約 258,892 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/58.html
商品情報 あらすじ 特徴 楽曲 登場人物 公式HP 商品情報 通常版 タイトル 涼宮ハルヒの直列 発売日 2009年5月28日 価格 5,040円(税込) ジャンル 非日常 直列アドベンチャー 対応機種 ニンテンドーDS メディア DSカード1枚 開発元 セガ 発売元 セガ プレイ人数 1人 対象年齢 A(全年齢対象) 限定版 タイトル 涼宮ハルヒの直列 超SOS団団員コレクション 発売日 2009年5月28日 価格 8,190円(税込) ジャンル 非日常 直列アドベンチャー 対応機種 ニンテンドーDS メディア DSカード1枚 開発元 セガ 発売元 セガ プレイ人数 1人 対象年齢 A(全年齢対象) 限定版同梱物 いとうのいぢ 描きおろし特性パッケージ 「涼宮ハルヒの憂鬱」チョロQ マツダRX-7 SOS団ポーチ DS Lite SOS団 ガードカバー DS Lite キャラクターステッカー あらすじ ある日、キョンの携帯に突然の噂話が飛び込んでくる。 ・・「学校で怪奇現象だって?」 それをハルヒが聞き逃すはずもない。「みんな、泊まりの準備をして学校に集合!遅刻したら死刑だからね!」 夏休みの学校を舞台に、次々と巻き起こる怪奇現象! 新たな「学校の怪談 七不思議」を相手に、キョン達 SOS団はまたもやとんでもない大騒動に巻き込まれていく。 特徴 高クオリティのドット絵で描かれている。 また、『涼宮ハルヒの並列』と話が繋がっている。 楽曲 「だって地球が回るから」 作詞:畑亜貴/作曲:村井大/編曲:安藤高弘 歌:平野綾、茅原実里、後藤邑子 「Wonder trip」 作詞:畑亜貴/作曲:村井大/編曲:安藤高弘 歌:平野綾、茅原実里、後藤邑子 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 朝比奈みくる 長門有希 古泉一樹 鶴屋さん キョンの妹 谷口 国木田 謎の少女 公式HP 涼宮ハルヒの直列・涼宮ハルヒの並列 公式サイト
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/59.html
商品情報 あらすじ 楽曲「恋のミクル伝説」 登場人物 公式HP 商品情報 通常版 タイトル 涼宮ハルヒの戸惑 発売日 2008年1月31日 価格 7,140円(税込) ジャンル SOS団ゲーム製作アドベンチャー 対応機種 PlayStation2 メディア DVD-ROM 開発元 アクリア 発売元 バンプレスト プレイ人数 1人 対象年齢 B(12才以上対象) 限定版 タイトル 涼宮ハルヒの戸惑(超限定版) 発売日 2008年1月31日 価格 10,290円(税込) ジャンル SOS団ゲーム製作アドベンチャー 対応機種 PlayStation2 メディア DVD-ROM 開発元 アクリア 発売元 バンプレスト プレイ人数 1人 対象年齢 B(12才以上対象) 限定版同梱物 いとうのいぢ 描きおろし特別パッケージ 「超勇者ハルヒ」フィグマ本体+差し替えパーツ(顔全2種・手全5セット) 「超勇者ハルヒ」フィグマ専用台座 the best版 タイトル 涼宮ハルヒの戸惑 発売日 2008年12月4日 価格 2,940円(税込) ジャンル SOS団ゲーム製作アドベンチャー 対応機種 PlayStation2 メディア DVD-ROM 開発元 アクリア 発売元 バンプレスト プレイ人数 1人 対象年齢 B(12才以上対象) 予約特典 数量限定予約特典「宇宙初!フルCG『踊るSOS団』」オリジナルムービー PS2ソフトウェア あらすじ ゲームを作るわよ!! 生気の超々大作ゲームで世界にSOS団の名前をアピールするのだという。 いきなりのハルヒ宣言に耳を疑ったSOS団団員達。 どうやら、コンピ研(コンピューター研究会)が自分に断りも無く 「ゲーム花園」という微妙に垢抜けない名前のコンテストに作品を出品するのが面白くないらしい・・・ SOS団でゲームを作り、コンピ研の作品と差し替えて、コンテストに出してしまおうという魂胆。 それから4週間・・・ SOS団の総力と、周囲を巻き込みながら、どうやらゲームも完成! 後はコンピ研の作品と差し替えるだけという翌日・・・ ゲームを作るわよ!! まるで4週間前を繰り返したような台詞。 どうやら、完成させたゲームがハルヒにとって不本意なものだったらしく、 ハルヒの満足するゲームを作らないと、この4週間は永遠と繰り返されるらしい。 ハルヒの作りたいゲームっていったい何なんだ・・・? 楽曲 「恋のミクル伝説」 作詞:山本寛/作曲・編曲:神前暁 歌:後藤邑子※ある条件を満たすと、上達したバージョンが流れる。 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 朝比奈みくる 長門有希 古泉一樹 鶴屋さん キョンの妹 谷口 国木田 朝倉涼子 コンピュータ研究会部長 朝比奈さん(大) 公式HP 涼宮ハルヒの戸惑 公式サイト※音が鳴りますので、音量にご注意ください。
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/39.html
基本情報表紙 タイトル色 その他 目次 裏表紙のあらすじ 出版社からのあらすじ 内容 あらすじ「ライブアライブ」 「朝比奈ミクルの冒険 Episode 00」 「ヒトメボレLOVER」 「猫はどこに行った?」 「朝比奈みくるの憂鬱」 挿絵口絵 挿絵 登場人物 後に繋がる伏線「朝比奈みくるの憂鬱」(伏線) 刊行順 基本情報 涼宮ハルヒシリーズ第6巻。2005年4月1日初版発行。 表紙 通常カバー…涼宮ハルヒ 期間限定パノラマカバー…生徒会長、喜緑江美里 タイトル色 通常カバー…赤 期間限定パノラマカバー…水色 その他 本編…293ページ 形式…短編集 目次 ライブアライブ…P.5 朝比奈ミクルの冒険 Episode00…P.52 ヒトメボレLOVER…P.95 猫はどこに行った?…P.187 朝比奈みくるの憂鬱…P.242 あとがき…P.298 裏表紙のあらすじ 幻にしておきたかった自主映画だとか突然のヒトメボレ告白、雪山で上演された古泉渾身の推理劇や、 朝比奈さんとの秘密のデートSOS団を巻き込んで起こる面白イベントを気持ちいいくらいに楽しんでいる涼宮ハルヒが 動揺なぞしてる姿は想像できないだろうが、分かさのハプニングであいつが心を揺らめかせていたのは確かなことで、 それは俺だけが知っているハルヒの顔だったのかもな……。 お待ちかね「涼宮ハルヒ」シリーズ第6弾! 出版社からのあらすじ 文化祭でしでかしたあの出来事が原因で唯我独尊直情径行な涼宮ハルヒが動揺するというのは、まあひとことで言えば感慨深い。 まだまだコイツには俺でも知らない一面があるということか――。大人気シリーズ第6弾! 内容 短中編集。収録されている「朝比奈みくるの憂鬱」は、第7巻『陰謀』直前のストーリーであり、重要なストーリーでもある。 「ライブアライブ」、「朝比奈ミクルの冒険 Episode 00」はアニメ化された。 あらすじ ※ネタバレ記述があるので、原作未読の場合は注意。 「ライブアライブ」 + ... 文化祭当日。映画編集で徹夜明けのキョンは、ゆっくり座っていればいいからと体育館でのステージ発表団体を見に行く。 だが、体育館のステージに現れた人物は意外な人物だった。そこに現れたのは…… 「朝比奈ミクルの冒険 Episode 00」 + ... 第2巻『溜息』で撮影・作成した映画を文化祭で公開した作品。 「ヒトメボレLOVER」 + ... 12月のある日、キョンの家の電話が鳴る。 声の主は中学のクラスメイトであった中河。その用件は、ある人物を見た瞬間、光り輝くオーラのようなものを纏っていたらしい…… 「猫はどこに行った?」 + ... 夏に孤島の別荘で行われた推理ゲーム、そのウィンターバージョンが冬休み旅行の2日目、宿泊先である鶴屋邸別荘にて始まろうとしていた。 そのキーアイテムとしてシャミセンも連れてこられていたのだが…… 「朝比奈みくるの憂鬱」 + ... 年が明けて1月。いつもの習慣で文芸部室の扉をノックするキョン。しかし反応はなかった。 長門がいるのかと思い、キョンはドアを開けるが、そこには朝比奈みくるがいた。だが、どこか様子がおかしい。 