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記録 女子やり投決勝 女子やり投予選(全2組) 記録 部類 記録 規格 氏名 所属 樹立年日 日本記録(NR) 61m15 0.600kg 三宅 貴子 ミキハウス 2001 日本ジュニア記録(JR) 54m53 0.600kg 松本 百子 口加高等学校 2005 日本高校記録(HR) 54m53 0.600kg 松本 百子 口加(長崎) 2005 大会記録(GR) 53m72 0.600kg 吉田 恵美可 添上(奈良) 2003 女子やり投決勝 女子やり投決勝 順位 記録 名前 所属校名 備考 1 52m51 吉見 明日香 大阪薫英女学院(大阪) 2 51m67 村上 美月 今治明徳(愛媛) 3 49m31 川述 優 大分雄城台(大分) 4 48m25 田上 恵 新宮(和歌山) 5 47m61 佐藤 友佳 東大阪大敬愛(大阪) 6 47m44 渡辺 茜 東大阪大敬愛(大阪) 7 47m18 高塚 裕子 名城大付(愛知) 8 46m66 宮本 紀澄 荏田(神奈川) 9 46m04 高橋 梨穂 いわき総合(福島) 10 44m01 島袋 優美 那覇西(沖縄) 11 42m62 鈴木 愛弓 竜ケ崎一(茨城) 12 39m87 高木 啓子 新湊(富山) 女子やり投予選(全2組) 女子やり投予選1組 通過記録:44m50 1 49m21 田上 恵 新宮(和歌山) Q 2 48m31 宮本 紀澄 荏田(神奈川) Q 3 48m02 佐藤 友佳 東大阪大敬愛(大阪) Q 4 46m81 村上 美月 今治明徳(愛媛) Q 5 44m72 鈴木 愛弓 竜ケ崎一(茨城) Q 6 44m08 高木 啓子 新湊(富山) q 7 43m95 高塚 裕子 名城大付(愛知) q 8 42m75 松蔭 麻希 苅田工(福岡) 9 42m15 塚本 遊 三池(福岡) 10 42m05 石田 葵 上尾(埼玉) 11 41m89 出路 梨絵 大磯(神奈川) 12 41m46 平原 沙也佳 豊浦(山口) 13 41m09 石川 真都香 青森北(青森) 14 41m03 村里 紘香 口加(長崎) 15 40m98 谷本 瞳 市船橋(千葉) 16 40m95 水口 七海 聖カタリナ女(愛媛) 17 40m69 池田 美乃里 鹿児島女(鹿児島) 18 40m19 鈴木 朝子 千葉黎明(千葉) 19 39m98 加藤 千裕 帯広農(北海道) 20 39m93 広瀬 未紗紀 久喜(埼玉) 21 38m56 田中 真央 至学館(愛知) 22 38m42 高橋 那奈 三島(愛媛) 23 38m11 鈴木 聖絵羅 北越(新潟) 24 37m89 田口 愛味 滑川総合(埼玉) 25 36m63 朝倉 智美 倉吉総合産(鳥取) 26 36m33 座間 千枝 函館大妻(北海道) 27 35m80 坪原 綾香 小松商(石川) 28 35m41 河野 由佳 宮崎南(宮崎) 29 35m34 中島 里菜 中村(高知) 30 35m23 木下 唯 金光学園(岡山) 31 35m22 坂本 愛咲華 英明(香川) 32 33m54 蘓武 彩織 宮城二女(宮城) 33 30m26 釜谷 英里 大麻(北海道) 女子やり投予選2組 通過記録:44m50 1 48m14 渡辺 茜 東大阪大敬愛(大阪) Q 2 47m94 吉見 明日香 大阪薫英女学院(大阪) Q 3 44m94 高橋 梨穂 いわき総合(福島) Q 4 44m61 川述 優 大分雄城台(大分) Q 5 44m26 島袋 優美 那覇西(沖縄) q 6 43m53 池辺 亜祐美 河浦(熊本) 7 43m50 萩原 麻子 豊田大谷(愛知) 8 42m89 吉良 夏穂 福知山成美(京都) 9 42m87 金原 莉沙 袋井(静岡) 10 42m12 中谷 咲弥 本庄東(埼玉) 11 42m03 松本 紗也加 八幡(滋賀) 12 40m15 八代 真友華 名城大付(愛知) 13 40m09 岸 さつき 丸子修学館(長野) 14 39m86 日高 美咲 宮崎工(宮崎) 15 39m64 土屋 祥子 矢板東(栃木) 16 39m38 小林 美奈 八王子(東京) 17 38m39 入口 真奈美 長崎女(長崎) 18 38m33 筧 彩乃 相川(新潟) 19 38m19 森 菜摘 小高工(福島) 20 38m18 石井 千賀 美作(岡山) 21 38m15 仰 梨江 伊勢(三重) 22 38m11 佐藤 志保 東京(東京) 23 38m10 伊藤 のどか 岩見沢西(北海道) 24 37m55 古川 葵 津田(香川) 25 36m67 紫葉 襟菜 軽米(岩手) 26 36m45 前田 理恵 鹿本(熊本) 27 36m40 中島 春奈 金沢学院東(石川) 28 36m22 三浦 典子 花輪(秋田) 29 36m21 田中 萌 八頭(鳥取) 30 35m77 松尾 美幸 口加(長崎) 31 35m64 山崎 紗知子 北見北斗(北海道) 32 34m88 高田 みずき 神辺旭(広島) 33 33m40 川口 茜 函館大妻(北海道)
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平成21年度[20勝12敗.625 1連勝] 対局日 棋戦名 対局相手 手番 結果 対戦成績 5/15 棋聖戦一次予選1回戦 村田智弘 六段 後手 ● 0-1 6/16 順位戦C2級第1回戦 村田智弘 六段 後手 ○ 1-1 6/29 銀河戦予選 淡路仁茂 九段 先手 ○ 1-0 7/4 朝日杯一次予選1回戦 早咲誠和 アマ 先手 ○ 1-0 7/7 順位戦C2級第2回戦 中村亮介 五段 先手 ● 0-1 8/11 朝日杯一次予選2回戦 小林裕士 六段 先手 ● 0-1 8/14 王座戦一次予選2回戦 脇謙二 八段 先手 ○ 1-0 8/25 順位戦C2級第3回戦 村中秀史 四段 先手 千日手 ○ 1-0 9/1 王位戦予選1回戦 前田祐司 八段 先手 ○ 1-0 9/18 王位戦予選2回戦 杉本昌隆 七段 後手 ○ 1-0 9/26 順位戦C2級第4回戦 田中悠一 四段 先手 ● 1-0 10/9 王座戦一次予選3回戦 小坂昇 七段 後手 ● 0-1 10/13 王位戦予選3回戦 淡路仁茂 九段 後手 ● 1-1 10/20 順位戦C2級第5回戦 佐藤紳哉 六段 後手 ○ 1-0 11/17 順位戦C2級第6回戦 遠山雄亮 四段 後手 ● 0-1 11/19 (9/30) 銀河戦Gブロック2回戦 清水市代 女流名人 先手 ○ 1-0 12/8 順位戦C2級第7回戦 淡路仁茂 九段 先手 ○ 2-1 12/17 (10/28) 銀河戦Gブロック3回戦 室岡克彦 七段 先手 ○ 1-0 12/26 竜王戦6組ランキング戦1回戦 早咲誠和 アマ 後手 ○ 2-0 1/7 王将戦一次予選2回戦 平藤眞吾 六段 後手 ● 0-1 1/12 順位戦C2級第8回戦 岡崎洋 六段 先手 千日手○ 1-0 1/14(10/28) 銀河戦Gブロック4回戦 佐藤天彦 五段 後手 ● 0-1 1/29 棋王戦予選2回戦 脇謙二 八段 後手 千日手○ 2-0 2/2 順位戦C2級第9回戦 稲葉陽 四段 後手 ● 1-0 2/5 竜王戦6組ランキング戦2回戦 田中魁秀 九段 先手 ○ 1-0 2/10 新人王戦2回戦 上田初美 女流二段 後手 ○ 1-0 2/19 NHK杯予選1回戦 矢倉規広 六段 後手 ○ 1-0 2/19 NHK杯予選2回戦 西川慶二 七段 後手 ○ 1-0 2/19 NHK杯予選3回戦 内藤國雄 九段 先手 ○ 1-0 3/2 棋王戦予選3回戦 山本真也 五段 後手 ● 0-1 3/9 順位戦C2級第10回戦 高崎一生 五段 先手 ● 0-1 3/24 竜王戦6組ランキング戦3回戦 伊藤真吾 四段 先手 ○ 1-0 【第68期順位戦 C2級】 回戦 対局日 対局相手 手番 結果 棋譜 対戦成績 1 6/16 村田智弘 六段 後手 ○ 有 0-1 2 7/7 中村亮介 五段 先手 ● 有 初対戦 3 8/25 村中秀史 四段 先手 ○ 有 初対戦 4 9/29 田中悠一 四段 先手 ● 有 初対戦 5 10/20 佐藤紳哉 六段 後手 ○ 有 初対戦 6 11/17 遠山雄亮 四段 後手 ● 有 初対戦 7 12/8 淡路仁茂 九段 先手 ○ 有 1-1 8 1/12 岡崎洋 六段 先手 ○ 有 初対戦 9 2/2 稲葉陽 四段 後手 ● 有 初対戦 10 3/9 高崎一生 四段 先手 ● 有 初対戦 