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第九話 「ボヌールからの挑戦状 後編」 高速道路を二体の神姫が駆け抜ける。 「ハハハ! 無駄だよお嬢さん!」 片や車の上を飛び移り、片や車の間を縫って走る。 「くっ……!」 車の屋根から屋根へ飛び移る雅の後を、ソレイユの放ったボウガンの弾痕が追ってゆく。 「しつこい……!」 「落ち着け!」 雅をオペレートしている間にも、 「きゃあっ!」 「それそれです~」 川岸で戦っているメリーを見るのも手一杯になってしまう。 やはり、二体の神姫を同時に指揮するのは無理がある。だが、アンリは全くタイプの違う神姫を使っているのだ。もしや、本当に……。 「……メリー! 一旦離脱だ!」 「ダメですっ! 追いつかれる!」 通常のマリーセレスの武装に加え、アルトアイネスのレッグパーツを装備したノワールは、機動力が上がっていた。 それに加え、マリーセレス装備の高い防御力でこちらの攻撃をことごとく弾く。 「それそれそれそれ! あっははははは!」 後退しようとするメリーに対して、執拗に触手と短剣の連打を加えてくる。この距離で重くて隙のあるスプーンを振り回すことは出来ず、素手で対応しなければならない。 「あはは! 楽しいですう!」 「く……ああ!」 一方、ソレイユも仕掛けてくる。 急加速すると前方の雅との距離を一気に詰め、二本のナイフで斬りかかる。 「!」 だが、雅の反応も速い。それよりも速く振り返ると、右手の箸でナイフを受け止める。 「ふっ……流石、といったところかな?」 ギチギチと音を立ててぶつかり合う二人。少しずつ雅が押されていく。 「調子に……乗るんじゃないわよっ!」 しかし、雅が巴投げの要領で相手を投げ飛ばすと、ソレイユは意外と簡単に吹っ飛んだ。 「くおっ……!やるね」 前のバスに着地して体勢を立て直したソレイユは、また突っ込んでくる。 「……? ……夏叫乱!」 一瞬訝しげな顔をした雅だったが、すぐに姿勢を変えると右腿の長筒を構えて、撃つ。 砲弾が看板に当たり、爆風が吹き荒れるが、ソレイユは寸前でかわして無傷。 「はは、僕の武装の前では無駄さ! 僕に傷を付けたこと、後悔させてやる!」 そして、メリーの方は。 「てやあっ!」 至近距離で蹴りを加えたが、相手のスカートに防がれた。 「おっと! ですう」 「くっ!」 メリーの右足を触手で捕らえると、そのまま逆さ吊りの状態にする。 「ああっ!」 「むふふ~。このまま遊んであげたいのもやまやまですけどー、さっさと終わりにしてやるです」 言うなりノワールはメリーをスイングして投げ上げると、触手のユニットを展開し、内部の砲口を露わにした。 「まずっ……!」 「バッカル……コーン!」 砲口から大量のエネルギー弾が放たれる。 「きゃあああっ! ……あ……」 逃げ場の無い空中でまともに攻撃を浴びたメリーは、体中からぶすぶすと煙を噴き上げながら、川に落下した。 ざぶんと飛沫を上げて、メリーの姿が見えなくなる。 「ふふ~ん。ボロ雑巾にしてやったです。さーって、ソレイユはどうしてるですかね」 「オメガスターロォードッ!」 ソレイユも大技を使ってきた。雷光を身に纏い、ブースターを吹かして高速接近する。 「うわっちち!」 間一髪で身をひねってそれをかわす雅。 このバトルの前までに調整は充分やったつもりだったが、アンリの神姫達はそれに匹敵しようかというところだ。これが新型の性能なのか。 「フフ、どうデスか、ワタシの神姫は?」 筐体の向こう側でにやついているアンリがそう呼びかけてきた。 「アナタの旧型神姫デハ、O.P.Fに注文したワタシの完璧な神姫達には勝てまセン。何事も全てを決めるノハ、素質、そして才能なのデス」 「……にゃろう」 くそっ。考えろ。次の手を打て。 だが、どうする、どうする、と頭が叫び、焦りが思考力を奪う。 ギャラリーも、見ろ、彼ってあの『双姫主』じゃないか?などと話している。 実際、本当にそうじゃないかと思ってしまう。 悔しいが、一瞬だけ俺の中で勝つ望みがぐらついた。 外部モニターの前で固唾を呑んで見守る健五やギャラリー。その視線の先にいる雅の動きに少しずつ余裕が無くなっていく。 一方で、アンリや神姫達には焦りが全く見られない。涼しい顔で戦闘を続けている。 このままだと、そのうちノワールがやってきて挟み撃ちに……と思ったところである事が目に付いた。 何故、アンリはあんなにも落ち着いていられる? あいつが本当に『双姫主』なのだとしたら、二体の神姫に指示を送るのは訳も無いだろうが、それでも今のアンリはむしろ不自然なくらいに……。 ふと、ソレイユの姿が目に入った。 アーンヴァルの大容量ブースターを生かした加速で急接近し、すれ違いざまに切りつける。 そういや、直也が言ってたプロキシマの動きって……。それに、ノワールの方は……。 まさか。いや、それは。 落ち着くのは、俺の方か。 俺はインカムをつまむと、雅に通信と、サイドボードからの装備を送る。煙玉だ。 「雅、一旦離脱してメリーと合流しろ。そこから北に二百だ」 「え!? でもこいつは」 「いいから行け。体勢を立て直すぞ」 「? ……分かったわよ」 こちらに向かってくるソレイユの目の前でぼふん、と煙玉を地面に投げつけ、退却する。 白煙が晴れると、雅の姿は無かった。 「むっ……」 メリーは川下まで流されていた。 緑色に濁った水面に、白と青のボディが浮かんでいる。 「雅、引き上げられそうか?」 「うん」 メリーが引っかかっている丸太を箸で引き寄せ、脇を抱えて助け起こす。 砂利の上に寝かせられたメリーは、少しして目を覚ました。 「……ぐ、げほっ……えほっ、えほっ」 「気がついたか?」 「あ、アキラさん……と」 目を細めて、隣の雅を睨むメリー。 「……よりによってあなたに助けられるなんて、不覚ですね」 「何よ? せっかく助けたのにそれ?」 「おい、二人とも止せ。今はそんな場合じゃねえ」 「アキラさん?」 「良く聞け。確証はねえが、もしかしたら勝つ方法が分かったかもしれねえんだ」 「ホント?」 「だがな、それにはお前ら二人が協力しなきゃならねえ。やってくれるか?」 俺の言葉に二人が顔を見合わせる。 「……勝つ方法、って?」 「それはな……」 「……ってわけだ」 「え、それじゃあ……始めから?」 「ああ、そうだったんだよ。だからその後は応えてやれ。あいつらの望み通りに」 にやっと笑う俺。 対して二人は、剣呑な目つきでにらみ合った。 「……私と……雅さんが?」 「ああ。二人でやるんだ」 すると、すっと雅が立ち上がった。 「手ぇ貸しなさいよ、メリー」 「……」 「あんな奴らに負けられないでしょ。ほら」 「嫌です。あなたと手を組むのは」 「まだ駄々こねて……!」 「でも」 その瞳に、強い光を。 「負けるのはもっと嫌です」 ほんの、本当にほんの少しだけ、メリーの口元が緩んだ。 「これで貸し借り無しですよ、先輩」 「……ふん」 雅は普段の気むずかしい顔で、だけどがっしりとメリーの手を取る。 「こんなのも久しぶりかしらね……。じゃあ、行くわよ」 「はい」 二人が強い想いを携え、そして駆けてゆく。 ※※※ 健五ははらはらしながらモニターを見ていた。 どうしたんだろう。輝さんは何をしてるんだ? それに、アンリさんも様子が変だ。 どうして……。どうしてさっきからアンリさんはほとんど何もしてないんだ? でも、この二人の試合は、見ていて惹かれるものがある。 その時、画面の中で雅とメリーが動いた。 ああ、負けないで、輝さん。 ※※※ 交差点の傍で、ソレイユは苛立っていた。 顔に傷を付けられた上に、自慢の技までかわされた。 何故だ。自分は、マスターの期待を背負った、完璧なカスタムが施された新型のはずだ。過去の神姫など寄せ付けない力があるはずだ。 許せない。 いくら美しいものであっても、もう一人のスプーン型の方も、彼女を仕留め損ねたノワール共々、僕の誇りを傷つけるものは全て。 その時、レーダーに反応があった。 振り返ると、太陽を背にして、小さな影が飛びかかってくる。 来たね!」 ライフルを構え、狙いを付ける。空中なら避けられまい。 そうだ。最後に勝つのは才能だ。それを分からせてやる。 「くらえ!」 だが、放った弾丸は、その小さな体に不釣り合いな大きさのスプーンに弾かれた。 「なっ!?」 「あなたの相手は私です」 光量を調節した瞳が捉えたのは、白と青のスプーン型だった。 振り下ろされるスプーンを前に防御姿勢をとるが、加速によって増したその重みにあっけなく吹き飛ばされる。すさまじい破壊力だ。 「ぐおっ!」 大きく飛ばされたソレイユは足下から火花を散らしながらも、ぎりぎり壁際で踏みとどまった。 しかし青い神姫はその隙を逃さず、スプーンを引きずるようにしながら恐るべき速度で迫る。 慌ててナイフを取り出すも、繰り出されるスプーンの質量を受け止めることは出来ない。 「ぐあああっ!」 容赦の無い青い神姫はそのまま、ソレイユの背に文字通り馬乗りになった。 「これが……鍵!」 そして、スプーンの先端をパージして現れたフォークを、ソレイユの背部ユニットに突き立てた。 「な、スプーンさんじゃないですう!?」 ノワールは突然現れた神姫が自分の狙いの神姫ではないことに、ひどくうろたえた。 「せあっ!」 しかもこの赤い神姫は、驚くべきことに片手の箸だけでこちらの攻めを全て捌いている。 その技は、美しくすらあった。 「こ、このっ!」 いくら武器を振り回しても、当たらない。当たらない。 「つ、強いですう」 「雅、隙間を叩け!」 「そのつもり!」 そして赤い神姫は壁を駆け上がり、すさまじい速さで側面に回り込むと、僅かな隙を見逃さず、スプーン型が破壊した触手の隙間、その先のユニット本体に、箸を突き刺した。 「ぐおおおっ!」 「くきゃあああああ!」 二人のユニットが破壊され、ノイズが奔ったかと思うと消える。 「馬鹿な……!」 「でえああああーっ!」 飛び上がったメリーがスプーンをそのまま思い切り振り抜く。 「ぬうあっ!」 飛ばされたソレイユは標識や信号機を破壊しながら、地面に落下した。 その先には、 「はっ、ソレイユ!」 「来たわね……!」 ノワールと雅が戦っていた。 ノワールが気を取られている隙に、背中へと蹴りを入れる。 「ふにゅ!」 妙な声を上げて地面に倒れ伏したノワールに、雅が箸を突きつける。 メリーと雅、二人が背中合わせに立った。 「な、な……!」 俺の向かい側のアンリは、これまでに無く狼狽している。 それもそうだろう。 「へっ。アンリ、一つ言うぜ」 「!?」 「あんた、本当は弱いだろ」 「なんデスと……!」 「俺は試合中ずっと、あんたが『双姫主』なんじゃないかって思ってたんだ。だが、本当は違う。あんたは双姫主でも何でもない、ただのオーナーだ」 ギャラリーが少しざわついた。 「考えてみりゃ、ヒントはあちこちにあったんだ。一つはあんたの神姫達が同じ戦法を繰り返していたこと。そして発売したばかりの新型で、カスタマイズを自慢していたこと。そしてそれ以上に決定的だったのは……あんたが試合中やけに落ち着きすぎていたことさ」 思い切りびしっと言ってやった。 「そうか……! だから何もしてないように見えたんだ!」 「そうだ健五。そこから考えられたのは……あんたは神姫の武装とスペックに頼って、起動したての神姫を好き勝手に戦わせてただけだってことさ」 「!」 「それなら落ち着いていられるのだって当然だ。なにしろ指示を出してすらいないんだからな。メリーと雅を別々に狙ったのだって、特に考えがあったわけじゃなくて、ただそいつらが戦いたがった相手だから、ぐらいの理由じゃないのか?」 「ヌ、ヌヌウ……! ソレイユ! ノワール!」 アンリの呼びかけに二体の神姫が立ち上がる。 「才能うんぬんも結構だが、見せてやるぜ。才能を超える努力ってやつをな!」 