約 648,281 件
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/187.html
OLとシオカラトンボ 2 859 ◆93FwBoL6s.様 あれは現実の出来事だったのだろうか。 何度思い返してみても、夢だとしか思えない。だが、現実でなければこんなにも考え込まないだろう。綺麗なお姉さんに声を掛けられて連れ込まれて無理矢理、というのは童貞なら一度は考える妄想だ。実際、シオカラ自身もそれらしいことを考えたことは少なくなかったが、もちろん口に出したことはなかった。誰しもが一度は考える妄想だが、だからこそ、そんな出来事の当事者になってしまったことが信じられない。 週が明け、高校に登校しても、シオカラの単純な思考はあの夢のような出来事に支配されたままだった。あの日の夜、空の暗さと街灯の眩しさでくらくらしながら帰宅すると、両親から門限を過ぎたことを怒られた。シオカラは適当なことを言ってその場を凌ぎ、夕食を詰め込んで自室に籠もり、あの出来事を思い返した。長い腹部の外骨格には、拭き取りきれなかったほづみの体液が付着していて、それが何よりの証拠だった。だが、それでもやはり馬鹿げた妄想が具現化したとしか思えず、悶々としたまま週が明けて月曜日になった。そして、登校して授業を受けたが、いつも以上に気が逸れて身が入らず、ノートはいずれも真っ白だった。 「しーちゃーん、お昼食べよー」 机とクラスメイトの間を擦り抜けながら、弁当箱の入った巾着をぶら下げた茜が駆け寄ってきた。 「しーちゃん?」 「あ、ああ、はいっす」 シオカラは考え込んでいたせいで反応が遅れ、間を置いて茜に振り向いた。 「どうしたのよ、朝からずっとぼんやりしちゃって」 茜と共にシオカラに近付いてきた真夜も、やはり弁当箱を携えていた。 「どこか具合でも悪いの、しーちゃん?」 少し心配げな茜に、シオカラは触覚を立てた。 「いいいやいやいや、そうじゃないっすマジ平気っすから!」 「そお? 無理っぽかったら早退した方がいいよ?」 茜はシオカラを覗き込んできたので、シオカラは通学カバンを開けて弁当箱を引っ張り出した。 「いやいやマジ平気っすから、マジでマジで」 「だったら、悩み事でもあるの?」 今度は真夜が迫ってきたので、シオカラは身を引いた。 「まっ、まぁさかぁっ!」 あんなこと、言えるわけがない。シオカラがぎちぎちと顎を鳴らしていると、真夜はにんまりした。 「じゃ、占ってあげようか?」 「へあ」 シオカラがきょとんとすると、真夜はシオカラの机の上に弁当箱を置き、ポケットからカードの束を取り出した。 「オーソドックスに大アルカナでいいわね。大丈夫よ、金は取らないし、時間も手間も掛からないから」 真夜はタロットカードを手早く切って混ぜると、それを両手の間に浮かばせた。 「ほら、どれか一枚抜いて」 二十二枚のタロットカードは等間隔に浮いているが、仕掛けは一切なく、真夜の魔力だけで浮かばせていた。真夜は未熟ながら魔女としての素質を持っているので、素人目に見れば超常現象としか思えないことが出来る。魔法のことは全く解らないシオカラや茜にとっては、彼女が何をしても凄く思えるし、今でも凄いと思ってしまう。 「あ、じゃあ、これっすかね」 シオカラは真正面に浮かぶタロットカードを爪で挟んで抜くと、真夜は両手の間にタロットカードの束を戻した。シオカラはタロットカードを裏返し、絵柄を見た。だが、上下逆さまになっていたので、シオカラは首を捻って絵柄を見た。中央に輪が描かれていて、その周囲を四人の天使が囲んでおり、Wheel of Fortune、とのキャプションがあった。 「逆位置の運命の輪ね」 真夜はその絵柄を見てから、シオカラに言った。 「情勢の急激な悪化、アクシデントの到来、って意味があるわ。心当たり、ある?」 真夜に問われ、シオカラは乾いた笑いを零した。 「ふへへへへ…」 大いにある、ありすぎる。だが、言えるわけがない。シオカラは真夜の手に、タロットカードを戻した。 「当たってるっちゃ当たってるっすけど…」 「そう、だったら良かった。でも、占いは所詮占いだから、過信しすぎないでね」 真夜はカードの束をポケットに戻し、弁当箱を手にした。 「じゃ、裏庭に行きましょ。早くしないと、良い場所取られちゃう」 「うん、そうだね。真夜ちゃん、今日もアーサーさんがお弁当を作ってくれたの?」 茜がにやけると、真夜は気恥ずかしげに目線を彷徨わせた。 「そうよ。アビーさんに色々と教えてもらってから、妙に張り切っちゃって、お弁当だけじゃなくて朝も夜も作ってくれるのよ。助かるし、結構おいしいし、正直嬉しいけど…」 「あー、いいなぁー。ヤンマなんて、洗濯と掃除はするけど、料理は全然ダメなんだもん。不器用だから」 行こうしーちゃん、と茜に急かされ、シオカラはぎちりと顎を噛み合わせてから弁当箱を爪に引っ掛けた。茜と真夜の惚気を聞き流しながら、二人と連れ立って歩き、昼休みの常駐場所である裏庭へと向かった。 茜と同居している恋人は、シオカラの幼馴染みであり兄貴分として一方的に慕っているトンボ人間、ヤンマだ。ヤンマは種族の本能で縄張り意識が強く、ケンカも強いが、茜にはだらしないほど甘く、でれでれである。その反面、シオカラに対してはひどく辛辣で、意味もなくアイアンクローを喰らわされることも少なくなかった。それでも、シオカラはヤンマが好きだ。強いし、トンボの目から見ても格好良いし、なんだかんだで優しいからだ。 そして、真夜が実質的に同棲している相手は、かつては聖騎士として活躍したリビングメイル、アーサーだ。同じリビングメイルだが、アビゲイルとは少々異なる経緯でリビングメイルと化し、真夜のキスで目覚めたのだ。アビゲイルと一悶着あったが、その後はお互いに仲良くなり、今ではアビゲイルやその恋人の祐介とも友人だ。 アーサーは中世生まれの聖騎士故に気取った言動を取り、気障な言い回しを好む男だが、うっかりしている。道に迷ってしまったり、電車の乗り継ぎを間違えてしまったり、買い出しに出かけて肝心なものを忘れたり、と。聖剣エクスカリバーを携えた金色の全身鎧が、日常レベルの些細な失敗を繰り返している様は微笑ましい。ここまで失敗を繰り返してしまうと、本人も失敗しないことを諦めていて、今ではすっかり開き直ってしまった。 裏庭に向かいながら、シオカラは先程引いたタロットカードの意味と、ほづみのことを重ねて考えていた。情勢の急激な悪化。アクシデントの到来。それは、シオカラではなく、ほづみに対して起きたことではないのか。今日の夜にでも、あの緑地公園で帰宅するほづみを待ち伏せて、誠心誠意謝らなくては気が済まない。 軽率な行動を取ったシオカラにも、責任の一端があるのだから。 一日は、こんなに長いものか。 忙しなく働いていても、無意識に先週末までは彼氏だった同僚に気を向けてしまう自分に腹が立った。同僚の男はこれ見よがしに新しい女とべたべたしていて、気を向けるまいとしてもつい目に入ってしまった。一度だけ二人と目が合ったが、どちらもほづみを嘲笑っていたようにしか見えなくて、尚更腹が立ってしまった。だが、突っかかるのは子供っぽいし、今更同僚の男と寄りを戻す気もないし、奪い取るほどの価値などない。 それなのに、苛々して気が狂いそうだ。涙が出れば少しは楽かもしれないが、意地がそれを阻んでいた。予定があると言って残業を切り上げ、退社して電車に乗り、家路を辿りながら、ほづみは足元を見つめていた。本当に予定があれば苛立ちも紛れたかもしれないが、何もない。だからこそ、どうでもいいことで悩んでしまう。いい加減に振り切りたいのに、どうしても振り切れなくて考えてしまって、そんな自分にますます苛立ってくる。友人に愚痴を零せたら楽になれるかもしれないが、こういう時に限って友人達の予定は空いていなかった。 緑地公園に差し掛かると、ほづみは足を止めた。先週末のように、シオカラがいることを期待してしまった。だが、いるはずもない。第一、トンボは夜行性ではないし、あれはほづみが強引に誘ってしまっただけなのだ。彼からしてみれば、とんでもなく非常識な女に過ぎず、普通の神経なら二度と顔を合わせたくないと思うだろう。 「…ばっかじゃないの」 自嘲したほづみは、緑地公園から顔を背けた。 「おねえさほごあぁっ!?」 唐突に公園の敷地内から奇声が聞こえ、ほづみはぎょっとして振り向いた。 「…え」 「マジ痛ぇー、てかやっぱり夜はマジヤバいし…」 声の主を辿ると、緑地公園の敷地内で、見覚えのあるトンボ人間が倒れ伏していた。 「あんた、大丈夫?」 敷地内に入ったほづみがシオカラに歩み寄ると、シオカラは複眼をさすりながら身を起こした。 「まー、なんとか…。暗くてマジ足元見えねー…」 「ていうか、なんであんたがここにいるのよ? 家の方向、違うでしょ?」 「なんてーか、ケジメっつーか、そういうやつっす」 シオカラはぎちぎちと顎を鳴らしながら立ち上がると、ほづみに頭を下げた。 「この間はマジすんませんっしたぁ!」 「…何が?」 「つか、あのことは、俺っちもマジ悪かったっすから」 「悪いのは私、あんたは完全な被害者よ」 ほづみがシオカラを見上げると、シオカラは捲し立ててきた。 「いやいやいや、俺っちの意志がマジ弱かったからっす! てか、断れば良かったんす! あれからずっと考えてみたんすけど、やっぱ、ああいうのマジダメっすね! いや、嬉しかったっすけど! でも、ほら、なんつーか、こう!」 「何が言いたいのよ」 「えーと…なんだっけ」 シオカラは口調を弱め、首を捻ったので、ほづみはなんだか可笑しくなった。 「言いたいことをまとめてから話しかけなさいよ」 「すんません」 シオカラは不甲斐なくなり、四枚の羽を下げた。 「つか、マジ俺っちってダメっすね」 「いいわよ、本当にあんたは悪くないんだし」 ほづみは必死になりすぎて空回りするシオカラを見ていると、張り詰めていた気が少し緩んだ。 「悪いのは私なんだから。あんたには何の関係もないのに、苛々して、八つ当たりしたかっただけなのよ。だから、この前のことは全部忘れて。今、私と会ったことも綺麗さっぱり忘れて、最初から何もなかったことにしなさい」 「へ?」 シオカラがきょとんとして顎を開いたので、ほづみは身を翻した。 「だから、あんたもさっさと家に帰りなさい。また門限に遅れちゃうわよ」 「でも、あの…」 「何よ」 「つか、お姉さん、なんでそんなに苛々してんすか? そんなに嫌なことでもあったんすか?」 「大人になると、色々あるのよ」 「俺っち、マジ役に立たないっすけど、でも、なんか出来ることないっすか?」 「別に」 これ以上、無関係なシオカラに甘えてどうする。ほづみが目を伏せると、シオカラは言葉を続けた。 「でも、なんか、お姉さん、マジ辛そうなんす! てか、なんかこう、マジヤバげっつーかで!」 「…あんたに何が解るってのよ!」 その言葉が嬉しいと思ってしまった自分にこの上なく苛立ち、ほづみはシオカラに喚いた。 「初めてちゃんと結婚したいって思えた相手だったから、だから仕事も恋も精一杯頑張ろうって思ったのに、それなのに、なんであんなクズ女に全部壊されなきゃいけないの!? どうして浮気されなきゃならないの!?私が何か悪いことしたの!? それとも、あっちが本命で私が遊びだったっての!? 冗談じゃないわよ!」 ほづみは大股に歩いてシオカラに詰め寄ると、怒りに任せてその外骨格に拳を叩き付けた。 「あんたなんて、何の代わりにもなりゃしないのよ! そりゃ、あの時は気が紛れたけど、あんたなんかじゃダメ! 虫だし、ガキだし、馬鹿だし! とっとと家に帰りなさいよ! これ以上私に殴られないうちにね!」 声が嗄れるほど張り上げたほづみは、肩で息をしながら、目元から次々に溢れ出してくる熱い体液に気付いた。喚き散らして、感情が高ぶりすぎたからだろう。目元を拭いかけたが、マスカラが取れてしまうと踏み止まった。 シオカラの外骨格は予想以上に強固で、ほづみの拳では傷も付かず、ほづみの右腕の方がひどく痺れていた。ほづみは泣いていることを知られたくなくて、顔を伏せたまま拳を下げると、シオカラはきちきちきちと顎を擦らせた。 「俺っちで良かったら、殴っても構わないっすよ。俺っちは痛くないし、てか、兄貴のアイアンクローの方が痛いっすから」 「変な気を遣わないでよ」 「昼間だったら、ぱーっと空でも飛び回るんすけどねー」 「…それはちょっと楽しそうかも」 ほづみが小声で呟くと、シオカラは笑った。 「あ、じゃあ、昼間にでも」 「馬鹿じゃないの」 「へ?」 シオカラが首を傾げたので、ほづみは涙に潤んだ目でシオカラを見上げた。 「だから、私はあんたにそこまでされる理由がないのよ、理由が。ちったぁ被害者らしくしなさいよ」 「らしく、って、言われてもなぁ…」 シオカラはきりきりと顎を浅く擦っていたが、ほづみを見下ろした。 「やっぱマジ無理っす、すんません。てか、ぶっちゃけ、お姉さんのこと、マジ放っておけないっす」 「あんたの友達と同じアパートに住んでるかもしれないけど、私とあんたは他人でしょうが」 「でも、こんなに長話したんすから、他人じゃないんじゃないっすか?」 「屁理屈こねないでよ」 出来る限り強く言い返したが、ほづみはまた涙が滲み出してきた。今すぐに、縋り付いて泣いてしまいたい。堪えてきたことを全てぶちまけて、慰めてもらいたい。支えてもらいたい。けれど、シオカラは年下で他人なのだ。友人や恋人ならまだしも、強引に交わっただけの相手だ。そこまでしてしまうのは、ほづみのプライドが許さない。だが、一度涙が出てしまうと、抑えが効かなくなっていたのか、ほづみは化粧が落ちるのも構わずに泣き出した。 ほづみの異変に気付いたシオカラは、慌ててほづみに駆け寄って、どうしたんすか、としきりに声を掛けてきた。その優しさが嬉しいのに、声が詰まって言葉にならないほづみは、シオカラに肩を支えられながら泣きじゃくった。 情けなかったが、止められなかった。 腕時計を見ると、小一時間過ぎていた。 