約 1,561,031 件
https://w.atwiki.jp/sk_rexi/pages/751.html
(1)魔法とは 魔法とは、来世人に宿った特殊な力によって、摩訶不思議な現象を引き起こす(以下「成就」という)行為です。属性によって、用法が異なり、効果にも傾向があります。 [武士=奥義法(おうぎほう)] 武士(もののふ)としての超絶的な武芸を、疑似的に身体に宿す魔法です。 予備動作には、体内の気の集中が必要であり、成就直前に身体全体が微かな金色を帯びます。 [神凪=神楽法(かぐらほう)] 八百万の神々の力を降ろして、超自然的な現象を引き起こす魔法です。 予備動作には、神楽舞を舞う必要があります。そのため、最低でも半畳(90×90cm)の足場が不可欠であり、不安定な場所では行使することができません。 [陰陽=陰陽法(おんみょうほう)] 木火土金水の陰陽五行説によって、妖の力の使役と予防を得意とする魔法です。 予備動作には、片手で空中に模様を描く(印を結ぶ)仕草と、何やら意味不明な呪文の詠唱が必要です。成就直前に呪文の最後一節として魔法名を添えます。 例:「(意味不明な呪文)‥‥呪禁道!」 [忍者=忍法(にんぽう)] 古来から忍の者に伝わる秘伝の術を具現化する魔法です。 予備動作には、片手で空中に模様を描く(印を結ぶ)仕草と、何やら意味不明な呪文の詠唱が必要です。成就直前に呪文の最後一節として魔法名を添えます。 [傀儡=傀儡法(かいらいほう)] 命無き物体にかりそめの命を与える魔法です。 予備動作には、片手で空中に模様を描く(印を結ぶ)仕草と、何やら意味不明な呪文の詠唱が必要です。成就直前に呪文の最後一節として魔法名を添えます。 [僧兵=退魔法(たいまほう)] 古代インドから伝わった密教の奇跡を具現化する魔法です。 予備動作には、片手で空中に模様を描く(印を結ぶ)仕草と、何やら意味不明な呪文の詠唱が必要です。成就直前に呪文の最後一節として魔法名を添えます。 [全属性=来世法(らいせほう)] 来世人だけが行使できる、複数の属性の特徴を持った強力な魔法です。但し、実際には来世法という魔法分類はなく、いずれかの魔法に属します。 [化身=鬼道法(きどうほう)] 一部の鬼や妖怪が使うといわれている魔法、全ては謎に包まれています。(2)魔法の使い方 [魔法の記憶] 魔法は、パーティ単位で所持し、強化・進化させます。 呪術的な方法により、属性が見合う者の身体に封ずることができ、この状態を「記憶」と呼びます。 記憶することで、シナリオにその魔法を持ち込むことができ、MPが許す限り何度でも使用できます。 但し、出先で他のキャラに貸し与えることはできません。 [魔法の詠唱] 魔法には、効果を発揮するために呪文の詠唱などの予備動作(約3秒)が必要です。 1手番において「予備動作→成就1回」という組み合わせになります。 予備動作中には他のこと(回避を含む)を一切行えず、行動順番も「魔法の予備動作を行っている者たち」が最後の処理となります。 予備動作を中断して防御行動に移行することは可能ですが、その場合、移動も他の行動も行えません。 なお、自身が騎手でないのならば、馬に同乗している状態で魔法を使用することができます(神楽法を除く)。 [成就判定] 普段、魔法の成就は判定の必要なく必ず成功します。しかし、補助魔法等で記述がある場合は「(残り)MP%」の判定が必要になります。 [対象の指定] 魔法は、成就の直前に、必ず目視による対象(又は空間)の指定が必要です。あてずっぽうで目に見えない場所へ魔法をかけることはできません。但し、自分自身、または、接触しているものを対象とする場合はその限りではありません。 [MPの消費] 1回の魔法使用で、成就(又は成就判定の失敗)時にMP10を消費します。 [絶対命中] 正しく使われ成就した魔法は、対象(又は空間)に必ず命中します。対象者が回避したり、受けを行ったりすることはできません(魔法的防御や盾の特殊能力を除く)。(3)魔法データ 魔法カードには、効果・時間・射程・範囲という固有データがあります。 カードには「効果の概要(時間 射程(範囲」と記載されています。 [効果] 効果を記号的に簡略したデータです。数値に単位が書かれていない場合は「威力」を表します。具体的な効果については解説を確認して下さい。 なお、事前に掛けられた魔法がまだ効果時間中である場合、同じ対象や空間に対して同一の魔法を重複して掛けることはできません。先に掛かっていた魔法が優先され、後の魔法は自動的にキャンセルされます。 [時間] 「一瞬」とは、成就した直後、効果が発揮され一瞬で終了する魔法です。 「具体的な時間」とは、発揮は一瞬だが、効果自体は自動的に続く魔法です(1手=1手番(3秒)のこと)。なお、この自動の効果はたとえ術者が死亡したとしても継続します。 [射程] 具体的な距離(m(メートル))の場合は、対象(空間)までの最長距離を表します。範囲が「全対象・直線上・〇度扇」でなければ自在にその距離を縮めることが可能です。 「接触」の場合は、手で接触している対象(空間)に掛けることができます。但し、対象が避けようとしている場合は、接触が困難になるため実行不能です。 「本人」の場合は、自分自身に掛けることができます。 [範囲] 「1対象」とは、人や物を指して「一つのもの」と定義できる範囲のことです。また、「全対象・全対象(選)」とは、射程内の全ての対象に「1対象」と同じ法則で魔法が作用することを表します。全対象(選)は、全対象に選択機能を持たせたものです。なお、これら対象系は、対象者(物)とともに掛かっている魔法の効果が移動します。 「生成」とは、何かを作り出す魔法です。 「直線上・○度扇)」とは、射程までの道筋を表した範囲です。道筋にある全てのものに影響を及ぼします。以下空間系の魔法は、効果がその場に留まります。 「直径○mの球」とは、射程内の任意の点を中心とした球状の範囲です。 「○m平方・○m立方」とは、射程内の任意の点を中心とした1辺○mの面、または、1辺○mの立方体の範囲です。(4)魔法の他のルール [解説の用語] 「術者」は、魔法を使用した者のことを指す単語です。 [MPの回復] MPは、6時間以上の連続した睡眠をとることで全回復します。 [魔法抵抗] 生物や化身が本能的に持つ、魔法に抵抗する能力のことです。望まぬ魔法が掛かった場合「(残り)MP%」の成功率で魔法に対して抵抗を行えます。 魔法抵抗に成功すると、効果欄にアラビア数字がある魔法の場合はその値が半減します。無い魔法の場合はその影響を被りません。 なお、キャラの所持品が魔法の対象にされた場合も、所持者の魔法抵抗能力を発揮できます(随伴系の所持品を除く)。 [成就判定が必要な事態の重複] 成就判定が必要な事態が重複した場合、魔法を成就させることはできません。(5)特殊な魔法カード [補助魔法] 補助魔法とは、それ単体では具体的な効果を発揮せず、他の魔法カードを補助する働きのあるもののことです。補助魔法自身は1手番1回の制限にかかりません。 但し、「普通の魔法+補助魔法」という状態で使用するため、通常、合計20点のMPを消費してしまいます。 (公式、『シナリオって何?』から抜粋)
