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BEFORE:第1弾はじめよう!おためしセット NEXT:[[]] 発売日 2016年月日(金) カード種類数 全33種(N:27種/M:6種) カードナンバーは/XXXとなる。●セット内容 【1】おためしデッキ(カード33種33枚) カード33種33枚+紙製プレイマットのセット!1人分のカードがこれ1つで揃います! ※Aqoursメンバーのカードが27種、楽曲のカードが6種入っています。 ※通常のカードは両面がイラストになっていますが、「おためしデッキ」収録カードのコレクションサイドは、すべて共通柄になっています。 【2】「Vol.04」パック×4パック 同時発売の「Vol.04」を4パック封入!おためしデッキに加えて楽しんでくださいね♪ ※「Vol.04」通常商品と同一のパックです。 【3】おたのしみキラキラパック!×1パック 「Vol.04」のキラキラ光るカードが入った特別パック!どのメンバーが当たるかは開けてのお楽しみ! ※「おたのしみキラキラパック!」はVol.04に収録のSRカード18種から1枚+スリーブ1枚が封入されたパックです。 「スクコレ」を今から始めたい方にぜひおすすめ! Aqoursのカードが一気に手に入る便利なセットです♪ お友達とみんなで「Aqoursおためしカードセット」で遊んでみよう♪
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ㅤどうやら世の中とは、本当に望んだものほど手に入らないようにできているらしい。 ㅤかつて、友人というものを望んだ。暗部である私が関わる相手は間もなく死ぬ――他でもない、私の手によって。今日も明日も、さよならを言わずに済む相手が欲しかった。するとどうなったか。千穂殿は殺され、魔王と勇者は今も殺し合わされているではないか。 ㅤ次に、こんな殺し合いの世界の中に希望を見出してみた。 ㅤカンナ勢――あんな小さな竜の子が、戦いを辞めろと叫んでいるのだ。勇者だろうと魔王だろうと、仇も宿命も一旦は忘れ、手を取り合うことだって出来ると、本気で信じているのだ。馬鹿馬鹿しいと一蹴しつつも、縋りたいと思った。その光景こそ千穂殿の望んでいたものに他ならないのだから、彼女への手向けに作り上げてやろうと意気込んだ。 ㅤその結果起こったのは、気の緩みだった。殺し合わなくていいのだと思い安心し、敵襲への警戒も遅れ、カンナ殿が撃たれ――それに続く想像を押し殺すように機関銃を前方に構え、駆け出す。一刻も早く、可能な限り速く。狙撃を受けたカンナから離れ、的を自身に定めさせるように。 ㅤ大丈夫だ。カンナ殿は生きている。何せ幼くともドラゴン、銃弾如きで死ぬはずがない。ああ、信じろ。そして誓った通り、狙撃手を無力化した上で必ず戻るのだ。それ以上にできることなど、ない。 (結局、こうなるのだな。) ㅤつい数刻前まで戦わないことを願っていたというのに、もう戦いに身を投じている。もはや疑う余地はない――これが私の運命なのだ。平和を掴み取ることなど許されぬ。神か天使か、人智の及ばぬ超越者がそれを望んでいるのだ。信徒たる私は、その神託に従うのみ。ああ、教会にいた頃と同じだ。 「……くそったれ。」 ㅤ人生のすべてであったはずの信仰をひと言吐き捨てて、鎌月鈴乃は戦場へと駆ける。 「っ……!」 ㅤ待ち受けていたのは、先ほどよりも濃い弾幕の嵐。銃器同士の戦いでは両者の接近とともに、狙いを定める過程が削ぎ落とされていく。覚悟はしていたが、相手の銃器の扱いは鈴乃の想像を超えていた。少なくとも素人のなせる技ではない。カンナと考察した通り、この場に一般人というものはそうそう紛れ込んでいないのだろう。 ㅤインテ・エスラの民であるのかは分からないが、相手は戦いに身を投じてきた人物。常より命を失う覚悟はできているだろうし、向こうはこちらの命を取りに来ることだろう。殺しを躊躇することなどない。身を守るために、カンナ殿の雪辱を晴らすために、殺してしまえ――頭に浮かんだ考えを、鈴乃は首を振って否定する。 ㅤ今の私は、異端審問官クリスティア・ベルとしてここに立っているのではない。因縁も宿命も超え手を取り合う勢力、カンナ勢のいち構成員だ。戦いが避けられないのなら、犠牲を生まない形で戦ってやろうとも。千穂殿の、生前の最も大きな願いを掴み取るために―― ■ ㅤ本当に望むものが手に入ったことなんて、一度もない。あの日、魔法少女になった日から、私の人生は妥協塗れだ。 ㅤ魔女退治のために奮闘すればするほど、友達との心の距離は離れていく。当然よね、誰も本当の私の心に触れられないんだもの。そもそも私が開いていないんだもの。 ㅤ正義のために戦うことに不満はない。そうしなければあの日に私は両親とともに死んでいたのだし、何より、死をも覚悟した時に誰かが手を差し伸べてくれるあの温かさを他人に与えられるなら、それはとっても、嬉しいことだから。 