約 173,348 件
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/79.html
武装神姫達のソード・ワールド2.0【第2-0話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18534375
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1379.html
トップへ 戻る 武装神姫。 人の持てる技術の粋を結集して作られた、機械仕掛けの御姫様。 そして、今私の目の前にいる小さな少女。 「主よ、一つ質問を許して貰えるか?」 セイレーン型武装神姫、エウクランテ。 「ええ、体重以外ならなんでも」 桃色の髪に赤い瞳を揺らす、小さな、とても小さな少女。 「感謝する。主はどういう目的で私を求めたのだ?」 まるで雛鳥のような純粋さを持つ少女。 「目的?」 まるで子供のような無垢な瞳を持つ少女。 「私は主の神姫だ。主の目的に沿った働きをするのが、私の役目なのだ」 まるで、ナイトのような忠義心を持つ少女。 私が貴女に求める事はただ一つ。 私が、貴女を必要とする理由はただ一つ。 「じゃあ、一つだけお願い出来る?」 「なんなりと、主」 「……私の家族になってくれる?」 貴女は笑った。 「ああ、喜んで」 花の様に、笑った。 武装神姫。 それは、私の新しい家族。 街の片隅に私の住むアパートはある。 近くには商店街があって、駅も近い。 言った事は無いけど、神姫の大学もあるらしい。 「主よ。主は本が好きなのか?」 私の住むアパートは少し古ぼけた印象の二階建てだ。 私の部屋は二階のの角部屋だ。 「どうしてそう思うの?」 部屋は狭すぎず、広すぎず。一人暮らしには丁度いい広さ。 お風呂もトイレもちゃんとあるし、ゴキブリも今のところ見ていない。 「部屋の中が本だらけだからだ」 シルフィの言うとおり、私の部屋は本で溢れている。 本が散らばっている、という訳では無くて、文字通り本で溢れている。 「ついつい、買っちゃうのよね」 壁は勿論の事、床の半分は本に覆われている。 布団の上も例外ではない。 「主はどのような本が好きなのだ?」 シルフィは積まれた本の上に座りながら、部屋を見回した。 壁にもたれながら、少し考える。 今まで店先で興味を持った本を片っ端から買っていたから、ジャンルを気にした事が無かった。 「……強いていえば、神話かしらね」 今まで読んでいた本を見ながら呟いた。 その本のタイトルは「銀の鍵の門を超えて」 「神話か。だが、私のデータの中にある神話とは少し違うようだ」 それもそうだろう。神話、と言っても創作神話の類だ。 比較的新しい、150年程前の作品だ。 最も、これ以外にも神話関係の本は多い。 ケルト神話、ゾロアスター教。ベガーナ神話。 どれもこれも、他の神話に比べて少しマイナーだろう。 「神話とか民族伝承って不思議なものなのよ。凄く離れた地域の神話なのに、似たような神様、似たようなエピソードがあるの」 「そうなのか」 シルフィは小首を傾げた。 その拍子に、短いツインテールにした桃色の髪が揺れた。 「ええ。例を上げればギリシャ神話と中国神話かしら」 読んでいた本を置き、近くの山から目当ての本を引っ張り出す。 「ギリシャ神話と中国神話の共通点は世界創造ね。ギリシャ神話では世界の始まりはカオス……混沌の神から生まれたと言われているわ」 少しやつれた革表紙の本をぱらぱらとめくり、刺し絵が描かれた頁を開き、シルフィに見えるように床に置いた。 「中国神話では、世界が生まれる前は全てが卵の中身の様にドロドロと渾沌としていたと言われてるの」 また、違う山から本を引っ張り出す。 今度は真新しいカバーの本を開き、同じようにシルフィに見せる。 「成程。挿絵がそっくりだ」 シルフィの言うように、そこには黒いタールのような絵と、似たような楕円形の絵が描かれていた。 「そして、両方とも混沌から大地神か、それに似た存在が生まれるの」 広げていた本を閉じ、傍らに積む。 その時、私はある伝承を思い出した。 「シルフィ。貴女は何型だったかしら」 「セイレーン型だが?」 突然の問いに、少し目を丸くしながらシルフィは答えてくれた。 「その語源は知っている?」 「歌声で船乗りを惑わす怪鳥、とデータにはあるが」 その答えに満足しながら、また本を引っ張り出す。 「セイレーンはギリシャ神話における上半身が人、下半身が鳥の怪物の事を指すわ」 「下半身が鳥……なんとも奇妙だな」 古ぼけた挿絵がのった頁を開き、地面に広げる。 「そうね。何より奇妙なのはセイレーンが海の怪物って事ね」 「そう言えば……まるで、人魚だ」 海の隙間から船乗りを誘惑するように泳ぐ挿絵を見ながらシルフィは言った。 「そうね。後世ではまさに人魚として扱われる事の方が多くなったわ」 「……そう言われると、少し複雑な気分だ」 「でも、貴女を作った人たちはそういう事を理解している人たちだと思うわ」 「そうなのか?」 シルフィを迎えた時に付いてきた武装パーツの名前を思い出しながら言った。 「ええ。貴女の武装の名前……ゼピュロス、エウロス、ボレアスは全部、風に関する神様の名前なのよ」 「風……か」 シルフィは密かに嬉しそうに呟いた。 「それに、装備の名前もそうね。イリスは虹の神様。他の名前は全部風に関する神様の名前なの。風は空を連想させるし、鳥は空を飛ぶものでしょう?」 「主よ、もしかして、私の名は……」 期待を込めた眼差しでシルフィは私を見上げてきた。 「そう。シルフィは風の精霊。貴女にぴったりの名前だと思わない?」 それを聞いた瞬間、シルフィは満面の笑みを浮かべた。 嬉しそう、を通り越して幸せそうなその表情を見ていると、こっちも嬉しくなってくる。 「主よ……今一度素晴らしい名を付けてくれた事を感謝する」 「どういたしまして……もう直ぐお昼ね。ご飯にしましょう、手伝ってくれるかしら?」 思いの外、会話に熱中していたようで、気付けば12時まで数分だった。 「勿論だ……と、言いたい所だが、私如きでは足手纏いにしか……」 「大丈夫よ、シルフィ」 こんな時の為に、一緒に買ってあったある物がある。 「……家事用外骨格、ヘンデル。主、これは?」 「國崎技研ってとこが出してる、名前の通りのモノよ」 神姫に対してかなり大きな箱を引っ張り出しながら店頭で見た謳い文句を思い出す。 「これで一緒にお料理出来るわね?」 「ああ、主よ。これなら十分な力になれよう」 学生にはちょっと痛い出費だったけど、シルフィと料理が出来るのならお釣りが来る。 武装神姫。 私の、私だけの新しい家族 トップへ 2話へ -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/960.html
八幕。再度上幕。 新しくなった琥珀色に染まるコーヒーから立ち上る薄く白い湯気。そのカップに視線を向けることも無く、未だ信じられぬといった感じでアキは相槌を打った。 「そっか。だから『姉妹』て事・・・」 よもや・・・それこそ在り得ない確立と言えるかもしれない。 あの『ゼリスさん』のボディを受け継いだ他の神姫に会えるとは思っていなかった。 会う可能性さえ想定していなかったアキは、高校一年生であるという・・・彼女にしてみれば4つほど年下になるのか。その年齢不相応に落ち着いた感のある先の少年、マコトの説明を受けてようやく理解した。 当のルクスと、先ほどまで見事な舞を見せていたアーンヴァル「フェスタ」は何やら親しげに話している。 (あ、いいなぁ) 姉妹かぁ。と、心中続けて、アキは正に運命的に巡り合った自身のパートナーの『姉』にもう一度目を向けた。 いわゆるアーンヴァルタイプのノーマルスーツカラーであるが、確かに腿のスペーサージョイントから先の色が違う。鮮やかな翠色のリングラインが一本だけ入り、その先・・・爪先までのパール部分にはうっすらと草色が混ざっている。 「あ。そういやぁ。ルクスは、いつ気付いたん?」 ふと疑問に思い訊ねた声にルクスは顔を上げる。 「初見で、違和感のような物がありました。どこかで聞いた事がある『音』だと」 「音? で気付いたの?」 「はい、足音です」 フェスタの問いに小さく頷きながら。 「私は、母様は勿論。姉様の足音も、今まで一度も聞いた事がありませんが。しかし」 目を閉じ、思い出すように続ける。 「確かに解りました。この足音を知っている。いえ、正確には音ではなく、何と言えばいいのか解りませんが」 困ったようなルクスの声を聞き、今まで話を聞いていたマコトがカップティーを下ろしながら小さく言った。 「きっと、オレ達には解らなくても。解るものなんだと思います」 確信を持った、しっかりとした言葉。 「・・・。うん? そうやね」 その一言に納得したらしいアキをルクスは嬉しげに見上げていた。 「ルクスが、お母さんから貰ったのは。『瞳』なんだよね」 「はい?」 声に振り返れば、フェスタがぐっと身を乗り出して来ていた。 驚いたルクスが身を引く暇も無く、すっと両の頬に手、そして細い指を回されて。そのままフェスタは顔を寄せてくる。 