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コレル:第一人称。骨の髄まで奴隷根性の日和見使用人。 バレッタ:ネバン的ルシェ魂至上主義の少女。 ニコレット:先輩の優しいお姉さん。 おっ侍:以前の一悶着で知り合った常連。 「……ふにみとっ!」 「あうっ」 ちなみにこれはルシェ言語ではなく、気合いの掛け声なのだそうだ。 こんにちは、今日はいきなり床に激突0,2秒前です。 今日も僕は元気にこのニギリオの宿で働いている。 同僚と笑ったり上司にいびられたり仲間と口論したりする毎日だが、相変わらずそれなりの暮らしだ。 世界が激動の渦に巻き込まれる中、この宿がそれに巻き込まれるのはまだ先の話だった。 さて、残念ながらこの状況から僕を救出できる人物はこの場におらず、僕は0,2秒後にきっちり床に激突した。 どすんっ! 「……ふんっ!」 床に倒れこむ僕の向こうで、僕を蹴り倒した張本人――バレッタさんが鼻を鳴らして歩いていく。 「今日も派手だなぁおい」 ここは宿の使用人控え室。 僕は助け起こしてくれたハンコツさんに礼を言いつつ、テーブルに座って蹴られたところを抑えた。 「しかしまあ、毎日毎日よく懲りないもんだ」 「おかげで最近一発じゃのされなくなりました……」 あれだけ蹴られたら体制もつくってものだ。 それにしても、僕は我ながら世間一般的な常識人であるという自覚があるのだけど、 どうも彼女の前ではあれこれ余計なことまで喋ったり頓珍漢な答えを返してしまったりする。 おかげで僕は日々大小時には意識無意識を問わず彼女の暴力的なツッコミをこの身で受け続けるわけだ。 ちなみにそれは大概彼女について考えているときに起こるので、 余程僕は考え事をすると迂闊になる性質と見える。考えてることが口から出ないように気を付けよう。 「それにしても」 と、ここで僕は考えを切り替え、先程ふと心に浮かんだ事を考えてみることにした。 脳裏に浮かぶのは、反射的に蹴りを繰り出すときには必ずと言っていいほど正確に頭部を狙うバレッタさんの姿。 「理不尽だ……」 「んー、まあな。多少は自業自得のもあっけど、大体はそのくらいで手を出すなよって感じだしな」 「あ」 先程注意しようと思ったばかりなのに早速考えが口に出ていた。やはり阿呆だ。 「口に出てました?」 「ああ。蹴られるのが理不尽だって」 「あ、いやそこじゃないんです」 「?」 「えーと……その、そういうつもりじゃないんですよ?ただ、ちょっと思っちゃっただけで」 「いや分かんねーよ、最初から話せ最初から」 少し慌ててしまい、訳の分からない弁解をする僕をハンコツさんが嗜めた。 叱られて少し落ち着いた僕は、努めて冷静になろうともう一度口を開く。 「その……ですね。……見えないんですよ」 「?」 「彼女、給仕服だからスカートはいてるじゃないですか。 で、思い切り蹴飛ばすときには大体頭を狙ってくるんです」 「ああ」 「……普通、見えちゃうと思いません?」 「……………お前……………」 「あ、いやだから見えたらいいって訳じゃなくでですね! その、普通見えるはずなのにどうして見えないんだろうとただそれだけで……」 「ああ……分かった、分かったよ。ただ、後ろ……危ないぞ」 「へ?」 つられて僕は後ろを向いた。 ……そこでは今まさに顔を真っ赤にした彼女がその右手をテーブルに叩きつけ、 その反動とともにテーブルを一直線に僕に向かって飛び越えてくるところだった。 「……トニミイッ!!」 ぐしゃっ! どちらかというと顔面を水平に踏みつける感じで彼女の蹴りが僕の頭部を壁に打ち付ける。 ……やっぱり、見えなかった。 ―――――――――――――――――――― まあ、前述のように馬鹿なこともやっているが基本的にこの宿は平和だ。 日常的に裏家業の人やハントマンが入り浸り、一日一回はどこかで揉め事が起こるけどそれでも平和だ。 そんなある日のお昼のことだった。 「……だからねー、あんたもルシェの誇りさえあればそこそこいいセンいくと思うのよ」 「むー……」 僕達は二人で控え室にて昼食の最中だった。 掃除のキリのいいところということで、少し早めの昼食でいるのは二人だけだ。 二人で向かい合うテーブルの横では、備え付けられた中古品のテレビが通信販売の番組を流していた。 ……正直、何でこんなところにテレビがあるんだろうとか 見てる人が世界にどれくらいいるんだろうとか 今流れてる『ヨクワカル商販』にしたって十分お客がいるのだろうかとか プレロマが復刻する前史文化にも優先順位というものがあるだろうとか そもそも電気はどこからとか突っ込みどころは満載なのだが、 木で出来た古びた部屋の隅っこの上に薄汚れた小さなテレビが 設置してある、という光景が理不尽なほどしっくり来るため何も言えなかった。 「……聞いてる?」 「あ、うん」 ほんとは少し気が逸れていたが、それでもちゃんと聞いてはいたので僕はそう返事する。 「だからね、やっぱり人間一本通った筋を持ってるほうがいいと思うの。 せっかくルシェに生まれたんだし、どうせなら受け継がれてきた血を重んじて、 誇り高く生きれたらいいと思わない?」 「むーーー……」 最近バレッタさんは僕をルシェの魂に目覚めさせようとご執心のようだ。 それで彼女に何の得があるのかは分からないが、きっと何かいいことがあるのだろう。 「分かるんだけど、分かるんだけどね」 「やっぱり消極的、っていうか不満そうよね。なにがイヤなのよ?」 「いやなんか、その考え方を受け入れるとそれって、ルシェだから勇ましくないといけない、とか、 ルシェだから戦うべきだ、とかってのを受け入れることになると思うんだよね。 自分がどんな人でどんなふうに生きるかは種族に関係なく自分で決めたいというか」 「言いたいことは分かるけど。でもそれはそれとしてあんたはそういう生き方を選ぶ気はないのかってことよ。 世界には同じようにルシェの魂を持った仲間達が一杯いるし、その仲間になりたいかどうかってだけよ?」 「でもなあ……」 「でも、何よ」 「結局のところネバンプレス的な考えだし」 「あんたねえ……」 彼女が茶碗を置きながら呆れと腹立たしさの入り混じったため息をついた。 「ほんっとにあんた、ネバンが嫌いなのね。そりゃアイゼンの民だし仕方ないかもしれないけど、 そこまであからさまだとさすがにお手上げだわ」 「別にそんなこと言ってないじゃないか。ただ僕はアイゼン人だからネバンプレスの考えが合わないってだけで」 「同じことじゃない。大体、ルシェの誇りはネバンだけの考えじゃないわよ。 さっきも言ったけど、世界中に同じ魂を持つ仲間達がいるんだし」 「どっちにしたって僕はそういう人たちの外側にいるんだから同じことだよ」 「はっ……まあね。そりゃ下級階層でいることに慣れきったアイゼンのルシェ達じゃ期待できないかもね」 「(むっ……)下級階層で何が悪いのさ。貴賤の差こそあれ、アイゼンではそれぞれの階級が それぞれの役割を果たしあって国を動かしてるんだよ、そっちこそ相変わらず偏見を持ってるじゃないか」 「人がそれなりに考えて話したのに、あれこれ渋った挙句ネバンだからって理由で ルシェの誇りを蹴られちゃこのくらい言いたくなるわよ。それなら最初からそう言やいいのに。 大体、偏見とか言うけど事実は事実じゃない。