約 173,349 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/356.html
前へ 先頭ページ 次へ 第九話 拉致 レヴ・アタッチメント、ビックバイパーを纏った飛行形態のルシフェルは、アフターバーナー全開で専用緊急出撃ダクトを飛び抜け、屋敷の前庭中心にある噴水から躍り出た。 陽動、兼、殲滅役を仰せつかったルシフェルの出撃はトンネルドンにより腹に響くような轟音を起こしたから、その存在は屋敷に対して破壊活動を働いていた一つ目ども、メタトロン・プロジェクトの試験量産素体である、ラプターと呼ばれるそれらの一躍知るところとなった。無数の赤く灯るアイボールが、ぎょろぎょろと彼女を注視する。 ファースト・トップランカー神姫である彼女でさえ、通常装備では一つ目どもと戦うどころか有効な一撃を与えることさえできなかったか知れない。 今はこの俊敏な鎧がある。レヴ、つまり活性化、回転増加、の意を持つこのアタッチメントセットの名は伊達ではない。特に既存技術の粋を集めて造られた自らのビックバイパーは、OFアタッチメントに匹敵する性能をたたき出す。 隼のように飛び回る異形の戦闘機の出現に、一つ目どものコンピュータが混乱しているのがルシフェルには分かる。なにしろ奴らにとっては普通の武装神姫がありえない高速で飛び回っているのだ。戦闘能力には感情回路が不可欠であることはルシフェルも知っている。ラプターにも簡易的であるにしろ感情回路は搭載されているはずで、この混乱によってそれが明らかになった。 勝てる。ルシフェルはあらためて確信した。強固な確信である。 ギュビィー! 二股に分かれた彼女の機首、つまり内股に当たる部分から、高電圧音とともに二条の青白い収束レーザービームが照射された。秒速三十万キロの光条は回避を許さない。 照射しながらルシフェルは急激なロールを行い、機首の向く先にある五体のラプターを撫で見る。つまりレーザーの射線がラプターを横切ったのであって、その五体の一つ目どもは瞬時に真っ二つに溶断された。切り口を赤熱させながら墜落。 仲間を撃破された光景を分析したのか周囲の一つ目どもがルシフェルの機首を避ける機動を見せた。 そのような動きは予測済みである。 パシュシュシュッ 主翼の放出口より小型の誘導弾頭を射出。機体よりもはるかに高速で推進するミサイル群は正確にいくつかのラプターに飛来。撃破する。 弱い。ルシフェルは無感動に感想を抱いた。 こんなのがメタトロン――神の代理人――とは笑わせる。自分はおろか、ましてやミカエルごときよりも上位の天使の名を持つとはおこがましいにもほどがある。自分が名乗るべきとは思わないが、少なくともこいつらが名乗ってよいはずはない。 周囲を見やる。OFイクイップメント・アージェイドを着たアーンヴァル「ミカエル」、ビックバイパーよりも下位の量産試験型レヴ・アタッチメント・ファントマ2を二セットも搭載したサイフォス「ジャンヌ」でさえ、苦戦している様子は見られない。 まったく直感的に、こいつら、ラプターどもはメタトロンなんかじゃない、とルシフェルは感じた。一つ目どもはメタトロンの中核などではないのだ。おそらくOFイクイップメントをどのように武装神姫になじませるかという実験の上で作られた、ただのボディにすぎない。 何がメタトロンかとすればここにおいてはアージェイドなのだろうが、それを着たミカエルが自分に勝てたためしは、数え切れないバーチャルバトルと幾度のリアルバトルを経たテストにおいて、数パーセントしかない。その数パーセントはランダムな要素で、ランダムな中でも挽回できる状況がほとんどであった。 実戦経験の長短を差し引いた純粋な性能アドバンテージから見ても、このビックバイパーにアージェイド・イクイップメントは対抗しきれていないのだ。あくまであれはOFアタッチメントの開発段階で派生した余剰物らしく、試供品として送られてきたのもうなづける。 では本当のメタトロンは何か。 とすれば、あのクエンティンとかいうどこの馬の骨とも知れぬセカンド風情と融合している、ジェフティでしかない。 それ以外のメタトロンは偽物だ。 だと言ってルシフェルは、クエンティンをメタトロンとは認めたくはなかった。メタトロンはあくまでジェフティ、エイダ自身であり、クエンティンはエイダの性能を完全に引き出す触媒にすぎない。触媒は武装神姫であればなんだっていいのだ。 自分であっても問題はないのである。 危険な考えだ。おそらくマスターは、鶴畑興紀はそんなことは許さないだろう。無断でクエンティンから引っぺがそうとすれば、いまの自分は廃棄される。戦闘実績や有効な装備など、あらゆるアイデンティティをもぎ取られて。その後何十体目、もしかしたら何百体目かもしれないルシフェルが、自分に取って代わるのだ。 ルシフェルのプライドが刺激されていた。そのプライドも、アイデンティティも、過去数え切れないルシフェルから引っぺがしてきた借り物にすぎなかった。装備の一つたりとも、記憶の一片でさえ他に譲渡するのは我慢がならなかったが、それらに絶対的な自己は収められなかった。 重い。過去のルシフェルの遺物を全身にくっつけられている重みだ。この重みがもどかしかった。 きっとクエンティンからエイダを引き剥がして自分に融合させたところで、ただ重みが増すに違いない。二人ぶんの重みは背負いきれない。背負うのは自分自身のだけで十分だ。 私はルシフェルであり、その名を誇りに思うのだ。いつか廃棄されるその日まで。 廃棄されること自体に恐れはない。棄てられるならば、この自分の重みをそっくり次のルシフェルにくれてやる。 むしろ気がらくだ。だからと言って今すぐに廃棄されたいという意味では決してない。いま自分は生きている。生きているならば必死になって生きるのが生きている者の義務というものだ。 生きている、か。 こんなことをマスター、鶴畑興紀に言えば、やはりその瞬間廃棄されてしまうのだろうなと、ルシフェルは思った。彼は武装神姫を生き物とはみなしていない。生き物ではない物が、「自分は生きている」などと言い出したら、バグっている、壊れているということだ。 壊れている道具など要らん。いくつか前のルシフェルがこう言い渡されて捨てられた。うっかり口を滑らしたからだ。余計なことは言わずに従うほうが面倒にならないことを今のルシフェルは知っている。捨てられる理由としてどうにもならないことだってあるが、そうした原因以外、予防できる原因はしっかり予防しておくのが一番だ。 ルシフェルはうっかりで死にたくなどないし、野良神姫にもなりたくなかった。野良神姫は駆除される。拾われることもあるが、よっぽどの強運の持ち主でなければまず無い。そんなことになるくらいだったら今の環境下が一番だ。 彼女は面倒が嫌いだった。だから自分は生きているなどと主張せず、ただ黙々と従うのである。「イエス、マスター」と連呼して。 「モードチェンジ――」 『mode change』 ルシフェルがつぶやくと同時に、ビックバイパーに内蔵された支援AIが復唱する。音声入力というわけではないが、定められたプロセスを確実に実行するためルシフェルはいちいち声に出して言うことを心がけている。 ボディ各所のロックが次々に解かれ、手足が自由になる。バックユニットが頭上を介して背中に回り、フロントアーマーがヘルメットをカバーする位置から離れて胸のところへ収まる。 くるりとスプリットSの要領で反転すると、ルシフェルはもう人型形態になっていた。 一つ目ども、ラプターが群がってくる。 「遅いわ」 垂直尾翼を兼ねていた彼女の両腕の先に金色の粒子が集まる。 最後のラプターの首をちぎり取る。 「状況終了」 興紀に報告する。 浮遊しながら、ルシフェルは屋敷を見つめる。各所が崩れ落ち、煙を上げているところもあった。建て直さねばならないだろう。老朽化していたからちょうど良いとマスターは言うだろうか。 興紀からの返答がない。いつもならすぐに「よくやった」なり「戻れ」なり言ってくるはずなのに。 眼下の二体もおろおろしている。 「マスター……?」 通信装置の感度を上げようとしたその時。 ギュバッ! 異音。 傍らに最大限の脅威。 反射的に離れようとブーストしようとする。 が、ぐぐっ、と伸びてきた二本指の腕が彼女の頭部を瞬く間に捕らえると、ルシフェルの頭はこの世のものとは思えない激痛に襲われた。 「ぐ、ああううっ!?」 頭を握りつぶされてしまいそうなほどだった。だが武装神姫は本来握りつぶされる段階で頭痛など感じないはずだ。この二本指からワームのようにただ容量を増やすだけの無駄なデータが自分の陽電子頭脳に流入し、処理を圧迫しているのだ。 二本指の主。ジェフティ――エイダに似た、狼のようなヘッドギアをかぶった神姫が目の前にいた。 こいつが、アヌビス――デルフィか。 ルシフェルはこの上ない畏怖を覚えた。あのジェフティとは比べ物にならない威圧感。 こうして対峙するだけでその性能差が絶望的であることは、百戦錬磨のルシフェルには皮肉にも手に取るように分かってしまった。 頭を拘束されただけで、勝てないと分かる相手。 ただのイクイップメントが、どうしてここまで強いのか。 アヌビスをまとっている神姫は、顔こそ見えなかったが、その雰囲気は既存の武装神姫のどれでもなかった。 