約 2,268,853 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/26765.html
【検索用 れんあいそうたん 登録タグ 2013年 VOCALOID できればよいP れ 依存 曲 曲ら 鏡音リン 鏡音レン】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:できればよいP 作曲:できればよいP 編曲:できればよいP PV:依存 唄:鏡音リン・レン 曲紹介 一年半前に出したCDの収録曲です。 こういう人結構いると思うんですがどうなんだろ。(作者コメより転載) 曲名:『恋愛相談』(れんあいそうだん) 歌詞 (PIAPROより転載) ●リンパート ■レンパート ●1番全てリン 気づいているわ君が私を好きだと でも私は他に好きな人いるの だけど彼には近づく事もできない私は 君の気持ちを知りつつ 恋愛相談しているの 彼のことが知りたいの (彼ともっと仲良くなってよ) 好きな人はいるのかな? (そうすれば聞き出せるでしょ) どうすれば付き合えるかな? (君がキューピットになってよ) 少し意地悪な 恋愛相談 今日も(明日も) 私を(大好きな) 君を(こき使って) あげる ■2番全てレン 僕の気持ちも知らないで君は ひたすら彼のことを話してる ホントは全然楽しくないよ 傍にいれること以外 だけど君の純粋な 恋心は大切に してあげたいから僕は できるだけ協力してあげよう 君のことを可愛いって! (誘導尋問だったけど) 好きな人はいないらしい! (あの子は諦めさせたから) うまくいくはずだきっと! (ちょっと不安は残るけど) 少し強引な 恋愛相談 僕は(君の事) 好きだ(心から) だから(君の恋は) 叶える ●だけど散った恋心 ■慰め励ましてあげよう ●君の優しさに惚れてしまいそうで ●揺れ動く ■あきらめちゃいけないよまだ ■(諦めて僕のとこにきなよ) ●だよね私がんばるわ ●(なんで奪ってくれないの) ■そうだその意気でいこう ■(なんて思ってないけどね) ■少し裏腹な ■恋愛相談 ●今日も相談しましょう ●(ホントは君といたいだけよ) ■そだね相談しましょう ■(ホントは君といたいだけだ) ●君は好きな人いないの? ■え・・・いないけど・・・・ ●そんなものなの ●恋愛感情 ■いつか(彼女は) ■違う(男を連れ) ■それは(いつの間にか) ■終わった コメント かわいい! -- 名無しさん (2013-09-23 11 11 58) この曲スゴくすき!伸びてほしいなぁー -- しずく (2013-09-23 12 56 07) のびろーーーーーーーーー -- 名無しさん (2013-10-12 21 37 59) 歌詞だけ見るとかわいそう… -- あみたん (2013-10-14 20 40 06) なぜのびぬ -- 名無しさん (2013-11-17 21 32 36) 聞いてて切ない感じがします… -- ふ み (2014-03-13 21 51 13) この曲好き(*´ω`*) -- 名無しさん (2016-02-19 18 19 02) その気持ち凄く分かるんだなぁ。。ほとんど同じ状況、、泣 押すところは押そう。。 -- りど (2018-02-16 21 57 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1132.html
その場所の入り口は他の扉と一見すると全く一緒であった。 だが、外部からでも分かるほどの異様な雰囲気が部屋の中からあふれ出ていた。 「ここは?」 おそらく巨大砲の制御室ではないであろう。ましてやクリスタルをいくつも保管している場所であるとは思えない。 そこからあふれ出ていいる空気はどこか禍々しく近寄りがたいものであった。 「……いってみるか」 誰も拒否しなかった。その場所が発する空気は誰もが感じていたのだろう。 後から思えば無視して通り過ぎるという事も出来たはずなのに、何故か素通りする事は出来なかった。 部屋の中は塔内部の他の個室と違って、明かりがついていなかった。詳しく中を確認する為には、目を慣らす時間を要した。 「!」 暗がりに慣れ、おぼろげながら見えてきた光景に目を疑った。 「……にこれ」 部屋中に並べられた大型の培養管。その中に詰められたものは―― 「人間……?」 言葉にしたくない台詞を口にする。 間違いない。それはセシル達となんら変わらない人間。培養管の中、濁った水の様な液体に詰められている。 その者達の表情は誰もが無表情であり、感情を伺いしる事は出来ない。焦点の合わない目は虚ろな様子で空を眺めている。 「まだ生きているぞ……!」 誰もが口を開きたくなかった状況を打ち破ったのはカインだ。 目を逸らしたい気持ちを抑えてじっくりと観察してみると、培養管の人々は体を微動していた。 「でも酷い……」 良かったと手放しに喜べるわけではないが、生きているという事実が眼前の光景を直視する余裕を与えた。 リディアが非難する。 「どうしてこんな事を……!」 それはセシルも同感であった。ゴルベーザ達は各国からクリスタルを奪い、多くの抵抗する民の命も奪ってきた。 だが……このような事をしているとまでは想像する事が出来なかった。 去りゆくもの 残されるもの4
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/327.html
変わりゆくもの ◆YYVYMNVZTk 医務室へとてくてくと歩いていくのはガロードだ。 甲児とブンドルが基地へ向かったということを比瑪に伝え、返ってきたのは「甲児ったら何やってるのかしら!」と、怒りと呆れの同居した声。 比瑪が言うには、甲児は筆記用具を求めて医務室を飛び出していったらしい。 何故に筆記用具? という疑問には、ずっと気絶していた男が起きて、どうやら負傷で喋れなくなっているようだったので意思伝達の術として、という答え。 そういえば甲児が医務室へと向かったのは、比瑪の助けを聞いたからだったなと合点。 比瑪は甲児の代わりにどちらかにペンと紙を持ってきてほしいと頼んだ。 シャギアとガロードは、どちらからともなく顔を見合せ、視線で互いの考えを伝える。 ガロードとしては、極端な話ではあるが、四六時中シャギアを見張っておきたいとまで考えている。 たとえそれが艦内の移動であったとしても、出来ることならば常に視界の中に入れておきたい。 かつて、世界を破滅で満たそうとしていた兄弟――その片割れ、シャギア=フロスト。 彼自身に多大な力があったわけではない。世界を動かす権力も、支配する武力も、当然の如く財力もだ。 世界を変えるという目的と比べると――彼らは、あくまで『個人』に過ぎない存在だったのだ。 だがしかし、彼らは――その、まるで中学生が考えたかのような夢物語を、現実のものにする『能力』を持っていた。 紛い物と称されるカテゴリーFの力ではない。彼らの真価は、巧妙に世界を動かす力に介入する、暗躍する力。 