約 1,667,675 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2708.html
「ももえサイズ」の死神ももえを召喚 参考 ももえサイズ(wikipedeia) ゼロの使い魔ももえサイズ-1「ゼロの使い魔ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-2「ゼロの使い魔死神フレイム二年生ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-3「ゼロの使い魔死神フレイムデルフリンガーシルフィード二年生ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-4「ゼロの使い魔死神友情フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-4.5「出張由美ちゃん~はじまりは超展開~」 ゼロの使い魔ももえサイズ-5「ゼロの使い魔死神友情タバサの裏設定フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-6 「ゼロの使い魔死神友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-7 「ゼロの使い魔死神ガーゴイル友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィードネギ香水下級生ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-8「ゼロの使い魔死神ガーゴイル友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィードネギ香水草鞋下級生ももえサイズ」 ゼロの使い魔ももえサイズ-9ゼロの使い魔死神ガーゴイル友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィードネギ香水草鞋干し肉細長い棒悪魔の猟銃下級生ももえサイズ」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1521.html
「おい」 何よ。 「起きろ」 眠いわ。 「起きなさいよ」 昨日ほとんど徹夜だったじゃない。 「起きる」 ああもう…… 「あ、おはよう」 なんだか腰が痛いわ。 「よく眠れたかしら、ヴァリエール」 「なな、なんでキュルケがこんなところにいるのよ」 「ルイズオメー永久に寝てた方がよかったんじゃねえの」 「何訳わかんないこといってるのよ」 あ、 「ちょ、ちょっとした冗談よ、そろそろフーケの潜伏地点かしら?あはははは」 「「「……」」」 「大物」 「ここからは、徒歩で行きましょう」 ミス・ロングビルがそういって、全員が馬車から降りた。 うっそうとした森が広がっている。 「なんか、暗くて怖いわ……幽霊でも出そうじゃない?」 キュルケが凄くうそ臭い調子で呟いた。 「冗談でもやめて」 「やめろ俺で草を 枝を切るなあー」 「仕方ねーだろお、他に誰も武器もってきてねーんだからよお。文句ならフーケかロングビルに言え」 「なら魔法で何とかしてくれぇー、ウゲッ蟲の体液が刃にいい」 「魔法で無理に道とか開けたら気づかれちゃうわよ」 「そんなああああ」 「おあ?」 いきなり一行の視界が広がった。 かなりの広さが整地してあり、真ん中に廃屋、というか山小屋が建っている。 五人は小屋の中から見えないように、森の茂みに身を隠したままそれを見つめた。 「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」 ミス・ロングビルが廃屋を指差して言った。 人が住んでいる気配は全くない。やはり奇襲が一番だろうか? 「なあー」 セッコが何か思いついたらしい。 「その[破壊の杖]って、頑丈なもんなのか?」 ミス・ロングビルが答えた。 「秘宝ならスクウェアの固定化がされてるとは思いますが、それが何か?」 「ならよお、ここから全員で魔法かましてフーケごと消し炭にしようぜぇー」 ミス・ロングビルがひどく慌てて答える。 「フーケを殺すより、秘宝回収の方が優先なのでそれはちょっと」 「うー」 非常に不満そうだ。まあそうだろう、実際ドアから家の中に入るのは危険としか言いようがない。 ああ、そうだ。そうしよう。 「シルフィードで屋根を破壊して奇襲する」 「名案ね」 「そりゃーいいな。で、何人乗れるんだ?」 「3人」 結局、ルイズとミス・ロングビルを見張りに残して屋根を破ることになった。 「エア・カッター!」 上空から柱を切り裂く。 「今だぜえシルフィードォー!」 「きゅいきゅい!」 ドラゴンの爪が既に家からずれかけている屋根を横薙ぎに弾き飛ばした。 「あら、誰もいないわよ?」 キュルケが素っ頓狂な声を上げる。 「ロングビルもあんま信用できねーなあ」 「きゅ!」 それは、あまりに不自然で。 部屋の真ん中に堂々と置いてあった。 「破壊の杖……」 「あら、ほんとね」 「はあ?」 セッコが不思議な顔でこっちを見た。 「これはさすがに杖じゃねーだろぉ。バズーカ砲か?」 キュルケが答える。 「いや、これよ。宝物庫内を見せてもらったことがあるから間違いないわ。て言うかばずーかって何よ」 「説明は難しい、そもそもオレも詳しいわけじゃねー」 「じゃあ遠慮しとくわ」 「まー、フーケが来てもこれ撃てば楽勝だと思うぜえ」 そう言ってセッコが破壊の杖を掴み上げる。 と、使い魔のルーンが輝きはじめた。武器と親和するのだろうか? 「おああ、こりゃ駄目だあ」 セッコが心なしかがっかりしている。 「弾が入ってねえ」 弾? 「説明して」 「仕方ねーなあ、無駄に左手の力使うとなんか気分が悪くなるんだけどよお」 ルーン文字が更に光を強める。 「これは[SRAWプレデター]つーここじゃねえ世界の武器だ」 キュルケが口を挟んだ。 「杖じゃないっぽいのは理解したわ。けどダメってどういうこと?」 「これは、本来弾とセットなんだけどなあ」 「何か詰めて撃てばいいんじゃないの?」 キュルケが珍しく正当な質問をしている。 「いや、どちらかというとなあ、この武器は弾の方が本体なんだ」 「は?」 さすがに驚いた。 「こっち側はただの頑丈な筒だあ。まあ棍棒として使えば強えーかもしれねーけどよお」 「……」 「高い命中精度も。家も戦車もぶち壊す破壊力も。 起動に魔法がいらないのも。全部弾の方の能力だ」 ようやく、オスマン長老の不自然な落ち着きが理解できてしまった。 戻ったら絶対問い詰めてやる。 「どうせあのヒゲジジイは弾の方を、別の名前で保管してんじゃねえの? フーケもいねーし、これもってかえろーぜえ」 実にダルそうにセッコは[破壊の杖]もとい筒をシルフィードの背中に積んだ。 その頃、周辺警戒という名の置いてきぼりを食らったルイズは困っていた。 「ああもう、一人で小屋に近づくわけに行かないし、ミス・ロングビルは何処かに行っちゃうし……」 結局、遠くから小屋をボーっと見張ることしかできないのだった。 セッコもセッコよ、ああいうときは普通主人を立てるべきじゃないの、使い魔的に。 しかも妙にタバサに懐いてるし、キュルケじゃないだけまだマシだけど気に入らない! あ、小屋の屋根が吹っ飛んだわ。 どうも戦いは起こらなかったみたいね。見に行こう。 「きゃああああああ!」 ルイズが外で叫び声を上げてやがる。静かにしろ。 声の方を見ると、昨日のゴーレムがこっちに向かってくるところだった。 「おほほほほ、踏み潰してやるわガキども!」 「うおあ、早く飛べええ」 巨大ゴーレムに踏まれるよりわずかに早く、シルフィードが3人を乗せて離陸する。さて、ルイズをどうやって助けるか。 それよりもあのゴーレムの肩に乗ってる奴をぶっ殺してえな。 しかもやっぱフーケは女だったじゃねえか。ロングビル使えねえ。 「ちょっと降りるぜえ」 「この高さ飛び降りて大丈夫か相棒?」 「オメーを持ってりゃ余裕だ」 「レビテーションで降ろしてあげるわよ」 キュルケが言ってきた。タバサは既に何か呟いている。 「そんな暇があるなら攻撃魔法を撃ちやがれ」 そう言って飛び降りる。いつもながら[左腕の力]は頼れる。 だが、どーもこういう状況になる度、何かを忘れてる気がしてくるんだよなー。 ギーシュの時も、昨日ゴーレムを見たときもそうだった。落ちつかねえ。 ルイズが逃げずに、魔法でゴーレムを攻撃している(失敗の爆発だが)理解できねえ。敵わないなら逃げてくれ畜生。 「ああもう、どうすればいいのよ!」 「逃げるんだよぉーーーーーーー!」 「冗談じゃないわ、貴族は背を向けない!」 「馬鹿かオメー!」 ゴーレムの右腕がルイズを掴もうとしている。掴まれたら確実に死ぬなあ。 間に合うか?無理だろーなあ。 その時、上空から火の玉と竜巻が飛んできてゴーレムの腕を弾く。 「相棒!今だ!」 うるせえ、見れば分かる。 飛び込んでルイズを掴み後ろに下がる。糞、気絶してやがるじゃねえか。無茶し過ぎだ。 仕方がねえ。 「拾いやがれ畜生おおおお!」 シルフィードの影を見て、進行方向に思いっきり投げた。 「きゅい!」 拾えたみてーだ、これでまず障害を1つ排除だぜえ。ちょっと挑発してやるかあ。 「なあー、フーケよお、[土]でオレと戦おうなんて冗談だろオ?」 「はっ、負け惜しみかい?さっさと潰れな!」 あれぇ?なんかおかしいこと言ったかオレ?まあいいや。 いくらデカかろうと所詮人形だ、登ってあのクソ女をぶち殺してやる。 デルフリンガーを振り回しゴーレムの右拳を受け流す。動きは遅いがパワーがやべえ。 タバサともう一人がもうちょっと頑張ってくれればいいんだがなあ。 ルイズ達がフーケと戦っていたその頃。 これで何度目になるだろうか。ギーシュ・ド・グラモンは、実にくだらない事で始まった、あの決闘について考えを巡らせていた。 1匹目のワルキューレを素手で破壊し、その上、錬金前の石をそのままぶつける新技もかわされた。 その後の異常な動き。モンモランシーがいなければ、きっと僕は死んでいた。 それはいい、それはきっとあのセッコという平民が規格外だったんだろう。 いまさら負けたことに絶望しても仕方がないさ。 けど、けどあれは何だったんだろう? 何度考えてみても、ワルキューレ7体が潰されたことが納得いかない。 そう、7匹だ。 僕は何故、あの時7匹のワルキューレを錬金できたのだろうか? 確かに事前に1匹破壊されていたのに。途中で止めたとはいえ、更に1回錬金をしたのに。自分の成長かと思ったが、腹立たしいことに再現できない。 あの男がいたから? セッコに側にいてもらって呼んでみた、やはり8匹目は呼べない。 命の危険を感じたから? 使い魔ヴェルダンデに落ちたら死にそうな縦穴を掘ってもらい、その横で試してみる。やはり7匹止まりだ。 ダメだ、他に原因が思いつかない。 けど、この僕が一度できたことがもう一度できないなんて、そんなことがあるわけがない。大体、突然8匹呼べるようになること自体はありうる。 最初は1匹しか作れなかったのだから、今増えることはおかしくないはずなんだ。 