【第81期棋聖戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 1次予選1回戦 5/15 村田智弘 六段 後手 ● 初対戦 【第51期王位戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 予選1回戦 9/1 前田祐司 八段 先手 ○ 初対戦 予選2回戦 9/18 杉本昌隆 七段 後手 ○ 初対戦 予選3回戦 10/13 淡路仁茂 九段 後手 ● 1-0 【第58期王座戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 1次予選2回戦 8/14 脇謙二 八段 先手 ○ 初対戦 1次予選3回戦 10/9 小坂昇 七段 後手 ● 初対戦 【第3回朝日杯将棋オープン戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 1次予選1回戦 7/4 早咲誠和 アマ 先手 ○ 初対戦 1次予選2回戦 8/11 小林裕士 六段 先手 ● 初対戦 【第18期銀河戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 予選 6/29 淡路仁茂 九段 先手 ○ 初対戦 Gブロック2回戦 11/19 (9/30) 清水市代 女流名人 先手 ○ 初対戦 Gブロック3回戦 12/17(10/28) 室岡克彦 七段 先手 ○ 初対戦 Gブロック4回戦 1/14(10/28) 佐藤天彦 五段 後手 ● 初対戦 【第41期新人王戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 本戦2回戦 2/10 上田初美 女流二段 後手 ○ 初対戦 本戦3回戦 渡辺大夢 三段 【第23期竜王戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 6組ランキング戦1回戦 12/26 早咲誠和 アマ 後手 ○ 1-0 6組ランキング戦2回戦 2/5 田中魁秀 九段 先手 ○ 初対戦 6組ランキング戦3回戦 3/24 伊藤真吾 四段 先手 ○ 初対戦 【第36期棋王戦】 対局日 対局相手 手番 結果 対戦成績 予選2回戦 1/29 脇謙二 八段 後手 千日手○ 1-0 予選3回戦 3/2 山本真也 五段 後手 ● 初対戦
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愛崎一美という少女を語ることは、非常に困難だ。 彼女には一貫した在り方がなく、直ぐに大きな波に流されてその人物性さえも投げ捨てる。 水は物質を溶かし混む性質を持っているが、言うならば一美のそれは水溶液にも等しかった。 何かに染まることでがらりと存在自体を変革させる、愛崎一美とはそういう生き物である。 ある並行世界では殺人鬼に影響されて『人殺し』になり、この世界では悪人を志している始末。 白崎ミュートンと酒々楽々の二人が彼女に与えた影響は、なかなかに甚大なものだった。 唯一無二―――そう表現するだけの価値がある親友の存在を、忘却させてしまう程に。 「ごめん、あれ? えっと、ちょっと待ってくれおにーさん」 心から混乱した様子で、一美はこめかみに可愛らしい手を当てて眉間に皺を寄せる。 紆余曲折は唖然とした風に黙って彼女を見ているが、そんなことは気にもならなかった。 "ひとみん"。 ついさっきまで普通に会話の中で名前を出していたことは、如何に彼女と言えども覚えている。 口にしている時はごく自然で、何の違和感も抱くことなく使っていた。 一美くらいの年頃だと、自分が知らない難しい言葉を格好つけて使いたがるのも珍しいことではない。 現に愛崎自身も経験のあることだし、その方が話していて気持ちいいこともままある。 だから、このひとみんとかいう訳の分からない単語もまた、大した意味のない下らない知ったかぶり。 知らないものを思い出すことは出来ないんだから、これはどうでもいいこと――とは、思えなかった。 「……みすてりーだな」 ひとみんの意味は理解するどころか、その取っ掛かりを掴むことさえ出来ない。 遠い昔の記憶のように、思い出せない筈はないと分かっているのに、思い出すことは出来ないのだ。 悪人の在り方を嫌悪することもなくあっさりと受け入れた少女は、ここで初めて嫌悪の情を懐いた。 ―――気持ち悪い。 難しいパズルを解いていて、途中でピースが一個足りないことに気付くような気持ち悪さが、愛崎一美の心に僅かながら苛立ちをもたらしていた。 無邪気な顔に不機嫌の色を滲ませつつ、一美はどうにか思い出そうと四苦八苦する。 学校の思い出。 クラスメイトの顔。 何処にでも居るような教師たち。 時たますごく面白いものを提供してくれる、知識の宝庫たる教科書。 未知の溢れかえる理科室(塩酸をマグネシウムにかける実験が好きだった)。 どうでもいい記憶から、一美が興味を懐くに到った重大なものの記憶もそれなりには覚えている。 だが、どれだけ検索をかけようと『ひとみん』に関する記憶(ワード)だけは見つかってはくれなかった。 白崎なら分かるだろうか。 どうして思い出せないのかも、あの魔法使いのような男なら分かるだろうか。 意地の悪い邪悪な笑顔で、一美にアドバイスを出してくれるだろうか。 白崎は悪人の鑑だから、アドバイスは出すけど悩む一美を見て楽しむかもしれない。それも悪くない。 「あー、推理小説の犯人の名前にラインマーカーが引かれてたような気分だァ」 よく分からない喩えを持ち出して溜め息をつく一美。 そうしていれば年相応の少女で、紆余曲折にはとてもこれが、あの邪悪な笑顔の主とは信じられない。 いや――彼女は何者かによって『変革』されたのではないか、と彼は考える。 ここまで悪人に染まれるなんて、余程のカリスマ性と話術がない限り無理だ。 記憶を失っているらしいことだって、突発的過ぎて物忘れとは思えない程に不自然。 そこで、紆余曲折はひとつの仮説を導き出す。 憶測に近い話ではあるが、そんな人間離れしたやり方を証明するにはもってこいの道理を、『四字熟語の殺し合い』に参加させられていた彼は知っていたからだ。 (………ルール能力) ルール能力。四字熟語たちに与えられた、原理不明の力。 『紆余曲折』ならば『迂回』の力を与えられ、『一刀両断』なら『一刀両断』する力を与えられる。 このバトルロワイアルの参加者では四字熟語を冠された方が少数派ゆえ、全ての参加者にルール能力が付与されていると考えるのは少々無理があるだろう。 だが、この殺し合いでもルール能力に準ずる力を持つ参加者が居るとは考えられないだろうか。 少なくともそう考えるのが、眼前の少女に起きている異常を説明するには最も適していた。 さあ、どうするか。 愛崎一美が微小であろうと揺らいでくれたことで、紆余曲折にも未来が見えてきた。 冷静に考量すると、一美が考え込んでいる隙に彼女を銃で威嚇でもしたなら良かったのかもしれないが、そういうことを考え始めるときりがないので止める。 今考えるべきことは、如何にしてこの窮地を脱するか、ただそれだけだ。 電流の速さの前では迂回が意味を為すかは怪しいし、身を挺して確かめるようなことも無理。 小学生に生殺与奪を握られている状況というのは空しいものがあった。 「うーん……」 こう言うのは大人げないが、間抜けなことに獲物を目の前にして一美はまだ記憶を掘り返している。 慢心――こういった状況では最も忌避されるべき行為を、平然と冒している。 思い出すことを諦められる前にどうにか打破しなくては、本当にここで死ぬかもしれない。 そんな馬鹿なことがあってたまるかと、吐き捨てたくなる気持ちを必死に胸中に押し込めた。 武装はひとつ、コルトM1908ベストポケット。 弾数は記憶が正しければマックスの六発弾丸が入っている筈だ。 これで一美を撃てば状況は一変、優位は逆転するだろう。 しかしあのコードを的確に撃ち抜くような真似は出来ないし、やるとすれば一美本人を狙うしかない。 ……本気で言っているのか、と紆余曲折は自嘲的な笑みを浮かべる。 たかが一度殺し合いを経験しているからといって、これはそんな柔な窮地ではない。 相討ちなんかじゃ意味がないのだから、どうにかして生きて、出来れば無傷で抜けなければならない。 それに―――相手は小学生。精神的にはまだ弱い年頃だ。 泣かれでもして誰かに見つかれば、どちらが悪人かなんて一目瞭然である。 ……愛崎一美の本質を誤解している彼は、ひとつミスリードを冒していた。 (やっぱり……いつまでも時間を稼いでもいられないよな) 紆余曲折は気付かない。 