社会の役割を果たしてる?それはそれでいいわよ。 でも結局は事実として、貴族階層に逆らうすべもなく搾取される現状じゃない。口車に乗せられてるだけよ」 「そうかもしれないけど、それは国として改善していく問題であってルシェの魂とは関係ないじゃないか。 大体、生まれたときからルシェとはこうあるべきだなんだと教えられ続けてそういうものだと思い込んで、 それこそ口車に乗せられてるのはどっちさ。そういうのは根拠もなく考えが固定されてるとは言わないの」 「……!根拠が無くなんてないわよ!プレロマの公式な調査でだって、 ルシェとヒトとは遺伝学的にも統計学的にも性質の方向性に明確な違いがあって、 明らかにルシェの本質というものは思い込みでもなんでもなく実際に存在するって出てるんだから!」 「そうだとしても、それに従ってそういう道を選ぶかどうかは個人の自由だよ。 ネバンプレスみたいに国民皆が同じ考えをしてるなんて、それって少し怖いと思わない?」 「ぐぐ……………!! 最初っから階層社会に組み込まれて、その一員になることを強制される国の住民に言われたくないわ!」 「そうだね。所詮お互いに自分の事を棚に上げあってるだけだし」 「ふん……!話し合うだけ無駄だったようね。所詮民族としての歴史が違うのよ」 「そうやって民族の話として片付けちゃうところが僕から見てネバンプレスの変なとこだと思うけどな」 「っ、ああそうね!ついでに言うならきっと私達の祖先とあんた達の祖先が別れるとき アイゼンには新天地を目指す気概の無い連中ばっか残ったから今みたいな状況になったんでしょうよ!」 「逆に言うと気の荒い人ばっか出て行ったからあんな国が出来たとも言えるね」 ……ぱきんっ! 何の音かと思いきや、彼女の手に握られていたお箸がその握り締める圧力に耐えかねてへし折れた音だった。 半分の長さになってしまった箸がころころと音を立てながらテーブルを転がっていく…… ……………怖くて直視できません。 「ああお腹空いた!先に上がってたのね、お疲れ!」 救いの天使がやってきたのはそのときだった。 危機的な空気など何のことやら、先輩のニコレットさんが陽気に控え室に飛び込んでくる。 「ニコレットさん」 「もう今日は朝から忙しくて忙しくて!さて、私もご飯頼んでこなきゃ…… ……どうしたの?何かあった?」 「別に……先、行くわ」 彼女は不機嫌そうに言って部屋を出て行った。 見送ったニコレットさんがポツリと一言。 「ほんとにケンカばっかりねえ……」 「すいません」 本当の所は、分かっているのだ。 ネバンプレスに伝わる古語をルシェ言語と呼ぶことからも分かるように、 人口、文化、どれをとってもネバンプレスこそルシェとしての民族性を持った国と呼ばれるべきだ。 それに比べれば僕達アイゼンに暮らすルシェなどマイノリティーといわれても仕方がない。 けど、それを彼女が言うたびについ反発してしまうんだよね。 自分達をアイゼン・ルシェ、彼女達をネバン・ルシェと呼ぶように僕にはネバンプレスに対する対抗心がある。 それ故に僕は、どうしてもネバンプレスの考え方である『ルシェの誇り』には それが良い考え方かどうかに関わらず抵抗感が生まれてしまう。 僕をルシェの誇りに目覚めさせたいのは分かるけど……分かってくれないかなぁ。 彼女を追って裏庭に出て行くと、彼女は箒を抱えたまま蹴りの素振りの最中だった。 「ふっ!はっ!……せやぁっ!」 「……」 時には地面ギリギリに、時には空中で舞うように、空間を自在に使っての蹴りを繰り返す。 右手で柄を、左手で穂先を持つように抱えられた箒が何故か時折前に突き出された。 「あの……」 「うるっさいわね、さっきのことだったらもうあのくらいじゃ引きずったりしないわよ」 「そうですか……」 だから邪魔しないでというように鋭い蹴りを繰り出し続ける彼女は、しばらくそれを繰り返した。 やがて動きを止め、何か考え事をするように腕の中の箒を見つめて彼女はぽつりと言う。 「はぁ……鉄砲撃ちたいなぁ」 どんがらがっしゃん。 今とても古典的な効果音を立てたのは、僕が抱えていた掃除用具だ。 「……何よ、そんなに驚かなくたっていいでしょ」 「いや普通驚くって!だって、え、鉄砲……だよね?」 「そうだけど……別に、元々銃を使う職業なんだしそんなにびっくりすることもないでしょ」 「いやでも……え?銃を使う職業?」 「そうよ?あれ、言ってなかったっけ? ……私、ネバンのソルジャーなの」 「言われてないよっ!!」 衝撃の事実。ああ、でも、そう言われて見れば彼女と交わす会話の節々にそんなヒントがぽつぽつあったような…… 気付かなかった僕はやっぱり阿呆かもしれない。 と、そこまで考えて重要なことに気付き、僕は彼女に質問をぶつけることにした。 「え、ソルジャーってネバン軍の兵隊さんだよね……」 「言い方古いわね……まあ、そうよ。ネバン軍陸戦課所属、ちゃんとした正規兵よ?」 「それって……アイゼンには何かの任務で来てたり……?」 「ううん、旅行で来たってのは本当。ほんとはそんな事してる場合じゃなかったんだけど、いろいろあって。 だから軍のほうには失踪兵や脱走兵じゃなく、休暇中の失踪として登録されてると思うわ。 じゃなきゃ捜索対象になって誰かしら迎えに来るはずだもの」 ……よかった。 いや、彼女にすればよくないかもしれないが、ここにネバン軍が来て彼女の引渡しを要求したりしたら とんでもなくややこしい国際問題になるのは目に見えてる。 僕が一安心したのを知ってか知らずか、彼女はネバン軍について話し出した。 「ちなみに階級は伍長。どうも軍曹以上になるにはそれなりの経験がないといけないって 暗黙の了解があるみたいで、私みたいに優秀だけど若いってのは大体伍長なのよ」 「自分で優秀って言う?」 「まあ、ね。一応射撃でもA評価はもらったんだから。格闘はCだったけど」 「えええぇぇぇっ!?」 「ちょっ……何よ。私が射撃上手くちゃ悪い?」 「いや、そっちじゃなくて!!」 格闘がC。その言葉は僕に大きな驚きを与えた。 ネバンプレスのABC評価は僕の知っているものと順番が逆なんだろうか? それとも……ネバンプレスにはあのくらい朝飯前な人たちがわんさといるとでも!? 「受けに回ると弱いから一撃必殺を心掛けてるのよ……」 あ、なるほど。 「だから、私の本分は基本的に銃なの。基本はライフルだけど大体の銃器は扱ったわ。 そのうち拳銃も持たせてもらえるようになるはずだったんだけど」 「……人を撃ったことは……ある?」 彼女は振り向いて、肩をすくめた。 「幸いなことに……なんでしょうね。ないわ」 よかった。 ―――――――――――――――――――― 「おう、元気そうだな」 「こんにちはおっ侍さん」 別の日のことだ。 休憩所のテーブルに座るお客さんの一人に僕は呼び止められていた。 この前の駆け落ち騒動で知り合ったお侍さんだ。 本当ならおっ侍なんて呼び方をしちゃいけないんだけど、本人がそう呼べ言うんじゃ仕方ない。 おっ侍さんは今やここの常連として、たびたび僕達と言葉を交わしていた。 まあ、もちろん他の仕事もあるけどお客さんの相手をするのも仕事のうちだしね。 「ところで、相棒はどうしたんだ?」 「バレッタさんですか?それなら、今は物干し場です」 「んん、別に用がある訳じゃねえがな……元気にしてるかと思ってよ」 「彼女は僕よりもっと元気ですよ。