約 2,552,851 件
https://w.atwiki.jp/yamamura2/pages/7225.html
【TOP】【←prev】【PlayStation 2】【next→】 I Love Baseball タイトル I Love Baseball プロ野球をこよなく愛する人達へ アイラブベースボール 機種 プレイステーション2 型番 SLPM-65633 ジャンル スポーツ(野球) 発売元 サミー 発売日 2004-7-29 価格 7140円(税込) 駿河屋で購入 プレイステーション2
https://w.atwiki.jp/amaroacraft/pages/84.html
ボーナスAmaron 毎月特定の条件を満たしているとボーナスが出ることがあります。 条件クリア判定は運営が行いますが不公平にならないよう厳正に判断します。 毎月の条件 2012/4月 今月は【イベントスプリングフェアに参加した方全員】にボーナス500Amaronをプレゼントします。 2012/3月 【何らかのイベントに参加した方全員】にボーナス500Amaronをプレゼントしました。 2012/2月 【 チャットNEWS に宣伝を掲載をした人全員】にボーナス500Amaronをプレゼントしました。 2012/1月 【SSアルバムにSSを掲載した人全員】にボーナス500Amaronをプレゼントしました。 2011/12月 【自分のショップを作り当WIKIで宣伝した人全員】にボーナス500Amaronをプレゼントしました。 いつ付与されるか 次の月の始めです。運営から付与いたします。 付与時にログインしていない方にはログアウト中に付与させていただき、次ログインした時に見れるゲーム内メールでお知らせします。 次のログイン時にAmaronが増えていますのでご確認下さい。
https://w.atwiki.jp/srwzsrwz/pages/49.html
第16話 『交差する決意』 勝利条件 月光号のHPを10%以下にする。←を達成or3PP→敵の全滅。 敗北条件 1.味方戦艦の撃墜。2.敵ユニットの撃墜。→3PPまで SRポイント獲得条件 敵増援1登場後、4ターン以内に敵を全滅させる。 難易度 難易度 EASY NORMAL HARD SRポイント 0~4 5~ ステージデータ 初期味方 ミネルバ、アーガマ、6小隊 初期敵 月光号、ニルヴァーシュ、ターミナス909、ターミナス808、ターミナス606 味方増援1 月天号のHP10%以下or3PP→月光号、ニルヴァーシュ、ターミナス909 ターミナス808 ターミナス606 味方増援2 敵増援1全滅後→フリーダム(NPC) 敵増援1(MAP西海上) ウィンダム×6、ドートレス・ネオ×6、モンスーノ20×4、モンスーノ10×8、塔州連邦軍空中戦艦×2 敵増援2 敵増援1全滅後 透明円盤×24 敵データ 初期敵は味方時の時のままのため、改造やPP次第では鬼に。 増援1 機体名 パイロット LV HP 最大射程(P) 獲得資金 PP 数 撃破アイテム 備考 ウィンダム 連邦軍兵 20 6150 7(5) 1500 16 H6 カートリッジ ドートレス・ネオ 連邦軍兵 20 5450 6(5) 1600 16 H6 プロペラントタンク モンスーノ20 連邦軍兵 20 6250 7(4) 2500 14 H4 リペアキット モンスーノ10 連邦軍兵 20 5250 6(4) 2400 12 H8 塔州連邦軍空中戦艦 連邦軍艦長 22 18000 7 6500 30 H2 慣性制御システム 増援2 機体名 パイロット LV HP 最大射程(P) 獲得資金 PP 数 撃破アイテム 備考 透明円盤 AI 21 3450 6(4) 1000 10 H24 攻略アドバイス 前述の通り、月光号以下エウレカ勢は改造・パーツ・PPを全て味方のまま持ってるので、改造しすぎに注意。どうしても改造したい場合は、戦艦を耐えられるようにしておこう。 月光号のHPを10%にするメリットは全くと言っていいほどない。素直に敵増援1出現位置に小隊を向かわせて3PPを待とう。 海上が戦場になるので、なるべく小隊移動適正が空になるようにしよう。インパルスはフォース一択。 SRポイント獲得のためには積極的にALL武器やTRY武器を駆使しよう。使えない場合はワイドを多用。 増援1全滅後は、透明円盤と共にフリーダム登場。 今回は味方なので適当に放置しておこう。すぐにエネルギー切れになるので残りを味方機で撃破。 第15話『見えない明日へ』 第17話『青い放浪者』
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/129.html
大いなる誤解 ◆C0vluWr0so キラ、武蔵、テニア――三人が合流してから、早一時間が過ぎようとしていた。 情報交換や機体のチェックなど、しなければならないことはいくつもある。 が、それらは滞り無く素早く行われ――終わった後は三人とも特にすることもなく、ジョナサンを待って無為な時間を過ごしている。 既に辺りは完全な闇に包まれていた。 闇――それが人の心に与える影響は、決して良いものではないというのは周知の事実。 まるでこの殺人遊戯の混沌さを象徴するかの如く、三人の胸中にはそれぞれ違った思いが渦巻いていた。 キラ・ヤマトの心にあるものは、亡くなってしまった少女への想い。 こう、何もしない時間が続くと――不意に彼女の姿と言葉を思い出してしまう。 少女は、ここで死ぬべき人間ではなかった。キラはそう思う。 彼女は、世界を導いていけるだけの思いを備えていた。 自分はそんな彼女の剣に、盾になりたいと、そう願っていた。 しかし、その願いも既に打ち砕かれた。あの放送が本当だとは信じたくない。 だが、それを嘘だと決めつけ、ラクスの生存を信じることが出来るほど自分は馬鹿じゃない。 少女、ラクス・クラインの死。それは――分かっていても、受け止めたくはない現実。 沸々と沸いてくる後悔とも怒りともつかない感情を理性で律しているのが、現在のキラだった。 主催者の言葉に心が揺れなかったわけではない。むしろラクスを生き返らせることが出来るのなら、修羅の道に堕ちることさえ厭わないつもりだった。 だがそれは、少女の思いとは道を違える考え。 キラは、彼女の姿に救われたのではない。彼女の言葉、そして思いに救われたのだ。 ラクスの思いを曲げてまで、彼女の命を取り戻す。彼女がそれを望むとは思えなかった。 「だから僕は……、君の分の思いまで、背負ってみせる。 それが僕に出来る君への弔いだと思うから……」 後悔、怒り、悲しみ、憎しみ。その気持ちはあるけれど、それを否定は出来ない。 それは人の業だから。だからこそ……人は強くなれるのだから。 少年の心には――確かに、勇気の輝きがあった。 巴武蔵の心にあるものは、この馬鹿げた争いに対する憤り。 この馬鹿げた戦いの中心にいるあの異形の化け物は、その外観に負けず劣らず凄まじいほどの力を有している。 自分はいつの間にあの最初の場へと呼ばれた? それ以前に、あの怪物はどうやって自分たちをあの場へと呼び寄せた? なぜ呼んだ? なぜ殺し合いをさせる? 死者を蘇らせることなど本当に出来るのか? 頭には数多くの疑問符。しかし――『アレは、そういうモノなのだ』と、それだけで納得してしまえるほど――アレは、強い。 この場に呼ばれるほんの半日ほど前まで闘い続けてきた恐竜帝国……もしかするとあいつらよりもだ。 だがなぁ……! 勝ち目の無い戦いなんか……絶体絶命のピンチなんか……いくつでも潜り抜けてきた! おいらは……おいらはゲッターチームの一員だ! たとえ、あの化け物に歯向かうことがどんなに無謀だとしても―― おいら達は……勝つことを諦めちゃいけないんだ! そうじゃねぇとお前らに顔向け出来ないからな。 なぁ、リョウ、ハヤト……。 それにな、と武蔵は自機の横にたたずむ白き機体へと目を向けた。 どうもおいらは……こういうのに弱いみたいだよ。 柄じゃないんだけどな、と苦笑する。 それでも、守ってやりたくなるじゃねぇかよ、恋人同士の絆ってヤツは。 「……ホント、柄じゃねぇや」 フェステニア・ミューズの中にあるものは、裏切りの算段と利用への画策。 テニアは考える。自分だけがこの悪趣味なゲームに勝ち残り、トウヤを手に入れるための道程を。 武蔵だけじゃない……今はキラという駒も近くにある。 少し話してみた限りでは、キラという少年はこの殺し合いに乗るつもりは無いようだ。 それどころか、この争いを止めるつもりなのだという。 うふふ……これは好都合ね。 こんな状況であんな化け物への反抗を企てられる人間は、たいていが持ち前の正義感に酔っている人間。 常識的に考えて……あんなヤツに歯向かおうなんて甘ちゃんもいいとこ。万に一つの勝ち目も無いんだから。 それより、ここにいる数十人の中の一人になる方が確率論的にも正しいと思わない? そのためにはねぇ……全て、利用するの。 武蔵もキラもカティアの首輪も……そしてトウヤさえも。 大丈夫。 『私の』トウヤは殺さないから。 あの化け物もなかなか粋な計らいをするじゃない? ここにいるトウヤは……いくら殺しても大丈夫なんでしょ? あはは……あははははは! ちょっと思考がずれちゃった。いけないいけない、ここじゃ気を緩めちゃいけないの、テニア。 それを忘れちゃいけない。でもまぁ……二つも楯があるんだから大丈夫と言えば大丈夫かしら。 武蔵とキラ……こういう正義漢はね、か弱い女の子のピンチには弱いの。 弱い者を助けるのが自分の正義だって信じ込んじゃってるから。 馬鹿よねぇホント……。でもこっちにとっては好都合。他の参加者と潰し合ってくれればこの上ないけど、それでなくても楯くらいにはなってくれるわよねぇ? 「二人とも……アタシのこと助けてくれるよね? アタシ……二人のこと信じてるから」 うふふふ……あはははははは! 夜は更けてゆく。三者三様、様々な思いを巡らせて――。 ◇ 『キラ、三時方向から機影が接近している。確認出来る限りでは機影は一つだ。 どうする? 接触するか? 進行方向と我々の位置から判断するに向こうはこちらに気づいていないようだが』 トモロからの警告は、見知らぬ機影の接近を知らせるものだった。 戦艦級のレーダーでようやく捕捉出来る距離にある機体。 この空間ではレーダーの類が極端に阻害されているらしい、とはトモロの言。 しかし通信回線を開いたまま接近すれば、向こうの機体とて気づくだろう。 問題があるとすれば、あの機体に搭乗しているのが殺し合いに乗った人間であるかもしれないこと。 確認出来た機影は一つ。 「一機……か……」 何故一機で行動をしているのか? これまで、誰にも会わずに彷徨い続けてきたと考えるのは簡単だ。 だがもしも、もしもだ。 あの機体の主が出会った者全てを殺してきたのだとすれば――? 迂闊に近づいて、武蔵さんたちを傷つけてしまうことだけは絶対に避けたい。 しかし、地図によれば四百キロ四方もあるらしいここで、この接触の機会を逃せば再び会えるのが何時になるか分からない。 あの怪物に対抗するには一人でも多くの仲間が欲しい。 どうする、どうする、どうする? 「キラ! 悩んでたってしょうがない、接触するぞ!」 キラの思考を遮断したのは武蔵の一声。 「で、でももしもあの機体がこちらに攻撃してきたら……」 「おいら達のことは心配するな。