約 6,956 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4229.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 一五九 君は立ち上がると、素早く扉に駆け寄り鍵をはずす。 取っ手を回そうとしたところで、 背中に鋭い痛みを感じ(体力点一を失う)、悲鳴を上げる。 振り返った君が見たものは、鞭を手にして怒りにわななくルイズの姿だ。 形のよい眉と大きな眼を吊り上げ、顔を真っ赤に染めている。 「こ、こ、この使い魔ってば、キュルケに助けてもらおうってつもりなの? ご主人様に隠し事をするだけならまだしも、裏切って宿敵ツェルプストーに尻尾を振ろうとするなんて、いい度胸じゃないの。 そっちがそういうことするのなら、こっちだって報いてあげないとね。忠誠には信頼で……裏切りには復讐で!」 ルイズがそう言って鞭を振り上げ詰め寄ってくるので、君はじりじりとあとずさる。 「入るわよ……ふたりとも、なにやってんの?」 扉を開けて入ってきたキュルケは、部屋中を逃げ回る君と、それを追いかけるルイズの姿を眼にして眉をひそめる。 「取り込み中って、こういうことだったの? ルイズ、その歳でそういう性癖に目覚めちゃうのはどうかと思うわ。もっとまっとうなやり方から始めなきゃ」 そう言ってキュルケは嘆息し、無言で入ってきたタバサ――体を洗い服を着替えたようで、こざっぱりとした姿だ――が隣に並ぶ。 君は振り回される鞭をかわしながら、見ていないで止めてくれと叫ぶ。 タバサがぼそぼそと呪文を唱えると、ルイズの手から鞭が飛び出し床に落ちる。 それでも君につかみかかろうとするルイズを、キュルケが背後から取り押さえる。 「はいはい、そこまで。とりあえず落ち着いて、なにが起こったのかお姉さんに話してみなさい?」 「放してよ、ツェルプストー! これは主人と使い魔の問題よ! あんたたちには関係ないわ!」 君は、わめき散らしながらじたばたと暴れるルイズをなだめるキュルケに礼を言い、拾い上げた鞭をしげしげと眺めるタバサに話しかける。 四日前に取り交わした約束のことをルイズに話してしまってもよいか、と。 タバサはしばらくじっと君を見つめていたが、やがてこくりとうなずく。 君とタバサのあいだに流れる神妙な空気を感じとったのか、ルイズは急に静かになる。 「なにか事情があるみたいね――軽々しく他人に言いふらしてはいけないようなのが」と言って、 キュルケはルイズの手を放す。 「あたしは席を外したほうがいいかしら?」と言うが、 タバサは 「秘密じゃない」とかぶりを振ってキュルケを引き止める。 ようやく落ち着いたルイズは君を見据えて、 「主人と使い魔は一心同体、他人なんかじゃないわ! なにがあろうと隠し事なんてしちゃ駄目なんだから」と言う。 「もう怒ったりしないから、全部話しなさい。事と次第によっては、力になってあげてもいいわよ」 君はテーブルを囲んで椅子に座る三人の少女に向かって、事情を説明する。一一七へ。 一一七 君は四日前のタバサとの約束のことから話しはじめ、彼女の家族に重い病に冒された者がおり、その者の治療に自分の業が役立つかもしれぬのだ、と語る。 タバサの部屋に入ったところをモンモランシーに見とがめられ、脅迫まがいのやり方で遠乗りに同行させられることになったくだりでキュルケは腹を抱えて笑い、ルイズは憮然とした表情で 「最初から正直に言ってくれればいいのに。なんで信用してくれないのよ」とつぶやく。 「ご家族に病気のかたがいらしたのね……知らなかったわ」 キュルケが傍らに座るタバサを見つめながら言う。 その言葉は純粋に驚きの表れであり、友人に秘密を持たれたことを非難するような含みはない。 君は以前から、外見も性格もことごとく対照的なキュルケとタバサが友人であるということを不思議に思っていたが、眼の前の光景を見て妙に納得がゆく。 相手のことを根掘り葉掘り問いただそうとはせぬ、適度な無関心がふたりの絆を保っているのかもしれない。 「それにしても、凄いわダーリン!」 キュルケは君のほうにぱっと向き直り、顔を輝かせる。 「≪水≫のメイジでも匙を投げるような重い病気を治せるなんて。商人で、剣士で、お医者さまでもあるのね。それだけ多才な人が≪ゼロのルイズ≫の使い魔だなんて、もったいない話だわ。 ゲルマニアだったら引く手あまた、すぐに貴族になれるわよ?」 君は、自分は薬師(くすし)ではない、薬は売り物のひとつにすぎず、それも実際にためしてみなくては効くかどうかわからぬ、と答える。 「あんた病気を治したりできたの!? なんでそのことをもっと早く言ってくれないのよ!」 そう叫んで椅子から立ち上がったルイズを、キュルケがたしなめる。 「座りなさいな、ルイズ。もう怒らないって言ったばかりでしょ」 「う……わ、わかってるわよ。怒ってなんかないもん。ただ、そんな大事なことを今まで黙ってたなんて……」 ルイズは腰を下ろすと、自分の家族にも病気の者が居るのだと語る。 ふたりの姉のうち年下のほうは生まれつき体が弱く、強力な≪水≫の魔法をもってしても完治しない。 そのため旅を楽しむことも嫁ぎに行くこともできず、公爵領から出ることさえかなわぬのだ、と。 君はルイズとまだ見ぬ彼女の姉に同情するが、自分の薬も生まれつきの持病にまでは効かぬだろう、と答える。 君の術はあくまで傷を癒すためのものであり、毒や疫病にも効くことは効くが、体の奥深くに巣食った病魔を打ち消すほどの力はない。 答えを聞いたルイズはやや気落ちした表情で、 「そう……それでもいちおう、試してみるくらいはできるでしょ?」と言う。 君はうなずくが、ひとつ気がかりなことがある。 先刻、ギーシュに服ませたもののほかにも、水薬かブリム苺の汁の持ち合わせはあるか? 持っていれば三〇六へ。 なければ二二六へ。 二二六 背嚢を探った君の表情が青ざめる。 飲み薬はもはやない――ギーシュの治療に用いたのが、カーカバードから持ち込んだ最後の薬だったのだ! 君は申し訳なさそうな眼でルイズとタバサを見やると、この辺りで飲む傷薬を取り扱っているところはないかと尋ねる。 「傷薬は傷口に塗りつけるものでしょ? 飲んで効く傷薬なんて聞いたこともないわ」 ルイズの言葉にキュルケとタバサもうなずく。 君は質問を変え、ブリム苺という野苺に似た野草を知らぬかと訊く――ハルケギニアでは別の名前で呼ばれているかもしれぬので、その特徴をできる限り詳しく説明しながら。 ふたたび、聞いたこともないという答えが返ってくるが、タバサは君が質問してくる意図を察したようで、君のほうを向いてぽつりとつぶやく。 「薬を切らした?」と。 その言葉にも視線にもなんら非難がましいところはないのだが、君の心の中は罪悪感でいっぱいになる。 冷や汗をかきつつうなずいた君は、ギーシュの命を救うために薬を使い切ってしまったのだ、としどろもどろに説明する。 「あんた、なにやってんのよ! タバサとの約束を破って行った先で、肝心の薬までなくしちゃうなんて。タバサとご家族にどうお詫びするつもり?」 ルイズは憤慨して君を責め、キュルケもやんわりと、しかし反論を許さぬ雰囲気で 「あたしもあまり人のことは言えないけど、女の子相手に期待させるだけさせておいて肩すかしってのは感心しないわね。男のやっちゃ駄目なことの筆頭よ?」と言う。 縮こまって恐縮する君に助け舟を出したのはタバサだ。 「約束を破ったのはわたしも同じ。≪虚無の曜日≫までに戻れなかったから。それに、人の命がかかったこと。わたしのほうは一刻を争うようなことじゃない」 ルイズとキュルケが驚きの表情でタバサを見る。 なにごとにも無関心な態度を示す彼女が誰かを弁護するなど稀有なことであり、そのうえ、これだけ多くの単語をまとめて口にするということもそうそうない。 「そのブリム苺か、代わりになる物を探せばいい」 タバサの提案に、キュルケも同意を示す。 「それがいいわね。それじゃあ善は急げ、さっそく秘薬に詳しい人たちにあたってみるわ。三年生のジュベールかガリエニなら知ってるかも」 キュルケは席を立つと、またあとでと言い残して部屋を出ていく。 タバサも 「図書館で調べる」と言って立ち上がるが、 扉をくぐる直前で振り返り、君とルイズを順番に見つめる。 ややあって、口を開く。 「ミス・ヴァリエール」 そう言って、床に片膝をつく。 「な、なによ」 「薬が見つかったら、あなたの使い魔を貸してもらいたい。許可を」 言葉だけ聞けば人にものを頼んでいるようには思えぬが、叙勲を受ける騎士のように深々と頭を下げるその態度は、真剣そのものだ。 「べ、別に構わないわよ、だから頭を上げて。あ、でも一日だけだからね! あんたの実家がどこかは知らないけど、シルフィードに乗れば日帰りで行けるんでしょ?」 相手の思わぬ態度にいくらか慌てたルイズが答える。 それを聞いたタバサは小さくうなずくと踵(きびす)を返し、部屋を出る。 「そのブルムだかブリンだかってのは、俺も聞いたことがねえなあ。もっとも、触媒にもならねえ薬草のことなんか興味ねえから、聞いたところで忘れちまってるだろうけど」 念のためにとデルフリンガーにもブリム苺のことを尋ねてみたが、無駄に終わる。 「貴族の小僧、まともに飲めずにほとんど吐き出しちまってたっけな。もったいねえ。しかし相棒はすげえね。杖もなしで火の玉を放って、他人の心を操って、幻が作れて、獣と話ができて、 おまけに治癒もできる。 ≪四大系統≫でも≪先住魔法≫でもねえ、遠くの国のなんでもありな魔法の使い手。感覚の共有とかができねえにしても、あの赤毛が言ってたとおり、娘っ子の使い魔にするにゃもったいねえ逸材だわ」 デルフリンガーはそう言ってからからと笑うが、ルイズは椅子に座って≪始祖の祈祷書≫を開いたまま身じろぎひとつしない――いつもなら顔を真っ赤にして、無礼な剣を怒鳴りつけるはずなのだが。 この気まずい空気をどうにかしようと考えた君は、ルイズに話しかけることにする。 どのような話題を振ってみる? 病に臥せっているというルイズの姉について尋ねるか(一二三へ)、隠し事をしてしまったことを詫びるか(一九七へ)、それともタバサやキュルケをどう思うか尋ねてみるか(四二へ)。 一九七 君はルイズの正面に立つと、頭(こうべ)を垂れ、『ご主人様』に隠し事をしてすまなかった、と許しを請う。 「わ、わかればいいのよ、わかれば。故郷に帰るまでは、あんたの身分はあくまでわたしの使い魔。勝手なことしちゃ駄目なんだから。使い魔にふさわしい忠誠を見せなさいよね。 ちゃんと働いてくれれば、わたしもそれに応えるわ。忠誠には信頼で、ね」 君を見つめながらルイズは言う。 「なにも奴隷になれとか、血の最後の一滴まで捧げろって言ってるわけじゃないんだから。使い魔は主人を裏切らず、主人も使い魔を見捨てたりはしない。 わたしを信頼して、隠し事とかしないで、危ないときは守ってくれれば、それで充分なのよ。 いいわ、許してあげる。あ、でもまたキュルケに取り入ろうとしたら、許さないんだからね」 我侭で気位の高い少女の精一杯の譲歩を受け、君も内心のわだかまり――君を獣のように扱って≪ルーン≫を刻んだこと――を忘れることにする。 今のところ、≪ルーン≫によって得るところはないが不都合もほとんどないのだから。 君は微笑んで一礼すると、≪旧世界≫に帰るその日までルイズに忠誠を誓う、命ある限りルイズを守る、と誓う。 ルイズの頬がみるみるうちに赤く染まるが、彼女はそれを見られまいとそっぽを向くと、ずかずかと大股で扉へと向かう。 「さ、さあ、ぼーっとしてないで、食堂に行くわよ、そろそろ晩ご飯だから。 いつもよりちょっとだけ多く分けてあげるわ、感謝しなさいよね!」 ルイズの言葉に、君は苦笑を浮かべつつ礼を述べ、彼女に従って部屋を出て行く。一四八へ。 一四八 多くの出来事があった≪虚無の曜日≫から二日が経つ(技術点と体力点を原点まで回復させよ)。 あの日以来、キュルケとタバサ、そしてルイズはブリム苺について調べてくれているが、彼女たちによれば今のところ、それを知る者は生徒にも教師にもひとりも居らず、 参考になる文献も見つからないという。 やはり、ブリム苺は≪タイタン≫固有の、ハルケギニアには存在しない植物なのだろうか? もう諦めて、代わりになる薬を探したほうがよいかもしれぬと君は考える。 しかし、そのような物に術をかけたところで、本来の効果を示すとは考えにくい。 土大蛇に重傷を負わされたギーシュは昨日の朝に意識を取り戻したが、まだ医務室から出歩くことを許されていない。 君とルイズは昨日の放課後にギーシュの見舞いに出向いたが、モンモランシーの別人のような甲斐甲斐しい看病ぶりを眼にし、ふたりそろって言葉を失うことになった。 聞けば、眼を覚まして以来ギーシュにつきっきりであり、彼が目覚めたときは泣きに泣いたという――あれほど熱心な休みない献身を受けては、 さしものギーシュも アンリエッタ王女のことなど忘れてしまっているに違いない! 君の恐れたアルビオンからの刺客の襲来もなく平穏に時間が過ぎ、午後の授業が終わる。 ルイズはタバサと連れ立って図書館へと向かうが(ふたりとも君の術に一縷の望みをかけている証拠だ)、この世界の字が読めぬ君に手伝えることはないだろう。 これからどう行動する? ギーシュを見舞いに≪水の塔≫へと向かう・二六六へ コルベールの研究室を訪れる・三一九へ 野草に関することなら平民たちのほうが詳しいかもしれぬので、調理場に行ってみる・二四四へ 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/769.html
祈祷の覚醒者カンナギジーダ VR 自然文明 (26) サイキック・クリーチャー:アース・ドラゴン 23000 W・ソウル ■このクリーチャーが覚醒した時、クリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。 ■Q・ブレイカー 覚醒前:《時空のシャーマン・フウスイ》 作者:赤烏 収録 MG-08 「DOOMSDAY」5b/20 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anchorlegendscenario/pages/843.html
システム:アリアンロッド2E タイトル:少女祈祷中 極東の島国、ダイワ群島国。 他国と海で隔たれたこの国は、その文化も独自の変化を遂げていた。カンナギもその一つである。 カンナギとは、エリンディル東方の神官に位置する職であり、その身に神の力を降ろす者達のことを呼ぶ。 カンナギはその力を用いて妖魔と戦うだけでなく、人々の暮らしている地域に恵みをもたらすために神を降ろすこともある。 ここにも一人、人々に喜びを与えるために精進している少女がいた。 彼女は定期的に儀式を行いその地域一帯に恵みの雨を降らせていたが、 ある時、儀式に必要なサカキの枝と呼ばれる神聖具が何者かに盗まれてしまう。 これはとても希少なものであり、新しい物や代替品を用意することが難しく、 このままでは神降ろしをすることが出来なくなってしまう。 君たちは失われた神聖具を見つけ出すため、行動を開始する。 アリアンロッド2E「少女祈祷中」 冒険の舞台が君を待つ!