じっと真正面から眼を覗き込まれ、目が近いことにはっと気付けば鼻が触れ合う程の距離にある・・・端整な姉の顔と瞳。 「あ・・・」 抵抗する事も出来ず、そのまま美しい姉と見詰め合う。 ・・・しばらくの沈黙の後。フェスタが口を開いた。 「綺麗な銀色」 「あ、はい。ありがとうございます」 「うん。お母さんの色・・・」 心なしか、どことなく。うっとりと言うフェスタ。アーンヴァルタイプ特有の、深みのある青い・・・僅かに潤んだ瞳。山吹色の美麗な髪が揺れ、神姫用のコンディショナーの淡い香りが鼻をつく。 屈託無い柔らかな笑みを口元に浮かべてはいるが、そこには天使というモチーフがそうさせるのか、不思議と艶やかな印象さえ見え隠れしていた。 「あ・・・のっ、姉様」 困ったようにそう言って顔を逸らそうとする。が、その瞳はそれを許してくれない。 「うん? 解ってるよ。今は・・・『ルクスの眼』、だよね?」 体躯は同じであり、既に半分押し倒される形になりながら。しかし、そう言って相も変わらず嬉しげに微笑む姉。 (いえ。それは解ってないのです。ですから。そうではなくて) そう言えば良いのだろうか。他の神姫との関わりが少ないルクスはどうすれば良いのか迷っていた。 もっと良く見たいのか、更に近づけられる顔。 整った目鼻が、ルクスの視界を覆う。 「・・・ぁっ」 思わず声が漏れてしまった。普通のアーンヴァルよりも僅かに血色が良い肌、仄かに薄桃色が差した唇は、今や触れるか否かの所にある。そのまま届くほどの吐息。 「・・・っ」 流石に息が詰まる。無論、ここまで他の神姫と近く接した事は無い。 フェスタ自身は恐らく無意識なのだろうか? 恐らくは他の神姫ともスキンシップ的にこういう行為は取っているのかもしれないが、しかし・・・。 何かを言いたげに、しかし下手に口を開く事も出来ない距離の顔と唇。 それでも視線だけでも何とか逸らしつつ、顔を赤くしているルクスを見かねたのか。マコトが頭を抱えてフェスタを指で引き離した。 「そこまで」 「・・・あれ? なんで?」 少し離された場所に置かれて、今尚解っていない様子のまま。きょとんとしてフェスタはマコトを見上げる。 長く。失礼かもしれないが安堵に近い息を吐くと。ルクスはゆっくりと体勢を直した。 「抵抗しても良いからね? 困っているようだったし」 苦笑して言うマコトに、力なく笑い返す。 「いえ・・・」 そういう行為、こういう関係は。彼女は知らない世界なのだ。仕方ない。 ・・・。 『知らない』。 その単語が胸に突き刺さった。 「ん、そのままにしといても面白いのに」 笑っている主に思わず非難の目を向けながら。 マスター二人が飲み物と、軽食を取りに行くのを見送ると、フェスタはくるっとルクスに向き直った。先のこともあって、思わず身を引く妹に、彼女は気にせず問いかける。 「ねぇねぇ。ルクスは、バトルが好きなの?」 「・・・え」 突如として、意を介せぬ質問をぶつけられ。 姿勢を直しながら、しかし彼女は、ふっと宙に視線を漂わせた。 「あの」 心が、きゅっと締め付けられるような。感覚。 「うん?」 「・・・そう、です」 「?」 その。多少煮えきらぬ声調と、どちらとも取れぬ回答に首を傾げるフェスタ。 「いえ。あの、姉様のように。そのような・・・その」 神姫バトル。それは、確かに・・・嫌いではない。だが。 ルクスは自分の膝を抱き寄せた。そこに顔を埋めるようにして、姉から顔を背けた。 「・・・すいません」 いきなり身の置き場所が無いような想いに捉われ、小さく呟く。 「え、どうして?」 ルクス以上に、困ったような顔でフェスタはルクスを覗き込んだ。 「・・・」 姉は。周囲に笑顔を咲かせていた。 神姫バトル。 自分を磨き、アキの愛に答える為に戦う・・・手段ではない。戦う事が、不器用な自分が出来る・・・たった一つの行為。 自分が自分である事の確かな表現の場。アキのへの愛を形にする行為のステージ。 ・・・それに、迷いは無い・・・はずだった。 黙りこんだ妹に、フェスタもまた少しの間、口を噤んでいたが。その沈黙に耐えかねたのか。 「えっと、確か・・・強いんだよね? ルクスって。以前神姫ジャーナルで見たよ?」 「はい・・・あの。一応は」 高みに行きたい。しかし、その名誉を欲してはいない。 「・・・ルクス? どうしたの? さっきから変だよ」 はっと気付けば。四つん這いの形を取るようにして、姉が身体を近づけて来ていた。髪が柔らかく孕んだ山吹色の光が目の中に舞う。 「あ・・・いえ。バトルが強くても・・・余り自慢にはなりませんし」 しどろもどろに言うルクスに。フェスタは首を傾げた。 「そんな事、ないよ?」 そう言ってくれる姉の声が辛い。 彼女は思わず姉の姿を見ないように目を閉じた。 「ですが・・・私の瞳は、母様の瞳は。ターゲットスコープを覗く為に使われています」 姉は母より受け継いだ脚で、笑顔の花を満開に咲かせているのに。 自分は。 「姉様と違って、私は『母様の瞳』で・・・何をしているのでしょう」 自分は、そんな事しか出来ない。それしか出来ないんだ。 それしか知らない・・・何て不器用なんだろう。 膝に顔を埋めて下を向くルクスを、しばし疑問符を浮かべながら見つめていたフェスタは。 やがて妹の思う所を介したのか。はっとした表情を浮かべて。そして、思わず吹き出した。 「っ・・・あははっ」 きょとんとして、顔を上げる妹に。肩を竦めて笑いかける。 「ねぇ、ルクス?」 ぴっ、と。人差し指でおでこを押さえられ、くっと下を向いていた顔を僅かに上げられた。そのままフェスタは先と同じく、瞳の奥を覗くように顔を近づけてくる。今度もまた、逃げる事もかなわないまま、しかしフェスタも少し先よりは離れた場所で止まった。 「『ルクスの瞳』・・・でしょ?」 「?」 指を外し、そのまま彼女はルクスの真前に身体を起こすようにして、座り直した。 「バトルだからいけないの? ダンスだったらいいの?」 「え、いえ。しかし」 「何でダメなの? バトルの一番を目指す事。それの何が悪いのか、私は解らないよ」 自分が行っている行為は。他の誰の為にもならない。 自分の為だけ。自分とマスターの勝利以外、何も、誰の為にも・・・紡がないじゃないか。 そんな事を考えていると。フェスタは小さく笑った。 「ルクスは強くて。そんなルクスにようになりたい、って思う『武装神姫』が、きっといると思う。それは、決して嫌な事じゃないよ」 「・・・?」 思わぬ言葉に、ふっと。顔を上げる。フェスタは妹の、その美しい銀色の瞳を真っ直ぐに見つめてきた。 「前ね、『武装神姫である前に。神姫である事を自覚しなさい』って私、言われた事があるの」 「・・・神姫である事、ですか」 そうだ。 私達は神姫。武装をまとう以前にヒトのパートナーであるべき存在。 「だけどね? ルクス」 黙りこんだままの彼女に対し、姉は首を左右に振る。 「神姫であると同時に。武装神姫である事を忘れちゃ駄目だよ?」 目を見開いて、ルクスは姉を見つめた。 「私もバトルが好きだよ? それは嘘じゃない。強くないけど、きっとマコトのお陰で勝ててる」 「・・・」 バトルが好き。 「これが武装神姫だから、だとか。そうじゃないの。マコトと一緒に戦ってる。それが好きなの、きっと」 「『好き』、ですか」 その言葉に嬉しげに頷く。 「『マスターの気持ちに答えたい』。『マスターと一緒に戦って、勝ちたい』」 両手を広げて、胸の前に静かに重ね、フェスタは自分にも言い聞かすように言った。 「だから、戦う技術を高めたい。強くなりたい・・・あの人の笑顔の為に。『武装神姫』なら、きっと一度は考えると思う」 『武装神姫』。 オーナーの意志に従い。武装し、戦場に赴く神姫達。 主の誇りを背に背負い。自分の想いを旗として掲げ。 負けたくないと思う瞬間。武装神姫が武装神姫である証。 誰もが求める、その先の世界。 「そう考える神姫達が「あんな風になりたいな」って。ふっと想う時・・・」 想いが生まれ出るその時に。ふと、顔を上げる場所。 その上の高み。 「その視線の先にルクスが立っていたら、それはとても『ステキな事』だと思うな」 「・・・」 それは嘘じゃない。 バトルが好きだから。 そこが。ずっと、マスターと駆け抜けてきた場所。どんな時も。あの人の愛が燦々と。降り注いでいた場所。 その場所で。誰かが続く場所で、想いを受け止める。 未来に繋げる、次の誰かの視線の先で。 あの人の愛を。 ・・・笑顔に換える事が出来る場所だから。 「姉様・・・」 ぽつっと呼ぶ。 「うん?」 美しい髪を揺らせて首を傾げる姉の顔を見て、ふと気恥ずかしくなり、ルクスは顔を赤くして下を向いた。 「あ、すいません。その」 「ふふ」 (・・・そうか) そうだ、うん。好きだったんだ。 武装神姫として、マスターと共に戦ってきた。その事が、何よりも好きだった。 だからこそ。誰よりも。高みに行こうとしていた。それしか出来ないのではなく。 それが自分自身を、一番輝かせる場所だった。 フェスタは優しく笑いかけた。 「頑張ろうよ。一緒に」 「・・・姉様と?」 彼女は強い意志を秘めた視線で、強く頷いた。 「私も、好きなダンスで一番を取るつもりだから。・・・好き、誰にも負けたくない。その想いを叶えたい」 きっと姉もまた自分と同じ。 