ほづみはシオカラが買ってきてくれたレモンティーで嗄れた喉を潤しながら、年下に甘えた事実に恥じ入った。どれだけ化粧が崩れたのか知るのが怖いので、手鏡を取り出すこともなく、ほづみはレモンティーを流し込んだ。ほづみの隣に座るシオカラも、一緒に買ってきた缶ジュースを飲んでいるが、こちらは昆虫人間用のものだった。シオカラが街灯がダメだと言うことはほづみも理解していたので、二人は敢えて街灯のないベンチに座っていた。彼の水色の外骨格には、ほづみが流したマスカラ混じりの涙が何滴も散らばっていて、黒い染みを作っていた。 「ごめん」 ほづみが謝ると、シオカラは空き缶を顎から外し、振り向いた。 「なんでお姉さんが謝るんすか?」 「だって…」 ほづみが言葉を濁すと、シオカラは空き缶をくしゃりと爪で握り潰した。 「けど、これでスッキリしたんじゃないっすか?」 「まあね」 ほづみは三分の一程度中身が残った缶を回し、たぽんと揺らした。 「この前も今日も、迷惑掛けちゃってごめん。だから、本当に私のことは」 「忘れられるわけないじゃないっすか!」 ほづみの言葉を遮り、シオカラは強く言った。 「てか、あんな初体験させられて、忘れろって方がマジ無理っすから!」 「そうかもしれないけど、でも」 「えっと、んで、良かったら、なんすけど」 シオカラは急に語気を弱めると、ほづみを見つめてきた。 「俺っち、また、お姉さんちに行ってもいいっすよ?」 「またヤりたいの?」 ほづみが少し笑うと、シオカラは慌てふためいた。 「いやいやいやいや! てか、そういうんじゃなくて、えっと、兄貴と茜んちでもあるっすから、てか、話し相手とかマジそういうレベルでいいっすから! ていうか、マジサーセン!」 「じゃ、ヤらなくてもいいんだ」 ほづみが唇の端を持ち上げると、シオカラはしどろもどろになった。 「てか、それは、うぅ…」 「したいならしたいって言いなさいよ、高校生」 「そうホイホイ言えたら苦労しないっすよ、誰も…」 シオカラが触覚を下げたので、ほづみはその表情の窺いづらい横顔を見、込み上がってくる笑いを堪えた。先週末に体を交えた時は、虫なのに、と思っていたが、今は彼が昆虫人間であることが気にならなくなっていた。感情豊かで人間と遜色がないどころか、可愛げがある。口調と態度は軽いが、真面目で優しい少年なのだろう。それを知ってしまうと、尚更迷惑を掛けたことが心苦しくなった。ほづみは少し迷ったが、声色を落として言った。 「…いいわよ」 「へ」 「どうせ、ここなら誰にも見られないし、見えないだろうし。けど、手っ取り早く終わらせなさいよね」 「え、て、てか、それは」 「前のは八つ当たりだけど、今度のは御礼だから」 ほづみは飲みかけのレモンティーをベンチに置くと、シオカラの肩に手を触れた。 「えと、マジ、いいんすか?」 シオカラが触覚を揺らしたので、ほづみは照れ隠しに目を逸らした。 「いいから言ってんじゃないのよ」 シワになったり、トンボの鋭い爪で切り裂かれてしまっては困るので、ジャケットを脱いでバッグに被せた。シオカラは若干躊躇っていたようだが、ぎぢっと顎を擦り合わせてから、ブラウス姿のほづみに近付いてきた。 「んじゃ、また、よろしくお願いするっす」 「こちらこそ」 ほづみはシオカラの大きな複眼が付いた頭部に触れ、少しだけ腰を浮かせると、頑強な顎に顔を寄せた。シオカラは顎を開いて舌を出し、ぬるりとほづみの唇を舐めると、少し冷たい舌先を隙間に滑り込ませてきた。ほづみは顎を緩めてシオカラの舌を受け入れると、その舌を甘噛みし、痛みを与えない程度に吸ってやった。やはりまだ慣れていないのか、シオカラはびくりとしたが、舌を引き抜かずにほづみにされるがままになった。 ほづみの口中で、自身の生温い唾液とシオカラの冷ややかな唾液が混じり合い、唇の端から一筋溢れた。顎を伝った粘ついた雫は、ブラウスの襟元に染みた。ほづみが彼の舌を解放すると、シオカラは顎を閉じた。 「なんか、いきなり凄いっすね」 「手っ取り早く、って言ったでしょうが」 ほづみがシオカラの長い腹部に手を伸ばそうとすると、シオカラはほづみを押し止めた。 「あの、お姉さん」 「あんたのは濡れないんだから、濡らしておかないと」 「今日は、俺っちがお姉さんを触ってもいいっすか?」 緊張で声を裏返しながらも、シオカラが言い切った。微笑ましいと思ったほづみは、手を下げた。 「いいわよ。でも、傷は付けないでよね。ブラウスにも、私の肌にも」 「りょ、了解っす」 シオカラは大きく頷き、ほづみのブラウスに爪を掛けたが、爪先ではなかなか上手くボタンが外れない。手伝おうとしたが、シオカラがあまりにも一生懸命なので、結局は何もせずに危なっかしい手付きを見守った。ボタンの上半分を外すだけでも時間が掛かってしまったので、全部脱がすことはせずに、上を大きく広げた。ブラジャーに包まれた大きい乳房と肩が露出すると、シオカラは上右足の爪を伸ばし、柔らかく握った。 むにゅり、と頼りない感触が爪に伝わり、薄い肌と脂肪が食い込んできて、簡単に切り裂けそうだった。出来るだけ傷を与えないように爪を横たえ、力を抜いて握ると、爪の間から飛び出た乳首が尖り始めた。それを爪の背で潰すと、ほづみが零していた吐息が変化し、鼻に掛かった喘ぎが混じるようになった。 「ここ、弱いんすか?」 シオカラが問うと、ほづみは羞恥を滲ませた。 「当たり前、でしょ」 白く滑らかな肌に傷跡を残さないように気を遣いつつも、シオカラは彼女の大きな乳房を弄んだ。服を着ているとあまり大きくは見えないが、脱がしてしまうと、茜よりも真夜よりも大きいのだと解った。乳房を持ち上げると爪全体に重みが訪れ、落とすとたぷんと揺れ、触っていない方の乳首も尖ってきた。空いている中左足で同じように触れると、ほづみの零す喘ぎが高まり、シオカラの上両足を掴んできた。 「ん、ふぁ…ぁ、うぁ…」 場所が場所だけに懸命に声を殺すほづみに、シオカラは顎を開いて首筋に顔を埋めた。 「お姉さん、なんか匂いが変わったっすよ」 「や、何言ってんの…。そんなの、解るわけ、ないじゃない」 「虫っすから、解るんすよ。なんつーか、マジエロい匂いっす」 「馬鹿ぁっ」 ほづみはシオカラを押し返そうとするが、力では到底勝てず、シオカラは伸ばした舌を首筋に絡めた。 「マジ良い匂いっす、てか、マジヤバいし」 「んぁあっ」 肌の薄い首筋をぬるりと這った舌の感触に、ほづみは堪えきれなかった声を漏らした。 「下も、触っていいっすよね? てか、こっちの方が匂いが凄いっす」 シオカラの爪がタイトスカートの下に入り、ストッキングに覆われた下着の上から触ってきた。 「く…ぅ、ぁ…はぁ…あ…」 拙いながらも刺激の強い愛撫と野外という状況に煽られていたためか、自分でも解るほどに潤っていた。シオカラの硬い爪が充血した肉芽を押し込み、ほづみは思わず声を上げかけたが、唇を噛んで押し殺した。 「んふ、あぁ…」 びぢびぢっ、とタイトスカートの中から異音が聞こえ、シオカラの爪先がストッキングを破いたのだと知った。下着のクロッチも横にずらされ、熱く湿った陰部を外気が舐め、背筋が逆立ちそうなほどの感覚に襲われた。触らなくても解るほど、出来上がっている。ほづみはシオカラの肩に縋り、呼吸を整えてから、小さく呟いた。 「入れて」 「言われなくても、入れるっすよ。てか、マジ限界っす」 すんません、と付け加えながら、腰を浮かせて長い腹部を前に出したシオカラは、生殖器官を押し出した。それを一息にほづみの陰部に突き立ててやると、ほづみは噛み締めていた唇を緩めて、悩ましく喘いだ。 「あ、あぁっ」 ぐじゅり、と粘ついた水音が上がり、破れたストッキングを湿らせた。 「じゃ、じゃあ、動くっすからね」 ほづみを抱き寄せて膝の上に載せたシオカラは、前回のほづみの痴態を思い出しながら腹部を動かした。昆虫人間に比べれば熱い胎内から彼女の体温が染み入り、高揚を誘い、肌に喰らい付いてしまいたくなる。生殖器官を伝って滴る愛液から立ち上る女の匂いが触覚を刺激し、押し当てられた大きな乳房が潰れている。そのどれもが扇情を促し、シオカラは辺りの暗さのせいでよく見えない複眼をほづみの乱れた髪に当てた。 訳もなく、彼女を愛おしいと思ってしまった。一回りは年上で、先日まで面識もなかった相手だというのに。確かに美人で、肉感的で、スタイルも良くて、セックスの相手としては申し分ないが、飛躍しすぎではないか。大体、シオカラはほづみの感情の捌け口として選ばれただけであり、それ以上でもそれ以下でもないのだから。ほづみの恋人でもないのに、何を考えているんだ。けれど、一度感じた感情はそう簡単には振り切れなかった。 一際強く奥に押し込み、ぐんと生殖器官で最深部を突き上げると、ほづみはシオカラに縋る手に力を込めた。いつのまにかシオカラの腰に絡み付いていたしなやかな足が痙攣し、ほづみはシオカラの肩に顔を埋めた。 「やっぱり、あんた、良いわ…」 はあ、と達した余韻を抜くようにため息を吐いたほづみは、足を解いて腰を上げ、ずちゅりと陰部から引き抜いた。 「でも、これでもう終わり。これ以上、あんたのこと、利用したくないもの」 「あ、じゃあ、こうしたらどうっすか?」 シオカラは乱れた髪を直すほづみを見つつ、提案した。ダメ元だが、言わないよりはマシだ。 「今度、デートしないっすか?」 「何よそれ」 「や、だから、付き合えばいいと思うんすよ。そしたら、何度ヤッても問題ないっつーかで」 「そうねぇ…」 ほづみは飲みかけのレモンティーを呷ってから、返した。 「いいわ、考えておいてあげる。だから、あんたのアドレス、教えて」 「あ…はいっす」 シオカラはほづみの好意的な答えに驚いたが、携帯電話を取り出した。 「んでは、赤外線通信で」 ほづみもバッグから携帯電話を取り出し、シオカラの携帯電話に向けて、送信されてきたアドレスを受信した。アドレス帳に登録されたことを確認してから、携帯電話を閉じたほづみは、少し休んだ後にシオカラと別れた。再会した時は劇的だったが、別れは特別な言葉など交わさず、火照りの残る体でアパートを目指して歩いた。 こんなことをして、良かったのか。体を許したのも、単純に寂しさをシオカラで埋めたかっただけではないか。泣き付いて、誘って、挙げ句にアドレスまで手に入れた。深みに填るまいと思ったのに、ずるずると沈んでいく。自分が辛いからと言って、他人に甘えるにしても程がある。だが、一人ではない安心感には勝てそうにない。 この分だと、デートもしてしまうだろう。 ←・→ タグ … !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
https://w.atwiki.jp/crystarosh/pages/179.html
【キャラへの質問:バトラー編】 インタビュアー、いとこのアインス氏。 アインスは◆の色 バトラーは◆の色 でお送りします。 (クレテンザ(アインスの所属する使用人ギルドのようなもの)からインタビューの仕事をして来るように言われて来てみれば、従弟のバトラーで一瞬憮然たる表情をする。どうやら組織の雑用使い走りにしか思われていないような気がする昨今であった) アインス:なぜ私がお前のインタビューなどしなきゃいけないんだ。 バトラー:あらぁ、知りたいなら赤裸々に語るわよっ。アインスちゃんに隠すことなんて何一つ…… アインス:(眉間を寄せて)黙れ。始めるぞ。 バトラー:そういうビジネスライクで冷たいところが、ス・キ(ウィンクと投げキッスつきだがアインスは慣れているのか無視)。 1 まずはお名前、年齢、既婚か否か(独身の場合は恋人がいるかどうか)、なにをなさっているか(仕事など)をどうぞ。 あら、他人行儀ねぇ。いまさら自己紹介するの?(右人差し指をしなやかに頬にそえ、その肘は左手で抱くようなポーズ) (その姿を一瞥もせず冷静に)そういう質問なんだ。速やかに答えてくれ。 うそよぉ。ちょっとからかっただけでしょ。名前はバトラー・セバスチャン、アインスちゃんのイトコよ。年齢は27歳、アインスちゃんと同じ。未婚。恋人は……ふふふ、ご想像におまかせするわ。仕事は芸術家。絵でも彫刻でも作曲でもしちゃうわよー。あ、いまはアカデミーの講師。 2. 何かのギルドに所属していたら、それを教えてくださいえー? 特にないわねぇ。 昔はクレテンザにいたじゃないか。 だってもう執事じゃないもーん。 もーん、て言うな……。27の男が……(こめかみを押さえるアインス) 3. 武器や魔法を扱えますか? 何が得意?アカデミーで働くようになって、魔法の才能があるって言われたけどまだ手をつけてないわね。 武器はクレテンザで覚えたから普通に片手剣よね。でも突きの細身の剣が好きだわ。 オカマの魔法使いって何ていうんだろうな……。オカ魔とか? 失礼ね! オカマじゃないって言ってるでしょ! じゃあそのいかにもな喋り方はやめろ。 しょうがないじゃない、喋りやすいんだから。 4. 友人は何人ぐらいいますか? よければ名前を教えてくださいそんなの数えたことはないわ。名前を出して差し障りにある人もあるかもしれないし……。 そういうのって友人とは言わないのでは。 じゃあとりあえずアインスちゃんね。 私のほうでは数に入れてない。 あぁん、片思いっていつまで続くのかしらーっ 5. 大事な人はいますか? 恋人でもそうじゃなくてもかまいません。 差し支えなければ名前も教えてください。 アインスちゃん(笑顔) (アインスは無視) 6. さて、その大事な人が大変な事件に巻き込まれて窮地に陥っています。 でも遠慮しているのか信頼されていないのか、貴方に相談してきません。 貴方には救える方法があります。さてどうしましょう? 相談しないのは知られたくないからだ。よって手出しをしないでもらいたい。 アインスちゃんが答えてどうするのよ! あ、大事な人っていう自覚ができた? できた? ち、ちがうっ! 前の質問の流れから言えばそういうことというだけだ! いやん、照れて可愛いー。