約 109,481 件
https://w.atwiki.jp/nyoro/pages/28.html
午前4時を回ろうとしている頃、裕【女子16番】はI-6の住宅街にいた。 「ここまで来れば・・・」と、一安心する裕。誰もいない家屋で、裕は少し休むことにした。 「みんな今どうしてるのかなぁ・・・。」裕がつぶやく。「やっぱり私もこれで、殺し合いしなきゃいけないのかな。」そういうと、裕は支給武器の牛刀を取り出した。 裕は切れ味を試してみた。民家にあった服を切ってみたのだ。 すごい切れ味だ。何の抵抗もなく切れる。これなら人の体でも・・・。と裕は思った。 刃は朝日を浴びて怪しく光っている。それを見て裕は気づいた。 「もう朝か・・・。このままじゃ・・・何も解決しないよね・・・。」 そう言うと、一呼吸おいてその場を後にした。 さっぴは偶然見つけた洞穴の中にいた。つまりH-4である。 さっぴはこの状況を受け入れたようで、どうせやられるなら・・・と思っていた。さっぴはデイパックの中から支給武器を取り出した。「何コレ・・・?」 中には茶褐色の瓶が入っており「Potassium cyanide」と書いてある。瓶についていた紙を取り、中を見ると、「シアン化カリウム(青酸カリ)」と書いてあった。 「でも、青酸カリじゃ・・・すぐには人は殺せないじゃん。」さっぴの言うとおりだった。 他の人の武器には銃も入っているに違いない。だが、それに対抗するためには青酸カリはあまりに脆弱だった。 さっぴは決断した。「私は生き残る。まず、誰かの武器を奪って・・・。」 さっぴは以前、殺人事件の現場を見たことがあった。そのとき、彼女に不思議な感覚がしたのである。 『殺人ってこんなもの?それなら私にも・・・』 そう考えていたさっぴは、今更、抵抗などなかった。教室を出るときは怯えていたが、今は違う。 全員を殺してでも・・・生き残ってやる。 さっぴの決意は固かった。 えっことあっか【女子1番】は2人で、学校を出てすぐの山の中にいた。 えっこの持っていた暗視ゴーグルで学校から出てくる人がどこへ行くか見ていたのである。 全員が出終わったらしく、学校の扉が閉められた。2人は深い溜め息をついた。 「これからどうする?」と、えっこが言う。 「とりあえず、しばらく様子を見ようか?」とあっかが返す。 そんなやり取りがあったが、最終的に朋子が6時間ごとに放送すると言っていた放送を聞いてから考えることにした。 2人はあまり大きな声を出さないように、つかの間の雑談を楽しんだ。 そんなに余裕があったのも、学校から出て山に登ってくる人が1人もいなかったためであろう。 2人は、目立たない場所に隠れ、少しの間睡眠をとることにした。 山は、限りなく静まり返っていた。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2228.html
あれから元就が泣き止むまで、元親は甲板で黙って肩を抱いていた。 さすがに長居をすればまだ寒い。 元就が小さくくしゃみをすると、彼は苦笑しながら彼女を抱え上げた。 驚いたように切れ長の瞳が見開かれたが、何も言わずに首へと腕を回して掴まると、元親の肩へと顔を埋めた。 「…もう、あんなことするんじゃねぇぞ?」 「うむ…」 お前がやると冗談にならねえからな、と苦笑する彼の声に、しおらしく答える。 「何かあったら俺に言え」 「……言えぬ」 「こら」 溜め込んで何をするか分からないのに、と元親は心の中で毒づいた。 「………どのようにそなたに伝えれば良いのか分からぬ」 不安の込められた回答は彼女の心情をそのまま表している。 「…難しく考えるなよ、素直に言えば良いんだ」 頭の良い連中は物事を難しく考えすぎるからなぁ、と軽口を叩き、元親は笑った。 「では、そなたが好きだと言うたら信じてくれるか?」 「おい…いきなり告白かよ」 「…誰にも取られとうない……」 ぎゅっと腕に力がこもり、小さな顔が間近になる。 「俺だって、誰にもやりたくねえよ」 そんな事を言わせるな、と愚痴を零しながら、船室に戻った。 「落ち着いたら部屋に戻るか?」 そっと床に降ろすと、俯いたままの元就の頭を撫でながら、膝を付いて視線を合わせた。 戸惑いながら瞼を伏せ、元親にそっと抱きつくと、額を胸板にくっつけてぼそりと呟いた。 「ん、何だ?」 よく聞き取れないと再度促すと、今度は顔を上げた。 「…今宵は一緒に居てくれぬか」 「構わねえよ、アンタが飽きるまでな」 「阿呆…」 ふっと強張った表情が緩み、元就が艶やかな笑みを見せる。 ようやく氷の面という長い呪縛が解かれた。 その瞬間であった。 船室に設けられた小さな窓から差し込んできた光に、元親は眩しそうに顔を顰めた。 「ああ、もう朝か」 まだ日が昇って間もない頃だろう、甲板を忙しく動き回る足音に再び瞼を閉じた。 もぞり、と腕の中で動く気配がしたので、肘を立てて体を起こすと、彼女の頬を撫でる。 そういえば何もせずに彼女と一晩を過ごしたのは初めてだな、と元親は笑みを零す。 「起きたか?」 耳元にそっと囁きかけ、その白い顔を覗き込む。 「…起きておる」 長い睫毛に縁取られた琥珀の瞳が見上げてくる。 「気分はどうだ、気持ち悪いとかねえか?」 「……最悪だ」 視線を避けるように、反対へと寝返りを打ってしまった元就の声は大層不機嫌である。 「それだけ口がきければ大丈夫だ」 ははっと快活に笑いながら、元親は寝床から起き上がった。 「食事はこっちに運ばせるから、もう少しだけ寝ていな」 「いや、戻…」 「一緒に食いたいんだ」 素直に待っていろよ、と言い残すと、元親は簡単に着替えるとそのまま部屋を出て行った。 一人残された元就はのろのろと体を起こすと、窓から差し込む御来光に静かに手を合わせる。 「…どのような顔をしてそなたを迎えれば良いのだ」 ちらりと彼が出ていった先を見遣り、溜め息をつきながらも、彼女の表情は穏やかであった。 春嵐12
https://w.atwiki.jp/daniel1260/pages/313.html
3編 4編 5編 6編 9編 10編 12編 16編 17編 18編 20編 22編 23編 25編 27編 30編 31編 32編 34編 37編 38編 40編 41編 3編 エホバよ,あなたはわたしの周りにある盾,わたしの栄光であり,わたしの頭をもたげて下さる方なのです。わたしは声を上げてエホバに呼びかけます。すると,その聖なる山からわたしに答えてくださいます。そしてわたしは,横になって眠ります。わたしは必ず目を覚ますでしょう。エホバご自身がわたしを支えてくださるからです。わたしを取り囲んで勢ぞろいした幾万の民をもわたしは恐れません。エホバよ,どうか立ち上がってください。わたしの神よ,わたしを救ってください。…救いはエホバのものです。あなたの祝福はあなたの民の上にあります。 上へ 4編 わたしの義なる神よ,わたしが呼ぶとき,わたしに答えてください。苦難にあるとき,あなたはわたしのために広い場所を作ってくださらなければなりません。わたしに恵みを示し,わたしの祈りを聞いてください。…エホバがご自分の忠節な者を必ず見分けてくださることを知れ。わたしが呼びかけるとき,エホバご自身が聞いてくださる。…エホバよ,み顔の光をわたしたちの上に掲げてください。あなたはわたしの心に必ず歓びを与えてくださいます。それは,彼らの穀物と新しいぶどう酒が満ちあふれた時にも勝ります。わたしは平安のうちに横たわり,そして眠ります。エホバよ,ただあなただけがわたしを安らかに住まわせてくださるからです。 上へ 5編 エホバよ,わたしの言うことに耳を向けてください。わたしの溜め息を理解してください。助けを叫び求めるわたしの声に注意を払ってください。わたしの王、わたしの神よ。わたしはあなたに向かって祈るからです。エホバよ、あなたはわたしの声を聞いてくださり,朝にわたしはあなたに語りかけ,見張りをします。…あなたのもとに避難する者はみな歓び,定めのない時に至るまで喜び叫びます。…あなたのみ名を愛する者たちはあなたにあって歓喜します。エホバよ,あなたは義なる者を自ら祝福してくださるからです。大盾をもってするように,あなたは是認をもって彼らを囲んでくださるのです。 上へ 6編 エホバよ,怒りのうちにわたしを戒めないでください。激しい怒りのうちにわたしを正さないでください。エホバよ,恵みを示してください。わたしは衰えてゆきます。エホバよ,わたしをいやしてください。わたしの骨はかき乱されたからです。…わたしは自分の溜め息でうみ疲れました。わたしは夜通し寝いすを漂わせ,寝床をわたしの涙であふれさせます。…エホバはわたしの泣く声を必ず聞かれるからだ。エホバは恵みを求めるわたしの願いを確かに聞いてくださり,エホバご自身がわたしの祈り受け入れてくださる。 上へ 9編 エホバよ,わたしは心をつくしてあなたをたたえます。…エホバは打ちひしがれた者の堅固が高台となり,苦難の時の堅固な高台となってくださる。そして,あなたのみ名を知る者たちはあなたに依り頼みます。エホバよ,あなたはご自分を捜し求める者たちを決して捨てられないからです。…神は苦しんでいる者たちの叫びを決してお忘れにならない。…貧しい者がいつまでも忘れられることはなく,柔和な者たちの望みが滅びうせることも決してないからだ。 上へ 10編 エホバよ,なぜ遠くに離れて立っておられるのですか。なぜ苦難の時にご自分を隠しておられるのですか。…エホバよ,立ち上がってください。神よ,み手を上げてください。苦しんでいる者たちを忘れないでください。…あなたは難儀と煩いとをご覧になったからです。…不幸な者,父なし子は,あなたに身をゆだねます。あなたは自らその助け手となってくださいました。…エホバよ,あなたは柔和な者たちの願いを確かに聞いてくださいます。あなたは彼らの心を定めてくださいます。あなたは耳を傾けて注意を払ってくださいます。 上へ 12編 エホバよ,わたしを救ってください。忠節な者は終わりを迎え、忠実な者たちは人の子らから消えうせたからです。…「苦しんでいる者たちに対する奪略のゆえに,貧しい者たちの溜め息のゆえに,わたしはこの時に立ち上がる」と,エホバは言われる。「わたしは,息を吹きかける者から彼を離して安全な所に置くであろう」。…エホバよ,あなたご自身が彼らを守ってくださいます。あなたは,この世代から定めのない時に至るまで,ひとりびとりを保護してくださるのです。 上へ 16編 神よ,わたしを守ってください。わたしはあなたのもとに避難したからです。…わたしは自分の前に絶えずエホバを置きました。神がわたしの右にいてくださるので,わたしはよろこめかされることがありません。それゆえ,わたしの心は歓び,わたしの栄光は喜びに傾くのです。