おいらがテニアの分まで守ってやるからな」 ……言い切られてしまった。どうやらこちらの悩みは向こうには筒抜けだったらしい。 「行こうぜキラ。一人でも多くの仲間を集めて……あの化け物をぶっ倒すんだろ!?」 「……はい! トモロ、急ごう。向こうのほうが先に行ってしまうかもしれないし」 『いや、その心配はない。どうやら駆動系にガタがきているようだな。 現在、低速で移動中……いや、今完全に停止した。おそらく向こうはまともに動けないだろう』 「ええっ!? もしかしたら戦闘で負傷してるのかも……それなら急がないと!」 「テニア、話は聞いてただろ? 今からその機体のところへ向かう。おいら達についてきてくれ」 「うん、了解。……その機体、動けないんでしょ? それなら大丈夫よね」 かくして三機は接触を試みるべく移動を開始した。 ◆ 「まったく……マサキの方向音痴ここに極まれりニャー」 「どうしてこんなところで止まるんだニャー」 「う、うるせぇっ! そもそも、コイツが動かなくなったのに俺の方向音痴は関係無いだろっ」 「でもマサキがあんな変なところに入らニャかったら、こんなことにはニャらなかったんだニャ」 「だからやっぱりマサキのせいだニャ。まぁあの地下通路を無事に出られたことは褒めてやるニャ。よしよしだニャー」 「お、おめえら……! ふざけてないでこの状況をなんとかする方法を考えやがれっ!」 動けなくなった機体――それはマサキの駆る百式だった。 地下で倒れていた少女を保護した後、どうにかこうにかで地下通路から飛び出しは出来た。 しかし、落石の影響で損傷をしていた駆動部の調子が悪化し完全に停止することとなる。 気づけばこうしていつもの掛け合いをすることになっている、というわけである。 機体に関しては専ら操縦専門、不調の整備は本職でないというマサキに再び百式を動かせ、というのも酷な話。 ――しかし、このままここにいるのもヤバイ……。撃って下さいと言わんばかりだぜ。 思わず舌打ちがこぼれる。身動きが取れないこの状態……襲撃をされても交戦すら出来やしない。 「くそッ!」 気づいたときには拳を握りしめ、コンソールへと叩きつけていた。 魔装機神の操者として……いや、それ以前に一人の人間として、マサキはこの理不尽な状況への怒りを露わにする。 その怒りの向かう先は、この殺し合いを演出するあの化け物だけではない。 放送で呼ばれた死者……。その者たちを手にかけた殺人者たちもまた、決して許せない存在だった。 無論、その全てが悪人だと断定出来ないことも分かっている。 襲われたから撃退した――そんな事例も勿論あっただろう。 だが、とマサキは横で眠る少女の顔を眺める。 少女は地下通路で保護してか一度も目覚めることはなかった。 現在も安らかな寝息をたてながら、ときおりロランが~とかお姉様~などと寝言を発している。 けれども少女の右足は痛々しく腫れ上がり、誰の目からでも骨折していることが分かる。 応急処置のためと巻き付けられた鉄パイプとハンカチでさえ、逆に怪我の深さを表していた。 クロとシロが見つけたとき、この少女は機体にも乗らずに倒れていた。 ……生身で動き回る少女というのは、数減らしを目的にした参加者の格好の的に違いない。 抵抗出来ない少女を狙い、執拗に一時間もの攻撃を続けた機体。 恐竜の姿をしたそれを、マサキは許せなかった。 「あの恐竜野郎……! 必ず……必ず倒してみせる!」 収まらない怒りで握りしめた拳を、今度は更なる決意で握りしめる。 これ以上……犠牲者を増やしてたまるかよ。 「あのーマサキ……熱い決意を胸に宿してる最中に悪いんだけどニャ……」 「どうもピンチかもしれないニャ。機影が三つ接近中だニャ」 「な、なにいっ!? そんな大事なことは早く言えよっ!」 「そんニャこと言ったってここじゃレーダーの調子が悪いんだから仕方無いニャ。 いきなり撃たれたらたまらニャいニャ、まずは通信を試みてみることを提案するニャ」 「そうだな。相手は三機、おそらく殺し合いに乗った連中じゃないとは思うが……」 ここで失敗するわけにはいかない。マサキは再び気を引き締めると、通信回線を開くべく機器の操作を開始した。 どう呼び掛ける? 下手に呼び掛ければ逆に相手の戦意を煽ってしまうかもしれない。 ……ええい、ままよ! 元々考えるのは性に合わねぇ! 当たって砕けろだ! 「こちら、マサキ・アンドーだ! 俺たちに交戦の意志は無い! 怪我人を抱え、機体も動かねぇ。手を貸してくれないか?」 「こちら、キラ・ヤマトです。こちらにも戦う気はありません。ひとまずはこちらの指示に従ってもらえませんか?」 「キラ……キラだって? お前もしかしてカズイの知り合いのキラ・ヤマトなのか?」 「……! あなた、カズイに会ったんですか!? 彼は今どこに!?」 「俺も少しの間一緒にいただけだ。今あいつがどこにいるかは分からねぇ。 だが心配はいらねえよ。あいつと一緒にいる連中はなかなか頼りになりそうな奴らだったからな。 もう一度聞くぞ。お前ら本当にこの馬鹿げた殺し合いには乗っていないんだな?」 「ああ、おいらたちはこの戦いを止めるために動いてる。おいらは巴武蔵、もう一人はテニアだ」 「アタシも戦う気なんて無いよ。どうにかして……ここから脱出したいと思ってる」 「マサキさん、一度こちらの艦に来ませんか? 怪我人がいるんでしょう? そして……出来るならば、僕たちの仲間になってください。一緒に、戦ってください!」 「……少し考えさせてくれ。俺にも……しなければいけないことがある」 マサキは考える。……確かにキラたちの提案は自分の目指すそれに通じるものがある。 しかし、サイバスターの行方とあの恐竜……それが必ずしも彼らの行く道の上にあるとも限らなかった。 それでもこの出会いは僥倖と言える。決してこの殺し合いに乗った者たちばかりではなく、こうしてあの化け物を倒すために動いている人間がいる。 それは今のマサキにとってはこの上なく力強い現実だった。 「まだ一緒に動くかは決めねえ。……決められねえ。だがもう一つの提案は飲むぜ。 一度そっちの艦に行こう。足を折って動けない奴がいるんだ、運ぶのを手伝ってくれないか?」 ◇ 「……と、ここまでが俺の今までの行動だ。俺は……風の魔装機神の操者として、サイバスターを追わなくちゃいけない。 そして……あの恐竜野郎もぶっ倒す!」 武蔵の協力で、未だ眠り続ける少女をJアークの中へと運び込んだマサキは今までの道程とこれからの目的についてキラたちに話していた。 カズイ、ゼクス、カミーユとの出会い、そして自らの相棒サイバスターとの遭遇。 サイバスターを追って単身で探索を続け、その途中でこの少女を発見したこと。 そして……少女を襲ったと見られる恐竜の姿をした機体。 「そいつは……無敵戦艦ダイだ。おいらが元居た世界での敵で、かなりの力を持っている」 マサキの語る機体の特徴に武蔵が反応する。 と、それと同時に―― 「ン、ううん……。あれ? ここはどこなの?」 ようやく少女が目を覚ました。 純朴そうな瞳が一同を見渡す。その表情からは明らかな戸惑いが見られた。 「あなたたち……誰? ここはどこなの? ……ッ、痛っ!」 立ち上がろうとした少女は尻餅をつく。骨折の激痛が少女の顔を苦悶で彩っていた。 「お、おい無茶するな! 骨折してんだぞ! 安心してくれ、俺たちはお前を襲おうなんて思っちゃいないぜ」 慌ててマサキが少女のもとへと駆け寄り、その肩を抱く。 「あなた……その言葉、信用していいの?」 「嘘なんかつくつもりはないぜ。信じてくれ……としか言えないけどな。お前名前は? 俺はマサキ、マサキ・アンドーだ」 「……ソシエ・ハイムよ。ソシエでいいわ。マサキ……あなたの言うこと、確かに嘘じゃないわね。 もしあたしを襲う気なら気絶してる間にいくらでもチャンスはあったわけだし。 なら、教えてちょうだい。あたしはなんでこんなところにいるの?」 「……もう一度説明、か。話すのはあんまり得意じゃないんだけどな……」 「仕方ないニャマサキ」 「……え? あれ? もしかして今、このネコ……」 「どうもはじめましてだニャ、ソシエ。アタシたちはクロとシロ。二人揃ってマサキの使い魔だニャ」 「えええええええ!? な、何なのこれ……!? ネコが喋るなんて非常識もいいとこじゃない!」 「あー分かった……。そこらへん含めてもう一回説明だな」 で、かくかくしかじか……。 マサキの説明を聞いたソシエはようやく納得の表情を浮かべる。 「そしたらマサキがあたしを助けてくれたってこと? ありがとう。おかげでどうにか生きてられたみたいだし、いくら感謝してもしきれないわね。 それでこの子たち、あなたのしもべってわけかしら」 「しもべ……確かにそうニャんだけど……」 「はっきり言われるのはニャんだか複雑な気分ニャ……」 「あら、いいじゃない。あなたたち可愛いし」 「ま、まぁこいつらのことは置いといてだ……。ソシエ、お前はどうして機体にも乗らずにあんなところにいたんだ?」 「そうね、話せば長くなるんだけど……かいつまんで話せば襲われて機体が壊れてどうしようもなくなったから外に出たの。 そしたらあの恐竜……無敵戦艦ダイだっけ? あれに攻撃されたみたい。 情けないことだけどすぐに気絶しちゃったから、あまり詳しくは分からないんだけどね」 「やっぱりここでもダイはおいらたちの敵なのか……クソッ!」 倒すべき宿敵――ダイの暴挙を聞いた武蔵は怒りに拳を震わせる。 その目は今にも燃え出しそうな憤怒ではち切れんばかりだった。 「キラ……おいらたちでダイを倒せないか? 隣のエリアにはテニアの仲間の遺してくれた機体が無傷のまま残ってる。 マサキにも協力してもらって4機で攻めればいくらダイでも……。 いや、おいらはやっぱり一人でもダイを倒しにいく。それがゲッターチームの一員としての……おいらの義務だ」 「……武蔵、その機体ってのはどこにあるんだ? 俺も手伝うぜ。あいつを野放しに出来ないのは俺も同じだからな」 「マサキ……! いいのか? ダイの恐ろしさは……直接戦ったおいらにはよく分かる。下手をすれば……」 「関係ないぜ。俺も武蔵と思いは同じだ。これ以上……傷つく人間を増やすわけにはいかねえ!」 ダイを倒す――! その目的に武蔵だけでなくマサキも賛同する。 そして勇気を心に秘め持つ少年もまた―― 「……トモロ、Jアークの残りの武装を確認してくれ」 『キラ……』 「僕も……僕も願いは同じだから。誓ったんだ。一人でも多くの人を助けるって。だから……」 『……Jアークの武装は現在80%まで回復している。持久戦にでもならない限り戦闘を行うには十分な数値だ』 「分かった。それなら大丈夫だね。武蔵さん、マサキさん。僕も……戦います。一人でも多くの命を助けるために」 キラもまた、名乗りを上げる。 「みんな行くんなら……アタシだけ行かないわけにもいかないよね」 「テニア……! でももし……」 「その時は武蔵たちが守ってくれるんでしょ? ……大丈夫。やれるよ」 「もちろんあたしもついていくわよ! そりゃ操縦はこの足じゃちょっと難しいけど…… でも出来る限りで手伝うわ。あたしだってあの恐竜にはお返ししなきゃと思ってたところだしね」 そして少女たちもまた……。 ◆ ここに竜を討たんとする者たちが五人。 竜――無敵戦艦ダイとの戦いは熾烈を極め、穿たれる傷も数多くなることだろう。 しかし、本当に最悪なのは……。 