「ぐ……努力だとっ……! 最後に勝つのは才能だ!」 ソレイユの言葉にメリーの目つきが鋭くなる。 「……あなたはまだ分かってない」 「何!?」 「誰しもが初めから才能に恵まれているわけではないことが」 「そして、恵まれなかったとしても諦めずに自分を磨く者の強さが」 ゆっくりと紡ぐように、俺の相棒達が言葉を続ける。 「確かに素質や才能はあった方がいいものです。でも、それには限界がある」 「努力するものには、限界は無いのよ!」 「黙れぇ! 僕は新型だ! マスターの期待を背負ったカスタム機なんだ! 旧型などに……負けるものかぁっ!」 ソレイユの咆哮が嵐のように響く。 「ノワール! 何をしている!行くぞ!」 「あ、えと、はいですぅ!」 新たな武装、大弓と斧を転送された二体が迫る。 「メリー、仕掛けるわよ!」 「はい、雅さん!」 二人が跳ね、ノワールが向かってくる。しかし、 「は!」 迫るノワールの肩を雅が踏み越え、背中に砲撃を打ち込む。 「きゃうう!」 「くっ!ノワール! どけ!」 勢い余ったノワールが飛び出してきてしまい、弓を放とうとしていたソレイユは射線を封じられてしまった。 「てやああ!」 その隙に、側面からメリーが攻撃を仕掛ける。ユニットを破壊された二体は、さっきのような動きは出来ていない。 「ぐううう!」 「な、なんという連携デスか……!」 「ふん。連携なんてかっこいいもんじゃないわ」 「そうですね。言うなればただの……」 二人が、笑った。 「「腐れ縁だ!」」 「く……おおおっ、認めない! 認めるものかぁっ!」 やけになったソレイユが向かって来る。 「いざ……!」 しかしソレイユが雅に接近するまでに、十分な時間があった。その間に、雅は一度箸を左腿のホルダーに納め、腰を落とす。 対するメリーは宙に投げたフォークを両手首に接続し、ノワールめがけて跳躍する。 「!?」 「破!」 ノワールが対応出来ない速さで、土手っ腹に蹴りを入れる。 「ぎ……!」 吹き飛ばされたノワールを、空中で一回転して横薙ぎを繰り出し追撃。さらに上段から爪を振り下ろす。 そして雅が繰り出されるナイフを、体勢を低くして回避。頭上をナイフがすり抜ける。 その、水面にしずくが落ちるような一瞬の隙を、雅は見逃さない。 「!?」 「必殺」 そして、箸に手をかけた。 『逆さ桜!』 『グリズリー・クロス!』 放たれた高速の居合い切りが、十字の爪痕が、二体の神姫を切り裂いた。 「がっ……あ!」 「ぎ……!」 だぁんと音を立て、二体が落下した。その後を追って、メリーも着地。 「久しぶりにしては良く出来たじゃないですか? 雅さん」 「ふん、まあね」 「馬鹿……な。僕達は、新型……」 「……もう、いいですよ、ソレイユ」 胴体からスパークをほとばしらせながら、ノワールが上目でソレイユの姿を見た。 「わたし達は負けたんです……。もう、新型も何も関係ないですよ」 「しかし……僕らは、マスターの」 「いいんですよ、そんなに頑張らなくても。スプーンさん達は強かったんです。今はそれを認めましょうです。……それに、ほら」 ノワールが、震える指先で示した先には。 「あ……」 「良いバトルだったぞー!」 「頑張ったわね!」 「もう一回見せてくれよ!」 「凄いじゃねーか!」 モニターの前の人々は、口々に応援の言葉を投げかけていた。 「ほら、みんな喜んでるです。これがきっと、研ぎ澄まされた努力の美しさなんですよ。それに……負けたかもしれないですけど、それでも……無駄では無かった、です」 「……う、ひっく、でも、僕らは……マスターに、勝利を……」 「なら、今より努力すれば良いじゃない」 雅とメリーが、二人に近寄った。 「誰しもが、自分にしか無い味を持ってる。自分の持ち味を考えて、それを一心に磨いて、煮込んで蒸して……。工夫して探し出したその先に、強くなった未来の自分がいるんじゃないかしら?」 「自分の、持ち味」 「あなた達、起動したてなんですよね」 しゃがみ込んだメリーは、満面の笑みをたたえていた。 「だったら、積み上げていって下さい。オーナーとの大切な時間を。そうして強くなったなら、またお相手しますよ」 ぽーっと、ノワールの頬が赤くなった。 「きれい、ですぅ」 同時にジャッジが俺の神姫達の名をコールして、勝敗は決した。 「……トレビアンだ、ええと」 「雅。それと、メリーよ」 「ふふ。雅、メリーか。美しい」 観客の歓声と、ステージに吹く紙吹雪が、祝福するように二人を包んでいた。 「やったね、輝さん!」 筐体から離れると、健五が近寄って来た。 「ああ、まあな。しっかし、これは頭使うなあ」 勝ったものの、やっぱりタッグマッチは負担が大きい。そう考えていると、 「……見事デス、シマヅ君」 向こうからアンリがやって来た。 「相手を見抜く力、そして素材を生かすセンス……素晴らしいデス」 「へ。ありがとよ。まあ、これに懲りたら、もっと神姫を大事に……」 「つまり、キュイジーヌとオーナーの技術は同じというコト」 「へ?」 「シマヅ、そうか、アナタもしや、あのムッシュ島津の! フフ、なるほど。なら、このセンスにも納得がいきマス」 「いや、そうなんだけども、じじいとバトロンのセンスとは関係な……」 「見事デス。シマヅ君、いや、アキラ。貴方を……」 するとアンリは立ち上がって、こんな事を言った。 「ワタシのトモに認めます!」 「へ?」 「トモって……」 「ニホンでは、強者に与える言葉をトモと読むらしいデスね。貴方は確かに強かったデス。よって、ワタシのトモに認めまショウ!」 「……」 「デハ、帰るとしまショウか。オ・ルヴォワール、アキラ」 「はい、マスター。……また会うのを楽しみにしているよ」 「じゃあねですう。……ぽーっ」 アンリ達が帰って行った後、思わず顔を見合わせた。 「なあ、強者と書いてトモって……」 「ライバル、ってことじゃない?」 「……それに、反省したのか、あいつ」 「でも、本当に強かったよ!感動したよ!」 なんだか釈然としなかったが、 今は健五のように素直に喜ぶべきだろうか。 「……へっ、ありがとよ。お前らも良くやってくれたな」 二人が俺の肩で恥ずかしそうにしている。 「そんな、私は神姫として当然のことをしたまでで」 「あ、あたしはあんたのために戦ったんじゃないかんね!」 「へえへえ。そんじゃ帰りますかね。せっかくだし、なんか買って帰るかな」 「ホント!? じゃああたし、鳩○ブレーがいい!」 「高えよ。なんか別のにしろ」 「何よ、甲斐性無し」 わいわいとそんな言い合いをしながら、今日は帰った。 ※※※ そして次の日。 「ばっかじゃないの!? 目玉焼きにはお醤油だっていつも言ってるでしょ!」 「いいえ、ソースが一番です。とうとう味覚までいかれてしまったみたいですね、雅さん」 昨日の『腐れ縁』はどこへやら、二人はいつもの調子だった。 「おい止せよ。目玉焼きはこしょうが一番……」 「うっさいハゲ! あんたは口出しすんじゃないの!」 「誰がハゲだコルァ! スポーツ刈りだって言ってんだろうが!」 こんな調子の俺たちを横目に、おやっさんと健五はまた話していた。 「……っていう感じだったんです」 「なるほど。いいじゃないか、ライバル」 「?」 「意見をぶつけ合える人間を持つのは、とても貴重なことだからね」 この時のおやっさんの目は、どことなくさびしそうでもあった。 「さあさ、準備しようか。健五君は掃除頼むよ」 「あ、はい」 「マスター、あたしもお手伝いします♪」 「だから醤油!」 「ソースです!」 「こしょうだ!」 今日も、食堂は賑やかだ。 ~次回予告~ ある日食堂にやって来たのは、輝の幼なじみ!? そして少しだけ明かされる、輝の過去とは……。 次回、 第十話 やって来た小町娘 「お久しぶり、輝はん♪」 武装食堂に戻る
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順位 役名 俳優 得票 総得票に占める割合 1 武田晴信 市川亀治郎 125 44% 2 板垣信方 千葉真一 58 20% 3 武田信虎 仲代達矢 57 20% 4 大井夫人 風吹ジュン 14 5 山本勘助 内野聖陽 12 6 ヒサ 水川あさみ 9 7 諏訪頼重 小日向文世 3 8 小山田信有 田辺誠一 2 9 平蔵 佐藤隆太 1 9 甘利虎泰 竜雷太 1 9 武田信繁 嘉島典俊 1 9 禰々 桜井幸子 1 計 284 番外 1 クルミ 5 2 田中健二(演出) 2 3 勘助の眼帯を作った小道具さん 1 3 水害からに謀反にいたるくだり 1 3 廃人勘助から外されたミツの眼帯 1 3 大森寿美男(脚本) 1 3 孫子 1 3 勘助の脇差し 1
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2ターン目後手← 3ターン目先手 →3ターン目後手 ゲロ子:C1移動 卯月:D5移動 青木:待機 __1__ __2__ __3__ __4__ __5__ A (壁) B 割烹着 青木さん C ダンゲロス子 (壁) D 渡会 相思華、夢見崎、D-Slayer 卯月 E (壁) 春斬屋 生徒会 チーム名【勝利の鍵は割烹着女子グループ「汚物は消毒だー!」】DP 0 名前 性別 攻撃 防御 体力 精神 FS 能力名 発動率 成功率 備考 ★相思華リコリス 女 12 3 9 3 6 能力1:逆さ吊り曼珠沙華(リバース・リコリス) 能力2:見渡す限り赤花畑(シー・オブ・フレイム) 100 100 死亡時カウンター待ち受け、能力休み、移動-1 割烹着 無 5 1 3 3 18 魔人レシピ『クリーム豆腐~はちみつ風味~』 102 100 永続行動不能 卯月こうら 女 16 0 6 3 5 月とスッポーン!! 85 100 通常攻撃無効+ZOC無視 青木さん 男 7 10 5 3 5 マルチアクション必中脆弱斬 100 100 ε&ダンゲロス子(自重9仕様) 両 14 1 5 3 7 TDWIM 頑張ってどうにか敵の携帯番号を教えてもらう 85 0 番長 DP 0 名前 性別 攻撃 防御 体力 精神 FS 能力名 発動率 成功率 備考 ★渡会 弼 男 6 19 9 4 0 勇王邁進 68 100 ハイパーエリート突破 夢見崎ヌンジ 男 0 20 3 0 7 ディーダンケルヴェルトフュアディッヒ 85 100 D-Slayer 無 20 0 10 0 0 大銀河超一郎を殺す程度の能力 121 100 春斬屋ブリュンヒルデ 女 15 0 5 3 7 勝利のルーン 90 100 能力休み 父斤 与作(ちちおの よさく) 男 9 0 1 0 20 体は斧で出来ている 90 100 永続戦線離脱