おそらくは――フリーデン、ティファ=アディール、ガロード=ランという、彼らにとってのイレギュラーさえなければ――事は成っていただろう。 目を離しているうちに、何をしてしまうのか分からない。ガロードがフロスト兄弟が戦ったのは、MS戦という戦争を構成する一面に過ぎない。 だが、手を変え品を変えフリーデンを追い詰めてきたシャギアの実力は、誰よりもガロードが良く知っているのだ。 だから――ここで、どちらが医務室へ向かうのか、或いはどちらも行くのか、或いは比瑪に取りに来させるのか。 ガロードが選んだのは、自らが医務室へ向かうという選択肢。 シャギアを一人にするのは望むところではないが、シャギアを医務室へ向かわせ比瑪たちに良からぬことを吹き込まれたり、皆が医務室に固まっているときに襲撃を受け、反撃が遅れるというような羽目になるよりはマシだと考える。 比瑪をこちらに来させるというのは、寝ているだろうクインシィと素性の知れない男を二人きりにするということで、これもまったく良くない。 結果――紙とペンとを手に持ち、ガロードは医務室へと向かっている。 ふぅ、とシャギアは一人息をつく。 ガロードは、やはり私たち兄弟の最大の障害となる男だと、そう再確認した対面であった。 とはいえ――自分たちのことを良く知っているからこそ、ガロードは自分たちの仲間となれる存在だと言えるだろう。 ガロードの疑念は、全て自分たちの世界――六度の大戦を経た、あの宇宙での諍いから来るものである。 確かにシャギアたちとガロードの属するフリーデンは、幾度となく戦闘を繰り返してきた。 だがそれは、互いの目的が異なるものだったからであり、互いの目的が、脱出という点で一致しているこの場所でまでガロードと戦い続ける理由はない。 ガロードもそれは理解しているだろう。フロスト兄弟は、結果を求めるためならば手段を選ばない――そんな悪役のイメージで固定されているに違いないだろうから。 ならば、ガロードは自分たちと手を組むことが出来る――仲間になれる。 シャギアは、「脱出」というプランについて、こう考える。 たとえ首輪から解き放たれ、この空間から抜け出せたとしても、それは「脱出」ではない。 自分たちがこの場所に召喚されたとき――抵抗出来たか? 出来なかった。 知覚する間もなく、気づけば首輪をはめられ、そして放り出された。 逃げ出しても再び捕まる可能性は決して低くない。ならば、憂いは断っておかなければならない。 あの化け物を倒す。真の意味で「脱出」を成すためには、それが必要だ。 そのためには、更なる力――仲間が必要だ。 そういえばと、シャギアは時計を見る。 オルバから最後の通信があってから、ある程度の時間が経っている。 そろそろ基地へ着いた頃だろうか。 聞けば、オルバは未だテニアを始末していないらしい。 その理由までは聞いてはいないが――オルバには些か感情的なところがある。 恐らくは、テニアの言葉か何かがオルバを刺激したのだろう。始末するのは、十分に痛めつけてからということだろうか。 シャギアはオルバのことを信頼しており、オルバもまた、それに足るだけの能力は持っている。 だが、その感情的すぎる面は、いずれ弟の命取りになるのではないだろうかと、シャギアは密かに危惧していた。 テニアが相手ならば後れを取ることはないだろうが――いずれ修正せねばならない悪癖だな、と思う。 時計の針は9時15分を指している。 シャギアがオルバの最後の声を聞くのは――この数分後。 ◇ 「あ、ようやく来たのね」 「紙とペンと、これで大丈夫か?」 「うん、ありがと。さ、どうぞ」 ガロードが医務室に到着し、筆記用具を手渡し――ようやく、バサラは自分の意思を伝える術を得る。 伝えたいことは山のようにある。多すぎて、逆に何から伝えればいいのか分からないほどに。 落ち着いて、ゆっくりと書き出していく。まずは自分の名前から。 『助けてくれてありがとな。俺の名前は熱気バサラ』 「バサラ……か。身体のほうは大丈夫なのか?」 『声が出ないこと以外は大丈夫』 「なら、あとはゆっくり治せばいいのね。……のど飴とかあるかしら?」 のど飴で治りはしないだろうと、呑気な比瑪の声に思わず苦笑が漏れるが、その笑いもすぐに消える。 自分の声は、再び元通りになってくれるのだろうか? そもそも、どうして声が出なくなったのか――気絶する直前に何があったのか、それを思い出す。 そうだ。俺は、コスモのために歌を歌って、それから白い機体に撃たれて―― 『コスモという名前の男は?』 ガロードと比瑪は顔を見合わせる。 二人はコスモという名前の男を知らない。だが、どこかで聞いた覚えのある名前なのだ。 つい先ほどまで会ったこともない二人が、共通して知る名前といえば――放送で呼ばれた名前に他ならない。 どう切り出せばいいのか戸惑う二人の様子を見たバサラは、コスモが死んだという事実を知る。 『カテジナという女は?』 それもまた、同じ反応。 『アスラン』 駄目だった。 つまり、この殺し合いが始まってから出来た、数少ないバサラの知人は――すべて死んでしまっている。 自分がほんの十数時間ほど寝ている間に、みんないなくなってしまった。 あまりにも実感がなく――だがそれは、きっと事実なのだろう。 二人がかけてくれる慰めの言葉も空空しく聞こえ、何をすればいいのか、何をしたかったのか、頭の中が空っぽになる。 怒りでも悲しみでもなく、占めるのは喪失感。 進むべき道――自分の歌で殺し合いを止めるという選択も、今は選べない。 起きてしまえば浦島太郎。ただただ途方に暮れることしか出来ない。 『俺はどうしたらいい?』 定まらない不安が文字になる。 自主性を捨て他人に身を任せる気楽さに逃げたくなる。 彼本来の性格からすれば、考えられないような行為。 だが――熱気バサラを構成する、もっとも重要なファクターが、歌が、現在の彼からは失われている。 バトルロワイアルという異質な空間において、その負の影響を最も受けた人間であるとも言えよう。 快活さも闘志も失われてしまった瞳を眼前の少女へと向ける。 目を覚ましたその時から、バサラへと優しい態度と言葉を施してくれた少女、宇都宮比瑪。 比瑪ならば――バサラに、道を示してくれるのではないだろうか。 その考え自体がバサラの中の迷いであるということに気付かず、縋るように見つめる。 だが、比瑪の持つ優しさは――相手が望む行動を無条件に行うような、思考停止の愛ではなく。 「私が教えるのは簡単だよ。でも、本当にそれでいいの? 君がやりたいことを私が決めるのは……違うよね。たとえ今どんなに辛くても、それは人に任せちゃいけないことだと思うんだ」 『だけど』 「ゆっくりでいいから。今は大変だろうけど、大丈夫だよ。私たちがついてるんだからさ!」 『歌も歌えない。何も出来ない俺がここにいてもいいのか?』 「いいんだよ。今は何もできなくても、きっと君にしか出来ないことがあるはずだから。 だから、今はその喉を治すことから考えよう! 私も君の歌、聞きたいしね」 そう言って笑う比瑪。 彼女の持つ優しさとは、いつも前へ進もうとするものだ。 今のバサラに足りない部分を補ってくれるものだ。 