約 165,009 件
https://w.atwiki.jp/quizbc/pages/612.html
最大進化後の攻撃力寄りランキング (バランス=HP/攻撃力) # 属性 名前 コスト HP 攻撃力 合計 バランス 1 雷 鉄槌の巻髪姫ニア・ファルール 42 825 2,621 3,446 0.3148 2 雷 魔王邪眼ギンガ・カノン 44 1,002 3,043 4,045 0.3293 3 火 煌輝なる道化師ユアン・エドガー 39 1,012 2,427 3,439 0.4170 4 水 魔水銃のリィル・ライル 40 1,001 2,338 3,339 0.4281 5 雷 発明家書記シャーリー・コルト 37 1,202 2,340 3,542 0.5137 6 雷 神業ノエル・マリオネット 20 1,131 1,846 2,977 0.6127 7 火 国宝花火師サクラ・スターマイン 29 1,052 1,508 2,560 0.6976 8 水 冥界の誘者ハクア・デスサイス 32 1,697 2,352 4,049 0.7215 9 火 ブラッディマーマン 6 405 555 960 0.7297 10 雷 雷斧のケンタウルス 7 401 549 950 0.7304 13/08/17(土) 更新 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/takasan/pages/8.html
091223 天皇誕生日にまちいろカフェでコーヒーを飲みながらこれを書いている。今日はいい天気。ジャンパーを羽織って出てきたけど途中でそれを脱ぎゆっくりと街をあるいている。クリスマスがちかいからプレゼントを探しながら。 歩きながら川を見ながら感じた。京都の街で感じていたことは、川を身近に感じながら生活をしていたこと。国交省とか市とか関係はあるだろうけどこの街は自然と人をつなぐ知識と意識を持っていない。自然は鑑賞するか入り込んでいくところとして人々の意識にそこに寄り添う感覚がたりない。 うまくそれを造る街のシステムがないのと意識に上がることのない状況が島をますます好き勝手する人々のものにしていってしまっている。 意識をもったものもいるのだろうがいろんなところに浅い考えしか見えないのがここ9ヶ月暮らしてきた感想だ。仕事を通しても生活を通してもとても素直な人たちなのだが考えがいまひとつというところでつながらない。 なにかつなげる仕掛けとシステムが必要だ。 みどり公園で今里郷友会の八月踊りをみる。人は少なくほとんどが年寄りで、ちぢんを打ち鳴らし歌を唄い輪になって踊っていた。この市内でこの時期こういう踊りが20年ほど前はあちらこちらの公園で見る事ができた。 今のこの時期こういう光景を何度か目にした。踊りを踊るのは年寄りばかりでそこに若いものの姿は見られない。今島の中で島歌を若者が歌い、FM放送で無理な島口が使われているのを耳にするが、その理由がここに見えたような気がしている。うわべだけで必要なところには誰も行かないしエネルギーを注がない。実際僕もあの輪の中に入り踊るという気がおきないのだ。自分の中でそれが自分自身につながらない。同じ小さいながらも様々な集落の歴史や価値観を持つ人たちが住むこの街。小さいながらもあらゆる中身は大都会と同じように、つながりで人々は生きている。自分自身の出身地ごとに開かれるこの八月踊り。僕の島の踊りも数年前に人が集まらなくなり消滅した。人はどんどん歳をとり、人はどんどん減っていく。この小さな集まりによるとても島らしい、人のつながりを目の前に表現している八月踊り。この集まりがつながっていかない現実。そこにこの島が行き詰まっている問題が見えるような気がしている。そしてこれを書いている場所は島とは思えないカフェだったりする 昔いたもの:まるいかに、さい(小さな透明なえび) 地球遺産という考え これまでの記憶の中の景色を書いていこう。 こどものころのなつのあついひに とうちゃんとふたりでたんぼにいったちば たうえをするためのじゅんびでわんもつれていかれたちば かあちゃんがつくったべんとうをたべるために Uじこうのようすいろにあしつっこんですわったちば そしたらはぶがおよいできて わんととうちゃんのあしのあいだを ぬけてとおりすぎていったちば わんなんかはもうびっくりして じっとしてるしかなかったちば あついひだったから あっちゅうまだったちば はぶはながれてどこかにいったんば わんはびっくりしてうごけんかったちば まるいかにがおったちば わんのしまのはまにまえはかにがおったちば はまがまっくろにみえるぐらいに はまをあるけばかにがにげてしろいみちが でてくるみたいに たくさんのかにがおったちば まえにあるくかにがおったちば だんばいつかわからんば いなくなってや おぼえてないんば なんでかわからんば いなくなったちば だんばおったちば ちいさかったから うそかもしれんけど おったちば ほんとにおったちば
https://w.atwiki.jp/doroboumama/pages/2869.html
雑多泥ママ 180 :名無しの心子知らず:2009/03/31(火) 00 53 09ID 6585Kh0w ちょっと前の話。 問題の人をA子とします。 大掃除なんてした覚えないからいつもの場所にあるはずなのに、 それがそこにないということが続いた。 そういうのが5回くらいあって、考えたらだいたいA子がウチに来た後 そういうことがあるのに気がついた。 少ししたらBさんも同じようなことを言い出した。 その後にはCさんも同じことを言い出した。 わたしのウチでないなあ、ってなったのはスプーン、ナプキン、ボールペンとか。 Bさんのところでは良くつかってたブラシ、 Cさんのところでは、プレステのソフト2本。 Cさんはお子さんだれかに貸したかどうかを確認して、 貸してないことが分かっている。 この時点だと思い違い、記憶違いもありえる。 私の話も聞いてたから思いついたのか、Cさんがあるお店からの プレゼントでもらった卓上カレンダーをテーブルの真ん中においておいて、 それを写メでとっておいた。 そしてA子が来た。 帰ったあとテーブルを確認したら卓上カレンダーがなくなっていた。 Cさんはさすがにその2・3日後にA子を問い詰めた。 そうしたらプレステのソフトとカレンダーのことを認めた。 わたしとBさんはしばらくたってからうちからものがなくなってることを A子に言ってみた。 Cさんに問い詰められたのがあったから全部認めた。 