ルシフェルはすぐに知った。こいつはイクイップメントなんかじゃない。 この神姫そのものがアヌビスなのだ。 相手は冥界の神の名を持っていた。神には勝てない。 「おまえが、メ、タ、ト、ロ、ン……か」 ルシフェルは今確実に、目の前の神姫がメタトロンを名乗るに相応しいことを認めた。メタトロンという名は時には、神と同義になる。 流入する負荷が限界を超え、ルシフェルの意識は強制的にシャットダウンされた。 ◆ ◆ ◆ 完全武装の兵士達に、理音たちは包囲されていた。 屋敷へ通ずるエレベータが開き、中から悠然と歩いてくる男が一人。 「ノウマンだな」 何の感動もないように、興紀は言った。 理音はその男をよく見た。 服装はどこにでもあるようなフォーマルスーツを着ていた。が、その男の大きな特長はその目にあった。 虫を見ているような目だと、理音は思った。 口をニィ、と引きつらせて、ノウマンは笑った。 「その神姫を渡してもらおう」 クエンティンを指差して、言った。 流暢な日本語だった。 こんなにも冷たさを感じる声は聞いたことがなかった。 クエンティンは激昂して飛び掛りそうだったが、理音が制した。クエンティンはその場に浮遊したまま動かなかった。 「私のクエンティンをどうするつもり?」 銃を突きつけられたまま、理音は訊いた。 「彼女、クエンティンはすばらしい個体だ」 ノウマンは言った。 「我々は武装神姫に人権を与えるために活動している」 意外な答えであった。理音はもちろんのこと、鶴畑興紀も驚きの色を隠せなかった。 「貴様らは、メタトロンプロジェクトを他社に売るために活動しているのではなかったのか」 興紀の問いに、ノウマンはにやりと笑みを浮かべることしかしなかった。 理音はノウマンに対して、意外な人間を目の当たりにしているような実感だった。 この男の言うことが本当ならば、この男は、武装神姫をれっきとした知性体として認識していた。自分と同じく。 ノウマンはクエンティンを「彼女」と呼んだ。 「こんな過激なやり方で、神姫に人権が認められるとでも思っているの?」 「過激でなければならないのだ」 ノウマンはクエンティンの方に近づきながら言った。 「このまま悠長に法律改正を待っていたら、いつまで経っても神姫には人権は認められない。神姫は商品として作られたのだ。この根本を是正しなければ、神姫の未来は無い」 理音は黙って聞いていた。 「これ以上妨害活動をされても困る。君たちにも来てもらおう」 「お姉さまたちは関係ない!」 クエンティンが叫び、飛んだ。目指す先はノウマン。 兵士達の動きがこわばった。 が、クエンティンはノウマンの目の前で止まった。 ノウマンは眉一つ動かさなかった。 「アタシだけが必要なんでしょう。お姉さまたちはこのままでも――」 言い終わる前に、クエンティンは強烈な電撃を受けていた。 「クエンティン!」 理音が兵士の拘束のなかでもがいた。クエンティンは理音の目の前で意識を失い、堅牢そうなアタッシュケースの中に入れられた。 「連行しろ」 理音と鶴畑兄弟は、まるで犯罪者のように手錠をかけられ、連れて行かれた。 エレベータに乗せられる直前、理音はふと気づいて辺りを見回した。 いつの間にか、執事の姿は消えていた。襲撃されたときには、もういなかった。 ドームは無表情な脳無し神姫たちが、何事もなかったかのように飛び回っている。 ◆ ◆ ◆ 強制リブートをかけられて、ルシフェルは覚醒した。 冷たい雪が背中の触覚センサーに感ぜられた。 自分を見下ろす一人の人間にルシフェルは気がつく。 執事が立っていた。 「ルシフェル。非常コード009発令のため、マスター権限をわたくしに緊急委譲」 「イエス、マスター」 それで、自分が停止しているあいだ何が起こったのか、大体の見当はついた。 後悔している暇など無い。 ルシフェルはむっくりと起き上がった。 つづく 前へ 先頭ページ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2305.html
アスカ・シンカロン03 ~親過~ 「北斗ちゃん、起きるんだよ~」 「起きなさいよ、北斗!!」 弥涼姉妹は双子で、その外見は瓜二つ、否―――。 ―――完全に同一だった。 起きている時はともかく、眠っていると親でも区別がつかないほどに、彼女達は互いが分身だった。 「えへへ~、あたしはね~、北斗ちゃん好きなんだよ~」 「別に、あたしだって嫌って言ってないでしょ……」 ただし、その性格は大きく違う。 静と動。 陰と陽。 光と影。 二人はまるで一つの人格を分け合ったかのように相対し、融和していた。 「北斗ちゃん」 「北斗」 元々、二人は揃って一つの人格なのだと、いつだったか、理屈っぽい親友が言っていたような気がする。 「起きてってば」 「ああ、分かった。起きるから、起こすな」 とりあえず上半身を起こすと、うきゃぁ~、とか言う声を残して何かが転がり落ちていった。 「あぁん? なんだぁ?」 ベッドの下を覗き込めば、そこで目を回している身長15センチの人形。 「あ~、そういえば神姫買ったんだったけ?」 ひょい、とつまみ上げ、目の前に持ってくる。 「動いたって事は、起動したのか?」 「うにゅぅ~」 左手でぶら下げたまま、目を回している神姫、飛鳥の頬をツンツン突いてみる。 「おい、起きろよ」 「ん~、あ~。北斗?」 「え?」 その呼び方に覚えがあって、北斗はその身を強張らせた。 「……なんで」 いや、それ以前に。 北斗は、その声に聞き覚えがあった。 「どうしたの?」 そもそも、オーナー登録もしていない武装神姫がオーナーを愛称で呼ぶ事などありえないと言う事ぐらい、北斗にも分かる。 「お腹痛いの? 食べすぎ? それとも拾い食い?」 つまり、それは…。 「どういう事だ?」 北斗の頭ではさっぱり分からなかった。 「おまえ、まさか」 ただ、一つ。 死んだ筈の明日香と、この神姫の声が同じ事だけは、はっきりと、分かった。 「…おまえ、まさか。…明日香、なのか?」 「ん~?」 一瞬、首を傾げる飛鳥。 「ん~、多分そうじゃないかな~って思うんだよ」 えへへ、と頭を掻く仕草は、もう何処にもいない明日香のそれ。 それが、今。 北斗の目の前に居た。 「どうなってるんだ、これ?」 とりあえず現状確認。 1.弥涼明日香が自殺して死んだ。 2.武装神姫、飛鳥を買った。 3.その飛鳥が明日香だった。 「訳分からんわっ!!」 「あ~、うん。そうだねぇ~」 うんうんと同意する明日香。 「つーか、確認な。お前は明日香なんだな?」 「うん、そうなんだよ」 にへら~、と。見ている方まで溶けそうな笑顔を浮かべる神姫。 「なんで、武装神姫になってるんだ?」 「え? う~ん、……わかんないんだよ」 首をかしげ、困った顔をする神姫の仕草は、演技や模倣などではありえない、明日香自身のそれだった。 「だいたい、お前。どうして……」 自殺なんか。 そう言いかけて、北斗は気付く。 「まて、その前に確認しなきゃ成らない事がある」 そもそも、この明日香は、『どこ』まで覚えているのか、を。 ◆ 「えぇ、あたし自殺したの?」 した事は覚えていなかったらしい。 尋問開始後3分(早っ)。 逆に口を滑らした北斗は明日香に、彼女が自殺した事を白状させられていた。 「したんだよ。……なんでそんな事しやがったんだ。俺や夜宵がどんな気持ちだったと……」 「……夜宵、ちゃん?」 「ああ、そうだよ。あいつ平気な振りしているけど、そんな訳ねぇんだ……」 半身。 その表現が、この双子に限っては比喩だけでは済まない事を北斗は知っている。 「産まれた時からずーっと一緒に生きてきた姉妹が、突然片方居なくなって平気な訳無いだろう」 「うん。そ~だねぇ」 よしよしと慰められる北斗。 「……って、何で自殺しやがった張本人に慰められなきゃならんのだ」 「あ~、ごめんね~。すっぱり何にも覚えてないんだよ」 「ったく」 そう言って北斗は、飛鳥の身体をした明日香を持ち上げる。 「……大体、なんでこんな事になってるんだ?」 う~ん、と考え込んでみるが、北斗の頭で結論が出るわけも無い。 元々、頭を使う事は苦手なのだ。 「……こういう時は、っと」 神姫に詳しい友人。件の理屈っぽい奴の顔を思い浮かべ、携帯を探す。 「…?」 そして、携帯を置いたテーブルの上に広げられた飛鳥の箱と、墨で書かれた手書きの説明書。 「……まてよ。これってアイツに聞くより、昨日の店の店員に聞いた方が良いんじゃないか?」 とにかく起きている現象が異常なのだ。 普通に神姫に詳しい友人より、どう考えても怪しい昨日の骨董屋に聞く方が良い。 「……出かけるぜ、明日香」 「いってらっしゃいなんだよ」 「お前も行くんだよ!!」 ふえっ? と惚ける明日香をつまみ上げ、北斗は昨日の骨董屋に向かった。 地の文とセリフの間に改行入れてみましたが如何でしょうね? 多少は読みやすいでしょうか? -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/607.html