https://w.atwiki.jp/aciii/pages/24.html
ストーリー・世界観検証 このページはアサシンクリードIIIの設定や物語・人物関係などを検証・考察するものです。 本編とDLCのはげしいネタバレを含みます。 削除などする場合は、コメントアウトで理由を書くなど、他編集者への配慮をしましょう。 コメントアウトする際は理由の併記もお願いします。 未解決の謎前作からの謎 今作の謎 アメリカ独立戦争前後(1753~1783年) 現代編(2012年) その他 コメント欄 未解決の謎 前作からの謎 ★マークの付いている物は、解決済みの謎。 +ルーシーの正体★ ブラザーフッドにて、Sequence6以降ルーシーがモンテリジョーニのどこにもいない、鷹の眼で見える赤い足跡がヴィラに続いている、デズモンドがリンゴに触れた途端ジュノーが彼を操りルーシーを刺させたなどのことから、ルーシーは裏切り者ではないかと考えられていた。 リベレーションのDLC「失われた記録」にて、ルーシーが教団を裏切っていたことが判明。デズモンドを脱出させたことや隠れ家で他のアサシンと合流することも全て計画の内だった。 +被験体16号の言葉の意味★ 隠された真実の中で被験体16号が語った言葉の意味。録画されたメッセージではなくデズモンドと会話しているため、実は生きているのではないかと考えられた。被験体16号ことクレイ・カズマレクは、死の直前に自らの意識をデータ化し、細分化・暗号化してアニムス内の随所に隠していた。それをデズモンドらが「隠された真実」としてII、ブラザーフッドで見つけ出したため、彼はアニムス内でのみの生を得ることとなった。つまり、彼は実際に生きているのではなく、コンピュータ上で人格を再現したプログラムに過ぎない。 「彼女の正体」→彼女=ルーシー?アサシンではなく実はテンプル騎士団のスパイ?彼女=ミネルヴァやジュノーなどのかつて来たりし者たち?実はデズモンドらの味方ではない?彼女=イブ?ルーシーが裏切り者だったと判明したため、恐らくはルーシーの事を指していたと考えられる。 +ウィリアムの正体★ ウィリアムとは、ルーシーやショーンらにメールで指示を与えていた、より高位のアサシン(メールでの署名はW.M.)。本編エンディングのスタッフロールで、彼を含む複数名の男性が会話をしていた。 DLC「ダ・ヴィンチ、失踪」の開始時、終了時にもウィリアムらの会話が挿入される(本編クリア前にDLCを導入するとメール表示に置き換わる)。英語版の台詞から、会話しているうちの一人はウィリアムであると判明。 心拍の上昇を鎮静剤で抑えなかったため、デズモンドは一種の昏睡状態に。 メールの文面から、ウィリアム(=W.M.)はルーシーやショーンにはこの情報を隠したがっている。ウィリアムはアサシンとは目的が違う?ルーシーかショーンまたはその両方がスパイだと考えている? メールのサービス名(?)の「ヘーパイストス」とは、ギリシャ神話の鍛冶の神。カイン(テンプル騎士団の源流)も鍛冶を司ることから、「ヘーパイストス=カイン」説もある。 カインとの関連、ルーシーらに情報を隠そうとしていた態度、デズモンドを昏睡状態に陥れておきながら悪びれる様子もない、などの事実から何らかの形でテンプル騎士団と繋がりがあるのではないかと考えられていた。 W.M.とはウィリアム・マイルズのイニシャルであり、彼はデズモンド・マイルズの実の父親であることがリベレーションで判明した。しかし、もちろん彼が裏切り者ではないという確証はない。 +DLC「ダ・ヴィンチ、失踪」の文字列の意味★ DLC「ダ・ヴィンチ、失踪」の最後に、レオナルドが読み上げる数字とアルファベットの羅列。これは緯度と経度を表している。アメリカ合衆国、ニューヨーク州のはずれにあるグレンフィールドという小さな町の、ウエッツトン ガルフ州立公園にある奇妙な穴の位置である。 next-assassins-creed-teased-oxcgn-1.png この穴は、1998年の時点では存在していない。 bildschirmfoto20110322u.png この座標の地点(下図、"COORDINATES")からフローレンス(下図、"FLORENCE" フィレンツェの英語名)とローマ(下図、"ROME" ローマの英語名)を線で結ぶと、ピタゴラスの三角形となる。 acbtrianglenotations.jpg また、アメリカ建国の父であるジョージ・ワシントンは一時リンゴ(PE3)を所有していた事が前作の「隠された真実」で判明しており、このことから「次回作(=AC3?)はアメリカ独立戦争の時代が舞台になるのでは」という説もあった。 この地点はかつて来たりし者たちが世界中に築き上げた 宝物庫 の情報を集約する施設が存在した場所であることがリベレーションで判明。DLCのあの時点でその座標が表示された理由は不明だが、ウィリアムらはこの座標を基にNYCへと向かった。また、IIIの舞台がアメリカ独立戦争前後の1753年~1783年のアメリカ植民地が舞台であることも明らかになった。 +隠された真実のメッセージ ブラザーフッドの隠された真実にて表示される「奇跡は処刑の中に」というメッセージの意味が判明していない。アサシンクリードシリーズで登場した「処刑」というと、1.キリストの磔刑 2.ジャンヌダルクの火刑 3.マハド・アッディーンによる市民の処刑 4.サヴォナローラの火刑 5.テンプル騎士団総長ジャック・ド・モレーの火刑など。3番はほとんど無意味、4もそこまで重要でないことを考えると、1・2・5の何れかの事を指していると考えられる(もちろん、これ以外のまだ出ていない処刑の可能性もある)。また、処刑にまつわる「奇跡」というとキリストの復活が代表的。 なお、キリストが処刑されたのちに死体を包んだ聖骸布はPoEの一種であり、キリストの復活は聖骸布の力による。 +被験体16号の言葉の意味 隠された真実の中で被験体16号が語った言葉の意味。「イブを探せ」「隠された真実」に登場したイブ?現代でも生存している?それとも墓や遺体、遺物などを探すという意味? 「お前の子」デズモンドに子供がいるという事実は判明していない。被験体15号が懐妊していたことと関係?将来の子供? +"Erudito"の正体 "Erudito"(イタリア語で「学者」の意)は、現代編でデズモンドにルーシーやショーンのメールアカウントのパスワードを教えた人物。彼ら全員のパスワードを知っている人物は、今までの所登場していないと思われる。なお、 Erudito は Facebook のアプリ "Assassin s Creed Project Legacy" でも登場している。ACPL では、プレイヤーはアブスターゴ社の新入社員となるのだが、時折実施されるアンケートに対してアサシンのような回答を行うと、主人公に対して「お前の身に危険が迫っている」という旨のメールを送信してくる。 アブスターゴ社の内部資料(アブスターゴファイル、ファイル0.07)でも言及されているが、「個人なのかグループなのか」や「アサシン教団と共謀しているか否か」さえ不明となっている。 "Erudito"の文字を並び替えると"UDITORE"(イタリア語で、Auditore)となる。 +エツィオがヴィラに帰った理由 現代編の冒頭で、デズモンドが流入現象によりエツィオの幻覚を見た際に「随分老けてるな。襲撃の後にもここに来たのか、何故だ?」と言っていたが、結局理由不明のままである。「1420 等のヒントを書きに行った」という説が現状では有力。 +「エツィオの秘宝」の意味 現代編1の時点では存在しない 街中に 500 年前の物が無造作に置いてあるのも不自然。また、5 つすべて集めても実績やトロフィーは無く、イベントなども一切存在しない。キャラクターも一切言及していない。 エツィオ編をクリアしてリンゴの位置が判明した後、現代に戻ると停電が起きるが、その後には棚から全て無くなっている。 どれか一つでも手にすると「ちりはちりに」という実績/トロフィーを取得出来る。本シリーズはキリスト教関連のエピソードが多数みられるので「土は土に、灰は灰に、塵は塵に」という祈祷書の有名なフレーズに関連があるかもしれない。ちなみに祈祷書のフレーズの意味は「アダムとイブが楽園から追放されるとき、神がアダムに対して語りかける台詞である。楽園から追放されたことによって死する存在となったアダム(人間) を象徴させる場面である。なお、アダムはヘブライ語で「土」と「人間」の両方を意味する言葉であり(正確には「土」はアダマーという)、アダムは元々神が土から作ったため、アダムが死ねば土に還るという背景が暗示されている」 (出典 Wikipedia) +「72」の意味 物語終盤で、コロッセオ地下の宝物庫に入る際に使ったパスワード。デズモンドが音声認証で入力した。この数字には多くの意味が込められている。アブスターゴ社によるエデンの果実搭人工衛星の打ち上げ予定日(2012/12/21)はデズモンド達が宝物庫に入った日(2012/10/10)から72日後。 ジュノーが述べた「目覚めのとき」までの日数。 コロッセオの建設開始年。 ロドリゴ・ボルジアが死亡した際の年齢。 "テトラグラマトン"(ヘブライ語で神を現す4文字≒YHWHの事)、つまりメタトロン(神と同格視される天使。)の名前の数。 +ユン・シャオに渡した箱の中身 『エンバース』でエツィオが中国人アサシンのユン・シャオに渡した箱の中身。様々な仮説が述べられているが、どれも確たる根拠は無く可能性が高いと言えそうなものはない。 +エツィオの死因 『エンバース』で描かれているエツィオの死の原因。 エツィオが死ぬ寸前に若い男が近づいて話しかけているが、この解釈が問題となっている。男はテンプル騎士団などの手先で、エツィオを毒殺したという説。 男はエツィオの見た幻で、エツィオは天寿を全うしたという説。なお、この説では幻の男がヴィエリ・デ・パッツィに似ているのではとも言われている。 今作の謎 +デズモンドの安否 本作エンディングでのデズモンドの生死について。彼が死亡したのか、単に意識を失っているだけなのか詳細が不明のままとなっている。但し、本作発売前に「デズモンドの物語は今作が最後」との発表があったため、彼は死亡したのではないかという説が有力となっている。 +クリア後の被験体 本編終了後もプレイヤーは引き続きコナーとしてプレイできるが、本編終了後にデズモンドがアニムスに入った描写は無い。このことから、クリア後のアニムス被験体について複数の仮説が考えられている。被験体はデズモンド説:デズモンドが実は生きていた、又は彼の死体の一部や残留DNAを使用してコナーの記憶を辿っているとする説。また、クレイの場合と同様にデズモンドがアニムス内に何らかの形で意識を残しているとする説もある。 被験体はウィリアム説:デズモンドの父のウィリアムが被験体だとする説。本編中でも、デズモンドが彼に「同じDNAを持っているんだから、あんたがアニムスに入れば良い」という旨の発言をしている。 その他の被験体説:この説については具体的に誰なのかは今の所推論できるだけの証拠がないものの、アブスターゴ社が既に用意していると言及していた被験体18号、アブスターゴ社が作ったデズモンドのクローン(もちろん、クローンの存在そのものが憶測に過ぎないが)、クレイの語っていた「イヴ」、次回作(AC4?)の主人公など様々な候補が挙げられている。 被験体はいない、又はコナーと縁のない人物だとする説:アブスターゴ社のアニムスは一度辿ったDNAの記憶は同じ被験体でなくとも辿ることができるので(マルチプレイヤー)、被験体は誰もおらず、一度辿ったコナーの記憶を辿っているだけだとする説。但し、この説ではクリア後に接触してくる男性(「ピボットの意味」参照)が話しかけている相手がいない事になってしまうので、可能性は高いとは言えない。 +ピボットの意味 本編クリア後に収集可能なピボットの意味について。何者かがアニムスを介して被験体(プレイヤー)に接触し、ピボットを収集するように指示するが、収集する意味も指示を与える男性の正体も判明していない。各ピボットを集める度に新たなチートがアンロックされる。全てのピボットを集め終わると、最初に指示を与えたのと同一と思われる男性が喜んで興奮した様子で「クラウドにデータをアップロードした」等の謎の言葉を述べる(「クラウド時代」、英語では"Head in the Cloud"のトロフィー/実績も取得できる)。