ただ、自分とは歩む道が違うだけで。その、誰もを幸せにする舞踏で。 「きっと、きっとマコト様と、姉様なら。一番になれます」 嬉しくなり、笑顔でそう言うルクス。フェスタも笑い返す。 「ルクスもね」 「姉様・・・」 もう、一度。今度は言えるはずだ。 「うん」 「・・・ありがとうございます」 ・・・。 すっくと立ち上がると、フェスタはマコトが置いて行ったケータイを開けて、何やら操作しはじめた。 そのまま何事かと見ているルクスに背越しに声をかける。 「ねぇねぇ? 踊ろうよ、ルクス」 「は・・・?」 微笑みを浮かべて振り返る姉。手を後に回し、山吹色の髪を整えながら。 「いいよね?」 「いえ、しかし。私は・・・そんな、その。あの」 脈絡も無く言われて、彼女は慌てて手をぱたぱたと振る。 ダンスなど、全くやった事も無く。余り見たことさえ無い。 「大丈夫だって。リードしてあげるからっ」 そんな事を気にする様子も無く、フェスタはとっとっ、と脚で拍子を整えながら真っ直ぐに近づいてくる。 「いえ、ですから・・・」 引き攣った表情を浮かべていると、ケータイのミュージックプレイヤーから伴奏が流れ出した。 あぁっ。あんなに大きな音量で。 「うん? 気にしないで? 次の機会にルクスからバトルを教えてもらうから、それでお相子。遠慮しないで」 そう、こちらの意を全く介さぬ事を言って。フェスタはこちらに手を伸ばす。思わずルクスが手を出してしまうと。 すっと指を絡めて、ほとんど力がこもっていないのに、そのまま指だけで、立ち上げられた。 (!?) 唖然とするヒマさえ与えてくれない。 任せて? と小さく呟きながら。フェスタは妹を軽く引き寄せて、その腕を自分の腰に回させるようにして抱かせた。 已む無く、そのしなやかな胴に手を回し、姉を抱く形になってしまうルクス。普段、銃を持ち慣れている彼女にしていれば、そこは余りにも華奢で、おっかなびっくり触ってしまう。 それがくすぐったかったのか。フェスタは少し身を捩った。 「あの・・・姉様。私はダンスなど、出来は・・・」 一応の姿勢は取らされたが。そのまま困ったような顔を浮かべる彼女に。 姉は妹の腕の中でくすくすと肩で笑い、その臙脂色に近い髪に優しく指を通す。 「大丈夫。きっとルクスなら『見える』はずだよ?」 そう言って一度、眼を瞑り。 こつん、と、おでこ同士を付けて。 「私も。姉さんの『声』を、この『脚』が知っていたから・・・」 何気なく口にしたその言葉に。ルクスは瞳を丸くした。 (・・・え?) 音楽の主旋律が始まった。フェスタがくるっと回りながら腕から抜け出て、そのままルクスの手を取ると。ドレスの裾を持ち上げる仕草をしながら一礼をする。 ことん。 姉が爪先でテーブルを叩く音と共に、視界に音が舞った。 (・・・) 自分は足運びも知らない、手の動作も知らないはずだ。 しかし・・・明確なリズムが体に伝わり。そのまま音が引き込む流麗な流れに身を任せる。自然と、手が姉を導くように、そして脚が姉を追う様に動いていく。 テンポの良い音楽が耳を通り抜け・・・そして、何よりもその『眼』に届く。 身体がフェスタに誘われるように、風の流れるままに運ばれていく。姉は嬉しそうに、ルクスの腕で遊ぶかのように身を舞わせた。 と、たん。た・・・たたん 二人がテーブルというステージの上・・・刻んでいく二つのステップの音。 その水無き水面に描かれた小さな波紋がやがて一つになるように。フェスタが自分の中に重なっていき、意識が広がっていく。 (・・・姉様が刻むリズムが、見える) 銀色の瞳がはっきりと。自分の腕の中で舞うフェスタを捉えている。 妖精か、いや。天使か・・・軽やかに、優雅に反らされた腕、そして『脚』。そう。その脚は、元々はこの眼と同じ持ち主の元で・・・。 (・・・母様・・・) しなやかに、ゆったりとした音の流れに身を抱かれて楽しげに踊るフェスタ。その美麗なる肢体を舞わせる可憐なる姉の脚から・・・溢れるほどのリズムが流れ出し、瞳を通してルクスに届く。 それに従い、身を波にただ託して。 彼女達は、互いに互いが誘われるように舞った。 やがて、音楽が静かにフェードアウトし。妹をリードしながら踊っていたためか、随分と疲れたような・・・だが、優しい表情を浮かべたフェスタは上体を、とさりとルクスの胸に任せた。 「・・・大丈夫ですか? 姉様」 いつしか。肩の力が知らず抜けていた。 「うん・・・」 その、明るい暖かな銀色を湛える、透き通る瞳を下から覗き込むようにしながら、フェスタは嬉しげに微笑む。 ・・・と、何かに気付き。ルクスの背中に回した手の指で、つんつんと叩いた。 「ルクス。笑顔笑顔っ」 「?」 ふっと顔を上げれば、気付かぬうちに出来ていた人だかりから、拍手の雨が彼女達に降り注いだ。フェスタは慣れた様に、妹に抱かれながらにこやかに手を振っているが。 当のルクスはどうして良い物かと困惑するだけであった。 「いやぁ、ビックリした。可愛かったよ?」 「・・・」 無言で、顔を首まで真っ赤にして。 「うん、ダンスの達人ってのは、ダンスの相手も達人にしてまうってのは聞いてたんやけど」 「・・・物の見事に、男性用のダンスじゃないか」 アキの賞賛を受けながら、縮こまるルクスを見ながらも。 苦笑しながらマコトはそう言って、フェスタのおでこを突付く。 「あは、ごめんごめん」 頭を掻きながら、しかし悪びれる様子は無くフェスタは笑った。 「・・・アキさん、今から予定は?」 ふっと、マコトがアキに顔を向けた。 「ん? いや別に。ホテル泊まって、明日アキバ寄って・・・帰るつもり。何? ナンパ?」 「いや。そうじゃなくて」 苦笑を一度浮かべたが、すっと真顔に戻って腕時計に目を落とす。 「今から行けば。閉店までに間に合うかな、って」 「間に合う?」 「あのね・・・」 フェスタが言おうとした言葉を。ルクスが引き継いだ。 「もう一人・・・姉様がいるのですね?」 あれ? 言ったっけ。と言いたげに、不思議そうな顔を向ける姉。 「それって・・・そういうこと?」 「はい。少し遠いのですが。よかったら」 「行きます」 はっきりと。 「・・・会いたいんです。マスター」 アキは常では無い程に。自身の意志を明確にするパートナーに少し驚いたような顔を浮かべていたが。やがて笑って答えた。 「ん、ウチもえぇよ。案内してくれる?」 ・・・。 『神姫』として、そして『武装神姫』として。其処を目指そうとする神姫がいる。 その道を真っ直ぐに、瞳は見つめ、脚で歩き続けて。 ・・・いつしか其処に達しようと迷い無く。 「角子さん? ニックネーム?」 「はい。そう呼ばれてます」 向かい合う座席に座り、マコトとアキが話をしているのを聞きながら。窓の縁に立ち電車の中から後方に飛んでいく風景を見やる。 「その神姫の名前は、何て言うの?」 アキの問いに。マコトはしばらく腕を組んで何かを考えていたが。 「いえ。それは・・・。本人から、本人の声で聞いてください」 「?」 ルクスは冬故に早くも夕暮れ迫る地平を眺め、ふっと気付き目をやると、隣にいつしかフェスタが立っていた。 彼女らが進む道に吹く『風』は。時に厳しく打ちつけようとも、想いを紡ぐ力に変える。 強い意志を持って高みへと。誓いを運び決意と共に。 銀色の瞳に宿る強い意志。彼女はそのまま暮れゆく空を見上げた。 (母様の眼を受け継いだ、私である事) 私自身が『武装神姫』である事を恥じたりはしない。臆したりもしない。 この道を歩み続けて、まだ見ぬ神姫達が上を見上げたとき。そこに自分の姿がある時。それを誰かが追いかけるとき。 そして・・・。誰かの『瞳』に私が映るとき。 それは、きっと。紡がれていく強い想いとなるだろう。 姉が小さく声を上げた。つられて見やれば、鯨を思わせる大型飛空船が遠く・・・雲かかる夕焼け空にその身を煌かせ、のんびりと上天を泳いでいく。 「・・・」 水晶を思わせる銀眼が、金色の光を包み込んだ赤い空を照り返していた。 フェスタが、ふっと思い出したように顔を前にすると、ルクスに近寄り一言だけ『ある言葉』を耳打ちした。 その言葉に驚いたような表情を浮かべ、やがて小さく、しかし強く頷く。それを見て、フェスタも嬉しげに頷いた。 姉妹はまだ見ぬ場所へと、その風に乗せ、己の姿と想いを馳せていく。 確かに背を押す、その小さな胸に抱える風がある。 吹き渡る空の名は未来・・・その風の名は。 夢。 第八幕。下幕。 第八間幕
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/11.html
