約 1,622 件
https://w.atwiki.jp/sekoketi-mama/pages/411.html
(スレ123より) 167 :名無しの心子知らず:2008/01/05(土) 15 04 36 ID /W+n0qDw 165 GJ うちの義姉は年始に、段ボールいっぱい上の子のお下がりをくれた 色褪せ毛玉たっぷり年代物なセラムントレーナーとか、フリマでただ同然で買うらしい そんで下の子にうちの子のお下がりクレクレですよ 丁度2歳づつ年が離れててラッキーだよね私達とか言われても、うちは迷惑 うちの子の高かった服は私の従姉妹んちにあげる予定で隠して、義姉んちにはしまむらレベルをお下がりにあげた そしたら昨日、仕事で私が留守中に我が家に来て 『A(私)と約束してたお下がり取りに来た。年始は持ち帰れなくてさ。押入に入ってるって言うから出して』と馬鹿夫に言って、持っていきやがった! おまけにうちの娘の人形用に作った手製のハンガーとトルソーまで 『貰うって約束したから』って言うから・・・ 馬鹿旦那ぁ!姉の嘘ぐらい見抜けボケ! 義姉に電話しても出ない。 これから凸してくるよ 168 :名無しの心子知らず:2008/01/05(土) 15 09 28 ID u9rx+0Ag 167 人様のダンナさまだけど ( A`) 頑張って、取り返して! 178 :名無しの心子知らず:2008/01/05(土) 16 40 02 ID /W+n0qDw 馬鹿旦那に車を運転させて義姉さんちに向かってます めんどくさい事に義姉宅は県外ですが、罰としてガソリン代や夕食代は旦那の小遣いから引く もー、昨日そんなことがあった事言い忘れるとかありえない 子供がさっき、人形で遊ぼうとしたら無くなってるのに気が付いて大泣き そこでやっと思い出して、昨日姉ちゃんが~ですよ? もう着ない服や針金で作ったハンガーぐらいで怒るなよとか言うんで、針金に通したビーズが高いと伝えたら素直に謝ってきた 貰った服を見せたら、馬鹿旦那が泣きはじめた 可愛い姪っ子がこんなの着せられてるなんて可哀相だーって そのぐらいボロなんですよ。セラムン。そういえば、うちの子が生まれる前に、私や馬鹿が何枚か買ってあげた服(バーバリー等)はお下がりに入ってないわ 186 :名無しの心子知らず:2008/01/05(土) 17 07 10 ID u9rx+0Ag 178 頑張ってね! 報告待ってまーす! .。゚+.(・∀・)゚+.゚wktk 222 :名無しの心子知らず:2008/01/05(土) 23 07 22 ID PuzJqc9n 178 県外の義姉の家に凸するって言ってたけど…もう帰って来たかな? 落ち着いたら報告ヨロ!義姉がどんな言い訳をしたのか… wktk!(〃▽〃) 255 :178:2008/01/06(日) 13 35 37 ID KIZFz+Tf 178です 義姉宅に行ってきましたが…長文になりますが聞いてください 義姉宅をピンポンすると、義姉夫さんが出て来て『今、来客中だから』と子供部屋に通されました 義兄『こっちに遊びに来るなんて珍しいじゃん、泊ってくだろ?飲もーぜ。なんかもー今、もめてて疲れた』 私『もめてる?私、義姉さんと話をしたいんだけど電話も出てくれないし』 ここで義兄が一度部屋を出て戻ってくると、怪訝な顔で『電話線抜けてたよ…わざわざ来てまでの話って何?怖ぇーよ。あいつ、なんかやらかした?』っつうんで事情説明 するとお兄さんが箪笥を開けたけど、しまむらレベルしか入ってないんだよ そしてまた部屋を出て行って納戸から発見してきてくれた 服は私も意地悪しちゃったなぁと思ったので、そのまま貰っていただいた。 256 :178:2008/01/06(日) 13 38 08 ID KIZFz+Tf 義兄に謝られ、今来てるお客も同じように義姉が服やおもちゃをクレクレされて激怒してやって来たそう。 義姉が貰い物をオクで売りさばいてるって、そこで初めて知ったらしい どうやら、お客さんは手芸好きらしく、義姉に作品をしつこくクレクレされて仕方なく手放した オクで自分の作品が売られてるを発見 訴えるぞーってな感じっつうんで、義兄に『そんな大変な事なら、私らはほっといていいから早くリビング行って!謝ってこい!』と子供部屋から義兄を追い出しました そして、持参した油性ペンで高い服全ての裏に、姪二号の名前とヤフオク厳禁ってでかく書いて、タグは切り取っておいたw トルソーは姪一号の名前を可愛くでかでか書いてあげた。 姪達がハンガー欲しがったけど、後日作ってあげる事にした(安いビーズで) 257 :178:2008/01/06(日) 13 40 54 ID KIZFz+Tf そんで、素泊まりの宿を探したら運良くあったんで、『姪達連れて一泊してくんねー、ごゆっくりお話合いしてね、お義姉さん!明日は私と話合いだから楽しみにしててー』とリビングに顔出したら、義姉が鳩豆顔でした 義兄が俺も行くって言ったけど、馬鹿が『だが、断る。』しやがった。私が言いたかったのに 旅館は急だったんで夕食無しだし、姪二号は離乳食期の真っ最中で外食諦めて、離乳食と寿司を買って部屋で食べた。 馬鹿はお金の心配してたけど。 姑に電話して事情説明。 実家からも沢山持って行ってるってよw 深夜、義兄から報告があり、お客さんはママ友で代表者 他にも被害者がいるらしく、やっぱり不在の時をねらって『約束してた』と嘘ついてせしめていたらしい 旦那さんは知ってらっしゃいますか?奥さんは××(スーパー)で入店禁止なんです 258 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 13 42 06 ID 1ZiFtXpW ( ゚д゚ )=つ≡④≡④≡④ つ=つ≡④≡④≡④ バババババ 260 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 13 45 30 ID KIZFz+Tf 同じ園の方がパート勤務中に、半額シール貼れって付きまとったり、限定品を買った人を自分だけズルイと付きまとったり 園ママみんな知ってるんですよ と言われ、恥かしくて義姉を叩いちゃったらしい ママ友さんは、今後このような事があればみんなで訴えると言って帰ってくれたらしい 義姉は終始デモデモダッテだったみたいなんだけど、 『生活費だってきちんと渡してるのに、なんでこんな事してんだ?俺の知らない所で借金でも作ったか?オークションで稼いだ金は何に使ってるんじゃ!』 って激怒したら 『………関ジャニ∞……とか…』 義姉がジャニヲタだったなんて初めて知ったw 義兄はジャニーズのコンサートやイベントに行っている事は知ってたけど、凄い金がかかるとは知らなかったらしいんですよ しょっちゅう実家に帰って子連れで連泊=実家に子供預けておっかけ遠征だったそうで 261 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 13 48 00 ID H4FxMdNN あーあ。。。 義兄さん、がっかりだろうね。 263 :178:2008/01/06(日) 13 50 03 ID KIZFz+Tf オクだけじゃなく、質屋とかにも買い取ってもらったと自白 通帳みたら貯金も無くなってるから、夫婦で話し合いをしたいって言われたんで、今日は義姉に会わずにこのまま姪達を預かり、帰る事にしました。 今日のところは以上です ごめんよぉー 携帯で長文なんて読み辛いもん書き込んでしまって 義姉とは一切会話せず、義兄さんと会話しただけだから、全て本当なのか?と馬鹿と疑ってる 264 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 13 50 43 ID Wg1XsvAY 260 追っかけなんて自分で制限設けないと お金掛って仕方がないのにね(´・ω・)バカス 267 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 13 56 46 ID Wg1XsvAY 263 >通帳みたら貯金も無くなってるから、夫婦で話し合いをしたいって言われた もしかして離婚フラグ立ったんじゃないの? でも旦那の姉さんだから縁切れないのね 282 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 15 19 52 ID 3JDLYxoP スーパーに出禁の人間が自分の妻…。 義兄さん、ショックでっかいだろうな…。 311 :178:2008/01/06(日) 20 32 39 ID KIZFz+Tf うへー!すまん! 義姉=私の夫の姉で 義兄=義姉の夫です 義姉夫と三文字打つのケチって、義兄と打った私が悪かったーっ! 文章おかしくて、皆さんを混乱させてすまんかった 私も馬鹿も明日仕事なんで、先程、姪達は舅が引き取りに来た 『こんな事ぐらいで離婚?ならねーならねー。まぁ、親として、迷惑かけちまった人間に詫びて、あの馬鹿娘を再教育はしねーといけねぇな。』と、すごい呑気な舅 『お前らも煽るなよ』と怒られました ちなみに、姑は昔、ジュリーの追っかけだったそうです 318 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 21 59 15 ID JayAQomI 「こんな事ぐらいで離婚?ならねー」って自分の娘だから こんなかるーく言うのかなぁ… 子供関係の付き合いで告訴とか スーパー出入り禁止って 地域全体から基地害認定されてるも同然じゃね? 普通の神経した男なら離婚したくなって当然だと思うがな 319 :名無しの心子知らず:2008/01/06(日) 22 03 20 ID RIikncuM 旦那が気団に書き込んでいたらいっせいに「逃げてー!逃げてー!」と いわれそうな話だよね ジャニの追っかけに貯金使い込みなんて最悪だと思うが 619 :178:2008/01/09(水) 15 11 53 ID Tg+J+bME 義姉にお下がりやビーズハンガーを留守中に強奪された178です 義姉別居決定! 被害者に謝罪と弁償が全て完了したら、実家に帰ってくるそうです 離婚はしないって 後日、詳細がわかりましたらその後スレに書き込みますわ ではノシノシノシ 620 :名無しの心子知らず:2008/01/09(水) 15 13 41 ID CzA9zHi5 そりゃ、貯金すっからかんにされりゃ別居したくもなるよね。 624 :強奪義姉奥◆ax.IA4pl3o:2008/01/09(水) 15 38 02 ID Tg+J+bME 622 付けました。 (スレ124より) 921 :強奪義姉奥◆ax.IA4pl3o:2008/01/20(日) 13 43 13 ID To3E2deK 前スレでおさがりを義姉に強奪された者です その後をその後スレに書き込みました ではノシ (★その後いかがですか?in育児板★5より) 14 :強奪義姉奥◆ax.IA4pl3o:2008/01/20(日) 13 29 35 ID To3E2deK セコケチスレ強奪義姉のその後を長文報告させて頂きます 義姉はジャニヲタで追っかけ資金の為に周りからせしめた物をヤフオクに出品してました 貯金も使いこんでいたので、義姉夫から別居を言い渡されて、迷惑をかけた方々に謝罪と弁償に周ってから先週末、実家に帰って来ました 私の所には謝罪に来なかったけどね 舅にもしばらく私達は実家に来るなって言われてます 荷物の搬入や子供達と触れ合う為に来てた義姉夫が、帰りに我が家に寄って愚痴を吐いていきました 同じ社宅の上司の奥さんも被害者だそうです 奥さんの所へ、被害奥代表の手芸好きAさんが来て、「お宅も被害にあってませんか?じつはB(義姉)さんからねだられて〜」と言ってきたそうです どうやらAさんは義姉の社宅全てに仲間探し?というか、悪口半分でふれまわっていたらしい 15 :強奪義姉奥◆ax.IA4pl3o:2008/01/20(日) 13 32 32 ID To3E2deK 上司奥は被害にあってる事は伏せて、Aさんに訴える前に誹謗中傷してる貴女が訴えられるから止めるよう注意してくれた 上司奥には米クレクレしてたそうだけど、「実家の米を美味しいって言われてこっちも気持ち良かったし、年が離れてるからむしろねだってくると可愛いと思ってたから気にすんな」って上司優しい〜! 義姉が一番悪いけど、Aさんもちょっと香ばしいかな?私もここやセコケチスレで吐いてるから人の事言えないでしょうが Aさんは姪一号が通う園のボスママだそうで、園長から「トラブルを起こして方は退園して頂きます」と電話があったそうです 16 :強奪義姉奥◆ax.IA4pl3o:2008/01/20(日) 13 35 31 ID To3E2deK どうせ別居で姪達も実家で暮らすし、義姉夫の赴任期間も後半年の予定 園はこのまま退園するつもりだったんだけど、姑が園に荷物を取りに行った時に園長に、 「一方的な意見だけ信用して何がトラブルだ!中立にならなきゃいけない立場の人間が偉そうに!」 と、言ってしまったそうですよ 確かにそうだけど、言い方ってもんがあるだろうに さて義姉ですが、 謝罪周りの際はは泣きながら平謝りだったけど、Aとは喧嘩に 後日改めて舅と義姉夫がAの姑と夫に謝罪で、途中でAの乱入があったけど一応解決したようです。 17 :強奪義姉奥◆ax.IA4pl3o:2008/01/20(日) 13 38 29 ID To3E2deK 他のお宅は弁償なんてとんでもないって受取らなかったから、迷惑料として置いて来たんだけど、Aだけは材料費・手間賃・技術料・慰謝料で二十万請求w Aの姑さんがAの手芸のお師匠さんでもあるそうで、その姑さんから詫び状が届いたそうです 技術料だなんてとんでもないと そのAの作品を見た事無いんですが、想像すると素人に毛が生えたレベルなんでしょうかね? まーそんなこんなで謝罪も終り別居スタートしましたが、ウトメを介してパート先紹介しろ・保育園に入園できるよう頼めだの言って来やがりましたよ 同じ職場に保育園なんて絶対嫌なんで、阻止するつもりです ジャニヲタ卒業すると誓ったらしいんだけど、あっさりやめられるのか? 18 :強奪義姉奥◆ax.IA4pl3o:2008/01/20(日) 13 39 40 ID To3E2deK 義姉自身の話は他にせこい話があるんですが、かなりフェイクを入れなければならない話なんで、また時間ができた時に書き込みしようと思います ではノシ
https://w.atwiki.jp/83452/pages/2450.html