絶対に何かあるはずだ。絶対、絶対にもっと強くなってやる。 「ねえ、タバサ、セッコって本当に人間なの?」 「人」 「じゃあ何なのよあれ!吸血鬼でももっと鈍いわよ!」 「ルーンと何か、何かは不明」 「何か、ねえ。それにしてもあのゴーレムの左腕はなんなのよ!」 「わからない、あんな動きは見た事がない」 さっきからいくら魔法を放っても、回転する左腕に受け流されてしまうのだ。 これ以上近づくわけにもいかない。 「しつこいねえ!無駄だってのに!」 敵が上と下にいるため、両方を牽制しなくてはならない。 結果割とでたらめに腕を振り回す羽目になっているのだが、実際それは十分な効果を上げていた。 左腕も大体予想通りの仕事をしてくれている。実に愉快だ。 「頭じゃねえ、足を狙いやがれ!」 言いつつ、なんとか右腕に取り付こうとする。なかなかうまくいかねえ。 「相棒、足から登ればいいんじゃねえの?」 ついにぼけたかサビ剣。 「馬鹿、足なんかに取り付いたら手に潰されるぜえ!」 「ああもういい加減に諦めなさいよ!」 弾き損ねた火球がゴーレムの右足首に直撃する。 一瞬動きが止まるが、すぐに再生すればすむことだ。 しかし、セッコにとってその一瞬は十分すぎた。 右腕にとりつき駆け上がる。 「相棒馬鹿だけどすげーなあ」 「馬鹿は余計だぜえ」 一発で首を撥ねてやるクソ女。 「油断したわくそっ、ガキの癖に!」 使い魔の男が右腕を凄い勢いで登ってくる。捕まったら確実に殺される、そんなオーラを全身から発散させながら。 だが、もっとヤバイ状況を腐るほど乗り越えてきたこの私は慌てない! 「……なあんてね」 フーケはゴーレムの右腕を、根元から切り離した。 「うおあああああああああ」 畜生、まさか切り離してくるとは思わなかったぜえ。 いや、あの再生能力を持ってすれば切り離すのが当然か。だが、腕が一本なければ足から登れるぜ! 「相棒―――!」 デルフリンガーが五月蝿い。ちょっと黙ってろ。 体勢を立て直し着地する。 「何度でも上ってやるぜフーケさんよおおおお」 「あんたの身体能力は本当に馬鹿がつくね!」 「ならいい加減に諦めやがれえ!」 「何のために」 「はあ?」 「あたしが何のために腕を切り落としたか分かるかい?」 「なに言ってやがんだあ?」 「このゴーレムはねえ、ダメージが[鈍い]のよ?すぐに[再生]するからねえ」 「それがどうしたああああ!」 「自然に、あんたが近づいて、なおかつ腕を切り落として不自然じゃあない状況!」 「なにわけわかんねーこといってやがんだああ!」 「[再生]するわよ」 「すりゃーいいじゃねえかよおお、その間に上ってぶっ殺してやるぜえ!」 「あんたごとね!!!」 「相棒、下だっ!!!」 下あ? 「オバアアアアアアアアアアアアアア!!」 まさか、そんな。オレが土ごときに! 「や、やりやがったなクソ女ああああああああ」 「負け惜しみならなんとでもお言い!」 畜生、勢いが早すぎる、すまねえサビ剣、もう持ってられねえ。 「プげッ」 「相棒ああああああああああああああ!」 乾いた音を立てて、デルフリンガーが地面に落ちた。 畜生、動けねえ……息もできねえ……なんだっけ……前もこんな…… ……おまえが行くのだセッコ、おまえの「……」がっ! なんだよ、オメー誰だ、どこに行くって言うんだあ? 「いけッ!」 しつけえなあ。動けねえって言ってんだろ? 「硬い」硬いのに沈んでいく。 そんなわけあるかよ。 「潜った」ぞッ! ああ、オレは潜り込まされてるぜ。 「地中に潜るまでもねえ」 そうか……オレは…… 「あははははは!あたしの方が一枚上手だったわね!ついでにあんた達もぶっ殺してやるわ!」 フーケが高笑いしている。畜生。 「ああ、もう終わりだわ……」 キュルケが泣きそうな顔でこっちを見る。ルイズは気絶したままだ。 シルフィードの元気がない。 「破壊の杖はある」 言い返してはみたが、この状況を何とかする術が思いつかない。 唯一ゴーレムと戦えていたセッコは、ゴーレムそのものに飲み込まれてしまった。 まだ何も、何も謎は判明してないのに。 あれ、どうしたんだろう? 「ゴーレムの様子がおかしい」 「本当ね。あの使い魔まだ生きてるのかしら?」 そんな馬鹿な。土に頭まで飲み込まれて生きている人間などいるわけがない。 「もっとしゃんとしなさいよ!あいつらに土の塊をお見舞いしてやりな!」 どうもゴーレムの動きが鈍い。魔力はまだ十分残っているというのに。 一体どうしたの、不純物が混ざったからかしら? 「勝利を確信したとき、そいつは既に負けている っつーのは誰の言葉だったかなあああ、畜生、思い出せねーぜ。オメーの言葉じゃねえのは確かだがなあー」 そんな馬鹿な。 今最も聞きたくない声が、足元から。 足元……? そんなわけがない。ここはゴーレムの肩の上だ。 きっと幻聴よ。珍しく苦戦したし。 「死ね」 違う、やはり後ろに誰かいる。 「うああああああああああああ!」 森の中にフーケの絶叫がこだまする。 そして巨大ゴーレムが崩れ落ちた。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
https://w.atwiki.jp/animefate/pages/20.html
(ああ! 腹が立つ! 腹が立つ! 腹が立つ! 死ね! 全員死ね! 心の中で笑ったやつ! わたしを馬鹿にしたやつ! あの場にいた全員! 残らず死ね!) 彼女の怒りはたとえ偉そうな騎士の尻を蹴り上げたとて収まらない。 壁に必殺パンチ、王冠蹴り上げスツールを破壊し、花瓶投げつけ文鎮ぶん投げ腹立つ腹立つ。 破壊活動は疲れるだけで一切無為。部屋が荒れて困るのはわたし。かえって苛立ちが募るだけ。死ね。 学院付きのメイド達だって内心わたしを馬鹿にしてる。そうに決まってる。 わたしが連中の立場なら笑う。まず笑う。魔術の使えない魔術師がいたら絶対笑う。 そもそもの原因はタバサにある。あの人形娘が大鷹なんて召喚したりしなければわたしもその気にならなかった。 人形娘が大鷹ならわたしは獅子くらい召喚してしかるべきじゃない。 ま、かるーく鉄仮面のビビッた顔見てやろうと思ったわけよ。なのに結果これ。 なめてるの? なめてるんだね? 何よこれ。なにも召喚できないってなによそれ。馬鹿。死ね。 彼女の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 ヨーロッパ西部に位置するトリステイン王国屈指の名門貴族であるヴァリエール公爵家に生まれ、 全世界の魔術師を束ねる魔術協会総本部、ロンドン『時計塔』と肩を並べる名門トリステイン魔術学院に席を置く。 この学院では進級試験として、使い魔召喚の儀式を行う。 使い魔はサモン・サーヴァントの術で召喚されるが、使い魔は魔術そのものが決定するとされ、術者本人は相手を選ぶ事ができない。 召喚される使い魔は多くの場合ヨーロッパに生息する動生物などで、術者の系統と近しい物が召喚されるケースが多い。 サモン・サーヴァントは一度限りの試験であり、再びサモン・サーヴァントを行うことは許されない。 そもそもなにも召喚できないと言った事例はまず滅多に起こることではなく、『ゼロのルイズ』はトリステイン魔術学院史の恥部として名を残すこととなった。 『錬金! あ! ボカーン! 錬金! あ! ボカーン! 失敗です! ゼロだけに失敗であります!』 『ルイルイルイズはダメルイズ。魔法ができない魔法使い。でも平気! 女の子だもん……』 『ゼロのルイズ』の蔑称は、幼少時から魔術に失敗し続けたため、彼女の魔術の才能が皆無であるとされたことから付けられた。 しかし魔術で失敗しているから劣等生というわけではなく、人一倍頭の回転が速い彼女は実践座学ではほぼ学年トップの成績を収めている。 そんなルイズにとって自分より少し魔術ができるだけの、たいした家柄でもない生徒たちに見下されバカにされることほど頭にくることはなかった。 そんな折に始祖ブリミルはルイズに絶好の機会を与える。 発端は郵便課の手違いだった。 学院長オールド・オスマン宛てのその手紙には、近く極東の地で行われる魔術の競い合いに、学院長の推薦する人物一名を選出してほしいとの旨が記述されていた。 その『聖杯戦争』なる競技の詳細をルイズは徹底的に調べ上げ、その驚くべき内容に興奮を隠せなかった。 セイバー・アーチャー・ランサー・ライダー・キャスター・アサシン・バーサーカー。 無限の願望機『聖杯』の力を借り過去未来異世界、様々な世界の英雄を7つのクラスに別け現界させ、使い魔として戦わせる命懸けのバトルロワイアル。 野蛮な行為であるが、ルイズが名誉を挽回するためにはまさに天が与えた好機と思えた。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが聖杯のもたらす栄光を掴んだとき、これまで散々彼女をバカにしたクラスメイトたちはみな足元に平伏し羨望の眼差しを送ることだろう。 勝利の栄冠を得た自分を夢想しながら、その日のうちにルイズは荷物をまとめトリステインから極東の島国、日本へと飛んだ。 ――11月20日 ルイズの寝覚めは最悪だった。 極東におけるヴァリエール家別邸、フランソワーズ城。 森に囲まれたこの城に辿り着くまでがまず大変だったし、長年放置されていた別邸は汚れも溜まり、とてもじゃないが住めるような状態ではなかった。 使用人の一人や二人連れてくるんだったと早くも後悔しながらルイズは掃除を始める。 しかし洗濯から掃除まで何から何まで使用人任せにしていたルイズにその労働はあまりに過酷だった。 結局使用する予定だった部屋の掃除を諦め、使用人が使う小ぢんまりとした部屋に荷を置いた。 夕食を取ろうとしても備蓄された食料は缶詰以外食用に適さない状態となっており、薪を切らねばならないとあっては暖炉で温まることもできない。 だがそんな先日の不快感も右手の甲を見れば吹き飛んでしまう。今朝浮き出た、サーヴァントを従えるマスターたる証、『令呪』がはっきりと宿っている。 冬木の地にあり、充分な魔術の素養を持つ自分を聖杯が見逃すことはなかったということだ。当然のことと言え頬が緩んでくるのを抑えきれない。 ルイズは暖かなベッドから抜け出すと寝巻きを着替え準備を始める。 『ゼロのルイズ』という名を終わらせ、そして新たな自分が始まるための一歩。 サーヴァント召喚の儀式のための準備を。 水銀を用い、フランソワーズ城礼拝堂に模様を描く。模様には一切の歪みやムラはない。 座学ではトップの成績を誇るルイズが慎重に慎重をきして作り上げた召喚陣なのだ。 ミスタ・コルベールがこの場にいればきっと満点をくれたことだろう。 「告げる――。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に!」 クラスメイトたちの嘲笑、『ゼロのルイズ』という不名誉な二つ名。 私の受けた屈辱を何倍にもして返してやる。あいつらに吠え面かかしてやる。 「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」 大気に含まれる純然たる魔力が身体に流れ込んでいく。 だが足りない、まだ足りない。