盗ったもの スプーン、ナプキン、タッパ、ボールペン、手帳、ブラシ、ハンカチ、 プレステのソフト、卓上カレンダー 183 :名無しの心子知らず:2009/03/31(火) 01 17 21ID q9QSaADU おしまい? 184 :名無しの心子知らず:2009/03/31(火) 01 57 55ID ecDUfXYL 続き期待したのに… 253 :名無しの心子知らず:2009/04/02(木) 15 06 37ID /gDYZFiT なんでそんなもの盗るの?のAママの続報です。 また別の人から話が出ました。 ティーバッグ盗られたそうです。 260 :名無しの心子知らず:2009/04/02(木) 15 38 16ID /gDYZFiT よそのお宅のことを事細かに覚えたりはしてませんが、Aママの 旦那さんの仕事はそんなに収入が少ないものではなかったと思います。 261 :名無しの心子知らず:2009/04/02(木) 15 48 23ID 4D/vVZcB よく夕方のニュースの特集で万引きをする年寄りの話があるけど 「それ盗ってどうするんすか」っていうのを盗っていくんだよね。 ティーバッグもピンキリだけど…。 262 :名無しの心子知らず:2009/04/02(木) 15 55 08ID /gDYZFiT ニュースのはお年寄りですよね。 Aママは30代です。 263 :名無しの心子知らず:2009/04/02(木) 16 04 15ID ZRMTRmfz 年齢に関係なく、なんかの病気かなと思うよ。 その脈絡のなさは、「他人のもの」「盗めそうなもの」「目についたもの」なら なんでもって感じだから、 「盗む」こと自体が目的化してるんだろ。 266 :名無しの心子知らず:2009/04/02(木) 16 53 29ID /gDYZFiT 263 そういう気もしてます。 ただ、私のもう一人の家には、雑誌とか本もリビングにどうしても置きっぱなし になってますが、それを盗っていったことはないんです。 次のお話→姑刑事奥(194)
https://w.atwiki.jp/echizen/pages/326.html
第一回の提出をいたします。 ■参加部隊 ○越前藩国情報戦本隊 http //www27.atwiki.jp/echizen/pages/303.html f:このターンの行動={ #行動名,リクエストされる能力,難易評価,消費AR,成功した場合の達成値 r:その他訓練する,なし,なし,1,0 #攻撃、防御以外全般に+1修正 r:その他訓練する,なし,なし,1,0 #攻撃、防御以外全般に+1修正 r:特殊を使う,なし,なし,3,0 #情報戦を使用し、ハッキング対策を行います。 #評価35+その他訓練2+n(ロールプレイ評価) r:現地へ飛び、次の戦闘のアイドレスを選んで開く,なし,なし,0,0 →本隊待機(EV116-02) #以上AR5使用します f:要求されるパーティロールプレイ={ リンクゲートを抜けた。火星宙域がもう間もなく見えてくる頃だ。 宇宙空母・初心の艦橋に特設で情報戦部隊用のシートを用意してもらった越前一行 だったが、その表情はいま一つさえなかった。 「やれやれ。今回はオペレーターのサポートだけで終わるはずだったんだが・・。」 SEIRYUの口からボヤキが漏れる。ある意味、それは全員の代弁でもあった。 E116で全部隊が打ち上げられる直前に、大変な情報が廻ってきた。 大量のキャラクターが敵からハッキングを受け、挙動をコントロールされる危険性があるのだという。 とりあえず、打ち上げギリギリまでの努力で、敵ハッキングの影響除去には成功したものの…… 「移動中にできる限りの再セキュリティチェックを行う。」 摂政の指示により、こうして移動中も仕事をする羽目に。 宇宙空間を移動中に、潜伏しているかもしれない敵のトロイを排除する。 この大軍相手に、である。 「無茶じゃね?」 「無茶だよね。」 SEIRYUと刀岐乃の声がかぶる。お互い顔を見合せて苦笑いする。 「これが終われば、我々の仕事はほぼ済んだようなもの、だといいですねえ。うん。」 「だーねえ。後はまあ七海さんのお供みたいなもんか。お茶でもいれるか?……と、噂をすれば、影」 その声に刀岐乃が振り向くと、摂政黒埼に伴われて七海が艦橋に入ってくるところだった。 挨拶もそこそこに黒埼が二人に声をかける。 「……すまんな、任せきりで。」 そう言う黒埼の声にも、疲労の色が混ざる。 「まあ仕方ないんじゃない? たまには摂政様もお休みしないとねー」 「あのね七海君……人を年寄りみたいに言わないでくれるかな……?」 「だって、七海よりちょー年寄りじゃん?」 「いやま、そらそーだが、こー言い方ってもんがな……」 10歳にやり込められる摂政を見て、刀岐乃とSEIRYUは何だかなーという表情になった。 「―――うちの首脳陣って、10歳にはほんと弱いよね……」 「……言うな、考えたくない」 「こらそこー!勝手なこと言うな!」 「えーっと仕事仕事っと。SEIRYUさん、2番フォルダのデータこっちに回してー」 「あいあいよー。あー忙しいな」 「こいつら……さて。私もやるかな。チェック結果を寄越せ。」 緊張と疲労を経験で覆いつつ、越前の面々は決戦へと突き進む。艦隊と共に。 (約943字)
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/1373.html
339 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 08 59 18 0 トメとトメ妹のアポ梨凸、しかも宿泊希望が大変うざい。 困った事に実家自営なので、旦那の出張もよく知ってるし その時を狙ってやってくる。 ブチギレたいんだが同じ職場と言う事もあって中々そうもいかない。 夫が出張の時に備えてまずエロ本を大量購入。 スカトロ、SM、レイプ、複数、野外とえげつない物を選び、 マンガも表紙がきもいものを会わせて30冊分ほど 某ネットショップに儲けさせる。 普段来た時に泊まっていく部屋のじゅうたんをはがし、 空き部屋にエロ本とブランクのCDRを入れた段ボールとノートPCを置く。 するめを水にうるかし、シーツにたっぷりしみこませて自然乾燥、 タオルケットには霧吹きし、しっとり感を出して 花粉症で垂れまくる鼻水をかんだティッシュと、 シナシナになった使用済みスルメをスーパーの袋に入れて準備完了。 ノコノコと恒例の嫁いびりをしに来た馬鹿姉妹に 「今日いつも泊まってく部屋のじゅうたんはがして掃除したので、 夫の趣味の部屋に布団敷きますね。夫の布団で悪いですけど。 