約 6,956 件
https://w.atwiki.jp/loghorizon/pages/595.html
名称:〈神楽鈴の祈祷杖〉 呼称:《かぐらすずのきとうづえ》 分類:アイテム>装備品>武器>杖 解説 〈鈴音の障壁〉の性能を大きく上昇させる効果がある杖。射程距離が伸び、再使用規制時間も短縮されるため連続使用が可能になる。 武器としての性能は極端に落ちるため、ダメージ遮断に専念するための装備といえる。 アイテム モンスター 用語 冒険者 サブ職業 システム 召喚術師 地名 口伝 組織 クエスト 典災 職業 大地人 ゾーン 種族 妖術師 武士 守護戦士 暗殺者 古来種 施療神官 神祇官 盗剣士 武闘家 事件 吟遊詩人 特技 付与術師 森呪遣い 航界種 ダンジョン
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/555.html
前へ / トップへ / 次へ ズイと呂尚との出会いは20年以上前に遡る。 ズイ。本名はハン・ズイという。トリステインはおろか、ハルケギニアでも珍しい名前だ。なにしろ苗字が先に来る時点で稀である。 おまけにズイなどという名前を持つものは、犬猫にもいないのではないか。 父親はハン・カイといい、狩人であった。獲物は主に犬。ハルケギニアでは犬肉を食する文化はないが、毛皮を一部の好事家が 靴にしたり防寒具にする。また、増えすぎた野良犬を間引くのにも重宝されていた男であった。 このハン・カイが突然死んだ。死因は溺死であった。 陸の上で溺れ死んだのだ。 話によると、アルビオンの貴族と毛皮の売買で揉め、交渉が決裂した。その帰り道、船から下りて2,3歩も歩かないうちに悶え始め、 水を大量に吐いて死んだという。腹を割いてみると、肺は水に浮いているような状態であった。 人々は、アルビオンの貴族に殺されたのだろうと噂しあった。 さて、ハン・カイには子供が2人いた。1人はズイであり、1人はその兄、チンギスである。 兄はこのとき15歳。すでに一人前の大人である。父の仕事を手伝い、ウサギや鳥、鹿や犬などを捕まえてはラ・ロシェールの毛皮 屋に卸していた。 ズイは8歳。ズイは母親の顔を知らない。3歳のときに母親は風邪をこじらし急逝したのである。 以降、父と兄がズイの面倒を見てきた。もっとも、ズイもこの歳になると家の手伝いをしており、その日は兄に従い町に下りて、狩りの 途中見つけた薬草で作った薬を売り歩いていた。父親がアルビオンの得意先に紹介された相手に毛皮を売りに行って7日。そろそろ こちらに戻ってくるころである。ズイも、兄も父親の土産を楽しみにしていた。 「もし」 と、ズイを呼び止めた老人がいる。長い杖を持ち、柔和な表情をした老人であった。 「そこのぼうや、薬を一つ売ってくれんかね?」 ズイは一瞬怯んだ。相手がメイジではないか、と思ったからである。しかし売ってくれというのを理由もなく断るわけにはいけない。 精一杯、愛想を浮かべてズイは老人に薬を渡した。 老人は薬を受け取ってもズイを傍から離さず、ジッと見つめている。 「どうしたの、おじいさん。ぼくのかおになにかついてる?」 不審に思ったズイがさすがに尋ねると、老人はにこっと笑って言った。 「なに、ぼうやの顔が珍しくてな。将来、ぼうやはとてもえらい人になるかもしれないぞ。」 「やだな、おじいさん。おだてても安くしないよ。」 てへへ、と照れて舌を出すズイ。受け取った代金に、釣りを渡そうとしていると、自分を呼ぶ声がした。 「おい、ズイ!大変だ!」 それは兄であった。人ごみを掻き分けて、こちらへ走ってくる。顔面は蒼白で、様子はただ事ではない。 「親父が殺された!」 ええ!?と驚くズイ。兄の話によると父親が桟橋で突然水を吐いて死んだらしい。 いそいで駆けつけると、そこには父親の変わり果てた姿があった。 「おとうさん!」 すがりついて泣くズイ。兄がズイの耳に口を寄せる。 「親父はアルビオンのメイジに殺されたらしい。証拠はないが、あいつらは俺たち平民を虫とも思ってないんだ。平気で殺してもおかしく ない。ズイ、アンちゃんは親父の仇を取ってくる。」 懐から狩った獲物の皮をはぐための分厚いナイフをちらつかせるチンギス。 「ぼくもいくよ!」 泣きながら答えるズイ。だが、兄は許さずこう言った。 「おまえはまだ子供だ。家に帰るんだ。なに、アンちゃんには弓がある。弓で胸を射抜いてから、こいつで首を掻っ切ってやる。」 桟橋に駆け出す兄、チンギス。 だが、ズイはあきらめきれない。こっそり荷物に忍び込み、兄の後をつけた。胸には、父や兄の手伝いのために使っていた、小型の ナイフがしまわれていた。 そして、敵討ちの結果は無残であった。 兄は夜陰に乗じて矢を射掛けるも、気づいた護衛の兵に切り落とされた。 そしてそのまま切り殺された。 兄の矢が当たり次第、自分も切りかかっていこうと身構えていたズイの目の前で、兄はバラバラにされたのである。 「あんちゃん!」 泣きながら、ズイは父と兄を殺した貴族に向かって行った。手にはナイフを握り締めている。 そしてあっという間に護衛たちに蹴ころがされた。 「なんだ、おまえは?」 転がされても、なんども起き上がっては貴族に向かっていく。そのたびに護衛たちに吹っ飛ばされ、ついには組み伏せられた。 「おまえは、あの男の弟か?なぜ、領主様の命を狙う?」 「父ちゃんと、アンちゃんの仇だ!」 涙を浮かべて、貴族を睨みつけるズイ。だが貴族は酷薄そうな笑みで、それに応える。 「さては、おまえたちはあの毛皮屋の息子だな。わざわざ親子で死にに来たのか?あの男がわたしの提示した値段を承知しないのが 悪いのだ。」 そして護衛たちに、殺せ、と短く命じた。 護衛が剣を振り上げた。鈍い光を刃が放った。 ドスン、と剣に合わせてズイの首が転がった。それを持ち上げる護衛の1人。 「げえ!これは!?」 護衛が拾った首。それは、見間違うこともない自分の首であった。いつの間にか、自分の首が胴から離れて、それを抱えていたの だ。つまり、護衛は首から上が消えてしまった自分の胴体を、自分の目で見ていたのである。 どさっと、地面に護衛の身体が崩れ落ちた。首がころころと転がって行った。 そのとき、高らかな笑い声が響いた。 「自分を殺すとは、とんだ護衛がいたものじゃな。」 ズイを抱えて、老人が立っていた。あのとき、薬をズイから買った老人だ。 「な、なにものだ!?」 あわてて護衛は全員が剣を抜いた。貴族も、顔を青くして杖を抜き構えた。 「おぬしらに名乗る義務もなかろう。」 そして、杖を振った。 とたん、地面が割れ、下から水が噴出した。噴出した水はあっという間にあたりを覆い、一面を水の底に沈めていく。 「ぎゃあ!」 「うわあ、おれは泳げないんだ!」 「あっぷ、あっぷ。」 空の民として知られるアルビオンの人間は、泳ぎが苦手なものも多い。たちまち水の底に沈んでいき、やがて絶命した。 老人は、いつの間にか兄の死体とともに消えていた。 残されたのは、地割れ一つない地面の上で、まるで溺れているように必死の形相をして転がる貴族と護衛たちであった。 その日から、ズイは老人の下で暮らすようになった。 老人、即ち呂尚である。 呂尚にズイは言った。 「自分に、不思議な術を教えてください。」 ズイはいずれアルビオンの貴族に復讐するために、力を欲していた。 そのときまず浮かんだのが魔法であり、次にこの老人が見せた不思議な術であった。あの力があれば、貴族に復讐ができる。ズイ はそう考えた。そのため、呂尚に食らいつくように弟子入りを願い出た。 呂尚もそういったズイの考えに気づいていないはずはない。はじめから自分の弟子にするつもりで助けたところがあった。 「よかろう。では、今日からお主はわしの弟子となり、修行に励むがいい。」 こうしてズイは呂尚の弟子となった。 またたくまに、15年の歳月が流れた。 人間の情とは不思議なもので、呂尚は計略で弟子としたズイを、我が子のように愛し始めていた。 それはズイも同じで、呂尚を実の父のように慕っていた。 だが、復讐心は忘れておらず、父と兄の敵を討つために懸命に修行を続けた結果、元々才能もあったのだろう。メキメキ実力をつけ、 いまでは呂尚に勝るともおとらぬ仙術を身につけていた。 「水を壷から壷へ遷すが如し」 と呂尚が賞するほど、ほぼ完璧にズイは呂尚の仙術を身につけていた。 そしてある日、呂尚は 「お主はこの15年余りでわしの教えた術をことごとく身につけた。もはやわしに教えることはない。復讐を果たすもよし。山野に隠れ 住むもよし。おぬしの好きなようにその術を使い、願わくば後世へと伝えてもらいたい。」 と宣告し、名を樊瑞と改めさせた。 そして呂尚自身は、 「南にわしが仕えるべき君主が出ると卦に出た。」 と言い残し、フラリと立ち去った。 そして数年後、確実に仇討ちを成し遂げようと研鑽を積む樊瑞の前に、呂尚は無残な姿となって現れたのである。 樊瑞はかつての呂尚との修行の日々を、懐かしく思い出していた。 「師はこの数年、なにをされていたというのだろうか。まあ、師の傷が癒えてから聞けばよかろう。」 傷ついた呂尚を訝しむも、かいがいしく樊瑞は面倒を見た。呂尚の傷は癒えているとは言っても、老人ゆえ治りが遅く、油断は禁物 であった。 その間、黙して語らぬ呂尚に樊瑞はなにも聞かず、数週間が過ぎた。 そして、樊瑞にとっても、トリステインにとっても運命となる日がやって来たのである。 ルイズはバビル2世の前で始祖の祈祷書を広げていた。 あのあと足りないガソリンを調合するというのでコルベールは研究室に篭りきって姿を見せない。はたして上手くやっているのか。 残月はタルブに帰った。まあ、明日にでもまたやってくるだろう。 孔明は先ほどまで部屋にいたが、フラリと外へ出て行った。行き先は知らない。 というわけで、この部屋にはルイズとバビル2世、そしてロデムがベッドの下にいるだけになっていた。 「この麗しき日に、始祖の調べの光臨を願いつつ、 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。畏れ多くも祝福の詔を詠み あげ奉る……」 なかなか様になっている。テンポもよく、文句の付け所はない。 が、ルイズは黙ってしまった。 「どうしたんだい?」 「これから、火に対する感謝、水に対する感謝……、順に四大系統に対する感謝の辞を、詩的な言葉で韻を踏みつつ詠みあげなくちゃ いけないんだけど……」 思い浮かばないらしい。まあ、詩の勉強をしたことのない人間が言われても困るだろう。おまけに発表の場は王族の結婚式。たとえ 詩を勉強していても、プレッシャーで思い浮かばなくなるだろう。 と、ルイズはここへきてバビル2世が上の空なことに気がついた。 「どうしたのよ。」 ムッとしていうルイズ。仮にもご主人様が相談をしているのに、なにごとだその態度は。上の空か。と頬を膨らせる。 「……いや、なにか、嫌な予感がするんだ。」 「嫌な予感?」 バビル2世はルイズの問いには答えず、南の空をじっと見つめていた。 前へ / トップへ / 次へ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6105.html