みくるは今度の日曜日、デパートでお茶の葉を買いたいと言ってキョンを誘うが、2人だけで行きたいと言う…… 挿絵 口絵 涼宮ハルヒ、キョン、長門有希(ヒトメボレLOVER) ⇒ 朝比奈みくる、鶴屋さん(ライブアライブ) ⇒ 朝比奈みくる(朝比奈みくるの憂鬱) ⇒ 長門有希、朝比奈みくる ⇒ 挿絵 「ライブアライブ」 P.27…涼宮ハルヒ、長門有希 ⇒ P.45…涼宮ハルヒ、キョン ⇒ 「朝比奈ミクルの冒険 Episode 00」 P.63…朝比奈みくる(ミクル)、長門有希(ユキ) ⇒ P.73…朝比奈みくる(ミクル)、古泉一樹(イツキ) ⇒ P.87…朝比奈みくる(ミクル)、長門有希(ユキ)、シャミセン ⇒ 「ヒトメボレLOVER」 P.101…キョン、キョンの妹、シャミセン ⇒ P.131…涼宮ハルヒ、キョン ⇒ P.147…涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、長門有希 ⇒ P.175…長門有希 ⇒ 「猫はどこに行った?」 P.205…朝比奈みくる、長門有希、鶴屋さん ⇒ P.217…新川、森園生 ⇒ P.225…涼宮ハルヒ、鶴屋さん ⇒ 「朝比奈みくるの憂鬱」 P.245…朝比奈みくる ⇒ P.291…朝比奈みくる ⇒ 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 鶴屋さん 谷口 国木田 キョンの妹 中河 新川 森園生 多丸圭一 多丸裕 シャミセン シャミツー ハカセくん 後に繋がる伏線 「朝比奈みくるの憂鬱」(伏線) みくるの「あたしたちの未来を望まない人たち」という存在 ⇒ 第7巻『陰謀』、第9巻『分裂』にて半分回収 キョンが古泉に聞いた「『機関』以外の別組織」 ⇒ 第7巻『陰謀』、第9巻『分裂』にて回収 刊行順 <第5巻『涼宮ハルヒの暴走』|第7巻『涼宮ハルヒの陰謀』>
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/137.html
「10人がかりよ、どうする?」 「どうするも何も、俺たち狙いだろ、どうみても?」 「正確に言うと、あたし狙いだけどね。倒した覚えのあるのが何人か混じってるわ」 「ストリートファイトはやめとけ。と、いつも言ってるだろ」 「ふりかかった火の粉を払っただけよ」 「いや、その前に火をつけて回ったりしなかったか? 比喩で聞いてんだが」 「よくわからないけど、そういうこともあったかもしれないわね」 「やれやれ」 「ほら、『あっちの男は使えねえ』『狙いは女の方だけだ』『取り囲んで、足を止めさえすりゃ勝ちだ』とか、いろいろ言ってるわよ」 「ご期待に添えるかどうか」 「何言ってんの。日頃の特訓の成果を見せる日がとうとう来たのよ。喜びなさい、キョン」 「特訓って、お前の家の庭に穴掘って埋めるアレだろ?」 「そうよ、アレよ」 「まあ、待て。とりあえず話し合いからやるぞ」 「どうぞ」 「おーい、俺たちに用があるみたいだから話しかけるんだが、夜な夜な中年男を襲ってる『親父狩り』たちが、最近ひどい目に遭ってるって話を聞いた事はないか? おれたちは、ちょっと訳ありで、その「親父狩り」狩りのおっさんの関係者なんだ。そっちに敵意があることはわかるが、今日のところは『顔見せ』ってことで、また後日、日を改めて、って訳にはいかないか?」 「無理でしょうね」 ハルヒ、おまえが答えてどうすんだ。 「やっぱりこういう交渉事は荷が重いな」 「交渉だったの? なんかの口上か、落語で言うところの『枕』かと思ってたわ」 あからさまに「ハルヒ狙い」の10人は、見事にハルヒ・シフトを敷いて来た。 ハルヒの向こうに半円形に並ぶ。 いつかの経験が生かされてるんだろうか。 ハルヒの奴は、優雅に膝を曲げて「どうぞ、お先に」と身振りで俺を促す。 ちきしょう、無駄に可愛らしいぞ。 俺はハルヒの横を抜けて、相手方の半円形の真ん中をとぼとぼ歩いて行く。 正面の奴との距離が縮まるはずなんだが、向こうはなんと後ずさりしていて、半円形ごと俺の歩調にあわせて下がって行く。 どうも、こちらの意図が分からず不気味がってるようなんだが。 調子狂うな。 俺は歩調を早める。 後退する半月形のスピードも上がる。 おいおい、下がってどうすんだ。 しょうがない。俺は駆け足に切り替える。 正面の奴は、180度反転、なんと逃げる手に出たが、俺がダッシュした方が早く、本能的に逃げる相手にはタックルをかけてしまった。 おお、痛そうだ。すまん、わざとじゃない。これもみんな訓練という名の条件反射の賜物で……。 振り返ると、半円形の陣形は当然ながら崩れ、ハルヒはその端っこ(向かって左側)から、いつものごとく各個撃破に取りかかっていた。 半円形の残り右側を見ると、なんだか怖い者を見たような目で俺を見る。 俺が何かやったか? 単に、こいつが逃げたから反射的にタックルしてしまっただけで、俺の引き出しには、とくにヤバそうなものは何も無いはずだぞ。 俺はゆっくり立ち上がって、残り右側半分の連中の方へ、またてくてくと歩いて近づいて行った。 連中も、仲間がハルヒに一人ずつやられていくのは見るに忍びないのか、助けに行きたいのだが、どうも「不気味認定」された俺に近づかないでどうやって向こうへ行けばいいかを思案中らしい。 俺は、適当なところで立ち止まった。 相手に取っては、さぞややこしそうな距離を残して。 「キョン、こっちは片付いたわよ」 俺は「ああ、わかった」と答えてから、残り半分の右側君たちに向き直った。 「と、うちの相方は言ってるんだが、どうする?」 いや、すごんだ訳じゃないぞ。 努めてジェントルに、加えて(これは本心からだが)めんどくさそうに『質問』した。 右側君たちは、互いに顔を見合わす。 「もう、いらいらするわね。どうすんの!!」 ここにハルヒの怒声砲が一発。 右側君たちは、急に仲間意識に目覚めたらしく、ひっくり返ってる仲間たちを、分担して背負うなり肩を貸すなりし、這々の体で去って行った。 「キョン、あんた、なかなかやるじゃない!」 そうか? そんな女番長にほめられてるような事を言われても、あまりうれしくはないんだが。 それに今日俺がしたことといったら……。まあ、ハルヒは適度に暴れられてご機嫌だし、俺もズボンの膝についた土を払い落とすぐらいで済んだのなら、 「すべてうまくいったIt all went right.」 というべきなんだろう。 多分な。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/788.html
ハルヒに頼まれて、この糞寒い中しぶしぶストーブを取りに行ったわけだが、途中で激しい雨に会い、俺はびしょ濡れで部室に帰ってきたのである。 自分で言うのもおかしな話だが、相当疲れていたのだろう…ストーブをつけて、そのまま机に伏して熟睡してしまった。 どれくらい時間が経ったのだろうか…目を覚ますとそこには、驚いた顔をしているハルヒがいた。どうやら俺が起きるのを待っていたらしい。 とりあえず俺も目が覚めたので、立ち上がって身支度をしようとした…その時だった。 頭がクラクラして目の前がだんだん暗くなっていくのがわかった。強烈な立ちくらみだと思ったのだが、 そうではなかったらしく、俺はそのまま床にバタっと倒れてしまった。 ハルヒ「ちょっと…キョン?」 俺は何か言おう言葉を探したのだが、それよりも意識を失うことのほうが速かった。 ハルヒ「キョン…キョン!?どうしたの!?目を覚まして!!」 冬のさむ~い日のことだった それからのことはな~んにもわからないのだが、古泉の話によるとハルヒはかなり取り乱していたらしい。 しきりに俺の名を呼んだり救急隊員の襟首をつかんで、「キョンは大丈夫なんでしょうね!?」や「何とかしなさいよ!あんたたちプロでしょ!?」と、 喚き散らしていたようである。 救急隊員の方々には少々気の毒な気もしたが、それよりもハルヒがそんなに動揺するとは夢にも思わなかった。 古泉「大変だったんですよ?病院に着いたと思ったら、いきなりお医者様に涼宮さんが掴みかかって、 それを引き離すのに随分時間がかかりました。看護師の方と僕達でやっとでしたから。必死だったんでしょうね、涼宮さんも。」 俺が病室に運ばれてからはハルヒも大人しくなり、静かにしていたそうなのだが… 古泉「ずっとあなたに謝っていましたよ。『わたしのせいね…ごめんね』と。いやぁ~あんな涼宮さんは初めて見ましたね」 あのハルヒが謝るとは…そんなレアな場面を見逃すとは…!? そして古泉に言われるがまま、俺は病室で休んでいた。横になっているとだんだん眠くなってきたので、寝ようと思って目を瞑った矢先のことだった。 ガチャ 扉が開いた。言い忘れたが、俺の病室は古泉の計らいで個室になっていた…おそらくこの病院も『機関』が関係しているんだろうな、 救急車を呼んだのは古泉らしいし。 目を閉じていたので誰が来たのかわからなかったが、声ですぐに誰であるかわかった。 ハルヒ「キョン…」 ハルヒである。「なんだ?」って返事をしようと思ったのだが、いつもと様子が違うので黙っていることにした。 ハルヒ「あたしがストーブ取りに行けって命令したからよね。寒い中、雨に打たれてびしょ濡れで…」 たしかにその通りだが、そういう言われ方をするとこっちが罪悪感を感じてしまうな。 ハルヒ「ごめんね…ごめんね、キョン…ごめんね。」 声が震えていた。