小さな冷たい鉄の塊を、ドアノブに差し込む。 がちゃり、と軋んだ音がする。 家の中は、暗い。 広さが重く押しかかる。 誰もいない家。わたし以外、誰もいない。 お父さんもお母さんも仕事でいない。帰ってくるのは夜遅く。 だから、私はひとりぼっち。 小学校でも、家でも、どこでも。世界でひとりぼっち。 テレビをつける。 テレビの光が、部屋を照らす。 流れてくる番組は、小さなロボットが戦うおはなし。武装神姫、といっただろうか。 クラスの子が自慢していたのを覚えている。 私には到底買えそうにない、高価なおもちゃだった。 テレビの中で、女の子とロボットが笑顔で話をしている。 ――――無性に、腹が立って。 わたしは、テーブルの上においてあった花瓶をテレビに投げつけた。 くだらない。 つまらない。 なにが、ともだちだ。ロボットのともだち? ふざけてる。 そんなもの――――どうやったって、わたしにはこないのに。てにいれられないのに。 「そんなことないさ」 「!?」 わたしは驚いて振り向く。誰もいないはずなのに。 そこには、黒い服をきた男の人がいた。 泥棒? いそいで警察に―――― 「おっと、怪しいものじゃない――といっても説得力がないかな。 でも、君に危害を加えるつもりはないよ。 君にお友達をプレゼントしにきただけのお兄さんさ。 そう、僕が何者かなんてそれこそ無価値だ。大切なのは――――」 その人は、手に持った箱をテーブルに置く。 武装神姫のバッケージ。 「君のために、ここに君の友達を連れてきたということだけ」 箱が開く。 その中にいた小さな天使が目を開ける。 かわいらしく、美しく、可憐な、天使。 「おはよう。あなたが、私のマスター?」 天使が私を見る。 違う。 マスターなんかじゃない。 わたしは―――― 「いいえ…ともだち。わたしの、ともだちになって」 わたしは。 この天使に魅入られたかのように近づく。 そう、そうなんだ。天使が来てくれた。 わたしはもう――――ひとりじゃない。 少女と天使の出会いを、男は祝福する。 おめでとう、と。もうきみはひとりじゃない、と。 亀裂のような笑みをその顔に軋ませ、男はふたりを祝福する。 その天使は、口元に笑みを浮かべていた。 酷薄な、悪魔のような微笑を。 神姫狩人 第二話 悪魔のような天使の笑顔 武装神姫バトルサービス、小学生の部。 子供たちの「友達」である武装神姫を傷つけて悲しませないために、小学生の部はその大半が電脳仮想空間によるオンラインバトルで行われることが多い。 明日香が今回見物に来ているバトルステージも、その例に漏れずにオンラインバトルであった。 「つまんない」 明日香がデパートの特設巨大モニターを見ながら、頬づえをついてつぶやく。 「そうか? それなりに面白いとは思うが」 「でもねー。いくらリアルに迫っていても所詮は仮想データですよ。 なんというかこう、ぶつかり軋む鉄やプラスチックの音とか、そういう臨場感がっ」 「子供たちの戦いにそんなモノを求めるな頼むから」 「求めてませんよーだ。だからつまらないって言ってるんじゃないですか。 仕事じゃなきゃ、とっとと帰ってます」 「仕事…ね。この子供たちの戦いに、ボクらの仕事があるっていうのか?」 「ええ。次のカード、よく見ててください」 そう明日香が視線でモニターを指す。 天使型MMS『サマエル』 VS 犬型MMS『フェンリルβ』 「ボクと同じアーンヴァルタイプと…ハウリンタイプか。どちらを見ればいい?」 「見てればわかります」 そういっている間に、戦いが開始される。 子供の神姫だけあって、どちらも武装はほぼデフォルトである。基本セットの範囲内、そしてなんとか子供のお年玉や貯金で買える範囲の追加武装。 明日香たちが参加する一般の部の公式戦は、密かに行われる裏の非公式バトルでは間違いなく勝ち進むことは出来ないだろう。 そのはずである。だが―――― 「……明日香、これは」 「ええ、やはりマルコにはわかりますね」 マルコは目を見張る。 確かに武装やスペックは特筆すべきものはない。 あくまで、その単体のみでは。 「あのアーンヴァル…サマエル、といったか……あのチューンナップは」 「ええ。可能範囲内で、機体のシステムを最大限に行かせるチューンですね。 長く神姫にかかわり、よく識らないとあの絶妙な動きはできません。 ほら、あまりの出来のよさに、CGで追いきれてません。まあこれは主催側のミスでしょうが」 そう、確かにフェンリルβよりもその動きは明らかに格上だった。 ヒットアンドウェイの高機動で確実に相手の戦力を削いでいく戦い。 だが―――― 「それがどうしたんだ? 確かに強いが、ボクらが動く理由があるのか」 「ええ。経歴にそぐわぬ強さ。まあこれは、父親が金持ちでカネにあかして、なんていう場合もあるんでしょうけど、彼女の場合は両親共働きのごく一般の家庭。 加えて、家族親戚や交友関係にも、表だった神姫関連企業の影はありません」 「あきらかに不自然すぎる、と…?」 「ええ。そして……彼女と対戦した神姫たちに共通して、不審な行動が後に見られるようになってるんです」 「不審な行動?」 「簡単に言うと、言うことを聞かなくなる。動作不良が激しくなっている傾向が見られているようです」 「ふむ……それは確かに怪しいな。 つまり、その調査、そして調査結果いかんによっては非公式戦による撃破・回収が今回の仕事、か」 「ええ。子供相手ですから、気が進まないんですけどねー」 「確かにな。で、明日香。その彼女の名前は……」 明日香が答えるまでもなく、オペレーターがその名前を読み上げた。 『勝者、サマエルと…「氷雪恋(ひゆき・れん)」!』 「ここが、その子の家か」 夜。明日香の肩でマルコがいう。しかし…… 「さすがに不法侵入は拙いんじゃないのか、その法的とか色々と。正当性というものが」 「仕事という大義名分がありますから」 「だからといって、忍び込んでというのはちょっと」 「ああもう、だったらどうするっていうんですか」 「しっ」 マルコが明日香の口を押さえる。 そして恋の家の扉を指す。すると、ガチャガチャとノブが回り、恋がその姿を現す。肩には、サマエルの姿も見て取れた。 「これは…スシがネタしょってやってきた、ってやつですね」 「かなり違う」 「似たよーなもんです。何はともあれ好都合だとは思いませんかマルコ」 「油断しないように、明日香」 二人は、恋の後を尾ける。もし仮に、この行動がサマエルの秘密に関係あるのなら、何としてでも尻尾を掴まねばならない。 ……まあ、つかめなくてもやることは同じなのかもしれないが。 「デパート…?」 「昼間の、ですね。うーん…このパターンだと、ここの協会支部が丸ごと関わっている…ベタですけどね」 「結論を出すには早いだろう。ともあれ追おう」 「わかってますよ」 二人は恋とサマエルの後を追った。 「しかし……」 夜の無人のデパートというのは、とにかく、 「不気味ですね…なにか出そうです」 「とくに玩具売り場は、昼間と顔が違うな」 人形やぬいぐるみたちが、うつろな瞳で自分たちを見ているような感覚。 「……こんなところ早く出ましょうマルコ。私こういうの苦手なんですよ」 「キミにも苦手なものがあったなんてね。」 「失敬なことを言いますね、まったく。 さて……彼女はどこへ」 「武装神姫ブースの方、か……」 足を進める二人。 棚に並んでいる数々の武装神姫がそこにはある。 まだ起動していない彼女たちは、今はただの人形にすぎず、いや、彼女たちが「生きて」いることを知っている明日香たちから見たら、それはまるで死体が陳列されているかのような不気味さがあった。 「本当に…不気味ですね。早いところあの二人を探して…」 「誰を探してどうするって?」 明日香のつぶやきに、答える声があった。 「誰ですか!?」 「私? 私はサマエル。ずっと私たちを尾けていたのは、あなたたちね?」 その声は、特設モニターの上に腰掛けた神姫から。 くすくすと、鈴のような笑い声を響かせるその天使の姿に、明日香は言いようのない吐き気を覚えた。 「――見破られていましたか。 ええ、でもある意味手っ取り早いですね。 あなた達には不審な点が数多く見られます。おとなしく全てを吐いてくれれば悪いようにはしませんが」 「へぇ。じゃあ、吐かないって言ったら?」 「力づくで」 明日香の言葉に、マルコが翼を展開して宙に舞う。 「へぇ、やる気なんだ。 ねぇ、ならやっちゃってもいいよね、恋!?」 サマエルが笑う。その声に、モニターの下に立つ少女が、虚ろな笑顔で答える。 「うん。好きにしていいよ、サマエル…」 「ふふ、ありがとう、マイマスター」 サマエルもプロペラントタンクに火をつけ、飛翔する。 ――――おかしい。 違和感。明日香は恋の表情になにか、言いようのないものを感じる。 違和感はそれだけではない。 先ほどの吐き気。厭な空気。軋む空気。このデパート、玩具売り場に足を踏み入れてからの言いようのない視線。 何かが――おかしい。 「はあああっ!!」 その違和感をよそに、マルコはビームソードを抜き、斬りかかる。 サマエルもまた、ビームソードでその剣戟を受ける。 同型の天使同士の戦い。 確かに、サマエルは強い。しかしその強さは、あくまでもデフォルト装備に毛の生えた程度の武装、その機能を最大限に活かすチューンナップによって得られたものだ。 マルコのように、レギュレーションの範囲内とはいえ改造に改造を加えた武装神姫とは違う。 現に、サマエルはマルコの高速の剣を受け流すのが精一杯だ。 では、何だ。 何なのだ、この違和感、焦燥感、危機感は。 「マルコ! 早く決着を!」 長引かせては拙い。明日香の勘がそう告げる。 「何を焦っているの、お姉さん?」 恋が明日香に声をかける。 「せっかくなんだもん、もっと楽しみましょう。時間をかけて、ゆっくり、たっぷり、みんなで、楽しく」 歌うような語りかけ。 いけない。何かが――――拙い。 