元気すぎるくらいに」 「そうか……。で、どうだ。気は惹けてんのか?」 この手の話は老若男女関わらず皆好きだなぁ…… 僕はやれやれと思いながらも当たり障りの無いことを話した。 「いや、それが全然。相手にされないというより気付いてももらえない感じで」 「そんなもんか?まあ、あの性格じゃなあ……お前としてはどこがいいんだ」 「いや、どこというか……」 一目見て直感的にきたわけで、正直僕は彼女のどこがいいのかという質問に答えられない。 ただ感覚的に彼女に惹かれる、それだけだ。 しかしまあ、僕から見て彼女は可愛い。どこが可愛い? どことは言えないが、全体的に。 それでもあえて言うなら……僕は考えた結論を口に出した。 「耳、ですかね」 「耳?」 「強いて言うなら、ですけど。 なんというか、目は口ほどに物を言うっていいますけど耳も同じくらい感情が表れるし、 見てるだけで幸せになれますし、こればっかりはルシェの女性だけの特性ですよね。 人間の耳だとこうはいかない……」 「馬っっ鹿やろぉーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」 「うひゃあ!?」 突然おっ侍さんが怒号を上げた。 腰を抜かしかけた僕の前で、おっ侍さんは自らを抑えるようにぶるぶると震える。 「あ、あの」 「お前って奴は……」 「へ?」 「お前って奴は……人間の耳のよさってもんがわからねえのか!?」 「……へ?」 予想外だ。 っていうか、どう答えろっていうんですか。 僕は答えを返すこともなく、ただぽかんとするよりなかった。 「ちょっ……どうしました?」 先程の声を聞きつけてきたのか、ニコレットさんが慌ててやってくる。 「おう、聞いてくれ!こいつがな、こいつが、耳が可愛いのはルシェだけだとか抜かしやがるんだ! 俺様はもう情けなくて情けなくて……」 「……へ」 ニコレットさんも大体同じような反応だった。 「えっと……つまり、人間の耳にもルシェに負けない魅力があると?」 「当ったり前よ!」 そうなのか? 僕とニコレットさんは顔を見合わせ、分かる?いや全然、という意思交換を行ってから顔を戻した。 「「……」」 「……俺の耳を見てどうする!」 「え、だって、人間は男女で耳の形が変わらないし……」 「かーっ、分かってねえ、全然分かってねえよ。年頃の娘が照れて顔を隠す、その艶めく黒い髪の間から 覗く小さな耳がほんのりと赤く染まってるのになんとも言えねえ色気があるんじゃねえか。 大体どいつもこいつもルシェ耳ルシェ耳言いやがって、情緒ってもんがねえよ情緒ってもんが」 「そう言われても」 ……しかし、僕はこのおっ侍さんの意見に妙に肯定的な感想を抱いていた。 といっても人間の耳の良さに賛同したわけではない。 世の中の野郎共、特に人間達がやたらルシェ女性の耳をもてはやす事に対する反感に共感したのだった。 非常に悲しいことだが、一部の人間にとって僕らルシェの存在価値は ルシェ女性>>>>>(アイゼンとネバンプレスの文化の違いよりも高い壁)>>>>>ルシェ男性 という差別なんてもんじゃねーぞ!という認識を受けている。 彼らの目に僕達ルシェの男が入っていないという事実は、 ルシェの別の呼び名である『半獣の民』を見ても明らかだ。 僕達を見ろ。どこに獣の要素があるというのだ。 大体女性にしたって、耳が狐のような形をしているだけで半獣扱い。極端すぎやしないだろうか。 残念なことだが、この時代においてもなお一般的な人間達の間には 『人間がいて、それ以外の動物がいて、その中間にルシェがいる』 という認識が流れている。 階層社会のアイゼンや、ルシェの住んでいないミロスやマレアイアでは特にそうだ。 ……まあ、差別の象徴みたいなこの社会認識も仕方ないというところはある。 なんでも前史時代の頃、この星にルシェは存在しなかったのだそうだ。 人間から派生したのか、それ以外の動物が進化したのかは今なお謎とされているが ともかくそうやって後から出てきたのがルシェである以上、 ルシェを異分子や傍流とみなす社会認識が作られたのは仕方がないことなのだろう。 だから僕はミロスの人やマレアイアの人に特異な目を向けられても怒ったりしようと思わないし、 アイゼンで生まれつき最下階級となっていることにも納得している。 (それに、アイゼンの社会では人と違うことをするのには大きな勇気がいるから社会認識も変わり辛いしね) しかし、それらを許せたとしてもなお僕には許しがたいことがあるのだ。 それが前述した一部の野郎共のルシェ女性の耳に向ける好機の目線である。 たしかに彼女らの耳は可愛い。見ているだけで癒される。 しかしそれはあくまで魅力の一部であって、魅力の主体ではないのだ。 彼女らの本質を見ようとせず、その耳だけを見て褒めちぎるのは逆に彼女らに対する侮辱ではないかと僕は思う。 大体、好きになった相手がたまたま異種族だったというならともかく そうでないなら同種族の女性に目を向けるべきではないだろうか。 (こんなことを言うのは僕がアイゼンの考えに染まっているからかもしれない) それでなくとも普通に同種族結婚をしたいと思ってる人達は意中の女の子を巡って 激しい競争を繰り広げているというのにその上余計な連中が近付いてくるのが面白いはずがあろうか、 この宿にだって給仕の女の子が目当てでやってくる自称『ルシェ耳愛好家』がいるし、 何かにつけてナンパしようとする客がいるし、付き合うなら耳の可愛いルシェの子がいいとか ふざけたことをいう奴もいるしそういう奴に限って気の強い女性は苦手なくせに 見た目は可愛いからバレッタさんに見た目で判断して近付いて口説こうとするしああもうっ!! ―――文章が支離滅裂になったことを心からお詫びします――― はい、すいません。 いろいろ遠まわしに言い訳しましたが本音はそれです。 最近やたらバレッタさんに声を掛けるお客さんが多い。 彼らは実際に話して彼女の性格を知ると大概の場合慌てて去っていくのだが、 僕としては彼らがその愛らしい風貌に惹かれて彼女に近付くたび 激しい嫉妬の炎に苛まれ焦燥に駆られるのだ。 そのやつあたりをルシェ耳を愛する人たちにぶつけてしまった。本当にごめんなさい。 彼らは自由に恋愛するべきだと思う。彼らはルシェを差別しない心を作るから。 一説によるとルシェ女性の耳は本能的に可愛いと思わせるためにあの形をしているともいうしね。 「おーい、どうした?聞いてんのか?」 と、いけない。かなり心の迷宮に入っていたけど話の途中だった。 「聞いてますよ。人間の耳の話ですよね」 「んん、まあそうだが」 「残念ですけど僕は人間の耳をじっくり眺める機会なんてなかったので……」 「普通ないでしょうね」 そもそも僕には人間の女性と親しくなった覚えがない。 これまでの人生の中で親しかった人間の女性といえば、元旦那様のお母様くらいだ。 「そういうわけで、ちょっと僕にはよく分からないです」 「まあ、そいつもそうだなぁ……」 「というわけで、この話はこれで」 おっ侍さんの言うことにも興味はあったけど、実感も湧かなくちゃ仕方ない。 残念だがこの話は打ち切って、そろそろ仕事に戻ろう…… ……そう思ったのだが、おっ侍さんの反応は斜め上をいっていた。 「よし、分かった!」 「はい?」 「要はあれだ、実物を連れてくりゃいいんだろ?