そりゃもうアタシは全てを投げ打ってでも助けるわよ! いっそ窮地で絶命したほうがいい……──。 7. 嫌いな人(憎んでいる人)がいればこっそり教えてください。 そして正直、その嫌いな人を可能ならどうしたいですか? 特に思い当たらないわねぇ。そういうマイナス感情は美しくないから持たないように心がけてるの。 嫌われている相手はたくさんいそうだがな。おぉ、次の質問はタイムリーだ。 8. 逆に嫌われてるなと思う人はいますか? なんで笑顔で聞くのよ。憎たらしいわね。でもそういうところが好きだけど。 嫌われているならその数倍愛してみせるわーっ!(ガッツポーズ) 9. 好きなものは? 食べ物、動物、趣味なんでも可。 美しいもの、可愛いもの、イイオトコ、男女問わず可愛い子猫ちゃん、アインスちゃん。 10.嫌いなものは?(同上) 美しくないもの全部と、ぐにゃぐにゃねばねばしたもの。 あ、アタシ基準だから気にしなくてもいいのよ。世間一般で美女といわれても、アタシ的に美しくないと思うものを持ってたら却下だから。 身勝手な美的感覚なんだな。 美的感覚なんて古今東西そういうものよ、アインスちゃん。 11. 自分の容姿は好きですか? 性格は?好きよー? そういえば子供のころはよく女の子に間違われたわねぇ。 そりゃもうお人形のように可愛くて……ねぇ? おぼえてる? アインスちゃんは…… (激しくわざとらしく咳き込み)次の質問に行く アタシを女の子と間違えてプロポー…… 次の質問に行く!! 12. 好き(嫌い)ならなぜ? だってアインスちゃんがプロポー…… 次!!!! 13. 自覚していたり、誰かに指摘された癖はありますか?このポーズかしら(インタビューの始めのころからとっている、右ひじを左手で抱いて、右手の指を頬に添えるいかにもなポーズ) ああ、それは胡散臭さを倍増させているから、自覚があるなら止めたほうがいい。 直したら惚れてくれる? 直さなくていい(笑顔) 14. 予定していたことがキャンセルとなって、ぽっかり自分の時間ができました(3日ぐらい) 何をしますか? そのときやりたいことしか予定に入れないわよ、基本的に。変な質問ねー? 極楽トンボには意味のない質問だな。じゃあ講義がアカデミー都合で休講になったとか考えたらどうだ? デートかショッピングよねー。 15. 財布にはいつもだいたいいくらぐらい持ってますか? 浪費派? 倹約派?財布の中身なんてあまり気にしてないわ。いくら入ってるのかしら……(取り出して中身をテーブルの上に。やたら低額の小銭が散らばる) あらぁ、たくさん入っていると思っていたのに意外だわぁ。 これじゃあ辻馬車に乗るのがやっとじゃない! 素朴な質問だが、払う段階で足りなかった場合はどうしているんだ? その場でたいていは交渉ね。で、負けてもらうかおまけしてもらうか。あと、払ってくれる人が結構いるわよ? それがきっかけで親しくなったりもするし。 金がないわけじゃないと思うのだが……。アカデミーの講師料もアヤシイ絵を売っているのもそれなりな金額だろう? たぶんそうね。だって買いたいものがあるときはちゃんと家からお金を持っていけるもの。 あとね、好んでお金をくれる人もいるから、心配しなくて大丈夫よ。 (はぁ、と溜息をつくアインス)とりあえずもう少し入れておいたほうがいいぞ……。 16. 部屋は綺麗ですか? 掃除と整頓、どっちが得意?普通じゃないかしら? アトリエは散らかってしまうけれど。 (室内を見回して)標準的な一人住まいの独身男性の部屋を基準とすれば、過剰なほどの装飾と懲りようだと思うな。あと、掃除という点では行き届いていると思う。 17. 小さいころは何になりたかったですか?(仕事でも漠然としたものでも)アインスちゃんのお嫁さ…… 次! 18. 時間、金、仕事、愛、優先順位は?愛がすべてに勝るのよ。 19. 世話を焼きたい? やかれたい?焼きたいほうね。でもやかれてもみたいわぁん。 20. つくしたい? つくされたい?どっちも! 21. 好きな人ができたとして、どうアプローチしましょうか?そりゃもうあの手この手、あらゆる手段を尽くすわよ! ──相手の迷惑と幸せを考えるなら、お前にできる一番のことは身を引くことだったりしてな。 そういう切なさで身悶えるのがいいのよぉ! 22. 恋愛云々はおいておいて、とりあえず好みのタイプを教えてください。男でも女でも、綺麗、可愛い、これ重要。外見ばかりの話じゃないのよ? 中身が可愛くて綺麗なら大好きよ。 23. 娼婦・男娼たちは別として、肉体関係を持った相手は貴方の中で多少意味をもちますか?いやぁん、なんか急に突っ込んだ質問ね! アインスちゃんそんなことに興味があったの? 私の質問じゃない! 照れなくてもいいのよ。うふふ~。アインスちゃんはそんな関係がなくても大事だから! 謹んで積極的に辞退する。 多少意味ってのがよくわからないけど、愛情と欲望は別よね? ──それをもって回答としておく。 24 違う種族のことをどう思いますか?初めて見る種族はやっぱり珍しいものを見る目で見ちゃうけど、慣れたり知り合ったりすると異国の人と同じなのよねー。 意思疎通ができないのは難しいかもしれないケド、なんとかそれができると楽しいものよね。 25. 特に気になる異種族は?(好きでも嫌いでも)エルフ! あの冷たくて綺麗な顔がどんな表情するのかと思うとゾクゾクしちゃう! マテ。 え?(笑顔) 26. 信仰している存在があれば教えてください。表向きは、ラ・ハエルなんだけど……まあ時と場合によって諸神にお縋りしちゃうわね。 27. オディールには有名なアカデミーがありますが、勉強してみたいことなどありますか?才能があるといわれた魔法を。でもあまり使いたいとは思ってないのよね、今のところ。 でも謎には惹かれるってわけ。 28. 今一番の目標は?(夢でも可)毎日楽しければそれれよし! 29. 世界のどこへでも移動できるゲートがあるとしたら、どこへ行ってみたいですか?東方かしら。芸術の新しいインスピレーションを貰えそうな気がするわ。 30. 食事に誘う言葉を、次のパターンでお答えください。 1 友人あるいは兄弟姉妹 「アインスちゃん、ご飯いきましょ?」 2 あまり親しくない知人 「よかったら食事でもどうかしら?」 3 初対面 「なに? 初対面で食事を誘うの? ナンパ? え、違う? あぁ、会議なんかでどこかの偉い人に会ったとかそんな感じなのね。 ろしければ食事などご一緒しません?」 「ナンパに聞こえる……」 「うるさいわね」 以上、質問終了! お疲れ様でした、自分! ちょ、ちょっとまちなさいよ、答えたのはアタシでしょ! ねぎらうならアタシじゃないの! この場合、疲労度は私の方が上だろう?(横目で見て意地悪く微笑) いいわよ! その疲れをじーっくり労いながら、アインスちゃんが知りたくない質問も無理やり答えてあげるから、今日は帰さないわよ! (にっこり笑ってアインスは早々に退場) (2009/4/19現在回答)
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/279.html
『トンボを捕まえたかっただけなのに・・・』 13KB 不運 自業自得 家族崩壊 野良ゆ 現代 十月だけど別にいいよね? ・公園を題材にしようと近くの公園に行ったら思いついたネタ ・九月の終わりごろの設定です トンボを捕まえたかっただけなのに・・・ 麦茶あき 九月末― まだ八月の猛暑が続いており、俺たち人類に地獄のような日照りが続いた頃、 俺は近くの公園で休んでいた。 「あちぃ~・・・・」 九月だというのに何だこの暑さは・・・俺たちを殺す気か太陽。 ただ今日は許してやろう、普段より少し涼しいし、俺は今、日陰にいるんだ。 木々の陰のおかげで俺の体の温度を冷やしてくれるありがたい植物たち。 ありがとう、おかげでゆっくりできる。 そんなゆっくりたちも公園内にチラホラ住み着いており、 ダンボールらしきものが置かれていた。 毎回思うのだがあのダンボールはどこから拾ってくるのだ?不思議に思う。 まぁ、いい。所詮はゆっくり。 考えるだけ無駄さ。 「ゆー」 「ん?」 噂をすればヒポポタマス・・・いや違う。 ゆっくりだ。 遠くに見えていたダンボールからゆっくりの家族が出てきた。 野良ゆっくりの風貌、小汚い肌、ボロボロのお飾り。 ああ、十人中、十人が野良だと言い切る姿だ。 家族構成はまりさ、れいむ、子れいむ、子まりさ、まだ小さいから赤まりさと赤れいむが出てきた。 典型的でよく人間にアホみたいに喧嘩売る家族構成ナンバーワンな奴らだ。 「おちびちゃんたち!きょうはたいようさんはそんなにあつくないからひなたぼっこしようね!」 「「ゆっくち~♪」」 「まりしゃぼーるしゃんであしょびちゃいじぇ!」 「れいみゅもー!」 「ゆふん、じゃあおとうさんがみてるからね」 どうやらゲスな家族ではない。 普通のゆっくり、善良といったところか? 出てきた小さいゆっくり共は母れいむと一緒に日向ぼっこしたり、 父まりさに見守られながらボール遊びをしていた。 なんという微笑ましい光景だ。 愛でてお兄さんの気持ちが少しはわかった気がする。 「まりしゃはいちびゃんしゃんなんだじぇ!」 「ゆえ~ん!まっちぇよまりしゃああ!!」 「ゆふふ・・・・・」 微笑ましすぎる、れいむの方は赤ゆっくりたちを日向ぼっこで寝かせながらまりさたちのほうを見ていた。 赤ゆっくりたちがボール遊びに参加しないのはまだ体が小さいからかもしれない。 まりさはれいむの視線に気づきニコリと笑顔で返した。 れいむも笑顔で返したがその時、まりさのお帽子に何かがついた。 遠くにいたれいむはその正体に気づいていた。 トンボである。 近頃この近くでよくトンボを見かけるようにもなり、この公園内でもよく飛んでいる姿が見られた。 そのトンボの一匹がまりさのお帽子の先端にピタリと止まったのだ。 トンボというものは棒の先端に止まる習性があり、よくトンボを捕まえる人はその方法でトンボを捕まえてるって聞いたことがある。 まりさのお帽子に止まったままトンボは動かない。 それを見たれいむは。 「まりさ!そこをうごかないでね!!」 「ゆ?」 れいむは大声を上げてまりさに動かないよう指示した。 いきなりそんなこと言われたまりさはわからないという顔をしている。 「どうしたのれいむ?」 「うごかないでねっていってるでしょおおおおおおおおお!!!」 「ゆっ!!?わ、わかったよ!!」 れいむの大声にビクッとなるまりさだがトンボは動こうとはしなかった。 随分肝があるトンボなのか、それとも警戒心がないだけなのか・・・ 恐らくれいむはあのトンボを捕まえようとしているのか、なんとなくそう思った。 まりさはその場を動かず、れいむはまりさの背後に行き慎重にトンボに近づいた。 「そろーりそろーり・・・・・」 距離はほんの数十センチ。 確実に捕まえるため慎重に近づくれいむ。 子ゆっくりたちはそんな行動をとっているれいむを不思議そうに見ていた。 「おきゃーしゃんにゃにしちぇるのじぇ?」 「れいみゅわきゃんにゃーい」 子ゆっくりたちにはトンボは見えていないらしい。 遠くから見ていた俺はその様子をじっと見ていた。 これから始まるであろう、野生(?)の瞬間。 もうトンボが飛んで行きそうなところまで近づいたれいむ。 息を整えリラックスする。 呼吸なんてしてないくせにわざわざそんなことする必要があるのかと突っ込みたくなった。 れいむは覚悟を決めトンボを睨みつけた。 それから数秒、無駄な時間が流れ、ゆっくりからすればまるで時が止まったかのような感覚だが、 遠くから見ていた俺には早くしろと言いたくなった。 そしてれいむはトンボに噛み付こうとする。 口を大きく開け歯をむき出しにしてトンボを噛み付く。 ゆっくりとは思えないスピード。 ブチッ!という音がした後、静寂が訪れた。 「ゆ?れいむなにしたの?」 後ろが見えないためまりさはれいむが何をしたのか見えなかった。 が、子ゆっくりたちにはしっかり見えていたらしい。 その顔はまるで捕食種に会ったかのような絶望的な顔をしているが。 「ゆ?おちびちゃんどうしたの?」 「お・・・お・・・」 「お?」 「おちょうちゃんのおびょうちがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「おぼうし?おとうさんのおぼうしがどうかしたの?」 まりさは子まりさの言葉が気になり、おさげを使ってお帽子がどうなっているか確認した。 自分で見えるところまで置くといつも自分が被っているものとなんか違った。 どこが違うのか考えたところ、さすがは餡子脳、理解するのに十分もかかった。 そう、まりさのお帽子の先のちょんまがった所から頭すれすれまで引きちぎられていた。 それを理解したまりさは絶叫した。 「ばりざのおぼうじがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」 変わり果てたお帽子。 何故こんなことになっていると喚きながらお帽子に泣きつくまりさ。 その犯人はもちろん・・・・ 「まりちゃはみちゃよおおお!!はんゆんはおきゃああしゃんだよおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ??!」 「おきゃああしゃんがおちょうしゃんのおびょうしをちゃべちゃったんじゃよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「ゆゆ、おちびちゃんそんなばかなこといわないでね。れいむがそんなことするはず・・・・」 まりさは振り向き後ろにいたれいむを見た。 その目に映ったのはトンボを捕まえたかのように口をもごもごさせて、噛み千切ったまりさのお帽子の布を齧っているれいむ。 黒い布が自分のお帽子だと気づくのはそう遅くはなかった。 信じられないものを見たかのように固まるまりさ。 「れ、れいむ・・・・・?」 「ゆ~ん、とんぼさんにがしちゃったよ・・・ゆ?