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――基地内 廊下 深夜 俺「くそ、酷い目にあった。……いや、今もあってるか」 夜半過ぎ。とうに消灯時間を過ぎ、月明かりのみで照らされる廊下を歩く。 背中にはクルピンスキーが、両腕にはロスマンが抱えられている。 二人は酒の肴に俺の話を聞きながら、リミッター解除とばかりにバカバカと酒を飲み、見事に潰れてしまった。 14、5歳の少年に抱えられる重量ではないが、魔法力を使用しない俺の前でも、それは通用しないようだ。 しかし、酷い酒会だった。 笑われるは、無理やり一気飲みをさせられるは、さんざんである。 唯一の収穫は、ラルへの対応がそれほど間違いでないのが分かったことくらいか。乙女心というものは学んで理解できるものではないらしい。 はあ、と疲れを吐き出すように溜息を漏らし、ようやく辿り着いた部屋のドアを器用に開ける。 俺「…………片付けくらいしようよ、頼むから」 開けたドアの向こうには、片付けとは一切無縁の部屋が広がっていた。無論、クルピンスキーの私室である。 そこここに散乱した酒瓶。脱ぎっ放しの散らかしっ放しの衣類。足の踏み場もない、とは正にこのことだ。 俺の与り知らぬところではあるが、黒い悪魔と呼ばれるエースの部屋を思わせる惨状である。 流石に、あの少女にウィッチとしてのイロハを教えただけのことはあった。いや、関係ないか。 俺は覚悟を決めると、ゴミも衣類も踏まず、足音も立てずに奥へと進む。 クルピンスキー「んー、…………み、水……」 俺「はあ? 水なんて……アレか」 酔い潰れていると思ったクルピンスキーが水を所望する。 キョロキョロと辺りを見回すと、ベッドの傍にグラスを蓋替わりに被せたガラスの小瓶があった。 中の水が月明かりでゆらゆらと揺れている。恐らく、寝起きに飲むために用意したのだろう。 俺は、取り敢えず両腕で抱えていたロスマンを椅子に座らせる。 相変わらず眠ったままのようだったが、ピクリとも動かない。これなら椅子から落ちることもないだろう。 そして、今度は背負ったクルピンスキーをベッドへ寝かし、自分も腰かけた。 軽くなった首と両肩を回し、所望された水を飲ませようとグラスへと左手を伸ばすと―――― 俺「…………は?」 クルピンスキー「ふふ。……んふふふふ」 ガチャリと手錠が掛けられた。 何故、そんなものがここにあるのか。何故、そんなものを自分がつけられるのか。そして、何故、自分を拘束する必要があるのか。 一瞬で噴出した疑問は、こんなところか。 頭上に疑問符を浮かべたまま振り返れば、部屋の主が妖しく笑っていた。 何のつもりだ。そう言うよりも速く襟首を掴まれ、ベッドに倒される。 続き、頭上からまたしてもガチャリという音が。今度は手錠の反対側をベッドの手摺に繋ぐ音だった。 俺「な、何するんだッ!?」 クルピンスキー「しー。エディータが起きちゃうよ」 俺「それは、そうかもしれないけど……。いや待て、何でこんな物所持してるんだよ」 クルピンスキー「手錠のことかい? うーん、どうやら前に酔って何処かから持ってきたみたいだね」 あは、と笑っている顔はまだまだ赤い。どうやら、酔ってこんな行動に出たようだ。 酔いの回った人間の行動は分からない。そう痛感しながら、何とか外れないものかと動かすも、鋼鉄製の手錠である。外れる筈もない。 俺「……おい、鍵」 クルピンスキー「ふむ。ないね、どうやら本体だけ持ってきたみたいだ」 俺「冷静に分析するな。どうするんだよ、これ」 この分けの解らない状況を前にして、困惑しきりの俺は情けない声を出す。 そんな姿を見て、可愛いなぁと呟くクルピンスキー。顔には、まだ笑みが張り付いている。 俺「こんなんじゃ、伯爵も寝れないだろ。何とか…………」 クルピンスキー「ん? 何か言った?」 俺「何故、服を脱ぐぅッ!」 手錠ばかり見ていた俺が、この事態を引き起こした張本人の更なる突飛な行動に目を白黒させる。 薄い紺色のシャツは投げ捨てられ、上半身が俺と月光の元に晒された。 何処を見てもシミひとつない肌。鍛えられながらも、まだまだ細い腕と脚。見事なまでにくびれた腰。ラルには及ばないが十分に大きい胸。 まるで女神像を思わせるバランスの良さ。ある種、女体というものの完成系の一つが其処にあった。 男なら呼吸すら忘れ、見入ってしまいそうなものだが、初心な少年にそんな精神的な余裕はない。 ラルの前で見せた醜態同様、顔を逸らして目を閉じ、一切視線に入れないように片手で顔を覆う。 クルピンスキー「酷いなぁ、そんなに見たくないのかい?」 俺「ち、違う。伯爵の身体がどうのじゃ、なくて…………と、兎に角、そういうのは、何か、何かダメだ!」 クルピンスキー「いつもの君らしくないね。何がダメなのか、明確にしなくちゃ、ね」 腰辺りに生じた重みに、半裸の彼女が馬乗りになったのに気付く。 身体が接した状態に、ビクリと全身を震わせる。視界を閉じているせいで、逆に他の五感が敏感になっているようだ。 酒を飲んでも何も感じなかったのにも拘らず、今は火を吹きそうなほど顔が熱い。 自分の顔が過去最大級の赤さを帯びているであろう事実に、更に羞恥が加速した。 俺「な、なんで、こんな……」 クルピンスキー「それはね、……」 伯爵が口を開こうとしたその時、ガタンと何かが落ちる音がした。 一瞬にして、俺の顔付きが暗兵のものに代わる。気配こそ感じなかったものの、侵入者を警戒したからだ。 だが、音の発生源は椅子から落ちたロスマンであり、俺の警戒も杞憂に終わった。 そして、天からの助けに感謝する。あの先生が、この状況を見逃す筈がない……! 俺「せ、先生、た――むぐッ!?」 恥も外聞もなく助けを求めようとした俺の口を片手で塞ぎ、クルピンスキーは僅かに思案する。 すると、何かを思いついたのか、彼女の顔が輝いた気がした。 クルピンスキー「あー。……エディータ、大丈夫かい?」 ロスマン「いたた。……あら? 私、なんでアンタの部屋に?」 クルピンスキー「うん、そうだね。夢だから、じゃないのかな」 ロスマン「ゆ、め……? そういえば、何か可笑しいような……ひっく」 クルピンスキー「そんな所に居たら風邪を引くよ。部屋に帰るのも辛いだろう? 今日は此処で寝るといい」 ロスマン「そう、ね。身体も思うように、動かないし……」 俺(だ、騙されてる! やっすい嘘に騙されてるよ、先生!) どうやら、今の状況を夢で押し切る気のようである。 無茶苦茶な説明もあったものだが、酒で霞がかった思考では疑問に思わないのか、ロスマンはふらふらとベッドに向かってくる。 口を塞がれた状態で目だけで助けを求める俺にようやく気付いたのか、据わった眼でクルピンスキー。 ただ、残念ながら怒りで据わっているのではなく、単純に酔いが抜けていないだけのようである。 ロスマン「なんで、俺が……? それに、何でアンタも半裸なのよ」 俺(気付いたか、先生! そのまま其処を突くんだ! 絶対にボロを出す!) クルピンスキー「それよりも服、脱いじゃいなよ。軍服のままじゃ、寝れないでしょ?」 ロスマン「…………それもそうね」 俺(…………何、……だと……?) 自分にとって、よくない方向へと向かっている現実に、もがくことすらできず茫然とする。 普段の彼女ならエセ伯爵と一喝して、躊躇なく指示棒で頭を叩く筈の台詞に素直に応じている。 非常に拙い事態である。これ以上は、とても精神が耐えられないと思った矢先、ビシリと自分自身に罅が入る音がした。 布ずれの音が聞こえると思わず、その方向に視線を向けてしまった。それが最大の失敗だったと悟るのは、随分先のこと。 視線の先には二人の美女がいる。無論、半裸の。 クルピンスキーの肢体の芸術的な美しさもさることながら、ロスマンのそれもある意味においてそれ以上の威力を秘めていた。 北欧育ちのニパやサーシャとは明らかに異なる病的なまでに白い肌。握っただけでも折れてしまいそうな四肢。凹凸の少ない、幼さすら残る身体。 大人の妖艶さと子供の無垢さを合わせたかのような肢体は男好きするものではないだろうが、酷く背徳的な官能を隠そうともしない。 思考が白痴に染まっていく。視線が完全に釘付けになった。男としての本能がそうさせているのだろうか。 ラルの時ですら理性を失わなかったが、確実に失われつつあることだけは確かだった。 俺「う、……ぁう…………」 ロスマン「やだ。あんまりジロジロ見ないで……」 クルピンスキー「あはは。そんなことより、俺の服も脱がしてあげようよ」 夢だと思っているロスマンも、冷静に見えるクルピンスキーも男の前に身体を晒すことに、頬が酔いとは別の朱に染まっている。 震える二人の指先が俺のシャツのボタンを外していく。 初心な彼のこと、抵抗の一つもしそうなものだが、目にしたものの衝撃の余りに事態を認識していないのか、ピクリとも動かない。 そうこうしている内にシャツのボタンが全て外され、少年にしては厚い胸板と見事に割れた腹筋が外気に触れた。 俺「あ……れ? 俺、なんで、こんな……ふぁッ!?」 ペタペタと興味本位で身体を触る手の感触に、甲高い悲鳴を上げた。 クルピンスキー「わ、わ。急に腹筋が硬くなった。力を込めるとこんなになるんだ」 ロスマン「腕も私の倍くらいあるわよ。どれだけ時間をかけたのかしら」 クルピンスキー「あー、何か俺の体臭って落ち着くっていうか、興奮するっていうか。……女の子とは違うなぁ」 ロスマン「やっぱり、身体つきは男の子よね」 クルピンスキー「そりゃそうだよ。それも鍛え抜いた男の身体だよ?」 俺「うぅ、この手錠外せよぉ。……もう、もう嫌だぁ。うわぁ! ベルト外すなぁ!!」 それだけは駄目だ、と開いていた右手で自分のベルトを死守する。 残念と肩を竦めるクルピンスキーと、少しだけほっとしたような表情をするロスマン。 一体、何をしたいのか分からない俺は、打開策も見つからず、されるがままになっている。 手持無沙汰になった小柄な少女は暇を潰すように、身体の縦横を奔る傷跡に指を這わせる。 明らかに日常生活を送る上で負う筈のない傷の数々。銃創と刺し傷は言うに及ばず、獣の爪に抉られたかのような痕まで。 這う指先の感触に、俺は吐息を漏らす。 くすぐったさの中にある僅かな快感に、自分の理性が危険な領域へ道を踏み外そうとしているのが嫌でも分かる。 その時、クルピンスキーが顔を寄せてくる。 残る理性を総動員して、瞳を閉じる。これ以上何かをされたら、確実に爆発する。 もっとも、それが怒りなのか、別の何かなのかは、俺自身ですら分からなかったが。 クルピンスキー「実はね、羨ましいと思ったんだ。ラルのことが」 俺「…………は?」 クルピンスキー「傷のことなんか気にしない、とそう言って貰えるのが酷く羨ましかったんだよ。多分、エディータもね」 俺「ひ、……そんなの、伯爵と先生だったら、直ぐにでも、」 クルピンスキー「そうかもしれない。でも、そうじゃないかもしれない。何時だって、この手の不安は拭えないものだよ。まるで呪いみたいに……」 俺「………………」 これまで見た中で……いや、恐らくは始めてみるほどに真剣な表情に、急速に理性が回復していくのを感じた。 耳元で囁く言葉は、決して聞くことのできない本心が語られているのは分かった。 そして、視線が交差する。何を受け止めながらも飄々とした強さの中に隠れていた弱さが、ひょっこりと顔を出したかのように瞳が不安で揺れている。 その瞳に、彼女の身体から目を逸らしたのが間違いだったと今更気付く。 あの時、もし身体に残った傷から目を逸らしたと思っているのなら、大きな間違いではある。 だが、それでもし心に傷を付けたというのなら、それは間違いなく俺の責任だ。 俺「……馬鹿だな」 それは誰に対しての呟きだったか。 無意味に依頼人を傷つけた俺自身か、傷を結果や誇りとして割り切れずにいる彼女達か。或いは、その両方なのか。 知らず、開いた右手がクルピンスキーの鎖骨辺りに残った傷跡を、愛撫でもするように優しくなぞる。 クルピンスキー「……ッぅん。くすぐったいね」 俺「こんなの……全然気にならない。先生も」 ロスマン「俺? ――あ、」 今度は、ロスマンの右腕に残った傷を。 余りにも優しいなぞり方に、彼女の腕がビクリと震えるのが分かった。 恥はかけるだけかいた。一度、覚悟を決めれば、恥ずかしい科白も意外とすんなり出てくるもんだなと素直にそう思う。 俺「俺が目を逸らしたのは、その、こんなの初めてに近いからし、さ。それに、こういうの、一番恥ずかしい時期だからで……」 ロスマン「………………」 クルピンスキー「………………」 俺「ほら。お、俺も、その、ジロジロ見てただろ? だから全然、こんなの目に入らなかったんだよ。伯爵も、先生も、凄く綺麗だなって思った」 やっぱり、覚悟をしてもこれ以上は駄目だ、と其処で口を噤む。 話術や相手の心を読むことに長けていても、女性にのみ向けて放つ言葉は学んでいないし、慣れてもいなかった。 クルピンスキー「はあ、参っちゃうなぁ。そんなこと面と向かって言われたら、惚れちゃいそうだよ」 俺「順序が、いろいろと逆すぎる」 ロスマン「まあ、いいじゃない。