それなら当てがあるからよ」 「いや、あの」 「そうとなりゃ早速いってくるぜ、ちょっと待ってろよ……」 そして。 てん。 次の日、おっ侍さんに呼ばれた僕とニコレットさんの前に、 小さな人間の女の子が僕の顔を見上げニコニコしながら立っていた。 女の子と言ったが……若い。若すぎる。はっきり言って幼女だ。 年の頃は七つか、八つか、いっちょまえにサムライの格好をして見上げている。 その後ろに座るおっ侍さんが、いつものようにお酒を手に言った。 「ほれ、触ってみろ」 「「……………」」 「おいなんだその犯罪者を見る目つきは」 「いや、だって……」 「一体どこからさらってきたんですか……?」 「今ならまだ間に合います、自首しましょう」 「俺様の娘だよ!!」 割と本気で心配する僕とニコレットさんにおっ侍さんが叫ぶ。 「ええぇっ!?娘さん!?」 「結婚してたんですか!?」 「おうよ。まあ俺様の嫁もそりゃあもう別嬪なんだがな、 こいつもそれを受け継いでもう今から将来の姿が見えるようだろ?」 (親馬鹿だ……) 「まあ、で、若干歳は足りねーがこいつなら美人さで不足はねえだろ。 さあ存分に人間の耳って奴を見ろ、ついでにこいつの可愛さを褒め称えてもいいぞ?」 (どちらかというと後半の方が本当に言いたいことなんじゃ……) ふむ。言いたいことは分かった。 しかし、しかしだ。 「あの、ですね」 「ん?」 足元に目を落とす。 僕達三人の視線に晒されたおっ侍の娘さんだという女の子は、照れくさいのかもじもじと身体を揺らしていた。 「要はこれって、男性から見て女性の身体的な部分に感じる魅力の話ですよね」 「まあな」 「……こんな小さな子をそういう目で見るのは、さすがに犯罪だと思うんです」 「……」 「……」 「……」 「……」 「まあ、それはそれとしてだな」 「流した!?」 「とりあえずは観察しろや。わざわざ連れてきた俺様の面子もあるしよ」 「はあ……」 仕方なく、僕はもう一度女の子の顔を覗き込む。 「じゃあ……耳、さわってみてもいい?」 にぱっ。 純粋すぎる笑顔に心が折れかけるが、気を取り直して僕は手を伸ばした。 人差し指を伸ばし、その小さな耳の上端の部分にそっと触れる。 ……むぅ。 肌とも骨とも違う硬さの耳に触れつつ、僕は指をその縁になぞらせて耳たぶへと移動させた。 女の子はくすぐったいのか、いやんいやんと体をひねる。 ニコレットさん助けてください、罪悪感で限界です。 必死に視線で訴えると、ニコレットさんもさすがにうろたえた。 「あの、もう十分じゃないかしら? こういうのは分からないものをすぐ分かるようにできるものでもないし」 「そうかぁ?んー、まあ仕方ねえな。半分娘を見せびらかしに来たようなもんだし、もういいか」 (やっぱりか!!) なんにせよおっ侍さんが諦めたようなので僕は指を離す。 「もういいよ、ありがとう」 そして女の子に礼を言うと、女の子は再び僕を見上げてきゃらきゃらと笑った。 やれやれ……。 さて、そうとなればそろそろ仕事に戻った方がいいかもしれない。 そう思って僕は背中を伸ばした。 そろそろ戻った方が、というよりもっと早く戻ればよかった、と思ったのは 振り向いてその向こうのバレッタさんと目が合ってからだった。 「え?」 バレッタさんがこちらを見ている。 白い目で見ている。 耳がぴんと立ったまま、きゅーっと両の外側へそっぽを向いている。 聞く耳はあるが聞く気はねえ、という意思表示だ。 「あ、あ」 「あらま」 ニコレットさんの気の抜けた感嘆をおいて僕は急いで彼女に駆け寄った。 「えと、あの」 「変態」 「いやその」 「変態」 「だから、違」 「変態。変態変態変態変態変態」 「……勘弁してよ……」 そりゃあもう情けない声だったと思う。 見かねたニコレットさんがやってきてまたしても助け舟を出してくれた。 「こらバレッタ、そんなこと言わないの。コレル君にも事情があったんだから」 「事情……?」 「まあ、いきさつは分かったわ」 控え室のテーブルで腕を組んだ彼女が言う。 「分かったけど……さすがに大の男である同僚が小さな子供の耳を触ってニヤついてたら ひいても仕方ないと思うわ」 「ニヤついてないって!!罪悪感に押しつぶされそうだったよ……」 「そうかしら?」 「バレッタ、いじめないの。凄く困ってた顔してるでしょ」 「ま、ニコ姉がそう言うなら勘弁してやってもいいけど。 ……それにしたって、少しいい思いしたとか思ってないの? 幼女であることを差し引いても、人間の耳もいいな、とか」 そう言われれば。 犯罪的な気分ばかりで集中できなかったけど人間の耳はどうだっただろう。 ……うん。 おっ侍さんの言いたいことがおぼろげに理解できる程度には把握しただろうか。 だが、だがしかし…… 「……いや、やっぱりルシェの耳のほうが個人的にはいい」 「ほんとにぃ?」 「ほんとだって!そりゃおっ侍さんの言うように人間の耳にも魅力があるかもしれないけど、 やっぱり個人的な好みにはかなわないというか、むしろ相手の耳が自分の好みになるというか……」 「しどろもどろで意味が分からないわよ、もっと分かりやすく!」 「え、ええと……そのつまり、どっちかというと君の耳が触りたいというか」 間。 「え?……………え!?」 「あ」 なんだかどさくさに紛れて凄いことを言ったような気がするのは気のせいだろうか。 「え、な、私?私の耳に触りたい、ってそんな……」 「いやその、あの」 「え、だ、だめよ。そんな、なんていうか、みだりに男の人に触らせたりしちゃいけないっていうか……」 「ああ……そうなの」 「え、あ……う、うん。 ……そ、それに!例え問題ないとしても?誰でもいいからルシェの耳を触りたいって 人には触らせてあげられないわよ。うん、そうよ」 「そう」 ……『君の耳が触りたい』って言ったんだけどな。 でもまあ、そうだよね。 よく考えたら、特別親密ってわけでもないのに触らせてもらえるわけはない……か。 「……」 「……」 「……」 三人がそれぞれに食べ物、飲み物を口に運ぶ。 こうしてこの話は、なんとなく釈然としかねるものを残しつつも終わってしまった。 書き忘れていたが、このときは食事中だ。 なんだか食事中の描写ばかりだと思う人もいるかもしれないが それは仕方ないことだと思う。 清掃作業の様子を延々描写したってつまらないだけだし(やるのは楽しいけどね)、 それに食事は人生の中でも重要な楽しみに数えられるものの一つだ。 仕事中はあまり私語をしてられないという事情もある。 「そういえば、箸の使い方も随分とうまくなったわね」 ニコレットさんが煮芋を口に運ぶバレッタさんを見て言った。 ここに来た頃はまったくといっていいほど箸の使えなかった彼女だが、 意地になって練習を続けた今では生まれ付きのアイゼン人と同じように箸を使う。 「まあね……すくうことは出来ないけどそれ以外の汎用性は高くて便利だし。 こっちの食べ物にもけっこう慣れたわ」 「そっか、向こうとこっちじゃ食習慣も全然違うものね」 「ちなみに、向こうではどんな食べ物が好きだったのかな」 「そうねえ……」 彼女は頬杖を着き、記憶を反芻するかのようにうーんと唸った。 「好きなものなんて数え切れないくらいあるわ。 肉、魚、野菜、向こうならではの料理も色々あるけど…… ああでも、なんといっても私が一番好きなのはデヴォカレーね! 