「あなた、自分が何をしているか、わかってるの…!?」 「うん。お友達が出来たから。サマエルが、つれてきてくれるの、お友達を。 私はもう一人じゃない。一人なんかじゃないの」 「? 何、を……」 つれてくる? 何の話だ。 明日香はふいに思い当たる。 サマエルの対戦相手のMMSの動作不良。 オーナーの言うことを聞かなくなる。命令無視。命令無視? 違う。まさか。 聞かなくなるのじゃない、もし、仮に。 『他の誰かの命令を聞く』のだとしたら―――――― 「だから。私はもう、ひとりじゃない。こんなに、友達がいるの」 瞬間、明日香は理解した。 先ほどからの違和感。視線、気配の正体を。 恋とサマエルを見守り、明日香とマルコを監視していた―――― 無数の武装神姫。 「マルコ! 逃げなさいっ!!」 明日香が叫ぶ。だが、間に合わない。 マルコの背をハウリンタイプの砲撃が襲う。フェンリルβ。昼間、サマエルと戦った神姫だ。 「ぐあっ!」 続いて、何体ものアーンヴァルが襲い掛かる。砲撃で体勢を崩したマルコは避けることができず、手足をアーンヴァルたちに捕らえられる。 くすくす。 くすくす。 くすくす。 くすくす。 笑い声が木霊する。 「な、なんだ、これは……っ!?」 マルコが叫ぶ。何体もの同型MMSに羽交い絞めにされ、動けない。 「マルコっ!」 明日香が走る。もうこんなのはバトルではない。非公式バトルとはいえど、これは明らかに武装神姫の戦いより逸脱している。 なんとかマルコを助けようとし―――― 「うあっ!?」 足に激痛。明日香はそのまま勢いを殺せずに倒れる。 そこには、ストラーフタイプが明日香の足に剣を突き立てていた。 「痛っ…! こ、このぉっ!」 力任せに振り払う。だが、MMSはその数を増やすばかり。 「どう? 私の友達。サマエルがつれてきてくれた、わたしのおともだち」 「あなた……!」 「そして、お姉さん、あなたも、お友達になろう?」 恋が笑う。明日香は気づいた、そう、とっくにこの少女は正気を失っている。 おそらくは、操られているこの武装神姫たちと、同じように。 「くすくすくすくす。そうよ、ご名答。でもね勘違いしないで。恋が自分で望んだの」 サマエルが、明日香を見下ろして笑う。 「……あなたはっ! この子たちに、何をしたっ!!」 「ねぇ、知ってる? AIの共鳴現象って」 聞いたことはある。 先日、とある神姫が感情を暴走させた。そしてそのバグは、周囲の神姫の感情回路にも影響を及ぼしたという。 ――――まさか。 「そう、そのまさか。 私はね、大して強くもないわ。だけど、AIの電気信号を増幅して共鳴させて、ほかの子たちを操ることが出来るの。 共鳴現象を自動的に引き起こして操作する。 そしてね、人間にも応用できるの。だってそうでしょう? 人間の思考や感情も、つきつめていけば脳内で複雑にあまれた電気信号なんですから。 だから、私の声で、私の歌で、干渉できる」 「さっきからの吐き気や違和感の正体は――っ」 「ええ、私からの電波干渉。 あなたみたいに鈍くて意地汚い人間には効き目なんてあまりないけど、それでも恋みたいな素直な子には、よく効くの」 「サマエル…っ! あなた、自分が何をしてるかっ!」 「ええ、わかっているわ。だから何? 私はね、そのために生まれた武装神姫。 だから、やらなきゃいけない事を自分の意思でやるだけよ。 そしてね、もうすぐあなたの神姫も、私の友達になるわ」 「…! マルコっ!」 明日香がマルコへと叫ぶ。 マルコは、たくさんの神姫に囲まれ、押さえつけながら、必死に耐えていた。 洗脳。干渉。侵食されるAI。共鳴するココロ。増幅される憧憬。消されていく想い。 サマエルの声が。マルコに浸透していく。 「私の名前は、サマエル。神の毒と呼ばれる天使の名前。 私の毒は甘美でしょう? 一度味わえば、抗いたくなくなるほどに。 そうしてあなたも私たちの友達になるの。恋が、新しいマスターがあなたをかわいがってくれるわ。 そう、だから考えることはやめましょう? そして何もかもを投げ出して、楽になるの」 ――――――――――――――い。 ――――――――――――さ、い。 「さあ、私の声を聞いて、そして――」 うるさい。 黙れ。 これ以上、ボクを汚すな。ボクを踏み躙るな。 痛い。苦しい。消えてしまう。ボクの今までがなくなっていく。 掴むから苦しい。なら手放せば楽になれる――? それこそ、ふざけるな! 「黙れぇぇぇっ!」 マルコが絶叫する。 「何もかも忘れて楽になる? ふざけるな。 明日香のことを忘れて、楽になるぐらいなら――――!!」 手に力が入る。ビームソードに再び光が灯る。 「煉獄の苦痛の方が、億倍もマシだっ!!」 光の氷柱。シャイニングアイシクル。神姫ハンター用の装備として用意された、回収対象のAIを強制シャットダウさせるための電磁兵器。 それを、マルコは、自らに突き立てた。 「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!」 放電。紫電が疾しる。 「マルコーっ!!」 その電撃に、周囲を囲っていた神姫が弾き飛ばされる。 「馬鹿な、自殺を選んだっていうの!?」 サマエルが空中で体勢を立て直す。 だが、マルコは――肩で息をしながら、全身をバチバチと放電させながら、それでも立っていた。 「何――!?」 そう。 サマエルが電気信号によってAIを狂わせ、支配下に置くのなら。 それ以上の電気によって、その電気の毒を洗い流せばいい。簡単なことだ。 「マルコ、あなた…!」 明日香が叫ぶ。そう、言葉では簡単なことだ。だがそれを実行に移すとなると―――― 「…まったく、本当に痛いな…ああ、すごく痛い。ボクとしたことが、今にも泣き出したくなるぐらいに…… でも。 とても、いい気分だ」 シャイニングアイシクルの出力を調整。 AIをシャットダウンさせるかさせないかのギリギリのパワーの、超圧電流。 それを自分に叩き込み、気付けにする。言うは簡単だ。だが、その苦痛はいかほどのものか。 「――――狂ってる。あなた、正気!?」 「…お前には言われたくないな。 ああ、確かに狂ってるかもしれないさ。何故ならばね、教えてやるよ」 わき腹に突き立ったビームソードを引き抜く。オイルの血が流れ出る。それをものともせずにマルコは剣を構えた。 「神の毒、と言ったな、お前は。天使の名からとったのか。 ああ、ボクの名前も天使から由来している。 だからね、狂っているのは当然かもしれないさ。何故なら、ボクの名の由来は――――」 飛ぶ。剣を振るう。サマエルは反応できない。サマエルの右腕が薙がれ、落ちる。 「第七座天使(ソロウンズ)にして、堕天使、マルコシアス。それがボクの名の由来さ。 堕天使、つまり悪魔といっても同じだ。ほら、ならば確かに狂っていると言われても仕方がない!」 返す刃で、サマエルの片翼を切り落とす。 「きゃああっ!!」 「――だがな。それでもなお、捨てられぬ正義がある。 天より堕とされ狂気に沈もうとも、決して穢れないものがある。 ――――お前は、それに踏み入った。 ああ、初めてだよ、サマエル。 初めてボクは、明確な殺意を抱いている」 そう、許せない。 自分たちだけではない。 子供たちとの、オーナーと神姫の心の繋がりを、この敵は踏み躙ってきた。 毒で心を殺し、操り人形にしてきた。 怒りだ。 その怒りが、激痛に耐えさせた。最後のところで自らを保たせた。 「武装神姫は、人と共に在る。そのためにボクらは生まれた――」 「ひ、ひいっ…!?」 地に落ち這い蹲りながら、サマエルは怯える。 なんだこれは。 今まで感じたことのない感情があふれてくる。 これは――――恐怖。そして絶望。 「お前は。けっして汚してはいけない聖域を。土足で踏み躙った――――!!!!!」 「れ、恋っ! 助けなさい、私の盾にっ!!」 サマエルが絶叫する。 その叫びに恋は、自らの体を盾にする。 だが。 「っ、くそぉっ――――!!」 痛む足に鞭を打ち、明日香が跳んだ。恋の体を突き飛ばすように抱きかかえ、そのまま転がる。 万策尽きた。 サマエルは絶望する。何故だ。何故こうなった。 こんなはずじゃなかったのに。 こんなはずじゃ―――――― 「サァマエェェエエエエル!!!!」 マルコが叫ぶ。 最後の全身全霊のエネルギー。 リミッターをカットし、最大最強出力のシャイニングアイシクルを展開する。 「貴様の罪! 地獄で――――神姫たちに詫び続けろぉっ!!!!!」 飛翔。 流星のようなその輝く一撃。サマエルによけるすべはなく、ましてや、よける意思ももはやない。 何故ならば、ここにきてサマエルはようやく悟ったから。 自分は――――決して、侵してはならない領域に触れてしまったのだと。 そして。 悔恨と恐怖の中、サマエルは砕け散った。 「あれで、よかったのか?」 デパートを後に、マルコは言う。すでに自分で飛ぶ力も何も残っていないので、明日香の肩に腰掛けて体を預けている。 「いいんですよ、これで」 明日香は言う。 サマエルが破壊された後、恋の取り乱しようはなかった。 砕けた破片に泣きすがる恋。 「なんで…どうしてっ、ともだちだったのに…私には、もう、この子しか…っ!」 それを、明日香は平然と、 「自業自得です。