また、「○○(ユーザーのPSN又はXboxliveのID)はクラウドとシンクロしています」という文言と共に謎の文字列(5523C23D2553)が表示される。ピボットを全て収集した後に表示される謎の文字列は暗号文だとする説もある。具体的には、まず文字列を2進数に置き換え(0101 0101 0010 0011 1010 0010 0011 1011 0010 0101 0101 0011)、これを6桁ごとに区切り(010101 010010 001110 100010 001110 110010 010101 010011)、base64で置き換えると「V S P C P S V T」となる。さらにこの文字列をシーザー暗号のようにアルファベット順に一文字前に置き換えると(V→U)、「UROBORUS(ウロボロス)」という単語になる。ただしその単語が何を意味するのかは不明であり、憶測の域を出ない説ではある。 トロフィー/実績の英語名"Head in the Cloud"は、"Have one s head in the cloud(空想にふける)"という熟語とIT用語のクラウドを引っ掛けた名前と思われる。 男性については、ERUDITOではないかとする説がある。 「アップロード」したものについても、デズモンドのDNA、アニムスの実験データ、アニムスの設計図、アブスターゴ社の機密情報など様々な仮説が考えられている。ただし、アニムス自体についてはアブスターゴ社が既に商品化しているので(今作のマルチプレイヤー)、設計図を流出させる必要性はそれほどないとも考えられる。 +LLエンディングの円盤の預言の意味 レディリバティのエンディングで、PoEとみられる円盤からかつて来たりし者達と思しき三人組が現れた際に彼らが語った言葉の意味(彼らの台詞については資料を参照)。"Eve will lead us through the war of generations.""war of generations(世代間の争い)"とは、旧世代の人類(=かつて来たりし者達)と新世代の人類(=我々現生人類)との争いの事と思われる。但し、"Eve will"と未来形が使われているので、TWCBの文明が滅亡するきっかけになった過去の戦争とは別物と思われる。恐らくは、ジュノーによる支配とそれに抗う人類による、III現代編終了後に勃発するであろう戦争の事? "There will be great sacrifice, great sorrow, to end the enslavement of the human race.""great sacrifice(大いなる犠牲)"とはデズモンドの死(生死自体が未確定だが)の事?但し、この犠牲は上記の戦争勃発以前であり、ここでも"There will be"と未来形が用いられているので、また別の犠牲があるのかもしれない。 アメリカ独立戦争前後(1753~1783年) +ヘイザムの経歴 ヘイザムはアサシンであるエドワード・ケンウェイと彼の二番目の妻であるテッサ・ケンウェイの息子として生を受け、アサシンとしての訓練を受けながら成長した。 だがエドワードはヘイザムが10歳の年、彼が所有する書籍(第一文明について暗号化された情報が載っていた)を狙った強盗に殺害される。この後、本編冒頭にも登場するテンプル騎士団イギリス支部総長のレジナルド・バーチ(彼はエドワードの主席資産管理人でもあった。つまり、書籍等を含む彼の資産を一覧できる立場にあったと言える)に勧誘され、ヘイザムはテンプル騎士団に加わる事になる。 +ヘイザム編で登場するアサシン 当初は意図的に隠されているが、ヘイザム編には数人のアサシンが登場している。冒頭の王立オペラ劇場で暗殺し、大神殿の鍵であるアミュレットを盗んだ相手はミコというアサシン。彼とヘイザムはこの以前にもコルシカ島で面識があり、その際にヘイザムは彼が護衛していた暗号解読者のみならず、彼のアサシンブレードをも強奪した。だが、その際にヘイザムは彼を殺す理由が無いと判断したために彼を殺害しなかった。なお、彼は後にコナーの協力者となるダンカン・リトルの叔父であり、ヘイザムが彼を暗殺した後にその現場に出くわした少年はリトル本人である。 ヘイザムが新大陸へ向かう際に乗船したプロビデンス号にて、樽を海に落として他の船が同船を追跡できるようにした人物はルイス・ミルズというアサシン。彼はヘイザムがミコを暗殺した後に、ヘイザムを追跡する任を教団から受けていた。彼の努力によりプロビデンス号が他船から襲撃を受けた際、彼は下層デッキに降りたヘイザムを待ち受け彼を捕縛しようとしたものの、圧倒的力量の差は埋まらず、ヘイザムに殺害されるに至った。 +コナーの名前の由来 「コナー」という名前はアキレスが付けた名前だが、これは夭逝した彼の息子と同じ名前。アキレスの死後に彼を埋葬した墓の隣には彼の妻と息子の墓があり、かすれてはいるものの墓碑に刻まれた名前が読み取れる。 アキレスに頼まれてニューヨークから取って来たものの飾らず、彼の死後コナーが飾った肖像画で息子の顔も確認できる。 +モホーク族の人々の名前の由来 コナーの本名であるラドンハゲードン(Ratonhnhaké ton)は、モホーク語で「傷のある人生」の意。なお彼の英語名についてであるが、彼は父の苗字である「ケンウェイ」の名を引き継ぎはしなかった(父との確執云々の話だけでは無く、ラドンハゲードンとして成長し、「コナー」の名はアキレスから貰ったものである以上、彼が自身を「コナー・ケンウェイ」という名前であると思っていたとは考えにくく、周囲の人も彼を「ケンウェイ」とは捉えていなかったであろう)為、フルネームを「コナー・ケンウェイ」とするのは(UBISOFTまでもがそうしているが)、厳密に言えば誤りである。 コナーの母であるガジージーオ(Kaniehtí io)の名は、彼女の声を担当したモホーク人声優Kaniehtiio Hornの名に由来している。 ガネンドゴン(Kanen tó kon) +コナーの特異性 コナーは、デズモンドが記憶を追体験した彼の先祖の中では様々な点で特異である。デズモンドの先祖の内、アルタイルとエツィオの二人はデズモンド本人と同様に口の右端に縦の切り傷を負っているが、コナーは負っていない。その代り、彼は右頬に傷がある。 アルタイル、エツィオ、アブリーン、そしてニコライ(被験体4号こと、ダニエル・クロスの先祖であるロシア人アサシン)などの多くの重要なアサシンはその名前などに鷲にまつわるモチーフが用いられているが、コナーの場合は狼にまつわるモチーフが用いられている("Connor"というのはゲール語の"Conchobhar(=犬を愛する者、狼を愛する者)"に由来するアイルランド系の名前)。 アルタイル、エツィオと違い、コナーの両親は何れもがアサシンではない。 +トリビア ガジージーオは劇中でイーグル・ダイブを華麗に決めているが、アサシン教団・テンプル騎士団のどちらにも所属していない人物でイーグル・ダイブを行ったのはシリーズ全編を通じて今の所彼女だけである。 ホームステッドでオリバー夫妻が経営する宿屋の名前は"The Mile s End"、直訳すると「マイルズの終わり」である。 現代編(2012年) +摩天楼 デズモンドたちが最初の動力源を確保しに向かった建築中の高層ビルは、アメリカ同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンター跡地に建設中のOne World Trade Center。 その後、デズモンドがパラシュートを利用して侵入したビルは米国の大手通信会社ベライゾン・コミュニケーションズの本社であるVerizon Buildingである。そのため、第一の動力源を保有していたのはVerizon社かその関係者であったとも考えられるが、同じ位置に存在するというだけであって、劇中ではアブスターゴ社の関連施設という設定なのかもしれない。 +「マナ」 現代編でショーンに話しかけると、「マナ、つまり神の食事の生成装置を見つけた」といった旨の会話を聞ける。 日本語で「マナ」と聞くと、カードゲームなどでもお馴染みの「太平洋島嶼部の原始宗教における、神秘的な力の源とされる概念」の事と勘違いする向きが多いかもしれないが、ここでいうマナは旧約聖書「出エジプト記」第16章に登場する食物で、モーセの祈りに答えた神が飢えたイスラエルの人々の為に天から降らせたもの。 「蜜のように甘い」とする記述もあるが、ショーンの説明を聞くに決して美味しいという訳では無いようだ。砂糖などが豊富にあるはずもない紀元前の、長らく虐げられていた人々にとっては至上の甘味でも、人工甘味料などになれた現代人にとっては甘くもなんともないということなのかもしれない。ただしショーンの説明は冗談めかした物であったため、どこまで本当なのかはよくわからない。 +ジュノーの伴侶 現代編では、ジュノーから第一文明の人々が太陽フレアの災禍から免れるために取った様々な手段を説明される。 その中で、彼女に「エイタ」という名の伴侶がいたという発言があったが、"Eita"("Aita"とも)とはユニ(=ローマ神話のジュノー)やメンルヴァ(=ローマ神話のミネルヴァ)などと同様にエトルリア神話における神の名である。つまり、彼もジュノーらカピトリーノ三柱神と同様に第一文明の一員であった。 エトルリア神話におけるエイタは、冥府を司る神でありローマ神話のプルートと同一視される。なお、エトルリア美術においてエイタは髭を蓄え、狼の毛皮を被った姿で描かれる。 様々な手段を講じても太陽フレアの影響を免れえないと悟った第一文明の者たちは、精神だけを肉体以外の器に移し替える事で太陽フレアを生き延びる計画を思いつくが、結局はこれも失敗。その実験台に自ら志願したエイタは精神が崩壊し不安定となった。波のように周期的に戻ってくる正常状態の際、彼はジュノーに無意味な苦しみを終えるよう哀願し、それに応えたジュノーは彼の胸を刺すに至ったとジュノーが語っている。彼を安楽死させる際、ジュノーはナイフのようなもので彼の胸を刺しているが、これはかつて来たりし者たちといえども急所を刺せば命は無いということであり、今後ジュノーと人類との間で再び戦争が繰り広げられるのであれば参考となるかもしれない。もちろん、ただのナイフではなく一種のPoEであった可能性もある。 +トリビア 今作のマルチプレイヤーは、アブスターゴ社がアニムスを一般向けに商品化した物という設定。そのため、トレイラー映像にアニムスのテレビCMをイメージした映像があるが、これは1でのルーシーの冗談(デズモンドがアニムスは極秘プロジェクトなのかと尋ねた事に対し、「何よ、CM流れてるでしょ?」と返した)を本当にしてしまった一種のセルフパロディーと考えられる。 アブスターゴ(Abstergo)はラテン語で「浄化する、清潔にする」という動詞の一人称単数の形。この社名は、テンプル騎士団の「エリートによる民衆の支配」の思想を体現した物であると言える。 アブスターゴ社のロゴマークはペンローズの三角形をモチーフとしている。作者によると、この三角形は「不可能性を最も純粋な形で表したもの」。なお、今作のマルチプレイヤーで表示されるロゴに関して、「色彩が付いていたり微妙に形状が異なる」とする意見があるが、これはこのロゴがアブスターゴ社(Abstergo Industries)のものでは無くアブスターゴエンターテイメント社(Abstergo Entertainment)のものだからである。 その他 +公式Twitterの謎 2012年8月8日に公式Twitterアカウントがツイートした一連の謎のメッセージ(以下参照、翻訳は筆者)。_-_-_He is gone. #16 is no more. And now they begin. To search for 1 more _-_-_彼は逝ってしまった。#16はもういない。そして今奴らは始めた。もう一つ探す事を。(https //twitter.com/assassinscreed/status/233197713225822208) _-_-_THEY are responsible. Abstergo s to blame. They play with our lives. Like it s only a game_-_-_奴らには責任がある。アブスターゴは責めを負う。奴らは俺たちの命を弄ぶ。まるでゲームに過ぎないというかのように。