愛崎一美は、別に自我をねじ曲げられて悪人にされた訳ではないのだ。 記憶に干渉したのがとある悪人だとして、しかし悪人になりたいと志願したのは他ならない彼女自身。 普通の小学生と断じてしまうには、少々愛崎一美は行き過ぎている。 改心させるのは容易いが、彼女を新たに染め得るだけのものを紆余曲折は持っているかと言われれば、記憶を失っている彼では役不足だ。 そんなことを知る筈もなく、何かを違えたまま紆余曲折は必死に考えを絞る。 「なぁなぁおにーさん。おにーさんのせいであたし、すげー気分だ」 とんでもない方向からの言い掛かりが飛んできた。 これには紆余曲折も思わず突っ込みそうになる。 「ひとみんって何なんだよ。あー、責任としておにーさん、答えを教えてくれよ」 「……僕は何も知らないよ。ただ、名簿にそれっぽい名前があっただけなんだ」 「それっぽい……さっき言ってた榎本とかゆーやつのことか」 紆余曲折と愛崎一美は初対面なのだ、彼女が思い出せないことを彼が知っている訳がない。 ただ、彼女が話の中に交えていた『ひとみん』というワードに合う名前を言ってみただけだ。 実際のところ、『ひとみん』なる人物はこの会場にはおらず、今も何処かで普通に暮らしているのかもしれない。そこのところは当然、紆余曲折の預かり知るところではない。 が―――活路が見えたと、紆余曲折は思った。 単に思い出せないだけなら、ものの一瞬でそんな些事は切り捨てて、殺しにかかっている筈。 それをしないということは、彼女の深層心理にはまだ『ひとみん』の存在が根付いていることになる。 ならばまだ、彼女にかかった一種のマインドコントロールを解くことは可能だ。 慎重に、一美の気を変わらせてしまわないように彼は口を開く。 「愛崎ちゃん。君はさっきから話の中に、『ひとみん』という言葉を何度か使っていた」 「うん、それは覚えてる」 やはり消されている記憶はごく部分的なもので、故意に改竄されたようにしか見えない。 僅かな突っ掛かりを残すあたり何を考えているのか分からないが、恐ろしい奴だとは思う。 記憶を消されている自分だからこそ、その辺のことはそこらの人よりは理解できているつもりだった。 「僕は愛崎ちゃんのことを全然知らないけど、ひとつだけ心当たりがあるよ」 「え、ほんとうか!? おにーさん、すげえな! 天才だな!」 無邪気な驚き顔で音量も気にせず叫ぶ姿はなかなかに愛らしい。 ロリータ・コンプレックスの気は無い紆余曲折でも、可愛い子供ということは分かった。 出来ればそのコードをどこか安全な場所に置き直して欲しいものだけど、それはまだ早い。 完全なギャンブルではあるものの、もしも成功すれば危険因子を暴くことも出来る。 少なくとも銃を用いて行うギャンブルよりかは、ずっと紳士的で、リスクも少なく思えた。 使う武器は言葉のみ。 的中するかは運任せ。 成功したらこの場を掻い潜れるし、失敗してもすぐに破滅するとは限らない。 生き抜くためにはここが正念場だ――紆余曲折は、慣れないことをする不安を圧し殺す。 「……愛崎ちゃん――「ひとみん」って人は、君の大切な人なんじゃないのかな?」 がしゃん、と音がしたような気がした。 一美はぽかん、と口を僅かに開けて紆余曲折を見て、納得したようにぽんと手を叩いた。 全てに合点がいったような表情で何度も頷き、やがて「うん、うん」と声まで漏らし始める。 彼女の中に蔓延っていた疑問だとかそういうものが消えたようで、一美は向日葵のように笑った。 「そっか、ひとみんってのはあたしの大切なやつだったのか! 誰かは分かんないけど、すっきりだ!」 記憶を戻すことは出来なかったようだが、それが自分にとってどんな意味を持つのか、彼女はどうにか理解することが出来たようだった。 だがまだだ。何者かが施した洗脳はまだ解けていないようだし、油断は禁物だ。 紆余曲折の行おうとしている賭けが成功するには、あともう一つ踏まなければならない過程がある。 「ひとみん」が何なのかを示唆するくらい誰でも出来る、問題はここからどう転がすか。 コードを手離させる為に、一番の正念場を越えなければならない。 「それで、「ひとみん」に一番近い「榎本瞳」……この人も、愛崎ちゃんは殺すのかい?」 何度も言うようだが、紆余曲折は榎本瞳と愛崎一美の間柄をまったく知らない。 それどころか、両者の間に明確な繋がりがあるのかも実のところ不明瞭だ。 はったりをかましているような気分に胸の鼓動が早まって心地悪い。 実は憶測は見事的中しており、本当に二人は親友同士なのだが、彼がそれを知っている筈もなかった。 綱渡りをしているかのように不安定な状況、一美の挙動ひとつで全ては終わる。 心臓が破裂しそうなまでの緊張感を、しかし迂回させようとはせずに、甘んじて受けていた。 この緊張は有用だ。 これを失って下手なドジを踏むよりかは、一手をよく吟味し、慎重にやっていく方がずっとマシ。 銃口を喉元に突き付けられているにも等しい窮地と知った上で、彼はただ少女の返答を待っていた。 「……うー、殺したくはないかもなっ」 嫌そうな顔をして、愛崎一美はそう吐露した。 たとえ悪人として洗脳されていても、その思いがあればまだ引き戻せる。 自分が生き抜くための手段として行おうとしていた一連の賭けが、思わぬ結果を生みそうなこの流れに、紆余曲折は不敵な笑みを浮かべたくなった。 順調だ。 どこの誰がこの少女をこんな風にしたのかは分からないが、正体を広められてはひとたまりもない筈。 逃げ場を失わせれば厄介な奴が勝手に自滅してくれる可能性だってある――行幸の極みだ。 ここで畳み掛ける、確かな自信をもって紆余曲折は再び、彼女を改めて壊そうと言葉をかけた。 「じゃあ、今からでも僕と一緒に来ないか? 僕は乗っていない。一緒にこのゲームを―――」 思わず頬を緩めて、笑顔でそう言いかけた時だった。 より正確に言うならば「僕と一緒に来ないか」のくだりを言い終えたあたりで、一美が変わった。 今までそれが僅かであろうと確かに存在していた彼女の躊躇めいたものが、瞬間的に切り替わった。 まるで何かを思い出したように、感情を隠せない子供のように、愛崎一美は変化した。 顔に浮かぶ表情は笑顔――ただし、それは邪悪さを惜しむことなく押し出した悪人のもの。 纏う雰囲気は近寄りがたいまでの悪意に変わり、紆余曲折が失敗したことを暗に告げていた。 彼女を新たに染め直すことは紆余曲折には叶わず――それも、ふたりの悪の仕業である。 白崎ミュートンと酒々楽々、ふたりが教授したある「敵」のやり方を、一美が思い出したからだ。 「『何かにつけてやれ仲間になろうだ、やれこんなこと止めようだ――そういうことを喚く奴が俺達悪人の敵だ。騙されてはいけない』……白崎の言葉、思い出せてよかったぜ」 白崎。その名前は名簿にあった。 確かミュートンとかいう珍しい名前だったから、思い返すまでもなくぱっと脳裏に浮かんできた。 白崎ミュートン、その男が一美を悪人として育成したと考えるのが自然だろう。 しかしその情報を手に入れられたところで、これではそれを活かす間もなく殺されてしまう。 あのコードが紆余曲折に突き付けられた死神の鎌で、最早蛇に睨まれた蛙も同然の状態だ。 こうなれば駄目元で《迂回》させるか、殺人犯の謗り覚悟で銃を使うしかない。 どちらにしても背に腹は代えられない、どちらかを選ばなければここで自分は死んでしまうのだから! 苦肉の策ではあるが、紆余曲折は後者、相討ち覚悟で銃を使うことに決めた。 少なくとも電流を直で浴びて何もできないよりかはマシな作戦だ。 グリップを強く握り、手離さないように両手でしっかりと握り締める。 一美も紆余曲折が和解の道を放棄したことに笑みで応え、コードを揺らして見せた。 やるしかない――紆余曲折が引き金に指を掛けた、その時だった! 「―――――ガァァァアアアアッ!!!」 サイエンスドキュメントでしか耳にしないだろう野獣の咆哮が、フロア一帯に響き渡ったのだ。 これには一美も紆余曲折も、行おうとしていた一連の行動をキャンセルされてしまう。 次の瞬間、物凄い勢いで駆けてきた一匹の狼が、器用に一美の持っていたコードを噛み、顎の力だけでそれを近くの棚にまで投げ飛ばした。 棚の上に乗ったそれに落ちてくる様子はなく、どうやら危機は脱したようだった。 唖然としている紆余曲折を余所に、一美は突然乱入してきた狼にも臆することなく口を尖らせる。 「ちぇっ。後少しであたしの悪人としての初仕事がたっせーできたのになんてことすんだよ」 「悪人なんていいものじゃない……!」 諭すような口調で言い聞かせる狼だが、一美を揺るがすには全く足りないものだった。 誰かの主観で物事を語られたところで、所詮聞く側からすれば只の戯言。 