https://w.atwiki.jp/gava92/pages/511.html
雁木実戦譜 対 棒銀その2 雁木最大の難敵である棒銀との戦いの解説、第二弾だ。以前紹介した、対棒銀の3パターン、 1.角交換型 2.5五角型 3.7七桂型 の内、今回は「2.5五角型」を解説する。より厳密に言えば、角不交換からの5五角型だ。5五角と聞いてカンの良い方ならお気づきだろうが、1角交換型と同様、5五角から飛車の小ビンを攻める狙いだ。ではさっそく実戦を見ていこう。 先手: 雁木 後手: 居飛車棒銀 ▲7六歩 △8四歩 ▲4八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲7八金 △8五歩 ▲6八銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲6七銀 △8二飛 ▲8七歩 △7四歩 ▲5六歩 △7三銀 ▲5七銀 △8四銀 ▲6五歩 △4四歩 ▲5五角 △7三桂 ▲3六歩 △4二銀 ▲3八飛 △4三銀 ▲3五歩 △同 歩 ▲同 飛 △3四歩 ▲3八飛 △3二金 ▲7五歩 △5四銀 ▲2八角 △4五歩 ▲7七桂 △4二飛 ▲7四歩 △6五桂 ▲同 桂 △同 銀 ▲9一角成 △9九角成 ▲6六歩 △7四銀 ▲5五馬 △3三金 ▲6五桂 △6二金 ▲7五歩 △同銀直 ▲3七香 △4四金 ▲同 馬 △同 飛 ▲5五金 △7四飛 ▲3四香 △3七歩 ▲同 飛 △1五角 ▲4八金 △3七角成 ▲同 桂 △2九飛 ▲4九金 △6六銀 ▲同銀右 △同 馬 ▲同 銀 △7八飛成 まで74手で後手の勝ち 【棋譜解説】 初手からの指し手 ▲7六歩 △8四歩 ▲4八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲7八金 △8五歩 ▲6八銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲6七銀(第1図) 後手は一般的な居飛車の序盤。飛車先の歩を切りにきてもあえて受けないのが雁木の立ち回り。△8六飛にも▲6七銀と強く立つ。以下、△8七歩には▲7七角△8二飛▲8六歩で打った歩を取ってしまって問題ない。 △8六飛▲6七銀に△8八飛成!といきなりの飛車角交換という強手も考えられるが、実戦ではGAVA以外、まずやってこない。実際やってこられるとその後の構想を練り直すのにやや困るが、それは相手も同様であろう。 第1図以下の指し手 △8二飛 ▲8七歩 △7四歩 ▲5六歩 △7三銀 ▲5七銀 △8四銀 ▲6五歩 △4四歩 ▲5五角 △7三桂 ▲3六歩(第2図) △8二飛には▲8七歩が絶対。△8六歩とたらされては将棋が終わる。後手は△7四歩から早繰り銀風に棒銀をしかけてきた! さぁ、雁木はどうするか。二枚銀をつくってから▲6五歩と角交換を挑む。やはり棒銀相手には、ひとまず角交換を狙っていきたい所。棒銀に狙われる角をさばいてしまい、手持ちの角でカウンターを狙う策が有効だ。 が、後手も△4四歩!とそれを拒否。しかしここでも▲5五角が成立する。後手は棒銀に手数をかけているため中央が手薄、△5四歩が入っていないのが大きい。以後、▲3六歩と角の引き場所をつくる。角交換こそ成立しなかったものの、基本的な構想は角交換型とほぼ同じだ。 第2図以下の指し手 △4二銀 ▲3八飛 △4三銀 ▲3五歩 △同 歩 ▲同 飛 △3四歩 ▲3八飛 △3二金 ▲7五歩 △5四銀 ▲2八角 △4五歩 ▲7七桂(第3図) 後手は8五銀の身動きがとれない。このスキに雁木は戦型を整える。▲3六歩をいかして▲3八飛と袖飛車から一歩交換を試みる。そして▲7五歩が急所の一手。△同銀とは取れないし、△同歩は▲7四歩、放置しても▲7四歩。角を飛車の小ビンにすえての▲7四歩は常に対棒銀の反撃手段だ。△5四銀にも▲2八角とGAVA角風にしつこく飛車をにらむ。ここまでですでに先手がペースを握っているし、実際、先手優勢の模様。が、39手目▲7七桂が悪手だった。 第3図以下の指し手 △4二飛 ▲7四歩 △6五桂 ▲同 桂 △同 銀 ▲9一角成 △9九角成 ▲6六歩 △7四銀 ▲5五馬 △3三金 ▲6五桂 △6二金 ▲7五歩(第4図) ▲7七桂は△9一角成を止めるつもりだったが、ここは強く▲7四歩と攻め合いに出るべき所で、それで十分先手勝ちだった。悪手を指してしまったものはしょうがないので、そのまま続ける。指した直後はそれほど悪いとも思わなかったし。が、後手はこのスキを逃さずに、すかさず△4二飛。狙われる飛車を逃がしつつ、4筋からの反撃狙いだ。▲7四歩にも△6五桂と逃げられて、せっかくの7筋カウンターが完全に空振り。これでは先手、勝てない。以下、お互い角を成り込むが5五の天王山に馬をすえて、自陣の差でも先手やや有利に持ち直したか? しかし、5五の馬が攻防にきいているようで以外に活用しづらい。時間におわれて打った▲6五桂もひどい。狙いがよくわからない。▲7五歩も時間に追われての意味不な一手。 第4図以下の指し手 △同銀直 ▲3七香 △4四金 ▲同 馬 △同 飛 ▲5五金 △7四飛 ▲3四香 △3七歩 ▲同 飛 △1五角 ▲4八金 △3七角成 ▲同 桂(第5図) ▲7五歩に△同銀と取ってくれたので、銀を上ずらせてとりあえずは満足。しかし次の▲3七香がいただけない。悪手だ。香と飛車の二段ロケットは攻めの手筋だが、いかんせん遅すぎる。敵玉からも遠く当たりも弱い。飛車先も重くなり、速い攻めができない。ここは▲5三桂成△同金▲5四香が先の意味不な桂打ちを生かす攻めだった。これで先手もまだ戦えた所。 後手はかまわず△4四金とぶつけてくる。天王山の馬が何をやっているのかわからない。さらに▲5四金△7四飛と後手飛車を転回させて生き返らせてしまった。悪い時には悪い手が重なり、どんどんマズくなるものである。しかたなく▲3四香と走るも、△3七歩~△1五角の王手飛車をうっかり。わかっていても△3七歩を▲同飛ととるしかなかった。飛車が横に逃げてはもう攻めがなくなる。 第5図以下の指し手 △2九飛 ▲4九金 △6六銀 ▲同銀右 △同 馬 ▲同 銀 △7八飛成(結果図) なんとか飛車角交換してもらったものの、反撃の芽はもうない。△2九飛が、雁木が飛車の打ちこみに弱いという弱点を実感する痛打だ。以下、△6六銀~△6六馬~△7八飛成と転回した飛車も活用して両挟みでフィニッシュです。 本譜も角交換型同様、終盤手前で悪手が出て雁木の不利~負けとなったが、棒銀封じの中盤あたりまでは、ある程度参考にしていただけるのではないだろうか。 kureの雁木を指しこなす講座