もしかして泣いているのだろうか?ますます起きにくい状況になってしまった…。 ハルヒ「ねぇ、キョン?みんな心配してるのよ。みくるちゃんや古泉くんはもちろん、きっと有希だって…。それに私だって、心配してるんだから」 朝比奈さんが心配してる姿は容易に想像できる。古泉はどうだろうな…あいつはどちらかというと、お前の意外な反応を少し楽しんでるんじゃないか? 長門はわからんな。おそらく無表情なんだろうが、心配してくれてると結構嬉しい。 ハルヒ「だから起きなさいよ…団長命令よ…グスッ…団長が名前を呼んだら、団員はすぐに返事しなきゃいけないのよ…。 何度呼んでも返事しないあんたなんて…死刑…グスッ…なんだから…」 完全に泣いている。俺は葛藤していた。もう起きるべきか、まだこのままでいるべきか…。 というか、古泉は俺が目を覚ましていることを、ハルヒに黙っていたのか? さっきまでここであいつと話してて、あいつが出て間もなくしてハルヒが入ってきた。 だとしたら古泉はハルヒとすれ違って、当然ハルヒは古泉に俺の容態を尋ねたはずだ。 ハルヒの様子から察するに、古泉は「いいえ、まだ目覚めておりません」とか何とか言ったに違いない。 全く、悪趣味なやつめ…。 とまぁ~頭の中でウダウダ考えていると、何かが俺の手に触れた。 ハルヒの手だ…ハルヒが俺の手を握っている…。しかも両手で。 ハルヒ「あったかいでしょ?さっきまでカイロで温めてたのよ。また冷えたらいけないもんね。」 そりゃあ、ありがたい。どうせならその優しさを、俺が行くときにくれて欲しかったもんだが…まぁ今更言っても仕方ない。 ハルヒ「あんたが目覚めて元気になるまで、SOS団は活動休止よ。だって、あんたがいないと……つまんないもの…」 それからしばし沈黙が続き、再びハルヒは口を開いた。 ハルヒ「ずっと前に言ったでしょ?悪夢を見たって…あれね、実は悪夢ってほどでもなかったのよ…」 悪夢?あぁ、二人きりの閉鎖空間のことか。あんまり思い出したくないがな…。 ハルヒ「あのときね、その夢にあんたが出てきたのよ。灰色の世界でね、そこにはあんたと私しかいなかったわ。」 だから思い出させるなっつの… ハルヒ「そしたら急に変な巨人が出てきてね、周りをめちゃめちゃに壊しまくってるのよ。 私はその巨人に恐怖心はなかったんだけど、あんたは違ってたみたいね。私の手を引っ張って外へ連れ出したのよ。 あっ、ちなみに私達は学校にいたんだけどね」 ハルヒ「それからあんたは、私を校庭まで連れて来たのよ。私はその灰色の世界にいたいって思ってたんだけど、 あんたは言ったわ。『元の世界に戻りたい』ってね。」 そりゃそうさ。あんな世界に好き好んでいようって考える奴は、おまえ以外にいやしない。 ハルヒ「それからあんた何言ったと思う?ものすごい真面目な顔して、『ハルヒ…実は俺、ポニーテール萌えなんだ』 とか言い出したのよ。今思い出すと笑えるけど、あのときは呆れて笑うどころじゃなかったわ」 ああ、できることなら記憶から抹消したいよ。跡形もなくな。 ハルヒ「でもね、そのあとあんたは言ったわ。『反則的に似合ってる』って。結構嬉しかったのよ?照れ臭くて 『バカじゃないの!?』とか言っちゃったけど」 ハルヒ「私が呆気にとられてると…あんたは…私の唇に…キス…したのよ…。あんたは絶対に信じないでしょうけどね。 それで気が付いたら朝だったわ。起きた瞬間は、『どうしてファーストキスの相手がキョンなのよ!』って気分だったけど……今は……違うわ」 おい…何を言い出すんだ…ハルヒ…。 ハルヒ「あんたも知ってるように、私は負けず嫌いなのよ。だから…やられっ放しはイヤ…特にあんたにはね…。というわけで…次は私の番…」 ハルヒ…おまえ…まさか……! もうおわかりだろう…ハルヒは俺に、キスをした。俺がしたときと同じように…俺の唇に。長門のように正確ではないが、おそらく10秒くらいだろう。 ハルヒ「これで…おあいこね。1勝…1敗…。」 何の勝負だ…。ハルヒは俺の唇から離れると、耳元でささやいた。 ハルヒ「あたしがこれで目を覚ましたんだから、あんたも目を覚ましなさいよ。白雪姫みたいなことさせちゃって、 私はあんたの王子様じゃないわよ」 ああ、俺もお前のお姫様ではない。断じてない。 ハルヒ「じゃあね、キョン…次に来たときはいつものマヌケ面見せなさいよ」 今見せようと思えば見せられるんだがな、そのマヌケ面を…。 ハルヒ「じゃあ、またね…」 そう言ってハルヒは部屋を出た。おそらくは扉付近で言った言葉だろう。 それからしばらくして、俺は目を覚ました。といっても最初から覚めてたんだが…。 そのときはSOS団のメンバーが全員揃っていて、「おやおや、やっとお目覚めですか」と白々しい言葉もあれば、 「キョンく~ん」と可愛いらし~いお言葉もあった。いつもと変わらない無表情で、「そう」という一言もあったが。 我が団長はというと、あのときのあれは夢だったのかと思うほどのものだった。 なんせ目覚めた瞬間の第一声が「いつまで寝てんのよバカキョン!」、それに加えて強烈なビンタと来たもんだ…。 さっきのは別の人格か?ハルヒ… そして退院した俺は、すぐに学校へ復帰した。まぁ病み上がりってことで休んでもよかったのだが、何故かそんな気にはなれなかった。 教室へ入ると、ハルヒはいつものように頬杖をついて、不機嫌そ~に外を見ていた。 キョン「よっ、元気か?」 ハルヒ「あんたに言われたくないわよ。もういいの?無理しないで休んだほうがよかったんじゃない?」 キョン「ほほぅ、お前でも心配してくれることがあるんだな。」 ハルヒ「はぁ!?勘違いしないでよ!あたしが心配してるのはSOS団のほうよ!病み上がりだからって足引っ張んないでよね!」 キョン「へいへい、じゃあ今日は授業が終わったら真っ直ぐ家に帰りますよ」 ハルヒ「ダメ。最初っから休むんならまだしも、授業を受けて部活に出ないなんてあたしが許さないわ」 キョン「おいおい、お前言ってることが矛盾…」 ハルヒ「いーから出なさい!これは団長命令よ!逆らったら死刑よ!」 こうしていつも通りの会話を楽しんだわけだが、一つだけ普段と違う部分があった。 それは、ハルヒの今日の髪型が、ポニーテールだったということだ。 終わり
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/57.html
商品情報 あらすじ 特徴 楽曲 登場人物 公式HP 商品情報 通常版 タイトル 涼宮ハルヒの並列 発売日 2009年3月26日 価格 7,140円(税込) ジャンル 非日常 並列アドベンチャー 対応機種 Wii メディア Wii用光ディスク1枚 開発元 セガ 発売元 セガ プレイ人数 1人 対象年齢 A(全年齢対象) 限定版 タイトル 涼宮ハルヒの並列 超SOS団ヒロインコレクション 発売日 2009年3月26日 価格 12,075円(税込) ジャンル 非日常 並列アドベンチャー 対応機種 Wii メディア Wii用光ディスク1枚 開発元 セガ 発売元 セガ プレイ人数 1人 対象年齢 A(全年齢対象) 限定版同梱物 いとうのいぢ 描きおろし特性パッケージ 「涼宮ハルヒ パイレーツフィギュア」 「朝比奈みくる エプロンドレスフィギュア」 「長門有希 宇宙忍者フィギュア」 あらすじ 静かになんてしていられない、いつも何か騒動を起こさないと生きていけない・・ そんなはた迷惑な存在、涼宮ハルヒが、なんと今度は福引でとんでもないものを引き当てやがった! 「豪華客船クルーズ招待券」を、なんと10枚も!! いつものメンバーに加えて、国木田、谷口、さらに鶴屋さんやキョンの妹までもが加わって、大人数にふくれあがったSOS団。 彼らが豪華客船に乗りこんでみれば・・。 「ハルヒが花嫁候補だって!?」「時間ガループ!?」「SOS団の分身が登場!?」 ループを重ねるごとにおかしくなっていく日常。くらくらと眩暈がするような世界のなかで、キョンたちは世界をもとに戻せるのか!? 特徴 アニメと同じ声優を起用し、フルボイス、フル3Dでハルヒワールドを完全再現している。また、選択肢によって本編とは少し違ったストーリーへ進む。 『涼宮ハルヒの直列』直後の話となる。 楽曲 「ソノママ JET JUMPER」 作詞:畑亜貴/作曲:村井大/編曲:安藤高弘 歌:平野綾、茅原実里、後藤邑子 「アイム・フリーダム」 作詞:畑亜貴/作曲・編曲:虹音 歌:平野綾/茅原実里/後藤邑子 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 朝比奈みくる 長門有希 古泉一樹 鶴屋さん キョンの妹 谷口 国木田 三栖丸ミコト 伊集院泰一郎 公式HP 涼宮ハルヒの直列・涼宮ハルヒの並列 公式サイト
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/43.html