まりさどうかした・・・・・って、おぼうしどうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!???」 夫であるまりさのお帽子がとんでもないことになっていることに気づいたれいむ。 まりさに近づき驚愕の表情のまま固まっているまりさに擦り寄った。 「まりさ!おぼうしどうしたの??!だれにやられたの??!」 れいむが心配そうにまりさにすりよるが一瞬まりさがピクッと反応したのは気のせいか? 「ゆ!わかったよ!きっとあそこにいるにんげんさんのしわざだね!」 え?なんか俺のせいにされているんですけど。 俺なにもしてないよ?むしろれいむ、お前だよね引きちぎったの。 「ゆるさないよ!せいさいしてくるからまりさはまってて・・・・・」 「ふ・・・・・」 「ゆ?」 「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「ゆべええええええ???!!」 まりさがれいむに体当たりをした。 思いっきりやられたため、れいむは思っていた以上に吹き飛ばされた。 「ば、ばりざああああ!!なにずるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「でいぶうううう!!!じぶんがなにじたがもうわすれたのおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ?れいむなにかした??」 もう忘れている、いや覚えていないだけか。 「まりざのおぼうしをこんなふうにしたのはだれのせいだあああああああああああああああああああああ!!!!」 「あのにんげんさんでしょ!?」 「ちがううううううううううううううううううう!!!おまえだあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「ゆええええええええええええ???!!どぼじでえええええええええええええええええええええええええええ!!!??」 犯人が自分だということに驚いているれいむ。 まあ当たり前か、餡子脳だし自分がしたことなんて覚えていないんだろ。 ・・・いや違うな、まさかトンボの代わりに帽子を噛み千切ったなんて思ってないんだな。 どのみち噛み千切ったことに代わりはないが。 「ひどいよれいむ・・・!まりさの・・・まりさのおぼうしをこんな、こんなあああああああ!!!!」 「れいむのせいじゃないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお??!あのにんげんさんのせいでしょおおおおおおおおおおおおおお??!!」 お前のせいだって。 「うそいわないでね!あのにんげんさんはなにもしてないでしょ!!」 「しょうじゃよ!こにょうしょちゅき!」 「しょうじゃよ!あんにゃまにゅけがおちょうしゃんのおびょうちやぶけりゅわけないでちょ??!」 ビキィ!!おい、子れいむ・・・。 その言葉はいらないんじゃないかい? 「ゆぅ・・・おちょうしゃんのおびょうちが・・・・」 「・・・・・・・ごめんね、おちびちゃん・・・これじゃあおぼうしでみずのうえをわたることもできないよ・・・いっしょにおしえれなくなってごめんね・・・」 「で、でもおびょうしでたかい、たかいさんは・・・!」 「それもむりみたい・・・すぐはずれちゃいそうだよ・・・」 「「しょんなぁ・・・」」 たかい、たかいさんとはお帽子のつばに赤ゆや子ゆっくりの乗せて、 トランポリンのように自分の子供をジャンプさせるゆっくりの遊びの一種。 ゆっくりは高く持ち上げられたり飛ばされたりすると「おそらとんでるみたい!!」と言う。 その時のゆっくりの表情は無邪気な子供のような顔で本当にお空を飛んでる感覚になるという。 空を飛べないゆっくりにとってこの遊びはとても人気なのだ。 しかし、れいむによって噛み千切られたお帽子は重みを失くし、 ちょっとの衝撃でお帽子が外れてしまう状態になっている。 これではもう直さない限り遊ぶことはできない。 「やじゃあああああ!!!たきゃい、たきゃいちちゃいいいい!!!」 「れいみゅ!まりちゃがおおききゅなっちゃらやっちぇあげりゅじぇ!!」 待て子まりさ、それは無理だ。 その頃にはお前と子れいむは同じ大きさになっている。 そんな状態で高い、高いなんてしてみろ潰されるぞ。 「じぇんぶおきゃーしゃんのしぇいだよ!」 「どぼじでそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!??」 「しょうじゃよ!おちょうしゃんのおびょうちをたべちゃおきゃあしゃんにゃんかちね!!」 「ちね!!」 「「ゆっくちちないでちねぇ!!」」 「なんでそんなひどいこというのおおおおおおおおおおおおおおお???!!れいむなにもわるくないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「じゃあそのくわえているものはなんなの??!」 「ゆ?・・・・・・・・こ、これはあああああああ!!!??」 ようやくれいむが自分が咥えていたまりさのお帽子の噛み千切ったものに気がついた。 自分のしたことを理解して顔を青ざめるれいむ。 「しんじられないよ・・・・れいむ・・・こんなことするなんて」 「きっちょれいみゅたちもたべりゃれちゃうんだよ!」 「きょわいよおおお!!」 「ちがうよおおおお!!!とんぼさんをつかまえようと・・・」 「いいわけしないでね!!!とんぼさんなんてどこにもいないでしょ??!うそばっかりつかないでね!!」 「もういいよ、おちょうしゃん!こんにゃくじゅにゃんかほっちょいちぇゆっくちできりゅばしょにいきょうよ!」 「そうだね!れいむとはこれでりこんだよ!!」 「そ、そんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」 「いもうちょたちもいきゅよ!」 「ゆ?」 「ゆ~・・・ゆっくち・・・」 寝ていた妹の赤ゆっくりたちを起こし別の場所に向かうまりさたち。 れいむは泣き崩れてその場にいたままだった。 「で、でいぶ・・・・!!なにもわるくないのに・・・・!!なんでこんなごどにぃ・・・・!!!?・・・・・・・・・ゆ?」 その時れいむの前にさっきまりさのお帽子に止まっていたトンボがれいむの目の前に飛んでいた。 泣いているれいむを笑うかのように現れて。 「もとはといえばとんぼさんのせいだよ!」 いや、トンボは悪くない。 絶対悪くない。 「とんぼさんはれいむにせいさいされてね!!!」 れいむは高く飛び上がり、トンボを潰そうとする。 しかしトンボはその身のこなしで簡単にれいむの攻撃をかわした。 「ゆぎいいいいいいい!!!よけるなあああああああああああああああああああ!!!」 何度も何度も踏み潰そうとするれいむだが、 トンボはそんな攻撃に物ともせず避ける。 避けるトンボを追いかけて公園の奥まで行くれいむ。 「ぜぇ・・・・・・・ぜぇ・・・・・・・・・・」 連続でジャンプし、踏み潰そうとしたためれいむの体力はもう無くなっていた。 が、れいむの中ではトンボを追い詰めたと思っているらしい。 飛んでいるトンボを睨みつけ攻撃宣言する。 「つ、ついにおいつめたよ!!!おとなしくれいむに・・・・・・・ せ い さ い さ れ て ね !!!」 ダンッ!!! 「あっ」 れいむは高く飛び、トンボを確実に潰すため力いっぱい飛んだ。 そしてその行き着く先は・・・・ 水が溜まっている噴水の中だ。 ドボンッ!!!! 「ゆがばがべばぎば????!!」 飛んだ先が噴水の中とは知らなかったれいむは何もできずに溺れていく。 もとい、ゆっくりが泳げるわけがない。 水を吸い、皮が徐々にふやけていき溶けていくだろう。 「どぼじでぇ!!?でぶぶごんばばっばめびいい!!!」 哀れいむ、トンボを捕りたいためにした行動がこんなことになるなど思っても見なかったろう。 まりさのお帽子を噛み千切り、子供には罵倒され、離婚し、トンボにはバカにされ、そして最後には噴水の中で誰にも助けられずに死んでいく。 俺が知っているゆっくりの哀れな死に方でもそれなりの上位にランクインしたな、おめでとう。 でも俺は最後にあのれいむに言っておきたい一言はある。 噴水に近づきれいむの様子を見る俺。 俺を見て助けに来てくれたのかと思い喜ぶれいむ。 んなわけないだろとにやけながら・・・ 「ざまーみろ、バーカ」 「がぼ・・?!」 え?助けると思ったの?ばかなの?死ぬの? さっき俺を犯人扱いしたのどこぞのゆっくりさんでしたっけ? そんな奴を俺が助けるわけ無いでしょ? どんだけ自分中心なんだよ糞饅頭。 「がぼ!ぼばばっば!!!」 助けて、許してくださいってところかな? まぁ助けないけどね。 俺は噴水から離れて家へと帰る。 やっぱり夏の暑さに勝てるのはエアコンの冷房くらいか、さっきから汗が止まらん。 ああ、不快だ、早くこの汗をどうにかしなければ。 帰る途中「やべでえええええええ!!ばりざのおちびちゃんがああああああああ!!!」という声がして、 見た先には虐待お兄さんらしき人があのまりさと子ゆっくり共を虐待していた。 その手に握られているのは俺を馬鹿にしたあの子れいむ。 それを見た俺は・・・・ 「ざまぁ」 と言って家に帰った。 あの親子がどうなったか俺は知らない。 さっきまで飛んでいたトンボは俺の目の前を横切り空へ飛んでいく。 あのゆっくり共、中々あほなことしてくれたよな。 なぁ、トンボ。お前もそう思うだろ? あとがき 公園に行ったらさ、トンボが飛んでてさ、一瞬で思いついたんだよ これはいけるってね。 改めて外に行くのっていいよね。 今まで書いた歪み 加工所本部 前編・後編 れいむその後 まりさその後 14番れいむのその後 れみぃと野良豆ゆっくり 前編・後編 あいつらの違い れいむはいい飼いゆっくりさ 折れた「ぐんぐにる」 ドスれいむ 追われるれいむ ゆなら HENTAIお姉さんとクイーンありす 消費期限切れのお菓子を与えてみた HENTAIたちの無双劇 HENTAIフルコース 小舟のお家 ぷでぃんの真実
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2503.html
『トンボを捕まえたかっただけなのに・・・』 13KB 不運 自業自得 家族崩壊 野良ゆ 現代 十月だけど別にいいよね? ・公園を題材にしようと近くの公園に行ったら思いついたネタ ・九月の終わりごろの設定です トンボを捕まえたかっただけなのに・・・ 麦茶あき 九月末― まだ八月の猛暑が続いており、俺たち人類に地獄のような日照りが続いた頃、 俺は近くの公園で休んでいた。 「あちぃ~・・・・」 九月だというのに何だこの暑さは・・・俺たちを殺す気か太陽。 ただ今日は許してやろう、普段より少し涼しいし、俺は今、日陰にいるんだ。 木々の陰のおかげで俺の体の温度を冷やしてくれるありがたい植物たち。 ありがとう、おかげでゆっくりできる。 そんなゆっくりたちも公園内にチラホラ住み着いており、 ダンボールらしきものが置かれていた。 毎回思うのだがあのダンボールはどこから拾ってくるのだ?不思議に思う。 まぁ、いい。所詮はゆっくり。 考えるだけ無駄さ。 「ゆー」 「ん?」 噂をすればヒポポタマス・・・いや違う。 ゆっくりだ。 遠くに見えていたダンボールからゆっくりの家族が出てきた。 野良ゆっくりの風貌、小汚い肌、ボロボロのお飾り。 ああ、十人中、十人が野良だと言い切る姿だ。 家族構成はまりさ、れいむ、子れいむ、子まりさ、まだ小さいから赤まりさと赤れいむが出てきた。 典型的でよく人間にアホみたいに喧嘩売る家族構成ナンバーワンな奴らだ。 「おちびちゃんたち!きょうはたいようさんはそんなにあつくないからひなたぼっこしようね!」 「「ゆっくち~♪」」 「まりしゃぼーるしゃんであしょびちゃいじぇ!」 「れいみゅもー!」 「ゆふん、じゃあおとうさんがみてるからね」 どうやらゲスな家族ではない。 普通のゆっくり、善良といったところか? 出てきた小さいゆっくり共は母れいむと一緒に日向ぼっこしたり、 父まりさに見守られながらボール遊びをしていた。 なんという微笑ましい光景だ。 愛でてお兄さんの気持ちが少しはわかった気がする。 「まりしゃはいちびゃんしゃんなんだじぇ!」 「ゆえ~ん!まっちぇよまりしゃああ!!」 「ゆふふ・・・・・」 微笑ましすぎる、れいむの方は赤ゆっくりたちを日向ぼっこで寝かせながらまりさたちのほうを見ていた。 赤ゆっくりたちがボール遊びに参加しないのはまだ体が小さいからかもしれない。 まりさはれいむの視線に気づきニコリと笑顔で返した。 れいむも笑顔で返したがその時、まりさのお帽子に何かがついた。 遠くにいたれいむはその正体に気づいていた。 トンボである。 近頃この近くでよくトンボを見かけるようにもなり、この公園内でもよく飛んでいる姿が見られた。 そのトンボの一匹がまりさのお帽子の先端にピタリと止まったのだ。 トンボというものは棒の先端に止まる習性があり、よくトンボを捕まえる人はその方法でトンボを捕まえてるって聞いたことがある。 まりさのお帽子に止まったままトンボは動かない。 それを見たれいむは。 「まりさ!そこをうごかないでね!!」 「ゆ?」 れいむは大声を上げてまりさに動かないよう指示した。 いきなりそんなこと言われたまりさはわからないという顔をしている。 「どうしたのれいむ?」 「うごかないでねっていってるでしょおおおおおおおおお!!!」 「ゆっ!!?わ、わかったよ!!」 れいむの大声にビクッとなるまりさだがトンボは動こうとはしなかった。 随分肝があるトンボなのか、それとも警戒心がないだけなのか・・・ 恐らくれいむはあのトンボを捕まえようとしているのか、なんとなくそう思った。 まりさはその場を動かず、れいむはまりさの背後に行き慎重にトンボに近づいた。 「そろーりそろーり・・・・・」 距離はほんの数十センチ。 