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 ――タバサとキュルケの対峙から約20分前―― ――トリステイン魔法学院:火の塔の裏―― そこは既に散々足る状況だった。 草原は所々が炎で焼かれ、風のカッターで深く抉られている。 戦場の一部を切り取ってきた…と言われても納得のいく光景だ。 そんな中、対峙する二つの人影。 ジャンガとコルベールは互いに距離を取り、相手を見据え、構えを取ったまま動かない。 お互い、相手の手の内は大半を知るところとなったが、まだ全てではない。 それゆえに下手に動けないでいるのだ。 ――唐突にジャンガが動いた。 無数の分身を生み出し、突撃する。 分身は複雑に動き、相手をかく乱しようとするが、コルベールは動じない。 分身が飛び交い、コルベールとすれ違う。 その背後からジャンガは爪を振り下ろす。 それをコルベールは杖で受け止め、そのまま流れるような動作でわき腹に当身を食らわせる。 痛みに、ぐっ、と呻くジャンガの頭を雲状の霧が覆う。 『スリープ・クラウド』…既に詠唱の完成していたコルベールの眠りの呪文が発動する。 襲い掛かる猛烈な眠気に意識が遠退きかけ、ジャンガはふらつく。 「…クソが!」 叫び声を上げ、強引に眠気を振り払う。 そのまま、コルベールの腹を蹴り飛ばそうと足を振り上げた。 しかし、それもコルベールは杖で受け止め、後ろへと事前に飛び退く事で蹴りの威力を緩和した。 距離を離したコルベールの杖の先端から炎の大蛇が生まれる。 大蛇は口を広げ、ジャンガへとかぶりつこうと伸びる。 舌打ちをし、ジャンガはカッターを大蛇に向かって放つ。 カッターに切り裂かれ、炎の大蛇は無数の小さな火の粉に変わる。 間髪入れず、ジャンガは三体の分身を生み出す。 分身は三方向からコルベールを襲う。三対、十二本の爪が真紅の軌跡を宙に描く。 それをコルベールは容易く受け流していく。 三本を杖の片側で受け止め、もう片側で別の三本を受け止める。 別の方向から六本襲い掛かれば、大地を蹴り、杖を軸として跳ぶ。 そのまま、分身の一体の背中を蹴り、別の一体にぶつける。 折り重なって倒れた分身二体に炎を放つ。瞬く間に燃え上がり、分身は消滅した。 残る一体の分身がコルベールに躍り掛かるが、再び放たれた炎の大蛇に絡め取られ、燃え尽きた。 ぎりり、と歯を噛み締めるジャンガ。 自分の切り札たる”実体を持った分身”が容易くあしらわれたのだ…、無理も無い。 そんなジャンガを静かに見つめるコルベール。 「ジャンガ君、お願いだ。これ以上は止めたまえ」 「…るせェ、その言葉は聞き飽きた」 忌々しそうに吐き捨てる。 先程からこうだ…、目の前の男は自分を殺さずに済ましたいと考えている。 大層な威力の魔法を使えるくせに、争いを良しとしない。 あまつさえ、自分のような悪党の命すら奪いたくない様子だ。 …ふざけるな、こんな甘ちゃんに嘗められっぱなしじゃ我慢がいかない。何より―― (”あいつ”と似すぎているのがイライラする…) あの目…、口調…、考え…、何もかもが”あいつ”を思い返す。 そう…、嘗ての相棒…『金色の死神』を…。 (…もう、ウンザリだ…) ジャンガは目の前の男を何としてでも消したかった。 そうしなければ、嫌な事を何もかも思い出しそうだから…。 しかし、身体の調子が微妙だ……いつもの様な軽さが感じられない。 正直に感想を述べれば、半分も出せてない気がする。 「何で身体がいつもの調子じゃねェ?」 そのジャンガの呟きに答えたのは、背中のデルフリンガーだった。 「そいつは、相棒…お前の心が震えてないからだ」 「あン?どういう意味だ?」 「ガンダールヴってのはな、心を震わせる事で力をより強く発揮するんだ。 怒り、悲しみ、喜び、何だっていい…とにかく感情を高めればガンダールヴは力を増す。 …ま、その分活動時間は減るんだけどな…」 「…じゃ、何か?今の俺はやる気が無いと?」 「違うのかい?…正直に言えば、俺も相棒はやる気が無いように感じるね。 いや……”迷ってる”って言った方が正しいか?」 「チッ…」 バツが悪そうにソッポを向き、舌打ちをする。…デルフリンガーの言うとおりだった。 自分は今、迷い…悩んでいる。タバサの事もそうだが、自分自身の事も。 先程は元の悪党に戻ると考えたが……未だに決めかねている。 本当にこのままでいいのか…、後悔は無いのか…、自問自答を繰り返していた。 ジャンガはイライラし、蹈鞴を踏む。 「クソッ…、クソッ、クソッ、クソッ、クソッ、クソッ、クソッッッ!!!」 呪詛のように、そう吐き捨て、ジャンガはコルベールを睨みつける。 コルベールもまたジャンガを真っ直ぐに見つめる。 「ジャンガ君…私はもう人を、それがどんな悪人であろうと殺めたくは無いのだ。 頼む、降参してくれ…。この通りだ…」 いいながらコルベールは膝をつき、頭を下げる。 その光景にジャンガは更に歯噛みする。 「ふざけるな……俺は死んでもごめんだな!テメェのような甘ちゃんに、降参なんざな! 殺せばいいじゃねェか……殺せばよ!それだけの力があるんだろうが、テメェにはよ!? 大体、テメェは俺にはいい印象は持ってなかったじゃねェか!」 「確かに、あのミスタ・グラモンとの決闘騒ぎの時から、私は君を可也危険視していた。 だが、少なくとも…今の君は違う。それだけは確実に言える。 何があったか…、何が君を変えたのか…、解らないがね」 あくまでも穏やかな表情で話すコルベールに、ジャンガはイライラをつのらせる。 「ふざけんな……ふざけんなーーー!!!」 そして絶叫。 その様子にコルベールは悲しげな表情をする。 「どうしても……どうしてもだめなのかね?」 「…ウゼェ。やるんなら、とっととやりやがれ!?…来ねェなら、俺がテメェを殺してやる! その後で、テメェの可愛い生徒も纏めて刻んでやらァ!!それでもいいのかよ!?」 ジャンガは半ば、自棄になって叫んだ。 情けなんか掛けられたくない。哀れみなんか必要ない。 自分は悪党だ、毒の爪のジャンガだ。 怨み辛みを受け、他人の悲しみ苦しみを見て、喜びを得る……それが俺だ。 ――ジャンガはとっても優しいよ―― 桃色髪の少女の笑顔が浮かぶ… ――お前とはいいコンビでやっていけるな、ジャンガ―― 金色の毛を持った狼の亜人の男の笑顔が浮かぶ… ズキンッ! 「ぐぅッ!?」 左手が痛んだ。ジャンガは反射的に左手を押さえた。 その様子にコルベールは思わず声を掛ける。 「ジャンガ君?」 「……来ねェなら」 呟きながら、ジャンガは爪を構える。 顔を上げ、コルベールを睨みつける。 ――死ぬも生きるも、これしかない。もとより、これ以外の道は無い。 「こっちから行くゼェェェーーー!!!」 叫び、大地を駆け出す。 コルベールは悲しげに首を振った。 そして杖を構える。 爆炎は間に合わない…、ならば…。 コルベールが杖を振る。 空気中の水蒸気が水に戻る。 大きな水溜りができ、空気中を霧のような水滴が漂う。 それにジャンガは気付いたが、構わず水を踏みしめながら疾走する。 次いで杖を振ると辺りに油の匂いが充満する。 ネットリとした感触にジャンガは目を見開く。 三度、コルベールは杖を振る。 「相棒!!」とデルフの声が聞こえた。 小さな火が灯った。 ――その瞬間、ジャンガの視界は白い閃光で塗り潰された… 魔法で灯された火を中心として巻き起こった、凄まじい爆音と爆風が草原を蹂躙した。 コルベールはマントで身体を覆い、地面に伏せてそれらをやり過ごす。 やがて、爆音も爆風も収まった時、コルベールは身を起こした。 今、彼の眼前に広がっているのは先程までの草原ではない。 炎…、炎…、炎…、 天すら焦がさんとするかのような巨大な炎が、大地を…草原だった所を蹂躙している。 そう…それは火事など生易しく見える、炎の洪水。 その凄まじさに「地獄があると言うのならば、こういう物なのだろう」と、見る人は考えるかもしれない。 コルベールは寂しげであり、悲しげな表情を浮かべる。 火、土、水。火と土と水が一つずつ。 『コンデンセイション』で空気中の大量の水蒸気を水に戻し、 『錬金』で戻した水を油、空気中に残っている水蒸気を気化油に変え、 最後に油の中心部分に小さな火を発生させる事で点火。 炎は一瞬で小さな油の池を燃え上がらせ、気化油に引火…大爆発を巻き起こす。 『獄炎』……それはコルベールが最も忌み嫌う攻撃呪文。 名の通りの炎の牢獄はそこに居た者、在った物、…それら一切の存在を焼き尽くし、抹消する。 後には骨の欠片は勿論、灰すら残らない。 その暴力的な威力は『火』系統が破壊のみをもたらす系統であると、暗示しているかのようだ。 それは常に『火』を平和利用しようと考えるコルベールには辛い物があった。 「…悪人にも、善人にもなりきれなかったな。ジャンガ君…」 コルベールは勢いを増して燃え盛る炎を、冷ややかな…しかし、悲しみを宿した目で見据えた。 できる事ならば殺したくはなかった…。しかし、自分も死ぬ事は許されない。 コルベールは静かに眼を閉じた。 瞼の裏に浮かぶのは燃え盛る村。何の咎無く、住む人々諸共焼き尽くされた村。 どれだけの年月が経とうと、決して色あせることのない罪深い記憶。 自分には生きて世の人に尽くす”義務”がある。 そして、今の自分は教師だ。生徒を守る”義務”もある。 のうのうと生きる事は許されない。だが、軽々しく死ぬ事も許されない。 ただ、人に尽くす事が今の自分の全てだった。 「…傲慢だな、私も」 小さく呟き、静かに目を開けた。 ――炎を掻き分け、絶叫と共に自分に飛び掛る影。 その光景にコルベールが目を見開くのと、彼の胸が切り裂かれたのは、ほぼ同時だった。 血の糸を引きながらコルベールは大きく吹き飛ばされ、城壁に背中から衝突した。 ごぼっ、と口から血の塊を吐き出す。 胸の傷も深い。どうみても致命傷にあたるだろう。 コルベールはゆっくりとした動作で何とか顔を上げる。 目の前には炎から飛び出した影がいた。 身に付けたコートや帽子からは煙が立ち昇り、所々が微妙に黒ずんでいる。 影は肩を上下に激しく動かし、荒い呼吸を整えているようだった。 「ハァ…、ハァ…、ハァ…」 暫く荒く息を吐いていたが、やがて落ち着いたのか、深く深呼吸を一つする。 壁を背を預けるようにして倒れているコルベールを見下ろしながら、影は口を開く。 「…俺の勝ちだな」 「…よく、無事だったね…ジャンガ君」 コルベールの言葉にジャンガは爪でコートを指し示す。 「このコートはな…ただのコートじゃねェ。 俺が前に居た世界のボルクって所の技術で、耐熱・防火用の特殊コーティングを施した防護服だ。 最新の物を使ってるからな、手榴弾の爆発程度は防げる。 まァ……流石に今のテメェの起こした爆発には死ぬかと思ったが…、何とか生還できたゼ」 ジャンガの説明は、コルベールですら難解だった。 だが、彼のコートが熱や爆発を防ぐ力がある、と言う事は理解できた。 「なるほど……君の世界の技術は凄い物だ…」 「フン…」 軽く鼻を鳴らし、ジャンガはマフラーを手に取る。 多少煤けている様ではあったが、特に酷い焦げ後などは見当たらない。 前にルイズに少し吹き飛ばされた事に懲りた彼は、以前適当に捕まえたメイジに、 無理矢理マフラーに『固定化』を掛けさせていたのだ。 「ハッ…まァ、たまにはメイジも役に立つか」 そう呟き、マフラーを放すとコルベールを見据える。 胸は自分が無我夢中で振り上げた爪で大きく切り裂かれている。 毒は出していなかったが、致命傷である事に変わりない。 「終わりだな……テメェもよ」 「…そのようだな…」 死に掛けているというのにも関わらず、コルベールは穏やかな表情を浮かべている。 それがジャンガには苛立たしかった。 「何でそんなに余裕なんだ…テメェはよ?」 コルベールは穏やかだった表情に悲しげな色を浮かべる。 「別に余裕ではない…。ただ…」 「ただ?」 「…心残りがあるだけだ」 「心残り?」 「詳しく聞きたいのかね…?」 「…興味はある」 言葉だけを聞けば、ただの興味本位と取られるだろう。 だが、ジャンガの目はただの興味本位でないのを、コルベールは理解した。 コルベールは静かに深呼吸をする。 「私は嘗て…大きな罪を犯した…」 「ハァ?善良と能天気を掛け合わせたのが服着てるような、テメェが?」 怪訝な顔をするジャンガの問い掛けに、静かに頷く。 「アカデミー実験小隊……知っているかね?」 「ああ…図書館とかを覗かせてもらうようになってから、この世界に興味も出ててたからな。 確か…王立直属の魔法研究機関『アカデミー』がメイジだけで作った部隊。 戦いにかこつけて、攻撃魔法の人体実験やら、範囲魔法によって起こる被害の実験なんかをしてたんだってな。 …で、それがどうした?」 「なら…ダングルテールの虐殺も知っているだろう」 ああ、そういう事か…、合点がいったジャンガは小さく鼻を鳴らす。 その様子に、コルベールは話を続ける。 「私は嘗て…アカデミー実験小隊の隊長を勤めていた。 そして…、ダングルテールを焼き払い…罪無き多くの人々の命を奪った。…二十年ほど前の事だ」 「…何でそんなことした?」 一呼吸置き、コルベールは続ける。 「…命令だった。疫病が発生し、焼かねば被害が広がる。だから焼き尽くせと…そう告げられた。…仕方なく焼いた」 「それのどこが罪深いんだ?命令に従っただけじゃねェか…」 コルベールは深く息を吐いた。 「…その命令は偽りだった…」 「偽り?」 「”新教徒狩り”…それがあの村を焼き払わせた本当の目的…。 一人の匿われた新教徒を殺すための…命令だったのだ…」 始祖ブリミルを信仰する宗教『ブリミル教』。 貴族を中心に広く信仰されているブリミル教は強い影響力を持つが、 長い年月の間に貴族との癒着や、始祖の祈祷書の内容をいいように解釈して平民から搾取するなどの腐敗が進んでいる。 そんな状況を変えようと、始祖の祈祷書の内容を正しく解釈し、腐敗した寺院の改革を目指す、 ロマリアの一司教から始まった運動『実践教義』。その信者が『新教徒』と呼ばれており、 その活動を快く思わない『寺院』によって二十年ほど前に行われた弾圧が”新教徒狩り”だった。 