基本情報表紙 タイトル色 その他 目次 裏表紙のあらすじ 出版社からのあらすじ 内容 登場人物 刊行順 基本情報 涼宮ハルヒシリーズ第1巻及び、2006年、2009年に放送されたアニメのタイトル。2003年6月10日初版発行。 表紙 通常カバー…涼宮ハルヒ 期間限定パノラマカバー…キョン、涼宮ハルヒ タイトル色 通常カバー…赤 期間限定パノラマカバー…赤 その他 本編…293ページ 形式…長編 目次 プロローグ…P.5 第一章…P.9 第二章…P.47 第三章…P.101 第四章…P.138 第五章…P.161 第六章…P.204 第七章…P.250 エピローグ…P.294 あとがき…P.301 解説 スニーカー文庫編集部…P.304 裏表紙のあらすじ 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに着なさい、以上」 入学早々ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし……と誰でも思うよな。俺も思ったよ。 だけどハルヒは心のそこから真剣だったんだ。それに気づいた時には、俺の日常は、もうすでに超常なっていた――。 第8回スニーカー大賞<大賞>受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー! 出版社からのあらすじ 校内一の変人・涼宮ハルヒが結成したSOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)。 ただ者でない団員を従えた彼女には、本人も知らない重大な秘密があった!?第8回スニーカー大賞〈大賞〉受賞作登場! 内容 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 朝比奈さん(大) 鶴屋さん 朝倉涼子 谷口 国木田 キョンの妹 岡部 管理人 刊行順 第2巻『涼宮ハルヒの溜息』>
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1027.html
第七章 俺たちは30分ほどで学校に着いた。 そしてやっぱり神人が暴れていて校舎もめちゃくちゃだったし、校庭には神人に投げ飛ばされたと見られる校舎の残骸が投げ捨てられていてこの世の風景とは思えないようだった。 ハルヒはもうどうしていいのかわからないようにこう言った。 「ねえ、キョン。いったい学校に来てどうするつもりなの?」 「わからん。とりあえず校庭のど真ん中に行こうと思う。」 ど真ん中とはお察しの通り俺とハルヒが昔キスをした場所だ。 そこに着けば恐らく何らかのアクションが起きるはずなのだ、そうでなければあの未来人や朝比奈さんが止めるはずである。 俺はハルヒを半分無理やりど真ん中に連れて行った。 そのとき、ポケットに入っていた金属棒が金色に柱のように光りだし、ハルヒと俺を光の中に入れた。何がどうなってるんだ。 俺は慌ててポケットから金属棒を取り出した。 これでハルヒが普通の人間に戻ったのか? もちろんそんなわけは無く、その金属棒にひびが入った。 ピキピキ…割れていく。 中から茶色い棒が出てきた。 俺の嫌な予感は的中し、金属棒の中からポッ○ーが… やはりそうか。 ポッ○ーゲームか、それでキスしろってのか。 ハルヒは察したのか俺からポッ○ーを奪い取り口に加えて目を閉じた。 俺も目をつむりポッ○ーをくわえたそのとき、前のときのような光が世界を包み俺たちを元の世界に返した。 たまたまグラウンドはどの部活も使用してはいなかった。 あれ?朝比奈さんやら古泉やら長門やらはどこに行ったんだ? 閉鎖空間に閉じ込められたのか?だとしたら神人が全部消滅するまで空間は消滅しないはずである。 だとしたら朝比奈さんたちはどうなる。 いやハルヒの能力が消えたのだから閉鎖空間も消滅したのか?古泉は何も言ってはいなかった。 その時、後ろで俺を呼ぶ声がした。 「キョン君!」 朝比奈さんである。あの未来人と(小)方もいる、気絶したまま(大)にかつがれてるが…。 「朝比奈さんたち、どうしてここに?」 「古泉君に言われたんです。学校に向かってくださいと。これも規定事項ですし。」 「そうですか。」 この時ハルヒがあることに気付いた。 「有希は?」 そうだ長門は?朝倉と交戦中のはずのやつはどこに言ったんだ。 その問いには朝比奈さんが答えた。 「長門さんはあと1分ほどでここに現れるはずです。朝倉さんって人を倒して。」 よかった。 じゃあ古泉はどうなったんだ。 まさかあのとんでも空間に閉じ込められたままなのか? 長門がやってきた、古泉の事を聞いてみる。 「古泉一樹は閉鎖空間に残り、自爆して全て倒すつもり。」 自爆?自爆ってあれか?ボーンってなって死んじまうあれか? 「そう。」 古泉はどうなるんだ。 「死ぬ。」 どうにかならないのか。 「ならない。そうしなければ世界が滅ぶ。古泉一樹は世界を守るために死を選んだ。」 くそっ、俺の許可なしで死にやがって。 ハルヒは悲しい顔で「私のせいよ、私が転校生が来て欲しいなんて思ったから。だから古泉君は…」 落ち着けハルヒ。お前は何も悪くないし古泉のことは悲しいが今はこの状況を何とかすることが先決だ。俺たちを助けてくれた古泉のためにもな。 長門。朝倉はどうなった。 長門はいつぞやのカマドウマのとき同様、校門を指を刺した。 「すぐそこ。すぐ倒す。もう余裕は無いはず。」 その直後、校門から高速で何かが走ってきた。勿論。朝倉である。 朝倉は長門めがけて突っ込んできた。 不謹慎かもしれんがターゲットが長門でよかった。 ターゲットが俺なら一瞬でことは終わっていたからな。 長門は校庭のど真ん中で戦闘をおっぱじめた。 轟音が鳴り響く。 轟音で朝比奈さんが目を覚ました。 「ふえ?ここどこですか?あれ?この人私にそっくり。誰なんですか?そっちの男の人も。古泉君はどこいったんですか?」 なんというか、どっから説明していいのか。 とりあえずここで目を覚ますのは朝比奈さん(大)にとって来てい事項なんだろうか。朝比奈さん(大)に目配せしてみる。 朝比奈さん(大)が頷いた。 俺はいまいち状況を理解できていない朝比奈さんに説明した。 「この人は今の朝比奈さんよりも未来から来た朝比奈さんです。恐らく今まで朝比奈さんに命令を出してたのもこの人です。」 「え?そんな、まさか。」やっぱりと言うかなんと言うか、やはり混乱した。一応孤島のときのこともあるので古泉のことは伏せておいた。 朝比奈さん(大)が口を開く「そうです、私は未来のあなたです、いろいろな指令をいつも出していたのも私です。それからキョン君、この騒動が終わったらこの子にこの子がするべきことを全て教えてあげてください。」 「え?わかりました。」どういう意味だろう。七夕のときや一週間後の朝比奈さんが来たときの手紙のことを教えてあげればいいのだろうか。 長門が交戦中にも関わらずこっちを向いて叫んだ。「ダメッ!!」 すると「確かに頼みましたよ。」といって朝比奈さんの後ろで盾になるように大の字になった。 その瞬間である。鉄砲か何か、もしかしたら光線銃のようなものかも知れない。 一線。 俺の盾となってくれた朝比奈さんは倒れた。飛んできたであろう方向からは何も見えない。 血まみれになって倒れた朝比奈さん(大)を支えてあげる。「これも規定事項ですから…」 そう言って朝比奈さんは目を閉じた。 俺はハルヒに叫んだ。「朝比奈さんに見せるな!!!」 ハルヒは急いで朝比奈さんに抱きつき視界をふさぐ。 だが何もかも遅い。朝比奈さんは泣きじゃくり倒れこんでしまった。 ここで突っ立って傍観していた未来の俺が地団駄を踏み口を開いた。 「まさか!クソっ!それで未来を守ったのか。クソっ!」 そうか。朝比奈さんが朝比奈さん(大)を認識することで現在と未来がつながったのか。 それなら俺と未来人の時でも同じことが言えるのだが恐らくハルヒが生み出した不安定な未来なので朝比奈さんが朝比奈さん(大)を認識することで上書きされたのか。 恐らくこの未来人の規定ではここで朝比奈さんが死に、朝比奈さん(大)の存在に矛盾を出すためだったのであろう。 と言うことは未来人戦はこちらの勝利である。大きな犠牲を払ったが。 とち狂ったように未来人が言った。「もうお前ら全員殺してやる。」 おいおい未来の俺よ。なに言ってやがんだ。 その時、突然空が無数の点により暗くなった。 なんだありゃ。いろいろありすぎてわけがわからん。 第八章
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/61.html