また,わたしの肉体も安らかに住むことでしょう。なぜなら,あなたはわたしの魂をシェオルに捨て置かれないからです。あなたはご自分の忠節な者が坑を見ることを許されません。あなたは命の道筋をわたしに知らせてくださいます。満ち足りた歓びがあなたのみ顔と共にあります。あなたの右には快さが永久にあるのです。 上へ 17編 神よ,わたし自らあなたを呼び求めます。あなたはわたしに答えてくださるからです。あなたの耳をわたしに傾けてください。わたしのことばを聞いてください。あなたの愛ある親切の行為をくすしいものとしてください。…わたしを目の瞳のように守ってください。あなたの翼の陰にわたしを隠してくださいますように。 上へ 18編 わたしの力,エホバよ,わたしはあなたに愛情を抱きます。エホバはわたしの大岩,わたしのとりで,わたしを逃れさせてくださる方なのです。わたしの神はわたしの岩。わたしはそのもとに避難します。わたしの盾,わたしの救いの角,わたしの堅固な高台。わたしは賛美されるべき方エホバを呼び求め,そして敵から救われる。…わたしは苦難の中にあってエホバを呼び求め,わたしの神に助けを求めて叫びつづけた。すると,その神殿からわたしの声をお聞きになり,み前で助けを求めるわたしの叫びが,ついにその耳に入った。…神はわたしを強い敵から,わたしを憎む者たちから,わたしを救い出されるのであった。…エホバはわたしの支えとなってくださった。次いで,神はわたしを広々とした所に連れ出し,わたしを助け出してくださるのであった。わたしのことを喜ばれたからだ。…ご自分のもとに避難するすべての者にとって,神は盾である。…まことの神は,わたしに活力を固くおびさせてくださる方。神はわたしの道を全きものとしてくださり,わたしの葦を雌鹿のようにし,わたしにとって高い所にわたしをずっと立たせてくださる。…そして,あなたはその救いの盾をわたしに下さり,あなたの右手がわたしを支え,あなたの謙遜さがわたしを大いなる者とするのです。あなたはわたしの歩みのために十分大きな場所を空けてくださいます。それで,わたしの足首は確かによろけることがありません。 上へ 20編 苦難の日にエホバがあなたに答えてくださいますように。ヤコブの神の名があなたを保護しますように。神が聖なる場所からあなたの助けを送り,シオンからあなたを支えてくださいますように。あなたのすべての供え物を覚えてくださり,あなたの焼燔の捧げ物を肥えたものとして受け入れてくださいますように。セラ。あなたの心のままにあなたに与えてくださり,あなたの計り事をすべてかなえてくださいますように。わたしたちはあなたの救いのゆえに喜び叫び,わたしたちの神の名によってわたしたちの旗を揚げるのです。エホバがあなたのすべての願い事をかなえてくださいますように。 上へ 22編 わたしの神,わたしの神,なぜあなたはわたしをお捨てになったのですか。なぜわたしを救うことから,わたしが大声で叫ぶ言葉から遠く離れておられるのですか。…わたしから遠く離れていないでください。苦難が近くに迫っており,ほかに助けてくださる方はだれもいないからです。…エホバよ,遠く離れないでください。わたしの力よ,急いでわたしを助けに来てください。…神は苦しむ者の苦悩をさげすむことも,忌み嫌うこともさらなかったからだ。神はみ顔を覆い隠されたこともなく,彼が助けを求めて叫ぶとき,聞いてくださったのである。 上へ 23編 エホバはわたしの牧者。わたしは何にも不足しません。神は草の多い牧場にわたしを横たわらせ,水の十分にある休み場にわたしを導いてくださいます。神はわたしの魂をさわやかにしてくださいます。そのみ名のために義の進路にわたしを導いてくださいます。たとえ深い陰の谷を歩もうとも,わたしは何も悪いものを恐れません。あなたがわたしと共にいてくださるからです。あなたのむち棒と杖は,わたしを慰めてくれるものなのです。あなたは,わたしに敵意を示す者たちの前で,わたしの前に食卓を整えてくださいます。あなたはわたしの頭に油を塗ってくださいました。わたしの杯はあふれんばかりです。確かに,善良と愛ある親切が,わたしの命の日の限りわたしを追うことでしょう。わたしは長い日々にわたって,エホバの家に住むのです。 上へ 25編 エホバよ,わたしはあなたにわたしの魂をもたげます。…あなたを待ち望む者はだれも恥じることがありません。…エホバよ,あなたの憐れみとあなたの愛ある親切を思い出してください。それらは定めのない時からあるからです。わたしの若い時の罪と反抗とを,どうか思い出さないでください。あなたの愛ある親切にしたがってわたしを思い出してください。エホバよ,あなたの善良さのために。…エホバよ,あなたはそのみ名のために,わたしのとがを許してくださらんければなりません。それは少なからずあるからです。…わたしの目は絶えずエホバに向かう。神がわたしの足を網から引き出されるからだ。み顔をわたしに向け,わたしに恵みを示してください。わたしは独りにされ,苦しんでいるからです。わたしの心の苦難は増し加わりました。わたしに加えられる圧迫から,どうかわたしを引き出してください。わたしの苦悩と難儀を見てください。わたしのすべての罪を赦してください。…わたしの魂を守り,わたしを救い出してください。わたしが恥をかくことがありませんように。わたしはあなたのもとに避難したからです。 上へ 27編 エホバはわたしの光,わたしの救い。わたしはだれを恐れる必要があろうか。エホバはわたしの命のとりで。わたしはだれを怖れる必要があろうか。わたしは一つのことをエホバに願い求めた― わたしはそれを待ち望む。すなわち,エホバの快さを見るため,その神殿を感謝の思いを抱いて見るために,命の日の限りエホバの家に住むことを。神は災難の日にその隠れがにわたしを隠し,その天幕の秘められた場所にわたしを覆い隠し,岩の上の高みにわたしを置いてくださるからだ。…わたしが声を上げて呼ぶとき,エホバよ,聞いてください。わたしに恵みを示し,わたしに答えてください。…わたしからみ顔を覆い隠さないでください。怒りのうちにあなたの僕を退けないでください。あなたはわたしの助けとなってくださらなければなりません。わたしの救いの神よ,わたしを見捨てないでください。わたしを捨てないでください。わたしの父とわたしの母がわたしを捨て去ったとしても,エホバご自身がわたしを取り上げてくださることでしょう。 上へ 30編 エホバよ,わたしはあなたを高めます。あなたはわたしを引き上げてくださり,わたしの敵がわたしのことで歓ぶことを許されなかったからです。わたしの神エホバよ,わたしはあなたに助けを叫び求め,あなたはわたしをいやしてくださいました。エホバよ,あなたはシェオルからわたしの魂を引き上げ,わたしが坑を下ることのないよう,わたしを生き続けさせてくださいました。…その怒りの下にあるのは,つかの間であり,その善意の下にあるのは,生涯に及ぶからである。夕方には泣き悲しむことが宿っても,朝には歓呼の声がある。…エホバよ,あなたはその善意をもってわたしの山を強く立たせてくださいました。…エホバよ,聞いてください。わたしに恵みを示してください。エホバよ,あなたがわたしを助ける者であることを実証してください。あなたはわたしの悲しみをわたしのために踊りに変えてくださいました。あなたはわたしの粗布を解いて,歓びをわたしの帯としてくださいます。 上へ 31編 エホバよ,わたしはあなたのもとに避難しました。わたしが決して恥をかくことがありませんように。あなたの義のうちにわたしを逃れさせてください。わたしに耳を傾けてください。速やかにわたしを救い出してください。わたしのために岩のとりでとなり,わたしを救うとりでの家となってください。あなたはわたしの大岩,わたしのとりでだからです。あなたはご自分のみ名のためにわたしを導き,わたしを案内してくださいます。あなたは彼らがわたしのために隠した網からわたしを引き出してくださいます。あなたはわたしの要塞だからです。わたしはあなたのみ手にわたしの霊を託します。真理の神エホバよ,あなたはわたしを請け戻してくださいました。…エホバよ,わたしに恵みを示してください。わたしは窮境に陥っているからです。煩いのためにわたしの目は弱くなりました。わたしの魂も,わたしの腹もです。わたしの命は悲嘆とともに終わりを迎え,わたしの年は溜め息のうちに終わりを迎えたからです。わたしのとがのゆえに,わたしの力はつまずき,わたしの骨も弱くなりました。…わたしの時はあなたのみ手にあります。敵の手から,わたしを追跡する者から,わたしを救って下さい。あなたの僕の上にみ顔を輝かせてください。あなたの愛ある親切によってわたしを救ってください。…あなたはご自身が秘められた所に彼らを覆い隠し,徒党の組む人々から守ってくださいます。…わたしがあなたに助けを叫び求めたとき,あなたはわたしの嘆願の声を確かに聞いてくださいました。…エホバを待ち望むすべての者たちよ,勇気を出せ。あなた方の心が強くあるように。 上へ 32編 自分の反抗を赦され,その罪を覆われる者は幸いだ。…わたしが黙っていると,わたしの骨はわたしが一日じゅううめくために疲れ果てました。…わたしはついに自分の罪をあなたに告白し,自分のとがを覆いませんでした。わたしは言いました,「わたしは自分の違犯をエホバに告白しよう」と。すると,あなたがわたしの罪のとがを赦してくださいました。…あなたはわたしのための隠れ場であり,わたしを苦難から保護してくださいます。逃れさせる歓呼の声をもって,あなたはわたしを囲んでくださるのです。 上へ 34編 わたしが尋ねると,エホバはわたしに答えてくださり,わたしのすべての怖れからわたしを救い出してくださった。…この苦しむ者が呼ぶと,エホバが聞いてくださった。そして,そのすべての苦難から彼を救ってくださった。エホバのみ使いは神を恐れる者たちの周囲に陣営を張っており,彼らを助け出す。あなた方はエホバが善良であることを味わい知れ。そのもとに避難する強健な人は幸いだ。…彼らが叫ぶと,エホバご自身が聞いてくださり,そのすべての苦難から彼らを救い出してくださった。エホバは心の打ち砕かれた者たちの近くにおられ,霊の打ちひしがれた者たちを救ってくださる。義なる者の遭う災いは多い。しかし,エホバはそのすべてから彼を救い出してくださる。神はその者のすべての骨を守っておられる。その一つも折られなかった。…エホバはその僕たちの魂を請け戻しておられる。そのもとに避難する者はだれも罪科に問われることはない。 上へ 37編 エホバを無上の喜びとせよ。そうすれば,神はあなたの心の願いをかなえてくださる。あなたの道をエホバの上に転がし,神に頼れ。そうすれば,神ご自身が行動してくださる。