https://w.atwiki.jp/tmnanoha/pages/380.html
??? ――― 「幾何学的」といっても良い部屋であった――― その複雑な文様は常人には使用の意図すら分かりかねる。 計器の数々。無数の生体ポット。 それらが整然と居並ぶ一室にて、中央に大きなソファとテーブルがあり そのテーブル上には存在感も露に―――チェス盤のようなナニカが置かれていた。 様々な駒が雑多に並べられるその盤上は、まるでそのルールを知らぬ子供が 手探りで並べたかのような不規則性を醸し出す。 ―――――――否、 まるで出鱈目で混沌とした配置のその盤の中央で――― 今、二つの駒が向かい合っている。 「ククク……」 中央のソファーには男がいた。 堪えきれぬと言った表情で笑いを漏らす男。 白衣に身を包んだ容貌――その口元には押さえ切れぬ愉悦。その目には狂気。 盤上の世界を、盤内で踊る駒を、嘗める様な手つきで弄ぶ。 「ふむ―――――」 中央のソファにはもう一人、男がいた。 白衣の影の対面に座る新たなる影。 黒衣に身を包んだ―――聖職者風の男が声を漏らす。 「その配置……初手としては些か振舞いすぎではないのか?」 「初めだからさ……クク。 これほどの祭だ。オープニングセレモニーは派手に行こうじゃないか!」 白と黒の両者。 その対処的な影が何やら不穏な言葉を交わす。 「それは構わんが、派手に踊らせ過ぎて駒が壊れなければ良いがな。 そちらの魔導士がどれほどのモノか知らんが―――英霊の御名は伊達ではないぞ?」 「壊れたら壊れたで構わんさ。 起承を待たずに主賓が壊れるのは確かに盛り上がりに欠けるが それもまた流れの一つと割り切ろう。」 白衣の科学者と黒衣の聖者の、誰も聞き知る事の適わない それは忌むべき揺り篭の胎内で行われる談話であった。 「さあ………打ち上げようじゃないか! でかくて奇麗で、見事な花火を!!」 甲高い嬌声が部屋中に響き渡る。 そしてそれが合図だったのか。 盤上で引き合わされた「エース」と「ナイト」の駒同士が この歪んだ空間の元に――――引き合っていく。 狂気の宴の始まりの闘い。 その幕が、今―――上がる。 ―――――― NANOHA,s view ――― (お父さん……お母さん……) 彼女は眼前の光景に絶句する。 目の前の、一つの結果に―――― (お兄ちゃん……お姉ちゃん……っ) それは考えられる最悪の事態。 彼女の脳がそれを瞬時に受け入れ、眩暈を覚える。 (アリサちゃん……すずかちゃん……ッッ!) 歯の根が合わず、カチカチと耳障りな音。 それは彼女自身の咥内から生ずる音。 裸で寒冷地に放り出されたような寒気が全身を襲い、その震えが止まらない。 呆然と立ち尽くす彼女。半狂乱で駆け出し、叫び出したい衝動。 それを―――唇を噛んで抑え込んだ。 「こちらスターズ1・高町なのはです…… クラウディア、聞こえますか?……こちらスターズ1……」 動揺を必死で押さえ込み、味方に通信を送る。 前後不覚の状況に陥った時こそ、今、出来る最善を尽くす。 このような事態に陥ってなお、彼女は彼女以外の何者でもなかった。 「スターズ1・高町なのはです……応答して下さい! ライトニング1・フェイトちゃん! はやてちゃん!」 しかしその呼びかけは空しく虚空に響くばかり。 彼女の声は誰にも届く事はなかった。 座標認識不可。音信不通。 計器その他一切が故障としか思えない数値を叩き出している。 「………………」 立ち尽くす彼女。 漆黒の空に灰色の雲がたゆたう。 まるで黒竜がその身を遊ばせているかのよう。 文字通り暗雲渦巻くその凱下にて―――― ミッド近郊の廃棄区画を思わせる廃墟が広がっている。 それは彼女―――白き魔導士の愛すべき故郷 海鳴町…………その、変わり果てた姿であった……… ―――――― 守れなかった…………… 手遅れだった…………… 後悔と絶望。胸が締め付けられる程の無力感。 目から溢れ出しそうになる涙を必死に拭う。 泣くのは出来る事を全部やってから……そう、自分に言い聞かせる魔導士。 表情は蒼白ながらも、持ち前の強き意思がギリギリの所で彼女の自我を保っている。 この事態――― 敵 もしくはそれに随する 何か の仕業であるのは間違いない。 そう、敵………JS事件の首謀者。 次元犯罪者ジェイルスカリエッティ。 (誰か……生存者……お願い…) 商店街の街並。 通い慣れた道。 見覚えのある交差点を辿り、無人の街頭にて折れそうになるヒザを奮い立たせ 魔導士は祈るように歩を進める―――― ―――――― SAVER,s view ――― (シロウ………) 眼前の光景に絶句する。 目の前の、一つの結果に――――― (マスター………どこだ…!) それは考えられる最悪の事態。 マスターの傍を片時でも離れた自分の迂闊さを呪った。 (何を……何をやっているのだ私は…!) 奔放なマスターに頭を悩ませるながらも、その人柄を好もしいと思った。 かつて共に闘った彼の父親とはついには分かり合う事はなかったが この主となら―――信条に背く事なく我が剣を預けられる。 ならばせめて、いつ危機が迫っても良いように 令呪に異変を感じればすぐに馳せ参じられるよう神経を研ぎ澄ませていた。 なのに………… 歯の根をギリと噛み鳴らす耳障りな音。 それは彼女自身の咥内から生ずる音。 怒りと不甲斐無さで身を焼かれるような熱気が全身を襲い、震えが止まらない。 一心不乱に駆け出し、主の名を叫びたい衝動。 それを―――唇を噛んで抑え込んだ。 「………………」 猛りは一瞬。 敵の奇襲を受けた時こそ冷静に迅速に――― このような事態に陥ってなお、彼女は彼女以外の何者でもなかった。 「…………結界?転移? いや……」 端麗な眼差しが周囲を警戒、模索する。 眼前に広がる光景――― 彼女はさっきまで主の屋敷の一室に待機していた。 