu-Lは、その中でも特に有力視されている研究だという。 長田は、細胞に微弱な電波を与えることで体の一部分を作れるということを発見した。 まずはマウスで。次に、人間で。実験は次々に進んだ。 しかし、長田の体はどんどん電波によって歪んでいった。 Gu-Lを完成させるため、屋敷を売って人を呼び、更に研究を続ける。 そして、長田はついに隆の遺体に手を出した。 狂気に満ちた日記にぞっとする一同。しかし、長田の居場所は分からない。 と、裕太が日記に挟まっている紙とCDを発見した。 どうやら、電算室で使うらしい。栄次に道を教えてもらい、電算室に向かうことに。 すると、月絵が自分も行きたいと言い出した。続いて裕太と智も。 仕方ないので連れて行くことに。 しかし、真っ暗な電算室の廊下を前に智の心が折れる。彼女は、暗所恐怖症だったのだ。 最初の隠し部屋では化け物への恐怖が勝って入ることが出来たが、今回は無理だった。 仕方が無いので、裕太に残ってもらうことに。少し不満そうだが、裕太はうなずいた。 ふと、圭介は懐中電灯を持っていることを思い出した。 ※懐中電灯をつけた場合 廊下を歩いていると、背後に隆が現れる。怯える月絵を、圭介は背後にかばった。 隆也の兄だと名乗る隆に、二人は動揺する。 隆の目的は、友達を作りたいということ。しかし、そんなものは受け入れられない。 月絵を守ると宣言した圭介。ふと、隆の脳裏に安住の言葉がよみがえる。 悲しげな目で月絵を見つめ、隆は去っていった。 ※懐中電灯を持っていない、もしくはつけなかった場合 暗闇を走る途中、背後から月絵の悲鳴がした。呼びかけるが、返事はない。 ただ、背中をつかんでいた手の力が強くなり、震えていた。 さらに走っていると、不意に明かりがついた。 振り返ると、そこに月絵の姿はなく。ただ、腕だけが転がっていた。 その向こうで、隆が死んでしまった月絵をつまらなさそうに眺め、去っていった。 やはり危険だということで、智と裕太も呼ぶことに。 しかし、月絵の腕のケガを見て裕太が怒りをあらわにする。 (月絵が死んでいるとさらに怒ります) 実は裕太も、こっそり月絵に想いを寄せていたのだ。 裕太は怒り、どこかへ走り去っていった。智が後を追いかける。 慌てて月絵と圭介も後を追いかけた。 508 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 04 09.06 ID R9PnRTkD0 智の落としたストラップをたどり追いかける。 広い部屋の中央、島のように残された僅かな足場の上で、智は動けずに居た。 助けようとする圭介の前に、隆が現れる。しかし、戦うつもりはないらしい。 そして、隆は智を助ける方法を圭介に教えた。 12個の台座に水晶を正しく配置すれば、智を助けられるという。しかし、間違えば―― 隆は智を助けたいが、頭の中の声が邪魔をして助けられないという。 水晶のありかを圭介に教え、隆は立ち去った。 ※水晶配置に失敗すると智は串刺しになって死亡。 水晶を置くと、智のいる足場に届く道ができた。しかし、足が震えて歩けない智。 支えようと手を伸ばすが、圭介は智ごと落ちてしまった。 幸い高さは無かったが、背後――智のいた島のあたりに、針の山が。 もしあそこから落ちていれば……。 戻れないので、地下通路を先に進む。すると、死体を発見した。 と、死体が動いた。しかも喋った。 まだ理性を残している彼だったが、もう口と左腕しか動かない。 彼は、拳銃を渡して欲しいと頼んできた。 ※渡しても渡さなくてもおk。ちなみに彼は秋山です。 圭介は、念のため1発しか弾の入っていない銃を渡した。 男は感謝し、礼としてポケットの中の鍵を取るように言った。 教えられた道を進むと、背後で銃声がした。 圭介のポケットで、圏外のはずの携帯がなった。裕太だ。 どこにいるのか訊ねるが、裕太は応えない。 ※ここで選択をミスる、もしくはバッテリーを持っていないと裕太は死亡。 何とか廊下の突き当たりにいることを聞き出した圭介。 和解しかけたところで、突然電話の向こうで銃声が。 慌てる圭介の携帯電話は、さらにバッテリーが切れそうだ。 もしここで裕太とのつながりを失ってしまったら―― 509 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 04 36.19 ID +yrlMLLX0 ※死亡確定の場合 廊下に血の跡が。