子供の頃から好きで好きで、夕飯がデヴォカレーだと知ると躍り上がって喜んだわ」 「あ、名前だけは知ってるわ」 「とても辛いんだよね」 「そう。といっても、子供用に甘口にしたやつを食べてたけどね。 それと同じデヴォカレーでも、砂漠の暑気を払うためのデヴォカレーと 雪原で身体を温めるためのデヴォカレーでは辛さの質が違うの」 「へえ」 「私は北の帝国首都の生まれだから、小さい頃から食べて育った、 私の好きなデヴォカレーは寒冷地方風のとろみのあるタイプね。 熱々のルーを深皿によそって、パンをたっぷり浸してさらにその上にカレーの具やらルーを乗せて 思いっきりかぶりつくともうこたえられないわ」 「熱弁ね」 少し熱の入った口調でデヴォカレーの思い出を語る彼女をニコレットさんが笑いながら見る。 彼女はちょっと気恥ずかしげに咳払いをして、ニコレットさんに問い返した。 「まあね。そういえば、ニコ姉はどう?こっちの食べ物でこれはって物があったら教えてよ」 「私?そうね、好きなものっていっても……白いご飯かしら。 食べてるときはそんなにおいしいとか意識しないけど……いつまでも心に残るのよ」 「ふぅん。あんたは?」 質問の先が僕に代わる。 「うーん。僕もなんかニコレットさんと同じ答えになっちゃいそうな」 「つまんないわねー、他になんかないの?今まで生きてきた中でこれが一番おいしかった、ってのが」 「そうだな……」 僕は記憶をめぐらせる。 今まで食べた中で一番おいしかったもの。そもそもうちは使用人家業で、 しかもいっちゃなんだが旦那様の家もそうお金があったわけじゃないからそんなにいいものを食べていない。 しかしあえて言うなら、そうだ。 彼女の求める答えとは違うだろうが、僕にとって一番おいしいものといえばこれだ。 「お母さんの作ってくれたもの……かな」 今は亡き母が作ってくれた料理の味は、いまなお脳裏にしっかりと刻まれている。 これからも僕はあの味を忘れないだろうし、思い出として大事にしていくだろう。 「ふーん……」 案の定彼女はあまり面白くなさそうに生返事をして僕を見た。 「まあ、大事な思い出だってのは分かるわ?別におかしいことでも笑うことでもない。でも」 「でも?」 「マザコンよね」 「ぐっ!!」 刺さった。心に刺さった。 バレッタさん、それを言うのは反則というものではないでしょうか。 ニコレットさんがやれやれといった風に嗜めた。 「こらバレッタ、そんなこと言うもんじゃないわ」 「ニコレットさん」 「だって……」 「いいバレッタ、アイゼンの男はね、多かれ少なかれ皆マザコンなのよ」 「ぶっ!!」 ……と思ったらいきなり何を言い出すんだこの人は。 バレッタさんもさすがに呆気に取られた、という表情をしている。 「え、そう……なの?」 「そうよ。ねえバレッタ、アイゼンは男尊女卑の国みたいに言われてるわよね?」 「う、うん。家事を始め何から何まで女の人にやらせるって」 「そうね。でもそれって、逆に言うと何もかも女の人に依存してるってことだと思わない? まるでお母さんに世話をしてもらう赤ちゃんみたいに」 「はあ……」 「アイゼンの男は皆、大人になっても多かれ少なかれ子供っぽさを残しているものなの。 どんなに突っ張っていてもお母さんに対してはある種の弱さがある。 それでいつも偉そうにしてるけどお母さんには逆らえない、って人がいるのね。 アイゼンには『男の子は母親に似た女の子を好きになる』ってことわざがあるくらいなのよ」 「……そうなんだ」 そう言いながらちらりとバレッタさんが視線をよこしてくるのが辛い。 まあ、『男の子は母親に似た女の子を好きになる』というのは確かによく聞く話だ。 武士道の死を美徳とする文化には深層心理の胎内回帰願望が関係しているって本も読んだことがあるし、 冷静に考えればニコレットさんの言うこともいい加減ではない。 ちなみにその本によると、そうして男は無意識に母親に似た女の人を選ぶわけだが、 多少にせよお嫁さんの中に母親らしさを求めてるわけだから、接し方にも『甘え』がある。 そのため結婚してしばらくすると女性は男性の扱い方を覚えてあしらえるようになり、 子供が出来て本当の母親になるとますます女性は強くなる。 家の外では亭主関白、家の中ではカカア天下。それがアイゼンの男というものだ……らしい。 「ふぅん……そう。 ……………。 ところで、あんたのお母さんはどんな人だった?」 「え?」 いけない、話の途中で考え事をしてたせいで反応が遅れた。 お母さんがどんな人だったか、ときた。 急いで記憶を引っ張り出し、思い出すままに答える。 「そうだな……どっちかというと大人しい感じで優しくて…… うーん…… ああ、バレッタさんと正反対って言ったら分かりやすいかな?」 「……あ っ そ」 ……凄まじく冷たい殺意をぶつけられた。 一体何が悪かったんだろうか。 乙女心とは難しい。 「え、ええと、話を戻すわよ? 滅多に食べられないものよね……そうだ、鯨なんてどうかしら」 「クジラ?」 空気を戻そうとしたのか、ニコレットさんが鯨の話題を出した。 とりあえず機嫌の悪いのを引きずらなかったらしい彼女が反応する。 「そう、鯨。知ってるでしょ?なかなか食べる機会もないけど、 たまに私達でも食べられるわ。あ、それとも、バレッタは鯨食べられない?」 「ううん。ネバンでもクジラは食べるわよ」 「そうなの?」 「北の海では昔からクジラ漁が続いてるの。……アイゼンでもクジラは獲るようだけど、 極寒の海でクジラを追いかけるネバンの漁の過酷さとは比べ物にならないわね」 「そうかな。アイゼンの鯨漁では船から鯨に飛び移ったりするし、過酷さでは変わらないと思うけど」 「む」 僕はただ単純にそう思っただけだったのだが、どうやら彼女は対抗心が頭をもたげたらしかった。 「それは海に落ちても大丈夫なくらいの暖かさだからでしょ? こっちじゃ海に落っこちでもしたら高確率で凍死よ」 「凍死しなくたって海に落ちて網や鯨の泳ぐのに巻き込まれたら十分死ぬかもしれないじゃないか。 ……と、いうか」 こうして彼女と言い合いをするのはもう何度目だろうかと僕は思った。 本当はこんなことで言い争いなんてしたくないのに、どうしても売り言葉に買い言葉を返してしまう。 こんな不毛な話をしてる間に、もっと、彼女と話したいことはたくさんあるのに。 「……いい加減、こういうのやめない?」 「え?」 「ネバンプレスの人たちが勇敢なのはもう十分知ってるよ。 もうこんなことで言い合いしたってなんにもならないじゃない」 「なん……、ネバンの民の私がネバンの自慢をしちゃいけないての?」 「そうじゃないよ。ただ、アイゼンに対抗してネバンプレスの事を出すのはやめて欲しいってだけ」 「……、う……」 「別にいいでしょ?僕も気をつけるから」 僕はこれで言い争いの機会が減らせるに違いないと思った。 言い合いが少なくなれば、どちらにとってもきっといいことだろうと。 しかし、帰ってきたのは意外な反応だった。 「分かってる……分かってるわよそんなこと……」 「……?」 「分かってるけど、でも」 「あの」 「でも、そう簡単にいかないのよ……」 「バレッタさん?」 「……ちょっと待って、……考える時間が必要だわ……」 それだけ言い残し、彼女はテーブルを立って部屋を出て行ってしまう。 