※人間関係や校舎の構造など、設定は都合のいいように改変しています※ 憂「うう……」 目を覚ますと、ひんやりした床の刺激をまず感じた。 憂(どこ、ここ……) すぐに夜中とわかる暗闇のなかで、わずかに月明かりが差し込んでいる。 手に触れる木の感触、左右に並ぶ、月光を反射する金属製のロッカー。 憂「更衣室……」 ぼんやりと働かない頭で、状況を理解しようとする。 ここは体育館併設の更衣室で、主に部活に入っている生徒達が使っている。 当然、こんなところに入り込んだ記憶はない。 憂(どうして……) 体を起こすと、頭がずきずきと痛み出した。 固い床に寝ていたせいか、背中や腰もきしむように痛む。 今日は放課後、確かに家に帰りついたはずだった。 でも、そのあとのことが思い出せない。家に帰ってかばんをおいて――。 憂(なんでもいいけど、早く帰らないと……!) ふるふると頭をふり、ロッカーを支えに立ち上がる。床に引っ張られているように、体が重い。 引きずるような足取りでようやく出口までたどり着くと、戸の前に小さな椅子が置いてあることに気がついた。 そして、その上にある木製の小箱にも。 蓋の開いた箱のなかに、小さなテープレコーダーが入っていた。 手に取り、恐る恐るしかし導かれるように再生ボタンに指を伸ばす。 「やあ、憂」 憂「!!」 変声機に違いない、平たく潰れた気色悪い声。 憂は動揺して、思わずレコーダーを落としてしまった。 それを予期していたように、間を開けてテープはしゃべりだす。 「君はこの数ヶ月、心に歪んだ陰を作り、憎悪と復讐に生きてきた」 「姉を死なせた上級生と学校への復讐」 憂「な、なに…」 「姉の命を奪ったその連中は信じられないことに――」 「学校側の隠蔽工作によって、罪を逃れた」 憂「なんなの……!!」 「今日は私が、君に試練を与えよう」 「それから逃れるには、一連のテストを受けること」 「テストをパスするには、苦しみがともなう」 「だが毎回、チャンスが与えられる」 憂「誰かっ……」 「人を赦すチャンスだ」 「無事に通過できたら約束する」 「君を対決させよう」 「君の人生に責任がある女と」 「それが最後のテストだ」 「その者を赦せるか?」 「急ぎたまえ」 「60分後、君に打った遅効性の毒が全身に回り、この学校が君の墓場となる」 憂(ウソ……そんな……) そんなこと信じたくはなかったが、テープの発言を裏付けるように、頭痛はいっそう激しさを増す。 憂(誰か……助けて) 「解毒剤は、最後のテストにパスしたときに与えられよう」 「運命のときだぞ、憂」 「 ゲ ー ム 開 始 だ 」 和「……ッ!!」 和(私、誰かにっ……) 家に入った瞬間、誰かにうしろから襲われた。それで、口をふさがれて―― あわてて周囲を見渡す。ほとんど真っ暗闇だったけど、すぐにここがあの音楽準備室だとわかった。 ぼんやりとした非常灯のような緑の光が、部屋に不気味な雰囲気を投げかける。 和(こんな灯り、この部屋にあったっけ?) 和(そんなことより、早く家に……いや警察に行ったほうが……もしかしたら強盗かも――) 和(なんにもなきゃいいけど……) 家で襲われた自分がなんでこんなところにいるのかなど考えもせず、和は駆け出すように出口に向かった。 しかし。 和「開かなっ……鍵…!?」 教室のドアは、本来内側から自由に錠を掛け閉めできるような構造になっている。 この部屋も例外ではなく、ノブにはそのためのつまみがついている。 和「なんで、なんで……!?」 何度ノブを回そうと、何度つまみをひねろうと、ドアはびくともしない。 ガチャガチャとむなしい金属音だけが、暗い部室に染み渡る。 和「誰かっ! 誰か助けて!!!」 和「……」 何十回目かの乱暴なノックで、ドアはあきらめた。 和「窓……窓から出れるわ」 きびすを返し、窓に向かう。 和「なんで……」 あったはずの物がなくて、なかったはずの物がある。 窓一面を覆うシャッターの冷たい感触に、和はがっくりとひざを突いた。 何度もシャッターを叩くことさえしなかった。 案の定、音楽室への扉も開かない。 ふと、光る物が目に止まった。なにかと思って身構えたが、なんのことはない。 軽音部がティータイムで使っている、デザートフォークの金属光沢だ。 ふらふらとそこまで歩いていき、机に両手を突いてうなだれる。 和「どうなってるの……?」 そのとき、見慣れたフォークの先に、見慣れない物があることに気がついた 和「テープレコーダー……」 すがるような気持ちで、再生ボタンを押した。不思議と躊躇はなかった。 「やあ、和」 和「……!?」 心臓が一回、大きく収縮した。 どんなドラマや映画でも聞いたことのない、胃袋をなでまわすような気味の悪い声。 「君は自分の欲望のため、他人を欺きながら生きてきた」 「その欲望のために、身近な者の悲劇に目をつぶり、助けようともしなかった」 「その『悲劇』については、君も心当たりがあるはずだ」 和「……」 思い当たる節は、あった。 「君には今日、そんな生き方を悔い改め、より良い人生を迎えるチャンスを与えよう」 「君にそのつもりがあるのなら、信頼と友情のすばらしさに気がつくことだろう」 突然、視界の右側で緑の光が力を増した。 反射的にそちらに目を向けると、一人の女子が仰向けに倒れていた。 和(澪……?) 和「澪ぅっ……」 和(っ・・・!?) 突き上げるような強烈な吐き気に、耐える間もなく嘔吐する。 机を汚さないように、顔を背けるのが精一杯だった。 「君はいま、毒に冒されている」 「この閉ざされた部屋のなかで、君が助かるにはその女が鍵となる」 和「そんな……なんでこんな」 「その女は、君とおなじ罪を背負っている」 「自分の欲望のため、悪を見過ごし、悲劇を見逃した」 「君は自分とおなじ罪を持つ彼女を裁けるか?」 「君を救う重要な物は、彼女のなかに納められている」 「ナイフを取りたまえ、和。そして、今後自分がより良い人生を送るため、いったいなにが必要なのか、よく考えるのだ」 テーブルの中央には、ところどころ錆ついた古めかしいナイフが置かれていた。 すがるように手を伸ばす。 和「これで……」 彼女のなか。ナイフ。 和(ま、まさかね) それでも恐る恐る、倒れている澪のもとに近づいていく。ナイフを握り締めたまま。 和(……!?) 見ると、澪の腹の上にはA3ほどの封筒が載せてあった。中央に、明朝体の印字がある。 「なかを見ろ、和」 その下の澪の腹部がはだけているのがわかって、目を伏せながらひったくるように封筒をつかんだ。 和「……!」 出てきたのは、レントゲン写真。腹部に、これ以上ないくらいくっきりと、鍵の形が写りこんでいる。 和「そんな……」 ややあって、実体を見やる。 和「うっ」 白い肌に血のようなマーキング。紛れもない胃の位置が、赤の油性ペンで丸く示されていた。 思わず行為の結果を想像してしまう。再び、吐いた。 そのとき、澪が目を覚ました。 澪「は……!」 澪「うあわっ! んぎやぁああっ!」 暴れに暴れた。 あの恐ろしい豚のマスクをかぶった怪人から逃れたくて、あらん限りの力を出した。 澪「ぎゃああああああ、ごめんなさいごめんなさい!!」 澪「……っさいっ……」 「ぉっ……澪っ」 澪「ひぃっ……?」 「私……」 澪「の、和……?」 一瞬、安堵した。 同時に、白い光が目を射す。 「やあ、澪」 天井につるされたモニターに、恐ろしい顔が映し出される。 ピエロのようだが明らかに違う、ことさらに恐怖心をあおるような白い仮面。 澪「ひぃ!」 澪「の、のの和、なんだよー……どうなってるんだよぉぉ」 和「……んと……」 澪「…え?」 和「ちゃんと、聞いたほうがいいかもしれないな……」 澪「……」 「君はいま、自分の犯した罪により命の危機にさらされている」 澪「えっ……な……罪って……」 「君は自分の気持ちを優先させるあまり、部内での凶行を止めようとしなかった」 「君は、田井中律をいつでも止めることができたはずだ。しかしそれをしなかった」 「田井中律に嫌われるのを恐れたのだ」 澪「それはっ……」 憂「……」 その後の指示に従い、格技場の前まで来た。 入り口の前に、椅子が置いてある。先ほどとおなじように、木の小箱も。 なかの紙切れを手に取る。 憂「……!」 写真だった。軽音部部長、田井中律。 姉を死に至らしめた、主犯とも言える女だ。 ------------- 唯(ケーキおいしそう……) 律「唯も食べるか? ほら、やるよ」 唯「えっ、いいの?」 律「いいっていいって、私たち友達だろ?」 唯「う、うんっ!!」 ポロッ 律「あっ、落としちまったww」 グチャ 律「ついでに踏んじまったwwwww」 唯「あうぅ……」 律「でも食べるよな? 私たち 友 達 だもんなぁ?」 律「なぁ!!?」 唯「……うん」 ------------- 唇をかむ。写真の裏にはこうあった。 「なかへ入れ、憂」 格技場のなかは真っ暗だった。しかし、なにかの気配は感じる。 手探りで何歩か前へ進んだとき、背後の入り口が勢いよく閉まった。同時に、照明が点灯する。 憂「!!」 照らし出されたのは、畳の上に鎮座する巨大な機械仕掛け。 その中央に、少女がくくり付けられていた。 憂「田井中……律」 ------------- 律「なぁ、腕ひしぎってこれでいいんだっけか?」 唯「いたいいたいっ……やめてよぉっ」 律「なーんか極まってない気がするんだよね」 グググ 唯「あああああああ――」 ミシッ ------------- 近づくと、機械仕掛けの一部はドラムセットで構成されていることがわかった。 律は、四肢をその各打楽器の上に乗せるように拘束されている。 右手がライドシンバル、左手はクラッシュシンバル。 右足はスネアタムで、左足はフロアタム。そして、胴体はバスドラム。 律「たす……け」 憂「!」 律「う、憂か? 助けてくれ……!」 そばには、先ほどとおなじ型のテープレコーダーが置かれている。 律「頼むっ……!」 無言のまま、再生ボタンを押した。 「君は選択を迫られている」 「この女は、君の姉に苦痛を与え、それを喜びにしていた」 「最も赦しがたい女だ」 「しかしいま、君は彼女を救うことができる唯一の人間となった」 「このテープが終わると、機械は2分ごとに彼女の体を破壊しはじめる」 「機械を止め、拘束を解くことのできる鍵は――」 ガタンッ 憂「あっ……」 音のした方を向くと、幾つものぬいぐるみが、薄明かりのなかで散らばっていた。 どれも、唯が作ったものだ。いまも、ベッドで抱きしめながら寝るほどに、大切にしている姉の形見。 --------------- 唯「うーいー、ほら、上手にできたよぉ」 憂「わ、かわいいウサギ。お姉ちゃんすごい上手だねぇ」 唯「へへー、憂の教え方がうまいから」 唯「ねぇ、他の動物の作り方も教えてー」 憂「お姉ちゃん、それより……学校のことだけど……」 唯「う、憂ー、ここどうやるのー?」 高校に入り唯はまったく、学校でのことを教えてくれなかった。 これが極めて危険な兆候であることに、すぐに気づけばよかったのだ。 --------------- 遅すぎる後悔を胸によみがえらせる憂を尻目に、テープは残酷な事実を告げた。 「鍵は、あのなかのどれかに入っている」 「彼女を赦すことができるか?」 「出口は、装置が正しく停止したときに開かれる」 「急ぎたまえ、君にも彼女にも、時間の余裕はないぞ」 ビィー! 唐突に、ブザーが鳴った。。 別の照明がつき、試合用のデジタルタイマーが二つ、姿を現す。 憂「!」 ひとつは、9分58秒、そしてもうひとつは、54分32秒を示している。 憂(54分は、私の残り時間……) 律「頼む、憂! 助けてくれ!!」 カチカチッカチカチ 律「頼むッ! このままじゃ死んじまう!」 律「頼むッ!!!」 憂「うるさいっっ!!」 憂「死んだよっ、お姉ちゃんは死んだ!!!!!」 カチカチ 律「うっ……」 憂「お前のせいだ!! これも……なにもかもっ!」 憂「お前に、お姉ちゃんの千分の一の苦しみでも味わったことがあるのかっ!!!」 精一杯強がりながらも、憂はこの機械仕掛けに腰が抜けそうなほどの恐怖を感じていた。 憂(破壊される……) 律の右足の真上にある、巨大な肉たたきのようなハンマー。あれがあのままじっとしているとは到底思えない。 シンバルの上では、鋭利な刃物がぎらついていた。そして、彼女の真上には、足の太さほどもある巨大な杭が――。 憂(怖い……) 波打つような頭痛とあいまって、思わず倒れこみそうになる。 カチカチカチカチカチ 律「悪かったよ……悪かった……頼むから助けてくれ」 律「この機械が動いてる音を聞いてると気が狂いそうなんだよぉ」 カチカチカチ 憂(赦す……) -------------- 律「なあ、首吊りって、ほんとに死ねんのか?」 律「試してみたくない?」 律「ほら、いい実験台もいることだしさー」 -------------- カチカチカチカチ 憂(赦せないよお姉ちゃん……絶対に赦せない……) 律「憂……お願いだ――」 ジャーン!! 不意に、シンバルがけたたましく鳴り響いた。そして、それをも切り裂く甲高い叫び声。 律「ぎゃあああああああああああああああああああああああ」 憂「ヒィイッ……」 2
https://w.atwiki.jp/comfo/pages/19.html
Jealous【執筆者/藍奈】 【設定】 ▼幸村 精市(ユキムラ セイイチ) 立海大附属3年・・・テニス部部長 現在・・・某病院で入院中 病室にて魚(ピラニア7匹)飼育中*名前は「ジャッカル」「モジャ」「サギ師」「紳士」「糸目」「よく食う」「真田」と油性マジックで額に記入済。よく使うのは「ジャッカル」 最近無駄な「おねだり」を覚えた ▼真田 弦一郎(サナダ ゲンイチロウ) 立海大附属3年・・・テニス部副部長 現在・・・幸村の下僕的存在 幸村のいないテニス部をまとめている(つもり) 唯一の弱点・・・幸村 精市 毎日毎日。 何をするわけでもなく 決まった時間に食事を取り それ以外の時間はボーっとしてて。 そして、「彼」は・・・ いつも決まった時間にやって来る―― 俺の毎日は、とてもつまらないもの。 けど、そんなツマラナイ毎日の夕方は楽しい時間に変わる。 コンコン ドアをノックする音。 誰が来たのかなんて顔を見なくても分かる。 この時間に来るのはいつも・・・ 「どうぞ」 入ってもいいことを伝えると、開かれるドア。 「体調はどうだ?幸村」 お決まりの台詞をお決まりのケーキ屋の箱を持って言う真田は、毎日部活が終わるとやって来る。 「うん。調子いいよ。部は?」 「安心しろ。絶好調だ」 「そう?あまり無理しないでよ?」 「あぁ。分かっている」 ベッド横のイスを取り出して座る。 「今日は暑かったが、ここは涼しそうだな」 「高いからね。風が気持ちいいよ」 窓から心地よい風が入り込む。 静かな・・・安らげる時間。 「・・・ねぇ、真田」 「何だ?」 「皆は元気にしてる?」 「あぁ、皆元気だぞ?赤也と丸井が少しうるさいがな」 うるさいなんて口では言ってるけど、表情は柔らかい。 「他の皆は?」 「そうだな・・仁王はあの通り、訳の分からんことを言ったり人のマネばかりしては悪さしている。まったく、たるんどる!!」 何を思い出したのか、怒った口調でクセの1つを発する。 「柳生とジャッカルは、それぞれパートナーに苦労してるみたいだな」 「そう。柳は?」 「む、蓮二か?蓮二は一番まともだな。それに、しっかりサポートもしてくれる。頼りになるぞ。うん」 頼りになる・・・か。 確かに柳は頭もいいし、しっかりしてるから頼りになるよね。 今の俺にはないものを持っている。 「ね、真田」 「今度は何だ?」 こんなこと聞いたら、君はどんな反応をしてくれるのかな? 「俺と柳・・・どっちが好き?」 「?・・・どっちも好きだが?」 何も分かってない。 そう、何も――・・・ 俺は横にあった水槽に手を入れると、一匹の魚(※ピラニア[ジャッカル]です)を掴むとそれを真田に向かって投げた。 「∑!!な、何をするんだ!!い、痛いではないか!」 「・・・ぃ・・・」 「何?」 「真田が悪いんだ!!」 ベッドにもぐると不意に流れる涙に、自分自身驚く。 やつあたりなのは分かってる。 でも、やっぱりツライんだ。 俺がここで真田をただ・・・ ただ待っている半日。 真田は学校に行って部活に出て・・いつもと変わらぬ生活を送る。 俺の 知らない時間 知らない話 全てが疎ましくさえ感じる そんな自分が嫌で・・ でも、どうしようもなくて 「・・・幸村?」 真田の呼びかけに声だけで返す。 「ごめん。今日は・・・帰っていいよ。ケーキ、ありがとう」 「・・・分かった」 立ち上がり、足音が遠くなっていく。 ドアの開閉する音が静かな部屋に響く。 また・・・1人。 収まっていた涙が一粒、頬を伝う。 「・・・っく・・・どうして・・・」 どうして俺だけ? 入院してからずっと問いかけてきた どうして俺だけ? 答えはまだ 見つからない どれほど時間が経ったのだろう。 ようやく止まった涙。 布団から顔を出すと、目の前には― 「さな・・・だ?」 帰ったハズの真田がベッドのふちに頭を乗せ、眠っていた。 「どうして・・」 「いるのか?」 後に続くはずだった言葉は、寝ているはずの真田の口から出てくる。 「っ!!起きてたの?」 「いや、今起きた。寝てしまったようだな・・・」 「仕方ないよ。疲れてるんでしょ?」 「・・・・・」 「・・・」 少しの沈黙の後、耐えられなくなったのは俺の方。 「真田・・・どうして帰らなかったの?」 「うむ、どうしてだろうな。たぶん・・・」 「たぶん?」 「放っておけなかった」 どうして君はそうなの? いつも・・・いつも・・・ 俺の言って欲しい言葉 とって欲しい行動を 自然としてくれる。 けど・・・ 「俺は帰ってって言ったよ?」 「・・・そうだな」 「こういうのって、何だっけ。そうそう・・・アリガタ迷惑って言うんだっけ?」 「っ!・・・すまん」 それが時々、頭にくる。 「本気でそう思ってるの?」 「・・・あぁ」 「・・こっちきて」 手を伸ばすと触れる真田の頬。 一撫でした後、後頭部に手を回すと目の前まで引き寄せる。 「な・・・幸村・・?」 息がかかりそうなほど近い位置にある真田の顔。 驚いたあと、どこを見たらいいのか分からないみたいで、目がキョロキョロと動く。 「真田、俺を見て」 「っ///」 真っ直ぐに見つめてくる真田。 絡み合う視線が・・・ 俺の欲を刺激する。 「幸村?・・・んっ!」 噛みつくようなキスをする。 歯列をなぞり、微かな隙間から舌をねじ込み、咥内を蹂躙する。 「んんっ・・・ふ・・ぁ・ゃ・・・」 零れる言葉は文にはならず、意味を持たない。 瞬間、口の中に広がる鉄の味。 「・・・」 「はぁ・・・はぁ・・・何を・・する///」 肩で息をしながら真田が問い掛けてくる。 「何って・・・キス」 「そんなことは分かっている」 「じゃ、何?」 「何故急に・・」 「したかったから。・・・急じゃなければいいの?」 「そういう問題ではない!」 声を荒げ俺に説教を始める。 「ここは病院なんだぞ?それなのに・・・こんな・・」 「誰も来ないよ。今日の検査はもう終わったし」 「俺はそんなことを言ってるんじゃない!時と場所というものをだな・・・」 「関係ないよ。俺がシたいときにスる。それだけでしょ?」 ニッコリと笑うと真田のウルサい口を塞ぐ。 「ん!・・・んっ・・やめ・・・」 一旦、口を離すと銀の糸を引く。 