約 213,504 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/38916.html
登録日:2018/02/19 Mon 22 53 34 更新日:2021/07/15 Thu 10 35 24 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 イギリス サキ ショートショート スレドニ・ヴァシュター ブラックユーモア 冷笑的 小説家 短編小説 この物語にはモラルはない。なにほどかの悪を指摘しているにしても、 この物語は、それに対する療法を与えるものではない。 「アンベアラブル・バシントン」より。 サキ(1870 ~ 1916)はイギリスの小説家である。本名はヘクター・ヒュー・マンロー。 名前を聞いても恐らく「誰?」と思う人が大半かも知れない。 実際日本ではあまり知名度は高くないが、欧米では短編小説や掌編小説(ショートショート)の名手として有名であり、 「O・ヘンリー(1862 ~ 1910)と並ぶ短編の名手」と称されている。 また、イギリスの作家E・V・ルーカス(1868 ~ 1938)は「泊り客の枕もとにO・ヘンリー、あるいはサキ、あるいはその両方をおいていなければ女主人として完璧とはいえない」と述べている 【生涯】 1870年12月18日にミャンマーにてインド警察であった父親のもとに生まれた。 2歳の時に母親が牛に襲われて命を落とし、兄・姉と共にイングランドの祖母・叔母(*1)のもとに引き取られる。 やがてエクスマスのペンカーウィック校、ベドフォード校で学んだ後に父親と共にヨーロッパを旅行した。 1893年からは父と同様にインド警察に入り、生まれた国であるミャンマーへと配属されたが、僅か1年強で7度ものマラリア発症で健康を害した為、3年後に退職。 イギリスへ帰り、ジャーナリストへと転身。そしてイギリスのタブロイド紙等に記事を載せていく中で彼の文学への道が始まっていった。 1900年。自身にとって初の書物としてギボンの「ローマ帝国衰亡史」をもとにした歴史書、「ロシア帝国の台頭」を出版。 その後、1902年から1908年まで「モーニング・ポスト」の特派員としてバルカン・ワルシャワ・ロシア・パリへと赴き、 その傍らで「サキ」のペンネームを用いて短編小説を執筆し始め、「レジノルド」「クローヴィス年代記」「獣と超獣」を書く。 その後ロンドンに腰を落ち着け執筆活動を継続し、合計で長編2編・短編135編・戯曲4曲を制作する そんな中、1914年に第一次世界大戦が勃発。 当時43歳で既に規定年齢を過ぎていたにも関わらず彼は軍に志願し、最終的に軍曹勤務伍長まで昇級するも、 1916年11月14日、フランス前線でドイツ軍のスナイパーに頭を狙撃され命を落とす。享年45。 なお、彼の最後の言葉は煙で敵に居場所が知られることを怖れて言った「 Put that bloody cigarette out!(そのいまいましいタバコの火を消してくれ!)」というものだったと言われている。 【作風】 冒頭でも述べた通り、ほぼ同時期にアメリカで活動していた小説家O・ヘンリ―と並ぶ有名な短編小説家とされている。 O・ヘンリ―は「最後の一葉」「賢者の贈り物」などの作品が有名でそういった作品に現れている、庶民的な目線から人情や優しさなどを根底に置いた、 心が明るくなる情緒的な文体が特徴である。(*2) ではサキの作品はどうなのかと言うと、彼の作品の特徴を一言でいうと、 「冷笑的」なのだ。 O・ヘンリーのそれとはむしろ正反対で貴族的な目線から作品を語り、その人物達が慌てふためいたり恐怖したりしていく様を嘲笑うような作品になっている。 しかし作中にブラックユーモアが全体的に存在している為、ただただ暗い気持に沈んでいくわけではなく、読んでいる側が思わずクスリとしてしまうように描写も趣向が凝らされている。 作品内に出てくる人物の言動や思想に対して読者(そして恐らくサキ自身も)思わず冷やかでシニカルな目で見てしまうような作風になっており、残酷な結末を迎える作品も少なくない。事実日本で彼の小説がホラーやサスペンスのジャンルとして紹介されるという事もよくある。 O・ヘンリーとサキ、2人は短編の名手として同格と見られているがその作品の傾向は見事に「明」と「暗」という対照的な関係になっているのだ。 また、彼の作品の特徴として「意外な結末」という要素があり、途中までの内容を元にして読んでいてもラストでいきなりの急展開が来て物語が閉じられることが多い。先ほど述べた冷笑的な文体についても、そこまでは明るい雰囲気だったり心が温まるような展開だったのが、ラストの数行でいきなりぶち壊されて心が一気に冷えていくというパターンで描写されていく事も多い。 【ペンネームについて】 彼が「サキ」というペンネームを使用した由来はいくつかある。 その① 11世紀ペルシャの詩人オマル・ハイヤームの四行詩集「ルバイヤート」にて登場する給仕・酒姫(サーキィ)からとったとされる説。 一般にはこちらの方が有力とされている。 その②「サキ」と呼ばれる、南米のアマゾン北部に生息するサキ属・ヒゲサキ属に分類される猿の総称から取ったという説。 上記の詩についてもそうだが、猿の方の「サキ」の存在に触れている小説も存在するので可能性としてはあり得る話である。 【主な作品】 スレドニ・ヴァシュター 恐らく彼の作品の中でもとくに有名な一編で映像化・アニメ化が何度もなされている。 病弱な少年は叔母の抑圧に耐える為に、物置部屋にいる「神」へ礼拝をしに行く。 開いた窓 神経衰弱となった男に少女が怪談を話し、男はその状況が実際に起きて怯えていくが…。 この作品に登場する少女ヴェラは「マルメロの木」「休養」などの作品でも登場する。 トバモリー ある科学者の手で人の言葉を話せるようになった猫の物語。 集まった紳士淑女の人間関係を次々とぶち壊していく…。 平和的玩具 子供達の「戦争」と大人達の「平和」の対決。 話上手 こういう話をすれば10分間騒がしい子供達を大人しくしておけます。 狼少年 同名のイソップの寓話は無関係。 青年が自分の領地の森で遭遇した異様な少年。その正体に青年は恐怖していく。 七番目の若鶏 むしろイソップのそれに近いのはこちら。 男の「幻想」は妻の死を醜く脚色する…。 第三者 事故が原因で和解した二人の男の前に「第三者」がやってきて…。 ビザンチン風オムレツ ソフィ・チャトル=モンクハイムはふたたび昔の社交界に出入りし始めたが、なお非常な注意を要する状態であった。 宵闇 作中の描写はどことなくO・ヘンリーのそれを思わせるがその結末は…。 セルノグラツの狼 セルノグラツ家の神話の様な宿命。 これを見ているあなたは詩人的か現実的か。 サキは書くことを目の敵にしていた。 世の中には死ぬほどうんざりしていたし、その笑い声は、恐怖のためにあげた悲鳴が短く、 ひとつかふたつ、連なったものに過ぎなかった ―――V.S.プリチェット このいまいましい記事の内容を追記・修正してくれ! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/renjodatabase/pages/47.html