そして神は,義をまさに光のように,あなたの公正を真昼のように,必ず生じさせてくださる。…そして,ほんのもう少しすれば,邪悪な者はいなくなる。あなたは必ずその場所に注意を向けるが,彼はいない。しかし柔和な者たちは地を所有し,豊かな平和にまさに無上の喜びを見いだすであろう。…わたしはかつては若者であったが,わたしもまた年老いた。だが,義なる者が完全に捨てられるのを見たことも,その子孫がパンを捜し求めるのを見たこともない。…エホバは公正を愛される方であり,その忠節な者たちを捨てられないからである。…義なる者たちの救いはエホバから来る。神は苦難の時の彼らの要塞である。そして,エホバは彼らを助けて,逃れさせてくださる。彼らを邪悪な者たちから逃れさせ,救ってくださる。彼らが神のもとに避難したからである。 上へ 38編 エホバよ,憤りのうちにわたしを戒めないでください。また,激しい怒りのうちにわたしを正さないでください。…わたしのとががわたしの頭を越えたからです。重い荷のように,それらはわたしにとって重すぎるのです。…わたしは度を失い,極度に身をかがめ,一日じゅう悲しみを抱いて歩き回りmした。…エホバよ,わたしの願いはすべてあなたのみ前にあり,わたしの溜め息もあなたから覆い隠されませんでした。わたしの心臓は激しく鼓動し,わたしの力はわたしを去りました。わたしの目の光もまた,わたしと共にはありません。…わたしは自分のとがを言い表わし,自分の罪について思い煩うようになったからです。…エホバよ,わたしを捨てないでください。わたしの神よ,わたしから遠く離れないでください。急いでわたしを助けに来てください,わたしの救いであるエホバよ。 上へ 40編 わたしはエホバを切に待ち望みました。それで,神はわたしに耳を傾け,助けを求めるわたしの叫びを聞いてくださいました。また,ほえたける坑から,沈殿した泥の中から,わたしを引き上げてくださいました。…あなたご自身,エホバよ,その哀れみをわたしからとどめないでください。あなたの愛ある親切とあなたの真実が,絶えずわたしを保護するものとなりますように。…エホバよ,願わくは,わたしを救い出してください。エホバよ,急いでわたしを助けに来てください。…わたしは苦しんでおり,貧しいのです。エホバご自身がわたしのことを考慮に入れてくださいます。あなたはわたしを援助してくださる方,わたしを逃れさせてくださる方なのです。 上へ 41編 立場の低い者に対して思いやりをもって行動する人は幸いです。災いの日にエホバはその人を逃れさせてくださいます。エホバご自身が彼を守り,彼を生き長らえさせてくださるのです。…エホバご自身が病の床にある彼を支えてくださいます。あなたは彼の病気の間にそのすべての寝床を必ず替えてくださいます。 上へ
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/42118.html
【検索用 わんたらー 登録タグ Ayase VOCALOID Youtubeミリオン達成曲 わ ハヌル 初音ミク 曲 曲わ 殿堂入り】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:Ayase 作曲:Ayase 編曲:Ayase 動画:ハヌル 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『ワンダラー』 Ayase氏のVOCALOID曲16作目。 歌い手への楽曲提供のボーカロイド版。 歌詞 (本人投稿動画説明欄より転載) いつもよりも早く目覚めた朝に 意味もなく飛び出した世界は うんざりするほど 眩しすぎてなんか笑えてくる 少しだけ歩いてみようか それは単純明快なんだよって 何度考えたって そこにいつもの僕はいないでしょ かき混ぜた感情いつまで経っても 濁ったままで 吐き出すこともできない 散々でもきっと いつの日かきっと 信じる日々に 無理しちゃいないけれど 歩き疲れた僕らの足元にできた 水面に映った笑顔 いつもよりも上手く寝れない夜に 君のこと思い出してはまた 溜め息を吐いてる 思い出を彷徨ってる 辿り着けない朝日を待ってる もうちょっと愛想良くさ ねえこっち向いて 笑って見せてほら 探り合った感情渋滞中 お決まりのルール ああしたい やっぱこうしたい 待ってどうしたいのってさ 選べずに立ち止まってる いつもよりも早く目覚めた朝に 意味もなく飛び出した世界は うんざりするほど 眩しすぎてなんか泣けてくる もう少しだけ歩いてみようか 散々でもきっと いつの日かきっと 信じる日々に 無理しちゃいないけれど 歩き疲れた僕らの足元にできた 水面に映った笑顔 どうやってもきっと いつの日かきっと 終わりが来ると そんなこと分かってる それでも変わらず今も 見上げれば広がる空の下で僕ら いつの日かまた会える日まで コメント この曲大好き -- 山田龍生 (2022-10-28 18 54 16) めっちゃ好き!!! -- YUKKY (2023-07-18 15 49 21) ayaseさんの作る電子音の雰囲気だいすこ -- 名無しさん (2023-11-22 11 49 55) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/1988.html
ヤンデレどもの旦那○○が聞いてみた 「俺が浮気してたらどうする?」 レティ・ホワイトロック 「……そう、こんな重い女、嫌よね。ごめんなさい」 そういって彼女はその瞳からダイヤのような涙の結晶を溢した。 最後の力を振り絞ったようにぎこちなく微笑む。 「ごめんなさい。今までありがとう……幸せだったわ、貴方。 とても、温かかった……溶けそうなほど、雪女の身に余るほど」 そういって、彼女はかつてそうしたように三つ指をつき頭を垂れる…………と、猛烈な冷気が吹き荒れた。 それらは渦巻きながらやがて一条の矢となり○○を撃った。 「……リンガリンガコールド…………ごめんなさい貴方。愛を失った雪女は、こうするしかないの。 ごめんなさい、ごめ、んな……さいっ」 今や物言わぬ雪像と化した○○を抱きしめ、[[レティ]]は泣き続ける。 「あぁ、ああっ……温かく、ない……っ」 橙 「なークロー、俺が他の猫に浮気したらどうするー?」 にゃーん 「ゴロゴロしてやったり尻尾の付け根とかこんこんしてやったら、お前怒る?」 ンナァーン…… 「なんてな、冗談だよ。俺の飼い猫はお前だけだし」 にゃーん ーー五時間後 「どうした[[ナズーリン]]! し、しっかりしろナズーリン!誰か、誰か医者をよんでくれーーっ!」 ニヤーーン アリス・マーガトロイド 「……ふーん」 数秒間、○○の顔を見つめたあと、彼女は興味ないとばかりに作業に戻った。 え? それだけ? と、自分の想像したリアクションとの落差に○○は顔の体温が下がるのを感じた。 もしかして、自分が思うほど愛されてなかったのか……そうかぁ、そうだったんだだぁ…… 「そんなことはないわ」 と、○○に背を向けたままアリス。 そして、はぁー、と深く溜め息をついて億劫そうに肩越しに振り向く。 「いったい何時間貴方のことを観察してると思ってるの? 言ってごらんなさいよ。多分貴方が言う時間は三時間以上足りないわ。 いい? 目は言うに及ばず口許、声のトーン、体臭、発汗、気配……全てが偽物よ それに、貴方が浮気なんてするわけがない」 そ、そうですか……と引きながらも嬉しくなってしまう○○。 良かった、然程愛されてもいない○○は居なかったんだ。 「まあ、それはそれとして。もう二度と言わないでね、それ」 切なそうに眉を下げるアリスを○○はぎゅっと抱きしめる。 言わない。もう浮気とかそんな話しないよ、と。 「話だけじゃないのよ? 分かってる? したら駄目なんだからね」 分かってるって。愛してるよアリス。 「そう、私もよ。……だから、『使わせないでね』」 ○○の腰に着けたアリスを模したキーホルダー。 それの目が赤から普段の青へと音もなく変わったのを○○は知らない。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2310.html
暗闇の中雨音だけが響いていた。それは陸に居ながら溺れて行く幻覚を抱かせる。 月の無い晩、この夜の中でかすがを包むのは降り頻る雨音だけだ。 音も無く寝間の戸が閉まった。 誰かが衝立まで歩き、掛けてあった手拭で濡れた身体を拭いている。 程無く衣擦れの音がして布団の中に潜り込んだ人影は、 まだうっすら濡れている額をかすがの背に押し当て後ろから抱き竦めた。 寝間着一枚通してその冷たさがじわりと染み出す。 かすがは何も言わない。 夜具に入り込んだ不埒者を叩き出す訳でもない。 ただ目を閉じてじっと雨音に聞き入っている。 今夜も自分は溺れるんだ――背に広がる冷たさとは別の厭わしさがかすがを支配する。 背中の深い溜め息が雨音を遮った。 濡れている脛を足の裏でなぞると冷たい足が素早くかすがの足を 内側からがっちり絡め取り、股の間に割って入る。 「へへ、待った?」 聞き慣れた声が耳元で響いた。やはり今夜も自分は溺れるらしい。 「別に」 背を向けたまま素っ気無い返事を返す。 「あーあ、毎度の事ながらつれないねぇ。ここまで来るの大変なのに」 軽く愚痴めいた口調が一層嫌悪感を増大させたがそれでも相手を拒めない。 仄かに冷たさを残す唇が耳の裏から首筋へと滑って行く。 雨が降る夜、二人は共犯者になった。もう何回目の秘め事か覚えていない。 秘め事の間、暗闇の中で尚かすがは固く眼を閉じる。 瞳を閉じればそこに一番愛しい人の姿が浮んだ。 乳房をまさぐる節くれ立った指はたおやかな指に変わり、 自分を見詰める視線は涼しく麗しいものに変わる。 絡ませた腕や足は細くなり、熱っぽく囁かれる名前はあの呼び名になった。 かすがの口から誘う様な焦れている様な甘い吐息が次々に咲く。 ――謙信様 思わず言いそうになり僅かな理性で咄嗟に薬指を噛む。 弁えるべき所を知る二人は決して快楽を餌に取引を持ち掛けたりせず、 かすがも寝間で主の名を口にしなかった。 夢を見たい。せめて今だけ甘い夢を見て酔い痴れていたい。 体を重ねている相手があの方で、抱かれた後身体に残る汗の匂いがあの方の ものなら何て僥倖だろう――。 今夜も男の腕の中でかすがは泡沫の夢に溺れた。 いつも自分を擦り抜けて遥か高みを望み続ける方。 どんなに慕っても自分をモノとしか見てくれない方。 初めは傍らに居られるだけで幸せだった。 モノで無く女として見て欲しいと言う思いが押さえ切れなくなったのは いつからだったろう。 もっと自分を見て欲しい、その手に触れたい、抱き締めて欲しい、一つになりたい――。 叶わないと思えば思う程激しさを増す行き場の無い熱はかすがの中で嵐となって荒れ狂う。 男が忍んで来たのは丁度そんな夜で、雷鳴轟く驟雨の中だった。 溺れる月2