こんなものでは強力なサーヴァントは召喚できない。 自身のキャパシティを越える膨大な魔力を抽出し、限界まで加速させていく。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 神聖で、強力な使い魔よ! 我の運命(さだめ)に従い、導きに応えよ!」 召喚の模様が輝きを放ち、次いで巻き起こったのは雷鳴でも突風でもなく閃光を伴う大爆発。 始祖ブリミルが描かれたステンドグラスは震え、儀式のために用意した祭壇は跡形もなく砕け散る。 失敗――。あってはならない言葉がルイズの脳裏に浮かぶ。 「――ほっほ、これはまた可愛らしいマスターに喚び出されたものですなぁ。」 もうもうと巻き上がる煙が収束し、そこに佇むのは初老の男性。 モノクルをかけた、1000人中999人が執事と断言するであろうその姿。 「えっ――ちょ、そんな……これって……」 「我がクラスはアサシン。真名はウォルター・クム・ドルネーズ。聖杯を臨むものとして、微力ながらお仕え致しましょう。」 面食らうルイズを前に老人は忠節を示すかのように甲斐甲斐しく礼をする。 アサシン――暗殺者のサーヴァント。しかもお爺ちゃんって……。 ルイズが夢想していたのもちろん最良のサーヴァントと呼ばれるセイバーであり、自分こそがふさわしいと確信していた。 召喚には成功したものの、理想と現実のあまりの違いに身体から力が抜けていく。 「少々乱暴な召喚でしたが供給される魔力量は充分。 差し当たっては諸所の確認などを済ませたいのですが……お嬢様、如何がなされました?」 僕に対する返答をすることなく、ルイズはゆっくりとその意識を手放していく。 ――聖杯戦争。何百年も昔から繰り返される大儀式。 参加すれば他の6人を排除しなければならない生き残りをかけた戦い。 聖杯戦争がいつから始まったのかは分からない。 ただこの冬木の土地に聖杯が在るとされ、過去何人もの魔術師たちが技を競い合ったという。 目的はただひとつ、聖杯と呼ばれる宝具を手にせんがため。 聖杯に選ばれた魔術師はマスターと呼ばれ、マスターは聖杯の恩恵により強力な使い魔を得る。 それが聖杯戦争と呼ばれる儀式、魔術師たちによる争奪戦。 7騎のサーヴァントが揃った時、聖杯戦争は開始される。 もう時間がない。 最後のマスターがいつ現れるかは分からないけれど、それはもうすぐそこまで迫っている――。 「ん――――うぅ……?」 怠い……召喚の時にかなりの魔力を持っていかれた。 ぼんやりとしたままベッドから起き上がり、時計を確認すると正午少し前を指している。 召喚の儀式を行ったのが午前5時だから、たっぷり6時間は寝た計算になる。 「おや、お目覚めになられましたかなお嬢様。 寝覚めに紅茶は如何ですか? それとも寝起きはコーヒー派だったり? お望みであれば軽食などご用意いたしますが……。」 わたしのサーヴァントはすぐそこにいた。 うん、なんだろう。いろいろ言いたいけどまず部屋がすごく綺麗になってる。 長年積もり積もった汚れが消失し、建築されたであろう当時の美しさを蘇らせている。 シーツも下ろしたてみたいで……そもそもこの部屋は昨日寝た使用人用の犬小屋みたいな部屋じゃない。 城の主人(つまりわたし)が使うための、一番立派な部屋。 「誠に勝手ながらお嬢様にふさわしい私室として少々手を入れさせていただきました。 他に食料、茶葉なども不足しておりましたので、お嬢様のポケットマネーより必要経費を頂戴した次第。 汚い部屋がお好きだったり、悪魔城のような居城がよかったと申されるならば令呪を用い、いかなる刑罰でもお与えください。 私めの不徳がなすこととして、いかなる処罰でも受けましょう。」 こうまでされると感心を通り越して感動を覚える。 貴族として従者やメイドはたくさんいるけどこんな完璧な執事は初めてだ。 もし執事のランクがあるなら間違いなくA+になるだろう。 くぅ――、とお腹がなった。 そういえばまだ朝食も済ませていない。 わたしの虫の音を聞きウォルターは笑うと、“すぐにご用意いたします”と部屋を後にした。 理想とは少し、いやかなり違うけど悪くない。少なくとも従者としては文句ない。 それに今更やり直しなんてできないんだから、うじうじ悩んだってなにも始まらないのだ。 サーヴァントを召喚したばかりの今日は満足に動けそうにない。 本格的な戦いは明日からにして、今日はウォルターと今後の方針を話し合うことにしよう。 『ゼロのルイズ』と『使い魔』の物語はこれより始まる。 7人のサーヴァントと7人の魔術師の、聖杯戦争という物語が……。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1518.html
貴族狙い専門の盗賊、「土くれ」フーケはこの学院に潜入してからの日課である宝物庫のほころび探しを今日もやっている。 強力な固定化がかかっているとはいえ、物理的な衝撃への魔法防御はされてないまでは判明したものの、壁の厚さ自体が数メイルもあるせいでなかなか難しい。 破壊するだけなら破城槌を練成して、得意のゴーレムに振り回させればいいのだが、中のお宝が無事ではすまない可能性が高いためなるべくやりたくない。 先週の決闘騒ぎで塔の一部が崩れたときは狂喜乱舞したが、 よく確認すると微妙に宝物庫からずれていて結局涙をのんだ。 いい加減潜伏も疲れてきた、何とかしなければ…… そうだ、力の掛け方を変えればどうだろうか。 「ねえ、セッコ。」 「何だ」 「何で昼あれだけ厳重に縛ったデルフリンガーの鞘が外れてるのよ。」 「うるせー娘っ子、あんな縛られたら苦しくて生きていけねえや。」 ああもうウザい! 「情報が得られねーかな、と思って」 「この様子じゃ全く期待できないんだけど。 だってさっきから何聞いても、わからん・覚えてねえ ばっかりじゃない。 固定化がサビる程の年月経過してるくせに記憶喪失とか、本当に使えないわね。」 「覚えてねーもんは仕方ねえだろが!なあ相棒!」 「それ言われたらオレも記憶喪失なんだけどよおー。」 あ゙―そういえばそうだった…… 「まあ若いんだから気にすることないわ。」 「わかった。」 「少しは気にしろよ相棒!」 「少なくともあなたが言うセリフじゃないわよ!」 とりあえず鞘で思い切りぶん殴る。 「プゲッ」 相変わらず叫び声が汚いわね。超硬いし、殴られ屋でもやらせようかしら? 「ひでー ひでーよ!」 本当に使えないわこいつ。 記憶を取り戻す魔法とかないのかしらね、喋らせる薬や魔法はアホほどあるのに。 とりあえずデルフリンガーを鞘にしまう。 セッコが嫌そうな顔をしたので、縛るのは止めといた。わたし優しいわね。 「ルイズ」 「なによ。」 「変な音がするぜぇ」 「何も聞こえないわよ。」 「オメー耳が悪いな」 「あなたが良すぎるのよ。で、どんな音?」 「ドリルが回ってるみてーな感じ。」 「どりるって何よ。」 「壁とか鉄板とか硬い物に穴あけるもの」 「聞いたことないわね。」 「この辺には無いんじゃねーの?多分」 「なんで無いものの音がするのよ。」 ああ、気になるわ 「見に行かない?案内して。」 「わざわざ行くのかよぉ」 「そもそもあなたが変って言ったんじゃない。行くわよ。」 「……わかった。」 所変わって女子寮5階。 「タバサの方から私を呼ぶなんて珍しいわね。」 本当に珍しい。 「ルイズ・ヴァリエールの使い魔を調べて欲しい」 「は?」 「気になる。部屋、隣。」 タバサってばあんなのがいいのかしら? ま、外見以外はタバサと似てなくもないかもしれないけれど。ご飯優先とか。 「応援するわよ。」 「勘違い。」 「あ、能力ってことね。せっかくタバサにも春が来たと思ったのに、残念。」 相変わらず固い子ねぇ。まあそこがいいって人もいるかもね。 「キュルケ。」 突然タバサが私を引っ張る。 「ちょっと、どうしたのよ?」 さらに引っ張られる。 「な、なによあれ……」 窓から見えたその光景は、いろいろと不自然だ。 まず巨大ゴーレムが学園内に居る時点でおかしい。 宝物庫ってあの辺りだったかしら?泥棒? それはまだいい。 そのゴーレムは遠目では微動だにしてないように見える。 いくら巨大ゴーレムとはいえ、あの宝物庫の壁は簡単には破れないはず。 壁を破るならもっと激しく動いているはずだし、 既に首尾が終わっているならあんな目立つ物を残す理由がない。 「変。」 そうね、どう考えてもおかしいわよね。 「どうする?」 「見に行く。」 そう。 いけるとは思った。我ながら素晴らしい思い付きだったわ。 でも……でもねえ…… 「うふふふふふ」 まさかここまで効果抜群なんてねえ……もしかして私って天才? これ、もしかして歴史に残るんじゃないかしらあ? 回転を、力に!一点集中!!! 着実に宝物庫の壁は削れていく。 もう少しで[破壊の杖]に手が届く! 建物から出てきたルイズたちの見たものは。 「な、なによあの巨大なゴーレム」 「やっぱドリルの音だったじゃねーか」 ゴーレムの影に人がいるみてーだな、女か? ルイズに言ったら追いかけかねないし黙っとくかぁ。 「おでれーた……」 左腕を高速回転させながら宝物庫の壁に突っ込んでいる、 身長30メイルはあろうかというゴーレムだった。 タバサとキュルケはシルフィードに乗り、上空からそのゴーレムを観察していた。 「でかいわね」 「フーケ?」 「タバサもそう思う?」 「かなり」 「ところで、あのゴーレム崩れ始めてない?」 「……」 ヤバい、人の気配がしてきたわ、急がないとねえ。 ん、手ごたえが変わった!貫通したかしら? すばやく宝物庫に滑り込み、犯行声明を刻む。 「破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ。」 次に壁を破るときも、あの技を使うことにしよう。 なんか名前でもつけてやろうかしらね? 自分の発想に乾杯。 そんなことを思いつつ、フーケは闇の中へ消えていった。 「と、止めなきゃ!ファイアボール!」 よし、命中! 失敗の爆発だけど。 「「おい」」 「何よ!ファイアボール!」 ああ、外れたわ。 爆発だけど。 「よく見ろ、何もしねーでも崩れてるぜぇー」 「え?」 「え、え、ええ!」 ゴーレムが こっちに向かってくる。 いや、こっち側に向かって崩れてくる…… 「きゃああああ」 ドビチャャアアアア 「うおおおわあ、っとと」 「危なかったなー相棒。」 「うおう」 「なあ、相棒、相棒の主人はどこ行った?」 「おあ」 「ちょっと……早く助けなさいよ……」 先走って突撃したルイズは、崩れてきたゴーレムの土をもろに被って首まで埋まっていた。 「無様ね、ルイズ。」 「きゅいきゅい!」 「……」 「なんであなた達がここにいるのよ。 私を助けにきたんなら早く掘り出してちょうだい。」 「通りがかっただけよ。」 「誰でもいいから助けなさいよ!セッコもボーっと見てないで!」 「アレ……」 セッコが宝物庫の方を指差している。 人間は首を180度回せないのよ、見えないわ。死ね。 「あの宝物庫の壁があんなになるなんて、何をしたの?」 「最低でもトライアングル。」 「いいから早く助けてよ!」 何とか掘り出してもらって宝物庫を見る。 壁が、円形にくりぬかれていた。 翌朝。 