分類:短編集 初出:別記 初刊:1991年/文藝春秋 刊行回数:2回 入手:古書のみ 解題 『日曜日と九つの短篇』『恋愛小説館』に続く、30枚程度の恋愛短編10編を集めた短編集第3弾。「冬の宴」は初出時に「二大新連載登場 恋愛小説館」と銘打たれ、その他の「別册文藝春秋」掲載作もそれぞれ「恋愛小説館」の副題がついている。 文庫版の濱田芳彰の解説は、連城三紀彦の男女観論として興味深い内容になっている。 「男と女って、本質的には同じなんじゃないかな」 連城氏がある時言った台詞である。 女性読者をして、男性作家なのにこんなに女性の心理を的確に描写できるなんて、と唸らせる作家の言葉とは思えぬ台詞ではある。 時として自虐的とも見えるほど慎み深い氏のことであり、この発言もその前に、「女性を描くのが上手いと評されるけれど、自分では上手いとは思っていない。ただ――」という言葉があり、断定していたわけではないが、これは本当ではないだろうか。 連城氏の母親と四人の姉に多大な影響を受けたというその生い立ちを考えてみれば、先の言葉は幼い頃から〝女〟を観察してきた氏の正直な感想なのだと信じられる。 (文春文庫版 濱田芳彰「解説」より) 収録作 冬の宴 初出:「別册文藝春秋」1988年12月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 白い香り 初出:「別册文藝春秋」1989年3月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 緋い石 初出:「別册文藝春秋」1989年6月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 陽ざかり 初出:「別册文藝春秋」1989年9月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 落葉樹 初出:「別册文藝春秋」1989年12月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 枯菊 初出:「別册文藝春秋」1990年3月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 即興曲 初出:「別册文藝春秋」1990年6月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 ララバイ 初出:「オール讀物」1988年2月号 雑誌時挿絵:三上修一 彩雲 初出:「オール讀物」1989年新春号 雑誌時挿絵:川村みづえ 青空 初出:「別册文藝春秋」1990年9月号 雑誌時挿絵:斎藤真一 刊行履歴 初刊:文藝春秋/1991年8月10日発行 新・恋愛小説館 自由に愛して 不自由に愛して 落とし穴にはまる―― ひやりと研ぎすまされた男と女10の物語 (単行本オビより) 単行本/204ページ/定価1165円+税/絶版 装画/齋藤真一 AD/竹内和重 文庫化:文春文庫/1994年8月10日発行 新・恋愛小説館 (文春文庫 れ 1-11) 新婦の前夫を披露宴に招んだ新郎の胸中(「冬の宴」)、男性用の同じコロンの匂いがする二人の女性と関わった男が感じた不安(「白い香り」)、浮気した夫を許すかわりに夫の部下を誘惑すると宣言した妻の真意(「即興曲」)ほか七篇。つつましく生きる人々のしなやかでしたたかな愛のかたちを綴る短篇集。 (文庫裏表紙より) 文庫/231ページ/定価350円+税/絶版 解説/濱田芳彰(コラムニスト、連城三紀彦の助手) カバー/荒井冨美子 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/arnghrt/pages/138.html
ここでは、社長が書いた小説をおきます。 是非読んで下さい。 一部、ココ限定の小説もありますので、是非、お楽しみください。 (詩・小説・エッセイの投稿板にも移植予定です。) なお、ルピアタウン内で行う予定の小説大会の作品をこちらにおかせていただきますので、よろしくお願いします。 (実際、その大会で優勝した作品はこちらに並べさせていただきます。) 小説置き場 小説大会とは関係のある作品 小説大会とは無関係の作品 A列車で行こう物語(当社の開発物語です) 鉄道経営物語(当社社長の仕事物語です)AR永平田 特撮!サスペンス~今日もAR永平田は事件を起こす~(当社社長のサスペンス小説です) SDD物語 ラジオ番組関連の小説SCHOOL OF LOCK物語 ポケモン関係の小説不思議な冒険2 コメント置き場 コメントに残して、小説全体を評価してください。 決して、粗末にするようなコメントは書かないで下さい。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/3694.html
作・◆VxAX.uhVsM 妄想小説ロワSS目次 妄想小説ロワSS追跡表 妄想小説ロワ参加者名簿 妄想小説ロワ参加者名簿(死者表示) 妄想小説ロワ支給品リスト 妄想小説ロワ地図・ルール 妄想小説ロワ作品あらすじ紹介
https://w.atwiki.jp/wiki15_715/pages/9.html
暑さも日に日に増していく6月の半ばのことだった。 僕―草壁 風夜(くさかべ ふうや)―は平凡な高校2年生であり、毎日平凡なベットの上で、平凡な夢を見て起き、平凡な学校生活を送りまた寝る。 そして今日もまた、平凡な日常を迎えるために今、まさに深蒼の夢の海から静かに覚醒へと向かってるところだった。 だが、何を思ったのかふと上を見ると、九尾の狐が気持ちよさそうに漂いながら、僕を見つめていた。 僕はその狐を見つめながら惹きつけられるように昇り――――――――――――――― ――――今になって考えてみると、この狐との邂逅が僕の運命を変えたのかもしれない―――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6月13日~火曜日~ 朝日の光が目ぶたをノックしてくる。 まだ眠いのだが・・・・・・えーい!、こうなったら窓の反対側を向いてやる! ゴロン、プニッ♪…・・・ プニ? う~ん、プニといえばぷよぷよで最大連鎖記録を目指して徹夜したことがあったな… まあ、12連鎖止まりだったがな。。。。。 ・・・・・・・ じゃなくて!!!!俺はぷよぷよを布団に入れた覚えはないぞ!! いきなり進入してきやがって、不法進入者には懲罰を!! 「天誅(チョップ)!!!!!」 「ぐはっ!!!!!!」 ぐはっ?なんて人間らしい鳴き声だ、、、、 「そうか!これはぷよぷよを擬人化したものk「いきなり、ナニするのよ!!!」ぐはっ!!!!」 ぷよぷよ?は風夜に鉄拳をくりだした。 風夜に9999のダメージ 風夜は倒れた この女(アマ)はイキナリ痴漢にでも逢ったかのように叫び、 「いきなり愛しのお姉さんを叩くなんて!!!いつからそんな趣味に目覚めたのよ!! ・・・・・・・・あれ、風夜、何大袈裟にたおれてるのよ~ちょっと、私は軽くな・で・ただけじゃな~い?」 へんじはないただのしかばねのようだ 「もう~死んだ真似なんかしちゃって~」バシッ!バシッ!バシッ!ビシッ!バシッ!バシッ!バシッ!・・・・・・ ????は風夜に連続攻撃をくりだした。 風夜に111111111のダメージ 風夜はMに覚醒した!!!! 「あっ・・・・・てへっ☆やりすぎちゃった~「すごく・・・いいです」・・・・・・えっ・・・」 ~以下省略~ 「痛てて。。。。。なんで姉貴が俺のベットで寝てるんだよ!!!」 今しがた俺に様々な攻撃を仕掛けてきたのは俺の姉貴―草壁 蜜(くさかべ みつみ)―である。 今年の4月に東京の大学に進学したため上京し、一人暮らしを満喫していた・・・・・はず。 余談だが、本試験で現代文の漢字の問題が一個も書けなくて、「私はもうだめだ~~~~~~~」と叫んでいた。 ところで、この女に質問というものをしても、意図というものを汲み取ってはくれないらしい。 えっ、ナニ言ってる?のという顔で「なんでって、睡眠をとるためよ~」 ・・・・まあ確かに質問に答えてはいるがではあるが、もちろんそんなことを聞いてるのではなく、 「なんで俺と寝てるのかって聞いてるんだよ!!」 