どうせ夢でしょう?」 喜びか、照れか。いずれかの感情で火照った頬を冷やすかのように手を当てて微笑む。 クルピンスキーも平時と変わらない笑みを浮かべていたが、見る人間が彼女をよく知る人物ならば、或いは違って見えたかもしれない。 しかし、戦闘に関する機微ならばいざ知らず、俺が女心の機微に気付く筈もなく、呆気なく最大級の爆弾を投下した。 俺「……先生、まだ夢だと思ってんの?」 ロスマン「………………え?」 クルピンスキー「」 空気を読まない発言に、二人が固まる。 先に起動したのはロスマンだった。そして、自分の頬を引っ張ったり、抓ったりを繰り返す。 痛みで今この時間が現実だと理解すると、ボンと音を立てて顔のみならず全身を真っ赤に染める。 彼女の頭の中は今まで行ってきた女としてはしたない行動の数々が駆け巡っていた。 元々小さい身体を更に小さくするように丸め、両手で露わになった上半身を覆う。 俺はその姿に、やっぱり年相応なんだなとか、可愛いなと思うと同時に、ある種の危険を察知した。 それが如何なる危険なのかは分からなかったが、これ以上この場に居るのは、命を失うよりも厄介な展開になるだけのは理解できた。 コキンと手首の関節を外し、手錠の呪縛から逃れる。 出来るのならば初めからそうしろとツッコんではいけない。冷静さを失えば、人間は普段通りの行動など出来はしないのだ。 そのまま、友を助けるために走り続けた英雄の如く、クルピンスキーの部屋を飛び出し、無言のまま自分の部屋へと逃げ帰ってしまう。 ロスマン「……どうやら、あの様子だと俺がグルという可能性はないようね。まあ、あの真面目な俺がこんな馬鹿な真似に加担する訳ないでしょうけど」 地獄の釜の蓋が開くような低い声が、決して広くはない部屋に響く。 クルピンスキーは、絶対に“本気”で怒らせてはいけない人間を怒らせてしまったのである。最早、誤魔化しは聞かないだろう。 らしくもなく子兎のよう恐怖で震え、目の端には涙が溜まって、今にもこぼれそうだ。 クルピンスキー「あ、あ……あ、ああ」 ロスマン「“お仕置き”が必要なようね……!」 向き直ったロスマンの背後の影には、何故か九本もの狐の尾が蠢いていた。さながら、九尾の狐のように。 九尾の狐。妖狐の類の中でも最高の力を持つとされる瑞獣。 その本来の役割は、中国王室の守護を司る聖獣であったとされる。しかしその反面、王が暴君・暗君であった時には反乱や革命を促す凶獣であるとも……。 彼女の役割は一体どちらであったのかは分からない。ただ、一つだけ言えることは―――― クルピンスキー「うわぁぁぁぁぁッ!!!」 翌日、談話室で壁に向かって体育座りをするクルピンスキーが目撃されることになるであろうことだけは確かである。 戻る
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人影の絶えた町に、レオの聖衣をまとったノーヴェが立っていた。 見上げる先には、虹のようにアーチを描く光の道。ウイングロードの上でスバルとティアナが戦闘態勢を取っていた。 「前回あれだけ手酷くやられたのに、お前も懲りないな。タイプゼロセカンド」 「私もいるんだけど?」 ティアナが不快感をあらわにする。 「一人も二人も違いはねぇ。前回同様、とっとと終わらせてやる!」 ノーヴェはエアライナーを伸ばした。 「スバル、行って!」 「了解」 スバルはティアナを肩に担ぎ上げると、ノーヴェに背を向けて走り出す。 「おい!」 いきなり逃げ出した相手を、ノーヴェは慌てて追いかける。しかし、スバルの速度は量産型ストラーダによって格段に向上している。 スバルに担がれたままのティアナがクロスミラージュを連射する。追いかけているノーヴェに道を選ぶ自由はなく、避けきれなかった魔力弾が黄金聖衣の表面で火花を上げる。 「追いつけねぇ!」 スバルとノーヴェの差は一向に縮まらない。 弱点を見抜かれていることに、ノーヴェは気がついた。エアライナーの展開速度は、コスモの力を借りてもそれほど速くなっているわけではない。せいぜい音速の十倍程度。どうやらこれがエアライナーの限界らしい。 道の展開速度が変わらないのに、銃撃まで受けては追いつくのは難しかった。 「ああもう、本当にかっこ悪い!」 「この作戦考えたの、ティアじゃん!」 荷物のように運ばれるティアナが毒づき、スバルが言い返す。 スバルがウインドロードで移動を、ティアナがクロスミラージュで攻撃を担当する。 いかに黄金聖衣でも、魔力ダメージを無効化できるわけではない。どんなにわずかでも、このままノーヴェの体力を削っていけば、いずれ勝機をつかめるはずだ。 決め手に欠ける作戦だったので不安だったが、どうにかなりそうだと、ティアナは胸を撫で下ろした。 「なんてな」 ノーヴェが獰猛に犬歯をむき出し、光の道を蹴って跳んだ。 ノーヴェは足元に一瞬だけエアライナーを展開し、そこを足場に次の一歩を踏み出していく。 光の波紋を残しながら、黄金の獅子が天を駆ける。 エアライナーよりもノーヴェの走る速度の方が速いのだ。律儀に道の展開を待つ必要はない。エアライナーではなく、エアランナーとでも呼ぶべきか。 「弱点なんて、とっくに克服済みだ!」 道という枷から解き放たれたノーヴェが、銃撃を華麗にかわし、みるみるスバルに追いついていく。 ティアナが咄嗟に自分たちの幻影を発生させた。 「無駄だぜ、ライトニングプラズマ!」 閃光と化した無数の蹴りが、幻影ごとスバルとティアナを吹き飛ばした。 一仕事終えたウェンディは、のんびりと空中遊泳を楽しんでいた。 「いやー。いい天気っスねぇ」 仰向けになって太陽の光を全身に浴びる。まるで雲のベッドに寝そべっているようだった。 ウェンディはサジタリアスの聖衣を心底気に入っていた。 ライディングボードで飛行するのも、あれはあれで趣があるが、やはり一度はトーレたちのように自由に空を飛んでみたかったのだ。飛行できない他の姉妹たちには悪いが、なまじ空を飛べるだけに、余計に憧れは強かった。 できれば、いつまでもこうしていたい気分だったが、敵が徐々に接近してきている。 「まったく無粋な奴っス」 雲の隙間から姿を現したのは、足から光の翼を生やしたなのはだった。すでにリミットブレイクを発動し、限界を超えた強化がなされている。 大物の出現に、ウェンディは少しだけやる気を出した。 「それじゃとっとと片づけさせてもらうっス」 ウェンディが光速の拳を繰り出す。 『Round Shield』 強固なシールドが、ウェンディの拳を受け止めた。 「へえ、やるじゃないっスか」 ウェンディの賛辞に、なのはは無言だった。両腕を軽く横に開き、直立姿勢でウェンディを見つめ返している。 「でも、まぐれは続かないっスよ」 ウェンディは素早く上方に回ると、後頭部めがけてかかとを落とす。 なのはは微動だにしない。しかし、再びシールドがウェンディのかかとを受け止める。 攻撃からワンテンポ遅れて、なのはがウェンディを見上げる。その瞳は、まるで湖面のように静かに凪いでいた。 ウェンディは攻撃を続けるが、ことごとくシールドによって防がれる。 「そんな、なんでっスか!?」 ウェンディは動揺を抑えられずに叫ぶ。 どうして光速の動きについてこられるのか。なのははシールドから一拍遅れてウェンディを見る。予測して防いでいるなら、先に視線が動くはずだ。 ウェンディはなのはが左手に持つレイジングハートに目をやった。なのはが直立不動で攻められるままにしていた理由にようやく気付く。 「まさか、オートガード!?」 デバイスに搭載されている術者を守る為の自動防御機能。しかし、それは本来そこまで高性能な物ではない。なのははレイジングハートに魔力を集中させ、オートガード機能を極限まで高めていた。 「滅茶苦茶っスよ、こんな戦い方」 攻撃も速さも捨て、なのはは己のデバイスに命運を託していた。もしレイジングハートが防御に失敗すれば、光速拳は容赦なくなのはを貫く。そんな極限状態にあって微塵も揺るがないなのはの瞳が、ウェンディには恐ろしかった。 「あんたは空中要塞っスか!」 口に出してから、ウェンディは比喩が間違っていることに気がついた。 堅固な要塞には威圧感はあっても、こんな不気味さはない。 無感情にウェンディを見つめるその姿は、白いバリアジャケットと光の翼が合わさって、まるで罪人を裁く無慈悲な天使のようだった。 ウェンディは不吉な想像を頭から締め出し、黄金の弓を取りだした。 「なら、シールドごと貫くのみっス!」 ありったけのコスモを集中させた黄金の矢をつがえ、弦を引き絞る。神をも射抜く黄金の矢が、なのはめがけて放たれる。 「…………えっ?」 一瞬、ウェンディは何が起きたのかわからなかった。 光をまとったなのはが、ウェンディにぶつかっていた。 なのはとて全魔力を推力に傾ければ、ウェンディと同等のスピードは出せる。ただし適正の問題で、細かい機動は行えない。ウェンディが最大の攻撃を放つ際にできる一瞬の隙を見越して放たれたA.C.Sドライバーだった。 なのはの右腕には、黄金の矢が深々と突き刺さっていた。負傷は最初から覚悟の上だったのだろう。こんな戦法を顔色一つ変えずやり遂げたなのはに向かって、ウェンディは素直な感想を送った。 「あんた、いかれてるっスよ」 サジタリアスの聖衣がウェンディから離れていく。翼を失ったウェンディは大地へと落下して行った。 空中で半人半馬のオブジェとなった聖衣に、ウェンディは手を伸ばした。しかし、ウェンディがどれほど求めても、偽りの主に黄金聖衣は振り向いてくれない。 凄まじい勢いで地面が迫ってくる。調子に乗って、高度を上げ過ぎたようだ。この高さから落ちては、さしもの戦闘機人も助からない。 唯一ウェンディを助けられる可能性のあるなのはは、黄金の矢によって体勢を大きく崩している。すぐには動けないだろう。 風が耳元でごうごうと唸るのを聞きながら、ウェンディは己の死を悟った。 脳裏をよぎる走馬灯は、すぐに終わってしまった。人生を振り返れるほど稼働時間が長いわけではない。 代わりに思い出したのは、星座の伝説と一緒に読んだある物語だった。 イカロスという青年が、孤島の迷宮から脱出する話だった。イカロスは父親と共にろうで固めた鳥の羽で、島の外へと飛び立った。しかし、イカロスは父親の警告を忘れ、高度を上げ過ぎた。太陽に近づきすぎたイカロスの翼は熱で溶け、墜落して死んでしまった。 最初に読んだ時は、別にどうとも思わなかった。せいぜいが間抜けな男という感想くらいだ。 しかし、今なら理解できる。空がどれだけ人を魅せるか。鳥ならぬ人間が飛ぶことが、どれだけ楽しいか。ウェンディは死ぬことは怖くない。ただ、もう飛べなくなることだけが、無性に悲しかった。きっとイカロスも同じ気持ちだったのだろう。 こぼれた涙が空へと舞い上がっていく。右腕を高く掲げ、ウェンディはぽつりと呟いた。 「……また飛びたかったスね」 もう贅沢は言わない。ライディングボードでも、他の何でもいい。もう一度、風を感じて空を飛べるなら、それはどんなに素敵なことだろうとウェンディは思った。 地表まで残り数メートル。ウェンディはそっと目を閉じた。 その時、強い衝撃がウェンディの右腕に走った。 「飛べるよ」 お日様のように温かい声だった。顔を上げると、太陽を背になのはが微笑んでいた。杖を持ちかえる暇もなかったのだろう。なのはは矢が刺さったままの右腕で、ウェンディの全体重を支えていた。 「あなたが望むなら、きっとやり直せる。また飛べるよ」 矢傷から溢れた鮮血が、バリアジャケットの袖を赤く染め、ウェンディの顔に滴り落ちてくる。 ウェンディでさえ腕がちぎれると思ったほどの衝撃だ。想像を絶する激痛が、なのはを襲っているだろう。 その痛みを覚悟でなのははウェンディを助け、あまつさえ笑顔を向けてくれているのだ。たくさんの人と仲間を傷つけた犯罪者を。 