ㅤでも――心の底では、何かが満たされなかった。春の日差しも届かない地の底にひっそりと残る雪のような何かを、私はずっと、心の奥で感じていた。 ㅤあの時、鹿目さんと美樹さんに出会えて、その冷たさの正体が、ようやく分かった気がする。私は寂しかったんだ。誰かに、頑張ったねって言ってほしかったんだ。私は正義の味方でも何でもない、ただの女の子なんだ。 ㅤ殺し合い――もし私がなりたかったような正義の味方だったら、こんなものには乗らずに、乗っている人も説得して、皆で力を合わせて脱出するのを目指すのだろう。 ㅤだけど、殺し合いに来る直前、魔女に殺されかけたことで、自分がいかにちっぽけな存在であるのか、思い知ってしまった。危うく、魔法少女になる決意をしてくれた鹿目さんや、何か叶えたい願いがあるらしい美樹さんを置いて死んでしまうところだった。そんな私が、理想の正義の味方気取りなんて、できないわよね。 ㅤだったらまた、妥協しましょう。私は私が思っているほど、皆を守ることなんてできないけれど、それでも本当に守りたいものだけは、絶対に守ってみせる。それを脅かす者たちを、殺してでも。 ㅤ大切な人を失うくらいなら、正義の味方なんてやめてやる。潮田くんは私が守る。 ㅤ敵は逃げることなく、真っ直ぐに接近してくるようだ。その瞬間、マミの決意はいっそう高まった。 ㅤ死にたくないがためにやむを得ず殺しに走るのならまだ理解できる。本当に追い詰められた時に些細な光を提示されれば、それに縋るしかないのは経験済みだ。しかし相手は、こちらも銃撃を見せ、それでも接近してくるのだ。保身などではなく、積極的に殺しに来ていると見るべきだ。 (だったら、加減なんてしてられないわねっ!) ㅤ近づく鈴乃に向けて数発、魔法少女のチカラにより生み出した使い捨てのマスケット銃を撃っては捨て、撃っては捨てを繰り返しながら次々と放ち込む。魔女相手ならいざ知らず、人を相手にするには十分に、数回は殺せる火力だ。 (嘘っ……!) ㅤしかし弾は、そもそも的に当たっておらず、鈴乃の前進を阻むことはなかった。ベテランとして魔女を狩り続けるのに、毎日マスケット銃を撃ち続けたマミの腕前をもってすれば、あの程度の距離で誤射は有り得ない。つまり鈴乃は、放たれた銃弾、その全てを躱していたのだ。 ㅤリボンを武器へと変える魔法少女のチカラは、戦場では魔力の続く限り無尽蔵に武器を補給できる。しかし、それが魔力で作られたものであればこそ、その銃撃の性質は魔法攻撃に他ならない。即ち――鈴乃が身に付けているアクセサリ『魔避けのロザリオ』による制約を受けることとなる。致命傷となる決定打を当てられないまま、マミは鈴乃の接近を許した。 ㅤ次第に、夜の暗闇の中でも互いの姿の全貌が見え始める。ここで初めて、互いにとって互いが"襲撃者"である奇妙な関係の二人が対面することとなった。 「うおおおおおっ!」 ㅤ鈴乃は雄叫びと銃声を轟かせつつ、辺り一体に弾幕をばら撒く。決して弾を一点集中させず、威力よりも範囲に。そして臓器よりも手足への狙いに、重きを置いた射撃。殺しはしない。あくまでも目的は殺害ではなく無力化だ。但し、カンナ殿を害した報いとして多少の怪我は甘受してもらう。 ――それはまさに、組織の暗部であった彼女の在り方と対極にあるかの如く。 ㅤそう、これは暗殺ではない。彼女にとっての暗殺とは、殺したくないと叫ぶ己の感情を殺しながら相手の命を奪う行いだ。対する現状、鈴乃に殺意はなく、そして心の底には轟々と燻る怒りがある。この戦いは何もかも、暗殺とはほど遠い。強いて、呼び名を付けるのなら――これは決闘。 「ぐうぅッ……!」 ㅤ弾丸が命中したマミは悲痛な声を捻り出し、次のマスケット銃をその手から零し落とす。マミが絶えず撃ち続けていた弾幕が止み、それを好機と捉えた鈴乃は肉薄し、マミの制圧にかかる。 「覚悟っ!」 ㅤマミの手元に鈴乃を撃退できる支給品はない。そして組み付きの技術ならば、対人戦に慣れた鈴乃の側に理があるのは必然。腕から肩にかけてミニミ機関銃で撃ち抜かれたマミを、鈴乃は一瞬の内に押し倒し―― 「――悪いわね。」 ――直後、口角を上げて笑うマミの顔を見た。 「なあっ!?」 ㅤしゅるる、と衣が擦れる音がしたかと思えば、次の瞬間にはマミの腰を取り巻くリボンが鈴乃の体を包み込む。 「くっ……!」 ㅤそのリボンは瞬く間に両の腕を縛り上げ、辺りの木々により固定する。 「こんなの、警戒もできなかったでしょ?」 ㅤソウルジェムを身に付けておらず、和装に身を包んだ鈴乃の姿は、魔法少女のそれとことごとくかけ離れている。それ故に、魔法少女のチカラを知らないとマミは判断し、罠をかけたのだ。 「私たち魔法少女はね、鍛錬すれば痛みも消せちゃうのよ。後学のために覚えておきなさい。次があれば、だけど。」 ㅤ撃たれた腕を平然とぶん回し、一周させる。