「…フン」 ジャンガは忌々しそうに鼻を鳴らす。 「私は真実を知り…悔いた…。罪の意識にさいなまれた…。 例え…命令であろうとも…、罪無き人々を焼いていいわけが無い…。 だから私は軍をやめた。そして…炎をけっして、破壊の為には……命を奪う事には使うまいと…誓った」 「それで、ここで教師をしながら研究、研究。…あの”愉快なヘビくん”ってのを作ったりして、 火の平和利用を考えていたと…?…ご苦労なこったな。その火で、今しがた殺し合いをしていたばかりだがよ…」 「確かにな…」 ジャンガの皮肉にコルベールは自嘲気味に笑った。 「私は研究に打ち込み、火の平和利用を考えてきた…。 一人でも多くの人間に尽くす事……それが”贖罪”だと考えた。 いや…”贖罪”などとは傲慢だな。…これは”義務”なのだ。 あの…大きな罪を犯した私にとって、生きて人に尽くす事は…”義務”なのだ」 ジャンガは帽子を押さえ、ため息を一つ吐いた。 「…それで?テメェは満足か?罪の意識が薄らぐか?……だとしたら、テメェは大した卑怯者だ!」 ジャンガは叫んだ。 「贖罪?義務?ちゃんちゃら可笑しいな!…何をしようがテメェが犯罪者で人殺しなのは変わらねェ…。 罪の意識があるんだったら、とっとと死んで詫びればいいじゃねェかよ!? それが何だ…”死を選ぶ事すら許されない”…だって?キキキ……死ぬのが嫌だって事に対する言い訳にしか聞こえねェな~?」 ジャンガは亀裂のような笑みを浮かべながらコルベールの顔を覗き見る。 「テメェは結局…何だかんだ理由をつけて、大変な事をしたって事実から逃げたいだけなんだよ。 本心を偽って、現実から目を背けて、それで平穏に暮らして生きたいだけなんだよ」 コルベールは答えない…、ただ真っ直ぐにジャンガを見つめている。 ジャンガは舌打ちをする。 「テメェ…さっき炎の中の俺に”悪人にも、善人にもなりきれなかったな”って言ったよな?…そっくり返してやるゼ。 ちょっと”闇”を経験しただけで軍を抜け…、くだらねェ…実りもしねェ研究をダラダラ続けてる…。 テメェこそ…悪人にも、善人にもなりきれてねェ。 一度闇に堕ちた奴は、二度と日の当たる所には戻れないんだよ」 「…そうだな……そうかもしれない」 コルベールはそう呟いた。 ジャンガは忌々しい物を見るように、目を吊り上げ、歯を噛み締める。 何だコイツは? 真っ白でも真っ黒でもない、中途半端な存在。 大勢の人間を命令だからと燃やしておきながら、騙されたからと逃げ出し、 他人の為にと御託を並べ、理解されもしない研究を続けて人に尽くそうとする臆病者。 …何だよ、”アイツ”なんかよりもそっくりな奴がいるじゃないか…。 ほら、よく知ってる奴だよ…。 (…そうだよ……”俺”にそっくりなんだよ…) ありとあらゆるものを裏切った自分に… 辛い現実から逃げ続けた自分に… 死にたいと願いながら寸前で逃げた自分に… コイツは…あまりに似すぎてる… 噛み締めた歯がギリギリと音を立てる。 ジャンガの様子に気が付いたか否か…、コルベールが声を掛ける。 「ジャンガ君…」 「チッ……なんだ?」 「私を殺した事を後悔してくれるかね?」 「…はァッ?」 突然何を言い出すんだコイツは? ジャンガは呆然とコルベールを見つめる。 「何を言い出すかと思えば…ふざけた事言ってるんじゃねェよ! 何で俺が……テメェを殺した事、後悔するんだよ!?バカバカしいゼ!」 「”一度闇に堕ちた者は戻れない”……君はそう言ったな?確かに”罪”というのはそういう物だろう…。 罪は一生消えない物だ…、どれだけ人に尽くそうと…、研究を進めようと…、決して消えない」 「それだけ解っていながら……テメェは何で生き続けるんだよ?」 「死を選ぶ事すら…私にとっては傲慢だからだ…」 「…チッ」 「ただ一人…」 「あン?」 「ただ一人……いるかもしれない」 「誰がだよ?」 「私を裁く事の出来る…唯一の人間が…」 静寂が訪れる。 燃え盛る炎の音と、ときたま吹く風の音だけが辺りに響いた。 コルベールは顔を上げた。 ジャンガを真っ直ぐに見据える。 「さきほどの質問の意味を答えよう…。…君は、今悩んでいる。 このまま進むか、戻るかで…」 「…ッ!?」 図星だった。 「私が”自分の死について後悔するか”と君に尋ねたのはそういう事だ。 私の死を後悔してくれるのであれば……君はまだ、戻る事が出来る…」 「ざけんじゃねェ……大体、前提が違うんだよ…。 俺は好きでこの道を歩んでるんだ!他人を蔑み、傷付け、殺し、奪い、裏切ってきたんだ! これからもそうやっていくゼ!俺は悪党だからな!毒の爪のジャン――」 「だが……君はミス・ヴァリエールを助けてくれたではないか?」 「何?俺がいつあのガキを助けたってんだ?」 「フーケの討伐の時だ…」 「あれは…ただの気まぐれだ」 「君は…気まぐれで人を助けるような者が…純粋な悪人、悪党だと言うのかね…?」 コルベールの言葉にジャンガは黙る。 「それに、あの日の祝賀祭……失礼ながら見ていたよ。 君とミス・ヴァリエールの…ダンスをね…」 「…暇な奴だ」 「ははは……本当ならば、私もミス・ロングビルと踊りたかったのだがね…。 …残念ながら、それは無理になったが…」 コルベールは笑い、そして咳き込んだ。 「…やはり君も悪人にはなりきれていない。いや…寧ろ、正しい道を歩もうとしているように見える…」 「何が正しい道なのかは…そいつ次第だ。勝手に他人の進む道を決めようとすんじゃねェ…」 「そうだな……それこそ傲慢だ…。 だが……私は君には…今、歩みだそうとしている道を歩んでもらいたい…。 そう…これも、私の”義務”だと思うのだ…」 「本当に傲慢な奴だ」 「まったくだな…」 力なく笑うコルベール。 しかし、瞳の輝きは未だ力強い。 「それでも…ジャンガ君……私は思うのだよ」 「…何だ?」 「例え…闇に堕ちても……罪を犯そうとも……、きっかけ一つで…人は…変われるのだと…」 コルベールの言葉にジャンガは空を見上げる。燃え上がる炎に照らされ、暗い夜空が僅かに赤く染まっている。 きっかけ一つで変われる……安っぽい、陳腐な言葉だ。 だが…それを否定しきれていない自分が居る事にも気付く。 ジャンガは目を閉じた。 思い返されるのは”向こう”での日々。 桃色髪の亜人の少女には毎日振り回され…それでも充実していた。 金色の死神とのコンビは、利用する為とはいえ…悪くはなかった。 次いで浮かんだのは”こちら”での日々。 見た目の雰囲気は似ているも、中身はまるで似てない生意気な桃色髪のガキ。 記憶の改変で結果的に懐いたメイド。 ”向こう”のあのガキに似た人形娘。 それらとの毎日は……正直に言えば、悪くなかった。 「…はァ」 ジャンガは情けないと思った。 甘ったるい、日常に染まりかけていた自分自身に。 そして、それを認識しても受け入れている自分自身に。 「もう……昔の毒の爪は…何処にもいないじゃねェかよ…」 爆音が轟いた。 目を見開き、正門の方角へと目を向ける。 恐らく、向こうの戦いはまだ続いているのだろう。 ジャンガは向かおうとし…足を止め、コルベールを見下ろす。 首を上げるのが疲れるのか、俯いている。 しゃがみ込み、コルベールの顔を覗き込む。 「おい…何か、あいつ等に伝える事があるんだったら、聞いとくゼ?」 コルベールは答えない。俯いたままだ。 その様子にジャンガは怪訝な顔をする。 「おいッ?」 呼びかける。 答えない。 「おいッ!」 叫んだ。 それでも答えない 「……」 コルベールの目は閉じていた。 その顔は何処までも安らかである。 ジャンガは静かに立ち上がった。 そして空に浮かぶ月を見上げる。 「何故だよ…」 二つの月が揺らめく。 何か冷たい物が頬を伝わる。 解っていた事のはずだ……こうなるのは…。 それでも…何故か、どうしようもなく悲しい…。 「何故だよ…」 ジャンガの呟きにデルフリンガーは声を掛けようとしたが、止めた。 話しかけるべきでないと判断したのだ。 そんなデルフリンガーの気遣いなど、今のジャンガにはどうでもよかった。 「何故……お前のような奴が…死んで……、俺みたいな奴が…生き残るんだよ…? 何で……お前は…俺を憎まなかったんだよ…?」 ジャンガの呟きはコルベールに向けられた物であり、同時に嘗ての相棒に向けられた物でもあった。 「神なんかいやしねェ…。いたとしても…相当性格が悪いゼ…。 俺に…まだ、生き地獄を味合わせようと言うんだからよ…」 あの月で、自分は悪党として死ねたはずだった。 なのに…ここへ召喚された。そして生かされた。 「死にたいんだったら、勝手にそうすりゃいいよな…。 でもよ……俺は普通に死にたくねェんだ…。 悪党として最低で……最悪で……無様な死に様を晒したいんだ…。 そうじゃなきゃ…俺は死んじゃいけねェんだよ…」 勿論…それは自分の勝手な理屈だという事は解っている。 コルベールを見下ろす。 この男に言ったように、自分は死ぬのが怖い。 だから…向こうでも、あのガキに殺されそうになった時、無様に命乞いをした…。 死にたいのに、死ぬのが怖い……矛盾した思いが自分の心を締め付ける。 情けない…本当に情けない…。 「俺は……いつまで苦しみ続ければいいんだろうな……バッツ?」 涙を流しながら、ジャンガは嘗ての相棒の名を口にした。 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
https://w.atwiki.jp/yougosq/pages/6405.html
■祈祷:脱兎(きとう:だっと) 各作品のデータ V 効果:3ターンの間、味方全体の回避率を上昇させる説明:祈祷により回避の加護を受けるスキル レベル上昇で効果ターンが増加 詳細:アクティブ・強化:祈祷・【回避】強化(Lv10) / 消費TP12~24 / 頭・依存STなし / 前提:天恵Lv3(必要SP9)習得:天寵シャマ(Master) 世界樹の迷宮5に登場するシャーマン(天寵を告げし巫子)の達人スキル。 3ターンの間、味方全体の回避率を上昇。 幻影フェンサーの頼もしい味方。高Lvならとりあえずかけておくだけでも結構避けるが、できれば命中低下デバフも併用したい。 高速移動と重ねたらどんくらい避けれるのだろうか 今回無効化スキルが少ないからこっちを当てにするのもアリ? と思いつつフェンサー居なかったのとレベル差とか影響しそうで結局手を出せなかった・・・ 全体回避バフ重ねるだけでヒョイヒョイ攻撃無効化できたらバランス壊れるから多分大したことないと思う。 新2の軽業は体感だけど案外避けた記憶ある 名前的に逃走成功率アップ効果も付いてたら面白かったかも。まぁ5はそこまで逃げにくい感じもしなかったけど 回避が上がるが、天告シャーマンは自然回復によってパーティを支えるのが仕事なため回避盾の幻影フェンサーのために二者を組み合わせるのはそれほど有効ではないかもしれない。シャーマンをセリアンにして誘い込みで殴りつつサポートをするなどなら生かせるかもしれないが 脱兎と他命中低下スキル等と合わせると幻影フェンサーでなくてもセリアンは裏ボス相手だろうがフルバースト以外は割とひょいひょい避けてくれるようになる。その意味で幻影フェンサーと組むメリットも大きい。兎の血は伊達ではないのだ。 他の命中低下スキル抜きで5層まで使ってみた感じ、軽業セリアンならそこそこ、同列のアースランならたまに避けるぐらい。防具の更新が雑でもそうそう壊滅しないかな〜程度。回避頼りにはもう一手必要っぽい 回避特化のメリットはセリアンの衝セスや四マスを動かしやすくなることだと思う。正に「当たらなければどうということはない」。回避特化したセリアンパは脅威のボスマラソン走破力を誇る。 割かし上昇値が高いのか、目に見えて避けるようにはなるものの、やはり主軸にするのは怖い。新2の軽業はぶっちゃけ主軸にできるくらいだった(個人の感想です)のでやはり回避特化職が存在しているが故の抑制だろうか。こいつが強すぎたら回避フェン一強とかになりかねないわけだし 星喰には命中率ダウンの弱体が相性悪いから、これを使おうかと思う。 祈りが通じればきっとウサミミが生える(適当) ↑ 既に生えてるんですが (セリアンが) コメント
https://w.atwiki.jp/loghorizon/pages/382.html