私も入るなって言われてる部屋なので、夫さんには内緒にしておいてください。 緊急事態だし、何といっても母親ですから構いませんよね。」 フフン!あったりまえよだってアテクシはママン!と意気揚々と?部屋に入って寝始めた。 朝、爽やかにお迎えしたんだけど、何だか二人の様子がおかしかった。 お互いに目を合わせないし、仲良し姉妹なのにあまり口も利かない。 気まずそうにお茶を飲み、朝食もそこそこに帰って行った。 普段は「まーこんなもの」とか「お茶の入れ方下手ねぇ」なんて言いながらも 昼過ぎまで居座っていくのにね。 夫には悪いが 「いいじゃん年寄り二人くらい泊まっていったって~。気使わなくていいよー」 なんて放置してきた罰だ。 ちなみに昨日も夫は出張だったんだけど、無事凸梨で済んだ。 ちょっとお金はかかったけど(エロ本代)、平和の為なら安いものだ。 340 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 08 44 0 339 うはっwwww これは朝からGJ杉!!!!!!wwwww >いいじゃん年寄り二人くらい泊まっていったって~ こんなセリフが出る旦那は帰ってきてからしっかり〆ないとな 341 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 09 42 0 339 GJ!wwwwww しかしスルメより漂白剤のほうがそれっぽい匂いだと思うのは私だけだろうか…。 342 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 10 16 0 まあ、理想は栗の花ですが、今の季節は無理だからなあw 343 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 16 04 0 栗の花だったり漂白剤だったりスルメだったりスメルにも色々あるんだよ 344 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 16 46 O 339 GJ! しかし、用済みになったエロ本はどこに処分するんですかw 345 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 20 05 0 栗の花の蜂蜜もそれなりのにおいがします。甘いのに、においが変w 346 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 24 59 O 339朝から笑わせて頂きました。あまりに面白く、何だかこっちまでスッキリした。私もアイディア使わせてもらおう。 347 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 26 01 0 345 なんか、甘くて蜂蜜味なのに不味いよね、あれ。 348 :339:2008/03/20(木) 09 38 55 0 いや、エロ本は適当に処分できるんだけどさ、 とにかく布団がwwwwww 敷布団や掛け布団にまでイカ臭いのついてしまって とりあえずファブってきた。 天気悪すぎて干せないし、まぁ明後日の夫帰宅まで「夫の趣味部屋」に置いておこっかな、とw 349 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 49 26 O 干したら一種のテロ活動 350 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 09 57 17 0 旦那を目一杯〆ないとー。「気を使わなくていい」はほんとどんなエネも言うのな。 354 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 10 33 07 0 「うるかす」って東北弁だよね? 355 :339:2008/03/20(木) 10 43 41 0 変な所で出身地がばれたww 357 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 10 53 59 0 「うるかす」って、このへん(関東南部)じゃ使わないなー。 話の流れから察するに、「ふやかす」みたいな感じ? 364 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 11 20 40 0 Q.「うるかす」って? A. 北海道や東北で使われるようです。 「潤」+「かす」 米を水に浸し、吸水させること。 乾物を水に浸して、戻すこと。 食器を洗う前に、水につけて、ご飯粒などを ふやかす(ふやけさせる)こと。 出典:知恵袋 回答の中でひとりだけ、全く違う回答をしているのが面白い。 377 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 14 03 59 0 臭い寝具はそのままで、旦那につかえばいいのに 年寄り2人泊まったぐらいで臭いなんて大げさね・・なんてな 378 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 14 13 20 O 377 それいいかもw 379 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 14 26 42 0 377 あたまいいなww 382 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 14 51 59 0 339 377案を採用してやって 383 :名無しさん@HOME:2008/03/20(木) 14 53 46 0 377 シンプル イズ ベストなアンサーでベリー グー!!! 次のお話→3年越し嫁
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2065.html