「あーそんなこと?単に風夜がお姉ちゃんとずっと寝れなくて、さびしかっただろうな~と思ったからよ」 ・・・・・・・ここで誤解のないよう言っておくが、俺は姉貴とは小学校からずっと一緒には寝ていない! ・・・・・・・・・・・・・ほんとだぞ? 「寂しいとか思うわけねーじゃん、俺はむしろ一人でいt「風夜ー!起きたー?」・・やばっ!!」 ドタ!ドタ!、階段を踏み潰すが如く上ってくる奴の声が聞こえた 何故かは知らんがこの状況(姉貴と一緒にベットの中)は俺に破滅をもたらすのではないか!? ―――――――――――――まあ、そんなこともありながらも普通に過ぎていた僕の夏~~~End~~~ ・ ・・・ ・・・・・ 「なんて綺麗に纏めつつ、現実逃避してる場合じゃない!!!!!!」 「今、風夜の彼女の声がしなk「姉貴ゴメン!!」・・へっ?わっ~~モガモガ」 咄嗟に布団から抜け出し、何気に爆弾発言をしている変人を布団で簀巻き状にした。 うむ、我ながら名案だ。こうすれば、あいつも気づくことはあるまい・・・・・・ バンッ!!「風夜!!、起きなさい!!!!、ってあれ、起きてるじゃない。起きてるなら返事してよ!!!」 「ああ、すまん、、、ちょっと寝ぼけてたんだ」 「ふん、、、まあいいわ、おばさんが料理作っといてくれたから、早く降りて来なさいよ」 「分かった、すぐ行く」 勢いよく、ドンッ!と音を立てて我が幼なじみ―御津瀬 春緋(みとせ はるひ)―が出て行く。 安堵した俺は、姉貴入りの蓑巻き状の布団を広げつつ一言、 「フッ、さすがおr「ねえっ!」はいっ!?」 「私をこんな風にするなんて・・・・・やっぱりSMに目覚めたのね、、、、」 「いや、単に幼なじみかr「言い忘れてた!!!」えっ。」バタン! このとき俺はしみじみと思ったね、神は俺を地獄へとアンナイスルキデスカ、と・・・・・ 「「あ・・・」」「おはよ~」 「まあ、いろいろ言いたいことはあるけど・・・・・・・・いっぺん死んで来い!!!!!!」 カッキーーーーーーーーーン!!!!!!!!!! ――――ああ、やっぱり人でも飛べることは出来るんだな―――――― 「ついに浮揚術まで習得したの!♪、お姉ちゃんはうれしいわ~」 第一部 完 唐突だが、俺に人権というものはあるのだろうか? もしあるというのなら、ぜひとも居場所を教えて貰いたい。 今、必死に探しているのだが、影も形も見当たらない状況だ。―――――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ~~~朝食という場所―フィールド―で~~ 「おはよう・・・・・・」「おはよう~~~」 「やっと起きてきたのね、風夜君、みつちゃん、ちゃんといつものやつを作っといたから、さ、食べて。 春緋ちゃん、起こしてくれてありがとね~」 「いえいえ、朝からこの二人の大・変仲睦ましいところを見れたので、と・て・も気分がいいところです」 ところでウチの母親は姉貴のことをみつと呼ぶが、これは父親と母親で「蜜」という漢字を使うことにはしていたんだが、 「みつ」か「みつみ」と読むかで対立していたらしい。一応ジャンケンで決着は着いたらしいが、 未だに母親は「みつ」という言い方をあきらめてはいないようだ。 「元々二人とも仲良かったもんね~、特に風夜君はみつにお姉ちゃん、お姉ちゃんて甘えてたもんね~」 何故にこの人たちには俺と姉貴の関係がやたらに良いものに変換されているのだろうか・・・・・まさか!孔明のわn(ry 「見破ったぞ!二人とも!、俺を嵌めようとしてもそうはいかねz 「「誰があんたなんかをハメたりなんかするか!!!!!!!!!」「最低!!!鬼畜!!!変態!!!」 「何故春緋も反応すrグハッ!!!!」 まあーなんだ、この情景などいちいち言葉にする必要があるのかと疑問に思うほど分かりやすいが、一応言うと 「DEAD END!!!!!!!!!!」 ――――――――パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。 ―――――――――バタッ! ・・・・・・・・・・・ 「お母さん、このご飯ちょっと柔らかくない?わたしもうちょっと固いほうが好みんだけど~」 「あら、そうだったかしら?じゃあ、次からはもうちょっと硬くするわね」 「おばさん~、お茶をもう一杯もらえないかしら、あ、ちょっと熱いくらいでお願い。」 「ちょっと待ってね、昨日、風夜のお友達が家庭訪問に来たんだけど、お茶をとってもたくさん飲んで行かれたのよ~ まだのこってるかしら?」 「お茶がなければ、コーヒーでもいいわ。」 「そういえば、私が東京に行ってる間になんかおもしろいことあった?」 「ウチの学校で運動会があったんですけど、ウチのクラスがダントツで勝ったんですよ。もう~ラクショーって感じ?」 「ハルヒちゃんってどこのクラスになったの?」「3-4です」「あ、そこって風夜もいるんじゃなかったっけ?」 「はい、あのバカと一緒です。」「ハルヒちゃん、バカ呼ばわりはいけないと思うな、せめてアホくらいにしとかないと」 「そうですか?それじゃあ、今度からはちゃんとそうやって言います。」「いい子ね、物分りが良い子はお姉さん、好きよ ~」 「あっ、そろそろ時間なんで行ってきまーす」「「いってらっしゃい~」」 ――――――――――――ふと思ったんだが、放置プレイっていいよな――――――――― 「おかあさん、おれの居場所がないんですけど・・・・」 「あら、お父さん、いたの?」 第二部、完 人は果たして自分の通うところからわざわざ遠いところへ行きたいと思うのだろうか? 俺はもちろん思わないし、今の学校から比較的近い距離にある現状を喜ばしく思っている。 しかし、ここにはそんな俺とは異なる感覚を持つ者がいたのであった―――――――――― ―――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ~通学~ 「で、何故に姉貴が付いてきているのかな?」 「えっ、だって学校に行くんでしょ?」 このいきなり家に戻ってきた女は、’何を当たり前のことを聞くの?’といいたげな顔でそう返してきた。。。 「俺の高校は千葉県、あなたの大学は東京都、ニホンゴワカリマスカ?」 「ワカルワヨ、、、、ごほんっ、だから今、駅にむかってるんじゃない~、何言ってるの?」 ノリが良いな、さすが俺の姉だ! ・・・じゃなくて、そういえば、俺の高校は駅から極々近いところに位置しているんだった。。。。高校まで徒歩で通学してから失念してたぜ。確かに新幹線でなら大学にも通えるか…。 ……なにか俺は重大なことを忘れてはいやしないか?……思い出せ、、、、はっ!!? 「…何で今まで誰も話題にしなかったのか不思議なくらいだが、姉貴は何で帰ってきたんだ?」 この女は自分のなかでは「すでに俺へ理由は伝えた」というのがさも当たり前のように、 「えっ、朝に話した通りよ~」 「いや、話したとおりって何も聞いてねーよ!!! 「あれ、言わなかったっけ?う~んとね、話すと長くなるんだけど、カクカクシカジカウマウマ、、、というわけよ」 「そうか、、、、って、わからねー!!!!!」「もう、いやね、ほんの冗談じゃない♪」 「……さっさと言え、さもなくば犯す」「やっぱりSMに「もうそれはいい!!!」・・わかったわよ~」 「…二人とも盛り上がってて愉しそうね!邪魔しちゃわるいから、先に行くわね!!じゃあね!!」 ズンズンと力強い足取りで進む我が幼なじみ、あれを見れば飢えて山里に下りてきた鬼ですら回れ右をするだろう。 「ハルヒちゃん、行っちゃったわよ~」「そんなことはいいから早く理由をい「あっ、ここでお別れじゃない、じゃあね~」聞けよ!!」