言われて初めて、熱気バサラが失ってしまったものは声だけではないと気づくことが出来た。 そうだ。 こんな逆境に立たされて――ただ状況に流されて不貞腐れているだけな熱気バサラなど、熱気バサラではない。 こんな時にファイトを燃え上がらせてこその熱気バサラなのだ。 声がいつ戻るのか、バサラ自身にも分からない。 分からないことは考えても無駄なのでやめ。どうにも出来ないことは悩まない。 今は出来ることをやる。 そう考えることが出来るようになっただけで、自分が自分を取り戻せたという実感が湧く。 『ありがとな』 湧きあがる感謝の念は言葉として返す。 出来るのならば歌の一つでも歌いたいところだが――出来ないのならばしょうがないのだろう。 歌えないということをしょうがないの一言で済ませることが出来るようになるとは思ってもいなかったなと、少しばかり苦笑い。 それも、こう考えよう。 熱気バサラは、この苦境をバネに、さらに成長すると。 歌えなくなったことで、歌うという行為がどういうものなのか、どれだけ自分の中で大きな存在だったかを、改めて確認することが出来たのだと。 『寝てる間に汗をかいちまった。シャワー借りてもいいか?』 「もちろん! 一人で行けるかしら? ついていこうか?」 『さすがに一人で大丈夫だ』 そう書いて、比瑪と顔を見合わせて笑う。 まずは一つずつ出来ることを。 座っていたベッドから立ち上がり、大きく伸び。 比瑪にシャワー室の場所だけ聞き、医務室から出ていく。 歩きながら考えた。これから――自分は、何をすればいいのか。 比瑪はゆっくりと考えればいいと言ってくれたが、悠長なことは言ってられない状況だということは、バサラとて分かっている。 だからといって、初志を曲げるつもりもなかった。 あくまでバサラが目指すのは、己の歌で争いを止めること。 シャワー室の扉を開け、更衣室に入るやいなや汗のしみ込んだ服を脱ぎだす。 思いきりひねるとノズルから心地よい熱さの湯が勢いよく飛び出してきてバサラの身体を濡らしていく。 汗と一緒に、身体の中に溜まっていた不純物が流れ出ていくような感覚。 全身がクリアになる。すっきりとしたところで、今度はシャワーノズルを喉にあてる。 ゆっくりと喉を温めていく。必要以上の刺激は与えずに、丁寧に。 まず、バサラがしなければならないこと――それは当然、自分の声を取り戻すことだ。 喉を震わせるために大きく息を吸い、一旦肺に留める。 大丈夫だ。今までさんざんやってきたことだ。それこそ、呼吸するかのように、自然に。 やり方は体が覚えているはずなんだから、何も気負う必要はないんだと自分に言い聞かせる。 呼気が喉の奥から吐き出される。それが声帯を震わそうとするも――音の代わりに生じたのは、疼痛にも似た痺れ。 やはり、自分の声が元に戻ることはないのか? 一瞬、そんな不安に駆られる。 ぶんぶんと首を振り、嫌な考えを頭の中から追い出す。ここで止まってしまえば、さっきまでの自分と何も変わりはしない。 今度はさっきよりも小さな音になろうとも、繊細に、そして声を取り戻すという強い意志を込めて。 「……ぅ、あ……おれ、のうたを……」 ――出せた。 今まで出そうとしても、意味のない音にしかならなかった自分の声が、再び自分のコントロール下に帰ってきた。 歌が、帰ってくる。 そのことがこの上なく嬉しく――頬を伝わる水滴が、少しだけ量を増していたのはバサラだけの秘密だ。 ◇ 「大丈夫かな、あいつ」 「大丈夫だよ、きっと」 バサラの去った医務室で、ガロードと比瑪はそんな話をする。 「バサラって……うん、ちょっとしか話してないけど、本当は頑張れる人だと思うもの。私たちはその手助けをするだけで十分さ」 「ふぅん……そっか、比瑪はあいつのこと、よく見えてるんだな。それに比べて、俺は……シャギアがどんな奴だったのか、よく分からなくなっちゃたんだ」 へへへ、と苦笑交じりに頭をかくガロード。 無理もないことだ。今のシャギアは、ガロードの知るシャギアとは大いに異なる。 時折見せる感情的な面は、確かにガロードたちと敵対したシャギア=フロストのもの。 しかし甲児たちとベタな漫才をするシャギアというものは――少なくとも、ガロードには想像できないものだった。 「ガロードがシャギアさんのことをよく知らなかったってこと? それとも、シャギアさんが変わっちゃったってこと?」 「それも分かんないな。元々、俺たちはそんなに仲が良かったわけじゃないし。俺が誤解してたのかもしれないし、比瑪たちがシャギアを変えたのかもしれない」 「私たちの前では、最初からあんな感じだったよ?」 「そうなのか。……じゃあやっぱり、俺が知らなかったのかもしれないな」 勿論、先ほど見せたニュータイプの呪縛から逃げ出せないシャギアを許すことはできない。 だが――本当は、その一点を除けば、フロスト兄弟と自分たちが敵対することはなかったのではないだろうか。 フロスト兄弟は悪である。その認識そのものが間違っていたのかもしれないと、今は自然とそう思える。 例えば、ティファが世界から拒絶され、迫害されるようなことになってしまえば――ガロードは、世界と戦うことに戸惑いはないだろう。 フロスト兄弟のそれも、同じような理由であるのかもしれない。どうすればいいのか分からず、戦う以外の道を選べなかったのかもしれない。 ならば、フロスト兄弟もまた、犠牲者なのだ。無為な争いのために運命を捻じ曲げられただけの。 しかし、それでも――フロスト兄弟の取った道は間違っている。それだけは正さなければいけない。 「ねぇ、ガロードは、依衣子さんと上手くやれてる?」 思考を遮る突然の質問に面食らう。 依衣子って誰だっけと一瞬戸惑うも、そういえばお姉さんの名前だとか比瑪が話してたなぁということを思い出す。 果たして自分とクインシィは上手くやれていると言えるんだろうか? 思い返してみると……毛布で縛られたり、ことあるごとに怒鳴られている記憶しか出てこないあたり、ガロードとクインシィの関係を物語っているような気もする。 だけど……クインシィが食べさせてくれたシチューは美味しかったし、お姉さんだって俺のことを信用してくれると言ってくれた。 「ま、まぁ仲良くやれてるとは思うけど……いきなり何なんだよ?」 「ん、ちょっとね。私、依衣子さんのこと知ってはいるけど……分かってはないんだよなぁって思ってさ」 「俺にとってのシャギアみたいだってことか?」 「そうなのかも。私の元からの仲間に、勇ってのがいるんだけど、依衣子さんは勇のお姉さんなのよね」 「ああ、それは聞いたな。お姉さんは勇を探してるって」 「勇がここにいるのかどうか、まだ分かんないけどさ。とにかく、私と依衣子さんの繋がりって、勇を通してでしかなくって…… 戦ったこともあるけど、それだけじゃ相手のことを分かることって難しいじゃない?」 ドキリとした。 戦うだけで相手のことを分かったつもりになる――自分がフロスト兄弟に対してしてきたことと、大して変わらないじゃないかと。 「だな。それだけじゃ分かんないってこと、俺も気づいた。……勇ってやつからは、お姉さんの話とか聞かなかったのかい?」 