基本情報表紙 タイトル色 その他 目次 裏表紙のあらすじ 出版社からのあらすじ 内容 あらすじ「プロローグ」 「第一章」 「第二章」 「第三章」 「第四章」 「第五章」 「第六章」 「エピローグ」 挿絵口絵 挿絵 登場人物 後に繋がる伏線「エピローグ」(伏線) 刊行順 基本情報 涼宮ハルヒシリーズ第4巻。2004年8月1日初版発行。2010年2月6日には劇場公開された。 表紙 通常カバー…朝倉涼子 期間限定パノラマカバー…朝倉涼子、新川 タイトル色 通常カバー…薄黄緑 期間限定パノラマカバー…黄緑 その他 本編…247ページ 形式…長編 目次 プロローグ…P.5 第一章…P.30 第二章…P.73 第三章…P.103 第四章…P.160 第五章…P.195 第六章…P.223 エピローグ…P.246 あとがき…P.252 裏表紙のあらすじ 「涼宮ハルヒ?それ誰?」って国木田よ、そう思いたくなる気持ちは分からんでもないが、そんなに真顔で言うことはないだろう。 だが、他のやつらもハルヒなんか最初からいなかったような口ぶりだ。 混乱する俺に追い討ちをかけるようにニコニコ笑顔で教室に現れた女は、俺を殺そうとし、消失したはずの委員長・朝倉涼子だった! どうやら俺はちっとも笑えない状況におかれてしまったらしいな。 大人気シリーズ第4巻、驚愕のスタート! 出版社からのあらすじ クリスマス目前の、あの日の朝、何かがおかしい感じがしたんだ。いつもの教室、いつもの席。だけど俺の後ろの席にハルヒはいなかった――。 ビミョーに非日常系学園ストーリー、衝撃の第4巻! キョンの苦難は続く!! 内容 長編。話の繋がりとしては、第3巻『退屈』収録の「笹の葉ラプソディ」の話の途中、第5巻『暴走』収録の「雪山症候群」の前となる。 あらすじ ※ネタバレ記述があるので、原作未読の場合は注意。 「プロローグ」 + ... 時は12月17日。 ハルヒは昨日の放課後、同月24日にSOS団でクリスマスパーティを開催すると宣言する。いつもと変わらない日常が繰り返される日々。 だが、次の日の12月18日、キョンを奈落の底へと落とすような事態が発生する…… 「第一章」 + ... 12月18日。 朝、いつも通り学校に登校するキョン。しかし、いつも教室にいるはずのハルヒがいなかった。 その日の昼休み、1年5組の生徒が遅刻で学校に登校・教室に入ってくる。だが、「そいつ」はハルヒの席に座る。そこに現れたのは…… 「第二章」 + ... 12月19日。 この日から短縮授業に入り、いつも通り学校に登校するキョン。だが、事態は昨日と変わっていなかった。 現・SOS団の部室であった文芸部室に行く。 初めて長門が貸してくれた本を手に取り、読み始めると、本に挟まっていた栞が落ちる。 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』 字が長門に似ていた。長門に訊くも、字は似ているがそれは自分が書いたものではないと言う。 「キョンの知っている長門」が、唯一のメッセージを残してくれた。その「鍵」を探すべく、キョンは行動を開始する…… 「第三章」 + ... 12月20日。 昨日と同様、学校に登校するキョン。国木田が、ハルヒの名前を口にしたのを聞いた谷口は、 「そのハルヒってのは、ひょっとして涼宮ハルヒのことか?」 やがてキョンは、栞に書いてあった「鍵」をそろえる。文芸部室にあったパソコンのディスプレイには、長門からのメッセージが表示されていた…… 「第四章」 + ... 夜になっていた。文芸部室にあったパソコンの前に、キョンはただ一人立っていた。 だが、SOS団の備品が無いことから、12月20日でないことは確かだ。 今はいつかを確認するため、キョンはコンビニにあった新聞をチェックする。そこは、3年前の7月7日だった…… 「第五章」 + ... 3年前の長門に、時空改変に巻き込まれぬよう対抗処置を施され、キョンは朝比奈さん(大)とともに12月18日未明へと時間遡行する。 2人は物陰に隠れ、北高の前に向かっている世界を改変させた人物を見ていた。改変後、キョンはその人物に話しかける…… 「第六章」 + ... 何かの音とともに、キョンは目を覚ます。そこには、リンゴの皮を剥いていた古泉の姿があった。 キョンは病室で目を覚ました。そして、「そいつ」に襲われた時の傷も、まるで最初から無かったかのようだったのだが…… 「エピローグ」 + ... 12月24日。 終業式を迎え、SOS団はクリスマスパーティーを行う前だった。 その間キョンは、近いうちに再改変をしなければならない。そう自分の脳内スケジュールに書きこんでいた。 なぜなら、それは既定事項だったのだから…… 挿絵 口絵 涼宮ハルヒ、朝比奈みくる(プロローグ) ⇒ キョン、朝倉涼子、クラス生徒(第一章) ⇒ 長門有希(第一章) ⇒ 朝比奈みくる ⇒ 挿絵 「プロローグ」 挿絵なし 「第一章」 P.51…朝比奈みくる、鶴屋さん(消失世界) ⇒ P.69…キョンの妹、シャミセン(消失世界) ⇒ 「第二章」 P.97…キョン、長門有希(消失世界) ⇒ 「第三章」 P.117…涼宮ハルヒ(消失世界) ⇒ P.141…涼宮ハルヒ(消失世界) ⇒ 「第四章」 P.173…朝比奈さん(大) ⇒ 「第五章」 P.197…長門有希 ⇒ 「第六章」 P.235…涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹 ⇒ 「エピローグ」 挿絵なし 登場人物 涼宮ハルヒ(通常ハルヒ、消失ハルヒ) キョン 長門有希(通常長門、消失長門) 朝比奈みくる(通常みくる、消失みくる) 古泉一樹(通常古泉、消失古泉) 鶴屋さん(消失鶴屋さん) 谷口(通常谷口、消失谷口) 国木田(消失国木田) キョンの妹(消失キョンの妹) シャミセン(消失シャミセン) 朝倉涼子(通常朝倉、消失朝倉) 朝比奈さん(大) 後に繋がる伏線 「エピローグ」(伏線) ハルヒの見た、謎の少女の正体 ⇒第7巻『陰謀』で回収 12月18日にもう一度時間遡行しなければならないこと ⇒第7巻『陰謀』で回収 刊行順 <第3巻『涼宮ハルヒの退屈』|第5巻『涼宮ハルヒの暴走』>
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/865.html
その日のハルヒは、どこかおかしい素振りを見せていた。 そう言うと誤解を与えそうだから、ひとつだけフォローを入れておこう。いつものハル ヒは傍若無人で1人勝手に突っ走り、厄介事をSOS団に持ち込んでオレを含める団員全 員が苦労する──そういうことを、オレは普通だと思っている。この認識に異論があるヤ ツは前に出ろ。オレの代わりにハルヒの面倒を見る役割を与えてやる。 それはともかくとして。 その日のハルヒは……世間一般の女子高生らしい素振りを見せていた。 例えば、休み時間にクラスの女子たちと普通に話をしていたり、あるいはまじめに授業 を受けていたり、さらには放課後にこんなことを言ってきた。 「ねぇ、キョン。今日の放課後、時間空いてる?」 事もあろうに、あの涼宮ハルヒがオレに都合を聞いてきたのだ。 おいおい、なんだよそれは? まさに青天の霹靂ってやつじゃないか。おまえにそんな 態度を取られると、オレはどうすればいいか分からんぞ。 「ねぇ、どうなのよ?」 「あ、ああ、そうだな……それは部活が終わった後ってことか?」 「あ、そっか。うーん……そうね、大切な活動を中止するわけにもいかないか。終わって からにしましょ。忘れたら罰金よ!」 おいおい、オレはただ「いつの放課後だ」と聞いただけなのに、いつの間におまえに付 き合って時間を潰すことになっちまってるんだ? けどまぁ、そういうのがハルヒらしいってことだろう。そんな長時間でなけりゃ付き合 ってやっても罰は当たらないさ。 それにしても……あのハルヒがしっかりアポイントを取ってまで、いったい何を企んで いるのかね。オレは何かやらかしたかな? 思いつくことは何もないが……いやいや、も しかすると相談事とか? それこそありえないだろ。 それなら……と、あれやこれを考えつつ古泉とゲームに興じていると、長門がパタリと 本を閉じた。運命の時間になってしまった、というわけだ。 「それじゃキョン、下駄箱で待ってなさい」 団長さま直々のお達しにより、オレは下駄箱で待つこととなった。古泉に「おや、デー トですか?」などと聞かれたが、軽やかにスルーしておいたのは言うまでもない。 しばらく下駄箱前でボーッとしていると、ハルヒがやってきた。 ここで「待った~♪」などと言ってくれば「おまえは誰だ?」と言い放てるのだが、そ んなこともなく、代わりに口を開いて出てきた言葉は「ぼさっとしてないで、さっさと行 きましょ」とのこと。やはりコイツはオレの知っているハルヒで間違いない。 「んで? オレの貴重な青春時代の1ページを割いてまで、いったい何の用だ?」 北高名物のハイキングコースを並んで歩きながら、オレの方から話を振ってみた。 「……あんたさ、中1の夏、何してたか覚えてる?」 ややためらいがちに、ハルヒが口を開いた。 「なんの話だ?」 「いいから! 覚えてるのかって聞いてるの」 わざわざオレを呼び出して、意味不明なことを聞いてくる。そんな昔の話なんぞ、覚え ているわけがない。 おれが正直にそういうと、ハルヒは眉根にしわを寄せた。 「そうじゃなくて……ああ、もう! 