だが、異変を感じた時には既にこの場に放り出されていたのだ。 漆黒の空に灰色の雲がたゆたう。 まるで黒竜がその身を遊ばせているかのよう。 文字通り、暗雲渦巻くその凱下にて―――― 廃墟となった……冬木の町………… 夜の新都に一人―――騎士の王はただ立ち尽くす。 ―――――― この事態――― 敵 もしくはそれに随する 何か の仕業であるのは間違いない。 そう、敵……聖杯戦争のマスターとサーヴァント。 これが 敵 の何らかの策謀によるものだとしたら 自分がこうしている間にガラ空きの主を狙われるのは必定。 既に敵の手に落ちた可能性も十分にあるだろう。 焦燥に押し潰されそうになる騎士である。 希望的観測すら見出せない状況―――― (シロウ―――貴方の剣となり御身を守ると誓った……) その誓いを果たせぬかも知れないという焦りと不甲斐無さ。 かつて守れなかったモノ―――― 不意に頭につく幻視を――――必死に振り払う。 ヒザをつくのは出来る事を全部やってから。 衛宮士郎と共に歩いた新都の町並。 通った道、通った交差点を辿って歩を進める騎士。 苦渋に満ちた表情を隠そうともせず、最悪の予感を押し殺しながら 騎士は一人、影絵の町を彷徨う――― ―――――― ―――――― ジェイルスカリエッティ―――――― 彼が管理局の拘束を何らかの形で逃れ、脱走。 第97管理外世界・地球に逃げ込んだという報告は 機動6課……ことに高町なのはら地球出身の局員の心胆を震わせるに十分な報せであった。 何故、彼が地球に、という疑問もそのままに 故郷が戦火に晒されるという危機的状況を前に 八神はやては後見人達の協力の元、半ば強引に機動6課の再設立を申請。 上層部もJS事件で彼女らがスカリエッティを退けたという経緯 功績を踏まえ、事は迅速に進んだ。 任務上、フォワード陣の早期の合流が望めない状況だったが故に スターズ隊長・高町なのはを初め、フェイト、はやて、ヴォルケンリッターら 主力メンバーが先行して地球に降り立つ。 時間にして最短。何としてでも間に合わせる! その思いの元、6課総力を挙げての強行軍は しかし―――最悪の未来を回避する力にはならなかった……… 絶望に押し潰されそうになる魔導士だったが――― (おかしい………何か…) 藁をも掴む思いで生存者の探索を続ける、そのうちに微かな違和感―― 希望的観測に過ぎない些細な物であるにせよ―― 悲しみに染まりつつあったなのはの表情に、微かに懐疑の念が混ざる。 歩きなれた、住み慣れた町。 そのところどころに―――自分の記憶と違う場所がある? 散策しながら思考を回転させ、状況を整理していく魔導士。 まず第一にこの地がスカリエッティの蹂躙を受けた事を仮定する。 もし、それにより件の惨状になってしまったのだとしたら―――その跡……… 海鳴の人々の「そういったモノ」が、全くない事にまずは違和感。 もし眼前に広がる光景が文字通りの地獄絵図であったなら、いかに自制心を総動員したとて 彼女は嗚咽に崩れ落ちる体を支える事が出来たか否か。 そう、それは完全に廃墟と化したゴーストタウン。 初めから人の住んでいた熱気―――気配が稀薄なのだ。 母艦クラウディアから設定した転送先は地球での拠点と定めた「八神邸」 だが気がつけば全く別の場所に、他の隊員とも散り散りに飛ばされている。 (海鳴……でも、一体…) 彼女の心中は今や、悲しみよりも混乱と 最悪の結果を否定したい気持ちで綯交ぜになりつつある。 だがこの状況………何が起こるか分からないのは確かだ。 恐らくは敵地と化したこの地にて、いつまでも固まっているわけにはいかない。 火急の事態に対して「いつもの備え」を行う。 ……故に―――――気づけた。 「!!!」 魔導士の全身に緊張が走る! それは――確かにいた。 彼女を尾行してくるものの存在。 自分の50m後方をピッタリと――張り付いてくる影。 (敵……) 頬を伝う汗。 時空管理局機動6課所属スターズ隊長・高町なのは。 愛杖レイジングハートのセーフティ・ロック解除を確認。 思考を切り替える。 クリアに、より冷静に。 焦燥を浮かべていた顔が歴戦のエースの表情へと変わっていく。 深呼吸を一つ―――歴戦の教導官が後方の影に全神経を集中させる。 ―――――― 奔走する騎士の前方――― それは――確かにいた。 (………あれは…!) ほとんど反射的に街頭の影に隠れる騎士。 自分と同じく廃墟となった街を練り歩いているモノがいた。 遠目のビルの物陰に隠れながら、ソレを尾行する。 ガチャリと、自らの発する鎧の擦れる音に舌打ちをする。 数ある戦場にて幾千幾万の敵味方が仰ぎ見た、光り輝くその雄姿。 隠密行動などという行為からは最も縁遠い存在である。 簡単に言えば目立つ人なのだ。黙って立っていても――― 他人の後をコソコソとつけるなどした事もない身。 その、ぎこちなさを隠せない必死の追跡行が続く。 (……いっそ武装を解除して――いや、) ここは既に戦地だ。 どこから敵が狙ってくるかも分からない場所で武装解除するなど愚の骨頂。 しかし鎧が擦れる音が耳障りでしょうがない――― いつ敵にばれてもおかしくない、それは殊更、無様な尾行であった。 とはいえ、この不肖の事態において唯一の手がかりとなるモノを見逃すわけにはいかない。 サーヴァントではない…… その気配は感じない…… だが無関係かと言われれば微妙な―――その風体。 このような場所で、まるであつらえたかのように自分の前に現れた事もある。 身のこなしや佇まいからして素人のそれとは程遠い。 先手を取られ、不利な状況の中――― この件の企てがあの者の仕業であるなら、これはチャンスかも知れない。 主があの者の陣営に囚われの身となっていたとしたら ここで相手の身を抑える事によって出鼻を挫く事こそ突破口の一端。 「後ろ……いるのは分かっています。」 (…………っ!!) しかして騎士のそんな目論見は――― 「大人しく出てきて下さい。」 ―――呆気ないほどに、挫折。 前方の背中からかけられた声が、尾行に勤しむ騎士を嘲笑うように場に響く。 つくづく甘い考えだったと自嘲する騎士である。 そう……これが相手の策略ならば、自分はその網にかかった獲物だ。 相手の胎内にいるも同然の身で尾行など成功するはずもない。 相手は前方50m。 こちらに向き直り、騎士の方に真っ直ぐに杖の先端を向けて構える。 十分な距離。十分な間合い。 自分は見事に、まんまと誘われたのだ。 相手に気づかれてるとも知らず、慣れない間抜けな追跡を続けていた自分を叱咤する。 このような火急の事態に慎重に行動してるヒマなど―――初めからなかった! 