「勇はね、お姉さんのことだけじゃなくって、家族のことを話すのが好きじゃなかったから。一人だけオルファンを出て、オルファンと戦おうとしていたんだから」 「そっか……難しいなぁ」 「もっと仲良くしてほしいなぁと思うんだけどね。それでさ、勇には聞けなかったから、ガロードに聞こうかなって」 「俺がお姉さんのことを話すって?」 「うん。依衣子さんが起きてれば直接話すんだけど、起こしてしまうのも悪いじゃない。だからお願い」 なら仕方ないなと、ガロードはクインシィとの出会いから今までを話しだす。 時に冗談交じりに、時に真剣に語られるガロードの話を聞いていると、依衣子とガロードが良好な関係を築けているということが良く分かる。 私も依衣子さんと仲良くできたらなぁと、そんなことを思う。 気づけば結構な時間が過ぎている。時計を見てみると、針は10時を少し過ぎた頃を指していた。 今頃、テニアとオルバさんもどこかで誰かと仲良くなれていればいいなぁと、そんなことも考える比瑪だった。 ◇ ――助けて、兄さん 続いて襲いかかる、言い表しようのない虚無感。 返事をしろと何度念を送ろうとも、返ってくる念は永久に訪れない。 何故か。理由など、理解している。 だが、たとえ頭では分かっていても、心は納得してくれない。 更に強く念を送る。強く、もっと強く。 「応えろ……応えろオルバッ!」 声を張り上げいくら呼ぼうとも、既に意味など有りはしないのだと認めたくない。 心が必死に否定するそれを――しかし、聡明なシャギアの論理は、それは紛れもなく一つの事実なのだと受け止めている。 亡くしてしまったのだ。己の半身を。 病めるときも健やかなるときも、晴れの日も雨の日も、夏も冬も、常に共に在った唯一無二の存在を。 空虚が心を支配する。はははと、乾いた笑いがこぼれる。 身を引き裂かれるような痛みは、幻想などではない。 伝わるのだ。オルバから。 どれだけ辛く、寂しく、絶望したまま死んでいったのか――伝わってしまうのだ。 逝ってしまったオルバのために――自分が出来ることは、なんなのだろうか。 オルバを――生き返らせる。 当然のように考えたのは、それだった。 異形の甘言を受け、それに乗りかかる。優勝し、願いは勿論「オルバ=フロストを生き返らせる」だ。 冷静に考える。 今現在、シャギアはナデシコの全権を保持しているといっても過言ではない。 本来の艦長であった甲児はナデシコを離れた。ナデシコの力は、おそらくはこの場においてトップクラスのものだ。 この力を有用すれば――勝ち残りは、決して夢物語ではない。 ポイントとなるのは、同じく強力な戦力であるJアークとの交渉だろう。 オルバから伝わった情報。それは、交渉人ロジャー=スミスがナデシコとJアークの話し合いの場を設けるために奔走しているというものだ。 そして、その場所に出来る限りの反抗者たちを集め、結束の場にするつもりだということも聞いている。 もしJアークを中心に徒党を組まれてしまえば、ナデシコだけでは突破することも難しい。 だが――その会合の場において、ナデシコが決定的な裏切りをしてしまえば? その場でJアークを奇襲で落とし――あとは、散り散りになるであろう他参加者を各個撃破していく。 目下の邪魔は、ナデシコに居座るガロードだが――チャンスならばいくらでもある。 だが……あの怪物が、素直に約束を守るだろうか? 願いを一つ叶えるなど、そんな不確定なものに踊らされるのは、シャギア=フロストの為すことではない。 更に言うならば、最後の一人になれたところで、無事に元の世界へ帰れるという保証さえないのだ。 ならばこのまま対主催の立場を貫くほうが、利口ではないだろうか? 理屈では、前者を選ぶべきだと分かっている。 だがそれでも決められない。何故か、心のどこかに引っかかる部分があるのだ。 どうしてこんな時に、甲児君の顔が思い浮かんでくるのか。 比瑪君が手渡してくれた御飯茶碗を思い出すのか。 何故、どうして。戸惑いは増していく。 そもそも――シャギアは、気づいていない。 いつの間にか自分が甲児たちのことを「駒」ではなく、「仲間」と呼び始めていたことに。 演技だけでなく、本当に自分が変わり始めていたということに気付かないままに――シャギアは一人、生まれて初めての孤独を感じていた。 【シャギア・フロスト 搭乗機体:ヴァイクラン(第三次スーパーロボット大戦α) パイロット状態:深い喪失感、孤独 機体状態:EN55%、各部に損傷 現在位置:B-1東部(ナデシコブリッジ) 第一行動方針:首輪の解析を試みる 第二行動方針:比瑪と甲児・ガロードを利用し、使える人材を集める 第三行動方針:意に沿わぬ人間は排除 最終行動方針:??? 備考1:首輪を所持】 【ガロード・ラン 搭乗機体:なし パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状況:なし 現在位置:B-1東部(ナデシコ医務室) 第一行動方針:シャギアを見張る 第二行動方針:勇、及びその手がかりの捜索 最終行動方針:ティファの元に生還】 【宇都宮比瑪 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ) パイロット状態:良好、ナデシコの通信士 機体状態:EN100%、ミサイル90%消耗 現在位置:B-1東部(ナデシコ医務室) 第一行動方針:甲児・フロスト兄弟に同行 最終行動方針:主催者と話し合う 備考1:ナデシコの格納庫にプロトガーランドとぺガスを収容 備考2:ナデシコ甲板に旧ザク・真ゲッター・ヴァイクラン係留中】 【熱気バサラ 搭乗機体 プロトガーランド(メガゾーン23) パイロット状況 神経圧迫により発声に多大の影響あり 機体状況:MS形態 落ちたショックとマシンキャノンの攻撃により、故障 現在位置:B-1東部(ナデシコシャワー室) 第一行動方針:自分の歌を取り戻す 最終行動方針:自分の歌でゲームをやめさせる 備考:自分の声が出なくなったことに気付きました】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:気絶中 機体状態: ダメージ蓄積(小)、胸に裂傷(小)、ジャガー号のコックピット破損(中)※共に再生中 現在位置:B-1東部(ナデシコ医務室) 第一行動方針:勇の捜索と撃破 第二行動方針:勇がここ(会場内)にいないのならガロードと協力して脱出を目指す 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【パイロットなし 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード) パイロット状態:パイロットなし 機体状態:良好、現在ナデシコの格納庫に収容されている 現在位置:B-1東部(ナデシコ格納庫内)】 【旧ザク(機動戦士ガンダム) パイロット状態:パイロットなし 機体状態:良好 現在位置:B-1東部(ナデシコ甲板) 】 【二日目10 30】 BACK NEXT 揺れる心の錬金術師 投下順 交錯線 獲物の旅 時系列順 交錯線 BACK NEXT 判り合える心も 判り合えない心も シャギア Lonely Soldier Boys &girls 判り合える心も 判り合えない心も 比瑪 Lonely Soldier Boys &girls 判り合える心も 判り合えない心も バサラ Lonely Soldier Boys &girls 判り合える心も 判り合えない心も ガロード Lonely Soldier Boys &girls 判り合える心も 判り合えない心も クインシィ Lonely Soldier Boys &girls