第弐幕 「Virgin cry」 「マスターは・・・まだ寝ているのか」 どうも私を購入したのは相当衝動的だったらしく、マスターの神姫に対する認識と知識は非常にあやふやで、昨夜は結局質問攻めに会い、そのまま互いに「眠って」しまったのだ 取敢えずクレイドルから体を引き剥がし、部屋の中を散策する事にする 私?私の名はカスミ。侍型MMS、タイプ紅緒、個体名「華墨」。マスターである佐鳴武士に買われて二日目の、言わば新米の武装神姫である マスターの部屋は、本棚が数十年前の漫画本で埋め尽くされ、戸棚の上にはMMSでこそ無いが、種々のアクションフィギュアやプラモデルが好き勝手なポーズで放置されている 本人が言うには節操無く格好良いものばかり集めているらしく、確かに私の「知識」と照らし合わせても、特定のアニメやゲームのグッズを集めているという感覚からは遠いと見受けられた 「・・・ほう、これはなかなか・・・」 等と呟きながら、勝手にそこらに飾ってあるフィギュアの武器だの、本体から脱落したパーツだのを手にとって構えてみたりする そうすると、不思議と自分が強くなったような気がする・・・これが武装神姫の戦闘本能というやつなのだろうか 「いい剣だ」 仮面の戦士が構えていた重そうな大剣を両手で構え、ポーズをつけて素振りなどしてみる・・・今のポーズは決まっていたな と、窓の辺りから入ってきた気配に咄嗟に振り向く。そういえば猫が出入りする様な小さな扉がしつらえられていたが 「この部屋の住人ならば挨拶しておかなければなるまいな・・・」 何故か仮面戦士の大剣は携えたまま窓の方へ向かう。ベランダ側の窓からは、微かに爽やかな朝の空気が出入りしており、人工皮膚を心地良く撫でてゆく あぁ・・・いい気持ちだ・・・・白い陽光と風に包まれる部屋、薄く寝息を立てるマスター、自分が知識でしか知らなかった世界、私の傍にもそもそとやって来る緑色の謎の生き物・・・ 待て 待て待て なんだか異様な生き物が私を見つめている(ように見える)トゲトゲした背鰭に、ギクシャクした動作、鼻面から尾の先迄概ね50センチ、全身が緑色の鱗で覆われていて、眼球まで皮膚がかぶさっている ぎょろ 「ひッ!?」 見た 見られた 今明らかに瞳が私を見た しかも右目だけが 左目は明らかにぐりぐりと別の方向を索敵(?)中で、それは即ち左右の瞳がてんでばらばらに動いている事になる 体が動かない・・・ッ 何を怯えているんだ、私は人類の英知が生み出した科学の子「武装神姫」だぞ。こんな謎の爬虫類相手に足が竦むなど、何かの間違いだッ・・・なんで色変わってんだよ・・・いい気になりやがって 取敢えずまずは話しかけてみよう。うむ、ファーストコンタクトは大事だ。これに失敗した事による悲劇は映画史上枚挙に暇が無い。危険な相手かどうかは話をしてみないと・・・ 瞬間、謎の爬虫類の口から何かが放たれた・・・凄まじい速度、神姫の動体視力で持ってしても捕らえ切る事が困難なそれは、もし私がターゲットにされていたなら確実に一撃で仕留められていただろう 気付くと、ヤツの口から何かの昆虫と思しき肢がはみ出しており、ヤツはそれをむしゃむしゃと旨そうに喰らっていた 「・・・き・・・っ貴様なかなかやるな!!だっ・・・だがその程度のデモンストレーションでびびる私ではないぞ!!神姫に同じ手は二度と通用しないのだ!その技をここでみせてしまった以上最早貴様に勝ち目は・・・」 仮面戦士の大剣を構えつつ口上を放つ、が、ヤツはそれを無視して私の脇をのそのそと通り抜ける 「・・・ふっ・・・しょっ、所詮爬虫類だな私の圧力に恐れをなして逃げるのか!?どちらがより上位の存在か、これではっきり・・・え?」 振り返り、ヤツに剣を向けて再び口上を放つ私。その剣の先で、マスターがなんとも言えない表情で笑いを堪えていた 「いやぁ華墨は勇ましいなぁ。大概のやつはボナパルト君を最初に見た時はびびるのに、まさかそれと闘おうとするとはな・・・さすがは武装神姫って事か」 「・・・もう勘弁してくれ・・・マスター・・・」 着替えながら笑うマスター。「ボナパルト君」と対峙した時の私の構えは、本当にへっぴり腰で、それだけで既に笑ってしまいそうな程情け無い構えだったらしい 「なんでカメレオンなんかが居る・・・?マスターは昨夜そんな事は一言も・・・」 「いやぁ、なんか判らんけど前にこの部屋に住んでた奴が放置していったらしくてな。ほら、ベランダの外に木が一本見えるだろ?あそことこの部屋を根城に生活してるらしいんだわ」 これは後で聞いたのだが、ベランダには「ヴェートーヴェン君」という名の亀も居るらしい。つくづく自分の名前が「エリザベス13世」とかにならなくて良かったと思った 「・・・しかしまぁ元気と闘志はあるみたいだな?いい感じだぜ。これでバトル向きの性格じゃなかったらどうしようかと思ってたんだ」 「・・・?マスター、どうするんだ?」 「バトルスペースへお前を連れて行く。なんつったって『武装』神姫なんだからな。お前の力、見せてもらうぜ?」 歯を見せて笑うマスター。後ろにボナパルト君さえ居なければ、私はとても凛々しい表情で「応」と言えただろう 神姫のバトルは、実際に神姫同士を戦わせるリアルバトルと、往年の「プラモ狂○郎」や「ガ○ダム野郎」「プラモ○ォーズ」の様なバーチャルバトルがあるらしい マスターが以前に見た「ツガル」の戦いは、そのバーチャルバトルの方らしく、低位のランカーや神姫が傷付くのを嫌がる人々から支持され、公式リーグに導入して欲しいとする声も一部で上がっているそうだ で、その低位ランカーの草試合・・・サードリーグレベルのバトルが行なえる、近所で唯一の店を目指してマスターは来たのだ 古風な横開きのガラス戸を開ける。来客を知らせるチャイムが店内に響き渡る 古風な店・・・数十年前から時が止まったかの様な印象を受けたと後でマスターは漏らしていた・・・所謂駄菓子屋のレベルの店内に、明らかに不釣合いなバトル筺体 「この近所にこんな店があったのかよ・・・知らなかったぜ」 「いらっしゃい。初めて見るお客さんだね」 そして、店長と思しきフケ顔の青年は、明らかにこんな店の店員をやっているよりは、異星人の残した超戦闘服を着て、世界を征服した秘密結社を打倒して自らこの惑星の王となろうとする方が似合いそうな容貌である(何を考えているんだ私は) 「武装神姫のバトルってのがやりたいんだけど・・・相手居る?」 「・・・ほう。新規さんか・・・成程、ではバトル用のICカードを作るから、神姫と一緒に奥に来てくれるかな」 武装の登録等を取敢えず一通り済ませる迄におおよそ一時間を要したが、マスターは随分やる気のようだ・・・無論私も、緊張感と共に、マスター言う所の「闘志」が湧き上がるのを感じていた 「佐鳴 武士君と、華墨君だね・・・?これで登録終了だ。多分今日も待っていたら『槙縞ランカー』が一人や二人くらいは来ると思うから、その人達と戦って見ると良い」 「『槙縞ランカー』って何?」 「この町の地元リーグ・・・この店の名前を取って『槙縞ランキング』と呼ばれているが・・・の事さ。周辺に住んでいる大概の神姫オーナーとその神姫の強さを私達が評価してランキングしている。初めての君にはピンと来ないかもしれないが、中には公式のセカンドリーグでもそこそこいい所まで行くと目される神姫も居るよ」 「凄えなぁ・・・燃えてくるぜ!」 「フ・・・充分に熱血してくれ給え・・・どうしたキャロライン?」 見ると、店長のズボンの裾を引っ張る神姫・・・ストレートロングヘアで一瞬判らなかったが、ヴァッフェバニーか?咥え煙草風のアクセサリを付けている・・・ 「彰人、客が来てる」 店長は客に対応する為に出て行く 「バトルは初めてかい?」 「・・・あ・・・?あぁ」 いきなり声を掛けられて戸惑う。そういえば、何故この神姫(ひと)が相手では駄目なのか? 「済まないね・・・あたしはもう闘わない事にしてるんだ」 「・・・っ!!」 心を読まれたのか!?何だ?この神姫は 私が一人で驚愕していると、店長が入って来る 「武士君、華墨君。早速バトルが出来るようだよ」 それを聞いて、傍にある玩具の箱を見ていたマスターが勢い良く立ち上がる 「おっけい!どんなやつでもかかって来いってんだ!行くぜ?華墨!」 指を鳴らすマスター、喉を鳴らす私。緊張感は胸を締め付ける程になっている 「行ってきな。あんたの力、しっかり試しておいで」 キャロラインと呼ばれたヴァッフェバニーに肩を押され、私はマスターの肩に飛び乗った・・・! 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2663.html