俺の話をまったく聞いてないのかこいつは・・・・・ こんな感じで無視された俺、何者? しばし呆然と立っていると、変な男が茶を飲みながらコッチに向かって歩いてきた 「よう風夜、こんなところで突っ立って、なにやってるんだ? とうせんぼうか?それとも通りかかった子にワザとぶつかって、あんな事やこんn 「何故、俺の周りにはこんな奴しかいないんだ!!!」するんだろ?」「するか!!!」 今、話しかけてきた稀代の莫迦は、弓成 観茶(きゅうなり みさ)という、変人だ。 なにが変人かって、こいつは俺が見る限り、授業中だろうが、水泳だろうがなんだろうが、あらゆる手を駆使して茶を飲んでいるんだ!これを変人以外になんと呼べと? しかも、さらに驚くことに茶代で月5万円は使っているそうだ!βακαの極み!!! 「ちょっと考え事をしてだけだ!、、、はぁ……」 「なんか悩み事でもあるのか?…そういえば、もうすぐ模試があるな」 「あっ、ああ、そう、そのことで悩んでたのさ!」 「そうか、、、まあ俺はちょっと用事があって受けられないから、関係ないがな」 この友人は弓道部に所属しているが、GW中から部活をサボることが多くなったと聞いたことがある、 弓道部部員曰く、「俺には生命の拠り所としている声が家でまっているからな!」 と観茶が発言したらしい。なお、この発言は部活中、堂々と部員が一杯いる中で言ったものであり、変人の名を部内に轟かすこととなったそうだ。 まあ、俺には関係ないからまったくもって問題はないのだが。 「腕はいいのに…」 「ん?何か言ったか?」「いや……」 そうなのだ、こいつは弓道の腕前は全国に通用するものがあるらしい。この性格がなかったら、 弓道の道で生きて行くこともできただろうに…… 「ほら、いつまでも突っ立ってないで行くぞ」 「ああ、行くか!」 そして、俺は学校の門をくぐって行った。 そのとき、窓から見つめる一対の琥珀の瞳に気付きもせずに。。。。。。。 第三部 完 昇降口にて あの後もたびたび観茶に「朝、何故あんなところにとまっていたのか」と散々たずねられ、うんざりしていた俺は 「せーんぱい先輩、こんなところで何をしているんですか?」 といきなり場違いなくらい明るい声の到来に、俺は救われる思いになった。 「おう、知華じゃないか、どうした?」 だが、現実はそんなに甘くはなかったらしい。 知華は息を大きく吸うと、奔流の如きスピードで喋り倒してきた。 「先輩と観茶先輩との怪しい妖しい会話をさえぎってしまうのは断腸の思いではありますが、不肖知華、これだけはいわし てください。先輩にはたくさんの可愛い子が近くにいるんです。それなのにBLに走ってしまうというのは先輩の性格を疑 いまs「オマエもそんなことを言うのか!!!」 ……耳がキンキンします~~冗談ですよー」 今話しかけてきた、ハイテンションのバカは科野 知華(しなの ちか)という1年後輩の奴だ。 こいつのテンションは俺が思うに、世界テンションランキング第2位の奴のテンションをブッちぎって、置いてけぼりにして しまうんじゃないか、と思うほどだ。しかも、こいつのトークは世界のあらゆるものを神速でブッちぎっていくほどの勢い をもっている。 もし、早口のW杯があれば必ず優勝できると神に誓ってもいいくらいだ。 「はぁ。。。見た目は可愛いのにな・・・「本当ですか?♪」ハッ!」 俺は思いかけず、本音・・・じゃなかった、妄想を口にしてしまった。それにこのマシンガン女はご丁寧にも音符が最後に付き そうなほどの声で反応し、 「きゃあー先輩にかわいいって言われましたーとっても嬉しいですー」 と、いかにも思ってませんよ、というようなさっきの声とは正反対な声で、棒読みにして返してきやがった。 ・・・・・・可愛いといっても性的な意味じゃないぞ?、、、、なんて冗談を返せるわけもなく、 「ちなみに、先輩が私のことをかわいいというときは大抵何か失礼な事を考えているときだと、乙女の本能が告げているん ですが、先輩はそんな乙女の勘を見事に跳ね除けてしまうような、聖人君子であると私は信じでいますから!・・・・・・なんで 先輩は固まっているんですか~?」 こいつは何がそんなに面白いのか知らんが、やけににやけた顔で話してくる。 ・・・・・・そうだ!こいつの話に俺が付き合う必要はない!!・・・・・・「さらば!」 ・・・・・・・・・ニゲテルンジャナイゾ?ホントウダゾ? 「私の尊敬している先輩は人の話を最後まで聞かないなんてすばらしい人なんでしょうかさすがはBL職人ですこれならも う観茶先輩にお嫁にだしてもかまいませんね!!」 知華は大声+口に手を添えて、言い切りやがった。 「・・・・・・・お願いだからその責めるような早口はやめてくれ。そしてこんなに人の通るようなところで、なんていう言葉を俺 にかけやがりますか、押し倒すぞ?」 俺のニヒルな顔で脅してやったぜ、これならいくら奴でも太刀打ちはできま「きゃーこわいーおかされるー」 ふっ、さすが俺の声だ、あいつが棒読みで返させてくるほどの威力が・・・・・・・・・もういやだ~~~~~!!!!!!! 「冗談ですよ、先輩♪、さっさと教室に行きましょう~」「あっ、ああ、、、、」 「・・・・・・俺は無視か?」 「「茶でものんでろ(てください)!!!!!!」 第四部 完 「おはよう!」「おはよう~」「おはようございます~~」 俺たちは自分の教室に着いた。 1、席に着く 2、級友に話しかける 3、知華を押し倒す もちろん1を選ぶz・・・・・・おい!いまなんか変な声&選択肢がまじってなかったか!? 「おい、知華、何故オマエが俺の学級に来t「おっ、風夜、今日は愛人+変人との御登校か?」・・・だまれ」 級友の雷火 亮(らいか りょう)がいきなり俺を愚弄するかのように話しかけてきた 俺は力の限りに 「俺の愛人ならもっと性格が静かなのじゃないとな!」といってやった。「フッ・・・」決まったぜ! それを聞いた知華は、何故か笑いながら俺の方を見ると、 「私の性格がそんなに好きなんですか?そうでしたら私はアナタに天国でも、地獄でも、授業中でも、布団の中でも、憑いていきますよ~~!!」「チカサン、なんだが妖しい言葉が入ってイルンデスガ。しかもツイテイクの発音がオカシクナイデショウカ?」 俺の発音もどうかしてしまったようだ。しかもこんな奴にかき回されるなんて俺もバカになったk「先輩は元からばかですよ~」「俺の思考を読むな!!」俺がクールに状況判断をしている最中に話しかけてくるとは愚者め! 「愛人と主人の戦争勃発~」リョウは愉しそうに叫んでいる・・・・死ねばいいのn「私には先輩の思考なんか読むのは春緋先輩のことを無視するより簡単ですよ~」知華がなにか怖いことをいっているが、「私を無視するのがそんなに楽かしら!!??」 おい、なんか空気がダークな感じになってきたぞ。これはもしや聖杯戦争が勃発すr「なにか嫉妬に駆られた変な人が騒いでいますね~~先輩も春緋先輩を無視するなんて、余裕だと思いますよね?」 ・・・おい、俺になんの罪があるっていうんだ?知華は心なしか黒くなっているし、俺のところに魔眼が向いている気がするんだが・・・「俺がナニをしたというんd「へぇ、風夜もそうやって考えているんだ~♪私はあなたの思考にも劣る存在だ。って、そうやってずっと思っていたわけね~!!」」・・・気のせいだろうか、俺の中に死亡フラグが乱立している気がするのは。 だが、俺はこんなことでは死なないね、格の違いというのをみせてやるぜ! 「・・・・・・二人とも落ち着いてください。。。。私めは何も申し上げていないのですよ?それなのにこの扱いは酷いのではなにのですk「言うことはそれだけかしら?」・・・まだ全部いってな」「3・2・1、、、、ファイアー!!!!!」 俺は思ったね、今日はきっとよく飛ぶ日なんだろうなって――――――――― ・ ・・ ・・・ ・・・・ ・・・・・Lose consciousness・・・・・・・ 「だから、俺には喋る機会はないのk」 「「観茶はだまってて!!!!!」」「おまえ誰だっけ?」(by 亮) 「・・・・・・」 第五部 完