https://w.atwiki.jp/swxsp/pages/77.html
笹倉恭平 「鎌谷も萩野も……あいつも…俺の周りには馬鹿ばかりだ。(溜め息)そんなことをしていると置いてくぞ。」 「誰がかぐや姫だ。全く……お前らの相手をしていると疲れるな。」 「辰男。…いい右腕になったな。何かあったときはいつでも言うといい。」 「…いや、嬉しい。本は好きなんだ。読ませてもらおう。」 「ロココ、スープを注ぐから皿を持ってきてくれ。」 【名前】笹倉恭平(ささくら きょうへい) 【性別】男 【職業】情報屋 【髪の色】少しグレーの入った黒色 【瞳の色】紺桔梗色 【年齢】38歳 【誕生日】?月?日 【血液型】A型 【身長】183cm 【一人称】俺、私 【二人称】君 【容姿】 【性格・その他】 物静かでクールな男性。常識人。情報屋をしている。 萩野と同じくタバコを吸う中年男。 和樹、萩野とは古くからの友達。いつも2人に悩まされる。 よくイタズラをしていたらしい。恭平はフォロー係り兼、後始末係り。 骨董品やアンティークを取り扱う小さな喫茶店を経営。 趣味でやっている店の為、看板も小さく、営業時間は昼前から夕方と短い。 入客こそ少ないものの、知る人ぞ知る名喫茶。 店内の装飾には古時計やクラシックアンティークが置いてある。 静かで落ち着きのある店内で、ゆったりとした時間を楽しめる。 店の裏には家庭菜園。色とりどりの野菜が植わっている。 トマトやレタス、きゅうり、ピーマンなどの基本的な野菜ならばっちり。 自宅の二階のベランダにはハーブを植えている。 読書をしながら、珈琲を飲み、時計の針や鐘の音を聴くのが好き。 タバコは一日に数量を決めている。その数量以上は決して吸わない。 タバコケースの中にも武器の針を隠し持っている。 弟にW-PERIODのボスの朧がいるが、疎遠関係である。 10年ほど口を聞いたことがない。 朧が愛していた女性は恭平に片思いしていたのが仲違いのきっかけ。 「彼女が死んだのをお前のせいだ」と言われたのが朧との最後の会話。 彼女が死んだ理由は交通事故なので恭平には全く関係ない。 Limit.Bでは一時期本部でも働いていた。 本部に入り、Limit.Bの恐ろしさを知る。 情報屋の腕で本部のことを少しずつ調べて行ったが、これ以上は危険と判断。 その後Limit.Bを抜け喫茶店を始める。 【能力】 なし 【武器】 針 【好き嫌い】 好き⇒本、アンティーク、タバコ、珈琲 嫌い⇒ 【関係】 ~親友~ 和樹 萩野 「面倒事を増やす奴らだ。…疲れるな。」 ~弟~ 朧 「弟という感覚はない。顔見知り程度ぐらいに思っている。」 ~居候している子~ ロココちゃん (ぽて宅) 「家がないと言っていたからな。早く母親が見つかるといいが。」
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2177.html
あの日、思いつめた表情で自分の所を訪ねてきた元親の顔は今でも忘れない。 最後に抱いた彼女の体の温もりと、己の名を呼ぶ切なげな声を。 綴られた文字にふと懐かしさを感じ、元就は紙の上を指でなぞってみる。 何を馬鹿なことを、と思いながら、内容へと目を通す。 いつもと変わらない日常の瑣末な出来事だ。 ふと口元に苦笑が浮かぶが、部屋のすぐ近くに人の気配を感じてそれを消した。 書状を抽斗へとしまうと、そちらの方へと視線を向けた。 「入っても良いかい」 主の返答など聞く気もないのか、その人物は勝手に障子を開けた。 降り続く雨の音が大きくなる。 「こちらの拒否など関係ないのだろう、貴様は」 呆れた口調で彼女を一瞥し、小さく溜め息をついた。 「まあ、そうだけどね」 半兵衛は後ろ手に障子を閉めながら部屋に入ると、元就の前に座る。 「…何用だ」 顔も見たくない、とでも言うように、彼は視線を外した。 「言わなくても知っているんだろう?」 相変わらず元就は視線を合わせようとしない。 ふふ、と艶めいた笑いを浮かべながら、半兵衛の腕がだらりと絡みつく。 指先が胡桃色の髪を玩びながら耳朶を探る。 「……いつものように抱いて欲しいんだけど」 元就の耳朶へと囁きかけるように唇を寄せた。 視界の隅を過ぎる白銀の髪に、ふと既視感を覚える。 「安芸まで来ずとも、あれに頼めば喜んで抱いてくれるのではないか」 間近で睨む琥珀の瞳をじっと見詰めていた半兵衛は、元就の答えに困ったように眉を下げた。 「…秀吉には頼めないよ、だって友達相手に欲情出来ないだろう?」 自分の理想を追い求め、彼を戦国の覇王に仕立て上げる。 彼とあまりに近しい人間になっては感情に揺さぶられて選択を誤るかもしれない。 それは嫌なんだ、自分が許せない、と気怠い声で囁く。 もぞり、と体を動かして元就の膝に乗るように位置を変える。 肺を患っている為か、常に微熱を発している半兵衛の肌は熱い。 「詭弁を」 侮蔑の色を滲ませた声に半兵衛は紫瞳を伏せて笑う。 「ああ、そうかもしれないね…僕は怖いんだ」 残された時間は短く、命の炎がいつ果てるかなど分からない。 君には分からない感情だろうね、と皮肉を込めて言い返すと、上目遣いに元就の顔を見た。 「ふ…戦場に立ち、血煙に塗れても、顔色一つ変えぬ女が何を言うか」 「ひどい言い方だ」 やはり君しかいないよ、そう言いながら、頬を摺り寄せるようにして半兵衛から口付けてきた。 「…今日はちょっと喋りすぎたな」 これ以上無粋な事は言わないでくれ、と懇願するような声が溶けて消えた。 幻惑の炎4
https://w.atwiki.jp/to-love-ru-eroparo/pages/157.html
「ふぁ…あぁぁ~…」 眠い朝の登校時 欠伸をしながら歩いているリトの足がふいに止まる 「お!」 足を止めた理由は明白だった 校門の前に停まる一台の黒塗りの高級車 そして恭しく開けられた長い車体の後ろドアから現れた、見るからにお嬢様な一人の女の子 正しくは、女の"子"と呼ぶには失礼なのかもしれないほどに、大人びている容姿 スラリと背が高く、遠目から見てもわかるほどのスタイルの良さ 瞳の色は見る者全てを惑わせるような、黄昏色とも琥珀色とも取れる、不思議な色合いを帯びている そんな女の子――――天条院沙姫は、校門前で出迎えたいつものお付きの二人、 凛と綾に朝の挨拶を済ませると、その二人を後ろに従え優雅に校庭に足を踏み入れた 校門をくぐる時、ふいに目と目が合ったリトと沙姫 ドキン、と一瞬、胸の高鳴りを覚えたリトとは違い、沙姫は、そんなリトを一瞥すると何も言わずに目を背ける 「……ってオレには何にもなしかよ!?」 ムッとした顔をしながら慌てて小走りで追いかけるも、すでに沙姫たちの背中は遠く校舎の入口近く 「お~い! 沙…っと、この呼び方はダメだったんだ…」 "沙姫"と言おうとしてリトは、慌てて口を噤んでしまう 学校では"沙姫"と呼ばずに、ちゃんと"天条院センパイ"と呼ぶように、とキツク言われたことを思い出す そうこうしている内に沙姫の背中は完全に校舎の中に消えてしまう ハァ~っと、溜め息を吐くリトの背中に、小声ながらも筋の通った男の声がかかる 「失礼ですが結城リト様でございますか?」 振り返ると、小柄な初老の男がいつの間にか立っていた 帽子を取って恭しく一礼する男に、リトは慌ててペコっと頭を下げながら尋ねる 「そう…ですけど。何か用ですか?」 「お嬢様の申しつけで、伺ったしだいにございます」 「お嬢…様? あ~沙姫んトコの!」 いつも車で沙姫を送り迎えしているその顔に、リトはようやく気付く 「えっと、それで用って?」 「はい。今日の放課後、校門前で待っているようにとの事でございます」 「今日の放課後…? あ、は、はい。わかりました」 リトの返事に運転手の男は再び一礼すると、車へと戻っていく 「……つーかわざわざこんな事しなくても、自分で言えよな…」 別に二人が付き合っている事は秘密でもなんでもないのだが たまに垣間見せる沙姫のおかしなトコロに首を捻りつつ、いつの間にか遅刻ギリギリにな っている事に気付いたリトは、走って校舎に向かった そして放課後 「おそ…」 帰っていく生徒を見ながら、リトは校門にもたれながら沙姫が来るのを待っていた 遅い すでに時刻は、放課後というより夕方を廻ろうかとしている 「ったく何やってんだよ…」 秋の肌寒い風が身体に染みてきた頃、遠く、校舎から見知った姿が見える 「あ!」 リトは思わず校門から背中を離す 「つーかおせェーって! 何やってたんだよ?」 「別に…」 「別にって…あのなァ」 溜め息を吐くリトの横にすっと並ぶと、沙姫はチラリとリトの顔を見つめた リトより背の高い沙姫 どうしてもその身長差でリトを見つめるその目は、切れ長の上、細められてしまう 「う…」 お嬢様独特の雰囲気と相まって、その視線はいつもリトをドキリとさせる 「でで、で、用って何だよ?」 「そうですわね。まずは車に乗りなさい。ココは寒いですわ」 「お、おう」 沙姫の合図を待っていたかのように運転手は、ドアを開けた 走る車の中 「なァ…。いい加減、なんの用か言えよ」 沙姫はさっきから窓の外を眺めてばかりで、無言 沈みがちな車内の雰囲気もだが、いい加減リトの我慢も限界が近い 「おい、沙…っておあッ!?」 沙姫に詰め寄ろうとして視界が一転 いつの間にかリトは車の天井を見ていた 天井に吊るされたシャンデリアを見ながらリトは目をパチパチとさせる 「へ? あれ?」 頭の中がこんがらがって事態を整理できない そんなリトのおデコにやわらかいモノが触れる 「ん?」 おデコにかかる前髪を掻き分けて触れられているのは、沙姫の手 「え…」 その柔らかくてスベスベな感触に頬が熱くなってくるも、リトはようやく事態を呑み込み始める 頭の後ろに感じるやわらかい太ももの肉感 ほのかに香る花の香りをしたトワレ そして、上を見つめれば、天井ではなく沙姫の顔 やっと自分が沙姫に膝枕をされている事を理解すると、リトは身体の力をゆるめ、頭を太ももに沈めた どっと疲れたが取れたかの様に溜め息を吐くリトに、沙姫の口から小さな笑い声が出てくる 「ぷ…くく…」 「って何で笑うんだよ!? つかいきなりこんな事されたら誰だってあーなるだろ?」 「くっ…あははっ」 口に手を当てながらも、すでに笑いを堪える気配のない沙姫 次第にリトの目が半眼になっていく 「沙姫…」 「ごめんなさい…。あなたの慌て様が、あまりにもアレなものだったから…」 そう言いながら沙姫は目尻に浮かんだ涙を指で拭き取っていく 「それで、落ち着いて?」 