彼らが大きな誤解をしていたこと。 一人の少女を除いて彼らの願いは同じもの。 それすなわち『この場からの脱出』。 彼らは知らない。彼らの思う敵もまた――同じ目的のもと動く同志だということを。 【共通認識】 無敵戦艦ダイ、およびそのパイロットを危険だと判断。 D-6に放置されたVF22S・Sボーゲル2Fを回収次第ダイへと攻撃予定。 【キラ・ヤマト 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:良好・ジョナサンへの不信 機体状態:ジェイダーへの変形は可能?・左舷損傷軽微良好(補給修復開始) EN、弾薬共に80%まで回復 現在位置:C-6 第一行動方針:ダイを倒す 第二行動方針:テニアがもしもゲームに乗っていた場合、彼女への処遇 第三行動方針:このゲームに乗っていない人たちを集める 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】 備考:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復。】 【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル) パイロット状況:非常に不安定 機体状況:良好・マニピュレーターに血が微かについている・ガンポッドを装備 現在位置:C-6 第一行動方針:どのように行動を取ればうまく周りを騙せるか考察中 第二行動方針:とりあえずキラ達についていく 第三行動方針:参加者の殺害 最終行動方針:優勝 備考1:武蔵・キラ・マサキ・ソシエ、いずれ殺す気です 備考2:首輪を所持】 【巴武蔵 搭乗機体:RX-78ガンダム(機動戦士ガンダム) パイロット状態:カラ元気でも元気、ダイに対する激しい怒り 機体状況:良好・オプションとしてハイパーハンマーを装備・反応弾を所持 現在位置:C-6 第一行動方針:ダイを倒す 第二行動方針:統夜を探しテニアを守る 第三行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒しゲームを止める 備考1:テニアのことはほとんど警戒していません 備考2:キラと行動を共にする場合は反応弾を彼に任せてもいいと思っています。】 【マサキ・アンドー 搭乗機体:無し パイロット状況:良好、シロとクロも健康 機体状況: 現在位置:C-6 第一行動方針:ダイを倒す 第二行動方針:サイバスターを追いたい 第三行動方針:サイバスターを邪悪な者には渡さない 第四行動方針:味方を集める 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊 備考:謎の小石はクロが銜えています。 地下道はマサキ達が確認できている範囲では一本道です】 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:無し パイロット状況:右足を骨折、気力回復 機体状況: 現在位置:C-6 第一行動方針:ダイを倒す 第二行動方針:新しい機体が欲しい 第三行動方針:仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒す 備考:右足は応急手当済み】 ※百式(機動戦士Ζガンダム) 機体状況:外見がボロボロ、機体各部の装甲や駆動系にダメージ 修理をしなければ稼働不可 がC-6エリアに乗り捨てられています。 【初日 21 30】 BACK NEXT 壁に耳あり、障子に目あり 投下順 暗い水の底で MISS 時系列順 広がる波紋 BACK NEXT もしも、その時は キラ 広がる波紋 もしも、その時は テニア 広がる波紋 もしも、その時は 武蔵 広がる波紋 少女ハンター・ランドール マサキ 広がる波紋 少女ハンター・ランドール ソシエ 広がる波紋
https://w.atwiki.jp/nanaitatrp/pages/529.html
09/11/15~09/12/22 【なりきり】スーパーロボット大戦【参加者募集中】 ログ 本スレ 避難所 テンプレ キャラクターテンプレ
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/80.html
カフェタイム―あんたらつくづく…― ◆dHWlzxs/ng 「ふぅ───」 妙にエロいライダースーツを着ている、カテジナ・ルースは、支給食糧の携帯飲料── どこぞの7のつくコンビニに売られているようなものと似ているが、綴りを読むと「バルトフェルド・カフェ」と書かれたカップのコーヒー ──を飲みながら、機体操作の一切をしていなかった。 する必要もなかったのだ。 「機体が大きくて、尚且飛べると本当に便利よね」 「いやはや、全くですな」 通信機から、ギャリソンさんの声が聞こえる。 「……こんな状態でバランス取りながら操縦するのは難しいんだからな。振り落とされても文句を言うなよ」 「そのくらい、解っている」 アフロの声。今一番働いているのは彼だ。 今、彼等は───空にいた。 「ガンドロの肩に?」 「えぇ」 数十分前、襲撃された後に動きだそうとした矢先、カテジナはふと思い付いたことを話した。 「私の機体も、ギャリソンさんの機体も、あなたの機体とはサイズ差が大きすぎる。 逆に移動力は私の機体が断トツで、あなたの機体は鈍い。 そして私とあなたの機体は飛べるけれど、ギャリソンさんの機体は飛行不可能─── つまり、三人で固まって動くには足並み揃えるのは難しいのよ。 だから、飛行可能で私とギャリソンさんの機体を乗せて運べそうなあなたのガンドロの肩を貸して欲しいのよ」 「んな言ったって………」 「悪くない考えですな」 二対一、多数決の理論でコスモは押し黙った。 「空を飛ぶ連中はあまり居ないわね」 「目立ちますからな。後2時間ほど移動したら、着陸して食事と致しましょうか」 「あぁ確に。まあ、私たちで迎撃出来るから、ある程度の敵なら大丈夫よね。G・テリトリーもあるし」 「…………」 ユウキ・コスモは、通信機に入らない程度の声で呟いた。 「…………平和ボケ、してんじゃねぇよ」 【カテジナ・ルース 搭乗機体:プロトガーランド(メガゾーン23) パイロット状況:健康。マターリ中。 機体状況:MS形態 現在位置:C-5から西(B-5)に向け移動中 第一行動方針:マターリ索敵 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【ギャリソン時田 搭乗機体:ガンダムレオパルドデストロイ(機動新世紀ガンダムX) パイロット状況:健康、マターリ中。 機体状況:全弾薬の半分近くを消費 現在位置:C-5から西(B-5)に向け移動中 第一行動方針:マターリ索敵 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【ユウキ・コスモ 搭乗機体:ジガンスクード・ドゥロ(スーパーロボット大戦OG2) パイロット状況:軽い眩暈、呆れ 機体状況:G・ワイドブラスター一発分の消費、自重以上を肩に乗せて移動中のため、ENを徐々に消費 現在位置:C-5から西(B-5)に向け、肩の機体を振り落とさないようにゆっくり移動中 第一行動方針:西へ移動 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【時刻:15 00】 ※ジガンスクード・ドゥロのエネルギーに関しては、移動によってどのくらい消費したかは次の書き手に任せます。 BACK NEXT 殺意は昏き火が如く 投下順 気になる、あの子 核ミサイルより強い武器 時系列順 美しくない BACK 登場キャラ NEXT 金髪お嬢とテロリスト カテジナ 『歌』に振り回される人達 金髪お嬢とテロリスト ギャリソン 『歌』に振り回される人達 金髪お嬢とテロリスト コスモ 『歌』に振り回される人達
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/342.html
破滅の足音 ◆7vhi1CrLM6 「『機体の整備』はもういいのか?」 ブリッジに足を踏み入れるなり、声を掛けられた。 この戦艦そのものの声と言っても過言ではないJアークのメインコンピュータートモロの声。 それに「今はカミーユとキラがやってくれている」と返す。 事実、二人は機体の整備を続けていた。 VF-22Sへの反応弾の搬入は既に終わり、書き換えられたF91のOSの復旧を今キラは行なっている。 アムロに最適化されたOSがキラに扱いづらかったように、戦闘中に書き換えられたOSよりも元の方がアムロに適していた。 そして、手の空いたカミーユが向かい合っているのが『機体の整備』、即ち首輪の解析。 その手伝いもせずにアムロがブリッジへと引き返して来たのには、それなりの理由がある。 「指定されたポイントには到着した。それでどうする?」 現在Jアークは、模擬戦を行なったD-3地区を南下し、エリア境目ギリギリの位置で止まっている。 目と鼻の先はもうD-4地区――禁止エリア。 だが、ブンドルの言が正しければその超高々度に―― 「少し調べたいことがある。トモロ、D-4地区の地図を展開してくれ」 ――天国へと至る門、即ちヘヴンズゲートが存在する。 巧妙に隠蔽され、これまでサイバスターのラプラスコンピューターでしか感知できなかったその存在。 だがしかし、その本質は不安定さからくる空間の綻びである。 ES空間という別次元の空間の運用を前提としたこの戦艦ならば、観測できる可能性は高い。 メインモニターに展開された地図とブンドルの話を重ね合わせつつ、幾つかの地点を指定していく。 それは、サイバスターによって綻びが観測された中から、アムロとブンドルが選別を行なったポイント。 「アムロ、ここに何かあるの?」 「何か……そうだな。一先ずヘヴンズゲートとでも呼んでおこうか。それを探しているんだ」 盗聴を警戒しているとは言え、我ながら答えになっていないと思いつつ返す。 案の定、首を傾げたアイビスは怪訝な顔をしていた。それに「じきに分かるよ」と言って端末に向き合う。 ここからは全てタイピング。 盗聴どころか盗撮までされていたらお手上げだが、それはないと信じてトモロに指示を出す。 『なるほど空間の観測を行なうわけか』 『Jアークならできるな? 発生の前兆、あるいは周期と規模が知りたい』 空間の綻びというものは、常何時でもそこに存在するという類のものではない。 空間そのものが持つ力か、あるいはこの空間を作り出した者の力か、綻べば繕われ、穴が空けば塞がれる。 ならば重要になってくるのは、発生の時期と規模に、発生した瞬間繕われるよりも早く強引に突き破られるだけの力。 それに必要なのは、膨大な量のエネルギー。 ブンドルの見込みでは、コスモノヴァと同等以上の火力が最低三つと曖昧なもの。 詳細な量は分からず、未だ条件も揃わない。 だが、ナデシコとの合流が成れば、条件を満たす可能性が出てくる。その時に備えて出来るだけのことをしておく必要がある。 『細かな状態を観測するのは、この距離では不可能だ。レーダー類も本調子ではない。 統計から綻びの生じやすい箇所を特定することは可能だが、どちらにせよ一定時間の観測が必要だ』 『ミノフスキー粒子の影響か……仕方ない。