「ふふ・・・ヤメロだって?冗談。もうこんなに感じてるのに?」 そっと手を伸ばして触れる。 真田のソレはズボンを窮屈そうに押し上げている。 「////」 指摘されて恥ずかしいのか耳まで真っ赤になる。 「ね、真田。シよ?」 「なっ///ここでか?」 「うん。ダメ?」 少し涙目で見上げる。 俺のこの表情に真田が弱いのは知ってる。だから、コレでおねだりをすると・・・ 「わ、わかったから・・・そんな目で俺を見るな///」 「可愛いv真田」 真田の大きな手をとると、その手に口付ける。 そして再び濃厚なキスをする。 舌を絡め 唾液を交換して 堪能する 呑み込みきれなかった唾液が顎を伝い流れ落ちる。 「・・・イヤラシイ顔」 「っ//幸村!」 「はいはい」 シャツをはだけさせると、プクリと尖った飾りに歯を立てる。 するとビクリと体が反応する。 「んっ・・噛む・・・な」 我がままだな・・と思いつつも噛まずに舐めてやる。 もう片方の飾りには摘んだり押し潰したりという刺激を与える。 「はぁ・・・ゃ・・幸村・・」 「ん?」 名前を呼ばれ見上げると、潤んだ瞳で訴えてくる・・・ 『触ってくれ』 と。 「我慢できない?」 問い掛けるとコクンと頷く。 その素直な反応に笑みを零すとジッパーを下げ真田のモノを取り出す。 外気に触れてピクっと震える。 「すごい。もうこんなに硬い」 「ぁ・・幸村・・・」 「可愛い」 指を絡めるとヌルリと先走りの液がつく。 「真田?」 「何だ・・っ」 真田のモノを握ると先端を押す。 グチュっと卑猥な音が響く。 「ふふ、淫乱」 「なっ///」 恥ずかしそうに俯く真田の横顔に触れる。 「安心して。痛くはしないから」 そう囁くと真田のモノを上下に扱きだす。 根元から先端まで、ゆっくりと一定のリズムで。 「っ・・ぁ・・・」 手を口元にあて、必死に声を抑える。 時折その隙間から甘い声が漏れる。 それはそれで幸村を煽っているのだが、やっぱり声は聞きたいもので・・・ 「真田。声、聞かせてよ」 「嫌・・・だ・・」 反抗されるとイジメたくなる。 淫らな声で喘がせたい。 「そう・・・それじゃ仕方ないね。真田、おいで」 指示した場所は俺の腹の上。 視線を絡ませ上に乗るように合図する。 「・・・っ//」 恥ずかしがりながらも、ゆっくりと上に乗ってくる。 「そう、いい子だね」 ちょうど俺の目の前に真田のモノがくるような格好。 ピクピクと震えながらも、先端部からはしっかりと蜜を流す。 「おいしそう」 手を伸ばすと愛撫を再開する。 今度は、舌も使って―・・・ 「っく・・・やめ、幸村!」 ピチャピチャと卑猥な音が室内に響く。 裏筋をなぞり、先端に舌をねじ込ませたりして刺激を与える。 手では睾丸を緩く揉んだりする。 「ひっ、ぁ・・・幸村・・やめ、ろ・・・ン」 「どうして?」 口に含んだまま答えると、その微かな振動にも感じて蜜を溢れさせる。 「汚い・・・から、だ・・っ」 「汚くないよ。真田の体は、どこも綺麗だよ」 一旦口を離して答えると再び口に含む。 根元から丹念に舐め上げていく。 それを繰り返していくと、限界が近いのかピクピクと痙攣を始める。 「っあ・・・離せ、ンぁ」 「イっていいよ」 射精を促すために先端に歯を立てる。 「ひぁ・・・くぅ―・・!!」 小さく呻いて俺の口の中に熱い欲を放つ。 一滴も零さないように呑み込み、舐めとる。 「な////飲んだ・・・のか?」 恐る恐る聞いてくる真田に笑顔で答える。 「うん。おいしかったよvごちそうさま」 「し、信じられん///」 「だろうね。さ、次は俺の番だね」 「まだ・・・その、スるのか?」 「当たり前だろ?俺はまだイってないんだから」 少し体を起こすと真田の手を取ると首に回させる。 「ゆ、幸村?何を・・・」 「少し腰浮かしてくれる?」 「あ、あぁ」 何も分からず、言われた通りに腰をあげる。 そこに手を伸ばすと秘められた部分に触れる。 「っ!!何・・・」 「よく解しとかないとね」 ツプっと音をたて指を一本入れる。 「!!!」 「痛い?少し我慢して」 ゆっくりと奥まで入れていく。 時間をかけて一本入れ終わると、真田に声をかける。 「真田、大丈夫?息はいて」 「はぁ・・・っ・・大丈夫だ・・・」 額に張りついた前髪を後ろへと上げてやる。 「動かすよ」 中で指を折り曲げる。 「っ・・や・・・」 伸ばしたら今度は出し入れをする。 何回かするとスムーズになり、もう一本増やしてみる。 「くっ・・幸村・・」 「ん?どうかした?」 「中・・・気持ち悪い・・」 その言葉に一瞬指が止まる。 そして、内壁の動きで意味を理解する。 「なるほど。焦らしすぎたかな?」 内壁に誘われるまま、ある一点を擦ってやる。 「ひっ!!・・そこ、ヤ・・・んっ」 「嫌じゃないだろ?ここが真田のイイトコなんだから」 二本の指をバラバラに動かしながらも、真田のイイトコを刺激する。 次第に揺れ始める、淫らな腰。 「ほら、腰まで動き始めた」 「っア・・・言うな///」 トロトロと溢れる蜜に口づける。 少し苦味があるけど、真田の味。 「ゆ、幸村!?」 俺のその行為に驚いた真田が声を荒げる。 けど、それは無視して十分に解れた蕾から指を引き抜く。 「んあっ・・」 「真田、息止めたらダメだからね」 忠告するとヒクヒクと蠢くソコに自分のを宛がうと一気に挿入する。 「ヒっ!!」 喉の奥で息を呑む音が聞こえる。 「息止めちゃダメだって言ったのに」 耳を甘噛みして、真田のモノに手を伸ばし愛撫してやると、自然と力が抜けていく。 その瞬間を狙い奥まで突くとギリギリまで引く。 何回か繰り返すと最初押し出していた内壁が、奥に誘うように蠢く。 「ぁ・・やめ・・ン・・・」 「ウソは駄目だろ?さっきよりも零れてる」 先端部をグッと押すとグチュっという音が聴覚を刺激する。 「ひぁ・・・も、ムリ・・・」 「まだイかせないよ」 根元を握ると激しく律動を開始する。 さっき見つけたイイトコをピンポイントで突いてやる。 「ゆきむら・・・はぁ、そこ・・・ヤメ・・ン!!」 「っ・・真田、締めすぎ」 千切られそうな勢いに真田が限界が近いのが分かる。 「ふぁ・・・幸村、もう・・・」 「イきたい?」 意地悪して聞くと珍しく素直に答える。 「あぁ・・・早く・・イかせて、くれ・・・っ」 「ふふ、素直な真田も悪くないね」 戒めていた手を離して腰を掴む。 下から絶頂目指して突き上げる。 「ひっ・・・あっ・・も、でる・・・」 「うん、一緒にね」 抜ける寸前まで真田の腰を浮かせるとグンと下ろす。 「ぁ・・っく・・・んん―・・・!!!」 「・・・っ」 俺の腹の上に真田の熱い液が降り注ぐ。 ほぼ同時に俺は真田の中に欲を放った。 「起きたらまた説教かな?」 隣で気持ちよさそうに眠る真田に小さく呟く。 答えはもちろん-返ってこない。 「真田、明日もケーキ。持ってきてね」 一人笑みを零すと、静かに目を閉じた。 ▼藍奈 コメント ジャッカル…
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1968.html
599 :小ネタ:2016/03/27(日) 12 18 41.31 ID 6ss8gZsb0 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ みんなで缶ケリ! 「あたしがオニか……さて……と」 「あやせ、そのスカート、超可愛いね!」 「ホント?桐乃?」 「はい。あやせ、見っけ」 「き、桐乃~、ズルいよ~」 「ごめん、ごめん」 「でも、あたしを一番最初に見つけてくれたんだよね、へへへ、嬉しい♪」 「う、うん、まあね」 (……まさか、引っかかるとは思わなかったんだけど……) 「さて、次に……きょろきょろ……!」 「はい、加奈子、見っけ」 「はぁっ?何でだよ!そっからじゃ絶対見えなかっただろ!」 「姿はね。でもそのクセっ毛だけ丸見えだったしw」 「う……ちくしょーっ!」 「さて、次に……」 「あ、黒いヤツならあっちに行ってたぜ?」 「マジ?じゃあ、ちょっと探しに行ってみるか……」 てくてくてく…… 「ふっ!よくやったわ、メルルもどき!」 「だっ!だれがメルルもどきだぁ~っ!こらぁ~っ!」 「ふっ、あなた以外に誰がいるというの?さあ、この聖なる闇の衣を纏いし漆黒の堕天聖が、その闇の封印を破壊し、熾天使に囚われし全ての愚かなる者たちに解放と自由を……」 「はい、黒猫見っけ」 「ちょ、ちょっと!あなた!わたしの前口上の最中に戻ってくるなど、言語道断でしょう!」 「知らないってーの」 「さて……あとは沙織と京介か……どうやって見つけよっかな~……」 「ん~~~……!あ!そだ!ふひひーw」 「くんくんくん……!はい、京介みっけ!」 「おい!なんつー見つけ方しやがんだ!」 「へっへー、ひっかかったーw」 「なっ……!!」 「匂いなんかで見つけられるわけないじゃん。ばっかじゃないの?」 (……あり得るから困る……(全員)) 「……あとは沙織か……」 きらーん! ぱんっ! かんっ! 「きゃっ!な、なに!?」 「ふふふ、最後に有終の美を飾ったのは、やはりこのわたくしでしたわね、みなさん」 「ちょ!あ、アサルトライフルとか、反則に決まってんでしょっ!」 「でも、見事にケリは付けましたでござるが?」 「そのケリじゃなぁぁぁぁいっ!!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ きりりんのPDCAサイクル 妹業活動における愛情度向上メカニズムの一環であり、4段階のサイクルから成り立つものである。 なお、この名称は、きりりんを構成する次の4段階の頭文字をつなげたものとなっている。 P ぷいっ! D ドキドキ…… C チラッ A あ、あんたのことを見てたんじゃないんだかんね! 本サイクルは、千葉のとあるシスコンの兄貴が、これまた千葉のとあるブラコンの妹の前に来ることによって自発的に開始されるサイクル活動となる。 本サイクルを繰り返すことで、妹の愛情が飛躍的かつ永続的に向上していく。 さらに妹婚後は、継続的なじゅーでんによる永ちゅー機関へと変化し、さらにサイクルが加速される。この時のサイクルは以下のとおり。 P ぷいっ! D ドキドキ…… C ちゅっ A あああ、あんたなにしてくれてんの! なお、この活動によって千葉の気温が上がったとの報告もあるが、その因果関係は定かではない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なまえのないスクール水着 「……えっち」 「お、おまえが俺に名前を書けっつったんだろ!」 「でも、だからって、何回も何回も重ね書きしなくってもいいじゃん?」 「それは俺のせいじゃねぇ!おまえが持ってきたこのペンがかすれて書けなかったからじゃねーか!」 「しかも、ちょーくすぐったかったってのに、じっとガマンしとけとか、どんなゴーモンだっての」 「自分で書かせておいてそれかよ!そもそも、おまえがちゃんと名前を書いてきてたら済んだ話だろ!だいたい何で書き忘れたくせにペンだけ持ってきてんだよ!」 「ん~、備えあれば憂いなし、みたいな?」 「備える前に済ませとけっての!ったく……もう二度とやんねーからな!」 「は?何言ってんの?」 「え?」 「明日も、だかんね?」 「な、なんで?」 「だってソレ、水性だし?」 「油性じゃないのかよ!水着なのにおかしいだろ!」 「それに、まだ後ろが残ってるし?」 「後ろもあんのかよ!」 「ほら、早く」 「ったく……しょうがねぇなぁ。髪、あげとけよ」 「ん」 「やれやれ……そうだ!……ひひひ……」 「?」 「うしっ!じゃあ書くぞ!」 「うん……って、なんかあんた、別のこと書いてない?」 「気のせいだ」 「どう考えても名前じゃない気がするんですケド?」 「そーいえば、子供の頃やったよな、こーゆーの。背中に文字を書いて当てっこしてさ?」 「あー、やったやった。懐かしいよねー……って、話はぐらかしてんじゃないっ!」 「よし、できた」 「だから何を書いたんだっての!」 「よし、行くぞ、桐乃」 「あ!こら!待て!走って逃げんなぁっ!」 『 I (はぁと) 兄貴 』 …………ぐへへ……こっち側の世界へようこそ、桐乃ちゃん♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ コタツ戦線異常なし 「あったかい部屋でコタツに入ってのんびりエロゲー……これぞ日本人ってカンジだよね~♪」 「……いや、最後のは違うと思うぞ?」 「はぁ?コタツ、っつったらエロゲーじゃん!」 「どっからその発想が出てくんだよ……」 「いいじゃん、別に。つーか、こんなに可愛い妹が、二人でコタツに並んで一緒にエロゲーしてあげてんだから!感謝しなさいよね!」 「へいへい……」 「てか、ちょっと熱くない?」 「そーか?」 「温度下げてよ。」 「自分で下げろよ……」 「やぁだ。」 「ったく……こっちには調整用のツマミ、無いみたいだけど?」 「じゃあ、向こうにあるんでしょ?」 ……自分で動く気、全く無しかよ…… 「ほら、早く!」 「やれやれ……よっと……。どれどれ……ツマミは……っと。………………あ。」 ばふっ。 「どしたの?顔真っ赤だけど?」 「な、なんでもねーよ?」 「そんなに熱かったの?コタツ?」 「だからなんでもねーって。気にすんな。な?」 「そー言われたら余計気になるじゃん。コタツの中覗いてなんかあったの?……って!あんた、まさか!み、見たなぁっ?!」 「見て……ないぞ?」 「その答えって、あたしがなんのことを言ってるのか分かってるってコトじゃん!!」 「あ゛」 「エッチ!ばか!変態!スケベ!シスコン!!!なに覗いてんのよ!」 「別にワザと覗いたワケじゃないだろ!これは不可抗力だ!つか、だいたいおまえがミニスカートでコタツに入ってるのが悪いんだろ!!!だから俺は全然悪くない!違うか!?」 「逆ギレして誤魔化すなぁぁぁっ!!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 罰ゲーム 「あんた、あたしの……その……見た、責任取んなさい。」 「責任?」 「そ。」 「えーっと……俺のぱんつでも見せればいいのか?」 「ん~~~……」 「え?」 「え?あ!ち、違うんだってば!今のはあんたに何してもらうか考えてただけで、決してあんたのぱんつが見たいってワケじゃないんだかんね!」 「そ、そんなにムキにならなくても分かってるって。かえって怪しくなってんぞ。」 「んなワケないしっ!」 「で?」 「え?」 「何か考え付いたのか?」 「あ。えっと……その……」 「無理にやんなくてもいいんじゃねーの?」 「ダメ!せっかくあんたに何かやってもらうチャンスなんだし!」 ……それっていつものことじゃねーの? 「う~ん……あ、そーだ!」 「決まったのか?」 「うん!ふひひひひ……」 「な、なんか嫌な予感しかしないんだが……俺に何をやらせるつもりだ?おまえ?」 「ひひひ、ナイショ♪」 「なんだ?それ?」 「ちょっと時間がかかるから、準備が出来たら教えたげる♪」 「なんなんだ、いったい……」 数日後…… 「おい……桐乃……これは何だ?」 「何ってコスプレの服だけど?」 「それは分かる。だがこれはちょっとその……刺激が強すぎるんじゃないか?」 「アタシが恥ずかしい思いしたんだから、あんたも同じ目に合うべきっしょ?」 「俺が着んのかよ!コレ?!」 「決まってんじゃん」 ……目がマジだった。ちくしょう、パンツ見たくらいじゃ割に合わねえぞ、こんなの…… 「着た?」 「着た……けど……」 ……自殺モンだろ、コレ? 「開けるよ?」 「ちょ、待て!」 ガチャ。 「きゃはははは!」 「おま!自分で着せといて、それはないだろ!」 「ひひひっ、罰ゲームなんだからそんくらいガマンしろってーの」 「なあ、桐乃?コレってもしかして、こないだイベントで見た……」 「そ、あのコスプレ」 「やっぱりか!」 「さ、京香ちゃん」 「き、京香ちゃん?」 「京子ちゃんよりそっちのほうが可愛いっしょ?」 「そういう問題じゃねぇ!」 「いーから!アレやってよ」 「あ、アレって?」 「『エロマンガフラァーーーッシュ!!!』」 「やるかぁぁぁっ!!!!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ふっかつ くんかたん 京介「ふ~、いい湯だった~。お、桐乃、今から風呂か?って、あれ?おまえ、さっき風呂に入ってなかったっけ?」 桐乃「あ、あたしの勝手でしょ!いーじゃん別に!何回入ったって!なんか文句ある?」 京介「いや、別に文句なんてねーけどよ……」 桐乃「え?なーに?もしかしてあんた、妹が後でお風呂に入っちゃマズイよーなこと、しちゃってるワケ?きもっw!」 京介「んなワケねーだろ!とっとと入りやがれ!」 桐乃「ふんっ!」 ガチャ 桐乃「うっひょぉ~~~~~っ! 兄湯♪兄湯♪兄貴の湯♪ 今日のお風呂は兄貴の湯♪ しかもしかもしかも! 今日のはなんと!兄妹(シスコン)湯! 妹の後に兄貴が入ったという幻の名湯! 