確実に捕まえるため慎重に近づくれいむ。 子ゆっくりたちはそんな行動をとっているれいむを不思議そうに見ていた。 「おきゃーしゃんにゃにしちぇるのじぇ?」 「れいみゅわきゃんにゃーい」 子ゆっくりたちにはトンボは見えていないらしい。 遠くから見ていた俺はその様子をじっと見ていた。 これから始まるであろう、野生(?)の瞬間。 もうトンボが飛んで行きそうなところまで近づいたれいむ。 息を整えリラックスする。 呼吸なんてしてないくせにわざわざそんなことする必要があるのかと突っ込みたくなった。 れいむは覚悟を決めトンボを睨みつけた。 それから数秒、無駄な時間が流れ、ゆっくりからすればまるで時が止まったかのような感覚だが、 遠くから見ていた俺には早くしろと言いたくなった。 そしてれいむはトンボに噛み付こうとする。 口を大きく開け歯をむき出しにしてトンボを噛み付く。 ゆっくりとは思えないスピード。 ブチッ!という音がした後、静寂が訪れた。 「ゆ?れいむなにしたの?」 後ろが見えないためまりさはれいむが何をしたのか見えなかった。 が、子ゆっくりたちにはしっかり見えていたらしい。 その顔はまるで捕食種に会ったかのような絶望的な顔をしているが。 「ゆ?おちびちゃんどうしたの?」 「お・・・お・・・」 「お?」 「おちょうちゃんのおびょうちがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「おぼうし?おとうさんのおぼうしがどうかしたの?」 まりさは子まりさの言葉が気になり、おさげを使ってお帽子がどうなっているか確認した。 自分で見えるところまで置くといつも自分が被っているものとなんか違った。 どこが違うのか考えたところ、さすがは餡子脳、理解するのに十分もかかった。 そう、まりさのお帽子の先のちょんまがった所から頭すれすれまで引きちぎられていた。 それを理解したまりさは絶叫した。 「ばりざのおぼうじがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」 変わり果てたお帽子。 何故こんなことになっていると喚きながらお帽子に泣きつくまりさ。 その犯人はもちろん・・・・ 「まりちゃはみちゃよおおお!!はんゆんはおきゃああしゃんだよおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ??!」 「おきゃああしゃんがおちょうしゃんのおびょうしをちゃべちゃったんじゃよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「ゆゆ、おちびちゃんそんなばかなこといわないでね。れいむがそんなことするはず・・・・」 まりさは振り向き後ろにいたれいむを見た。 その目に映ったのはトンボを捕まえたかのように口をもごもごさせて、噛み千切ったまりさのお帽子の布を齧っているれいむ。 黒い布が自分のお帽子だと気づくのはそう遅くはなかった。 信じられないものを見たかのように固まるまりさ。 「れ、れいむ・・・・・?」 「ゆ~ん、とんぼさんにがしちゃったよ・・・ゆ?まりさどうかした・・・・・って、おぼうしどうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!???」 夫であるまりさのお帽子がとんでもないことになっていることに気づいたれいむ。 まりさに近づき驚愕の表情のまま固まっているまりさに擦り寄った。 「まりさ!おぼうしどうしたの??!だれにやられたの??!」 れいむが心配そうにまりさにすりよるが一瞬まりさがピクッと反応したのは気のせいか? 「ゆ!わかったよ!きっとあそこにいるにんげんさんのしわざだね!」 え?なんか俺のせいにされているんですけど。 俺なにもしてないよ?むしろれいむ、お前だよね引きちぎったの。 「ゆるさないよ!せいさいしてくるからまりさはまってて・・・・・」 「ふ・・・・・」 「ゆ?」 「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「ゆべええええええ???!!」 まりさがれいむに体当たりをした。 思いっきりやられたため、れいむは思っていた以上に吹き飛ばされた。 「ば、ばりざああああ!!なにずるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「でいぶうううう!!!じぶんがなにじたがもうわすれたのおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ?れいむなにかした??」 もう忘れている、いや覚えていないだけか。 「まりざのおぼうしをこんなふうにしたのはだれのせいだあああああああああああああああああああああ!!!!」 「あのにんげんさんでしょ!?」 「ちがううううううううううううううううううう!!!おまえだあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「ゆええええええええええええ???!!どぼじでえええええええええええええええええええええええええええ!!!??」 犯人が自分だということに驚いているれいむ。 まあ当たり前か、餡子脳だし自分がしたことなんて覚えていないんだろ。 ・・・いや違うな、まさかトンボの代わりに帽子を噛み千切ったなんて思ってないんだな。 どのみち噛み千切ったことに代わりはないが。 「ひどいよれいむ・・・!まりさの・・・まりさのおぼうしをこんな、こんなあああああああ!!!!」 「れいむのせいじゃないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお??!あのにんげんさんのせいでしょおおおおおおおおおおおおおお??!!」 お前のせいだって。 「うそいわないでね!あのにんげんさんはなにもしてないでしょ!!」 「しょうじゃよ!こにょうしょちゅき!」 「しょうじゃよ!あんにゃまにゅけがおちょうしゃんのおびょうちやぶけりゅわけないでちょ??!」 ビキィ!!おい、子れいむ・・・。 その言葉はいらないんじゃないかい? 「ゆぅ・・・おちょうしゃんのおびょうちが・・・・」 「・・・・・・・ごめんね、おちびちゃん・・・これじゃあおぼうしでみずのうえをわたることもできないよ・・・いっしょにおしえれなくなってごめんね・・・」 「で、でもおびょうしでたかい、たかいさんは・・・!」 「それもむりみたい・・・すぐはずれちゃいそうだよ・・・」 「「しょんなぁ・・・」」 たかい、たかいさんとはお帽子のつばに赤ゆや子ゆっくりの乗せて、 トランポリンのように自分の子供をジャンプさせるゆっくりの遊びの一種。 ゆっくりは高く持ち上げられたり飛ばされたりすると「おそらとんでるみたい!!」と言う。 その時のゆっくりの表情は無邪気な子供のような顔で本当にお空を飛んでる感覚になるという。 空を飛べないゆっくりにとってこの遊びはとても人気なのだ。 しかし、れいむによって噛み千切られたお帽子は重みを失くし、 ちょっとの衝撃でお帽子が外れてしまう状態になっている。 これではもう直さない限り遊ぶことはできない。 「やじゃあああああ!!!たきゃい、たきゃいちちゃいいいい!!!」 「れいみゅ!まりちゃがおおききゅなっちゃらやっちぇあげりゅじぇ!!」 待て子まりさ、それは無理だ。 その頃にはお前と子れいむは同じ大きさになっている。 そんな状態で高い、高いなんてしてみろ潰されるぞ。 「じぇんぶおきゃーしゃんのしぇいだよ!」 「どぼじでそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!??」 「しょうじゃよ!おちょうしゃんのおびょうちをたべちゃおきゃあしゃんにゃんかちね!!」 「ちね!!」 「「ゆっくちちないでちねぇ!!」」 「なんでそんなひどいこというのおおおおおおおおおおおおおおお???!!れいむなにもわるくないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「じゃあそのくわえているものはなんなの??!」 「ゆ?・・・・・・・・こ、これはあああああああ!!!??」 ようやくれいむが自分が咥えていたまりさのお帽子の噛み千切ったものに気がついた。 自分のしたことを理解して顔を青ざめるれいむ。 「しんじられないよ・・・・れいむ・・・こんなことするなんて」 「きっちょれいみゅたちもたべりゃれちゃうんだよ!」 「きょわいよおおお!!」 「ちがうよおおおお!!!とんぼさんをつかまえようと・・・」 「いいわけしないでね!!!とんぼさんなんてどこにもいないでしょ??!うそばっかりつかないでね!!」 「もういいよ、おちょうしゃん!こんにゃくじゅにゃんかほっちょいちぇゆっくちできりゅばしょにいきょうよ!」 「そうだね!れいむとはこれでりこんだよ!!」 「そ、そんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」 「いもうちょたちもいきゅよ!」 「ゆ?」 「ゆ~・・・ゆっくち・・・」 寝ていた妹の赤ゆっくりたちを起こし別の場所に向かうまりさたち。 れいむは泣き崩れてその場にいたままだった。 「で、でいぶ・・・・!!なにもわるくないのに・・・・!!なんでこんなごどにぃ・・・・!!!?・・・・・・・・・ゆ?」 その時れいむの前にさっきまりさのお帽子に止まっていたトンボがれいむの目の前に飛んでいた。 泣いているれいむを笑うかのように現れて。 「もとはといえばとんぼさんのせいだよ!」 いや、トンボは悪くない。 絶対悪くない。 「とんぼさんはれいむにせいさいされてね!!!」 れいむは高く飛び上がり、トンボを潰そうとする。 しかしトンボはその身のこなしで簡単にれいむの攻撃をかわした。 「ゆぎいいいいいいい!!!よけるなあああああああああああああああああああ!!!」 何度も何度も踏み潰そうとするれいむだが、 トンボはそんな攻撃に物ともせず避ける。 避けるトンボを追いかけて公園の奥まで行くれいむ。 「ぜぇ・・・・・・・ぜぇ・・・・・・・・・・」 連続でジャンプし、踏み潰そうとしたためれいむの体力はもう無くなっていた。 が、れいむの中ではトンボを追い詰めたと思っているらしい。 飛んでいるトンボを睨みつけ攻撃宣言する。 「つ、ついにおいつめたよ!!!おとなしくれいむに・・・・・・・ せ い さ い さ れ て ね !!!」 ダンッ!!! 「あっ」 れいむは高く飛び、トンボを確実に潰すため力いっぱい飛んだ。 そしてその行き着く先は・・・・ 水が溜まっている噴水の中だ。 ドボンッ!!!! 「ゆがばがべばぎば????!!」 飛んだ先が噴水の中とは知らなかったれいむは何もできずに溺れていく。 もとい、ゆっくりが泳げるわけがない。 水を吸い、皮が徐々にふやけていき溶けていくだろう。 「どぼじでぇ!!?でぶぶごんばばっばめびいい!!!」 哀れいむ、トンボを捕りたいためにした行動がこんなことになるなど思っても見なかったろう。 まりさのお帽子を噛み千切り、子供には罵倒され、離婚し、トンボにはバカにされ、そして最後には噴水の中で誰にも助けられずに死んでいく。 俺が知っているゆっくりの哀れな死に方でもそれなりの上位にランクインしたな、おめでとう。 でも俺は最後にあのれいむに言っておきたい一言はある。 噴水に近づきれいむの様子を見る俺。 俺を見て助けに来てくれたのかと思い喜ぶれいむ。 んなわけないだろとにやけながら・・・ 「ざまーみろ、バーカ」 「がぼ・・?!」 え?助けると思ったの?ばかなの?死ぬの? さっき俺を犯人扱いしたのどこぞのゆっくりさんでしたっけ? そんな奴を俺が助けるわけ無いでしょ? どんだけ自分中心なんだよ糞饅頭。 「がぼ!ぼばばっば!!!」 助けて、許してくださいってところかな? まぁ助けないけどね。 俺は噴水から離れて家へと帰る。 やっぱり夏の暑さに勝てるのはエアコンの冷房くらいか、さっきから汗が止まらん。 ああ、不快だ、早くこの汗をどうにかしなければ。 帰る途中「やべでえええええええ!!ばりざのおちびちゃんがああああああああ!!!」という声がして、 見た先には虐待お兄さんらしき人があのまりさと子ゆっくり共を虐待していた。 その手に握られているのは俺を馬鹿にしたあの子れいむ。 それを見た俺は・・・・ 「ざまぁ」 と言って家に帰った。 あの親子がどうなったか俺は知らない。 さっきまで飛んでいたトンボは俺の目の前を横切り空へ飛んでいく。 あのゆっくり共、中々あほなことしてくれたよな。 なぁ、トンボ。お前もそう思うだろ? あとがき 公園に行ったらさ、トンボが飛んでてさ、一瞬で思いついたんだよ これはいけるってね。 改めて外に行くのっていいよね。 今まで書いた歪み 加工所本部 前編・後編 れいむその後 まりさその後 14番れいむのその後 れみぃと野良豆ゆっくり 前編・後編 あいつらの違い れいむはいい飼いゆっくりさ 折れた「ぐんぐにる」 ドスれいむ 追われるれいむ ゆなら HENTAIお姉さんとクイーンありす 消費期限切れのお菓子を与えてみた HENTAIたちの無双劇 HENTAIフルコース 小舟のお家 ぷでぃんの真実
https://w.atwiki.jp/avin_unicorn/pages/523.html
クエスト紹介街 ベネツェア 必要スキル イタリア語 生態調査1 生物学3 報酬 22,000D 難易度 ☆☆☆☆ 発見物 アオマダラヤンマ アイテム その他 攻略順序 ナポリの学者 → ジェノバの学者 → 書籍(生物学) → ジェノバの郊外
https://w.atwiki.jp/hengtouhou/pages/1329.html