痛がるフリをして武器を落とすことで、鈴乃の接近を誘ったのだ。 ㅤそして腰元のリボンを腕ごとぐるりと経由したマミの手には、一本のマスケット銃。その銃口の向く先は当然、拘束された鈴乃である。 ㅤ魔法少女について知らなかったことが、鈴乃が拘束を受けた理由だった。マミの指先が、トリガーに掛かる。 「それじゃあ、さようなら。」 ㅤそして、当然――マミもまた、鈴乃の、エンテ・イスラの魔力のことなど知り得ない。マスケット銃が撃たれる直前ギリギリまで、マミに勝利を確信させ―― ――タァンッ! ㅤ銃声と同時、解き放つ―― 「――武身鉄光!」 ㅤ首から提げたロザリオが、突如として巨大な大槌と化し、放たれた銃弾を弾いた。 「えっ……!」 ㅤ鈴乃と一緒に拘束していたロザリオの体積を一気に増すことで、リボンによる拘束を振り払う。 ㅤそして大地に降り立った鈴乃の目の前には、突然の出来事に呆然とし、すでに弾丸の篭っていないマスケット銃のみを手にしたマミ。武器ではないものを瞬時に武器と化するその技は、マミの扱う魔法と酷似している。もしかして鈴乃も魔法少女なのか、と。この状況下においては限りなく"無駄"な思考に戦場での貴重な一瞬を注ぎ込んでしまった。そのために、マスケット銃を持ち替えることを失念していた。 (……まだっ!) ㅤしかし咄嗟の判断で、そのマスケット銃を即座に鈴乃に向け、空砲を放つ。響き渡る発射音に、ありもしない実弾を警戒し、鈴乃はマミへの攻撃を中断して回避行動に移った。 「……ブラフ、か。どうやら生成した銃は一発ずつしか撃てないらしいな。」 ㅤ実弾が発射されないのを確認し、苦々しい表情で呟く。魔族とは異なり屈強な肉体を持たない代わりに、人はその頭脳を用いて相手を騙すものであると、鈴乃は知っている。たった今相手にしているのが魔物ではなく人であるのだと、改めて認識する。 「貴方こそ。その手品で隠し札は最後かしら?」 ㅤ対するマミも、魔法少女のような力を持つ人間と戦うのは、杏子の面倒を見ていた頃に経験したことこそあるが、それでも久々だ。意識的に作るポーカーフェイスで冷や汗を隠す。鹿目さんたちの前で『いい先輩』を演じていたように、優位に立つためには余裕を見せろ、と自身に言い聞かせながら。 ㅤ誤解から始まった決闘は、互いの理解を微かに、されど確かに、深めていく。それに伴うかのように、夜の闇もまた次第に深まっていく。決闘のため、それぞれの守りたいものから目を離し続けることで、彼女たちの焦燥や不安も加速していく。 ㅤ夜明けは――未だ、遠い。 【C-4/D-4境界付近/一日目 黎明】 【鎌月鈴乃@はたらく魔王さま!】 [状態]:健康 [装備]:ミニミ軽機関銃@魔法少女まどか☆マギカ、魔避けのロザリオ@ペルソナ5 [道具]:基本支給品 不明支給品0~1(本人確認済) [思考・状況] 基本行動方針:皆が幸せになれる道を探す 一.マミを無力化する。 二.カンナ殿、千穂殿、すまない……。 ※海の家に行った以降からの参戦です。 ※小林カンナと互いの知り合い・支給品の情報交換をしました。 【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:健康、渚の保護を重視 [装備]:魔法のマスケット銃 [道具]:基本支給品、ロッキー@魔法少女まどか☆マギカ(半分)、不明支給品(0~2) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いを止める。殺し合いに乗る者を殺してでも、皆を守る。 一:鈴乃を撃破する。 二:渚、まどか、さやかを保護する。杏子、ほむらとは一度話をする。 三:渚くんと会話をしていると安心する...彼と一緒に行動する。 ※参戦時期は魔女・シャルロッテに食われる直前です。 ※潮田渚と互いの知り合い・支給品の情報交換をしました。 ㅤ地帯を形成するある一本の大木の裏。息を殺しながら、潮田渚は弾丸が飛び交う戦場を眺めていた。 ㅤマミは自分を戦場から離そうとしていたようだが、渚は見ておくべきだと思った。この殺し合いの場が、どんな世界であるのか。 (これが……殺し合い……。) ㅤそれは、話で聞いていたよりも数段、身の毛のよだつ光景だった。無尽蔵にばら撒かれるその弾丸ひとつひとつが自分の命を奪いかねない。かつて殺せんせーの指揮の下、クラスの皆でガストロに立ち向かった時とは違う。この世界に立ち向かうのは、自分の身ひとつだ。 (でも、僕らが平和に暮らしている間にも、地球のどこかではこんな光景が毎日、当たり前のように繰り広げられていた。) ㅤこれまでも、意識してこなかったわけではない。ビッチ先生のような、戦場に生きてきた人たちに比べれば、自分たちの暗殺に賭ける想いは弱いと。 (だというのに、地球を救える舞台に立っているのは僕たちだ。) ㅤ僕たちは、地球を担うだけのものを差し出せていない。 ㅤ渚の気持ちを加速させるように、マミは魔法少女のチカラを渚に隠していた。 