妹の香り漂う妹湯に、兄貴が浸かっちゃったらもう大変!兄貴の煩悩フルチャージ!? 妹成分吸収しちゃって、兄貴のエキスも3倍増!? 出ちゃう!?出ちゃう!?兄貴のエキス!?兄貴の体中からあふれ出ちゃった!? 溢れ出す兄貴エキスで、兄貴成分100パーセント!!こんな湯船に浸かっちゃったらAT(兄貴にツンツン)フィールドが保てない!!妹の境界がなくなっちゃう!! LCL?!LCL化しちゃうの!あたし?!?これってまさか補完計画?!兄妹補完計画、発動しちゃう?!画策しちゃったの?!お父さん!?(中のひと的に) 兄妹補完計画発動させて妹と一つになっちゃうつもり?!兄貴と妹で生命のスープになっちゃって一人の兄妹になるつもり?!それって完全体じゃん!! でも兄貴はもう一度妹に会いたいと思っちゃうよね絶対!!じゃなきゃちゅーもできないし!!ダメ!そんなのダメ!!つんつんフィールド展開っ!!! 戻った?!戻った?!ヤバかった!!!もうちょっとで終劇しちゃうとこだった!!! ヤバすぎるって!!この湯船!!!おまけになんか浮いてるし?! 兄湯に浮かぶ兄貴の湯の花?!?いろんな意味でヤバすぎる!!! なに!?なにやってたワケ!?妹湯につかって、兄貴ってばナニやっちゃってたワケ!?兄貴成分、体中から絞り出し!?? しかも効能は妹?!妹に効果あり?!角質にまで浸透しちゃって妹のお肌を守っちゃう?! 全身すみずみ兄湯のバリアで妹肌をばっちりガード!!紫外線も放射線も宇宙線もシャットアウト!!通過すんのは兄貴の視線だけ!?! おまけに飲んで浸かって不老長寿!?永遠の15歳キタコレ!? 妹が兄湯で不老長寿なら兄貴も妹湯で不老長寿!?永遠の兄妹キタコレ!?! 伝説!?伝説になんの?!兄貴ってば伝説になっちゃう?! 兄湯が産湯で妹誕生!?生まれた時から兄湯三昧!?兄桐乃湯で兄野小町伝説はじまっちゃった!? ん?ナニコレ?名湯温泉湯の花パック?自宅でお手軽温泉気分?あー、こないだ猫探しに行ったときのお土産かぁ~、って! カムフラージュ?!そんなんでこの兄プロの目を誤魔化せるとでも思ったの!?兄貴ってば甘すぎ! スンスンスン……ペロッ!この味は!……ウソを吐いてる兄貴の味だぜ……!でも甘っ!兄貴ってば態度も味も甘いとか!しかも隠し味が妹とか! そんなの甘ったるすぎない?!でも仕方ないよね!兄貴だもんね!兄が妹に甘いのなんて、妹が兄の下に生まれた時から決まっちゃってる絶対真理の物理法則なんだから! 仕方ないからあたしもこの甘い兄香漂う兄妹湯で我慢してあげる!感謝しなさいよね!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ----------
https://w.atwiki.jp/83452/pages/4493.html
唯「……………」 律「……………」 唯「………どうしたのりっちゃんため息なんかついて…」 律「…お前こそどうしたんだよ…」 唯「………実は…」 律「………うん」 唯「…憂のアイス食べちゃった………」 律「…は?」 唯「だから憂のアイス食べちゃったんだ…」 律「…ふーん」 唯「ふーんじゃないよりっちゃあん!!!」 律「うお!なんだよ急に」 唯「だって憂のアイス食べちゃったんだよ?絶対憂怒るよ…」 律「唯じゃあるまいし憂ちゃんそんなことで怒んないだろ」 唯「そうかなぁ………でも言いにくいなぁ…」 律「……………」 唯「……………」 唯・律「………はぁ…」 唯「………で?」 律「…ん?」 唯「りっちゃんはなんでため息ついたの…」 律「………実は…」 唯「うん…」 律「澪に借りたノートに落書きしちゃったんだ…」 唯「………消せばいいじゃん」 律「油性マジック…」 唯「…なんでそんなことしたの」 律「…つい」 唯「ついって…」 律「………どうしよう…」 唯「謝ればいいじゃん」 律「………許してくれるかなぁ…」 唯「……………」 律「……………」 唯・律「………はぁ…」 唯(………ノートに落書きぐらいでふつうそんなに怒んないでしょ…憂のがよっぽど恐いよ…) 律(………アイス食ったくらいでふつうそんなに怒んないだろ…澪のがよっぽど恐いよ…) 唯・律「!」ピーン 唯「りっちゃん!」 律「唯!」 唯・律「入れ替わろう!!!」 唯「はい、ヘアピン」 律「ほい、カチューシャ」 唯「おぉー!そっくりだねりっちゃん!」 律「唯もそっくりだ!これならバレないぞ!」 唯(ふふ…りっちゃんには悪いけど犠牲になってもらうよ)ククク 律(へへ…唯には悪いけど犠牲になってもらおう)ククク 唯「りっちゃん!」ガシッ 律「唯!」ガシッ 唯・律「友情って素晴らしい!」 唯「んじゃ今日一日よろしくね」 律「おう任せとけ!澪に家にノート取りに来るようにメールしといたからもういると思うぞ」 唯「了解!これでやっと帰れるね」 律「うん。部活終わっても帰りたくなくて二人で音楽室にいたんだもんな」 唯「あ、りっちゃん家アイスある?」 律「お前まだアイス食うのか?」 唯「へへー」 律「まったくしょうがない奴だなー」ニシシ 唯「あ、ここでお別れだね」 律「おう!唯ン家はあっちだな」 唯「りっちゃん家はこっちだね」 唯・律「じゃ健闘を祈る!」ゝビシッ …… 唯「ふんふんふーん♪」 唯(昨日の夜からずっとどうしようって思ってたけどこれでやっと気が軽くなった!) 唯(りっちゃんには悪いけど憂怖いもん!) 唯(それにりっちゃんだって入れ替わろうって納得したからいいよね!) 唯(ふふ~澪ちゃんはりっちゃんには厳しいけど私には優しいからノートの落書きくらい許してくれるよね♪) 唯「あ!田井中…ここだ!」 ガチャ 唯「たっだいま~!」 律母「おかえり」 唯「あ…こ、こんにちは!(わわっりっちゃんのお母さん初めて会った!)」 律母「なに言ってんのあんた」 唯「え…あ…(そっか私がりっちゃんなんだ!りっちゃんっぽくりっちゃんっぽく!)」 唯「お…おう!今帰ったぜおふくろぉ!」 律母「おふくろ…?」 唯「え…(ち…違うのかな…)」 律母「…あ、そういえば澪ちゃん待ってるわよ」 唯「お、おう!知ってるぜ!」アセアセ 律母「…?早く行ってあげなさい」 唯「ほ、ほーい!」ダダッ 律母「………変な子」 唯(ふうー焦った焦った)ガラッ 澪「遅いぞ律!」 唯「あ、澪ちゃんお待たせ!」 澪「み、澪ちゃん?」 唯「あ…(またやっちゃった…)」 澪「………お、遅くなったの誤魔化そうったってそうはいかないんだからな!」かぁ 唯「わ…わりーわりー!ごめんな澪!」 澪「まったく…」 唯「へへっ(あ、この笑い方りっちゃんっぽい!)」 澪「で、ノートは?」 唯「あ、うん。ノートねノート…(どうしようどこにあるんだろう…)」キョロキョロ 澪「…まさか失くしたんじゃないだろうな」 唯「そっそんなことないよ!えっと…えっとねぇ…」キョロキョロ 澪「………?(なんかいつもの律と違うような…)」 唯(ど…どうしよう………あ!あった!秋山澪!) 唯「はい、これ!」 澪「ん。ちゃんと写したのか?」パラパラ 唯「あー…うん!ありがとう!えっと…それでね…」 澪「ちゃんと授業中に起きてないからこういう目に………」パラパラピタッ 唯「あ、あのね…」 澪「………おい」 唯「え?」 澪「………なんだこれは」プルプル 唯「(落書きのことだよね?)えーっと…ごめんね…実はちょっと落書きしちゃっ」 澪「ちょっとお!!!?」 唯「ひぃっ!?」ビクッ 澪「そーかそーか…お前にとってこれはちょっとの落書きなのか!」バンッ 唯「うわっ…(ノート見開きに極太マジックででっかくバカ澪って書いてある!)」 澪「…」ペラッ 唯(次のページにはおっぱいおばけって文字とおっぱいの大きな鬼の絵が!!) 澪「………」ペラッ 唯(さらにその次のページにはフジツボって小さな字がページ一面に!!!) 澪「………これがちょっとなのか」プルプル 唯「あーっ…えっと…えーーーっと…(りっちゃんのバカー!!!これはやりすぎだよ!!!)」 唯(あ、でも澪ちゃん私には優しいからきっとそんなに………って私今りっちゃんじゃん!!!どっどうしよう叩かれる!!!!)ビクビク 澪「………………はぁー…」 唯「え?(これはもしや呆れちゃって何も言えないってパターンじゃ…よしっ!今必死で謝れば許してくれるかも!)」 唯「あ、あの…」 澪「………おしおきだな」 唯「……………え?」 …… 律「ふんふんふーん♪」 律(昨日の写すのダルすぎて澪のノートに落書きして八つ当たりしたけどフジツボって紙一面に書いた時点でハッと我に返ったんだよなー) 律(それからずーっとどうしようか悩んでもう死ぬ覚悟で行くしかないと思ったけど…ラッキーだったな♪) 律(まぁ唯もノリノリだったし…いいよな?) 律(くくっ…澪の奴どうすんだろ?げんこつ百連発かなーそれとも一時間グリグリ攻撃かなーそれとも筋肉バスター10連発!?)ルンルン♪ 律(ふっふっふ♪唯のやつ泣くんじゃないだろうなー♪) 律(これでもう憂ちゃんが怖いなんて二度と思わない…いや思えないだろうなー)ククッ 律(あの憂ちゃんがアイス食ったくらいで怒るわけないじゃん!唯のしたことなら何でも許しちゃうような子なのに) 律(バッカだなー唯も。まぁ今日は一日唯のつもりで憂ちゃんに甘えますかね!)ヘヘッ 律(あんな妹ほしかったんだよなー♪) 律「お、ついたついた」 ガチャ 律「う~い~ただいまー(ふふっ完璧!)」 憂「お帰りなさいお姉ちゃん」パタパタ 律(うおっ!エプロン姿で小走りでお出迎え!くぅー!まるで新婚さんじゃないか!)デレデレ 憂「?どうしたのお姉ちゃん楽しそうだね?」ニコッ 律(喋りながらもさりげなくスリッパを用意してくれる新妻!かぁー!可愛い!今日一日これを自由にできるなんて幸せ!)ジー 憂「ふふっもーなぁにお姉ちゃん?」ニコニコ 律「(くぁいい!くぁい過ぎる!)なんでもないよ憂ーお腹すいたー」 憂「今煮込んでるからもう少し待ってねー」 律「はーい」 憂「お皿お皿…っと」 律「(ひまだな……怒らんとは思うけど一応機嫌取っとくか)うーいー手伝おうかー?」 憂「えっ…どうしたのお姉ちゃん?」 律「憂ががんばって家事やってくれてるから私も手伝おうかなーって!」 憂「お姉ちゃん…」ジーン 律(おお…すごい喜びよう…唯の奴よっぽど普段何にもしないんだなー) 憂「ありがとう…じゃあお茶碗だしてそこにおいてくれる?」 律「えっ…そんなことでいいの?」 憂「うん!十分だよ!」にこっ 律(十分って…猿かなんかと勘違いしてないか?まぁいいか。ついでにご飯よそっとこう)カチャカチャ カパッ 憂「!お姉ちゃん!!!」 律「!?」ビクッ 憂「ダメだよお釜開けちゃ!危ないでしょ!?」 律「え?は???」 憂「やけどしなかった?平気?」 律(ええーーーーーー!?) 憂「炊き立ては熱いんだからもう開けちゃダメだよ?分かった?」 律「う、うん…(おいおい…過保護にもほどがあるだろう…)」 憂「お茶碗だしてくれてありがとう♪すっごく助かっちゃっよ!」ニコニコ 律「…あははどういたしましてー(なにから突っ込めばいいのかもう分からん)」 律「おおー!美味しそう!いただきます!!」 憂「召し上がれー」 律「ぱくっ…うまっ!うまっ!」バクバク 憂「ふふっお姉ちゃんおなか空いてたのー?」 律「うんっ!(澪への不安で昼もあんまり食べられなかったからなー)」パクパク 憂「いっぱい食べてね?」ニコニコ 律「はーい!」 律「ふぅー…食った食った」ポンポン 憂「もーお姉ちゃんお行儀悪いよー?」コポポポ 律「(ありゃうっかり素が…)えへへごめんね憂」 憂「はい」コトッ 律「ありがとー(おおっ食後のお茶まで…さっきもご飯のおかわり持ってきてくれたし至れり尽くせりだな)」ズズッ 律(こりゃ唯が怠け者になるのも無理ないな) 憂「お姉ちゃんお風呂沸いたからどうぞー」 律「はーい」 憂「お姉ちゃん着替えとタオルここ置いとくねー」 律「はーい」ワシャワシャ 憂「お姉ちゃん髪乾かすからこっち来てー」 律「…はーい(そんなことまでやらしてんのか)」 憂「熱くない?」ブオー 律「うん平気ー(あー…人に髪乾かしてもらうのって気持ちいいんだなー…)」ボヘー 憂「これ終わったらアイス食べようね」ブオー 律「うん(おおーアイスまで自動で出るのかー………って忘れてた!)」バッ 憂「きゃっ…もうお姉ちゃん動いたらダメだよー」ブオー 律「ご、ごめん…(そうだアイスのこと謝るためにここにいるんだ…)」 律(えーと…なんて謝るかな。怒りはしないだろうけどいざ人に謝るとなると緊張するなー) 律(『ごめんアイス食べちゃったーえへっ』でいいか) 憂「…はい。乾いたよお姉ちゃん」 律「ありがとぉー」 憂「今アイス持ってくるから待っててね」 律「あ…う、憂!」 憂「なあに?お姉ちゃん」 律「えっと…あ!お風呂!憂もお風呂入っちゃいなよ!」 憂「え…でもお姉ちゃんいつもお風呂あがりはアイスだって…」 律「えーっと…じ、実はさっき食べ過ぎちゃったみたいでさ!だから憂がお風呂入り終わった頃まではいいかなーって!」 憂「え、でもお姉ちゃんいつももっとご飯食べるよね?」 律「(おいあいつどんだけ食うんだよ!?)え…えっと…ムギちゃん!ムギちゃんのお菓子食べすぎちゃって…」 憂「そうなの?んー…じゃあ先にお風呂入ってきちゃうね」 律「うん。出たら一緒にアイスたべようねー」 憂「うんっ!じゃあ入ってきちゃうね」 律「いってらしゃーい!………………ふぅ」 律(やっぱりいざ謝るとなると緊張すんなー) 律(そういえば唯のやつどうしたかな) 律「電話してみるか…」カチカチ プルルルル… 律「………………」 プルルルルル… 律「……………出ないなー…」プッ 律(まだ澪いんのか?いやでももう九時過ぎ…) 律(まっまさか殺されたんじゃ…)ガクブル 律(……そんな訳ないか…) 律「…とその時の私は気楽に考えていた…まさか唯の身にあんなことが起こっているとも知らずに………」 律(なーんちゃって) 憂「マンガごっこでもしてるの?」ホカホカ 律「うおっ!?」サッ 憂「んー?」フキフキ 律「な、なんでもないよー(あっぶねー携帯見られてないよな?…ってまだ何て謝るか考えてない!)」 憂「そう?」フキフキ 律「って憂早くない?」 憂「うん、お姉ちゃん待たせたら悪いなーって」フキフキ 律(ええ子や…)ジーン 憂「もう食べる?」ワシャワシャ 律「あー…憂が髪乾かしてからでいいよー」 憂「じゃあちょっと待っててね」 律「うん(こんだけ唯が第一の子なんだから素直に謝ればべつに怒んないな、うん)」 憂「お待たせ。じゃあアイス持って来るねー」 律「あっ…ういー」 憂「うん?」 律「えっとねー…実は…憂のアイス食べちゃった…ごめんなさい…」シュン 律(ふふっ!こんなにシュンとしてる唯を怒れまい!) 憂「えっ…」 律(………えっ) 憂「………食べちゃったの?」 律「う、うん…(おいちょっと待てなんか雲行きが…)」 憂「………どうして食べちゃったの?」 律「えっと…美味しそうでつい…」 憂「…二人で食べようねって言ったよね?」 律「え?」 憂「………忘れちゃったの?」 律「ご、ごめんなさい…(な、なんか怖いぞ…)」 憂「二つセットになってて二人で食べるとずっと仲良しでいられるって噂だから一緒に食べようねって言ったじゃん!」バンッ 律「!」ビクゥッ 律(おいおいおい!聞いてないぞ!!唯大好き憂ちゃんのことだからアイスくらいで怒んないだろと思ったけど唯大好きだからこそ怒るようなアイスじゃねぇか!!!) 憂「食べちゃったんだ…一人で…」 律「あ…あう…(どうしようどうしよう!なんかすっごく怖い!)」 憂「………………はぁー…」 律「え?(これはもしや呆れちゃって何も言えないってパターンじゃ…よしっ!今必死で謝れば許してくれるかも!)」 律「あ、あの…」 憂「………おしおきだね」 律「……………え?」 2
https://w.atwiki.jp/poki10/pages/36.html