僕は事情の理解が追いつかずに、混乱するしかなかった。 「また」 その声に、ぼくは悩ましげな表情のニコレットさんを見上げた。 「国のことになると、どうしてもこうなるのね、あなたたち」 「すいません……」 「謝ることじゃないわ。でも、ね、よく考えて欲しいの」 そう言ってニコレットさんは僕と目線を合わせた。 「コレル君は、ネバンプレスもアイゼンと方向性は違うけど尊重できる国だと思っているのよね? なんでもアイゼンが一番だと思ってるわけでもない。 でも、それなのにどうしてこういうことになると意地を張っちゃうのかしら」 「それは…… ネバンプレスの自慢をされると、つい、反発しちゃうんです。 『でも、アイゼンも劣ってるわけじゃないよ』って。普段は自分がアイゼン人であることなんて 意識してないのに、他の国の人と話をするとつい……アイデンティティ、って言うんでしょうか」 そう、アイデンティティだ。 アイデンティティは優劣や、合理的かどうかといった価値基準とは相容れない。 自分がそれに属しているというだけでプライドの対象となるのだ。 普段アイゼン人であることをなんとも思っていなくても、 一歩国を出ればそれは自分というものを定義づける大切な要素になる。 「だからつい、反発して必要以上にアイゼンの事を誇るような態度になっちゃうんだと……思います」 「うん。そうよね。まったくその通りだと思うわ。 それなら、バレッタも同じだって事も、分かって上げられるんじゃないかしら」 「っ……?」 「きっと辛いと思うの。よその国に住んで、よその国の食べ物を食べて、よその国の事を聞かされて。 そうやっていると国のアイデンティティが侵食されて、自分が何人なのかが揺らぐわ。 そうならないために、事あるごとに自分の国のことを口に出さないといられないんじゃないかしら。 私はそう思うの」 「あ……」 それまで気付かなかった事実を指摘されて、僕は少なからぬショックを受けた。 彼女がここへ始めてきたときに彼女がその振る舞いほどは強くないと知っていたはずなのに、 僕は深く考えようともせず彼女がすぐネバンプレスの話をしだすのを疎んじてさえいたのだ。 「また……どうしよう……」 「分かってあげればいいのよ。あなたの言いたいことをちゃんと受け止めてる、それだけでいいの」 「……………」 「まあ、そう言おうにも声をかけづらいなら何か贈り物でもしたら? お詫びの気持ちに貢ぎ物を添えるのは世界共通の文化よ」 「貢ぎ物って……でも、そうですね。なにか探してみます」 「頑張りなさい。私にアドバイスできるのはここまでだから」 ―――――――――――――――――――― さて、なにか探すとは言ったが、プレゼントしたいものはもう決まっていた。 デヴォカレー。子供の頃から親しんだ味が大人になってからも心の支えになることは自分の身で知っている。 それを、彼女にも送りたい。 しかし。 「作ってあげたいのは山々なんだけど……作り方がわからないと、さすがにねえ」 「そうですか……」 相談しているのはこの宿の調理業務を担当する調理師さんの一人だ。 調理師の中で唯一のルシェであるこの人はお客さん用の料理はもちろん、 僕達の食事をも材料費が安いなりに少しでも栄養があっておいしいものを食べさせようと努力してくれている。 そんな人柄に期待してデヴォカレーを作れるか相談しにいったのだが、 答えとしてはレシピも無しに外国の料理を作るのは厳しいということだった。 「売店のおじさんに聞いてみたらどうかしら? いろいろあちこちから入荷してるから、なにか分かるかも」 「ああ、そっか。ありがとうございます!」 ヒントを貰った僕はその足で受付カウンターの横にある売店『風光明媚』へと向かう。 カウンターの裏から入ると、目的の人物はすぐ見つかった。 「あの、すいません」 「ん、何か用かい?」 売店を一人で担当するこの人は、壮年男性とは思えない気さくな性格が特徴だ。 僕はつい先程調理師さんと相談して、ネバンプレス関係で何か知識がないか聞きに来たことを説明した。 「あー、残念だけどネバンプレスからは商品は来てないからなぁ。 ごめんね、分からないよ」 「むう……」 早くも計画が頓挫してしまいそうだ。 こうなったらこの宿に来るハントマンに聞こうか? でもここにはネバンプレスからのお客さんなんてほとんど来ないし…… 「カレー、ねえ。少し昔には、外の国の料理もいろいろ本で紹介されたりしてたんだけど」 「え?」 「いろいろよその国と交流して珍しい文化に触れよう、って風潮があったころの話だよ。 あの頃は普通の料理書にも他の国の料理の作り方が載ってて、特にカレーなんかは人気だったんだけど。 今は他の国なんて興味ないって風潮が一般的で当時の本なんてそうないからなあ」 「ちょっ……それだ!」 「うん?」 「ありがとうございます、助かりました!」 「え、おーい?」 思いもよらないヒントをうけて、僕は走り出した。 なんてことだろう、灯台下暗しとはこのことだ。 僕は従業員が寝起きする宿舎に取って返し、自分の数少ない荷物を漁った。 取り出すのは一冊の本、『現代風家庭料理百選』。 もちろんここに書かれている『現代』はこの現代じゃない、数十年前の現代だ。 元々は元旦那様の家を出るときにそれまで働いた褒章代わりにガメ、いや頂いてきたもので ここに来てからは自分で料理などしないので無用の長物と化していたが、 今はこの本に重要な価値がある。 「あった……『南蛮風辛子汁掛飯』」 いわゆるカレーのことだ。これさえあれば、材料と作り方がわかる! その材料欄を読み進めるうち、僕は片眉を上げた。 「んん?これって……」 ウコン……洋名ターメリック。桂皮……洋名シナモン。 「色々スパイスが必要だって聞いてたけど……ほとんど漢方薬じゃないか。これなら何とか…… …… ……なんだこりゃ?」 そういえば、僕が作りたいのはただのカレーではなくデヴォカレーだった。 そのために通常のカレーの材料に加えなければいけない特別な材料。 それに僕は、思いっきり首をかしげた。 ―――――――――――――――――――― いつの間にか控え室に戻ってきていてテーブルにうつぶせていた彼女は、 僕の足音を聞くとゆっくりと体を起こした。 「……なんだ、コレルか」 「なんだとはひどいな」 「悪いけどもうしばらくほっといて。今気分がよくないの」 「そっか。むむ……この匂いに反応すると思ったんだけど」 「匂い?そうね……さっきからネバンの事を思い出しすぎて、幻覚の匂いが……え?」 「幻覚じゃないと思うよ。ほら」 僕の掲げた小さな鍋を見て、彼女は気だるげな雰囲気を吹き飛ばして僕を見た。 「あんた、それ」 「バレッタさんの話してたデヴォカレー。……になってるか不安だけどね。 ……アイゼンじゃ、ネバン人らしい生活はあまり出来ないよね。 でも、せめて、ネバンプレスの食べ物くらいできないかな……って思って」 「っ……………」 彼女の前に深皿を置き、その中へ試作デヴォカレーを注いだ。残念ながらパンはない。 「これ、どうやって……」 「いろいろあって。いいから食べてみて」 「……」 そう言ってスプーンを渡すと、彼女はしばらく逡巡して、恐る恐るスプーンをカレーの中に沈めた。 そしてそれを、ゆっくりと口の中に運ぶ。 僕は緊張してそれを見つめていた。 彼女の口が動き、そして、口に含んだカレーを嚥下する。 