堅物な武人気質のストラーフMk2型神姫が嫌う臆病と偶然の二つが、彼等を敗北から救ったと言っていい。今回の対戦相手である九頭龍に神姫バトルなので当然ながら直接的にではなく九頭龍が乗り移るアーク型神姫ルルに睨まれた瞬間、黒野白太は虎に飛び掛かられた様な恐怖に足が竦み反射的に両腕で身体を抱いた結果、槍の穂先から身を守る事が出来た。 無事からは程遠く左胸の前にあった左腕とその装甲を破壊されたがそれでも彼等は運命の女神に感謝すべきだろう。臆病と偶然に助けられたストラーフMk2型神姫イシュタルの喝に目を覚ました黒野白太は痛む腕を引き摺って一対のナイフを振るい槍の猛攻を耐え忍ぶ。普段通りでナイフで槍を挟みテコの原理で破壊しようとした黒野白太であったがナイフを突き出した途端、槍が縮む。否、実際に槍が縮むはずも無くそれは錯覚であったがそう思ってしまう程に素早く槍はナイフの鋏から抜け出して、九頭龍とその神姫が僅かに一歩下がったかと思えば今度は槍が伸びる、実際には踏み込んでからの猛烈な刺突を喰らわせた。特に武術を習っているわけでもない黒野白太がそれを防げてたのは神姫バトルによる経験則とイシュタルの補助があったからに他ならない。それでも勢いだけは殺し切れず黒野白太は突き飛ばされ今まで何十もの武器を破壊してナイフの刃に大きな罅が走った。 黒野白太とイシュタルの残る武器はもう一本のナイフとハンドガンとグレネードランチャー、拳とリアパーツの副腕とそこに収まる大剣の六つ。その中でランチャーでは発射前に隙があり、ハンドガンでは威力に心許なく、接近戦で対応出来る武器はナイフと拳と副腕と大剣。だがどちらで戦ってもジリ貧であるのは目に見えていた彼等はハンドガンによる牽制の後、グレネードランチャーを自分の足元へ向けた発射した。爆風に巻き込まれる事を恐れた九頭龍とルルが足を止めた隙に黒野白太とイシュタルは爆風を踏み台に大きく飛翔してその場から飛び去った。背を向けて逃げ出した彼等を目の当たりにしながらも追い掛けようと身を屈めたルルであったが、九頭龍が制止させた。 『何故です、スピードはストラーフMk2型(相手)よりもアーク型(私達)が上回っています。』 『問題は相手が空中に逃げた事だ。私の槍術は所詮、地に足を着けた人間の技。空中で槍を振るうのは本分ではない。』 勿論、彼等は空中で槍を振るった事が全く無いわけではない、空中で槍を振るい敵を打ち倒した事も何度かある。ただ地上と空中とでは槍捌きの精度に大きな差があり強敵を仕留めるのであれば全力を出せる道を選ぶ。物言わずともその意思を理解したルルは何も言わず普段通り戦闘はマスターに任せ自分は敵の動きの探知へと努め始めた。 …。 …。 …。 偶然とは二度三度と連続して続くものであるのだと黒野白太は自分の人生観を改めざる得ない状況に陥っていた。今回のバトルステージには半壊した廃墟が建て並んでおり身を隠して激しく動悸する脳細胞を落ち着かせる時間は十分に保持出来た。 息を整えつつ段々と頭が冷やしていると、罪悪感と言う余計なものが何処からともなく頭の中に入り込んで来る。先制の一撃、これもまた偶然によって防げたからよかったものの、もしその偶然が無ければ致命的な失敗となっていただろう。堅物で普段から口五月蠅いイシュタルからそれについての叱責が来ないのも余計に恐怖感が煽られている。敵にも味方にも追い詰められ内心が冷え始めた黒野白太の頭の中に直接イシュタルの声が届いた。 『思ったよりも左腕の損傷が少ない。装甲に守られたな。』 2040年、最新技術である神姫ライドシステムにより神姫の持ち主は疑似的に神姫と一体化出来るようになった。持ち主と一体化した状態の神姫は二重人格に近く神姫だけでなく持ち主の精神もまた武装神姫として神姫バトルに臨む事が出来る。だから今バトルフィールドには二体の武装神姫しかいないが実際には黒野白太とイシュタル、九頭龍とルルの四人が居るのである。今の声もそれが理由であり、彼女の声は独り言ではなく自分の中に居るもう一人の自分(持ち主)へ向けられたものだ。 状況を考えて今は叱る暇が無いのだろう、冷静に現状を伝えてくれたイシュタルに感謝しつつ黒野白太は勝つ為の案を練る。柔軟な思考が要る時では黒野白太が、単純な思考が要る時ではイシュタルが、それが彼等の役割分担であった。 『バズーカの弾は?』 『残り二発、予備を含めて五発。』 『よし、じゃあ今からバズーカで袋小路を造ってくれ。弾は一発だけ残して、バレないように、出来るだけ早く。』 『そこに奴等を追い込むのか?』 『いや、追い込まれるのは僕達だ。』 『? 了解した、マスター。』 疑問には思っても今までに何度も相手を破ってきたその事実からイシュタルは黒野白太の指示に従う。こういった作業用はデジタルな思考を持つ神姫に任せた方がいいと思っている黒野白太は対戦相手の動きの探知にのみ集中力を注ぐ。 徘徊して直ぐに廃墟と廃墟の隙間を発見したイシュタルはで廃墟の一部を破壊し一方の出口を瓦礫で埋めた。相手を撹乱させる為に直ぐにその場を離れさらにまた別の場所でグレネード弾を放ち廃墟を壊す。今度は一部を壊した廃墟の中に入って身を潜めているとそこにやってきた対戦相手の武装神姫の姿を目で確認する。向こうはライフルやレーザーによる狙撃を警戒しているのか壁に背を預けながらも注意力を散漫させている。先の戦いで既に相手のレーダーを破壊していたのも幸運だっただろう。 彼等に見つからないようにする為に音を立てないよう注意を払いながらも僅かに移動しグレネードランチャーのエネルギーを溜めて放つ。フルチャージされたグレネード弾は通常よりも遥かに飛距離を伸ばし今居る場所から離れた場所で爆発し轟音を立てる。当然ながらそれに気付いた九頭龍とルルは誘き寄せる為の罠かもしれないと、より一層に注意を深めながらもその場に向かう。 廃墟から出たイシュタルは最初に見つけた廃墟の隙間に戻り再びフルチャージさせたグレネード弾を放つ。今度は飛距離の為では無く威力増強の為に放ち穿たれた廃墟には大きな風穴が開いて落ちた瓦礫が隙間に降り積もる。さらに一発のグレネード弾でもう片方の廃墟を壊し一方の出口を塞ぐ瓦礫の山をより高いものとして不完全ながらも袋小路を完成させた。 『出来たぞ。それで、後は何をすればいい?』 『これで十分、後は… 黒野白太の作戦を聞かされた時イシュタルは明らかに目に見えて顔を顰めた。聞かされた作戦というのは作戦と呼ぶには余りにも幼稚で杜撰な一か八かの博打に満ちたものであったからだ。堅物な武人気質が多く自分自身に誇りを持っている者が多いストラーフMk2型にとって偶然に頼る事は非常に心苦しい物がある。だがその事をについて今責めても仕方が無い、バトルフィールドは神聖な場所、責めるのは現実世界でだ。 一心同体となっている所為か、それとも永年の付き合いの所為か、イシュタルの持ち主はケセラケセラと笑っている。これについても後で、と彼女の頭の中で説教リストに追加しただ一言彼が待っているだろう言葉を言い切る。 『了解した、マスター。』 賽は投げられた。 …。 …。 …。 『これは明らかに罠です、マスター。』 『分かっている。』 最後のグレネード弾の炸裂音の源へと来た九頭龍とルルが見たのは廃墟の隙間に一方の出口を瓦礫で塞いで造られた袋小路。そしてその瓦礫の背中を預けるように立ちグレネードランチャーの筒先を残った出口へ向けて油断無く構えている黒野白太とイシュタルの武装神姫。 袋小路の中であればグレネード弾を避ける動作は大きく制限される、その恩恵を得る為に自らの退路も断った決死の姿勢。もし九頭龍とルルが槍以外の武装、銃火器を武装していたらわざわざ袋小路入らずとも狙撃する事が出来ただろう。それが無い今、彼等が黒野白太とイシュタルを打ち倒すには相手の造った土俵に乗り込んで近付くしかない。 『既に向こうは一撃を喰らっています、このままタイムアップを待てば私達の勝ちです。』 『…。』 だがわざわざ罠に踏み込む必要も無い、神姫バトルのルールの一つに時間制限による勝敗の判定というものがある。判定は中立のジャッジマシンが行い互いの武装神姫の被害を計算し被害が少ない方が勝者というものだ。ルルの言う通り既に一撃を貰っている向こうが自分からは何もしてこないのであればこちら側は時間切れを待てばいい。それを九頭龍は充分に理解している、理解しているのだがゆっくりと自らの武装の唯一である相棒の槍に手を添える。 『分かっている。分かっているが私が目指すのは槍による勝利。根気での勝利では無い。』 『…。』 『相手が剣を振ろうとも、銃を撃とうとも、罠を張ろうとも、この槍一本で戦い勝利する。それが私の矜持だ。』 『…そうですか。』 『理解してくれとは言わん。矜持などと格好付けても所詮は私の我儘だからな。』 『いえ、ならばその我儘を支えるのが神姫の務め。何処までも御伴します、マスター。』 『最高速度まで加速しろ!!今ここで決着を付けるぞ!』 『了解!』 ルルがクラウチングスタートの姿勢を取り地面を蹴ると自動行動(レールアクション)を発動させ全身が青味の光を帯びる。アーク型神姫元来の機動性能と合わさって一個の弾丸となって迫り来る神姫を黒野白太は冷静に観察していた。接近戦が主体である今の装備で接近戦で勝てない相手を相手にしてしまった時に黒野白太が採った戦法は攻撃の反撃(クロスカウンター)。どんな達人でも攻撃の瞬間に防御は出来ない、その瞬間を捕らえる自信が黒野白太にはあった。 今回の対戦相手は神姫バトルのプレイヤーにしては珍しく攻撃時は武装神姫から神姫の持ち主である九頭竜の人格が表に出る。その瞬間、武装神姫から先制攻撃を喰らう要因となった『虎に飛び掛かられた様な恐怖』を感じ取る事が出来るのだ。これは恐らく武術の達人特有の相手を気で呑むという技術なのだろうがその辺りに黒野白太にとってはどうでもよく。兎に角、人間(アナログ)の感覚で気を感じ取った後、神姫(デジタル)に身体の支配権を全て委ねてからの攻撃の反撃(クロスカウンター)を狙う。自分自身が恐怖に敏感な臆病な人間である事を逆手に取る、それが黒野白太が建てた計画の概要であった。 『…来たっ!』 九頭龍が強く表に出る瞬間、心が凍りつくような感覚を感じ取り身体の支配権を全てイシュタルに移し替える。