「ま、まーな」 太ももの上でバツが悪そうにふいっと目を背けるリトの頭を、沙姫の手が撫でていく やわらかくて、あったかくて リトはムッとなった顔が緩んでしまうのを誤魔化す様に、慌てて口を開いた 「それで用ってなんだよ?」 「ん? ああ、その事ね」 逡巡するかのように口元に手を当てながら黙ってしまう事、数秒後 「…あなた、今日、学校でまた私のこと名前で呼ぼうとしましたわね?」 「え? ああ…えっとアレはその…勢いっつーか、いつものクセっつーか、その…って聞こえてたのかよ!!」 「当たり前です」 顔を背きながら当然といった顔をする沙姫 「だったら止まるとか振り返るとかさ……まーいいけど。つかもしかして用ってそれだけ?」 「……」 「沙姫?」 「……」 「おい!」 沙姫は再び窓の外に視線を向けてしまう 「…カンベンしてくれよ…。こっちはずっと気にして…」 「…いけない?」 「へ?」 「……用がなければ一緒にいてはいけませんの?」 「え…」 窓ガラスに映る沙姫は耳まで真っ赤になっていて リトはその顔を下からジッとその眼の中に映していた 交わらない視線のまま、車はやがて、天条院家の門をくぐろうとしていた―――― 「う~ん…」 と、目いっぱい両腕を伸ばして伸びをしても、有り余るほどの広さをほこる沙姫の部屋 白を基調とした室内には、レースをふんだんに使った天蓋付きのふわふわなベッド アンティークな家具と、ところどころに置いてある大小さまざまなぬいぐるみ そこはまるで、大人の世界に子供が遊びにきたかの様な部屋だった 足首まで埋まるふかふかの絨毯を踏みしめながら、数日ぶりの来訪にリトの胸が高鳴る (やっぱ沙姫の部屋って…) 「リト…」 「ん?」 背後から投げかけられた少し静かな声色に振り返ろうとしたリトの口が、ふいに塞がれる 「ん、んん!」 目を丸くして見つめる先は、すぐ間近にある沙姫の顔 (さ…沙姫!?) 身体を押しつけながら貪るようにキスを繰り返す沙姫にリトは反応できないでいた そうしている間も沙姫の両腕が首筋に回り、制服に包まれたそのやわらかい胸がリトの胸 板に押し付けられる 唇を割って入ってこようとする小さめな舌の感触 リトはまだ、テンパる頭で、それでも少しずつ沙姫に合わせ口を動かしていった 「ん…く…ちゅ…んん、ちゅく…ぅ」 舌と舌が交じりあい、唾液の交換が始まる リトは持っていたカバンを絨毯の上にポトっと置くと、そのまま沙姫の背中に腕を回し、 身体を抱き寄せた 「あ、ん…」 キスの間からもれる沙姫の吐息 ちゅくちゅくと生々しい水音をさせながら二人のキスは続く リトの舌が沙姫の口内を余すところなく蹂躙していき、それに沙姫が応えようとするも、 稚拙さが混じる舌使いに、中々、思うように出来ないでいる 「あ…ん、ぐ…」 送られてくる唾液を嚥下させながら沙姫も負けじと唾液を送りこむ 二人の口元はあっと言う間に唾液でベトベトになっていった 誰の唾液なのかわからないほどに互いの口を舌をまさぐり合う リトの舌も、沙姫の舌も、互いの口内で触れていないところはもうない 苦しくなれば口を離し、それでも舌の先端と先端は繋がったまま 荒い息と、熱い息をぶつけ合いながら二人は互いの顔を見つめ合い、またキスを繰り返す 少しすると、リトの膝が、沙姫の両太ももを割ってせり上がってくる 太ももに包まれるというなんとも言えない気持ちよさを堪能しながら、リトは膝を沙姫の 太ももの間、大事なところに当てた 「ん、ん!」 ビクンと沙姫の身体が震え、リトの制服をクシャっと手で握りしめる リトはその反応を楽しむように膝をグリグリと押し付ける 「ん! んん、ぁ…ん!」 キスで封じられた口からは抗議とも喘ぎとも取れる声がしきりに聞こえるが、リトの動きはとまらない 沙姫を壁際まで連れて行くと、ますます膝に力を入れる くちゅくちゅと聞こえだす水音に、沙姫の頬に自然と赤が灯る 「ぷは…ぁ…はぁ…ん…ぁ」 「はぁ、はぁ…す、げー。沙姫のココもうびちょびちょだぞ?」 「…はぁ…じゃあどーしますの?」 その瞳に蟲惑色を湛えた沙姫の手は、すでにリトの下腹部に伸ばされている ベルトの留め金に指を掛け、革の部分を弄っている様は、誘っているかのようだ 少し膝を動かすだけでくちゅりと卑猥な音がしてくる 「私にこんなコトをして許されると思っていますの?」 リトに膝で責められ、片足立ちになってまでも挑発的な口調は止まらない スカートからスラリと伸びる魅力的な脚のラインにリトの心拍数がどんどん上がっていく 「リト…」 甘い囁き それはリトの理性を崩壊させるのは充分すぎた カチャカチャと留め金を外し、熱り立ったモノを取り出すリト その長い竿に、白い指が絡みつく 「まあ! こんなにさせるなんていやらしい」 「仕方ねーだろ! お前のせいなんだから」 「ふふ…」 自分のせいでこうなっていると言うリトの言葉にうれしくなる 緩んだ顔の沙姫にキスをすると、リトは沙姫の太ももを広げさせ、黒のショーツの股部分をズラした 「入れるな?」 「ええ…」 くちゅくちゅと先端で割れ目を広げながら、入口を探すリトの様子を、沙姫ジッと見つめていた すでに十数、数十回と繰り返した行為の中でも、今、この瞬間が一番幸せだと感じられる それは決して慣れることのない感情だった そして、決して慣れてほしくない感情でもある やがて、くちゅっと音を立てて入ってくる熱い肉の感触に眉を歪め、睫毛を震わせるも、 沙姫の瞳は逸らされる事はない 一生懸命な顔も いつまで経っても満足にリードできない歯痒さも カッコいいセリフも、甘い言葉も言えないその性格も みんなみんな愛おしく想う "リト…。私はあなたのそんなところに惹かれたのかもしれませんわね…" 心の中でそう呟くと、沙姫は両腕をリトの首に回し、その身体を抱き寄せた 背中は壁に預けたまま、太ももを両腕で支えてもらい、完全に宙に浮いたままの状態 体重がかかる結合部からは、しきりに蜜が溢れ、絨毯を汚していく 「沙姫の奥…。オレのあたってる」 「え…ええ。リトのが当たって…ん…これだけで私…」 膣内がキュッと蠢き、子宮口から逃さないようリトを締め付ける 「動いていい?」 「え? あ、ちょ…ちょっと待っ…」 沙姫の声を遮る様にリトは本能の赴くまま腰を動かしていく じゅぷっじゅぷっ と、結合部から愛液を垂らしながら、沙姫はリトに合わせようと必死に腰を動かす 突かれる度に背中にあたる壁の堅い感触が痛むが、それ以上に下腹部を覆う快感に、沙姫の端整な顔が歪む 「リト…リト…きもち…気持ちイイですわっ! もっと、もっとぉ」 沙姫の言葉に応えるようにリトの腰使いが荒く激しくなっていく 制服の下で揺れる胸を想像しながらリトは、顔を沙姫に近づけていく 鼻先にあたる荒い息遣い 半開きになった口から覗かせる舌 沙姫はリトを欲すようにチロチロと舌を動かす 「欲しい…上も下も全部リトで塞いで」 リトは沙姫の求めに応じると口に吸い付き、口内を舌と唾液で犯していく 「あふ…ん、んちゅく…ちゅ…ぱぁ」 口を離した沙姫の顔は泡立つ涎でベットリとなっている その涎を舌で掬い取ると、リトは沙姫のおデコに軽くキスをした 「ごめん…。オレもう限界…。出していい?」 「え、ええ。出して。リトのいっぱい出して」 「どこがいい?」 沙姫は何も言わずチロっと舌をだすと、クスッとほほ笑んだ 「口? マジでいいのか?」 コクコクと頷く沙姫にリトは自分の喉にツバが落ちていくのを感じた 口内に出せるという興奮がリトの動きにますます拍車をかける リトはヒョイっと沙姫を抱えると、そっと絨毯の上に寝かした 白の絨毯の上に広がるプラチナブロンドの髪と、制服に包まれていてもわかる誰もが欲す理想形の様な身体 沙姫は人差し指をリトの制服の襟首に入れると、グイッとリトを引き寄せる 「さァ…もっとあなたを感じさせて…。もっと、もっと…」 そう甘い声色で囁きながら、瞳の色がどこまでも濃い黄昏色に、蟲惑的な色へと変わっていく (やっぱ沙姫って…) この日、二度目になる喉の奥の高鳴りを感じつつ、リトの視線は沙姫の顔を外さない、外せない 「リト…」 また甘い声。けれども、今度はその中に鈴が鳴った様なくすぐったさが混じる リトは手を伸ばすと、沙姫の制服のリボンを、ブラウスを、シャツのボタンを、どんどん脱がしていく その必死さに沙姫はなんとも言えない笑みを浮かべた 後輩を見る様に、弟を見る様に、かわいい彼氏を見る様に やがて、思わず目を覆いたくなるようなLUXXAの黒のブラにリトの手が一瞬止まる 「どうしましたの? いつから胸…嫌いになりましたの?」 「え? い、いやそーじゃなくて! いつも思うけど沙姫っていろんな下着着けるんだなァって」 赤くなった顔でぼそぼそと呟くリトに、沙姫の口から軽やかな笑みがこぼれる 「さァ…私もいくつ持ってるかとか、数えた事ないから…。ふふ…今度、あなたが選んで くれてもよくてよ? 私の着ける下着」 「え…!?」 悩ましげな色を湛えた視線を向けながら、沙姫の手がゆっくりと自身のスカートの裾を上げていく ブラと同じ黒のタンガショーツは愛液でヌラヌラと濡れている 「でも今はこっちが先ですわ…ね? リト」 見るたびに色を変える琥珀の瞳がリトを捉える 沙姫は舌を出すとチロっと唇を舐めとる 「沙姫…」 ぐちゅぐちゅと止まっていた動きの再開に沙姫の中は、悦びの声を上げてリトをしごいていった 絡みつく膣壁を前後に擦りながら、リトは欲望を込み上げていく 自然と手を繋ぎ、互いの目を見つめながら感度を上げていく 「だ…ダメもう…ん、ん、ん…く」 「オレも出…」 「リト! 口に! 私の口に…」 「わかった…」 リトは歯を食いしばって沙姫の中から引き抜くと、急いで自身のモノを沙姫の口に持っていく。 勢いよく吐き出される欲望の塊を沙姫は、口を開けて全て呑み込んでいく 舌で口元からこぼれる白濁液を掬い、それでも伝い落ちていくものを手で掬い取る 「あふ…こんなひっぱい…すごひですわァ」 口だけに止まらず、顔いっぱいを白で汚した沙姫は、どこか恍惚とした顔のまま息を整える 欲望を吐き出し終えてもまだ震えの止まらないリトの下腹部に顔を寄せ、萎えかけた竿に 細い指を這わせ、先端に口をつける 「沙姫!? ちょ…」 「まだ…残ってますでしょ? 私が全部…ん、んん…ちゅぱ…んぐ…」 言い終わらない内に口をすぼめて残ったものを吸い出そうとする沙姫に、リトの口から情けない声が出る 「あ…だ、だからちょ…と待っ…」 (……かわいい) 心の内でそう呟くと沙姫は、亀頭から口を離し、舌を出して裏スジに線を引いていく つーっと裏スジを伝う熱い生唾の感触に、リトの奥歯が鳴る 「ココ、気持ちいいのでしょ?」 「だ、だから…」 カリ首に爪を立てながら何度も擦り、反対の手で袋を揉みし抱く沙姫に、ものの十数秒で リトのモノは回復を見せ始める 「まァ、もうこんなに。まだ出来るってことでいいのかしら?」 