覚悟を決める時―――騎士の顔が、常日頃のソレへと変貌していく。 其はサーヴァント・セイバー。 数多ある伝承において最強の剣の英霊と称されるその身。 眩いばかりの白銀の肢体を、今―――魔導士の前に現した。 ―――――― 高町なのはが騎士の尾行に気づけたのは、その追跡が不慣れだったという事もあるが ひとえに「ある備え」のおかげだった。 鉄壁を誇るなのはとて不意を突かれれば堕ちない道理は無い。 過去、奇襲による幾度かの敗北。一度はそれで生死の境を彷徨った事もある。 その教訓から、いつ敵が襲ってくるか分からないという状況に際し スフィアによるワイドサーチを小まめに飛ばす事を習慣つけていた。 そして、そんな事はつゆ知らぬ騎士。 相手の行動がその身の尾行を誘い、罠を張って自らを迎え撃つつもりだったと取る。 状況からそう認識した彼女はもはや相手を―――敵のマスターであると疑わない。 その距離、50mの間合い。 開けた視界に陣取り相手の出方を待つ魔導士と、物陰から姿を現した騎士。 苛烈な戦いぶりと裏腹に、常時は物静かな二人である。 こんな状況でなければ、恐らくは対話による相手との接触を図ったであろう。 しかし今現在、互いに精神的余裕はまるで無く この異常な状況の中で双方、もがく様に手がかり―――光明を求めて彷徨っていた。 要するに正常な思考とは程遠い状態であったわけで………… ―――――― NANOHA,s view ――― (………子供? 女の子…?) 少し戸惑う。 てっきり、スカリエッティと共に脱走した戦闘機人や ガジェットが出てくると予想していたから……… 多分、年の頃は15、6。 金色のキレイな髪に薄い緑色の瞳。西洋の人形みたいに整った顔立ち。 そして服装はそんな清楚さとは真逆の銀の西洋鎧に身を包んだ完全武装。 でもそれを全くアンバランスに感じさせない予定調和のような美しさを彼女は持っていて 敵地だというのに一瞬、その奇麗さに目を奪われてしまう。 それが目の前で敵意を剥き出しにして、私を睨んでいる人の風体……… 敵意―――そう、凄まじいまでの闘気。 一瞬で背筋に何かが這い上がってくるような感覚を覚えながら構える私に対し―― ダァンッッッッッッ!!!!、と―――― 耳を劈くような、アスファルトを踏み抜く音を彼女は場に撒き散らす。 「……ッ!」 息を呑む私。 何一つなかった。 交わす言葉も、何も。 一切の躊躇いも無く問答無用に、彼女―――白銀の騎士はこちらに突っ込んできた! 既に砲身を向けている私に対して真っ直ぐに、だ! 凄まじい踏み込み……初動の爆音を全くの置き去りにして発射された白銀の肢体。 まるでフェイトちゃんのテイクオフを思わせるようなフルスタート。 その迫力に、思わず上体が仰け反ってしまいそうになる。 その馬鹿げたスピードは私の視界から残像も残さず 反撃も迎撃も出来る十二分に対応可能な距離――― 50mという間合いの対峙を瞬く間に潰してくる。 でも……… 「アクセルシューター……!」 予め用意していた48のスフィア。 それが私の周囲に展開する。 どんなに速くたって―――奇襲でも機先を奪われたのでもない以上 先に相手の鼻先に銃口を向けている私の方が速いに決まっている。 あまりにも無策……この状況でそんな突撃をするなんて… 「シューーーーーートッッ!!」 デバイスや魔法の補助を受けての事だけど 超高速移動をする相手との戦闘訓練は十分に受けている。 もっとも相手は真正面からグングンと迫ってくるのだから狙いをつける必要もない―― 全弾斉射!!! まずは動きを止めて……ッ! ―――――― SAVER,s view ――― こちらの動きが相手に筒抜けである以上 もはや問答の暇も交渉の余地も与えるつもりはない。元より交渉の材料などない。 何故なら敵の術中に嵌った時点でこちらの身は抑えられたも同然――― 敵サーヴァントがどこから狙ってくるかも分からないのだ。 不利な材料しか持ち合わせていない者が対話の席に着かされたとて まともな交渉になるはずがない。 敵の胎内で動かなければ、座して消化されるのを待つだけだ。 ならば――――まずは相手の頭を抑える! 絶対的に不利な状況の中、少しでも活路を開かねば何もならない。 勿論、それ自体が罠の可能性もあるだろう。 私の奮起を誘い、飛び出させたところを網に絡める事も十分に考えられる。 だが……事ここで深慮など愚の骨頂。 どんな姑息な罠だろうと、真正面から打ち破り、噛み砕いてみせる。 この身は………数多の戦場でそうしてきた、剣の英霊なのだから。 街頭から姿を現した私と相手の目が合う。 どうやら女の―――魔術師のようだった。 栗色の長髪を両端で結んだ風貌はどこかリンを髣髴とさせる。 その引き結ぶ口元には、蜘蛛の巣にかかった哀れな獲物を見るような優越感――― そのような嗜虐めいた感情は、表向きは見受けられない。 まあ、どのような罠があれど―――サーヴァントと向き合いながら 弛緩の空気を垂れ流しているようでは三流以下だろう。 向こうも相応に、この身を警戒しているという事以上の意味はあるまい。 だがメイガス―――それでも迂闊さは拭えないと知れ。 先ほどリンを引き合いに出したが、彼女は余程の理由が無い限り このようにサーヴァントと正面から向き合うなどという愚かな行為は絶対にしない。 その選択が高くつくという事を存分に教えてやる……魔術師よ! 「はぁっ!!」 敵との距離を即座に潰そうと踏み込む。 まずは我が前進、止められるものなら止めてみよ! 「アクセルシューター……!」 私が行動を開始した直後―――全く同時。 相手はこちらの動きに合わせて周囲に迎撃の魔術を展開する。 良い反応だ……私の動きを捉えているというのか…? 「シューーートッッーー!!」 鈴の音のような声が響き渡り、数十を超える魔弾がこの身に降り注ぐ。 その弾幕は直進を続ける我が視界を埋め尽くすほどの豪壮なものであり 相手が並の使い手では無い事を感じさせた。 だが……私はそれに構わず直進する。 それを受けて相手の表情が―――強張る。 その無数に放たれた魔弾が、私に触れるや否や――― まるで弾かれるように散華し、消滅したからだ。 「ええっ!!??」 驚きの声をあげる彼女。 残念だが魔術師よ。 この身には届かない………その程度の「魔術」ではな! ――――――
https://w.atwiki.jp/uguisuinjippura/pages/115.html