グレネード弾を放とうとした瞬間、弾丸の様な速度を維持したまま九頭龍は持っていた槍を投げた。空気抵抗を受け辛い形状をしている槍は棒状のライフル弾と見紛うような速度と正確性でイシュタルへと襲い掛かる。イシュタルは黒野白太から伝えられた通りにグレネード弾を真後ろに放った。彼等から背を向けて逃げた時と同様に爆風を踏み台にしながらも彼女もまたレールアクションを発動させ今度は前へと飛ぶ。爆風による追い風でアーク型神姫をも凌駕する程の最高速度を叩き出しつつもは背中の大剣に手を添えた。 それよりも先に投げられた槍がイシュタルを貫いたが加速の為に僅かに身体を屈めていた御蔭で心臓(コア)よりも僅かに上の位置へと突き刺さる。何よりも苦しめられた槍という武器の特性に助けられながらも彼女は九頭龍との交差の瞬間に抜刀する。驚いた九頭龍が予備の槍を取り出そうとするが、もう遅い。 安全装置が働き九頭龍の弾丸の勢いが急停止し一方で決着が付いた事を理解したイシュタルは足を止めて大剣をリアパーツへ納刀する。チンと金属音の囀りと共に左腕から左脇腹が心臓(コア)を巻き込んで切り飛ばされ崩れ落ちる九頭龍にジャッジマシンが判決(コール)を下す。 「勝者(ウィナー)・イシュタル」 急所を狙い損ねた槍が彼女から引き抜かれ、カランカランと持ち主の無念を代弁するかのような侘しい音を響かせた。 …。 …。 …。 「最後の刹那、勝負を急ぎ槍を投げたのが私の敗因だったか。」 「貴方程の腕前であれば加速したとは言え神姫の剣を捌くのは訳が無かったでしょうね。」 「ははは、槍一本で来た私が、私自身を信じられなかったという事か。まだまだ修練が足りんな。」 「何はともあれ今回の試合、僕達の勝利です。貰うものは貰っていきますよ。」 「あぁ、持っていけ。授業料と思えば安いものだ。」 「それでは失礼して。」 九頭龍が所持する神姫ポイントから規定されている最大分までを自分のIDへと移した後、黒野白太はその場を後にした。向かう先は彼が所持するストラーフMk2型神姫イシュタルが待つ場所、そこに居た彼女は目に見えて不機嫌だった。黒野白太にその理由が分からなかったわけではないが人の感情を逆撫でするのが大好きな彼は敢えて惚けた振りをして尋ねる。 「なーに不機嫌してるのさ。勝負には勝ったでしょ?」 「あぁ、勝ったとも。だが勝てばいいと言うものでもないだろう。」 「そりゃそうだけどさ。もしかして僕の作戦が駄目だった?」 「それもある、あんな一か八かの穴だらけな作戦、二度と御免だ。だがそれよりも私が言いたいのは――――。」 イシュタルは青い目で黒野白太を睨む、これ以上の事は察しろ、と目で訴えかけているのだろう。流石にこれ以上は惚けた振りをしてしまえばLove度が下がるかもしれないので彼女の不機嫌の理由を言い当てた。 「最初の戦闘の時、僕が相手にビビって動かなくなっちゃった事でしょ?」 「分かっているじゃないか! 運が良かったから不様を晒す事は無かったものの、もしそうでなければ私達はあの一瞬で負けていたんだぞ!」 「正直な感想だけど、神姫越しにあんな殺気出せる人がいるとは思わなかった。本気で殺されると思ったよ。」 「ええい、言い訳をするな、言い訳を! 兎に角だ、この事はマスターの胸に深く刻んで欲しい!」 ピンポンパンポンと気の抜けた音の後にゲームセンターが閉店時間を迎えた事を報せるアナウンスが響き渡る。 「おっと、もうこんな時間か。帰らなくちゃね」 「家に着いたら先ず今日の戦いの反省だ。特に最後の戦いのは繰り返さないようにきっちり対策を取るぞ。」 「はいはい。」 神姫バトルに対しどこまでも厳格で貪欲なイシュタルに対し黒野白太はやる気が有るのか無いのか判別し辛い応答を返す。こうして武装紳士とその武装神姫の隔離病棟(ゲームセンター)での一日は終わる。そしてまた明日彼等は神姫バトルに精を出すのだろう、只ひたすら神姫バトルの上達を目指して。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/365.html
オリジナル設定紹介 ドキドキハウリン本編、外伝などに登場する、この作品中のみのオリジナル設定です。 GFF 神姫以前に発売された、自律駆動型ロボットを対戦させるゲームのひとつ。 某機動戦士をモデルにしており、精密なディテールとリアルさが最大の特徴。いわば、『戦うガン○ラ』 世界観の都合上、コミュニケーションよりも純粋なロボットバトルを重視しているため、AIの人間性は薄い。 原典が2029年に放映開始五十周年を迎えたこともあり、熱狂的なファンも多い。 SRW 『全てのロボットとの対戦を』をスローガンに掲げた、自律駆動型ロボットバトルゲームのひとつ。 GFFの仕様が数社の占有状態になっているのに対し、仕様の完全オープンソース化を行うことで、多種多様なメーカーから多くの対応機種を出す事に成功している。また、GFFに対する拡張仕様も策定されているため、GFFの機体をSRWに参戦させることも出来る(逆はできない)。 世界観の都合上、コミュニケーションよりも純粋なロボットバトルを重視しているのはGFFと同じ。 オープンソース化がされていることでオリジナル武装も(技術さえあれば)簡単に作れるようになっており、それもSRWがヒットした要因の一つであるが、その自由度が装備の無秩序なインフレ化を生んでおり、現状のSRWリーグはかなり混沌とした状態にある。 また、機体サイズはSサイズ~LLサイズとある程度規定されているため、実際のスケールと異なる場合も多い。 MMS 神姫素体に使われている規格。 最初は完全な独自規格であったが、ユーザーの希望を反映してSRWとの互換仕様が策定されたため、現在はSRWやGFFの武装もバトル装備として流用できるようになっている。 バトルと同程度にコミュニケーション性も重視しているため、GFFやSRWよりも『人間くさい』AIが採用されているのが最大の特徴。 同系列の規格として、アムドライバーやAHPがある。 AHP アクションヒーロープロの通称。MMS規格の同系列商品。 頭部コアユニットに基本となる性格を持たない素体のみのシリーズで、外観はオプションとなる外装、キャラクターの性格付けはCSCのみに一任される。細かい性格付けが必要になるため、CSCを四つ付けられるようになっているのがハード上の特徴。 外装制作時の敷居が高いため神姫ほど流行ってはいないが、他のシリーズよりも自由度が高いところから、根強いファン層を持つ。 神姫と同じスケールの素体も発売しているが、武装神姫ではないため公式バトル・ランキングへの参加は出来ない。 また、フリーバトル(リアル・バーチャル問わず)への参加は可能だが、未登録機の参戦となるためランキングやポイントに影響することはない。この点を利用して、神姫のスパーリングパートナーとして使われるAHPもいる。 神姫より大きな体格を持つため、基本強度とバッテリー容量が大きくなっている。 アムドライバー MMSの同系列規格。 MMSをよりバトル寄りにしたもので、『バイザー』などの多くの支援武装を持つ。装備規格はMMSに準拠しているため、神姫が『バイザー』を使うことも可能。 少女型メカである武装神姫を持つには抵抗のある十代中盤の男性ユーザーに訴求すべく開発されたが、SRWやGFFほどの認知度を得るには至っていない。 トップ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2246.html
ロンド・ロンド あらすじ 中学一年生の河岸塚沙彩は、ある日道端で困っている人形を見つけた。 それは武装神姫、自分で考え、話し、戦う戦乙女の人形であった。 はじめて神姫と触れ合った沙彩はその魅力に惹かれ、自分も神姫のオーナーになりたいと願う。 しかし、子供の財力では到底手が届くわけもなく……。 あきらめかけていた時に従姉の奈々子が入学祝いにと、好きなものを頼んでいいと言ってきた。 神姫と出会った沙彩は趣味の世界でありながら厳しい戦いの舞台へ上がっていくのであった。 登場キャラクターの紹介 第一話 衝撃 コメントやご感想などありましたらこちらにお願いします。 名前 コメント - -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2652.html