中1の七夕の日、あんた何やってたの?」 この瞬間湯沸かし器みたいにキレる性格はどうにかならんもんか? それはそうと、中1の七夕だって? 我が家では七夕に笹を出して織姫と彦星の再開を 祝う習慣はないから、いつもと変わらない一日だった……というか、待て待て。なんでそ んな話題を振ってくるんだ? オレはともかく、ハルヒにとっての中1の七夕と言えば……校庭ラクガキ事件の日じゃ ないか。そのことは新聞にも取りざたされた話だから、知っているヤツは多い。けれど、 ハルヒ自身の口からそのことを言い出すのは皆無だ。 「中1の七夕なんて、いつもと変わらない1日に決まってるだろ。そういうおまえは、校 庭にはた迷惑なラクガキしてたんだっけ?」 その詳細を知ってはいるが言うわけにもいかない。誰でも知ってるような話で切り返し たが、ハルヒは不意に立ち止まり、じーっとオレの顔を睨んでいる。 「なんだよ?」 「あんたさ、好きな子とかいる?」 …………おまえは何を言ってるんだ? 「いいから、いるのかいないのかハッキリしなさいよ!」 なんでそんな怒り口調で問いつめられなければいけないんだよ? とも思ったが、ここ でこっちもテンションを上げるのは、ハルヒの術中にハマりそうでダメだ。オレが冷静に ならなきゃ、会話が成り立たなくなる。 「なんで中1の七夕の話から、そんな話になるんだ? そもそも、どうしてそんなことを おまえに言わなくちゃならないんだ」 「それは……」 なんなんだこれは? なんでそこで口ごもるんだ。タチの悪いイタズラかと思えるよう な展開じゃないか。今のハルヒは、そうだな……まるで告白前に戸惑う女の子みたいに見 える。いや、オレにそんな状況と遭遇した経験なんぞないが、ドラマでよくある展開だ。これ でハルヒがオレに告白でもしようものなら、明日には世界が滅亡するぜ。 「…………」 「…………」 ハルヒが黙り、オレも黙る。なんともいたたまれない沈黙に包まれて、かと言ってオレ から話しかける言葉も見つからずにいると。 「もういい」 ふいっと背を向けて、1人早足で坂道を降りていく。その背中には妙な殺気が籠もって いて、とても並んで歩く気にはなれず、ただ後ろ姿を見えなくなるまで見送った。 そんなことがあった前日、どうせ今日には元に戻ってるだろうと登校してみれば、ハル ヒは学校に現れなかった。 あいつが休むとは珍しい。これは別の王道パターン──ハルヒが海外に引っ越す──か と思ったが、朝のホームルームで担任の岡部からそういう話はなかった。むしろ、「涼宮 は休みか?」などと言っていたから、病欠ってわけでもないようだ。純然たるサボリって ことなんだが……そうだな、おかしな事態だ。 あいつは授業中こそつまらなさそうにしているが、無断でサボるようなヤツじゃない。 異常事態だってことさ。 1限目が終わり、オレはすぐに9組の古泉のところへ向かった。ハルヒの精神分析専門 家を自称するアイツなら、何かわかるかもしれん。 「え、登校していないのですか?」 と思ったが、古泉も寝耳に水の話らしい。 「昨日から様子がおかしくてな。それで今日は不登校だろ? 何かあったのかと思ったん だが……おまえの様子を見るに、閉鎖空間もできちゃいないようだな」 「そうですね。ここ最近、僕のアルバイトも別方向の役目が多くて……おっと、これはあ なたには関係ない話ですが。ともかく、今の涼宮さんは安定しているようです」 おまえのアルバイトでの役目なんぞどーでもいいが、その話でハルヒがストレス貯めて たり、妙なことを企んでる訳じゃないことは把握した。 しかし、まったく何もないわけじゃないだろう。 これまでの出来事を思い返し……あんな物憂げなハルヒを見たことは、2回ほどある。 七夕とバレンタイン。 あのときの様子とよく似ている。かといって、今はバレンタインって時期じゃない。も ちろん七夕って日でもないが……しかし、あいつの方から七夕の話題を出したってことは、 思い出さざるを得ないことがあった、ってことだろう。 ジョン・スミスの名前を。 時間的には昼休みか。そろそろ電話をしてもいい頃合いだろうと考え、ハルヒの携帯に 電話をかけてみた。 2~3回ほど留守電サービスに繋がったが、その後にようやく繋がった。携帯からじゃ なくて公衆電話からだからか、警戒したようだ。そりゃオレも見知らぬ番号や携帯からか かってきた電話には出ないがね。 『あんた誰?』 電話応対の定型文を使うようなヤツじゃないが、そういう態度はどうかと思うぞ。 「オレだ」 『あたしに「オレ」って名前の知り合いいないんだけど? つーか、さっきからしつこい し。その声、もしかしてキョン? だったらふざけた真似はやめなさいよ』 「いや……ジョン・スミスだ」 『…………え?』 この名前を口にするのも久しぶりだ。できることなら名乗りたくもなかったが、事情が 事情だしな、仕方がない。対するハルヒも、オレが何を言ってるのか理解できていないよ うだった。それも仕方がない。 「なんつーか……久しぶりだな」 我ながらマヌケな言葉とつくづく思う。毎日その顔を見ておいて「久しぶり」もなにも あったもんじゃない。 『あんた……ホントに、ジョン・スミス? じゃあ、やっぱりあの手紙もあんただったの?』 それがハルヒの物憂げな気分の正体か。 その手紙になんて書かれていたか聞き出すのは難しそうだが、わざわざ「ジョン・スミ ス」の名前を語っているということは、タチの悪いイタズラで済まされる話じゃない。 「その手紙になんて書いてあったかは知らないが、オレが出したものじゃないことは確か だな。今日、学校を休んでいるのもその手紙のせいか?」 『そうだけど……ちょっと待って。ジョン、なんであたしが学校休んでるの知ってるの?』 しまった、余計なことを口走っちまった……。 『あんた、今学校にいるのね? そうなんでしょ! 今から行くからそこにいなさいよ、 逃げたら死刑だからね!』 言うだけ言って切っちまいやがった。やれやれ、これもまた規定事項ってヤツか? だ としたら……そうだな、ここで頼るべきは長門か。はぁ……まいったね。 5限目の終了を告げる鐘の音とともに、教室のドアがぶっ壊れるほどの勢いで開かれた。 そこに、鬼のような形相でハルヒが立っている。 ハルヒは呆気に取られているクラスメイトと教師を一瞥し、ずかずかと教室の中に入り 込んできたかと思えば、オレのネクタイをひねり上げてきた。 「着いてきなさい」 声が低く落ち着いているだけに、逆に怖い。 ずるずる引きずられて教室から出て行くオレを、哀れな生け贄を見るような目で見つめ るクラスメイトの視線が痛かったのは言うまでもなく、教師すら見て見ぬふりをするとは どういう了見だ? 教育委員会に訴えてやろうか。 「協力しなさい」 屋上へ出る扉の前。常時施錠されていてほとんど誰も来ないこの場所で、既視感を覚え るような事を言われた。前と違うのは、今回はカツアゲどころか命を取られそうな殺気が 籠もっているというところだろうか。 「いきなり学校にやってきたと思えば、何に協力しろって?」 「校内に、あたしらより3~6歳年上の見慣れない男が一人、うろついてるはずよ。そい つを見つけて確保した上で、あたしの前に連行してきなさい」 なんつーことを言い出すんだ、おまえは? そもそも校内に見慣れない男がうろちょろ してたら、誰かがすでに気づいてるだろうが。 「あんた、校内にいる教師の顔、全員覚えてる? 一人くらい見慣れないヤツがいたって、 それらしい格好してれば紛れ込めるわ」 まぁ……言われて見ればそうかもしれないな。部室にあった、過去の卒業アルバムに載 っていた教員一覧は4ページに渡っていたわけだし。 「いい? 時間はないの。怪しいヤツを見かけたら、拉致って即座に連絡すること。次の 授業なんかほっときなさい。それと、このことはSOS団全員に通達することも忘れない ように! ところで……あんた、携帯忘れてないわよね?」 「それは持ってるが……」 「ちょっと貸しなさい」 言うが早いか、ハルヒはいきなりオレの上着の内ポケットに手を突っ込むと、携帯電話 を強奪しやがった。どうしてオレはキーロックをかかけてないんだ、と最初に思った時点 で何か間違ってる気がするのは、この際ほっとこう。 「……あんた、昼にあたしに電話した?」 我が物のようにオレの携帯をいじるハルヒは、どうやら着信履歴を真っ先にチェックし たらしい。こいつの旦那になるヤツはあれだ、履歴チェックは欠かさないようにすること を忠告しよう。 オレはどうだって? オレの場合、見られて困る相手に電話をしてるわけじゃないから、 別に気にしないさ。 「かけたよ。おまえが学校に来ないのが気になったんだ。通じなかったが」 「ふーん、そっか」 正直に話すと、それで興味を無くしたのかハルヒは携帯を投げ返し、そのまま猛烈な勢 いで階段を駆け下りて行った。オレはいつぞやのように一人、取り残されたってわけだ。 どうやらあの様子から察するに、あいつの頭の中では校内にジョン・スミスがいるっ てことになってるんだろう。 