https://w.atwiki.jp/risouotome/pages/44.html
291 :名無しって呼んでいいか?:2011/07/25(月) 16 53 34.58 ID ??? 登場人物の年齢層が高めの乙女ゲーが欲しいなと思って考えたもの 主人公はとある出版社に勤める編集者。 いきなり異動を言い渡され、新しく発行される雑誌に寄稿する小説家の担当編集になることに。 キャリアも名もある作家達だが、彼らは毎回原稿を締め切りまでにしあげられないという致命的な欠陥があった… ○主人公:編集としてはまだ若手だが、仕事に妥協しないところを買われて今回の部署に異動となった。 真面目で物怖じしない性格。どちらかというとツッコミ気質。 ○攻略対象 ヒューマンストーリー作家 家族ものや、人間の成長物語などを得意とする作家。暖かい作風が人気で、本人も穏やかで温和な性格。 散歩が好きで、人間観察や息抜きのためと称してよくふらっと出かける。打ち合わせに自宅を訪ねても不在の場合が多い 極度のマイペースで、締め切り直前でもそれを平気で行うため、担当編集の悩みの種となっている。 「ああ、いらっしゃい。今日は隣町の雑木林まで歩いてきたんですよ」 主「今日は四時にお伺いするとお約束したはずですが…?」 推理小説作家 人気作を次々執筆し、作品の実写化なども度々行われている。 ルックスがよいためメディアへの露出も多い、気鋭の人気作家。 皮肉屋で、他人を少し見下している。その性格も相俟ってメディアでは人気が出たのだが、本人は首をかしげている。 主「そういえば、今度また先生の作品に映画化の話があると聞いたのですが」 「でも監督あの人なんでしょ?だったら断るよ」 恋愛小説作家 独特の文体と、激しい恋愛でありながらドロドロさせない作風が人気の作家。 「恋愛とはハッピーなものだ」という信条を持っており、若くもないのに恋多き男。 性格は所謂変人であり、ともすると脳内お花畑にも見える言動を見せる。 主人公には半ば一目ぼれしてしまい、序盤から積極的にアプローチをしてくる。 「僕はあなたが好きで幸せだ。だから、あなたが僕を好きになってくれたら二人とも幸せになれるよね」 292 :名無しって呼んでいいか?:2011/07/25(月) 16 54 18.07 ID ??? 続き SF小説作家 手を変え品を変え人類が滅亡する小説ばかり書いていることで話題の作家。 決して人間嫌いではなく、対人スキルもいたって普通なのだが、「人間なんて絶滅したほうがいい」と、あっけらかんと言い放つ。 人間よりも他の動物と接することのほうが好き。 「他の生き物を食い荒らしたり、同じ種なのに殺しあったり、あまつさえ自殺したり、人間って本当に欠陥だらけの生き物だよねえ。 絶滅すればいいのに。」 青春小説作家 若者の青春群像劇を得意とする作家。主人公自身、中高生のころよく作品を読んでいた。 人当たりがよく仕事にも真面目で、他の作家に比べると編集を悩ませることは少ない。 しかし真面目すぎて一度煮詰まるとなかなか抜け出せなくなり、そのために締め切りに間に合わないことも多々ある。 「やはり若さというのは眩しいですねえ…。あ、いやあなたもお若いですよ」 時代小説作家 現代人にあるまじき古風な話し方をする。性格は真面目で馬鹿正直。 また、男女観、恋愛観も古風で、昨今の草食系男子などに対して(勝手に)頭を悩ませている。 他人には誠実に接するのがモットーで、嘘は決してつかないが、気を使うこともない。 「やはり男子たるもの女子(おなご)に主導権を握られるなど…」 主「その台詞メディアには出せませんね」 ○システム 最初に攻略対象を選んで、そのキャラとの一年間のストーリーが展開 好感度と仕事量の二つのパラメータがあり、台詞選択によっていずれかを上げることが出来る(何も上がらない、もしくは下がる選択肢もあり。) 毎月末にパラ判定があり、仕事量によって締め切り前に原稿が上がった、締め切りをオーバーした、原稿を落としたの3パターンの結果が出る。 合計二ヶ月原稿を落とす、もしくは三ヶ月連続で締め切りをオーバーすると編集部からの信用が下がり、また異動させられてバッドエンド。 無事に一年間を終え、好感度が一定以上なら恋愛エンド。好感度が足りなければノーマルエンド。 一年間ずっと締め切り前に原稿を上げさせることが出来たら、攻略対象が雑誌連載とは別に主人公を思って一つの小説を書き下ろす「書き下ろしエンド」がある。 題材が作家になったのは単に自分が本好きだからなんだけど、こういうのに限らなくても、 経験も分別もある大人同士で恋するのがやってみたいんだよなあ。 キャラの個性も、記号的なのじゃなくてその人特有の考え方とかがちゃんとあるものがいい。
https://w.atwiki.jp/yukimoko/pages/4.html
『もう嫌だ―』 何度、そう思っただろうか。 何度、この呪いを怨んだだろうか。 知っているのは《奈落》なる妖怪を倒せば、この呪いは解かれる。ということだけ・・・ 『死にたくない』 その想いを抱き旅に出た。 ――――そして出会った。 仲間に。 愛しく想える、おなごに。 『死にたくない』 今でもそう思う。悪夢だって見る。 けれど、なぜ『死にたくない』か、分かる気がする。 昔はただただ、恐怖でいっぱいだった。 でも今は―――― 『みんなと一緒にいたい』そして 『珊瑚を1人にさせたくない―――――』
https://w.atwiki.jp/stand/pages/12.html
https://w.atwiki.jp/meiousuoh/pages/11.html
冥王記
https://w.atwiki.jp/oyasirosamanokai/pages/31.html
正義と悪 僕は今、お茶の葉を急須の中へと少しずつ、少しずつ慎重に入れる作業をしている。 「なぁ・・・一つ言っていいか?」 僕の目の前には机に足を組み、口に煙草を咥えて眠そうに天井を見上げる女性は、それはそれはでかい態度で座っていた。 「私はな・・・十六夜、眠いって言ってんだぜ?それなのに、なんで茶を淹れてんだ?」 「・・・・凛は知らないの?お茶にだってカフェインとかが入ってるんだよ?」 ちょうど沸いたポットに手を伸ばし、飛び散らないように静かに急須へ注ぐ。 「十六夜・・・お前バカか?入ってる、入ってないの話をしてるんじゃねぇ・・・コーヒーを持ってこいって言ってんだよ!」 (・・・じゃぁ、自分で注(つ)いでくればいいのに。) そう心の内でぼやき、代わりの言葉を凛に伝える。 「でもコーヒーに砂糖5杯とミルクをたっぷり・・・でしょ?」 「なんか文句でもあんのか?」 「いや、文句じゃないけど・・・そんなに入れたら、もうコーヒーって言わないよ?」 急須に少しの量のお湯を入れ、お茶の葉とお湯をなじませるように混ぜ、お湯を流し場へ流す・・・こうすると葉が開き、一杯目からお茶の葉のおいしさを引き出すことができるのだ。 愛用のコップに淹れてあげると、凛はお茶を一瞬で口に流し込んだ。 「ばっ、あ、あちゃ!あちゃちゃちゃ」 「・・・凛、日本語でしゃべってくれないと僕分からないんだけど?」 「てめぇのお茶が熱かったんだよ!死にてぇのかこのバカ!」 興奮してか、それともそんなに熱かったのか、顔を真っ赤にして愛銃を二丁僕に向ける。 「あのね、お茶はゆっくり飲んで味わうものだよ?この寒い季節に体の芯まで温めてくれる。