折角良い所だったのに邪魔をされてしまった、そのぐらいの認識でしかない。 愛崎一美は、次の瞬間ディパックに手を入れ、一個の瓶を取り出した。 普通なら彼女のような小学生が知っている代物ではないのだが、既に白崎たちから説明は受けている。 炎を生み出す『魔法の瓶』―――火炎瓶。 曲がりなりにも警官である狼にはその意味が直ぐに理解でき、急いでそれを奪い取ろうとした。 しかし一美の手は火炎瓶を強く握っていて、下手なことをすれば大惨事が予想される。 このデパートそのものが最悪消し炭だ――それは、良いことではない。 そして一美もまた、本当にこの瓶を使う気はなかった。 いくら無邪気な彼女でも、こんな場所でこんな物を使えば自分達まで危ないことは分かる。 あくまで脅す為だけに使え、特にこのデパートの中なら有効だ。 そう白崎に指示を受けて、現に狼の行動を止めることに成功した。 火炎瓶の燃え広がり方は早い。熱帯魚コーナーの水で鎮火しきれない可能性だって十分にある。 売り物の魚達もろとも丸焼き、なんてことになってからでは遅い。 筋書き通りに事が進行していることに満面の笑顔を浮かべて、一美はにしし、と声を出して笑った。 そして、お決まりの悪人らしい台詞を吐くのだ。 「ここからいなくなれ。そしたらこれ、使わないでやる」 本当なら、ここで本物の悪人らしく殺人を犯してみたかった。 だがコードを改めて回収する隙を与えてくれる程、こいつらは馬鹿じゃないだろう。 ここは汚い手段を使って、より格好よく切り抜けるのが悪人らしい。 狼――香坂幹葦と紆余曲折の胸中はきっと同一のものだ。 彼女の異常性に、恐怖めいた感情さえ懐く。 その点において、一美は自身の目指す悪人に着々と近付けている、ということになる。 「どうした、使っちゃってもいーのか? きっとここは火の海だろうなァ。 デパートで火事なんてことになったら、すぐに煙がじゅーまんして大変なことになるよな。 おにーさん達があたしに従わなかったせいで、一体なんにんが死ぬんだろうなぁー?」 それは見事なまでの脅迫だった。 警官であるとはいえ香坂もまさかこんな状況を想定したことなどない。 スプリンクラーがまともに機能しているかも怪しい現状で、何としても火を放たせることは出来ない。 火事で一番多い死因が焼死ではなく煙を吸い込んでの中毒死であるというのは有名な話だが、こんな中途半端な階数で火事が起きれば煙だけでなく建物の倒壊だって危惧される。 どんな観点から見ても危険しかないこの状況、条件を了承する以外に選択肢は無いようだった。 「……分かった。だけどひとつだけ。少し離れた場所でいいから、俺の話を聞いてほしい」 「あ? ……ま、いっか。じゃああそこの一際でっかい水槽まで下がってくれ」 黙って指示に従い、香坂は指定された水槽の位置まで下がっていく。 紆余曲折も最悪の事態を回避するために、香坂の少し後ろまで後退した。 一美はまだ火炎瓶を手離していないあたり、何か行動を起こすことはまず無理といえる。 香坂幹葦もまた、体内に回りつつある催淫効果の嫌悪感に耐えるばかりだった。 それでも彼を繋ぎ止めていたのは、いいことがしたいというただそれだけの欲求。 いつもなら空回りするだろうそれも、誰かの命の危機とあれば正常に回転してくれた。 「偉そうに説教する気はない……僕も、悪いことをしたからな」 「悪いこと? どんなことをしたんだ、教えてくれっ」 悪人を目指す少女は瞳を輝かせ、さっきまでの邪悪さは何処へやら年相応の好奇心を見せる。 その好奇心が果てしなく間違っている方向に向かっているとしても、子供らしさはそこにあった。 香坂は話しながら思い出す。 自分のやってしまった悪いこと。 ブルース・ヤスパースを撃ってしまったこと。 何をされた訳でもないのに彼を傷付けて、あろうことかその場から逃げ出してしまったこと。 ついさっきなんかは助けた相手に裏切られるわ、警官の癖してまともな説得も出来ないわ。 はっきり言って、散々極まる数時間だった。 「はははは。なんだそりゃ、なんつーか……誰かさんなら惨めですね、って言いそうだぞ」 「しかももっと前には、何を血迷ったか悪人になりたいなんて考えてたよ」 「でも分かんないな。どーして悪人になるのをやめたんだ? 悪人の方がきっとーー楽しいぞ」 悪人がどれほどスリリングで楽しい生き方かは、白崎と酒々楽々からしっかり教わった。 他人を常に蔑み、踏みにじり、嘲り、利用し、使い捨て、自分が愉しければ今際の際だって高笑い。 やり方次第じゃ善人よりずっと楽しい人生が謳歌できると、白崎は語ってくれた。 酒々楽々も白崎も一度死んだとか言っていたが、そうとは思えないほど愉しそうだった。 あんな風になって楽しい思いをいっぱいするのと、善人なんかのまま人生を無駄にするのじゃどちらがマシかなんて比べるまでもない。 一美の言葉を聞くと香坂は寂しげな笑顔を浮かべて、 「……僕もそう思っていた……だけど、いいことをするために頑張る方が清々しい」 と、途切れ途切れの口調で語った。 体調が良くないのか、心なしか重心がぐらついているように見えなくもない。 悪人なら、ここで弱っているところを攻撃するのが正しいだろう。 火炎瓶でなくたって、そこら辺の水槽を投げつけたっていい。 なのに―――どうしてか愛崎一美は、香坂幹葦に何かを感じ始めていた。 「これで、僕の話は終わりだ。……君も、頑張れ」 聞いているだけで笑いが込み上げてきそうな散々尽くしの目に遭って、小学生一人説得できずに。 お勧めしてあげているのに善人なんて愚かなものを目指し、更にふらふらの狼。 怒りとやるせなさで狂乱してもおかしくないのに、どうしてあんな顔で笑うのか。 良いことをすることが出来た嬉しさを噛み締めているような顔で笑うのか。笑えるのか。 そんな笑顔を見せられたら―――― 「なんだよ、それ」 一美は、彼女以外の誰にも聞こえないだろう消え入るような声で呟いた。 「……楽しそうじゃん」 もう人生で何度目か分からない、自分の中の何かが書き替わる瞬間。 普段ならば書き替わるというより「吸収する」が正しいのだが、ここはバトルロワイアル。 彼女にとっては強すぎる刺激となり、またも大きく彼女は変化する。 香坂幹葦という青年は、悪人になりたいと思っていた頃から散々な目にばかり遭ってきた。 特にこの殺し合いに招かれてからは、運が悪いでは済まないくらいロクな目に遭っていない。 そんな香坂が、一美に興味を持たせた。 悪人になりたいという「心」を塗り替え、少しずつだが「良いことをしてみたい」に変わっていく。 いつもの彼女だったなら、この後程なくして善人思考に変化し、正義のヒーローじみたことをする。 香坂達は、いつの間にやら去ってしまった後だった。 もう少し「良いことをする」ことについて聞いてみたかったのに、と一美は残念そうに溜め息ひとつ。 「……それじゃ、白崎達をかいしんさせてみようかな」 手始め、のつもりだったのだろう。 彼女は悪人二人をして「化け物」と形容させる程に、凄まじい吸収力を保有している。 だがその内面は所詮小学生、算段を微細に立てて行動するだけの思考には至らない。 それがいけなかった。 とんでもない悪人としか認識していない二人の「おじさん」を改心させようなんて、無謀にも等しい目標を最初の取っ掛かりに据えてしまったこと、それが彼女の失敗だった。 思い立ったが吉日、一美はすぐに走り出して、適当なエレベーターに乗る。 二階のボタンを押して、白崎たちを捜すことにした。 香坂幹葦のように良いことをしてみたくて、悪人を善人にする、そんな良いことをするために。 ――不幸にも、彼女は最初にボタンを押して行き着いた二階で無事白崎たちと再会した。 もしも別の、あと少しでも良識のある参加者に出会えていれば良かったものを、こんなところで無駄なまでの幸運が味方し、一美に再会をもたらしてしまった。 アリスは、およそメルヘンとは無縁の悪意に触れる。 ◆ ◆ 一美が希望に目覚めるより少し前、白崎ミュートンと酒々楽々の二人は未だ談義に花を咲かせていた。 今度の話のネタは今までにやってきた悪いことの暴露……早い話が悪行自慢である。 才能を保有している白崎のやることは良くも悪くも派手だが、陰湿さや隠密性では酒々楽々のやってきた悪事にも見習うところはある、と白崎は感心した。 あれだけの大事件を引き起こしたのだ、心の何処かで自分は新たな探求を怠っていたかもしれない。 ましてやあの施設に幽閉されていた身、こうして誰かと悪事を語り合うのはなかなか新鮮だった。 酒々楽々には「嘲る悪意」のような才能が無いが、酒の霧という汎用性の高い力を持っている。 これを街中だとかでばら撒いて、酔っ払いの地獄絵図を産み出してみるのも悪くない。 