言っておくけど、謝ったりはしませんから。悪いのはそっちですからねー」 と言い放った。 「明日香…っ!」 「なんですかマルコ。事実でしょうがー。さて、いいことを教えてあげましょうか、恋ちゃん。 私たちは、公式のバトルにも参加してます。 悔しかったら、お金を稼いで、神姫を新しく買って、自分の実力で私たちを倒してみせなさい。 ま、できたらの話ですけどねー」 ほほほ、と笑う明日香。そして振り返らずにその場を去る。 「…せない…」 その背中に、恋が怒りの言葉を投げかける。 「絶対に、許せない! 私は、必ず…っ! 必ずっ!!」 「ま、こんな商売してたら嫌われるのは日常茶飯事。どってことないですよー、ほほほ」 「……下手な慰めの言葉は、相手を傷つけ貶める」 マルコのつぶやきに、明日香は笑いを止める。 「怒りであれ憎しみであれ、前向きに歩くための活力は必要、か」 「…何か、言いたそーですね、マルコ」 「別に。ボクのマスターはとことんまで捻くれているへそ曲がりだな、と思っただけさ」 そう、自分が憎まれることで、あの少女が立ち上がれるのならそれでいい。 すでにあのMSSによる洗脳と思考操作は解けている、ならば……あとは、自分の足で立ち上がり、進めるだろう。 その原動力が、自分への怒りだとしても、それでも、何もせずに後悔と絶望に沈んだままよりはよほどいい。 しかし、それでも…… 「癪ですね」 「何が」 「そーいう、見透かしたツラがです。いかにもお見通しですよー、みたいな」 「明日香、キミは判りやすいからね。ポーカーだって弱いし」 「関係ないでしょう!」 「さてね、どうだか。まあいいよ、今日はボクは疲れた。そろそろエネルギーが本気でカラになるから、寝る」 「…寝ている間に油性ペンで落書きしてやりましょうかね、こいつは……」 拳を振るわせる明日香。しかしマルコからの返答はない。 見ると。 「くー…すー…」 マルコは、明日香の肩で安らかな寝息を立てていた。 「――まったく。寝顔だけは、かわいい女の子なんですけどね」 指で、マルコの頬をなでる。 「……お疲れ様でした、マルコ」 「そう、本当にお疲れ様。いいデータがとれたよ」 デパートの監視カメラを眺めていた男が笑う。 亀裂のような笑みを顔に軋ませながら。 少女にサマエルを与えた男。彼は歌うように、慈しむように、賛辞の言葉を投げかける。 「だけど、まだまだ始まったばかりさ。いや、まだ始まってすらいないのかもしれないね。 なにはともあれ、今はただ一時の幕間を休むがいいさ。 神姫たちのワルツは、これから開幕するのだから――――」 男は笑う。男は哂う。男は哄う。 これから繰り広げられる姫たちの戦いに思いを馳せ、ただ滑稽に、道化は笑う。 その悪意もまた、彼女たちの輝きの前では「無価値」なればこそ。 男は演出する。 戦いの舞台を。 全ては――――未だ鳴らぬ、開幕のベルを待つばかり。 続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/61.html
ある休日の朝、俺は部屋で好きな音楽を聴きながら 新聞を読んでいた。すると、こんな記事が目に飛び込んだ。 「武装神姫違法改造グループ逮捕」 ○月○日、警視庁は東京都ネオ歌舞伎町の雑居ビル内で、 武装神姫の素体を違法改造していたグループを検挙し、グループの リーダーである○○××(35)他6名を逮捕した。 ○○らは、武装神姫のボディ、AIなどに不正な改造を施し、 通常では育成不可能な『愛玩用素体』としてネット上で販売、 数千万円の利益を得ていた疑い。 警視庁では、こういった不正改造に対し、徹底的に取り締まる方針を 発表した。 俺「ふーん…"愛玩用"…ね。」 ふと目をやると、俺と一緒に住んでいる3人のMMS、イヌ型のヴェル、 ネコ型のジャロ、悪魔型のノワルが、先日買ったMMSハウスで遊んでいる。 無邪気なものだ。 (愛玩用………………どんななんだろう……………) ぺちゃ… ぺちゃ… ??「はぁ…はぁ…」 総ピンク色の部屋の中、何故か俺は全裸でベッドに座っている。 ノワル「ん…んむ…くちゅ…」 ヴェル「はぁ…んくっ…ま…マスター…気持ちいいですか…?」 ジャロ「んぅ…マスターの…すっごく熱いのだ…はぅ…」 3人は俺の一物にすがりながら、愛おしそうに舐め続ける。 俺「どうした…そんなじゃ俺は満足させられないぞ…?」 ヴェル「はぃ…では…これでいかかでしょう…みんな…?」 ヴェルがそう言うと、各々裏スジ、亀頭、竿を同時に舐め始める。 普通では体験できない「3点責め」である。 時々その小さな口で甘噛みまでしてくるのだからたまらない。 俺「よし…イイぞ…お前等のアソコはどうなってる…」 ヴェル「ひゃぁぅっ!!だ…ダメです…そこは…感じちゃ…やぁっ…!!」 ジャロ「はうぅ…熱いよ…アソコが熱いよぉ…!!」 俺「よし…4人同時にイクぞ…ぐぅぅぅっ!!!」 俺は己の剛直から、ありったけの精を吐き出す。 3人「「「はぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ…………ぁ」」」 火山の様に吹き出る白濁液にまみれ、恍惚の表情で倒れる3人。 俺「はぁ…はぁ…よく出来たぞ3人とも…。次は本番だ…!!!」 3人「「「はぃ……マスタぁ………」」」 って!!! 俺「うっがぁぁぁぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!」 3人「「「!!!???」」」 その場で頭を抱えながらのたうち転がる俺。 ヴェル「ど…どーしたんですかマスター!?」 そう言って駆け寄るヴェル。 俺「来るな!来ないでくれぇぇぇぇぇ!!」 脳内を縦横無尽に駆けめぐる妄想と戦いながら精子…いや制止する俺。 ジャロ「どうしたのだ?マスターヘンなのだ!!」 ノワル「ねぇマスター、本当に大丈ぶ…」 俺「だいじょ――――――――――ぶだから!! ぁ全然だいじょ――――ぶだから!!今は近づかないでくれ!頼む!!」 いかん…非常にいかん…彼女たちの心配する声だけでもおかしくなって しまいそうだ…!!ならば!! 俺「じゃ…ジャロぉぉぉぉぉ!!!」 ジャロ「…は、はいなのだ!!」 俺「両手に『ファンピー』を装備!!…それで俺を…思いっきりぶん殴れ!!」 ジャロ「そ…そんなことできないの…」 俺「い い か ら な ぐ れ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !!」 ジャロ「わ…わかったのだ―――――――――――――!!!」 ご が わ し っ ! 俺「のごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉを!!」 壁まで吹っ飛ぶ俺。 ヴェル「ま…マスター!!」 ノワル「ちょ…大丈夫マスター!!生きてる?生きてる!?」 ジャロ「びぇ~ん!!マスターなぐっちゃったよぉ~!!」 心配する2人、大泣きするジャロ。 俺「ジャロ…GJ…。」 薄れゆく意識の中、親指を立て、爽やかな笑顔で、俺はしばしの眠りについた…。 めでたしめでたし。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/326.html
おまかせ♪ホーリーベル あらすじ ある大会で一躍有名になったいずるとホーリー。彼らに憧れ、同じ道を目指す九重翔とリリィ、そして佐和田美由紀とシラユキ。それぞれの物語が始まる。 インフォメーション ●病気のせいで筆が進まないmunaです。番外編がうまく進まなくて申しわけありません。その代わり、先に完成しました本編を掲載します。つぎは・・・、病気が治り次第掲載になります。・・・何とか病気を治してもとのペースに戻りたいですね。 更新メニュー ●第2部の4話を掲載しました。 設定 この物語の登場人物 この物語の登場人物 第二部編 神姫装備関連集 神姫装備関連集 第二部編? 本編 第一部 素敵なハッピークリスマス ホーリーとの出会いがいずるの人生を変えた?! 聖夜に天使がやってきた?! 対決、黒のシュートレイ 其の一 対決、黒のシュートレイ 其の二 対決、黒のシュートレイ 其の三 妖精コンビあらわる ムラサメVSムラサメ ホーリー、バトルデビュー!! 前編 ホーリー、バトルデビュー!! 後編 水中バトルで大ピンチ! 前編 水中バトルで大ピンチ! 後編 アイドルは神姫を救う? 前編 アイドルは神姫を救う? 後編 光と影のクリスマス 前編 光と影のクリスマス 中編 光と影のクリスマス 後編 第二部 目指せ、伝説のサンタ あれから2年後・・・、いずるとホーリーにあこがれ、それを目指す新たな物語が始まる。 人気者にあこがれて ショーケースの中の君 幻の黒い鉄騎兵 翔の気持ち、リリィの気持ち 外伝 『ホーリーベル』の世界に登場する、神姫たちの物語。 その名はシュートレイ 前編 その名はシュートレイ 中編 その名はシュートレイ 後編 その名はシュートレイ エピローグ 黒き天使の伝説 前編 黒き天使の伝説 後編 愛と情熱のタッグバトル 前編 愛と情熱のタッグバトル 中編 愛と情熱のタッグバトル 後編 ヤイバと白い馬 前編 ヤイバと白い馬 後編 ソルティ、初出撃です! 前編 ソルティ、初出撃です! 後編 年末年始だ!丑寅対決 番外編 ギャグ系はこちら。 名乗ろう、決めゼリフ! 初詣で一大事! 年末は大騒ぎ 特別編 ネット世界の侵略者 プロローグ 侵略 出撃、討伐部隊 その1 出撃、討伐部隊 その2 逆襲の獅子虎コンビ その1 逆襲の獅子虎コンビ その2 逆襲の獅子虎コンビ その3 オワリとハジマリ その1 オワリとハジマリ その2 オワリとハジマリ その3 オワリとハジマリ その4 オワリとハジマリ その5 エピローグ 未来(あした) ご意見・ご感想はご意見部屋へ コラボレーション情報 ●第6話で戦うことを忘れた武装神姫の東杜田技研の名前をお借りしました。 ●第6話&7話で神姫ちゃんは何歳ですか?の國崎観奈嬢&ミチルをゲスト出演しました。 ●番外編1で魔女っ子神姫☆ドキドキハウリンの名前と名乗りをお借りしました。 ●番外編2で狛犬はうりん劇場の結さんと三河夫婦をゲスト出演しました。 ●第二部1話でツガル戦術論のシルヴィアとせつなの武装神姫のきらりの名前をお借りしました。 ○昨日アクセスしていただいた方 - ○今日アクセスしていただいた方 - ○今までアクセスしていただいた方 -