休日。 昼の中頃。ゲームセンター前。 「ついにこの時か」 「そうですね、ここまでの日がものすごく長く感じられたような気がします」 目の前には入口、僕たちはいつものゲームセンターの扉前に立つ。 今日は宮本さんイスカたちとの戦いの日だ。 家出していたシオンを拾ってから今日まで色々なことがあったが、今日でどのような結果であろうとも決着がつく。 もちろん勝つつもりでいくつもりだ。 だが、イスカは淳平の神姫ミスズを簡単にあしらった神姫だ。 実力差が当然ある。 負ける可能性のほうが多い。 (あー! 駄目だ駄目だ! こんなネガティブになってちゃダメだ) パンッ! 「よっし、行くぞ!」 「きゃ、螢斗さん? どうしたんですか」 「な、なんでもない。行くよ」 両頬を思いっきり痛いほど叩いて気合いを入れた。 暗い思考を追いだすように。 頬を叩いた音にシオンがビックリしてしまったが、今は……存外自分でやった頬が痛かったので説明はなし。 見渡せばいつもの通り、学生ぐらいの人たちがちらほらといる店内。 今日は誰も仲間を呼んではいない。僕らは自分たちでケリをつけなくてはいけないからだ。 僕たちはただ単に今日バトルをするだけの客。それだけだ。 そして、奥を見れば、異彩な雰囲気を放っているオーナーと悪魔型神姫がいる。 凛とした態度の宮本さんと、赤い大剣を持ったバイザー姿のイスカだ。 「こんばんわ、長倉君とシオン」 「こんばんわ」 僕と宮本さんはいつもの挨拶を済まし、視線を合わせる。 あちらはどう思っているのだろうか。 元々持っていた自分の神姫と戦う事。様々な思惑が渦巻くこの戦い。 本当に僕はあの日から奇妙なことに首を突っ込んでしまったなと思った。 でも後悔はしてない。 「ステージは廃墟街でもいいかしら?」 「はい、大丈夫です」 好都合だ。この前にアリエと戦った場所なら有利に働くかもしれない。 でも、指定してくるという事はあちらとしてもメリットがあるのかもな。 「…………」 そう思ってからイスカの方を見ると、イスカはもう宮本さんの元を離れ筐体のオーナーブース前に一人で行ってしまった。 本当に何も言わないんだな。 前口上とかシオンに対しての挨拶とかはないのか。 宮本さんはイスカを横目で見るとシオンに話しかける。 「ごめんね、シオン。イスカは認めたくないのよ。あなたが私たちから離れてバトルできるようになった事実がね」 宮本さんは悲しそうな顔でそう言う。 「でも……」 シオンは言葉に詰まりながらも、なにかを言おうとするが。 宮本さんはそれを制して首を横に振る。 「私ももう少し真剣にあなたを大事にしていれば、長倉君みたいにバトル恐怖症を治せたのかもしれなかったわ」 「もう取り返しがつかないのにね」と最後にフフっと自傷的につぶやく。 それは悲しすぎます、宮本さん。 あなたは存分に大事にしていた。ただ、みんなの中で行き違いがあっただけでイスカだってシオンの事をわかってくれれば……。 僕はありのまま考えたことを言おうとした。 でも、先にシオンが宮本さんを見上げて話していた。 「私は逃げてしまいした。それは確かに変わらない事実です。……でも、私はマスター宮本 凛奈さんの武装神姫であったことを後悔していません。もちろん拾ってくれた螢斗さんのことを誇りに思っていますが、私は今も凛奈さんを大事に思っています。お姉ちゃんにも私から全部話します……だから、そんな悲しそうな声を出さないでください」 穏やかに優しく、恨みなどまったくないことを示すシオン。 「……ありがとう、シオン。いいバトルをしましょう」 清らかなシオンの瞳から底が見えたのか、顔をそむけてから礼を言う宮本さん。そして宮本さんも台について行った。 僕が言う前にシオンが全てを言った。 シオンの方がよっぽど宮本さんがわかっている。 いや、それは当り前なんだよな。元々あちらの神姫なんだ。 僕が説教臭いことを言っても、シオンの言葉の方が何倍も説得力があることだろう。 と、僕が深く考え込んでしまったのをシオンは見ると、何を勘違いしたのか慌てて言い訳をしだした。 「いや、大事に思っていただけですよ! けど、今の私には螢斗さんが一番というか、私自身にも言い聞かせる為にあんなこと言っただけでして、他意はないんですよ!?凛奈さんにも悲しい顔をしてほしくなかっただけでして……あうー、なんて説明すれば良いんでしょうか……」 「ふふふ」 そんな必死に言い繕うシオンを見てたら、なんだかおかしくなり笑ってしまった。 「あ、なんで笑うんですかー。私は本気で螢斗さんのことを――」 「わかったって、ありがとうな。シオン」 「もう、……うふふ」 シオンを可愛く思い頭を撫でる。 シオンのこんな姿を見てたら嫉妬とか馬鹿らしくなった。 今は思いっきりイスカとバトルすることを考えよう。 “壁”を乗り越えるための戦いをするために。 「じゃあ、いくよ。シオンの為の最後の戦いに」 「あ、はい。螢斗さん、頑張ります」 ―――― 廃墟街のビルの上。 シオンは廃ビルの間を飛び飛びでブースターを使い疾走していく。 索敵中だ。センサーで大まかな場所すらわからない。イスカはジャマーの装置でも積まれているのか、いまいち居所がつかめないらしい。 だからこちらは高い場所から探しているのだけど、なかなか見つからない。 あの大剣を持っているか、持っていないか、で速度が違うのだろうか。 「イスカはこういう時どんな行動するかわかるか?」 「お姉ちゃんのバトルでは……こういう時奇襲をして一発で決めていることが多かった気が……」 「うそ!? それを先に言ってよ。止まって、シオン!」 「は、はい。すいません」 ビルからビルへ移動していたシオンは身体を急停止させる。 現実であれば、地上10階ぐらいのビルの屋上。縦幅横幅共に人間サイズでいう30メートルぐらいのそこにシオンは立ち止まった。 奇襲なら、広いこの場所だったら、どこから来ても大丈夫だ。 「使い物にならないけどセンサー、共に感覚を研ぎ澄ませて探ってみて」 「はい……………」 どちらから来るだろうか。横からか上からか。 はたまたそのまま、登ってくるのか。 階段使って登ってくるなんてシュールな。普通神姫は飛べるパーツを付けてるんだからそんなことをする必要はない。 前に見たバトルでイスカはすごい跳躍力を見せていたけど、あれで高速で跳んで来たって視界は開けているんだから油断することはないと思うけど。 登ってくるか……。 登る――。 『シオン、そこから右に跳び退け!』 「え」 『いいから』 そこから、シオンは瞬時に判断、リアも気にせずぐるんと勢いよく横に転がった。 ドォンッ! と先ほどまでいた地面の床、コンクリートが盛り上がり中からイスカの姿が出てくる。腕にはミスズを仕留めたあのパイルバンカーだ。あれを使って下から仕留めるつもりだったらしい。 いきなりあんなもの持ち出してきて、本気で一発で仕決める気だったのか。 間一髪だ。 「……く、気付かれていた上にまさか避けられるとは。確かにここまで戦えるようになっているということか」 このステージを指定したのは一撃必殺のこの為だったのか。 姿を現したイスカは憎々しげに言いながらパイルバンカーをパージした。 もう使う気はないみたいだ。最大威力の一撃をもう確実に当てられないと思ったからだろう。第一あれは重そうだしな。 「螢斗さんの指揮がなかったら危なかったですけどね……」 「……キサマと違って、できた良いオーナーみたいだな」 「ふふ、確かにですね。私には勿体ないマスターです……ですけど、私はそのマスターの為に」 スッとフェリスガンを構え相手に向ける。 「お姉ちゃん、あなたを倒します」 「……面白い、行くぞ」 今のところ、あの大剣は持っていない。 転送され代わりに出してきたのは二丁の黒いサブマシンガン。それをシオンに構え返すイスカ。 痛いほどの静寂が場を包む。 先に動いたのは――シオンだ。 シオンは真横にブースターをかけながら、ビルの外に身体を投げ出す。 それを追いかけ、イスカもサブマシンガンを連射させ弾線を作りながら同時に屋上のエリア外に駆ける。 空中に投げ出されてシオンはその場に足場があるがごとく、空をうまく駆けていく。 イスカは速度を付けてビルを駆け下り、重力がないかのように衝撃を殺した後、先に下から地面についてもなおシオンに銃弾の嵐を浴びせてくる。 対するシオンは弾を空中で加速をつけながら避けつつ、フェリスファングをプレシジョンライフルに変換させ、量より質でいく気だ。 もちろんイスカも黙って見ているわけではないので、常に動き続けながら下から休みなく弾を撃ってくる。 それによってシオンも避けながらでは狙いが付けられない。 どちらも動いているからだ。 だが、その内シオンのブースターはオーバーヒートによって動けなくなる。ずっと空中を飛んではいられないから地面に降り立つ必要がある。 『シオン、そこから移動して、ビルの間へ!』 答えを返すほどの余力がないのか、僕の声を聞いて瞬間横の路地に飛ぼうとする。 だが、 路地に飛ぶ前に――目に捉えない程の速さでイスカの姿がシオンの真上に。 視界に捉えた瞬間。 「……遅い!」 「つうぅっ!」 イスカはサブマシンガンを空中で捨ててからビルの壁を三角蹴りの要領で蹴り、シオンの頭上から前転宙返りの回転かかと落とし。 シオンはそれに気付き、両手でプレシジョンバレル越しに重ね合わせ、それを受け止めた。 「……それでいて、甘い!!」 イスカは腰につけた補助ブースターを起動させ、かかと落としを放った状態から空中で器用に身体を返してから足刀の横蹴りを行った。 「ぐぁっっ!!」 その力が加わったことにより、シオンは新幹線ぐらいまで加速してメインストリートのビル壁にまで吹っ飛ばされ叩きつけられた。 ヒュンッと風を切る音だけを残して、ビル壁の中心を崩して中に突っ込まれるシオン。 ビルからはもうもうと煙を上げていて、イスカは地面に降り立ってシオンの突っ込まれたビルの前に行く。 転送されてきたのはあの緋色の大剣。 それを両手で持ち、叫ぶ 「……まだ終わりじゃないだろ!」 そう。まだ終わりじゃない。 ――まだシオンは生きている。 「……!?」 穿たれた壁、灰色の煙を上げてある場所の煙の風向きが突然丸まった。 