Jアークを一時この場に固定する。 時間は多少かかってもいい。出来るだけのデータを集めてくれ』 「了解した。少々時間を貰おう。だがその前に、東から未確認機が二機接近してくる」 時刻は12時半。ロジャー・スミスがJアークを離れて既に5時間半が経過。 そろそろ接触を持った者たちが集まり始めてもおかしくはない。とは言え会談までにはまだ間がある。 偵察がてら周囲の探索を行なっている者たちならばいいのだが、そう楽観視もできない。 「カミーユとキラに連絡を。F91のOSの状態次第で、俺かキラのどちらかが艦に残る」 ◇ 「ちょっと待った、ブンドルさん!!」 先行するサイバスターから送られてきた映像を一目見て、甲児は声を上げる。 廃墟の街並みの上空に浮かぶ一隻の戦艦。 その姿を知っている。 かつて、とある戦艦の救援に駆けつけたD-7地区で、直に干戈を交えた相手。 その脅威を知っている。 そして、テニアを虐げ、彼女の姉とすら言える人の首を刈ることを強要した極悪な集団。 その許せなさを甲児は――知っている。 テニアの話を思い出しただけで胸が痛み、胸糞が悪くなってくる。その気持ち悪さごと吐き捨てるようにして、甲児は叫んだ。 「Jアークだ!!」 その一言で十分だった。これまでの道中で既にナデシコの話は済んでいる。 警戒を強めたサイバスターが、前方で動きを緩める。その先で、Jアークから数機が飛び立つ。 一、二、三、その数三機。 Jアークに残っているのは、キラ・ヤマトとソシエ・ハイムの二人だけのはず。 「どういうことだ!? 数が多いぜ」 「あの機体は……待て、甲児くん。私の知り合いだ」 「ブンドルさんの知り合い!? じゃああれはJアークじゃないのかよ」 ストレーガを止めようとブレーキをかけ―― 「こちらJアーク、キラ・ヤマト」 「やっぱりJアークじゃねぇか!!」 ――大きくバーニアを噴かす。一気に速力を上げ、脇目もふらずただ一直線に。 「甲児くん!!」 「分かってるって。あのキラって奴をやっつけて、騙されてるブンドルさんの知り合いを助けるんだろう」 「いや、違っ」 「やいやいやい、キラ・ヤマト!! この俺、兜甲児と雷の魔女ストレーガが相手になってやるぜ!!!」 「ちょっと待って。僕の話を」 「恍けやがって!! だがこれ以上お前の好き勝手はさせねぇぞ!!! ライトニイイィィィィィングショォォォオオオオオオット!!!!!!」 「ちょっと撃ってきたよ。どうするの、アムロ?」 「アムロさんの知り合いでしょ? どうにかしてください」 「……ガロードじゃないのか?」 ざわめき、瞬く間に場が混乱していく。 その中で甲児の気を引いたのは女の声。蒼い機体から流れてきた声だ。 「お前がソシエか! 女だからって容赦しねぇからな!!」 「へっ?」 「待ってろよ! キラを倒したら次はお前の――」 「少し落ち着け、甲児くん」 脇見をしながら全速で突撃していたストレーガが、先回りしたサイバスターに足を引っ掛けられて盛大にすっ転ぶ。 もんどりを打って肩からアスファルトの大地に激突し、弾んで背中を打ち、なおもコミカルに三四回転して勢いはようやく止まった。 廃墟の街並みに真一文字の土煙が巻き上がる。 回るコックピットの中、上下前後無茶苦茶に振り回されながらも、しかし甲児はめげない。 桁外れのパワーを誇るマジンカイザーの反動に比べれば、この程度屁でもない。 「この程度でこの俺とストレーガが止められると思うなよ!!」 素早く起き上がるストレーガ。倒すべき敵Jアークだけを見据えたその瞬間、背後から羽交い絞めにされた。 「何すんだよ、ブンドルさん!!」 「ブンドル、どういうことだか事情を説明してくれないか?」 「原因はそちらにある。だが今は落ち着いて話をするためにも取り押さえるのを手伝ってくれ」 「なんだって! くそっ!! まさかブンドルさんまであいつに騙されてたなんて……許さないぞ、キラ・ヤマト!!!」 「君は少し人の話を聞け」 機体サイズはサイバスターのほうが遥かに大きい。 だが、機体そのものの純粋な力ならストレーガはここの誰よりも強い。 その地力にものを言わせて暴れまわったストレーガが、サイバスターを引き剥がす。 「くっ! 油断した」 「逃げたよ!!」 「追うぞ!!」 「どこに逃げたんだ?」 「へへーんだ。そう簡単に捕まって堪るかよ!!」 「その声、北か!! 追いかけろ!!」 そんなこんなでよく分からぬままに兜甲児捕獲作戦が展開されること十数分。 さんざてこずらせながらも多勢に無勢で次第に追い詰められ、甲児はとうとう捕まってしまった。 「何しやがる!! 放せ!! 放せってんだよ、この野郎!!!」 ◆ 「原因はこちらにあると言ったな、ブンドル。事情を話してもらおうか」 甲児を取り押さえた数分後、Jアークのブリッジにアムロの声が響いた。 その声に、もう少しでギンガナムの二の舞になるところだった、と安堵していた思考を呼び戻し、ちらりと二人の少年を見やる。 「彼らは?」 「Jアークを動かしているキラ・ヤマトと以前話したカミーユ・ビダンだよ。 それと……今甲児くんを見張っている彼女は知っているな? アイビス・ダグラスだ」 黒い髪の少年と青い髪の少年を値踏みする目で眺め、黒い髪の少年を指して言う。 「なら、原因は彼とこの艦にある。甲児くんはガロードの代わりにナデシコから連れてきた少年だ。 この戦艦との二度の交戦を経て、彼を危険人物と見なしている」 キラという少年の顔が曇っていく。だが、それに躊躇することなく言葉を続けた。 「かつてこの艦に捕縛されていたテニアという少女の話だが、彼は彼女の仲間の死骸から首輪を取ることを強要し、共犯者になれと迫ったとも聞いて――」 「それは違う!!」 少年が短く鋭く叫んだ。 真っ直ぐにこちらを射抜いてくる視線。怒りよりも悲しみを多分に含んだ眼光。 いい目だと思いつつ、圧し返すつもりで視線を合わせる。 「僕はそんなことしていない」 だが、少年の瞳が揺れることはなかった。 無理に踏みとどまったのではなく、後ろ暗いことは何もしていないと自分を信じきった目だった。 「あなたはどうなんですか?」 不意にもう一人の少年――カミーユが、どこか責めるような口調で横から言い放つ。 「どうとは?」 「その甲児って奴がどう考えているのかはわかりました。でもそれは、甲児がどう考えているかだ。 あなたはまだ自分の考えを言っちゃいない。他人の考えを自分の考えのように言っているだけです。 それって卑怯だとは思わないんですか?」 「カミーユ」 嗜めるアムロの声に「だってそうでしょ」と返すカミーユ。 なるほどセンシティブだ。感受性が強く、繊細な感性を持っている。だが、それだけでもない。 この少年もやはり真っ直ぐなのだ。感じたことを率直に言いぶつけられる若さがある。 「答えてください。俺はまだあなたの意見を聞いちゃいない」 納得がいくまで退かない視線をそこに感じて、感づかれないよう心の中で微笑む。 キラもカミーユも、そして今縛られている甲児もサイバスターの操者候補として悪くない。 「そうだな。私の意見を言わせていただこう。率直に言うと、まだ信用できないといったところか。 私自身がテニアの話を聞いたわけでもなければ、会った事があるわけでもない。ただ彼女の言い分を知っているだけだ。 それに対して君達とも今始めて会ったばかり、やはりよく知らない。だから君達のここまでの行動と言い分を聞かせてくれ。 それで君達が信じるに値する者かどうか、私なりに判断させていただく」 ◆ 一方そのころ別室では、縛られた甲児とアイビスが向かい合っていた。 椅子の背もたれに両腕を組み、顎を乗せた格好で、ウィダーinゼリーを啜りながらアイビスが言う。 「だ・か・ら、何回も言ってるけどあんたがそのテニアって娘に騙されてるんだってば」 「何言ってやがんだ。キラって奴に騙されてるのはそっちだろ」 それに、後ろ手に縛られた上にベッドの足に縛り付けられた甲児が言い返した。 アイビスが言えば甲児が言い返し、甲児が言えばアイビスが言い返す。 「悪いのはテニア」 「キラだ」 「テニア」 「キラ」 「テニア」 「キラ」 「テニア」 「キラ」 ・ ・ ・ 「ああ、もう!! どうやったらキラが悪者じゃないって分かるんだ!!!」 既に何度繰り返されたのかすら分からないこのやり取り。 議論は常に平行線。互いに一歩も譲らないまま時間だけが無為に過ぎ去っていく。 あまりの相手の頭の固さについ苛立って、大声を上げてしまった。 でもそれはきっとお互い様だったのだろう。甲児も負けじと大声を張り上げて反論を返してくる。 「そっちこそどうやったらテニアは悪くないって信じてくれるんだよ!!! テニアは俺達が保護したとき震えながら泣いてたんだぞ。仲間を、大事な大事な友達を殺された。その首輪を無理やり取らされたって。 それが全部嘘だってのかよ!! そんなわけがねぇ。悪いのは人を人とも思わないキラなんだ。あんたは騙されてるんだよ」 「私はね。ここに来てからいろんな人に守られて、私だけが生き残ってしまって、罪悪感に押し潰されそうになってた。 それでも色んな人のお陰で持ち直せて、その人たちの為にも精一杯生きて行こうって決めて、でも何も具体的なことは思いつかなかった。 そんなときにキラに会ったんだ。キラはこの廃墟で、いるのかどうかも分からない私に向かって呼びかけた。 戦うことを、生きることを否定することはできないって。大事な人が殺されたのなら、殺した誰かを憎むことは、当然のことだって。 でも、それが全てじゃないって。 キラも亡くしたんだ。友達を、大事な人を。でも、誰かの命を糧に生き返ることを、そのために誰かを殺すことを、その人達は絶対に許さない。 だからこの戦いの原因を一緒に討とうって言ったんだ。無謀なことだけど、それがきっと、もういない人たちへの、弔いになると思うからって。 私はその言葉が嘘だったなんて思いたくない。例え、甲児の言うようにそれが嘘だったとしても、一瞬でもその言葉を疑うような自分でいたくない」 「分かってんだ、そんなことは。誰かを生き返らせるために誰かを犠牲にするなんてのは間違ってる。そんなことは分かってんだよ。 だから許せねぇんだ! 大事な人を無理やりにでも手にかけさせたあの野郎を!! 俺は決めたんだ! これ以上こんなことを続けさせてたまるか、俺たちで止めてみせるって。 絶対に、この殺し合いを終わらせてみせるって。そう誓ったんだ!!」 立ち上がった反動で椅子が倒れ、ガタンと音を立てる。 精一杯乗り出した上半身に引っ張られて、ベッドの足が軋みを上げる。 「だったら私らに力を貸してよ!!」 「そっちが俺たちに力を貸せよ!!」 言ってることも考えていることも同じだ。 同じはずなのに。何も違わないはずなのに。キラを信じているか、テニアを信じているかの一点だけで分かり合えない。 たったそれだけの違いなのに、互いに歩み寄れない。それが悔しくて唇を噛んだ。 「……なんで分かってくれないんだ」 理由なんて分かっている。同じなんだ。自分がキラを信じているように、甲児はテニアを信じてる。 相手の主張を認めてしまえば、それは信じた仲間への裏切りになる。そんなことが出来るはずがない。 そして、自分は間違っていないと確信している。 だからどちらからも歩み寄れない。足が前に出て行かない。今ここでどれだけ言葉を重ねても、互いの言い分は覆らない。 私は――『無力』だ。 甲児をじっと見つめ、そう思った。真っ直ぐに見返してくる目。急速に徒労感が体を満たしていく。 