そして眠さも吹き飛ばしてくれて、仕事を捗(はかど)らしてくれる・・・・一石二鳥なんだよ?」 僕もお茶を淹れて、少し口をつけて一呼吸おく。 「まぁ、そんなことはさておき・・・」 僕はポケットから一つの封筒を取り出す。 「今日が何の日か覚えてる?」 そう言うと、銃を下ろして明らかに嫌そうな顔を彼女はした。 「ちっ、あいつのことは忘れたくても忘れられねぇよ」 「うん・・・そうかもね」 あいつというのは市長選第一候補と言われ、また総理大臣にまで上りつめるであろうと謳われている男で、そのかたわら麻薬・武器の輸出を手掛ける闇商人の中心人物である男・・・ルミナ・クライウス・ヴァン氏 三年前に都内警察麻薬捜査支部連合責任者の僕こと十六夜と同じく支部の指揮長官を務める彼女こと凛が捕えた。 しかし、その逮捕は通常とは少し違うものだった。 というのは、ヴァン氏が裏との関わり合いがあるという決定的な証拠を見つけていないという点・・・つまり証拠なしに逮捕に踏み切ったということである。 僕の権限により三年間留置所へと留めて、そして決定的な証拠を見つけて罪状を提出してちゃんと裁判を受けてもらう・・・そういう手筈だったのだが、まったく証拠らしい証拠は出てこなかった。 潜入捜査や聞き込み調査、彼の部下の証言により黒幕なのは明らかというのにも関わらず、どうしても証拠らしい証拠は全く出てこない。 この三年間、もどかしさだけが僕の心にあった。 そしてこの件により、僕はこれで上からの信用はがた落ち、彼女もタダでは済まないだろう。 彼女が彼を良く思わないのは当然であるかもしれない。 そんなヴァン氏からの手紙が一通・・・留置所からの解放を祝したパーティーを僕たちに招待するという内容。 「どうする?罠の可能性が高いけど・・・」 「はっ、おもしれえじゃねぇか!あのやろう・・・粋なことしやがるじゃねぇか」 ・・・・即答できる彼女はある意味天才だろうか?数時間ずっと考えた僕がバカらしく思う。 「分かったよ。じゃぁ、今夜の七時みたいだから・・・ちゃんとおめかしも忘れないでよ?」 「はぁ?別にいいだろ、面倒じゃねぇか」 「まぁ、そうは言わずに・・・ね?一応、礼儀として」 「ったく、分かったよ。着てくりゃぁいいんだろ?じゃぁな」 彼女はそう言って、出て行ってしまった。 (あれ?まだ、勤務中なんだけど・・・) 置いてかれた僕は仕方なく、山のように溜まった書類を嫌々ながらも目を通していくことにした。 それから数時間、夜七時の三十分前・・・僕らはレストランの前で合流した。僕はシンプルに上下真っ黒のタキシード、凛は真っ赤に彩られたドレスというところだろうか?腰まである髪もちゃんと束ね、まるで別人のようだ。 「遅い!てめぇ、女をいつまで待たせるつもりだよ!」 (外見はともかく、中身は全く変わってないようだ。しかしどうなのだろう?いつも女らしいことの一つもしていないのに、こういう時だけ女を主張するのは・・・) そんなことを思いながら、凛に急かされるままにエレベーターに乗った。 止まったのは三十階・・・中はレストランである。 しかし、上にはシャンデリアがズラリと並び、床一面は大理石で作られ、至る所の壁に著名の絵画などの美術品が飾ってあった。 (・・・・凄い!) その言葉に尽きるほどの豪華さであった。 「すみません、ヴァン氏の招待でやってきたのですが?」 一人の店員を捕まえて聞くと、奥の見晴らしの良いテーブルを案内してくれた。 そこには三十階からの夜景という名の幻想が広がっていた。 きらびやかに、しかし派手すぎることもなく鮮やかに光り輝くように彩られた街の光景は何とも言えない。 僕がしばらくの間、感傷に浸っている隣で夜景には目もくれずにメニューの中からあれやこれやと注文している凛がいる。 「なぁ?なぁ?なぁ?見てみろよ!キャビアが置いてあるぜ?食べてみないか?なぁ、こんなに高けぇんだぜ?超うまいんだろうなぁ~」 彼女の眼が光り輝いている・・・何をそんなに期待しているのであろうか?仕方なく僕は彼女に教えてあげる。 「キャビアはとっても高いけど、そこまで美味しいものじゃないよ?」 「んなわけあるかよ!ったく、面白くないやつだぜ・・・なら私だけでも頼むぜ?おい、キャビアを持ってきてくれ!」 彼女の前にはどんどん料理が並べられていく。 しかし・・・“花より団子”とはよく言ったものではないだろうかと思う。 作った先人がもし凛を見たら嬉し涙でも流すのではないだろうか?そんなことを考えていると、凛が機嫌良くキャビアを口に運んでいる姿が目に入った。 口にした途端、彼女の顔は機嫌良いから普通へと変わり、もう一口入れると普通の顔から怒っている顔へと変わった。 そして一人の店員を呼びつけて・・・ 「このキャビア、ニセモノじゃないのか?」とか、「この値段はおかしい!店長を呼べ~」とか言って店員に迷惑で困らせていた。 そんなやりとりをしていた頃・・・やっと現れた。 「これはこれはお二方、とっても楽しそうで開いたこちら側としては嬉しい限りなのだが、もう少し節操をわきまえて欲しいものなのだがね?」 ヴァン氏がそう言うのも無理はないかもしれない。 テーブルに料理が所狭しと場所を取り合い、凛は店員に大声で説教、僕はさっき目を通した書類をパソコンへとまとめる作業をしている・・・迷惑かどうかは甚だ疑問だが、高級レストランですることではないことは確かだろう。 凛に促して店員はいいからテーブルの上を片付けようとした時、彼女から殺気を感じた。 「ふっふっふ、私も嫌われたものだな」 「はっ、お前は私に好かれたいのか?」 「それは御免こうむりたいのだが?キミの愛は重そうだ」 「言ってくれるじゃねぇか?・・・で、ブタ箱の生活は楽しかったか?」 「ふっ、是非ともキミたちにもご招待したいくらいだったよ」 高級レストランの一角で、殺伐とした雰囲気が漂う中、僕は口を挟んだ。 「ちょ、ちょっと、凛?そんな言い合いをしに来たんじゃないよ!え~っと、ヴァン氏にご質問があるのですが?」 これ以上話がこじれないように率直に聞く態勢へ・・・ 「ふむ、構わないが?」 「裏との関係を止めて頂きたいのですが?」 この質問は“はい”でも“いいえ”でも答えたのであれば、彼を無力化出来る。 なぜなら、“いいえ”であればその意味の如く、彼自身が裏との接点を失くすだろう・・・。 “はい”の場合では僕の身につける盗聴器が彼と裏の決定的な証拠となり、捕えることができる・・・しばらくの間静寂が訪れ、彼の口が開くのが少し鈍った。 そしてニヤッと笑みを浮かべ、虚をついてきた。 「答えるのは構わないが、その前に隠れているブツには退出願おうか?」 彼に盗聴器は見抜かれていた・・・。仕方なく盗聴器の電源を切り、彼の質問に入ろうとした時、また制止がかかる 「刑事さん?もう一つ・・・彼女の襟の裏なのだが?」 僕のだけではなく、凛の盗聴器まで彼は見抜いた。 どこまでも頭の切れる奴だった・・・小細工なしで質問に入った。そして小一時間ほど経っただろうか?話しも滞りなく進み、パーティーはお開きとなった。 それから二週間ほど経ったある日・・・僕と凛は上から呼び出しを受けた・・・理由は僕も凛も知っていた。 ヴァン氏が市長選で市長に選ばれた・・・その点は別になんでもないのだが、市長選の演説で行ったことがまずかった。 ヴァン氏があのレストランで会った時に隠し持っていたとされるだろう盗聴器で、僕らの声を一つ一つ合成して、あのレストランで僕らが脅迫をしている会話を作っていた。 まさか、逆に彼が盗聴器を持っているなんて夢にも思わなかった・・・ 僕らは市民の反感を買った。 そして彼の演説の最後・・・ 「私に罪がないにも関わらず留置所に三年間監禁されました。 そして脅迫を幾度となく、そしてレストランへと連れ込みあの発言を私に・・・。 