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覚悟や――決意、のようなものを込めてその部屋の前に立った。 いつものように一度だけ深呼吸。管理された清潔さや、新緑の萌える香りと相反する薬品の臭いを体に浸透させる。 これは俺なりの儀式だ。この扉の向こう、閉ざされた世界で毎日俺を待ち続けるアイツに会う為の、礼儀でもある。 「うし、行くか」 克己の言葉を呟いて、重く分厚い引き戸の取っ手を掴んだ。 …ひんやりした感触と、蛍光灯を受けて鋭く輝くそれが、俺が今日初めての来訪者であることを無言で告げた。 (いつも、ひとりぼっちだから、ね。本当に嬉しいんだよ) 静かな廊下にアイツの声が聞こえたような気がして、俺は扉を開け放った。 顔には微笑を。哀しみはこの胸に。 これは、たった二人きりで常識や道徳に立ち向かった兄弟の思い出、その最後のページ。
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…甘かった。残り5分を切って、そう簡単に自分が鬼になってくれるヤツなんているわけがなかった。 非情な時計は容赦なく時を刻み、すぐに時間は来た。 そして、左右と後を同級生に囲まれて身動きの取れない今に至る。だけど…ただそれだけならよかった。 僕が往生際悪く逃げ回ったあげく無様にも捕まってしまったせいで、僕の罰ゲームは二人に抑えつけられた状態でヒロに手でおちんちんをいじられるというものにまで重くなっていた。 もうトイレが目の前にある。右に手洗い場が見える。その先には右に小便器が三つ。その先が、僕ら…というか僕のクラスメート達が目指す個室だ。 数分後のその中の光景を想像して、僕はただ現実を再確認する。 ああ…僕もうダメかも… 「っ…くぅぅ…」 僕の先の部分を半分ほど隠していた皮をヒロが慎重な手つきで剥く。 緊張と恐怖のあまり縮んでしまっていた僕のおちんちんは、その刺激だけで高ぶりを見せる。 ヒロが僕のものを握って、前後に動かす。状況と裏腹なその優しく甘い刺激に、僕は我慢できずに吐息をあげた。 「ふふ…もうこんなになっちゃった。」 三人の視線が僕の股間に集中するのがわかる。完全に上を向きそそり立った僕のおちんちんがぴくん、ぴくんと動いている。 ヒロはそんな僕の先っぽを指でつまんで引き寄せ…手を離した。ぺちん。すっかり固くなった僕のおちんちんがお腹にあたって音を立てる。 もう一度。ぺちん。 「完全勃起だね。みんなに見られて興奮しちゃったかな?」 ヒロがくすくす笑っている。他の二人はなぜか黙ったままだ。首を回して彼らを見ると、二人とも慌ててそっぽを向いてしまった。顔が赤い。 薄暗くて狭いトイレの中でさっきから太股に当たる感触がなんなのか、いまさら考える余地もなかった。 今となっては恥ずかしさに顔を赤らめていないのはヒロ一人。他はみんな冷静さを失っている。いや、正気じゃないと言う意味では、ヒロも似たようなものだ。 それに、僕ももう… 「ひあぁあっ…んっ」 今までとは比べ物にならない鋭い感覚が、僕の体のなかを走る。皮をむかれた僕の先端を、指先で擦られる。 今まで一人でするときにもまだ刺激したことのないそこを、同級生に蹂躙される。 半ば痛いようなあまりにも強い刺激に、膝が立たなくなりそうな感覚を覚え声をあげてしまう。 「やっ…あああぁぁっ!」 体中を走り頭の中で飛び跳ねる電流が僕が思考するのを阻む。 なん…僕こんな…に…ってるの僕…悪……とを……らヒロ…怒っ…る…………嬉し…これは…実………? 自分の頭の中で必死にもがいている僕を、ヒロは両手を使って責め立て絶頂へと導いていく。 右手で僕のシャフトを握りピストン運動をさせ、左手は僕の先っぽにあてがったままだ。 ヒロの右手が動くたびに、僕の先っぽと左手が触れ、電流のような感覚が流れる。痺れるような感覚の中で僕の腰に不意にもやっとした感覚が一瞬浮かび上がった。 そしてその感覚はすぐに実際の世界に形をなしてほとばしる。ひときわ眩しい電流をともなって、僕は射精した。