「ハァ……もうこれ以上何を言っても無駄かぁ……暴れないでね」 そう呟くと甲児に近づいて、後ろ手に縛っていた縄を解いてやった。 「いいのかよ?」 「よくないよ。でもいいんだ。あんたが悪い奴じゃないってのは、よく分かった」 腕に残った縄の跡を摩りながら呟いた甲児の声に、溜息まじりに答えながら思う。 何をやっているんだろうなって。きっと皆に見つかったら怒られることをしてるんだろう。 でも、どうにもこいつをこれ以上縛っておくのは違う気がして、忍びない。悪い奴じゃないんだ。 あーあ、やっちゃったなぁ、と困り顔でいたそのとき、予想外の提案が持ちかけられた。 「なぁ、一つ賭けようぜ。テニアとキラ、どっちが正しいのか。負けた方は勝った方の言うことを何でも一つって条件でさ」 「え~」 「だってアイビスさんはキラが正しいって信じてんだろ? それとも自分が間違ってましたってここで認めるのかよ」 「認めないよ、私は」 「だったらアイビスさんはキラに、俺はテニアに賭ける」 「待ってよ。私は賭けをやるなんて一言も」 「何だよ。逃げるのかよ。キラって奴の信用度もその程度なんだな」 「うっ……に、逃げないもん」 「へへ、なら決まりだな」 「う~~~~~~~~~~」 乗せられて上手く誘導されたような気がして、何となく釈然としないものを感じてアイビスは唸る。 そして、この選択が数分後さらにハチャメチャな方向に彼女を引っ張っていくことになるのだが、このときはまだ知る由もなかった。 「ハァ……なんでこうなったんだろ」 ◆ キラの話を聞き、カミーユの話を聞いたブンドルの声がブリッジに響き渡る。 眼光は冷たく、鋭く。硬質な、固い声だった。 「なるほど状況を理解した。つまり、君は自分の非を認めた上でナデシコとの話し合いを望み、それをネゴシエイターに託したという訳か」 「そうなります」 「嘘はないのだろう。ナデシコ側(主に甲児くんからだが)から聞いた事実推移にもほぼ当てはまる。君の事を信用しよう。 だが、一言言わせていただく。自分の犯した罪の精算を代理人に行なわせるなど、呆れ返る。 それに人命が失われている以上、君の犯した間違いは謝って許されるレベルのものではない」 「カミーユにも同じようなことを言われました。それでも、人が集まることに意味はあるはずです。 話し合って、それでも僕が原因でJアークとナデシコが手を組めないのなら、僕がこの艦を降ります」 「それは逃げだな」 「違う。そんなんじゃない」 その場をアムロは、一人冷静に眺めていた。 厳しい言葉を吐き続けているのは、ブンドル。だが、それをこの男はわざとやっている節がある。 覚悟の度合いを見ようと言うのだろうか。嫌われ役を買って出てくれてもいるのかもしれない。 いや、両方と見るのが妥当。 ならば、自分に求められているのは、集団のまとめ役ということか。 合流すれば少しは楽になるかと思ったが、どうも見通しが甘かったらしい。溜息混じりにそう思った。 そろそろ頃合、と見て仲裁に入る。 「そこまでにしろ。ブンドル、少し言葉がきつ過ぎるぞ。キラの覚悟はお前が思っているほど甘いものじゃない。 キラ、軽々しく艦を降りるなどとは言うな。それはお前を信じてここに留まっているカミーユやアイビスを軽んじることになる。 カミーユは少し気持ちを落ち着かせろ。言いたいことは分からないでもないが、お前が一番感情的になりすぎている」 「……そうだな。すまない少し言い過ぎたようだ。だがキラ、君はここの話が終わったら一度甲児くんとじっくり話をするべきだ」 「ええ……そのつもりです」 二人の会話の隅で、口こそはさまなかったもののカミーユが一人、納得がいかないという顔を向けていた。 やれやれ、ブンドルがその立ち位置を続けるつもりならば、気苦労耐えない位置に自分は立たされたと言うべきか。 年端も行かない子供達を纏め上げねばならなかったブライトの苦労が、少しは分かった気がした。 ともあれ、話は前に進めねばならない。 「ブンドル、そちらの話を聞かせてくれ。彼……甲児くんをガロードの代わりに連れてきたと言ったな。 ならガロードは、今はナデシコか?」 「そうなる。ではナデシコとの合流から話をさせていただこうか」 そう言って語られ始めるのは、ガロードが同行しなかった理由、仮面の二人組との接触、基地の状況。 そして―― 「このデータをそのユーゼスから送られた。アムロ、君の意見を聞かせてくれ」 ディスプレイに映し出されたデータ。円環状の物体の三次元図面に、アンチプログラムと銘をうたれた膨大な量のプログラム。 プログラムはともかくとして、この円環状の物体はほぼ間違いなく――コンコンと首輪を指で突付いて見せた。 「だが、意図的に情報の一部を抜かれたような感じだな。 カミーユ、どう思う? お前が一番この中でユーゼスという男を知っている」 「俺が手を付けた部分はまだほんの少しですが、本物だと思います。実際にあいつはこの作業を行なっていた。 だけど、あいつは恐ろしく打算的な奴で異常に頭も切れる。何の考えも無しにただこれを渡したとは考えづらい。 何か裏に意図が隠されている、と見るべきでしょうね」 「私も同意見だ」 「そうか……キラ、君は?」 その問いに眉間に皺を寄せ、食い入るようにプログラムに目を通していたキラがはっと振り向いた。 「右の……プログラムの方ですが、量が膨大な上に複雑すぎてこれが何なのかは分かりません。 詳細まで把握しようと思ったら幾ら時間が必要か……。 だからこれは直感ですけど、アンチプログラムと銘をうたれてますが、ナノマシンか何かのプログラムだと思います」 考えを纏め上げるように、自分の頭の中を出来るだけ整理しながら少年は話し続ける。 「ただ、これを理解出来たとして、手を加えろというのならともかく、同じものを作れと言われたら、今の僕には到底不可能です。 これは一人の天才が十年二十年と人生を懸けて構築するようなレベルの代物だと思います。 だから幾らそのユーゼスと言う人が優れていたとしても、これをここに来てからの僅かな時間で作り上げたとは思えない。 何かしら元となるものを見つけ、そこからプログラムだけ複製して抜き出した、そう見るべきだと思います。 それにこれが本当にナノマシンのプログラムなら、これだけでは意味を為さない。 プログラミングされていることを実行できるだけの器が、どこかにあるはずです」 キラは愚かこの箱庭にいる誰もが知らない。それがDG細胞と呼ばれるもののプログラムであることを。 地球環境を浄化を目的とし、「自己進化」「自己再生」「自己増殖」の3大理論を備えながらも、落着の際に狂いが生じたものであるということを。 だが、誰一人として同じものを知らずとも、幾多の次元から集められた中には類似の存在に触れた者が存在していた。 「少しいいか。私のデータベースにこれと同一のものは存在しないが、類似したものが二点存在している」 幾ら優れていると言っても所詮生身の人間であるキラと違い、トモロは高性能な演算能力を備えたコンピューターである。 プログラムの全貌を掴むのも人より遥かに素早い。 その結果、自身のデータベースから探り当てたこのナノマシンに類似したもの、それは―― 「三重連太陽系の紫の星で開発されたストレス解消作用を持つ自律ユニットが、暴走し、性質を大きく変えて独自に増殖、進化したもの――ゾンダーメタルのプログラムだ。 地球文明とは別系統の文明の為、使用されているコンピューター言語は異なるが、変換し、共通部分を抜き出すと見えてくるものがある。 ゾンダーメタルは重原子が複雑に結合した金属結晶だが、知的生命体に寄生し対象をゾンダー化させる力を持つ。 それに似た性質。このナノマシンは他者を侵食する可能性を秘めている。それを持ってアインスト細胞の除去を行なおうとしてるのではないか」 「そういえば、以前ユーゼスは三つの『これ』の違いについて、キョウスケ中尉の意見を聞いていました」 そう言って自身の首輪を指し示すカミーユ。 「三つの?」 「ええ、俺たちはこれを二つ回収できたんですが、全て形状が異なっていたんです。 一つは玉の壊れたもの。一つは山火事の中で回収したものの異形の変化を遂げていたもの。最後は普通の状態のものです。 それについて思い当たる節がないか、奴は聞いていました。 それに中尉は、専門的なことは何も分からないが、仲間に機体に付けられた赤い玉を砕いたら元に戻ったことがある、と答えていました」 「だが、これを砕く程の衝撃を喉に与えるのは危険だ。加減を誤れば器官が潰れかねん」 「ええ、だから奴はこのナノマシンでの除去を思いついたんだと思います。採取源は恐らく山火事で回収したものでしょう」 「なるほどガウゼの法則か」 「ガウゼの法則?」 「同一のニッチ、即ち生態的地位に二つの種は長く共存することは出来ないという考え方だよ。 生物学の考え方だが、仮にアインスト細胞とやらとこのナノマシンが同一のニッチに属するものなら、互いに滅ぼしあいどちらかが残ることになる。 それを利用しようというのだろう」 これまでそれぞれ異なる道を歩み、それぞれが散らばる希望を集めて回った。 それが今、少しずつではあるが身を結び、前に進もうとしている。その手ごたえを感じる。 しかしそこに響くのは、このナノマシンと類似の性質を持つゾンダーメタル、それを敵とするトモロの忠告の声だった。 「ならば、止めておいたほうがいい」 「何故だ、トモロ」 「このナノマシンがゾンダーメタルと同系統の性質を持っていること前提で話を進めるが、一歩間違えれば機械昇華が起こりかねない」 「機械昇華とは?」 「惑星内のすべての物質とすべての動植物が、機械との融合体となった状態のことを我々はそう呼んでいる。 浄解の能力を持つ者か、最低でも核を浄化できる力が見つからない限り、危険が大きすぎる」 確かに言われてみれば、だ。 人に、生物に侵食する可能性のあるものを首輪に注入して、人だけが無事でいられると言う保証はどこにもない。 むしろ影響を受けると考えるほうが遥かに自然。 ならば、だ。ならば、そのユーゼスという男はその危険性に付いて気づいていないのだろうか。 いや、話を聞く限りではこの危険性に気づかないような男とはとても思えない。となると―― 「カミーユ、ブンドル、奴はその力に当るものを隠し持っていると思うか?」 「正直、分かりません。奴は一人で作業を行なっていた。具体的に何をしていたのか、俺はよく知らない。 そういうものを見つけた素振りはありませんでしたが、何を用意していても可笑しくない、そういう奴でもあります」 「同意見だ。あの男には、一か八かの賭けに出るほど追い詰められた素振りはなかった。 隠し持っている切り札が、これと言うことは十分にありえる。 結局は自分に頼らざる得ないことをこちらに理解させ、協力を求めるのが、あの男の狙いなのかもしれん」 「あいつは協力なんて求めてきませんよ。ただ他者を利用しようとするだけです。 それに奴の手持ちのナノマシンの量で、何人の解除が可能かも分かりません。 利用するだけ利用しておいて切り捨てられるということは、十分に考えられます」 「どちらにしても、ナノマシンの除去を行なえる技術に心当たりがあると見て動くしかありませんね。 勿論、僕達自身でも探さなければなりませんが……」 そう。その通りだ。自分たちだけで状況を打破できる道を得ない限り、結局はユーゼスの手の平の上と言うことになる。 一つでも二つでもいい。