(https //twitter.com/assassinscreed/status/233202595248865280) _-_-_They search for the ‘’prophet’’ They’re grasping at straws. Their ill-conceived plans, are riddled with flaws_-_-_奴らは「預言者」を探している。藁にも縋るようだ。奴らの愚かな計画は、欠陥だらけだ。(https //twitter.com/assassinscreed/status/233206218271903744) 一連のツイートの直後、これらは単なる「technical issues(技術的な問題)」であり、解決済みだとするツイートがなされた。https //twitter.com/assassinscreed/status/233209481289412609 なお、2012年8月8日は被験体16号が死亡した日である。 +Assassin s Creed Initiates シリーズ現代編の出来事を、実際の日付と連動させて再現している公式企画。Assassin s Creed Initiatesを参照 +Hacked History 公式サイトで展開されている企画 Hacked History Webgame。バンカーヒルの戦いなど、歴史的な場面を描いた絵画に隠されたPoEなどを発見することで進捗度があがるウェブゲームである。クリア後はデズモンドが闘技場とおぼしき場所にいる画像が表示され、その中にはQRコードと数字の羅列が埋め込まれている(Photoshop等でRGBのブルーチャンネルのみを表示するとはっきりと見える)。QRコードから飛べるページにパスワード「Desmond」を入力すると、アメリカ独立宣言の全文が表示される。さらに、画像に埋め込まれた数字を独立宣言のページにある入力欄にすべて入力すると、デズモンドトレーラーが見られるという仕組み。 ちなみに、画像に埋め込まれた数字は独立宣言文からスペースを除いた○文字目を拾えということ。これに従い解読すると、"If the first civ couldn t save the world - how the hell are we supposed to swing it" という文章になる。 コメント欄 過去ログはこちら あさしんくりーどは、やっぱなぞが多いですね - yamamoto 2013-07-13 15 46 43 仮説だけど、アルタイル=かつて来たりしものの子孫 アルタイルの子孫=デズモンドだから、デズモンドにはかつて来たりしものの血が流れてるって事だし、だから最後のかつて来たりしものが作った(多分)あの台座では死なないんじゃない? - 名無しさん 2013-11-28 20 21 55 ピラミッドに目があるやつってオーパーツとかゆー名前じゃ無かったっけ? - 名無しさん 2013-11-28 20 25 16 デズモンドの安否ってもう - 名無しさん 2013-12-01 02 04 35 デズモンドの安否ってもう4で判明したから解決済みにしていいんじゃないかな - 名無しさん 2013-12-01 02 05 11 名前
https://w.atwiki.jp/onmyoutetu-jinro/pages/516.html
(ver.1.5.0α4実装) ※ver.1.5.0系列の役職です。 基本データ 特徴 コメント 基本データ 所属 村人陣営/司祭系 役職表示 祈祷師 占い結果 村人 霊能結果 村人 毒見結果 無毒 精神鑑定 正常 夜投票 無し 耐性 護衛制限対象 登場 超闇 ログ表記 [祈] 翌日発生する天候を知る事が出来ます。 5日目以後、3n+2日目に特定の条件を満たすと何らかの天候を発生させる、司祭系の役職です。 特徴 翌日発生する天候を知る事が出来ます。 5日目以降の3n+2日目(5,8,11,14…日目)において、 生存する村人陣営役職と人狼系を除く生存者数が人狼系生存者数より多い場合、何らかの天候を発生させます。 神話マニア陣営に関しては、能力による変化後の陣営として判定されます。変化前は村人陣営扱いです。 サブ役職【恋人】の有無は天候発生条件に関与せず、メイン役職のみで判定されます。護衛制限対象です。 能力発動判定が蘇生より後なので、蘇生直後でも能力は発動します。 なお、能力発動時に【天人】が蘇生した場合、その【天人】はカウントされていません。 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/th_sinkoutaisen/pages/71.html
効果 信仰収入+10%(重複可) 使用例 効果の通り、手番のはじめに加算される信仰収入が10%加算される 効果は重複するので、デッキによっては100%を超える場合もある 収入の量には制限があり、表示される%の1000倍までしか一度に加算されない 信仰が1,000,000あり信仰収入が10%の場合、加算されるのは100,000ではなく10,000となる
https://w.atwiki.jp/rickdom/pages/73.html
コメント
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/139.html
最終話 一(ひとり)後編~ゼロと一~ 前ページ次ページゼロの影 力無くへたりこんだ少女が呆けたような表情で呟いた。 「た……助かった、の?」 ワルドも草原に腰を下ろし、ウェールズは倒れている。 「あれ見た後だとあいつが天使に思えるわ。……冷酷で暴力的だけど」 「奇遇だねルイズ。僕も同じことを思ったところさ」 乾いた笑いと引きつった表情をかわしたあと、よくも切り抜けることができたものだと冷や汗をかきながら二人は何が起こったかを思い返した。 別れの挨拶の直後、ルイズは諦めずに杖を振り下ろした。 あのままでは発動すらしないはずだったが、キルバーンの言葉は彼女の怒りに火を点けたのだ。 感情の波があっという間にうねり、高まり、渦巻いて『虚無』の力に変換される。 だが、効果が十分に発揮されなかった。 何しろ、慌てるあまり自分でもどんな魔法を唱えたのかわかっていないのだから。 「何あれ?」 彼女が間の抜けた声で呟いたのも無理はない。 人形の後方に水晶のように光る鏡が現れ、ここではない別の光景を映し出している。鏡は大きさを増し、人形の頭部よりやや大きい程度まで膨れ上がり止まった。 規模が小さく、そのままではどうしようもない。 考えるより先に、閃光の名に違わぬ速さでワルドは詠唱とともに素早く杖を振るった。 風の刃が飛来するが、位置の関係上人形に直接叩き込むことはできない。 (戒めを完全に切断する威力も無い。だが――!) 彼を信じるしかない。 彼は死神には無いものを持っているのだから。 蔓の一部が切り裂かれ、無理やり引きちぎったミストバーンが爪を伸ばし形成した剣で首をはねた。 もはや力など残されていなかったが、主のために戦い続けてきた数千年の経験が――彼の体を動かした。 接近し、油断した状態で、機械のように正確かつ容赦の無い斬撃を回避することはできない。 神速で首を切り離してのけたミストバーンだが、それ以上動く前に限界を迎え、自由になった片腕が力無く垂れた。 宙に舞った頭を吹き飛ばしたのは、ウェールズの生み出した空気の槌だった。 鏡のような扉の中へ頭部が吸い込まれる。 数秒とかからぬ一連の行動に遅滞は無く、あらかじめ打ち合わせていても不可能なほど息の合った動きだった。 扉の向こうに一つ目の小人がちらりと見えた直後に、扉は消えてしまった。 確認はできないが、おそらく“向こう”で黒の核晶は爆発したはずだ。 自分が仕込んだ爆弾の爆発に巻き込まれたのだ。密かに作動させていれば、またはルイズを甘く見ずに詠唱を阻止しておけば、違った結末を迎えただろう。 命を落としたか生き延びたかわからないが、今は確かめようという気にはなれない。 彼女は背を向けて立っているミストバーンを見て口を開きかけたが、虚しく言葉を飲み込むしかなかった。 敵の陣営に属するとはいえ、気の合う友人だと思っていた相手が機械でできた人形だったのだ。 そして、数百年続いた友情があのような終わり方をした。 こんな時どんな言葉をかければいいかわからない。 告げられた言葉の残酷さより、友情が偽りかもしれないという思いの方が彼を打ちのめしているように見えた。 罠の拘束から脱した彼は、頭部の無い人形を見下ろし胸の内で問いかけていた。 奇妙な友情は、真の姿と同様に不確かで儚いものだったのか。 敵同士でも通じ合うものがあったと思ったのはただの幻想――そうであってほしいという願望に過ぎなかったのか。 何も分からない。 答える相手はもういない。 認め合い、主の下で共に闘った相手との友情は終わった。終焉を予想していたとはいえ、このような形で幕引きを迎えるとは思っていなかった。 対極の性格だというのに奇妙なほど気が合ったのは、無意識のうちに同じものを感じたためではないか。 彼が普通の魔族ならば、相手が人形だったと知ってもそこまで衝撃は受けなかっただろう。 何が本物で何が偽りか、彼にはわからなくなっていた。 他に本物だと思っているものも、そう思い込んでいるだけで偽物ではないか。 そもそも、偽りでないものなどあったのか。 「私も偽りだったというだけのこと……」 これこそが、相応しい結末と言えるかもしれない。 自分のもの――本物ではない身体。 本物ではない力。 それに似つかわしい、“人形遣い”と人形の間の友情。 何もかもが偽物。 対等な相手など最初から存在しなかった。 騙されたなどと詰る気もその資格も彼には無い。秘密を抱き正体を隠していたのはどちらも同じだ。 人形の力で戦うやり方を非難する権利も持たない。 主を殺そうとしたのは許せないが、それを除けば憎しみも心の中に見当たらない。 容赦ない攻撃は戦闘において当然のこと。告げられた言葉の残酷さも、ああいう性格だとよく知っている――はずだった。 死神は、最後まで死神らしく振舞った。 あの状況下で武人らしい行動をとったり、友愛に満ちた感動的な言葉を吐いたりする姿を想像する方が難しい。 幻に打ちのめされることまではキルバーンも意図していなかっただろう。 胸に開いた虚無の穴にあらゆる感情が吸い込まれてしまったような、無限に砂漠が広がるような、空虚な想いが彼を支配している。 彼は幾千年も前から元々一人だった。 一人で大魔王を守り抜いてきた。 仕えてきた数千年こそが彼にとっての誇りだ。 そして、彼にとって主は絶対的な存在であり、対等の立場にはなり得ない。 立ち尽くす彼は淡々と呟いた。 「私は一人だ」 どことなく笑っているような口調だった。 当たり前のことを突き付けられただけだ。 主以外との他者との関わりなど所詮うたかたの夢に過ぎないと知っている。これからも主のために戦い続けるだけだとわかっている。 偽りでしかない存在は、永遠に本物を手にすることは無い。 この手で何かを掴むことはできない。 これが長い年月の果てにたどり着いた真実だとすると、あまりにも虚しい。 ルイズは反論しようとして口を閉ざした。 二人の友情の一部しか知らない彼女が、ただの間違いだったと過去を切り捨てるような真似はできなかった。 また、友情は確かに存在していた、一人ではないと主張したところで口先だけの否定にしかならず、意味を持たない。 (認めないわよ、そんなの) そう思うものの言葉が出てこない。ワルドも考えこみ、黙りこくっている。 重い空気の中ウェールズが立ち上がり、よろめきながら歩いて彼の前に立った。 意を決したように顔を上げ、息を吸って吐き出す。 「命の恩人にあのような態度を取ってしまった非礼……今さら許してくれなどとは言えぬ。すまない……!」 全て暗黒闘気やキルバーンのせいだと片づけられればよかった。 だが、黒い感情を増幅させ、弾けさせたとはいえ奥底にあったのは紛れもなくウェールズ自身の思いだ。 尊敬すると言いながら、同時に越えられぬ淵を感じていた。 その証拠に、内に流れる力がミストバーンの体と同質のものだと知った時、嫌悪し、恐怖した。 自分もあんな風になるのではないか。 忌まわしい体へと変貌するのではないか。 魂を認めたはずだったが、完全に受け入れたわけではなかった。 己の狭量さを認めたくなくて、国を守れなかった苦悩とともに全てを憎悪に向けてしまった。 ルイズ達に杖を向けたのは羨望があったためだ。 