24 揺れる誇り、折れる正義 自分の部屋に帰ってきた。心なしか安らぐ。人が生きるには自分の世界が必要だ。例えどんなに小さくても、だ。 人形が二つ、置きっぱなしになっている。可愛らしい白磁の少女。精悍で豪奢な青年。廊下を挟んだ反対側の壁にもたれかかって、無表情にルイズの部屋を眺めている。 ここの廊下に西に開いた窓はない。薄暗い廊下に佇む人形に、いつ動きだすとも知れぬ不気味なものを感じる。 このままにしておくのは気が引ける。既に今日も、他の生徒が部屋の前を通ったはずだ。不審に思われただろうか。まず間違いないだろう。 剣を机の上に投げ出す。ルイズは廊下に出て、人形を部屋に入れる。小さい方は剣の横へ。そちらは片手ですんだが、大きい方はそうはいかない。持ち上げようとして倒れる。やたらと重い。木じゃなくて金属製か。 体勢を崩した人形の下から這い出る。裏返して肩の下から手を回し、ひきずって部屋に入れる。誰かに見られはしないかと見回す。誰もいない。みんな授業中か。キュルケもか? 苦労して運び入れ、ドアの横に座らせる。ベッドに腰掛ける。静かだ。体の疲れを実感する。 しばし、何も考えずにぼんやりと過ごす。気付けば異物に目がいっている。首が少し垂れ、薄ら笑いの相。見ていて落ち着かない。 立ち上がり、歩み寄る。人形の首と姿勢を直す。戻る。まだだ。知らない顔があるのがいけないのかと思い、首を180度捻って後ろを向かせる。ひどい違和感。ルイズは顔をしかめる。 結局元に戻す。目を閉じて溜息。ベッドに身を投げ出す。たかが人形一個で、なにをドタバタしているんだろう。組んだ手を枕代わりに、天井を見ながら考える。 男の形をしているのがいけないのか。だったら使い魔はどうなる。そこまで考えて気付く、こんなことは使い魔に任せればよかったのだと。 「あー…あ」 大きく伸び。デーボなら自分で歩かせるぐらい出きるだろう。勿論、それ以上の事も。伸びがぎくりとこわばる。 置いてある剣を見る。学院長室での説明。掴んで、「絞って」、捨てる。想像がつかない、したくもない。 起き上がり、また人形のもとへ。やっぱり外へ出そうか。ルイズは腕を組む。 その時、何かがカタカタ鳴った。机の上だ。剣が身を震わせている。手にとって、鞘から抜く。 「どうしたの?」 錆びた刀身に話しかける。低い音。なんだ? 「いや、おめえが行ったり来たりするのが面白くってな。…すまん」 半笑いの釈明。震えの正体は、声を殺して笑っていた反動らしい。 人形に気を取られている一部始終を、人以外のものに見られていた。自分はそれに気付かない。なにか、今の自分にとって象徴的な気がした。 ドアが鳴った。今度はなんだ? 剣を睨み、鞘に収める。ドアを開ける。 くたびれたローブを着た、頭の禿げた中年教師が杖を片手に立っていた。「炎蛇」のコルベール。訳のわからない道楽を授業に持ち込むせいで、生徒からの評判は芳しくない。 そして、それよりも。ルイズにとっては使い魔との契約を強いられた方が問題だ。土くれのフーケが死んだのも、元をただせば先生のせいと言えなくもない。 さらりと出てきた考えに、我ながらげんなりする。事件に対する半端な関与のせいか、どうにも現実感がわかない。 死体を見ていないからかもしれない。ルイズは思う。まるでゴーレム自体が盗みを働いて、暴れまわったような印象だ。 「何か御用ですか?」 不埒な考えを頭の隅に追いやって、ルイズは聞く。まさか個人的な用事ではあるまい。 「ああ、うん。ミス・ヴァリエール、学院長がお呼びだよ。話があるそうだ」 心なしか憔悴した顔で答えるコルベール。声にも張りがない。 ルイズの持っている剣に目を落とす。それはインテリジェンスソードかい? そうです。どうかしましたか? 「それも一緒に持ってくるように、とのことだ」 ああ、使い魔の彼が起きられるなら、彼も一緒につれて来てくれ。頼みたいことがある。 それじゃ、準備が出来たらすぐに来てくれたまえ。言うだけ言うと、コルベールは踵を返す。キュルケの部屋のドアをノックする姿が見える。ルイズはドアを閉める。 頼みたいこと。一体なんだろう? 剣に聞く。何か心当たりある? 「さあな。けど他の剣じゃなくて俺なんだ、喋れか黙れかだろうよ」 そういうと剣は口をつぐんだ。考えてもわからない。ルイズは部屋を出る。 本塔に向かう途中でデーボを見つけ――歩道の敷石を無視して、芝生の上を歩く大男は目立つ――、剣を持たせて学院長室へ向かう。 日は傾き、もうすぐ西の山へかかる。デーボがそれを指差し、あっちが西かと訪ねた。ルイズは呆れる。当たり前じゃない。 「月が二つあるのも当たり前か」 そうよ、当然よ。頭の上から溜息。使い魔の顔を見る。傷だらけの顔。眩しげに顔をしかめている。人間臭い表情に、ルイズはなんだかホッとする。 あとは二人ともだんまりだった。ルイズには苦にならなかった。得体の知れない安心感。夕日に照らされ、二人の影が長く伸びる。 昼に来た時と違い、今は不思議と落ち着いている。観察眼にも若干の余裕。西日が差し込むその部屋はガランとして見えた。 「何度もすまんのう、ミス・ヴァリエール」 少し座って待っててくれ、まとめて話がしたいんじゃ。穏健そのものの口調でソファを勧めるオールド・オスマン。 遠慮すべきかどうか迷っている内にドアがノックされ、コルベールに引きつられたキュルケとタバサが入ってくる。 キュルケがこっちを見る。なんだ、無事だったんだ。そんな表情。睨み返す。 おほん、と空咳をするオールド・オスマン。これで全員そろったようじゃ。始めるとするか。にっこりと笑う。 途中まではさっき聞いた話だった。学院長には悪いと思いつつも、退屈を紛らわせるために視線をさまよわせる。 学院長の座する机の横にコルベール先生。なんだろう、苦痛に耐えるかのような表情。ああ、もしかして? いや、止めよう。下司の勘繰りだ。 机の前にルイズと並んで立つ、キュルケとタバサ。横目で窺う。 フーケの正体と彼女の死を聞いた時の、二人の反応が印象に残った。大袈裟に口を開け、両手でそれを隠すキュルケ。虹彩を絞る以外に、微動だにしないタバサ。 そして、デーボ。部屋の隅でソファの背に寄りかかっている。自分が手にかけた人間の話にも、眉一つ動かさない。 「――という訳で杖も戻ってきた、多少汚れたがの。一件落着じゃ。そう、学院にとっては一件落着じゃが――」 歯切れの悪い言葉。視線を戻す。 「君たちの『シュヴァリエ』の爵位申請を、宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう」 何だ? 話が見えない。 学院長は穏やかに続ける。君たちの功績を考えたら当然のことじゃ。大の大人がしり込みするなか、破壊の杖を取り戻したのじゃからな……。 「フーケを取り逃したとはいえ、な」 え? 取り逃がした? 死んだんじゃなくって? デルフリンガーは死んだと言った。嘘をついた? ルイズは混乱する。こちらを窺うオールド・オスマン。 「ああ、といっても、ミス・タバサは既に爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」 だめだ、理解不能のままに話が進む。 