ㅤ自分だって暗殺のことは話していないし、自分の技術の底も見せていない。彼女にだって、事情は少なからずあるのだろう。だけど殺し合いの世界で、平然と、他人を殺せるだけの刃を隠していた事実は渚の心に警鐘を鳴らす。 ㅤ高鳴る鼓動を抑え込み、戦場を観察する。生き残るために。地球を救うために。僕に何ができるのか。何を、するべきなのか。 ㅤ最近、気付いてしまったこと――僕には、暗殺の才能がある。こんな殺し合いの世界であっても、何かができるチカラがある。だって、この場の誰にも――暗殺者(ぼく)の姿は見えてないから。 【D-4/C-4境界付近/一日目ㅤ黎明】 【潮田渚@暗殺教室】 [状態]:健康 [装備]:鷹岡のナイフ@暗殺教室 [道具]:基本支給品 不明支給品(0~2) [思考・状況] 基本行動方針:暗殺の経験を積む...? 一:何ができるか、何をすべきか、考える。 二:暗殺をするかどうかはまだ悩み中。 三:とりあえず巴さんの通っている見滝原中学校へ向かう。 ※参戦時期は死神に敗北以降~茅野の正体を知る前までです。 ※巴マミと互いの知り合い・支給品の情報交換をしました。 Back← 032 →Next 031 温泉は殺し合いでは戦場。油断すると死ぬ 時系列順 033 不調和 ~カビ問題~ 投下順 018 アンデッドアンラック 鎌月鈴乃 046 Turning Points 巴マミ 潮田渚
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それは、八神はやての元に闇の書が現れる前。 次元に漂う、闇の書の前に一人の少年が浮んでいた。 (これは何者だ、私の前に唐突に現れたこの存在は……) パラパラとページがめくれ、書に光が宿る。 (まずは素性を調べるのが先決、記憶探査開始……) 徐々に、記憶を読み取っていくと共に、その異常さに闇の書は驚愕するしかありえなかった。 (……魔力を持たない人間が何故このような戦闘能力を持つのだ) そして、探査を終えた闇の書は一つの決断を下した。 (収集開始……エラー、エラー!プログラム修正不能……消去不能このまま現状を維持……) そして物語は始まる。 情に目覚めし黒き龍 第一話「今日から」 舞台は、守護騎士が幼き少女八神はやての前に現れる時まで進む。 「闇の書の起動を確認しました。」 「我ら、闇の書の蒐集を行い、主を守る守護騎士になります。」 「夜天の主に集いし雲。」 「ヴォルケンリッター、何なりと命令を・・。」 いつの間にか表れた黒い服に身を包んだ5人の男女の内がはやての前に跪いていた。 だが非現実的な光景を直視したはやては、精神の限界を超え気絶してしまった。 「おい、こいつ気絶してるみたい……だぞ」 赤い髪の小さな少女ヴィータが、はやてを覗き込むと困ったように後ろに振り向く。 「まだ、リンクが不完全なのか一人多くみえるな?」 意識をはっきりさせようと軽く頭を振り、再度後ろを見る。 「OKOK、なんだちゃんと5人いるじゃんか……って、やっぱり一人多いじゃねーか!」 やはり一人多い事態に、逆切れを起すヴィータ その切れっぷりに、慌てて後ろを振り向く三人。 そこには確かに、自分たちが知らない少年というべき年齢の男の姿と黒い大きな箱が存在した。 「なんだと、これは一体……」 「何かのバグが起こったのか?」 守護騎士たちの混乱は、はやてが気絶から回復するまで続くのであった。 「……なぁシグナム、結局よ私達の後ろにいたこいつは何なんだよ」 ヴィータが指を指す。 そこにいるのは自分達と同じようなアンダースーツに身を包み俯いた少年、だがその少年からは一切の魔力を感じない。 「だが、この場に我らとまったく関係無い人物が突然現れるとは思えん」 ザフィーラが、自分達と同じ存在だと推論を述べる。 「確かに、闇の書を介して存在を感知できるのであれば我らの同士なのだろう、だが何故魔力を感じないのだ?」 シグナムは、当然の疑問を口にした。 「可能性としては闇の書が主の世話を任せるために新しく作り出したんじゃないかしら?」 その疑問に答えるようにシャマルが口に出す。 「用は私達の仲間なんだろ? ならそれでいいじゃねぇか」 ヴィータがこれで問題解決とばかりに話を打ち切り、少年に指を指しながら名前を問いただした。 「で、名前は何なんだよさっさと教えろよ」 「あ、私も教えて欲しい」 はやてもそれに相槌をうつ。 面を上げると少年は己の名を告げた。 「私の名はブラックドラゴン」 ブラックドラゴンがはやて達に名前を名乗る、しかし名前を言い終わった瞬間間髪入れずヴィータが叫んだ。 「長え! ついでに人の名前じゃねぇ!」 ブラックドラゴン15歳、己の名を全否定された瞬間であった。 そのヴィータの叫びに同調するように、はやて達も口々に喋りだす。 