トリステイン魔法学院では、昨夜からの蜂の巣をつついた騒ぎが続いていた。 何せ、秘法の破壊の杖が、ゴーレムで壁をぶち破るなどという無茶な方法で破られたのである。 宝物庫には、学院中の教師が集まって口々に好き勝手なことを言っている。 「土くれのフーケ!貴族の財宝を荒らしまくっているとか! 学院にまで手を出すとは、なんと不遜な!」 「衛兵は一体何をしていたんだね?」 「いや当直は誰だ!」 「寝てたわ!ああ寝てたわよ!でもあんたも一昨日当直サボって 酒かっくらってたじゃない!人の事言えるの!」 「あまりわめき散らすでないぞ。ハッキリ言って油断してた全員が悪いわ。 わしも含めてのう。」 学院長老オスマンの登場により、ようやく静寂が訪れた。 「で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」 オスマン氏が尋ねる。 「この3人です」 コルベールがさっと進み出て、自分の後ろに控えていた3人を指差した。 ルイズにキュルケにタバサの3人である。 デルフリンガーとそれを持ったセッコもそばにいたが、 というか最初に異常に気づいたのはセッコなのだが…… やはり「使い魔」は人として数えられないらしい。 「ふむ……君たちか。」 オスマン氏はふと興味深そうにセッコを見つめた。 なんだぁ?このジジイホモの気まであんのか? 口には出さないことにして、少し睨みつけておく。 オスマン氏が視線を外し、再び口を開く。 「詳しく説明したまえ。」 ルイズが進み出て見たままを述べた。 「あの、大きなゴーレムが壁に穴を開けていたんです。 近づいてみたときには既にモノは盗まれた後みたいで、 ゴーレムは崩れ始めていました。」 後ろで2人と1匹?と1本がうなずく。 「黒い服を着た人影をチクリとだけ見たぜ。」 セッコが補足した。 「ふむ……」 オスマン氏がヒゲをねじって遊んでいる。 「後を追おうにも、手がかりナシかのう……」 それからオスマン氏は、気づいたようにコルベールに尋ねた。 「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」 「それがその……朝から姿が見えませんで。」 「この非常時に、どこに行ったのじゃ。」 「どこでしょう?」 そんな風に噂をしていると、ちょうどミス・ロングビルが現れ、後ろから声をかけてきた。 「朝ここに来る前、フーケについて調べろと私に言ったのはオールド・オスマンじゃありませんか。今まで聞き込みしてたんですよ!」 コルベールがかわいそうな目でオスマン氏をチラ見し、そして視線をそらした。 「あ、ああ、そういえばそうじゃったの。それで首尾はどうじゃね?」 「はい、フーケの居所がほぼ分かりました。」 「な、なんですと!」 コルベールが、素っ頓狂な声を上げた。 「誰に聞いたんじゃね?ミス・ロングビル。」 「はい、近在の農民に聞き込んだところ、 近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです。 おそらく、彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと。」 オスマン氏は、目を鋭くして、ミス・ロングビルに尋ねた。 「そこは近いのかね?」 「はい、徒歩で半日、馬で4時間といったところでしょうか。」 「すぐに王室に報告しましょう!山狩りです!」 コルベールが叫んだ。 オスマン氏は首をひねると目をむいて怒鳴った。さっきまでとはえらい違いだ。 「ばかもの!王室なんぞに知らせていたらその間に逃げられるわ! その上……宝物庫が破られたなど、魔法学院の立場が更に悪くなる、 冗談ではない!当然我らで解決する!」 ミス・ロングビルは微笑んだ。まるでこの答えを待っていたかのように。 「では、捜索隊を編成する。我と思う物は、杖を上げよ。」 「なあー、ルイズよお、何でわざわざ志願したんだあ?」 ミス・ロングビルが引く馬車の中で、セッコはルイズに訪ねた。 タバサとキュルケも首を縦に振り、デルフリンガーがカタカタと揺れる。 「だって、誰も挙げなかったじゃない。」 「確かに学校の先生なんて信用できねえけどよおー」 デルフリンガーが横から口を挟んだ。 「とりあえず娘っ子はあの二人に礼を言うべきだと思うぜ。」 「うるさいわね剣の癖に!あとせめて名前で呼びなさいよ! タバサはともかく、ツェルプストーに礼なんて……っ!」 「オレにはスゲー仲よさそうに見えるけどなあ。」 「んだ」 デルフリンガーがセッコに頷く。 (なーデルフリンガー) (何だ相棒。) (あの人影は確かに女だと思ったんだが、[フーケ]って男なのかぁ?) (俺様って目はあまりよくねーんだよ。) (使えねーなあオメー) (おめーこそ剣に視覚を期待すんじゃねーよ馬鹿野郎。) (ねえ、タバサ、あんたもなんで志願したのよ。) (気になる) (ルイズが?そもそもタバサとあいつが知り合いだったことに驚いたけど。) (違う) (ああ、大体分かったわ。あんまり危ないことしちゃダメよ。) タバサとキュルケがこそこそ話している。 なんだかわたしだけ仲間外れみたいじゃない。まったく。 そもそもあの状況で誰も志願しない先生達ってのはどうよ。 ああもう。着くまで寝とこうかしら。 所変わって学院長室。 「オールド・オスマン?」 コルベールが尋ねる。 「彼女達を行かせてよかったのですか?」 「仕方ないじゃろう。他に誰もおらんかったんじゃし。 ま、生徒とはいえミス・タバサとミス・ツェルプストーはトライアングルじゃし、急襲すれば大丈夫じゃろ。 それに、あの使い魔の印が本物かどうかも確かめたいんじゃ。 もし、[ガンダールヴ]そのものなら単体でもフーケごときに遅れを取ることはあるまいよ。」 コルベールの顔は浮かない。 「まあ、そうですが……」 「わしは学院を離れられんし、コルベール君が戦いたくないというのではなあ」 「ううむ……しかし……」 「何か気になることでもあるのかね。」 「あの宝物庫の壁ですよ。フーケはラインかトライアングルという説が一般的ですが……あの穴はどうやってあけたんでしょう?」 宝物庫の壁にはスクウェアの「固定化」が何重にもかかっている。 ゴーレムでぶん殴るにしても、あんな綺麗な穴になるわけがない。 「いくらなんでもスクウェアってことはないと思うんじゃが。」 「いや、それはそうなんですが。」 これ以上オスマン氏に愚痴を言っても始まるまい。 コルベールは学院長室を後にした。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1260.html
夜。ギアッチョはベランダの手すりに背中を預けて、あおむけに空を見上げていた。 「一つだけの月なんざ、もう長く見てねえ気がするな・・・」 片手に持ったワインを飲み干して、柄にもないことを考える。 グイード・ミスタとジョルノ・ジョバァーナ、あの二人と戦った夜、たった一つの地球の 月は自分を照らしていたのだろうか。ついぞ空など見上げなかったことを思い返して、 ギアッチョは首を振る。 黒い手袋に三角形に覆われた己の右手に、ギアッチョは眼を落とした。この手で 無数の人間を葬って来たことを思い出す。対抗組織の人間を、彼は腐るほど 殺して来た。しかしその一方で、組織の障害となるというだけのやましいところの ない人間をその手にかけたことも一度ならずあった。 罪悪感はない。後悔もない。ギアッチョは、ただ生きたかっただけだ。パッショーネの 庇護なしには生きられない世界に絶望し、殺さなければ生きられない世界に絶望 しても尚、ギアッチョは生きたかった。唯一つの拠り所で、リゾットのチームで、 なんとしても生き抜きたかった。だからギアッチョは、人が牛を、豚を、鶏を 殺すように人を殺した。殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して――そして最後に殺された。 この世を修羅道と見紛わんばかりの凄絶な人生だった。ギアッチョにとって殺人は、 もはや呼吸と同じほどに当たり前の行為としてその身に染み付いている。まともな 人の心など、とうの昔に消え去ったはずだった。 しかし。 ならばなぜ、自分はルイズに付き従っているのだろう。ルイズを庇い、叱り、助けた のだろう。ギーシュを殺さなかったのは何故だ?キュルケを叱ったのは?タバサを 助けたのは? リゾットチームのほかには、ギアッチョの世界には彼にとってどうでもいい人間か、 そうでなければ殺すべき人間しかいなかった。何故なら彼は暗殺者だったからだ。 イタリアにいてさえ、彼は災禍を振り撒く魔人だった。魔人であらねばならなかった。 別の世界に召喚されようが、使い魔として契約をしようが、彼の思考は、言動は 暗殺者としてのものだった。キュルケが殺されようが、タバサが身代わりに なろうが、ルイズが死んでしまおうがどうでもいいはずだった。なのに、何故自分は 彼女達を助けた? ――・・・贖罪のつもりってわけか? 後悔していないと思っていても、どこか心の奥底でわずかに罪悪感を感じていたの だろうか。彼女達を助け導くことで、無数の犠牲者への罪滅ぼしをしているのだろうか。 しかし、ならば死ねばいいだろう。例え何万人の命を救ったところで、ギアッチョが 殺した人々が蘇るわけではない。彼らが願うものは唯一つ、ギアッチョの死である はずだ。 それもいいかもな、とギアッチョは思う。イタリアに戻ったところで、もうどこにも彼の 居場所はない。そしてイタリアで生きる意味も、もはやありはしない。仇を討つ意味も また、存在しない。彼らはその命と誇りの全てを賭けて戦い、そして負けたのだから。 みっともなく再戦を挑むなどということは、彼らを侮辱する行為でしかないと ギアッチョは思っている。 ブルドンネ街のあの薄汚い裏路地のような場所で、惨めに哀れにのたれ死ぬこと こそが、自分に相応しい末路だ。この手で消した数え切れない命は、もはや ギアッチョが一秒でも早くその命を絶つことを願っているだろう。 ベランダから地面を見下ろして考える。氷の槍を作って飛び降りれば、それだけで 死ぬことが出来るだろう。ギアッチョは虚ろなまなざしで、数秒地面を見つめた。 ゆるゆると、実に緩慢な動作でギアッチョは顔を上げる。引き結ばれていたその 口からは、「・・・クッ」という声が漏れる。 「クックック・・・ どこにでもいるもんだよなァァ 全く度し難い人間ってのはよォォーー」 全然理解が出来ないことだが、自分が死ねばルイズはまた泣くだろう。自分を 友だと言ったギーシュはどうだ?キュルケとタバサは?一体どんな顔をするものか 自分には分からないが、バカみたいに真っ直ぐな奴らだ、また突っ走って危ない目に 遭うだろう。任務の情報が漏れている上に既に刺客が差し向けられていることを 思い出して、ギアッチョはやれやれと呟いた。結局自分は、どこまでも悪人なのだ。 いくら罪悪感を感じようが、いくら良心の呵責に苛まれようが、結局は自分の意思で 己の生死を決定出来る。自分の意思の赴くままに何かをすることに、微塵の躊躇も ありはしない。 ギアッチョは静かに笑いながら、己の左手に眼を向けた。そこに刻まれたルーンは、 使い魔の契約の証だった。 ――オレがこの手で命を救ったんだぜ 笑える冗談じゃあねーか ええ?おめーら・・・ リゾットの奴は責任をまっとうしろと言うだろう。プロシュートの野郎はマンモーニを 鍛え直してやれと言うかもしれない。メローネのバカはオレと代われと言いそうな 気がする。イルーゾォは、ホルマジオは、ペッシは、ソルベは、ジェラートは・・・。 地獄で自分を笑っているであろう仲間達を思い浮かべて、ギアッチョはフンと鼻を 鳴らす。この任務の間だけは、面倒を見てやろう。ギアッチョは今、そう決定した。 コンコンという音に、ギアッチョは部屋の入り口を見る。断続的に続くその音は、 扉から発されていた。 「入りな」 という彼の声で部屋に入ってきたのは、ルイズだった。ギアッチョは彼女を確認すると、 すぐに視線を外してまた手すりにもたれかかった。ルイズはベランダまでやって 来ると、ちょっと心配そうな顔でギアッチョを見る。 「・・・ねぇ どうして負けたの?」 今朝の決闘で、ギアッチョはホワイト・アルバムを使いもせずに敗北した。まさか力が 使えなくなったのだろうか、なんて心配しているルイズである。 「ワルドの野郎を信頼するな」と言いかけて、ギアッチョは口をつぐんだ。ルイズが ワルドに向ける表情は、自分へのそれとどこか似ている。確定もしていないのに 迂闊なことを言うべきではないだろう。 何故そう思ったのか、そこに意識が至らないままギアッチョは言葉を返す。 「剣の練習だ」 「そ、そう・・・」 ルイズは納得したようなしてないような微妙な顔になるが、それ以上は何も 言わなかった。何も言わないまま、ギアッチョの隣で同じように手すりにもたれ かかった。ギアッチョはルイズに、不思議そうに一瞥を向ける。 「・・・何か用でもあんのか」 しかしルイズは答えない。色んな感情の入り混じった、結果としてどこか悲しげに 見える表情で、何も言わずに空を見ている。何か悩んでいるのだということは 容易に察しがついたが、言う気のないことを根掘り葉掘り聞く気はない。そこまで 考えて「根掘り葉掘り」についてブチ切れそうになったが、自制心をフルに活用して 抑え込む。空気を読んだギアッチョにあの世で仲間達は涙を流して喜んでいる かもしれない。 「・・・ギーシュ達は何をやってんだ」 何とはなしにそう尋ねる。ルイズは無理に笑顔を作ってそれに答えた。 「酒盛りしてるわよ 皆アルビオンへ行くのが楽しみみたい」 「遠足気分だな・・・あのガキ共はよォー」 そう言うギアッチョに、ルイズは「全くだわ」と笑う。二人して空を見上げたまま、 また静寂が流れ――、 「・・・・・・・・・私、結婚するの」 やがてぽつりと、ルイズはそう言った。 反応が気になって、ルイズはこっそりギアッチョを見る。いつもの無表情で、 ギアッチョは何も変わらず空を見上げていた。 「よかったじゃあねーか 憧れの子爵様だろうが」 ホントに喜んでいるのならこんな表情はするわけがない。そう分かっては いるが、彼女が一体何に心を囚われているのか全く分からないので彼としても そう言うほかはなかった。しかし何かを期待していたらしいルイズは、更に 悲しげな色を深めた眼を伏せて、一言「そうね」と呟いた。 これだからガキはなどと思いつつも、このままルイズを放置するのは気分が 悪い。仕方なく身体を起こすと、ギアッチョはルイズに向き直った。 「何を迷ってるんだか知らねーがよォォ~~ 言いたいことがあるなら言いな オレじゃあなくていい キュルケでもタバサでもギーシュでも、言いたい奴に ぶちまけろ あいつらなら真摯に聞いてくれるぜ・・・多分な 些細な感情のスレ違いから身を滅ぼしたバカをオレは何人も見てきた おめーがそうなっちまうのは気分のいいことじゃあねーからな」 己の眼を覗き込むようにしてそう言われて、数秒の葛藤の後、 頬を染めながら彼女は恐る恐る口を開いた。 「・・・・・・・・・あの ・・・・・・えっと・・・その ・・・・・・・・・じゃ、じゃあ言うわ・・・」 深夜の静寂に自分の心臓の鼓動が煩いほどに響き、ルイズは大きく 深呼吸をする。そうしてからその真っ赤な顔を怪訝な眼で自分を見ている ギアッチョに向けて、ルイズは怒鳴るような勢いで口を―― ズズンッ!! 開けなかった。素晴らしいタイミングで大地が鳴動し、ベランダの外に 二度と見たくなかった 巨大なシルエットが闇を切り抜いて姿を現した。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/374.html
愚者(ゼロ)の使い魔-1 愚者(ゼロ)の使い魔-2 愚者(ゼロ)の使い魔-3 愚者(ゼロ)の使い魔-4 愚者(ゼロ)の使い魔-5 愚者(ゼロ)の使い魔-6 愚者(ゼロ)の使い魔-7 愚者(ゼロ)の使い魔-8 愚者(ゼロ)の使い魔-9 愚者(ゼロ)の使い魔-10 愚者(ゼロ)の使い魔-11 愚者(ゼロ)の使い魔-12 愚者(ゼロ)の使い魔-13 愚者(ゼロ)の使い魔-14 愚者(ゼロ)の使い魔外伝 愚者(ゼロ)の使い魔-15 愚者(ゼロ)の使い魔-16 愚者(ゼロ)の使い魔-17 愚者(ゼロ)の使い魔-18 愚者(ゼロ)の使い魔-19 愚者(ゼロ)の使い魔-20
https://w.atwiki.jp/4423/pages/339.html
編集する。 カウンター - 2024-09-03 03 40 07 (Tue) ゼロの使い魔の用語は、 * * * * * * リンク * * * * * * [[]] [[]] リンク コメントログ 名前 コメント 編集する。 出典、参考
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1304.html
「ちょっと、どこ行くのよ」 ゴーレムの肩から飛び降りようとする仮面の男に、土くれのフーケは非難めいた 口調で問いかける。 「ヴァリエールの娘を追う」 「わたしはどうするのよ」 「貴様は時間を稼げ 船が出港したならば後は好きにしろ」 合流は例の酒場で、と最後に言い残して男は宵闇に消えた。 男の去った方向を忌々しげにねめつけて、フーケはチッと舌打ちする。 「勝手な男だね全く・・・ま、これであいつともおさらば出来るわけだけど」 一方酒場では、降り注ぐ矢の雨にその身を晒しながらギーシュのワルキューレが 厨房へと走っていた。次々と突き刺さる鏃に身体をよろめかせながらも、どうにか 目的地へと辿り着く。 「本当にそう上手くいくかなぁ」 とぼやきつつも、ギーシュはキュルケの指示を遂行する。ワルキューレを操って 油の張られた鍋を乱暴に掴ませ、入り口に向かってそれを投げさせた。 「弱気になってちゃ、出来るものも出来なくなるわよッ!」 語尾に気合を込めてそう言うと、キュルケは素早く立ち上がって入り口に ぶちまけられた油に点火する。こんな時でも余裕を忘れない表情でキュルケが 再び杖を振ると、威勢のいい音を立てて炎が燃え上がり、今まさに中に踏み込もうと していた傭兵の一隊に容赦なく襲い掛かった。ごうごうと唸りを上げて燃え盛る 火炎に巻かれて一も二もなく逃げ出す彼らに、キュルケは追撃の手を休めることなく 杖を掲げて呪文を唱え続ける。敵に身を晒す彼女に罵声と共に無数の矢が射掛け られるが、とっくに読んでいたと言わんばかりにタバサが風で弾き飛ばし、その風を 使ってそのまま敵陣に炎を運び込む。怒涛の如く攻め立てる猛火に隊としての 統率もなくして逃げ回る彼らを満足げに眺めて、キュルケは優雅に一礼した。 「名もなき傭兵の皆様方 こんなにたくさんの鏃、わたくしとっても感激しましたわ お礼と言ってはなんですけれども、この『微熱』のキュルケ、精一杯お相手させて いただきますわ」 意思を持つかのように自由自在に襲い掛かる炎に、魔法の使えない傭兵達は 弓矢を放り出してなすすべもなく逃げ出した。どこからか調達した水をかぶって 突撃を敢行した一団もあったが、それもタバサのエア・ハンマーで丁重に追い 返されていた。そんな様子を俯瞰して、フーケは呆れたように首を振る。全く 使えない奴らだと思ったが、目的は足止めなので傍観を決め込むことにした。 そしてそのまま二分が経ち三分が経ち――五分が過ぎる頃には、殆ど全ての 傭兵が散り散りに逃げ出していた。 フーケはちらりと桟橋の方向に眼を遣る。船はまだ出港してはいないようだった。 「やれやれ・・・命を助けられた恩だけは返さないとね」 土くれのフーケは一つ嘆息してそう言った。 「十秒以内に出てきな!宿ごと潰されたくないならね」 聞き覚えのある声が上から降ってくる。ギーシュは不安げな顔で二人を見た。 「ど、どうする?」 「どうするって・・・出るしかないでしょ」 キュルケの言にタバサが頷いて同意の意を示す。フーケの秒読みが聞こえる 中素早く二言三言言葉をかわし、彼女達は入り口目掛けて一気に走り出した。 飛び出して来たキュルケ達を見てフーケは口を開いたが、その口から言葉が 出る前に彼女目掛けて逆巻く風に乗せて炎と石塊が撃ち出された。 「なッ!?」 いきなりの攻撃に面食らいつつも、フーケは自身にそれらが着弾する前に なんとかゴーレムの手を割り込ませる。 「このッ・・・ものには順序ってもんがあるでしょうが!」 怒りを露にして再び地面を睨むが、 「・・・!?」 彼女の視界には誰一人として映らなかった。 左下からゴォッという音が聞こえ、眼前の光景に驚きながらもフーケは 反射的にゴーレムの掌をその方向に向ける。当てずっぽうな動きでは あったが、そうして突き出された手は見事にキュルケの火球を受け止めた。 しかし一瞬遅れてキュルケを見たフーケは、またも目を疑った。その場に居た のはキュルケ一人――ギーシュとタバサはどこにも見当たらなかったのだ。 ――まさか!? フーケはゴーレムごと半壊した宿屋を向いていた身体を捻る。肩越しに見た 後方では、フーケに無防備に背を向けてタバサが疾走していた。タバサの 行く手からは、彼女の使い魔シルフィードが翼を羽ばたかせて猛然と 接近している。 「あの風竜で船まで逃げようってわけかい!そうはさせないよッ!」 フーケのゴーレムは乱暴に宿屋から崩落した岩塊を掴む。 ドシュゥゥゥッ!! その手から投げられた岩石は風を切り裂いてシルフィードに迫り、 「きゅい!?」 面食らった風竜は岩の弾丸を避けたまま、螺旋を描いて上空高く逃げて しまった。フーケはニヤリと笑うと、杖を振りながらタバサを見下ろす。 「ツメが甘いのよおチビちゃん!」 フーケの言葉に呼応するかのように、ゴーレムの足元からは四体の 甲冑の騎士が生まれ出す。武器を持たないその騎士達は、二体がタバサ、 二体がキュルケに徒手空拳で躍りかかった。二人はそれぞれ風と炎で 応戦するが、トライアングルの中でも上級に位置するフーケの錬金は そうたやすく破れるものではない。逃げ回りながら奮戦するタバサ達だが、 後ものの数十秒でフーケの騎士が彼女達を捕らえるであろうことは火を 見るより明らかだった。 大ゴーレムに続く騎士達の練成でかなりの精神力を消耗し、フーケは 若干荒い息を吐きながら笑う。 「諦めなさいな チェックメイトよお嬢様方」 「僕を忘れてないかい?ミス・ロングビル」 突如聞こえたその声にしまった!と心で叫ぶがもう遅い。