モンスター/昆虫 巨大ゴールド・トンボ/Giant gold dragon fly (Yellow I; ) === Num 325 Lev 18 Rar 2 Spd +10 Hp 3d8 Ac 20 Exp 78 激しくはばたく長い羽を持ち、光沢のある体をした昆虫だ。やかましい羽音を部屋中に響かせている。 それは通常地下 18 階で出現し、かなり不規則に、かつ素早く動いている。 この獣を倒すことは 1 レベルのキャラクタにとって 約468.00 ポイントの経験となる。 それは空を飛んでいる。 それは衝撃波のブレスを吐くことがある(確率 1/9)。 それはドアを打ち破ることができる。 それはまれにテレパシーで感知できる。 それは炎と轟音の耐性を持っている。 それは進化しない。 それは侵入者を見過ごしがちであるが、 120 フィート先から侵入者に気付くことがある。 それは1d3 のダメージで噛んで攻撃する。 雑感 名前
https://w.atwiki.jp/mushigorou/pages/357.html
#blognavi 左からシオカラトンボ♂、シオカラトンボ♀、アキアカネだと思うけど、どうでしょうねぇ。 山口県山口市 撮影 むしごろう カテゴリ [トンボ目] - trackback- 2006年12月01日 08 53 10 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/wiki3_hope/pages/180.html
条件なし 「まだ戦時の空気に慣れていない者がいますね。私は…、当然慣れていませんが、 ふてぶてしく見せる事には慣れてますからな」 「部下にちゃんと指示するがいい。 単に後ろについて来させるだけが、 芸じゃないぞ。」 「休戦期までに、どれだけ兵力を保たせる事ができるか… ふふ、まったく手がありすぎて困りますよ」 「さて、今日も汚れ仕事をしますか… 隊長は奇麗で立派である必要がありますからな。 ま、これも分業ってヤツですよ」 「他人の訓練のことはあまり気にするな。 人間などというものは、生き残り たければ勝手に努力するものだ」 「隊長たるもの、片時も気を抜いてはいけませんよ? 隊長らしい威厳を示しておかないと、 下になめられてしまいますからね」 「ふっ、学兵として偉ぶるためにも 成績は落とせませんな。 隊長、あなたも頑張りなさいよ」 「幻視は体育館の鏡で鍛えられる。 まあ、出来たらどうって訳じゃないが」 「同調は屋上で訓練出来る。 必要かどうかは知らんが」 「兵科ランクの高い偵察兵は視界が広がる。 いい手だと思うが、どうだ?」 「動物兵器と分離して戦う事が出来るが、 わかれた後の動物兵器がどう動くかは、 その動物兵器の性格次第だ」 隊員について 「源 健司か。 まあ、頭が悪くて性格が悪い以外は マシな方だ。」 英吏は、健司を絶賛している。 「金城ですか? 優秀だと思います。 女としてもまあ、好みですな。」(NPC源がエントリーしていないorPC源) 女としてはまあ、好みではありますが、 先客がいるんで。 そいつに譲ります」(NPC源がエントリーしている) 「竜造寺ですか? 坊やですよ」 「竜造寺ですか?いや、戻るついでにきっちり 補給品は送るように言えと伝えておきましたが。 今更奴の使い道なんてそんなものでしょう」(竜造寺イベントを進める) 「……坊ちゃんは坊ちゃんだが、 竜造寺は意地を貫いたな。 謝ってきます。 俺は心の中で奴を見くびっていた」(竜造寺イベントを進める・生還時) 「……まさかあそこで死ぬとは。 竜造寺には戻ってロビー活動をさせようとして いたのですが……まずいな。」(竜造寺イベントを進める・死亡時) 「柱はどこぞの高官の令嬢ですよ。 軍人向きの性格でないので、 かなり心配しています」 「深澤は、使える奴だ」 「國分か。コメントすべき内容はない。 しいて言えば、まあ、枯れ木も山の賑わいだ」 「國分か。口だけならどうとでもいえる。 死ぬ時まで、それがいえるかどうかが問題だ」(國分イベントを進める1) 「國分か。嘘でもあれだけ言い張れれば価値が あるな。宣伝材料に使ってみるか」(國分イベントを進める2) 「先内ですか? 優秀な男です。 奴は使える。使うべきです。」 「あ、悪魔だ。斎藤は悪魔だ……。」 「この間の戦闘では隊長の趣味の一環が知れて、 なかなか、面白かったですな。 第2部はないんですか?」(斎藤イベントを進める/戦闘イベント後) 「紅か。 いい女だ。」 知ってるか? あの女、俺とゲンが殴りあいをした時に、 俺をかばったぞ。」(部隊に源がいる場合追加) 「牧原 倖… あまり記憶にありませんな。 データは頭にはいっておりますが、 キャラクター(性格)まではなんとも」 「牧原妹ですか。 はて、兵員としてはそこそこですが。 何ぶん性格までは…。 男として言えば、私の趣味ではありませんな。 まったく。 私は不幸な女が好きなのであって、不幸ぶってる女が好きなわけではありません」 「結城 火焔か、 ふ…、面白い女だ。 あれの近くにいると、 何もかもがバカバカしくなってくる」 「結城 火焔か。 無理はさせるなよ。 …絶対にさせるな」(結城イベントを進める) 「伯爵は、我々のお目付け役です。 ま、文部省が軍事力を持つ事を嫌がり、 防衛省製の鈴をつける事にしたんですな」 「風間か。 戦力評定A 士気もいい。 歳を食いすぎて戦闘にはつかえんが、 まあ、オブザーバーとしては使えるだろう。 ありがたい」 「理想の上司ですが、理想すぎて私には荷が重いですな。 貴方くらいが丁度いい」(善行?) 「神々の言葉に耳を傾けすぎると、 戻ってこれなくなりますよ」(スキピオイベントを進める・カラス後) 「俺は、誰にでも笑うような女は好かん。 それだけだ」 「石津か。 …まあ、俺は関わりたくはない人間だ。 有能だし、まあ、笑うと少しは可愛い事は 認めよう。 だが、俺に関わったらあの女は不幸になる。 だから、関わり合いたくはない」 「石津が貴方に、何だか意味はわからないが 説教しているのを見て、女は怖いと 思いました。 男ごときが勝てるわけもない」(戦闘イベント後) 「…滝川陽平。 やりにくい相手だ。 頭は悪いが、その分勘が鋭い」 「俺が分家筋なら、芝村舞というのは本家筋だ。 お手並み拝見だ」 勲章授与/昇進 【昇進】 「ふふ、昇進おめでとう その権限、俺のために使ってくれよ。 もちろん見返りは充分用意してあるからな」 【手作り勲章】 「人心掌握も隊長の勤めさ…。 ま、俺には向いてない仕事だから、 その辺りは貴方に任せよう」 【一等賞メダル】 「ほう…、それがあのメダルか…。 オレは取ろうとは思わないが…。 確かに貴方にこそ似合うものだろうな」 【火の国の宝剣】 「ほう、火の国の宝剣か…。 おい、気を付けろよ…、これでお前は一種の 生きる伝説になったんだ…。 運命に翻弄される事になるだろう…」 【極楽トンボ章】 「…お前は馬鹿だな…。 その勲章をつけさせられるのは罰なんだ。 だから、もっと恥じ入れ…。 …それとも恥辱なプレイとして楽しんでいるのか? …理解できん…」 【銀楯従事章】 「ふふふ、貴方は部隊の誇りだ。 これがある事で、うちの隊の格があがる…。 むざむざウチを無視できなくなりますよ」 【銀剣突撃勲章】 「おいおい、活躍の場はパイロットに与えてやったらどうだ? 指揮官なら、見せ場を作ってやらないとな」 【市民からの感謝状】 「あまり紙切れ一枚にありがたみは感じないな。 民間人保護は当然の任務であって、 特別感謝されるいわれはないだろう」 【奪回従軍記章】 「ふふ、あの土地を復興させれば、 この辺りの戦局にかなりの影響を与えるだろう。 小さなこの記章などでは、報いきれんな」 【防人の盾】 「よく守ってくれたな。 貴方の指揮の正しさは、 その勲章が証明している」 【傷ついた獅子勲章】 「感情を捨てるんだ…。 酷な欲求をしているが、隊長ともなれば、 その程度の事出来なくてどうする? さあ、毅然としろ! 胸を張るんだ!」 【黄金突撃勲章】 「俺は驚かんぞ。 勝ち続ければ、この勲章に辿り着くのは 当然の慣わしだからな」 【黄金剣翼突撃勲章】 「ふふ…。瞳に憂いの光を帯びてきたな。 悲しみを知る間は、まだまだまともさ。 とにかく、黄金剣翼突撃勲章、おめでとう」 【黄金武士団勲章】 「ふふ、黄金突撃勲章受賞者を何人も召抱える部隊の大将の証だ。 常勝軍のシンボルだな」 【黄金剣翼武士団勲章】 「これで名実ともに、我が軍のトップの部隊だな。 だが、今後も同様な活躍を期待される…。 …辛い戦いになるかもな…」 【議会名誉勲章】 「まったく貴方は金の卵を産むガチョウだ…。 この章を賜った部隊である我々は、恐らく どんな局面でも国に見捨てられないだろうよ」 【勝利勲章】 「ふふ、我が軍に貢献した事のご褒美だ。 今後、上層部に図々しい要求が通りやすくなる。 大いに利用せねばな…」 【絢爛舞踏章】 あの英吏が、冷や汗をかいていた…。 「お、俺の、計算外だったな…。 まさか、貴方が…」 戦況/戦闘結果 【優勢】 「……少し計算が狂いました。 人類優勢になる所までは考えていましたが、 我々に攻撃が集まるまでは考えてませんでした」 【有利】 「敵が本腰入れてきたな。 …生き残る可能性が出てきた。 今の所、俺の計算通りですからね」 【均衡】 「勢力均衡状態です。 我々のような飛び地に、 それが何の意味があるかはわかりませんが」 【不利】 「まずいな…、敵がこっちを後回しにしている。 という事は味方は押されていて、味方と我々の 距離はさらに開きはじめている…。 下手すれば、我々以外、全滅という事もありうる…」 【劣勢】 「どうやら、がんばって活躍する時がきたな。 味方が負けるのは構わんが、 負けすぎるとこっちの救出に支障が出る。 多少は目立って、敵を引付けねばならないだろう」 【退院】 「おうっ、帰ってきてくれたな…」 英吏はそれ以上何も言わず、 黙って肩に手を置いた。 【大勝翌日】 「おう、俺の片腕じゃないか…。 傍らにいないと不安でしょうがないんだが…。 まあ、行動まで制限出来んからな…」 期間限定 【朝】 「ん。 芝村に挨拶は無いんだ」 「おう、どうかしたか?」(評価高) 【日曜日】 「隊長、暇なら部隊のために心血を注いで下さい。 鍛錬でも訓練でも何でも構いません。 要は一秒たりとも無駄にしない事です」 「ふふ、俺には休日などありませんよ。 ただ隊長は規範を示すためにも、ゆっくりと 寛いでいてもらいたいですな」 【定期イベント】 「カラオケ文化は、まったく根の深い物があるようですな。 みんな浮き足だっているようだ。 や、私はまったく関心ありませんが。 …どうせ自身ありませんよ」(カラオケ大会) 「体育祭か…。 少し煩わしいな…。 …いや、自信が無いからってワケではないぞ?」(体育祭) その他条件 「…仕事さえ上手くできていれば、 ことさら俺と貴方が仲良しである必要は無いな。 貴方も同感だろう?」(友情・普通) 「…激務の合間に、無駄話して気分転換できるというのは、 大きく見れば効率的ではあるな。…俺流の友達の褒め方だ」(友情・中評価) 「お前に個人的な物質的支援をしてやりたいんだがこのご時世ではな…。 だからせめて、ハートは満たしてやりたい…」(友情・高評価) 「…なんだ、欲求不満…じゃないか? いや、なんかそんな気がしたんだが…。俺の勘違いかな」(愛情・普通) 「…その表情は…、またイイ顔だな…。 ふふふ、他のヤツには見せるなよ。 独り占めさせろ。」(愛情・中評価) 「…どうした?何を照れている? そうか…、思い出していたのか。 フフフ、仕方のないヤツだ」(愛情・Hな雰囲気) 「…お前さえよければ、芝村の一族にお前を招きたい…。 …カダヤならば、当然の事なんだぞ?」(恋人) 「誰かに惚れる…か。 守るために戦う、というのもロマンチックだな。 ま、俺に似合わないのは百も承知だが」(愛している) 「俺とお前…もっと信頼を築かないといかんな。 いざとなると反目し合いかねんからな」(信頼・普通) 「…隊長と参謀って間柄は、やっぱり能力を 認め合い、人間的にも信頼しあうのが大切だな。 …どうだ、俺達は合格点の関係じゃないか?」(信頼・中評価) 「…このご時世だ…、相手に情を寄せると、守る者が多くなって煩わしい事もあるが…。 その点、貴方は安心できる…」(信頼・高評価) 「嫉妬か…、不愉快な感情ではあるが…、 新鮮でもあるな…。 かといって、浮気を許すつもりはないぞ?」(嫉妬) 「ふ…、この俺を敵に廻すとは、な。 もっと利口かと思っていたぞ? まあ、いい、時期が来たら処分してやろう」(仲違い) 「悪いが、しばらく絶縁させてもらう。 その方が職務に専念出来そうなんでな」(大敗翌日・関わりたくない) 芝村英吏 提案 / 派生 / シナリオ / キャラ
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/188.html