やがて、彼女はスプーンを持った手をテーブルに置いた。 うつむいたまま、一言だけ呟く。 「……ネバンで食べたのとは、味が違うわ」 「……」 僕はやるせなさに肩を落とす。 そんな僕をよそに、彼女がもう一度口を開いた。 「でも……間違いなくデヴォカレーだわ……」 「え」 彼女はそれ以上何も返してくれなかった。 ただ、黙々とスプーンを口に運ぶ姿に、自然と顔から力が抜ける。 「よかった」 「……。……それにしても、本当によくこっちでデヴォカレーが出来たわ」 「まあね……色々大変だったよ」 本当に大変だった。 あれこれ頼み込んでスパイスになる漢方薬を分けてもらうのはもちろん、デヴォカレーに必要な二つの材料。 『つややかゼリー』と『貴重な角』。魔物の身体の一部なのだ。 ゼリーの方はまだ何とかなったが、角の持ち主は西大陸にしかいないため同種の角で代用することになる。 そのために僕は、この半島に生息する巨大な草食獣の角をへし折って逃げてくるという これまでの人生でも最大級に命懸けのミッションを遂行するハメになったのだ。 「ま……でも。いいよこのくらい、君のためなら」 「……………」 返事はなく、ただ食器の立てる音だけが耳に入る。 そしてしばらくして、彼女の手が止まった。 「コレル」 「何?」 「耳……触る?」 たぶんこのとき僕は目をぱちくりさせるというか、意表を突かれた表情をしたと思う。 突然の申し立てだったんだもの。 「いいの?」 「私、借りは作らない主義なの。 あんたにはただ当然のように、同僚に気を使っただけかもしれないけど、 私にとってはこれは、大きな借りだわ。だから……私の耳でよければ、触っていいわ」 ……ただの同僚のために、あんな苦労したりはしないんだけどな。 でも、まあ、今回はいいや。 それより彼女が耳を触らせてくれることのほうが重要だから。 「じゃあ……触るよ?」 僕はありがたく彼女の耳に触れさせてもらうことにした。 いすに座る彼女の耳にどきどきしながら手を近づける。 そしてそっと、その指が耳に触れた瞬間。 ぱしっ。 超反応で動いた耳が手をはたく。 「……」 「……今のは反射的に動いたのであって悪意があるわけじゃないわ」 「分かってる」 今度は後ろの根元から包み込むように触る。 またも手の中で耳が跳ねたが、今度はどうやら手の中に納まってくれた。 「……」 犬や猫とは違う、ふかふかとした手触り。 しばらく手のひらで全体の感触を味わった後、そっとその耳を撫でてみた。 毛並みに沿って数回手のひらで撫で上げ、次に指の腹で撫でる。 個人差はあるのだろうがふかふかさの割に滑らかな指触りのする柔らかい毛の上を滑り、 指が先端のほうに触れるとまたもぴくりと耳が跳ねた。 「もう少しゆっくり移動させて、こそばゆいわ」 「ごめん」 より慎重に触れつつ、今度は縁のほうへ触れる。 その状態で全体を包むようにすれば、手のひら全体に暖かくかすかに震える耳を感じつつ 指の先に柔らかな耳毛の感触を感じることが出来た。 これ以上なんと言えばいいのか、幸せな感触を楽しみつつ僕は考える。 いや、考える前にすでに行動に起こしていたと言った方が正しかった。 「……ん」 「!?」 いや、ただ僕は、その幸せな感触に対して本能的な愛情表現をしようと思っただけなんだよ? そしてそれを深く考えることなくそのまま実行しただけで。 抱きしめた子猫には頬擦りをしたくなる。 顔を近づけるのは生物の基本的な愛情表現だからだ。 僕もただ、耳の間に顔を埋めるように彼女に自分の頭を預けたに過ぎない。 ……ただ、その行動とセットで無意識に彼女の首を後ろから抱いてしまったというだけで。 「……きゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」 肘打ち。 肩打ち。 半月蹴り。 彼女が悲鳴とともに反射的に繰り出した三段コンボを見事に喰らい、 僕は後ろにたたらを踏んで壁に後頭部を打ち付けた。 「ぁいったーー……!」 「いきなり何するのよこのバカ!スケベ!変態!」 「ご、ごめん……」 「まったく……!もう、私はカレーの残りを片付けるから、あとは勝手に触りなさい」 「へ?まだ触っても……いいの?」 「別にあんたがもういいってんならいいわよ。あんたが満足するだけ触ればいいって話なんだから」 ……いやに寛大だ。 ともかく僕は彼女の厚意に甘えて、再び耳を触り始めた。 ただしさすがに懲りたので、撫でる触り方中心で。 「…………」 そんな風にし始めて少したつ内、やがて彼女がため息を漏らした。 「どうしたの?やっぱり口に合わなかった?」 「違う……ネバンの事を思い出してたのよ」 そう気だるげに彼女は言った。 「ねえ」 「何よ」 「もしよかったら……聞かせてくれないかな。思い出していたこと」 「………構わない、わ」 少しだけ哀しげだった彼女は、きっと誰かに聞いて欲しいと思っていたはずだ。 遠くの何かを見るように、彼女はとつとつと語り始める。 「……ネバンの冬は寒いわ。 特に雲に空が覆われた日なんか、日が暮れて夜になると心まで凍るくらいに。 そんな日には暖炉に薪を一杯くべて、暖かい部屋で、皆で暖かいデヴォカレーを食べるの……」 「うん」 「外は凍るように寒くても、家の中で家族と一緒に食事をしていると心の芯まで暖まった。 帰りを急ぐ日も、窓から漏れる明かりを見るとほっとして」 「うん」 「ずっとそうだったのよ」 「うん」 「ずっと、そうだった。 それが当たり前だと思って、ずっと。 子供の頃から、ずっと……」 不意に、うつむいたままの彼女の声が震えた。 いつの間にかスプーンは止まり、手がきつく握り締められて肩が強張る。 「うん……」 「……、ごめん、お腹一杯だから、少し、寝るわ」 切れ切れにそれだけ言って、彼女はその顔を隠すようにテーブルに突っ伏した。 時折震える背中と、聞こえてくる湿っぽい音に気付かない振りをしたまま僕はその頭を撫でる。 いつの間にか僕は耳を触っていたことを忘れ、ひたすら彼女の髪を撫で続けていた。 長い沈黙。 切れ切れに続くすすり泣きの中、彼女の呟いた言葉がかすかに耳に入った。 「……お姉ちゃん……」 僕はもう何も言うことができず、ただ、いつまでも彼女の頭を撫で続けた。 いつしか湯気の経たなくなった深皿がすっかり冷えてしまい、 やがて日が傾き始めるまで、いつまでも、いつまでも。
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南三陸さんさん商店街 写真未入手 演奏可能時間 設置期間 2013年3月11日 - 現在 設置場所 宮城県本吉郡南三陸町志津川字五日町51 アクセス JR気仙沼線 柳津駅からバス、志津川下車、徒歩3分 仙台空港から 東京から 酒田から 青森から 久慈から 柳津から 気仙沼から 設置ピアノ アップライト。 設置環境 その他 関連リンク
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大船渡線 試9334D 運転日 編成 時刻 備考 2011/11/15(火) キヤE193系秋田車 試9331D~気仙沼1355→千厩1422→陸中門崎1452-1502→一ノ関1522~回9543D 2012/01/23(月) キヤE193系秋田車 試9331D~気仙沼1355→折壁1412→千厩1422→摺沢1432→陸中松川1443→陸中門崎1452-1502→一ノ関1522~回9543D