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艦長日誌 宇宙暦53823.3 惑星重力圏からの離脱に成功。 惑星のシルディオン鉱床は有望だが、事前に原住生物の対策が必要であると思われる。 なお、降下作業中、原住生物に口と肛門から体液を注がれてしまったが、DT0928-βのセックス機能により事なきを得る 「ってこんな日誌提出できるかあああああああっ!」 リュカはバンと宇宙艦ブリッジのコンソールを叩いた。 「艦長、報告は正確に、ですよ。入れてっておねだりしたこととかも記録しとかないと」 ベータがニヤニヤ笑って言う。ニヤつくアンドロイドも珍しい。 「なんか楽しんでないか?ベータ君」 「そりゃ楽しいですよ。リュカさんと親密になれたんですし」 「友達になりたいとは思ってたけどさぁ」 「かわいかったですよーリュカさん。あのときの映像は私のメモリーの一番大事な箇所にしまっときます」 ベータはそう言って頭をこんと叩いた。 「私たち、公私共にいいパートナーになれるといいですね」 こうして、後に「伝説の二重連星」と呼ばれる名提督リュカ・ベテルバーグと副長ベータの新たな旅が始まったのである。
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夜が更けてゆく。 月明かりが襖の隙間から差し込んだ。 部屋の中に灯るのは、ぼんやりと浮かぶ蝋燭の明かりだけ。 帯を緩め、紫火が着ているものを脱ぎ捨てた。 肌が露になり、七科の瞳に妖しくその裸体が映る。 だが、目線を腹部に持っていくと、山科の顔が一瞬にして凍りついた。 生々しい傷跡がそこにはあり、今にもまた血が吹き出すのではないかと、七科は心配になる。 「その傷は…」 「気色悪いですよね。僕の力じゃ…ちゃんと化けられなくて…」 衣服を広いあげると傷を隠して、紫火は苦笑する。 七科は静かに首を振って、紫火を布団の上に押し倒した。 そして、紫火の首筋に下を這わす。 「ん…あっ…」 紫火の口から、淡い吐息が漏れた。 舌は徐々に下部に移動していき、紫火の乳首を玩ぶ。 起立したその小さな蕾を舐められ、時には甘く口に含まれ、その度に紫火の体がぴくっと痙攣した。 「ひぅ……ぁん…」 七科は、紫火の平らな胸の上にある二つの蕾を楽しみながら、足を開かせて入口にゆっくりと指を押し込んでいく。 紫火が小さく息を吹く。 「まだ一本なんだが…痛いか?」 「…だい…じょうぶです…」 涙が潤む瞳が、七科を見て笑った。 それが七科には愛しく感じ、指を一旦抜くと臀部を引き寄せる。 舌が内部に侵入し、優しく慣らして始めた。 「だめ…だめぇ…」 舌のその感触に、真っ赤になった顔が歪む。 とろけそうなその快感に、紫火は何も考えられない。 「じゃあ、いくぞ」 唾液に濡れた入口から舌を離すと、七科は猛々しいそれを取り出して、ゆっくりと紫火の中へ収めていった。 「あっああぁ……」 圧迫感に身を悶えさせ、紫火の口元から涎が垂れた。 「まだ達くなよ?入ったばっかだかんな」 七科が言うと同時に、腰が動き始める。 逞しいそれは紫火の中の全てを占め、一つになったようなそんな感覚さえ二人にはあった。 抜き差しが繰り返され、紫火は乱れたあえぎを上げる。 「ふぁっ…ひ…ぃ……だ、だき…しめて…だきしめてくだ…さい…」 紫火が懇願した。 七科は紫火の背中に腕を回し、そのまま抱き寄せると腰を高く突き上げる。 「うぁっ…ん…体温を感じる……あぁひぁぁ…あったか…いです…あぅんっ……」 紫火の体は震え、小さなそれが絶頂を迎えようとしていた。 七科ももう限界で、腰を振る速度を速める。 「あっ…ああぁぁぁっ」 「くっ」 七科が気付くと、そこには何もなかった。 部屋も、屋敷すらも消え、山の中にぽつんと座っている。 しかし、腕の中にはまだ温もりが残っている仔狐がいた。 この仔狐は、猟師にでも撃たれたのだろうか。 親狐はいない。だが、仔狐は家族の温もりが忘れられず、息絶える前に力を使って七科に頼みを聞いてもらった。 行為など必要なかったのにと、七科は思う。 仔狐を抱えたまま、七科は日が昇るのをただ眺めていた。 「お。村が見えてきたな」 他愛のない独り言を口にしながら、七科は変わらず山道を歩いている。 何も意味もない男だが、確かな意味を持つ出来事に出逢えた。 それを心の中で、山に礼を言う。 そしてこの広い山の何処かに作った墓の中で眠る仔狐に別れを告げて、七科は山を下りた。
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