お高く止まる高い地位の人間に使えば、一瞬でその高みから引きずり下ろすことも容易いだろう。 見果てぬ悪の道に、酒々楽々もまた言い知れぬ奥深さを感じていた。 煙草の吸殻を床に捨てて揉み消し、僅かに残る火種を見て酒々楽々は思い出したように言う。 「そういやあの嬢ちゃん、火炎瓶使ってねえだろうな……おれたちまで死ぬぞ」 「まあ、確かに俺も一酸化炭素を壊すことは出来ないしな……でもま、大丈夫な筈だ」 確信をもっているかのような口調でにやりと笑う白崎。 一美にあれの使い方を教授した張本人である彼だが、実は彼も使い方なんてよく知らない。 そんな物理的な悪行を行ったことはあまり無い白崎は、漫画でちらっと見たうろ覚えの知識を適当に、だがそれっぽく聞こえるように一美に吹き込んだだけだ。 使った瞬間に火達磨、なんて落ちも考えられる危険な行為に、しかし白崎は微塵の恐怖も懐かない。 「あいつの飲み込みの早さは凄いの一言だが、悪人らしさを求めるなら俺の指示に従う筈だ」 「『瓶を威嚇以外で使うな』だったか。妙なこと言うと思ってたぜ」 「俺だって煙にまかれて死ぬのは嫌だよ」 雑談のようなノリで物騒な会話を交わす二人からは、常に邪悪の片鱗が覗いている。 足元で弱々しくオレンジ色に輝く火種を靴底で完膚なきまでに踏み消した。 「俺が心配なのは、あれがちゃんと火種になってくれてるかだな」 白崎のいつにない弱気な台詞に、酒々楽々は酒臭い息を撒き散らしながら笑った。 一美に妙な指示を出したのは酒々楽々だが、その後彼女を放っておいたのは白崎だ。 その彼がこんな台詞を吐くとは、雨でも降るのではないか、というぐらいには珍しい。 「実のところ、今はちょっと後悔してるぜ。もっと徹底的にやるべきだったか、とな」 「だから徹底的にやったら面白くないって言ったのはどこの誰だよ、ハハ」 「……あいつ、ちょっとでもおかしい奴に会ったら変わるぞ」 「嘲る悪意」を使えば精神を叩きのめすことは赤子の手を捻るより更に容易だ。 ただ、もしも悪人は見敵必殺というレベルまで極端な影響を受けられると話は少し面倒になる。 あれはただの小学生に過ぎないが、それでも刃物を持てば大の男を殺せる可能性はある。 万一ということを考えれば、愛崎一美に限って言うなら徹底的にやるべきだった。 榎本瞳を忘却させてある程度ストッパーを外したとしても、変なスイッチが入っては意味がない。 白崎ミュートンはここにきて、初めて自身の采配を反省した。 「心配なら見に行くとしようぜェ、そろそろ丁度いい頃だろ」 「ま、もし本当にヤバかったら頼んだぜ、酒々楽々」 「応よ。軽ーく酔わせて行動不能にしたらァ」 「殺すなよ。ちゃんと扱えばあんな面白い駒はそう居ないんだからな」 「はいはい分かってますよ、大将」 熱帯魚コーナーに戻るため、二人は手近なエレベーターを目指して歩き出す。 ごーっ、という聞き慣れた重々しい音が響いて、二人はその足をほぼ同時に止めた。 逃げるか立ち向かうかは相手次第だが、ひとまず《酒の霧》+「嘲る悪意」があれば戦える。 一見無防備な二人は各々の臨戦態勢を整え、エレベーターのドアがゆっくりと開くのを黙って見る。 中からとてとてと歩いてくる少女は、彼らが今からまさに様子を見に行こうとしていた人物だった。 愛崎一美。 その愛らしいフェイスを笑顔に染めて、小学生相応の無邪気さで走り寄ってくる。 瞳に爛々と輝く希望の光を見て、二人の悪人は同時に思った。 《ああ、何かに染まってきやがったな》と――――。 「どうだ、上手くやったか?」 我ながら白々しいとは思うが、手っ取り早く彼女がどうなっているかを判別する手段であった。 皮肉にも彼の狙い通りに、落ち着かない様子で一美は白崎達に興奮を隠そうともせず言う。 「そんなことより、あたしもっと楽しいこと見つけたぞっ!」 酒々楽々は、深い酒臭いため息をついた。 白崎ミュートンは、動揺はしなかったが静かに「才能」を使用する準備をした。 そして愛崎一美は二人の心情を察しようともせずに、自分の言いたいことを口に出す前に整理する。 溢れ出さんばかりの言いたいことを、二人の心にしっかり響くように整理する。 脳裏に再生される光景は、未だ瑞々しいついさっきの一連のやり取り。 電流を流してとある青年を殺そうとしていた矢先、そこに颯爽と現れた一匹の狼。 コードと塩水を使った殺人作戦はおじゃんにされてしまったが、火炎瓶で悪人らしいことをした。 その後狼の散々な話を聞いて、良いことをしたいという彼の考えを楽しそうだと思った。 それから、白崎たちを改心させて悪人同盟から善人同盟にしようと思った。 整理はついた。 すぅーっ、と息を大きく吸い込んで、自分の言いたいことを全てぶちまける! 「あたしは気付いたんだよ。いや、気づかされたって言った方がいいな。 悪いことをすることは確かにたのしーよ、誰かをめちゃくちゃにしたりするのってすげー憧れるし。 白崎に言われた通りに魚をいじめてたけど、塩水で苦しむあいつらを見てたら顔がにやけた。 えものは取り逃しちゃった。へんなおおかみがらんにゅーしてきてよ、でも瓶で脅してやったんだ。 そしたらそのおおかみがすげー散々な目に遭ってきたらしくてさ、なのにそいつ、うーんなんてゆーんだろうな、ぜんっぜん辛そーに見えなかった。 腹でも痛いのか知らないけど体調悪そうなのに、良いことするのは楽しいって笑ってた。 今まで良いこと出来なかったのがやっと出来て嬉しーみたいだった、それがすげー楽しそうでさ。 悪いことした後にする笑顔よりずっと楽しそうに見えて、あたしはそこでやっと気付けたんだ! 悪いことするより良いことした方が楽しいって気付けたんだよ、すげー発見だ。 だから悪いやつってアニメとかで必ず負けるんだろうな、って納得できちゃった気がするよ。 それに気付けた瞬間に、もうなんか、今までやってたこと放り出して良いことしたくなった! ひとりじめしたいのは山々なんだけど、あたしはおじさん達を改心させて良いことすることにした。 おじさん達も良いことすればまた誰かが良いことして、そうやってれば全員死なないで済む! こんな良いこと考えるなんて、あたしは自画自賛したくなっちゃうよ。 そんな訳でお前ら、あたしのために改心してくれ。 すげー楽しいから、お前らもきっとすぐに気に入るぞ。 そしたらあたしらは善人同盟だ! 良いことをするための同盟、どうだこれ、なあ――――」 「ふーん、そうか。まあお前は影響を受ける質だから予想していたことではあるぞ。 だが面白そうなので俺にもちっと喋らせて貰おうか。もちろん話題は善人の愚かさ、悪人の楽しさだ。先に言っておくがな、お前は騙されてるぞ。良いことをする程つまらないんだよ。 例えばお前、お前が財布を拾って交番に届けたとしよう。良いことだな。 無論俺や酒々楽々なら中身どころか財布ごと速攻で持ち帰るが、お前はこれを届ける。 法律だと届けた奴は一割だったか、とにかくちょっと貰えるんだったと思うからお前にも見返りがあるな。だが考えてもみろ、逆の場合はどうなる? お前が頑張って財布届けた帰り道に、お前も財布を落っことすんだ。 中身は何千円でも何百円でもいいけど、重要なのはその財布がどうなるかってことだ。 お前は目先のカネを掴まずに届けたが、十中八九お前が落とした財布は帰ってこないだろう。 交番に届けられていても中身は期待しない方がいいな。その時お前は、どうしようもなくなる。 どうしようもない空しさに襲われて、そんな不毛なことを何度も繰り返す内にまた思うのさ。 「あー、悪人は楽しそうだな」と、また悪人に逆戻りするだろうさ。 それだけこっちの世界は甘い。欲望に忠実になるから、腹の中に無意識に見返りを求めて善を働く馬鹿共に比べたらその生き方もどれほど美しいことか。 悪ってのは甘美だ。故に善人のような苦しみがなく、常に己の楽しさを追求できる。 良いことをするのは楽しい? はん―――そんなもん、何も知らねえ奴の台詞だぜ」 整理したつもりが全く整理されていない一美の言葉を、白崎は同じく言葉の嵐で押し返した。 答えるような真似をする前に十八番の才能を使ってやればいいものを、わざわざ彼女が懐いた希望をぐちゃぐちゃに塗り固め、壊すあたりーーまさしく、悪人のやり方だ。 酒々楽々はそのカオス極まる光景を見て、下品な笑い声をあげた。 才能を使わずとも十分じゃねえか、と叫び散らしたい衝動を堪えるのが大変だった。 だがそれで愛崎一美という少女がへこたれないのは白崎が既に分析済みだ。 別に舌戦くらいならいつまでも続けてやれて、彼女の渾身の理論をことごとく覆し続けてやるだけの自信はあるのだが、正直不毛にしか思えないので面倒臭い。 茶番は終わりといった様子で、白崎は口元を薄い弧の形に歪めた。 