叶わぬ想いを抱いたまま勝ち目のない戦に赴いた、滅びた国の王族である自分。 それに対し、互いに手を取り合って光の中を歩んでいく者達。わけのわからない力で生かされ、自己が侵食され失われる予感に脅かされることの無い彼ら。 二人を祝福した気持ちに偽りはないが、それだけではないこともまた事実。 もっと早く心の闇と向き合っていれば、死神の罠に抗しえたかもしれない。ミストバーンが苦しむこともなかった。 ウェールズは己の弱さを認める言葉を吐き出した。 「僕は君を――憎んでいたんだ!」 しばらく沈黙が漂ってから返された言葉は、ただ静かだった。 「知っている」 負の思念から生まれた彼には馴染み深い感情なのだから、とっくにわかっていた。 いまだに距離が遠く隔たっていることを感じたウェールズは唇を噛んだ。 ミストバーンは、ウェールズがいまだに憎しみしか抱いていないと考えている。記憶を失っている間の戦いをはっきりとは知らないようだ。 自分の蒔いた種とはいえ、戦いを経て何も変わっていないのだと思うと、虚しさがウェールズの心を支配していく。 否定しようにも、言葉が渦巻き、口にできない。 ルイズも同じ想いを味わっていた。 彼が一人だと肯定しては、召喚した意味がゼロだと認めることになる。 (何か……何かできないの? 何か……!) ワルドがミストバーンを挑発するように声をかけた。 「元の世界に戻るのだろう?」 かすかに頷いただけで返事は無い。 「先ほど死神もルイズが鍵を握ると言っていた。もしかすると本体は一足先に魔界に帰っていたのでは――あの扉は魔界につながっていたのではないかね」 扉の向こうにピロロがいたというだけでは、ハルケギニアの別の場所かもしれない。 だが、あえて希望を示すことで彼の活力を呼び覚まそうとしたのだ。 「魔界に……」 ぼんやりとした口調は気力の火が消える寸前だと知らせている。 体力は徐々に回復しているが、意志の力はかえって減退しているようだ。 記憶を奪われ抵抗できない状態で散々痛めつけられ、瀕死にまで追い込まれた。 感情を爆発させ、意識を取り戻した直後に気の合う友人との殺し合いに突入した。 力を振り絞って勝利したと思いきや、友の正体が人形だったと知らされ衝撃を受け、訣別の時を迎えた。 己を奮い立たせて戦った反動で張りつめた糸が切れかけているのだろう。憎悪すら湧かない状態なのだ。 彼も扉の先が魔界である可能性は考えた。 だが、ルイズの精神力はゼロに近い。 小規模な爆発ならともかく、異世界に通じる十分な大きさの扉を作り出すにはかなりの力が必要となる。溜めるには時間がかかる。 こればかりは彼の力でもどうすることもできず、待つしかない。 記憶を取り戻すことができただけでも十分な収穫と言うべきで、ここはひとまず引き上げればいい。 彼も、ルイズも、ワルドやウェールズも疲れきっている。休まなければならないのは皆同じだ。 だが、ルイズは諦めきれなかった。 ここで退いては後悔する気が――壊れた何かがもう二度と戻らない気がした。 共に闘った今しかないと、心のどこかで声がする。 ウェールズの言葉を信じてルイズは立ち上がった。 「……ミストバーン」 振りむいた彼の胸元のルーンが鈍く光った。存在を主張するように。 「ボロボロのあんたにこんなこと言うのも気が引けるけど……あんたの力、わたしに頂戴」 「君の力はもう尽きたはずだ。それに、『虚無』は負担も大きくなるんだぞ」 心配するワルドに対しルイズは首を振った。 「一刻を争うんでしょ?」 ミストバーンは、疲れ果てているのに行動しようとする少女を眺めている。全く理解できないというように。 「無茶するのがあんただけの特権だと思ってんの? おめでたいわね」 ルイズは鼻を鳴らし、答えを促すように睨みつけた。 彼は決断を迫られていた。 一旦学院に引き上げ、体勢を立て直すか。 それともこの場で困難に挑戦するか。 冷静に利を考えるならば前者だが、キルバーンの台詞や心を砕かれた間に見た光景を考えると、一刻も早く主の元へ馳せ参じなければならない。 切れかけた糸にすがってでも進むしかない。 限界まで消耗し、疲れ果てても、どうしても譲れぬものがあるのだから。 ルイズがあえて後者を選ぶというのなら、答えは一つだ。 「力が欲しければ――」 目に見えぬものを差し出すように、手をスッと伸ばす。彼に残された最後の希望へと。 「くれてやる」 ルイズはにやりと笑い、腕を組んだ。 つかつかと歩み寄り、冷たい手を掴んでぎゅっと握る。 「その言葉、待ってたわ」 彼女が杖を掲げるのを合図としたように胸のルーンが輝き、授業の時のように二人をつないだ。 彼の体から力が抜け落ちる代わりに、ルイズの中に『虚無』の力の源が流れ込んでいく。 彼女は『始祖の祈祷書』を開き、ページをめくった。その手が途中で止まりかけたが、再び動かして詠唱を開始した。 ――ユル・イル・ナウシズ・ゲーボ・シル・マリ からっぽだったルイズの中に入った力はうねり、高まり、『虚無』へ変換されていく。 ――ハガス・エオルー・ペオース だが、足りない。 ミストバーンの方は先ほどまで消滅寸前だったのだ。いくらか体力を取り戻したとはいえ、このままでは消耗するばかりで失敗してしまう。 それを見ていたウェールズは首を振った。何もできないままなど耐えがたい。 彼に対する敬意が本物ならば、今ここで見せる時ではないのか。 「どうか……彼らの力に!」 祈るように手を伸ばすと、ルーンから伸びた光が指先につながった。体の内に流れる力がルーンを介して二人に送り込まれていく。 その光景を見たワルドは、ミストバーンがルイズに召喚された理由を悟りつつあった。 ミストバーンの体は暗黒闘気でできている。 どす黒い思念から成り立つ彼の体がルーンによってルイズに流れ込むことで、怒りなどを糧とする『虚無』のエネルギー源となる。 もしミストバーンが万全の状態で、ルイズが力を溜めて挑めば。 共鳴を利用し、互いに力を増幅し合うことができれば。 召喚者と被召喚者の関係に無いウェールズが力を注げた仕組みを解き明かし、次の段階へ進めることができれば。 想像を絶する効果を発揮するだろう。 それこそ、歴史をも変えるほどの。 大気の震えが膨れ上がり、弾けると、異なる世界をつなぐ扉が形成されていた。 その向こうに見えるのは暗黒の地――魔界。 彼は夢の世界を歩むような足取りで進んでいく。立っているのもやっとの状態だとわかるほど力が無い。 「ちょっと! 待ちなさいよ!」 扉に踏み込もうとしていた動きが止まる。 「何か言うことあるんじゃないの?」 「……さらばだ。ルイズ」 全く顔を動かさないまま機械的に言い放たれ、ルイズが凍りついた。激しい憎悪や殺意を向けられた時よりも、淡々と呟かれた一言の方が遥かに深く心を抉っていった。 彼女の中で急激に何かが湧き上がる。力が抜けそうになる足を必死で動かし、闇の衣を掴む。 その頬には涙が流れていた。期待していた言葉ではなく、一方的に別れの挨拶を告げられたことが引き金になったようだ。 「どこ行くのよ」 「再び……戦場へ」 主の元へ。 今さら何を、と言いたげな声にルイズはぶんぶんと首を横に振った。 「何が偽りよ? わたしはずっとニセモノに認められようとしてたわけ? じゃあわたしは道化ってことになるじゃない……横っ面ひっぱたくわよ!? 爆発(エクスプロージョン)で!」 たたみかけるように言葉をぶつけ、肩を震わせる。ワルドは途中まで頷いていたが、勢いのまま吐かれた暴言にぎょっとして目を見開いた。 使い魔に影響を受けたのだろう。貴族の令嬢とは思えない発言だ。 息を呑んだが反応は無い。 (……重症だ) 感情が麻痺しているのだろう。痛手からまだ回復していないようだ。 ワルドは苦い表情になるのをこらえきれなかった。単に強敵と戦ったところでここまで精神的に疲弊することはないはずだ。 (僕には不可能だ、あんな表情をさせるのは。……そもそも、他にできる相手がいるのか?) いるとしても限られているだろう。 キルバーンだからこそ出来た。相手がミストバーンでも――否、ミストバーンだからこそ死神としての流儀に従ったのではないか。 考え込みそうになったワルドの意識をルイズの声が現実に引き戻した。 「一人ですってぇ……? 勝手に自己完結してんじゃないわよ、ばかっ!」 涙だけでなく鼻水も盛大に流しながら、顔をぐしゃぐしゃにして叫ぶ。 衣にしがみつくようにして泣き出した彼女にワルドが慌ててハンカチを差し出した。だが、彼女は見向きもせずに熱い涙をこぼし続ける。 何故泣くのかわからない彼に、ルイズが肩を震わせながら言葉を紡ぐ。涙やその他を白い衣に落下させながら。 「友達を喪ったら、泣くものよ。でも、あんたは泣けないでしょ?」 影は涙を流さない。 正体を知ってもなお、友達だとルイズは言った。 そう言うしかなかった。 道が隔たり真実が明らかになったからといって、それまでの過程全てが否定されるわけではない。 もし彼女がミストバーンに杖を向けることになったとしても、何もかも打ち消すことはないだろう。 大魔王のために利用するつもりだったとはいえ、与えられたものがある。 安易に相手との関係を否定すれば、今までの自分をも否定することにつながってしまう。 「それに、あんたみたいな変な奴のために泣く人間なんていないに決まってるわ。だったら、わたしがあんたの代わりに泣くわよ! そして――」 しゃくり上げて言葉が途切れたルイズの髪を優しく撫でて、ワルドが呟いた。 「僕のルイズを派手に泣かせるとはけしからん男だな、君は」 幼子にするように桃色の頭をぽんぽんと叩き、目を鷹のように細め睨みつける。その中には今まで見たことのない激怒が燃えていた。 全身に傷を負い血まみれの壮絶な姿で、刺すような視線を向ける。 「君のために戦った者達の想いを踏みにじっておきながら、強者への敬意だと? 笑わせるなよ」 「何……!?」 記憶を取り戻すまでの戦いの様子をほとんど知らない彼は、ワルドの言葉が理解できず鋭い視線を向ける。 怒りに触発され、心の働きを取り戻しつつあるようだ。 「誰が理由も無く死神に挑むものか。その身を焼かれる覚悟で炎の中に踏み込むものか。確かに君は強いが、今ここに立っているのは自分一人の力だと言うつもりか? ……自惚れるな!」 キルバーンはルイズ達が戦おうとしなければ手出しはしなかった。無力感に打ちひしがれるのを見物し、ミストバーンの死を確認すればそのまま立ち去っただろう。 だが、ルイズは罠を止めるために戦いを選び、ワルドは彼女を守るため杖を向けた。 ルイズが危険を承知でウェールズの心を戻そうとしたのも、アンリエッタだけでなくミストバーンとの間の敬意を想ったからだ。 ウェールズもそれに応え、自身の闇を克服して炎の中に足を踏み入れた。 罠の中の彼を放っておけば、見殺しにすれば、それだけで片付いた。自らの手を汚すことなく憎い相手は滅んだ。 打つ手がなかった、仕方なかったと後で言い訳すればいい。 だが、それをよしとせず、炎の中に歩み入った理由は。戻れなくなる可能性を承知の上で、危険に身を投じたのは――。 先ほど憎悪を明らかにしたのも全てを受け止めるため。 ミストバーンが怒りとともに刃を振りかざしても、避けるつもりはなかった。首をはねられることも厭わなかったに違いない。 ルイズが感情を抑えこんだ震える声で告げる。ウェールズの火傷は彼を救出したためだと。 死神との戦闘によって負ったとばかり思っていた彼はわずかに目を見開いた。 散々焼かれただけに炎の苦痛がどれほど激しいものか知っている。 だからこそ、生命力の劣る人間が憎んだ相手のために命をかけて行動するなど信じがたい。 ウェールズが怒りを込めて静かに問う。 「君は、僕が負債を返済するような義務感で動いたと思っているのか?」 命を救われてしまった借りを仕方なく返すだけ。単に戦力として利用するためだと。 「……冗談ではない」 呟く彼の表情は高貴さと威厳に満ちていた。 「この私、アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーの認める相手を侮辱する者は――たとえ君でも許さんぞ」 以前とは違う、自分や相手の抱える闇を知った上での言葉だ。 その眼光は険しく、魂を貫き通さんばかりだ。対等の立場にいる者として相手を見つめている。 誰であろうと偽りなどとは言わせない――そんな気迫に満ちている。 ルイズが顔を上げ、涙に濡れた目で睨んだ。 「あんたはバカよ。大バカよ! わたしも行くのに先走っちゃって」 「ルイズ!?」 「え?」 ワルドが目を見開いて叫んだ。 ミストバーンも虚をつかれ目を丸くした。 