フーケが声の する方へ振り返るのと、ギーシュのワルキューレが半壊状態のベランダ から跳躍したのはほぼ同時だった。フーケが呪文を唱える間もなく、 拳を振りかぶったワルキューレはその射程に彼女を捉えていた。 「女性に手を上げたくはなかったんだが、僕の友達の為なんだ 許してくれたまえ」 余裕ぶった口調と裏腹に、冷や汗をダラダラ流す顔を笑みの形に歪めて ギーシュが言う。その言葉にフーケが痛みを覚悟する前に、ワルキューレの 拳がフーケに容赦なく炸裂した。 「うぐッ・・・!!」 脇腹を強かに殴り抜かれて、フーケはゴーレムの肩から吹っ飛ばされた。 ――・・・ッ!中々のコンビネーションだわね・・・でも甘いわッ! 頭から宙に放り出されても、フーケは闘志を失くしていない。己の右手に杖が あることを確認し、冷静な心でレビテーションを―― 「きゃああっ!?」 いつの間にか接近していたシルフィードに腹をがっちりくわえられ、フーケは 思わず杖を取り落としてしまった。 「かかか、勝ったのかい僕達は!?」 「うるさいわよギーシュ ほら、よく見なさい」 キュルケとタバサに駆け寄って、興奮と不安の入り混じった口調で落ち着きなく 問い掛けるギーシュを軽くたしなめて、キュルケは楽しそうに宣言した。 「勝利よ わたし達のね」 杖を折られて、フーケは地面に横たわっていた。腰に両手を当てた格好で キュルケが正面から彼女を見下ろしている。緊張が解けたのかその場にへたり 込んでいるギーシュの横には、きゅいきゅいと嬉しそうに鳴くシルフィードの 頭を撫でて労うタバサがいた。 「シルフィードに岩を投げられた時は肝を冷やしたわ」 そう言ってキュルケは肩をすくめる。作戦が失敗したら、即座にシルフィードで 逃げるつもりだったのだ。シルフィード自体には当たらなかったが、あの投石は それでも十分すぎる効果を発揮した。もしギーシュの不意打ちが失敗していれば、 シルフィードが戻ってくるより早くキュルケとタバサはやられていただろう。 勝利を喜びながらも、彼女達は己の甘さを思い知った。 「さて、牢獄に叩き込まれる前に何か言っておくことはあるかしら?ミス・ロングビル」 一応杖を握ったまま、キュルケはフーケに尋ねる。フーケは勝者の余裕を見せる キュルケをキッと睨み―― 「お願い!見逃して頂戴!」 がばっと頭を下げた。予想だにしないフーケの行動に、キュルケは目を白黒させる。 「は、はぁ?何言ってるのよあなた」 「まだ売り払ってない盗品を全部あげてもいいわ!だからお願い!」 プライドも捨て去って殆ど倒れ込むような形で土下座するフーケを、キュルケは 信じられないといった顔で見下ろす。 「あなた、自分がしたこと忘れたわけ?わたし達を殺そうとしておいてよくもまぁ そんなことが言えたものね」 「そのことは謝るわ!本当よ!あの男・・・ギアッチョに殺されかけて、そして 地下の牢獄で死刑を待つ身になってわたしはようやく命の大切さを思い出したわ あんた達と同じ、わたしにも守るべき人がいる・・・ その子達の為にわたしは 死ぬわけにはいかないのよ」 フーケは必死の面相で訴えるが、キュルケは呆れたように首を振る。 「いい加減になさい 今時そんな嘘を一体誰が信じるって言うのよ」 「嘘じゃないわ!その証拠にさっきあんた達が宿から出て来るまで待ってた じゃない!やろうと思えば宿屋ごと踏み潰すことも出来たのよ!」 ギーシュは見ていられないという顔で、タバサはいつも通りの無表情でフーケを 見つめている。乱れた服の裾を直そうともせず、フーケは思わず同情して しまうほど哀れに助けを乞うている。キュルケもちょっと困った顔を見せたが、 破壊の杖の一件を考えるとフーケに同情の余地はない。 「・・・悪いけど、あれだけ躊躇なく人を殺そうとしてくれた後でそんなことを 言われても全く信じられないわ みっともない命乞いはやめなさいよ」 その言葉に、フーケは弾かれたように起き上がった。 「ッ!?」 「どれほど惨めだろうがみっともなかろうが・・・あの子達の為に私は生きなきゃ ならないのよッ!」 上半身を起こして、フーケは懐から何かを抜き放つ。双月を反射して鈍色に光る それは、およそメイジには縁のないもの――ナイフだった。 基本的に、メイジは剣を持たない。杖を差し置いて剣を持つなどということは、 杖で生きる彼らにとっては恥ずべきことであった。にも拘らずフーケは懐に ナイフを忍ばせ、迷うことなく引き抜いたのである。それに気付いてキュルケ達が 驚いた瞬間、フーケはシルフィードに飛び掛った。シルフィードに乗って何とか 逃げ切ろうとするフーケの賭けは、しかしタバサのウインド・ブレイクによって あっさり挫かれる。叩きつけられた風で彼女のナイフは後方へ弾かれ、彼女 自身もまた風を受けて仰向けに倒れこんだ。 「あぅッ!」 「・・・本当に、何としても逃げ出すつもりってわけね」 キュルケは一つ溜息をつくと、努めて感情を殺した顔でフーケを見る。 「だけどダメよ 今更あなたは信じられないわ」 「ほら、行くわよ!」 町の衛士に突き出そうと、キュルケはフーケの腕を取る。 「ま、待ってくれたまえ!」 しかしフーケを引っ張り起こそうととする直前、ギーシュがキュルケを呼び止めた。 「何よギーシュ、信じるって言うの?」 綺麗な顔に困惑の色を浮かべて彼女はギーシュを見る。ギーシュはまだ迷って いるようだったが、意を決して口を開いた。 「ぼ・・・僕はフーケを信じるべきだと思う 勿論彼女の行動が肯定出来る わけじゃないが、彼女の言っていることは僕にはよく分かるんだ」 その言葉に、フーケが驚いた顔でギーシュを見る。 「命を失うような目に遭えば、多かれ少なかれ人は変わる・・・僕もそうだった 散々馬鹿にされた挙句に自分の魔法で殺されかけて、僕はようやくルイズの 受けていた屈辱が理解出来た きっとフーケも同じなんだと思う 眼前に己の死を突きつけられて、彼女はやっと死の恐怖が理解出来たんだ そして、己の死によって彼女の言う守るべき人達が一体どうなるのか・・・ それすらも、彼女はそこで初めて理解したんだと僕は思う」 ギーシュは真剣な眼でフーケを見据える。 「・・・ギーシュ」 キュルケは何か言おうとしたが、この上なく真面目な彼の眼を見て黙り込んだ。 キュルケに申し訳なさそうな顔を向けて一言「ありがとう」と言って、ギーシュは フーケの前にしゃがみこんだ。 「フーケ・・・いや、ミス・ロングビル 僕にはあなたにメイジとしての誇りが あるかは分からない ・・・だから、あなたが守るべき人達にかけて誓って欲しい これからはその人達の為だけに生きると」 その言葉に、フーケは肩を震わせて俯く。その口から小さく、しかしはっきりと こぼれた「誓います」という一言に、ギーシュは満足げに頷いて立ち上がった。 「すまないキュルケ・・・でもきっと大丈夫だよ 僕には分かるんだ」 自信に溢れる笑みでそう言うギーシュに、キュルケは溜息をついて笑う。 「全く・・・あなたって、本当にバカよね」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/995.html
場面はあくまで無情に過ぎる。彼らの発言から、あれから二年の月日が流れ去ろうとしていることがわかった。 リゾット達のチームは、あの事件以来まさに首輪がつけられたような状態になっている。 ギアッチョの眼を通して、彼らに常に何人もの監視がついていることにルイズも気付いていた。 誰も口には出さないが、彼らの中ではどんどん絶望と諦念が大きくなってきている。 それが彼らの一つ目の変化だった。そして二つ目の変化は、チームに新入りが入ったことだった。 ペッシという名のその新入りは、その物腰から察するにおそらくはまだ少年の域を脱しない年齢の男で・・・ おそらくというのは彼には首と呼べる部分がどうにも確認出来ないため輪郭で年齢を判断しにくいからなのだが、とにかく彼はスタンド使いで、その才能を買われてリゾットの暗殺チームに配属されたらしい。 しかし彼は生来の気の弱さで、いつまで経っても見習いの域を脱しないのだった。彼は今、アジトの地べたに座らされてプロシュートに説教を喰らっている。 「プロシュートの奴・・・すっかりペッシの教育係みてーになってるな オレはてっきりお前の出番かと思ってたがよォー」 椅子に腰掛けたイルーゾォはそう言って隣に座るギアッチョに首を向けた。 「ああ? オレは他人に説教くれてやるような人間じゃあねーぜ」 両足をテーブルに投げ出すと、ギアッチョはそう言って鼻を鳴らす。 「説教なんてのは他人を気にかける心のある奴がするもんだからな・・・」 オレはそんな出来た人間じゃあねえと自嘲気味に笑って、ギアッチョはペッシに眼を向ける。イルーゾォはそんなギアッチョからすっと目線を外すと、 「オレはそうは思わないがな」 と冗談めかした笑いに乗せて呟いた。プロシュートとペッシを見ていた彼にその言葉は届かなかったようだが、彼女に・・・ルイズにだけはしっかりと聞こえていた。 ――わたしも・・・そう思うわ イルーゾォ・・・ ギアッチョは自分やキュルケ達を幾度となく怒ってくれた。ルイズは気付いている。それは教師達のようなゼロの自分への嘲りを含んだ怒りなどではない、人を侮辱するところのない真の怒りだった。 そしてそれは、合図のノックを足音代わりにやって来た。イルーゾォが開けた扉から入ってきたリゾットはまず周囲を見渡し、そこに全員が揃っていることを確認してから―― 「ボスに『娘』がいるという情報が入った」 自らの口で、終焉の開幕を告げた。 彼らがどんな反応をしたか、いちいち記す必要があるだろうか?ソルベとジェラートの仇を討つ為、己とチームの誇りの為、そして自分達が頂点に立つ為・・・彼らは命を賭けると『覚悟』した。 ――ルイズは奇妙な浮遊感を感じて周りを見る。自分の視点がどんどん上昇して行き、そして彼女の精神は蝉が羽化するように、徐々に・・・そしてやがて完全にギアッチョから離脱した。 おかしい、とルイズは感じた。彼女はこの夢はギアッチョが見ている彼の過去だと考えていたが、しかしそれではこの光景は一体どういうことだ? ブルドンネ街よりも広い、黒っぽい地面の大通り。両脇には見たこともないデザインの建物が立ち並び、その路傍には2.5メイル前後ほどの恐らく鉄製のオブジェがまばらに点在し・・・そしてその内のいくつかが派手に炎上している。 いつの間にか彼女はそれを上空から眺めていた。 上空?ギアッチョはレビテーションもフライも使えはしないはずだ。ならばこの視点は、一体誰のものだ? どういうことかと考え始めたルイズの思考は、直後彼女の視界に飛び込んできた情報によって綺麗に吹き飛んだ。 ――ホルマジオ・・・!! 炎上する大通りの真ん中に立っているのは、他ならぬホルマジオだった。 血塗れの顔と身体は炎に焼け爛れ、思わず眼を背けたくなるほど痛々しい姿になっている。1メイルほどの距離を開けて、彼はルイズと同年代ほどの背格好の少年と対峙していた。 「来い・・・・・・・・・ナランチャ・・・・・・・・・」 ホルマジオは少年に向けてそう言い放ち、そして数秒の沈黙が走り。 「『リトル・フィィィーート』!!」 「うおりゃあああああっ!!」 ――早撃ちの軍配は、少年に上がった。 