それは中庭を通り、頑丈な鉄扉の向こうに続いていた。 そこは拷問部屋だった。中央の棘だらけの椅子に、裕太は座らされていた。 血まみれで息絶えた裕太を見るが、圭介は泣くことすらできなかった。 ※死亡回避の場合 慌てて廊下に向かうと、隆と裕太が向かい合っていた。 裕太は、出会い頭に隆に発砲し反撃されていたのだ。 なぜ嫌うのか。そう問いかける隆に、圭介は怒りのままに銃を向けた。 「お前が化け物だからだ!」 理解してもらえない悲しみに、頭の中の父の声は皆殺しにしろと囁く。 邪魔な声。でも聞かなければならない。隆は、その声に従った。 圭介に撃退され、悲しげに消える隆。 裕太は、圭介に先ほどのことを謝った。とりあえず、一度戻ることに。 今までのことを皆に報告する圭介。体勢を立て直し、再び電算室へ。 しかし、栄次は調べたいことがあるからと残ることを宣言。 ※アイリに死亡フラグがある場合、アイリも戦闘に参加しません。 隆は、父に頭の中の声を取り除いて欲しいと言った。 友達が欲しいのに、友達を殺せと囁く邪魔な声。 父は安住への恨み言を吐いた後、声を止めてやるから好きなだけ遊べと答えた。 あの子猫と同じように。 電算室の天井からは、何故か血がしたたり落ちていた。 天井を見上げると、そこには血まみれの隆が。 ぞっとする圭介に、隆は無邪気に遊ぼうと呼びかけてきた。 ちっとも痛そうにせず、残念そうに消える隆。 電算室のPCをいじっていると、今度は栄次から電話がかかった。 長田の部屋にあった装置を使って、屋敷内なら通話できるようにしたのだ。 圭介がパソコンをいじったことを伝えると、栄次は早く戻るように告げた。 長田の部屋に戻ると、壁に穴が開いていた。隠し通路があったのだ。 どうやら長田は、徹底的にラスボスを演じたいらしい。 栄次の言動に疑問を抱く圭介。しかし、栄次はそれをスルーする。 どちらにしろ、いかなければならない。 梯子を降り、先に進む。すると隆が現れ、早く父の元に行くよう告げる。 隆也はどうなっているのだろう。とにかく、先に進むしかない。 ※アイリ死亡フラグがある場合、隆がアイリを水路に突き落とします。アイリ死亡。 ただし、冒頭のケガがもとで感染症を引き起こしていたのでどのみち助かりませんでしたが。 510 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 05 08.18 ID /epzXcpx0 長田の部屋を掃除していた安住は、見知らぬ男を見つけた。 「もう……俺の事も分からない……か?」 安住はしばらく立ち止まるが、不意に頭痛をおぼえてうずくまる。 人口脳が、外れかかっていたのだ。 不意に自我を取り戻した安住。目の前にいたのは、南澤だ。 フレイムの力を使って姿を変え、ここにきていたのだ。 人口脳は外れたが、今までの記憶は安住の中に残っていた。 愕然とする安住を抱きしめる南澤。彼は、ずっと安住のことを愛していたのだ。 しかし、安住は自分自身を赦すことができなかった。 窓を開けて飛び出した安住を、南澤はただ見送ることしかできなかった。 降りた先にあった扉の向こうから、懐かしい声がする。 身構える圭介だったが、出てきたのは本物の隆也だった。 隆也に案内され、圭介達は遅れてきた栄次と共にダニエルのラボに向かった。 挨拶してきたアバドンに、圭介達は硬直する。説明を放棄する隆也。 そしてダニエルの姿にさらに硬直する圭介達。まあ、仕方ない。 ダニエルは、圭介達にパスカードを渡した。 これさえあれば、いつでも長田のところにいけるという。 今まで渡さなかったのは、隆也一人で行かせるわけにはいかなかったからだ。 長田の居場所と共に、ダニエルはパスカードを圭介に渡した。 しかし、パスカードは一度しか使えない。つまり、一度行けば戻って来られない。 行くべき時は自分で決めろ。ダニエルはそう皆に言った。 ※トゥルーエンドにいくためには、ここで残留思念を集める必要があります。 パスカードを使い、赤外線を抜ける。 と、そこで隆也がダニエルと松田のことを思い出した。 しかし、後には戻れない。先に進むことに。 と、途中のドアから血まみれの研究員が這い出てきた。 その研究員を追って飛び出した影は、研究員だけでは飽き足らず圭介達に向かってきた。 