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1138.html
「逃げるだと……」 追いかけてからどれくらいたったのだろうか。いつの間にか塔のもっと上層まで来ていたらしい。 辺りの様子はいつの間にか迷路のような場所から、中央に空洞を備え、周りに足場を備えたような場所へと変化していた。 中央から下の階が覗きこめるが、何階層も同じような構成が続いてるようで、空洞部分の底を見ることはできない。 その場所でルゲイエはようやく立ち止まり、セシル達の方へと振り返った。 「違うね~今この場所で君たちと戦うのは無意味なだけですよ」 「負け惜しみを!」 「そう思いたいのなら勝手に思っておきなさい、真なる勝利の為に一時の敗北を喫すのはなんら恥じるべきものではありませんからね」 「ぐっ……こいつ……」 ひょうひょうとした態度を崩す様子がないルゲイエに苛立ちを隠せないヤンであったが、謎めく言動の連続に今度は不気味さを感じていた。 「さてと、もうあなた達と話す事はありませんね。そしてこの体にも――」 ルゲイエの視線はセシル達を向いてはいなかった。狂気に満ちた眼は階層の中央部分から見渡すことのできる遥か眼下の闇を見ていた。 「何をする……?」 ゆっくりと闇へと近付くルゲイエにセシルが言葉をかける。 「まさか、飛び降りるつもりか?」 今の状況からしてそう考えるしかなかった。今が塔の何階層かは分からない。だがかなり高いところまで来てるのは確かだ。 その場所から飛び下りれば無事ではすまないだろう。 何故? 咄嗟に疑問を浮かべるがわからない。否、例え彼の口から直接聞きただしても分からないだろう。 「待て巨大砲は何処だ?」 理由を聞くことも、その行為を止める事も出来ないまま見守るしかないと思ったところでヤンが口を挟む。 「我々はこの塔に設置された巨大砲を止めに来た。あれもお前が開発したものなのだろ? ならば言えっ! どこにある」 無視されるものと思ったが、その言葉聞いたルゲイエはぴたっと足を止めて懐から何かを取り出した。 「あれならばもう少し階層を登ったところにある……」 取り出したものは鍵束であった。ルゲイエは振り返る事はせず背を向けたままにそれをセシル達へと放り投げた。 「その鍵を使えば巨大砲の制御室には辿りつけますよ……あとは好きにしなさい。あんなもの作った時点で興味はなくなりましたからね」 「待って――」 用は済んだとばかりに再び歩き出したルゲイエに今度はローザが口を開く。 しかし、その声は消え入るほどに小さいものであり、続くルゲイエの声にかき消されてしまった。 「もう発射の準備は殆ど終わっていますからね~急がないととんでもないことになりますよ~くくくくーーー」 言い終わらぬうちにルゲイエはその体を跳躍しその身を空中へと委ねる。 あっという間にその体は重力に引かれ遥か奈落の底へと姿を消していった。 去りゆくもの 残されるもの10
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/493.html
散りゆくものたち◆/Vb0OgMDJY 和机にうず高く積まれた紙の山。 それは机と言う領域を乗り越え、床の上にまで侵食し、そこに机の上のそれと同等の高さにまで山を築き上げている。 その山の一つが、シャッ、シャッと紙を捲る音と共に、一定の間隔で低くなっていき、その隣に同じ間隔で新しい山が築き上げられる。 その音の発生源は、一人の男。 和机の前に腰を下ろした男が、片方の手で一心不乱に紙の山を減らし、もう片方の手に握った筆で何事かを書きつけ、その横に積み上げる事によって音が奏でられている。 …やがて、一つの山が完全に姿を消し、そこにあった山が隣に同じ大きさの山を築き終わる。 そして、男は間を空けずに、次の山を崩しに掛かる。 男は、その作業を延々と続けていたが、ある時ふと顔を上げた。 ドスドスっという徐々に大きくなる異音が、男の居る部屋へと近づいて来たからである。 その異音、足音の主は部屋の前まで至ると、無遠慮に扉を開いた。 そこに現れたのは、鎧を身に纏った精悍な顔つきの大男。 尖った耳と、顔に刻まれた大きな刀傷が外見を特徴付けている。 「大将、そろそろ時間ですぜ」 大男は、扉を開いた時の無遠慮な態度そのままに、部屋の主に告げる。 「そうですか」 それらの態度には構わず、男は片手に握っていた筆を机に置き、すぐさま立ち上がる。 そうして、僅かにのびをした後、 「行きますよ、クロウ」 とだけ告げて、大男―クロウの返事を待たずに、部屋から出る。 「へいへい」 というクロウの答えが、その後に聞こえた。 ◇ 謁見の間。 国の皇たる相手と会うために使われる大部屋。 その中心に、一人の女性が居た。 その場所に居る以上、この女性こそ今から皇と謁見する相手なのであろう。 長い金の髪、母性の象徴たる豊かな胸、僅かに憂いを秘めた美しい貌。 どれをとっても特徴的ではあるが、それらを差し置いてまず人目を引くのは、女性の背中の、白く美しい翼の存在であろう。 その翼こそ、この大陸において調停者と称される『オンカミヤムカイ国』のオンカミヤリュー族たる証。 そうして、この女性はそのオンカミヤムカイ国の第一皇女、名をウルトリィといった。 女性の表情は険しい。 その表情からでも、この会合は余り友好的なものでは無いと伺える。 その顔は、玉座…ではなく、その横に立つ一人の男へと向けられている。 見ると、本来謁見を行うべき皇の座る筈の玉座には、誰も居ない。 そうして、ウルトリィも、男も、この場にいる全ての人間も、それを当然の事と受け止めている。 「それでは…これでお別れになりますね、ベナウィ様」 長く、意味の無い儀礼が終わり、女性は最後の挨拶を述べる。 そう、『最後』の挨拶。 オンカミヤムカイより大使としてトゥスクルに滞在していたウルトリィ皇女に、帰国の時が訪れたのだ。 「いえ、長きに渡る助力に感謝しております」 男―ベナウィはそう礼を返す。 本来は、皇たるものが返すべき返礼は、ベナウィの口から発せられる。 玉座の傍らに立つベナウィこそ、現在、主不在なトゥスクルをを事実上統べる位置にあるのだ。 ある日、トゥスクル国にて皇たるハクオロ及び重臣数名が失踪。 その中には、ウルトリィの妹であるカミュも含まれていた。 以前に、ウルトリィも含めて数人でナ・トゥンクへと旅立った出来事もあったが、その時とは違い置手紙も存在しておらず、移動手段すら定かでは無い。 