それはあながち間違いではないが……捜す対象がオレらより3~6歳ほど年上の男とな ると、まず見つかるわけがない。それは言うまでもなく、オレがジョン・スミスだからだ。 そりゃまぁ、あいつが中1の七夕のとき、オレは北高の制服を着ていたし、事実高1だ った。学年まで気づかなかったとして、制服を着ていることから3~6歳ほど年上と思う のも仕方がないことだろう。 しかしなぁ、かくいう張本人を目の前にして、そいつを捜せと言われても困るんだがな ぁ……。捜す振りをして、ひとまず残りのメンツに話だけを通しておけばいいだろう。 そんなことを考えていたら、突然オレの携帯が鳴り出した。 ディスプレイを見れば、 番号非通知。 嫌な予感がくっきり色濃く脳裏を過ぎった。どんな色かと問われれば、黒というか闇色 というか、そんな感じだ。 「……もしもし?」 『午後3時、旧館屋上に』 「は?」 通話できたのは、たった一言。無味乾燥な物言いは、どこかで聞いたことのある声だっ た。けれど、記憶にあるその声とは何かが違う。 どうやら、オレが思っている以上に厄介なことが起きてる。そんな予感を感じさせるに は十分な通話内容だ。 「なにがどうなってるのかサッパリだが……」 宇宙的、あるいは未来的、もしくは超能力的な厄介事に巻き込まれているのは間違いな い。これがせめて、異世界的な異変でないことだけを心から願いたいが……何であれ、そ れでもオレを巻き込むのは勘弁してもらいたいね。 困った事態というのは、ひとつ起こればドミノ倒しの要領で立て続けに起こるもんだ。 オレはそのことを、涼宮ハルヒという人間災害から骨の髄まで染み込むほどに学んだ。 それが今、まさに、この瞬間、立て続けに起こっているわけだ。 ひとまず古泉には事情を説明して『機関』の人員の手配を頼んでおいた。長門にも協力 要請を出しておいた。朝比奈さんは、申し訳ないが最初から巻き込んでいる。 SOS団的に言えば、盤石のフォーメーションで挑んでいると言っても過言ではない。 にもかかわらず、オレが危惧しているのは、オレ自身が上手く立ち回れるかどうかについてだ。 まいったね。「やるかやらないかより、出来るか出来ないかが問題だ」なんて格言があ るのかどうかは知らないが、ここで本音を語ろう。声を大にしてだ。 出来ません。無理です。勘弁してください。 「フォローはする」 心強いコメントだが、どこか投げやりなのは気のせいか? 「そもそも、本来の場所はここじゃなかったよな。公園だっけ?」 「些細なこと。重要なのは事実が現実になるかどうか。情報操作は得意」 そういうもんなのかね。やっちまった……と思って、けっこうへこんでるんだが……。 「それならそれで長門よ、前にも言ったが……もうちょっとマシな形にはできなかったの か? かなり抵抗があるんだが……」 オレは手の中に収まっている黒光りする鉄の塊を、腫れ物にでも触るような手つきで持 て余していた。 「その形状がもっとも効率的。あなたが無理ならわたしがする」 「……すまん、さすがにオレには無理だ」 「そう」 オレは手の中のもの──拳銃を長門に手渡した。自分がやるべきなのだろうが、いくら なんでもこんなものをハルヒに向けて、狙い通りに撃ち抜くなんて、そこまでオレは淡々 と物事を冷静に運ぶことはできない。 「そろそろ時間」 ふいっと視線をはずし、長門は目の前の扉に目を向ける。オレは時計を見る。朝比奈さ んを見習って、電波時計にしているから狂いはない。 時間は午後3時になる5分前。各教室では本日最後の授業が行われている真っ最中だ。 普通なら、歩き回っている生徒なんているはずもない時間だが……目の前の扉が、もの凄 い勢いで開いた。 「見つけたわ!」 ドカン! と音を立てて、旧館屋上の扉が開かれた。 そこに立っているのは、言うまでもなくハルヒ。その形相は、親の敵を見つけた仇敵と 相対する西部劇のガンマンみたいな顔つきだ。 「あなたがジョン・スミスね! ふざけた名前で捜すのに苦労したわ。よくもまぁ、あた しが中1のころから今の今まで、逃げおおせたものね!」 「落ち着けよ。積もる話もあるだろうが、そういう場合じゃないんだ」 「どんな場合だっていうのよ! あたしはずっとあんたを捜してたわ。そのために北高に も来たし、SOS団まで作ったのに……あんたはずっと雲隠れしてて! どれもこれも全 部あんたを捜すために、」 「おいおい、そうじゃないだろ」 ハルヒの言葉を遮って、オレは言うべきことを口にする。 SOS団、つまり『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』っ名称は、そりゃ 確かに七夕のときのオレの一声をもじって付けたものかもしれない。そこにどんな思いが 込められていたのかなんて、オレにはとっくに分かっている。 だが、それはあくまでも切っ掛けにすぎない。今ここにいるハルヒがやってることは、 何もジョン・スミスに会うためだけにやっていることではないはずだ。 「今、おまえはけっこう楽しんでるだろ? オレと会うことでほかのすべてを捨ててもい いとは思ってないはずだ。目的と手段が入れ替わってることに、そろそろ気づいてもいい んじゃないのか?」 「何よそれ!? あたしは……」 「言いたいことは分かってるさ。ああ、悪いな」 オレはちらりと時計を見る。そろそろ午後3時。時間だ。 「話は、ここまでだ」 オレの言葉に合わせるように、長門は迷いなく銃口をハルヒに向けて、その引き金を引 いた。 パシュン、と軽い音が響く。その音に胸騒ぎを覚えたオレは、階段を出来る限りの速さ で駆け上った。 そこで目にしたのは、倒れているハルヒと、スーツに身を包んだ一組の男女。その二人 が何者かと考えるよりも先に、オレはハルヒに駆け寄っていた。 正直、血の気が引いた。直後によく動けたものだと、あとになって自分自身に感心したほどだ。 「ハルヒ! おい、しっかりしろ!」 見た限り、ハルヒに外傷はない。ただ、いくら呼びかけても返事はなく、その姿はまる で眠っているように見えた。 「眠らせただけ。それより、動かないで」 まるでどこぞの社長秘書のような出で立ちで、ご丁寧に怪しさ倍増のサングラスまでか けたその女性が、膝を折ってオレを見る。……あれ、この顔はどこかで見たことが……と、 考えるよりも先に、それは起こった。 大袈裟な変化があったわけではない。ただ、オレが駆け込んできた屋上へ通じる出入り 口がなくなっている。場所こそ旧館の屋上ということに変わりはないが、目の前にはどこ にでもいそうな大学生、あるいは社会人的な年代の男女数名が現れていた。 いったい何時の間に、どこからやってきたのかさえオレにはわからない。というか、そ もそも今がどういう状況なのかもわからない。 「悪いが見ての通りだ。ここでドンパチやるのは構わないが……」 ダークスーツに、こちらもサングラスをかけている男が、目の前の相手を前に口を開き、 彼方の方向を指さした。 「鷹の目がここを狙っている」 その瞬間、男と数名の男女のグループの間の地面が、パキン、と爆ぜる。まさか……と は思うが、もしかして今、どこぞから狙撃でもされてるんじゃないだろうな? 仮にそう だとしても、ここから狙い撃てる場所なんて、裏山の傾斜くらいだ。1キロくらい離れて るんじゃないのか? 「さらにここには、なが……こいつもいる。ジョン・スミスの名前を使ってハルヒを引っ 張り出すのは悪い考えじゃないが、できれば二度と使わないでもらいたいね」 男とその敵対グループらしい連中とのにらみ合いがしばし続き──誰と言うわけでもな く舌打ちを漏らすと、連中は次々に屋上の柵を乗り越えて飛び降りていった。 「時空間転移を確認。この時空間からの消失を確認した」 「はぁ……やれやれ。もう二度とこんなことをさせないでくれよ……」 深いため息をついて、男は腰が抜けたようにしゃがみ込む。この二人は……まさかとは 思うが……けれど、そんなバカな話があってたまるか。 「みなさん、大丈夫ですかぁ~?」 がちゃりと音を立てて、いつの間にか下に戻っていた屋上のドアが開かれる。そこに現 れた人影を見て、オレの疑念は確信に変わった。 現れたその人は、オレが何度も会ってる朝比奈さん(大)だった。ここでこんな登場を するということは、規定事項ってことなんだ。それはつまり、目の前の2人はオレが思っ ている通りでいいってことですね? 「ああ……いや、深くは聞かないでくれ。オレのこともだいたい分かってると思うが…… そうだな、古泉が所属する『機関』の上の人間と思ってくれ」 「ちょっ、ちょっと待ってくれ。なんだって!?」 「時間を自由に行き来できるなら、未来が過去において自由に動けるその時間帯での組織 を作っていてもおかしくないだろ。そうでもしなきゃ、ハルヒは守れないんだ」 「ハルヒを……守る?」 「ちょっとキョンくん、喋りす……あ」 朝比奈さん(大)は黒スーツの男に向かってそう言った。「あ」って、迂闊すぎます… …が、今は有り難いね。