120: 名前:みるみる☆04/29(水) 22 44 59 116高坂 陽様 いえいえ、そんなことないです。私くらいの文章だったら日本中の誰でも書けますよw 何度も応援してくださって嬉しいです! 涙もちょちょ切れます(死語 117有加様 元気いっぱいのあげありがとうございます! そんなこと言っていただけると涙もちょちょ切れ(ry もっと面白く書けるようになりたいです。 118Linux様 あまり私の小説を快く思われていないようですね。そういえば、あなたはこの板にスレを立ててらっしゃいますよね。そのスレといい、このレスといい、何か悩みでもあるのですか? 私で良かったら聞きますよ。 119夜様 そうなんですか!? 嬉しいです! 書き込みは気軽にして頂ければ良いですよ! 何度もありがとうございます! ◆ 「……ごふっ」 咽せるような咳を一つして、小町ちゃんの瞳が薄く開いた。 一瞬だけ、私の心にも安心が戻る。 だが、状況は深刻だ。 一体、どうしてこんな事になっている。 考えろ。 何か、ひっかかる事はなかったか。 赤音さんが、「悪い予感がする」と言っていたことを思い出した。 皮肉にも、それは現実となってしまったのだ。 「小町ちゃんっ、大丈夫?」 誰がどう見ても大丈夫ではなかったが、そう言った。 安心させようとしているのか、小町ちゃんはうっすらと笑った。 唇が引き攣って、綺麗な笑い方ではなかった。 「あ、碧ちゃん。……どうしたんですか?」 それを聞きたいのはこっちだ。 「ねぇ、どうしたの!? 何があったの? はやく、救急と警察を――」 「呼んでどうするんですか?」 小町ちゃんの笑みに自嘲が混じる。 「『colored』の為に国家権力は動きませんよ」 人権なんて、ありませんから。 そう小町ちゃんは付け加えた。 134: 名前:みるみる☆05/11(月) 17 06 09 歯痒い。 国までもが、私達を差別するの? 守ってはくれないの? しかし、私は喉からこみ上げる悔しさを、奥歯で噛み潰した。 ここで悔しがっているだけでは、状況は何も変わらない。 早く、この状態から抜け出さなくてはならないのだ。 だって、こんな事が出来るのは、この家に住む人だけだから。 2人だけだから。 帰ってきたら、そこで終わりだ。 「逃げよう、小町ちゃん」 「無理ですね」 強い決心と共に小町ちゃんを見つめたが、小町ちゃんは力の抜けた笑顔で首を振った。 「もうすぐ、パン屋から彼が戻ってきます。私に朝食を与えるためです。時間がありません。それに――」 痩せ細った右腕が、ぶらぶらと振られた。 そこには金属の輪が揺れている。 鎖が触れ合って、じゃらじゃらと音を立てた。 言わんとしていることは、誰の目にも明らかだった。 「どうぞ、碧ちゃんだけ帰って下さい」 そんな、と私が言いかけたそのときに、タイミング良くドアの開く音がした。 否、タイミングは悪かったのかも知れない。 慌てて、さっき入ってきたところを振り返る。 現れたのは、茶色の彼だった。 私は、犯人が誰であるか確信した。 137: 名前:みるみる☆05/12(火) 21 15 25 「あ、いらっしゃい」 こんな状況だというのに、琥珀さんはまるで気付いていないような口振りだった。 どうしよう。 もう、逃げられない。 「……なんで」 少しだけ声が震える。 理由は恐怖と、勿論怒り。 「何でこんな事したの? 意味分かんない! ねえ、なんで!?」 一瞬だけ驚いた顔をした琥珀さんは、それからにっこりと笑った。 「それはねぇ、小町が逃げようとしたからだよ。だからちょっとだけ、繋いでおいた」 繋いでおいた? ふざけるな。 「あなた、小町ちゃんを何だと思っているの!? 少なくともあなただけの所有物じゃない! 犬じゃない、小鳥じゃない、にんげんなんだから!」 140: 名前:みるみる☆05/16(土) 22 08 08 138高坂 陽様 何度もお越し下さって有難うございます! 楽しみだなんて、そんな……;;ペースは亀並みですが、よろしくお願いします! 139藍様 そうなんです、こんな奴なんです。こんな奴、えいっ(プチッ ← コメント有難うございます! ◆ その言葉を聞いて、琥珀さんは困ったように笑って、「君は何か誤解しているようだね」と言った。 「僕だって、好きでこんな事やってる訳じゃないよ」 じゃあ、仕方なくやったとでも言うのだろうか。 仕方なかったら、やっても良いことなのだろうか。 「どういう事?」 「いや、僕は小町が幸せになるなら何でもしてあげようと思っているんだ。実際そうしてきた。なのに、こいつったら『そんなのは愛じゃない』とか綺麗事を言うんだよ」 「…………」 「だから分からせてあげようと思った。認めさせようと思った。駄目かな?」 相変わらず薄気味悪い笑みを浮かべている琥珀さんに、しばらく喋っていなかった(喋れなかったのかも知れない)小町ちゃんが、口を開いた。 「母親を、」 床に横たわる瞳は、じっとりと茶色の髪を見つめている。 「殺しまでして、まだ、そんなことを言うんですか」 「な、殺しっ……!?」 急に目の前の男が恐ろしくなった。 確信する。 この人は狂っている。 やめろ。 自分の母親を殺して尚、そんな薄笑いを浮かべているのか。 やめろ。 そんな目で私を見るな。 見ないで。 149: 名前:みるみる☆05/31(日) 20 01 28 人物を前にして吐き気がするのは生まれて初めての経験だった。 これが正真正銘の「ムカつく」。 「……なんちゃって、あはっ」 つまらない独り言では、この場の雰囲気は和まなかった。 自分でも笑顔が引き攣っているのが分かる。 琥珀さんは近づいてくる。 私は、いつの間にか床にへなへなと腰を下ろしていて、すぐに逃げるどころか立つことさえできなさそうだった。 「僕は、何か間違ったことをしているかな?」 亜麻色の笑顔は崩れない。 喉がひくついたが、それでも私は精一杯、「ええ」と言った。 「さっきも言ったじゃない。……人間が、人間を束縛する権利はどこにもないの」 「君はなかなか面白いことを言うよね」 琥珀さんは至極つまらなさそうに言う。 「人間は駄目なんでしょ? じゃあ、さっきからの君の発言では、鳥や犬や猫は縛ってもいいんだよね? 人間は駄目なのに、動物はいいんだ?」 「話を逸らさないで」 強気にそう言ってみたが、その言葉は胸に刺さった。 確かにそうだ。 動物も植物も、もちろん人間だって、命の重さは変わらない。 そんなこと、わかりきっているはずなのに。 差別する人たちを憎んでいた私だけど、自分自身が差別をしている――? 「ましてや僕のは差別じゃない、愛情だ。それでも駄目だと、君は言うのかい?」 「…………」 私が何も答えないのを見て、琥珀さんは満足げに笑った。 悔しい。 これは確かに駄目なことなんだ。 それなのに、言葉にすることができない。 「お別れだ、碧ちゃん」 小町ちゃんが「つながれて」いるのを知って。 その犯人が琥珀さんであると知って。 その状況で言われた「お別れ」が、どのような意味を持つかが分からないほど、私は馬鹿ではなかった。 長い指が伸びてくる。 琥珀さんは凶器を持っていない。 でも、女子高校生が、成人間近の男性に力で敵うだろうか。 その指で、その腕で、首を絞められたらどうなるだろうか。 「やっ……助けっ――!」 来ないはずの助けを呼ぶ。 視界の端に、驚愕と絶望の表情を浮かべた小町ちゃんがいる。 腕を掴んだ。 びくともしなかった。 目を閉じることさえ、できなかった。 こんな感情は生涯二度目だ。 もうこの先は味わうこともないだろう。 ああ、もう駄目だ。 ぱーん、とガラスが勢いよく割れる音が聞こえたのは、そのときだった。 目の前の琥珀色が、ゆっくりと前のめりになって。 私の腹と腿に、ずしんと倒れた。 そして、その向こう側に、艶めく赤と、深い青が見えた。 154: 名前:みるみる☆06/01(月) 20 45 48 150高坂 陽様 なんて優しいお言葉っ……! はい、これからもよろしくお願いします! えっ、うえおぅっ(号泣 もう、一週間に一度も更新できてないです……。 151茨城まり亜様 そうなんです。そこは私も常々「どうしたもんだろうなぁ」と思っているところです。 なかなか上手く文にできません。あああ。 良かったね琥珀、あんたのことまだ好きっていってくれる人がいたよ← 琥珀の言ってることは微妙に筋が通ってるからみんな困っちゃうんですよね。 彼は幼稚ですw 153沙希様 ありがとうございます!! 更新、かなり遅いです。 すみません……。 ◆ 首もとまできていた指が、ずるりと滑り落ちた。 「ちょっと赤音、後頭部はまずかったんじゃないの?」 「いーんだよ、このくらい」 赤い彼女――赤音さんはそう言いながら不敵に笑って、握っていたワインの瓶を放り投げた。 もっとも、それは容器が広がるところで粉々に砕けていて、瓶とは形容しがたかったが。 一気に緊張が解けて、目の奥が燃えるように熱くなった。 「どうして、」 「さて、ここで差別について少し話そう」 赤音さんは、私の質問を遮るように言った。 「『差別』と『区別』ってのは、違う意味を持つよな。近いけど全然違う。『区別』ってのは、分け隔てることだ。『差別』ってのは、そこに蔑みが混じってるっていうのかな、まあいいや、そんな感じだ。上手く言葉にできねーけど」 「…………」 「でも、蔑みとかいうのは、感情じゃん。本人がそう思ってるかどうかなんて、本人にしか分からない。だから、『差別』と『区別』』の境界線があやふやなんだ。ここが難しいところなんだと思う。以上」 「つまり、赤音は『さっきの鳥とかの下りは、難しいところだよね』って言いたいんだよ」 蒼太くんが助け船を出してくれた。 小町ちゃんは楽に理解できたようだけど、私にはもう少し時間が必要だ。 本当に、今はそれどころじゃない。 「自分でも途中で何が言いてーのか分かんなくなっちまった。あーあ」 「……怖かったよおおおおお」 両手を差し出すと、赤音さんはお母さんのように抱きしめてくれた。 「よしよし、てかお前泣いてんの? だっせー。鼻水つけんなよ?」 「ううううううううううううううう」 涙が止まらなくて、そんな自分が恥ずかしくて、でもとても嬉しくて。 だから、赤い服に瞼を押しつけて、この感情を抱きしめた。 156: 名前:みるみる☆06/02(火) 21 20 09 155夜様 好きなんて言っていただけると、本当に調子に乗りますよ、私。 すごく嬉しいです! できるだけ、迷惑かけないように頑張ります 「最初はね、僕らも一緒に会いに行こうかって言う話だったんだよね」 少し落ち着いてきた私に、蒼太くんは話し始めた。 「店の方にいなかったから、こっちかなって。そしたら、中から叫び声が聞こえるもんだから、慌てたよ」 「まったく、ひでー有様だぜ。あとで説明してくれるんだろうな」 何がどうなってんだか、さっぱり分かんねぇ。と、呆れた様子で、赤音さんは言った。 説明しなければならないだろう。 小町ちゃんは辛いだろうけど、ここであったこと全部を話してしまわないと、みんながその傷を庇ってあげられないから。 「さあ、帰ろうか。もう、ここに用はないよね」 「あ、待って」 まだ、小町ちゃんの手首には、手錠が巻き付いている。 鍵は多分、琥珀さんが持っている。 どうしよう。 「うーん」 蒼太くんが、困ったような笑いを浮かべ、鎖をしげしげと眺めた。 そして、その中の一カ所を両手で持ち上げると―― 引きちぎった。 唖然。 赤音さんまでもがぽかんと口を開けている。 当然だ。 だって、こんな鉄の鎖が ―― 162: 名前:みるみる☆06/10(水) 21 38 43 157高杉郁斗様 お、おおおお男だったんですね!? すみません、なんかずっと勘違いしてました! 人はHNで判断しちゃいけないってことですね← 蒼太はギャップの多い奴ですw 159夜様 毎回有難うございます! 私がこうやって諦めずに書き続けられるのも夜様のおかげです。 まさに女神ですv 160容子様 度々お越し下さって嬉しい限りです! ああ、何か本当に嬉しいなぁっ← ありがとうございます! 161翠雨様 ボカロですね、わかります。 赤と青って言ったら、そのふたりですよね。 青なんて、結構頭から抜けないですw 悩んだんですけど、分かりやすい色で行きたかったので……。 あげ有難うございます! ◆ 「こういうのはね、瞬発力と弱いところを見極める力だけなんだよ」 照れたようにはにかんで、蒼太君は説明をしてくれた。 赤音さんの顔には「嘘だ」と油性ペンで書かれていそうなくらいの疑惑の表情が浮かんでいる。 そりゃそうだ。 蒼太君いわく、金属は瞬間的な力に弱いらしい。 スプーンぐらいなら、子どもだって簡単に曲げられるそうだ。 でも、スプーンと鎖じゃ例え話にならない。 だって、変形させるどころか、千切ったよ? 「さあ、帰ろうか」 この上なく妙な空気を流した張本人は、まるで気にする様子もなく、小町ちゃんを抱きかかえた。 「……そうだな、事情も聞かないといけないし」 赤音さんも立ち上がったので、私も腰を浮かした。 「……、待てよ」 足首に、信じられない圧力がかかった。 足下に、人間の手。 「あ、えええ?」 振り返った。 琥珀さんが、目を覚ましていた。 床から少しだけ顔を起こして、こっちを見ていた。 「何、終わらせようとしてるんだ?」 「え、ちょっとっ――」 「返せよ、」 ずるずると、近づいてくる。 足首が、砕けるように痛い。 「それは、僕のだ。返せ」 有色人種。続き5
https://w.atwiki.jp/naohmylist/pages/356.html
←前の月 現在のページ 次の月→ 2022年06月 2022年07月 2022年08月 計345曲 2022-07-01 (10) 摩睺羅の算盤 / IDONO KAWAZU 幻日 -genjitsu- / しとらの 馬鹿 / Emill シシャ / 袖野あらわ きっと想 / ◈*(ゆくえわっと) 猫と杓子 / 有馬廻 Pale blue / COBA x5884x これは非凡な誰かの物語 / 仄雲 アイムスケッチー / aquabug White Comet / TKN(とっくん) 2022-07-02 (2) 最高の夏と最低な僕ら / 三角コナ ほっといて。 / ナナホシ管弦楽団 2022-07-03 (8) 息をしてる / しんたろー ツグ / すす 水月トルティーヤネーゼ / ねんC 初投稿 海月 / 霧エクラ 悪態の所為 / Roji 彷徨スターゲイザー / 虚箱 道連れのメロディ / 107(DUKKHA) approximation / Tawi@タウイ 2022-07-04 (4) 夢の海原 / grief art またね、 / kamiya muen / 世も末 曙光に消ゆ / dama 2022-07-05 (5) アイシテネ / mui 初投稿 ウラナク / たかぴぃ ヒスイカズラ / 森本侑樹野 Misery / オカメP 両の掌 / いっこう 2022-07-06 (9) 美園 / だいすけP 夏の幻 / うっしーさん 今なら素直になれる、だから…あげたい。 / うたたP ヒミツ / MIMI City Lights / Ryu_bluefunk 文化 / 夜抒 悲しんでたいだけで / Kyiku(きぃく) まどろみのASMR / ゴミ泥けだま コーナーズプライド / ざるぼうる 2022-07-07 (5) 右往左往 / 海老神宮 初投稿 ブラック・ヴァイス / Zeeka 風を抱きしめて / メイちゃんP 影ぬるい / そぞろまる 愛すべき世界 / 密室ノ恋 2022-07-08 (5) さながらミスター / jon-YAKITORY 台湾ランデヴー / YOY 素っ頓狂な夜が来る / 髙木ます ナタリー / 606 あの子は左利き / EO(エオ) 2022-07-09 (4) ひとりでしちゃうの / うみくん Oath Flag / PolyphonicBranch zero-gravity / shikisai かわいいあの娘 / しめじ 2022-07-10 (3) 心臓 / ロップ 「朝になって、」 / 福田 來乃 深海の宇宙飛行士 / 螟上?邨ゅo繧 2022-07-11 (3) 次日凌晨三点半 / 轻水 HOWL / 水面湊人 時ぐすり / 西憂花 2022-07-12 (2) 浮遊霊のススメ / 弔ん Nalu / COBA x5884x 2022-07-13 (5) sonosetote / e2ku 孤独なジャックは昨日を笑う / TOMATO*TUNA 雨花とイーゼル / 多聞 クラリ / 藍色にしもん Catch me if you can! / のなめ 2022-07-14 (3) SentO / 4o (ただのCo) マンダリン / R Sound Design Swing By / YURUGI 2022-07-15 (6) 鬼が来る / 三人目のなまにく アイフィールソウサッド / ぐちり クィホーティ / エイハブ 愛撫誘発性攻撃行動 / こわどり オッドファイス (Void Ver.) / 水面湊人 Farewell / 環ネコP 2022-07-16 (15)【IPPUN GRAND PRIX】 らりるれロック / kenpi 月には一生届かない / Shibosym ヨワノホシ / アオバ 徒花 / 歌川シキ 倍速視聴:1分あれば十分さ / ガルナ(オワタP) ダダダダダンス / 55ymtk 酔狂 / メキメキ地蔵 夜明けまであと十五分 / ちから ハイド / FeLL 刹那的ワンダーガール / おゆひよこ 空ヲ盗ム / 江戸川リバ子 玉狂い / うしお 僕らは世界の一部だ。 / 三角コナ 夜のとなり / Q nel ミミカ / szri 2022-07-17 (1) 廻る仮象 / 頻 2022-07-18 (6) kitchen / 尾北ねむ。 