優しいなのはの微笑みを見つめ返し、ウェンディは素直な感想を口にした。 「あんた……やっぱりいかれてるっスよ」 草むらに横たわったウェンディが、穏やかな寝息を立てている。助かって気が抜けたのと、魔力ダメージの影響だろう。 なのはは念の為、ウェンディをバインドで拘束すると、アースラに戦闘終了の連絡を入れ、身柄の確保を頼む。 落ちていくウェンディを見た時、なのはは間に合わないと思った。 だが、ウェンディが空に向かって手を伸ばすのを見て知ってしまった。この子はなのはと同じで空に魅せられているんだと。 気がつくと、後のことなど何も考えず、なのははウェンディを助けていた。 どうにかウェンディを助けられはしたものの、代償は大きかった。矢傷がさらに広がり大量の血が溢れだしている。 なのはは右腕に刺さった矢をつかむと、一息に引き抜く。矢尻についた返しが傷口を抉り、焼けつくような痛みが襲ってくる。喉まで出かかった悲鳴を、歯を食いしばって押し殺す。 なのはは呼吸を落ち着けると、軽く右手の指を動かした。傷は深くとも、幸い神経に傷はつかなかったようだ。ただしこの腕では、大威力砲撃は使えない。得意技が封じられ、なのはの戦闘力は半減している。 包帯代わりにバインドで傷口を絞め上げ、止血を行う。 「いかれてるか」 ウェンディの最後の言葉を思い出し、なのははため息をついた。 「知ってるよ」 サジタリアスのオブジェに矢を戻すと、なのはは右腕をだらりと下げたまま歩きだした。 「ライトニングプラズマ!」 吹き飛ばされたスバルとティアナが壁をぶち破り、床の上を激しく転がる。 空から叩き落されてからも、スバルたちの戦いは続いていた。しかし、連携と幻術を駆使しても、速度の差を埋めることはできなかった。 スバルはぼんやりとした頭で、周囲の状況を確認する。 埃っぽい空気と薄暗い空間。どうやら廃ビルの中のようだ。吹き抜け構造で広さも高さもそれなりにある。 満身創痍のスバルが、壁に手をついて立ち上がる。しかし、ティアナは動かない。 仲間の様子を窺うと、完全に気を失っていた。無理もないと思う。戦闘機人のスバルでさえ、ようやく意識を保っていられる損傷だ。生身のティアナでは、むしろ死んでいないのが不思議なくらいだ。 「さすがだな、タイプゼロセカンド。まだ動けたか」 黄金の輝きが薄闇を照らしながら近づいてくる。 仮にスバルが五体満足だったとしても、勝ち目はないし、逃げることもできない。 (私が投降すれば、ティアだけでも助かるかな?) 弱った心が諦めて楽になれと囁きかける。しかし、スバルは頭を振って甘い誘惑を断ち切る。そんな不確実な願望にすがるわけにはいかない。 小さい頃のスバルは、臆病で泣いてばかりいた。姉が格闘技の練習しているのを見つめながら、戦いで人を傷つけるのが怖くて、嫌でしょうがなかった。 でも、災害現場からなのはによって助けだされ、人を守れる力もあるのだと知った。それからは、誰かを守れる存在になるために一生懸命走り続けてきた。 スバルの後ろにはティアナがいる。大切な友人一人守れずして、夢を叶えるなんてできるはずがない。例え無駄なあがきだとしても、最後の最後まで戦い抜いてみせる。 マッハキャリバーのタイヤが回転し、スバルが走り出す。ソニックムーブによって加速された拳を繰り出す。 「遅いんだよ!」 ノーヴェの回し蹴りが、スバルのこめかみに炸裂する。 やはり速度が足りない。カートリッジシステムが搭載されていない量産型ストラーダでは、エリオのように魔法の重ねがけをすることもできない。 スバルはそれでも果敢に向かっていくが、攻撃がことごとく空を切る。 「お前……?」 ノーヴェが避けたわけではない。そもそも狙っている方向が見当違いなのだ。スバルのぼやけた眼差しに、ノーヴェは気がついた。 「目が見えてないのか。だったら、大人しく寝てろ!」 スバルはティアナの隣まで殴り飛ばされる。ライトニングプラズマはスバルの内部機構にもかなりのダメージを与えていた。 目は霞み、耳もろくに音を拾ってくれない。口の中を派手に切ったらしく、溢れた血の味とにおいのせいで、味覚も嗅覚もあまり機能していない。ダメージを受け過ぎた体は、痺れたようになってほとんど感覚がなくなっている。 マッハキャリバーが動作をサポートしてくれるが、外界から刺激を受け取れないスバルでは対応しきれない。 見えない目でスバルは、ティアナの顔を探す。 (ティアは本当にすごいね) スバルがティアナを尊敬しているところは、諦めない心だ。どんな逆境でも負けん気の強さで立ち上ってくる。例え今日負けたとしても、明日勝つために頑張れる。 ただ強いだけだったら、スバルもそこまで憧れはしなかっただろう。ティアナの心はとても繊細で、ともすればあっさり折れそうに思える時もある。鋼の様な心ではない。しなやかで強靭、脆く繊細、と相反する要素を兼ね備えている。 そんな強さに憧れて、スバルはティアナと一緒にいる。いつか自分も同じくらい心が強くなれるんじゃないかと信じて。 (お願い、ティア。私に勇気を分けて) 大切な友人を守りたい。その一心でスバルは限界を超えた体で立ち上がる。 不意にスバルの視界に満天の星空が映った。過去の記憶でも再現されているのかと思ったが、星空はスバルの体内から感じられた。 (違う。これは宇宙だ) 訓練中に聖闘士たちから教えられたことがある。コスモの正体は、人間の持つ六感を超えた先にある第七感だと。故に他の感覚を封じれば一時的にコスモを増大させることができる。 (これがコスモ!) 五感を封じられたことで、スバルのコスモが一時的に高まり覚醒したのだ。覚醒さえできれば、コスモも魔法も基本的な使い方は変わらない。 「燃え上がれ、私のコスモ!」 スバルの闘志に呼応して、体の奥底から新たな力が湧き出してくる。 スバルの前に巨大なコスモが君臨している。ノーヴェのコスモだ。弱った視覚を、コスモが補ってくれている。 「リボルバーキャノン!」 「何!?」 スバルの右腕が、ノーヴェを捉える。コスモで加速された肉体を、魔法でさらに加速する。スバルはさらなる速さを手に入れていた。 スバルとノーヴェの腕と足が激しくぶつかり合う。 ノーヴェは最初の混乱から立ち直ると、口の端を歪めた。 「やっぱり遅ぇ!」 スバルの拳が軽々と受け止められる。 (まだ届かない。もうちょっとなのに) いくら魔法で底上げしても、目覚めたばかりのコスモで、セブンセンシズに敵うわけがないのだ。 激しい激突音の連続に、ティアナの意識は、まどろみの中から引き上げられる。 足をひねったらしく、動くことはできそうにない。どうにか上体を起こすと、スバルとノーヴェが格闘戦を繰り広げていた。 スバルの動きはノーヴェにこそ及ばないが、前より格段に速くなっている。この状況では、コスモに目覚めたとしか考えられない。 (まったく、あんたは……) いつもは頼りないくせに、ここ一番では才能を開花させる。妬ましいと感じたことも一度や二度ではない。 「でも、負けるつもりはないんだからね」 ティアナは自分が凡人だと理解している。ならば、凡人にしかできない戦い方をすればいい。スバルが前衛を務めてくれるならば、ティアナはまだ戦える。 ティアナはクロスミラージュを構える。弾丸の種類は弾速のもっとも速いものを選択する。威力は二の次だ。 目ではスバルとノーヴェの動きは追えないにも関わらず、ティアナは躊躇わず弾丸を発射する。 ノーヴェの足首にティアナの弾丸が命中する。 「なっ!?」 ノーヴェが回避行動を取るが、腕に足に次々と弾丸が命中していく。 「凡人舐めんじゃないわよ。あんたの動き、単調すぎるのよ!」 クロスミラージュを連射しながら、ティアナが叫ぶ。 ノーヴェは光速戦闘に対応すべく、レオの黄金聖闘士アイオリアの戦闘パターンを取り入れている。 性別、体格、戦い方、あらゆる要素が異なる戦闘パターンを無理やり融合させた結果、ノーヴェの動きはバリエーションを欠いている。 これまでの戦闘でデータは充分取れた。ならば、どんなに速く動いても、ティアナには先が読める。 「光速見切る凡人がいるかっ!」 ノーヴェは思わず言い返していた。 「スバル、クロスシフトB」 「さっすが、ティア!」 スバルが俄然勢いづき、ティアナの射撃で動きの鈍ったノーヴェに突撃していく。 ティアナはノーヴェだけでなく、スバルの動きまで完全に予測して射撃を行っていた。訓練校からの長い付き合いだ。どう動くかなんて、熟知している。 (ティア、今ちょっとかすったよ!?) やや泣きの入った声でスバルが訴える。 (うっさい! こっちはあんたのトップスピードに合わせてんだから、ちょっとでもスピード落としたら当たるからね!) スバルの耳の不調を察し、ティアナが念話を送る。 (そんな~!) 友を信じているが、さすがに体のすぐそばを、時には脇の下やら足の間やらを弾丸が通り抜けていくのは心臓に悪い。 言い合いながら、スバルたちは戦闘を続行する。 二人は知らない。互いの背中を追いかけていることを。立ち位置は違っても、二人は最高のパートナーだった。 スバルとティアナの二人がかりの攻めに、ノーヴェは追い詰められていく。ノーヴェが殴りかかろうとするが、ティアナに軸足を銃撃され、大きくつんのめる。 空振りしたノーヴェの右腕をスバルが抱え込み、そのまま関節を極めようとする。 ノーヴェの右腕の先にスフィアが生成される。スフィアから放たれた弾丸が命中し、最後の気力を刈り取られたティアナの腕が地面に落ちる。 「しまった!」 まさかこの局面で射撃を使うとは思っていなかった。 スバルの動揺を見逃さず、ノーヴェが右腕を戻し後方に跳び退る。 最初から狙っていたのか、あるいは偶然を利用したか。どちらにせよ形勢はスバルたちに一気に不利に傾いていく。 「ライトニングプラズマ!」 迫りくるレオの技に、スバルの両腕が咄嗟に十三の星の軌跡を描く。訓練の合間に、戯れで教えてもらった技。あの時はできなかったが、今ならできるはずだ。 「ペガサス流星拳!」 スバルの拳が流星となって、ノーヴェの蹴りと激突する。 「前にペガサスに言われた言葉をそのまま返すぜ。劣化コピーが通用するか!」 流星拳が打ち砕かれ、ライトニングプラズマがスバルを滅多打ちにする。 暗転しかける意識をスバルは根性でつなぎとめる。だが、次に必殺技を使われたらもう耐えられない。 付け焼刃の流星拳では役に立たない。最後に頼れるのは、これまでの努力と身につけてきた技能だけ。 一撃必倒、それこそがスバルの戦い方だ。 (相手が一億発の蹴りを放つなら、こっちは一億発分の威力を込めた一撃を放つ!) リボルバーナックルが唸りを上げて回転し、残っていたカートリッジを全てロードする。さらにありたっけのコスモを右腕に集中する。 集められた力の大きさに、右腕が一回り膨れ上がる。この一撃を放てば、おそらくスバルの右腕は粉々に吹き飛ぶだろう。それでも構わない。自分と仲間を守れるなら、腕の一本くらい安いものだ。 ノーヴェがライトニングプラズマの態勢に入る。スバルはそれより刹那早く踏み込んだ。 「一撃必倒」 「ライトニング――」 スバルの強烈な踏み込みに耐えられず、マッハキャリバーの車輪がはじけ飛ぶ。 『Go buddy!』 最後の力を振り絞り、マッハキャリバーがスバルの姿勢を支えてくれていた。 「ディバイン――」 「プラズマ!」 黄金の蹴りが放たれる。正面から迫る無数の光は、まるで横薙ぎの豪雨のようだった。 「バスターッ!!」 滅びの雨を吹き飛ばし、空色の光が建物内を満たした。 光が晴れた後、床の上には倒れたノーヴェと、黄金の獅子のオブジェが鎮座していた。 勝利を収めたものの、スバルに高揚感はない。 「……やっちゃったなぁ」 右肘から先の感覚が完全に消失している。怖くて直視できないが、さぞかし酷いことになっているだろう。 すぐに襲ってくるだろう激痛に備えて、スバルは目を閉じて歯を食いしばった。 しかし、何時まで経っても激痛はやってこない。スバルは恐る恐る目を開けた。 右肘の先は、多少出血しているものの、ちゃんと腕がついていた。 「あれ?」 感覚がなかったのは、麻痺していただけらしい。痺れと共に徐々に感覚が戻ってくる。 スバルは足元を見た。無事な腕とは対照的に、粉々になったリボルバーナックルの破片が散らばっていた。 ディバインバスターの反動を、ほとんど肩代わりしてくれたのだろう。でなければ、腕が無事な理由の説明がつかないし、頑丈なリボルバーナックルがここまで壊れるはずがない。 「マッハキャリバー……あなたがやったの?」 『No』 マッハキャリバーもスバルの姿勢制御に手いっぱいで、スバルの腕の保護にまで気を配る余裕はなかった。かと言って、知恵を持たぬアームドデバイスが独自の判断を下したはずもない。 スバルはそっとリボルバーナックルの破片に触れる。不意に脳裏に懐かしい人の面影が蘇った。 「母さん?」 リボルバーナックルは亡き母の形見だ。 「もしかして、母さんが守ってくれたの?」 スバルの問いに答えるように、ビル内を一陣の風が吹いた。 リボルバーナックルの破片を抱きしめ、スバルは静かに嗚咽を漏らした。 目次へ 次へ