民法とは 個人と個人との関係について規律した法律です 個人と個人との関係は「財産」「家族」に区分できると思います 契約について 契約とは簡単云えば「約束」のことですが 何かを購入するのも、就職、入学、住まい、賃貸、土地、総てが契約です。 約束と契約の違い 契約は民法の世界においては、単に「約束」違いますが 「約束」は破棄しようが、何か制裁的処置がされるわけではありません。 民法は法律ですので、民法の世界で契約を破るということは、 法律に違反するということになります。 そのため、自ずとその辺の知識を性格に捉えないといけません。 「民法の世界での契約」とは、意思の表示の合致、つまりは合意です。 例えば一号が二号に土地を売却するといった展開で、 一号と二号の間には「売る」「買う」といった合意がなされたことなりますが、 このように二人以上(基本的には二人)がする合意を契約といいます。 なお、「法律行為」とは、「契約」と同じ意味であると考えておけばよいでしょう。 契約の自由というものが日本では認められています。 ①締結の自由 ②相手方選択の自由 ③内容決定の自由 ④方式の自由 これらが契約自由の原則の内容になっています。 契約が成立するための条件=「承諾」 契約締結の費用=「平等の負担」 契約が有効に成立した場合=「義務」と「債務」 意思表示とは 契約を締結するか否かについては誰からも強制されず、 自分の自由な意思によって決定することができます。 しかし、一度契約を締結したときは、 自分で欲して契約を締結した以上、最後まで契約を守らなければなりません。 もし契約を破棄した際には、契約違反(債務不微行)として 背禁(債務不微行責任)を負わされ、損害賠償請求をされたり、 契約を解除されたりすることになります。 このように契約の自由といっても、それは義務を伴うものであります。 それでは契約を締結した以上、契約を最後まで守らなければならないとされているのは その契約を自分が望んで自分の意思によって締結したためです。 そうだとすれば契約の締結を他人から強制された場合か、 何らかの理由で契約をする意思がなかった場合には、 契約を有効として、当事者に気約を守らせることはできない ということになります。 これが「意思表示制度」の問題です。 契約が有効とならない場合には、契約が当初から無効な場合と 契約の取り消しが認められる場合があります。 その他にも「代理」「抵当権」「不法行為」「相続」「物件」・・・etc、ありますが それらは余裕が出来次第補足していこうと思います^^
https://w.atwiki.jp/thrones/pages/21.html
「おい、起きろ坊や」 声に反応してうっすらと目を開ける。 ソルの顔が、自分を覗き込むように見下ろしているのが目に入り、カイは慌てて飛び起きた。 どうやら本格的に眠ってしまっていたらしい、気恥ずかしさに赤面する。 カイが起きたのを確認して、ソルは森を出た。 ソルを追い掛けるようにカイも続く。 「…」 前を歩くソルの背を見ながら― 自分を置いていく事もできたのに、わざわざ起こしていく辺り意外と律儀だと思い― ふと想像して似合わないことに可笑しくなり、思わず吹き出してしまった。 「ちっ」 押し殺した笑い声を背中に聞きながら、ソルはイラついていた。 置いていけばうるさいかと、わざわざ叩き起こしたが笑ってやがる。 やはり、放っておけばよかったか? それにしても… なぜ、坊やを連れていく気になったんだ? 答えはソル自身にも分からなかった。 カイは、ひとしきり笑って納得したのか、いきなり真顔に戻った。 (やれやれだぜ…) そんな様子に心の中で毒づいて、ソルは正門の立派な扉の前に立った。 西の空に日が落ち、辺りは薄暗くなりはじめている。 踏み込むにはちょうどいいころ合いだ。 ガチ。 扉に手を掛け中に入ろうとしたが、侵入者を拒むようにびくりともしない。 「これか。めんどくせぇもん付けやがって!」 扉に取り付けられているものに目を止め、ソルが忌々しく吐き捨てる。 恐らくは、何等かのセンサーの類いだろう。 ソルが封炎剣を大きく振りかざした。 たたき壊すつもりなのだろう。 「待て!」 慌ててカイが制止する。 「下手に破壊して、何等かのセキュリティが作動したらどうするつもりだ?」 「じゃあ、どうしろってんだ?!」 二人の視線が真っ向からぶつかった。 「上手くいくかどうかは分からない。それでも、試してみる価値はあるだろう?」 しばらくの沈黙の後、ソルが扉の前から離れた。 何も言わなかったが、恐らく「やってみろ。」そういったところだろう。 ソルと変わり扉の前に立ったカイは、手をかざし法力を解き放つ。 パチンと火花が散り、システムがダウンして、カチリとロックが外れる音がした。 慎重にドアノブに手を掛け、ゆっくりと内側に押していく―。 びくともしなかった扉は音もなく開き、奥まで続く長い通路が二人の前にどこまでも続いている。 どうやら、セキュリティは作動しなかったようだ。 何事も起きなかった事にほっと一息ついて、カイはソルに向き直った。 カイの視線を、ソルはニヤリと口の端だけを上げて受け止める。 それぞれの思いを秘めて、二人は長い通路を歩き出した。 カツン、カツンと、乾いた靴音だけが、白い壁に反射して響き渡る。 一番奥を曲がった階段の踊り場で、ここの研究員と思われる者達が待ち構えていた。 「どうやらバレてたみてぇだな…」 ソルが封炎剣を構える。 「待て!ソル」 カイは慌てて封炎剣を押さえ、ソルの前に割って入った。 「この人達は、ただの研究員です!殺す事は許しません!!」 カイは鋭い視線でソルを一瞥すると、研究員の方に視線を巡らせた。 「私は国際警察機構の者です。大人しくして下さい。あなた達の身柄は私が預かります。」 研究員達は別段騒ぐでもなく、静かにカイの言葉を聞いていた。 「ソル、お前は先に行ってくれ。私は後で―」 くるりと向き直りソルと話しはじめた時、研究員の雰囲気が豹変する。 「!」 ソルは咄嗟にカイの腕をとり、強い力で体を引く。 「何を…?!」 バランスを崩し、抗議の声をあげるカイの側を、鋭い爪が横切った。 「なっ…?!」 素早い判断で、体勢を立て直す。 「がぁ!」 再度飛び掛かってきた男の手を、カイはするりと交わした。 その後ろにいたソルの封炎剣が、男の眉間に突き立てられる。 「ギッ!」 短い奇声を残して、男は血をまき散らしながら倒れた。 白い床を赤く染めて、それきりその男は動かなくなる。 血のニオイに誘発され、その場にいた研究員達が狂喜を帯びはじめた。 我を忘れ、次々と襲いかかってくる。 ソルは封炎剣で一刀両断にし、カイは一閃の元に切り捨てた。 二人の足下に、ぐしゃりと音を立てて、二つの死体が転がる。 血のニオイを嗅ぎ付けてか、ソルとカイを取り囲む人垣が増していった。 