名称:緑小鬼の祈祷師(ゴブリン・コンジャラー) レベル: ランク: 出現場所: ◆解説 魔術の素質があり、部族内で祖霊を祀る儀式に従事する〈緑小鬼〉《ゴブリン》の術者。鎧は身に着けず、簡素な獣皮の腰巻きを身につけ、体中に呪術的な刺青を彫りこんでいる。また腕や首には原始的な護符の類がいくつも巻きつけられており、動くたびにカラカラと音を立てる。 武器は持っていないが、気合を叩きつけて金縛りにしてくる攻撃のほか、戦いで倒れたはずのゴブリンを短時間だけ立ち上がらせ、戦わせる術も使ってくる。 アイテム モンスター 用語 冒険者 サブ職業 システム 召喚術師 地名 口伝 組織 クエスト 典災 職業 大地人 ゾーン 種族 妖術師 武士 守護戦士 暗殺者 古来種 施療神官 神祇官 盗剣士 武闘家 事件 吟遊詩人 特技 付与術師 森呪遣い 航界種 ダンジョン
https://w.atwiki.jp/dnd4e_huruhebi/pages/22.html
+ 目次 侍祭の利益特徴:信仰あつき者の保護 おすすめの人物像 侍祭のヴァリアント:組織の工作員組織の工作員の特徴:隠れ家 ソード・コーストの諸勢力 侍祭 君は特定の神あるいは神々にささげられた寺院での奉仕に人生を過ごしてきた。君は聖俗両世界を結ぶ者として行動し、神格の御前に信仰者たちを教え導くために、神聖な儀式を執り行ない犠牲を捧げるのだ。君はクレリックである必要はない。神聖な儀式を執り行なうのと神に授かった力をふるうのは別のことなのだ。 1柱の神か1系統のパンテオン、あるいは他の擬似的な神格存在1つを選び、君の宗教的奉仕がどのような性格のものであるかをDMに伝えること。君はいずれ司祭たちの聖なる儀式の手伝いをするようにと幼少時から言われて育った寺男だろうか? あるいは高位の司祭だったが、ある日突然、違う手段で神に奉仕するようにという召命をうけたのだろうか? ひょっとしたら、君は既存の寺院組織の外にある小さなカルトの指導者だったのかもしれない。それどころか、もとはデーモンやデヴィルを主とあがめるオカルト集団の指導者だったが、今はその主に背くに至った、ということすらあるかもしれない。 侍祭の利益 侍祭の背景を選択した場合、君は以下の利益を得る。 修得技能:〈看破〉、〈宗教〉 道具習熟:なし 追加言語:任意の言語2つ 初期装備:聖印(君が聖職に関わるようになったときに貰ったものである)、祈祷書かマニ車、お香(1gp相当)5塊、法衣、普通の服の服1着、ベルトポーチ(15gp入り) 特徴:信仰あつき者の保護 特徴:信仰あつき者の保護 侍祭である君は自身と信仰を同じくする人々からの尊敬を集めており、自身の奉じる神格のための宗教的儀式を執り行なうことができる。君と君の冒険仲間は、君の奉じる神格の“寺院、社、その他の施設”において、無料で治療や世話をうけられるが、儀式に必要な構成要素費用はすべて君が提供しなければならない。君と信仰を共有する人物はみな、君を助けて生活レベル“質素”相当の生活をさせてくれる(ただし、君だけだ。君の仲間は含まない)。 君は君が信仰する神格あるいはパンテオンにささげられた寺院のうち、特定のひとつと結びつきを持っており、そこに自分の部屋を持っている。君がこれまで仕えていた寺院と良好な関係を保っているならその寺院が“特に結びつきのある寺院”となってもよいし、君が新たな“ホーム”として見出した寺院がその種の寺院となるのでもよい。君は自身の寺院の近くにいるのならそこの司祭たちに手伝いを頼むことができる。この場合、この“手伝い”は危険を伴わないものでなければならず、また、君は自身の寺院と良好な関係を保っていなければならない。 おすすめの人物像 侍祭というものは、自身の寺院やその他の宗教的な共同体における経験によってかたちづくられるものである。彼らが学ぶ自身の信仰の歴史や教え、そして寺院や社、あるいは階級制度と彼ら自身との関係性が、彼らの癖や“尊ぶもの”に影響を与えている。彼らの弱味は隠れた偽善や異端の考えであるかもしれない。あるいはまた、彼ら自身の“尊ぶもの”や“関わり深いもの”が行きすぎた結果であるかもしれない。 1d8 人格的特徴 1 自身の信仰上の特定の英雄を崇拝しており、常にその人物の行ないや模範に倣う。 2 最も対立する敵の中にさえ共通点を見出すことができ、彼らに共感し、常に平和のために努めている。 3 私はあらゆる出来事や行ないの中に神のお告げを見る。神々は我々に話しかけようとしておられる。我々はただ聞こうとさえすればよいのだ。 4 何ものも私の楽天的な態度を揺るがすことはできない。 5 ほとんどすべての状況において、聖なる文言やことわざを引用(あるいは誤引用)する。 6 他の信仰に対して寛容(あるいは不寛容)であり、他の神々への信仰をたっとぶ(あるいは非難する)。 7 私は良いものを飲み食いし、私の属する寺院の高位の人々の間で上流社会の生活を享受してきた。粗野な生活は私には不快だ。 8 寺院で長いこと暮らしてきており、外の世界の人々とやっていくのには慣れていない。 1d6 尊ぶもの 1 伝統。信仰と犠牲への古いふるい伝統は変わることなく保たれ続いていかねばならない。(秩序) 2 慈善。この身を粉にしようとも、私は常に困っている人々を助けようと努める。(善) 3 変化。神々は常にこの世に変化をもたらすべく活動しており、我々はそれを手助けせねばならぬ。(混沌) 4 権力。私はいつの日かわが教団の頂に登り詰めたい。(悪) 5 信仰。私は我が神が我が行ないを導くことを信じる。懸命に働いたなら物事はよくなるのだと信じている。(秩序) 6 野望。我が身が我が神の恩寵にふさわしいことを証明するため、私は我が神の教えに従って行動している。(属性問わず) 1d6 関わり深いもの 1 はるか昔に失われた我が信仰における古代の聖遺物奪還に命を懸けている。 2 私はいつの日か、私に異端の烙印を押した腐敗した寺院のお偉方に復讐する。 3 両親が死んだときに拾ってくれた司祭に一生の借りがある。 4 私の行なうことはすべて一般庶民のためだ。 5 自分が仕える寺院を守るためなら何でもする。 6 敵どもが異端として破棄しようとしている聖なる文書を、私は探し出し守ろうとしている。 1d6 弱み 1 他人を厳しく裁き、自分にはさらに厳しい。 2 自分の寺院の階級の中で権力を握っている人々をあまりにも信用しすぎる。 3 信仰心ゆえに、同じ神への信仰を口にする者を時として盲信してしまう。 4 融通の効かない考え方をする。 5 外部の者を見ると、うろんな奴と思い、どんなひどいことをしでかすかわからぬと思う。 6 いったん目標を定めると、そのことしか考えられなくなり、人生における他のあらゆる事柄を置き捨ててしまう。 侍祭のヴァリアント:組織の工作員 この世界には、さまざまな組織が活動している。これらの勢力は地理的条件に縛られず、国境などの政治的境界線も超えて、おのれの目的を追求する。その構成員は、組織が必要と見なした所ならどこででも活動する。こうした組織は盗み聞き屋噂流し屋、密輸人、用心棒、貯蔵屋(金品や魔法の品を組織の工作員のために貯蔵し保持する者)、隠れ家のあるじ、手紙渡し屋などなどを抱えている。そしてあらゆる勢力の中核には、組織のためにちょっとした役目を果すだけでなく、組織の手や頭脳や心臓として働く者たちがいる。 君は冒険稼業の手始め(かつ下準備)に、特定勢力の工作員として働いた。公然活動だったか非公然活動だったかは、勢力がどれで君自身の目的が何だったかによる。君はその後冒険者になったが、だからといって勢力を抜けたとは限らない(もちろん抜けたことにしてもよい)。冒険者になったことで、かえって勢力内での地位があがっている可能性もある。 君が組織の工作員になりたいなら、この背景に以下の変更を加えるとよい:✦“技能”の項にある〈宗教〉の代わりに、“【知力】、【判断力】、【魅力】のいずれかに基づくもののうち君が所属していた勢力に相応しい技能”1つを“修得済み”にする。✦“装備”の項を以下に置き換える:勢力の印か記章(身分や職務を表すバッジ)か紋章、勢力にとって大きな意味を持つ文書の写し(秘密結社の場合は暗号帳)、普通の服1着、ベルトポーチ(15gp入り)✦“信仰あつき者の保護”の特徴の代わりに“隠れ家”の特徴を得る。✦性格や動機を決める際には、“おすすめの人物像”を土台に適宜、組織の工作員にふさわしく修正するべきである。たとえば原文で信仰/教団/寺院とあるところを勢力/組織と読みかえるなど。 君の“関わり深いもの”には、同じ組織の仲間や、組織にとって重要な場所や物品が含まれるかもしれない。君の“尊ぶもの”は、組織の教えや原理に沿いつつも、より個人的な色彩を帯びたものであるだろう。 組織の工作員の特徴:隠れ家 組織の工作員である君は、支援者や活動員たちの秘密ネットワークに接触し、冒険を助けてもらうことができる。君はこうした活動員を見分ける秘密の合図や合言葉を知っている。活動員たちは君に秘密の隠れ家のありかを教え、無料の部屋と食事、情報収集の手助けを提供することができる。ただし、彼らが君のために生命の危険や正体露見の危険を冒すことは決してない。 ソード・コーストの諸勢力 君がどんな組織に所属していたかの参考になるよう、フォーゴトン・レルム世界の冒険における主要な舞台となるフェイルーン大陸の“北方”の地やソード・コースト沿岸の諸勢力について以下に記述する。 “北方”の地やソード・コースト沿岸には、大規模な中央集権的政府がない。さればこそ、この地には秘密結社や陰謀団が大いに幅をきかせている。君の背景が“北方”やソード・コーストの主要勢力のいずれかの手の者であったなら、次のようなことがあったかもしれない……。 ハーバー:ハーパーは千年以上前に創設され、何度かの解散と再結成を経て、今なお影で暗躍する強大な組織として存続している。ハーパーは悪をさまたげ、暴力よりも知識を通じて公正を広める。ハーパーの手の者はしばしば〈知覚〉を“修得済み”にしており密偵や監視に長ける。彼らはしばしば他のハーパー、親切なバードや宿屋の主人、レンジャー、ハーパーの理想に共鳴する神々のしもべら……の手を借りる。 ガントレット騎士団:ガントレット騎士団はフェイルーンの最新勢力のひとつである。その宗とするところはハーパーに近いが、手段は大いに違う。ガントレット騎士団員は悪を滅ぼし善を広める大使命を帯びた聖戦士であり、決して物陰に隠れようとはしない。騎士団の手の者はしばしば〈宗教〉を“修得済み”にしている。彼らがよく助けを求める相手は、騎士団の理想に共鳴する治安組織や、騎士団の守護神たちの聖職者である。 エメラルド団:エメラルド団の目的は2つで1つ。大自然の法則の均衡を保つことと、その均衡をくつがえそうとする勢力と戦うこと。この勢力に仕える者は、生存技術と野外生活の達人であり、しばしば〈自然〉を“修得済み”にする。彼らが力を借りる相手には、木こり、狩人、レンジャー、蛮人の部族、ドルイドの円環、自然の神をあがめる神官などがある。 領主同盟:一口に領主同盟の一員と言っても色々ある。同盟を構成する諸都市その他の政治組織の代表者たちは、もちろん、領主同盟の一員である。けれども領主同盟を土地土地の政治や地勢を超えたもっと大きな利害や懸案に関わる勢力としてとらえるなら、同盟には組織のために、そして大きな理想のために働く手の者がいる。同盟の手の者は〈歴史〉に通じていることが望ましい。彼らは常に領主同盟所属の諸政府の助けを受けられる。加えて同盟の理想に共鳴するその他の指導者や集団からも力を借りることができる。 ゼンタリム:近年、ゼンタリムは全世界で公然活動を強め、組織全体として一般の人々の印象を良くしようと動いている。この勢力はさまざまな層の者を雇い入れあるいは手を組み、これを“黒の組織”ゼンタリムの目的に沿った(必ずしも違法ではない)任務につかせる。“黒の組織”の手の者はしばしば秘密活動に従事するため、ほとんどの者が〈はったり〉を“修得済み”にしている。彼らが助けを求める相手は、ゼンタリムと手を組んだウィザード、傭兵、商人、神官である。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7944.html