https://w.atwiki.jp/zensensyu/pages/3127.html
ストラーフが最初で、アーンヴァルが最後とかよくわかっていらっしゃる - 名無しさん 2015-01-12 14 47 37
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/60.html
さて、ここは都内某高級住宅地の一角にある鶴畑家の豪邸。 鶴畑コンツェルンと言えば、各種産業で名を馳せる、国内有数の大財閥だったりする。 また、日本国内のみならず、世界的な人気を博す「武装神姫」の販売、開発支援もおこなっており、 俗に「鶴畑三兄妹」と呼ばれる会長、鶴畑千代(せんだい)の子供、長兄興紀、次男大紀は、武装神姫バトルの ランカーであり、末娘の長女和美も来年から正式にデビューする予定となっている。 PM7:00、200畳はあろうかという和室での夕食、居るのは三兄妹のみ。会長である父と母は、要人との会食のため 不在である。 いつもであれば、バトルの結果の自慢をしあうのだが…、今日は至って静かである。 それのそのはず、昨今、次男大紀、長女和美が一般人相手に敗北を喫し、和美は草バトルにおいて二丁拳銃使いに、大紀に至っては 俗にリアルリーグと呼ばれるファーストリーグに於いて初の敗北、下位のセカンド、サードリーグに於いても各一敗、うち一試合は僅か 2秒で敗北したのだ。 「全く…何という体たらくだ。」 最初に口を開いたのは、痩身且つ長身の美男子、長男大紀であった。 「リアルリーグでの敗北はもとより、下っ端風情のセカンドとサードで2敗、うち1敗はデビューしたての新人に秒殺とは…。」 「兄様!あれは事故です!よもやあれほどの実力を持った輩が下位リーグに存在するとは思いも…」 反論するピザ…もとい、恰幅の良い少年、次男大紀。 「五月蠅しい…!本来ならばリアルリーグ上位到達までは一切の敗北は許されないはず…貴様は栄光ある鶴畑の名に泥を塗ったのだぞ… 恥を知れ…!!」 「おほほほほほほ!情けないですわね、大紀お兄さま!」 次男を笑う女ピザ、末娘和美、と、 「貴様もだ和美…!発売一ヶ月前より武装強化・トレーニングを行わせて、発売直後のデビューを予定していたサイフォスを勝手に 持ち出し、挙げ句の果て、たった2丁の銃しか装備していないバッフェバニーに敗北するなど言語道断だ…!!」 「ご…御免なさいお兄さま………お…お許しを……」 涙目で謝罪をする和美。 「…まぁいい、元々貴様等には期待をしていない。そもそも貴様等は、武装神姫バトルでは『鶴畑3兄妹』と言う名前のために存在するだけの 人間、いわゆる看板のような存在でしかないのだからな。 だが…俺は違う。俺は実力でリアルリーグ上位に立っている、大紀、貴様のように金を積んで八百長試合を組んでもらっている貴様と違ってな。」 「くっ…!」 「無論、上位に立つための努力は惜しまん…犠牲もな。こいつは俺があらゆるデータを元に作り上げている、いわば磨き上げたダイヤのような 存在だ…こいつはこれからも輝き続ける、たとえ削り落とされるダイヤの粉…数百、数千体の同型MMSの犠牲があっても…だ。 そうだな、ルシフェル。」 そう言うと、興紀は肩に座るMMSを優しくなでる。 「おっしゃるとおりです、マスター。」 答えるストラーフタイプのMMS、ルシフェル。 「貴様等も強くなりたければ、負けた相手のMMSの名を忘れるな。そして再び相まみえることがあれば…必ず"殺せ"。」 氷のような冷たい瞳で二人を見る興紀。 「は…はい…!」 2人はそう答えた…いや、そう答えるしかなかったのだ。 すると、興紀は突如として穏やかな笑顔…リアルリーグで見せる好青年の顔に戻った。 「いい返事です、さ、食事を続けましょう、せっかくの美味しい食事が冷めてしまいます。」 「はい…。」 こうして、再び兄妹の夕餉は始まった。 次に十兵衛とマイティ、そしてコニー達が復讐心を燃やす彼らと相まみえるのはいつの日か…!!
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/220.html
1.0話 「別のなにか」 1 やたらと消防車のサイレンがうるさい日の翌日だった。 なんでも国立の研究施設だか何だかが火災になったとかで、 隣の地区どころかその向こうの地区からも消防車が来ていたらしい。 幸いにも俺の済むアパートからは離れているので危険は無かったのだが、 かなりの規模の火災だったらしく、朝方まで五月蝿くて眠れなかった。 おかげで寝不足です母さん。 仕事中も問い合わせの電話が山程山程。 地区違うっちゅーねん、部署違うっちゅーねん。 しかしどんなに忙しくても定時上がりなのが公務員のいい所。 ちゃっちゃと寝ちまうぜー…と目論んでいたが、 そうも行かない理由が俺に申し訳なさそーな視線を送っていた。 2 「すると何? キミの面倒を見ろ、という訳ですか親父殿は」 正座したそいつの前には親父からの手紙。 内容は『マオを頼む』。 こんだけ。 あ―――――――も―――――――。 思えば母さんの葬式にも来なかった親父が、だ。 あげく、仕事に専念する余り家に帰ってこなくなった親父が。 今になって『マオを頼む』ですと? いやいやいや。 親父のことは軽蔑しているし、やっとこさ縁がきれたかなーとか思っていましたよ? それでも『マオを頼む』と言われりゃあ何某(なにがし)かの切迫した事情があるのかもしれないと思うじゃあないですか。 でもねぇ…多分このコがマオなんだろうけどさ。 俺、このコの事見下ろしてるんだよね。 それはもう物凄く。 「あうぅ、スミマセン; ですが私、他に行く当ても無くて…」 泣くな。 泣かれると多分、すっげぇ困る。 こんなんでも女の子の涙は強力ですね、母さん。 親父からの手紙を持ってきた彼女は… 神姫でした。 orz 3 俺は柏木浩之、20歳のしがない公務員でございます。 親父は失踪して音信不通だわ母に先立たれるはと、程々に波乱万丈な学生時代を歩んでまいりましたが、めでたく就職浪人にもならず安アパートながら質素ながら、それなりに平穏に暮らしてまいりました。 1時間ほど前までは。 労働を終え、愛しの我が家のノブを回したところで呼び止められた。 「ヒロユキ様ですね?」 透き通った、それでいて少し甘さのある少女の声。 おいおい、これって『貴方の事ずっと前から見てましたv』か? いやさ、気が早いぞ俺。 キャッチセールスな可能性もあるし、ここは当たり障り無く… 「どなたですか…って、あれ?」 いない。 だーれもいない。 前も後ろも、見渡す限り360度。 空耳だったのかも。 がちゃり 扉を開け、部屋に入ろうとする俺のズボンの裾を何かが引っ張った。 「ああ~、待ってくださいぃ~」 んな?! さっきの声! 足元から聞こえるし、ズボンの裾わ引っ張られてるし、いったい何が…… 「あ」 見ればそこには、緑色の髪と瞳の人形が泣き出しそうな顔で俺を見上げていた。 4 柏木家 居間兼寝室兼色々 「泣くな。 泣かないでお願いだからっ。 君をウチに置くのは構わないんだけど…」 そう。 犬猫人間に妖怪の類であれば、安月給の身ではとてもじゃないが支えられる筈も無い。 だがこの子は武装神姫とかいう玩具だ。 たぶん。 かかったとしても精々充電の電気代程度で経済面での問題はないし、 ちっこいので狭い我が家でも面積を圧迫する事も無いだろう。 問題はそんな事じゃないんだ。 構わないと言われてぱぁ…っと花が咲いたような笑顔に。 可愛いなー。 なるほど、これでは子供ばかりでなく、いい年した大人が熱を上げてもしかたない。 「もう一度確認させてくれ。 君が親父が俺に面倒を見るように頼んでいるマオなんだね?」 ここだ。 身勝手にも程がある。 自分の妻の葬式にすら顔も出さないで、今になって頼みごとを…しかも人形の世話ですよ?! 「はい、私は開発コード ”Maxwell-X01”通称マオ。 