それが真なる言葉の暴力――才能・嘲る悪意で一美をねじ曲げる前の合図であることは明白だった。 彼から説明を受けていない一美でも、本能的に自分の辿る運命を悟ったようだ。 耳を塞いでもその隙間から入ってくる声が病魔となって脳を冒す。 暴れようものなら酒々楽々だっている。 そもそも一美が戦ったところで、白崎ミュートンという男をどうにかできるとは思えない。 どうすることも出来ずに、白崎の瞳をぼうっと見つめ、彼の才能が放たれる瞬間を、待った―――。 ◇ ◆ あたしは死ぬんだ、と思った。 いくら白崎の言葉でも、ひとをちょくせつ殺せるわけがないけど、あたしは死ぬんだとおもう。 からだがいきていても、今ここで良いことをしたいとかんがえているあたしはもうのこらない。 あたしの「いし」は最後まで白崎に勝てないまま、まけいぬのまま終わるんだ。 ―――くそっ、なんだかくやしいな。 あたしが楽しいとおもったことをどんなにがんばってせつめーしても、白崎はかおいろひとつかえなかった。それがどーした、ってかんじでかえされた。 けっきょく、あたしにはどうも悪人になるしか道がないみたいだ……白崎がいるかぎり、あたしはほかの何にもなれないまま、悪人としてたのしー人生を生きていくんだろう。 うう、それもたのしーと思うんだけど、どーしてこんなにくやしいんだ。 もしかすると、まだだれか分からないけど、「ひとみん」ってのがきっかけなのかな。 違うかもしれない。 だけど、こんきょはないのに今度のあたしは、ひとみんってそんざいがあったことすら覚えてない気がする。なんでだか、そんな気がする。 だから、もうそれはあたしじゃないんだ。 あたしはここでしぬ。 さよならみんな、あでゅー、ってやつだ。 あたしが覚えていることをひとつでもわすれてたら、それはもうあたしじゃない。 みじかいじんせいだったけど、こんなにはやくしんじゃうなんていやだな。 どうやらひとみんはあたしの大切なひとみたいだから、おわかれのことばくらいいってあげようか。 思い出せないだれかにおわかれするなんて、なんだかおかしいな。こっけいだな。 もし白崎たちがあたしの心をよめたら、きっとおおわらいされちゃうだろう。 でも、これくらいゆるしてくれ。 愛崎一美の、えーと、なんだっけあれ……そーだ、「じせいのく」ってやつをいわせてくれ。 なもかおもしらないひとみんへ。 あたし、愛崎一美はおまえのことをわすれます。 もうわすれてるだろとか、そうゆーつっこみはやめてくれ。空気よんでくれ。 ひとみんとあたしがどういうあいだがらだったのかは覚えてないけど、おわかれの言葉をやる。 うまいことばがさがせないし、はたせなかったやくそくもあるかもしれない。 ―――でも、おわらないおわりなんてないんだ。 ひとみんはしらないままでいいよ。 あたしもいわないままでいいから。 だけど、きっともうかえれない。 あたしがむかしよんでハマった絵本、不思議のくにのアリスってやつにあたしはちかいかもな。 それじゃあ、おげんきで。 あたしのだいすきな―――のかはおぼえてないけど、ばいばい、ひとみん。 それじゃあさいごに。 ――――あした、てんきになあれ。 時系列順で読む Back Drink it down,enjoy the black around taste the darkness Next Alice Magic/退廃の宴 投下順で読む Back Drink it down,enjoy the black around taste the darkness Next Alice Magic/退廃の宴 050 神戯-DEBUG PROGRAM- 大崎年光 062 Alice Magic/退廃の宴 045 パラノイドなリズム 古川正人 062 Alice Magic/退廃の宴 045 パラノイドなリズム カインツ・アルフォード 062 Alice Magic/退廃の宴 058 おさかな→天国 白崎ミュートン 062 Alice Magic/退廃の宴 058 おさかな→天国 酒々楽々 062 Alice Magic/退廃の宴 058 おさかな→天国 愛崎一美 062 Alice Magic/退廃の宴 054 マインド・イミテーション 香坂幹葦 062 Alice Magic/退廃の宴 058 おさかな→天国 紆余曲折 062 Alice Magic/退廃の宴
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那珂一兵の代表作と言える漫画作品。辻ミステリ作品の中で何度か話題になっている。 「少年ウィークリー(未)」に連載されて人気を博し、後に山彦プロ制作のアニメがヤマトテレビ(未)系で放映され、大ヒットした。 トコトンくんという少年を主人公にしたホームコメディ。 時代もはっきりしない世界で、野性的なカンと超人的体力のみを武器にした少年トコトンくんが、旅先の田舎に立ち寄り、住民たちのトラブルを解決して去って行くというストーリー。 腕を大きく回して自分に指を突き付けて「トコトンやれ!」と叫ぶのが決め台詞で、この台詞によって自分だけでは無く周囲の大人をも叱咤し、事件解決への道を開いている。 アニメ化されたのは、『TVアニメ殺人事件』では 70年代後半、『残照(未)』では 60年代後半と、設定に変更があるが、その理由は謎。いずれの場合も企画に関係して、奇っ怪な殺人事件が発生している。 (画像は『TVアニメ殺人事件』(初版)の表紙より。トコトンくんをイメージしたイラストと思われるが真偽は不明)
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昭和49年(1974年)07月15日放送 (視聴率:11.0%) ←前回 次回→ ストーリー 鑑賞 登場キャラクター 神崎メグ: 吉田理保子 神崎(パパ): 大竹宏 神崎マミ(ママ) : 山口奈々 神崎タビ: 山本圭子 神崎アポ: 千々松幸子 郷ノン: つかせのり子 チョーサン: はせさん治 クロー: 大竹宏 フルフル: つかせのり子 スタッフ 脚本: 松岡清治 原画: 神宮さとし、金田伊功、やぶさき好朗、楠田ゴン 動画: 一色早苗、高橋由美子、平松由紀子、福地信之 背景: マスコット、アトリエローク 仕上: 中村正弘、高橋達雄、谷口恭子、村松錦三郎 撮影: 佐藤隆郎 編集: 井関保雄 録音: 二宮健治 効果: 協立音響 効果: 賀川晴雄 製作進行: 竹沢裕美子、安藤まるみ、佐藤しげ子 美術: 伊藤英治 作画監督: 神宮さとし 演出: 宮崎一哉
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津田景康 列伝 コレクション 装備 無双武将詳細 津田景康 属性 閃光 基本体力 500 基本攻撃力 80 攻撃速度 50 成長タイプ ノーマル 列伝 伊達氏家臣。 人取橋の戦い、葛西大崎一揆鎮圧など数々の戦に従軍。 関白秀次事件の際、豊臣秀吉に直訴し、政宗の謹慎処分を解くことに成功した コレクション なし。 装備 ノーマル パワー スピード レア 無銘・正宗 無銘・郷義弘 無銘・貞宗 童子切安綱(ノーマル) 無双武将詳細 条件 獲得報酬 津田景康の階級が5以上 専用装備が生産可能 津田景康の階級が30以上 グレード2の専用装備が生産可能 津田景康の階級が60以上 グレード3の専用装備が生産可能 津田景康の階級が90以上 グレード4の専用装備が生産可能 津田景康の階級が120以上 グレード5の専用装備が生産可能
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声 :宮崎一成 年齢:21歳 職業:大学4年生 性別:男(美少年) 《性格》 まじめな美少年で通っている大学の先輩。 アルバイト紹介所で働いている。 主人公にいは何かと好意的だが、その奥には、 秘められた熱い思いがある…のかも……。 身長:169cm 体重:57kg スリーサイズ B87・W66・H88 アルバムモード説明 大学の先輩。21歳。 アルバイト紹介所で受け付けをしている。 主人公と同性でありながら、 深遠で熱烈な愛情を主人公に寄せる、愛の越境者。 質問 回答 1.愛とは この世で最高のもの 2.恋人とは 好きな人 3.好きな人 たくさんいます! 4.好きなタイプ 異性? ケッコー好きです! 5.告白の一言 ん? 好きだよ