私は警察などに頼ってはいけないのだ、警察こそ悪である・・・と、私は確信しました。 私は警察と戦います!どうか、どうか、賛同して頂ける方は私に清き一票をお願いします!」 今までの行動が一気に枷として舞い戻ってきた瞬間であった・・・。警察トップクラスの発言ということも仇になってか、マスコミは新聞・テレビなどで大いに取り上げ、この演説により、市民は暴動騒ぎが各地で勃発、警察の信用は地の底まで落ちていった。 「十六夜殿、並びに凛殿・・・貴方がたには謹慎処分を言い渡す。その後、追って判断を下す」 それが、僕らに言い渡された 謹慎処分を受けてから数日が経った・・・。僕は知り合いに頼み、ヴァン氏についての情報を貰っていた。 それは明日の昼に家族で昼食・・・を装っての裏での重要な会議が行われるという情報だ。 この現場をうまく押さえることができたら、汚名返上とまではいかないが、今の状況を改善できる唯一の手段であると僕は思った。 さっそく、暗い夜中を見計らって家を抜け出し、凛の家のもとまで急ぎ向かった。 深夜一時を回ったくらいだろうか?チャイムを何度か鳴らす・・・しかし、いっこうに出てくる様子がない。 どうしたものかと立ち往生してドアノブに手をかけると鍵は開いていた。 何かの襲撃でも遭ったのではないかと思い、銃を手に物音立てずに中へと入ると・・・突然、腐臭が襲ってきた。 ゆっくり歩き、だんだん目が暗さに慣れてきたのか、辺りがどうなっているのかが見えてきた。 キッチンは見る影なく、壁には暴れて殴ったようなへこみがいくつもあり、至る箇所に銃弾の跡があり、リビングではテレビの画面は割れ、机は木のクズへと化し、ゴミ箱の中身が辺りに散らばっていた。腐臭が漂う中、寝室であるところから声が聞こえた。 それは小さく、とっても小さく、耳をすまさないと聞こえないくらいの声だった。 意を決して寝室のふすまを開けると、電気もついていない状況で布団にくるまっている凛であろう姿があった。 呻き声や泣き声や嗚咽などが入り混じった声だった・・・。 人の気配に気付いたのだろうか?さすがは指揮を任されるだけあって、敏感さは獣並みだ。 彼女はばっと起き上がり、隠し持っていた銃を僕に向けた。 「誰だ!撃ち殺すぞてめぇ」 「僕だよ?凛・・・」 凛はそれでも銃は下ろさなかった。 「今は誰ともしゃべりたくねぇんだよ!死にたくなかったら消え失せろ」 彼女はベットに座ったまま、僕を銃で威嚇してくる・・・つまり位置的に僕が彼女を見下すような形である 「・・・・」 「おい、聞こえてんのか!」 「ちゃんと聞こえてるよ」 「だったら早く目の前から失せろ!」 彼女は声を張り上げるのだが、いつものような覇気・・・というか、寄せ付けないオーラみたいなのは全く感じられなかった。 逆に脆く儚く今にも崩れおちてしまうような気がした。 そして僕は聞いた・・・ 「凛・・・泣いてたの?」 図星だったのか、少し間が空いたが、すぐに立て直して返答する。 「何言ってんだ?てめぇ」 「・・・無理しなくていいんだよ?」 「はぁ?私が泣く?なぜ?なんのために?バカだろお前?わけわかんねーよ!」 口調こそ彼女であったが、聞いていて痛ましかった。 僕は彼女の方へと足を一歩進めた 「おい、帰れっつってんだろ!」 しかし僕は構わず歩を進める 「十六夜、殺されたいのか!」 彼女の肩は震え、銃の標準が僕には合わなくなってきた。 そして僕は彼女の前まで歩を進めた 「なぁ、なぁ、頼む・・今は、今だけは私に近づかないでくれ・・・」 いつものカッコいい凛はもうそこにはいなかった。 ただうっすらと涙を溜め、消え入りそうな声で懇願する女性がいた。 「・・・・」 僕は座っている彼女の頭を胸にうずくめるように抱いた。 「おい、馬鹿・・・。何やってん・・・だよ。私は大丈夫だから、こんなことは・・・、なぁお願いだ・・・」 僕は初めて彼女の涙声を聞いた気がする 「大丈夫だから・・・ね?」 何が大丈夫なのかは僕自身はよく分からなかった。 けど、凛を救いたいとただただひたすらに願った。 彼女も耐えられなくなったのか、嗚咽しながらも胸元で叫んでいた。 「ちく・・・しょう!ちくしょう!あの野郎!あの・・・野郎が!」 何度も何度も繰り返されるその単語に僕は何か言うでもなく、ただ僕の抱く腕が少し強くなった。 そして抱いたことのなかった憎悪が少しずつ少しずつ、しかし確実に心に滲み入るのを僕は感じていた。 どれくらいの時間が経ったのだろうか?凛はだんだん落ち着きを取り戻した 「悪かったな、十六夜。少し迷惑をかけた」 「どうしたの?らしくないよ。まだ、僕に抱かれ足りないの?」 「ちっ、人の厚意くらい黙って受け取りやがれよ」 「凛の厚意なんか貰ってもこそばゆいだけだよ」 「おいおい、言うじゃねえか?そんな撃ち殺されたいのか?」 二人は顔を見合わせ、笑いあった 「そう言えば、十六夜。何か用事があって来たんじゃねぇのか?」 凛のことで頭が真っ白になって本題を忘れるところだった。 それはヴァン氏の計画を凛と協力して真実を暴く・・・ヴァン氏も市長となり、それなりのボディーガードもいることだろう。 ゆえに凛の銃の腕が必要不可欠だった。 しかし、完璧に事が済んだとしても一瞬で裏の大物たちを敵に回すかもしれない。または無事では済まないかもしれない・・。 それに頭のキレるヴァン氏さえも抑えられるかどうか・・・。 僕は彼女の顔を見てニコッとして、返事を返した。 「用事はただ謹慎受けてしょげてる凛をひやかしに来ただけだよ?思ってた以上にしょぼくれてたけどね~」 「ちっ、うっせんだよ!いいから早く帰れよ!殺されたいのか?」 凛が銃を向けて威嚇してきた・・・これはマジらしい。 僕は凛から逃げるようにふすまを開け、一言つぶやいた。 「凛、またキミとこうしてばかなやり取りができるのかな?」 闇夜の月は爛々と輝き、嘲笑しているように見えたのは僕だけであろうか・・・ 僕は今、木の影から一つのレストランを監視している。 敵影の視察だけでもと思って正面に来たけど、人が全くいないため、ここから身動きができなくなってしまった。 (交通規制、今日はなかったはずなんだけど・・・) そんなこんなでしばらく立ち往生していると、後ろから肩を叩かれた。 どうやら黒服の一人にバレたようだ。 (ふぅ~、映画のワンシーンみたいにカッコよくはいかないものだね・・) 心の中で少し自嘲し、僕は黒服の言うとおりバンザイをして、ボディーチェックを受けた。 そして腕の辺りを調べられそうになった時、袖の裏に仕込んでいた銃が手の中に滑り込み、男の頭に銃弾を撃ち込んだ。 パーン、パーン・・・銃声は辺り全域に響き渡り、僕はあっさり気付かれた。 「おい、そこに隠れている奴出てこい!」 敵は三人・・・慌てて隠れた木に向かって彼らは発砲し始めた (ふふ、僕はそんなに甘くないよ?) 木の上に登っていた僕は慎重に木に近づいてくる彼らを上から狙い撃ち、絶命させた (大丈夫・・・僕だけでも大丈夫だよ!) 木を下り、正面から中を窺おうと顔を出した時、四・五人のボディーガードが撃ってきた。 すぐに頭を引っ込めたが少し冷静さを失っている自分に気付いた (うわっと!あ、危なかった。正面から入ろうなんて僕は馬鹿か?) すぐその場から逃げるようにして裏の出口へと回った。 そこには案の定、黒い高級車が二つ並んでいた。 裏のドアが開き、現れたのは母子であった。 (彼らには全く関係ないことだよね。そんなことしたら人として・・・) 後ろからさっきの黒服四~五人が追いかけてきた。 (前も後ろも・・・・ちょっとヤバいかも) その時、ヴァン氏が裏のドアからボディーガードに囲まれるようにして出てきた。 そしてその瞬間、凛のあの顔が脳裏をよぎった その時にはもう僕は僕ではなくなったのかもしれない・・・母子に当たるかもしれないにもかかわらず、二丁の銃を手に無作為に撃ちまくった。 