「つ、つーかこんなの誰でもこーなるって!」 「あら? それだけ私が上手ってことかしら?」 ニッコリと笑顔のまま立ち上がった沙姫は、脱げかけのブラウスを無造作に絨毯の上に放り 投げると、リトの前で仁王立ちになった ハラリと広がるシャツから見える、黒のブラに包まれた豊満な胸が、下から見上げる リトの下腹部を熱くさせる 「続き…しますわよね?」 口元に残った精液を指で掬い、それを口の中に入れると、ちゅぱちゅぱと舐め始める沙姫 その両太ももからは、先ほどの名残を表す愛液が、白い太ももを伝いつーっと伝い落ちていく リトは四つん這いになると、太ももに顔を寄せ、落ちていく愛液に舌を這わす 太ももを撫でまわし、何度もキスを繰り返し、そして、リトの手は形のいいお尻に移る 「ん…あ」 身動ぎするように脚を震わせる沙姫の両脚を広げさせると、薄く口を広げた割れ目の中にリトは舌を入れた 「ん…ん、ぁ」 震えの大きくなる下腹部を両手でガッシリと固定させたまま、リトの舌使いは続く その様子を上から見下ろすように、けれども柔和な笑みを浮かべながら沙姫は、シャツのボタンを一つずつ外していく ハラリと頭に落ちてくる、まだ温かく匂いの残るシャツ その感触にリトは口元から糸を引かせながら、スカートの中から顔を上げた その顔にポトリと脱ぎたての黒のブラが落ちていく 上半身裸の沙姫 残るのはスカートと、ショーツと、黒のソックスだけだ そして、そのショーツもリトの手によってスルスルと脱がされていく リトの頭にトン、と手を置きながら、片足立ちでショーツを脱ぎ捨てる沙姫 立ち上がるリトと入れ替わる様にスカートが落ちていく 「次はあなたの番ですわね?」 沙姫は白く細い指を艶かしげに動かしながら、リトの制服を脱がしてく 最後のボタンが外れたあと、沙姫はリトの唇を指でなぞっていった あなたは私だけのモノ――――とでも言いたげに ベッドに手を付いた瞬間、危うくバランスを取り損ねてしまいそうになるほど、ふわふわな沙姫の寝具 いったい中にどんな羽毛が引き詰めているのか訊いてみたくなる が、リトの注意は、今はそれどころではなかった 目の前で悩ましげにくねらせる腰付きと、その持ち主である沙姫に釘付けだ 要求通りに四つん這いの姿勢になってくれた沙姫に息を荒くさせながらリトは近づく 白い、肉付きのいい丸みを帯びた沙姫のお尻は、それだけでリトの欲望を嵐のように掻き乱す その肉付きのよさを堪能する様に両手で円を描くように揉み出しくリトに、沙姫の口から くぐもった、押し殺したような甘い吐息が、断続的に聞こえてくる とろりと溢れ出す蜜に誘われる様に、リトは左手で割れ目を広げると、右手で自身のモノ を持ち、沙姫の秘所へと突き入れる 沙姫の声が一際、高く上がり、白い背中が仰け反ってリトに応える 引き抜くと同時にまた、さっきとは違う甘い声が上がる リトは夢中で腰を突き動かしていった パチュパチュといやらしい水音に混じって二人の熱い吐息が合わさり、それが二人をさらに高める 前後に揺さぶられる胸を鷲掴み、乱暴に、愛おしむように揉みし抱く 先端を指の間で何度も引っ張っては、軽く抓ってみる 沙姫は美しい顔を歪めながらも、快楽に抗うことなく、リトの一挙手一投足に素直に反応を見せる 「す…げ…、沙姫の中、ホントに気持ちイイ」 「出して…! 出してくれても…、いつでも…出しても…ぉ」 「沙姫…!」 リトは込み上げてくる欲望を沙姫の中へと吐きだした 一度では終わらない。何度も。何度も吐きだしていく 少しでも沙姫とくっ付きたくて、想いを中に出したくて、ぴったりとくっ付けたお尻と腰 の間からは、中に入りきらない欲望がベッドに染みを作っていく 「あ…ああぁ…ん…くぅぅぅ!」 沙姫の腰がガクガクと痙攣を初めて、リトの欲望を一滴残らず吸い取ろうと膣内で収縮を繰り返す 「ああぁぁあ…すごっ…イッてる! リトの射精で私…イっ…て…んんんッッ!」 下腹部から全身を襲う激しい波が終わると沙姫は、ぐったりと身体をベッドに沈める 荒い息を吐きながら、身体全体で呼吸をする沙姫の白い背中の上を、浮き出た汗が珠となって すべり落ちていく リトは割れ目から引き抜くと沙姫の顔へ移動した 「沙姫」 名前を呼ばれ、リトの顔と差し出されたモノとを気だるげな視線で追っていくと、少し顔を 寄せて、まだ痙攣を繰り返す熱い肉棒を口に咥えた 「ん、ん…ちゅぱっ…んぐ」 中に残ったモノを吸い出される快感に、リトの口から何とも言えない溜め息が吐き出される カリ首や竿までキレイに舐め終わると、口から離した亀頭にキスをし、「これでおしまいですわ」と合図を送る やわらかすぎて埋まってしまう様な気さえするベッドの上に腰を下ろすと、リトはまだ 荒い息が続く沙姫の頭に手を置いた 「ん」 "何ですの?"とでも言いたげに見つめてくる沙姫に、内心ドキっとしながらも、リトは手を動かしていく 細い絹のような感触をその手に感じつつ、リトは沙姫の頭をやさしく愛おしみながら撫でていく 無遠慮に触れられた事でいつもより切れ長になっていたその目に、次第にやわらかさが滲み出す 長い睫毛を震わせながらリトを見つめるその顔は、すでに恋する女の子になっている 沙姫は頭を撫でているリトの手に自分の手を重ねると、キュッと握りしめた 「沙姫…?」 不思議そうな顔をするリトにクスっとほほ笑むと、沙姫は重ねた手を自分の頬に当て、 ホッと小さく溜め息を吐く 「な、何だ? どしたんだ?」と言いたげなリトの疑問を余所に、沙姫は手を離すと仰向けに ゴロンと寝転がった 長く白い肢体に豊かに揺れる双房が、リトに悩ましげなナニか訴えかけてくる 再び自己主張をし始める自分のモノに赤くなるリトに沙姫の瞳の色が変わる 「…汗も掻いたことですし、シャワーでも浴びにいこうかしら」 「だ、だな。このままだと気持ち悪いし」 「そうですわね…」 リトに意味深は視線を送りつつ、沙姫は身体をゴロンと転がすとリトに寄る リトの両ももの上で両腕を組み合わせ、その上に顎を乗せながらジッと上目遣いでリトを見つめる 目の前でビクビクと大きくなっているモノには敢えて目もくれず、見つめ続ける沙姫の視線から リトは逃れられないでいた 「何だよ…」 「あなたはどうしますの? リト」 「え…」 キレイに整えられた爪先で、太ももに何やら"の"の字を描きながら、沙姫の目がキュッと猫のように細まる 「もちろんあなたも付き合いますわよね? シャワーに」 チャームの魔法でも宿しているかの様な沙姫の瞳 いつ見ても色を変え、見る者を魅了してやまない その魔法にものの見事に掛かってしまっているリトは、沙姫の言葉に首を振るしかなかった 日曜日の午後 「―――で高校生二人」 リトは窓口でチケットを受け取ると、後ろで腕を組んで待っている沙姫に渡す 「ホラ、これがチケット」 少し長めの長方形をしたチケットを手に沙姫の目が好奇に輝く 裏面を見たり、ピラピラと振ってみたり (……マジで初めてなんだな…。映画) 『私、映画館で映画って見たことありませんの』 「へ?」 受話口から聞こえた沙姫の声に、リトはつい気のない返事を返してしまった 『いつも映画は、家にある専用のホームシアターで見るんですのよ』 「ま~…だろうな」 『……』 「え…?」 『……』 「……あれ? 沙姫?」 『…どうしてこう鈍いのかしら…』 受話器のむこうの、あからさまに機嫌をそこねた声にリトの顔が引きつる 「ちょ…ちょっと待ってくれって! オレなんかおかしな事言った?」 『別にあなたは言ってませんわ! "何も"ねっ!』 "何も"のところだけ強調して話す沙姫に、さすがのリトも後悔の念を禁じえない 「あ、あのさ…。もし気に障るようなこといったんなら…」 『別に。何も』 「そ…そっか。じゃあ…」 『……もぅ…この鈍感ッ!』 と、言ってから沙姫はブチッと電話を切ってしまった 受話口から聞こえるつーつーという機械音が空しく頭の中で反響する 結局、その後、急いで電話をし直すのだが中々出てくれず 何回目かの電話でようやく出てくれた、あからさまに機嫌が悪い沙姫に何度も謝りつつ、 映画を見る約束までこぎ付けたのは、それから二時間後の話し 「―――と、席は……あった、あった。ココだ」 薄暗がりの中、沙姫の手を引いて自分たちの席へとやってきたリトは、沙姫を席に座らせる 「じゃあ、オレ、今からなんか買ってくるけど。なんか欲しいのとかある?」 「欲しいもの…。そうですわね……」 細い顎に人差し指を当て、眉を顰めながら、沙姫の口から次々と単語が飛び出す 「とりあえず、マリアージュ・フレールのグラン・ボワ・シェリと…」 「……へ?」 「ラデュレのマカロンを。ヴァニラとオレンジフラワーと……そうですわね、ショコラでいいですわ」 「…え…えっと…沙姫?」 まったく聞きなれない単語の数々にリトはついていけない 「ん~…あとは……ジャン・ポール・エヴァンのチョコ…」 「だからちょっと待てって!」 映画館の中だと言うのに思わず声を大きくさせてしまったリトに、沙姫ばかりでなく周り の客たちもリトに視線を集める 「何ですの? そんな大きな声をだして」 「いやだから…」 「さっさと行かないと映画が始まってしまいますわ。あぁ、それと。ミルクはノンホモジ ナイズド製のでお願いしますわ。私、それ以外のものは口にしませんから」 腕を胸のあたりで組みながら、ツンと澄まし顔で話す沙姫にリトは深々と溜め息を吐く 「だから、そんなのココにあるワケねーだろ…」 「え…?」 オウム返しで訊いてくる沙姫にリトは半眼になって応える 「だからないんだって! ココ、どこだと思ってんだよ」 「な…ない? う、ウソですわ…」 「ウソついてどーすんだよ…。とりあえずオレ、コーラか何か買ってくるからさ。お前も同じのでいいだろ?」 「え、ええ…私は…」 「じゃ、買ってくるけど、ココ動くなよ?」 と、釘を刺すや否や、リトは急ぎ足で売店へと向かった その背中を茫然とした顔で見送りつつ、どっと疲れたかの様に沙姫は椅子に深く腰を下ろした 「ない…。そんな…そんな事って…」 家で映画を見る時はいつもお付きのメイド達が、なんでも訊いてくれた それこそ世界中から直に取り寄せたり、時には、シェフやパティシエを呼んで作らせたり 自分の好きな物を好きなだけ食べながら映画を見る そんな時間がとても好きで、幸せだと思っていたのに 「どーいう事ですの…」 わなわなと、信じられないモノでも見たかの様に声を詰まらせる沙姫。