それで確信が持てた。 やっぱり、この二人は……未来のオレと長門なのか!? 「そいつは禁則事項ってヤツだ。ただ、今回のことでわかったと思うが……まだまだハル ヒ絡みの厄介事は続くってわけさ。同情するぜ」 いやもう、頭が混乱してきたぞ。何がどうなってるのかしっかり説明してくれ。 「それは追々分かるだろ。ハルヒはもうちょっと寝てるだろうから、しっかり介抱してく れ。目が覚めたら今回の出来事は忘れてるはず……だよな?」 未来のオレが隣の……たぶん、未来の長門に確認を取ると、微かに頷いた。 「ああ、あと古泉経由で新川さんにも礼を言っといてくれ。さっきの狙撃はなかなかのも んだったしな。んじゃま、10年後に会おう」 その後のことを少しだけ語ろう。 屋上からの出入り口から出て行った3人の後を追うように、すぐに後を追ったが姿はなく ……長門(大)に眠らされていたハルヒを保健室に運んだオレは、未来からやってきて いたオレたちについて憶測を巡らせた。 今回の出来事は、直接的には今のオレやハルヒに関係のない事件かもしれない。むしろ 未来のオレらに関わる事件が、たまたまこの時間軸に関わりがあったにすぎず、その騒動 に巻き込まれただけのような気もする。 この時間軸で事の詳細を正確に理解しているのは長門だけだろうが、親切に話してくれ なさそうだ。何しろ、オレの未来に直接的に関わってくる話だしな。 未来のオレは「古泉が所属する『機関』の上の人間」だと言った。つまり、オレは将来 的には古泉と同じ『機関』の、それもトップクラスの立場になるかもしれない。下手をす ると、『機関』の現時点でのトップは未来のオレ……なんてことも、あの口ぶりでは十分 にあり得そうだ。もしそうだとしたら、悪いが全力でそんな未来を変えようと足掻くだろう。 しかし未来のオレは、その現実を受け入れていた。そう決断しなければならない出来事 が、今後起こり得るかもしれないが……そんなことは考えたくもない。 「……うん」 「よう、お目覚めか」 「あれ……キョン? あれ……あっ!」 寝起きとは思えない勢いでハルヒは保健室のベッドから飛び起きた。こいつは低血圧と は無縁なんだろうな。 「ちょっとキョン、あの男はどこ行ったのよ!」 オレの首を締め上げて、もの凄い勢いでまくし立てている。おいおい長門(大)よ、今 回の騒動のことをハルヒは忘れてるんじゃないのか? どう見てもしっかりばっちり完 璧に覚えているじゃないか。 「あ、あの男って誰のことだ!?」 「誰って、そりゃ……あれ? えーっと……」 続く言葉が出てこないのか、ハルヒは肝心なところは覚えていないらしい……というか、 ジョン・スミスについて何も覚えてないんじゃないのか? 「なぁ、ハルヒ。真面目に聞くから正直に答えて欲しいんだが」 いまだにオレの首を握りしめている──といっても力はまったく込められていなかった が──ハルヒの手を取り、オレは肝心なことを尋ねようと思った。 それがたとえ、オレの思ってる通りでも違ったとしても、オレとハルヒの今の関係が崩 れる類のものではない。ただ、オレの決心が鈍るかもしれない質問だ。 「おまえ、SOS団を何のために作った?」 「はぁ? あんた何言ってるの。最初に言ったでしょ。もう一回聞きたいの?」 「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことか? 本当にそれだけか?」 当初ならそのセリフで納得も……できやしないが、まぁ、ハルヒならありえそうだなと 思って追求しなかったさ。 しかし、今日この日に至るまで経験したさまざまなことを鑑みて、ハルヒがただその理 由のためだけにSOS団なんて作り出したとは、オレには到底思えない。SOS団の名称に したってそうさ。 ハルヒはただ、ジョン・スミスとの再会を願ってこの名前を付けたんじゃないのか? だからもし、ハルヒがジョン・スミスがオレと知ってしまえば……SOS団はその役目 を終える。それが怖かった。もしそうなら、オレはこいつに「自分がジョン・スミスだ」 などとはとても言えやしない。 「……あんたが何を考えてるか、だいたい分かってるわ」 キュッとオレの手を握り替えし、ハルヒがオレの予想とは違うことを言った。 「最近、みんなと一緒に遊ぶことが楽しくて、本来の結成目的がおざなりになって不安に なってるんでしょ? でも安心しなさい。あたしはまだ、当初の目的を忘れていなんかい ないわ! いつか、必ず、絶対に宇宙人や未来人や超能力者を見つけてやるんだから!」 「本当に……そうなのか?」 「はぁ? 当たり前でしょ!」 語気を強めるハルヒだが、オレはまだ納得できない。 「しかしだな、SOS団の名称が……なんつーか……センスないなと思って」 「うっさいわね! 昔、変なヤツが言った言葉を借りて命名したのよ。あたしのセンスじ ゃないわ」 「そいつを捜すために、名前を借りたのか? つまり、SOS団ってのは……」 「うーん、そりゃ捜したい気持ちはあるし、ちょっとは気になってるけど……ほら、昨日 あんたに中1の七夕のときのこと聞いたでしょ? そのときに会ったヤツが言ってたセリ フでさ。そいつ、なんかあんたに……そうね、ちょっと似てたかも。だからもしかして、 あんたじゃないかって考えたこともあったわ。なんでそんなこと考えたのかしらね? あ り得ないのに」 あり得ないと思ってくれるのは有り難いが、事実その通りで、こいつの勘の鋭さにはと にかく呆れるね。 「でも、それはあくまでも切っ掛け! そもそも、その男は自分は自分で楽しいことして るに決まってるわ。あたしも負けてられないから、名前を借りたのよ! いつかあたしの 前にふらっと現れたときに言『あんたより、あたしのほうが楽しいことしてる』って言っ てやるためにね!」 ああ……どうやらオレは、未来の自分と会って少し混乱していたらしい。よく考えれば、 疑う余地なんでまるでないじゃないか。 ハルヒはSOS団結成の理由を「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこ と」としているが、実際はそうじゃない。 かといって、オレが邪推したように、ジョン・スミスを捜し出すためでもない。 そりゃ、その両方もまったくのウソというわけではなく、心の片隅にちょっとはあった のだろう。だが、ハルヒの心を占めているのは、普通の高校生らしい、ただ純粋に「今の この瞬間を思いっきり楽しみたい」って気持ちだけなんだ。 ハルヒにちょっと桁外れのトンデモパワーがあって周りは騒いでいるが、本人は青春を 謳歌したいだけなんだ。それならオレは、ハルヒ的青春の謳歌に付き合ってやるさ。今ま で散々、周囲に迷惑をかけて面倒を巻き起こしてきた過去に比べれば、どれほどまともで 健全なことか。 それを未来的な策謀や、宇宙人的な思惑や、秘密結社らしい陰謀で潰すのはあまりにも 身勝手な話だ。だからオレは……そうか、だからなのか。未来のオレは、10年経ったそ のときでも、SOS団のメンバーと一緒にハルヒを守ってるわけか。そのために、面倒な ことに進んで首を突っ込んでいるのか。それこそ、願ったり叶ったりだ。 もしかすると、今回の事件はオレにそう思わせるために必要な出来事だったのかもな。 「何よあんた、ニヤニヤと締まらない顔しちゃって」 予想以上の結論に至って満足していたのか、その喜びが顔に出ていたらしい。ニヤニヤ とは、そこまでイヤらしい感じじゃないだろ。 「なぁ、ハルヒ」 「な、なによ」 「これからも、一緒にいてやるぞ」 「ふぇ?」 ……なんでそこで赤くなるんだ? どうして急に力を込めて手を握りしめてくるんだ? 「キョン……それってつまり……ええっと、世間一般で言う告白……のつもり?」 「は?」 待て待て。なんでそういう……そういうことになるのか? もしかしてオレ、素で勘違 いされるようなこと言ってたか? ここは一応、フォローしておくべきか……? 「……つまり、SOS団の一員として、なんだが……いだだだっ!」 物の試しで言ってみたが、瞬く間にハルヒの顔が別の意味で赤くなった。つまり、照れ 方向から怒り方向にシフトして顔が赤くなった……ようにオレには見える。 「……いっぺん真面目に死刑にしてあげようかしらね?」 ハルヒさん、リンゴを握りつぶすような握力で手を握らないでください。その鉄球みた いな頭突きを繰り返さないでください。いや、マジで痛いって! 「あんたには言葉の重みってのを教えてあげる必要がありそうねぇ……覚悟しときなさ いよ!」 妙なスイッチが入ったハルヒを、オレが止めることなんて出来るわけがない。そもそも こいつを守る必要が本当にあるのかどうかも悩むところだ。 これから少なくとも10年は、こんなことが続くのか……やれやれ、まいったね。 だがそれでも、オレはもう二度と冒頭に思ったセリフは口にしないつもりだ。 そりゃそうさ。こんなハルヒの面倒を、今後10年は見守っていられるるヤツなんて、 オレ以外の適任者がいるとは思えない。 なぁ、そうだろ? 〆