OLとシオカラトンボ 3 859 ◆93FwBoL6s.様 思わず、耳を疑った。 まさか、こいつの胸郭からそんな言葉が発声されるとは。ヤンマは心底驚きながら、背後に振り向いた。シオカラはいつものようにへらへらと笑っていて、ヤンマが殴り倒した五匹の羽アリ人間を片付けていた。街の上空を飛び回っていたヤンマに絡んできた連中で、路地裏に連れ込んで十秒と立たずに倒したのだ。そして、事を終えたヤンマが飛び去ろうとすると、どこからともなくシオカラが現れた、というわけである。 シオカラが家族ごと上京して以降、シオカラは何はなくともヤンマを追いかけてきてはまとわりついている。地元時代は中学高校と後輩でもあったので、会う機会は多かったが、ぞんざいにあしらってばかりいた。だが、ヤンマが高校を卒業し、シオカラが茜と同じ高校に転校してからは、馴れ馴れしさが増長してきた。正直鬱陶しいが、茜以外でそこまで慕ってくれるのはシオカラぐらいなものなので、はねつけられずにいた。 駅前の大通りから外れた裏路地の、更に奥まった袋小路の中で、ヤンマは黒い爪を振って汚れを払った。そして、再度シオカラに振り返ると、シオカラは人間で言うところの笑みを見せるかのように顎を広げていた。 「…でえと?」 ヤンマがシオカラの言葉を反芻すると、シオカラは透き通った羽を細かく揺らした。 「そうっすそうなんす、俺っち、デートするんすよ! つか、マジヤバくないっすかパネェっすよね!?」 「ああ、そうだな。ヤバすぎてどうしようもねぇや」 ヤンマは羽アリ人間を小突き、昏倒していることを確かめてから、薄汚れた壁に背を預けた。 「相手は虫か、獣か、それとも人か?」 「人間っすけど!」 「じゃ、尚更ヤバいじゃねぇかよ。お前なんかがデートなんて、百年早ぇ」 ヤンマは爪に張り付いた羽アリ人間の体液を刮げ取り、足元に投げ捨てた。 「んで、俺にその話を聞かせてどうしろってんだよ」 「解り切った話じゃないっすか、兄貴! つか、兄貴は茜をどこに連れていくっすか!?」 シオカラに詰め寄られたので、ヤンマは下右足を上げてシオカラを阻んだ。 「そんなもん、自分の脳みそで考えろ!」 「考えても解らなかったから聞いてんじゃないっすかあ、兄貴ぃ!」 「だっ、大体、俺のなんて参考にするんじゃねぇよ!」 シオカラを蹴り倒したヤンマは、長い腹部を反らした。 「茜は良い奴だから、俺があいつをどこに連れて行こうが基本的には喜んでくれるが、俺に気を遣ってんだよ! 後から聞いたら、楽しんでたのは俺だけだって場所も多かったし、ていうか俺はああいうのは苦手なんだよ! で、でも、たまにはそれらしいことしねぇと彼氏の立場がねぇし、茜が喜ぶ顔も見たい、っていうか何言ってんだ!」 うぁ゛ー、と頭を抱えたヤンマは、自分で言った言葉に恥じ入った。ヘタレぶりを暴露してどうする。 「ていうか、俺よりも当てになりそうなのがいるだろうが。まずはそっちに聞けよ」 「心当たりは聞いてみたんすよ、マジでマジで」 砂埃を外骨格に付けながら起き上がったシオカラは、ヤンマを見上げた。 「最初に祐介兄さんに聞いてみたんすけど、あっちも兄貴と似たようなリアクションっつーか、むしろ兄貴より根が深い感じがしたっす。ほら、アビーさんってあれじゃないっすか、ヨロイ。だから、普通の女性が喜ぶような場所に連れて行こうと思っても、色々と引っ掛かっちゃうじゃないっすか。服が着られないだとか化粧が出来ないだとか、モノが食べられないだとか、まあ色々と。祐介兄さんはマジ悩みしてたっぽくて、最後の方は俺っちが愚痴を聞かされちゃったっす。マジ長かったっす」 確かに、祐介はその手の苦労が多そうだ。隣人の青年の苦悩を思い、ヤンマは嘆息した。 「あいつも大変だなぁ…。てぇことは、アーサーの野郎にも聞いてみたのか?」 シオカラはヤンマに近付き、頷いた。 「もちろんっすよ、真夜の旦那っすから。でも、アーサーの旦那の方が役に立たなかったっすねー、マジで。てか、あの人は真夜に連れて行ってもらう立場っすから。マジ過去の人間っすから、現代のことなんてまるで解らないっすからね。だから、結局は真夜の惚気を聞かされただけっす。マジでマジで」 「つくづく役に立たねぇなー、俺ら…」 ヤンマが肩を落とすと、シオカラは触覚を揺らした。 「でも、俺っち、他に聞く当てなんてないっすから。んで、どこに連れて行けば喜んでくれるっすかね?」 「相手の年代とか、趣味にも寄るだろ。俺の経験上、俺が楽しいところは茜は楽しくなかったからなぁ…」 過去のデートの失敗を思い出したヤンマが項垂れると、シオカラはけらけらと笑った。 「あー、それ、茜から聞いたことあるっすー。兄貴が一人で楽しみすぎちゃって、茜を置いてけぼりにしたんすよねー」 「人の古傷を抉るな! ま、まあ、俺が全面的に悪かったんだが!」 ヤンマはぱかりとシオカラを一発殴ってから、顎を軋ませた。 「そういやぁ、ここんとこデートなんてしてねぇな。茜もバイトやら何やらで忙しいし、俺も仕事があるが、だからって何もしねぇのはまずいよなぁ…。休みを合わせて、適当な場所に連れていかねぇと、拗ねられちまう」 「だから、兄貴、どこに行けばいいっすかね?」 「最初に言っておく! 自分が楽しもうとするな!」 ヤンマは自戒を込めて吐き捨ててから、四枚の羽を広げた。 「後は自分で考えろ! 俺も考えることが出来たからな!」 日没までには帰れよ、とヤンマは釘を刺してから、澄んだ羽を震わせて上昇し、茜色の空へと飛び去っていった。シオカラは滑らかに飛ぶヤンマを見送ってから、足元を蹴り付けて飛び上がり、四枚の羽を震わせて急上昇した。裏路地を成す古びたビルの間を擦り抜けると、鮮烈な西日が全身を焼き、藍色の複眼が朱色に染められてしまった。一瞬、視界を奪われたが、しばらくすると慣れた。夕暮れに染まる町並みは、昼間とは打って変わって幻想的だった。 淀んだ空気が詰まったビル街を取り囲んでいる民家の屋根が朱色に輝いていて、荒く波打つ海面のようだった。東側の空には夜の気配が広がり始めているので、この美しく刹那的な光景が見られるのは、十数分しかないだろう。ヤンマからは早く帰れと言われたが、見逃してしまうのがなんとなく惜しい気がしたので、シオカラは高度を上げた。 初夏の湿っぽい空気が巻き上げられたビル風を羽で切り裂きながら、風を掴んで上昇し、あらゆる建物を超える。街全体を見下ろせる位置に至ったシオカラは、ホバリングして高度を安定させ、無数の生命が蠢く世界を見下ろした。 この中に、ほづみがいるのだろうか。そう思っただけで、無数の複眼に映る景色が、新たな色を帯びた気がした。ほづみにアドレスを伝えたが、あれからほづみから電話もメールも来ることはなく、膨張した期待を持て余していた。連絡もないのに舞い上がり、空回りしている自分に呆れてしまうが、そうでもしなければ身も心も落ち着かなかった。じっとしていると体の芯から焦げてしまいそうで、ほづみに再会した夜に感じた訳の解らない衝動に煽られてしまう。 会えるものなら、今すぐにでも会いたい。けれど、何を話せばいいのか解らないし、会うべきではないとも思った。再会した夜は舞い上がり、ほづみに誘われるまま、再び彼女を抱いてしまったが、それで良かったのかどうか。良くないことだと何度となく思うが、なけなしの理性と自制は青臭い衝動に塗り潰され、結局は流されるままだった。 恋を、しているのだろうか。 そして、日曜日。 ほづみから電話を受け、デートの日程を伝えられたシオカラは、持てる知識を総動員してデートの計画を立てた。ヤンマを始めとした男達の意見は参考にならなかったので、考えるだけ考えて、どちらも楽しめそうな場所を選んだ。けれど、いざ現地に来てみると、何か間違っているような気がした。いや、気でなく、本当に間違えたようだった。 「十何年振りかしらねぇ、こんな場所に来るのは」 長い髪を巻いて後頭部でまとめ、ビスチェの上にジャケットを羽織り、ミニスカートを履いたほづみは呟いた。 「なんか、マジすんません…」 平謝りしたシオカラの背後を、きゃあきゃあと歓声を上げる幼児と若い両親が通り過ぎ、ゲートに入っていった。その上には、可愛らしくデフォルメされた動物に挟まれた看板があり、丸文字の平仮名で、どうぶつえん、とあった。ほづみは大きなサングラスを掛けているが、明らかに怪訝な顔をしていて、シオカラとその看板を見比べている。受付で入場チケットを買っている客層は、親子連れや小中学生のグループが多く、ほづみのような女性はいない。 考えすぎた挙げ句、ヤンマの忠告を生かせなかったらしい。動物園に来たかったのは、シオカラだったのだから。シオカラの地元には動物園はなく、水族館には何度も行ったことはあったが動物園は一度も行ったことがなかった。だから、一度は行ってみたいと心の片隅で思っていたが、だからといって何もこんな時に果たす願いではない。 「まあ、いいわ。最初から期待してなかったし」 ほづみはサングラスを外すと、シオカラを見上げた。 「行きましょ」 「え、あ、いいんすか?」 「せっかく来たんだから、せめて見ていきましょうよ」 「あざーっす!」 シオカラはほづみの心の広さに心底感謝し、彼女に続いて親子連れが連なる受付に並び、入場チケットを買った。それを持って入場ゲートから園内に入った二人は、とりあえず、真っ当に順路を辿って動物を見ていくことにした。ほづみを喜ばせるために来たのだから、とシオカラは自制しようとしたが、入場してすぐの動物を見た途端に切れた。 「ふおおお!」 早速当初の目的を忘れたシオカラは、キリンが悠然と歩いている檻に駆け寄った。 「お姉さんお姉さん、キリンっすよキリン! マジキリンっす!」 「見りゃ解るわよ」 「うおおおお…。すっげぇー、つかマジでけぇー…。マジキリンすぎだし」 顎を全開にして感嘆するシオカラに、ほづみは呆れながらも笑ってしまった。 「今時、キリンなんて珍しくないじゃん」 「や、だって、マジ長いっすよ、首とか足とか」 シオカラは隣に立ったほづみを見下ろし、爪先でキリンを示した。 「そりゃそうだけど」 ほづみは、もしゃもしゃと草を咀嚼するキリンを仰ぎ見た。 「そういえば、前々から思っていたことがあるんだけど」 「なんすか?」 「あんたって、人間じゃないのよね?」 「そうっすよ。俺っちや兄貴は、生まれも育ちも池のトンボっす、マジトンボ」 「だから、あんたは厳密に言えば動物なのよね。なのに、檻に入っている動物を見てもなんとも思わないの?動物園っていう概念、嫌だって思ったりはしないの?」 ほづみにまじまじと見つめられ、シオカラはその視線に戸惑いながらも答えた。 「嫌、っつーか、動物は動物で、俺っち達は俺っち達っすから。たぶん、他の獣人もそう思ってんじゃないっすか?」 「もうちょっと具体的に言ってくれないと、解るものも解らないんだけど」 「んーと、そうっすねー…」 シオカラは驚くほど睫の長いキリンを見つめながら、言いたいことを整理した。 「俺っちみたいなのは人間じゃないっすけど、動物ともその辺の虫とも違うっすから。人間じゃないけど、人間みたいに喋ることも出来るし、俺っちは頭悪いっすけど考えることも出来るし、本能はあるけど理性である程度押さえられるし。だから、人間じゃないけど動物でもないっすから、檻に入った動物を見ても変だとは思わないし、嫌だなんて思うこともないっすね。ほら、人間だっているじゃないっすか、サルをペットにする人。でも、普通の人はそれを見たところで嫌だなんてこと、そもそも考えないじゃないっすか。だから、まあ、つまりはそういうことっすよ」 ほづみはシオカラの言葉を聞き終えてから、少し考え、言った。 「あんたは虫だけど、価値観は動物よりも人間に近い、ってことね」 「そうっすそうっす、マジそうっす」 「でも、やっぱり虫は虫なのよね」 「けど、だからって何をどう思うってこともないっすよ。俺っちはトンボだから俺っちなんすから」 「ついでにもう一つ聞いてもいい?」 「あ、はいっす」 「あんたって常に全裸だけど、そういうことは気にならないの?」 ほづみの問い掛けに、シオカラは閉じかけた顎を開いた。 「ふへ」 考えてみたら、そんなことを気にしたことはなかった。人に近い獣人は服は着るが、昆虫人間は何も着ない。そもそも、着る必要がないからだ。外骨格は下手な武装よりも強固で、種族によっては弾丸をも跳ね返せる。体温維持が難しい冬場は冬眠を防ぐために防寒着を着ることもあるが、それでも着ている期間はごく僅かだ。服を着ると、トンボの命とも言える羽が引っ掛かってしまうし、傷付いてしまっては飛行能力が低下してしまう。だから、昆虫人間には日常的に服を着るという概念自体がないので、何も着ていないことを気にするわけがない。 けれど、改めて考えてみると、妙な気もする。様々な種族に混じって社会生活を営むのに、全裸というのは。だが、やはり、服を着た虫は変では。シオカラはいつになく真剣に考え込んでいると、ほづみが覗き込んできた。 「そこまで考え込むようなこと?」 「つか、今の今まで、そんなこと考えたことなかったっすから、いやマジで」 「でも、あんたは服を着ない方がいいかもね」 「え、あ、そうっすか?」 「だって、結構良い色してるから」 ほづみは、シオカラの水色の外骨格を小突いた。 「隠しちゃうのは勿体ないじゃない」 ほら、次行くわよ、とほづみに上左足を引っ張られ、シオカラはキリンの檻の前から通路へと移動させられた。子供や家族連れの間を擦り抜けて歩きながら、シオカラは上左足を掴むほづみの白い手を見下ろしていた。爪は綺麗に磨かれていて、指は白く細長い。外骨格を握る力は強く、虫に対する力加減が解らないようだった。彼女の表情を窺おうとしたが、歩調に合わせて揺れる髪に隠れてよく見えず、化粧の匂いが触覚をくすぐった。 女の匂いに、頭の芯からくらくらした。 思いの外、動物園を楽しんでしまった。 ちらほらと街灯が灯り始めた歩道をシオカラと共に歩きながら、ほづみは心地良い疲労感を味わっていた。あの動物園を訪れたのは小学生時代以来だったが、久々に見た動物達の姿は新鮮で、純粋に面白かった。 ほづみの少し後ろを歩くシオカラは、人間で言うところの満面の笑みであるらしく、きちきちと顎を鳴らしていた。最初の頃は音の聞き分けなど出来なかったが、しばらく付き合っていると、その時々で微妙に力加減が異なる。喜んでいる時は音が高く、苛立ったり怒っている時は音が低く、微妙な感情を表す時は間延びした音を出す。昆虫人間は顔が顔だけに表情が出せないかもしれないが、注意深く見ていれば、おのずと感情は伝わってくる。 だから、今のシオカラは物凄く喜んでいた。動物園のお土産が詰まった紙袋を下げ、顎を細かく擦らせている。ほづみもブランドのハンドバッグと一緒にお土産の入った紙袋を下げ、ヒールを鳴らしながら、帰路を辿っていた。 「パンダ、可愛かったっすねーマジで!」 「そうねー」 「つか、クマだって解ってんのに普通のクマとはマジ違うっすよね! 超白黒だし!」 「パンダだもの、当然でしょ」 「てか、マジで尻尾白かったんすね! つか、俺っち、なんかマジ感動したっす!」 「パンダの尻尾ぐらいで?」 「尻尾は大事っすよ、マジでマジで。