「あの「そして、もちろんミス・ロングビルにもじゃ。爵位だけでなく、勲章もな」 質問の声は遮られた。そしてその内容。意味がわからない。 「彼女は勇敢に盗賊と戦った。ゴーレムに潰されるその瞬間まで、いや、死んでも杖を話さなかった。彼女こそ『シュヴァリエ』の名にふさわしい。そうは思わんか?」 理解可能。嫌悪感で血が冷える。保身だ。 宮廷にはそう報告したのか。質問する。 「そうじゃ」 学院長は重々しく言う。まさか、ありのまま言うわけにもいかないからのう。 ありのまま。ルイズはやっと気付いた。責任の一端は自分にもあるのだと。 まんまと宝物庫に侵入され、杖を盗まれた。当直は寝ていたという。事件を王室に隠し、子供に盗賊を追わせた。罠にかかっているとも知らずに。 そのとどめに、殺してしまった。尋問もなし、裁判もなし――あればあったで、まず確実に死刑だろうが――。国を軽んじ、面子を潰す行為。 ありのまま報告すれば処罰は免れまい。学院も、たぶん自分も。使い魔の功績は主人のもの、咎は使い魔のもの。口ではそんな風に嘯くが、現実はそうはいかない。 使い魔を切り捨てるような真似はしたくない。王室を裏切るのも、自分を裏切るようで嫌だ。自分が罰せられれば、学院長の手管も無意味なものになる。学院全体に責が行く。 どちらかを選ばなくてはならない。悩む耳に声がする。 「それで構わないと思う」 タバサが部屋に入ってきて、初めて口を開く。顔は相変わらずの無表情。彼女も、腹の底で何か計算しての発言だろう。 「そうね、タバサが言うなら私も構いませんわ」 キュルケが言う。生きてるだけでも儲けものだしね。そう小さく呟き、こちらに目を向ける。 キュルケにも思惑があるのだろうが、それよりも気になるものがあった。タバサが言うなら。他人など蔑ろにしていそうな彼女にも、信頼できる友人がいる。 自分には友人は、いない。いるとすれば使い魔か。魔法が使えないことを心底恨めしく思う。 ふと思いつく。デーボには叙勲は無しか? 即座に却下。聞くまでもないことだ。使い魔は平民だし、なにより犯罪者じゃないか。 キュルケの視線。学院長の視線。デーボは。見ようとしてこらえる。主人は自分だ。使い魔は手足だ。手に意見される頭などいない。 真実と憂鬱な未来か、嘘と爵位のついた生活か。 「……謹んで、お受けいたします」 たっぷり1分も考えただろうか。ルイズは首を縦に振った。満足そうに頷くオールド・オスマン。 「これで本当に一件落着じゃ」 学院長はうれしそうにそう言って、ぽんぽんと手をうつ。この話はこれでおしまい、とでもいうように。 「さてと、今日の夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。事件も解決したし、予定通りに執り行う」 何事もなかった。その宣言。間断なく続く日常への回帰。 キュルケが歓声を上げる。切り替えが早い。責任を負わなければ、自分も顔を輝かせていたか。 難しいだろう。『シュヴァリエ』。その称号に足る成果を、自分達は確実にあげてはいない。仮に学院長の嘘の通りだとしてもだ。 それでも通った。通したのだろう。偉大なるメイジの力だ。何のために? 決まってる。口止め料代わりだ。それを理解してなおも笑えるのか? 笑えるのかもしれない、彼女なら。自分はどうだ。気分が落ち込む。 「今日の舞踏会の主役は君達じゃ。用意をしてきたまえ」 せいぜい、着飾るのじゃぞ。髭の長い年寄りが言う。なんの地位にあるかは判らないが、まあ、偉いのだろう。そんな風貌だ。 白々しい。とんだ茶番に付き合わされた。何故、おれまで呼ばれなくてはならない。 その疑問はすぐに解決した。生徒達が部屋を出る。暗い表情のルイズに続いて自分も出ようとすると、その年寄りに呼びかけられる。君に話があるんじゃ。 ルイズがふりかえり、不安げな目で見上げる。迷惑げな目で見返す。睨まれる。デーボは目を逸らす。小さな唸り声と足音。扉が閉まる音。 「で、話ってのは」 机に向き直る。正面から相対。柔和な笑みは消え、表情の読み取れない顔。太陽は山の向こうに沈み、空は茜から紫色に。
https://w.atwiki.jp/nightstalker/pages/216.html
Last update 2008年01月13日 遠い記憶~ワンダーランド 探して 著者:なずな おわりとはじまりはいつもいっしょにやってくる。 幼稚園の入園式の日、大雨。 お気に入りの白いブラウスに泥がはねて 登園拒否になった。 小学校入学、友達が出来たと喜んでたら 父がいきなり転勤になった。 高揚した気分は しなしなといつもどこかに消えていく。 初デートにおしゃれして出かけたら、その日に別れを切り出された。 初めてのバイトに張り切って行ったら、手違いでしたと帰された。 入会手続きした英会話教室は行った初日に潰れてた。 「申し訳ございません」の張り紙を見ながら 払い込んだ授業料のことよりも あたしは今までと、これからの人生を思い、肩を落とした。 ─ いちいち傷ついてたらやってらんないもんね あたしはそう呟いて、不敵に笑ったつもりだったけど やっと見つけた新しいアルバイト先、老人ホームのドアのガラス、 唇の片端だけくにゅりと歪んだ 情けない顔が映っていた。 ☆彡 「梅雨が終わったら、本格的な夏が始まります。」 七夕の笹飾りを「ふれあいルーム」に立てかけながら 職員の高田さんがお天気お姉さんの声色で言う。 「何かが終わったら、『終わったあとの時間』が必ず始まるものじゃない? 一学期が終わったら夏休み。夏休みが終わったら二学期。」 「老人ホームのバイト辞めたらプータロー?」 「そういうこと。」 「プータロー」はちょっと古かったな・・ あたしはこうやって「終わったり始まったり」を繰り返し ずんずん古くなって ひからびた人間になっていくのさ。 「恭子ちゃん、バイト最終日の記念に 短冊書いていきなさいよ。」 ─ 何を書いたらいいのか 解らないよ ・・あたしは ぼそぼそと答える。 「なりたいものとか 行きたいところとか、ああ、好きな言葉でもいいわよ」 「短冊ってそんなのだっけ?」 「あはは、ちょっと違ったか。」 おじい様方に絶大なる人気を誇る、美人で気さくな高田さんは からり笑って、手馴れた手つきで笹を柱にくくりつけた。 あたしは 何になりたいんだろう あたしは どこへ行きたいんだろう。 あたしは 何が好きなんだろう。 短冊と筆ペンを渡されたけど やっぱり書くことは見つからなかった。 どうせ お星様はみんなの願い事聞くのに忙しくって あたしなんかに構っちゃいられない。 短冊いくら書いたって あたしの願い事なんか 叶いっこない。 ☆彡 「サッちゃん?