Secrets / 終夜トワ ジェリープラネット / ブランチマシーン 青の洞窟 / みそ umbrella / オカメP カナリア / 外道さん 2022-07-19 (1) 空のお星さま / ごめんなさいが言えなくて 2022-07-20 (4) BIG LOVE 夏 / 鈴木凹 パラノイア / うしお 呼び人知らず / 雨木青 売れない本の主人公たちへ / 青谷 2022-07-21 (4) ____(underscore) / maga 傷心中 / ピコン Niraya / Magnetite 燃える群青 / 真宵ラノ 2022-07-22 (5) レンタル彼女 / もの憂げ DJミコトの罪深い夜 / 大塩杭夢 蜘華室 / Inagi 味覇ウェーヴ / MURASAKI ちこくしようよ / ieneko 2022-07-23 (9) enough / Circus-P かなしい交信 / ユジー 微かに / Qeiru 泣き虫ステラ / さんまく 廃墟の僕らは青空の下 / 文月フミト YARA瑕疵 / ぽりえちれん ツギハギメモリー / あすわど 悪魔の行進 / RED 紺碧ホライズン / Risen(夢想茶館) 初投稿 2022-07-24 (4) RIP / dadari ふたりの顛末 / AUTO中枢 くらわせてやりたい / Sig 思い出に名前はつけられない / aoneko 2022-07-25 (2) 無無無 / metamol ジェミニ・ディーヴァ / Mishi 2022-07-26 (2) 融氷 / TOXI 心中なら倉敷で / SLAVE.V-V-R 2022-07-27 (3) しあわせ / john Good morning * Good Bye Ug Daydream Mix (feat.可不) / Ungifted 白昼にKLEEを眺める生活 / 白風珈琲 2022-07-28 (193)【無色透名祭】 氷菓 / エニシサザナミ more to more / 相葉まこと 東京地下鉄ラバー / カナタジュン(ヘッドフォンガール) 砂の鯨を追う物語 / 白風珈琲 アノソグノシア / Jumlody パニックディスオーダー / Nay Origin / H.Flyhigh 初投稿 教育 / ムラタシユウ 、、、、 / jijil U+3164 / Na_2Key 知りたくない / ロップ 白昼夢 / Q nel 夏空サニーアフターレイン / すわーる 風は光に 光は風に / じょにー ナイトサファリ / 頻(sikiri) 無題1 / (非公表) うしろまえ / efueichi にっこりさん / (非公表) 孑然 / BCNO 真っ赤な / (非公表) ゴーストプロローグ / ヒポポタマスグリル 壱刀繚断!成敗-bye! / くらたはいね 花レ離レ / クラム clap! / 甘井味崎 初投稿 インサイトワールド / おばみな 初投稿 リトルスター・フレイヤー / electrotone くりたしげたか / ニコサイ(私物化P) 仮面舞踏会 / nemu 初投稿 いつかのミライ / okuyou with. / 1TBeats 悪意ばっかり / シシド 才能がない!! / さすらいのクラ 観測問題 / 沫尾 ice cream / (非公表) PURGE / 雲母れぐ 初投稿 Vanishing dream / ナーディウス Kawaii Chromaticism / nes 劇場 / 藍色にしもん エンドコンテンツ / ツミタテニイサ 初投稿 midnight divers / towa 音楽性 / Kugaloxa twinsies / nino Recall / 流離 初投稿 三日月と踏切の歌 / ロクガツ 花のシャワー / 瑠芽(LUME) ジオラマ / たくしP ソムニア / 黒瓜丿美 忌子 / YHSHHsaiko 真夏のユークロニア / 志茉理寿 レイト / イヅモ 好きって言って / にこにこもかれー ロゼ / 雪月 逢夢 がらくた団 / イトマP 前夜、焔と残光 / 夜風見 世界の記録 / Aiorite 墨流し / なみぐる ビャンビャン麺 / シカクドット やもめに花 / (非公表) フェイタルエゴ / 青栗鼠 【問】次の空欄をうめて世界を完成させなさい。 / よみかき算数、ぼくは空想 A to X / キッドP アルタイル / core dumper 事例1 過剰な電気 / ローカスト With. / DEX BLACK BOX / 前線 / zensen 幽い患い / おとしものP icecream pop city / 憂鬱から逃げてきた 初投稿 縛 / (非公表) 点と線と丁 / ネオルニ ようやく君が死んだんだ。 / こわどり ジーニアス / 國分。 アイノウ / 斎藤メイ Divine Grace / 終夜トワ 濃紺 / COBA x5884x 透け透けのスケルトン / さつき が てんこもり 忌ゝ避村 / 三体星人 海と陽炎 / sikisai 掌編小説 / メキメキ地蔵 紫陽花火 / YURAGANO Bluetooth / TOMATO*TUNA すきずきぐちぐち / まっつぁそ 初投稿 ユビキタスミステリ / もくづ(看守P) プラチナシテーション / フミヅカイ ミアマイ / SheHer 初投稿 星屑アクアリウム / 低所得P いつから / お柴鉱脈 初投稿 ドッペルゲンガァ / しゃいと モノクローム / いろはofficial(Mawoo / はりねずむ / るえ豆 / 161P) 知らなかった / 吉栁白虎 In search of lost time / 蒼天のラピスラズリ 純愛の哲学 / (非公表) 無自覚侵略インターネット / Rin(ぎん) :: / いおぎりょう(井荻稜) 拝啓、もう一人の僕へ / Riptom 草w / Mono. チャイナブルー / Rulmry. 観測範囲を操作する謎の勢力 / 井荷麻奈実 色が失くなる二分前 / Zeeka 妖 / アタリ シネコロレ / (非公表) Update / maki. 団地 / んにゃ子 I feel lost / Oripaka 雲底 / (非公表) エピローグ / のーふ/ゼロP ポストずんだロックなのだ / 世界電力 僕の死んだUFO、あとは退屈な音楽 / Yunoshin フランケンシュタインの独白 / Xiro-クシロ 三時半、スマートフォン、メモ帳 / こえだ、 アイソトープ / maigo おくちなおし / Gillbro(アフロッコリータP) 貧乏人はゴミだ / 卓球少年 7月のエンドロール / シチウム 迷彩花(あじさい) / ex-mucasi 理想的アドレセンス / Ryuno NNN / blues 再生しないで / 晴いちばん AKUMA! / いよわ ルヴァンシュ / Aira 祭祀祭礼 / 藍色にしもん 無色で透明な私たちは互いに融合しながらも、他方で消えない血液と己の半身を希求する。 だからこそ、私は互いを解体させられるほどの、血液たちの接触と消失を望んでいる。 / ukiyojingu 烏鵲 / (非公表) ほうき星の魔女 / Maqμin 初投稿 しらゆり / おじぇいまる 校内放送 / 飛行少女観測隊(樫本鳴葉) 名前すら明かせない批評家たちへ / (非公表) 夏の心音 / 月暈-tukikasa- トラジコメディ / いちた Tide / 晩秋仁 焦存 / EZFG コスモロジー / (非公表) 不要不急なMeaning / ちゃんまんじ フィジャ / ヒズミ零 ボクら、パラレル終末紀行、きっとまた明日。 / おとしものP 獄卒 / (非公表) ネオン街 / じゃのめ E na / haineko(nemesiaP) アウトロー / あねむ 初投稿 ファラファラファララウェイ / (非公表) 反逆の詩 / あるきかたがただしくない 初投稿 ペシミストの表象 / 或(aru) / イツカのヨルに 私が嫌いなあの子 / Riei 魂呼び / めいたつ 初投稿 アビューズラヴァーズ / まえぽむ ダンサブル・ロッキン・グッド / ぽてんしゃる0 拝啓、いつかの私へ / ryo-shun 未完中絶の楽想 第二十五番 / 灰咲雨音 黒い檻 / (非公表) ×しましょう / nori 幽霊船 / 来世は鯨になりたい 無罪のまま死刑を望んだわたしは断頭台へと向かう / 多量の飴 no name / 笙 インスタントフライト / 霧野蒼太 レゾンデートル / サドヤ ナイトエンドライト / KineticNinja Blue / kaami 無色透明人間 / 青屋夏生 Efforts / わーるど 星灯の在処 / 紙崎ねい あなたは誰ですか? / ごめんなさいが言えなくて レイニーアートと人の透過率 / 螟上?邨ゅo繧 夏空色のフィルム / あの字 初投稿 愛呪 / Viviα 神鳴れ / Hinano 初投稿 まじないあそび / めいど この街の、透明前線 / ゆみかか 初投稿 星屑に憶う / Qun パセティック / かきもち 何だかんだ言っちゃってあのコが好きだよ恋愛感情飽和して愛してる / Meeron ブラインドテスト / 雨園ノノ おどりば / 由末いり 瓶ラムネ / 真(しん) すけとうだら / スパイダーっちょ 半透過 / (非公表) 異種 / ちゃんしげ(小林シゲヲ) 透明彼方 / 星坂光 Zzxjoanw / 椎出愛 MIKUHOP / (非公表) バズれ!! / さとうたくや カフカと鈍行列車 / レニア 変わる怖さに囚われて / Mishi Star Flagments / Notrum 風よ凪いで / ぽりえちれん すぅ。 / yuha 上人**阿闍梨謁見風説戯画仮名問答 / (非公表) Monocentris / demo Achromatica / Fty 透明人間ダダ / 三角コナ たわごと博覧会 / Bako Titov いのちを繋ぐもの / (非公表) この道のつづく先 / 亡きカズニールへ 星に願いを / Takahom/相原みずき 北極から風が吹いたら / Koga Moai 2022-07-29 (5) Reflection / ひとはだ ルシファー / ¿?shimon カレイド / 雄之助 群青航路 / いるかアイス 君の忘れ物 / Suragi 2022-07-30 (6) theseus_ / 油性 白と黒のバケモノ / テヅカ 響宴リアクト / ノイ 荒唐無稽ユートピア / しの オッドアイ / Misumi Galactic Fantasia / 市瀬るぽ 2022-07-31 (11) The Last Night / ROY まじないあそび / めいど 教育 / ムラタシユウ 知りたくない / ロップ 東京地下鉄ラバー / カナタジュン(ヘッドフォンガール) 7月のエンドロール / シチウム 追放 / ALUVI パニックディスオーダー / Nay 透名彼方 / 星坂光 【問】次の空欄をうめて世界を完成させなさい。 / よみかき算数、ぼくは空想 祭りのあと / ヒポポタマスグリル
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7553.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 上空、約7000メイル。 ガリアとロマリアの国境に存在する火竜山脈の頂を見下ろす場所。 若き研究者が見渡す限り、全てがあるべき姿に納まる完璧な研究室がそこにはあった。 あえて学術の場にそぐわない物があげるとすれば、部屋の主と漂う香りだろうか。 何と形容すべきか、幻惑的で、そそる様な…… 「――論理的じゃないわね。これじゃ報告書の体を成していないわ。 いいこと?データを出しておきながら、それに対する考察が……」 そんなことをぼんやりと考えていた脳に、目の前の部屋の主の叱咤の声が響く。 先ほどまで書きあげていた報告書をコテンパンに貶されたのだ。 実に微に入り細を穿ち、徹底的のめっためたに、報告書が赤インクで染まっている。 「は、はいっ!直ちにやり直しを……」 「慌ててやってもらっても、貴方のことだから失敗するのがオチでしょ? こっちは私がまとめておくから、貴方は環境試験の片づけでもしておいて」 やれやれ、と溜息混じりにかぶりを振ると、それに合わせて流れるブロンドが揺れる。 実に知性的。実に魅力的。女性らしい見事な柔らかさとしなやかさ。 だがその厳しい眼光は、ただただ畏怖の念を若き研究者に与え、 一切の性的印象をお断りだとばかりに切り捨てていた。 「はは、はいっ!そ、それでは……」 「あぁ、だけど3番から26番はまだ見ている最中だから触れないように。 93番についてはもう飽和しているから処置してもらっても良いわ」 退出間際に、次の指示が的確に飛ぶ。 何百と集めたサンプルの状態を全て覚えているというのか、その鮮やかさに舌を巻いてしまう。 「は、はははいっ!」 若き研究者は思うのだ。 厳しくても、良い師の下についたものだと。 「……全く、実験者の質も下がるばっかりね」 その一方で、師と思われた女研究者は部下の不能ぶりに深く溜息をつくのであった。 ・ ・ ・ 「『――以上項目は目標値を満たすが、色質安定せず。合成材料としての使用を検討』 ……っん~……副産物ばっかり増えるわねぇ。研究テーマ変えた方が良いかしら?」 ヴァリエール家の長女にしてトリステイン・アカデミーの主席研究員であるエレオノールは大きく伸びをした。 部下の報告書を直す度に、舌打ちとため息が漏れる。 今回の火竜山脈での調査は、大人数を抱えた調査であり暫定的に彼女が団長となっている。 船での調査のため、操船関連の全ての管理・管轄を行う重要な職務だ。 彼女自身、責任者になるのは好むところであり、そうした資質も多く持ち合わせていたものの、 いかんせん、今まで自分が行っていたような実際的な研究を自らの手でできないというのはなかなかに苦しかった。 使い勝手が今一つの若手研究員を何人も抱えると、必然その指導・監督に注力せねばならない。 自らの手を汚さずに済みはするものの、一つ一つがまるっきりなっていないのでこれはこれで大変疲れるのである。 やはり自分は骨の髄まで研究者なのだなとエレオノールはふっと自嘲した。 妹の、カトレアの病状を救う手を求めて学術の門戸を叩いたものの、 それがこうも自分の性格に当てはまるものとは思いもしなかった。 「さて……と……」 とは言え、ずっと研究ばかり、いや部下の尻ぬぐいと言った方が適切か。 自分の手と頭をフルに動かせない現場は飽きが来る。 グッと一際大きく伸びをして、エレオノールは立ち上がった。 「ふふ~ん♪ふふ~ん♪ふふーんふゆれってるかん~じょう~……」 鼻歌まじりに、ポットに汲み置いてある水を注ぐ。 今回の調査で割り当てられた船は、フィールドワークとしては上等な環境で、 研究者1人1人に執務室と大きな実験スペースが当てられている。 特に、団長のエレオノールの居住区には、 特大の本棚とテーブルの他に、小腹を埋めるのに役立つ簡素なキッチンまでついていた。 いくら貴族とはいえ、ずっと研究室にこもるような身では、 常日頃料理を使用人に用意させる贅沢もできないので(使用人を叩き起こす手間も惜しいのだ)、 簡単にお茶を淹れたり、目玉焼きを乗せたパンぐらいならエレオノールも自ら作ることがある。 そんな彼女の少ないレパートリーに、最近新たに加わった食材が存在した。 「ん~、香りはいいんだけど……やっぱり味ね」 コーヒー、と呼ばれる東方や南方の奇異なる豆の汁。 この火竜山脈へ訪れるきっかけとなった飲み物で、エレオノールはその覚醒効果を気にいっていた。 香りも悪くないのだが……いかんせん、豆を煮出すという紅茶と同じような調理法では味が今一つだ。 「薬としては効きそうだけど、ダメね……ミルクでも足そうかしら?」 あるいは、茶葉と同様に発酵処理でも必要なのだろうか。 このコーヒーというものに可能性を感じるものの、 まだまだそのポテンシャルを引き出しきっていないのではと、 スミレ色の陶器のティーカップで濃いところをすすりながら思う。 エレオノールは研究者らしく、分析的な思考パターンを踏んでいた。 「さてと……どこまで読んだかしらね?」 不味い煮出し豆の汁とミルクをテーブルに置き、椅子をひいて本を開く。 彼女らしからぬことに、その本は研究本や辞典の類ではなく、一編の詩集であった。 同僚には『ちょっと他の教養も身につけようかと』と言い訳はしているものの、 実際はコーヒーと同時期に彼女に出会ったある男性が影響しているということを、彼女自身薄々感づいていた。 最も、彼女の表面部分が必死に否定しているのだが。 魅惑的で不思議な香りのコーヒーと、良く似た不思議な男性。 詩篇や舞台を好む少々気障で美しい男性。 そんな男性のシルエットを頭に浮かぶ端からい払いながら、 エレオノールは詩集の頁をめくった。 今彼女が読んでいるのは、数百年前にクリス・フォン・ミューアと言う夢幻派の詩人が書いた散文詩で、 『異世界の怪しき心をそのままに書いた狂気の作』と歴史学者に評されるものだ。 事実、作者はこの一連の散文を書き終えた後に狂って死んだと伝えられる。 