「流石に、それはないと思うんよ」 「まったくだ、呼びにくい」 「でも、困ったわね」 「どうした物か、我々としても往来でその名前を言いたくないぞ」 あーだ、こーだと相談し始めた守護騎士一同を横目に、はやてはポンと手を軽く打ち合わせるとハヤテは柔らかな笑顔を 浮かべ、守護騎士達に告げる。 「なら皆で、ブラックドラゴンの名前考えてあげよ」 この言葉に、感心する守護騎士一同。 「と、言うわけだ今から名前を考えるからお前はそこで待っていてくれ」 シグナムがブラックドラゴンにそう告げると、早速名前を決め始めた。 30分経過、今だ決まらない己の名前を聞きながらブラックドラゴンはなぜ、己がこの場にいるのかを考えるのであった。 私はあの時死んだはず、よしんば死ななかったにしても富士の洞窟から何故この場にいるのだ? それに、聖衣もクロスボックスに収納された状態になっている。 しかも、何故か彼女達の存在を感知できる、彼女達にはコスモを感じない夢か? いや……このような夢を見るはずが無い ならばこれは現実、私は一体どうなったというのだ。 ただ一つ解かる事は、私は現に生きていてこの場にいるということか。 ブラックドラゴンは、内心で溜息をつくと今だ決まらない彼女達を身ながら更なる思考の淵に沈んでいくのであった。 「よーし、決まった!」 はやての声に、思考の淵から戻るブラックドラゴン、彼が目にしたのは早く名前を言いたくてウズウズしているはやての 笑顔であった。 「今日から、黒龍や!」 ビシッと、指を突きつけるはやて。 その言葉を聞き、自ら小さく自分の名を反芻するブラックドラゴン。 「一生懸命考えたんやけど、安直過ぎやったか?」 バツが悪くなったのか、おどおどしだすはやて。 「悪くない、今日から私は黒龍と名乗る事にしよう」 ……ああ、ドラゴンよ。私はこの新しい名と共に情に生きてみせよう。 そして彼は、はやてを安心させるかのように僅かに微笑むのだった。 戻る 目次へ 次へ
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無水鍋 水がいらない鍋です いろいろアレンジできます 材料 肉 大量の野菜 ポン酒 味噌 唐辛子 (カレー粉、チーズ) 手順 1.ポン酒をコッヘルに適当な量入れる 2.味噌を適当な量入れて肉野菜を詰め込む 3.火にかけて蓋をして寝る 4.体積が減ってきたら底からかきまぜて味見→調味 5.好みに合わせてカレー粉やチーズも入れてみる 6.おわり その他 味噌とカレー粉って実は日清カレーヌードルの味なんですよ あまりに手抜きで灰汁をとらないので灰汁のでる野菜は入れないほうがいいかも ニラはやめといたほうがいいと思ふ 文責:よっとみ
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召喚数累計(一般用) Character 召喚数 召喚率 猛炎竜マグナガル 0 氷砕竜ヨートゥン 0 旋迅竜ダルウィノ 0 その他UR 0 その他SR 0 その他R 0 召喚数累計(メンバー) Character 召喚数 召喚率 猛炎竜マグナガル 0 氷砕竜ヨートゥン 0 旋迅竜ダルウィノ 0 その他UR 0 その他SR 0 その他R 0 召喚数累計(管理人) Character 召喚数 召喚率(%) 総数 猛炎竜マグナガル 0 0 1 氷砕竜ヨートゥン 0 0 1 旋迅竜ダルウィノ 0 0 1 その他UR 0 0 2 その他SR 1 50 26 その他R 1 50 299
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桜が舞い散り、運動部の掛け声があちこちから聞こえてくる。 やたらあちこちから聞こえるのは、新入生勧誘のために体育系のクラブが 縦横無尽に駆け回っているせいだ。 「やってるねぇ」 椅子に後ろ向きで座った姿勢で階下の景色を見て、猿飛佐助はにんまりと笑った。 「いやー、若いっていいなぁ。ね、どう思う?」 窓を閉め、壁に目をやる。くるくるとよく動く表情が、壁際の男を捕らえる。 「それは俺に対する嫌味か?」 防音のための穴だらけの壁に背中を預けた片倉小十郎が渋い顔をして、 プリントを佐助に渡した。 学園には様々なクラブが存在するが、佐助は放送部に所属していた。 高校野球地方大会のウグイス嬢から明るく元気なお昼のDJまでなんでもこなす芸の広さと 面倒見のよさを買われ、部長を勤めている。 「コレ何?」 「今度のNコンの規定だ。読んでおけ」 Nコンとは、放送部が参加する大会である。朗読からテレビドキュメントまで幅が広い。 「はーい。今年は優勝したいねぇ」 「そうだな。本番でトチったりしなければいいな」 佐助はへらっと笑った。 去年の大会、佐助は最後の一音を思い切り噛んだせいで優勝どころか入賞すら逃した。 「いや~参ったよねぇ。三島由紀夫だったもんねぇ」 小十郎はため息をついた。理由になるかそんなこと、と顔に書かれている。 「ご褒美も逃したし」 佐助は椅子から立ち上がると、小十郎を見上げた。