何とかしりぞけ、さらに奥へと進む。 511 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 05 43.33 ID +yrlMLLX0 奥にいたのは、おぞましい姿の怪物だった。それは、長田の声で挨拶をしてきた。 Gu-L計画は最終段階に入ったと狂気をはらんだ声で告げる長田。 隆の行方を尋ねる隆也に、長田はあっさりと答えた。 無限にエネルギーを生産する道具として、自分に組み込んだと。 動作実験として、長田は圭介達に襲い掛かってきた。 全員の猛攻に、長田はたじろぐ。しかし、死なない。 そこで、栄次がエネルギー源である隆を長田から切り離すことを提案。 ためらいは残るものの、隆を引きずり出すことに。すると、隆が目を覚ました。 やりたい事がある。そう言った隆の体が姿を変えていく。 「だからもう……もう皆死んでよ!!!!!!!!!」 バッドエンド:全員死亡 隆を切り離されたことにより、長田は体を保てなくなった。 しかし、長田もしぶとくプラズマとなって体から離脱した。 そんな時にダニエル乱入。ついに、長田にとどめを刺しに来たのだ。 ダニエルの指示で松田がかけた黒ヤツメ松田スペシャルトレビアン。 隆也の喉の渇きが癒えたことをヒントに、グールワクチンとして改良したのだ。 体を取り戻させられた長田。ついに、息絶えた。 ほっとしたところで、突如研究室が燃え出す。慌てて一行は逃げ出した。 途中、ふと隆也が足を止める。 「……ゴメン……俺、やっぱり行けないや」 そう呟いた隆也の胸を、まだ生きていた隆の手が貫いた。 皆、死んでしまった。助けられなかった。 どうでもよくなってしまった圭介は、こめかみに銃を当てた。 一人脱出した栄次。Gu-Lの終了を、報告した。 ノーマルエンド:トゥルー条件を満たしていない (隆也死亡まではBADと同じ展開) 衝撃で立ちすくんだ圭介は、栄次に引きずられて脱出させられた。 その後、生還者達は救助された。彼らは、この事件のことを口にしないことを誓った。 512 :Gu-L:2011/09/19(月) 00 06 41.21 ID /epzXcpx0 トゥルーエンド:全員生存、必要アイテム所持 必死に戦い、隆はついに倒れた。しかし、やっぱり死なない。 自分の体を再生するために隆を呼び戻す長田。呼びかけに、隆は反応しなかった。 隆の目の前には、かつて見た安住の微笑みがあった。 安住の言葉の意味をようやく理解したのだ。 バイバイと言い残し、隆は自分自身と共に長田を消し飛ばした。 しかし、長田もしぶとくプラズマとなって体から離脱した。 そんな時にダニエル乱入。ついに、長田にとどめを刺しに来たのだ。 ダニエルの指示で松田がかけた黒ヤツメ松田スペシャルトレビアン。 隆也の喉の渇きが癒えたことをヒントに、グールワクチンとして改良したのだ。 体を取り戻させられた長田。ついに、息絶えた。 ほっとしたところで、突如研究室が燃え出す。慌てて一行は逃げ出した。 途中、ふと隆也が足を止める。圭介が呼びかけ、再び走り出した。 長田の死体を前に、南澤は静かに佇んでいた。 ここだけは、南澤の能力でもすぐには燃やしきれなかったのだ。 南澤はGu-Lのデータ、並びに長田博士を消去したことを報告する。 また、死者を炎として纏いその人物になりすます幻影焔も上手くいった。 Flameの実験は、成功だ。 バス事故を仕組んでまで作戦を仕組んだ甲斐があったと喜ぶ研究者達。 しかし、南澤は後悔していた。携帯を床に叩きつけ、どこかへ去っていった。 そして、全てが燃え落ちた。 海の見える崖の上、圭介達はただ海を眺めていた。 たった一晩しかいなかったのに、何日も過ぎたような気分だった。 生きてみよう。そう決意した隆也の目に、通りかかった船が映った。 無事に生還できた彼らだったが、圭介はAtoZのことが忘れられなかった。 ダニエルと松田も、同じように空を見上げていた。 黒ヤツメの威力はすさまじく、ウサギだったダニエルを人間に戻していた。 AtoZがどうなるか、この国がどうなるか。 それは、圭介達次第だ。 レポーターが、淡々とニュースを告げる。 栄次が、死体で発見されたという。手首を切ったことによる自殺だという。 死亡推定時間は、修学旅行の2日前。 以上です。 ボイスと誤字さえどうにかすれば面白いゲームです。是非DLしてみてください。