ただの人間が――それも肉体の脆弱な少女が、弱肉強食の則の支配する魔界に行くなど自殺行為だ。 ワルドが何か言おうとするより先に、照れたように微笑む。 「ねえワルド、新婚旅行の行き先は魔界でいいかしら?」 共に行くことが前提だと知ったワルドの顔に理解と納得、歓喜が浮かび上がる。彼は実に紳士的に一礼した。 「もちろんさルイズ。休暇届も出していたからちょうどいい」 さらに、ウェールズが悪戯を思いついたように笑いながら手を広げた。 「異文化交流や異国視察は後の戦いに役立つだろう。二人の邪魔などという野暮なことをするつもりはないゆえ、同行させてくれまいか」 ルイズとワルドは歓迎するように頷いた。異文化や異国どころではなく異種族かつ異世界なのだが、指摘することはない。 「血迷ったか! 危険が待ち受けているというのに……っ! お前たちにはバーン様のために戦う理由は無いだろう!」 「危険そのもののあんたに言われたくないわよ。大魔王のために戦う気なんてさらさらないわ」 「ならば何のために……!?」 「あんたの――あんたの作った手料理が食べたいもの。あんたを召喚した意味がゼロじゃないって証明したいだけ」 恥ずかしいことを言っていると彼女は自覚していない。 ルイズを守るようにすぐ傍に立ち、ワルドが告げる。 「言ったはずだ。大切な者を守るために力が欲しいと。魔界に君臨する大魔王の力――この目で見なければ気が済まない」 黒の核晶爆破直前に味わった無力感は心に深く刻み込まれている。 もっと強くなりたい。信念を抱くならばそれを貫き通すための力が必要だ。 あの時感じた衝動が、彼を駆り立てる。 一同の中では最も常識的なウェールズも同意するように頷いている。 「憎悪しか抱いていないと思われたままでは納得いかぬ。このまま立ち去るなど貴族にあるまじき行為だ」 ミストバーンへの態度を命がけで救出することによって償ったとしても、ルイズを傷つけたという負い目が残っている。 何より、彼女に心を救われた恩義を感じている。 そのため力になろうとしているのだ。 ハルケギニアに戻ってきた時、彼が本当に出発することとなる。 呆然とする彼の口から言葉が転がり落ちた。 「魔界を甘く見て――」 「そっちこそハルケギニアなめんじゃないわよ。あんたが不死身なら……わたしだって不死身なんだからっ!」 勢いよく叫んだルイズに彼はすっかり動転している。 「な……何故そうなる……!?」 フーケと戦った時、人間が脆弱であることを肯定したというのに。 そこでワルドが胸を張り、白い歯を輝かせながら微笑んだ。 「一人では弱くとも、誰かと共に在ることで強くなれる。……ということで、僕は君の微笑さえあればいくらでも不死身さ! ミ・レィディ」 「ひとまず落ち着きたまえ。子爵」 鼻息荒く目を輝かせながら宣言したワルドにウェールズが苦笑した。 (うう……っ!) 長年の間沈黙を命じられてきた彼が、弾丸のような勢いで言葉を叩きつけてくる相手に口で勝てるはずがない。 予期も理解もできぬ言動を繰り出す三人に彼は何と言えばいいのか分からなかったが、ルイズがビシッと指を突きつける。 「早くしないと扉が消えるわよ。……ダメって言うなら別にいいわ。今のあんたなら――この通り!」 「あっ?」 細い腕で、思いきり押す。 体勢をわずかに崩した彼をウェールズとワルドが絶妙の連係で扉の中へ突き飛ばした。 吸い込まれた彼を追って、彼女はためらいなく飛び込んだ。衣の袖を引っ張り、手を掴む。 「あんたはさっき“一人”って言ったけど、メイジは召喚した相手と一心同体なのよ」 信じられないというように目を瞬かせた彼に眼をギラリと光らせて言い放つ。 「知らなかったの? わたしからは逃げられない……!」 彼が一人で行こうとするならば、追いかけるだけだ。自分の存在を認めさせるために、何度でも。 残った二人も頷きあって同時に飛び込む。光が弾け、思わず瞼を閉ざした。 硬い感触に襲われたため目を開くと、彩りに乏しい荒涼とした大地が広がっていた。 黒雲に閉ざされた空、煮えたぎるマグマが不毛の世界だということを実感させる。 「後悔しても知らんぞ……」 呆れたような力の無い呟きにウェールズが不敵な笑みを浮かべた。 「しないさ」 ワルドがルイズの服についた埃を払い、すぐそばに立つ。 「さて、まずは大魔王の居城に行かねばな」 傷が塞がり表情にも生気が満ちている。扉をくぐる際に精神力や体力がわずかに回復したのかもしれない。 ルイズが笑い、ミストバーンの隣に立った。 「わたし、ずっと“ゼロ”って呼ばれてきたのよね。……近いと思わない?」 ゼロのルイズと一人のミストバーン。 ゼロと一。 隣り合う存在。 彼女は自分の道を進んでいくつもりだ。 今はまだ力が足りないが、いつか肩を並べることができるように。 「今のわたしが“ゼロ”じゃないなら……あんたも“一”じゃなくなるかもしれないわね?」 彼はふと疑問に思った。 もし自分の正体を知ったとしたら、ルイズ達は――そして、キルバーンは嘲るだろうか、と。 彼にとってのキルバーンは仮面をかぶった陽気な死神であり、ピロロではない。 友情が本物だったのか結論はまだ出ないが、いつか答えが分かる日が来るのだろうか。 先ほどのルイズの言葉が蘇る。 『あんたを召喚した意味がゼロじゃないって証明したいだけ』 おそらく、答えはこれから見つけるしかない。 彼の内心を見透かしたかのように、ルイズから言葉が届いた。 「そういえば……前思ったわ。あんたたちは、お互いに鏡みたいなものなんじゃないかって」 反対かつよく似ている――対称的な存在。 今までの、そしておそらくこれからも彼の在り方を映し出すもの。キルバーンの方も同じかもしれない。 だとすれば、倒して全てが消えるわけではない。 対極の立場でも共感を覚えたならば、相手の像を残したまま進んでいくことになる。 鏡像(ゼロ)と自身(一)。 互いにゼロであると同時に一でもある、とても近い存在。 全てを受け入れたわけではないが、知った以上は向き合うだけだ。 行動しようとせず、何も知らないまま過ごすことも――認めたくないものから目をそむけ、遠ざけることも――主が嫌う行為だろうから。 胸の中で主の名を呼ぶ。 すると、それに応える声が聞こえた。 『ちょうどよいところに戻ってきた。つい先ほど面白いことが起こったばかりだ』 その声をルイズ達も聞き、一斉に彼に視線を向けた。 (ああ――) 力が湧き上がるのを感じる。消えかけていた炎がたちまち激しく燃え上がる。 『早速働いてもらうぞ。お前の力が必要なのだ……ミストバーンよ』 目が輝き、全身から放たれる空気が変わる。力に満ちたそれへと。 「仰せのままに。バーン様」 黒い霧の下、久しぶりにわずかに笑みを浮かべた彼にルイズも微笑んだ。 「“べほま”かけられたような顔しちゃって。やっぱり不死身――」 「大魔王様のお言葉はすべてに優先する……!」 湧き立つ闘志が痛みを忘れさせる。 戦いしか知らぬ存在ならば、心が折れぬ限り戦うだけだ。何度でも、何度でも、主のために。 彼らの様子を見たウェールズが苦笑し、杖を抜く。 「そこまでにしておきたまえ。ここは歓談するのに相応しい場所ではないようだ」 風の刃が飛び、敵を切り裂く。ミストバーンも爪を伸ばし剣を作る。 いつの間にか周囲には見たこともない魔物の集団が現れていた。倒さなければ大魔王の居城へは戻れない。 魔物たちを睥睨し、ワルドがひげをなでた。傍らに立つミストバーンに呼びかけるように言葉を紡ぐ。 「まったく……可愛いルイズや君と一緒にいると、楽しくてたまらないな! どんな敵にも立ち向かう勇気が湧くのだから!」 ルイズを守るための戦いがさらに厳しいものになると知っていながら、彼は高らかに笑った。 昔、大切な家族を喪い一人だと絶望した。だが、ルイズによって孤独(ゼロ)の影は払われ、前に進めるようになった。 ウェールズも一度は自分を見失いゼロになったが、己を取り戻し一人の人間として再生を果たした。 ゼロから一へ。 彼らを見てルイズは世界扉の呪文を詠唱した時の様子を思い返した。 『始祖の祈祷書』のページをめくった時にほんのわずかな間、別のページが光り、書いてあった呪文の “天候”という部分だけが見えた。 暗くよどんだ魔界の空を見上げる。 この黒雲をも晴らすことができるのだろうか。 そんなことは不可能としか思えないが――。 (こいつとわたしなら――) 大魔王の腹心の部下と、伝説の『虚無』の使い手ならば。 『閃光』の二つ名を持つ風のスクウェアクラスのメイジに、アルビオン王国皇太子もいるのだ。 杖を構え、叫ぶ。桃色の髪が風になびいて逆立った。 「さあ、行くわよっ!」 ルイズが“ゼロ”ではないと証明できたのか。 ミストバーンは“一”ではないと感じることができたのか。 彼らが魔界でどんな光景を見、どんな影響を与えたのか。 召喚した少女。 彼女を愛する男。 後に男からレコン・キスタの情報を入手し、戦いに身を捧げた青年。 そして、魔界を照らす太陽が答えを知っている――。 ゼロの影~The Other Story~ 『ゼロと一の物語』 完 前ページ次ページゼロの影
https://w.atwiki.jp/narikirikikaku2/pages/41.html
【 Capacity 】[統率:2][武力:8][知力:5+3][交渉:5][幸運:0] 【 Remarks 】 「被験者のプロジェクト対象メモリーは全てシンクロを完了。現在アニムスは動作を停止しています」 古来暗躍してきたアサシン教団の血を受け継ぐ暗殺者 ウィスタリア領の都市フィレンツェで銀行業を営む貴族の出だが 17歳の時に何者かの陰謀により無実の罪で父と兄弟が絞首刑に処され 自身も祖先と縁深いラナリキリュート大陸への逃亡を余儀なくされた 復讐の機会を窺い反帝国活動に加担していた半年前に 多数の帝国兵を殺害、『Nemesi(天誅)』の文字を残し姿を消したが 大闘技大会への潜入の手はずを進めるため活動を再開 大会後半ではエリーゼへそれとなく大会出場を促しそのサポートを行う裏で 決勝戦に沸く帝都の隙を突きリントー沖のカメオベジュ砦を制圧、アサシン教団の総本山とする 帝国とも同盟軍とも異なる勢力として大陸の中心に根を張った教団を見届けた後、 天変地異の解決を模索するためアレル、にゃん太らとともにラナリキリュート大陸へと船出していった 暗殺者として振る舞う際は冷徹であろうと努めるが元来の性格は快活で女好きな青年 平原地帯でアレルと一対一で決闘した際は熱しやすく喧嘩っ早い部分をむき出しにすることになった その他の交友関係はスイゼンにて出会った戦姫ショウジョウヒと破局した後にクリスへ共に来るよう誘っている エツィオ曰くロイは『聡明であると同時に苦悩できる権力者』とのこと 彼へ同性ながら友人以上にどんな感情を抱いていたのかは本人のみぞ知る 【Inventory】 Equipment【A】1:アサシンブレード・セスト(WP:07 HP+1) 鋼鉄の三日月刀(WP:07 HP+3)鋼鉄のサーベル(WP 03 HP+3) Equipment【A】2:ツインエッジ(WP:09 HP+3) レヘルン(WP:06 HP+3) Equipment【B】1:クロスボウ(WP:04 HP+4) ペッシェ主砲(WP:03 HP+6) 矢の嵐(コンポジット WP:07 HP+3) Equipment【B】2:十字砲火(モスケーテ WP:03 HP+2) Equipment【C】:シェリントンの秘術(WP03 HP+2) 魔導支援(オリジナルスペル WP:06 HP+3) Equipment【D】:フェリアの霊薬(WP:01 HP+1)戦姫の霊薬(WP:-) Item:TP4 FP0 太陽の紋章(140)×1 銀貨(002)×7 アームロック鉄(202)×1 【Soldiers】 アサシン弟子ステータス:アサシーノ達成 完全にアサシンの技術を体得 アサシンブレード装備 【Skill「矢の嵐」:ボウガンの包囲射撃】 狙撃兵ステータス:要人狙撃・遭遇戦における一斉射撃を実行可能【Skill「十字砲火」:マスケット銃による目標への斉射】 魔導兵ステータス:一般的なマジックアイテムを装備 暗殺任務にも従事可能【Skill「魔導支援」:魔術を用いた撹乱・足止め】 艦船『古き魚』ステータス:高速戦闘艦 主砲・副砲搭載 【Skill「ペッシェ主砲」:船首から至闘の結晶のエネルギーを収束・発射】 インディゴス発展ステータス:鍛冶技術・規模が高水準に。