前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) 太陽が中天に昇る頃。ニューカッスル城郭に鎮魂の鐘が響き渡る。 本来は脱出の準備が進められていなければならないが、それに優先する形で 河に流れ着いた遺体の埋葬が行われていた。 流れ着いた遺体は、ほとんどがまだそれが貴族だったのか、平民だったのか 判別することが可能だった。背中や腕、顔に火が燃え移った時点で河に 飛び込んだのだろう。だが、焼夷弾に用いられた焼夷剤であるテルミットは 燃え尽きるまで待つしかなく、油脂や黄燐は下手に水をかけると逆に 激しく燃え上がる。そのため、遺体はどれも酷く損傷しているところと そうでないところの差が激しかった。それでも、まだ河に飛び込めただけ、 彼らは幸運だったのだ。 ルイズとギーシュは黒い雨に濡れた体を湯で濯ぎ、新しい制服に着替えて 教会での葬儀に参列した。ここに埋葬されるのは貴族だけ。平民は城郭の 外の共同墓地に埋葬されていた。 「……わたしの、せいだ……」 「ルイズ……。きみのせいだけじゃない。ぼくたちの誰も、ふがくの本当の 力を知らなかったんだ。だからルイズ、あんまり自分を責めない方がいい」 教会から地下洞窟の秘密港へ向かう途中。ルイズはそう言って自分を 責め続けた。葬儀に参列した王党派貴族からの無言の視線がそれに拍車をかける。 だが、ギーシュはそれを否定した。 黒い雨が降り止み、燃えるものがなくなって火勢が衰えを見せ始め、 ニューカッスル城郭の城門が開かれたとき――そこに広がる光景に誰もが 絶句した。爆発で壕のように掘られた消火帯の先にくすぶる炎。その先には、 それがかつて自分たちと同じヒトだったことすら信じられぬような、 黒こげの消し炭が一面に広がっている。貴族だったか、平民だったか、 それすら無意味であるようなそれらを、今の彼らには回収して埋葬する ことすら不可能だった。 そのため、彼らは城郭に流れる河に流れ着いた遺体だけでも回収して 埋葬した。死骸が入ったままの水は呪われ流行病を生む――破壊工作で 敵の井戸に動物の死骸を投げ込むこととは次元が違う規模だが、 このニューカッスルの住人のためにもそれだけは最優先で行わなければ ならなかった。このために脱出の準備は遅れ、『イーグル』号の出港は 今夜夜半になる見通しとなっていた。 ルイズたちが秘密港の入り口となるニューカッスル城裏庭の隠された 入り口にさしかかったとき、突如足下を揺るがす轟音と城郭の外れから 煙が吹き上がるのを見た。国王ジェームズ一世やウェールズ皇太子、 他の貴族たちも何事かとざわめき始めたとき、そこにデルフリンガーを 背負ったふがくとルーデルが舞い降りる。ふがくは金モール付きの アルビオン王立空軍士官服を着た中年のアルビオン貴族を抱えていた。 「陛下。工廠の処分、完了致しました」 中年の貴族は敬礼してそう老王に報告する。そこにウェールズ皇太子が尋ねた。 「サー・スチーブンソン。……いったい、今のは何を?予定では、工廠の 処分は資料の持ち出しと施設の『錬金』による無力化だったはずだが……。 火の秘薬を使ったにしても……あれは……」 「ああ。殿下。こちらのレディたちに異国の火薬をご提供いただきまして。 『トリニトロアニソール』……でしたか。素晴らしいですな。ご提供いただいた おおよそ1000リーブルの火薬であの工廠が外壁の一部を残すのみとなりました」 それを聞いて貴族たちがざわめく。ほとんどの貴族が今朝の攻撃以来、 無慈悲な破壊者としてふがくとルーデルに恐怖の念を感じているにも かかわらず、ニューカッスル空軍工廠の責任者であった このサー・スチーブンソンという貴族はそんな気配を全く見せていなかった。 「そうねえ。ヘル・スチーブンソンが魔法で起爆するとは思ってなかったけど。 火薬の取り扱いにも慣れてるし」 「アンタが爆破持ちかけられたときに派手にやりたいなんて言うからでしょうが! それに、結局自分の出さないで私に出させるし」 「だって、私の爆弾に使われてるTNTより、ふがくちゃんのに使われてる TNAの方が、扱いやすいじゃない。ちょっとくらいじゃ爆発しないし」 「……つーか、俺っちあんなものと一緒にされてたのかよ……。 正直、俺、必要ないんじゃ……」 「はぁ。そんなことないわよ。危険物なのは変わらないけどね」 そう言って溜息をつくふがく。サー・スチーブンソンが国王と皇太子と 一緒に歩き出したとき、ルイズがふがくに話しかけた。 「……あ、ふがく……。あの……」 「何?」 「……あの……今朝は……」 「……私に謝るんだったら、お門違いよ」 「え?」 『ごめんなさい』――そう言おうとしたルイズを、ふがくは突き放す。 「アンタは私のご主人様。つまり司令官よ。司令官が、自分が発案した 作戦実行した兵器に謝ってどうするのよ? アンタが発案した作戦は完璧じゃないけど当初の目的を果たしたのよ。 作戦中に誤爆した私を責めるならとにかく、謝ってどうするのよ、 まったく。 しっかりしてくれないと……こっちも困るんだから」 最後の言葉はルイズに聞こえないように小さくなった。ふがくはルイズによる 作戦中止が命令された後、誤爆した集落上空を高高度偵察飛行している。 数戸の煉瓦造りの家からなる集落はほぼ破壊され、戦場を見ていて 巻き込まれたであろう多くの死体とそれを埋葬しているような数人の 人間が確認されたが、そこに降りることはできずにいた。そしてルイズも、 一般市民を対象とした無差別大空襲の命令者でありながら、後に空襲被害を 受けた国から勲章を賜ったとある司令官のような強烈な自己肯定は、 到底できずにいた。 そうして降り立ったニューカッスル秘密港は、ルイズたちにとって 驚きでしかなかった。洞窟を大きくくりぬき、鋼鉄の黒い艦体を見せる 『イーグル』号が入港した桟橋を中心に櫛形に整備された港湾施設は、 ハルケギニアで一般的な立体的な桟橋と異なり最大4隻の大型艦の入港を 可能とする船渠型巨大秘密基地の様相を呈していた。 「……す、すごい……」 「まるで海の港……いや造船所みたいだね。これは……」 ルイズとギーシュが初めて見る秘密港の全容に目を丸くする。 そこに後ろから声がかかった。 「ははっ。すごいだろう。ロサイス軍港やダーダルネスに比べれば桟橋の 数は劣るけど、ここは『イーグル』号や、建造予定の新型艦を入港させるために 拡張されているからね」 そう言って片手を上げるのは、サー・スチーブンソン。彼はルイズたち 4人を荷物の積み込みが行われている『イーグル』号の前まで案内すると、 フネの前で両手を広げる。 「これが我が国の最新鋭戦列艦『イーグル』号だ!全長150メイル、 全幅20メイル。新型の蒸気機関を搭載したハルケギニア史上初の装甲艦で、 主砲も35口径24サント三連装砲塔と連装砲塔、それに艦体下部には 35口径15サント単装砲4門!我々の55年の研究の集大成!万全の体制で 砲撃戦をやれば、今は名を変えた『ロイヤル・ソヴリン』にだって 負けることはない!」 ルイズたちが『イーグル』号を見上げる。黒光りする三連装と連装の 背負い式主砲塔の後ろには堂々たる5層の櫓檣が、その後ろに鋼鉄製の 巨大なマスト――帆が装備されつつあるので帆走用だったのだ――が そそり立ち、今まで見たどのフネとも違う威容を見せている。ルイズと ギーシュ、そしてふがくの3人は、サー・スチーブンソンによく知る ある教師の姿を重ね合わせた。 だが、そこまで言ったサー・スチーブンソンの声は、急に弱くなる。 「……そうとも。こいつと、いずれ進空するはずだった『ライオン』級戦艦、 『ヒューリアス』級竜母艦さえそろえば……『レコン・キスタ』など……」 『戦艦』と『竜母艦』――ルイズたちには耳慣れない言葉だが、 ふがくとルーデルはそれが自分たちが言うところの『戦艦』と『航空母艦』に 相当するのだろうと理解していた。そこにウェールズ皇太子が大きな 木箱を載せた台車を押す従者を連れて現れる。 「世界は、いつだって『こんなはずじゃなかった』、だよ。 サー・スチーブンソン」 敬礼するサー・スチーブンソンに倣って、ふがくとルーデルも敬礼する。 3人の敬礼にウェールズ皇太子が返礼した後、ルイズに話しかけた。 「ラ・ヴァリエール嬢。きみたちにあずけたいものがある」 「わたしたちに……ですか?」 目をぱちくりさせるルイズ。ウェールズ皇太子は従者に命じて木箱を 開けさせた。そこにあったのは……大量の図面だった。 「戦列艦『イーグル』、そして建造中だった戦艦『ライオン』、竜母艦 『ヒューリアス』と、『イーグル』号に搭載した新型機関と新型砲の 設計図だ。もっとも、『ライオン』と『ヒューリアス』の実物はロサイス 撤退時に船台から強制排出、自沈させてきたがね。 アンリエッタに渡してほしい。きっと力になれるだろう」 「わかりました。おあずかりさせていただきます」 ルイズはふがくに命じて懐に木箱をしまわせる。明らかに入らないものが 姿を消したことにウェールズ皇太子と従者は驚いたが、サー・スチーブンソンは 楽しいものでも見るかのように笑ってみせる。 「トリステインに帰ったら、タルブのササキ夫妻によろしくお伝え願いますよ。 大使どの」 「タルブの……ササキ夫妻?」 ルイズとギーシュは顔を見合わせた。二人とも、タルブにそんな名前の 貴族がいたなど聞いたこともないからだ。そこに、サー・スチーブンソンが 昔話のように語り始める。 ――今から55年前。聖地にほど近いサハラの砂漠で、探索行の途中だった 我が国の貴族、エンタープライズ家の者が見たこともない鋼鉄の軍艦を発見した。 エルフと人間は聖地近辺で見つかる『場違いな工芸品』について取り決めを交わしており、 どんなものも最初に見つけた者がその所有者となると決められていた。 巨大な『場違いな工芸品』を見つけた彼は、力の限り『固定化』をかけた状態で それを自らが忠誠を誓う国王へと献上した。 だが、下手なフネよりも巨大な鉄の塊であるその軍艦をアルビオンに 移動させることはできず、そして無人の艦に残されていた文献や艦名の プレートを読むこともできなかった。 そのとき、5年ほど前に探索行の途中でそのままトリステインのタルブの村に 住み着いたエンタープライズ家の者がおり、しかも彼女が東方からやって来た ササキという夫妻と懇意にしているという話を耳にした。解析に難儀していた 空軍は一縷の望みを託して秘密裏に彼らと接触、実際に彼らにその軍艦がある 場所まで来てもらったという。そのもくろみは成功し、アルビオン空軍は その軍艦がササキ夫妻の故郷の巡洋艦『ウネビ』という名前であること、 そして多くの貴重な情報を入手できたのだった―― 「……エンタープライズ家は、一族全員がその家名のとおりに探求の旅に 出て新たな発見をもたらす者たちだった。3年前にある事件に連座して 取り潰されたがね。 基本的な情報収集終了後、『ウネビ』はその場で解体されて重要部分だけ アルビオンへ持ち帰った。 そして、搭載されていた蒸気機関の研究をここニューカッスルに居を構える 我がスチーブンソン家が受け持ち、そこから50年かけてようやく 『イーグル』号の建造に着手できた、ということさ」 意外な事実に驚くルイズとギーシュ。そして、ふがくもその事実に 驚きを隠せなかった。 (『ウネビ』って……あの『畝傍』?あの艦は私が生まれる60年近く前に 行方不明になった艦じゃない……。それにササキって……まさか……) 3人の様子に、ウェールズ皇太子はにこやかに微笑む。 「驚いたようだね。トリステイン王家やタルブ領主アストン伯には 悪いことをしたと思っている。できれば、今聞いたことはこれからも 秘密にしてほしい。 幸いにして『イーグル』号の装備やその実体を推測できる資料は すべて破棄または回収できたからね。『ロイヤル・ソヴリン』―― いや『レキシントン』だな、これに搭載されている砲は旧態依然のもの。 ただの青銅の弾ではこの『イーグル』号に装備された装甲は貫けないから 安心して乗っていなさい」 ウェールズ皇太子のその言葉にルイズとギーシュは安心した顔を見せるが、 ふがくだけはその言葉の裏に隠れた真実を見抜いていた。 そう。いくら装甲が厚くとも、攻撃によって人員が死傷すれば、 または装甲で守られていない推進機関などに被害を受ければ、 どんな強力な軍艦でもいつかは行動不能になるのだから。 そしてそれが現状で王党派が単艦反撃に出なかった理由でもあった。 ふがくのその視線の意味に気づいたのか、ウェールズ皇太子は従者から 紅い絹布で包まれた箱状のものを受け取ると、そのまま従者を下がらせた。 そしてルイズの前に立つと、その目の前で布を取って包まれていたものを見せる。 「ラ・ヴァリエール嬢。これもきみにあずかってほしい。 だが……その前に、きみが持っている『水のルビー』をもう一度私に 見せてくれないか?」 布の中にあったもの――それは香木を削り出して作られた古びた宝石箱の ようなものだった。不似合いなほど飾り気のないそれは、それでいて それ自身が見続けていた長い年月をルイズたちに語りかけているかの ようだった。 ルイズは言われるままに『水のルビー』を取り出した。 そこにウェールズ皇太子が自分の左手の薬指にはめている 『風のルビー』を近づけると、二つの指輪の間に虹の橋が架かった。 「水と風は虹を作る。王家の間に架かる橋さ。 