襟のリボンを抜き、 防音のためにしかれた絨毯に落とす。ロクに掃除していないくすんだ白い絨毯の上に落ちる 赤いリボンが妙に目につく。 「今年こそ、俺優勝するよ。そうしたら」 「優勝したらな」 小十郎の太い指が、佐助の唇を押さえた。にやりと笑い、首に絡もうとした手をそれとなく止める。 「あと一年くらい待てねぇのか?」 「待てない」 「俺は教師で、お前は生徒だ。そういうことになったら、どうなるか……分かってんだろうな」 小十郎の指が当てられたまま、佐助は笑う。 「俺が無職になっちまうんだぜ?」 「大丈夫だって。バレなきゃいいんだよ」 「――悪い生徒だ」 「あんたもね」 小十郎の首に腕を絡める。熱い指が唇から離れ、耳をくすぐる。 佐助は目を閉じ、小十郎の唇を待った。
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ちょうばくはつ 概要 PS版デスティニーに登場したディスク系のアイテム。 登場作品 + 目次 デスティニー(PS) 関連リンク関連品 ネタ デスティニー(PS) 光の紋様が刻まれているアタッチメントディスク ディスクの一種。超爆発。 斬り攻撃力と突き攻撃力がそれぞれ+415され、晶術ビッグバンを使えるようになる。 ドルアーガの塔初クリア時に入手できる。 斬り 415 突き 415 晶術 ビッグバン 入手方法 イ ドルアーガの塔60F ▲ 関連リンク 関連品 ふりそそぐひかり ▲ ネタ ▲
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Cube+ top | about:Cube+ | member | join htmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。
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私は彼の近くにいると、いられると思っていた。 他人を拒絶する彼の側で、彼と一緒にいたいと思っていた。 気付いたらその距離は開いていくばかりで。 彼の心は遠くに消えて見えなくなっていくばかりで。 何時の間にか、私は彼を遠くから見つめているだけの存在。 そんな、認識されているかいないかもわからないような私。 「桜田君……」 彼のことを想うだけで、胸が傷んだ。 きっと私は生涯この想いを抱えて生きていくに違いない。 教室で一人物思いに沈む私に、元気一杯の声が掛かった。 「トモエー一緒に帰ろうー」 「ええ、そうね」 狡賢い私が醜い私を押し隠す。だって言える筈がない。 こんなに無邪気に私を慕う少女にすら、私は嫉妬していただなんて…… …… 誰かと触れ合うことなんてなかった彼が、気付けば人気者。 不思議なものだと思った。変われば変わるものなのだ。 周囲を取り巻く少女たちを鬱陶しげに追い払おうとする彼は。 それでも、昔より遙かに楽しそうに笑うようになったと思う。 だからきっとそれは彼女たちのお陰で、だからこそ私は哀しかった。 幼い頃から側に居たというのに、私は彼に何をしてこれただろう。 「……馬鹿馬鹿しい」 詮無いことだと思考を振り払い、席を立った。 考えれても考えてもネガティブな方向へ向かうだけだから。 「あれ、柏葉か」 「あ……」 図書室で一人宿題を片付けていると、彼が現れた。 偶然、ではない。自分自身、少なからず打算があってここにいる。 煩わしくなると、周囲から離れて図書室に来る癖は変わっていないらしい。 「こんな所で宿題か」 「悪いかな?」 「いや、別に」 冷静を装って、特に会話を続ける事もなく宿題を再開した。 ちらりと見れば、彼は何かの本を読んでいるらしい。 沈黙が続き……先に耐えられなくなったのは私のほうだった。 「帰ろうか?」 「え、なんで?」 質問に質問で帰すのは感心しない、と言いかけてやめた。 「一人になりたくてここに来たんじゃないの?」 元々そう元気な性質ではなかった。一日中周囲がアレでは、うんざりもしたかもしれない。 「ん。まあそうだけど……アイツらもちょっとは静かにできないかな」 「はは、皆桜田君の事が好きなんだよ」 こんな風な軽い会話を楽しみながら、少し胸が傷んだ。 ここにいていいのは、私じゃあないんじゃないかと。 「見つけたわよぉ、ジュン」 そんな静かで、胸苦しくも心地よい空間を壊した一言。 水銀燈が、腕を組んでこちらを見ていた。 「げ、もう見つかったのかよ……」 「どうして逃げるのよぉ」 急に騒がしくなる図書室。ああ、嫌だなあ。 この時間が壊されてしまった事と、それを嫌だと思う自分自身。 きっとすぐに、他の皆もここに集まってくる事だろう。 「いいじゃなぁい、それとも私のこと嫌い?」 「いや、き、嫌いじゃないけど」 しどろもどろになる彼を見ているのが辛かった。 わかっている。悪いのは彼じゃあない。