それでも余裕を見せ つける様にその端整な顔は歪めない 優雅に脚を組み替え、スカートから覗き見える白い太ももとブーツに包まれた足が、周り の男どもの眼を惹きつける さっきから隣りや、斜め後ろの男の視線が痛いほど注がれている事に、沙姫は気付いていた 気付いていながらまるで意に介した様子はない 沙姫にとっては周りの男は全て、路傍に転がる石と同意だった お目当ての洋菓子のお預けをくらったこともあり、沙姫の機嫌はすぐれない また脚を組み変えながら長い溜め息吐く 何か文句の一つでも言ってやろうかと思った時、沙姫の顔に影が射す 「ホラ、買ってきたぞ」 何事もなかったかの様に持っている紙コップを差し出すリトに、沙姫はチラリと視線を送 ると、またすぐに視線を前に戻す 「……ずいぶん遅かったですわね」 「だって仕方ねーだろ? 映画が始まる前の売店ってスゲー混んでるんだからさ」 ストローに口をつけてコーラを飲みながら沙姫の隣りに座るリトに、周りの男たちから舌 打ちや冷やかな反応が上がる リトは気付いていないのかまるで気にした様子はない 紙コップを手の中でくるくる回しながら、中でシュワシュワと泡がハジケているコーラに、 沙姫の視線が落ちていく 紙コップは手の中でくるくると回り続ける 「―――ねェ、リト。あなた…」 急に室内の照明がしぼられたかと思うと、スクリーンに『もうしばらくすると上映いたします』の文字 そして、間を置くことなく、スクリーンに映画館でおなじみのCMが流れ始める 沙姫の声は暗がりの中に消えていった 映画は可もなく不可もなく。ありきたりな恋愛映画だった 農家の男と貴族の娘の許されざる恋。そして、戦争によって引き裂かれる二人の絆 「ふぁ…あ~…」 欠伸を噛み殺しながら退屈そうに見ていたリトの手に、ふいに重なるもう一つの手 眼を丸くさせながら肘掛を見ると、自分の手の上に沙姫の手が重ねられていた 沙姫はずっとスクリーンを向いたまま その横顔をしばらく見つめると、リトは手を動かして沙姫の手を握りしめた 拒絶を表すかの様にわずかに震える白い手 けれども少しすると、握り返してくる柔らかい感触に、二人は手を握り合ったまま映画を見続けた 「ん…んんん~~」 と、両腕を伸ばしながら大きく伸びをするリトの横で沙姫は腕を組んだまま、どこかムス っとした表情になっていた 「映画おもしろかった?」 「ええ…まァ」 口数も少なく、口調も落ち着いているというより元気がない印象を受ける 「沙姫?」 リトは人通りが少なくなったロビーの中で、すっと沙姫の顔を覗き見る 「……ッ」 琥珀色の瞳と一瞬だけ眼が合い、そして、逸らされる リトは少しキョトンとしたまま何気なく訊いてみる 「あのさ。もしかして泣いてる…?」 「えぇ…!?」 あからさまに動揺する素振りを見せる沙姫の前髪を、人差し指で分けながら、リトの指が 沙姫の目元にそっと触れる 「だってお前の眼、ちょっと赤くなってるし」 「…ぇ…違…こ、これは…」 リトの手から逃れる様に後ろに半歩下がった沙姫は、左手を胸の前で握りしめながら、オ ロオロと身を捩じらせた 「そ、そーいった意味でなく…これは…、そ、そうですわ! 欠伸! 欠伸が出てそれで…」 「いいじゃん! そーゆーのってスゲーいい事だって思うけどな」 「え…」 リトはニッと歯を見せると、その屈託ない笑顔を沙姫に向けた 「それに沙姫の泣き顔見れて、うれしいけどな。オレは」 「な…!?」 一瞬で沙姫の顔が真っ赤に染まる とっさにリトから身体ごと顔を背けると、いつもよりトーンが上がった声で話し始める 「さっきから何をおかしな事をいってますの? 言ったでしょ? 欠伸をしたって! だ いたい私が映画程度で…」 沙姫の言葉を聞きながらリトは、映画を見ていた時の沙姫の横顔を想い浮かべていた 映画の世界に入り込んだ様に、ジッとスクリーンを見つめる眼差しは熱っぽく、潤んでいて 主人公とヒロインの心が触れ合う度に、それに呼応するかのように、手に力がこもる 握っている手と反対の手が、ずっと膝の上で、小さく震えていた 「―――ホントにバカバカしいですわ! 言いがかりも甚だしいっ」 沙姫の独演は止まらない。リトは嵐に触れないよう、過ぎ去るのを待つように、苦笑いを浮かべてやりすごす この数ヶ月でリトなりに沙姫の一連の対処法を身につけ始めていた 沙姫は一頻り話した後、ツンと顔を背けたままリトの横を通り過ぎていく 「って、どこ行くんだよ?」 「……女のコにそんな事を訊くだなんて、恥知らずもいいところですわ」 「え…。あ、そっか。ごめん…」 「まったく。そこで待ってなさい」 相変わらず顔を見せない様に話す沙姫だったが、その声にはもうトゲが含まれていない事 に、リトは心の中で溜め息を吐く 沙姫の入っていった女子トイレの見える位置の壁にもたれながら、リトは沙姫が戻って来 るのを待つ事にした 「…つーかおせー!」 あれからどれぐらい経っただろう 次の映画が始まったのか。映画館のロビーからはますます人の数が減り、閑散とした雰 囲気すら漂っていた 時計を見ると、もう夜の七時を廻っている さすがにお腹も限界に近く、さっきからぐ~ぐ~と警笛を鳴らしている 「何やってんだよ。沙姫のヤツ…」 一方その頃、化粧直しの鏡の前 「はぁ~…」と沙姫は何度目かになる溜め息を吐いていた 蛇口からは水が引っ切り無しに出ている ガラス製の洗面ボウルに溜まった水に映る、自分の顔に視線を落とす ボウルの中で揺蕩う水は、今の自分の気持ちのように波打ち、歪む 「はぁ…」 沙姫の口からか細い、喘ぎのような吐息がこぼれる 「ダメですわね…。私…」 水の中の自分も、鏡の中の自分も、そんな自分を嘲笑うかのように何も応えない 沙姫はカバンからケータイを取り出すと、ポチポチとボタンを押して画面を操作する 黄昏色の瞳に出てきた番号を映しながら、短い逡巡のあと、沙姫は発信ボタンを押した ブブブ、ブブブ… 映画館の中という事でマナーモードにしていたリトのケータイが鳴りだす 画面に表示される番号と名前は沙姫の名 「沙姫…? 何だ」 小首を傾げながら、ケータイに出るリト 「もしもし? 沙姫?」 『…………ええ』 「どーしたんだよ? なんかあったのか? 具合悪いとか」 沈黙。受話口の向こうから微かに水の音が聞こえる 「沙姫? マジでへーきなのか?」 『……その…』 「ん?」 珍しく口籠ってばかりの沙姫にリトはケータイを耳に押し当てながら、トイレの出入り口を見つめた 『…その、だから…』 「なんだよ? らしくねーじゃん」 『…ッ』 受話口の向こうから歯噛みする音と、蛇口を捻る音がする そして、沙姫の溜め息が聞こえた 『……リト。ちょっとこっちに来なさい』 「は?」 言われた事が理解できずにリトは眉を寄せる 『いいから来なさいッ!』 「いや、来いっていわれても…」 リトは視線を再びトイレの入口へと向ける。と、いつの間にか沙姫がそこに立っている リトはケータイを閉じると、沙姫に駆け寄る 「どーしたんだ? どっか…って、なっなっ!?」 沙姫は有無を言わさないと言った顔でリトの手を取ると、そのままトイレの中に連れていく 「ちょ…ちょ待…!?」 「心配いりませんわ。今この中にいるのは私たちだけですから」 「そ、そーゆー問題じゃねーだろッ!!」 聞こえてくる声を全て無視しながらリトを一番奥のトイレの中に押し込める 「沙姫!?」 カチャッ、と後ろ手でトイレのカギを締めると、沙姫はスッと顔を上げ、真正面からリトの顔を見つめる 「う…」 黒みを帯びた琥珀の視線はリトの口をそれだけで黙らせてしまう 沙姫はリトの横を通り過ぎると、便座に腰を下ろした 耳に掛かる髪を手で払いながら、悠然と脚を組む沙姫に、我が帰った様にリトは声を荒げる 「何なんだよ! 何考えてんだ!! いったい…」 「疲れましたわ…」 「え…」 「疲れました」 沙姫はリトの声を意に介した様子はなく、その長い脚を伸ばして、上下に小さく振る 「疲れた?」 「そうですわ。疲れたので、リト、何とかしてくださらない?」 狭い個室内は、二人いるだけで軽い圧迫感が生まれる その長い脚は、伸ばしきることなく、易易とリトの下半身を弄ることができる 沙姫は脱ぎ捨てたブーツの下から現れた白く悩ましげな脚を、余すことなくリトに見せつ けると、その爪先を膝の当たりに這わし、す~っと上へと脚を持ち上げていく 琥珀色の瞳に影が生まれ、妖しく光る 「なん…だよ?」 胸の奥から込み上げてくるモノを押さえながら、なんとか声を絞り出そうとするが、眼は 沙姫の脚から離れられない ズボン越しとはいえ、爪先の感触と、なにより短めのスカートの奥に覗き見える純白の下 着に、冷静さがとけていく 沙姫はそんなリトの内心がわかるのか、口の端を歪めた 「なんとかしてくださらない?」 「だ、だから何んとかってどーゆー…」 「いつもの様に……ですわ」 「いつもの…」 長い脚が上下に振られ、足の裏が眼の前で艶かしげに踊る様子に、胸の奥が熱くなってくる 「リト。早くなさい」 責めるでも、急かすでもない沙姫の声 それはまるで、やさしくお願いしているかの様な涼やかな声だった リトはその場で跪くと両手で恭しく脚を持ち、黙って口を近づけていく 「…ん…っ」 チロっと素肌に感じる舌の感触に、背中をゾクゾクとしたモノが駆け上がっていくのを、 沙姫は唇を噛み締めてガマンする その間もリトの動きは止まらない 太ももを撫でまわし、揉み、キスを繰り返し、頬ずりをする 「そんなに私の足好きですの…?」 「好きっつーか…、ずっと触ってたいぐらい」 その言葉どおり、ずっと触り続けるリトに沙姫の口から熱い吐息がこぼれる 沙姫はリトの顎を人差し指で持ち上げると、すぅっとその瞳の色を変えた 両手でリトの頬を包み込み、顔を近づけながら、沙姫は艶然とほほ笑む 「でもそれだけでは満足できないでしょう? お互いに…」 「…ッ…!?」 リトの視線は自然と、スカートの奥、広げられた脚の間、沙姫の大事なところに注がれる ぐっしょり濡れたショーツの下に見える、薄く開いた割れ目 すでにショーツとしての役割など微塵も働いていないソコからは、脳髄の奥を刺激する、 女の匂いが立っている 「沙姫…」 「アナタのモノでしょ? 私の身体は…」 ゾクっと背筋を走る昂揚感。リトは慌てて立ち上がると、ベルトを外し、ズボンを下ろした 「そんなに慌てなくてもいいですわよ」 冷静さを出そうとするも、視線はリトの反り立つモノから離れないし、息もすでに喘ぎと 同じになっている リトは身体を寄せながら、肉棒を割れ目に当てた ぬちゃぬちゃと愛液を絡ませながら、少しずつ入ってくる熱い感触に、沙姫は反射的にリ トの背中に腕を回す 下腹部に広がる熱い波に、背中に回した手がリトの服を握りしめる 「あ…ふっ…入って…」 端整な顔立ちを歪め、性にむしゃぶり付く様はとてもお譲様には見えない そんな姿を見られるという事は、リトにだけ許された特権なのかもしれない 「んっん…ん…全部っ…入り…ましたわ…ぁ」 「動いていい?」 息も絶え絶えにコクコク頷く沙姫の了解を得て、リトは腰を動かし始める 両脚を高く持ち上げ、欲望の限り腰を突く 「そ…そんなひきなりっ!?」 