この虹の橋を渡って、『始祖のオルゴール』をトリステインへ」 『始祖のオルゴール』――それはトリステイン、アルビオン、 ガリア、ロマリアの、始祖の子供と弟子に連なる王家と教皇に伝わる 秘宝のひとつ。 初めて見る秘宝にルイズがどうすればいいのか戸惑っていると、 ウェールズ皇太子がオルゴールの蓋を開いて見せた。 「……音が、鳴らない?」 「そう。アルビオン王家に伝わるこの『始祖のオルゴール』は、どういうわけか、 曲を奏でるどころか音も鳴らない。 トリステイン王家に伝わる『始祖の祈祷書』が、まったくの白紙であるように、ね」 『始祖の祈祷書』のことはルイズやギーシュも聞いたことがある。 ただ、市井に複数存在するそれはどれも内容が異なり、持ち主は自分が 蔵するものこそホンモノだと主張しているためどれも真偽が疑われている。 さすがに王家所蔵のものは王族の婚姻の際に立ち会う巫女が儀礼的に 使う以外で公開されていないが、まさかそれが白紙だったとはルイズたちには 予想外だった。 ルイズは『始祖のオルゴール』を両手で恭しく受け取る。そのとき、 ふがくの背中のデルフリンガーが懐かしむような声を発した。 「いやあ、懐かしいねえ。娘ッ子。そのオルゴールの蓋、『水のルビー』を はめてから開けてみな」 「デルフ?……いったい何を……」 「いいからいいから。ちょっと思い出したんだ。六千年の言うこと、 ちょっとくらい信じても罰は当たらねえぜ?」 その言葉にルイズとウェールズ皇太子は顔を見合わせた。しばしの後、 ルイズは半信半疑のまま『水のルビー』を指にはめて『始祖のオルゴール』の 蓋をゆっくりと開いた―― 「……え?な、何?これ……」 鳴らないはずのオルゴール――だが、『水のルビー』をはめたルイズには、 『始祖のオルゴール』が奏でる、綺麗で、懐かしい感じがする詩が聞こえていた。 神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。 神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。 神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。 そして最後にもう一人……。記すことさえはばかれる……。 四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。 我が扱いし『虚無』の呪文。その初歩の初歩の初歩。『エクスプロージョン』(爆発)。 『虚無』は強力なり。またその詠唱は永きにわたり、多大な精神力を消耗する。 詠唱者は注意せよ。時として、『虚無』はその強力により命を削るものなり……。 その後に続いたのは古代語の呪文。ルイズはいつの間にか涙を流していた。 そして、はたと気づいた。ウェールズ皇太子は鳴らないオルゴールと言った。 そして、『水のルビー』をはめるまで、自分にもこの詩は聞こえなかった。 ということは……。 自分は選ばれたのだろうか? よく分からないけれど……詩が聞こえた。聞こえたということは、 今聞いた呪文も効果を発するかもしれない。ルイズは、いつも自分が 呪文を唱えるとどんな呪文でも爆発していたことを思い出した。 あれは……ある意味、今聞いたばかりの『虚無』ではないだろうか? 思えば、爆発する理由を誰も言えなかった。 両親も、姉たちも、先生も……、友人たちも……、ただ『失敗』と 笑うだけで、その爆発の意味を深く考えなかった。 すると、自分はやはり選ばれたのかもしれない。 信じられないけど、そうなのかもしれない。 でも……そうと分かったとき、いっそう涙があふれてきた。 「……ルイズ?」 ふがくが心配そうに声をかける。ギーシュ、ウェールズ皇太子も、 サー・スチーブンソンも皆心配そうな顔をしている。 「バカみたい……。わたしがもっと早く自分の系統を知っていたら、 今朝みたいなことをさせなくてよかったのに……」 「……まさか……、聞こえたのか?きみは……この『始祖のオルゴール』の 奏でる詩が……」 ウェールズ皇太子の言葉に、ルイズは小さく頷いた。その意味を知る ウェールズ皇太子の顔が驚きの色に染まった。 「なんということだ……。トリステインに『虚無』が……。 サー・スチーブンソン、このことは……」 「分かっております。殿下。このことはここにいる6人の胸の内だけに。 よろしいかな?」 そう言ってサー・スチーブンソンがギーシュとふがく、ルーデルを見る。 全員が無言で頷いたのを見て、ウェールズ皇太子はルイズの両肩に手を置いた。 「……おめでとう。ラ・ヴァリエール嬢。だが、このことは誰にも話しては いけない。ご両親にも、アンリエッタにも。何故かは、分かるね?」 ルイズはその言葉に小さく「はい」と答えた。その様子にふがくが 背中のデルフリンガーに尋ねる。 「……アンタ、よく分かったわね。あのオルゴールがルイズの封印……かな? それを解く鍵だってこと」 「おうよ。なんたって俺っちは六千年だ。ついでにもうひとつ思い出したんだ。 相棒、俺っちを抜いてみな」 その言葉にふがくはウェールズ皇太子に断ってからデルフリンガーを 背中から抜く。すると錆びた刀身が光を放ち、見る間に神々しい輝きを 帯びた大剣へと姿を変えた。 「これが本当の俺っちよ。ここ千年ばかりつまらねえヤツばかりだったからよ。 テメエで錆びた姿に変えていたのをすっかり忘れてた」 その言葉にルイズがぽかんとした顔になる。そしてふがくから 「良かったわね。貴族の使い魔にふさわしい剣になって」と言われると、 むーと頬を膨らませた。 そして夜半――アルビオンを離れる王族と貴族、そしてともに行くことを 決めた平民たちを乗せた『イーグル』号の出港の時が来た。 「汽罐全開」 『イーグル』号の艦橋。通常のフネとは異なった5層の櫓のような艦橋の 最上階にある指揮所で、艦隊総司令官であるウェールズ皇太子が命じる。 それに艦長が応じる。ルイズとギーシュも、簡易の玉座に座すジェームズ一世と ともに、指揮所の中でウェールズ皇太子たちのやりとりを見ていた。 「汽罐全開」 「汽罐全開、アイ・サー」 艦長の命令を掌帆長が復唱する。本来ならばここにはサー・スチーブンソンが いるのだが、彼は機関室にこもり罐の機嫌を取ることで手一杯だった。 伝声管で伝えられたその命令に、サー・スチーブンソンが目の前にある 2基の罐――蒸気機関を見上げる。 「さあ、晴れ舞台だ。今日は駄々こねるなよ」 そう言って彼は部下たちに命じて汽罐の蒸気圧を上げるよう石炭を くべさせる。彼の役職はこの蒸気機関を動かすために新設された機関長。 そしてまた彼の部下たちも純白の水兵服が煤で真っ黒になることを誇りとし、 今までのどの戦場よりも緊張した面持ちで自分の仕事をこなしていた。 「……よし。汽罐の蒸気圧が機関の起動圧力に達した。 機関圧力正常。始動よろし」 機関室からの返答。艦橋の後ろにある2本の煙突からうっすらと色づいた 白煙が上がるのを見て、艦長が大きく息を吸い込んでから命じた。 「舫いを解けえー!」 艦長の声に岸壁に立つマールバラ公が自身の臣下たちとともに係船柱に かけられた舫いを解く。すでに秘密港の入り口はまたもやふがくから 提供された爆薬によって塞がれ、その上から『錬金』をかけて崩れた 土砂を鉄に変え容易にここには到達できないようにされている。 岸壁に残っているのが貴族ばかりなのは、艦がこの秘密港を離れるときに 『フライ』で飛び移るため。そして昨夜のパーティで公言したとおり、 アルビオンでも有数の貴族であるマールバラ公は殿として港に立っていた。 「微速上昇」 「微速上昇、アイ・サー」 その命令で風石がその力をゆっくりと解放し、『イーグル』号は ゆっくりと上昇を開始する。 「本艦、船台を離れます」 がこんという音とともに、『イーグル』号がその艦体を預けていた 船台を離れる。岸壁でその様子を確認したマールバラ公が手旗信号で 合図するのを確認すると、艦長はウェールズ皇太子に顔を向けた。 「よし。艦長。微速後進」 「微速後進」 「微速後進、アイ・サー」 その命令で艦尾のプロペラが回り始める。蒸気機関を搭載したこの艦は、 風がなくとも後進が可能。それ故に、この秘密港もこれ以降の艦に 装備されるはずだった蒸気機関での運用を前提として整備されていた。 長い汽笛の音とともに『イーグル』号がゆっくりと後進を始め、桟橋から 完全に離れようとしたときに、港に残っていたマールバラ公たちが 『フライ』で艦にたどり着いた。 「……これでこの港も、いや、この大地も見納めだな」 艦首に立つマールバラ公がつぶやく。それはこの艦に乗る全員の 気持ちでもあった。 後進する『イーグル』号がぽっかりと空いた穴の上に達する。 下は雲が荒れ狂い、さながら荒海の様相を呈していた。 「微速下降」 「微速下降、アイ・サー」 風石の力で自由落下を制御し、ゆっくりと下降する『イーグル』号。 直径300メイルほどの大穴であるが、見張りは全員注意を怠らない。 張り出した岩の突起に触れれば、それでおしまいだからだ。 やがて穴から出た『イーグル』号は反転し、雲海を抜ける。そして進路を トリステイン王国ラ・ロシェールへと向けた。空には双月が輝き、静かに 『イーグル』号を照らしていた。 「……ふう。何とかここまで来たわね。けど……電探も搭載してない アンタがすいすい来れたことに疑問を感じるんだけど……」 『イーグル』号の周囲を失速ぎりぎりで飛ぶふがくが、ちょうど対角線上の 位置にいるルーデルに通信で話しかける。それに対する返答はあっさりと したものだ。 「別にあれくらいどうってことないわよ。敵地の真ん中に墜落した戦友を 着陸せずに助けることに比べれば、ね」 「どういう状況よ、それ……」 想像できない状況にふがくが溜息をつく。その一瞬の隙に―― ルーデルの姿が見えなくなる。 「え?ルーデル?」 ふがくの言葉に応答はなかった。 ――その頃、ルーデルはふがくの遙か上空に舞い上がっていた。 本来のふがくであれば探知できる位置だが……今のふがくにそれは できない。ルーデルはふがくと『イーグル』号を見下ろしたまま、 妖艶な笑みを浮かべる。 「……んふふ。さて、舞台に上がる役者もそろったし。お姉さんは退場するわね。 じゃあね。ふがくちゃん。……生きていたらまた会いましょうね」 その視線の先には……上空高度5000メイルから降下してくる二つの影があった。 前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略)
https://w.atwiki.jp/gameofwar/pages/6.html
レベル 元の設定時間 S 木材 石材 食糧 鉱石 英雄 XP パワー ブースト 1 2 00 1 200 500 300 100 +10 +15 +1% 攻撃, +0% 防御, +0% 体力, + 1% 行軍速度 2 2 + + +1% 攻撃, +1% 防御, +0% 体力, + 2% 行軍速度 3 5 + + +1% 攻撃, +1% 防御, +1% 体力, + 3% 行軍速度 4 12 + + +3% 攻撃, +1% 防御, +1% 体力, + 4% 行軍速度 5 25 + + +3% 攻撃, +3% 防御, +1% 体力, + 5% 行軍速度 6 50 + + +3% 攻撃, +3% 防御, +3% 体力, + 6% 行軍速度 7 65 + + +6% 攻撃, +3% 防御, +3% 体力, + 7% 行軍速度 8 4 16 90 16,808 419,92 25,200 8,416 +500 +435 +6% 攻撃, +6% 防御, +3% 体力, +8% 行軍速度 td 9 100 + + +6% 攻撃, +6% 防御, +6% 体力, +9% 行軍速度 10 150 + + +10% 攻撃, +6% 防御, +6% 体力, +10% 行軍速度 11 250 + + +10% 攻撃, +10% 防御, +6% 体力, +11% 行軍速度 12 400 + + +10% 攻撃, +10% 防御, +10% 体力, +12% 行軍速度 13 700 + + +15% 攻撃, +10% 防御, +10% 体力, +13% 行軍速度 14 1,000 255,272 637,754 382,725 127,818 +1,000 +5,095 +15% 攻撃, +15% 防御, +10% 体力, +14% 行軍速度 15 1300 + + +15% 攻撃, +15% 防御, +15% 体力, +15% 行軍速度 16 1600 + + +21% 攻撃, +15% 防御, +15% 体力, +16% 行軍速度 17 2000 861,543 2,152,421 1,291,698 431,387 +2,500 +17,240 +21% 攻撃, +21% 防御, +15% 体力, +17% 行軍速度 18 2250 + +25,845 +21% 攻撃, +21% 防御, +21% 体力, +18% 行軍速度 19 2500 + + +38,780 +28% 攻撃, +21% 防御, +21% 体力, +19% 行軍速度 20 3,000 2,907,710 7,264,422 4,359,482 1,455,933 +10,000 +58,190 +28% 攻撃, +28% 防御, +21% 体力, +20% 行軍速度 21 4,500 + +87,270 +38% 攻撃, +38% 防御, +38% 体力, +21% 行軍速度