「しょおおがねーなああああ~~ たかが『買い物』来んのもよォォーー 楽じゃあ・・・なかっただろ?え?ナランチャ・・・」 ホルマジオは二、三歩よろよろと後じさるとなんとか言葉を吐き出し、 「これからはもっと・・・・・・・・・ しんどくなるぜ・・・・・・てめーらは・・・・・・」 最期にニヤリと笑いながら、豪快な音を立てて倒れた。 ――始・・・まった・・・ 彼らの平穏を、ルイズは出来ればずっと見ていたかった。だがもう遅い。 彼らの死は今始まった。夢であるが故にルイズは眼を覆うことも耳を塞ぐことも出来ず、そしてそんな彼女を嘲笑うかのようにルイズの夢は次の場面を映し出す。 どこかの遺跡だろうか。あちこちが破損し壊落している石造りの建造物、そこにイルーゾォはいた。彼は敵のスタンドに首根っこを掴まれ、石壁にその身体を押し付けられている。ルイズの意識が彼を認識した直後、 「うわあああああああああああ!!」 恐怖一色に染められた断末魔を上げて、イルーゾォは見るも無残に「溶けて」死んだ。 ――いやぁああぁああッ!! ルイズは誰にも届かない声で叫ぶ。どうして、どうしてこんな殺され方をしなければならなかった?彼は確かに暗殺者だった。 だけど彼の心にはいつも仲間達への想いがあった。 彼は決して、このような哀れな死を遂げるべき外道などではなかった――! あまりにも残酷なイルーゾォの死に様に、しかしルイズが心の整理をつけるより早く。彼女を嘲笑うかのように、場面はあっさりと次へ飛んだ。 車輪のついた、長方形の長大な箱。プロシュートはその箱と車輪の隙間に引っかかるようにして横たわっている。 全身からはおびただしい量の血が流れ、その片足は有り得ない方向にひしゃげていた。 そして彼に重なって横たわるプロシュートのスタンドは、その指が、身体が、頭が、止まることなく崩れ続けている。誰がどう見ようが、瀕死だった。 「栄光は・・・・・・」 プロシュートはうわ言のように言葉を紡ぐ。 「・・・・・・おまえに・・・ ・・・ある・・・・・・ぞ・・・」 彼は正に死のその間際まで、ペッシのことを忘れなかった。「オレはお前を見守っている」と、彼はそう言った。 瀕死のプロシュートには、スタンドの発現は恐らく相当身体に負担をかけているはずだ。しかし一人戦うペッシの為に、 そしてチームの栄光の為に、彼は決してスタンドを解除しなかった。 だが、ペッシは―― 「このままで・・・・・・・・・・・・ガブッ・・・」 口から大量に血を吐きながら、彼は己を重症に追い込んだ男を睨む。 「済ませるわけにはいかねえ・・・・・・・・・」 ペッシの手には、拳よりも少し大きな程度の亀が掴まれていた。 どうやら男にとって相当に大事なものらしいそれを殺すことで、ペッシはせめてもの意趣返しをするつもりらしかった。男がペッシを見据え、 「堕ちたな・・・・・・ただのゲス野郎の心に・・・・・・・・・・・・!!」 そう言うと同時に、ペッシは亀を振りかぶり―― 「何をやったってしくじるもんなのさ ゲス野郎はな」 一瞬の駆け引きの後、男の無数の拳撃を受けてペッシの身体はバラバラに分解されて吹っ飛んだ。そしてプロシュートは偉大に、ペッシは惨めに。 二人は殆ど同時に、だがその『誇り』に天と地ほどの差を空けて死んだ。 ルイズはもはや声もなく彼らの死を見つめる。己の心をひとかけらでも言葉にすれば、全てが堰を切って溢れ出しそうで。 彼女は震える心を必死で抑えて、動かない眼で彼らを見つめ続けた。 作業的な間隔で、場面は次に移る。ルイズの眼前に新たに映し出された 場所は、どうやら先ほど見た長く大きな箱を収容する施設であるようだった。 収容された箱から出てきたメローネの、 「聞こえてるぜギアッチョ!」 という言葉にルイズはビクリと反応する。ギアッチョの名前は、今最も聞きたくなかった。彼が死ぬ場面を見てしまうなど、ルイズにはこれ以上ない拷問である。 しかし彼に先んじて命を落とす運命にあるのはメローネのようだった。 ギアッチョと会話をしているらしい彼に、ボトリと焼け焦げた蛇が落ちる。 スタンドの性質上、彼は常に安全な場所にいる。追われる身である「奴ら」が自分の位置を把握することなど不可能、ましてや攻撃を受けることなど有り得ない――そう油断していた彼の肩の上に、いきなり敵意を剥き出しにした蛇が落ちてきたのである。 彼が無様に取り乱すのも無理からぬことであった。 「あの『新入りの能力』ッ!おれのベイビィ・フェイスの残骸をひいいいいいいいいいいいいッ!!」 彼は絶叫し、そしてその大きく開いた口から覗いた舌に焼ける毒蛇は喰らいついた。 ――・・・・・・・・・もう・・・・・・やめて・・・ 一体誰に言えばいいのだろう。分からないままに、ルイズは言葉を絞り出した。 残った7人の内、5人が死んでしまった。たとえリゾットがボスを倒したとしても、もうあのアジトに彼らの喧騒が戻ることはない。二度と。永久に。 ――お願いだから・・・もうやめて・・・! あらゆることが手遅れであると知りながら、ルイズはもはや過ぎ去った残像に、虚しく呼びかけ続けた。 そして彼女の夢は、とうとう彼の使い魔を映し出す。 ――・・・ギアッチョ・・・!! 粉々に破壊された像のそばを、運河が流れていた。そのほとりに、白銀のスーツを着た男が立っている。つま先から頭までを余さず覆うそのスーツから覗く顔は、紛れもなくギアッチョのものだった。 「とどめだッ!ミスターーーーーーーーッ」 ギアッチョがそう叫ぶと同時に、彼に対峙していた男の全身から血が吹き出した。 ミスタと呼ばれた男はしかし、大きく仰け反りながら呟く。 「ああ・・・確かに『覚悟』は出来たぜ・・・ジョルノ」 「見ッ・・・・・・見えねえ・・・・・・・・・ 血・・・血が凍りついて・・・固まっ・・・!!」 ミスタの血しぶきが顔面にかかり、それは一瞬で凍結してギアッチョの視界を奪った。 ドンドンドンドンッ!! ミスタがかざした鉄の器具が火を噴く。どうやらあれは小さな銃のようだ・・・が、ルイズにそんなことを気にしている余裕はなかった。 前が見えずにヘルメットを引っかいている間に、ミスタの銃撃によってダメージこそないもののギアッチョはどんどん後方へ押されて行き、とどめの一発を足に喰らって彼は全体重を掛けて後ろへ仰け反り―― ドスッ!! 彼の延髄に、槍のように彫刻された鉄柱が突き刺さった。ルイズは思わずひっと声を上げそうになるが、幸いにも致命傷には至らなかったらしく、数分後には死ぬのだと分かっていつつも、彼女はほっと胸をなでおろした。 「おまえ・・・このオレに・・・・・・ 『覚悟』はあんのか・・・と・・・ 言ったが見してやるぜ」 そう言ってミスタはギアッチョを見据える。今にも失血死しそうなほどに血に塗れた身体だが、その眼光だけは獣のようにギラついていた。 「ええ・・・おい 見せてやるよ」 ようやく前が見えるようになったギアッチョは、ミスタの姿を見た瞬間彼の意図に気付いた。 「ただしお前にもしてもらうぜッ!! ブチ砕かれてあの世に旅立つってェェ覚悟をだがなああああああああ~~~~~ッ!!」 「やばい・・・こいつを引っこ抜かなくてはッ!!」 野郎、このままオレを死ぬまでのけぞらせる気だッ!ギアッチョは必死に鉄柱に手を伸ばすが、 ガァーン!! ミスタの銃弾によってその手は簡単に弾かれる。そしてミスタの更なる連射によって、ギアッチョの身体はどんどん仰け反って行く。 「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」 しかし、それと同時に彼の放った弾丸が彼自身にどんどん跳ね返り始めた。 「突っ切るしかねえッ!真の『覚悟』はここからだッ!『ピストルズ』ッ!てめーらも腹をくくれッ!!」 跳弾によってミスタの身体は至る所が弾け始めるが、彼は構わず銃を乱射する。 「おおおおおおおおおおおおおおお!!」 そして、ミスタがついに崩れ落ちたその瞬間、ギアッチョの首から大量の血が吹き出した。 ――ギアッチョ!! ルイズは耐え切れずに叫ぶ。しかしギアッチョはギリギリのところで生きていた。 「違・・・う・・・な・・・ ・・・ガブッ! 『覚悟』の強さが・・・・・・ ・・・・・・『上』・・・・・・なのは・・・ オレの・・・・・・方だぜ・・・グイード・ミスタ・・・」 瀕死の状態で、ギアッチョはなんとかそう口にする。 「ここまで・・・オレを追い込んだのはミスタ・・・ 敬意を表して・・・ やる・・・だが・・・・・・今度・・・覚悟を決めてギリギリのところで 吹き出す『血』を利用するのは・・・ オレの方だ・・・ ミスタ」 そう言ったギアッチョの後頭部は、吹き出した血が既にガッチリと凍って完璧なストッパーになっていた。その直後、未だ宙を舞っていた最後の弾丸がついに完璧な角度で跳ね返り―― 「頭にッ!勝ったァーーーーーッ!!」 ミスタの額に突き刺さった。 「!! う!? 傷が・・・!?」 しかしその瞬間、額の弾痕は完全に消え去り 「な・・・・・・!!」 いつのまにか、ミスタを抱えてその後ろに金髪の少年が立っていた。 「ミスタ・・・ あなたの『覚悟』は・・・この登りゆく朝日よりも明るい輝きで『道』を照らしている」 「なんだってエエェェェエエェ!!?」 グシャグシャグシャドグシャアアッ!!! 「うぐええッ!!」 ズン!!と鉄柱がギアッチョの喉を突き破り。彼は万感の無念と己を打ち破った彼らの『覚悟』へのひとかけらの賞賛と共に、事切れた。 ――あ・・・あぁぁああ・・・ッ!! ギアッチョが『覚悟』というものに拘る訳を、ルイズは理解した気がした。 しかし今ルイズの中に渦巻いている果てしない悲しみは、そんな理解を紙のように吹き飛ばす。これは過去だ、ただの夢だと自分に言い聞かせるが、彼の壮絶な死に様はそんな逃避を許してはくれなかった。ルイズはギアッチョの名を、まるで壊れた蓄音機のように何度も何度も叫び続けた。 そして場面は、次へ進む。 ――・・・・・・・・え・・・? その異変に、ルイズは思わず我に返る。これはギアッチョの夢のはずだ。ならばどうして先がある?どうして、この夢は新しい風景を映し出す・・・? そうか、とルイズは思った。そもそも途中からおかしかったのだ。ギアッチョが知るはずのない光景を見ていたことが。 ギアッチョ自身の死に様を、遠くから見つめていたことが。誰かの意図なのか、それともこれは何かの奇跡なのか? そんなルイズの思案をよそに、眼前の過去は展開していく。 遠くに館と海の見える岩場。そこにいたのは、やはり彼だった。 ――・・・・・・そ・・・んな・・・・・・リゾット・・・ リゾットは血まみれで倒れている。傍目から見ても、治癒は絶望的だった。 そんな彼の傍らに腰を落とし、一人の男が彼を見下ろしている。 リゾットはもはや焦点の定まらない眼で男を見返していた。 「ついに・・・オレ・・・は・・・ つか・・・んだ・・・・・・ あんたの正体を・・・オレは・・・」 正体。彼らがこの言葉を使う時、それはとりもなおさずボスのことを意味する。 リゾットは今、「あんたの正体」と言った。つまり彼を見下ろすこの男こそが、他でもないボス自身・・・!男・・・いや、もはやボスと言うべきか。 ボスは今ルイズに背中を向けている。