貴方のお父様によって作られた武装神姫です。」 くぁ、確定かよ… 俺ら家族をほっぽいといてまでしてた仕事がコレ? なまじ目の前のこのコ…マオが可愛いだけに、余計にムカツク。 …あれ? でもこの外見はたしか… 俺はPCをスリープモードから復帰させるとブラウザを起動し、 ホームページに設定してある検索サイトに[武装神姫 猫]と入力した。 …武装神姫 猫 の検索結果 約 58,000,000 件中 1 - 10 件目 とりあえず公式らしき所をクリックする… あった、これだ。 「なぁ。」 「は、はい?」 画面には猫型MMS[マオチャオ]のデモンストレーションムービーが映されている。 そっくりだ。 なのにコイツは確かに…言ったよな? 「君を作ったのは俺の親父で、しかもコードナンバーにX?」 「え、ええ。」 ちょっとうろたえてる。 あきらかに「余計な事言っちゃたよ~」な顔だ。 感情は豊かな様です。 置くのはいいだろう。 作り物であろうとも、ヒトの形をしてヒトの様に振舞う存在を寒空に放り出すのも気が引ける。 けどな、ひとつ納得できねぇんだよな。 「君はコレとは別の”何か”なんだな?」 「う、あ、ぅ~、はぃ…」 「置いてやる。 だがその代わり、親父が俺達をほっといてまで作った君が何なのか、 なんで俺に所に来なきゃならなかったのか、話せ。」 5 朝。 とりあえず。 マオの事は「父親が同じなんだから俺達は兄妹じゃね?」で落ち着きました。 落ち着いたという事にしておいて下さい、いやマジで。 マオから聞いた話はヘビーすぎてなんと言うか。 「兄妹じゃん!」とマオを暖かく受け入れた俺ですが、内心はぐっちゃぐっちゃな訳で… しかし個人の事情で仕事を休んでいては(除、冠婚葬祭) お給料の元を収めていただいてる国民の皆様に顔向けできないというものです。 真面目だな、俺。 でもなー、コイツを一人にするのはなー… うん、連れて行こう。 内ポケットに入ってりゃなんとかなるだろう。 「マオ、仕事いくけど…一緒にくるか? 見つかるとまずいから ポケットの中で大人しくしてもらわなきゃならないだろうけど…」 彼女は振り向くと、苦笑いしながら「隠れてるのは得意ですから」と答えた。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/621.html
<主人公> ●ミラ・ツクモ(Mila Tsukumo/九十九 御良)female age 20 浮世離れした天才型大学生にして大学講師。黒い髪の日系三世で、両親は既に他界した。 鳳条院グループが主催する大会で爆弾テロが行われる事を知り、日本に向かった。 UCLAに在学していたが現在は鳳条院家に居候中。UCLAが出した特例で、まだ学生の身ながら日本の私立龍ノ宮大学で文系学問の講師を勤める破目になってしまった。 普段着は黒い喪服、トライアンフのROCKET(Over2000ccの化け物サイズ)を駆り、巨大な神姫収容トランク所持する。背丈が極めて低めなのが悩みだが実はトランジスターグラマー。最近は白いワンピースを着たりしておしゃれもするらしい。 やや男勝りな自信家。冷淡でやや狡猾で何を考えているのか分かりにくい。慇懃無礼そうに見えるが礼を尽くす相手にはきちんとした態度は取る。 アメリカでは神姫BMAに認定された違法神姫の調査官で、彼女の所持する神姫達は恐ろしい程に高い戦闘力を有する。 <神姫> ●『烈風』(Reppuu) Type-Dog ミラが所有する神姫。汎用・特殊戦闘特化。 こげ茶の髪と赤く光る目が特徴。素体は肌の部分がやや白めで少し筋肉質。 情緒不安定でやや破綻した性格な上に毒舌。 腹が立ったり気に入らない事があれば近くのものを蹴っ飛ばす悪い癖がある。が、人間のマナーの悪さから来る憤りもあり、UCLAではBruins(ブルーインズ)の番犬とも呼ばれている。 戦闘スタイルは割と基本的だがやや力任せな感がある。また空中戦が上手い。だが、相手の神姫やオーナーに罵声を浴びせたり、相手の武装を奪ったり、弱った相手に試合終了判定されるギリギリまで加虐したり、悪質なフィニッシュで決めたりと、多くの神姫やオーナーから嫌われている。 震電の冷淡な性格が気に食わないらしく大いに嫌っているが、禁断の関係の連山には何だかんだ言って甘えている。小言や説教が多いエステラが大の苦手。 『ふぅ、もうめんどくさいからチャッチャとくたばってくれる?』 ●『震電』(Shinden) Type-Devil ミラが所有する二体目の神姫。遠距離強行戦闘特化。 常にゴーグルを付けている為、瞳の色は不明。髪と素体は藍色に近い。原型に比べやや細身。 偶にミラの命令を無視したり、冷徹すぎて相手に悪い印象を与える程度。それでも、他の2体よりも遥かに良識的である。また銃器に関してうるさいところがある。 障害物に身を隠しての遠距離からの超精密射撃や、専用ユニット”フレスヴェルグ”を駆ってのミサイル爆撃・十字砲火・強行突撃が多いが、中~近距離でのアルヴォLP4の二丁拳銃で戦うスタイルが定着している。因みに嘗て、『ガ○=○タ』をマスターしたメジャークラスの神姫を、赤子の手を捻るように叩きのめした事があり、『ガ○=○タ』を完全否定している……つもりなのだが、拳銃を使った格闘がそれに近くなっていることに薄々感付いている。 ある秘密兵器を『ヘキサ』のラルフと一緒に共同制作しているとか。 絶対に口にはしないが、烈風の事はそれなりに信頼している様子。連山は笑顔と笑い声が鬱陶しくて嫌っている。『ヘキサ』の店長のラルフとは、オーダーやカスタム銃を共同制作する程に気が合っている。 『動くと撃つ、止まっても撃つ。抗うなら終わりにする』 ●『連山』(Renzan) Type-Santa ミラが所有する三体目の神姫。超近接高速戦闘特化。 金色の瞳を持つが常にニコニコ笑っている為、確認出来ない。素体は無駄に豊満でやや赤黒い。ストッキングではなくガーターベルトを付けておりより黒めの色合い。 どんな時でも楽しそうに笑っており、天真爛漫で無邪気で何を考えているか分からない。一日の殆どはクレイドルで眠っている為、烈風は『眠り姫』と呼んでいる。不謹慎な夢を見ていることが多いとか。 何故か射撃戦闘はまるでダメだが白兵戦能力だけは驚異的に高く、意外にも超高速戦闘にも長けている。また、レーザーやビーム兵器の発射角度を見て避ける程の反応力と運動能力を持つ。その外神姫としてはありえない怪力を発揮する事も可能。 自分が気に入った相手には積極的にくっつきたがり、気に入った相手なら神姫も人間も皆が大好き。『シラギク』とは厳しい師弟の関係で流石に頭が上がらず、べたべたくっついたりはしない。 『あははは。君、意外と強いんだね!』 ●『シーミュー』(Seamew) Type-Shinobi 神姫ショップ『ヘキサ』のオーナーであるラルフの神姫で、少し珍しい忍者タイプである。 基本的に忠実だがちゃっかりした一面もある。そんなところでラルフとかなり気が合う良き合方。 無表情な忍者型MMSに店番をやらせても看板娘にはならないので、一時代理や裏方活動や怪しい客の見張りをやらせているらしい。 どんなお客様が相手でも常に平等だが、自分達の神姫にも容赦ないミラには少し恐れつつも、内面では目的の為に強く生きているその姿に憧れている。震電とは同じ職場(?)仲間。 『偶に来るんですよね、御自分の神姫のスペックを考えないオーナーさんって』 ●『アムリタ』(Amrita) Medical-Specification Nurse-TypeMMS 神姫の新たな実用性を見出し、医療活動及びそのアシスタントとして開発された神姫。 既存の医療用ロボットには無い人間臭さと、武装神姫をベースとした事の有効性をテストする為に開発され、11体が加州L.A.聖サンタモニカ病院に導入された。 医療活動における判断力が求められる為にオーナーと言う概念がなく、集団のアムリタの意思統合により役割分担やその時に適した行動が決められる。また、コアユニット・CSC・素体は単一である。 通常状態は基本的な医学知識がプログラミングされており、三種の医療用パックを換装する事でそのパックにプリセットされているデータを一時的に使用する。(通常時に於ける記憶視野の拡張とコスト削減の為) 尚、名前は一般名称であり、基本的に個々に割り当てられたIDで呼ばれる。 通常の神姫とは開発思想も構造も異なり、医療機関の要求に合わせた受注生産となる為、1体だけでも医療用精密機械並み(推定:140万ドル)の価格を誇る。また、厳密的には神姫ではなく医療用機器に分類される為、世間一般への販売は禁じられている。 ●『パンドラ』(Pandora) Type-Angel ミラにとって初めての神姫。本編未登場(?)。 嘗ては米・オフィシャルバトルのマスタークラス8位、2396戦2396勝0敗と言う脅威の記録を打ち立てたという。 『METEOR』と言う会社の懸賞に当たった神姫で、オリジナルパーツや部品などで固められており、一般的な天使型MMSの性能を遥かに凌駕するものと思われる。 数年前のとある事件により現在は行方不明。出所不明な情報筋によれば、『神となった神姫』と言われているらしいが……?