「沙姫…沙姫…」 耳元で囁き続かれる甘い声に、身体どころか心までとろけてくる 「リっ…トっ…あっ、やっ、ああぁ…」 ガコンガコンと便座の擦れる音も二人の世界には聞こえてこない ただ、水音の音と、甘い声だけがその世界にはあった 「き…キモチよすぎて止まらな…」 「あ…あっ、もっと…もっとしてっ」 琥珀の瞳が爛と輝き、舌を出してリトを手招きする 絡み合う舌と舌が新しい水音を生み、二人の動きに拍車をかける ガコガコと前後に動く便座に沙姫は少し眉を寄せた 「んく…ん…ちゅぱ…んっんっ…ぷはっ…はぁ、ちょっと待って」 「何?」 訊き返す間も腰の動きは止まない 沙姫はチラリと後ろを見ながら、リトの頬に手を這わした 「少し腰が痛くなりましたわ…。ちょっと身体の位置を変えさせて」 「あ、ああ。わかった。じゃあさ、ソコの壁に両手ついて」 「両手を…? こ、こうですの?」 言われた通り壁に両手をつきながら、腰を突きだす様にリトの喉が小さく唸る 「そうそう。じゃ、続きな」 「え、ええ」 くちゅりと入ってくる肉感に沙姫は奥歯を噛み締める 「すごっ…んっんっ…り、リト。そんながっつかなくても…」 本能のままに動きを再開し始めるリトに沙姫は、喜悦が入り混じった吐息を向ける 好きな男に抱かれるという悦びに身体の火照りを止められない 服の上から弄られる胸も、スカートを捲くられ乱暴に揉みし抱かれるお尻も、身体中、全て でリトのぬくもりを受け止めたいと想う パチュパチュと鳴る水音に混じって、沙姫の押し殺したような喘ぎが、個室の中に反響する 人に聞かれないよう、指を咥えながら身悶える様に、リトの中で欲望が込み上げてくる 服を捲り、ブラの上から胸を弄る手をやめると、細い腰に手を置き、より奥へと腰を突き刺す 「はひっ、んっ…ひト、もっとやさひく…あふっ」 咥えた指の間から唾液をこぼしながら、沙姫の身体に熱がこもっていく 下腹部を中心にソレは、散々中を掻き回すリトにも伝わる 震える下半身を感じながらリトは沙姫の耳元で囁く 「沙姫のかわいい声がもっとききたいからイヤだ」 「んふっ…ん、んっ!」 耳まで真っ赤にさせながら、横目で睨む沙姫にリトは笑みで応える 「ふぅんっ、んんぅっ…んん!!」 何か言いたげに視線を向けてくるが、今のリトには涼しいものだ ただ、その眼差しをジッと見つめながらリトはあることを想う 「…でもやっぱ沙姫ってキレイだな」 「んんっ…な、なにひって!?」 「やっぱ最高のカノジョだよ」 「へっ!!?」 今度こそ目を丸くして言葉に詰まらせる沙姫に笑顔を送ると、リトはその頬にそっとキスをする 「…ッ!?」 「ってそろそろ限界…」 リトの言葉通り、すっかり膨れ上がったモノは沙姫の中をギッチリと圧迫し、吐き出す時を待っている 「沙姫…もっ、もう出す…な」 「ふぇ? ちょ…ちょっとまっふぇ! もぅふこひで…」 「ごめん…っう!!」 ビュルビュルと勢いよく出された欲望は、沙姫の子宮へとほとばしり、あっという間にいっぱいにしてしまう 「んんんんっ!!」 指を噛み切らんばかりに咥えながら、沙姫は上ってくる快楽そのままに、ブルブルと身体 を震えさせる 「あはっ…すごひ…ひっぱい出てるぅ。リトのがひっぱいひっぱい出て…」 脚までもガクガクと震えだすと、自分では立っていられないのか、急にその場にへたり込 んでしまう沙姫を、リトはとっさに腕で支える 便座の上にそっと座らせると、リトは汗でベタ付いた沙姫の前髪をやさしく掻き分けていく 眼が虚ろでどこを見ているのかわからない沙姫の股からは、とろりと溢れ出る白濁液に続 いて、チロチロとおしっこが出てくる 「見てはいけませんわよ……リト…」 なんて言われてもその官能的な光景に眼を逸らすことができない 喉の奥に消えるツバと共にジッと見つめ続けるリトに、沙姫はばつが悪そうに眼を彷徨わせる 「だいたい、あなたがいけないんですわよ? あんな…」 「ってオレのせいかよ! つーかオレ、そんな激しいコトやってないだろ?」 「そ、それはその…まァ…」 「ん?」 急に余所余所しくなる沙姫にリトは眉を寄せた 「沙姫?」 「な、なんでもありませんっ!」 乱れた服や、髪を、手で軽く整えていく沙姫にリトの疑問はますます膨らむ (…オレ、なんかヘンな事言ったっけ?) リトの疑問を余所に、終始、顔を真っ赤にさせたままの沙姫は、その気持ちを誤魔化すか の様に、極力リトを見ないように、身なりを整えていった 結局その後、沙姫の計らいで無事トイレから抜け出せたリトは、沙姫と共に人ごみでごっ た返すロビーを抜け、映画館入口へと来ていた 「うぅ…さむ…」 季節はまだ十月だと言うのに、街を吹き抜ける風は木枯らしに近い ブルっと震えるリトの隣で沙姫は、そのいつもの頼りない横顔を見つめていた (ハァ…。私ってああいう愛情表現しかできないのかしら…) 映画館の中や、眼の前を歩くカップルの仲良さそうな雰囲気に心躍るも、いざ自分は? と なると何もできなくなってしまう 沙姫なりに色々考えるも、いつもああいった行為でしか自分の気持ちを表せないでいた (それもできているのかどうか疑問なんですけどね…) と、心の中で自問自答を繰り広げる沙姫に、隣のリトは相変わらずの様子 (まったく…。このコがもう少しちゃんとしてくれれば…) リトを想えば溜め息は深くなり リトを見れば溜め息の数が増えていく 冬の冷たい風で手が冷たくなってきた頃、ふいに温かい感触が手を覆っていく 「え…」 隣を見れば、リトがハニカミながら手を握ってくれていた ギュッと握る強さに反応するように、沙姫の顔にぽぉっと熱が帯びてくる 「…ぁ…ちょ…な、何ですの?」 「えっと…あのさ。これから何か食いにいかない? ほら、まだ何も食ってないだろオレたち」 それはそうなのだが、沙姫の頭の中は、すでに空腹どころではなくなっている 繋いだ手の先から頭の芯までが沸騰したかの様に熱くなっていた 「り、リト…!? こ、コレはどーゆー…」 「つーかオレたちって、ちゃんと手を繋いだ事なかったから」 苦笑いが混じるその笑顔は、リトなりの精一杯の気持ちなんだと沙姫にもわかる わかるのだが 「だ、だからってこんな人前で…」 「…イヤならヤメるけど…?」 少ししょんぼりしたリトの声に、沙姫の瞳が揺れる 「ち…違…、べ、別にイヤなのではなくて…」 「なくて?」 沙姫はリトから手を離すと、腕を組みながらそっぽを向ける 「その…人前でこんな風に手とか繋いだことがなかったからで…。だから別に、アナタと 手を繋ぐのがイヤなのではありません」 繋いでいた方の手をそわそわさせながら、沙姫は眼を彷徨わせる。どこを見て、どうした らいいのかわからないでいた そんな沙姫にリトは顔を綻ばせる 「そっか。安心した。それじゃあ、あらためて」 すっと差し出された手を一瞥すると、沙姫はわずかに口を尖らせたまま、オズオズと手を伸ばす 「し、仕方わりませんわね! そのかわり、ちゃんと私をエスコートしなさい!」 「わ、わかった」 甘いトゲを含んだうれしそうな声音に、少し自信のない背伸びした声が応える 重なる手と交わる眼に、二人の頬がほんのりと赤く染まる どちらともなくギュッと握りしめると、街の中へと歩き出す 「ところで夕食だけど、私、今日は、おいしいシュブルイユかリ・ド・ヴォーが食べたいですわ」 「よ、よくわかんねーけど…たぶんムリ」 「まァ! 即答するとかいったいどーゆー了見ですの? リトッ!! さっき言いましたでしょ! ちゃんと…」 街のざわめきの中に二人の声はとけていく もうすぐ冬がやってきて、二人にとっての初めてがたくさん訪れる
https://w.atwiki.jp/cgwj/pages/465.html
前話:第十五話 #16 余計な接続者 豪勢な調度品が備え付けられた会議室。 そこには、数人の要人が集まっていた。 ユエスレオネ連邦首相であるシルミヤ首相とその閣僚たちだ。彼らの前にはモニターがあり、その先にはレーシュネらが映っている。 「――という、顛末で現在陸軍小隊を送って捜索しているところです」 「はあ」 ため息をつくシルミヤは恨めしそうにモニターのレーシュネを見上げた。 「あなたの不手際は致命的ですが、過去のこともありますし赦しましょう。今現在、あなた以外に全体の指揮を取れる人間も居ないでしょうし」 「まあまあ、ここには私も居るのですから、それほどカリカリとしなくても良いのですよ。アルファルシ」 レーシュネの背後にゆらりと出てきたのはスーツ姿の車椅子の女性――アレシャだ。 「馴れ馴れしく省略名称(フォナロア)を呼ばないことですよ、ターフ参事官」 「あらあら、つれないのね。シルミヤ」 シルミヤの額にシワが一つ増えたように見えたレーシュネの背中は冷や汗でびっしょり濡れていた。 目の前に居るのは複数世界に散らばる複数国家を統べる連邦の首相。このような人間にあのような言語的狼藉を働けるのだ。ターフ・アレシャという人間が如何に肝の座った人間かよく分かるというものだった。 それもそのはず、彼女はDAPEの際に停戦条約のために渡ろうとした海上で敵に撃たれ、半身不随となった。それでもなお軍人として働いているのだ。 「そのアシュタフィテスとかいう男の捜索はあなた達に任せます。それより問題はそちらのテロリストのことです」 「え、ええ……連中がどれくらい勢力を送っているかは不明で……派遣軍の将校も先のことがあって偵察に慎重なようでして……」 「レーシュネ、軍人は文民の言うことに服従します。やれと言ったら、やらせるのが筋でしょう」 「はあ……」 レーシュネが肩を落としたその瞬間、背後でドアが開く。額から汗を流す若い職員だった。 「おい、本土との会談中だ。誰が通した」 「長官、そのスローヴェ氏本人が帰ってきました!」 「なんだと? まさか、自ら脱出を?」 「いえ、それが話がややこしくなっていて……」 若い職員は少し引き気味に言う。レーシュネはそれに眉をひそめた。 「なんだ、さっさといえ」 「ラティーナ・ファンシャ・フェルティエという女性が同伴しています。彼女は地域の有力者のようです」 唖然とするレーシュネをモニター越しに眺めたシルミヤは深い溜め息をついた。 「レーシュネ、事態を纏めて後で報告しなさい。以上、解散」 「しゅ、首相、私にはまだ伝えたいことが――」 ブチン。 無慈悲に切れる画面の黒を見ながら、シルミヤは平然そうな顔を一瞬くしゃりと歪めた。 そんな彼女の脇に佇む一人の壮齢な男。彼は口端を少しばかり上げる。 「現地の有力者か」 「シュカジュー、余計なことを言わないでおいてください。あなたを内閣顧問にしたのはファルトクノアの事があってのことです。イェスカ政権の幸運を無駄にしたくないのなら、身を弁えることです」 シルミヤの言葉を聞いた男――アレス・シュカジューは肩をすくめながら、したり顔で部屋を後にするのだった。 次話:第十七話