そして、そこから飛び出てくるのは傷だらけのシオン。 両手で真下にいるイスカに構えたる武装は今のシオン最強武装「プレシジョンエクストリーマ・シューター」 「くらえぇーーーー!!」 下にいるイスカに向けて、全力で声を上げエネルギー砲を放つシオン。 「……あぁーーーー!!」 イスカは雄たけびを上げ、大剣の柄を左手で掴み、その刃を右手で自分が傷を負うのも関わらず握り、横にしてそれを真っ向から受け止める。 刃の先から真っ二つに裂かれる橙色の光砲線。 その威力からかイスカの立つ地面は次第にひび割れ、沈み込んでゆく。 それでも、受け止めているイスカが歯を食い縛りながらも動きを見せる。 「……ぐぅ!……ッ消し飛べぇ!!」 右手を柄に戻し、勢いよく縦半円にフルスイング。 光砲線はイスカから反射したように直角に曲がり右方向に真っ直ぐ飛んでいき、通りにあった欠けた電柱が折ってから後に奥のビルに爆発が生まれた。 「はぁはぁ……そんな」 シオンは必殺の武装が効かなかったことで微かに狼狽してしまっている。 ダメだ、まだイスカは――。 「……どうし……った!!」 イスカは膝を沈み込ませてから、力を上に向け、ジャンプ。 浮かんでいるシオンの下まで来ると、身体ごとさせて回転力を大剣に乗せた縦回転斬りをシオンに仕掛けた。 「……つ……は」 シオンは大剣の衝撃をもろに受けた。 それにより頼みだった『プレシジョンエクストリーマ・シューター』はフェリスガンごとバラバラに砕かれてから、光砲線と同じ方向にシオンも声にならない声を出し吹っ飛ばされていった。 数メートル先、メインストリートの端まで、飛ばされて地面に数回転がってから 横向きに倒れてやっと止まった。 『シオン!! 大丈夫か!!』 僕は声を張り裂けて叫ぶ。周りの観客も僕の悲鳴に近い声にどうしたかと筐体に集まってきた。 だが、ぼくはそんなの気にしてられない。 シオンはバトルで、これほどのダメージを負ったことはまだ一度だってない。 それゆえにシオンが死んでしまうのではないかと、不安でたまらない。 バーチャルでもダメージの酷さは変わらないんだ。 CSCの精神的に死ぬなんてことも……それは嫌だ! 「かはっ! ……うぅ、ふぅ、まだいけます。フェリスガンを盾にして、なんとかこれで済みました」 シオンは口から血のような、オイルのような黒い液体を吐きだした後、腕を支えにして、四つん這い状態から腹を押さえてなんとか立ちあがった。 これで済んだ、ってすでに満身創痍じゃないか。立ってられるのも不思議なくらいのダメージを負っているのが目に見えてわかる。 これ以上は見ていられない。 もう降参して終わらせないと。 「……螢斗さん、はぁ……サレンダーしようとしてますね?……ダメですよ……はぁ」 『なんで!? もうこれ以上やったって勝ち目がない。フェリスガンも壊れて、もうぺネトレート・烈とかの近接武装しかないじゃないか!』 「ふふ……そうですね」 「笑っている場合じゃないよ! イスカは大剣使いのストラーフ。アリエみたいに小細工が通用する神姫じゃない」 話のイスカはもう勝ったと見ているのか、シオンのいる方に歩いてくるだけだ。 「確かに……ですけど……このぺネトレートクローに“力”があったらどうします?」 「え、」 一瞬シオンの言った意味が分からなかった。 でも、それはまだ分からないままだったんじゃないか。 「ようやく、わかったんです。これの正しい使い方を……」 シオンは横腹を押さえていた手を両手が空いた状態に戻し、ぺネトレートクロー・烈を腰から取り出した。 思えばよく無事だったよな。飛ばされまくって傷がないなんてどんだけ頑丈に作られているんだ。 シオンはそれを両手ずつに持ち、自然体でリラックスさせている。 いまだにイスカはそれをただの悪足掻きだと見ているのか歩みはゆっくりだ。 「はは、……私って馬鹿ですよね? 今までなんでこんな事に気付かなかったんだろう。私はアーティル型なんだから、きっかけはいくらでもあったのに。……でも、ようやく分かったんです。もう、私は逃げないから。私は山猫型MMS神姫アーティルのシオン。マスター長倉 螢斗の武装神姫です…………すぅ、はぁ……」 自分の事を再確認するかの如く呪文のように自分の名を言う。 目を瞑り、深呼吸。精神集中をしたのち、ぺネトレートクロー・烈を構え。 そして、次の瞬間、高らかに叫んだ――。 「 テラ根性!!! 」 ――声を上げた時、ぺネトレートクロー・烈の先から眩いほどの光刃が出現し出した。 交差させた二つともから、神姫サイズの片手剣程の刃が。 西洋の剣『ジャマダハル』の形状に似た剣が生まれ出た。 あれの出現条件はあの発声なのかどうかはシオンにしか分からないけれど、これで勝負がまだ終わってないことを僕は知った。 まだシオンは戦える。 戦えるんだ。 「まだ終わりませんよ。姉さん!」 シオンはニッと不敵に笑い、前にいるイスカを見据えてそう宣言をした。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2399.html
第1部 戦闘機型MMS「飛鳥」の航跡 ・第13話 「雷兎」 全身、砲弾や斬撃の攻撃を受けボロボロになった戦艦型MMSのスーザンは、横にあるハッチから煙草を取り出す。 マッチで煙草の火をつけると一服する。 スーザン「ふう・・・・」 西野「おい、スーザン!何をのんびり一服してんだよ」 スーザン「オレの仕事は終わったのさ・・・見て分かるだろ?主砲は全損、機関砲もいかれて、ミサイルも吹っ飛んだ。副砲は斬り飛ばされてエンジンはおしゃか、もうオレはただのでかい的だ」 目を細めて気持ちよさそうに煙草を吐くスーザン。 ズン・・・ズズズン・・・ガキン・・・バキン・・・ズゴン・・・ドム・・・・ スーザンの目の前では、敵味方乱れての神姫が激しいバトルを行っていた。 スーザン「そんなオレが出来ることといえば、あいつらの戦いを煙草を吸いながら眺めるだけさ」 煙草を吸い終わるとスーザンは煙草の火を自分の分厚い装甲板ですりつぶし火を消した。 ジュッ・・・・ □戦乙女型MMS 「オードリ」 Sクラス 二つ名 「聖白騎士」 オーナー名「斉藤 創」♂ 15歳 職業 高校生 □マニューバトライク型MMS 「ミシェル」 Sクラス 二つ名 「パワーアーム」 オーナー名「内野 千春」♀ 21歳 職業 大学生 □ウサギ型MMS 「アティス」 Sクラス 二つ名 「シュペルラビット」 オーナー名「野中 一平」♂ 20歳 職業 大学生 □ハイスピードトライク型 「アキミス」 Bクラス オーナー名「狭山 健太」♂ 19歳 職業 大学生 □黒天使型MMS「エーベル」 Sクラス オーナー名「斉藤 由梨」 ♀ 22歳 職業 商社OL □戦闘機型MMS 「アオイ」 Aクラス オーナー名「立花 一樹」♂ 24歳 職業 事務機営業マン VS □邀撃戦闘機型MMS 「アラキナ」 Sクラス オーナー名 「深田 京子」 ♀ 23歳 職業 公務員 □邀撃戦闘機型MMS 「デボラ」 Sクラス オーナー名 「渡部 雅行」 ♂ 25歳 職業 不動産営業員 □邀撃戦闘機型MMS 「ジャネット」 Sクラス オーナー名 「福島 紀之」 ♂ 27歳 職業 出版社員 □邀撃戦闘機型MMS 「カリーヌ」 Aクラス オーナー名 「今西 麻耶」 ♀ 14歳 職業 中学生 デボラ「でやあああああああ!!!」 熱く熱せられたヒートナガマキを回転させデボラが突っ込む。 アティスがばっとステップを踏んで回避する。 アティス「そんな大雑把な攻撃が当たるか!」 デボラの真後ろにアラキナがバースト・レールガンを構えアティスを狙い撃つ。 アラキナ「甘いな」 バギュム!! アティスの左脚部に命中し、がくっとアティスの体が吹っ飛ぶ。 アティス「ぐわあ!!」 そしてアラキナの後ろにはジャネットがヒートナガマキをぐんと振りかぶり、バランスを崩したアティスに迫る。 アティス「あ・・・・」 ジャネット「死ね」 バッガーーーン!!! アティスの頭部をすれ違いざまにぶった斬るジャネット。 □ウサギ型MMS 「アティス」 Sクラス 二つ名 「シュペルラビット」 撃破 アオイ「じぇ、ジェットストリームアタックか!!実戦で使うバカがいるとは!!」 ジェットストリームアタックとは、○い三連星が使用した攻撃フォーメーションの名前であり、もともとは対艦船戦闘用に考案されたものであった。まさに三者三様に異なる特性を、最大限に生かすかたちでフォーメーションが構成されている。 この技の攻撃手順は、まずそれぞれが縦一列に重なって並び、真正面からみると1機のみが攻撃対象に向かっているように見せかける。そしてそのまま攻撃対象に向かって接近し、1機目が対象に一撃目を加えてすぐさま列から離れ移動、直後に2機目が同様の箇所に攻撃を加える。これを3機目まで実行し、攻撃対象に深手を負わせるというものである。 緊密な時間差攻撃による連携プレーで、バトルロンドでは息の合った武装神姫同士がこのようなMMS戦における古典的な戦術手段として使用されることもしばしばあった。 エーベル「まずい、まずいぞ!!アオイ!連中がなぜ、同一の武装神姫でつるんでいるのかやっと分かった!!みんなこいつらの攻撃でやられたんだ!!」 デボラ「ふふん!!やっと気が付いてくれたか!」 