さすがの彼も僕が母子を巻き込むとまでは考えていなかったのだろうか?急に慌て、母子が車に乗った後、一つの車を発進させた。 取り巻きを四人ほど殺り、ヴァン氏の周りは手薄となったが、僕も無傷というわけではない。 左腕を撃ち抜かれ、片方は動かない。 彼が車の方へと近づいた時、僕は逃げられると思い、タイヤを二カ所撃ち抜いた。 すると車を諦め、そこからはヴァン氏は逃走した。 逃げて逃げて逃げまくる彼を追いかけ走ったのち、彼の右足を撃ち抜いて逃走劇の終わりを告げた。 「はぁ、はぁ、これで・・・終わりだ、ヴァン!」 僕は銃口を彼に向ける。 「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ~。まぁまぁ、落ち着きたまえよ?・・・十六夜くん。今日のキミは少しおかしくはないかね?冷静さが欠けているのように見えるのだが?」 物陰から完全武装した警察がぞろぞろと現れ、僕を囲む・・・ざっと見るに二十人くらいはいるだろう (警察・・・しかも特殊部隊。どうして!?ここに駆けつけるまでには距離的には三十分はかかるのに・・・) やっと頭が完全に冷えてきた僕は、全てヴァン氏の罠であることにやっと気付いた。 (知り合いの情報から全部・・・かな?やられたなぁ~) 「完全にキサマは包囲されている。諦めて投降しろ!」 僕に言っているらしい・・・僕が正義で彼が悪だといのに。 皮肉なことだ・・・国民を守る為に警官たる行動をすればするほど、僕が敵視されるだなんて・・・。 ため息を大きく吐いてから、僕は彼に向けている銃を更に強く握った。 「もし引き金を引こうとするならばこちらは容赦しない!」 特殊部隊が一斉に僕に銃の狙いをつけた。 目の前に足から血を流しているにも関わらず、僕に余裕の笑みを向けるヴァン氏・・・殺意が沸々とまた僕の中で込み上げてくる。 幼なじみが現れ、涙を流しながら僕に説得の言葉を話している・・・、しかし僕にはもう聞こえない・・・何も聞こえなかった。 ヴァン氏が目の前に居て、ただシーンとしている世界。 自分の心臓の音がやけにでかく聞こえた・・・まるでまだ生きたいと僕に訴えかけているかのように。 そして僕は心臓に伝えてあげた・・・ 「わがままは・・・許さないよ?」 引き金を引くと同時にいくつもの銃声が大きく響き渡った それから三年の月日が経った。 「いやはや、凄いやつれようだが大丈夫かね?凛くん」 目の前の市長、いやヴァン総理大臣が私に声をかけてきた。 「そう睨まないで欲しい。まぁ、十六夜くんのことはとても残念だった。彼がまさかあんなことをするとは思わなかったよ」 残念そうな顔を見せるヴァン氏だったが、一転して微笑を浮かべた。 「・・・それで、仲間として疑われ、三年の務所生活はどうだったかね?キミにはお似合いの場所だったと思うが?」 「うるせぇ・・・そんなくだらない戯言を聞きに来たんじゃねぇ!」 「ほぉ~、では何の為かね?」 凛は気味が悪いくらいに笑った。 「出所祝いのパーティーに決まってるだろ!ちょっとばかし私なりにアレンジをしているけどな?」 そう言って、抜いた一丁の銃をちらつかせた。 「ふむ、では場所はどこにするのかね?あまり遠くは・・・」 「はっ!場所なんてどこでもいいだろ・・・始めようぜ?血のパーティーをな!」 「ふぅ~凛くん、・・・若いな。まぁ、私もキミに生きていられると合成音声の件で少々面倒でね?」 ヴァン氏が指を鳴らすと建物の屋上から十数人・・・ライフルを持った特殊部隊が現れた 「けっ、最初から殺すつもりでした・・・ってやつか?」 「凛くん、キミは私の手のひらで踊っているに過ぎない・・・十六夜くん、彼もまたその一人なのだがね」 そう聞いた途端、突然凛の高笑いが響き渡った。 不審に思ったヴァン氏は辺りを見渡し、彼もまた笑った。 「くっくっく、やってくれたじゃないか?凛くん。まさか彼らが全員すり替わっているとはね・・・」 「結構冷静じゃねぇか・・・もうお前の逃げ場はないんだぜ?」 「引っかかることが一つね。キミが部下一人でも動かしたのなら、私に情報がくるはずなのだが・・・?」 「それは上層部のやつらから来る情報のことだろ?」 「・・・ふむ、知っていたのかね?私が警察と組んでいたことを・・。しかしだからと言ってそれを阻むことは・・・」 「なぁ~、死人に口なし・・・って言葉知らないのか?」 悪魔の笑みだった。 「・・・・しかし、一人殺したとしても計画に狂いは・・・」 「何度も言わせんなよ、ヴァンさんよ~?殺したんだよ・・・上層部のやつら、そして・・・お前に縁のあるやつ全員・・・な」 その瞬間、ヴァン氏の顔が明らかに蒼白になった。 「誰がお前と繋がってるか分かんなくてね~。十六夜のやつなら思考に思考を重ねて顔を割り出すんだが・・私はそういうのは苦手でね~」 ヴァン氏はポケットから携帯を取り出し、どこかに電話をかけているようだ。 「おいおい、誰も電話は取れないぜ?なにせお前の家の中には血だらけの死体しか・・」 「な、なぁ・・・む、息子とか・・・いなかった・・かね?」 「あぁ~、なんかお前に似たガキが一人いたな・・・頭ぶち抜いたら動かなくなっちまったけどな」 「きさまぁぁぁぁ!」 彼は銃を抜き、凛に向けようとしたが・・・刹那に凛が放った銃弾が彼の銃を手から弾き飛ばした。 「状況をわきまえろよ?私にサシで勝てるとでも思ったのか?」 凛の銃弾がヴァンの左足を貫いた。 「圧倒的な力は知に勝る・・・新たな名言だな、そう思わねぇか?」 次々に四肢を撃ち抜き、その度に嗚咽と悲鳴が重なりあう。 「う~ん、このまま殺すのはもったいないなぁ~。ちょっと、ゲームでもしてみねぇか?」 そういって、一つの注射器を凛は取りだした。 「くっ、はぁはぁ、その注射器は我が製品の・・・」 「さすがに分かったな。まぁ、何本耐えれるかのゲームしようぜ?」 ヴァン氏の顔がさらに歪んだ。 「その顔だ・・・その顔を見たかったぜ?あいつにも見せてやりたかったよ」 一本、動けないヴァン氏に注射した。 「ん・・・拒絶反応か?おいおい、始まったばかりだ・・・楽しく逝こうぜ?」 持ってきた注射器を全部打った・・・暴れまわる姿やアワを吹き出すとこ、それに体が痙攣するところなどは普段のヴァン氏からは想像できないことで、滑稽で可哀そうで馬鹿らしくて、凛はずっと笑っていた。 「はぁはぁ、あんまり笑わせるなよ。笑い死にさせる気か?まったく・・・。ふぅ~、楽しかったぜ。まぁ、私を敵にしたことをせいぜい悔むんだな・・・って、聞こえちゃいねぇか」 よだれを出して、目が剥きだしているヴァン氏に銃口を向けて、銃声が静かに鳴り響いた 「終わった・・・終わったよ、十六夜。あの合成音声を専門家とかに調査させれば、汚名もキレイさっぱり無くなるんだぜ?今まで通りまたあの事務所でお前の好きなお茶とか飲めるんだぜ?」 凛は一呼吸置いた。 「どうして・・・だろうな。この日をずっと待ってたはずなのにな・・・。嬉しくない、楽しくない、何も感じない、ただ何かがひっかかってスーッとした気持ちになれないんだ・・・なぁ、どうして私の横にお前がいないんだ?」 言葉が止めどなく溢れてきた・・・もう凛自身何を言っているのか分からないくらいに口が勝手に動くのだ。 「・・・なぁ、お前はあの話信じるか?同じ死に方をすると同じとこへ逝けるって話・・・って、おい、何言ってんだろうな。ふぅ~この頃、私は何かおかしい気がするぜ。これじゃぁ、まるで私がお前の事を・・・」 気付くと私は笑っていた・・・そして泣いていた。 私は銃を頭に突き付け、ただただひたすらに願った・ (十六夜、お前にまた会いたいよ・・・なぁ、死ねば会えるかなぁ?) 凛は静かに銃の引き金を引いた・・・。