無論水銀燈でもない。 「それじゃあ、私は帰るね」 荷物を鞄に仕舞い、席を立つ。振り向きたくなかった。 これ以上、見せ付けられたらどうなってしまうかわからない。 「二人とも、図書室では静かにしてね」 なのに、思わず語気を強めてそんな風に叱ってしまった。 ああ嫌だ。これじゃあ自分の鬱憤を晴らしているようだ。 「あ、柏葉……悪い。また明日な」 「……ふぅん。また明日ね、柏葉さぁん」 今日は、疲れた。自己嫌悪で疲労するなんて馬鹿馬鹿しい。 素振りをして、シャワーを浴びて、無駄な思考を殺ぎ落とす。 落ち着いて、いつも通り、明日からまた学校に…… ピンポーン 閉じようとした意識を覚醒させるように、呼び鈴がなった。 電気もつけっぱなしなのに居留守を使うわけにもいくまい。 仕方なく玄関を開けた先、意外な人物が立っていた。 「こんばんわぁ~」 「……水銀燈、さん?」 「呼び捨てでいいわよぉ~」 そんな風に楽しそうに笑う――何か企んでいそうな顔だ。 「ジュンに家を聞いたの。上がらせてもらっていいかしらぁ?」 別段仲がいいわけでもないのに、少々厚かましいとは思った。 だが断る事もできず、どうぞと部屋へと彼女を上げた。 「えっと、何か用事でもあった?」 興味深そうに部屋を見て回る水銀燈に、こちらから切り出した。 「ん~?そうねぇ……違ったら申し訳ないんだけど」 ニヤリと、全てを見透かすように水銀燈が嗤った。 「アナタ、ジュンの事が好きなんじゃない?」 ――一瞬、意識が凍りついたかと思った。 機能回復→激しい動揺。エ、ナニイッテルノ? 「な、なななななななな何を言っているのかな水銀燈サン?」 「……ビンゴ。予想通りだったようね。でもそこまでうろたえなくても」 クスクスと笑っているところを見ると、確信に近いカマかけだったらしい。 「い、イヤ、ソンナコトナイデスヨー?トクニドウデモイイデスヨー」 非常に苦しい言い訳だと我ながら思う。 それに、何かを言うたびに水銀燈は笑うから逆効果なのだ。 「うふふ、おばかさぁん。私の目を欺けると思ってぇ?」 「……完敗です。出来れば誰にも言わないでください」 未だに平静を保てない。顔が真っ赤になっていることだろう。 「まあここまで来たら馴れ初めからその他色々話しちゃいなさぁい」 黙秘するだけ無駄だろう。完全に水銀燈が一枚上手だ。 隠し立てすることも出来ず、私は訥々と秘めた想いを語りはじめた…… …… 「根が深いわね……まあ仕方ないのかも」 話し終えた私に、顎を手に当て唸りながら水銀燈が言った。 「たまにジュンと遊んでると凄い視線を感じてたのよねぇ」 「……お恥ずかしい限りです」 どうやら水銀燈には気付かれていたらしい。ああ、嫌だ。 「――まあ、いいわ。ここまで聞いてしまったからには」 「からには?」 急に立ち上がった水銀燈――ちょっと驚いて引いた――が、指差して。 「アナタの望み、私が叶えるわ」 「……結構です」 即答した。 「なんでよぉ!!」 いや、怒られても…… 「まさか、遠くから見ていられればいいのとか言わないわよねぇ」 「……それも少し。でも、私は多分そういうの……」 「ああ、もう!!ウジウジしない!!」 ウジウジしていたら怒られた。どうなってるんだろう…… 「駄目なのはアナタのその性格。折角可愛いんだからどうにかなさい」 「……かわ、いい?私が?」 可愛いだなんて、はじめて言われた気がする。 それも、こんな特上の美少女に……お世辞でも嬉しかった。 「その……あ、ありがとう」 「……ッ。か、可愛いわぁ。一瞬お持ち帰りした、じゃなくて」 コホンと一つ咳払い。真面目な顔をしてまた水銀燈が話し始める。 「見てられないのよ。アナタみたいなの。だから、手伝わせて頂戴」 心の中で、負けず嫌いの自分が小さな声で何か囁いた。 「……うん、ありがとう水銀燈。私、やってみる」 小さな小さな決意の焔を瞳に宿し、私は決心した。 ネガティブな巴を強制する為、水銀燈の特訓が始まった。 素直になれるように、可愛く見えるように、言いたいことを言えるように。 水銀燈のそう長くはなく、厳しい特訓。 これを終えれば、見違えるように彼女はステキになれる…… だが、そうはいかなかった。 「……ご、ごめんね水銀燈」 「ちょっと想定外だったわぁ……まさかここまでとは」 落ち込む私をいいのと慰めるが、水銀燈にも心労が見えた。 水銀燈はこんな私にここまで本当に良くしてくれた。 少しだけでも、改善の兆しは自分でも見えてきたと思う。 最近、桜田君とも前よりよく話すようになった。 「まあ、性格なんて簡単に変わるもんじゃないわぁ」 それに、水銀燈と仲良くなれたのが、少し嬉しかった。 「……ありがとう、水銀燈」 心の底からの感謝の気持ち。優しくしてくれて、ありがとう。 「いいのよぉ。私が好きでやったことなんだから」 こんな出来の悪い生徒をここまで導いてくれた。 「まあこれ以上やっても仕方ないし、言っちゃいましょうか」 「何を?」 