銃砲の量産開始 【Execution】 帝国軍警備兵5名 ギガースマッド(巨人)1体 同盟軍侯爵1名+衛兵2名 危篤状態の病人1名+暴漢(光の大賢者一派)数名 帝国軍輸送兵2名 ギシャルメ警備兵長1名+スイゼン駐屯兵1名+帝都輸送隊数名+警備兵3名+帝国派商人2名+バハムト1体 平原の蛮族数名 帝国軍歩兵5名 スイゼン商人1名+傭兵2名 ウザイナー1体 シルバーゴーレム1体 東方大隊艦隊乗組員多数 黄金兵団数名 帝国軍将軍キントレスキー(フル・シンクロ完了) ホワイトキマイラ1体 処刑者スモウ(フル・シンクロ完了) ウィスタリア帝国船団長1名+乗組員多数 ガレリアの猛毒一味多数 カメオベジュ砦部隊長1名+配備兵多数 「DNAの一部メモリーアンロック。情報を開示します」 【Skill】 『身体能力』 高い跳躍力と俊敏性によって並外れた身軽さを持ち、 建物の壁に僅かでも凹凸があればよじ登って侵入できる 『ソーシャルステルス』 市民の中に紛れ自身の気配を遮断する 完全なステルスに成功するとすぐ脇に立っていても存在を察知されない この特性を生かして気づかれないまま相手の持ち物をかすめ取ることも可能 『タカの眼』 純粋な血脈のアサシンだけが持つ特殊能力。精神を集中させると 視界から余分な情報が捨象され探索対象が金色に光って浮かび上がるため 雑踏の中に逃げたターゲットや偽装された隠し部屋などを発見できる 【Assassination】 一般的な武器の扱いに精通しており剣、短剣、斧、ハンマー、槍、 さらには徒手空拳による暗殺術全てを体得している 『アサシンブレード』 アサシン教団に属するアサシンが扱う最も特徴的な武器 手甲の中に短剣大の刃が収納されており、掌を反らした際の筋肉の動きに連動して 刃先が手首の下から飛び出す仕込み刃になっている 相手に忍び寄って急所を貫く一撃必殺の戦法がアサシンの基本 この武器の鍛錬を積むと公衆の面前で誰にも悟られないまま暗殺を完遂できる 手甲自体も特殊合金製で通常サイズの剣ならば十二分に防御可能 エツィオは両腕にひとつずつ刃を装備できるタイプの 「ダブルアサシンブレード」と呼称される武器を愛用する 右腕部のブレードはChapter2にてロジーによって改修を受け精霊石の力を付与された クリスが紋章によって呼び出す水の精霊に呼応して大地の精霊の力を発動させる≪流刃双奔≫は キントレスキーの行使する滅びの力に対して絶大な効果を発揮した 帝都にて奪取した設計図を元にChapter3では再びロジーによる改修を受け 超小型の銃弾の発射機構、さらに斬撃と同時に毒を注入するポイズンブレードへの換装が可能となった ピストルは銃弾の他にブリッツコアのエネルギーを弾丸として発射可能だが、 軽量化された銃身の強度が保たず一発しか撃てない。また毒の刃は全身の激痛に加え 三種類の身体異常を引き起こす「ポリフォニー毒瓶」の錬金毒と単に体の自由を奪う麻痺毒を使い分けられる ピストルとポイズンブレードを組み合わせ高度な複合武器となったアサシンブレード 通称「コキュートス」はアル・アジフが製法を伝えたイブン・ガズイの粉薬を 使用した弾薬を追加、ギルベルトの里における流血祈祷書との戦いで活躍した他に 処刑者スモウを葬り去るなど凄まじい戦果を挙げていたがChapter4においてロジー本人によって破壊された 現在は教団のアサシンが使う量産型アサシンブレードの刃を大型化させたカスタムメイドモデルを使用している 名前についているセストとはイタリア語で六番目の意味で父の形見と右腕の一本ずつ、ロジー作の精霊ブレード、 同じくロジーによるポイズンブレード、さらに隠しピストルに続く六本目のブレードであることに由来する 【Keyword】 『アウディトーレ家』 ウィスタリア領の都市フィレンツェで代々の銀行家として知られていた貴族位を持つ名家 前当主にしてエツィオの父ジョヴァンニが帝国に対する反逆を企てたとして逮捕 居合わせた兄フェデリコと弟のペトルチオも連行される 三人は程なくして絞首刑を執行されエツィオも罪に問われたが 母のマリアと妹のクラウディアを連れ主の結界が消滅したラナリキリュート大陸へ脱出した “真実はなく、許されぬことなどない” 「秘匿メモリーアンロック。シンクロ開始」 『アサシン教団』 その昔ニクノラーシュに存在したとされる暗殺集団 『教団』を名乗るが特定の宗教的な思想は存在せず時代ごとの民衆を抑圧する者を密かに抹殺していた 現在ニクノラーシュにアサシンは殆どおらず教団自体ほぼ伝説化していたが、 アウディトーレは数少ない純粋なアサシンの血を引く家系であり 父親のジョヴァンニも暗殺者としての裏の顔をエツィオに隠していた アサシン教団に類似した集団はラナリキリュートにも存在し、この大陸のアサシンの元でエツィオは訓練を受けた この項の上部におけるアンダーラインのある文、そのリンク先画像がアサシン教団の印章 またこの言葉は新たにアサシンとなった者が必ず行う誓言で 争いを無くす手段に暗殺を選択するアサシンの矛盾を表すとともに人は生きる限り常に思惟すべきだと促している 「シンクロが完了したメモリーのリプレイを開始します」 【 Prologue 】 + ... インディゴス地方を治める領主の息子ロイと提携。反帝国勢力の裏切り者を暗殺して盤石化を図った後 彼の依頼で勇者『アレル・ディアルティス』手配の経緯、さらにインディゴス人体実験計画の調査を開始 調査中にフィレンツェで血の怪異と遭遇し負傷、錬金術士のロジックスと 殺し屋集団ナイトレイドの一員タツミに救助された縁でエルク、シャノンらとも知り合う リントーを訪れ嘘つき紳士ダンピエールのダンピエール協会を利用して偽造証書を入手 これを用いて帝国での諜報活動を画策している節がある ゼクセン騎士団の騎士クリス・ライトフェローにロイへの助力を求めた際に ラナリキリュートへの逃亡において彼女の父ワイアットが協力していたことを初めて明かすも 彼女をはじめ騎士団が襲撃されると誰にも告げず大陸を横断して帝国領の各地で兵士や帝国への協力者を次々と暗殺 縛り首にして晒し共通のメッセージを残すことでたったひとりの宣戦布告を帝国とその裏に居る者達に行った 最後に暗殺を行ったフィレンツェにて大闘技大会への潜入の意志を伝えるとともに 自身が出会い認めた人材をロイに託す手紙を送った後、帝国軍の一隊に捕捉され乱戦となる 【Chapter1】 + ... 連続暗殺事件より半年。エツィオは未だ失意の中にあった ショウジョウヒと喧嘩別れすると己を見つめ直すため ダリント大洞穴で修練に没頭する中でクゥと名乗る竜の少女と出会う エツィオは自身の死も投げやりなまま彼女にその身を委ねるが生かされ アサシンとして再び立ち上がることを決意、インディゴスへと旅立っていく 半年ぶりに訪れたインディゴスは帝国軍東方大隊の精鋭『黄金兵団』の跋扈する地となっていた エツィオは危機をミントに救われエルク一行が一連の人体実験に絡む陰謀に巻き込まれていると知る 黄金兵団を率いる猛将キントレスキーとの工作戦に奔走する中で協力者探しを再開 アームロックにシャノンを訪ね同盟軍の武器制作を一任する考えを明かす ロイの開催した反帝国勢力の合議のため彼をイルドラークまで 送り届けると自身もこの話し合いに参加。対帝国作戦の陣頭指揮を取るロイ、 暗殺者として成長したタツミと再会を果たす一方で同盟軍客将の黒騎士に身を窶す勇者アレル その同胞のアル・アジフ、またヴァン・デル・ハイト商会の少年レンや 少女エリーゼのような多くの新たな人物との出会いが待っていた ロイによる大闘技大会への参加とギシャルメ反攻作戦の呼びかけに応じ 募兵と武装強化の必要性を強く主張、またミラン・フロワード麾下黒の中隊の暗躍を察知すると調査を開始した 銃兵・義勇兵の育成に努める一方で帝国軍新式銃の獲得を狙い 帝都フリントヒルへ単身潜入、小型銃とロジーの飛行船に関する書類を奪取 逃走する道すがらウィスタリアの名門ブリュー家のシャルロットと対峙する 帝国の内より戦いを続けるシャルロットと帝国そのものの打破を目指すエツィオ 交わらぬ宿命を感じつつ帝都を離れ各地で『革命』の種を撒き続けるのであった―― 【Chapter2】 + ... レンを通してヴァン・デル・ハイト商会の支援を取り付けたエツィオは 各地を回って民が自ら立ち上がり暮らしを守る必要性を民衆に説き続けていた アサシンであると同時に政治運動家としての側面を強めつつある中 ショウジョウヒへ自身がアサシンであることを明かすためスイゼンへ向かう この地で学んだ魔術の理論から強敵キントレスキーに対する 逆転の一手がロジーの錬金術にあると気づいたエツィオは帝都フリントヒルにて ロジーとの再会を果たすとともに同席していた旅の冒険者を名乗る亜人にゃん太と出会った 役人の身分を偽ってロジーへアサシンブレードの改修・解析を 依頼したものの、ウィスタリアの復興に向けて未だ道を模索する錬金術士へ 思惟し続けよとエツィオはアサシンの誓言を投げかけるのだった 鍛冶指南役を拝命したシャノンの支援、そしてさらなるインディゴス軍の強化を狙い インディゴスの大規模な工業地帯化を画策したエツィオはアームロックにて 物資の商談と密かにインディゴスへの輸送を行っていたところ ジャイアントクラウンにおける新たな魔王の目覚めを街より目撃する その後ギシャルメ港において反攻作戦に備えた工作活動へ着手 このとき黒の中隊の陽動へ予てから人材を見出し秘密裏に修練を積ませていた アサシンの弟子達を初めて実戦投入、港湾の空に黒い翼の天使と白い死神たちが交錯する 弟子へ黒の中隊の偵察戦を指揮すると同時にエツィオ自らも戦線に立ち 黒の中隊5番機フェリア・ゲレーラとの空中戦の末その身柄を確保 フェリアの言葉から黒の中隊の出自と帝国軍中将ミラン・フロワードの真意を知った 誘拐されたトクサノス王の居場所をギシャルメと特定したエツィオはこれを反帝国勢力に伝達 自らはフェリアとの戦闘で負傷した体を押して着実にインディゴス平原の 占領政策を固めていくキントレスキーの襲撃を実行に移す 父を探すクリスを連れキントレスキー、そして半年前にエツィオの手で部下の命を奪われた 帝国軍桜花将軍クジュラの前でニクノラーシュにおけるアサシン教団の復活を宣言 クジュラの妖刀、そして黄金将の生み出す無機物生命体ウザイナーとの激闘を繰り広げる ロジーによるアサシンブレードの強化とクリスの純粋な想いに触れ解放された精霊の力によって 辛くもウザイナーを退けるが、しかし圧倒的な滅びの力を発揮したキントレスキーによって撤退を余儀なくされてしまう インディゴスにてロイの元に帰還すると黒の中隊の真実を彼とアレルに報告 彼女らをミランから引き離す為に自身の急進派への寝返りを偽装するよう提案するものの 三者三様にすれ違う立場と意見は互いの道を大きく分かつことになる 誘拐されたトクサノス王の奪還が行われるギシャルメ領事館にて戦いの裏ミランとエツィオは密約を交わす 内容は黒の中隊の身柄と引き換えに勇者アレル・ディアルティスを殺害すること ロイを始め、王の救出にやってきた今までの仲間達にアサシン教団の凶刃が次々と襲いかかった 急進派として活動する最中、インディゴスに最大の危機が訪れる キントレスキー麾下黄金兵団の一斉進撃 エツィオはトルバ湖にてアサシン教団を率いロイ、クリスらと大軍を迎え撃つ 乱戦を極める中で若き獅子と銀の乙女は竜の力、紋章の力にそれぞれ覚醒 彼らとの共闘により、長く苦戦を強いられたキントレスキーをついに討ち果たす ひとりの武人として何ら恥じること無い最期を迎えた男に応え エツィオは自らの名とともに『眠れ、安らかに』と告げるのだった―――――
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/136.html