最も、彼が異端的な詩を多く書いたことによる教会の制裁があったという説もあり、 未だ学者たちの議論はつきないのだが。 ともかく、エレオノールが開いたのはそんな散文詩の終盤にあたる部分で、 ある少年と、彼の師の物語のクライマックスである。 幻想的なことに、少年は人間では無い身で、『永遠の命』というものがありながら、 彼の師である『限りある命』に憧れ、あろうことか師に恋をしてしまうというストーリーだ。 今までの頁では、その少年がいかに師を愛しているか、その想いが綴られていたが、 あろうことか、その師が友人と思っていた他の弟子に殺されてしまうという悲劇を迎える。 エレオノールは求めた頁を探し当て、続きを読み始めた。 散文詩の題目は、主人公であり語り部である少年の、その瞳の色から名づけられていた。 ゼロの黒魔道士 ~幕間劇ノ六~ Le Garcon d'un Oeil Vert 『―― 泣けば良いのか 怒れば良いか 誰が答えを 言うだろう 我を導く 光は既に 片目と共に 失えり 叫べども 叫べども 喘げども 喘げども 愛しき人は 笑わない 嘆けども 嘆けども 喚けども 喚けども 愛した人は 戻らない 望んだ物は 刹那でも良く ただ君といる 幸せを 望まぬ物は 永遠に似た ただ君のいぬ 苦しみを 人ならぬ身は 長くを生きる 人である君は もう死んだ 嗚呼、嗚呼 何故、何故、何故 君は信じた 同胞(はらから)の手で その腸(はらわた)を 貫かれ 我は右目の 翡翠と共に 愛した君を 失えり 例え双つの 目が無事だとも 君の笑うは もう見えぬ 誰が望むか 永久の命を 死ねぬ我が身が ただ憎い 冷たい君を 両の腕(かいな)に 抱いて幾時 涙も涸れて それでも君は 笑わない それでも君は 戻らない 絶望が 苦痛が 慟哭が 凄愴が 憤怒が 憎悪が 嫉妬が 怨念が 失意が 後悔が 我の身体を 貫き満たす 我が 僕が 私が 俺が 己が 余が 朕が 妾が 某が 吾が 混沌の海に 飲み込まれる 聞こえてくるは 異界の叫びか 亡者の声が 手を招く 名知らぬ者の 嘆きを受けて 我も名の無き 者と化す それでも良いと 我は呟く それでも良いと 我は流れる 君からはもう 呼ばれ無いのだ 名などがあって 何とする 絶望の淵 彼の世の境 闇の底から 呼ぶ声が 『我らの嘆き 飲み干すが良い 我らの怒り 受け取るが良い』 我は現世の 身体を捨てて 永久の輪廻に 身を預く 我は久遠(くおん)の 影となり 我は苦怨(くおん)の 主となり ―― 』 「……『緑の瞳の少年(ル・ギャルソン・ダン・ウイユヴェール)』ねぇ…… なかなか、切ないわね。愛しい人の死を抱いたまま生き続けるなんて」 区切りの良いところで、エレオノールは頁を閉じた。 それまで文学的趣味は無かったために、恋愛劇は彼女に新鮮な感情を与えていた。 これほどまで強く激しい愛を抱くというのは、どういう感情なのだろうか。 エレオノールはそっと額に本を載せて考える。 苦しいのだろうか、それとも、嬉しいのだろうか。 思えば、エレオノール自身、そこまで恋焦がれるということは無かったように思うのだ。 反故になった縁談とて、ロクに顔も合わせることなく終わってしまったことだし…… と思ったところで、別な顔が思い浮かんだ。 言葉だけの婚約者であった者の顔などではなく、流れるような銀髪の詩や舞台を愛する気障な男の…… 「――っいやいやいやいやいやいや、それは無い、それは無いわよエレオノール!? 断じて無いわっ!うん、まだそんな段階じゃ……いやどういう段階なのよっ!?」 両の手を振り乱し、自分の頭上に浮かんだ妄想を消し去ろうと必死になる。 ただの仕事上の付き合いなのだ。気になどなっていない。いるもんか。 カトレアの『姉さま、もしかして新しい恋をしています?』という言葉がまた浮かんで顔が真っ赤になる。 違う。断じて違う。自分は恋なんてしたりしない。恋に落ちたりなんぞしていない。 焦る。慌てる。取り乱す。 やがて心が何とか平静の容を取り戻し、ぜいぜいと息をつく。 全く、ここがトリステインのアカデミーではなく、船の研究室で良かったと思う。 ルームメイトもいないプライベートスペース。変な姿を晒したりせずに済むのだから…… 「あ、あのあのみ、ミス・ヴァリエールっ!?」 「っ!?!?みみみみ、見たのですかっ!?今の!?っていうか何時の間に!?」 何たる失態であろうか。 先ほどの若い研究者の姿が、一人であるはずの部屋に存在した。 何ということだ。これは先ほどの叱責の意趣返しということなのだろうか。 「か、火急の用事でして……いえあのその、は、はいっ!見ましたけども!?」 「わ、わわ忘れなさい!即刻すぐ今直ちにっ!?」 上司として、いや、乙女として全てを忘れるように命令する。 あんな恥ずかしい所を同僚上司その他大勢に知られてなるものかと、 先ほど落ちつけたはずの心が再び焦る。 「い、いや忘れようにも……」 「ならばその体ごと忘れ去らせて――」 場合によっては、家名にかけてここで始末した方がよいのではと物騒なことを考えてしまう。 うん、そうだ。火竜山脈は危険な場所だ。若い命が一つ散ったところで…… パニックのあまり、エレオノールの思考は論理や倫理からかけ離れた危険な場所に向かっていた。 「ししし、しかしっ!空が斑の虹に染まるなど前代未聞で忘れようにもっ!?」 「……に、虹?」 ようやっとここで、エレオノールは会話の噛み合わなさに気がついた。 この若い研究者が言っている『見た』は自分の醜態ではないことに、内心安堵の息を漏らす。 「え、えぇ……虹ですが……ほら、窓からも見えますよね?なんとも形容しがたい……」 言われるままに船の丸窓の外を見れば、確かにそれは『虹』であった。 もし、天の蓋を覆い尽くすような『虹』が存在し得ればの話であるが。 「――虹ね。『幸運の帯虹』?いえ、これは空全体に……色相が層を成さず不安定?何と禍々しい……」 例えるなら、油性の溶液を水性界面に広げたような状態。 交わることの無い2種類の溶液が光の斑模様を作りだす。 それは鮮やかでもあり、不安定で儚い色の洪水だ。 その現象は、何度か同僚の水メイジの実験で見たものの、これほどまでに禍々しく蠢くような光を、 エレオノールは見たことが無かった。 理論的な頭脳で、その正体を見極めようとじっと色彩の動く様を見ていると、突然寒気がした。 自分の心を抉るような、そんな悪寒。 体内から一瞬で熱を奪い去るような、そんな感覚。 「な、何これっ!?」 その衝撃に、身をよじるエレオノール。 あの『虹』は、悪い物だ。理屈では無く、あくまでも直感で、エレオノールはそう悟った。 「で、ででですから、ミス・ヴァリエールをお呼びしようとっ!船長が意見をお求めですからして!?」 「……直ちに原因究明っ!ただの天候の異変かどうかを見極めなさい!」 見極めなくてはならない。 研究者として為すべきことはその一点にある。 ましてや、ここ火竜山脈を調査することが自分達の責務なのだ。 もしかすれば、大発見に繋がるかもしれない。 「ははは、はいぃっ!」 「何だって言うの……この胸騒ぎは……!」 しかし、とエレオノールは思う。 慌てて部屋から走り去る若い研究者を見ながら。 この胸を抉るような、 それこそ、先の『緑の瞳の少年』で言うところの、 『全ての絶望』を感じさせるような感覚は何だというのだろうか、と。 数刻もせぬ内に、火竜山脈上空で起こったこの現象は、ハルケギニア全土を覆う。 そして全ての生きとし生ける者が感じとるのだ。 言葉や、理屈ではなく、本能とも呼べる原始的な感覚で。 名も知らぬ者達の、慟哭と憎悪を…… 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/1451.html
226 可愛さあまっていじめたり冷たくしていた妹が、女体化して華奢で小柄になったとたん逆にこっちを弄ってくる。 恥ずかしいけど距離が縮まったようで嫌じゃない、そんな感じ。 ~きょうしつっ!~────────────────────────────────────────────────────── 「っだぁ~…ぁぁッ」 「アンタ何朝から溶けてんの?締まりの無い顔が余計崩れてるわよ?」 うるへーバーロー可愛いから文句ねーだろ…自分で言っててなんかアレだな。イヤ、流石に口には出さんが。 「………白」 「は?何が…あッ!?……スマン」 「アンタまだ自覚足りてないの?…まぁ、この子もだけど」 ンな事言われても、『私』もソイツもなったばっかしで自覚もクソも無ぇよ…察しろ。 しかし、なんだ?ぱんつ見られただけなのにこの恥ずかしさというか居た堪れない感じ。 仮にもソイツは今は女で…私も『同性』なのに。 「そんなんだから女体化した子はチョロいとか思ってるバカが寄って来んのよッ?!」 キッ!とコイツが周りを見渡すとバツが悪そうに目を逸らしたりワザとらしくケータイ弄りだす輩が多数。まあ、わかるけど。 今の私は見た目はどう見ても三つ編みが似合う小柄で華奢ながら出るトコはしっかり『ぽよん』としてる美少女だ。 …うん、まだ我が身だと自覚が薄いから言えるんだろうな、やはり口には出さんが。 お前が大事に扱ってるソイツも無口で小動物的な可愛いショートカットっ娘だから男子の人気が高いのも頷ける。 …男の時から姿形は変わってないけどなソイツ…元々、一部の連中からはコアな人気が有ったのが女体化して顕在化しただけだな多分。 そんな美少女が女としての自覚も無く無防備にウロウロしてたら、そら『いただきます』したくもなるわな。 ……うあ、私が男にヤられてるトコ想像しちゃったよ…恐ろしい、気を付けよう。 「でェ、何でアンタそんな玩具の方のスライムみたいな様になってんの?」 「そこまで溶けてねーだろ!?」 「……グロブスター、みたい」 「え?グロ…スマン、何だソレ?」 「あー、この子のこーゆーネタはスルーが常識でしょッ!で、何かあったの?」 「あ、イヤ…妹がオカシイんだよ」 「アンタの妹?あー、あの大人しそうなちょっと喋り方イタい子」 「大概失礼だな!?イタくねーよ?可愛いだろうが!!」 「ハイハイ…で、そのオカシイ妹がどうしたって?」 「…っあのなー…まあ、いい…なんか私が女体化してから、その、スキンシップが過剰と言うか…」 …最早アレはスキンシップとは言えない部分もあるけど。 「良いコトじゃない、仲悪いワケじゃないんでしょ?兄が姉になって同性だから甘え易くなったとかじゃないの?」 「いや、どうなんかな…ソレにしてはちょっと…なんと言うか…」 「ハッキリ言いなさいよ、どんな感じなのよ?」 「えっと、風呂に入ってたら凸して来たり、いちいち私の着替えを手伝おうとしたり、なんか何かにつけて纏わりついて来んだよな」 「興味あるんじゃないの?どこに出しても恥ずかしいバカ兄がこんな見た目は華奢で可憐な美少女になったんだから…中身はバカ兄だけど」 「なぁ、俺お前に怨まれる様なコト何かしたか?」 「『俺』に戻ってるわよアンタ、それも妹に指摘されて矯正したんでしょ?」 女体化後すぐに温厚な妹が結構マジな感じでコレは指摘してきた。他にも言葉遣いや仕草なんかも直した方が良いと言われるけど 全部対応出来る様になるのは…当分先だろうな…。 「ぐぬゥ…わ、私はー…そういう事が言いたいんじゃなくて、えっとコレは妹の『復讐』なんじゃないかと思って…」 「復讐?」 「そう…私な、女体化する前位まで、その…妹が可愛過ぎて結構冷たく当たったり苛めてたりしたんだよな」 「アンタ妹とはいえ女の子をぶったりしてたのッ?サイっテー」 「いや、そういう暴力とかはしてないっ!精々、妹の持ってる『KR○VAのベスト盤』を『鳥○実』に、 『西野○ナのtoLOVE』を『ちっ○いぱんCD』に中身をすり替えたり、ケータイのデータフォルダを立○夕子と 野崎○ンビーフの画像で埋めてみたり、『ひだまり○ケッチ』でうめてんてーのファンになった妹の為に録画しといた 『魔法少女ま○か☆マギカ』を一緒に観てあげたりした位だって、3話辺りで恐慌状態になった妹を見た時など 胸がすく様な気持ちだったけど」 「……アンタ、それ殺されても文句いえないわよ」 「……マジおにちく」 ん!?間違ったかな? ~きたくっ!~───────────────────────────────────────────────────────── 『まぁ、苛めの内容はともかく嫌われてる様子じゃないんでしょ?じゃあ、やっぱり単なる興味とかスキンシップとかじゃない?』 果たしてそうなのか?それにしちゃあ何か違う含みがあるような…。 『アンタも案外「うはッWW妹に纏わりつかれるとかッWWグルーチョ萌エスッッWW」とか思ってんじゃないのッ?』 それは無い。断じて否だ。そういうのはアレだ、幻想だ。妄想だ。実在の妹に萌えとか有り得ない。…可愛いのは認めるが。 大体アイツ私をどーゆー目で見てんだ?あのデコいっぱいに油性マジックで『ツンデレ』って書いてやろうか。 「ただいまぁ」 「お帰りなさぁいです姉の人、鞄持ちますよ」 うん、可愛い。妹は今日も正常運転だ。今朝私の布団の中で添い寝てしてた時はマジ焦ったけど。てか気付けよ私。 「父の人も母の人も今日も遅くなるみたいなので晩ご飯は簡単なのでいいですか」 「うん、私も手伝おうか?」 「大丈夫です、姉の人はゆっくりしていて下さい」 「悪いな、じゃあお言葉に甘えて」 リビングから台所を覗き見る。中学生らしいボーダーの長袖Tシャツにデニムのスカート、その上にエプロンを着けてる姿は なんつーか、もう『おさな妻』とか『お嫁さん』とかそういう雰囲気あるよなアイツ…。 ウチは両親共働きだからアイツは小さい頃から家事熟してるし。それに比べて私は…駄目だなぁ。 …『お嫁さん』か、私ももう女だからその内彼氏とか出来て、ゆくゆくはそうなるのか…想像出来ねーな。 「あのさ…やっぱ何か手伝うわ」 「?そうですか、じゃあこれにお味噌入れて下さい」 「おう、えーと…」 「あ、これでお箸で溶きながら…」 「え?ハイ…こうかな?」 「えっと、あ、そもそもお味噌の量が…」 「えッ?!あ…ごめん」 お嫁さん…私には無理じゃね? 食事も終え、リビングで寛いでると『お風呂が沸きました』のアナウンスが聞こえた。 「あ、お前先に入れよ」 「いえ、姉の人お先にどうぞ入ってください」 屈託の無い笑顔、悪意がある様には到底見えない。でも昨日は私が入ってるとコイツはバスタオル一枚で「お背中流します」って入ってきやがった。 今もソファに座ってるワケだが、距離が不自然な程に近い。ほぼ密着していると言っても良い。なんなんだコレ。 「よっ…と」 ブラウスを脱ぎ、ブラジャーのホックを外す。最初は腕が攣りそうになったもんだが大分慣れてきた。掛け声はいまだ必須だけど。 前屈みになると重力と慣性に遵い揺れる乳房。なかなか立派なもんだ。女体化してすぐは「うはッWWWコレがッWWW」とか思ったが、なんつーかもう見飽きた。 日常生活では邪魔なんだよなコレ、何かと痛い目に遭うし。役に立つのなんか結局『夜』限定じゃね?……駄目だ昨日の悪夢が…。 「……ふぃ~…」 ウチの風呂は一般家庭にしては大きい。今の私だと充分過ぎる程だ。つい、だらーんと伸びて顎先まで浸かってみる。 「今日もお背中流しまぁす」 「ちょっ?!くぁwせdrftgyふじこlp…っ!!…っゴベバビビュ……!!?ッッ………げはッげはッ…!!」 ……全身浸かった。頭の先まで。 「姉の人ぉ、昨日と同じリアクションですよ」 「……じゃあ昨日と同じ事はしないでくれるかな?妹よ」 バスタオルだけを纏った女性らしい肢体。自分のは見慣れたとはいえ、他人の体をナマで見るのはまだ照れる。 いや、妹のなんだけど、そうゆう意味の他人ではなくて…駄目なんだって、まだ私の中には健全な男子高校生(童貞)が残ってんだよ! エロ本も名残惜しくて捨てれないんだよ!察してくれ! 「キィミトーワァラウーコォノハァルノォヒニーサァイターサァイターサクラーノハナガー♪」 「……」 「…そんなに警戒しないで下さい」 「……だって…」 昨日はこの流れで「おっぱいの洗い方教えまぁす」って……乳を揉まれた。いや、ちゃんと洗ってはいたと思うけど… アレはもう辱めだと思う。うん、間違いない。なんか変な感じしたし…。 「大丈夫です、今日はおっぱいは自分で洗って下さい」 「お、おう……?」 ……なんかされると思ったのは杞憂か?一通り洗い終わってもう一度湯船に… 「姉の人ぉ、まだですよ?」 「はェ?」 「今日は『ここ』の洗い方を教えまぁす」 「……………………………………………………………ッッッッッッッッッッッ!!!!!!!???」 待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待てェいッッ!!? そこはアレだ、危険だ、うん、危険だよ妹よ。落ち着け、冷静になれぇ…そうだ、ここはアレだ素数だよ! いままでも数々のSSの主人公たちが素数で危機を……脱してねーッ?!!役に立たねーな素数!! 