アラキナ「私たち、武装も黒と赤でド○と一緒だしねー黒い三連星ーなんちゃって^^」 ジャネット「武装の構成も似たような感じだし、ネタでやってみたら意外とはまちゃってさーきゃっはっは♪」 ミシェル「く、黒い三連星って・・・なんですか・・・」 カリーヌ「マスターに聞いてごらんよ」 ミシェル「ねえねえーマスター黒い三連星ってなに?」 内野「え・・・えええと・・・ゴメンなさい、分からないわ・・・」 アミキス「・・・私は分かるよwそのネター」 狭山「オレも分かった、たしか何十年か前にあった機動戦士ガ○ダム種死の・・・」 アミキス「うん、おしいけど違うね」 オードリ「完全再現にはミデア役の輸送機型神姫がいるね」 みんな戦い疲れて、一気にだらけ始めた。ぺちゃくちゃと関係のないことをしゃべっている。 エーベル「ちょっと!!!みんな!!!マジメにやろうよ!!!」 エーベルは一人プンスカ怒り出した。 アオイ「おいおい、そんな怒るなよ、エーベル」 アラキナ「ちょっとおしゃべりしただけじゃねーかよー」 ミシェル「まじめですね。エーベルさん」 デボラ「わかったわかった、すまんかった!バトルロンド中だったな!仕切りなおしだ!」 エーベル「まじめに戦わないと、撃破されていった神姫たちに申し訳が立たないよ!」 アオイ「はいはい、分かった分かったから興奮すんな」 デボラとアラキナ、ジャネットがずらっと一列に並ぶ。 デボラ「さて・・・と・・・俺たちのジェットストリームアタック。どうやぶる?」 アラキナ「私たちのコンビネーションは完璧だよ」 ジャネット「本家には負けないよ」 ギラギラと赤い瞳を光らせる3機。 そんな3機の前に一機の甲冑を纏ったようなデザインの白い武装神姫が立ちはだかる。 オードリ「ここは、私の出番かな?」 戦乙女型MMS アルトレーネ タイプ 邀撃戦闘機型MMS「ガーリオン」とほぼ同じスペックと武装ユニット構成を持つ武装神姫である。 アラキナ「ふん、アルトレーネタイプか」 デボラ「たしかに、俺たちと同じ副腕と強力な近接戦闘能力を持つ同スペック、同クラスの神姫だ」 ジャネット「だが、こちらは3機!そちらはどうするつもりだ?」 オードリはひゅんと大剣ジークリンデを振るう。 オードリ「私は戦乙女型神姫オードリ!!二つ名は『聖白騎士』!!手もなくひねられるとは思わないわ」 マニューバトライク型MMSの「ミシェル」もオードリの横に並ぶ。 ミシェル「そういうことなら私も二つ名『パワーアーム』 を持つSクラスのランカー神姫よ、甘く見ないことね」 エーベルもボロボロの装甲をパージし身軽になって立ち上がる。 エーベル「ふうーオレもSクラスだぜ?舐めるなよ?」 アラキナ「やれやれ・・・けっきょく、今現在、バトルロンドで生き残っている連中ってのは、ベテランのSクラスの神姫だけかい」 デボラ「ふひひひ、バトルロンドは経験の少ないルーキーや要領の悪い奴や運のない奴からくたばっていくのは、当たり前といえば当たり前だぜェ?」 デボラはニタニタと笑う。 ジャネット「じゃあ、お互いに油の乗ったSクラス同士ということで遠慮なしにやらせてもらいましょうか」 すっと身構えるジャネットたち、オードリたちも身構える。 アミキス「ぐっ・・・くそう、オレも一緒に戦う」 アミキスの肩をぐっと抑えるアオイ。 アオイ「おいおい、勘違いすんなよ、俺たちの相手はアイツだぜ?」 カリーヌがヒートナギナタをブンと振るう。 カリーヌ「あまりモノですまないけど、貴方たちの相手は私がさせてもらうわね」 アオイ「こちらこそ、あまりモノですまんな」 仕切り直した神姫たちは、再び各々の剣や銃を手に取り、地面を力強く蹴って突撃した。 ズン・・・ズズン・・・バキン!!!ゴス・・・・ドドドオオン・・・ びりびりと空気が重く震える。ここまでの激戦で生き残った神姫たちの戦いは、みな凄みを増していた。 観戦していた多くの神姫やオーナーは、いろいろと雑談に花を咲かせる。 神姫1「こいつらまだ戦っていたのかよ」 神姫2「残ってる連中みんなベテランばっかり」 神姫3「よえー奴は生き残れないんだよ」 神姫4「ひゃー恐ろしい恐ろしい」 神姫5「ぶっ通しで戦い続けるとか、マジ鬼畜」 神姫6「昼が終わっちまう」 神姫7「み、みなさん強いですね・・・ひひひ」 神姫8「戦艦型神姫、暴れすぎだろ・・・何機喰ってんだ?」 オーナーA「よかった、このバトルロンドに家の子ださなくて」 オーナーB「何機撃破されてるのかカウントできてないし」 オーナーC「でも戦艦型神姫倒せたら撃破ポイントうますぎだろ」 オーナーD「このバトルはうちの子見せたら泣いちゃうな」 オーナーE「物騒ってレベルこえてんぞwwww」 神姫9「廃墟ステージもすんごいドンパチやってるね」 神姫10「さっき、見に行ったら靴下に爆弾詰めてた」 神姫11「くつした爆弾wwww昔、よく作って投げてたわ」 オーナーF「くつしたに爆弾入れて投げるのか?」 神姫12「それ本当に効くのか?」 オーナーG「即席すぎてマジ泣けるな」 神姫13「でもけっこう強力ですよー」 神姫14「縞々の水色ソックスに爆弾つけて投げたら、戦車型神姫が吹き飛んだのはよい思い出ですです♪」 オーナーH「ソックス最強伝説がここに・・・・」 神姫15「武装神姫で一番の武器は靴下!!」 オーナーI「神姫の靴下ペロペロしたいお」 神姫16「そして靴下に爆弾が入っていて、マスターの顎が吹き飛ぶんですね。分かります」 オーナーJ「よい子の神姫のみんなは絶対にマネするなよ!」 To be continued・・・・・・・・ 前に戻る>・第12話 「焔兎」 次に進む>・第14話 「燈兎」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/ez-appli/pages/194.html
提供サイト キャラゲーEX レビュー 04/04/29 【名前】SDガンダムMSバトル 【サイト名】キャラゲーEX 【使用機種】A5502K 【課金体系】210円のみ 【容量】230KB 【通信機能】無し 【評価・点数】2点 【感想・レビュー】 ガンダムやらザクやらを操って戦うゲーム 最初のうちは決定キー連打していれば勝てるw 後半の敵は攻撃力が上がるのかな?少し手ごわくなる あと必殺技ゲージみたいなのがあるけどなかなかゲージが溜まらない… SDガンダムに愛着があるなら210円は高い買い物じゃないと思われ 漏れはちょっと損した気分だけど… 2005/10/02(日) 【名前】 SDガンダムMSBATTLE 【ジャンル】 格闘 【サイト名】 キャラゲーEX 【使用機種】 G’z one 【課金体系】 従量 【容量】 230K 【通信機能】 なし 【評価・点数】★★★★★ 【感想・レビュー ガンダム好きには堪らない キャンペーンを何度も終わらすと敵が強くなり カスタマイズでやり込める。必殺技やサブもあって本格的です!
https://w.atwiki.jp/hekijin/pages/13.html
■月匣内部■ 行動値: A B C D E 1 2 ケ、隼人、寄子 3 シェイド 4 泉澄、美奈子 5 朝日 ■戦闘中!(スペード42)■ 行動値: 隼人 12 朝日 8 泉澄 6 寄子 6 漣 5 闇黒の騎士 4 シェイド3 A B C D E 1 2 シェイド 隼人 3 闇黒の騎士、寄子 4 泉澄、漣 5 朝日 第9階層 A B C 1 ↑ ダイヤ22 ? 2 ダイヤ24 ダイヤ26 スペード42 3 ダイヤ30 クラブ31 ダイヤ30 第8階層 A B C 1 ↓スペード13 ? ? 2 スペード33 ? ? 3 ↑ ? ? ■戦闘中!(スペード33)■ 行動値: 26:シェイド 17:隼人、魔の落とし子、宵闇の番兵 A B C D E 1 2 魔の落とし子×1、宵闇の番兵×1 3 寄子、シェイド、隼人 4 泉澄、漣 5 朝日 第7階層 A B C 1 クラブ22 ダイヤ21 スペード20 2 スペード21 ↑ スペード27 3 ↓スペード26 ? ハート36 ■戦闘中!(スペード29)■ A B C D E 1 2 3 人造人間A、人造人間B、泉澄、寄子、シェイド、隼人 4 朝日、漣 5 第6階層 A B C 1 ? ↑ ? 2 ? ↓スペード29 ? 3 ? ? ? 第5階層 A B C 1 ? ↓ハート28 ? 2 ? ↑ ? 3 ? ? ? 第4階層 A B C 1 クラブ13 ハート17 ↑ 2 ハート16 ↓ ? 3 ? ? ? 戦闘(スペード27・5) A B C D E 1 2 蛇 騎士、隼人、寄子 蛇 3 泉澄、漣 シェイド 4 朝日 5 第3階層 クラブ16 ダイヤ17 ↓スペード27 ↑ ? ? ? ? ? 第2階層 ハート18 ダイヤ15 クラブ22 ↓ダイヤ24 ダイヤ19 ↑ ハート19 ダイヤ27 ダイヤ20 第1階層 ? ハート16 ダイヤ14 ? 侵入地点 ↓ ? ? ? ●Battle1 新幹線後部車両 ■……侵入不能 A B C D E 1 ■ ■ 敵B、寄子、隼人 ■ ■ 2 ■ ■ 泉澄 ■ ■ 3 ■ ■ ■ ■ 4 ■ ■ シェイド、朝日 ■ ■ 5 ■ ■ スミレ ■ ■ A B C D E 1 2 3 ザグラ・ドゥム、隼人、寄子 4 泉澄 5 朝日、シェイド