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■平成30年4月 一部駅の駅名を変更しました いわて急行鉄道では、平成30年4月1日付で一部駅の駅名を変更致しました。駅名変更対象駅と新駅名は以下の通りです。 従来の駅名 変更後の駅名 電鉄好摩 → 岩急好摩 新滝沢 → 岩急滝沢 花巻温泉 → 湯本 新水沢 → 岩急水沢 栗原若柳 → 岩急若柳 電鉄小牛田 → 岩急小牛田 新大船渡 → 岩急大船渡 下気仙沼 → 岩急気仙沼 トップへ
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ホテル一景閣 今は昔、大正5年、港まち気仙沼の弁天町に 割烹旅館が生まれました。 目の前に広がる海‥。 間近には一景島がポッカリと浮かび、その眺めはまるで一枚の絵のようだったことから、 「一景閣」と名づけました。 一世紀にもおよぶ歴史を歩んだ割烹旅館の伝統の技と気仙沼ならではの新鮮な魚介類を愉しみいただけます。 ふかひれ・もうかのほし・さんま・かつお・まぐろなど旬の味覚を満喫ください。 ホテル一景閣 〒988−0036 宮城県気仙沼市弁天町1—4—7 TEL:0226−22−0602 FAX:0226−22−0702 ※画像をクリックするとパンフレットが開きます。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ホームページ http //www.ikkeikaku.st/ 〈ブログ〉 一景閣スタッフブログ http //ikkeikaku.blogspot.com/ 灯りをともそう http //blogs.yahoo.co.jp/abcz12tennisfifty/9436678.html 気仙沼伝説・・・『皆鶴姫』 http //blogs.yahoo.co.jp/kesennumajan99/50294698.html ホテル 一景閣 港の観えるフカヒレ海鮮割烹の宿 http //blogs.yahoo.co.jp/k505050jp/15136264.html 時代が醸す風格 気仙沼で古典びな展示 〜 宮城 http //blogs.yahoo.co.jp/bubunchos/33611943.html 6話 気仙沼と絶品フカヒレ http //blogs.yahoo.co.jp/mikotoakademi/14383600.html 気仙沼へ http //blogs.yahoo.co.jp/hidegon1968/9162948.html 携帯サイト 最新のチラシ imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 《周辺情報》 安波山 http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1225851354760 SiteID=0 気仙沼市魚市場 http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1230268203656 SiteID=0 十八鳴浜(くぐなりはま) http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1230106230615 SiteID=0000000000000 小田の浜(こだのはま) http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1230096265672 SiteID=0000000000000 巨釜・半造(おおがま・はんぞう) http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1231222632692 SiteID=0000000000000 九九鳴き浜(くくなきはま) http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1231219127452 SiteID=0000000000000 岩井崎(いわいさき) http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1231292273396 SiteID=0000000000000 大谷海水浴場(おおやかいすいよくじょう) http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1250473743237 SiteID=0 田束山(たつがねさん) http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1250584365428 SiteID=0 市民の森・徳仙丈山 http //www.city.kesennuma.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1242209081235 SiteID=0 〈ブログ2〉 #blogsearch /
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路線間で重複している区間は、原則としてどちらか一方の路線に書いてください。 補足事項はエリア情報/東北へ。 駅名 エリア 黒磯 那須 高久 黒田原 豊原 白坂 郡山 新白河 白河 久田野 泉崎 矢吹 鏡石 須賀川 安積永盛 郡山 日和田 五百川 本宮 杉田 福島 二本松 安達 松川 金谷川 南福島 福島 東福島 伊達 桑折 藤田 貝田 越河 仙南 白石 東白石 北白川 大河原 船岡 槻木 岩沼 仙台市周辺 館腰 名取 南仙台 太子堂 長町 仙台 東仙台 岩切 陸前山王 国府多賀城 塩釜 | 石巻/松島/気仙沼 | 仙台市周辺 松島 石巻/松島/気仙沼 愛宕 品井沼 鹿島台 大崎 松山町 小牛田 田尻 瀬峰 梅ヶ沢 新田 石越 油島 一ノ関 花泉 清水原 有壁 大崎 一ノ関 一ノ関 山ノ目 平泉 前沢 陸中折居 水沢 金ヶ崎 六原 北上 盛岡 村崎野 花巻 花巻空港 石鳥谷 日詰 紫波中央 古館 矢幅 岩手飯岡 仙北町 盛岡
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Rocky Marciano (1923/9/1 - 1969/8/31) 米国のプロボクサー 最初の切手/出身国最初の切手(1999年、米国発行)
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ホヤぼーや 携帯画像 都道府県 宮城県 肩書き 気仙沼市観光キャラクター 公式サイト http //www.city.kesennuma.lg.jp/www/contents/1232593384266/index.html 攻略難易度 ★★★中。気仙沼市関連のイベントにて。 名刺の有無 ? 狙い目イベント イベント情報