奴の手札を減らし、こちらの手札を増やす必要がある。 「トモロ、類似したデータが二つあると言ったな。もう一つは何だ?」 「詳細なデータを得たわけではないので確証は持てないが、フェステニア・ミューズの乗る機体に似たようなナノマシンが使われている痕跡がある。 ただ恐らくだが、ユーゼスの持つものよりも若干性能が劣るだろう、場合によってはアインスト細胞に逆に駆逐される可能性もある」 「あれか……」 「心当たりがあるのか?」 「ええ、以前の交戦で霧のように空気中に散布されるのを見たことがあります。 構わず飛び込もうとしたんですが、上手くいえないけど凄く嫌な予感がして、気づくと機体を止めてました」 「そうか……だが機会があれば、確保しておくべきだろうな」 一つ息をつき、とりあえずここまでの情報はまとめておくべきなのだろう、と思う。 その上で更に話し合いを重ね、意見を出し合い、深めていけばいい。それを口にしようとした瞬間―― 「へへーんだ。誰が二度と捕まるかってんだ!!」 ――威勢良くブリッジの気密度が開かれた。 思わず全員が一斉にそちらを振り向き、しまったという顔をした甲児の姿が目に飛び込む。 「あっ……やべっ!!」 「こら!! 待ちなさいって!!!」 言うが早いか引き返し、瞬く間に遠ざかっていく足音。それを追いかけているのかアイビスの大声も響き渡る。 顔を見合わせたカミーユとキラが溜息を吐いて、勢いよく飛び出して行った。 「ブンドル、素晴らしく行動力に満ち溢れた少年を連れてきてくれたものだな。将来が楽しみになってくるよ」 「……皮肉はよしてもらおうか」 ◆ 「何やってるんですか、あなたは」 狭い通路の先で、アイビスに追いつくなりカミーユが抗議の声を上げた。 それに両手を合わせて「ごめんなさい」と謝る声を耳にしながら、しきりに左右を見回して逃げ出した甲児の姿を探す。 だが、どこかに隠れてしまったのか、姿が見当らない。 「アイビス、彼はどっちに?」 「ごめん……完全に見失ってしまって分からないんだ。だからキラは私と来て、格納庫と甲板を押さえておいたほうがいいと思う」 「なら、俺は艦内を回って探し出すよ。ブリッジも気になるけど、アムロさんとブンドルさんが残ってるから大丈夫だろうし」 「カミーユ、怪我してるんだから無理しないで」 「心配要らない。それより狙われるとしたらキラ、お前なんだからそっちこそ気をつけたほうがいい」 「大丈夫」 「じゃぁ、気をつけて」 そう言って二手に分かれる。 狭い艦内を駆けて、アイビスと共に格納庫に走りこんだとき、キラはそこに甲児の姿を見つけた。 逃げるもせず、機体に乗り込むわけでもなく仁王立ちしてる様子に若干の違和感を覚えながら、思わず身構える。 それを見てか目の前の甲児も身構えた。カミーユとの殴り合いで痛めた傷が、痛かった。 「アイビス、ブリッジに連絡を」 怪我をしていようがどうしようが、応援が駆けつけるまでは一人でどうにかするしかない、と覚悟を決めた瞬間―― 「ちょっと待ちなよ、甲児。殴り合いをさせるために手を貸したんじゃないんだから。 キラをナデシコに連れて行くんでしょ?」 赤毛の少女が怒りながらヅカヅカと甲児に詰め寄って行った。 そして、次の瞬間にはクルリと振り向いてキラに視線を合わせる。 「キラもストレーガに乗って。探してたんでしょ、ナデシコを」 「えっと、つまり彼の脱走劇は……」 「うん。ただのお芝居。何か気づいたら手伝う羽目になっててさ」 あっさりと言ってのけた少女を前に、何か一気に体の力が抜けた気がした。 「キラ・ヤマト、俺はお前のことが信用ならねぇ。でもなぁ、アイビスさんと俺の話し合いじゃ埒があかねぇんだ。 キラが悪い。テニアが悪いってどっちも譲らねぇ。 だからアイビスさんに手伝ってもらって、お前をナデシコに連れて行くことに決めたんだ。お前が本当に悪くないって言うのなら誤解を解いてみやがれ」 ああそういうことかとようやく納得がいった。 同時にちょっと前にブンドルに言われた『自分の犯した罪の精算を代理人に行なわせる』という言葉が、脳裏を過ぎる。 別にロジャーに罪の清算まで依頼したつもりはキラにはない。 だが、ロジャーに連れて来てもらおうというのはどこか甘い部分もあったのだろう。それを窘められたのだ。 それに、だ。それにもし自分が一人生身でナデシコに飛び込むことが、少しでも誠意となるのなら悪くはない。 そして、仲直りするのなら早いほうがいいに決まっている。だからこのときキラは、迷いなく一人でのナデシコ行きを決意した。 「分かった。ナデシコに行ってくるよ」 Jアークの甲板から飛び上がったストレーガが飛び上がり、宙に浮く。 一拍遅れて発進したネリー・ブレンを迎え、そして二機はバイタルグロウブの流れに乗ってその場から掻き消えた。 ただ彼らの信じる真実へと向かって、ひたすら真っ直ぐに。 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN75% 無数の微細な傷、装甲を損耗 現在位置:E-2 第一行動方針:ナデシコのキラの誤解を解く 第二行動方針:協力者を集める 第二行動方針:基地の確保 最終行動方針:精一杯生き抜く 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D) パイロット状態:良好 機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し) 現在位置:E-2 第一行動方針:テニアが正しいことを証明する 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める 最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【キラ・ヤマト 搭乗機体:なし パイロット状態:健康、疲労(大) 全身に打撲 現在位置:E-2 第一行動方針:ナデシコ組と和解する 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第三行動方針:首輪の解析( マシンセルの確保) 第四行動方針:生存者たちを集め、基地へ攻め入る 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】 「全く。若い者達は俺達があれこれ考えるまでもなく自分で動き、道を切り拓いて行くものだな、ブンドル」 「そう悲観するほど君は歳を取ってはいないと思うが。時代を作っていくのは若者ならば、維持していくのが大人の務めだ。 さて、私もユーゼスの動きが気がかりだ。彼らの後を追わせて貰うことにする」 「取り込み中のところ悪いが、一時間弱のものだが例の観測で興味深い結果が上がってきた」 「例の?」と発せられたブンドルの問いに「君もよく知っている」と返して、地図上のD-4地区を指差す。 そして、Jアークの端末を指し示した。 それで伝わったのだろう。盗聴を避けるためのタイピングでの会話が始まった。 『確かに空間の綻びは確認できるが、細かな状態を観測するのはこの距離では不可能だ』 『そうか……何となくでいい。場所の特定は?」 『不可能だ。D-4地区のどこかとしか言いようがない』 『何故だ? 綻びそのものは確認できたのだろう?」 『綻びの数が普通では考えられないほど多く、この距離では規模の違いが把握しきれない。 出来ることならば、至近距離での観測か長期間に及ぶ観測が望ましい』 そう言って表示されたデータを一目見て、呻きを上げる。 表示されたのは綻びの観測ポイントと発生時刻。 D-4地区と言わず異常な数の綻びが観測されている中で、D-4地区は真っ黒だった。 『時間がないな』 時刻と発生件数を追っていけば嫌でも分かる。綻びの発生数が指数関数的に増大している。 それも周囲に拡がりながらだ。 異常な速度で綻んではその都度繕われる空間。遠からず生地に限界が来てD-4地区は崩壊する。 そして、それが呼び水となり、この空間そのものもいずれ。 『どれほどもつと思う?』 『データが不足しているが、このままの速度ならばまだ数日は大丈夫だろう』 『そうか……もう一つ。扉を開けられるタイムリミットは?』 扉を開けるということは、綻びを掻き回すことと同義。強引に綻びを、空間の傷口を広げるのだ。 それに耐えられるだけの強さを空間が持っている内に、全てをやらねばならない。だがその残された時間は―― 『現時点では正確な判断はできないが、三十六時間以内には必ず迎えるだろう』 【アムロ・レイ 搭乗機体:ガンダムF91( 機動戦士ガンダムF91) パイロット状況:健康、若干の疲労 機体状態:EN40% ビームランチャー消失 背面装甲部にダメージ ビームサーベル一本破損 頭部バルカン砲・メガマシンキャノン残弾60% ビームライフル消失 ガンポッドを所持 現在位置:D-3南部 第一行動方針:首輪の解析とD-4地区の空間観測 第二行動方針:協力者を集める 第三行動方針:マシンセルの確保 第四行動方針:基地の確保 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している 備考2:ガウルン、ユーゼス、テニアを危険人物として認識 備考3:首輪(エイジ)を一個所持 備考4:空間の綻びを認識】 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・Sボーゲル(マクロス7) パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(大) 機体状況:オクスタン・ライフル所持 反応弾所持 EN40% 左肩の装甲破損 現在位置:D-3南部 第一行動方針:首輪の解析を行ないつつしばらくJアークに同行 第二行動方針:ユーゼス、アキト、キョウスケを「撃ち貫く」 第三行動方針:遭遇すればテニアを討つ(マシンセルを確保) 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態 備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能】 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好(主催者に対する怒りは沈静、精神面の疲労も持ち直している) 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持 現在位置:D-3南部 第一行動方針:甲児達の後を追う 第二行動方針:E-1へ。可能ならユーゼスよりも早くナデシコと合流 第三行動方針:マシンセルの確保 第四行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す 第五行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考1:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能 備考2:空間の綻びを認識 備考3:ガウルン、ユーゼスを危険人物として認識 備考4:操者候補の一人としてカミーユ、甲児、キラに興味 備考5:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】 【Jアーク(勇者王ガオガイガー) 機体状態:ジェイダーへの変形は可能? 各部に損傷多数、EN・弾薬共に100% 現在位置:D-3南部 備考1:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復 備考2:D-4の空間観測を実行中。またその為一時的に現在地を固定 備考3:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】 【二日目 13 15】 BACK NEXT 膨れ上がる悪夢 投下順 心の天秤 膨れ上がる悪夢 時系列順 心の天秤 BACK NEXT 獣の時間 アムロ 怒れる瞳 獣の時間 キラ 怒れる瞳 獣の時間 アイビス 怒れる瞳 獣の時間 カミーユ 怒れる瞳 仮面の奥で静かに嗤う ブンドル 怒れる瞳 仮面の奥で静かに嗤う 甲児 怒れる瞳