ああやっぱり サチエさんだ。」 細かく震える声に振り向くと 背の高い老人が満面の笑みをたたえ立っていた。 「いやぁ 久しぶりだなぁ。こんなところで何してるの?」 訳が解らず 高田さんに目で助けを求めると 「山本さんの話し相手、頼んだわよ、’サッちゃん’」 耳元でささやかれ 背中をポンと押された。 「七夕にあなたと再会できるなんて なんて素晴らしいんだろう。」 山本老人はいきなりあたしの手を握り うっとり涙ぐむ。 お年寄りと交流する暇もないようにホーム内の掃除をし、 小動物の世話や雑用ばかり、黙々とやってきた。 「ふれあい動物園(実はウサギと鶏がいるだけ)」のウサギたちが 柵の下に穴掘って逃げるのを追いかけて捕まえるの、あたしは結構得意だった。 なのに数日前、ぼんやりしていて 全部逃がしてしまった。 それは役立たずのあたしを、クビにする都合のいい理由になったようだ。 こんなところでアルバイトしていながら あたしはお年寄りと接するのが すこぶる苦手だった。 サチエさんが誰なのかも解らないし とりあえず話題を変えよう・・ キラキラした目であたしを見つめる御老体から目を逸らした。 「再び ワンダーランドに行けますように。」 線こそ力強さはないものの 達筆で「山本」と記名した短冊が笹に揺れていた。 「ワンダーランド?」 地方のさびれかけた遊園地の看板を とっさに想像した。 錆付いたメリーゴーランド。居眠りしてる切符切の係員。 山本老人を振り返ると、先ほどの目の輝きは消え、ぼんやり遠くを見ている。 なんだか一気に歳をとったように見えた。 「最近疲れているのかなぁ・・何だか よく思い出せんのです。 ただ、あなたと一緒に 語り合った・・ ・・いやいや・・一緒に行った、心躍るきらめく世界・・ うーむ 違う、手に汗握る冒険だったろうか・・ サッちゃんに会えたら きっと語り合えると思ったのだが・・。」 語れるわけないじゃん・・。頼むから本当のサチエさんに言ってくれ。 ☆彡 「とても孤独な方なのよ。」 山本老人を部屋に送り届けた後、ちょっと散歩しようか、と 高田さんに誘われた。 「ねぇ、バイト辞めて、明日から『退屈な時間』を始めるくらいなら 私の頼みごと聞いてくれない?」 「高田さん、難しいこと言うんじゃないでしょうね、あたしにできるような事?」 高田さんは さっき山本老人がしたのと同じように私の手を取って 「’サチエさん’にしか できないことよ。」 悪戯っぽく笑った。 高田さんの頼みは こんな風だった。 時々 山本さんに会って、話相手になって欲しい。 「ワンダーランド」に関わる何かを、思い出したがっているのなら手伝ってあげること。 「職員が、特別誰かとばかり関わってるわけにはいかないでしょ。 幸いあなたはどなたにも覚えられてないみたいだし、明日からフリーだし。」 高田さんは辛辣なことをにっこり笑って言う。 ─ あたしは「サチエさん」に どこか似てるんですか? あたしが聞くと、高田さんは笑って 「誰も サチエさん本人を知らないのよ。詳しい事もね。 1代目の「サチエさん」はNさんのお孫さん、それからTさんでしょ、ちなみに私は3代目。」 歳もタイプも全然違うけど、美人揃いだ・・。 「何かの拍子に’サチエさん変換スイッチ’が入るのよね。きっと。」 どうやら スイッチはもう人を選んでないみたいだ、 あたしは窓に映った自分の顔を、しげしげ眺める。 ☆彡 山本さんは たいてい眠っている。 寝顔は穏やかだ。、少し笑っているように見える時もある。 あたしのことは「サッちゃん」だと思う時と、ただの若いボランティアだと思う時がある。 たとえ「サッちゃん」だと思ったとしても 「懐かしいなぁ、サチエさんじゃないですか、こんなところで何しているの?」 お決まりの再会の感激シーンから始まるので 話は一向に進まなかった。 無理矢理 話題を「ワンダーランド」に向けると 途端に 頼りなげな声になり 思い出せない・・とぶつぶつ独り言を言った後 「ところで あなたは どなたでしたっけ?」 「もう 疲れたので 休みます。お引取りください。」 深々と礼をすると 堅い表情になってしまうのだった。 ☆彡 「ともかく、山本さんの若いころの大切な思い出だと思うの・・。 ’サチエさん’、そして’ワンダーランド’・・」 ホームに行くといつも、高田さんは仕事の合間に缶コーヒーをおごってくれた。 「『再び』『行きたい』ですものね。短冊書いた時はどんな風だったんですか?」 「何か書いて下さいね、って短冊を預けたの。 次の朝、書いて置いてあったんだけど・・。 何だかね、自分で書いたことさえ忘れてたみたい。」 進展を見せないあたしの話を一通り聞いた後、 高田さんは空き缶を 静かにゴミ箱に入れると 少し考えた後 あたしに向き直り、笑って言った。 「そうよね、他人がいつまでも余計な詮索するものじゃないし・・。 ありがとう 恭子ちゃん、ごめんね、手間取らせたわね。 明日からは自分のやりたい仕事しっかり探して ちゃんと見つけてね。」 気の早い蝉がベンチのそばの木の上で鳴き始めた。 自慢げに 高らかに。 聞いてなよ、生きるってのは こういうものさ。 ☆彡 山本さんは あたしを「サッちゃん」と呼んだ。 涙ぐんだ目であたしを見て、「懐かしい」を繰り返した。 そういう時の彼は 現在の山本さんではなく 若くて元気な「タケオちゃん」であるらしい。 「右手と左手のようになれないかなぁ。」 「タケオちゃん」は頬を赤く染め ある日あたしの手を取って言った。 だけど、その後すぐ ゴホゴホと咳込む。乾いた老人の咳。 おそるおそる 背中をさする。 骨ばって、細い背中。 壊れ物のような いのちの容れ物。 どんなたくさんの時間を この身体は通り過ぎてきたのだろう。 あたしは 山本さんの銀色の髪や、筋ばった手を見つめて 遠い時間に思いを馳せた。 並んでつなぐ手と手。 バトン渡す手と手。 おにぎり握る両手。 タケオちゃんにとって 右手と左手の関係って何だったのかな。 ☆彡 山本さんの七夕の願いを叶えたい。 せめて サチエさんを見つけ出したい。 あたしの中で「サッちゃん」が どんどん大きな存在になっていく。 ’タケオちゃん’の話した言葉の中に、何かキーワードはなかったか・・ あたしは 必死で考えた。 どうしてもっと真剣にメモを取ったり、役に立ちそうな質問をしたりしなかったのか。 自分の いい加減さが情けなかった。 高田さんは、もう終わっていいよ、と笑ったけれど、あたしは決めたのだ。 今度は自分で動くこと。 動くことを始めること。 ☆彡 高田さんに無理して聞きだし山本さんの緊急連絡先。 電話に出たのは唯一の遠い親戚という若い人で、 山本さんの事なんか、ほとんど何も知らなかった。 