「ちっ」 短く舌打ちして、 「キリがねぇな」 やってられないと言わんばかりに吐き捨てる。 このままでは消耗戦だ。自分は心配ないが、カイがヤバい。 ここで時間を食ってると、肝心な野郎に逃げられるかも知れない。 のたくたやってる訳にはいかないのだ。 そしてこの事は、カイの方も気付いていた。 ここで、足手まといになるつもりは毛頭ない。 「ソル…ここは私に任せて、お前は先に行け!」 横から飛び掛かった男の攻撃を、交わしざまに切り捨てカイが叫んだ。 「…本気か?」 この数を相手に、カイに勝算があるとは思えない。 「死ぬ気じゃねぇだろうな?」 「心配するな。死ぬためにここに来た訳じゃない。必ず後で追い掛ける」 襲いくる男達を薙ぎ払い、足下に死体を積み重ねながら、真剣な眼差しがソルを見る。 「…分かった。ここはお前に任せる」 「ああ。早く行け」 ソルは封炎剣に力を込め、地に突き立てた。 「ガンフレイム!」 炎の柱が地面を走り、押し寄せる人垣を焼き払う。 一角を崩し、そこからソルは走り抜けた。 「ソル!殺すなよ!!」 封雷剣を振いながら、走り去るソルの背後を見つめて、思い出したようにカイが慌てて声をあげる。 聞こえているのかいないのか、確認はできなかったがとりあえず、ソルを先に行かす事ができたカイは、ほっとして自分を取り囲む者達に視線を戻す。 「さぁ、お前達の相手はこの私だ。」 封雷剣を構え直し、法力を集中させる。 カイの体を青白い光が包み、雷が走った。 捕らえようと伸ばされる手を交わし、それに呼応するように、封雷剣の細い刀身が流線を描く。 その度に鮮血が飛び散り、辺りを朱に染め、死体の山を築いていった。 どれくらいの時間が経ったのだろうか? カイの呼吸はすでに荒くなり、肩で息を紡ぐ。 体のあちこちで、赤い血が細い筋を作って流れ落ちる。 すっと目を閉じて呼吸を整え、血で滑る封雷剣に力を込めた。 静かに目を開き顔を上げて、封雷剣に法力を集中させていく― 「これだけは…使いたくなかったのですが…」 ポツリと呟いて、カイは剣を水平に構えた。 「ライジング・フォース!!」 極限まで高められた法力が、解き放たれた。 雷が荒れ狂い、周囲を飲み込んで、すべてのものを消し去っていく。 後には何も残らなかった。 カイの体がバランスを崩し、ふらりとよろけて膝をつく。 荒い息を繰返し、やがてゆっくりと立ち上がる。 「ソルを…追い掛けなければ…」 壁に体を預けながら、ふらつく足で一歩一歩歩き出す。 この先で待つ、ソルに合流するために―。 NEXT 戻る
https://w.atwiki.jp/fertcg/pages/616.html
FERTCGでの行動とは、以下の2つのどちらかである。 1:武器で攻撃する 2:杖、杖の魔法カードを使用する それ以外に行動の代わりに行う動作もある。 行動は1ターンに1度しか行えない。 行動と行動の代わりにの大きな違いは以下のとおりである。 A:【再行動】などが可能である。 B:【光】の戦場(属性)、【雷】の戦場(属性)、【氷】の護符(属性)に記載されている行動に該当する。 Aの【再行動】はゲーム上非常に重要なことである。 1の武器で攻撃した場合、処理ステップ中に【再行動】が可能である。 よって処理ステップが発生しないと【再行動】はできない。 具体的にはアタックキャンセルが発生した場合である。 (攻撃の気力チップが足りない、相手がいなくなる、など) 2の杖を使用した場合、効果が発揮されたときに【再行動】が可能である。 効果が発揮されないときとは、杖の使用の場合気力チップが足りないとき、あるいは対象がいなくなたときである。 通常、対象がいなくなることはないが、補給撤退で空振りになることはある。
https://w.atwiki.jp/visa/pages/13.html
査証とは 「査証(さしょう)」とは、外国籍の方が日本に入国する際のいわば「入国許可証」とでもいうべきものです。 在留資格と一緒にビザと呼ばれることが多く、またパスポートとも混同されがちですが、実は全くの別物です。 原則的には、外国籍の方が日本に入国する際には、在外公館(大使館や領事館など)において入国許可申請をし、査証の発給を受けなければいけません。 しかし、在外公館では日本現地の受入状況などを詳細に確認することに、非常に時間がかかるため、現在では「在留資格認定証明書」を取得するのが一般的になっています。 また入国に際して、査証免除規定を置いている国もあります。査証免除規定を置いている国や地域の方は「短期滞在」(いわゆる観光ビザ)に限り査証なしで日本に入国することが可能です。 査証が必要ないというだけで、入国申請や在留許可は別途必要なので、査証免除国の人であっても問題があるとみなされれば、上陸拒否にあう場合もあります。 関連リンク 在留資格認定書とは 在留資格とは
https://w.atwiki.jp/alens/pages/5.html
酒樽とは、Rizeroの事である。Rizeroとは米粒の事である。 意味はまだ無い。 事実Rizeroとは。 1.酒をよく飲む。玄関が酒瓶で満ちている 2.酒に強い。 3.酒は米粒から造る。よって名前にの由来に筋が通っている。 4.インカミングミッソゥズ!!!!wwwwwwwwww 5.外で悪い子、内でも悪い子。 6.平和が大嫌い。 7.コッパゲ教徒。 8.悪魔信仰 9.近々兵器開発に従事する恐れ有、危険。 10.でもコッパゲ教徒。 11.↑は9割ウソである。
https://w.atwiki.jp/kingporin/pages/16.html
TEとは 以下公式より抜粋 「攻城戦TE(Training Edition)」は、特別なフィールドにある砦の所有権を巡って戦う、ギルド同士による砦の争奪戦です。 基本的なルールは攻城戦と同様ですが、参加可能な職業が上位2次職までだったり、対人戦向けの装備がレンタルできたりと、攻城戦を体験したことのない人でも気軽に参加できます。 「攻城戦TE」は、毎週土曜日20 00~22 00に開催されます。 これを機に攻城戦デビューをしてみませんか? 攻城戦とは 「攻城戦」とは、特別なフィールドにおいてギルド同士で砦を巡って戦う、多人数対多人数の対人戦です。戦う相手は、自分同様、キャラクターを操作しているプレイヤー。モンスター戦とはまた異なった、リアルタイムの駆け引きが魅力です。 毎週日曜日の20 00~22 00の間行われており、制限時間内に各砦に設置されている「エンペリウム」を仲間と協力して破壊し、砦の所有者となるのが目的です。 砦の所有者になれば、ギルドダンジョンに挑戦できたり、他では手に入らないアイテムを入手できたりなどの特典が待っています。