https://w.atwiki.jp/yamamura2/pages/2678.html
【TOP】【←prev】【FAMILY COMPUTER】【next→】 超人ウルトラベースボール タイトル 超人ウルトラベースボール 機種 ファミリーコンピュータ 型番 CBF-UB ジャンル スポーツ(野球) 発売元 カルチャーブレーン 発売日 1989-10-27 価格 6500円(税別) タイトル 超人ウルトラベースボール 限定品 機種 ファミリーコンピュータ 型番 CBF-UB-1 ジャンル スポーツ(野球) 発売元 カルチャーブレーン 発売日 1989-10-27 価格 6500円(税別) 駿河屋で購入 ファミコン(箱説あり) ファミコン[限定品] (箱説あり)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/54.html
歌と現実 ◆h13q4eyrNs 汎用人型決戦兵器 EVA-00 PROTO TYPE。 それがラクス=クラインに与えられた機体だった。 その形状は彼女が知るモビルスーツとはかけ離れており、いわば【巨人に鎧を着せたモノ】とでも形容すればいいのだろうか。 ブルーに染められたボディ、一つ目の頭部。 そして―――"人造人間"という肩書き。 (…にしては、"人間らしさ"を感じませんわね) ウェットスーツのような構造のプラグスーツを身に纏い、L.C.L.という液体に満ちた(呼吸はできる)コックピット、エントリープラグの中で、 ラクスはそんなことを考えていた。 (ヒトが造りしヒト………わたくしたちコーディネーターとは随分毛色が違うけど、この子には魂はないのかしら?) 彼女自身も造られた人間―――厳密には第2世代であるが―――『コーディネーター』の肩書きを持つため、 この機体には興味が持てた。 だが、この機体からは命や精神、そして感情が全く感じられない。 (プロトタイプだから?いえ………あるいは、ヒトを造ることなど………) その考えに至ると、急に自分の存在が怖くなった。 元の世界でコーディネーターが迫害されていることもあって、自分達が『あってはならない存在』なのかもしれないと思ったからだ。 「いけませんわね、こんな弱気では」 殺し合いと言う極限状況に置かれているから、などという言い訳は通用しない。そんな状況に置かれているからこそ、前向きにならないといけないのだ。 そう自分に言い聞かせ、ラクスはまるで母体の中にいる胎児のような気分で、モチベーションを高める為に、歌を歌う。 『静かな~この夜に~あなたを~待っ(ry』 魂なき人造人間に、人類の持ちうる最高峰の歌声が響いた。 一曲歌い終えたラクスは一息ついて、これからどうするのかを考える。 「まず、キラと合流したいですわね」 見ず知らずの他人よりは、自分と共に戦った仲間のほうが信用できるのは当然だ。最初の場所で会ったキラは、確かに彼本人だった。 様々な死線を乗り越え、精神的にも強くなったキラなら容易にこんなゲームに乗ることは無いだろう。 次に、この首輪だ。希望的観測だが、ここに集められた者の力を結成すれば或いは外せるかもしれない。そしてあの化物を倒すことも。 「………茨の道ですわね」 かもしれない、という一縷ですらない望み。生き残りたいのなら、ゲームに乗るのが一番手っ取り早いだろう。 だが、殺し合いに乗るという選択肢はラクスには考えられなかった。 ピピッ 電子音が聞こえ、L.C.L.に映像が浮かび上がる。かなりのスピードで何かが接近している。 機影がモニターに移る。 映った機体は、見覚えがある機体だった。 破砕球が飛び、実体弾が迫る。 「フィールド、展開ですわっ!」 六角形の力場が破砕球を弾く。 六角形の力場が実体弾を弾く。 零号機が銃を取り出して構える。 レイダーが大口径の銃から発射された劣化ウラン弾を変形して回転しながらかわし、その勢いで接近。 そして大型クローの付け根に位置する短距離プラズマ砲【アフラマズダ】を放つ。 プラズマ砲が迫る。六角形の力場がプラズマ砲を弾く。 つい先程始まった戦闘は、互角に進んでいる。 いかなる通常兵器も展開されたA.T.フィールドには通じない。 とはいえ、EVA零号機もアンビリカルケーブルのせいであまり縦横無尽に動き回ることはできず、 高速で移動しながら攻めてくるレイダーに攻撃が当てられない。 『どうか剣を収めてください、わたくしに戦う意思はありません』 ラクスは戦闘が始まる前と同じ通信を送るが、レイダーのパイロットは全く聞く耳を持たず攻撃を続ける。 レイダーはMA形態に変形し、機関砲で牽制しながら接近し、再びMS形態に変形して攻撃を繰り返す。 ラクスは戦闘兵器での戦闘に慣れていない。だが、搭乗者の脳波を通じてダイレクトに動かせるEVAならある程度は戦える。 加えて敵機、GAT-X370レイダーは零号機の三分の一程度の大きさ。 パワーでは負けるはずもないし、巨体ゆえの弱点、小回りの利かなさによる隙もA.T.フィールドのおかげでカバーされている。 レイダーが一旦離れる。 旋回してEVAの真後ろの廃墟に回り、口の開口部より100mmエネルギー砲【ツォーン】を発射する。 廃墟はエネルギー砲に貫かれ、爆音とともに崩れ落ちる。レイダーは防盾砲を構えながら空中に静止し、攻撃の効果を伺う。 粉塵が舞う。その中で何かが光った、と思った瞬間、ビームのようなものが飛び出してくる。 運よくビームはレイダーを逸れるが、廃墟と化した街のビルを次々と薙ぎ倒しながら飛んでいき、見えなくなった。 その余りにも埒外な威力に一瞬レイダーは動きを止めてしまい、ズシンという轟音が響いたのが聞こえたときはもう手遅れだった。 粉塵を払い、巨大な手がレイダーを掴む。先の轟音は今のビームを放ったライフル(と呼ぶには巨大すぎるが)を地面に取り落とした音の様だ。 『あなたもMSのパイロットなら知っているはずです、陽電子砲の威力を』 三度通信を繋いだラクスは、内心自分もポジトロンスナイパーライフルの威力に驚いていた。 アークエンジェルの陽電子砲と比べても遜色ない大出力の攻撃を、カートリッジで連射可能と知った時は流石にブラフだろうと思ったが、 一応狙いを少し外しておいてよかった、と胸を撫で下ろす。 『そのモビルスーツ、レイダーの最大武器は先程のエネルギー砲のはずですわ、それもA.T.フィールドには通じなかった』 できるだけ優しく語りかける。そして相手の反応を観察する。 相手が元からこのゲームに乗るような冷酷な相手なら機体を破壊してこの場を立ち去るが、 恐怖でこのような行動を起こしてしまったのなら、できれば説得して仲間に加えたい。 『………………』 相手は全くの無反応だ。相手の息遣いは聞こえるので、通信機は壊れていないはずだ。 ラクスは訝り、もう一度通信を入れる。 『貴方は何故このようなゲームに乗って、何のために戦うのです?』 『………………』 『死ぬのが怖いのですか?』 ラクスはここで一旦言葉を切り、反応を伺う。 『死ぬのは怖くない』 唐突にレイダーのパイロットが言葉を発した。 『だが、死ぬわけにはいかない』 では、私と共に――――と言おうとした瞬間、銃撃音が響く。 レイダーが防盾砲を放っているのが見えた。 『何を―――?』 A.T.フィールドにはそんなものは通じないはず。 だが、レイダーが狙ったものは別の物だった。 地面に落ちたポジトロンスナイパーライフル。撃ち抜かれて行く。 ラクスは咄嗟に零号機の腕でボディを庇い、A.T.フィールドを作動させる。 ――――――廃墟が消滅するほどの爆発と、轟音が起きた。 何もなくなった廃墟跡に巨人が佇む。 膝を突き、完全に機能を停止している。その胸には大穴が開いている。 エントリープラグは射出され、地面に転がっている。 「う………うう………」 ラクスは胸を押さえ、痛みに震えている。 (まさか………あんなことをするなんて) レイダーは零号機に掴まれていたため、A.T.フィールドの中にいた。 爆発自体は耐え切れたが、いかに強力なシールドでもその内側に這入られれば無意味だ。 そして全武装での一点集中攻撃。EVAの特殊装甲を抜く程の誤差がない精密射撃によって零号機は倒れた。 EVAのダメージはパイロットに直接伝わる。 故にラクスは経験したことのない激痛を覚えていた。 ふと上を見上げると、霞んだモニターにレイダーが防盾砲を構えているのが見えた。 弾丸が発射される。エントリープラグを突き破り、ラクスを貫く。幾度も幾度も、貫く。 (アスラン………キラ………) ――――痛みが消えた。 L.C.L.の中で、自分の歌が聞こえたような気がした。 いつまでもいつまでも、歌が響いていた。 レイダーが飛ぶ。 爆音は間違いなく周囲に響いただろう。長居はできない。 パイロットの名はヒイロ=ユイ。テロリストである。 (………リリーナ) 彼は元の世界にいた、自分を変えた女性のことを考えていた。 テロリストである自分を恐れず正面から向き合った妙な女。 ヒイロは彼女を少し尊敬していた。だが、現在彼女は自分が敵対するOZのスポンサー、 ロームフェラ財団の傀儡にされようとしている。 声しか聞いていないが、先程の女はどこかリリーナに似ていた。 心に蔭りが射す。自分がこれからやろうとしていることを僅かに躊躇う。だが、止めるわけにはいかない。 (リリーナ………俺は必ず生き残り、元の世界に戻る。そしてお前を殺しに行ってやる) このゲームにどれだけの人数が参加しているのかは分からない。 だがいいだろう、人を殺すのには慣れている。 ヒイロは天を仰ぎ、呟く。 「答えろ、ノイ・レジセイア――――」 「俺は後、何人殺せばいい?」 【ラクス=クライン 搭乗機体:EVA零号機(新世紀エヴァンゲリオン) パイロット状況:死亡 現在位置:E-3 機体状況:胸に大穴、エントリープラグ内にラクスの歌が響いている?】 【ヒイロ=ユイ 搭乗機体:レイダーガンダム(機動戦士ガンダムSEED) パイロット状態:良好 機体状態:良好 現在位置:F-3 第一行動方針:参加者の殺害 最終行動方針:元の世界に戻ってリリーナを殺すため、優勝する(リリーナが参加していることは知らない)】 備考:E-3の周囲一マス程に爆発音が聞こえました。E-3の廃墟が消滅しています。 【残り50人】 【初日 13 00】 BACK NEXT 仮面の作戦会議 投下順 闇色をした『王子』さま 若い、黒い、脅威 時系列順 闇色をした『王子』さま BACK 登場キャラ NEXT opening ラクス ヒイロ 閃光