後ろから見る限りその身体には傷一つついていないが、異常なまでに苦しげな呼吸をし続けていることから察するとリゾットとの戦いでボスもまた相当なダメージを負ったと考えていいはずだ。 「最期に顔を・・・見せ てくれ・・・ 逆光で よく・・・見えない 顔を・・・」 片膝をついて荒い呼吸を繰り返すボスにリゾットがそう懇願するが、 「それ以上・・・・・・ここでその会話をすることは許さない・・・リゾット・ネエロ」 彼はそれを冷たく跳ね除けた。片手に持っていたリゾットの足首を投げ捨てて、ボスは苦しげに呼吸を続ける。 「おまえは自分がここまでやれたことを 暗殺チームのリーダーとして、『誇り』にして死んでいくべきだ・・・ あの世でおまえの部下達も納得することだろう」 そう言ってから、ボスは自分の身体から奪った「鉄分」を戻せば潔くとどめを刺してやろうとリゾットに取引を持ちかけた。 もうすぐここにギアッチョ達を殺した連中がやってくる。そいつらの前で次第に惨めに死んでいくのは屈辱的ではないか?今ならこのボスが直々に名誉ある死を与えてやろう。 そんなボスの交渉に、リゾットは聞き取れない声で何かを呟く。 「よく聞こえないぞ・・・・・・ すぐに『鉄分』を戻すのだ・・・リゾット・ネエロ」 ぼそぼそと何かを呟き続けるリゾットの口に、ボスが耳を近づける。 「ひとりでは・・・ 死なねえっ・・・・・・ 言ったんだ・・・」 その言葉に、ボスはバッとリゾットの顔に眼を向け、そして彼の決死の『覚悟』を秘めた赤眼にようやく気付いた。 「今度はオレが・・・利用する番だ 『エアロスミス』を・・・ くらえ・・・・・・!!」 リゾットがそう言うと同時に、ボスの後ろから無数の弾丸が発射された。 ホルマジオの命を奪ったスタンド――エアロスミスだった。 しかし、一瞬の後に全身から鮮血を吹き出したのは、ボスではなくリゾットだった。 最期の一瞬、彼は何を考えていたのだろう。真っ赤に充血したその眼からは、もはやいかなる感情も読み取ることは出来ない。リゾットは被弾の衝撃にガクンと身体を震わせると、一言も発することなく息絶えた。 ――・・・そんな・・・・・・・・・そんな・・・! どうしてエアロスミスとリゾットを結ぶ射線上にいるボスが無傷なのか?どうしてエアロスミスがボスを撃ったのか?そんなことはどうでもよかった。ルイズの心を埋め尽くした事実はたった一つ。リゾットが死んだ。それだけだった。 あの穏やかなリーダーが、冷徹な表情の下で何よりも仲間のことを大切に考えていたリゾットが、死んだ。チームの最後の一人が――殺された。彼のチームは、消えてなくなった。 ――・・・・・・こんな・・・ことって・・・・・・!! 絶望に打ち震えるルイズをよそに、世界は白く染まり始める。白いインクを垂らした ように始まった白化は加速度的に進行し、 「しかし・・・くそ・・・ みごとだ リゾット・ネエロ・・・・・・・・・」 一人呟くボスの声を最後に、ルイズの夢は完全に白に閉ざされた。 「いやぁああぁああああああああッ!!!」 自分自身の悲鳴で、ルイズは跳ね起きた。 「・・・ぁあっ・・・!・・・っはぁ・・・はぁ・・・ッ!」 窓の外は、未だ双月が輝いていた。窓から差し込む月の光を眺めながら、 ルイズは徐々に今まで見ていた夢の事を思い出してゆく。 そうだ。 心地のいい夢だった。 ギアッチョと仲間達の思い出。いつまでも見ていたかった思い出・・・。 だけどジェラートが死んで、ソルベが死んで・・・ギアッチョ達が反逆して。 そして、死んだ。 全員死んだ。 リゾットのチームは、全滅した。 「・・・・・・全滅・・・した・・・・・・」 ルイズの口から、我知らずその言葉がこぼれ出た。そしてそれと同時に、彼女の鳶色の瞳からはぼろぼろと涙が溢れてくる。 「・・・うっ・・・うう・・・・・・!・・・こんなの・・・・うっく・・・・・・こんなの酷すぎる・・・!」 ルイズは肩を震わせて泣いている。ルイズが彼らを知ったのはほんの数時間前のことだ。だがその数時間で、ルイズは彼らと無数の喜怒哀楽を 共有した。もはやルイズにとって、彼らはただの他人などでは断じてない。 だからこそ、彼らの死はルイズに果てしない痛みを負わせた。 ふっと部屋が明るくなる。それに気付いたルイズが顔を上げると、ギアッチョがランプをいじっていた。ルイズの視線に答えるように、彼はルイズに眼を向ける。 「・・・『見た』・・・みてーだな ルイズ・・・てめーも」 夢を共有していたわけか、とギアッチョは呟いた。もはやこの程度のことで、彼は驚かないようになっていた。 「っ・・・・・・どうして・・・っく・・・そんなに・・・冷静でいられるの・・・?」 涙のせいで何度もしゃくりあげながら、ルイズはギアッチョを見る。 「・・・っく・・・ひっく・・・・・・ こんなのってない・・・!」 何か言葉を出す度に、ルイズの涙は量を増してこぼれ続けた。 「・・・っう・・・どうして・・・こんな酷い死に方をしなきゃならなかったの・・・!?」 プライドも忘れて泣きじゃくる彼女に、ギアッチョは冷たく言葉を返す。 「人殺しにゃあ似合いの末路だ」 ゆっくりとルイズに近づくと、ギアッチョは彼女を見下ろして続けた。 「マトモに死ねる奴のほうが珍しい・・・オレらの世界ではな」 ギアッチョは達観したかのような物言いをするが、そんな世界などとは勿論無縁に生きてきたルイズに彼らの死を同じように受け入れられるはずもない。 彼らの名誉一つない惨めな死を、納得出来るはずもない。 「そんなのっ・・・ ・・・うっく・・・そんなのおかしいわ・・・!」 ルイズはぶんぶんと首を振る。彼女の頬を伝う涙が、雫となって宙を舞った。 ギアッチョはほんのわずか――長く付き合った者にしか分からない程に―― そして一瞬だけ、困惑したような表情を見せる。それからがしがしと頭を掻くと、ギアッチョはルイズのベッドに腰掛けた。 「・・・ソルベとジェラートは・・・違う」 「・・・・・・違う・・・?」 何が、という部分を省いたギアッチョの言葉に、ルイズは当然疑問を感じる。 ギアッチョはまるで独白するような調子でそれに答えた。 「あいつらは・・・恐らく何も知らないままに 一方的に虐殺された・・・ だがオレ達他のメンバーは違う 真正面から奴らに挑み、力の全てを出し切って戦い、そして死んだ」 ま・・・一部情けない死に様を晒したバカもいたみてーだが、とそこだけ呆れたような口調で言ってから、ギアッチョは真面目な顔に戻って続ける。 「・・・だからオレはあいつらの死を受け入れる オレが嘆き悲しむことは、あいつらの誇りを侮辱することに他ならねーんだ」 ルイズに背中を向けたまま、ギアッチョは言葉を繋いだ。 「他の誰が嘲笑おうと――オレはあいつらの死を誇りに思う」 ギアッチョの言葉はまるで折れることの無い名剣のように、ルイズの心に真っ直ぐに、そして鋭く突き刺さった。 自分は結局、彼らのことなど何も分かっていなかったのだろうか?そう思うとルイズの心は割れんばかりに痛みはじめる。 「・・・だがよォー」 ぽつりと、ギアッチョは呟くように口を開いた。 「ルイズ・・・てめーはそれでいい てめーは泣いてやってくれ」 その言葉に、ルイズははっとギアッチョの背中を見つめる。 「全く救いようのねー人殺し共だがよ・・・ 自分の為に流される涙が一粒でもあるなら人生御の字じゃあねーか」 その言葉に、ルイズの乾きかけた瞳は再び涙を溢れ出させた。 「・・・・・・うん・・・・・・うん・・・・・・っ!」 ルイズは立てた両膝に顔をうずめて泣いた。どうして気付かなかったんだろう。 ギアッチョはこんなにも彼らのことを想っているじゃないか・・・。 ルイズは声を押し殺すのをやめた。彼らの名誉を守り続けるギアッチョの後ろで、彼らの魂の為に、そして何よりギアッチョの為に、ルイズは声を上げて泣いた。
https://w.atwiki.jp/jyumawiki/pages/4760.html
アニメ アニメ(さ行検索) ゼロの使い魔F 作品・スタッフ・キャスト・サブタイトル・主題歌・関連商品・関連リンク あらすじ:異世界ハルケギニアに「使い魔」として召喚されてしまった高校生・平賀才人(サイト)が巻き込まれる「恋」と「冒険」、「ご主人様」と「使い魔」のアンビバレントでハイブリットなファンタジーロマン。 才人を異世界に召喚したのは、可愛いけれど魔法の才能ゼロのご主人様・ルイズ。突然、目の前に現れた謎の高慢な美少女に戸惑う才人に、彼女は契約だと言って、いきなり唇を重ねてくる・・・! すると彼の手の甲に不思議な文字が浮かび、才人はルイズの使い魔となってしまうのだが・・・?! 全寮制トリステイン魔法学院を舞台に、ご主人様となった美少女魔法使いルイズに、罵られ、なじられ、そして愛される(?)、そんな使い魔・才人の愛と勇気と屈辱に満ちたドキドキの学園生活が始まることに・・・。 異世界で巻き起こる波乱に満ちた異文化交流の中、果たしてゼロのルイズと才人の運命は、どのような展開を見せるのだろうか・・・!? (公式より) 作品 タイトル:ゼロの使い魔F よみ:ぜろのつかいまふぁいなる 区分:TV スタッフ 原作 - ヤマグチノボル キャラクター原案 - 兎塚エイジ 監督 - 岩崎良明 シリーズ構成 - ヤマグチノボル キャラクターデザイン・総作画監督 - 藤井昌宏 プロップデザイン - 野田康行 色彩設計 - 但野ゆきこ、石川恭介 美術監督 - 廣瀬義憲 撮影監督 - 武原健二 編集 - 後藤正浩 音響監督 - 明田川仁 音響制作 - グロービジョン 音楽 - 光宗信吉 音楽制作 - 日本コロムビア プロデュース - ジェンコ アニメーション制作 - J.C.STAFF 製作 - ゼロの使い魔F製作委員会 キャスト ルイズ - 釘宮理恵 平賀才人 - 日野聡 シエスタ - 堀江由衣 ティファニア - 能登麻美子 アンリエッタ - 川澄綾子 タバサ - いのくちゆか キュルケ - 井上奈々子 イルククゥ - 井口裕香 ギーシュ - 櫻井孝宏 モンモランシー - 高橋美佳子 ジュリオ - 平川大輔 ヴィットーリオ - 立花慎之介 ダミアン - 田村睦心 ジャネット - 高森奈津美 ジャック - 山本格 ドゥドゥー - 井口祐一 ルクシャナ - 金元寿子 サブタイトル 第01話 - 聖国のルイズ 第02話 - 水都市の巫女 第03話 - 無能王の乱心 第04話 - 女王陛下の恩賞 第05話 - ド・オルニエールの乙女たち 第06話 - 波乱の露天風呂 第07話 - 砂漠のエルフ 第08話 - 逃亡の地下水道 第09話 - タバサの戴冠 第10話 - 災厄の目覚め 第11話 - ルイズの選択 第12話 - ゼロの使い魔 主題歌 OP1 曲名 - I LL BE THERE FOR YOU 歌 - ICHIKO 作詞 - 森由里子 作曲 - 岩崎貴文 編曲 - 新井理生 ED1 曲名 - キスシテ↑アゲナイ↓ 歌 - ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(釘宮理恵) 作詞 - 森由里子 作曲・編曲 - 大石憲一郎 アニソン情報 関連商品 関連リンク 公式サイト 作品・スタッフ・キャスト・サブタイトル・主題歌・関連商品・関連リンク アニメ アニメ(さ行検索) ゼロの使い魔F