ああ、俺っちのは尻尾じゃなくて腹っすけどね、腹」 「解っているわよ、それぐらい」 ほづみは横目にシオカラを見てから、頬も声色も自然と緩んでいることに気付き、そんな自分に安堵していた。同僚の男に浮気された挙げ句に一方的に別れを告げられてからというもの、笑顔は無理に作ってばかりだった。仕事の最中は無理にでも笑っていないと、挫けてしまいそうだったからだ。だが、やはり、辛いものは辛かった。けれど、シオカラの前ではいくら虚勢を張っても意味がない。年上の見栄や意地はあるが、彼は単なる知り合いだ。だから、自分でも気付かないところで心が緩んでいた。シオカラの年相応の振る舞いも、見ていて微笑ましい。 もっと甘えてしまいたくなる。けれど、それはいけない。ほづみはシオカラの横顔に視線を向けたが、伏せた。これきりにしてしまおう、と強く思うのに、これで終わってしまいたくない、と弱り切った自分が胸中で喚いている。捨てられて参っていたところに丁度良く現れ、丁度良く気を紛らわせた相手だから、丁度良い場所に収めたいのだ。 だが、そんなものは恋ではない。ほづみの見苦しいエゴであり、好意を示してくれるシオカラに対する侮辱だ。好かれているから傍に置きたい、などと少しでも考えてしまった自分が心底嫌になり、ほづみは目線を落とした。 「…どうしたんすか?」 シオカラは立ち止まると、ほづみを覗き込んできた。藍色の複眼には、見た目だけ綺麗に着飾った女が映った。だが、その中身は泥臭くて意地汚くてどうしようもない。そんな女だから捨てられたのだ、と今更ながら痛感した。それに比べて、シオカラは気が良すぎる。夕暮れの空から零れる茜色の日光が、四枚の透き通った羽を光らせた。 「ねえ、あんた」 ほづみは手を伸ばし、シオカラの顎に触れた。 「私のこと、好き?」 「そりゃ…」 シオカラは顎から染み渡るほづみの体温を意識しつつ、答えた。 「好きっす、大好きっす」 「ヤらせてくれたから?」 「えっと、それもあるっすけど、なんていうか、まあ…」 シオカラは言葉を濁していたが、語気を強めた。 「好きだから好きっす!」 「そう」 ほづみはシオカラの顎からするりと手を外すと、シオカラの長く伸びた影に目線を投げた。 「私は、あんたのこと好きじゃないわ」 「虫だから、っすか?」 「そんなんじゃないわ。私が悪いの、最初からね」 ほづみはシオカラに背を向け、ことん、とヒールでアスファルトを小突いた。 「自棄になっていたからって、あんなことしていいはずない。しかも二度も。今日のデートだって、結局のところ、あんたをダシにして遊んだだけだし。だから、もう、これっきりにした方がいいのよ。どっちにとってもね」 「俺っちは、ダシにされたとか、そんな」 「あんたがそう思っていなくても、私はそう思うのよ。だから、お願い」 ほづみは鮮烈な西日を背にして、シオカラに振り向いた。 「私のこと、嫌いになってよ」 複眼と単眼を焦がすような目映い逆光に包まれた彼女は、やはり表情が窺えなかったが、語気は弱かった。平坦に言い切ったつもりなのだろうが、僅かに上擦っている。寂しい人なのだ、とシオカラは悟ってしまった。 一人でいることが耐えきれないくせにプライドが高く、大人だから、縋り付ける相手をはねつけようとしている。どう見ても、無理に無理を重ねている。再会した夜に吐露した苦しみも、まだ振り切れていないのだろう。振り切れていたら、シオカラとデートなどしないはずだ。それなのに、彼女は痛々しく意地を張ろうとしている。 「マジ無理っす、それ」 シオカラはほづみに歩み寄ると、上左足から紙袋を落とし、力任せに抱き締めた。 「…馬鹿よ、あんた」 ほづみはシオカラを押し返そうとしたが、力では勝てず、青空に似た水色の外骨格に身を預けた。 「どうしようもないぐらい」 出来ることなら、体を締め付ける足を振り払ってしまいたい。二度と顔を合わせたくなくなるほど、罵倒したい。思い切り嫌われて、避けられて、疎まれた方が良い。けれど、冷たい外骨格はそんな感情を吸い込んでいった。シオカラの紙袋から転げ落ちたパンダのぬいぐるみは二個あり、恐らくその片方はほづみのためのものだろう。 これでは、尚のこと、彼を家に帰せない。 二人は、言葉少なに帰宅した。 あれから、お互いに様子を探り合ってしまって、上手く言葉が出てこなくなってしまった挙げ句に黙り込んだ。結局、安普請のアパートに到着するまではまともな会話も出来ず、帰宅してからもシオカラはぎこちなかった。初めて部屋に連れ込んだ時とは違った意味で緊張しているらしく、居間の片隅で正座して固まってしまった。 ほづみは寝室にしている六畳間に入り、髪を解いて派手な化粧を落とし、気合いの入った服を脱いでいった。案の定、パンダのぬいぐるみの片方はほづみにプレゼントされ、乱雑なドレッサーの脇にちょこんと座っていた。部屋着にしているTシャツとハーフパンツを着てから居間に戻ると、シオカラは正座したまま動いていなかった。 「そんなに畏まることないでしょうが」 ほづみがシオカラの傍に腰を下ろすと、シオカラは俯いた。 「いや、そうなんすけど、この流れだと、やっぱりアレっすか…?」 「嫌なの?」 「いや、嫌ってんじゃないっすけど、なんていうか、その」 「だったら、止めておく?」 ほづみが言うと、シオカラは顔を上げて顎を開いた。 「うへ?」 「あんたがどうしても嫌だって言うんなら、無理にしようなんて思わないわよ」 「あ、いや、俺っちはそういうことを言いたいんじゃなくて、あーもうっ!」 シオカラはぎりぎりと顎を噛み合わせていたが、ほづみに向き直った。 「本当にそれでいいんすかっ! つか、マジ俺っちでいいんすか!」 「私のこと、好きなんでしょ?」 「そりゃマジ好きっすけど!」 「じゃあ、問題ないじゃない」 「そりゃまあないっすけど、でも、なんか、ああ、なんてーかなぁこういうの!」 シオカラは上手く言葉に出来ないのがもどかしいのか、虚空を掻き毟ってから、ほづみに迫った。 「なんかもうマジすんません! 無理っぽいっす!」 「ちょっ」 ほづみが身を引くよりも早く、シオカラは顎を大きく開いて細長い舌を伸ばし、ほづみの唇をぬるりと舐めた。口紅の味がほんの少し付いていて、首筋から立ち上る香水の残り香が触覚を惑わし、感覚が狂いそうになる。 上両足で柔らかな体を押さえ付け、中両足で引き寄せ、下両足で囲む。トンボの足は、捕らえるためのものだ。カゴのように捕らえた獲物を抱え込み、そして、喰らう。顎を広げるだけ広げ、伸ばした舌を首筋へと滑らせた。 「ん…」 唇を解放されたほづみは小さく声を漏らし、冷たい感触に身を捩った。 「あ、ちょっと、や…」 首筋をぬるぬると舐められながら、ほづみはTシャツの裾を捲り上げようとしてきた中右足を阻もうとした。だが、その手は上右足に捕まれてしまい、ほづみのTシャツは一気に胸の上まで引き上げられてしまった。ブラジャーも押し上げられ、少し汗の浮いた乳房が零れ出た。シオカラは首筋から顔を上げ、舌を引いた。 「次、下、いいっすか」 「触るの? それとも、舐めるの?」 「舐めた方が楽っすよね、お姉さんは」 「ダメ、だって今日は外にいたし、暑かったし、自分でも解るくらい汚れてるし!」 ほづみは首を横に振るが、シオカラはほづみの両腕を上両足で押さえたまま、畳の上に押し倒した。 「あぅ…」 だが、シオカラの中両足は一息でハーフパンツと下着を引き上げ、脱がされ、足を思い切り広げられた。ほづみは今までで一番恥ずかしくなり、唇を噛んだ。一度目と二度目は、何も感じなかったというのに。見られても気にするような相手だと思っていなかったし、恥ずかしいとすら思わなかったが、急に変わった。 「あ、ふぁ、ぁ…」 シオカラの舌が陰部を割って入り、滑り込んできた。人のそれよりも冷たいが、心地良かった。 「くぁ、ぅ、うぁ」 ぐじゅぐじゅと粘っこい音が立てられ、細長い舌が前後し、ほづみの胎内から掻き出しているかのようだった。奥にまで至るが、触れるだけだ。粘膜と粘膜が擦れ合って互いの体液が分泌され、混じりながら滴り落ちる。いつのまにか、彼の黒い顎は光沢を帯びるほど濡れていた。それが無性に恥ずかしく、ほづみは目を閉じた。だが、目を閉じると、一心不乱にほづみの陰部を舌で抉る音だけが聞こえてきて、皮膚の感覚も鋭敏になる。 舐められている間に尖ってきたクリトリスが、時折シオカラの外骨格に触れるが、触れるだけでその先がない。押し付けてしまいたい、と思っても、シオカラとの距離が狭まらないどころか、舌が抜かれると遠のいてしまう。それが何度も続くと堪えきれなくなって、ほづみはシオカラの首に足を巻き付け、彼の硬い顎に押し付けた。 「あはあぁあっ」 喉を反らして声を上げたほづみに、シオカラは白濁した体液に濡れた舌を引き抜いた。 「あ、やっぱりそっちの方がいいんすか?」 「だ、だってぇ…」 ほづみが恥じらうと、シオカラはほづみの汗と体液に濡れた顎をがちがちと鳴らした。 「んじゃ、こうしてみるっすか?」 「え…」 ほづみが少々戸惑うと、シオカラはほづみを押さえていた足を全て外し、ほづみを抱えて膝の上に座らせた。胡座を掻いた足の上に置かれたほづみは、中両足で太股を持ち上げられ、上両足で乳房を無造作に掴まれた。 「ちょ、ちょっと、何これ」 「見ての通り、俺っちなら出来る態勢かなぁーと。虫っすから」 「そりゃそうかもしれないけ、どぉ…」 ほづみは言葉が継げなくなり、弛緩した。乳房から外された上右足が、硬く充血したクリトリスを擦ってきた。爪は使わず、人間で言うところの手首に当たる外骨格でぐりぐりと押さえ付けるが、陰部には触ってこない。 「どうっすか、これなら痛くないっすよね、爪じゃないっすから」 「いたく、ない、けどぉっ…」 最も弱い部分を責められ、ほづみは浅い呼吸を繰り返した。頬と同じく紅潮した首筋には、舌が這い回る。左の乳房は柔らかく絞られ、下と同じく硬く尖った乳首を爪の腹で潰され、至る所から快感が襲ってくる。今し方まで責め抜かれていたのに異物を失った陰部は、寂しげに疼き、体の奥底からじわりと滲んできた。 「あーもう、どこもかしこもマジ最高っすよ、お姉さん」 ほづみの首筋を甘噛みしながら、シオカラは感嘆した。 「おっぱい大きいし、全部柔らかいし、俺っちが何しても感じてくれるし、マジエロ過ぎだし」 「一気にやられたら、誰だって、感じるわよ」 ほづみが力なく返すと、シオカラは左の乳房が歪むほど握り締めた。 「そうっすか?」 「ひゃうあん!」 思いがけず強い刺激にほづみが嬌声を放つと、シオカラはきちきちと顎を擦らせて笑った。 「マジ可愛すぎだし、お姉さん」 「ね、もう、いい、でしょぉ…? おねがいぃ…」 ほづみが切なく漏らすと、シオカラは腰を上げて、生殖器官が露出した腹部を前に出した。 「俺っちも、もうなんかヤバげっす」 「ふぅ、あ、はぁ、あっ…」 圧倒的な質量を誇る異物を押し込まれ、ほづみは涙を滲ませた。 「俺っちなんかで良かったら、いくらでも好きになってやるっすよ、お姉さん」 か細い泣き声のような声を漏らすほづみを責め立てながら、シオカラが言うと、ほづみはシオカラの足を掴んだ。 「ほんとうに? わたし、なんかでいいの?」 「それを言うのは俺っちの方なんすけど」 「だ、だって、私、あんたのこと、ずっと、利用して…」 「そんなの、とっくに知ってるっす。でも、俺っちは、たまんないんすよもう!」 ぐん、と熱い胎内の中心を突き上げると、ほづみは仰け反った。 「あぁ、あぁあんっ!」 外骨格越しにでも解るほど、強く締め付けられた後、ほづみはだらりと脱力してシオカラに寄りかかってきた。 「好きっす、お姉さん」 ほづみを見下ろしながらシオカラが呟くと、ほづみはシオカラに体重を預け、涙を拭った。 「うん。私も、もう、無理…」 好きになってはいけないと思えば思うほど、意識してしまう。けれど、真っ向から認めることに躊躇いがある。だから、今はまだ言えない。体を繋げるだけの浅はかな関係のままではいたくないが、勇気が足りなかった。だが、いずれちゃんと言おう。そうでなければ、迷いなく好意を示してくるシオカラに対して申し訳ないからだ。 「だから、俺っちと付き合って下さいっす、マジ彼女になって下さいっす」 と、背を当てている胸郭から聞こえた声に、ほづみは途端に興醒めしてシオカラを張り飛ばした。 「突っ込んだまま言うんじゃないわよ!」 「あおっ!」 張り飛ばされた勢いで頭を逸らしたシオカラは、首を捻って元に戻し、不可解そうにしつつ生殖器官を抜いた。ほづみは足と腰に力が入らなかったので、シオカラの傍に座り、なぜ殴られたのか解っていない彼を睨んだ。せめて、抜いてから言って欲しかった。だが、今、それを強調するのは多少気恥ずかしかったので飲み下した。 乱れた服と髪を整えてから、ほづみは双方の体液に汚れたシオカラの顎を拭ってやってから、キスをした。シオカラはきょとんとしていたが、意味が解ると照れてしまい、だらしなく笑いながら四枚の羽を揺らしていた。浮かれ切っているシオカラの様を見ていると、ぐだぐだと悩んでいたことが馬鹿らしくなって、ほづみは笑った。 落ち込んでいるのは、もううんざりだ。 ←・→ タグ … !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
https://w.atwiki.jp/mtgflavortext/pages/3064.html
"Flittering, wheeling,/ darting in to strike, and then/ gone just as you blink." ――"Dragonfly Haiku," poet unkown レジェンド ひるがえり 矢となり襲う 虫の影 ――作者不詳「トンボの俳句」 "Flittering, wheeling,/ darting in to strike, and then/ gone just as you blink." ――"Dragonfly Haiku," poet unkown クロニクル 【M TG Wiki】 名前