「いまさら オトシヨリの元恋人?なんか、探されてもねぇ・・」 迷惑そうな声で言い 早々に電話は切られてしまった。 住んでいた屋敷は処分した後で、別の家が建っていた。 古く見えても 戦後に建った住宅地だということで 代々住んでいる人も少ないらしい。 近所の人も 山本さんの若い頃のことまでは知らなかった。 「戦前の話でしょ・・さすがに 解らないわねぇ。」 「サッちゃん」も「ワンダーランド」もそんな遠い過去の話なのだ。 あたしは改めて、流れた時間のこと、止まった時間のことを考える。 長い長い長い ため息が出る。 ☆彡 「あそこにお住まいだった山本さんでしたら 知ってますよ。 家を出るから蔵書を全部引き取ってくれって 頼まれてね。 お身体も心もとないから ホームに入られるとか仰ってましたっけ。」 期待もしないで入った古本屋。奥から出てきた主人が言った。 「難しい本が多かったなぁ。トラック何回も往復してねぇ、 経済論とか経営学とか 古い、売れなそうな本ばかりでしたけど。」 有能な探偵だったら ここで 何を聞くのだろう・・ せっかく見つけた手がかりを あたしは持て余していた。 「あ、でも 一冊だけ 意外なのがあったっけ。」 「何でしょうか?」 「本棚の奥に隠すようにね、外国語の、あれは絵本だったっけなぁ・・」 ─ ああ、これこれ・・ 「Alice s Adventures in Wonderland」 物持ちのいい店主が店の奥から時間をかけて探し出したのは すっかりほこりをかぶって ページの黄色くなった「不思議の国」の物語だった。 ☆彡 店主がおしゃべり好きで 記憶力がいい人だったので助かった。 事情を話すと本を譲ってくれ、その上、山本さんが故郷だと言って懐かしんでいた土地を教えてくれた。 「その棚の画集をね、ずいぶん長い間眺めてらしたなぁ。」 見せてくれたその絵には 黄金色の稲穂が揺れる 田園風景が広がっていた。 ─ もう すっかり変わってしまっててね・・風景も人も。 「帰れるところもないのです」山本さんはそう言って 寂しそうに笑ったそうだ。 本を譲って貰い、あたしが向かったのは 山本さんの故郷。 手がかりは「サチエさん」と「山本タケオさん」。そして「不思議の国のアリス」。 タケオちゃんの望む「右手と左手の関係」。 訪ねた土地は 小さな田んぼが所々に残る新興住宅地だった。 ☆彡 何人かに声をかけ、何軒かを訪ねたら次第に度胸がついてきた。 「山本タケオさん」と「サチエさん」について少しでも知っているお年寄りはいないかと、 あたしは山本さんの故郷の村だったあたりを探し回った。 お年寄りたちは、記憶があやふやだったり 知らないと突っ撥ねたりする人もいたけれど 大抵が話を熱心に聞いてくれたし、一所懸命役に立とうとしてくれた。 けれど ほとんどがカラ振りで、 山本さんの同級生とか、名前だけでも聞いたことがあるって人にも 出会えない。 その代わりあたしは、その人たちの戦時中思い出話やら、亡くなった旦那様とのロマンスやら それはたくさん聞かされ、アルバムを見、終いには夕食までご馳走になったのだった。 ジンセイ イロイロ・・ 夕食を頂いた後、お年寄りが浪々と歌うカラオケの演歌や軍歌を聴いて あたしは妙にしんみりしてしまったんだ。 ☆彡 ─ あたしは探偵にはなれないや・・ 本だけをお土産に持って 山本さんを訪ねた。 眠っている山本さんを見て、何だか気になって 「体調、お悪いの?」高田さん尋ねると 「よく解ったわね、恭子ちゃん。」 高田さんは静かに微笑んで あたしの肩に手をかけた。 ─沢山のお年寄りに会ってきた・・ あたしはここ数日の、成果とは言いがたい内容を、高田さんに語った。 『Alice s Adventures in Wonderland』 本を枕元にそっと置いて帰ろうとしたら 山本さんが目を覚ました。 「サッちゃん、ああ、サチエさんでしたか・・。」 それは かすれて消え入りそうな 小さな小さな声だった。 「本を持って来たんです。」 細かく震える細い指が 本の表紙をなぞる。 「懐かしいなぁ・・・。こんなところでまた会えるとは・・。」 山本さんは満足そうに微笑むと 「読んでもらえますか?」 静かに目を閉じた。 どんなに下手くそな朗読だったか・・ あたしは もっと英語を勉強しておけばよかったと思い切り悔やんだ。 恥ずかしくて 投げ出したかったけど 必死で読んだ。 気がつくと 山本さんは幸せそうな顔をして 眠っており 少しでも喜んで貰えた気がして、あたしは心からほっとした。 ☆彡 「幸枝は義母の名前ですけれど・・。」 嫁いで遠くに行ってしまってるかもしれない、 ─ここを出鱈目に探すのも無理があるな・・ あきらめかけたその日、バス停で出会った婦人は続けて言った。 「10年前に他界しましたが・・」 一瞬の光、そしてまた闇。 「山本さん・・ですか?私には、ちょっと・・・。 義母は物静かで控えめな人でしたし あまり昔のこと、話す機会もなかったので・・。」 優しげで上品なその婦人は、首をかしげて考えていたが 「あなたには申し訳ないけれど、解りません。そのサチエさんは 義母ではないかもしれませんよ。」 あたしのカンなんて当たったことない。だけど「幸枝さん」はきっとあたしの探していた人だ。 これは直感。 「『Alice s Adventures in Wonderland』・・えっと『不思議の国のアリス』、 お好きだったとか 聞いておられませんか? 英語とか、外国の童話や絵本に興味がおありだったとか・・」 婦人の表情が少し変わる。頬に手をあてて少し目を閉じた後 「亡くなった義母がお探しの方だったとしても 山本さんにお役に立てることは 何もないと思うのですが・・」 婦人はそう言いながら お宅まで案内してくれた。 「どうぞ 奥へ・・」 通されたのは古い洋書や外国の絵本の並ぶ立派な書庫だった。 「全部義母が実家から持ってきたものだそうです。 義母のお父様のコレクションで、思い出の品だと聞いてはおりました。」 可愛らしい笑い声と、楽しげな男の人の話し声が聞こえてきた。 書庫の窓から手入れの行き届いた中庭が見える。 その先の日当たりのいい縁側に、お年寄りが腰を下ろし 小さい子供を遊ばせているのが見えた。 「義父と、ひ孫です。」 会釈するあたしに 婦人は小さな声で付け足した。 「義父母はお見合い結婚と聞いています。でも とても仲良かったんですよ。」 書庫の本は語ることなく ただ静かに時を眺めている。 日の当たる縁側は柔らかな笑い声に満ちている。 ここまでたどり着いたって、あたしは山本さんにしてあげられる事は何もない。 