懸命の捜索にもかかわらず、手掛りすら掴めていない。 原因不明の現象ではあり、続発する気配の無いものではあったが、それでもオンカミヤムカイの皇女が行方不明になったのは事実。 そのような危険な国に、跡継ぎたるウルトリィを滞在させておく訳にはいかないという判断により、彼女に帰国の命が下ったのだ。 公的には、オンカミヤムカイはトゥスクルに対して、調停者としての立場を崩してはいない。 だが、元より二人の皇女が滞在していたという時点で、ある程度の厚遇であった事は事実。 その恩恵が無くなるどころか、カミュの行方不明によってむしろ不利に扱われる可能性すら存在する。 皇が不在なところに追い討ちにしかならない。 が、その事を理解していても、ウルトリィには他に選択できる道は無い。 ウルトリィとて、カミュや親しい友人達の安否が気がかりであったが、それでも皇女という立場では、残る事など出来る筈も無い。 むしろ、今日までの数日間、トゥスクルに残り続けていたことが彼女の出来うる限りの抵抗であったのだろう。 「少しでも早く、皆様の無事が確認できることを祈っています」 そう、話を締める。 (……しらじらしいですね) 顔には出さず、心の中で呟く。 そう、この会話は無意味なモノでしかない。 少なくとも、ウルトリィ、ベナウィ、そしてクロウの三人にとっては。 ◇ 「失礼…します」 挨拶をして、部屋に入る。 痛いほどの静寂、触れただけで割れてしまいそうなほど透明な空気。 その部屋には、静謐な空気が満ちていた。 「ウルトリィ様…」 部屋の中に居た双子の片割れ―ドリィが、訪問者を見て取り、立ち上がる。 それを片手で制して、ウルトリィは部屋の奥、この部屋の主が伏せる寝台へと移動する。 寝台の少し前に座っていたもう一人、グラァがウルトリィの為に場所を空ける。 その動きに、寝台の端で丸くなっていた白い獣が、僅かに顔を挙げ、ヒクヒクと鼻を鳴らし、そうして再び蹲る。 ここ数日、もはやそこが定位置となった獣の動きに、寝台の主が反応する。 「…ウルトリィ…さま」 僅かに、ウルトリィの方に顔を向けたのは、目を瞑ったままの少女。 「お体はどうですか…ユズハさん」 ウルトリィの訪問に対して、体を起こそうとする少女を制しながら、告げた。 …聞く必要など、無い。 誰の目にも明らかな事実。 少女は、もう、長くは無い。 元より、長くは無い身体。 ソレを永らえさせていた薬師は、この国の主達と共に消え、またその身体を蝕む病を抑える方法も、同時に消えた。 最早、彼女の体を長らえる方法は無い。 だが、彼女の体の急激な衰えは、身体的な物だけでは無い。 彼女の心が、急激に生きる力を喪っていった事が、最も大きな要因だろう。 ユズハを包んでいた世界は、壊れた。 彼女を庇護し続けていた兄も、共に過ごした友人達も、密かな想い人も、全ては消えた。 今残っているのは、兄を慕っていた双子と、友人の匂いが残る獣…いや別の友人のみ。 彼らに責は無い。 現に、ユズハの為に、今も傍にあり続けているのだから。 いや、彼らだけでは無く、ベナウィも、クロウも、ウルトリィ本人も、幾度と無く彼女の元に足を運んでは、元気付けようとした。 だが、それはあくまで残滓でしか無い。 彼女に生きる力を与えていたモノは、今はもう無いのだ。 「夢を…見ました」 少しして、ユズハが弱い声で喋りだす。 最早、彼女には声に力を込めることすら困難なのだ。 「……夢…ですか?」 少女の意図がわからず、ウルトリィは疑問を返す。 そもそも、今回ウルトリィがユズハの元を訪れたのは、彼女が話したい事があると告げられたからだ。 だから、少女の意図は未だわからない。 「カミュちゃんの、夢を見ました」 「え……」 ウルトリィは僅かに大きな声を出してしまう。 夢を見る。 それは、別段おかしな事では無い。 だが、ユズハがわざわざウルトリィに告げるほどの事柄では無い筈だ。 「ハクオロ様は、亡くなられたそうです」 少ししてユズハは、更に小さい声で告げた。 「!……」 ◇ 暖かい間隔に、ふと目を開く。 おかしな事だ。 そもそも、わたしは目を開いた事など無いのに。 けど、何故かその時だけは目を開いた。 見える筈なんて無いのに、何故か見える気がしたから。 そうして、目の前には知らない筈の女の子が立っていた。 そもそも、顔を知っている相手など、一人もいないのだけど、その子の事は知らないと理解できた。 でも、 「カミュ…ちゃん」 見たことも無い、本人とも思えない相手なのに、何故だか自然と声が出た。 それが、正解なんだって、解った。 「ごめん…ユズハちゃん」 カミュちゃんが謝る 表情は変わらないけど、とてもすまなそうな顔だった。 「お兄さん…もう、帰れないんだ」 声の調子も、とても悲しそうだった。 「おじさまも、アルちゃんも、みんな死んじゃったんだ」 カミュちゃんは続ける。 とてもすまなそうに、 「そして、私ももう、帰れない。 姉さまに、御免なさいって言って」 悲しそうに、 悔しそうに、 告げた。 そうして、静寂。 なぜだろう、わたしには、それが本当の事なんだろうって理解できた。 …悲しくは、無かった。 何故か、覚悟は出来ていたから。 そうやって、少しの間静かに向かい合っていて、 「ただ、一つだけ」 また、カミュちゃんが告げる。 「もう、こんな事は起きないから。 お父様が…死んじゃったから」 そうして、カミュちゃんは羽を広げる。 黒い羽が、辺りに舞い散る。 「だから、もう、こんな悲しい出来事はお終い。 何の救いにもならないけど…でも、それだけは確かな事」 そして、飛び立とうとするカミュに 「待って…」 声を掛けた。 ◇ 「兄様は、亡くなられてしまったのですね…」 言葉を無くすウルトリィに構わず、ユズハは続ける。 「ハクオロ様も、アルルゥちゃんも、エルルゥ様も、カルラ様も、トウカ様も」 傍に控えている双子も、何も言えない。 ただ、少女だけが告げる。 「『御免なさい』と、カミュちゃんは言っていました。 ウルトリィ様に伝えて欲しいと」 そうして、ユズハの話は終わった。 ◇ 追憶は、ここで終わる。 その数日後、ユズハは亡くなった。 彼女を見取った双子も、既にこの国には居ない。 獣は、既に森へと帰っていった。 ユズハの告げた内容は、何の根拠も無いもの。 だが、それがおそらく事実なのだということが、何故だか理解できてしまった。 その事実は、既にベナウィ達も承知している。 だからこそ、この会話も、現在も続いている捜索も、全ては無意味な行為でしかないのだ。 それでも、国としてはそのような不確かな事実を認めるわけにはいかない。 だからこそ、彼女は自身の欺瞞を強く感じるのだ。 「それでは、ウィツァルネミテアの加護のあらん事を」 そうして、無意味な会話は終わる。 その言葉が、更に自身の心を削る。 加護など、最早望む事は出来ない。 彼女の考えが正しいのならば、ウィツァルネミテアこそがこの国の皇を、彼女の妹を奪ったのだから。 それでも、彼女はオンカミヤムカイの皇女として、責務を履行する。 感情など表に出さず、ただ大使としてこの国での最後の役割を終えた。 ◇ 和机にうず高く積まれた紙の山。 