https://w.atwiki.jp/tosyoshitsu/pages/79.html
夜空に見上げる星のことを忘れてしまったのはいつからだろう。文字ばかりをなぞるようになり、銀縁の眼鏡をつけるようになった頃だろうか。 見上げることをしなくなり、そこに星などないと思い込むようになったのは、いつからだったろう。自分で目にする星を、星と思わなくなったのは、一体いつごろからの、ことだったのだろう。 机上にばかり目を落とし、モニターの白い光を星空のように見つめていた。 夜に風を感じなくなった。夜を夜と思わなくなった。そこに月はなく、星もなく、雲もなく、風もなく、朝の日の出も、何もなかった。 静かな時間ばかりが降り積もった。 窓ガラス越しに雪を見よう。 春の芽吹きは画面が伝えてくれる。 雪解けで濁った庭の土と、どろどろに汚れた革靴の手入れをする時間。 何も染み込まない。どこにも行かない。 冷たい夜のスープが足元を浸して一面にどこまでも広がり続けているような気持ちだった。 * * * 『電網適応アイドレス』 * * * 薄墨色をしている空。 じき、夜が空にもっと色濃く落ちてゆくだろう。その宵の空の下で、人々は、静かに時を待っていた。 冷たい砂漠のオアシスに作られた公園にかがり火が灯される。 普段は観光客以外、滅多に足も踏み入れようとしないその場所に、とりどりの衣装をまとって大勢の人たちがひしめきあい、敷地をはみ出たところにまで出店が建ち並び、またそこに押し寄せる人々の列が何本も何本も伸びている。 かつてこの国がまだ四つに分かれていた頃の交差点であり、人目を忍んで、南の王子と北の姫君が逢瀬を重ねていたオアシス。 そのオアシスに、人々は続々と集まっていた。 いつもならばその時間は、水を飲みに来て我が物顔であたりをうろつく小動物たちや、それを狙うトカゲやサソリたちが顔を出し始める時間帯だったのだが、今日ばかりは一体何事だろうと驚きながら、この大勢の人ごみに踏まれまいと、慌てて遠巻きに散ったり、いつもより深く砂中に潜り込む。 みな人は、砂避けの上にもう一枚羽織り、めいめいに物売りから、果実を甘く煮出したジュースを買って飲んだり、出店で売ってる、小麦粉を練ったものに焼肉を挟んだ奴に、好みのソースをたっぷりとつけて舌鼓を打ったり、そうして砂漠の夜の冷え込みに今からしっかりと備えながら、それぞれがひそやかな興奮を胸に、じっと時を待っていた。 めいめいにめかしこんでおり、衣装には砂避けの留め具に金銀の美麗な飾りを使っていたり、腹の開いた服を着ている未婚の男女などは、それぞれ腰帯に工夫を凝らして見るものの目を楽しませている。 気軽に隣り合うもの同士が喋りあう。それが知り合いかどうかなど、誰も気にしない。気さくな国風がそうさせるだけでなく、何か、普段はそういうものを感じない人でさえ、どきどきする、熱気のようなものが辺りを包み込んでおり、それによって、みな、どうしても黙っていることが出来ないらしかった。 また、これだけ人が集まっているにもかかわらず、つきものであるはずのつまらないいさかいも、人ごみにはしゃいで迷子になる子供も、人の波に倒されるものもない。 静かにじっと、ひそやかな興奮だけが、あたりを包んでいた―――…… * * * 「今日は快晴ですね」 城の執務室の窓から外の様子を覗きながら、蝶子が言った。 テーブルの上には書きかけの書類が転がっており、藩王である彼女が手ずから仕上げなければいけない情報の数々がその中をひしめきあっている。 王として式典参加もしなければならないその身は、執務中にあってもきちんと折り目正しく装われていたが、表情はそれよりほんの少しだけ、硬かった。 いつも笑顔と明るさを絶やさぬ藩王ではあったが、心まで、無敵で出来ているわけではない。 「…………」 もう一度だけ、窓から空の様子をうかがった。 幾つかの星が瞬いている。 思い人の名を胸に抱いた。風の噂では今、わんわんに身を寄せているという。怪我は大丈夫かな。いつか会えるよね。 自分のひとさし指を見つめる。 今は、これに集中しなくっちゃ。 眼下には、窓二枚、隔てても微かに聞こえるほどの雑踏。街並みに、ぎっしりと人の波がうねっている。お祭り好きなにゃんこらしく、時折変な騒ぎがどっと沸き上がるのも微笑ましかった。 蝶子は机に戻り、そしてペンをその手に再び取った。 * * * 『I_Dress、私は飛びたい』 * * * 光溢れる街中では、カール・T・ドランジのシンボルマークである金色の龍を模した張り子が幾つも列をなしてうねっており、昼間から延々と続くパレードに紙ふぶきがまた際限なく舞い続けていた。 表通りに面した店では緊急に軒先を開放し、誰もが見やすいようにとあちこちで臨時にビアガーデンが出来た。 誰もが陽気に呑んで騒いで浮かれて、祭りのクライマックスに向けて盛り上がっている。 猫は、群れを作らない。ただ、みんなで一緒にじゃれあうのが楽しいことを知ってるし、みんなで話せばためになることを知ってるし、みんなで一緒に丸くなればあったかいことを知っているだけだ。犬は犬で、犬なりのやり方がある。それでいいと思っているだけだ。 その犬と、長い間の戦争をしてきた。そして今、根元種族という共通の敵が現れた。犬とも仲良くできるかもしれない。 猫は極めて楽観的であった。まあどっちもむくむくで、ふかふかに毛が生えているので、くっつけば同じようなものだと考えているふしがあった。 深いことを考えないのが猫のいいところでもあり、悪いところでもある。 みな、前だけ見て、にゃんにゃんにゃんにゃん、けたたましいほどのお祭り騒ぎ。 その頭上に、夜のとばりが落ちかかる――― * * * その頃、地上のとあるところにフィクショノートたちが集まっていた。藩国のイグニシアが胸に印された、白い正装をしてる。 その9つの手が、それぞれに振り上げられた。唱和が起こる。 「私の指は銀の指」 『宿れ、星の精霊よ―――!!』 * * * それは夜に指かざす白銀であった。 地上から、いくつもの舞踏子たちの指が差し伸べられ、天を満たす白銀となる。 星々が、天空に満ちる海のよう。 * * * 4機のアメショーが金色の尾を引いて空を飛ぶ。 白銀を切り裂く、金色の龍。 その日、レンジャー連邦に新たな思い出が一枚刻まれた――― * * * 誰もが見上げる、静寂。 * * * ―The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