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夜も明けていない不気味な空気が漂う森林に小さな一つの灯りが灯っていた。 この状況で灯りを示すのは己の場所を晒すのと何一つ変わらない。 灯りの正体はキャンプ場で焚き火。肉を焼いてるものだった。 料理と呼ぶよりは生と言った方がいいだろうか。大きい肉に棒を通しただけ。ただそれだけ。 男は肉が焼けているのを確認すると豪快に口を開け放り込む。 極上に美味いとは言いがたいがとても脂身があり口に入れると脂がジュワーと音を立てる。 海王類の肉。聞いたことはないが王と名が付いている辺りそれなりの代物なのだろう。 だが世の中にはもっとたくさん美味い食材が存在する。男は其を知っている。 だから思う。これはフルコースに入れるレベルじゃない。 「アンタちょっといいか?」 目の前に現れた刀を持ったオレンジの髪を持つ少年が言葉を吐き出す。 少年、いや青年と言うべき彼は男に敵対する気は無い様だ。 だが男は怒りを露にする。 とても単純だった。 一つに気配を消していたこと。 自分から話しかけるのに気配を消すとはこちらを舐めている。 そしてもう一つ。ただでさえ突然殺し合いなど意味の解らない状況になって気分を悪くしていた。 それも重なって彼の怒りを最大限にまで引き上げた。 「お前チョーシに乗ってんじゃねぇよ」 食事を邪魔した事。美食屋四天王ゼブラは怒っていた。 ★★★ 何なんだコイツは?話しかけただけで調子に乗るな? おいおいおい……って落ち着け。きっと突然の状況で混乱してんだな! ならここは穏便に…… 「いやー、ちょっと何か知ってる事があればほしーなって……」 「ア?殺すぞガキ」 あぁそうか。これはあれだ。俺に喧嘩を売ってんだなコイツは。 「は?何で殺されなきゃいけないんだよ?」 「喋るな、オレンジ頭」 プッチーン この時俺の頭の中で何か弾け飛んだ。 「あぁ!?何なんだよお前!!初対面の相手に調子に乗るな?舐めてんのか!?そこは何ですか?とかどうしました?とかが基本だろ! お前は人間としておかしい!殺すって!会って一分も経ってないのに殺す?ハハハ日本じゃ終わってるぞ? 牢屋ですよ、ろ・う・や。 お分かりですか?ってかな!!お前も人の事言えないけどなぁ。オレンジ馬鹿にすんなよ! お前こそ口裂けオバケかよそん何縫っちゃってしてよぉ! あーあ怖い怖い。俺も喰われるってか?なら返り討ちにしてやんよぉ!! ん?返り討ち?お、お前俺が見えんのか!? いや変な目で見んな!そういう意味じゃなくて……!!」 突然俺は口を閉じる。いや閉じるを得なかった。 あいつの殺気がヤバイとかなんで俺が見えるとかじゃなくて。 もっと。そうもっと。俺には突然だった。 「血の臭い……ガキお前も気づいたか」 俺には血の臭い何てわからない。 でも経験上分かるんだ。霊圧みたいなもんが。 「誰かが死んだ……?」 ★★★ 隣のエリアか。 血の臭いと気配が消えたのは一緒ぐらいか。なら一撃で頭や首をやられたか。 いや違―な、この音は首が落ちた音だ。しかも手刀か。 アン?コイツはどっか行くのか。でもこっちには来てねーな。どっか別の所に行くのか。 別の所には銃声に地面が砕ける音も聞こえるな。ったくチョーシに……!! 美食屋四天王ゼブラ。あまりの凶暴性により実際に牢屋にブチ込まれた経験の持ち主。 その凶暴性はその種族を絶滅させるほどの危険を持ち世に出るだけで世界経済を怯えさせるほどの存在。 そんなゼブラが長けているのは聴覚。最大70kmの範囲を聞き分ける事ができる。 彼が聞いたのはウルベが死んだ音とまどかが暴れた音。無論名前は知らないが。 そして突然響いた音。耳を澄ませなくても響く音。そして辺りを照らす光。場所は武道会会場か。 そして一瞬。どうやら此処は耳に何らかの障害があるようだ。若干聞こえが悪い。 だがこの音はこの声はたとえ障害が、一瞬だろうが分かる、忘れられない音。 「ココ……」 同じ四天王の一人ココ。昔は一緒に修行をした身。 その音その声その姿は忘れたくても忘れられない。さっきの会場では久々の出会いとなった。若干驚いていたが。 ココが今戦っている。それも最後に聞こえた音は誰かが去った音。だがココの足音ではなかった。 そして戦闘音。明らかに高レベル。肉弾戦向きじゃないココには向いてない。 だがそれは自分には関係ない話。だが―――― 「チョーシに乗る奴は殺さないとなぁ?」 そこに対象がいるのならば。答えはとっくに出ていた。 「アンタ!殺すとか殺さないとか!俺は今から行く所が出来た! あっちの方のからホロウ……化物みたいな気配を感じるんだ!!だから俺は後な! あっ!俺は黒崎一護!知り合いに会ったらヨロシク伝えといてくれ!!」 そう言うと男黒崎一護は地を駈け始め中々の速さで場を去っていく。 目指すは魔女と為ったまどか。そして彼はこれを倒そうとしている。 その先には最早正常とは呼べない暁美ほむら。 この先一護は死神とは別な力を持った者達との戦いになるは知る由もなかった―――― そしてゼブラも歩みだす。戦っているココのいや――――チョーシに乗ってる者の粛清に。 進路先に飛び出した一護が居るのはまた別のお話――――― 【G-5森林】 【ゼブラ@トリコ】 【状態】 健康 【装備】 【持ち物】ランダム支給品0~2、基本支給品一式 【思考】 基本: 主催含めチョーシに乗った者は殺す。他は知らない。 1:ココのいや、チョーシに乗った奴(武道会会場)を殺しに行く。 2 一護は後回し。というか進路先に居る 3 小松はついでに救う。あと食料がほしい 【備考】 ※グルメピラミッド後参戦 ※若干能力の方に制限 ※オープニングでトリコと一緒に食べていたのは四天王達です ※ウルベやまどかの音を聞きましたが誰かは分かっていません 【黒崎一護@BLEACH】 【状態】 健康 【装備】 斬月 【持ち物】ランダム支給品0~2、基本支給品一式 【思考】 基本: 主催を倒して元の世界へ帰る 1:怪物の居る所へ急ぐ。 2 知り合いと合流。ウルキオラは保留。 3 男(ゼブラ)はとりあえず。とりあえず。 【備考】 ※参戦時期未定。ですがウルキオラとは会っています ※普段より霊圧を感じられません。一エリア。もしくは二エリアが限界です。 ※キャンプ場には火が灯ったままです ※海王類の肉@ワンピースはゼブラが食べました 燃えろ魂!引けぬ時がある! 時系列順 愛を取り戻せ 燃えろ魂!引けぬ時がある! 投下順 愛を取り戻せ GAME START ゼブラ 怪物攻略戦 GAME START 黒崎一護 怪物攻略戦
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◆Zi/dWEr9fQ ルールは常に更新していくもの。 改造御坂軍団や幸村も存在させてから考えればよいのじゃ---2012/12/16 執筆SS一覧 No. タイトル トリップ 場所 時間 登場人物 004 世界の終りに一人じゃ嫌だ ◆Zi/dWEr9fQ E-5 深夜 暁美ほむら、鹿目まどか、サカズキ 006 紅騎士と蒼髪姫 ◆Zi/dWEr9fQ B-3森林 深夜 佐倉杏子、美樹さやか、レイン・ミカムラ 008 アルティメット・バウト ◆Zi/dWEr9fQ D-8森 深夜 孫悟空、モンキー・D・ルフィ 011 愛を取り戻せ ◆Zi/dWEr9fQ 記載無し 深夜 ケンシロウ、上条当麻、フェイト・テスタロッサ 014 地上最強の魔法少女 ◆Zi/dWEr9fQ C-4武道会会場 早朝 セル、高町なのは、真田幸村、範馬勇次郎、キュゥべぇ 017 アルティメット・バウト2 ◆Zi/dWEr9fQ C―4武道会会場付近 午前 ココ、天津飯、範馬勇次郎、孫悟空 019 人魚姫は泡になって ◆Zi/dWEr9fQ B―3 早朝 佐倉杏子、美樹さやか、ポートガス・D・エース 020 チーズは何処へ消えた? ◆Zi/dWEr9fQ E―1森 深夜 明堂院いつき 022 うみものがたり ◆Zi/dWEr9fQ C―1海岸 深夜 クザン 023 巨人討伐戦 ◆Zi/dWEr9fQ G-5山岳地帯 深夜 剣八、ドモン、トミー、光秀、本田、アックア、フィアンマ、ヴィータ 024 find the blue ◆Zi/dWEr9fQ A-4 早朝 レイ、範馬刃牙 027 モーニングはいかが? ◆Zi/dWEr9fQ G-2ホテル 朝 トリコ、サニー、伊達政宗、豊臣秀吉、涅マユリ、東方不敗、八神はやて、月影ゆり、ダークプリキュア 028 モンキーマジック ◆Zi/dWEr9fQ G-2 朝 四楓院夜一、ウルキオラ、 巴マミ、ピクル、東方不敗、八神はやて、剣八、ドモン、本田、ヴィータ 029 ゲシュタルト崩壊 ◆Zi/dWEr9fQ E―2森 朝 巴マミ 、お菓子の魔女 031 こぶし ◆Zi/dWEr9fQ C―5 朝 フェイト・テスタロッサ、来海えりか、巨大カマキリ 033 これが私の全力全壊 ◆Zi/dWEr9fQ C―4武道会会場上空 朝 セル、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、キュゥべぇ 034 ドキドキが止まらない ◆Zi/dWEr9fQ G-5 山岳地帯 朝 東方不敗、八神はやて、ドモン、ヴィータ、キュアハート 035 気合だ!