「そんなに縮こまらないで下さい、洗い難いです」 「そ…んなこといったって…こんな…」 「…本当にもうちんちん無いんですねぇ」 「そ、んなの見りゃわか…るッ…だろ」 「…ここはデリケートゾーンっていうくらいデリケートだからごしごし擦っちゃダメなんですよ」 「…ッ…わかったから…そんな…」 「今日は専用ソープ使いますね。よく泡立てて、このまま……」 もう、何か頭がボーっとして、でもイッパイイッパイで、色んな事を考えるんだけど一つも答えが出ない。 「ここのピラピラは軽く摘みながらこうやってやさしぃくきゅきゅってするんですよ」 「……ッ…ッ」 「ここの穴とおしっこの穴は軽ぅく、くりくりするだけでいいです、穴の中は洗わなくていいですよ」 「……ぅん…」 「先っちょは…剥けるますか?」 「……ッ?!」 「…ちょっとまだムリみたいですね、じゃあ付け根と周りだけを…」 何だろこれ、妹に弄くられてるのに…こんな…これ以上は…くっ、くやしい…でも…! 「じゃぁ流して……あれ?姉の人、ここなんかヌルヌルしてますよ?どうしてですか?」 「…………」 「姉の人…?」 「……っ……なさい……めんなさいッ…!」 「姉の人!?」 「ぅッ…ふぅッ…ひッ……ッ…い、ままでッ…いじめ…てて、ごめんッ…なさい……ゆる、してェ…」 「…ッ?!」 「わたっ…わた、しが…わるかった、からァ…もう、こんな……と…しないで…」 「違いますッ!」 背中にバスタオル越しの柔らかい感触。妹の胸が押し付けられてる…抱き締められてる。 「違うんです、姉の人…苛められた仕返しとかじゃないんです…」 「……ふぇ?」 「姉の人が、わたしを苛めてたのって…わたしが可愛くて、好きだからつい…ってことですよね?」 「……うん」 バレてたのか…すげー恥ずかしいな…。 「わたし、知ってました…だから、冷たい態度されたり苛められたりしても、ちょっとはイヤでしたけど…嬉しかったんです」 「…いや、ごめん…本当に、素直じゃなくて…」 「ふふ…『ツンデレ』なんですよね、姉の人…」 「それは違うんじゃね?…いや、合ってんのかも知れないけど」 「だから、わたしが勇気を出さなきゃいけなかったんです、でも出来なくて…だから後悔してるんです…」 「…?何が?」 「兄の人が、姉の人になった事です」 「…??いや、何でお前が後悔…」 「姉の人はわたしのこと可愛いって、好きだって思ってくれてて…わたしも同じ気持ちなのに…」 …ん?何か違う、コレ何かがオカシイぞ…。 「だから…わたしに勇気があれば姉の人が、兄の人の時に…『初めて』を貰ってあげられたのに…って」 「いや、ちょ…おま…」 違う、私の『好き』はそっちの意味じゃねー……って何で私仰向けに?!アレ?押し倒されてるッ?!! 「だから…わたし、責任を取ろうと思って…姉の人に、ちゃんと女の子の事教えて…」 「は、はぁ…あ、あの~…一先ず落ち着こう、な…妹よ…」 「わたしの『お嫁さん』にしようかな…って」 待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待てェいッッ!!? それはアレだ、危険だ、うん、危険だよ妹よ。落ち着け、冷静になれぇ…でもって人の話を聞いてッ?! 一回だけでいいから、深呼吸しよう。深呼吸してからのヨッシャ!!…って違ッ!!! なにバスタオル肌蹴させてんの?見えてるってッ?!全部見えてるってッ?!!隠せよッ!! おっぱい押し付けんなッ!?私のおっぱいにおっぱい押し付けんなってッ!!乳首当ってるってッッ!!!私の乳首に乳首当ってるってッッ!!!! 「大好きです…姉の人…」 アッーーーーーーー─────────────────────────────────────────────────────────── 「アンタ何朝からくたばってんの?…ってマジで顔面蒼白じゃない」 「どうしてこうなった」 「……南極のニンゲン、みたい」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2468.html
第八.五章 次の喧嘩を始める前に 目を覚ますと、見知った天井がそこにあった。何度も寝たことのあるベッド、嗅ぎ慣れた薬品類の臭い、見覚えのありすぎる部屋の間取り。ここはカエル顔の医者のいる、いつもの病院の一室だ。上条にとってはある種、指定席とも呼べる場所である。というか、まさに昨日お世話になったばかりだ。(もっとも彼は勝手に抜け出した訳だが)上 (……トールが運んでくれた…のか? アイツは…グレムリンに戻ったのかな…)実はまだ、雷神トールは学園都市に潜伏している。自らの手で開けた脇腹の風穴を治療するためと、せっかくだからその間に、一端覧祭とやらを見て回ろうかと考えているからである。まさかトールに変装したオッレルスが、トールの代わりにグレムリンに戻ったなど、上条には思いもつかないだろう。? 「やっと起きたみたいね」上 「御坂…か?」ぼんやりと声のあった方へ向くと、美琴が不機嫌そうにこちらを見ている。そしてその背中には……上 「えっと…御坂がおぶってるその子は、どこのどちらさんでせうか?」美琴の背中に張り付いているその幼女に、上条はなんとな~く見覚えがある。というか、本日お助けホヤホヤな、フロイライン=クロイトゥーネを幼くさせたら、丁度こんな感じだ。美 「いやこっちが聞きたいわよ! この子が誰なのか! 今日アンタが何してたのか! ハワイで別れた後どうしてたのか! そ、それから…その……き、昨日の『アレ』はどど、どういう意味なのか、全部説明してもらうわよ!!!」はてさて、『アレ』とは一体何のこっちゃでござんしょう、と上条は首を傾げる。美琴の言う『アレ』とは、昨日上条に胸を触られた、あの事件【フラグ】の事である。が、上条はあの時、美琴の事をトールと勘違いしていたし、そうでなくともドンカミ(「鈍感すぎる男、その名は上条」の略)には、何を聞かれているのか分からないだろう。上 「どういう意味って…何が?」美 「なな、何がじゃないでしょ!! それとも何!? アンタは何の意味も無くあ、あ、あんな事しちゃう訳!!?」そんな事を言われても困る。だって本当に分からないんだもん。そもそも、まず質問の意味が分からない。と、その時である。病室が騒がしくなったのを聞きつけ、続々と今回の事件に関わった者達が、この病室に集まりだした。浜 「よう大将! もう起き上がっても平気なのか?」一 「…こンなとこでくたばンじゃねェよ、三下が」上 「浜面! それに一方通行も!」いや、それだけではない。打 「わーい! 病院のベッドって久しぶり! ってミサカはミサカはおもむろに枕をぶん投げてみる!」フレ 「にゃあにゃあ! 大体この私に枕投げ勝負を挑んでくるとはいい度胸!! 浜面直伝の『夜のお遊び』をマスターした私は、もはや無敵なのだーーー!!!」滝 「……はまづら…? 夜のお遊びって何…?」麦 「うわキモッ! 浜面キモッ!」浜 「いや違うからね!? そういうお遊びじゃないからね!? 枕投げとかトランプだから!」一 「っつーか、うっせェよガキ共!! 病院ではしゃいでンじゃねェ!!」芳 「まぁ子供なんだし、仕方ないんじゃないの? 保護者さん」一 「誰が保護者だ誰が!! 大体テメェは甘すぎンだよ! しつけっつゥのは重要だろォが!!」サ 「おい! 日本語は分からん! 誰か通訳してくれ!」打ち止めにフレメア=セイヴェルン、滝壺理后に麦野沈利に芳川桔梗、それから元グレムリンの構成員サンドリヨン。そして最後に……? 『お目覚めのようですね』上 「…誰?」垣 『私はカブトムシ05…いえ、今は便宜上「垣根帝督」と名乗らせてもらっています。以後、お見知りおきを」そう言ってニコッと微笑む色白の少年。先程までこの少年と同じ姿の、「垣根帝督」だった何者かと殺し合いをした、レベル5の二人は、今の「垣根帝督」を名乗る、このさわやか好青年を見て同時に叫んだ。一&麦 「「キショク悪っっっ!!!!!」」 コホン、と咳払いをした芳川が、年長者らしく本題を切り出す。別に世間話をする為に一堂に会した訳ではない。それぞれバラバラな角度から今回の事件に関わった彼等が、情報の交換と共有をする為である。上 「―――って事は、やっぱりその子はフロイライン=クトゥーネでいいのか?」芳 「そのようね。とても興味深い現象だけれど」美 「で? そのフロイラインちゃんは、私の背中で何してる訳?」見るとフロイラインは、美琴におぶさりながら、彼女の首筋にサインペンで落書きをしている。フロ 「……はまづら団の、マーク。友達の、証、です」美 「ぇえええ!!? ちょ、ええええええ!!? 何描いてんのー!!」垣 『おや、そのマーク、私にもありますよ。おそろいですね』美 「嬉しくないわー!!!」フレ 「にゃあ! これでお前もはまづら団の一員だな! 大体新人だから、私の言うことは聞くように!」美 「だから嬉しくないっての!!」打 「ぐわっ! お姉様取られた!! お姉様は「アクセラ倶楽部」に入部するはずだったのに、 ってミサカはミサカは悔しさのあまり髪をかきむしってみたり!!」美 「いや知らん知らん!! むしろそっちの方のがお断りよ!!」フレ 「ふふん、バカめ。お前は入れてやらんけどなー! 大体子供だから!」打 「別にいいもんねー! アクセラ倶楽部はすでに、一万人近くの入部希望者(仮)がいるもん! ってミサカはミサカは胸を張ってみる!」その瞬間、上位個体である打ち止めに、一万人近くの入部希望者(仮)から一斉に、「いや、入るわけねーだろそんなもん、とミサカはツッコミを入れます」という感情が送信された。浜 「つか、はまづら団って何!? オフィシャルじゃないよねそれ! 俺初耳だし!」滝 「大丈夫だよはまづら。副団長の座は他の誰にも渡すつもりはないから」浜 「滝壺さん入ってんの!? そして滝壺が副団長って事は、やっぱり団長は俺なのか!?」美 「ねぇそれより、これ油性じゃないわよね!? ちゃんと落ちるのよねコレ!?」みんなでワイワイ騒ぐその様子を見て、上条は心の中で安堵する。少なくとも、今日自分がやってきたことは無駄じゃなかった。そう思える事が何より嬉しかった。上 「みんな、ありがとな」サラリと感謝の言葉を伝えながら、同時に優しく微笑む上条。不意をつく上条の笑顔【こうげき】に、本日フラグを建てられたばかりのサンドリヨンはグラッとくる。美琴については言うまでもない。「かいしんのいちげき」で、「クリティカルヒット」で、「こうかはばつぐん」である。流石はドンカミ(「どんな相手にも見境無くフラグを建てる男、それが上条」の略)である。一 「…別にテメェに感謝される覚えはねェ。それぞれ、自分が生きる為に行動した結果だろォが」上 「それでもさ」一方通行は小さく舌打ちすると、そのまま後ろを向く。一 「オイ打ち止め、それから芳川。とっとと帰ンぞ」そう言って病室を出る一方通行。彼は今回の事件で、何か思うところがあるようだ。一方通行が出て行ったことで解散ムードとなり、その後も一人、また一人と病室を後にする。最終的に上条は、美琴と二人っきりに―――フロ 「……………」なっていた訳ではなく、今度は上条の背中によじ登っているフロイラインと、三人きりになっていた。 美琴がイライラしている気がする。理由は分からないが、フロイラインが上条の背中に乗っかってからイライラしているような気がする。何故かは分からないが、フロイラインが上条の背中に乗っかってからイライラしているような気がする。どうしてなのかは分からないが、フロイラインが上条(ry美 (分かれよ!!!)気が付くと、フロイラインは上条の背中をガッチリ掴んだまま寝息をたてている。何をされても死なない身体を持つ彼女でも、睡眠は取るようだ。美 「これからどうすんの?」上 「とりあえず帰るよ。インデックスも心配してるだろうし」美 「……その子は?」上 「んー…とりあえず、連れて帰るかなぁ……」美 「へー、連れて帰るんだー。へー、そっかー」再びイライラし始める美琴。気付け上条、わりと危機だぞ。だが当然気付く様子もなく、上条は平然と会話を続ける。上 「そういや悪かったな御坂。何か巻き込んじまったみたいでさ」美 「一方通行【アイツ】も言ってたでしょ? 私は私のやりたいようにしただけ。アンタが気にする事じゃないわ」上 「そこなんだけどさ、御坂は何で駆けつけて来てくれたんだ?」美 「へ?」上 「いやだってさ、他の連中はともかく、御坂は誰かに襲われたわけじゃないんだろ? なのに何でトールと一緒に戦ってたんだ? そん時は事情も知らなかったんだろ?」元々は上条とサンドリヨンがいちゃついていた(少なくとも美琴にはそう見えた)写真をトールに見せられ、思いっきり嫉妬した事がきっかけなのだが、そんな事を言える訳もない。美 「べ、べべ別に何でもいいでしょ!! ただアンタがピンチだって聞いたから助けに来ただけよ!!」普通の人なら、今の言葉に「あれ? コイツもしかして俺に気があるんじゃね?」と、気付くところだが、そこは流石に上条である。上 (それだけの為に戦ってくれてたのか…御坂っていいヤツだな)と、違った方向に気持ちを持っていく。いやまぁ、結果的に好感度は上がっているが。今日の上条はいつもより清々しい気分なのだ。人間不信になりかけ、悩みぬいたからこそ、今のこの現状がとても素晴らしいと思えたのだ。だからまぁ、いつもよりテンションがおかしかったのだ。こんな事を言うほどに。上 「ありがとな御坂。俺、お前のそういうとこ、大好きだよ」美 「…………………………はえ?」もう一度言う。上条当麻はおかしなテンションなのだと。美琴もあまりの出来事に、脳が処理しきれていない。美 「す! すすすすすすぅぅぅぅぅううううう!!!!?/// アアア、アンタ、きゅきゅ、急にななななな何言っちゃってんのよ!!!///」上 「普段言えないけど、結構感謝してるんだぜ? これでもさ」顔を真っ赤に染めながら、美琴は口をパクパクさせていた。勿論、上条の言った「大好き」をいう言葉は、「人として」であって、「異性として」ではない。それは美琴も分かっている。だがしかし、惚れている相手から「大好き」と言われたら、そりゃ舞い上がっちゃうだろう。病室は一気に桃色空間に染まっていく。今なら言えるかもしれない。この空気なら勢いに乗れるかもしれない。気持ちを、伝えられるかもしれない。 美 「わ、わわわ、わた、わた、わわ、わたわた!///」上 「綿?」美 「わた、し、も! アア、ア、ア、アアン、アン、アン!///」上 「餡?」上条、ちょっと黙れ。美 「アンタ、の、ここ、事、が!/// す、す、す、すす、す、すすす!///」美琴は、ついにその想いを上条へと伝えた。美 「す……………好『ぶえっくしょん!!!』き………」上 「あー…風邪引いたかな……まだ11月なのに、急に寒くなってきたもんなぁ。 あ、ゴメン。さっきの聞こえなかったから、もっかい言って?」美 「………………………………」伝えた。が、届かなかった。流石はドンカミ(「結局最後はどんでん返し。だって上条だもん」の略)である。一気に疲れがどっと出る美琴。何かもうどーでもいー気分である。と、その時である。病室のドアがガタガタと音を立てたかと思ったら、次の瞬間、バターンと急に倒れてしまった。そして壊れたドアと同時に、雪崩のごとく人が流れ込んでくる。打 「もー! 押さないでって言ったのに! ってミサカはミサカは!」フレ 「にゃあにゃあ! 大体お前がもっとしゃがまないのが悪い!」滝 「もうちょっとで、いいとこだったのに……」浜 「いてててて!!! ちょ、麦野早くどいて!」麦 「んだとー!? そりゃ私の体重が重いっつってんのか、はーまづらぁー!」芳 「あらら、失敗しちゃったわね」サ 「ふ、ふん! 別に気になった訳ではないぞ。本当だぞ!」垣 『あ、我々に構わず続けてください』一 「…よォ」上 「あれ? お前ら、帰ったんじゃ……」何故彼等が病室の外にいたのか。そして何をしていたのか。察しのいい人なら分かるだろう。いや、むしろ分からない人を探す方が難しい。上条以外で。そう、コイツ等、帰ったふりして覗いてやがったのだ。美 「………み、見てた…?」浜 「ま、まぁ、そこそこ」美 「………き、聞いてた…?」滝 「バッチリ」美 「………ど、どこから…?」打 「お姉様が、『これからどうすんの?』って言ってる所から! ってミサカはミサカは正直に言ってみる!」つまり最初からだ。となると勿論、美琴の告白(未遂)も、という事になる。美 「い…………………いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」美琴は両手で顔を覆いながら、病室から駆け出していった。それはもう速かった。その速さは見るものを圧倒し、音速を超えたとも語り継がれる程だった。魔術に詳しい人がその姿を見たのなら、きっとこう思っただろう。「あれ? アイツもしかして聖人なんじゃね?」美琴があっという間に走り去った方角を見つめ、一同はこう思っていた。「あぁ(ァ)、ちょっと悪い事しちゃったかな」、と。そして、上 「御坂…アイツ結局、最後何て言いかけてたんだ?」と呟く上条に対して、一同はこう思っていた。「あぁ(ァ)、コイツはバカなん(ン)だな」、と。