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/8113.html
NIGHT WIZARD The 2nd Edition Character Sheet TXT Ver1.2 キャラクター名:鳳 饗一(おおとり きょういち) プレイヤー名:[[Cyphiss]] 種族:人間 ワークス:高校2年生 年齢/性別:17歳/男性 髪の色:黒髪 瞳の色 :茶色 肌の色:黄色 身長/体重:172cm/74㎏ ウィザードクラス:魔剣使い 5LV スタイルクラス:アタッカー 4LV 属性:〈火〉/〈冥〉総合レベル: 9LV CF修正値:2 プラーナ 内包値:8 解放力:2 基本能力値 ベース 成長値 現在値 基本能力値 ベース 成長値 現在値 【筋力】 13 -- 13 【知力】 7 -- 7 【器用】 9 -- 9 【信仰】 5 -- 5 【敏捷】 8 -- 8 【知覚】 7 -- 7 【精神】 8 -- 8 【幸運】 6 -- 6 戦闘値 ベ ー ス クラス修正 特殊 総合 未装備 通装/終装 最終戦闘値(通常/クライマックス) 【命中】(器用+知覚)÷2 = 8 4+3/3+3 (+2) -- 21(23) -4/ 0 【命 中】17/23 【回避】(敏捷+知覚)÷2 = 6 2/2 -- -- 10 0 / 0 【回 避】 10 【攻撃】(筋力+器用)÷2 = 12 3+2/4+1 6 6 34 13/31 【攻 撃】47/65 【防御】(筋力+信仰)÷2 = 9 2/2 -- -- 13 2 / 5 【防 御】15/18 【魔導】(精神+幸運)÷2 = 7 0/0 -- -- 7 2 / 2 【魔 導】 9 【抵抗】(敏捷+幸運)÷2 = 7 0/0 -- -- 7 -1/-1 【抵 抗】 6 【魔攻】(知力+精神)÷2 = 7 0/0 -- -- 7 3 / 3 【魔 攻】 10 【魔防】(知力+信仰)÷2 = 6 0/0 -- -- 6 2 / 2 【魔 防】 8 【耐久力】 =20+15/+12 5/5 -- -- 57 0 / 0 【耐久力】 57 【魔法力】 =13+ 5/+ 4 2/2 -- -- 26 -2/-2 【魔法力】 24 【行動値】(筋力+敏捷+知力+信仰)÷3= 11 2/2 -- -- 15 -1/-2 【行動値】14/13 【移動力】 ベース 特殊能力 未装備 装備 最終値 (未装備状態【行動値】)÷10+1 = 2 0 2 0 2Sq ■ライフパス 出自:結社の一員 特徴:組織の期待/あなたの【攻撃】のベースを+1し、【回避】のベースを-1する。 適用済 生活:九死に一生を得る 特徴:魔王の守護/あなたはベール=ゼファーのコネクションを得る。関係は保護者とする。 コネクション/関係:値段 黄金の蛇/魔剣の出所。 :初期取得 “蝿の女王”ベール=ゼファー/保護者 :ライフパス取得 “修行中の仙人”レイラ/修行仲間(?) : 200v. “The 幼馴染”伊野 涼/姉+委員長+幼馴染 :10,000v. 生徒会/末端役員 :55,000v. ■特殊能力 名称 汎用 :SL:タイミング: 判定値 :難易度:対象:射程:代償:効果 《月衣》 :-: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:所持品を隠せる。マイナーアクションで飛行できる。(代償:1D6MP) 《月匣》 :-: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:月匣を展開できる。 《伝家の宝刀》 :4: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:SL個までのアイテムを常備化する。総額「100万+100万*SL」v.以下でなければならない。 《伝家の術式》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:魔法をひとつ常備化する。総額「100万+100万*SL」v.以下でなければならない。 《超巨大武器》 :-: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:プリプレイに常備化している武器ひとつを指定。選択した武器に修正を加える。 アタッカー :SL:タイミング: 判定値 :難易度:対象:射程:代償:効果 《物魔攻撃力UP》 :-: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:あなたの【攻撃】を+[CL+2]する。 《Wマスタリー:刀》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:選択した種別の武器を装備している間、【命中】に+[SL+1]する。 《振りかぶり》 :-: MinorA :自動成功: なし :自身:なし:2Cnt:同メインプロセス中「部位:両手」の武器で行う物理攻撃の【攻撃】達成値に+[使用した武器ひとつの重量]する。射程※は使用不可。 《テクニカルエイム》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:単体を対象に物理攻撃を行う場合、その攻撃の命中判定の達成値に+[SL+2]する。 《テクニカルエイムII》:5: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:単体を対象に物理攻撃を行う場合、その攻撃のダメージロールの達成値に+[SL*2+2]する。 《叩き付け》 :-: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:狼狽:《振りかぶり》と同時に使用。その効果をさらに+[その攻撃に使用した武器ひとつの重量]する。 《猛進撃》 :-: MinorA :自動成功: なし :自身:なし:2Cnt:通常移動を1回行い、さらに通常移動以外のマイナーアクションを1回行う。1メインプロセスに1回。 《マスタースポット》 :1: Auto :自動成功: なし :自身:なし:1P:《ウェポンマスタリー》で選択した種別の武器による攻撃の命中判定を行った直後に使用し、{絶対命中}に変更。1R1回1シナリオSL回。 魔剣使い :SL:タイミング: 判定値 :難易度:対象:射程:代償:効果 《生命の刃》 :-: Auto :自動成功: なし :自身:なし:なし:魔器を使用した物理攻撃による【攻撃】ジャッジの直前に使用。[CL+2]点以下の任意のHPを消費し、そのジャッジの達成値に+[消費したHP*2] 《魔器所持》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:常備化している武器からひとつを選択。選択した武器を魔器とし「攻撃修正」に+[SL+2]する。選択した武器はあなた以外に装備できない。 《刃の供物》 :5: MinorA :自動成功: なし :自身:なし:なし:あなたは[SL*2]点のHPをうすなう。そのシーンの間、魔器の「攻撃修正」を+[SL*3]する。 《霊破斬》 :2: MajorA :【命中】: 対抗 :単体:武器:3MP:魔器による物理攻撃を行う。魔法ダメージとなり、1点でもダメージを与えた場合、そのダメージ分HP回復(上限:[SL*2+5]点)する。 《全なる一の剣》 :1: MajorA :【命中】: 対抗 :単体:武器:1P5H:魔器を使用した物理攻撃を行い、魔器の「攻撃修正」を2倍として扱う。「対象:単体」に固定。1R1回、1シナリオ1回。 《EX月衣:魔封器》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし:なし:魔器をクライマックス以外は装備出来ず、装備した時+[SL*4] し、CLIMAX中魔剣使いの特殊能力すべてのSLを+1(上限を超えても良い)する。 ■魔法 魔法記憶容量[【知力】+総合レベル]:13 名称 :LV:種別:タイミング: 判定値 :難易度:対象:射程:代償:効果 ヒール :1:治癒: MajorA :【魔導】: 12 :単体:1Sq:2MP:HP回復(【治癒力】=【魔防】-10(最大3) ■武装/魔装 重量上限[【筋力】+総合レベル]:19 魔法装備可能レベル合計[【知力】+総合レベル]:13 名称 :種別:部位:重量/LV:命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動:射程:備考 ガンブレード・ハデス :武刀:両手: 7/ :+2: 0:+17: 0: : : : : : : 0: :0Sq:魔器指定 斬魔刀相当品━┳クライマックスのみ 《超巨大武器》:特能: - :+5/ :-2: 0:+7:+3: : : : : : :-2: : : ━┫ 《魔器所持》:特能: - : / : : 0:+3: : : : : : : : : : : ━┫ 《EX月衣:魔封器》:特能: - : / : : 0:+4: : : : : : : : : : : ━┛ グレートソード :武剣:両手: 6/ :-4: 0:+13: 0: : : : : : :-1: : :予備武器 ━━クライマックス以外 対侵魔殲滅弾用回転弾倉 : 他 : - : 1/ : :-1: :-2:+2:-1:+3:-2: :+10:-1: : :外道祈祷書相当品 : : : / : : : : : : : : : : : : : : 輝明学園改造制服 :防具:衣服: 2/ : :+1: :+2: : 0: :+2: : :+1: : : 魔石の義眼 :防具: 頭 : 2/ : : 0: :+2: : 0: :+2: :+ 3: 0: : :魔石の髪飾り相当品 〈パーフェクトライブラ〉:魔装:付与: /4 : : : : : : : : : :-15: : : : 合計 : : :17/4 : 0: 0:+31:+5:+2:-1:+3:+2: :- 2:-2: :0Sq: 武装/魔装 ■所持品 月衣収納上限[【筋力】×2+GL]:32 名称 :重量:効果 幸福の宝石 : 0:F打消し スマート0-Phone: 0: MUGEN-KUN : 0: : : ■設定 黄金の蛇謹製の機構剣、ガンブレード。その試作品のひとつに選ばれた剣士。 特殊な材質のブレードを生命力を弾丸として生成し刀身に伝える事で超振動剣と成す一撃必殺の魔剣。 冥界の火で鍛えられたとされ、漆黒の刀身からハデスと名づけられた。 幼い頃に、ウィザードに覚醒している。その際に両親を失った。 が、詳しくは覚えていないほどの過去であり、その時から何故か“蝿の女王”ベール=ゼファーと縁がある。 その際に怪我で左目を失明。黄金の蛇製の義眼を与えられた。同組織とはそれ依頼の縁である。 基本的に、普通の学生ウィザード。 性格は、特に目立たず。だが静かに燃えるタイプ。蒼い炎は温度が高いのだ。 ウィザードとしての活動は殆どが生活の為。なのだが、割と生活には頓着しない。 頼りになる幼なじみが居るから…というよりは依存して無いだろうか? ちなみにエレベーター式で小学校からずーっと輝明学園に通い続けている、生粋の輝明っ子である。 ■履歴 2012.06.19 キャラクター作成 初期特殊能力内訳 アタッカー:《振りかぶり》《テクニカルエイム》《猛進撃》 魔剣使い :《魔器所持》《刃の供物》 初期アイテム内訳 輝明学園改造制服(350,000) →350,000┓ レイラ(200)、姉+委員長+幼なじみ(10,000) → 10,200╋500,000 スマート0-Phone(39,800)、幸福の宝石(100,000) →139,800┛ 経験値使用 20点 《伝家の宝刀》0→4 経験値使用 5点 《伝家の術式》0→1 経験値使用 5点 《超巨大武器》取得 経験値使用 10点 《EX月衣魔封器》取得 経験地使用 2点 グレートソード(50,000)、魔石の髪飾り(280,000) →330,000┓ ヒール(15,000) → 15,000╋400,000 生徒会(55,000) → 55,000┛ 2012.06.20 レベルアップ アタッカー 0→1 《テクニカルエイムII》《テクニカルエイムII》 レベルアップ アタッカー 1→2 《テクニカルエイムII》《テクニカルエイムII》 レベルアップ アタッカー 2→3 《テクニカルエイムII》《叩き付け》 レベルアップ 魔剣使い 1→2 《生命の刃》《刃の供物》 レベルアップ 魔剣使い 2→3 《刃の供物》《刃の供物》 2012.09.26 レベルアップ 魔剣使い 3→4 《刃の供物》《霊破斬》 レベルアップ 魔剣使い 4→5 《霊破斬》 《全なる一の剣》 レベルアップ アタッカー 3→4 《ウェポンマスタリー:刀》《マスタースポット》