気合だ!みなぎってきたぁ! ◆Zi/dWEr9fQ G-5 山岳地帯 午前 東方不敗、八神はやて、ヴィータ、キュアハート 036 TUNAMI ◆Zi/dWEr9fQ G-6 朝 ロロノア・ゾロ、グリンパーチ、サー・クロコダイル、アミバ、月影ゆり、ダークプリキュア、サウザー、月島秀九郎、ヒョウゾウ、トキ 037 アルティメット・バウト3 ◆Zi/dWEr9fQ C―4武道会会場付近、???月面、C―5 午前 エネル、範馬勇次郎、孫悟空、ブロリー、フェイト・テスタロッサ、涅マユリ、キュゥべぇ 038 マックシング ◆Zi/dWEr9fQ C―5 午前 フェイト・テスタロッサ、涅マユリ、キュゥべぇ 039 師弟対決 ◆Zi/dWEr9fQ G-5 山岳地帯、G-2 ホテル 昼 伊達正宗、豊臣秀吉、東方不敗、八神はやて、ヴィータ、キュアハート、範馬刃牙、テラフォーマー、ピクル 040 アルマゲドン ◆Zi/dWEr9fQ G-6、???月面、E―4 昼 月島秀九郎、ヒョウゾウ、サカズキ、範馬勇次郎、孫悟空、ブロリー、暁美ほむら、鹿目まどか 041 Love me do! Look at me! ◆Zi/dWEr9fQ B―5、A―7 昼 佐倉杏子、美樹さやか、黒崎一護、藤虎 043 とあるお嬢のマッハキャノン ◆Zi/dWEr9fQ F-7研究所前、B-6診療所 昼 ピッコロ、一方通行、御坂、独歩、涅マユリ、ベジータ 045 サバトの女王 ◆Zi/dWEr9fQ E―4 昼 暁美ほむら、鹿目まどか、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、キュゥべぇ 046 魔法少女大戦 ◆Zi/dWEr9fQ E―4 午後 暁美ほむら、鹿目まどか、高町なのは、キュゥべぇ、佐倉杏子、美樹さやか、黒崎一護、巴マミ 、お菓子の魔女、ウルキオラ、 巴マミ、八神はやて、ヴィータ 047 ティロティロティロフィナーレ ◆Zi/dWEr9fQ E―4 午後 暁美ほむら、鹿目まどか、高町なのは、キュゥべぇ、佐倉杏子、美樹さやか、黒崎一護、巴マミ 、お菓子の魔女、ウルキオラ、 巴マミ、八神はやて、ヴィータ 049 The Expendables―終わりの始まり― ◆Zi/dWEr9fQ バトルロワイヤル会場・主催者本部地下二階 昼 キュアハート、愚地独歩、涅マユリ、範馬刃牙、テラフォーマー(トミーロッドの寄生昆虫)、藍染惣介、ハイエナのベラミー、ラオウ、トキ、織田信長、藤虎、超大型巨人、鎧の巨人 050 紅蓮の矢 ◆Zi/dWEr9fQ バトルロワイヤル会場・主催者本部地下三階 昼 藍染惣右介、ラオウ、トキ、織田信長、藤虎、愚地独歩、涅マユリ、範馬刃牙、テラフォーマー(トミーロッドの寄生昆虫)、藍染惣介、時縞ハルト、超大型巨人、鎧の巨人 053 邪神降臨 ◆Zi/dWEr9fQ D-6 午後 孫悟空、ベジータ、孫悟飯、孫悟天、トランクス、ターブル、パン 054 逆襲のギガンティス ◆Zi/dWEr9fQ F―6、E―4 午後 愚地独歩、巴マミ、高町なのは、美樹さやか、佐倉杏子、巴マミ、八神はやて、ヴィータ、暁美ほむら、お菓子の魔女、鹿目まどか、範馬勇次郎、アレイスター・クロウリー、サンジ、涅マユリ、テラフォーマー(トミーロッドの寄生昆虫)、土御門元春 055 謝肉祭 ◆Zi/dWEr9fQ G―4 昼 トリコ、スタージュン、小松、田所恵 056 フェアウェル・ストーリー ◆Zi/dWEr9fQ E―4 午後 美樹さやか、東方不敗、佐倉杏子、巴マミ、八神はやて、ヴィータ 057 あの素晴らしき愛をもう一度 ◆Zi/dWEr9fQ E―4 午後 ウルキオラ・シファー、黒崎一護、ゼブラ 059 欲張りキングになろう ◆Zi/dWEr9fQ E-5 午後 時縞ハルト、流木野サキ、櫻井アイナ、山田ライゾウ、エルエルフ、超大型巨人、鎧の巨人 060 神と神 ◆Zi/dWEr9fQ E―4 午後 暁美ほむら、お菓子の魔女、鹿目まどか、範馬刃牙、範馬勇次郎、アレイスター・クローリー、天元突破グレンラガン、アンチスパイラル、ゲッターエンペラー、空海坊爆烈、虎空王、ラ・グース、時天空 062 and I m home ◆Zi/dWEr9fQ E-4 夕方 高町なのは、美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子、東方不敗 063 宇宙最強の絶望クラッシャー ◆Zi/dWEr9fQ E-4 夕方 暁美ほむら、お菓子の魔女、鹿目まどか、範馬刃牙、範馬勇次郎、アレイスター・クローリー 064 アルティメット・バウト・ファイナル ◆Zi/dWEr9fQ E-4 夕方 孫悟空、ベジータ、暁美ほむら、鹿目まどか、範馬勇次郎、赤屍蔵人、ハリィ・ガーバー 名前 コメント
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第一回放送までの本編SS オープニング 話数 タイトル 作者 場所 登場人物 000 開幕 ◆uBeWzhDvqI パーティーホール トリコ、孫悟空、範馬勇次郎、上条当麻、土御門元春、ベイ、スタージュン 深夜 話数 タイトル 作者 場所 登場人物 001 最強の№2 ◆uBeWzhDvqI E―6上空 ベジータ、垣根帝督 002 Green Green ◆9689VKVIiM C―2森の中 ロロノア・ゾロ、グリンパーチ 003 悪魔の笑い声 ◆uBeWzhDvqI A―4 シグナム、ブロリー 004 世界の終りに一人じゃ嫌だ ◆Zi/dWEr9fQ E―5 暁美ほむら、鹿目まどか、サカズキ 005 帝王 ◆uBeWzhDvqI G―6 ウルベ・イシカワ、サウザー 006 紅騎士と蒼髪姫 ◆Zi/dWEr9fQ B-3森林 佐倉杏子、美樹さやか、レイン・ミカムラ 007 セロ・フィナーレ ◆28219SKBSE F-1橋 巴マミ、四楓院夜一、ウルキオラ・シファー、ピクル、ヤムチャ 008 アルティメット・バウト ◆Zi/dWEr9fQ D-8森 孫悟空、モンキー・D・ルフィ 009 燃えろ魂!引けぬ時がある! ◆uBeWzhDvqI c-4武道会会場 真田幸村、ピッコロ、セル、ココ、御坂美琴、ミケロ・チャリオット、範馬勇次郎、キュゥべぇ 010 チョーシに乗るな ◆uBeWzhDvqI G―5森林 ゼブラ、黒崎一護 011 愛を取り戻せ ◆Zi/dWEr9fQ B-6市街地 ケンシロウ、上条当麻、フェイト・テスタロッサ 012 命を救うために ◆uBeWzhDvqI G-2 伊達正宗、トキ、サー・クロコダイル 020 チーズは何処へ消えた? ◆Zi/dWEr9fQ E―1森 明堂院いつき 021 帝王を破りし者 ◆1SahaAbHN2 G-6 サウザー 022 うみものがたり ◆Zi/dWEr9fQ C―1海岸 クザン 023 巨人討伐戦 ◆Zi/dWEr9fQ G-5山岳地帯 剣八、ドモン、トミー、光秀、本田、アックア、フィアンマ、ヴィータ 黎明 話数 タイトル 作者 場所 登場人物 012 怪物攻略戦 ◆uBeWzhDvqI E―5 垣根帝督、ベジータ、黒崎一護、ゼブラ、暁美ほむら、鹿目まどか、花咲つぼみ 015 赤と紅の邂逅 ◆uBeWzhDvqI B―3 佐倉杏子、美樹さやか、ポートガス・D・エース 018 アクセス ◆uBeWzhDvqI F―7研究所 一方通行 早朝 話数 タイトル 作者 場所 登場人物 014 地上最強の魔法少女 ◆Zi/dWEr9fQ C-4武道会会場 セル、高町なのは、真田幸村、範馬勇次郎、キュゥべぇ 016 幕間は終わり ◆uBeWzhDvqI ??? 017 アルティメット・バウト2 ◆Zi/dWEr9fQ C―4武道会会場付近 ココ、天津飯、範馬勇次郎、孫悟空 019 人魚姫は泡になって ◆Zi/dWEr9fQ B―3 佐倉杏子、美樹さやか、ポートガス・D・エース 024 find the blue ◆Zi/dWEr9fQ A-4 レイ、範馬刃牙 025 人情 ◆uBeWzhDvqI A-4 ブロリー、花山、御坂、独歩、ピッコロ、来海えりか 第一回放送 話数 タイトル 作者 登場人物 026 第一回放送 ◆uBeWzhDvqI ベイ