それは机と言う領域を乗り越え、床の上にまで侵食し、そこに机の上のそれと同等の高さにまで山を築き上げている。 その山の一つが、シャッ、シャッと紙を捲る音と共に、一定の間隔で低くなっていき、その隣に同じ間隔で新しい山が築き上げられる。 その音の発生源は、一人の男。 和机の前に腰を下ろした男が、片方の手で一心不乱に紙の山を減らし、もう片方の手に握った筆で何事かを書きつけ、その横に積み上げる事によって音が奏でられている。 …やがて、一つの山が完全に姿を消し、そこにあった山が隣に同じ大きさの山を築き終わる。 そして、男は間を空けずに、次の山を崩しに掛かる。 男は、その作業を延々と続けていたが、ある時ふと顔を上げた。 ドスドスっという徐々に大きくなる異音が、男の居る部屋へと近づいて来たからである。 (そういえば、ここしばらくクロウの足音でしか、執務を中断することはありませんね) ベナウィはそう思考しながら、副官を、今となっては唯一の友を迎える 「大将! 西が動いたぜ!!」 開口一番、クロウは告げる。 蹴破らんばかりの勢いで扉を開き、部屋中を満たすほどの大声で叫ぶ。 最も、その勢いとは裏腹に、クロウの態度は平静そのものだ。 「…やはり、ですか」 その声を受けるベナウィも、平静そのものだ。 『エルムイがクンネンカムイへと侵攻』 西方の大国であるクンネンカムイへの、武力侵攻。 小国であるエルムイが、単独でそのような無謀な戦を行うはずが無い。 その背後には間違いなくクンネンカムイに並ぶ大国、ノセシェチカの影がある。 この大陸において、三大強国と呼ばれる内の二つの戦いとなれば、それは当事者だけには留まらない。 間違いなく、最後の一つである、シケリペチムも動くだろう。 そして、その目的は、このトゥスクルである可能性が高い。 シケリペチム皇たるノウェは、ハクオロの失踪により興味を失ったとはいえ、トゥスクルとは戦争状態にあったからである。 「直に、軍儀を開かなければなりませんね」 「おう、もう準備は出来ていますぜ!」 立ち上がり移動するベナウィに、クロウが付き従う。 シケリペチムとの戦となれば、トゥスクルの全戦力を動員しなければならないからだ。 そうして急ぐベナウィの背に、 「……大将……」 クロウらしからぬ、弱い声が掛かる。 「その話は何度もした筈です。 それに、今行っても何の意味もありませんよ」 その目的は解っている。 ベナウィに皇位について欲しいと言う懇願である。 この数ヶ月、何度も繰り返された問答である。 「だけどよ、戦争だぜ! 今度ばかりは旗印が居ないとよ!!」 クロウの言い分は正しい。 このトゥスクルという国の安定を考えれば、ベナウィが皇位につき、当面の安定を図るべきなのだ。 だが、元より新興国であるトゥスクルは様々な問題を内外に抱えている。 そうして、ベナウィは、元は圧制を行っていた旧支配者の側の人間であり、彼が国を継げば不満が噴出するのは、ほぼ確実と見られていた。 「……今は、そんな問答を繰り返している暇はありません。 急ぎますよ」 立ち止まったクロウには構わず、ベナウィは先に進む。 それを見て、クロウはしばし立ち止まる。 彼とて理解している。 「ああ、そうだよ。 ……この国の皇は一人しか居ないんだって事ぐらいは解ってるよ」 そう、元よりトゥスクルの皇は一人しか居ないのだ。 ならば (…皇を失った国は……) 不吉な予感にかぶりを振り、クロウはベナウィの後を追った。 ◇ ふと、懐かしい匂いを感じた 彼は、目を開く。 空には、大きな月が輝いている。 本来なら、眠りに就いている時刻。 だが、彼は気まぐれに身を起こし、眠気の残る体で、移動し始める。 夜気に、僅かに体を震えさせながらも、歩みは止まらない。 そうして、徐々に加速しながら、匂いを追う。 森を抜け、平地を駆け、かつて居た場所を通り越し、 やがて、彼が偶に足を運ぶ場所。 丘の上の小さな石の傍に足を運ぶ。 懐かしい匂いは、そこにあった。 「……………」 匂いの主は、何事かを告げる。 だが、元より彼には言葉は通じない。 だから、彼は態度で返す。 懐かしさから、歓喜の感情を込め、彼は吼えた。 高く… 高く…… 空に、彼方に届くように、高く… ◇ (約束…守れたのかな) 最後に残った友達の声を聞きながら、彼女は思考する。 あの時、彼女に告げられた最後の願い。 (帰ってきて…) (私たちの元に…帰って来て。 そして、自分で謝って……。 心配掛けて、御免なさいって) それだけを頼りに、残された僅かな力だけで、帰ろうとした。 少しずつ、這うように、懸命に、歯を食いしばって。 そうして、漸く、この場所まで帰りついた。 もう、長くは持たない。 元より、あの時に消え去ってしまう程度の力しかなかったのだから。 約束を果しに行く時間なんて無い。 だけど、 だから、これだけは言わないと。 「…ただいま」 【ギャルゲロワイヤル うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄 了】 214 手を取り合って飛び立っていこう 投下順に読む 216 今日、この瞬間、この場所から始まる 214 手を取り合って飛び立っていこう 時系列順に読む 216 今日、この瞬間、この場所から始まる
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1135.html
「!」 今にも消え入りそうな声の正体は、今までの間ずっと口を詰むんでいたローザであった。 それだけでも充分に驚くべきことであったが、発せられた言葉の内容はセシル達を更なる驚きへと誘った。 「どういうことだ?」 「私じゃなくて彼女に聞けばどうかのう~?」 別に誰かに質問するつもりで口を開いたわけではないが、最初に疑問への返答をしたのはルゲイエであった。 「ローザ……」 振り返った先に見えた彼女はすっかりと意気消沈し、今にも消えてしまいそうに小さくなっていた。 「そこにいる人――ルゲイエ先生は私の恩師なのよ」 視線が答えを求めている事が分かったのだろう。彼女は少しの間を経て口を開いた。 「まだ私がバロンの学校で白魔道士を目指していた頃だった。そこで私はルゲイエ先生に出会った」 「学校?」 今一事情が呑み込めないのか、リディアが尋ねる。 「私達――セシルやカインはバロンの学校に通っていたのよ」 「だから学校ってのは?」 「共通の目的を持った人達が皆で集まってお互いに交流を交わしたり、共に教養を深めていくところよ」 リディアの質問は、ローザの過去の詳細でなく学校という機関そのものに対しての疑問だったのであろう。 「ふ~ん。じゃあ先生ってのは?」 「そうね、あなたにとっての幻獣王様みたいなものよ」 「幻獣王様?」 唐突に聞きなれた言葉が出て驚いたような口を上げる。 「教える者と教え合うものの間柄って事かな? だったらおかしくない? 学校ってのはお互いが高め合う場所なんでしょ? 例えばミストの村ではかあさ――召喚士達は皆で集まってお互いに修練し合うことはあったよ。でもそれは皆が教えあう雰囲気 だったし。わざわざその先生っての――この場合は幻獣王様のような存在はいなかった」 説明はリディアに相次ぐ疑問を与えるばかりである。 「人生の先輩とでもいうのかしら。学校という場所はあらゆる人が集まるの。嘘をついたようになるけどさっき学校は共通の 目的を持った人が集まるっていったけどね。正しくはそうではないの」 悩める彼女にローザは少し考えてから言った。 「中には名誉の為、中には人生の模索の為、もしかしたら、他にも様々な目的があるかもしれない。それに共通の目的を 持った者と言っても、必ずしも相容れるものではない。ましてや学校には多種多様な人間がいるのよ。人間関係が必ずしも 円滑に進むとは限らない……」 セシルにも苦い記憶が呼び起こされた。 王に拾われ身寄りのない孤児だった。自分に対し、学校という場所は決して居心地のいい空間ではなかった。 カインやローザに出会わなければ自分はどうなっていただろう? 考えたくもないし、思いつきもしなかった。 去りゆくもの 残されるもの7