だけど・・。 「あの・・何でもいいんです。思い出を聞かせていただけませんか? 本について 他に仰ってたことはないでしょうか? 本以外には何がお好きでした? どんな方でした?」 「・・思い出ですか・・そうねぇ・・・」 写真立ての中 ご主人と寄り添って笑う幸枝さんがいる。 とても綺麗な人だ。 「ピアノが好きな人でした。」 「ピアノ?」 「孫・・うちの子供たちが やっと右手でメロディが弾けるくらいになると よく左手代わりに伴奏をつけてくれました。あれは本当に楽しそうだったわ。」 右手と左手・・・。 その言葉を聞いてあたしは へたへたその婦人のまえでしゃがみこんでしまった。 ☆彡 「思い出って大切過ぎたら、他の人には言えないこともあるのかもしれないよ。 結婚した相手や、そうやって作った家族なんかにはね。」 高田さんはパソコンを見ながらつぶやいた。 画面には「不思議の国のアリス」。 異国で生まれたひとつの物語の 長い歴史が綴られていた。 ─そうかもしれない・・そう思っていたい。 あたしも何だか これ以上あの家族に聞くことを躊躇われて ご主人が帰るまで、と引き止めるのを辞退して帰ってきたのだ。 「あの・・山本さんて方は義母・・いえ、サチエさんと どういうご関係だったんでしょう。」 玄関先まで見送ってくれた優しい婦人は あたしに小声で聞いた。 「どういう・・って・・ええと。」 あたしにだって よく解らない。 「山本さんは・・、右手と左手の関係になりたいと、そう仰ってました。」 書庫の中、古い写真の中で微笑むサッちゃんに、 あたしはタケオちゃんの気持ちを少しだけ 伝えたのだった。 ☆彡 山本さんはあれから体調が戻らず、秋風が吹き始める頃 亡くなった。 最期を看取ったのは 高田さんだった。 「不思議の国は、ずうっと、ここにあるんだね。」 かすれる声でそう言い残し 幸せそうな笑顔で逝ったのだという。 あたしは本を形見にもらい、ヘルパーの勉強を始めた。 もう一度頼み込んで ホームの雑用のアルバイトにも復帰した。 走るウサギを追いかけながら あたしは思う。 きっと サッちゃんとタケオちゃんは 今頃感激の再会を果たして 不思議の国を探検してる。 異国の本を二人で眺め、空想の世界で遊んだ幸せな時間が タケオちゃんの大切な大切な思い出だったんだと思う。 そうそう、ピアノの連弾も・・ね。 そして あたしは相変わらずウサギを追いかける毎日だ。 この頃は お年寄りたちも窓から眺め、あたしの名前を呼んで応援してくれる。 物語に出てくるみたいな「ウサギの穴」は見つからないけれど あたしの「不思議の国」の入り口は きっとここなんだろうな、 そんな風に思うんだ。 前の作品 次の作品 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/895.html
PREV:エレナは不器用 NEXT:長い寄り道 中編 ストーリー あら、ごきげんよう良いお天気ですねお買い物ですか? 光の守護者 エレナ ふふ、実は私もです良かったらご一緒しません? 光の守護者 エレナ 私はビーツを買いにデュエマシティではあまり見かけないので大変なんです 光の守護者 エレナ ビーツ、ご存じありません?真っ赤な根野菜なんです 光の守護者 エレナ 今日は家族や使用人達に私の特製、ボルシチを振る舞おうと思いまして 光の守護者 エレナ あら…なんとも意外そうな顔をされるんですね? 光の守護者 エレナ もー、失礼ですよこう見えても、私、結構お料理するんですから 光の守護者 エレナ 失礼なあなたには、デュエルでお仕置きしちゃいますよ? ほら! 光の守護者 エレナ 勝利時 あらら…負けちゃいましたね 光の守護者 エレナ うーん、あなたに反省を促したかったのに、こんな結果では… 光の守護者 エレナ もー困っちゃいますよ、私 光の守護者 エレナ 敗北時 ほら、失礼な事を言うから負けちゃうんですよ 光の守護者 エレナ デュエリストたるもの、常に相手に敬意を払わなければ一流とは言えませんからね 光の守護者 エレナ 反省しました? 光の守護者 エレナ してないようでしたら…もう一戦しちゃいましょうか 光の守護者 エレナ PREV:エレナは不器用 NEXT:長い寄り道 中編
https://w.atwiki.jp/kikiredia/pages/440.html
妖界に存在する和菓子店。女装饅頭で広く知られている老舗。 呪塚三丁目に店舗を構えている。 従業員 否哉 片輪車 菓子 女装饅頭 (「妖怪料理」 美味しそう!? な妖怪 0293) 河童巻き餅 (「妖怪料理」 美味しそう!? な妖怪 0758) アンスプーン (「妖怪料理」 美味しそう!? な妖怪 1008) 病田米煎餅「そんな煎餅はいややわぁ~シリーズ」 (「妖怪料理」 美味しそう!? な妖怪 1362) 増加せんべい 目競骨粉を練りこんでいるので、食べるたびに倍に増えていく。豆狸醸造の醤油味。 老化せんべい 老人火で焼いた煎餅だが、お年寄りが食べられる固さではない。婆ァーサ酢の酸味がきいている。 導火せんべい 野鉄砲の吐息を混ぜた一品。食べていると狐火がどんどん口元に迫ってきて、デンジャラス。 八日せんべい あやかしの油をミックスしたサラダ味。煎餅なのに八日しか保存できない。 来歴 2006年8月25日「妖怪料理」 美味しそう!? な妖怪でのshion氏の書込みが初出。 (「妖怪料理」 美味しそう!? な妖怪 0293)
https://w.atwiki.jp/daihonyasan_hosiika/pages/116.html
#blognavi 「春のあたたかさを知るためにあるんだよ」 といわれて育ってきたこの20余年 いまだかつて納得できないもののひとつかな、これが だってさ、冬は冬ですやん。 春のために冬がある、なんて考え方は冬がちょっとかわいそうというかそんなに早く終わって欲しいか、と いやね、北の大地の人が雪下ろしが大変で、若い人がいなくなったお年寄りの家が、雪かきできなくてつぶれてなくなったりとか そういう現実があるのは十分承知なんですけれど でもさ、なんていうんだろう 冬だけじゃなくて、上記以外みたいな考えかたされているもの、あるでしょ? ●●の厳しさは××を知るためにある ちょっとまってよ、と この●●自体のよさを考えたいわけなのよ 絶対あるはずなんだ、●●自体のよさ、すばらしさ たとえば冬に、雪が降ってその中に食べ物入れとけば腐りにくい! みたいなさ カテゴリ [日記] - trackback- 2007年01月22日 14 41 06 名前 コメント #blognavi