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/287.html
さらば優しき日々よ ◆ZbL7QonnV. G-6エリア。夜の闇が周囲を満たす基地の一角に、その機体は闇に溶け込む形で鎮座していた。 黒の騎士、ヴァイサーガ。フューリーの騎士の血を継ぐ少年、紫雲統夜に与えられた機体。 一夜の休息を求めて基地を訪れた統夜は、周囲に敵機の反応が無い事に安堵の溜息を吐いていた。 「とりあえず、今の所は安全みたいだな……」 静まり返った闇の中、統夜は身体の力を抜く。 戦いとは縁の無い学生生活に慣れ親しんで来た統夜にとって、戦場の緊張感はあまりにも重過ぎた。 戦う事を決めはした。 元の世界に戻れるのならば、この手を血で汚す覚悟もある。 殺される前に、殺し返す。そうする事でしか生き残れないのであれば、そうするまでだと決意した。 ……だが、彼の手は未だ血に濡れてはいない。 まだ、引き返す事は出来るのだ。 堕ちかけた修羅の道を引き返す事は、今ならばまだ不可能ではない。 まだ直接人の命を奪ってはいない、今の紫雲統夜ならば。 「あいつ……テニア、今頃どうしてるのかな……」 その証拠に、まだ彼は捨て切れていない。 優しさを。 人としての、温もりを。 「……死んだんだよな。カティアも、メルアも。 あいつ……ずっと、一緒だったんだよな。子供の頃から、ずっと……」 だが、それは甘えに過ぎない。 わかっていた。 こんな事を考えてみた所で、何が解決するわけでもない。ただ、迷いを引きずるだけだ。 しかし、それでも考えずにはいられなかった。 それが、意味の無い事だと知りながら。 「家族……みたいなもの、だったんだよな……」 思い出す、父の訃報。 両親を亡くして天涯孤独になった時、自分は何を思っていたか。 哀しかったか? 苦しかったか? 寂しかったか? 辛かったか? ならば、きっと彼女も……。 「……くそっ!」 想像を、振り払う。 迷うな、悩むな、戸惑うな。 ためらいの先に待っているのは、自分の無残な最期だけだ。 あの放送で名前を呼ばれた、合計十人の参加者たち。それの仲間入りをしてしまってもいいのか? 「……いいわけが、ないだろうっ!」 不安、恐怖、孤独。それらの感情を吐き捨てるように、統夜は叫び声を上げる。 そして、ふと気を紛らわすように、レーダーに視線を向けてみて―― 「戦闘の、跡……?」 それに、統夜は気が付いた。 「……ひどい、な」 もはや鉄屑と化した人型の機体。 バーナード・ワイズマンのブラックゲッターに破壊された、ヘビーアームズの残骸を見下ろしながら、統夜は表情を微かに歪める。 ひょっとしたら、これは自分の末路だったのかもしれない。 ほんの少しでも状況が違っていれば、ギンガナムとか言う男に殺されていたのかもしれない。 いや、それだけではない。 あの男以外にも、このゲームに乗った人間はいるはずだ。そういった奴らに命を狙われて、自分も殺されていたのかもしれない。 「殺し合い、か……」 沈痛な声で統夜は言う。 ぶるり。微かに、身体が震えた。 死者を悼む気持ちよりも、恐怖の方が先に立った。 いったい、どんなヤツが死んだんだろうか。 このゲームに乗った人物が返り討ちにあったのか、それともゲームに乗った人物の手で殺されてしまった犠牲者なのか。 願わくば、前者であってほしかった。見境無しに暴れ回る危険人物の生存は、統夜にしても簡便願いたかったから。 「……死んだんだよな。カティアも、メルアも」 ふと、得体の知れない不安が心を過ぎる。 ひょっとしたら、彼女達なのかもしれない。 この機体に乗っていたのは、カティアやメルアだったのかもしれない。 だが、それがどうした。もしそうだったとしても、二人が死んでいる事に違いは無い。 ……違いは、無いのだ。 「レーダーに反応は……無い、か……」 だが、それでも心がざわついた。 「辺り……静かだよな……」 もし、あの機体に乗っているのが、自分の知っている二人だったなら。 そう考えると、胸が締め付けられるように痛んだ。 「ちょっとだけ……見てみるかな……」 黒の騎士が、ゆっくりと膝を付く。 それは、少年の甘さだった。 優しかった過去の日々を捨てきれない、少年の甘い考えだった。 「…………」 ヴァイサーガの操縦席を無言で降りて、ヘビーアームズの残骸に歩み寄る。 操縦席の位置には見当が付いた 人が入り込めるくらいの、機体の装甲に出来た裂け目。そこから操縦席の中に身体を入り込ませて―― 「……違う、か」 人違いだった。 カティアでも、メルアでもない。見覚えの無い、がっしりとした身体付きの中年男性だった。 ……生きていた。 傷付き倒れてはいるようだが、浅い呼吸を繰り返していた。 意識は、無い。統夜にとっては幸いな事に、男は目覚める様子を見せなかった。 機動兵器を使った戦闘に慣れてきたとはいえ、特殊な戦闘訓練を受けた訳でもない高校生の統夜である。 見るからに荒くれ者といった感のあるモンシアを相手に、生身の白兵戦で勝つのは不可能であろう。 さりとて、どうする? 「殺し合い……か……」 紫雲統夜は、まだ人を殺した事が無い。 一度は固めた覚悟にしても、吹けば崩れる砂礫の城だ。自ら望んで殺し合いを行えるほど、紫雲統夜は歪みきっていない。 それは、統夜が未だ人の道を踏み外してはいない証だった。 ……だが、それでは生き残れない。 この凄惨な殺し合いの中で、他人を蹴落とし生き延びる事など出来るはずがない。 そうだ、殺せ。 この男を、殺してしまえ。 迷いを断ち切り、殺してしまえ――! 「っ…………」 指が、肩が、身体が震える。 ばくばくと心臓は早鐘を打ち、耳の辺りが異様に熱く感じられた。 これから、自分は人を殺す。その事実が、統夜の心に重く圧し掛かっていた。 気絶した男の首に手を回し、それを全力で締めようとして―― しかし、迷いの為に、その手が途中で進まなくなり―― 「ぅ……ぁ…………」 ふと、男が呻き声を上げた。 「う……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ!!!!」 恐怖、そして絶叫する。 手の近くに転がっていた、装甲の欠片を拾い上げる。 それを思いっきり振り被って、男の顔面に叩き付ける。 ぐしゃり。鼻骨の砕ける感覚が手に伝わり、飛び散る血糊が統夜を濡らす。 「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!」 統夜が戦う事を決めた、たった一つの強い感情。 それは、死の恐怖。 殺さなければ、殺される。 だから、殺される前に、自分が殺す。 その恐怖が、男の呻き声によって呼び起こされてしまったのだろう。 狂ったような叫び声を上げながら、統夜は装甲の欠片で男の顔面を強打し続けていた。 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も――! 「が……っ! っっっっ! っっっっっっっっっっっっっっっ!!!!」 もはや言葉にもなっていない叫び声を上げながら、統夜は男の顔面を打つ。 鼻が崩れた。目玉が潰れた。耳が削げ落ちた。骨が砕けた。血が飛び散って、脳漿さえも撒き散らされた。 だが、それでも止まらない。 統夜は絶叫を上げながら、狂ったように手を振り下ろす。 そして、およそ十分後―― 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…………」 ようやく体力の限界を迎えたか、やっと統夜の手が止まる。 彼の前には、男の死体。もはや元の顔立ちがわからなくなるくらいに崩れ去った、ベルナルド・モンシアの死体があった。 ……統夜の身体は返り血塗れだった。べっとりと身体を濡らす血の感覚に気付き、そこで統夜は我に返る。 とうとう、殺した。 踏み越えてはならない一線を、とうとう統夜は越えてしまった。 「お……おうっ、おげぇぇぇぇっ…………!」 血と脳漿の入り混じった臭いに、人を殺してしまった事実。それに統夜は吐き気を催し、そのまま胃袋の中身を撒き散らす。 殺した。 この手で、殺してしまった。 生きる為に殺すと決めた。他人を蹴落とし生きて帰ると、確かに覚悟は決めたつもりだった。 だが、それがどれだけ甘い覚悟であったのか。 ……知らなかった。人の命を奪うというのは、これほどまでに怖気が走るものだったのか。 ヴァイサーガの武装によって男を殺していたのならば、気付く事は出来なかっただろう。 死とは、これほどまでにおぞましいものだったのか―― 「あ……あがっ……、あが……ぁっ…………!」 震える。 自分の身体を強く抱き締めながら、ぼろぼろと涙さえも流して―― 「あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!! ふ……ざけるなっ! ふざけるなっ! ふざけるなっ! ふざけるなっ!」 怯える心を打ち払うように、やおら統夜は叫び声を上げた。 「やれって言うからやったんだ、俺はっ! カティアだって、メルアだって殺された! 俺だって、やらなきゃやられてたんだ! 何が悪い! 何が悪い!? 何が悪いって言うんだよ!! 俺は何も悪くない! 殺すんだ……殺して、俺は生きるんだ!!」 そうだ、殺せ。 殺して、殺して、殺し尽くせ。 このゲームに乗った連中も、このゲームに乗る気が無い連中も、一人残らず殺し尽くせ。 そして、生き延びるのだ。生きて、元の世界に帰るのだ。 そのためには、殺さなければならない。 なによりもまず、これまでの弱い自分を殺さなければならない。 たった一人殺した程度で震えるような、弱い自分は必要無い。 修羅に堕ちろ。 ヴァイサーガ。あの黒騎士に相応しい、非情の魂を手に入れるのだ。 そのために、どうすればいい? どうすれば、この弱い自分と決別する事が出来る? 「……………………殺そう」 ぞっとするような、凄惨な響きの入り混じった声。 これまでの、どこか弱気な印象のある少年の声からは程遠い、鬼の声で統夜は言う。 そうだ、殺そう。 過去の自分と決別する為には、自分の過去を消し去らなければならない。 少年・紫雲統夜にとって過去の象徴と言える存在、フェステニア・ミューズ。 この手で彼女を殺した時、自分は過去を乗り越える事が出来るのだ。 もう二度と引き返す事の出来ない修羅道に、身と心の総てを捧げる事が出来るのだ。 ああ、そうだ―― 「殺れって言うなら、殺ってやるさ……!」 ヘビーアームズの操縦席を抜け出しながら、殺意の視線で虚空を見上げる。 ヴァイサーガ。黒の騎士は何も言わず、主の決意を受け止めていた。 もう、戻れない。 もう、帰れない。 あの優しかった日常には、決して引き返す事は出来ない。 【紫雲統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:返り血塗れ 機体状態:無傷、若干のEN消費 現在位置:G-6基地 第一行動方針:テニアを殺す 第二行動方針:テニアを殺すまで余計な戦闘は避ける 第三行動方針:殺せる相手は確実に仕留める 最終行動方針:優勝と生還】 【ベルナルド・モンシア 登場機体:ガンダムヘビーアームズ改(新機動世紀ガンダムW~Endless Waltz~) パイロット状態:死亡 機体状態:大破(運用不能)】 【残り43人】 【初日 20 15】 本編97話 ゲスト集いて宴は始まる 本編107話 暗い水の底で