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リーグもだと思うんだけど、チームスキル発動してる割にホームとビジターの勝率差が激しすぎるんだよな……ホームだと完封+コールドする相手に、ビジターだと手も足も出なかったり……キャプテンスキル、アチーブメント、ワッペン、ベースランク辺りの差なんだろうか? - 名無しさん (2022-11-14 15 58 58) すっごい - 名無しさん (2022-11-14 16 06 33) すっごいシンプルにビジターだとCHが使えないからちゃうか? - 名無しさん (2022-11-14 16 07 07) ↑の者なんだけど、オート勢だからほとんどCH使ってないんだわ……と言いつつ、UR蝶ともっち、UR初瀬、UR乾、UR花有原とオート系のCHにベンチバフも積めるだけ積んでるから、言われるとその差かな? ただ、10月から新仕様になってリーグでも勝率爆上がりしてるから、どうなんかなと。 - 名無しさん (2022-11-14 16 39 19) オートCHってビジターでも発動するんか? - 名無しさん (2022-11-14 17 12 13) 多分ビジターだと発動しないかな…(対戦相手のベンチ4席目にURともっち居てもスキルが暗い) - 名無しさん (2022-11-14 18 00 26) ビジター=相手マニュアル操作とかでCH使ってきてるのでは…? - 名無しさん (2022-11-14 17 49 11) こっちはCH使えない、相手は使ってくるの差やろな。まあ相手は勝てると思って選択してるわけだからチームランクめっちゃ上げればそもそも挑まれんようになるで - 名無しさん (2022-11-14 17 55 57) 自分EX3、相手もEX3とかでホームとビジターで潰しあってるくさいんだわ笑 まあ先発をUR野崎にしてたから与し易いと見られてたんかな……みんなサンガツ - 名無しさん (2022-11-14 18 27 18) 予選のうちは多少負けても問題ないから戦力チェックしとるのかな - 名無しさん (2022-11-15 00 20 24) わいは全国始まってからは県一位だけは避けるけど、それ以外は面倒なので再抽選しないし、そういうプレイスタイルの人もある程度居そう。EX2やけどEX5にも不利タグ全部盛っても普通に勝てるくらいにはホーム有利になってきてる感じはする - 名無しさん (2022-11-15 11 10 37) EXまで来ると守備適性☆とかステリンクまで上げてるか程度の差だろうしな もちろん数値的には強いけどCH駆使して覆せないほどではないのは確か - 名無しさん (2022-11-15 18 36 07) SSS3で、まだ中堅校クラスにいる。明日には強豪校に入るが、埼玉だと名門校に届かんわ。滋賀もしくは山形あたりにすれば良かったかなあ? - 名無しさん (2022-11-15 20 36 02) 都道府県の格差は当然あるだろうけど似たような考えで過疎県に本来他県の強者が集まったりすることもありそう - 名無しさん (2022-11-15 21 58 57) 恐らく過疎県の福井だけど、今の環境だとEXは無いと名門キツいんじゃ無いかなぁ……現時点で少なくとも10位まではポイントがカンストしてるし、その顔ぶれもみんなEX以上だったように思うから、よほどタイミング良くないと20位以内に入れない気がする - 名無しさん (2022-11-15 23 25 22) フリーダアメリヤがいてもSSS3では、ワンチャンも無理か? - 名無しさん (2022-11-16 20 37 13) 訂正 9回にサヨナラ2ラン(打ったのは真白)を含む、2本の2ラン等で5点を取り、9-7の大逆転劇をやってのけた。 - 名無しさん (2022-11-16 21 01 38) SSS3って事はチームスキルやらアチーブメント、キャプテンスキル、各信頼度スキルが乗り切ってないんじゃないかと思うから、特定の強い選手がいてもEXとは地力の差が大きくて、フロックはあるかもだけど、安定して名門に届くかは……地区大会になってから、一番低くてSSS5やわ - 名無しさん (2022-11-16 23 15 10) ↑の続きだけど、みんな書いてるようにホームだとCHの差もあるし、EX同士くらいならタグ盛っても戦力差跳ね返せるから何とも言えんけどね。ただ、今の仕様になる前の飾り呼ばわりされてた頃の戦力値よりは実力差を反映してるようには思う。 - 名無しさん (2022-11-16 23 20 44) フリーダアメリアも強いけどその辺は代えがきくから、その2人がどうとかよりもスタメンURの数と宇喜多が居たらワンチャン有るかもとは思う。あとはタグ盛る事考えたら全国で一番やベーのは柊だと思う - 名無しさん (2022-11-17 13 29 44) スタメン全員UR。宇喜多と柊はいない。両リンク無しが長門ひびき有原。フリーダアメリヤいろはここ千代泉田は両リンクあり。 - 名無しさん (2022-11-17 20 51 06) UR - 名無しさん (2022-11-17 20 52 29) フリーダ SSS5の相手でも完封出来る。同ランクややや格上相手に登板。かまべぇ高坂 SSS1以下相手に登板。最大8回まで投げさせる。真白 先発の出来がいまいちの場合は7回から登板でその回から投げる真白は無失点で抑えている。9回から登板すると4失点して、1点差まで迫られた。なでしこ フリーダが3回1アウト時点で、7失点した際になでしこに交代。3回3/2を投げて、無失点で切り抜ける活躍を見せた。7回に真白に代えて、9回にサヨナラ2ラン(打ったのは真白)を含む、2本の2ランで5点を取り、9-7の大逆転劇をやってのけた。今回は、投手戦が目立つ中であれだけ取れるのは珍しかった。 - 名無しさん (2022-11-16 20 59 09) 上を目指すと不利タグつけて全勝前提だからしんどいな。県1位の人の壁が厚い - 名無しさん (2022-11-18 21 32 44) 今更気づいたんだがこれ強い人は早く上のクラス行ってタグいっぱいつけた方が差を付けられるから早い時間帯(更新直後)にやった方が有利だな - 名無しさん (2022-11-19 20 33 20) それは既に第8回大会の時のコメントでも言ってる人がいた - 名無しさん (2022-11-20 00 52 24) ランクマは最後にやった方がいいから逆やね - 名無しさん (2022-11-21 00 02 36) 調子悪くて昨日よりポイント下がっちまったな - 名無しさん (2022-11-19 21 03 59) よく不利タグ何個も盛れるなー ムキになって身の丈に合わないタグつけしちゃって今日だけで3敗して無事終戦 名門残るだけなら楽だけど毎度全国大会は上を見せつけられてやるせなくなる - 名無しさん (2022-11-20 15 36 36) 分かる。3分け1敗して1400越えならず終戦 前回よりも500ポイント近く上回ったが、SSS3で善戦した方だ。前日名門校まで行って、9時起床し、ゲーム開始したら強豪校に戻った。埼玉県内125位から49位まで上げた。上位20位はキツイぜ。 - 名無しさん (2022-11-20 18 15 44) 10回目は長野か山形で挑めば、1400ポイントでも名門校で終えられる気がする。全国はどの県行っても無理ゲーですわ。 - 名無しさん (2022-11-20 18 18 48) 今日は不利タグ全部つけて全勝したけど昨日負けてるから全国はいけなかった。ていうか昨日全勝してても県1位に届いてないからどのみち無理だが - 名無しさん (2022-11-20 21 46 31) ビジターの借金が多すぎた……いるならかまべぇとか真白とかフリーダとか強投手置いてディフェンス体制とらないとカモられるね - 名無しさん (2022-11-20 21 57 41) 真白も7回くらいから出てこられると面倒なことあるけど先発だとカモや - 名無しさん (2022-11-22 13 12 07) 舞子先輩をあんまり見かけなくなったり、高坂がボコボコだったってTwitterでは見かけたりするし、投手の勢力図は変わってきてるかなぁとは感じる……とは言え、ムードの振れ幅次第で打てる時は打てるし、打てない時は打てないってフシもw - 名無しさん (2022-11-22 13 53 13)
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Leader Lv3 蓬莱山 輝夜 Lv1 八雲 紫 2x 姫を隠す夜空の珠 1x レーザー避け 3x 霊撃 1x 月の兎 2x 賢者の封書 3x 結界「夢と現の呪」 3x 神隠し 3x 難題「龍の頸の玉 -五色の弾丸-」 3x 難題「仏の御石の鉢 -砕けぬ意志-」 3x 新難題「エイジャの赤石」 3x 新難題「金閣寺の一枚天井」 3x 「永夜返し」 3x 満月光線 1x 竹取飛翔 3x 新難題「ミステリウム」 3x 蠱惑 また全後手がよwwwww