八 訣別の時 前編~閃光のように~ 前ページ次ページゼロの影 決闘を申し込まれた死神は虚をつかれてしばらく言葉を失っていたが、愉快そうに笑い出した。 「あのねえ、ボクは見ての通り誰かを罠に嵌めるのが大好きなんだよ? まともに闘うわけないじゃない」 「そうそう」 ピロロも頷いて同意を示したが、風の刃が飛んできたため慌てて身をかわした。回避するのが遅ければ直撃していた。脅しというより正確に急所を狙った攻撃だ。 「何するんだよぉっ!?」 涙目になりながら抗議するピロロへワルドは冷然と言い放つ。 「邪魔だ」 先ほどの言動を考えると小人とはいえ油断はできない。キルバーンの使い魔なのだから何を隠しているかわからない。妙な動きを見せれば容赦なく殺すつもりだった。 「ピロロ、下がってて。可愛いキミが殺されちゃあ大変だ。大人げないんだから子爵どのは」 憤然と呟いたキルバーンはくるくると鎌を回し始めた。甲高い風切り音がワルドの鼓膜を震わせる。 ピロロは不満そうに頬を膨らませたが、これ以上戦いの場にとどまっていればワルドが何のためらいもなく殺そうとするだろう。 「あっかんべー」と舌を出してからフッと姿を消してしまった。安全な場所から観察して楽しむつもりかもしれない。 元々キルバーンはワルドたちを殺す気が薄かった。親友抹殺が最優先であり、そちらに気を取られていたと言っていい。 先ほどの罠もしばらくの間足止めするためで、結束して向かってくることができないようウェールズを駒として使っただけだ。 しかし、戦いを挑まれ使い魔を攻撃された以上見過ごすわけにもいかない。 鎌を回転させながらワルドの表情が変わるのを楽しんでいる。 「これは……ッ!」 彼の鎌――死神の笛には穴がいくつも開いている。そのため、鎌を振るうたびに空気の流れが笛を伝わり、人間の耳にはほとんど聞き取れない高周波の音を出す。 戦っている相手は聴覚から視覚を狂わされ、最後に全身の感覚をも奪われる。 まさに死神に相応しい技だ。 現在ワルドにそれほど興味を抱いていないため、手早く仕留めようとしている。 「それじゃあサヨナラ、子爵どの」 上機嫌で鎌を振り下ろしたキルバーンは息を呑んだ。 杖で止められただけではなく、反撃され、正確に仮面のみ切り裂かれたためだ。 地面にゴトリと仮面が落ちた。キルバーンは手で顔を隠し、混乱している。 「ただの人間に効かないハズがないのに、何故……!?」 「風や空気を知るのは得意なんだ」 風系統魔法のエキスパートであるワルドは空気の流れを操り、死神の笛を無効化したのだ。 「風のスクウェアメイジを甘く見るなよ?」 ワルドは追撃しようとはせず、キルバーンが新たな仮面をつけるのを待っている。 「どうしたのかね? 君の大好きな罠を使ってくれてもかまわんよ」 彼は以前キルバーンが「一生懸命修行し真面目に戦う」ことをつまらないと言い放ったことを覚えている。 だからこそ、努力し積み上げた力を突きつけようとしている。 屈辱にキルバーンの目がギラリと光り――懐から新たな仮面を取り出して装着した。怒りの表情が刻まれており、彼の胸中をそのまま表している。 鎌を捨て、虚空から剣を取り出して抜き放つ。 「……決闘を受けよう。正々堂々勝負だ」 ワルドの決意を知って、あえて正面から力でねじ伏せるつもりらしい。 彼が頷くとキルバーンは突進し、雷のごとき速度で剣を振り下ろした。 羽が生えたようにワルドはひらりと跳躍し、軽く回避した。着地するやいなや地を蹴って杖を突き出す。 速い。 肩を切り裂かれ、キルバーンの目が驚愕に見開かれた。 以前見た手合わせの時より強くなっている。 内心を見抜いたかのようにワルドは薄い笑みを口元に浮かべ、宣言した。 「我が二つ名は『閃光』。覚えておきたまえ、死神君」 「……最高に腹立つなァ、キミは!」 両者の得物がぶつかり合い、火花を散らした。 彼はその頃、暗闇の中を彷徨っていた。 周囲に広がるのは彼の生まれた世界によく似ている。 黒雲に覆われた空や、色彩に乏しい荒廃した大地。煮えたぎるマグマの海。 生命を感じさせぬ陰鬱な世界が、さらなる闇に閉ざされていく。 空にある人工の太陽が徐々に光を失っているためだ。生命をはぐくむほどの暖かさは持たないとはいえ、世界を照らしていたものが消えてゆく。 それだけではなく、深淵から何かが蠢くのが見えた。 だが、今の彼にとっては世界の異変などどうでもよかった。 全身が闇と苦痛に包まれ、飲み込まれ、深く深く沈んでいく。 どれほどの間降下していたのか分からない。 いつの間にか彼の前には二つの道が延びていた。 片方を選び進んでいくと、世界が輝いた。雲間から差し込める陽光が広大な丘を照らす。まるで祝福するかのように。 天から降り注ぐ光に包まれた丘に近づくと、頂にいくつかの人影があった。金髪の青年が倒れた誰かに力を分け与えている。 その代償として生命をつなぎとめる糸が切れ、死に向かいながらも表情は穏やかだった。晴れやかな微笑を浮かべていた。 青年は最後に大切なものを守りきり、誇りを抱いて息絶えた。 さらに進んでいくと黒雲が完全に消滅した。澄み切った青空が果てしなく広がり、金色の日光が眩しいほどに輝いている。 その下で戦っているのは一人の魔族と一匹の竜だ。 白銀の髪に白い衣――あちこちが血に染まっている――を身に纏う魔族と黒く巨大な体躯の竜は、それぞれの種族の頂点に立つ力の持ち主だ。 歴史に刻まれ、伝説として語られるであろう戦いが繰り広げられている。 満身創痍で、限られた力の全てを使って相手を倒そうとしながらも魔族の顔はどこか楽しげだった。 まるで己が負けることは無いと信じているかのように。 その理由は単純だ。 空を見上げた男の口元に微かな笑みが浮かび、声なき言葉が紡がれる。 ――太陽が、天高く輝いている。 やがて死闘を制した彼は宮殿の一室で、夕日に照らされ紅く染まった世界を飽くことなく眺めていた。 全てが動き出す。世界の在り方が変わる。 そう確信した表情だ。 満ち足りた、嬉しそうな横顔を見た彼の内にも何故か喜びが湧き上がる。全身を苛む痛みが和らぐのを感じる。 顔を真赤にした少女が誰かに言葉と枕をぶつけた光景を最後に、彼はもう一つの道に立っていた。 闇の中をしばらく進んでいくと凄まじい閃光が弾け、彼を吹き飛ばした。 それがきっかけとなって意識が浮上する。 周囲には無数の結晶が光を放ちながら漂っている。それらが映しているのは過去――彼の記憶だ。 だが、彼を包む闇は暗く、深い。それらとともに抜け出すことは叶わない。 ――今は、まだ。 『閃光』と死神――両者の実力は拮抗しておりなかなか決着がつかなかった。 罠を使わずともキルバーンは強い。 だが、危険の中に身を投じ強さを得たワルドと、常に罠を仕掛けてまともな勝負をせずにいたキルバーンとではここぞという時の一撃に差が出る。 元々実力の高いワルドだが、最近は特に鍛錬に力を入れていたため総合的な強さが向上していた。ミストバーンとの手合わせの成果が発揮されている。 己が劣勢だと悟ったキルバーンはいったん距離を取った。 それを追ったワルドの肩がスパリと裂け、鮮血が飛び散った。 「何ッ!?」 「言ったハズだよ、まともに闘うわけがないと。こっそり見えない刃を仕掛けてたのさ」 キルバーンは頭上のラインを指し示した。十三本の線が全て暗くなっている。 ライン一つにつき一本の刃が仕込まれており、戦いの最中に抜き出して配置していたのだ。その場所は彼にしかわからない。 攻勢に転じたキルバーンが剣を振るう。 ワルドは動いて避け、杖で受け流し、剣を止める。が、その都度体が切り裂かれる。 「見えざる刀身による罠……ファントムレイザー。不可視の刃の檻の中で死んでいきたまえ」 勝利を確信し、ククッと笑った死神は次の瞬間眼を見開いた。 ワルドは臆さず反撃を仕掛けたのだ。 「正気かい?」 無謀な特攻を嘲笑いながら切り結ぶ彼は違和感を覚えていた。 切り裂かれたのは最初の数回だけで、反撃に転じてからは傷を負っていない。動きもやみくもに突っ込んでくるものではなく、刃が見えているかのようだ。 (位置を把握して――?) 内心の疑問を見抜いたように、ワルドが杖を立てて呟く。 「言ったはずだ、風のスクウェアメイジを甘く見るなと。風が全てを教えてくれるのだよ」 空気の流れから刃の檻を見抜き、位置に応じて攻撃を仕掛けている。 戦いの中で、風によって得た情報を防御や回避、そして攻撃に活かす。 それこそが、手合わせを重ねるうちに彼が見出した“次の段階”だった。 空気を網のように編む技術はミストバーンの闘魔滅砕陣を参考にしている。共に闘った時見た技は、心に深く刻まれていた。 やがて風を纏った杖がキルバーンの左腕を切り飛ばした。 キルバーンの右手からサーベルが落下し、乾いた音を立てて地面に転がった。 宙に舞った腕を掴み、距離をとる。 「まさか“これ”を使うことになるなんてね」 腕を失ったのに痛みを感じている様子は無い。 ワルドが目を細め、詠唱を開始する。投げ上げられた腕が回転し、巨大な火球を形成したためだ。 「ボクの血は魔界のマグマと同じ成分。ひとたび炎がつけば灼熱地獄に等しい劫火を生むのさ」 ワルドが詠唱を続けるのを見て首を振る。 「キミ一人じゃどうにもならないよ。食らいたまえ……バーニングクリメイション!」 手が振り下ろされ、火球がワルドに飛来した。 敵が炎で焼かれる様を思い浮かべ哄笑を響かせたキルバーンだが、笑い声がピタリと止まった。 火球は巻き起こった烈風に逸らされ、かき消されたのだ。 炎の向こうに見える影は五つ。 全て同じ姿だ。 五人のワルドが立っている。 「お教えしよう。これが風の最強たる所以――遍在(ユビキタス)だッ!」 遍在――それぞれ意思と力を持つ存在を作り出す、風のスクウェアスペル。 ミストバーンとの手合わせによって身体能力など魔法以外の強さを引き上げたことで、今まで力を温存することができた。 最初から遍在を使わなかったのは、相手を同じ勝負の場に立たせるため。その方が結果的に決着を早めることができると判断したためだ。 キルバーンのような相手に主導権を握られては勝ち目が薄いとわかっている。 五人がいっせいに襲いかかるが、地面から炎が立ち上り降り注いだため回避する。 まだ草原に仕掛けられた罠は残っている。 キルバーンが剣を拾い上げ、両者は再び激突した。 ルイズと向かい合ったウェールズは、震える手で杖を構えようとしていた。 少女が恐れず距離を詰めるのを見て、恐怖さえ浮かべながら叫ぶ。 「来るな! 来てはいけない!」 今、彼は攻撃しようとするのを必死に抑え込んでいる状態だ。これ以上近づけば害を及ぼしてしまうだろう。 少女から離れようとするが、体が思うように動かない。 ルイズがさらに足を踏み出すと、荒れ狂う暗黒闘気の波が細い体を吹き飛ばし、地面に叩きつけた。 「ラ・ヴァリエール嬢!」 まるで自分が傷つけられたような悲痛な叫びが、少女の鼓膜を震わせる。 震えながら身を起こしたルイズが咳きこんだ。血のにじんだ唇からかすれた声が紡ぎ出された。 「ごめんなさい。わたしが助けてって言ったせいで……苦しんでらしたことに気づきもしないで……!」 顔を上げたルイズの眼から、ぽろぽろと真珠のような涙が零れ落ちた。 ウェールズの生命を救ったのも、その結果憎まれたのも、ミストバーンだ。 だが、ルーンによって彼を従わせたのはルイズだ。 力持つ者に懇願し、生じたものの重さを受け止めようとしなかった。強者に助けを求めたはいいが、後のことなど考えていなかった。 二人の道が隔たったのは、彼女が原因でもあるというのに。 立ち上がった彼女を暗黒闘気の弾丸が襲い、再度吹き飛ばした。額が切れて血が滴り落ちる。 「うああ……っ!」 珊瑚のような唇から血がこぼれるのを見て、ウェールズは瞼を閉ざし、呻いた。 「僕を殺してくれ。このままでは――」 暗い波に抗しきれなくなり、自分が自分でなくなってしまうだろう。 アンリエッタの友人であるルイズや信頼する部下のワルドを殺すくらいならば、いっそ彼らの手で生命を断たれた方がいい。 「できません! できませんわ、そんなこと!」 ルイズがおののきながら叫ぶと、ウェールズは穏やかで温かい笑みを浮かべた。 「自分を信じるんだ。大丈夫、君ならできる」 『虚無』ならば生命をつなぎとめる暗黒闘気を全て消去し、『解呪』することができるだろう。 ルイズが震える手で始祖の祈祷書をめくると、訴えるように文字が眩しく光り輝いている。 アンリエッタの憂いを帯びた顔、結婚式の際のウェールズの晴れやかな笑顔が浮かび、消えていく。 『我が主も、私も、強者には敬意を払う。私はお前の名を忘れはしないだろう……永遠に』 『守るべきもののために全力で戦う――それは君も同じだろう? ならば、君もまた尊敬に値する』 二人の会話など思い出のかけらが浮上し、彼女の胸を締めつける。 「僕の……最後の頼みだ」 震えながら立ち上がった少女が両手で顔を覆う。 「殿下、お許しを……お許しください……!」 彼女は詠唱を始めると同時にウェールズの元へ走り出した。彼は暗い衝動を無理矢理抑え込み、受け入れるかのように両手を広げた。 ルイズの脳裏にワルドの言葉が蘇る。 『詠唱しながら杖を振るう――軍人の基本中の基本さ』 こんな形で活かすことになるとは思わなかった。 詠唱とともに行動することを以前試した時は上手くできなかった。 だが、余計な想いを捨てたためか身体が反射的に動いてくれた。試したことを体が覚えていたのかもしれない。 ウェールズの胸に勢いよく飛び込み、手を握る。 彼女は詠唱を終えて魔法を発動させた。 前ページ次ページゼロの影