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1131.html
作戦は当初予想されていた以上にうまく事が運んでいた。 戦車隊の攻撃はバブイル側には効果絶大であったようである。応戦するだけで手一杯という様子で あった。 これはゴルベーザが未だに回復する為に眠りつ続けている為であろうか? いずれにせよバブイル側 の指揮系統が大幅に乱れているようであった。 陽動の方が大成功した事もあり、セシル達は何の苦労もなくバブイルの塔へと潜入する事に成功した のであった。 バブイルの内装の印象はゾットと全く持って同じであった。 ガードロボットの存在が気がかりであったが、まったくもってその姿を見かける事は無かった。 バブイルには配置されていないのか? はたまた先の陽動作戦の影響なのか? いずれにせよ目的地まで無駄な戦闘をする事はしなくて済みそうであった。 しかし、歩き続けるたびに何度もゾットの既視感に襲われる。あの迷い込んだ果てしない迷宮の事を―― だが違う。潜入部隊の先頭を進むセシルは後ろを振り返り、改めて確信する。 後ろを進む仲間達の中にはローザがそしてカインがいる。既に自分達三人はあの迷宮を抜け出したのだ。 再び困難や迷路が立ちはだかる時もあるかもしれないが、少なくとも今はその時ではない。 そしてもし再び、自分たちを試すような状況に置かれたときも、以前のようには迷わない。セシルはそう決心したのだ。 潜入は容易であったが、目的の達成は決して楽だという訳ではなかった。 ゾットで慣れているとはいえ、あの時はゴルベーザが上へと昇るように案内していたのだ。いうなればただ上を目指すだけであった。 それに比べると今度の登頂は未知なる場所を探索しつつ、目的地を見出さなければならない。 どうやらこのバブイルの塔はゾットに比べて、全体の面積は広いようだ。その事がさらに目標をより遠いものにしていた。 幸いにもガードロボットの妨害は全く存在していなかった。根気よく塔内部を散策するのは地力さえあれば、さほど困難な事では なかった。 とはいっても闇雲に探すのでは時間がいくらあっても足りなくなってしまう。ある程度怪しそうな場所に目星をつけて、要所要所を 探索していくことにした。 無論警戒は怠らない。いくら警備が手薄になっているとはいえ、目的のクリスタルと巨大砲の場所には何かしか警備の目が行き届いている であろう。 散策をある程度繰り返していた時であろうか、その場所を見つけたのは―― 去りゆくもの 残されるもの3
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1139.html
「急がねば!」 一部始終を見終わらない内にヤンはルゲイエから受け取った鍵束を持ち走り出した。 「先にゆく――」 簡潔にそれだけ言ってヤンは姿を消した。 巨大砲を止めねば、地底も地上の国々と同じように甚大な被害をだしてしまう。それだけは断固として阻止をしたいのだろう。 セシルも同じ意見ではあるが、ましてや国を焼かれたことのあるヤンならばなおもその想いは強いのであろう。 本来ならばすぐにでもヤンの後を追うべきであるのだが、まだセシルにはやることがあった。 「…………」 「ローザ」 がっくりと膝をつき顔を項垂れている彼女にセシルは優しく声をかける。 彼女にとっては狂気にとりつかれ今この場所から飛び降りた人物は昔からの恩師なのである。 数多くの非人道的な行為やゴルベーザへの加担があってもその事実は変わらない。 だからこそ、余計に今の状況はつらいのであろう。良心との板挟みにあっている部分もあるのだろう。 「もう少しここに……」 「……行こう。ゆっくりでいいから……」 それだけ言い残してセシルも歩き出した。 しばらくは感傷に浸りたいであろうローザを強引に連れて行くことはしない。 彼女ならばこの困難すらも自らの手で乗り越えてくれるから……そして今の彼女に何か言葉をかけても 無責任な気休めにしかならないから…… 親しい間柄でも、時には一人で思い悩むことがあるのは当然だから…… 去りゆくもの 残されるもの11
https://w.atwiki.jp/aidaze/pages/486.html
♪生まれゆくものたちへ 作詞 井上華乃・漆野純哉 作曲 須田義弘
https://w.atwiki.jp/trpgken/pages/259.html
乾坤堂でダンジョンズ&ドラゴンズ3.5版の公式キャンペーンシナリオ、『赤い手は滅びのしるし』をやろうというキャンペーンです。 (主にDMからPLへの)伝言板 -最終更新日:2010年3月20日(土)- After Play 第16回目 決戦、五色竜。けっこう強めにしたつもりだったんだけどね。 最後の回に、素敵なプレゼントありがとうございました。僕も16回まで続けられて無事終了できたことに感無量であります。 次回の予定 史上最大の脅威は去った...が、しかし、エルシア谷に再び黒い影が!? 今後の予定 これからは、キャンペーンの記憶が薄れないうちにプレイリポート(web上&ペーパー両方)を作成していく予定です。現在、鋭意作成中。。。 ストーリー・日程情報 キャンペーンの各話あらすじと日程とか。 NPC情報現在工事中(DM) レギュレーション 乾坤堂における赤い手キャンペーンの使用ルールブックとキャラクター作成を中心としたレギュレーション。 キャラクター紹介 赤い手は滅びのしるしに参加するPL達のPCを紹介します。 パーティー資産 赤い手は滅びのしるしで入手した物品を提示します。 ログイン必須です。パスワードのわからない方はDM=leonleonかKBCまで。 サプリメント持込分担案 セッション時に持ち込みサプリメントを分担して効率よく持ち込むことを考えましょう(DM) 質問・問題解決スペース キャンペーン内外においての質問 DMの裁定 その他、掲載が必要そうな情報 キャンペーンを振り返ってみよう いまさらですが、アーカイブの準備段階としてメモできそうなスペースを作ってみました。(2010.6.21 DM)