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55 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 01 50 22 ID jt1jcRSu 第九話~姫~ ・ ・ ・ 俺の足元には、なにやら高そうな絨毯が敷かれている。 かなりの人数が同じ空間に集中しているというのに、コツコツ、カツカツといった靴の音さえしない。 部屋の壁には、ところどころに絵画や美術品のようなものがあった。 どれもこれも美術のセンスも感性も持ち合わせていない俺には理解できないものばかり。 ど派手に飾られた花の群れを収めるのは、これまた高そうな花瓶だった。 そして俺の周囲に居る人間達は、いずれもタキシードやら着物やらドレスやらを着込んでいる。 仕事着にも使えそうなスーツを着ている人間など俺しかいないのではなかろうか。 そう思うと、周囲の視線が自分に集まったような気がした。 もちろんそれが錯覚だということは分かっている。 だが、俺がこう思ってしまうのも無理ない話なのだ。 どれほど有名なのか想像できないような家の当主のパーティなど、初体験だ。 ついでに言うならば、こんな映画に出てきそうなパーティなど参加するのも初めてだ。 俺の家は誰がどう見ても平凡な日本の家庭だから、俺にそんな経験があろうはずがない。 だというのに、なぜ24歳になった今さらこんな場所にいるのだろうか。 原因は二つある。 まず。 「雄志君はまともな礼服というものを持ち合わせていないのかい? どう見てもそのスーツはオフィスでぐちぐち愚痴をこぼしながら仕事をして、 帰ったら妻と娘にないがしろにされることを分かっているがそれでも働くしかない、 と絶望しているサラリーマンにしか見えないよ。 さらに悪いことに今の雄志君は名刺も持ち合わせていない。 それではサラリーマンとは言えないね。サラリーマンへの冒涜だよ。 今すぐ君のお父さんに謝った方がいい」 一方的にまくし立ててくる十本松が一つ目の原因。 この宝塚女がかなこさんから招待状なんぞを受け取って持ってきたのが悪い。 次に二つ目。 「おにいさんの格好については、私も同感です。 どうしてそんなしわの入ったのスーツしか持っていないんですか。 さては収納するときにクリーニングに出さずに畳んでからしまいましたね。 これだから一人暮らしの男性は……」 場違いだと思い、参加する気を無くして部屋でくつろいでいるところに華が飛び込んで来たのが悪かった。 目ざとく招待状を見つけた華は、一緒に参加しようと言い出した。 そのせいで俺は今夜7時に行われるパーティに参加することに相成った。 十本松はタキシードをばっちりと着こなしている。もちろん男物。 華は薄いブルーの、胸元がフリルで飾られた落ち着いた印象のロングドレスを着ている。 なぜお前らはそこまでパーティへの備えが万端なのかと問いたい。 もしや、近頃の日本ではパーティというものが密かなブームだったりするのだろうか。 最近は新聞もテレビも読まないから世間のことに疎いのだ。 そんな世間に疎い俺が、いかにも社交的な人間達に混じってこの場にいるのは明らかにおかしい。 なんだってかなこさんは俺をこの場に呼んだのだろうか? 56 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 01 52 03 ID jt1jcRSu 十本松いわく。 今菊川家で行われているパーティは、菊川家当主である菊川桂造の誕生日が主旨である。 菊川桂造という男は、傾きかけていた菊川家の事業を立て直した功績を持っているという。 同時に、代々続く菊川家の歴史の中でも前例の無いほどの繁栄をもたらしたそうだ。 その後もその手腕を発揮していくかと思われたが、7年前に手を引いて、 現在は悠々自適な生活を送っているという、うらやましい人間でもある。 7年前に桂造氏が引退する時点で菊川家の携わる事業は放っておいても大丈夫、 というほどに潤っていたらしいから今でも彼の名前は一人歩きしているらしい。 そのためこの場には直接的に彼と関係の無い、今日が初対面の人間――俺とか――も このパーティに参加している。 どう考えても俺はこの場にふさわしい人間ではない。 さっきから聞こえてくる会話には、「株主」「先生」「総理」という単語が頻繁に飛び交っている。 そんな単語にふさわしい返事のボキャブラリーと発想は俺の頭の中には入っていない。 今俺の頭を占める思いは、「帰りたい」。それだけだ。 十本松の昨晩の話では上等な料理や酒が振舞われるということだったが、 とてもじゃないが自分のペースで食べられるような雰囲気ではない。 俺が自分のペースで食べるときは一言も話さず、ひたすら料理を口に運び、 その味に感動するという庶民的な行動をとることになる。 周囲で行われているような片手にグラスを持ち片手でジェスチャーをするようなことはしない。 この場では食べることが優先されるのではなく、社交的な会話が優先されるのだ。 「だから来たくなかったんだよ、俺は」 誰に言うでもなくぼやく。 すると、それに華が反応した。 「いい機会じゃないですか。 せっかくですからこの場で社会人の社交術を思い出してください。 いずれはおにいさんだってフリーターを脱却するつもりでしょう?」 「もちろんそのつもりではいるけどな。この場で行われている会話が役に立つとは思えないぞ。 それに何を話せって言うんだ。俺に話せるのはコンビニ弁当を美味しく食べられる期間についてしかないぞ」 この場にいる人間達がコンビニ弁当について熱く語ってくれるはずがない。 某コンビニエンスストアの代表取締役でも来ていれば話は別だが。 「固くなる必要は無いよ。ただ愛想笑いを浮かべてへこへこしながら話しかければいいんだ。 話なんて適当に相槌を打っていればいい。 ここに居る人間たちは皆寛容だから雄志君が粗相をしても気にしたりしない。 それにヘマをしたところで私の記憶中枢にその光景が刻まれるだけだ。 堂々と偶然を装って淑女のバストに飛び込むがいいさ」 「……そんなことしたら社会的に抹殺されそうだからパスだ」 なぜ十本松はここまで落ち着いているのだろうか。 もしや、こいつもお嬢様なのか? かなこさんとも昔から知り合っていたみたいだし。 57 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 01 53 01 ID jt1jcRSu 「とりあえず、誰かに話しかけてきたらどうだい? ほら、そこにいる黒いドレスを着て、これまた黒いその髪をアップにした女性などはどうだい?」 「ん……」 十本松が差した方向を見る。 肩の開いた黒いドレスを着て、艶やかな髪をアップにまとめた女性がいた。 彼女は初老らしき男性の数人と会話をしている。 それだけならこの場でよくある光景に過ぎないが、やけに男の腰が低いように思える。 物理的な意味でなく、彼自身の、彼女に対する立ち居振る舞いが。 「……無理言うな。あんなえらそうなおっさんがかしこまる相手だぞ。 もし話しかけてとんでもないところのお嬢様だったりしたらどうする」 その光景から目を反らし、十本松の顔を見る。 奴は、なぜか口を固く閉ざしたまま、目をぱちくりとさせていた。 俺の顔を珍奇な動物を見る目で見つめてくる。 「どうした? 俺の顔に何かついてるか?」 「……今の君に私が問いたいことは一つだけだ。君の目は、節穴なのかい?」 いきなり何を言う。 これでも人を見る目はそれなりにあるつもりだぞ。 どう見ても俺が話しかけていい相手じゃないだろう。 「華。この男気取りの無礼な女に何か言ってやってくれ」 「あの……今の、冗談じゃなくて本気で言ったんですか? あの人を見ても誰だかわからないんですか?」 華までが十本松と同じ種類の顔をしていた。 ただし、こちらの顔には多少非難する色が滲んでいる。 「おにいさんは服と髪型が変わっただけで誰だかわからなくなるんですね。 ああ、そういえばこの間久しぶりに会ったときからそうでしたね。 私の顔を見てもすぐに気づかなかったですし」 そう言うと、呆れた様子で嘆息した。 なんだっていうんだ二人とも。「あの人が誰だか分からないのか」? そんなことを言われてもな。 昔お嬢様だったらしい親友はいるが、現役のお嬢様なんて、俺の知り合いには居ない……? 待てよ。そういえば一人居たな。 とんでもない有名どころのお嬢様で、この場にいてもおかしくない人間で、 さらに黒い髪を伸ばしている、場の空気を変えてしまいそうなほどの美人が。 再度、先ほどの女性を見る。すると、いきなり目があってしまった。 反射的に目を反らそうとしたが――できなかった。 ただその女性から視線を向けられているだけだというのに、射竦められたような感覚を覚える。 つまり、俺はその女性から目が離せなくなったのだ。 女性がこちらにやってくる。 そして、俺の一歩手前の距離で立ち止まった。 「こんばんは、雄志さま。パーティに来てくださって、とても嬉しいですわ」 その人は、パーティの主役の娘であり、とんでもないところのお嬢様であるところの、菊川かなこさんだった。 58 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 01 56 08 ID jt1jcRSu 華と十本松が呆れたのも頷ける。 事実、今の俺は二分ほど前の俺に対して呆れかえっている。 ただ髪型を変えてドレスを着ているだけなのに、かなこさんのことがとっさに思い浮かばなかったのだから。 頭の中でさらに自分にダメ出しをしようとしていたら、、かなこさんから話を切り出された。 「今日はスーツをお召しになっておられるのですね。お似合いでございますよ」 褒められてしまった。 さっきから俺の両脇を固めていた女二人は俺をけなしていたというのに、 かなこさんはなんて気配りのできる人なんだろうか。 ……いや、同じ台詞を十本松に言われたところで嫌味にしか聞こえないということを 考えると、あそこでけなされていて正解だったか。 「かなこさんこそ、よく似合ってますよ。そのドレス」 「ありがとうございます」 俺の言葉を聞いて、微笑を浮かべるかなこさん。 思わず俺の口の端が上がる。 この、明らかに俺の立場と嗜好とはかけ離れた場所でこんな落ち着くやりとりができるとは。 「あら? そちらにいらっしゃるのは……」 かなこさんが俺から目を反らした。 彼女の視線の先には、どこか固い表情をした華がいた。 「こんばんは、かなこさん」 不機嫌であることを物語るかのようなぶしつけな口調だった。 「こんばんは。華さんのドレスも素敵でございますよ」 「……ありがとうございます」 明らかにそうは思っていない、棒読みの台詞だった。 かなこさんは、俺との少ない顔合わせの機会のいずれとも変わりない表情だったが、 華は長い付き合いをしている俺以外の人間が見てもわかるほど、機嫌が悪かった。 どうしたことだろう。 昨日の大学の中庭で起こった一件が尾を引いているのだろうか。 華はつい、と顔を背けると無言でその場から立ち去ろうとする。 「おい、どこ行くんだ」 「少し外の空気を吸ってきます」 と言い残すと、振り返らずにすたすたと歩き出し、重そうなドアをこじ開けて外に出て行った。 俺が華を追いかけようと一歩踏み出したら、十本松が手を突き出して俺を制止した。 「私が行こう。君が行っても華君の機嫌をさらに損ねるだけだよ。 そんなことより、かなこと話をしてやってくれ。 かなこが君と話をしたい、というから雄志君をここに呼んだんだから、 恋人に自分以外の男を近づけるという寝取られを覚悟しなければならない状況に あえて自分の身をおく私の厚意をありがたく受け取りたまえ」 ……お前の厚意など受け取りたくもないが、かなこさんが俺と話をしたいと言うならば、 あえて受け取ることにする。 俺の無言の意思を受け取ったのか、十本松は華の後を追いかけてその場から立ち去った。 ------ 連投規制を避けるため、前編のみ。一時間以内に続きを投下します。 59 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 02 42 20 ID jt1jcRSu かなこさんは、ドアへ向かっていく十本松の背中を見送っていたが、 その背中が見えなくなってから俺に顔を向けた。 そして、そのままじ……っと俺を見つめてくる。 「……」 この沈黙は俺だ。 かなこさんも沈黙しているが、彼女の視線が何か言っているような気がしたため、 沈黙だけが俺の聴覚を占めている。 彼女の端正な顔に張り付いている瞳が何を言っているのか、これが華や香織であれば 的中率が低くともなんとか当たりそうな気がするが、かなこさんにそれは通用しそうにない。 彼女が何を俺に伝えたいのか、全くわからない。 俺が立ち尽くしていると、突然右手を掴まれた。 白い手の持ち主である、かなこさんはさらに左手を添えると、俺に向かってこう言った。 「雄志さま。少々ご一緒していただいてよろしいですか?」 断る理由などあろうはずもない。 首肯する。と、かなこさんに手を引かれた。 「あの、どこに行くんです?」 手を引かれて歩かされながら、問いかける。 