「告白」 ……what s? 「無理です。やれません」 即座にギブアップした。 「……そういう所は変わらないわねぇ」 やれやれと、水銀燈があきれ返っていた。 でも、出来ないものは出来ない。 今を壊すのが嫌だ。私はこのままで十分幸せだった。 「巴、こんな言葉があるわ。やってやれないことはない!!」 「……水銀燈、それ一か八かとか当たって砕けろって言わない?」 「言わないわ。それに、言わなきゃ何も始まらないのよ」 痛い。言葉がひとつひとつ胸に突き刺さる。 ここまで来て臆病な私が、不様で痛々しい。 「……アナタが嫌なら、私が貰っちゃうわよ?」 「それは……駄目」 挑発するように……いや、実際それは挑発に過ぎないのだろう。 暫く付き合ってきてわかった。水銀燈の桜田君に対する想いは、私とは違う。 「嫌でしょ?好きなんでしょ?……巴なら、大丈夫よ」 「水銀燈……うん。まだ迷ってるけど、私」 みなまで言わないでも良かった。水銀燈は笑っていた。 後日放課後、図書室の奥で私は彼が来るのを待っていた。 手に携えるは、水銀燈の作ってくれた告白用の台本。 使うかどうかは、私に委ねると彼女は言った。 「はぁ……」 未だ迷っている。未だ恐れている。 この後の事を、これを使ってもいいものなのかと。 明確な答えは出てこない。そもそも、そんなものありはしない。 「あ、柏葉」 「……桜田、君」 彼が、来てしまった。心臓が高鳴る。 心の奥底、弱い私が悲鳴を上げる。もう駄目、無理と。 「桜田君……話、があるの」 弱い心を、紙と一緒に握り潰した。脳裏に浮かぶは水銀燈の声。 弱い私の後ろから、負けず嫌いの小さな私と、新しい少し強い私。 二人出てきて、小さな声で「頑張れ」と言ってくれた。 ――だから、もう迷わない。 「桜田君。私、桜田君のことが好きです」 「えっ?」 言えた。もう、言ってしまったなんて思わない。 驚いた表情の彼を見て、私は少しだけ笑っていた。 「……あの、返事は少し考えさせてくれないかな」 一瞬にも永遠にも感じられた沈黙を、彼がそう断ち切った。 「……うん。私、待ってるか」 「その必要はないわよぉ」 私の言葉を途中で止めた、聞き覚えのある声。 そしてその主が、物陰から姿を現した。 「す、水銀燈!!お前何やって」 「それはこっちの台詞ねぇ。待たせてですってぇ?」 あ、水銀燈怒ってる。何故かはわからないけど、そう見えた。 「男の待ってくださいなんて時間稼ぎか断る台詞考えるかよ」 反論しようとする彼に、厳しく水銀燈が言った。 「……ねぇ、ジュン。彼女はずっと待ってたのよ。わかる?」 今度は優しい声で、諭すように。――彼が、顔を上げた。 「ああ、そうだな。悪かったよ柏葉」 「……」 「柏葉……僕も、好きだ」 脳内で、その言葉がリフレインした。何度も、何度も。 嬉しい想いと、信じられない気持ちと、色々が綯い交ぜになって。 うじうじしていた自分がバカみたいだった。 ――いや、あの自分がいたからこそ、今の自分がいる。 水銀燈とも友達になれたのだから、アレも悪くはなかった。 「あ、ありがとう……さくら……ジュン君」 「さあ、告白したら次は何するかわかるわよねぇ」 「……何って?」 意地悪な、いや心底楽しそうな顔の水銀燈が 「キスでしょ?」 そんな、とんでもないことを口にした。 「……魚?」 「そんな古典的なギャグはいいわぁ。所謂接吻ね」 言葉を理解し、真っ赤になった。桜田君も顔が赤い。 「そ、その……ちょっと早いんじゃないかな?」 「そんなことないわぁ。もっとイっちゃってもいいくらいよぉ」 そんな風に完全に他人事モードで笑う水銀燈。 が、当の本人である私たちは躊躇い、一歩を踏み出せない。 じれったくなったのか、水銀燈が一歩先に踏み出した。 「もう、私邪魔ぁ?さっさとヤっちゃいなさいよぉ」 キャッキャと嬉しそうに水銀燈が勢いで、彼の背中を衝いた。 近づいてくる身体。反応できない。いや、しなかったのかも。 「あ……」 彼の唇が、私の額に触れていた。 「……あ、あ……」 キスされた。ジュン君に。キスされた。 唇が私のおでこに温かくて柔らかくて湿っていてあれ? 「ッ!!し、失礼しました!!」 脱兎の如く、私は駆け足で図書室を出て行った。 まともに思考が働かず、本能だけで逃げ出した。 「ああ、待って柏葉!!」 追い縋ろうとする彼の言葉がどんどん小さくなっていくのがわかった。 恥ずかしくて、ワケがわからなくて……それが、とても嬉しくて。 「前途多難ねぇ……まあ、とりあえずこんなとこかしらぁ」 一人取り残された水銀燈が嗤う。 結果は最初から見えていた。水銀燈にはわかっていた。 あれ程わかりにくいようでわかりやすい好き同士も珍しい。 少し惜しかったかもしれないとは思いつつ、概ね彼女は満足していた。 新しい友人の幸せを願い、心の中で頑張れと背中を押した。 「二人ともぉ。図書室では静かにね、おバカさぁん」 さくらだくんとともえちゃん- END