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/121.html
完結編 心を一つに 前編~光と影~ 前ページ次ページゼロの影 極大天候呪文実行予定日前夜、大魔王の宮殿の中庭には冥竜王ヴェルザーが座し、一室では大魔王とルイズが言葉を交わしていた。 話し合った後大魔王は退出し、ヴェルザーの元へ向かう。 残されたルイズは考え込むように視線を彷徨わせたが、室内に入ってきたミストバーンに何か言いたげな表情をした。 彼の方も物思いにふけっているのかそれに気づかないままだ。 やがてルイズは視線を逸らし、緊張を和らげるかのように『始祖の祈祷書』をめくってぶつぶつ呟き始めた。 大魔王とヴェルザーが対面している中庭にはわずかに張りつめた空気が漂っている。 元々両者は敵対する立場だった。それでも手を組んだ理由は魔界に太陽をもたらすため。 当初、竜族を加えなくても回数を増やし、少しずつ黒雲の無い領域を広げればいいと考えられていた。 だが、術者への負担をはじめ様々な要因から極力少ない回数――つまり一度で全てを逆転させねばならないことが明らかになったため、竜族の力が必要になった。 計算した結果、竜族の力を加えても可能性はよくて五分五分。協力が不可欠だ。 また、神々を憎むバーンにとっては復讐の意味も帯びている。 神々が世界を分けたのは三種族が争う状況を憂いたため。協力することに期待せず、力で押さえつけただけだった。 だが、三種族の力で魔界に太陽をもたらし、彼らが捨てた可能性を叩きつければ最高の復讐になるのではないか。 ヴェルザーとも意見が一致し、竜族も協力することとなった。 訪れた大魔王が思考の淵を探るような表情をしていたためヴェルザーは不機嫌そうな声を出した。 「今更怖気づいたか? わざわざ予定より早く行うと決めたのは貴様だぞ。そもそも、あの小娘の体が耐えきれるのか?」 果たして上手くいくのかと言いたげなヴェルザーに大魔王は淡々と説明を行った。 ルーンを利用し他者から力を集める実験は成功した。 だがそのままでは術者であるルイズの体は途中で崩壊してしまうことが大分前からわかっている。そのため共に力を放出し、負担を肩代わりする必要がある。 自らが請け負うと告げられ、ヴェルザーの眼が簡単にへし折れそうな首に向けられた。 「魔族の中でしぶとい貴様でも耐えきれん。竜や他の魔族達と分担するのか」 返事は否定だった。 大勢で分担することはできず、ただ一名のみ可能だ。莫大な魔力を持つ者が該当するが、成功の確率が最も高いのは大魔王本人だ。 「むろん手は打つ……」 その目は何かを選び、決断したような光を帯びていた。 「貴様は異世界の魔法は使えんのか? 『虚無』とやらは“破壊できぬものをゼロにする”らしいが」 始祖の『虚無』の一部はこちらの世界の呪文と同じものもあるが、ハルケギニアで一般的な四大系統はどうなのか。 答えは、そのまま使用することはできないということだった。 こちらの世界のルーラやトベルーラはハルケギニアで使えても、ウィンディ・アイシクルやフレイム・ボールなどの呪文を使うことはできない。 こちらの世界の呪文と組み合わせて独自の効果を生み出そうとする試みも行われた。 だが、似た呪文の効果が速やかに発揮されたり効率的に威力を上げたりといった補助的な働きに留まっている。 時間をかけて研究を進めれば次の段階へ進めるかもしれないが、極大天候呪文の準備を最優先にしてきたため実現は遥か先のこととなりそうだった。 「興味深い呪文もあったのだがな」 「ほう? 何だそれは」 ヴェルザーの眼が好奇心で光った。魔界の住人だけあって“力”に関心を持たずにはいられないようだ。 「風の遍在(ユビキタス)と言う」 それぞれに意思と力を持つ存在を作り出す風のスクウェア・スペル。使えれば便利だと呟く大魔王を見てヴェルザーは試しに想像してみた。 複数の大魔王が完全に息の合った連係を披露し、高笑いしながら火球呪文や爆裂呪文を連発して攻撃してくる様を。 「……なかなか愉快な光景だな」 思わず頭を振って打ち消してしまったヴェルザーであった。 当日、初めて本物の陽光に照らされた特別な地――ウェールズの眠る丘の上には大きな円が描かれ、線上に六つの点が打たれていた。 呪文の要であるこの場所で力を注ぐのは、それぞれの種族の中でも選りすぐりの強者達だ。 ミストバーンが円の中心に、上から見て頂にルイズ、底に大魔王、他の点にはヴェルザーと竜、そして魔族二名が立っている。 さらに魔界各地に魔方陣が作られ、力を注ぐ準備が整えられていた。 「結局負担について解決したのか?」 「このままではもたん。このままではな」 あっさり言いきった大魔王はミストバーンに向き直り、告げた。 「お前に長年預けていたものを返してもらう時が来たようだ」 ミストバーンは頷き、闇の衣に手をかけて封印を解いた。素顔が露になり、大魔王へ歩み寄る。 「お返しいたします。天地魔界に無敵とうたわれた、真の大魔王バーンの肉体を……!」 光が二人を包み、収まると、鋭い双眸の魔族が立っていた。若々しく覇気に溢れ、極限まで鍛えられた身体は敏捷性と力強さを感じさせる。 年齢は全く違うが全身を包む鋭気から同一人物だとわかった。 ヴェルザーが理解と疑問を浮かべた表情で呟く。 「貴様の分身体だったのか。何故わざわざそんなことを」 拍子抜けしたような声に大魔王が答える。 「……武器として利用するためだ。分身体は意思を持たぬので余の部下が一体化し操っていた。正解にはたどり着けなかったようだな」 大魔王は自らの肉体を二つに分けた。本体に叡智と魔力を残し、若さと力をもう一つの身体に込めて。 だが、大魔王に代わり魔界の覇権を握ろうと企む者には知られたくなかったはずだ。長年の間姿どころか声も隠し続けてきたのだから。 疑念の眼差しに対する答えは簡潔だった。 「魔界に太陽をもたらすためだ」 ヴェルザーがバーンを凝視する一方、ルイズはミストバーンに食い入るような、二名の魔族はどこか冷やかな蔑みに近い視線を向けていた。 実体を持たない、黒い霧のような姿へと。 闇の衣を着ている時と同様、胸の辺りにルーンが光っている。 「これが私の……本当の姿だ」 ミストバーンは、ミストという暗黒闘気の集合体が大魔王バーンの身体と一体化した存在だった。 自分の体を持たない彼は次々に身体を乗り換えて強くなるしかなかった。 その反動で強き者に――自らを高める者に、強い羨望の念とともに敬意を抱いた。彼には絶対にできないことだから。 己の能力を忌避していたからこそ、それを認め必要とした主に絶対の忠誠を誓った。 あらかじめ大魔王から負担についての説明と「返してもらう」ことを告げられたため、昨夜は秘密と正体をさらけ出すことに思いを馳せていたのである。 正体を知ったルイズはじっとミストバーン――ミストを見つめている。 授業で爆発を起こし、落ち込んでいた時にかけられた言葉の意味をようやく理解したのだ。 『わたしには何の力も無くて……誰かから必要とされることはないんだわ。認められることも――』 『……どれほど望んでも、何の力も持てぬ者もいる』 何の力も持てぬ者とは、他人の体を奪えば簡単に強くなれるが、器が無ければ何の力も振るえない彼のことだった。 ミストは吐き出される言葉を予想した。 『自分の強さじゃなかったのね』 『寄生虫だわ』 だが、ミストの内心を知ってか知らずかルイズは威勢よくビシッと指差した。 「大魔王一筋で、ウェールズ様を尊敬してて、わたしを認めてくれて、冷たい奴かと思ったら意外と熱くて……だったら正体が何だって関係ないわよ」 ルイズにとって彼は“自分が召喚した相手”であり、それだけで十分だ。 もう少し人に優しくしてほしいと思わなくもないが、大魔王の部下に言うことではないとわかっている。 この程度でいちいち動揺するような繊細さはいつの間にか失ってしまっていた。 ミストはしばし言葉を失っていたが、いよいよ開始する時刻になったため中央に移動した。 皆表情を引き締め空を見上げる。 ルイズは大きく息を吸い、精神を集中させた。ルーンが輝き他者をつなぐ。朗々たる声が可憐な唇から紡ぎだされていく。 力が集まり高まっていくにつれて大魔王の顔がわずかに歪んだ。膨大な力が体内で荒れ狂う衝撃は想像を超えていた。 心臓が潰れそうな、全身の骨が粉々に砕かれるような、凄まじい痛みが意識を責め苛み切り刻んでいく。負荷に耐えきれず口から血塊が吐き出された。 皮膚が所々裂け、再生してふさがるそばから再び裂傷が走る。地面に血の滴が飛び散り辺りを染め上げた。 それでも彼は鋭い眼光のまま力を注ぎ続ける。 ミストは自身の体を削ってルイズに送り込んでいたが、ルーンの働きか彼女の考えが伝わってきた。 あまりに力が大きすぎるため扱いが極端に難しくなっている。 だが、本人以上に体や技を使えるミストと力を合わせれば、成功に近づけるだろう。 (来なさいよ。わたしの中に) 「馬鹿な……。魂を砕くかもしれんのだぞ」 本人の意識が邪魔になり消してしまう可能性もある。何の恐怖もためらいも無く暗黒闘気の塊を受け入れようとするなど彼の理解を超えていた。 ルイズは怒ったようだった。 (そんなことしなくても……一つになれるわよ!) ウェールズとともに呪文を成功させた時のように。 今この瞬間、皆が望んでいる光景は――抱いている想いは同じだ。 ミストがゆらりと動き、ルイズの体に入り込んだ。意識を奪わずに二人で力をコントロールしようとする。 ルーンによって力が一つになり、ルイズの中に入ることで一体化した。 凄まじい力によって魔界だけでなく地上まで震え、世界全体が鳴動し咆哮する。 やがて渦巻く力の奔流が魔界の空に達し、眩い光が視界を覆いつくした。 閃光がおさまると黒雲に閉ざされていた空は完全に晴れ、温かく穏やかな陽光が魔界の住人を照らし、優しく包み込んでいた。 直接見ずとも、魔界各地で呪文に参加した者達もそうでない者達も歓声を上げたのがわかる。 彼らは口々に喜びの叫びを迸らせ、愉快そうにはしゃぐ。 荒れ果てた地面に寝そべり日光を浴びる者もいれば、瞼を閉ざし立ち尽くす者もいる。 太陽の恩恵についての詳しい知識はなくともわずかな間で悟ったのだ。これは生命に必要なものなのだと。 心が――世界が一つになっている。 それが確かに感じられた。 「やった……! やったわ!」 ルイズはガッツポーズをしたが、ゆっくり倒れこんでしまった。体が鉛のように重く、荒れ果てた地面が柔らかな寝床のように感じられる。 精神的な疲労も激しいため今すぐ宮殿に戻って休みたかった。 他の竜と魔族も意識を失って倒れ伏し、ヴェルザーは本当にやり遂げたと信じられないのか黙って空を見上げている。 ミストは前回のように消滅こそしないものの、消耗が激しく存在を維持するだけで精一杯だ。 そして、大魔王を見たルイズは思わず息を呑んだ。 全身が血に塗れ、目や口からも血が流れている。あちこちに刻まれた裂傷より内側の方が酷いことを想像させた。 数千年抱き続けた己の野望がついに叶ったというのにその表情は険しい。ルイズが一度も見たことのない表情だ。 単に傷や疲労が原因ならそんな顔はしないだろう。 (どうして? 一件落着じゃないの?) 不穏な空気の源はすぐに見つかった。 黒竜が大魔王に視線を向けて告げる。 「貴様の力は極端に落ち、警戒していた部下も存在しなくなった」 声は、残酷な歓喜に彩られていた。 「今なら簡単に殺せるな」 前ページ次ページゼロの影