「わたくしの部屋ですわ。 ここではゆっくりお話ができませんので」 ここで話してもいいのではないかと思ったが、ちらりと右を向いただけで考え直すことになった。 やけに会場の視線が向けられている。 主に、俺に向けて。 左を向くと、俺の顔を指差しながら何かをささやいている人までいた。 文句を言ってやりたい気分になったが、この状況を分析してみれば なぜ後ろ指を差されているのかが理解できた。 このパーティに来ている人間達はいずれも菊川家当主の誕生日を祝うことを目的にしている。 俺の手を引いているかなこさんはその当主の娘である。 彼女の恋人がいるとしたら、少なからず興味を抱くはずだ。 もし彼女と親しくしている男がいたら、そいつを恋人と邪推してもおかしくない。 そこまで考えると、周囲の人に文句を言う気もなくなってしまった。 もちろん、俺がかなこさんの恋人であることなどありえないし、 三度しか会っていないのだからただの顔見知りに過ぎないわけだが――悪い気はしない。 60 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 02 44 21 ID jt1jcRSu ・ ・ ・ とはいえ、部屋に連れ込まれても甘い空気にならない事実は変わりない。 この屋敷に集まっている人間達の反応から鑑みるに、かなこさんの恋人になるであろう男は 余程人間ができていなければ、彼らに向けられる嫉妬と羨望の視線に堪えられなさそうではある。 もし俺がそんな状況に置かれたら耐えられないかもしれない。 が―― 「お茶をお持ちしました。……どうぞ」 カップに透き通った紅茶を注ぎ、嬉しそうに俺の前にカップを置くかなこさんを見ていると 他人の視線などものともしない自信が湧いてくるから不思議なものだ。 まったく、彼女の好意を独占できる男が羨ましくてたまらない。 鼻腔を柔らかく刺激する匂いを堪能しながら、紅茶の味を味わうスキルを持ち合わせていない 俺はちびちびと唇をカップにつけていた。 かなこさんの背中を見やる。 彼女はペン立て以外何も乗っていない机の前に立っている。 俺の座っている場所からは何をやっているのかは分からない。 だが、ドレスを身に纏い髪をアップにしているその後ろ姿はよく見えた。 髪を下ろした普段の髪型とは違い、うなじが丸見えになっていて、 さらに肩を丸見えにしているドレスと相まって、目に毒にしかならない。 毒は毒でも、たちまちのうちに中毒にしてしまいそうな類のものであるが。 俺がその背中をじっと見つめていると、かなこさんがゆっくりと振り返った。 胸の前で大事そうに本を抱いている。 テーブルの向かい側にやってきて椅子に腰を下ろすと、本をテーブルの上に置いた。 既視感を覚えた。 彼女と初めて遭遇したあの日、料亭になかば無理矢理連れ込まれて 食事をしたあとにもこんな光景を目にした気がする。 「話したいことというのは、この本のことですわ。 この本の内容を、まだ覚えてらっしゃいますか?」 かなこさんはそう切り出した。 忘れるはずがない。以前何度も読み返したからな。 「もちろん覚えていますよ」 「……では、何か思い出されましたか?」 …………。 え? 質問の意味が掴めない。 目の前にある本の内容は覚えている。 だが、何か思い出したか、と言われてもわからない。 「ぁ……申し訳ありません。言葉が足りませんでしたわ。 言い直します。その本に記されていた出来事が起こったとき。……そのときのことを思い出されましたか?」 61 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 02 46 32 ID jt1jcRSu さらに質問の意味が不明になった。 からっぽの頭のなかにピンポン玉を放り込まれたように、思考が落ち着かない。 「記されていた出来事」。これはわかる。 姫さまが刺客に狙われて、最後は殺されてしまう。 簡単に言えばそれがこの本の内容だ。 「そのときのことを思い出したか」。 そのときというのは、この本を読んだときのこと……では無いように思える。 かなこさんの口調は、その場に居合わせたときのことを問うようだった。 そんなこと、わかるはずがない。 俺は生まれてきてからまだ20数年しか経過していないわけで、 その頃に武士や姫と呼ばれる人間が存在するわけはないし、 それ以前に俺の記憶に欠陥が無い限り人が死ぬ現場を目にして忘れたりはしない。 「……あの、もしかして俺のことをからかってますか?」 「? なぜそう思われるのですか。わたくしは真剣に言っておりますが」 かなこさんの声には怒りが少し混ざっただけで、冗談を言っているようではなかった。 とりあえず、質問に答えることにする。 「……覚えていませんよ。俺は人が死ぬ現場に居合わせたことは一度も無いし、 それ以前に武士や姫らしき人間と会ったことも無いです」 「え……」 俺の言葉を聞くと、かなこさんは目を見開いた。 「そんな……なぜ、なぜ忘れておられるのですか!」 次の瞬間、かなこさんはテーブルに両手を叩きつけて身を乗り出してきていた。 すぐに下を向いたので、彼女の表情は見えない。 「わたくしが…どれほどの間、このときのことを待っていたか……。 貴方さまに会う日を、焦れながら……心を締め付ける切なさに耐えながら、 待ち続けていたというのに……何故…雄志さまは……」 呟きが止まり、かなこさんの顔がゆっくりと上がる。 「ぅっ……」 思わず息を呑んだ。 後頭部から背中にかけて一気に冷たいものが駆け抜ける。 ナイフを眉間に突き立てられて、そのままえぐられているような気分さえする。 この感覚を与えているのは、目の前にいる女性である。 「……忘れた振りをなさっているならば……許しませぬ………」 白い顔に張り付いている恨めしげな眼差しと、彼女の放つ威圧感が俺に向けられていた。 62 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 02 48 49 ID jt1jcRSu 何と言って切り出せばいい? 言葉の選択を間違うだけで飛び掛られてくびり殺されそうな雰囲気だ。 かなこさんの瞳から放たれる眼光はまったく緩みそうにない。 だが、何も言わないわけにもいくまい。 彼女は俺が何かを忘れているから怒っているらしい。 一体、俺に何を期待している? 「あの、かなこさん」 「なんでございましょう……」 かなこさんの目がさらに吊り上る。 まばたきの一つもしないその瞳は充血して紅くなっていた。 声を絞り出そうとしてもなかなか出てくれない。 喉に空気の塊が溜まっているようだ。もどかしい。 「俺が、何を忘れているって言うんですか」 慎重に選んだ結果、出てきたのはそんな言葉だった。 次の瞬間、かなこさんがテーブルを飛び越えた。 肩を掴まれ、勢いそのままに椅子ごと押し倒される。椅子の背もたれが背中を強く打つ。 衝撃を受けて喉からうめき声が吐き出された。 「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 かなこさんが叫び声を上げながら俺の首に手を伸ばしてきた。 このとき、咄嗟に腕を動かして白い手を掴まなければ、首を絞められていたに違いない。 「ぐっ……」 全力で押し返そうとするが、びくともしない。 親指と人差し指がしっかりつくほど掴んでいる手首は細いというのに、 信じらないほどに彼女の力は強かった。 「わたくしのことを忘れるなど……許しては置けませぬ!」 「だからっ……なんのことだって言ってるだろ!」 かなこさんの腹に膝を滑り込ませて、巴投げのように放り投げる。 即座に前転して、その場から離れる。 振り向くと、かなこさんはまったく変わりない様子で立ち上がっていた。 そして、ゆっくりと歩み寄ってくる。 それを見て危険を感じ、立ち上がろうとするが――力が入らなかった。 63 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 02 54 30 ID jt1jcRSu (なんだ、これ) 体のどこを怪我をしているわけでもないのに、どんどん力が抜けていく。 力が絞り出せない。――いや違う。眠い。 何故だ。 こんな状況で眠れるほど俺はアホじゃない。 ふと頭に閃くものがあった。 もしや、さっきかなこさんが淹れた紅茶に睡眠薬でも入れられたのではないか? 「うふ、ふふふふふ」 睡魔におかされたまぶたは上手く開いてくれない。 歯を食いしばって耐えようとしても、そもそも力をいれることすらかなわない。 (くっそ……) 耐え切れずに目をつぶると、いままで手加減をしていたのか睡魔が一斉に侵攻を開始した。 自分が倒れていると分かったのは、顔の皮膚に絨毯の感覚があらわれたときだった。 心地よさに触覚まで手放したとき、暗い世界の中で透き通る声を聞いた。 「雄志さまが何を忘れているのか、教えてさしあげます。 わたくしの護衛として尽くしていたときのこと。 わたくしを守ることができず、涙を流したときのこと。 そして、わたくしと過ごしたときの思い出。 ですがご安心を。すぐに思い出させて差し上げます――」 ――もう少しわかりやすく言ってください、かなこさん。 脳内でぼやいた後、抵抗することを諦めて頭のスイッチをOFFに切り替えた。 -----
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1ターン目後手← 2ターン目先手 →2ターン目後手 卯月B5移動 青木B3移動 リコリスD4移動後、能力発動→成功 ダンゲロス子待機 __1__ __2__ __3__ __4__ __5__ A (壁) B 割烹着 青木さん 卯月 C (壁) 夢見崎、D-Slayer D ダンゲロス子 相思華 渡会 E (壁) 春斬屋 生徒会 チーム名【勝利の鍵は割烹着女子グループ「汚物は消毒だー!」】DP 0 名前 性別 攻撃 防御 体力 精神 FS 能力名 発動率 成功率 備考 ★相思華リコリス 女 12 3 9 3 6 能力1:逆さ吊り曼珠沙華(リバース・リコリス) 能力2:見渡す限り赤花畑(シー・オブ・フレイム) 100 100 カウンター待ち受け、能力休み、移動-1 割烹着 無 5 1 3 3 18 魔人レシピ『クリーム豆腐~はちみつ風味~』 102 100 永続行動不能 卯月こうら 女 16 0 6 3 5 月とスッポーン!! 85 100 通常攻撃無効+ZOC無視 青木さん 男 7 10 5 3 5 マルチアクション必中脆弱斬 100 100 ε&ダンゲロス子(自重9仕様) 両 14 1 5 3 7 TDWIM 頑張ってどうにか敵の携帯番号を教えてもらう 85 0 番長 DP 0 名前 性別 攻撃 防御 体力 精神 FS 能力名 発動率 成功率 備考 ★渡会 弼 男 6 19 9 4 0 勇王邁進 68 100 ハイパーエリート突破 夢見崎ヌンジ 男 0 20 3 0 7 ディーダンケルヴェルトフュアディッヒ 85 100 D-Slayer 無 20 0 10 0 0 大銀河超一郎を殺す程度の能力 121 100 春斬屋ブリュンヒルデ 女 15 0 5 3 7 勝利のルーン 90 100 能力休み 父斤 与作(ちちおの よさく) 男 9 0 1 0 20 体は斧で出来ている 90 100 永続戦線離脱
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http //windom.ran-maru.net/9.html 全25ページ 登場キャラクター ムク ナナミ ライマ チヨジ ミズエ 夢野八雲 ラグナロク アリス・ヘヴンズゲート セツナ 我っちゃん モミジ カエデ フユヒコ フミキ あらすじ 幼少期のムクとナナミの出逢い、初戦の知らせ、ナナミの笑顔 解説